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特表2023-503472長時間作用型GDF15融合タンパク質およびそれを含む医薬組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-30
(54)【発明の名称】長時間作用型GDF15融合タンパク質およびそれを含む医薬組成物
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/12 20060101AFI20230123BHJP
   C07K 14/475 20060101ALI20230123BHJP
   C07K 19/00 20060101ALI20230123BHJP
   C12N 15/62 20060101ALI20230123BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20230123BHJP
   C12N 1/19 20060101ALI20230123BHJP
   C12N 1/15 20060101ALI20230123BHJP
   C12N 1/13 20060101ALI20230123BHJP
   C12N 1/11 20060101ALI20230123BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20230123BHJP
   A61P 3/04 20060101ALI20230123BHJP
   A61P 3/06 20060101ALI20230123BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20230123BHJP
   A61K 38/17 20060101ALI20230123BHJP
【FI】
C12N15/12
C07K14/475 ZNA
C07K19/00
C12N15/62
C12N15/63 Z
C12N1/19
C12N1/15
C12N1/13
C12N1/11
C12N5/10
A61P3/04
A61P3/06
A61P3/10
A61K38/17
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022530716
(86)(22)【出願日】2020-11-25
(85)【翻訳文提出日】2022-06-06
(86)【国際出願番号】 KR2020016842
(87)【国際公開番号】W WO2021107603
(87)【国際公開日】2021-06-03
(31)【優先権主張番号】10-2019-0153680
(32)【優先日】2019-11-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】500309919
【氏名又は名称】ユーハン・コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】YUHAN Corporation
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100150500
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 靖
(74)【代理人】
【識別番号】100176474
【弁理士】
【氏名又は名称】秋山 信彦
(72)【発明者】
【氏名】イム,セヨン
(72)【発明者】
【氏名】パク,ヨンボン
(72)【発明者】
【氏名】キム,スギョン
(72)【発明者】
【氏名】シム,ボラ
(72)【発明者】
【氏名】チョン,ウォニ
(72)【発明者】
【氏名】チェ・ヒョンホ
(72)【発明者】
【氏名】ヤン,ジウン
(72)【発明者】
【氏名】チュ,ミギョン
(72)【発明者】
【氏名】キム,ウォンテ
(72)【発明者】
【氏名】イ,ヨンウ
(72)【発明者】
【氏名】キム,ジュンファン
【テーマコード(参考)】
4B065
4C084
4H045
【Fターム(参考)】
4B065AA90X
4B065AA93Y
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065CA24
4B065CA44
4C084AA02
4C084AA07
4C084BA01
4C084BA08
4C084BA21
4C084BA23
4C084BA41
4C084CA53
4C084MA17
4C084MA66
4C084NA14
4C084ZA701
4C084ZA702
4C084ZC331
4C084ZC332
4C084ZC351
4C084ZC352
4H045AA10
4H045BA09
4H045BA41
4H045CA40
4H045EA27
4H045FA74
4H045GA26
(57)【要約】
本発明は、生理活性およびインビボ安定性が増加したGDF15変異体を含む融合タンパク質、およびそれを含む医薬組成物に関する。本発明によるGDF15変異体または長時間作用型GDF15融合タンパク質は、インビトロでの有効性、GDF15受容体に対する結合親和性、および体重減少効果の点で、従来のGDF15変異体よりも優れている。したがって、有効成分として、GDF15変異体、長時間作用型GDF15融合タンパク質、または融合タンパク質の二量体を含む本発明の医薬組成物は、食欲抑制を引き起こし、したがって、代謝性疾患または肥満の治療薬として効果的に使用することができる。さらに、有効成分として、GDF15変異体、長時間作用型GDF15融合タンパク質、または融合タンパク質二量体を含む医薬組成物は、化学薬品および他の代謝性疾患治療薬との併用療法などにおいて使用することができ、および代謝性疾患または肥満のための従来の治療薬との併用療法において効果的に使用することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
N末端拡張ドメイン-コアドメイン(I)
[式(I)では、
N末端拡張ドメインは、配列番号:3~5アのミノ酸配列のいずれか1つからなるポリペプチドであり;および
コアドメインは、配列番号:20のアミノ酸配列中の15、50、58、97位のアミノ酸およびそれらの組み合わせからなる群から選択されるいずれか1つのアミノ酸が別のアミノ酸で置換される、配列番号:20によって表されるポリペプチド、または配列番号:20から誘導されるポリペプチドであり;
ここで、15位のアミノ酸であるアルギニン(R)は、アラニン(A)、アスパラギン酸(D)、アスパラギン(N)、システイン(C)、グルタミン酸(E)、グルタミン(Q)、グリシン(G)、ヒスチジン(H)、イソロイシン(I)、ロイシン(L)、リシン(K)、メチオニン(M)、フェニルアラニン(F)、プロリン(P)、セリン(S)、トレオニン(T)、トリプトファン(W)、チロシン(Y)、またはバリン(V)で置換され、
50位のアミノ酸であるアスパラギン(N)は、アラニン、アルギニン(R)、アスパラギン酸、システイン、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、またはバリンで置換され、
58位のアミノ酸であるセリン(S)は、アラニン、アルギニン、アスパラギン酸、アスパラギン、システイン、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、またはバリンで置換され、および
97位のアミノ酸であるアスパラギン酸(D)は、アラニン、アルギニン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、またはバリンで置換される]
で表されるGDF15変異体。
【請求項2】
コアドメインが、以下のバリエーション(1)~(6):
(1)配列番号:20のアミノ酸配列中の15位のアミノ酸であるアルギニン(R)が、アスパラギン(N)で置換される変異;
(2)配列番号:20のアミノ酸配列中の50位のアミノ酸であるアスパラギン(N)が、ロイシン(L)で置換される変異;
(3)配列番号:20のアミノ酸配列中の58位のアミノ酸であるセリン(S)が、リシン(K)、アルギニン(R)、アスパラギン(N)、アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E)、システイン(C)、またはロイシン(L)で置換される変異;
(4)配列番号:20のアミノ酸配列中の97位のアミノ酸であるアスパラギン酸(D)が、ロイシン(L)で置換される変異;
(5)配列番号:20のアミノ酸配列中の50位のアミノ酸であるアスパラギン(N)、および配列番号:20のアミノ酸配列中の97位のアミノ酸であるアスパラギン酸(D)が、システイン(C)またはセリン(S)でそれぞれ置換される変異;および
(6)配列番号:20のアミノ酸配列中の15位のアミノ酸であるアルギニン(R)が、アスパラギン(N)で置換され、および配列番号:20のアミノ酸配列中の58位のアミノ酸であるアスパラギン(N)が、リシン(K)またはアルギニン(R)で置換される変異;
からなる群から選択されるいずれか1つの変異を含む、請求項1に記載のGDF15変異体。
【請求項3】
コアドメインが、配列番号:6~19から選択されるいずれか1つのアミノ酸配列からなる、請求項2に記載のGDF15変異体。
【請求項4】
GDF15変異体が、配列番号:3によって表されるアミノ酸配列からなるN末端伸長ドメインと、配列番号:8、9、または20によって表されるアミノ酸配列からなるコアドメインとを含む、請求項1に記載のGDF15変異体。
【請求項5】
GDF15変異体が、配列番号:4によって表されるアミノ酸配列からなるN末端伸長ドメインと、配列番号:8、9、または20によって表されるアミノ酸配列からなるコアドメインとを含む、請求項1に記載のGDF15変異体。
【請求項6】
GDF15変異体が、配列番号:5によって表されるアミノ酸配列からなるN末端伸長ドメインと、配列番号:6~19から選択されるいずれか1つのアミノ酸配列からなるコアドメインとを含む、請求項1に記載のGDF15変異体。
【請求項7】
GDF15変異体が、配列番号:21~39から選択されるいずれか1つのアミノ酸配列からなる、請求項1に記載のGDF15変異体。
【請求項8】
請求項1~7にのいずれか1つに記載のGDF15変異体が、ヒトIgG Fcまたはその変異体に結合する、長時間作用型GDF15融合タンパク質。
【請求項9】
IgG Fcまたはその変異体が、
少なくとも1つの操作された突起を含むCH3配列を含む、IgG1 Fc配列を含む第1のポリペプチド;および
少なくとも1つの操作された空洞を含むCH3配列を含む、IgG1 Fc配列を含む第2のポリペプチを含み、
ここで、第1のポリペプチドは、第1のポリペプチドの突起を第2のポリペプチドの空洞に配置することにより、第2のポリペプチドと二量体化する、請求項8に記載の長時間作用型GDF15融合タンパク質。
【請求項10】
結合が、IgG Fcまたはその変異体において、第1のポリペプチドのC末端または第2のポリペプチドのC末端が、GDF15変異体のN末端に結合する、請求項8に記載の長時間作用型GDF15融合タンパク質。
【請求項11】
GDF15変異体とIgG Fcまたはその変異体との間の結合が、リンカーを介して行われる、請求項8に記載の長時間作用型GDF15融合タンパク質。
【請求項12】
リンカーが、グリシン、セリン、アラニン、およびグルタミン酸残基を含む、10~50個のアミノ酸残基からなるペプチドである、請求項11に記載の長時間作用型GDF15融合タンパク質。
【請求項13】
リンカーが、GGGGSGGGGSGGGGSGGGGSGGGGS (配列番号:48)、GSGGGGSGGGGSGGGGS (配列番号:92)、GSGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSGGGGS (配列番号:93)、GSGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSGGGGS (配列番号:94)、GSEEEAEEEAEEEAEEEAEEEAEEEA (配列番号:95)、GSGGSSPTPTPTPTPTPTPTPTPTPT (配列番号:96)、またはGSEAAAKEAAAKEAAAKEAAAKEAAAK (配列番号:97)である、請求項12に記載の長時間作用型GDF15融合タンパク質。
【請求項14】
第1のポリペプチドが、配列番号:42、44、および46から選択されるいずれか1つのアミノ酸配列からなる、請求項9に記載の長時間作用型GDF15融合タンパク質。
【請求項15】
第2のポリペプチドが、配列番号:43、45、および47から選択されるいずれか1つのアミノ酸配列からなる、請求項9に記載の長時間作用型GDF15融合タンパク質。
【請求項16】
GDF15変異体が、少なくとも1つのN結合型グリカンを含みうる、請求項8に記載の長時間作用型GDF15融合タンパク質。
【請求項17】
長時間作用型GDF15融合タンパク質が、i)配列番号:21~39から選択されるいずれか1つのアミノ酸配列からなるGDF15変異体、ii)配列番号:42、44、および46から選択されるいずれか1つのアミノ酸配列からなる第1のポリペプチド、およびiii)配列番号:43、45、および47から選択されるいずれか1つのアミノ酸配列からなる第2のポリペプチドを含む、請求項8に記載の長時間作用型GDF15融合タンパク質。
【請求項18】
請求項8に記載の長時間作用型GDF15融合タンパク質の2つを含む、融合タンパク質二量体。
【請求項19】
請求項1~7のいずれか1つに記載のGDF15変異体または請求項8~17のいずれか1つに記載の長時間作用型GDF15融合タンパク質をコードする、単離された核酸分子。
【請求項20】
請求項19に記載の核酸分子を含む、発現ベクター。
【請求項21】
請求項20に記載の発現ベクターを含む、宿主細胞。
【請求項22】
有効成分として、請求項1~7のいずれか1つに記載のGDF15変異体、請求項8~17のいずれか1つに記載の長時間作用型GDF15融合タンパク質、または請求項18に記載の融合タンパク質二量体を含む、糖尿病、肥満、脂質異常症、またはメタボリックシンドロームを予防または治療するための医薬組成物。
【請求項23】
糖尿病、肥満、脂質異常症、またはメタボリックシンドロームの予防または治療のための、請求項1~7のいずれか1つに記載のGDF15変異体、請求項8~17のいずれか1つに記載の長時間作用型GDF15融合タンパク質、または請求項18に記載の融合タンパク質二量体の使用。
【請求項24】
糖尿病、肥満、脂質異常症、またはメタボリックシンドロームを予防または治療するための医薬品の製造のための、請求項1~7のいずれか1つに記載のGDF15変異体、請求項8~17のいずれか1つに記載の長時間作用型GDF15融合タンパク質、または請求項18に記載の融合タンパク質二量体の使用。
【請求項25】
請求項1~7のいずれか1つに記載のGDF15変異体、請求項8~17のいずれか1つに記載の長時間作用型GDF15融合タンパク質、または請求項18に記載の融合タンパク質二量体を、個体に投与するステップを含む、糖尿病、肥満、脂質異常症、またはメタボリックシンドロームを予防または治療するための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生理活性およびインビボ安定性が増加したGDF15変異体を含む融合タンパク質、およびそれを含む医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
増殖分化因子15(GDF15)は、マクロファージ阻害性サイトカイン1(MIC-1)、胎盤骨形成タンパク質(PBMP)、または非ステロイド性抗炎症薬活性化遺伝子1(NAG-1)とも呼ばれ、トランスフォーミング増殖因子ベータ(TGF-β)スーパーファミリーのメンバーであるタンパク質である。
【0003】
最近の研究結果によると、GDF15は、脳組織で特異的に発現するGDNFファミリー受容体アルファ様(GFRAL)およびretプロトオンコジーン(RET)に結合することにより、食事摂取を阻害し、体重減少をもたらすことが示されている(Tsai VW、et al.、PLoS One 2013; 8(2):e55174; US 8,192,735)。さらに、いくつかの研究により、GDF15は、さまざまな肥満動物モデルに投与された場合に優れた体重減少効果があることが実証されており、そのような効果に加えて、GDF15には、血糖値の低下、脂質レベルの改善、およびインスリン抵抗性の改善などの代謝上の利点があることが確認されている。
【0004】
しかしながら、野生型GDF15は、医学的に使用される場合、インビボ半減期が短いため、高頻度の投与が必要となるという点で問題となる。したがって、GDF15のインビボ半減期を延長することを目的とした長時間作用型製剤の開発が取り組まれている。
【0005】
一方、長時間作用型製剤を製造するいくつかの技術の中で、免疫グロブリンFc融合技術は、インビボ半減期を長くさせ、毒性または免疫応答の誘発などの悪影響がほとんどないという点で最も広く使用されている。免疫グロブリンFc融合GDF15タンパク質を長時間作用型治療薬に発展させるには、以下のいくつかの条件を満たす必要がある。
【0006】
第一に、融合によって起こるインビトロ活性の低下を最小限に抑える必要がある。GDF15融合タンパク質の活性は、融合部位によって大きく異なることが知られている。したがって、GDF15に変異が導入されたFc融合GDF15タンパク質の活性は、融合が起こったか、または融合部位によって異なる可能性がある。第二に、融合は、インビボ半減期の増加をもたらすべきであり、インビボ半減期の増加は、ヒトへの週1回の間隔での投与を可能にする薬物動態プロファイルを示すべきである。第三に、ほとんどのバイオ医薬品が患者に免疫原性を引き起こす可能性があることを考慮すると、融合リンカーまたは突然変異によって引き起こされる免疫原性のリスクを最小限に抑える必要がある。第四に、融合部位や突然変異の導入による安定性の問題が無いのが当然である。第五に、融合免疫グロブリンのアイソタイプによっては望ましくない免疫応答が生じる可能性があるため、それに代わるものが必要である。
【0007】
本発明者らは、GDF15の生理活性および安定性の向上に努めながら、GDF15の特定の位置に変異を導入し、そこに免疫グロブリンFc領域を結合させた場合、GDF15の活性が増強され、インビボ半減期が増加することを確認し、したがって本発明を完了した。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、改善された生理活性および安定性を有するGDF15変異体、ならびに長時間作用型GDF15融合タンパク質を提供することである。
本発明の別の目的は、有効成分として、GDF15変異体または長時間作用型GDF15融合タンパク質を含む、糖尿病、肥満、脂質異常症、またはメタボリックシンドロームを予防または治療するための医薬組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、本発明の1つの態様では、式(I)で表されるGDF15変異体が提供される。
N末端拡張ドメイン-コアドメイン(I)
【0010】
本発明の別の態様では、GDF15変異体がヒトIgG Fcまたはその変異体に結合する長時間作用型GDF15融合タンパク質が提供される。
【0011】
本発明のさらに別の態様では、長時間作用型GDF15融合タンパク質のうちの2つを含む融合タンパク質二量体が提供される。
【0012】
本発明のさらに別の態様では、GDF15変異体またはGDF15融合タンパク質をコードする単離された核酸分子が提供される。
【0013】
本発明のさらに別の態様では、核酸分子を含む発現ベクターが提供される。
【0014】
本発明のさらに別の態様では、発現ベクターを含む宿主細胞が提供される。
【0015】
本発明のさらに別の態様では、有効成分として、GDF15変異体、長時間作用型GDF15融合タンパク質、または融合タンパク質二量体を含む、糖尿病、肥満、脂質異常症、またはメタボリックシンドロームを予防または治療するための医薬組成物が提供される。
【発明の効果】
【0016】
発明の有利な効果
本発明によるGDF15変異体または長時間作用型GDF15融合タンパク質は、インビトロ有効性、GDF15受容体に対する結合親和性、および体重減少効果の点で、従来のGDF15変異体よりも優れている。
【0017】
したがって、有効成分として、GDF15変異体、長時間作用型GDF15融合タンパク質、または融合タンパク質二量体を含む本発明の医薬組成物は、食欲抑制を引き起こし、したがって、代謝性疾患または肥満のための治療薬として効果的に使用することができる。
【0018】
さらに、有効成分として、GDF15変異体、長時間作用型GDF15融合タンパク質、または融合タンパク質二量体を含む医薬組成物は、化学薬品および他の代謝性疾患治療薬との併用療法などにおいて使用することができ、および代謝性疾患または肥満のための従来の治療薬との併用療法において効果的に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、活性に関して、成熟GDF15の56位のアミノ酸であるアスパラギン(N)および/または成熟GDF15の103位のアミノ酸であるアスパラギン酸(D)が別のアミノ酸で置換されている、長時間作用型GDF15融合タンパク質(二量体:FM4、FM4-1、FM4-2、およびFM4-3)を比較することによって得られた結果を示す。
図2図2は、活性に関して、成熟GDF15の64位のアミノ酸であるセリン(S)が別のアミノ酸で置換されている、長時間作用型GDF15融合タンパク質(二量体:FM9、FM13、FM14、FM15、およびFM16)を比較することによって得られた結果を示す。
図3図3は、活性に関して、長時間作用型GDF15融合タンパク質(二量体:FM4、FM5、およびFM9)を比較することによって得られた結果を示す。
図4図4は、GDF15受容体(GFRALおよびRET)に対する親和性に関して、長時間作用型GDF15融合タンパク質(二量体:FM4、FM5、およびFM9)を比較することによって得られた結果を示す。
図5図5は、活性に関して、長時間作用型GDF15融合タンパク質(二量体:FM1、およびFM10)を比較することによって得られた結果を示す。
図6図6は、活性に関して、長時間作用型GDF15融合タンパク質(二量体:FM2、およびFM11)を比較することによって得られた結果を示す。
図7図7は、活性に関して、長時間作用型GDF15融合タンパク質(二量体:FM3、およびFM12)を比較することによって得られた結果を示す。
図8図8は、GDF15受容体(GFRALおよびRET)に対する親和性に関して、長時間作用型GDF15融合タンパク質(二量体:FM10およびFM11)を比較することによって得られた結果を示す。
図9図9は、リンカーのタイプと長さに応じた活性に関して、長時間作用型GDF15融合タンパク質(二量体:FM9-1、FM9-2、FM9-3、FM9-4、FM9-5、およびFM9-6)を比較することによって得られた結果を示す。
図10図10は、リンカーのタイプと長さに応じた活性に関して、長時間作用型GDF15融合タンパク質(二量体:FM11-1、FM11-2、FM11-3、FM11-4、FM11-5、およびFM11-6)を比較することによって得られた結果を示す。
図11図11は、食餌誘発性肥満マウス(DIOマウス)の体重変化(%)に関して、反復投与により、長時間作用型GDF15融合タンパク質(二量体:FM9-4、FM9-6、FM11-4、およびFM11-6)を比較することによって得られた結果を示す。
図12図12は、食餌誘発性肥満マウス(DIOマウス)の体重変化(%)に関して、単回投与により、長時間作用型GDF15融合タンパク質(二量体:FM9-6)を比較することによって得られた結果を示す。
図13図13は、ob/obマウスの体重変化(%)に関して、反復投与により、長時間作用型GDF15融合タンパク質(二量体:FM9-6)を比較することによって得られた結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
発明を実施するための最良の形態
以下、本発明についてより詳細に説明する。
【0021】
GDF15変異体
本発明の1つの態様では、式(I)で表されるGDF15変異体が提供される。
N末端拡張ドメイン-コアドメイン(I)。
【0022】
式(I)では、
N末端拡張ドメインは、配列番号:3~5アのミノ酸配列のいずれか1つからなるポリペプチドであり;および
コアドメインは、配列番号:20のアミノ酸配列中の15、50、58、97位のアミノ酸およびそれらの組み合わせからなる群から選択されるいずれか1つのアミノ酸が別のアミノ酸で置換される、配列番号:20によって表されるポリペプチド、または配列番号:20から誘導されるポリペプチドであり;
ここで、15位のアミノ酸であるアルギニン(R)は、アラニン(A)、アスパラギン酸(D)、アスパラギン(N)、システイン(C)、グルタミン酸(E)、グルタミン(Q)、グリシン(G)、ヒスチジン(H)、イソロイシン(I)、ロイシン(L)、リシン(K)、メチオニン(M)、フェニルアラニン(F)、プロリン(P)、セリン(S)、トレオニン(T)、トリプトファン(W)、チロシン(Y)、またはバリン(V)で置換されてもよく、
50位のアミノ酸であるアスパラギン(N)は、アラニン、アルギニン(R)、アスパラギン酸、システイン、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、またはバリンで置換されてもよく、
58位のアミノ酸であるセリン(S)は、アラニン、アルギニン、アスパラギン酸、アスパラギン、システイン、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、またはバリンで置換されてもよく、および
97位のアミノ酸であるアスパラギン酸(D)は、アラニン、アルギニン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、またはバリンで置換されてもよい。
【0023】
本明細書で使用される場合、「コアドメイン」という用語は、配列番号:20のアミノ酸配列中の15、50、58、97位のアミノ酸およびそれらの組み合わせからなる群から選択されるいずれか1つのアミノ酸が別のアミノ酸で置換される、配列番号:20で表されるポリペプチド、または配列番号:20から誘導されるポリペプチドを含む、配列番号:1のGDF15のアミノ酸配列中の7位~112位までのアミノ酸配列を有するポリペプチドを意味する。第1のコアドメインは、配列番号:2のアミノ酸配列からなってもよい。
【0024】
具体的には、コアドメインは、以下のバリエーション(1)~(6)からなる群から選択されるいずれか1つの変異を含みうる:
(1)配列番号:20のアミノ酸配列中の15位のアミノ酸であるアルギニン(R)が、アスパラギン(N)で置換される変異;
(2)配列番号:20のアミノ酸配列中の50位のアミノ酸であるアスパラギン(N)が、ロイシン(L)で置換される変異;
(3)配列番号:20のアミノ酸配列中の58位のアミノ酸であるセリン(S)が、リシン(K)、アルギニン(R)、アスパラギン(N)、アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E)、システイン(C)、またはロイシン(L)で置換される変異;
(4)配列番号:20のアミノ酸配列中の97位のアミノ酸であるアスパラギン酸(D)が、ロイシン(L)で置換される変異;
(5)配列番号:20のアミノ酸配列中の50位のアミノ酸であるアスパラギン(N)、および配列番号:20のアミノ酸配列中の97位のアミノ酸であるアスパラギン酸(D)が、システイン(C)またはセリン(S)でそれぞれ置換される変異;および
(6)配列番号:20のアミノ酸配列中の15位のアミノ酸であるアルギニン(R)が、アスパラギン(N)で置換され、および配列番号:20のアミノ酸配列中の58位のアミノ酸であるアスパラギン(N)が、リシン(K)またはアルギニン(R)で置換される変異。
【0025】
ここで、コアドメインは、配列番号:6~19から選択されるいずれか1つのアミノ酸配列からなりうる。
【0026】
N末端拡張ドメインは、上記のコアドメインのN末端に結合したドメインであり、配列番号3~5のいずれか1つのアミノ酸配列からなるポリペプチドでありうる。
【0027】
本明細書で使用される場合、「ΔN2」という表現は、「デルタN2」としても示されてもよく、これは、配列番号:1によって表されるヒトGDF15のアミノ酸配列において、1位および2位のアミノ酸が削除されることを意味する。ΔN2がN末端拡張ドメインとして表される場合、それは「NGDH」として表されうる。
【0028】
本明細書で使用される場合、「ΔN3、WS挿入、G4N、D5S、H6T」という表現は、「デルタN3、WS挿入、G4N、D5S、H6T」としても示されてもよく、これは、配列番号:1で表されるヒトGDF15のアミノ酸配列において、1~3位のアミノ酸が削除され、トリプトファンおよびセリンが挿入されること;4位のアミノ酸であるグリシンがアスパラギンで置換されること;5位のアミノ酸であるアスパラギン酸がセリンで置換されること;および6位のアミノ酸であるヒスチジンがトレオニンで置換されること;を意味する。ΔN3、WS挿入、G4N、D5S、H6TがN末端拡張ドメインとして表される場合、「WSNST」と表示されてもよい。
【0029】
本明細書で使用される場合、「ΔN3、G4N、D5S、H6T」という表現は、「デルタN3、G4N、D5S、H6T」としても示されてもよく、これは、配列番号:1で表されるヒトGDF15のアミノ酸配列において、1~3位のアミノ酸が削除されること;4位のアミノ酸であるグリシンがアスパラギンで置換されること;5位のアミノ酸であるアスパラギン酸がセリンで置換されること;および6位のアミノ酸であるヒスチジンがトレオニンで置換されること;を意味する。「ΔN3、G4N、D5S、H6T」がN末端拡張ドメインとして表される場合、「NST」と表示されてもよい。
【0030】
GDF15変異体は、配列番号:3によって表されるアミノ酸配列からなるN末端拡張ドメインと、配列番号:6~20から選択されるいずれか1つのアミノ酸配列からなるコアドメインとを含みうる。さらに、GDF15変異体は、配列番号:4によって表されるアミノ酸配列からなるN末端拡張ドメインと、配列番号6~20から選択されるいずれか1つのアミノ酸配列からなるコアドメインとを含みうる。さらに、GDF15変異体は、配列番号:5によって表されるアミノ酸配列からなるN末端拡張ドメインと、配列番号:6~19から選択されるいずれか1つのアミノ酸配列からなるコアドメインとを含みうる。
【0031】
好ましくは、GDF15変異体は、配列番号:3によって表されるアミノ酸配列からなるN末端伸長ドメインと、配列番号:8、9、または20によって表されるアミノ酸配列からなるコアドメインとを含みうる。さらに、GDF15変異体は、配列番号:4によって表されるアミノ酸配列からなるN末端伸長ドメインと、配列番号:8、9、または20によって表されるアミノ酸配列からなるコアドメインとを含みうる。さらに、GDF15変異体は、配列番号:5によって表されるアミノ酸配列からなるN末端伸長ドメインと、配列番号:6、7、および10~19から選択されるいずれか1つのアミノ酸配列からなるコアドメインとを含みうる。ここで、GDF15変異体は、配列番号:21~39から選択されるいずれか1つのアミノ酸配列からなりうる。
【0032】
長時間作用型GDF15融合タンパク質
本発明の別の態様では、GDF15変異体が、ヒトIgG Fcまたはその変異体に結合する長時間作用型GDF15融合タンパク質が提供される。
【0033】
ヒトIgG Fcまたはその変異体は、IgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4、またはその変異体のFcでありうる。具体的には、ヒトIgG Fcまたはその変異体は、ヒトIgG1 Fcまたはその変異体でありえ、ヒトIgG1 Fcは、配列番号:41によって表されるアミノ酸配列からなりうる。
【0034】
ヒトIgG Fcまたはその変異体は、配列番号:41と90%、92%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である隣接するアミノ酸配列、またはCH3ドメインを含むFcの断片でありうる。特定の実施形態では、ヒトIgG Fcまたはその変異体は、配列番号:41と90%、92%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である隣接するアミノ酸配列、またはCH2ドメインおよびCH3ドメインを含むFcの断片でありうる。特定の実施形態では、ヒトIgG Fcまたはその変異体は、配列番号:41と90%、92%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である隣接するアミノ酸配列、または部分ヒンジ領域、CH2ドメイン、およびCH3ドメインを含むFcの断片でありうる。特定の実施形態では、ヒトIgG Fcまたはその変異体は、配列番号:41と90%、92%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列でありうる。
【0035】
IgG Fcまたはその変異体は、少なくとも1つの操作された突起を含むCH3配列を含む、IgG1 Fc配列を含む第1のポリペプチド;および少なくとも1つの操作された空洞を含むCH3配列を含む、IgG1 Fc配列を含む第2のポリペプチを含み、ここで、第1のポリペプチドは、第1のポリペプチドの突起を第2のポリペプチドの空洞に配置することにより、第2のポリペプチドと二量体化する。
【0036】
具体的には、第1のポリペプチドは、操作された空洞を含む別のIgG Fcポリペプチド(たとえば、第2のポリペプチド)への結合を可能にする操作された突起を含みうる。第2のポリペプチドは、操作された突起を含む別のIgG Fcポリペプチド(たとえば、第1のポリペプチド)への結合を可能にする操作された空洞を含みうる。さらに、第1のポリペプチドの突起および第2のポリペプチドの空洞は、それぞれ、IgG FcのCH3ドメインに操作されうる。ここで、第1のポリペプチドの突起および第2のポリペプチドの空洞は、GDF15変異体に接続も結合もされていない。
【0037】
操作された突起は、配列番号:41によって表されるアミノ酸配列を有するヒトIgG1 Fcのアミノ酸配列において少なくとも1つの置換を含みうる。ここで、アミノ酸位置は、EUの番号付けに従って番号付けされる。置換は、アミノ酸残基347、366、および394からなる群から選択される位置に存在しうる。たとえば、置換は、Q347W/Y、T366W/Y、T394W/Y、およびそれらの組み合わせからなる群から選択されるいずれか1つでありうる。さらに、操作された空洞は、ヒトIgG1 Fc配列中の対応するアミノ酸に少なくとも1つの置換を含むことができ、置換は、アミノ酸残基366、368、394、405、および407アミノ酸残基からなる群から選択される位置に存在しうる。たとえば、置換は、T366S、L368A、T394S、F405T/V/A、Y407T/V/A、およびそれらの組み合わせからなる群から選択されるいずれか1つでありうる。
【0038】
好ましくは、突起は、置換T366W/Yを含み得、空洞は、T366S、L368A、Y407T/V/A、およびそれらの組み合わせからなる群から選択されるいずれか1つの置換を含みうる。たとえば、突起は、置換T366W/Yを含むことができ、空洞は、置換Y407T/V/Aを含みうる。さらに、突起は、置換T366Yを含むことができ、空洞は、置換Y407Tを含みうる。さらに、突起は、置換T366Wを含むことができ、空洞は、置換Y407Aを含みうる。さらに、突起は、置換T394Yを含むことができ、空洞は、置換Y407Tを含みうる。
【0039】
第1のポリペプチドは、配列番号:42、44、および46から選択されるいずれか1つのアミノ酸配列からなりえ、第2のポリペプチドは、配列番号43、45、および47から選択されるいずれか1つのアミノ酸配列からなりうる。
【0040】
突起は「ノブ」と呼ばれ、空洞は「ホール」と呼ばれる。
【0041】
第1のポリペプチドは、操作された突起を含むFc'ノブ'であり、第2のポリペプチドは、操作された突起を含むFc'ホール'である。第1および第2のポリペプチドは、非共有相互作用(たとえば、Fcのノブおよびホール領域間の疎水性相互作用などの疎水性効果)、共有結合(たとえば、第1および第2のポリペプチドのFcのヒンジ領域間の1つまたは2つ、またはそれ以上などのジスルフィド結合))、またはその両方を介して互いに物理的に結合しうる。
【0042】
本明細書で使用される場合、「二量体」という用語は、少なくとも2つのポリペプチドを含むタンパク質複合体を意味する。これらのポリペプチドのそれぞれは、N末端およびC末端を含む。少なくとも2つのポリペプチドは、共有結合および非共有結合(たとえば、静電、π効果、ファンデルワールス力、および疎水性効果)相互作用の一方または両方を介して互いに関連しうる。2つのポリペプチドは、同じアミノ酸配列を有しうるか、または互いに異なりうる。2つのポリペプチドが互いに同一である場合、二量体は(ホモ)二量体と呼ばれる;2つのポリペプチドが互いに異なる場合、二量体はヘテロ二量体と呼ばれる。
【0043】
ヒトIgG Fcまたはその変異体は、第1のポリペプチドおよび第2のポリペプチドを含むヘテロ二量体でありうる;およびヘテロ二量体は、A-1(配列番号:42)および A-2(配列番号:43)で形成されたヘテロ二量体、B-1(配列番号:44)およびB-2(配列番号:45)で形成されたヘテロ二量体、またはC-1(配列番号:46)およびC-2(配列番号:47)で形成されたヘテロ二量体でありうる。
【0044】
さらに、IgG Fcまたはその変異体は、長時間作用型GDF15融合タンパク質の特性を改善するために、追加の突然変異を含みうる。具体的には、第1のポリペプチドおよび第2のポリペプチドからなるヘテロ二量体は、追加の突然変異を含みうる。
【0045】
たとえば、IgG Fcまたはその変異体は、IgGエフェクター機能を無効にする(たとえば、減少または排除する)突然変異を含みうる。具体的には、Fcパートナー配列は、補体依存性細胞傷害(CDC)、抗体依存性細胞傷害(ADCC)、および抗体依存性細胞貪食(ADCP)などのエフェクター機能を無効にする突然変異を含みうる。たとえば、突然変異E233AおよびL235Aは、IgG1エフェクター機能を排除するために、A-1およびA-2またはその変異体(ヘテロ二量体である)から形成されるIgG Fcに導入されうる。突然変異N297Aを含むB-1とB-2で形成されたヘテロ二量体は、N結合型グリカンを排除するために使用することができる。C-1およびC-2から形成されるヘテロ二量体に、突然変異L234A、L235A、およびN297Aを導入して、IgG1エフェクター機能およびN結合型グリカンを排除することができる。
【0046】
GDF15変異体とIgG Fcまたはその変異体との間の結合は、IgG Fcまたはその変異体において、第1のポリペプチドのC末端または第2のポリペプチドのC末端が、GDF15変異体のN末端に結合するようなものでありうる。さらに、GDF15変異体とIgG Fcまたはその変異体との間の結合は、IgG Fcまたはその変異体において、第1のポリペプチドのN末端または第2のポリペプチドのN末端が、GDF15変異体のC末端に結合するようなものでありうる。好ましくは、GDF15変異体とIgG Fcまたはその変異体との間の結合は、IgG Fcまたはその変異体の第1のポリペプチドのC末端が、GDF15変異体のN末端に結合するようなものでありうる。
【0047】
さらに、GDF15変異体とIgG Fcまたはその変異体との間の結合は、リンカーを介して行うことができる。リンカーは、グリシン、セリン、アラニン、およびグルタミン酸残基を含む、10~50個のアミノ酸残基からなるペプチドでありうる。リンカーは、(G4S)nを含むことができ、ここで、nは、1~10の整数または2~7の整数でありうる。たとえば、nは、2、3、4、5、6、または7でありうる。本発明の1つの実施形態では、nが5の整数である場合である(G4S)5を含むリンカーが使用された。
【0048】
(G4S)nを含むリンカー以外の適切なリンカーの例として、GS(G4S)n、GS(EEEA)n、(EEEA)n、GS(EAAAK)n、(EAAAK)n、またはGSGGSS(PT)nを含むリンカーが言及され、ここで、nは1~10の整数でありうる。しかしながら、適切なリンカーはそれらに限定されない。本発明の1つの実施形態では、nが6の整数である場合であるGS(EEEA)6を含むリンカー、またはnが5の整数である場合であるGS(EAAAK)5を含むリンカーが使用された。
【0049】
具体的には、リンカーは、GGGGSGGGGSGGGGSGGGGSGGGGS (配列番号:48)、GSGGGGSGGGGSGGGGS (配列番号:92)、GSGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSGGGGS (配列番号:93)、GSGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSGGGGS (配列番号:94)、GSEEEAEEEAEEEAEEEAEEEAEEEA (配列番号:95)、GSGGSSPTPTPTPTPTPTPTPTPTPT (配列番号:96)、またはGSEAAAKEAAAKEAAAKEAAAKEAAAK (配列番号:97)でありうる。好ましくは、リンカーは、GGGGSGGGGSGGGGSGGGGSGGGGS (配列番号:48)、GSEEEAEEEAEEEAEEEAEEEAEEEA (配列番号:95)、またはGSEAAAKEAAAKEAAAKEAAAKEAAAK (配列番号:97)でありうる。
【0050】
長時間作用型GDF15融合タンパク質は、第1のポリペプチドおよび第2のポリペプチドからなるヘテロ二量体ごとに1つのGDF15変異体を含む。GDF15変異体は、少なくとも1つのN結合型グリカンを含みうる。
【0051】
長時間作用型GDF15融合タンパク質は、i)配列番号:21~39から選択されるいずれか1つのアミノ酸配列からなるGDF15変異体、ii)配列番号:42、44、および46から選択されるいずれか1つのアミノ酸配列からなる第1のポリペプチド、およびiii)配列番号:43、45、および47から選択されるいずれか1つのアミノ酸配列からなる第2のポリペプチドを含みうる。
【0052】
好ましくは、長時間作用型GDF15融合タンパク質は、i)配列番号:21~39から選択されるいずれか1つのアミノ酸配列からなるGDF15変異体、ii)配列番号:48のアミノ酸配列からなるリンカー、iii)配列番号:42のアミノ酸配列からなる第1のポリペプチド、およびiv)配列番号:43のアミノ酸配列からなる第2のポリペプチドを含みうる。
【0053】
さらに好ましくは、長時間作用型GDF15融合タンパク質は、i)配列番号:21~39から選択されるいずれか1つのアミノ酸配列からなるGDF15変異体、ii)配列番号:92~97から選択されるいずれか1つのアミノ酸配列からなるリンカー、iii)配列番号:46のアミノ酸配列からなる第1のポリペプチド、およびiv)配列番号:47のアミノ酸配列からなる第2のポリペプチドを含みうる。
【0054】
融合タンパク質二量体
本発明のさらに別の態様では、長時間作用型GDF15融合タンパク質のうちの2つを含む融合タンパク質二量体が提供される。具体的には、2つの長時間作用型GDF15融合タンパク質は、GDF15-GDF15相互作用を介して二量体化され、これは「融合タンパク質二量体」と呼ばれた。
【0055】
核酸分子、発現ベクター、および宿主細胞
本発明のさらに別の態様では、GDF15変異体または長時間作用型GDF15融合タンパク質をコードする単離された核酸分子が提供される。
【0056】
本明細書で使用される場合、「単離された核酸分子」という用語は、タンパク質、脂質、炭水化物、または核酸全体が源細胞から単離される場合に自然界に見出される他の材料の少なくとも約50%から分離された本発明の核酸分子を意味し;自然界では、結合されないポリヌクレオチドに作動可能に結合され;または、より大きなポリヌクレオチド配列の一部として自然界では発生しない。本発明の単離された核酸分子は、他のいかなる汚染核酸分子、あるいはその自然環境で発見され、ポリペプチド生産、またはその治療、診断、予防、もしくは研究用途での使用を妨げる他の汚染物質を実質的に含まない。
【0057】
ここで、GDF15変異体または長時間作用型GDF15融合タンパク質をコードする単離された核酸分子は、コドンの冗長性のために異なる配列を有する可能性がある。さらに、単離された核酸分子は、それがGDF15変異体または長時間作用型GDF15融合タンパク質を産生することができる限り、目的に応じて、適切に修飾されうるか、またはN末端またはC末端に付加されたヌクレオチドを有しうる。
【0058】
本発明のさらに別の態様では、GDF15変異体または長時間作用型GDF15融合タンパク質をコードする単離された核酸分子を含む発現ベクターが提供される。
【0059】
本明細書で使用される場合、「発現ベクター」という用語は、宿主細胞の形質転換に適しており、挿入された異種核酸配列の発現を指示または制御する核酸配列を含むベクターを意味する。ベクターには、直鎖状核酸、プラスミド、ファージミド、コスミド、RNAベクター、ウイルスベクター、およびそれらの類似体が含まれる。ウイルスベクターの例として、レトロウイルス、アデノウイルス、およびアデノ随伴ウイルスが挙げられるが、これらに限定されない。
【0060】
本明細書で使用される場合、標的タンパク質の「異種核酸配列の発現」または「発現」という用語は、挿入されたDNA配列の転写、mRNA転写物の翻訳、および融合タンパク質産物、抗体、または抗体フラグメントの産生を意味する。
【0061】
有用な発現ベクターは、RcCMV(Invitrogen、Carlsbad)またはその変異体でありうる。有用な発現ベクターには、哺乳動物細胞における標的遺伝子の連続転写を促進するためのヒトサイトメガロウイルス(CMV)プロモーター、および転写後RNA安定性レベルを増加させるためのウシ成長ホルモンポリアデニル化シグナル配列が含まれうる。
【0062】
本発明のさらに別の態様では、発現ベクターを含む宿主細胞が提供される。
【0063】
本明細書で使用される場合、「宿主細胞」という用語は、組換え発現ベクターを導入することができる原核生物または真核生物の細胞を示す。本明細書で使用される場合、「形質転換された」または「トランスフェクトされた」という用語は、核酸(たとえば、ベクター)が、当技術分野で知られているいくつかの技術によって細胞に導入されることを意味する。
【0064】
宿主細胞を、本発明のDNA配列で形質転換またはトランスフェクトすることができ、標的タンパク質の発現および/または分泌のために使用することができる。本発明で使用することができる宿主細胞の例としては、不死化ハイブリドーマ細胞、NS/0骨髄腫細胞、293細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、HeLa細胞、CAP細胞(ヒト羊水由来細胞)、およびCOSセルが挙げられうる。
【0065】
医薬組成物
本発明のさらに別の態様では、有効成分としてGDF15変異体、長時間作用型GDF15融合タンパク質、または融合タンパク質二量体を含む、糖尿病、肥満、脂質異常症、またはメタボリックシンドロームを予防または治療するための医薬組成物が提供される。
【0066】
本発明の医薬組成物は、任意の経路を介して投与することができる。本発明の組成物は、任意の適切な手段を使用して、直接(たとえば、局所的に、注射、移植、または組織部位への局所投与によって)または全身的に(たとえば、非経口または経口投与によって)動物に提供されうる。本発明の組成物が、静脈内、皮下、眼内、腹腔内、筋肉内、直腸、眼窩内、脳内、頭蓋内、脊髄内、脳室内、髄腔内、槽内、嚢内、鼻腔内、またはエアロゾル投与などによって非経口的に提供される場合、組成物は、水性でありうるか、または生理学的に適用可能な体液懸濁液または溶液の一部を含みうる。したがって、担体またはビヒクルは生理学的に許容可能であるため、それを組成物に添加して患者に送達することができる。したがって、生理食塩水は、一般に、製剤用の体液様担体として含まれうる。
【0067】
さらに、投与の頻度は、使用される製剤中のGDF15変異体の薬物動態パラメータに応じて変化しうる。典型的には、医師は、その用量が所望の効果を達成する用量に達するまで医薬組成物を投与するであろう。したがって、医薬組成物は、単回投与として、または時間間隔で2回以上の投与として(等量の標的融合タンパク質を含んでも含まなくてもよい)、または埋め込み型デバイスまたはカテーテルを介した持続注入として投与することができる。適切な用量のさらなる改良は、当業者によって日常的に行われ、彼らによって日常的に行われる作業の範囲内にある。
【0068】
さらに、ヒトにおける融合タンパク質の単位投与量は、0.01μg~100mg/kg体重であり、具体的には、1μg~10mg/kg体重である。上記の量が最適な量であるが、治療する疾患、または副作用の有無によって量が異なる場合がある。最適な投与量は、従来の実験を使用して決定することができる。融合タンパク質の投与は、定期的なボーラス注射、または継続的な静脈内注射、皮下、外部リザーバー(たとえば、静脈内バッグ)または内部リザーバー(たとえば、生分解性インプラント)からのまたは腹腔内投与によって行うことができる。
【0069】
さらに、本発明の融合タンパク質は、他の生物学的に活性な分子とともに対象レシピエントに投与することができる。しかしながら、融合タンパク質および他の分子の最適な組み合わせ、ならびに剤形およびその正確な用量は、当技術分野で周知の従来の実験によって決定することができる。
【0070】
本発明のさらに別の態様では、糖尿病、肥満、脂質異常症、またはメタボリックシンドロームの予防または治療のために、GDF15変異体、長時間作用型GDF15融合タンパク質、または融合タンパク質二量体の使用が提供される。
【0071】
本発明のさらに別の態様では、糖尿病、肥満、脂質異常症、またはメタボリックシンドロームを予防または治療するための医薬品の製造のための、GDF15変異体、長時間作用型GDF15融合タンパク質、または融合タンパク質二量体の使用が提供される。
【0072】
本発明のさらに別の態様では、個体に、GDF15変異体、長時間作用型GDF15融合タンパク質、または融合タンパク質二量体を投与するステップを含む、糖尿病、肥満、脂質異常症、またはメタボリックシンドロームを予防または治療するための方法が提供される。
【0073】
GDF15変異体、長時間作用型GDF15融合タンパク質、または融合タンパク質二量体の投与量、投与頻度、および投与経路は、上記と同じである。固体は、糖尿病、肥満、脂質異常症、またはメタボリックシンドロームに苦しんでいる個体でありうる。さらに、個体は哺乳動物、好ましくはヒトでありうる。
【0074】
発明のための形態
以下、本発明をよりよく理解するために、本発明を例示を目的として詳細に説明する。しかしながら、本発明による実施例は、さまざまな異なる形態に変更することができ、本発明の範囲は、以下の実施例に限定されると解釈されるべきではない。
【実施例
【0075】
実施例1:長時間作用型GDF15融合タンパク質の作製
実施例1.1:遺伝子クローニング
一般に、物質が長時間作用型のFcまたはアルブミンに融合してその半減期を延長する場合、融合は物質の活性の低下をもたらす。これを改善するために、さまざまなGDF15変異体が設計された。
【0076】
最初に、第1のポリペプチドは、GDF15の三次元構造分析によってタンパク質活性に大きな影響を与えると予測される、GDF15の32、51、56、60、64、90、92、93、97、101、および103の位置でそれぞれのアミノ酸を置換すること、および得られたGDF15をIgG1 Fc_ノブに結合させることによって調製された。これらの第1のポリペプチドを以下の表1に示す。
【0077】
[表1]

【0078】
具体的には、Fc_ノブ-(G4S)5-GDF15変異体の構造を有する第1のポリペプチドおよびFc_ホール構造を有する第2のポリペプチドを作製するために、配列番号:49、60、65、および69~90のいずらか1つのアミノ酸配列からなる第1のポリペプチドをコードする遺伝子、および配列番号:43のアミノ酸配列からなる第2のポリペプチドをコードする遺伝子を含む、pcDNA3.3(Invitrogen)発現ベクターを使用して遺伝子クローニングを実施した。ここで、配列番号:43、49、60、65、および69~90のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列は、Macrogen、Inc.に依頼することにより合成された。
【0079】
実施例1.2:長時間作用型GDF15融合タンパク質(二量体)の発現と精製
実施例1.1でクローン化されたpcDNA3.3発現ベクターを、ExpiCHO細胞株(Invitrogen)に一過性にトランスフェクトした。そして、8日目に細胞培養物を回収し、精製した。回収細胞培養液(HCCF)中の第1のポリペプチドと第2のポリペプチドを精製するために、プロテインA樹脂を使用したアフィニティー精製を行った。
【0080】
具体的には、HCCFを1X PBS(pH 7.4)で平衡化したMabSelect SuReプロテインA樹脂(GE Healthcare)にロードし、結合を誘導した。第1のポリペプチドと第2のポリペプチドとの間の結合が完了した後、MabSelect SuReプロテインA樹を1X PBS(pH 7.4)で洗浄した。次に、0.1Mグリシン(pH3.0)溶液を使用して溶離を行い、最終物質を得た。
【0081】
第1のポリペプチドおよび第2のポリペプチドを、1M Tris-HCl溶液を使用して約pH8.0のレベルに中和した。第1のポリペプチドおよび第2のポリペプチドは、ノブ-イン-ホール相互作用によって完全に二量体化され、これは「長時間作用型GDF15融合タンパク質」と呼ばれた。長時間作用型GDF15融合タンパク質の2つの分子は、GDF15-GDF15相互作用を介して再び二量体化され、これは「融合タンパク質二量体」と呼ばれた。
【0082】
実施例2:長時間作用型GDF15融合タンパク質(二量体)の活性の測定
配列番号:49のアミノ酸配列からなる成熟GDF15を含む融合タンパク質をコントロールとして使用して、実施例1で作製された長時間作用型GDF15融合タンパク質をGDF15活性に関して比較した。GDF15活性は、Bright-GloTMルシフェラーゼアッセイキット(Promega)およびGFRAL/RET/SRE-lucを過剰発現するヒト胎児腎臓293(HEK293)細胞株を使用して測定した。
【0083】
具体的には、GFRAL/RET/SRE-lucを過剰発現する1×105 HEK293細胞を、10%FBSを含むDMEM培地の96ウェルプレートの各ウェルに分注し、37℃、5%CO2で24時間インキュベートした。24時間後、96ウェルプレートの各培地を50μlの無血清培地と交換し、37℃、5%CO2で4時間インキュベートした。
【0084】
さらに、実施例1で作製された長時間作用型GDF15融合タンパク質のそれぞれは、無血清培地を使用して2000nMの濃度から開始する3倍段階希釈によって調製された。次に、50μlの長時間作用型GDF15融合タンパク質希釈液を、50μlの交換した無血清培地とGFRAL/RET/SRE-luc細胞株を含む各ウェルに添加し、実際の濃度が1000nMから開始する3倍段階希釈で得られるようにした。次に、反応を37℃、5%CO2で4時間進めた。4時間後、Bright-GloTM基質にBright-GloTM緩衝液を加えて調製したBright-GloTM溶液100μlで各ウェルを処理し、室温で1分間反応させた。
【0085】
その後、発光を測定することができるマイクロプレートリーダー(Perkin Elmer、Wallac Victor X5)を使用して相対光単位(RLU)値を測定した。結果を以下の表2に示す。ここでは、コントロールである成熟GDF15を含む融合タンパク質(FWT+Fc_ホール)のインビトロGDF15活性(Emax 100%)に基づいて、2つの改良された長時間作用型GDF15融合タンパク質が選択された。
【0086】
[表2]
【0087】
その結果、2つの選択された長時間作用型GDF15融合タンパク質は、突然変異ΔN2、N56C、およびD103Cを有する長時間作用型GDF15融合タンパク質(以下、FM4+Fc_ホールと呼ぶ)と、突然変異ΔN2およびS64Kを有する長時間作用型GDF15融合タンパク質(以下、FM5+Fc_ホールと呼ぶ)であった;そして、それらのインビトロGDF15活性(Emax)は、それぞれ133.3%および147.2%であると測定された。これらの結果から、FM4+Fc_ホールおよびFM5+Fc_ホールがインビトロでのGDF15活性を改善したことが確認された。
【0088】
実施例3:長時間作用型GDF15融合タンパク質(二量体:FM4+Fc_ホール)の活性の測定
長時間作用型GDF15融合タンパク質間のGDF15-GDF15相互作用において、追加のジスルフィド結合が導入されたFM4+Fc_ホールがインビトロGDF15活性を改善したことが実施例2で確認された。これらの結果に基づいて、ジスルフィド結合の重要性を特定するため、FM4+Fc_ホールに基づいており、成熟GDF15の56位のアミノ酸であるアスパラギン(N)および/または成熟GDF15の103位アミノ酸であるアスパラギン酸(D)が別のアミノ酸で置換された長時間作用型GDF15融合タンパク質が、下記表3に示されるようにさらに設計され、実施例1と同様の方法で作製された。次に、実施例2と同様の方法で、インビトロGDF15活性を評価した。
【0089】
[表3]
【0090】
その結果、表3に示されるように、FWT+Fc_ホールと比較して、FM4+Fc_ホールのみがインビトロGDF15活性(Emax)を改善したことが確認された(図1)。これらの結果から、システインの導入とその結果としてのジスルフィド結合の導入が、FM4+Fc_ホールのインビトロGDF15活性の改善に重要な役割を果たしていることが確認された。
【0091】
実施例4:長時間作用型GDF15融合タンパク質(二量体:FM5+Fc_ホール)の活性の測定
実施例2において、GDF15のS64K変異体であるFM5+Fc_ホールが、インビトロGDF15活性を改善したことが確認された。これらの結果に基づき、FM5+Fc_ホールをベースとし、成熟GDF15の64位のアミノ酸であるセリン(S)が別のアミノ酸に置換された長時間作用型GDF15融合タンパク質が、表4に示すようにさらに設計され、実施例1と同様の方法で作製された。次に、実施例2と同様の方法で、インビトロGDF15活性を評価した。
【0092】
[表4]
【0093】
その結果、表4に示されるように、FWTと比較して、FM9+Fc_ホールのみがインビトロGDF15活性(Emax)を改善したことが確認された(図2)。
【0094】
実施例5:長時間作用型GDF15融合タンパク質(二量体:FM4+Fc_ホール、FM5+Fc_ホール、およびFM9+Fc_ホール)の結合親和性の測定
実施例3および4においてインビトロGDF15活性が改善されたFM4+Fc_ホール、FM5+Fc_ホール、およびFM9+Fc_ホールを、GDF15受容体であるGFRALおよびRETに対する結合親和性に関して比較した。GDF15受容体に対する結合親和性を測定するために、GFRALおよびRETを過剰発現するHEK293細胞株を使用して、細胞ベースの酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)を実施した。
【0095】
具体的には、GFRAL/RET/SRE-lucを過剰発現する1×105個のHEK293細胞を、10%FBSを含むDMEM培地の96ウェルプレートの各ウェルに分注し、次に、37℃、5%CO2で24時間インキュベートした。24時間後、培地を96ウェルプレートの各ウェルから除去した。次に、各培地を4%パラホルムアルデヒドで処理し、室温で20分間反応を進行させた。パラホルムアルデヒドをそこから除去した。0.6%過酸化水素溶液で処理し、再び20分間反応を進行させた。次に、3%ウシ血清アルブミン(BSA)-リン酸緩衝生理食塩水とTween 20(PBST)緩衝液で処理し、ブロッキングを2時間進行させた。
【0096】
さらに、FM4+Fc_ホール、FM5+Fc_ホール、またはFM9+Fc_ホールを、1%BSAを含むPBS緩衝液を使用して、200μg/mLから開始して2倍段階希釈した。さまざまな濃度に希釈したFM4+Fc_ホール、FM5+Fc_ホール、またはFM9+Fc_ホール100μlを、GFRAL/RET過剰発現細胞株を含む96ウェルプレートに適用し、室温で2時間反応を進行させた。次に、各ウェルを西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)結合抗ヒトIgG-Fc抗体(Jackson ImmunoResearch #109-035-098)で処理し、次に、3,3,5,5-テトラメチルベンジジン(TMB)緩衝液(Bio-Rad #172-1066)で展開させた。
【0097】
各ウェルを100μlのTMB溶液で処理し、室温で10分間反応を進行させた。その後、2N硫酸(H2SO4)試薬を使用して反応を停止させた。次に、マイクロプレートリーダー(Perkin Elmer、Wallac Victor X5)を使用して450 nmで吸光度を測定し、長時間作用型GDF15融合タンパク質(二量体)のGDF15変異体のGDF15受容体への結合能を評価した。
【0098】
結果として、図4に示されるように、コントロールとしてのFWT+Fc_ホールと比較して、FM9+Fc_ホールは、GDF15受容体に対して著しく優れた結合親和性を示し、FM4+Fc_ホールおよびFM5+Fc_ホールも、GDF15受容体に対して高い結合親和性を示した。
【0099】
実施例6:長時間作用型GDF15融合タンパク質(二量体)の精製後の純度改善
長時間作用型GDF15融合タンパク質を製造する際の、それらの各々の精製収率、純度などを改善するために、N結合型グリカンをGDF15のさまざまな位置に導入した。GDF15配列にN結合型グリカンが存在すると、タンパク質分泌の過程で小胞体およびゴルジ装置内の対応するタンパク質の保持時間が長くなり、それによって誤って折りたたまれた生成物が最小限に抑えられ、タンパク質の発現が促進されることが知られている。保持時間の増加は、折り畳みの動力学に有益な効果をもたらし、ヘテロ二量体(Fc/Fc)のノブ-イン-ホール組み立てを大幅に改善し、哺乳類組織培養から回復させることができる。
【0100】
コントロールとしての融合タンパク質FWT+Fc_ホールの二量体と比較した、長時間作用型GDF15融合タンパク質にN結合型グリカンを導入することにより得られた物質の精製後の純度改善の評価を、サイズ排除クロマトグラフィー分析を使用し、正しく組み立てられた融合タンパク質二量体の純度に関して実施した。
【0101】
具体的には、N結合型グリカンがGDF15のさまざまな位置に導入された長時間作用型GDF15融合タンパク質を追加で設計した。この点に関して、融合タンパク質FWT+Fc_ホールの二量体と比較した、実施例1と同様の方法で、作製され、第1段階の精製に付される場合に得られた、正しく組み立てられた融合タンパク質二量体の純度が増加した変異体を表6に示す。
【0102】
[表6]
【0103】
その結果、FWT+Fc_ホールは、50.9%の、第1段階精製後の正しく組み立てられた融合タンパク質二量体純度を有し、一方、N結合型グリカンのそれぞれがGDF15に導入されたFM1+Fc_ホール、FM2+Fc_ホール、FM3+Fc_ホール、FM10+Fc_ホール、FM11+Fc_ホール、およびFM12+Fc_ホールは、それぞれ、80.2%、73.0%、86.3%、65.2%、および70.3%の、改善され、正しく組み立てられた融合タンパク質二量体純度を有したことが確認された。
【0104】
さらに、米国特許第9920188号のNGM Biopharmaceuticals, Inc.の融合タンパク質二量体(B13a/B13b(N結合型グリカンが導入されている))は、75.8%の純度を有すると測定された。
【0105】
実施例7:長時間作用型GDF15融合タンパク質(二量体:FM10+Fc_ホール、FM11+Fc_ホール、およびFM12+Fc_ホール)の活性の評価
N-結合型グリカンが、GDF15のさまざまな位置に導入されたFM1+Fc_ホール、FM2+Fc_ホール、およびFM3+Fc_ホールをコントロールとして使用して、実施例2と同様の方法で、GDF15活性に関して、FM10+Fc_ホール、FM11+Fc_ホール、およびFM12+Fc_ホールを評価した。結果を表7に示す。
【0106】
[表7]
【0107】
その結果、表7に示されるように、FM10+Fc_ホール、FM11+Fc_ホール、およびFM12+Fc_ホールは、FM1+Fc_ホール、FM2+Fc_ホール、およびFM3+Fc_ホールと比較して、改善されたGDF15活性を有した(図5~7)ことが確認された。
【0108】
実施例8:長時間作用型GDF15融合タンパク質(二量体:FM10+Fc_ホールおよびFM11+ Fc_ホール)の結合親和性の測定
GDF15受容体に対するFM10+Fc_ホールまたはFM11+ Fc_ホールの結合親和性を、実施例5と同様の方法比較し、評価した。結果として、図6に示されるように、コントロールとしてのFWT+Fc_ホールと比較して、FM10+Fc_ホールおよびFM11+ Fc_ホールにおいて、GDF15受容体に対する著しく優れた親和性が測定された(図8)。
【0109】
実施例9:長時間作用型GDF15融合タンパク質(二量体:FM6+Fc_ホール、FM7+Fc_ホールおよびFM8+Fc_ホール)の作製
実施例1~8の結果に基づいて、21位および/または64位のアミノ酸が置換され、N結合型グリカンがGDF15のさまざまな位置に導入された長時間作用型GDF15融合タンパク質を追加で設計した。この点に関して、変異体が、融合タンパク質FWT+Fc_ホールの二量体と比較して、実施例1と同様の方法で作製され、第1段階の精製に付された場合に得られた、正しく組み立てられた融合タンパク質二量体の純度が増加した変異体を表8に示す。
【0110】
[表8]
【0111】
実施例10:長時間作用型GDF15融合タンパク質の融合キャリアとリンカーの最適化
精製後に優れた活性と純度の改善を示す2つの変異体(FM9+Fc_ホールおよびFM11+Fc_ホール)の融合キャリアとリンカーの最適化試験を実施するために、融合キャリア(配列番号:46および47)とさまざまなリンカー(配列番号:92、93、94、95、96、および97)がそれぞれGDF15配列に導入されて、エフェクター機能が最小化された、長時間作用型GDF15融合タンパク質を追加で設計し、表9に示す。
【0112】
[表9]
【0113】
実施例10.1:最適化された長時間作用型GDF15融合タンパク質(二量体)の発現と精製
表9に示されるように最適化された長時間作用型GDF15融合タンパク質を作製し、実施例1と同様の方法で第1段階の精製に付した。高純度の長時間作用型GDF15融合タンパク質を得るために、第1段階の精製を完了して得られたプールを、陰イオン交換(AEX)樹脂と陽イオン交換(CEX)樹脂を使用した第2段階のイオン交換(IEX)精製に付した。
【0114】
具体的には、陰イオン交換(AEX)の場合、第1のステップに付されたプールを1×PBS(pH7.4)で平衡化したPOROS HQ 50μm強陰イオン交換樹脂(Thermo Fisher Scientific)にロードし、結合を誘導した。第1のポリペプチドと第2のポリペプチドの結合が完了した後、POROS HQ 50μm強陰イオン交換樹脂を1×PBS(pH7.4)で洗浄し、次に、1M塩化ナトリウムを含む50mM Tris-HCl(pH8.0)溶液で溶離を行い、最終物質を得た。サイズ排除クロマトグラフィー分析を使用して、純度95%以上の基準を満たす画分をプールした。
【0115】
さらに、陽イオン交換(CEX)の場合、第1のステップに付されたプールを等電点に応じてpH調整し、次に、20mMリン酸ナトリウム(pH6.5)溶液で平衡化したPOROS XS強陽イオン交換樹脂(Thermo Fisher Scientific)にロードし、結合を誘導した。第1のポリペプチドと第2のポリペプチドの結合が完了した後、POROS XS強陽イオン交換樹脂を20mMリン酸ナトリウム(pH6.5)溶液で洗浄し、1M塩化ナトリウムを含む20mMリン酸ナトリウム(pH 6.5)溶液を使用して濃度勾配により溶出して、最終物質を得た。サイズ排除クロマトグラフィー分析を使用して、純度95%以上の基準を満たす画分をプールした。
【0116】
実施例10.2:最適化された長時間作用型GDF15融合タンパク質(二量体)の活性の評価
精製後に優れた活性と純度の改善を示す2つの変異体(FM9+Fc_ホールおよびFM11+Fc_ホール)を比較し、リンカーの種類と長さに応じて活性を評価した。
長時間作用型GDF15融合タンパク質それぞれの活性を、実施例2と同様の方法で評価し、結果を表10に示す。ここでは、長時間作用型GDF15融合タンパク質を、FM9-6+Fc_ホールのインビトロGDF15活性(Emax 100%)に基づいて、GDF15配列に依存する活性、およびリンカーのタイプと長さに関して比較した。
【0117】
[表10]
【0118】
その結果、表10に示されるように、それぞれの長時間作用型GDF15融合タンパク質は、リンカーGS(EEEA)6(配列番号:95)を使用したものを除いて、長時間作用型GDF15融合タンパク質は同様の活性を示し、リンカーGS(EEEA)6(配列番号:95)を使用した長時間作用型GDF15融合タンパク質(FM9-4+Fc_ホールおよびFM11-4+Fc_ホール)は、比較的低いEC50値および高いEmax値を示すことが確認された(図9および10)。
【0119】
実施例10.3:最適化された長時間作用型GDF15融合タンパク質(二量体)の薬物動態評価
薬物治療の日に、Orient BIO(大韓民国)から購入した6週齢の雄性C57BL/6マウスを、各グループの体重の平均値が同じになるようにグループに分けた(採血時点あたりn=3)、次に、FM9-4+Fc_ホール、FM9-6+Fc_ホール、FM11-4+Fc_hole、およびFM11-6+Fc_ホールをそれぞれ1mg/kgの用量で1回皮下投与した。血液サンプルを、投与の4、24、48、72、96、120、168、および240時間後にそれぞれ収集した。マウス血液中の各長時間作用型GDF15融合タンパク質(二量体)の濃度を、イムノアッセイ法を使用して測定した。測定された濃度値に基づいて、薬物動態パラメータの結果を、それぞれの長時間作用型GDF15融合タンパク質(二量体)について計算し、以下の表11に示す。
【0120】
[表11]
【0121】
実施例10.4:反復投与による食餌誘発性肥満(DIO)マウスにおける、異なるリンカータイプに応じた、最適化された長時間作用型GDF15融合タンパク質(二量体)の抗肥満効果の評価
マウスに高脂肪食を与えることによって誘発され、肥満、高血糖、およびインスリン抵抗性を特徴とする食餌誘発性肥満(DIO)マウス。C57BL/6Nマウスにおいて高脂肪食(60kcal%脂肪、Research Diets、Cat# D12492、USA)を8週間与えたDIOマウス(Taconic、USA)を、Raon Bio(Animal Inc.、大韓民国)から購入した。到着後、これらの動物はさらに高脂肪食(60%脂肪)を5週間与えられ、その後、本研究で使用された。投与開始前日、動物を、個々のマウスの平均体重に基づいてグループに分け(グループあたりn=6)、次に、FM9-4+Fc_ホール、FM9-6+Fc_ホール、FM11-4+Fc_ホール、およびFM11-6+Fc_ホールを、2日間隔(Q2D)で合計4週間、10nmol/kgの用量でそれぞれ皮下投与した。参照品として、B13a/B13b(米国特許第9920118号)10nmol/kgおよびセマグルチド30nmol/ kgを2日間隔(Q2D)で合計4週間皮下投与した。ビヒクル治療として、ダルベッコのリン酸緩衝生理食塩水(DPBS; Gibco、USA)を2日間隔(Q2D)で皮下投与した。薬物治療の1日目から28日目まで2日ごとに体重を測定し、その結果を以下の表12に示した。
【0122】
[表12]
【0123】
その結果、異なるリンカーのタイプ(FM9-4+Fc_ホール、FM9-6+Fc_ホール、FM11-4+Fc_ホール、およびFM11-6+Fc_ホール)の試験品はすべて、参照薬としての10nmol/kgのB13a/B13bと比較して、体重減少効果が顕著であることが確認された。また、FM9-4+Fc_ホール、FM9-6+Fc_ホール、およびFM11-4+Fc_ホールの3つの試験品は、セマグルチド30nmol/kg投与グループと同様の体重減少効果を示した(図11)。
【0124】
実施例10.5:単回投与による食餌誘発性肥満マウスにおける最適化された長時間作用型GDF15融合タンパク質(二量体)の抗肥満効果の評価
6週齢の雄性C57BL/6Nマウスを、Orient Bioから購入した(HHallym Lab. Animal Inc.、大韓民国、経由)。到着後、C57BL/6Nマウスに高脂肪食(60kcal%脂肪、Research Diets、Cat# D12492、USA)を合計13週間与えてDIOを誘発した。投与開始前日、各マウスの平均体重に基づいて動物をグループに分け(グループあたりn=6)、次に、1、3、10、および30nmol/kgのFM9-6+Fc_ホールを1回皮下投与した。参照品として、30nmol/kgのセマグルチドを1回皮下投与した。ビヒクル処置のために、ダルベッコのリン酸緩衝生理食塩水(DPBS;Gibco、USA)を皮下投与した。薬物治療の日から42日目まで毎日体重を測定し、その結果を以下の表13に示す。
【0125】
[表13]
【0126】
その結果、単回投与による体重減少効果に関して、参照品として、セマグルチド30nmol/kg処置グループは、2日間持続する薬理効果を示し、一方、FM9-6+Fc_ホールの1、3、10、および30nmol/kgの単回投与では、各用量でそれぞれ10日間、15日間、18日間、および18日間抗肥満効果が持続することが確認された(図12)。
【0127】
実施例10.6:反復投与によるob/obマウスにおける最適化された長時間作用型GDF15融合タンパク質(二量体)の抗肥満効果の評価
ob/obマウスは、レプチン遺伝子が遺伝的に欠損しており、高血糖、インスリン抵抗性、食欲過剰、および肥満を特徴とする。5週齢の雄性ob/obマウス((Jackson Laboratory、USA)を、Raon Bio(Animal Inc.、大韓民国)から購入した。マウスを通常の固形飼料(Teklad Certified Irradiated Global 18% Protein Rodent Diet、2918C、Harlan Co.、USA)で4週間順応させ、9週齢で薬物治療を開始した。投与開始前日に、平均体重および各マウスの尾静脈を介したランダム血糖に基づいて、動物をグループに分けた(グループあたりn=6)。次に、0.1、1、および3nmol/kgのFM9-6+Fc_ホール、ならびに10nmol/kgのセマグルチドを3日間隔(Q3D)で合計10回皮下投与し、実験期間中(1日目から29日目)、それぞれ毎日または3日ごとに体重と摂餌量を測定した。ビヒクル処置として、ダルベッコのリン酸緩衝生理食塩水(DPBS;Gibco、USA)を投与した。
【0128】
[表14]
【0129】
その結果、FM9-6+Fc_ホールが用量依存的に体重減少効果を示すことが確認された。0.1nmol/kgのFM9-6+Fc_ホール治療グループは、10nmol/kgのセマグルチド治療グループと同様に体重の有意な減少を示した。1nmol/kg以上のFM9-6+Fc_ホールは、ob/obマウスにおいて最大の有効性を示した(図13)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
【配列表】
2023503472000001.app
【国際調査報告】