(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-30
(54)【発明の名称】JAK阻害剤としての三複素環式化合物及びその使用
(51)【国際特許分類】
C07D 519/00 20060101AFI20230123BHJP
A61K 31/437 20060101ALI20230123BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20230123BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20230123BHJP
C12N 9/99 20060101ALI20230123BHJP
C12N 9/12 20060101ALN20230123BHJP
【FI】
C07D519/00 311
C07D519/00 CSP
A61K31/437 ZNA
A61P29/00
A61P43/00 111
C12N9/99
C12N9/12
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022530908
(86)(22)【出願日】2020-11-27
(85)【翻訳文提出日】2022-05-26
(86)【国際出願番号】 CN2020132426
(87)【国際公開番号】W WO2021104488
(87)【国際公開日】2021-06-03
(31)【優先権主張番号】201911180309.2
(32)【優先日】2019-11-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202010501267.4
(32)【優先日】2020-06-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】516089784
【氏名又は名称】チア タイ ティエンチン ファーマシューティカル グループ カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Chia Tai Tianqing Pharmaceutical Group Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】No.369 Yuzhou South Rd.,Lianyungang,Jiangsu 222062 China
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マオ,ウェイウェイ
(72)【発明者】
【氏名】リ,ウェンロン
(72)【発明者】
【氏名】ウェイ,チャンキン
(72)【発明者】
【氏名】キアン,ウェンユアン
(72)【発明者】
【氏名】フ,グオピン
(72)【発明者】
【氏名】リ,ジアン
(72)【発明者】
【氏名】チェン,シュフイ
【テーマコード(参考)】
4B050
4C072
4C086
【Fターム(参考)】
4B050DD11
4B050GG02
4C072MM02
4C072UU01
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086CB05
4C086MA01
4C086MA04
4C086ZB11
4C086ZC20
(57)【要約】
JAK阻害剤としての三複素環式化合物、及びJAK1及び/又はJAK2関連疾患の治療薬物の製造におけるその使用である。具体的には、式(I’)に示される化合物又は薬学的に許容されるその塩に関する。
【化1】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I’)化合物又は薬学的に許容されるその塩。
【化1】
(式中、mは1、2、3、4又は5であり、
nは1、2、3又は4であり、
各R
1はそれぞれ独立してH、F、Cl、Br、I、CN、C
1-8アルキル基、C
1-8アルコキシ基、C
1-8アルキルS-基、NH
2、C
1-8アルキルNH-基、(C
1-8アルキル)
2N-基、-COOH又は-C(O)OC
1-8アルキル基であり、前記C
1-8アルキル基、C
1-8アルコキシ基、C
1-8アルキルS-基、C
1-8アルキルNH-基、(C
1-8アルキル)
2N-基又は-C(O)OC
1-8アルキル基はそれぞれ独立して任意選択で1、2、3又は4個のR
aによって置換され、
各R
2はそれぞれ独立してH、F、Cl、Br、I、CN、NH
2、C
1-8アルキル基、C
1-8アルコキシ基、C
1-8アルキルS-基、C
1-8アルキルNH-基、(C
1-8アルキル)
2N-基又はC
3-12シクロアルキル基であり、
各R
aはそれぞれ独立してH、F、Cl、Br、I、OH、CN又はNH
2である。)
【請求項2】
mは1、2又は3であり、
又は、mは1又は2であり、
又は、mは1である、請求項1に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項3】
nは1、2又は3であり、
又は、nは1又は2であり、
又は、nは1であり、
又は、mとnは両方とも1である、請求項1に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項4】
構造フラグメント
【化2】
は、
【化3】
であり、又は、構造フラグメント
【化4】
は、
【化5】
である、請求項1に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項5】
構造フラグメント
【化6】
は、
【化7】
であり、又は、構造フラグメント
【化8】
は、
【化9】
である、請求項1に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項6】
各R
1はそれぞれ独立してH、F、Cl、Br、I、CN、C
1-6アルキル基、C
1-6アルコキシ基、C
1-6アルキルS-基、NH
2、C
1-6アルキルNH-基、(C
1-6アルキル)
2N-基、-COOH又は-C(O)OC
1-6アルキル基であり、前記C
1-6アルキル基、C
1-6アルコキシ基、C
1-6アルキルS-基、C
1-6アルキルNH-基、(C
1-6アルキル)
2N-基又は-C(O)OC
1-6アルキル基はそれぞれ独立して任意選択で1、2、3又は4個のR
aによって置換され、
又は、各R
1はそれぞれ独立してH、F、Cl、Br、I、CN、C
1-6アルキル基、C
1-6アルコキシ基、C
1-6アルキルS-基、NH
2、C
1-6アルキルNH-基又は(C
1-6アルキル)
2N-基であり、前記C
1-6アルキル基、C
1-6アルコキシ基、C
1-6アルキルS-基、C
1-6アルキルNH-基又は(C
1-6アルキル)
2N-基はそれぞれ独立して任意選択で1、2、3又は4個のR
aによって置換され、
又は、各R
1はそれぞれ独立してH、F、Cl、Br、I、CN、C
1-3アルキル基、C
1-3アルコキシ基、C
1-3アルキルS-基、NH
2、C
1-3アルキルNH-基、(C
1-3アルキル)
2N-基、-COOH又は-C(O)OC
1-3アルキル基であり、前記C
1-3アルキル基、C
1-3アルコキシ基、C
1-3アルキルS-基、C
1-3アルキルNH-基、(C
1-3アルキル)
2N-基又は-C(O)OC
1-3アルキル基はそれぞれ独立して任意選択で1、2、3又は4個のR
aによって置換され、
又は、各R
1はそれぞれ独立してH、F、Cl、Br、I、CN、C
1-3アルキル基、C
1-3アルコキシ基、C
1-3アルキルS-基、NH
2、C
1-3アルキルNH-基又は(C
1-3アルキル)
2N-基であり、前記C
1-3アルキル基、C
1-3アルコキシ基、C
1-3アルキルS-基、C
1-3アルキルNH-基又は(C
1-3アルキル)
2N-基はそれぞれ独立して任意選択で1、2、3又は4個のR
aによって置換され、
又は、各R
1はそれぞれ独立してH、F、Cl、Br、I、CN、C
1-3アルキル基、C
1-3アルコキシ基、C
1-3アルキルS-基又はC
1-3アルキルNH-基であり、前記C
1-3アルキル基、C
1-3アルコキシ基、C
1-3アルキルS-基又はC
1-3アルキルNH-基はそれぞれ独立して任意選択で1、2、3又は4個のR
aによって置換され、
又は、各R
1はそれぞれ独立してH、F、Cl、Br、I、CN、C
1-3アルキル基又はC
1-3アルコキシ基であり、前記C
1-3アルキル基又はC
1-3アルコキシ基はそれぞれ独立して任意選択で1、2、3又は4個のR
aによって置換される、請求項1に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項7】
各R
2はそれぞれ独立してH、F、Cl、Br、I、CN、NH
2、C
1-6アルキル基、C
1-6アルコキシ基、C
1-6アルキルS-基、C
1-6アルキルNH-基、(C
1-6アルキル)
2N-基又はC
3-10シクロアルキル基であり、
又は、各R
2はそれぞれ独立してH、F、Cl、Br、I、CN、NH
2、C
1-3アルキル基、C
1-3アルコキシ基、C
1-3アルキルS-基、C
1-3アルキルNH-基、(C
1-3アルキル)
2N-基又はC
3-6シクロアルキル基であり、
又は、各R
2はそれぞれ独立してH、F、Cl、Br、I、CN、NH
2、C
1-3アルキル基、C
1-3アルコキシ基、C
1-3アルキルS-基又はC
1-3アルキルNH-基であり、
又は、各R
2はそれぞれ独立してH、F、Cl、Br、I、CN又はNH
2であり、
又は、各R
2はそれぞれ独立してH、F、Cl、Br、I又はCNである、請求項1に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項8】
各R
aはそれぞれ独立してF、Cl、Br、I又はOHである、請求項1に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項9】
式(I)化合物又は薬学的に許容されるその塩。
【化10】
(式中、R
1はH、F、Cl、Br、I、CN、C
1-3アルキル基又はC
1-3アルコキシ基であり、前記C
1-3アルキル基及びC
1-3アルコキシ基は任意選択で1、2、3又は4個のR
aによって置換され、
R
2はH、F、Cl、Br、I又はCNであり、
各R
aはそれぞれ独立してH、F、Cl、Br、I又はOHである。)
【請求項10】
各R
1はそれぞれ独立してH、F、Cl、Br、I、CN、-CH
3、-CH
2CH
3又は-OCH
3であり、前記-CH
3、-CH
2CH
3及び-OCH
3は任意選択で1、2、3又は4個のR
aによって置換され、
又は、各R
1はそれぞれ独立してH、F、Cl、Br、I、CN、-CH
3、-CH
2CH
3又は-OCH
3であり、前記-CH
3、-CH
2CH
3及び-OCH
3はそれぞれ独立して任意選択で1、2又は3個のR
aによって置換され、
又は、各R
1はそれぞれ独立してH、F、Cl、Br、I、CN、-CH
3、-CH
2CH
3又は-OCH
3であり、前記-CH
3又は-CH
2CH
3はそれぞれ独立して任意選択で1、2又は3個のR
aによって置換され、
又は、各R
1はそれぞれ独立してH、F、Cl、Br、I、CN、-CH
3、-CH
2CH
3又は-OCH
3であり、前記-CH
3又は-CH
2CH
3はそれぞれ独立して任意選択で1、2又は3個のF又はOHによって置換され、
又は、各R
1はそれぞれ独立してH、F、Cl、Br、I、CN、-CH
3、-CF
3、-CH
2CH
3、-CH(OH)CH
3又は-OCH
3であり、
又は、各R
1はそれぞれ独立してH、F、Cl、Br、I、CN、-CH
3、-CF
3、-CH
2CH
3又は-OCH
3であり、
又は、各R
1はそれぞれ独立してH、CN、-CH
3、-CF
3、-CH(OH)CH
3又は-OCH
3であり、
又は、各R
1はそれぞれ独立してH、CN、-CH
3、-CF
3、-CH
2CH
3又は-OCH
3である、請求項1又は9に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項11】
各R
aはそれぞれ独立してF、Cl、Br、I又はOHであり、
又は、各R
aはそれぞれ独立してF又はOHである、請求項1又は9に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項12】
各R
2はそれぞれ独立してF、Cl、Br、I又はCNであり、
又は、各R
2はそれぞれ独立してCNである、請求項1又は9に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項13】
式(I’-A)及び式(I’-B)化合物
【化11】
又は薬学的に許容されるその塩から選ばれる、請求項1に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項14】
式(I-A)及び式(I-B)化合物
【化12】
又は薬学的に許容されるその塩から選ばれる、請求項1又は9に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項15】
式(I-1)の構造を有する、
【化13】
又は、式(I-1-A)及び式(I-1-B)
【化14】
又は薬学的に許容されるその塩から選ばれる、請求項1又は9に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項16】
下記の化合物、又は薬学的に許容されるその塩。
【化15】
【請求項17】
下記の化合物である請求項16に記載の化合物、又は薬学的に許容されるその塩。
【化16】
【請求項18】
請求項1-17のいずれか一項に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩を含む医薬組成物。
【請求項19】
任意選択で炎症性疾患から選ばれるJAK1及び/又はJAK2関連疾患の治療薬物の製造における請求項1-17のいずれか一項に記載の化合物もしくは薬学的に許容されるその塩、又は請求項18に記載の医薬組成物の使用。
【請求項20】
治療有効量の請求項1-17のいずれか一項に記載の化合物もしくは薬学的に許容されるその塩又は請求項18に記載の医薬組成物を投与することを含む、任意選択で炎症性疾患から選ばれるJAK1及び/又はJAK2関連疾患の治療方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
・関連出願の相互参照
本願は、2019年11月27日に中国国家知識産権局へ提出された中国特許出願第201911180309.2号の優先権、及び2020年6月4日に中国国家知識産権局へ提出された中国特許出願第202010501267.4号の優先権を主張し、前記出願の開示内容は参照により全体として本明細書に組み込まれる。
【0002】
本願は、JAK阻害剤としての三複素環式化合物、並びに、JAK1及び/又はJAK2関連疾患の治療薬物の製造における使用に関する。具体的には、式(I’)に示される化合物又は薬学的に許容されるその塩に関する。
【背景技術】
【0003】
ヤヌスキナーゼ(JAK)はサイトカインシグナルを膜受容体からSTAT転写因子に伝達する細胞質チロシンキナーゼである。JAKファミリーは、JAK1、JAK2、JAK3、TYK2の4つのメンバーを含む。JAK-STAT経路は様々なサイトカイン、成長因子及びホルモンからの細胞外シグナルを細胞核に伝達し、何千ものタンパク質コード遺伝子の発現に関与している。JAK-STAT細胞内シグナルの伝達はインターフェロン、殆どのインターロイキン、及びEPO、TPO、GH、OSM、LIF、CNTF、GM-CSF、PRLなどの様々なサイトカインと内分泌因子に関与している(Vainchenker W. et al.(2008))。
【0004】
JAK-1、JAK-2、TYK-2は人体の様々な組織の細胞で発現され、JAK-3は主に様々な造血組織細胞で発現され、主に骨髄細胞、胸腺細胞、NK細胞、及び活性化されたBリンパ球とTリンパ球に存在する。JAK1は免疫、炎症、がんなどの疾患の治療で新たな標的となっている。人体におけるJAK2遺伝子の塩基変異JAK2V617Fは、真性多血症(PV)、本態性血小板血症(ET)、特発性骨髄線維症(IMF)、慢性骨髄性白血病(CML)などの骨髄増殖性疾患と密接に関連している。JAK3、γc変異はいずれも重症複合免疫不全症を引き起こす可能性がある。JAK3の活性異常はT細胞とNK細胞の大幅な減少、B細胞の機能喪失として具現化し、免疫系などの正常な生物学的機能に深刻な影響を与える。JAK3はその機能上の特徴と特殊な組織分布によって、免疫系関連疾患にとって非常に有望な薬物標的となっている。マウスでは、TYK2機能の喪失が様々なサイトカイン受容体のシグナル伝達経路に欠陥をもたらし、その結果、ウイルス感染、抗菌免疫機能の低下、そして肺感染の可能性の増加などにつながる可能性がある(John J.O’Shea,2004,Nature Reviews Drug Discovery 3,555-564)。JAKファミリーメンバーによって、その選択的に結合するサイトカイン受容体は異なるが、シグナル伝達特異性を付与して、異なる生理学的役割を発揮し、このような選択的な作用機序によりJAK阻害剤は比較的特異的な手段として疾患の治療に用いることができる。例えば、IL-2又はIL-4受容体及び共通のγ鎖はJAK1、JAK3に結合し、同じβ鎖を有するI型受容体はJAK2に結合する。gp130(糖タンパク質130)を使用するI型受容体及びヘテロ二量体サイトカインによって活性化されたI型受容体はJAK1/2及びTYK2と優先的に結合する。ホルモン様サイトカインによって活性化されたI型受容体はJAK2キナーゼに結合して、それを活性化させる。インターフェロンのII型受容体はJAK1及びTYK2に結合し、IL-10サイトカインファミリーの受容体はJAK1/2及びTYK2に結合する。前記サイトカイン及びその受容体とJAKファミリーメンバーの様々な特異的結合は異なる生理学的役割を発揮させるため、様々な疾患の治療が可能になる。JAK1を他のJAKとヘテロ二量体化してサイトカインによる炎症誘発性シグナル伝達を媒介する。そのため、JAK1及び/又は他のJAKの阻害は様々な炎症性疾患、及びJAKが媒介するシグナル伝達によって引き起こされる他の様々な疾患に治療効果があると予想される(Daniella M.Schwartz,2017,Nature Reviews Drug Discovery 16,843-862)。
【発明の概要】
【0005】
本願の一態様として、式(I’)化合物又は薬学的に許容されるその塩を提供し、
【化1】
式中、mは1、2、3、4又は5であり、
nは1、2、3又は4であり、
各R
1はそれぞれ独立してH、F、Cl、Br、I、CN、C
1-8アルキル基、C
1-8アルコキシ基、C
1-8アルキルS-基、NH
2、C
1-8アルキルNH-基、(C
1-8アルキル)
2N-基、-COOH又は-C(O)OC
1-8アルキル基であり、前記C
1-8アルキル基、C
1-8アルコキシ基、C
1-8アルキルS-基、C
1-8アルキルNH-基、(C
1-8アルキル)
2N-基又は-C(O)OC
1-8アルキル基はそれぞれ独立して任意選択で1、2、3又は4個のR
aによって置換され、
各R
2はそれぞれ独立してH、F、Cl、Br、I、CN、NH
2、C
1-8アルキル基、C
1-8アルコキシ基、C
1-8アルキルS-基、C
1-8アルキルNH-基、(C
1-8アルキル)
2N-基又はC
3-12シクロアルキル基であり、
各R
aはそれぞれ独立してH、F、Cl、Br、I、OH、CN又はNH
2である。
【0006】
本願のいくつかの実施形態において、mは1、2又は3である。いくつかの実施形態において、mは1又は2である。いくつかの実施形態において、mは1である。
【0007】
本願のいくつかの実施形態において、nは1、2又は3である。いくつかの実施形態において、nは1又は2である。いくつかの実施形態において、nは1である。
【0008】
本願のいくつかの実施形態において、mとnは両方とも1であり。
【0009】
本願のいくつかの実施形態において、構造フラグメント
【化2】
は、
【化3】
である。いくつかの実施形態において、前記構造フラグメントは、
【化4】
である。
【0010】
本願のいくつかの実施形態において、構造フラグメント
【化5】
は、
【化6】
である。いくつかの実施形態において、前記構造フラグメントは、
【化7】
である。
【0011】
本願のいくつかの実施形態において、前記各R1はそれぞれ独立してH、F、Cl、Br、I、CN、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、C1-6アルキルS-基、NH2、C1-6アルキルNH-基、(C1-6アルキル)2N-基、-COOH又は-C(O)OC1-6アルキル基であり、前記C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、C1-6アルキルS-基、C1-6アルキルNH-基、(C1-6アルキル)2N-基又は-C(O)OC1-6アルキル基はそれぞれ独立して任意選択で1、2、3又は4個のRaによって置換される。
【0012】
本願のいくつかの実施形態において、前記各R1はそれぞれ独立してH、F、Cl、Br、I、CN、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、C1-6アルキルS-基、NH2、C1-6アルキルNH-基又は(C1-6アルキル)2N-基であり、前記C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、C1-6アルキルS-基、C1-6アルキルNH-基又は(C1-6アルキル)2N-基はそれぞれ独立して任意選択で1、2、3又は4個のRaによって置換される。
【0013】
本願のいくつかの実施形態において、前記各R1はそれぞれ独立してH、F、Cl、Br、I、CN、C1-3アルキル基、C1-3アルコキシ基、C1-3アルキルS-基、NH2、C1-3アルキルNH-基、(C1-3アルキル)2N-基、-COOH又は-C(O)OC1-3アルキル基であり、前記C1-3アルキル基、C1-3アルコキシ基、C1-3アルキルS-基、C1-3アルキルNH-基、(C1-3アルキル)2N-基又は-C(O)OC1-3アルキル基はそれぞれ独立して任意選択で1、2、3又は4個のRaによって置換される。
【0014】
本願のいくつかの実施形態において、前記各R1はそれぞれ独立してH、F、Cl、Br、I、CN、C1-3アルキル基、C1-3アルコキシ基、C1-3アルキルS-基、NH2、C1-3アルキルNH-基又は(C1-3アルキル)2N-基であり、前記C1-3アルキル基、C1-3アルコキシ基、C1-3アルキルS-基、C1-3アルキルNH-基又は(C1-3アルキル)2N-基はそれぞれ独立して任意選択で1、2、3又は4個のRaによって置換される。
【0015】
本願のいくつかの実施形態において、前記各R1はそれぞれ独立してH、F、Cl、Br、I、CN、C1-3アルキル基、C1-3アルコキシ基、C1-3アルキルS-基又はC1-3アルキルNH-基であり、前記C1-3アルキル基、C1-3アルコキシ基、C1-3アルキルS-基又はC1-3アルキルNH-基はそれぞれ独立して任意選択で1、2、3又は4個のRaによって置換される。
【0016】
本願のいくつかの実施形態において、前記各R1はそれぞれ独立してH、F、Cl、Br、I、CN、C1-3アルキル基又はC1-3アルコキシ基であり、前記C1-3アルキル基又はC1-3アルコキシ基はそれぞれ独立して任意選択で1、2、3又は4個のRaによって置換される。
【0017】
本願のいくつかの実施形態において、前記各R2はそれぞれ独立してH、F、Cl、Br、I、CN、NH2、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、C1-6アルキルS-基、C1-6アルキルNH-基、(C1-6アルキル)2N-基又はC3-10シクロアルキル基である。
【0018】
本願のいくつかの実施形態において、前記各R2はそれぞれ独立してH、F、Cl、Br、I、CN、NH2、C1-3アルキル基、C1-3アルコキシ基、C1-3アルキルS-基、C1-3アルキルNH-基、(C1-3アルキル)2N-基又はC3-6シクロアルキル基である。
【0019】
本願のいくつかの実施形態において、前記各R2はそれぞれ独立してH、F、Cl、Br、I、CN、NH2、C1-3アルキル基、C1-3アルコキシ基、C1-3アルキルS-基又はC1-3アルキルNH-基である。
【0020】
いくつかの実施形態において、前記各R2はそれぞれ独立してH、F、Cl、Br、I、CN又はNH2である。
【0021】
本願のいくつかの実施形態において、前記各R2はそれぞれ独立してH、F、Cl、Br、I又はCNである。
【0022】
本願のいくつかの実施形態において、前記各Raはそれぞれ独立してF、Cl、Br、I又はOHである。
【0023】
本願のいくつかの実施形態において、前記式(I’)化合物又は薬学的に許容されるその塩は式(I)化合物又は薬学的に許容されるその塩であり、
【化8】
式中、R
1はH、F、Cl、Br、I、CN、C
1-3アルキル基又はC
1-3アルコキシ基であり、前記C
1-3アルキル基、及びC
1-3アルコキシ基はそれぞれ独立して任意選択で1、2、3又は4個のR
aによって置換され、
R
2はH、F、Cl、Br、I又はCNであり、
各R
aはそれぞれ独立してH、F、Cl、Br、I又はOHである。
【0024】
本願のいくつかの実施形態において、前記各R1はそれぞれ独立してH、F、Cl、Br、I、CN、-CH3、-CH2CH3又は-OCH3であり、前記-CH3、-CH2CH3、及び-OCH3はそれぞれ独立して任意選択で1、2、3又は4個のRaによって置換され、他の変数は本願の定義に準拠する。
【0025】
本願のいくつかの実施形態において、前記各R1はそれぞれ独立してH、F、Cl、Br、I、CN、-CH3、-CH2CH3又は-OCH3であり、前記-CH3、-CH2CH3、及び-OCH3はそれぞれ独立して任意選択で1、2又は3個のRaによって置換され、他の変数は本願の定義に準拠する。
【0026】
本願のいくつかの実施形態において、前記各R1はそれぞれ独立してH、F、Cl、Br、I、CN、-CH3、-CH2CH3又は-OCH3であり、前記-CH3又は-CH2CH3はそれぞれ独立して任意選択で1、2又は3個のRaによって置換され、他の変数は本願の定義に準拠する。
【0027】
本願のいくつかの実施形態において、前記各Raはそれぞれ独立してF、Cl、Br、I又はOHであり、他の変数は本願の定義に準拠する。
【0028】
本願のいくつかの実施形態において、前記各Raはそれぞれ独立してF又はOHであり、他の変数は本願の定義に準拠する。
【0029】
本願のいくつかの実施形態において、前記各R1はそれぞれ独立してH、F、Cl、Br、I、CN、-CH3、-CH2CH3又は-OCH3であり、前記-CH3又は-CH2CH3はそれぞれ独立して任意選択で1、2又は3個のF又はOHによって置換され、他の変数は本願の定義に準拠する。
【0030】
本願のいくつかの実施形態において、前記各R1はそれぞれ独立してH、F、Cl、Br、I、CN、-CH3、-CF3、-CH2CH3、-CH(OH)CH3又は-OCH3であり、他の変数は本願の定義に準拠する。
【0031】
本願のいくつかの実施形態において、前記各R1はそれぞれ独立してH、CN、-CH3、-CF3、-CH(OH)CH3又は-OCH3であり、他の変数は本願の定義に準拠する。
【0032】
本願のいくつかの実施形態において、前記各R1はそれぞれ独立してH、F、Cl、Br、I、CN、-CH3、-CF3、-CH2CH3又は-OCH3であり、他の変数は本願の定義に準拠する。
【0033】
本願のいくつかの実施形態において、前記各R1はそれぞれ独立してH、CN、-CH3、-CF3、-CH2CH3又は-OCH3であり、他の変数は本願の定義に準拠する。
【0034】
本願のいくつかの実施形態において、前記各R2はそれぞれ独立してF、Cl、Br、I又はCNであり、他の変数は本願の定義に準拠する。
【0035】
本願のいくつかの実施形態において、前記各R2はそれぞれ独立してCNであり、他の変数は本願の定義に準拠する。
【0036】
また、本願のいくつかの実施形態は前記各変数を任意に組み合わせたものである。
【0037】
本願のいくつかの実施形態において、前記式(I’)化合物又は薬学的に許容されるその塩は式(I’-A)もしくは式(I’-B)化合物又は薬学的に許容されるその塩であり、
【化9】
式中、R
1、R
2、m又はnは本願の定義に準拠する。
【0038】
本願のいくつかの実施形態において、前記式(I)化合物又は薬学的に許容されるその塩は式(I-A)もしくは式(I-B)化合物又は薬学的に許容されるその塩であり、
【化10】
式中、R
1又はR
2は本願の定義に準拠する。
【0039】
本願のいくつかの実施形態において、前記式(I’)もしくは式(I)化合物又は薬学的に許容されるその塩で、その化合物の構造は式(I-1)の構造であり、
【化11】
式中、R
1は本願の定義に準拠する。
【0040】
本願のいくつかの実施形態において、前記式(I-1)化合物又は薬学的に許容されるその塩は式(I-1-A)もしくは式(I-1-B)化合物又は薬学的に許容されるその塩であり、
【化12】
式中、R
1は本願の定義に準拠する。
【0041】
本願のもう1つの態様として、さらに、下式の化合物又は薬学的に許容されるその塩を提供する。
【化13】
【0042】
本願のいくつかの実施形態において、前記化合物又は薬学的に許容されるその塩は、
【化14】
又は薬学的に許容されるその塩から選ばれる。
【0043】
本願のもう1つの態様として、さらに、本願に係る前記化合物又は薬学的に許容されるその塩を含む医薬組成物を提供する。いくつかの実施形態において、本願に係る医薬組成物は薬学的に許容される添加物をさらに含む。
【0044】
本願のもう1つの態様として、さらに、JAK1及び/又はJAK2関連疾患の治療薬物の製造における前記化合物又は薬学的に許容されるその塩の使用を提供する。
【0045】
本願のもう1つの態様として、さらに、JAK1及び/又はJAK2関連疾患の治療薬物における前記化合物又は薬学的に許容されるその塩の使用を提供する。
【0046】
本願のもう1つの態様として、さらに、JAK1及び/又はJAK2関連疾患を治療するための前記化合物又は薬学的に許容されるその塩を提供する。
【0047】
本願のもう1つの態様として、さらに、当該治療を必要とする哺乳動物、好ましくはヒトに、治療有効量の前記化合物もしくは薬学的に許容されるその塩又はその医薬組成物を投与することを含む、JAK1及び/又はJAK2関連疾患の治療方法を提供する。
【0048】
本願で、前記JAK1及び/又はJAK2関連疾患は炎症性疾患(例えば、関節炎)などから選ばれる。
【発明の効果】
【0049】
本願に係る化合物はキナーゼの4つのアイソフォームJAK1、JAK2、JAk3及びTYK2のインビトロ活性試験でJAK1及び/又はJAK2に良好な選択的阻害を示している。ネズミでは良好な経口生体利用率を有し、高い暴露量を有するため、良好なインビボ有効性を生じることに役立つ。
【0050】
「定義とその説明」
特に説明がある場合を除いて、本明細書で使用する下記の用語及び表現は以下の意味を有する。特定の用語又は表現は、特別に定義されない場合、確定していない又は不明瞭なものではなく、通常の意味で理解される。本明細書で商品名が記載される場合に、対応する製品又はその有効成分を指す。
【0051】
本願で構造単位又は基における破線(
【化15】
)は共有結合を表す。
【0052】
1つの置換基の結合が1つの環の2つの原子と交差して接続される場合に、前記置換基は当該環の任意の原子と結合できる。例えば、構造単位
【化16】
は、全ての環の任意の1つの位置で置換できることを表し、具体的には、
【化17】
を含み、ただしそれらに限定されない。
【0053】
本明細書で使用する用語「薬学的に許容される」とは、ヒト又は動物の組織に接触して使用するのに適し、毒性又は刺激性はなく、アレルギー反応、その他の問題や合併症を引き起こさないと医学的に判断され、利益対リスクが合理的である化合物、材料、組成物及び/又は剤形に対して使用される。
【0054】
用語「薬学的に許容される塩」とは、本願に係る特定の置換基を有する化合物と相対的に毒性のない酸又は塩基とから製造される本願に係る化合物の塩を指す。本願に係る化合物に相対的に酸性を示す官能基が含まれる場合に、不純物を含まない溶液又は適切な不活性溶剤において十分な量の塩基と当該化合物とを接触させることで塩基付加塩を得る。薬学的に許容される塩基付加塩は、ナトリウム、カリウム、カルシウム、アンモニウム、有機アミンもしくはマグネシウムの塩又は類似する塩を含む。本願に係る化合物に相対的に塩基性を示す官能基が含まれる場合に、不純物を含まない溶液又は適切な不活性溶剤において十分な量の酸と当該化合物とを接触させることで酸付加塩を得る。薬学的に許容される酸付加塩の例は、塩酸、臭化水素酸、硝酸、炭酸、炭酸水素イオン、リン酸、リン酸一水素イオン、リン酸二水素イオン、硫酸、硫酸水素イオン、ヨウ化水素酸、亜リン酸などの無機酸の無機酸塩、酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、マレイン酸、マロン酸、安息香酸、コハク酸、スベリン酸、フマル酸、乳酸、マンデル酸、フタル酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、クエン酸、酒石酸、メタンスルホン酸などの有機酸の有機酸塩、アルギニンなどのアミノ酸の塩、及びグルクロン酸などの有機酸の塩を含む。本願に係る化合物のいくつかは塩基性又は酸性の官能基を含むため、任意の塩基付加塩又は酸付加塩への変換が可能である。
【0055】
本願に係る薬学的に許容される塩は、通常の化学的方法で酸基又は塩基を含む母体化合物から合成できる。一般に、このような塩は水、有機溶剤又は両者の混合物において、これらの化合物の遊離酸又は遊離塩基の形態と化学量論的に適切な塩基又は酸とを反応させることによって調製する。
【0056】
本願に係る化合物には特定の幾何異性体又は立体異性体の形態が存在してもよい。本願に係るこの種の化合物には、シス及びトランス異性体、(-)-及び(+)-エナンチオマー、(R)-及び(S)-エナンチオマー、ジアステレオマー、(D)-異性体、(L)-異性体、並びにラセミ混合物及びその他の混合物、例えば、エナンチオマー又はジアステレオマーを豊富に含有する混合物を含み、これらの混合物がいずれも本願の範囲に含まれる。アルキル基などの置換基には別の不斉炭素原子が存在してもよい。これらの異性体及びそれらの混合物は本願の範囲に含まれる。例えば、当業者が理解したように、本願に係る式(I’)化合物は式(I’-A)又は式(I’-B)化合物及びそれらが任意の比率で形成した混合物を含み、ただしそれらに限定されず、本願に係る式(I)化合物は式(I-A)又は式(I-B)化合物及びそれらが任意の比率で形成した混合物を含み、ただしそれらに限定されず、本願に係る式(I-1)化合物は式(I-1-A)又は式(I-1-B)化合物及びそれらが任意の比率で形成した混合物などを含み、ただしそれらに限定されない。
【0057】
特に説明がある場合を除いて、用語「エナンチオマー」又は「光学異性体」とは、互いに鏡像の関係である立体異性体を指す。
【0058】
特に説明がある場合を除いて、用語「シス/トランス異性体」又は「幾何異性体」とは、二重結合又は環形成炭素原子の単結合が自由に回転できないため生じたものである。
【0059】
特に説明がある場合を除いて、用語「ジアステレオマー」とは、2つ以上のキラル中心を有し、且つ分子同士が互いに非鏡像である立体異性体を指す。
【0060】
特に説明がある場合を除いて、「(+)」は右旋性を、「(-)」は左旋性を、「(±)」はラセミ体を表す。
【0061】
特に説明がある場合を除いて、くさび形の実線結合(
【化18】
)及びくさび形の破線結合(
【化19】
)でキラル中心の絶対配置を表し、直線形の実線結合(
【化20】
)及び直線形の破線結合(
【化21】
)でキラル中心の相対配置を表し、波線(
【化22】
)でくさび形の実線結合(
【化23】
)もしくはくさび形の破線結合(
【化24】
)を表し、又は波線(
【化25】
)で直線形の実線結合(
【化26】
)及び直線形の破線結合(
【化27】
)を表す。
【0062】
特に説明がある場合を除いて、化合物に炭素-炭素二重結合、炭素-窒素二重結合、窒素-窒素二重結合などの二重結合構造が存在し、且つ二重結合上の各原子にいずれも2つの異なる置換基が接続されている場合に(窒素原子を含む二重結合で、窒素原子上の孤立電子対はそれに接続された置換基と見なされる)、当該化合物で二重結合上の原子とその置換基とが波線(
【化28】
)で接続される場合に、当該化合物の(Z)型異性体、(E)型異性体又は2種の異性体の混合物を表す。例えば、次の式(A)は当該化合物が式(A-1)又は式(A-2)のいずれかの異性体として存在し又は式(A-1)と式(A-2)の2種の異性体の混合物として存在することを表す。次の式(B)は当該化合物が式(B-1)又は式(B-2)のいずれかの異性体として存在し又は式(B-1)と式(B-2)の2種の異性体の混合物として存在することを表す。次の式(C)は当該化合物が式(C-1)又は式(C-2)のいずれかの異性体として存在し又は式(C-1)と式(C-2)の2種の異性体の混合物として存在することを表す。
【化29】
【0063】
特に説明がある場合を除いて、用語「互変異性体」又は「互変異性体の形態」とは室温下で、異なる官能基の異性体が動的バランスのとれた状態にあり、しかも一方から速やかに他方に変換できることを指す。(例えば、溶液の中で)互変異性体が存在し得る場合に、互変異性体には化学的平衡がとれる。例えば、プロトン互変異性体(proton tautomer)(プロトン転移互変異性体(prototropic tautomer)ともいう)は、ケトン-エノール異性化やイミン-エナミン異性化など、プロトンの転移による相互変換を含む。原子価異性体(valence tautomer)には、結合を形成する電子の一部の組み替えによる相互変換が含まれる。ケトン-エノール相互異性化の具体例は、互変異性体ペンタン-2,4-ジオンと4-ヒドロキシペント-3-エン-2-オンの相互変換である。
【0064】
特に説明がある場合を除いて、用語「1種の異性体を大量に含有する」、「異性体の大量含有」、「1種のエナンチオマーを大量に含有する」又は「エナンチオマーの大量含有」とは、特定の1種の異性体又はエナンチオマーの含有量が60%以上、又は70%以上、又は80%以上、又は90%以上、又は95%以上、又は96%以上、又は97%以上、又は98%以上、又は99%以上、又は99.5%以上、又は99.6%以上、又は99.7%以上、又は99.8%以上、又は99.9%以上であって、且つ100%未満であることを指す。
【0065】
特に説明がある場合を除いて、用語「異性体過剰」又は「エナンチオマー過剰」とは、2種の異性体又は2種のエナンチオマーの相対百分率含有量の差を指す。例えば、一方の異性体又はエナンチオマーの含有量が90%で、他方の異性体又はエナンチオマーの含有量が10%である場合に、異性体又はエナンチオマー過剰(ee値)は80%である。
【0066】
不斉合成、不斉試薬又はその他の通常の技術で、光学活性を有する(R)-と(S)-異性体、及びDとL異性体を合成することができる。本願に係る特定の化合物のエナンチオマーを得るには、不斉合成又は不斉助剤の誘導での合成を利用できる。生成物のジアステレオマー混合物を分離させ、且つ補助的な官能基を脱去させることで所望の純粋なエナンチオマーを得る。又は、分子に塩基性官能基(例えば、アミノ基)又は酸性官能基(例えば、カルボキシ基)が含まれた場合に、光学活性を有する適切な酸又は塩基とジアステレオマーの塩を形成させた後、本分野で周知される通常の方法でジアステレオマーを分割し、その後、回収して純粋なエナンチオマーを得る。また、エナンチオマーとジアステレオマーの分離は一般にクロマトグラフィーによって実行され、クロマトグラフィーにはキラルな固定相が用いられ、任意選択で化学的誘導法と組み合わせる(例えば、アミンからのカルバメート生成)。
【0067】
本願に係る化合物は当該化合物を構成する1つ又は複数の原子に非天然的な割合で同原子の同位体が含まれてもよい。例えば、化合物は三重水素(3H)、ヨウ素-125(125I)又は炭素-14(14C)などの放射能同位体で標識されてもよい。又は、重水素で水素を置換して重水素化薬物を生成させてもよく、重水素と炭素の結合が水素と炭素からなる通常の結合よりも堅牢で、非重水素化薬物と比べて、重水素化薬物は毒性と副作用が軽減され、薬物安定性と治療効果が改善され、薬物の生物学的半減期が延長されるなどの利点を有する。本願に係る化合物の同位体を含むバリアントは、放射性があるかどうかに関らず、いずれも本願の範囲に含まれる。
【0068】
用語「任意選択で」とはそれに続いて記載される事項又は状況は出現する可能性があるが、必ずしも出現するとは限らないことを指し、記述には前記事象又は状況が生じる場合と前記事項又は状況が生じない場合とが含まれる。
【0069】
用語「置換された」とは特定の原子の原子価が正常で、且つ置換後の化合物が安定的でさえあれば、当該原子上の任意の1つ又は複数の水素原子が、重水素及び水素のバリアントを含め置換基によって置換されることを指す。置換基が酸素(=O)である場合に、2つの水素原子が置換されることになる。酸素置換はアリール基に起こらない。用語「任意選択で置換された」とは置換されてもよいし、置換されなくてもよいことを指す。特に規定がある場合を除いて、置換基の種類とその数量は化学的に実現できる範囲であれば限定されない。
【0070】
化合物の組成又は構造において特定の変数(例えば、R)が1回以上出現した場合に、出現するたびに独立して定義される。したがって、例えば、1つの官能基が0-2個のRによって置換される場合に、当該官能基は任意選択で最大2個のRによって置換され、しかもそれぞれのRは独立して選ばれる。また、置換基及び/又はそのバリアントの組み合わせは当該組み合わせから安定的な化合物が生成される場合に限って認められる。
【0071】
例えば、-(CRR)0-のように、接続官能基の数量が0である場合に、当該接続官能基は単結合であることを表す。
【0072】
変数が単結合とされた場合に、それを介して接続された2つの官能基が直接的に接続されることを表す。例えば、A-L-ZでLが単結合である場合に、当該構造は実際にA-Zであることを表す。
【0073】
置換基が表示されない場合に、当該置換基が存在しないことを表し、例えばA-XでXが表示されない場合に、当該構造がAであることを表す。記載された置換基でどの原子を介して置換先官能基に接続されるかが明記されていない場合に、当該置換基はその任意の原子を介して結合されてもよい。例えば、ピリジル基は置換基としてピリジン環の任意の1つの炭素原子を介して置換先官能基に接続されてもよい。
【0074】
用語「アルキル基」とはCnH2n+1を一般式とする炭化水素基を指す。当該アルキル基は直鎖でもよいし分岐鎖でもよい。例えば、用語「C1-6アルキル基」とは1-6個の炭素原子を有するアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、1-メチルブチル基、2-メチルブチル基、3-メチルブチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、2-メチルペンチル基など)を指す。同様に、アルコキシ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アルキルスルホニル基及びアルキルチオ基のアルキル基(アルキル)部分に上記の定義が適用される。
【0075】
特に規定がある場合を除いて、用語「C1-3アルキル基」とは1-3個の炭素原子からなる直鎖又は分岐の飽和炭化水素基を表す。前記C1-3アルキル基はC1-2、C2-3アルキル基などを含み、一価(例えば、メチル基)、二価(例えば、メチレン基)であってもよいし、多価(例えば、メチン基)であってもよい。C1-3アルキル基の例はメチル基(Me)、エチル基(Et)、プロピル基(n-プロピル基、イソプロピル基を含む)などを含み、ただしそれらに限定されない。
【0076】
用語「アルコキシ基」とは「アルキル-O-基」を指す。特に規定がある場合を除いて、用語「C1-3アルコキシ基」とは1つの酸素原子を介して分子の残りの部分に接続された、1-3個の炭素原子を含むアルキル基を表す。前記C1-3アルコキシ基はC1-2、C2-3、C3、C2アルコキシ基などを含む。C1-3アルコキシ基の例はメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基(n-プロポキシ基、イソプロポキシ基を含む)などを含み、ただしそれらに限定されない。
【0077】
特に規定がある場合を除いて、Cn-n+m又はCn-Cn+mはnないしn+m個の炭素のうちの任意の数値を含み、例えば、C1-12はC1、C2、C3、C4、C5、C6、C7、C8、C9、C10、C11、C12を含み、nないしn+mのうちの任意の範囲をも含み、例えば、C1-12はC1-3、C1-6、C1-9、C3-6、C3-9、C3-12、C6-9、C6-12、C9-12などを含む。例えば、「C1-6」とは、対象基が1個の炭素原子、2個の炭素原子、3個の炭素原子、4個の炭素原子、5個の炭素原子又は6個の炭素原子を有することを指す。同様に、nからn+m員は環原子数がnからn+m個であることを表し、例えば、3-12員環は3員環、4員環、5員環、6員環、7員環、8員環、9員環、10員環、11員環、12員環を含み、nからn+mのうちの任意の範囲を含み、例えば、3-12員環は3-6員環、3-9員環、5-6員環、5-7員環、6-7員環、6-8員環、6-10員環などを含む。
【0078】
用語「シクロアルキル基」とは完全に飽和で単環、架橋環又はスピロ環として存在する炭素環を指す。特に規定がある場合を除いて、当該炭素環は一般に3-10員環である。シクロアルキル基の非限定的な例は、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボルニル基(ビシクロ[2.2.1]ヘプチル基)、ビシクロ[2.2.2]オクチル基、アダマンタニル基などを含み、ただしそれらに限定されない。
【0079】
用語「アリール基」とは、共役のπ電子系の全炭素単環又は縮合多環を有する芳香環基を指す。例えば、アリール基は6-20個の炭素原子、6-14個の炭素原子又は6-12個の炭素原子を有する。アリール基の例は、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレンなどを含み、ただそれらに限定されない。
【0080】
用語「脱離基」とは、置換反応(例えば、求核置換反応)によって別の官能基又は原子で置き換えられる官能基又は原子を指す。例えば、代表的な脱離基はトリフルオロメタンスルホネート、塩素、臭素、ヨウ素、スルホン酸エステル基(例えば、メタンスルホン酸エステル、トルエンスルホン酸エステル、p-ブロモベンゼンスルホン酸エステル、p-トルエンスルホン酸エステルなど)、アシルオキシ基(例えば、アセトキシ基、トリフルオロアセトキシ基など)を含む。
【0081】
用語「保護基」は「アミノ保護基」、「ヒドロキシ保護基」、「チオール保護基」を含み、ただしそれらに限定されない。用語「アミノ保護基」とはアミノ基の窒素における副反応を阻止するのに適する保護基を指す。代表的なアミノ保護基はホルミル基、アシル基(例えば、アルカノイル基(例えば、アセチル基、トリクロロアセチル基、トリフルオロアセチル基))、アルコキシカルボニル基(例えば、t-ブトキシカルボニル基(Boc))、アリールメチルオキシカルボニル基(例えば、ベンジルオキシカルボニル基(Cbz)、9-フルオレニルメチルオキシカルボニル基(Fmoc))、アリールメチル基(例えば、ベンジル基(Bn)、トリチル基(Tr)、1,1-ジ-(4’-メトキシフェニル)メチル)、シリル基(例えば、トリメチルシリル基(TMS)、t-ブチルジメチルシリル基(TBS))などを含み、ただしそれらに限定されない。用語「ヒドロキシ保護基」とはヒドロキシ基の副反応を阻止するのに適する保護基を指す。代表的なヒドロキシ保護基はアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、t-ブチル基)、アシル基(例えば、アルカノイル基(例えば、アセチル基))、アリールメチル基(例えば、ベンジル基(Bn)、p-メトキシベンジル基(PMB)、9-フルオレニルメチル基(Fm)、ジフェニルメチル基(DPM))、シリル基(例えば、トリメチルシリル基(TMS)、t-ブチルジメチルシリル基(TBS))などを含み、ただしそれらに限定されない。
【0082】
用語「治療」とは、疾患又は前記疾患に関連する1つ又は複数の症状を改善又は解消するために、本願に記載の化合物又は製剤を投与することを意味し、且つ以下の事項を含む。
(i)疾患又は病的状態を抑制し、即ちその進行を抑えること、
(ii)疾患又は病的状態を緩和し、即ち当該疾患又は病的状態を解消させること。
【0083】
用語「予防」とは、疾患又は前記疾患に関連する1つ又は複数の症状を予防するために、本願に記載の化合物又は製剤を投与することを意味し、哺乳動物における疾患又は病的状態の出現を予防すること、特に当該病的状態になりやすい哺乳動物が、当該病的状態と診断されていない時の予防を含む。
【0084】
用語「含む(comprise)」及び類する用語、例えば、英語の表現comprises又はcomprisingは、「…を含み、ただしそれらに限定されない」というふうに、開放的で非排他的な表現と理解される。
【0085】
本願に係る化合物は、当業者に知られる様々な合成方法であって、下記の各実施形態、他の化学的合成方法と組み合わせた実施形態及び当業者に知られる同等な実施形態を含み、好ましい実施形態は本願の実施例を含み、ただしそれらに限定されない前記合成方法で合成できる。
【0086】
用語「医薬組成物」とは1種又は複数種の本願に係る化合物又はその塩と薬学的に許容される添加物とからなる混合物を指す。医薬組成物は本願に係る化合物を生体に投与しやすいために製造されたものである。
【0087】
用語「薬学的に許容される添加物」とは生体に明らかな刺激はなく、当該活性化合物の生物学的活性及び特性を損なわない添加物である。適切な添加物、例えば、炭水化物、ワックス、水溶性及び/又は水膨潤性ポリマー、親水性もしくは疎水性材料、ゼラチン、油、溶媒、水などは当業者に知られる事項である。
【0088】
本願に係る医薬組成物は本願に係る化合物と薬学的に許容される適切な添加物を組み合わせて製造されてもよく、例えば、固体、半固体、液体剤又は気体の製剤として製造されてもよく、例えば、錠剤、丸薬、カプセル、パウダー、顆粒、軟膏、エマルジョン、懸濁剤、坐剤、注射剤、吸入剤、ゲル剤、ミクロスフェア、エアロゾルなどである。
【0089】
本願に係る化合物、薬学的に許容されるその塩又はその医薬組成物の典型的な投与経路には、経口、経直腸、局所、吸入、非経口、舌下、膣内、鼻腔内、眼内、腹腔内、筋肉内、皮下、静脈内を含み、ただしそれらに限定されない。
【0090】
本願に係る医薬組成物は、本技術分野で周知の手法、例えば、混合、溶解、造粒、糖衣錠法、粉砕、乳化、凍結乾燥などの通常の方法で製造されてもよい。
【0091】
いくつかの実施形態において、医薬組成物は経口投与用である。経口投与用の場合は、活性化合物と本分野で周知の薬学的に許容される添加物を混合して、当該医薬組成物を製造することができる。このような添加物によって本願に係る化合物は、患者に経口投与する錠剤、丸薬、糖衣コーティング剤、カプセル、液体剤、ゲル剤、シロップ、懸濁剤などとして製剤化される。
【0092】
経口用固体組成物は混合、充填、打錠など通常の手法で製造されてもよい。例えば、活性化合物と固体添加物を混合し、任意選択で混合物を粉砕するように製造する。任意選択で、他の適切な添加物を加え、その後、該混合物を顆粒に加工して、錠剤又は糖衣コーティング剤のコアを得る。適切な添加物は、バインダー、希釈剤、崩壊剤、潤滑剤、流動促進剤、甘味料、矯味剤などを含み、ただしそれらに限定されない。
【0093】
医薬組成物は非経口投与、例えば、適切な単位用量の滅菌溶液剤、懸濁剤又は凍結乾燥製品にも適する。
【0094】
本明細書に記載の化合物の全ての投与方法において、1日投与量は0.01-200mg/kg体重であり、単独で又は数回に分けて投与する。
【0095】
本願に係る化合物は当業者が熟知する通常の方法でその構造を確認することができ、本願が化合物の絶対配置に関する場合に、当該絶対配置を本分野の通常の技術的手段で確認することができる。例えば、単結晶X線回折(SXRD)を用いる場合に、培養した単結晶に対し回折計Bruker D8 ventureを用いて回折強度データを収集し、光源はCuKα線であり、走査方式はφ/ω走査である。関連データを収集した後、直接法(Shelxs97)で結晶構造を解析して、絶対配置を確認することができる。
【0096】
いくつかの実施形態において、本願に係る化合物は有機合成分野の技術者が以下の経路で製造することができる。
【化30】
ここで、R
1は本願の定義に準拠する。
【0097】
本願で使用する溶媒は市販製品であってもよい。本願で使用する略号とその意味は次のとおりである。aq=水、eq=当量、等量、DCM=ジクロロメタン、PE=石油エーテル、EA=酢酸エチル、DMF=N,N-ジメチルホルムアミド、DMSO=ジメチルスルホキシド、EtOAc=酢酸エチル、EtOH=エタノール、MeOH=メタノール、Boc=tert-ブトキシカルボニル基(アミン保護基)、AcOH又はHOAc=酢酸、r.t.=室温、THF=テトラヒドロフラン、TFA=トリフルオロ酢酸、Ts=p-トルエンスルホニル基、TBS=tert-ブチルジメチルシリル基、PMB=p-メトキシベンジル基、HPMC=ヒドロキシプロピルメチルセルロース、PVP=ポリビニルピロリドン、SLS=ラウリル硫酸ナトリウム、SBE-β-CD=スルホブチルエーテル-β-シクロデキストリン、TLC=薄層クロマトグラフィー、DMAP=4-ジメチルアミノピリジン、DEA=ジエチルアミン、ADDP=1,1’-(アゾジカルボニル)ジピペリジン、TBAF=テトラブチルアンモニウムフルオリド、TMSI=トリメチルヨードシラン、DIEA=N,N-ジイソプロピルエチルアミン、TsOH=p-トルエンスルホン酸、EDCI=1-エチル-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩、HOBt=1-ヒドロキシベンゾトリアゾール、BSA=ウシ血清アルブミン、EDTA=エチレンジアミン四酢酸、BID=1日2回。
【発明を実施するための形態】
【0098】
次に、実施例を用いて本願の詳細な説明を行う。これは本願に何らかの限定を加えることにならない。本明細書では具体的な実施形態を含め本願の詳細な説明が記載される。当業者であれば、本願の趣旨と範囲を逸脱することなく本願の特定の実施形態に様々な変形や改善を行うことができ、これは自明な事項である。
【0099】
実施例1:化合物1A及び1Bの合成
【化31】
【化32】
【0100】
ステップ1:0℃下で、水素化ナトリウム(15.92g、398.08mmol、純度60%、1.1eq)のDMF(200mL)懸濁液に(4-メトキシフェニル)メタノール(50g、361.89mmol、45.05mL、1eq)を加え、30分間攪拌した後、3-ブロモプロプ-1-イン(59.19g、398.08mmol、42.89mL、1.1eq)をゆっくりと反応系に加え、溶液を得て0℃下で30分間攪拌し、25℃下で16時間攪拌し、TLC(PE:EA=10:1)により完全に反応し、しかも新しい主生成物が生成したことを確認したら、反応液に飽和塩化アンモニウム水溶液(50mL)を加え、水相を酢酸エチル(500mL×3)で抽出し、合わせた有機相を水(200mL×2)、そしてブライン(200mL×1)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥して、濾過し、減圧下で濃縮して、残留物を得、カラムクロマトグラフィー(SiO2、PE:EA=1:0-5:1)で精製して、化合物1-2を得た。
MS(ESI)計算値:C11H12O2 176、実測値:177[M+H]+。
【0101】
ステップ2:25℃下で、5-ブロモ-2-ヨード-ピリジン(50g、176.12mmol、1eq)のTHF(500mL)溶液に化合物1-2(34.14g、193.74mmol、25.00mL、1.1eq)、ヨウ化第一銅(3.35g、17.59mmol、0.1eq)、ピペリジン(44.99g、528.36mmol、52.18mL、3eq)及びジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)(6.18g、8.80mmol、0.05eq)を加え、反応系を窒素で3回交換し、溶液を得て25℃下で16時間攪拌した。TLC(PE:EA=10:1)により完全に反応し、しかも新しい主生成物が生成したことを確認したら、反応液を珪藻土で濾過して濾液を得、減圧下で濃縮した後、残留物を800mLの酢酸エチルで溶解し、その後、300mLの水、そして300mLのブラインで洗浄し、その後、有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥して、濾過し、減圧下で濃縮して、残留物を得、カラムクロマトグラフィー(SiO2、PE:EA=1:0-30:1)を経て化合物1-3を得た。
1H NMR(400MHz,CCl3-d)δ=8.61(d,J=1.8Hz,1H),7.75(dd,J=2.4,8.4Hz,1H),7.32-7.28(m,1H),7.32-7.26(m,1H),7.27(s,1H),6.89-6.84(m,2H),4.58(s,2H),4.35(s,2H),3.79-3.76(m,1H),3.77(s,2H)。
MS(ESI)計算値:C16H14BrNO2 332、実測値:334。
MS(ESI)計算値:C16H14BrNO2 331,333、実測値:331[M]+,334[M+H]+。
【0102】
ステップ3:2,4,6-トリメチルベンゼンスルホン酸アンモニウム(972mg、4.52mmol、1.5eq)を、無水Na2SO4を含む乾燥DCM(15mL)に溶解し、その後、0℃下で化合物1-3(1g、3.01mmol、1eq)を前記混合物に加え、25℃下で16時間攪拌した。TLC(PE:EA=2:1)により反応物が少し残っており、しかも新しい主生成物が生成したことを確認した。その後、0℃下で攪拌しながら、反応系にゆっくりと32mLのtert-ブチルメチルエーテルを加えると、大量の灰白色の固体がゆっくりと沈殿し、濾過し乾燥して、化合物1-4を得た。
MS(ESI)計算値:C16H16BrN2O2 348、実測値:348[M]+。
【0103】
ステップ4:25℃下で化合物1-4(10g、18.27mmol、1eq)のDMF(160mL)溶液に炭酸銀(10.07g、36.52mmol、1.66mL、2eq)を加え、溶液を得て40℃下で16時間攪拌した。LCMSにより原料が完全に反応し、生成物が生成したことを確認したら、反応液を珪藻土で濾過して濾液を得、減圧下で濃縮した後、残留物を200mLの酢酸エチルで溶解し、その後、100mLの水、そして100mLのブラインで洗浄し、その後、有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥して、濾過し、減圧下で濃縮して、残留物を得、カラムクロマトグラフィー(SiO2、PE:EA=1:0-5:1)を経て化合物1-5を得た。
1H NMR(400MHz,CCl3-d)δ=8.50-8.46(m,1H),7.34-7.27(m,1H),7.26-7.21(m,2H),7.10-7.06(m,1H),6.84-6.78(m,2H),6.50-6.46(m,1H),4.67-4.60(m,2H),4.51-4.46(m,2H),3.75-3.71(m,3H)。
MS(ESI)計算値:C16H15BrN2O2 347、実測値:348.8[M+H]+。
【0104】
ステップ5:25℃下で化合物1-5(4.7g、13.54mmol、1eq)とカルバミン酸tert-ブチル(1.9g、16.22mmol、1.2eq)のイソアミルアルコール(15mL)と水(15mL)混合溶液に、水酸化カリウム(1.63g、29.05mmol、2.15eq)、5-(ジ-tert-ブチルホスフィノ)-1,3,5-トリフェニル-1H-[1,4]ビピラゾール(783.26mg、1.55mmol、0.1eq)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(619.79mg、676.83μmol、0.05eq)をこの順に加え、反応系を窒素で3回交換し、溶液を得て100℃下で2時間攪拌し、LCMSにより原料が完全に反応し、生成物が生成したことを確認したら、反応液を珪藻土で濾過して濾液を得、フィルターケーキを100mLの酢酸エチルで洗浄し、合わせた有機相を100mLの水、そして100mLのブラインで洗浄し、その後、有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥して、濾過し、減圧下で濃縮して残留物を得、カラムクロマトグラフィー(SiO2、PE:EA=1:0-20:1)で精製して、化合物1-6を得た。
MS(ESI)計算値:C21H25N3O4 383、実測値:384[M+H]+。
【0105】
ステップ6:25℃の窒素保護下で化合物1-6(4g、40.43mmol、1eq)のEtOH(60mL)溶液に二酸化白金(933.33mg、4.11mmol、0.1eq)を加え、反応系をH2で3回交換して溶液を得、H2(3MPa)と70℃下で72時間攪拌した。LCMSにより原料が完全に反応し、生成物が生成したことを確認したら、反応液を珪藻土で濾過して濾液を得、減圧下で濃縮した後、化合物1-7を得た。
MS(ESI)計算値:C21H29N3O4 387、実測値:388[M+H]+。
【0106】
ステップ7:0℃下で化合物1-7(4g、10.32mmol、1eq)のDCM(40mL)溶液にトリフルオロ酢酸(12.33g、108.14mmol、8.00mL、10.85eq)を加え、溶液を得て25℃下で2時間攪拌し、LCMSにより原料が完全に反応し、生成物が生成したことを確認したら、減圧下で濃縮して化合物1-8を得た。
MS(ESI)計算値:C8H13N3O 167、実測値:168[M+H]+。
【0107】
ステップ8:25℃下で化合物1-9(20g、131.08mmol、1eq)のDCM(50mL)溶液にp-トルエンスルホニルクロリド(27.49g、144.19mmol、1.1eq)、DMAP(1.6g、13.11mmol、0.1eq)、トリエチルアミン(19.9g、196,66mmol、27.37mL)をそれぞれ加え、溶液を得て25℃下で16時間攪拌し、LCMSにより原料が完全に反応したことを確認したら、減圧下で溶媒を除去し、飽和NaHCO3溶液(50mL)を加えて、濾過し、フィルターケーキを水で洗浄し、乾燥して、生成物1-10を得た。
MS(ESI)計算値:C14H11N2ClSO2 306、実測値:307[M+H]+。
【0108】
ステップ9:-5℃下で、化合物1-10(10g、32.60mmol、1eq)のDCM(50mL)溶液に硝酸テトラブチルアンモニウム(29.78g、97.81mmol、3eq)のジクロロメタン(50mL)溶液を滴加し、その後、ゆっくりと無水トリフルオロ酢酸(20.54g、97.79mmol、13.60mL、3eq)を滴加した。溶液を得て-5℃下で30分間攪拌し、その後、25℃に切り替えて16時間攪拌し、LCMSにより原料が完全に反応したことを確認したら、酢酸エチル(500mL×3)で抽出し、合わせた有機相を水(200mL×2)、そしてブライン(200mL×1)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥して、濾過し、減圧下で濃縮し、ジクロロメタンで再結晶して生成物1-11を得た。
MS(ESI)計算値:C14H10N3ClSO4 351、実測値:352[M+H]+。
【0109】
ステップ10:25℃下で化合物1-11(4.2g、11.94mmol、1eq)と化合物1-8(3.69g、13.12mmol、1.1eq)のイソプロピルアルコール(50mL)溶液にN,N-ジイソプロピルエチルアミン(15.43g、119.40mmol、20.8mL、10eq)を加え、溶液を得て90℃下で16時間攪拌し、LCMSにより原料が完全に反応し、生成物が生成したことを確認したら、反応液を回転乾燥して、水(500mL)を加え、水相を酢酸エチル(500mL×3)で抽出し、合わせた有機相を水(200mL×2)、そしてブライン(200mL×1)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥して、濾過し、減圧下で濃縮して、残留物を得、カラムクロマトグラフィー(SiO2、DCM:MeOH=100:1-50:1)で精製して、化合物1-12を得た。
MS(ESI)計算値:C22H22N6O5S 482、実測値:483[M+H]+。
【0110】
ステップ11:25℃と窒素雰囲気下で化合物1-12のメタノール(20mL)溶液にパラジウム炭素(0.1g、10%)を加えて、窒素で3回交換し、溶液を得て25℃下で16時間攪拌し、LCMSにより原料が完全に反応し、生成物が生成したことを確認したら、反応液を珪藻土で濾過して濾液を得、減圧下で濃縮した後、化合物1-13を得た。
MS(ESI)計算値:C22H24N6O3S 452、実測値:453[M+H]+。
【0111】
ステップ12:化合物1-13(2g、4.42mmol、1eq)をギ酸(10mL)に溶解し、溶液を得て110℃下で16時間攪拌し、LCMSにより原料が完全に反応し、生成物が生成したことを確認したら、反応液を回転乾燥して、化合物1-14を得た。
MS(ESI)計算値:C24H22N6O4S 490、実測値:491[M+H]+。
【0112】
ステップ13:25℃下で化合物1-14(1.50g、3.06mmol、1eq)のメタノール(10mL)溶液に10%水酸化ナトリウム水溶液(10mL)を滴加し、溶液を得て25℃下で4時間攪拌し、LCMSにより原料が完全に反応し、生成物が生成したことを確認したら、反応液を10%希塩酸で中和して、水相をジクロロメタン(100mL×3)で抽出し、合わせた有機相を飽和ブライン(100mL×1)で洗浄し、回転乾燥して、化合物1-15を得た。
MS(ESI)計算値:C16H16N6O 308、実測値:309[M+H]+。
【0113】
ステップ14:25℃下で化合物1-15(1g、3.24mmol、1eq)を含むDCM(20mL)とMeOH(2mL)混合溶媒に二酸化マンガン(2.83g、32.6mmol、10eq)を加え、溶液を得て65℃下で16時間攪拌し、LCMSにより原料が完全に反応し、生成物が生成したことを確認したら、反応液を珪藻土で濾過して濾液を得、減圧下で濃縮して、化合物1-16を得た。
MS(ESI)計算値:C16H14N6O 306、実測値:307[M+H]+。
【0114】
ステップ15:25℃下で化合物1-16(0.39g、1.27mmol、1eq)のメタノール(15mL)溶液に塩酸ヒドロキシルアミン(106.99mg、1.66mmol、1.2eq)、酢酸ナトリウム(126.29mg、1.54mmol、1.2eq)を加え、溶液を得て25℃下で30分間攪拌した。LCMSにより原料が完全に反応し、生成物が生成したことを確認したら、反応液を減圧下で濃縮して残留物を得、残留物を25mLの飽和ブラインで希釈して、THF(25mL×3)で抽出し、有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥して、濾過し、減圧下で濃縮して、化合物1-17を得た。
MS(ESI)計算値:C16H15N7O 321、実測値:322[M+H]+。
【0115】
ステップ16:25℃下で化合物1-17(0.35g、1.09mmol、1eq)のTHF(15mL)溶液にチオカルボニルジイミダゾール(388.2mg、2.18mmol、2eq)を加えた。溶液を得て25℃下で16時間攪拌し、LCMSにより原料が完全に反応し、生成物が生成したことを確認したら、反応液に水(50mL)を加え、水相をジクロロメタン(100mL×3)で抽出し、合わせた有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥して、濾過し、減圧下で濃縮して、残留物を得、カラムクロマトグラフィー(SiO2、DCM:MeOH=50:0-5:1)で精製して、化合物1-18を得た。
1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ=11.91(s,1H),8.62(s,1H),8.22(s,1H),7.50-7.48(s,1H),6.92-6.88(m,1H),5.53-5.20(s,1H),4.84-4.80(m,1H),4.73-4.67(m,1H),3.34-3.32(m,2H),3.02-2.49(m,2H)。
MS(ESI)計算値:C16H13N7 303、実測値:304[M+H]+。
【0116】
ステップ17:化合物1-18に対する光学分割(キラルカラム:Chiralcel OJ-3 50×4.6mm I.D.,3μm、移動相:A相は超臨界CO2、B相はMeOH(0.05%DEA)、勾配:A中Bの含有量は5%-40%、流速:3mL/min、波長:220nm、カラム温度:35℃、背圧:100Bar)で化合物1A(保持時間:0.917分)及び化合物1B(保持時間:2.790分)を得た。
化合物1A:1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ=11.91(s,1H),8.62(s,1H),8.22(s,1H),7.50-7.48(s,1H),6.92-6.88(m,1H),5.53-5.20(s,1H),4.84-4.80(m,1H),4.73-4.67(m,1H),3.34-3.32(m,2H),3.02-2.49(m,2H)。
C16H13N7 303、実測値:304[M+H]+。
【0117】
実施例2:化合物2A及び2Bの合成
【化33】
【化34】
【0118】
ステップ1:化合物1-13(2.0g、4.40mmol、1eq)を酢酸(20mL)に溶解し、溶液を得て120℃下で15時間攪拌し、LCMSにより原料が完全に反応し、生成物が生成したことを確認したら、反応液を回転乾燥して、化合物2-1を得た。
MS(ESI)計算値:C26H26N6O4S 518、実測値:519[M+H]+。
【0119】
ステップ2:25℃下で化合物2-1(1.50g、2.89mmol、1eq)のメタノール(10mL)溶液に10%水酸化ナトリウム水溶液(10mL)を滴加し、溶液を得て25℃下で4時間攪拌し、LCMSにより原料が完全に反応し、生成物が生成したことを確認したら、反応液を10%希塩酸で中和して、水相をジクロロメタン(100mL×3)で抽出し、合わせた有機相を飽和ブライン(100mL×1)で洗浄し、回転乾燥して、化合物2-2を得た。
MS(ESI)計算値:C17H18N6O 322、実測値:323[M+H]+。
【0120】
ステップ3:25℃下で化合物2-2(1g、3.1mmol、1eq)を含むDCM(20mL)とMeOH(2mL)混合溶媒に二酸化マンガン(2.7g、31.0mmol、10eq)を加え、溶液を得て65℃下で16時間攪拌し、LCMSにより原料が完全に反応し、生成物が生成したことを確認したら、反応液を珪藻土で濾過して濾液を得、減圧下で濃縮して、化合物2-3を得た。
MS(ESI)計算値:C17H16N6O 320、実測値:321[M+H]+。
【0121】
ステップ4:25℃下で化合物2-3(0.5g、1.56mmol、1eq)のメタノール(50mL)溶液に塩酸ヒドロキシルアミン(119.3mg、1.54mmol、1.1eq)、酢酸ナトリウム(192.1mg、2.34mmol、1.5eq)を加え、溶液を得て25℃下で30分間攪拌した。LCMSにより原料が完全に反応し、生成物が生成したことを確認したら、反応液を減圧下で濃縮して残留物を得、残留物を25mLの飽和ブラインで希釈して、THF(25mL×3)で抽出し、有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥して、濾過し、減圧下で濃縮して、化合物2-4を得た。
MS(ESI)計算値:C17H17N7O335、実測値:336[M+H]+。
【0122】
ステップ5:25℃下で化合物2-4(0.35g、1.04mmol、1eq)のTHF(15mL)溶液にチオカルボニルジイミダゾール(371.9mg、2.09mmol、2eq)を加えた。溶液を得て25℃下で16時間攪拌し、LCMSにより原料が完全に反応し、生成物が生成したことを確認したら、反応液に水(50mL)を加え、水相をジクロロメタン(100mL×3)で抽出し、合わせた有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥して、濾過し、減圧下で濃縮して、残留物を得、分取HPLC(カラム:Phenomenex Gemini-NX 80×40mm×3μm、移動相:[水(0.05%NH3・H2O+10mM NH4HCO3)-ACN]、ACN:17%-37%、8分)を経て化合物2-5を得た。
1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ=11.88(s,1H),8.52(s,1H),7.43(s,1H),6.90(s,1H),6.35-6.34(m,1H),5.36-5.34(m,1H),4.82-4.68(m,2H),3.52-3.37(m,2H),2.69-2.58(m,4H),2.50-2.29(m,1H)。
MS(ESI)計算値:C17H15N7 317、実測値:318[M+H]+。
【0123】
ステップ6:化合物2-5に対する光学分割(キラルカラム:Chiralcel OJ-3 50×4.6mm I.D.,3μm、移動相:A相は超臨界CO2、B相はMEOH(0.05%DEA)、勾配:A中Bの含有量は5%-40%、流速:3mL/min、波長:220nm、カラム温度:35℃、背圧:100Bar)で、化合物2A(保持時間:3.198分)及び化合物2B(保持時間:3.947分)を得た。
【0124】
実施例3:化合物3A及び3Bの合成
【化35】
【化36】
【0125】
ステップ1:化合物1-13(2g、4.40mmol、1eq)をトリフルオロ酢酸(10mL)に溶解し、溶液を得て110℃下で16時間攪拌し、LCMSにより原料が完全に反応し、生成物が生成したことを確認したら、反応液を回転乾燥して、化合物3-1を得た。
MS(ESI)計算値:C26H20F6N6O4S 626、実測値:627[M+H]+。
【0126】
ステップ2:25℃下で化合物3-1(1.50g、2.39mmol、1eq)のメタノール(10mL)溶液に10%水酸化ナトリウム水溶液(10mL)を滴加し、溶液を得て25℃下で4時間攪拌し、LCMSにより原料が完全に反応し、生成物が生成したことを確認したら、反応液を10%希塩酸で中和して、水相をジクロロメタン(100mL×3)で抽出し、合わせた有機相を飽和ブライン(100mL×1)で洗浄し、回転乾燥して、化合物3-2を得た。
MS(ESI)計算値:C17H15F3N6O 376、実測値:377[M+H]+。
【0127】
ステップ3:25℃下で化合物3-2(1g、2.7mmol、1eq)を含むDCM(20mL)とMeOH(2mL)混合溶媒に二酸化マンガン(2.3g、27.0mmol、10eq)を加え、溶液を得て65℃下で16時間攪拌し、LCMSにより原料が完全に反応し、生成物が生成したことを確認したら、反応液を珪藻土で濾過して濾液を得、減圧下で濃縮して、化合物3-3を得た。
MS(ESI)計算値:C17H13F3N6O 374、実測値:375[M+H]+。
【0128】
ステップ4:25℃下で化合物3-3(0.5g、1.34mmol、1eq)のメタノール(50mL)溶液に塩酸ヒドロキシルアミン(111.4mg、1.60mmol、1.1eq)、酢酸ナトリウム(131.5mg、1.60mmol、1.5eq)を加え、溶液を得て25℃下で30分間攪拌した。LCMSにより原料が完全に反応し、生成物が生成したことを確認したら、反応液を減圧下で濃縮して残留物を得、残留物を25mLの飽和ブラインで希釈して、THF(25mL×3)で抽出し、有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥して、濾過し、減圧下で濃縮して、化合物3-4を得た。
MS(ESI)計算値:C17H14F3N7O 389、実測値:390[M+H]+。
【0129】
ステップ5:25℃下で化合物3-4(0.35g、0.89mmol、1eq)のTHF(15mL)溶液にチオカルボニルジイミダゾール(320mg、1.80mmol、2eq)を加えた。溶液を得て25℃下で16時間攪拌し、LCMSにより原料が完全に反応し、生成物が生成したことを確認したら、反応液に水(50mL)を加え、水相をジクロロメタン(100mL×3)で抽出し、合わせた有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥して、濾過し、減圧下で濃縮して、残留物を得、カラムクロマトグラフィー(SiO2、DCM:MeOH=50:0-5:1)で精製して、化合物3-5を得た。
MS(ESI)計算値:C17H12F3N7O 371、実測値:372[M+H]+。
1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ=12.34(s,1H),8.83(s,1H),7.59-7.58(m,1H),6.96-6.93(s,1H),6.32(s,1H),5.52(s,1H),4.87-4.79(m,2H),3.14-3.02(m,2H),2.73-2.68(m,1H),2.34-2.33(m,1H)。
MS(ESI)計算値:C17H12F3N7 371、実測値:372[M+H]+。
【0130】
ステップ6:化合物3-5に対する光学分割(キラルカラム:Chiralcel OJ-3 50×4.6mm I.D.,3μm、移動相:A相は超臨界CO2、B相はMEOH(0.05%DEA)、勾配:A中Bの含有量は5%-40%、流速:3mL/min、波長:220nm、カラム温度:35℃、背圧:100Bar)で、化合物3A(保持時間:1.166分)及び化合物3B(保持時間:1.339分)を得た。
【0131】
【0132】
ステップ1:-78℃の窒素保護下で、tert-ブチルジメチル(2-プロピニルオキシ)シラン(200g、1174.24mmol)を溶解したテトラヒドロフラン(2L)溶液にn-ブチルリチウムのヘキサン溶液(2.5M、427.54mL)を滴加し、反応液を-78℃下で30分間攪拌した。その後、-78℃の反応液に化合物4-1(250g、971.7mmol)のテトラヒドロフラン(2L)溶液を滴加した。反応液を-78℃下で3時間反応させた。TLC(PE:EA=3:1)により完全に反応したことを確認したら、反応を飽和塩化アンモニウム水溶液(2L)と水(1L)でクエンチして、EA(2L×3)で抽出し、合わせた反応液を飽和ブライン(2L)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥して、濾過し減圧下で濃縮して、化合物4-2を得た。
1H NMR(400MHz,CDCl3)δ=5.11(br d,J=7.3Hz,1H),4.48(s,2H),4.35-4.27(m,1H),4.21(q,J=7.2Hz,2H),2.80-2.59(m,2H),2.30-2.13(m,1H),1.98(br dd,J=6.4,14.2Hz,1H),1.55-1.42(s,9H),1.36-1.27(m,3H),0.93(s,9H),0.19-0.07(s,6H)。
【0133】
ステップ2:氷浴下で、化合物4-2(400g、935.44mmol)を溶解したDMF(3L)溶液にヒドラジン水和物(34.71g、1.03mol、98%)を加えた。当該反応液を25℃下で2時間反応させた。LC-MSにより完全に反応したことを確認したら、当該反応液を水(10L)で希釈して、EA(2L×2)で抽出し、合わせた反応液を飽和ブライン(2L)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥して、濾過し減圧下で濃縮して、化合物4-3を得た。
MS(ESI)計算値:C21H39N3O5Si 441、実測値:442[M+H]+。
【0134】
ステップ3:氷浴下で、化合物4-3(432g、978.18mmol)のTHF(3L)溶液に数回に分けてNaBH4(77.71g、2.05mol)を加えた。その後、ゆっくりとメタノール(0.6L)を滴加し、反応液を25℃下で攪拌して12時間反応させ、LC-MSにより完全に反応したことを確認した。反応を氷浴下で、飽和塩化アンモニウム水溶液(300mL)でクエンチし、その後、水(2L)で希釈して、EA(2L×2)で抽出し、合わせた反応液を飽和ブライン(2L)で洗浄して、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過して減圧下で濃縮し、カラムクロマトグラフィー(SiO2、DCM:MeOH=50:1-20:1)を経て化合物4-4を得た。
MS(ESI)計算値:C19H37N3O4Si 399、実測値:400[M+H]+。
【0135】
ステップ4:氷浴下で、化合物4-4(336g、840.84mmol)のテトラヒドロフラン(4L)に、トリブチルホスフィン(340.24g、1.68mol)を加えた。当該反応液を氷浴下で30分間攪拌し、当該反応液にADDP(424.31g、1.68mol)を加えた。反応液を20℃下で攪拌して12時間反応させた。LC-MSにより完全に反応したことを確認した。反応液を水(2L)で希釈して、EA(2L×2)で抽出し、合わせた反応液を飽和ブライン(1.5L)で洗浄して、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過して減圧下で濃縮し、カラムクロマトグラフィー(SiO2、PE:EA=20:1-2:1)を経て化合物4-5を得た。
MS(ESI)計算値:C19H35N3O3Si 381、実測値:382[M+H]+。
【0136】
ステップ5:室温下で、化合物4-5(390g、1.02mol)を溶解したテトラヒドロフラン(1L)溶液にTBAF(1M、1.02L、1.02mol)を加え、当該反応液を20℃下で1.5時間反応させた。LC-MSにより完全に反応したことを確認した。反応液を水(1L)で希釈し、飽和NaHCO3水溶液でpH=8に調整して、EA(1L×3)で抽出し、合わせた反応液を飽和ブライン(1L)で洗浄して、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過して減圧下で濃縮し、その後、濃縮液を酢酸エチル(1L)で溶解し、当該溶液にゆっくりとHCl/EtOAc(4M、200mL)を滴加し、1時間攪拌して、白色の固体が生成し、濾過して、化合物4-6を得た。
MS(ESI)計算値:C13H21N3O3 267、実測値:268[M+H]+。
【0137】
ステップ6:化合物4-6(11.5g、43.02mmol)を溶解したDCM(150mL)とMeOH(15mL)溶液に二酸化マンガン(37.40g、430.19mmol)を加え、窒素で3回交換し、その後、65℃下で12時間攪拌した。LC-MSにより完全に反応したことを確認した。反応液を濾過し、濃縮して化合物4-7を得た。
MS(ESI)計算値:C13H19N3O3 265、実測値:266[M+H]+。
【0138】
ステップ7:化合物4-7(11g、41.46mmol)を溶解したTHF(150mL)にNH3・H2O(51.89g、414.61mmol、57.03mL、純度28%)、I2(31.57g、124.38mmol)を加え、反応液を窒素で3回交換し、その後25℃下で12時間攪拌した。LC-MSにより完全に反応したことを確認した。反応液に飽和亜硫酸ナトリウム水溶液を加えて反応をクエンチし、20mLの水を加えて希釈し、その後、酢酸エチル(50mL×2)で抽出した。有機相を合わせて、飽和ブライン(30mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥して、濾過し、濃縮して粗生成物を得た。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(SiO2、PE:EA=3:1)で精製して化合物4-8を得た。
MS(ESI)計算値:C13H18N4O2 262、実測値:263[M+H]+。
【0139】
ステップ8:0℃下で、化合物4-8(11g、41.94mmol)を溶解したDCM(150mL)にTMSI(10.91g、54.52mmol、7.42mL)を加えた。当該反応液を0℃下で1時間攪拌した。TLCにより原料が消失し、新しいスポットが生成したことを確認した。反応液を減圧下で濃縮して化合物4-9のヨウ化水素酸塩を得た。
MS(ESI)計算値:C8H10N4 162、実測値:163[M+H]+。
【0140】
ステップ9:化合物4-9(12g、41.36mmol、ヨウ化水素酸塩)及び化合物1-11(11.64g、33.09mmol)を溶解したイソプロピルアルコール(200mL)にDIEA(26.73g、206.82mmol、36.0mL)を加えた。反応液を窒素で3回交換し、その後、90℃下で12時間攪拌した。LC-MSにより完全に反応したことを確認した。反応液を冷却して、H2O(200mL)を加え、濾過し、乾燥して化合物4-10を得た。
MS(ESI)計算値:C22H19N7SO4 477、実測値:478[M+H]+。
【0141】
ステップ10:化合物4-10(16g、33.51mmol)を溶解したTHF(200mL)とH2O(50mL)溶液にFe(9.36g、167.54mmol)及びNH4Cl(12.55g、234.56mmol)を加え、窒素で3回交換し、100℃下で1時間攪拌した。LCMSにより完全に反応したことを確認した。反応液を濾過して、濾液をH2O(100mL)で希釈し、その後、酢酸エチル(150mL×2)で抽出した。フィルターケーキをDCM:MeOH(20:1、100mL×3)で洗浄した。抽出液と濾液を合わせて、硫酸ナトリウムで乾燥して、濾過し、濃縮して化合物4-11を得た。
MS(ESI)計算値:C22H21N7SO2 447、実測値:448[M+H]+。
【0142】
ステップ11:化合物4-11(150mg、335.19μmol)及びTsOH(5.8mg、33.52μmol)を溶解したAcOH(5mL)溶液にオルト炭酸テトラメチル(456.4mg、3.35mmol)を加えた。反応液を窒素で3回交換し、50℃下で2時間攪拌した。LCMSにより完全に反応したことを確認した。反応液を濃縮して溶媒を除去し、H2O(5mL)を加えて希釈し、ジクロロメタン(5mL×3)で抽出した。有機相を合わせて、飽和ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥して、濾過し、濃縮して化合物4-12を得た。
MS(ESI)計算値:C24H21N7O3S 487、実測値:488[M+H]+。
【0143】
ステップ12:化合物4-12(180mg、369.21μmol)をTHF(10mL)に溶解し、その後、TBAF(1M、738.4μL)を加えた。反応液を窒素で3回交換し、70℃下で12時間攪拌した。LC-MSにより完全に反応したことを確認した。反応液を濃縮し、その後、NaHCO3水溶液(15mL)で希釈して、DCM(15mL×3)で抽出し、有機相を合わせて、硫酸ナトリウムで乾燥して、濾過し、濃縮して粗生成物を得た。粗生成物を分取HPLC(Phenomenex Gemini NX 80×30mm×μm、移動相:[水(10mM H4HCO3)-ACN]、B(ACN)%:20%-50%、9分)で分離して化合物4を得た。
MS(ESI)計算値:C17H15N7O 333、実測値:334[M+H]+。
1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ=11.72(br s,1H),8.38(br s,1H),7.42(br s,1H),6.85(br s,1H),6.71(br s,1H),5.41(br s,1H),4.69(br s,2H),4.09(br s,3H),3.05(br s,2H),2.68-2.55(m,1H),2.28(br s,1H)。
【0144】
【0145】
ステップ1:化合物4-11(250mg、558.64μmol、1eq)、(2R)-2-ヒドロキシプロピオン酸(221.41mg、1.68mmol)、EDCI(321.28mg、1.68mmol)及びHOBt(226.46mg、1.68mmol)をTHF(10mL)に溶解し、その後、DIEA(361.00mg、2.79mmol、486.53μL)を加えた。当該反応液を窒素で3回交換し、その後、20℃下で12時間攪拌した。LC-MSにより完全に反応したことを確認した。反応液をH2O(15mL)で希釈して、EA(15mL×3)で抽出した。有機相を合わせて、飽和ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥して、濾過し、濃縮して化合物5-1を得た。
MS(ESI)計算値:C27H27N7O5S 561、実測値:562[M+H]+。
【0146】
ステップ2:化合物5-1をAcOH(10mL)に溶解し、120℃下で30分間攪拌した。LCMSにより完全に反応したことを確認した。反応液を水(15mL)で希釈して、酢酸エチル(15mL×3)で抽出した。有機相を合わせて、飽和ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥して、濾過し、濃縮して化合物5-2を得た。
MS(ESI)計算値:C27H25N7O4S 543、実測値:544[M+H]+。
【0147】
ステップ3:化合物5-2(0.3g、551.88μmol)をMeOH(12mL)とTHF(3mL)に溶解し、その後、K2CO3(152.55mg、1.10mmol)を加えた。反応液を窒素で3回交換し、その後、25℃下で10分間攪拌した。LC-MSにより完全に反応したことを確認した。反応液を減圧下で濃縮して溶媒を除去し、H2O(10mL)で希釈し、その後、DCM:MeOH(10:1、10mL×3)で抽出し、有機相を合わせて、飽和ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥して、濾過し、濃縮して化合物5-3を得た。
MS(ESI)計算値:C25H23N7O3S 501、実測値:502[M+H]+。
【0148】
ステップ4:化合物5-3(150mg、299.07μmol)をTHF(5mL)に溶解し、その後、TBAF(1M、598.1μL)を加えた。反応液を窒素で3回交換し、70℃下で12時間攪拌した。LC-MSにより完全に反応したことを確認した。反応液を濃縮し、その後、NaHCO3水溶液(15mL)で希釈して、DCM(15mL×3)で抽出し、有機相を合わせて、硫酸ナトリウムで乾燥して、濾過し、濃縮して粗生成物を得た。粗生成物を分取HPLC(Phenomenex Gemini NX 80×30mm×3μm、移動相:[水(10mM NH4HCO3)-ACN]、ACN%:15%-45%、9分)で分離して化合物5を得た。
MS(ESI)計算値:C18H17N7O 347、実測値:348[M+H]+。
1H NMR(400MHz,CD3OD)δ=8.64(s,1H),7.44(br d,J=2.8Hz,1H),6.74(s,1H),6.35(br s,1H),5.79(br d,J=10.4Hz,1H),5.41-5.29(m,1H),4.99-4.90(m,2H),4.84-4.76(m,1H),3.31-3.22(m,1H),3.18-3.07(m,1H),3.01-2.87(m,1H),2.37(br d,J=12.4Hz,1H),1.82(br d,J=6.3Hz,3H)。
【0149】
【0150】
ステップ1:-78℃の窒素保護下で、tert-ブチルジメチル(2-プロピニルオキシ)シラン(38.07g、223.49mmol、45.3mL)を溶解したテトラヒドロフラン(500mL)溶液にn-ブチルリチウムのヘキサン溶液(2.5M、85.5mL)を滴加し、反応液を-78℃下で30分間攪拌した。その後、-78℃の反応液に化合物6-1(50g、194.34mmol)のテトラヒドロフラン(500mL)溶液を滴加した。反応液を-78℃下で3時間反応させた。TLC(PE:EA=3:1)により完全に反応したことを確認したら、反応を飽和塩化アンモニウム水溶液(500mL)と水(0.5L)でクエンチして、EA(0.5L×3)で抽出し、合わせた反応液を飽和ブライン(1L)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥して、濾過し減圧下で濃縮して、化合物6-2を得た。
【0151】
ステップ2:0℃下で、化合物6-2(90g、210.47mmol)を溶解したDMF(700mL)溶液にヒドラジン水和物(7.81g、231.52mmol、8.81mL、純度95%)を加えた。当該反応液を25℃下で、2時間反応させた。LC-MSにより完全に反応したことを確認したら、当該反応液を水(1L)で希釈して、EA(1L×2)で抽出し、合わせた反応液をH2O(1L×3)及び飽和ブライン(1L)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥して、濾過し減圧下で濃縮して、化合物6-3を得た。
MS(ESI)計算値:C21H39N3O5Si 441、実測値:442[M+H]+。
【0152】
ステップ3:0℃下で、化合物6-3(432g、978.18mmol)のTHF(800mL)溶液に数回に分けてNaBH4(16.01g、423.20mmol)を加えた。その後、ゆっくりとメタノール(200mL)を滴加し、反応液を25℃下で攪拌して12時間反応させ、LC-MSにより完全に反応したことを確認した。反応を氷浴下で、飽和塩化アンモニウム水溶液(300mL)でクエンチし、その後、水(1L)で希釈して、EA(1L×2)で抽出し、合わせた反応液を飽和ブライン(1L)で洗浄して、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過して減圧下で濃縮し、カラムクロマトグラフィー(SiO2、DCM:MeOH=50:1-20:1)を経て化合物6-4を得た。
MS(ESI)計算値:C19H37N3O4Si 399、実測値:400[M+H]+。
【0153】
ステップ4:0℃下で、化合物6-4(68g、170.17mmol)のテトラヒドロフラン(1.4L)に、トリブチルホスフィン(68.86g、340.34mmol、84.0mL)を加えた。当該反応液を0℃下で30分間攪拌し、当該反応液にADDP(85.87g、340.34mmol)を加えた。反応液を20℃下で攪拌して12時間反応させた。LC-MSにより完全に反応したことを確認した。反応液を濾過し、濾液を水(1L)で希釈して、EA(1L×2)で抽出し、合わせた反応液を飽和ブライン(1.5L)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過して減圧下で濃縮し、カラムクロマトグラフィー(SiO2、PE:EA=20:1-2:1)を経て化合物6-5を得た。
MS(ESI)計算値:C19H35N3O3Si 381、実測値:382[M+H]+。
【0154】
ステップ5:室温下で、化合物6-5(80g、209.65mmol)を溶解したテトラヒドロフラン(800mL)溶液にTBAF(1M、230.62mL)を加え、当該反応液を20℃下で30分間反応させた。LC-MSにより完全に反応したことを確認した。反応液を水(1L)で希釈して、EA(1L×2)で抽出し、合わせた反応液を飽和ブライン(1L)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥して、濾過し減圧下で濃縮して、粗生成物を得た。当該粗生成物を800mLのEAに溶解し、200mLのHCl/EAを加え、1時間攪拌して、28gの粗生成物が沈殿した。粗生成物を250mLの水に溶解し、炭酸水素ナトリウムでpHを8に調整し、その後、EA(300mL×2)で抽出して、有機相を合わせ、濃縮して化合物6-6を得た。
MS(ESI)計算値:C13H21N3O3 267、実測値:268[M+H]+。
【0155】
ステップ6:化合物6-6(22g、82.30mmol、1eq)を溶解したDCM(300mL)とMeOH(30mL)溶液に二酸化マンガン(71.55g、822.97mmol)を加え、窒素で3回交換し、その後、60℃下で12時間攪拌した。LCMSにより完全に反応したことを確認した。反応液を濾過し、濃縮して化合物6-7を得た。
MS(ESI)計算値:C13H19N3O3 265、実測値:266[M+H]+。
【0156】
ステップ7:化合物6-7(6g、22.62mmol)を溶解したTHF(90mL)にNH3・H2O(28.31g、226.15mmol、31.11mL、純度28%)、I2(17.22g、67.85mmol、13.7mL)を加え、反応液を窒素で3回交換し、その後、20℃下で12時間攪拌した。TLCにより完全に反応したことを確認した。反応液に飽和亜硫酸ナトリウム水溶液を加えて反応をクエンチし、10mLの水を加えて希釈し、その後、酢酸エチル(15mL×2)で抽出した。有機相を合わせて、飽和ブライン(15mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥して、濾過し、濃縮して粗生成物を得た。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(SiO2、PE:EA=3:1)で精製して化合物6-8を得た。
MS(ESI)計算値:C13H18N4O2 262、実測値:263[M+H]+。
【0157】
ステップ8:0℃下で、化合物6-8(10g、38.12mmol)を溶解したDCM(100mL)にTMSI(9.92g、49.56mmol、6.8mL)を加えた。当該反応液を0℃下で1.5時間攪拌した。LCMSにより完全に反応したことを確認した。反応液に100mLのEAを加え、濾過して化合物6-9のヨウ化水素酸塩を得た。
MS(ESI)計算値:C8H10N4 162、実測値:163[M+H]+。
【0158】
ステップ9:化合物6-9(7g、24.13mmol、ヨウ化水素酸塩)及び4-クロロ-5-ニトロ-1-(p-トルエンスルホニル)ピロロ[2,3-b]ピリジン(8.49g、24.13mmol)を溶解したイソプロピルアルコール(140mL)にDIEA(9.36g、72.39mmol、12.6mL)を加えた。反応液を窒素で3回交換し、その後、90℃下で12時間攪拌した。LCMSにより完全に反応したことを確認した。反応液を冷却して、H2O(100mL)を加え、大量の黄色の固体が沈殿し、濾過し、乾燥して化合物6-10を得た。
MS(ESI)計算値:C22H19N7SO4 477、実測値:478[M+H]+。
【0159】
ステップ10:化合物6-10(14g、29.32mmol)を溶解したTHF(168mL)とH2O(42mL)溶液にFe粉末(8.19g、146.60mmol)及びNH4Cl(10.98g、205.24mmol)を加え、90℃下で1時間攪拌した。LC-MSにより完全に反応したことを確認した。反応液を濾過して、濾液をH2O(100mL)で希釈し、その後、酢酸エチル(150mL×2)で抽出した。フィルターケーキをDCM:MeOH(20:1、100mL×3)で洗浄した。抽出液と濾液を合わせて、硫酸ナトリウムで乾燥して、濾過し、濃縮して化合物6-11を得た。
MS(ESI)計算値:C22H21N7SO2 447、実測値:448[M+H]+。
【0160】
ステップ11:化合物6-11(100mg、223.46μmol)及びTsOH(3.85mg、22.35μmol)を溶解したAcOH(5mL)溶液にオルト炭酸テトラメチル(304.23mg、2.23mmol)を加えた。反応液を窒素で3回交換し、50℃下で12時間攪拌した。LC-MSにより完全に反応したことを確認した。反応液を濃縮して溶媒を除去し、H2O(5mL)を加えて希釈し、DCM(5mL×3)で抽出した。有機相を合わせて、飽和ブライン(5mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥して、濾過し、濃縮して化合物6-12を得た。
MS(ESI)計算値:C24H21N7O3S 487、実測値:488[M+H]+。
【0161】
ステップ12:化合物6-12(100mg、205.11μmol、1eq)をTHF(5mL)に溶解し、その後、TBAF(1M、410.2μL)を加えた。反応液を窒素で3回交換し、70℃下で12時間攪拌した。LC-MSにより完全に反応したことを確認した。反応液を濃縮し、その後、NaHCO3水溶液(5mL)で希釈して、DCM(5mL×3)で抽出し、有機相を合わせて、硫酸ナトリウムで乾燥して、濾過し、濃縮して粗生成物を得た。粗生成物を分取HPLC(Phenomenex Gemini NX 80×30mm×3μm、移動相:[水(10mM NH4HCO3)-ACN]、B(ACN)%:20%-50%、9分)で分離して化合物6を得た。
MS(ESI)計算値:C17H15N7O 333、実測値:334[M+H]+。
1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ=11.73(br s,1H),8.38(s,1H),7.43(br s,1H),6.85(s,1H),6.71(br s,1H),5.41(br s,1H),4.81-4.61(m,2H),4.09(s,3H),3.05(br s,2H),2.64-2.54(m,2H)。
【0162】
【0163】
ステップ1:化合物6-11(150mg、335.19μmol)、(2R)-2-ヒドロキシプロピオン酸(75.48mg、837.97μmol)をTHF(5mL)に溶解し、EDCI(160.64mg、837.97μmol)、HOBt(113.23mg、837.97μmol)、DIEA(129.96mg、1.01mmol、175.2μL)を加えた。当該混合溶液を20℃下で12時間攪拌した。LC-MSにより完全に反応したことを確認した。反応液にH2O(15mL)を加え、酢酸エチル(15mL×3)で抽出し、有機相を合わせて、飽和ブライン(15mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥して、濾過し、濃縮して化合物7-1を得た。
MS(ESI)計算値:C25H25N7O4S 519、実測値:520[M+H]+。
【0164】
ステップ2:化合物7-1(200mg、384.93μmol)をAcOH(4.20g、69.94mmol、4mL)に溶解し、窒素雰囲気において、120℃下で3時間攪拌した。LC-MSにより完全に反応したことを確認した。反応液を濃縮し、その後、NaHCO3水溶液(5mL)で希釈して、DCM(5mL×3)で抽出し、有機相を合わせて、飽和ブライン(15mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥して、濾過し、濃縮して化合物7-2を得た。
MS(ESI)計算値:C25H23N7O3S 501、実測値:502[M+H]+。
【0165】
ステップ3:化合物7-2(200mg、398.76μmol)をTHF(5mL)に溶解し、その後、TBAF(1M、797.51μL)を加えた。反応液を窒素で3回交換し、70℃下で12時間攪拌した。LC-MSにより完全に反応したことを確認した。反応液を濃縮し、その後、NaHCO3水溶液(15mL)で希釈して、DCM(15mL×3)で抽出し、有機相を合わせて、硫酸ナトリウムで乾燥して、濾過し、濃縮して粗生成物を得た。粗生成物を分取HPLC(Phenomenex Gemini NX 80×30mm×3μm、移動相:[水(10mM NH4HCO3)-ACN]、B(ACN)%:17%-47%、9分)で分離して化合物7を得た。
MS(ESI)計算値:C18H17N7O 347、実測値:348[M+H]+。
1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ=11.97(br s,1H),8.62(s,1H),7.60-7.34(m,1H),6.92(s,1H),6.31(br s,1H),5.80(br d,J=7.0Hz,1H),5.63(br s,1H),5.23(br s,1H),4.88-4.64(m,2H),3.24(br d,J=12.3Hz,1H),3.09-2.88(m,1H),2.76-2.62(m,1H),2.28(br s,1H),1.67(br d,J=6.4Hz,3H)。
【0166】
生物活性試験:
実験例1:インビトロJAK1、JAK2、JAK3、TYK2キナーゼ活性試験
実験材料:
組換えヒトJAK1、JAK2、JAK3、TYK2プロテアーゼ、主な装置及び試薬はいずれも英Eurofins社が提供する。
実験方法:
JAK2、JAK3及びTYK2を、20mM 3-(N-モルホリン)プロパンスルホン酸(MOPS)、1mM EDTA、0.01%Brij-35.5%グリセリン、0.1%β-メルカプトエタノール、1mg/mLBSAで希釈し、JAK1を、20mM Tris、0.2mM EDTA、0.1%β-メルカプトエタノール、0.01%Brij-35.5%グリセリンで希釈した。全ての化合物を100%DMSO溶液に調製して最終の測定濃度の50倍とした。被験化合物を3倍の濃度勾配で希釈し、最終濃度は10μMから0.001μMの9つの濃度とし、検出反応でDMSOの含有量は2%であった。当該化合物のストック溶液を反応の最初の成分として測定ウェルに加え、その後、下記の詳細な手順で他の成分を加える。
【0167】
JAK1(h)酵素反応:
JAK1(h)を20mM Tris/HCl(pH7.5)、0.2mM EDTA、500μM MGEEPLYWSFPAKKK、10mM酢酸マグネシウム及び[γ-33P]-ATP(必要に応じて活性と濃度を設定)と一緒にインキュベートした。Mg/ATP混合物を加えて反応を開始させ、室温下で40分間インキュベートした後、濃度0.5%のリン酸を加えて反応を停止させた。その後、10μLの反応物をP30フィルターパッドにスポットして4分以内に0.425%リン酸で3回、そしてメタノールで1回洗浄し、乾燥して、シンチレータでカウントした。
【0168】
JAK2(h)酵素反応:
JAK2(h)を8mM MOPS(pH7.0)、0.2mM EDTA、100μM KTFCGTPEYLAPEVRREPRILSEEEQEMFRDFDYIADWC、10mM酢酸マグネシウム及び[γ-33P]-ATP(必要に応じて活性と濃度を設定)と一緒にインキュベートした。Mg/ATP混合物を加えて反応を開始させ、室温下で40分間インキュベートした後、濃度0.5%のリン酸を加えて反応を停止させた。その後、10μLの反応物をP30フィルターパッドにスポットして4分以内に0.425%リン酸で3回、そしてメタノールで1回洗浄し、乾燥して、シンチレータでカウントした。
【0169】
JAK3(h)酵素反応:
JAK3(h)を8mM MOPS(pH7.0)、0.2mM EDTA、500μM GGEEEEYFELVKKKK、10mM酢酸マグネシウム及び[γ-33P]-ATP(必要に応じて活性と濃度を設定)と一緒にインキュベートした。Mg/ATP混合物を加えて反応を開始させ、室温下で40分間インキュベートした後、濃度0.5%のリン酸を加えて反応を停止させた。その後、10μLの反応物をP30フィルターパッドにスポットして4分以内に0.425%リン酸で3回、そしてメタノールで1回洗浄し、乾燥して、シンチレータでカウントした。
【0170】
TYK2(h)酵素反応:
TYK2(h)を8mM MOPS(pH7.0)、0.2mM EDTA、250μM GGMEDIYFEFMGGKKK、10mM酢酸マグネシウム及び[γ-33P]-ATP(必要に応じて活性と濃度を設定)と一緒にインキュベートした。Mg/ATP混合物を加えて反応を開始させ、室温下で40分間インキュベートした後、濃度0.5%のリン酸を加えて反応を停止させた。その後、10μLの反応物をP30フィルターパッドにスポットして4分以内に0.425%リン酸で3回、そしてメタノールで1回洗浄し、乾燥して、シンチレータでカウントした。
【0171】
データ分析:
IC
50結果はIDBS社のXLFIT5(式205)で分析して得たもので、詳細は表1を参照する。
【表1】
【0172】
実験例2:薬物動態(PK)試験
被験化合物をDMSO5%と(12%SBE-β-CD)95%で溶解して得た澄清な溶液をそれぞれ尾静脈注射、強制経口で雄ラット(SD)(一晩絶食、7-8週齢)に投与した。被験化合物を投与した後、静脈内注射群(1mg/kg)は0.117、0.333、1、2、4、7及び24時間に、強制経口投与群(5mg/kg)は0.25、0.5、1、2、4、8及び24時間に、それぞれ下顎後静脈より採血し遠心分離して血漿を得た。LC-MS/MS法で血中濃度を測定し、薬物動態ソフトウェアWinNonlin(商標)Version 6.3を用いて、ノンコンパートメントモデルと線形台形法で関連の薬物動態パラメータを算出した。試験結果は次のとおりである。
【表2-1】
【0173】
実験例3:ラットアジュバント誘発性関節炎(AIA)によるインビボ有効性研究
実験手順:ラットアジュバント関節炎モデルで本願に係る化合物の関節炎治療効果を検証する。体重160-180gの雌Lewisラットをイソフルランで麻酔した後、左後足に0.1mLの結核菌懸濁液を皮下注射した。モデル作成13日後に群分けし対応する被験化合物を投与した。例えば、ラットにそれぞれ異なる用量(詳細は表3-2を参照)でDMSO5%と(12%SBE-β-CD)95%混合溶媒に溶解した被験化合物1Aを、1日2回で、雌Lewisラットに経口投与した(各用量群の試験動物数は10匹)。2週間連続で投与し、その間にラットの状態を観察し、足の腫脹と体積増加の状況を記録して評価し、評価基準は表3-1を参照する。
【表3-1】
【0174】
実験結果:化合物1Aの2通りの用量治療群は疾患による動物の体重減少傾向に有意な緩和効果があり、しかも低、中用量群(3、10mg/kg)は20日目より溶媒対照群と有意差があることから、良好な体重回復効果を示している。化合物1Aは関節炎の臨床スコアと足の体積増加を抑えており、しかもこの抑制効果は用量依存的である。化合物1A 10mg/kgは効果が最も明らかである(15日目より溶媒対照群と有意差がある)。当該群の平均関節炎臨床スコアは13日目の最大値5.8から、実験終了の27日目に1.3に低下した。
【表3-2】
【0175】
実験例4:ラットコラーゲン誘発性関節炎(CIA)によるインビボ有効性研究
実験手順:
ラットコラーゲン誘発性関節炎モデルで本願に係る化合物の関節炎治療効果を検証した。Lewisラットを免疫し、最初の免疫の日は0日とし、その後、日数で順次増加する。Lewisラットをイソフルランで麻酔した後、尾の皮下(尾の付け根から2-3cm)に、調製した50μLのコラーゲンエマルジョン(200μgのCIIを含む)を注射した。21日目に、尾部には同じ方法で、同じ体積のコラーゲンエマルジョンを注射した。正常群のネズミは免疫しなくてよい。モデル作成27日後に群分けし対応する被験化合物を投与した。例えば、ラットにそれぞれ異なる用量(詳細は表4-1を参照)で0.5%HPMC E5/0.5%PVP K30/0.2%水中SLSの混合溶媒に溶解した被験化合物4を、1日2回で、雌Lewisラットに経口投与した(各用量群の試験動物数は8匹)。14日連続で投与し、その間にラットの状態を観察し、足の腫脹と体積増加の状況を記録して評価し、評価基準は表3-1を参照する。
【0176】
実験結果:
化合物4の1、3mg/kg の用量でBIDでは、用量依存的に関節炎ラットの臨床スコアが低下し、溶媒対照群と有意差があり、14日目の投与終了時に、3mg/kg BID群ではラットの臨床スコアがゼロに低下した(表4-1)。また足の体積増加の程度も用量依存的に低下し、14日目の投与終了時に、溶媒対照群と有意差があり、3mg/kg BID群ではラットの足の体積増加が1.28μLに低下した。治療群の体重も用量依存的に回復し、14日目の投与終了時に、3mg/kg BID用量群で体重が正常群のレベルに回復していた。
【表4-1】
【配列表】
【国際調査報告】