(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-30
(54)【発明の名称】タバコ煙フィルタ
(51)【国際特許分類】
A24D 3/04 20060101AFI20230123BHJP
A24D 3/16 20060101ALI20230123BHJP
A24D 3/10 20060101ALI20230123BHJP
【FI】
A24D3/04
A24D3/16
A24D3/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022531038
(86)(22)【出願日】2020-11-27
(85)【翻訳文提出日】2022-06-27
(86)【国際出願番号】 EP2020083731
(87)【国際公開番号】W WO2021105427
(87)【国際公開日】2021-06-03
(32)【優先日】2019-11-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(32)【優先日】2020-08-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512123916
【氏名又は名称】エッセントラ フィルター プロダクツ ディベロップメント カンパニー プライベート リミティド
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100173794
【氏名又は名称】色部 暁義
(72)【発明者】
【氏名】パトリック メレディス
(72)【発明者】
【氏名】マイケル グレッグ
(72)【発明者】
【氏名】スディルマン ウィディアルト
(72)【発明者】
【氏名】アリフ ラーマン
(72)【発明者】
【氏名】ウルヤント
(72)【発明者】
【氏名】ロバート ウィッフェン
【テーマコード(参考)】
4B045
【Fターム(参考)】
4B045BA02
4B045BA08
4B045BB03
4B045BC15
4B045BC16
(57)【要約】
タバコ煙フィルタ材料の第1および第2の長手方向に延在するロッドを含む長手方向に延在するコアであって、タバコ煙フィルタ材料の第1のロッドが、タバコ煙フィルタ材料の第2のロッドから長手方向に離間しているコアと、ラッパーがタバコ煙フィルタ材料の第1のロッドと第2のロッドとの間にキャビティを規定するように、第1および第2の長手方向に延在するロッドの周りに係合するラッパーと、キャビティ内に配置された添加剤用の少なくとも1つのレセプタクルであって、添加剤用のレセプタクルの最大幅または直径がキャビティの最大直径の半分未満であり、キャビティ内に残っている空所がキャビティの容積の50%超であり、キャビティ内を自由に移動可能なレセプタクルと、を含む、タバコ煙フィルタまたはフィルタエレメント。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タバコ煙フィルタ材料の第1および第2の長手方向に延在するロッドを含む、長手方向に延在するコアであって、前記タバコ煙フィルタ材料の第1のロッドが、前記タバコ煙フィルタ材料の第2のロッドから長手方向に離間している、コアと、
ラッパーであって、前記第1および第2の長手方向に延在するロッドの周りに係合して、前記ラッパーが前記タバコ煙フィルタ材料の第1のロッド及び第2のロッドの間にキャビティを画定する、ラッパーと、
前記キャビティ内に配置される添加剤用の少なくとも1つのレセプタクルであって、前記添加剤用のレセプタクルの最大幅または直径が前記キャビティの最大直径の半分未満であり、前記キャビティ内に残っている空所が前記キャビティの容積の50%超であり、前記キャビティ内を自由に移動可能なレセプタクルと、
を含む、タバコ煙フィルタまたはフィルタエレメント。
【請求項2】
前記添加剤用のレセプタクルがカプセル、例えば、易破壊性カプセルである、請求項1に記載のタバコ煙フィルタまたはフィルタエレメント。
【請求項3】
前記添加剤用のレセプタクルがフレーバラントの形態の添加剤を含む、請求項1または2のいずれか一項に記載のタバコ煙フィルタまたはフィルタエレメント。
【請求項4】
前記キャビティ内に残っている空所が前記キャビティの容積の51~90%(例えば、55~80%、例えば、60~75%)である、請求項1~3のいずれか一項に記載のタバコ煙フィルタまたはフィルタエレメント。
【請求項5】
前記長手方向に延在するコアがほぼ円筒形のコアである、請求項1~4のいずれか一項に記載のタバコ煙フィルタまたはフィルタエレメント。
【請求項6】
前記タバコ煙フィルタ材料の第1および/または第2のロッドのタバコ煙フィルタ材料が、例えば、綿またはポリエチレンもしくはポリプロピレンのようなプラスチックの、天然もしくは合成のフィラメントトウ、あるいは酢酸セルロースフィラメントトウ、天然または合成のステープル繊維、脱脂綿、(通常はクレープ加工した)紙のようなウエブ材料、(例えば、合成)不織材料、および/または押出材(例えば、デンプン、合成発泡体、押出発泡体)を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載のタバコ煙フィルタまたはフィルタエレメント。
【請求項7】
前記フィルタ材料が炭素、例えば、活性炭を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載のタバコ煙フィルタまたはフィルタエレメント。
【請求項8】
前記タバコ煙フィルタ材料の第1のロッドのタバコ煙フィルタ材料と、前記タバコ煙フィルタ材料の第2のロッドのタバコ煙フィルタ材料とが異なる、請求項1~7のいずれか一項に記載のタバコ煙フィルタまたはフィルタエレメント。
【請求項9】
前記長手方向に延在するコアの周長または円周が14~28mm、例えば、16~26mm、例えば、16~25mm、例えば、16~19mm、例えば、24~25mmである、請求項1~8のいずれか一項に記載のタバコ煙フィルタまたはフィルタエレメント。
【請求項10】
前記ラッパーが透明である、請求項1~9のいずれか一項に記載のタバコ煙フィルタまたはフィルタエレメント。
【請求項11】
前記キャビティの長さが3.5mm~32mm、例えば、3.5~25mm、例えば、4~22mm、例えば、5~21mm、例えば、7~14mmである、請求項1~10のいずれか一項に記載のタバコ煙フィルタまたはフィルタエレメント。
【請求項12】
前記キャビティの領域に接着剤を含まない、請求項1~11のいずれか一項に記載のタバコ煙フィルタまたはフィルタエレメント。
【請求項13】
前記添加剤用のレセプタクル(例えば、カプセル)の幅が2~5mm、例えば、2.5~4mm、例えば、2.5~3.9mm、例えば、3.0~3.8mm、例えば、3.2~3.7mm、例えば、3.35または3.5mmである、請求項1~12のいずれか一項に記載のタバコ煙フィルタまたはフィルタエレメント。
【請求項14】
前記長手方向に延在するコアの直径が、前記添加剤用のレセプタクルの最大幅よりも少なくとも0.7mm大きい、請求項1~13のいずれか一項に記載のタバコ煙フィルタまたはフィルタエレメント。
【請求項15】
前記フィルタの一端がタバコに向いた状態で、ラッピングされたタバコロッドに結合された、請求項1~14のいずれか一項に記載のタバコ煙フィルタ、または請求項1~14のいずれか一項に記載のフィルタエレメントを含むタバコ煙フィルタを含む、喫煙物品(例えば、シガレット、例えば、タバコ加熱製品)。
【請求項16】
エンドツーエンドで一体的に結合された、請求項1~14のいずれか一項に記載の複数(例えば、2、4、6等)のタバコ煙フィルタまたはフィルタエレメントを含む、複数のロッド。
【請求項17】
前記添加剤用のレセプタクルがより高い収量のフレーバラントをユーザに供給する、請求項1~14のいずれか一項に記載のタバコ煙フィルタまたはフィルタエレメント。
【請求項18】
前記キャビティの直径が5mm~10mm、例えば、5.3mm~7.8mmである、請求項1~14及び17のいずれか一項に記載のタバコ煙フィルタまたはフィルタエレメント。
【請求項19】
前記ラッパーが不透明であり、前記ラッパーの不透明度が71%以上(例えば、71%~100%、例えば、71%~80%、例えば、80%~90%、例えば、90%~100%)である、請求項1~14、17及び18のいずれか一項に記載のタバコ煙フィルタまたはフィルタエレメント。
【請求項20】
タバコ煙フィルタまたはフィルタエレメントの製造方法であって、
(a)フィルタラッパー(例えば、ガーニチャ)上に、プラグ間に空間を残すように間隔を空けて長手方向にタバコ煙フィルタ材料のプラグを配置するステップと、
(b)前記配置されたプラグと位置合わせされるように前記フィルタラッパーに接着剤を施し、前記プラグ間の空間には接着剤を施さないステップと、
(c)前記接着剤が前記プラグと位置合わせされるが、前記プラグ間の空間とは一致しないように、前記ラッパーおよびプラグを集結させるステップと、
(d)(例えば、前記ラッパーおよびプラグを集結させたときに、)添加剤用のレセプタクル(例えば、カプセル、例えば、易破壊性カプセル)を前記タバコ煙フィルタ材料のプラグ間の空間に挿入するステップと、
(e)(例えば、前記ラッパーの端縁に更なる接着剤を施すことによって、)前記タバコ煙フィルタ材料のプラグの周りに前記ラッパーを固定して、キャビティ内に接着剤が存在しないように、交互にラッピングされたプラグおよびキャビティの連続ロッドを形成するステップと、任意に、
(f)結果的に得られた連続製品ロッドを切断して、個々のフィルタまたはフィルタエレメントを形成するステップと、
を含む、方法。
【請求項21】
交互のプラグが第1および第2のフィルタ材料から作製されている、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
2つ以上のレセプタクルがタバコ煙フィルタ材料のプラグの間の空間に挿入されている、請求項20または21に記載の方法。
【請求項23】
タバコ煙フィルタ材料の第1および第2の長手方向に延在するロッドを含む長手方向に延在するコアであって、前記タバコ煙フィルタ材料の第1のロッドが前記タバコ煙フィルタ材料の第2のロッドから長手方向に離間しているコアと、
ラッパーであって、前記第1および第2の長手方向に延在するロッドの周りに係合して、前記ラッパーが前記タバコ煙フィルタ材料の第1のロッド及び第2のロッドの間にキャビティを画定する、ラッパーと、
前記キャビティ内に配置され、前記キャビティ内を自由に移動可能である、添加剤用の少なくとも1つのレセプタクルと、を備える、
タバコ煙フィルタまたはフィルタエレメント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シガレットのような喫煙物品用のタバコ煙フィルタまたはフィルタエレメントに関する。
【背景技術】
【0002】
タバコ煙フィルタ材料に埋め込まれた易破壊性カプセル、または複数の易破壊性カプセルを含むタバコ煙フィルタは公知である。これらのカプセルには、添加剤(通常は液体香料)が含まれている。喫煙者は、フィルタに圧力を印加してその中のカプセルを破壊し、香料を放出させる。喫煙者は、通常、喫煙の直前にカプセルを破壊するが、喫煙者は喫煙プロセスの任意の段階でカプセルを破壊する(または全く破壊しない)ように選択することができる。そのようなカプセルフィルタ製品は、結果的に「フレーバーオンデマンド」として公知であり、喫煙者がカプセル内に含有されるフレーバーの放出をいつ必要とするか、かつ必要とするか否かを選択することを示している。
【0003】
例えば、Cavitec(登録商標)フィルタのような、タバコ煙フィルタ材料に包囲された、中央キャビティを含むタバコ煙フィルタが、出願人によって以前に説明されている。中央キャビティは、高レベルの添加剤負荷量を有する1つ以上のセピオライト粒状添加剤(例えば、フレーバラント)で充填されている。キャビティは添加剤の効果を最適化し、ユーザに一貫したフレーバーレベルと、パックを初めて開封したときを含め、常に風味を有するシガレットとを提供する。しかしながら、これらのフィルタを使用すると、喫煙者はフレーバーをいつ放出するか(そもそも放出するか否か)を選択することができず、特別なインタラクティブまたは感覚的な体験はない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明によれば、タバコ煙フィルタ材料の第1および第2の長手方向に延在するロッドを含む長手方向に延在するコアであって、タバコ煙フィルタ材料の第1のロッドが、タバコ煙フィルタ材料の第2のロッドから長手方向に離間しているコアと、ラッパーがタバコ煙フィルタ材料の第1のロッドと第2のロッドとの間にキャビティを規定するように、第1および第2の長手方向に延在するロッドの周りに係合するラッパーと、キャビティ内に配置された添加剤用の少なくとも1つのレセプタクルであって、添加剤用のレセプタクルの最大幅または直径がキャビティの最大直径の半分未満であり、キャビティ内に残っている空所がキャビティの容積の50%超であり、キャビティ内を自由に移動可能なレセプタクルと、を含むタバコ煙フィルタまたはフィルタエレメントを提供する。
【0005】
「キャビティ内を自由に移動可能」という表現は、レセプタクルがキャビティ内で固定または(例えば、接着剤により)接着されておらず、キャビティ内の全方向(例えば、上、下、前、後ろ、左、右)に移動するのに十分なスペースを有することを意味している。フィルタエレメントを動かすまたは振ると、レセプタクルがキャビティ内のあらゆる方向に自由に移動することができる。レセプタクルの動きは、可聴であり、かつ触知可能である。ユーザは、レセプタクルの動きを感知する(例えば、聞き取るまたは振動として感じ取る)ことができる。本明細書において、「可聴」という用語は、ピッチ(Hz)およびラウドネス(dB)について許容される人間の聴覚範囲内、即ち、20~20,000Hzおよび0~85dBを意味する。本明細書において、「触知可能」という用語は、触れたり感じたりすることができることを意味する。
【0006】
出願人は、本発明のタバコ煙フィルタおよびフィルタエレメントが、喫煙者に独特かつ強化された感覚体験を提供し得ることを見出した。キャビティ内の全方向に移動可能な、キャビティ内で自由に移動するカプセル(単数または複数)を含めることにより、フィルタを動かした時に可聴かつ触知可能なカタカタ音が発生し、カプセルの破壊時には可聴かつ触知可能な「ポン」という音が発生する。これらの特徴は、喫煙時に、喫煙者に聴覚と触覚との両方の感覚による強化された感覚体験を提供する。キャビティ内の全方向へのカプセル(単数または複数)の移動は、振動を生成し、この振動の周波数は、カプセルの数、サイズ、および組成、並びにキャビティの長さおよび円周、並びに、キャビティの周りに係合されたラッパーの重量、不透明度、および組成に応じて変化し得る。振動周波数は、従来のフィルタと比較して、喫煙者に新しい異なる感覚を与える。自由に移動するカプセルの振動周波数は、特に、タバコ業界における主要な問題である偽造防止と戦う際に使用され得る。キャビティ内のカプセル(単数または複数)の自由な移動によって生成される振動周波数および可聴なカタカタ音は独特であり、ブランドの偽造を阻止するのに役立ち得る。
【0007】
長手方向に延在するコア(少なくともタバコ煙フィルタ材料の第1および第2のロッド並びにそれらの間のキャビティを含む)は、ほぼ円筒形であり得る。換言すると、コアは、タバコ煙フィルタ材料の単一のロッドではなく、タバコ煙フィルタ材料の2つの離間したロッドから形成されている。タバコ煙フィルタ材料の第1のロッドは、タバコ煙フィルタ材料の第2のロッドから長手方向に離間しており、それらの間に空間を残している。好ましくは、タバコ煙フィルタ材料の第1のロッドとタバコ煙フィルタ材料の第2のロッドとの間の空間は、長さが3.5mm~32mm、例えば、3.5~26mm、例えば、4~22mm、例えば、5~21mm、例えば、7~14mmである。タバコ煙フィルタ材料の第1のロッドおよびタバコ煙フィルタ材料の第2のロッドは、同じ長さまたは異なる長さであり得る。
【0008】
タバコ煙フィルタ材料の第1のロッドのタバコ煙フィルタ材料およびタバコ煙フィルタ材料の第2のロッドのタバコ煙フィルタ材料は、同じまたは異なるフィルタ材料から構成され得る。好ましくは、フィルタ材料は、(例えば、捲縮されたフィラメントトウの形態である)酢酸セルロースである。しかしながら、綿またはポリエチレンもしくはポリプロピレンのようなプラスチック、天然もしくは合成のステープル繊維、脱脂綿、(通常はクレープ加工した)紙のようなウエブ材料、(例えば、合成)不織材料、および/または押出材(例えば、デンプン、合成発泡体、押出発泡体)も使用可能である。フィルタ材料は、換気を必要とせずに主流煙中の気相および半揮発性成分を低減するために、炭素(例えば、活性炭)を含んでもよい。フィルタ材料は、可塑剤が施された酢酸セルロース(例えば、可塑化されたフィラメントトウ)であり得る。トリアセチンは当技術分野で公知であり、通常、可塑剤として酢酸セルロースフィルタに施されている(例えば、約6~8%w/w)。
【0009】
タバコ煙フィルタまたはフィルタエレメントは、添加剤用の1つ以上のレセプタクルを含む。本明細書において、「添加剤用のレセプタクル」という用語は、1つより多くのレセプタクルが存在する場合の添加剤用の特定のレセプタクルまたは各レセプタクルを指す。好ましくは、添加剤用のレセプタクルは、カプセル(例えば、易破壊性カプセル)である。好ましくは、添加剤用のレセプタクル(例えば、カプセル、例えば、易破壊性カプセル)は、フレーバラントの形態の添加剤を含む。フレーバラントは、例えば、メントール、スペアミント、ペパーミント、フェヌグリーク、クローブ等、シガレットのような喫煙品に使用することが知られている、または使用するのに適した任意のフレーバラントであり得る。添加剤用のレセプタクルは、包み込まれているフレーバラントを識別するために着色されていてもよい(例えば、メントールには緑色のカプセル)。添加剤用のレセプタクルは、1つより多くの香料を含み得る(また、異なるフレーバーのブレンドを提供し得る)。添加剤用のレセプタクルが1つ以上ある場合、レセプタクルには同じフレーバラントまたは異なるフレーバラントが含まれ得る。この実施例では、ユーザは、必要な数のレセプタクルを破壊することによって、受け取るフレーバラントの量と、それを受け取るタイミングとを変更することができ、例えば、ユーザは、喫煙の開始時に添加剤用のレセプタクルを1つ破壊し、喫煙中に添加剤用のレセプタクルを1つ破壊することにより、ユーザは喫煙体験を変えること、例えば、喫煙中のフレーバーを増大させることが可能となる。
【0010】
添加剤用のレセプタクル(例えば、カプセル、例えば、易破壊性カプセル)および/またはタバコ煙フィルタ材料は、1つ以上の添加剤、例えば、フレーバラントおよび/または、例えば、煙のろ過を助けるための、液体、固体、または活性炭のような他の材料を含み得る。添加剤用のレセプタクルおよび/またはタバコ煙フィルタ材料は、フィルタの分解を促進するための、刺激剤、水、タバコ抽出物、煙を変化させる化学物質および/または薬剤を更に含み得る。添加剤用のレセプタクル(例えば、カプセル、例えば、易破壊性カプセル)は、最大幅が2~5mm、例えば、2.5~4mm、例えば、2.5~3.9mm、例えば、3.0~3.8mm、例えば、3.2~3.7mm、例えば、3.35または3.5mmであり得る。本明細書において、最大幅とは、レセプタクル全体の最も広い地点での測定値を指しており、従って、球形カプセルまたはほぼ円筒形のカプセルの場合、直径を指す。添加剤用のレセプタクルは、5~30mg、例えば、7~25mg、例えば、10~25mg、例えば、10~20mgのフレーバラントを含み得る。
【0011】
添加剤用のレセプタクル(例えば、カプセル、例えば、易破壊性カプセル)は、中央キャビティ内で自由に移動可能である。これは、添加剤用のレセプタクルが、フィルタラッパーまたはタバコ煙フィルタ材料の第1および第2のロッドに固定または(例えば、接着剤で)接着されていないことを意味している。レセプタクルの最大幅または直径(球形またはほぼ球形の場合)は、キャビティの最大直径の半分未満である。レセプタクルの容積(例えば、レセプタクルが占める空間)は、キャビティ内に残っている空所(例えば、レセプタクルが占めていない空間)が、キャビティの容積の50%(例えば、51~90%、例えば、55~80%、例えば、60~75%)を超えるようにする。従って、添加剤用のレセプタクルは、キャビティ内の空所内において全方向に(例えば、長手方向および横方向に)自由に移動することができ、そうすることで、フィルタを動かしたり振ったりしたときに、可聴かつ触知可能なカタカタ音が発生する。添加剤用のレセプタクルは、フィルタまたはフィルタエレメントの口端部または頬側端部、あるいは本発明のこの態様のフィルタを含むシガレットの口端部にて(喫煙者には)不可視である。
【0012】
出願人は、驚くべきことに、キャビティ内を自由に移動するカプセルを配置することにより、タバコ煙フィルタ材料内に(移動不能に)埋め込まれたカプセルを配置することと比較して、ユーザにより多くのフレーバラントを供給することを発見した。粉砕されたカプセルがキャビティ内に配置されている場合(かつキャビティ内を自由に移動できる場合)、煙中のメントール収量がより高くなる故、喫煙者にフレーバーがより多く供給される。
【0013】
ラッパーは、長手方向に延在するコアの周りに係合されており、かつタバコ煙フィルタ材料の第1および第2のロッドの周りに係合して、タバコ煙フィルタ材料の第1のロッドと第2のロッドとの間にキャビティを規定している。タバコ煙フィルタ材料の第1および第2のロッドの最も近接した端部(例えば、対向する端部)が、ラッパーの内面とともに、キャビティを規定している。添加剤用の少なくとも1つのレセプタクルが、キャビティ内に自由に配置されている。好ましくは、キャビティは、長さが3.5mm~32mm、例えば、3.5~25mm、例えば、4~22mm、例えば、5~21mm、例えば、7~14mmである。キャビティは、円周が14~28mm、例えば、16~26mm、例えば、16~25mm、例えば、16~19mm、例えば、24~25mmであり得る。キャビティは、5mm~10mm、例えば、5.3mm~7.8mmの最大直径を有し得る。キャビティの円周および直径は、フィルタまたはフィルタエレメントの円周および直径とほぼ同じであることが理解されよう。キャビティは、長手方向に延在するコア内にて位置が変化してもよく、例えば、キャビティは、長手方向に延在するコア内のほぼ中央にあるか、または長手方向に延在するコアの一端に向けて配置されていてもよい。
【0014】
接着剤は、タバコ煙フィルタ材料のプラグと一致するようにラッパーに施されるが、プラグ間の空間には施さない。換言すると、キャビティの領域には接着剤が施されておらず、タバコ煙フィルタ材料の第1および第2のロッドのみがラッパーに接着されている。これにより、カプセルが中央キャビティ内を自由に移動することが可能となる。接着剤は、当技術分野で公知の任意の従来のフィルタラッパー接着剤であり得、当技術分野で周知の方法によって施すことができる。
【0015】
更なる実施例では、ラッパーは、従来のフィルタとの更なる視覚的区別を提供するために、着色(例えば、緑)および/または透明であり得る。透明なラッパーは、喫煙者が添加剤用の自由に移動可能なレセプタクルを見ることができる、キャビティ内へのウィンドウを提供する。ユーザは、ウィンドウを通して見ることによって、カプセルが破壊されているか否かを確認するか、またはレセプタクル内のフレーバラント(例えば、緑色のカプセルならメントール)を識別することができる。ウィンドウの使用はまた、この明確な外観が偽造品の製造を阻止し得る故に、偽造防止策としても使用することもできる。ラッパーの色(例えば、メントールには緑色のラッパー)を使用して、添加剤用のレセプタクルによって提供されるフレーバーを識別することもできる。
【0016】
ラッパーは紙、例えば、プラグラップであり得る。当技術分野で公知のように、破壊したカプセルから放出される液体の吸収を最小限に抑えるため、ラッパーをコーティングすることができる。ラッパーは、換気要件に応じて、標準または多孔質にすることができる。ラッパーは、通気性を有する濾紙(例えば、波形の通気性を有する濾紙)または酢酸セルロースのラッパー(例えば、捲縮された通気性を有する酢酸セルロース)であり得る。内側ラッパーの重量は、1平方メートルあたり23グラム~1平方メートルあたり100グラム、例えば、1平方メートルあたり80グラムであり得る。ラッパーは、その上に配置される更に別の香料を含んでもよく、これは、タバコ煙フィルタまたはフィルタエレメントで使用することが知られている任意の香料であり得る(例えば、香料は、メントール、スペアミント、ペパーミント、ナツメグ、シナモン、クローブ、レモン、チョコレート、ピーチ、ストロベリー、バニラ等であり得る)。ラッパーは不透明であってもよく、不透明度は71%以上(例えば、71%~100%、例えば、71%~80%、例えば、80%~90%、例えば、90%~100%)であり得る。本明細書において、「不透明度」という用語は、ISO2471:2008紙と板―不透明度の決定(裏紙)―拡散反射法に従って測定された値を意味する。ラッパーの重量および不透明度は、カプセル(単数または複数)がキャビティ内の全方向に移動することによって生成される振動周波数に影響を与え得る。更に、ラッパーの重量および不透明度は、フィルタまたはフィルタエレメントを動かしたり振ったりしたときにユーザが感じ取る聴覚および触覚に影響を与え得る。
【0017】
タバコ煙フィルタまたはフィルタエレメントは、長さが10~45mm、例えば、15~35mm、例えば、11~25mm、例えば、12~16mm、例えば、20~30mmであり得る。フィルタまたはフィルタエレメントは、円周が14~28mm、例えば、16~26mm、例えば、16~25mm、例えば、16~19mm、例えば、24~25mmであり得る。フィルタまたはフィルタエレメントは、5mm~10mm、例えば、5.3mm~7.8mmの最大直径を有し得る。タバコ煙フィルタまたはフィルタエレメントは、様々な異なる円周(例えば、マイクロスリム、例えば、スーパースリム、例えば、スリム、例えば、スタンダード、例えば、キングサイズ)の喫煙物品(例えば、シガレット、例えば、タバコ加熱製品)において使用され得る。
【0018】
本発明は、本発明によるタバコ煙フィルタまたはフィルタエレメントを含む喫煙物品(例えば、シガレット、例えば、タバコ加熱製品)を提供する。本発明のタバコ煙フィルタまたはフィルタエレメントは、全ての種類のタバコブレンドでの使用に適している。本発明によるフィルタ喫煙物品において、本発明のフィルタ(または本発明のフィルタエレメントを含むフィルタ)は、フィルタの一端がタバコに向くように、ラッピングされたタバコロッドに結合される。フィルタは、[(ラッピングされた)フィルタおよびロッドの隣接する端部の周りに係合して、フィルタラップの大部分を露出させたままにする]リングチッピングによってラッピングされたタバコロッドに結合することができる。フィルタは、(フィルタの全長およびタバコロッドの隣接する端部の周りに係合する)完全なチッピングオーバーラップによって結合されていてもよい。
【0019】
本発明は、例えば、エンドツーエンドで結合された、複数のフィルタロッド(フィルタエレメントロッド)を含む、(例えば、2倍以上の)長さのフィルタロッド(および/またはフィルタエレメントロッド)を含む。タバコ煙フィルタまたはフィルタエレメントは、単一セグメントとしてマルチセグメントフィルタに組み込むこともできる。
【0020】
本発明は、タバコ煙フィルタ材料の第1および第2の長手方向に延在するロッドを含む長手方向に延在するコアであって、タバコ煙フィルタ材料の第1のロッドが、タバコ煙フィルタ材料の第2のロッドから長手方向に離間しているコアと、ラッパーがタバコ煙フィルタ材料の第1のロッドと第2のロッドとの間にキャビティを規定するように、第1および第2の長手方向に延在するロッドの周りに係合するラッパーと、キャビティ内に配置された添加剤用の少なくとも1つのレセプタクルであって、キャビティ内を自由に移動可能なレセプタクルと、を含む、タバコ煙フィルタまたはフィルタエレメントの作製方法を提供する。本方法は、
(a)フィルタラッパー(例えば、ガーニチャ)上に、プラグ間に空間を残すように間隔を空けて長手方向にタバコ煙フィルタ材料のプラグを配置するステップと、
(b)配置されたプラグに一致するようにフィルタラッパーに接着剤を施し、それ故、プラグ間の空間には接着剤を施さないステップと、
(c)接着剤がプラグと一致するが、プラグ間の空間とは一致しないように、ラッパーおよびプラグを集結させるステップと、
(d)(例えば、ラッパーおよびプラグを集結させたときに、)添加剤用のレセプタクル(例えば、カプセル、例えば、易破壊性カプセル)をタバコ煙フィルタ材料のプラグ間の空間に挿入するステップと、
(e)(例えば、ラッパーの端縁に更なる接着剤を施すことによって、)タバコ煙フィルタ材料のプラグの周りにラッパーを固定することで、キャビティ内に接着剤が存在しないように、交互にラッピングされたプラグおよびキャビティの連続ロッドを形成するステップと、任意に、
(f)結果的に得られた連続製品ロッドを切断して、個々のフィルタまたはフィルタエレメントを形成するステップと、
を含む。
【0021】
本発明の製造方法は、標準的な酢酸セルローストウアイテム、例えば、NWA(ラッピングされていないアセテート)フィルタプラグの使用を可能にする。当技術分野で公知の他の材料を使用して、タバコ煙フィルタ材料、ラッパー、および添加剤用のレセプタクルを形成することができることが理解されよう。
【0022】
本発明の製造方法は、コンバイナー機および追加のカプセルインサーターキット(当技術分野では公知)を必要とする。フィルタは、複数の長さのロッドの製造によって製造する。機トウ処理は、酢酸セルローストウのプラグをフィルタラッパー(ガーニチャ)上に長手方向に間隔を置いて配置することにより、プラグ間に空間を残すように設定する。セグメントアンカー接着剤が、プラグと同等の間隔でフィルタラッパーに施されている故、プラグ間の空間に接着剤は存在しない。ラッパーおよびプラグが一緒になって、接着剤がプラグと一致しているが、プラグ間の空間とは一致していないことを確実とする。次に、カプセルインサーターキットにより、カプセルドラムによって酢酸セルローストウのプラグ間の空間にカプセルを挿入するように設定する。2つ以上のカプセルを含むフィルタも製造することができる。端縁に接着剤が施されたラッパーをプラグの周りに集めて固定し、キャビティ内に接着剤が存在しないように、交互にラッピングされたプラグおよびキャビティの連続ロッドを形成する。接着されたラッパーは、各キャビティに包み込まれた添加剤用の1つ以上のレセプタクルを備えた、交互にラッピングされたプラグおよびキャビティの連続ロッドを形成する。次に、結果的に得られた連続製品ロッドを切断して、個々のフィルタまたはフィルタエレメントを形成する任意のステップを実行することができる。
【0023】
連続ロッドは、タバコ煙フィルタ材料の各プラグを通して切断することができる。切断は、タバコ煙フィルタ材料のプラグを通る任意の位置で行うことで、タバコ煙フィルタ材料の第1および第2のプラグのサイズおよび長手方向に延在するコア内のキャビティ位置に変化を生じさせることができる。例えば、タバコ煙フィルタ材料のプラグの中心を長手方向に切断すると、中央に位置するキャビティを包囲する、同じサイズのタバコ煙フィルタ材料の第1および第2の長手方向に延在するロッドを備えた個々のタバコ煙フィルタまたはフィルタエレメントが作製される。他の位置で切断すると、中心から外れたキャビティを包囲する、異なるサイズのタバコ煙フィルタ材料の第1および第2の長手方向に延在するロッドを備えた個々のタバコ煙フィルタまたはフィルタエレメントが作製される。フィルタまたはフィルタエレメントの長さは、切断における変化による影響を受けず、最終的なフィルタの性能(例えば、圧力降下)は一定となる。
【0024】
本発明によれば、タバコ煙フィルタ材料の第1および第2の長手方向に延在するロッドを含む長手方向に延在するコアであって、タバコ煙フィルタ材料の第1のロッドがタバコ煙フィルタ材料の第2のロッドから長手方向に離間している、コアと、ラッパーがタバコ煙フィルタ材料の第1のロッドと第2のロッドとの間にキャビティを規定するように、第1および第2の長手方向に延在するロッドの周りに係合するラッパーと、キャビティ内に配置された添加剤用の少なくとも1つのレセプタクルであって、キャビティ内を自由に移動可能なレセプタクルと、を含むタバコ煙フィルタまたはフィルタエレメントも提供する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の実施例によるタバコ煙フィルタまたはフィルタエレメントの、縮尺通りでない斜視図である。
【
図2】フィルタの長手方向軸に沿って切断したときの、縮尺通りでない
図1の断面図である。
【
図3】本発明の実施例による複数の長さのロッドの製造方法の、縮尺通りでない断面の鳥瞰図である。
【
図4】本発明の第2の実施例によるタバコ煙フィルタまたはフィルタエレメントの、縮尺通りでない斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
次に、本発明を、添付の図面を参照して、単なる例示として説明する。
【0027】
図1および
図2は、NWA(ラッピングされていないアセテート)捲縮トウの形態のタバコ煙フィルタ材料の第1および第2の長手方向に延在するロッド2および3を含む、長手方向に延在する円筒形コア1を含む、長さが27mmかつ円周が24.5mmのタバコ煙フィルタまたはフィルタエレメントを示す。タバコ煙フィルタ材料の第1のロッド2は、タバコ煙フィルタ材料の第2のロッド3から長手方向に離間している。その長さの一部に沿って接着剤で付着させた継ぎ目により所定の位置に保持されている、透明な通気性を有するプラグラップのラッパー4が、第1および第2の長手方向に延在するロッド2、3(およびその間の距離)の周りに係合されている。ラッパー4は、タバコ煙フィルタ材料の第1および第2のロッド2および3の間に長さ5mmおよび直径7.8mmのキャビティ5を規定している。(ロッド2および3を所定の位置に保持するため)セグメントアンカー接着剤が、タバコ煙フィルタ材料の第1および第2のロッド2および3と一致するようにラッパー4に施されているが、キャビティ5内にセグメントアンカー接着剤が存在しないように、プラグ間の空間には施されていない。メントール香料を含む、直径3.5mmの易破壊性カプセル6の形態の添加剤用のレセプタクルが、キャビティ5内に完全に包み込まれている。易破壊性カプセル6の直径は、キャビティ5の直径の50%未満である。キャビティ5の空所(例えば、易破壊性カプセル6が占めていない空間)は、88%である。キャビティ5の寸法に対する易破壊性カプセル6の寸法と、キャビティ内に接着剤が存在しないこととは、カプセル6がキャビティ5内で自由に移動できることを意味する。ラッパー4は、キャビティ5内へのウィンドウとして機能し、このウィンドウは、カプセル6内のフレーバラント(例えば、メントールには緑色のカプセル)を識別し、カプセル6が破壊されているか否かを確認するために使用することができる。このラッパー4は、偽造防止の目的でフィルタを更に差別化する。別の実施例では、ラッパー4は、不透明であってもよく、不透明度が71%以上(ISO 2471:2008紙と板-不透明度の決定(裏紙)-拡散反射法に従って測定)であり得る。
【0028】
当技術分野で周知の方法により、フィルタ1をラッピングされたタバコロッドに結合して、シガレットを形成することができることが理解されよう。フィルタは、例えば、[(ラッピングされた)フィルタおよびロッドの隣接する端部の周りに係合して、フィルタラップの大部分を露出させたままにする]リングチッピングによってラッピングされたタバコロッドに結合することができる。フィルタは、例えば、(フィルタの全長およびタバコロッドの隣接する端部の周りに係合する)完全なチッピングオーバーラップによって結合されてもよい。
【0029】
図3は、本発明の一実施例による複数の長さのロッドの製造方法の断面の鳥瞰図を示している。フィルタの連続ロッド7は、ラッパー9に接着されたタバコ煙フィルタ材料のプラグ8を含む。従って、キャビティ10内に接着剤が存在しないため、カプセル11は、キャビティ内で自由に移動することができる。フィルタの連続ロッド7は、
図1および
図2のように、個々のタバコ煙フィルタまたはフィルタエレメントを作製するために切断されてもよい。個々の煙フィルタまたはフィルタエレメントを作製するために、タバコ煙フィルタ材料のプラグの様々な位置にて切断可能であることが理解されよう。
【0030】
本発明の製造方法は、コンバイナー機および追加のカプセルインサーターキット(当技術分野で公知)を必要とする。フィルタは、複数の長さのロッドの製造によって製造される。機械によるトウ処理は、プラグ8間に空間を残すように、酢酸セルローストウのプラグ8をフィルタラッパー9(ガーニチャ)上に長手方向に間隔を置いて配置するように設定する。セグメントアンカー接着剤は、フィルタラッパー9に等間隔でプラグ8に施される故、プラグ間の空間に接着剤は存在しない。従来、セグメントアンカー接着は、セグメントを所定の位置に保持する接着剤の連続線であり、喫煙時にセグメントが喫煙者の口内に出ないようにするものである。出願人は、スプレー接着剤のパルスを使用して、プラグと一致しているがキャビティとは一致しない不連続な接着剤のラインを施す方法を開発した。ラッパー9およびプラグ8を組み合わせることで、接着剤がプラグ8と一致しているが、プラグ8間の空間とは一致しないことを確実とする。次に、カプセルインサーターキットを、カプセルドラムによって、カプセル11を酢酸セルローストウのプラグ8間の空間に挿入するように設定する。接着剤が端縁に施されたラッパー9は、プラグ8の周りに集められ固定されて、交互にラッピングされたプラグ8およびキャビティ10(各キャビティ10はカプセル11を含む)の連続ロッドを形成し、それにより、キャビティ内に接着剤が存在しないようにする。接着されたラッパーは、各キャビティに包み込まれた添加剤用の1つ以上のレセプタクルを備えた、交互にラッピングされたプラグおよびキャビティの連続ロッドを形成する。結果的に得られた連続製品ロッドは、個々のフィルタまたはフィルタエレメントを形成するために切断される。
【0031】
図4は、ラッピングされたアセテート捲縮トウの形態のタバコ煙フィルタ材料の第1および第2の長手方向に延在するロッド102および103を含む、長手方向に延在する円筒形コア101を含む、長さ27mmおよび円周24.5mmのタバコ煙フィルタまたはフィルタエレメントを示す。タバコ煙フィルタ材料の第1のロッド102は、タバコ煙フィルタ材料の第2のロッド103から長手方向に離間している。第1および第2の長手方向に延在するロッド102、103(およびそれらの間の距離)の周りに通気性を有するプラグラップの不透明ラッパー104が係合されており、その不透明度は71%以上(ISO 2471:2008紙と板-不透明度の決定(裏紙)-拡散反射法に従って測定)であって、このラッパー104は、その長さの一部に沿って接着剤を付着させた継ぎ目で所定の位置に保持されている。ラッパー104は、タバコ煙フィルタ材料の第1のロッド102と第2のロッド103との間に長さ5mmおよび直径7.8mmのキャビティ105を規定する。セグメントアンカー接着剤が(ロッド102および103を所定の位置に保持するために)タバコ煙フィルタ材料の第1および第2のロッド102および103に一致するようにラッパー104に施されているが、セグメントアンカー接着剤がキャビティ105内に存在しないように、プラグ間の空間には施されていない。ラッパー104の周りには、タバコ煙フィルタまたはフィルタエレメント101をラッピングされたタバコロッドに結合するために使用されるチッピングペーパー107が係合されている(ただし、
図4には図示せず)。メントール香料を含む、直径3.5mmの易破壊性カプセル106の形態の添加剤用のレセプタクルは、キャビティ105内に完全に包み込まれている。易破壊性カプセル106は、キャビティ105の直径の50%未満の直径を有する。キャビティ105内の空所(例えば、易破壊性カプセル106によって占められていない空間)は、88%である。キャビティ105の寸法に対する易破壊性カプセル106の寸法と、キャビティ105内に接着剤がないこととは、カプセル106がキャビティ105内で自由に移動することを意味する。
【実施例1】
【0032】
キャビティ内のカプセルが煙中のメントール収量に及ぼす影響を測定するために実験を行った。フィルタA(
図4による)を上記の方法で作製した。フィルタAを、当技術分野で公知のタバコ煙フィルタ材料内にカプセルが埋め込まれた従来のフィルタBに対して試験した。フィルタAのカプセルおよびフィルタBのカプセルを喫煙前に粉砕して、メントール香料を放出した。
【0033】
フィルタAおよびBの平均的なメントール煙収量を当技術分野で公知の方法(ISO 13110:2012 ガスクロマトグラフ法 メントール入りシガレットの煙凝縮物の総粒子状物質(TPM)中のメントールの決定)によって測定した。結果を表1に示す。パッド測定データは、煙中のメントールの収量を示している。
【0034】
【0035】
出願人は、驚くべきことに、キャビティ内で自由に移動するカプセルを配置することにより、タバコ煙フィルタ材料内に埋め込まれたカプセルと比較して、より多くのフレーバラントがユーザに供給されることを発見した。煙中のメントールの収量は、粉砕されたカプセルがキャビティ内に配置され(かつキャビティ内を自由に移動できる)場合により高くなり、従って、ユーザにより強くフレーバーが供給された。
【国際調査報告】