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特表2023-503495アルミニウムケーブルと端子との接続構造及びそれを有する車両
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  • 特表-アルミニウムケーブルと端子との接続構造及びそれを有する車両 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-30
(54)【発明の名称】アルミニウムケーブルと端子との接続構造及びそれを有する車両
(51)【国際特許分類】
   H01R 4/02 20060101AFI20230123BHJP
【FI】
H01R4/02 C
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022531058
(86)(22)【出願日】2020-11-27
(85)【翻訳文提出日】2022-05-26
(86)【国際出願番号】 CN2020132178
(87)【国際公開番号】W WO2021104436
(87)【国際公開日】2021-06-03
(31)【優先権主張番号】201922114520.6
(32)【優先日】2019-11-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510177809
【氏名又は名称】ビーワイディー カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100169904
【弁理士】
【氏名又は名称】村井 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100132698
【弁理士】
【氏名又は名称】川分 康博
(72)【発明者】
【氏名】肖▲海▼
(72)【発明者】
【氏名】全金▲龍▼
(72)【発明者】
【氏名】康▲海▼▲東▼
(72)【発明者】
【氏名】黄▲継▼▲業▼
(72)【発明者】
【氏名】袁野
【テーマコード(参考)】
5E085
【Fターム(参考)】
5E085BB01
5E085BB12
5E085CC03
5E085CC09
5E085DD04
5E085GG40
5E085HH06
5E085HH11
5E085HH34
5E085JJ03
5E085JJ36
5E085JJ46
5E085JJ47
(57)【要約】
アルミニウムケーブルと端子との接続構造であり、アルミニウムケーブルと端子との前記接続構造は、ケーブル溶接部(12)を備える心線(11)を含むアルミニウムケーブル(10)と、前記ケーブル溶接部(12)に溶接される端子(20)と、を含み、前記心線(11)の公称断面積がMであり、前記ケーブル溶接部(12)と前記端子(20)との溶接面積Sが5*M≦S≦6*Mを満たす。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーブル溶接部を備える心線を含むアルミニウムケーブルと、
前記ケーブル溶接部に溶接される端子と、を含み、
前記心線の公称断面積がMであり、前記ケーブル溶接部と前記端子との溶接面積Sが5*M≦S≦6*Mを満たすことを特徴とする、アルミニウムケーブルと端子との接続構造。
【請求項2】
前記公称断面積Mに対応する前記ケーブル溶接部の幅がWであり、前記ケーブル溶接部の長さLが5*M/W≦L≦6*M/Wを満たすことを特徴とする、請求項1に記載のアルミニウムケーブルと端子との接続構造。
【請求項3】
前記ケーブル溶接部の前記端子とは反対側の面が波形面として構成され、前記波形面の山と谷が前記ケーブル溶接部の長手方向に沿って配列されることを特徴とする、請求項1に記載のアルミニウムケーブルと端子との接続構造。
【請求項4】
前記ケーブル溶接部の最小厚さHが前記ケーブル溶接部の前記端子に向かう面と前記谷との間の距離であり、前記公称断面積Mに対応するケーブル溶接部の幅がWであり、前記最小厚さHが0.7*M/W≦H≦0.8*M/Wを満たすことを特徴とする、請求項3に記載のアルミニウムケーブルと端子との接続構造。
【請求項5】
前記山と前記ケーブル溶接部の前記端子に向かう面との間の最大角度が30°~60°であり、
前記谷と前記ケーブル溶接部の前記端子に向かう面との間の最大角度βが30°~60°であることを特徴とする、請求項3又は4に記載のアルミニウムケーブルと端子との接続構造。
【請求項6】
前記アルミニウムケーブルは、前記心線の外側に嵌設される絶縁スリーブをさらに含み、前記ケーブル溶接部が前記絶縁スリーブから伸び出しており、
前記端子は、端子溶接部及び圧着部を含み、前記ケーブル溶接部は、前記端子溶接部に溶接され、前記圧着部は、前記絶縁スリーブに圧着されることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載のアルミニウムケーブルと端子との接続構造。
【請求項7】
前記圧着部の厚さが前記端子溶接部の厚さよりも小さいことを特徴とする、請求項6に記載のアルミニウムケーブルと端子との接続構造。
【請求項8】
前記圧着部は、接続部及び2つの圧着翼を含み、前記接続部は、一端が前記端子溶接部に接続され、他端が前記2つの圧着翼に接続され、2つの前記圧着翼は、前記絶縁スリーブを挟持するとともに、前記絶縁スリーブの長手方向に沿ってずれて設置されることを特徴とする、請求項6又は7に記載のアルミニウムケーブルと端子との接続構造。
【請求項9】
前記ケーブル溶接部の長さがLであり、前記接続部の長さL1が0.7L≦L1≦0.9Lを満たすことを特徴とする、請求項8に記載のアルミニウムケーブルと端子との接続構造。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載のアルミニウムケーブルと端子との接続構造を含むことを特徴とする、車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、出願日が2019年11月28日、出願番号が201922114520.6、名称が「アルミニウムケーブルと端子との接続構造及びそれを有する車両」である特許出願の優先権を主張するものである。
【0002】
本願は、高電圧接続の技術分野に関し、特に、アルミニウムケーブルと端子との接続構造及び上記アルミニウムケーブルと端子との接続構造を有する車両に関する。
【背景技術】
【0003】
アルミニウム材質は、自体の強度が低く、耐クリープ性が低く、表面が空気に接触すると酸化されやすいなどの欠点があるため、アルミニウムケーブルを高電圧ワイヤハーネスとして銅端子に接続する場合、冷間圧着ではなく超音波溶接の方式を採用して銅端子に接続することに適する。
【0004】
しかし、従来のアルミニウムケーブルと端子を超音波溶接した後、電気伝導性能、過電流能力及び機械的強度を兼ね備えることができず、改善の必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願は、少なくとも従来技術における技術的課題の1つを解決することを目的とする。このために、本願の1つの目的は、電気伝導性能、過電流能力及び機械的強度を兼ね備えることができるアルミニウムケーブルと端子との接続構造を提供することである。
【0006】
本願は、上記アルミニウムケーブルと端子との接続構造を有する車両をさらに提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願の第1態様の実施例に係るアルミニウムケーブルと端子との接続構造は、ケーブル溶接部を備える心線を含むアルミニウムケーブルと、前記ケーブル溶接部に溶接される端子と、を含み、前記心線の公称断面積がMであり、前記ケーブル溶接部と前記端子との溶接面積Sが5*M≦S≦6*Mを満たす。
【0008】
本願の実施例に係るアルミニウムケーブルと端子との接続機構は、電気伝導性能、過電流能力及び機械的強度を兼ね備えることができる。
【0009】
本願のいくつかの具体的な実施例において、前記公称断面積Mに対応する前記ケーブル溶接部の幅がWであり、前記ケーブル溶接部の長さLが5*M/W≦L≦6*M/Wを満たす。
【0010】
本願のいくつかの具体的な実施例において、前記ケーブル溶接部の前記端子とは反対側の面が波形面として構成され、前記波形面の山と谷が前記ケーブル溶接部の長手方向に沿って配列される。
【0011】
本願のいくつかの具体的な実施例において、前記ケーブル溶接部の最小厚さHが前記ケーブル溶接部の前記端子に向かう面と前記谷との間の距離であり、前記公称断面積Mに対応するケーブル溶接部の幅がWであり、前記最小厚さHが0.7*M/W≦H≦0.8*M/Wを満たす。
【0012】
さらに、前記山と前記ケーブル溶接部の前記端子に向かう面との間の最大角度が30°~60°であり、前記谷と前記ケーブル溶接部の前記端子に向かう面との間の最大角度βが30°~60°である。
【0013】
本願のいくつかの実施例において、前記アルミニウムケーブルは、前記心線の外側に嵌設され、前記ケーブル溶接部が伸び出す絶縁スリーブをさらに含み、前記端子は、端子溶接部及び圧着部を含み、前記ケーブル溶接部は、前記端子溶接部に溶接され、前記圧着部は、前記絶縁スリーブに圧着される。
【0014】
さらに、前記圧着部の厚さが前記端子溶接部の厚さよりも小さい。
【0015】
さらに、前記圧着部は、接続部及び2つの圧着翼を含み、前記接続部は、一端が前記端子溶接部に接続され、他端が前記2つの圧着翼に接続され、2つの前記圧着翼は、前記絶縁スリーブを挟持するとともに、前記絶縁スリーブの長手方向に沿ってずれて設置される。
【0016】
さらに、前記ケーブル溶接部の長さがLであり、前記接続部の長さL1が0.7L≦L1≦0.9Lを満たす。
【0017】
本願の第2態様の実施例に係る車両は、本願の第1態様の実施例に係るアルミニウムケーブルと端子との接続構造を含む。
【発明の効果】
【0018】
本願の実施例に係る車両は、本願の第1態様の実施例に係るアルミニウムケーブルと端子との接続構造を利用することにより、電気伝導性能が確実であり、過電流能力が高く、機械的強度が高いなどの利点を有する。
【0019】
本願の追加的な態様及び利点は、一部が以下の説明において示され、一部が以下の説明において明らかになるか又は本願の実施により把握される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
本願の上記及び/又は追加的な態様及び利点は、以下の図面を参照して実施例を説明することにより、明らかになって理解されやすくなる。
【0021】
図1】本願の実施例に係るアルミニウムケーブルと端子との接続構造の加工概略図である。
図2】本願の実施例に係るアルミニウムケーブルと端子との接続構造の斜視図である。
図3】本願の実施例に係るアルミニウムケーブルと端子との接続構造の正面図である。
図4】本願の他の実施例に係るアルミニウムケーブルと端子との接続構造における端子の側面図である。
図5】本願の他の実施例に係るアルミニウムケーブルと端子との接続構造における端子の概略分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本願の実施例を詳細に説明し、上記実施例の例は、図面に示され、全体を通して同一又は類似の符号は、同一又は類似の部品、或いは同一又は類似の機能を有する部品を示す。以下、図面を参照して説明される実施例は、例示的なものであり、本願を解釈するものに過ぎず、本願を限定するものとして理解すべきではない。
【0023】
なお、本願の説明において、用語「長さ」、「幅」、「厚さ」、「内」、「外」などで示す方位又は位置関係は、図面に示す方位又は位置関係に基づくものであり、本願を容易に説明し説明を簡略化するためのものに過ぎず、示された装置又は部品が特定の方位を有し、特定の方位で構成され操作されなければならないことを示すか又は示唆するものではないため、本願を限定するものとして理解すべきではない。
【0024】
以下、本願の実施例に係るアルミニウムケーブルと端子との接続構造を、図面を参照して説明する。
【0025】
図2図5に示すように、本願の実施例に係るアルミニウムケーブルと端子との接続構造は、アルミニウムケーブル10及び端子20を含む。
【0026】
アルミニウムケーブル10は、アルミニウム材質でありかつケーブル溶接部12を備える心線11を含む。端子20は、銅端子であってもよく、ケーブル溶接部12に溶接され、例えば超音波溶接される。
【0027】
心線11の公称断面積は、Mであり、ケーブル溶接部12と端子20との溶接面積Sは、5*M≦S≦6*Mを満たし、ここで、心線11の公称断面積Mは、心線11の断面積として理解することができる。
【0028】
以下、本願の実施例に係るアルミニウムケーブル10と端子20との溶接過程を例に挙げて説明する。
【0029】
図1に示すように、超音波溶接加工過程は、主に位置決め、ケーブル配置、溶接の3つのステップを含む。
【0030】
まず、端子20を超音波溶接装置の位置決めブロックに置き、左右2つの溶接治具1を移動させて端子20に押し付けるとともに、左右2つの溶接治具1の間の寸法を溶接ヘッド2の寸法に制限する。アルミニウムケーブル10の心線を2つの溶接治具1の中間に置き、溶接ヘッド2を垂直下向きに移動させ、アルミニウムケーブル10の露出した心線11と端子20を溶接する。
【0031】
なお、心線11が一般的に丸形であり、溶接ヘッド2により溶接された部分、すなわちケーブル溶接部12が扁平状に押し付けられ、本願の実施例における心線11の公称断面積Mとは、丸形部分の断面積を指す。
【0032】
本願の実施例に係るアルミニウムケーブルと端子との接続構造について、アルミニウムケーブル10の質量が銅ケーブルの質量の2/3であり、かつアルミニウムケーブル10のコストが銅ケーブルのコストの2/3であるため、アルミニウムケーブルと端子との接続構造を採用することにより、コストの低減及び軽量化の目的を実現することができる。さらに、アルミニウムケーブル10と端子20との溶接面積を5*M≦S≦6*Mに限定することにより、溶接面積が小さすぎると、溶接エネルギーが集中しすぎて高温になり、過度の溶接を引き起こし、さらに溶接後の機械的強度が不足することを引き起こし、最終的にアルミニウムケーブル10の使用時の信頼性が低下することを回避することができる一方で、溶接面積が小さすぎると、1mm当たりの溶接面積に許容される電流が大きすぎ、溶接部位が焼損しやすく、さらに溶接部位の耐用年数が短くなることを回避することができ、また、溶接面積が大きすぎると、1mm当たりの溶接面積に許容される電流が小さすぎ、さらにアルミニウムケーブルの電気伝導性能を低下させることを回避することができ、これに対して、本案において、溶接面積を5*M≦S≦6*Mに限定することにより、様々な仕様のアルミニウムケーブルは、電気伝導性能、過電流能力及び機械的強度を兼ね備えることができる。
【0033】
以下、公称断面積が50mmの心線を例として、アルミニウムケーブルの過電流能力及び溶接後の機械的強度をテストし、テスト結果を以下の表に示す。
【0034】
【表1】
【0035】
上表から分かるように、S/Mの数値が4.5から5.5に変化する場合、過電流能力及び溶接後の機械的強度は、いずれも上昇傾向にあり、S/Mの数値が5.5から6.5に変化する場合、過電流能力及び溶接後の機械的強度は、いずれも下降傾向にあるため、5~6の間にある場合、アルミニウムケーブルは、最適な過電流能力及び溶接後の機械的強度を有する。
【0036】
また、S/Mの数値が6を超える場合、過電流能力及び溶接後の機械的強度の変化が緩やかになる。しかし、溶接面積が大きくなると、溶接部位の伸び、溶接部位の圧力の制御などの様々な原因により、溶接プロセスのコストが増加し、溶接難度係数が増加するため、ケーブル溶接部12と端子20との溶接面積Sを5*M≦S≦6*Mに限定することにより、電気伝導性能、過電流能力及び機械的強度を兼ね備えるだけでなく、溶接難度係数及び溶接プロセスのコストを制御することができる。
【0037】
本願のいくつかの具体的な実施例において、上記公称断面積Mに対応するケーブル溶接部12の幅は、Wであり、ケーブル溶接部12の長さLは、5*M/W≦L≦6*M/Wを満たす。換言すれば、異なる公称断面積の心線11に対して、そのケーブル溶接部12の幅は、これに応じて一定であり、例えばUSCAR-38(米国自動車技術者協会の超音波溶接標準)を参照することができ、これに基づいて、ケーブル溶接部12の長さLを5*M/W≦L≦6*M/Wに設定することにより、端子20と溶接した後、優れた電気伝導性能、過電流能力及び機械的強度を有することを保証することができる。
【0038】
本案は、ケーブル溶接部12の長さLを5*M/W≦L≦6*M/Wに限定することにより、長さが小さすぎると、溶接面積が小さすぎ、溶接エネルギーが集中しすぎて高温になり、過度の溶接を引き起こし、さらに溶接後の機械的強度が不足することを引き起こし、最終的にアルミニウムケーブル10の使用時の信頼性が低下することを回避することができる一方で、ケーブル溶接部12の長さLが長すぎると、端子20の長さが増加し、該アルミニウムケーブルと端子との接続構造を用いるコネクタの構造設計を改めて行う必要があり、設計コストを増加させ、端子の材料コストも増加させることを回避することができる。
【0039】
本願の技術的解決手段をより詳細に説明するために、以下の2種類のケーブルを用いて例示的に説明する。
【0040】
例えば、心線11の公称断面積Mは、50mmであり、対応するケーブル溶接部12の幅Wは、16mmであり、ケーブル溶接部12の長さLは、15.6mm≦L≦18.8mmを満たす。
【0041】
さらに、心線11の公称断面積Mは、70mmであり、対応するケーブル溶接部12の幅Wは、21mmであり、ケーブル溶接部12の長さLは、16.7mm≦L≦20mmを満たす。
【0042】
本願のいくつかの具体例において、図2に示すように、ケーブル溶接部12の端子20とは反対側の面は、波形面14として構成され、波形面14の山と谷は、ケーブル溶接部12の長手方向に沿って配列される。
【0043】
図2に示すように、ケーブル溶接部12の最小厚さHは、ケーブル溶接部12の端子20に向かう面と上記谷との間の距離であり、公称断面積Mに対応するケーブル溶接部12の幅は、Wであり、ケーブル溶接部12の最小厚さHは、0.7*M/W≦H≦0.8*M/Wを満たす。
【0044】
これにより、ケーブル溶接部12の最小厚さHは、70%~80%の圧縮比を満たす。最小厚さHが70%の圧縮比よりも低い場合、溶接後にケーブルが破断しやすく、これによりアルミニウムケーブル10の導電能力が低下し、最小厚さHが80%の圧縮比よりも高い場合、溶接後に機械的引張強度が基準に達しないリスクが発生しやすい。さらに、ケーブル溶接部12の最小厚さHが70%~80%の圧縮比を満たす場合、良好な溶接外観を備える。
【0045】
本願の技術的解決手段をより詳細に説明するために、以下のケーブルを用いて例示的に説明する。
【0046】
例えば、心線11の公称断面積Mは、50mmであり、対応するケーブル溶接部12の幅Wは、16mmであり、ケーブル溶接部12の最小厚さHは、2.2mm≦H≦2.5mmを満たし、これにより、アルミニウムケーブル10の溶接圧縮比は、70%~80%を満たす。
【0047】
さらに、アルミニウム導体材質の強度が低いため、波形が密集しすぎて溶接後にケーブルが破断することを回避するために、波形面14は、大きくて少ない溶接模様を採用し、例えば、波形面14の山と谷の数は、いずれも2つであり、すなわち2つの山と2つの谷があり、かつケーブル溶接部12の波形面14に均一に分布する。
【0048】
さらに、上記山とケーブル溶接部12の端子20に向かう面との間の最大角度は、30°~60°であり、すなわち山の谷に最も近い部分の接線とケーブル溶接部12の溶接面との間の鋭角は、30°~60°である。
【0049】
上記谷とケーブル溶接部12の端子20に向かう面との間の最大角度βは、30°~60°であり、すなわち谷の山に最も近い部分の接線とケーブル溶接部12の溶接面との間の鋭角は、30°~60°である。
【0050】
新エネルギー自動車に採用された高電圧アルミニウムケーブルの心線の引張強度は、一般的に70MPa~120MPaであるため、山と谷の角度を設定することにより、アルミニウムケーブル10の溶接面が緩やかに遷移することを保証し、心線11の表面を破壊せず、ケーブル溶接部12と端子20との間の効果的な溶接融合面積をより大きくすることができる。
【0051】
本願のいくつかの具体的な実施例において、アルミニウムケーブル10は、心線11の外側に嵌設され、ケーブル溶接部12が伸び出す絶縁スリーブ13をさらに含み、端子20は、端子溶接部21及び圧着部22を含み、ケーブル溶接部12は、端子溶接部21に溶接され、圧着部22は、絶縁スリーブ13に圧着される。
【0052】
具体的には、図5に示すように、圧着部22は、接続部24及び2つの圧着翼23を含み、接続部24は、一端が端子溶接部21に接続され、他端が2つの圧着翼23に接続され、2つの圧着翼23は、絶縁スリーブ13を挟持するとともに、絶縁スリーブ13の長手方向に沿ってずれて設置される。
【0053】
これにより、圧着部22は、ずれて設置された2つの圧着翼23を有し、アルミニウムケーブル10の絶縁スリーブ13は、2つの圧着翼23で形成された通路に穿設され、圧着治具により2つの圧着翼23をアルミニウムケーブル10の絶縁スリーブ13の外面に圧着することにより、圧着翼23とアルミニウムケーブル10の絶縁スリーブ13との両者が固定的に接続され、圧着翼23は、溶接領域に作用する機械的応力をアルミニウムケーブル10の絶縁スリーブ13に伝達することができ、このように、アルミニウムケーブル10を引っ張ることによる溶接部分の損傷を効果的に防止することができる。
【0054】
さらに、図4に示すように、圧着部22の厚さは、端子溶接部21の厚さよりも小さく、かつアルミニウムケーブル10の径方向に、圧着部22は、端子溶接部21に対してアルミニウムケーブル10から離れる方向にずれて設置され、例えば、圧着部22の上面と端子溶接部21の下面は、同一平面に位置し、このように、心線11と絶縁スリーブ13の遷移領域の高さの差に適合し、心線11とケーブル溶接部12の接続箇所の過度変形を回避することができる。
【0055】
さらに、図5に示すように、ケーブル溶接部12の長さは、Lであり、接続部24の長さL1は、0.7L≦L1≦0.9Lを満たし、これにより、圧着翼23の圧着時に心線11とケーブル溶接部12との接続箇所を損傷することを回避することができる。
【0056】
以下、本願の実用実施例に係る車両を説明し、上記車両は、本願の上記実施例に係るアルミニウムケーブルと端子との接続構造を含む。
【0057】
本願の実施例に係る車両は、本願の上記実施例に係るアルミニウムケーブルと端子との接続構造を利用することにより、電気伝導性能が確実であり、過電流能力が高く、機械的強度が高いなどの利点を有する。
【0058】
本願の実施例に係る車両の他の構成及び操作は、当業者にとって既知であり、ここで詳細に説明しない。
【0059】
本明細書の説明において、用語「具体的な実施例」、「具体例」などを参照する説明は、該実施例又は例を組み合わせて説明された具体的な特徴、構造、材料又は特性が本願の少なくとも1つの実施例又は例に含まれることを意味する。本明細書において、上記用語の例示的な表現は、必ずしも同一の実施例又は例に限定されるものではない。
【0060】
本願の実施例を例示し説明したが、当業者であれば理解できるように、本願の原理及び趣旨から逸脱しない場合、これらの実施例に対して、様々な変更、修正、置換及び変形を行うことができ、本願の範囲は、特許請求の範囲及びその均等物によって限定される。
【符号の説明】
【0061】
10 アルミニウムケーブル
11 心線
12 ケーブル溶接部
13 絶縁スリーブ
14 波形面
20 端子
21 端子溶接部
22 圧着部
23 圧着翼
24 接続部
1 溶接治具
2 溶接ヘッド
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】