(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-30
(54)【発明の名称】酸化ガリウム半導体構造、縦型酸化ガリウムベースのパワーデバイス及び製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/336 20060101AFI20230123BHJP
H01L 21/265 20060101ALI20230123BHJP
H01L 29/12 20060101ALI20230123BHJP
H01L 29/78 20060101ALI20230123BHJP
【FI】
H01L29/78 658K
H01L21/265 Z
H01L29/78 301X
H01L29/78 652T
H01L29/78 653C
H01L29/78 652G
H01L29/78 658A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022531068
(86)(22)【出願日】2020-11-03
(85)【翻訳文提出日】2022-07-21
(86)【国際出願番号】 CN2020126024
(87)【国際公開番号】W WO2021103953
(87)【国際公開日】2021-06-03
(31)【優先権主張番号】201911174463.9
(32)【優先日】2019-11-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515291465
【氏名又は名称】中国科学院上海微系統与信息技術研究所
(74)【代理人】
【識別番号】110001999
【氏名又は名称】弁理士法人はなぶさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】欧 欣
(72)【発明者】
【氏名】徐 文慧
(72)【発明者】
【氏名】游 天桂
(72)【発明者】
【氏名】沈 正皓
【テーマコード(参考)】
5F140
【Fターム(参考)】
5F140AC23
5F140BA12
5F140BB02
5F140BC15
5F140BD11
5F140BE09
5F140BF05
5F140BF42
5F140BJ07
5F140BJ11
5F140BJ15
5F140BJ25
(57)【要約】
酸化ガリウム半導体構造、縦型酸化ガリウムベースのパワーデバイス及び製造方法であって、接合及び薄化によって、意図せずにドープされた酸化ガリウム層(110)を、高濃度ドーピングで高熱伝導の異質基板(200)上に移し、酸化ガリウム層(110)に表面処理及びイオン注入を行うことで、高濃度ドーピング酸化ガリウム層(120)を得ることにより、異質基板(200)、酸化ガリウム層(110)及び高濃度ドーピング酸化ガリウム層(120)を含み、且つ当該異質基板(200)、酸化ガリウム層(110)及び高濃度ドーピング酸化ガリウム層(120)が順に積層された酸化ガリウム半導体構造を製造できる。酸化ガリウム半導体構造に基づいて製造される縦型酸化ガリウムベースのパワーデバイスにおいて、中間層が厚い酸化ガリウム層(110)であること、また、高濃度ドーピング酸化ガリウム層(120)よりもキャリア濃度が低いことから、設計上、デバイスの破壊電圧を増加させ、また、高熱伝導の異質基板(200)によってデバイスの放熱能力を向上させることができ、Finを有する構造のデバイスに大電流を提供することができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸化ガリウム半導体構造の製造方法であって、
一方の表面が研磨面である酸化ガリウム単結晶ウエハを提供するステップと、
一方の表面が研磨面である異質基板を提供するステップと、
前記酸化ガリウム単結晶ウエハの研磨面と前記異質基板の研磨面とを接合するステップと、
前記酸化ガリウム単結晶ウエハを薄化することにより、前記異質基板及び前記酸化ガリウム層を含み、且つ前記異質基板及び前記酸化ガリウム層が順に積層された複合構造を得るステップと、
前記酸化ガリウム層に表面処理を行うステップと、
前記酸化ガリウム層にイオン注入を行うことで前記酸化ガリウム層の表面層に高濃度ドーピング酸化ガリウム層を形成することにより、前記異質基板、前記酸化ガリウム層及び前記高濃度ドーピング酸化ガリウム層を含み、且つ前記異質基板、前記酸化ガリウム層及び前記高濃度ドーピング酸化ガリウム層が順に積層された酸化ガリウム半導体構造を得るステップと、
を含むことを特徴とする酸化ガリウム半導体構造の製造方法。
【請求項2】
前記異質基板は炭化ケイ素基板、ダイヤモンド基板、窒化アルミニウム基板、シリコン基板のうちの1種を含むことを特徴とする請求項1に記載の酸化ガリウム半導体構造の製造方法。
【請求項3】
前記異質基板のキャリア濃度は1×10
18/cm
3よりも高いことを特徴とする請求項1に記載の酸化ガリウム半導体構造の製造方法。
【請求項4】
前記酸化ガリウム層のキャリア濃度は前記高濃度ドーピング酸化ガリウム層のキャリア濃度よりも低く、前記酸化ガリウム層のキャリア濃度は1×10
16/cm
3~9×10
17/cm
3であり、前記高濃度ドーピング酸化ガリウム層のキャリア濃度は1×10
19/cm
3よりも高いことを特徴とする請求項1に記載の酸化ガリウム半導体構造の製造方法。
【請求項5】
前記接合の方法は表面活性化接合を含み、前記表面活性化接合の真空度は1×10
-7Paであり、圧力は16MPaであり、温度は25℃であることを特徴とする請求項1に記載の酸化ガリウム半導体構造の製造方法。
【請求項6】
前記薄化の方法は研削法又はウェットエッチングを含むことを特徴とする請求項1に記載の酸化ガリウム半導体構造の製造方法。
【請求項7】
研削法を用いて前記薄化を行うとき、前記薄化の条件は、ギアの回転速度が1500rpm~3000rpmであり、テーブルの回転速度が30rpm~120rpmであり、送り速度が5μm/min~30μm/minであり、研削時間が30s~100minであることを特徴とする請求項6に記載の酸化ガリウム半導体構造の製造方法。
【請求項8】
前記表面処理の方法は化学機械研磨、プラズマエッチング、イオンスパッタリング及び化学エッチングのうちの1種を含むことを特徴とする請求項1に記載の酸化ガリウム半導体構造の製造方法。
【請求項9】
前記イオン注入はSiイオン注入、Geイオン注入、Snイオン注入及びNbイオン注入のうちの1種を含むことを特徴とする請求項1に記載の酸化ガリウム半導体構造の製造方法。
【請求項10】
前記Siイオン注入のエネルギーは10Kev~80Kev、ドーズ量は1×10
15ions/cm
2~5×10
16ions/cm
2であり、前記Geイオン注入のエネルギーは20Kev~170Kev、ドーズ量は1×10
15ions/cm
2~5×10
16ions/cm
2であり、前記Snイオン注入のエネルギーは30Kev~275Kev、ドーズ量は1×10
15ions/cm
2~5×10
16ions/cm
2であり、前記Nbイオン注入のエネルギーは25Kev~225Kev、ドーズ量は1×10
15ions/cm
2~5×10
16ions/cm
2であることを特徴とする請求項9に記載の酸化ガリウム半導体構造の製造方法。
【請求項11】
前記イオン注入の深さは10nm~60nmであることを特徴とする請求項1に記載の酸化ガリウム半導体構造の製造方法。
【請求項12】
前記酸化ガリウム単結晶ウエハの研磨面の表面粗さは1nmよりも小さく、前記異質基板の研磨面の表面粗さは1nmよりも小さいことを特徴とする請求項1に記載の酸化ガリウム半導体構造の製造方法。
【請求項13】
酸化ガリウム半導体構造であって、異質基板、酸化ガリウム層及び高濃度ドーピング酸化ガリウム層を含み、且つ前記異質基板、前記酸化ガリウム層及び前記高濃度ドーピング酸化ガリウム層が順に積層されることを特徴とする酸化ガリウム半導体構造。
【請求項14】
前記酸化ガリウム層のキャリア濃度は前記高濃度ドーピング酸化ガリウム層のキャリア濃度よりも低く、前記酸化ガリウム層のキャリア濃度は1×10
16/cm
3~9×10
17/cm
3であり、前記高濃度ドーピング酸化ガリウム層のキャリア濃度は1×10
19/cm
3よりも高いことを特徴とする請求項13に記載の酸化ガリウム半導体構造。
【請求項15】
前記酸化ガリウム層の厚さは5μm~100μmであり、前記高濃度ドーピング酸化ガリウム層の厚さは10nm~60nmであることを特徴とする請求項13に記載の酸化ガリウム半導体構造。
【請求項16】
前記異質基板は炭化ケイ素基板、ダイヤモンド基板、窒化アルミニウム基板、シリコン基板のうちの1種を含み、前記異質基板のキャリア濃度は1×10
18/cm
3よりも高いことを特徴とする請求項13に記載の酸化ガリウム半導体構造。
【請求項17】
請求項1~12のいずれか1項に記載の酸化ガリウム半導体構造の製造方法を用いて縦型酸化ガリウムベースのパワーデバイスを製造することを含むことを特徴とする縦型酸化ガリウムベースのパワーデバイスの製造方法。
【請求項18】
請求項13~16のいずれか1項に記載の酸化ガリウム半導体構造を含むことを特徴とする縦型酸化ガリウムベースのパワーデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体製造分野に属し、酸化ガリウム半導体構造、縦型酸化ガリウムベースのパワーデバイス及び製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
酸化ガリウム(Ga2O3)は超広バンドギャップ半導体材料である。バンドギャップ(4.5eV~4.9eV)について、窒化ガリウム(GaN)及び炭化ケイ素(SiC)と比較すると、酸化ガリウムのバンドギャップはより広く、破壊電界強度もより大きい。同時に、製造方法が簡単であるため、生産コストを下げることができ、超高耐圧パワー電子デバイス分野において、科学研究界及び工業界から非常に注目されている。
【0003】
高耐圧かつハイパワーの酸化ガリウムベースのデバイスは、新エネルギー電気自動車、超高圧送電、高速鉄道及び電磁レールガン等、民間用及び軍事の重要分野において巨大な応用可能性を有している。特に、軍事装備が情報化、スマート化、電子化に向けて徐々に発展するに伴い、高耐圧かつハイパワーの酸化ガリウムベースの電子デバイスは、シリコンベース、炭化ケイ素ベース及び窒化ガリウムベースのパワーデバイスに代わって、航空、宇宙飛行、艦艇、船舶、特殊武器に必要となる電源や高効率ドライブ等のパワーモジュールにおける中核部品になる可能性があり、システムが高温、高周波数、高出力の条件下や、極端な環境の条件下において動作できるか否かを保証するものになる。このため、軍事国防建設の分野において、応用のニーズが非常に高まっている。同時に、酸化ガリウムベースのハイパワーデバイスは、周波数変換器、高速鉄道、機関車、新エネルギー発電システムにおけるインバータ、及び高圧直流(HVDC)送電システム等の民間分野においても応用されるであろう。特に指摘すべきことは、航空、宇宙飛行の装備が高集積度、多機能、低消費電力の方向への発展に伴い、消費電力を低減させ、システムの応答速度を向上させ、運転騒音を低減させるために、小型化、高性能、高効率、高信頼性の電子部品が切実に求められている。また、人工衛星、宇宙空間探査等の分野においては、パワーデバイスは宇宙空間における放射線照射環境の影響を受けることになる。このため、バンドギャップがより広く、抗放射線性能により優れた酸化ガリウムベースのパワーデバイスが理想的な選択であることは、疑う余地がない。
【0004】
酸化ガリウムベースのパワーデバイスにおいて、デバイスには横型構造及び縦型構造の2種類がある。ハイパワーデバイスについては、現在の進展を鑑みると、縦型構造に業界関係者の支持が集まっている。現在、ホモエピタキシャル法を用いて酸化ガリウムトランジスタを製造すること、つまり、酸化ガリウム基板上に、エピタキシャル法によって酸化ガリウム薄膜を製造して、酸化ガリウムトランジスタを製造することは、大きな進展を遂げている。この構造は、高い破壊電圧を提供できるだけでなく、同時に、構造設計によって超大電流を実現することもできるため、酸化ガリウムの今後の発展に大きな期待が持てる。しかし、同質の酸化ガリウム基板には熱伝導率が低いという致命的な欠点があり、特に、ハイパワーデバイスにおいては、デバイスから生じる熱流がうまく排出されないため、デバイスの性能が大きく低下してしまう。
【0005】
このため、縦型酸化ガリウムベースのハイパワーデバイスを製造するために、酸化ガリウムを、高濃度ドーピングで高熱伝導の異質基板上に移すことによって、低熱伝導率の課題を解決することが、切実に求められている。しかしながら、酸化ガリウムとケイ素、炭化ケイ素等の複数の高熱伝導で高濃度ドーピングの半導体材料には格子不整合という課題があり、エピタキシャル法によって良好な酸化ガリウム薄膜を成長させることができないた
め、縦型酸化ガリウムベースのハイパワーデバイスを製造することが難しい。
【0006】
このことから、新型の酸化ガリウム半導体構造、縦型酸化ガリウムベースのパワーデバイス及び製造方法を提供する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
以上に述べた従来技術の欠点に鑑み、本発明の目的は、従来技術において、縦型酸化ガリウムベースのハイパワーデバイスを製造するときに直面する、高濃度ドーピングで高熱伝導の異質基板上に質の高い酸化ガリウム薄膜を製造し難いため、縦型酸化ガリウムベースのハイパワーデバイスを製造することが難しいという課題を解決するための酸化ガリウム半導体構造、縦型酸化ガリウムベースのパワーデバイス及び製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の目的及びその他関連の目的を実現するために、本発明は、酸化ガリウム半導体構造の製造方法を提供する。酸化ガリウム半導体構造の製造方法は、一方の表面が研磨面である酸化ガリウム単結晶ウエハを提供するステップと、一方の表面が研磨面である異質基板を提供するステップと、前記酸化ガリウム単結晶ウエハの研磨面と前記異質基板の研磨面とを接合するステップと、前記酸化ガリウム単結晶ウエハを薄化することにより、前記異質基板及び前記酸化ガリウム層を含み、且つ前記異質基板及び前記酸化ガリウム層が順に積層された複合構造を得るステップと、前記酸化ガリウム層に表面処理を行うステップと、前記酸化ガリウム層にイオン注入を行うことで、前記酸化ガリウム層の表面層に高濃度ドーピング酸化ガリウム層を形成することにより、前記異質基板、前記酸化ガリウム層及び前記高濃度ドーピング酸化ガリウム層を含み、且つ前記異質基板、前記酸化ガリウム層及び前記高濃度ドーピング酸化ガリウム層が順に積層された酸化ガリウム半導体構造を得るステップと、を含む。
【0009】
選択的に、前記異質基板は炭化ケイ素基板、ダイヤモンド基板、窒化アルミニウム基板、シリコン基板のうちの1種を含む。
【0010】
選択的に、前記異質基板のキャリア濃度は1×1018/cm3よりも高い。
【0011】
選択的に、前記酸化ガリウム層のキャリア濃度は前記高濃度ドーピング酸化ガリウム層のキャリア濃度よりも低く、前記酸化ガリウム層のキャリア濃度は1×1016/cm3~9×1017/cm3であり、前記高濃度ドーピング酸化ガリウム層のキャリア濃度は1×1019/cm3よりも高い。
【0012】
選択的に、前記接合の方法は表面活性化接合を含み、前記表面活性化接合の真空度は1×10-7Paであり、圧力は16MPaであり、温度は25℃である。
【0013】
選択的に、前記薄化の方法は研削法又はウェットエッチングを含む。
【0014】
選択的に、研削法を用いて前記薄化を行うとき、前記薄化の条件は、ギアの回転速度が1500rpm~3000rpmであり、テーブルの回転速度が30rpm~120rpmであり、送り速度が5μm/min~30μm/minであり、研削時間が30s~100minである。
【0015】
選択的に、前記表面処理の方法は化学機械研磨、プラズマエッチング、イオンスパッタリング及び化学エッチングのうちの1種を含む。
【0016】
選択的に、前記イオン注入はSiイオン注入、Geイオン注入、Snイオン注入及びNbイオン注入のうちの1種を含む。
【0017】
選択的に、前記Siイオン注入のエネルギーは10Kev~80Kev、ドーズ量は1×1015ions/cm2~5×1016ions/cm2であり、前記Geイオン注入のエネルギーは20Kev~170Kev、ドーズ量は1×1015ions/cm2~5×1016ions/cm2であり、前記Snイオン注入のエネルギーは30Kev~275Kev、ドーズ量は1×1015ions/cm2~5×1016ions/cm2であり、前記Nbイオン注入のエネルギーは25Kev~225Kev、ドーズ量は1×1015ions/cm2~5×1016ions/cm2である。
【0018】
選択的に、前記イオン注入の深さは10nm~60nmである。
【0019】
選択的に、前記酸化ガリウム単結晶ウエハの研磨面の表面粗さは1nmよりも小さく、前記異質基板の研磨面の表面粗さは1nmよりも小さい。
【0020】
本発明は、酸化ガリウム半導体構造を更に提供し、前記酸化ガリウム半導体構造は前記異質基板、前記酸化ガリウム層及び前記高濃度ドーピング酸化ガリウム層を含み、且つ前記異質基板、前記酸化ガリウム層及び前記高濃度ドーピング酸化ガリウム層が順に積層される。
【0021】
選択的に、前記酸化ガリウム層のキャリア濃度は前記高濃度ドーピング酸化ガリウム層のキャリア濃度よりも低く、前記酸化ガリウム層のキャリア濃度は1×1016/cm3~9×1017/cm3であり、前記高濃度ドーピング酸化ガリウム層のキャリア濃度は1×1019/cm3よりも高い。
【0022】
選択的に、前記酸化ガリウム層の厚さは5μm~100μmであり、前記高濃度ドーピング酸化ガリウム層の厚さは10nm~60nmである。
【0023】
選択的に、前記異質基板は炭化ケイ素基板、ダイヤモンド基板、窒化アルミニウム基板、シリコン基板のうちの1種を含み、前記異質基板のキャリア濃度は1×1018/cm3よりも高い。
【0024】
本発明は、縦型酸化ガリウムベースのパワーデバイスの製造方法を更に提供し、上述の酸化ガリウム半導体構造の製造方法を用いて前記縦型酸化ガリウムベースのパワーデバイスを製造することを含む。
【0025】
本発明は、縦型酸化ガリウムベースのパワーデバイスを更に提供し、前記縦型酸化ガリウムベースのパワーデバイスは上述の酸化ガリウム半導体構造を含む。
【発明の効果】
【0026】
上述したように、本発明における酸化ガリウム半導体構造、縦型酸化ガリウムベースのパワーデバイス及び製造方法は、接合と薄化とを組み合わせる方法によって、意図せずにドープされた酸化ガリウム層を、高濃度ドーピングで高熱伝導の異質基板上に移し、酸化ガリウム層に表面処理及びイオン注入を行うことで、高濃度ドーピング酸化ガリウム層を得ることにより、異質基板、酸化ガリウム層及び高濃度ドーピング酸化ガリウム層を含み、且つ異質基板、酸化ガリウム層及び高濃度ドーピング酸化ガリウム層が順に積層された酸化ガリウム半導体構造を製造できる。これにより、ホモエピタキシャル法により製造された酸化ガリウム薄膜は熱伝導が不良であるという課題、及び、異質基板においてエピタキ
シャル法により酸化ガリウム薄膜を製造する場合、格子不整合により品質が良好な酸化ガリウム薄膜を成長させることが難しいという課題を解決する。酸化ガリウム半導体構造に基づいて製造される縦型酸化ガリウムベースのパワーデバイスにおいて、中間層が厚い酸化ガリウム層であること、また、高濃度ドーピング酸化ガリウム層と比較してキャリア濃度が低いことから、設計上、デバイスの破壊電圧を増加させ、また、高熱伝導の異質基板によってデバイスの放熱能力を向上させることができ、且つ、デバイスにおいて複数のFinを有する構造は大電流を提供することができるため、今後の縦型酸化ガリウムベースのハイパワーデバイスの発展に極めて重要な意義がある。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】
図1は本発明における酸化ガリウム半導体構造を製造するプロセスのフローチャートである。
【
図2】
図2は本発明が提供する酸化ガリウム単結晶ウエハの構造模式図である。
【
図3】
図3は本発明が提供する異質基板の構造模式図である。
【
図4】
図4は接合後に形成される構造の模式図である。
【
図5】
図5は薄化後に形成される複合構造の構造模式図である。
【
図6】
図6は表面処理及びイオン注入を経た後に形成される酸化ガリウム半導体構造の構造模式図である。
【
図7】
図7は縦型酸化ガリウムベースのパワーデバイスの製造においてソース電極及びドレイン電極を形成する際の構造模式図である。
【
図8】
図8は縦型酸化ガリウムベースのパワーデバイスの製造においてゲート電極を形成する際の構造模式図である。
【
図9】
図9は製造された縦型酸化ガリウムベースのパワーデバイスの構造模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、特定の具体的な実施例によって本発明の実施形態につき説明する。なお、当業者であれば本明細書で開示された内容によって本発明の他の利点と効果を容易に理解することができる。また、本発明は、その他の異なる具体的実施形態による実施又は応用も可能である。本明細書における各詳細については、異なる視点及び応用に基づき、本発明の精神を逸脱しないことを前提に各種の補足又は変形を行ってもよい。
【0029】
図1~
図9を参照する。説明すべき点として、本実施例で提供する図面は概略的に本発明の基本思想を説明するためのものにすぎない。図面には本発明に関連するアセンブリのみを示しているが、実際に実施する際のアセンブリの数、形状及び寸法に基づき記載しているわけではない。実際に実施する際の各アセンブリの形態、数量及び比率は任意に変更してもよく、かつ、アセンブリのレイアウトや形態がより複雑になることもある。
【0030】
図1に示すように、本実施例は、酸化ガリウム半導体構造の製造方法を提供する。本実施例は、接合と薄化とを組み合わせる方法によって、意図せずにドープされた酸化ガリウム層を、高濃度ドーピングで高熱伝導の異質基板上に移し、酸化ガリウム層に表面処理及びイオン注入を行うことで、高濃度ドーピング酸化ガリウム層を得ることにより、異質基板、酸化ガリウム層及び高濃度ドーピング酸化ガリウム層を含み、且つ異質基板、酸化ガリウム層及び高濃度ドーピング酸化ガリウム層が順に積層された酸化ガリウム半導体構造を製造できる。これにより、ホモエピタキシャル法により製造された酸化ガリウム薄膜は熱伝導が不良であるという課題、及び、異質基板においてエピタキシャル法により酸化ガリウム薄膜を製造する場合、格子不整合により品質が良好な酸化ガリウム薄膜を成長させることが難しいという課題を解決する。
【0031】
具体的には、
図2~
図6は、前記酸化ガリウム半導体構造を製造する各ステップを示した
構造模式図である。
【0032】
まず、
図2に示すように、酸化ガリウム単結晶ウエハ100を提供する。前記酸化ガリウム単結晶ウエハ100の一方の表面は、前記酸化ガリウム単結晶ウエハの研磨面100aである。
【0033】
具体的には、前記酸化ガリウム単結晶ウエハ100は、α型酸化ガリウム単結晶ウエハ又はβ型酸化ガリウム単結晶ウエハを含み、前記酸化ガリウム単結晶ウエハ100の寸法は、必要に応じて2インチ~4インチ等を選択できるが、前記酸化ガリウム単結晶ウエハ100における単結晶の結晶表面配向は(-201)、(010)及び(001)のうちの1種を含み、前記酸化ガリウム単結晶ウエハは意図せずにドープされた酸化ガリウム単結晶ウエハであり、キャリア濃度は1×1016/cm3~9×1017/cm3であり、前記酸化ガリウム単結晶ウエハの研磨面100aの表面粗さは1nmよりも小さく、例えば、0.2nm、0.4nm等である。
【0034】
次いで、
図3に示すように、異質基板200を提供する。前記異質基板200の一方の表面は、異質基板の研磨面200aである。
【0035】
具体的には、前記異質基板200は、高濃度ドーピングで高熱伝導の異質基板であり、前記異質基板200は炭化ケイ素基板、ダイヤモンド基板、窒化アルミニウム基板、シリコン基板のうちの1種を含み、前記異質基板200のドーピング濃度は1×1018/cm3よりも高く、前記異質基板の研磨面200aの表面粗さは1nmよりも小さく、例えば、0.2nm、0.4nm等である。
【0036】
次いで、
図4に示すように、前記酸化ガリウム単結晶ウエハの研磨面100aと前記異質基板の研磨面200aとを接合する。
【0037】
具体的には、前記接合の方法は表面活性化接合、金属接合及び陽極接合のうちの1種を含み、前記表面活性化接合を用いるとき、前記表面活性化接合の真空度は1×10-7Paであり、圧力は16MPaであり、温度は25℃である。本実施例においては表面活性化接合法が好ましいが、これに限定されない。
【0038】
次いで、
図5に示すように、前記酸化ガリウム単結晶ウエハ100を薄化することにより、前記異質基板200及び前記酸化ガリウム層110を含み、且つ前記異質基板200及び前記酸化ガリウム層110が順に積層された複合構造を得る。
【0039】
具体的には、前記薄化の方法は研削法又はウェットエッチングを含み、研削法を用いて前記薄化を行うとき、前記薄化の条件は、ギアの回転速度が1500rpm~3000rpm、例えば、1800rpm、2000rpm、2500rpm等であり、テーブルの回転速度が30rpm~120rpm、例えば、60rpm、80rpm、100rpm等であり、送り速度が5μm/min~30μm/min、例えば、10μm/min、15μm/min、25μm/min等であり、研削時間が30s~100min、例えば、1min、10min、60min等である。本実施例においては前記研削法が好ましく、前記研削の設備は岡本社のOKAMOTO200薄化装置を用いるが、前記薄化の方法及び研削の設備はこれらに限定されず、必要に応じて選択することができる。薄化を経た後に得られる前記酸化ガリウム層110の厚さはマイクロメートルレベルである。
【0040】
次いで、
図6に示すように、前記酸化ガリウム層110に表面処理を行い、また、前記酸化ガリウム層110にイオン注入を行うことで、前記酸化ガリウム層110の表面層に高濃度ドーピング酸化ガリウム層120を形成することにより、前記異質基板200、前記
酸化ガリウム層110及び前記高濃度ドーピング酸化ガリウム層120を含み、且つ前記異質基板200、前記酸化ガリウム層110及び前記高濃度ドーピング酸化ガリウム層120が順に積層された酸化ガリウム半導体構造を得る。
【0041】
具体的には、前記表面処理の方法は化学機械研磨、プラズマエッチング、イオンスパッタリング及び化学エッチングのうちの1種を含む。前記表面処理によって質の高い前記酸化ガリウム層110を更に提供することができ、前記イオン注入を便利にして、質の高い前記高濃度ドーピング酸化ガリウム層120が製造される。前記イオン注入はSiイオン注入、Geイオン注入、Snイオン注入及びNbイオン注入のうちの1種を含み、前記Siイオン注入を用いるとき、前記Siイオン注入のエネルギーは10Kev~80Kev、例えば、25Kev、50Kev、60Kev等であり、ドーズ量は1×1015ions/cm2~5×1016ions/cm2、例えば、1×1016ions/cm2、2×1016ions/cm2等であり、前記Geイオン注入を用いるとき、前記Geイオン注入のエネルギーは20Kev~170Kev、例えば、50Kev、100Kev、150Kev等であり、ドーズ量は1×1015ions/cm2~5×1016ions/cm2、例えば、1×1016ions/cm2、2×1016ions/cm2等であり、前記Snイオン注入を用いるとき、前記Snイオン注入のエネルギーは30Kev~275Kev、例えば、60Kev、100Kev、200Kev等であり、ドーズ量は1×1015ions/cm2~5×1016ions/cm2、例えば、1×1016ions/cm2、2×1016ions/cm2等であり、前記Nbイオン注入を用いるとき、前記Nbイオン注入のエネルギーは25Kev~225Kev、例えば、50Kev、150Kev、200Kev等であり、ドーズ量は1×1015ions/cm2~5×1016ions/cm2、例えば、1×1016ions/cm2、2×1016ions/cm2等である。前記イオン注入は形成される前記高濃度ドーピング酸化ガリウム層120のキャリア濃度を決定する。前記高濃度ドーピング酸化ガリウム層120のキャリア濃度が1×1019/cm3よりも大きく、前記イオン注入の深さが10nm~60nmであるとき、厚さが10nm~60nm、例えば、厚さが20nm、40nm、50nm等である前記高濃度ドーピング酸化ガリウム層120を形成することができることにより、前記酸化ガリウム半導体構造を得ることができる。本実施例は、中間層が厚く、かつキャリア濃度が前記高濃度ドーピング酸化ガリウム層120よりも低い前記酸化ガリウム層110を得ることができる。このため、設計上、後に製造されるデバイスの破壊電圧を高めることができ、また、高熱伝導の前記異質基板200によってデバイスの放熱能力を向上させることができる。
【0042】
図6に示すように、本実施例は、酸化ガリウム半導体構造を更に提供する。前記酸化ガリウム半導体構造は上述の酸化ガリウム半導体構造の製造方法を用いて製造することができるが、これに限定されない。前記酸化ガリウム半導体構造の材質及び構造は、ここでは説明を繰り返さない。前記酸化ガリウム半導体構造は、前記異質基板200、前記酸化ガリウム層110及び前記高濃度ドーピング酸化ガリウム層120を含み、且つ前記異質基板200、前記酸化ガリウム層110及び前記高濃度ドーピング酸化ガリウム層120が順に積層される。
【0043】
一例として、前記酸化ガリウム層110のキャリア濃度は前記高濃度ドーピング酸化ガリウム層120のキャリア濃度よりも低く、前記酸化ガリウム層110のキャリア濃度は1×1016/cm3~9×1017/cm3、例えば、6×1016/cm3、6×1017/cm3等であり、前記高濃度ドーピング酸化ガリウム層120のキャリア濃度は1×1019/cm3よりも高い。
【0044】
一例として、前記酸化ガリウム層110の厚さは5μm~100μm、例えば、10μm、25μm、50μm、75μm等であり、前記高濃度ドーピング酸化ガリウム層120
の厚さは10nm~60nm、例えば、20nm、40nm、50nm等である。
【0045】
一例として、前記異質基板200は炭化ケイ素基板、ダイヤモンド基板、窒化アルミニウム基板、シリコン基板のうちの1種を含み、前記異質基板のキャリア濃度は1×1018/cm3よりも高い。
【0046】
本実施例は、縦型酸化ガリウムベースのパワーデバイスの製造方法を更に提供し、上述の酸化ガリウム半導体構造の製造方法を用いて前記縦型酸化ガリウムベースのパワーデバイスを製造することを含んでいる。具体的には以下の実施例を参照することができ、ここで説明は行わない。
【0047】
本実施例は、前記酸化ガリウム半導体構造に基づいて製造される前記縦型酸化ガリウムベースのパワーデバイスにおいて、中間層が厚い前記酸化ガリウム層であること、また、前記高濃度ドーピング酸化ガリウム層と比較してキャリア濃度が低いことから、設計上、デバイスの破壊電圧が高まり、また、高熱伝導の前記異質基板によってデバイスの放熱能力を向上させることができるため、今後の縦型酸化ガリウムベースのハイパワーデバイスの発展に極めて重要な意義がある。
【0048】
本実施例は、縦型酸化ガリウムベースのパワーデバイスを更に提供し、前記縦型酸化ガリウムベースのパワーデバイスは、上述の酸化ガリウム半導体構造を含む。
【0049】
具体的には、
図9に示すように、前記縦型酸化ガリウムベースのパワーデバイスは、前記異質基板200、酸化ガリウム層110及び高濃度ドーピング酸化ガリウム層120が順に積層された前記酸化ガリウム半導体構造と、前記異質基板200と接触するドレイン電極400と、前記高濃度ドーピング酸化ガリウム層120の上方に位置するソース電極300と、前記酸化ガリウム層110上に順に積層されたゲート酸化物層500及びゲート電極600と、前記ゲート電極600上に位置するゲート接触子700とを含む。
【0050】
図7~
図9は、前記酸化ガリウム半導体構造に基づいて前記縦型酸化ガリウムベースのパワーデバイスを製造する際の構造模式図である。
【0051】
具体的には、
図7は、前記高濃度ドーピング酸化ガリウム層120及び酸化ガリウム層110をエッチングしてFinを形成した後、前記高濃度ドーピング酸化ガリウム層120上に前記ソース電極300を形成し、前記異質基板200表面に前記ドレイン電極400を形成する際の構造模式図である。前記Finの個数は、好ましくは≧4であるが、本実施例において、4は一例にすぎず、これに限定されない。また、前記Finを複数有するデバイス構造は、デバイスに大電流を更に提供させることができる。前記ソース電極300又は前記ドレイン電極400はAu/Ti電極を用いることができるが、これに限定されない。前記ソース電極300又は前記ドレイン電極400を製造する方法は、ここでは制限しない。
図8は、
図7で形成された構造に基づいて前記ゲート酸化物層500及びゲート電極600を製造する際の構造模式図である。前記ゲート酸化物層500には、酸化アルミニウム、酸化ケイ素等を用いることができ、前記ゲート電極600には、Pt/Ti電極又はPt電極等を用いることができる。
図9は、前記ソース電極300をエッチングによって露出させ、前記ゲート電極600上に前記ゲート接触子700を作製することによって、最終的に前記縦型酸化ガリウムベースのパワーデバイスを製造する際の構造模式図である。
【0052】
以下、具体的な実施例を通じて説明を行う。
【0053】
寸法が2inchで、表面配向が(-201)で、厚さが680μmであり、研磨面を有
しており、且つ意図せずにドープされたβ型酸化ガリウム単結晶ウエハを提供する。また、寸法が4inchで、表面配向が(0001)で、厚さが350μmで、研磨面を有する炭化ケイ素基板を提供する。酸化ガリウム単結晶ウエハの研磨面と炭化ケイ素基板の研磨面とを接合し、接合ウエハを形成する。接合ウエハ上の酸化ガリウム単結晶ウエハに研削及び化学研磨を行い、炭化ケイ素基板上に厚さ50μmの酸化ガリウム層を得る。次いで、酸化ガリウム層にSiイオン注入を行う。注入エネルギーは20Kevであり、注入ドーズ量は2×1016ions/cm2であり、注入温度は20℃である。厚さが40nmの高濃度ドーピング酸化ガリウム層が形成されることによって、高濃度ドーピングで高熱伝導の異質基板を用いた酸化ガリウム半導体構造が得られる。
【0054】
高濃度ドーピングで高熱伝導の異質基板を用いた酸化ガリウム半導体構造に基づく縦型酸化ガリウムベースのパワーデバイスの製造については以下の通りである。
【0055】
まず、厚さが150nmのクロム(Cr)金属に対して、電子ビーム露光、真空蒸着を行うことでハードマスクを形成する。
【0056】
次いで、
図7に示すように、ICPによってエッチングを行う。エッチング時間は15minであり、エッチングガスはBcl
3/Cl
2/Arであり、高さが1.5μm、幅が400nmのFinが形成される。Finの個数は、好ましくは≧4であるが、本実施例において4は一例にすぎず、これに限定されない。
【0057】
次いで、残留したクロムをクロム除去剤で洗浄して除去させた後、Fin上にソース電極の金属堆積を行い、ソース電極を形成する。ソース電極はAu/Ti電極であり、Ti金属の厚さは20nm、Au金属の厚さは100nmである。更に、炭化ケイ素基板の表面にドレイン電極を形成する。ドレイン電極の製造方法及び材質はソース電極を参照することができ、ドレイン電極を形成する前に、炭化ケイ素基板を薄化するステップを含んでもよい。
【0058】
次いで、
図8に示すように、厚さが20nm、材質が酸化アルミニウム(Al
2O
3)のゲート酸化物層を、ALDを用いてFin上に一層堆積し、更に、厚さが50nm、材質がPt金属であるゲート電極を製造する。
【0059】
最後に、
図9に示すように、Fin上のゲート電極及びゲート酸化物層に対して孔開けを行い、ソース電極を露出させる。更に、EBLによってゲート接触子の作製を行うことで、縦型酸化ガリウムベースのパワーデバイスの製造が完了する。
【0060】
以上に述べたように、本発明における酸化ガリウム半導体構造、縦型酸化ガリウムベースのパワーデバイス及び製造方法は、接合と薄化とを組み合わせる方法によって、意図せずにドープされた酸化ガリウム層を、高濃度ドーピングで高熱伝導の異質基板上に移し、酸化ガリウム層に表面処理及びイオン注入を行うことで、高濃度ドーピング酸化ガリウム層を得ることにより、異質基板、酸化ガリウム層及び高濃度ドーピング酸化ガリウム層を含み、且つ異質基板、酸化ガリウム層及び高濃度ドーピング酸化ガリウム層が順に積層された酸化ガリウム半導体構造を製造できる。これにより、ホモエピタキシャル法により製造された酸化ガリウム薄膜は熱伝導が不良であるという課題、及び、異質基板においてエピタキシャル法により酸化ガリウム薄膜を製造する場合、格子不整合により品質が良好な酸化ガリウム薄膜を成長させることが難しいという課題を解決する。酸化ガリウム半導体構造に基づいて製造される縦型酸化ガリウムベースのパワーデバイスにおいて、中間層が厚い酸化ガリウム層であること、また、高濃度ドーピング酸化ガリウム層と比較してキャリア濃度が低いことから、設計上、デバイスの破壊電圧を増加させ、また、高熱伝導の異質基板によってデバイスの放熱能力を向上させることができ、且つ、デバイスにおいて複数
のFinを有する構造は大電流を提供することができるため、今後の縦型酸化ガリウムベースのハイパワーデバイスの発展に極めて重要な意義がある。したがって、本発明は従来技術における種々の欠点を効果的に克服し、高度な産業利用価値を有する。
【0061】
上記の実施例は本発明の原理及びその効果を例示的に説明するにすぎず、本発明を限定するためのものではない。本技術を熟知する者であれば、本発明の精神及び範囲を逸脱せずに上記の実施例に対する補足又は変形を行うことができる。したがって、当業者が本発明で開示する精神と技術思想を逸脱することなく完了するあらゆる等価の補足又は変形は、依然として本発明の請求の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0062】
100 酸化ガリウム単結晶ウエハ
100a 酸化ガリウム単結晶ウエハの研磨面
200 異質基板
200a 異質基板の研磨面
110 酸化ガリウム層
120 高濃度ドーピング酸化ガリウム層
300 ソース電極
400 ドレイン電極
500 ゲート酸化物層
600 ゲート電極
700 ゲート接触子
【国際調査報告】