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特表2023-503530アクリル酸トリプトリド、その調製方法および用途
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-30
(54)【発明の名称】アクリル酸トリプトリド、その調製方法および用途
(51)【国際特許分類】
   C07D 493/04 20060101AFI20230123BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20230123BHJP
   A61K 31/365 20060101ALI20230123BHJP
【FI】
C07D493/04 101A
C07D493/04 CSP
A61P35/00
A61K31/365
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022540749
(86)(22)【出願日】2019-12-30
(85)【翻訳文提出日】2022-06-29
(86)【国際出願番号】 CN2019130056
(87)【国際公開番号】W WO2021134272
(87)【国際公開日】2021-07-08
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522261396
【氏名又は名称】グゥアンドン プロビンシャル ホスピタル オブ ティーシーエム
(71)【出願人】
【識別番号】522261400
【氏名又は名称】ザ セコンド アフィリエイティド ホスピタル オブ グゥアンジョウ ユニバーシティー オブ チャイニーズ メディシン
(71)【出願人】
【識別番号】522261411
【氏名又は名称】ザ セコンド クリニカル カレッジ オブ グゥアンジョウ ユニバーシティー オブ チャイニーズ メディシン
(71)【出願人】
【識別番号】522261422
【氏名又は名称】グゥアンドン プロビンシャル アカデミー オブ チャイニーズ メディカル サイエンシズ
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リウ、ボー
(72)【発明者】
【氏名】ファン、シャンジャン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン、ジーミン
(72)【発明者】
【氏名】リー、ジュン
(72)【発明者】
【氏名】チェン、チュエンフー
(72)【発明者】
【氏名】ハン、リチャオ
(72)【発明者】
【氏名】リャン、フワールン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン、イーチ
(72)【発明者】
【氏名】ワン、カイ
(72)【発明者】
【氏名】ワン、シャオワン
(72)【発明者】
【氏名】リー、エンニエン
(72)【発明者】
【氏名】ワン、イー
(72)【発明者】
【氏名】ファン、ルンユエ
(72)【発明者】
【氏名】ウー、ユンシャン
(72)【発明者】
【氏名】ハン、シャオドン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン、ジンラン
(72)【発明者】
【氏名】ジェン、ビダン
【テーマコード(参考)】
4C071
4C086
【Fターム(参考)】
4C071AA01
4C071AA08
4C071BB03
4C071CC14
4C071EE02
4C071FF12
4C071GG01
4C071HH05
4C071HH09
4C071KK14
4C071LL01
4C086AA01
4C086AA03
4C086AA04
4C086CA01
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA20
4C086ZB26
(57)【要約】
本発明は、式Iで示される、トリプトリドの新規な誘導体を開示する。本発明はさらに、当該化合物の調製方法、および抗癌剤の調製におけるその医薬用途も開示する。本発明に係るアクリル酸トリプトリドおよびその薬学的に許容される塩は、抗癌活性を有し、動物のin vivo実験において腫瘍の成長を効果的に阻害することができる。複数のin vitro実験により、p53のタンパク質表現の量を有意に増加させ、腫瘍細胞のアポトーシスを促進し、腫瘍細胞の成長を効果的に阻害することができ、癌細胞の転移を阻害する効果を有することが実証されている。さらに重要なのは、正常細胞に対する毒性がトリプトリドよりも低いということである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iで示される化合物またはその薬学的に許容される塩である、ことを特徴とするアクリル酸トリプトリド。
【化1】
【請求項2】
(1)トリプトリド、アシル化試薬を有機溶媒に加え、4-ジメチルアミノピリジンを触媒とし、トリエチルアミンを酸結合剤とし、室温で1-4h撹拌し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液でクエンチ反応を行うステップと、
(2)ジクロロメタンで抽出し、飽和塩化ナトリウム水溶液で抽出液を洗浄し、さらに乾燥剤で乾燥し、減圧下で蒸発させ、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製してアクリル酸トリプトリドを得るステップとを含む、ことを特徴とする請求項1に記載のアクリル酸トリプトリドの調製方法。
【請求項3】
ステップ(1)は、
トリプトリド、4-ジメチルアミノピリジンを有機溶媒に溶かし、トリエチルアミンを添加し、氷浴で約0℃にし、アシル化試薬を滴下し、滴下後徐々に室温に戻し、1-4h撹拌し、TLCで反応の完了を検出すると、撹拌を停止し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液でクエンチ反応を行うステップであり得る、ことを特徴とする請求項2に記載のアクリル酸トリプトリドの調製方法。
【請求項4】
ステップ(2)は、
ジクロロメタンで抽出し、水層はジクロロメタンでさらに2回抽出し、3回で得たジクロロメタン抽出液を混合し、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、さらに乾燥剤で乾燥し、減圧下で蒸発させ、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製してアクリル酸トリプトリドを得るステップであり得る、ことを特徴とする請求項2に記載のアクリル酸トリプトリドの調製方法。
【請求項5】
前記アシル化試薬は、塩化アクリロイル、臭化アクリロイル、アクリル酸グリコシド、アクリル酸または3-クロロプロピオニルクロリドの1つまたは2つ以上である、ことを特徴とする請求項2-4のいずれか一項に記載のアクリル酸トリプトリドの調製方法。
【請求項6】
前記有機溶媒は、無水ジクロロメタン、トリクロロメタン、テトラヒドロフランまたはエーテルである、ことを特徴とする請求項5に記載のアクリル酸トリプトリドの調製方法。
【請求項7】
前記酸結合剤は、トリエチルアミン、トリメチルアミン、ピリジン、DITEA、DBU、2,6-ジメチルピリジンおよび4-ジメチルアミノピリジンの1つまたは2つ以上である、ことを特徴とする請求項6に記載のアクリル酸トリプトリドの調製方法。
【請求項8】
前記触媒は、4-ジメチルアミノピリジン、DCC、HOAT、HOBT、HBTUおよびTBTUの1つまたは2つ以上である、ことを特徴とする請求項7に記載のアクリル酸トリプトリドの調製方法。
【請求項9】
前記乾燥剤は、無水硫酸ナトリウム、無水硫酸マグネシウムおよび無水塩化カルシウムの1つまたは2つ以上である、ことを特徴とする請求項8に記載のアクリル酸トリプトリドの調製方法。
【請求項10】
抗癌剤の調製における請求項1に記載のアクリル酸トリプトリドの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬技術分野に属し、具体的には、トリプトリドの誘導体、その調製方法および医薬用途に関する。
【背景技術】
【0002】
トリプトリド(Triptolide)は、トリプトニド(Triptonide)とも呼ばれ、ニシキギ科植物であるTripterygium Wilfordiiの根、葉、花および実から抽出されるエポキシジテルペンラクトン化合物であり、ウィルホルジン(wilfortine)、ウィルフォリン(Wilforine)、ウィルホルギン(Wilforgine)、ウィルホルトリン(wilfortrine)、wilfozineやeuonineなどのアルカロイドとともにライコウトウ抽出物の主な有効成分を構成し、水に不溶で、メタノール、ジメチルスルホキシド、無水エタノール、酢酸エチル、クロロホルムなどに容易に溶ける。従来の研究によると、トリプトリドは抗酸化作用、抗リウマチ作用、抗アルツハイマー作用、抗ガン作用があることが示される。また、現代の研究によると、それは、抗リウマチ作用だけでなく、抗アルツハイマー作用や抗癌作用もあることが示される。
【0003】
しかし、トリプトリドは活性が強い一方で、毒性も強く、臨床試験では消化器系、泌尿器系、心血管系、血液系、アレルギー反応、神経系、生殖器系などに強い毒性副作用を示すことが分かる。一定の活性を確保した上でその毒性を低減させることは、トリプトリド誘導体の研究において重要な方向である。研究によると、トリプトリドの毒性は、その12,13位のエポキシド環に関連し、その基が様々なタンパク質に容易に結合して様々な生物学的作用をもたらすことが示される。
【発明の概要】
【0004】
本発明の1つの目的は、上記技術的課題の少なくとも1つを解決するために、トリプトリドの誘導体を提供することである。さらに、本発明の別の目的は、上記化合物の調製方法およびその医薬用途を提供することである。
【0005】
本発明のもう1つの目的は、上記技術的課題の少なくとも1つを解決するために、トリプトリドの誘導体の調製方法を提供することである。
【0006】
本発明によるトリプトリドの誘導体は、具体的にアクリル酸トリプトリドおよびその薬学的に許容される塩であり、その構造式は式Iに示される。
【化1】
【0007】
本発明のアクリル酸トリプトリドの合成経路は、以下のとおりである。
【化2】

トリプトリドをアシル化試薬(塩化アクリロイル、臭化アクリロイル、アクリル酸グリコシド、アクリル酸またはその等価物の3-クロロプロピオニルクロリド)とともに、有機溶媒(無水ジクロロメタン、トリクロロメタン、テトラヒドロフラン、エーテル)に添加し、酸結合剤としてトリエチルアミン、トリメチルアミン、ピリジン、ジイソプロピルエチルアミン(DITEA)、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(DBU)、2,6-ジメチルピリジン、4-ジメチルアミノピリジン(DMAP)などの有機塩基を使用し、触媒として4-ジメチルアミノピリジン、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、1-ヒドロキシ-7-アザベンゾトリアゾール(HOAT)、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBT)、O-(ベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N',N'-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスファート(HBTU)、O-(ベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N',N'-テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート(TBTU)等を使用し、室温で1-4h(具体的には、2hであってもよい)撹拌し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液でクエンチ反応を行い、ジクロロメタン(または水との相溶性が悪い他の有機極性溶媒)で抽出し、水層はジクロロメタン(または水との相溶性が悪い他の有機極性溶媒)でさらに2回抽出してもよく、ジクロロメタン(または水との相溶性が悪い他の有機極性溶媒)の抽出液を混合し、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄して抽出液における水の大部分を除去し、さらに乾燥剤(無水硫酸ナトリウム、無水硫酸マグネシウム、無水塩化カルシウムなどの1つ以上の吸収剤)で乾燥し、減圧下で蒸発させ、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して式Iの化合物を得る。
【0008】
本発明に係るアクリル酸トリプトリドおよびその薬学的に許容される塩は、抗癌活性を有し、動物のin vivo実験において腫瘍の成長を効果的に阻害することができる。複数のin vitro実験により、p53のタンパク質表現の量を有意に増加させ、腫瘍細胞のアポトーシスを促進し、腫瘍細胞の成長を効果的に阻害することができ、癌細胞の転移を阻害する効果を有することが実証されている。さらに重要なのは、正常細胞に対する毒性がトリプトリドよりも低いということである。
【0009】
本発明では、標的タンパク質に優先的に結合する特異的な選択性を有する官能基をトリプトリドのC14-水酸基に導入することにより、その選択性が高まり、毒性が低減される。同時に、導入された官能基が適度な大きさを有する回転可能な柔性基であるため、12,13位のエポキシ環に対する一定の立体障害効果が生じ、その選択性を高め、毒性を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】アクリル酸トリプトリドのH NMRスペクトルである。
図2】アクリル酸トリプトリドの13C NMRスペクトルである。
図3】アクリル酸トリプトリドのDEPT135スペクトルである。
図4】ヌードマウス腫瘍の蛍光シグナルを示す図である。
図5】ヌードマウスの皮膚表面で観察された皮下移植腫瘍を示す図である。
図6】ヌードマウスを死なせてから剥がした腫瘍組織を示す図である。
図7】アポトーシスに関連する重要なタンパク質の表現に対するアクリル酸トリプトリドの影響を示す図である。
図8】LO2細胞に対する異なる濃度の薬剤の毒性作用を示す図である。
図9】肝臓癌細胞の増殖率に対する異なる濃度の薬剤の影響を示す図である。
図10】アクリル酸トリプトリドの濃度による肝臓癌細胞のアポトーシス誘導作用を示す図である。
図11】アクリル酸トリプトリドによる肝臓癌細胞の遊走阻害作用を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、具体的な実施例および添付図面を合わせて本発明をさらに詳細に説明する。
【化3】

103.4mg(0.287mmol)のトリプトリドおよび1.75mg(0.01435mmol)の4-ジメチルアミノピリジンを5mLの無水ジクロロメタンに溶かし、319.5mg(3.157mmol)のトリエチルアミンを添加し、氷浴で約0℃にし、259.7mg(2.87mmol)の塩化アクリロイルを滴下し、滴下後、徐々に室温に戻し、2h撹拌反応させ、TLCで反応の完了を検出すると、撹拌を停止し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液でクエンチ反応を行い、ジクロロメタンで抽出し、水層はジクロロメタンでさらに2回抽出し、ジクロロメタンの抽出液を混合し、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄してジクロロメタン抽出液における水の大部分を除去し、さらに無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で蒸発させ、薄層シリカゲルプレートの調製により分離を行い、展開剤として石油エーテル-酢酸エチル(2:1-1:1)を使用した後、無色透明な油状物32.1mgを収率約27.0%で得た。検出の結果、当該化合物の構造式は、式Iに示すように、アクリル酸トリプトリドである。
【0012】
図1-3に示すように、式Iの化合物は、分子式C2326、ESI-MS m/z:414.1679[M+H](理論値)である。
【0013】
H NMR(600MHz,CDCl3)δ6.54(d,J=16.1Hz,1H),6.23(dd,J=17.3,10.4Hz,1H),5.94(d,J=10.4Hz,1H),5.15(s,1H),4.77-4.61(m,2H),3.84(d,J=3.2Hz,1H),3.52(dd,J=30.8,4.2Hz,2H),2.70(d,J=13.3Hz,1H),2.32(d,J=18.3Hz,1H),2.18(d,J=26.5Hz,2H),1.90(d,J=39.2Hz,2H),1.59(dd,J=4.8,16.0Hz,1H),1.24(m,1H),1.06(s,3H),0.97(d,J=7.0Hz,3H),0.85(d,J=6.9Hz,3H).
13C NMR(151MHz,CDCl3)δ173.24,165.52,159.98,132.46(CH),127.78,125.63,71.13,69.98(CH),63.64,63.40,61.11,59.78,55.36,55.09,40.40,35.71,29.86(CH),28.33,23.47(CH),17.58,17.08(CH),16.76,13.74.
【0014】
一、アクリル酸トリプトリドによるヌードマウスHepG2皮下移植腫瘍の阻害試験
【0015】
1 実験材料
【0016】
1.1 実験動物:ヌードマウス、メス、4-6週、体重約18-20g、当該マウスは北京バイタルリバー実験動物技術有限公司(証明書番号:11400700270675)から購入した。
【0017】
1.2 細胞:HepG2細胞系;薬剤:上記実施例で合成されたアクリル酸トリプトリド。
【0018】
1.3 その他の実験用試薬および消耗品:
滅菌生理食塩水、手術用はさみ、鉗子、読み取り用ノギス(広州威佳科技有限公司)、1mLのシリンジ、綿棒。RPMI-1640培地、DMEM培地(Gbico、USA);牛胎児血清(Gibco、北米);ペニシリン(二重抗体)、0.25%トリプシン(EDTA含有);細胞アポトーシスキット、細胞周期キット(杭州聯科生物技術有限公司);細胞培養フラスコ、細胞培養皿(Coring、ニューヨーク・米国);2mLクライオチューブ(Coring、ロサンゼルス・米国);96ウェル細胞培養プレート、6ウェル細胞培養プレート(Coring、ロサンゼルス・米国)。RIPAライセート(強)、PMSFプロテアーゼ阻害剤、ホスファターゼタンパク質複合体阻害剤(広州鼎国生物技術公司);Tween 20(ST825、碧雲天、広州威佳科技有限公司)、SDS-PAGEゲルキット(碧雲天、広州威佳科技有限公司)、5×Loading Buffer(碧雲天、広州威佳科技有限公司);Prism Protein Marker(Thermo、米国);ECL化学発光液(P0018A、碧雲天、広州威佳科技有限公司);PVDF膜(碧雲天、広州威佳科技有限公司);薄型ろ紙、スポンジ、1.5μmのシート(Bio-Rad、米国);メタノール(シノファーム化学試薬有限公司);グリシン(青島生工生物科技有限公司)、SDS(北京バイオディー生物技術有限公司)、Tris Base(上海百研生物科技有限公司)、TBS粉末(碧雲天、広州威佳科技有限公司);脱脂粉乳(BD、UK)。
【0019】
1.4 実験装置・機器
最小表示0.1mgの天びん(北京雷多利斯科学儀器有限公司)、炭酸ガスインキュベーター(Shanghai Boxun Industry&Commerce Co.,Ltd.);セルクリーンベンチ(芸思高科技有限公司、シンガポール);低速ベンチトップ遠心分離機(DT5-3、北京時代北利遠心機有限公司);マイクロプレートリーダーVICTORX5型(米国、Perkinelmer);液体窒素タンク(Locator PLUS、米国)。多機能凍結遠心機(5430R、eppendorf、中国eppendorf有限公司)、電気泳動、膜移動装置(Bio-Rad、米国)、速度制御発振器(HS260、IKA上海聖科儀器設備有限公司)、恒温金属浴槽(Q872)、ゲル撮影装置(XR+)(Bio-Rad、上海Labaratories有限公司)、振盪機(SK-L330-Pro)。
【0020】
2 実験過程
【0021】
2.1 動物モデルの確立
ルシフェラーゼを安定的に発現するHepG2-Luc細胞株の確立:対数増殖期のHepG2細胞を1×10/ウェルで24ウェルプレートに撒き、細胞を壁に十分に付着させるように一晩培養した。元の培地を6μg/mL polybreneを含む新鮮な培地2mLに置き換え、ルシフェラーゼ(Luciferase)を安定的に発現する組換えレンチウイルス粒子を約1×10トランスフェクション単位加え、37℃で4hインキュベートした後、新鮮な培地を2mL加えてpolybreneを希釈した。引き続き培養し、ウイルスを含む培地を新鮮な培地と交換した。引き続き培養し、耐性スクリーニングのためにピューロマイシン(puromycin)を含む培地を交換し、耐性のあるものを選択してクローンし、2週間スクリーニングし続け、最終的にルシフェラーゼを安定的に発現できる細胞株HepG2-Lucを得た。
【0022】
HepG2-Luc細胞株を用いた担癌マウスの構築:凍結保存したHepG2-Luc細胞を100cmの培養フラスコに蘇生させ、対数増殖期までin vitroで培養し、EDTAを含む0.25%トリプシンで消化し、細胞を回収し、1000rpm、室温で3min遠心し、上清を捨て、無血清DMEM培地で細胞を洗い、トリパンブルー排除アッセイにより細胞の生存率を測定した(生存細胞の割合が95%を超える場合だけ実験条件を満たす)。無血清DMEM培地を少量加えて細胞を再懸濁させ、細胞を数えた。ヌードマウスの背部皮膚を75%アルコールで消毒し、1×10細胞を含む懸濁液を約200μL、ヌードマウスの右前腋窩に接種し、続いて無菌状態で飼育し、裸眼で見える皮下移植腫瘍の有無を観察した。
【0023】
小動物生体イメージングシステムを用いた腫瘍成長の検出:各ヌードマウスに150μL 30mg/kgのルシフェリン基質を腹腔内注射して15min観察し、誘導ボックスにおいてヌードマウスをエーテルにより5min麻酔した後、すぐ麻醉したヌードマウスを観察ボックスに移し、ヌードマウスの頭部を円錐形の鼻栓に合わせて固定し、パラメータを設定して蛍光イメージングを行い(腫瘍の成長があれば、対応する場所で強度の異なる蛍光シグナルが検出できる)、イメージング後、ヌードマウスを誘導ボックスに再移動し、酸素バルブを開いてヌードマウスを蘇生させた。
【0024】
2.2 動物の群分けと投与量
群分け:1週間後に全てのヌードマウスで皮下腫瘍が観察され、かつ小動物生体イメージング技術により腫瘍の成長が確認されたため、体重に応じてヌードマウスをソートして番号を付け、Excelソフトウェアを用いて18個の乱数を生成し、乱数とヌードマウス番号を1対1に対応させ、ヌードマウスを乱数の大きさに従ってモデル群、低用量群(100μg/kg)、中用量群(200μg/kg)および高用量群(400μg/kg)に均等に分割した。ランダムに群分けした後、ヌードマウスの体重および腫瘍体積を測定し、群間におけるヌードマウス体重と腫瘍体積の差異を統計学的に検証し、群間に差異がなく、バランスが良い場合は、群分けが正確になされていることが示される。
【0025】
投与方法:使い捨て滅菌シリンジを用いてアクリル酸トリプトリド溶液を腹腔内注射した。モデル群のヌードマウスには生理食塩水を、投与群には指定された用量でアクリル酸トリプトリド溶液を投与した。日に1回、13日間投与した。
【0026】
2.3 観察と記録
投与後、ヌードマウスに対して、毎日精神状態、活動性、食事、皮膚の色、糞便の性状などを日常的に観察し、ヌードマウスの体重を週に2回測定・記録して移植腫瘍の大きさを測定し、インビボイメージングを週に1回行って腫瘍の成長および遠隔転移状況をモニタリングし、投与終了まで3週間連続した。
【0027】
2.4 取材
投与終了後、動物を麻酔し、頚椎離断により死なせ、腫瘍体を完全に剥がし、腫瘍組織の大きさを測定して記録した。
【0028】
2.5 Western Blot
腫瘍組織を氷上で解凍した後、組織ホモジナイズチューブに50mg入れ、かつプロテアーゼ阻害剤およびホスファターゼ阻害剤を含む組織ライセートを500μL(Rocheブランドのタブレットの場合、1タブレット/10mLで)加えた。高速ホモジナイズ処理後、12000rpm/minで15min遠心し、上清を取り、BCA法により試料のタンパク質濃度を測定し、各試料の濃度を同じように調整した後、タンパク質ローディングバッファー5x Loading bufferを加え、100℃で10min変性させ、-80℃で保存した。
【0029】
適切なブランドの10%プレミックスポリアクリルアミドゲル調製液を選択し、使用説明書に従って実験に使用するゲルを配合し(セパレーターゲルとスタッキングゲルを含み、約2hかかる)、ゲル固化の過程ではSDS-PAGEゲル電気泳動液を予め配合しておき、配合したゲルを電気泳動槽に入れ、続いて電気泳動液を加え、試料添加槽の各ウェルに10-30μLの試料を添加し、80Vの低電圧で試料をスタッキングゲルに流し、次に電圧を100Vに調整して試料をゲル全体に流し、SDS-PAGEゲル電気泳動操作を完了させ、続いて、膜(PVDF膜、メタノールで5min予備湿潤したもの)の転写を300mAで120-150min行い(分子量100kDaを分割線として転写時間を選択し、分子量100kDa未満の場合120min、分子量100kDa以上の場合150min転写する)、転写終了後、5%脱脂乳で2hブロッキングした後、対応するストリップに応じて4℃の冷蔵庫で一次抗体を一晩インキュベートし、翌日、結合しなかった一次抗体をTBST洗浄液で除去し(1回に5min、5回洗浄した)、二次抗体を37℃で2hインキュベートし、結合しなかった二次抗体をTBST洗浄液で除去し(1回に5min、5回洗浄した)、ECL発光液を基質として目標ストリップを露出させ、分析・記録して結果を統計した。
【0030】
3 結果と分析
【0031】
3.1 本実験では、ルシフェラーゼを安定的に発現できる肝臓癌細胞株HepG2-Lucを確立し、当該細胞を用いてヌードマウス皮下肝癌移植腫瘍モデルを構築した。
【0032】
実験では、ヌードマウスをモデル群(Model)、低用量群(TPO-L)、中用量群(TPO-M)および高用量群(TPO-H)の4群にランダムに分け、13日間の連続投与後にヌードマウスを死なせて移植腫瘍組織および組織標本を得た。実験では、小動物生体イメージング技術を用いて腫瘍の成長を観察し、図4に示すように、各用量投与群のヌードマウスの腫瘍における蛍光シグナルは、モデル群と比較して有意に低減され、かつ用量依存的であり、また、高用量群ではより有意に低減され、アクリル酸トリプトリド(式I化合物)が腫瘍内の肝臓癌細胞の増殖を有意に阻害できることが示唆された。図5に示すように、ヌードマウスの皮下移植腫瘍と皮膚表面から、投与群(特に高用量群)の腫瘍体積がモデル群に比べ有意に小さく、かつ用量依存的であることが分かった。同様に、図6に示すように、ヌードマウスを死なせた後剥がした腫瘍組織は、投与群の腫瘍体積がモデル群より小さく、アクリル酸トリプトリドのin vivoでの抗肝臓癌効果がさらに検証された。
【0033】
3.2 本実験では、アポトーシスに関連する重要なタンパク質表現に対するアクリル酸トリプトリドの影響も観察された。
【0034】
p53は、遺伝子の修復、細胞周期進行の制御、細胞アポトーシスの誘導など様々な生物学的機能を有する非常に重要な癌抑制遺伝子であり、セリン部位でのリン酸化は細胞アポトーシスを促進する役割を果たす。Caspase-8およびcaspase-3は、caspaseカスケード反応でそれぞれイニシエーターとエクゼキューターとして重要な役割を果たし、細胞アポトーシス発生のための重要なステップであり、全てのアポトーシスシグナルに共通の経路でもある。図7に示すように、高用量群ではp53のタンパク質表現量が有意に増加したが、低中用量群および中用量群では有意な変化が見られなかった。中用量群ではcaspase-8のタンパク質表現量が有意に増加したが、低用量群および高用量群ではその表現量が減少した。caspase-3のタンパク質表現量は、中用量群および高用量群で有意に増加し、低用量群で減少した。
【0035】
二、肝臓癌細胞の増殖およびアポトーシスに対するアクリル酸トリプトリドの作用
【0036】
1 実験材料
【0037】
1.1 細胞株および薬剤
本実験で使用されたLO2、HepG2、Hep3B、SMMC-7721、BEL-7402細胞は全てATCCから購入した。細胞は、10%牛胎児血清、1×10U・L-1ペニシリン、100mg・L-1ストレプトマイシンを含むDMEM完全培地を用いて、5% CO、37℃および飽和湿度にて培養した。
【0038】
1.2 試薬
牛胎児血清、DMEM培地、ペニシリン、ストレプトマイシン二重抗体(米国 Gibco公司);AnnexinV-FITC/PIアポトーシス検出キット、ECL検出キット(Keygen生物);MMTキット、BCAタンパク質濃度測定キット、SDS-PAGEタンパク質ローディングバッファー、PMSF、NP40ライセート(碧雲天);β-actin、Caspase-3、cleaved-Caspase-3、PARP、cleaved-PARP抗体および二次抗体(米国CST公司)。
【0039】
1.3 装置 Heal Force バイオセーフティキャビネット、NEW Brunswick炭酸ガスインキュベーター、Roche生化学分析装置、倒立顕微鏡、BDフローサイトメーター、Bio-radタンパク質電気泳動システム、BioTek Epochマイクロプレートリーダーなど。
【0040】
2 実験方法
【0041】
2.1 細胞毒性実験
対数成長したLO2細胞を採取し、96ウェルプレートに1×10個/ウェルで接種した。最終濃度0、10、50、100nMの薬剤で細胞をそれぞれ処理し、24時間後に培養上清を回収し、Roche生化学分析装置を用いて培養上清のLDH活性を検出した。
【0042】
2.2 MMT法による細胞増殖の検出
肝臓癌細胞が対数期まで成長した時、単一細胞懸濁液を96ウェルプレートに1×10個/ウェルで接種した。ブランク群は10%牛胎児血清を含むDMEM培地、対照群は溶媒対照(DMSO)添加細胞群、実験群は異なる最終濃度(10、25、50、100nM)の薬剤で処理した細胞群である。24時間処理後、培地上清を用心深く吸引して除去し、培地で希釈した最終濃度0.5mg・L-1のMTT溶液100μLを各ウェルに加え、細胞を4時間培養した後、培地を捨て、各ウェルに150μLのDMSO溶液を加え、光を避けて振盪機に置いて低速で10分間振り、結晶物を十分に溶解させた後、マイクロプレートリーダーを用いて各ウェルの吸光度(A)を490nmで測定した。細胞増殖阻害率=[(対照群A450-ブランク群A450)-(実験群A450-ブランク群A450)/(対照群A450-ブランク群A450)]×100%。
【0043】
2.3 フローサイトメトリーによる細胞アポトーシスの検出
対数増殖期の肝臓癌細胞を採取し、12ウェルプレートに5×10個/ウェルで接種した。最終濃度0、50、100nMのアクリル酸トリプトリド(以下、TPOと略称)およびトリプトリドトリオール(以下、TP-3-OHと略称)で細胞を処理した。24時間処理後、0.25%のEDTAフリートリプシンで細胞を消化して収集し、予め冷却したPBSで2回洗浄し、かつ300μL 1×Binding Bufferで細胞を再懸濁した。各チューブの細胞懸濁液に5μL FITC Annexin Vおよび5μL PIを加え、光を避けて室温で5分間インキュベートし、1時間以内にフローサイトメトリーで検出した。
【0044】
2.4 Western blotによるアポトーシス関連タンパク質の検出
対数増殖期のBEL-7402細胞を採取し、12ウェルプレートに5×10個/ウェルで接種した。最終濃度0、50、100nMのTPOで細胞を処理した。24時間処理後、細胞を収集してからライセートを加え、氷上で十分に分解した後全タンパク質を抽出した。BCA法によりタンパク質濃度を測定した後、Loading bufferを加え、100℃で10分間煮沸させることにより、タンパク質を十分に変性させた。変性した試料をSDS-PAGEゲル電気泳動にかけ、かつPVDF膜に電気転写した。転写したPVDF膜は、TBSTで配合した5%BSA溶液を用いて室温で1時間ブロッキングし、対応する一次抗体で4℃で一晩インキュベートし、TBSTで洗浄し、二次抗体で室温で2時間インキュベートし、TBSTで再度洗浄し、最後にECL化学発光液を加えて膜ストリップを発光させ、且つ感光性フィルムでプレス、現像、定着を行って電気泳動の結果を得て、異なる処理群間のアポトーシス関連タンパク質の変化傾向を観察した。
【0045】
2.5 スクラッチ実験
対数増殖期のHuh7細胞を採取し、24ウェルプレートに5×10個/ウェルで接種した。完全に増殖したら、滅菌したピペットチップで引っ掻き、PBSで細胞を3回洗浄し、引っ掻いた細胞を除去し、且つ50nM TPOを含む無血清培地を加えて24、48時間培養し続け、写真を撮った。スクラッチの写真をImage Jソフトウェアで分析し、スクラッチの距離を計算し、スクラッチの治癒状況を評価した。
【0046】
3 結果の処理と分析
【0047】
3.1 統計学的分析
SPSS 16.0ソフトウェアで結果を分析した。統計データは、平均値±標準偏差(x±s)として表された。データは最初に正規性と等分散性の検定を行い、群間の比較は一元配置分散分析またはt検定で行い、P<0.05の場合は統計的に有意であると見なされた。
【0048】
3.2 正常肝細胞に対するTPL(トリプトリド)、TP-3-OH、TPOの毒性比較
図8の細胞毒性アッセイの結果、TPLで処理したLO2細胞培養上清のLDH活性は有意に増加したが、TP-3-OH、TPO処理群の上清のLDH活性はTPL処理群より有意に低く、肝細胞に対するTP-3-OH、TPOの毒性がトリプトリドより明らかに低いことが示された。
【0049】
3.3 肝臓癌細胞の増殖に対するTP-3-OH、TPOの阻害作用
図9のMTTアッセイの結果、TPOはHepG2、Hep3B、SMMC-7721、BEL-7402の4種類の肝臓癌細胞の増殖を有意に阻害し、かつ用量依存性を示し、TPOが肝臓癌細胞の増殖を阻害する作用を有することが示された。TP-3-OHは肝臓癌細胞の増殖に対して有意な阻害作用を示さなかった。
【0050】
3.4 TPOによる肝臓癌細胞のアポトーシスの誘導作用
図10のフロー結果から、Hep3BおよびBEL-7402の2種類の肝臓癌細胞のAnnexin VとPI陽性細胞の割合がTPO処理後に有意に増加したこと(A)が示され、図10のwestern blot結果から、BEL-7402細胞Caspase-3およびPARPのせん断がTPO処理後に有意に増加したこと(B)が示され、TPOには肝臓癌細胞のアポトーシス誘導効果があることが示唆された。TP-3-OHによる肝臓癌細胞のアポトーシス誘導は有意ではなかった(結果は示さない)。
【0051】
3.5 TPOによる肝臓癌細胞遊走の阻害作用
図11のスクラッチ実験の結果、TPOはHuh7細胞の遊走を有意に阻害でき、かつその差は統計的に有意であったことから(P<0.05)、TPOには肝臓癌細胞の転移を阻害する作用がある可能性が示唆された。
【0052】
上記は本発明のいくつかの実施形態に過ぎない。当業者であれば、本発明の創造的思想を逸脱することなく、多くの変形や改良が可能であり、これらは本発明の保護範囲に含まれる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【手続補正書】
【提出日】2022-06-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iで示される化合物またはその薬学的に許容される塩である、ことを特徴とするアクリル酸トリプトリド。
【化1】
【請求項2】
(1)トリプトリド、アシル化試薬を有機溶媒に加え、4-ジメチルアミノピリジンを触媒とし、トリエチルアミンを酸結合剤とし、室温で1-4h撹拌し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液でクエンチ反応を行うステップと、
(2)ジクロロメタンで抽出し、飽和塩化ナトリウム水溶液で抽出液を洗浄し、さらに乾燥剤で乾燥し、減圧下で蒸発させ、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製してアクリル酸トリプトリドを得るステップとを含む、ことを特徴とする請求項1に記載のアクリル酸トリプトリドの調製方法。
【請求項3】
ステップ(1)は、
トリプトリド、4-ジメチルアミノピリジンを有機溶媒に溶かし、トリエチルアミンを添加し、氷浴で約0℃にし、アシル化試薬を滴下し、滴下後徐々に室温に戻し、1-4h撹拌し、TLCで反応の完了を検出すると、撹拌を停止し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液でクエンチ反応を行うステップであり得る、ことを特徴とする請求項2に記載のアクリル酸トリプトリドの調製方法。
【請求項4】
ステップ(2)は、
ジクロロメタンで抽出し、水層はジクロロメタンでさらに2回抽出し、3回で得たジクロロメタン抽出液を混合し、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、さらに乾燥剤で乾燥し、減圧下で蒸発させ、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製してアクリル酸トリプトリドを得るステップであり得る、ことを特徴とする請求項2に記載のアクリル酸トリプトリドの調製方法。
【請求項5】
前記アシル化試薬は、塩化アクリロイル、臭化アクリロイル、アクリル酸無水物、アクリル酸の1つまたは2つ以上である、ことを特徴とする請求項2-4のいずれか一項に記載のアクリル酸トリプトリドの調製方法。
【請求項6】
前記有機溶媒は、無水ジクロロメタン、トリクロロメタン、テトラヒドロフランまたはエーテルである、ことを特徴とする請求項5に記載のアクリル酸トリプトリドの調製方法。
【請求項7】
前記乾燥剤は、無水硫酸ナトリウム、無水硫酸マグネシウムおよび無水塩化カルシウムの1つまたは2つ以上である、ことを特徴とする請求項6に記載のアクリル酸トリプトリドの調製方法。
【請求項8】
抗癌剤の調製における請求項1に記載のアクリル酸トリプトリドの使用。
【国際調査報告】