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特表2023-503540リボフラビンを含むマルチユニットペレットシステム錠剤
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-31
(54)【発明の名称】リボフラビンを含むマルチユニットペレットシステム錠剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/525 20060101AFI20230124BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20230124BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20230124BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20230124BHJP
   A61K 47/44 20170101ALI20230124BHJP
   A61K 47/40 20060101ALI20230124BHJP
   A61K 31/52 20060101ALI20230124BHJP
   A61K 31/522 20060101ALI20230124BHJP
   A61K 47/42 20170101ALI20230124BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20230124BHJP
   A61K 9/16 20060101ALI20230124BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20230124BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230124BHJP
   A61K 9/26 20060101ALI20230124BHJP
【FI】
A61K31/525
A61K47/38
A61K47/32
A61K47/36
A61K47/44
A61K47/40
A61K31/52
A61K31/522
A61K47/42
A61P1/04
A61K9/16
A61K9/20
A61P43/00 121
A61K9/26
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022523205
(86)(22)【出願日】2020-11-23
(85)【翻訳文提出日】2022-06-15
(86)【国際出願番号】 EP2020083016
(87)【国際公開番号】W WO2021105040
(87)【国際公開日】2021-06-03
(31)【優先権主張番号】19211703.4
(32)【優先日】2019-11-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503220392
【氏名又は名称】ディーエスエム アイピー アセッツ ビー.ブイ.
【氏名又は名称原語表記】DSM IP ASSETS B.V.
【住所又は居所原語表記】Het Overloon 1, NL-6411 TE Heerlen,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(72)【発明者】
【氏名】フンダ, エルガー
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA31
4C076AA36
4C076AA41
4C076BB01
4C076CC21
4C076EE12H
4C076EE15H
4C076EE30H
4C076EE33H
4C076EE36H
4C076EE39H
4C076EE41
4C076EE51H
4C076FF05
4C076FF51
4C076FF52
4C076FF53
4C076GG16
4C086AA01
4C086AA02
4C086CB07
4C086MA03
4C086MA05
4C086MA35
4C086NA12
4C086NA15
4C086ZA68
(57)【要約】
本発明は、特定の栄養成分(栄養補助成分)及び/又は医薬化合物の新規製剤に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マルチユニットペレットシステムであって、少なくとも2種の異なるペレット、
(a)ペレット(a)の総重量を基準としてリボフラビンを10~90wt%含む、前記ペレット(ペレット(a))と、
(b)少なくとも1種のチオプリン並びに/又はその少なくとも薬学的に許容される塩及び/若しくはその少なくとも1種のプロドラッグを含む粒子(粒子(b))とを含み、
前記ペレット(a)がコーティングされている、マルチユニットペレットシステム。
【請求項2】
前記少なくとも1種のチオプリン並びに/又はその少なくとも薬学的に許容される塩及び/若しくはその少なくとも1種のプロドラッグが、6-メルカプトプリン、アザチオプリン及びチオグアニンからなる群から選択される、請求項1に記載のマルチユニットペレットシステム。
【請求項3】
錠剤の形態である、請求項1又は2に記載のマルチユニットペレットシステム。
【請求項4】
少なくとも1種の補助成分を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のマルチユニットペレットシステム。
【請求項5】
前記少なくとも1種の補助成分が、結合剤、充填剤、潤滑剤、タンパク質、色素、香味料、甘味料、ミネラル、及び酸化防止剤からなる群から選択されるが、これらに限定されない、請求項4に記載のマルチユニットペレットシステム。
【請求項6】
前記補助成分の総量が、前記MUPS錠剤の総重量を基準として最大99wt%である、請求項4又は5に記載のマルチユニットペレットシステム。
【請求項7】
前記コーティング材料が、酢酸フタル酸セルロース(CAP)(Aquateric(登録商標))、ポリ酢酸フタル酸ビニル(PVAP)(コーテリック(Coateric)(登録商標))、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMCP)、並びにメタクリル酸コポリマー、セラック、脂肪、アルギネート、キトサン、ペクチン、シクロデキストリン及び他のゴムからなる群から選択される、請求項1~6のいずれか一項に記載のマルチユニットペレットシステム。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載のマルチユニットペレットシステムの製造方法であって、
(i)前記ペレット(a)と、前記粒子(b)とを製造する工程と、
(ii)前記ペレット(a)と、任意選択により前記粒子(b)とをコーティングする工程と、
(iii)前記ペレットと前記粒子とを混合する工程と、
(iv)任意選択により、前記錠剤を形成するのに有用な、又は所望の、他の成分を添加する工程と、
(v)工程(iii)又は工程(iv)で得られた前記混合物を圧縮して錠剤にする工程とを含む方法。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、特定の栄養成分(栄養補助成分)及び/又は医薬化合物の新規製剤に関する。
【0002】
本発明は、(チオプリン並びに/又はその少なくとも薬学的に許容される塩及び/若しくはその少なくとも1種のプロドラッグなどの)IBD(の症状)を治療するのに使用されるリボフラビン(栄養成分として)並びに(通常は)医薬化合物を含む製剤(主に経口摂取用)に関する。
【0003】
リボフラビン(ビタミンB2としても知られている)を製剤に使用する場合、これを水に溶解させる又は水と接触させると濃い黄色を呈する。このことは、そのような製剤を摂取する患者の口及び/又は舌に、好ましくない着色をもたらす。
【0004】
本発明の目的は、上記に言及される不利益のない、高濃度のリボフラビンを有する(主に経口摂取用の)製剤を提供することであった。
【0005】
望ましくない着色がもたらされる問題を解決するために、経口摂取用製剤(通常は錠剤)をコーティングすることができる。しかしながら、小腸又は大腸に送達される特定の栄養成分(栄養補助成分)及び/又は医薬化合物の場合、錠剤を常にコーティングすることは、例えば胃の滞留時間が大きく変動し又は過量放出効果が生じるため、理想的な解決方法でない場合がある。
【0006】
上記で説明した不利益が存在しない製剤が必要とされている。
【0007】
従って、リボフラビン粒子がコーティングされたマルチユニットペレットシステム(MUPS)を使用することで、(IBD薬と併用する)リボフラビンの着色についての問題を解決できることが判明した。そのような製剤のリボフラビンは、高濃度で使用することができる。
【0008】
リボフラビンは、ビタミンB2としても知られており、ヒト及び他の哺乳動物の健康の維持において重要な役割をもつ微量栄養素である。リボフラビンは、補因子FAD及びFMNの中心的構成成分であり、従って、全てのフラビンタンパク質に必要なものである。このため、リボフラビンは、多岐にわたる細胞プロセスに必要なものである。リボフラビンは、エネルギー代謝において、並びに脂肪、ケトン体、炭水化物、及びタンパク質の代謝に重要な役割を果たす。リボフラビンは、アスパラガス、ポップコーン、バナナ、カキ、オクラ、フダンソウ、カッテージチーズ、乳、ヨーグルト、肉、卵、魚、及びインゲンの中に天然に見られるものである。他の源としては、チーズ、葉物野菜、肝臓、腎臓、マメ科植物、トマト、酵母、キノコ、及びアーモンドが挙げられる。近年では、リボフラビンは、健康な腸のマーカー菌種であるフィーカリバクテリウム・プラウスニッツイ(Faecalibacterium prausnitzii)の増殖に有益な影響を及ぼすことが示されている。
【0009】
チオプリン薬は、即ち炎症性腸疾患(IBD)の治療に広く使用されるプリン代謝拮抗剤である。
【0010】
チオプリンは、例えば以下のような様々な活性化合物を含む。
6-メルカプトプリン(6-MP)、別名メルカプトプリンは、中でも即ちPurinetholの商品名で販売されている。これは経口で投与される。
アザチオプリン(AZA)、中でもイムラン(Imuran)の商品名で販売されているもの。これは経口で投与される(又は静脈内に注射される)。
チオグアニン(thioguanine)、別名チオグアニン(tioguanine)又は6-チオグアニン(6-TG)は、中でも即ちLanvisの商品名で販売されている。これは経口で投与される。
【0011】
必要であれば、そのようなIBD薬の混合物も使用することができる。
【0012】
マルチユニットペレットシステム(MUPS)は、医薬用途の分野でよく知られている。それらは、多くの特許出願及び学術論文に記載されている。MUPSの製造についても記載があり、よく知られている。治療上の剤形としてのMUPSは、例えば、それ自体で小袋内の顆粒として使用することができるか、又は錠剤若しくはカプセル剤のような他の剤形に組み込むことができる。
【0013】
本発明は、少なくとも2種の異なる粒子、
(a)ペレット(a)の総重量を基準としてリボフラビンを10~90重量%(wt%)含む、ペレット(ペレット(a))と、
(b)少なくとも1種のチオプリン並びに/又はその少なくとも薬学的に許容される塩及び/若しくはその少なくとも1種のプロドラッグを含む、粒子(粒子(b))とを含み、
ペレット(a)がコーティングされている、マルチユニットペレットシステム(MU)に関する。
【0014】
マルチユニットペレットシステム中のリボフラビンの含有量は通常、マルチユニットペレットシステムの総重量を基準として常に少なくとも1wt%である。通常は1~50wt%であり、好ましくは2~40wt%であり、より好ましくは4~35wt%である。
【0015】
従って、本発明は、マルチユニットペレットシステム(MU’)であって、マルチユニットペレットシステム中のリボフラビンの含有量が、マルチユニットペレットシステムの総重量を基準として少なくとも1wt%であるマルチユニットペレットシステム(MU)に関する。
【0016】
従って、本発明は、マルチユニットペレットシステム(MU’’)であって、マルチユニットペレットシステム中のリボフラビンの含有量が、マルチユニットペレットシステムの総重量を基準として1~50wt%であるマルチユニットペレットシステム(MU)に関する。
【0017】
従って、本発明は、マルチユニットペレットシステム(MU’’’)であって、マルチユニットペレットシステム中のリボフラビンの含有量が、マルチユニットペレットシステムの総重量を基準として2~40wt%であるマルチユニットペレットシステム(MU)に関する。
【0018】
従って、本発明は、マルチユニットペレットシステム(MU’’’’)であって、マルチユニットペレットシステム中のリボフラビンの含有量が、マルチユニットペレットシステムの総重量を基準として4~35wt%であるマルチユニットペレットシステム(MU)に関する。
【0019】
好ましい実施形態は、少なくとも1種のチオプリン並びに/又はその少なくとも薬学的に許容される塩及び/若しくはその少なくとも1種のプロドラッグが、6-メルカプトプリン、アザチオプリン及びチオグアニンからなる群から選択されるマルチユニットペレットシステムである。
【0020】
従って、本発明は、マルチユニットペレットシステム(MU1)であって、少なくとも1種のチオプリン並びに/又はその少なくとも薬学的に許容される塩及び/若しくはその少なくとも1種のプロドラッグが、6-メルカプトプリン、アザチオプリン及びチオグアニンからなる群から選択されるマルチユニットペレットシステム(MU)、(MU’)、(MU’’)、(MU’’’)又は(MU’’’’)である。
【0021】
ペレット(a)は、ペレット(a)の総重量を基準としてリボフラビンを10~90wt%含む。好ましくは、15~75wt%である。
【0022】
ペレット(a)は、ペレットを形成するのに一般的に用いられる任意の他の成分を含み得る。そのような成分は、当技術分野で公知である。
【0023】
従って、本発明は、マルチユニットペレットシステム(MU2)であって、ペレット(a)が、ペレット(a)の総重量を基準としてリボフラビンを15~75wt%含むマルチユニットペレットシステム(MU)、(MU’)、(MU’’)、(MU’’’)、(MU’’’’)、又は(MU1)に関する。
【0024】
従って、本発明は、マルチユニットペレットシステム(MU2’)であって、ペレット(a)が、ペレット(a)の総重量を基準としてリボフラビンを15~70wt%含むマルチユニットペレットシステム(MU)、(MU’)、(MU’’)、(MU’’’)、(MU’’’’)、又は(MU1)に関する。
【0025】
本発明によるマルチユニットペレットシステムでは、ペレット(a)と粒子(b)の重量比を変動させることができる。通常では、重量比は5:1~1:5、好ましくは4:1~1:4、より好ましくは3:1~1:3となり、特に2:1~1:2が好ましい。1:1の重量比も好ましい。
【0026】
上述したように、本発明によるマルチユニットペレットシステム中のリボフラビンの全体的な含有量は、マルチユニットペレットシステムの総重量を基準として常に少なくとも1wt%である。通常は1~50wt%であり、好ましくは2~40wt%であり、より好ましくは4~35wt%である。
【0027】
本発明によるマルチユニットペレットシステムのいずれかのチオプリンの全体的な含有量は、有効となる十分な量が存在するように選択される(この量はまた、MUPSの用量に依存し、このことは1日当たり/1週間当たりに摂取すべき量を意味する。)
【0028】
従って、本発明は、マルチユニットペレットシステム(MU3)であって、ペレット(a)と粒子(b)の重量比が5:1~1:5である、マルチユニットペレットシステム(MU)、(MU’)、(MU’’)、(MU’’’)、(MU’’’’)、(MU1)、(MU2)又は(MU2’)に関する。
【0029】
従って、本発明は、マルチユニットペレットシステム(MU3’)であって、ペレット(a)と粒子(b)の重量比が4:1~1:4である、マルチユニットペレットシステム(MU)、(MU’)、(MU’’)、(MU’’’)、(MU’’’’)、(MU1)、(MU2)又は(MU2’)に関する。
【0030】
従って、本発明は、マルチユニットペレットシステム(MU3’’)であって、ペレット(a)と粒子(b)の重量比が3:1~1:3である、マルチユニットペレットシステム(MU)、(MU’)、(MU’’)、(MU’’’)、(MU’’’’)、(MU1)、(MU2)又は(MU2’)に関する。
【0031】
従って、本発明は、マルチユニットペレットシステム(MU3’’’)であって、ペレット(a)と粒子(b)の重量比が2:1~1:2である、マルチユニットペレットシステム(MU)、(MU’)、(MU’’)、(MU’’’)、(MU’’’’)、(MU1)、(MU2)又は(MU2’)に関する。
【0032】
従って、本発明は、マルチユニットペレットシステム(MU3’’’’)であって、ペレット(a)と粒子(b)の重量比が1:1~1:1である、マルチユニットペレットシステム(MU)、(MU’)、(MU’’)、(MU’’’)、(MU’’’’)、(MU1)、(MU2)又は(MU2’)に関する。
【0033】
本発明の更なる実施形態はまた、少なくとも2種の異なる粒子、
(a)ペレット(a)の総重量を基準としてリボフラビンを10~90wt%含む、ペレット(ペレット(a))と、
(b)少なくとも1種のチオプリン並びに/又はその少なくとも薬学的に許容される塩及び/若しくはその少なくとも1種のプロドラッグを含む、粒子(粒子(b))とを含み、
ペレット(a)がコーティングされており、
任意のアミノサリチル酸、又はその任意の薬学的に許容可能な塩若しくはその任意の1種のプロドラッグフリーである(それらを含まない)、マルチユニットペレットシステム(MU4)に関する。
【0034】
マルチユニットペレットシステム(MU4)中のリボフラビンの含有量は通常、マルチユニットペレットシステムの総重量を基準として常に少なくとも1wt%である。
【0035】
マルチユニットペレットシステム中のリボフラビンの含有量は通常、マルチユニットペレットシステムの総重量を基準として常に少なくとも1wt%である。通常は1~50wt%であり、好ましくは2~40wt%であり、より好ましくは4~35wt%である。
【0036】
従って、本発明は、マルチユニットペレットシステム(MU4’)であって、マルチユニットペレットシステム中のリボフラビンの含有量が、マルチユニットペレットシステムの総重量を基準として少なくとも1wt%であるマルチユニットペレットシステム(MU4)に関する。
【0037】
従って、本発明は、マルチユニットペレットシステム(MU4’’)であって、マルチユニットペレットシステム中のリボフラビンの含有量が、マルチユニットペレットシステムの総重量を基準として1~50wt%であるマルチユニットペレットシステム(MU4)に関する。
【0038】
従って、本発明は、マルチユニットペレットシステム(MU4’’’)であって、マルチユニットペレットシステム中のリボフラビンの含有量が、マルチユニットペレットシステムの総重量を基準として2~40wt%であるマルチユニットペレットシステム(MU4)に関する。
【0039】
従って、本発明は、マルチユニットペレットシステム(MU4’’’’)であって、マルチユニットペレットシステム中のリボフラビンの含有量が、マルチユニットペレットシステムの総重量を基準として4~35wt%であるマルチユニットペレットシステム(MU4)に関する。
【0040】
ペレット(a)は、ペレット(a)の総重量を基準としてリボフラビンを10~90wt%含む。好ましくは、15~75wt%である。
【0041】
ペレット(a)は、ペレットを形成するのに一般的に用いられる任意の他の成分を含み得る。そのような成分は、当技術分野で公知である。
【0042】
従って、本発明は、マルチユニットペレットシステム(MU5)であって、ペレット(a)が、ペレット(a)の総重量を基準としてリボフラビンを15~75wt%含むマルチユニットペレットシステム(MU4)、(MU4’)、(MU4’’)、(MU4’’’)、又は(MU4’’’’)に関する。
【0043】
従って、本発明は、マルチユニットペレットシステム(MU5’)であって、ペレット(a)が、ペレット(a)の総重量を基準としてリボフラビンを15~70wt%含むマルチユニットペレットシステム(MU4)、(MU4’)、(MU4’’)、(MU4’’’)、又は(MU4’’’’)に関する。
【0044】
本発明によるマルチユニットペレットシステムでは、ペレット(a)と粒子(b)の重量比を変動させることができる。通常では、重量比は5:1~1:5、好ましくは4:1~1:4、より好ましくは3:1~1:3となり、特に2:1~1:2が好ましい。1:1の重量比も好ましい。
【0045】
上述したように、本発明によるマルチユニットペレットシステム中のリボフラビンの全体的な含有量は、マルチユニットペレットシステムの総重量を基準として常に少なくとも1wt%である。通常は1~50wt%であり、好ましくは2~40wt%であり、より好ましくは4~35wt%である。
【0046】
従って、本発明は、マルチユニットペレットシステム(MU6)であって、ペレット(a)と粒子(b)の重量比が5:1~1:5である、マルチユニットペレットシステム(MU4)、(MU4’)、(MU4’’)、(MU4’’’)、(MU4’’’’)、(MU5)又は(MU5’)に関する。
【0047】
従って、本発明は、マルチユニットペレットシステム(MU6’)であって、ペレット(a)と粒子(b)の重量比が4:1~1:4である、マルチユニットペレットシステム(MU4)、(MU4’)、(MU4’’)、(MU4’’’)、(MU4’’’’)、(MU5)又は(MU5’)に関する。
【0048】
従って、本発明は、マルチユニットペレットシステム(MU6’’)であって、ペレット(a)と粒子(b)の重量比が3:1~1:3である、マルチユニットペレットシステム(MU4)、(MU4’)、(MU4’’)、(MU4’’’)、(MU4’’’’)、(MU5)又は(MU5’)に関する。
【0049】
従って、本発明は、マルチユニットペレットシステム(MU6’’’)であって、ペレット(a)と粒子(b)の重量比が2:1~1:2である、マルチユニットペレットシステム(MU4)、(MU4’)、(MU4’’)、(MU4’’’)、(MU4’’’’)、(MU5)又は(MU5’)に関する。
【0050】
従って、本発明は、マルチユニットペレットシステム(MU6’’’’)であって、ペレット(a)と粒子(b)の重量比が1:1~1:1である、マルチユニットペレットシステム(MU4)、(MU4’)、(MU4’’)、(MU4’’’)、(MU4’’’’)、(MU5)又は(MU5’)に関する。
【0051】
更に、本発明はまた、少なくとも2種の異なる粒子、
(a)リボフラビンを含む、ペレット(ペレット(a))と、
6-メルカプトプリン、アザチオプリン、及びチオグアニンからなる群から選択される少なくとも1種のチオプリン、並びに/又はその少なくとも薬学的に許容される塩及び/若しくはその少なくとも1種のプロドラッグからなる、粒子(粒子(b))とを含み、
ペレット(a)がコーティングされている、マルチユニットペレットシステム(MU7)に関する。
【0052】
更に、本発明はまた、少なくとも2種の異なる粒子、
(a)リボフラビンを含む、ペレット(ペレット(a))と、
6-メルカプトプリン、並びに/又はその少なくとも薬学的に許容される塩及び/若しくはその少なくとも1種のプロドラッグからなる、粒子(粒子(b))とを含み、
ペレット(a)がコーティングされている、マルチユニットペレットシステム(MU8)に関する。
【0053】
更に、本発明はまた、少なくとも2種の異なる粒子、
(a)リボフラビンを含む、ペレット(ペレット(a))と、
アザチオプリン、並びに/又はその少なくとも薬学的に許容される塩及び/若しくはその少なくとも1種のプロドラッグからなる、粒子(粒子(b))とを含み、
ペレット(a)がコーティングされている、マルチユニットペレットシステム(MU9)に関する。
【0054】
更に、本発明はまた、少なくとも2種の異なる粒子、
(a)リボフラビンを含む、ペレット(ペレット(a))と、
チオグアニン、並びに/又はその少なくとも薬学的に許容される塩及び/若しくはその少なくとも1種のプロドラッグからなる、粒子(粒子(b))とを含み、
ペレット(a)がコーティングされている、マルチユニットペレットシステム(MU10)に関する。
【0055】
マルチユニットペレットシステム(MU7)、(MU8)、(MU9)及び(MU10)中のリボフラビンの含有量は通常、マルチユニットペレットシステムの総重量を基準として常に少なくとも1wt%である。通常は1~50wt%であり、好ましくは2~40wt%であり、より好ましくは4~35wt%である。
【0056】
(MU7)、(MU8)、(MU9)及び(MU10)のペレット(a)は、ペレット(a)の総重量を基準としてリボフラビンを10~90wt%含む。好ましくは、15~75wt%である。
【0057】
マルチユニットペレットシステム(MU7)、(MU8)、(MU9)及び(MU10)では、ペレット(a)と粒子(b)の重量比を変動させることができる。通常では、重量比は5:1~1:5、好ましくは4:1~1:4、より好ましくは3:1~1:3となり、特に2:1~1:2が好ましい。1:1の重量比も好ましい。
【0058】
上述したように、本発明によるマルチユニットペレットシステム中のリボフラビンの全体的な含有量は、マルチユニットペレットシステムの総重量を基準として常に少なくとも1wt%である。通常は1~50wt%であり、好ましくは2~40wt%であり、より好ましくは4~35wt%である。
【0059】
粒子(b)は、少なくとも1種のチオプリン並びに/又はその少なくとも薬学的に許容される塩及び/若しくはその少なくとも1種のプロドラッグを含む任意の種類の粒子(粉末、顆粒、ビートレット及びペレット、並びにそれらの任意の混合物など)であってよく、粒子(b)の総重量を基準として、少なくとも1種のチオプリン並びに/又はその少なくとも薬学的に許容される塩及び/若しくはその少なくとも1種のプロドラッグを0.5~95wt%含み得る。好ましくは1~50wt%である。(含有量は粒子の種類に依存する(例えば、粉末はビートレットよりも含有量がはるかに多い))。
【0060】
従って、本発明は、マルチユニットペレットシステム(MU11)であって、粒子(b)が、粒子(b)の総重量を基準として、少なくとも1種のチオプリン並びに/又はその少なくとも薬学的に許容される塩及び/若しくはその少なくとも1種のプロドラッグを0.5~95wt%含むマルチユニットペレットシステム(MU)、(MU’)、(MU’’)、(MU’’’)、(MU’’’’)、(MU1)、(MU2)、(MU2’)、(MU3)、(MU3’)、(MU3’’)、(MU3’’’)、(MU3’’’’)、(MU4)、(MU4’)、(MU4’’)、(MU4’’’)、(MU4’’’’)、(MU5)、(MU5’)、(MU5’)、(MU6)、(MU6’)、(MU6’’)、(MU6’’’)、(MU6’’’’)、(MU7)、(MU8)、(MU9)又は(MU10)に関する。
【0061】
従って、本発明は、マルチユニットペレットシステム(MU11’)であって、粒子(b)が、粒子(b)の総重量を基準として少なくとも1種のチオプリン並びに/又はその少なくとも薬学的に許容される塩及び/若しくはその少なくとも1種のプロドラッグを1~50wt%含むマルチユニットペレットシステム(MU)、(MU’)、(MU’’)、(MU’’’)、(MU’’’’)、(MU1)、(MU2)、(MU2’)、(MU3)、(MU3’)、(MU3’’)、(MU3’’’)、(MU3’’’’)、(MU4)、(MU4’)、(MU4’’)、(MU4’’’)、(MU4’’’’)、(MU5)、(MU5’)、(MU5’)、(MU6)、(MU6’)、(MU6’’)、(MU6’’’)、(MU6’’’’)、(MU7)、(MU8)、(MU9)又は(MU10)に関する。
【0062】
チオプリン並びに/又はその少なくとも薬学的に許容される塩及び/若しくはその少なくとも1種のプロドラッグの全体的な用量は、MUPSシステムのガレヌス形態、またガレヌス形態の1日の投与計画にも依存する。このことは、チオプリン(並びに/又はその少なくとも薬学的に許容される塩及び/若しくはその少なくとも1種のプロドラッグ)の含有量が大きく変動する可能性があることを意味する。
【0063】
チオプリン(並びに/又はその少なくとも薬学的に許容される塩及び/若しくはその少なくとも1種のプロドラッグ)の1日の用量推奨量も変動する。通常は、体重1kg当たり1~3mgである。更なる詳細は、P.Frei et al.World J Gastroenterol.2013 Feb 21;19(7);1040-1048に見出すことができる。従って、本発明によるマルチユニットペレットシステム中の少なくとも1種のチオプリン並びに/又はその少なくとも薬学的に許容される塩及び/若しくはその少なくとも1種のプロドラッグの全体的な量は、MUPSシステムのガレヌス形態、またガレヌス形態の(1日の)投与計画に応じて変動する可能性がある。
【0064】
ペレットに好適なコーティング材料は、小腸又は大腸でリボフラビン(及びコーティングされている場合は、少なくとも1種のチオプリン並びに/又はその少なくとも薬学的に許容される塩及び/若しくはその少なくとも1種のプロドラッグも)を放出するようなものである。
【0065】
好適なコーティング材料はポリマーであり、アクリル酸及びセルロースの誘導体である。種々のpH依存性コーティングポリマーとしては、酢酸フタル酸セルロース(CAP)(Aquateric(登録商標))、ポリ酢酸フタル酸ビニル(PVAP)(コーテリック(Coateric)(登録商標))、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMCP)、及びメタクリレートコポリマー又はオイドラギット(Eudragit)として一般に知られているメタクリル酸コポリマーが挙げられる。
【0066】
セラック及び脂肪もまた好適なコーティング材料である。
【0067】
コーティングに好適な材料はまた、例えば、アルギネート、キトサン、ペクチン、シクロデキストリン及び他のガムである。アルギネート又はペクチンが好ましい。この種のコーティングは、架橋型であり得る。架橋は、一般に知られている架橋化合物によって行われ得る。アルギネートを使用する場合は、Mg及び/又はCaイオン(塩の使用による)によって行われ得る。コーティング材料を施した後、又はそれと同時に、架橋剤をペレットに噴霧してもよい。或いは、コーティングしたペレットを、架橋剤を含む溶液中に浸漬してもよい。
【0068】
コーティング層を塗布した後に、架橋剤を粒子に噴霧することが好ましい。
【0069】
コーティング層は通常、ペレットを(ほぼ)完全に覆っている。
【0070】
典型的に、コーティング層の層厚みは少なくとも10μmである。好ましくは、コーティング層の厚みは少なくとも50~70μmである。必要とされる層厚みは、コーティング材料の遮断性によって決定される。そのようなコーティング層の厚みを得るために、コーティング材料の量は、コーティングされる粒子の少なくとも10%(w/w)である。典型的に、コーティング材料の量は、コーティングされる粒子の少なくとも20%(w/w)である。
【0071】
(上記に定義した全てのMUの)ペレット(a)のコーティングは、ペレット(a)の総重量を基準として約5~60wt%である。
【0072】
(上記に定義した全てのMUの)粒子(b)がコーティングされている場合、コーティングは、粒子(b)の総重量を基準として約5~60wt%である。
【0073】
本発明によるマルチユニットペレットシステム(MU)、(MU’)、(MU’’)、(MU’’’)、(MU’’’’)、(MU1)、(MU2)、(MU2’)、(MU3)、(MU3’)、(MU3’’)、(MU3’’’)、(MU3’’’’)、(MU4)、(MU4’)、(MU4’’)、(MU4’’’)、(MU4’’’’)、(MU5)、(MU5’)、(MU5’)、(MU6)、(MU6’)、(MU6’’)、(MU6’’’)、(MU6’’’’)、(MU7)、(MU8)、(MU9)、(MU10)及び/又は(MU11)を含むMUPS錠剤(MT)は、錠剤を形成するのに必要な通常の補助成分を含むことは明らかである。
【0074】
そのような補助成分は、例えば、結合剤、充填剤、潤滑剤、タンパク質、色素、香味料、甘味料、ミネラル、及び酸化防止剤であるが、これらに限定されるものではない。
【0075】
本発明による特に好適な充填剤は、モノ、ジ、及びトリリン酸カルシウム、石灰岩(炭酸カルシウム)、炭酸マグネシウム、ケイ酸化合物(ケイ酸マグネシウム及びケイ酸アルミニウム)、酸化マグネシウム、微結晶セルロース、タンパク質、二酸化ケイ素並びにそれらの混合物、例えば、より詳細には微結晶ワックス、微結晶セルロース、及び石灰岩並びにそれらの混合物、最も好ましくは微結晶セルロースを包含する。
【0076】
本発明による特に好適な潤滑剤は、水不溶性潤滑剤であり、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛又はステアリン酸、例えば、より詳細にはステアリン酸マグネシウム及び/又はステアリン酸カルシウムを包含する。
【0077】
存在する場合、MT中の補助成分の総量は、MUPS錠剤の総重量を基準として最大99wt%であってよい。通常は10~80wt%である。
【0078】
本発明によるMUPS錠剤は、上記に定義されるようなMUから作製される圧縮錠剤であり、製造プロセス及び保存条件に依存するが、若干の水が含まれていてもよい。一般に、本発明による錠剤の水分含有量は、MUPS錠剤の総重量を基準として5wt%未満である。
【0079】
MUPS錠剤は通常、MUPS錠剤の総重量を基準として、マルチユニットペレットシステム(MU)、(MU’)、(MU’’)、(MU’’’)、(MU’’’’)、(MU1)、(MU2)、(MU2’)、(MU3)、(MU3’)、(MU3’’)、(MU3’’’)、(MU3’’’’)、(MU4)、(MU4’)、(MU4’’)、(MU4’’’)、(MU4’’’’)、(MU5)、(MU5’)、(MU5’)、(MU6)、(MU6’)、(MU6’’)、(MU6’’’)、(MU6’’’’)、(MU7)、(MU8)、(MU9)及び/又は(MU10)のいずれかを最大40wt%含む。
【0080】
好ましくは、本発明によるMUPS錠剤は、コーティングされていないことが好ましい。必要であるか、又は所望であれば、MUPS錠剤はコーティングされていてもよい。
【0081】
より好ましくは、本発明によるMUPS錠剤は、錠剤の重量が100~1000mg、好ましくは300~900mgである。
【0082】
本発明によるMUPS錠剤は、以下のプロセスによって製造される。
(i)ペレット(a)と、粉末又は粒子(b)とを製造する工程と、
(ii)ペレット(a)と、任意選択により粒子(b)とをコーティングする工程と、
(iii)ペレットと粒子とを混合する工程と、
(iv)任意選択により、錠剤を形成するのに有用又は望ましい他の成分を添加する工程と、
(v)工程(iii)又は工程(iv)で得られた混合物を圧縮して錠剤にする工程。
【0083】
本発明による医薬組成物は、経口使用を目的とするものであり、コーティングされていないMUPS錠剤、又はフィルムコーティングされたMUPS錠剤の剤形に使用することができる。
【0084】
本発明の更なる目的は、本発明によるプロセスによって得られるMUPS錠剤である。
【0085】
MUPS錠剤は、任意の大きさ及び形状であってよく、好ましくは、MUPS錠剤は、21.0×10.0×9.0~11.0×5.0×3.0mm、好ましくは21.0×10.0×9.0~14.0×6.0×4.0mm、最も好ましくは21.0×10.0×8.0mm~15.0×7.0×4.0mmの大きさであってよい。
【0086】
ペレット(b)は、コーティングされていてもよい。通常、ペレット(a)で説明され、開示されているコーティング材料と同一の種類が使用される。MUPS錠剤に使用する場合、ペレット(a)及びペレット(b)は、同一のコーティング材料である必要はない。
【0087】
ペレット(a)にも同じことが当てはまる。2種以上のコーティング材料を使用することができる。このことは、ある量のペレットが1種のコーティング材料でコーティングされるが、別の量のペレットが別のコーティング材料でコーティングされていることを意味する。
【0088】
以下の実施例は、本明細書において特許請求される本発明の特定の実施形態を例示する役割を果たす。パーセンテージは全て重量に関して記載し、温度は全て摂氏度で記載する。
【0089】
[実施例]
[実施例1:アルギネート/セラックによるコーティング]
Wurster構造のWFP-ミニ流動床処理装置(DMR)を使用して、80gの顆粒状リボフラビンを、9%のNa-アルギネート、1%のCa-クロライド及び25%のセラックで連続的にコーティングした。粒径が250~1000μmのコーティングされた生成物89gを得た。コーティング材料は粒子量の35%であり、リボフラビン含有量は50%であった。
【0090】
20mgのコーティングした粉末(リボフラビンを10mg含有する)を、1000mlの水に15分かけて溶解させた。分光光度計(Genesys 20、thermo Scientific)を使用して、溶液の吸収を545nmで測定した。溶液の吸収は0.065であった。
【0091】
[比較実施例2:コーティングされていないリボフラビン溶液]
10mgのリボフラビン粉末を、1000mlの水に15分かけて溶解させた。分光光度計(Genesys 20、thermo Scientific)を使用して、溶液の吸収を545nmで測定した。溶液の吸収は0.386であった。
【0092】
[実施例3:Eudragit FS30Dによるコーティング]
Wurster構造のWFP-ミニ流動床処理装置(DMR)を使用して、80gの顆粒状リボフラビンを、60gのEudragit FS30D及び10gのPlasACRYL T20でコーティングした。粒径が250~1000μmのコーティングされた生成物71gを得た。コーティング材料は粒子量の約20%であり、リボフラビン含有量は60%であった。
【0093】
16.6mgのコーティングした粉末(リボフラビンを10mg含有する)を、1000mlの水に15分かけて溶解させた。分光光度計(Genesys 20、thermo Scientific)を使用して、溶液の吸収を545nmで測定した。溶液の吸収は0.087であった。
【国際調査報告】