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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-31
(54)【発明の名称】リボフラビンを含むMUPS錠剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 9/20 20060101AFI20230124BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20230124BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20230124BHJP
   A61K 47/44 20170101ALI20230124BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20230124BHJP
   A61K 31/525 20060101ALI20230124BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20230124BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230124BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20230124BHJP
   A61P 37/02 20060101ALI20230124BHJP
   A61K 47/40 20060101ALI20230124BHJP
【FI】
A61K9/20
A61K47/38
A61K47/32
A61K47/44
A61K47/36
A61K31/525
A61K45/00
A61P43/00 121
A61K39/395 N
A61P37/02
A61K47/40
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022523239
(86)(22)【出願日】2020-11-23
(85)【翻訳文提出日】2022-06-15
(86)【国際出願番号】 EP2020083017
(87)【国際公開番号】W WO2021105041
(87)【国際公開日】2021-06-03
(31)【優先権主張番号】19211695.2
(32)【優先日】2019-11-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503220392
【氏名又は名称】ディーエスエム アイピー アセッツ ビー.ブイ.
【氏名又は名称原語表記】DSM IP ASSETS B.V.
【住所又は居所原語表記】Het Overloon 1, NL-6411 TE Heerlen,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(72)【発明者】
【氏名】フンダ, エルガー
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C085
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA36
4C076BB01
4C076CC07
4C076EE07H
4C076EE11H
4C076EE30H
4C076EE32H
4C076EE33H
4C076EE36H
4C076EE37H
4C076EE39H
4C076EE41
4C076EE55H
4C076FF04
4C076FF05
4C076FF09
4C076FF46
4C076FF51
4C076FF52
4C076FF53
4C076GG12
4C076GG14
4C084AA19
4C084MA35
4C084MA52
4C084NA20
4C084ZB07
4C084ZC75
4C085AA14
4C085BB11
4C085EE03
4C085GG08
4C086AA01
4C086AA10
4C086CB09
4C086MA02
4C086MA04
4C086MA35
4C086MA52
4C086NA20
4C086ZB07
4C086ZC75
(57)【要約】
本発明は、特定の栄養成分(栄養補助成分)及び/又は医薬化合物の新規製剤に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マルチユニットペレットシステムであって、少なくとも2種の異なるペレット、
(a)リボフラビンを含む、ペレット(ペレット(a))と、
(b)少なくとも1種のTNF阻害剤を含む、粒子(粒子(b))とを含み、
前記ペレット(a)がコーティングされている、マルチユニットペレットシステム。
【請求項2】
前記TNF阻害剤が、アダリムマブ、セルトリズマブペゴル、エタネルセプト、ゴリムマブ及びインフリキシマブからなる群から選択される、請求項1に記載のマルチユニットペレットシステム。
【請求項3】
錠剤の形態である、請求項1又は2に記載のマルチユニットペレットシステム。
【請求項4】
少なくとも1種の補助成分を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のマルチユニットペレットシステム。
【請求項5】
前記少なくとも1種の補助成分が、結合剤、充填剤、潤滑剤、タンパク質、色素、香味料、甘味料、ミネラル、及び酸化防止剤からなる群から選択されるが、これらに限定されない、請求項4に記載のマルチユニットペレットシステム。
【請求項6】
前記補助成分の総量が、前記MUPS錠剤の総重量を基準として最大99wt%である、請求項4又は5に記載のマルチユニットペレットシステム。
【請求項7】
前記コーティング材料が、酢酸フタル酸セルロース(CAP)(Aquateric(登録商標))、ポリ酢酸フタル酸ビニル(PVAP)(コーテリック(Coateric)(登録商標))、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMCP)、並びにメタクリル酸コポリマー、セラック、脂肪、アルギネート、キトサン、ペクチン、シクロデキストリン及び他のゴムからなる群から選択される、請求項1~6のいずれか一項に記載のマルチユニットペレットシステム。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載のマルチユニットペレットシステムの製造方法であって、
(i)前記ペレット(a)と、前記粒子(b)とを製造する工程と、
(ii)前記ペレット(a)と、任意選択により前記粒子(b)とをコーティングする工程と、
(iii)前記ペレットと前記粒子とを混合する工程と、
(iv)任意選択により、前記錠剤を形成するのに有用な、又は所望の、他の成分を添加する工程と、
(v)工程(iii)又は工程(iv)で得られた前記混合物を圧縮して錠剤にする工程とを含む方法。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、特定の栄養成分(栄養補助成分)及び/又は医薬化合物の新規製剤に関する。
【0002】
本発明は、(TNF(Tumor Necrosis Factor:腫瘍壊死因子)阻害剤などの)IBD(の症状)を治療するのに使用されるリボフラビン(栄養成分として)及び(通常は)医薬化合物を含む製剤(主に経口摂取用)に関する。
【0003】
リボフラビン(ビタミンB2としても知られている)を製剤に使用する場合、これを水に溶解させるか又は水と接触させると、濃い黄色を呈する。このことは、そのような製剤を摂取する患者の口及び/又は舌に、好ましくない着色をもたらす。
【0004】
本発明の目的は、(主に経口摂取用の)製剤を提供することであった。
【0005】
望ましくない着色がもたらされる問題を解決するために、経口摂取用製剤(通常は錠剤)をコーティングすることができる。しかしながら、小腸又は大腸に送達される特定の栄養成分(栄養補助成分)及び/又は医薬化合物の場合、錠剤を常にコーティングすることは、例えば胃の滞留時間が大きく変動し又は過量放出効果が生じるため、理想的な解決法でない場合がある。
【0006】
上記で説明した不利益が存在しない製剤が必要とされている。
【0007】
従って、リボフラビン粒子がコーティングされたマルチユニットペレットシステム(MUPS)を使用することで、(TNF阻害剤と併用する)リボフラビンの着色についての問題を解決できることが判明した。
【0008】
リボフラビンは、ビタミンB2としても知られており、ヒト及び他の哺乳動物の健康の維持において重要な役割をもつ微量栄養素である。リボフラビンは、補因子FAD及びFMNの中心的構成成分であり、従って、全てのフラビンタンパク質に必要なものである。このため、リボフラビンは、多岐にわたる細胞プロセスに必要なものである。リボフラビンは、エネルギー代謝において、並びに脂肪、ケトン体、炭水化物、及びタンパク質の代謝に重要な役割を果たす。リボフラビンは、アスパラガス、ポップコーン、バナナ、カキ、オクラ、フダンソウ、カッテージチーズ、乳、ヨーグルト、肉、卵、魚、及びインゲンの中に天然に見られるものである。他の源としては、チーズ、葉物野菜、肝臓、腎臓、マメ科植物、トマト、酵母、キノコ、及びアーモンドが挙げられる。近年では、リボフラビンは、健康な腸のマーカー菌種であるフィーカリバクテリウム・プラウスニッツイ(Faecalibacterium prausnitzii)の増殖に有益な影響を及ぼすことが示されている。
【0009】
TNF(Tumor Necrosis Factor:腫瘍壊死因子)阻害剤(tnf阻害剤-α阻害剤、tnf-α阻害剤としても知られている)は、腫瘍壊死因子(TNF:白血球によって産生され、初期炎症性イベントに関与するタンパク質)に対する身体の自然な反応を抑制する医薬の群である。TNFは、自己免疫障害及び免疫介在性障害、例えば、関節リウマチ、強直性脊椎炎、炎症性腸疾患、乾癬、化膿性汗腺炎及び難治性喘息に関与するものであり、そのため、これらの治療にTNF阻害剤を使用することができる。
【0010】
TNFの作用の阻害は、モノクローナル抗体、例えば、インフリキシマブ(レミケード(Remicade))、アダリムマブ(ヒュミラ(Humira))、セルトリズマブペゴル(シムジア(Cimzia))、及びゴリムマブ(シンポニー(Simponi))を用いて、又は循環受容体融合タンパク質、例えばエタネルセプト(エンブレル(Enbrel))を用いて実現することができる。サリドマイド(Immunoprin)並びにその誘導体であるレナリドミド(レブリミド(Revlimid))及びポマリドミド(ポマリスト(Pomalyst)、イムノビド(Imnovid))もまた、TNFに対して活性がある。最も臨床的に有用なTNF阻害剤はモノクローナル抗体であるが、一部のものはキサンチン誘導体(例えばペントキシフィリン)及びブプロピオンなどの単純分子である。(R)-DOI、TCB-2、LSD及びLA-SS-Azを含む幾つかの5-HT2Aアゴニスト幻覚剤もまた、TNFの阻害剤である。様々な市販のTNF阻害剤が上市されている。最も重要なものは以下のものである(括弧内は市販製剤)。
・アダリムマブ(ヒュミラ(登録商標))
・セルトリズマブペゴル(シムジア(登録商標))
・エタネルセプト(エンブレル(登録商標))
・ゴリムマブ(シンポニー(登録商標))
・インフリキシマブ(レミケード(登録商標))
【0011】
マルチユニットペレットシステム(MUPS)は、医薬用途の分野でよく知られている。それらは、多くの特許出願及び学術論文に記載されている。MUPSの製造についても記載があり、よく知られている。治療上の剤形としてのMUPSは、例えば、それ自体で小袋内の顆粒として使用することができるか、又は錠剤若しくはカプセル剤のような他の剤形に組み込むことができる。
【0012】
本発明は、少なくとも2種の異なる粒子、
(a)ペレット(a)の総重量を基準としてリボフラビンを10~90重量%(wt%)含む、ペレット(ペレット(a))と、
(b)少なくとも1種のTNF阻害剤を含む、粒子(粒子(b))とを含み、
ペレット(a)がコーティングされている、マルチユニットペレットシステム(MU)に関する。
【0013】
マルチユニットペレットシステム中のリボフラビンの含有量は通常、マルチユニットペレットシステムの総重量を基準として常に少なくとも1wt%である。通常は1~50wt%であり、好ましくは2~40wt%であり、より好ましくは4~35wt%である。
【0014】
マルチユニットペレットシステム中のリボフラビンの含有量は通常、マルチユニットペレットシステムの総重量を基準として常に少なくとも1wt%である。通常は1~50wt%であり、好ましくは2~40wt%であり、より好ましくは4~35wt%である。
【0015】
従って、本発明は、マルチユニットペレットシステム(MU’)であって、マルチユニットペレットシステム中のリボフラビンの含有量が、マルチユニットペレットシステムの総重量を基準として少なくとも1wt%であるマルチユニットペレットシステム(MU)に関する。
【0016】
従って、本発明は、マルチユニットペレットシステム(MU’’)であって、マルチユニットペレットシステム中のリボフラビンの含有量が、マルチユニットペレットシステムの総重量を基準として1~50wt%であるマルチユニットペレットシステム(MU)に関する。
【0017】
従って、本発明は、マルチユニットペレットシステム(MU’’’)であって、マルチユニットペレットシステム中のリボフラビンの含有量が、マルチユニットペレットシステムの総重量を基準として2~40wt%であるマルチユニットペレットシステム(MU)に関する。
従って、本発明は、マルチユニットペレットシステム(MU’’’’)であって、マルチユニットペレットシステム中のリボフラビンの含有量が、マルチユニットペレットシステムの総重量を基準として4~35wt%であるマルチユニットペレットシステム(MU)に関する。
本発明によるMUPS中のTNF阻害剤の全体的な含有量は、変動する可能性があり、有効量で存在しなければならない。
【0018】
本発明によるマルチユニットペレットシステムでは、ペレット(a)とペレット(b)の重量比を変動させることができる。通常では、重量比は5:1~1:5、好ましくは4:1~1:4、より好ましくは3:1~1:3となり、特に2:1~1:2が好ましい。1:1の重量比も好ましい。
【0019】
上記で説明したように、本発明によるマルチユニットペレットシステム中のリボフラビンの全体的な含有量は、マルチユニットペレットシステムの総重量を基準として常に少なくとも1wt%である。通常は1~50wt%であり、好ましくは2~40wt%であり、より好ましくは4~35wt%である。
【0020】
従って、本発明は、マルチユニットペレットシステム(MU1)であって、ペレット(a)と粒子(b)の重量比が5:1~1:5である、マルチユニットペレットシステム(MU)、(MU’)、(MU’’)、(MU’’’)又は(MU’’’’)に関する。
【0021】
従って、本発明は、マルチユニットペレットシステム(MU1’)であって、ペレット(a)と粒子(b)の重量比が4:1~1:4である、マルチユニットペレットシステム(MU)、(MU’)、(MU’’)、(MU’’’)又は(MU’’’’)に関する。
【0022】
従って、本発明は、マルチユニットペレットシステム(MU1’’)であって、ペレット(a)と粒子(b)の重量比が3:1~1:3である、マルチユニットペレットシステム(MU)、(MU’)、(MU’’)、(MU’’’)又は(MU’’’’)に関する。
【0023】
従って、本発明は、マルチユニットペレットシステム(MU1’’’)であって、ペレット(a)と粒子(b)の重量比が2:1~1:2である、マルチユニットペレットシステム(MU)、(MU’)、(MU’’)、(MU’’’)又は(MU’’’’)に関する。
【0024】
従って、本発明は、マルチユニットペレットシステム(MU1’’’’)であって、ペレット(a)と粒子(b)の重量比が1:1~1:1である、マルチユニットペレットシステム(MU)、(MU’)、(MU’’)、(MU’’’)又は(MU’’’’)に関する。
【0025】
好ましい実施形態は、TNF阻害剤がアダリムマブ、セルトリズマブペゴル、エタネルセプト、ゴリムマブ及びインフリキシマブからなる群から選択されるマルチユニットペレットシステムである。
【0026】
従って、本発明は、マルチユニットペレットシステム(MU2)であって、TNF阻害剤が、アダリムマブ、セルトリズマブペゴル、エタネルセプト、ゴリムマブ及びインフリキシマブからなる群から選択されるマルチユニットペレットシステム(MU)、(MU’)、(MU’’)、(MU’’’)、(MU’’’’)、(MU1)、(MU1’)、(MU1’’)、(MU1’’’)、又は(MU1’’’’)に関する。
【0027】
リボフラビンを含むペレット(a)は、ペレット(a)の総重量を基準としてリボフラビンを10~90wt%含む。好ましくは、15~75wt%である。
【0028】
ペレット(a)は、ペレットを形成するのに一般的に用いられる任意の他の成分を含み得る。そのような成分は、当技術分野で公知である。
【0029】
従って、本発明は、マルチユニットペレットシステム(MU3)であって、ペレット(a)が、ペレット(a)の総重量を基準としてリボフラビンを15~75wt%含むマルチユニットペレットシステム(MU)、(MU’)、(MU’’)、(MU’’’)、(MU’’’’)、(MU1)、(MU1’)、(MU1’’)、(MU1’’’)、(MU1’’’’)又は(MU2)に関する。
【0030】
本発明の更なる実施形態はまた、少なくとも2種の異なる粒子、
(a)リボフラビンを含む、ペレット(ペレット(a))と、
(b)少なくとも1種のTNF阻害剤を含む、粒子(粒子(b))とを含み、
ペレット(a)がコーティングされており、
任意のアミノサリチル酸、又はその任意の薬学的に許容可能な塩若しくはその任意の1種のプロドラッグフリーである(それらを含まない)、マルチユニットペレットシステム(MU4)に関する。
【0031】
従って、本発明は、マルチユニットペレットシステム(MU4’)であって、ペレット(a)が、ペレット(a)の総重量を基準としてリボフラビンを10~90wt%含むマルチユニットペレットシステム(MU4)に関する。
【0032】
従って、本発明は、マルチユニットペレットシステム(MU4’’)であって、ペレット(a)が、ペレット(a)の総重量を基準としてリボフラビンの15~75wt%を含むマルチユニットペレットシステム(MU4)に関する。
【0033】
本発明によるマルチユニットペレットシステムでは、ペレット(a)と粒子(b)の重量比を変動させることができる。通常では、重量比は5:1~1:5、好ましくは4:1~1:4、より好ましくは3:1~1:3となり、特に2:1~1:2が好ましい。1:1の重量比も好ましい。
【0034】
上述したように、本発明によるマルチユニットペレットシステム中のリボフラビンの全体的な含有量は、マルチユニットペレットシステムの総重量を基準として常に少なくとも1wt%である。通常は1~50wt%であり、好ましくは2~40wt%であり、より好ましくは4~35wt%である。
【0035】
従って、本発明は、マルチユニットペレットシステム(MU5)であって、ペレット(a)と粒子(b)の重量比が5:1~1:5である、マルチユニットペレットシステム(MU4)、(MU4’)、又は(MU4’’)に関する。
【0036】
従って、本発明は、マルチユニットペレットシステム(MU5’)であって、ペレット(a)と粒子(b)の重量比が4:1~1:4である、マルチユニットペレットシステム(MU4)、(MU4’)、又は(MU4’’)に関する。
【0037】
従って、本発明は、マルチユニットペレットシステム(MU5’’)であって、ペレット(a)と粒子(b)の重量比が3:1~1:3である、マルチユニットペレットシステム(MU4)、(MU4’)、又は(MU4’’)に関する。
【0038】
従って、本発明は、マルチユニットペレットシステム(MU5’’’)であって、ペレット(a)と粒子(b)の重量比が2:1~1:2である、マルチユニットペレットシステム(MU4)、(MU4’)、又は(MU4’’)に関する。
【0039】
従って、本発明は、マルチユニットペレットシステム(MU5’’’’)であって、ペレット(a)と粒子(b)の重量比が1:1~1:1である、マルチユニットペレットシステム(MU4)、(MU4’)、又は(MU4’’)に関する。
【0040】
更に、本発明はまた、少なくとも2種の異なる粒子、
(a)リボフラビンを含む、ペレット(ペレット(a))と、
(b)少なくとも1種のTNF阻害剤からなる、粒子(粒子(b))とを含み、
ペレット(a)がコーティングされているマルチユニットペレットシステム(MU6)に関する。
【0041】
従って、本発明は、マルチユニットペレットシステム(MU6’)であって、ペレット(a)が、ペレット(a)の総重量を基準としてリボフラビンを10~90wt%含むマルチユニットペレットシステム(MU6)に関する。
【0042】
従って、本発明は、マルチユニットペレットシステム(MU6’’)であって、ペレット(a)が、ペレット(a)の総重量を基準としてリボフラビンを15~75wt%含むマルチユニットペレットシステム(MU6)に関する。
【0043】
粒子(b)は、少なくとも1種のTNF阻害剤を含む任意の種類の粒子(粉末、顆粒、ビートレット及びペレット、並びにそれらの任意の混合物など)であってよく、粒子(b)の総重量を基準として少なくとも1種のTNF阻害剤を0.5~95wt%含み得る。好ましくは1~50wt%である。(含有量は粒子の種類に依存する(例えば、粉末はビートレットよりも含有量がはるかに多い))。
【0044】
従って、本発明は、マルチユニットペレットシステム(MU7)であって、粒子(b)が、粒子(b)の総重量を基準として少なくとも1種のTNF阻害剤を0.5~95wt%含むマルチユニットペレットシステム(MU)、(MU’)、(MU’’)、(MU’’’)、(MU’’’’)、(MU1)、(MU1’)、(MU1’’)、(MU1’’’)、(MU1’’’’)、(MU2)、(MU3)、(MU3’)、(MU4)、(MU4’)、(MU4’’)、(MU5)、(MU’5)、(MU5’’)、(MU5’’’)、(MU5’’’’)、(MU6)、(MU6’)又は(MU6’’)に関する。
【0045】
従って、本発明は、マルチユニットペレットシステム(MU7’)であって、粒子(b)が、粒子(b)の総重量を基準として少なくとも1種のTNF阻害剤を1~50wt%含むマルチユニットペレットシステム((MU)、(MU’)、(MU’’)、(MU’’’)、(MU’’’’)、(MU1)、(MU1’)、(MU1’’)、(MU1’’’)、(MU1’’’’)、(MU2)、(MU3)、(MU3’)、(MU4)、(MU4’)、(MU4’’)、(MU5)、(MU’5)、(MU5’’)、(MU5’’’)、(MU5’’’’)、(MU6)、(MU6’)又は(MU6’’)に関する。
【0046】
1種のTNF阻害剤の全体的な用量は、MUPSシステムのガレヌス形態、またガレヌス形態の1日の投与計画にも依存する。このことは、チオプリン(並びに/又はその少なくとも薬学的に許容される塩及び/若しくはその少なくとも1種のプロドラッグ)の含有量が大きく変動する可能性があることを意味する。
【0047】
チオプリン(並びに/又はその少なくとも薬学的に許容される塩及び/若しくはその少なくとも1種のプロドラッグ)の1日の用量推奨量も変動する。通常は、体重1kg当たり2.5~20mgである(TNF阻害剤に依存する)。更なる詳細は、S.O.Adegbola et al;Int.J.Mol.Sci 2018(19),2244に見出すことができる。従って、本発明によるマルチユニットペレットシステム中の少なくとも1種のTNF阻害剤、並びに/又はその少なくとも薬学的に許容される塩、及び/若しくはその少なくとも1種のプロドラッグの全体的な量は、MUPSシステムのガレヌス形態、またガレヌス形態の(1日の)投与計画に応じて変動する可能性がある。
【0048】
ペレットに好適なコーティング材料は、小腸又は大腸でリボフラビン(及びコーティングされている場合は、少なくとも1種のTNF阻害剤も)を放出するようなものである。
【0049】
好適なコーティング材料はポリマーであり、アクリル酸及びセルロースの誘導体である。種々のpH依存性コーティングポリマーとしては、酢酸フタル酸セルロース(CAP)(Aquateric(登録商標))、ポリ酢酸フタル酸ビニル(PVAP)(コーテリック(Coateric)(登録商標))、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMCP)、及びメタクリレートコポリマー又はオイドラギット(Eudragit)として一般に知られているメタクリル酸コポリマーが挙げられる。
セラック及び脂肪もまた好適なコーティング材料である。
【0050】
コーティングに好適な材料はまた、例えば、アルギネート、キトサン、ペクチン、シクロデキストリン及び他のガムである。アルギネート又はペクチンが好ましい。この種のコーティングは、架橋型であり得る。架橋は、一般に知られている架橋化合物によって行われ得る。アルギネートを使用する場合は、Mg及び/又はCaイオン(塩の使用による)によって行われ得る。コーティング材料を施した後、又はそれと同時に、架橋剤をペレットに噴霧してもよい。或いは、コーティングしたペレットを、架橋剤を含む溶液中に浸漬してもよい。コーティング層を塗布した後に、架橋剤を粒子に噴霧することが好ましい。
【0051】
コーティング層は通常、ペレットを(ほぼ)完全に覆っている。典型的に、コーティング層の層厚みは少なくとも10μmである。好ましくは、コーティング層の厚みは少なくとも50~70μmである。必要とされる層厚みは、コーティング材料の遮断性によって決定される。そのようなコーティング層の厚みを得るために、コーティング材料の量は、コーティングされる粒子の少なくとも10%(w/w)である。典型的に、コーティング材料の量は、コーティングされる粒子の少なくとも20%(w/w)である。ペレット(a)のコーティングは、ペレット(a)の総重量を基準として約5~60wt%である。粒子(b)がコーティングされている場合、コーティングは、粒子(b)の総重量を基準として約5~60wt%である。
【0052】
本発明によるMUPS錠剤は、錠剤を形成するのに必要な通常の補助成分を含むことは明らかである。そのような補助成分は、例えば、結合剤、充填剤、潤滑剤、タンパク質、色素、香味料、甘味料、ミネラル、及び酸化防止剤であるが、これらに限定されるものではない。
【0053】
本発明による特に好適な充填剤は、モノ、ジ、及びトリリン酸カルシウム、石灰岩(炭酸カルシウム)、炭酸マグネシウム、ケイ酸化合物(ケイ酸マグネシウム及びケイ酸アルミニウム)、酸化マグネシウム、微結晶セルロース、タンパク質、二酸化ケイ素並びにそれらの混合物、例えば、より詳細には微結晶ワックス、微結晶セルロース、及び石灰岩並びにそれらの混合物、最も好ましくは微結晶セルロースを包含する。
【0054】
本発明による特に好適な潤滑剤は、水不溶性潤滑剤であり、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛又はステアリン酸、例えば、より詳細にはステアリン酸マグネシウム及び/又はステアリン酸カルシウムを包含する。
【0055】
存在する場合、補助成分の総量は、MUPS錠剤の総重量を基準として最大99wt%であってよい。通常は10~80wt%である。
【0056】
本発明によるMUPS錠剤は、圧縮錠剤であり、製造プロセス及び保存条件に依存するが、若干の水が含まれていてもよい。一般に、本発明による錠剤の水分含有量は、MUPS錠剤の総重量を基準として5wt%未満である。
【0057】
MUPS錠剤は通常、MUPS錠剤の総重量を基準としてペレットを最大40wt%含む。
【0058】
好ましくは、本発明によるMUPS錠剤は、コーティングされていないことが好ましい。必要であるか、又は所望であれば、MUPS錠剤はコーティングされていてもよい。より好ましくは、本発明によるMUPS錠剤は、錠剤の重量が100~1000mg、好ましくは300~900mgである。
【0059】
本発明によるMUPS錠剤は、以下のプロセスによって製造される。
(i)ペレット(a)と、粉末又は粒子(b)とを製造する工程と、
(ii)ペレット(a)と、任意選択により粒子(b)とをコーティングする工程と、
(iii)ペレットと粒子とを混合する工程と、
(iv)任意選択により、錠剤を形成するのに有用な、又は望ましい、他の成分を添加する工程と、
(v)工程(iii)又は工程(iv)で得られた混合物を圧縮して錠剤にする工程。
【0060】
本発明による医薬組成物は、経口使用を目的とするものであり、コーティングされていないMUPS錠剤、又はフィルムコーティングされたMUPS錠剤の剤形に使用することができる。
【0061】
本発明の更なる目的は、本発明によるプロセスによって得られるMUPS錠剤である。
【0062】
MUPS錠剤は、任意の大きさ及び形状であってよく、好ましくは、MUPS錠剤は、21.0×10.0×9.0~11.0×5.0×3.0mm、好ましくは21.0×10.0×9.0~14.0×6.0×4.0mm、最も好ましくは21.0×10.0×8.0mm~15.0×7.0×4.0mmの大きさであってよい。
【0063】
ペレット(b)は、コーティングされていてもよい。通常、ペレット(a)で説明され、開示されているコーティング材料と同一の種類が使用される。MUPS錠剤に使用する場合、ペレット(a)及びペレット(b)は、同一のコーティング材料である必要はない。
【0064】
ペレット(a)にも同じことが当てはまる。2種以上のコーティング材料を使用することができる。このことは、ある量のペレットが1種のコーティング材料でコーティングされるが、別の量のペレットが別のコーティング材料でコーティングされていることを意味する。
【0065】
以下の実施例は、本明細書において特許請求される本発明の特定の実施形態を例示する役割を果たす。パーセンテージは全て重量に関して記載し、温度は全て摂氏度で記載する。
【0066】
[実施例]
[実施例1:アルギネート/セラックによるコーティング]
Wurster構造のWFP-ミニ流動床処理装置(DMR)を使用して、80gの顆粒状リボフラビンを、9%のNa-アルギネート、1%のCa-クロライド及び25%のセラックで連続的にコーティングした。粒径が250~1000μmのコーティングされた生成物89gを得た。コーティング材料は粒子量の35%であり、リボフラビン含有量は50%であった。
【0067】
20mgのコーティングした粉末(リボフラビンを10mg含有する)を、1000mlの水に15分かけて溶解させた。分光光度計(Genesys 20、thermo Scientific)を使用して、溶液の吸収を545nmで測定した。溶液の吸収は0.065であった。
【0068】
[比較実施例2:コーティングされていないリボフラビン溶液]
10mgのリボフラビン粉末を、1000mlの水に15分かけて溶解させた。分光光度計(Genesys 20、thermo Scientific)を使用して、溶液の吸収を545nmで測定した。溶液の吸収は0.386であった。
【0069】
[実施例3:Eudragit FS30Dによるコーティング]
Wurster構造のWFP-ミニ流動床処理装置(DMR)を使用して、80gの顆粒状リボフラビンを、60gのEudragit FS30D及び10gのPlasACRYL T20でコーティングした。粒径が250~1000μmのコーティングされた生成物71gを得た。コーティング材料は粒子量の約20%であり、リボフラビン含有量は60%であった。
【0070】
16.6mgのコーティングした粉末(リボフラビンを10mg含有する)を、1000mlの水に15分かけて溶解させた。分光光度計(Genesys 20、thermo Scientific)を使用して、溶液の吸収を545nmで測定した。溶液の吸収は0.087であった。
【国際調査報告】