(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-31
(54)【発明の名称】口腔内撮像中の最適な位置決めのためのセンサホルダ及び方法
(51)【国際特許分類】
A61B 6/04 20060101AFI20230124BHJP
A61B 6/14 20060101ALI20230124BHJP
A61B 6/02 20060101ALI20230124BHJP
【FI】
A61B6/04 301
A61B6/14 300
A61B6/02 300F
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022526189
(86)(22)【出願日】2020-11-27
(85)【翻訳文提出日】2022-05-06
(86)【国際出願番号】 EP2020083691
(87)【国際公開番号】W WO2021105397
(87)【国際公開日】2021-06-03
(32)【優先日】2019-11-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519410367
【氏名又は名称】シロナ・デンタル・システムズ・ゲーエムベーハー
(71)【出願人】
【識別番号】515304558
【氏名又は名称】デンツプライ・シロナ・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100209048
【氏名又は名称】森川 元嗣
(72)【発明者】
【氏名】ブレッヒャー、ボルフ
【テーマコード(参考)】
4C093
【Fターム(参考)】
4C093AA11
4C093CA16
4C093CA23
4C093CA34
4C093DA05
4C093ED11
4C093FF35
4C093FF42
(57)【要約】
本発明は、少なくとも1つの口腔内撮像のための撮像デバイスの少なくとも1つのセンサ及び/又は少なくとも1つの撮像源の最適な相対位置を決定するための、及び少なくとも2つの歯根管の重なり合わない撮像のためのコンピュータ実装方法に関する。本発明はまた、患者の口内に挿入可能な少なくとも1つの咬合デバイス(2)と、少なくとも1つのセンサを固定するための、咬合デバイス(2)と少なくとも間接的に係合された少なくとも1つの保持デバイス(3)と、少なくとも1つの撮像デバイスを位置合わせするための少なくとも1つのセンタリング手段(4)とを備え、センタリング手段(4)は、少なくとも1つのセンタリング手段保持部分(5)を介して咬合デバイス(2)と少なくとも間接的に動作接続状態にあり、センタリング手段保持部分(5)は、センタリング手段(4)に対する保持デバイス(3)の位置決めが、角度及び/又は距離が連続的に可変であるように設計されることを特徴とする、口腔内撮像のためのセンサホルダ(1)と、口腔内撮像を最適化及び実行するための方法とに関する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの口腔内撮像のための撮像デバイスの少なくとも1つのセンサ及び/又は少なくとも1つの撮像源の最適な相対位置を決定するための、及び少なくとも2つの歯根管の重なり合わない撮像のためのコンピュータ実装方法であって、前記方法は、
a)患者の少なくとも1つのデジタル画像の評価と、
b) a)で言及された前記評価に基づく前記センサ及び前記撮像源の最適な位置の決定と
を備える方法において、
前記評価は、デジタル記録、即ち、前記口腔内撮像のための少なくとも2つの異なる角度及び/若しくは位置からの少なくとも1つの仮想センサの投影、及び/若しくは少なくとも1つの仮想撮像源の投影についてのシミュレーションを備えるデジタルボリュームトモグラフィ(DVT)撮像の評価を備えるか、又は前記患者の口腔内解剖学的構造のDVT撮像の評価を備え、
前記シミュレーションは、数回実施され、最適な角度及び/又は最適な位置は、前記歯根管の重なり合いが最小化され、その大部分が回避されるように決定されることを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記口腔内解剖学的構造は、前記患者の少なくとも2つの歯、少なくとも2つの根管、軟組織の少なくとも1つのエリアの少なくとも1つの位置及び/又は位置合わせを備えることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
少なくとも1人の患者の少なくとも1つの口腔内撮像を生成するための方法において、前記方法は、請求項1又は2に記載の方法を実行することを備えることを特徴とする、方法。
【請求項4】
前記方法は、
少なくとも1つのセンサホルダ(1)による、前記患者の少なくとも1つの所定の位置に対する、前記センサ及び/又は前記撮像源の最適な位置及び/又は最適な角度の、少なくとも1つのアクチュエータによる、手動、半自動、及び/又は自動調整を更に備え、少なくとも1つの口腔内撮像は、前記センサ及び/又は前記撮像源の最適な位置の調整後に生成されることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
口腔内撮像のための前記センサホルダ(1)は、
・患者の口内に挿入可能な少なくとも1つの咬合デバイス(2)と、
・少なくとも1つのセンサを固定するための、前記咬合デバイス(2)と少なくとも間接的に動作可能に接続される少なくとも1つの保持デバイス(3)と、
・少なくとも1つの撮像デバイスを位置合わせするための少なくとも1つのセンタリング手段(4)と
を備え、前記センタリング手段(4)は、少なくとも1つのセンタリング手段保持部分(5)を介して前記咬合デバイス(2)と少なくとも間接的に動作可能に接続され、
前記センタリング手段保持部分(5)は、角度及び/又は距離に関する前記センタリング手段(4)に対する前記保持デバイス(3)の位置決めが連続的に可変であるように設計されることを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
(i)前記咬合デバイス(2)は、前記保持デバイス(3)に少なくとも部分的に取り付けられ、
(ii)前記センタリング手段(4)は、前記咬合デバイス(2)及び/又は前記センタリング手段保持部分(5)に接続され、
(iii)前記センタリング手段保持部分(5)は、ボールジョイント、スイベルジョイント、チルトジョイント、ターンチルト機構、及び/又はそれらの組み合わせから成るグループから選択された1つ以上の可動要素を備え、及び/又は、
(iv)前記センタリング手段保持部分(5)は、前記保持デバイス(3)と前記センタリング手段保持部分(5)との位置決めを調整するための少なくとも1つのスケールを備える少なくとも1つのディスプレイデバイスを備え、前記ディスプレイデバイス、前記スケールは、色、角度、文字、又はそれらの組み合わせから成るグループから選択される
ことを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記保持デバイス(3)と前記センタリング手段保持部分(5)との位置決めは、手動、半自動、及び/若しくは自動で実施され、並びに/又は、前記センサホルダ(1)は、前記位置決めの手動調整を可能にするため、前記位置決めを支持するデータを受信及び/若しくは表示するために、Bluetooth、RFID、NFC、及び/若しくはこれらの組み合わせから成るグループから選択された少なくとも1つの受信機によって、及び/若しくはスケールによって更に特徴付けられることを特徴とする、請求項5又は6に記載の方法。
【請求項8】
自動位置決めを可能にするため、前記位置決めを可能にするためのデータを受信及び/又は表示するために、前記センサホルダの少なくとも1つのアクチュエータ、Bluetooth、RFID、NFC、及び/若しくはそれらの組み合わせから成るグループから選択された少なくとも1つのモータ受信機、及び/又はスケールを備えることを特徴とする、請求項5~7のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記センサホルダ(1)は、前記センタリング手段(4)に対する前記保持デバイス(3)の最適でない位置決めが設定される場合、前記撮像デバイスのための少なくとも1つのトリガリング防止設備を備え、及び/又は、
前記センサホルダ(1)は、前記センタリング手段(4)に対する前記保持デバイス(3)の前記位置決めが最適に調整されないときを示す少なくとも1つのディスプレイユニットを備え、前記ディスプレイユニットは、正しい手動位置決めについての指示が表示されるように設計される
ことを特徴とする、請求項5~8のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記撮像デバイスによる照射が、前記センサのアクティブ領域及び/又は感応領域に、前記センサのアクティブセンサ表面及び/又は感応センサ表面に本質的に向けられ、前記撮像デバイスの放射が、前記センタリング手段によって少なくとも部分的に停止又は減衰されることを特徴とする、請求項5~9のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
請求項1~10のうちのいずれか一項に記載の方法のステップを実行するように構成された少なくとも1つのプロセッサを備えることを特徴とするデータ処理ユニット。
【請求項12】
請求項11に記載のデータ処理ユニットによるプログラムの実行において、請求項1~10のうちのいずれか一項に記載の方法のステップを実行させる命令を備えることを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項13】
請求項12に記載のコンピュータプログラムを記憶することを特徴とするコンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、口腔内撮像のためのセンサホルダ、口腔内撮像のための方法におけるその使用、口腔内撮像における最適な位置決めを決定するための方法、及びそのような撮像を生成するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
歯内治療に続いて、全ての根管が首尾よく治療されたことを確認するために、口腔内制御スキャンが通常実行される。この目的のために、他の根管によって重なり合うことなく各根管を捕捉することが必要である。解剖学的状況に起因して、しかしながら、撮像デバイス及びセンサ(例えば、フィルム又は蛍光体プレートなどの検出器)を正しい角度に位置合わせし、そのため、全ての根管が重なり合うことなく単一の画像で撮像され得るようにすることは困難であることが多い。
【0003】
通常、いわゆる偏心X線によって角度を推定し、このことから根管が重なり合う問題を回避することが試みられる。代替として、重なり合うことなく各根管を少なくとも1回捕捉するために、複数の画像が異なる角度から撮影され得る。撮像デバイス及びセンサの位置が互いに対してどのように最適化又は位置合わせされ得るかについては、先行技術において多数の変形形態が存在する。
【0004】
EP 3 066 984、EP 2 568 882、WO 2011/141763及びWO 2007/149402は、例えば、センサに到達しない放射の適用を回避するための、センサ及び撮像デバイス上のセンサ及び/又は送信機を説明している。US 2014/0086389又はUS 2016/0038105では、追加の照射の問題は、例えば、位置決めユニット上のダイアフラムによって解決される。EP 2 083 697は、そのビームホルダが回転可能に変更され得るセンサホルダを説明しているが、それが回転すべき対応する角度の信頼できる説明はない。US 2013/0162645は、撮像デバイスの位置決めとセンサの位置決めとの間の接続の確立を伴わない、3Dボリュームからの個々の歯の投影を説明している。US 8,670,521は、撮像デバイスとセンサとの間の異なる位置が疑似3D表現を計算するために使用されるトモシンセシス方法を説明している。これは、根管を区別するその後の可能性をもたらすが、単一よりも多くの画像を必要とする。
【0005】
しかしながら、上記の方法のいずれも、望ましくない数の画像を作成する必要なく、全ての根管の重なり合わない撮像を保証するための、センサ及び撮像デバイスの信頼できる位置決めを説明していない。
【0006】
従って、本発明の目的は、先行技術の不利な点を克服する口腔内撮像のためのセンサホルダ及び対応する方法を提供し、例えば根管の重なり合わない撮像が放射線曝露を増加させることなく可能にされる解決策を提供することである。
【発明の概要】
【0007】
本発明の上述の目的は、請求項1に定義されたコンピュータ実装方法を通して達成された。従属請求項は、本発明の更なる展開及び好ましい実施形態を定義する。
【0008】
本発明の第1の態様によると、本発明は、口腔内撮像のためのセンサホルダを提供し、それは、患者の口内に挿入可能な少なくとも1つの咬合デバイスと、少なくとも1つのセンサを固定するための、咬合デバイスと少なくとも間接的に動作接続状態にある少なくとも1つの保持デバイスと、少なくとも1つの撮像デバイスを位置合わせするための少なくとも1つのセンタリング手段とを備え、センタリング手段は、少なくとも1つのセンタリング手段保持部分を介して咬合デバイスと少なくとも間接的に動作可能に接続され、更に、センタリング手段保持部分は、角度及び/又は距離に関するセンタリング手段に対する保持デバイスの位置決めが連続的に可変であるように設計される。
【0009】
本発明によるセンサホルダは、このことから、最適な方法で口腔内撮像を可能にする柔軟な調整を達成することを可能にする。本発明によるセンサホルダの原理は、放射線源(即ち撮像システムの撮像源)が口の外側に位置し、その一方で、患者の口内に位置決めされたセンサがビーム経路中の歯の背後に配置され、放射線源のビームがセンサに当たり、このことから歯又はそのある特定の部分の画像が取得され得るというものである。放射線源は、それによって、口の外側に位置するセンタリング手段と位置合わせされる。
【0010】
センサホルダの柔軟な調整のためのパラメータ、即ちセンタリング手段に対する保持デバイスの位置は、以前に実行された分析方法によって、特にソフトウェア支援によって決定される。そのような分析方法の例は、当業者に知られている。本発明の一実施形態では、デジタルボリュームトモグラフィ(DVT)画像が評価又は生成される。DVT画像を用いて、例えば、根管の実際の進路が安全且つ確実にマッピングされ得る。対応するDVT画像が利用可能であるとき、仮想センサ及び仮想撮像デバイス、特に口腔内画像のための撮像源が、適切な投影によって様々な角度から撮像がシミュレートされることを可能にするために、ソフトウェアプログラム中に組み込まれ得る。このことから、患者に対する追加の曝露なしに、例えば、後続の撮像において全ての根管が重なり合わない表現を達成するために、撮像デバイス又は撮像源及びセンサの最適な位置を決定することが可能である。例えば、撮像デバイス及び/又は撮像源とセンサとの間の最適な角度が(手動で又は自動で)決定された場合、センサホルダは、(手動で又は自動で)調整され、そのため、撮像デバイス及びセンサは、口腔内撮像中に互いに対してこの最適な角度にある。このことから、可能な限り重なり合わない画像を取得するためには、1回の撮像ショットのみが必要とされる。
【0011】
別の実施形態では、センサホルダの柔軟な調整のためのパラメータはまた、別の分析方法、例えば、それらに限定されないが、3Dボリュームトモグラフィ、2D X線投影撮像、認識可能な根管入力を用いた3D表面スキャン、及び/又は認識可能な根管入力を用いた2D撮像によって決定され得る。
【0012】
咬合デバイスは、保持デバイスに少なくとも部分的に取り付けられ、センタリング手段は、咬合デバイス及び/若しくはセンタリング手段保持部分に接続され、並びに/又はセンタリング手段保持部分は、ボールジョイント、スイベルジョイント、チルトジョイント、ターンチルト機構、及び/又はそれらの組み合わせから成るグループから選択される1つ以上の可動要素を備えることが提供され得る。
【0013】
センサホルダの柔軟な調整オプションは、センタリング手段保持部分が1つ以上の可動要素を備えるように設計される。この文脈における可動要素は、センタリング手段保持部分が1つ以上の点でねじられ、角度付けられ、延長され、及び/又は短縮され得ることを意味する。本発明の一実施形態では、1つ以上の可動要素は、それらに限定されないが、ボールジョイント、スイベルジョイント、チルトジョイント、ターンチルト機構、及び/又はそれらの組み合わせから成るグループから選択され得る。本発明の一実施形態では、センタリング手段保持部分は、ボールジョイントを有する。可動要素は、連続的に調節され得るか、又は様々な段階での係合をもたらす機構を有し得る。一実施形態では、可動要素は、連続的に調整され得る。
【0014】
センタリング手段に対する保持デバイスの正確な位置決めを調整するために、本発明によるセンタリング手段保持部分は、保持デバイス及びセンタリング手段保持部分の位置決めを調整するための、特に少なくとも1つのスケールを備える少なくとも1つのディスプレイデバイスを適切な位置に含み得る。ディスプレイデバイス、特にスケールは、好ましくは、1つ以上の可動要素上に直接位置決めされ得る。そのようなスケールの助けを借りて、センタリング手段に対する保持デバイスの位置は、相互位置が何であるべきかにかかわらず、即ち角度、距離、又は他のパラメータにかかわらず、正確に調整され得る。
【0015】
ディスプレイデバイス及び/又はスケールは、要素の正確な位置決めを可能にすることができる任意のタイプのディスプレイ及び/又はスケールであり得る。例えば、ディスプレイ及び/又はスケールは、それらに限定されないが、色スケール、角度表示、文字スケール、又はそれらの組み合わせから成るグループから選択され得る。角度表示を有するディスプレイデバイス及び/又はスケールが好ましい。実施形態に応じて、スケールは、特に、粗調整及び微調整のための異なるサイズのスケールユニットを有し得る。
【0016】
本発明によるセンサホルダの設計に応じて、保持デバイス及びセンタリング手段の位置決めは、手動、半自動、及び/又は自動で実施され得る。
【0017】
手動位置決めの場合、決定された位置データは、1つ以上のスケールの助けを借りて、センタリング手段保持部分の1つ以上の可動要素を介してセンサホルダに送信される。自動位置決めの場合、決定された位置データは、無線によって送信され、本発明によるセンサホルダに、特にアクチュエータによって適用されるか、又は位置データは、物理的接続、例えばケーブル接続を介して、データ送信デバイス、例えばコンピュータ又はDVT撮像及び/若しくは解析デバイスに送信されるかのうちのいずれかである。可能な無線送信は、例えば、Bluetooth(登録商標)、RFID、NFC、及び/又はそれらの組み合わせを介して実施され得るが、それらに限定されない。
【0018】
本発明の更なる実施形態では、保持デバイス及びセンタリング手段の位置決めは、手動及び自動の両方で実行され得る。例えば、自動プリセットが実行され、それに続いて手動微調整が実行され得るか、又はその逆であり得る。自動位置調整の場合、本発明によるセンサホルダは、位置調整を実行する1つ以上のアクチュエータ、好ましくはモータを有する。
【0019】
本発明の一実施形態では、センサホルダは、例えば、Bluetooth、RFID、NFC、及び/若しくはそれらの組み合わせから成るグループから選択された少なくとも1つの受信機、並びに/又は位置決めの手動調整を可能にするLEDを含み得る。
【0020】
本発明の代替及び/又は補足の実施形態では、センサホルダは、少なくとも1つのアクチュエータ、好ましくは少なくとも1つのモータ、Bluetooth、RFID、NFC、及び/又はそれらの組み合わせから成るグループから選択された受信機、及び/又は自動位置決めを可能にするスケールを備え得る。
【0021】
本発明によるセンサホルダはまた、保持デバイスの非最適な位置決めがセンタリング手段に対して調整される場合には、撮像デバイスのための少なくとも1つのトリガリング防止設備を備え得るか、又はそのようなトリガリング防止設備と協調し得る。トリガリング防止設備は、センタリング手段に対する保持デバイスの最適な位置決めが設定されたとき、即ち設定された位置データが計算された位置データに対応するときにのみ、撮像デバイスがトリガされ得ることを保証する。そのようなトリガリング防止設備の実施形態は、当業者に知られている。例えば、センサホルダは、決定された位置決めデータがセンサホルダ上に設定された位置と一致しない場合、撮像デバイスの無線トリガリングを防止することができる。
【0022】
加えて又は代替として、本発明によるセンサホルダは、少なくとも1つのディスプレイユニットを備え得、少なくとも1つのディスプレイユニットは、好ましくは、保持デバイスの位置決めがセンタリング手段に対して最適に調整されていないときを示す。そのようなディスプレイユニットは、様々な方法で構成され得る。例えば、ディスプレイは、無線又は別の適した要素を介してセンサホルダに接続される外部ディスプレイを介して提供され得る。他の実施形態では、ディスプレイは、可聴信号若しくは視覚信号、又はそれらの組み合わせを介して提供され得る。
【0023】
本発明の更なる実施形態では、ディスプレイユニットは、正しい、特にセンサホルダの手動位置決めについての指示が表示されるように設計され得る。
【0024】
好ましくは、センタリング手段は、撮像デバイスによる照射がセンサのアクティブ領域及び/若しくは感応領域に、特にセンサのアクティブセンサ表面及び/若しくは感応センサ表面に実質的に向けられ、並びに/又は好ましくは、撮像デバイスの放射がセンタリング手段によって少なくとも部分的に停止又は減衰されるように構成される。必要とされる撮像に従って、一実施形態では、センタリング手段及び/又はセンサは、最適な結果を達成するために交換され得る。
【0025】
本発明のセンサホルダ中で使用され得るセンサは、口の所望のエリアの画像を提供することができる要素である。本発明の一実施形態では、センサは、少なくとも1つのX線フィルム、少なくとも1つの記憶フィルム及び少なくとも1つのデジタル画像センサから成るグループから選択される。好ましい実施形態では、センサは、記憶フィルム又はデジタルX線センサである。
【0026】
センサを固定するための保持デバイスは、例えば、挿入されたセンサを保持及び固定することができる2つのクランプアームを備える成形部品の形態であり得る。これは、センサが容易に挿入され、適所に安全に保持されることを可能にする。別の実施形態では、保持デバイスは、最も適したセンサが撮像のために使用され得るように交換され得る。
【0027】
第2の態様では、本発明は、口腔内撮像のための方法における本発明によるセンサホルダの使用を対象とする。この場合、センサホルダは、患者の口内の対応する位置に位置決めされ、次いで、保持デバイスは、決定された位置データに従ってセンタリング手段と位置合わせされ、取得が実施される。
【0028】
更なる態様では、本発明は、少なくとも1つの口腔内撮像のための少なくとも1つの撮像デバイスの少なくとも1つのセンサ及び/又は少なくとも1つの撮像源の最適な、特に相対位置を決定するための、特に少なくとも2つの歯根管の重なり合わない撮像のための方法を対象とし、本方法は、
a)患者の少なくとも1つのデジタル画像の評価と、
b) a)下で言及された評価に基づくセンサ及び撮像源の最適な位置の決定と
を備える。
【0029】
デジタル撮像は、例えば、それらに限定されないが、デジタルボリュームトモグラフィ(DVT)撮像、3Dボリュームトモグラフィ、少なくとも2つの2D X線投影画像、認識可能な根管入力を有する3D表面スキャン、又は検出可能な根管入力を有する2D撮像であり得る。
【0030】
取得されたデータの評価は、異なる方法で、例えば、センサ、撮像源、及び/若しくは角度及び/若しくは位置のシミュレーションによって、放射線の経路によって、又は以前にマークされた根管の衝突検出によって実施され得る。
【0031】
例えば、画像、特にDVT画像の評価は、好ましくは、患者の口腔内解剖学的構造の、口腔内撮像のための少なくとも2つの異なる角度及び/又は位置からの少なくとも1つの仮想センサ及び/又は少なくとも1つの仮想撮像源の投影のシミュレーションを備えることが好ましい。
【0032】
例えば、シミュレーションは、数回実施されるべきであり、好ましくは、最適な角度及び/又は最適な位置は、歯根管の重なり合いが最小化され、好ましくは回避されるように反復して決定されることも提案される。
【0033】
2つの前述の実施形態では、口腔内解剖学的構造は、患者の少なくとも2つの歯、少なくとも2つの根管、及び/又は軟組織の少なくとも1つのエリアの位置及び/又は位置合わせを備えることが好ましい。
【0034】
更に、本発明は、少なくとも1人の患者の少なくとも1つの口腔内撮像を生成するための方法であって、センサ及び撮像源の最適な位置を決定するために本発明による方法を実施することを備える、方法を提供する。
【0035】
この場合、本発明はまた、方法が、好ましくは少なくとも1つのアクチュエータによる手動、半自動及び/又は自動調整を備え、センサ及び/又は撮像源の最適な位置及び/又は最適な角度が、特に患者の少なくとも1つの所定の位置に対するものであり、好ましくは本発明による少なくとも1つのセンサホルダによるものであることを提案する。
【0036】
上述の2つの実施形態では、方法は、センサ及び/又は撮像源の最適な位置を設定した後に、少なくとも1つの口腔内撮像の生成を備えることが好ましい。
【0037】
最後に、この方法のために、撮像源がX線デバイスによって少なくとも部分的に形成され、及び/又は少なくとも1つのX線デバイスを備えることが提案される。
【0038】
更に、本発明は、本発明による方法を実施するためのコンピュータ実装方法を提供する。
【0039】
本発明はまた、データ処理のための装置であって、センサ及び/若しくは撮像源の最適な位置を決定するための本発明の方法並びに/又は少なくとも1つの口腔内画像を生成するための本発明の方法のステップに適合された少なくとも1つのプロセッサと、プログラムがコンピュータ、特に本発明によるデータ処理ユニットによって実行されると、センサ及び/若しくは撮像源の最適な位置を決定するための本発明による方法並びに/又は少なくとも1つの口腔内画像を生成するための本発明による方法のステップを実行する命令を備えるコンピュータプログラム製品と、コンピュータ、特にデータ処理のための本発明によるデバイスによる、センサ及び/若しくは撮像源の最適な位置を決定するための本発明による方法並びに/又は少なくとも1つの口腔内画像を生成するための本発明による方法のステップを後者に実施させる実行のための命令を備えるコンピュータ可読記憶媒体とを備える、データ処理のための装置を対象とする。
【0040】
デジタルボリュームトモグラフィ撮像は、通常の仕様に従って実行される。既に上記で説明されたように、口腔内画像のための仮想センサ及び仮想撮像デバイスは、例えばコンピュータ中のDVT画像のデータを使用してシミュレーション中で位置決めされる。次いで、異なる角度からの投影が、センサ及び撮像源の両方の最適な位置を決定するために適切な投影によってシミュレートされ得る。このようにして決定された位置データは、撮像システム、特に本発明によるセンサホルダに手動、半自動、及び/又は自動で送信されるか、又はそこで調整される。対応して調整されたセンサホルダを位置決めした後、実際の撮像が実施される。
【0041】
一実施形態では、撮像源は、好ましくはX線デバイスである。
【0042】
上記に列挙した実施形態は、本発明によるデバイス及び本発明による方法の設計のために、個々に又は互いとの任意の組み合わせで使用され得る。
【0043】
本発明の更なる特徴及び利点が、以下の説明において説明され、本発明の好ましい実施形態が、以下の図面を参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【
図1】本発明によるセンサホルダの実施形態を示す。
【
図3】歯を受け入れるときの撮像デバイスの2つの位置に対するビーム経路を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0045】
本発明の第1の実施形態によると、
図1は、センサ(図示せず)のための保持デバイス(3)が設けられた咬合デバイス(2)を有する本発明によるセンサホルダ(1)を示す。センサホルダ(1)のこの部分は、対応するセンサが保持デバイス(3)中に挿入された後に、患者の口内に挿入され、患者は、咬合デバイス(2)を噛むことによってセンサホルダ(1)を適所に保持する。この場合、保持デバイス(3)及びセンタリング手段(4)の位置決めは、口内に挿入される前に、又はセンサホルダ(1)が患者の口に位置決めされ、後者によって保持された後であっても、調整することができる。
図1による実施形態において患者の口から出て咬合デバイス(2)に接続されるセンタリング手段保持部分(5)は、スケール(7)の形態のディスプレイデバイスを有するボールジョイント(6)を有し、それによって所望の位置データが設定され得る。この目的のために、ボールジョイント(6)は、少なくとも動作接続状態にあるアクチュエータ(図示せず)を含み、データは、センサホルダ(1)のアクチュエータを制御するための例示されない無線受信器から受信される。センタリング手段保持部分(5)の他端にはセンタリング手段(4)があり、それは、撮像デバイス、特に撮像デバイスの撮像源(図示せず)を位置決めする役割を果たす。この場合、撮像デバイス又は撮像源は、対応する放射がセンタリング手段(4)中の開口部に対して正しい角度(直角)であり、従って口内に位置するセンサに対しても正しい角度(直角)であるように位置決めされる。
【0046】
本発明による方法の実装が、
図2~4bを参照して以下に例示される。
【0047】
図2は、特に歯のデジタル画像を平面図で概略的に示す。画像は、2D又は表面スキャンであるが、3D DVT撮像も使用され得る。
図2から分かるように、歯10は、歯体12並びに根管14及び開口部16を有する。
【0048】
図3は、歯10に対する撮像デバイスのセンサ22に対する撮像デバイスの放射線源の2つの位置18、20のビーム経路を概略的に示す。いわゆる放射線の経路又は衝突検出が、
図3を参照して以下に説明される。放射線源がセンサ22に対して位置18に位置決めされると、放射線は、ビーム24a及び24b及び24cによって例証されるように、歯10を通過した後にセンサ22に入射する。根管14が存在しない歯10の一部分をビーム24aが通過するので、ビーム24cは、根管24を通過し、このことからそれをセンサ22に反映されるが。しかしながら、位置18では、ビーム24bが2つの根管14を通過して、それらが相互に互いを遮るか、又はセンサ22、特にアクティブなセンサ表面上で解像することができないという問題がある。
【0049】
一方では、放射線源がセンサ22に対して位置20に配置される場合、ビーム26a、26b、及び26cを参照して例として示される輪郭が生じる。
図3から分かるように、位置20から発する放射線は、歯10を通過した後にセンサ22上を通過し、そのため、それぞれの個々の放射線は、いずれの場合も1つの根管14のみを通過する。例として、ビーム26bは、根管14を通過するように示されている。
【0050】
ビーム26aと26bとの間の対応するビームと、ビーム26bと26cとの間の対応するビームとは、それぞれ、これらが相互に遮られるか又は重なり合うことなく、2つの更なる根管14を通過する。
【0051】
本発明による方法の目的は、根管が遮られることが回避されるように、歯10に対する撮像デバイス、特に放射線源及び/又はセンサの相対的な配置を作り出すことである。例えば、放射線源及びセンサは、ビーム経路が
図3の位置20における放射線源の配置に対応するように配置される。
【0052】
本発明の方法は、
図2に示される画像の画像情報に基づいて、異なる位置における放射線源又はセンサの位置決めをシミュレートする。
図4a及び4bに示される画像は、シミュレーションによって生成される。
図4aに示される図は、放射線源が
図3の位置18に配置されたときのビーム経路のシミュレーションに対応し、
図4bは、放射線源が位置20に配置されたときのビーム経路のシミュレーションの結果を表す。
【0053】
簡略化のために
図2には示されなかった隣接する歯28と共に歯10が示されている
図4aから分かるように、位置18に放射線源を位置決めすると、相互の根管が遮られることに起因して歯10の2つの根管14しか見られないことになる。一方、ビーム経路の位置決めがシミュレートされる場合、
図4bに示される画像は、放射線源が位置20に配置されるときに生じる。このシミュレーションでは、歯10の全ての3つの根管14が、相互に遮られることなく撮像され得ることが分かる。
【0054】
本発明の方法によると、センサのそのような相対的な位置決めは、センサホルダによって撮像デバイスの放射線源に対して設定されて、ビーム26a~26cによって示されるビーム経路をもたらす。
【0055】
ここで示された実施形態は、本発明の例に過ぎず、限定するものとして理解されるべきではない。当業者によって企図される代替の実施形態は、同様に本発明の範囲内にあり、特に、明細書、特許請求の範囲、及び図面に開示される特徴は、個々に及び任意の組み合わせの両方で、様々な実施形態において本発明にとって重要であり得る。
【0056】
[参照符号のリスト]
1 センサホルダ
2 咬合デバイス
3 保持デバイス
4 センタリング手段
5 センタリング手段保持部分
6 可動要素
7 スケール
10 歯
12 歯体
14 根管
16 開口部
18 位置
20 位置
22 センサ
24a,24b,24c ビーム
26a,26b,26c ビーム
28 歯
【国際調査報告】