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特表2023-503566クラッチを用いた推進及び制動システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-31
(54)【発明の名称】クラッチを用いた推進及び制動システム
(51)【国際特許分類】
   B63H 23/30 20060101AFI20230124BHJP
   B63H 23/08 20060101ALI20230124BHJP
   B63H 21/17 20060101ALI20230124BHJP
【FI】
B63H23/30
B63H23/08
B63H21/17
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022528588
(86)(22)【出願日】2020-11-06
(85)【翻訳文提出日】2022-05-31
(86)【国際出願番号】 KR2020015456
(87)【国際公開番号】W WO2021107439
(87)【国際公開日】2021-06-03
(31)【優先権主張番号】10-2019-0154271
(32)【優先日】2019-11-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522192506
【氏名又は名称】エスティーエックスエンジン カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シン、ジェ ヨン
(57)【要約】
本発明は、クラッチを用いた推進及び制動システムに関し、クラッチ動作圧力調節用弁と、被駆動体を駆動体と同一回転方向及び反対回転方向に制御するためのクラッチと歯車が内蔵された装置と、被駆動体の回転速度をクラッチのスリップを利用して定格回転速度未満で連続運転が可能なように調節し、被駆動体が定格回転速度以上で運転が必要な場合、クラッチの接続時点制御とクラッチの接続が持続するように制御する制御部とを備え、被駆動体の推進中に前記制御部に制動信号が入力されれば、前記制御部は、前記装置に内蔵された動作中のクラッチの動作圧力を除去し、被駆動体の回転方向を逆回転方向に制御するためのクラッチを動作させた後、前記弁でクラッチの動作圧力を調節して推進体の制動制御が可能であることを特徴とする。本発明に係るクラッチを用いた推進及び制動システムは、推進及び制動が必要な全ての装備と関連がある。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
クラッチ動作圧力調節用弁と、被駆動体を駆動体と同一回転方向及び反対回転方向に制御するためのクラッチと歯車が内蔵された装置と、
前記被駆動体の回転速度を前記クラッチのスリップを利用して定格回転速度未満で連続運転が可能なように調節し、前記被駆動体が前記定格回転速度以上で運転が必要な場合、前記クラッチの接続時点制御と前記クラッチの接続が持続するように制御する制御部と、
を備え、
前記被駆動体の推進中に前記制御部に制動信号が入力されれば、前記制御部は、前記装置に内蔵された動作中の前記クラッチの動作圧力を除去し、前記被駆動体の回転方向を逆回転方向に制御するための前記クラッチを動作させた後、前記クラッチ動作圧力調節用弁で前記クラッチの動作圧力を調節して推進体の制動制御が可能である、クラッチを用いた推進及び制動システム。
【請求項2】
クラッチ動作圧力調節用弁と、被駆動体を駆動体と同一回転方向または反対回転方向に制御するためのクラッチと歯車が内蔵された装置と、
前記被駆動体の回転速度を前記クラッチのスリップを利用して定格回転速度未満で連続運転が可能なように調節し、前記被駆動体が前記定格回転速度以上で運転が必要な場合、前記クラッチの接続時点制御と前記クラッチの接続が持続するように制御する制御部と、
を備え、
前記被駆動体の推進中に前記制御部に制動信号が入力されれば、前記制御部は、前記装置に内蔵された前記クラッチの動作圧力を除去した後、前記駆動体の回転方向を逆回転に転換し、前記クラッチ動作圧力調節用弁で前記クラッチの動作圧力を調節して推進体の制動制御が可能である、クラッチを用いた推進及び制動システム。
【請求項3】
前記装置の前記歯車は、前記駆動体と前記被駆動体との間の回転速度の差によるギヤ比を有する、請求項1または2に記載のクラッチを用いた推進及び制動システム。
【請求項4】
前記装置は、前記駆動体と前記被駆動体との間の回転速度の差によるギヤ比を有する歯車装置が別に構成された、請求項1または2に記載のクラッチを用いた推進及び制動システム。
【請求項5】
前記装置が多重入力歯車装置に連結されて、駆動体間の並列運転の際、同期化過程が必要でない、請求項1から4のいずれか一項に記載のクラッチを用いた推進及び制動システム。
【請求項6】
前記装置の前記クラッチが接続された状態で、前記駆動体の回転速度が増加されれば、前記被駆動体の回転速度が上昇されて、前記被駆動体の負荷が増加され、
前記制御部は、前記駆動体、前記装置、及び前記被駆動体の過負荷運転可能範囲と現在出力量とを比較して、
これを超過する場合、運営者に警報し、
前記過負荷運転可能範囲内で運転するように制御する機能を含む請求項1から5のいずれか一項に記載のクラッチを用いた推進及び制動システム。
【請求項7】
前記制御部は、前記装置の前記クラッチが接続された状態または前記装置の前記クラッチを前記クラッチ動作圧力調節用弁で調節して動力を伝達する状態であるとき、前記駆動体の回転速度別の出力量と前記被駆動体の前記回転速度別の負荷量とを比較して、前記被駆動体の前記回転速度別の負荷量に対比して前記駆動体の前記回転速度別の出力量が増加した場合、前記被駆動体の前記回転速度別の負荷量が増加されたことを運営者に警報し、
前記被駆動体の前記回転速度別の前記負荷量に対比して前記駆動体の前記回転速度別の出力量が減少した場合、前記被駆動体の前記回転速度別の前記負荷量が減少されたことを前記運営者に警報する機能を含む、請求項1から6のいずれか一項に記載のクラッチを用いた推進及び制動システム。
【請求項8】
前記装置の潤滑油圧力は、潤滑油温度が高いほど低くなるが、前記潤滑油温度による前記潤滑油圧力の変化量を前記制御部で学習して潤滑油粘度の安定性を確認する機能を含む、請求項1から7のいずれか一項に記載のクラッチを用いた推進及び制動システム。
【請求項9】
前記制御部は、前記装置の前記クラッチが接続された状態で前記装置の入力軸回転速度と前記装置の出力軸回転速度とに差がある場合、このような差の大きさでクラッチ摩耗度を判断し、
前記装置の前記クラッチが接続されなかった状態で前記被駆動体の回転速度を一定に維持するために、前記クラッチ動作圧力調節用弁に伝達する設定値の変化量が潤滑油温度変化による変動値を超過する場合、このような差の大きさでも前記クラッチ摩耗度を判断する機能を含む、請求項1から8のいずれか一項に記載のクラッチを用いた推進及び制動システム。
【請求項10】
前記制御部は、前記装置の前記クラッチが接続されなかった状態で前記駆動体と前記被駆動体との間のトルク伝達過程で発生されるスティックスリップ現象を検出して前記クラッチの動作圧力を制御する、請求項1から9のいずれか一項に記載のクラッチを用いた推進及び制動システム。
【請求項11】
前記制御部は、制御モードが速度制御モードである場合には、前記被駆動体の回転速度を一定に維持させる制御を行い、
負荷制御モードである場合には、前記駆動体にかかる負荷を一定に維持させる制御を行う機能を含む、請求項1から10のいずれか一項に記載のクラッチを用いた推進及び制動システム。
【請求項12】
前記装置の前記クラッチが接続されず、前記制御部にオーバーライド制御機能が活性化されている状態で前記装置の潤滑油温度が許容値以上に上昇すれば、前記制御部は、回転速度制御から潤滑油温度一定制御に転換し、前記潤滑油温度が警報値のヒステリシス以内に減少すれば、回転速度制御に再度復帰する機能を含む、請求項1から11のいずれか一項に記載のクラッチを用いた推進及び制動システム。
【請求項13】
前記制御部は、
前記被駆動体に過渡負荷急上昇が発生することを検出し、
前記過渡負荷急上昇の大きさによって回転速度過渡特性に対する性能等級作動限界値で許容する回転速度回復時間以内に駆動体の回転速度が回復され得るように前記クラッチ動作圧力調節用弁の設定値を調節し、
駆動力急上昇量によって予め設定された前記被駆動体の負荷減少量に合うようにスリップを増加させて前記駆動体の負荷を低めることにより、駆動体の回転速度が早速回復されるようにした後、回転速度の回復が感知されれば、前記クラッチ動作圧力調節用弁の設定値を再度元の設定値に徐々に復帰させる機能を含む、請求項1から12のいずれか一項に記載のクラッチを用いた推進及び制動システム。
【請求項14】
前記制御部は、制動制御の際、前記装置のクラッチと摩擦ブレーキの作動を連動制御する機能を含む、請求項1から13のいずれか一項に記載のクラッチを用いた推進及び制動システム。
【請求項15】
前記制御部は、回転速度設定値の変化勾配で前記クラッチ動作圧力調節用弁の動作時間を調整して、推進及び制動にかかる時間を調整できる機能を含む、請求項1から14のいずれか一項に記載のクラッチを用いた推進及び制動システム。
【請求項16】
前記被駆動体として使用される誘導電動機は、前記制御部により回転速度が制御されて、誘導発電機として使用されることができ、前記被駆動体の回転方向転換が可能な前記装置を使用する場合、前記誘導電動機は、上回転方向の転換が可能な誘導発電機としても使用され得る、請求項1から15のいずれか一項に記載のクラッチを用いた推進及び制動システム。
【請求項17】
前記制御部は、無線で連結される遠隔の無線端末機を介して制御される、請求項1から16のいずれか一項に記載のクラッチを用いた推進及び制動システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クラッチを用いた推進及び制動システムに関し、より詳細には、船舶の推進及び制動に使用される電力変換装置(power converter)、可変ピッチプロペラ(CPP、Controllable Pitch Propeller)、及び摩擦ブレーキ(friction brake)なしでも経済的かつ効率的な推進及び制動が可能であり、車両にも適用が可能なクラッチを用いた推進及び制動システムに関する。
【背景技術】
【0002】
回転力を推進力に変える装置として使用されるプロペラ(propeller)は、船舶の推進及び制動のために使用されるが、プロペラは、軸(shaft)の終端に設けられる羽根(blade)のピッチ(pitch)が調整可能な可変ピッチプロペラと、羽根のピッチが調整不可能な固定ピッチプロペラ(FPP、Fixed Pitch Propeller)とに分けられる。
【0003】
CPP船舶での推進速度は、軸駆動体の回転速度が一定であっても、プロペラ羽根のピッチ角(angle of pitch)によって変わるが、軸駆動体の回転速度で発生させる力よりプロペラで要求される負荷量が大きい場合、軸駆動体に過負荷が発生されるので、このような現象が発生されないように軸駆動体の回転速度別の出力とプロペラ羽根のピッチ角は連動制御されなければならない。船舶の推進(前進及び後進)及び制動は、軸駆動体の出力と連動制御されるプロペラ羽根のピッチ角調整にて可能であるが、プロペラ羽根のピッチ角を調整するためのシステムが高価であるという短所がある。
【0004】
FPP船舶での推進速度は、軸駆動体の回転速度によって変わるが、FPPで要求される回転速度別の負荷量は、軸駆動体の回転速度別の出力より小さいように製作される。船舶の推進及び制動は、軸駆動体の回転速度調整及び回転方向調整にて可能であり、高い制動力が必要な場合、摩擦ブレーキをプロペラ軸にさらに設ける。停止及び後進しようとする場合、CPP船舶とは異なり、プロペラを逆回転(reverse rotation)させると良いが、軸駆動体が2行程内燃機関である場合、内燃機関の回転方向を逆回転させることができるので、別の装置が必要でなく、軸駆動体が4行程内燃機関である場合、回転方向を逆回転させることができないので、減速機にプロペラの回転方向転換が可能な機能を有するようにする。プロペラ羽根のピッチ角を調整するためのシステムが必要ないので、製品の値段が低価であるという長所がある。
【0005】
一般に、2行程(2-stroke)内燃機関にて推進する船舶の場合、内燃機関の定格回転速度と全速力(full admission)を出すための船舶のプロペラ回転速度とは同一であるので、減速機が必要でなく、4行程(4-stroke)内燃機関にて推進する船舶の場合、内燃機関の定格回転速度が全速力を出すための船舶のプロペラ回転速度より速いので、減速機が必要である。
【0006】
電気推進(electric propulsion)船舶の場合、可変速電力変換装置を使用して電動機の回転速度及び回転方向を可変できる場合には、FPPを使用し、正弦波のみを供給する変速の不可能な電力変換装置を使用して、電動機の回転速度及び回転方向を可変できない場合には、CPPを使用する。正弦波のみを供給する変速の不可能な電力変換装置を使用する場合、電動機の回転速度は、極数変換(高速、中速)誘導電動機(induction motor)を使用する。また、可変速電力変換装置、正弦波のみを供給する変速の不可能な電力変換装置の故障に備えて、迂回(bypass)電力供給装置にて電動機に電力が供給され得るように用意する。
【0007】
一方、電気推進船舶では、軸駆動体の回転速度をプロペラの回転速度に合うように減速するための減速機を使用しない船舶と減速機を使用する船舶とに分けることができる。減速機を使用しない船舶において、プロペラの回転速度が100rpmであるとき、電動機の回転速度は、プロペラの回転速度と同一でなければならないので、使用する周波数が60Hzであれば、72pole、50Hzであれば、60poleの電動機を使用する。減速機を使用する船舶において、プロペラの回転速度が100rpmであるとき、使用する周波数によって60Hzでは8pole(900rpm)、50Hzでは6pole(l,000rpm)の電動機を使用すれば、60Hzには9:1、50Hzには10:1の割合の減速機を使用すれば良い。船舶のプロペラ回転速度は、船舶が大型化されるほど低いが、電動機の回転速度をこれに合わせる場合、電動機の直径が大きくなり、値段も高価になるので、一般的に電動機の回転速度をl,000rpm以下とし、プロペラの回転速度で電動機の回転速度を低めるために減速機を使用している。
【0008】
電気推進船舶の場合、電動機に電力を供給するために使用される電気製品の段階が多くなるほど損失が多くなり、電力変換装置は、冷房装置が設けられた空間で運営されなければならず、高出力製品の場合、装置から発生される熱の冷却のための水冷式冷却器が必要であり、かつ、便宜性に比べて製品の値段が高価であるという短所がある。
【0009】
駆動体と被駆動体との間のトルク(動力)を切るか、繋ぐ装置として使用されるクラッチは、2行程内燃機関の場合、始動トルクがプロペラで要求する始動トルクより大きいので、クラッチを使用せず、4行程内燃機関の場合、始動トルクがプロペラで要求する始動トルクより小さいので、内燃機関の始動のためにクラッチが必要である。
【0010】
また、クラッチの接続時点は、クラッチの接続の際、軸駆動体のトルクが被駆動体で要求される始動トルクより小さい場合、軸駆動体が停止する現象が発生され得るので、軸駆動体のトルクが被駆動体で要求する始動トルクより大きい時点(回転速度)でクラッチを接続させ、電気推進船舶では、電動機始動トルク調節が可能な可変速電力変換装置を使用して回転速度を調節するが、電動機の始動トルクをプロペラで要求される始動トルクより大きくすれば良いので、電動機と減速機との間には、クラッチを一般的に使用しない。
【0011】
減速機は、駆動体の回転速度と被駆動体の回転速度とが異なる場合に使用されるが、単一入力-単一出力(single input-single output)減速機は、1つの駆動体に1つの被駆動体が連結されるものであり、被駆動体の要求動力に対比して駆動体を1つにする場合、製品があまりにも大型化されるという問題があるか、運用信頼性増大のために、駆動体の数量増大が必要な場合に使用される多重入力-単一出力(multi input-single output)減速機は、種々の駆動体に1つの被駆動体が連結されるものであって、これらの駆動体間の並列運転前には、同期化過程が先行されなければならない。
【0012】
2台の4行程内燃機関にて推進される2機1軸船のCPPの場合、二重入力-単一出力クラッチ内蔵減速機を使用する。プロペラ羽根のピッチ角を小さく調整して1台の内燃機関にて船舶を低速で運転中の状態で船舶の速度を上げるためには、残りの内燃機関もクラッチ内蔵減速機を介して連結しなければならないが、このときに発生される衝撃トルクを最小化するために、負荷運転中の内燃機関の回転速度と連結しようとする内燃機関の回転速度とを一致させる同期化が必要である。このために、動力を先に伝達している内燃機関の回転速度に合うように連結しようとする内燃機関の回転速度を調速機を介して調整して同期化が完了すれば、連結しようとするクラッチ内蔵減速機のクラッチを接続(engagement)して内燃機関間の並列運転を行った後、羽根のピッチ角を増加させれば良い。
【0013】
2台の4行程内燃機関にて推進される2機1軸船のFPPの場合、二重入力-単一出力クラッチ内蔵減速機を使用する。プロペラ羽根のピッチ角を調整できないので、1台の内燃機関にて船舶運転の際、過負荷が発生するので、2台の内燃機関にて低負荷で並列運転を行った後、負荷運転をしなければならない。このために、まず、1台の内燃機関を空回転(idle)状態でクラッチ内蔵減速機のクラッチを接続させた後、残りの内燃機関をクラッチ内蔵減速機を介して連結しなければならないが、このときに発生される衝撃トルクを最小化するために、負荷運転中の内燃機関の回転速度と連結しようとする内燃機関の回転速度とを一致させる同期化が必要である。このために、動力を先に伝達している内燃機関の回転速度に合うように連結しようとする内燃機関の回転速度を調速機を介して調整して同期化が完了すれば、連結しようとするクラッチ内蔵減速機のクラッチを接続して内燃機関間の並列運転を行った後、内燃機関の回転速度を同時に増加させれば良い。
【0014】
2台の電動機にて推進される2機1軸船のCPPの場合、二重入力-単一出力減速機が使用されるが、このとき、電動機と減速機との間にはクラッチが使用されない。プロペラ羽根のピッチ角を小さく調整して1台の電動機にて船舶を低速で運転中の状態で船舶の速度を上げるためには、残りの電動機を連結しなければならないが、このための電動機間の同期化及び並列運転制御は、可変速電力変換装置を介してなされ、電動機間の並列運転を行った後、羽根のピッチ角を増加させれば良い。二重入力-単一出力減速機と電動機との間にクラッチを使用しない場合、1台の電動機にて船舶を運航すれば、運転されない他の電動機の回転子が回転するようになるが、これは、運転中の電動機の負荷として作用してエネルギー損失を発生させるので、クラッチを設ける場合もある。
【0015】
2台の電動機にて電気推進される2機1軸船のFPPの場合、二重入力-単一出力減速機が使用されるが、このとき、電動機と減速機との間にはクラッチが使用されない。プロペラ羽根のピッチ角を調整できないので、1台の電動機にて船舶運転の際、過負荷が発生されるので、2台の電動機にて低負荷で並列運転を行った後、負荷運転をしなければならない。このための電動機間の同期化及び並列運転制御は、可変速電力変換装置を介してなされ、2台の電動機を運用するのにおいて、低負荷から高負荷まで同時に稼動して電動機回転速度で船舶の速度を増感させることになるが、電動機の効率は、回転速度が低いほど、そして負荷が低いほど低いので、電動機が低速度、低負荷区間で運営される場合、低効率運転のため、全体効率が落ちるという短所がある。
【0016】
発電機から電力を供給される誘導電動機の場合、一般誘導電動機を使用しても良いが、可変速電力変換装置から電力を供給される誘導電動機の場合、一般誘導電動機でない可変速電力変換装置専用誘導電動機を使用しなければならず、一般的に同一回転数の一般誘導電動機に対比して10~20%高価である。
【0017】
航海中の船舶は、惰力により容易に動くことができない。船舶が全速力で航海中の状態で衝突の危険が発生すれば、制動(crash stop)をするために逆推進力(reverse propulsion)を発生させて船舶の進行を止めなければならない。しかし、このときにも船舶が進行中であるため、前に前進することになるしかない距離があるが、これを最短停止距離(crash shortest stopping distance)という。この最短停止距離を最初の速力から船体が停止するまでの進んだ距離で計算するが、船舶の特性と種類によって異なるが、大体的に船舶の長さの6~12倍程度とみることができる。
【0018】
2行程内燃機関にて推進されるFPP船舶が全速力で前進している状況で制動のための逆推進力を発生させるためには、プロペラを逆回転させなければならない。内燃機関の燃料を遮断しても内燃機関制動(engine braking)は発生するが、前進する船舶の速度によるプロペラの惰力(inertia)により内燃機関は回転し続けるようになる。したがって、船舶の速度が十分に減少して始動空気(starting air)で内燃機関を停止させた後、後進のための始動をしてはじめて内燃機関が船舶の前進惰力を乗り越えて後進始動に成功することができる。後進始動が可能な前進惰力に対する最大内燃機関回転速度は、内燃機関製造社で推薦するものと決める。
【0019】
4行程内燃機関にて推進されるFPP船舶が全速力で前進している状況で制動のための逆推進力を発生させるためには、プロペラを逆回転させなければならない。4行程内燃機関は、逆回転が不可能なので、クラッチ内蔵減速機の出力軸回転方向転換が可能なクラッチ接続回転速度まで回転速度を減少させた後、クラッチを接続させれば良いが、急速後進のために、内燃機関の回転速度目標値をクラッチが接続できる回転速度に変更しても内燃機関制動は発生するが、前進する船舶の速度によるプロペラの惰力により内燃機関は回転し続けるようになる。したがって、船舶の速度がある程度減った後にはじめてクラッチ内蔵減速機の出力軸回転方向転換クラッチを接続させることができる回転速度に到達するようになるが、このとき、クラッチを接続させてプロペラの回転方向を逆回転させる。逆回転が可能な前進惰力に対するクラッチ内蔵減速機のクラッチ接続最大回転速度は、内燃機関製造社とクラッチ内蔵減速機製造社とで推薦するものと決める。
【0020】
誘導電動機にて推進されるFPP船舶が全速力で前進している状況で制動のための逆推進力を発生させるためには、プロペラを逆回転させなければならないが、誘導電動機は、可変速電力変換装置で逆回転制御が可能なので、逆回転が可能な回転速度に減少させた後、逆回転させれば良い。誘導電動機に供給される電力を可変速電力変換装置で減少させても、船舶の速度によるプロペラの惰力により誘導電動機は回転し続けるようになる。このとき、誘導電動機から発生される電力を回生制動(regenerative braking)を使用して回収すれば良いが、発生される電力が回生制動で直ちに回収されなければ制動力が生じないので、このような場合、抵抗制動(rheostatic braking)に転換して制動を行うが、船舶の速度がある程度減った後にはじめて誘導電動機を逆回転させることができる回転速度に到達するようになり、このとき、可変速電力変換装置で誘導電動機を逆回転させてプロペラの回転方向を逆回転させる。逆回転が可能な前進惰力に対する最大誘導電動機回転速度は、電動機製造社で推薦するものと決める。誘導電動機を停止する時間が短いほど、抵抗制動に使用される抵抗は大きくなければならず、このとき、発生する熱は、直ちに冷却され得るように可変速電力変換装置に別の冷却器が用意されなければならない。
【0021】
また、誘導電動機の回転速度減少によって冷却ファンの回転速度も減少することになるが、誘導電動機内部で発生されていた熱を効果的に冷却させることができる対策が誘導電動機内部に設けられなければならない。可変速電力変換装置で誘導電動機起動の際に発生される突入電流(inrush current)を減らすために、誘導電動機に供給される電力を減少させれば、突入電流は減少されることに対し、起動時間が長くなるという短所がある。
【0022】
船舶の接岸や離岸の際、船舶の操縦性能を向上させるために、船舶の側面に装備する補助推力発生装置である固定ピッチプロペラ型サイドスラスタ(side thruster、船首に設けられれば、バウスラスタ(bow thruster)、船尾に設けられれば、スターンスラスタ(stern thruster))、砕氷船(ice breaker)、及びダイナミックポジショニングシステム(dynamic positioning system)に使用される全方位推進機(azimuth thruster)が電動機として駆動される場合には、可変速電力変換装置を使用する。
【0023】
60Hzの電力が使用される所に50Hzの電力が必要な場合、60Hzの電力を周波数変換装置(frequency changer)を介して50Hzに変換して使用し、50Hzの電力が使用される所に60Hzの電力が必要な場合、50Hzの電力を周波数変換装置(frequency changer)を介して60Hzに変換して使用した。
【0024】
CPP船舶の場合、FPP船舶に比べて船舶調整が簡便であるが、プロペラ羽根のピッチ角を調整するためのシステムが高価であるという短所があり、高価の電力変換装置を使用して電動機にて推進されるFPP電気推進船舶の場合、電動機の低速回転区間で発生される損失を相殺できる運営方法が必要である。
【0025】
このように、従来の推進及び制動方法は、推進体の操縦及び運営に種々の問題点及び制限事項を有しており、推進及び制動システム改善を介しての装備等の信頼性向上、安定性増大、投資額、及び運営費低減による優れた装備運営能力確保が可能な推進及び制動システムの開発が求められている実情である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0026】
本発明は、前述した従来の諸問題点を解決するために案出されたものであって、本発明の目的は、船舶の推進及び制動に使用される電力変換装置、可変ピッチプロペラ、及び摩擦ブレーキなしでも経済的かつ効率的な推進及び制動が可能であり、車両にも適用が可能なクラッチを用いた推進及び制動システムを提供することにある。
【0027】
また、本発明の他の目的は、周波数変換の際に使用される従来の周波数変換装置を使用せずに、本発明の推進及び制動システムでも周波数変換が可能なようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0028】
上記のような目的を達成するための本発明は、クラッチ動作圧力調節用弁と、被駆動体を駆動体と同一回転方向及び反対回転方向に制御するためのクラッチと歯車が内蔵された装置と、被駆動体の回転速度をクラッチのスリップを利用して定格回転速度未満で連続運転が可能なように調節し、被駆動体が定格回転速度以上で運転が必要な場合、クラッチの接続時点制御とクラッチの接続が持続するように制御する制御部とを備え、被駆動体の推進中に前記制御部に制動信号が入力されれば、前記制御部は、前記装置に内蔵された動作中のクラッチの動作圧力を除去し、被駆動体の回転方向を逆回転方向に制御するためのクラッチを動作させた後、前記弁でクラッチの動作圧力を調節して推進体の制動制御が可能であることを特徴とするクラッチを用いた推進及び制動システムを提供する。
【0029】
また、上記のような目的を達成するための本発明は、クラッチ動作圧力調節用弁と、被駆動体を駆動体と同一回転方向または反対回転方向に制御するためのクラッチと歯車が内蔵された装置と、被駆動体の回転速度をクラッチのスリップを利用して定格回転速度未満で連続運転が可能なように調節し、被駆動体が定格回転速度以上で運転が必要な場合、クラッチの接続時点制御とクラッチの接続が持続するように制御する制御部とを備え、被駆動体の推進中に前記制御部に制動信号が入力されれば、前記制御部は、前記装置に内蔵されたクラッチの動作圧力を除去した後、駆動体の回転方向を逆回転に転換し、前記弁でクラッチの動作圧力を調節して推進体の制動制御が可能であることを特徴とするクラッチを用いた推進及び制動システムを提供する。
【0030】
また、前記装置の歯車は、駆動体と被駆動体との間の回転速度の差によるギヤ比(gear ratio)を有することを特徴とする。
【0031】
また、前記装置は、駆動体と被駆動体との間の回転速度の差によるギヤ比を有する歯車装置が別に構成されたことを特徴とする。
【0032】
また、前記装置が多重入力歯車装置に連結されて、駆動体間の並列運転の際、同期化過程が必要でないことを特徴とする。
【0033】
また、前記装置のクラッチが接続された状態で、駆動体の回転速度が増加されれば、被駆動体の回転速度が上昇されて、被駆動体の負荷が増加され、このとき、前記制御部は、駆動体、前記装置、及び被駆動体の過負荷運転可能範囲と現在出力量とを比較して、これを超過する場合、運営者に警報し、前記範囲内で運転するように制御する機能があることを特徴とする。
【0034】
また、前記制御部は、前記装置のクラッチが接続された状態または前記装置のクラッチを前記弁で調節して動力を伝達する状態であるとき、駆動体の回転速度別の出力量と被駆動体の回転速度別の負荷量とを比較して、被駆動体の回転速度別の負荷量に対比して駆動体の回転速度別の出力量が増加した場合、被駆動体の回転速度別の負荷量が増加されたことを運営者に警報し、被駆動体の回転速度別の負荷量に対比して駆動体の回転速度別の出力量が減少した場合、被駆動体の回転速度別の負荷量が減少されたことを運営者に警報する機能があることを特徴とする。
【0035】
また、前記装置の潤滑油圧力は、潤滑油温度が高いほど低くなるが、潤滑油温度による潤滑油圧力の変化量を前記制御部で学習して潤滑油粘度の安定性を確認する機能を含むことを特徴とする。
【0036】
また、前記制御部は、前記装置のクラッチが接続された状態で前記装置の入力軸回転速度と前記装置の出力軸回転速度とに差がある場合、このような差の大きさでクラッチ摩耗度を判断し、前記装置のクラッチが接続されなかった状態で被駆動体の回転速度を一定に維持するために、前記弁に伝達する設定値の変化量が潤滑油温度変化による変動値を超過する場合、このような差の大きさでもクラッチ摩耗度を判断する機能を含むことを特徴とする。
【0037】
また、前記制御部は、前記装置のクラッチが接続されなかった状態で駆動体と被駆動体との間のトルク伝達過程で発生されるスティックスリップ現象を検出してクラッチの動作圧力を制御することを特徴とする。
【0038】
また、前記制御部では、制御モードが速度制御モードである場合には、被駆動体の回転速度を一定に維持させる制御を行い、負荷制御モードである場合には、駆動体にかかる負荷を一定に維持させる制御を行う機能を含むことを特徴とする。
【0039】
また、前記装置のクラッチが接続されず、前記制御部にオーバーライド制御機能が活性化されている状態で前記装置の潤滑油温度が許容値以上に上昇すれば、前記制御部は、回転速度制御から潤滑油温度一定制御に転換し、潤滑油温度が警報値のヒステリシス以内に減少すれば、回転速度制御に再度復帰する機能を含むことを特徴とする。
【0040】
また、前記制御部は、被駆動体に過渡負荷急上昇が発生することを検出し、前記過渡負荷急上昇の大きさによって回転速度過渡特性に対する性能等級作動限界値で許容する回転速度回復時間以内に駆動体の回転速度が回復され得るように前記弁の設定値を調節し、駆動力急上昇量によって予め設定された被駆動体の負荷減少量に合うようにスリップを増加させて駆動体の負荷を低めることにより、駆動体の回転速度が早速回復されるようにした後、回転速度の回復が感知されれば、前記弁の設定値を再度元の設定値に徐々に復帰させる機能を含むことを特徴とする。
【0041】
また、前記制御部は、制動制御の際、前記装置のクラッチと摩擦ブレーキの作動を連動制御する機能を含むことを特徴とする。
【0042】
また、前記制御部は、回転速度設定値の変化勾配で前記弁の動作時間を調整して、推進及び制動にかかる時間を調整できる機能を含むことを特徴とする。
【0043】
また、被駆動体として使用される誘導電動機は、前記制御部により回転速度が制御されて、誘導発電機として使用されることができ、被駆動体の回転方向転換が可能な前記装置を使用する場合、前記誘導電動機は、上回転方向の転換が可能な誘導発電機としても使用され得ることを特徴とする。
【0044】
また、前記制御部は、無線で連結される遠隔の無線端末機を介して制御されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0045】
本発明に係るクラッチを用いた推進及び制動システムによれば、駆動体と被駆動体との間の動力(トルク)を切るか、繋ぐ装置として使用されるクラッチを推進体の推進及び制動に使用することにより、投資額低減及び維持補修費用が減少するという効果がある。
【0046】
また、周波数変換用としても使用できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0047】
図1】電力変換装置の代表的な出力に対する効率を示す。
【0048】
図2】誘導電動機の代表的な回転速度に対する効率及び力率を示す。
【0049】
図3】誘導電動機の代表的な出力に対するスリップ、電流、力率、及び効率を示す。
【0050】
図4】従来の交流発電装置、可変速電力変換装置、誘導電動機、単一入力-単一出力減速機、固定ピッチプロペラ型バウスラスタ、固定ピッチプロペラ型スターンスラスタと固定ピッチプロペラで推進する2軸船(twin screw vessel)の電気推進システムを示す。
【0051】
図5】従来の交流発電装置、正弦波のみを供給する変速の不可能な電力変換装置、極数変換(高速、中速)誘導電動機、単一入力-単一出力減速機、可変ピッチプロペラ型バウスラスタ、可変ピッチプロペラ型スターンスラスタと可変ピッチプロペラで推進する2軸船の電気推進システムを示す。
【0052】
図6】従来の交流発電装置、可変速電力変換装置、同期電動機(synchronous motor)、二重入力-単一出力減速機、固定ピッチプロペラ型バウスラスタ、またはスターンスラスタと固定ピッチプロペラで推進する短軸船(single screw vessel)の電気推進システムを示す。
【0053】
図7】従来の周波数可変交流発電装置、直流配電(DC distribution)システム(整流器(rectifier)、インバータ(inverter)、及びバッテリを含む)、誘導電動機、固定ピッチプロペラ型バウスラスタ、固定ピッチプロペラ型スターンスラスタと固定ピッチプロペラ型全方位推進機で推進する電気推進システムを示す。
【0054】
図8】従来の60Hzの電力を周波数変換装置(frequency changer)を介して50Hzに変換することを示す。
【0055】
図9】本発明に係る出力側回転方向調整が可能なクラッチと歯車が内蔵された装置を駆動用誘導電動機にて駆動する実施形態を示す。
【0056】
図10】本発明に係る出力側回転方向調整が可能なクラッチと歯車が内蔵された装置を4行程内燃機関にて駆動する実施形態を示す。
【0057】
図11】本発明に係る出力側回転方向調整が不可能なクラッチと歯車が内蔵された装置を駆動用誘導電動機にて駆動する実施形態を示す。
【0058】
図12】本発明に係る出力側回転方向調整が不可能なクラッチと歯車が内蔵された装置を2行程内燃機関にて駆動する実施形態を示す。
【0059】
図13】本発明に係る出力側回転方向調整が可能なクラッチと歯車が内蔵された装置を駆動用誘導電動機にて駆動して二重入力-単一出力歯車装置で並列運転する実施形態を示す。
【0060】
図14】本発明に係る出力側回転方向調整が可能なクラッチと歯車が内蔵された装置を4行程内燃機関にて駆動して二重入力-単一出力歯車装置で並列運転する実施形態を示す。
【0061】
図15】本発明に係る出力側回転方向調整が不可能なクラッチと歯車が内蔵された装置を駆動用誘導電動機にて駆動して二重入力-単一出力歯車装置で並列運転する実施形態を示す。
【0062】
図16】本発明に係る出力側回転方向調整が不可能なクラッチと歯車が内蔵された装置を2行程内燃機関にて駆動して二重入力-単一出力歯車装置で並列運転する実施形態を示す。
【0063】
図17】本発明に係る出力側回転方向調整が可能なクラッチと歯車が内蔵された装置を駆動用誘導電動機にて駆動して被駆動用誘導電動機で周波数が変換された電力を生産する実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0064】
以下、本発明の実施形態を添付された図面を参照して詳細に説明する。まず、各図面の構成要素等に参照符号を添加するのにおいて、同じ構成要素等に対しては、例え、他の図面上に表示されても、なるべく同じ符号を有するようにしていることに留意すべきである。また、本発明の要旨を濁す恐れがあると判断される場合には、その詳細な説明を省略する。また、以下において本発明の実施形態を説明するであろうが、本発明の技術的思想は、これに限定するか、制限されずに当業者により実施され得ることはもちろんである。
【0065】
図1は、電力変換装置の代表的な出力に対する効率を示したものであって、約15%以下の負荷では効率が急激に低くなることが分かり、図2は、誘導電動機の代表的な回転速度に対する効率及び力率を示したものであって、定格回転速度以下では、効率及び力率が低くなることが分かり、図3は、誘導電動機の代表的な出力に対するスリップ、電流、力率、及び効率を示したものであって、約50%以下の出力では、効率が急激に低くなることが分かる。
【0066】
図4は、従来の交流発電装置、可変速電力変換装置、誘導電動機、単一入力-単一出力減速機、固定ピッチプロペラ型バウスラスタ、固定ピッチプロペラ型スターンスラスタと固定ピッチプロペラで推進する2軸船の電気推進システムを示したものであって、船舶の推進速度が低い場合、図1の電力変換装置の低い出力での効率低下と、図2の誘導電動機の低い回転速度での効率低下と、図3の誘導電動機の低い出力での効率低下のために運営損失が増加する。
【0067】
図5は、従来の交流発電装置、正弦波のみを供給する変速の不可能な電力変換装置、極数変換(高速、中速)誘導電動機、単一入力-単一出力減速機、可変ピッチプロペラ型バウスラスタ、可変ピッチプロペラ型スターンスラスタと可変ピッチプロペラで推進する2軸船の電気推進システムを示したものであって、船舶の推進速度が低い場合、図4の電気推進システムから発生される効率低下による運営損失部分の中で、図2に示された誘導電動機の低い回転速度での効率及び力率低下部分は、誘導電動機の回転速度を定格回転速度に維持し、推進用可変ピッチプロペラのピッチ角を低めることによって相殺できるが、このために、高価の装備である可変ピッチプロペラを使用しなければならない。
【0068】
図6は、従来の交流発電装置、可変速電力変換装置、同期電動機、二重入力-単一出力減速機、固定ピッチプロペラ型バウスラスタ、またはスターンスラスタと固定ピッチプロペラで推進する短軸船の電気推進システムを示したものであって、船舶の推進速度が低い場合、図4の電気推進システムから発生される効率低下による運営損失が発生しうる。これに加えて、二重入力-単一出力減速機に連結された2台の同期電動機の場合、船舶の推進速度によって低速区間で1台の同期電動機が運転され、高速区間で2台の同期電動機が運転される運営方式でなく、船舶の推進速度に関係なく、2台の同期電動機が同時に並列運転をしなければならないので、船舶の推進速度が低い場合、同期電動機の損失は、1台を使用するときに対比して2倍に増加する。
【0069】
図7は、従来の周波数可変交流発電装置、直流配電システム(整流器、インバータ、及びバッテリを含む)、誘導電動機、固定ピッチプロペラ型バウスラスタ、固定ピッチプロペラ型スターンスラスタと固定ピッチプロペラ型全方位推進機で推進する電気推進システムを示したものであって、船舶の推進速度が低い場合、図4の電気推進システムから発生されていた効率低下による運営損失部分は、周波数可変交流発電装置に整流器、インバータ、及びバッテリを追加設置して、従来の交流発電装置に対比して内燃機関の燃料消費量を減少させることにより相殺できるが、このために、高価のこれらの装置を追加的に使用しなければならない。
【0070】
図8は、従来の50Hzの電力を周波数変換装置を介して60Hzの電力に変換することを示したものであって、電力変換が必要な容量が増加するほど周波数変換装置の値段が増加する。
【0071】
図9図17は、駆動体で出力側回転方向調整が可能なクラッチと歯車が内蔵された装置または出力側回転方向調整が不可能なクラッチと歯車が内蔵された装置を駆動する実施形態を示したものである。
【0072】
例え、詳細に図示されてはいないが、図13図16に示すように、制御部10a、10bには、無線通信用アンテナ11a、11b、正/逆回転運転信号、オーバーライド制御信号、制御モード信号、回転速度設定値信号、クラッチと歯車が内蔵された装置の入力軸速度感知センサ320a、320b、クラッチと歯車が内蔵された装置の潤滑油温度感知センサ405a、405b、クラッチと歯車が内蔵された装置の潤滑油圧力感知センサ406a、406b、クラッチと歯車が内蔵された装置の出力軸速度感知センサ420a、420b、二重入力-単一出力歯車装置の潤滑油温度感知センサ505a、505b、二重入力-単一出力歯車装置の潤滑油圧力感知センサ506a、506b、二重入力-単一出力歯車装置の出力軸速度感知センサ520a、520bが連結され得る。
【0073】
また、図9図16に示すように、駆動体と被駆動体の回転速度が異なる場合、クラッチと歯車が内蔵された装置の歯車が前記回転速度の差によるギヤ比を有するようにするか、前記回転速度の差によるギヤ比を有する歯車装置を、クラッチと歯車が内蔵された装置の前端や後端に別に構成することもできる。
【0074】
本発明に係るクラッチを用いた推進及び制動システムの動作及び運営方法について添付された図面を参照して詳細に説明するに先立って、制御部10a、10bで有する特徴を先に説明する。
【0075】
クラッチと歯車が内蔵された装置400a、400bのクラッチが接続された状態で被駆動体を駆動用誘導電動機300a、300bにて駆動して推進する場合、駆動用誘導電動機スタータ50a、50bから供給される電力の周波数が増加されれば、被駆動体の回転速度が上昇して駆動用誘導電動機300a、300bの負荷が増加されるが、このとき、制御部10a、10bは、駆動用誘導電動機スタータ50a、50bに設けられた電力測定及び監視装置(power metering and monitoring devices、PMD)を介して取得された情報を基準に駆動用誘導電動機300a、300b、クラッチと歯車が内蔵された装置400a、400b、二重入力-単一出力歯車装置(gear unit)500、及びFPPプロペラのような被駆動体600の過負荷運転可能範囲と現在出力量とを比較して、これを超過する場合、運営者に警報し、過負荷運転可能範囲内で運転させる機能がある。
【0076】
また、クラッチと歯車が内蔵された装置400a、400bのクラッチが接続された状態で被駆動体を内燃機関700a、700b、800a、800bにて駆動して推進する場合、内燃機関700a、700b、800a、800bの回転速度が増加すれば、被駆動体の回転速度が上昇して内燃機関700a、700b、800a、800bの負荷が増加するが、このとき、制御部10a、10bは、内燃機関制御装置を介して取得された情報を基準に内燃機関700a、700b、800a、800b、クラッチと歯車が内蔵された装置400a、400b、二重入力-単一出力歯車装置500、及びFPPプロペラのような被駆動体600の過負荷運転可能範囲と現在出力量とを比較して、これを超過する場合、運営者に警報し、過負荷運転可能範囲内で運転させる機能がある。
【0077】
また、制御部10a、10bは、クラッチと歯車が内蔵された装置400a、400bのクラッチが接続された状態またはクラッチと歯車が内蔵された装置400a、400bのクラッチをクラッチ動作圧力調節用弁で調節して動力を伝達する状態であるとき、駆動用誘導電動機300a、300b、内燃機関700a、700b、800a、800bの回転速度別の出力量と被駆動体600の回転速度別の負荷量とを比較する。被駆動体600の回転速度別の負荷量に対比して駆動用誘導電動機300a、300b、内燃機関700a、700b、800a、800bの回転速度別の出力量が増加した場合、制御部10a、10bは、被駆動体600の回転速度別の負荷量が増加されたことを運営者に警報し、被駆動体600の回転速度別の負荷量に対比して駆動用誘導電動機300a、300b、内燃機関700a、700b、800a、800bの回転速度別の出力量が減少した場合、制御部10a、10bは、被駆動体600の回転速度別の負荷量が減少されたことを運営者に警報する。このとき、駆動体の回転速度別の出力量は、駆動体が駆動用誘導電動機300a、300bである場合には、駆動用誘導電動機スタータ50a、50bに設けられた電力測定及び監視装置を介して取得された情報を基準とし、駆動体が内燃機関700a、700b、800a、800bである場合には、内燃機関制御装置を介して取得された情報を基準に被駆動体600の負荷量増加及び減少可否を判断する。被駆動体600に異物が付着されて抵抗が増加すれば、負荷量が増加し、被駆動体600に摩耗が発生されて抵抗が減少されれば、負荷量が減少する。
【0078】
また、クラッチと歯車が内蔵された装置400a、400bの潤滑油圧力は、装置の潤滑油温度が高いほど低くなる傾向がある。したがって、制御部10a、10bは、潤滑油温度感知センサ405a、405b及び潤滑油圧力感知センサ406a、406bを用いて装置の潤滑油温度及び圧力を測定した後、測定値等の変化量を学習して潤滑油粘度(viscosity)の安定性を確認する機能がある。
【0079】
また、クラッチと歯車が内蔵された装置400a、400bのクラッチが接続された状態で、前記装置の入力軸310a、310bに設けられた入力軸速度感知センサ320a、320bで測定した回転速度と前記装置の出力軸410a、410bに設けられた出力軸速度感知センサ420a、420bで測定した回転速度とに差がある場合、制御部10a、10bは、このような差の大きさでクラッチ摩耗度(clutch wear degree)を判断できる。
【0080】
また、クラッチと歯車が内蔵された装置400a、400bのクラッチが接続されなかった状態で被駆動体600の回転速度を一定に維持するために、制御部10a、10bでクラッチ動作圧力調節用弁に伝達する設定値(set point)は、潤滑油圧力が変わると異なるようになるが、このような設定値の変化量が潤滑油温度変化による変動値を超過する場合、このような差の大きさでもクラッチ摩耗度を判断する機能がある。
【0081】
また、制御部10a、10bは、クラッチのスリップ発生の際、被駆動体の回転速度があまり遅いか、被駆動体の回転速度が駆動体の回転速度に近接した状況でスティックスリップ(stick slip)現象が発生することをクラッチと歯車が内蔵された装置の入力軸310a、310bに設けられた入力軸速度感知センサ320a、320bと前記装置の出力軸410a、410bに設けられた出力軸速度感知センサ420a、420bとで測定した回転速度に対する角速度分析にて検出し、これをクラッチの動作に必要な油圧調整修正係数(correction factor)として使用してクラッチ動作油圧決定回路または回転速度決定回路に反映し、これを介してクラッチ動作圧力調節用弁の設定値を増感させてスティックスリップを回避する機能がある。
【0082】
また、制御部10a、10bは、駆動体が駆動用誘導電動機300a、300bであるとき、速度制御モードである場合には、被駆動体の回転速度を一定に維持させる制御を行い、負荷制御モードである場合には、駆動用誘導電動機スタータ50a、50bに設けられた電力測定及び監視装置を介して取得された情報を基準に駆動用誘導電動機300a、300bにかかる負荷を一定に維持させる制御を行う機能がある。
【0083】
また、駆動体が内燃機関700a、700b、800a、800bであるとき、速度制御モードである場合には、被駆動体の回転速度を一定に維持させる制御を行い、負荷制御モードである場合には、内燃機関制御装置を介して取得された情報を基準に内燃機関700a、700b、800a、800bにかかる負荷を一定に維持させる制御を行う機能がある。
【0084】
また、クラッチと歯車が内蔵された装置400a、400bのクラッチが接続されず、オーバーライド制御機能が活性化されている状態で、前記装置の潤滑油冷却装置などの故障のため、潤滑油温度感知センサ405a、405bで測定した前記装置400a、400bの潤滑油温度が許容値以上に上昇すれば、制御部10a、10bは、前記装置400a、400bの制御を回転速度制御から潤滑油温度一定制御に転換し、クラッチと歯車が内蔵された装置400a、400bの潤滑油温度が警報値のヒステリシス(Hysteresis)以内に減少すれば、回転速度制御に再度復帰する機能がある。
【0085】
また、駆動体が駆動用誘導電動機300a、300bである場合、被駆動体の過渡(transient)負荷急上昇が発生すれば、電力を供給する内燃機関の回転速度が落ち、駆動用誘導電動機スタータ50a、50bから駆動用誘導電動機300a、300bに供給される周波数が低くなる。このとき、電力急上昇量(Δp/Δt)は、前記装置の入力軸310a、310bに設けられた入力軸速度感知センサ320a、320bで測定した回転速度変化量(Δrpm/Δt)、または駆動用誘導電動機スタータ50a、50bに設けられた電力測定及び監視装置を介して取得された時間当り周波数変化量(Δfrequency/Δt)、または駆動用誘導電動機スタータ50a、50bに設けられた電力測定及び監視装置を介して取得された時間当り有効電力変化量(Δkw/Δt)として検出されることができる。制御部10a、10bは、上述した被駆動体の過渡負荷急上昇を検出し、過渡負荷急上昇の大きさによって電力を供給する内燃機関の周波数過渡特性に対する性能等級作動限界値で許容する周波数回復時間(frequency recovery time after load increase)以内に周波数が回復されるようにすることができる。すなわち、制御部10a、10bは、クラッチ動作圧力調節用弁の設定値を調節し、電力急上昇量によって予め設定された被駆動体の負荷減少量に合うようにスリップを増加させて内燃機関の負荷を低めることにより、電力供給内燃機関の回転速度が早速回復されるようにした後、回転速度の回復が感知されれば、クラッチ動作圧力調節用弁の設定値を再度元の設定値に徐々に復帰させる機能がある。
【0086】
また、駆動体が内燃機関700a、700b、800a、800bである場合、被駆動体の過渡負荷急上昇が発生すれば、駆動力を供給する内燃機関700a、700b、800a、800bの回転速度が落ちる。このとき、駆動力急上昇量(Δp/Δt)は、前記装置の入力軸310a、310bに設けられた入力軸速度感知センサ320a、320bで測定した回転速度変化量(Δrpm/Δt)として検出されることができる。制御部10a、10bは、上述した被駆動体の過渡負荷急上昇を検出し、過渡負荷急上昇の大きさによって駆動力を供給する内燃機関700a、700b、800a、800bの回転速度過渡特性に対する性能等級作動限界値で許容する回転速度回復時間以内に駆動体の回転速度が回復されるようにすることができる。すなわち、制御部10a、10bは、クラッチ動作圧力調節用弁の設定値を調節し、駆動力急上昇量によって予め設定された被駆動体の負荷減少量に合うようにスリップを増加させて前記内燃機関700a、700b、800a、800bの負荷を低めることにより、前記内燃機関700a、700b、800a、800bの回転速度が早速回復されるようにした後、回転速度の回復が感知されれば、クラッチ動作圧力調節用弁の設定値を再度元の設定値に徐々に復帰させる機能がある。
【0087】
また、クラッチと歯車が内蔵された装置400aの出力軸410aまたは二重入力-単一出力歯車装置の出力軸510に摩擦ブレーキ550が設けられる場合、制動制御の際、摩擦ブレーキ550は、前記装置400aのクラッチと連動制御されることができる。すなわち、制御部10a、10bは、制動信号が入力されて前記装置400aのクラッチが遮断(disengagement)されれば、摩擦ブレーキ550を動作させ、被駆動体600の逆回転用意が完了して、前記装置400aのクラッチ動作圧力調節が進行されれば、摩擦ブレーキ550の動作を解除させ、推進体が停止すれば、摩擦ブレーキ550を再度動作させる機能がある。
【0088】
また、制御部10a、10bは、入力される回転速度設定値の変化勾配でクラッチ動作圧力調節用弁の動作時間を調整して推進及び制動にかかる時間を調整できる機能がある。
【0089】
以下、本発明に係るクラッチを用いた推進及び制動システムの動作及び運営方法について添付された図面を参照して詳細に説明する。
【0090】
図9図10図13図14図17に示されたクラッチと歯車が内蔵された装置400a、400bは、推進体の正回転運転の際、入力軸/出力軸の同一回転方向制御用クラッチ401a、401bが動作し、逆回転運転の際、入力軸/出力軸の反対回転方向制御用クラッチ402a、402bが動作することを前提として説明する。
【0091】
図9は、本発明に係る被駆動体回転方向を駆動体と同じ方向または反対方向に調整が可能なクラッチと歯車が内蔵された装置400aを駆動用誘導電動機300aにて駆動する実施形態を示したものであって、駆動体として使用される駆動用誘導電動機300aの起動の際に発生される起動電流を制限するための方法として、小型誘導電動機をフォニー電動機(200a、pony motor)として使用する。駆動用誘導電動機300a軸にフォニー電動機出力軸210aを連結した後、フォニー電動機スタータ100aで電力供給用ケーブルfを介してフォニー電動機200aに全電圧(full voltage)を印加すれば、駆動用誘導電動機300aの回転子をフォニー電動機200aの定格回転速度まで回転させることができる。このとき、フォニー電動機200aの起動電流も制限する必要がある場合には、フォニー電動機スタータ100aに減電圧(reduced voltage)起動(Y-Δ起動または1次抵抗起動またはリアクター起動または単巻変圧器起動またはソフトスタータ(soft starter)起動)のための装置を備える。
【0092】
制御部10aは、フォニー電動機200aを起動させた後、起動完了可否を前記装置の入力軸310aに設けられた入力軸速度感知センサ320aの回転速度で判断する。このとき、駆動用誘導電動機300aの回転子が定格回転速度に到達すれば、制御部10aは、フォニー電動機スタータ100aに電力遮断信号を伝達し、駆動用誘導電動機スタータ50aに電力供給信号を伝達する。その後、電力供給用ケーブルcを介して駆動用誘導電動機300aに電力が供給されれば、起動電流を制限した駆動用誘導電動機300aの起動が完了する。
【0093】
駆動用誘導電動機300aの起動が完了すれば、制御部10aは、正回転運転の場合、前記装置400aの同一回転方向制御用クラッチ401aの弁を開放した後、回転速度設定値が維持され得るようにクラッチ動作圧力調節用弁を調節して、同一回転方向制御用クラッチ401aの動作圧力を制御する。このとき、制御部10aは、前記装置の出力軸410aに設けられた出力軸速度感知センサ420aを介して被駆動体600の回転速度を確認できる。
【0094】
被駆動体600の回転速度設定値が、駆動用誘導電動機300aが定格回転速度であるとき、出力軸速度感知センサ420aで確認される回転速度以上であるか、予め設定されたクラッチのスリップを利用した回転速度以上である場合、制御部10aは、予め設定された動作速度によってクラッチ動作圧力調節用弁を完全に開放して、同一回転方向制御用クラッチ401aを接続させるか、クラッチ動作圧力調節用弁の機能を一時に除去し、クラッチ動作潤滑油の圧力が全て同一回転方向制御用クラッチ401aに伝達されるようにして、同一回転方向制御用クラッチ401aを接続させる。このように、クラッチ動作圧力調節用弁の機能を一時に除去する場合、被駆動体600の回転速度が瞬間的に落ちる現象が発生しうる。
【0095】
被駆動体600の推進中に制動をするために、制御部10aに回転速度設定値として逆回転信号を入力すれば、同一回転方向制御用クラッチ401a弁を遮断して同一回転方向制御用クラッチ401aを遮断し、クラッチ動作圧力調節用弁の動作圧力を除去する。また、被駆動体600の回転方向を反対方向に制御するために、反対回転方向制御用クラッチ402a弁を開放した後、クラッチ動作圧力調節用弁で動作圧力を調節して推進体の制動のための逆回転制御を行う。その後、推進体が停止されて回転速度設定値が「0」rpmに入力されれば、反対回転方向制御用クラッチ402a弁を遮断する。
【0096】
クラッチの摩擦で発生される熱により前記装置400aの潤滑油温度が上昇するが、制御部10aは、前記装置の潤滑油温度感知センサ405aで測定した潤滑油温度が警報値未満に維持されるようにクラッチ動作圧力調節用弁の動作圧力を制御できる。
【0097】
図10は、本発明に係る出力側回転方向調整が可能なクラッチと歯車が内蔵された装置400aを4行程内燃機関700aにて駆動する実施形態を示したものである。駆動体として使用される4行程内燃機関700aの始動が完了すれば、制御部10aは、正回転運転の場合、前記装置400aの同一回転方向制御用クラッチ401a弁を開放した後、回転速度設定値が維持され得るようにクラッチ動作圧力調節用弁を調節して、同一回転方向制御用クラッチ401aの動作圧力を制御する。このとき、制御部10aは、前記装置の出力軸410aに設けられた出力軸速度感知センサ420aを介して被駆動体600の回転速度を確認できる。
【0098】
被駆動体600の回転速度設定値が、4行程内燃機関700aが定格回転速度であるとき、出力軸速度感知センサ420aで確認される回転速度以上であるか、予め設定されたクラッチのスリップを利用した回転速度以上である場合、制御部10aは、予め設定された動作速度によってクラッチ動作圧力調節用弁を完全に開放して、同一回転方向制御用クラッチ401aを接続させるか、クラッチ動作圧力調節用弁の機能を一時に除去し、クラッチ動作潤滑油の圧力が全て同一回転方向制御用クラッチ401aに伝達されるようにして、同一回転方向制御用クラッチ401aを接続させる。このように、クラッチ動作圧力調節用弁の機能を一時に除去する場合、被駆動体600の回転速度が瞬間的に落ちる現象が発生しうる。
【0099】
被駆動体600の推進中に制動をするために、制御部10aに回転速度設定値として逆回転信号を入力すれば、同一回転方向制御用クラッチ401a弁を遮断して同一回転方向制御用クラッチ401aを遮断し、クラッチ動作圧力調節用弁の動作圧力を除去する。また、被駆動体600の回転方向を反対方向に制御するために、反対回転方向制御用クラッチ402a弁を開放した後、クラッチ動作圧力調節用弁で動作圧力を調節して推進体の制動のための逆回転制御を行う。その後、推進体が停止されて回転速度設定値が「0」rpmに入力されれば、反対回転方向制御用クラッチ402a弁を遮断する。
【0100】
クラッチの摩擦で発生される熱により前記装置400aの潤滑油温度が上昇するが、制御部10aは、前記装置の潤滑油温度感知センサ405aで測定した潤滑油温度が警報値未満に維持されるようにクラッチ動作圧力調節用弁の動作圧力を制御できる。
【0101】
図11は、本発明に係る出力側回転方向調整が不可能なクラッチと歯車が内蔵された装置400aを駆動用誘導電動機300aにて駆動する実施形態を示したものである。
【0102】
駆動体として使用される駆動用誘導電動機300aの起動の際に発生される起動電流を制限するための方法として、小型誘導電動機をフォニー電動機200aとして使用する。具体的に、駆動用誘導電動機300a軸にフォニー電動機出力軸210aを連結した後、フォニー電動機スタータ100aに設けられたソフトスタータで電力供給用ケーブルfを介してフォニー電動機200aを減電圧起動し、駆動用誘導電動機300aの回転子をフォニー電動機200aの定格回転速度まで回転させる。このとき、フォニー電動機200aの起動電流を制限する必要がなく、停止の際の惰力運転(coasting operation)時間が短い場合には、フォニー電動機スタータ100aに全電圧起動のための装置を備える。
【0103】
制御部10aは、フォニー電動機200aを起動させた後、起動完了可否を前記装置の入力軸310aに設けられた入力軸速度感知センサ320aの回転速度で判断する。このとき、駆動用誘導電動機300aの回転子が定格回転速度に到達すれば、制御部10aは、フォニー電動機スタータ100aに電力遮断信号を伝達し、駆動用誘導電動機スタータ50aに電力供給信号を伝達する。その後、電力供給用ケーブルcを介して駆動用誘導電動機300aに電力が供給されれば、起動電流を制限した駆動用誘導電動機300aの起動が完了する。
【0104】
駆動用誘導電動機300aの起動が完了すれば、制御部10aは、正回転運転の場合、前記装置400aの同一回転方向制御用クラッチ401a弁を開放した後、回転速度設定値が維持され得るようにクラッチ動作圧力調節用弁を調節して、同一回転方向制御用クラッチ401aの動作圧力を制御する。このとき、制御部10aは、前記装置の出力軸410aに設けられた出力軸速度感知センサ420aを介して被駆動体600の回転速度を確認できる。
【0105】
被駆動体600の回転速度設定値が、駆動用誘導電動機300aが定格回転速度であるとき、出力軸速度感知センサ420aで確認される回転速度以上であるか、予め設定されたクラッチのスリップを利用した回転速度以上である場合、制御部10aは、予め設定された動作速度によってクラッチ動作圧力調節用弁を完全に開放し、同一回転方向制御用クラッチ401aを接続させるか、クラッチ動作圧力調節用弁の機能を一時に除去し、クラッチ動作潤滑油の圧力が全て同一回転方向制御用クラッチ401aに伝達されるようにして、同一回転方向制御用クラッチ401aを接続させる。このように、クラッチ動作圧力調節用弁の機能を一時に除去する場合、被駆動体600の回転速度が瞬間的に落ちる現象が発生しうる。
【0106】
被駆動体600の推進中に制動をするために、制御部10aに回転速度設定値として逆回転信号を入力すれば、同一回転方向制御用クラッチ401a弁を遮断して同一回転方向制御用クラッチ401aを遮断し、クラッチ動作圧力調節用弁の動作圧力を除去する。また、駆動用誘導電動機スタータ50aの電源を遮断した後、フォニー電動機スタータ100aに設けられたソフトスタータを動作させてソフトスタータのブレーキ機能を利用することで、フォニー電動機200aを停止させる。
【0107】
その後、フォニー電動機200aの停止可否が前記装置の入力軸310aに設けられた入力軸速度感知センサ320aの回転速度で確認されれば、フォニー電動機200aの逆回転のために、ソフトスタータに供給される電源の上回転方向を逆方向に転換した後、フォニー電動機スタータ100aに設けられたソフトスタータで電力供給用ケーブルfを介してフォニー電動機200aを減電圧起動し、駆動用誘導電動機300aの回転子をフォニー電動機200aの定格回転速度まで逆回転させる。
【0108】
制御部10aは、フォニー電動機200aの逆回転起動を完了した後、起動完了可否を前記装置の入力軸310aに設けられた入力軸速度感知センサ320aの回転速度で判断する。このとき、駆動用誘導電動機300aの回転子が定格回転速度に到達すれば、制御部10aは、フォニー電動機スタータ100aに電力遮断信号を伝達し、駆動用誘導電動機スタータ50aに電源の上回転方向が逆方向に転換された電力供給信号を伝達する。その後、電力供給用ケーブルcを介して駆動用誘導電動機300aに電力が供給されれば、起動電流を制限した駆動用誘導電動機300aの逆回転起動が完了する。
【0109】
駆動用誘導電動機300aの逆回転が前記装置の入力軸310aに設けられた入力軸速度感知センサ320aの回転速度で判断されれば、被駆動体600の回転方向を反対方向に制御するために、同一回転方向制御用クラッチ401a弁を開放した後、クラッチ動作圧力調節用弁で動作圧力を調節して推進体の制動のための逆回転制御を行う。その後、推進体が停止されて回転速度設定値が「0」rpmに入力されれば、反対回転方向制御用クラッチ401a弁を遮断する。
【0110】
クラッチの摩擦で発生される熱によりクラッチと歯車が内蔵された装置400aの潤滑油温度が上昇するが、制御部10aは、前記装置の潤滑油温度感知センサ405aで測定した潤滑油温度が警報値未満に維持されるようにクラッチ動作圧力調節用弁の動作圧力を制御できる。
【0111】
図12は、本発明に係る出力側回転方向調整が不可能なクラッチと歯車が内蔵された装置400aを2行程内燃機関800aにて駆動する実施形態を示したものである。
【0112】
駆動体として使用される2行程内燃機関800aの始動が完了すれば、制御部10aは、正回転運転の場合、前記装置400aの同一回転方向制御用クラッチ401a弁を開放した後、回転速度設定値が維持され得るようにクラッチ動作圧力調節用弁を調節して、同一回転方向制御用クラッチ401aの動作圧力を制御する。このとき、制御部10aは、前記装置の出力軸410aに設けられた出力軸速度感知センサ420aを介して被駆動体600の回転速度を確認できる。
【0113】
被駆動体600の回転速度設定値が、2行程内燃機関800aが定格回転速度であるとき、出力軸速度感知センサ420aで確認される回転速度以上であるか、予め設定されたクラッチのスリップを利用した回転速度以上である場合、制御部10aは、予め設定された動作速度によってクラッチ動作圧力調節用弁を完全に開放して、同一回転方向制御用クラッチ401aを接続させるか、クラッチ動作圧力調節用弁の機能を一時に除去し、クラッチ動作潤滑油の圧力が全て同一回転方向制御用クラッチ401aに伝達されるようにして、同一回転方向制御用クラッチ401aを接続させる。このように、クラッチ動作圧力調節用弁の機能を一時に除去する場合、被駆動体600の回転速度が瞬間的に落ちる現象が発生しうる。
【0114】
被駆動体600の推進中に制動をするために、制御部10aに回転速度設定値として逆回転信号を入力すれば、同一回転方向制御用クラッチ401a弁を遮断して同一回転方向制御用クラッチ401aを遮断し、クラッチ動作圧力調節用弁の動作圧力を除去する。2行程内燃機関800aを停止させた後、2行程内燃機関800aの停止可否が前記装置の入力軸310aに設けられた入力軸速度感知センサ320aの回転速度で確認されれば、2行程内燃機関800aを逆回転で始動して定格回転速度まで回転させる。2行程内燃機関800aの逆回転が前記装置の入力軸310aに設けられた入力軸速度感知センサ320aの回転速度で判断されれば、被駆動体600の回転方向を反対方向に制御するために、同一回転方向制御用クラッチ401a弁を開放した後、クラッチ動作圧力調節用弁で動作圧力を調節して推進体の制動のための逆回転制御を行う。その後、推進体が停止されて回転速度設定値が「0」rpmに入力されれば、反対回転方向制御用クラッチ401a弁を遮断する。
【0115】
クラッチの摩擦で発生される熱により前記装置400aの潤滑油温度が上昇するが、制御部10aは、潤滑油温度感知センサ405aで測定した潤滑油温度が警報値未満に維持されるようにクラッチ動作圧力調節用弁の動作圧力を制御できる。
【0116】
図13は、本発明に係る出力側回転方向調整が可能なクラッチと歯車が内蔵された装置400a、400bを駆動用誘導電動機300a、300bにて駆動して二重入力-単一出力歯車装置500で並列運転する実施形態を示したものであり、図14は、本発明に係る出力側回転方向調整が可能なクラッチと歯車が内蔵された装置400a、400bを4行程内燃機関700a、700bにて駆動して二重入力-単一出力歯車装置500で並列運転する実施形態を示したものであり、図15は、本発明に係る出力側回転方向調整が不可能なクラッチと歯車が内蔵された装置400a、400bを駆動用誘導電動機300a、300bにて駆動して二重入力-単一出力歯車装置500で並列運転する実施形態を示したものであり、図16は、本発明に係る出力側回転方向調整が不可能なクラッチと歯車が内蔵された装置400a、400bを2行程内燃機関800a、800bにて駆動して二重入力-単一出力歯車装置500で並列運転する実施形態を示したものである。
【0117】
このように、二重入力-単一出力歯車装置500を使用する場合、被駆動体600の回転速度設定値が低ければ、1台の駆動体で被駆動体600を運転し、回転速度設定値が高ければ、2台の駆動体で被駆動体600を運転する順次的負荷運転及び並列運転を同期化過程なしに行うことができる。
【0118】
以下、図13図14に示された出力側回転方向調整が可能なクラッチと歯車が内蔵された装置400a、400bが駆動体300aと300b、700aと700bに連結されて、二重入力-単一出力歯車装置500で順次的負荷運転及び並列運転を行う方法について説明する。
【0119】
駆動体の負荷運転順序は、左側の駆動用誘導電動機300a、4行程内燃機関700aが先に運転され、右側の駆動用誘導電動機300b、4行程内燃機関700bが後で運転されることと仮定して説明する。
【0120】
駆動体300a、700aの始動が完了すれば、制御部10aは、正回転運転の場合、前記装置400aの同一回転方向制御用クラッチ401a弁を開放した後、回転速度設定値が維持され得るようにクラッチ動作圧力調節用弁を調節して、同一回転方向制御用クラッチ401aの動作圧力を制御する。このとき、制御部10aは、二重入力-単一出力歯車装置の出力軸510に設けられた出力軸速度感知センサ520aを介して被駆動体600の回転速度を確認できる。
【0121】
被駆動体600の回転速度設定値が既運転中の左側駆動体300a、700aの回転速度別の出力以上であるか、予め設定されたクラッチのスリップを利用した左側駆動体300a、700aの回転速度別の出力以上である場合、制御部10bは、右側駆動体300b、700bを始動し、前記装置400bの同一回転方向制御用クラッチ401a弁を開放した後、回転速度設定値が維持され得るようにクラッチ動作圧力調節用弁を調節して、同一回転方向制御用クラッチ401aの動作圧力を制御する。このとき、制御部10bは、二重入力-単一出力歯車装置の出力軸510に設けられた出力軸速度感知センサ520aを介して被駆動体600の回転速度を確認できる。
【0122】
制御部10a、10bは、前記装置400a、400bの同一回転方向制御用クラッチ401aの動作圧力を制御しながら並列運転を行うが、被駆動体600の回転速度設定値が、2台の駆動体300aと300b、700aと700bが定格回転速度で出すことのできる定格出力以上であるか、予め設定されたクラッチのスリップを利用した2台の駆動体300aと300b、700aと700bの回転速度別の出力以上である場合、制御部10a、10bは、予め設定された動作速度によってクラッチ動作圧力調節用弁を完全に開放して、同一回転方向制御用クラッチ401aを接続させるか、クラッチ動作圧力調節用弁の機能を一時に除去し、前記装置400a、400bで形成されたクラッチ動作潤滑油の圧力が全て同一回転方向制御用クラッチ401aに伝達されるようにして、同一回転方向制御用クラッチ401aを接続させる。このように、クラッチ動作圧力調節用弁の機能を一時に除去する場合、被駆動体600の回転速度が瞬間的に落ちる現象が発生しうる。
【0123】
2台のクラッチと歯車が内蔵された装置400a、400bのクラッチが接続された状態で駆動体300aと300b、700aと700bの回転速度設定値が互いに同じであれば、駆動体間の均等負荷運転(symmetric load sharing)がなされ、異なると、不均等負荷運転(asymmetric load sharing)がなされる。
【0124】
被駆動体600の推進中に制動をするために、制御部10a、10bに回転速度設定値として逆回転信号を入力すれば、同一回転方向制御用クラッチ401a弁を遮断して同一回転方向制御用クラッチ401aを遮断し、クラッチ動作圧力調節用弁の動作圧力を除去する。
【0125】
また、被駆動体600の回転方向を反対方向に制御するために、反対回転方向制御用クラッチ402aを動作させた後、クラッチ動作圧力調節用弁で動作圧力を増加させて推進体の制動のための逆回転制御を行う。その後、推進体が停止されて回転速度設定値が「0」rpmに入力されれば、反対回転方向制御用クラッチ402a弁を遮断する。
【0126】
クラッチの摩擦で発生する熱により前記装置400a、400bの潤滑油温度が上昇するが、制御部10a、10bでは、前記装置の潤滑油温度感知センサ405a、405bで測定した潤滑油温度が警報値未満に維持されるようにクラッチ動作圧力調節用弁の動作圧力を制御できる。
【0127】
図15図16に示された出力側回転方向調整が不可能なクラッチと歯車が内蔵された装置400a、400bが駆動体300aと300b、800aと800bに連結されて、二重入力-単一出力歯車装置500に順次的負荷運転及び並列運転を行う方法は、図13図14について説明したように行うことができるが、出力側回転方向調整が不可能なクラッチと歯車が内蔵された装置400a、400bが使用されるので、被駆動体600の推進中に制動をするために、制御部10a、10bに回転速度設定値として逆回転信号を入力すれば、駆動体300aと300b、800aと800bを図11図12において説明したように、駆動体の回転方向を逆回転させた後、制動制御を行う。
【0128】
図13図16について説明したように、本発明に係るクラッチを用いた推進及び制動システムは、既存の推進システムとは異なり、順次的負荷運転及び並列運転のための同期化が必要でないので、前記装置出力軸410a、410bに設けられた出力軸速度感知センサ420a、420bが同期化のために使用されず、大きい出力が要求される被駆動体600を種々の駆動体で駆動する場合、入力数が増加された二重(多重)入力-単一出力歯車装置を使用すれば良い。このとき、二重(多重)入力-単一出力歯車装置500の運転状態は、それぞれの制御部10a、10bに連結された潤滑油温度感知センサ505a、505b、潤滑油圧力感知センサ506a、506bで確認されることができる。また、駆動体間の並列運転の際、負荷分担状態を回転速度では判断できないので、駆動体が駆動用誘導電動機である場合には、駆動用誘導電動機スタータ50a、50bに設けられた電力測定及び監視装置で取得された情報(例、有効電力(kW)等)を基準に負荷量を判断し、駆動体が内燃機関である場合には、内燃機関制御装置を介して取得された情報(例、燃料噴射量またはシリンダーに供給される空気圧力等)を基準に負荷量を判断する。
【0129】
運転中の駆動体間の負荷偏差が発生しないように、制御部10a、10bは、並列運転を進行する間、これらの情報を通信にて交換してクラッチ動作圧力調節用弁を調節することにより均等負荷運転(symmetric load sharing)を行うことができ、仮に、制御部10a、10bに不均等負荷運転(asymmetric load sharing)設定がなされている場合には、これを反映してクラッチ動作圧力調節用弁を調節できる。また、二重入力-単一出力歯車装置500に連結された駆動体が互いに異なる場合(駆動用誘導電動機と内燃機関との間の並列運転)にも、前記並列運転が可能であることは当たり前である。
【0130】
二重入力-単一出力減速機を使用する既存の2機1軸船のFPP推進システムは、駆動体間の並列運転状態でのみ運転が可能であるので、駆動体の低速、低負荷運転の際、全体エネルギー運営効率低下が発生し、また、駆動体等が全て正常運転状態であるときのみ、船舶の推進が可能であるが、本発明のクラッチを用いた推進及び制動システムでは、駆動体の順次的負荷運転実施が可能であることにより、全体エネルギー運営効率増大を期待でき、駆動体のうち、1台のみ運転が可能な場合にも、船舶の推進が可能であるので、船舶の運営信頼性を高めることができる。
【0131】
図17は、本発明に係る出力側回転方向調整が可能なクラッチと歯車が内蔵された装置を駆動用誘導電動機にて駆動して被駆動用誘導電動機で周波数が変換された電力を生産する実施形態を示したものであって、出力側回転方向調整が可能なクラッチと歯車が内蔵された装置を使用する場合、被駆動用誘導電動機70を誘導発電機として使用するとき、上回転方向を反対に転換することができる。
【0132】
6極(pole)駆動用誘導電動機300aに50Hzが供給されれば、スリップに鑑みたとき、回転子の回転速度は、l,000rpm未満で回転するようになる。また、8極(pole)駆動用誘導電動機300aに60Hzが供給されれば、スリップに鑑みるとき、回転子の回転速度は、900rpm未満で回転するようになるが、50Hzが供給されれば、スリップに鑑みるとき、回転子の回転速度は750rpm未満で回転するようになる。したがって、50Hzが供給される6極駆動用誘導電動機300aで8極被駆動用誘導電動機70を900rpmで回転させると、60Hzの電力を得ることができ、60Hzが供給される8極駆動用誘導電動機300aで8極被駆動用誘導電動機70を750rpmで回転させると、50Hzの電力を得ることができる。
【0133】
以下、60Hzの被駆動用誘導電動機スタータ60の電力を電力供給用ケーブルeを介して被駆動用誘導電動機70に供給し、8極900rpmの被駆動用誘導電動機出力軸71がカップリング72を介してポンプ入力軸73に連結されている稼動中のポンプ80を50Hzの周波数変換装置として使用することを説明する。
【0134】
周波数変換装置として使用するために、被駆動用誘導電動機出力軸71とポンプ80とのカップリング72は分離し、被駆動用誘導電動機出力軸71とクラッチと歯車が内蔵された装置の出力軸410aとは連結し、60Hzの被駆動用誘導電動機スタータ60の代わりに、50Hzの電源遮断器盤3を使用する。
【0135】
駆動体として使用される駆動用誘導電動機300aの起動の際に発生される起動電流を制限するための方法として、小型誘導電動機をフォニー電動機200aとして使用する。駆動用誘導電動機300a軸にフォニー電動機出力軸210aを連結した後、フォニー電動機スタータ100aで電力供給用ケーブルfを介してフォニー電動機200aに全電圧を印加すれば、駆動用誘導電動機300aの回転子をフォニー電動機200aの定格回転速度まで回転させることができる。このとき、フォニー電動機200aの起動電流も制限する必要がある場合には、フォニー電動機スタータ100aに減電圧起動(Y-Δ起動または1次抵抗起動またはリアクター起動または単巻変圧器起動またはソフトスタータ起動)のための装置を備える。
【0136】
制御部10aでは、フォニー電動機200aを起動させた後、起動完了可否を前記装置の入力軸310aに設けられた入力軸速度感知センサ320aの回転速度で判断する。このとき、駆動用誘導電動機300aの回転子が定格回転速度に到達すれば、制御部10aは、フォニー電動機スタータ100aに電力遮断信号を伝達し、駆動用誘導電動機スタータ50aに電力供給信号を伝達する。その後、電力供給用ケーブルcを介して駆動用誘導電動機300aに電力が供給されれば、起動電流を制限した駆動用誘導電動機300aの起動が完了する。
【0137】
駆動用誘導電動機300aの起動が完了すれば、制御部10aは、正/逆回転運転信号状態によって正回転(normal rotation)運転の場合、前記装置400aの同一回転方向制御用クラッチ401a弁を開放した後、回転速度設定値が維持され得るようにクラッチ動作圧力調節用弁を調節して、同一回転方向制御用クラッチ401aの動作圧力を制御する。このとき、制御部10aは、前記装置の出力軸410aに設けられた出力軸速度感知センサ420aを介して被駆動用誘導電動機70の回転速度を確認できる。
【0138】
被駆動用誘導電動機70の回転速度が回転速度設定値に到達すれば、制御部10aは、50Hzの電源遮断器盤3の遮断器を接続して被駆動用誘導電動機70を50Hz電源と連結した後、クラッチ動作圧力調節用弁の調節を介して同一回転方向制御用クラッチ401aの動作圧力を上昇させる。このとき、回転子の速度を同期速度より速くすれば、被駆動用誘導電動機70は、誘導発電機として動作する。
【0139】
誘導発電機の出力量は、回転速度設定値を調整して制御すれば良いが、通常、同期速度より3%増加されれば、定格出力が発生される。電力制御システムがある場合、クラッチと歯車が内蔵された装置の出力量を制御部10aの回転速度設定値信号を介して制御することもできる。
【0140】
誘導発電機の上回転方向が反対にならなければならない場合には、駆動用誘導電動機300aの起動が完了した後、制御部10aに逆回転信号を与えると、前記装置400aの反対回転方向制御用クラッチ402a弁を開放した後、回転速度設定値が維持され得るようにクラッチ動作圧力調節用弁を調節して、反対回転方向制御用クラッチ402aの動作圧力を制御する。このとき、制御部10aは、前記装置出力軸410aに設けられた出力軸速度感知センサ420aを介して被駆動用誘導電動機70の回転速度を確認できる。
【0141】
被駆動用誘導電動機70の回転速度が回転速度設定値に到達すれば、制御部10aは、50Hzの電源遮断器盤3の遮断器を接続して被駆動用誘導電動機70を50Hzの電源と連結した後、クラッチ動作圧力調節用弁を調節して反対回転方向制御用クラッチ402aの動作圧力を上昇させる。このとき、回転子の速度を同期速度より速くすれば、被駆動用誘導電動機70は、上回転が反対方向に転換された誘導発電機として動作する。
【0142】
本発明に係るクラッチを用いた推進及び制動システムは、既存システムに多く使用されるクラッチ内蔵減速機に代えて使用できるので、別の設置空間が必要でないだけでなく、運営の側面でも効率的かつ信頼性のある運営が可能である。
【0143】
また、前記制御部10a、10bを無線端末機20、駆動体、被駆動体と連動されるように構成して、クラッチを用いた推進及び制動システムの動作を遠隔でモバイルまたはウェブを介して監視及び制御することができる。
【0144】
一方、前記制御部10a、10bは、HMI(Human Man Interface)を介して監視及び制御が可能であり、権限が付与された運営者は、無線通信用アンテナ11aに伝達された情報を無線端末機20を介して監視できるだけでなく、制御まで可能なように構成することが好ましい。
【0145】
従来の物理的離間距離による装備運営の限界性を克服するために、本発明は、遠隔監視及び制御が可能なクラッチを用いた推進及び制動システムを構築して、システムが運営中の地域で使用可能な移動通信を介して運営者の無線端末機にクラッチを用いた推進及び制動システムの運営状態を伝達し、遠隔制御権限が付与された運営者の遠隔制御が可能であるので、装備等の運営性を極大化できるようにした。
【0146】
以上の説明は、本発明の技術思想を例示的に説明したことに過ぎないものであって、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者であれば、本発明の本質的な特性から逸脱しない範囲内で様々な修正、変更、及び置換が可能であろう。したがって、本発明に開示された実施形態及び添付された図面等は、本発明の技術思想を限定するためのものではなく、説明するためのものであり、このような実施形態及び添付された図面によって本発明の技術思想の範囲が限定されるものではない。本発明の保護範囲は、特許請求の範囲によって解釈されなければならず、それと同等な範囲内にあるあらゆる技術思想は、本発明の権利範囲に含まれることと解釈されるべきであろう。
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【国際調査報告】