(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-31
(54)【発明の名称】通気性のある金属被覆複合布地
(51)【国際特許分類】
B32B 15/08 20060101AFI20230124BHJP
A41D 31/00 20190101ALI20230124BHJP
A41D 31/14 20190101ALI20230124BHJP
D06M 10/00 20060101ALI20230124BHJP
【FI】
B32B15/08 A
A41D31/00 502J
A41D31/00 502Q
A41D31/00 504B
A41D31/00 504C
A41D31/00 504D
A41D31/14
D06M10/00 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022529412
(86)(22)【出願日】2020-11-23
(85)【翻訳文提出日】2022-07-15
(86)【国際出願番号】 US2020061762
(87)【国際公開番号】W WO2021108296
(87)【国際公開日】2021-06-03
(32)【優先日】2019-11-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521465315
【氏名又は名称】ライフラボズ デザイン、インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ラウ、シンディ イー シン
(72)【発明者】
【氏名】ジュ、ペイ
【テーマコード(参考)】
4F100
4L031
【Fターム(参考)】
4F100AB01B
4F100AB09B
4F100AB10B
4F100AB11B
4F100AB12B
4F100AB17B
4F100AB25B
4F100AJ00
4F100AJ00B
4F100AK01C
4F100AK03A
4F100AK17A
4F100AK41A
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4F100AK51A
4F100AL09A
4F100BA04
4F100BA07
4F100CB00
4F100DG11A
4F100DG11D
4F100DG12A
4F100DG13A
4F100DG15A
4F100GB71
4F100GB72
4F100JD04
4F100JJ01
4L031AB31
4L031BA04
4L031CB13
4L031DA00
(57)【要約】
布地は、内層と、内層に配置された金属被覆膜と、金属被覆膜に配置された外層とを含む。金属被覆膜は、ポリマーを含むベース層と、ベース層の第1の表面に堆積した金属層とを含む。内層は、第1の接触点を介して金属被覆膜に結合されており、外層は、第2の接触点を介して金属被覆膜に結合されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
布地であって、
内層と、
前記内層に配置された金属被覆膜であって、前記金属被覆膜が、ポリマーを含むベース層および前記ベース層の第1の表面に堆積した金属層を含み、前記内層が、第1の接触点を介して前記金属被覆膜に結合されている、金属被覆膜と、
前記金属被覆膜に配置された外層であって、第2の接触点を介して前記金属被覆膜に結合されている、外層と
を備える、布地。
【請求項2】
前記内層が、前記ベース層の第2の表面に結合されており、前記第2の表面が、前記第1の表面の反対側にある、請求項1に記載の布地。
【請求項3】
前記外層が、前記金属層の表面に結合されている、請求項1または2に記載の布地。
【請求項4】
前記内層、前記ベース層、前記金属層、および前記外層のそれぞれが、少なくとも500g/m
2/24hrの水蒸気透過率を有する、請求項1から3のいずれか一項に記載の布地。
【請求項5】
前記布地が、多くとも0.6W/m・Kの熱伝導率を有する、請求項1から4のいずれか一項に記載の布地。
【請求項6】
前記内層が、織布、編み布、または不織布のうちの1つを含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の布地。
【請求項7】
前記内層が、合成材料または天然材料を含む、請求項6に記載の布地。
【請求項8】
前記合成材料が、ポリエステル、ナイロン、エラスタン、ポリウレタン、ポリオレフィン、ポリ乳酸、またはポリテトラフルオロエチレン(PTFE)のうちの1または複数から選択されている、請求項7に記載の布地。
【請求項9】
前記布地が、前記内層、前記金属被覆膜、および前記外層のそれぞれの、少なくとも70%の水蒸気透過率を有する、請求項1から8のいずれか一項に記載の布地。
【請求項10】
前記第1の接触点および前記第2の接触点が、接着剤を含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の布地。
【請求項11】
前記第1の接触点が、融解したベース層を含む、請求項1から10のいずれか一項に記載の布地。
【請求項12】
前記第1の接触点が、融解した内層を含む、請求項1から11のいずれか一項に記載の布地。
【請求項13】
前記第2の接触点が、融解したベース層を含む、請求項1から12のいずれか一項に記載の布地。
【請求項14】
前記第2の接触点が、融解した外層を含む、請求項1から13のいずれか一項に記載の布地。
【請求項15】
前記第1の接触点または前記第2の接触点が、縫い合わせまたはキルト縫いによって形成されている、請求項1から14のいずれか一項に記載の布地。
【請求項16】
前記金属層が、アルミニウム、チタニウム、銀、金、銅、亜鉛、マグネシウム、またはゲルマニウムのうちの1または複数を含む、請求項1から15のいずれか一項に記載の布地。
【請求項17】
前記金属層が、約10ナノメートル~約200ナノメートルの厚さを有する、請求項1から16のいずれか一項に記載の布地。
【請求項18】
前記金属層が、波長9.5マイクロメートルにおいて、0.76~0.97の範囲の反射性を有する、請求項1から17のいずれか一項に記載の布地。
【請求項19】
前記金属被覆膜が、少なくとも800g/m
2/24hrの水蒸気透過率を有する、請求項1から18のいずれか一項に記載の布地。
【請求項20】
前記金属被覆膜と前記外層との合計放射率が、波長9.5マイクロメートルにおいて多くとも0.85である、請求項1から19のいずれか一項に記載の布地。
【請求項21】
請求項1から20のいずれか一項に記載の布地を含む装置であって、前記装置が、衣類、履物、テント、または寝袋のうちの1つである、装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、米国特許法第119条(e)の下に、2019年11月27日出願の米国仮特許出願第62/941,555号の利益を主張し、その内容は全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は一般に、衣類、履物、テント、および寝袋のための布地に関し、より詳細には、衣類、履物、テント、および寝袋のための通気性のある金属被覆複合布地に関する。
【背景技術】
【0003】
建物の断熱性を向上させるために、水蒸気透過性および空気透過性を有する金属被覆ポリエチレンプレキシフィラメント状フィルム-フイブリルシートが、ハウスラップとして使用されてきている。しかし、これらのシートは、手触りが悪く、防しわ性に乏しく、洗浄に対する抵抗性が乏しいことに起因して、衣服には適していない。
【発明の概要】
【0004】
本明細書では、衣類、履物、テント、および寝袋で使用するための、人が快適に使用でき、洗浄サイクルに対する耐久性を有する通気性のある複合布地が説明される。
【0005】
一態様において、積層状の布地は、内層と、内層に配置された金属被覆膜と、金属被覆膜に配置された外層とを含む。金属被覆膜は、ポリマーを含むベース層と、ベース層の第1の表面に堆積した金属層とを含む。内層は、第1の接触点を介して金属被覆膜に結合されており、外層は、第2の接触点を介して金属被覆膜に結合されている。
【0006】
いくつかの実施形態において、内層は、ベース層の第2の表面に結合されている。第2の表面は、ベース層の第1の表面の反対側にある。いくつかの実施形態において、外層は、金属層の表面に結合されている。
【0007】
いくつかの実施形態において、内層、ベース層、金属層、および外層のそれぞれは、少なくとも500g/m2/24hrの水蒸気透過率(MVTR)を有する。いくつかの実施形態において、内層は、多くとも0.6W/m・Kの熱伝導率を有する。内層は、織布、編み布、または不織布のうちの1つを含んでいてよい。内層は、合成材料または天然材料を含んでよい。いくつかの実施形態において、合成材料は、ポリエステル、ナイロン、エラスタン、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ乳酸、またはポリテトラフルオロエチレン(PTFE)のうちの1または複数から選択されている。
【0008】
いくつかの実施形態において、布地は、内層、金属被覆膜、および外層のそれぞれの、少なくとも70%の水蒸気透過率を有する。いくつかの実施形態において、第1および第2の接触点は、ドットマトリックス状に構成されている。いくつかの実施形態において、第1の接触点および第2の接触点は、接着剤を含む。いくつかの実施形態において、第1の接触点は、融解したベース層または融解した内層を含む。いくつかの実施形態において、第2の接触点は、融解したベース層または融解した外層を含む。いくつかの実施形態において、第1の接触点または第2の接触点は、縫い合わせまたはキルト縫いによって形成されている。
【0009】
いくつかの実施形態において、金属層は、アルミニウム、チタニウム、銀、金、銅、亜鉛、マグネシウム、ゲルマニウムなどのうちの1または複数を含む。いくつかの実施形態において、金属層は、約10ナノメートル~約200ナノメートルの厚さを有する。いくつかの実施形態において、金属層は、ベース層の第1の表面に対する金属の蒸着によって形成されている。いくつかの実施形態において、金属層は、波長9.5マイクロメートルにおいて、0.76~0.97の範囲の反射性を有する。
【0010】
いくつかの実施形態において、ベース層は、約50マイクロメートル未満、または約25マイクロメートル未満の厚さを有する。
【0011】
いくつかの実施形態において、ベース層の第1の表面は、少なくとも28パーセントの鏡面光沢度を有する。第2の表面は、第1の表面の粗度の少なくとも2倍の粗度を有する。
【0012】
いくつかの実施形態において、金属被覆膜は、少なくとも800g/m2/24hrの水蒸気透過率を有する。いくつかの実施形態において、金属被覆膜と外層との合計放射率は、波長9.5マイクロメートルにおいて多くとも0.85である。
【0013】
いくつかの実施形態において、装置は布地を含む。装置は、衣類、履物、テント、または寝袋のうちの1つであってよい。
【図面の簡単な説明】
【0014】
この技術の様々な実施形態の特定の特徴が、添付の特許請求の範囲における特徴とともに記載される。本開示の原理を利用した例示的実施形態を記載する以下の詳細な説明および添付図面を参照することにより、この技術の特徴および利点のより深い理解が得られる。
【0015】
【
図1】例示的な一実施形態による、通気性のある複合布地を示す概略図である。
【0016】
【
図2】例示的な一実施形態による、別の通気性のある複合布地を示す概略図である。
【0017】
【
図3】例示的な実施形態による、布地サンプルの熱抵抗保持率および放射率を示す図である。
【0018】
【
図4A】例示的な実施形態による、積層体を示す概略図である。
【
図4B】例示的な実施形態による、積層体を示す概略図である。
【
図4C】例示的な実施形態による、積層体を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下の説明では、本開示の様々な実施形態の十分な理解を促すために、特定の具体的な詳細事項が記載されている。しかし、これらの詳細事項なしに本開示が実践されてよいことを、当業者であれば理解するであろう。さらに、本明細書において本開示の様々な実施形態が開示されているが、当業者に共通の一般的な知識により、本開示の範囲内で多数の改変および修正がなされてよい。そのような修正は、同じ結果を実質的に同じ方法で達成するために、本開示の任意の態様を、既知の等価物で置換することを含む。
【0020】
文脈上別の解釈を必要とする場合を除き、本明細書および特許請求の範囲の全体を通して、「備える(comprise)」という用語ならびに「備える(comprises)」および「備える(comprising)」などのその変化形は、オープンな包括的意味で、つまり「~を含むがこれに限定されない」ものとして解釈されるべきである。本明細書の全体を通して、値の数値範囲を記載することは、その範囲を定義する値を含めその範囲内にある別々の各値を個々に参照することの簡略表記として機能することを意図しており、別々の各値は、本明細書において個々に記載されているかのごとく、本明細書に組み込まれている。付加的に、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈上別段の明確な規定のない限り、複数の指示物を含む。
【0021】
本明細書全体を通して「一実施形態」または「実施形態」を参照することは、その実施形態に関連して説明した特定の特徴、構造、または特性が、本開示の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書の全体を通して様々な場所に「一実施形態において」または「実施形態において」という表現が出現するが、必ずしもすべてが同じ実施形態を参照しているわけではなく、いくつかの事例における参照であってよい。さらに、特定の特徴、構造、または特性は、1または複数の実施形態において、任意の適切な方法で組み合わされてよい。
【0022】
本明細書において説明する様々な実施形態は、衣類および履物に使用するための通気性のある複合布地を対象とする。
一実施形態において、通気性のある複合布地は、内層と、内層に配置された金属被覆膜と、金属被覆膜に配置された外層とを含む。金属被覆膜は、ポリマーを含むベース層と、ベース層の第1の表面に堆積した金属層とを含む。内層は、第1の接触点を介して金属被覆膜に結合されており、外層は、第2の接触点を介して金属被覆膜に結合されている。金属層は、約10ナノメートル~約200ナノメートルの厚さを有する。
【0023】
ここで、実施形態を添付図面とともに説明する。まず、
図1を参照する。
図1は、例示的な一実施形態による、通気性のある複合布地100を示す概略図である。布地100は、内層102と、内層102に配置された金属被覆膜104と、金属被覆膜104に配置された外層106とを含む。
金属被覆膜104は、ベース層108と、ベース層108の第1の表面108aに堆積した金属層110とを含む。たとえば、金属層110は、ベース層108の第1の表面108aに対する金属の蒸着によって形成されていてよい。内層102および金属被覆膜104は、第1の接触点112によって互いに結合されている。第1の接触点112は、ドットマトリックス状に配置されていてよい。第1の接触点112は、内層102を、ベース層108の第2の表面108bに接続している。外層106と金属被覆膜104とは、第2の接触点114を介して互いに結合されている。第2の接触点114は、ドットマトリックス状に配置されていてよい。第2の接触点114は、外層106を金属層110の表面に接続している。
図1に示してある構成では、ベース層108が、内層102と金属層110との間に挟まれている。
【0024】
図2は、例示的な一実施形態による、別の通気性のある複合布地200を示す概略図である。布地200は、布地100と同様であるが、金属層110が内層102とベース層108との間に挟まれているという修正がなされている。布地200では、第1の接触点112が、内層102を金属層110の表面に接続している。第2の接触点114は、外層106をベース層108の第2の表面108bに接続している。布地200の構造は、その後の処理中および使用中に、擦り傷または他の偶発的な損傷から、金属層110をより良好に保護することができる。
【0025】
より快適に着用できる衣類および履物を作製するために、内層102は、通気性のある複合布地100および200に高い通気性を付与するように構成されている。また、洗浄サイクルなどの繰り返しの動的/機械的な動作に抵抗するために、内層102は、適切な外層106と組み合わされたときに十分な強度を有するように構成されている。
【0026】
いくつかの実施形態において、内層102は、少なくとも500g/m2/24hrの水蒸気透過率を有する。いくつかの実施形態において、さらなる通気性を提供するために、内層102は、少なくとも750g/m2/24hr、少なくとも1000g/m2/24hr、または少なくとも1500g/m2/24hrの水蒸気透過率を有する。通気性のある複合布地100および200に内層102を含めることにより、皮膚にじかに触れる用途向けに、人体への柔らかな感触、手触りの良さ、およびドレープも与えられる。いくつかの実施形態において、内層102は、その耐用寿命中の損耗に耐えるために、少なくとも60マイクロメートルの厚さを有する。通気性のある複合布地100または200がどこに適用されるかに応じて、内層102の厚さは異なってよい。たとえば、内層102の厚さは、約60マイクロメートル~約2400マイクロメートル、約60マイクロメートル~約1500マイクロメートル、約60マイクロメートル~約1000マイクロメートル、約60マイクロメートル~約750マイクロメートル、または約60マイクロメートル~約500マイクロメートルであってよい。
【0027】
いくつかの実施形態において、内層102は、織布、編み布、または不織布のうちの1または複数を含む。いくつかの実施形態において、内層102は、合成材料および/または天然材料を含む。たとえば、内層102用の合成材料は、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリオレフィン、ポリ乳酸、ナイロン、エラスタン、およびPTFEのうちの1または複数から選択される。さらに、内層102用の天然材料は、綿、ウール、シルク、リネン、および他の天然繊維を含んでよい。
【0028】
いくつかの実施形態において、布地100または200は、通常、0.1W/m・Kより多くない、または多くとも0.6W/m・Kの低い熱伝導率を有して、伝導熱の損失を最小に抑えてよい。
【0029】
いくつかの実施形態において、内層102は、ASTM(米国試験材料協会)D5035試験条件下で少なくとも45N/2.54cmの引張強度、ASTM2261試験条件下で少なくとも9Nの引裂強度、およびASTM D774試験条件下で少なくとも350kPaのミューレン破裂を有する。
【0030】
金属被覆膜104は、断熱を目的とした、通気性のある放射障壁として提供されている。これらの目的のために、金属被覆膜104は、低い放射率および高い通気性を有するように構成されている。場合により金属被覆膜104は、任意で防水加工されている。金属被覆膜104は、放射の反射により断熱性を向上させるために、通気性のあるIR反射層になるように構成されていてよい。
【0031】
いくつかの実施形態において、金属被覆膜104は、少なくとも500g/m2/24hrの水蒸気透過率を有する。いくつかの実施形態において、さらなる通気性を与えるために、金属被覆膜104は、少なくとも800g/m2/24hr、少なくとも1000g/m2/24hr、少なくとも1500g/m2/24hr、少なくとも2000g/m2/24hr、または少なくとも2500g/m2/24hrの水蒸気透過率を有してよい。
【0032】
いくつかの実施形態において、金属被覆膜104のベース層108は、ポリマーを含む。ベース層108は、その目的のために効果的であるように、約50マイクロメートル未満、または25マイクロメートル未満、または約20マイクロメートル未満、または約15マイクロメートル未満、または約10マイクロメートル未満の厚さを有する。いくつかの実施形態では、ベース層106は、波長9.5マイクロメートルにおいて少なくとも約40%の赤外線透過性を有する。いくつかの実施形態において、ベース層106は、波長7~14マイクロメートルにおいて約40%~60%の赤外線透過性を有する。
【0033】
ベース層108の第1の表面108aは、平坦であるように構成されており、その結果、ベース層108が金属被覆された後に、より効果的な反射層が得られる。
いくつかの実施形態において、ベース層108は、従来の多くの布地材料よりも低い融点を有するポリエチレンを含んでおり、それにより、より低い温度でのカレンダ処理によって、より平坦な表面を達成することができる。いくつかの実施形態において、ベース層108は、ポリウレタン、熱可塑性ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド、ePTFE膜などの1または複数の他の材料を含んでよい。
いくつかの実施形態において、ベース層108は、ポリオレフィンなどのIR透過基板を含んでいてよく、このIR透過基板は、ベース層108のいずれかの側に配置された金属層110の反射性を最小限にしか妨害しないので、有益である。吸収に起因してベース層108を温めるために消費される熱が最小であることから、ベース層108の構造は、身体に向かって反射して戻る熱放射を最大化するように構成されている。
いくつかの実施形態において、ベース層108は多孔性であってよい。
【0034】
金属層110は、蒸着または他のめっき技法により、ベース層108上に形成されてよい。たとえば、スパッタリング、電子ビーム堆積などを含む物理蒸着(PVD)のような方法により、金属を微小孔性のベース層108上に堆積させることができる。金属は、通気性/多孔性を維持するために不連続な層110を形成する。
いくつかの実施形態において、金属層110は、アルミニウム、チタニウム、銀、金、銅、亜鉛、マグネシウム、ゲルマニウムなどのうちの1または複数を含んでよい。いくつかの実施形態において、金属層110は、通気性を得る孔を提供するために、約10ナノメートル~約200ナノメートル、約10ナノメートル~約100ナノメートル、または約10ナノメートル~約50ナノメートルの厚さを有していてよい。金属層110が、波長9.5マイクロメートルで赤外線放射0.5より大きくない放射率を有するように、他の金属および厚さが企図される。
【0035】
いくつかの実施形態において、金属層110は、たとえばフーリエ変換赤外線分光法(FTIR)によって特定される波長9.5マイクロメートルにおいて、0.76~0.97の範囲の反射性を提供する厚さおよび表面被覆率を有するように構成される。
いくつかの実施形態において、金属層110は、波長9.5マイクロメートルにおいて0.8の反射性を有する。
【0036】
一例において、100nmアルミニウムで覆われたナノ多孔性のポリエチレンおよびポリプロピレンのベース層(多孔性約40%、厚さ16~25μm)のそれぞれは、少なくとも2500g/m2/24hrの水蒸気透過率を達成することができる。波長9.5マイクロメートルにおけるそれらの反射性は、アルミニウム側で少なくとも0.97、ポリオレフィン側で少なくとも0.87である。
【0037】
外層106は、機械洗浄などの湿った条件、ならびに擦れ、クロッキング、および機械乾燥などの乾燥した条件を含む動的/機械的な繰り返しの動作に抵抗するために、適切な内層102と組み合わされたときに強度が高くなるように構成されている。
【0038】
いくつかの実施形態において、外層106は、少なくとも500g/m2/24hrの水蒸気透過率を有する。いくつかの実施形態において、さらなる通気性を提供するために、内層102は、少なくとも750g/m2/24hr、少なくとも1000g/m2/24hr、または少なくとも1500g/m2/24hrの水蒸気透過率を有する。
【0039】
いくつかの実施形態において、外層106は、織布、編み布、不織布、フィルム、または膜のうちの1つを含む。
いくつかの実施形態において、外層106は、合成材料および/または天然材料を含む。たとえば、外層106用の合成材料は、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリオレフィン、ポリ乳酸、ナイロン、エラスタン、およびPTFEのうちの1または複数から選択される。さらに、外層106の用の天然材料は、綿、ウール、シルク、リネン、および他の天然材料を含んでよい。
【0040】
いくつかの実施形態において、金属被覆膜104と外層106との合計放射率は、多くとも0.85であってよい。これにより、外層の無い金属被覆シート104の熱抵抗の約45%が維持される。外層106の様々な選択により、適切な放射率を得ることができる。たとえば、外層106がIR透過性の高い材料(たとえばポリオレフィン)で作られていて、かつ薄い(たとえば400μm未満)場合には、外層106は、高いカバーファクタ(たとえば90%以上)を有してよい。本明細書において使用されるとき、カバーファクタは、布地の総表面積に対する、外層106を形成するための糸または繊維などの固体成分によって覆われる表面積の比として定義される。IR低透過の/IR不透過の材料(たとえば、ポリエステル、ナイロン、エラスタン、ポリウレタン、ポリ乳酸、PTFE、綿、ウール、シルク、リネンなど)については、外層106がより低いカバーファクタ(たとえば、約75%またはそれ未満)を有してよく、それにより金属被覆反射シート104の一部分が露出される。IR低透過の/IR不透過の材料については、表面被覆率が90%超になると、合計放射率が高くなりすぎ(>0.85)、したがって金属被覆シート104によって達成される熱抵抗が著しく低減することになる。
【0041】
以下の表1には、合計放射率(金属被覆シート+外層)に関連した外層の材料選択がまとめられている。サンプルA~Dは、同じ金属被覆シート、すなわち波長9.5マイクロメートルにおいて反射性がアルミニウム側0.97およびポリオレフィン側0.87のアルミ被覆ナノ多孔性ポリオレフィンフィルムを用いて準備された。サンプルAは、0.16mmの厚さを有する不織ポリオレフィン(IR透過)から作られた外層を含む。サンプルAの外層は、カバーファクタ100%を有する。サンプルAは、許容可能な合計放射率0.47~0.53を有する。サンプルBは、外層の表面上にコーティング/仕上げ/印刷(6g/m
2未満)を含む点を除き、サンプルAと同じである。サンプルBは、許容可能な合計放射率0.58~0.78を有する。サンプルCは、ポリエステル生糸(FDY)の編み布から作られた外層(IR低透過)を含む。サンプルCの外層は、厚さ0.38mmを有し、カバーファクタ67~71%を有する。またサンプルCは、許容可能な合計放射率0.63を有する。サンプルDは、綿から作られた外層を含む(IR不透過)。サンプルDの外層は、厚さ0.38mmを有し、カバーファクタ94%を有する。またサンプルDは、カバーファクタの高い、IR不透過材料を使用したことに起因して、不合格の合計放射率0.89を有する。
【表1】
【0042】
図3は、表1に示すサンプルA~Dの熱抵抗保持率および放射率を示す図である。
図3に示してあるように、サンプルA~Dの熱抵抗保持率は、それぞれ69%、62%、47%、および29%である。
【0043】
表1に示してあるように、外層は、単一の成分材料に限定されておらず、薄いコーティング/仕上げを有してもよい。たとえば、サンプルBは、0.16mmのポリエチレン不織フィルム上に軽量な印刷(たとえば、付加重量<6g/m2)を含んでおり、これは複合材のIR反射性に軽微な影響を及ぼす。いくつかの実施形態において、IR透過材料にカラー顔料などの添加剤をわずかに加える(<2%)ことも、複合材のIR反射性に微々たる影響しか及ぼさないことが見出されている。これらの布地は、衣類、履物などの作製にさらなる柔軟性および色/柄の選択肢を提供する。
【0044】
内層102と金属被覆膜104とは、複数の第1の接触点112を介して互いに結合されている。いくつかの実施形態において、金属被覆膜104は、水性接着剤、溶剤系接着剤、熱活性化接着剤、または圧力活性化接着剤などの接着剤により、内側布地に接着されることが可能である。接着剤は、内層102および金属被覆膜104の一方または両方に配置されて、これらを互いに接着している。接着剤は、通気性のある複合布地100または200の通気性を著しく低減しない方法で塗布されている。たとえば、これは、継ぎ目なしのフィルム状の代わりにドットマトリックス状に、接着剤を第1の接触点112として塗布することによって、達成することができる。
【0045】
いくつかの実施形態において、内層102と金属被覆膜104は、超音波またはレーザ溶接によって組み合わされてよい。また、ベース層108および/または内層102の融点を上回るまで接触点を加熱することにより、金属被覆膜104が下の内層102に結合されてもよい。たとえば、ベース層108の一部分が、第1の接触点112を形成するように融解されて、内層102に接続されてよい。または、内層102の一部分が、第1の接触点112を形成するように融解されて、ベース層108(
図1)または金属層110(
図2)に接続されてもよい。いくつかの実施形態において、内層102の一部分とベース層108の一部分との両方が、内層102と金属被覆膜104との間で第1の接触点112を形成するように融解されてよい。いくつかの実施形態において、第1の接触点112は、縫い合わせまたはキルト縫いによって形成されてよい。
【0046】
第1の接触点112は、布地100または200の通気性への影響を最小限に抑えるように、内層102と金属被覆膜104との間に介在している。たとえば、第1の接触点112は、内層102(または金属被覆膜104)の80%未満を覆う面積を有する。向上した通気性を得るために、第1の接触点112は、内層102(または金属被覆膜104)の50%未満、または40%未満、または30%未満を覆っている。一実施形態において、さらに向上した通気性を得るために、第1の接触点112は、内層102(または金属被覆膜104)の20%未満を覆っている。
【0047】
内層102と金属被覆膜104との間に介在する第1の接触点112は、任意の形態のドットマトリックス状に配置されていてよい。第1の接触点112の密度は、通気性のある複合布地100または200の全体にわたって均一であってよい。いくつかの実施形態において、第1の接触点112の密度は、領域によって異なってよい。たとえば、第1の接触点112の密度は、激しい損耗が予想される区域において増大されてよい。
【0048】
外層106と金属被覆膜104とは、複数の第2の接触点114を介して互いに結合されている。いくつかの実施形態において、金属被覆膜104は、水性接着剤、溶剤系接着剤、熱活性化接着剤、または圧力活性化接着剤などの接着剤により、外層106に接着されることが可能である。接着剤は、外層106および金属被覆膜104の一方または両方に配置されて、これらを互いに接着している。接着剤は、通気性のある複合布地100または200の通気性を著しく低減しない方法で塗布されている。たとえば、これは、継ぎ目なしのフィルム状の代わりにドットマトリックス状に、接着剤を第2の接触点114として塗布することによって達成することができる。
【0049】
いくつかの実施形態において、外層106と金属被覆膜104は、超音波またはレーザ溶接によって組み合わされてよい。また、ベース層108および/または外層106の融点を上回るまで接触点を加熱することにより、金属被覆膜104が外層106に結合されてもよい。たとえば、ベース層108の一部分が、第2の接触点114を形成するように融解されて、外層106に接続されてよい。または、外層106の一部分が、第2の接触点114を形成するように融解されて、金属層110(
図1)またはベース層108(
図2)に接続されてもよい。いくつかの実施形態において、外層106の一部分とベース層108の一部分との両方が、外層106と金属被覆膜104との間で第2の接触点114を形成するように融解されてよい(
図2)。いくつかの実施形態において、第2の接触点114は、縫い合わせまたはキルト縫いによって形成されてよい。
【0050】
第2の接触点114は、布地100または200の通気性への影響を最小限に抑えるように、外層106と金属被覆膜104との間に介在している。たとえば、第2の接触点114は、外層106(または金属被覆膜104)の80%未満を覆う面積を有する。向上した通気性を得るために、第2の接触点114は、外層106(または金属被覆膜104)の50%未満、または40%未満、または30%未満を覆っている。一実施形態において、さらに向上した通気性を得るために、第2の接触点114は、外層106(または金属被覆膜104)の20%未満を覆っている。
【0051】
外層106と金属被覆膜104との間に介在する第2の接触点114は、任意の形態のドットマトリックス状に配置されてよい。第2の接触点114の密度は、通気性のある複合布地100または200の全体にわたって均一であってよい。いくつかの実施形態において、第2の接触点114の密度は、領域によって異なってよい。たとえば、第2の接触点114の密度は、激しい損耗が予想される区域において増大されてよい。
【0052】
いくつかの実施形態において、通気性のある複合布地100または200は、内層102、金属被覆膜104、および外層106を含むその構成要素の少なくとも70%の通気性(MVTR)を有する。
【0053】
いくつかの実施形態において、通気性のある複合布地100または200の構成は、外層側において布地の反射性を遮断しないように、金属被覆膜104(反射層)を露出している。
【0054】
いくつかの実施形態において、接触点112、114が接着剤で具体化される場合には、接着剤により30または60g/m2未満の重量が加えられる。
【0055】
いくつかの実施形態において、通気性のある複合布地100/200は、衣類、履物、テント、寝袋などを作製するために使用されてよい。いくつかの実施形態において、通気性のある複合布地100/200は、衣類、履物、テント、寝袋などを作製するために他の材料とともに使用されてよい。構成例が、
図4A~
図4Cに示してある。
図4Aは、例示的な一実施形態による、積層体400を示す概略図である。積層体400は、通気性のある複合布地100/200から作られた外層と、中間の繊維層402と、単層の布地404とを含む。いくつかの実施形態において、中間の繊維層402は、合成断熱材、綿毛などの繊維断熱材料を含んでもよい。
【0056】
図4Bは、例示的な一実施形態による、積層体410を示す概略図である。積層体410は、単層の布地から作られた外層404と、中間繊維層402と、通気性のある複合布地100/200から作られた内層とを含む。
【0057】
図4Cは、例示的な一実施形態による、積層体420を示す概略図である。積層体420は、通気性のある複合布地100/200から作られた外層と、中間繊維層402と、通気性のある複合布地100/200から作られた内層とを含む。積層体400、410、および420は、単なる例示を目的としたものであることが理解される。通気性のある複合布地100/200を使用した他の構造が企図される。
【0058】
またこの開示は、赤外反射により向上した断熱性を提供する通気性のある赤外反射複合布地も提供する。3層の複合材では、中間層が、主に赤外反射を担う通気性のある金属被覆層であり、その一方で内層と外層は両方とも、繰り返しの擦れおよび洗濯などの機械的動作に金属被覆層が抵抗できるように、強度および支持を提供する。さらに、外層は、金属被覆層を酸化から保護するだけでなく、したがって反射性の低減を回避するだけでなく、布地の外向きの放射率を遮断するようにも選択されている。多くとも0.8の放射率が、IR反射による効果的な加温性能(熱抵抗によって測定)を実現することが実証されている。内層も、皮膚にじかに触れる手触りのよさを提供するように選択されている。
【0059】
一態様において、本明細書に開示する通気性のある複合布地は、高い通気性を有しており、この通気性により、無孔反射箔から作られた衣服よりも着用が快適になる。
【0060】
別の態様において、本明細書に開示する通気性のある複合布地は、金属被覆膜を使用した、より効果的な反射層を含んでいる。金属被覆膜は、ポリエチレンから作られたベース層を含んでおり、このベース層は、従来の多くの布地材料よりも低い融点を有しており、それにより、より低温での、たとえば200℃未満または約135℃未満の温度でのカレンダ処理によって、より平坦な表面を達成することができる。
【0061】
さらに別の態様において、本明細書に開示する通気性のある複合布地は、約200マイクロメートルまたはそれより小さい、薄い厚さを有するポリエチレンのベース層を含んでおり、人体からの赤外線放射(波長約7~14マイクロメートル)に対して、ベース層がかなり透過的になる(約40~60%)。したがって、通気性のある複合布地は、吸収に起因して層を加温するために消費される熱が最小であることから、身体に向かって反射して戻る熱放射を最大化する。
【0062】
別の態様において、本明細書に開示する通気性のある複合布地は、メルトスパンした他の不織材料よりも良好な構造的完全性および抗酸化能を提供し、通気性のある複合布地を、洗浄後の崩壊が生じにくいものにする。
【0063】
別の態様において、本明細書に開示する通気性のある複合布地は、内層および外層を金属被覆膜に接着するための接触点を含み、その結果、衣類、履物、テント、および寝袋の用途、または布地材料を必要とする他の用途にとって望ましい高い通気性が得られる。
【0064】
本開示の先の説明は、例示および説明を目的として提供されている。網羅的であること、または開示された厳密な形態に本開示を限定することは、意図していない。本開示の広がりおよび範囲は、上述した例示的実施形態のいずれかによって限定されるべきではない。多くの修正形態および変形形態が、当業者には明らかであろう。修正形態および変形形態は、本開示の特徴の任意の関連の組み合わせを含む。本開示の原理およびその現実的な用途を最も適切に説明し、それにより様々な実施形態および企図される特定の使用に適合した様々な修正形態について他の当業者が本開示を理解できるようにするために、実施形態を選択および説明した。本開示の範囲は、添付の特許請求の範囲および他の等価性によって定義されることが意図される。
【国際調査報告】