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特表2023-503581上皮接合部を制御することによる経皮浸透
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-31
(54)【発明の名称】上皮接合部を制御することによる経皮浸透
(51)【国際特許分類】
   A61K 9/08 20060101AFI20230124BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20230124BHJP
   A61K 47/18 20170101ALI20230124BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20230124BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20230124BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20230124BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20230124BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20230124BHJP
   A61K 31/05 20060101ALI20230124BHJP
   A61P 23/00 20060101ALI20230124BHJP
   A61P 13/12 20060101ALI20230124BHJP
   A61K 47/02 20060101ALI20230124BHJP
【FI】
A61K9/08
A61K47/12
A61K47/18
A61K45/00
A61P35/00
A61P1/16
A61P9/00
A61P17/00
A61K31/05
A61P23/00
A61P13/12
A61K47/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022529581
(86)(22)【出願日】2020-12-02
(85)【翻訳文提出日】2022-07-13
(86)【国際出願番号】 US2020062953
(87)【国際公開番号】W WO2021113409
(87)【国際公開日】2021-06-10
(31)【優先権主張番号】62/942,465
(32)【優先日】2019-12-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522199446
【氏名又は名称】ダイブ バイオサイエンシーズ,インク.
(74)【復代理人】
【識別番号】110003797
【氏名又は名称】弁理士法人清原国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100082072
【弁理士】
【氏名又は名称】清原 義博
(72)【発明者】
【氏名】フィッツシモンズ,ネイサン
(72)【発明者】
【氏名】ビール,ライアン
(72)【発明者】
【氏名】サンド,ブランドン
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C206
【Fターム(参考)】
4C076AA12
4C076BB31
4C076CC11
4C076CC14
4C076CC16
4C076CC17
4C076CC18
4C076CC27
4C076DD41
4C076DD49
4C076DD52
4C076DD60
4C076DD63
4C076DD70
4C076EE37
4C076EE41
4C076FF34
4C084AA17
4C084MA17
4C084MA63
4C084NA10
4C084ZA041
4C084ZA212
4C084ZA361
4C084ZA751
4C084ZA811
4C084ZA891
4C084ZB261
4C084ZC311
4C206AA01
4C206CA19
4C206KA01
4C206MA02
4C206MA05
4C206MA37
4C206MA83
4C206NA10
4C206ZA02
4C206ZA36
4C206ZA75
4C206ZA81
4C206ZA89
4C206ZB26
4C206ZC31
(57)【要約】
実施形態は、経皮送達製剤、及び、全身に分布させるための活性剤の経皮送達方法を含む。製剤は、対象の皮膚、爪、または毛嚢に塗布することができる。角質層に浸透した後、剤は、接合タンパク質及び/または細胞間のアクトミオシンベルトが制御されることで、皮膚の他の層を通過することができる。製剤は、疾患、病気を治療するための、1つ以上の剤、または、疼痛を緩和するための麻酔薬を含むことができる。あるいは、製剤は、健康及び幸福な状態を促進するための、1種以上の栄養素、ビタミン、ミネラル、またはサプリメントを含むことができる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
経皮送達製剤であって、前記経皮送達製剤が、1種以上の接合タンパク質制御物質を含む、前記経皮送達製剤。
【請求項2】
前記製剤が、疾患を治療する、または、健康及び幸福な状態を促進するための活性剤を含む、請求項1に記載の経皮送達製剤。
【請求項3】
前記疾患ががん、腎臓病、痛風、肝斑、心臓の病状、または皮膚疾患である、請求項2に記載の経皮送達製剤。
【請求項4】
前記製剤が麻酔薬を含む、請求項1に記載の経皮送達製剤。
【請求項5】
前記製剤がカンナビノイドを含む、請求項1に記載の経皮送達製剤。
【請求項6】
前記1種以上の接合タンパク質制御物質が、クロストリジウム破壊性エンテロトキシン、ZOT、AT1002、キトサン、カルシウムキレート剤、カプリン酸ナトリウム、FDFWITP、PN159、1-1-パルミトイル-2-グルタロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(PGPC)、EDTA、オレイン酸、胆汁酸、スフィンゴ脂質、スフィンゴシン-1-ホスフェート(S1P)、ジヒドロ-S1P、プロスタノイド、ロイコトリエン、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、麦角アルカロイド、カリクリン-A、オカダ酸、アンチコリンエステラーゼ薬剤、またはヒスタミンのうちの少なくとも1つである、請求項1に記載の経皮送達製剤。
【請求項7】
経皮送達製剤であって、前記経皮送達製剤が、1種以上のアクトミオシンベルト制御物質を含む、前記経皮送達製剤。
【請求項8】
前記製剤が、疾患を治療する、または、健康及び幸福な状態を促進するための活性剤を含む、請求項7に記載の経皮送達製剤。
【請求項9】
前記疾患ががん、腎臓病、痛風、肝斑、心臓の病状、または皮膚疾患である、請求項8に記載の経皮送達製剤。
【請求項10】
前記製剤が麻酔薬を含む、請求項7に記載の経皮送達製剤。
【請求項11】
前記製剤がカンナビノイドを含む、請求項7に記載の経皮送達製剤。
【請求項12】
前記1種以上のアクトミオシンベルト制御物質がカルシウムキレート剤である、請求項7に記載の経皮送達製剤。
【請求項13】
活性剤の経皮送達方法であって、
a) 対象の皮膚、爪、または毛嚢に経皮送達製剤を塗布する工程と、
b) 角質層を浸透させる工程と、
c) 1種以上の接合タンパク質を制御する工程と、
d) アクトミオシンベルトを制御する工程と、
を含む、前記方法。
【請求項14】
接合タンパク質制御物質が、前記1種以上の接合タンパク質を制御する工程において用いられ、前記接合タンパク質制御物質が、クロストリジウム破壊性エンテロトキシン、ZOT、AT1002、キトサン、カルシウムキレート剤、カプリン酸ナトリウム、FDFWITP、PN159、1-1-パルミトイル-2-グルタロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(PGPC)、EDTA、オレイン酸、胆汁酸、スフィンゴ脂質、スフィンゴシン-1-ホスフェート(S1P)、ジヒドロ-S1P、プロスタノイド、ロイコトリエン、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、麦角アルカロイド、カリクリン-A、オカダ酸、アンチコリンエステラーゼ薬剤、またはヒスタミンからなる群から選択される、請求項13に記載の経皮送達方法。
【請求項15】
カルシウムキレート剤が、前記アクトミオシンベルトを制御する工程で使用される、請求項13に記載の経皮送達方法。
【請求項16】
前記経皮送達製剤が、疾患を治療するための活性剤を含む、請求項13に記載の経皮送達方法。
【請求項17】
前記疾患ががん、腎臓病、痛風、肝斑、心臓の病状、または皮膚疾患である、請求項16に記載の経皮送達方法。
【請求項18】
前記製剤が麻酔薬を含む、請求項13に記載の経皮送達方法。
【請求項19】
前記製剤がカンナビノイドを含む、請求項13に記載の経皮送達方法。
【請求項20】
活性剤の経皮送達方法であって、1種以上の接合タンパク質を制御する工程を含む、前記方法。
【請求項21】
前記1種以上の接合タンパク質を制御する工程が、クロストリジウム破壊性エンテロトキシン、ZOT、AT1002、キトサン、カルシウムキレート剤、カプリン酸ナトリウム、FDFWITP、PN159、1-1-パルミトイル-2-グルタロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(PGPC)、EDTA、オレイン酸、胆汁酸、スフィンゴ脂質、スフィンゴシン-1-ホスフェート(S1P)、ジヒドロ-S1P、プロスタノイド、ロイコトリエン、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、麦角アルカロイド、カリクリン-A、オカダ酸、アンチコリンエステラーゼ薬剤、またはヒスタミンからなる群から選択される1種以上のタンパク質制御物質を使用する、請求項20に記載の経皮送達方法。
【請求項22】
カルシウムキレート剤が、細胞間のアクトミオシンベルトを制御する工程で使用される、請求項20に記載の活性剤の経皮送達方法。
【請求項23】
腸の上皮細胞にわたり、剤の吸収を向上させる方法であって、1種以上の接合タンパク質を制御する工程を含む、前記方法。
【請求項24】
前記1種以上の接合タンパク質を制御する工程が、クロストリジウム破壊性エンテロトキシン、ZOT、AT1002、キトサン、カルシウムキレート剤、カプリン酸ナトリウム、FDFWITP、PN159、1-1-パルミトイル-2-グルタロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(PGPC)、EDTA、オレイン酸、胆汁酸、スフィンゴ脂質、スフィンゴシン-1-ホスフェート(S1P)、ジヒドロ-S1P、プロスタノイド、ロイコトリエン、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、麦角アルカロイド、カリクリン-A、オカダ酸、アンチコリンエステラーゼ薬剤、またはヒスタミンからなる群から選択されるタンパク質制御物質を使用する、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記1種以上の接合タンパク質を制御する工程がカルシウムキレート剤を使用する、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
血液脳関門を通しての剤の吸収を向上させる方法であって、1種以上の接合タンパク質を制御する工程を含む、前記方法。
【請求項27】
前記1種以上の接合タンパク質を制御する工程が、クロストリジウム破壊性エンテロトキシン、ZOT、AT1002、キトサン、カルシウムキレート剤、カプリン酸ナトリウム、FDFWITP、PN159、1-1-パルミトイル-2-グルタロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(PGPC)、EDTA、オレイン酸、胆汁酸、スフィンゴ脂質、スフィンゴシン-1-ホスフェート(S1P)、ジヒドロ-S1P、プロスタノイド、ロイコトリエン、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、麦角アルカロイド、カリクリン-A、オカダ酸、アンチコリンエステラーゼ薬剤、またはヒスタミンからなる群から選択されるタンパク質制御物質を使用する、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記1種以上の接合タンパク質を制御する工程がカルシウムキレート剤を使用する、請求項26に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概して、薬剤の局所投与に関する。より具体的には、本発明は、上皮接合部及びアクチン細胞骨格を制御して、対象の皮膚を通して薬剤の吸収を増加させることに関する。
【背景技術】
【0002】
局所投与は、物質を皮膚表面に塗布することについて説明する。本用語は多くの場合、クリーム、泡、ジェル、ローション、または軟膏を、皮膚または粘膜に塗布することを説明するために使用される。皮膚細胞の高度の角化、及びその濃密な詰め込みは、多くの場合、侵入に対して不浸透性のバリアを生み出す。これにより、大部分の物質は、皮膚を通して吸収されない。
【0003】
「経皮投与」という用語は、物質を皮膚に塗布し、全身分布のために物質が体内に吸収されることを意味する。経皮投与は、ステロイドホルモンなどの疎水性化学物質に対して効果的であることができる。例えば、経皮貼付剤は、避妊、ホルモン補充療法、及び乗り物酔いの予防のためのステロイド薬剤を投与するための、一般的な手段である。
【0004】
疎水性化学物質でない薬剤は一般的には、局所投与に向いていない。効果的なものとするためには、局所用組成物中の活性薬剤または剤が、構造的に複雑であり、かつ比較的厚い皮膚に浸透しなければならない。皮膚を通って移動する分子はまず、角質層、及び、その表面にあるあらゆる物質に浸透しなければならない。次に、分子は、表皮、乳頭真皮、及び毛細血管壁から、血管系またはリンパ系に浸透しなければならない。吸収されるためには、分子は、各層における、浸透に対する異なる耐性を克服しなければならない。
【0005】
薬剤の経皮投与を改善するために、方法が考案されてきた。これらの方法は、物理的、化学的、機械的、または生化学的のいずれかとして分類分けすることができる。これらの方法の組み合わせによってもまた、有効性を増加させることができるか、または、経皮送達の時間を延ばすことができる。物理的技術としては、アブレーション及びテープストリップが挙げられ、これらは皮膚を物理的に破壊して開口する。別の物理的方法は持続性閉塞であり、これは、角質層のバリア性を変化させる。結果的な水和、角質細胞の膨潤による、24~28時間の閉塞の後、細胞間隙が拡張し、小窩ネットワークが拡大する。小窩の拡大により、結果的に、別の断続系との接続がもたらされる。これにより、角質層隙間における孔が形成され、これにより、極性及び非極性物質が一層容易に浸透可能となる。
【0006】
他のアプローチとしては、化学的浸透促進剤の使用が挙げられる。化学的浸透促進剤(CPE)とは、皮膚の最外層の成分である角質層(SC)と相互作用し、その浸透性を増加させる分子である。しかし、これらを改善する試みにもかかわらず、CPEは、薬剤が皮膚に浸透する速度を増加させるという点では、効果が最小的である。CPEは、皮膚の損傷、炎症、及び感作もまた引き起こす可能性がある。さらに、CPEは、ペプチド、タンパク質、及び核酸などの、高分子量薬剤とは一般的に非効果的である。
【0007】
経皮薬剤送達を向上させるために様々な方法を使用可能であるものの、これらの方法には制限がある。経皮浸透を向上させるための大部分の試みは、皮膚の最外層である角質層に焦点が当てられてきた。これらは一般に、過酷な溶媒(例えば、アルコール、DMSO)、または貼付剤ベースのシステムに依存する。本アプローチは、使用可能な薬剤の分子の大きさ、親油性、及び効能を制限する。本質的に、現在のアプローチは、小型の親油性、かつ効能が大きい薬剤に、大幅に限定されている。
【0008】
改善された経皮浸透方法は、皮膚の角質層、加えてより深い層により提示されるバリアを克服しなければならない。さらに、改善された経皮浸透方法は、過酷な溶媒を伴わずになされなければならず、ペプチド、タンパク質、及び核酸などの高分子量薬剤と共に作用しなければならない。
【発明の概要】
【0009】
本発明の態様は、これらの必要性を満たし、以下の発明の概要に記載するように、さらに関連する利点をもたらす。
【0010】
本開示は、経皮投与される薬剤の浸透が改善された治療薬製剤を提供することにより、上述した問題を解決する。
【0011】
一態様では、経皮送達製剤であって、1つ以上の接合タンパク質制御物質を含む、上記経皮送達製剤を、本明細書で開示する。製剤は、がん、腎臓病、痛風、肝斑、心臓の病状、または皮膚疾患などの疾患を治療するための活性剤もまた含むことができる。
【0012】
別の態様では、経皮送達製剤は、クロストリジウム破壊性エンテロトキシン、密着結合毒素(ZOT)、AT1002、キトサン、カルシウムキレート剤、カプリン酸ナトリウム、FDFWITP、PN159、1-1-パルミトイル-2-グルタロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(PGPC)、オレイン酸、またはヒスタミンなどの、1種以上の接合タンパク質制御物質を含む。経皮送達製剤は、カルシウムキレート剤などの、1種以上のアクトミオシンベルト制御物質もまた含むことができる。
【0013】
別の態様では、活性剤の経皮送達方法であって、(a)対象の皮膚、爪、または毛嚢に経皮送達製剤を塗布する工程と、(b)角質層を浸透させる工程と、(c)1種以上の接合タンパク質を制御する工程と、(c)細胞間のアクトミオシンベルトを制御する工程と、を含む、上記方法を本明細書で開示する。
【0014】
別の態様では、腸の上皮細胞にわたり、剤の吸収を向上させる方法であって、1種以上の接合タンパク質を制御する工程を含む、上記方法を本明細書で開示する。別の態様では、血液脳関門を通しての剤の吸収を向上させる方法であって、1種以上の接合タンパク質を制御する工程を含む、上記方法を本明細書で開示する。
【0015】
本発明の態様の他の特徴及び利点は、本発明の態様の原理を例示的に示す添付図面を共に考慮して、以下のより詳細な説明から明らかとなろう。
【0016】
定義
本明細書における、「一実施形態/態様」、または「実施形態/態様」への言及は、当該実施形態/態様と共に説明される、特定の特徴、構造、または性能が、本開示の少なくとも1つの実施形態/態様に含まれることを意味する。本明細書の様々な箇所における、「一実施形態/態様では」、または、「別の実施形態/態様では」という語句の使用は、必ずしも、同一の実施形態/態様を全て参照するものでもなければ、他の実施形態/態様と相互排他的な、個別の、または代替の実施形態/態様でもない。さらに、いくつかの実施形態/態様により示され得、他の実施形態/態様では示されない、様々な特徴が説明される。同様に、いくつかの実施形態/態様の必要条件であり得るが、他の実施形態/態様の必要条件ではない、様々な必要条件を説明する。実施形態及び態様は、特定の場合においては、同じ意味で用いることができる。
【0017】
本明細書中で使用される用語は一般に、本開示の文脈内で、かつ、各用語が使用される具体的な文脈においての、当該技術分野における通常の意味を有する。以下、または、本規格の他の箇所で記載する、本開示を説明するために使用する特定の用語は、本開示の説明に関する実践者に、追加のガイダンスを提供する。同じ物事を、2つ以上の方法で言うことができることが理解されよう。
【0018】
結果的に、代替の言葉及び同義語を、本明細書で論じる用語のいずれか1つ以上に対して使用することができる。ある用語が、本明細書で詳述または議論されているか否かにかかわらず、任意の特別な意味はない。特定の用語に対する同義語が提供される。1つ以上の同義語を引用することは、他の同義語の使用を除外するものではない。本明細書で論じる任意の用語の例を含む、本明細書のあらゆる箇所における例の使用は、単に例示的なものであり、本開示の、または、例示された任意の用語の範囲意味をさらに限定することを意図するものではない。同様に、本開示は、本明細書で与えられる様々な実施形態に限定されない。
【0019】
本開示の範囲をさらに限定する意図を伴わずに、本開示の実施形態に従い、機器、装置、方法、及び、それらと関連する結果の例を以下に示す。表題または副題を、読み手の便宜のために例で使用することができ、これらは、本開示の範囲をいかなる方法においても限定するものではないことに留意されたい。特に定義されない限り、本明細書で用いる全ての技術用語及び科学用語は、本開示が関係する技術分野の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。矛盾がある場合には、定義を含む本明細書が優先する。
【0020】
適用可能なように、本明細書及び添付の特許請求の範囲において、ならびに、特に断りのない限り、本明細書で使用する場合、用語「約」または「一般に」とは、±20%のマージンを意味する。また、適用可能なように、特に断りのない限り、本明細書及び添付の特許請求の範囲において、本明細書で使用する用語「実質的に」とは、±10%のマージンを意味する。上記用語の使用全てが、言及範囲が適用可能なように定量化可能であるわけではないと理解することができる。
【0021】
用語「対象」または「患者」とは、より好ましくは、治療が所望される哺乳類(例えば、イヌ、ネコ、ウマ、ウサギ、動物園動物、ウシ、ブタ、ヒツジ、及び非ヒト霊長類といった、非ヒト動物を含む)を意味する。最も好ましくは、本明細書における患者はヒトである。
【0022】
用語「アクチン細胞骨格」または「アクチン骨格」とは、運動性及び細胞質分裂、腫瘍細胞形質転換及び転移を含む、多くの本質的なプロセスに関与する、偏光フィラメントの複雑なネットワークを意味する。
【0023】
用語「アクトミオシン」とは、細胞骨格内で形成される、アクチン-ミオシン複合体を意味する。アクトミオシンは、ミオシン駆動タンパク質が、アクチンフィラメント上で引っ張ることができるため、本質的に収縮性である。この性質により、細胞内レベルで、細胞運動性及び力の生成を可能にする、収縮性繊維が生じる。
【0024】
用語「アクトミオシンベルト」、「接合周辺アクトミオシン環(perijunctional actomyosin ring)」、または「PAMR」とは、周辺のアクトミオシンベルトを意味し、これは、心尖部の細胞-細胞接合部に沿った、F-アクチン-ミオシンIIバンドルで構成される。上皮細胞では、ミオシン-II依存性の力は、心尖部収縮、細胞インターカレーション、細胞選別、ならびに、アドへレンスジャンクションの形成及び維持などの、動物形態形成の多くの態様を制御する。
【0025】
用語「活性剤」または「活性成分」とは、生物学的に活性であるか、または別様においては、投与される対象における生物学的もしくは生理学的効果を誘発する、物質、化合物、または分子を意味する。換言すれば、「活性剤」または「活性成分」とは、組成物の効果の全体または一部がもたらされる、組成物の構成成分(複数可)を意味する。活性剤は、一次活性剤、または、換言すれば、組成物の効果の全体または一部がもたらされる組成物の構成成分(複数可)であることができる。活性剤は、二次剤、または、換言すれば、組成物の追加の部分及び/または他の効果がもたらされる組成物の構成成分(複数可)であることができる。
【0026】
用語「麻酔薬」とは、疼痛に対する非感受性を誘発する物質を意味する。静脈内で使用して、麻酔または鎮静を生み出すことができる多くの薬剤が存在するものの、バルビツール酸、アモバルビタール(Amytal)、メトヘキシタール(Brevital)、thiamylal(Surital)、ベンゾジアゼピン、ジアゼパム、ロラゼパム、ミダゾラム、エトミデート、ケタミン、及びプロポフォールが最も一般的である。
【0027】
用語「AT-1002」とは、コレラ菌の第2毒素である密着結合毒素(ZOT)の、活性ドメインを意味する。六量体ペプチドであるAT-1002は、ZO-1の、細胞接合部からの再分布を引き起こすことが示されている。AT-1002は、src及びマイトジェン活性化タンパク(MAP)キナーゼ経路、ZO-1チロシンリン酸化の増加、ならびに、アクチンフィラメントの再配列もまた活性化することが可能である。
【0028】
用語「キトサン」とは、甲殻類及び昆虫から入手したキチンの脱アセチル化により産生されるアミノ多糖類を意味する。
【0029】
用語「クロストリジウム破壊性エンテロトキシン」とは、クロストリジウム種により産生される毒素を意味する。クロストリジウム種は、食中毒/胃腸疾患の主な原因の1つである。タンパク質は、クローディンファミリータンパク質に結合することにより、動物の細胞膜構造を破壊する可能性がある。これらは、上皮細胞膜のタイトジャンクションの構成成分である。
【0030】
用語「FDFWITP」とは、潜在的なタイトジャンクション制御物質として認識されているペプチドを意味する。
【0031】
用語「ヒスタミン」とは、局所免疫応答、加えて、腸内での生理学的機能の制御、ならびに、脳、脊髄、及び子宮に対する神経伝達物質としての作用に関与する有機窒素含有化合物を意味する。構造上、ヒスタミンとは、エチルアミン鎖に結合したイミダゾール環である。生理的条件下では、側鎖のアミノ基がプロトン化される。
【0032】
用語「脂質ラフト」とは、細胞の脂質膜内の領域を意味する。細胞の原形質膜は、「脂質ラフト」と呼ばれるグリコリポタンパク質脂質マイクロドメイン内で組織される、グリコスフィンゴリピドとコレステロールとタンパク質受容体の組み合わせを含有する。脂質ラフトは、膜の流動性及び膜タンパク質の追跡に影響を及ぼす可能性がある。
【0033】
用語「接合タンパク質」または「接合複合体」とは、原形質膜を通って、ある細胞の細胞骨格タンパク質に結合し、隣接する細胞の細胞骨格タンパク質まで、加えて、細胞外マトリックスにおけるタンパク質まで伸びる、アンカータンパク質を意味する。
【0034】
用語「接合タンパク質制御物質」とは、接合タンパク質の構造または機能を変化させる化学物質または剤を意味する。
【0035】
用語「タイトジャンクション」、「閉鎖結合」、または「密着結合」とは、一般的な機能が、輸送された溶質及び水の漏出を防ぎ、傍細胞経路を封止することである、マルチタンパク質接合複合体を意味する。タイトジャンクションは、小型カチオン、アニオン、または水に対する選択的チャネルを形成することにより、漏出経路としてもまた機能することができる。
【0036】
用語「密着結合毒素」または「ZOT」は、コレラ菌により産生され、タイトジャンクションの構造体に可逆的に影響を与えることにより、粘膜浸透性を増加させる能力を有する。
【0037】
数値表記、例えば、範囲を含む、pH、温度、時間、濃度、及び分子量は全て、当該技術分野における一般的な慣習に従い、概算として理解されなければならない。本明細書で使用する場合、用語「約」は、文脈により適切にもたらされるように、言及した量の変動、即ち、(+)または(-)1%、5%、または10%を含むことができる。常に明示的に言及されるわけではないものの、本明細書に記載する試薬は単に例示的なものであり、このような等価物は当技術分野において既知であることが理解されるべきである。
【0038】
多くの既知の、及び有用な化合物などは、様々な種類の投与に関する標準的な参考文献である、Remington’s Pharmaceutical Sciences(13th Ed),Mack Publishing Company,Easton,PAに見出すことができる。本明細書で使用する場合、用語「製剤(複数可)」とは、独立して活性または不活性であり得る、賦形剤とも一般的に呼ばれる、少なくとも1つの活性成分の、1つ以上の他の成分との組み合わせを意味する。用語「製剤」とは、ヒトまたは動物への投与のための、薬学的に許容される組成物を意味しても、意味しなくてもよく、貯蔵または調査目的で有用な中間体である組成物を含むことができる。
【0039】
一実施形態では、「医薬組成物」とは、インビトロ、インビボ、またはエクスビボでの診断または治療使用に好適な滅菌組成物中で、活性剤を、不活性または活性な担体と組み合わせることを含むことが意図される。一態様では、医薬組成物は、用いられる用量または濃度において、内毒素を実質的に含まないか、または、レシピエントに対して無毒性である。
【0040】
一実施形態では、「有効量」とは、所望の化学的組成、または、所望の生物学的及び/または治療結果を実現するのに十分な、定義された構成成分の量を意味する。一実施形態では、その結果は、所望のpH、または化学的もしくは生物学的特徴、例えば製剤の安定性であることができる。他の実施形態では、所望の結果は、疾患の兆候、症状、もしくは原因の緩和もしくは回復、または、生物学的系の任意の他の所望される変化である。所望の結果が治療上の応答である場合、有効量は、治療または緩和される特定の疾患または症状、年齢、治療される対象の性別及び体重、製剤の投与レジメン、病状の重症度、投与方式などに応じて変化し、これらは全て、当業者によって速やかに決定することができる。所望の効果はまた、必ずしも治療上のものである必要はなく、特に、本明細書に記載する皮膚疾患の治療に対する、美容効果であることもできる。
【0041】
一実施形態では、診断または治療する「対象」とは、原核細胞または真核細胞、組織培養液、組織または動物、例えば、ヒトを含む哺乳類である。診断または治療に供する、非ヒト動物としては、例えば、サル、マウス、イヌ科動物、ウサギ科動物(例えばウサギ)、家畜、スポーツ動物、及びペットが挙げられる。
【0042】
一実施形態では、本明細書で使用する場合、用語「治療すること」、「治療」などは、所望の薬理学的及び/または生理的効果を得ることを意味するように使用される。効果は、疾患、もしくはその兆候もしくは症状を完全に、もしくは部分的に予防する観点において、予防的であってよい、及び/または、疾患もしくは感染症の症状の緩和、もしくは、疾患、及び/または、疾患に寄与する有害反応の部分的もしくは完全な治癒という観点において、治療的であってよい。
【0043】
本明細書での目的のために、製剤、経皮送達用製剤、及び経皮送達製剤はそれぞれ、個体における症候群または疾患の治療のために活性成分の経皮送達を含む、経皮送達用の製剤である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
実施形態は、新規の製剤、及び、タイトジャンクション制御物質を使用することによる角質層への浸透方法を含む。実施形態は、1種以上の活性剤を経皮投与するための製剤もまた含む。経皮送達製剤は、1種以上の接合タンパク質制御物質を含むことができる。制御物質は、プロテインキナーゼをシグナル伝達して、タイトジャンクションを変更、または開口することができる。経皮送達製剤は、細胞間のアクトミオシンベルトを制御する、1種以上の剤もまた含むことができる。製剤を使用して、一定範囲の活性剤を経皮投与することができる。活性剤は、例えば、がん、腎臓病、痛風、肝斑、心臓の病状、または皮膚疾患などの疾患を治療するための薬剤であることができる。活性剤は、健康及び幸福な状態を促進するための栄養素、ビタミン、ミネラル、またはサプリメントであることもまた可能である。
【0045】
経皮送達製剤の構成成分
細胞ジャンクション、タイトジャンクション、及び接着接合部は、皮膚細胞間での構造的な役割を果たす。しかし、加えて、これらは、より大型の分子になるときに、さらなる「フィルター」または「ふるい」を形成する可能性があることもまた明白である。経皮浸透に関する示唆は、他の上皮細胞バリア領域、即ち、腸管、鼻腔、及び気道における、通常の生理的機能に関する上皮浸透/一体性研究により吹き込まれた。適切な胃腸機能、薬剤吸収、及び保水性/脱水性に関するバリア機能にて、研究を行った。加えて、経皮送達は腫瘍侵入及び転移、ならびに、いくつかの細菌ウイルスの病因(例えば、肝炎ウイルスC、クロストリジウム破壊性エンテロトキシン(CPE)、レトロウイルス、コクサッキー、及びアデノウイルス、ならびに、炎症性腸疾患(IBD))に関するため、腫瘍学研究により、ギャップ及びタイトジャンクション機能が発見された。本発明は、他の上皮系で同定された原理を、巨大分子に対するロバストな経皮浸透系に利用するアプローチを含む。
【0046】
上皮細胞にまたがる吸収は、消化と関連して包括的に研究されてきた。栄養素は、浸透性能動輸送及び拡散により、循環性及びリンパ毛管まで移動するため、吸収は、消化器系の細胞にわたって生じる。腸壁には多数の微小絨毛を有する上皮細胞が並び、腸の表面積を増加させることで、栄養素の吸収を改善する。しかし、全ての薬剤が腸を通して速やかに吸収されるわけではない。この理由のために、接合タンパク質の、薬剤吸収を増加させる能力が研究されてきた。
【0047】
ヒトの体の、上皮及び内皮バリアは、薬物送達に関しては、体循環、ならびに、中枢神経系などの独自の環境及びホメオスタシスを有する器官に対しては、障害物とみなされる可能性がある。いくつかの輸送経路がこれらのバリアには存在し、潜在的には、薬剤浸透性を向上させるために利用することができる。親油性分子は、細胞原形質膜にわたって拡散することができる一方で、接合複合体は、傍細胞の間隙を通る、親水性分子の自由移動を制限、または完全に遮断する。細胞内接合部及び傍細胞浸透性を変更するための、近年開発された吸収または浸透性エンハンサーは、非特異的な作用モードを有する。近年の進歩により、タイトジャンクション及びアドへレンスジャンクションにおける、一体膜、アダプター、制御物質、及びシグナル伝達タンパク質の数の増加の発見がもたらされた。タイトジャンクション制御物質は、タイトジャンクションもしくはアドへレンスジャンクションタンパク質、ジャンクション機能を制御するシグナル伝達経路、または、タイトジャンクション関連の脂質ラフトマイクロドメインを直接標的化することができる。
【0048】
タイトジャンクションに直接作用する制御物質としては、密着結合毒素またはクロストリジウム破壊性エンテロトキシンに由来するペプチド、一体膜タイトジャンクションタンパク質に結合するファージディスプレイにより選択されるペプチド、及び、脂質制御物質が挙げられる。これらは、以前の吸収エンハンサーよりも低い毒性で、傍細胞輸送及び薬物送達を可逆的に増加させることができ、医薬品賦形剤としての利用可能性を有して、上皮バリア及び血液脳関門にまたがる薬物送達を改善することができる。
【0049】
いくつかのタイトジャンクション(TJ)タンパク質は、ヒト、加えて、ブタ、マウス、及びイヌ科動物の皮膚で識別されている。濾胞間表皮に加えて、TJタンパク質は、様々な局在化パターンを有する毛嚢及び汗腺でもまた発見されていることに加えて、生きた最外層が外側に面する領域においてもまた、同時局在化する。TJタンパク質発現及び局在化の変化は、新生児魚鱗癬硬化性胆管炎(NISCH)症候群(Cldn-1ノックアウト)、アトピー性皮膚炎、尋常性魚鱗癬、及び乾癬を含む、皮膚疾患で観察されている。
【0050】
加えて、接合部周辺のアクトミオシン環(PAMR)またはアクトミオシンベルトと呼ばれる、接合タンパク質の近くにあるアクチン細胞骨格の厚いバンドが存在する。このアクトミオシンベルトは、構造上の役割は同様であるが、特異的に活性化された際に、傍細胞バリア機能の物理的破壊としての役割を果たすことができる。個別細胞を、アクトミオシン環を介して絞り出す/収縮させることにより別の隣接する細胞から引っ張ることができる。細胞間のギャップは、隣接細胞の群が収縮するときに、常に形成される。
【0051】
皮膚浸透に対する一次バリアが角質層であり、研究からは、既存の技術が、より深い構造からは離れて、このバリアの浸透においてある程度成功しただけである、ということを考慮すると、これらの構造での、経皮的な集中が欠如していることは、驚くべきことではない。すなわち、より新しい浸透技術を利用することで、皮膚に、接合タンパク質制御剤を送達可能であると言える。これにより、皮膚浸透の速度及び効率の増加がもたらされ、以前に可能であったものより大きなサイズ、様々な親油性、及び、潜在能の低い(即ち、高用量)分子の浸透が可能となる。
【0052】
接合タンパク質制御物質
いくつかの剤は、タイトジャンクション(TJ)タンパク質の構造及び活性に影響を及ぼすことが示されている。その作用機序は、プロテインキナーゼA、C、及びG(PKA、PKC、PKG)、Rhoキナーゼ、ミオシン軽鎖キナーゼ(MLCK)、及び/または、マイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MAPK)系のうちの1つ以上を伴い得る。
【0053】
接合タンパク質制御物質としては、クロストリジウム破壊性エンテロトキシン(cCPE)、ZOTを挙げることができ、加えて、AT1002(ZOT由来のペプチド)、キトサン(カチオン性ポリマー)は、細胞内pHを変更することで、TJの浸透性を増加させることができる。カルシウムキレート剤(例えば、EGTA、EDTA、及びBAPTA)は、TJ及びアドへレンスジャンクションを、PKCの活性化により開口することができる。カプリン酸ナトリウム(C10)は、ホスホリパーゼC依存性イノシトールトリホスフェート/ジアシルグリセロール経路により、細胞骨格及びTJタンパク質及びZO-1及びオクルディンの再分布をもたらすことができる。ペプチド(FDFWITP、PN159)は、鼻上皮のTJバリア機能を低下させる可能性がある。いくつかの脂質(例えば、1-1-パルミトイル-2-グルタロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(PGPC)またはオレイン酸)は、(例えば、胃腸、肺胞、及び血液脳関門における)傍細胞バリア機能を低下させることが示されている。
【0054】
他の接合タンパク質制御物質としては、胆汁酸、スフィンゴ脂質スフィンゴシン-1-ホスフェート(S1P)、ジヒドロ-S1P、プロスタノイド(例えば、プロスタグランジン)、ロイコトリエン、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、麦角アルカロイド(例えば、エルゴタミン、エルゴノビン、ジヒドロエルゴタミン)、カリクリン-A、オカダ酸、及びアンチコリンエステラーゼ薬剤(例えば、ネオスチグミン、ピリドスチグミン、コリン作動薬、エセリン、ガランタミン、ドネペジル、リバスチグミン)を挙げることができる。
【0055】
ヒスタミンは、タイトジャンクションタンパク質もまた変化させることができる。近年の研究では、ヒスタミン効果は、0.1~100μMの用量範囲で観察された。さらに、ヒスタミン受容体H1Rアゴニストである、2-ピリジルエチルアミンは、ケラチノサイトの分化を、ヒスタミン及びトロンビンが行ったのと同程度まで抑制した。さらに、エタノール及びアセトアルデヒドは、細胞内カルシウムの急速かつ相乗的増加を引き起こす可能性がある。エタノール及びアセトアルデヒドは、カルシウム、酸化応力、Src、及びMLCKが関与するメカニズムにより、タイトジャンクションを相乗的に破壊することができる。
【0056】
制御物質の作用機序は、プロテインキナーゼC(PKC)、及びホルボールエステルまたはCa2+イオノフォアA23187による、細胞内Ca2+濃度の増加に関与することができる。Ca2+キレート剤は、PKCもまた活性化することができる。酸化応力、サイトカイン(腫瘍壊死因子α(TNF-α)など)、及び血管内皮増殖因子(VEGF)などの病理学的刺激、加えて、病原菌、HIV-1 gp120、コレラ菌密着結合毒素(Zot)、クロストリジウムディフィシル毒素A、Escherichia coli OmpA由来の毒素は全て、PKCシグナル伝達を使用して、タイトジャンクションを開口する。新規の抗がん剤であり、PKCの非ホルボールエステル刺激因子であるブリオスタチン1は、PKC-αの急速な下方制御により、上皮細胞内でのTJ浸透性を一過的に増加させる。
【0057】
プロテインキナーゼA(PKA)は、ホスホジエステラーゼ4活性化因子による細胞内環状AMPを低下させる、または、ペプチドホルモンアドレノメデュリンの阻害を低下させることができる。プロテインキナーゼG(PKG)は、環状GMPの、可溶性グアニル酸シクラーゼ活性化及び増加により機能することができる。ブラジキニンB2受容体アゴニストのCereportは、この経路を通じて機能し、脳内皮TJを可逆的に開口することができる。内因性または非ドナー由来のいずれかの、低酸素症、虚血、または過剰な一酸化窒素(NO)放出といった病状もまた、可溶性グアニル酸シクラーゼ及びPKGを活性化し、血液脳関門(BBB)透過性を増加させる。
【0058】
ミオシン軽鎖キナーゼ(MLCK)活性化因子もまた、TJタンパク質の制御因子として研究されてきた。TJ制御における主たるエフェクター機構の1つは、アクトミオシンベルトの収縮、及びTJの分解をもたらす、MLCKによるミオシン軽鎖(MLC)のリン酸化である。吸収エンハンサー(AE)として使用した、サイトカイン、細菌性またはウイルス性病原体、細胞外Ca2+の除去、加えて胆汁酸は、MLCK活性化により、TJの開口を引き起こす。血管作動性媒介因子であるヒスタミン、及びリゾホスファチジン酸(LPA)もまた、MLCK活性化により、内皮細胞の一体性を損なう可能性がある。さらに、MAPKは、いくつかのTJタンパク質の発現を制御することにより、TJの傍細胞浸透性を制御することができる。エタノール、炎症誘発性サイトカイン、胆汁塩、活性酸素種(ROS)、ウイルス及び細菌の病原性因子が、同様の効果を有することができる。
【0059】
Rhoキナーゼもまた、TJタンパク質の制御因子として研究されている。GTPaseのRhoファミリーのメンバーである、RhoA、Rac1、及びCdc42の活性化は、上皮タイトジャンクションを破壊することができる。RhoAは、PKC及びMLCK経路と相互作用し、一体膜TJタンパク質オクルディン及びクローディン-5、ならびに、スキャフォールディングタンパク質ZO-1及びZO-2のリン酸化により、TJの分解を制御する。RhoAの濃度は、TJ制御に重要であり、特異的阻害剤であるC3トランスフェラーゼによるその不活性化、または、微小管脱安定化薬剤である、サイトカインインターフェロン-γ及び2-メトキシエストラジオールによる活性化のいずれかにより、TJの分解がもたらされる。RhoAは、LPA治療後の、脳内皮TJ機能の低下、ならびに、内皮細胞にわたる、BBB一体性及び単核細胞移動の、ROSにより誘発される変化に関与する。
【0060】
アクトミオシンベルト
加えて、接合部周辺のアクトミオシン環(PAMR)と呼ばれている、心突接合複合体(AJC)の近くにあるアクチン細胞骨格の厚いバンドが存在する。このアクトミオシンベルトは、構造上の役割は同様であるが、特異的に活性化された際に、引っ張る個別の細胞を、隣接する細胞から絞り出す/収縮させることにより、傍細胞バリア機能の物理的破壊としての役割を果たすことができる。全身的にこれを行うことで、細胞間のギャップが常に形成される。周辺のアクトミオシンベルトは、心突収縮を制御する。例えば、カルシウムキレート剤、ならびにLuluタンパク質(Lulu1及びLulu2)により、アクトミオシンを制御することが可能である。
【0061】
経皮投与用剤
麻酔薬、脂肪除去化合物、栄養素、片頭痛治療のための非ステロイド性抗炎症性薬剤(NSAID)、育毛制御剤、抗カビ剤、抗ウイルス剤、ワクチン成分、組織体積増加化合物、抗セルライト治療薬、創傷治癒化合物、禁煙を実現するのに有用な化合物、コラーゲン収縮防止剤、Botox(登録商標)などのシワ取り化合物、美白化合物、紫斑取り化合物、癲癇治療用カンナビジオールを含むカンナビノイド類、脂肪分解用化合物、多汗症治療用化合物、座瘡治療薬、医薬または化粧刺青用の皮膚着色色素、日焼け止め化合物、ホルモン、インスリン、鶏眼/胼胝除去剤、いぼ除去剤、麻酔薬、エピネフィリン、及び、経皮送達が所望される、一般的なあらゆる治療剤または予防剤を含む、多種多様の治療剤を、経皮送達製剤で使用することができる。上述のとおり、送達は皮膚を通って、爪の菌類の治療もしくは育毛制御といった、局部の皮下位置への輸送に単純に影響を及ぼすことができるか、または、ワクチンを使用するいくつかの場合において所望される全身送達に影響を及ぼすことができる。
【0062】
経皮送達製剤の麻酔組成物のいずれかにおいて、エピネフィリンを、経皮麻酔薬と連続して投与するのが望ましい場合がある。あるいは、イオンキレート剤のDesferal(登録商標)といった、キレート剤を用いるエピネフィリンの治療により、経皮送達製剤にキレート剤を含めるには十分に、エピネフィリンを安定させることができる。
【0063】
経皮送達製剤は混合物を含むこともまた可能であり、構成成分は相乗的に相互作用して、個々の構成成分により誘発されるよりも良好な皮膚浸透向上を誘発する。化学物質間での相乗作用を利用して、単一の促進剤における有効性の制限を克服する、強力な浸透促進剤を設計することができる。本明細書で開示するいくつかの実施形態は、1つ以上の異なる浸透促進剤を利用することができる。
【0064】
局所投与、及び特に、経皮投与のために、経皮送達製剤は、特に、座薬または経鼻投与による投与、加えてまた、経皮投与に対する場合におけるように、真皮において、及び/または、細胞膜を含む膜において、浸透を促進する、化学的浸透剤(CPE)、及びペプチドベースの細胞浸透剤(CPP)のいずれかまたは両方を含む浸透剤を含むことができる。いくつかの実施形態では、好適な浸透剤としては、上で参照したUS2009/0053290(’290)、W02014/209910(’910)、及びWO2017/127834で記載したものが挙げられる。浸透剤を含む経皮送達製剤に加えて、皮膚表面を機械的に破壊して浸透を促進することにより、または単に、閉塞性貼付剤の下で皮膚に適用された製剤を供給することにより、経皮送達を行うことができる。
【0065】
あるいは、経皮送達製剤は、完了構成成分、加えて、粘度及び粘弾性を付与するのに十分な、1つ以上の電解質、1つ以上の界面活性剤、ならびにアルコールを含むことができる。完了構成成分は極性液体、無極性の液体、または両親媒性物質であることができる。浸透剤は、チオール結合を還元し、水素結合を破壊し、及び/または、ケラチン細胞溶解を行うのに効果的な、ケラチン分解剤、及び/または、細胞浸透ペプチド(場合によっては、皮膚浸透ペプチドとも呼ばれる)及び/または浸透促進剤をさらに含むことができる。
【0066】
経皮送達製剤としては、ゲル化構成成分もまた挙げることができる。好適なゲル化構成成分としては、パルミチン酸イソプロピル、ラウリン酸エチル、ミリスチン酸エチル、及びミリスチン酸イソプロピルが挙げられる。いくつかの実施形態では、経皮送達製剤は、経皮送達製剤の5%w/w未満の量でゲル化剤を含む。特定の炭化水素、例えば、シクロペンタン、シクロオクタン、transデカリン、trans-ピナン、n-ペンタン、n-ヘキサン、n-ヘキサデカンもまた使用することができる。いくつかの実施形態では、経皮送達製剤は、製剤の2%w/w未満、5%w/w未満、または10%w/w未満の量で、キサンタンガム、スクレロチウムガム、プルランの混合物、またはこれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、経皮送達製剤は、約1~5%w/w、もしくは5~15%w/wの量でSiligel(商標)を、または、キサンタンガム、スクレロチウムガム、及びプルランの当量混合物を含む。いくつかの実施形態では、経皮送達製剤は、製剤の2%w/w未満、8%w/w未満、または10%w/w未満の量で、カプリル酸トリグリセリドとカプリン酸トリグリセリドの混合物を含む。いくつかの実施形態では、経皮送達製剤は、約0.5~10%w/wの量でMyritol(登録商標)312、または、カプリル酸トリグリセリドとカプリン酸トリグリセリドの当量混合物を含む。
【0067】
一実施形態では、ビタミンC、ビタミンE、プロアントシアニジン、及びa-リポ酸などの、1種以上の抗酸化剤を、典型的には、0.1%~2.5%w/wの濃度で含めることができる。
【0068】
いくつかの用途においては、特に、経皮送達製剤が麻酔薬を含む場合に、安定剤が存在するのであれば、エピネフィリン、または、フェニレフリンもしくはエピネフィリンサルフェートなどの代替の血管収縮薬を、製剤に含めることができる。別の場合においては、エピネフィリンはアルカリpHにて安定しないため、エピネフィリンを連続して投与しなければならない。
【0069】
別の活性剤は、ウィザフェリンAである。ウィザフェリンAは腫瘍転移を阻害し、他の抗がん活性、例えば、がん腫と関連する新血管形成の阻害、加えて細胞増殖の阻害を明らかにする。ウィザフェリンAはまた、健康な体重減少、及び、グルコース代謝での有益な効果を誘発可能な、強力な抗糖尿病性を有するレプチン増感剤でもある。
【0070】
他の剤としては、src相同性領域2含有タンパク質チロシナーゼホスファターゼ(Sph2)の阻害剤を含む、抗転移剤が挙げられる。フモソリン、PHPS(NSC-87877)及びNSC-117199、フェニルヒドラゾンピラゾロンスルホネート(PHPS1)、DCA、クリプトタンシノン、11-B08及び#220-324、メタロプロテイナーゼ-2及び-9(MMP-2及びMMP-9)、ならびに、特定のカテプシン、特にB、D、及びLを含む、本活性の多数の阻害剤が知られている。
【0071】
他の剤としては、E-カドヘリンの阻害剤、及び、上皮成長因子受容体(EGFR)の阻害剤が挙げられる。既知の阻害剤としては、エルロチニブ、抗インテグリン薬剤(シレンギチド)、カリポリド、エニポリド、及びアミロライドが挙げられる。
【0072】
経皮送達製剤は、賦形剤として作用する、または、その治療効果以外の目的を果たす、他の構成成分を含むことができる。例えば、酸化防止剤(例えば、アスコルビン酸、またはα-リポ酸)などの防腐剤、及び抗菌剤を含めることができる。主に経皮浸透のエフェクターである、治療有効成分及び構成成分以外の他の構成成分としては、メントールまたは他の芳香族化合物などの、審美性目的のために提供されるもの、及び、乳化剤などの組成物の物理的状態に影響を及ぼす構成成分、例えば、(熱可塑性ポリウレタンとポリカーボネートとの混合物である)Durosoft(登録商標)を挙げることができる。典型的には、これらの成分は、組成物中に非常に少ないパーセントで存在する。これらの後者の付属剤は、治療用成分でもなければ、主に皮膚の浸透を担う構成成分でもないと理解されている。主に皮膚浸透に影響を及ぼす構成成分は、上で詳述されている。しかし、これらの物質の中には、皮膚浸透に影響を及ぼす能力を有するものもある。例えば、メントールの浸透性について記載しているKunta,J.R.et al,J.Pharm.Sci.(1997)86:1369-1373を参照されたい。
【0073】
治療剤としての麻酔薬を投与に関して、局所麻酔薬は、以下のうちの1つ以上:ベンゾカイン、リドカイン、テトラカイン、ブピバカイン、コカイン、エチドカイン、メピバカイン、プラモキシン、プリロカイン、プロカイン、クロロプロカイン、オキシプロカイン、プロパラカイン、ロピバカイン、ジクロニン、ジブカイン、プロポキシカイン、クロロキシレノール、シンコカイン、デキシバカイン、ジアモカイン、ヘキシルカイン、レボブピバカイン、プロポキシカイン、ピロカイン、リゾカイン、ロドカイン、ならびに、薬学的に許容される誘導体及びその生物学的等価体であることができる。麻酔剤の組み合わせもまた使用可能である。麻酔剤(複数可)は、有効量(複数可)で組成物に含められる。麻酔薬(複数可)に応じて、麻酔薬または組み合わせの量は、典型的には、1%w/w~50%w/wの範囲である。本発明の組成物は、持続性の、急速で鋭い回復をもたらす。治療される疼痛は、外傷性疼痛及び/または炎症性疼痛のいずれかであることができる。
【0074】
一実施形態では、麻酔薬を投与して、侵襲性脂肪付着物の除去と関連する疼痛を取り除く。脂肪付着物の特異的な除去は、健康上、及び化粧上の理由の両方のために魅力的であり続けている。中でもとりわけ、デオキシコール酸(DCA)などの、脂肪に対する細胞溶解剤の脂肪吸引及び注射の方法が用いられる。例えば、Kythera Biopharmaceuticalsに発行またはライセンス付与された一連の特許は、DCAまたはその塩を含有する組成物の注射を伴う、局在化した脂肪の、非外科的除去を行うための方法及び組成物に関する。代表的な、発行された特許は、製剤(8,367,649);使用方法(8,846,066;7,622,130;7,754,230;8,298,556);及び、合成DCA(7,902,387)に関する。
【0075】
本発明の本態様では、痛みを和らげる効果のある剤、典型的には、経皮投与により、リドカインまたは関連する麻酔薬を投与するのとともに、従来の侵襲性脂肪除去技術を用いる。いくつかの実施形態では、侵襲性脂肪除去手順の直前、間、または直後に、痛みを和らげる経皮製剤を、痛みを経験している領域に塗布する。
【0076】
麻酔薬を含有する組成物は、微小の火傷、切断、掻爬、皮膚の刺激、炎症、及び、石けん、洗剤、もしくは化粧品による発疹と関連する疼痛及び掻痒、または、上述したとおり、脂質の堆積の除去と関連する疼痛の一時的な解放に有用である。
【0077】
別の一実施形態では、栄養素は、経皮投与により供給される。本発明の製剤が有用な機会は多く存在する。アスリートに対しては、経皮送達製剤は、疲れた筋肉に、十分な量の、ケトン構成成分などの乳酸に対する中和剤を送達し、乳酸の増加が原因で、アスリートが感じる燃えるような感覚を緩和することができる。これにより、アスリートが、より長い時間、最適なレベルでパフォーマンスを発揮し続けることができる。さらに、アスリートまたは他の「ワークアウトを行う人」は、多量のエネルギーを消費しており、ワークアウトの実施に関与する筋組織のこれらの領域で特に、エネルギー生成を必要としているが故に、多量の熱量を消費する必要がある。これらの栄養素は、逆効果であり比較的ゆっくりである経口摂取を必要するよりも、直接供給することができる。
【0078】
例えば、別の方法では静脈内投与される、電解質、及び、速やかに代謝される栄養素(例えばグルコース)を含む、血液バランス剤を必要とする個体の、緊急の医学的治療は代わりに、製剤を、皮膚を通してマッサージして全身送達を可能にすることで血流中での濃度が変化することにより非侵襲的に治療することができる。
【0079】
これらの用途に加えて、本発明に従った栄養素の投与は、空腹の感覚もまた和らげることが知られている。したがって、本発明の経皮送達製剤、及び本発明の方法は、空腹の感覚を和らげるために必要なカロリー摂取が、食べ物を従来のように消費することで通常経験されるよりも少ないため、体重減少の促進に有用である。したがって、努力のために余分なカロリーまたは代謝バランサーを必要とする個体に加えて、及び、食べ物を経口摂取できない人に加えて、本発明の方法に好適な対象としては、体重を調整するためにカロリー摂取を制御しようとしている個体が挙げられる。特に、米国で一般的に認識されている肥満の流行の観点から、これは、本発明の方法から恩恵を受ける対象の、重要な群である。
【0080】
所望の成分の性質は、投与の対象に応じて変化することが明らかである。アミノ酸、グルコース、フルクトース、単純な脂質、様々なビタミン、補助因子及び酸化防止剤などの単純な栄養素、加えて、ある程度複雑な食品は、必要に応じて、中和剤としても投与することができる。
【0081】
いくつかの実施形態では、アスリートのパフォーマンス用構成成分としては、β-アラニン、L-カルニチン、アデノシン三リン酸、デキストロース、クレアチン一水和物、βヒドロキシ-ベータメチルブチレート(HMB)、分枝鎖アミノ酸(ロイシン、イソロイシン、バリン)、グルタチオン、リン酸ナトリウム、及びカフェインが挙げられる。医学的栄養用の構成成分としては、アミノ酸、デキストロース、脂質、Na、K、Ca2+、Mg2+、アセテート、Cl、P、マルチビタミン、及び微量元素が挙げられる。一方で、体重減少用の構成成分としては、コンジュゲート化したリノール酸、マオウ、カフェイン、及びサリシンが挙げられる。
【0082】
本明細書で提供する経皮送達製剤の特定の実施形態は、それら全体が全て参照により組み込まれている、米国出願第16/132,358号(2018年9月14日出願)、発明の名称「Methods and Formulations For Transdermal Administration Of Buffering Agents」、国際特許出願第PCT/US18/51250号(2018年9月14日出願)、発明の名称「Methods of Administration and Treatment」、及び、Bruce Sandによる同第PCT/US18/28017号(2018年4月17日出願)、発明の名称「Parental non-systemic administration of buffering agents for inhibiting metastasis of solid tumors, hyperpigmentation and gout」を含む、本発明者の関連する出願により詳細に記載されている製剤構成成分を補充することができる。
【0083】
別の態様では、特定の実施形態は、投与後約3日、投与後約7日、投与後約10日、投与後約15日、投与後約20日、投与後約25日、投与後約30日、投与後約45日、投与後約60日、投与後約75日、または、投与後約90日の期間にわたり、本明細書に記載する製剤として開示及び作成される治療用化合物(複数可)を放出する、徐放性薬物送達プラットフォームに関する。本実施形態の他の実施形態では、徐放性薬物送達プラットフォームは、投与後少なくとも3日、投与後少なくとも7日、投与後少なくとも10日、投与後少なくとも15日、投与後少なくとも20日、投与後少なくとも25日、投与後少なくとも30日、投与後少なくとも45日、投与後少なくとも60日、投与後少なくとも75日、または、投与後少なくとも90日の期間にわたり、実質的に最初のオーダー放出速度にて、本明細書で開示する治療用化合物(複数可)を放出する。
【0084】
本明細書に記載する製剤は、好ましくは、他のタンパク質に悪影響を与えない相補活性を有するもので治療されている特定の合併症に対して望ましい、2つ以上の治療用化合物もまた含むことができる。インビボ投与に使用可能な経皮送達製剤は、滅菌されていることができる。このことは、例えば、経皮送達製剤の調製前もしくは後に、滅菌濾過膜を通す濾過により、または、低温殺菌を含む、当該技術分野において既知の他の方法により、実現することができる。
【0085】
投与のためのパッケージング及び機器は、投与される材料の体積、貯蔵条件、技量のあるヘルスケア施術者が投与するのか、それともか患者の自己コンプライアンスであるのか、用量レジメン、地政学的環境(例えば、発展途上国で、極限の温度条件に曝露されること)、及び、他の実践上の考慮などを様々に考慮することにより決定することができる。
【0086】
特定の実施形態では、キットは、本明細書に記載する1つ以上の配合物を含む、1つ以上のクリームまたはローションを含むことができる。様々な実施形態では、キットは、エマルションコーティング貼付剤として投与可能に製剤化された、経皮、局所、または皮下投与用の製剤構成成分を含むことができる。これらの実施形態、及び他の実施形態の全てにおいて、キットは、前述のいずれかに従った、1つ以上のローション、クリーム、貼付剤などを含有することができ、各貼付剤は、対象への投与のための、単一単位用量を含有する。
【0087】
イメージング構成成分を任意選択的に含むことができ、パッケージングは、経皮送達製剤を使用するための、手書きの、またはウェブでアクセス可能な取扱説明書もまた含むことができる。容器としては、例えば、バイアル瓶、ボトル、貼付剤、注射器、プレフィルドシリンジ、チューブ、または、マルチディスペンサーパッケージング用の、当該技術分野において周知の様々なフォーマットを挙げることができる。
【0088】
方法
適用法は、治療の性質により決定されるが、製剤の性質そのものほど決定的とはなり得ない。適用が皮膚領域へのものである場合、場合によってはクレンジングまたは角質除去により、皮膚を準備するのが有用であり得る。場合によっては、経皮送達製剤そのものを適用する前に、皮膚領域のpHを調整するのが有用である。経皮送達製剤の適用は、皮膚への単純なマッサージによるもの、または、シリンジもしくはポンプなどの装置を使用するものであってよい。貼付剤もまた使用することができる。場合によっては、塗布領域を覆って、経皮送達製剤の蒸発または喪失を防止することが有用である。
【0089】
塗布領域が本質的に皮膚である場合、経皮送達製剤を供給した後に、塗布領域を封止するのが有用であり、これにより、浸透が行われ、皮膚バリアの回復が可能になる。これを行う便利な方法は、リノール酸を含む組成物を適用し、本発明の浸透剤により提供された入口経路を効果的に閉じることである。本適用もまた、皮膚領域への直接塗りつけにより行われるか、または、測定した量をより正確に適用することが可能である。
【0090】
本発明の組成物及び製剤それ自体に加えて、方法は、リノール酸による後処理を用いることができる。経皮治療は一般に、皮膚バリアを開くため、実際には、これが目的ではあるが、治療終了後に適用領域を封止するのが有用である。したがって、経皮送達製剤による治療は、皮膚領域を、リノール酸を含む組成物で処理して、適用領域を封止することに続く場合がある。リノール酸の適用は、皮膚が保護層として機能する能力を損なわせることをもたらす、あらゆる経皮手順に適用される。実際、大部分の経皮治療は、その機能が、活性成分を、表皮を、少なくとも真皮まで通過させてることを可能にすることであるため、全身投与が、真皮そのものにより実現される場合、本効果を有する。
【0091】
本明細書の以下に記載する経皮送達用の経皮送達製剤を使用して、疾患、障害、病状、またはその症状もしくはこれに関連する病状を治療、予防、または緩和する方法を、本明細書で提供する。本明細書で提供する方法は、本明細書に記載する経皮送達製剤の1つ以上の、皮膚への局所送達を必要とする患者における、当該送達を含むことができるか、またはこれからなることができる。限定されるものではないが好ましい実施形態は、後述する疾患、障害、病状、または症状を治療、予防、阻害、または緩和する方法に関する。
【0092】
本明細書で提供する製剤は、副腎皮質癌、基底細胞癌、膀胱癌、骨肉腫、脳腫瘍、乳癌、子宮頚癌、大腸癌、結腸直腸癌、食道癌、網膜芽細胞腫、胃癌(Gastric (Stomach) Cancer)、胃腸腫瘍、膠腫、頭頸癌、肝細胞(肝)癌、膵島細胞腫瘍(内分泌腺膵臓)、腎臓(腎細胞)癌、喉頭癌、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、髄芽腫、黒色腫、膵癌、前立腺癌、腎癌、直腸癌、及び甲状腺癌を含むがこれらに限定されないがんまたは腫瘍の治療方法でもまた使用される。
【0093】
泌尿器及び腎結石、ならびに関連する疾患
腎臓結石(腎結石症、腎結石)は、ヒト及び動物で一般的であり、典型的には、ミネラルと、膀胱、腎臓、及び尿路の内側で形成される塩とで構成される、硬い付着物を含む。このような石は多くの場合、尿が濃縮するときに形成され、ミネラルが結晶化して、互いに張り付くこととなる。また、対象が十分な水を飲まない場合に、尿酸の蓄積が起こり得、これは、このような石の形成と相関すると考えられている。対象の尿内の過剰な酸性環境もまた、腎臓結石の形成をもたらすと考えられている。これらは極めて痛みを伴い、腎臓を膀胱に繋げる管の遮断といった合併症をもたらす可能性がある。本明細書で提供する経皮送達製剤の実施形態は、対象における泌尿器及び腎結石の治療、阻害、緩和に有用であることが発見されている。
【0094】
したがって、本明細書で提供する他の実施形態は、泌尿器及び腎結石、ならびに関連する疾患の方法に関する。例示的実施形態では、本発明に従い、泌尿器結石を緩和または治療する方法は、典型的には、有効量の経皮送達製剤を、泌尿器結石を有し、その治療を必要とする患者に、局所及び/または経皮投与することを含み、上記投与は、上記患者における、泌尿器結石の症状を緩和、治療、または軽減するのに効果的である。
【0095】
結石が関係するこのような病状の例としては、膀胱結石、腎臓結石(カルシウム、シュウ酸カルシウム、リン酸カルシウム、シスチン、リン酸マグネシウムアンモニウム、尿酸、スツルバイト)、腎結石、両側結石疾患、妊娠中の尿路結石症、小児結石、動物での結石(例えば、動物での泌尿器結石)、単腎症を有する患者での結石、腎結石、他の種類の結石(例えば、膀胱、泌尿器)、出血体質及び関連する疾患を有する患者、尿路結石症、加えて、砕石術または尿管鏡法などの医学的または外科的処理と組み合わせたものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0096】
皮膚疾患
他の実施形態は、患者における皮膚の症状または疾患の治療方法に関する。これらの実施形態は、典型的には、有効量の経皮送達製剤を、皮膚の症状または疾患を有し、その治療を必要とする患者に、局所及び/または経皮投与することを含み、上記投与は、皮膚の症状または疾患を緩和、治療、または軽減するのに効果的である。
【0097】
本明細書の特定の実施形態で治療される例示的な皮膚疾患は、肝斑である。肝斑は、通常は顔、頬、鼻のブリッジ、額、顎、及び上唇の上における、茶色から灰褐色などへの、皮膚の色素沈着問題をもたらす、一般的な皮膚症状である。
【0098】
肝斑は、避妊ピル、妊娠、及びホルモン療法、ストレス、甲状腺疾患、ならびに太陽への曝露により引き起こされるか、または悪化することが考えられている。紫外線が、色素を制御する細胞(メラノサイト)に影響を及ぼすため、太陽への曝露は、肝斑を引き起こすと考えられている。
【0099】
したがって、特定の実施形態では、有効量の経皮送達製剤を、肝斑を有し、その治療を必要とする患者に、局所及び/または経皮投与することを含む、肝斑の処理方法を提供し、上記投与は、肝斑の症状を緩和、治療、または軽減するのに効果的である。いくつかの実施形態では、本発明の方法は、肝斑に対する別の治療(例えば、太陽からの保護、または日焼け止め)と組み合わせての、または、同時投与される、本明細書で提供する経皮送達製剤を使用する。
【0100】
治療される皮膚の、別の疾患または症状は、皮膚の損傷である。これらの実施形態は、典型的には、有効量の製剤を、皮膚の損傷を有し、その治療を必要とする患者に、局所及び/または経皮投与することを含み、上記投与は、皮膚の損傷、または、皮膚の損傷と関連する症状を緩和、治療、または低下させるのに効果的である。
【0101】
他の実施形態は、皮膚を回復することに関し、したがって、有効量の経皮送達製剤を、皮膚の回復を必要とする対象に局所及び/または経皮投与することを含む、皮膚の回復方法を提供する。
【0102】
特定の実施形態では、患者の皮膚でのコラーゲンのアシル化を予防または緩和する方法を提供する。代替実施形態は、皮膚を前処理して、コラーゲンのアシル化及び他の因子により引き起こされる皮膚の損傷を予防または緩和することにもまた関する。
【0103】
投与及び用量
本明細書で提供する経皮送達製剤は、任意の形態で局所投与することができる。皮膚の病状を治療するための投与のために、十分な量の局所組成物を、例えば、所望の皮膚表面を覆うのに十分な量で、所望の領域及び周囲の皮膚に塗布することができる。経皮送達製剤を、例えば、顔の皮膚、ならびに、手、首、胸、及び/または頭皮の皮膚を含む、任意の皮膚表面に塗布することができる。
【0104】
本発明の経皮送達製剤の塗布において、経皮送達製剤そのものは単に皮膚に置かれ、表面に広がり、及び/またはマッサージされ、浸透が補助される。使用する経皮送達製剤の量は、所望の表面領域を覆うのに通常十分である。いくつかの実施形態では、塗布されると保護カバーが製剤上に配置され、好適な時間、即ち、5分、10分、20分、またはそれ以上;いくつかの実施形態では1または2時間配置されたままとなる。保護カバーは単に、水分を不透過性であるカバーを備えた絆創膏を含む絆創膏であることができる。これは本質的に、経皮送達製剤の接触を皮膚に固定し、場合によっては、蒸発による経皮送達製剤の変形を防止する。塗布のための標準的な方法、例えばブラシ、シリンジ、ガーゼパッド、ドロッパー、または任意の便利な塗布器を使用して、組成物を皮膚に塗布することができる。送達装置の使用を含む、より複雑な塗布方法もまた使用可能であるが、必須ではない。無傷の皮膚に局所投与する代替法において、皮膚の表面は、バネシステム、レーザー駆動システム、ローレンツ力により駆動するシステムの使用により、または、気体もしくは超音波を含む衝撃波により機械的に破壊することも可能であり、サンドペーパーもしくはその等価物の使用、または、マイクロニードルもしくは電気穿孔法装置の使用などによる、マイクロダーマブレージョンを用いることができる。剤(複数可)、加えて、無傷の皮膚に浸透する、上述した製剤の単純な溶液を、マイクロパッチの形態のものといった、閉鎖性貼付剤を使用して適用することができる。長時間投与のための、製剤の外部リザーバーもまた、使用することができる。
【0105】
したがって、特定の実施形態では、治療用化合物、剤、薬剤を、無傷の皮膚を通して投与する代替法を提供する。非限定例として、これらの代替法は、以下の一覧:作動メカニズム、バネシステム、レーザー駆動、エネルギー駆動、ローレンツ力、気体/空気駆動、衝撃波(超音波を含む)に基づくもの;荷重、液体、粉末、射出物に基づくもの;薬物送達メカニズム、ナノパッチ、サンドペーパー(マイクロダーマブレージョン)、イオン導入により可能なもの、マイクロニードルに基づくもの;送達部位、皮内、筋肉内、及び皮下注射に基づくものから選択することができる。他の好適な送達メカニズムとしては、3Mシステムなどのマイクロニードル薬物送達、Glide SDI(「燃焼」薬剤とは反対の圧縮薬剤)、MIT低圧インジェクター、マイクロパッチ(シングルユース粒子挿入装置)、マイクロエレクトロ機械システム(MEMS)、皮膚電気穿孔法装置(DEP)、トランスダーム・イオントゥー・システム(DEP)、TTS経皮治療システム、膜制御システム(浅い区画に完全に封入された薬剤リザーバー)、接着剤拡散制御システム(薬剤不透過性金属プラスチック裏剤製の区画内の、薬剤リザーバー)、マトリックス分散型システム(親水性または親油性ポリマーマトリックス成形機中の薬剤個体を、投薬ディスクに均質に分散させることで形成される薬剤リザーバー)、及び、マイクロリザーバーシステム(リザーバーと、マトリックス分散型薬物送達システムの組み合わせ)が挙げられる。
【0106】
一般的に、活性剤としての緩衝剤の場合における、皮膚の効果的な浸透のための必要条件は、がんの転移を予防するのに有用な代替の剤に必要なものよりも制限が緩いことが発見されている。さらに、黒色腫を含む充実性腫瘍、または肝斑もしくは痛風の座位に、これらの効果を送達することが望ましいが、局所投与を用いる際には、効果的な全身性のpH変化を、浸透の有効性を診断する一方法として使用することができる。
【0107】
適用法は、治療の性質により決定されるが、経皮送達製剤の性質そのものほど決定的とはなり得ない。適用が皮膚領域へのものである場合、場合によってはクレンジングまたは角質除去により、皮膚を準備するのが有用であり得る。場合によっては、製剤そのものを適用する前に、皮膚領域のpHを調整するのが有用である。経皮送達製剤の適用は、皮膚への単純なマッサージによるもの、または、シリンジもしくはポンプなどの装置を使用するものであってよい。貼付剤もまた使用することができる。場合によっては、塗布領域を覆って、経皮送達製剤の蒸発または喪失を防止することが有用である。
【0108】
塗布領域が本質的に皮膚である場合、経皮送達製剤を供給した後に、塗布領域を封止するのが有用であり、これにより、浸透が行われ、皮膚バリアの回復が可能になる。これを行う便利な方法は、リノール酸を含む組成物を適用し、本発明の浸透剤により提供された入口経路を効果的に閉じることである。本適用もまた、皮膚領域への直接塗りつけにより行われるか、または、測定した量をより正確に適用することが可能である。
【0109】
いくつかの実施形態では、本開示は、本明細書で提供する製剤または方法と組み合わせて、治療剤を投与することに関する。麻酔薬、脂肪除去化合物、栄養素、片頭痛治療のための非ステロイド性抗炎症性薬剤(NSAID)、育毛制御剤、抗カビ剤、抗ウイルス剤、ワクチン成分、組織体積増加化合物、抗セルライト治療薬、創傷治癒化合物、禁煙を実現するのに有用な化合物、コラーゲン収縮防止剤、Botox(登録商標)などのシワ取り化合物、美白化合物、紫斑取り化合物、癲癇治療用カンナビジオールを含むカンナビノイド類、脂肪分解用化合物、多汗症治療用化合物、座瘡治療薬、医薬または化粧刺青用の皮膚着色色素、日焼け止め化合物、ホルモン、インスリン、鶏眼/胼胝除去剤、いぼ除去剤、及び、経皮送達が所望される、一般的なあらゆる治療剤または予防剤を含む、多種多様の治療剤を、経皮送達製剤または組成物、及び他の投与経路用の製剤で使用することができる。上述のとおり、送達は皮膚を通って、爪の菌類の治療もしくは育毛制御といった、局部の皮下位置への輸送に単純に影響を及ぼすことができるか、または、ワクチンを使用するいくつかの場合において所望される全身送達に影響を及ぼすことができる。
【0110】
本発明の経皮送達製剤それ自体に加えて、方法は、リノール酸による後処理を用いることができる。経皮治療は一般に、皮膚バリアを開くため、実際には、これが目的ではあるが、治療終了後に適用領域を封止するのが有用である。したがって、経皮送達製剤による治療は、皮膚領域を、リノール酸を含む組成物で処理して、適用領域を封止することに続く場合がある。リノール酸の適用は、皮膚が保護層として機能する能力を損なわせることをもたらす、あらゆる経皮手順に適用される。実際、大部分の経皮治療は、その機能が、有効成分を、表皮を、少なくとも真皮まで通過させてることを可能にすることであるため、全身投与が、真皮そのものにより実現される場合、本効果を有する。
【0111】
追加の治療剤を組成物に含めることができる。例えば、ハイドロコルチゾンまたはハイドロコルチゾンアセテートを、0.25%w/w~約0.5%w/wの範囲の量で含めることができる。メントール、フェノール、及びテルペノイド、例えばカンファーを、疼痛レリーフを冷却するために組み込むことができる。例えば、メントールを、約0.1%w/w~約1.0%w/wの範囲の量で含めることができる。
【0112】
経皮送達製剤は、病状、疾患、障害、症状を緩和するのに十分な期間、例えば、1週間、1~12週間もしくはそれ以上、1~6週間、2~12週間、2~12週間、2~8週間、2~6週間、2~4週間、4~12週間、4~8週間、または4~6週間の期間、単独の1回塗布で、週に1回、2週間に1回、月に1回、または、1日に1~12回、塗布することができる。本組成物は、必要である場合、例えば、1日1回~1時間に1回の頻度で投与することができる。本明細書に記載する製剤は、1週間~4週間、1週間~2週間、1週間、2週間、3週間、4週間、または4週間またはそれ以上の期間、1日1回以上、局所投与することができる。場合によっては、例えば、発がんを阻害もしくは予防するために、または、がん、もしくは別の疾患もしくは障害の改善、寛解の期間の延長、もしくは寛解の維持を行うために、治療を無期限に継続するのが望ましい場合がある。スキンクリーム、ローション、または軟膏を含む経皮送達製剤の好適な投与は、例えば、必要である場合、1日1回、2回、3回、4回、または1時間に1回、2回、3回、4回である。
【0113】
上述のとおり、所望する場合、他の治療剤を、上述の組成物中に提供するものと共に用いることができる。単一剤形を作製するために、担体材料と組み合わせて使用可能な有効成分の量は、治療する宿主、疾患、障害または病状の性質、及び有効成分の性質に応じて変化する。
【0114】
任意の特定の患者に対する、具体的な用量レベルは、特定の活性剤の活性;患者の年齢、体重、総体的な健康、性別及び食事;投与時間;排泄速度;可能な薬剤の組み合わせ;治療されている具体的な病状の重症度;治療される領域及び投与形態を含む様々な因子に応じて変化すると理解されている。当業者は、このような因子の変動性を理解し、ルーティンの実験以下のものを使用して、具体的な用量レベルを確立することが可能であろう。
【0115】
生物学的利用能、吸収速度定数、見かけの分布容積、未結合の画分、全クリアランス、未変化の排泄画分、初回通過代謝、消失速度定数、半減期、及び、平均滞留時間などの薬物動態パラメーターを、当該技術分野において周知の方法により決定することができる。
【0116】
本明細書に記載する主題に従った経皮送達製剤は、例えば、複数回使用または単回使用パッケージ(例えば、チューブ、ボトル、ポンプ、容器もしくはボトル、バイアル瓶、ジャー、包み、またはブリスターパッケージを含む)にパッケージされる局所剤形であってよい。
【0117】
1日1回の量の経皮送達製剤を含有する、一回用量キット及びパッケージを調製することができる。経皮送達製剤の単回用量、単位用量、及び1日1回の使い捨て容器もまた提供する。
【0118】
本経皮送達製剤は、最大約5年、約3ヶ月~約5年、約3ヶ月~約4年、約3ヶ月~約3年、及び、代替的に、約6ヶ月~約3年の間の任意の期間を含む期間の間、貯蔵庫において安定のままである。
【0119】
所望する場合、他の治療剤を、上述の組成物中に提供するものと共に用いることができる。単一剤形を作製するために、担体材料と組み合わせて使用可能な有効成分の量は、治療する宿主、疾患、障害または病状の性質、及び有効成分の性質に応じて変化する。
【0120】
任意の特定の患者に対する、具体的な用量レベルは、特定の活性剤の活性;患者の年齢、体重、総体的な健康、性別及び食事;投与時間;排泄速度;可能な薬剤の組み合わせ;治療されている具体的な病状の重症度;治療される領域及び投与形態を含む様々な因子に応じて変化すると理解されている。当業者は、このような因子の変動性を理解し、ルーティンの実験以下のものを使用して、具体的な用量レベルを確立することが可能であろう。
【0121】
生物学的利用能、吸収速度定数、見かけの分布容積、未結合の画分、全クリアランス、未変化の排泄画分、初回通過代謝、消失速度定数、半減期、及び、平均滞留時間などの薬物動態パラメーターを、当該技術分野において周知の方法により決定することができる。
【0122】
本明細書に記載する主題に従った経皮送達製剤は、例えば、複数回使用または単回使用パッケージ(例えば、チューブ、ボトル、ポンプ、容器もしくはボトル、バイアル瓶、ジャー、包み、またはブリスターパッケージを含む)にパッケージされる局所剤形であってよい。
【0123】
1日1回の量の経皮送達製剤を含有する、一回用量キット及びパッケージを調製することができる。経皮送達製剤の単回用量、単位用量、及び1日1回の使い捨て容器もまた提供する。
【0124】
用量は、一回用量または累積型(連続用量)であることができ、当業者により速やかに決定することができる。本発明の経皮送達製剤は、対象に、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20回、またはそれ以上投与することができる。例えば、疾患の治療は、有効量の、本明細書にて開示する経皮送達製剤を1回投与することを含むことができる。あるいは、疾患の治療は、例えば、1日1回、1日2回、1日3回、数日に1回、または1週間に1回といった期間の範囲にわたり行われる、有効量の経皮送達製剤を複数回投与することを含むことができる。投与のタイミングは、個体の症状の重症度等の因子に応じて、個体間で異なり得る。例えば、有効量の、本明細書にて開示する経皮送達製剤は、個体に1日1回無期限に投与され得るか、または個体が治療を必要としなくなるまで投与され得る。当業者であれば、個体の状態が治療過程全体で監視され得ること、及び投与される有効量の本明細書にて開示する経皮送達製剤が、それに応じて調整され得ることを認識するであろう。一実施形態では、本明細書にて開示する経皮送達製剤は、疾患を患う個体を含む、疾患の症状を回復させる時間を、同一の治療を受けない患者と比較して、例えば、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%減少させることができる。
【0125】
本明細書で開示する経皮送達製剤は、治療に有効な量で抗がん経皮送達製剤を含むことができる。本明細書で使用する場合、用語「有効量」とは、「治療に有効な量」、「有効用量」、または「治療的有効用量」と同義であり、個体でのがん細胞集団及び/または腫瘍細胞サイズの低下または維持に言及して使用する場合、所望の治療効果を実現するのに必要な、本明細書で開示するがん治療剤の最小用量を意味し、個体におけるがん細胞集団及び/または腫瘍細胞サイズを低下させる、または維持するのに十分な用量を含む。個体におけるがん細胞集団及び/または腫瘍サイズを低下または維持可能な、本明細書で開示する抗がん経皮送達製剤の有効性は、個体におけるがん細胞集団及び/または腫瘍サイズの低下または維持と関連する、1つ以上の臨床的症状及び/または生理学的指標に基づく個体の改善を観察することにより測定することができる。がん細胞集団及び/または腫瘍細胞サイズの維持または低下は、同時の療法の必要性の低下により示されることができる。個体におけるがん細胞集団及び/または腫瘍サイズを低下または維持可能な、本明細書で開示する抗がん経皮送達製剤の有効性は、がん細胞集団及び/または腫瘍サイズの低下または維持と関連する、1つ以上の臨床的症状及び/または生理学的指標に基づく個体の改善を観察することにより測定することができる。本明細書で開示する抗がん経皮送達製剤の有効性は、抗がん経皮送達製剤が投与されない場合の同一個体と比較して、個体の寿命を延ばすこともまた可能である。本明細書で開示する抗がん経皮送達製剤の有効性は、抗がん経皮送達製剤が投与されない場合の、同一個体と比較して、個々の生活の質を向上させることもまた可能である。
【0126】
個体の状態におけるがん細胞集団及び/または腫瘍サイズを低下させる、または維持するために投与される、本明細書で開示する抗がん経皮送達製剤の適切な有効量は、血液サンプルもしくは生検における、測定したがん細胞の数、個体から収集した、もしくは個体の、CATスキャン、PETスキャン、NMR、及び/またはソノグラム、特定の特徴、患者の病歴及びリスク因子(例えば、年齢、体重、総体的な健康など)、またはこれらのいずれかの組み合わせを含む因子を考慮に入れることにより、当業者により測定することができる。加えて、抗がん経皮送達製剤の反復投与を用いる場合、有効量の抗がん経皮送達製剤は、投与頻度、抗がん経皮送達製剤の半減期、またはこれらの任意の組み合わせを含む因子にさらに左右されるであろう。ヒトまたは動物への投与前に、動物モデルを使用して、本明細書で開示する抗がん経皮送達製剤の有効量は、インビトロアッセイ及びインビボ投与研究から推定可能であることが、当業者に知られている。
【0127】
様々な投与経路における、異なる効率の観点から、必要な有効量の変動は幅広いことが予想される。例えば、本明細書で開示する抗がん経皮送達製剤の経口投与は一般に、吸入による投与よりも高い用量レベルを必要とすることが予想される。同様に、本明細書で開示する抗がん経皮送達製剤の全身投与は、局所投与よりも高い用量レベルを必要とすることが予想される。これらの用量レベルの変動は、経験に基づく、標準的な最適化ルーティンを使用して調整可能であり、これらは当業者に周知である。正確な治療的に有効な用量レベル及びパターンは、上述した因子を考慮に入れ、主治医により決定されるのが好ましい。当業者は、個体の病状を、治療法の過程を通して監視可能であり、投与される、本明細書で開示するがん治療薬の有効量を適宜調整可能であることを理解するであろう。
【0128】
本明細書の複数の態様は、部分的には、個体におけるがん細胞集団及び/または腫瘍サイズの減少または維持について開示している。本明細書で使用する場合、用語「治療すること」とは、個体におけるがん細胞集団及び/または腫瘍サイズの減少または維持を意味する。例えば、用語「治療すること」とは、個体におけるがん細胞集団及び/または腫瘍サイズレベルの、例えば、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも100%の減少または維持を意味することができる。がん細胞集団及び/または腫瘍細胞サイズの検出を含む、がんと関連する実際の症状が周知であり、血液検査、CTスキャンソノグラム、及び、当業者に既知の他の試験を含む、一般に知られている試験手段を使用して、当業者により測定することができる。当業者は、がんと関連する適切な症状または指標を知っており、個体が、本明細書にて開示する治療の候補であるか否かの測定方法を知っているであろう。
【0129】
一実施形態では、第1の抗がん経皮送達製剤を個体に、後日投与し、第2の抗がん経皮送達製剤を同一の個体に投与する。一実施形態では、第1の抗がん経皮送達製剤を、第2の抗がん経皮送達製剤を個体に投与するのと同時に、個体に投与する。
【0130】
いくつかの実施形態では、経皮投与により、カンナビノイドを対象に供給する。カンナビノイドは、結晶性カンナビジオールであることができる。
【0131】
実施例1
マウスの尿pH検査
本実験では、吸収される緩衝液、本実施例では炭酸ナトリウムの能力を、上皮ジャンクション改変剤を含むか、または含まないかのいずれかの製剤において、マウスにて調査した。マウスに、2つの経皮製剤を投与した。一経皮製剤(本明細書では以下、製剤Aと呼ぶ)は、上皮ジャンクション改変剤を含んだ。製剤Aに含まれた、含まれた上皮ジャンクション改変剤は、1%EDTA、0.5%トリエタノールアミン、及び1%デカン酸ナトリウムであった。他の製剤(本明細書では以下、製剤Bと呼ぶ)は、あらゆる上皮ジャンクション改変剤を含まなかった。製剤A及びBは共に、緩衝剤を含まなかった。すなわち、製剤A及びBは共に、7.5%炭酸ナトリウムを含んだ。
【0132】
製剤A及びBを、合計で300μL/Lの炭酸ナトリウム緩衝液の用量でマウスに局所塗布した。用量は、100μLの炭酸ナトリウム緩衝液の用量で、1日3回塗布した。製剤A及びBを、マウスに3日間塗布した(合計9回の塗布)。
【0133】
尿サンプルを、製剤を塗布した3日間の様々な時点で、及び、その後の短期間の間で収集した。尿サンプルを試験し、pHを測定した。pHが高ければ高いほど、製剤A及び製剤Bには、皮膚を超えて血流に入ることができる緩衝剤の量が増えた。
【0134】
実験結果を表1に示す。
【0135】
【表1】
【0136】
表1に見られる結果に基づくと、上皮ジャンクション改変剤を含む製剤Aは、製剤Bにおける(11.82%)よりも、製剤Aの局所投与を受けたマウスの尿のpHを、有意に大きく上昇させることができた(34.21%、すなわち、約3倍高い)。結果は、製剤Aと製剤Bの局所投与の後で、上皮ジャンクション改変剤の、皮膚の経皮浸透を増加させる能力を支持する。
【0137】
終わりに、本明細書に図示し、記載するように、本発明の例示的実施形態に関して、本明細書で開示する配合物は、追加の治療薬を伴う、または伴わない、緩衝療法のために構成されることが理解されよう。本発明の原理は、ここで図示し、説明したものを超えて、多数の構成で実施可能であるため、本発明は、例示的実施形態によってはいかなる方法でも限定されず、概して経皮製剤に関し、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく実施するための多数の形態をとることが可能であることと理解されるべきである。本発明は、開示された特定の構成要素に限定されず、代わりに、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、現時点で既知の、または後で開発される、他の機能的に匹敵する製剤構成要素を包含し得ることもまた、当業者には理解されよう。
【0138】
本発明を実施するために、発明者(複数可)に知られた最良の様式を含む本発明の特定の実施形態を、本明細書に記載する。もちろん、これらの記載した実施形態の変形が、前述の説明を読み取る際には、当業者に明らかとなるであろう。発明者(複数可)は、当業者がこのような変形を適切なように用いることを予期し、発明者(複数可)は、発明が本明細書に具体的に記載されるのとは別様で実践されることを意図する。したがって、本発明は、適用法によって許可されるように、本明細書に添付される特許請求の範囲で列挙される主題の全ての修正及び等価物を含む。さらに、それらの全ての可能な変形における、上記の実施形態の任意の組み合わせは、本明細書に別様が示されない限り、または文脈によって別様が明らかに矛盾しない限り、本発明によって包括される。
【0139】
本発明の代替実施形態、要素、または工程のグループ化は、限定として解釈されるべきではない。各群の要素は、個別に、本明細書で開示する他の群の要素の任意の組み合わせで参照及び特許請求することができる。群の1つ以上の要素は、便宜及び/または特許性の理由のために、群に含めることができるか、または群から削除することができることが予想される。そのような包含または消去が起こるとき、本明細書は改変されたグループを含有し、したがって付属の請求項中で使用される全てのマーカッシュ形式のグループの記述を実現するとみなされる。
【0140】
特に明記しない限り、本明細書及び特許請求の範囲で使用する、特徴、項目、量、パラメーター、性質、用語などを表現する全ての数字は、全ての場合において、用語「約」によって修飾されるものとして理解されるべきである。本明細書で使用する場合、用語「約」は、そのように限定された性質、項目、量、パラメーター、性質、または用語が、記載した性質、項目、量、パラメーター、性質、または用語の値の上下±10%の範囲を包含することを意味する。したがって、そうでないことが示されない限り、本明細書及び添付の特許請求の範囲で説明する数値パラメーターは、変化し得る近似値である。最低限において、また特許請求の範囲と同等である原理の適用を限定する試みとしてではなく、各数値指標は少なくとも、通常の丸め技術を適用することによって、報告される有効桁数を考慮して解釈されるべきである。本発明の広い範囲を示す数値範囲及び値は近似値であるにもかかわらず、特定の実施例中に示される数値範囲及び値は可能な限り正確に報告される。どの数値範囲または値も、しかしながら、それらの各試験計測中に見られる標準偏差から必然的に生じるある特定の誤差を本質的に含有する。本明細書中の値の数値範囲の列挙は、その数字範囲に入る各別々の値を個々に言及する省略法として働くと単に意図される。本明細書で特に断りのない限り、数値範囲の各個別の値は、それが個別に本明細書で引用されるかのように明細書に組み込まれる。同様に、本明細書で使用する場合、別途明確に示されない限り、用語「実質的に」とは、当業者により理解及び解釈可能な範囲を包含する、そのように定量化される特徴、項目、量、パラメーター、性質、または用語の近似を示すことが意図される、程度についての用語である。
【0141】
実施形態、または、実施形態の態様の参照における、用語「~得る」、または「~することができる」の使用は、「し得ない」または「することができない」という代替の意味もまた有する。そのため、実施形態、または実施形態の態様が、本発明の主題の一部として含まれ得る、または含まれることができることを、本明細書が開示する場合、負の制限、または排他的な但書もまた、明示的に意味され、このことは、実施形態、または実施形態の態様が、本発明の主題の一部として含まれ得ない、または含まれることができないことを意味する。同様の方法で、実施形態、または実施形態の態様の参照における、用語「任意に」の使用は、このような実施形態、または実施形態の態様が、本発明の主題の一部として含まれ得る、または、本発明の主題の一部として含まれ得ないことを意味する。このような負の制限、または排他的な但書が適用されるか否かは、負の制限、または排他的な但書が、特許請求される主題で引用されているか否かに基づく。
【0142】
本発明を示す文脈中で(特に以下の請求項の文脈中で)使用される用語「a」、「an」、「the」、及び同様の指示物は、本明細書中に別段の定めなき限りまたは文脈により明らかに矛盾しない限り、単数及び複数の両方を含むと解釈されるべきである。さらに、識別された要素に関する、「第1の」、「第2の」、「第3の」といった、順序の指標は、当該要素間での区別を行うために用いられ、そのような要素の必要な数、または制限された数を示す、または示唆するもとではなく、別の方法で具体的に記述されない限り、このような要素の特定の位置または順序を示すものではない。本明細書に記載される全ての方法は、本明細書に別様が示されない限り、または文脈によって別様が明らかに矛盾しない限り、任意の好適な順序で実行され得る。本明細書に提供される任意及び全ての例または例示的な言語(例えば、「など」)の使用は、単に本発明をより良く解明することが意図され、別途特許請求される本発明の範囲を限定しない。本明細書内のいかなる言い回しも、任意の請求されていない要素を本発明の実施に必須であると示すものとして解釈されるべきではない。
【0143】
特許請求の範囲で使用される場合、出願されたか、補正として付加されたかにかかわらず、オープンエンドの移行句「を含む(comprising)」(「を含む(including)」、「含有する」、及び「有する」)などの、それと等価な、オープンエンドの移行句を含む)は、単独で、または、列挙されていない主題と共に、明示的に列挙された要素、限定、工程、及び/または特徴全てを包含する。名前が付けられた要素、限定、及び/または特徴は不可欠である一方で、名前の付けられていない要素、限定、及び/または特徴が付け加えられる場合があり、依然として、特許請求の範囲内での構築物を形成する。本明細書にて開示した具体的な実施形態はさらに、「を含む」の代わりに、または、この補正としての、クローズドエンドの移行句「からなる」、または「から本質的になる」を使用する特許請求の範囲に限定され得ない。特許請求の範囲で使用される場合、出願されたか、補正として付加されたかにかかわらず、クローズドエンドの移行句「からなる」は、特許請求の範囲で明示的に列挙されない、あらゆる要素、限定、工程、または特徴を除外する。クローズドエンドの移行句「から本質的になる」は、特許請求の範囲を、明示的に列挙される要素、限定、工程、及び/または特徴、ならびに特許請求される主題の基本的及び新規の特徴(複数可)に実質的に影響を及ぼさない、任意の他の要素、限定、工程、及び/または特徴を限定する。したがって、オープンエンドの移行句「を含む」の意味は、具体的に列挙された要素、限定、工程、及び/または特徴全て、加えて、あらゆる任意の、追加的な、具体的に記されてない要素、限定、工程、及び/または特徴を包含するものとして定義されている。クローズドエンドの移行句「からなる」の意味は、特許請求の範囲で具体的に列挙される要素、限定、工程、及び/または特徴のみを含むものとして定義されている一方で、クローズドエンドの移行句「から本質的になる」の意味は、特許請求の範囲で具体的に列挙される要素、限定、工程、及び/または特徴、ならびに、特許請求されていない主題の基本的及び新規の特徴(複数可)に実質的に影響を及ぼさない要素、限定、工程、及び/または特徴のみを含むものとして定義されている。したがって、オープンエンドの移行句「を含む」(これと等価な、オープンエンドの移行句を含む)は、その意味に、限定のケースとして、クローズドエンドの移行句「からなる」または「から本質的になる」により具体的に特許請求される主題を含む。そのため、本明細書に記載する実施形態、または、「を含む」という語句を用いて特許請求されるものは、語句「から本質的になる」及び「からなる」に関して、本明細書で明示的に、または本質的に記載され、実施可能であり、かつ支持される。
【0144】
本明細書で参照及び識別された、あらゆる特許、特許公報、及び、他の公報は、例えば、本発明と関連して使用され得る、そのような出版物などに記載される組成物方法論を説明及び開示する目的で全体を参照することにより、個々に、かつ明白に本明細書に組み込まれる。これらの出版物は、本出願の出願日以前のそれらの開示にのみ提供される。この点のいかなる内容も、先行発明、または任意の他の理由によって、発明者らがこのような開示に先行する権利がないことを承認すると、解釈するべきではない。日付に関する記載、または、これらの文書の内容の描写のすべては、出願人が利用可能な情報に基づき、日付または、これらの文書の内容の正確性のいかなる承認も構成しない。
【0145】
本発明の態様は、少なくとも1つの例示的実施形態を参照して記載されているものの、本発明はこれらに限定されないことが、当業者によって明白に理解されるべきである。むしろ、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲と組み合わせてのみ解釈されるべきであり、本発明者(複数可)は、特許請求された主題が本発明であることが、ここで明白となる。
【国際調査報告】