IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アッカ2チ ソシエタ ア レスポンサビリタ リミタータの特許一覧

特表2023-503600セルロースアセテートから作られる物品及び半製品の製造方法
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-31
(54)【発明の名称】セルロースアセテートから作られる物品及び半製品の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B29B 17/04 20060101AFI20230124BHJP
   B29C 43/34 20060101ALI20230124BHJP
【FI】
B29B17/04 ZAB
B29C43/34
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022530203
(86)(22)【出願日】2020-11-10
(85)【翻訳文提出日】2022-05-23
(86)【国際出願番号】 IB2020060555
(87)【国際公開番号】W WO2021105807
(87)【国際公開日】2021-06-03
(31)【優先権主張番号】102019000022128
(32)【優先日】2019-11-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522203215
【氏名又は名称】アッカ2チ ソシエタ ア レスポンサビリタ リミタータ
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】セッチン、オルフェオ
【テーマコード(参考)】
4F204
4F401
【Fターム(参考)】
4F204AA01
4F204AA50
4F204AC04
4F204AH80
4F204FA01
4F204FB01
4F204FE17
4F204FF01
4F204FN11
4F401AA02
4F401BA13
4F401CA14
4F401DC04
4F401FA01Z
4F401FA02Z
4F401FA07Z
(57)【要約】
セルロースアセテートから作られる物品及び半製品の製造方法であって、以前に製造されたセルロースアセテート物品及び/又は半製品に由来するセルロースアセテートからなる廃棄物を回収する工程と、少なくとも1つのポリマー材料の混合物をモールドの中に分注又は配置する工程と、物品又は半製品を形成するためにモールド内の混合物を加熱及び加圧する工程とを含む方法。本混合物は、セルロースアセテートからなる廃棄物によって少なくとも部分的に形成され、物品及び/又は半製品は、冷却及び加圧工程に供され得る。本混合物は、セルロースアセテートの断片によって少なくとも部分的に形成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
セルロースアセテートから作られる物品又は半製品の製造方法であって、
以前に製造された物品及び/又は半製品に由来するセルロースアセテートからなる廃棄物を回収する工程と、
少なくとも1つのポリマー材料の混合物をモールドの内部に分注又は配置する工程であって、前記混合物は前記セルロースアセテートからなる廃棄物によって少なくとも部分的に形成される、工程と、
前記混合物を前記モールド内部で加熱する工程と、
前記モールド内の前記混合物を前記物品又は半製品を形成するように加圧する工程と、
前記物品又は半製品を冷却又は加圧する工程と、
を含み、
前記混合物は、セルロースアセテートからなる廃棄物の断片によって少なくとも部分的に形成されることを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記分注工程の上流に、前記セルロースアセテートの断片を得るために前記廃棄物を粉砕及び/又は破砕する工程を含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記廃棄物が、セルロースアセテート眼鏡フレームのエンドチップ、サイドアーム及びフロントピースの製造のための半製品の加工から得られる削りくず、剃りくず及び切りくずを含み、製造される前記物品が、眼鏡フレームのエンドチップ、サイドアーム及びフロントピース、又は着用可能な物若しくは日用の物を含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記廃棄物が、眼鏡フレームを製造するためのシート又はシート片の形態の半製品を含むことを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記廃棄物が、処分しなければならない旧式の眼鏡フレームのエンドチップ、フロントピース及びサイドアームを含むことを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記加熱工程及び加圧工程が、同時に行われることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記加熱工程及び加圧工程が、120℃~170℃、特に140℃~165℃の温度値で行われ、かつ、前記加圧工程に応じて10バール~120バール、特に前記加圧工程に応じて20バール~100バールの圧力値で行われることを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記分注又は配置工程が、前記モールドが開いた状態又は組み立てられていない状態で実行され、前記混合物が室温であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記分注又は配置工程が、トレイ内の前記混合物の分注によって実行され、前記トレイが、前記モールド内に取り外し可能に配置されるか、又は前記モールドの一部を形成するように意図されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記冷却及び加圧工程が存在する場合、前記冷却及び加圧工程が、前記混合物を加熱及び加圧するための工程が実施されるモールドとは別の、さらなるモールドによって実施されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記混合物が、廃棄物に由来する前記セルロースアセテートの断片をポリマー材料と混ぜ合わせることによって形成されることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項12】
前記ポリマー材料が、顆粒及び/又は小片の形態の未使用のセルロースアセテートからなることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記混合物が、前記混合物の全重量に対して50重量%~95重量%、好ましくは前記混合物の全重量に対して70重量%~95重量%の範囲の重量の廃棄物の断片を含むことを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記混合物が、廃棄物に由来するセルロースアセテートの断片のみによって形成されることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項15】
廃棄物からの前記セルロースアセテートの断片が、それらの間で異なる寸法及び/又は粒径及び/又は色を有することを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、以前に製造された物品及び/又は半製品に由来する廃棄物又は加工副産物を専ら又は少なくとも部分的に使用してセルロースアセテートから作られる物品及び半製品を製造する方法に関する。
【0002】
好ましくは、本発明で使用される廃棄物は、眼鏡用フレームの製造のためのセルロースアセテートから作られる半製品の加工に由来する。
【背景技術】
【0003】
眼鏡の製造分野では、先般来、眼鏡フレームのエンドチップ、サイドアーム、及びフロントピースを製造するための材料としてセルロースアセテートを使用することが知られている。
【0004】
セルロースアセテートは、硫酸の存在下で酢酸及び無水酢酸と反応するセルロースから最初に得られるセルロースの酢酸エステルである。
【0005】
セルロースアセテートから作られる眼鏡フレームのエンドチップ、サイドアーム及びフロントピースの製造のために少なくとも2つの方法が提供されている。いずれの製造方法も、未使用のセルロースアセテート、すなわち他の製造プロセスで以前に使用されていないセルロースアセテートの使用を含む。
【0006】
好ましい方法でもある第1の方法は、得られるエンドチップ、サイドアーム及びフロントピースの形状に対応するプロファイルを有するパンタグラフを使用して、セルロースアセテートの半製品、すなわちシート又はボードを切断することを含む。
【0007】
パンタグラフは、作成されるフレームモデルに応じてシートに異なるカットを実行するようにプログラムされ得る数値制御工作機械である。
【0008】
このようにして得られたエンドチップ、サイドアーム、及びフロントピースは、得られるフレームの美的外観に応じて、さらに連続した機械加工工程を受ける場合がある。
【0009】
セルロースアセテートの半製品、すなわちシートは、所定のサイズ及び厚さを有し、セルロースアセテートの混合物を圧延するための1つ以上のプロセスによって得られる。
【0010】
様々な色のフレームを得る必要がある場合、異なる色のセルロースアセテートの混合物を混ぜ合わせ、混ぜ合わせた混合物を圧延することによって出発シートを得ることができる。
【0011】
この解決策の1つの欠点は、様々な色のセルロースアセテートの混合物は調製が複雑であり、それゆえに特に高いコストがかかるという事実にある。
【0012】
この製造方法の別の欠点は、セルロースアセテートのシートの切断及び連続する処理工程中に大量の廃棄物が形成されるという事実にある。
【0013】
この廃棄物は再利用されず、所定の手順によって処分しなければならない廃棄物を形成し、これらの手順は、コスト及び全体的な処理時間の増加をもたらす。
【0014】
さらなる欠点は、製造プロセスで使用されないシート又は混合物が廃棄物として処分される前、保管されたままであるという事実にある。この欠点により、会社は経済資源を著しく支出することになる。
【0015】
第2の製造方法は、製造されるフレームの形状に対応する形状を有するモールドの内部に、液体又は流体ポリマー材料、例えばセルロースアセテートを注入することを含む。この方法は、特に大量に生成する必要があるフレームモデルに使用される。
【0016】
このさらなる製造方法の第1の欠点は、様々な色を有するフレームの製造に使用するのに特に適していないという事実にある。したがって、この製造方法は、特に単色フレームの製造に限定される。
【0017】
必要に応じて、この第2の方法によって得られたフレームは、その後にニスが塗られる場合があるが、セルロースアセテートは、連続したワニス工程を受けるのに特に適しておらず、そのため、最終的な審美的結果があまり良くない品質になる場合がある。
【0018】
さらなる欠点は、必ず異なるモールドを使用して異なるフレームモデルを作成しなければならないという事実にある。
【0019】
この欠点により、この第2の製造方法は、特に少数のフレームを製造しなければならない場合に著しく非生産的になる。
【0020】
別の欠点は、オペレータが、モールド内部のポリマー材料の分注のための所定のプログラムを材料の注入前に定義することができないという事実にある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
本発明の目的は、先行技術の問題を実質的に解決し、セルロースアセテートから作られる物品又は半製品の製造方法を提供することによって既知の欠点を克服することである。
【0022】
本発明の特定の課題は、以前に製造された物品及び/又は半製品に由来するセルロースアセテートを回収することができる、セルロースアセテートから作られる物品及び半製品の製造方法を提供することである。
【0023】
本発明のさらなる課題は、セルロースアセテートから作られる半製品の処理に由来する廃棄物又は加工副産物をリサイクルすることができる、セルロースアセテートから作られる物品及び半製品の製造方法を提供することである。
【0024】
本発明のさらなる課題は、従来技術の既知の方法と比較して低コストである、セルロースアセテートから作られる物品及び半製品の製造方法を提供することである。
【0025】
本発明のさらなる課題は、製造プロセスで使用される材料及び半製品の倉庫在庫を減らすことを可能にする、セルロースアセテートから作られる物品及び半製品の製造方法を提供することである。
【0026】
本発明の別の課題は、異なる色又は色の集まりを含み得る様々な種類の眼鏡フレームの製造に使用することができる、上記の類の方法を提供することである。
【0027】
本発明のさらなる課題は、未使用のセルロースアセテートを使用して得られた物品の構造特性と同様の構造特性を有する物品を製造することが可能である、上記の類の方法を提供することである。
【0028】
本発明の別の課題は、この分野で一般的に使用される機器及び装置を使用してセルロースアセテート物品又は半製品を製造することが可能である、上記の類の方法を提供することである。
【0029】
本発明のさらなる課題は、材料の分注のための所定のプログラムの定義を可能にする、セルロースアセテートから作られる物品及び半製品の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0030】
前述の目的及び課題は、請求項1に記載のセルロースアセテートから作られる物品及び半製品の製造方法によって達成される。
【0031】
本発明は、セルロースアセテートから作られる物品及び半製品の製造方法に関する。
【発明を実施するための形態】
【0032】
具体的には、製造方法によって得ることができる物品は、好ましくは、眼鏡フレーム用のエンドチップ、サイドアーム及びフロントピースであり、あるいは、その物品は、櫛、クリップ、留め具及び美容アクセサリなどの一般的に使用される物、又はネックレス、ブレスレット、イヤリング及びリングなどの着用可能な物であってもよい。
【0033】
本発明による製造方法を用いて得ることができる半製品は、好ましくは、眼鏡フレームのエンドチップ、サイドアーム及びフロントピースを製造するために切断及び加工するのに適したシートを含む。
【0034】
ただし、本発明による方法によれば、本発明の範囲から逸脱することなく、上に示したものとは異なる物品及び半製品を製造することも可能である。
【0035】
本方法は、最初に、以前に製造されたセルロースアセテート物品及び/又は半製品から生じる廃棄物又は材料を回収する工程を含む。この材料はまた、加工副産物から構成されていてもよい。
【0036】
廃棄物は、眼鏡フレームのエンドチップ、サイドアーム及びフロントピースの製造のための半製品の加工から生じる削りくず、剃りくず及び/又は切りくず、あるいは廃棄しなければならない旧式の眼鏡のエンドチップ、サイドアーム及び/又はフロントピースを含み得る。
【0037】
あるいは、廃棄物は、眼鏡フレームの製造を目的としたシート及び/又はシート片の形態の半製品を含んでもよい。
【0038】
ただし、廃棄物はまた、先に示した廃棄物、すなわち、削りくず、剃りくず、切りくず、及び/又はシート又はシート片、並びに/あるいは旧式フレームのエンドチップ、サイドアーム及びフロントピースの異種の組み合わせによって形成されていてもよい。
【0039】
本方法はまた、
少なくとも1つのポリマー材料の混合物をモールド内に分注又は配置する工程であって、当該混合物は、セルロースアセテートからなる廃棄物によって少なくとも部分的に形成される、工程と、
モールド内の混合物を加熱する工程と、
半製品又は物品を形成するためにモールド内の混合物を加圧する工程と、
物品又は半製品を冷却又は加圧する工程と、
を含む。
【0040】
本発明によれば、本混合物は、セルロースアセテートからなる廃棄物の断片によって少なくとも部分的に形成される。
【0041】
本発明において、「混合物」という用語は、各成分がその本質的な化学的特性を維持する、混ぜ合わされた固体成分の集まりを意味すると理解される。
【0042】
分注工程の上流において、本方法はまた、セルロースアセテートの断片を得るために、廃棄物又は加工副産物を粉砕及び/又は破砕する工程を含んでもよく、したがって、モールドに分注又は配置される混合物は、固体形態であり、回収されたセルロースアセテート断片の断片によって少なくとも部分的に形成される。
【0043】
特に、廃棄物がシート、シート片、又はフレームのサイドアーム、エンドチップ及びフロントピースによって形成される場合には、粉砕工程を実施することが好ましい。
【0044】
粉砕及び/又は破砕工程は、従来技術で知られている装置を用いて実行することができ、本明細書では詳細に説明しない。
【0045】
好適には、粉砕及び/又は破砕工程後に得られる廃棄物の断片の粒径は、1mm~50mmであり得る。
【0046】
廃棄物から生じ、本混合物に含まれる断片はまた、互いに異なる寸法及び/又は粒子サイズ、並びに互いに異なる色を有し得る。
【0047】
この特定の特徴は、上述のように、断片が異なる廃棄物に由来し得るという事実に起因するものであり、様々な色及びパターンを有する物品又は半製品を得ることを可能にする。
【0048】
この点において、本方法は、所望のサイズ及び/又は色を有する断片のみを使用するように、モールドの内部に混合物を分注する工程の上流で、廃棄物の断片をスクリーニング及び選別する追加の工程を含み得る。
【0049】
例えば、断片のサイズに基づく断片の選別は、手動で、又は既知の光学デバイス若しくはふるいを用いて行うことができ、同様の方法で、色に基づく断片の選別は、手動で、又は既知の光学デバイスを用いて行うことができる。
【0050】
本混合物は、廃棄物に由来するセルロースアセテートの断片によって少なくとも部分的に形成され、顆粒及び/又は小片の形態のポリマー材料と混ぜ合わしてもよい。
【0051】
ポリマー材料は、顆粒及び/又は小片の形態の未使用のセルロースアセテートからなっていてもよく、よって、この実施形態では、本物品及び半製品は完全にセルロースアセテートから作られる。
【0052】
セルロースアセテートの顆粒は、従来技術で既知のセルロースアセテートの物品及び半製品の製造に使用されるものと同じタイプのものであり得る。
【0053】
ただし、本混合物においては、廃棄物又は加工副産物の断片が、未使用のセルロースアセテートの顆粒と比較して圧倒的な量を構成しており、好ましくは混合物は、混合物の全重量の50重量%~95重量%、さらにより好ましくは70重量%~95重量%の範囲の重量の廃棄物の断片を含む。
【0054】
いくつかの用途では、本混合物の中に含まれる廃棄物の断片の重量はまた、混合物の全重量に対して95%を超えていてもよい。
【0055】
本混合物に含まれ得る未使用のセルロースアセテートの顆粒は、混合物内で結合剤の機能を有し、加熱工程及び加圧工程において廃棄物の断片を混ぜ合わせることを可能にする。
【0056】
廃棄物の断片と混ぜ合わされたポリマー材料はまた、本発明の範囲から逸脱することなく、未使用のセルロースアセテートとは異なっていてもよい。
【0057】
あるいは、本混合物は、廃棄物に由来するセルロースアセテートの断片のみによって形成してもよく、よって、この実施形態における断片の重量は、不純物の存在を考慮に入れても、ほぼ100%に等しい。
【0058】
分注工程の間、廃棄物の断片を含む混合物は、得るべき物品又は半製品の形状に対応する所定の形状を有する受け入れキャビティ内に分注される。この分注工程は、本混合物を用いて室温で行われる。
【0059】
好適には、粉砕断片の寸法/粒径は、また、受け入れキャビティの寸法及び構成に応じて上流で選択してもよい。
【0060】
それ自体公知の方法であるが、モールドは、第1の部分に形成又は作製された受け入れキャビティに加えて、キャビティの内部で混合物を押圧するように設計されたパンチを有する別の部分を備える。
【0061】
有利には、受け入れキャビティはトレイ内に形成してもよい。トレイは、モールドの内部に取り外し可能に配置してもよく、又はモールドの一部を形成するように配置してもよい。
【0062】
具体的には、トレイは、モールドの第1の部分に取り外し可能に配置されるように意図され、あるいは、トレイは、モールドの第1の部分を形成してもよく、パンチを備えるモールドの部分と直接接合されるように意図される。
【0063】
好ましくは、分注又は配置工程は、廃棄物の断片を含む混合物のトレイ内の分注によって室温で行われる。
【0064】
したがって、本発明の分注又は配置工程は、射出成形で生じるものとは異なり、モールドが開いた状態又はまだ組み立てられていない状態で実行される。これに関連して、オペレータは、トレイ内の廃棄物の断片の分注及び配置を手動で行うことができる。
【0065】
有利には、分注又は配置工程はまた、加熱工程及び加圧工程の前に、トレイの受け入れキャビティ内に所定のプロファイルを有するテンプレートを配置することによって実行することができる。
【0066】
このようにして、所定の色及び寸法を有するポリマー材料の断片及び/又は顆粒は、後に物品又は半製品上に所定のパターンが得られるように、トレイ内の所定の配置に配置することができる。
【0067】
好ましくは、加熱工程及び加圧工程は、加熱された表面を有するプレスを使用して同時に行われてもよい。具体的には、受け入れキャビティを有するモールドの第1の部分をプレスの底部加熱面を取り付けてもよく、一方で、パンチを有するモールド部分をプレスの上部加熱面に載せてもよい。
【0068】
モールドの第1の部分がトレイによって形成される実施形態では、トレイを、トレイのモールドホルダによってプレスの底部加熱面に直接取り付けてもよい。
【0069】
有利には、加熱工程及び加圧工程は、加圧工程に応じて、120℃~170℃の加熱温度値及び10バール~120バールの圧力値で実行することができる。
【0070】
好ましくは、加圧工程に応じて、温度値は140℃~165℃であり、圧力値は20バール~100バールである。
【0071】
これらの動作条件より、可鍛性の材料の塊が形成されるように、本混合物を、室温から混合物を軟化させるための温度、すなわち、廃棄物の断片と(それが存在する場合には)任意選択で未使用のセルロースアセテートの顆粒との混合物が軟化する温度まで通過させることができる。
【0072】
この可鍛性材料の塊は、半製品又は物品を形成するために同時に加圧される。
【0073】
有利には、加熱工程及び加圧工程において使用される動作条件は、セルロースアセテートの劣化を回避するために、セルロースアセテートの温度をその融解温度未満、すなわち少なくとも175℃に維持するような条件である。
【0074】
冷却及び加圧工程は、好ましくは、パンチを有するそれぞれの部分を含むさらなるモールドの中で、例えばトレイをその別のモールドに移すことによって行われ、加圧及び加熱工程の終わりに、物品又は半製品をこのさらなるモールドに移すか又は配置してもよい。
【0075】
このさらなるモールドは、加熱された表面を有するプレスとは異なる別のプレスに取り付けられ、具体的には、このプレスは冷却システムを有する一対の表面を有する。
【0076】
加熱工程及び加圧工程がトレイを使用して実行された場合、そのトレイを、冷却されたさらなるモールドの第1の部分内に移してもよい。
【0077】
あるいは、物品又は半製品が入ったトレイを、冷却システムを備えるプレスの底面に直接取り付けて、さらなるモールドのパンチと一緒に結合してもよい。
【0078】
冷却及び加圧工程の間、半製品又は物品の温度は、加熱温度から室温まで冷却される。このようにして、物品及び半製品が安定化される。
【0079】
この冷却及び加圧工程は、機械的及び構造的特性を与えなければならない物品及び半製品の製造を完了するのに有用である。
【0080】
製造プロセスの終わりに、好ましくは任意の冷却及び加圧工程の下流で、物品及び半製品はいずれも、完成した物品又は半製品の所望の構成を得るためにさらなる処理工程を受けることができる。
【0081】
例えば、物品が眼鏡フレームのエンドチップ、サイドアーム又はフロントピースである場合、そのさらなる工程は、尖ったへりを除去するために、フライス加工、湾曲加工、及びバレル研磨を含むことができる。
【0082】
有利には、本発明による方法で得られた物品及び半製品は、本発明による製造方法で再利用され得る廃棄物をもたらし得る。
【0083】
実際、本発明の利点の1つは、セルロースアセテートが、特に使用される特定の動作条件、例えば作業温度のおかげで、回収及び再使用プロセスの後に、その機械的及び構造的特性を維持するという事実にある。
【0084】
したがって、上記の説明は、セルロースアセテートから作られる物品又は半製品の製造のための従来の方法と比較して、本発明による方法で得ることができる利点を強調している。
【0085】
第1に、本方法は、廃セルロースアセテート、すなわち、以前に製造されたセルロースアセテート物品及び/又は半製品から得られたセルロースアセテートから物品及び半製品を製造することを可能にする。
【0086】
したがって、この有利な特徴の結果として、物品及び半製品の製造のための全体的なコストを実質的に削減することができ、廃棄物処分工程を回避することができる。
【0087】
この有利な特徴によってまた、セルロースアセテートから作られる物品を製造するための材料及び半製品の倉庫在庫が減少する。
【0088】
さらに、このようにして得られた物品及び半製品は、様々なパターン及び色を有し、完全に未使用のセルロースアセテートで作られた物品の同じ構造的及び機械的特性を維持することができる。
【0089】
本発明による製造方法によれば、この分野で広く知られている装置及び機械を使用して、廃棄物で作られた物品を製造することが可能である。たがって、本方法の実施は、専用のプラントを必要としない。
【0090】
当業者は、特定の必要性を満たすために、添付の特許請求の範囲から逸脱することなく、上述の実施形態に変更を加えることができ、かつ/又は記載された要素を均等の要素で置き換えることができる。
【国際調査報告】