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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-31
(54)【発明の名称】徐放性薬物送達デバイス
(51)【国際特許分類】
   A61K 9/00 20060101AFI20230124BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20230124BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20230124BHJP
   A61K 47/34 20170101ALI20230124BHJP
   A61K 47/04 20060101ALI20230124BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20230124BHJP
   A61K 47/02 20060101ALI20230124BHJP
   A61K 31/675 20060101ALI20230124BHJP
   A61P 31/12 20060101ALI20230124BHJP
   A61K 31/7048 20060101ALI20230124BHJP
   A61P 33/14 20060101ALI20230124BHJP
   A61K 31/517 20060101ALI20230124BHJP
   A61P 37/06 20060101ALI20230124BHJP
【FI】
A61K9/00
A61K45/00
A61K47/26
A61K47/34
A61K47/04
A61K47/38
A61K47/02
A61K31/675
A61P31/12
A61K31/7048
A61P33/14
A61K31/517
A61P37/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022531418
(86)(22)【出願日】2020-11-25
(85)【翻訳文提出日】2022-07-14
(86)【国際出願番号】 US2020062433
(87)【国際公開番号】W WO2021108722
(87)【国際公開日】2021-06-03
(31)【優先権主張番号】62/941,036
(32)【優先日】2019-11-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/013,233
(32)【優先日】2020-04-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/061,489
(32)【優先日】2020-08-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.GORE-TEX
(71)【出願人】
【識別番号】522209309
【氏名又は名称】オーク クレスト インスティテュート オブ サイエンス
(74)【代理人】
【識別番号】110000109
【氏名又は名称】弁理士法人特許事務所サイクス
(72)【発明者】
【氏名】バウム マーク エム
(72)【発明者】
【氏名】モス ジョン エー
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA03
4C076AA95
4C076AA99
4C076BB21
4C076BB30
4C076BB40
4C076DD21
4C076DD29
4C076DD66
4C076EE05
4C076EE07
4C076EE09
4C076EE11
4C076EE22
4C076EE23
4C076EE24
4C076EE26
4C076EE27
4C076EE31
4C076EE33
4C076FF31
4C076FF32
4C084AA17
4C084MA11
4C084MA56
4C084MA67
4C084MA70
4C084NA12
4C084NA13
4C084ZB08
4C084ZB33
4C084ZB37
4C086AA01
4C086AA10
4C086BC46
4C086DA38
4C086EA14
4C086MA02
4C086MA05
4C086MA11
4C086MA56
4C086MA67
4C086MA70
4C086NA12
4C086NA13
4C086ZB08
4C086ZB33
4C086ZB37
(57)【要約】
本開示は、長期間にわたって制御された速度で生物学的活性化合物を送達するための植え込み可能なデバイスの使用、およびその製造方法に関する。本デバイスは、生体適合性および生体安定性があり、適切な生体活性物質を組織または臓器に送達するための患者(ヒトおよび動物)のインプラントとして有用である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬物送達デバイスであって、
(a)1つ以上の活性医薬成分(API)を含む1つ以上のカーネルと、
(b)連続膜を含む1つ以上のスキンと、を備え、
前記1つ以上のカーネルおよび/または前記スキンが、画定された細孔を含み、
前記細孔が、機械的に生成されていない、薬物送達デバイス。
【請求項2】
1つのカーネルを備える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
複数のカーネルを備える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項4】
前記カーネル(1つまたは複数)が、画定されたマイクロスコピック細孔構造またはナノスコピック細孔構造を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項5】
前記カーネルが、リザーバカーネルである、請求項1~4のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項6】
前記リザーバカーネルが、1つ以上のAPIを含む粉末を含む、請求項5に記載のデバイス。
【請求項7】
前記粉末が、マイクロスケール薬物担体またはナノスケール薬物担体を含む、請求項6に記載のデバイス。
【請求項8】
前記薬物担体が、ビーズ、カプセル、マイクロゲル、ナノセルロース、デンドリマー、または珪藻である、請求項7に記載のデバイス。
【請求項9】
前記リザーバカーネルが、1つ以上のAPIを含むペーストを含む、請求項5に記載のデバイス。
【請求項10】
前記ペーストが、油賦形剤、イオン性液体、転相系、またはゲルを含む、請求項9に記載のデバイス。
【請求項11】
前記転相系が、生分解性ポリマー、リン脂質と中鎖トリグリセリドとの組み合わせ、またはリオトロピック液晶を含む、請求項10に記載のデバイス。
【請求項12】
前記ゲルが、刺激応答性ゲルまたは自己治癒性ゲルである、請求項10に記載のデバイス。
【請求項13】
前記カーネルが、ペレット、錠剤、またはマイクロ錠剤である、請求項1~4のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項14】
前記カーネルが、繊維ベースの担体を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項15】
前記繊維ベースの担体が、電界紡糸マイクロ繊維または電界紡糸ナノ繊維を含む、請求項14に記載のデバイス。
【請求項16】
前記電界紡糸ナノ繊維が、ヤヌスマイクロ繊維またはヤヌスナノ繊維である、請求項15に記載のデバイス。
【請求項17】
前記繊維ベースの担体が、ランダム繊維または配向繊維を含む、請求項1~18のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項18】
前記繊維ベースの担体が、繊維の束、糸、織布マット、または不織布マットを含む、請求項19に記載のデバイス。
【請求項19】
前記繊維ベースの担体が、回転ジェット紡糸繊維、湿式紡糸繊維、または乾式ジェット紡糸繊維を含む、請求項14に記載のデバイス。
【請求項20】
前記繊維ベースの担体が、グルコース、スクロース、またはポリマー材料を含む、請求項14~19のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項21】
前記カーネルが、多孔性スポンジを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項22】
前記多孔性スポンジが、シリコン、シリカゾルゲル材料、キセロゲル、メソポーラスシリカ、ポリマーマイクロスポンジ、ポリウレタン発泡体、ナノスポンジ、またはエアロゲルを含む、請求項21に記載のデバイス。
【請求項23】
前記多孔性スポンジが、ポロゲンを含む、請求項21または22に記載のデバイス。
【請求項24】
前記ポロゲンが、繊維マットを含む、請求項23に記載のデバイス。
【請求項25】
前記繊維マットが、グルコースまたはスクロースを含む、請求項24に記載のデバイス。
【請求項26】
前記ポロゲンが、APIを含む、請求項23に記載のデバイス。
【請求項27】
前記多孔性スポンジが、前記APIで含浸されている、請求項21~26のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項28】
前記多孔性スポンジが、APIを溶解することが可能な溶媒に対する親和性を有するスポンジ材料を含む、請求項27に記載のデバイス。
【請求項29】
前記多孔性スポンジが、ポリジメチルシロキサン(PDMS)を含む、請求項28に記載のデバイス。
【請求項30】
1つのスキンを備える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項31】
複数のスキンを備える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項32】
前記スキンが、前記デバイスの一部を覆う、請求項1~31のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項33】
前記スキンが、前記デバイス全体を覆う、請求項1~31のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項34】
前記スキンが、律速スキンを備える、請求項1~33のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項35】
前記スキンが、非再吸収性である、請求項34に記載のデバイス。
【請求項36】
前記スキンが、生体適合性エラストマーを含む、請求項35に記載のデバイス。
【請求項37】
前記スキンが、ポリ(ジメチルシロキサン)、シリコン、1つ以上の合成ポリマー、および/または金属を含む、請求項36に記載のデバイス。
【請求項38】
前記合成ポリマーが、ポリ(エーテル)、ポリ(アクリレート)、ポリ(メタクリル酸塩)、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(酢酸ビニル)、ポリ(ウレタン)、セルロース、酢酸セルロース、ポリ(シロキサン)、ポリ(エチレン)、ポリ(テトラフルオロエチレン)および他のフッ素化ポリマー、ポリ(シロキサン)、これらのコポリマー、またはこれらの組み合わせである、請求項37に記載のデバイス。
【請求項39】
前記ポリマーが、延伸ポリ(テトラフルオロエチレン)(ePTFE)である、請求項38に記載のデバイス。
【請求項40】
前記ポリマーが、エチレン酢酸ビニル(EVA)である、請求項38に記載のデバイス。
【請求項41】
前記金属が、チタン、ニッケル-チタン(ニチノール)合金、またはステンレス鋼である、請求項37に記載のデバイス。
【請求項42】
前記スキンが、再吸収性である、請求項30~34のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項43】
前記スキンが、生体適合性エラストマーを含む、請求項42に記載のデバイス。
【請求項44】
前記スキンが、ポリ(アミド)、ポリ(エステル)、ポリ(エステルアミド)、ポリ(無水物)、ポリ(オルトエステル)、ポリホスファゼン、擬似ポリ(アミノ酸)、ポリ(グリセロール-セバシン酸塩)、ポリ(乳酸)、ポリ(グリコール酸)、(乳酸-グリコール酸)共重合体、ポリ(カプロラクトン)(PCL)、PCL誘導体、アミノアルコールベースのポリ(エステルアミド)(PEA)、ポリ(オクタン-ジオールクエン酸塩)(POC)、これらのコポリマー、またはこれらの混合物を含む、請求項43に記載のデバイス。
【請求項45】
前記ポリマーが、架橋PCLである、請求項44に記載のデバイス。
【請求項46】
前記架橋PCLが、リジンジイソシアネートまたは2,2-ビス(-カプロラクトン-4-イル)プロパンを含む、請求項45に記載のデバイス。
【請求項47】
前記ポリマーが、ポリ(カプロラクトン)/(乳酸-グリコール酸)共重合体およびリン酸三カルシウムを含む、請求項45に記載のデバイス。
【請求項48】
前記スキンが、鋳造およびエッチング、ソフトリソグラフィ、またはマイクロリソグラフィを介して製作されている、請求項1~47のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項49】
前記スキンが、マイクロリソグラフィを介して製作されている、請求項48に記載のデバイス。
【請求項50】
前記スキンが、画定された表面モフォロジーを含む、請求項48または49に記載のデバイス。
【請求項51】
前記画定された表面モフォロジーが、グリッドパターンを含む、請求項50に記載のデバイス。
【請求項52】
前記画定された細孔が、マイクロスコピック細孔またはナノスコピック細孔である、請求項1~51のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項53】
前記画定された細孔が、2nm未満の直径を有する、請求項1~52のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項54】
前記画定された細孔が、2nm~50nmの直径を有する、請求項1~52のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項55】
前記画定された細孔が、50nmを超える直径を有する、請求項1~52のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項56】
患者の身体内への植え込みのための請求項1~55のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項57】
前記身体内への植え込みが、無菌の解剖学的区画への植え込みを含む、請求項56に記載のデバイス。
【請求項58】
前記無菌の解剖学的区画が、皮下腔、筋肉内空間、眼、耳、および脳から選択される、請求項57に記載のデバイス。
【請求項59】
前記身体内への植え込みが、非無菌の解剖学的区画への植え込みを含む、請求項56に記載のデバイス。
【請求項60】
前記非無菌の解剖学的区画が、膣、直腸、および鼻腔から選択される、請求項59に記載のデバイス。
【請求項61】
患者の前記身体内に配置されるように適合された形状をさらに備える、請求項1~60のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項62】
前記デバイスが、カプセル形状である、請求項61に記載のデバイス。
【請求項63】
前記デバイスが、1つ以上のリザーバを備える、請求項61または62に記載のデバイス。
【請求項64】
前記1つ以上のリザーバが、1つ以上の区画に分離されている、請求項63に記載のデバイス。
【請求項65】
前記1つ以上のリザーバが、任意選択的に、1つ以上のリブ構造によって区画に分離されている、請求項64に記載のデバイス。
【請求項66】
前記デバイスが、1つ以上の非透過性ディスク形状カバーをさらに備える、請求項62~65のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項67】
前記デバイスが、前記1つ以上のカバーと共にシールを形成する外側シーリングリングを備える、請求項66に記載のデバイス。
【請求項68】
前記1つ以上のカバーが、前記シーリングリングの内側に嵌合して、シールを形成する、外側リップを備える、請求項67に記載のデバイス。
【請求項69】
1つのカバーを備える、請求項66~68のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項70】
2つのカバーを備える、請求項66~68のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項71】
前記リザーバが、前記スキンによってシールされている、請求項63~65のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項72】
前記スキンが、接着剤で前記デバイスに取り付けられている、請求項71に記載のデバイス。
【請求項73】
前記1つ以上のカーネルが、前記1つ以上の区画内に配置されている、請求項64~72のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項74】
前記デバイスが、円環の形状である、請求項61に記載のデバイス。
【請求項75】
第1のスキン内に配置された1つ以上の円筒形コア要素を備え、前記コア要素が、カーネルと、任意選択的に、第2のスキンと、を備える、請求項74に記載のデバイス。
【請求項76】
1つ以上のカーネルを含有する1つ以上の区画を含む成形された下部構造と、前記複数の区画をシールするために下部担体に結合された上部構造と、を備える、請求項74に記載のデバイス。
【請求項77】
前記スキンが、前記下部担体を覆う、請求項76に記載のデバイス。
【請求項78】
前記スキンが、前記下部構造および前記上部構造を覆う、請求項76に記載のデバイス。
【請求項79】
前記円環の外縁部から内向きに突出する1つ以上のローブを備える、請求項74~78のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項80】
前記1つ以上の区画が、前記ローブに配置されている、請求項79に記載のデバイス。
【請求項81】
前記デバイスのシールを容易にするための1つ以上の陥凹構造を備える、請求項79または80に記載のデバイス。
【請求項82】
前記1つ以上の区画が、リブを備える、請求項79~81のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項83】
前記デバイスの表面上に配置された保護メッシュをさらに備える、請求項79~82のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項84】
必要とする患者に1つ以上のAPIを送達する方法であって、請求項1~83のいずれか一項に記載のデバイスを前記患者の身体内に植え込むことを含む、方法。
【請求項85】
前記デバイスが、1~12ヶ月間、1つ以上のAPIを送達する、請求項84に記載の方法。
【請求項86】
前記デバイスが、1~3ヶ月間、1つ以上のAPIを送達する、請求項85に記載の方法。
【請求項87】
前記デバイスが、3~12ヶ月間、1つ以上のAPIを送達する、請求項85に記載の方法。
【請求項88】
前記APIが、疎水性薬物または親水性薬物を含む、請求項87に記載の方法。
【請求項89】
前記APIが、テノホビルアラフェナミドである、請求項88に記載の方法。
【請求項90】
前記APIが、イベルメクチンまたはROCK2阻害剤である、請求項88に記載の方法。
【請求項91】
前記ROCK2阻害剤が、KD025(Kadmon)である、請求項90に記載の方法。
【請求項92】
持続的薬物送達を提供するように構成された植え込みデバイスであって、前記植え込みデバイスは、
患者の身体内に配置されるように適合されたリザーバと、
前記リザーバ内に配置された1つ以上の活性医薬成分(API)と、を備え、
前記リザーバが、
外側リングと、
前記外側リングに連結され、前記APIのために1つ以上の透過性スキン領域を画定するスキン膜と、を備える、植え込みデバイス。
【請求項93】
前記外側リングに連結されたカバーをさらに備える、請求項93に記載の植え込みデバイス。
【請求項94】
前記カバーが、前記外側リングをシール的に封入する、請求項93に記載の植え込みデバイス。
【請求項95】
前記カバーが、非透過性である、請求項94または95に記載の植え込みデバイス。
【請求項96】
前記リザーバが、前記スキン膜を支持し、前記1つ以上の透過性スキン領域をさらに画定する1つ以上のリブ構造をさらに備える、請求項93~96のいずれか一項に記載の植え込みデバイス。
【請求項97】
前記1つ以上のリブ構造が、複数のリブ構造を備え、それによって複数の透過性スキン領域を画定する、請求項97に記載の植え込みデバイス。
【請求項98】
前記リザーバが、ハウジングと、前記ハウジングに配置されたディスクとを備え、前記ハウジングが、前記外側リングを備え、前記ディスクが、前記スキン膜を備える、請求項93~98のいずれか一項に記載の植え込みデバイス。
【請求項99】
前記ディスクが、前記外側リングに配置され、前記外側リングとシール的に係合するように構成された外側リップをさらに備える、請求項99に記載の植え込みデバイス。
【請求項100】
前記リザーバが、前記外側リングに連結された第1および第2のディスクをさらに備え、前記第1および第2のディスクの各々が、前記スキン膜を備える、請求項93~98のいずれか一項に記載の植え込みデバイス。
【請求項101】
前記第1および第2のディスクの各々が、前記外側リングに配置され、前記外側リングとシール的に係合するように構成された外側リップをさらに備える、請求項101に記載の植え込みデバイス。
【請求項102】
持続的薬物送達を提供するように構成された膣植え込みデバイスであって、前記膣植え込みデバイスは、
担体リングと、
前記担体リングによって画定された1つ以上の区画と、
前記1つ以上の区画内に配置された1つ以上の活性医薬成分(API)と、を含む、膣植え込みデバイス。
【請求項103】
前記担体リングが、穿孔スキンを備える、請求項103に記載の膣植え込みデバイス。
【請求項104】
前記担体リングが、前記1つ以上のAPIを担持する1つ以上のコア要素をさらに備え、前記1つ以上のコア要素が、前記穿孔スキンによって少なくとも部分的に囲まれている、請求項104に記載の膣植え込みデバイス。
【請求項105】
前記担体リングが、下部リングと、前記下部リングに連結された上部リングと、を備える、請求項103に記載の膣植え込みデバイス。
【請求項106】
前記下部リングが、前記1つ以上の区画を含む、請求項106に記載の膣植え込みデバイス。
【請求項107】
前記1つ以上の区画の各々の底面が、薬物透過性膜である、請求項103、106、および107のいずれか一項に記載の膣植え込みデバイス。
【請求項108】
半径方向内向きに突出する1つ以上のローブであって、前記1つ以上のローブが、前記1つ以上の区画を少なくとも部分的に画定する、1つ以上のローブをさらに備える、請求項103および106~108のいずれか一項に記載の膣植え込みデバイス。
【請求項109】
前記1つ以上の区画において前記1つ以上のAPIを囲むために、それぞれ、前記1つ以上の区画に連結された1つ以上の膜をさらに備える、請求項103および106~109のいずれか一項に記載の膣植え込みデバイス。
【請求項110】
前記1つ以上の膜上にそれぞれ配置された1つ以上のメッシュ層をさらに備える、請求項110に記載の膣植え込みデバイス。
【請求項111】
前記1つ以上の区画に前記1つ以上の膜をそれぞれ保持するために、前記1つ以上の膜にそれぞれ連結された1つ以上のシーリングリングをさらに備える、請求項110または111に記載の膣植え込みデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
政府関心の声明
本発明は、米国国立衛生研究所(NIH)によって授与されたAI120748、R01HD101344、U19AI113048、およびR01AI154561の下で政府支援を受けてなされた。政府は、本発明においてある特定の権利を有する。
【0002】
本開示は、概して、植え込み可能な徐放性薬物送達デバイスの分野に関する。
【0003】
関連出願の相互参照
2019年11月27日に出願された米国出願番号62/941,036号、2020年4月21日に出願された米国出願番号63/013,233号、および2020年8月5日に出願された米国出願番号63/061,489号の各々に優先権が主張され、それらの開示は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0004】
薬物送達は、医療の重要な分野である。多くの薬物の有効性は、それらの投与方法に直接関係する。局所的用途、経口送達、ならびに筋肉内、静脈内、および皮下注射などの現在の薬物送達のモードは、高および低血中濃度および/または血液中の半減期の短縮をもたらし得る。いくつかの場合では、これらの標準投与で治療有効性を達成することは、毒性の副作用をもたらし得る大量の薬品を必要とする。制御された薬物放出に関する技術は、従来の療法のいくつかの落とし穴を回避するために試みられている。それらの目的は、継続的かつ持続的方法で薬品を提供することである。追加的に、局所制御薬物放出用途は、部位または臓器に特異的であり(例えば、制御された膣内送達)、薬剤への全身曝露を最小限に抑えることができる。
【0005】
伝統的な投与経路は、厳格な患者コンプライアンスを必要とする点、すなわち、抗生物質、ホルモン、ビタミンなどの薬品が経口投与される場合、または投与経路が注射によるものであるために繰り返し医師の診察が必要な場合に問題がある。これらの投与方法は、患者が子供である場合、高齢である場合、または薬品が慢性的に投与されなければならない場合、すなわち、毎週のアレルギー注射において、特に問題となる。薬品の服用を遵守することは、それを服用することを忘れてしまうため、多くの成人にとって問題である。さらに、毎週の注射は、診療所での毎週の注射が彼らの活動またはスケジュールを妨げるので、多くの人々が必要な治療を受けることを思いとどまらせる。言い換えると、頻繁な投薬への固守は、使用者にとって負担であり、多くの治療的および予防的レジメンの不均一な有効性の結果を説明する上で重要な要因として浮上している。徐放性または「長時間作用型」薬物製剤は、投薬頻度を低減させる手段として大きな希望を有し、それによってレジメンの有効性を増大させる。
【0006】
植え込み可能なマイクロデバイス、リザーバ送達システムは、ユーザーの介入を必要としないため、上記の固守の懸念を克服する。近年、局所薬物送達用マイクロデバイスの開発は、着実に進んでいる分野の1つである。薬物放出の活性化は、受動的または能動的に制御することができる。それらは、理論的には、制御された速度で、数ヶ月、場合によっては数年にわたって薬物を送達することが可能であり、多くの場合、高分子材料で構成される。薬物送達システムとしての高分子材料のインプラントは、以前から既知である。ポリマー材料の植え込み可能な送達システムは、例えば、皮下インプラントまたは膣内リングのいずれかとして、避妊剤の送達のために既知である。従来技術のインプラントは、薬物放出を十分に制御しない。様々なデバイスは、この問題を解決するために提案されている。しかしながら、どれも完全に満足のいくものではなかった。このような問題は、予測不可能なパターンで薬物を投与する薬物送達デバイスをもたらし、それによって治療効果が不十分または低減される。
【0007】
例えば、代表的な薬物送達デバイスは、薬物溶出ステントである。ステントは、動脈硬化で詰まった冠動脈もしくは狭窄している血管を開くために使用される、メッシュ状の鋼またはプラスチックチューブである。薬物は、血管の再詰まりまたは再狭窄を防止すると考えられるステントに取り付けられてもよく、またはステントに含浸されてもよい。しかしながら、薬物の初期放出は、1日で総薬物充填の20~40%を非常に急速に放出し得る。このような高濃度の薬物は、標的部位において細胞傷害性をもたらすことが報告されている。これらの問題の結果として、制御された所望の速度を維持しながら、任意の治療剤、診断剤、または予防剤を最大数年間送達するように最適化することができる薬物送達デバイスが必要である。
【0008】
様々な解剖学的部位に植え込まれたマイクロデバイスは、再吸収性ポリマーベースのデバイスと、非再吸収性デバイスと、の2つに大別することができる。ポリマーデバイスは、生分解性である可能性があるため、植え込み後の除去の必要性を回避する。
【0009】
非生分解性薬物送達システムは、例えば、ガンシクロビルを眼内に送達する外科用インプラントであるVitrasert(登録商標)(Bausch & Lomb,Inc.)、進行前立腺癌を治療するために酢酸ロイプロリドを送達する外科的に植え込みされた浸透ポンプであるDuros(登録商標)(Alza Corp.)、および皮下避妊用インプラントのタイプであるImplanon(商標)(Merck & Co.,Inc.)を含む。追加的に、避妊のためにエトノゲストレルおよびエチニルエストラジオールを送達する膣内リングであるNuvaRing(登録商標)(Merck & Co.,Inc.)など、膣内で使用される市販の植え込みデバイスも存在する。
【0010】
生分解性インプラントは、例えば、Lupron Depot(登録商標)(酢酸ロイプロリド、TAP Pharm.Prods.,Inc.)、前立腺癌の治療のための黄体形成ホルモン放出ホルモン(LH-RH)類似体の徐放性マイクロスフィア懸濁液注射、およびPosurdex(登録商標)デキサメタゾン前部セグメント薬物送達システム(Allergan,Inc.)を含む。
【0011】
固体または半固体製剤において局所的にもしくは全身的に使用され得る、より経済的、実用的、および効率的な薬物送達システムの生成ならびに製造方法が依然として必要である。本開示は、概して、植え込み可能な薬物送達デバイスの分野であり、より具体的には、体内腔もしくは空洞に植え込み可能な、または皮下もしくは膣内に植え込み可能なデバイスからの薬物の制御された放出のためのデバイスの分野である。
【発明の概要】
【0012】
本明細書に提供されるのは、薬物送達デバイスであって、(a)1つ以上の活性医薬成分(API)を含む1つ以上のカーネルと、(b)連続膜を含む1つ以上のスキンと、を備え、1つ以上のカーネルおよび/またはスキンが、画定された細孔を含み、細孔が、機械的に生成されていない、薬物送達デバイスである。いくつかの実施形態では、リザーバカーネルは、1つ以上のAPIを含むペーストを含む。いくつかの実施形態では、カーネルは、繊維ベースの担体を含む。いくつかの実施形態では、カーネルは、多孔性スポンジを含む。
【0013】
また、提供されるのは、患者の身体内への植え込みのための薬物送達デバイスである。いくつかの実施形態では、デバイスは、患者の身体内に配置されるように適合された形状をさらに備える。いくつかの実施形態では、デバイスは、カプセル形状である。いくつかの実施形態では、デバイスは、円環の形状である。いくつかの実施形態では、デバイスは、第1のスキン内に配置された1つ以上の円筒形コア要素を備え、コア要素が、カーネルと、任意選択的に、第2のスキンと、を備える。
【0014】
さらに提供されるのは、それを必要とする患者に1つ以上のAPIを送達する方法であって、本明細書に開示されるデバイスを患者の身体内に植え込むことを含む、方法である。いくつかの実施形態では、本開示は、本明細書に記載される材料および方法を使用して患者にAPIの持続的かつ長期的な放出を提供する方法をさらに提供する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】皮下または筋肉内インプラント設計の例示的な実施形態を示す。
図2A-2D】単一膜カプセル形状インプラント設計の例示的な実施形態を示す。
図3A-3G】単一膜カプセル形状インプラント設計の代替的例示的な実施形態を示す。
図4A-4E】二重膜カプセル形状インプラント設計の例示的な実施形態を示す。
図5A-5B】カプセル形状インプラント設計の代替的なディスク設計の例示的な実施形態を示す。
図6】膣内リング設計の例示的な実施形態を示す。
図7A-7D】穿孔担体骨格内に円筒形カーネル/スキンを伴う膣内リング設計の代替的例示的な実施形態を示す。
図8A-8D】別個のAPI区画を伴う膣内リング設計の代替的例示的な実施形態を示す。
図9A-9E】非環状体状幾何学形状における別個のAPI区画を伴う膣内リング設計の代替的例示的な実施形態を示す。
図10A-10E】別個のAPI区画および別個のスキンを伴う非円形断面の膣内リング設計の代替的例示的な実施形態を示す。
図11】ペッサリーリング設計の例示的な実施形態を示す。
図12】子宮内デバイス(IUD)設計の例示的な実施形態を示す。
図13】マトリックスインプラントデザインの例示的な実施形態を示す。
図14】複数のカーネルからなるマトリックスインプラントデザインの例示的な実施形態を示す。
図15】リザーバインプラント設計の例示的な実施形態を示す。
図16】リザーバインプラント設計の例示的な実施形態を示す。
図17】様々な外部スキンを伴うインプラント設計の例示的な実施形態を示す。
図18】様々な外部スキンを伴うインプラント設計の例示的な実施形態を示す。
図19】様々な外部スキンを伴うインプラント設計の例示的な実施形態を示す。
図20】様々なカーネルおよび外部スキンを伴うインプラント設計の例示的な実施形態を示す。
図21】様々なカーネルおよび外部スキンを伴うインプラント設計の例示的な実施形態を示す。
図22】インプラントプラグの例示的な実施形態を示す。
図23】特注押出ePTFEチューブのための標的密度仕様を示す。灰色の棒が予測される密度、誤差の棒が予測される密度の公差、黒く塗りつぶされた円が測定された密度。
図24A】プロトタイプePTFE TAFインプラントのインビトロ放出動態を示す。放出データの線形回帰の傾きは、毎日の放出速度(最適適合値±SE)を計算するために使用される。0.34g cm-3,1.22±0.023mg d-1(R2=0.9921);0.84g cm-3,0.58±0.0089mg d-1(R2=0.9941);0.47g cm-3,0.40±0.0087mg d-1(R2=0.9895);1.13g cm-3,0.12±0.0037mg d-1(R2=0.9798).密度は、実際のePTFEチューブの密度に対応する。
図24B】プロトタイプePTFE TAFインプラントのインビトロ放出動態を示す。放出データの線形回帰の傾きは、毎日の放出速度(最適適合値±SE)を計算するために使用され、ePTFE密度の関数として比較される。
図25】クエン酸トリエチル(TEC)とブレンドされたTAF(70%w/w)からなるペースト(141.8±2.3mg)で充満された長さ40mm、外径2.4mmのePTFE(ρ=0.84g cm-3)インプラント(N=6)からの90日間の累積TAF放出(中央値±95%CI)を示す。
図26A-26B】PEG400とブレンドされたTAF(77%w/w)からなるペースト(140.8±2.2mg)で充満された長さ40mm、外径2.4mmのePTFE(ρ=0.84g cm-3)インプラント(N=4)からの80日間の累積TAF放出(中央値±95%CI)を示す。図26Aは、比較を容易にするために図25と同一のy軸の範囲を使用し、図26Bは、ズームされたy軸のデータを示す。
図27A-27B】マイクロリソグラフィによって形成されたパターン化されたシリコンスキンの図面を示す。スキンは、図27Aの正方形(1.5×1.5mm)および図27Bの六角形(1.15mm側面)グリッド支持構造を伴って示される。支持グリッド壁は、幅500μm、および高さ250μmである。薬物拡散のために露出されたスキン厚さ(グリッド壁の間)は、100μmである。
図28A-28B】モノオレイン水半固体ゲルのXRDスペクトルを示す。図28Aは、20%w/wの水を含有し、直径4.50nmのチャンネルに対応する1.96°で主ピークを与える。図28Bは、30%w/wの水を含有し、直径4.8nmのチャンネルに対応する1.8°で主ピークを与える。
図29】実施例6に従って生成された典型的なTAFマイクロ針を示し、スケールバーは、500μmである。
図30A-30B】実施例7に記載されるように、液体賦形剤とブレンドされたTAF(50%w/w)からなるペーストで充満された、長さ40mm、内径2.0mm、壁厚0.18mmのePTFEインプラントからの累積TAF放出を示す。
図31】実施例8に記載されるように、インプラントからのTAFの放出に対するePTFE密度の効果を示す。
図32】実施例9に記載されるように、連続したポリウレタンおよびシリコンスキン材料を伴うインプラントからのTAFのインビトロ放出を示す。
図33】実施例10に記載されるように、DL-PLA(円)、L-PLA(正方形)、およびPCL(三角形)でコーティングされたPDMSスポンジからのTAFの累積インビトロ放出プロファイルを示す。
図34A-34B】実施例10に記載されるように、ePTFEインプラントからのウシ血清アルブミン(BSA)製剤の累積インビトロ放出プロファイル(ρ=0.84g cm-3)を示す。図34Aは、D-(+)-トレハロース(45%w/w)およびL-ヒスチジン塩酸塩(5%w/w)とブレンドされた100%BSA(三角形)および50%BSA(w/w)(正方形)からなるカーネル粉末を使用したBSA放出動態を比較する。図34Bは、モノオレイン(60%w/w)とブレンドされた30%BSA w/wからなるカーネルペーストを使用したBSA放出動態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本明細書で引用されるすべての参照文献は、完全に記載されているかのように、参照によりそれらの全体が組み込まれる。別途定義されない限り、本明細書で使用される技術用語および科学用語は、本開示が属する技術分野における当業者によって一般的に理解されるのと同一の意味を有する。Allen et al.,Remington:The Science and Practice of Pharmacy 22nd ed.,Pharmaceutical Press(September 15,2012);Hornyak et al.,Introduction to Nanoscience and Nanotechnology,CRC Press(Boca Raton,FL,2008);Oxford Textbook of Medicine,Oxford Univ.Press(Oxford,England,UK,May 2010,with 2018 update);Harrison’s Principles of Internal Medicine,Vol.1 and 2,20th ed.,McGraw-Hill(New York,NY,2018);Singleton and Sainsbury,Dictionary of Microbiology and Molecular Biology,3rd ed.,revised ed.,J.Wiley & Sons(New York,NY,2006);Smith,March’s Advanced Organic Chemistry Reactions,Mechanisms and Structure 7th ed.,J.Wiley & Sons(New York,NY,2013);and Singleton,Dictionary of DNA and Genome Technology,3rd ed.,Wiley-Blackwell(Hoboken,NJ,2012)は、本願で使用される多くの用語の一般的なガイドを当業者に提供する。
【0017】
当業者は、本開示の実施において使用され得る、本明細書に記載されるものに類似または等価の多くの方法および材料を認識するであろう。実際、本開示は、記載される方法および材料に決して限定されない。本開示の目的のために、ある特定の用語が以下に定義される。
【0018】
「治療」および「予防」ならびに関連する用語には、以下で「用途」と呼ばれる、対象における医学的状態の治療、医療状態の予防、医療状態を有する可能性の低減、医療状態の重症度の低減、および/または医療状態の進行の減速が含まれるが、これらに限定されない。このような条件または用途は、徐放性剤送達デバイスを通じて投与される1つ以上の薬剤の使用によって修復することができる。
【0019】
これらの状態、または用途は、「デバイスの使用および用途」の下でさらに記載され、感染症(例えば、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症、後天性免疫不全症候群(AIDS)、単純ヘルペスウイルス(HSV)感染症、肝炎ウイルス感染症、呼吸器ウイルス感染症(インフルエンザウイルスおよびコロナウイルス、例えば、SARS-CoV-2を含むが、これらに限定されない)、結核、他の細菌感染症、ならびにマラリア)、糖尿病、心血管障害、がん、自己免疫疾患、中枢神経系(CNS)状態、ならびに非ヒト哺乳動物における類似の状態を含み得るが、これらに限定されない。
【0020】
さらに、本開示は、ロイプロリドで治療可能な状態(例えば、子宮平滑筋腫からの出血による、貧血、子宮内の線維腫瘍、前立腺癌、および中央早期思春期)、糖尿病の治療のためのエクセナチド、中央早期思春期の治療のための酢酸ヒストレリンなどの様々な障害の治療または予防のための、タンパク質およびペプチドなどの生物学的製剤の投与を提供する。本開示の潜在的な用途のより詳細な例のリストは、「デバイスの使用および用途」の下に提供される。
【0021】
本明細書で使用される場合、「HIV」という用語は、HIV-1およびHIV-2を含む。
【0022】
本明細書で使用される場合、「薬剤」という用語は、任意の薬物または前駆薬物を含むが、これらに限定されない。
【0023】
本明細書で使用される場合、「薬物」、「医薬品」、および「治療剤」という用語は、同義的に使用される。
【0024】
本明細書で使用される場合、「API」という用語は、本明細書に記載される薬剤を含む活性医薬成分を意味する。
【0025】
「薬物送達システム」および「インプラント」という用語は、別段の指示がない限り、本明細書では同義に使用され、例えば、膣内、皮下、筋肉内、眼内、耳、脳、口腔、鼻腔、または任意の他の身体区画で使用されるデバイスを含む。
【0026】
本明細書で使用される場合、「IVR」という用語は、本明細書に記載される実施形態を含む膣内リングを意味する。
【0027】
「カーネル」は、1つ以上のAPIを含有し、デバイス体積の大部分を構成する1つ以上の区画として定義される。
【0028】
「マトリックス系」は、1つ以上の治療剤がマトリックス材料中に均一に分布し、マトリックス材料からの拡散以外の他の放出バリアを有さない、システムとして定義される特定のタイプのカーネルである。
【0029】
「リザーバシステム」は、1つ以上の治療剤が、賦形剤と共に中央区画に配合される、システムとして定義される特定のタイプのカーネルである。
【0030】
「スキン」は、カーネルの一部または全部を覆う薬物送達システムの低体積要素によって定義される。いくつかの場合では、スキンは、外部環境に接触する薬物送達システムの外側部分を意味する。「スキン」、「膜」、および「層」という用語は、本明細書では同義に使用される。
【0031】
「律速スキン」は、治療剤のための比較的低い透過性を伴うポリマーを含む、システムの一部によって定義されるスキンの特定の実施形態である。
【0032】
「透過性」とは、治療剤が熱可塑性ポリマーを通過する能力の測定を意味する。
【0033】
本明細書で使用される場合、「哺乳類」は、ヒトならびにチンパンジーならびに他の類人猿およびサル種などの非ヒト霊長類、ウシ、ヒツジ、ブタ、ヤギおよびウマなどの家畜、イヌおよびネコなどの家畜化された哺乳動物、マウス、ラットおよびモルモットなどのげっ歯類を含む実験動物などを含むが、これらに限定されない、哺乳動物クラスの任意のメンバーを指す。用語は、特定の年齢または性別を示すものではない。したがって、成人および新生児の対象は、男性または女性を問わず、この用語の範囲内に含まれることが意図される。
【0034】
前述の背景を念頭に置いて、様々な実施形態では、本開示は、対象における状態を治療する、状態を予防する、状態を有する可能性を低減する、状態の重症度を低減する、および/または状態の進行を減速させるためのデバイス、システムおよび方法を教示する。
【0035】
植え込み可能な薬物送達デバイス
局所または全身の薬物送達のために本明細書に開示される植え込み可能なデバイスは、以下の要素を含む。
【0036】
1つ以上のAPIを含有し、「カーネル」としても既知であるデバイス体積のかなりの部分を構成する1つ以上の区画。
【0037】
1つ以上のカーネルをカバーするAPIに透過性であり、以下の要件の1つ以上を満たす1つ以上のスキン層。
a)中央区画からのAPIの放出を制御する拡散制限バリアとして機能する。
b)外部環境の1つ以上のコンポーネントから中央区画を保護する。
c)デバイスに構造的支持体を提供する。
【0038】
スキンは、デバイスのすべてまたは一部を覆う連続膜を含む。デバイスの製作中に生成されるオリフィスまたはチャンネル(例えば、機械的パンチ、レーザー穴あけ)で穿孔されていない。
【0039】
画定されたマイクロスコピック細孔構造。細孔構造は、上記要素の1つまたは両方に組み込まれる。言い換えれば、1つ以上のカーネルおよび/または1つ以上のスキンは、マイクロスコピック細孔構造を有する。「マイクロスコピック細孔」構造は、当業者によって既知(1)であるように、以下のように定義される。
【0040】
2nm未満の直径を有する画定された細孔を伴う、マイクロポーラス(Microporous)。
【0041】
2~50nmの直径を有する画定された細孔を伴う、メソポーラス(Mesoporous)。
【0042】
50nmよりも大きく、典型的には250μmよりも小さい直径を有する画定された細孔を伴う、マクロポーラス(Macroporous)。
【0043】
本明細書に提供されるのは、薬物送達デバイスであって、(a)1つ以上の活性医薬成分(API)を含む1つ以上のカーネルと、(b)連続膜を含む1つ以上のスキンと、を備え、1つ以上のカーネルおよび/またはスキンが、画定された細孔を含み、細孔が、機械的に生成されていない、薬物送達デバイスである。
【0044】
いくつかの場合では、デバイスは、1つのカーネルを備える。いくつかの場合では、デバイスは、複数のカーネルを備える。
【0045】
いくつかの場合では、カーネル(1つまたは複数)は、画定されたマイクロスコピック細孔構造またはナノスコピック細孔構造を含む。いくつかの場合では、カーネルは、リザーバカーネルである。
【0046】
いくつかの場合では、リザーバカーネルは、1つ以上のAPIを含む粉末を含む。いくつかの場合では、リザーバカーネルは、1つのAPIを含む粉末を含む。いくつかの場合では、リザーバカーネルは、2つ以上のAPIを含む粉末を含む。いくつかの場合では、粉末は、マイクロスケール薬物担体またはナノスケール薬物担体を含む。いくつかの場合では、粉末は、マイクロスケール薬物担体を含む。いくつかの場合では、粉末は、ナノスケール薬物担体を含む。いくつかの場合では、薬物担体は、ビーズ、カプセル、マイクロゲル、ナノセルロース、デンドリマー、または珪藻である。
【0047】
これらの要素を具現化するデバイスは、3つのレベルの編成に基づく階層構造を含有する。
【0048】
一次構造:インプラントのカーネルおよびスキンを構成するコンポーネントおよび材料の物理化学的特性に基づく。これは、ポリマーまたはエラストマー組成物、分子量、架橋程度、疎水性/親水性、およびレオロジー特性などの要素、溶解性、対数P、および効力などの薬物物理化学的特性を含むが、これらに限定されない。
【0049】
二次構造:カーネルおよび/またはスキンの複雑なマイクロ構造これは、薬物粒子の大きさ、形状、および構造(例えば、コアシェルアーキテクチャ)、カーネルにおける薬物または賦形剤の繊維構造、スポンジベースのカーネル材料または多孔性スキンの細孔特性(細孔密度、細孔サイズ、細孔形状など)などの特性を含むことができるが、これらに限定されない。
【0050】
三次構造:植え込み可能なデバイスの巨視的な幾何学形状およびアーキテクチャこれは、インプラントのサイズおよび形状、カーネルおよびスキン寸法(厚さ、直径など)、カーネルおよび/またはスキンの層、ならびにそれらの相対的配向などの要素を含むが、これらに限定されない。
【0051】
これらの要素を植え込み可能な薬物送達デバイスに組み込むことは、身体における所定の位置(すなわち、植え込み部位)での1つ以上のAPIの制御された持続的送達の特性を決定する。
【0052】
一実施形態では、デバイスは、皮下腔、筋肉内空間、眼、耳、および脳を含むが、これらに限定されない無菌解剖学的区画に植え込みされる。別の実施形態では、デバイスは、膣、直腸、口腔、および鼻腔を含むが、これらに限定されない非無菌の解剖学的区画に植え込みされる。
【0053】
本明細書に記載されるデバイスは、1日から1年、またはそれ以上にわたる期間、所定の位置に置かれることを意図し、この使用期間中に1つ以上のAPIを提供する。ある特定の例示的な非限定的な実施形態では、デバイスは、皮下または筋肉内に植え込まれ、3~12ヶ月間、1つ以上のAPIを送達する。ある特定の例示的な非限定的な実施形態では、デバイスは、IVRとして膣内で使用され、1~3ヶ月間、1つ以上のAPIを送達する。
【0054】
例示的な実施形態の追加の詳細は、以下に提供される。
【0055】
インプラントの幾何学形状
インプラントの幾何学形状は、複数の形状に基づいている。一例示的な非限定的な実施形態では、デバイスの形状は、シリンダに基づいており、いくつかの場合では、シリンダの端部は、環状体を与えるように結合される。これらの幾何学形状は、当該技術分野において周知である。
【0056】
皮下植え込みのためのデバイスは、典型的には、規則的な円筒形幾何学形状である。規則的な幾何学形状は、インプラント製造を簡素化することができる。一実施形態では、インプラントは、長さよりも小さい直径を有する円筒形または棒状の幾何学形状を有する(100)。棒状インプラントの好ましい長さは、例えば、5~50mm、5~10mm、10~20mm、20~30mm、30~40mm、40~50mm、10mm、15mm、20mm、25mm、30mm、35mm、40mm、45mm、または50mmである。好ましいロッド直径は、例えば、1~6mm、1~2mm、2~3mm、3~4mm、4~5mm、5~6mm、2mm、2.5mm、3mm、3.5mm、4mm、5mm、または6mmである。代替の実施形態では、幾何学形状は、矩形プリズムであり得る(102)。円筒形または長方形のプリズム幾何学形状は、平坦であり得るか、または湾曲した形状を有し得る(103)。
【0057】
いくつかの実施形態では、インプラントは、任意選択的に、直径約3~約50mm、および高さ最大約5mmのカプセルのような形状である。いくつかの実施形態では、例えば、図2A~2Dに示す600では、インプラントは、リザーバ602、およびリザーバをシールする非透過性ディスク形状カバー601を備えるか、またはそれらからなる。いくつかの実施形態では、リザーバは、カバーと共にシールを形成する外側シーリングリング603と、体液およびAPIに透過性であり、薬物放出のゾーンとして機能する1つ以上のスキン領域604と、スキン膜を支持し、単一のスキン領域を含む区画を画定する1つ以上のリブ構造605とを備える。リザーバは、1つの材料から単一の部分として製作され得、または、外側シーリングリングおよび任意のリブ構造を含む第1の部分と、本明細書に開示される接着剤または別の組み立て方法を使用して第1の部分に取り付けられた別個のスキン膜を含む第2の部分とから組み立てられ得る。本明細書に記載される実施形態のいずれにおいても、本明細書に記載されるようなカーネルは、内部リザーバ表面とカバーとの間に形成されるこれらの区画に含まれることができる。本明細書に記載される実施形態のいずれかにおいて、リブ構造によって画定されるすべての区画は、APIおよび好適な賦形剤を含むカーネル材料で充満され得るか、またはいくつかの区画は充満され得、いくつかは充満されないままである。本明細書に記載される実施形態のいずれかにおいて、すべての区画は、同一のカーネル材料を含有する。本明細書に記載される実施形態のいずれかにおいて、異なる区画は、異なるカーネル材料を含有し得る。本明細書に記載される実施形態のいずれかにおいて、複数の区画は、合計2つのカーネル材料を含有する。別の好ましい実施形態において、複数の区画は、合計3つ以上のカーネル材料を含有する。当業者は、本明細書に提供される開示から、リザーバ内の区画が、カーネル材料のいくつかの可能な組み合わせのうちのいずれかを含有し得、すべての可能な組み合わせが本明細書に含まれることを認識するであろう。
【0058】
いくつかの実施形態では、例えば、図3A~3Gに示されるものでは、カプセル状インプラントは、薬物不透過性ハウジング611に挿入されたスキン含有ディスク610を備える。いくつかの実施形態では、ハウジングは、リザーバを形成するために不透過性裏材によって一面に封入されたシーリングリング612を備える。いくつかの実施形態では、ディスク(底面図、614、および上面図、615)は、ハウジングのシーリングリング内に収まってシールを形成する外側リップ616と、体液およびAPIに透過性であり、薬物放出のゾーンとして機能する1つ以上のスキン領域617と、スキン膜を支持し、単一のスキン領域を含む区画を画定する1つ以上のリブ構造618とを備える。いくつかの実施形態では、ディスクは、1つの材料から単一の部分として製作され得、または、外側シーリングリングおよび任意のリブ構造を含む第1の部分631と、本明細書に開示される接着剤または別の組み立て方法を使用して第1の部分に取り付けられた別個のスキン膜を含む第2の部分632とから組み立てられ得る(630)。いくつかの実施形態では、APIは、ハウジングシーリングリングによって囲まれた、スキン膜とハウジングバッキングとの間に形成された1つ以上の区画から放出される。
【0059】
いくつかの実施形態では、例えば、図4A~4Eに例示されるものでは、カプセル状インプラント620は、薬物不透過性シーリングリング622に挿入された2つのスキン含有ディスク621を備える。いくつかの実施形態では、ディスクは、シーリングリング内に収まってシールを形成する外側リップ623と、体液およびAPIに透過性であり、薬物放出のゾーンとして機能する1つ以上のスキン領域624と、スキン膜を支持し、単一のスキン領域を含む区画を画定する1つ以上のリブ構造625と、を備える。いくつかの実施形態では、各ディスクは、1つの材料から単一の部分として製作され得、または、外側シーリングリングおよび任意のリブ構造を含む第1の部分631と、本明細書に開示される接着剤または別の組み立て方法を使用して第1の部分に取り付けられた別個のスキン膜を含む第2の部分632とから組み立てられ得る(630)。いくつかの実施形態では、APIは、2つのディスク構造の間に形成され、シーリングリングによって封入された1つ以上の区画、および任意のリブ構造から放出される。
【0060】
いくつかの実施形態では、インプラントは、長さよりも大きいまたはほぼ等しい、約3~約50mm、および最大約5mmの直径を伴うディスク形状である。
【0061】
1つの非限定的な実施形態では、IVRなどの膣使用のためのデバイスは、外径が40~70mmであり、断面直径が2~10mmである、幾何学形状において環状体状である(104)。好ましいIVR外径は、50~60mm、または54~56mmであり、断面直径は、3~8mm、または4~6mmである。IVRの断面形状は、正方形、長方形、三角形、または他の形状などの円形以外のものであり得る(105)。IVRは、薬物および薬物送達機能の他のコンポーネントを含有する別個の区画を含み得、この区画は、リングのような配向で区画を保持し、膣内のIVRの保持を可能にする役割を果たすエラストマー材料のセクションによって接続される(106)。別の実施形態では、中央区画は、膣腔においてデバイスを保持するためにのみ機能する外側リングを伴う、薬物送達デバイスを含み得る(107)。薬物送達機能性は、開口部107aを通して中央区画に挿入されるモジュールに含まれ得、複数の大きな開口部は、薬物が中央区画から出ることを可能にするが、薬物の放出速度の制御において役割を果たさない。代替の実施形態では、リング区画および中央区画の両方とも、薬物送達コンポーネントを含有し得る。
【0062】
ペッサリーは、骨盤構造の突起を低減させ、膀胱および他の骨盤臓器へのストレスを支持し、減少させるために膣腔に挿入されるデバイスである。薬物送達のための膣インプラントは、ペッサリーと同様の幾何学形状を有し、膣薬物送達と構造的支持体を組み合わせている。様々な実施形態では、膣薬物送達デバイスは、環ペッサリー110、中心構造111を支持する環ペッサリー、またはGelhornペッサリー112の幾何学形状を有する。薬物放出機能は、ペッサリーのリング、平坦支持体、またはノブ部分に含有され得る。
【0063】
1つの非限定的な実施形態では、IVRなどの膣使用のためのデバイスは、外径が40~70mmであり、断面直径が2~10mmである、幾何学形状において環状体状である(104)。好ましいIVR外径は、50~60mm、または54~56mmであり、断面直径は、3~8mm、または4~6mmである。IVRの断面形状は、正方形、長方形、三角形、または他の形状などの円形以外のものであり得る(105)。IVRは、薬物および薬物送達機能の他のコンポーネントを含有する別個の区画を含み得、この区画は、リングのような配向で区画を保持し、膣内のIVRの保持を可能にする役割を果たすエラストマー材料のセクションによって接続される(106)。別の実施形態では、中央区画は、膣腔においてデバイスを保持するためにのみ機能する外側リングを伴う、薬物送達デバイスを含み得る(107)。薬物送達機能性は、開口部107aを通して中央区画に挿入されるモジュールに含まれ得、複数の大きな開口部は、薬物が中央区画から出ることを可能にするが、薬物の放出速度の制御において役割を果たさない。代替の実施形態では、リング区画および中央区画の両方とも、薬物送達コンポーネントを含有し得る。
【0064】
一実施形態、例えば、図7A~7Dに例示される700では、膣インプラントは、スキン702の有無にかかわらず、カーネル703からなる、1つ以上の円筒形コア要素701を含み、穿孔担体内に保持される。いくつかの場合では、スキンは、薬用でないエラストマーを含む。コア要素は、穿孔を通して担体に挿入される(705)。担体内の追加の穿孔706は、カーネルが膣流体と相互作用することを可能にするが、穿孔は、薬物の放出速度を制御する役割を果たさない。代替の実施形態、例えば、図8A~8Dに示される710は、1つ以上のカーネル713を備える1つ以上の別個の区画を伴う、成形された下部構造712を含む。各区画の底部は、薬物透過性膜であり、スキンとして機能して、カーネルからの薬物放出を調節する。上部構造711は、区画をシールし、リング構造を形成するために、担体712に結合されている。整合突出構造および陥凹構造は、製造中のデバイスの組み立ておよびシーリングを容易にするために、IVRの上部ならびに下部の内周および外周の周囲に配置され得る。代替的に、上部構造および下部構造の両方は、スキンを含み得、IVRの上面および底面からの薬物放出を可能にする。代替の実施形態、例えば、図9A~9Eに示される720では、区画は、IVRの円形の外側リムから内向きに突出するローブに含有される。下部721は、1つ以上の区画723内にカーネル725を含み、その区画底面は、薬物透過性であり、スキンとして機能する。上部722は、底部構造に結合され、上部および下部区画部分のシーリングを容易にするために、陥凹構造724とマッチングすることを含み得る。代替的に、上部の陥凹領域は、IVRの上面および下面の両方からの薬物放出を可能にするために、追加の薬物透過性膜として機能し得る。別の実施形態、例えば、図10A~10Eに示される730は、1つ以上のカーネルを包含するために1つ以上の区画731を含む下部構造を含む。区画は、担体本体にシールされ、放出速度制御スキンとして機能する、離散膜材料732で囲まれている。追加の保護メッシュ733は、穿刺から保護するために、スキンの上部に存在し得る。シーリングリングまたは他の構造734は、スキンおよびメッシュをカーネル区画の上部の所定の位置に保持するために使用され得る。区画は、1つのスキン構造によって覆われた区画をさらに細分化し、スキンおよびメッシュに支持体を提供するために、リブ735を含有し得る。
【0065】
いくつかの場合では、デバイスは、円環の形状である。いくつかの場合では、デバイスは、第1のスキン内に配置された1つ以上の円筒形コア要素を備え、コア要素が、カーネルと、任意選択的に、第2のスキンと、を備える。
【0066】
いくつかの場合では、デバイスは、1つ以上のカーネルを含有する1つ以上の区画を含む成形された下部構造と、複数の区画をシールするために下部担体に結合された上部構造とを備える。いくつかの場合では、スキンは、下部担体を覆う。いくつかの場合では、スキンは、下部構造および上部構造を覆う。
【0067】
いくつかの場合では、デバイスは、円環の外縁部から内向きに突出する1つ以上のローブを備える。いくつかの場合では、デバイスは、円環の外縁部から内向きに突出する2つのローブを備える。いくつかの場合では、1つ以上の区画は、ローブに配置されている。いくつかの場合では、デバイスは、デバイスのシーリングを容易にするために、1つの部分に1つ以上の陥凹構造と、別の部分に整合突出構造とを備える。いくつかの場合では、1つ以上の区画は、リブを備える。いくつかの場合では、デバイスは、デバイスの表面上に配置された保護メッシュをさらに備える。
【0068】
子宮内デバイス(IUD)は、子宮内に設置されるT字形インプラントからなる確立された避妊方法である。承認されたIUDは、濾胞の発達を阻害し排卵を防止するためにプロゲスチンホルモンを送達するか、または精子および卵(卵子)に毒性のある炎症反応を引き起こす銅線コイルを含有し、妊娠を防止する。プロゲスチンIUD120は、プロゲスチンを含有する中央セグメント120aを有し、銅IUD121は、T構造の周囲に巻かれた1つ以上の銅線コイル121aを有する。一実施形態では、薬物送達デバイスは、IUDの形状であり、プロゲスチンホルモンを送達するか、または避妊以外の適応症のための薬物を送達することに加えて、避妊を提供するための1つ以上の銅線コイルを含む。
【0069】
インプラントカーネル
インプラントカーネルは、APIを含有する主要デバイスコンポーネントである。複数の例示的な非限定的システムが、以下に開示される。
【0070】
マトリックス系
一実施形態では、インプラントカーネルは、マトリックスタイプ設計を含む(200)。マトリックス設計では、原薬は、エラストマーで溶液として、カーネル全体に分布されている(201)。別の実施形態では、原薬は、懸濁液として固体形態でカーネル全体に分布されている。本明細書で使用される場合、「固体」は、結晶形態または非晶質形態を含むことができる。一実施形態において、固体粒子のサイズ分布は、多分散である(202)。一実施形態において、固体粒子のサイズ分布は、単分散である(203)。一実施形態において、固体粒子は、ナノ粒子(平均直径<100nm)からなる。一実施形態において、粒子の平均直径は、100~500nmである。好適な平均粒子径は、0.5~50μm、0.5~5μm、5~50μm、1~10μm、10~20μm、20~30μm、30~40μm、および40~50μmの範囲であり得る。他の好適な平均粒子径は、50~500μm、50~100μm、100~200μm、200~300μm、300~400μm、および400~500μmの範囲であり得る。好適な粒子形状は、例えば、球、針、菱形、立方体、および不規則的な形状を含む。
【0071】
一実施形態では、インプラントコアは、単一のデバイスに組み立てられた複数のモジュール式カーネルを備えるか、または備え、各モジュールは、1つ以上の原薬を含有するマトリックスタイプコンポーネントである。一実施形態では、モジュールは、セグメント間の薬物拡散を防止するために、互いに直接接合され(例えば、超音波溶接)(204)、または不透過性バリアによって分離することができる(205)。
【0072】
本明細書に開示されるマトリックスタイプデバイスの少なくとも一部は、「インプラントスキン」の下により完全に記載されるように、1つ以上のスキンで覆われている。
【0073】
リザーバシステム
一実施形態において、インプラントは、リザーバタイプ設計を含む(206)。リザーバインプラントでは、1つ以上のカーネル206aは、原薬で充填される。カーネルは、デバイスの全長、または部分的な長さにわたることができる。カーネルは、いくつかの実施形態では、薬物拡散の障壁を形成し、すなわち、デバイスからの薬物放出の速度を減速させるスキン206b(「インプラントスキン」下でより詳細に記載される)に部分的または完全に囲まれている。したがって、このようなインプラントからの原薬の放出は、外側シース、またはスキンを通る、カーネル充填された原薬の透過(すなわち、分子溶解およびその後の拡散)に依存する。薬物放出速度は、速度制御スキンの厚さ、およびスキンの組成を変更することによって修正することができる。リザーバタイプインプラントからの薬物放出動態は、カーネルおよびスキンの特性に応じて、ゼロ~一次である。
【0074】
リザーバカーネルの物理的および化学的特性を記載する多くの実施形態が存在する。一実施形態において、カーネルは、賦形剤を伴うか、または伴わないAPIで構成される粉末を含む。
【0075】
別の実施形態では、リザーバカーネルを構成する粉末は、マイクロスケール(1~1,000μmの断面)またはナノスケール(1~1,000nmの断面)の薬物担体を含む。薬物担体は、内部または表面のいずれかで、APIを含有する粒子状物質である。当該技術分野において既知であるこのような担体の非限定的な例は、ビーズ、カプセル、キトサンマイクロゲルを含むが、これに限定されないマイクロゲル(2)、ナノセルロース(3、4)、デンドリマー、および珪藻(5、6)であり、参照により本明細書に含まれる。担体は、含浸または当該技術分野において既知の他の方法(例えば、凍結乾燥、回転溶媒蒸発、噴霧乾燥)を使用してAPIで充満またはコーティングされる。
【0076】
別の実施形態では、カーネルは、1つ以上のペレットまたはマイクロ錠剤を含む(207)(7)。これらの実施形態では、薬物充填を最大化し、賦形剤の使用を最小化することが望ましい場合がある。しかしながら、賦形剤の使用は、錠剤化中の潤滑および結合などの有益な物理的特性につながり得る。
【0077】
本明細書に提供されるのは、ペレット、錠剤、またはマイクロ錠剤を含むカーネルを備えるデバイスである。いくつかの場合では、カーネルは、ペレットを含む。いくつかの場合では、カーネルは、錠剤を含む。いくつかの場合では、カーネルは、マイクロ錠剤を含む。
【0078】
半固体調製物(ペースト)
本開示の1つの非限定的な実施形態では、カーネルは、半固体調製物またはペーストを形成するために、1つ以上の液体またはゲル賦形剤とブレンドまたは混合された固体API粒子を含む。この実施形態は、製剤をインプラントシェルに容易に分配可能にするという利点を保持し、製造上の利益をもたらす。賦形剤の性質はまた、調製物からの薬物放出動態に影響を与えることができる。ペーストは、チューブもしくはカセットなどのシェルまたは構造物に含有される。ペーストは、本明細書に記載されるように、1つ以上のスキンによって外部環境から分離することができる。ある特定の実施形態では、構造は、スキンとして機能することができる。カーネルペーストを取り囲み、含有する構造の非限定的な例は、チューブまたはカートリッジを含むが、これらに限定されない。ある特定の実施形態では、構造は、固体/連続(非多孔性)エラストマー、すなわち、本明細書に記載される非再吸収性-例えば、シリコン、エチレン酢酸ビニル(EVA)、およびポリ(ウレタン)の両方、すなわち、本明細書に記載される再吸収性-例えば、ポリ(カプロラクトン)(PCL)から構成される。ある特定の実施形態では、構造は、多孔性材料、例えば、本明細書に記載されるような延伸ポリ(テトラフルオロエチレン)(ePTFE)および多孔性金属で構成される。
【0079】
一実施形態において、液体賦形剤は、皮下または筋肉内使用を含む、医薬的使用の履歴を伴う油を含む。当該技術分野において既知であるこのような油の非限定的な例は、クエン酸トリエチル(TEC)と、ポリエチレングリコール(PEG、例えば、PEG-300およびPEG-400)と、植物油(例えば、ヒマワリ油、ヒマワリ油、ゴマ油など)とを含む。ペーストは、API粒子および単一の液体を含み得、または2つ以上の液体とAPI粒子との混合物であり得る。いくつかの実施形態では、1つ以上の追加の賦形剤は、物理的特性(例えば、粘度、接着性、潤滑性)および化学的特性(例えば、pH、イオン強度)を含む、選択されたペースト特性を修正するために、ペーストに添加され得る。いくつかの場合では、賦形剤の使用は、カーネルからの原薬の溶解性、ひいてはインプラント放出速度に影響を及ぼすことができる。ある特定の賦形剤は、薬物の水への溶解度を増加させるために使用することができ、他の賦形剤は、溶解度を減少させることができる。いくつかの場合では、賦形剤は、薬物安定化をもたらすことができる。例示的な賦形剤は、以下でより詳細に記載される(「薬物製剤」を参照されたい)。別の実施形態では、上記のようなペーストは、単一のカーネルから2つ以上の原薬を送達する目的で、2つ以上のAPIのブレンドを含有し得る。
【0080】
別の実施形態において、賦形剤は、それらの全体が参照により組み込まれる、いわゆる「イオン性液体」(8~10)を含む。広義には、100℃未満で溶融し、イオンのみからなる塩としては、イオン性液体は、当該技術分野において周知である。カチオンの選択は、イオン性液体の特性に強く影響し、多くの場合、その安定性を画定する。イオン性液体の化学的および官能性は、概して、アニオンの選択によって制御される。一実施形態では、ペーストにおける原薬粒子の濃度は、5~99%w/wであり、好適な濃度範囲は、5~10%w/w、10~25%w/w、25~35%w/w、35~50%w/w、50~60%w/w、60~70%w/w、70~80%w/w、80~90%w/w、および90~99%w/wである。図25、26、30A、および30Bは、ペーストを構成する異なる賦形剤が、ePTFEチューブを通じて、例えば、テノホビルアラフェナミドの放出動態にどのように影響を及ぼすことができるかを、インビトロで例示する結果を示す。
【0081】
実施形態の1つの非限定的なセットでは、ペーストは、転相系を含み、半固体APIペーストは、皮下、頸膣、および経口流体などの生理学的流体と接触すると、転相を受ける。転相は、カーネルの硬化をもたらし、固体または半固体構造をその場で生成する。1つの非限定的な実施形態では、転相系は、再吸収性ポリマー[例えば、ポリ(乳酸)、ポリ(グリコール酸)、(乳酸-グリコール酸)共重合体、ポリ(カプロラクトン)、およびそれらの混合物]と、医薬的に許容される水混和性溶媒(例えば、N-メチル-2-ピロリドン、2-ピロリドン、エタノール、プロピレングリコール、アセトン、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、酢酸メチル、酢酸エチル、メチルエチルケトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、カプロラクタム、デシルメチルスルホキシドなど)とを含む。このような製剤は、「インサイツ形成インプラント」として参照されることがある、皮下注射に好適である。例えば、参照によりそれらの全体が組み込まれる、Dunn et al.(11~14)を参照されたい。一実施形態では、ペーストにおける原薬粒子の濃度は、5~99%w/wであり、好適な濃度範囲は、5~10%w/w、10~25%w/w、25~35%w/w、35~50%w/w、50~60%w/w、60~70%w/w、70~80%w/w、80~90%w/w、および90~99%w/wである。
【0082】
リン脂質のみに基づく、または中鎖トリグリセリドと医薬的に許容される水混和性溶媒とを組み合わせた相転移系(上記参照)はまた、生理学的流体と接触したときに固体または半固体デポを形成するために当該技術分野において既知であり、カーネルを構成するために開示される本発明において使用される。いくつかの実施形態では、転相系は、1つ以上のリン脂質を含む。いくつかの場合では、転相系は、1つ以上のリン脂質と1つ以上の中鎖トリグリセリド(MCT)との組み合わせを含む。参照によりそれらの全体が組み込まれる例示的な例は、(15~19)を含む。非限定的な実施形態では、リン脂質は、動物ベース(例えば、卵に由来する)、植物ベース(例えば、大豆に由来する)、または合成である。リン脂質の商業的サプライヤーは、Creative Enzymes、Lipoid、およびAvantiを含むが、これらに限定されない。1つの非限定的な実施形態において、リン脂質は、レシチンである。いくつかの実施形態では、MCTは、例えば、限定されないが、ABITEC Corporationによって供給されるカルボン酸の範囲からのトリグリセリドを含む。一実施形態では、ペーストにおける原薬粒子の濃度は、例えば、5~99%w/wであり、好適な濃度範囲は、5~10%w/w、10~25%w/w、25~35%w/w、35~50%w/w、50~60%w/w、60~70%w/w、70~80%w/w、80~90%w/w、および90~99%w/wである。
【0083】
いくつかの実施形態では、転相系は、1つ以上のリオトロピック液晶を含む。実施形態の別の非限定的なセットでは、カーネルペースト-薬物懸濁液を構成する賦形剤製剤は、生理学的流体と接触するとき、リオトロピック液晶をもたらす。以下の化合物1~5を含むが、これに限定されない、モノグリセリドなどの特定の脂質ベースのシステムは、水の存在下でリオトロピック液晶を形成する(20)。これらのシステムは、ナノスケールの水チャンネルを含む規則正しいメソフェーズに自己組織化するが、残りの三次元構造は、疎水性である。図28は、20%および30%w/wの水と混合したモノオレイン(MYVEROL 18-92K、食品乳化剤)の例示的なXRDスペクトルを示し、約5nm幅の規則正しいチャンネルのネットワークに自己組織化する。
【化1】
【0084】
一実施形態では、リオトロピック脂質ベースのシステムは、原薬粒子を伴うペースト製剤懸濁液を形成するために使用することができる。一実施形態では、ペーストにおける原薬粒子の濃度は、例えば、5~99%w/wであり、好適な濃度範囲は、5~10%w/w、10~25%w/w、25~35%w/w、35~50%w/w、50~60%w/w、60~70%w/w、70~80%w/w、80~90%w/w、および90~99%w/wである。図30Bは、ペーストを構成するモノオレイン(MYVEROL 18-92K、食品乳化剤)が、ePTFEチューブを通じたテノホビルアラフェナミドの放出動態にどのように影響を及ぼすことができるかのインビトロでの例示的な結果を示し、予想外に、疎水性油と比較して薬物放出速度を増加させる。
【0085】
別の非限定的な実施形態では、ペーストは、当業者に既知であるように、形状記憶自己治癒性ゲルを含む。参照によりそれらの全体が組み込まれる例示的な例は、(21~23)を含む。多糖骨格(例えば、アルギン酸塩、キトサン、HPMC、ヒアルロン酸)に基づく注射可能なヒドロゲルを保持する形状、およびいくつかの場合では、ナノ粒子(非薬用または薬用)と非共有結合された形状は、それらの全体が参照により組み込まれる(24~26)を含む、半固体調製物のための本実施形態の一部を形成する。一実施形態において、物理的に架橋するナノ粒子は、APIナノ粒子を含むか、またはAPIナノ粒子からなる。一実施形態では、ペーストにおける原薬粒子の濃度は、5~99%w/wであり、好適な濃度範囲は、5~10%w/w、10~25%w/w、25~35%w/w、35~50%w/w、50~60%w/w、60~70%w/w、70~80%w/w、80~90%w/w、および90~99%w/wである。
【0086】
本開示の一実施形態において、ペーストは、それらの全体が参照により組み込まれる、(27、28)に記載される刺激応答性ゲルを含む。このようなゲルは、温度(29)、pH、機械(すなわち、チキソトロピック)、電気、電気化学、磁気、電磁気(すなわち、光)、およびイオン強度を含むが、これらに限定されない、外部または内部刺激に応答して、それらの物理的特性(例えば、液体から粘性ゲルまたは固体)を変化させる。カーネル製剤に好適な熱感受性ポリマーの1つの非限定的な実施形態では、線形(例えば、ポロキサマーもしくはPluronic(登録商標))またはX字形(例えば、ポロキサミンもしくはTetronic(登録商標))を含む、ポリ(エチレンオキシド)およびポリ(プロピレンオキシド)(PEO-PPO-PEO)の両親媒性三ブロックコポリマーからなる。このポリマー群は、薬物送達に好適であり、例えば、その全体が参照により組み込まれる(30)を参照されたい。一実施形態では、ペーストにおける原薬粒子の濃度は、5~99%w/wであり、好適な濃度範囲は、5~10%w/w、10~25%w/w、25~35%w/w、35~50%w/w、50~60%w/w、60~70%w/w、70~80%w/w、80~90%w/w、および90~99%w/wである。
【0087】
本明細書に提供されるのは、1つ以上のAPIを含むペーストを含むデバイスである。いくつかの場合では、デバイスは、1つ以上のAPIを含むペーストを含む1つ以上のリザーバカーネルを備える。いくつかの場合では、ペーストは、油賦形剤、イオン性液体、転相系、またはゲルを含む。いくつかの場合では、ペーストは、油賦形剤を含む。いくつかの場合では、ペーストは、イオン性液体を含む。いくつかの場合では、ペーストは、転相系を含む。いくつかの場合では、ペーストは、ゲルを含む。
【0088】
いくつかの場合では、転相系は、生分解性ポリマー、リン脂質と中鎖トリグリセリドとの組み合わせ、またはリオトロピック液晶を含む。いくつかの場合では、転相系は、生分解性ポリマーを含む。いくつかの場合では、転相系は、リン脂質と中鎖トリグリセリドとの組み合わせを含む。いくつかの場合では、転相系は、リオトロピック液晶を含む。
【0089】
いくつかの場合では、ゲルは、刺激応答性ゲルまたは自己治癒性ゲルである。いくつかの場合では、ゲルは、刺激応答性ゲルである。いくつかの場合では、ゲルは、自己治癒性ゲルである。
【0090】
いくつかの実施形態では、複数のリザーバモジュール(208a、208b)は、単一のインプラントを形成するために結合される(208)。いくつかの実施形態では(209)、セグメントは、セグメント間の薬物拡散を防止するために、不透過性バリア209aによって分離される。
【0091】
繊維ベースのシステム
別の実施形態では、薬物カーネルは、組織工学、化学療法剤の送達、および創傷管理デバイスに好適な、高表面積繊維ベースの担体中の薬物分散体を含むか、またはそれらからなることができ、(31)に記載され、その全体が参照により本明細書に含まれる。一実施形態では、高表面積担体は、エレクトロスプレーによって生成される繊維を含む。一実施形態では、高表面積担体は、電界紡糸ナノ繊維を含むが、これらに限定されない電界紡糸繊維を含む。電界紡糸繊維は、例えば、それらの全体が参照により組み込まれる(32~39)にさらに記載されている。
【0092】
電界紡糸繊維、薬物含有繊維は、多数の構成を有することができる。例えば、一実施形態では、APIは、上記のマトリックス系の小型化バージョンである繊維に埋め込まれる(40)。別の例示的な実施形態では、API繊維システムは、上記リザーバシステムの小型化されたバージョンであるコアシェル構造を与えるために同軸電界紡糸によって生成される(41、42)。同軸電界紡糸によるコアシェル繊維は、タンパク質、ペプチドなどを含むが、これらに限定されない生体分子などの水溶性剤のカプセル化を生成する(43)。さらに別の例示的な実施形態では、ヤヌスナノ繊維は、調製することができ、例示的な好適な方法は、(44)に記載されている。ヤヌス繊維は、明確な物理的または化学的特性を有する2つ以上の別個の表面を含み、最も単純な場合は、同軸にエッジに沿って連結された2つの繊維である。いくつかの実施形態では、例えば、その全体が参照により本明細書に含まれる(45、46)に記載されるように、表面官能化によって繊維を修正することが有利であり得る。
【0093】
本明細書に開示される繊維ベースのデバイスの少なくとも一部は、「インプラントスキン」の下により完全に記載されるように、1つ以上のスキンで覆われている。
【0094】
電界紡糸繊維は、リザーバインプラントのカーネルを形成するために使用され得る。一実施形態では、リザーバインプラントは、後続のセクションに記載されるように、薬物含有繊維をチューブ状インプラントスキンに詰め込み、チューブ端部をシーリングすることによって形成される。電界紡糸によって形成された繊維は、プレートまたは他の平坦表面上に収集され得、当該技術分野における既知の方法によって、インプラントに有効に詰め込まれることができるサイズに、切断され、研磨され、または別様にサイズが低減され得、詰め込まれた粉末カーネルを形成する。得られた低減されたサイズの電界紡糸繊維材料はまた、薬物粉末または薬物曝露剤粉末混合物のために本明細書に記載される方法のいずれかを使用して、カーネルに配合され得る。代替の実施形態では、電界紡糸繊維は、マットの形態で固定または静止したコレクタ表面(例えば、プレートまたはドラム)上に収集され得る。マットは、その後、適切なサイズおよび幾何学形状に切断され(例えば、ストリップまたはシートに切断され)、リザーバインプラントを形成するためにチューブ状のスキン構造に配置され得る。別の実施形態において、電界紡糸、薬物含有マットは、チューブ状リザーバインプラントのカーネルを形成するために、多層円筒形形状に転がされ得る。さらに別の実施形態では、カーネルは、電界紡糸繊維糸製作から形成され、好適な方法は、例えば、(47~51)に記載され、それらの全体が参照により本明細書に含まれる。別の実施形態では、円筒形幾何学形状の繊維カーネルは、回転ワイヤ、繊維、または小径マンドレル上で回転プロセス中に直接繊維を収集することによって調製され得る。
【0095】
電界紡糸はまた、スキンを作成するために使用され得る。一実施形態では、回転プレートもしくはドラムに収集された電界紡糸繊維の膜またはマットは、スキンとして使用され得る。このようにして形成されたスキンは、リザーバインプラントを形成するために予め形成されたカーネルの周囲に巻き付けられ得、またはチューブ状の形状に転がされてカーネル材料で充満され、シールされ得る。代替的に、チューブ状スキンは、紡糸プロセス中に回転マンドレル上に電界紡糸繊維を集めることによって、直接形成され得る。
【0096】
代替の実施形態は、各々について本明細書に記載される方法を使用して、カーネルおよびスキンの両方を製作するために電界紡糸プロセスを利用する。さらに別の実施形態では、電界紡糸は、スキン層、カーネル層、または後続のセクションに記載される層状インプラントの実施形態の両方を形成するために使用され得る。
【0097】
上記のパラグラフは、電界紡糸によって生成された繊維を組み込む実施形態を記載するが、追加の非限定的な実施形態は、代替的な紡糸方法によって形成された繊維を組み込む同一のアプローチを使用する。一実施形態では、回転ジェット紡糸、高速で回転する穿孔リザーバは、リザーバオリフィスから静止円筒形コレクタ表面に向かって外向きに液体材料のジェットを推進する。繊維材料は、溶融によって熱的に液化され得、結果として、綿飴機で使用されるものと類似のプロセスをもたらすか、または溶媒中に溶解されて、低温での(すなわち、材料を溶融させることなく)繊維生成を可能にする。インパクション(impaction)の前に、ジェットは、延伸し、乾燥し、最終的には固化して、コレクタ表面上のマットまたはバンドル内にナノスケール繊維を形成する。繊維材料は、医薬的に許容される賦形剤、例えば、グルコースもしくはスクロース、またはポリマー材料、例えば、本明細書に記載される再吸収性または非再吸収性ポリマーからなることができる。別の実施形態では、固体薬物および賦形剤またはポリマーは、固体として予め混合され、回転することによって、繊維マットに形成される。回転ジェット紡糸方法は、当該技術分野、例えば、(52~55)において既知であり、参照によりそれらの全体が組み込まれる。
【0098】
別の実施形態では、繊維は、湿式回転(56)または乾式ジェット湿式回転(57、58)方法によって生成され得る。湿式紡糸では、繊維は、低いポリマー溶解度を伴うが、ポリマー溶液溶媒との混和性を伴う溶媒からなる固定または回転凝固浴中に、ポリマー溶液を小さな針スピネレットから押し出すことによって形成される。乾式ジェット湿式紡糸は、凝固浴で収集する前に、空気中で初期繊維形成を伴う、同様のプロセスである。
【0099】
本明細書で提供されるのは、カーネルが繊維ベースの担体を含むデバイスである。いくつかの場合では、繊維ベースの担体は、電界紡糸マイクロ繊維または電界紡糸ナノ繊維を含む。いくつかの場合では、繊維ベースの担体は、電界紡糸マイクロ繊維を含む。いくつかの場合では、繊維ベースの担体は、電界紡糸ナノ繊維を含む。いくつかの場合では、電界紡糸ナノ繊維は、ヤヌスマイクロ繊維またはヤヌスナノ繊維である。いくつかの場合では、電界紡糸ナノ繊維は、ヤヌスマイクロ繊維である。いくつかの場合では、電気紡糸ナノ繊維は、ヤヌスナノ繊維である。
【0100】
いくつかの場合では、繊維ベースの担体は、ランダム繊維または配向繊維を含む。いくつかの場合では、繊維ベースの担体は、ランダム繊維を含む。いくつかの場合では、繊維ベースの担体は、配向繊維を含む。
【0101】
いくつかの場合では、繊維ベースの担体は、繊維の束、糸、織布マット、または不織布マットを含む。いくつかの場合では、繊維ベースの担体は、繊維の束、糸、織布マット、または不織布マットを含む。いくつかの場合では、繊維ベースの担体は、繊維の束を含む。いくつかの場合では、繊維ベースの担体は、繊維の糸を含む。いくつかの場合では、繊維ベースの担体は、繊維の織布マットを含む。いくつかの場合では、繊維ベースの担体は、繊維の不織布マットを含む。
【0102】
いくつかの場合では、繊維ベースの担体は、回転ジェット紡糸繊維、湿式紡糸繊維、または乾式ジェット紡糸繊維を含む。いくつかの場合では、繊維ベースの担体は、回転ジェット紡糸繊維を含む。いくつかの場合では、繊維ベースの担体は、湿式紡糸繊維を含む。いくつかの場合では、繊維ベースの担体は、乾式ジェット紡糸繊維を含む。
【0103】
いくつかの場合では、繊維は、グルコース、スクロース、またはポリマー材料を含む。いくつかの場合では、繊維は、グルコースを含む。いくつかの場合では、繊維は、スクロースを含む。いくつかの場合では、繊維は、ポリマー材料を含む。いくつかの場合では、ポリマー材料は、本明細書に記載される再吸収性または非再吸収性ポリマー材料、例えば、ポリ(ジメチルシロキサン)、シリコン、ポリ(エーテル)、ポリ(アクリレート)、ポリ(メタクリル酸塩)、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(酢酸ビニル)、ポリ(ウレタン)、セルロース、酢酸セルロース、ポリ(シロキサン)、ポリ(エチレン)、ポリ(テトラフルオロエチレン)および他のフッ素化ポリマー、ポリ(シロキサン)、それらのコポリマー、またはそれらの組み合わせを含む。いくつかの場合では、ポリマーは、延伸ポリ(テトラフルオロエチレン)(ePTFE)またはエチレン酢酸ビニル(EVA)を含む。いくつかの場合では、ポリマーは、延伸ポリ(テトラフルオロエチレン)(ePTFE)を含む。いくつかの場合では、ポリマーは、エチレン酢酸ビニル(EVA)である。いくつかの場合では、ポリマーは、ポリ(アミド)、ポリ(エステル)、ポリ(エステルアミド)、ポリ(無水物)、ポリ(オルトエステル)、ポリホスファゼン、擬似ポリ(アミノ酸)、ポリ(グリセロール-セバシン酸塩)、ポリ(乳酸)、ポリ(グリコール酸)、(乳酸-グリコール酸)共重合体、ポリ(カプロラクトン)(PCL)、PCL誘導体、アミノアルコールベースのポリ(エステルアミド)(PEA)、ポリ(オクタン-ジオールクエン酸塩)(POC)、それらのコポリマー、またはそれらの混合物を含む。
【0104】
多孔性スポンジ系
いくつかの実施形態では、インプラントカーネルは、薬物を含有する多孔性支持構造を含む。支持体は、多孔性マイクロ構造(細孔サイズ1~1,000μm)を有する。いくつかの実施形態では、支持体は、多孔性ナノ構造(細孔サイズ1~1,000nm)を有する。さらに他の実施形態では、支持体は、多孔性マイクロ構造および多孔性ナノ構造の両方を有する。これらのマイクロスコピック細孔の例は、シリカソルゲル材料(59)、キセロゲル(60)、メソポーラスシリカ(61)、ポリメチルシロキサン(PMDS)スポンジ(63、64)およびポリウレタン発泡体(65)を含む高分子マイクロスポンジ(62)、架橋シクロデキストリン(66)を含むナノスポンジ、ならびに電界紡糸ジナノ繊維スポンジ(67)およびエアロゲル(68)を含むが、これらに限定されず、これらはすべて、参照により本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態では、多孔性スポンジは、シリコン、シリカゾルゲル材料、キセロゲル、メソポーラスシリカ、ポリマーマイクロスポンジ、ポリウレタン発泡体、ナノスポンジ、またはエアロゲルを含む。いくつかの実施形態では、多孔性スポンジは、シリコンを含む。いくつかの実施形態では、多孔性スポンジは、シリカゾルゲル材料、キセロゲル、メソポーラスシリカ、ポリマーマイクロスポンジ、ポリウレタン発泡体、ナノスポンジ、またはエアロゲルを含む。
【0105】
他の実施形態では、インプラントカーネルは、多孔性金属構造を含む。発泡体、チューブ、およびロッドを含む構造形態のチタンおよびニッケル-チタン(NiTiまたはニチノール)合金を含むが、これらに限定されない多孔性金属材料は、カーネルおよびスキン材料の両方として適用され得る。このような材料は、骨代用材料(69~71)、濾過媒体(72、73)、および航空(aviation)および飛行(aeronautics)における構造コンポーネント(74)を含む他の用途で使用されてきた。これらの材料は、耐食性、低重量、および比較的高い機械的強度を含む薬物送達デバイスに望ましい特性を有する。重要なことに、これらの特性は、細孔構造およびモフォロジーを修正することによって制御することができる。細孔アーキテクチャは、均一、二峰性、勾配、またはハニカムであり得、細孔は、開口または閉鎖であり得る。NiTi合金は、追加的に、形状記憶特性(熱などの特定の刺激が適用されるときに、顕著で一見塑性の変形から元の形状を回復する能力)、および超弾性特性(合金は、不安定になる充填下での応力誘導相の形成によって可逆的に変形し、充填が除去されるときに元の相および形状を回復する)を有する。NiTi合金の場合、これらの特性は、低温の単斜晶系同素体(マルテンサイト相)と高温の立方体(オーステナイト相)との間の変換に起因する。多孔性NiTi材料は、形状記憶および/または超弾性特性を維持する(75)。機械的特性および耐食性の両方は、チタン合金の化学組成によって決定される。化学処理、プラズマエッチング、および熱処理を含む表面処理は、TiおよびTi合金多孔性材料の生物活性を増加または減少させるために採用され得る。多孔度が40%で、細孔サイズが300~500μmにおける多孔性Ti金属は、NaOHおよび熱処理に続いてより深く新たに成長した骨で貫通された(76)。
【0106】
(77)などの持続的様式で薬剤を送達するために使用され、参照により本明細書に完全に組み込まれているインプラントまたは植え込み可能なデバイス上の薬物充填されたナノ多孔性コーティングの例は、ほとんどない。稀な例では、多孔性チタン金属基材上の抗生物質が充填された層状二重水酸化物コーティングは、1週間にわたって感染を制限することが示されている(78)。これらの場合、薬物放出は、バルクインプラント材料(多孔性または固体)からではなく、薄いコーティング(薬物放出ステントに類似)から直接行われ、これらのシステムは、典型的に、一次溶解動態を表す。
【0107】
一実施形態では、インプラントカーネルは、当該技術分野において既知のスポンジ構造を含み、例示的な例が上に提供され、薬物は、当該技術分野において既知の方法を使用して含浸によって組み込まれる。1つの非限定的な例では、APIは、スポンジ材料に対する親和性を有する液体媒体を使用して、内部スポンジマイクロアーキテクチャに導入される。例えば、ポリジメチルシロキサン(PDMS)は、当該技術分野において一般的に使用される材料であり、疎水性が高い。したがって、PDMSスポンジは、APIの非極性溶媒溶液で容易に含浸され、続いて乾燥することができる。複数の含浸サイクルは、デバイスにおける薬物蓄積を可能にする。別の非限定的な実施形態において、溶媒は、薬物粒子懸濁液をスポンジに充填する媒介物(vehicle)として機能する。関連する実施形態では、生体分子(例えば、ペプチドまたはタンパク質)は、n-ヘキサンに懸濁され、PDMSスポンジに含浸され、続いて真空オーブンにおいて室温乾燥される。複数の含浸乾燥サイクルは、薬物充填を増加させるために使用される。非限定的な例では、n-ヘキサンにおける、HIVに対する広範囲に中和される抗体であるVRC01の懸濁液は、PDMSスポンジに含浸されている。別の非限定的な例では、n-ヘキサンにおける、テノホビルアラフェナミドの懸濁液は、PDMSスポンジに含浸されている。
【0108】
いくつかの実施形態では、スポンジは、例えば、遠隔的にトリガされた薬物放出を可能にするために磁気である。例えば、参照により本明細書に組み込まれる(79)を参照されたい。
【0109】
一実施形態において、スポンジ細孔は、鋳型化賦形剤を使用して使用中にインサイツで作成される。多数のポロゲンが当該技術分野において既知であり、(80)に記載されるような多孔性構造を生成するために使用されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。使用中(すなわち、インビボ)に細孔を作製するための方法とは、限定されないが、皮下液および頸膣液などの体液に曝露されると溶解するインプラントカーネルにおける賦形剤粒子の包含を含む。本明細書で使用される場合、固体粒子は、結晶形態または非晶質形態を含むことができる。一実施形態において、固体粒子のサイズ分布は、多分散である。一実施形態において、固体粒子のサイズ分布は、単分散である。一実施形態において、固体粒子は、ナノ粒子(平均直径<100nm)を含むか、またはそれからなる。一実施形態では、粒子の平均直径は、1~10nm、10~25nm、25~100nm、および100~500nmの範囲であり得る。好適な平均マイクロ粒子直径は、0.5~50μm、0.5~5μm、5~50μm、1~10μm、10~20μm、20~30μm、30~40μm、および40~50μmの範囲であり得る。他の好適な平均粒子径は、50~500μm、50~100μm、100~200μm、200~300μm、300~400μm、400~500μm、および0.5~5mmの範囲であり得る。好適な粒子形状は、球、針、菱形、立方体、および不規則的な形状を含む。該鋳型化粒子は、塩(例えば、塩化ナトリウム)、糖(例えば、グルコース)、または当該技術分野において既知の他の水溶性賦形剤からなることができる。当業者であれば、明確に画定された形状およびサイズの、このような粒子の製造方法が分かるだろう。カーネルにおけるAPIに対する細孔形成粒子の質量比は、100~0.01の範囲である。より具体的には、該比率は、100~20、20~5、または5~1の範囲であり得る。他の実施形態では、比率は、1~0.2、0.2~0.05、または0.05~0.01の範囲であり得る。
【0110】
1つの非限定的な実施形態において、ポロゲンは、上述したように、繊維マットを含む。別の実施形態では、ポロゲンは、マイクロ繊維のマットを含む。別の実施形態では、ポロゲンは、ナノ繊維のマットを含む。繊維マットは、当該技術分野において既知の方法などの任意の好適な方法によって製作されている。一実施形態では、繊維は、電界紡糸によって生成されている。別の実施形態では、繊維は、回転ジェット紡糸によって生成されている。さらに別の実施形態では、繊維は、湿式ジェット紡糸または乾式ジェット湿式紡糸によって生成されている。繊維材料は、本明細書に列挙されるような1つ以上の生体適合性ポリマー(再吸収性および非再吸収性)を含むか、またはそれらからなることができる。繊維材料はまた、グルコース(すなわち、綿飴)などの医薬的に許容される賦形剤を含むか、またはそれからなることができる。
【0111】
1つの非限定的な実施形態において、ポロゲン粒子は、好適な溶媒蒸気への曝露によって融合される。粒子融合は、望ましい可能性のある連続気泡スポンジアーキテクチャをもたらすために必要とされ得る。ポロゲン粒子融合の非限定的な例は、実施例11に提供される。融合溶媒は、鋳型剤の溶解度に応じて、水などの極性溶媒、または極性(例えば、メタノール)から非極性(例えば、ヘキサン)までの範囲の極性を伴う有機溶媒であり得る。溶媒蒸気は、フィルターの有無にかかわらず、スクリーン、メッシュ、または穿孔プレート、またはブフナー漏斗などの好適な容器を使用して、ポロゲン粒子のカラムを蒸気と接触させて懸濁させて、加熱などの任意の好適な方法によって生成される。曝露時間は、所望の程度の粒子融合を達成するために、実験的に決定することができる
【0112】
いくつかの実施形態では、細孔は、製造中(すなわち、使用前)に、デバイスを好適な流体(例えば、水または有機溶媒)に浸して、ポロゲンを溶解させることによって形成される。
【0113】
いくつかの実施形態では、細孔は、植え込み/使用に続く、機械的、温度、またはpH変化の結果として形成することができる。
【0114】
1つの非限定的な実施形態では、1つ以上の薬物は、スポンジ鋳型剤を構成する。薬剤がデバイスから放出されると、スポンジは、形成される。一実施形態では、薬物鋳型化剤は、マイクロ針のマットを含む。非限定的な例では、薬物鋳型化剤は、実施例6に記載されるようなテノホビルアラフェナミドマイクロ針結晶のマットを含む。
【0115】
1つの非限定的な実施形態では、スポンジは、PDMSで構成され、疎水性マイクロスコピックチャンネルは、化学的および血漿処理などの当該技術分野において既知の方法を使用して修正される。別の実施形態では、連結剤は、内部PDMSマイクロチャンネルと表面改質剤との間で、スポンジの内部表面特性を修正するために使用される。表面改質化学は、当該技術分野において周知である。1つの非限定的な実施形態では、3-アミノプロピル)トリエトキシシランは、結合剤として使用され、タンパク質は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、Priyadarshani et al.(81)によって記載されるように、PDMS表面に付着される。
【0116】
本明細書に提供されるのは、カーネルが多孔性スポンジを含むデバイスである。いくつかの場合では、多孔性スポンジは、シリコン、シリカゾルゲル材料、キセロゲル、メソポーラスシリカ、ポリマーマイクロスポンジ、ポリウレタン発泡体、ナノスポンジ、またはエアロゲルを含む。いくつかの場合では、多孔性スポンジは、シリコンを含む。いくつかの場合では、多孔性スポンジは、シリカゾルゲル材料を含む。いくつかの場合では、多孔性スポンジは、キセロゲルを含む。いくつかの場合では、多孔性スポンジは、メソポーラスシリカを含む。いくつかの場合では、多孔性スポンジは、ポリマーマイクロスポンジを含む。いくつかの場合では、多孔性スポンジは、ポリウレタン発泡体を含む。いくつかの場合では、多孔性スポンジは、ナノスポンジを含む。いくつかの場合では、多孔性スポンジは、エアロゲルを含む。
【0117】
いくつかの場合では、多孔性スポンジは、ポロゲンを含む。いくつかの場合では、ポロゲンは、繊維マットを含む。いくつかの場合では、繊維マットは、グルコースを含む。いくつかの場合では、ポロゲンは、APIを含む。いくつかの場合では、多孔性スポンジは、APIで含浸されている。いくつかの場合では、多孔性スポンジは、APIを溶解することが可能な溶媒に対する親和性を有するスポンジ材料を含む。いくつかの場合では、多孔性スポンジは、ポリジメチルシロキサン(PDMS)を含む。
【0118】
本明細書に開示される多孔性デバイスの少なくとも一部は、「インプラントスキン」の下により完全に記載されるように、1つ以上のスキンで覆われている。
【0119】
インプラントスキン
開示されたデバイスの一部としてスキンを有することは有利であり、これは、カーネルを部分的にまたはその全体でカバーすることができる。
【0120】
本明細書に開示されるマトリックスインプラントのインビトロおよびインビボの薬物放出プロファイルは、薬物放出の初期バースト、続いて低い徐放性相を伴う、概して非線形である。ある特定の適応症では、インプラントの薬物放出特性を線形化することが望ましい場合がある。このようなインプラント300の有利な実施形態では、デバイス301の外面は、速度制御スキン302によって覆われている。一実施形態では、スキンは、本明細書に記載されるように、生体適合性エラストマーから構成される。スキンの組成および厚さは、薬物放出の線形化の程度ならびに薬物放出の速度を決定する。スキン厚さは、例えば、5~700μmの範囲であり得る。スキンの好適な厚さは、5~700μm、10~500μm、15~450μm、20~450μm、30~400μm、35~350μm、および40~300μmの範囲であり得る。ある特定の実施形態では、スキンの厚さは、10μm、20μm、30μm、40μm、50μm、60μm、70μm、80μm、90μm、100μm、125μm、150μm、175μm、200μm、225μm、250μm、および300μmである。いくつかの実施形態では、スキンの厚さは、30μm、50μmまたは80μmである。これらのスキンの特徴はまた、リザーバタイプ設計に適用される。
【0121】
一連の実施形態では、単一の外部スキンは、APIを含有する区画を内包する。別の実施形態(303)では、複数の外部スキンは、APIを含有する区画を内包する。いくつかの実施形態では、2~20の独立した(303b、c)層状スキンは、APIを含有する区画303aを内包する。いくつかの実施形態では、これらのスキンは、同一または異なる厚さを伴う同一の材料を含むか、またはそれからなる。いくつかの実施形態では、これらのスキンは、同一または異なる厚さを伴う1つ以上の異なる材料を含むか、またはそれらからなる。
【0122】
別の一連の実施形態では、複数のスキンは、デバイス全体に分布され、主コンポーネント体積の異なる領域を互いに隔離する。一実施形態では、木の幹におけるリングに類似することによって、これらの散在したスキンを想定することができる(304)。このような実施形態では、スキン(304b、304d)は、同一または異なる厚さを伴う1つ以上の異なる材料からなることができる。スキンによって分離された体積(カーネル-304a、304c)は、すべて同一の濃度で同一のAPIを、または異なる濃度で異なるAPIを含有することができる。該体積のいくつかは、非薬用であり得る。該体積におけるまたは構成する賦形剤は、スキンによって分離された区画にわたって同一または異なり得る。
【0123】
本明細書に記載されるある特定の実施形態では、インプラントカーネルは、単一の区画であり得る。他の実施形態では、本明細書に記載される薬物送達システムのカーネルは、208におけるように分割配置の2つの区画を含み得、または400におけるように2つの層(401、402)に配置され得る。他の実施形態では、本明細書に記載される薬物送達システムのカーネルは、3つ以上の区画または層を含み得る。各カーネル層は、1つ以上の治療剤を含有し得るか、または治療剤を含有し得ない。例えば、本明細書に記載されるインプラント薬物送達システムのある特定の実施形態では、カーネルは、第1の層401および第2の層402を含み、第2の層は、スキン403に隣接しており、第1の層は、第2の層に隣接している。第2のスキン層404は、任意選択的に、第1のスキン層に隣接して存在し得る。ある特定の実施形態では、1つ以上のスキン層は、実施形態300、303、および304について先に記載された治療剤を含有し得る。一実施形態では、第1のカーネル層401は、第2のカーネル層402によって完全に囲まれている。第2のカーネル層のみが、第1のスキン層と接触している。代替の実施形態では、第1のカーネル層405は、第2のカーネル層406と同心であるが、第1のカーネル層の一部は、インプラント端部で第1のスキン層409に接触する。第1のスキン層は、インプラント全体の周囲に連続し得、または第1のカーネル層に接触するエンドキャップ409の形態の第2の材料で構成され得る。さらなる実施形態では、第1のカーネル層410は、治療剤を含有しないバリア層411によって第2のカーネル層412から分離されている。任意選択的な第1のスキン層413、および第2のスキン層414は、第2のカーネル層に隣接して存在し得る。
【0124】
ある特定の実施形態では、カーネルの第1、第2、および第3の層は、同一のポリマーから作製されている。しかしながら、カーネルにおける第1の治療剤がスキンを通して放出されるにつれて低減された透過耐性を経験し、所望の治療効果を達成するために必要な放出基準を満たしている限り、異なるポリマーをカーネルの第1、第2、および第3の層に使用することができることが想定され得る。
【0125】
さらに別の一連の実施形態では、1つ以上のスキンは、1つ以上のAPIで薬用化することができる。ある特定の実施形態では、第1の治療剤は、カーネルにおいて溶解形態であり、第2の治療剤は、スキンにおける固体形態である。本明細書で使用される場合、「固体」は、結晶形態または非晶質形態を含むことができる。ある特定の実施形態では、第1の治療剤は、カーネルにおいて固体形態であり、第2の治療剤は、スキンにおいて固体形態である。ある特定の実施形態では、第1の治療剤は、カーネルにおいて固体形態であり、第2の治療剤は、スキンにおいて溶解形態である。ある特定の実施形態では、第1の治療剤は、リザーバタイプシステムのカーネルにあり、第2の治療剤は、スキンにおいて固体形態である。本明細書で使用される場合、固体は、結晶形態または非晶質形態を含むことができる。ある特定の実施形態では、第1の治療剤は、リザーバタイプシステムのカーネルにあり、第2の治療剤は、スキンにおいて溶解形態である。
【0126】
一実施形態では、スキンは、非再吸収性である。それは、当業者に既知であるように、医療用グレードのシリコンから形成され得る。好適な非再吸収性材料の他の例は、(エチレン-酢酸ビニル)共重合体を含むが、これらに限定されない、ポリ(エーテル)、ポリ(アクリレート)、ポリ(メタクリル酸塩)、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(酢酸ビニル)から選択される合成ポリマー、またはエチレン酢酸ビニル(EVA)、ポリ(ウレタン)、セルロース、セルロースアセテート、ポリ(シロキサン)、ポリ(エチレン)、ポリ(テトラフルオロエチレン)、および他のフッ素化ポリマー、ポリ(シロキサン)、それらのコポリマー、およびそれらの組み合わせを含む。インプラントスキンはまた、チタン、ニッケル-チタン合金、ステンレス鋼、および当該技術分野において既知の他のものなどの生体適合性金属からなり得る。カーネルからの薬物放出を容易にし、制御するために、金属スキンは、カーネル用途に関して上述される多孔性金属材料を含み得る。
【0127】
一実施形態では、1つ以上のスキンは、当該技術分野においてゴア-テックス(Gore-Tex)(82)としても既知である、非再吸収性ポリマー延伸ポリ(テトラフルオロエチレン)(ePTFE)からなる。
【0128】
別の実施形態では、インプラントシェルは、再吸収性である。再吸収性デバイスの一実施形態では、シースは、生分解性または生体侵食性ポリマーから形成されている。好適な再吸収性材料の例は、ポリ(アミド)、ポリ(エステル)、ポリ(エステルアミド)、ポリ(無水物)、ポリ(オルトエステル)、ポリホスファゼン、擬似ポリ(アミノ酸)、ポリ(グリセロール-セバシン酸塩)、それらのコポリマー、およびそれらの混合物から選択される合成ポリマーを含む。好ましい実施形態では、再吸収性合成ポリマーは、ポリ(乳酸)、ポリ(グリコール酸)、(乳酸-グリコール酸)共重合体、ポリ(カプロラクトン)(PCL)、およびそれらの混合物から選択される。他の硬化性生体再吸収性エラストマーは、PCL誘導体、アミノアルコールベースのポリ(エステルアミド)(PEA)およびポリ(オクタンジオールクエン酸塩)(POC)を含む。PCLベースのポリマーは、エラストマー特性を得るために、リジンジイソシアネートまたは2,2-ビス(-カプロラクトン-4-イル)プロパンなどの追加の架橋剤を必要とし得る。
【0129】
一実施形態では、カーネルからの薬物放出の速度ならびに放出動態(例えば、ゼロオーダー対第1または第2のオーダー)を調節または制御するために使用されるスキンは、付加製造などの当該技術分野において既知であり、本明細書に記載されている方法を使用してマイクロ製作される。いくつかの実施形態では、スキンは、その全体が参照により組み込まれる、固体フリーフォーム製作(SFF)技術(83)を使用して構築されたリン酸三カルシウムとブレンドされたポリ(カプロラクトン)/(乳酸-グリコール酸)共重合体骨格を含む。別の実施形態では、スキンは、参照によりその全体が組み込まれる、当該技術分野(84)に記載されるような犠牲的な鋳型化剤(例えば、酸化亜鉛ナノワイヤ)の鋳造およびエッチングによって形成されるナノ構造エラストマー薄膜を含むか、またはそれからなる。別の実施形態では、スキンは、非常に再現性が高く、制御可能で、スケーラブルなマイクロ製作方法を介して生成される1つ以上のエラストマー薄膜を含むか、または含み、例えば、その全体が参照により組み込まれる(85)を参照されたい。これらは、マイクロ電気機械システム(MEMS)、ナノ電気機械システム(NEMS)、ならびに当該技術分野における既知のマイクロ流体およびナノ流体システムを含む。ソフトリソグラフィとして当該技術分野において既知である一実施形態は、レプリカ成形によってエラストマー材料で再生成され得るパターン化された特徴を伴うマスターの製作を含む。簡潔に述べると、基板(典型的にはシリコンウェハ)は、フォトレジスト(例えば、SU-8などのフォトリソグラフィで一般的に使用される光活性ポリマー)でコーティングされ、フォトマスクを通して紫外線に曝露され、フォトレジストにおける所望のパターンを生成する。次いで、所望のパターンが、マイナス(すなわち、紫外線にさらされ、フォトレジストによって保護されていない領域のチャンネルおよび窪み)で基板上で再生成されるように、レジストは、現像され、基板は、エッチングされる。スキンは、パターン化されたマスターを使用して、レプリカ成形によって製作される。エラストマー樹脂は、SU-8パターン化されたシリコンマスター上に注がれ、マスターに対して材料を硬化させることで、所望のパターンが得られる。好適なエラストマーは、ポリジメチルシロキサン(PDMS、シリコン)、熱硬化性ポリエステル(TPE)、光硬化性ペルフルオロポリエーテル(PFPE)を含むが、これらに限定されない。別の実施形態では、パターン化されたスキンは、エンボス加工技術を使用して製作されている。パターン化されたマスター(スタンプ)は、ソフトリソグラフィ(上記参照)、マイクロ加工、レーザー加工、電極放電加工(EDM)、電気メッキ、または電気成形を含む、当該技術分野において既知の方法によって生成される。薄いシートの形態におけるエラストマーは、エラストマーにおけるマスターパターンを複製するために、熱を加えられた油圧プレスでマスターに対して押し付けられる。エンボス加工に好適なエラストマーは、ポリ乳酸(PLA)、乳酸-グリコール酸共重合体(PLGA)、エチレン-共-酢酸ビニル(EVA)、高粘度ゴム(HCR)シリコン、ポリメタクリレート(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、環状オレフィンコポリマー(COC)、ポリスチレン(PS)、ポリ塩化ビニル(PVC)、およびポリエチレングリコール(PETG)を含むが、これらに限定されない。
【0130】
図27Aおよび27Bは、マイクロリソグラフィによって作製されたスキンの例示的な図面を示す。卵パック(carton)またはワッフルに類似したグリッド状パターンは、十分に画定された形状(例えば、円、正方形、六角形など)、サイズ(例えば、高さおよび幅)、ならびに画定された厚さの薄膜から突出する抜き代(draft)(すなわち、非平行壁)のディンプルの配列を含む。フィルム特性および組成物と共に表面特徴の密度および物理的特性を変化させることは、広範囲にわたってカーネルからの薬物放出動態(順序および速度)を制御するために使用され得る。
【0131】
本明細書に提供されるのは、1つのスキンまたは複数のスキンを備えるデバイスである。いくつかの場合では、デバイスは、1つのスキンを備える。いくつかの場合では、デバイスは、複数のスキンを備える。
【0132】
いくつかの場合では、スキンは、デバイスの一部またはデバイス全体を覆う。いくつかの場合では、スキンは、デバイスの一部を覆う。いくつかの場合では、スキンは、デバイス全体を覆う。いくつかの場合では、スキンは、律速スキンを含む。
【0133】
いくつかの場合では、スキンは、非再吸収性である。いくつかの場合では、スキンは、生体適合性エラストマーを含む。いくつかの場合では、スキンは、ポリ(ジメチルシロキサン)、シリコン、1つ以上の合成ポリマー、および/または金属を含む。いくつかの場合では、合成ポリマーは、ポリ(エーテル)、ポリ(アクリレート)、ポリ(メタクリル酸塩)、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(酢酸ビニル)、ポリ(ウレタン)、セルロース、酢酸セルロース、ポリ(シロキサン)、ポリ(エチレン)、ポリ(テトラフルオロエチレン)および他のフッ素化ポリマー、ポリ(シロキサン)、それらのコポリマー、またはそれらの組み合わせである。いくつかの場合では、ポリマーは、延伸ポリ(テトラフルオロエチレン)(ePTFE)またはエチレン酢酸ビニル(EVA)である。いくつかの場合では、ポリマーは、延伸ポリ(テトラフルオロエチレン)(ePTFE)である。いくつかの場合では、ポリマーは、エチレン酢酸ビニル(EVA)である。
【0134】
いくつかの場合では、金属は、チタン、ニッケル-チタン(ニチノール)合金、またはステンレス鋼である。いくつかの場合では、金属は、チタンまたはステンレス鋼である。いくつかの場合では、金属は、チタンである。いくつかの場合では、金属は、ステンレス鋼である。
【0135】
いくつかの場合では、スキンは、再吸収性である。いくつかの場合では、スキンは、生体適合性エラストマーを含む。いくつかの場合では、スキンは、ポリ(アミド)、ポリ(エステル)、ポリ(エステルアミド)、ポリ(無水物)、ポリ(オルトエステル)、ポリホスファゼン、擬似ポリ(アミノ酸)、ポリ(グリセロール-セバシン酸塩)、ポリ(乳酸)、ポリ(グリコール酸)、(乳酸-グリコール酸)共重合体、ポリ(カプロラクトン)(PCL)、PCL誘導体、アミノアルコールベースのポリ(エステルアミド)(PEA)、ポリ(オクタン-ジオールクエン酸塩)(POC)、それらのコポリマー、またはそれらの混合物を含む。いくつかの場合では、ポリマーは、架橋PCLである。いくつかの場合では、架橋PCLは、リジンジイソシアネートまたは2,2-ビス(-カプロラクトン-4-イル)プロパンを含む。いくつかの場合では、ポリマーは、ポリ(カプロラクトン)/(乳酸-グリコール酸)共重合体およびリン酸三カルシウムを含む。
【0136】
いくつかの場合では、スキンは、鋳造およびエッチング、ソフトリソグラフィ、またはマイクロリソグラフィを介して製作されている。いくつかの場合では、スキンは、鋳造およびエッチングを介して製作されている。いくつかの場合では、スキンは、ソフトリソグラフィを介して製作されている。いくつかの場合では、スキンは、マイクロリソグラフィを介して製作されている。
【0137】
いくつかの場合では、スキンは、画定された表面モフォロジーを含む。いくつかの場合では、画定された表面モフォロジーは、グリッドパターンを含む。
【0138】
いくつかの場合では、画定された細孔は、マイクロスコピック細孔またはナノスコピック細孔である。いくつかの場合では、画定された細孔は、マイクロスコピック細孔である。いくつかの場合では、画定された細孔は、ナノスコピック細孔である。
【0139】
いくつかの場合では、画定された細孔は、2nm未満の直径を有する。いくつかの場合では、画定された細孔は、0.1nm、0.5nm、1nm、1.5nm、または2nmの直径を有する。いくつかの場合では、画定された細孔は、2nm~50nmの直径を有する。いくつかの場合では、画定された細孔は、2nm、5nm、10nm、15nm、20nm、25nm、30nm、35nm、40nm、45nm、または50nmの直径を有する。いくつかの場合では、画定された細孔は、50nmを超える直径を有する。
【0140】
再吸収性デバイスおよび生分解性デバイス
本開示の用途には、再吸収性および生分解性デバイスから利益を受けるものがある。本開示の目的のために、「再吸収性」は、インビボで分解され、同化される(例えば、再吸収性縫合)デバイスを意味することが意図され、「生分解性」は、使用後に細菌または他の生体によって分解されることが可能であるデバイスを意味することが意図される。両方のデバイスタイプの非限定的な例示的な実施形態は、以下に与えられる。
【0141】
再吸収性デバイス
再吸収性デバイスの主な利点は、ある特定の場合では、それらの薬物カーゴ(cargo)が一旦送達されると、除去される必要がないことである。本明細書に記載される再吸収性インプラントは、少なくとも一部、使用期間中にインビボで分解される材料からなる。いくつかの実施形態では、デバイス全体は、使用期間にわたって再吸収性である。いくつかの実施形態では、デバイスのインビボ分解は、主に、すべての薬物カーゴの大部分が放出された後に生じる。ある特定の実施形態では、上述のデバイスコンポーネント(例えば、スキンおよび/またはカーネル)のうちの1つ以上は、再吸収性エラストマーを含むか、または含む(例示的なエラストマーについては、「インプラントスキン」および「インプラント材料」を参照されたい)。
【0142】
生分解性デバイス
生分解性インプラントの推進力は、主に、使用後の環境への有害な影響、すなわち廃棄物の最小化を最小限に抑えることを望むことから発生する。例えば、抗レトロウイルス薬ダピビリンを送達するIVRは、現在、大規模な臨床試験においてHIV予防のために評価されている(86、87)。これらの28日デバイスは、ほぼシリコンのみで作られており、一旦承認されると、サハラ以南のアフリカにおける何百万人もの女性が定期的にこの製品を使用すると、かなりの廃棄物負担につながる可能性がある。世界中で100万人を超える女性は、主としてEVAで作られている、避妊用IVRのNuvaRing(登録商標)を使用しており、別の非生分解性エラストマーがさらなる廃棄の懸念を生み出している。
【0143】
使用期間の終了時に除去の必要性を回避するために身体において分解するように設計された生体再吸収性インプラントと比較して、生体分解性インプラントは、身体に挿入されている間に完全性を維持し、一旦除去される(すなわち、使用後)と分解プロセスを開始するように設計されている。1つのアプローチは、ショッピングバッグおよび食品容器などの生分解性、使い捨てプラスチックアイテムで使用されるものと同様に、細菌によって生成されるカルボキシエステラーゼ酵素によって分解されるポリ(乳酸)ポリマーを使用する。代替的アプローチは、紫外線(UV)照射(すなわち、太陽光)の存在下で分解するポリマーを利用することである。重要な考慮事項は、薬物の送達がインプラント使用期間中の分解プロセスに影響されないように、分解プロセス(および分解の動態)を使用期間から時間的に分離される。
【0144】
他の設計上の考慮事項
生体分子の送達のための考慮事項
それらの大きな分子量、親水性、および化学的/物理的不安定性により、生体分子(例えば、ペプチド、タンパク質、(リボ)核酸オリゴマー)は、長時間作用型薬物送達デバイスから制御された様式で送達することが困難である場合がある。本開示の多くの実施形態は、ePTFEなどの律速スキンに内包された多孔性カーネルまたは水溶性骨格(例えば、PVAナノ繊維)中の生体分子を固定することによって、これらの制限障害を克服する。
【0145】
疾患を予防または治療するために規制機関によって承認されている生体分子に加えて、本開示はまた、新たな用途のための探索剤を送達するためのプラットフォームとしての役割を果たす。例えば、1つの非限定的な実施形態では、メッセンジャーリボ核酸(mRNA)(合成または天然)は、抗体(89)およびワクチンアジュバント(90)などの1つ以上のタンパク質(88)のインビボ発現を刺激するために送達される。このアプローチは、インプラントから直接送達するのではなく、インビボで標的薬剤を合成するためにそれを刺激することによって、宿主の生化学的能力を利用するという利点を有する。これは、いくつかの生体分子の高い製造コストおよびそれらの不安定性(例えば、冷鎖回避)を克服することができる。
【0146】
いくつかの実施形態では、特定の賦形剤は、インプラントからの生体分子放出速度の制御を改善することができる(「API製剤」を参照されたい)。例えば、絹フィブロインは、参照によりその全体が本明細書に含まれる、Zhang et al.(91)によって記載されているような、タンパク質の放出速度を調節するために使用することができる。
【0147】
他の実施形態では、特定の賦形剤は、当業者に既知のアプローチを使用して、生物活性の分解または損失に関して生物分子を安定化させることができる(92)。ある特定の賦形剤は、水素結合相互作用を通じて乾燥状態における「水のような」環境を作製することによって生体分子を安定化する(例えば、糖(93)およびアミノ酸(94))。他の賦形剤は、水素結合を提供するガラス状のマトリックスを作製し、生体分子を固定化して、生物学的活性(例えば、トレハロース、イヌリン)の喪失につながる凝集を防止する。さらに他の賦形剤は、インプラント製剤(例えば、緩衝塩)におけるpHを安定化することができる。最後に、界面活性剤は、製剤の乾燥プロセス中の空気-水界面における生体分子の濃度を低減し、剪断応力および不溶性凝集体形成を低減し、乾燥プロセス全体を通じて前述の安定化機構が生じることを可能にすることができる。
【0148】
インプラントのインビボ局在化
様々な実施形態では、1つ以上の放射線不透過性材料(例えば、硫酸バリウム)が、エラストマーインプラントシェル(すなわち、薬物不透過性ポリマー)に組み込まれるか、または、参照により本明細書に組み込まれる、シェル(7、95)をシールするために使用されるエンドプラグにそれを作製することによって組み込まれる。放射線不透過性材料は、1つ以上のバンド、もしくは他の形状の形態で統合することができ、または薬物不透過性ポリマー全体に分散することができる。様々な実施形態では、インプラントの一部を構成するエラストマー材料は、当該技術分野において既知のものなどの任意の好適なプロセスを使用して、金属(例えば、チタン)でコーティングされて、放射線不透明になる。
【0149】
ある特定の実施形態では、超音波は、インプラントの位置を特定するために使用される。これらの実施形態では、超音波検査に対して不透明であることが当該技術分野において既知のポリマーまたはポリマー添加剤(例えば、カルシウム)は、デバイスをインビボで可視化することを支援するために採用される。
【0150】
デバイスは、参照により本明細書に組み込まれる、デバイスの除去(例えば、薬物送達が完了した後)(96)を容易にするための少なくとも1つの磁気素子を含み得る。ある特定の実施形態では、磁気素子は、円筒形デバイスの第1の端部、第2の端部、または第1の端部および第2の端部の両方に配置され得る。軟質ポリマーコーティングは、磁気素子上に提供され得る。
【0151】
インプラントの挿入および/または除去を補助するために、穴は、インプラントの一端にパンチ、成形、またはそれ以外の方法で形成され得る。穴は、爪または別の好適なツールでインプラントを把持するために使用され得る。縫合材料、ワイヤ、または他の好適な材料から作られたループは、挿入および/または除去のためにインプラントを把持するのに役立つように、穴に結び付けられ得、またはそれ以外の方法で取り付けられ得る。
【0152】
異物反応
例えば、シリコンインプラントは、安価で扱いやすいが、異物反応を誘発し、移動しやすい傾向がある。ePTFEインプラントは、より生体適合性が高く、内生成長が可能であるが、高価である。シリコン-ePTFE複合材は、シリコンコアおよびePTFEライナーを有し、参照により本明細書に組み込まれる、鼻形成(97、98)および頬唇溝若返り(99)などの外科的用途に使用される。一実施形態では、エラストマーインプラントシースは、外側のePTFEスリーブに結合されて複合材を形成する(すなわち、ePTFEスリーブは、異物反応を緩和するだけであり、デバイスからの薬物放出を制御または影響しない)。他の実施形態では、ePTFEスキンは、デバイスからのAPI放出速度を制御する役割を果たす。
【0153】
宿主の異物応答は、特に皮下インプラント(100)、または身体区画に植え込まれた他のタイプのデバイスのために、植え込まれたデバイスの安全性に影響を及ぼし得ることが当該技術分野において既知である。この反応は、インプラント表面上のタンパク質吸着、炎症性細胞浸潤、異物巨細胞へのマクロファージ融合、線維芽細胞活性化、および最終的には線維性カプセル化を含む。この一連の事象は、長時間作用型薬物送達デポからの薬物拡散の阻害および医療機器の故障など、皮下インプラントの機能に影響を及ぼし得る。これまでに、デキサメタゾンの送達と組み合わせたタンパク質吸着を低減する親水性コーティングなどの組み合わせアプローチが、最も有効である。
【0154】
特定の実施形態では、植え込み可能な薬物送達デバイスは、一次APIに加えて、異物応答を緩和または低減するために1つ以上の薬剤を放出する。これらの薬剤は、APIおよび任意の賦形剤と混合され、薬物カーネルに製剤化される(以下の「薬物製剤」を参照)。薬剤は、APIを伴うインプラントから放出される。一実施形態では、異物反応を低減させるために含まれる薬剤は、ステロイドである。一実施形態では、このステロイドは、デキサメタゾン、またはデキサメタゾン21-酢酸塩もしくはデキサメタゾン21-リン酸二ナトリウム塩などのデキサメタゾン誘導体である。
【0155】
ハイドロゲル、特に両性イオン性ハイドロゲルは、皮下インプラントに対する異物の応答を著しく低減させることができる。さらなる考察については、例えば、その全体が参照により組み込まれる(101)を参照されたい。
【0156】
インプラント材料
一実施形態では、本明細書に開示されるインプラント薬物送達デバイスは、1つ以上の好適な熱可塑性ポリマー、エラストマー材料、または医薬的使用に好適な金属を含む。このような材料の例は、当該技術分野において既知であり、文献(102、103)に記載されており、参照によりそれらの全体が組み込まれる。
【0157】
一実施形態では、インプラントのエラストマー材料は、非再吸収性である。それは、当業者に既知であるように、医療用グレードのポリ(ジメチルシロキサン)またはシリコンを含み得る。例示的なシリコンは、フルオロシリコン、すなわち、シロキサン骨格を伴うポリマー、およびポリ(3,3,3-トリフルオロプロピルメチルシロキサン)などのフルオロカーボンペンダント基を含むが、これらに限定されない。好適な非再吸収性材料の他の例は、ポリ(エーテル)、ポリ(アクリレート)、ポリ(メタクリル酸塩)、ポリ(ビニルピロリドン)、EVAを含むが、これに限定されないポリ(酢酸ビニル)、ポリ(ウレタン)、セルロース、酢酸セルロース、ポリ(シロキサン)、ポリ(エチレン)、ポリ(テトラフルオロエチレン)、およびePTFEを含む他のフッ素化ポリマー、ポリ(シロキサン)、それらのコポリマー、およびそれらの組み合わせを含む。インプラントはまた、チタン、ニッケル-チタン合金(NiTiまたはニチノール)、ステンレス鋼、および/または当該技術分野において既知の他のものなどの生体適合性金属を含み得、またはそれらからなり得る。
【0158】
別の実施形態では、インプラントのエラストマー材料は、再吸収性である。再吸収性デバイスの一実施形態では、スキンは、生分解性または生体侵食性ポリマーから形成されている。好適な再吸収性材料の例は、ポリ(アミド)、ポリ(エステル)、ポリ(エステルアミド)、ポリ(無水物)、ポリ(オルトエステル)、ポリホスファゼン、擬似ポリ(アミノ酸)、ポリ(グリセロール-セバシン酸塩)、それらのコポリマー、およびそれらの混合物から選択される合成ポリマーを含む。一実施形態では、再吸収性合成ポリマーは、ポリ(乳酸)、ポリ(グリコール酸)、(乳酸-グリコール酸)共重合体、PCL、およびそれらの混合物から選択される。他の硬化性生体再吸収性エラストマーは、PCL誘導体、アミノアルコールベースのPEAおよびPOCを含む。PCLベースのポリマーは、エラストマー特性を得るために、リジンジイソシアネートまたは2,2-ビス(-カプロラクトン-4-イル)プロパンなどの追加の架橋剤を必要とし得る。
【0159】
本明細書に記載されるインプラント薬物送達システムの一実施形態では、エラストマー材料は、原則として、シリコン、低密度ポリエチレン、EVA、ポリウレタン、およびスチレン-ブタジエン-スチレンコポリマーなどの医薬的使用に好適な任意の熱可塑性ポリマーまたはエラストマー材料であり得る、好適な熱可塑性ポリマーまたはエラストマー材料を含む。
【0160】
ある特定の実施形態では、EVAは、その優れた機械的および物理的特性のためにカーネルおよびスキンで使用されている。EVA材料は、カーネル、ならびにスキンのために使用され得、Elvax、Evatane、Lupolen、Movriton、Ultrathene、およびVestyparの商品名で入手可能な製品など、市販されている任意のEVAであり得る。
【0161】
小から中サイズの薬物分子(M≦600g mol-1)のためのEVAコポリマーの透過性は、主に酢酸ビニルとエチレンとの比率によって決定される。低VA含有EVAコポリマーは、高VA含有スキンよりも実質的に透過性が低く、したがって、スキンとして使用される場合、表示律速特性である。VA含有量が19%w/w以下(≦19%w/w)のEVAコポリマーは、VA含有量が25%w/w以上(>25%w/w)を有するポリマーよりも実質的に透過性が低い。
【0162】
いくつかの実施形態では、第1の熱可塑性ポリマーは、EVAであり、28%以上の酢酸ビニル含有量を有する。他の実施形態では、第1の熱可塑性ポリマーは、28%を超える酢酸ビニル含有量を有する。さらに他の実施形態では、第1の熱可塑性ポリマーは、28~40%の酢酸ビニル含有量を有する。さらに他の実施形態では、第1の熱可塑性ポリマーは、28~33%の酢酸ビニル含有量を有する。一実施形態では、第1の熱可塑性ポリマーは、28%の酢酸ビニル含有量を有する。一実施形態では、第1の熱可塑性ポリマーは、33%の酢酸ビニル含有量を有する。いくつかの実施形態では、第2の熱可塑性ポリマーは、エチレン-酢酸ビニルコポリマーであり、28%以上の酢酸ビニル含有量を有する。他の実施形態では、第2の熱可塑性ポリマーは、28%を超える酢酸ビニル含有量を有する。さらに他の実施形態では、第2の熱可塑性ポリマーは、28~40%の酢酸ビニル含有量を有する。さらに他の実施形態では、第2の熱可塑性ポリマーは、28~33%の酢酸ビニル含有量を有する。一実施形態では、第2の熱可塑性ポリマーは、28%の酢酸ビニル含有量を有する。一実施形態では、第2の熱可塑性ポリマーは、33%の酢酸ビニル含有量を有する。
【0163】
いくつかの実施形態では、第2の熱可塑性ポリマーは、EVAであり、28%以下の酢酸ビニル含有量を有する。他の実施形態では、第2の熱可塑性ポリマーは、28%未満の酢酸ビニル含有量を有する。さらに他の実施形態では、第2の熱可塑性ポリマーは、9~28%の酢酸ビニル含有量を有する。さらに他の実施形態では、第2の熱可塑性ポリマーは、9~18%の酢酸ビニル含有量を有する。一実施形態では、第2の熱可塑性ポリマーは、15%の酢酸ビニル含有量を有する。一実施形態では、第2の熱可塑性ポリマーは、18%の酢酸ビニル含有量を有する。
【0164】
なお、特定の酢酸ビニル含有量、例えば、15%が言及される場合は、製造業者の目標含有量を指し、実際の酢酸ビニル含有量は、目標含有量からプラスまたはマイナス1%または2%で変化し得る。当業者であれば、サプライヤーが酢酸ビニル含有量を決定するための内部分析方法を使用し得、したがって、それらが方法間でオフセット相殺され得ることを理解するであろう。
【0165】
製剤の考慮事項
薬物製剤は、体腔に局所的に送達するのに有用であろう任意の治療剤、予防剤、または診断剤を本質的に含むことができる。
【0166】
標的インビボ薬物放出動態およびプロファイル
薬物製剤は、時間的に調節された放出プロファイルまたはより連続的または一貫した放出プロファイルを提供し得る。パルス状の放出は、複数のカーネルから達成することができ、同時に、または経時的に交錯する様式で植え込まれることができる。例えば、異なる分解可能なスキンは、いくつかのカーネルの各々からの1つ以上の剤の放出を時間的に交錯させるために使用することができる。
【0167】
APIの選択
薬物製剤は、解剖学的区画に送達するのに有用であろう任意の治療剤、予防剤、または診断剤を本質的に含むことができる。本明細書に開示されるインプラント薬物送達デバイスは、「デバイスの使用および用途」に記載される用途のために当該技術分野において使用される剤を含むが、これらに限定されない、少なくとも1つの医薬的活性物質、ならびにそれらの組み合わせを含む。一実施形態では、薬物送達デバイスは、2つ以上の医薬的活性物質を含む。この事例では、医薬的活性物質は、同一の親水性もしくは疎水性、または異なる親水性もしくは疎水性を有することができる。
【0168】
疎水性医薬的活性物質の非限定的な例は、カボテグラビル、ダピビリン、プロピオン酸フルチカゾン、クロルジアゼポキシド、ハロペリドール、インドメタシン、プレドニゾン、およびエチニルエストラジオールを含む。親水性医薬的活性物質の非限定的な例は、アシクロビル、テノホビル、アテノロール、アミノグリコシド、エキセナチドアセテート、ロイプロリドアセテート、アセチルサリチル酸(アスピリン)、およびレボドパを含む。
【0169】
いくつかの場合では、医薬的活性物質は、クロロキンまたはヒドロキシクロロキン、その医薬的に許容される塩、またはその組み合わせである。いくつかの場合では、医薬的に許容される塩は、二リン酸塩などのリン酸塩、もしくは二塩化物などの塩化物、またはそれらの組み合わせである。
【0170】
いくつかの場合では、医薬的活性物質は、抗菌剤である。いくつかの場合では、抗菌剤は、広域抗菌剤である。抗菌剤の非限定的な例は、アジスロマイシンを含む。
【0171】
いくつかの場合では、医薬的活性物質は、抗ウイルス剤である。抗ウイルス剤の非限定的な例は、レムデシビル(Gilead Sciences)、アシクロビル、ガンシクロビル、およびリバビリン、ならびにそれらの組み合わせを含む。いくつかの場合では、医薬的活性物質は、抗レトロウイルス薬である。いくつかの場合では、抗レトロウイルス薬は、HIV/AIDSを治療するために使用される。抗レトロウイルス薬の非限定的な例は、プロテアーゼ阻害剤を含む。
【0172】
いくつかの場合では、医薬的活性物質は、免疫および線維化プロセスに影響を与える剤である。免疫および線維化プロセスに影響を与える剤の非限定的な例は、Rho関連コイル状コイルキナーゼ2(ROCK2)の阻害剤、例えば、KD025(Kadmon)を含む。
【0173】
いくつかの場合では、医薬的活性物質は、サーチュイン(SIRT1~7)阻害剤である。いくつかの場合では、サーチュイン阻害剤は、EV-100、EV-200、EV-300、またはEV-400(Evrys Bio)である。いくつかの場合では、サーチュイン阻害剤の投与は、ヒト宿主の細胞代謝および免疫を回復する。
【0174】
本明細書に記載される医薬的活性物質は、単独で、または組み合わせて投与することができる。医薬的活性物質の組み合わせは、1つのインプラントまたは複数のインプラントを使用して投与することができる。いくつかの場合では、本明細書に記載されるインプラントは、1つの医薬的活性物質を含む。いくつかの場合では、本明細書に記載されるインプラントは、2つ以上の医薬的活性物質を含む。いくつかの場合では、本明細書に記載されるインプラントは、医薬的活性物質の組み合わせを含む。いくつかの場合では、医薬的活性物質の組み合わせは、クロロキンおよびアジスロマイシン、ヒドロキシクロロキンおよびアジスロマイシン、ロピナビルおよびリトナビル、KD025およびリバビリン、KD025およびレムデシビル、EV-100およびリバビリン、またはEV-100およびレムデシビルである。
【0175】
一実施形態では、HIVならびにHBVは、テノホビルアラフェナミド、ラミブジン(3TC)、およびドルテグラビル(DTG)の強力なプロ薬物の組み合わせを含むが、これらに限定されない、強力な抗ウイルス剤を送達する1つ以上のインプラントを使用して治療および/または予防することができる。
【0176】
一実施形態では、HIVに対する2つ以上のAPIを送達するIVRは、有利であり得る。非限定的な例は、DTG、エルビテグラビル、抗ウイルスペプチドC5A、ならびにVRC01などのHIVに対する広範囲に中和された抗体などの異なる機械的クラスからの第3の抗HIV化合物と組み合わせられている、テノホビルジソプロキシルフマル酸塩(TDF)およびエムトリシタビン(FTC)を含む。いくつかの実施形態では、TDFは、これらの組み合わせにおけるFTCなしで使用される。他の実施形態では、FTCは、これらの組み合わせにおけるTDFなしで使用される。
【0177】
任意の所与の医薬的活性物質の適合性は、任意の所与の医療的用途によって制限または予測されるものではなく、むしろ以下の非限定的なパラメータの関数である。
【0178】
効力;APIの効力は、それを1つ以上のインプラントに製剤化することができるかどうかを決定し、使用の標的期間にわたって、主要な解剖学的区画内の薬理学的に関連する濃度を維持する(「実施例1」を参照)。いくつかの場合では、それは、解剖学的区画(例えば、IVR)に応じて、一度に1つのインプラントのみを使用することが可能であり得る。
【0179】
インプラントペイロード;選択したインプラントに処方することができるAPIの量、および一度にインプラントされる実現可能なデバイスの数は、APIの効力と共に、所与の用途のためのAPIを選択する際の主要な制限要因である(「実施例1」および「実施例2」を参照)。
【0180】
溶解性;APIの水溶性は、インプラントを介した送達が標的速度で達成可能であるようにしなければならない。APIの溶解性、ひいては放出速度はまた、好適な賦形剤を使用して、医薬的に許容される塩を調製することによって、ならびに当該技術分野において周知のプロ薬物へのコンジュゲーションを介して、上述の配合戦略を介して調節される(増加または減少させる)ことができる。
【0181】
標的とされた送達;本明細書に開示されるようなインプラント薬物送達は、全身循環系(例えば、皮下または筋肉内インプラント)または局所区画(例えば、膣または眼デバイス)を標的とすることができる。
【0182】
局所毒性;開示される出願で想定される多くのAPIの全身毒性プロファイルは、インプラントへの製剤化の前に、特にFDAが承認した剤を使用する場合に決定される。したがって、植え込み部位の局所毒性は、これらの場合の最大の安全上の懸念事項であり、APIの送達速度を制限する可能性がある。いくつかの場合では、薬物は、低い治療指数(TI)を有し、標的薬理学的区画に安全かつ有効な濃度を提供するためにインプラントからの薬物放出速度を制御することができない場合がある。
【0183】
コスト;APIコストおよび/または製造コストは、ある特定の場合では制限される可能性がある。
【0184】
任意の所与のAPIおよび医療的用途のためのインプラント仕様のインシリコ予測および標的製品プロファイルの開発は、他の徐放性薬物送達技術について当該技術分野において既知であるように非常に困難であり、通常、薬物動態(PK)および薬力学(PD、安全性および有効性)の観点から薬理学の臨床的検証に続く前臨床試験を必要とする。
【0185】
API製剤
薬物製剤は、薬物のみからなり得、または1つ以上の他の剤および/もしくは1つ以上の医薬的に許容される賦形剤を含み得る。医薬的に許容される賦形剤は、当該技術分野において既知であり、粘度調節剤、増量剤、表面活性剤、分散剤、崩壊剤、浸透剤、希釈剤、結合剤、抗付着剤、滑沢剤、流動促進剤、pH調節剤、抗酸化剤および防腐剤、ならびに薬物の取り扱いを容易にするおよび/または薬物の放出動態に影響を与えることを意図した製剤の他の非活性成分を含み得る。
【0186】
いくつかの実施形態では、結合剤および/または崩壊剤は、デンプン、ゼラチン、カルボキシメチルセルロース、クロスカルメロースナトリウム、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、微結晶セルロース、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、デンプングリコール酸ナトリウム、ラクトース、スクロース、グルコース、グリコーゲン、プロピレングリコール、グリセロール、ソルビトール、ポリソルベート、およびコロイド状二酸化ケイ素を含み得るが、これらに限定されない。ある特定の実施形態では、抗接着剤または潤滑剤は、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、フマル酸ステアリルナトリウム、およびベヘン酸ナトリウムも含み得るが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、流動促進剤は、ヒュームドシリカ、タルク、および炭酸マグネシウムを含み得るが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、pH調節剤は、クエン酸、乳酸、およびグルコン酸を含み得るが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、抗酸化剤および保存剤は、アスコルビン酸、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、システイン、メチオニン、ビタミンA、ビタミンE、安息香酸ナトリウム、およびパラベンを含み得るが、これらに限定されない。
【0187】
API放出に対する賦形剤の効果
本明細書に開示されるデバイスは、デバイスからのAPIの放出を促進および/または制御するための賦形剤を含むことができる。これらの賦形剤の非限定的な例は、PEGおよびTECを含む。APIの放出動態は、本明細書に開示されるデバイスに異なる賦形剤を組み込むことによって調節することができることが想定される。すなわち、APIの放出動態は、その中に含まれる賦形剤の性質および/または量を変更することによって、広範囲にわたって調整することができる。いくつかの場合では、デバイスは、低濃度の賦形剤、例えば、約0重量%~約30重量%の賦形剤を含有する。いくつかの場合では、賦形剤は、ポリエーテルまたはエステルである。いくつかの場合では、賦形剤は、PEGまたはTECである。いくつかの場合では、デバイスは、APIのより低い徐放性を達成するためのPEGを含む。いくつかの場合では、デバイスは、より即時的でより大きい用量のAPIを達成するためにTECを含む。
【0188】
標的インプラント仕様
植え込みデバイスに組み込まれる医薬的活性物質の量はまた、医薬的に有効な量として計算することができ、本インプラントのデバイスは、医薬的に有効な量の1つ以上の医薬的活性物質を含む。「医薬的に有効な」とは、対象に所望の生理学的または薬理学的変化をもたらすのに十分な量を意味する。この量は、特定の医薬的活性物質の効力、医薬的活性物質の密度、インプラントの形状、所望の生理学的または薬理学的効果、および意図される治療の期間などの要因に応じて変化する。
【0189】
いくつかの実施形態では、医薬的活性物質は、植え込みデバイス当たり約1mg~約25,000mgの医薬的活性物質の範囲の量で存在する。これは、植え込みデバイス当たり約2mg~約25mg、約25mg~約250mg、約250mg~約2,500mg、および約2,500~約25,000mgの医薬的活性物質の範囲の量である実施形態を含む。
【0190】
薬物デポのサイズは、インプラントにおける医薬的活性物質の最大量を決定する。例えば、皮下インプラントは、伝統的に、直径2~5mm、長さ40mmの円筒形のデバイスからなる。この性質の植え込みデバイス当たりの医薬的活性物質の最大量は、1,000mg未満である。典型的なIVRの重量は、10g未満であり、これは、この性質の植え込みデバイス当たりの医薬的活性物質の最大量が10g未満であることを意味する。
【0191】
本明細書に記載されるインプラント薬物送達デバイスのある特定の実施形態では、第1の治療剤は、約0.1%~99%w/wのカーネルにおいて存在する。他の実施形態では、第1の治療剤は、約0.1~1%w/w、約1~5%w/w、約5~25%w/w、約25~45%w/w、約45~65%w/w、約65~100%w/w、約65~75%w/w、または約75~85%w/w、または約85~99%w/wでカーネルにおいて存在する。
【0192】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載されるインプラント薬物送達システムは、1、2、3、4、5、または6週間の期間にわたって、そこに含有される治療剤を放出することが可能である。ある特定の実施形態では、本明細書に記載されるインプラント薬物送達システムは、8、10、12、または14週間の期間にわたって、そこに含まれる治療剤を放出することが可能である。ある特定の実施形態では、本明細書に記載されるインプラント薬物送達システムは、1、2、3、または6ヶ月の期間にわたって、そこに含まれる治療剤を放出することが可能である。ある特定の実施形態では、本明細書に記載されるインプラント薬物送達システムは、1、2、3、または4年の期間にわたって、そこに含まれる治療剤を放出することが可能である。
【0193】
一実施形態では、本明細書に記載される皮下インプラント薬物送達システムは、3、4、6、もしくは6週間、または8、10、12、もしくは14週間、または1、2、3、6、もしくは12ヶ月の期間にわたって、0.05~3mg d-1の平均速度で、テノホビルアラフェナミド(TAF)またはその医薬的に許容される塩を放出することが可能である。ある特定の実施形態では、本明細書に記載される皮下インプラントは、0.1~2mg d-1の平均速度で、TAF、またはその医薬的に許容される塩を放出することが可能である。ある特定の実施形態では、本明細書に記載される皮下インプラントは、0.1~1mg d-1の速度で、3、6、または12ヶ月の期間にわたって、TAFまたはその医薬的に許容される塩を放出することが可能である。ある特定の実施形態では、本明細書に記載される皮下インプラントは、0.25mg d-1の平均速度で、TAF、またはその医薬的に許容される塩を放出することが可能である。ある特定の実施形態では、本明細書に記載される皮下インプラントは、0.5mg d-1の平均速度で、TAF、またはその医薬的に許容される塩を放出することが可能である。ある特定の実施形態では、本明細書に記載される皮下インプラントは、平均1mg d-1で、TAF、またはその医薬的に許容される塩を放出することが可能である。
【0194】
本明細書に記載されるインプラント薬物送達デバイスのある特定の実施形態では、第2の治療剤は、約5~50%w/wでスキンにおいて存在する。他の実施形態では、第2の治療剤は、スキンの約10~50%w/w、約20~50%w/w、約10%、30%または50%w/wでスキンにおいて存在する。
【0195】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載されるインプラント薬物送達システムは、室温で安定である。本明細書で使用される場合、「室温」は、約18℃~約30℃のどこかにある。本明細書で使用される場合、物理的インプラント薬物送達システムは、少なくとも約1ヶ月間約18~30℃で格納することができるシステムである。
【0196】
インプラント製作
本明細書に記載されたものはまた、インプラント薬物送達システムを製造する方法である。
【0197】
ポリマー分散体における薬物および/または賦形剤を含むインプラント製作
薬物および/または賦形剤がエラストマー(例えば、マトリックスタイプ植え込みデバイス)における固体形態で溶解または懸濁されたインプラントは、当該技術分野において既知の方法を使用して製作されている。例えば、押出プロセスを、使用することができる。粉末に凍結させたエラストマーペレットは、原薬粉末とブレンドされている。代替的に、原薬は、押出機への導入前にエラストマーペレットと直接組み合わせられ得、または原薬とエラストマーペレットの混合は、所望の薬物-ポリマー比を達成するために、押出スクリューへの原薬およびエラストマーの質量流量を制御する連続プロセスであり得る。0.1~99%w/wの広範囲にわたる原薬濃度は、このアプローチと共に使用することができる。薬物およびポリマーブレンドは、インプラント薬物製品を生成するために熱溶融成形されている。
【0198】
本明細書に記載されているのはまた、薬物および/または賦形剤が、以下を含む本明細書に記載されるエラストマー(例えば、マトリックスタイプ植え込みデバイス)における固体形態で溶解または懸濁された、インプラントの製造方法である。
【0199】
第1の治療剤を含む均質なポリマーカーネル粒状物および第2の治療剤を含む充填スキン層粒状物、または単に非薬用スキンを製造すること、
【0200】
第1の治療剤を含むカーネル粒状物と、第2の治療剤(または非薬用)を含むスキン層粒状物とを共押し出して二層薬物送達システムを形成するか、または第1の治療剤を含むカーネル粒状物を追加のカーネル層および/もしくは第2の治療剤(または非薬用)を含むスキン粒状物と共押し出して多層薬物送達システムを形成すること。
【0201】
本明細書に記載されているのはまた、薬物充填されたカーネルまたはスキン顆粒を製造する以下の方法である。
a)ポリマーを粉砕すること、
b)粉砕されたポリマーをそれぞれの活性化合物と乾燥粉末混合すること、
c)得られたステップ(b)の粉末混合物をブレンド押出成形すること、
d)得られた充填ポリマーストランドを顆粒に切断し、それにより、カーネル顆粒および/またはスキン層顆粒を得ること、
e)必要に応じて、共押出しの前に顆粒を潤滑すること。
【0202】
リザーバインプラント製作
本明細書に記載されたものはまた、リザーバ設計のインプラント薬物送達システムを製造する方法である。
【0203】
リザーバタイプインプラントの一実施形態では、API、および任意の他の固体剤または賦形剤は、当該技術分野において既知の充満方法を使用して、粉末またはスラリーとしてインプラントシェルに充満することができる。別の実施形態では、固体活性剤および担体は、当該技術分野において一般的な手段を使用して、活性剤(7、95)の充填を最大化するために、マイクロ錠剤/錠剤形態に圧縮することができる。
【0204】
一実施例では、薬物製剤は、固体薬物ロッドの形態である。薬物ロッドの実施形態、およびこのような薬物ロッドの作製方法は、参照によりその全体が組み込まれる、(104)などの当該技術分野において記載されている。薬物ロッドは、当該技術分野において既知の他の押出成形または鋳造技術を適合させることによって形成され得る。例えば、APIを含む薬物ロッドは、チューブをAPIの水溶液で充満し、次いで溶液を蒸発することを可能にすることによって形成され得る。別の例の場合、APIを含む薬物ロッドは、当該技術分野において既知であるように、押出によって形成され得る。多くの実施形態では、薬物製剤は、体積/サイズの最小化という同一の理由のために、望ましくは、賦形剤を含まないか、または最小量を含む。
【0205】
インプラントの開放端は、滑らかな端としっかりとしたシールを確保するために、予め製造されたエンドプラグで栓をすることができる(500)。プラグは、摩擦力(例えば、シールを形成するために共にロックするリムおよび溝)、接着剤、誘導溶接もしくはレーザー溶接、またはプラグおよびインプラント端部を共に溶融させる別の形態のヒートシーリングを使用して、インプラント端部でシールされ得る。別の実施形態では、端部は、熱シーリング、誘導溶接、レーザー溶接、または接着剤によるシーリングを含むが、これらに限定されない、当業者に既知のいくつかの方法のうちの1つによって、固体プラグを使用せずにシールされる(501)。
【0206】
多孔性インプラントコンポーネントの製作
多孔性材料(1つまたは複数)は、上記に詳細に記載されるように、カーネルまたはスキンのいずれかのためにインプラント製作に使用することができる。一実施形態では、植え込みデバイスのAPI透過性部分は、ポリウレタン、シリコン、または他の好適なエラストマー材料の多孔性膜から形成されている。連続気泡発泡体およびその製造は、当業者に既知である(105)。連続気泡発泡体は、製造プロセス中に存在する発泡剤、典型的には二酸化炭素もしくは水素ガス、または低沸騰液体を使用してポリマーにおける閉じた孔を形成し、続いて、細胞間のシールを破り、拡散が生じ得る相互接続された多孔性構造を形成する細胞開放ステップを通じて生成され得る。代替的な実施形態は、API放出のために規則正しい多孔性ポリマー膜を作製するために、呼吸図法を採用する(106)。この方法では、六角形のマイクロ細孔配列は、湿潤な流れ下で行われる高速溶媒蒸発中の水滴縮合によって得られる。多孔性膜はまた、ポロゲン浸出法(107)を使用して製作され得、それにより、ポリマーは、所望の形状に鋳造、回転コーティング、押出、または他の処理の前に、制御されたサイズの塩または他の可溶性粒子と混合される。次いで、ポリマー複合体は、当該技術分野において既知である適切な溶媒に浸漬され、ポロゲン粒子は、浸出され、浸出されたポロゲン粒子の数およびサイズによって制御される多孔度を伴う構造を残す。好ましいアプローチは、水溶性粒子および水を、ポロゲン浸出および除去のための溶媒として使用することである。93%までの多孔度値および500μmまでの平均孔径を伴う高多孔性足場は、この技術を使用して形成することができる。この方法の変形例は、溶融成形であり、成形型にポリマー粉末およびポロゲンを充満し、ポリマーのガラス転移温度よりも高い温度で成形型を加熱して足場を形成することを含む。成形型から除去した後、ポロゲンは、モフォロジー(ポロゲンから)および形状(成形型から)の独立した制御を伴う多孔性構造を形成するために浸出される。
【0207】
相分離プロセスはまた、多孔性膜を形成するために使用することができる(107)。第2の溶媒は、ポリマー溶液に添加され(焼入れ)、混合物は、ポリマー豊富相およびポリマー欠乏相を形成するために相分離を受ける。ポリマー豊富相は、固化し、ポリマー欠乏相は、除去され、ポリマー濃度、温度、および焼入れ速度などのパラメータによって制御されたマイクロ構造およびマクロ構造を伴って、非常に多孔性なポリマーネットワークが残る。同様のアプローチは、ポリマー溶液が凍結状態に冷却され、溶媒が氷結晶を形成し、ポリマーが間隙空間に凝集する凍結乾燥である。溶媒は、昇華によって除去され、相互結合された多孔性ポリマー構造をもたらす(107)。多孔性ポリマー膜を形成するための最終的な方法は、連続気泡ネットワークを作製するために、延伸プロセスを使用ことである(108)。
【0208】
多孔性金属材料は、伝統的な焼結プロセスによって製作され得る(109、110)。ルース(loose)粉末または重力焼結は、粒子が拡散結合プロセスによって結合するにつれて、詰め込まれた粉末における空隙から細孔を作り出す。細孔サイズおよび密度は、主に出発金属粉末材料のモフォロジーによって決定され、制御することが困難である。ポロゲンは、ポリマー発泡体について本明細書に記載されているものに類似した方法で、細孔サイズが100~600μmの、多孔度が約35~80%の連続気泡相互接続金属発泡体を作製するために使用され得る。ポロゲンは、塩(例えば、NaCl、NaF、およびNH4HCO3)、有機材料[例えば、タピオカデンプン(111)、尿素(112~114)]、または他の金属(例えば、マグネシウム)を含み得る。ポロゲンは、焼結中もしくは焼結後プロセス中に、または溶媒中に溶解させることによって、熱的に細孔を形成するために除去される。ニチノールの高い融点(1310℃)は、多孔性材料の調製方法を粉末冶金技術(115)に限定する。材料は、焼結プロセス中にNiTi合金を形成するために、Ni粉末およびTi粉末を所定の比率で焼結することによって調製することができる。代替的に、予合金化されたNiTi粉末は、制御されたNi-Ti比を伴う多孔性構造を形成するために、追加のポロゲンを用いて、または用いずに焼結され得る。
【0209】
インプラントコンポーネントの付加製造
俗に当該技術分野においては3D印刷技術と呼ばれる、付加製造は、プラスチックの製作のための最も急速に成長する用途の1つである。インプラントを構成するコンポーネントは、複雑で非対称な三次元構造を、参照により本明細書に組み込まれる、当業者に既知のもの(116、117)などの3D印刷デバイスおよび方法を使用して得ることを可能にする付加的技術によって製作することができる。現在、付加製造のための3つの主な方法、ステレオリソグラフィ(SLA)、選択的レーザー焼結(SLS)、および融着モデリング(FDM)がある。
【0210】
SLAプロセスは、液体プラスチック樹脂、光重合体を必要とし、次いで、紫外線(UV)レーザーによって硬化される。SLAマシンは、印刷を完了するために過剰な量のフォトポリマーを必要とし、一般的なgコードフォーマットは、CADモデルをプリンタの組立指示書に変換するために使用され得る。SLAマシンは、典型的には、過剰なフォトポリマーをプリントベッドの下のタンクに格納し、印刷プロセスが続くと、ベッドは、タンク内に下げられ、途中で連続した層を硬化させる。レーザーの断面積が小さいため、SLAは、小さな部品が完了するまでに数時間または数日かかる可能性があるため、より遅い添加剤製作方法の1つと見なされている。追加的に、独自の性質および光重合体の入手性が限定されているため、材料コストは、比較的高くなる。一実施形態では、インプラントの1つ以上のコンポーネントは、SLAプロセスによって製作されている。
【0211】
SLSプロセスは、SLAと類似しており、高エネルギーパルスレーザーの使用を通じて層ごとに部品を形成する。しかしながら、SLSでは、プロセスは、粉末形態におけるバルク材料が満載されたタンクからで開始する。印刷が続くにつれて、ベッドは、新しい層ごとにそれ自体を下げ、有利には、下層を形成する際に使用されない余分なバルク粉末で上層のオーバーハングを支持する。処理を容易にするために、バルク材料は、典型的には、当該技術分野(118)に記載されているように、より速い粒子融合および印刷移動を可能にするために、その遷移温度のちょうど下まで加熱される。一実施形態では、インプラントの1つ以上のコンポーネントは、SLSプロセスによって製作されている。
【0212】
伝統的な焼結によって形成された多孔性金属材料は、最終製品の固有の脆性、ならびに細孔形状および分布の制限された制御に悩まされる可能性がある。付加製造技術は、これらの制限のいくつかを克服し、様々な細孔パラメータおよび機械的特性の制御を改善し、複雑な形状および幾何学形状を伴う部品の製作を可能にすることができる。これらは、SLS(119)、選択的レーザー溶融(SLM)(69、120)などの粉末ベッドを使用する技術を含む。アルミニウムおよびチタンの複合材料は、低出力(25~40W)でレーザー出力を変化させることによって、多孔度特性および機械的特性の制御を伴うSLSによって製造することができ、材料は、より高いレーザー出力(60~100W)でより高い多孔度およびより低い機械的強度を表し、高密度部品は、インプラント構造設計から生成されたマクロ多孔度で形成された(121)。高度な製造プロセスは、部品を付加的に製造するための層状製造に基づき得る。CAD/CAMベースの層状製造技術は、制御された多孔度を伴う多孔性部品のニアネットシェイプ製作における用途を見出した。電子ビーム溶融(EBM)プロセスおよび直接金属レーザー焼結(DMLS)プロセスは、制御された多孔度特性および所望の外部特性ならびに内部特性を伴う多孔性特注チタンインプラントの直接的なデジタル対応製作を可能にする(122、123)。典型的には、これらの迅速な製造技術は、航空宇宙用途に利用されるが、システムは、医療用インプラントの製作に使用するために容易に拡張することができる。EBMは、金属粉末層を電子ビームで層ごとに溶融させることにより、金属粉末を所定の3D構造に有向固化させることにより、高密度で多孔性な金属部品を生成することができる、金属への直接CADプロトタイプ作成プロセスである。SLSプロセスおよびSLMプロセスは、類似しているが、レーザーを使用して粉末を溶融させ、典型的にはより密度の高い構造を生成する。Ti合金繊維の直接3D堆積および焼結は、制御された多孔度100~700μm)および全多孔度(90%まで)の足場を生成することができる(124~126)。代替は、ネットシェイプ化レーザー設計(Laser Engineered Net Shape、LENS)処理であり、集中した高出力レーザービームによって生成された溶融プールに注入された金属粉末を使用することによって、コンピュータ支援設計(CAD)ソリッドモデルから直接金属部品を製作するために開発された付加製造技術である(119、127)。
【0213】
FDMは、ポリマーまたは焼結粒子を共に形成するためにレーザーを使用するのではなく、ポリマー溶融物から高温で連続した材料層を押し出して敷設し、次の層が堆積する前に、隣接する層が共に冷却および結合することを可能にすることによって機能する。最も一般的なFDMアプローチでは、縮合繊維製作(FFF)、フィラメントの形態のポリマーは、加熱されたプリントヘッドプリントに連続的に供給され、それによって、ポリマーは溶融し、プリント表面上に堆積される。プリントヘッドは、ポリマーを1層に堆積させるために水平面上に移動し、プリントヘッドまたは印刷プラットフォームは、新しい層を開始するために垂直軸に沿って移動する。第2のFDMアプローチは、伝統的な単一スクリュー押出機に基づくプリントヘッド設計を使用して、ポリマー粒子(粉末、フレーク、またはペレット)を溶融させ、ポリマー溶融物をノズルを通して強制し、それによって、FFFと同様にプリント表面上に堆積させる。このアプローチは、別個の押出ステップを通じて最初にフィラメントを製作することを必要とすることなく、それらの造粒形態の標準的なポリマー材料を使用することを可能にする。一実施形態では、インプラントの1つ以上のコンポーネントは、FDMおよび/またはFFFプロセスによって製作されている。
【0214】
別の実施形態では、Arburg Plastic Freeforming(APF)(128)は、インプラント製作において使用される付加製造技術である。この実施形態では、単一のスクリューを伴う可塑化シリンダは、熱可塑性射出成形のプロセスと同様に均質なポリマー溶融物を生成するために使用されている。ポリマー溶融物は、スクリューシリンダから圧電作動堆積ノズルに圧力下で供給される。ノズルは、予め計算された位置に制御されたサイズの個々のポリマー液滴を排出し、融合した液滴から三次元ポリマープリントの各層を構築する。スクリューおよびノズル組立体は、所定の位置に固定され、プリント部品を保持するビルドプラットフォームは、液滴堆積位置を制御するために3軸に沿って移動される。液滴は、固体部分を形成するために冷却で共に結合した。この技術は、高温(約300℃)および圧力(約400bar)で動作することができる。APF法の1つの利点は、それが、射出成形および押出に使用される多くのプロセス(例えば、造粒ポリマー原料、有機溶媒なし)と直接的に適合可能であることである。
【0215】
別の実施形態では、液滴堆積モデリング(DDM)は、インクジェットシステムのための当該技術分野において周知の、堆積中の材料の離散的な流れを生成することによって、付加製造技術として使用される。
【0216】
三次元構造を形成するための連続層堆積を回避する付加製造の好ましい方法は、Carbon3Dによって最近開発された技術である連続液体界面製造(CLIP)を使用することである。CLIPでは、三次元物体は、制御された酸素条件下で紫外線を使用して、連続的に重合されて所望の幾何学形状を伴うモノリシック構造を形成する、高速で連続的な液体樹脂の流れから構築される。CLIPプロセスは、毎時数百mmの速度で樹脂から引き出される固体部品を生成することが可能である。複雑な幾何学形状を含むインプラント足場は、ポリウレタンおよびシリコンを含む様々な材料からのCLIPを使用して形成され得る。
【0217】
一実施形態では、インプラントは、完全無菌条件下で製造されている。別の実施形態では、インプラントは、ガンマ滅菌、蒸気滅菌、乾熱滅菌、紫外線照射、エチレンオキシド滅菌などのような当該技術分野において既知の方法を使用して末端滅菌されている。
【0218】
デバイスの植え込みおよび除去のための方法
IVR、またはIUD、ペッサリーなどの他の膣デバイスの挿入および除去のための方法は、当該技術分野において既知である。同様の方法は、植え込み可能なデバイスが膣薬物送達デバイスである実施形態のために使用することができる。
【0219】
皮下または筋肉内薬物送達デバイスを記載する植え込みの実施形態は、本明細書に記載されている。いくつかの実施形態では、1つ以上のデバイスは、共に植え込まれている。一実施形態では、挿入および除去は、医療専門家によって実行されている。
【0220】
本開示のデバイスは、訓練された専門家による標準的な手順に従って、対象/患者に植え込まれることができる。「対象/患者」という用語は、すべての哺乳動物(例えば、ヒト、貴重な家畜、スポーツ動物または農場動物、実験動物)を含む。一実施形態では、挿入は、代わりに、アクセスを容易にするためにトロカールを使用することによって促進することができる。このようなデバイスの挿入および除去(129、130)は、例えば、皮下インプラントについて当該時術分野において記載されており、参照により本明細書に完全に組み込まれる(131、132)。
【0221】
溶解性/再吸収性インプラントは、通常の条件下では除去を必要としないと予想される。
【0222】
摘出のための標的となるインプラントの識別は、インプラント製造に組み込まれる予定のトラッキングマーカーに基づいて、触診およびイメージング技術(超音波、磁気検出、赤外線、X線、または同様の方法)の使用によって識別される。
【0223】
一旦識別されると、局所麻酔薬は、小さな切開が行われる(通常は約2~6mm)インプラントの遠位端に局所的に塗布/注入され、インプラントを視覚的に識別し、遠位端を掴む/引っ掛けるために、標準的な平滑末端鉗子またはおよび同様のものを使用して、インプラントを識別し、および/または適応(穴)を取り戻すことを可能にする。次いで、モスキート鉗子または同様の鉗子は、端部を掴むために挿入される。
【0224】
インプラントのコンポーネントならびに個々の応答に基づいて、ほとんどのものは、合併症を伴わずに直接把握して引き抜くことができる。多くは、インプラントの後端/近位端に手/器具で圧力をかけると「押し出される」ことができる。
【0225】
インプラントシース
ePTFEは、生理食塩水またはシリコンゲル乳房インプラントが外科的に配置されているポケットに並ぶシース材料として当該技術分野において使用されている(上記参照)。ePTFEライナーは、インプラントがカプセル(瘢痕組織)の形成なしに成長中の組織によって身体と一体化することを可能にし、また、ポケットが自ら閉じるのを防ぎ、したがってポケットを開いたままにする。典型的なePTFEライナーは、0.35mm厚であり、約40μmのマイクロ多孔度を有する。これは、材料の周囲に繊維状の傷跡を形成することなく、本体が細孔内に成長することを可能にする。材料は、永久的であり、身体内で劣化しない。それは、必要に応じて除去することができる。いくつかの実施形態では、ePTFEライナーは、インプラントが位置する皮下ポケットに配置され、異物反応を低減して、連続療法のためのインプラント交換を容易にする。いくつかの実施形態では、ePTFEライナーは、インプラントが位置する筋肉内ポケットに配置され、異物反応を低減して、連続療法のためのインプラント交換を容易にする。
【0226】
本明細書に提供されるのは、患者の身体内への植え込みのためのデバイスである。いくつかの場合では、身体内への植え込みは、無菌の解剖学的区画への植え込みを含む。いくつかの場合では、無菌の解剖学的区画は、皮下腔、筋肉内空間、眼、耳、および脳から選択される。いくつかの場合では、無菌の解剖学的区画は、皮下腔である。いくつかの場合では、無菌の解剖学的区画は、筋肉内空間である。いくつかの場合では、無菌の解剖学的区画は、眼である。いくつかの場合では、無菌の解剖学的区画は、耳である。いくつかの場合では、無菌の解剖学的区画は、脳である。
【0227】
いくつかの場合では、身体内への植え込みは、非滅菌の解剖学的区画への植え込みを含む。いくつかの場合では、非無菌の解剖学的区画は、膣、直腸、および鼻腔から選択される。いくつかの場合では、非無菌の解剖学的区画は、膣である。いくつかの場合では、非無菌の解剖学的区画は、直腸である。いくつかの場合では、非無菌の解剖学的区画は、鼻腔である。
【0228】
本明細書に提供されるのは、患者の身体内に配置されるように適合された形状を備えるデバイスである。いくつかの場合では、デバイスは、カプセル形状である。
【0229】
デバイスの使用および用途
本明細書に記載されるインプラントシステムの主な目的は、以下で「用途」と呼ばれる、対象における医療状態の治療、医療状態の予防、医療状態を有する可能性の低減、医療状態の重症度の低減、および/または医療状態の進行の減速を目的として、1つ以上のAPIを身体区画に送達することである。いくつかの場合では、解剖学的区画は、膣である。他の場合では、標的となる身体区画は、全身循環である。主要な目的は、より頻繁な投薬レジメンに関連付けられた治療および予防への固守における問題を低減させることによって、患者のコンプライアンスを向上させる関連する意図によって増強されるものである。したがって、本開示は、複数の用途に関する。このような用途の例示的な非限定的な例は、概要の形式で以下に提供されている。これらの実施例に基づいて、当業者は、開示された技術を他の用途に適合させることができる。当業者であれば、このような用途が局所用薬物送達(例えば、IVRなどの特定の膣植え込みデバイス)または全身用薬物送達(例えば、皮下または筋肉内植え込みデバイス)を含むかどうかを認識するだろう。
【0230】
複数の重複する感染症を含む感染症疾患:
いくつかの場合では、感染性疾患などの本明細書に開示される疾患または障害に対して治療を必要とする患者は、疾患または障害に対して症候性である。いくつかの場合では、感染性疾患などの本明細書に開示される疾患または障害に対して治療を必要とする患者は、疾患または障害に対して無症候性である。本明細書に開示される疾患または障害の治療を必要とする患者は、限定されないが、医師または看護師のような、熟練した施術者によって識別することができる。
【0231】
生物学的製剤を含む1つ以上の好適な抗レトロウイルス剤、および/もしくはインプラントから送達される1つ以上のワクチンおよび/もしくはアジュバントを使用するHIV予防;およびインプラントから送達される生物学的製剤を含む1つ以上の好適な抗レトロウイルス剤を使用した治療、
【0232】
インプラントから送達される1つ以上の好適な抗菌剤による、活性型および慢性活性型の両方の予防または治療を含むが、これらに限定されない性感染症(STI)。性感染症の例示的な例は、淋病、クラミジア、性リンパ肉芽腫、多剤耐性(MDR)生物を含む梅毒、C型肝炎ウイルス、および単純ヘルペスウイルスを含むが、これらに限定されない。
【0233】
細菌性膣症(BV)、ならびにインプラントから送達される1つ以上の好適な薬剤による、活性型および慢性活性型の両方の予防または治療を含むが、これらに限定されない他の微生物性膣障害状態、
【0234】
インプラントから送達される1つ以上の好適な抗ウイルス剤による、活性型および慢性型の両方のB型肝炎ウイルス(HBV)の予防または治療、
【0235】
単純ヘルペスウイルス(HSV)および水痘帯状疱疹ウイルス(帯状疱疹)帯状疱疹/帯状疱疹、インプラントから送達される1つ以上の好適な抗ウイルス剤による、活性型および慢性型の両方の予防または治療、
【0236】
インプラントから送達される1つ以上の好適な抗ウイルス剤による、活性型および慢性型の両方のサイトメガロウイルス(CMV)および先天性CMV感染の予防または治療、
【0237】
インプラントから送達される1つ以上の好適な抗菌剤による、活性型および慢性活性型の両方のマラリアの予防または治療、
【0238】
多剤耐性(MDR)および広範囲にわたる薬物耐性(XDR)結核を含む結核、インプラントから送達される1つ以上の好適な抗菌剤を用いて、活性型および慢性の両方の活性型の予防または治療。
【0239】
インプラントから送達される1つ以上の好適な薬剤によるニキビの、治療または管理。
【0240】
インフルエンザウイルスおよびコロナウイルス、例えば、SARS-CoV-2を含むが、これらに限定されない呼吸器ウイルス感染症の予防または治療。
【0241】
インフルエンザは、季節的流行で世界中に広がり、パンデミックの年には年間数十万人が死亡している。例えば、3つのインフルエンザのパンデミックが20世紀に起こり、何千万人もの犠牲者が出たが、これらのパンデミックの各々は、ヒトにおけるウイルスの新しい株の出現によって引き起こされた。多くの場合、これらの新しい株は、既存のインフルエンザウイルスが他の動物種からヒトに拡散することから生じる。インフルエンザウイルスは、オルトミクソウイルス科のRNAウイルスであり、5つの属:A型インフルエンザウイルス、B型インフルエンザウイルス、C型インフルエンザウイルス、イサウイルスおよびトゴトウイルスを含む。A型インフルエンザウイルスは、これらのウイルスに対する抗体応答に基づいて、異なる血清タイプに細分化することができる。ヒトで確認されている血清タイプは、既知のヒトパンデミック死の数で順に、以下の通りである。H1N1(1918年にスペインのインフルエンザを引き起こした)、H2N2(1957年にアジアのインフルエンザを引き起こした)、H3N2(1968年に香港のインフルエンザを引き起こした)、H5N1(2007~08年のインフルエンザシーズンのパンデミックの脅威)、H7N7(異常な動物性感染症の可能性を有する)、H1N2(ヒトおよびブタの固有種)、H9N2、H7N2、H7N3およびH10N7。B型インフルエンザは、季節性のインフルエンザを引き起こし、C型インフルエンザは、局所的な流行を引き起こし、B型インフルエンザとC型インフルエンザの両方は、A型インフルエンザよりも一般的ではない。
【0242】
コロナウイルスは、一般的な風邪から重度の急性呼吸器症候群(SARS)まで、ヒトに様々な疾患を引き起こす一般的なウイルスの科である。コロナウイルスはまた、動物にも多くの病気を引き起こす可能性がある。コロナウイルスは、電子顕微鏡写真におけるその特徴的な冠状様外観に由来する名前を有する包絡された正鎖RNAウイルスである。コロナウイルスは、ネストされたmRNAのセットを使用して複製するウイルスであるニドウイルス目内の科に分類される。コロナウイルス亜科はさらに、アルファコロナウイルス、ベータコロナウイルス、ガンマコロナウイルス、およびデルタコロナウイルスの4つの属に分類される。ヒトコロナウイルス(HCoV)は、これらの属のうちの2つ:アルファコロナウイルス(HCoV-229EおよびにHCoV-NL63を含む)ならびにベータコロナウイルス(HCoV-HKU1、HCoV-OC43、中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS-CoV)、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス(SARS-CoV)、およびSARS-CoV-2を含む)である。
【0243】
移植-移植片拒絶:
インプラントから送達される1つ以上の好適な薬剤による、移植後の慢性的な免疫抑制療法。
【0244】
ホルモン療法:
インプラントから送達される1つ以上の好適な薬剤による、エストロゲンおよびプロゲスチンを含む避妊、
インプラントから送達される1つ以上の好適な薬剤によるホルモン補充、
インプラントから送達される1つ以上の好適な薬剤によるテストステロン補充、
インプラントから送達される1つ以上の好適な薬剤による甲状腺補充/ブロッカー、
インプラントから送達される1つ以上の好適な薬剤を使用するトリグリセリド(TG)を調節するためのホルモン処理、
インプラントから送達される1つ以上の好適な薬剤を使用する、すべてのトランスジェンダーの個人のための慢性的な薬理学的支持(シストランスからのすべての段階)。
【0245】
生理学および病理生理学:
すべての臓器における下痢、膵臓不全、肝硬変、線維症の治療/管理を含むが、これらに限定されない、インプラントから送達される1つ以上の好適な薬剤による胃腸(GI)用途;GI関連寄生虫疾患、胃食道逆流症(GERD)、
インプラントから送達される1つ以上の好適な薬剤による心血管用途であって、例えば、スタチンまたは等価の薬物を使用する高血圧症(HTN)の治療/管理、脳/末梢血管疾患、脳卒中/塞栓/不整脈/深部静脈血栓症(DVT)、例えば、抗凝固剤および抗アテローム性心血管疾患(ASCVD)薬品を使用する心血管用途、ならびに例えば、β遮断薬、ACE阻害薬、およびアンジオテンシン受容体遮断薬を使用するうっ血性心不全(CHF)を含むが、これらに限定されない。
睡眠時無呼吸、喘息、長期肺炎治療、肺HTN、線維症、および肺炎の治療/管理を含むが、これらに限定されない、インプラントから送達される1つ以上の好適な薬剤による肺用途、
慢性疼痛(関節および胸骨を含む骨)、骨髄炎、骨減少症、がん、特発性慢性疼痛、および痛風の治療/管理を含むが、これらに限定されない、インプラントから送達される1つ以上の好適な薬剤による骨用途、
インプラントから送達される1つ以上の好適な薬剤による泌尿器科用途、例えば、良性前立腺肥大症(BPH)、膀胱癌、慢性感染症(泌尿器系全体)、慢性膀胱炎、前立腺炎の治療/管理、
緑内障、眼感染症の治療/管理を含むが、これらに限定されない、インプラントから送達される1つ以上の好適な薬剤による眼科用途、
インプラントから送達される1つ以上の好適な薬剤によるコレステロール管理、
体重増加、体重減少、肥満、栄養不良(補充)、骨減少症、ビタミン欠乏症(Bビタミン/D)、葉酸、および喫煙/薬物低減/停止の治療/管理を含むが、これらに限定されない、インプラントから送達される1つ以上の好適な薬剤による代謝用途。
【0246】
糖尿病:
インプラントから送達される1つ以上の好適な薬剤(ペプチド薬物を含む)による、糖尿病(1型および2型)の治療ならびに管理、
多くの場合、低用量の反復曝露を必要とする、「脱感作」を伴うアレルギーおよび過敏症:
型:インプラントから送達される1つ以上の好適な薬剤による、I型(IgE媒介反応)、II型(抗体媒介性細胞傷害反応)、III型(免疫複合体媒介反応)、および遅延タイプ過敏症(133)のIV型、
インプラントから送達される1つ以上の好適な薬剤による過敏反応(HSR)、
インプラントから送達される1つ以上の好適な薬剤による、抗生物質、生物学的薬物(薬物および抗体部分)、化学療法(例えば、プラチン)、プロゲステロン、ならびに当該技術分野において既知であり、(133)に記載される他の治療、
インプラントから送達される1つ以上の好適な薬剤による食物アレルギー(例えば、ナッツ、貝類)、
通常の薬品に反応しない重度のアレルギー症状のある人、薬品に重大な副作用がある人、アレルギー/虫刺されによって生活が混乱している人、またはアレルギーが生命を脅かす可能性のある人に推奨される、アレルギーショットの代替として、インプラントから送達される1つ以上の好適な薬剤によるアレルギー薬品の投与。
【0247】
多くの場合、慢性炎症性障害として分類される、自己免疫性障害:
インプラントから送達される1つ以上の好適な薬剤(例えば、生物学的製剤)による、クローン病および潰瘍性大腸炎の治療ならびに管理、
インプラントから送達される1つ以上の好適な薬剤(例えば、生物学的製剤)による、関節リウマチ(RA)の治療および管理、
インプラントから送達される1つ以上の好適な薬剤(例えば、生物学的製剤)による、多発性硬化症(MS)の治療および管理、
インプラントから送達される1つ以上の好適な薬剤(例えば、生物学的製剤)による、乾癬の治療および管理、
インプラントから送達される1つ以上の好適な薬剤(例えば、生物学的製剤)による、狼瘡治療および管理、
インプラントから送達される1つ以上の好適な薬剤(例えば、生物学的製剤)による、自己免疫性甲状腺炎の治療および管理。
【0248】
腫瘍学:
インプラントから送達される1つ以上の好適な薬剤による、化学療法および標的療法(例えば、Ig)の慢性または亜慢性がん管理。
【0249】
血液疾患:
インプラントから送達される1つ以上の好適な薬剤(例えば、第VIII因子オーソログ)による、血友病Aの治療/管理、
インプラントから送達される1つ以上の好適な薬剤による、抗凝固剤および/または抗血小板療法剤の投与、
インプラントから送達される1つ以上の好適な薬剤による、白血病/リンパ腫および骨髄移植(MBT)療法の治療/管理、
インプラントから送達される1つ以上の好適な薬剤による鉄補充療法、
線維増殖性障害は、遮断が必要とされた。
【0250】
筋骨格の用途:
インプラントからの1つ以上の抗炎症剤(例えば、NSAID)の送達、
インプラントからの低用量プレドニゾンの送達、
インプラントから送達される1つ以上の好適な薬剤による、オピオイド中毒/疼痛管理、
肥厚性線維症/瘢痕組織。
【0251】
心理学的障害および神経学的障害:
インプラントから送達される1つ以上の好適な薬剤による、うつ病の治療および管理、
インプラントから送達される1つ以上の好適な薬剤による、統合失調症および関連疾患の治療ならびに管理、
インプラントから送達される1つ以上の好適な薬剤による、双極性障害の治療および管理、
インプラントから送達される1つ以上の好適な薬剤による、胸腺障害の治療および管理、
インプラントから送達される1つ以上の好適な薬剤による、発作制御の治療および管理、
インプラントから送達される1つ以上の好適な薬剤による、ADD/ADHDおよび多動性障害の治療ならびに管理、
インプラントから送達される1つ以上の好適な薬剤による、早期発症(子供/青年期)、薬物使用、身体的、性的、感情的虐待、PTSD、および不安の行動/感情的二次的治療ならびに管理、
インプラントから送達される1つ以上の好適な薬剤による、てんかんおよび外傷性脳損傷を含むが、これらに限定されない発作の治療ならびに管理、
インプラントから送達される1つ以上の好適な薬剤による、パーキンソン病の治療および管理、
インプラントから送達される1つ以上の好適な薬剤による、アルツハイマー病の治療および管理。
【0252】
遺伝子疾患:
インプラントから送達される1つ以上の好適な薬剤による、遺伝子過剰疾患を含む先天性遺伝子欠損症の治療、
インプラントから送達される1つ以上の好適な薬剤による、原発性免疫不全症(例えば、アガマグロブリン血症、分泌型IgA欠乏症、sIgA欠乏症)の治療、
重症複合免疫不全症(SCID)は、ペグ化ウシADA(PEG-ADA)による酵素補充療法(ERT)を含むが、これらに限定されない、インプラントから送達される1つ以上の好適な薬剤によるSCIDの治療、
インプラントから送達される1つ以上の好適な薬剤による、治療および管理される筋ジストロフィー、
インプラントから送達される1つ以上の好適な薬剤(例えば、エテプリルセン)による、デュシェンヌ病の治療または管理、
組換えヒト酸α-グルコシダーゼの静脈内投与などのERTを含む、インプラントから送達される1つ以上の好適な薬剤による、ポンペ病の治療または管理、
ERTを含む、インプラントから送達される1つ以上の好適な薬剤による、ゴーシェ病の治療または管理。
【0253】
イヌ、ネコ、ウマ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、およびウシを含むが、これらに限定されない、すべての哺乳類を含む獣医学的用途。
【0254】
一実施形態では、インプラントは、複数の目的を果たし、2つ以上の用途が同時に標的とされる。このような多目的薬物送達インプラントの例は、1つ以上の抗レトロウイルス剤の送達による、HIV感染の予防、および1つ以上の避妊剤の送達による避妊を含む。別の実施形態では、多目的薬物送達インプラントは、単一の薬剤を使用して、複数の疾患から保護する。参照によりその全体が組み込まれる、Cheng et al.(134)によって記載される群から取られる、封入ウイルスに対するペプチドの膣内送達は、他の封入ウイルスの中でも、HIV、HSV、およびHPV感染を予防するために使用される。ペプチドはまた、多目的の予防技術として、IVR中の他の薬剤(例えば、避妊剤および/または抗ウイルス剤)と組み合わせることができる。別の非限定的な実施形態では、本明細書に開示される薬物送達インプラントからのイベルメクチンの全身送達は、寄生虫感染症、ならびに発作およびてんかんなどの特定の神経障害の治療に使用することができる。
【0255】
本開示はまた、賦形剤と、対象に植え込みされるAPI(TAFなど)とを含むカーネルを含む、本開示のデバイスを介して対象にAPIを送達する方法を提供する。いくつかの場合では、APIは、一貫した徐放性プロファイルを伴って送達される。いくつかの場合では、賦形剤は、PEGまたはTECである。
【0256】
本明細書に提供されるのは、それを必要とする患者に1つ以上のAPIを送達する方法であって、本明細書に開示されるデバイスを患者の身体内に植え込むことを含む、方法である。いくつかの場合では、デバイスは、1~12ヶ月間、1つ以上のAPIを送達する。いくつかの場合では、1~3ヶ月間、1つ以上のAPIを送達する。いくつかの場合では、デバイスは、3~12ヶ月間、1つ以上のAPIを送達する。いくつかの場合では、デバイスは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12ヶ月間、1つ以上のAPIを送達する。いくつかの場合では、デバイスは、1~12ヶ月間、1つのAPIを送達する。いくつかの場合では、1~3ヶ月間、1つのAPIを送達する。いくつかの場合では、デバイスは、3~12ヶ月間、1つのAPIを送達する。いくつかの場合では、デバイスは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12ヶ月間、1つのAPIを送達する。いくつかの場合では、デバイスは、1~12ヶ月間、2つ以上のAPIを送達する。いくつかの場合では、1~3ヶ月間、2つ以上のAPIを送達する。いくつかの場合では、デバイスは、3~12ヶ月間、2つ以上のAPIを送達する。いくつかの場合では、デバイスは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12ヶ月間、2つ以上のAPIを提供する。
【0257】
いくつかの場合では、APIは、疎水性薬物または親水性薬物を含む。いくつかの場合では、APIは、疎水性薬物を含む。いくつかの場合では、APIは、親水性薬物を含む。いくつかの場合では、APIは、テノホビルアラフェナミド、イベルメクチン、またはROCK2阻害剤である。いくつかの場合では、APIは、テノホビルアラフェナミドである。いくつかの場合では、APIは、イベルメクチンまたはROCK2阻害剤である。いくつかの場合では、ROCK2阻害剤は、KD025(Kadmon)である。
【0258】
さらなる考察
伝統的なインプラント設計は、エラストマーにおけるAPIの溶解、いわゆる「マトリックス設計」(135)を含む。当該技術分野において開示されるいくつかの例示的な実施形態では、例えば、避妊用IVR NuvaRing(登録商標)(136)では、マトリックスは、熱可塑性ポリマースキンによって囲まれている。当該技術分野において周知の他の伝統的なインプラント設計は、連続エラストマーシースに囲まれた固体APIカーネル、いわゆる「リザーバ設計」(135)を含む。当該技術分野において開示されるいくつかの例示的な実施形態では、エラストマーシースは、ポリウレタンを含み、APIは、粉末(137、138)またはマイクロ錠剤(7、95)として含有されている。
【0259】
非伝統的なインプラントの設計は、概して、IVRからの薬物送達に使用されるアプローチであるエラストマー骨格に挿入されたAPI錠剤を含む。当該技術分野において開示されるいくつかの例示的な実施形態では、錠剤は、ポリマースキンでコーティングされておらず、薬物放出は、APIに不透過性であるエラストマー支持体で形成された1つ以上のチャンネルを通して生じる(139)。当該技術分野において開示されるさらに他の例示的な実施形態では、錠剤は、ポリマースキンでコーティングされ、薬物放出は、APIに不透過性であるエラストマー支持体で形成された1つ以上のチャンネルを通して生じる(140、141)。
【0260】
非伝統的なインプラント設計の他の例は、付加製造によって生成された複雑で開放的な幾何学形状を含む(142、143)。これらの設計は、本質的に、マトリックスタイプデバイスのバージョンであり、API-ポリマー分散体の相互接続された高表面積鎖で構成されている。
【0261】
本開示の主題は、以前に使用されたデバイスおよび方法とは異なり、以前のデバイスおよび方法よりも有意な利点を提供する。様々な特徴は、上記および「植え込み可能な薬物送達デバイス」の下に詳細に記載されている。本開示の様々な実施形態によって具現化されるいくつかの例示的な、非限定的な、革新は、以下を含む。
【0262】
ePTFEは、ePTFE材料の特性であり、別個の化学(エッチング)または機械(パンチング)プロセスステップにおいて作製されないマイクロスコピック細孔から構成される、律速、放出制御スキンとしてのePTFE。
【0263】
徐放性薬物送達のためのカーネルとしての、連続気泡、スポンジ骨格を含有する薬物の制御された形成。
【0264】
連続気泡、薬物含有スポンジ骨格の制御された形成における、画定されたサイズおよびサイズ分布のポロゲンと薬物粒子との組み合わせは、新規であり、当業者には予測不可能な薬物放出動態につながる。
【0265】
構造化または層状の粒子およびナノ粒子、またはスポンジなどのマイクロ構造を伴う薬物担体で構成されるリザーバカーネル。
【0266】
繊維(ランダム繊維および配向繊維、ならびに繊維から構成される束、糸、織布マットおよび不織布マット)によって提供されるマイクロ構造を伴うリザーバカーネル。繊維アーキテクチャは、インプラントからの薬物の放出を調節し、および/または放出前に劣化するまでカーネルにおける薬物分子を安定化するために使用することができる、画定されたマイクロ構造をカーネルに提供する。繊維ベースのカーネルは、薬物放出動態の制御を追加するスキンに囲まれている。
【0267】
mRNA、抗体および他のタンパク質、核酸(DNA、RNA)、ならびにペプチド分子を含む、生体分子の送達のための特定の設計考慮事項。
【0268】
低コストのスケールアップ製造、高薬物充填、ならびに1つ以上のスキンを介した薬物放出動態の正確な制御を可能にする新規のカプセルおよびIVR設計、
【0269】
前述のような、一次構造要素、二次構造要素、および三次構造要素からなる植え込みデバイス組成物の階層構造(「植え込み可能な薬物送達デバイス」を参照)。
【0270】
本明細書に記載される長時間作用型薬物送達に対する新規のアプローチはまた、実施例4に例示されるように、驚くべき実験結果に基づくものでもある。高度疎水性ePTFEを通じて拡散する高度水溶性化合物TAFの能力は、予想外であった。同様に、予想外であったのは、観察された線形TAF放出速度、およびePTFE密度を変更するだけでの薬物放出動態に対する制御度であった。
【0271】
等価物
本開示は、様々な態様の例示として意図される、本出願に記載される特定の実施形態に関して限定されるべきではない。多くの修正および変形例は、当業者に明らかであろうように、本開示の趣旨および範囲から逸脱することなく、行われることができる。本明細書に列挙されるものに加えて、本開示の範囲内の機能的に等価な方法、システム、およびデバイスは、前述の記載から当業者に明らかであろう。このような修正および変形例は、添付の特許請求の範囲内であることが意図される。本開示は、添付の特許請求の範囲の条件のみによって、このような特許請求の範囲が権利を伴う等価物の全範囲と共に限定される。本開示は、特定の方法、試薬、化合物組成物または生物学的システムに限定されず、これらは、当然のことながら、変動し得ることを理解されたい。本明細書で使用される用語が単に特定の実施形態を記載する目的のためであり、制限することが意図されないことも理解されたい。当業者によって理解されるように、書面による記載の提供などの任意の、およびすべての目的のために、本明細書に開示されるすべての範囲は、任意の、およびすべての可能なサブ範囲、ならびにそれらのサブ範囲の組み合わせも包含する。
【0272】
当業者は、その範囲から逸脱することなく、好ましい実施形態に多くの変更を行うことができることを容易に知っているであろう。本明細書に含まれるすべての物質は、限定的な意味ではなく、本開示を例示するものと見なされることが意図される。
【0273】
様々な態様および実施形態が本明細書に開示されているが、他の態様および実施形態は、当業者に明らかであろう。本明細書で引用されるすべての参照文献は、その全体が、参照により組み込まれる。
【実施例
【0274】
実施例1-テノホビルアラフェナミドおよびHIV予防のための例示的な皮下インプラントの仕様
全身循環へのAPIの持続的かつ制御された送達のための開示されたインプラント技術は、プラットフォーム技術であり、任意の特定のAPIまたは用途を対象としていない。APIおよび用途の選択に関する制限は、「APIの選択」の下に概説されている。APIの物理的、化学的、生物学的特性とインプラント特性との相互作用の例示的な非制限的な例は、ここに提供される。
【0275】
テノホビルアラフェナミド(TAF)は、ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤(NRTI)であり、HIVに対する強力な抗レトロウイルス薬である。前臨床および臨床研究は、TAFが全身的に送達されることで、感染していない個体におけるHIV感染を安全に防ぐことができることを示唆している。当該技術分野の多くの研究者は、末梢血単核細胞(PBMC)におけるTAFの活性代謝産物であるテノホビル二リン酸塩(TFV-DP)の定常状態濃度が、HIVの性感染の予防における有効性の予測であると考えている。さらに、当該技術分野の多くの研究者は、百万細胞当たり50fmolのPBMC中のTFV-DP濃度が、有効なHIV予防のための良好な標的濃度であると考えている。生理学的ベースのPK(PB-PK)モデリングを使用したシミュレーションは、0.5mg d-1の速度でのTAFの線形の皮下放出が、上記の保護TFV-DP PBMC濃度につながると推定する(144)。別の研究は、約0.3mg d-1のより低いTAF放出速度が保護的である可能性があると推定された(145)。図15に示される設計206の2つの皮下インプラント(寸法、直径2.5mm、長さ40mm、体積196mm3、TAF含有量75%w/v)は、各々、130mgのTAFを含有し、0.25mg d-1で各々送達し、ゼロオーダーの動態を有し、最大1年間、HIV感染を予防することができる。
【0276】
実施例2-カボテグラビルおよびHIV予防のための例示的な皮下インプラントの仕様
全身循環へのAPIの持続的かつ制御された送達のための開示されたインプラント技術は、プラットフォーム技術であり、任意の特定のAPIまたは用途を対象としていない。APIおよび用途の選択に関する制限は、「APIの選択」の下に概説されている。APIの物理的、化学的、生物学的特性とインプラント特性との相互作用の例示的な非制限的な例は、ここに提供される。
【0277】
カボテグラビル(CAB)は、HIVの治療および予防のために開発されている強力な鎖移行インテグラーゼ阻害剤である。CABの定常状態の血漿濃度は、HIVの性感染の予防における有効性の予測的であると、当該技術分野の多くの研究者によって信じられている。定常状態の血漿CAB濃度が0.66μg mL-1であるか、または非ヒト霊長類有効性試験からのタンパク質調整IC90(PA-IC90)濃度の4倍であることは、多くの当業者によってさらに、有効なHIV予防のための良好な標的であると考えられている(146、147)。標的は、その後、ヒト臨床PKデータに基づいて調整された(148)。注射可能な筋肉内長時間作用型CAB製剤を評価する第2a相試験は、8週間毎に600mgを投与された男女の参加者が、トラフ濃度がそれぞれ4×および1×PA-IC90を超える参加者の80%および95%の目標を達成したことが示唆された(149)。注射用CAB製剤の尾部(すなわち、非定常状態)PKプロファイル(148、149)により、より低い用量またはより長い持続時間は、線形のインビボ薬物放出プロファイルを伴うCABインプラントから達成可能でなければならない。図1に示される幾何学形状102の、図13に示される設計202の2つの皮下または筋肉内インプラント(寸法が3.5mm×2.5mm×35mm、体積が306mm3、CAB含有量が85%w/v)が、それぞれ、250mgのCABを含有し、ゼロオーダー動態を伴う2.2mg d-1でそれぞれ送達することにより、最大3ヶ月間、HIV感染を予防することができると推定される。
【0278】
実施例3-例示的な薬物送達インプラント仕様計算機
任意の用途のインプラント仕様を計算するためのアルゴリズムの非限定的な例は、以下に与えられる。
【数1】
ここで、
V(mL)は、インプラントの総体積(すなわち、単一のインプラントの体積または複数のインプラントの体積の合計)であり、
RR(g d-1)は、インプラントの総薬物放出速度である。非線形放出速度について、RRは、使用期間の経時的な累積的な薬物放出(y軸)の積分(x軸)をtで割ったものに相当し、
t(d)は、使用期間であり、
SFは、使用期間中に標的薬物送達プロファイルを維持するのに十分な薬物がインプラントに残っていることを保証するために、典型的には0.50~0.99の間の無次元スケーリング因子であり、
fは、賦形剤の存在を説明するために、インプラント内の薬物の質量分画、典型的には0.25~0.95の間であり、
ρ(g mL-1)は、インプラントの密度である。
【0279】
RRの値は、薬物の効力および薬理学的有効性の一貫性を達成するために標的区画にどの程度効率的に分布するかによって部分的に決定される。多くの場合、RRは、前臨床試験で決定され、臨床的に確認される必要がある。
【0280】
実施例4-ePTFEチューブからのテノホビルアラフェナミドの徐放性
精密押出プロセス(Aeos(商標)技術)を通じて製造された特注製造のePTFEチューブ(外径、2.4mm、壁厚、0.2mm)は、Zeus Industrial Products,Inc.(Orangeburg,SC)によって供給された。4つのePTFEチューブ密度(図23参照)は、生物医学的製造(すなわち、医療グレード)のための実用的な値の範囲にわたるように設計された。押出成形体の物理データは、下の表1に提供されている。
【表1】
【0281】
表1に列挙されているePTFEチューブのセグメント(長さ25mm)は、切断され、チューブの各端部のおよそ3mmは、を製造指示書に従って、FluoroEtchプライマー(Action Technologies,Pittston,PA)を使用してシーリングするために調製された。次いで、チューブは、テノホビルアラフェナミド(TAF)粉末で充満された。他の賦形剤は、使用していない。インプラント当たりのTAFの質量は、実験に応じて20~70mgの間で変化した。充満されたインプラントは、チューブの各端部内に1滴のPermabond 105シアノアクリレート接着剤(Permabond Engineering Adhesives,Pottstown,PA,USA)を配置し、接着剤を硬化させて、しっかりとしたシールを形成することを可能にするために端部を30秒間閉じて圧着することによって、両端部でシールされた。インプラントは、接着結合が完全な強度に達することを可能にするために、室温(約23℃)で24時間保たれていた。充填されたインプラントからのTAFインビトロ放出動態は、30日間125RPMでの軌道振とうを伴う37℃のアジ化ナトリウム(0.01%w/v)を含有するリン酸緩衝生理食塩水(PBS、1×、100mL)からなる溶液に、デバイスを浸漬することによって調査された。放出媒体におけるTAFの濃度は、紫外可視(UV-vis)吸収分光法(λmax262nm)によって測定された。放出速度は、図20Aおよび20Bに示されている。
【0282】
実施例5-TAF放出速度に対するTECの効果
クエン酸トリエチル(TEC)およびPEG400の両方は、当該技術分野において一般的に使用される液体賦形剤である。図25、26A、および26Bに示されるインビトロ研究において使用されるインプラントは、カーネルの製剤によってのみ異なる。両方の場合では、カーネルは、TEC(70%w/w TAF、図25)またはPEG400(73%w/w TAF、図26Aおよび26B)を伴うペーストにブレンドされたTAFからなる。
【0283】
TEC(30%w/w)とブレンドされたTAF(70%w/w)からなるペースト(141.8±2.3mg)で充満された長さ40mm、外径2.4mmのePTFE(ρ=0.84g cm-3)インプラント(N=6)からの90日間の累積TAF放出(中央値±95%CI)は、図25に示されている。充填されたインプラントからのTAFインビトロ放出動態は、30日間125RPMでの軌道振とうを伴う37℃のアジ化ナトリウム(0.01%w/v)およびソルトール(0.5%w/v)を含有するリン酸緩衝生理食塩水(PBS、1×、100mL)からなる溶液に、デバイスを浸漬することによって調査された。放出媒体におけるTAFの濃度は、紫外可視(UV-vis)吸収分光法(λmax262nm)によって測定された。データは、測定された放出半減期11.1d(R2=0.9660)を与えるために、指数関数的な一相減衰最小二乗フィットモデル(灰色の線)を使用して分析された。
【0284】
PEG400(23%w/w)とブレンドされたTAF(77%w/w)からなるペースト(140.8±2.2mg)で充満された長さ40mm、外径2.4mmのePTFE(ρ=0.84g cm-3)インプラント(N=4)からの80日間の累積TAF放出(中央値±95%CI)は、図26Aおよび26Bに示されている。充填されたインプラントからのTAFインビトロ放出動態は、30日間125RPMでの軌道振とうを伴う37℃のアジ化ナトリウム(0.01%w/v)およびソルトール(0.5%w/v)を含有するリン酸緩衝生理食塩水(PBS、1×、100mL)からなる溶液に、デバイスを浸漬することによって調査された。放出媒体におけるTAFの濃度は、紫外可視(UV-vis)吸収分光法(λmax262nm)によって測定された。データは、54.4μg d-1(R2=0.6254)の測定された傾き(放出速度)を与えるために、単純な線形回帰適合モデル(灰色の線)を使用して分析された。
【0285】
両方のインプラント群におけるTAF含有量が高いことを考えると、それらが劇的に異なるTAF放出プロファイルを示したことは驚くべきことであった。TECとブレンドされたとき、60mgのTAFは、5mgが最初の日未満において送達されて、最初の1ヶ月にわたってインプラントから送達された。一方、PEG400は、約5mgが80日間にわたって線形的に送達されて、TAF放出速度を劇的に低減させる。
【0286】
実施例6-PDMSにおけるポロゲンとしてのTAFマイクロ針
テノホビルアラフェナミド遊離塩基(TAF、5.00g)は、円錐形フラスコにおいて90℃でトルエン(200mL)に添加された。濁った溶液に、磁気撹拌により、より多くのトルエン(25mL)が添加された。混濁した懸濁液が熱平衡に到達したとき、透明な溶液を与えるために、高温で濾過される。高温のTAF溶液は、室温に一晩冷却された後、4℃で追加の冷却が行われ、フラスコの底部に大量の針が堆積する結果となる。固体は、図29に示されるように、典型的には10~25μm幅×250~450μm長の、無色のTAFマイクロ針(4.35g、87%)を得るために、減圧中で濾過することによって集められ、冷n-ヘキサンで洗浄され、続いて高真空下で乾燥される。
【0287】
実施例7-ePTFEインプラントからのTAF放出速度に対する油の効果
クエン酸トリエチル(TEC)、中鎖トリグリセリド(MCT)、綿実油、モノオレイン(Myverol 18-93K)、ポリソルベート20、PEG 300、およびPEG 400は、当該技術分野において一般的に使用される液体賦形剤である。TAFは、上記油の1つと50%w/wで共製剤化され、そのように形成されたペーストは、中空ePTFEチューブ(長さ40mm、内径2.0mm、壁厚0.18mm、ρ=0.84g cm-3、モノオレインを除くすべての例では、ρ=1.13g cm-3)に充満された。チューブの端は、シールされた。インビトロ放出試験は、100mLの放出媒体(1×PBS中0.1%ソリュートールHS 15)において、37℃、125RPMの軌道振とうインキュベーターで実行された。媒体は、シンク条件を維持するために、TAF濃度を飽和度より少なくとも50倍低く保つように、必要に応じて変更された。得られたインビトロ累積放出速度は、図30Aおよび30Bに示されている。賦形剤、すべての疎水性油がTAFインビトロ放出動態に及ぼす劇的な影響は、予想外であり、当業者には事前に予測できなかった。
【0288】
実施例8-TAF放出速度に対するePTFE密度の効果
ePTFEチューブスキン(長さ40mm、内径2.0mm、壁厚0.18mm)、ならびに50%TAFおよび50%PEG400(w/w)からなるペーストカーネルを使用してインプラントを製作されており、チューブ端部はシールされていた。インビトロ放出試験は、100mLの放出媒体(1×PBS中0.1%ソリュートールHS 15)において、37℃、125RPMの軌道振とうインキュベーターで実行された。媒体は、シンク条件を維持するために、TAF濃度を飽和度より少なくとも50倍低く保つように、必要に応じて変更された。インビトロ放出は、線形であり(図31)、放出速度は、ePTFE密度の関数として制御することができる(0.47g cm-3、0.51mg d-1 TAF放出速度;0.84g cm-3、0.065mg d-1 TAF放出速度)。予期せず、放出速度は、HIV予防のための目標範囲内で、インプラントのスキン特性に対するこの微妙な変化を伴い、ほぼ1桁の大きさで制御することができた。
【0289】
実施例9-TAF放出速度に対するスキン材料の効果
両方のインプラントタイプについて、カーネルは、70%TAFおよび30%クエン酸トリエチル(w/w)で構成されていた。スキンは、ポリウレタン[Pellethane(登録商標)2363-55DE(Lubrizol,Inc.);25mm長、2.2mm内径、0.13mm壁厚]およびシリコン[MED-4765(Nusil,Inc.);25mm長、2.1mm内径、0.13mm壁厚]の特注チューブ押出物を使用した。インプラントの端部は、MED3-4213(Nusil,Inc.)シリコン接着剤でシールされた。インビトロ放出試験は、100mLの放出媒体(1×PBS中0.5%ソリュートールHS 15)において、37℃、125RPMの軌道振とうインキュベーターで実行された。媒体は、シンク条件を維持するために、TAF濃度を飽和度より少なくとも50倍低く保つように、必要に応じて変更された。初期バースト放出は、両方のインプラントタイプで観察されたが、バーストは、PUインプラントについてより顕著であった(図32)。放出速度は、初期バースト後に観察された擬似ゼロオーダー放出を捕捉するために、20~160日目の線形適合から累積放出対時間プロファイルまで計算された。0.079mg d-1(ポリウレタン);0.035mg d-1(シリコン)。これらのスキン材料で制御可能な低インビトロTAF放出速度を達成する能力は、特に、TAFが親水性化合物であり、疎水性スキンを通して拡散することが予想されなかったため、予想外であった。
【0290】
実施例10-ePTFEインプラントからのBSA放出動態
インプラントは、ePTFEチューブスキン(長さ約20mm、内径2.0mm、壁厚0.18mm、ρ=0.84g cm-3)を使用して製作され、100%(すなわち、賦形剤の非存在下)またはD-(+)-トレハロース(45%w/w)およびL-ヒスチジン塩酸塩(5%w/w)とブレンドされた50%w/wで、ウシ血清アルブミン(BSA)を粉末として充満された。別の群では、BSA(30%w/w)は、モノオレイン(Myverol 18-93K、70%w/w)とブレンドされ、ペーストとして中空チューブに添加された。インプラントは、製剤に応じて10~20mgのBSAを含有した。チューブの末端は、30RPMでの軌道振とうインキュベーターにおいて37℃で、20mLの放出媒体(0.1%のソルトールHS 15および0.01%のアジ化ナトリウムを含有する1×PBS)におけるインビトロ放出試験を行う前に、シールされた。放出媒体におけるBSAの分析は、Bradford試薬(λmax595nm)を使用して実行された。これらのデバイスからのBSA放出動態は、図34Aおよび図34Bに示されている。100%BSA粉末は、28日間にわたってインプラントから顕著に放出されなかった(図34A、三角形)が、D-(+)-トレハロースおよびL-ヒスチジン塩酸塩で製剤化されたBSAを含有するインプラントは、2日以内にBSAペイロードを放出した(図34A、四角形)。しかしながら、モノオレインとペーストとして共製剤化されたとき、BSAは、8日間にわたってインプラントから線形的に放出された(図34B)。データは、1.7mg d-1(R2=0.9800)の測定された傾き(放出速度)を与えるために、単純な線形回帰適合モデル(実線)を使用して分析された。これらの3つの製剤が、生物学的モデルであるBSAのこのような劇的に異なる放出プロファイルをもたらすことは、予想外かつ予測不可能であった。高度水溶性化合物であるBSAの、モノオレインペーストからの、ePTFEスキンを通じた放出が、線形であり、1週間にわたって制御可能であったという事実は、新規であり、当業者には既知でない。
【0291】
実施例11-コーティングされたPMDSスポンジからのTAF放出動態
ポリジメチルシロキサン(PDMS、シリコン)スポンジは、当該技術分野において既知であり、上記で参照される方法を使用して製作された。簡潔に述べると、グラニュー糖(26.0g)は、DI-H2O(2mL)で練られ、ブフナー漏斗に添加され、混合物が、穏やかな吸引下でイソプロパノール(40mL)で洗浄された。シリコン(PDMS、RTV-440、Factor II,Inc.、30mL)は、吸引下で糖に添加され、懸濁液は、一晩24℃で硬化された。糖ポロゲンは、3時間水中で超音波処理によって溶解された。得られたPMDSスポンジは、無水アルコールですすがれ、徹底的に乾燥させた立方体(体積約1cm3)に切断された。これらのデバイスの細孔サイズは、SEMによって約150μmであることが分かった。TAFは、イソプロパノール(25mg mL-1、300μL)におけるTAF溶液を注入することによって、3サイクル連続でスポンジに含浸された。各含浸に続いて、24℃で約10時間乾燥された。結果として生じるスポンジは、20~25mgのTAFを含有し、DL-PLA(MW 10,000~18,000、レゾマーR 202S-25G、Evonik Industries、スプレーコーティング)、L-PLA(レゾマーL 206S-100G、Evonik Industries、ディップコーティング)、およびPCL(MW 70,000~90,000、440744、Sigma-Aldrich、ディップコーティング)のポリマー溶液でコーティングされ、すべてジクロロメタン(5%w/v)中にあった。これらの製剤のインビトロTAF放出特性は、以下の条件を使用して、図33に示されるように、15日間にわたって比較された。充填されたインプラント(1群当たりN=3)は、125RPMでの軌道振とうを伴う37℃のアジ化ナトリウム(0.01%w/v)を含有するリン酸緩衝生理食塩水(PBS、1×、100mL)からなる溶液に浸漬された。放出媒体におけるTAFの濃度は、紫外可視(UV-vis)吸収分光法(λmax262nm)によって測定された。このアプローチを使用して、ポリマーコーティング(すなわち、スキン)がスポンジ構造内に伸長するにつれて、TAF放出を制御し、15日間にわたって調整することができることは驚くべきことであった。TAF含浸スポンジにポリマーコーティングを施さなかったとき、上記条件下では、薬物は、1日未満でほぼ排他的に放出された。
【0292】
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【国際調査報告】