IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

2023-503670低グラムの接着剤ストリップを備えた手巻きタバコの巻紙
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-31
(54)【発明の名称】低グラムの接着剤ストリップを備えた手巻きタバコの巻紙
(51)【国際特許分類】
   A24C 5/20 20060101AFI20230124BHJP
   A24C 5/24 20060101ALI20230124BHJP
   A24D 1/02 20060101ALI20230124BHJP
   D21H 27/00 20060101ALI20230124BHJP
【FI】
A24C5/20
A24C5/24
A24D1/02
D21H27/00 D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022531583
(86)(22)【出願日】2020-11-27
(85)【翻訳文提出日】2022-06-07
(86)【国際出願番号】 EP2020083797
(87)【国際公開番号】W WO2021105475
(87)【国際公開日】2021-06-03
(31)【優先権主張番号】1913406
(32)【優先日】2019-11-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521190440
【氏名又は名称】エスダブリュエム ルクセンブルク
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】弁理士法人大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】バルコン、オリビエ
(72)【発明者】
【氏名】ル・パンス、セバスチャン
(72)【発明者】
【氏名】レオン、ロムアルド
(72)【発明者】
【氏名】エルヴ、ラウル
【テーマコード(参考)】
4B045
4B144
4L055
【Fターム(参考)】
4B045AA50
4B045AB11
4B045AB14
4B144CC20
4B144CG04
4B144CG08
4B144CL12
4B144CM11
4L055AG44
4L055AG47
4L055AH03
4L055AH35
4L055AH37
4L055BE08
4L055EA08
4L055EA32
4L055FA22
(57)【要約】
本発明は、坪量が8g/m以下の接着剤ストリップを備えた手巻きタバコの巻紙のシート、及びそのような巻紙の製造プロセスに関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長辺の1つに沿って湿潤活性化接着剤ストリップを備えた手巻きタバコの巻紙のボビンを製造するプロセスであって、
(a)前記手巻きタバコの前記巻紙の前記ボビンを得るべく、前記手巻きタバコの前記巻紙のウェブを切断するステップと、
(b)前記長辺の1つに沿って前記湿潤活性化接着剤ストリップを備えた前記手巻きタバコの前記巻紙の前記ボビンを得るべく、前記湿潤活性化接着剤ストリップを塗布するステップと、を含み、
前記(b)の塗布するステップが、前記(a)の切断するステップの前または後に行われ、
前記(b)の塗布するステップが、フレキソ印刷、グラビア印刷、または間接フレキソ印刷によって行われることを特徴とするプロセス。
【請求項2】
前記湿潤活性化接着剤が、糖液、多糖類、デンプン及びゴム類、並びにそれらの混合物から選択される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記湿潤活性化接着剤ストリップの坪量が、8g/m以下であるように構成される、請求項1または2に記載のプロセス。
【請求項4】
前記湿潤活性化接着剤ストリップにおける前記湿潤活性化接着剤の質量濃度が、少なくとも95%、特に少なくとも97%、とりわけ少なくとも99%、さらは100%であるように構成される、請求項1~3のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項5】
前記湿潤活性化接着剤ストリップが、可塑剤、消泡剤、染料、芳香族化合物、及びそれらの混合物から選択される添加物を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項6】
前記手巻きタバコの前記巻紙のシートを製造するプロセスであって、
(c)請求項1~5のいずれか1項に記載のプロセスによって製造された前記手巻きタバコの前記巻紙の少なくとも1つの前記ボビンを切断するステップを含むプロセス。
【請求項7】
前記手巻きタバコの前記巻紙の前記シートの冊子を製造するためのプロセスであって、
(d1)請求項6に記載のプロセスにより製造された前記手巻きタバコの前記巻紙の前記シートのスタックを形成するステップを含むプロセス。
【請求項8】
前記手巻きタバコの前記巻紙のシートの冊子を製造するためのプロセスであって、
(d2)請求項1~5のいずれか1項に記載のプロセスにより製造された前記手巻きタバコの前記巻紙の前記ボビンのスタックを形成するステップと、
(e)前記シートの前記スタックを形成すべく、前記ボビンの前記スタックを切断するステップとを含むプロセス。
【請求項9】
ボビンまたはシートの形状を有する手巻きタバコの巻紙であって、
湿潤活性化接着剤ストリップを備え、前記湿潤活性化接着剤ストリップの坪量が、8g/m以下であることを特徴とする、手巻きタバコの巻紙。
【請求項10】
前記湿潤活性化接着剤ストリップの前記湿潤活性化接着剤が、糖液、多糖類、デンプン及びゴム類、並びにそれらの混合物から選択される、請求項9に記載の手巻きタバコの巻紙。
【請求項11】
前記湿潤活性化接着剤ストリップにおける前記湿潤活性化接着剤の質量濃度が、少なくとも95%、特に少なくとも97%、とりわけ少なくとも99%、さらは100%であるように構成される、請求項10に記載の手巻きタバコの巻紙。
【請求項12】
前記湿潤活性化接着剤ストリップが、可塑剤、消泡剤、染料、芳香族化合物、及びそれらの混合物から選択される添加物を含む、請求項10~11のいずれか1項に記載の手巻きタバコの巻紙。
【請求項13】
請求項10~12のいずれか1項に記載のシート状の前記手巻きタバコの前記巻紙の冊子。
【請求項14】
請求項10~12のいずれか1項に記載のシート状の前記巻紙タバコの前記巻紙を備えた紙巻きタバコ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手巻きタバコ(RYO)(roll-your-own cigarettes)の巻紙(paper)のシートに関する。
【背景技術】
【0002】
手巻きタバコの巻紙のシートは、一般的に、接着剤ストリップが塗布された長方形の形状をしており、その坪量は8~10g/mである。このシートは、100枚程度のシートを備えた冊子で販売されている。ユーザは冊子からシートを取り出し、シート上にタバコ(tobacco)を配置し、次いで、接着剤ストリップを湿らせてシートに重ねることにより、紙巻きタバコ(cigarette)を作る。
【0003】
従来、手巻きタバコの巻紙のシートは、手巻きタバコの巻紙のボビンの形状に切断された手巻きタバコの巻紙のウェブから製造されていた。このボビンの幅は、シートの幅と実質的に同じである。次いで、手巻きタバコの巻紙のボビンの機械方向の2つの長辺の1つに接着剤ストリップを塗布し、次いで、ボビンを乾燥させる。次いで、乾燥させたボビンを手巻きタバコの巻紙のシートに切断するというものである。
【0004】
手巻きタバコの巻紙の坪量は極めて少ない。それゆえ、シートの製造中に容易に破れてしまう恐れがある。最も問題となるのが、ボビンに接着剤ストリップを塗布する工程である。実際に、従来この工程は、圧力ノズルを用いることにより行われてため、ボビンが容易に破れてしまう恐れがあった。特に、ボビンの幅が10cm以下の時には生じやすい。さらに、接着剤ストリップはボビンの長辺の1つに沿って堆積するが、それゆえ、接着剤ストリップの一部がボビンの外側に堆積して材料が失われることにより、紙巻きタバコを形成するための接着剤ストリップが不足することがある。
【0005】
これらの問題から、手巻きタバコの巻紙の製造の従来のプロセスは定期的に停止せざるを得なかった。さらに、これらのプロセスにおける巻紙の走行速度は55m/秒程度であるため、最適化が可能である。
【0006】
これらの理由により、これらのプロセスの生産性は最適なものではなかった。
【0007】
したがって、手巻きタバコの巻紙のシートの製造プロセスにおける生産性を改善するための効果的な解決策が求められている。
【0008】
それゆえ、フレキソ印刷、グラビア印刷、もしくは間接フレキソ印刷を用いて、手巻きタバコの巻紙のウェブまたはボビンに湿潤活性化(moisture-activated)接着剤ストリップを塗布することにより、この必要性を満たすことが可能であることを見出したのは、本発明者らの功績である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
すなわち、本発明の第1の態様は、長辺の1つに沿って湿潤活性化接着剤ストリップを備えた手巻きタバコの巻紙のボビンを製造するプロセスであって、(a)手巻きタバコの巻紙のボビンを得るべく、手巻きタバコの巻紙のウェブを切断するステップと、(b)長辺の1つに沿って湿潤活性化接着剤ストリップを備えた手巻きタバコの巻紙を得るべく、湿潤活性化接着剤ストリップを塗布するステップと、を含み、(b)の塗布するステップは、(a)の切断するステップの前または後に行われ、(b)の塗布するステップは、フレキソ印刷、グラビア印刷、または間接フレキソ印刷によって行われ、必要に応じて、その後乾燥されることを特徴とする。
【0010】
圧力ノズルを用いる従来のプロセスとは異なり、フレキソ印刷、グラビア印刷、及び間接フレキソ印刷、特にフレキソ印刷は、(b)の塗布するステップの時、手巻きタバコの巻紙のウェブが破れるリスクを大幅に低減させることができる穏やかな方法である。それゆえ、本発明の手巻きタバコの巻紙の製造プロセスは、定期的な停止を必要としない。
【0011】
さらに、フレキソ印刷は、湿潤活性化接着剤ストリップの輪郭の明瞭度について、極めて正確な制御を可能にする。それゆえ、(b)の塗布するステップの後に(a)の切断するステップが行われる場合において、(a)の切断するステップの間の破れるリスクが有利に最小化される。また、ボビンをより正確に切断することができるため、材料の喪失を最小現に抑える最適化を行うことができる。
【0012】
フレキソ印刷、グラビア印刷、及び間接フレキソ印刷、特にフレキソ印刷は、巻紙の走行速度について、従来のプロセスの速度の4倍以上の速度で行うことも可能である。
【0013】
これらの理由により、本発明の手巻きタバコの巻紙のシートの製造プロセスにおける生産性は、従来の手巻きタバコの巻紙の製造プロセスにおける生産性よりも高い。
【0014】
本発明の他の態様は、手巻きタバコの巻紙のシートを製造するプロセスであって、(c)本発明の手巻きタバコの巻紙のボビンを製造するプロセスにより製造された、手巻きタバコの巻紙のボビンを切断するステップを含む。
【0015】
本発明の他の態様は、手巻きタバコの巻紙のシートの冊子を製造するためのプロセスであって、(d2)本発明の手巻きタバコの巻紙のボビンを製造するプロセスにより製造された手巻きタバコの巻紙のボビンのスタックを形成するステップと、次いで、(e)ボビンのスタックを切断するステップとを含む。
【0016】
本願のプロセスによれば、ボビンまたはシートの形状の湿潤活性化接着剤ストリップを備えた手巻きタバコの巻紙を、従来のプロセスよりも高い生産性で有利に製造することが可能である。
【0017】
さらに、ボビンまたはシートの形状の巻紙の湿潤活性化接着剤ストリップは、8~10g/m、すなわち、従来の手巻きタバコの巻紙の坪量以下の坪量を有する。
【0018】
それゆえ、本発明の他の態様は、ボビンまたはシートの形状の手巻きタバコの巻紙であって、湿潤活性化接着剤ストリップを備え、該湿潤活性化接着剤ストリップの坪量が8g/m以下、特に、4g/m~7.5g/m、とりわけ、5g/m~7g/mの間であることを特徴とする。
【0019】
本発明の手巻きタバコの巻紙の接着剤ストリップが、仮に8~10g/m以下の坪量を有するとしても、意外にも、従来の手巻きタバコの巻紙の接着剤ストリップと同じ程度の接着性を示す。
【0020】
したがって、本発明の手巻きタバコの巻紙は、湿潤活性化接着剤の必要量が少なく、有利なことに、従来の巻紙よりも製造が安価に行えるため、紙巻きタバコの製造に用いられてもよい。
【0021】
本発明の他の態様は、本発明の手巻きタバコの巻紙のシートの冊子である。
【0022】
本発明の他の態様は、本発明の手巻きタバコの巻紙のシートを備える紙巻きタバコである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
一実施形態では、本発明は、長辺の1つに沿って湿潤活性化接着剤ストリップを備えた手巻きタバコの巻紙のボビンを製造するプロセスに関し、以下のステップを含む。(a)手巻きタバコの巻紙のボビンを得るべく、手巻きタバコの巻紙のウェブを切断するステップ、及び(b)長辺の1つに沿って湿潤活性化接着剤ストリップを備えた手巻きタバコの巻紙のボビンを得るべく、湿潤活性化接着剤ストリップを塗布するステップ。そして、(b)の塗布するステップは、(a)の切断するステップの前または後に行われ、(b)の塗布するステップは、フレキソ印刷、グラビア印刷、または間接フレキソ印刷によって行われ、その後、必要に応じて乾燥される。
【0024】
本発明の意味において、「手巻きタバコの巻紙(roll-your-own cigarette paper)」は、紙巻きタバコを巻くために用いられるものと理解されたい。手巻きタバコの巻紙は、ウッドパルプ、タバコ繊維、麻繊維、亜麻繊維、サイザル麻繊維、ココアシェル繊維、カンナビス繊維、稲わら、エスパルト繊維、及びそれらの組み合わせから製造される。手巻きタバコの巻紙は坪量が小さく、販売されている紙巻きたばこの紙よりも薄い。例えば、巻紙の坪量は、接着剤ストリップの外側を測ると、10g/m~50g/m、特に、12g/m~25g/m、とりわけ、13g/m~15g/mであってもよい。巻紙の厚みは、5μm~100μm、特に、10μm~60μm、とりわけ、20μm~50μmであってもよい。
【0025】
本発明の意味において、「手巻きタバコの巻紙のウェブ」とは、上述した手巻きタバコの巻紙を意味すると理解され、その一般的な形状は、一度ウェブを広げると、長方形となっている。一般的に、該長方形の長さは数十mか、または数千mであり、その幅は0.6m以上、特に、1m以上、とりわけ、1.2m以上、さらには、1.5m以上である。
【0026】
本発明の意味において、「手巻きタバコの巻紙のボビン」とは、上述した手巻きタバコの巻紙を意味すると理解され、その一般的な形状は、ボビンを広げてみると長方形をしており、その長方形の長辺の1つに沿って湿潤活性化接着剤ストリップを備えている。該長方形の幅は、手巻きタバコの巻紙のシートの幅と実質的に等しく、すなわち、30mm~75mm、特に、36mm、44mm、または53mm程度である。一般的に、長方形の長さは数百~数千mであり、例えば、1000m~15000m、特に、3000m~10000m、とりわけ、5000m~8000mである。長方形の長さはまた、1または数十mであってもよく、その場合、シートはロールと呼ばれる。長方形の長さはまた、1m以上であってもよく、その場合、シートはリームと呼ばれる。
【0027】
湿潤活性化接着剤ストリップ(接着剤ストリップともいう)は、湿潤活性化接着剤を含む。
【0028】
本発明の意味において、「湿潤活性化接着剤」は、水または、例えば唾液等の水分との接触により接着性を示す化合物を意味すると理解されたい。湿潤活性化接着剤は、当業者に公知のあらゆる種類の湿潤活性化接着剤であってもよい。例えば、湿潤活性化接着剤は、糖液、変性または非変性多糖類、ゴム類、及びそれらの混合物、特にゴム類から選択されてもよい。
【0029】
変性または非変性多糖類としては、デンプン、アルギン酸塩、デキストリン、シクロデキストリン、またはそれらの混合物が挙げられる。
【0030】
ゴム類は天然由来のものであっても、合成物であってもよい。天然由来のゴム類の例としては、アカシアゴム、アラビアゴム、グアーゴム、カラヤゴム、ペクチン及びそれらの混合物、特に、グアーゴム、アラビアゴム、並びにそれらの混合物があり、特に、アラビアゴムである。
【0031】
手巻きタバコの巻紙のボビンの湿潤活性化接着剤ストリップにおける湿潤活性化接着剤の質量濃度は、手巻きタバコの巻紙を考慮しない場合、例えば、少なくとも95%、特に、少なくとも97%、とりわけ、99%、さらには、100%であってもよい。
【0032】
接着剤ストリップはまた、接着剤ストリップに接着性以外の特性を付与するための添加剤を含んでいてもよい。
【0033】
添加剤は、例えば、可塑剤、消泡剤、染料、芳香族化合物、またはそれらの混合物であってもよく、特に、可塑剤、消泡剤、またはそれらの混合物であってもよい。
【0034】
ソルビトールは、本発明の文脈において、使用が意図されている可塑剤の一例である。
【0035】
染料としては、天然または人工の食品着色料、特に、天然の食品着色料が挙げられる。天然着色料としては、カラメル、クロロフィリン、パプリカ由来色素、ビート根由来色素、カロテン、ウコン由来色素、コチニール、アナトー種子由来色素、ルテイン、ひまわり由来色素、アントシニアン、麦芽由来色素、炭、及び熱発光性色素などが例として挙げられる。
【0036】
芳香族化合物は、グリコシル化変性香料、カプセル化香料(シクロデキストリン、膜またはマトリクス)、天然香料及びそれらの混合物から選択されてもよい。芳香化合物は、特に、EVG、エマネート、合成または天然のカンナビジオール(CBD)、合成または天然のテトラヒドロカンナビノール(THC)、テルペン及びそれらの混合物から選択されてもよい。
【0037】
一般的に、接着剤ストリップの坪量は、手巻きタバコの巻紙を除いて、8g/m、特に、5.5g/m~7.5g/m、とりわけ、5g/m~6.5g/m以下である。
【0038】
接着剤ストリップの坪量は、接着剤ストリップを含まない巻紙のボビンにおける1mの区間の質量を計量と、接着剤ストリップを含む巻紙のボビンにおける1mの区間を計量とを行い、2つの質量を差し引くことにより決定される。
【0039】
これらの質量値は、フレキソ印刷、グラビアまたは間接フレキソ印刷、特に、フレキソ印刷により達成することができる。
【0040】
それゆえ、本発明のプロセスにより製造されたボビンは、湿潤活性化接着剤の必要量が少ないため、従来技術のプロセスにより製造されたボビンよりも安価である。
【0041】
さらには、予期しないことに、発明者らは、本発明のプロセスにより製造されたボビンの接着剤ストリップが、従来技術のプロセスにより製造されたボビンの接着剤ストリップの接着性と同じ程度の接着性を有することを見出した。
【0042】
一般的に、接着剤ストリップの幅は、1mm~10mm、特に、4mm~8mm、とりわけ、5mm~7mmである。
【0043】
接着剤ストリップは、連続する形状または不連続な形状を有していてもよい。
【0044】
連続する形状としては、直線、ジグザグ模様、クレネル模様または波模様などが挙げられる。
【0045】
不連続な形状の例では、幾何学的形状の不連続な線、ロゴ、またはそれらの組み合わせが挙げられる。線は直線であっても、曲線であってもよい。
【0046】
幾何学的形状の例としては、多角形、円、楕円、長円、及びそれらの組み合わせが挙げられる。多角形は三角形や、正方形、長方形、または、ひし形等の四辺形、五角形、六角形、または八角形が挙げられる。
【0047】
ロゴは、手巻きタバコの巻紙の製造者のロゴであってもよい。
【0048】
手巻きタバコの巻紙のウェブを切断する(a)のステップは、当業者に公知の従来のステップである。(a)の切断するステップにより、1個以上のボビン、例えば、2~100個のボビン、特に、30~55個のボビンを得ることができる。
【0049】
(a)の切断するステップは、巻紙の走行速度が、例えば、100m/分以上、特に、500m/分以上、とりわけ、750m/分以上、さらには、1000m/分以上で実施されてもよい。
【0050】
一実施形態によれば、(b)の塗布するステップは、(a)の切断するステップの後に行われる。この場合、(b)の塗布するステップは、(a)のステップの結果として生じた手巻きタバコの巻紙の少なくとも1つのボビンに対して行われる。
【0051】
他の実施形態によれば、(b)の塗布するステップは、(a)の切断するステップの前に行われる。この場合、(b)のステップは、巻紙の接着ウェブを得るべく、手巻きタバコの巻紙のウェブに対して行われ、次いで、巻紙の接着ウェブが、(a)のステップの間に、切断される。
【0052】
他の実施形態によれば、複数の接着剤ストリップを手巻きタバコの巻紙の1つのウェブに塗布し、次いで、巻紙の接着ウェブを切断することにより、巻紙の複数のボビンを得ることが可能である。
【0053】
このように、本発明の一実施形態は、手巻きタバコの巻紙のn個のボビンの製造のプロセスであり、手巻きタバコの巻紙の各ボビンは、長辺の1つに沿って接着剤ストリップを備えており、当該プロセスは、以下のステップを含む。(b)巻紙の接着ウェブを得るべく、手巻きタバコの巻紙のウェブに、n個の接着剤ストリップを塗布するステップ。ここで、n個の接着剤ストリップのそれぞれは機械方向に延在している。(a)手巻きタバコの巻紙のn個のボビンを得るべく、n-1個の接着剤ストリップに沿って、巻紙の接着ウェブを機械方向に切断するステップ。ここで、nは2以上の整数である。
(b)の塗布するステップは、フレキソ印刷、グラビア印刷、または間接フレキソ印刷で行われることを特徴とし、必要に応じて、その後乾燥される。
【0054】
このプロセスは、特に効率的である。なぜなら、手巻きタバコの巻紙の1個のウェブを手巻きタバコの巻紙のn個のボビンの形状に切断し、手巻きタバコの巻紙のn個のボビンのそれぞれに単一のストリップを塗布するよりも、手巻きタバコの巻紙のウェブにn個の接着剤ストリップを塗布し、次いで、手巻きタバコの巻紙のウェブを、手巻きタバコの巻紙のn個のボビンに切断する方がより効率的だからである。
【0055】
一実施形態によれば、nは100以下の整数であり、特に、30~55である。
【0056】
例えば、(b)の塗布するステップでは、巻紙の走行速度が70m/分以上、特に、100m/分以上、とりわけ、150m/分以上、さらには、200m/分以上の速さで行われてもよい。
【0057】
一実施形態によれば、(b)の塗布するステップは、フレキソ印刷で行われ、その後、必要に応じて乾燥される。
【0058】
フレキソ印刷は、版と呼ばれる柔軟なレリーフ版に印刷液を含浸させ、基板と含浸した版とを互いに接触させることにより、基板上に印刷液を塗布する当業者に周知のレリーフ印刷プロセスである。
【0059】
本発明の文脈において、フレキソ印刷は、手巻きタバコの巻紙のウェブにn個の接着剤ストリップを塗布できるように、湿潤活性化接着剤の印刷液を含浸させた版と手巻きタバコの巻紙のウェブとを有利に接触させることができる。
【0060】
フレキソ印刷は、従来のプロセスのスピードと比較して、紙の走行速度について、4倍以上の速度で行うことも可能である。したがって、本発明の手巻きタバコの巻紙のボビンの製造プロセスの生産性は、このように、従来のプロセスよりも高い。
【0061】
フレキソ印刷の利点の1つは、接着剤ストリップの輪郭の明瞭度の極めて正確な制御である。このように、その長辺の1つに沿って接着剤ストリップを備えた手巻きタバコのボビンを製造するために、巻紙の接着ウェブを切断する(a)のステップにおいて巻紙が破れてしまうリスクは、有利に最小化される。また、ウェブをより正確に切断することも可能するため、材料のロスを最小限に抑えるためにウェブの切断を最適化することもできる。結果として、フレキソ印刷によって塗布する(b)のステップを利用する本願の手巻きタバコの巻紙のボビンの製造プロセスの生産性は、従来のプロセスの生産性よりも高くなる。
【0062】
フレキソ印刷がもたらす他の利点として、版の単純化及び製造コストの低減が挙げられる。
【0063】
さらに、フレキソ印刷は、版の形状に依存した形状の接着剤ストリップを得ることができる柔軟な方法である。
【0064】
さらに、フレキソ印刷機により行われる(a)の塗布するステップの後に製造されるボビンの機械方向及び横機械方向の引張強度は、従来のプロセスによって製造されるボビンの引張強度よりも大きい。したがって、フレキソ印刷機により行われる(a)の塗布するステップの後に製造されるボビンは、例えば、ボビンをシート状に切断するステップや、ボビンのスタックを形成するステップの後に該スタックをシートのスタックに切断するステップなど、本発明のボビンの製造プロセスの後続のステップに容易に用いることができる。
【0065】
フレキソ印刷、グラビア印刷、及び間接フレキソ印刷には接着剤溶液を用いてもよい。
【0066】
湿潤活性化接着剤溶液(接着剤溶液ともいう)は湿潤活性化接着剤を含む。接着剤溶液中の湿潤活性化接着剤の質量濃度は、30%~60%、とりわけ、32%~45%、さらには35%~40%であってもよい。
【0067】
接着剤溶液は一般的に水溶液である。湿潤活性化接着剤溶液は、上述したような添加剤をさらに含んでいてもよい。
【0068】
一実施形態によると、接着剤溶液は湿潤活性化接着剤溶液、可塑剤、及び消泡剤を含んでいてもよく、湿潤活性化接着剤の質量濃度は30%~50%、可塑剤の質量濃度は0.1%~0.5%、消泡剤の質量濃度は0.5%~1%である。
【0069】
任意の乾燥ステップは、当業者に公知の従来の乾燥ステップである。したがって、当業者は、本発明の手巻きタバコの巻紙のボビンの製造プロセスに適合させる方法を知っている。
【0070】
上述したように、本発明のプロセスにより製造されたボビンの接着剤ストリップの接着性は、従来技術のプロセスにより製造されたボビンの接着剤ストリップの接着性と同程度の接着性を有する。したがって、本発明のプロセスにより製造されたボビンは、後に手巻きタバコを形成するために用いられる手巻きタバコの巻紙のシートに切断することができる。
【0071】
したがって、本発明の他の態様は、手巻きタバコの巻紙のシートを製造するために、本発明の手巻きタバコの巻紙のボビンの製造プロセスにより製造された手巻きタバコの巻紙のボビンを切断する(c)のステップを含む、手巻きタバコの巻紙のシートの製造プロセスである。
【0072】
本発明の意味において、「手巻きタバコの巻紙のシート」とは、上述したように、通常、形状が長方形であり、該長方形の長辺の1つに沿って設けられた、上述のような接着剤ストリップを備えた手巻きタバコの巻紙を意味することを理解されたい。一般的に、長方形の長さは70mm~110mmであり、幅は、30mm~75mmの間で様々であってもよい。
【0073】
手巻きタバコの巻紙のボビンを切断する(c)のステップは、当業者に公知の従来の切断ステップである。したがって、当業者は、本発明の巻きタバコ用紙のシートの製造プロセスに適合させる方法を知っている。
【0074】
本発明のプロセスにより製造された手巻きタバコの巻紙のシートは、冊子の形態で販売される。
【0075】
したがって、本発明はまた、本発明の手巻きタバコの巻紙のシートの製造プロセスによって製造された手巻きタバコの巻紙のシートのスタックを形成する(d1)のステップを含む、手巻きタバコの巻紙のシートの冊子を製造するプロセスに関する。
【0076】
(d1)の形成するステップは、例えば、手巻きタバコの巻紙のシートを一枚ずつ積み重ねるか、または、一枚の手巻きタバコの巻紙のシートを、二枚の手巻きタバコの巻紙のシートの間に挿入することによって行われてもよい。
【0077】
例えば、(d1)の形成するステップは、ルクセンブルクのIMAtec社により販売されている機器を用いてシートに挿入することにより、行われてもよい。
【0078】
一実施形態によれば、(d1)のステップの後に形成されるシートのスタックは、絡合した(entangled)シートのスタックを形成するために、絡合するステップを経ることができる。
【0079】
その後、シートのスタックは、絡合しているかどうかに関わらず、ケースに導入されてもよい。
【0080】
したがって、本発明はまた、本発明の手巻きタバコの巻紙のボビンの製造プロセスによって製造された手巻きタバコの巻紙のボビンのスタックを形成する(d2)のステップと、その後に続くボビンのスタックを切断する(e)のステップとを含む手巻きタバコの冊子を製造するプロセスに関する。
【0081】
ボビンのスタックは、(d2)のステップにおいて、手巻きタバコの巻紙のボビンを広げ、広げられた手巻きタバコの巻紙のボビンを互いに一枚ずつ積み重ねるか、または、一枚の広げられた手巻きタバコの巻紙のボビンを、二枚の広げられた手巻きタバコの巻紙のボビンの間に挿入することにより、形成されてもよい。
【0082】
一実施形態によれば、ボビンのスタックを切断する(e)のステップにおいて形成されたシートのスタックは、絡合されたシートのスタックを形成するために、絡合のステップを経てもよい。
【0083】
一実施形態によれば、(d2)のステップにおいて形成されたボビンのスタックは、絡合されたシートのスタックを形成するために、切断するステップの前に絡合のステップを経てもよい。
【0084】
シートのスタックは、絡合されているかどうかに関わらず、その後、ケースに導入されてもよい。
【0085】
上記で説明したように、ボビンまたはシート状の手巻きタバコの巻紙は接着剤ストリップを備え、その坪量は、従来の坪量である8~9g/mよりも有利に小さい。
【0086】
したがって、本発明はまた、本発明の手巻きタバコの巻紙のボビンの製造プロセスとの関係で、上述のような接着剤ストリップを備えたボビンまたはシート状の手巻きタバコの巻紙に関する。
【0087】
有利なことに、本発明の手巻きタバコの巻紙は、湿潤活性化接着剤の必要量が少ないため、従来技術のプロセスにより製造された手巻きタバコの巻紙よりも安価である。
【0088】
さらに、予期しないことに、発明者らは本発明の手巻きタバコの巻紙の接着剤ストリップが、従来技術のプロセスにより製造された手巻きタバコの巻紙の接着剤ストリップの接着性と、同程度の接着性を有することを見出した。
【0089】
手巻きタバコの巻紙と手巻きタバコの巻紙の接着剤ストリップは、本発明の手巻きタバコの巻紙のボビンの製造プロセスとの関係で上述した通りである。
【0090】
一実施形態によると、ボビンの形態の手巻きタバコの巻紙は、上述した手巻きタバコの巻紙のボビンの製造プロセスにより得ることができる。
【0091】
一実施形態によると、シート状の手巻きタバコの巻紙は、上述した手巻きタバコの巻紙のシートの製造プロセスにより得ることができる。
【0092】
シート状の手巻きタバコの巻き紙は、冊子として販売されてもよい。
【0093】
したがって、本発明はまた、上述したようなシート状の手巻きタバコの巻紙の冊子に関する。冊子は、上述した手巻きタバコの巻紙のシートの冊子の製造プロセスにより得ることができる。
【0094】
シート状の手巻きタバコの巻紙は、例えば、紙巻タバコを形成するために用いられてもよい。したがって、本発明はまた、シート状の手巻きタバコの巻紙を備えた紙巻タバコに関する。
【0095】
【0096】
本発明による例1
【0097】
アラビアゴム水溶液(アラビアゴム含有量が重量中38%)を、4つの版を用いるフレキソ印刷により、220m/分の速度で前進する手巻きタバコの巻紙のウェブへ塗布した。次いで、ウェブを乾燥し、次いで、各ボビンを、6g/mの坪量を有するアラビアゴムを有する接着剤ストリップを備えた4つのボビンを得るために切断する。
【0098】
次いで、ボビンをシート状に切断する。
【0099】
各シートは、長さ110mm、幅44mmの長方形の形状を有し、シートの2つの長辺に沿って連続した接着剤ストリップを備え、その坪量は6g/mである。
【0100】
比較例2
【0101】
手巻きタバコの巻紙のウェブをボビンの形態に切断する。アラビアゴム水溶液(アラビアゴム含有量が重量中45%)を、ノズルを用いることにより、55m/分の走行速度で前進する手巻きタバコの巻紙のボビンへ塗布する。次いで、坪量が8g/m2であるアラビアゴムを有する接着剤ストリップを備えたボビンを得るために、ボビンを乾燥する。
【0102】
ボビンを、シートの形状に切断する。
【0103】
各シートは、長さ110mm、幅44mmの長方形の形状を有し、シートの2つの長辺の1つに連続した接着剤ストリップを備え、その坪量は8g/mである。
【0104】
例1のプロセス(本発明による)との比較、及び例2のプロセス(比較)
【0105】
例1(本発明)によるシートの製造プロセスは、例2(比較例)によるシートの製造プロセスよりも4倍の速度であり、アラビアゴムの必要量が少なく、連続した接着剤ストリップを備えたシートの製造が可能となり、その坪量は8g/mに対して6g/m、すなわち15%の減少である。
【0106】
したがって、例1のプロセスの生産性は、例2のプロセスの生産性よりも高い。
【0107】
例3-接着性の試験
【0108】
本発明による10枚のシート(例1のプロセスにより製造された)を、接着剤ストリップの湿潤後に互いに接着する。自然乾燥の後、シートを引っ張ることにより、接着の剥がれ具合を試験した。10枚中、8枚のシートは剥がれなかった。
【0109】
10枚の比較シート(例2のプロセスにより製造された)を、接着剤ストリップの湿潤後に互いに接着する。自然乾燥の後、シートを引っ張ることにより、接着の剥がれ具合を試験した。10枚中、9枚のシートは剥がれなかった。この試験により、比較シートの接着剤ストリップよりも15%少ないアラビアゴムを有する本発明のシートは、比較シートと同程度の接着性を有することが判明した。
【国際調査報告】