(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-31
(54)【発明の名称】手巻きタバコの巻紙のシートのボビン及び冊子の製造プロセス
(51)【国際特許分類】
A24C 5/20 20060101AFI20230124BHJP
A24D 1/02 20060101ALI20230124BHJP
A24C 5/24 20060101ALI20230124BHJP
D21H 27/00 20060101ALI20230124BHJP
【FI】
A24C5/20
A24D1/02
A24C5/24
D21H27/00 D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022531584
(86)(22)【出願日】2020-11-27
(85)【翻訳文提出日】2022-06-08
(86)【国際出願番号】 EP2020083808
(87)【国際公開番号】W WO2021105485
(87)【国際公開日】2021-06-03
(32)【優先日】2019-11-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521190440
【氏名又は名称】エスダブリュエム ルクセンブルク
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】弁理士法人大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】バルコン、オリビエ
(72)【発明者】
【氏名】ル・パンス、セバスチャン
(72)【発明者】
【氏名】レオン、ロムアルド
(72)【発明者】
【氏名】エルヴ、ラウル
【テーマコード(参考)】
4B045
4B144
4L055
【Fターム(参考)】
4B045AA50
4B045AB11
4B045AB14
4B144CC20
4B144CG04
4B144CG08
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4B144CM11
4L055AG44
4L055AG47
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4L055AH37
4L055BE08
4L055EA08
4L055EA14
4L055EA15
4L055FA13
4L055FA22
4L055GA50
(57)【要約】
本発明は、手巻きタバコの巻紙のボビン、シート、及びシートの冊子、並びに、手巻きタバコの巻紙のシートの冊子の製造プロセスに関する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
手巻きタバコの巻紙のボビンを製造するプロセスであって、
(a)機械方向に延在するn個の湿潤活性化接着剤ストリップを備えた前記巻紙の接着剤ウェブを得るべく、n個の前記湿潤活性化接着剤ストリップを前記手巻きタバコの前記巻紙のウェブに塗布するステップと、
(b)長辺の1つに沿って前記湿潤活性化接着剤ストリップを備えた前記手巻きタバコの前記巻紙のn個の前記ボビンを得るべく、の前記巻紙の前記接着剤ウェブをn-1個の前記湿潤活性化接着剤ストリップに沿って機械方向に切断するステップとを有し、
nは2以上の整数であるように構成される、プロセス。
【請求項2】
前記湿潤活性化接着剤が、糖液、多糖類、デンプン及びゴム類、並びにそれらの混合物から選択される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記(a)のステップが、エッチング、フレキソ印刷、ヘリオグラフィ、フレキソグラビア、グラビア印刷、スプレー塗装、ウェッティング、及び浸漬、特に、フレキソ印刷、ヘリオグラフィ、フレキソグラビア、並びにグラビア印刷などの技術により湿潤活性化接着剤溶液を用いて行われる、請求項1または2に記載のプロセス。
【請求項4】
前記(a)のステップが、フレキソ印刷によって行われる、請求項1~3のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項5】
前記湿潤活性化接着剤ストリップが、8g/m
2以下の坪量を示す、請求項1~4のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項6】
前記湿潤活性化接着剤ストリップが連続的または非連続的な形態を示す、請求項1~5のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項7】
前記連続的な形態が直線、ジグザグ模様、クレネル模様または波模様から選択される、請求項6に記載のプロセス。
【請求項8】
前記非連続的な形態が、多角形の非連続的な線、幾何学的形状の非連続的な線、ロゴ、及びそれらの組み合わせから選択される、請求項6に記載のプロセス。
【請求項9】
前記手巻きタバコの前記巻紙のシートを製造するプロセスであって、
(c)請求項1~8のいずれか1項に記載のプロセスにより製造された前記手巻きタバコの前記巻紙の前記ボビンを切断するステップを含む、プロセス。
【請求項10】
前記手巻きタバコの前記巻紙の前記シートの冊子を製造するプロセスであって、
(d1)請求項9に記載のプロセスにより製造された前記手巻きタバコの前記巻紙の前記シートのスタックを形成するステップを含む、プロセス。
【請求項11】
前記手巻きタバコの前記巻紙のシートの冊子を製造するプロセスであって、
(d2)請求項1~8のいずれか1項に記載のプロセスにより製造された前記手巻きタバコの前記巻紙の前記ボビンのスタックを形成するステップと、
(e)前記シートの前記スタックを形成すべく、前記ボビンの前記スタックを切断するステップとを含む、プロセス。
【請求項12】
前記(d1)のステップにより形成された前記シートの前記スタック、または前記(e)のステップにより切断されて形成された前記ボビンの前記スタックが、結合した前記シートの前記スタックを形成するために、互いに結合されるステップを含む、請求項10または11に記載のプロセス。
【請求項13】
前記(d2)のステップにより形成された前記ボビンの前記スタックが、結合した前記シートを形成すべく、前記ボビンの前記スタックを切断するステップの前に、互いに結合されるステップを含む、請求項11に記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手巻きタバコ(roll-your-own cigarettes)の巻紙(paper)のシートに関する。
【背景技術】
【0002】
手巻きタバコの巻紙のシートは、一般的に、接着剤ストリップが塗布された長方形の形状をしており、該長方形の長辺の1つに沿って接着剤ストリップが塗布される。これらのシートは、約100枚のシートを備えた冊子の形態で販売される。ユーザは冊子からシートを取り出し、シート上にタバコ(tobacco)を配置し、次いで、接着剤ストリップを湿らせてシートに重ねることにより、紙巻タバコ(cigarette)を作る。
【0003】
従来、手巻きタバコの巻紙シートは、手巻きタバコの巻紙のボビンの形状に切断された手巻きタバコの巻紙のウェブから製造されていた。このボビンの幅は、シートの幅と実質的に同じである。次いで、手巻きタバコの巻紙のボビンの機械方向の2つの長辺の1つに接着剤ストリップを塗布し、次いで、ボビンを乾燥させる。次いで、乾燥させたボビンを手巻きタバコの巻紙シートに切断するというものである。
【0004】
手巻きタバコの巻紙の坪量は極めて少ない。それゆえ、シートの製造中に容易に破れてしまう恐れがある。最も問題となるのが、ボビンに接着剤ストリップを塗布する工程である。その原因として、従来、この工程は、圧力ノズルを用いることにより行われていたため、ボビンが容易に破れてしまう恐れがあった。特に、ボビンの幅が10cm以下の時にはより生じやすい。さらに、接着剤ストリップはボビンの長辺の1つに沿って堆積するが、それゆえ、接着剤ストリップの一部がボビンの外側に堆積して材料が失われることにより、紙巻きタバコを形成するための接着剤ストリップが不足することがある。
【0005】
これらの問題から、手巻きタバコの巻紙の製造の従来のプロセスは定期的に停止せざるを得なかった。これらのプロセスにおける巻紙の前進速度も最適化が可能である。
【0006】
これらの理由により、これらのプロセスの生産性は最適なものではなかった。
【0007】
したがって、手巻きタバコの巻紙シートの製造プロセスにおける生産性を改善するための効果的な解決策が求められている。
【0008】
それゆえ、複数の湿潤活性化(moisture-activated)接着剤ストリップを手巻きタバコの巻紙のウェブに塗布し、次いで、ボビンの形状に切断することにより、この必要性を満たすことが可能であることを見出したのは、本発明者らの功績である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
すなわち、本発明の第1の態様は、手巻きタバコの巻紙のボビンを製造するプロセスであって、(a)機械方向に延在するn個の湿潤活性化接着剤ストリップを備えた巻紙の接着剤ウェブを得るべく、n個の湿潤活性化接着剤ストリップを手巻きタバコの巻紙のウェブに塗布するステップと、(b)長辺の1つに沿って湿潤活性化接着剤ストリップを備えた手巻きタバコの巻紙のn個のボビンを得るべく、巻紙の接着剤ウェブをn-1個の湿潤活性化接着剤ストリップに沿って機械方向に切断するステップとを有し、nは2以上の整数であるように構成される、プロセスである。
【0010】
単一の湿潤活性化接着剤ストリップを手巻きタバコの巻紙のボビンに直接堆積させる従来のプロセスとは異なり、n個の湿潤活性化接着剤ストリップが、本発明のプロセスにより、手巻きタバコの巻紙のボビンの幅よりも幅の広い手巻きタバコの巻紙のウェブ上に堆積する。本発明の手巻きタバコの巻紙のボビンの製造プロセスでの(a)のステップにおいて、手巻きタバコの巻紙が破れるリスクは、従来のプロセスよりも低い。したがって、本発明の手巻きタバコの巻紙のボビンの製造プロセスは、定期的な停止を必要としない。
【0011】
これは、手巻きタバコの巻紙のウェブを手巻きタバコの巻紙のn個のボビンの形状に切断し、手巻きタバコの巻紙のn個のボビンのそれぞれに単一のストリップを塗布するよりも、手巻きタバコの巻紙のウェブにn個の湿潤活性化接着剤ストリップを塗布し、次いで、手巻きタバコの巻紙のウェブを、手巻きタバコの巻紙のn個のボビンに切断する方がより効率的である。
【0012】
さらに、n個の湿潤活性化接着剤ストリップのうちの1つのみが、手巻きタバコの巻紙のウェブの長辺の1つに塗布される。したがって、従来のプロセスと比較して、本発明のプロセスは湿潤活性化接着剤の損失を大幅に抑制することができる。
【0013】
その結果、本発明の手巻きタバコの巻紙のボビンの製造プロセスにおける生産性は、従来の手巻きタバコの巻紙のボビンの従来の製造プロセスよりも高い。
【0014】
本発明の他の態様は、本発明の手巻きタバコの巻紙のボビンの製造プロセスにより製造された手巻きタバコの巻紙のボビンを切断する(c)のステップを含む、手巻きタバコの巻紙のシートの製造プロセスに関する。
【0015】
本発明の他の態様は、本発明の手巻きタバコの巻紙のシートの製造プロセスにより製造された手巻きタバコの巻紙のシートのスタックを形成する(d1)のステップを含む、手巻きタバコの巻紙のシートの冊子を製造する方法に関する。
【0016】
本発明の他の態様は、本発明の手巻きタバコの巻紙のボビンの製造プロセスにより製造された手巻きタバコの巻紙のボビンのスタックを形成する(d2)のステップと、その後に続くボビンのスタックを切断する(e)のステップとを含む、手巻きタバコの巻紙のシートの冊子を製造する方法に関する。
【0017】
本発明のプロセスにより、湿潤活性化接着剤ストリップを備えた手巻きタバコ用のボビンやシート状の紙を、従来の製造プロセスの生産性よりも高い生産性で有利に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明のプロセスの(a)のステップの最後に得られた、4つの湿潤活性化接着剤ストリップが塗布された紙の接着剤ウェブを示す図である。
【
図2】本発明のプロセスの(b)のステップの最後に得られた4つのボビンを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
一実施形態では、本発明は、手巻きタバコの巻紙のボビンを製造するプロセスに関し、以下のステップを含む。(a)機械方向に延在するn個の湿潤接着剤ストリップを備えた手巻きタバコの巻紙のウェブを得るべく、手巻きタバコの巻紙のウェブにn個の湿潤接着剤ストリップを塗布するステップ、及び、(b)長辺の1つに沿って湿潤活性化接着剤ストリップを備えた手巻きタバコの巻紙のn個のボビンを得るべく、巻紙の接着剤ウェブをn-1個の湿潤活性化接着剤ストリップに沿って機械方向に切断するステップとを有する。ここで、nは2以上の整数であるように構成される、プロセス。
【0020】
本発明の意味において、「手巻きタバコの巻紙(roll-your-own cigarette paper)」は、紙巻きタバコを巻くために用いられるものと理解されたい。手巻きタバコの巻紙は、ウッドパルプ、タバコ繊維、麻繊維、亜麻繊維、サイザル麻繊維、ココアシェル繊維、カンナビス繊維、稲わら、アルファ草繊維、及びそれらの組み合わせから製造されてもよい。手巻きタバコの巻紙は坪量が小さく、販売されている紙巻きたばこの紙よりも薄い。例えば、巻紙の坪量は、接着剤ストリップの外側を測ると、10g/m2~50g/m2、特に、12g/m2~25g/m2、とりわけ、13g/m2~15g/m2であってもよい。巻紙の厚みは、5μm~100μm、特に、10μm~60μm、とりわけ、20μm~50μmであってもよい。
【0021】
本発明の意味において、「手巻きタバコの巻紙のウェブ」とは、上述した手巻きタバコの巻紙を意味すると理解され、その一般的な形状は、一度ウェブを広げると、長方形となっている。一般的に、該長方形の長さは数十mか、または数千mであり、その幅は0.6m以上、特に、1m以上、とりわけ、1.2m以上、さらには、1.5m以上である。
【0022】
本発明の意味において、「手巻きタバコの巻紙のボビン」とは上述した手巻きタバコの巻紙を意味すると理解され、その一般的な形状は、ボビンを広げてみると長方形をしており、その長方形の長辺の1つに沿って湿潤活性化接着剤ストリップを備えている。その長方形の幅は、実質的に手巻きタバコの巻紙のシートの幅と等しく、すなわち、30mm~75mm、とりわけ、約36mm、約44mm、または約53mmである。一般的に、該長方形の長さは数百~数千mであり、例えば、1000m~15000m、特に、3000m~10000m、とりわけ、5000m~8000mである。長方形の長さはまた、1または数十mであってもよく、その場合、シートはロールと呼ばれる。長方形の長さはまた、1m以上であってもよく、その場合、シートはリームと呼ばれる。
【0023】
湿潤活性化接着剤ストリップ(接着剤ストリップともいう)は、湿潤活性化接着剤を含む。
【0024】
本発明の意味において、「湿潤活性化接着剤」は、水または、例えば唾液等の水分との接触により接着性を示す化合物を意味すると理解されたい。湿潤活性化接着剤(接着剤ともいう)は、当業者に公知のあらゆる種類の湿潤活性化接着剤であってもよい。例えば、接着剤は、糖液、変性または非変性多糖類、ゴム類、及びそれらの混合物、特にゴム類から選択されてもよい。
【0025】
変性もしくは非変性多糖類として、デンプン、アルギン酸塩、デキストリン、シクロデキストリン、またはそれらの混合物を挙げることができる。
【0026】
ゴム類は天然由来のものであっても、合成物であってもよい。天然由来のゴム類の例としては、アカシアゴム、アラビアゴム、グアーゴム、カラヤゴム、またはペクチンがあり、特に、アラビアゴムである。
【0027】
手巻きタバコの巻紙のボビンの湿潤活性化接着剤ストリップにおける湿潤活性化接着剤の質量濃度は、手巻きタバコの巻紙を考慮しない場合、例えば、少なくとも95%、特に、少なくとも97%、とりわけ、99%、さらには、100%であってもよい。
【0028】
接着剤ストリップはまた、接着剤ストリップに接着性以外の特性を付与するための添加剤を含んでいてもよい。
【0029】
添加剤は、例えば、可塑剤、消泡剤、着色剤、芳香族化合物、またはそれらの混合物であってもよく、特に、可塑剤、消泡剤、またはそれらの混合物であってもよい。
【0030】
ソルビトールは、本発明の文脈において、使用が意図されている可塑剤の一例である。
【0031】
着色料としては、天然または人工の食品着色料、特に、天然の食品着色料が挙げられる。天然着色料としては、カラメル、クロロフィリン、パプリカ由来色素、ビート根由来色素、カロテン、ウコン由来色素、コチニール、アナトー種子由来色素、ルテイン、ひまわり由来色素、アントシニアン、麦芽由来色素、炭、及び熱発発光性色素などが例として挙げられる。
【0032】
芳香族化合物は、グリコシル化変性香料、カプセル化香料(シクロデキストリン、膜またはマトリクス)、天然香料及びそれらの混合物から選択されてもよい。芳香化合物は、特に、EVG、エマネート、合成または天然のカンナビジオール(CBD)、合成または天然のテトラヒドロカンナビノール(THC)、テルペン及びそれらの混合物から選択されてもよい。
【0033】
接着剤ストリップの坪量は、(a)で採用するステップの技術による。一般的に、接着剤ストリップの坪量は、手巻きタバコの巻紙を除いて、8g/m2、特に、5.5g/m2~7.5g/m2、とりわけ、5g/m2~6.5g/m2以下である。
【0034】
接着剤ストリップの坪量は、接着剤ストリップを含まない巻紙のボビンにおける1m2の区間の質量を計量と、接着剤ストリップを含む巻紙のボビンにおける1m2の区間を計量とを行い、2つの質量を差し引くことにより決定される。
【0035】
一般的に、接着剤ストリップの幅は、1mm~10mm、特に、4mm~8mm、とりわけ、5mm~7mmである。
【0036】
接着剤ストリップは、連続する形状または不連続な形状を有していてもよい。
【0037】
連続する形状としては、直線、ジグザグ模様、クレネル模様または波模様などが挙げられる。
【0038】
不連続な形状の例では、幾何学的形状の不連続な線、ロゴ、またはそれらの組み合わせが挙げられる。線は直線であっても、曲線であってもよい。
【0039】
幾何学的形状の例としては、多角形、円、楕円、長円、またはそれらの組み合わせが挙げられる。多角形は三角形や、正方形、長方形、または、ひし形等の四辺形、五角形、六角形、または八角形が挙げられる。
【0040】
ロゴは、手巻きタバコの巻紙の製造者のロゴであってもよい。
【0041】
一実施形態によれば、nは100以下の整数であり、特に、30~55である。
【0042】
例えば、(a)のステップは、巻紙の前進速度が、70m/分以上、特に、100m/分以上、とりわけ、150m/分以上、さらには、200m/分以上の速さで実施されてもよい。
【0043】
(a)のステップは、当業者に公知のあらゆる技術により行われてもよい。例えば、(a)のステップは、湿潤活性化接着剤溶液、並びに、エッチング、フレキソ印刷、ヘリオグラフィ、フレキソグラビア、グラビア印刷、スプレー塗装、ウェッティング、及び浸漬、特に、フレキソ印刷、ヘリオグラフィ、及びグラビア印刷等の技術により行われてもよい。これらの各技術に続いて、乾燥が行われてもよい。
【0044】
ある実施形態によれば、(a)のステップはフレキソ印刷により行われ、その後、必要に応じて乾燥される。
【0045】
フレキソ印刷は、ネガフィルム(negative)と呼ばれる柔軟なレリーフ版に印刷液を含浸させ、基板と含浸したネガフィルムとを互いに接触させることにより、基板上に印刷液を塗布する当業者に周知のレリーフ印刷プロセスである。
【0046】
本発明の文脈において、フレキソ印刷は、手巻きタバコの巻紙のウェブにn個の接着剤のストリップを塗布できるように、湿潤活性化接着剤溶液に含浸させたn個のネガフィルムを手巻きタバコの巻紙のウェブに有利に接触させることができる。
【0047】
フレキソ印刷は、従来のプロセスのスピードと比較して、紙の走行速度について、4倍以上の速度で行うことも可能である。したがって、本発明の手巻きタバコの巻紙のボビンの製造プロセスの生産性は、このように、従来のプロセスよりも高い。
【0048】
前進速度及びn個のネガフィルムの使用に加えてフレキソ印刷は穏やかな塗布方法であるため、(a)のステップを行うときに、手巻きタバコの巻紙のウェブが破れてしまうリスクを大幅に低減することができる。
【0049】
フレキソ印刷の利点として、精度、簡便性、及びネガフィルムが低価格である点が挙げられる。
【0050】
さらに、フレキソ印刷は、ネガフィルムの形状に依存した形状の接着剤ストリップを得ることができる柔軟な方法である。
【0051】
さらに、フレキソ印刷機により行われる(a)の塗布するステップの後に製造されるボビンの機械方向及び横機械方向の引張強度は、従来のプロセスによって製造されるボビンの引張強度よりも大きい。したがって、フレキソ印刷により行われる(a)の塗布するステップの後に製造されるボビンは、例えば、ボビンをシート状に切断するステップや、ボビンのスタックを形成するステップの後に該スタックをシートのスタックに切断するステップなど、本発明のボビンの製造プロセスの後続のステップに容易に用いることができる。
【0052】
湿潤活性化接着剤溶液(接着剤溶液ともいう)は湿潤活性化接着剤を含む。接着剤溶液中の湿潤活性化接着剤の質量濃度は、30%~60%、とりわけ、32%~45%、さらには35%~40%であってもよい。
【0053】
接着剤溶液は一般的に水溶液である。湿潤活性化接着剤溶液は、上述したような添加剤をさらに含んでいてもよい。
【0054】
一実施形態によると、接着剤溶液は湿潤活性化接着剤溶液、可塑剤、及び消泡剤を含んでいてもよく、湿潤活性化接着剤の質量濃度は30%~50%、可塑剤の質量濃度は0.1%~0.5%、消泡剤の質量濃度は0.5%~1%である。
【0055】
図1は、塗布された4つの接着剤ストリップ2を含む、本発明の(a)のプロセスの終了時における巻紙の接着剤ウェブ1を示す。
【0056】
巻紙の接着剤ウェブを切断する(b)のステップは、当業者に公知の従来の切断ステップである。したがって、当業者は、本発明の手巻きタバコの巻紙のボビンの製造プロセスに適合させる方法を知っている。
【0057】
例えば、(b)の切断するステップは、巻紙の前進速度について、100m/分以上、特に、500m/分以上、とりわけ、750m/分以上、さらには、1000m/分以上で行うこともできる。
【0058】
図2は、4つの手巻きタバコの巻紙のボビン11を示し、それぞれのボビン11は、長辺の1つに沿って接着剤ストリップ2を備える。
【0059】
本発明のプロセスにより製造されたボビンは、後に手巻きタバコを形成するために用いられる手巻きタバコの巻紙のシートに切断することができる。
【0060】
したがって、本発明の他の態様は、手巻きタバコの巻紙のシートを製造するために、上述した手巻きタバコの巻紙のボビンの製造プロセスにより製造された手巻きタバコの巻紙の少なくとも1つのボビンを切断する(c)のステップを含む、手巻きタバコの巻紙のシートの製造プロセスである。
【0061】
本発明の意味において、「手巻きタバコの巻紙のシート」とは、上述したように、通常、形状が長方形であり、該長方形の長辺の1つに沿って設けられた、上述のような接着剤ストリップを備える手巻きタバコの巻紙を意味することを理解されたい。一般的に、長方形の長さは50mm~110mmであり、一方で、幅は、30mm~75mmの間で様々であってもよい。
【0062】
手巻きタバコの巻紙のボビンを切断する(c)のステップは、当業者に公知の従来の切断ステップである。したがって、当業者は、本発明の巻きタバコ用紙のシートの製造プロセスに適合させる方法を知っている。
【0063】
本発明のプロセスにより製造された手巻きタバコの巻紙のシートは、冊子の形態で販売される。
【0064】
したがって、本発明はまた、本発明の手巻きタバコの巻紙のシートの製造プロセスによって製造された手巻きタバコの巻紙のシートのスタックを形成する(d1)のステップを含む、手巻きタバコの巻紙のシートの冊子を製造するプロセスに関する。
【0065】
(d1)の形成するステップは、例えば、手巻きタバコの巻紙のシートを一枚ずつ積み重ねるか、または、一枚の手巻きタバコの巻紙のシートを、二枚の手巻きタバコの巻紙のシートの間に挿入することによって行われてもよい。
【0066】
例えば、(d1)の形成するステップは、ルクセンブルクのIMAtec社により販売されている機器を用いてシートに挿入することにより、行われてもよい。
【0067】
一実施形態によれば、(d1)のステップの後に形成されるシートのスタックは、結合したシートのスタックを形成するために、結合するステップを経ることができる。
【0068】
その後、シートのスタックは、結合しているかどうかにかかわらず、ケースに導入されてもよい。
【0069】
したがって、本発明はまた、本発明の手巻きタバコの巻紙のボビンの製造プロセスによって製造された手巻きタバコの巻紙のボビンのスタックを形成する(d2)のステップと、その後に続くボビンのスタックを切断する(e)のステップとを含む手巻きタバコの冊子を製造するプロセスに関する。
【0070】
ボビンのスタックは、(d2)のステップにおいて、手巻きタバコの巻紙のボビンを広げ、広げられた手巻きタバコの巻紙のボビンを互いに一枚ずつ積み重ねるか、または、一枚の広げられた手巻きタバコの巻紙のボビンを、二枚の広げられた手巻きタバコの巻紙のボビンの間に挿入することにより、形成されてもよい。
【0071】
一実施形態によれば、ボビンのスタックを切断する(e)のステップにおいて形成されたシートのスタックは、結合されたシートのスタックを形成するために、結合のステップを経てもよい。
【0072】
一実施形態によれば、(d2)のステップにおいて形成されたボビンのスタックは、結合されたシートのスタックを形成するために、切断するステップの前に結合のステップを経てもよい。
【0073】
シートのスタックは、結合されているかどうかに関わらず、その後、ケースに導入されてもよい。
【0074】
例
【0075】
本発明による例1
【0076】
アラビアゴム水溶液を、フレキソ印刷により、手巻きタバコの巻紙のウェブに塗布し、4つの粘着ストリップが機械方向に延在するようにする。その後、ウェブを乾燥させ、4つのボビンを得るために切断し、各ボビンはアラビアゴムを含む接着剤ストリップを備える。
【0077】
その後、ボビンをシート状に切断する。
【0078】
各シートは長さ110mm、幅44mmの長方形の形状を有し、シートの2つの長辺の1つに沿って連続した接着剤ストリップを備える。
【0079】
このプロセスにより、200m/分の速度でシートが生産される。
【0080】
比較例2
【0081】
巻紙のウェブを4つのボビンの形状に切断する。
【0082】
アラビアゴム水溶液を、ノズルを用いて、手巻きタバコの巻紙の各ボビンに塗布する。
【0083】
各シートは、長さ110mm、幅44mmの長方形の形状を有し、シートの2つの長辺の1つに連続した接着剤ストリップを備える。
【0084】
比較例2の方法により、55m/分の速度でシートが生産される。
【0085】
したがって、例1(本発明)によるシートの製造プロセスは、例2(比較例)によるシートの製造プロセスよりも4倍の速度であった。
【0086】
したがって、例1のプロセスの生産性は、例2のプロセスの生産性よりも高い。
【国際調査報告】