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特表2023-503686PTFE系膜のナノ深さ表面活性化方法
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  • 特表-PTFE系膜のナノ深さ表面活性化方法 図1
  • 特表-PTFE系膜のナノ深さ表面活性化方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-31
(54)【発明の名称】PTFE系膜のナノ深さ表面活性化方法
(51)【国際特許分類】
   C09J 133/06 20060101AFI20230124BHJP
   B29C 59/00 20060101ALI20230124BHJP
   C09J 5/02 20060101ALI20230124BHJP
   C09J 133/02 20060101ALI20230124BHJP
   C09J 7/38 20180101ALI20230124BHJP
   B32B 27/30 20060101ALI20230124BHJP
   B32B 38/18 20060101ALI20230124BHJP
   B32B 3/30 20060101ALI20230124BHJP
【FI】
C09J133/06
B29C59/00 C
C09J5/02
C09J133/02
C09J7/38
B32B27/30 D
B32B38/18 D
B32B3/30
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022532598
(86)(22)【出願日】2020-12-15
(85)【翻訳文提出日】2022-05-31
(86)【国際出願番号】 CN2020136604
(87)【国際公開番号】W WO2022011959
(87)【国際公開日】2022-01-20
(31)【優先権主張番号】202011221828.1
(32)【優先日】2020-11-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520414480
【氏名又は名称】中国長江三峡集団有限公司
(71)【出願人】
【識別番号】522044283
【氏名又は名称】中国三峡新能源(集団)股▲ふん▼有限公司
(71)【出願人】
【識別番号】522044294
【氏名又は名称】南京浩暉高科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100148633
【弁理士】
【氏名又は名称】桜田 圭
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【弁理士】
【氏名又は名称】美恵 英樹
(72)【発明者】
【氏名】劉 建平
(72)【発明者】
【氏名】向 欣
(72)【発明者】
【氏名】呉 建華
(72)【発明者】
【氏名】朱 亜偉
(72)【発明者】
【氏名】趙 景▲シン▼
(72)【発明者】
【氏名】李 文偉
(72)【発明者】
【氏名】帥 争鋒
(72)【発明者】
【氏名】呉 弘
(72)【発明者】
【氏名】呉 建平
(72)【発明者】
【氏名】趙 方亮
【テーマコード(参考)】
4F100
4F209
4J004
4J040
【Fターム(参考)】
4F100AH06
4F100AH06A
4F100AK04
4F100AK04B
4F100AK18
4F100AK18A
4F100AK25
4F100AK25D
4F100BA04
4F100BA07
4F100CB00
4F100CB00C
4F100CB00D
4F100DD07
4F100DD07A
4F100EH46C
4F100EJ58B
4F100EJ59B
4F100EJ64B
4F100GB51
4F100JB01
4F100JK01D
4F100JK06
4F100JK09
4F100JK10
4F100JL06
4F100JL09
4F100YY00A
4F100YY00B
4F209AA17
4F209AC03
4F209AE10
4F209AF01
4F209AG01
4F209AG05
4F209PA01
4F209PB02
4F209PC05
4F209PN03
4J004AA10
4J004AB01
4J004CA05
4J004CC02
4J040DF011
4J040DF031
4J040JA09
4J040JB09
4J040LA06
4J040LA07
4J040MA10
4J040PA02
(57)【要約】
本発明はPTFE系膜のナノ深さ表面活性化方法を開示し、高分子複合材料の技術分野に関する。PTFE系ナノ機能性複合膜の機能面を被覆処理した後、接着剤が塗布された膜の片面に対して表面活性化処理を行い、機械的接着剤塗布装置を用いて、高靭性冷間接着テープをPTFE系ナノ機能性複合膜の活性化構造層を備えた面に遷移し複合し、接着剤-膜複合体を形成する。膜と接着剤の間に非常に強い親和性と高強度の接着性を発生させ、接着剤-膜複合体を形成し、膜/接着剤の接着複合、膜/膜の接着複合、および膜/接着剤の接着後の一体化を実現し、また、接着剤の接着強度、接着剥離力、および接着力の持続性を向上させ、PTFE材料をいずれの材料でも接着できないという技術的課題を解決する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナノスケールおよびマイクロスケールの凹凸幾何学的形状の超微細構造形態を有するPTFE系ナノ機能性複合膜の機能面を被覆処理した後、接着剤が塗布された膜の片面に対して、真空環境および40℃未満の窒素-水素混合媒体の雰囲気で、1.5~3m/minの速度で表面活性化処理を行い、膜の接着剤塗布面にナノ深さを有する活性化構造層を形成し、
機械的接着剤塗布装置を用いて、高靭性冷間接着テープをPTFE系ナノ機能性複合膜の活性化構造層を備えた面に遷移し複合し、接着剤の官能基と膜の活性化構造層を化学的に結合させて、接着剤-膜複合体を形成し、
高靭性冷間接着テープの製造は、0.2kgのPVA-1788、18kgのアクリル酸ブチル、0.5kgのアクリル酸、1.0kgの酢酸ビニル、1.0kgのメチルメタクリレート、1.5kgのシリコーンモノマー、0.01kgのTO-7、0.01kgのドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、0.05kgの過酸化ベンゾイル、80kgの水を、調製タンクに入れ、調製温度を85℃、調製時間を5hとし、真空引きおよび脱水を行って、固形分18.7%の帯状感圧接着テープを得て、剥離紙を複合して、PVCチューブコアに巻き付けることである、
ことを特徴とするPTFE系膜のナノ深さ表面活性化方法。
【請求項2】
PTFE系ナノ機能性複合膜の機能面をPE膜で被覆処理する、
ことを特徴とする請求項1に記載のPTFE系膜のナノ深さ表面活性化方法。
【請求項3】
ナノスケールおよびマイクロスケールの凹凸幾何学的形状の超微細構造形態を有するPTFE系ナノ機能性複合膜を以下のように製造し、
(1)モノマー融合重合と微重合によるPTFE系ナノ機能性複合膜の製造
1)ブレンド、プリプレス、プッシュプレスによる棒材の製造
PTFE軟化作用を有するシリコーンオイルでPTFE樹脂を含浸し、含浸したPTFE樹脂をブレンドし、温度60~90℃、速度20~30m/min、圧力5~8MPaのホットプリプレスとホットプッシュプレスにより、モノマー重合した表面潤滑性を有するPTFE棒材を得て、
2)熱間圧延を用いた融合重合による成膜
調製されたPTFE棒材を、温度60~90℃、速度20~30m/minの熱間圧延の作用により融合して重合させ、温度の作用下で、PTFE樹脂に混合されかつモノマー重合作用を有するシリコーンオイルを熱間圧延機によって押し出し、ミクロンスケールの細孔を備えたPTFE系ナノ機能性複合膜を得て、ロール状に巻き取り、
温度および熱間圧延による延伸作用の下で、膜が破裂した後、層状に剥離した繊維状構造を発生させ、微細孔を備えたナノスケールおよびミクロンスケールの凹凸幾何学的形状の超微細構造形態を有する厚さ100~120μmの乳白色PTFE系膜を形成し、
3)微重合による均質な膜の製造
ミクロンスケールの微小凹凸表面構造を有するPTFE系ナノ機能性複合膜を温度180~200℃の脱脂オーブン内で温度作用により微重合させ、熱間圧延機によって押し出されておらず、モノマー重合のためにPTFE樹脂に含浸したシリコーンオイルが温度作用により重合反応して、PTFE樹脂内に重合、固定化し、PTFE系の均質な膜を得て、ロール状のPTFE系膜を脱脂オーブン内で6~8m/minの速度で巻き取り、
(2)高温高線形荷重マイクロ共晶法によるPTFE系ナノ機能性複合膜の製造
高温高線形荷重マイクロ共晶キャビティ内の温度を70~420℃に設定し、PTFE系ナノ機能性複合膜を6~8m/minの速度で前へ押し込み、キャビティ内の高温により膜の分子鎖を収縮させ、共晶を生成し、微細孔をナノスケールおよびスーパーミクロンスケールにし、PTFE膜の表面線形荷重を50~80N/mに制御し、PTFE系ナノ機能性複合膜の元のナノスケールおよびミクロンスケールの凹凸幾何学的形状の超微細構造形態を維持しながら、膜の色を乳白色から均一に透明な色にする、
ことを特徴とする請求項1に記載のPTFE系膜のナノ深さ表面活性化方法。
【請求項4】
ビニルシリコーンオイルとPTFE樹脂を(2~3):100の質量比で添加する、
ことを特徴とする請求項3に記載のPTFE系膜のナノ深さ表面活性化方法。
【請求項5】
ナノスケールおよびマイクロスケールの凹凸幾何学的形状の超微細構造形態を有するPTFE系ナノ機能性複合膜を以下のように製造し、
(1)モノマー融合重合と微重合によるPTFE系ナノ機能性複合膜の製造
1)ブレンド、プリプレス、プッシュプレスによる棒材の製造
ビニルシリコーンオイルとPTFE樹脂を2.5:100の質量比で混合して、PTFE軟化作用を有するシリコーンオイルでPTFE樹脂を含浸し、含浸したPTFE樹脂をブレンドし、温度60℃、速度25m/min、圧力8MPaのホットプリプレスとホットプッシュプレスにより、モノマー重合した表面潤滑性を有するФ17mmのPTFE棒材を得て、
2)熱間圧延を用いた融合重合による成膜
調製されたPTFE棒材を、温度60℃、速度25m/minの熱間圧延の作用により融合して重合させ、、温度の作用下で、PTFE樹脂に混合されかつモノマー重合作用を有するシリコーンオイルを熱間圧延機によって押し出し、ミクロンスケールの細孔を備えたPTFE系ナノ機能性複合膜を得て、ロール状に巻き取り、
温度および熱間圧延による延伸作用の下で、膜が破断した後、層状に剥離した後の繊維状構造を発生させ、微細孔を備えたナノスケールおよびミクロンスケールの凹凸幾何学的形状の超微細構造形態を有する厚さ100μmの乳白色PTFE系膜を形成し、
3)微重合による均質な膜の製造
ミクロンスケールの微小凹凸表面構造を有するPTFE系ナノ機能性複合膜を温度200℃の脱脂オーブン内で温度作用により微重合させ、熱間圧延機によって押し出されておらず、モノマー重合のためにPTFE樹脂に含浸したシリコーンオイルが温度作用により重合反応して、PTFE樹脂内に重合、固定化し、PTFE系の均質な膜を得て、ロール状のPTFE系膜を脱脂オーブン内で6m/minの速度で巻き取り、
(2)高温高線形荷重マイクロ共晶法によるPTFE系ナノ機能性複合膜の製造
高温高線形荷重マイクロ共晶キャビティ内の温度を380℃に設定し、PTFE系ナノ機能性複合膜を6m/minの速度で前へ押し込み、キャビティ内の高温により膜の分子鎖を収縮させ、共晶を生成し、微細孔をナノスケールおよびスーパーミクロンスケールにし、PTFE膜の表面線形荷重を50~80N/mに制御し、PTFE系ナノ機能性複合膜の元のナノスケールおよびミクロンスケールの凹凸幾何学的形状の超微細構造形態を維持しながら、膜の色を乳白色から均一に透明な色にし、密度を2.1kg/mとする、
ことを特徴とする請求項4に記載のPTFE系膜のナノ深さ表面活性化方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高分子複合材料の技術分野に関し、特に、PTFE系膜のナノ深さ表面活性化方法を開示する。
【背景技術】
【0002】
中国では、高地、山岳、および低温凍結地域に設置された風力発電ユニットは、気候の影響を受けるため、毎年冬になると、ブレードがさまざまな程度で氷結し、ブレードの異常な動作が発生し、ファンの出力電力が保証された電力に達せず、シャットダウンし、したがって、多くの電気料金が損失し、さらにブレードの破損事故が発生する。ブレード表面の氷結防止および除氷の技術的方法と効率の欠如は、風力発電に直接影響を及ぼし、風力発電の利益が損失し、ユニットの運転を共有することによる安全上のリスクを有し、したがって、ファンブレードの氷結の問題を解決することは、世界中の風力発電業界で重要な課題である。中国内外の科学研究機関と風力発電業界は、ファンブレードの除氷技術材料に対して、関連研究を行っている。
【0003】
中国外のデータベースや関連ウェブサイトにおける開示された文献資料を検索することによって、特許JP2003113254がファンブレードコーティングを発明したことがわかり、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ドライアイス、カーボンパウダー、桐油、ポリビニルホルマール、ポリエーテルイミド、わら粉、防腐剤、分散剤、およびレベリング剤などを原料として使用し、多孔質の超疎水性ポリフッ化ビニリデンフッ素膜コーティングを形成し、優れた着氷防止性能を達成することが期待される。特許WO2006058233は、均質な二重層のSiOとポリテトラフルオロエチレンとが複合化されたセルフクリーニング反射防止膜およびその製造方法を開示してブレードの防氷に用いられ、該反射防止膜は、緻密なシリカ層、多孔質シリカナノロッド層、およびポリテトラフルオロエチレンナノロッドを複合することによって構成され、その製造方法は、電子ビーム蒸発法を用いて、屈折率が徐々に低下する高緻密なシリカ、多孔質シリカ、およびポリテトラフルオロエチレンナノロッド複合薄膜という三層のものを透明または半透明の基底に順次堆積する。特許US20170028361は、ブレード氷結防止用のPFSA/PTFE複合膜を開示し、低沸点有機アルコール溶媒の水溶液でパーフルオロスルホン酸物質を溶解し、次に、高沸点有機溶媒とシリカゾルを溶液に加えて、膜製造用の樹脂溶液を調製し、膜形成機により基膜-発泡ポリテトラフルオロエチレン微孔性薄膜を駆動して膜形成機のベアリングローラー上で動かし、まず、基膜を低濃度の樹脂溶液に浸漬し、次に、40~100℃で乾燥し、乾燥した基膜を高濃度の溶液に浸漬し続け、次に、40~100℃で乾燥し、その後、複合膜が所定の厚さに達するまで、基膜を高濃度の溶液に繰り返し浸漬し乾燥し、複合膜をオーブンに入れて、120~200℃で乾燥し成形し、完全性を備えた複合膜を得る。特許EP2767330は、ブレードの氷結防止用の多孔質PTFE膜を含む複合材料を開示し、該多孔質PTFE膜に含まれる中間PTFE膜は約2ナノメートル~約20ナノメートルの孔径を有し、多孔質PTFE膜は大きな孔径を持つ多孔質フッ素重合体膜の間に挿入され、接着される。特許CN101821500Aは、風力タービンのブレードを除氷する方法、風力タービン、およびそれを使用する方法を開示し、該方法は、風力タービンが一定期間シャットダウンした後に風力タービンのブレードを除氷することに用いられ、ブレードに加速状態とその後の減速状態を形成することによってブレードから氷を振り落とすが、大型風力タービンの場合、ブレードの基部の振幅が小さいため、この方案を達成することが困難である。
【0004】
中国の学術、科学研究機関、および風力発電業界は、ファンブレードの着氷防除に関する研究を止めたことがなく、開示された文献に発表された方法は、機械、溶液、コーティング、熱風、マイクロ波、振動、電熱、および超音波などの除氷方法を含む。武漢大学電気工程学院の姚剛らは、超疎水性のナノ複合材料を製造し、かつその氷結への影響を研究するために、高速撹拌と超音波分散を組み合わせる方法を利用して、カップリング剤で処理されたナノSiO2-xを、疎水性のフッ素化シリコーン樹脂に均一に分散させ、製造された超疎水性のナノ複合コーティングは、ブレードの氷結防止に使用される。特許第201610675902.4号は、ファンブレード着氷防止のためのPTFEおよびポリエステルベースの複合膜の製造方法および応用を開示し、接着複合剤を使用してラミネート複合を行い、界面接着剤を塗布し、感圧接着剤を使用して光開始感圧接着剤を塗布する。その中で、接着複合剤は、3-イソシアナートメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキシルイソシアナート、酢酸ビニル、ウレタン、α-リノレン酸、過酸化ベンゾイル、(4)エトキシル化ビスフェノールAジメタクリレートなどで構成される。光開始感圧接着剤は、ポリ[アクリル酸ブチル-グリシジルメタクリレート-n-ブトキシメタクリルアミド]コポリマー、アクリル酸ブチル、(4)エトキシル化ビスフェノールAジメタクリレート、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、ジメチルホルムアミドなどで構成される。PTFE系ポリエステル複合膜がファンブレードの表面に接着剤で直接貼り付けられないという非付着性の技術的問題を解決する。接着剥離強度が向上し、各種モデルのファンブレードの氷結防止に使用できる。特許第201610670830.4号は、ファンブレード着氷防止のためのナノ改質PTFEおよびポリエステルベースの複合膜の製造方法および応用を開示し、PTFE改質の膜をラミネート複合し、光架橋接着剤を塗布し、アンチモンをドープした酸化スズナノ結晶、ナノ二酸化チタン、ナノシリコーンカーバイド、有機フッ素防水剤、ペンタエリスリトールトリス(3-アジリジニル)プロピオネートで改質剤を構成する。ラミネート複合において、接着複合剤は3-イソシアナートメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキシルイソシアナート、酢酸ビニル、ウレタン、α-リノレン酸、(2)エトキシル化ビスフェノールAジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、過酸化ベンゾイルで構成される。光架橋接着剤は、ポリ[アクリル酸ブチル-グリシジルメタクリレート-n-ブトキシメタクリルアミド]コポリマー、酢酸ビニル、アクリル酸ブチル、アクリレート誘導体、光開始剤、ジメチルホルムアミドで構成され、改質PTFEおよびポリエステルベースの複合膜が接着剤でファンブレードの表面に直接貼り付けられないという問題を解決する。「風力エネルギー」の2016年9月号に発表された論文の「ファンブレード氷結防止技術に関する研究分析」では、ホットプレス複合プロセスの作用の下で、得られたナノ改質PTFE膜とポリエステルベースのファブリックを高温で接着および複合し、得られたナノ改質PTFE膜とポリエステルファブリック複合膜は、ファンブレード氷結という世界的な問題を解決できる新世代の着氷防止の新材料と新技術になることが期待されている。特許第201610675902.4号は、ファンブレード着氷防止のためのPTFEおよびポリエステルベースの複合膜の製造方法および応用を開示し、接着複合剤を使用してラミネート複合を行い、界面接着剤を塗布し、感圧接着剤を使用して光開始感圧接着剤を塗布する。特許第201610452541.7号は、自己接着性炭素繊維、鋼繊維で改質されたポリテトラフルオロエチレン材料およびその製造方法を開示して、ブレード氷結防止に用いられる。鋼繊維と炭素繊維を使用してポリテトラフルオロエチレンの引張強度と摩擦特性を改善し、同時に、改善された溶融法を使用して、SiO、Al粉末などの微細なフィラーを高温でポリテトラフルオロエチレンの表面に焼結し、ポリテトラフルオロエチレンの表面焼結状態を改善し、接着強度を大幅に向上させる。特許第201310018649.1号は、ブレード氷結防止のためのPTFE自己接着フレキシブル膜テープの製造方法を開示し、それはポリテトラフルオロエチレン分散樹脂を使用し、一定量のシリコーンと溶剤油を加えて、均一に混合し、50℃のオーブンで12h以上硬化させ、硬化した粉末を円柱状のブランクにプレプレスする。押出機に入れて直径20~25mmの円形ストリップ材を押し出し、かつ温水に入れて保温し、次に大きなローラーカレンダーによって薄膜にプレスし、脱脂、横引っ張り、縦引っ張り、横引っ張り、成形、切断などの工程を経て、最終的に密封業界向けの優れた性能を備えたポリテトラフルオロエチレン膜テープ製品を得て、密度範囲が400~1100g/mであり、引張強度が15~25MPaである。特許第201720057571.8号は、ブレード着氷防止のための光制御断熱膜を開示し、それは内側から外側へ、PET膜、二酸化チタン層、ポリテトラフルオロエチレン膜、ホットメルト接着剤層、PETベース膜、引っかき傷防止層、および赤外線遮断層である。特許第201610990370.3号は、ブレード防氷のための二層紡糸膜およびその製造方法を開示し、防氷二層紡糸膜の上層は、シリカコーティングを噴霧した超疎水性紡糸膜であり、下層は、防氷液を注入した親水性紡糸膜である。長沙理工大学の劉勝先らは、異なる氷結状態でのファンブレードの動的特性に対するシミュレーション実験分析を通じて、ブレード氷結状態のパラメータを定義し、ブレード氷結状態での特徴値インデックスをシミュレート計算して取得し、振動検出に基づくファンブレード着氷状態の診断技術を研究した。金風科技は、電熱除氷の技術的解決手段を開発し、ブレードコーティング内に、炭素繊維、加熱抵抗、金属加熱メッシュ、導電性加熱膜または他の加熱部品などのような、炭素繊維電熱膜または抵抗線などの加熱部品を事前に埋め込むことによって、過熱防止コンバーターおよび電源などと組み合わせて電熱除氷システムを形成し、電熱温度でブレード表面の氷を溶かして、除氷効果を達成する。運達風電は、ブレードキャビティ内に電気加熱による熱風を入力して除氷する技術を開発し、ブレードキャビティ内に熱風換気パイプを配置し、ファンハブ内に加熱装置を追加することにより、熱風または他の放射源によって加熱された熱風を換気パイプ内で循環させ、ブレードが特定の温度になるように、ブレードシェルを介してブレードの外表面に熱を伝達し、熱風の作用下で、ブレードを間接的に加熱し、過冷却された水滴の凍結を防ぎ、除氷という目的を達成する。
【0005】
要約すると、中国内外でファンブレードを除氷する多くの種類の技術的方法があり、しかし、これらの技術的方法のいくつかは基礎研究にすぎず、実験的に適用されたものもあるが、氷結防止および除氷の理想的な効果を達成することができない。特に抵抗線と電気熱風を利用して除氷する方法において、除氷効果が低く、各ブレードに200kgの重量を増加させ、機械全体のブレードに600kgの重量を増加させ、ファンブレードの重量負荷を増加させ、プラントの電力消費率を8~10%以上増加させる。単一ブレードの電気加熱が故障または失敗する場合に、電気加熱除氷システム全体をシャットダウンする必要があり、そうしないと、ブレード上の着氷重量が異なるため、バランスウェイトが不均衡になり、重心が大きくずれて故障や事故を引き起こし、同時に、落雷しやすい安全上の潜在的な危険もある。
【0006】
PTFE系材料は低表面張力特性上の利点を有するが、PTFE系膜が製造された後、その低表面張力の非付着性に依存するだけでは、ファンブレードへの氷晶の付着に抵抗することができず、したがって、ファンブレードの表面での氷の形成を真に防止するという効果および目的を達成することができない。しかしながら、PTFEを改質する対策方法を使用しないと、製造されたPTFE系膜をファンブレードの表面に直接しっかりと接着することができず、改質されたPTFE系膜により、その低表面張力特性上の利点が大幅に減少する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の技術的問題を解決するために、本発明は、PTFE系膜のナノ深さ表面活性化方法を提供する。ナノスケールおよびマイクロスケールの凹凸幾何学的形状の超微細構造形態を有するPTFE系ナノ機能性複合膜の機能面を被覆処理した後、接着剤が塗布された膜の片面に対して、真空環境および40℃未満の窒素-水素混合媒体の雰囲気で、1.5~3m/minの速度で表面活性化処理を行い、膜の接着剤塗布面にナノ深さを有する活性化構造層を形成し、機械的接着剤塗布装置を用いて、高靭性冷間接着テープをPTFE系ナノ機能性複合膜の活性化構造層を備えた面に遷移し複合し、接着剤の官能基と膜の活性化構造層を化学的に結合させて、接着剤-膜複合体を形成する。
【0008】
高靭性冷間接着テープの製造は、0.2kgのPVA-1788、18kgのアクリル酸ブチル、0.5kgのアクリル酸、1.0kgの酢酸ビニル、1.0kgのメチルメタクリレート、1.5kgのシリコーンモノマー、0.01kgのTO-7、0.01kgのドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、0.05kgの過酸化ベンゾイル、80kgの水を、調製タンクに入れ、調製温度を85℃、調製時間を5hとし、真空引きおよび脱水を行って、固形分18.7%の帯状感圧接着テープを得て、剥離紙を複合して、PVCチューブコアに巻き付けることである。
【0009】
技術的効果
本発明では、PTFE系ナノ機能性複合膜に対してナノ深さ表面活性化を行うことにより、PTFE系ナノ機能性複合膜の表面上にナノ深さの活性構造層を生成することができ、活性構造層は接着剤の官能基と化学的に結合することができる。膜と接着剤の間に非常に強い親和性と高強度の接着性を発生させ、接着剤-膜複合体を形成し、膜/接着剤の接着複合、膜/膜の接着複合、および膜/接着剤の接着後の一体化を実現し、また、接着剤の接着強度、接着剥離力、および接着力の持続性を向上させ、PTFE材料をいずれの材料でも接着できないという技術的課題を解決する。
【0010】
本発明のさらなる技術的解決手段は以下のとおりである。
【0011】
さらに、PTFE系ナノ機能性複合膜の機能面をPE膜で被覆処理する。
【0012】
前述のPTFE系膜のナノ深さ表面活性化方法の特徴は以下のとおりである。ナノスケールおよびマイクロスケールの凹凸幾何学的形状の超微細構造形態を有するPTFE系ナノ機能性複合膜を以下のように製造し、
(1)モノマー融合重合と微重合によるPTFE系ナノ機能性複合膜の製造
1)ブレンド、プリプレス、プッシュプレスによる棒材の製造
PTFE軟化作用を有するシリコーンオイルでPTFE樹脂を含浸し、含浸したPTFE樹脂をブレンドし、温度60~90℃、速度20~30m/min、圧力5~8MPaのホットプリプレスとホットプッシュプレスにより、モノマー重合した表面潤滑性を有するPTFE棒材を得て、
2)熱間圧延を用いた融合重合による成膜
調製されたPTFE棒材を、温度60~90℃、速度20~30m/minの熱間圧延の作用により融合して重合させ、温度の作用下で、PTFE樹脂に混合されかつモノマー重合作用を有するシリコーンオイルを熱間圧延機によって押し出し、ミクロンスケールの細孔を備えたPTFE系ナノ機能性複合膜を得て、ロール状に巻き取り、
温度および熱間圧延による延伸作用の下で、膜が破裂した後、層状に剥離した繊維状構造を発生させ、微細孔を備えたナノスケールおよびミクロンスケールの凹凸幾何学的形状の超微細構造形態を有する厚さ100~120μmの乳白色PTFE系膜を形成し、
3)微重合による均質な膜の製造
ミクロンスケールの微小凹凸表面構造を有するPTFE系ナノ機能性複合膜を温度180~200℃の脱脂オーブン内で温度作用により微重合させ、熱間圧延機によって押し出されておらず、モノマー重合のためにPTFE樹脂に含浸したシリコーンオイルが温度作用により重合反応して、PTFE樹脂内に重合、固定化し、PTFE系の均質な膜を得て、ロール状のPTFE系膜を脱脂オーブン内で6~8m/minの速度で巻き取り、
(2)高温高線形荷重マイクロ共晶法によるPTFE系ナノ機能性複合膜の製造
高温高線形荷重マイクロ共晶キャビティ内の温度を70~420℃に設定し、PTFE系ナノ機能性複合膜を6~8m/minの速度で前へ押し込み、キャビティ内の高温により膜の分子鎖を収縮させ、共晶を生成し、微細孔をナノスケールおよびスーパーミクロンスケールにし、PTFE膜の表面線形荷重を50~80N/mに制御し、PTFE系ナノ機能性複合膜の元のナノスケールおよびミクロンスケールの凹凸幾何学的形状の超微細構造形態を維持しながら、膜の色を乳白色から均一に透明な色にする。
【0013】
本発明の有益な効果は以下のとおりである。
(1)本発明は、PTFE系材料の低表面張力特性を最大限に利用することに基づいて、モノマー融合重合および微重合技術を採用し、膜を複数のナノスケールおよびミクロンスケールの凹凸幾何学的形状の超微細構造形態として製造し、それにより、PTFE系膜は、超低表面張力、疎水性、非付着性、高防汚性、抗吸湿性、およびセルフクリーニング性などの機能特性を有する。超高温超高圧マイクロ共晶技術を用いて、膜構造の強度を高め、高温で膜が破裂する時にPTFEが層状に剥離された後に繊維状構造になり、耐摩耗性が低下するという技術的なボトルネックを解消し、温度の作用により孔隙が小さくなり、膜の透明度とその透明度の均一性を向上させ、PTFE系ナノ機能性複合膜の超微細構造表面形態を維持しながら、膜は高い耐摩擦性、耐摩耗性、および耐衝撃性を有する。ナノ深さ表面活性化技術を使用して、膜と接着剤を化学的に結合させ、接着強度と接着剥離力および接着力の持続性を高める。
(2)本発明は、PTFE系膜の性能特性、用途要件および使用環境に基づいて、コールドペースト機能を備えた高靭性コールドペースト接着剤を特別に調製し、コールドペースト接着を直接行うことができ、高靭性コールドペースト接着剤は高い剥離強度を有し、引張破断伸び率と衝撃抵抗強度が比較的大きく、硬度と引張弾性率が比較的小さく、耐紫外線劣化時間と耐劣化時間が長く、明らかな塑性変形特性がなく、熱膨張収縮応力が接着剤の弾性限界よりも小さく、それにより、接着剤は常に強靭な状態にあり、高い接着強度と持続的な接着剥離力を有する。
(3)本発明により製造されたPTFE系ナノ機能性複合膜は、より高い透明度を有し、貼り付けられたブレードの元の表面色を変化させず、厚さが100~200μmであり、重さが200~300g/mであり、表面粗さが0.18μmであり、
ファンブレードの負荷を増やすことなく、ブレード翼の空力性能を向上させ、ブレードの運転効率を向上させることができる。
(4)本発明により製造されたPTFE系ナノ機能性複合膜は、PTFE材料を改質することなく、接着剤の官能基と化学的に結合することができ、接着剤と膜の間に高い親和性と接着強度を有し、接着剤の選択範囲を広げる。
(5)本発明により製造されたPTFE系ナノ機能性複合膜は、ブレードの保護コートに相当するPTFE材料の優れた耐紫外線性および耐候性を有し、ブレードの表面強度を高め、全体的な固定の役割を果たし、ブレードの全体的な負荷能力と侵食に耐える能力を向上させることができ、ブレードの経年劣化やひび割れなどの安全上の潜在的な危険を排除し、さらにファンブレードの耐用年数を延長させる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】走査型電子顕微鏡SEM下での膜表面のナノ深さ活性構造層の処理前の膜表面である。
図2】走査型電子顕微鏡SEM下での膜表面のナノ深さ活性構造層の処理後の膜表面である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本実施形態に提供されたPTFE系膜のナノ深さ表面活性化方法において、ナノスケールおよびマイクロスケールの凹凸幾何学的形状の超微細構造形態を有するPTFE系ナノ機能性複合膜の機能面をPE膜で被覆処理した後、接着剤が塗布された膜の片面に対して、真空環境および40℃未満の窒素-水素混合媒体の雰囲気で、3m/minの速度で表面活性化処理を行い、膜の接着剤塗布面にナノ深さを有する活性化構造層を形成し、機械的接着剤塗布装置を用いて、高靭性冷間接着テープをPTFE系ナノ機能性複合膜の活性化構造層を備えた面に遷移し複合し、接着剤の官能基と膜の活性化構造層を化学的に結合させて、接着剤-膜複合体を形成する。
【0016】
高靭性冷間接着テープの製造は、0.2kgのPVA-1788、18kgのアクリル酸ブチル、0.5kgのアクリル酸、1.0kgの酢酸ビニル、1.0kgのメチルメタクリレート、1.5kgのシリコーンモノマー、0.01kgのTO-7、0.01kgのドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、0.05kgの過酸化ベンゾイル、80kgの水を、調製タンクに入れ、調製温度を85℃、調製時間を5hとし、真空引きおよび脱水を行って、固形分18.7%の帯状感圧接着テープを得て、剥離紙を複合して、PVCチューブコアに巻き付けることである。
【0017】
そのうち、ナノスケールおよびマイクロスケールの凹凸幾何学的形状の超微細構造形態を有するPTFE系ナノ機能性複合膜を以下のように製造し、
【0018】
(1)モノマー融合重合と微重合によるPTFE系ナノ機能性複合膜の製造
1)ブレンド、プリプレス、プッシュプレスによる棒材の製造
ビニルシリコーンオイルとPTFE樹脂を2.5:100の質量比で混合して、PTFE軟化作用を有するシリコーンオイルでPTFE樹脂を含浸し、含浸したPTFE樹脂をブレンドし、温度60℃、速度25m/min、圧力8MPaのホットプリプレスとホットプッシュプレスにより、モノマー重合した表面潤滑性を有するФ17mmのPTFE棒材を得て、
2)熱間圧延を用いた融合重合による成膜
調製されたPTFE棒材を、温度60℃、速度25m/minの熱間圧延の作用により融合して重合させ、温度の作用下で、PTFE樹脂に混合されかつモノマー重合作用を有するシリコーンオイルを熱間圧延機によって押し出し、ミクロンスケールの細孔を備えたPTFE系ナノ機能性複合膜を得て、ロール状に巻き取り、
温度および熱間圧延による延伸作用の下で、膜が破断した後、層状に剥離した後の繊維状構造を発生させ、微細孔を備えたナノスケールおよびミクロンスケールの凹凸幾何学的形状の超微細構造形態を有する厚さ100μmの乳白色PTFE系膜を形成し、
3)微重合による均質な膜の製造
ミクロンスケールの微小凹凸表面構造を有するPTFE系ナノ機能性複合膜を温度200℃の脱脂オーブン内で温度作用により微重合させ、熱間圧延機によって押し出されておらず、モノマー重合のためにPTFE樹脂に含浸したシリコーンオイルが温度作用により重合反応して、PTFE樹脂内に重合、固定化し、PTFE系の均質な膜を得て、ロール状のPTFE系膜を脱脂オーブン内で6m/minの速度で巻き取り、
(2)高温高線形荷重マイクロ共晶法によるPTFE系ナノ機能性複合膜の製造
高温高線形荷重マイクロ共晶キャビティ内の温度を380℃に設定し、PTFE系ナノ機能性複合膜を6m/minの速度で前へ押し込み、キャビティ内の高温により膜の分子鎖を収縮させ、共晶を生成し、微細孔をナノスケールおよびスーパーミクロンスケールにし、PTFE膜の表面線形荷重を60N/mに制御し、PTFE系ナノ機能性複合膜の元のナノスケールおよびミクロンスケールの凹凸幾何学的形状の超微細構造形態を維持しながら、膜の色を乳白色から均一に透明な色にし、密度を2.1kg/mとする。
【0019】
PTFE材料自体は、接着材料なしで直接接着できるという特性を有し、ファンブレードに使用され、かつ冬のブレードでの氷結を防止するPTFE系ナノ機能性複合膜について、超低表面張力と非付着性を向上させるために、モノマー融合重合および微重合によって製造された膜は、ナノスケールおよびマイクロスケールの凹凸幾何学的形状の超微細構造形態特徴を有し、また、超高温高圧のマイクロ共晶によって、高い耐摩耗性、耐摩靭性、膜構造強度、および高い透明度を有し、接着に適した接着剤と優れた接着性を取得しにくい。したがって、PTFE系ナノ機能性複合膜の接着剤塗布面に対してナノ深さ表面活性化を行う必要がある。
【0020】
図1~2に示すように、上記の解決手段で製造されたPTFE系ナノ機能性複合膜は、PTFEの潤滑性と低表面張力を利用して、非付着という目的を達成するだけでなく、同時に、PTFEを改質せずに、膜をナノスケールおよびマイクロスケールの凹凸幾何学的形状の超微細構造表面形態として形成し、膜がより超低表面固体張力、より優れた疎水性、より高い非付着性および高い防汚性を有し、同時に膜表面は他の手段とは比べものにならないセルフクリーニング機能を有する。超高温高圧で製造されたPTFE系ナノ機能性複合膜は、高い耐摩擦性、耐摩耗性、耐衝撃性を有し、さらに、砂、雹、着氷性の雨、雨による浸食の摩擦および衝撃に抵抗する能力および稲妻アーク衝撃に抵抗する能力という機能特性を有し、それにより、ファンブレードの先端の線速度300km/hで摩耗することなく長期間使用可能であり、同時に、不燃性を有し、稲妻アークによる燃焼を引き起こしない。
【0021】
上記製造されたPTFE系膜の5つのサンプルに対してさまざまな性能テストを行い、結果は次のとおりである。(1)膜の平均厚さは100μmである。(2)膜の平均重量は210g/mである。(3)接着剥離強度は50Nであり、180°接着剥離強度は1000N/mである。(4)14400hのキセノンランプ劣化試験、凍結融解サイクル性能試験(温度:-60℃~150℃、湿度:5~98%)、オゾン劣化試験、紫外線劣化試験、人工大気腐食および海塩溶液浸漬試験によって、劣化前後の引張強度の平均値は25Mpaであり、伸び率の平均値は>90%であり、いずれも劣化現象がない。(5)GB/T9266-2009「建物外壁塗料コーティングの洗浄耐性の測定」の方法を採用し、37回/minの循環往復摩擦を40000回行った後、膜の表面にざらつきがなく、基底材料への損傷が見られず、高い耐摩耗性を有する。(6)動的風圧試験プラットフォームを使用して、36.9m/sの風速(カテゴリ12台風)をシミュレートし、動的風圧により雨の浸食に対する耐性を試験し、1000hの強風速水吹き試験を行った後、膜の表面にざらつきがなく、優れた耐雨侵食性を有する。(7)走査型電子顕微鏡SEMを使用して、膜の表面形態を試験し、膜の表面形態は、平均サイズが20~40μm、高さが10~20μm、間隔が30~50μmであるミクロンスケールのマイクロ凹凸表面構造が緯糸と緯糸の方向に均等に分布することを示す。(8)水接触角試験機によって測定された膜表面上の水滴の接触角は115.89°~125.46°である。(9)表面粗さ試験機によって測定された膜の表面粗さの平均値は0.18μmである。
【0022】
要約すると、本発明は、PTFE系膜に対してナノ深さ表面活性化を行い、製造されたPTFE系ナノ機能性複合膜は、超微表面構造形態の超低表面張力、非付着性、防汚性、疎水性、抗吸湿性、およびセルフクリーニング特性の機能を有する。非常に高い耐摩耗強度、耐摩耗性、および耐摩靭性を有し、耐衝撃性、耐雨浸食性を有する。化学腐食に非常に耐性があり、耐腐食性、高温および低温耐性、耐劣化性、耐薬品性、耐紫外線性、耐疲労性を有し、ファンブレードの表面強度を高め、全体的な固定の役割を果たし、ブレードの全体的な負荷能力と侵食に耐える能力を向上させることができ、ブレードの経年劣化やひび割れなどの安全上の潜在的な危険を排除し、ブレードが異物の長期的な侵食に耐える能力を強化することによって、ブレードは二重の保護を取得し、ブレードの耐用年数を延長させることができる。優れた電気絶縁性と不燃性を有し、15000ボルトの高電圧電気に耐えることができ、高温耐性有し、稲妻アークが膜に当たったときに膜の表面に痕跡がなく、膜の焼けが発生せず、超薄型、超軽量、超低表面粗さにより、翼の空力性能を向上させ、風力エネルギーの使用効率を向上させることができ、自己接着の冷間接着機能により、ファンブレードへの適用が容易になる。
【0023】
上記実施形態に加えて、本発明はほかの実施形態を有することができる。同等置換又は等価置換を用いて形成された技術的解決手段は、いずれも本発明の請求の保護範囲内に含まれる。
【0024】
(付記)
(付記1)
ナノスケールおよびマイクロスケールの凹凸幾何学的形状の超微細構造形態を有するPTFE系ナノ機能性複合膜の機能面を被覆処理した後、接着剤が塗布された膜の片面に対して、真空環境および40℃未満の窒素-水素混合媒体の雰囲気で、1.5~3m/minの速度で表面活性化処理を行い、膜の接着剤塗布面にナノ深さを有する活性化構造層を形成し、
機械的接着剤塗布装置を用いて、高靭性冷間接着テープをPTFE系ナノ機能性複合膜の活性化構造層を備えた面に遷移し複合し、接着剤の官能基と膜の活性化構造層を化学的に結合させて、接着剤-膜複合体を形成し、
高靭性冷間接着テープの製造は、0.2kgのPVA-1788、18kgのアクリル酸ブチル、0.5kgのアクリル酸、1.0kgの酢酸ビニル、1.0kgのメチルメタクリレート、1.5kgのシリコーンモノマー、0.01kgのTO-7、0.01kgのドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、0.05kgの過酸化ベンゾイル、80kgの水を、調製タンクに入れ、調製温度を85℃、調製時間を5hとし、真空引きおよび脱水を行って、固形分18.7%の帯状感圧接着テープを得て、剥離紙を複合して、PVCチューブコアに巻き付けることである、
ことを特徴とするPTFE系膜のナノ深さ表面活性化方法。
【0025】
(付記2)
PTFE系ナノ機能性複合膜の機能面をPE膜で被覆処理する、
ことを特徴とする付記1に記載のPTFE系膜のナノ深さ表面活性化方法。
【0026】
(付記3)
ナノスケールおよびマイクロスケールの凹凸幾何学的形状の超微細構造形態を有するPTFE系ナノ機能性複合膜を以下のように製造し、
(1)モノマー融合重合と微重合によるPTFE系ナノ機能性複合膜の製造
1)ブレンド、プリプレス、プッシュプレスによる棒材の製造
PTFE軟化作用を有するシリコーンオイルでPTFE樹脂を含浸し、含浸したPTFE樹脂をブレンドし、温度60~90℃、速度20~30m/min、圧力5~8MPaのホットプリプレスとホットプッシュプレスにより、モノマー重合した表面潤滑性を有するPTFE棒材を得て、
2)熱間圧延を用いた融合重合による成膜
調製されたPTFE棒材を、温度60~90℃、速度20~30m/minの熱間圧延の作用により融合して重合させ、温度の作用下で、PTFE樹脂に混合されかつモノマー重合作用を有するシリコーンオイルを熱間圧延機によって押し出し、ミクロンスケールの細孔を備えたPTFE系ナノ機能性複合膜を得て、ロール状に巻き取り、
温度および熱間圧延による延伸作用の下で、膜が破裂した後、層状に剥離した繊維状構造を発生させ、微細孔を備えたナノスケールおよびミクロンスケールの凹凸幾何学的形状の超微細構造形態を有する厚さ100~120μmの乳白色PTFE系膜を形成し、
3)微重合による均質な膜の製造
ミクロンスケールの微小凹凸表面構造を有するPTFE系ナノ機能性複合膜を温度180~200℃の脱脂オーブン内で温度作用により微重合させ、熱間圧延機によって押し出されておらず、モノマー重合のためにPTFE樹脂に含浸したシリコーンオイルが温度作用により重合反応して、PTFE樹脂内に重合、固定化し、PTFE系の均質な膜を得て、ロール状のPTFE系膜を脱脂オーブン内で6~8m/minの速度で巻き取り、
(2)高温高線形荷重マイクロ共晶法によるPTFE系ナノ機能性複合膜の製造
高温高線形荷重マイクロ共晶キャビティ内の温度を70~420℃に設定し、PTFE系ナノ機能性複合膜を6~8m/minの速度で前へ押し込み、キャビティ内の高温により膜の分子鎖を収縮させ、共晶を生成し、微細孔をナノスケールおよびスーパーミクロンスケールにし、PTFE膜の表面線形荷重を50~80N/mに制御し、PTFE系ナノ機能性複合膜の元のナノスケールおよびミクロンスケールの凹凸幾何学的形状の超微細構造形態を維持しながら、膜の色を乳白色から均一に透明な色にする、
ことを特徴とする付記1に記載のPTFE系膜のナノ深さ表面活性化方法。
【0027】
(付記4)
ビニルシリコーンオイルとPTFE樹脂を(2~3):100の質量比で添加する、
ことを特徴とする付記3に記載のPTFE系膜のナノ深さ表面活性化方法。
【0028】
(付記5)
ナノスケールおよびマイクロスケールの凹凸幾何学的形状の超微細構造形態を有するPTFE系ナノ機能性複合膜を以下のように製造し、
(1)モノマー融合重合と微重合によるPTFE系ナノ機能性複合膜の製造
1)ブレンド、プリプレス、プッシュプレスによる棒材の製造
ビニルシリコーンオイルとPTFE樹脂を2.5:100の質量比で混合して、PTFE軟化作用を有するシリコーンオイルでPTFE樹脂を含浸し、含浸したPTFE樹脂をブレンドし、温度60℃、速度25m/min、圧力8MPaのホットプリプレスとホットプッシュプレスにより、モノマー重合した表面潤滑性を有するФ17mmのPTFE棒材を得て、
2)熱間圧延を用いた融合重合による成膜
調製されたPTFE棒材を、温度60℃、速度25m/minの熱間圧延の作用により融合して重合させ、、温度の作用下で、PTFE樹脂に混合されかつモノマー重合作用を有するシリコーンオイルを熱間圧延機によって押し出し、ミクロンスケールの細孔を備えたPTFE系ナノ機能性複合膜を得て、ロール状に巻き取り、
温度および熱間圧延による延伸作用の下で、膜が破断した後、層状に剥離した後の繊維状構造を発生させ、微細孔を備えたナノスケールおよびミクロンスケールの凹凸幾何学的形状の超微細構造形態を有する厚さ100μmの乳白色PTFE系膜を形成し、
3)微重合による均質な膜の製造
ミクロンスケールの微小凹凸表面構造を有するPTFE系ナノ機能性複合膜を温度200℃の脱脂オーブン内で温度作用により微重合させ、熱間圧延機によって押し出されておらず、モノマー重合のためにPTFE樹脂に含浸したシリコーンオイルが温度作用により重合反応して、PTFE樹脂内に重合、固定化し、PTFE系の均質な膜を得て、ロール状のPTFE系膜を脱脂オーブン内で6m/minの速度で巻き取り、
(2)高温高線形荷重マイクロ共晶法によるPTFE系ナノ機能性複合膜の製造
高温高線形荷重マイクロ共晶キャビティ内の温度を380℃に設定し、PTFE系ナノ機能性複合膜を6m/minの速度で前へ押し込み、キャビティ内の高温により膜の分子鎖を収縮させ、共晶を生成し、微細孔をナノスケールおよびスーパーミクロンスケールにし、PTFE膜の表面線形荷重を50~80N/mに制御し、PTFE系ナノ機能性複合膜の元のナノスケールおよびミクロンスケールの凹凸幾何学的形状の超微細構造形態を維持しながら、膜の色を乳白色から均一に透明な色にし、密度を2.1kg/mとする、
ことを特徴とする付記4に記載のPTFE系膜のナノ深さ表面活性化方法。
図1
図2
【国際調査報告】