(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-01
(54)【発明の名称】モバイルアプリケーションのユーザエンゲージメントを促進する人口統計情報判定装置、システム、および方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20230125BHJP
【FI】
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021529799
(86)(22)【出願日】2020-12-03
(85)【翻訳文提出日】2021-05-26
(86)【国際出願番号】 US2020063166
(87)【国際公開番号】W WO2021113550
(87)【国際公開日】2021-06-10
(32)【優先日】2019-12-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】521170198
【氏名又は名称】クリック セラピューティクス インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Click Therapeutics, Inc.
【住所又は居所原語表記】80 White Street, 3rd Floor New York NEW YORK 10013 UNITED STATES
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ペナ、キャロライン
(72)【発明者】
【氏名】ロダマー、ケイティ ニコール
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC11
(57)【要約】
リモートコンピュータ環境でモバイルアプリのユーザエンゲージメントを促進すべく人口統計情報を判定するコンピュータ実装方法。ユーザのソーシャルメディア(SM)データを取得して第1データベースにまとめる。ユーザの人口統計属性の明示的な識別を検出してSMデータを処理。カテゴリに対して明示的に識別された各前記属性に対して100%の確率値を設定。カテゴリに対して明示的に識別されていない各前記属性に対して0%の確率値を設定。明示的に識別された前記属性を用いて2次データベースを検索して第2カテゴリに対する派生属性を判定。学習データを用いてニューラルネットワーク(NN)を学習。学習データは、明示的に識別された前記属性とその関連する確率値、派生属性とその関連する確率値から構成。NNに第2ユーザのSMデータを入力。NNによって第2ユーザの前記属性を予測。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子デバイス上のリモートコンピューティング環境におけるモバイルアプリケーションのユーザエンゲージメントを促進するためのコンピュータシステムとしての人口統計情報判定システムであって、前記人口統計情報判定システムは1つまたは複数のプロセッサ、1つまたは複数のコンピュータ読取可能なメモリ、および1つまたは複数のコンピュータ読取可能な記憶装置を備えており、1つまたは複数の前記メモリの少なくとも1つを介して1つまたは複数の前記プロセッサの少なくとも1つによって実行されるために、1つまたは複数の前記記憶装置の少なくとも1つにプログラム命令が格納されており、格納された前記プログラム命令は、
ユーザのソーシャルメディアデータを把捉して第1データベースにまとめる工程と、
前記ユーザの人口統計属性の明示的な識別を検出することで、前記ソーシャルメディアデータを処理する工程と、
カテゴリ毎に明示的に識別された各人口統計属性について、100%の確率値を設定する工程と、
前記カテゴリ毎に明示的に識別されていない各人口統計属性について、0%の確率値を設定する工程と、
明示的に識別された前記人口統計属性を用いて2次データベースを検索することで、第2カテゴリの派生属性を判定する工程と、
訓練データを用いてニューラルネットワークを学習する工程であって、前記訓練データは明示的に識別された前記人口統計属性とその関連する確率値、および前記派生属性とその関連する確率値を含んでいる、前記学習する工程と、
前記ニューラルネットワークに、第2ユーザのソーシャルメディアデータを入力する工程と、
前記ニューラルネットワークによって、前記第2ユーザの人口統計属性を予測する工程と
を備えている、人口統計情報判定システム。
【請求項2】
前記ソーシャルメディアデータは、リアクションデータ、投稿リアクションメタデータ、シャロー型データ、リッチ投稿リアクションコンテンツ、および動的投稿リアクションコンテンツのセットに基づいて分類される、
請求項1に記載の人口統計情報判定システム。
【請求項3】
前記投稿リアクションメタデータは、投稿に対するリアクションの頻度、リアクションの時間帯、平日の投稿リアクションの頻度と週末の投稿リアクションの頻度との比率を含んでいる、
請求項2に記載の人口統計情報判定システム。
【請求項4】
前記シャロー型データは、「いいね」、「超いいね」、「お大事にね」、「うけるね」、「すごいね」、「悲しいね」、および「ひどいね」を含む絵文字を含んでいる、
請求項2に記載の人口統計情報判定システム。
【請求項5】
前記リッチ投稿リアクションコンテンツは、ユーザテキストデータを含んでいる、
請求項2に記載の人口統計情報判定システム。
【請求項6】
前記動的投稿リアクションコンテンツは、第1コメントに応じる第2コメントを含んでいる、
請求項2に記載の人口統計情報判定システム。
【請求項7】
前記プログラム命令はさらに、前記第2ユーザの予測された前記人口統計属性に基づいて、前記第2ユーザのためのプログラム側面に相互作用するときの平均費やし時間(ATS)を判定する工程を備えている、
請求項1に記載の人口統計情報判定システム。
【請求項8】
前記プログラム命令はさらに、前記プログラム側面に相互作用するときの前記平均費やし時間と、前記プログラム側面に相互作用するときの実際の費やし時間との間の差を計算することで、アドヒアランス逸脱を判定する工程を備えている、
請求項7に記載の人口統計情報判定システム。
【請求項9】
リモートコンピューティング環境においてモバイルアプリケーションのユーザエンゲージメントを促進するためにコンピュータ実装された人口統計情報判定方法であって、前記人口統計情報判定方法は、
ユーザのソーシャルメディアデータを把捉して第1データベースにまとめる工程と、
前記ユーザの人口統計属性の明示的な識別を検出することで、前記ソーシャルメディアデータを処理する工程と、
カテゴリ毎に明示的に識別された各人口統計属性について、100%の確率値を設定する工程と、
前記カテゴリ毎に明示的に識別されていない各人口統計属性について、0%の確率値を設定する工程と、
明示的に識別された前記人口統計属性を用いて2次データベースを検索することで、第2カテゴリの派生属性を判定する工程と、
訓練データを用いてニューラルネットワークを学習する工程であって、前記訓練データは明示的に識別された前記人口統計属性とその関連する確率値、および前記派生属性とその関連する確率値を含んでいる、前記学習する工程と、
前記ニューラルネットワークに、第2ユーザのソーシャルメディアデータを入力する工程と、
前記ニューラルネットワークによって、前記第2ユーザの人口統計属性を予測する工程と
を備えている、人口統計情報判定方法。
【請求項10】
前記ソーシャルメディアデータは、リアクションデータ、投稿リアクションメタデータ、シャロー型データ、リッチ投稿リアクションコンテンツ、および動的投稿リアクションコンテンツのセットに基づいて分類される、
請求項9に記載の人口統計情報判定方法。
【請求項11】
前記投稿リアクションメタデータは、投稿に対するリアクションの頻度、リアクションの時間帯、平日の投稿リアクションの頻度と週末の投稿リアクションの頻度との比率を含んでいる、
請求項10に記載の人口統計情報判定方法。
【請求項12】
前記シャロー型データは、「いいね」、「超いいね」、「お大事にね」、「うけるね」、「すごいね」、「悲しいね」、および「ひどいね」を含む絵文字を含んでいる、
請求項10に記載の人口統計情報判定方法。
【請求項13】
前記リッチ投稿リアクションコンテンツは、ユーザテキストデータを含んでいる、
請求項10に記載の人口統計情報判定方法。
【請求項14】
前記動的投稿リアクションコンテンツは、第1コメントに応じる第2コメントを含んでいる、
請求項10に記載の人口統計情報判定方法。
【請求項15】
前記人口統計情報判定方法はさらに、前記第2ユーザの予測された人口統計属性に基づいて、前記第2ユーザのプログラム側面に相互作用するときの平均費やし時間(ATS)を判定する工程を備えている、
請求項9に記載の人口統計情報判定方法。
【請求項16】
前記人口統計情報判定方法はさらに、前記プログラム側面に相互作用するときの前記平均費やし時間と、前記プログラム側面に相互作用するときの実際の費やし時間との間の差を計算することで、アドヒアランス逸脱を判定する工程を備えている、
請求項15に記載の人口統計情報判定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、一般に、ソフトウェアのユーザがソフトウェアアプリケーションに積極的に関与(engaged)したり、相互作用(interacting)したりしているかどうかを判定するための装置に関する。そのようなソフトウェアは、スマートフォンやタブレットなどを含む電子デバイス上で実行される可能性のあるアプリケーションを含んでもよい。
【背景技術】
【0002】
一部のユーザは、スマートフォン、タブレット、またはその他のデバイス上のアプリなどの特定のソフトウェアを、十分な注意および/または適切なエンゲージメントなしに使用している可能性がある。例えば、アプリやその他のソフトウェアのユーザは、プロンプトを注意深く読まず、自分による応答(response)を注意深く選択せず、自分の画面に表示される可能性のある画像やストーリーに注意を払わず、プロンプトや質問に適時に応答せずに、そのようなプロンプトや質問にあまりにも早く応答したり、プロンプトや質問を注意深く読まずに応答したりする、などの可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2017/357890号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特に、不眠症や禁煙などの特定の症状の診断または治療のために、医療従事者やその他の臨床医によってこのようなソフトウェアの使用が推奨および/または処方されている場合には、ユーザがエンゲージメントすることが特に重要であると考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
したがって、特定のソフトウェアのユーザが、医療専門家および/または臨床医によって指示されたソフトウェアアプリケーションに積極的にエンゲージメントしたり、相互作用したりしているかどうかを判定する装置、システム、および方法を提供することが望ましいと考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】本発明の実施形態の1つまたは複数の側面を実装することができる分散型コンピュータシステムのブロック図。
【
図2】本発明の実施形態の1つまたは複数の側面を実装することができる電子デバイスのブロック図。
【
図3A】本発明の実施形態の1つまたは複数の側面を実装することができるソースコードを示す図。
【
図3B】本発明の実施形態の1つまたは複数の側面を実装することができるソースコードを示す図。
【
図3C】本発明の実施形態の1つまたは複数の側面を実装することができるソースコードを示す図。
【
図3D】本発明の実施形態の1つまたは複数の側面を実装することができるソースコードを示す図。
【
図3E】本発明の実施形態の1つまたは複数の側面を実装することができるソースコードを示す図。
【
図3F】本発明の実施形態の1つまたは複数の側面を実装することができるソースコードを示す図。
【
図4A】本発明の実施形態の1つまたは複数の側面に従ったフローチャート。
【
図4B】本発明の実施形態の1つまたは複数の側面に従ったフローチャート。
【
図4C】本発明の実施形態の1つまたは複数の側面に従ったフローチャート。
【
図4D】本発明の実施形態の1つまたは複数の側面に従ったフローチャート。
【
図4E】本発明の実施形態の1つまたは複数の側面に従ったフローチャート。
【
図5A】本発明の一実施形態の学習進捗状況を示す学習図。
【
図5B】本発明の実施形態によるアルゴリズムを実装したニューラルネットワークアルゴリズムのニューロン間の関係を示す図。
【
図6A】本発明の実施形態の1つまたは複数の側面を実装することができる電子デバイス上の入力および処理を示す図。
【
図6B】本発明の実施形態の1つまたは複数の側面を実装することができる電子デバイス上の入力および処理を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明は、上記の図面を参照して説明されているが、図面は例示を意図しており、本発明は、本発明の趣旨の範囲内で他の実施形態を企図しうる。
以下、本発明を、本発明が実施され得る特定の実施形態を例示的に示す添付の図面を参照して、より完全に説明する。しかし、本発明は、多くの異なる形態で具現化することができ、本明細書に記載された実施形態に限定して解釈されるべきではなく、むしろ、これらの実施形態は、本開示が徹底して完全なものとなり、当業者に本発明の範囲を十分に伝えることができるように提供される。とりわけ、本発明は、装置または方法として具現化されてもよい。したがって、本発明は、完全にハードウェアの実施形態、完全にソフトウェアの実施形態、または、ソフトウェアおよびハードウェアの側面を組み合わせた実施形態の形態をとることができる。したがって、以下の詳細な説明は、限定的な意味で捉えられるべきではない。
【0008】
本明細書および特許請求の範囲を通して、以下の用語は、文脈が明らかに他を指示しない限り、本明細書で明示的に関連付けられた意味をとる。本明細書で使用される「一つの実施形態では」(in one embodiment)、「実施形態では」(in an embodiment)などのフレーズは、そうであっても必ずしも同じ実施形態を指すものではない。さらに、本明細書で使用される「別の実施形態で」(in another embodiment)というフレーズは、そうであっても必ずしも異なる実施形態を指すものではない。したがって、以下に説明するように、本発明の様々な実施形態は、本発明の範囲または趣旨から逸脱することなく、容易に組み合わせることができる。
【0009】
さらに、本明細書では、「または」という用語は、包括的な「または」演算子であり、文脈が明らかに他を指示しない限り、「および/または」という用語と同等である。また、「に基づく」という用語は、排他的なものではなく、文脈から明らかにそうではないと判定される場合を除き、記載されていない追加の因子に基づくことを可能にする。また、本明細書では、「a」、「an」、および「the」の意味は、複数形を含む。また、「中で」(in)の意味は、「中で」(in)および「上で」(on)を含む。
【0010】
本明細書の記述は、広範な概要を意図したものではなく、そのため、明確さと簡潔さの観点から、概念が簡略化されている場合があることに留意されたい。
本出願で言及されているすべての文書は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。本出願に記載されている任意の処理は、任意の順序で実行することができ、処理の工程のいずれかを省略することができる。また、処理は、他の処理または他の処理の工程と組み合わせてもよい。
【0011】
図1は、本発明を実施することができる環境の一実施形態の構成要素を示す。構成要素のすべてが本発明の実施に必要とされるとは限らず、本発明の趣旨または範囲から逸脱することなく、構成要素の配置および種類のバリエーションがなされてもよい。図示されているように、システム100は、1つまたは複数のローカルエリアネットワーク(「LAN」)/ワイドエリアネットワーク(「WAN」)112、1つまたは複数の無線(ワイヤレス)ネットワーク110、1つまたは複数の有線または無線のクライアントデバイス106、モバイルまたは他の無線のクライアントデバイス102~105、サーバ107~109を含み、1つまたは複数のデータストアまたはデータベースを含むかまたはそれらと通信してもよい。クライアントデバイス102~106の様々なものは、例えば、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、セットトップボックス、タブレット、携帯電話、スマートフォン、スマートスピーカ、ウェアラブルデバイス(Apple Watchなど)などを含むことができる。サーバ107~109は、例えば、1つまたは複数のアプリケーションサーバ、コンテンツサーバ、検索サーバなどを含むことができる。また、
図1は、アプリケーションホスティングサーバ113を示している。
【0012】
図2は、本発明の一実施形態による、ユーザエンゲージメントを判定(determine)するための装置、システム、および方法(「エンジン」)の1つまたは複数の側面を実装することができる電子デバイス200のブロック図を示す。電子デバイス200のインスタンスは、サーバ、例えばサーバ107~109、およびクライアントデバイス、例えばクライアントデバイス102~106を含むことができる。一般に、電子デバイス200は、プロセッサ/CPU202、メモリ230、電源(電源回路)206、および入力/出力(I/O)コンポーネント/デバイス240、例えば、マイクロフォン、スピーカ、ディスプレイ、タッチスクリーン、キーボード、マウス、キーパッド、顕微鏡、GPSコンポーネント、カメラ、心拍数センサ、光センサ、加速度計、対象となるバイオメトリックセンサなどを含むことができ、これらは、例えば、グラフィカルユーザインタフェースまたはテキストユーザインタフェースを提供するために動作可能であってもよい。
【0013】
ユーザは、電子デバイス200のタッチスクリーンを介して入力を提供することができる。タッチスクリーンは、例えば、ユーザが指などのユーザの身体の一部でタッチスクリーンに触れているかどうかを判定することで、ユーザが入力を提供しているかどうかを判定してもよい。また、電子デバイス200は、電子デバイス200の前述の要素を接続する通信バス204を含むことができる。ネットワークインタフェース214は、受信機および送信機(またはトランシーバ)、ならびに無線通信のための1つまたは複数のアンテナを含むことができる。
【0014】
プロセッサ202は、任意のタイプの処理装置、例えば、CPU(Central Processing Unit)、およびGPU(Graphics Processing Unit)のうちの1つまたは複数を含むことができる。また、例えば、プロセッサは、1つまたは複数の機能または動作を実行するために、または1つまたは複数の他のコンポーネントから1つまたは複数の機能または動作を引き起こすために、中央処理ロジック、または他のロジックであってもよく、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、またはそれらの組み合わせを含むことができる。また、所望のアプリケーションまたは必要性に基づいて、中央処理ロジックまたはその他のロジックは、例えば、ソフトウェア制御のマイクロプロセッサ、ディスクリートロジック、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、プログラマブル/プログラムされたロジックデバイス、命令を含むメモリデバイスなど、またはハードウェアで具現化された組み合わせロジックを含んでもよい。さらに、ロジック(論理)は、ソフトウェアとして完全に具現化されてもよい。
【0015】
RAM(Random Access Memory)212およびROM(Read Only Memory)232を含むことができるメモリ230は、任意のタイプのメモリデバイス、例えば、一次(CPUによって直接アクセスされる)または2次(CPUによって間接的にアクセスされる)記憶デバイス(例えば、フラッシュメモリ、磁気ディスク、光ディスクなど)の1つまたは複数によって有効にすることができる。RAMは、オペレーティングシステム221、1つまたは複数のデータベースを含むことができるデータストレージ224、および、例えばプログラム223のソフトウェア面を含むことができるプログラムおよび/またはアプリケーション222を含むことができる。また、ROM232は、電子デバイスのBIOS(Basic Input/Output System)220を含むことができる。
【0016】
プログラム223のソフトウェアの側面は、本発明の実施形態による方法およびシステムを実施または促進するために必要なすべてのプログラミング、アプリケーション、アルゴリズム、モデル、ソフトウェア、および他のツールを広く含むかまたは表すことを意図している。要素は、単一のコンピュータ上に存在してもよいし、複数のコンピュータ、サーバ、デバイスまたはエンティティに分散していてもよい。
【0017】
電源206は、1つまたは複数の電力コンポーネントを含み、電子デバイス200への電力の供給および管理を容易にする。
入力/出力(I/O)インタフェース240を含む入出力コンポーネントは、例えば、電子デバイス200の任意のコンポーネント、外部デバイスのコンポーネント(例えば、ネットワークまたはシステム100の他のデバイスのコンポーネント)、およびエンドユーザの間の通信を容易にするための任意のインタフェースを含むことができる。例えば、そのようなコンポーネントは、受信機、送信機、トランシーバ、および1つ以上の入出力インタフェースの統合であるネットワークカードを含むことができる。ネットワークカードは、例えば、ネットワークの他のデバイスとの有線または無線の通信を促進することができる。無線通信の場合には、アンテナがそのような通信を容易にすることができる。また、入力/出力インタフェース240および通信バス204の一部は、電子デバイス200のコンポーネント間の通信を容易にすることができ、一例では、プロセッサ202によって実行される処理を容易にすることができる。
【0018】
電子デバイス200がサーバである場合、例えば有線または無線ネットワークを介して信号を送信または受信することができるコンピューティングデバイスを含むことができ、または、例えば物理的メモリ状態としてメモリに信号を処理または記憶することができる。サーバは、1つまたは複数のアプリケーション、例えば、エンジンの側面を、ネットワークを介して他のデバイスに提供する構成を含むアプリケーションサーバであってもよい。また、アプリケーションサーバは、例えば、Engineの例示的な側面を管理するためのユーザインタフェースを提供することができるウェブサイトをホストしてもよい。
【0019】
有線および/または無線ネットワークを介してデータを送信、受信、および処理することができる任意のコンピューティングデバイスは、エンジンの実装の側面を容易にするなど、サーバとして動作することができる。したがって、サーバとして機能するデバイスは、専用のラックマウントサーバ、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、セットトップボックス、前記デバイスの1つまたは複数を組み合わせた統合デバイスなどのデバイスを含むことができる。
【0020】
サーバは、構成や機能が大きく異なる場合があるが、一般的には、1つ以上の中央処理装置、メモリ、大容量データストレージ、電源、有線または無線のネットワークインタフェース、入出力インタフェースと、Windows(登録商標) Server、Mac OS X、Unix(登録商標)、Linux(登録商標)、FreeBSDなどのオペレーティングシステムとを含む。
【0021】
サーバは、例えば、エンジンの例示的な装置、システム、および方法の側面を容易にするように、1つまたは複数のネットワークを介してデータまたはコンテンツを別の装置に提供するように構成されたまたは構成を含む装置を含んでもよい。1つまたは複数のサーバは、例えば、ウェブサイト(www.microsoft.com)などのウェブサイトをホストするために使用されてもよい。1つまたは複数のサーバは、例えば、ビジネスサイト、情報サイト、ソーシャルネットワーキングサイト、教育サイト、Wiki、金融サイト、政府サイト、個人サイトなど、さまざまなサイトをホストすることができる。
【0022】
サーバはまた、例えば、ウェブサービス、サードパーティサービス、オーディオサービス、ビデオサービス、電子メールサービス、HTTPまたはHTTPSサービス、インスタントメッセージング(IM)サービス、ショートメッセージサービス(SMS)サービス、マルチメディアメッセージングサービス(MMS)サービス、ファイル転送プロトコル(FTP)サービス、ボイスオーバーIP(VOIP)サービス、カレンダーサービス、電話サービスなどの様々なサービスを提供してもよく、これらのサービスはすべて、エンジンを具現化した装置、システム、および方法の例示的なシステムおよび方法の例示的な側面と連携してもよい。コンテンツは、例えば、テキスト、画像、オーディオ、ビデオなどを含むことができる。
【0023】
エンジンを具現化する装置、システム、および方法の例示的な側面において、クライアントデバイスは、例えば、有線および/または無線ネットワークを介してデータを送受信することができる任意のコンピューティングデバイスを含んでもよい。そのようなクライアントデバイスは、デスクトップコンピュータだけではなく、携帯電話、スマートフォン、ディスプレイページャー、無線周波数(RF)デバイス、赤外線(IR)デバイス、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、ハンドヘルドコンピュータ、GPS対応デバイスタブレットコンピュータ、センサ搭載デバイス、ラップトップコンピュータ、セットトップボックス、Apple WatchやFitbitなどのウェアラブルコンピュータ、前記デバイスの1つ以上を組み合わせた統合デバイスなどのポータブルデバイスを含んでもよい。
【0024】
エンジンを具現化した例示的な装置、システム、および方法で使用され得るような、クライアントデバイス102~106などのクライアントデバイスは、能力および機能の点で広い範囲をカバーし得る。例えば、携帯電話、スマートフォンまたはタブレットは、テンキーパッドと、テキストのみが表示され得る数行のモノクロ液晶ディスプレイ(LCD)とを有していてもよい。別の例では、Web対応のクライアントデバイスは、物理的または仮想的なキーボード、データストレージ(フラッシュメモリやSDカードなど)、加速度計、ジャイロスコープ、呼吸センサ、体動センサ、近接センサ、モーションセンサ、環境光センサ、水分センサ、温度センサ、コンパス、気圧計、指紋センサ、カメラによる顔認証センサ、脈拍センサ、心拍変動(HRV)センサ、BPM(Beats per minute)心拍センサ、マイク(サウンドセンサ)、スピーカ、GPSなどの位置認識機能、およびテキストとグラフィックの両方が表示される2Dまたは3Dのタッチセンサ付きカラースクリーンなどを備えている。いくつかの実施形態では、複数のクライアントデバイスを使用して、データの組み合わせを収集することができる。例えば、スマートフォンを使用して加速度計および/またはジャイロスコープを介して動作データを収集し、スマートウォッチ(Apple Watchなど)を使用して心拍数データを収集してもよい。複数のクライアントデバイス(スマートフォンおよびスマートウォッチなど)は、通信可能に結合されていてもよい。
【0025】
クライアントデバイス102~106などのクライアントデバイスは、例えば、エンジンを実装する例示的な装置、システム、および方法で使用され得るように、Windows(登録商標)、iOS、またはLinux(登録商標)などのパーソナルコンピュータオペレーティングシステムと、iOS、Android(登録商標)、Windows(登録商標) Mobileなどのモバイルオペレーティングシステムとを含む、さまざまなオペレーティングシステムを実行してもよい。クライアントデバイスは、他のコンピューティングデバイスからデータを送信または受信するように構成された1つまたは複数のアプリケーションを実行するために使用することができる。クライアントアプリケーションは、テキストコンテンツ、マルチメディア情報などを提供したり、受け取ったりすることができる。クライアントアプリケーションは、ウェブページの閲覧、ウェブ検索エンジンの使用、スマートフォンに保存された様々なアプリとの相互作用、電子メール、SMS、またはMMSを介したメッセージの送受信、ゲーム(ファンタジースポーツリーグなど)のプレイ、広告の受信、ローカルに保存されたまたはストリーミングされたビデオの視聴、またはソーシャルネットワークへの参加などのアクションを実行することができる。
【0026】
エンジンを実装する装置、システム、および方法の例示的な態様では、例えば無線ネットワーク110または112などの1つまたは複数のネットワークは、クライアントデバイスへの無線ネットワークを介することを含んで、サーバおよびクライアントデバイスを他のコンピューティングデバイスに結合してもよい。ネットワークは、1つの電子デバイスから別の電子デバイスへ情報を通信するために、任意の形態のコンピュータ読取可能な媒体を採用することを可能にしてもよい。コンピュータ読取可能な媒体は、非一時的な媒体であってもよい。ネットワークは、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)、USB(Universal Serial Bus)ポートを介したような直接接続、他の形態のコンピュータ読取可能な媒体(コンピュータ読取可能なメモリ)、またはそれらの組み合わせに加えて、インターネットを含んでもよい。異なるアーキテクチャやプロトコルに基づくものも含め、相互に接続された一連のLANでは、ルータがLAN間のリンクとして機能し、LANから別のLANへのデータの送信を可能にする。
【0027】
LAN内の通信リンクは、ツイストワイヤペアまたは同軸ケーブルを含むことができ、一方、ネットワーク間の通信リンクは、アナログ電話回線、ケーブル回線、光回線、T1、T2、T3、T4を含むフルまたはフラクショナル専用デジタル回線、ISDN(Integrated Services Digital Networks)、DSL(Digital Subscriber Lines)、衛星リンクを含む無線リンク、光ファイバリンク、または当業者に知られている他の通信リンクを利用することができる。さらに、遠隔地にあるコンピュータや他の関連電子デバイスを、モデムと電話回線を介してLANまたはWANのいずれかに遠隔接続することも可能である。
【0028】
エンジンを実装する例示的な装置、システム、および方法におけるような、無線ネットワーク110などの無線ネットワークは、デバイスをネットワークに結合してもよい。無線ネットワークは、スタンドアローンのアドホックネットワーク、メッシュネットワーク、無線LAN(WLAN)ネットワーク、セルラーネットワークなどを採用してもよい。
【0029】
無線ネットワークは、無線リンクなどで接続された端末、ゲートウェイ、ルータなどの自律システムをさらに含んでもよい。これらのコネクタは、無線ネットワークのトポロジーが急速に変化するように、自由かつランダムに移動し、任意に編成するように構成されてもよい。無線ネットワークは、さらに、第2(2G)、第3(3G)、第4(4G)世代、セルラーシステムのLTE(Long Term Evolution)無線アクセス、WLAN、WR(Wireless Router)メッシュなどを含む複数のアクセス技術を採用してもよい。2G、2.5G、3G、4G、および将来のアクセスネットワークなどのアクセス技術は、様々な程度の移動性を有するクライアントデバイスなどのクライアントデバイスの広域カバレッジを可能にしてもよい。例えば、無線ネットワークは、GSM(登録商標)(Global System for Mobile Communication)、UMTS(Universal Mobile Telecommunications System)、GPRS(General Packet Radio Services)、EDGE(Enhanced Data GSM(登録商標) Environment)、3GPP LTE(Long Term Evolution)、LTE Advanced、WCDMA(登録商標)(Wideband Code Division Multiple Access)、Bluetooth(登録商標)、802.11b/g/nなどの無線ネットワークアクセス技術を介した無線接続を可能にしてもよい。無線ネットワークは、クライアントデバイスと別のコンピューティングデバイス、ネットワークなどの間で情報が移動する可能性のある、事実上あらゆる無線通信メカニズムを含むことができる。
【0030】
インターネットプロトコル(IP)は、参加するデジタル通信ネットワークのネットワーク上でデータ通信パケットを送信するために使用されてもよく、TCP/IP、UDP、DECnet、NetBEUI、IPX、Appletalkなどのプロトコルを含んでもよい。インターネットプロトコルのバージョンには、IPv4とIPv6がある。インターネットには、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)、無線ネットワーク(ワイヤレスネットワーク)、および長距離公共ネットワークが含まれ、ローカルエリアネットワーク間でパケットを通信することができる場合がある。パケットは、ネットワーク内のノード間で、それぞれ固有のローカルネットワークアドレスを有するサイトに送信されることがある。データ通信パケットは、インターネットに接続されたアクセスノードを介して、ユーザサイトからインターネットを介して送信されてもよい。パケットは、ターゲットサイトのサイトアドレスがパケットのヘッダに含まれていることを条件に、ネットワークノードを介して、ネットワークに接続された任意のターゲットサイトに転送されてもよい。インターネット上で通信される各パケットは、ターゲットアドレスと、ターゲットサイトに接続するためのネットワークパスの利用可能性とに応じてパケットを切り替えるゲートウェイおよびサーバによって判定されるパスを介してルーティングされてもよい。
【0031】
パケットのヘッダは、例えば、送信元ポート(16ビット)、送信先ポート(16ビット)、シーケンス番号(32ビット)、確認応答番号(32ビット)、データオフセット(4ビット)、予約済み(6ビット)、チェックサム(16ビット)、緊急ポインタ(16ビット)、オプション(8ビット長の倍数の可変ビット数)、パディング(すべてゼロで構成されていてもよく、ヘッダが32ビット境界で終了するようなビット数を含む)を含んでいてもよい。また、上記のそれぞれのビット数は、より多くても少なくてもよい。
【0032】
「コンテンツ配信ネットワーク」または「コンテンツ配信ネットワーク」(CDN)は、エンジンを実装する例示的な装置、システム、および方法で使用されることがあるように、一般に、コンテンツプロバイダに代わってコンテンツ、ストリーミングメディア、およびアプリケーションの保存、キャッシング、または送信などの様々なサービスを促進するように設計されたソフトウェア、システム、プロトコル、および技術とともに、1つのネットワークまたは複数のネットワークによってリンクされた自律的なコンピュータの集合体からなる分散型コンピュータシステムを指す。このようなサービスは、「クラウドコンピューティング」、分散型ストレージ、DNSリクエストの処理、プロビジョニング、データの監視と報告、コンテンツのターゲティング、パーソナライゼーション、ビジネスインテリジェンスなどのこれらに限定されない補助的な技術を利用することができる。また、コンテンツ配信ネットワーク(CDN)は、第三者のウェブサイトのインフラの全部または一部を、第三者に代わって運営・管理することも可能である。
【0033】
ピアツーピア(P2P)コンピュータネットワークは、特定の専用サーバに集中するのではなく、ネットワーク参加者のコンピューティングパワーと帯域幅に主に依存している。P2Pネットワークは、通常、大きくはアドホックな接続でノードを接続するために使用される。純粋なピアツーピアネットワークは、クライアントやサーバの概念を持たず、ネットワーク上の他のノードに対して「クライアント」と「サーバ」の両方として同時に機能する対等なピアノードのみを有する。
【0034】
本発明の実施形態は、エンジンを実装する装置、システム、および方法を含む。本発明の実施形態は、サーバ107~109を含むサーバに通信可能に結合されているクライアントデバイス102~106のうちの1つ以上に実装されてもよい。さらに、クライアントデバイス102~106は、互いに通信可能に(無線または有線で)結合されてもよい。特に、エンジンのソフトウェア面は、プログラム223に実装されてもよい。プログラム223は、1つまたは複数のクライアントデバイス102~106に、1つまたは複数のサーバ107~109および113に、または1つまたは複数のクライアントデバイス102~106および1つまたは複数のサーバ107~109および113の組み合わせに実装されてもよい。
【0035】
少なくとも部分的にプログラム223で実施されてもよい本発明の実施形態は、ソフトウェアのユーザがソフトウェアアプリケーションに積極的にエンゲージメントしたり相互作用したりしているかどうかを判定するための装置、システム、および方法に関する。
【0036】
医薬品は、処方されたとおりに服用されたときに有益な結果をもたらす可能性が最も高い。臨床医が処方したとおりの医療行為に対する患者のコンプライアンス/アドヒアランスは、臨床試験と現実世界の両方で確立された問題である。
【0037】
患者のコンプライアンス/アドヒアランスが重要となる別の治療形態は、スマートフォン、タブレット、ラップトップなどの電子デバイスとの相互作用からなったり含んだりするもの(すなわち、デジタルセラピューティクス(デジタル治療(DTx)))である。このような治療は、医薬品による治療を補完してもよいし、代替してもよい。例えば、患者が喫煙に依存している場合、臨床医は、患者による喫煙を監視したり、または喫煙に関して患者に相互作用したりする電子デバイス上で動作するソフトウェアに相互作用する治療法を処方することができる。
【0038】
例えば、ソフトウェアは、電子デバイスのロケーションサービス(GPS受信機および関連するソフトウェアなど)を使用して、ユーザのロケーションを判定してもよい。ユーザがおよび/または人口全体がおよび/またはユーザの人口動態が喫煙する可能性が高いようなロケーションに、ユーザがいるとソフトウェアが判定した場合、ソフトウェアは、カメラを作動させること、マイクを作動させること、煙の存在を判定できるセンサを作動させること、電子デバイスの画面上にメッセージを生成することでユーザに喫煙しないようにリマインダすること、デジタルデバイスの画面上にメッセージ(回答プロンプトを含む)を生成することでユーザに喫煙しているかどうかを尋ねること、事前に録音されたメッセージでユーザに呼びかけること、などの特定のアクションを取ってもよい。
【0039】
しかしながら、そのような治療を処方された人は、プロンプトを単に「クリックスルー」する可能性があり、その場合の結果として、肯定的な結果を得られないだろう。さらに、単にクリックしてスルーしたり、積極的にエンゲージメントしなかったりすると、治療の有効性に関する正確な結果が得られない。例えば、ユーザは、ユーザが実際には完了していない活動(ユーザが実際には読んでいないプロンプトや、ユーザが実行していないタスクなど)に対して、「はい」または「やりました」と答える活動を簡単にクリックスルーすることができる。
【0040】
本発明の実施形態では、例えば、ユーザがアプリケーションのモジュールを操縦(ナビゲート)する際のクリック速度を測定することで、所定の治療のアドヒアランスを測定する。アドヒアランスとエンゲージメントとの間のギャップを埋めるために、本発明の実施形態は、ユーザの人口統計(demographics)、クリック速度、およびベースラインのユーザ習慣に基づいて、コンプライアンス是正技術をパーソナライズするアルゴリズムを含む。
【0041】
要約すると、本発明の特定の実施形態によれば、ユーザが特定の事前定義された閾値よりも速くまたは遅くクリックし始めると、アラートとメッセージがアプリ内に表示され、以下のようなことが行われる。(1)ユーザの注意を引き、(2)ユーザは監視されている時によりコンプライアンスを守ると一般的に信じられているので、ユーザの行動をソフトウェアが監視していることをユーザにアラートし、(3)ユーザがソフトウェアにより積極的にエンゲージメントするように行動を修正するように促す。これによって、ユーザのコンプライアンスが向上し、治療がより成功する。
【0042】
より具体的には、ユーザが治療を処方されると(すなわち、スマートフォンなどの電子デバイス上で動作するソフトウェア/アプリであるデジタル治療DTxとの相互作用)、ユーザはまず、基本的な人口統計情報(例えば、年齢、体重、ロケーション(居住地)、健康歴など)を入力する。治療の最初の2週間(または1週間、または3週間、または4週間)の間に、まずベースラインとなるユーザの習慣がソフトウェアによって記録される。そして、これらの入力は、治療中の閾値制限を監視するために使用される。閾値を超えた場合(例えば、ユーザのクリック速度が、当該ユーザに定義された個人的な制限(パーソナルリミット)を超えた、または下回った場合)、ソフトウェアは、アプリ内アラートとメッセージを展開して、ユーザが製品にもっとエンゲージメントするように(夢中になるように)促す。
【0043】
アプリ内アラートとメッセージとは、電子デバイスに格納された、または電子デバイスに通信可能に結合されたサーバなどの別のデバイスに格納された、メッセージ、アラート、および教育情報のライブラリ/データベースからアクセスされる。アプリに応じるユーザのリアクション(すなわち、アラートが効果的だったかどうかの判定や、ユーザのエンゲージメントが高いか低いかの判定)は、ソフトウェアによって評価される。閾値を超えたとアプリが判定した場合には、ユーザの治療エンゲージメントを促進するために、同様のタイプのアラートが継続的に使用される。一方、アラートが効果的ではなかったとソフトウェアが判定した場合には、ライブラリ/データベースから異なるアラートが選択され、他のアラートがユーザの行動を変える上でより効果的であるかどうかが判定される。
【0044】
以下では、ソフトウェアのユーザがソフトウェアアプリケーションに積極的にエンゲージされたり相互作用したりしているかどうかを判定するためのソフトウェアについて、さらに詳細に説明する。
【0045】
ユーザのエンゲージメントを定量化するために、本発明の一実施形態は、まず、人口統計質問から収集した情報に基づいてユーザプロファイルを生成し、治療の初期週(例えば、2週間)の間に、ユーザのベースラインのクリック速度(CS)値および逸脱閾値(DT:Deviation Threshold)を計算する。そして、ユーザがアプリに相互作用しているときに算出されたクリック速度CSが、逸脱閾値DTよりも上または下に逸脱したことをソフトウェアは検出する。逸脱が生じた場合、ユーザは、治療へのアドヒアランスと継続的なエンゲージメントとを促進するためのフィードバックを受ける。
【0046】
ユーザが最初に治療を開始するとき、ユーザは自分の年齢や身体的障害について質問される。これらの因子(factors)は、ユーザがモバイルアプリに相互作用する速度に影響を与える可能性があるので、ユーザのベースラインを生成する際に関連性があると考えられる。例えば、ユーザが55歳よりも上であったり、手先の動きに影響を与えるような身体的障害(脳や脊髄(spinal cord)の損傷、脳性麻痺(cerebral palsy)、関節炎(arthritis)など)を持っていたりすると、当該ユーザは平均的な人よりもモバイルアプリの相互作用(操作)が遅くなる可能性がある。また、このときおよび2週間の治療期間中に、ユーザのソフトウェア内でのクリック速度CSは記録される。クリック速度CSは、式(1):CS=tC2-tC1に従って、時間の変化として定義される。
【0047】
上記の式(1)によると、tC2は、ユーザがアプリ内の画面上の機能(ボタン、トグル、画像など)をクリックした時間である。tC1は、ユーザが当該画面を初めて開いた(画面を開いてからtC2が初めての操作である場合)か、またはユーザが既に当該画面を操作している場合には、当該画面内の別の機能(ボタン、トグル、画像など)をクリックした時間である。
【0048】
本発明の実施形態は、治療に関連する2種類のプログラム側面を含む。(1)ユーザが読むべきテキストを主に含みつつ、ユーザの相互作用を必要とするいくつかのセクションを含む活動(アクティビティ)である「ミッション」と、(2)ユーザの相互作用を必要とするセクションを主に含みつつ、いくつかのテキストを含む活動である「フィーチャ」である。これらの違いによって、ユーザがこれらの側面に相互作用する速度が異なる可能性があるので、クリック速度CSはこれら2つのプログラム側面に対して別々に追跡される。
【0049】
さらに、時間帯によってユーザがクリック速度CSに違いを示す可能性があるので、時間帯も追跡される。例えば、ユーザは午後3時とは対照的に、午前3時にはより疲れているかもしれない。したがって、1日の時間帯を追跡し、ユーザのクリック速度CSをその時間帯のベースラインのクリック速度CSと比較することが必要である。
【0050】
これらの2つの考慮事項(プログラム側面と時間における違い)によって、ユーザごとに6つのクリック速度CSベースライン値が生成される。(1)CSMM(午前中の、すなわち前5時から午前11時59分59秒までの時間帯の、ミッションとの相互作用のクリック速度CS)。(2)CSMF(午前中のフィーチャとの相互作用のクリック速度CS)。(3)CSAM(午後の、すなわち午後12時から午後5時59分59秒までの時間帯の、ミッションとの相互作用のクリック速度CS)。(4)CSAF(午後のフィーチャとの相互作用のクリック速度CS)。(5)CSEM(夕方から夜にかけての、すなわち午後6時から午前4時59分59秒までの間の、ミッションとの相互作用のクリック速度CS)。および(6)CSEF(夕方から夜にかけてのデジタル治療DTxフィーチャとの相互作用のクリック速度CS)。逸脱閾値(DT)は、デフォルトでは、クリック速度CSのベースラインあたり5秒(速いか遅いか)に設定された(すなわち、式(2)では、クリック速度CSに対する逸脱閾値DT=クリック速度CS±5秒である)。しかし、ユーザがユーザプロファイルで自分のクリック速度CSに影響を与える因子を示した場合には、式(3):クリック速度CSに対する逸脱閾値DT=CS±(5×(n+0.25))秒を用いて、逸脱閾値DTを調整した。
【0051】
上記の式(3)によると、クリック速度CSは、クリック速度のベースライン値である。nは、ソフトウェアによって提示された最初の質問に応じてユーザがプロフィールに示した、クリック速度に影響を与える可能性のある因子の数である。
【0052】
例えば、身体的障害のない30歳のユーザであって、以下のクリック速度CSベースライン値を持つ人を考える。1.CSMM=62秒(s)。2.CSMF=25秒。3.CSAM=50秒。4.CSAF=18秒。5.CSEM=55秒。6.CSEF=20秒である。
【0053】
以上のようなユーザの逸脱閾値DTは、次のようになる。1.CSMMの逸脱閾値DT=62±5秒。2.CSMFの逸脱閾値DT=25±5秒。3.CSAMの逸脱閾値DT=50±5秒。4.CSAFの逸脱閾値DT=18±5秒。5.CSEMの逸脱閾値DT=55±5秒。6.CSEFの逸脱閾値DT=20±5秒である。
【0054】
つまり、例えば、CSMMに関しては、式(2)を適用すると、62±5秒となる。
しかし、クリック速度CSのベースライン値は同じだが、60歳で関節炎を患っている(n=2)ユーザがいた場合(すなわち、55歳以上であることで+1、そして関節炎を患っていることで+1)、その人の逸脱閾値DTは次のようになる。1.CSMMの逸脱閾値DT=62±11.25秒。2.CSMFの逸脱閾値DT=25±11.25秒。3.CSAMの逸脱閾値DT=50±11.25秒。4.CSAFの逸脱閾値DT=18±11.25秒。5.CSEMの逸脱閾値DT=55±11.25秒。6.CSEFの逸脱閾値DT=20±11.25秒である。
【0055】
つまり、例えば、CSMMに関しては、式(3)を適用すると、62±(5×(2+0.25))秒=62±11.25秒となる。
CSベースライン値および逸脱閾値DTが計算された後、ユーザがモバイルアプリに相互作用するたびにクリック速度CS値同士の比較が計算され、関連する時間帯の逸脱閾値DTが生成される。逸脱閾値DTからの逸脱は、そのユーザについて記録される。例えば、上述した関節炎を持つ60歳のユーザのCSMMの例では、CSMMが73.25秒よりも上または50.75秒よりも下であったと仮定すると、逸脱が判定され、電子デバイス上のデータベースに、または電子デバイスに通信可能に結合されたサーバ上に存在するデータベースに保存される。
【0056】
所定の数(例えば、3個)の逸脱がユーザについて記録された後、ユーザがソフトウェアと適切にエンゲージメントしていないという判定がなされる。その後、ユーザは、ユーザの行動を警告するアラートを含むライブラリからランダムに選択されたメッセージを受け取り、そして治療を守ること(アドヒアランス)の重要性に関する情報やユーモアのあるメッセージが提供される。
【0057】
これらのメッセージに含まれるコンテンツの一部は、ユーザが示す逸脱行動(クリックが早い/遅い)に合わせてカスタマイズされている。例えば、上述したユーザのクリック速度CSが73.25秒よりも高い場合、遅いクリック速度に合わせたメッセージがデータベースから選択される。しかし、上述したユーザのクリック速度CSが50.75秒よりも低い場合には、速いクリック速度に合わせたメッセージがデータベースから選択される。
【0058】
次に、電子デバイスの画面上でユーザに表示されたメッセージの種類が、記録される(例えば、アラート、情報、またはユーモア)。
最初にそのようなメッセージがユーザに表示された後、ソフトウェアは、ユーザのエンゲージメントについての継続的な問題があるかどうかを判定する。次の所定数の日数、例えば7日のスパン内に、所定数個、例えば3つの追加的な逸脱が発生した場合、ユーザは他の2種類のメッセージからランダムに選択されたメッセージを受け取る。例えば、最初に「ユーモア」のメッセージから選択されたメッセージが表示されていた場合、次に「情報」または「アラート」のメッセージが表示されることになる。これは、ユーザのエンゲージメントを効果的に促進するためのフィードバック方法を個別に判定するための試みである。すなわち、「ユーモア」メッセージがユーザのエンゲージメントを促進するのに有効ではなかった場合、次に「情報」または「アラート」メッセージが有効であるかどうかが判定される。
【0059】
例えば、アルゴリズムがユーザから3つの逸脱を検出して、「薬は処方通りに服用すると最も良い結果が得られます。同様に、あなたが適切な治療を受けていることを確認するためには、このデジタル治療に従事することが不可欠です!」などの情報メッセージをユーザに送信したとする。そして、4日後にソフトウェアがユーザからさらに3つの逸脱を検出した場合、ユーザはその後、「あなたはいつもより早くミッションを完了しました!ミッションに完全に目を通しているか確認してください!」のようなアラートメッセージを受け取ることができる。
【0060】
「アラート」メッセージの後、次の7日間、ユーザのクリック速度CSが逸脱閾値DTから逸脱しなかった場合、ソフトウェアは、アラートメッセージを、エンゲージメントを促進するための効果的なフィードバック方法の一形態であると記録するだろう。またソフトウェアは、「情報」メッセージが、エンゲージメントを促進するための効果的なフィードバック方法ではないと記録するだろう。したがって、その後、ユーザが再び逸脱閾値DTから逸脱し始めると、アラートメッセージが情報メッセージよりも効果的であると判定されているので、ユーザは別の「アラート」メッセージを受け取ることになる。
【0061】
上記の実施形態は、一般に、ユーザが十分にエンゲージメントされているかどうかを判定するためにクリック速度CSを使用することに関する。しかし、ユーザのクリック速度CSの代わりに、またはユーザのクリック速度CSと組み合わせて、他の因子を使用してもよい。
【0062】
例えば、電子デバイス上で動作するソフトウェアは、ユーザが電子デバイスの画面の関連部分を見ている時間の割合を判定することができる(すなわち、アイトラッキング)。例えば、スマートフォンの中には、ピクチャーインピクチャー機能が可能なものがあるので、ユーザは、あるアプリ(例えば、Netflixアプリで映画やテレビ番組を見ている)に相互作用しながら、別のアプリ(例えば、臨床医が処方したアプリ)にも相互作用することができる。この場合、クリック速度CSは、臨床医が処方したアプリにユーザが積極的にエンゲージメントしていることを示しているかもしれないが、実際には、ユーザはその時間の一部で別のアプリにエンゲージメントして過ごしているかもしれない。すなわち、例えば、臨床医が処方したアプリが画面の特定の部分(例えば、右上の四分の一象限)に位置する場合、アプリは、関連するクリック速度CSの時間のうちの80%が、実際には左上、左下、および/または右下の四分の一象限を見ることで、Netflixなどの別のアプリとのエンゲージメント(係わり合い)に費やされたと判定することができる。
【0063】
上記の判定を行うために、アプリは、電子デバイス上のカメラまたはユーザの近くにある別のカメラにアクセスし、ユーザの1つまたは複数の写真またはビデオを撮影し、ユーザの片目または両目の強膜、虹彩、瞳孔およびその他の部分の位置を判定する。ソフトウェアは、定期的に(例えば、1秒ごとにまたは0.5秒ごとに)写真を撮影するとともに、電子デバイスの画面上で、片方または両方の目の焦点が合っているポイントを判定する。画面上のポイントが判定されると、ソフトウェアは、電子デバイスが提供する特定のアプリケーションプログラミングインタフェース(API)を使用して、ユーザが注目しているアプリを判定する。ソフトウェアは、ユーザが集中していたポイントのうち、臨床医が処方したアプリのポイントの割合を計算する。ポイントの割合が一定の閾値(例えば、75%)を下回る場合、ユーザが臨床医処方のアプリにエンゲージメントしていないという判定がなされる。
【0064】
別の実施形態では、電子デバイス上で実行されるソフトウェアは、複数の写真を撮影して、ユーザが動いているかどうかを判定してもよい。例えば、ソフトウェアは、ユーザが走っているか、または、ユーザが臨床医処方のアプリに積極的にエンゲージメントしている可能性が低いような別の活動に従事していると判定してもよい。
【0065】
さらに別の実施形態では、電子デバイス上で実行されているソフトウェアは、マイクを起動して、ユーザが臨床医処方のソフトウェアに積極的にエンゲージメントしている可能性が低いと思われる音を判定してもよい。例えば、ユーザのベースラインを判定する際に、アプリはユーザの声を記録してもよい。その後、アプリは、電子デバイスのマイクを起動することで、ユーザが話しているのか、他の人が話しているのか、音楽が流れているのか、ユーザがイベントに参加しているのか、などを判定してもよい。ユーザが一定の割合以上話していたとアプリが判定した場合、アプリは逸脱を判定することになる。
【0066】
さらに別の実施形態では、スマートフォンなどの電子デバイス上で動作する特定のアプリ(例えば、デジタル治療DTxであるアプリか、またはデジタル治療DTxを含むアプリ)に対するユーザのエンゲージメントを定量化するために、機械学習ベースのアルゴリズムを使用することができる。具体的には、ユーザのエンゲージメントを定量化するために、回帰木ベースのアルゴリズムを利用して、デジタル治療(DTx)の各プログラム側面へのユーザの費やし時間(TS:Time Spent)を人口統計に基づいて予測する。そして、このアルゴリズムは、特定ユーザの費やし時間TSが、そのユーザが特定のプログラム側面を利用した際に予測される平均費やし時間(ATS:Average Time Spent)を上回ったり下回ったりした場合に検出する。逸脱が生じた場合、ユーザは、治療に対するアドヒアランスと継続的なエンゲージメントとを促進するためのフィードバックを受け取る。すなわち、特定ユーザの人口統計情報(年齢、性別、ロケーションなど)がわかると、同じおよび/または類似した人口統計の他のユーザによる過去の相互作用のデータに基づいて、予測平均費やし時間ATSが生成され、そのユーザについて予測平均費やし時間ATSが判定される。そして、その予測された平均費やし時間ATSは、デジタル治療DTxの様々な機能に相互作用したときのユーザの実際の平均費やし時間ATS(または費やし時間TS)と比較される。予測された平均費やし時間ATSが実際の平均費やし時間ATS(または費やし時間TS)とは大幅に異なる場合、デジタル治療DTxは、ユーザがデジタル治療DTxまたはその特定の側面に適切にエンゲージメントしていないと判定することができる。例えば、特定の側面について、実際の平均費やし時間ATSが予測された平均費やし時間ATSよりも実質的に長い場合、ユーザは、一定の期間(例えば、テレビを見ている間、別のアプリを使用している間、誰かと話している間など)、デジタル治療DTxの特定の側面に相互作用することをやめている可能性がある。代替案として、実際の平均費やし時間ATSが特定の機能について予測された平均費やし時間ATSよりも大幅に短い場合、ユーザは、デジタル治療DTxの特定の側面に積極的にエンゲージメントせずに相互作用した可能性がある(例えば、ユーザは、側面によって提供されるプロンプトを読んでおらずおよび/または側面によって提供される指示に従わず、単に「クリックスルー」して、そのような機能との相互作用を完了したように錯覚を与えた可能性がある)。より詳細な議論を以下に示す。
【0067】
まず、予測モデルを開発および訓練するために、デジタル治療DTxデータプラットフォームを利用する。このプラットフォームは、プロファイルが最初に設定されたときにユーザから提供された人口統計情報(例えば、ユーザの年齢、性別、およびロケーション)、およびユーザのデジタル治療DTxでの活動および相互作用を含む、そのユーザからのデータを収集する。代替案として、ユーザに関する人口統計情報は、公的に利用可能なデータベースから得られる情報、身元調査、医療データ、ユーザのソーシャルメディアアカウントを見つけてクロールすることなど、他の情報源から得てもよい。例えば、ユーザのソーシャルメディアアカウントをクローリングする際に、特定のプロキシを使用して、ユーザの人口統計情報を判定することができる。例えば、ユーザがソーシャルメディアの投稿で、特定の年齢層(ミレニアル世代など)が使用する可能性が高い特定の単語を使用している場合、そのユーザの年齢がミレニアル世代であると仮定することができる(例えば、ミレニアル世代の平均年齢を仮定することができる)。同様に、あるユーザが特定の音楽バンドを「いいね!」したり、コメントしたりした場合、特定の人口統計層(年齢など)が聴く可能性が高いことから、そのユーザがその人口統計層の一部であると仮定してもよい。別の例として、ユーザが、特定の人口統計層(特定の性別など)が支持する可能性が高い要因(cause)について「いいね!」やコメントをした場合、そのユーザがその人口統計層の一部であると仮定することができる。
【0068】
ユーザの人口統計が取得され、保存されると、特定ユーザがプログラム側面の使用を初めて開始したときのタイムスタンプが収集され、データベースに保存される(データベースは、スマートフォンなどの電子デバイスに保存されてもよいし、電子デバイスに通信可能に結合されたサーバに保存されてもよい)。また、特定ユーザがプログラム側面の使用をやめたときのタイムスタンプが収集され、データベースに保存される。
【0069】
上述したように、デジタル治療DTxプログラムは、治療に関連する2種類のプログラム側面を含むことができる。(1)主にテキストを含むとともに、ユーザの相互作用を必要とするいくつかのセクションを含む活動である「ミッション」と、(2)主にユーザの相互作用を必要とするセクションを含むとともに、いくつかのテキストを含む活動である「フィーチャ」である。ミッションとフィーチャは、治療法や特定のデジタル治療DTxに応じて、ミッションツーミッション(Mission-to-Mission)またはフィーチャツーフィーチャ(Feature-to-Feature)ベースで異なる場合がある。例えば、いくつかのミッションは、情報のいくつかの文を含んでユーザの相互作用を伴わないもの(例えば、ミッションは、ユーザが自分の治療法やデジタル治療DTxがどのように役立つかを学び、ユーザの相互作用をほとんど伴わないものを含む)から、ユーザの入力を受けることのみに基づくもの(例えば、ユーザがリストから目標を選択し、選択された目標を保存するもの)まで様々である。フィーチャには、ユーザからの1つの入力のみを必要とするもの(例:ユーザがアプリに気分(楽しい、悲しい、不安、興奮など)を入力する)から、一定期間ユーザの注意と参加を必要とするもの(例:ユーザに5分間の長めの呼吸法エクササイズなどの身体活動に参加してもらう)まで様々ある。そのため、個々のプログラム側面ごとにタイムスタンプデータを抽出し、分析している。タイムスタンプデータから、プログラム側面nに費やし時間(TS)を時間の変化として定義した(式1):TSn=t2-t1である。
【0070】
上記の式1では、t2は、ユーザがプログラム測面の使用を開始したときのタイムスタンプである。t1は、ユーザが別のプログラム側面の使用を開始したときの先行するタイムスタンプであり、アイドル時間(アプリケーションがアクティブに使用されていないとき)は考慮していない。ユーザが最初にアプリを開いた状況では、費やし時間TSは(式2):TSn=t2-t0で計算される。
【0071】
上に示した式2では、t2はユーザがプログラム側面の使用を開始したときのタイムスタンプであり、t0はユーザがデジタル治療DTxを初めて開いたときのタイムスタンプである。例えば、ユーザが午後5時30分にデジタル治療DTxを使用して気分(mood)をログし、午後5時32分にミッション1を開始し、午後5時40分に終了した場合、ログミッションフィーチャの費やし時間TSは2分となり、ミッション1の費やし時間TSは8分となる。すなわち、ミッション1の費やし時間TSを計算するには、式1を用いて、費やし時間TSn=t2-t1となり、t2は午後5時40分に等しくなり、t1は午後5時32分に等しくなり、したがって、ミッション1の費やし時間TSnは8分となる。
【0072】
回帰木(判定木の一種である)は、各予測因子について構築されてもよい。すなわち、各プログラム側面の費やし時間TSの予測因子と考えられる、年齢、性別、ロケーション(location)を含む様々なユーザの人口統計(demographics)が収集される。これらの予測因子は、回帰木を構築するために使用される。回帰木は各予測因子(例:年齢、性別、ロケーション)について構築される。これによって、最も重要な予測因子の閾値と分割を解釈することができる。各木では、年齢(例:18歳から65歳以上の範囲)、性別(例:女性または男性)、およびロケーション(例:米国の5つの地域として、西部、南西部、北東部、南東部、中西部に分けられる)について、異なる閾値がテストされる。それぞれの予測因子について、経験データ(empirical data)からの乖離である二乗残差和(SSR)が最小となる閾値を、候補として選択した。1つの予測因子を検討する場合、二乗残差和SSRは以下の式で与えられる。
【0073】
【0074】
ここで、yiは予測される変数の観測平均値であり、xiは予測値である。つまり、二乗残差和SSRは、予測の質を定量化する。次に、各候補の二乗残差和SSRを比較し、二乗残差和SSRが最も低い候補を、木モデルの根元(root)とする(例えば、以下に示す回帰木では、年齢65歳以上)。その後、各予測因子の最も低い二乗残差和SSRを比較して、木の残りの部分を構築する。ユーザの年齢、性別、ロケーションが与えられると、アルゴリズムは特定のプログラム側面におけるユーザの費やし時間TSを予測する。例えば、予測因子グループの中で最低の二乗残差和SSR値を持つ閾値が以下の通りだったとする。
【0075】
1.年齢が65歳以上(二乗残差和SSR=11,465)。
2.性別=女性(二乗残差和SSR=18,345)。
3.ロケーション=西部(二乗残差和SSR=19,642)。
【0076】
65歳以上の年齢は、他の2つの閾値と比較して二乗残差和SSR値が最も低いので、木の根元(root)になる。木を成長させるために、各予測因子グループからの最低の二乗残差和SSR値が比較される。以下は、すべての予測因子を考慮したミッション1の短い回帰木の例である。
【0077】
【0078】
上記のような回帰木が生成されると、それを用いて特定ユーザの予測平均費やし時間ATSを判定することができる。例えば、特定ユーザが北東部に住む64歳の男性である場合、回帰木は以下のように探索される。まず、根元にある判定点が評価される。この場合、ユーザの年齢が65歳以上であれば、予測される平均費やし時間ATSは7.0±1.5分となる。つまり、ユーザの年齢が65歳以上の場合、予測される平均費やし時間ATSは5.5分~8.5分の間となる。しかし、今回のケースでは、特定ユーザが64歳であるので、アルゴリズムは右に進み、第2判定ポイントに到達する。第2判定ポイントでは、特定ユーザの性別が女性であるかどうかを判定し、特定ユーザが女性ではないので、アルゴリズムは右に進み、特定ユーザが西部に住んでいるかどうかを判定する。特定ユーザが西部に住んでいないので、回帰木の探索結果は4.1±0.2分、つまり3.9分~4.3分の間になる。このように、北東部に住む64歳の男性の場合、平均費やし時間ATSの予測時間は3.9分~4.3分の間になる。しかし、ユーザが64歳の男性で西部に住んでいる場合、アルゴリズムは同様に動作するが、最後の判定ポイントで真(true)と評価され、4.3±0.3分、すなわち4.0分~4.6分の間となる。
【0079】
特定のプログラム側面に対するユーザの費やし時間TSが予測された後、予測値と、計算された費やし時間TS値との比較が行われる。そして、予測値からの逸脱が、そのユーザについて記録される。あるユーザについて3回の逸脱が記録された後、そのユーザは、ライブラリからランダムに選択されたメッセージを受け取る。ライブラリは、ユーザの行動をユーザに警告するアラートであったり、ユーザの治療を守る(adhere)ことの重要性に関する情報であったり、およびユーモアのあるメッセージであったりを含む。これらのメッセージの内容(コンテンツ)の一部は、ユーザが示した逸脱行動(予測された費やし時間TSよりも速い/遅い)に合わせてカスタマイズされる。そして、表示されたメッセージの種類(アラート、情報、またはユーモア)が記録される。所定の日数(例えば7日)の間に3回(または他の所定の数)以上の逸脱が発生した場合、ユーザは他の2種類のメッセージの中からランダムに選択されたメッセージを受け取る。これは、ユーザのエンゲージメントを効果的に促進するようなフィードバック方法を個別に判定するために行われる。
【0080】
例えば、アルゴリズムが所定の期間内にユーザから3つの逸脱を検出し、次のような情報メッセージを送信したとする。「薬は、処方された通りに服用することで最良の結果が得られます。同様に、あなたが適切な治療を受けていることを確認するためには、このデジタル治療にエンゲージメントすることが不可欠です!」。その4日後にアルゴリズムがさらに3つの逸脱を検出した場合、ユーザは次のようなアラートメッセージを受け取ることができる。「いつもより早くミッションを完了していますね。ちゃんとミッションに目を通してくださいね!」しかし、その後7日間、ユーザのクリック速度CSが逸脱閾値DTから逸脱しなければ、アルゴリズムはアラートメッセージを、エンゲージメントを促進するための効果的なフィードバック方法の一つとして記録する。その後、この期間の後にユーザが逸脱閾値DTから逸脱し始めた場合には、ユーザは別のアラートメッセージを受け取ることになる。
【0081】
図3A~
図3Fは、本発明の実施形態の1つまたは複数の側面を実装することができるソースコードを示す。特に、このソースコードは、AI(人工知能)プログラムが、ソーシャルメディアユーザのソーシャルメディアデータを把捉(キャプチャ)し、ソーシャルメディアユーザの人口統計次元(demographic dimentions)を判定および予測するためのアルゴリズムを含む。
【0082】
本発明の実施形態を実装するために、Pythonを含む様々なプログラミング言語を使用することができる。使用することができるモジュールは、NumPy、Pandas、Tensorflow、Transformers、Image、Pytesseract、nltk、Codecs、Re、Language_check、およびSpellCheckerである。また、クロスプラットフォームのドキュメント指向データベースプログラムであるMongoDBをはじめ、さまざまなデータベースを使用できる。NoSQLデータベースプログラムに分類されるMongoDBは、任意のスキーマを持つJSONのようなドキュメントを使用する。
【0083】
本発明の実施形態にしたがって使用することができるプラットフォームは、AWS EC2深層学習AMIインスタンスを含む。このAWS深層学習AMIは、クラウドで深層学習を加速するための機械学習インフラストラクチャおよびツールを、任意の規模で提供する。TensorFlow、PyTorch、Apache MXNet、Chainer、Gluon、Horovod、およびKerasなどの深層学習フレームワークおよびインタフェースがプリインストールされたAmazon EC2インスタンスを迅速に起動して、洗練されたカスタムAIモデルを訓練することができる。
【0084】
Amazon SageMakerも、本発明の実施形態に従って使用することができる。Amazon SageMakerは、開発者およびデータサイエンティストが迅速かつ容易に機械学習モデルを任意の規模で構築、訓練、および展開することを可能にする、完全に管理されたサービスである。
【0085】
図3A~
図3Eに示すソースコードによって実装されるアルゴリズムには、以下のものがある。
フェイスブック(Facebook)、ツイッター(Twitter)、インスタグラム(Instagram)などの様々なソーシャルメディアプラットフォームからのソーシャルメディアデータを単純(simply)に把捉(キャプチャ)してコンパイルする、AIプログラムの一部としてのソーシャルメディア把捉プログラム(Social Media Capture Program)。
【0086】
人口統計次元の明示的な識別を検出する、初期検出プログラム。初期検出プログラムは、ソーシャルメディア把捉プログラムによって把捉(キャプチャ)されたソーシャルメディアデータを検査し、そこに任意の人口統計次元のインスタンス生成(instantiation)が明示的に識別されているかどうかを判定する。把捉されたソーシャルメディアデータに人口統計次元のインスタンス生成が明示的に識別されているのであれば、初期検出プログラムは、明示的に識別された人口統計次元のインスタンス生成を有するソーシャルメディアデータを、人口統計次元データベースに追加する。初期検出プログラムでは、明示的に識別された各人口統計次元のインスタンス生成に対して100%の確率値を設定し、その人口統計次元の残りのインスタンス生成に対しては0%の確率値を設定する。ある人口統計次元のインスタンス生成が明示的に識別されていない場合、確率値は空白または「利用できない」に設定される。
【0087】
「暗黙の識別」(implicit identifications)を判定するために、明示的な識別を関連するデータベースと比較することで人口統計次元を判定する、「2段階」(Two-Step)検出プログラム。「2段階」検出プログラムは、残りの人口統計次元を判定するために、初期検出プログラムによって検出された人口統計次元のインスタンス生成を2次データベースに入力する。「2段階」検出プログラムは、残りの人口統計次元について単一のインスタンス生成が見つかった場合には、確率値を100%に設定して当該インスタンス生成を人口統計次元データベースに追加する。しかし、残りの人口統計次元について複数のインスタンス生成が見つかった場合には、「2段階」検出プログラムは、見つかったインスタンスの数で100%を割った値に設定された確率値を有するように、それらのインスタンス生成を人口統計次元データベースに追加する。
【0088】
ソーシャルメディアユーザの人口統計次元を予測する「後続予測プログラム」(Subsequent Prediction Program)。後続予測プログラムは、「ソーシャルメディアデータ」(Social Media Data)と「人口統計次元データベース」(Demographic Dimension Database)の「人口統計次元」(Demographic Dimension)とを用いて、予測モデルを訓練するニュートラルネットワークである。予測は、各人口統計可能性に対する確率値を識別する。例えば、性別の人口統計次元において、後続予測プログラムは、「男性」という人口統計可能性に対して75%の確率値を識別し、「女性」という人口統計可能性に対して25%の確率値を識別することができる。
【0089】
本発明の実施形態は、年齢、教育レベル、頭脳職業(profession)/専門職(vocation)、地理的なロケーション、および収入の次元の間の関係を含む2次データベースを含んでもよい。
【0090】
ソーシャルメディアデータには、以下が含まれる。(1)ニュース記事やYouTube(登録商標)動画へのハイパーリンクであったり、ミーム(Meme)であったり、またはテキスト投稿などのユーザ生成コンテンツであったりする、ユーザによってリアクション(反応)された投稿(ポスト)。(2)投稿に対するユーザのリアクションに関連する「時間」値を把捉した「投稿リアクションメタデータ」(Post Reaction Metadata)。(3)投稿に対する「ワンクリック」のリアクションタイプを把捉した「シャロー型」(Shallow-Type)の投稿リアクションコンテンツ(Post Reaction Content)。(4)投稿についてのコメントを把捉した「リッチ」(Rich)な投稿リアクションコンテンツ。(5)投稿についての他者によるコメントへの返信(リプライ)を把捉した「動的」(Dynamic)な投稿リアクションコンテンツ。
【0091】
「投稿リアクションメタデータ」(Post Reaction Metadata)には以下が含まれる。(1)ユーザが1日または1週間に投稿(ポスト)にリアクション(反応)する頻度、(2)投稿にリアクションする時間帯(1時間単位)、(3)平日と週末の投稿へのリアクションの頻度、(4)(1)~(3)のそれぞれにおけるリアクションの種類、すなわち「シャロー型」、「リッチ」、または「動的」、が含まれる。
【0092】
「シャロー型」(Shallow-Type)リアクションコンテンツには、「いいね」(like)、「超いいね」(love)、「お大事にね」(care)、「うけるね」(haha)、「すごいね」(wow)、「悲しいね」(sad)、「ひどいね」(angry)などの様々なワンクリックリアクション(反応)や、ユーザがコメントするかどうかや、ユーザがシェアするかどうかなどが含まれる。
【0093】
「リッチ」投稿リアクションコンテンツには、ユーザが投稿(ポスト)に残したコメントが含まれる。以前のプロジェクトの「カテゴライズ化プログラム」(Categorization Program)を呼び出したり、修正したりしてもよい。
【0094】
「動的」(Dynamic)投稿リアクションコンテンツは、他の人がつけたコメントに対してユーザが残したコメントを備えている。同様に、「カテゴライズ化プログラム」を呼び出したり、修正したりすることができる。
【0095】
高レベルのフローチャートを
図4Aに示す。ステップ401では、データがダウンロードされ、メモリにセットされる。
図4Bは、ステップ401の内訳を示す。ステップ403では、データがトークン化され、訓練のために準備される。
図4Cは、ステップ403の内訳を示す。ステップ405では、ニューラルネットワークの構築と訓練が行われる。
図4Dは、ステップ405の内訳を示す。ステップ407では、ニューラルネットワークを介した評価と予測が行われる。
図4Eは、ステップ407の内訳を示す図である。
【0096】
図4Bを参照すると、AIプログラムの一部として、Facebook、Twitter、およびInstagramなどの様々なソーシャルメディアプラットフォームからソーシャルメディアデータをキャプチャしてコンパイルする、ソーシャルメディアキャプチャプログラムを実装するアルゴリズムを表すフローチャートが示されている。アルゴリズムを表すフローチャートを
図4Bに示すが、このフローチャートには、基本パラメータの設定409、APIへの接続とデータセットのダウンロード411、メモリへのデータの読み込み(ロード)413、訓練溶のデータの選択415、正しい答えの選択417というステップが含まれている。
【0097】
データをトークン化する
図4Cを参照すると、ステップ419では、Kerasのトークン化器が生成される。ステップ421では、ソーシャルメディアの投稿でトークン化器を訓練する。ステップ423では、レビューの長さを制限する。
【0098】
図4Dは、ニューラルネットワークを構築および訓練し、以下のステップを備えている。逐次モデルの生成425、GRUおよびdense層の追加と埋め込み427、モデルのコンパイル429、モデルの概要の表示431、コールバックの作成433、訓練データを用いてのモデルの訓練435、最適な重みをファイルに保存437、および学習図の表示439。
【0099】
図4Eは、ニューラルネットワークを評価し、予測を行うべく、以下のステップを備えている。逐次モデルの生成441、GRU(FRU)およびdense層の追加と埋め込み443、モデルのコンパイル445、最適な重みのロード447、ニューラルネットワークおよびテストデータセットの評価449、予測の作成451、結果の表示453。
【0100】
図5Aは、本発明の実施形態の学習進捗状況を示す学習図である。
図5Bは、本発明の実施形態によるアルゴリズムを実装したニューラルネットワークアルゴリズムのニューロン間の関係を示す図である。
【0101】
図6A~
図6Bは、本発明の実施形態の1つまたは複数の側面を実装することができる電子デバイス上の入力および処理を示す。
本発明は、上で概説した実施形態と併せて説明してきたが、多くの代替案、変更、および変形が、前述の開示を読めば当業者には明らかになるであろう。したがって、上述した本発明の実施形態は、限定的ではなく、例示的であることが意図されている。本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、様々な変更を行うことができる。
【国際調査報告】