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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-01
(54)【発明の名称】船舶用ディーゼルパワーシステム
(51)【国際特許分類】
   F01P 11/04 20060101AFI20230125BHJP
   B63H 21/38 20060101ALI20230125BHJP
   B63H 20/28 20060101ALI20230125BHJP
   F01N 5/02 20060101ALI20230125BHJP
   F01N 5/04 20060101ALI20230125BHJP
   F01P 7/14 20060101ALI20230125BHJP
【FI】
F01P11/04 F
B63H21/38 A
B63H20/28
F01N5/02 A
F01N5/04 Z
F01P7/14 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021549437
(86)(22)【出願日】2021-01-22
(85)【翻訳文提出日】2021-08-20
(86)【国際出願番号】 CN2021073232
(87)【国際公開番号】W WO2022088531
(87)【国際公開日】2022-05-05
(31)【優先権主張番号】202011174605.4
(32)【優先日】2020-10-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521370916
【氏名又は名称】武漢第二船舶設計研究所
【氏名又は名称原語表記】WUHAN 2ND SHIP DESIGN AND RESEARCH INSTITUTE
【住所又は居所原語表記】No. 19 Yangqiaohu Avenue, Canglongdao Development Zone, Jiangxia District Wuhan, Hubei 430205, China
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】林 原勝
(72)【発明者】
【氏名】邱 志強
(72)【発明者】
【氏名】趙 振興
(72)【発明者】
【氏名】労 星勝
(72)【発明者】
【氏名】柯 漢兵
(72)【発明者】
【氏名】李 邦明
(72)【発明者】
【氏名】魏 志国
(72)【発明者】
【氏名】張 克龍
(72)【発明者】
【氏名】陳 凱
(72)【発明者】
【氏名】李 勇全
(57)【要約】
本発明の実施形態は船舶用ディーゼルパワーシステムを提供し、ディーゼルエンジン、コンフォーマル熱交換器、および噴射装置を備えて、前記コンフォーマル熱交換器の第1入口および第1出口がそれぞれディーゼルエンジンに接続され、且つ第1入口および第1出口がそれぞれコンフォーマル熱交換器のトップヘッドおよびボトムヘッドに接続され、前記コンフォーマル熱交換器の第2入口が海水の流入に使用され、第2出口が海水の排出に使用される。噴射装置は、コンフォーマル熱交換器の第2出口に設けられ、噴射装置の第1入口はコンフォーマル熱交換器の第2出口から排出された海水を吸入するために使用され、噴射装置の第2入口は、ディーゼルエンジンの排気管に接続され、噴射装置の出口は海水とディーゼルエンジンの排気管から排出された排気ガスを排出するために使用される。本発明の実施形態によって提供される船舶用ディーゼルパワーシステムは、コンフォーマル熱交換器の熱交換形式が強制対流熱交換に変化するように、コンフォーマル熱交換器の第2出口に噴射装置を設けることで、コンフォーマル熱交換器の熱交換効率を向上させている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディーゼルエンジン、コンフォーマル熱交換器、噴射装置を備えた船舶用ディーゼルパワーシステムであって、
前記コンフォーマル熱交換器の第1入口および前記第1出口はそれぞれディーゼルエンジンに接続され、且つ前記第1入口および前記第1出口はそれぞれ前記コンフォーマル熱交換器のトップヘッドおよびボトムヘッドに接続され、前記コンフォーマル熱交換器の前記第2入口は海水を流入させ、前記第2出口は海水を排出させるものであり、
前記噴射装置は、前記コンフォーマル熱交換器の第2出口に設けられ、前記噴射装置の前記第1入口は、前記コンフォーマル熱交換器の第2出口から排出される海水を取り込むために使用され、前記噴射装置の前記第2入口は、前記ディーゼルエンジンのディーゼルエンジン排気管に接続され、前記噴射装置の出口は、海水および前記ディーゼルエンジン排気管から排出される排気ガスを排出するために使用されることを特徴とする船舶用ディーゼルパワーシステム。
【請求項2】
前記コンフォーマル熱交換器は内殻板、外殻板、熱交換チューブと前記トップヘッドと前記ボトムヘッドからなり、
前記内殻板は船体であり、
前記外殻板の形状は前記内殻板と一致し、前記外殻板は前記内殻板に接続されて、前記コンフォーマル熱交換器の殻を構成し、
前記熱交換チューブの形状は、前記内殻板と一致し、前記熱交換チューブは、前記殻内に設けられて、
前記トップヘッドと前記ボトムヘッドは前記殻内に設けられ、前記熱交換チューブの両側に位置していることを特徴とする請求項1に記載の船舶用ディーゼルパワーシステム。
【請求項3】
前記コンフォーマル熱交換器の第1入口と第1出口は、それぞれ前記内殻板に形成され、前記コンフォーマル熱交換器の第2入口と第2出口は、それぞれ前記外殻板に形成されていることを特徴とする請求項2に記載の船舶用ディーゼルパワーシステム。
【請求項4】
前記コンフォーマル熱交換器は、入口グリルと出口グリルからなり、
前記入口グリルは前記コンフォーマル熱交換器の第2入口に設けられ、前記外殻板に対して角度を持って設置されて、
前記出口グリルは、前記コンフォーマル熱交換器の第2出口に設けられ、前記外殻板に対して角度を持って設置されていることを特徴とする請求項3に記載の船舶用ディーゼルパワーシステム。
【請求項5】
前記コンフォーマル熱交換器は複数のバッフルプレートをさらに備え、前記バッフルプレートは前記殻に設けられ、且つ前記熱交換チューブに対して角度を持って設置されていることを特徴とする請求項2に記載の船舶用ディーゼルパワーシステム。
【請求項6】
前記噴射装置は拡散ポートとノズルとからなり、前記ノズルは前記拡散ポートに設けられ、前記ノズルの外壁と前記拡散ポートの内壁との間には隙間が形成され、前記隙間が前記噴射装置の第1入口として構成されていることを特徴とする請求項2に記載の船舶用ディーゼルパワーシステム。
【請求項7】
前記ノズルが前記ディーゼルエンジンの排気管に接続され、前記ノズルが前記噴射装置の第2入口として構成されていることを特徴とする請求項6に記載の船舶用ディーゼルパワーシステム。
【請求項8】
前記拡散ポートは第一部分、第二部分、第三部分が順に接続されて構成され、前記第一部分は対向する2つの端面の間でテーパー形に構成され、前記第二部分は、対向する2つの端面の間で等距離に構成され、前記第三部分は、対向する2つの端面間で徐々に拡大する形に構成されていることを特徴とする請求項6に記載の船舶用ディーゼルパワーシステム。
【請求項9】
前記ノズルは前記拡散ポートの前記第一部分および第二部分に設けられ、前記拡散ポートの第三部分は前記噴射装置の出口として構成されていることを特徴とする請求項8に記載の船舶用ディーゼルパワーシステム。
【請求項10】
さらに海水グリルと給水バッフルを含み、
前記海水グリルは船体の外殻板に設けられ、且つ前記拡散ポートの下流側に位置し、
前記給水バッフルは前記外殻板と前記船の外殻板との間に設けられ、前記コンフォーマル熱交換器の前記第2入口の下流に位置することを特徴とする請求項6に記載の船舶用ディーゼルパワーシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、船舶の船べり外の冷却技術分野に係るものであり、特に船舶用ディーゼルパワーシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在の船舶の船べり外の冷却器は、一般的にシーチェストに配置され、船べり外の海水が底部のグリルから冷却器ボックスに入り、船べり外の冷却器内の熱媒体と熱交換を行い、熱交換後の海水は加熱されて密度が低下し、冷却器ボックスの高い部分に上昇してグリルから脱出する。現行の船べり外の冷却器と海水の熱交換形式は自然対流であり、熱交換効率が低く、海水と船べり外の冷却器の間にはグリルしかないため、船べり外の冷却器は汚染物質に阻まれやすく、熱交換能力が低下し、キャビン内の冷却される機器のオーバーヒート事故を発生させやすい。
【発明の概要】
【0003】
本発明の実施形態では、船べり外の冷却器の熱伝達効率が低いという先行技術の欠点を解決するための船舶用ディーゼルパワーシステムを提供する。
【0004】
本発明の実施形態は、ディーゼルエンジン、コンフォーマル熱交換器、および噴射装置を備えた船舶用ディーゼルパワーシステムを提供する。前記コンフォーマル熱交換器の第1入口および第1出口はそれぞれ前記ディーゼルエンジンに接続され、前記第1入口および前記第1出口はそれぞれ前記コンフォーマル熱交換器のトップヘッドおよびボトムヘッドに接続され、前記コンフォーマル熱交換器の第2入口は海水の流入に使用され、第2出口は海水の排出に使用される。前記噴射装置は、前記コンフォーマル熱交換器の第2出口に設けられ、前記噴射装置の第1入口は、前記コンフォーマル熱交換器の第2出口から排出される海水を取り込むために使用され、前記噴射装置の第2入口は、前記ディーゼルエンジンのディーゼルエンジン排気管に接続され、前記噴射装置の出口は、海水および前記ディーゼルエンジン排気管から排出される排気ガスを排出するために使用される。
【0005】
本発明の一実施形態に係る船舶用ディーゼルパワーシステムによれば、前記コンフォーマル熱交換器は内殻板、外殻板、熱交換チューブと前記トップヘッドと前記ボトムヘッドからなり、前記内殻板は船体であり、前記外殻板の形状は前記内殻板と一致し、前記外殻板は前記内殻板に接続されて、前記コンフォーマル熱交換器の殻を構成し、前記熱交換チューブの形状は、前記内殻板と一致し、前記熱交換チューブは、前記殻内に設けられて、前記トップヘッドと前記ボトムヘッドは前記殻内に設けられ、前記熱交換チューブの両側に位置している。
【0006】
本発明の一実施形態に係る船舶用ディーゼルパワーシステムによれば、前記コンフォーマル熱交換器の第1入口と第1出口は、それぞれ前記内殻板に形成され、前記コンフォーマル熱交換器の第2入口と第2出口は、それぞれ前記外殻板に形成されている。
【0007】
本発明の一実施形態に係る船舶用ディーゼルパワーシステムによれば、前記コンフォーマル熱交換器は、入口グリルと出口グリルを含み、前記入口グリルは前記コンフォーマル熱交換器の第2入口に設けられ、前記外殻板に対して角度を持って設置され、前記出口グリルは、前記コンフォーマル熱交換器の第2出口に設けられ、前記外殻板に対して角度を持って設置されている。
【0008】
本発明の一実施形態に係る船舶用ディーゼルパワーシステムによれば、前記コンフォーマル熱交換器は複数のバッフルプレートをさらに備え、前記バッフルプレートは前記殻に設けられ、且つ前記熱交換チューブに対して角度を持って設置されている。
【0009】
本発明の一実施形態に係る船舶用ディーゼルパワーシステムによれば、前記噴射装置は拡散ポートとノズルとからなり、前記ノズルは前記拡散ポートに設けられ、前記ノズルの外壁と前記拡散ポートの内壁との間には隙間が形成され、前記隙間は前記噴射装置の第1入口として構成されている。
【0010】
本発明の一実施形態に係る船舶用ディーゼルパワーシステムによれば、前記ノズルは前記ディーゼルエンジンの排気管に接続され、前記ノズルは前記噴射装置の第2入口として構成されている。
【0011】
本発明の一実施形態に係る船舶用ディーゼルパワーシステムによれば、前記拡散ポートは第一部分、第二部分、第三部分が順に接続されて構成され、前記第一部分は対向する2つの端面の間でテーパー形に構成され、前記第二部分は、対向する2つの端面の間で等距離に構成され、前記第三部分は、対向する2つの端面間で徐々に拡大する形状に構成されている。
【0012】
本発明の実施形態に係る船舶用ディーゼルパワーシステムによれば、前記ノズルは前記拡散ポートの前記第一部分および第二部分に設けられ、前記拡散ポートの第三部分は前記噴射装置の出口として構成されている。
本発明の一実施形態に係る船舶用ディーゼルパワーシステムによれば、海水グリルであって、前記海水グリルは船体の外殻板に設けられ、且つ前記拡散ポートの下流側に位置し、給水バッフルであって、前記給水バッフルは前記外殻板と前記船の外殻板との間に設けられ、前記コンフォーマル熱交換器の前記第2入口の下流に位置する。
【0013】
本発明の本実施形態により提供される船舶用ディーゼルパワーシステムは、コンフォーマル熱交換器の第2入口に噴射装置を設け、噴射装置の作動流体としての排気ガスを用い、加熱された海水が吸引流体として、乱流拡散の効果の下、コンフォーマル熱交換器の熱交換形態を強制対流熱交換に変更し、船べり外の海水のフローレートを向上させることで、コンフォーマル熱交換器の熱交換効率を向上させることができる。同時に、船べり外の海水がコンフォーマル熱交換器のシェル側を流れ、コンフォーマル熱交換器の殻を水中船舶用の耐圧構造として設計する必要がなく、コンフォーマル熱交換器の安全性と信頼性の向上に役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0014】
本発明の実施形態または先行技術における技術的解決策をより明確に示すために、実施形態または先行技術の説明に使用するために必要な各添付図面を以下に簡単に説明するが、以下の説明における添付図面は本発明のいくつかの実施形態であり、当業者にとって創造的な労力なしにそれらから他の添付図面を得ることができることは明らかである。
図1】本発明の一実施形態が提供する船舶用ディーゼルパワーシステムの構造を示す説明図である。
図2】噴射装置の構造を示す説明図である。
図3図1のA部拡大図である。
図4図1のB部拡大図である。
図5図2の噴射装置の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施形態の目的、技術的解決策、および利点をより明確にするために、本発明の実施形態における技術的解決策を、本発明の実施形態における添付図面と併せて以下に明確かつ完全に説明するが、説明される実施形態は本発明の実施形態の一部であり、そのすべてではないことは明らかである。本発明の実施形態に基づいて、当業者が創造的な労力をかけずに得た他のすべての実施形態は、本発明の保護範囲に入る。
【0016】
以下、本発明の一実施形態の船舶用ディーゼルパワーシステムを図1から図5を参照して、説明する。
【0017】
図1に示すように、本発明の一実施形態では、船舶用ディーゼルパワーシステムは、コンフォーマル熱交換器1と、噴射装置12と、ディーゼルエンジン20で構成されている。コンフォーマル熱交換器1は、ディーゼルエンジン20に接続されている。コンフォーマル熱交換器1の第1入口7はディーゼルエンジン20に接続されており、具体的には、ディーゼルエンジン20からの冷却水をコンフォーマル熱交換器1のチューブパスに通すために、コンフォーマル熱交換器1の第1入口7は、コンフォーマル熱交換器1のトップヘッド5に接続されている。コンフォーマル熱交換器1の第1出口8もディーゼルエンジン20に接続されており、具体的には、コンフォーマル熱交換器1の第1出口8は、コンフォーマル熱交換器1のボトムヘッド6に接続され、チューブパスからディーゼルエンジン20に冷却水を戻すためである。コンフォーマル熱交換器1の第2入口9は海水に流入することに使用され、海水がコンフォーマル熱交換器1のシェル側に流入し、コンフォーマル熱交換器1の第2出口10は熱交換された海水を排出させる。
【0018】
具体的には、ディーゼルエンジン20の冷却水はコンフォーマル熱交換器1の第1入口7からコンフォーマル熱交換器1のトップヘッド5を通ってチューブパスに入り、海水はコンフォーマル熱交換器1の第2入口9からシェル側に入り、冷却水と海水の間で熱交換が行われ、冷却された冷却水はコンフォーマル熱交換器1のボトムヘッド6を通って、コンフォーマル熱交換器1の第1出口8からディーゼルエンジン20に流入し、ディーゼルエンジン20を冷却し、加熱された海水はコンフォーマル熱交換器1の第2出口10から排出される。
【0019】
噴射装置12は、コンフォーマル熱交換器1の第2出口10に設けられており、コンフォーマル熱交換器1の第2出口10から排出された加熱された海水は、噴射装置の第1入口13から吸い込まれ、噴射装置12の第2入口は、ディーゼルエンジンの排気管21に接続されており、ディーゼルエンジンの排気管21から排出された排気ガスも噴射装置12に入る。乱流拡散の効果により、加熱された海水は、ディーゼルエンジンの排気管21から排出された排気ガスと混合されてから噴射装置12の出口から排出される。
【0020】
同時に、ディーゼルエンジン排気管21には、ディーゼルエンジン排気冷却器25が接続され、ディーゼルエンジン排気管21には、ディーゼルエンジン排気ガス調整弁26が接続されている。ディーゼルエンジン排気管21から排出されるディーゼルエンジン排気ガスの温度は約400℃であり、噴射装置に入った後、周囲の海水が加熱され、ディーゼルエンジン排気ガスが高温であるため、それに直接触れる加熱された海水は、著しく高温になってから密度が低くなることにより、上向きの流れを加速させ、海水の出口流速を増大させ、コンフォーマル熱交換器1の熱交換能力を高める。
【0021】
本発明の実施の形態により提供される船舶用ディーゼルパワーシステムは、コンフォーマル熱交換器の第2出口に噴射装置を設け、噴射装置の作動流体として排気ガスを用い、吸引流体として加熱された海水を用いることにより、乱流拡散の効果の下、コンフォーマル熱交換器の熱交換形態を強制対流熱交換に変更し、船べり外の海水のフローレートを増加させ、コンフォーマル熱交換器の熱交換効率を向上させることができる。同時に、本発明の実施形態が提供する船舶のディーゼルパワーシステムは、ディーゼルエンジンの排気ガスの廃熱を利用して周囲の海水を加熱し、海水の出口フローレートを増加させることで、コンフォーマル熱交換器の熱交換能力も高めることができる。 また、船べり外の海水がコンフォーマル熱交換器のシェル側に流れ、水中船舶の場合、コンフォーマル熱交換器の殻を耐圧構造にデザインする必要がなく、コンフォーマル熱交換器の安全性と信頼性の向上に寄与している。
【0022】
図1に示すように、本発明の一実施形態では、コンフォーマル熱交換器1は、内殻板2、熱交換器チューブ3、外殻板4、トップヘッド5およびボトムヘッド6から構成されている。具体的には、本発明の本実施形態で提供されるコンフォーマル熱交換器1は船体構造にコンフォーマル化し、船体の一部を内殻板2として使用し、船体は円弧状に湾曲しているため、熱交換器チューブ3および外殻板4の形状は内殻板2の形状と一致しており、また円弧状に湾曲した構造である。内殻板2と外殻板4を連結してコンフォーマル熱交換器1の殻を構成し、その殻に熱交換チューブ3とトップヘッド5とボトムヘッド6を設置し、トップヘッド5とボトムヘッド6はそれぞれ熱交換チューブ3の両端に設置されている。
【0023】
具体的には、内殻板2には第1入口7と第1出口8とが形成されており、第1入口7はトップヘッド5に接続され、第1出口8はボトムヘッド6に接続されている。ディーゼルエンジン20の冷却水は第1入口7からトップヘッド5を通って熱交換チューブ3に流入する。外殻板4には、第2入口9と第2出口10が形成されており、海水は第2入口9からシェル側に入るようになっている。チューブパスの冷却水とシェル側の海水が熱交換した後、冷却された冷却水はボトムヘッド6から第1出口8を通ってディーゼルエンジン20に流入し、加熱された海水は第2出口10によってコンフォーマル熱交換器1から流出する。
【0024】
本発明の実施形態が提供する船舶用ディーゼルパワーシステムは、船べり外熱交換器を船体構造にコンフォーマル化することにより、船べり外海水はコンフォーマル熱交換器のシェル側に流れ、ディーゼルエンジン冷却水はコンフォーマル熱交換器のチューブパスを流れるようにして、船べり外スペースを最大限に活用し、船べり外熱交換器を船のシーチェスト付近に配置するという制限をなくし、熱交換器の設置場所の柔軟な設計を実現する。
【0025】
図3および図4に示すように、本発明の一実施形態では、コンフォーマル熱交換器1は、入口グリル16および出口グリル17をさらに備えている。入口グリル16は、コンフォーマル熱交換器1の第2入口9に設けられており、入口グリル16は、外殻板4に対して斜めに設けられている。入口グリル16は、コンフォーマルな熱交換器1を汚染物質が容易に塞ぐことを防ぎ、船べり外の冷却システムの安全性と信頼性を向上させるために設けられている。同時に、入口グリル16は外殻板4に対して斜めに設定されることにより、海水の流入に対する抵抗を減らしている。出口グリル17は、コンフォーマル熱交換器1の第2出口10に設けられており、外殻板4に対して斜めに設けられており、入口グリル16と同じ目的で設けられている。
【0026】
さらに、図1に示すように、本発明の一実施形態では、船舶用ディーゼルパワーシステムは、給水バッフル23をさらに備え、給水バッフル23はコンフォーマル熱交換器1の外殻板4と船体の外殻板22との間に設けられ、コンフォーマル熱交換器1の第2入口9の下流側に位置して海水を遮断し、海水が第2入口9からコンフォーマル熱交換器1のシェル側に流入することに役立っている。
【0027】
図1に示すように、本発明の一実施形態では、コンフォーマル熱交換器1は複数のバッフルプレート11をさらに備えて、前記バッフルプレート11はコンフォーマル熱交換器1の殻内に設けられ、熱交換チューブ3に対して角度を持って設置される。具体的には、バッフルプレート11は熱交換チューブ3に設けられ、その上部または下部が殻の内壁と隙間を形成して、海水をシェル側内に流れることを引導する。
【0028】
図2に示すように、本発明の一実施形態では、噴射装置12は、拡散ポート15とノズル14とからなる。ノズル14は拡散ポート15に設けられ、ノズル14の外壁と拡散ポート15の内壁との間には隙間が形成されており、この隙間が噴射装置の第1入口13となって、コンフォーマル熱交換器1の第2出口10から流出し加熱された海水を吸引するために使用される。ノズル14は、ディーゼルエンジン排気管21に接続されており、ディーゼルエンジン排気管21から排出される排気ガスを排出するために使用される。排気ガスを噴射装置12の作動流体とし、加熱された海水を吸引流体とし、乱流拡散の効果により、加熱された海水が排気ガスと混合してから、拡散ポート15により噴射装置12から流出することで、コンフォーマル熱交換器1の強制対流熱交換を実現し、コンフォーマル熱交換器1の熱交換効率を向上させることができる。
【0029】
さらに、図5に示すように、本発明の一実施形態では、拡散ポート15は第一部分151、第二部分152、第三部分153が順に接続されて構成されており、第一部分151は、加熱された海水の取り込みを容易にするために、対向する2つの端面の間にテーパー形の構造を有している。第二部分152は、2つの対向する端面の間の距離が等しく、管状構造を形成しており、第三部分153は、2つの対向する端面の間が徐々に拡大する形構造となっており、混合排気ガスと加熱された海水の流れを促進している。ノズル14は、第一部分151と第二部分152に設けられており、第三部分153は噴射装置12の出口として構成されている。
【0030】
図2に示すように、本発明の一実施形態では、船舶用ディーゼルパワーシステムは、海水グリル24をさらに備えており、具体的には、コンフォーマル熱交換器1のシェル側を加熱された海水の海への排出を容易にするために、噴射装置12の拡散ポート15から一定の距離をおいて船体外殻板22に海水グリル24が設けられている。
【0031】
以下、図1および図2と併せて本発明の実施形態が提供する船舶用ディーゼルパワーシステムの作業原理について詳細に説明する。
【0032】
ディーゼルエンジン20の冷却水は、コンフォーマル熱交換器1の第1入口7からコンフォーマル熱交換器1のトップヘッド5を通って、コンフォーマル熱交換器1のチューブパスに流入し、海水はコンフォーマル熱交換器1の第2入口9からコンフォーマル熱交換器1のシェル側に流入し、海水と冷却水の間で熱交換が行われ、冷却された冷却水はボトムヘッド6から第1出口8を通って、ディーゼルエンジン20に流入してディーゼルエンジン20を冷却し、加熱された海水は第2出口10によってコンフォーマル熱交換器1から流出する。
【0033】
噴射装置12は、コンフォーマル熱交換器1の第2出口10に設置され、加熱された海水が噴射装置の第1入口13によって吸引され、ディーゼルエンジンの排気管21から排出された排気ガスが噴射装置12のノズル14によって噴射装置12に入り、排気ガスが噴射装置12の作動流体として使用され、加熱された海水が吸引流体として使用され、加熱された海水が乱流拡散の効果の下で排気ガスと混合されてから、噴射装置12の拡散ポート15から排出される。
【0034】
最後に、上記の実施形態は本発明の技術的解決策を説明するためにのみ使用されており、それらを限定するものではないことに留意すべきである。前述の実施形態を参照して本発明を詳細に説明したにもかかわらず、前述の実施形態に記載されている技術的解決策を変更したり、その技術的特徴の一部を同等に置換したりすることは依然として可能であるが、そのような変更または置換は、対応する技術的解決策の本質を、本発明の実施形態の技術的解決策の精神と範囲から逸脱させるものではないと、当業者は理解すべきである。
【符号の説明】
【0035】
1:コンフォーマル熱交換器、2:内殻板、3:熱交換チューブ、4:外殻板、5:アッパーヘッド、6:ボトムヘッド、7:第1入口、8:第1出口、9:第2入口、10:第2出口、11:バッフルプレート、12:噴射装置、13:噴射装置の第1入口、14:ノズル、15:拡散ポート、16:入口グリル、17:出口グリル、20:ディーゼルエンジン、21:ディーゼルエンジン排気、22:外殻板、23:給水バッフル、24:海水グリル、25:ディーゼルエンジン排気冷却器、26:ディーゼルエンジン排気ガス調整弁、151:第一部分、152:第二部分、153:第三部分。
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】