(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-01
(54)【発明の名称】人工心臓弁を植え込むための送達装置及び方法
(51)【国際特許分類】
A61F 2/24 20060101AFI20230125BHJP
【FI】
A61F2/24
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021573913
(86)(22)【出願日】2020-12-03
(85)【翻訳文提出日】2022-02-07
(86)【国際出願番号】 US2020063104
(87)【国際公開番号】W WO2021113507
(87)【国際公開日】2021-06-10
(32)【優先日】2019-12-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500218127
【氏名又は名称】エドワーズ ライフサイエンシーズ コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】Edwards Lifesciences Corporation
【住所又は居所原語表記】One Edwards Way, Irvine, CALIFORNIA 92614, U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】オーレン・コーエン
(72)【発明者】
【氏名】トメル・サール
(72)【発明者】
【氏名】エラザール・リーヴァイ・シュワルツ
(72)【発明者】
【氏名】オフィル・ウィッツマン
(72)【発明者】
【氏名】エイタン・アティアス
(72)【発明者】
【氏名】ノーム・ミラー
(72)【発明者】
【氏名】エラン・ゴールドバーグ
(72)【発明者】
【氏名】ヤイール・エー・ニューマン
【テーマコード(参考)】
4C097
【Fターム(参考)】
4C097AA27
4C097BB01
4C097BB04
4C097CC12
4C097CC18
4C097MM09
4C097SB10
(57)【要約】
人工弁を植え込むための送達装置が、ハンドル、第1のシャフト、複数の作動シャフト、及び制御機構を備える。第1のシャフトは、第1の端部分から第2の端部分まで延在する1つ又は複数のルーメンを有する。各作動シャフトが、近位端部分及び遠位端部分を有し、これらの作動シャフトは、第1のシャフトの1つ又は複数のルーメンを貫通して延在する。制御機構は、作動シャフトに対して及びハンドルに対して結合される。制御機構は、第1の動作モードでは作動シャフト同士が互いに対して軸方向に移動することが可能となり、第2の動作モードでは作動シャフト同士が軸方向へと同時に移動されることが可能となるように構成される。追加的には又は代替的には、第1のシャフトは、作動シャフトを受けるように構成された複数の螺旋状ルーメンを備えることが可能である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人工弁のための送達装置であって、
ハンドルと、
第1の端部分、第2の端部分、及び前記第1の端部分から前記第2の端部分まで延在する1つ又は複数のルーメンを有する第1のシャフトであって、前記第1の端部分は前記ハンドルに対して結合される、前記第1のシャフトと、
近位端部分及び遠位端部分をそれぞれ有する複数の作動シャフトであって、前記第1のシャフトの前記1つ又は複数のルーメンを貫通して延在する前記作動シャフトと、
前記作動シャフトに対して及び前記ハンドルに対して結合された制御機構であって、前記制御機構は、第1の動作モード及び第2の動作モードを備え、前記第1の動作モードでは、前記作動シャフトの前記近位端部分が互いに対して及び前記第1のシャフトに対して軸方向に移動可能であり、前記第2の動作モードでは、前記作動シャフトが軸方向へと同時に移動可能である、前記制御機構と、
を備える、送達装置。
【請求項2】
前記制御機構は、力制御機構を含む、請求項1に記載の送達装置。
【請求項3】
前記力制御機構は、プーリを備え、前記作動シャフトのうち2つの前記作動シャフトの前記近位端部分が、前記プーリを介して共に結合され、前記作動シャフトのうち2つの前記作動シャフトに作用する張力が等しくない場合に、前記作動シャフトのうち2つの前記作動シャフトの前記近位端部分は互いに対して軸方向に移動し、前記プーリは回転する、請求項2に記載の送達装置。
【請求項4】
複数の前記作動シャフトは、第1の作動シャフト、第2の作動シャフト、及び第3の作動シャフトを含み、
前記力制御機構は、キャリッジ、第1のプーリ、第2のプーリ、及び第3のプーリを備え、
前記キャリッジは、前記ハンドルに対して移動可能であり、
前記第1のプーリ及び前記第2のプーリは、前記キャリッジに回転可能に取り付けられ、
前記第3のプーリは、前記ハンドルに対して固定され、
前記第1の作動シャフト及び前記第2の作動シャフトの前記近位端部分が、前記第1のプーリを介して共に結合され、
前記第3の作動シャフトは、前記第2のプーリ及び前記第3のプーリの周囲に延在し、
前記第1の作動シャフトに作用する張力が前記第2の作動シャフトに作用する張力とは異なる場合に、前記第1の作動シャフト及び前記第2の作動シャフトの前記近位端部分は互いに対して軸方向に移動し、前記第1のプーリは回転し、
前記第3の作動シャフトに作用する張力が前記第1の作動シャフト及び前記第2の作動シャフトに作用する張力とは異なる場合に、前記第3の作動シャフトの前記近位端部分が前記第1の作動シャフト及び前記第2の作動シャフトに対して移動し、前記第2のプーリ及び前記第3のプーリは回転する、請求項2に記載の送達装置。
【請求項5】
前記送達装置が、前記作動シャフトのうち一の作動シャフトに結合された作動機構であって、前記作動シャフトを同時に軸方向に移動するように構成された前記作動機構をさらに備える、請求項1から4のいずれか一項に記載の送達装置。
【請求項6】
前記作動機構は、回転式ノブを備え、
前記回転式ノブの回転によって、前記作動シャフトが同時に軸方向に移動される、請求項5に記載の送達装置。
【請求項7】
前記作動機構は、回転式シャフトを有する電気モータを備え、
前記回転式シャフトの回転によって、前記作動シャフトが同時に軸方向に移動される、請求項5に記載の送達装置。
【請求項8】
前記作動機構は、前記作動シャフトに作用する張力を増減させるように構成されたスプールを備える、請求項5から7のいずれか一項に記載の送達装置。
【請求項9】
前記制御機構は変位制御機構を含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の送達装置。
【請求項10】
前記変位制御機構は、外側歯車及び複数の内側歯車を有する歯車アセンブリを備え、
前記内側歯車は、作動シャフトそれぞれに結合され、
前記外側歯車を前記第1のシャフトに対して回転させることにより、前記内側歯車及び前記作動シャフトが前記第1のシャフトに対して同時に回転運動される、請求項9に記載の送達装置。
【請求項11】
前記変位制御機構は、第1の歯車アセンブリ及び第2の歯車アセンブリを備え、
前記第1の歯車アセンブリを前記第1のシャフトに対して回転させることにより、前記作動シャフトが前記第1のシャフトに対して同時に軸方向移動され、
前記第2の歯車アセンブリを前記第1のシャフトに対して回転させることにより、前記作動シャフトが前記第1のシャフトに対して同時に回転運動される、請求項9に記載の送達装置。
【請求項12】
前記第1の歯車アセンブリは、作動機構に結合され、
前記第2の歯車アセンブリは、解除機構に結合される、請求項11に記載の送達装置。
【請求項13】
前記変位制御機構は、第1の位置と第2の位置との間で移動されるように構成された摺動式外側歯車を備え、
前記第1の位置では、前記摺動式外側歯車は、前記第1の歯車アセンブリの複数の第1の内側歯車に係合し、
前記第2の位置では、前記摺動式外側歯車は、前記第2の歯車アセンブリの複数の第2の内側歯車に係合する、請求項11又は請求項12に記載の送達装置。
【請求項14】
前記変位制御機構は、結合部材、作動部材、及び歯車アセンブリを備え、
前記結合部材は、前記作動シャフトの前記遠位端部分に結合され、
前記作動部材は、前記第1のシャフトを貫通して延在し、
前記作動部材の第1の端部分が、前記結合部材に結合され、
前記歯車アセンブリは、前記作動シャフトの前記近位端部分に結合され、
前記作動部材を前記第1のシャフトに対して軸方向移動させることにより、前記結合部材及び前記作動シャフトが前記第1のシャフト及び前記歯車アセンブリに対して同時に軸方向移動され、
前記歯車アセンブリを前記第1のシャフトに対して回転させることにより、前記作動シャフトが前記第1のシャフトに対して同時に回転運動される、請求項9に記載の送達装置。
【請求項15】
前記作動部材は、作動機構に結合される、請求項14に記載の送達装置。
【請求項16】
請求項1から15のいずれか一項に記載の送達装置と、
機械的拡張可能な人工心臓弁と、
を備える送達アセンブリ。
【請求項17】
前記機械的拡張可能な人工心臓弁は、複数のストラットを備えるフレームと、複数のアクチュエータとを備え、
前記フレームの前記ストラットは、回動可能に共に結合され、
前記アクチュエータは、前記フレームの前記ストラットに対して結合され、径方向圧縮構成と径方向拡張構成との間で前記フレームを移行させるように構成される、請求項16に記載の送達アセンブリ。
【請求項18】
前記作動シャフトと前記第1のシャフトとの間における軸方向の相対移動により、前記人工心臓弁の前記フレームが前記径方向圧縮構成と前記径方向拡張構成との間で移行されるように、前記送達装置の前記作動シャフトが前記人工心臓弁の前記アクチュエータに対して解除可能に結合される、請求項17に記載の送達アセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本願は、2019年12月6日に出願された米国仮特許出願第62/945,039号に基づく利益を主張する。この仮特許出願は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、人工心臓弁などの植え込み可能な機械的拡張可能な人工デバイスと、人工心臓弁を植え込むための送達装置及び方法とに関する。
【背景技術】
【0003】
ヒトの心臓は様々な心臓弁膜症を被り得る。これらの心臓弁膜症は、結果として心臓の著しい機能障害に至る可能性があり、最終的には天然弁を修復する又は天然弁を人工弁と置換する必要が生じるおそれがある。多数の既知の修復デバイス(例えばステント)及び人工弁と、これらのデバイス及び人工弁をヒトに植え込む多数の既知の方法とが存在する。経皮的低侵襲性外科アプローチは、外科手術によるアクセスが容易には可能でない又は外科手術以外によるアクセスが望ましい体内位置へと人工医用デバイスを送達するために様々な手技で利用される。具体的な一例では、人工心臓弁が、送達装置の遠位端部上にクリンプ状態で取り付けられ、人工心臓弁が心臓内の植込み部位に到達するまで患者の脈管を通り(例えば大腿動脈及び大動脈を通り)前進され得る。次いで、人工心臓弁は、例えば人工弁が上に取り付けられたバルーンを膨張させること、人工心臓弁に対して拡張力を印加する機械アクチュエータを作動させること、又は人工心臓弁がその機能サイズへと自己拡張し得るように送達装置のシースから人工心臓弁を展開することになどにより、機能サイズへと拡張される。
【0004】
拡張を機械アクチュエータに依存する人工心臓弁は、「機械的拡張可能な」人工心臓弁と呼ぶことができる。機械的拡張可能な人工心臓弁は、自己拡張性人工心臓弁及びバルーン拡張性人工心臓弁と比較して1つ又は複数の利点を有し得る。例えば、機械的拡張可能な人工心臓弁は、様々な直径に拡張され得る。また、機械的拡張可能な人工心臓弁は、初回の拡張後に圧縮されることも可能である(例えば再位置決め及び/又は回収などを目的として)。
【0005】
これらの利点を有するにもかかわらず、機械的拡張可能な人工心臓弁は複数の難点を有し得る。例えば、機械的拡張可能な人工心臓弁は、植込み手技の最中に人工心臓弁及び/又は送達装置に対して印加される力を制御することが困難となるおそれがある。これらの難点は、送達装置が例えば患者の脈管などの蛇行状の通路内に配設される場合にはさらに複雑化し得る。また、送達装置から機械的拡張可能な人工心臓弁を解除することも困難となり得る。さらに、制御対象となる複数の可動構成要素が存在する場合には、典型的な送達装置では、ユーザの操作は困難及び/又は多大な時間を要するものとなるおそれがある。従って、機械的拡張可能な人工心臓弁を植え込むための改良された送達装置及び方法が必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第10603165号明細書
【特許文献2】米国特許第10806573号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2018/0344456号明細書
【特許文献4】国際公開第2020/081893号
【特許文献5】国際公開第2021/003167号
【特許文献6】米国特許第9700442号明細書
【特許文献7】米国特許第9827093号明細書
【特許文献8】米国特許第6730118号明細書
【特許文献9】米国特許第7393360号明細書
【特許文献10】米国特許第7510575号明細書
【特許文献11】米国特許第7993394号明細書
【特許文献12】米国特許第8652202号明細書
【特許文献13】米国特許出願公開第2018/0325665号明細書
【特許文献14】国際公開第2021/016018号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本明細書においては、人工心臓弁、送達装置、及び人工心臓弁を植え込むための方法を説明する。本開示の送達装置及び方法は、例えば送達装置により人工弁に対して印加される力が均一に分散されるのを確保するのに有効となり得る。これにより、植込み手技の最中に送達装置及び/又は人工心臓弁が損傷を被る可能性が軽減され得る。また、本開示の送達装置及び方法は、人工心臓弁が均一に拡張されるのを確保するのに有効となり得る。また、本明細書において開示される送達装置は、使用が比較的簡単及び/又は容易である。これにより、例えば失敗リスクが軽減され得る、及び/又は人工心臓弁を植え込むための所要時間が短縮化され得る。
【課題を解決するための手段】
【0008】
代表的な一実施形態では、人工心臓弁を植え込むため送達装置が提供される。この送達装置は、ハンドル、第1のシャフト、複数の作動シャフト、及び制御機構を備える。第1のシャフトは、第1の端部分、第2の端部分、及び第1の端部分から第2の端部分まで延在する1つ又は複数のルーメンを有する。第1の端部分はハンドルに対して結合される。各作動シャフトが、近位端部分及び遠位端部分を有し、これらの作動シャフトは、第1のシャフトの1つ又は複数のルーメンを貫通して延在する。制御機構は、作動シャフトに対して及びハンドルに対して結合される。制御機構は、第1の動作モード及び第2の動作モードを備える。第1の動作モードでは、作動シャフトの近位端部分同士が、互いに対して及び第1のシャフトに対して軸方向に移動することが可能であり、第2の動作モードでは、作動シャフト同士が、軸方向へと同時に移動されることが可能となる。
【0009】
幾つかの実施形態では、送達装置は、機械的拡張可能な人工心臓弁をさらに備える送達アセンブリの一部である。
【0010】
別の代表的な実施形態では、送達装置は、ハンドル、第1のシャフト、複数の作動シャフト、及び力制御機構を備える。第1のシャフトは、第1の端部分、第2の端部分、及び第1の端部分から第2の端部分まで延在する1つ又は複数のルーメンを有する。第1の端部分は、ハンドルに対して結合される。各作動シャフトが、近位端部分及び遠位端部分を有し、作動シャフトは、第1のシャフトの1つ又は複数のルーメンを貫通して延在する。力制御機構は、作動シャフトに対して及びハンドルに対して結合される。力制御機構は、第1のシャフトが湾曲された場合に、作動シャフトの近位端部分同士が互いに対して軸方向に移動し得るように構成される。
【0011】
幾つかの実施形態では、力制御機構は、作動シャフトと相互連結されたプーリシステムを備える。
【0012】
別の代表的な実施形態では、送達装置が、ハンドル、第1のシャフト、複数の作動シャフト、及び変位制御機構を備える。第1のシャフトは、第1の端部分、第2の端部分、及び第1の端部分から第2の端部分まで延在する1つ又は複数のルーメンを有する。第1の端部分は、ハンドルに対して結合される。各作動シャフトが、近位端部分及び遠位端部分を有し、作動シャフトは、第1のシャフトの1つ又は複数のルーメンを貫通して延在する。変位制御機構は、作動シャフトに対して及びハンドルに対して結合される。変位制御機構は、第1のシャフトが湾曲された場合に、作動シャフトの近位端部分同士が互いに対して軸方向に移動し得るように構成される。
【0013】
幾つかの実施形態では、変位制御機構は、1つ又は複数の歯車アセンブリを備える。
【0014】
別の代表的な実施形態では、送達装置が、ハンドル、第1のシャフト、及び複数の作動シャフトを備える。第1のシャフトは、第1の端部分、第2の端部分、及び第1の端部分から第2の端部分まで延在する複数の螺旋状ルーメンを有する。第1の端部分はハンドルに対して結合される。各作動シャフトが、近位端部分及び遠位端部分を有し、作動シャフトは、第1のシャフトのそれぞれの螺旋状ルーメンを貫通して延在する。
【0015】
別の代表的な実施形態では、送達装置が、ハンドル、第1のシャフト、複数の作動シャフト、力制御機構、及び変位制御機構を備える。第1のシャフトは、第1の端部分、第2の端部分、及び第1の端部分から第2の端部分まで延在する1つ又は複数のルーメンを有する。第1の端部分はハンドルに対して結合される。各作動シャフトが、近位端部分及び遠位端部分を有し、作動シャフトは、第1のシャフトの1つ又は複数のルーメンを貫通して延在する。力制御機構は、作動シャフトに対して及びハンドルに対して結合される。力制御機構は、第1のシャフトが湾曲された場合に、作動シャフトの近位端部分同士が互いに対して軸方向に移動し得るように構成される。変位制御機構は、作動シャフトに対して及びハンドルに対して結合される。変位制御機構は、第1のシャフトが湾曲された場合に、作動シャフトの近位端部分同士が互いに対して軸方向に移動し得るように構成される。
【0016】
別の代表的な実施形態では、送達装置が、ハンドル、第1のシャフト、複数の作動シャフト、及び力制御機構を備える。第1のシャフトは、第1の端部分、第2の端部分、及び第1の端部分から第2の端部分まで延在する複数の螺旋状ルーメンを有する。第1の端部分はハンドルに対して結合される。各作動シャフトが、近位端部分及び遠位端部分を有し、作動シャフトは、第1のシャフトのそれぞれの螺旋状ルーメンを貫通して延在する。力制御機構は、作動シャフトに対して結合され、作動シャフトに対して印加された力を均一に分散するように構成される。
【0017】
別の代表的な実施形態では、送達装置が、ハンドル、第1のシャフト、複数の作動シャフト、及び変位制御機構を備える。第1のシャフトは、第1の端部分、第2の端部分、及び第1の端部分から第2の端部分まで延在する複数の螺旋状ルーメンを有する。第1の端部分はハンドルに対して結合される。各作動シャフトが、近位端部分及び遠位端部分を有し、作動シャフトは、第1のシャフトのそれぞれの螺旋状ルーメンを貫通して延在する。変位制御機構は、作動シャフトに対して結合され、第1のシャフトが湾曲された場合に、作動シャフトの近位端部分同士が互いに対して軸方向に移動し得るように構成される。
【0018】
別の代表的な実施形態では、送達装置が、ハンドル、第1のシャフト、複数の作動シャフト、力制御機構、及び変位制限装置を備える。第1のシャフトは、第1の端部分、第2の端部分、及び第1の端部分から第2の端部分まで延在する複数の螺旋状ルーメンを有する。第1の端部分はハンドルに対して結合される。各作動シャフトが、近位端部分及び遠位端部分を有し、作動シャフトは、第1のシャフトのそれぞれの螺旋状ルーメンを貫通して延在する。力制御機構は、作動シャフトに対して結合され、作動シャフトに対して印加された力を均一に分散するように構成される。変位制御機構は、作動シャフトに対して結合され、第1のシャフトが湾曲された場合に、作動シャフトの近位端部分同士が互いに対して軸方向に移動し得るように構成される。
【0019】
別の代表的な実施形態では、人工心臓弁を植え込むための送達装置用の力制御機構が提供される。この力制御機構は、プーリシステム及び可動キャリッジを備える。プーリシステムは、送達装置の複数の作動シャフトと相互連結するように構成される。可動キャリッジは、プーリシステムに対して結合され、送達装置のハンドルに対して移動可能に結合されるように構成される。プーリシステム及び可動キャリッジは、軸方向に及び/又は回転方向に移動することによって、送達装置の作動シャフトに対して印加された力及び/又は送達装置の作動シャフトが伝達する力を平衡化するように構成される。
【0020】
別の代表的な実施形態では、人工心臓弁を植え込むための送達装置用の力制御機構が提供される。この力制御機構は、第1のプーリ、第2のプーリ、第3のプーリ、及びキャリッジを備える。第1のプーリは、送達装置の第1の作動シャフト及び第2の作動シャフトに対して結合されるように構成される。第2のプーリは、送達装置の第3の作動シャフトに対して結合されるように構成される。第3のプーリは、送達装置の第3の作動シャフトに対して結合されるように構成される。キャリッジは、送達装置のハンドルに対して移動可能に結合されるように構成される。第1のプーリ及び第2のプーリは、キャリッジに対して回転可能に結合され、キャリッジは、第3のプーリに対して軸方向に移動可能である。第1の作動シャフト及び第2の作動シャフトの近位端部分同士は、互いに対して軸方向に移動し、第1のプーリは、第1の作動シャフト及び第2の作動シャフト中の張力が等しくない場合に回転する。第3の作動シャフト及び第1の作動シャフト又は第2の作動シャフト中の張力が等しくない場合に、第3の作動シャフトの近位端部分が、第1の作動シャフト及び第2の作動シャフトに対して軸方向に移動し、第2のプーリ及び第3のプーリは、回転する。
【0021】
別の代表的な実施形態では、人工心臓弁を植え込むために構成された送達装置用の変位制御機構が提供される。この変位制御機構は、1つ又は複数の歯車アセンブリを備える。これらの歯車アセンブリは、送達装置の作動シャフトに対して結合されるように構成される。これらの歯車アセンブリは、作動シャフトの近位端部分同士が、互いに対して軸方向に独立して移動し得るように構成され、作動シャフトをそれらのそれぞれの軸を中心として同時に回転させるように構成される。
【0022】
別の代表的な実施形態では、人工心臓弁を植え込むために構成された送達装置用のシャフトが提供される。このシャフトは、シャフトの第1の端部分からシャフトの第2の端部分まで延在する複数の螺旋状ルーメンを備え、各螺旋状ルーメンは、送達装置の作動シャフトを受けるように構成される。
【0023】
本開示の様々な実施形態は、組み合わせて又は別個に使用することが可能である。本概要は、選りすぐりのコンセプトを簡易な形で紹介するために設けられたものであり、これらのコンセプトは、以降の詳細な説明でさらに説明される。本概要は、特許請求の対象の重要な特徴又は必須の特徴を特定するように意図されたものではなく、また特許請求の対象の範囲を限定するために使用されるように意図されたものでもない。本開示の前述の及び他の目的、特徴、及び利点が、以降の詳細な説明、特許請求の範囲、及び添付の図面からさらに明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】機械的拡張可能な人工心臓弁及び送達装置を備える送達アセンブリの斜視図である。
【
図3】人工心臓弁のフレームが径方向拡張構成にある状態における、弁構造体を含まない人工心臓弁の別の斜視図である。
【
図4】径方向圧縮構成にある人工心臓弁の側面図である。
【
図5】人工心臓弁のアクチュエータの詳細図である。
【
図6】人工心臓弁のアクチュエータの断面図である。
【
図9】
図8に示す線9-9に沿った送達装置のシャフトの断面図である。
【
図10】送達装置のシャフトの遠位端部分の詳細図である。
【
図11】送達装置から解除された人工心臓弁の詳細図である。
【
図12】送達装置に対して結合された人工心臓弁の詳細図である。
【
図13】人工心臓弁が径方向拡張構成にある状態における、送達装置に対して結合された人工心臓弁の側面図である。
【
図14】人工心臓弁が径方向圧縮構成にある状態における、送達装置に対して結合された人工心臓弁の側面図である。
【
図16】人工心臓弁が送達装置と共に心臓(断面で図示)内に植え込まれる一例の植込み手技を示す図である。
【
図17】人工心臓弁が送達装置と共に心臓(断面で図示)内に植え込まれる一例の植込み手技を示す図である。
【
図18】人工心臓弁が送達装置と共に心臓(断面で図示)内に植え込まれる一例の植込み手技を示す図である。
【
図19】人工心臓弁が送達装置と共に心臓(断面で図示)内に植え込まれる一例の植込み手技を示す図である。
【
図20】一例の力制御機構を備える送達装置のハンドルの概略図である。
【
図21】別の例の力制御機構を備える送達装置の別のハンドルの概略図である。
【
図22】別の実施形態による力制御機構を備える送達装置のハンドルの概略図である。
【
図23】一例の変位制御機構を備える送達装置の側面図である。
【
図24】
図23の変位制御機構の一例の結合部材の斜視図である。
【
図25】結合部材が遠位位置にある状態を示す、
図23の変位制御機構の遠位端部分の詳細図である。
【
図26】結合部材が近位位置にある状態を示す、
図23の変位制御機構の遠位端部分の詳細図である。
【
図27】
図23の変位制御機構の一例の内側歯車の斜視図である。
【
図28】
図23の変位制御機構の一例の内側歯車の斜視図である。
【
図29】
図23の変位制御機構の一例の外側歯車の斜視図である。
【
図30】
図23の変位制御機構の一例の歯車アセンブリの端面図である。
【
図31】
図23の変位制御機構の歯車アセンブリの部分断面図である。
【
図32】別の実施形態による変位制御機構を備える送達装置の側面図である。
【
図34】
図32の変位制御機構の遠位端部分を示す断面図である。
【
図35】別の実施形態による変位制御機構を備える送達装置の近位端部分の斜視図である。
【
図36】
図35の変位制御機構の一例の第1の歯車アセンブリの斜視図である。
【
図37】
図35の変位制御機構の第1の歯車アセンブリの一例の構成要素の斜視図である。
【
図38】
図35の変位制御機構の第1の歯車アセンブリの一例の構成要素の斜視図である。
【
図39】
図35の変位制御機構の第1の歯車アセンブリの一例の構成要素の斜視図である。
【
図40】
図35の変位制御機構の一例の第2の歯車アセンブリの斜視図である。
【
図41】外側歯車が近位位置にある状態を示す、一例の摺動式外側歯車及び
図35の変位制御機構の斜視図である。
【
図42】外側歯車が遠位位置にある状態を示す、既出の摺動式外側歯車及び
図35の変位制御機構の斜視図である。
【
図43】別の例の変位制御機構を備える送達装置の近位端部分の上面図である。
【
図44】
図43の変位制御機構の一例の第1の歯車アセンブリの端面図である。
【
図45】
図43の変位制御機構の一例の第2の歯車アセンブリの端面図である。
【
図46】第1の歯車アセンブリがロック解除構成にある状態を示す、
図43の変位制御機構の第1の歯車アセンブリの部分断面図である。
【
図47】第1の歯車アセンブリがロック構成にある状態を示す、
図43の変位制御機構の第1の歯車アセンブリの部分断面図である。
【
図48】送達装置のための一例のシャフトの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
一般事項
この発明を実施するための形態では、本開示の実施形態の幾つかの態様、利点、及び新規の特徴が説明される。開示されるこれらの方法、装置、及びシステムは、いかなる点においても限定的なものとして解釈されるべきではない。むしろ、本開示は、開示される様々な実施形態のすべての新規のかつ非自明な特徴及び態様を、その単独においてならびに互いに様々な組合せ及び下位組合せにおいて対象とする。これらの方法、装置、及びシステムは、そのいかなる特定の態様もしくは特徴又はそれらの組合せにも限定されず、また本開示の実施形態は、いかなる1つ又は複数の特定の利点が存在すること又は問題が解決されることをも必須としない。
【0026】
本開示の実施形態の中の幾つかの動作が、提示の便宜上の理由により特定の連続順序で説明されるが、この説明方法は、特定の順序が以降に示す具体的な文言により必要とされない限りは、順序変更を包含する点を理解されたい。例えば、連続的に説明される一連の動作が、幾つかの場合では順序変更されても又は同時に実施されてもよい。さらに、簡略化を理由として、添付の図面は、他の方法と組み合わせて本開示の方法を利用することが可能となる様々な方法を示さない場合がある。さらに、時として、本説明は、本開示の方法を説明するために「実現する」又は「達成する」等の用語を使用する。これらの用語は、実施される実際の動作の高度に抽象的な表現である。これらの用語に対応する実際の動作は、特定の実装形態に応じて変化し得るものであり、当業者には容易に認識可能である。
【0027】
本願及び特許請求の範囲において、単数形「1つの(a、an)」及び「その(the)」は、コンテクストにおいて別様のことが明示されない限り複数形を含む。さらに、「含む(include)」という用語は、「備える(comprise)」を意味する。さらに、「結合される(coupled)」という用語は、物理的、機械的、化学的、磁気的、及び/又は電気的に結合又はリンクされることを一般的に意味し、具体的に逆の文言がない限り、結合又は関連付けられたアイテム同士の間における中間要素の存在を排除しない。
【0028】
本明細書において、「近位の」という用語は、ユーザに対してはより近く植込み部位からはより遠く離れたデバイスの位置、方向、又は部分を指す。本明細書において、「遠位の」という用語は、ユーザからはより遠く離れ植込み部位に対してはより近いデバイスの位置、方向、又は部分を指す。従って、例えば、デバイスの近位方向移動は、植込み部位から離れユーザに向かう(例えば患者の体外への)デバイスの移動であり、デバイスの遠位方向移動は、ユーザから離れ植込み部位に向かう(例えば患者の体内への)デバイスの移動である。「長手方向の」及び「軸方向の」という用語は、別様のことが明確に定義されない限り、近位方向及び遠位方向に延在する軸を指す。
【0029】
本開示の技術の例
本明細書では、人工心臓弁、送達装置、及び人工心臓弁を植え込むための方法を説明する。本開示の送達装置及び方法は、例えば送達装置により人工弁に対して印加される力が均一に分散されるのを確保するのに有効となり得る。これにより、植込み手技の最中に送達装置及び/又は人工心臓弁が損傷を被る可能性が軽減され得る。また、本開示の送達装置及び方法は、人工心臓弁が均一に拡張されるのを確保するのに有効となり得る。また、本明細書において開示される送達装置は、使用が比較的簡単及び/又は容易である。これにより、例えば失敗リスクが軽減され得る、及び/又は人工心臓弁を植え込むための所要時間が短縮化され得る。
【0030】
図1は、一実施形態による送達アセンブリ10を示す。図示する実施形態では、送達アセンブリ10は、人工心臓弁100及び送達装置200を備える。人工弁100は、天然心臓弁(例えば大動脈弁、僧帽弁、肺動脈弁、及び/又は三尖弁)と置換するために構成され得る。図示するように、人工弁100は、送達装置200の遠位端部分に対して解除可能に結合され得る。送達装置200は、患者の天然心臓弁内に人工弁100を送達し植え込むために使用され得る(例えば
図16~
図19を参照)。人工弁100及び送達装置200に関するさらなる詳細は、以降において示す。
【0031】
図2は、人工弁100を示す。図示するように、人工弁100は、3つの主要な構成要素、すなわちフレーム102、弁構造体104、及び1つ又は複数のアクチュエータ106(図示する実施形態では3つのアクチュエータ)を備える。フレーム102(「ステント」又は「支持構造体」とも呼ばれ得る)は、弁構造体104を支持するように、及び天然心臓弁内に人工弁100を固定するように構成され得る。弁構造体104は、フレーム102及び/又はアクチュエータ106に対して結合される。弁構造体104は、血流が人工弁100を通り一方向へ(すなわち順行方向へ)流れることを可能にし、血流が人工弁100を通り逆方向へ(すなわち逆行方向へ)流れるのを制限するように構成される。アクチュエータ106は、フレーム102に対して結合され、1つ又は複数の機能構成もしくは拡張構成(例えば
図2~
図3)、1つ又は複数の送達構成もしくは圧縮構成(例えば
図4)、及び/又は機能構成と送達構成との中間の1つ又は複数の中間構成を含む、複数の構成へとフレーム102の拡張を調節するように構成される。人工弁100の弁構造体104は、図示上の理由により
図1及び
図3~
図4では図示されない点に留意されたい。
【0032】
図3を参照すると、人工弁100のフレーム102は、第1の端部108及び第2の端部110を有する。図示する実施形態では、フレーム102の第1の端部108は流入端部であり、フレーム102の第2の端部110は流出端部である。他の実施形態では、フレーム102の第1の端部108が流出端部であり、フレーム102の第2の端部110が流入端部であることが可能である。
【0033】
フレーム102は、生体適合性金属及び/又は生体適合性ポリマーを含む様々な適切な材料の中のいずれかから作製され得る。フレームを形成することが可能な生体適合性金属の例としては、ステンレス鋼、コバルト-クロム合金、及び/又はニッケル-チタン合金(「NiTi」もしくは「ニチノール」とも呼ばれ得る)が挙げられる。
【0034】
さらに
図3を参照すると、フレーム102は、格子タイプパターンで構成された複数の相互連結されたストラット112を備える。
図3では、人工弁100のフレーム102は、径方向拡張構成にあり、この構成の結果としてフレーム102のストラット112は、人工弁100の長手方向軸に対して対角線方向に延在する。他の構成では、フレーム102のストラット112は、
図3に示す量とは異なる量だけオフセットされ得る。例えば、
図4は、径方向圧縮構成にある人工弁100のフレーム102を示す。この構成では、フレーム102のストラット112は、人工弁100の長手方向軸に対して平行に(又は少なくとも実質的に平行に)延在する。
【0035】
これらの拡張構成と圧縮構成との間での移行を容易にするために、フレーム102のストラット112は、各ストラットの長さに沿って1つ又は複数の回動接合部において互いに対して回動可能に結合される。例えば、各ストラット112が、両端部に及びストラットの長さに沿ってアパーチャを有して形成されることが可能である。フレーム102は、ストラット112同士が重畳し、ストラット112のアパーチャを貫通して延在する例えばリベット又はピン114などの留め具により共に回動可能に結合される位置に、ヒンジを備える。これらのヒンジにより、例えば人工弁100の組立て、準備、及び/又は植込みの最中などにフレーム102が径方向拡張構成と径方向圧縮構成との間で移行されるときに、ストラット112同士が相互に回動することが可能となる。
【0036】
幾つかの実施形態では、フレーム102は、各構成要素(例えばフレーム102のストラット112及びピン114)を形成し、次いでこれらの各構成要素を共に機械的に組み立て結合することによって作製され得る。他の実施形態では、ストラット同士は、各ヒンジを用いて互いに対して結合されず、他の方法で互いに対して回動可能又は屈曲可能であることにより、フレームの径方向拡張及び径方向収縮を可能にする。例えば、フレームが、単片材料(例えば金属チューブ)から形成されることが可能である(例えばレーザ切断、電鋳、又は物理気相堆積などにより)。これらのフレーム及び人工弁の作製に関するさらなる詳細は、特許文献1及び特許文献2、特許文献3、ならびに国際出願特許文献4及び特許文献5に記載されており、これらの特許文献は、参照により本明細書に組み込まれる。本明細書において開示される送達装置と共に使用され得る拡張性人工弁のさらなる例は、特許文献6及び特許文献7に記載されており、これらの米国特許は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0037】
再び
図2を参照すると、人工弁100の弁構造体104は、フレーム102に対して結合される。弁構造体104は、血流が流入端部108から流出端部110へ人工弁100を通過するのを可能にし、血液が流出端部110から流入端部108へ人工弁100を通過するのを制限するように構成される。弁構造体104は、例えば1つ又は複数の弁尖116(例えば図示する実施形態では3つの弁尖)を備える弁尖アセンブリなどからなることが可能である。
【0038】
人工弁100の弁尖116は、可撓性材料から作製され得る。例えば、弁尖アセンブリの弁尖116は、生物材料、生体適合性合成材料、又は他のかかる材料から全体的又は部分的に作製され得る。適切な生物材料としては、例えばウシ心膜(又は他のソースによる心膜)などが含まれ得る。
【0039】
図2を参照すると、弁尖116は、交連部118(例えば隣接し合う弁尖対)を形成するように構成されることが可能であり、これらの交連部118は、例えば各アクチュエータ106に対して取り付けられ得る。弁構造体104が人工弁100のフレーム102に対して結合され得る様式を含む、人工心臓弁に関するさらなる詳細は、特許文献8、特許文献9、特許文献10、特許文献11、特許文献12、及び特許文献13に見ることができる。これらの特許文献は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0040】
弁構造体104は、アクチュエータ106に対して結合され得る。例えば、弁構造体104の交連部118は、アクチュエータ106のハウジング部材122に対して結合され得る。アクチュエータに対して弁構造体を結合することに関するさらなる詳細は、例えば国際出願特許文献5に見ることができる。
【0041】
図3に示すように、人工弁100のアクチュエータ106は、フレーム102の内方表面に対して取り付けられ、この内方表面に沿って周方向に離間される。アクチュエータ106は、特に、フレーム102を径方向に拡張する及び/又は径方向に圧縮するように構成される。これにより、アクチュエータ106は「拡張機構」とも呼ばれ得る。また、アクチュエータ106は、所望の拡張構成でフレーム102をロックするようにも構成される。従って、アクチュエータ106は「ロッカー」又は「ロック機構」とも呼ばれ得る。以降においてさらに説明されるように、各アクチュエータ106は、送達装置の1つ又は複数のそれぞれの作動シャフトと解除可能な連結部を形成するように構成され得る。
【0042】
次に
図5~
図6を参照すると、各アクチュエータ106は、ラック部材120(「作動部材」とも呼ばれ得る)、ハウジング部材122(「支持部材」とも呼ばれ得る)、及びロック部材124を備える。ラック部材120は、第1の軸方向位置(例えばフレーム102の流入端部108付近の)にて人工弁100のフレーム102に対して結合され、ハウジング部材122は、第2の軸方向位置(例えばフレーム102の流出端部110付近の)にてこのフレームに対して結合され得る。ラック部材120は、各ハウジング部材122を貫通して延在し、これらの各ハウジング部材122に対して軸方向に移動可能である。従って、ラック部材120とハウジング部材122との軸方向相対移動が、フレーム102に対して軸方向力を印加し、フレーム102のストラット112同士がピン114を中心として互いに対して回動することにより、結果的にフレーム102の径方向拡張/圧縮をもたらす。ハウジング部材122に対してラック部材120を近位方向に(例えば
図5~
図6に示す配向において上方に)移動することにより、フレーム102が径方向に拡張される(例えば
図3)。対照的に、ハウジング部材122に対してラック部材120を遠位方向に(例えば
図5~
図6に示す配向において下方に)移動することにより、フレーム102が径方向に圧縮される(例えば
図4)。
【0043】
図6に示すように、ラック部材120の中の1つ又は複数が、複数の歯126を有するセグメントを備える。各ロック部材124は、各ハウジング部材122に対して結合され、ラック部材120の歯126に係合するように付勢された歯止め128を備える。このようにすることで、ラック部材120及びロック部材124はラチェットタイプ機構を形成し、このラチェットタイプ機構により、ラック部材120は、ハウジング部材122に対して近位方向に移動することが可能となり(それにより人工弁100の拡張が可能となる)、ラック部材120は、ハウジング部材122に対して遠位方向に移動することが制限される(それにより人工弁100の圧縮が制限される)。
【0044】
図示する実施形態では、ロック部材124は、単体構造体としてハウジング部材122と共に一体的に形成される。他の実施形態では、ロック部材124及びハウジング部材122は、共に結合される別個の構成要素として形成され得る(例えば留め具、接着剤、溶接、及び/又は他の結合手段を用いて)。
【0045】
図示する実施形態では、人工弁100は、3つのアクチュエータ106を備える。他の実施形態では、さらに多数又はさらに少数のアクチュエータを使用することが可能である。例えば、一実施形態では、人工弁は1つのアクチュエータを有し得る。別の例としては、人工弁は2つのアクチュエータを有し得る。さらに他の例では、人工弁は4~15個のアクチュエータを有し得る。
【0046】
図示しないが、人工弁100は、1つ又は複数のスカート又は封止部材を備えることも可能である。例えば、人工弁100は、フレーム102の内方表面上に取り付けられた内方スカートを備えることが可能である。この内方スカートは、弁周囲逆流を防止もしくは軽減するための、フレーム102に対して弁尖116を固着するための、及び/又は人工弁100のクリンピングの最中及び作業サイクルの最中にフレーム102との接触により引き起こされる損傷から弁尖116を保護するための、封止部材として機能し得る。また、人工弁100は、フレーム102の外方表面上に取り付けられた外方スカートを備え得る。この外方スカートは、天然弁輪の組織に対して封止し、従って人工弁の周囲における弁周囲逆流を軽減することによって、人工弁のための封止部材として機能し得る。内方スカート及び外方スカートは、様々な合成材料(例えばPET)又は天然組織(例えば心膜組織)のいずれかを含む、様々な適切な生体適合性材料のいずれかから形成することができる。内方スカート及び外方スカートは、縫合糸、接着剤、溶接、及び/又はフレームに対してスカートを装着するための他の手段を使用して、フレームに対して取り付けられ得る。
【0047】
図7~
図10は、送達装置200と、「弁カテーテル」又は「送達カテーテル」とも呼ばれ得るその構成要素とを示す。図示するように、送達装置200は、ハンドル202、第1のシャフト204、第2のシャフト206、1つ又は複数の支持スリーブ208(例えば図示する実施形態では3つ)、1つ又は複数の作動シャフト210(例えば図示する実施形態では3つ)、オプションの再圧縮シャフト212、ノーズコーンシャフト214、及びノーズコーン216を備える。ハンドル202は、シャフト及びスリーブを互いに対して操縦するように構成される。人工心臓弁100は、送達装置200の遠位端部分に対して解除可能に結合され(例えば
図11~
図13を参照)、送達装置200は、人工弁100を位置決めするために、及び/又は人工弁100を所望の径方向拡張構成に拡張、圧縮、及びロックするために使用され得る。
【0048】
図示する実施形態では、送達装置200は、3対の支持スリーブ208及び作動シャフト210を備える(すなわち人工弁100の各アクチュエータ106に1対の支持スリーブ208及び作動シャフト210)。他の実施形態では、送達装置200は、人工弁が備えるアクチュエータの個数に応じて、2つ以下(例えば1つもしくは2つ)又は4つ以上(例えば4~15個)の対の支持スリーブ208及び作動シャフト210を備えることが可能である。
【0049】
送達装置200のハンドル202は、シャフト及びスリーブを互いに対して移動するように構成された1つ又は複数の機構を備える。例えば、
図7に示すように、ハンドル202は、第1の機構218、第2の機構220、第3の機構222、及び/又は第4の機構224を備える。
【0050】
ハンドル202の第1の機構218は、第1のシャフト204及び第2のシャフト206に対して結合され、第1のシャフト204及び第2のシャフト206を互いに対して軸方向に移動するように構成される。以降でさらに説明されるように、ハンドル202の第1の機構218は、第1のシャフト204の送達カプセルから人工弁100を展開するために使用され得る(
図7を参照)。そのため、第1の機構218は、「展開機構」と呼ばれ得る。
【0051】
図示する実施形態では、第1の機構218は、第1の機構218を作動するように構成された第1のノブ226を備える。図示しないが、他の実施形態では、第1の機構218は、例えばボタン、スイッチ等の、第1の機構218を作動させるように構成された様々な他のタイプのアクチュエータを備えることが可能である。また、第1の機構218は、第1のシャフト204と第2のシャフト206との軸方向相対移動を助長及び/又は制限するように構成された、1つ又は複数の他の図示しない構成要素(例えば電気モータ、回転式シャフト、駆動スクリュー、歯車アセンブリ等)を備えることも可能である。例えば、第1の機構218は、ハンドル202のハウジング228に対して第1のノブ226(及び/又は電気モータ)を回転させることにより、第1のシャフト204と第2のシャフト206との間の軸方向相対移動が結果的に得られるように構成されることが可能である。
【0052】
ハンドル202の第2の機構220は、作動シャフト210に対して結合され、支持スリーブ208に対して作動シャフト210を軸方向に移動するように構成される。人工弁100が、作動シャフト210を介して送達装置200に対して結合される場合には、ハンドル202の第2の機構220は、以降でさらに説明されるように人工弁100を径方向に拡張及び/又は圧縮するために使用され得る。従って、第2の機構220は、「作動機構」及び/又は「拡張機構」と呼ばれ得る。
【0053】
図示する実施形態では、第2の機構220は、第2の機構220を作動させるように構成された第2のノブ230を備える。他の実施形態では、第2の機構220は、様々な他のタイプのアクチュエータを備えることが可能である。また、図示しないが、第2の機構220は、支持スリーブ208に対する作動シャフト210の軸方向相対移動を助長及び/又は制限するように構成された1つ又は複数の追加の構成要素をさらに備え得る。例えば、第2の機構220は、電気モータ、駆動スクリュー、歯車アセンブリ、及び/又は他の構成要素を備えることが可能である。幾つかの実施形態では、第2の機構220は、ハンドルのハウジング228に対して第2のノブ230(及び/又は電気モータ)を回転させることにより、作動シャフト210と支持スリーブ208との軸方向相対移動が結果的に得られるように構成され得る。
【0054】
また、ハンドル202の第3の機構222が、作動シャフト210に対して結合され、支持スリーブ208に対して作動シャフト210を回転させるように構成される。このようにすることで、第3の機構222は、以降でさらに説明されるように人工弁100に対する作動シャフト210の結合及び人工弁100からの作動シャフト210の解除を同時に行うために使用され得る。従って、第3の機構222は、「解除機構」又は「結合機構」と呼ばれ得る。
【0055】
図示する実施形態では、第3の機構222は、第3の機構222を作動させるように構成された第3のノブ232を備える。他の実施形態では、第3の機構222は、様々な他のタイプのアクチュエータを備えることが可能である。また、第3の機構222は、作動シャフト210と支持スリーブ208との回転方向相対移動を助長及び/又は制限するように構成された1つ又は複数の他の構成要素(例えば歯車アセンブリ及び/又は電気モータ)を備えることも可能である。例えば、第3の機構222は、ハウジング228に対して第3のノブ232を回転させることにより、支持スリーブ208に対する作動シャフト210の回転が結果的に得られるように構成され得る。
【0056】
ハンドル202の第4の機構224は、ノーズコーンシャフト214に対して結合され、第1のシャフト204及び第2のシャフト206に対してノーズコーンシャフト214及びノーズコーン216を軸方向に移動するように構成される。そのため、第4の機構224は「ノーズコーン機構」と呼ばれ得る。
【0057】
図示する実施形態では、第4の機構224は、第4の機構224を作動させるように構成されたスライダ234を備える。図示しないが、第4の機構224は、ノーズコーンシャフト214ならびに第1のシャフト204及び第2のシャフト206の軸方向相対移動を助長及び/又は制限するように構成された様々な他の構成要素を備えることが可能である。例えば、幾つかの実施形態では、第4の機構224は、第1のシャフト204及び第2のシャフト206に対してあらかじめ定められた軸方向位置へとノーズコーンシャフト214を付勢するように構成された1つ又は複数の付勢部材(例えばばね)を備えることが可能である。かかる実施形態では、スライダ234は、ハウジング228に対する特定の軸方向位置(例えば近位位置)へと付勢され得る。ノーズコーンシャフト214は、付勢部材の抗力を克服するのに十分な力でハウジング228に対してスライダ234を摺動させることにより、第1のシャフト204及び第2のシャフト206に対して軸方向に移動され得る。スライダ234は、解除されると付勢位置へと戻り得る。他の実施形態では、第4の機構は、ノブ(及び/又はモータ)とハウジングとの間の回転方向相対移動を、ノーズコーンシャフトと第1のシャフト及び第2のシャフトとの間の軸方向相対移動へと変換するように構成された、回転式ノブ、電気モータ、及び/又は駆動スクリューを備えることが可能である。
【0058】
次に
図7~
図8を参照すると、第1のシャフト204の近位端部分が、ハンドル202に対して結合され、このハンドル202から遠位方向に延在する。第1のシャフト204は、送達装置200の第2のシャフト206を収容するためのルーメンを備える。第1のシャフト204の遠位端部分は、人工弁100を径方向圧縮構成において受けるように構成される(
図14~
図17を参照)。そのため、第1のシャフト204は、「シース」又は「送達カプセル」とも呼ばれ得る。代替的には、送達カプセルは、第1のシャフト204の遠位端部分に対して結合された別個に形成された構成要素であることが可能である。
【0059】
図8~
図9に示すように、第2のシャフト206は、第1のシャフト204を貫通して同軸状に延在し、この第1のシャフト204に対して軸方向に移動可能である。第2のシャフト206は、軸方向へと貫通して延在する複数のルーメンを備え、従って「マルチルーメンシャフト」と呼ばれ得る。例えば、
図9に示すように、第2のシャフト206は、互いに対して周方向に離間された1つ又は複数の第1のルーメン236(例えば図示する実施形態では3つ)を備える。第1のルーメン236は、それぞれの作動シャフト210及び/又は支持スリーブ208を受けるように構成され得る。図示する実施形態では、第1のルーメン236は、互いに対して均一に離間される(すなわち約120度だけ離間される)。他の実施形態では、第1のルーメン236は、互いに対して不均一に離間され得る。
【0060】
幾つかの実施形態では、第2のシャフト206は、1つ又は複数の追加のルーメンをさらに備えることが可能である。例えば、
図9に示すように、第2のシャフト206は、再圧縮ルーメン238及びガイドワイヤルーメン240を備える。ガイドワイヤルーメン240は、第2のシャフト206内において径方向中央に配設され得る。再圧縮ルーメン238は、ガイドワイヤルーメン240に対して径方向外方に配設され得る。幾つかの実施形態では、再圧縮ルーメン238は、第1のルーメン236と径方向に整列され得る、及び/又は第1のルーメン236に対して周方向に離間され得る。
【0061】
支持スリーブ208は、第2のシャフト206のそれぞれの第1のルーメン236から遠位方向に延在し、人工弁100のアクチュエータ106に接触するように構成され得る(
図12を参照)。支持スリーブ208は、作動シャフト210よりも比較的高い剛性を有し得る。そのため、支持スリーブ208は、アクチュエータ106のハウジング部材122に対して遠位方向力を印加するために使用することが可能であり、この遠位方向力は、送達装置200の作動シャフト210によりアクチュエータ106のラック部材120に対して印加される近位方向力に対抗し得るものであり、このことにより、アクチュエータ106のラック部材120とハウジング部材122との間における軸方向相対移動によって引き起こされる人工弁100の拡張が可能となる。
【0062】
図示する実施形態では、支持スリーブ208は、相対的に短いチューブであり、これらのチューブは、第2のシャフト206の遠位端部分に対して結合されるが、第2のシャフト206を貫通してハンドル202まで全長にわたって延在するわけではない。スリーブ208は、幾つかの例では第1のルーメン236を画成する第2のシャフト206の内方表面に対して固定され得る(例えば接着剤により)。幾つかの実施形態では、支持スリーブ208の近位端部分が、ハンドル202に対して結合され、支持スリーブ208は、第2のシャフト206のそれぞれの第1のルーメン236を貫通して、及び第2のシャフト206の遠位端部を越えて延在し得る。いずれの例においても、各支持スリーブ208は、
図9に示すようにそれぞれの作動シャフト210を受けるように構成されたルーメンを備える。
【0063】
作動シャフト210は、ハンドル202から第2のシャフト206のそれぞれの第1のルーメン236を貫通し、それぞれの支持スリーブ208のルーメンを貫通して遠位方向に延在し得る。作動シャフト210の遠位端部分は、人工弁100のアクチュエータ106に対して作動シャフトを解除可能に結合するように構成された対合特徴部を備え得る。例えば、
図10~
図12に示すように、作動シャフト210の遠位端部分は、アクチュエータ106のラック部材120の対応する雌ネジ部130に対合するように構成された雄ネジ部242を備える。
【0064】
幾つかの実施形態では、作動シャフト210は、比較的可撓性の高い部材であることが可能である。例えば、作動シャフトは、ワイヤ、ケーブル、コード、縫合糸等であることが可能である。他の実施形態では、作動シャフトは、ロッドなどの比較的剛性の高い部材であることが可能である。他の実施形態では、作動シャフト210は、1つ又は複数の比較的可撓性の高いセグメント(例えば遠位端部分に位置する)と、1つ又は複数の比較的剛性の高いセグメント(例えば近位端部分に位置する)を備えることが可能である。
【0065】
図8を参照すると、再圧縮シャフト212は、ハンドル202から第2のシャフト206の再圧縮ルーメン238を貫通して延在する。
図9に示すように、再圧縮シャフト212は、再圧縮部材246(例えばワイヤ、ケーブル、縫合糸等)が貫通して延在するルーメン244を備える。
図13に示すように、再圧縮部材246は、投げ輪状に人工弁100周囲に延在し得る。そのため、再圧縮部材246は、人工弁100の周囲において再圧縮部材246に張力を印加し従って引き締めることにより、人工弁100を再圧縮するために使用され得る。
【0066】
人工弁100は、送達装置200の遠位端部分に対して結合されて、送達アセンブリを形成し得る(
図11~
図13を参照)。さらに、送達装置200は、患者の体内に人工弁100を植え込むために使用され得る(
図13~
図19を参照)。人工弁100は、
図8に示す構成で送達装置200を位置決めすることによって、送達装置200に対して結合され得る。
図13に示すように、人工弁100が径方向拡張構成にある状態において、人工弁100は、ノーズコーン216の近位部分及びノーズコーンシャフト214を覆うように、及び任意には再圧縮部材246のループ内に位置決めされ得る。人工弁100のアクチュエータ106は、
図11に示すように作動シャフト210の遠位端部に隣接して位置決めされ得る。次いで、
図12に示すように、作動シャフト210は、アクチュエータ106のハウジング部材122に挿入され、アクチュエータ106のラック部材120に対して螺合され得る。
【0067】
人工弁100が送達装置200に対して解除可能に結合された状態において(
図13を参照)、人工弁100は、アクチュエータ106を作動させる、再圧縮部材246に張力を印加する、及び/又は人工弁100及び送達装置200を圧着デバイス内に挿入することによって、径方向に圧縮され得る。機械的拡張可能な人工弁のための一例の圧着デバイスに関するさらなる詳細は、国際出願特許文献14に見ることができ、この国際出願は、参照により本明細書に組み込まれる。
図14は、径方向圧縮構成にある人工弁100を示す。次いで、
図15に示すように、送達装置200の第1のシャフト204が送達装置200の第2のシャフト206及び人工弁100の上で前進されて、人工弁100は、第1のシャフト204のルーメン内に配設され、第1のシャフト204の遠位端部は、ノーズコーン216に対接し得る。これは、例えばハンドル202の第1の機構218を作動することなどによって実現され得る。
【0068】
次いで、送達アセンブリ10の遠位端部分が、患者の脈管に挿入され、人工弁100が、送達装置200を使用して植込み位置へと前進され得る。例えば、
図16~
図19は、経大腿送達手技を利用して患者の心臓300内に人工弁100を植え込むための一例の植込み手技を示す。他の実施形態では、経心室、経心尖、経中隔等の様々な他の送達手技が利用され得る。
【0069】
図16を参照すると、送達アセンブリ10の遠位端部分は、第1のシャフト204が患者の大動脈302を通り延在するように、及びノーズコーン216が患者の天然大動脈弁輪304を通り患者の心臓300の左心室306内へ延在するように、患者の脈管に挿入される。
図17を参照すると、人工弁100は、ハンドル202の第1の機構218を作動させ、それにより送達装置200の第1のシャフト204を送達装置200の第2のシャフト206に対して近位方向に移動する(及び/又は第1のシャフト204に対して第2のシャフト206を遠位方向に移動する)ことによって、送達装置200の第1のシャフト204から展開され得る。第1のシャフト204は、支持スリーブ208が第1のシャフト204の遠位端部から露出されるように、近位方向にさらに移動され得る(例えば
図14を参照)。
【0070】
図18に示すように、次いで人工弁100は、径方向に拡張され得る。これは、例えば作動シャフト210及びアクチュエータ106のラック部材120(作動シャフト210に対して結合された)が、支持スリーブ208及びアクチュエータ106のハウジング部材122(支持スリーブ208の遠位端部に当接する)に対して近位方向に移動するように、ハンドル202の第2の機構220を作動させることによって実現され得る。人工弁100が、所望に従って天然大動脈弁輪304内に位置決め及び固定されると、ロック部材124は、人工弁100を拡張状態に保持するようにラック部材120に係合し得る。
【0071】
人工弁の再位置決めが望まれる場合には、第2の機構220は、人工弁100を径方向に圧縮するようにアクチュエータ106を作動させるために使用され得る。第2の機構220を使用する代わりに又はそれに加えて、人工弁100は、再圧縮部材246を使用して再圧縮され、再位置決め及び/又は回収され得る。幾つかの例では、再圧縮部材246は、アクチュエータ106のみの使用により可能となる直径よりも小さい直径まで人工弁を径方向に圧縮することが可能である。図示上の理由により、再圧縮シャフト212及び再圧縮部材246は
図17~
図18には図示せず、ノーズコーンシャフト214及びノーズコーン216は
図18~
図19には図示しない点に留意されたい。
【0072】
拡張及び固定されると、次いで人工弁100は、
図19に示すように送達装置200から解除され得る。これは、ハンドル202の第3の機構222を作動させることにより実現され得る。これにより、送達装置200の作動シャフト210が人工弁100のラック部材120に対して回転され、それによりラック部材120のネジ部130から作動シャフト210のネジ部242が結合解除される。次いで、作動シャフト210、支持スリーブ208、及び第2のシャフト206が、第1のシャフト204内へ引き戻され、送達装置200が、患者の体から除去され得る。
【0073】
植込み手技の最中に、送達装置は患者の脈管を通り前進される。患者の脈管は、幾つかの比較的鋭角的な湾曲部(例えば天然大動脈弓(
図16~
図19を参照))を含む様々な湾曲部を備え得る。送達装置が湾曲された場合に、送達装置のシャフトの中のいくつかは、送達装置の他のシャフトとは異なる経路長をたどる。シャフトの経路長は、中立軸からの径方向距離に応じて異なり得る。例えば、送達装置200の場合に、第1のシャフト204及び第2のシャフト206の中心長手方向軸は、中立軸を形成する。そのため、第1のシャフト204及び第2のシャフト206は、ある湾曲部にわたり延在する場合に同一の長さをたどる。なぜならば、第1のシャフト204及び第2のシャフト206は同軸状及び同心状であるからである。
図9に示すように、作動シャフト210は、第1のシャフト204及び第2のシャフト206の中心長手方向軸から径方向外方に離間される。換言すれば、作動シャフト210は、第1のシャフト204及び第2のシャフト206と非同軸状であり偏心的である。そのため、送達装置200がある湾曲部にわたり配設される場合に、各作動シャフト210は、異なる経路長をたどる。すべての作動シャフト210が同一長さを有する場合には、それぞれ異なる経路長により、それぞれの作動シャフト210中に不均一な張力が生じ、及び/又はこれらの作動シャフト210が伸張され得る。これらの作動シャフト210における不均一な張力及び/又は伸張は、それにより作動シャフトにわたり不均一な力分布が生じる、及び/又は作動シャフトの不均一な変異が生じるため、望ましくない。作動ケーブル中の不均一な力は、結果として作動シャフト210の中の1つ又は複数に過剰な力をもたらし、幾つかの例ではこれがアクチュエータ106及び/又は作動シャフト210に損傷をもたらし得る。例えば、作動ケーブルの不均一な変位は、結果として人工心臓弁の不均一な径方向拡張をもたらすおそれがある。従って、これらの作動シャフトにおける非均一な力及び/又は不均一な変位を軽減又は防止することが望ましい。
【0074】
本明細書においては、作動シャフトが湾曲された場合でも作動シャフトの力及び/又は変位を制御するように構成された、様々な制御機構及びマルチルーメンシャフトが開示される。幾つかの例では、これらの制御機構は、送達装置の拡張機構及び/又は解除機構に対して結合され得る。本開示の制御機構は、例えば作動シャフトに対する荷重を均一に分散するのに有効であり得る。追加的には又は代替的には、本開示の制御機構は、拡張機構が作動した場合に人工弁が均一に拡張するように、作動シャフトの相互に対する長さを調節することも可能である。本明細書において開示される制御機構は、例えば送達装置200と共に使用することが可能である。
【0075】
一般的には、本開示の制御機構は、作動シャフトの両端部が固定されるのではなく、作動シャフトの一方の端部(例えば近位端部分)が送達装置の他の構成要素に対して移動することが可能であることによって動作する。このようにすることで、作動シャフトは、送達装置が湾曲された場合に「遊動」することが可能となり、それにより作動シャフト中における不均一な張力及び/又は伸張が防止される。
【0076】
幾つかの実施形態では、制御機構が、送達装置のための力制御機構であることが可能である。力制御機構は、送達装置の作動シャフトに対して印加される力を均一に分散させるように構成され得る。幾つかの実施形態では、力制御機構がプーリシステムを備えることが可能である。プーリシステムは、作動シャフトに相互連結する1つ又は複数のプーリを備え得る。これらのプーリにより、作動シャフトの近位端部分が互いに対して移動することが可能となり、それによって作動シャフトの荷重が均一に分散され得る。幾つかの実施形態では、力制御機構は、送達装置の作動機構に対して結合され得る。
【0077】
幾つかの実施形態では、制御機構は、送達装置のための変位制御機構であることが可能である。特定の実施形態では、変位制御機構が、送達装置の作動シャフトに対して結合された1つ又は複数の歯車アセンブリを備えることが可能である。これらの歯車アセンブリは、送達装置の他の構成要素及び/又は人工心臓弁に対して作動シャフトを軸方向及び/又は回転方向に移動させるように構成され得る。このようにすることで、変位機構は、例えば人工心臓弁を拡張させる、及び/又は送達装置から人工心臓弁を解除するためなどに使用され得る。特定の実施形態では、変位制御機構が、送達装置の作動機構及び/又は解除機構に対して結合され得る。
【0078】
他の実施形態では、複数の螺旋状ルーメンを備えるマルチルーメンシャフトが提供され得る。これらの螺旋状ルーメンは、送達装置のそれぞれの作動シャフトを受けるように構成され得る。例えば、螺旋状ルーメンは、マルチルーメンシャフトが湾曲された場合でも、作動シャフトが同一距離又は実質的に同一の距離を移動することを確保するのに有効となり得る。従って、本明細書において開示されるマルチルーメンシャフトは、例えば均一な弁拡張を確保するのに有効となり得る。
【0079】
幾つかの例では、送達装置が、力制御機構、変位制御機構、及び/又は螺旋状ルーメンを有するマルチルーメンシャフトを有し得る。他の例では、送達装置は、力制御機構を備えるが、変位制御機構及び/又は螺旋状ルーメンを有するマルチルーメンシャフトを省き得る。さらに他の実施形態では、送達装置は、力制御機構、変位制御機構、及び/又は螺旋状ルーメンを有するマルチルーメンシャフトの様々な他の組合せ及び/又は下位組合せを備えることが可能である。
【0080】
図20は、一実施形態による力制御機構400を示す。図示するように、幾つかの例では、この力制御機構400は、送達装置200の一構成要素であることが可能である。そのような例の中のいくつかにおいては、力制御機構は、例えば送達装置200のハンドル202内に収容され得る。力制御機構400は、作動シャフト210及び作動機構220に対して結合され、作動シャフト210と作動機構220との間に配設され得る。このようにすることで、力制御機構400は、作動シャフト210中の力及び/又は作動シャフト210に対して印加された力を均一に分散させるために使用されることが可能となる。
【0081】
力制御機構400は、作動シャフト210及び作動機構220に対して結合された複数のプーリを備える。これらのプーリの中の1つ又は複数は、それらが上に配設され得る可動キャリッジ及びそれらのプーリがハンドル202のハウジング228に対して移動することが可能となるように、この可動キャリッジ上に配設され、またこれらのプーリの中の1つ又は複数は、それらがハンドル202のハウジング228に対して定置状態になるように、このハウジング228に対して結合されることが可能である。
【0082】
さらに具体的には、力制御機構400は、第1の動的プーリ402、第2の動的プーリ404、静的プーリ406、キャリッジ408、及びベース部材410を備える。第1の動的プーリ402及び第2の動的プーリ404は、キャリッジ408に対して回転可能に結合される。静的プーリ406は、ベース部材410に対して回転可能に結合され、ベース部材410は、ハンドル202のハウジング228に対して固定的に結合される。
【0083】
図示する実施形態では、力制御機構400は、第1の連結部材412及び第2の連結部材414をさらに備える。第1の連結部材412及び第2の連結部材414は、可撓性のコード、ワイヤ、ケーブル、縫合糸等であることが可能である。第1の連結部材412は、第1の動的プーリ402の周囲に延在し、第1の端部分412aが第1の作動シャフト210aの近位端部分に対して結合され、第2の端部分412bが第2の作動シャフト210bの近位端部分に対して結合される。第2の連結部材414は、第2の動的プーリ404及び静的プーリ406の周囲に延在し、第1の端部分414aが第3の作動シャフト210cの近位端部分に対して結合され、第2の端部分414bが作動機構220に対して結合される。
【0084】
他の実施形態では、力制御機構がこれらの連結部材を有さないことが可能である。かかる実施形態では、第1の作動シャフト210a及び第2の作動シャフト210bは、一体的に形成される又は共に直接的に結合されることが可能である。また、第3の作動シャフト210cは、作動機構220に対して直接的に結合されることが可能である。
【0085】
キャリッジ408は、ハンドル202のハウジング228に対して軸方向に移動可能である。例えば、キャリッジ408は、キャリッジ408がハウジング228に対して軸方向に移動し得るように、ハウジング228に対して摺動可能に結合されることが可能である。幾つかの実施形態では、キャリッジ408は、キャリッジ408とハウジング228との間における軸方向相対移動を助長するように構成されたトラック416を介してハウジング228に対して結合され得る。幾つかの例では、摩擦軽減要素(例えば軸受、車輪、ローラ、潤滑剤、滑性材料等)がキャリッジ408、トラック416、及び/又はハウジング228の間に配設されることにより、キャリッジ408がトラック416及び/又はハウジング228に対してさらに容易に移動するのを補助することが可能である。
【0086】
動作時に、第1の作動シャフト210a及び第2の作動シャフト210bの近位端部分同士は、第1の連結部材412及び第1の動的プーリ402により互いに対して軸方向に自由に移動することができる。そのため、第1の作動シャフト210aと第2の作動シャフト210bとの間における力(例えば張力)の差異は、第1の作動シャフト210a及び第2の作動シャフト210bの近位端部分同士が互いに対して軸方向に移動することにより平衡化されることになる。また、第3の作動シャフト210cの近位端部分は、第2の連結部材414、第2の動的プーリ404、静的プーリ406、及びキャリッジ408により、第1の作動シャフト210a及び/又は第2の作動シャフト210bの近位端部分に対して軸方向に自由に移動することが可能である。そのため、第3の作動シャフト210cと第1の作動シャフト210a及び/又は第2の作動シャフト210bとの間の力の差異は、作動シャフト210の近位端部分同士が互いに対して軸方向に移動することにより平衡化されることになる。
【0087】
また、作動機構220が作動されて人工弁100を拡張させ、張力が第2の連結部材414において上昇すると、力制御機構400は、作動シャフト210の近位端部分同士が互いに対して軸方向に移動するのを可能にすることによって、第2の連結部材414に作用する張力を作動シャフト210同士の間に均一に分散させる。例えば、
図20に示すように、各作動シャフト210の近位端部分は、ハンドル202に対してそれぞれ異なる軸方向位置に位置する。
【0088】
作動シャフト間での均一な力分散により、人工弁の不均一な拡張及び/又は作動シャフトに対する損傷(例えば作動シャフト210の遠位端部分に位置するネジ部242に対する損傷)を結果としてもたらし得る過剰な荷重を、いずれの作動シャフトも被らないように確保するのに有効となり得る。その結果、例えば力制御機構は、送達装置の機能性、安全性、及び/又は信頼性を改善することができる。
【0089】
図21は、別の実施形態による送達装置500の一部分を示す。送達装置500は、ハンドル502及び複数の作動シャフト504a~504d(集合的又は総体的には「作動シャフト504」)を備える。また、送達装置500は、力制御機構506及び作動機構508を備える。作動シャフト504は、力制御機構506及び作動機構508を介してハンドル502に対して結合される。力制御機構506及び作動機構508は、力制御機構400及び作動機構220のそれぞれとほぼ同様に構成されるが、例外として、力制御機構506は、3つの作動シャフトではなく4つの作動シャフトの力を平衡化するように構成される。
【0090】
図示する実施形態では、送達装置500の力制御機構506は、第1の動的プーリ510、第2の動的プーリ512、第3の動的プーリ514、第4の動的プーリ516、静的プーリ518、第1のキャリッジ520、第2のキャリッジ522、第1の連結部材524、第2の連結部材526、第3の連結部材528、ベース部材530、及びアンカー532を備える。第1の動的プーリ510及び第2の動的プーリ512は、第1のキャリッジ520に対して回転可能に取り付けられ、第1のキャリッジ520は、ハンドル502に対して移動可能に結合される。第3の動的プーリ514及び第4の動的プーリ516は、第2のキャリッジ522に対して回転可能に取り付けられ、第2のキャリッジ522もまた、ハンドル502に対して移動可能に結合される。静的プーリ518は、ベース部材530に対して回転可能に取り付けられ、ベース部材530は、ハンドル502に対して固定的に結合される。第1の連結部材524は、第1の動的プーリ510の周囲に延在し、第1の端部分が第1の作動シャフト504aの近位端部分に対して結合され、第2の端部分が第2の作動シャフト504bの近位端部分に対して結合される。第2の連結部材526は、第3の動的プーリ514の周囲に延在し、第1の端部分が第3の作動シャフト504cの近位端部分に対して結合され、第2の端部分が第4の作動シャフト504dの近位端部分に対して結合される。第3の連結部材528は、作動機構508から第2の動的プーリ512を回り、静的プーリ518を回り、第4の動的プーリ516を回りアンカー532まで延在する。アンカー532は、ハンドル502に対して固定的に結合される。
【0091】
第1の連結部材524及び第1の動的プーリ510により、第1の作動シャフト504a及び第2の作動シャフト504bの近位端部分同士が互いに対して軸方向に移動することが可能となる。これにより、第1の作動シャフト504aと第2の作動シャフト504bとの間において力が均一に分散される。第2の連結部材526及び第3の動的プーリ514により、第3の作動シャフト504c及び第4の作動シャフト504dの近位端部分同士が互いに対して軸方向に移動することが可能となる。これにより、第3の作動シャフト504cと第4の作動シャフト504dとの間において力が均一に分散される。第3の連結部材528、第2の動的プーリ512及び第4の動的プーリ516、静的プーリ518、ならびにアンカー532により、第1のキャリッジ520及び第2のキャリッジ522が互いに対して軸方向に移動することが可能となり、さらにこれにより、第1の作動シャフト504a及び第2の作動シャフト504bの近位端部分は、第3の作動シャフト504c及び第4の作動シャフト504dの近位端部分に対して軸方向に移動することが可能となる。これにより、すべての作動シャフト504の間において力が均一に分散される。
【0092】
他の実施形態では、力制御機構506は、連結部材を有さないことが可能であり、これらの作動シャフトは、共に直接的に結合されることが可能である、及び/又は送達装置500の他の構成要素に対して直接的に結合されることが可能である。
【0093】
図22は、別の実施形態による送達装置600の一部分を示す。送達装置600は、ハンドル602及び複数の作動シャフト604a~604e(集合的又は総体的には「作動シャフト604」)を備える。また、送達装置600は、力制御機構606及び作動機構608を備え、作動シャフト604は、力制御機構606及び作動機構608を介してハンドル602に対して結合される。力制御機構606及び作動機構608は、力制御機構400及び作動機構220のそれぞれとほぼ同様に構成されるが、例外として、力制御機構606は、3つの作動シャフトではなく5つの作動シャフトの力を平衡化するように構成される。
【0094】
力制御機構606は、複数の動的プーリ610(例えば図示する実施形態では4つ(610a~610d))、複数の静的プーリ612(例えば図示する実施形態では2つ(612a~612b))、複数のキャリッジ614(例えば図示する実施形態では2つ(614a~614b))、及び複数の連結部材616(例えば図示する実施形態では3つ(616a~616c))を備える。
【0095】
力制御機構606のこれらの構成要素が協働することにより、力制御機構400及び506に関連して上述したものと同様の様式で、作動シャフト604の近位端部分同士が互いに対して軸方向に移動することが可能となる。その結果、力が作動シャフト604同士の間で均一に分散される。
【0096】
力制御機構400、506、及び606は、それぞれ3つ、4つ、又は5つの作動シャフトを有する送達装置向けに構成される。他の実施形態では、力制御機構は、2つ以下(例えば2つ)又は6つ以上(例えば6~15個)の作動シャフトを有する送達装置と共に使用するために構成され得る。
【0097】
図23は、変位制御機構700を示す。図示するように、幾つかの例では、変位制御機構700は送達装置200と共に使用され得る。特に、変位制御機構700は、すべての作動シャフト210が軸方向へと同時に移動されるのを可能にする(例えば人工弁を拡張するために)。また、変位制御機構700により、すべての作動シャフトを同時に解除することも可能となる(例えば送達装置から人工弁を結合解除するときに)。さらに、変位制御機構700により、作動シャフトがそれぞれ異なる経路長をたどる場合に(例えばこれらの作動シャフトが湾曲部において屈曲する場合)、送達装置の作動シャフトの近位端部分同士が互いに対して軸方向に移動することが可能となる。
【0098】
図示する実施形態では、変位制御機構700は、3つの主要な構成要素、すなわち結合部材702、作動部材704、及び歯車アセンブリ706を備える。変位制御機構700の結合部材702は、送達装置200のシャフト206の遠位端部分の付近に配設され、送達装置200の作動シャフト210に対して結合される。シャフト206は、図示上の理由により透明なものとして示される点に留意されたい。変位制御機構700の作動部材704は、シャフト206を貫通して延在し、作動部材704の遠位端部にて変位制御機構700の結合部材702に対して結合され、作動部材704の近位端部にて送達装置200の作動機構220に対して結合される。変位制御機構700の歯車アセンブリ706は、送達装置200のハンドル202内に配設され、作動シャフト210の近位端部分に対して及び送達装置200の解除機構222に対して結合される。このようにすることで、シャフト206に対する作動部材704の軸方向移動によって、結合部材702及び作動シャフト210は軸方向に移動され(例えば人工弁を拡張するために)、シャフト206に対する歯車アセンブリ706の回転運動によって、作動シャフト210が回転される(例えば送達装置200から人工弁を解除するために)。変位制御機構700及びその構成要素に関するさらなる詳細は、以降において提示される。
【0099】
図24を参照すると、変位制御機構700の結合部材702は、円筒形状体又はディスク形状体を備える。他の実施形態では、結合部材は、様々な他の形状体(例えば立方体、角柱体等)を備え得る。
【0100】
結合部材702には、複数の開口部708が軸方向へと貫通して延在する。
図26に示すように、結合部材702の開口部708は、作動シャフト210が結合部材702を貫通して延在し、この結合部材702に対して自由に回転し得るように構成される。
【0101】
図26を参照すると、結合部材702と作動シャフト210との間の軸方向相対移動を制限するために、複数のストッパ部材170が設けられる。これらのストッパ部材710は、結合部材702の近位方向を向く表面及び遠位方向を向く表面に隣接した位置において作動シャフト210に対して固定的に結合される(例えば留め具、接着剤、溶接、摩擦係合等により)。ストッパ部材710は、結合部材702の開口部708よりも径方向に大きい。結果として、ストッパ部材710は、結合部材702の近位方向を向く表面及び遠位方向を向く表面に当接し、従って作動シャフト210と結合部材702との間の軸方向相対移動を制限する。
【0102】
図25~
図26に示すように、作動部材704の遠位端部分は、結合部材702に対して結合される。従って、作動部材704の軸方向移動により、結合部材702及び従って作動シャフト210の軸方向移動が結果として得られる。例えば、
図25は、図示上の理由により透明なものとして図示された送達装置200の遠位マニホルド248に結合部材702が当接する近位位置における、作動部材704、結合部材702、及び作動シャフト210を示す。送達装置200のマニホルド248は、シャフト206の遠位端部分に対して結合され、シャフト206に対して支持スリーブ208を結合するために使用される。また、マニホルド248は、結合部材702のための遠位ストッパとして機能する。
【0103】
作動部材704は、結び留め、留め具、接着剤、埋設等を含む様々な方法で結合部材702に対して結合されることが可能である。図示しないが、幾つかの実施形態では、結合部材702は、結合部材702に対する作動部材704の装着を助長するように構成された装着要素(例えばボア、開口部、目穴等)を備えることが可能である。
【0104】
図23において概略的に示されるように、作動部材704の近位端部分は、ハンドル202の作動機構220に対して結合される。幾つかの実施形態では、作動機構220は、作動部材704を引き寄せる及び放出するように構成されたスプール又は他の装置を備えることが可能であり、これは、作動部材704の張力を上昇及び低下させるために使用され得る。作動機構220は、作動部材704に作用する張力を上昇させ、従って作動部材704、結合部材702、及び作動シャフト210を支持スリーブ208に対して近位方向に移動させる第1の動作モードを有し得る。そのため、第1の動作モードは、例えば作動シャフト210の遠位端部分に対して結合された人工弁(例えば人工弁100)を径方向に拡張するためなどに利用され得る。作動機構220は、作動部材704に作用する張力を低下させ、作動部材704、結合部材702、及び作動シャフト210を遠位方向に移動させる(又はこれらの遠位方向への移動を可能にする)、第2の動作モードを有し得る。従って、第2の動作モードは、例えば作動シャフト210の遠位端部分に対して結合された人工弁(例えば人工弁100)を径方向に圧縮するためなどに利用され得る。このようにすることで、有利には、変位制御機構700により、すべての作動シャフト210の同時的な軸方向移動が可能となり、さらにこれにより人工弁100のアクチュエータ106の同時的な作動が可能となる。これは、例えば人工弁の均一な拡張を改善することができる。
【0105】
図27~
図31は、変位制御機構700の歯車アセンブリ706及びその構成要素を示す。最初に
図30及び
図31を参照すると、歯車アセンブリ706は、複数の内側歯車712と、内側歯車712を囲む外側歯車714とを備える。内側歯車712は、作動シャフト210の近位端部分に対して結合される。内側歯車712及び作動シャフト210の近位端部分は、外側歯車714に対して軸方向に移動し得る。外側歯車714は、外側歯車714がその中心長手方向軸を中心として回転することにより、結果として内側歯車712がそれらのそれぞれの長手方向軸を中心として回転されるように、各内側歯車712に係合する。このようにすることで、歯車アセンブリ706は、例えば送達装置200に対して人工弁を結合する及び/又は送達装置200から人工弁を解除する場合などに、シャフト206に対して各作動シャフト210を同時に回転させるために使用され得る。
【0106】
図27~
図28を参照すると、各内側歯車712は、装着部分716及び複数の歯718を備える。装着部分716は、対応する作動シャフト210に対して内側歯車712を結合するように構成され得る(
図23)。例えば、図示する実施形態では、内側歯車712の装着部分716は、作動シャフト210の近位端部分を受けるように構成された軸方向開口部720(又はボア)を備える。また、装着部分716は、軸方向開口部720と交差する径方向開口部721を備える。固定要素722(例えば止ネジ)が、径方向開口部721内に配設され、装着部分716に対して調節可能に(螺動可能に)結合され得る。従って、固定要素722は、軸方向開口部720内に延在し、作動シャフト210と接触して、内側歯車712と作動シャフト210との間の相対移動(例えば軸方向移動及び回転運動)を制限し得る。従って、内側歯車712の軸方向移動により、作動シャフト210の軸方向移動が結果として生じ、内側歯車712の回転運動により、作動シャフト210の回転運動が結果として生じる。
【0107】
軸方向開口部720、径方向開口部721、及び/又は固定要素722の代わりとして又はそれらの追加として、内側歯車712は、様々な他の方法で作動シャフトに対して固定されることが可能である。例えば、内側歯車712は、接着剤、溶接、及び/又は他の結合手段を介して作動シャフト210に対して固定され得る。追加的には又は代替的には、幾つかの実施形態では、各作動シャフト210が「平坦部」を備え得る(すなわち作動シャフトの長手方向軸に対して垂直な面内に「D字形状」断面プロファイルを有するセグメント)。作動シャフトのこの平坦部は、固定要素722が作動シャフトの平坦部に係合し(作動シャフトの円形部分にではなく)、それにより作動シャフトと内側歯車との間の回転方向相対移動に対する制限が強化されるように、内側歯車712の径方向開口部721と軸方向に整列され得る。追加的には又は代替的には、作動シャフト及び内側歯車712の軸方向開口部720は、対応し合う非円形断面形状を備えることが可能であり(例えばD字形状、正方形状、三角形状、星形状/歯車形状など)、これらの形状は、共に対合し得ることにより、作動シャフトと内側歯車との間の回転方向相対移動を制限することができる。
【0108】
内側歯車712の歯718は、装着部分716から径方向外方に延在する。
図30に示すように、内側歯車712の歯718は、外側歯車714の対応する径方向内方に向いた歯724と噛合する。変位制御機構700の内側歯車712及び送達装置200の作動シャフト210は、内側歯車712及び作動シャフト210が、それらのそれぞれの中心軸を中心として回転し得るが外側歯車714に対しては周方向に移動することができない(軌道を描いて移動できない)ように、送達装置200のハンドル202内に取り付けられ得る。そのため、送達装置200のハンドル202に対して外側歯車714がその中心軸を中心として回転することにより、ハンドル202(及びシャフト206)に対する内側歯車712及び作動シャフト210のそれらのそれぞれの中心軸を中心とした回転が結果としてもたらされる。
【0109】
内側歯車712が外側歯車714の直径よりも小さい直径を有することにより、外側歯車714がその中心軸を中心として1回転することによって、内側歯車712はそれらのそれぞれの中心軸を中心として1回転超だけ回転する結果となる。内側歯車712及び外側歯車714の相対直径を変更することによって、内側歯車712と外側歯車714との様々な歯車比を選択することができる。
【0110】
また、内側歯車712及び作動シャフト210は、内側歯車712及び作動シャフト210の近位端部分が外側歯車714に対して及び互いに対して軸方向に移動し得るように、送達装置200のハンドル202内に取り付けられ得る。有利には、これにより、作動シャフト210はシャフト206中の湾曲(例えば大動脈弓を回ることにより湾曲する場合など)によって様々な経路長へと調節されることが可能となり得る。例えば、
図31は、それぞれが異なる軸方向位置に位置する2つの作動シャフト210及び内側歯車712を示す。シャフト206が湾曲されると(例えば
図23を参照)、この湾曲の外方部分に位置決めされた第1の作動シャフトは、この湾曲の内方部分に位置決めされた第2の作動シャフトよりも長い経路長をたどる。従って、
図31に示すように、第1の作動シャフトの近位端部分は、外側歯車(ならびに、作動シャフトがいずれも同一長さであると仮定する場合には他の作動シャフト及び内側歯車)に対して遠位方向に移動することが可能となり、及び/又は第2の作動シャフトの近位端部分は、外側歯車(ならびに他の作動シャフト及び内側歯車)に対して近位方向に移動することが可能となる。シャフト206が直線状であるときには、作動シャフトの近位端部分同士は、外側歯車714に対して軸方向に移動し、互いに対して軸方向に整列されることが可能となる。
【0111】
作動シャフト210の近位端部分及び内側歯車712の軸方向移動に対応するために、外側歯車714は、内側歯車712の歯718の軸方向長さL2よりも大きい軸方向長さL1を有し得る。これにより、内側歯車712の歯718は、構成要素が外側歯車714の歯724との間で相互に軸方向に移動した場合でも係合状態にとどまる。外側歯車714の長さL1は、作動シャフトの長さの最大変化に対応するように設定され得る。換言すれば、内側歯車712の長さL2に対する外側歯車714の長さL1は、シャフト206の湾曲度及び/又は湾曲部に対する作動シャフト210の円周位置に基づき変化し得る(例えばシャフト206がトルク印加された場合の)内側歯車712の軸方向位置にかかわらず、内側歯車712の歯718が外側歯車714の歯724と係合状態にとどまるように設定される。例えば、幾つかの実施形態では、長さL1及びL2の比は、1.5~10の間であることが可能である。特定の実施形態では、長さL1及びL2の比は、2~6の間であることが可能である。幾つかの実施形態では、長さL1及びL2の比は、3~5の間であることが可能である。さらに他の実施形態では、長さL1及びL2の比は、4~4.5の間であることが可能である。
【0112】
変位制御機構700を備える送達装置200は、人工弁を植え込むために使用され得る。例えば、
図1に示すように、送達装置200の作動シャフト210が人工弁100のそれぞれのラック部材120に対して解除可能に(例えば螺動可能に)結合されるように、及び送達装置200の支持スリーブ208がアクチュエータ106のそれぞれのハウジング部材122に当接するように、人工弁100が送達装置200に対して結合され得る。
図16~
図19に関連して上述した様式と同様に、人工弁100及び送達装置200は、患者の体内に挿入され、送達装置200は、患者の体内で人工弁100を展開し植え込むために使用され得る。具体的には、人工弁100及び送達装置200が患者の脈管を通り前進される場合に、シャフト206は、患者の脈管を通り植込み位置まで湾曲し得る。シャフト206が湾曲する場合に、変位制御機構700により、作動シャフト210の近位端部分(及び内側歯車712)は、互いに対して及び外側歯車714に対して軸方向へと移動することが可能であることにより、作動シャフト210同士のそれぞれ異なる経路長に対応する。かかる移動の最中に、内側歯車712は外側歯車714と係合状態にとどまる。
【0113】
人工弁100は、ハンドル202の作動機構220を作動させ、それにより作動部材704、結合部材702、作動シャフト210、及びラック部材120を、シャフト206、支持スリーブ208、及びハウジング部材122に対して軸方向において近位方向に移動することによって拡張され得る。作動部材704及び作動シャフト210が近位方向へ移動する場合に、内側歯車712は外側歯車714と係合状態にとどまる。
【0114】
所望に応じて、人工弁100は、再位置決め及び/又は回収のために再圧縮されることが可能である。
【0115】
人工弁100が患者の体内で所望に応じて位置決めされ固定されると、人工弁100は、送達装置200から解除され得る。これは、例えば送達装置200の解除機構222を作動させることにより変位制御機構700の歯車アセンブリ706を作動させることなどによって実現され得る。歯車アセンブリ706が作動されると、外側歯車714は、その中心軸を中心としてハンドル202に対して回転し、これにより内側歯車712はそれぞれの中心軸に対して回転される。また、結果として作動シャフト210は、人工弁100のラック部材120に対して回転され、これによりラック部材120のネジ山から作動シャフト210のネジ部242が引き戻され、それにより送達装置200から人工弁100が解除される。
【0116】
従って、このように変位制御機構700を構成することにより、ユーザは単一の作動部材(例えば作動部材704)を介して軸方向に複数の作動シャフト(例えば作動シャフト210)を同時に動かすことが可能となる。さらに、作動シャフト210の近位端部分同士が互いに対して軸方向に移動することが可能となることにより、作動部材704が軸方向に移動された場合に、すべての作動シャフトの遠位端部分が一定の(又はほぼ一定の)距離を移動することがこの変位制御機構700によって確保される。これは、例えば送達装置が湾曲構成にある場合であっても、人工弁が均等に径方向に拡張されるのを確実にするのに有効となり得る。また、変位制御機構700は、単一の作動部材を有することにより作動機構を単純化し得る。さらに、本開示の変位制御機構700により、これらの作動シャフト210は、歯車アセンブリ706を介して同時に回転されることが可能となる。これにより、例えば人工弁が送達装置から迅速かつ容易に解除されることが可能となり得る。
【0117】
図32~
図34は、別の実施形態による変位制御機構800を示す。
図33を参照すると、変位制御機構800(
図32)は、結合部材802、作動部材804、及び歯車アセンブリ806を備える。一般的には、変位制御機構800は、変位制御機構700と同様に構成され動作する。変位制御機構800と変位制御機構700との1つの相違点は、変位制御機構800の歯車アセンブリ806が、変位制御機構700の歯車アセンブリ706のようにハンドル202内に配設される(
図23を参照)のではなく、送達装置200の遠位端部分に配設される(
図32を参照)点である。シャフト206は、図示上の理由により
図34からは省かれる点に留意されたい。
【0118】
変位制御機構800は、様々な送達装置と共に使用することが可能である。例えば、図示する実施形態では、変位制御機構800は送達装置200と共に示される。
図32を参照すると、変位制御機構800の結合部材802は、送達装置200のシャフト206の遠位端部分内に配設される。図示上の理由により、シャフト206及びマニホルド248は透明なものとして示される。変位制御機構800の結合部材802は、送達装置200の作動シャフト210に対して結合される。変位制御機構800の作動部材804は、送達装置200のハンドル202から延在し、シャフト206を貫通して延在し、遠位端部分にて結合部材802に対して結合される。作動部材804の近位端部分は、送達装置200の作動機構220及び解除機構222に対して結合され、これらの作動機構220及び解除機構222は、ハンドル202に対して結合される及び/又はハンドル202内に配設される。変位制御機構800の歯車アセンブリ806は、シャフト206の遠位端部分内に配設される。他の実施形態では、歯車アセンブリ806は、シャフト206内ではなくシャフト206の遠位端部分に隣接して配設され得る。
【0119】
使用時に、シャフト206に対する作動部材804の軸方向移動により、結合部材802及び作動シャフト210は軸方向に移動され(例えば人工弁を拡張するために)、シャフト206に対する作動部材804の回転運動により、歯車アセンブリ806及び作動シャフト210は回転される(例えば送達装置200から人工弁を解除するために)。変位制御機構800及びその構成要素に関するさらなる詳細は、以降において提示される。
【0120】
結合部材802は、軸方向へと貫通して延在する複数の開口部(図示せず)を備え得る(例えば結合部材702の開口部708と同様)。
図33を参照すると、結合部材802の開口部は、作動シャフト210が結合部材802を貫通して延在し、結合部材802に対して自由に回転することが可能となるように構成される。
【0121】
作動シャフト210の遠位端部分は、結合部材802に対して軸方向に移動することが不可能となるように結合部材802に対して結合される。これは、歯車アセンブリ806の周辺歯車808を結合部材802の近位側(図示するように)又は遠位側のいずれかにおいて作動シャフト210に対して固定的に結合することによって実現され得る。周辺歯車808は、結合部材802の開口部よりも径方向に大きい。そのため、歯車アセンブリ806の周辺歯車808は、作動シャフト210と結合部材802との間の第1の方向における(例えば図示する構成では遠位方向)軸方向相対移動を制限する。逆の第2の方向(例えば近位方向)への軸方向相対移動を制限するために、支持部材(図示しないが、
図25~
図26のストッパ部材710を参照)は、結合部材802の周辺歯車808とは逆の側において作動シャフト210に対して結合され得る。従って、作動シャフト210は、結合部材802、作動部材804、歯車アセンブリ806、及びストッパ部材と共に軸方向に移動する。
【0122】
図示する実施形態では、作動シャフト210は、支持スリーブ208の遠位側の位置から支持スリーブ208を貫通し、結合部材802を貫通し、周辺歯車808を貫通し、シャフト206を貫通し、ハンドル202まで延在する。かかる実施形態では、作動シャフト210の近位端部分同士は、互いに対して及びハンドル202に対して軸方向に移動し得る。これにより、作動シャフト210は、互いに対して軸方向に移動することが可能となり、それにより各作動シャフトの様々な経路長に対応する(例えば作動シャフトが湾曲部を回り屈曲する場合になど)。また、単一の構成要素(すなわち作動部材804)を移動させることにより、結果として、各作動シャフト210の近位端部分同士の位置がそれぞれ異なる場合でもすべての作動シャフトが一定の(又は少なくとも実質的に一定の)距離にわたり同時に移動する(結合部材802を介して)。その結果、変位制御機構800は、送達装置が湾曲構成におかれた場合でも人工弁の均一な径方向拡張を確保するのに有効となり得る。
【0123】
他の実施形態では、作動シャフト210は比較的短いことが可能である。かかる実施形態では、作動シャフト210の遠位端部分は、支持スリーブ208の遠位端部を越えて延在し、作動シャフト210の近位端部分は、変位制御機構800の周辺歯車808に対して結合されることが可能である。作動シャフトの長さが比較的短いことにより、作動シャフトは、人工弁の拡張の最中に患者の解剖学的構造体中の湾曲部に沿って位置決めされる可能性がより低下する。これは、作動シャフト同士が互いに対して軸方向に移動することを可能にしつつ、人工弁を均一に拡張させることを依然として実現する必要性を低下させる。
【0124】
作動部材804は、歯車アセンブリ806の中央歯車810に対して固定的に結合される。従って、作動部材804及び中央歯車810は、共に軸方向へ移動し回転する。中央歯車810は、結合部材802に対して回転し得るように、及び結合部材802に対して軸方向へ移動することが制限されるように、結合部材802に対して結合される。例えば、幾つかの実施形態では、中央歯車810は、軸受を介して結合部材802に対して取り付けられ得る。
【0125】
作動シャフト210及び作動部材804は、様々な様式で周辺歯車808及び中央歯車810に対してそれぞれ結合され得る。例えば、この結合様式としては、留め具812、接着剤、溶接、及び/又は他の結合手段が含まれる。幾つかの実施形態では、作動シャフト210、作動部材804、及び/又は歯車808、810は、これらの結合を助長するための及び/又は回転方向相対移動を防止するための非円形対合特徴部(例えば作動シャフト210及び/又は作動部材804上の平坦部)を備えることが可能である。
【0126】
図示する実施形態では、歯車アセンブリ806は、結合部材802の近位側に配設される。他の実施形態では、歯車アセンブリ806は、結合部材802の遠位側に配設され得る。かかる実施形態では、結合部材802は、作動部材804が貫通して延在し内部で回転することが可能となるように構成された中央開口部を備えることが可能である。中央歯車810は、作動部材804が結合部材802に対して近位方向に移動するのを防ぐことが可能であり、ストッパ部材は、作動部材804が結合部材802に対して遠位方向に移動するのを防ぐために、結合部材802の近位側に配設され得る。
【0127】
歯車アセンブリ806の周辺歯車808は、歯車アセンブリ806の中央歯車810の歯と噛合する歯を備える。周辺歯車808は、中央歯車810の中心軸を中心とした回転(すなわち軌道を描く移動)を制限される点に留意されたい。従って、中央歯車810がその軸を中心として回転することにより、結果として周辺歯車808がそれぞれの軸を中心として回転される。中央歯車810がその軸を中心として第1の方向(例えば時計回り方向)に回転することにより、周辺歯車808は、結果としてそれぞれの軸を中心として第2の方向(例えば反時計回り方向)に回転される、及びその逆となる。
【0128】
人工弁(例えば人工弁100)が、
図13に示すものと同様の様式で、変位制御機構800を有する送達装置200に対して結合され得る。人工弁100は、圧縮され、シャフト206内に装填され得る(
図14~
図15を参照)。人工弁100は、患者の脈管に挿入され、植込み位置まで又はその付近まで前進され、シャフト206から展開され得る(
図16~
図17を参照)。人工弁100は、変位制御機構800の作動部材804をシャフト206に対して近位方向に移動することにより、結合部材802及び作動シャフト210がシャフト206に対して移動され、アクチュエータ106のラック部材120がアクチュエータのハウジング部材122に対して移動されて、人工弁100のフレーム102が拡張されることによって、拡張され得る。作動部材804は、作動機構220を作動させることにより、及び/又はハンドル202に対して作動部材804を近位方向に手動で移動することにより、近位方向に移動され得る。人工弁100が植込み位置にて(例えば天然弁輪内)拡張され固定されると、人工弁100は、変位制御機構800の作動部材804をその軸を中心としてシャフト206に対して回転させ、それにより中央歯車810がその軸を中心として回転され、さらに周辺歯車808及び作動シャフト210がそれらの軸を中心として回転されることによって、送達装置200から解除され得る。これにより、アクチュエータ106のラック部材120から作動シャフト210が結合解除される。作動部材804は、解除機構222を作動させることにより及び/又はハンドル202に対して作動部材804を手動で回転させることにより、回転され得る。
【0129】
図35~
図40は、別の実施形態による変位制御機構900及びその構成要素を示す。変位制御機構700(及び800ならびに力制御機構400、506、606)と同様に、変位制御機構900は、送達装置の作動シャフトの近位端部分同士が互いに対して軸方向へ移動することを可能にする。従って、変位制御機構900は、これらの作動シャフトが人工弁のアクチュエータを一定の距離にわたり移動させ、人工弁を均一に拡張させることを確保するのに有効である。変位制御機構900により、これらの作動シャフトは軸方向へと同時に移動されることが可能となり、これもまた、人工弁の均一な拡張を確保するために有効となり得る。さらに、変位制御機構900により、これらの作動シャフトが同時に回転され、従って人工弁のアクチュエータから解除されることが可能となる。
【0130】
図35に示すように、変位制御機構900は、例えば送達装置200のハンドル202などの送達装置のハンドルに対して結合され得る、及び/又はこのハンドル内に配設され得る。変位制御機構900は、第1の歯車アセンブリ902及び第2の歯車アセンブリ904を備える。第1の歯車アセンブリ902は、作動シャフト210に対して移動可能に結合され、第1の歯車アセンブリ902の回転運動を作動シャフト210の軸方向移動へと変換するように構成される(例えば人工弁を拡張するために)。そのため、第1の歯車アセンブリ902は「拡張歯車アセンブリ」とも呼ばれ得る。第2の歯車アセンブリ904は、作動シャフト210に対して固定的に結合され、第2の歯車アセンブリ904の回転により結果として作動シャフト210が回転されるように構成される(例えば送達装置から人工弁を解除するために)。従って、第2の歯車アセンブリ904は「解除歯車アセンブリ」とも呼ばれ得る。
【0131】
図36を参照すると、変位制御機構900の第1の歯車アセンブリ902は、第1の外側歯車906と、第1の外側歯車906内に配設されこれに係合された複数の第1の内側歯車908とを備える。
図35において概略的に示すように、第1の外側歯車906は、送達装置200の作動機構220に対して結合される。例えば、幾つかの実施形態では、第1の外側歯車906は、第1の外側歯車906をその軸を中心として及びハンドル202に対して回転させるように構成された作動機構220の電気モータに対して結合され得る。他の実施形態では、第1の外側歯車906は、作動機構220の作動ノブに対して結合される、又は作動ノブを形成することが可能であり、この作動ノブは、ハンドル202に対して手動で回転され得る。
【0132】
さらに
図36を参照すると、第1の外側歯車906は、第1の内側歯車908の軸方向長さよりも長い軸方向長さを有する。これにより、第1の内側歯車908は、作動シャフト210の近位端部分が第1の外側歯車906に対して軸方向に移動される場合に(例えば送達装置が湾曲され、作動シャフト同士がそれぞれ異なる経路長をたどる場合に)、第1の外側歯車906と係合状態にとどまることが可能となる。
【0133】
第1の内側歯車908は、第1の内側歯車908と作動シャフト210との間の回転方向相対移動により結果として第1の内側歯車908と作動シャフト210との間の軸方向相対移動がもたらされるように、それぞれの作動シャフト210に対して結合され得る。例えば、
図39に示すように、第1の歯車アセンブリ902は、それぞれの第1の内側歯車908に対して固定的に結合されたインサート910を備える。これらのインサート910は、作動シャフト210の近位端部分上の対応するネジ部に係合するように構成されたネジ部付きボア912を備える。
【0134】
第1の内側歯車908及びインサート910は、これらの間の回転方向相対移動及び/又は軸方向相対移動を制限するように設定された様式で共に結合され得る。例えば、第1の内側歯車908及びインサート910は、接着剤、溶接、対合特徴部、及び/又は他の結合手段を用いて共に結合され得る。例えば、
図37~
図39に示すように、第1の内側歯車908及びインサート910は、これらの間の回転方向相対移動を制限するように構成された対合特徴部を備える。具体的には、第1の内側歯車908のそれぞれが、インサート910の非円形(例えば正方形)外方表面に対応する非円形(例えば正方形)開口部914を備える。さらに、第1の内側歯車908のそれぞれが、インサート910の対応するタブ917を受けるように構成されたスロット915を備える。これらの非円形形状部、及び/又はスロット及びタブは、第1の内側歯車908とそれらのそれぞれのインサート910との間の回転方向相対移動及び/又は軸方向相対移動を制限する。他の例では、様々な他の非円形形状部(例えば多角形、楕円形等)及び/又は他のタイプの対合特徴部(例えば「スロット及びキー」連結部)が、第1の内側歯車908とそれらのそれぞれのインサート910との間の回転方向相対移動及び/又は軸方向相対移動を制限するために使用され得る。
【0135】
図35~
図36を参照すると、第1の外側歯車906をその中心軸を中心としてハンドル202に対して回転させることにより、結果として第1の内側歯車908及びインサート910がそれらのそれぞれの軸を中心として回転される。作動シャフト210は、第2の歯車アセンブリ904により回転移動が制限されることによりインサート910と共に回転しない。従って、作動シャフト210は、歯車906、908及びインサート910が作動シャフト210とインサート910との間の螺合連結により回転する場合に、インサート910に対して軸方向に移動する。作動シャフト210の遠位端部分が人工弁のアクチュエータに対して結合されると、作動シャフト210の軸方向移動により結果として人工弁の拡張/収縮がもたらされる。
【0136】
作動シャフト210の近位端部分とインサート910のネジ部付きボア912とのネジ部は、歯車906、908が所望の回転方向(例えば時計回り方向/反時計回り方向)に回転することにより、結果として作動シャフト210が所望の軸方向(例えば近位方向/遠位方向)に移動されるように構成され得る。例えば、幾つかの実施形態では、作動シャフト210の近位端部分とインサート910のネジ部付きボア912とのネジ部は、右ネジであることが可能である。かかる実施形態では、歯車906、908を時計回り方向に回転させることにより、作動シャフトが近位方向に移動され(例えば人工弁を径方向に拡張させるために)、歯車906、908を反時計回り方向に回転させることにより、作動シャフトが遠位方向に移動される(例えば人工弁を径方向に収縮させるために)。他の実施形態では、作動シャフト210の近位端部分とインサート910のネジ部付きボア912とのネジ部が、左ネジであることが可能である。かような実施形態では、歯車906、908を反時計回り方向に回転させることにより、作動シャフトが近位方向に移動され(例えば人工弁を径方向に拡張させるために)、歯車906、908を時計回り方向に回転させることにより、作動シャフトが遠位方向に移動される(例えば人工弁を径方向に収縮させるために)。
【0137】
インサート910の代わりに、第1の内側歯車908は、作動シャフト210の近位端部分上の対応するネジ部に直接的に係合するように構成されたネジ部付きボアを備えることが可能である。さらに他の実施形態では、作動シャフト210の近位端部分が、固定的に結合された(例えば接着剤、溶接、留め具等を用いて)ネジ部付き部材(例えばスリーブ)を有することが可能である。これらのネジ部付き部材は、インサート910のそれぞれのネジ部付きボア912又は第1の内側歯車908のそれぞれのネジ部付きボアに螺合するように構成され得る。
【0138】
内側歯車908のそれぞれの回転により作動シャフトが移動する軸方向距離を変更するために、様々なネジピッチ又はネジ山数(「TPI(インチあたりのネジ山数)」)が作動シャフト210の近位端部分及びインサート910のネジ部付きボア912のネジ部について使用され得る。例えば、より低いネジピッチ/より高いネジ山数は、内側歯車908の回転あたりにおける作動シャフトの軸方向移動がより小さくなる。対照的に、より高いネジピッチ/より低いネジ山数は、内側歯車908の回転あたりにおける作動シャフトの軸方向移動がより大きくなる。
【0139】
また、歯車906、908の各回転により作動シャフト210が移動する軸方向距離を変更するために、歯車906、908の様々な直径及び/又は歯車比が使用され得る。
【0140】
図40に示すように、変位制御機構900の第2の歯車アセンブリ904は、第2の外側歯車916と、第2の外側歯車916内に配設されこれに係合された複数の第2の内側歯車918とを備える。一般的には、変位制御機構900の第2の歯車アセンブリ904は、作動シャフト210の近位端部分が、これらの作動シャフトが移動するそれぞれ異なる経路長(例えばシャフト206中の湾曲に起因する)に対応するように軸方向に移動することが可能となり、第2の外側歯車916が回転した時に作動シャフトを同時に回転させる(例えば送達装置から人工弁を解除するために)ことが可能となるように構成されるという点において、変位制御機構700の歯車アセンブリ706と同様に構成され機能し得る。
【0141】
図35に概略的に示されるように、第2の外側歯車916は、送達装置200の解除機構222の構成要素に対して結合され得る、及び/又はこの構成要素を形成し得る。例えば、幾つかの実施形態では、第2の外側歯車916は、第2の外側歯車916をハンドル202に対して回転させるように構成された解除機構222の電気モータに対して結合され得る。他の実施形態では、第2の外側歯車916は、ハンドル202に対して手動で回転され得る解除機構222の解除ノブに対して結合され得る、又はこの解除ノブを形成し得る。
【0142】
再び
図40を参照すると、第2の外側歯車916は、第2の内側歯車918の軸方向長さよりも長い軸方向長さを有し得る。これにより、第2の内側歯車918は、作動シャフト210の近位端部分が第2の外側歯車916に対して軸方向に移動する場合に(例えば作動シャフトが移動するそれぞれ異なる経路長に起因して)、第2の外側歯車916と係合状態にとどまる。
【0143】
第2の内側歯車918は、第2の内側歯車918及び作動シャフト210が軸方向及び回転方向の両方において共に移動するように、それぞれの作動シャフト210に対して固定的に結合され得る。第2の内側歯車918は、留め具(例えば止ネジ及び/又はキー連結)、溶接、接着剤、対応し合う非円形形状部、及び/又は他の結合手段を含む様々な方法で、作動シャフト210に対して固定的に結合され得る。
【0144】
第2の歯車アセンブリ904は、人工弁から作動シャフト210を解除する/人工弁に対して作動シャフト210を結合するために使用され得る。例えば、歯車916、918を第1の方向(例えば時計回り方向)へ回転させることにより、作動シャフト210が第1の方向に回転され、結果として作動シャフト210の遠位端部分上のネジ部242が、人工弁のラック部材のネジ部に係合し得る(例えば作動シャフトの遠位端部分とラック部材とのネジ部が右ネジである場合)。歯車916、918を第2の方向(例えば反時計回り方向)に回転させることにより、作動シャフト210が第2の方向に回転され、結果として作動シャフト210の遠位端部分上のネジ部242が、人工弁のラック部材のネジ部から係合解除され得る(例えば作動シャフトの遠位端部分とラック部材とのネジ部が右ネジである場合)。
【0145】
第1の歯車アセンブリ902の回転中に(例えば人工弁を拡張/収縮させるときに)、第2の歯車アセンブリ904は、第1の歯車アセンブリ902と共に回転することを防止され得る。これは、能動的に(例えばロック機構を用いて)又は受動的に(例えば第2の歯車アセンブリ904における十分な静摩擦により)のいずれかで実現されることが可能である。従って、第2の歯車アセンブリ904は、作動シャフト210が第1の内側歯車908及び第1の歯車アセンブリ902のインサート910と共に回転するのを防止するのに有効となり、これはさらに、作動シャフト210とインサート910との間の螺合連結に起因するインサート910に対する作動シャフト210の軸方向移動を助長し得る。また、作動シャフト210の近位端部分同士が、第1の歯車アセンブリ902の回転に起因して(例えば弁の拡張/収縮の最中に)共に、又は作動シャフト同士がそれぞれ異なる長さの経路に沿って移動することに応答して(例えば大動脈弓中に配設された場合に)個別にのいずれかで、軸方向に移動する場合に、第2の内側歯車918は、第2の外側歯車916に対して軸方向に移動することが可能である。
【0146】
図示する実施形態では、第1の歯車アセンブリ902は第2の歯車アセンブリ904の近位側に配設される。他の実施形態では、第1の歯車アセンブリ902は第2の歯車アセンブリ904の遠位側に配設され得る。
【0147】
図41~
図42は、例えば第1の外側歯車906及び第2の外側歯車916の代わりに変位制御機構900などと共に使用可能な摺動式外側歯車1000を示す。この摺動式外側歯車1000は、第1の位置と第2の位置との間で軸方向に移動(摺動)されることが可能である。第1の位置では(
図41)、摺動式外側歯車1000は、第1の内側歯車908に係合し、第2の内側歯車918から係合解除される。摺動式外側歯車1000が第1の位置にあるときにこれを回転させることにより(手動で及び/又は作動機構220を介して)、第1の内側歯車908が回転され、第1の内側歯車908に対して軸方向に作動シャフト210が移動される(例えば人工弁を拡張又は収縮するために)。従って、第1の位置は、「拡張位置」又は「拡張モード」とも呼ばれ得る。第2の位置では(
図42)、摺動式外側歯車1000は、第2の内側歯車918に係合し、第1の内側歯車908から係合解除される。摺動式外側歯車1000が第2の位置にあるときにこれを回転させることにより、第2の内側歯車918及びさらには作動シャフト210が回転される(例えば人工弁を解除/結合するために)。そのため、第2の位置は、「解除位置」又は「解除モード」とも呼ばれ得る。
【0148】
摺動式外側歯車1000は、複数の利点を提供し得る。例えば、摺動式外側歯車1000は、変位制御機構900の構成要素の個数を削減し得る。また、摺動式外側歯車1000は、ユーザが誤って送達装置から人工弁を解除してしまう可能性を低減させることにより安全性を強化し得る。例えば、幾つかの実施形態では、変位制御機構900は、付勢部材(例えばばね)、ロック要素(例えばスイッチ及び/又は溝)、及び/又は、摺動式外側歯車1000を初期設定で拡張位置(
図41)に位置決め及び/又は保持するように構成された他の特徴部を備えることが可能である。人工弁を解除するためには、ユーザは、付勢、ロック等を克服することにより摺動式外側歯車1000を解除位置(
図42)へと意図的に移動させなければならず、これにより人工弁が誤って解除される可能性が低減される。
【0149】
図43~
図47は、さらに別の実施形態による変位制御機構1100を示す。
図43に示すように、変位制御機構1100は、例えば送達装置200などと共に使用することが可能である。変位制御機構1100は、送達装置200の作動シャフト210の近位端部分に対して結合され、送達装置200のハンドル202内に配設され得る。ある動作モードにおいて、変位制御機構1100は、作動シャフト210の近位端部分が、変位制御機構1100に対して及び互いに対して軸方向に移動することを可能にする(例えば作動シャフトが湾曲されたことに起因して作動シャフト同士がそれぞれ異なる経路長をたどる場合に)。第2の動作モードでは、変位制御機構1100は、作動シャフト210をシャフト206及び支持スリーブ208(図示せず)に対して軸方向に同時に移動させるために(例えば人工弁を拡張/収縮するために)使用され得る。第3の動作モードでは、変位制御機構1100は、作動シャフト210をシャフト206及び支持スリーブ208に対して同時に回転させるために(例えば人工弁を解除/結合するために)使用され得る。
【0150】
さらに
図43を参照すると、変位制御機構1100は、第1の歯車アセンブリ1102及び第2の歯車アセンブリ1104を備える。第1の歯車アセンブリ1102は、送達装置200の作動機構220の構成要素に対して結合され得る、及び/又はこの構成要素を形成し得る。第2の歯車アセンブリ1104は、送達装置200の解除機構222の構成要素に対して結合され得る、及び/又はこの構成要素を形成し得る。
【0151】
図示する実施形態では、第1の歯車アセンブリ1102は、第2の歯車アセンブリ1104の遠位側に配設される。他の実施形態では、第1の歯車アセンブリ1102は、第2の歯車アセンブリ1104の近位側に配設され得る。
【0152】
第1の歯車アセンブリ1102は、ロック解除構成とロック構成との間で移動され得る。第1の歯車アセンブリ1102がロック解除構成にある場合に、作動シャフト210の近位端部分は、第1の歯車アセンブリ1102に対して自由に(軸方向及び/又は回転方向に)移動することが可能であり、第2の歯車アセンブリ1104に対して軸方向に移動することが可能である(例えば作動シャフトがそれぞれ異なる経路長へと調節されることを可能にするために、及び/又は送達装置との間で人工弁を解除/結合するために)。また、第1の歯車アセンブリ1102がロック解除構成にある場合に、第2の歯車アセンブリ1104は、作動シャフト210をシャフト206及び支持スリーブ208に対して同時に回転させるために使用され得る(例えば送達装置との間で人工弁を解除/結合するために)。第1の歯車アセンブリ1102がロック構成にある場合に、これらの作動シャフト210は、第1の歯車アセンブリ1102に対して及び互いに対して固定され(軸方向及び回転方向に)、第1の歯車アセンブリ1102は、作動シャフト210を第2の歯車アセンブリ1104、シャフト206、及び支持スリーブ208に対して軸方向に同時に移動させるために使用され得る(例えば人工弁を拡張/収縮するために)。第1の歯車アセンブリ1102及び第2の歯車アセンブリ1104ならびにそれらの動作に関するさらなる詳細は、以降において提示される。
【0153】
図43~
図44を参照すると、第1の歯車アセンブリ1102は、正面歯車1106、複数の第1の平歯車1108(例えば3つ)、キャリッジ部材1110、複数のロックネジ1112(
図46)、及び駆動スクリュー1114を備える。正面歯車1106及び平歯車1108は、共に噛合するように構成された歯を備え、これにより正面歯車1106をその軸を中心として回転させることによって平歯車1108がそれらのそれぞれの軸を中心として回転される。キャリッジ部材1110は、ロックネジ1112により平歯車1108に対して結合される(
図46を参照)。キャリッジ部材1110は、ロックネジ1112を介して作動シャフト210に対して選択的に結合されることが可能である(
図46~
図47を参照)。また、キャリッジ部材1110は、駆動スクリュー1114に対して移動可能に結合されることも可能であり、それにより駆動スクリュー1114をその軸を中心としてキャリッジ部材1110に対して回転させることによって、結果としてキャリッジ部材1110の軸方向移動がもたらされる(及びキャリッジ部材1110に対して結合される場合には、作動シャフト210の軸方向移動がもたらされる)。
【0154】
第1の歯車アセンブリ1102の正面歯車1106は、平歯車1108の対応する歯に係合するように構成された、軸方向を向いた表面上に配設された歯を備え得る。幾つかの実施形態では、正面歯車1106及び平歯車1108は、傘型になされ得る(「傘歯車」とも呼ばれ得る)。図示する実施形態では、正面歯車1106の歯は、正面歯車1106の遠位方向を向いた表面上に配設される。他の実施形態では、正面歯車1106の歯は、正面歯車1106の近位方向を向いた表面上に配設され得る。
【0155】
図44を参照すると、正面歯車1106は、中央開口部1116を有する環状形状部を有し、キャリッジ部材1110が、この中央開口部1116内に配設され、作動シャフト210が、この中央開口部1116を貫通して軸方向に延在し得る。特に中央開口部1116は、正面歯車1106がその軸を中心としてキャリッジ部材1110及び作動シャフト210に対して回転することを可能にする。正面歯車1106は、手動で及び/又はモータ1118(
図43)を介して回転され得る。
【0156】
図46に示すように、各平歯車1108は、ロックネジ1112を受けるように構成された中央ボア1120を備える。また、平歯車1108は、中央ボア1120内へと径方向内方に延在する環状ショルダを備える。このショルダは、ロックネジ1112のシャフト部分がショルダを越えてキャリッジ部材1110内へと延在することが可能となるように構成される。また、このショルダは、ロックネジ1112のヘッド部分が中央ボア1120を完全には貫通できないように、ロックネジ1112のヘッド部分に係合するように構成される。
【0157】
ロックネジ1112は、ロックネジ1112がそれらのそれぞれの平歯車1108と共に(回転方向に及び軸方向に)移動するように、それぞれの平歯車1108に対して固定的に結合される。例えば、幾つかの実施形態では、平歯車の中央ボアが非円形断面形状(例えば正方形、六角形等)を有し、ロックネジのヘッドが対応する非円形断面形状を有することが可能である。追加的には又は代替的には、ロックネジは、留め具(例えば止ネジ)、接着剤、溶接等を含む様々な他の方法で、それぞれの平歯車に対して固定的に結合され得る。さらに他の実施形態では、ロックネジ及び平歯車が、単体構造として一体的に形成され得る。例えば、ロックネジは、単体構造の平歯車部分から延在する単体構造のネジ部付きシャフト部分であることが可能である。かかる実施形態では、中央ボア1120は省き得る。
【0158】
図43~
図44を参照すると、キャリッジ部材1110は、主要本体1122、延長アーム1124、及び連結要素1126を備える。主要本体1122は、正面歯車1106の中央開口部1116と径方向に整列される。延長アーム1124は、主要本体1122から径方向外方に延在し、連結要素1126は、延長アーム1124から径方向外方に延在する。
【0159】
図46~
図47に示すように、キャリッジ部材1110の主要本体1122は、複数の軸方向開口部1128及び複数の径方向開口部1130を備える。軸方向開口部1128は、作動シャフト210を受けるように構成され、作動シャフト210が主要本体1122に対して自由に移動できるように構成される。径方向開口部1130は、軸方向開口部1128から主要本体1122の外方表面まで径方向外方に延在する。径方向開口部1130は、ロックネジ1112の対応する雄ネジ部に係合するように構成された雌ネジ部によって囲まれる。キャリッジ部材1110に対してロックネジ1112を回転させることにより、ロックネジ1112は、回転方向(例えば時計回り方向/反時計回り方向)及びネジ部の構成(例えば右ネジ/左ネジ)に応じて、キャリッジ部材1110の径方向開口部1130内又は径方向開口部1130外へと移動する。これにより、ロックネジ1112は、作動シャフト210に係合又は作動シャフト210から係合解除されることが可能となり、それにより作動シャフト210とキャリッジ部材1110との間の相対移動が選択的に制限される。
【0160】
図43~
図44に示すように、キャリッジ部材1110の連結要素1126は、駆動スクリュー1114の対応する雄ネジ部に係合するように構成された雌ネジ部を有するアパーチャを備える。従って、駆動スクリュー1114がその軸を中心として連結要素1126に対して回転される結果として、キャリッジ部材1110が駆動スクリュー1114に沿って軸方向移動される結果となる。
【0161】
上述のように、及び再び
図46~
図47を参照すると、第1の歯車アセンブリ1102は、ロックネジ1112をキャリッジ部材1110の径方向開口部1130に対して径方向に移動することにより、ロック解除構成(
図46)とロック構成(
図47)との間で移動され得る。ロックネジ1112は、平歯車1108をそれらのそれぞれの軸を中心としてキャリッジ部材1110に対して回転することにより径方向に移動され得る。螺合連結により、かかる回転によってロックネジ1112がキャリッジ部材1110に対して移動される。ロックネジ1112は、正面歯車1106をその軸を中心としてキャリッジ部材1110に対して回転させ、それにより平歯車1108及びロックネジ1112をそれらのそれぞれの軸を中心として及びキャリッジ部材1110に対して共に回転させることによって、キャリッジ部材1110に対して回転され得る。
【0162】
正面歯車1106をその軸を中心として第1の方向(例えば反時計回り方向)にキャリッジ部材1110に対して回転させることにより、結果として平歯車1108及びロックネジ1112は、それぞれの軸を中心として第1の方向へとキャリッジ部材1110に対して回転される。ロックネジ1112をキャリッジ部材1110に対して反時計回り回転させることにより(右ネジ構成の場合)、ロックネジ1112はキャリッジ部材1110の径方向開口部1130から後退される。ロックネジ1112は、
図46に示すようにキャリッジ部材1110の軸方向開口部1128を塞がないようにキャリッジ部材1110に対して後退され得る。これが、第1の歯車アセンブリ1102のロック解除構成であり、これにより作動シャフト210は、キャリッジ部材1110に対して自由に(軸方向に及び/又は回転方向に)移動することが可能となる。
【0163】
正面歯車1106をその軸を中心として第2の方向(例えば時計回り方向)へとキャリッジ部材1110に対して回転させることにより、結果として平歯車1108及びロックネジ1112は、それらのそれぞれの軸を中心として第2の方向へとキャリッジ部材1110に対して回転される。ロックネジ1112をキャリッジ部材1110に対して時計回り方向に回転させると(右ネジ構成の場合)、ロックネジ1112はキャリッジ部材1110の径方向開口部1130内へと前進する。
図47に示すように、ロックネジ1112は、作動シャフト210に接触し、軸方向開口部1128を画定するキャリッジ部材1110の内方壁部に対して作動シャフト210を径方向内方に付勢するように、キャリッジ部材1110に対して前進され得る。これが、歯車アセンブリ1102のロック構成であり、これにより、ロックネジ1112と作動シャフト210とキャリッジ部材1110の内方壁部との間の摩擦係合によって作動シャフト210とキャリッジ部材1110との間での軸方向相対移動が制限される。
【0164】
ロックネジ1112は、ロックネジ1112が作動シャフト210に接触する場合に作動シャフト210が損傷を被らないように構成され得る。例えば、幾つかの実施形態では、ロックネジ1112は、作動シャフト210に対して損傷を与える結果にならないような様式で作動シャフト210に係合するように構成された非外傷性先端部を備えることが可能である。
【0165】
図45を参照すると、第2の歯車アセンブリ1104は、外側歯車1132と、外側歯車1132内に径方向に配設されこの外側歯車1132に係合する複数の内側歯車1134とを備え得る。第2の歯車アセンブリ1104は、変位制御機構900の第2の歯車アセンブリ904及び/又は変位制御機構700の歯車アセンブリ706と同様に構成され機能し得る。第2の歯車アセンブリ1104の外側歯車1132は、内側歯車1134の軸方向長さよりも長い軸方向長さを有する。これにより、内側歯車1134は、作動シャフト210の近位端部分が外側歯車1132に対して軸方向に移動された場合に、外側歯車1132と係合状態にとどまることが可能となる(例えば作動シャフト同士のそれぞれ異なる経路長に起因して、及び/又は人工弁を拡張/収縮するために)。内側歯車1134は、内側歯車1134及び作動シャフト210が軸方向及び回転方向の両方へと共に移動するように、それぞれの作動シャフト210に対して固定的に結合される。
【0166】
このようにすることで、歯車アセンブリ1104は、人工弁との間で作動シャフト210を解除/結合するために使用され得る。例えば、歯車1132、1134を第1の方向(例えば時計回り方向)に回転させることにより、作動シャフト210は、第1の方向に回転され、結果として作動シャフト210の遠位端部分上のネジ部242が、人工弁のラック部材のネジ部に係合し得る(作動シャフトの遠位端部分上及びラック部材上のネジ部が右ネジである場合)(
図11~
図12を参照)。歯車1132、1134を第2の方向(例えば反時計回り方向)に回転することにより、作動シャフト210は、第2の方向に回転され、結果として作動シャフト210の遠位端部分上のネジ部242が、人工弁のラック部材のネジ部から係合解除され得る(作動シャフトの遠位端部分上及びラック部材上のネジ部が右ネジである場合)。
【0167】
変位制御機構1100は、例えば送達装置200及び人工弁100などと共に使用することが可能である。人工弁100が送達装置200の遠位端部分に対して結合され、径方向圧縮構成にある状態において(例えば
図13~
図15を参照)、この人工弁は患者の脈管内(例えば患者の左大腿動脈)に挿入されることが可能となる。変位制御機構1100の第1の歯車アセンブリ1102は、人工弁100及び送達装置200が患者の脈管を通り植込み位置(例えば患者の天然大動脈弁)まで前進される間、ロック解除位置にて位置決めされることが可能である。第1の歯車アセンブリ1102がロック解除構成にあることにより、作動シャフト210の近位端部分は、互いに対して、第1の歯車アセンブリ1102に対して、及び第2の歯車アセンブリ1104の外側歯車1132に対して軸方向へと移動することが可能となり、それにより、送達装置200のシャフト206中の湾曲(例えばシャフト206が患者の大動脈弓中に配設された場合など)に起因する様々な作動シャフト移動経路長に対する調節がなされる。
【0168】
人工弁100が植込み位置にて又はその付近にて配設されると、変位制御機構1100の第1の歯車アセンブリ1102は、上述のように正面歯車1106、平歯車1108、及びロックネジ1112をそれらのそれぞれの軸を中心としてキャリッジ部材1110に対して回転させることによりロック解除構成からロック構成へと移動され得る。第1の歯車アセンブリ1102がロック構成にある状態において、駆動スクリュー1114は、その軸を中心として第1の方向に、キャリッジ部材1110の延長アーム1124に対して回転されることが可能であり、これによりキャリッジ部材1110及び作動シャフト210が、送達装置200のシャフト206に対して近位方向に移動される。この結果として、人工弁100が径方向拡張される。人工弁100は、駆動スクリュー1114を反対の第2の方向へ回転させることにより再圧縮され得る(例えば再位置決め及び/又は回収のために)。駆動スクリュー1114は、作動機構220のモータ又はノブによるものを含む様々な方法で第1の方向及び第2の方向へ回転され得る。
【0169】
ユーザの所望に応じて人工弁100が患者内に位置決めされ拡張されると、人工弁100は、径方向拡張状態にロックされ、送達装置200から解除され得る。これは、変位制御機構1100の第1の歯車アセンブリ1102をロック構成からロック解除構成に移動させることによって実現され得る。これにより、作動シャフト210はキャリッジ部材1110に対して自由に移動することが可能となる。次いで、第2の歯車アセンブリ1104の外側歯車1132が、その軸を中心としてハンドル202に対して回転され、その結果として内側歯車1134及び作動シャフト210は、それらのそれぞれの軸を中心と共に回転される。この結果として、作動シャフト210の遠位端部分に位置するネジ部242が、人工弁100アクチュエータ106から後退する。これにより、作動シャフト210が人工弁100から解除される。第2の歯車アセンブリ1104の外側歯車1132は、解除機構222のモータもしくはノブによって、及び/又は外側歯車1132を直接的に回転させることによってを含む、様々な方法でハンドル202に対して回転され得る。次いで、送達装置200を患者の脈管から引き抜くことが可能となる。
【0170】
図48~
図51は、一実施形態によるマルチルーメンシャフト1200を示す。このマルチルーメンシャフト1200(「シャフト1200」とも呼ばれる)は、例えばシャフト206の代わりに送達装置200と共に使用され得る。シャフト1200は、複数の螺旋状作動ルーメン1202a、1202b、及び1202c(集合的及び/又は総体的に「作動ルーメン1202」と呼ぶ)と、作動ルーメン1202から径方向内方に配設された中央ルーメン1204とを備える。作動ルーメン1202は、それぞれの作動シャフト210a、210b、及び210c(集合的及び/又は相対的に「作動シャフト210」と呼ぶ)を受けるように構成され得る。中央ルーメン1204は、ノーズコーンシャフト214を受けるように構成され得る。図示しないが、シャフト1200は、再圧縮ルーメンなどの1つ又は複数の他のルーメンを備えることが可能である。
【0171】
各作動ルーメン1202は、シャフト1200の近位端部からシャフト1200の遠位端部までらせん経路で延在する。螺旋状作動ルーメン1202を有するシャフト1200の構成は、シャフト1200が湾曲状構成にある場合でも(例えばシャフト1200が患者の大動脈弓内に配設される場合)、例えば各作動シャフトが1つの同様の軸方向経路長をたどることを確保するのに有効となり得る。これは、湾曲したこれらの作動シャフト210における伸張を軽減し得る、及び/又は湾曲したこれらの作動シャフト210における伸張が少なくとも実質的に均一となるのを確保するのに有効となり得る。シャフト1200を貫通して延在する各作動シャフト210は、その第1の長さ部分に関してシャフト1200の第1の円周位置(例えば中立位置)に配設され、その第2の長さ部分に関してシャフト1200の第2の円周位置(例えば外側位置)に配設され、第3の長さ部分に関してシャフト1200の第3の円周位置(例えば内側位置)に配設され、ならびに第1の円周位置と第2の円周位置と第3の円周位置との間の様々な円周位置に配設されるため、これらの作動シャフト210は1つの同様の距離を移動する。従って、各作動シャフト210がシャフト1200を貫通して移動する距離は、シャフト1200が直線状である場合及び湾曲状である場合に、他の作動シャフト210と同一となる(又は少なくとも実質的に同様となる)。このようにすることで、シャフト1200は、例えば人工弁が均一に拡張されることを確保するのに有効となり得る。
【0172】
本明細書において、「中立位置」及び「中立箇所」という用語は、作動シャフトが、自体が貫通して延在する湾曲されたシャフトの対称面と径方向に整列される場合における、作動シャフトの円周位置を示す。例えば、シャフト1200が左(
図48)又は右へと湾曲される場合には、作動シャフトの中立位置は、0/360度(12時)位置(例えば
図49における作動シャフト210aの位置を参照)にある場合、及び/又は180度(6時)位置にある場合となる。本明細書において、「オフセット位置/箇所」という用語は、作動シャフトが、自体が貫通して延在する湾曲されたシャフトの対称面から径方向にオフセットされる場合における、作動シャフトの任意の円周位置を示す。換言すれば、オフセット位置は、あらゆる非中立位置である。本明細書において、「外側位置/箇所」という用語は、作動シャフトが、自体が貫通して延在する湾曲されたシャフトの対称面の外側へと径方向にオフセットされる場合における、作動シャフトの任意の円周位置を示す。例えば、シャフト1200が左へ湾曲された場合に(
図48)作動シャフトの外側位置は、作動シャフトが1~179度の範囲内の任意位置に位置する場合となる(90度位置が最外位置となる、例えば
図50の作動シャフト210aの位置を参照)。本明細書において、「内側位置/箇所」という用語は、作動シャフトが、それ自体が貫通して延在する湾曲されたシャフトの対称面の内側へと径方向にオフセットされる場合における、作動シャフトの任意の円周位置を示す。例えば、シャフト1200が左へ湾曲された場合に(
図48)、作動シャフトの内側位置は、作動シャフトが181~359度の範囲内の任意位置に位置する場合となる(270度位置が最内位置となる、例えば
図51の作動シャフト210aの位置を参照)。
【0173】
幾つかの実施形態では、すべての螺旋状ルーメン1202が、同一のピッチ(すなわちシャフトの軸方向における単位長さあたりにおける各作動ルーメンの周方向回転数)を有することが可能であり、様々なピッチが使用可能である。作動ルーメン1202に比較的高いピッチを与えることにより、各作動シャフト210は、シャフト1200が鋭角に湾曲された場合でも同一の経路長をたどるように確保するのに有効となり得る。また、高ピッチは、作動シャフトを軸方向に移動する(例えば人工弁を拡張する場合)ために必要とされる力を低下させ得る。そのため、シャフト1200の作動ルーメン1202のピッチは、植込み手技の最中にシャフト1200が湾曲される度合いに対応すると共に、人工弁を拡張させるために作動シャフトが軸方向に移動されることを可能にするように選択され得る。例えば、幾つかの実施形態では、作動ルーメンのピッチは200mm未満であることが可能である。幾つかの実施形態では、作動ルーメンのピッチは、140mm未満であることが可能である。幾つかの実施形態では、作動ルーメンのピッチは、140mm~70mmであることが可能である。特定の実施形態では、作動ルーメンのピッチは、125mm~100mmであることが可能である。
【0174】
図示する実施形態では、作動ルーメン1202は、シャフト1200の周方向において互いに対して均一に分散される。換言すれば、隣接し合う作動ルーメン1202間が約120度となる。他の実施形態では、作動ルーメン1202同士が互いに対して不均一に分散され得る。
【0175】
幾つかの実施形態では、送達装置が、シャフトを備え、力制御機構及び/又は変位制御機構を省くことが可能である。なぜならば、シャフト1200は、湾曲された場合でも、シャフト1200同士が同様の距離をたどることを確保するのに有効であるからである。これは、例えば作動シャフトが軸方向に移動された場合に、人工弁が均一に拡張されるのを確保するのに有効となり得る。
【0176】
他の実施形態では、送達装置200は、シャフト1200、力制御機構、及び/又は変位制御機構を備えることが可能である。
【0177】
主に人工弁100及び送達装置200と関連して図示及び説明したが、本明細書において開示される力制御機構、変位制御機構、及びマルチルーメンシャフトは、様々な他の人工弁及び/又は送達装置と共に使用することが可能である点に留意されたい。
【0178】
作動シャフトの力及び/又は変位を制御するための本開示の送達装置、構成要素、及び関連する方法は、例えば、送達装置により人工心臓弁に対して印加される力が均一に分散されるのを確保するのに有効となり得る。これにより、送達装置及び/又は人工心臓弁が植込み手技の最中に損傷を被る可能性が低下し得る。また、本開示の送達装置及び方法は、人工心臓弁が均一に拡張されるのを確保するのに有効となり得る。また、本明細書において開示される送達装置は、使用が比較的単純及び/又は容易である。これにより、例えば人工心臓弁の植込みにかかわる失敗リスクが軽減される、及び/又は所要時間が短縮されることが可能となる。
【0179】
本開示の技術のさらなる実施例
本開示の対象の上述した実装形態をかんがみて、本願は、以下に挙げるさらなる実施例を開示する。ある実施例の1つの特徴の単体又はその実施例の2つ以上の特徴の組合せは、任意には1つ又は複数の他の実施例の1つ又は複数の特徴との組合せにおいても、本願の本開示の範囲内にやはり含まれるさらなる実施例となる点に留意されたい。
【実施例1】
【0180】
人工心臓弁を植え込むための送達装置であって、ハンドル、第1のシャフト、複数の作動シャフト、及び制御機構を備える送達装置。第1のシャフトは、第1の端部分、第2の端部分、及び第1の端部分から第2の端部分まで延在する1つ又は複数のルーメンを有する。第1の端部分はハンドルに対して結合される。各作動シャフトが、近位端部分及び遠位端部分を有し、これらの作動シャフトは、第1のシャフトの1つ又は複数のルーメンを貫通して延在する。制御機構は、作動シャフト及びハンドルに対して結合される。制御機構は、第1の動作モード及び第2の動作モードを有する。第1の動作モードでは、作動シャフトの近位端部分同士が互いに対して及び第1のシャフトに対して軸方向に移動することが可能であり、第2の動作モードでは、これらの作動シャフトが軸方向へと同時に移動されることが可能となる。
【実施例2】
【0181】
本章の任意の実施例の、特に実施例1の送達装置であって、制御機構が力制御機構を含む、送達装置。
【実施例3】
【0182】
本章の任意の実施例の、特に実施例2の送達装置であって、力制御機構がプーリを備え、作動シャフトの中の2つの近位端部分がこのプーリを介して共に結合され、作動シャフトの中のこれらの2つの張力が等しくない場合に、作動シャフトの中のこれらの2つの近位端部分が互いに対して軸方向に移動し、プーリが回転する、送達装置。
【実施例4】
【0183】
本章の任意の実施例の、特に実施例2の送達装置であって、複数の作動シャフトが、第1の作動シャフト、第2の作動シャフト、及び第3の作動シャフトからなり、力制御機構が、キャリッジ、第1のプーリ、第2のプーリ、及び第3のプーリを備え、キャリッジがハンドルに対して移動可能であり、第1のプーリ及び第2のプーリが、キャリッジに対して回転可能に取り付けられ、第3のプーリがハンドルに対して固定され、第1の作動シャフト及び第2の作動シャフトの近位端部分が、第1のプーリを介して共に結合され、第3の作動シャフトが、第2のプーリ及び第3のプーリの周囲に延在し、第1の作動シャフトに作用する張力が第2の作動シャフトに作用する張力とは異なる場合に、第1の作動シャフト及び第2の作動シャフトの近位端部分が互いに対して軸方向に移動し、第1のプーリが回転し、第3の作動シャフトに作用する張力が第1の作動シャフト及び第2の作動シャフトに作用する張力とは異なる場合に、第3の作動シャフトの近位端部分が第1の作動シャフト及び第2の作動シャフトに対して移動し、第2のプーリ及び第3のプーリが回転する、送達装置。
【実施例5】
【0184】
本章の任意の実施例の、特に実施例1から4のいずれか1つの送達装置であって、作動シャフトの中の1つに結合され、前出の複数の作動シャフトを同時に軸方向に移動するように構成された作動機構をさらに備える、送達装置。
【実施例6】
【0185】
本章の任意の実施例の、特に実施例5の送達装置であって、作動機構が回転式ノブを備え、回転式ノブが回転することにより、結果として前出の複数の作動シャフトが同時に軸方向に移動される、送達装置。
【実施例7】
【0186】
本章の任意の実施例の、特に実施例5の送達装置であって、作動機構が、回転式シャフトを有する電気モータを備え、回転式シャフトが回転することにより、結果として前出の複数の作動シャフトが同時に軸方向に移動される、送達装置。
【実施例8】
【0187】
本章の任意の実施例の、特に実施例5から7のいずれか1つの送達装置であって、作動機構が、作動シャフトに作用する張力を上昇又は低下させるように構成されたスプールを備える、送達装置。
【実施例9】
【0188】
本章の任意の実施例の、特に実施例1から9のいずれか1つの送達装置であって、制御機構が変位制御機構を含む、送達装置。
【実施例10】
【0189】
本章の任意の実施例の、特に実施例9の送達装置であって、変位制御機構が、外側歯車及び複数の内側歯車を有する歯車アセンブリを備え、内側歯車が、それぞれの作動シャフトに対して結合され、外側歯車を第1のシャフトに対して回転させることにより、結果として内側歯車及び作動シャフトが第1のシャフトに対して同時に回転運動される、送達装置。
【実施例11】
【0190】
本章の任意の実施例の、特に実施例9の送達装置であって、変位制御機構が、第1の歯車アセンブリ及び第2の歯車アセンブリを備え、第1の歯車アセンブリを第1のシャフトに対して回転させることにより、結果として前出の複数の作動シャフトが第1のシャフトに対して同時に軸方向移動され、第2の歯車アセンブリを第1のシャフトに対して回転させることにより、結果として前出の複数の作動シャフトが第1のシャフトに対して同時に回転運動される、送達装置。
【実施例12】
【0191】
本章の任意の実施例の、特に実施例11の送達装置であって、第1の歯車アセンブリが作動機構に対して結合され、第2の歯車アセンブリが解除機構に対して結合される、送達装置。
【実施例13】
【0192】
本章の任意の実施例の、特に実施例11~12のいずれかの送達装置であって、変位制御機構が、第1の位置と第2の位置との間で移動されるように構成された摺動式外側歯車を備え、第1の位置では、摺動式外側歯車は、第1の歯車アセンブリの複数の第1の内側歯車に係合し、第2の位置では、摺動式外側歯車は、第2の歯車アセンブリの複数の第2の内側歯車に係合する、送達装置。
【実施例14】
【0193】
本章の任意の実施例の、特に実施例9の送達装置であって、変位制御機構が、結合部材、作動部材、及び歯車アセンブリを備え、結合部材が、作動シャフトの遠位端部分に対して結合され、作動部材が、第1のシャフトを貫通して延在し、作動部材の第1の端部分が、結合部材に対して結合され、歯車アセンブリが、作動シャフトの近位端部分に対して結合され、作動部材を第1のシャフトに対して軸方向移動することにより、結果として結合部材及び作動シャフトが第1のシャフト及び歯車アセンブリに対して同時に軸方向移動され、歯車アセンブリを第1のシャフトに対して回転させることにより、結果として前出の複数の作動シャフトが第1のシャフトに対して同時に回転運動される、送達装置。
【実施例15】
【0194】
本章の任意の実施例の、特に実施例14の送達装置であって、作動部材が作動機構に対して結合される、送達装置。
【実施例16】
【0195】
本章の任意の実施例の送達装置、特に実施例1から15のいずれか1つの送達装置と、機械的拡張可能な人工心臓弁とを備える送達アセンブリ。
【実施例17】
【0196】
本章の任意の実施例の、特に実施例16の送達アセンブリであって、機械的拡張可能な人工心臓弁が、複数のストラットを備えるフレームと、複数のアクチュエータとを備え、フレームのこれらのストラットが、回動可能に共に結合され、アクチュエータが、フレームのストラットに対して結合され、径方向圧縮構成と径方向拡張構成との間でフレームを移行させるように構成される、送達アセンブリ。
【実施例18】
【0197】
本章の任意の実施例の、特に実施例17の送達アセンブリであって、作動シャフトと第1のシャフトとの間の軸方向相対移動により、人工心臓弁のフレームが径方向圧縮構成と径方向拡張構成との間で移行されるように、送達装置の作動シャフトが人工心臓弁のアクチュエータに対して解除可能に結合される、送達アセンブリ。
【実施例19】
【0198】
ハンドル、第1のシャフト、複数の作動シャフト、及び力制御機構を備える送達装置。第1のシャフトは、第1の端部分、第2の端部分、及び第1の端部分から第2の端部分まで延在する1つ又は複数のルーメンを有する。第1の端部分は、ハンドルに対して結合される。各作動シャフトが、近位端部分及び遠位端部分を有し、作動シャフトは、第1のシャフトの1つ又は複数のルーメンを貫通して延在する。力制御機構は、作動シャフト及びハンドルに対して結合される。力制御機構は、第1のシャフトが湾曲された場合に、作動シャフトの近位端部分同士が互いに対して軸方向に移動し得るように構成される。
【実施例20】
【0199】
本章の任意の実施例の、特に実施例19の送達装置であって、力制御機構が、作動シャフトと相互連結されたプーリシステムを備える、送達装置。
【実施例21】
【0200】
本章の任意の実施例の、特に実施例20の送達装置であって、プーリシステムが、ハンドルに対して軸方向に移動可能である1つ又は複数のプーリと、ハンドルに対して軸方向に固定された1つ又は複数のプーリとを備える、送達装置。
【実施例22】
【0201】
ハンドル、第1のシャフト、複数の作動シャフト、及び変位制御機構を備える送達装置。第1のシャフトは、第1の端部分、第2の端部分、及び第1の端部分から第2の端部分まで延在する1つ又は複数のルーメンを有する。第1の端部分は、ハンドルに対して結合される。各作動シャフトが、近位端部分及び遠位端部分を有し、作動シャフトは、第1のシャフトの1つ又は複数のルーメンを貫通して延在する。変位制御機構は、作動シャフト及びハンドルに対して結合される。変位制御機構は、第1のシャフトが湾曲された場合に、作動シャフトの近位端部分同士が互いに対して軸方向に移動し得るように構成される。
【実施例23】
【0202】
本章の任意の実施例の、特に実施例22の送達装置であって、変位制御機構が、外側歯車及び複数の内側歯車を有する歯車アセンブリを備え、内側歯車が、それぞれの作動シャフトに対して固定的に結合され、外側歯車を第1のシャフトに対して回転させることにより、結果として内側歯車及び作動シャフトが第1のシャフトに対して同時に回転運動される、送達装置。
【実施例24】
【0203】
本章の任意の実施例の、特に実施例23の送達装置であって、外側歯車が、第1の軸方向長さを有する径方向内方を向く歯を備え、内側歯車が、第2の軸方向長さを有する径方向外方を向く歯を備え、作動シャフト同士が互いに対して軸方向に移動した場合に内側歯車の歯が外側歯車の歯と係合状態にとどまるように、第1の軸方向長さが第2の軸方向長さよりも大きい、送達装置。
【実施例25】
【0204】
本章の任意の実施例の、特に実施例24の送達装置であって、第1の軸方向長さと第2の軸方向長さとの比が、1.5~10の範囲内である、送達装置。
【実施例26】
【0205】
本章の任意の実施例の、特に実施例24の送達装置であって、第1の軸方向長さと第2の軸方向長さとの比が、2~6の範囲内である、送達装置。
【実施例27】
【0206】
本章の任意の実施例の、特に実施例24の送達装置であって、第1の軸方向長さと第2の軸方向長さとの比が、3~5の範囲内である、送達装置。
【実施例28】
【0207】
本章の任意の実施例の、特に実施例24の送達装置であって、第1の軸方向長さと第2の軸方向長さとの比が、4~4.5の範囲内である、送達装置。
【実施例29】
【0208】
本章の任意の実施例の、特に実施例29の送達装置であって、変位制御機構が歯車アセンブリを備え、この歯車アセンブリは、内側歯車と、この内側歯車から径方向外方に配設され内側歯車に係合する複数の周辺歯車とを有し、歯車アセンブリが、ハンドルから離間され、第1のシャフトの遠位端部分内に又はそれに隣接して配設され、周辺歯車を第1のシャフトに対して回転させることにより、周辺歯車が第1のシャフトに対して回転され、周辺歯車が、それぞれの作動シャフトに対して固定的に結合される、送達装置。
【実施例30】
【0209】
本章の任意の実施例の、特に実施例29の送達装置であって、変位制御機構が、結合部材及び作動部材をさらに備え、周辺歯車が、結合部材に対して回転可能に結合され、作動部材の第1の端部分が、結合部材に対して結合され、作動部材の第2の端部分が、ハンドル内に配設され、作動部材が第1のシャフトに対して軸方向移動されることにより、結果として結合部材及び作動シャフトが第1のシャフトに対して同時に軸方向移動され、作動部材が第1のシャフトに対して回転されることにより、結果として内側歯車、周辺歯車、及び作動シャフトが第1のシャフトに対して同時に回転運動される、送達装置。
【実施例31】
【0210】
本章の任意の実施例の、特に実施例30の送達装置であって、作動部材が作動機構に対して結合される、送達装置。
【実施例32】
【0211】
ハンドル、第1のシャフト、及び複数の作動シャフトを備える送達装置。第1のシャフトは、第1の端部分、第2の端部分、及び第1の端部分から第2の端部分まで延在する複数の螺旋状ルーメンを有する。第1の端部分はハンドルに対して結合される。各作動シャフトが、近位端部分及び遠位端部分を有し、作動シャフトは、第1のシャフトのそれぞれの螺旋状ルーメンを貫通して延在する。
【実施例33】
【0212】
ハンドル、第1のシャフト、複数の作動シャフト、力制御機構、及び変位制御機構を備える送達装置。第1のシャフトは、第1の端部分、第2の端部分、及び第1の端部分から第2の端部分まで延在する1つ又は複数のルーメンを有する。第1の端部分はハンドルに対して結合される。各作動シャフトが、近位端部分及び遠位端部分を有し、作動シャフトは、第1のシャフトの1つ又は複数のルーメンを貫通して延在する。力制御機構は、作動シャフトに対して及びハンドルに対して結合される。力制御機構は、第1のシャフトが湾曲された場合に、作動シャフトの近位端部分同士が互いに対して軸方向に移動し得るように構成される。変位制御機構は、作動シャフトに対して及びハンドルに対して結合される。変位制御機構は、第1のシャフトが湾曲された場合に、作動シャフトの近位端部分同士が互いに対して軸方向に移動し得るように構成される。
【実施例34】
【0213】
ハンドル、第1のシャフト、複数の作動シャフト、及び力制御機構を備える送達装置。第1のシャフトは、第1の端部分、第2の端部分、及び第1の端部分から第2の端部分まで延在する複数の螺旋状ルーメンを有する。第1の端部分はハンドルに対して結合される。各作動シャフトが、近位端部分及び遠位端部分を有し、作動シャフトは、第1のシャフトのそれぞれの螺旋状ルーメンを貫通して延在する。力制御機構は、作動シャフトに対して結合され、作動シャフトに対して印加された力を均一に分散するように構成される。
【実施例35】
【0214】
ハンドル、第1のシャフト、複数の作動シャフト、及び変位制御機構を備える送達装置。第1のシャフトは、第1の端部分、第2の端部分、及び第1の端部分から第2の端部分まで延在する複数の螺旋状ルーメンを有する。第1の端部分はハンドルに対して結合される。各作動シャフトが、近位端部分及び遠位端部分を有し、作動シャフトは、第1のシャフトのそれぞれの螺旋状ルーメンを貫通して延在する。変位制御機構は、作動シャフトに対して結合され、第1のシャフトが湾曲された場合に、作動シャフトの近位端部分同士が互いに対して軸方向に移動し得るように構成される。
【実施例36】
【0215】
ハンドル、第1のシャフト、複数の作動シャフト、力制御機構、及び変位制御機構を備える送達装置。第1のシャフトは、第1の端部分、第2の端部分、及び第1の端部分から第2の端部分まで延在する複数の螺旋状ルーメンを有する。第1の端部分はハンドルに対して結合される。各作動シャフトが、近位端部分及び遠位端部分を有し、作動シャフトは、第1のシャフトのそれぞれの螺旋状ルーメンを貫通して延在する。力制御機構は、作動シャフトに対して結合され、作動シャフトに対して印加された力を均一に分散するように構成される。変位制御機構は、作動シャフトに対して結合され、第1のシャフトが湾曲された場合に、作動シャフトの近位端部分同士が互いに対して軸方向に移動し得るように構成される。
【実施例37】
【0216】
人工心臓弁を植え込むための送達装置用の力制御機構が提供される。この力制御機構は、プーリシステム及び可動キャリッジを備える。プーリシステムは、送達装置の複数の作動シャフトと相互連結するように構成される。可動キャリッジは、プーリシステムに対して結合され、送達装置のハンドルに対して移動可能に結合されるように構成される。プーリシステム及び可動キャリッジは、軸方向に及び/又は回転方向に移動することによって、送達装置の作動シャフトに対して印加された力及び/又は送達装置の作動シャフトが伝達する力を平衡化するように構成される。
【実施例38】
【0217】
人工心臓弁を植え込むための送達装置用の力制御機構が提供される。この力制御機構は、第1のプーリ、第2のプーリ、第3のプーリ、及びキャリッジを備える。第1のプーリは、送達装置の第1の作動シャフト及び第2の作動シャフトに対して結合されるように構成される。第2のプーリは、送達装置の第3の作動シャフトに対して結合されるように構成される。第3のプーリは、送達装置の第3の作動シャフトに対して結合されるように構成される。キャリッジは、送達装置のハンドルに対して移動可能に結合されるように構成される。第1のプーリ及び第2のプーリは、キャリッジに対して回転可能に結合され、キャリッジは、第3のプーリに対して軸方向に移動可能である。第1の作動シャフト及び第2の作動シャフトの近位端部分同士は、互いに対して軸方向に移動し、第1のプーリは、第1の作動シャフト及び第2の作動シャフト中の張力が等しくない場合に回転する。第3の作動シャフト及び第1の作動シャフト又は第2の作動シャフト中の張力が等しくない場合に、第3の作動シャフトの近位端部分が第1の作動シャフト及び第2の作動シャフトに対して軸方向に移動し、第2のプーリ及び第3のプーリは回転する。
【実施例39】
【0218】
人工心臓弁を植え込むために構成された送達装置用の変位制御機構が提供される。この変位制御機構は、1つ又は複数の歯車アセンブリを備える。これらの歯車アセンブリは、送達装置の作動シャフトに対して結合されるように構成される。歯車アセンブリは、作動シャフトの近位端部分同士が、互いに対して軸方向に独立して移動し得るように構成され、作動シャフトをそれらのそれぞれの軸を中心として同時に回転させるように構成される。
【実施例40】
【0219】
本章の任意の実施例の、特に実施例39の変位制御機構であって、1つ又は複数の歯車アセンブリが、送達装置のシャフトの遠位端部分内に又はその付近に配設されるように構成された第1の歯車アセンブリを備える、変位制御機構。
【実施例41】
【0220】
本章の任意の実施例の、特に実施例40の変位制御機構であって、第1の歯車アセンブリが、内側歯車と、内側歯車を囲む複数の周辺歯車とを備える、変位制御機構。
【実施例42】
【0221】
本章の任意の実施例の、特に実施例39の変位制御機構であって、1つ又は複数の歯車アセンブリが、送達装置の近位端部分に位置するハンドル内に配設されるように構成された第1の歯車アセンブリを備える、変位制御機構。
【実施例43】
【0222】
本章の任意の実施例の、特に実施例42の変位制御機構であって、第1の歯車アセンブリが、複数の内側歯車と、これらの内側歯車を囲む外側歯車とを備える、変位制御機構。
【実施例44】
【0223】
本章の任意の実施例の、特に実施例42~43のいずれか1つの変位制御機構であって、1つ又は複数の歯車アセンブリが、送達装置の近位端部分に位置するハンドル内に配設されるように構成された第2の歯車アセンブリを備える、変位制御機構。
【実施例45】
【0224】
本章の任意の実施例の、特に実施例44の変位制御機構であって、第2の歯車アセンブリが、複数の内側歯車と、これらの内側歯車を囲む外側歯車とを備える、変位制御機構。
【実施例46】
【0225】
本章の任意の実施例の、特に実施例42の変位制御機構であって、第1の歯車アセンブリが、正面歯車及び複数の平歯車を備える、変位制御機構。
【実施例47】
【0226】
人工心臓弁を植え込むために構成された送達装置用のシャフトが提供される。このシャフトは、シャフトの第1の端部分からシャフトの第2の端部分まで延在する複数の螺旋状ルーメンを備え、各螺旋状ルーメンは、送達装置の作動シャフトを受けるように構成される。
【実施例48】
【0227】
本章の任意の実施例の、特に実施例47のシャフトであって、各螺旋状ルーメンが、隣接する螺旋状ルーメンから周方向に離間される、シャフト。
【実施例49】
【0228】
本章の任意の実施例の、特に実施例47~48のいずれか1つのシャフトであって、3~15個の螺旋状ルーメンを備えるシャフト。
【実施例50】
【0229】
本章の任意の実施例の、特に実施例47~49のいずれか1つのシャフトであって、3~6個の螺旋状ルーメンを備えるシャフト。
【実施例51】
【0230】
本章の任意の実施例の、特に実施例47~50のいずれか1つのシャフトであって、厳密に3つの螺旋状ルーメンを備えるシャフト。
【0231】
特に明記しない限り、任意の例に関連して本明細書において説明される特徴は、他の例の中の任意の1つ又は複数において説明される他の特徴と組み合わせることが可能である。例えば、力制御機構400の特徴の中の任意の1つ又は複数が、力制御機構606の任意の1つ又は複数の特徴と組み合わされ得る。別の例としては、変位制御機構700の任意の1つ又は複数の特徴が、変位制御機構900の任意の1つ又は複数の特徴と組み合わされ得る。
【0232】
本開示の原理が適用され得る多数の可能な実施形態をかんがみて、これらの例示の実施形態は、例にすぎず、特許請求の範囲を限定するものと解釈されるべきでない点を理解されたい。さらに、特許請求される対象の範囲は、添付の特許請求の範囲及びその均等物によって定義される。
【符号の説明】
【0233】
10 送達アセンブリ
100 人工心臓弁
102 フレーム
104 弁構造体
106 アクチュエータ
108 第1の端部
110 第2の端部
112 ストラット
114 ピン
116 弁尖
118 交連部
120 ラック部材
122 ハウジング部材
124 ロック部材
126 歯
128 歯止め
130 雌ネジ部
170 ストッパ部材
200 送達装置
202 ハンドル
204 第1のシャフト
206 第2のシャフト
208 支持スリーブ
210 作動シャフト
210a 第1の作動シャフト
210b 第2の作動シャフト
210c 第3の作動シャフト
212 再圧縮シャフト
214 ノーズコーンシャフト
216 ノーズコーン
218 第1の機構、展開機構
220 第2の機構、作動機構、拡張機構
222 第3の機構、解除機構、結合機構
224 第4の機構、ノーズコーン機構
226 第1のノブ
228 ハウジング
230 第2のノブ
232 第3のノブ
234 スライダ
236 第1のルーメン
238 再圧縮ルーメン
240 ガイドワイヤルーメン
242 雄ネジ部
244 ルーメン
246 再圧縮部材
248 遠位マニホルド
300 心臓
302 大動脈
304 天然大動脈弁輪
306 左心室
400 力制御機構
402 第1の動的プーリ
404 第2の動的プーリ
406 静的プーリ
408 キャリッジ
410 ベース部材
412 第1の連結部材
412a 第1の端部分
412b 第2の端部分
414 第2の連結部材
414a 第1の端部分
414b 第2の端部分
416 トラック
500 送達装置
502 ハンドル
504 作動シャフト
504a 第1の作動シャフト
504b 第2の作動シャフト
504c 第3の作動シャフト
504d 第4の作動シャフト
506 力制御機構
508 作動機構
510 第1の動的プーリ
512 第2の動的プーリ
514 第3の動的プーリ
516 第4の動的プーリ
518 静的プーリ
520 第1のキャリッジ
522 第2のキャリッジ
524 第1の連結部材
526 第2の連結部材
528 第3の連結部材
530 ベース部材
532 アンカー
600 送達装置
602 ハンドル
604 作動シャフト
604a 作動シャフト
604b 作動シャフト
604c 作動シャフト
604d 作動シャフト
604e 作動シャフト
606 力制御機構
608 作動機構
610 動的プーリ
610a 動的プーリ
610b 動的プーリ
610c 動的プーリ
610d 動的プーリ
612 静的プーリ
612a 静的プーリ
612b 静的プーリ
614 キャリッジ
614a キャリッジ
614b キャリッジ
616 連結部材
616a 連結部材
616b 連結部材
616c 連結部材
700 変位制御機構
702 結合部材
704 作動部材
706 歯車アセンブリ
708 開口部
710 ストッパ部材
712 内側歯車
714 外側歯車
716 装着部分
718 歯
720 軸方向開口部
721 径方向開口部
722 固定要素
724 歯
800 変位制御機構
802 結合部材
804 作動部材
806 歯車アセンブリ
808 周辺歯車
810 中央歯車
812 留め具
900 変位制御機構
902 第1の歯車アセンブリ
904 第2の歯車アセンブリ
906 第1の外側歯車
908 第1の内側歯車
910 インサート
912 ネジ部付きボア
914 開口部
915 スロット
916 第2の外側歯車
917 タブ
918 第2の内側歯車
1000 摺動式外側歯車
1100 変位制御機構
1102 第1の歯車アセンブリ
1104 第2の歯車アセンブリ
1106 正面歯車
1108 平歯車、第1の平歯車
1110 キャリッジ部材
1112 ロックネジ
1114 駆動スクリュー
1116 中央開口部
1118 モータ
1120 中央ボア
1122 主要本体
1124 延長アーム
1126 連結要素
1128 軸方向開口部
1130 径方向開口部
1132 外側歯車
1134 内側歯車
1200 マルチルーメンシャフト、シャフト
1202 作動ルーメン
1202a 螺旋状作動ルーメン
1202b 螺旋状作動ルーメン
1202c 螺旋状作動ルーメン
1204 中央ルーメン
【国際調査報告】