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特表2023-503804IL-34アンチセンス薬剤、およびこれを使用する方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-01
(54)【発明の名称】IL-34アンチセンス薬剤、およびこれを使用する方法
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/113 20100101AFI20230125BHJP
   A61K 31/7088 20060101ALI20230125BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20230125BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20230125BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230125BHJP
   A61P 1/00 20060101ALI20230125BHJP
   A61P 17/06 20060101ALI20230125BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20230125BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20230125BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20230125BHJP
   A61P 37/06 20060101ALI20230125BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20230125BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20230125BHJP
   A61P 3/04 20060101ALI20230125BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20230125BHJP
   A61P 37/02 20060101ALI20230125BHJP
   A61P 1/02 20060101ALI20230125BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20230125BHJP
   A61P 13/12 20060101ALI20230125BHJP
   C07H 21/00 20060101ALI20230125BHJP
【FI】
C12N15/113 Z ZNA
A61K31/7088
A61K48/00
A61P29/00
A61P43/00 105
A61P1/00
A61P17/06
A61P19/02
A61P3/10
A61P25/00
A61P37/06
A61P1/16
A61P35/00
A61P3/04
A61P11/00
A61P37/02
A61P1/02
A61P1/04
A61P13/12
C07H21/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022524611
(86)(22)【出願日】2020-11-16
(85)【翻訳文提出日】2022-06-23
(86)【国際出願番号】 EP2020082281
(87)【国際公開番号】W WO2021094616
(87)【国際公開日】2021-05-20
(31)【優先権主張番号】62/935,819
(32)【優先日】2019-11-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511134621
【氏名又は名称】ノグラ ファーマ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100082072
【弁理士】
【氏名又は名称】清原 義博
(72)【発明者】
【氏名】ヴィティ,フランチェスカ
(72)【発明者】
【氏名】マクナルティ,マリー
(72)【発明者】
【氏名】ベリンヴィア,サルバトーレ
【テーマコード(参考)】
4C057
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C057BB02
4C057CC03
4C057DD01
4C057MM01
4C057MM09
4C084AA13
4C084MA52
4C084MA55
4C084MA63
4C084NA14
4C084ZA59
4C084ZA66
4C084ZA67
4C084ZA70
4C084ZA75
4C084ZA81
4C084ZA89
4C084ZA96
4C084ZB07
4C084ZB08
4C084ZB11
4C084ZB15
4C084ZB26
4C084ZC01
4C084ZC35
4C086AA01
4C086AA02
4C086EA16
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA52
4C086MA55
4C086MA63
4C086NA14
4C086ZA59
4C086ZA66
4C086ZA67
4C086ZA70
4C086ZA75
4C086ZA81
4C086ZA89
4C086ZA96
4C086ZB07
4C086ZB08
4C086ZB11
4C086ZB15
4C086ZB26
4C086ZC01
4C086ZC35
(57)【要約】
【解決手段】本明細書には、IL-34アンチセンスオリゴヌクレオチド配列を含むIL-34阻害剤、ならびにIL-34の活性もしくは発現の上昇に関連する炎症性腸疾患および/または線維症などの炎症性疾患を処置する方法が開示される。さらに、炎症性疾患および/または線維症の処置に有用であり、かつ炎症性疾患および/または線維症の処置に使用される本開示のIL-34阻害剤を含有する薬剤の製造に有用であるIL-34阻害剤、例えばIL-34アンチセンスオリゴヌクレオチドを含有する医薬組成物も、開示される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
5’-CTCACCAAGACCCACAG-3’(配列番号1)(配列中、少なくとも1つのヌクレオシドは、化学修飾ヌクレオシドであり、および/または少なくとも1つの連結は、修飾されたヌクレオシド間連結である)、
5’-GGCTTTGGGCCGCACCAGCT-3’(配列番号2)(配列中、少なくとも1つのヌクレオシドは、化学修飾ヌクレオシドであり、および/または少なくとも1つの連結は、修飾されたヌクレオシド間連結である)、
5’-CTTTGGGCCGCACCAGCTTC-3’(配列番号3)(配列中、少なくとも1つのヌクレオシドは、化学修飾ヌクレオシドであり、および/または少なくとも1つの連結は、修飾されたヌクレオシド間連結である)、
5’-TGGGCCGCACCAGCTTCAGG-3’(配列番号4)(配列中、少なくとも1つのヌクレオシドは、化学修飾ヌクレオシドであり、および/または少なくとも1つの連結は、修飾されたヌクレオシド間連結である)、
5’-TCCATGACCCGGAAGCAGTT-3’(配列番号5)(配列中、少なくとも1つのヌクレオシドは、化学修飾ヌクレオシドであり、および/または少なくとも1つの連結は、修飾されたヌクレオシド間連結である)、ならびに
5’-TGTTTCATGTACTGAAG-3’(配列番号6)(配列中、少なくとも1つのヌクレオシドは、化学修飾ヌクレオシドであり、および/または少なくとも1つの連結は、修飾されたヌクレオシド間連結である)
からなる群から選択されるヌクレオチド配列を含むIL-34アンチセンスオリゴヌクレオチド、またはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項2】
前記ヌクレオチド配列が配列番号3であり、少なくとも1つのシチジンが化学修飾されている、請求項1に記載のIL-34アンチセンスオリゴヌクレオチド、またはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項3】
前記ヌクレオチド配列が5’-CTTTGGGCXGCACCAGCTTC-3’(配列番号7)であり、配列中、Xは5-メチルシチジンである、請求項2に記載のIL-34アンチセンスオリゴヌクレオチド、またはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項4】
前記ヌクレオチド配列が配列番号5であり、少なくとも1つのシチジンが化学修飾されており、任意選択で前記シチジンは、配列番号5の10位にて化学修飾されており、および、前記ヌクレオチド配列が5’-TCCATGACCXGGAAGCAGTT-3’(配列番号8)であり、配列中、Xは5-メチルシチジンである、請求項1に記載のIL-34アンチセンスオリゴヌクレオチド、またはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項5】
1つ以上のロックド核酸(LNA)を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載のIL-34アンチセンスオリゴヌクレオチド、またはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項6】
前記アンチセンスオリゴヌクレオチドのヌクレオチドがそれぞれロックド核酸(LNA)を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載のIL-34アンチセンスオリゴヌクレオチド、またはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項7】
5’-cttTGGGCXGCACCAGCttc-3’(配列番号9)(配列中、cはLNAシチジンであり、tはLNAチミジンであり、Xは5-メチルシチジンである)、
5’-ctttGGGCXGCACCAGcttc-3’(配列番号10)(配列中、cはLNAシチジンであり、tはLNAチミジンであり、Xは5-メチルシチジンである)、
5’-cttTGGGCcgCACCAGCttc-3’(配列番号11)(配列中、cはLNAシチジンであり、tはLNAチミジンであり、gはLNAグアノシンである)、
5’-cttTGGGCcGCACCAGCttc-3’(配列番号12)(配列中、cはLNAシチジンであり、tはLNAチミジンである)、
5’-ggcXGCACCAGCttc-3’(配列番号13)(配列中、cはLNAシチジンであり、tはLNAチミジンであり、gはLNAグアノシンであり、Xは5-メチルシチジンである)、
5’-cttTGGGCXGCACcag-3’(配列番号14)(配列中、cはLNAシチジンであり、tはLNAチミジンであり、gはLNAグアノシンであり、aはLNAアデノシンであり、Xは5-メチルシチジンである)、ならびに
5’-tgaCCXGGAAGCAgtt-3’(配列番号15)(配列中、aはLNAアデノシンであり、tはLNAチミジンであり、gはLNAグアノシンであり、Xは5-メチルシチジンである)
からなる群から選択されるヌクレオチド配列を含むIL-34アンチセンスオリゴヌクレオチド、またはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項8】
5’-CxTxTxTxGxGGCXGCACCAGxCxTxTxCx-3’(配列番号16)(配列中、Cxは2’-O-(2-メトキシエチル)シチジンであり、Txは2’-O-(2-メトキシエチル)チミジンであり、Gxは2’-O-(2-メトキシエチル)グアノシンであり、Xは5-メチルシチジンである)、
5’-TxCxCxAxTxGACCXGGAAGCxAxGxTxTx-3’(配列番号17)(配列中、Cxは2’-O-(2-メトキシエチル)シチジンであり、Txは2’-O-(2-メトキシエチル)チミジンであり、Gxは2’-O-(2-メトキシエチル)グアノシンであり、Axは2’-O-(2-メトキシエチル)アデノシンであり、Xは5-メチルシチジンである)、
5’-CxTxTxTxGxGxGCXGCACCAxGxCxTxTxCx-3’(配列番号18)(配列中、Cxは2’-O-(2-メトキシエチル)シチジンであり、Txは2’-O-(2-メトキシエチル)チミジンであり、Gxは2’-O-(2-メトキシエチル)グアノシンであり、Axは2’-O-(2-メトキシエチル)アデノシンであり、Xは5-メチルシチジンである)、
5’-TxCxCxAxTxGxACCXGGAAGxCxAxGxTxTx-3’(配列番号19)(配列中、Cxは2’-O-(2-メトキシエチル)シチジンであり、Txは2’-O-(2-メトキシエチル)チミジンであり、Gxは2’-O-(2-メトキシエチル)グアノシンであり、Axは2’-O-(2-メトキシエチル)アデノシンであり、Xは5-メチルシチジンである)、
5’-CxTxTxTxGxGxGxCxXGxCxAxCxCxAxGxCxTxTxCx-3’(配列番号20)(配列中、Cxは2’-O-(2-メトキシエチル)シチジンであり、Txは2’-O-(2-メトキシエチル)チミジンであり、Gxは2’-O-(2-メトキシエチル)グアノシンであり、Axは2’-O-(2-メトキシエチル)アデノシンであり、Xは5-メチルシチジンである)、ならびに
5’-TxCxCxAxTxGxAxCxCxXGxGxAxAxGxCxAxGxTxTx-3’(配列番号21)(配列中、Cxは2’-O-(2-メトキシエチル)シチジンであり、Txは2’-O-(2-メトキシエチル)チミジンであり、Gxは2’-O-(2-メトキシエチル)グアノシンであり、Axは2’-O-(2-メトキシエチル)アデノシンであり、Xは5-メチルシチジンである)
からなる群から選択されるヌクレオチド配列を含むIL-34アンチセンスオリゴヌクレオチド、またはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項9】
1つ以上のリボヌクレオチドを含む、請求項1から8のいずれか一項に記載のIL-34アンチセンスオリゴヌクレオチド、またはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項10】
1つ以上のデオキシリボヌクレオチドを含む、請求項1から8のいずれか一項に記載のIL-34アンチセンスオリゴヌクレオチド、またはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項11】
リボヌクレオチドとデオキシリボヌクレオチドの混合物を含む、請求項1から8のいずれか一項に記載のIL-34アンチセンスオリゴヌクレオチド、またはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項12】
前記配列の少なくとも1つのヌクレオシド間連結が、ホスホロチオエート連結、ホスホロジチオエート連結、ホスホトリエステル連結、アルキルホスホネート連結、アミノアルキルホスホトリエステル連結、アルキレンホスホネート連結、ホスフィネート連結、ホスホラミデート連結、アミノアルキルホスホラミデート連結、チオホスホラミデート連結、チオノアルキルホスホネート連結、チオノアルキルホスホトリエステル連結、チオホスフェート連結、セレノホスフェート連結、およびボラノホスフェート連結からなる群から選択される、請求項1から11のいずれか一項に記載のIL-34アンチセンスオリゴヌクレオチド、またはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項13】
前記配列の少なくとも1つのヌクレオチド間連結がホスホロチオエート連結である、請求項1から12のいずれか一項に記載のIL-34アンチセンスオリゴヌクレオチド、またはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項14】
前記配列のヌクレオチド間連結がすべてホスホロチオエート連結である、請求項1から13のいずれか一項に記載のIL-34アンチセンスオリゴヌクレオチド、またはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項15】
1つ以上のシチジンは5-メチルシチジンと置き換えられる、請求項1から14のいずれか一項に記載のIL-34アンチセンスオリゴヌクレオチド、またはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項16】
長さ20のヌクレオチド、あるいは長さ20~25、20~30、20~35、25~30、25~35、または30~35のヌクレオチドである、請求項1から15のいずれか一項に記載のIL-34アンチセンスオリゴヌクレオチド、またはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項17】
長さ20~25のヌクレオチドである、請求項16に記載のIL-34アンチセンスオリゴヌクレオチド、またはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項18】
長さ20、25、30、または35以下のヌクレオチドである、請求項1から15のいずれか一項に記載のIL-34アンチセンスオリゴヌクレオチド、またはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項19】
請求項1から18のいずれか一項に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチドまたはその薬学的に許容可能な塩を含む化合物。
【請求項20】
請求項1から3および5から18のいずれか一項に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチドまたはその薬学的に許容可能な塩を含む化合物であって、前記アンチセンスオリゴヌクレオチドは配列番号3のヌクレオチド配列を含み、少なくとも1つのシチジンは化学修飾されている、化合物。
【請求項21】
前記アンチセンスオリゴヌクレオチドが、ヌクレオチド配列5’-CTTTGGGCXGCACCAGCTTC-3’(配列番号7)を含み、配列中、Xは5-メチルシチジンである、請求項20に記載の化合物。
【請求項22】
炎症性疾患を処置する方法であって、請求項1から18のいずれか一項に記載のIL-34アンチセンスオリゴヌクレオチドまたはその薬学的に許容可能な塩、あるいは請求項19から21のいずれか一項に記載の化合物を有効量で、必要とする患者に投与する工程を含む方法。
【請求項23】
炎症性疾患を患う患者の細胞中の炎症性サイトカイン産生を阻害する方法であって、請求項1から18のいずれか一項に記載のIL-34アンチセンスオリゴヌクレオチドまたはその薬学的に許容可能な塩、あるいは請求項19から21のいずれか一項に記載の化合物を有効量で投与する工程を含む方法。
【請求項24】
炎症性疾患を患う患者の細胞中のIL-34媒介型炎症反応を低減または阻害する方法であって、請求項1から18のいずれか一項に記載のIL-34アンチセンスオリゴヌクレオチドまたはその薬学的に許容可能な塩、あるいは請求項19から21のいずれか一項に記載の化合物を有効量で投与する工程を含む方法。
【請求項25】
必要とする患者において改質されたIL-34発現に関連する炎症性疾患を処置する方法であって、請求項1から18のいずれか一項に記載のIL-34アンチセンスオリゴヌクレオチドまたはその薬学的に許容可能な塩、あるいは請求項19から21のいずれか一項に記載の化合物を有効量で投与する工程を含む方法。
【請求項26】
炎症性疾患を患う患者の細胞中のIL-34媒介型マクロファージコロニー刺激因子受容体(M-CSFR-1)シグナル伝達を阻害する方法であって、請求項1から18のいずれか一項に記載のIL-34アンチセンスオリゴヌクレオチドまたはその薬学的に許容可能な塩、あるいは請求項19から21のいずれか一項に記載の化合物を有効量で投与する工程を含む方法。
【請求項27】
炎症性疾患を患う患者の線維性狭搾を低減または排除する方法であって、請求項1から18のいずれか一項に記載のIL-34アンチセンスオリゴヌクレオチドまたはその薬学的に許容可能な塩、あるいは請求項19から21のいずれか一項に記載の化合物を有効量で投与する工程を含む方法。
【請求項28】
前記線維性狭窄が腸に存在する、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記炎症性疾患が、炎症性腸疾患、関節リウマチ、乾癬、変形性関節症、糖尿病(I型およびII型)、組織もしくは臓器拒絶反応、多発性硬化症、歯周組織炎、歯根膜炎、色素性絨毛結節性滑膜炎、肝炎、副鼻腔炎、結腸癌、大腸癌、大腸炎関連型結腸癌、散在性大腸癌、冠動脈疾患、シェーグレン症候群(SS)、肥満症、慢性炎症、肺サルコイドーシス、皮膚病変、CNS炎症性疾患、または自己免疫疾患からなる群から選択される、請求項22から28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記炎症性疾患が炎症性腸疾患である、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記炎症性腸疾患が、クローン病、胃十二指腸クローン病、クローン(肉芽腫性)大腸炎、炎症性クローン病、線維狭窄性クローン病、潰瘍性大腸炎、コラーゲン蓄積大腸炎、リンパ球性大腸炎、虚血性大腸炎、空置大腸炎、ベーチェット病、顕微鏡的大腸炎、潰瘍性直腸炎、直腸S状結腸炎、空回腸炎、左側大腸炎、全結腸炎、回結腸炎、回腸炎、および非定型的大腸炎からなる群から選択される、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記炎症性腸疾患が炎症性クローン病である、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記炎症性腸疾患が線維狭窄性クローン病である、請求項31に記載の方法。
【請求項34】
前記IL-34アンチセンスオリゴヌクレオチドが、局所投与、非経口投与、経口投与、経肺投与、気管内投与、経鼻投与、経皮投与、または十二指腸内投与される、請求項22から33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記IL-34アンチセンスオリゴヌクレオチドが経口投与される、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記患者がヒトである、請求項22から35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
請求項1から18のいずれか一項に記載のIL-34アンチセンスオリゴヌクレオチドまたはその薬学的に許容可能な塩、あるいは請求項19から21のいずれか一項に記載の化合物と、薬学的に許容可能な賦形剤とを含む薬学的に許容可能な組成物。
【請求項38】
局所投与、非経口投与、経口投与、経肺投与、気管内投与、経鼻投与、経皮投与、または十二指腸内投与に適している、請求項37に記載の薬学的に許容可能な組成物。
【請求項39】
炎症性疾患の処置用の薬剤の製造における、請求項1から18のいずれか一項に記載のIL-34アンチセンスオリゴヌクレオチドまたはその薬学的に許容可能な塩、あるいは請求項19から21のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項40】
前記炎症性疾患が、炎症性腸疾患、関節リウマチ、乾癬、変形性関節症、糖尿病(I型およびII型)、組織もしくは臓器拒絶反応、多発性硬化症、歯周組織炎、歯根膜炎、色素性絨毛結節性滑膜炎、肝炎、副鼻腔炎、結腸癌、大腸癌、大腸炎関連型結腸癌、散在性大腸癌、冠動脈疾患、シェーグレン症候群(SS)、肥満症、慢性炎症、肺サルコイドーシス、皮膚病変、CNS炎症性疾患、または自己免疫疾患からなる群から選択される、請求項39に記載の使用。
【請求項41】
前記炎症性疾患が炎症性腸疾患である、請求項40に記載の使用。
【請求項42】
前記炎症性腸疾患が、クローン病、炎症性クローン病、線維狭窄性クローン病、胃十二指腸クローン病、クローン(肉芽腫性)大腸炎、潰瘍性大腸炎、コラーゲン蓄積大腸炎、リンパ球性大腸炎、虚血性大腸炎、空置大腸炎、ベーチェット病、顕微鏡的大腸炎、潰瘍性直腸炎、直腸S状結腸炎、空回腸炎、左側大腸炎、全結腸炎、回結腸炎、回腸炎、および非定型的大腸炎からなる群から選択される、請求項41に記載の使用。
【請求項43】
前記炎症性腸疾患が炎症性クローン病である、請求項42に記載の使用。
【請求項44】
前記炎症性腸疾患が線維狭窄性クローン病である、請求項42に記載の使用。
【請求項45】
対象の細胞中のIL-34発現を阻害する方法であって、請求項1から18のいずれか一項に記載のIL-34アンチセンスオリゴヌクレオチドまたはその薬学的に許容可能な塩、あるいは請求項19から21のいずれか一項に記載の化合物を含む医薬調製物を薬学的に有効量で前記対象に投与する工程を含む方法。
【請求項46】
対象の細胞中の1つ以上のコラーゲン発現を阻害する方法であって、請求項1から18のいずれか一項に記載のIL-34アンチセンスオリゴヌクレオチドまたはその薬学的に許容可能な塩、あるいは請求項19から21のいずれか一項に記載の化合物を含む医薬調製物を薬学的に有効量で前記対象に投与する工程を含む方法。
【請求項47】
前記細胞が腸細胞である、請求項45または46に記載の方法。
【請求項48】
前記細胞が腸間質細胞である、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記細胞が、腸の線維性狭窄の一部を形成する、請求項45または46に記載の方法。
【請求項50】
前記対象は、炎症性クローン病または線維狭窄性クローン病から選択される疾患の処置を必要とする、請求項45または46に記載の方法。
【請求項51】
前記1つ以上のコラーゲンが、コラーゲン1A、コラーゲン3A、およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項46に記載の方法。
【請求項52】
前記医薬調製物が経口投与される、請求項45または46に記載の方法。
【請求項53】
前記対象がヒトである、請求項45または46に記載の方法。
【請求項54】
線維症を予防または処置する方法であって、請求項1から18のいずれか一項に記載のIL-34アンチセンスオリゴヌクレオチドまたはその薬学的に許容可能な塩、あるいは請求項19から21のいずれか一項に記載の化合物を治療上有効量で、必要とする患者に投与する工程を含む方法。
【請求項55】
前記線維症が腸線維症である、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記線維症が肺線維症である、請求項54に記載の方法。
【請求項57】
前記線維症が、腎線維症、心線維症、心内膜心筋線維症、骨髄線維症、後腹膜線維症、および腎形成性全身性線維症からなる群から選択される、請求項54に記載の方法。
【請求項58】
腸線維症を予防または処置する方法であって、請求項1から18のいずれか一項に記載のIL-34アンチセンスオリゴヌクレオチドまたはその薬学的に許容可能な塩、あるいは請求項19から21のいずれか一項に記載の化合物を含む医薬調製物を薬学的に有効量で、必要とする患者に投与する工程を含む方法。
【請求項59】
前記医薬調製物が経口投与される、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記患者がヒトである、請求項58または59に記載の方法。
【請求項61】
前記患者がクローン病も患っている、請求項58から60のいずれか一項に記載の方法。
【請求項62】
肺線維症を予防または処置する方法であって、請求項1から18のいずれか一項に記載のIL-34アンチセンスオリゴヌクレオチドまたはその薬学的に許容可能な塩、あるいは請求項19から21のいずれか一項に記載の化合物を含む医薬調製物を薬学的に有効量で、必要とする患者に投与する工程を含む方法。
【請求項63】
前記医薬調製物が経口投与される、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
前記患者がヒトである、請求項62または63に記載の方法。
【請求項65】
薬剤として使用するための、請求項1から18のいずれか一項に記載のIL-34アンチセンスオリゴヌクレオチドまたはその薬学的に許容可能な塩、あるいは請求項19から21のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項66】
炎症性疾患の処置に使用するための、請求項1から18のいずれか一項に記載のIL-34アンチセンスオリゴヌクレオチドまたはその薬学的に許容可能な塩、あるいは請求項19から21のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項67】
前記炎症性疾患が、炎症性腸疾患、関節リウマチ、乾癬、変形性関節症、糖尿病(I型およびII型)、組織もしくは臓器拒絶反応、多発性硬化症、歯周組織炎、歯根膜炎、色素性絨毛結節性滑膜炎、肝炎、副鼻腔炎、結腸癌、大腸癌、大腸炎関連型結腸癌、散在性大腸癌、冠動脈疾患、シェーグレン症候群(SS)、肥満症、慢性炎症、肺サルコイドーシス、皮膚病変、CNS炎症性疾患、または自己免疫疾患からなる群から選択される、請求項66に記載のIL-34アンチセンスオリゴヌクレオチド。
【請求項68】
前記炎症性疾患が炎症性腸疾患である、請求項67に記載のIL-34アンチセンスオリゴヌクレオチド。
【請求項69】
前記炎症性腸疾患が、クローン病、炎症性クローン病、線維狭窄性クローン病、胃十二指腸クローン病、クローン(肉芽腫性)大腸炎、潰瘍性大腸炎、コラーゲン蓄積大腸炎、リンパ球性大腸炎、虚血性大腸炎、空置大腸炎、ベーチェット病、顕微鏡的大腸炎、潰瘍性直腸炎、直腸S状結腸炎、空回腸炎、左側大腸炎、全結腸炎、回結腸炎、回腸炎、および非定型的大腸炎からなる群から選択される、請求項68に記載のIL-34アンチセンスオリゴヌクレオチド。
【請求項70】
前記炎症性腸疾患が炎症性クローン病である、請求項69に記載のIL-34アンチセンスオリゴヌクレオチド。
【請求項71】
前記炎症性腸疾患が線維狭窄性クローン病である、請求項69に記載のIL-34アンチセンスオリゴヌクレオチド。
【請求項72】
線維症の処置に使用するための、請求項1から18のいずれか一項に記載のIL-34アンチセンスオリゴヌクレオチド、またはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項73】
前記線維症が腸線維症である、請求項72に記載のIL-34アンチセンスオリゴヌクレオチド、またはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項74】
前記線維症が肺線維症である、請求項72に記載のIL-34アンチセンスオリゴヌクレオチド、またはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項75】
前記線維症が、腎線維症、心線維症、心内膜心筋線維症、骨髄線維症、後腹膜線維症、および腎形成性全身性線維症からなる群から選択される、請求項72に記載のIL-34アンチセンスオリゴヌクレオチド、またはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項76】
5’-CTCACCAAGACCCACAG-3’(配列番号1)(配列中、少なくとも1つのヌクレオシドは、化学修飾ヌクレオシドであり、および/または少なくとも1つの連結は、修飾されたヌクレオシド間連結である)、
5’-GGCTTTGGGCCGCACCAGCT-3’(配列番号2)(配列中、少なくとも1つのヌクレオシドは、化学修飾ヌクレオシドであり、および/または少なくとも1つの連結は、修飾されたヌクレオシド間連結である)、
5’-CTTTGGGCCGCACCAGCTTC-3’(配列番号3)(配列中、少なくとも1つのヌクレオシドは、化学修飾ヌクレオシドであり、および/または少なくとも1つの連結は、修飾されたヌクレオシド間連結である)、
5’-TGGGCCGCACCAGCTTCAGG-3’(配列番号4)(配列中、少なくとも1つのヌクレオシドは、化学修飾ヌクレオシドであり、および/または少なくとも1つの連結は、修飾されたヌクレオシド間連結である)、
5’-TCCATGACCCGGAAGCAGTT-3’(配列番号5)(配列中、少なくとも1つのヌクレオシドは、化学修飾ヌクレオシドであり、および/または少なくとも1つの連結は、修飾されたヌクレオシド間連結である)、ならびに
5’-TGTTTCATGTACTGAAG-3’(配列番号6)(配列中、少なくとも1つのヌクレオシドは、化学修飾ヌクレオシドであり、および/または少なくとも1つの連結は、修飾されたヌクレオシド間連結である)
からなる群から選択されるヌクレオチド配列を含むIL-34阻害剤、またはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項77】
前記ヌクレオチド配列が配列番号3であり、少なくとも1つのシチジンが化学修飾されている、請求項76に記載のIL-34阻害剤、またはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項78】
前記ヌクレオチド配列が5’-CTTTGGGCXGCACCAGCTTC-3’(配列番号7)であり、配列中、Xは5-メチルシチジンである、請求項77に記載のIL-34阻害剤、またはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項79】
前記ヌクレオチド配列が配列番号5であり、少なくとも1つのシチジンが化学修飾されており、任意選択で前記シチジンは、配列番号5の10位にて化学修飾されており、および、前記ヌクレオチド配列が5’-TCCATGACCXGGAAGCAGTT-3’(配列番号8)であり、配列中、Xは5-メチルシチジンである、請求項76に記載のIL-34阻害剤、またはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項80】
前記アンチセンスオリゴヌクレオチドが、1つ以上のロックド核酸(LNA)を含む、請求項76から79のいずれか一項に記載のIL-34阻害剤、またはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項81】
前記アンチセンスオリゴヌクレオチドのヌクレオチドがそれぞれロックド核酸(LNA)を含む、請求項76から80のいずれか一項に記載のIL-34阻害剤、またはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項82】
IL-34 siRNA、またはその薬学的に許容可能な塩である、請求項76から81のいずれか一項に記載のIL-34阻害剤、またはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項83】
前記配列の少なくとも1つのヌクレオシド間連結が、ホスホロチオエート連結、ホスホロジチオエート連結、ホスホトリエステル連結、アルキルホスホネート連結、アミノアルキルホスホトリエステル連結、アルキレンホスホネート連結、ホスフィネート連結、ホスホラミデート連結、アミノアルキルホスホラミデート連結、チオホスホラミデート連結、チオノアルキルホスホネート連結、チオノアルキルホスホトリエステル連結、チオホスフェート連結、セレノホスフェート連結、およびボラノホスフェート連結からなる群から選択される、請求項82に記載のIL-34阻害剤、またはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項84】
前記配列の少なくとも1つのヌクレオチド間連結がホスホロチオエート連結である、請求項82または83に記載のIL-34阻害剤、またはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項85】
前記配列のヌクレオチド間連結がすべてホスホロチオエート連結である、請求項82から84のいずれか一項に記載のIL-34阻害剤、またはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項86】
1つ以上のシチジンは5-メチルシチジンと置き換えられる、請求項82から85のいずれか一項に記載のIL-34阻害剤、またはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項87】
前記IL-34 siRNAが、長さ17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、20~25、20~30、または25~30のヌクレオチドである、請求項82から86のいずれか一項に記載のIL-34阻害剤、またはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項88】
前記IL-34 siRNAが長さ20~25のヌクレオチドである、請求項87に記載のIL-34阻害剤、またはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項89】
前記IL-34 siRNAが、長さ20、25、または30以下のヌクレオチドである、請求項82から86のいずれか一項に記載のIL-34阻害剤、またはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項90】
炎症性疾患を処置する方法であって、請求項76から89のいずれか一項に記載のIL-34阻害剤またはその薬学的に許容可能な塩を有効量で、必要とする患者に投与する工程を含む方法。
【請求項91】
炎症性疾患を患う患者の細胞中の炎症性サイトカイン産生を阻害する方法であって、請求項76から89のいずれか一項に記載のIL-34阻害剤またはその薬学的に許容可能な塩を有効量で投与する工程を含む方法。
【請求項92】
炎症性疾患を患う患者の細胞中のIL-34媒介型炎症反応を低減または阻害する方法であって、請求項76から89のいずれか一項に記載のIL-34阻害剤またはその薬学的に許容可能な塩を有効量で投与する工程を含む方法。
【請求項93】
必要とする患者において改質されたIL-34発現に関連する炎症性疾患を処置する方法であって、請求項76から89のいずれか一項に記載のIL-34阻害剤またはその薬学的に許容可能な塩を有効量で投与する工程を含む方法。
【請求項94】
炎症性疾患を患う患者の細胞中のIL-34媒介型マクロファージコロニー刺激因子受容体(M-CSFR-1)シグナル伝達を阻害する方法であって、請求項76から89のいずれか一項に記載のIL-34阻害剤またはその薬学的に許容可能な塩を有効量で投与する工程を含む方法。
【請求項95】
炎症性疾患を患う患者の線維性狭搾を低減または排除する方法であって、請求項76から89のいずれか一項に記載のIL-34阻害剤またはその薬学的に許容可能な塩を有効量で投与する工程を含む方法。
【請求項96】
前記線維性狭窄が腸に存在する、請求項95に記載の方法。
【請求項97】
前記炎症性疾患が、炎症性腸疾患、関節リウマチ、乾癬、変形性関節症、糖尿病(I型およびII型)、組織もしくは臓器拒絶反応、多発性硬化症、歯周組織炎、歯根膜炎、色素性絨毛結節性滑膜炎、肝炎、副鼻腔炎、結腸癌、大腸癌、大腸炎関連型結腸癌、散在性大腸癌、冠動脈疾患、シェーグレン症候群(SS)、肥満症、慢性炎症、肺サルコイドーシス、皮膚病変、CNS炎症性疾患、または自己免疫疾患からなる群から選択される、請求項90から96のいずれか一項に記載の方法。
【請求項98】
前記炎症性疾患が炎症性腸疾患である、請求項97に記載の方法。
【請求項99】
前記炎症性腸疾患が、クローン病、胃十二指腸クローン病、クローン(肉芽腫性)大腸炎、炎症性クローン病、線維狭窄性クローン病、潰瘍性大腸炎、コラーゲン蓄積大腸炎、リンパ球性大腸炎、虚血性大腸炎、空置大腸炎、ベーチェット病、顕微鏡的大腸炎、潰瘍性直腸炎、直腸S状結腸炎、空回腸炎、左側大腸炎、全結腸炎、回結腸炎、回腸炎、および非定型的大腸炎からなる群から選択される、請求項98に記載の方法。
【請求項100】
前記炎症性腸疾患が炎症性クローン病である、請求項99に記載の方法。
【請求項101】
前記炎症性腸疾患が線維狭窄性クローン病である、請求項99に記載の方法。
【請求項102】
前記IL-34阻害剤が、局所投与、非経口投与、経口投与、経肺投与、気管内投与、経鼻投与、経皮投与、または十二指腸内投与される、請求項90から101のいずれか一項に記載の方法。
【請求項103】
前記IL-34阻害剤が経口投与される、請求項102に記載の方法。
【請求項104】
前記患者がヒトである、請求項90から103のいずれか一項に記載の方法。
【請求項105】
請求項76から89のいずれか一項に記載のIL-34阻害剤またはその薬学的に許容可能な塩と、薬学的に許容可能な賦形剤とを含む薬学的に許容可能な組成物。
【請求項106】
非経口投与、経口投与、経肺投与、気管内投与、経鼻投与、経皮投与、または十二指腸内投与に適している、請求項105に記載の薬学的に許容可能な組成物。
【請求項107】
炎症性疾患の処置用の薬剤の製造における、請求項76から89のいずれか一項に記載のIL-34阻害剤またはその薬学的に許容可能な塩の使用。
【請求項108】
前記炎症性疾患が、炎症性腸疾患、関節リウマチ、乾癬、変形性関節症、糖尿病(I型およびII型)、組織もしくは臓器拒絶反応、多発性硬化症、歯周組織炎、歯根膜炎、色素性絨毛結節性滑膜炎、肝炎、副鼻腔炎、結腸癌、大腸癌、大腸炎関連型結腸癌、散在性大腸癌、冠動脈疾患、シェーグレン症候群(SS)、肥満症、慢性炎症、肺サルコイドーシス、皮膚病変、CNS炎症性疾患、または自己免疫疾患からなる群から選択される、請求項107に記載の使用。
【請求項109】
前記炎症性疾患が炎症性腸疾患である、請求項108に記載の使用。
【請求項110】
前記炎症性腸疾患が、クローン病、炎症性クローン病、線維狭窄性クローン病、胃十二指腸クローン病、クローン(肉芽腫性)大腸炎、潰瘍性大腸炎、コラーゲン蓄積大腸炎、リンパ球性大腸炎、虚血性大腸炎、空置大腸炎、ベーチェット病、顕微鏡的大腸炎、潰瘍性直腸炎、直腸S状結腸炎、空回腸炎、左側大腸炎、全結腸炎、回結腸炎、回腸炎、および非定型的大腸炎からなる群から選択される、請求項109に記載の使用。
【請求項111】
前記炎症性腸疾患が炎症性クローン病である、請求項110に記載の使用。
【請求項112】
前記炎症性腸疾患が線維狭窄性クローン病である、請求項110に記載の使用。
【請求項113】
対象の細胞中のIL-34発現を阻害する方法であって、請求項76から89のいずれか一項に記載のIL-34阻害剤またはその薬学的に許容可能な塩を含む医薬調製物を薬学的に有効量で前記対象に投与する工程を含む方法。
【請求項114】
対象の細胞中の1つ以上のコラーゲン発現を阻害する方法であって、請求項76から89のいずれか一項に記載のIL-34阻害剤またはその薬学的に許容可能な塩を含む医薬調製物を薬学的に有効量で前記対象に投与する工程を含む方法。
【請求項115】
前記細胞が腸細胞である、請求項113または114に記載の方法。
【請求項116】
前記細胞が腸間質細胞である、請求項115に記載の方法。
【請求項117】
前記細胞が、腸の線維性狭窄の一部を形成する、請求項113または114に記載の方法。
【請求項118】
前記対象は、炎症性クローン病または線維狭窄性クローン病から選択される疾患の処置を必要とする、請求項113または114に記載の方法。
【請求項119】
前記1つ以上のコラーゲンが、コラーゲン1A、コラーゲン3A、およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項114に記載の方法。
【請求項120】
前記医薬調製物が経口投与される、請求項113または114に記載の方法。
【請求項121】
前記対象がヒトである、請求項113または114に記載の方法。
【請求項122】
線維症を予防または処置する方法であって、請求項76から89のいずれか一項に記載のIL-34阻害剤またはその薬学的に許容可能な塩を治療上有効量で、必要とする患者に投与する工程を含む方法。
【請求項123】
前記線維症が腸線維症である、請求項122に記載の方法。
【請求項124】
腸線維症を予防または処置する方法であって、請求項76から89のいずれか一項に記載のIL-34阻害剤またはその薬学的に許容可能な塩を含む医薬調製物を薬学的に有効量で、必要とする患者に投与する工程を含む方法。
【請求項125】
前記医薬調製物が経口投与される、請求項124に記載の方法。
【請求項126】
前記患者がヒトである、請求項124または125に記載の方法。
【請求項127】
前記患者がクローン病も患っている、請求項124から126のいずれか一項に記載の方法。
【請求項128】
薬剤として使用するための、請求項76から89のいずれか一項に記載のIL-34阻害剤、またはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項129】
炎症性疾患の処置に使用するための、請求項76から89のいずれか一項に記載のIL-34阻害剤、またはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項130】
前記炎症性疾患が、炎症性腸疾患、関節リウマチ、乾癬、変形性関節症、糖尿病(I型およびII型)、組織もしくは臓器拒絶反応、多発性硬化症、歯周組織炎、歯根膜炎、色素性絨毛結節性滑膜炎、肝炎、副鼻腔炎、結腸癌、大腸癌、大腸炎関連型結腸癌、散在性大腸癌、冠動脈疾患、シェーグレン症候群(SS)、肥満症、慢性炎症、肺サルコイドーシス、皮膚病変、CNS炎症性疾患、または自己免疫疾患からなる群から選択される、請求項129に記載のIL-34阻害剤、またはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項131】
前記炎症性疾患が炎症性腸疾患である、請求項130に記載のIL-34阻害剤、またはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項132】
前記炎症性腸疾患が、クローン病、炎症性クローン病、線維狭窄性クローン病、胃十二指腸クローン病、クローン(肉芽腫性)大腸炎、潰瘍性大腸炎、コラーゲン蓄積大腸炎、リンパ球性大腸炎、虚血性大腸炎、空置大腸炎、ベーチェット病、顕微鏡的大腸炎、潰瘍性直腸炎、直腸S状結腸炎、空回腸炎、左側大腸炎、全結腸炎、回結腸炎、回腸炎、および非定型的大腸炎からなる群から選択される、請求項131に記載のIL-34阻害剤、またはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項133】
前記炎症性腸疾患が炎症性クローン病である、請求項132に記載のIL-34阻害剤、またはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項134】
前記炎症性腸疾患が線維狭窄性クローン病である、請求項132に記載のIL-34阻害剤、またはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項135】
線維症の処置に使用するための、請求項76から89のいずれか一項に記載のIL-34阻害剤、またはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項136】
前記線維症が腸線維症である、請求項135に記載のIL-34阻害剤、またはその薬学的に許容可能な塩。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2019年11月15日出願の米国仮特許出願第62/935,819号に基づく利益とこれに係る優先権を主張するものであり、当該文献の開示は、その全体がすべての目的のために参照により本明細書に引用される。
【0002】
配列表
本出願は、ASCIIフォーマットで電子的に提出され、その全体が参照により本明細書で引用される配列表を含んでいる。2020年11月13日に作成された前記ASCIIのコピーは、ファイル名GIU-060WO_SL_ST25.txtであり、21,080バイトのサイズである。
【背景技術】
【0003】
インターロイキン-34(IL-34)は、関節リウマチなどの骨変性疾患における炎症と破骨細胞形成の媒介物質であるマクロファージコロニー刺激因子(M-CSF1、またMCSF1やMCSF-1でも知られる)と機能が重複する、近年発見されたサイトカインである。炎症性疾患は、急性のものも慢性のものも、依然として完全には理解されていない重要な疾患カテゴリである。
【0004】
例えば、炎症性腸疾患は、米国で約140万の患者が患う胃腸管の慢性炎症性障害である。炎症性腸疾患は、米国で最もよく見られる5つの胃腸疾病負荷の1つであり、その医療費は全体で17億ドルを超える。毎年米国では、炎症性腸疾患による患者の受診は700,000例、入院は100,000例、身体障害は119,000例を超えている。治療法は現在も存在していないため、疾患管理には生涯の治療が必要となる。
【0005】
炎症性腸疾患に最もよく見られる2つ形態は、クローン病と潰瘍性大腸炎である。クローン病は、胃腸管全体に影響を及ぼす可能性があるが、最初に回腸(小腸の遠位または下方にある部分)と大腸に影響を及ぼす。潰瘍性大腸炎は、最初に結腸と直腸に影響を及ぼす。炎症性腸疾患の病因学は完全には理解されていないが、環境および遺伝子両方の因子が、この疾患の治療において役割を果たすと考えられている。環境要素としては、摂取された食品および薬剤への曝露の影響を受ける腸のフローラの改質を挙げることができる。
【0006】
炎症性腸疾患は、腹痛、嘔吐、下痢、直腸出血、重度痙攣、筋痙攣、体重減少、栄養失調、発熱、および貧血に関連する。炎症性腸疾患患者は、皮膚病変、関節痛、眼炎症、肝障害も患う場合があり、潰瘍性大腸炎を患う小児は成長欠損を患う場合がある。これらの症状は、死に至るのはまれであるが、患者の生活の質を低下させてしまう。
【0007】
このため、炎症性腸疾患などの炎症性障害を処置する信頼の高い方法を速やかに開発する必要がある。さらに、広範囲の患者にわたり症状を有効かつ恒久的に緩和するとともに、悪性副作用または炎症と寛解のサイクルに関連しない処置方法を特定する必要がある。
【発明の概要】
【0008】
本明細書には、IL-34遺伝子発現を阻害する薬剤、例えばIL-34アンチセンスオリゴヌクレオチドが記載される。いくつかの実施形態では、本発明は、本明細書に記載の配列番号1~8のいずれかのアンチセンスオリゴヌクレオチドを含むIL-34アンチセンスオリゴヌクレオチド、またはその薬学的に許容可能な塩を提供する。例えば、本発明のIL-34アンチセンスオリゴヌクレオチドは、以下の配列:5’-CTCACCAAGACCCACAG-3’(配列番号1)(配列中、少なくとも1つのヌクレオシドは、化学修飾ヌクレオシドであり、および/または少なくとも1つの連結は、修飾されたヌクレオシド間連結である)、5’-GGCTTTGGGCCGCACCAGCT-3’(配列番号2)(配列中、少なくとも1つのヌクレオシドは、化学修飾ヌクレオシドであり、および/または少なくとも1つの連結は、修飾されたヌクレオシド間連結である)、5’-CTTTGGGCCGCACCAGCTTC-3’(配列番号3)(配列中、少なくとも1つのヌクレオシドは、化学修飾ヌクレオシドであり、および/または少なくとも1つの連結は、修飾されたヌクレオシド間連結である)、5’-TGGGCCGCACCAGCTTCAGG-3’(配列番号4)(配列中、少なくとも1つのヌクレオシドは、化学修飾ヌクレオシドであり、および/または少なくとも1つの連結は、修飾されたヌクレオシド間連結である)、5’-TCCATGACCCGGAAGCAGTT-3’(配列番号5)(配列中、少なくとも1つのヌクレオシドは、化学修飾ヌクレオシドであり、および/または少なくとも1つの連結は、修飾されたヌクレオシド間連結である)、もしくは5’-TGTTTCATGTACTGAAG-3’(配列番号6)(配列中、少なくとも1つのヌクレオシドは、化学修飾ヌクレオシドであり、および/または少なくとも1つの連結は、修飾されたヌクレオシド間連結である)を含むアンチセンスオリゴヌクレオチド、またはその薬学的に許容可能な塩であってよい。いくつかの実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは配列番号3の配列を含み、配列中、少なくとも1つのヌクレオシドは化学修飾され、および/または少なくとも1つの連結は、修飾されたヌクレオシド間連結である。いくつかの実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは配列番号3の配列を含み、配列中、少なくとも1つのシチジンは化学修飾される。いくつかの実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、5’-CTTTGGGCXGCACCAGCTTC-3’(配列番号7)の配列を含み、配列中、Xは5-メチルシチジンである。いくつかの実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは配列番号5の配列を含み、配列中、少なくとも1つのシチジンは化学修飾され、任意選択で、シチジンは配列番号5の10位にて化学修飾され、ヌクレオチド配列は5’-TCCATGACCXGGAAGCAGTT-3’(配列番号8)であり、配列中、Xは5-メチルシチジンである。
【0009】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、リボヌクレオチドおよび/またはデオキシリボヌクレオチドを含んでよい。例えば、本明細書に記載のいくつかの実施形態では、IL-34アンチセンスオリゴヌクレオチド、例えば配列番号1~8のいずれかのIL-34アンチセンスオリゴヌクレオチドは、1つ以上のリボヌクレオチドを含んでよい。本明細書に記載のいくつかの実施形態では、IL-34アンチセンスオリゴヌクレオチド、例えば配列番号1~8のいずれか1つのIL-34アンチセンスオリゴヌクレオチドは、1つ以上のデオキシリボヌクレオチドを含んでよい。本明細書に記載のいくつかの実施形態では、IL-34アンチセンスオリゴヌクレオチドは、リボヌクレオチドとデオキシリボヌクレオチドの混合物を含んでよい。
【0010】
本明細書に記載のいくつかの実施形態では、IL-34アンチセンスオリゴヌクレオチドは、1つ以上のロックド核酸(「LNA」)ヌクレオチドを含んでよい。本明細書に記載のIL-34アンチセンスオリゴヌクレオチド、例えば配列番号1~8のいずれか1つのIL-34アンチセンスオリゴヌクレオチドは、1つ以上のLNAヌクレオチド、例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、1~5、5~10、5~12、またはそれを超えるLNAヌクレオチドを含んでよい。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のIL-34アンチセンスオリゴヌクレオチドのヌクレオチドはそれぞれ、LNAヌクレオチドである。
【0011】
特定の実施形態では、IL-34アンチセンスオリゴヌクレオチドはLNAヌクレオチドを含み、IL-34アンチセンスオリゴヌクレオチドの配列は、以下:
・5’-cttTGGGCXGCACCAGCttc-3’(配列番号9)(配列中、cはLNAシチジンであり、tはLNAチミジンであり、Xは5-メチルシチジンである)、
・5’-ctttGGGCXGCACCAGcttc-3’(配列番号10)(配列中、cはLNAシチジンであり、tはLNAチミジンであり、Xは5-メチルシチジンである)、
・5’-cttTGGGCcgCACCAGCttc-3’(配列番号11)(配列中、cはLNAシチジンであり、tはLNAチミジンであり、gはLNAグアノシンである)、
・5’-cttTGGGCcGCACCAGCttc-3’(配列番号12)(配列中、cはLNAシチジンであり、tはLNAチミジンである)、
・5’-ggcXGCACCAGCttc-3’(配列番号13)(配列中、cはLNAシチジンであり、tはLNAチミジンであり、gはLNAグアノシンであり、Xは5-メチルシチジンである)、
・5’-cttTGGGCXGCACcag-3’(配列番号14)(配列中、cはLNAシチジンであり、tはLNAチミジンであり、gはLNAグアノシンであり、aはLNAアデノシンであり、Xは5-メチルシチジンである)、ならびに
・5’-tgaCCXGGAAGCAgtt-3’(配列番号15)(配列中、aはLNAアデノシンであり、tはLNAチミジンであり、gはLNAグアノシンであり、Xは5-メチルシチジンである)
のうち1つ、またはその薬学的に許容可能な塩から選択される。
【0012】
加えて、本明細書に記載の実施形態では、IL-34アンチセンスオリゴヌクレオチドは、化学修飾ヌクレオシド、例えば2’-Oメチル(「2’-OMe」)リボヌクレオシド、例えば2’-O-メチルシチジン、2’-O-メチルグアノシン、2’-O-メチルチミジン、2’-O-メチルウリジン、および/または2’-O-メチルアデノシンを含んでよい。本明細書に記載のIL-34アンチセンスオリゴヌクレオチドは、5-メチルピリミジン、例えば5-メチルシトシンを含む化学修飾塩基、および/または5-メチルプリン、例えば5-メチルグアニンも含んでよい。本明細書に記載のIL-34アンチセンスオリゴヌクレオチドは、以下の化学修飾ヌクレオシド:5-メチル-2’-O-メチルシチジン、5-メチル-2’-O-メチルチミジン、5-メチルシチジン、5-メチルウリジン、および/または5-メチル-2’-デオキシシチジンのうちいずれかも含んでよい。加えて、本明細書に記載のIL-34アンチセンスオリゴヌクレオチドは、1つ以上の2’-O-(2-メトキシエチル)(「2’-MOE」)ヌクレオシド、2’-デオキシ-2’-フルオロヌクレオシド、2’-フルオロ-β-D-アラビノヌクレオシド、架橋核酸、LNAヌクレオチド、拘束エチル(cET)核酸、トリシクロ-DNA(tcDNA)、2’-O,4’-C-エチレン連結核酸(ENA)、および/またはペプチド核酸(PNA)を含んでよい。本明細書に記載の実施形態は、前述の化学修飾ヌクレオシドのいずれか1つ以上を含む配列番号1~15のいずれかのIL-34アンチセンスオリゴヌクレオチド、またはその薬学的に許容可能な塩を含む。いくつかの実施形態では、IL-34アンチセンスオリゴヌクレオチド配列のうち少なくとも1つのヌクレオシドは、化学修飾ヌクレオシドである。例えば、いくつかの実施形態では、IL-34アンチセンスオリゴヌクレオチド配列のうち1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、1~5、1~10、1~14、1~15、1~16、1~19、5~10、5~14、5~15、5~19、10~14、10~15、または10~19のヌクレオシドは、ヌクレオシドである。
【0013】
特定の実施形態では、本明細書に記載のIL-34アンチセンスオリゴヌクレオチドは、2’-MOEヌクレオシドを含む。いくつかの実施形態では、IL-34アンチセンスオリゴヌクレオチドの配列は、以下:
・5’-CxTxTxTxGxGGCXGCACCAGxCxTxTxCx-3’(配列番号16)(配列中、Cxは2’-O-(2-メトキシエチル)シチジンであり、Txは2’-O-(2-メトキシエチル)チミジンであり、Gxは2’-O-(2-メトキシエチル)グアノシンであり、Xは5-メチルシチジンである)、
・5’-TxCxCxAxTxGACCXGGAAGCxAxGxTxTx-3’(配列番号17)(配列中、Cxは2’-O-(2-メトキシエチル)シチジンであり、Txは2’-O-(2-メトキシエチル)チミジンであり、Gxは2’-O-(2-メトキシエチル)グアノシンであり、Axは2’-O-(2-メトキシエチル)アデノシンであり、Xは5-メチルシチジンである)、
・5’-CxTxTxTxGxGxGCXGCACCAxGxCxTxTxCx-3’(配列番号18)(配列中、Cxは2’-O-(2-メトキシエチル)シチジンであり、Txは2’-O-(2-メトキシエチル)チミジンであり、Gxは2’-O-(2-メトキシエチル)グアノシンであり、Axは2’-O-(2-メトキシエチル)アデノシンであり、Xは5-メチルシチジンである)、
・5’-TxCxCxAxTxGxACCXGGAAGxCxAxGxTxTx-3’(配列番号19)(配列中、Cxは2’-O-(2-メトキシエチル)シチジンであり、Txは2’-O-(2-メトキシエチル)チミジンであり、Gxは2’-O-(2-メトキシエチル)グアノシンであり、Axは2’-O-(2-メトキシエチル)アデノシンであり、Xは5-メチルシチジンである)、
・5’-CxTxTxTxGxGxGxCxXGxCxAxCxCxAxGxCxTxTxCx-3’(配列番号20)(配列中、Cxは2’-O-(2-メトキシエチル)シチジンであり、Txは2’-O-(2-メトキシエチル)チミジンであり、Gxは2’-O-(2-メトキシエチル)グアノシンであり、Axは2’-O-(2-メトキシエチル)アデノシンであり、Xは5-メチルシチジンである)、ならびに
・5’-TxCxCxAxTxGxAxCxCxXGxGxAxAxGxCxAxGxTxTx-3’(配列番号21)(配列中、Cxは2’-O-(2-メトキシエチル)シチジンであり、Txは2’-O-(2-メトキシエチル)チミジンであり、Gxは2’-O-(2-メトキシエチル)グアノシンであり、Axは2’-O-(2-メトキシエチル)アデノシンであり、Xは5-メチルシチジンである)
のうち1つ、またはそれらの薬学的に許容可能な塩から選択される。
【0014】
加えて、いくつかの実施形態では、本明細書に記載のIL-34アンチセンスオリゴヌクレオチドは、2’-OMeヌクレオシドを含む。いくつかの実施形態では、IL-34アンチセンスオリゴヌクレオチドの配列は、以下:
・5’-CyTyTyTyGyGGCXGCACCAGyCyTyTyCy-3’(配列番号22)(配列中、Cyは2’-O-メチルシチジンであり、Tyは2’-O-メチルチミジンであり、Gyは2’-O-メチルグアノシンであり、Xは5-メチルシチジンである)、ならびに
・5’-TyCyCyAyTyGACCXGGAAGCyAyGyTyTy-3’(配列番号23)(配列中、Cyは2’-O-メチルシチジンであり、Tyは2’-O-メチルチミジンであり、Gyは2’-O-メチルグアノシンであり、Ayは2’-O-メチルアデノシンであり、Xは5-メチルシチジンである)
のうち1つ、またはそれらの薬学的に許容可能な塩から選択される。
【0015】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のIL-34アンチセンスオリゴヌクレオチドは、1つ以上の修飾されたヌクレオシド間連結を含む。例えば、いくつかの実施形態では、IL-34アンチセンスオリゴヌクレオチドは、配列の少なくとも1つのヌクレオシド間連結が、ホスホロチオエート連結、ホスホロジチオエート連結、ホスホトリエステル連結、アルキルホスホネート連結、アミノアルキルホスホトリエステル連結、アルキレンホスホネート連結、ホスフィネート連結、ホスホラミデート連結、アミノアルキルホスホラミデート連結、チオホスホラミデート連結、チオノアルキルホスホネート連結、チオノアルキルホスホトリエステル連結、チオホスフェート連結、セレノホスフェート連結、またはボラノホスフェート連結であるアンチセンスオリゴヌクレオチドである。特定の実施形態では、IL-34アンチセンスオリゴヌクレオチド配列の少なくとも1つのヌクレオシド間連結は、ホスホロチオエート連結である。例えば、いくつかの実施形態では、IL-34アンチセンスオリゴヌクレオチド配列のうち1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、1~5、1~10、1~14、1~15、1~16、1~19、5~10、5~14、5~15、5~19、10~14、10~15、または10~19のヌクレオシド間連結は、ホスホロチオエート連結である。いくつかの実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチド配列のヌクレオシド間連結はすべてホスホロチオエート連結である。
【0016】
本明細書に記載のIL-34アンチセンスオリゴヌクレオチドに含まれるヌクレオチドの数は、変動してもよい。例えば、いくつかの実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、長さ15~20、15~25、15~30、15~35、20~25、20~30、20~35、25~30、25~35、または30~35のヌクレオチドである。特定の実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、長さ15~25のヌクレオチドである。特定の実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、長さ20~25のヌクレオチドである。いくつかの実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、長さ15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、または35のヌクレオチドである。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、最大数のヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、IL-34アンチセンスオリゴヌクレオチドは、長さ15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30、または35以下のヌクレオチドである。
【0017】
一実施形態では、本明細書には、配列番号1~23のいずれか1つのアンチセンスオリゴヌクレオチド、またはその薬学的に許容可能な塩を含む化合物が提供される。例えば、いくつかの実施形態では、化合物は配列番号3のアンチセンスオリゴヌクレオチドを含み、配列中、少なくとも1つのシチジンは化学修飾される。いくつかの実施形態では、化合物は配列番号7のアンチセンスオリゴヌクレオチドを含み、配列中、Xは5-メチルシチジンである。
【0018】
本明細書に記載の実施形態では、IL-34アンチセンスオリゴヌクレオチド、例えば配列番号1~15のいずれか1つのIL-34アンチセンスオリゴヌクレオチド、またはその薬学的に許容可能な塩のヌクレオシドは、化学修飾ヌクレオシドで置換されてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、IL-34アンチセンスオリゴヌクレオチドの1つ以上のシチジンは、5-メチルシチジンと置き換えられる。いくつかの実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、1つ以上の修飾ヌクレオチド、例えば5-メチル-2’-デオキシシチジンを含む。例えば、様々な実施形態では、本開示のIL-34アンチセンスオリゴヌクレオチドは、5-メチル-2’-デオキシシチジン、5’-モノホスフェート、5-メチル-2’-デオキシシチジン-5’-モノホスホロチオエートを含むがこれらに限定されないデオキシシチジンおよび/または5-メチル-2’-デオキシシチジンを含むヌクレオチドを含むか、またはこれらを含んでもよい。例えば、本明細書に記載の実施形態では、配列番号1~15のいずれか1つのIL-34アンチセンスオリゴヌクレオチド、またはその薬学的に許容可能な塩の1つ以上のシチジンヌクレオシドは、それぞれ5-メチルシチジンで置換されてもよい。いくつかの特定の実施形態では、本明細書に記載のIL-34アンチセンスオリゴヌクレオチドの1つのシチジンヌクレオシドは、5-メチルシチジンで置換される。
【0019】
また本明細書には、IL-34アンチセンスオリゴヌクレオチドが必要とする患者に投与される処置方法も記載される。例えば、本明細書には、炎症性疾患を処置する方法であって、本明細書に記載のIL-34アンチセンスオリゴヌクレオチド、例えば配列番号1~23のいずれか1つのIL-34アンチセンスオリゴヌクレオチドを有効量で、必要とする患者に投与する工程を含む方法が、記載される。また本明細書には、炎症性疾患を患う患者の細胞中の炎症性サイトカイン産生を阻害する方法であって、本明細書に記載のIL-34アンチセンスオリゴヌクレオチド、例えば配列番号1~15のいずれか1つのIL-34アンチセンスオリゴヌクレオチドを有効量で投与する工程を含む方法も、記載される。
【0020】
また本明細書には、炎症性疾患を患う患者の細胞中のIL-34媒介型炎症反応を低減または阻害する方法であって、本明細書に記載のIL-34アンチセンスオリゴヌクレオチド、例えば配列番号1~15のいずれか1つのIL-34アンチセンスオリゴヌクレオチドを有効量で投与する工程を含む方法も、記載される。また本明細書には、必要とする患者のIL-34発現の改質に関連する炎症性疾患を処置方法であって、IL-34アンチセンスオリゴヌクレオチドを有効量で投与する工程を含む方法も、記載される。例えば、本明細書には、必要とする患者のIL-34発現の増加に関連する炎症性疾患を処置する方法であって、配列番号1~23のいずれか1つのIL-34アンチセンスオリゴヌクレオチド、またはその薬学的に許容可能な塩を有効量で投与する工程を含む方法も、記載される。IL-34発現の増加は、IL-34発現の調節値、例えば、健康な対照患者またはその集団で測定される平均または中央値のIL-34、あるいはIL-34発現の増加に関連する疾患の発症または検出前の患者で測定されるIL-34値に相関する場合がある。
【0021】
また本明細書には、必要とする患者のIL-34発現の改質に関連する炎症性疾患を処置する方法であって、IL-34アンチセンスオリゴヌクレオチド、例えば配列番号1~23のいずれか1つに記載のIL-34アンチセンスオリゴヌクレオチド、またはその薬学的に許容可能な塩を有効量で投与する工程を含む方法も、記載される。
【0022】
また本明細書には、炎症性疾患を患う患者の細胞中のマクロファージコロニー刺激因子受容体(M-CSFR-1)シグナル伝達を阻害する方法であって、IL-34アンチセンスオリゴヌクレオチド、例えば配列番号1~23のいずれか1つのIL-34アンチセンスオリゴヌクレオチド、またはその薬学的に許容可能な塩を有効量で投与する工程を含む方法も、記載される。
【0023】
また本明細書には、炎症性疾患を患う患者の線維性狭窄を低減または排除する方法であって、本明細書に記載のIL-34アンチセンスオリゴヌクレオチド、例えば配列番号1~23のいずれか1つのIL-34アンチセンスオリゴヌクレオチド、またはその薬学的に許容可能な塩を有効量で投与する工程を含む方法も、記載される。いくつかの実施形態では、線維性狭窄は、腸、例えば大腸や小腸に存在する。特定の実施形態では、線維性狭窄は、大腸に存在する。いくつかの実施形態では、線維性狭窄は、大腸および/または小腸の1つ以上の部分、例えば盲腸、回腸、上行結腸、横行結腸、下行結腸、S状結腸、直腸、肛門、十二指腸、および/または空腸に存在する。
【0024】
本明細書に記載の方法は、炎症性腸疾患、関節リウマチ、乾癬、変形性関節症、糖尿病(I型およびII型)、組織もしくは臓器拒絶反応、多発性硬化症、歯周組織炎、歯根膜炎、色素性絨毛結節性滑膜炎、肝炎、副鼻腔炎、結腸癌、大腸癌、大腸炎関連型結腸癌、散在性大腸癌、冠動脈疾患、シェーグレン症候群(SS)、肥満症、慢性炎症、肺サルコイドーシス、皮膚病変、CNS炎症性疾患、自己免疫疾患を含むがこれらに限定されない1つ以上の炎症性疾患を処置するために使用されてもよい。いくつかの実施形態では、本発明の方法は、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、または特発性肺線維症(IPF)を処置するために使用されてもよい。いくつかの実施形態では、炎症性疾患は炎症性腸疾患である。いくつかの実施形態では、炎症性腸疾患は、クローン病、胃十二指腸クローン病、クローン(肉芽腫性)大腸炎、炎症性クローン病、線維狭窄性クローン病、潰瘍性大腸炎、コラーゲン蓄積大腸炎、リンパ球性大腸炎、虚血性大腸炎、空置大腸炎、ベーチェット病、顕微鏡的大腸炎、潰瘍性直腸炎、直腸S状結腸炎、空回腸炎、左側大腸炎、全結腸炎、回結腸炎、回腸炎、または非定型的大腸炎である。特定の実施形態では、炎症性腸疾患は、炎症性クローン病または線維狭窄性クローン病である。
【0025】
いくつかの実施形態では、IL-34アンチセンスオリゴヌクレオチドまたはその薬学的に許容可能な塩は、局所投与、非経口投与、経口投与、経肺投与、気管内投与、経鼻投与、経皮投与、または十二指腸内投与される。特定の実施形態では、IL-34アンチセンスオリゴヌクレオチドまたはその薬学的に許容可能な塩は、経口投与される。
【0026】
いくつかの実施形態では、処置を必要とする患者はヒトである。
【0027】
また本明細書には、本明細書に記載のIL-34アンチセンスオリゴヌクレオチド、例えば配列番号1~23のいずれか1つのIL-34アンチセンスオリゴヌクレオチド、またはその薬学的に許容可能な塩と、薬学的に許容可能な賦形剤とを含む薬学的に許容可能な組成物も、記載される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、局所投与、非経口投与、経口投与、経肺投与、気管内投与、経鼻投与、経皮投与、または十二指腸内投与に適している。
【0028】
また本明細書には、薬剤として使用するためのIL-34アンチセンスオリゴヌクレオチドも記載される。例えば、配列番号1~23のいずれか1つのIL-34アンチセンスオリゴヌクレオチドを、薬剤として使用することができる。
【0029】
また本明細書には、炎症性疾患の処置用の薬剤の製造における、IL-34アンチセンスオリゴヌクレオチド、例えば配列番号1~23のいずれか1つに記載のIL-34アンチセンスオリゴヌクレオチドの使用も記載される。いくつかの実施形態では、炎症性疾患は、炎症性腸疾患、関節リウマチ、乾癬、変形性関節症、糖尿病(I型およびII型)、組織もしくは臓器拒絶反応、多発性硬化症、歯周組織炎、歯根膜炎、色素性絨毛結節性滑膜炎、肝炎、副鼻腔炎、結腸癌、大腸癌、大腸炎関連型結腸癌、散在性大腸癌、冠動脈疾患、シェーグレン症候群(SS)、肥満症、慢性炎症、肺サルコイドーシス、皮膚病変、CNS炎症性疾患、または自己免疫疾患である。また本明細書には、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、または特発性肺線維症(IPF)の処置用の薬剤の製造における、IL-34アンチセンスオリゴヌクレオチドの使用も記載される。いくつかの実施形態では、炎症性疾患は炎症性腸疾患である。いくつかの実施形態では、炎症性腸疾患は、クローン病、炎症性クローン病、線維狭窄性クローン病、胃十二指腸クローン病、クローン(肉芽腫性)大腸炎、潰瘍性大腸炎、コラーゲン蓄積大腸炎、リンパ球性大腸炎、虚血性大腸炎、空置大腸炎、ベーチェット病、顕微鏡的大腸炎、潰瘍性直腸炎、直腸S状結腸炎、空回腸炎、左側大腸炎、全結腸炎、回結腸炎、回腸炎、または非定型的大腸炎である。いくつかの実施形態では、炎症性腸疾患は、炎症性クローン病または線維狭窄性クローン病である。
【0030】
また本明細書には、炎症性疾患の処置に使用するための、IL-34アンチセンスオリゴヌクレオチド、例えば配列番号1~23のいずれか1つに記載のIL-34アンチセンスオリゴヌクレオチドも記載される。いくつかの実施形態では、炎症性疾患は、炎症性腸疾患、関節リウマチ、乾癬、変形性関節症、糖尿病(I型およびII型)、組織もしくは臓器拒絶反応、多発性硬化症、歯周組織炎、歯根膜炎、色素性絨毛結節性滑膜炎、肝炎、副鼻腔炎、結腸癌、大腸癌、大腸炎関連型結腸癌、散在性大腸癌、冠動脈疾患、シェーグレン症候群(SS)、肥満症、慢性炎症、肺サルコイドーシス、皮膚病変、CNS炎症性疾患、または自己免疫疾患である。また本明細書には、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、または特発性肺線維症(IPF)の処置に使用するための、IL-34アンチセンスオリゴヌクレオチドも記載される。いくつかの実施形態では、炎症性疾患は炎症性腸疾患である。いくつかの実施形態では、炎症性腸疾患は、クローン病、炎症性クローン病、線維狭窄性クローン病、胃十二指腸クローン病、クローン(肉芽腫性)大腸炎、潰瘍性大腸炎、コラーゲン蓄積大腸炎、リンパ球性大腸炎、虚血性大腸炎、空置大腸炎、ベーチェット病、顕微鏡的大腸炎、潰瘍性直腸炎、直腸S状結腸炎、空回腸炎、左側大腸炎、全結腸炎、回結腸炎、回腸炎、または非定型的大腸炎である。いくつかの実施形態では、炎症性腸疾患は、炎症性クローン病または線維狭窄性クローン病である。
【0031】
また本明細書には、対象の細胞中のIL-34発現を阻害する方法であって、IL-34アンチセンスオリゴヌクレオチド、例えば配列番号1~23のいずれか1つのアンチセンスオリゴヌクレオチド、またはその薬学的に許容可能な塩を含む医薬調製物を薬学的に有効量で対象に投与する工程を含む方法も、記載される。また本明細書には、対象の細胞中の1つ以上のコラーゲンの発現を阻害する方法であって、IL-34アンチセンスオリゴヌクレオチド、例えば配列番号1~23のいずれか1つのアンチセンスオリゴヌクレオチド、またはその薬学的に許容可能な塩を含む医薬調製物を薬学的に有効量で対象に投与する工程を含む方法も、記載される。前述の方法のいくつかの実施形態では、細胞は、腸細胞、例えば腸間質細胞、腸上皮細胞、腸幹細胞、分泌細胞、エンテロサイト、杯状細胞、腸内分泌細胞、パネート細胞、TA細胞(transit amplifying cell)、小襞細胞、カップ細胞、またはタフト細胞である。いくつかの実施形態では、細胞は、腸の線維狭窄の一部を形成する。前述の実施形態では、対象は、炎症性疾患または線維症、例えば炎症性クローン病、線維狭窄性クローン病の処置を必要とする対象であってよい。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、対象の細胞中の1つ以上のコラーゲン、例えばI型コラーゲン、II型コラーゲン、III型コラーゲン、IV型コラーゲン、V型コラーゲン、VI型コラーゲン、VII型コラーゲン、VIII型コラーゲン、IX型コラーゲン、X型コラーゲン、XI型コラーゲン、XII型コラーゲン、XIII型コラーゲン、XIV型コラーゲン、XV型コラーゲン、XVI型コラーゲン、XVII型コラーゲン、XVIII型コラーゲン、XIX型コラーゲン、XX型コラーゲン、XXI型コラーゲン、XXII型コラーゲン、XXIII型コラーゲン、XXIV型コラーゲン、XXV型コラーゲン、XXVI型コラーゲン、XXVII型コラーゲン、XXVIII型コラーゲンまたはXXIX型コラーゲンの発現を阻害するために使用することができる。例えば、本明細書に記載の実施形態では、コラーゲンは、COL1A1、COL1A2II、COL2A1、COL3A1、COL4A1、COL4A2、COL4A3、COL4A4、COL4A5、COL4A6、COL5A1、COL5A2、COL5A3、COL6A1、COL6A2、COL6A3、COL6A5、COL7A1、COL8A1、COL8A2、COL9A1、COL9A2、COL9A3、COL10A1、COL11A1、COL11A2、COL12A1、COL13A1、COL14A1、COL15A1、COL16A1、COL17A1、COL18A1、COL19A1、COL20A1、COL21A1、COL22A1、COL23A1、COL24A1、COL25A1、EMID2、COL27A1、COL28A1、またはCOL29A1である。特定の実施形態では、コラーゲンは、COL1A1(コラーゲン1A)、COL3A1(コラーゲン3A)、またはそれらの混合物である。特定の実施形態では、医薬調製物は経口投与されてよい。特定の実施形態では、上記対象はヒトである。
【0032】
様々な実施形態では、本発明は、線維症、例えば腸線維症、肺線維症、もしくは肝線維症を処置または予防する、あるいはコラーゲン堆積を防止する方法であって、線維症を患う患者のIL-34を阻害する工程を含む方法である。本発明はまた、線維症を処置または予防、あるいはコラーゲン堆積を防止する方法の場合もあり、この方法は、細胞、例えば腸細胞のIL-34を阻害する工程を含む。いくつかの実施形態では、本発明は、患者の線維症を処置または予防、あるいはコラーゲン堆積を防止する方法の場合もあり、この方法は、IL-34の特定の阻害剤、例えばIL-34アンチセンスオリゴヌクレオチド、例えば配列番号1~23のいずれか1つのヌクレオチド配列を含むIL-34アンチセンスオリゴヌクレオチド、またはその薬学的に許容可能な塩を有効量で患者に投与する工程を含む。
【0033】
本明細書にはまた、線維症の処置用の薬剤の製造におけるIL-34アンチセンスオリゴヌクレオチドの使用も記載される。いくつかの実施形態では、線維症は腸線維症である。いくつかの実施形態では、線維症は肺線維症である。他の実施形態では、線維症は、腎線維症、心線維症、心内膜心筋線維症、骨髄線維症、後腹膜線維症、または腎形成性全身性線維症である。
【0034】
また本明細書には、線維症の処置に使用するためのIL-34アンチセンスオリゴヌクレオチドも記載される。いくつかの実施形態では、線維症は腸線維症である。いくつかの実施形態では、線維症は肺線維症である。他の実施形態では、線維症は、腎線維症、心線維症、心内膜心筋線維症、骨髄線維症、後腹膜線維症、または腎形成性全身性線維症である。
【0035】
いくつかの実施形態では、線維症、例えば腸線維症を患う患者は、以前に炎症性腸疾患を患ったか、または現在炎症性腸疾患を患っており、あるいは炎症性腸疾患は、患者において腸線維症より先立っていた。いくつかの実施形態では、炎症性腸疾患は、炎症性クローン病または線維狭窄性クローン病である。
【0036】
いくつかの実施形態では、腸線維症を患う患者は、以前に大腸炎を患っているか、または現在大腸炎を患っており、あるいは大腸炎は、腸線維症より先に患者に生じている。いくつかの実施形態では、大腸炎は急性大腸炎である。いくつかの実施形態では、大腸炎は慢性大腸炎である。
【0037】
本発明のいくつかの実施形態では、患者は哺乳動物、例えば霊長類、例えばヒトである。
【0038】
本明細書に記載の本発明の方法において線維症患者に投与されるIL-34アンチセンスオリゴヌクレオチドは、様々な投与経路により投与可能であることが理解されることとなる。様々な実施形態では、IL-34アンチセンスオリゴヌクレオチドは、経口、局所、非経口を含む1または複数の経路により、例えば皮下注射、吸入スプレー、直腸により投与可能である。非経口という用語は、本明細書で使用するとき、皮下注射、膵臓内投与、および静脈内、筋肉内、腹腔内、胸骨内の注射または注入の技法を含む。好ましい実施形態では、IL-34アンチセンスオリゴヌクレオチドは、線維症、例えば腸線維症や肺線維症の患者に経口投与可能である。
【0039】
本発明は、分解のためにIL-34 RNAを標的とする、RNAスプライシングを妨げる、あるいはIL-34遺伝子発現またはタンパク質翻訳を防止することが可能なIL-34アンチセンスオリゴヌクレオチドの投与を含む方法を提供することができる。本発明のIL-34アンチセンスオリゴヌクレオチドは、結合のためにマウスおよび/またはヒトIL-34 mRNAの様々な領域を標的とする場合がある。NCBI参照配列の配列;NM_001172771.1(配列番号24)、NM_001172772.1(配列番号25)、またはNM_152456.2(配列番号26)は、ヒトIL-34 mRNA配列である。NCBI参照配列:NM_001135100.2(配列番号27)またはNM_029646.3(配列番号28)は、マウスIL-34 mRNA配列である。
【0040】
IL-34アンチセンスオリゴヌクレオチドの配列は、IL-34 RNAを標的とすることが可能な複数の配列から選択されてよい。本発明のいくつかの実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、アンチセンスオリゴヌクレオチドホスホロチオエート、すなわち、ヌクレオチド間連結の少なくとも一部が、患者の細胞への送達に適したホスホロチオエート連結であるオリゴヌクレオチドである。加えて、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、修飾ヌクレオチド、例えば修飾塩基を含有するヌクレオチド、例えば5-メチル-2’-デオキシシチジンを含む場合がある。
【0041】
本発明のいくつかの実施形態では、線維症、例えば腸線維症を処置する、腸線維症もしくは肺線維症を予防する、または患者のコラーゲン堆積を防止する方法は、医薬組成物、例えば、IL-34の特異的な阻害剤、例えばIL-34アンチセンスオリゴヌクレオチドと薬学的に許容可能な賦形剤とを含む医薬組成物を投与する工程を含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は非経口投与される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は経口投与される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、腸溶コーティング、例えばアクリル酸エチル-メタクリル酸コポリマーを含む腸溶コーティングを含む。
【0042】
本発明の実施形態では、炎症性疾患(例えば炎症性クローン病や線維狭窄性クローン病)を処置および/もしくは予防する、患者(例えば線維狭窄性クローン病を患う患者)の線維性狭窄を処置、低減、および/もしくは排除する、線維症(例えば腸線維症や肺線維症)を処置する、または患者のコラーゲン堆積を処置、改善、もしくは予防する方法は、IL-34アンチセンスオリゴヌクレオチドまたはその薬学的に許容可能な塩、あるいはIL-34アンチセンスオリゴヌクレオチド、例えば配列番号1~23のいずれか1つの配列を含むIL-34アンチセンスオリゴヌクレオチドまたはその薬学的に許容可能な塩を含む医薬組成物を様々な量で投与する工程を含む。いくつかの実施形態では、本発明の方法は、アンチセンスオリゴヌクレオチドを少なくとも1μg、少なくとも5μg、少なくとも10μg、少なくとも20μg、少なくとも30μg、少なくとも40μg、少なくとも50μg、少なくとも60μg、少なくとも70μg、少なくとも80μg、少なくとも90μg、または少なくとも100μg投与する工程を含む。いくつかの実施形態では、本発明の方法は、IL-34アンチセンスオリゴヌクレオチドまたはこれを含む医薬組成物を、35mg~500mg、1mg~10mg、10mg~20mg、20mg~30mg、30mg~40mg、40mg~50mg、50mg~60mg、60mg~70mg、70mg~80mg、80mg~90mg、90mg~100mg、100mg~150mg、150mg~200mg、200mg~250mg、250mg~300mg、300mg~350mg、350mg~400mg、400mg~450mg、450mg~500mg、500mg~600mg、600mg~700mg、700mg~800mg、800mg~900mg、900mg~1g、1mg~50mg、20mg~40mg、または1mg~500mg投与する工程を含む。
【0043】
本明細書にはまた、肝線維性、肺線維症、もしくは腸線維症を予防または処置する方法であって、IL-34阻害剤、例えば本明細書に開示されるIL-34アンチセンスオリゴヌクレオチドなどのIL-34アンチセンスオリゴヌクレオチドを含む医薬組成物を、必要とする患者に投与する工程を含む方法も、提供される。また、腎線維症、心線維症、心内膜心筋線維症、特発性肺線維症、骨髄線維症、後腹膜線維症、および/もしくは腎形成性全身性線維症を予防または処置する方法であって、本明細書に開示されるIL-34アンチセンスオリゴヌクレオチドなどのIL-34アンチセンスオリゴヌクレオチドを含む医薬組成物を、必要とする患者に投与する工程を含む方法も、提供される。
【0044】
さらに本明細書には、IL-34小型ヘアピンRNA(shRNA)、IL-34小型干渉RNA(siRNA)、IL-34モルホリノオリゴマー、およびIL-34マイクロRNA(miRNA)を含むがこれらに限定されないヌクレオチドベースのIL-34阻害剤、ならびにこのような化合物を含む組成物も、記載される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のIL-34阻害剤は、配列番号1~23のいずれか1つのヌクレオチド配列、またはその薬学的に許容可能な塩を含んでよい。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のIL-34阻害剤は、配列番号1~8のいずれか1つのヌクレオチド配列、またはその薬学的に許容可能な塩を含んでよい。例えば、IL-34阻害剤は、配列番号1~23のいずれか1つのヌクレオチド配列、例えば配列番号1~8のいずれか1つのヌクレオチド配列を含むIL-34小型ヘアピンRNA、IL-34小型干渉RNA、IL-34マイクロRNA、およびIL-34モルホリノオリゴマー、ならびにこのような化合物を含む組成物、例えば薬学的に許容可能な賦形剤を含む組成物を含む。
【0045】
本明細書に記載の特定の実施形態では、IL-34阻害剤は、配列番号1~23のいずれか1つのヌクレオチド配列、例えば配列番号1~8のいずれか1つのヌクレオチド配列を含むIL-34 siRNAまたはその薬学的に許容可能な塩である。例えば、本発明のIL-34 siRNAは、以下の配列:5’-CTCACCAAGACCCACAG-3’(配列番号1)、5’-GGCTTTGGGCCGCACCAGCT-3’(配列番号2)、5’-CTTTGGGCCGCACCAGCTTC-3’(配列番号3)、5’-TGGGCCGCACCAGCTTCAGG-3’(配列番号4)、5’-TCCATGACCCGGAAGCAGTT-3’(配列番号5)、5’-TGTTTCATGTACTGAAG-3’(配列番号6)、5’-CTTTGGGCXGCACCAGCTTC-3’(配列番号7)(配列中、Xは5-メチルシチジンである)、または5’-TCCATGACCXGGAAGCAGTT-3’(配列番号8)(配列中、Xは5-メチルシチジンである)を含むsiRNA、あるいは配列番号1~8のうち1つのIL-34 siRNAの薬学的に許容可能な塩であってよい。
【0046】
また本明細書には、配列番号1~23のいずれか1つのIL-34 siRNA、例えば配列番号1~8のいずれか1つのヌクレオチド配列のsiRNA、またはその薬学的に許容可能な塩と、薬学的に許容可能な賦形剤とを含む医薬組成物も記載される。
【0047】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のIL-34阻害剤、例えば本明細書に記載のIL-34 siRNAは、1つ以上の修飾されたヌクレオシド間連結を含む。例えば、いくつかの実施形態では、IL-34阻害剤は、配列の少なくとも1つのヌクレオシド間連結が、ホスホロチオエート連結、ホスホロジチオエート連結、ホスホトリエステル連結、アルキルホスホネート連結、アミノアルキルホスホトリエステル連結、アルキレンホスホネート連結、ホスフィネート連結、ホスホラミデート連結、アミノアルキルホスホラミデート連結、チオホスホラミデート連結、チオノアルキルホスホネート連結、チオノアルキルホスホトリエステル連結、チオホスフェート連結、セレノホスフェート連結、またはボラノホスフェート連結であるIL-34 siRNAである。特定の実施形態では、IL-34阻害剤配列の少なくとも1つのヌクレオシド間連結は、ホスホロチオエート連結である。例えば、いくつかの実施形態では、IL-34阻害剤配列のうち1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、1~5、1~10、1~14、1~15、1~16、1~19、5~10、5~14、5~15、5~19、10~14、10~15、または10~19のヌクレオシド間連結は、ホスホロチオエート連結である。いくつかの実施形態では、IL-34阻害剤配列のヌクレオシド間連結はすべてホスホロチオエート連結である。
【0048】
本明細書に記載のIL-34阻害剤に含まれるヌクレオチドの数は、変動してもよい。例えば、いくつかの実施形態では、IL-34 siRNAは、長さ20~25、20~30、または25~30のヌクレオチドである。いくつかの実施形態では、IL-34 siRNAは、長さ19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30のヌクレオチドである。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のIL-34 siRNAは、最大数のヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、IL-34 siRNAは、長さ19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30以下のヌクレオチドである。
【0049】
本明細書に記載の実施形態では、IL-34阻害剤、例えば配列番号1~23のいずれか1つのIL-34 siRNA、例えば配列番号1~8のいずれか1つのヌクレオチド配列のIL-34 siRNAは、化学修飾ヌクレオシドで置換されてよい。例えば、いくつかの実施形態では、IL-34 siRNAの1つ以上のシチジンは、5-メチルシチジンと置き換えられる。いくつかの実施形態では、IL-34 siRNAは、1つ以上の修飾ヌクレオチド、例えば5-メチル-2’-デオキシシチジンを含む。例えば、様々な実施形態では、本開示のIL-34 siRNAは、5-メチル-2’-デオキシシチジン、5’-モノホスフェート、5-メチル-2’-デオキシシチジン-5’-モノホスホロチオエートを含むがこれらに限定されないデオキシシチジンおよび/または5-メチル-2’-デオキシシチジンを含むヌクレオチドを含むか、またはこれらを含んでもよい。例えば、本明細書に記載の実施形態では、配列番号1~15のいずれか1つのIL-34 siRNA、またはその薬学的に許容可能な塩の1つ以上のシチジンヌクレオシドは、それぞれ5-メチルシチジンで置換されてもよい。
【0050】
加えて、本明細書に記載の実施形態では、IL-34阻害剤、例えば本明細書に記載のIL-34 siRNAは、化学修飾ヌクレオシド、例えば2’-Oメチル(「2’-OMe」)リボヌクレオシド、例えば2’-O-メチルシチジン、2’-O-メチルグアノシン、2’-O-メチルチミジン、2’-O-メチルウリジン、および/または2’-O-メチルアデノシンを含んでよい。本明細書に記載のIL-34阻害剤は、5-メチルピリミジン、例えば5-メチルシチジン、および/または5-メチルプリン、例えば5-メチルグアニンを含む1つ以上の化学修飾塩基も含んでよい。本明細書に記載のIL-34阻害剤は、以下の化学修飾ヌクレオシド:5-メチル-2’-O-メチルシチジン、5-メチル-2’-O-メチルチミジン、5-メチルシチジン、5-メチルウリジン、および/または5-メチル-2’-デオキシシチジンのうちいずれかも含んでよい。加えて、本明細書に記載のIL-34阻害剤は、1つ以上の2’-O-(2-メトキシエチル)(「2’-MOE」)ヌクレオシド、2’-デオキシ-2’-フルオロヌクレオシド、2’-フルオロ-β-D-アラビノヌクレオシド、架橋核酸、LNAヌクレオチド、拘束エチル(cET)核酸、トリシクロ-DNA(tcDNA)、2’-O,4’-C-エチレン連結核酸(ENA)、および/またはペプチド核酸(PNA)を含んでよい。本明細書に記載の実施形態は、前述の化学修飾ヌクレオシドのいずれか1つ以上を含む配列番号1~23のいずれかのIL-34阻害剤、またはその薬学的に許容可能な塩を含む。特定の実施形態では、IL-34 siRNAまたはその薬学的に許容可能な塩は、前述の化学修飾ヌクレオシドのいずれか1つ以上を含むよう修飾される、配列番号1~23のいずれかの配列を含む。
【0051】
いくつかの実施形態では、本開示は、炎症性疾患を処置する方法、炎症性疾患を患う患者の細胞中の炎症性サイトカイン産生を阻害する方法、炎症性疾患を患う患者の1つ以上の細胞中のIL-34媒介型炎症反応を低減もしくは阻害する方法、必要とする患者のIL-34発現の改質に関連する炎症性疾患を処置する方法、炎症性疾患を患う患者の1つ以上の細胞中のIL-34媒介型M-CSFR-1シグナル伝達を阻害する方法、線維症を予防もしくは処置する方法、腸線維症を予防もしくは処置する方法、および/または炎症性疾患を患う患者の線維性狭窄を低減もしくは排除する方法であって、本明細書に記載のIL-34阻害剤、例えばIL-34 siRNAを投与する工程を含む方法を提供する。前述の方法は、必要とする患者に、IL-34阻害剤(例えば、配列番号1~23、例えば配列番号1~8のいずれかのIL-34小型ヘアピンRNA、IL-34小型干渉RNA、IL-34マイクロRNA、もしくはIL-34モルホリノオリゴマー、またはかかるIL-34阻害剤を含む組成物)、またはその薬学的に許容可能な塩を有効量で投与する工程を含んでよい。例えば、前述の方法は、必要とする患者に、配列番号1~23、例えば配列番号1~8のいずれかのIL-34 siRNA、またはかかるIL-34 siRNAもしくはその薬学的に許容可能な塩を含む組成物を有効量で投与する工程を含んでよい。いくつかの実施形態では、炎症性疾患は、炎症性腸疾患、例えば炎症性クローン病、線維狭窄性クローン病である。
【0052】
また本明細書には、対象の細胞中のIL-34発現を阻害するか、対象の細胞中の1つ以上のコラーゲンの発現を阻害する方法であって、IL-34阻害剤、例えば本明細書に記載のIL-34 siRNAを投与する工程を含む方法も開示される。例えば、前述の方法は、IL-34阻害剤(例えば、配列番号1~23、例えば配列番号1~8のいずれかのIL-34小型ヘアピンRNA、IL-34小型干渉RNA、IL-34マイクロRNA、もしくはIL-34モルホリノオリゴマー、またはかかるIL-34阻害剤を含む組成物)、またはその薬学的に許容可能な塩を含む医薬調製物を、薬学的に有効量で対象に投与する工程を含んでよい。例えば、前述の方法は、配列番号1~23、例えば配列番号1~8のいずれか1つのIL-34 siRNA、またはかかるIL-34 siRNAもしくはその薬学的に許容可能な塩を含む組成物を含む医薬調製物を、薬学的に有効量で対象に投与する工程を含んでよい。前述の方法のいくつかの実施形態では、対象は、炎症性クローン病または線維狭窄性クローン病の処置を必要とする。
【0053】
また本明細書には、IL-34 siRNAが必要とする患者に投与される処置方法も記載される。例えば、本明細書には、炎症性疾患を処置する方法であって、配列番号1~8のいずれか1つのIL-34 siRNAを有効量で、必要とする患者に投与する工程を含む方法が、記載される。また本明細書には、炎症性疾患を患う患者の細胞中の炎症性サイトカイン産生を阻害する方法であって、配列番号1~8のいずれか1つのIL-34 siRNAを有効量で投与する工程を含む方法も、記載される。
【0054】
また本明細書には、炎症性疾患を患う患者の細胞中のIL-34媒介型炎症反応を低減または阻害する方法であって、配列番号1~15のいずれか1つのIL-34 siRNAを有効量で投与する工程を含む方法も、記載される。また本明細書には、必要とする患者のIL-34発現の改質に関連する炎症性疾患を処置方法であって、IL-34 siRNAを有効量で投与する工程を含む方法も、記載される。例えば、本明細書には、必要とする患者のIL-34発現の増加に関連する炎症性疾患を処置する方法であって、配列番号1~8のいずれか1つのIL-34 siRNA、またはその薬学的に許容可能な塩を有効量で投与する工程を含む方法も、記載される。IL-34発現の増加は、IL-34発現の調節値、例えば、健康な対照患者またはその集団で測定される平均または中央値のIL-34、あるいはIL-34発現の増加に関連する疾患の発症または検出前の患者で測定されるIL-34値に相関する場合がある。
【0055】
また本明細書には、必要とする患者のIL-34発現の改質に関連する炎症性疾患を処置する方法であって、配列番号1~8のいずれか1つのIL-34 siRNA、またはその薬学的に許容可能な塩を有効量で投与する工程を含む方法も、記載される。
【0056】
また本明細書には、炎症性疾患を患う患者の細胞中のIL-34媒介型M-CSFR-1シグナル伝達を阻害する方法であって、配列番号1~8のいずれか1つのIL-34 siRNA、またはその薬学的に許容可能な塩を有効量で投与する工程を含む方法も、記載される。
【0057】
また本明細書には、炎症性疾患を患う患者の線維性狭窄を低減または排除する方法であって、配列番号1~8のいずれか1つのIL-34 siRNA、またはその薬学的に許容可能な塩を有効量で投与する工程を含む方法も、記載される。いくつかの実施形態では、線維性狭窄は、腸、例えば大腸や小腸に存在する。特定の実施形態では、線維性狭窄は、大腸に存在する。いくつかの実施形態では、線維性狭窄は、大腸および/または小腸の1つ以上の部分、例えば盲腸、回腸、上行結腸、横行結腸、下行結腸、S状結腸、直腸、肛門、十二指腸、および/または空腸に存在する。
【0058】
いくつかの実施形態では、IL-34阻害剤、例えばIL-34 siRNAは、局所投与、非経口投与、経口投与、経肺投与、気管内投与、経鼻投与、経皮投与、または十二指腸内投与される。特定の実施形態では、IL-siRNAまたはその薬学的に許容可能な塩は、経口投与される。
【0059】
また本明細書には、本明細書に記載のIL-34阻害剤、例えば配列番号1~8のいずれか1つのIL-34 siRNAまたはその薬学的に許容可能な塩と、薬学的に許容可能な賦形剤とを含む薬学的に許容可能な組成物も、記載される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、局所投与、非経口投与、経口投与、経肺投与、気管内投与、経鼻投与、経皮投与、または十二指腸内投与に適している。
【0060】
また本明細書には、薬剤として使用するためのIL-34阻害剤、例えばIL-34 siRNAも記載される。例えば、配列番号1~8のいずれか1つのIL-34 siRNAを、薬剤として使用することができる。
【0061】
また本明細書には、炎症性疾患の処置用の薬剤の製造における、IL-34阻害剤、例えば配列番号1~8のいずれか1つに記載のIL-34 siRNAの使用も記載される。また本明細書には、炎症性疾患の処置に使用するための、IL-34阻害剤、例えば配列番号1~8のいずれか1つに記載のIL-34 siRNAも記載される。いくつかの実施形態では、炎症性疾患は、炎症性腸疾患、関節リウマチ、乾癬、変形性関節症、糖尿病(I型およびII型)、組織もしくは臓器拒絶反応、多発性硬化症、歯周組織炎、歯根膜炎、色素性絨毛結節性滑膜炎、肝炎、副鼻腔炎、結腸癌、大腸癌、大腸炎関連型結腸癌、散在性大腸癌、冠動脈疾患、シェーグレン症候群(SS)、肥満症、慢性炎症、肺サルコイドーシス、皮膚病変、CNS炎症性疾患、または自己免疫疾患である。また本明細書には、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、または特発性肺線維症(IPF)の処置用の薬剤の製造における、IL-34アンチセンスオリゴヌクレオチドの使用も記載される。いくつかの実施形態では、炎症性疾患は炎症性腸疾患である。いくつかの実施形態では、炎症性腸疾患は、クローン病、炎症性クローン病、線維狭窄性クローン病、胃十二指腸クローン病、クローン(肉芽腫性)大腸炎、潰瘍性大腸炎、コラーゲン蓄積大腸炎、リンパ球性大腸炎、虚血性大腸炎、空置大腸炎、ベーチェット病、顕微鏡的大腸炎、潰瘍性直腸炎、直腸S状結腸炎、空回腸炎、左側大腸炎、全結腸炎、回結腸炎、回腸炎、または非定型的大腸炎である。いくつかの実施形態では、炎症性腸疾患は、炎症性クローン病または線維狭窄性クローン病である。
【0062】
また本明細書には、対象の細胞中のIL-34発現を阻害する方法であって、IL-34阻害剤、例えば配列番号1~8のいずれか1つのIL-34 siRNA、またはその薬学的に許容可能な塩を含む医薬調製物を薬学的に有効量で対象に投与する工程を含む方法も、記載される。また本明細書には、対象の細胞中の1つ以上のコラーゲンの発現を阻害する方法であって、IL-34阻害剤、例えば配列番号1~8のいずれか1つのIL-34 siRNA、またはその薬学的に許容可能な塩を含む医薬調製物を薬学的に有効量で対象に投与する工程を含む方法も、記載される。前述の方法のいくつかの実施形態では、細胞は、腸細胞、例えば腸間質細胞、腸上皮細胞、腸幹細胞、分泌細胞、エンテロサイト、杯状細胞、腸内分泌細胞、パネート細胞、TA細胞、小襞細胞、カップ細胞、またはタフト細胞である。いくつかの実施形態では、細胞は、腸の線維狭窄の一部を形成する。前述の実施形態では、対象は、炎症性疾患または線維症、例えば炎症性クローン病、線維狭窄性クローン病の処置を必要とする対象であってよい。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、対象の細胞中の1つ以上のコラーゲンの発現を阻害するために使用されてよい。特定の実施形態では、医薬調製物は経口投与されてよい。特定の実施形態では、上記対象はヒトである。
【0063】
いくつかの実施形態では、本発明は、患者の線維症を処置または予防、あるいはコラーゲン堆積を防止する方法の場合もあり、この方法は、IL-34の特定の阻害剤、例えば配列番号1~8のいずれか1つのIL-34 siRNA、または薬学的に許容可能な塩を有効量で患者に投与する工程を含む。
【0064】
また本明細書には、線維症の処置用の薬剤の製造におけるIL-34阻害剤、例えばIL-34 siRNAの使用も記載される。いくつかの実施形態では、線維症は腸線維症である。いくつかの実施形態では、線維症は肺線維症である。他の実施形態では、線維症は、腎線維症、心線維症、心内膜心筋線維症、骨髄線維症、後腹膜線維症、または腎形成性全身性線維症である。
【0065】
また本明細書には、線維症の処置に使用するためのIL-34阻害剤、例えばIL-34 siRNAも記載される。いくつかの実施形態では、線維症は腸線維症である。いくつかの実施形態では、線維症は肺線維症である。他の実施形態では、線維症は、腎線維症、心線維症、心内膜心筋線維症、骨髄線維症、後腹膜線維症、または腎形成性全身性線維症である。
【0066】
様々な実施形態では、IL-34阻害剤、例えばIL-34 siRNAは、経口、局所、非経口を含む1または複数の経路により、例えば皮下注射、吸入スプレー、直腸により投与可能である。好ましい実施形態では、IL-34阻害剤は、線維症、例えば腸線維症や肺線維症の患者に経口投与可能である。
【0067】
本発明は、分解のためにIL-34 RNAを標的とする、RNAスプライシングを妨げる、あるいはIL-34遺伝子発現またはタンパク質翻訳を防止することが可能なIL-34阻害剤の投与を含む方法を提供することができる。本発明のIL-34 siRNAを含む本発明のIL-34阻害剤は、結合のためにマウスおよび/またはヒトIL-34 mRNAの様々な領域を標的とすることができる。
【0068】
本発明のいくつかの実施形態では、線維症、例えば腸線維症を処置する、腸線維症もしくは肺線維症を予防する、または患者のコラーゲン堆積を防止する方法は、医薬組成物、例えば、IL-34の特異的な阻害剤、例えばIL-34 siRNAと薬学的に許容可能な賦形剤とを含む医薬組成物を投与する工程を含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は非経口投与される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は経口投与される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、腸溶コーティング、例えばアクリル酸エチル-メタクリル酸コポリマーを含む腸溶コーティングを含む。
【0069】
本発明の実施形態では、炎症性疾患(例えば炎症性クローン病や線維狭窄性クローン病)を処置および/もしくは予防する、患者(例えば線維狭窄性クローン病を患う患者)の線維性狭窄を処置、低減、および/もしくは排除する、線維症(例えば腸線維症や肺線維症)を処置する、線維症(例えば腸線維症や肺線維症)を予防する、または患者のコラーゲン堆積を処置、改善、もしくは予防する方法は、IL-34阻害剤、例えばIL-34 siRNAまたはその薬学的に許容可能な塩、あるいはIL-34阻害剤、例えば配列番号1~8のいずれか1つのIL-34 siRNAまたはその薬学的に許容可能な塩を含む医薬組成物を様々な量で投与する工程を含む。いくつかの実施形態では、本発明の方法は、IL-34阻害剤を少なくとも1μg、少なくとも5μg、少なくとも10μg、少なくとも20μg、少なくとも30μg、少なくとも40μg、少なくとも50μg、少なくとも60μg、少なくとも70μg、少なくとも80μg、少なくとも90μg、または少なくとも100μg投与する工程を含む。いくつかの実施形態では、本発明の方法は、IL-34阻害剤またはこれを含む医薬組成物を、35mg~500mg、1mg~10mg、10mg~20mg、20mg~30mg、30mg~40mg、40mg~50mg、50mg~60mg、60mg~70mg、70mg~80mg、80mg~90mg、90mg~100mg、100mg~150mg、150mg~200mg、200mg~250mg、250mg~300mg、300mg~350mg、350mg~400mg、400mg~450mg、450mg~500mg、500mg~600mg、600mg~700mg、700mg~800mg、800mg~900mg、900mg~1g、1mg~50mg、20mg~40mg、または1mg~500mg投与する工程を含む
【0070】
本明細書にはまた、肝線維性、肺線維症、もしくは腸線維症を予防または処置する方法であって、IL-34阻害剤、例えば本明細書に開示されるIL-34 siRNAを含む医薬組成物を、必要とする患者に投与する工程を含む方法も、提供される。また、腎線維症、心線維症、心内膜心筋線維症、特発性肺線維症、骨髄線維症、後腹膜線維症、および/もしくは腎形成性全身性線維症を予防または処置する方法であって、本明細書に開示されるIL-34 siRNAなどのIL-34阻害剤を含む医薬組成物を、必要とする患者に投与する工程を含む方法も、提供される。
【図面の簡単な説明】
【0071】
図1】DLD-1細胞、HT-29細胞、HCT-116細胞、およびNCM-460細胞における正規化されたIL-34 mRNA発現レベルを示すグラフである。
図2A】スクランブルされた陰性対照オリゴヌクレオチド(Src AS)または配列番号1、2、3、もしくは4のIL-34アンチセンスオリゴヌクレオチド(それぞれAS34New1、AS34New2、AS34New3、AS34New4)で24時間トランスフェクトされたHT-29細胞における正規化されたIL-34 mRNA発現を示すグラフである。
図2B】SrcAS対照またはIL-34アンチセンスオリゴヌクレオチドAS34New1もしくはAS34New3でトランスフェクトされたHT-29細胞から得た抽出物のウェスタンブロットを示す図である。ウェスタンブロットはIL-34(上部)またはβ-アクチン(下部)についてプロービングされた。
図2C】SrcAS対照またはIL-34アンチセンスオリゴヌクレオチドAS34New1、AS34New3、もしくはAS34New4でトランスフェクトされたRAW264.7細胞から得た抽出物のウェスタンブロットを示す図である。ウェスタンブロットはIL-34(上部)またはβ-アクチン(下部)についてプロービングされた。
図3A】SrcAS対照またはIL-34アンチセンスオリゴヌクレオチドAS34New1もしくはAS34New3でトランスフェクトされた線維狭窄性クローン病(FS CD)線維芽細胞を培養したものから得た抽出物のウェスタンブロットを示す図である。ウェスタンブロットはIL-34(上部)またはβ-アクチン(下部)についてプロービングされた。
図3B】SrcAS対照またはIL-34アンチセンスオリゴヌクレオチドAS34New3でトランスフェクトされた癌関連線維芽細胞から得た抽出物のウェスタンブロットを示す図である。ウェスタンブロットはIL-34(上部)またはβ-アクチン(下部)についてプロービングされた。
図4A】スクランブルされた2つの対照アンチセンスオリゴヌクレオチド(ControlASNew-1-PSまたはControlASNew-3-PS)のうち1つ、または配列番号1、3、もしくは7のIL-34アンチセンスオリゴヌクレオチド(それぞれNew1-PS、New-3-PS、New-3-PS-MEC)でトランスフェクトされたHT-29細胞から得た抽出物のウェスタンブロットを示す図である。ウェスタンブロットはIL-34(上部)またはβ-アクチン(下部)についてプロービングされた。
図4B】スクランブルされた2つの対照アンチセンスオリゴヌクレオチド(ControlASNew-1-PSまたはControlASNew-3-PS)のうち1つ、または配列番号1、3、もしくは7のIL-34アンチセンスオリゴヌクレオチド(それぞれNew1-PS、New-3-PS、New-3-PS-MEC)でトランスフェクトされたRAW264.7細胞から得た抽出物のウェスタンブロットを示す図である。ウェスタンブロットはIL-34(上部)またはβ-アクチン(下部)についてプロービングされた。
図4C】スクランブルされた2つの対照アンチセンスオリゴヌクレオチド(ControlASNew-1-PSまたはControlASNew-3-PS)のうち1つ、または配列番号1、3、もしくは7のIL-34アンチセンスオリゴヌクレオチド(それぞれNew1-PS、New-3-PS、New-3-PS-MEC)でトランスフェクトされたMC-38細胞から得た抽出物のウェスタンブロットを示す図である。ウェスタンブロットはIL-34(上部)またはβ-アクチン(下部)についてプロービングされた。
図5A】結腸癌(回腸CTR)および回腸の炎症性CD(I CD)の手術を受けた患者の影響を受けていない回腸領域から得た回腸対照検体、またはCD患者から得た線維狭窄性クローン病(FS CD)検体における、RT-PCRにより評価された正規化M-CSFR-1 mRNA発現を示すグラフである。
図5B】回腸CTR、I CD、およびFS CDの各組織試料から得た抽出物のウェスタンブロットを示す図である。ウェスタンブロットは、M-CSFR-1(上部)またはβ-アクチン(下部)についてプロービングされた。
図5C】回腸CTR、I、CD、およびFS CDの各組織試料から得た抽出物のウェスタンブロットにおける相対的M-CSFR-1シグナルの定量解析を示す図である。M-CSFR-1シグナルはβ-アクチンシグナルに対して正規化された。
図5D】結腸癌(回腸CTR)の手術を受けた患者から得た回腸切片におけるM-CSFR-1の免疫組織化学的検出を示す図である。
図5E】CD患者(FS CD)の回腸切片から得た線維狭窄性クローン病検体におけるM-CSFR-1の免疫組織化学的検出を示す。
図5F】アイソタイプ対照(アイソタイプ)を用いた回腸切片のM-CSFR-1抗体染色を示す図である。
図5G】対照回腸検体(回腸CTR)および線維狭窄性クローン病(FS CD)における、RT-PCRにより評価した正規化M-CSFR-1 mRNA発現を示す図である。
図6A】刺激せず放置した(Unst)または組換えヒトIL-34(IL-34)で刺激した腸線維芽細胞培養物における、RT-PCRにより評価した正規化コラーゲンI型α1鎖(COL1A1)mRNA発現を示す棒グラフである。
図6B】刺激せず放置した(Unst)または組換えヒトIL-34(IL-34)で刺激した腸線維芽細胞培養物における、RT-PCRにより評価した正規化コラーゲンIII型α1鎖(COL3A1)mRNA発現を示す棒グラフである。
図6C】刺激せず放置した(Unst)または組換えヒトIL-34(IL-34)で刺激した腸線維芽細胞培養物から得た抽出物のウェスタンブロットを示す図である。ウェスタンブロットは、COL1A1(上部パネル)、COL3A1(中央パネル)、またはβ-アクチン(下部)についてプロービングされた。
図6D】刺激せず放置した(Unst)または組換えヒトIL-34(IL-34)で刺激した腸線維芽細胞培養物における、ウェスタンブロッティングにより評価した正規化COL1A1タンパク質発現のグラフを示す図である。
図6E】刺激せず放置した(Unst)または組換えヒトIL-34(IL-34)で刺激した腸線維芽細胞培養物における、ウェスタンブロッティングにより評価した正規化COL3A1タンパク質発現のグラフを示す図である。
図6F】刺激せず放置した(Unst)または組換えヒトIL-34(IL-34)で刺激した腸線維芽細胞培養物から得た上清における総コラーゲン含有量を示す図である。
図7A】刺激せず放置した(Unst)または組換えヒトIL-34、TNF-α、もしくはIL-6で刺激した血清飢餓腸線維芽細胞から得た抽出物のウェスタンブロットを示す図である。ブロットは、総合(p38)およびリン酸化p38(p-p38)マイトジェン活性化タンパク質(MAP)キナーゼについてプロービングされた。
図7B】ジメチルスルホキシド対照(DMSO)もしくはp38阻害剤SB202190(SB202190)で事前に処置して刺激せず放置、またはDMSOもしくはSB202190で事前に処置した後に組換えヒトIL-34(IL-34)で刺激した線維芽細胞から得た抽出物のウェスタンブロットを示す図である。ブロットは、COL1A1(上部パネル)、COL3A1(中央パネル)、またはβ-アクチン(下部)についてプロービングされた。
図7C】DMSOもしくはSB202190で事前に処置して刺激せず放置、またはDMSOもしくはSB202190で事前に処置した後に組換えヒトIL-34で刺激した線維芽細胞から得た抽出物のウェスタンブロットにおける、COL1A1シグナルの定量化を示す図である。COL1A1シグナルは、β-アクチンシグナルに正規化された。
図7D】DMSOもしくはSB202190で事前に処置して刺激せず放置、またはDMSOもしくはSB202190で事前に処置した後に組換えヒトIL-34で刺激した線維芽細胞から得た抽出物のウェスタンブロットにおける、COL3A1シグナルの定量化を示す図である。COL1A1シグナルは、β-アクチンシグナルに正規化された。
図7E】DMSOもしくはSB202190で事前に処置して刺激せず放置、またはDMSOもしくはSB202190で事前に処置した後に組換えヒトIL-34で刺激した線維芽細胞から得た上清における総コラーゲン含有量を示す図である。
図8A】対照回腸検体(回腸CTR)、または炎症性クローン病(I CD)もしくは線維狭窄性クローン病(FS CD)腸組織試料から採取した腸検体における、RT-PCRにより評価した正規化IL-34発現を示す棒グラフである。
図8B】対照回腸(回腸CTR)、または炎症性クローン病(I CD)もしくは線維狭窄性クローン病(FS CD)患者から得た一対の腸粘膜試料の抽出物のウェスタンブロットを示す図である。ブロットはIL-34(上部パネル)またはβ-アクチン(下部パネル)についてプロービングされた。
図8C】回腸CTR、I、CD、およびFS CDの各試料から得た抽出物のウェスタンブロットにおけるIL-34シグナルの定量化を示す図である。
図8D】対照回腸組織(回腸CTR)におけるIL-34の免疫組織化学染色を示す図である。
図8E】線維狭窄性クローン病腸組織(FS CD)におけるIL-34の免疫組織化学染色を示す図である。
図8F】アイソタイプ対照(アイソタイプ)での腸組織の染色を示す図である。
図8G】対照の回腸試料(回腸CTR)、および線維狭窄性クローン病患者(FS CD)の組織から単離した線維芽細胞における相対的IL-34 mRNA発現を示すグラフである。
図8H】対照患者の回腸試料(回腸CTR)、および線維狭窄性クローン病患者(FS CD)から単離され、IL-34(上部)およびβ-アクチン(下部)シグナルについてプロービングされた線維芽細胞から得た抽出物のウェスタンブロットを示す図である。
図9A】配列番号3のIL-34アンチセンスオリゴヌクレオチド(IL-34AS)または相補的センスオリゴヌクレオチド(NCAS)でトランスフェクトした、線維狭窄性クローン病患者(FS CD)から得た線維芽細胞培養物の抽出物のウェスタンブロットを示す図である。ブロットは、IL-34、COL1A1、COL3A1、およびβ-アクチンシグナルについてプロービングされた。
図9B】培養かつトランスフェクトされたFS CD線維芽細胞から得た抽出物のウェスタンブロットにおけるIL-34シグナルの定量化を示す図である。
図9C】培養かつトランスフェクトされたFS CD線維芽細胞から得た抽出物のウェスタンブロットにおけるCOL1A1シグナルの定量化を示す図である。
図9D】培養かつトランスフェクトされたFS CD線維芽細胞から得た抽出物のウェスタンブロットにおけるCOL3A1シグナルの定量化を示す図である。
図9E】配列番号3のIL-34アンチセンスオリゴヌクレオチド(IL-34AS)または相補的センスオリゴヌクレオチド(NCAS)でトランスフェクトしたFS CD線維芽細胞の培養物から得た上清における総コラーゲン含有量を示す図である。
図9F】配列番号3のIL-34アンチセンスオリゴヌクレオチド(IL-34AS)または相補的センスオリゴヌクレオチド(NCAS)でトランスフェクトしたFS CD線維芽細胞培養物における細胞死の割合を示すグラフである。
図9G】NCASでトランスフェクトしたFS CD線維芽細胞培養物の蛍光活性化細胞分類(FACS)プロットを示す図である。細胞は、アネキシンVおよびフルオレセインイソチオシアネート(アネキシンV FITC-A、Y軸)およびヨウ化プロピジウム(ヨウ化プロピジウム-A、X軸)について染色された。
図9H】IL-34ASでトランスフェクトしたFS CD線維芽細胞培養物の蛍光活性化細胞分類(FACS)プロットを示す図である。細胞は、アネキシンVおよびフルオレセインイソチオシアネート(アネキシンV FITC-A、Y軸)およびヨウ化プロピジウム(ヨウ化プロピジウム-A、X軸)について染色された。
【発明を実施するための形態】
【0072】
IL-34阻害剤
IL-34の値(例えばIL-34 mRNAまたはタンパク質値)および/または活性(例えば生物活性、例えばIL-34受容体刺激)は、IL-34遺伝子またはIL-34遺伝子産物(例えばIL-34 mRNA)を標的とする化合物または組成物を使用すると低下する場合がある。
【0073】
IL-34阻害剤は、IL-34のヌクレオチド系阻害剤(例えばIL-34小型ヘアピンRNA(shRNA)、IL-34マイクロRNA(miRNA)、IL-34小型干渉RNA(siRNA)、ならびにLNAヌクレオチド、ペプチド核酸(PNA)、およびモルホリノオリゴマーを含むIL-34アンチセンスオリゴヌクレオチドを含むIL-34アンチセンスオリゴヌクレオチド)、およびかかる化合物を含む組成物であってよいが、これらに限定されるものではない。
【0074】
IL-34アンチセンス治療薬
アンチセンス治療薬は、遺伝子発現を阻害するのに使用可能な核酸系化合物のクラスである。アンチセンス治療薬は、一本鎖もしくは二本鎖DNA(DNA)系、リボ核酸(RNA)系、DNAとRNAの混合型、またはDNA/RNA化学アナログ化合物であってよい。一般的に、アンチセンス治療薬は、アンチセンス治療薬とmRNA前駆体またはmRNAとの結合を促すために、所与の遺伝子から転写されるmRNAもしくはmRNA前駆体の配列に相補的、またはほぼ相補的なヌクレオチド配列を含むように設計される。理論により縛られるものではないが、大半の例において、アンチセンス治療薬は、mRNAまたはmRNA前駆体に結合することで、タンパク質翻訳を阻害し、成熟mRNAへのmRNA前駆体スプライシングを改質し、および/またはmRNAを破壊することにより作用すると考えられている。大半の例では、アンチセンス治療薬のヌクレオチド配列は、標的とされた遺伝子またはmRNAのセンス配列の一部に相補的である。本明細書に記載のIL-34アンチセンス治療薬は、IL-34遺伝子センス配列、IL-34 mRNA前駆体センス配列、および/もしくはIL-34 mRNAセンス配列、またはそれらの一部に相補的なオリゴヌクレオチド配列を含むオリゴヌクレオチド系化合物である。本明細書に記載のIL-34アンチセンス治療薬はまた、IL-34遺伝子センス配列、IL-34 mRNA前駆体センス配列、および/もしくはIL-34 mRNAセンス配列、またはそれらの一部に結合可能なヌクレオチド化学アナログ系化合物であってもよい。IL-34アンチセンス治療薬は、IL-34アンチセンスオリゴヌクレオチド、IL-34 shRNA、IL-34 siRNA、IL-34 PNA、IL-34 LNA、およびIL-34モルホリノオリゴマーを含む。
【0075】
アンチセンスオリゴヌクレオチド(AON)は、標的RNA配列に相補的なオリゴヌクレオチド配列を含む短鎖オリゴヌクレオチド系配列である。AONは、一般的に長さ8~50の間、例えば長さ20のヌクレオチドである。
【0076】
本明細書に記載のAONは、化学修飾ヌクレオシドを含んでよい。本明細書で使用するとき、「化学修飾ヌクレオシド」は、アデノシン、シチジン、チミジン、グアノシン、またはウリジン以外のヌクレオシドを意味する。例えば、いくつかの実施形態では、化学修飾ヌクレオシドとして、ロックド核酸(LNA)(例えばLNAシチジン、LNAチミジン、LNAアデノシン、LNAグアノシン)、安定した末端5’-ホスフェートまたは5’-ホスフェートのホスファターゼ抵抗アナログ、例えば5’-メチルホスホネート、5’-メチレンホスホネート、5’-メチレンホスホネートアナログ、5’-E-ビニルホスホネート(5’-E-VP)、5’-ホスホロチオエート、5’-C-メチルアナログを有するヌクレオシド、2’-O-メチルリボヌクレオシド、例えば2’-O-メチルシチジン、2’-O-メチルグアノシン、2’-O-メチルウリジン、2’-O-メチルチミジン、2’-O-メチルアデノシン、5-メチルピリミジン、例えば5-メチルシトシン、5-メチルプリン、例えば5-メチルグアニン、5-メチル-2’-O-メチルシチジン、5-メチル-2’-O-メチルチミジン、5-メチルシチジン、5-メチルウリジン、または5-メチル2’-デオキシシチジンが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0077】
本明細書に記載のAONは、少なくとも1つの修飾されたヌクレオシド間連結を含んでよい。本明細書で使用するとき、「ヌクレオシド間連結」は、ヌクレオシドの3’位と隣接するヌクレオシドの5’位との接続を意味する。「修飾されたヌクレオシド間連結」とは、ヌクレオシドの3’位と隣接するヌクレオシドの5’位との接続のうち自然でないものを言う。例えば、いくつかの実施形態では、修飾されたヌクレオシド間連結として、ホスホロチオエート連結、ホスホロジチオエート連結、ホスホトリエステル連結、アルキルホスホネート連結、アミノアルキルホスホトリエステル連結、アルキレンホスホネート連結、ホスフィネ―ト連結、ホスホラミデート連結、アミノアルキルホスホラミデート連結、チオホスホラミデート連結、チオアルキルホスホネート連結、チオアルキルホスホトリエステル連結、チオホスフェート連結、セレノホスフェート連結、ボラノホスフェート連結が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0078】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のAONは、少なくとも1つの化学修飾ヌクレオシドと少なくとも1つの修飾されたヌクレオシド間連結とを含んでよい。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のAONは、少なくとも1つの化学修飾ヌクレオシドと少なくとも1つの修飾されたヌクレオシド間連結とを含んでよい。
【0079】
本明細書に記載のIL-34 AONは、IL-34 RNA配列に相補的なオリゴヌクレオチド配列を含む。
【0080】
ペプチド核酸(PNA)は、DNAまたはRNAを模倣する構造を備える人為的に合成された短ポリマーである。PNAは、ペプチド結合により連結されるN-(2-アミノエチル)-グリシンユニットの繰り返しで構成される骨格を含む。本明細書に記載のIL-34 PNAは、高特異性をもってIL-34 RNA配列に結合してIL-34遺伝子発現を阻害するアンチセンス治療薬として使用可能である。
【0081】
ロックド核酸(LNA)は、2’酸素および4’炭素を接続する余剰の架橋によりリボース部分が修飾される1つ以上の修飾RNAヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列である。LNAは、類似するオリゴヌクレオチド配列よりも高いTm’sを有すると考えられる。本明細書に記載のIL-34 LNAは、高特異性をもってIL-34 RNA配列に結合してIL-34遺伝子発現を阻害するアンチセンス治療薬として使用可能である。
【0082】
モルホリノオリゴマーは、ホスホロジアミデート基を介して連結されるメチレンモルホリン環の骨格に付着するDNA塩基を含むオリゴヌクレオチド化合物である。本発明のモルホリノオリゴマーは、目的の特異的IL-34 RNA配列(例えば目的のIL-34 mRNAまたはIL-34 mRNA前駆体の配列)に結合することで、遺伝子発現を防止するように設計されてよい。本明細書に記載のIL-34モルホリノオリゴマーは、高特異性をもってIL-34 mRNA配列に結合してIL-34遺伝子発現を阻害するアンチセンス治療薬として使用可能である。本明細書に記載のIL-34モルホリノオリゴマーは、IL-34 mRNA前駆体配列に結合して、IL-34 mRNA前駆体スプライシングおよびIL-34遺伝子発現を改質するのにも使用可能である。
【0083】
小型ヘアピンRNA(shRNA)は、一般的に遺伝子発現をサイレンシングするために使用可能なヘアピン様構造のRNA分子である。shRNAは、一般的にshRNA配列をコードするプラスミドから発現され、ウイルスベクターから発現されてレンチウイルス、アデノウイルス、またはアデノ随伴ウイルスの発現を可能にすることができる。理論に縛られるものではないが、shRNAは、RNA干渉(RNAi)プロセスの利用により遺伝子発現を阻害すると考えられている。簡潔に言えば、shRNA転写産物は、DroshaおよびDicerにより処理された後、RNA誘導型サイレンシング複合体(RISC)にロードされ、特異的mRNAの標的化、およびタンパク質翻訳のmRNA分解または抑制を可能とする。本明細書に記載のIL-34 shRNAは、IL-34の遺伝子発現を阻害することができる。
【0084】
小型干渉RNA(siRNA)は、分解のためにmRNAに結合してこれを標的とするためのRNAi機構(例えばDrosha、RISC)を利用する、長さ約20~25の塩基対(しかし、例えば長さ18~30の塩基対であってもよい)の二本鎖RNA分子である。siRNAは、発現のためにプラスミドまたはベクターには依存せず、一般的には例えばトランスフェクションにより標的細胞に直接送達され得る。IL-34 siRNAは、IL-34 mRNA配列に相補的なRNA配列を含み、IL-34タンパク質翻訳を防止する二本鎖RNA配列である。本明細書に記載のIL-34 siRNAは、配列番号1~23のいずれか1つのヌクレオチド配列、例えば配列番号1~8のいずれか1つのヌクレオチド配列またはその薬学的に許容可能な塩を含むsiRNAを含む。
【0085】
マイクロRNA(miRNA)は、RNAサイレンシングおよび転写後の遺伝子発現調節において機能する、約22個のヌクレオチドを含有する小型の非コーディングRNA分子である。miRNAは、mRNA配列の部分に相補的な配列を含む。miRNAは、高度に特異的なステムループ構造を呈する長い一本鎖RNA分子から産生される。人工miRNAは、自然に発生するmiRNA配列の成熟した21ヌクレオチド配列を、標的、例えばIL-34 mRNA標的由来の21ヌクレオチド配列と置き換えることにより設計される。
【0086】
本明細書に記載のIL-34阻害剤は、オリゴヌクレオチドの末端5’-ホスフェートおよび5’-ホスフェートのホスファターゼ抵抗アナログの安定化を促す化学修飾を含む場合がある。オリゴヌクレオチド末端5’-ホスフェート安定化を促すか、または5’-ホスフェートのホスファターゼ抵抗アナログである化学修飾として、5’-メチルホスホネート、5’-メチレンホスホネート、5’-メチレンホスホネートアナログ、5’-E-ビニルホスホネート(5’-E-VP)、5’-ホスホロチオエート、および5’-C-メチルアナログが挙げられるが、これらに限定されるものではない。AON末端5’-ホスフェートおよび5’-ホスフェートのホスファターゼ抵抗アナログの安定化を促す化学修飾は、Khvorova and Watts,(2017)“The chemical evolution of oligonucleotide therapies of clinical utility”Nat Biotechnol.,35(3):238-48に記載されており、その内容は参照により本明細書で引用される。
【0087】
本明細書に記載のいくつかの実施形態では、IL-34阻害剤は、化学修飾ヌクレオシド、例えば2’-Oメチル2’-リボヌクレオシド、例えば2’-O-メチルシチジン、2’-O-メチルグアノシン、2’-O-メチルウリジン、2’-O-メチルチミジン、および/または2’-O-メチルアデノシンを含んでよい。本明細書に記載のIL-34阻害剤は、5-メチルピリミジン、例えば5-メチルシチジン、および/または5-メチルプリン、例えば5-メチルグアニンを含む1つ以上の化学修飾塩基を含んでよい。本明細書に記載のIL-34阻害剤は、以下の化学修飾ヌクレオシド:5-メチル-2’-O-メチルシチジン、5-メチル-2’-O-メチルチミジン、5-メチルシチジン、5-メチルウリジン、および/または5-メチル2’-デオキシシチジンのうちいずれかを含んでよい。
【0088】
2’-OMeヌクレオチドは、tRNAおよびその他小型RNAにおいて自然に発見される。オリゴヌクレオチド配列への2’-OMeヌクレオチドの組込みは、ヌクレアーゼ分解を防止し、加水分解に対する安定性を増大させる。オリゴヌクレオチドにおける2’-OMe修飾の組込みは、一般的にRNA-RNA二本鎖(duplexes)のTを追加ごとに1~4℃上昇させる。
【0089】
2’-MOE基の導入は、一般的に、得られたオリゴヌクレオチドのTを約1.1℃上昇させ、ヌクレアーゼによる分解への耐性を改善する。加えて、2’-MOEオリゴは、標的mRNA鎖のRNase H媒介型の分解を維持するためにギャップマー化合物にしばしば使用される。
【0090】
本明細書に記載のIL-34阻害剤は、オリゴヌクレオチド連結の1つ以上がホスフェート連結であるホスフェート骨格を含んでよい。本明細書に記載のIL-34阻害剤は、修飾オリゴヌクレオチド骨格を含んでよく、ヌクレオチド配列のヌクレオシド連結のうち1つ以上は、ホスホロチオエート連結、ホスホロジチオエート連結、ホスホトリエステル連結、アルキルホスホネート連結、アミノアルキルホスホトリエステル連結、アルキレンホスホネート連結、ホスフィネート連結、ホスホラミデート連結、アミノアルキルホスホラミデート連結、チオホスホラミデート連結、チオノアルキルホスホネート連結、チオノアルキルホスホトリエステル連結、チオホスフェート連結、セレノホスフェート連結、およびボラノホスフェート連結からなる群から選択される。本明細書に記載のIL-34阻害剤のいくつかの実施形態では、ヌクレオチド配列の少なくとも1つのヌクレオシド間連結は、ホスホロチオエート連結である。例えば、本明細書に記載のIL-34阻害剤のいくつかの実施形態では、ヌクレオチド配列の1、2、3、またはそれより多くのヌクレオシド間連結は、ホスホロチオエート連結である。本明細書に記載のIL-34阻害剤のいくつかの実施形態では、ヌクレオチド配列のヌクレオシド間連結はすべてホスホロチオエート連結である。このため、いくつかの実施形態では、配列番号1~23のいずれかのIL-34阻害剤のヌクレオチド連結はすべて、ホスホロチオエート連結である。いくつかの実施形態では、配列番号1~23のいずれかのIL-34阻害剤のヌクレオチド連結のうち1つ以上は、ホスホロチオエート連結である。例えば、本明細書に記載のIL-34 siRNAは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、またはそれ以上のホスホロチオエート連結を含んでよい。いくつかの実施形態では、配列番号1~8のいずれかのIL-34 siRNAのヌクレオチド連結はすべて、ホスホロチオエート連結である。
【0091】
IL-34アンチセンスオリゴヌクレオチド
本明細書に記載のIL-34アンチセンスオリゴヌクレオチド(AON)は、IL-34転写産物(例えばIL-34 mRNA転写産物)に相補的な短鎖合成オリゴヌクレオチド配列である。
【0092】
IL-34 AONは、IL-34 mRNA配列に完全に、またはほぼ完全に相補的なヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、IL-34 AONは、非二重(non-duplexed)オリゴヌクレオチドを含んでよい。いくつかの実施形態では、IL-34 AONは、2つのオリゴヌクレオチドの二本鎖を含んでよく、そこでは第1のオリゴヌクレオチドは、IL-34 mRNA配列に完全に、またはほぼ完全に相補的なヌクレオチド配列を含み、第2のオリゴヌクレオチドは、第1のオリゴヌクレオチドのヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列を含む。AON結合特異性は、解離定数、融解温度(Tm)、またはタンパク質もしくはRNAの発現値の変化などの他の基準といったパラメータの測定、あるいはIL-34の活性または発現を測定する他のアッセイを介して評価することができる。
【0093】
本明細書に開示されるものなどのIL-34 AONは、例えば長さ15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、もしくは25のヌクレオチド、または長さ15~20、15~25、15~30、15~35、20~25、20~30、20~35、25~30、25~35、もしくは30~35のヌクレオチドのオリゴヌクレオチド配列であってもよい。いくつかの実施形態では、IL-34アンチセンスオリゴヌクレオチドは、AONが長さ20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、または35のヌクレオチドとなるように、サイズが上限まで制限される。
【0094】
IL-34 AONは、IL-34 mRNA配列またはIL-34遺伝子配列、例えばマウスもしくはヒトのIL-34 mRNAまたは遺伝子の配列の一部に相補的なオリゴヌクレオチド配列であってよい。
【0095】
本開示のいくつかの実施形態では、IL-34 AONは、IL-34 mRNA転写変異体の一部、またはそれらの一部、例えばNCBI参照配列NM_001172771.1(配列番号24)、NM_001172772.1(配列番号25)、もしくはNM_152456.2(配列番号26)のヒトIL-34 mRNA配列、またはNCBI参照配列NM_001135100.2(配列番号27)もしくはNM_029646.3(番号28)のマウスIL-34 mRNA配列に相補的あるいはほぼ相補的な、ヌクレオチド配列を含む。
【0096】
本明細書に記載の本発明の実施形態では、IL-34 AONは、1以上の種、例えばマウスやヒトのIL-34 mRNA転写産物のIL-34遺伝子から産生されるIL-34 mRNAを標的とすることができる。例えば、IL-34 AONは、哺乳動物IL-34遺伝子、例えばヒト(すなわちホモ・サピエンス)IL-34遺伝子、マウス(すなわちハツカネズミ(mus musculus))IL-34遺伝子のIL-34 mRNAを標的とすることができる。特定の実施形態では、IL-34 AONは、ヒトIL-34 mRNAを標的とする。いくつかの実施形態では、IL-34 AONは、IL-34遺伝子またはIL-34 mRNAのヌクレオチド配列、あるいはその一部に相補的なヌクレオチド配列を含む。
【0097】
本明細書に記載のIL-34 AONは、以下のヌクレオチド配列:5’-CTCACCAAGACCCACAG-3’(配列番号1)、5’-GGCTTTGGGCCGCACCAGCT-3’(配列番号2)、5’-CTTTGGGCCGCACCAGCTTC-3’(配列番号3)、5’-TGGGCCGCACCAGCTTCAGG-3’(配列番号4)、5’-TCCATGACCCGGAAGCAGTT-3’(配列番号5)、5’-TGTTTCATGTACTGAAG-3’(配列番号6)、5’-CTTTGGGCXGCACCAGCTTC-3’(配列番号7)、または5’-TCCATGACCXGGAAGCAGTT-3’(配列番号8)、あるいはその薬学的に許容可能な塩を含むIL-34 AONを含み、配列中、Xは5-メチルシチジンである。
【0098】
本明細書に記載のIL-34 AONは、修飾リボヌクレオシドおよび修飾デオキシリボヌクレオシドを含む化学修飾ヌクレオシドを含んでよい。化学修飾ヌクレオシドとして、2’-O-(2-メトキシエチル)修飾、例えば2’-O-(2-メトキシエチル)グアノシン、2’-O-(2-メトキシエチル)アデノシン、2’-O-(2-メトキシエチル)シトシン、2’-O-(2-メトキシエチル)ウリジン)、2’-O-(2-メトキシエチル)チミジンが挙げられるが、これらに限定されるものではない。特定の実施形態では、本開示は、IL-34阻害剤の混合形態、例えばIL-34ペプチド核酸(PNA)とIL-34ロックド核酸(LNA)の組合せを提供する。化学修飾ヌクレオシドとして、ロックド核酸(LNA)、2’-O-メチル、2’-フルオロ、2’-フルオロ-β-D-アラビノヌクレオチド(FANA)修飾が挙げられるが、これらに限定されるものではない。本明細書に記載のIL-34 AONに含まれ得る化学修飾ヌクレオシドは、Johannes and Lucchino,(2018)“Current Challenges in Delivery and Cytosolic Translocation of Therapeutic RNAs”Nucleic Acid Ther.28(3):178-93、Rettig and Behlke,(2012)“Progress toward in vivo use of siRNAs-II”Mol Ther 20:483-512、およびKhvorova and Watts,(2017)“The chemical evolution of oligonucleotide therapies of clinical utility”Nat Biotechnol.,35(3):238-48に記載されており、これらそれぞれの内容は、参照により本明細書に引用される。
【0099】
本明細書に記載のIL-34 AONは、オリゴヌクレオチドの末端5’-ホスフェートおよび5’-ホスフェートのホスファターゼ抵抗アナログの安定化を促す化学修飾を含む場合がある。オリゴヌクレオチド末端5’-ホスフェート安定化を促すか、または5’-ホスフェートのホスファターゼ抵抗アナログである化学修飾として、5’-メチルホスホネート、5’-メチレンホスホネート、5’-メチレンホスホネートアナログ、5’-E-ビニルホスホネート(5’-E-VP)、5’-ホスホロチオエート、および5’-C-メチルアナログが挙げられるが、これらに限定されるものではない。AON末端5’-ホスフェートおよび5’-ホスフェートのホスファターゼ抵抗アナログの安定化を促す化学修飾は、Khvorova and Watts,(2017)“The chemical evolution of oligonucleotide therapies of clinical utility”Nat Biotechnol.,35(3):238-48に記載されており、その内容は参照により本明細書で引用される。
【0100】
本明細書に記載のいくつかの実施形態では、本明細書に記載のIL-34 AONは、2’-Oメチル2’-リボヌクレオシド、例えば2’-O-メチルシチジン、2’-O-メチルグアノシン、2’-O-メチルウリジン、2’-O-メチルチミジン、および/または2’-O-メチルアデノシンを含む化学修飾ヌクレオシドを含んでよい。本明細書に記載のIL-34 AONは、1つ以上の化学修飾ヌクレオシドを含んでよく、化学修飾ヌクレオシドは、5-メチルピリミジン、例えば5-メチルシチジン、および/または5-メチルプリン、例えば5-メチルグアニンを含む塩基を含む。本明細書に記載のIL-34 AONは、以下の化学修飾ヌクレオシド:5-メチル-2’-O-メチルシチジン、5-メチル-2’-O-メチルチミジン、5-メチルシチジン、5-メチルウリジン、および/または5-メチル2’-デオキシシチジンのうちいずれかを含んでよい。
【0101】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のIL-34 AONは、以下のヌクレオチド配列:5’-CTCACCAAGACCCACAG-3’(配列番号1)(配列中、少なくとも1つのヌクレオシドは、化学修飾ヌクレオシドであり、および/または少なくとも1つの連結は、修飾されたヌクレオシド間連結である)、5’-GGCTTTGGGCCGCACCAGCT-3’(配列番号2)(配列中、少なくとも1つのヌクレオシドは、化学修飾ヌクレオシドであり、および/または少なくとも1つの連結は、修飾されたヌクレオシド間連結である)、5’-CTTTGGGCCGCACCAGCTTC-3’(配列番号3)(配列中、少なくとも1つのヌクレオシドは、化学修飾ヌクレオシドであり、および/または少なくとも1つの連結は、修飾されたヌクレオシド間連結である)、5’-TGGGCCGCACCAGCTTCAGG-3’(配列番号4)(配列中、少なくとも1つのヌクレオシドは、化学修飾ヌクレオシドであり、および/または少なくとも1つの連結は、修飾されたヌクレオシド間連結である)、5’-TCCATGACCCGGAAGCAGTT-3’(配列番号5)(配列中、少なくとも1つのヌクレオシドは、化学修飾ヌクレオシドであり、および/または少なくとも1つの連結は、修飾されたヌクレオシド間連結である)、もしくは5’-TGTTTCATGTACTGAAG-3’(配列番号6)(配列中、少なくとも1つのヌクレオシドは、化学修飾ヌクレオシドであり、および/または少なくとも1つの連結は、修飾されたヌクレオシド間連結である)を含むIL-34 AONを含む。
【0102】
いくつかの実施形態では、IL-34 AONは、配列番号3のヌクレオチド配列を含み、少なくとも1つのヌクレオシドは化学修飾ヌクレオシドである。例えば、いくつかの実施形態では、配列番号3の(5’末端からの)第3のシチジンは、化学修飾ヌクレオシドで置換されてよい。いくつかの実施形態では、配列番号3の(5’末端からの)第3のシチジンは、5-メチルシチジンと置き換えられ、これにより、配列番号7のヌクレオチド配列を含むIL-34 AONが得られる。いくつかの実施形態では、配列番号3の(5’末端からの)第3のシチジン以外のヌクレオシドは、化学修飾ヌクレオシドで置換され、これにより、配列番号7以外のヌクレオチド配列を有するIL-34 AONが得られる。いくつかの実施形態では、配列番号3の(5’末端からの)第3のシチジンは、5-メチルシチジンではない化学修飾ヌクレオシドで置換され、これにより、配列番号7以外のヌクレオチド配列を有するIL-34 AONが得られる。
【0103】
いくつかの実施形態では、IL-34 AONは、配列番号5のヌクレオチド配列を含み、少なくとも1つのヌクレオシドは化学修飾ヌクレオシドである。例えば、いくつかの実施形態では、配列番号5の(5’末端からの)第5のシチジンは、化学修飾ヌクレオシドで置換されてよい。いくつかの実施形態では、配列番号5の(5’末端からの)第5のシチジンは、5-メチルシチジンと置き換えられ、これにより、配列番号8のヌクレオチド配列を含むIL-34 AONが得られる。いくつかの実施形態では、配列番号3の(5’末端からの)第5のシチジン以外のヌクレオシドは、化学修飾ヌクレオシドで置換され、これにより、配列番号8以外のヌクレオチド配列を有するIL-34 AONが得られる。いくつかの実施形態では、配列番号3の(5’末端からの)第5のシチジンは、5-メチルシチジンではない化学修飾ヌクレオシドで置換され、これにより、配列番号8以外のヌクレオチド配列を有するIL-34 AONが得られる。
【0104】
本明細書に記載のIL-34 AONは、1つ以上のLNAヌクレオチドを含むIL-34 AONも含んでよい。例えば、本明細書に記載のIL-34 AONは、以下:
・5’-cttTGGGCXGCACCAGCttc-3’(配列番号9)(配列中、cはLNAシチジンであり、tはLNAチミジンであり、Xは5-メチルシチジンである)、
・5’-ctttGGGCXGCACCAGcttc-3’(配列番号10)(配列中、cはLNAシチジンであり、tはLNAチミジンであり、Xは5-メチルシチジンである)、
・5’-cttTGGGCcgCACCAGCttc-3’(配列番号11)(配列中、cはLNAシチジンであり、tはLNAチミジンであり、gはLNAグアノシンである)、
・5’-cttTGGGCcGCACCAGCttc-3’(配列番号12)(配列中、cはLNAシチジンであり、tはLNAチミジンである)、
・5’-ggcXGCACCAGCttc-3’(配列番号13)(配列中、cはLNAシチジンであり、tはLNAチミジンであり、gはLNAグアノシンであり、Xは5-メチルシチジンである)、
・5’-cttTGGGCXGCACcag-3’(配列番号14)(配列中、cはLNAシチジンであり、tはLNAチミジンであり、gはLNAグアノシンであり、aはLNAアデノシンであり、Xは5-メチルシチジンである)、ならびに
・5’-tgaCCXGGAAGCAgtt-3’(配列番号15)(配列中、aはLNAアデノシンであり、tはLNAチミジンであり、gはLNAグアノシンであり、Xは5-メチルシチジンである)
のいずれかのヌクレオチド配列、またはその薬学的に許容可能な塩を含むIL-34 AONを含む。
【0105】
いくつかの実施形態では、IL-34 AONは、配列番号3のヌクレオチド配列を含み、少なくとも1つのヌクレオシドはLNAである。例えば、いくつかの実施形態では、配列番号3の第1および第20のヌクレオシド(5’末端に対する)は、それぞれ独立してLNAシチジンで置換され、配列番号3の第2、第3、第18、および第19のヌクレオシドは、それぞれ独立してLNAチミジンで置換され、配列番号3の第9のヌクレオシドは、5-メチルシチジンで置換され、これにより、配列番号9のヌクレオチド配列を含むIL-34 AONが得られる。
【0106】
別の実施形態では、配列番号3の第1、第17、および第20のヌクレオシド(5’末端に対する)は、それぞれ独立してLNAシチジンで置換され、配列番号3の第2、第3、第4、第18、および第19のヌクレオシドは、それぞれ独立してLNAチミジンで置換され、配列番号3の第9のヌクレオシドは、5-メチルシチジンで置換され、これにより、配列番号10のヌクレオチド配列を含むIL-34 AONが得られる。
【0107】
別の実施形態では、配列番号3の第1、第9、および第20のヌクレオシド(5’末端に対する)は、それぞれ独立してLNAシチジンで置換され、配列番号3の第2、第3、第18、および第19のヌクレオシドは、それぞれ独立してLNAチミジンで置換され、配列番号3の第10のヌクレオシドは、LNAグアノシンで置換され、これにより、配列番号11のヌクレオチド配列を含むIL-34 AONが得られる。
【0108】
また別の実施形態では、配列番号3の第1、第9、および第20のヌクレオシド(5’末端に対する)は、それぞれ独立してLNAシチジンで置換され、配列番号3の第2、第3、第18に、および第19のヌクレオシドは、それぞれ独立してLNAチミジンで置換され、これにより、配列番号12のヌクレオチド配列を含むIL-34 AONが得られる。
【0109】
他の実施形態では、配列番号3の1つ以上のヌクレオシドは、配列番号9、10、11、または12のいずれか1つにおいて置換されたもの以外のLNAヌクレオチドで置換されてよい。他の実施形態では、配列番号3は、配列番号9、10、11、または12のいずれか1つにおいて置換されたもの以外のLNAヌクレオチドで1つ以上の位置において置換されてよい。
【0110】
特定の実施形態では、IL-34 AONは2’-MOEヌクレオシドを含み、IL-34 AONの配列は、以下:
・5’-CxTxTxTxGxGGCXGCACCAGxCxTxTxCx-3’(配列番号16)(配列中、Cxは2’-O-(2-メトキシエチル)シチジンであり、Txは2’-O-(2-メトキシエチル)チミジンであり、Gxは2’-O-(2-メトキシエチル)グアノシンであり、Xは5-メチルシチジンである)、
・5’-TxCxCxAxTxGACCXGGAAGCxAxGxTxTx-3’(配列番号17)(配列中、Cxは2’-O-(2-メトキシエチル)シチジンであり、Txは2’-O-(2-メトキシエチル)チミジンであり、Gxは2’-O-(2-メトキシエチル)グアノシンであり、Axは2’-O-(2-メトキシエチル)アデノシンであり、Xは5-メチルシチジンである)、
・5’-CxTxTxTxGxGxGCXGCACCAxGxCxTxTxCx-3’(配列番号18)(配列中、Cxは2’-O-(2-メトキシエチル)シチジンであり、Txは2’-O-(2-メトキシエチル)チミジンであり、Gxは2’-O-(2-メトキシエチル)グアノシンであり、Axは2’-O-(2-メトキシエチル)アデノシンであり、Xは5-メチルシチジンである)、
・5’-TxCxCxAxTxGxACCXGGAAGxCxAxGxTxTx-3’(配列番号19)(配列中、Cxは2’-O-(2-メトキシエチル)シチジンであり、Txは2’-O-(2-メトキシエチル)チミジンであり、Gxは2’-O-(2-メトキシエチル)グアノシンであり、Axは2’-O-(2-メトキシエチル)アデノシンであり、Xは5-メチルシチジンである)、
・5’-CxTxTxTxGxGxGxCxXGxCxAxCxCxAxGxCxTxTxCx-3’(配列番号20)(配列中、Cxは2’-O-(2-メトキシエチル)シチジンであり、Txは2’-O-(2-メトキシエチル)チミジンであり、Gxは2’-O-(2-メトキシエチル)グアノシンであり、Axは2’-O-(2-メトキシエチル)アデノシンであり、Xは5-メチルシチジンである)、ならびに
・5’-TxCxCxAxTxGxAxCxCxXGxGxAxAxGxCxAxGxTxTx-3’(配列番号21)(配列中、Cxは2’-O-(2-メトキシエチル)シチジンであり、Txは2’-O-(2-メトキシエチル)チミジンであり、Gxは2’-O-(2-メトキシエチル)グアノシンであり、Axは2’-O-(2-メトキシエチル)アデノシンであり、Xは5-メチルシチジンである)
のうち1つ、またはその薬学的に許容可能な塩から選択される。
【0111】
例えば、いくつかの実施形態では、IL-34 AONは配列番号3のヌクレオチド配列を含み、少なくとも1つのヌクレオシドは2’-MOEヌクレオシドである。例えば、いくつかの実施形態では、配列番号3の第1、第17、および第20のヌクレオシド(5’末端に対する)は、それぞれ独立して2’-O-(2-メトキシエチル)シチジンで置換され、配列番号3の第2、第3、第4、第18、および第19のヌクレオシドは、それぞれ独立して2’-O-(2-メトキシエチル)チミジンで置換され、配列番号3の第5および第16のヌクレオシドは、それぞれ独立して2’-O-(2-メトキシエチル)グアノシンで置換され、配列番号3の第9のヌクレオシドは、5-メチルシチジンで置換され、これにより、配列番号16のヌクレオチド配列を含むIL-34 AONが得られる。
【0112】
いくつかの実施形態では、配列番号3の第1、第17、および第20のヌクレオシド(5’末端に対する)は、それぞれ独立して2’-O-(2-メトキシエチル)シチジンで置換され、配列番号3の第2、第3、第4、第18、および第19のヌクレオシドは、それぞれ独立して2’-O-(2-メトキシエチル)チミジンで置換され、配列番号3の第5、第6、および第16のヌクレオシドは、それぞれ独立して2’-O-(2-メトキシエチル)グアノシンで置換され、配列番号3の第15のヌクレオシドは、2’-O-(2-メトキシエチル)アデノシンで置換され、配列番号3の第9のヌクレオシドは、5-メチルシチジンで置換され、これにより、配列番号18のヌクレオチド配列を含むIL-34 AONが得られる。
【0113】
いくつかの実施形態では、配列番号3の第1、第8、第11、第13、第14、第17、および第20のヌクレオシド(5’末端に対する)は、それぞれ独立して2’-O-(2-メトキシエチル)シチジンで置換され、配列番号3のチミジンはすべて、それぞれ独立して2’-O-(2-メトキシエチル)チミジンで置換され、配列番号3のグアノシンはすべて、それぞれ独立して2’-O-(2-メトキシエチル)グアノシンで置換され、配列番号3のアデノシンはすべて、それぞれ独立して2’-O-(2-メトキシエチル)アデノシンで置換され、配列番号3の第9のヌクレオシドは、5-メチルシチジンで置換され、これにより、配列番号20のヌクレオチド配列を含むIL-34 AONが得られる。
【0114】
他の実施形態では、配列番号3の1つ以上のヌクレオシドは、配列番号16、18、または20のいずれか1つにおいて置換されたもの以外の2’-MOEヌクレオシドで置換されてよい。また他の実施形態では、配列番号3は、配列番号16、18、または20のいずれか1つにおいて置換されたもの以外の2’-MOEヌクレオシドで1つ以上の位置において置換されてよい。
【0115】
いくつかの実施形態では、IL-34 AONは配列番号5のヌクレオチド配列を含み、少なくとも1つのヌクレオシドは2’-MOEヌクレオシドである。例えば、いくつかの実施形態では、配列番号5の第1、第5、第19、および第20のヌクレオシド(5’末端に対する)は、それぞれ独立して2’-O-(2-メトキシエチル)チミジンで置換され、配列番号5の第2、第3、および第16のヌクレオシドは、それぞれ独立して2’-O-(2-メトキシエチル)シチジンで置換され、配列番号5の第4および第17のヌクレオシドは、それぞれ独立して2’-O-(2-メトキシエチル)アデノシンで置換され、配列番号5の第18のヌクレオシドは、2’-O-(2-メトキシエチル)グアノシンで置換され、配列番号5の第10のヌクレオシドは、5-メチルシチジンで置換され、これにより、配列番号17のヌクレオチド配列を含むIL-34 AONが得られる。
【0116】
いくつかの実施形態では、配列番号5の第1、第5、第19、および第20のヌクレオシド(5’末端に対する)は、それぞれ独立して2’-O-(2-メトキシエチル)チミジンで置換され、配列番号5の第2、第3、および第16のヌクレオシドは、それぞれ独立して2’-O-(2-メトキシエチル)シチジンで置換され、配列番号5の第4および第17のヌクレオシドは、それぞれ独立して2’-O-(2-メトキシエチル)アデノシンで置換され、配列番号5の第6、第15、および第18のヌクレオシドは、それぞれ独立して2’-O-(2-メトキシエチル)グアノシンで置換され、配列番号5の第10のヌクレオシドは、5-メチルシチジンで置換され、これにより、配列番号19のヌクレオチド配列を含むIL-34 AONが得られる。
【0117】
いくつかの実施形態では、配列番号5の第2、第3、第8、第9、および第16のヌクレオシド(5’末端に対する)は、それぞれ独立して2’-O-(2-メトキシエチル)シチジンで置換され、配列番号5のチミジンはすべて、それぞれ独立して2’-O-(2-メトキシエチル)チミジンで置換され、配列番号5のグアノシンはすべて、それぞれ独立して2’-O-(2-メトキシエチル)グアノシンで置換され、配列番号5のアデノシンはすべて、それぞれ独立して2’-O-(2-メトキシエチル)アデノシンで置換され、配列番号5の第10のヌクレオシドは、5-メチルシチジンで置換され、これにより、配列番号21のヌクレオチド配列を含むIL-34 AONが得られる。
【0118】
他の実施形態では、配列番号5の1つ以上のヌクレオシドは、配列番号17、19、または21のいずれか1つにおいて置換されたもの以外の2’-MOEヌクレオシドで置換されてよい。また他の実施形態では、配列番号5は、配列番号17、19、または21のいずれか1つにおいて置換されたもの以外の2’-MOEヌクレオシドで1つ以上の位置において置換されてよい。
【0119】
加えて、いくつかの実施形態では、IL-34 AONは2’-OMeヌクレオシドを含み、IL-34 AONの配列は、以下:
・5’-CyTyTyTyGyGGCXGCACCAGyCyTyTyCy-3’(配列番号22)(配列中、Cyは2’-O-メチルシチジンであり、Tyは2’-O-メチルチミジンであり、Gyは2’-O-メチルグアノシンであり、Xは5-メチルシチジンである)、ならびに
・5’-TyCyCyAyTyGACCXGGAAGCyAyGyTyTy-3’(配列番号23)(配列中、Cyは2’-O-メチルシチジンであり、Tyは2’-O-メチルチミジンであり、Gyは2’-O-メチルグアノシンであり、Ayは2’-O-メチルアデノシンであり、Xは5メチルシチジンである)
のうち1つ、またはその薬学的に許容可能な塩から選択される。
【0120】
例えば、いくつかの実施形態では、IL-34 AONは配列番号3のヌクレオチド配列を含み、少なくとも1つのヌクレオシドは2’-OMeヌクレオシドである。例えば、いくつかの実施形態では、配列番号3の第1、第17、および第20のヌクレオシド(5’末端に対する)は、それぞれ独立して2’-O-メチルシチジンで置換され、配列番号3の第2、第3、第4、第18、および第19のヌクレオシドは、それぞれ独立して2’-O-メチルチミジンで置換され、配列番号3の第5および第16のヌクレオシドは、それぞれ独立して2’-O-メチルグアノシンで置換され、配列番号3の第9のヌクレオシドは、5-メチルシチジンで置換され、これにより、配列番号22のヌクレオチド配列を含むIL-34 AONが得られる。
【0121】
他の実施形態では、配列番号3の1つ以上のヌクレオシドは、配列番号22において置換されたもの以外の2’-OMeヌクレオシドで置換されてよい。また他の実施形態では、配列番号3は、配列番号22において置換されたもの以外の2’-OMeヌクレオシドで1つ以上の位置において置換されてよい。
【0122】
いくつかの実施形態では、IL-34 AONは配列番号5のヌクレオチド配列を含み、少なくとも1つのヌクレオシドは2’-OMeヌクレオシドである。例えば、いくつかの実施形態では、配列番号5の第1、第5、第19、および第20のヌクレオシド(5’末端に対する)は、それぞれ独立して2’-O-メチルチミジンで置換され、配列番号5の第2、第3、および第16のヌクレオシドは、それぞれ独立して2’-O-メチルシチジンで置換され、配列番号5の第4および第17のヌクレオシドは、それぞれ独立して2’-O-メチルグアノシンで置換され、配列番号5の第18のヌクレオシドは、2’-O-メチルグアノシンで置換され、配列番号5の第10のヌクレオシドは、5-メチルシチジンで置換され、これにより、配列番号23のヌクレオチド配列を含むIL-34 AONが得られる。
【0123】
他の実施形態では、配列番号5の1つ以上のヌクレオシドは、配列番号23において置換されたもの以外の2’-OMeヌクレオシドで置換されてよい。また他の実施形態では、配列番号5は、配列番号23において置換されたもの以外の2’-OMeヌクレオシドで1つ以上の位置において置換されてよい。
【0124】
本明細書に記載のIL-34 AONは、オリゴヌクレオチド連結の1つ以上が、修飾されたヌクレオシド間連結であるホスフェート骨格を含んでよい。例えば、いくつかの実施形態では、本明細書に記載のIL-34 AONは、少なくとも1つのホスフェート連結を含んでよい。本明細書に記載のIL-34 AONは、ホスホロチオエート連結、ホスホロジチオエート連結、ホスホトリエステル連結、アルキルホスホネート連結、アミノアルキルホスホトリエステル連結、アルキレンホスホネート連結、ホスフィネート連結、ホスホラミデート連結、アミノアルキルホスホラミデート連結、チオホスホラミデート連結、チオノアルキルホスホネート連結、チオノアルキルホスホトリエステル連結、チオホスフェート連結、セレノホスフェート連結、およびボラノホスフェート連結からなる群から選択される1つ以上の修飾されたヌクレオシド間連結を含んでよい。本明細書に記載のIL-34 AONのいくつかの実施形態では、ヌクレオチド配列の少なくとも1つのヌクレオシド間連結は、ホスホロチオエート連結である。例えば、本明細書に記載のIL-34 AONのいくつかの実施形態では、ヌクレオチド配列の1、2、3、またはそれより多くのヌクレオシド間連結は、ホスホロチオエート連結である。本明細書に記載のIL-34 AONの好ましい実施形態では、ヌクレオチド配列のヌクレオシド間連結はすべてホスホロチオエート連結である。このため、いくつかの実施形態では、配列番号1~23のいずれかのIL-34 AONのヌクレオチド連結はすべて、ホスホロチオエート連結である。例えば、いくつかの実施形態では、配列番号3のIL-34 AONのヌクレオチド連結はすべて、ホスホロチオエート連結である。別の例において、いくつかの実施形態では、配列番号7のIL-34 AONのヌクレオチド連結はすべて、ホスホロチオエート連結である。いくつかの実施形態では、配列番号1~23のいずれかのIL-34 AONのヌクレオチド連結のうち1つ以上は、ホスホロチオエート連結である。例えば、いくつかの実施形態では、配列番号3のIL-34 AONのヌクレオチド連結の1つ以上は、ホスホロチオエート連結である。別の例において、いくつかの実施形態では、配列番号7のIL-34 AONのヌクレオチド連結の1つ以上は、ホスホロチオエート連結である。
【0125】
いくつかの実施形態では、開示されたIL-34 AON、またはその薬学的に許容可能な塩は、例えば5’末端もしくは3’末端のいずれか一方に、5’末端と3’末端の両方に、またはオリゴヌクレオチド配列に沿って配置される少なくとも1つの修飾核酸塩基、例えば5-メチルシチジン、および/あるいは少なくとも1つのメチルホスホネートヌクレオチドを任意選択で有する場合があることが、企図される。
【0126】
企図されたIL-34 AONは、任意選択で少なくとも1つの修飾糖を含んでよい。例えば、オリゴヌクレオチドを構成する少なくとも1つのヌクレオチドの糖部は、リボースであり、その中では、2’-OH基は、OR、R、R’OR、SH、SR、NH、NR、N、CN、F、Cl、Br、およびI(Rはアルキルまたはアリールであり、R’はアルキレンである)からなる群から選択されるいずれか1つにより置き換えられる場合がある。
【0127】
本明細書に記載のいくつかの実施形態では、IL-34 AONはギャップマー化合物である。ギャップマー化合物とは、修飾ヌクレオチドの5’および3’フランキング基(flanking groups)を含むオリゴヌクレオチド配列である。これら修飾ヌクレオチドのフランキング基は、ヌクレオチドの内部基をヌクレアーゼ分解から保護すると考えられている。ヌクレオチドの内部基は、通常長さ6~10のヌクレオチドである。フランキング基の5’基または3’基はそれぞれ、長さ3、4、5、6、またはそれ以上のヌクレオチドであってよい。ギャップマー化合物中のフランキング基の5’基と3’基は、同じ長さのヌクレオチドであってよい。修飾ヌクレオチドのフランキング基として、例えば、2’-MOE、2’-OMe、LNAヌクレオチドが挙げられる。ギャップマー化合物の配列は、修飾されたヌクレオシド間連結(例えばホスホロチオエート連結)、2’-MOE、2’-OMe、LNA、PNA、5-メチルシチジン、および本明細書に記載の他の化学修飾ヌクレオシドを含む修飾も組み込む場合がある。
【0128】
アンチセンスオリゴヌクレオチドは、各アンチセンスオリゴヌクレオチドにおける組み込まれたヌクレオチド配列の標的化部分は、IL-34 mRNA配列もしくはIL-34相互作用パートナーのmRNA配列に、完全にまたはほぼ完全に相補的となるように設計されてよい。かかる相補的、またはほぼ相補的なヌクレオチド配列の組込みにより、所与の標的に対し高度の特異性をもってアンチセンスオリゴヌクレオチドを操作することが可能となる。特異性は、解離定数、またはタンパク質もしくはRNAの発現値の変化などの他の基準といったパラメータの測定、あるいはIL-34の活性または発現を測定する他のアッセイを介して評価することができる。
【0129】
自己免疫疾患および炎症性疾患
本開示は、部分的に、必要とする患者のIL-34活性に関連する炎症性障害を処置することであって、開示されたアンチセンス化合物を投与することを含む処置することを企図している。いくつかの実施形態では、本明細書には、必要とする患者の炎症性疾患の処置のための方法であって、開示されたアンチセンス化合物を投与する工程を含む方法が提供される。本開示のいくつかの実施形態では、有効量のIL-34阻害剤、例えばIL-34アンチセンスオリゴヌクレオチドは、炎症性疾患を処置して、例えば、炎症性疾患を患う患者の細胞中の炎症性サイトカイン産生を阻害する、および/またはIL-34媒介型炎症反応を低減もしくは阻害するために、必要とする患者に投与されてよい。
【0130】
「炎症性疾患」は、本明細書で使用するとき、炎症性腸疾患、関節リウマチ、乾癬、変形性関節症、糖尿病(IおよびII型)、組織もしくは臓器拒絶反応、多発性硬化症、歯根膜炎(例えば歯周炎)、色素性絨毛結節性滑膜炎、肝炎、副鼻腔炎、結腸癌、冠動脈疾患、シェーグレン症候群(SS)、肥満症、慢性炎症、肺サルコイドーシス、皮膚病変、CNS炎症性疾患、または自己免疫疾患を含むがこれらに限定されない多数の急性および慢性炎症性障害を意味する。
【0131】
いくつかの実施形態では、必要とする患者の狼瘡に関連する皮膚病変を処置する方法であって、開示された化合物を投与する工程を含む方法が、提供される。いくつかの実施形態では、狼瘡に関連する皮膚病変の処置は、皮膚病変の数の減少、皮膚病変の形成速度の低下、および皮膚病変の重症度の低下から選択される少なくとも1つの効果を含む。患者の狼瘡および/または狼瘡腎炎を処置する方法であって、開示されたアンチセンス化合物を投与する工程を含む方法が、提供される。いくつかの実施形態では、狼瘡に関連する腎臓疾病の進行を遅くする方法が、提供される。
【0132】
本明細書には、必要とする対象のCNS炎症性疾患を処置する、その発症リスクを低下する、またはその発症を遅らせる方法であって、開示された化合物を投与する工程を含む方法が提供される。本方法は、例えば、CNS炎症性疾患の発症リスクのある対象を処置する工程、例えば、開示されたIL-34阻害剤、例えばIL-34アンチセンスオリゴヌクレオチドを有効量で対象に投与する工程を含む。このように処置可能なCNS炎症性疾患として、多発性硬化症、実験的自己免疫性脳脊髄炎、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、パーキンソン病が挙げられる。
【0133】
本明細書にはまた、必要とする対象の自己免疫性疾患を処置する、その発症リスクを低下する、またはその発症を遅らせる方法であって、開示された化合物、例えば本明細書に記載のIL-34阻害剤、例えばIL-34アンチセンスオリゴヌクレオチドを投与する工程を含む方法が、提供される。本方法は、自己免疫疾患の発症リスクを有するか、そのリスクにある対象と処置する工程を含む。このように処置可能な自己免疫疾患として、関節リウマチ、I型糖尿病、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、特発性肺線維症が挙げられる。
【0134】
炎症性腸疾患
本開示はさらに、必要とする患者に対する炎症性疾患の処置の方法であって、開示された化合物を投与する工程を含む方法を提供する。「炎症性腸疾患」とは、本明細書で使用するとき、クローン病、炎症性クローン病、線維狭窄性クローン病、胃十二指腸クローン病、クローン(肉芽腫性)大腸炎、潰瘍性大腸炎、コラーゲン蓄積大腸炎、リンパ球性大腸炎、虚血性大腸炎、空置大腸炎、ベーチェット病、顕微鏡的大腸炎、潰瘍性直腸炎、直腸S状結腸炎、空回腸炎、左側大腸炎、全結腸炎、回結腸炎、回腸炎、非定型的大腸炎を含む多くの慢性炎症性腸疾患を言う。炎症性腸疾患で最もよく見られる2つの形態は、クローン病と潰瘍性大腸炎である。炎症性腸疾患は、消化器系の自己免疫疾患である。クローン病は、末端回腸を含む胃腸管の任意の部分に局在化される場合があり、胃腸管の細胞型すべてに影響を及ぼす場合がある。潰瘍性大腸炎は、結腸と直腸に局在化され、粘膜の細胞のみに影響を及ぼす。
【0135】
炎症性クローン病は、過剰な胃腸炎症を生じさせる異常な免疫応答を特徴とする。炎症性クローン病は、小腸および/または大腸の部分、例えば回腸、結腸を含む腸壁に影響を及ぼすことが多い。炎症性クローン病は、肥厚・膨張組織の発達のほか、潰瘍にも関連する。適切なオートファジーに関連する遺伝子と同様、免疫系機能に役割を果たす遺伝子突然変異(例えばNOD2、ATG16L1、IL23R、IRGM)は、クローン病に関連する。
【0136】
線維狭窄性クローン病は、胃腸管の線維狭窄性病変/線維性狭窄の発生を含むクローン病の一種である。線維性狭窄は、結腸と対照的に、回腸のクローン病に関連することが多い。炎症は、一般的に発達性狭窄の前に生じる。狭窄は、以下の症状:腹部痙攣、腹痛、腹部膨満・膨張、食欲不振、疲労、悪心、嘔吐、便秘のいずれかに関連する場合がある。クローン病を患う患者の50%超が線維性狭窄を発症する。
【0137】
線維性狭窄は、細胞表面IL-17A受容体発現、およびコラーゲンサブタイプI、III、およびVを含むコラーゲンの産生増加に関連する。線維性狭窄は、フィステルの同時発生にも関連する。狭窄は、組織学的に、過剰量の細胞外マトリクス(ECM)の堆積を伴う炎症性細胞と間葉細胞との混合物の存在を特徴とする。腸の間葉細胞の活性化により、フィブロネクチンおよびコラーゲン(例えばIII型、IV型コラーゲン)を含むECM成分が蓄積される。まとまりのない平滑筋増殖および過剰なECM堆積は、狭窄性腸組織の機械的特徴を修飾し、線維性狭窄に関連する腸管の硬さを増加させ狭化をもたらすと考えられている。線維性狭窄が存在すると、腸壁の粘膜層、粘膜下層、および筋肉層の腸組織に異常が生じる。
【0138】
環境および遺伝的要因の両方が炎症性腸疾患に役割を果たすと考えられるが、このような要因の特定は十分に規定されていない。例えば、喫煙の常習によりクローン病の発症リスクは2倍になる。環境要素としては、摂取された食品および薬剤への曝露の影響を受ける腸のフローラの改質を挙げることができる。
【0139】
炎症性腸疾患は、腹痛、嘔吐、下痢、直腸出血、重度の痙攣、筋痙攣、体重減少、栄養失調、発熱、貧血症、皮膚病変、関節痛、眼炎症、肝臓障害、関節炎、壊疽性膿皮症、原発性硬化性胆管炎、非甲状腺疾患症候群を含む症状に関連し、開示されたアンチセンス化合物を使用したこれらの症状の処置は、一実施形態、例えば成長欠損も患う場合がある潰瘍性大腸炎を患う小児の処置においても企図される。
【0140】
腸線維症
腸線維症は、一般的に炎症性腸疾患(IBD)により生じる慢性炎症など、腸組織における反応から炎症までをもたらす。IBDでは、SMAD7値が増加すると、TGF-β経路活性化およびSmad2/3リン酸化を介して媒介される抗炎症性遺伝子発現が遮断される。筋線維芽細胞をTGF-βシグナル伝達の増加にさらすと、多量のコラーゲンが産生される。クローン病の観点では、持続性および慢性炎症は、線維化プロセスを促進させ、小腸および結腸の狭窄を含む狭窄の形成をもたらす。
【0141】
腸線維症は、造影超音波検査法などの多数の画像処理技法のうちいずれかにより特定可能である。例えば、Quaia et al.The value of small bowel wall contrast enhancement after sulfur hexafluoride-filled microbubble injection to differentiate inflammatory from fibrotic strictures in patients with Crohn’s disease.Ultrasound Med.Biol.38,1324-1332(2012)、Nylund et al.Quantitative contrast-enhanced ultrasound comparison between inflammatory and fibrotic lesions in patients with Crohn’s disease.Ultrasound Med.Biol.39,1197-1206(2013)、Stidham et al.Ultrasound elasticity imaging for detecting intestinal fibrosis and inflammation in rats and humans with Crohn’s disease.Gastroenterology 141,819-826(2011)を参照されたい。磁化移動MRIなどのMRI技法も使用可能である。例えば、Maccioni et al.Value of T2-weighted magnetic resonance imaging in the assessment of wall inflammation and fibrosis in Crohn’s disease.Abdom.Imaging 37,944-957(2012)、Adler et al.Magnetization transfer helps detect intestinal fibrosis in an animal model of Crohn disease.Radiology 259,127-135(2011)、Pazahr et al.Magnetization transfer for the assessment of bowel fibrosis in patients with Crohn’s disease:initial experience.Magn.Reson.Mat.Phys.Biol.Med.26,291-301(2013)を参照されたい。
【0142】
線維症
肝線維症、肺線維症、および/または腸線維症などの線維症を予防または処置する方法は、本開示の一部を形成する。かかる方法は、必要とする患者またはリスクにある患者に、本明細書に開示されるIL-34阻害剤、例えばIL-34アンチセンスオリゴヌクレオチドを含む医薬調製物を投与する工程を含む場合がある。例えば、肝線維症を予防または処置する方法であって、必要とする患者に、本明細書に開示されるIL-34阻害剤、例えばIL-34アンチセンスオリゴヌクレオチドを投与する工程を含む方法が、提供される。あるいは、腸線維症を予防または処置する方法であって、必要とする患者に、本明細書に開示されるIL-34阻害剤、例えばIL-34アンチセンスオリゴヌクレオチドを投与する工程を含む方法が、提供される。あるいは、肺線維症を予防または処置する方法であって、必要とする患者に、本明細書に開示されるIL-34阻害剤、例えばIL-34アンチセンスオリゴヌクレオチドを投与する工程を含む方法が、提供される。
【0143】
上記の方法を使用して処置される患者は、検出可能な線維症を有する、または有していない場合がある。いくつかの実施形態では、患者に存在する線維症の量は、IL-34アンチセンスオリゴヌクレオチドの投与後、例えば1日、2日、1週間、1か月、6か月、またはそれ以上経過した後、少なくとも約5%、10%、20%、30%、40%、50%、またはそれ以上減少する。かかるIL-34阻害剤、例えばIL-34アンチセンスオリゴヌクレオチドの投与は、例えば少なくとも毎日行われてよい。化合物は経口投与されてもよい。本明細書に開示されるIL-34阻害剤、例えばIL-34アンチセンスオリゴヌクレオチドの投与の結果として生じる、患者における線維症の臨床症状の遅延は、本明細書に開示されるものなどのIL-34阻害剤を投与されていない患者と比較して、例えば少なくとも6か月、1年、18か月、さらには2年以上の場合がある。
【0144】
必要とする患者は、肝硬変へと進行した肝線維症を有する場合がある。肝線維症のリスクのある患者は、B型肝炎、C型肝炎、または非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)の患者を含む場合がある。NASHは、脂肪過多症や肝硬変を含む非アルコール性脂肪肝疾患のスペクトルに含まれる。NASHはメタボリック症候群の構成要素であり、メタボリック症候群は、肥満症、2型糖尿病、および脂質異常症を特徴とし、最終的に肝細胞癌を引き起こす場合がある。
【0145】
α-1-アンチトリプシン欠乏症、銅蓄積症(例えばウィルソン病)、果糖血症、ガラクトース血症、糖原病(例えばIII、IV、VI、IX、X型)、鉄過剰症候群(例えばヘモクロマトーシス)、脂質異常(例えばゴーシェ病)、ペルオキシソーム障害(例えばツェルヴェーガー症候群)、チロシン血症などの特定の沈着症や先天性代謝異常;細菌感染(例えばブルセラ症);寄生虫感染(例えば包虫症);NASH;ウイルス感染(例えば慢性B型またはC型肝炎を含むB型肝炎とC型肝炎);バッド・キアリー症候群;心不全;肝静脈閉塞性疾患;および門脈血栓症のうち少なくとも1つの処置など、肝線維症に関連する障害を処置する方法も提供される。先天性肝線維症を処置する方法も、企図される。組成物は経口投与されてもよい。
【0146】
薬物および/またはアルコールの乱用は、肝線維症の症例に関与している。本明細書には、薬物および/またはアルコール中毒の既往歴のある患者の肝線維症を処置する方法が企図される。例えば、アルコール、アミオダロン、クロルプロマジン、イソニアジド、メトトレキサート、メチルドパ、オキシフェニサチン、およびトルブタミドのうち少なくとも1つを乱用する既往歴のある患者が処置される。
【0147】
腸線維症のリスクのある患者は、潰瘍性大腸炎、炎症性腸疾患、またはクローン病の患者を含む場合がある。リスクのある患者は、幼児期に進展型および/または重度の慢性疾患であるクローン病または大腸炎を診断された患者、原発性硬化性胆管炎が存在する患者、ならびに/あるいは癌の家族歴がある患者も含む場合がある。
【0148】
潰瘍性大腸炎、炎症性腸疾患、またはクローン病のうち少なくとも1つの処置など、腸線維症に関連する障害を処置する方法も提供される。
【0149】
本明細書には、腎線維症、心線維症、心内膜心筋線維症、特発性肺線維症、骨髄線維症、後腹膜線維症、または腎形成性全身性線維症を予防または処置する方法であって、IL-34阻害剤、例えば本明細書に開示されるIL-34アンチセンスオリゴヌクレオチドなどのIL-34アンチセンスオリゴヌクレオチドを含む医薬調製物を、必要とする患者に投与する工程を含む方法が、企図される。
【0150】
例えばIL-34 AONを含む本発明のIL-34阻害剤は、単独で、または阻害剤同士を組み合わせて使用することができ、これにより本発明の少なくとも2つのIL-34阻害剤は、単一の組成物中で、または処置レジメンの一部として一緒に使用される。本発明のIL-34阻害剤は、薬物および/またはアルコール中毒、腎線維症、心線維症、心内膜心筋線維症、特発性肺線維症、骨髄線維症、後腹膜線維症、あるいは腎形成性全身性線維症、薬物および/またはアルコール中毒を処置するための他の薬物と併用することもできる。
【0151】
処置および評価
「患者」または「対象」は、本明細書で使用するとき、炎症性疾患および/または線維性疾患のリスクにあるか、この疾患を患うか、あるいはこの疾患が診断された、哺乳動物、霊長類、ヒトを含むがこれらに限定されない動物を言う。特定の実施形態では、患者は、例えばネコ、イヌ、ウマなどの非ヒト哺乳動物であってもよい。患者は、炎症性および/または線維性疾患を発症するリスクが高いと診断された個体、炎症性および/または線維性疾患と診断された人、炎症性および/または線維性疾患の既往歴のある人、あるいは炎症性および/または線維性疾患の症状または兆候、例えばIL-34発現シグナルを評価された個体であってもよい。
【0152】
「必要とする患者」は、本明細書で使用するとき、炎症性および/または線維性疾患の症状または徴候のいずれかを患う患者、炎症性および/または線維性疾患の症状または徴候のいずれかを患う可能性のある患者、あるいは炎症性および/または線維性疾患を処置するための本開示の方法により利益を得る可能性のある任意の患者を言う。必要とする患者は、炎症性および/または線維性疾患を発症するリスクがあると診断された患者、過去に炎症性および/または線維性疾患を患った患者、あるいは炎症性および/または線維性疾患の治療歴のある患者を含む場合がある。特に関連性があるのは、IL-34の発現または活性のレベルの増加に関連する炎症性および/または線維性疾患を患う個体である。
【0153】
「処置する」、「処置」、「処置すること」などの用語は、一般的に所望の薬理学的および/または生理学的効果を達成することを意味するように本明細書で使用される。この効果は、疾患もしくはその症状の完全または部分的な予防の観点では予防的であり、ならびに/あるいは、疾患および/もしくはこれに起因する有害事象の部分的または完全な治療の観点では治療的であり得る。「処置」という用語は、本明細書で使用するとき、哺乳動物、とりわけヒトの疾患の処置を包含し、以下:(a)疾患に罹りやすいが依然として疾患があると診断されていない対象において、疾患が生じることを予防すること、(b)疾患を阻害、すなわち疾患の重症度または範囲が増加するのを予防すること、(c)疾患を緩和、すなわち疾患の部分的または完全な改善を引き起こすこと、あるいは(d)疾患の再発を予防、すなわち、以前に疾患またはその症状の処置が成功した後に疾患が活性状態に戻るのを防ぐことを含む。
【0154】
「有効量」または「薬学的に有効量」は、本明細書で使用するとき、患者への投与に際して疾病を少なくとも部分的に処置するのに十分な薬剤の量を指す。治療上有効量は、疾病の重症度、成分の投与経路、処置対象の患者の年齢や体重などに応じて変動する。したがって、開示されたIL-34アンチセンスオリゴヌクレオチドの有効量は、患者の炎症性および/または線維性疾患を処置するのに必要なIL-34アンチセンスオリゴヌクレオチドの量であり、そのため、この薬剤の投与により、炎症性および/または線維性疾患が対象に生じるのが予防され、炎症性および/または線維性疾患の進行が予防される(例えば、直腸出血、貧血症、胃腸の炎症などの炎症性腸疾患症状の発症または重症度増加を防ぐ)、あるいは炎症性および/または線維性疾患の一部またはすべての関連症状が軽減または完全に改善される、例えばその疾患の退縮が生じる。
【0155】
処置の有効性は、炎症性および/または線維性疾患に関連する症状全体の評価、組織構造の解析、生化学物質アッセイ、例えば磁気共鳴撮像などの撮像法、あるいは他の既知の方法を用いて評価することができる。例えば、処置の有効性は、腹痛、嘔吐、下痢、直腸出血、痙攣、筋痙攣、体重減少、栄養失調、発熱、貧血症、または開示されたIL-34アンチセンスオリゴヌクレオチドの炎症性疾患を患う患者への投与後の炎症性疾患に関連する病態全体の他の態様における変化など、疾患の症状全体の解析により評価することができる。
【0156】
処置の有効性は、例えば、組織生検(例えば胃腸組織生検)を採取して組織もしくは細胞全体の形態学または染色性を評価する手段により、組織または細胞の水準で評価することもできる。タンパク質またはRNA発現を検査する生化学物質アッセイも、処置の有効性の評価に使用することができる。例えば、免疫細胞化学法、免疫組織化学法、ウェスタンブロッティング法もしくはノーザンブロッティング法、または定量的もしくは半定量的ポリメラーゼ連鎖反応などのRNA値を評価するのに有用な方法を介して、分離細胞または非分離組織における、IL-34、IL-6、IL-8、TNF-α、あるいは、炎症性および/または線維性疾患、炎症性サイトカイン産生、もしくはIL-34媒介型炎症反応を示す他のタンパク質または遺伝子産物のレベルを評価することができる。さらに、疾患状態および処置の有効性を評価するために、糞便、血漿、または血清中に見られる有用なバイオマーカーの発現の存在またはレベルを評価することもできる。
【0157】
処置の有効性の評価では、有効な評価を確認するのに適切な対照を選択することができる。例えば、開示されたIL-34阻害剤、例えばIL-34アンチセンスオリゴヌクレオチドの投与後の炎症性および/または線維性疾患患者において評価される症状を、処置前もしくは処置期間の初期の時点にある同患者、または炎症性および/もしくは線維性疾患と診断されていない別の患者の症状と比較することができる。あるいは、開示されたIL-34阻害剤、例えばIL-34アンチセンスオリゴヌクレオチドの投与後の胃腸組織の生化学的または組織学的解析の結果を、同患者、炎症性および/もしくは線維性疾患と診断されていない患者、またはIL-34阻害剤の投与前の同患者から得た胃腸組織の結果と比較することができる。さらに、開示されたIL-34阻害剤、例えばIL-34アンチセンスオリゴヌクレオチドの投与後の血液、血清、細胞、または糞便試料を、炎症性および/もしくは線維性疾患と診断されていない個体またはIL-34アンチセンス阻害剤の投与前の同患者から得た同等の試料と比較することができる。
【0158】
IL-34阻害の検証は、IL-34の発現レベルまたは活性を直接または間接的に評価することで判定することができる。例えば、IL-34タンパク質またはRNA発現を測定する生化学アッセイは、全体的なIL-34阻害を評価するために使用することができる。例えば、全体的なIL-34レベルを評価するためにウェスタンブロットにより胃腸組織中のIL-34タンパク質レベルを測定することができる。また、全体的なIL-34阻害を判定するためにノーザンブロットまたは定量的ポリメラーゼ連鎖反応を用いてIL-34 mRNAレベルを測定することもできる。さらに、免疫細胞化学または免疫組織化学法を介して、分離細胞、非分離組織、血液、血清、または糞便中のIL-34タンパク質レベル、あるいはIL-34シグナル伝達活性を示す他のタンパク質レベルを評価することもできる。
【0159】
IL-34阻害はさらに、マクロファージもしくは単球の生成または増殖などのパラメータの測定、あるいは、MAPキナーゼリン酸化、および他のIL-34受容体、マクロファージコロニー刺激因子受容体(MCSFR-1やM-CSFR1、CSF1Rとしても知られるM-CSFR-1)のシグナル伝達活性化の指標を含む、IL-34活性の変化と相関する他のパラメータにおける改質の測定により、間接的に評価することができる。例えば、開示されたIL-34阻害剤、例えばIL-34アンチセンスオリゴヌクレオチドを投与した患者の細胞中の活性MAPK1またはMAPK3リン酸化のレベルを、前記細胞中のIL-34活性の指標として測定することができる。また、IL-34阻害の有効性を評価するために、血漿、血液、糞便、または組織中に見られる有用なバイオマーカーの存在または発現レベルを評価することもできる。
【0160】
本明細書に開示される処置方法は、炎症性サイトカイン産生を阻害する方法を含む。「炎症性サイトカイン産生」とは、炎症性サイトカイン応答を開始および/または促進するサイトカインの発現を指す。「炎症性サイトカイン応答」とは、顆粒球動員、リンパ球動員、全身性炎症(特に胃腸管またはその一部の)、発熱、組織破壊、ショック、および/または死亡を特徴とする場合がある免疫応答を指す。炎症性サイトカイン応答は、個々のサイトカインを、その同族細胞表面受容体(例えばCSF1Rに結合するIL-34)、および続く細胞機能と遺伝子発現を改質する細胞内シグナル伝達のカスケードに結合させることを特徴とする場合がある。炎症性サイトカインとして、IL-1、IL-6、IL-8、IL-34、TNF-αが挙げられるが、これらに限定されるものではない。炎症性サイトカインの発現は、例えばマクロファージ、単球、粘膜固有層単核球(propia lamina mononuclear cells)、胃腸管の他の細胞、または免疫系の細胞に生じる場合がある。炎症性サイトカイン産生を阻害する方法は、炎症性疾患を患う患者における一部またはすべての炎症性サイトカインの発現レベルを低下させる方法を含む。炎症性サイトカイン産生を阻害する方法は、炎症性疾患を患う患者の細胞における一部またはすべての炎症性サイトカインの発現レベルを低下させる方法も含む。
【0161】
本開示の炎症性サイトカイン産生を阻害する方法は、IL-34媒介型炎症反応を低減または阻害する方法を含む。「IL-34媒介型炎症反応」は、本明細書で使用するとき、IL-34発現またはIL-34シグナル伝達活性により開始され、容易とされ、または促進される炎症反応を指す。IL-34媒介型炎症反応は、IL-34、IL-6、IL-8、TNF-αを含むがこれらに限定されない炎症性サイトカインの発現、および炎症性サイトカインシグナル伝達の活性化をもたらす場合がある。加えて、IL-34媒介型炎症反応は、顆粒球動員、リンパ球動員、全身性炎症(特に胃腸管または一部の)、発熱、組織破壊、ショック、および/または死亡を特徴とする場合がある。IL-34媒介型炎症反応はまた、IL-34シグナル伝達の活性化、例えばIL-34とCSF1Rとの結合、および下流MAPキナーゼのリン酸化を特徴とする場合がある。IL-34媒介型炎症反応の低減または阻害とは、IL-34媒介型炎症反応に関連する細胞および全身の変化のいずれか、またはすべてを緩和することを指す。例えば、炎症性サイトカイン産生、免疫細胞動員、または組織炎症の低減は、IL-34媒介型炎症反応の低減または阻害を示すことになる。
【0162】
本開示は、炎症性および/または線維性疾患を患う患者の細胞におけるIL-34を阻害する方法も提供する。IL-34は、IL-34発現または活性が生じる、胃腸管、免疫系、および血液の細胞を含む細胞において阻害される場合がある。胃腸管細胞(腸壁、胃、十二指腸、空腸、大腸、小腸、回腸、結腸、直腸、肛門管の各細胞を含む)は、柱状上皮細胞、腸間質細胞、粘膜上皮細胞、酵素原細胞、頚部粘液細胞、壁細胞、ガストリン細胞、杯状細胞、パネート細胞、オリゴ粘液細胞(oligomucus cell)、および絨毛吸収細胞(villus absorptive cell)を含む。免疫系細胞は、白血球(leukocyte)、食細胞(例えば、マクロファージ、好中球、樹状細胞)、単球、肥満細胞、好酸球、好塩基球、ナチュラルキラー細胞、固有細胞(innate cell)、リンパ球、B細胞、およびT細胞を含む。血液細胞は、赤血球(red blood cell)(赤血球(erythrocyte))ならびに白血球(white blood cell)(白血球、単球、および血小板)を含む。
【0163】
医薬組成物および投与経路
本開示は、開示されたIL-34阻害剤、例えばIL-34アンチセンスオリゴヌクレオチドを含む医薬組成物の投与により炎症性および/または線維性疾患を処置するための方法も提供する。別の態様では、本開示は、炎症性および/または線維性疾患の処置に使用するための医薬組成物を提供する。医薬組成物は、IL-34を標的とする開示されたIL-34阻害剤、例えばIL-34アンチセンスオリゴヌクレオチドと、薬学的に許容可能な賦形剤とで構成されてよい。本明細書で使用するとき、「医薬組成物」という用語は、例えば、炎症性および/または線維性疾患を処置するために、哺乳動物、例えばヒトに投与される、薬学的に許容可能な賦形剤中に指定量の治療用化合物、例えば治療上有効量の治療用化合物を含有する混合物を意味する。一部の実施形態では、開示されるIL-34阻害剤、例えばIL-34アンチセンスオリゴヌクレオチドと薬学的に許容可能な賦形剤とを含む医薬組成物が、本明細書において企図される。別の態様では、本開示は、炎症性および/または線維性疾患を処置するための薬剤の製造における、開示されるIL-34阻害剤、例えばIL-34アンチセンスオリゴヌクレオチドの使用を提供する。「薬剤」は、本明細書で使用するとき、「医薬組成物」という用語と基本的に同じ意味を有する。
【0164】
本明細書で使用するとき、「薬学的に許容可能な賦形剤」とは、対象への活性薬剤の投与および/または対象による吸収を補助して、患者に著しく有害な毒性作用を生じさせることなく本開示の組成物に含めることのできる物質を指す。薬学的に許容可能な賦形剤の非限定的な例として、水、NaCl、リン酸緩衝生理食塩水溶液などの正常食塩溶液、乳剤(例えば油/水または水/油の乳剤など)、ラクトリンゲル、正常スクロース、正常グルコース、結合剤、充填剤、崩壊剤、潤滑剤、コーティング、甘味料、香料、食塩水(リンゲル液など)、アルコール、油、ゼラチン、ラクトースなどの炭水化物、アミロースまたはデンプン、脂肪酸エステル、ヒドロキシメチルセルロース、ポリビニルピロリジン、着色料などが挙げられる。このような調製物は滅菌されてよく、望まれる場合には、本発明のIL-34阻害剤に対し有害に反応しない潤滑剤、防腐剤、安定化剤、湿潤剤、乳化剤、浸透圧に影響を及ぼす塩、緩衝液、着色料、芳香剤などと混合されてよい。賦形剤の例については、Martin,Remington’s Pharmaceutical Sciences,15th Ed.,Mack Publ.Co.,Easton,PA(1975)を参照されたい。
【0165】
一実施形態では、開示されたIL-34阻害剤、例えばIL-34アンチセンスオリゴヌクレオチド、およびその医薬組成物は、局所、非経口、経口、経肺、気管内、鼻腔内、経皮、または十二指腸内を含む1または複数の経路により投与されてもよい。非経口という用語は、本明細書で使用するとき、皮下注射、膵内投与、静脈内注射、筋肉内注射、腹腔内注射、胸骨内注射または注入の技法を含む。例えば、開示されたIL-34阻害剤、例えばIL-34アンチセンスオリゴヌクレオチドは、被験体に皮下投与されてもよい。別の例では、開示されたIL-34阻害剤、例えばIL-34アンチセンスオリゴヌクレオチドは、被験体に経口投与されてもよい。別の例では、開示されたIL-34阻害剤、例えばIL-34アンチセンスオリゴヌクレオチドは、非経口投与により胃腸系、または胃腸系の特定領域(例えば回腸、結腸、直腸)に直接投与されてもよい。
【0166】
IL-34阻害剤、例えば本明細書に開示されるものなどのIL-34アンチセンスオリゴヌクレオチドを含有する医薬組成物は、単位投与形態で提供され、適切な方法により調製することができる。医薬組成物は、その意図された投与経路に適合するように製剤化する必要がある。有用な製剤は、医薬品分野で公知の方法により調製することができる。例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,18th ed.(Mack Publishing Company,1990)を参照されたい。
【0167】
医薬製剤は、例えば滅菌されている。滅菌は、例えば濾過滅菌膜による濾過により達成可能である。組成物を凍結乾燥するとき、濾過滅菌は、凍結乾燥および再構成の前または後に行ってもよい。
【0168】
非経口投与
本開示の医薬組成物は、非経口投与のために製剤化可能であり、例えば、静脈内、筋肉内、皮下、病巣内、または腹腔内経路を介する注射のために製剤化可能である。開示されたIL-34阻害剤、例えばIL-34アンチセンスオリゴヌクレオチドを含有する医薬組成物水溶液などの組成物水溶液の調製は、本開示の観点から当業者に公知となるであろう。一般的に、そのような組成物は、溶液または懸濁液のいずれかとしての注入物質として調製可能であり、注射前に液体の添加に際して溶液または懸濁液の調製への使用に適切な固体形態も調製可能であり、この調製物は乳化することもできる。
【0169】
注射可能な使用に適した剤形は、滅菌水溶液または分散液、ゴマ油、ピーナッツ油、またはプロピレングリコール水溶液を含む製剤、および注射可能な滅菌溶液または分散液の即時調製用の滅菌粉末を含む。あらゆる場合に、剤形は滅菌される必要があり、無菌でなければならず、容易な注射針貫通性(syringability)が存在する程度に流動性である必要がある。剤形は、製造および保存の条件下で安定している必要があり、細菌や真菌などの微生物の汚染作用を防止する必要がある。
【0170】
遊離塩基または薬理学的に容認可能な塩としての活性化合物の溶液は、ヒドロキシプロピルセルロースなどの界面活性剤と適宜混合した水の中で調製可能である。分散液は、グリセロール、液体ポリエチレングリコール、およびそれらの混合物中、ならびに油中でも調製可能である。加えて、溶媒または懸濁媒として滅菌固定油が利用されてよい。この目的のために、合成モノグリセリドまたはジグリセリドを含む配合固定油を利用してもよい。加えて、オレイン酸などの脂肪酸が、注射可能な調製物に使用されてよい。注射可能な滅菌調製物は、例えば、1,3-ブタンジオール中の溶液として、非経口投与に許容可能な無毒の希釈剤または溶媒中にある注射可能な滅菌溶液、懸濁液、または乳剤であってよい。許容可能なビヒクルおよび溶媒の中で利用可能なのは、水、リンゲル溶液、U.S.P.、および等張食塩水である。一実施形態では、開示されたIL-34阻害剤は、1%(w/v)ナトリウムカルボキシメチルセルロースと0.1%(v/v)TWEEN(登録商標)80とを含む担体または賦形剤流体中に懸濁されてよい。通常の保存および使用の条件下で、こうした調製物は、微生物の増殖を防ぐために保存料を包含している。
【0171】
注射可能な調製物、例えば注射可能な滅菌水性懸濁液または油性懸濁液は、適切な分散化剤または湿潤剤、および懸濁化剤を使用して、既知の技術に従って製剤化されてよい。一般に、分散剤は、塩基性分散媒と、上に列挙されたものから他の必要な成分とを含む滅菌ビヒクルに、滅菌された様々な有効成分を組み入れることにより調製される。本開示の注射可能な滅菌溶液は、開示されたIL-34阻害剤、例えばIL-34アンチセンスオリゴヌクレオチドを、必要量の適切な溶媒中、上に列挙された他の成分のいくつかに組み入れ、その後必要に応じて滅菌濾過を行うことにより、調製されてよい。注射可能な滅菌溶液を調製するための滅菌粉末の場合、好ましい調製方法は、真空乾燥および冷凍乾燥技法であり、この技法により、以前に滅菌濾過された溶液の追加の所望成分を加えた有効成分の粉末が得られる。注射可能な製剤は、例えば細菌を保持するフィルタを介した濾過により滅菌可能である。
【0172】
さらに、または高度に濃縮した筋肉内注射用溶液の調整も、企図される。この点では、極めて速やかな調製をもたらし、高濃度の開示されたIL-34アンチセンスオリゴヌクレオチドを小さな領域に送達することから、溶媒としてDMSOの使用が好ましい。
【0173】
かかる溶液中での使用に適切な保存料は、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、クロロブタノール、チメロサールなどが挙げられる。適切な緩衝液は、ホウ酸、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、10炭酸ナトリウムおよび10炭酸カリウム(sodium and potassium 10 carbonate)、酢酸ナトリウム、リン酸ナトリウムなどを、pHを約6~8の間、例えばpH約7~7.5の間に維持するのに十分な量で含む。適切な等張化剤は、溶液の食塩相当量が+0.9または-0.2%の範囲内にあるような、デキストラン40、デキストラン70、デキストロース、グリセリン、塩化カリウム、プロピレングリコール、塩化ナトリウムなどである。適切な抗酸化剤および安定化剤は、亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、チオ尿素などを含む。適切な湿潤剤および清澄剤は、ポリソルベート80、ポリソルベート20、ポロキサマー282、チロキサポールを含む。適切な増粘剤は、デキストラン40、デキストラン70、ゼラチン、グリセリン、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルプロピルセルロース、ラノリン、メチルセルロース、ペトロラタム、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロースなどを含む。
【0174】
経口投与
いくつかの実施形態では、本明細書には、開示されたIL-34阻害剤、例えばIL-34アンチセンスオリゴヌクレオチド、例えば腸溶コーティング(例えば胃耐性コーティング)を含む錠剤を経口投与するのに適した組成物が企図され、それにより、組成物は、IL-34阻害剤を、例えば患者の胃腸管に送達することができる。例えば、かかる投与は、患者の胃腸管の影響を受けた部分に対してほぼ局所的にIL-34阻害剤を直接適用することで、局所効果をもたらすことができる。かかる投与は、いくつかの実施形態では、実質的にIL-34阻害剤の不要な体内吸収を回避することができる。
【0175】
例えば、開示されたIL-34阻害剤、例えばIL-34アンチセンスオリゴヌクレオチド、例えば配列番号1~23のいずれか1つのヌクレオチド配列を含むアンチセンスオリゴヌクレオチドと、薬学的に許容可能な賦形剤とを含む経口投与用錠剤が、提供される。かかる錠剤は、腸溶コーティングでコーティングを施されてよい。企図された錠剤は、充填剤、結合剤、崩壊剤、および/または潤滑剤などの薬学的に許容可能な賦形剤のほか、着色料、剥離剤、甘味料、ウィンターグリーン、オレンジ、キシリトール、ソルビトール、フルクトース、マルトデキストリンなどの香料、芳香剤、保存料、および/または抗酸化剤を含んでよい。
【0176】
いくつかの実施形態では、企図された医薬製剤は、開示されたIL-34阻害剤、例えばIL-34アンチセンスオリゴヌクレオチド、例えば配列番号1~23のいずれか1つのヌクレオチド配列を含むアンチセンスオリゴヌクレオチドと、薬学的に許容可能な塩と、薬学的に許容可能な充填剤とを含む粒子間相を含む。例えば、開示されたIL-34阻害剤、例えばIL-34アンチセンスオリゴヌクレオチドおよび充填剤は、任意選択で他の賦形剤と一緒に配合されて、顆粒剤へと形成される場合がある。いくつかの実施形態では、粒子間相は湿式製粒法を使用して形成することができ、例えば、液体(例えば水)をIL-34阻害剤と充填剤との配合物に添加し、次いでその組合せを乾燥、粉砕、および/またはふるいにかけて、顆粒を生じさせる。当業者は、粒子間相を達成するために他のプロセスが使用されてもよいことを理解するであろう。
【0177】
いくつかの実施形態では、企図された製剤は粒子外相(extra-granular phase)を含み、この粒子外相は、1つ以上の薬学的に許容可能な賦形剤を含んでもよく、本開示の製剤を形成するために粒子間相と配合されてよい。
【0178】
開示された製剤は、充填剤を含む粒子間相を含んでよい。例示的な充填剤として、セルロース、ゼラチン、リン酸カルシウム、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール、ソルビトール、微結晶性セルロース、ペクチン、ポリアクリレート、デキストロース、酢酸セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、予め部分的にゼラチン化されたデンプン、その他それらの組合せを含むものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0179】
いくつかの実施形態では、開示された製剤は、結合剤を含む粒子間相および/または粒子外相を含んでよく、この結合剤は、一般的に医薬製剤の複数の成分をまとめて保持するよう機能することができる。本開示の例示的な結合剤の例として、デンプン、糖、セルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどの修飾セルロース、ラクトース、予めゼラチン化されたトウモロコシデンプン、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、低置換ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシルメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、エチルセルロース、糖アルコール、その他それらの組合せを含むものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0180】
企図された製剤、例えば、粒子間相および/または粒子外相を含むものは、デンプン、セルロース、架橋ポリビニルピロリドン、ナトリウムデンプングリコレート、カルボキシルメチルセルロースナトリウム、アルギネート、トウモロコシデンプン、クロスメロース(crosmellose)ナトリウム、架橋カルボキシメチルセルロース、低置換ヒドロキシプロピルセルロース、アカシア、その他それらの組合せを含むものなどであるがこれらに限定されない崩壊剤を含んでよい。例えば、粒子間相および/または粒子外相は、崩壊剤を含んでよい。
【0181】
いくつかの実施形態では、企図された製剤は、開示されたIL-34阻害剤、例えばIL-34アンチセンスオリゴヌクレオチド、およびマンニトール、微結晶性セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、およびナトリウムデンプングリコレート、またはそれらの組合せから選択される賦形剤を含む粒子間相と、微結晶性セルロース、ナトリウムデンプングリコレート、ステアリン酸マグネシウム、またはそれらの混合物のうち1つ以上を含む粒子外相とを含む。
【0182】
いくつかの実施形態では、企図された製剤は潤滑剤を含んでよく、例えば、粒子外相は潤滑剤を含んでよい。潤滑剤として、タルク、シリカ、脂肪、ステアリン、ステアリン酸マグネシウム、リン酸カルシウム、二酸化ケイ素、ケイ酸カルシウム、リン酸カルシウム、コロイド状二酸化ケイ素、ステアリン酸金属塩、水添植物油、トウモロコシデンプン、安息香酸ナトリウム、ポリエチレングリコール、酢酸ナトリウム、ステアリン酸カルシウム、ラウリル硫酸ナトリウム、塩化ナトリウム、ラウリル硫酸マグネシウム、タルク、ステアリン酸が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0183】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は腸溶コーティングを含む。一般的に、腸溶コーティングは、薬物が消化管に沿って吸収される場所を制御する、経口薬剤に対するバリアを作り出す。腸溶コーティングは、pHに応じて様々な速度で崩壊するポリマーを含む場合がある。腸溶コーティングとして、例えば酢酸フタル酸セルロース、メチルアクリレート-メタクリル酸コポリマー、セルロースアセテートスクシネート、ヒドロキシメチルプロピルセルロースフタレート、メチルメタクリレート-メタクリル酸コポリマー、アクリル酸エチル-メタクリル酸コポリマー、メタクリル酸コポリマーC型、ポリビニルアセテート-フタレート、セルロースアセテートフタレートを挙げることができる。
【0184】
例示的な腸溶コーティングとして、Opadry(登録商標)AMB、Acryl-EZER、Eudragit(登録商標)グレードが挙げられる。いくつかの実施形態では、腸溶コーティングは、約5重量%~約10重量%、約5重量%~約20重量%、約8重量%~約15重量%、約8重量%~約20重量%、約10重量%~約20重量%、約12重量%~約20重量%、または約18重量%の企図された錠剤を含んでよい。例えば、腸溶コーティングは、アクリル酸エチル-メタクリル酸コポリマーを含んでよい。
【0185】
例えば、企図された実施形態では、約0.5重量%~約70重量%、例えば約0.5重量%~約10重量%、または約1重量%~約20重量%の開示されたIL-34阻害剤、例えばIL-34アンチセンスオリゴヌクレオチド、またはその薬学的に許容可能な塩を含むか、あるいはこれらから実質的になる錠剤が、提供される。かかる錠剤は、例えば、約0.5重量%~約60重量%のマンニトール、例えば約30重量%~約50重量%のマンニトール、例えば約40重量%のマンニトール、および/あるいは、約20重量%~約40重量%の微結晶性セルロース、または約10重量%~約30重量%の微結晶性セルロースを含んでよい。例えば、開示された錠剤は、約30重量%~約60重量%、例えば約45重量%~約65重量%、または約5重量%~約10重量%の開示されたIL-34阻害剤、例えばIL-34アンチセンスオリゴヌクレオチド、約30重量%~約50重量%、または約5重量%~約15重量%のマンニトール、約5重量%~約15重量%の微結晶性セルロース、約0重量%~約4重量%、または約1重量%~約7重量%のヒドロキシプロピルメチルセルロース、および約0重量%~約4重量%、例えば約2重量%~約4重量%のナトリウムデンプングリコレートを含む粒子間相を含んでよい。
【0186】
他の企図された実施形態では、開示されたIL-34阻害剤、例えばIL-34アンチセンスオリゴヌクレオチドの経口投与用の医薬品錠剤製剤は、粒子間相を含み、粒子間相は、開示されたIL-34阻害剤またはその薬学的に許容可能な塩(ナトリウム塩などの)、および薬学的に許容可能な充填剤を含み、IL-34阻害剤はさらに、崩壊剤などの薬学的に許容可能な賦形剤を含み得る粒子外相も含んでよい。粒子外相は、微結晶性セルロース、ステアリン酸マグネシウム、およびそれらの混合から選択される成分を含んでよい。医薬組成物は、錠剤の約12重量%~20重量%の腸溶コーティングも含んでよい。例えば、経口投与用の薬学的に許容可能な錠剤は、約0.5重量%~10重量%の開示されたIL-34阻害剤、例えばIL-34アンチセンスオリゴヌクレオチドまたはその薬学的に許容可能な塩、約30重量%~50重量%のマンニトール、約10重量%~30重量%の微結晶性セルロース、アクリル酸エチル-メタクリル酸コポリマーを含む腸溶コーティングを含んでよい。
【0187】
別の例では、経口投与用の薬学的に許容可能な錠剤は、約5~約10重量%の開示されたIL-34阻害剤、例えばIL-34アンチセンスオリゴヌクレオチドまたはその薬学的に許容可能な塩、約40重量%のマンニトール、約8重量%の微結晶性セルロース、約5重量%のヒドロキシプロピルメチルセルロース、および約2重量%のナトリウムデンプングリコレートを含む粒子間相、約17重量%の微結晶性セルロース、約2重量%のナトリウムデンプングリコレート、約0.4重量%のステアリン酸マグネシウムを含む粒子外相、ならびにアクリル酸エチル-メタクリル酸およびコポリマーを含む錠剤上の腸溶コーティングを含んでよい。
【0188】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約13重量%もしくは約15重量%、16重量%、17重量%、または18重量%を含む腸溶コーティング、例えばAcyrlEZE(登録商標)を含有してもよい(例えば、その全体を参照することで本明細書に引用されるPCT公開公報WO2010/054826を参照)。
【0189】
その時点でコーティングが溶解して有効成分が放出される速度は、その溶出速度である。一実施形態では、企図された錠剤は、例えば、約120分~約240分後、例えば180分後に放出する約50%~約100%のIL-34阻害剤のpH7.2のリン酸緩衝液中、100rpm、37℃で、USP/EP Type2装置(パドル)で試験したときの溶解プロファイルを有する場合がある。別の実施形態では、企図された錠剤は、例えば、120分後にほぼすべてのIL-34阻害剤が放出されないpH1.0の希釈HCl中、100rpm、37℃で、USP/EP Type2装置(パドル)で試験したときの溶解プロファイルを有する場合がある。別の実施形態では、企図された錠剤は、例えば、30分後に放出する約10%~約30%、または約50%以下のIL-34阻害剤の、pH1.0の希釈HCl中、100rpm、37℃で、USP/EP Type2装置(パドル)で試験したときの溶解プロファイルを有する場合がある。
【0190】
企図された製剤、例えば錠剤は、いくつかの実施形態では、患者に経口投与されると、患者におけるIL-34阻害剤、例えばIL-34アンチセンスオリゴヌクレオチド血漿中濃度を最小限に抑えることができる。別の実施形態では、開示された製剤は、患者に経口投与されると、患者の結腸または直腸に、例えば患者の影響を受けた部位または罹患部位に局所送達される。
【0191】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、本明細書に開示される疾患および障害の処置を対象とする少なくとも1つの他の薬剤を投与する工程をさらに含んでもよい。一実施形態では、企図された他の薬剤は、共投与されてもよい(例えば、連続で、または同時に)。
【0192】
企図された薬剤は、グルココルチコイド、細胞増殖抑止剤、抗体、イムノフィリンに作用する薬剤、インターフェロン、オピオイド、TNF結合タンパク質、ミコフェノレート、および小型生物学的因子を含む免疫抑制剤を含む。例えば、企図された免疫抑制剤として、タクロリムス、シクロスポリン、ピメクロリムス、シロリムス、エベロリムス、ミコフェノール酸、フィンゴリモド、デキサメタゾン、フルダラビン、シクロホスファミド、メトトレキサート、アザチオプリン、レフノミド、テリフルノミド、アナキンラ、抗胸腺細胞グロブリン、抗リンパ球グロブリン、ムロモナブ-CD3、アフツズマブ、リツキシマブ、テプリズマブ、エファリズマブ、ダクリズマブ、バシリキシマブ、アダリムマブ、インフリキシマブ、セルトリズマブペゴール、ナタリズマブ、エタネルセプトが挙げられるが、これらに限定されるものではない。他の企図された薬剤として、抗生物質、止瀉薬、緩下薬、鎮痛剤、鉄補給食品、カルシウムまたはビタミンDもしくはB-12サプリメントが挙げられる。
【0193】
投与量および投与頻度
例示的な製剤は、約35mg~約500mgの開示されたIL-34阻害剤、例えばIL-34アンチセンスオリゴヌクレオチドを含むか、この阻害剤から実質的になる投与形態を含む。例えば、約35mg、40mg、50mg、60mg、70mg、80mg、90mg、100mg、110mg、120mg、130mg、140mg、150mg、160mg、170mg、180mg、190mg、200mg、または250mgの開示されたIL-34阻害剤、例えばIL-34アンチセンスオリゴヌクレオチドを含む製剤が、本明細書で企図される。一実施形態では、製剤は、約40mg、80mg、または160mgの開示されたIL-34阻害剤、例えばIL-34アンチセンスオリゴヌクレオチドを含んでよい。いくつかの実施形態では、製剤は、少なくとも100μgの開示されたIL-34阻害剤、例えばIL-34アンチセンスオリゴヌクレオチドを含んでよい。例えば、製剤は、約0.1mg、0.2mg、0.3mg、0.4mg、0.5mg、1mg、5mg、10mg、15mg、20mg、または25mgの開示されたIL-34阻害剤、例えばIL-34アンチセンスオリゴヌクレオチドを含んでよい。投与される量は、処置対象の疾患または適応症の種類と程度、患者の全身健康状態とサイズ、IL-34阻害剤のin vivo効力、医薬製剤、投与経路などの変数に左右される。所望の血中濃度または組織レベルを速やかに達成するために、初期量を、上限を超えて増やすことができる。代替的に、初期量は最適量より少なくてもよく、投与量は、処置経過中に徐々に増やされる場合がある。ヒトへの投与量は、例えば40mg~160mgで行われるようデザインされる従来の第I相用量漸増試験において最適化されてよい。投与頻度は、投与経路、投与量、処置対象の疾患などの因子に応じて変動する場合がある。例示的な投与頻度は、1日1回、週1回、および2週間に1回である。いくつかの実施形態では、投与は、1日1回7日間行われる。
【0194】
診断法
本開示は、患者の1つ以上の生体試料中のIL-34発現シグナルのレベルの検出に依存する、炎症性および/または線維性疾患を患う患者を診断する方法も提供する。本明細書で使用するとき、「IL-34発現シグナル」という用語は、IL-34遺伝子発現の任意の指標、遺伝子活性、または遺伝子産物活性を指す場合がある。IL-34遺伝子産物は、RNA(例えばmRNA)、ペプチド、およびタンパク質を含む。評価可能なIL-34遺伝子発現の疾患指標として、IL-34遺伝子またはクロマチン状態、遺伝子発現を調節する細胞成分とのIL-34遺伝子相互作用、IL-34遺伝子産物発現レベル(例えばIL-34 RNA発現レベル、IL-34タンパク質発現レベル)、あるいはIL-34 RNAまたはタンパク質と転写、翻訳、もしくは翻訳後プロセシング機構との相互作用が挙げられるが、これらに限定されるものではない。IL-34遺伝子産物活性の疾患指標として、IL-34シグナル伝達活性の評価(例えばCSF1R活性化またはMAPK1/MAPK3リン酸化の評価)、IL-34受容体結合の評価(例えばCSF1R結合)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0195】
IL-34発現シグナルの検出は、in vivo、in vitro、またはex vivoの方法により達成することができる。好ましい実施形態では、本開示の方法はin vitroで実行可能である。検出方法は、患者の血液、血清、糞便、組織、または細胞を対象とする検出を含む場合がある。検出は、組織全体、組織外植片、細胞培養物、分離細胞、細胞抽出物、または血液や血清を含む体液中のIL-34発現シグナルを測定することにより達成することができる。企図される検出方法は、ウェスタンブロッティング、FACS、ELISA、他の定量的結合アッセイ、細胞または組織成長アッセイ、ノーザンブロット、定量的または半定量的ポリメラーゼ連鎖反応、医療撮像法(例えばMRI)、免疫染色法(例えば免疫組織化学的検査や免疫細胞化学)など、IL-34遺伝子産物発現のレベルを測定するアッセイを含む。
【実施例
【0196】
本開示は、以下の実施例によりさらに例示される。本実施例は、例示目的のためだけに提供されるものであり、本開示の範囲または内容をあらゆる方法で制限するものと解釈されるべきではない。
【実施例1】
【0197】
HT-29 CRC細胞株は高レベルでIL-34を発現する
ヒトCRC細胞株中のIL-34発現を評価するために、DLD-1、HT-29、およびHCT-116のヒトCRC細胞株、ならびにNCM-460正常腸上皮細胞株を対象に、RT-PCRによりIL-34 mRNA発現を解析した。β-アクチンmRNAレベルを基準として使用し、IL-34 mRNA発現レベルを正規化した。図1に示すように、IL-34 mRNA発現はHT-29細胞で多く見られた。
【実施例2】
【0198】
IL-34アンチセンスオリゴヌクレオチドの設計と評価
マウスおよびヒトIL-34 mRNA配列に相補的な配列番号1~4のIL-34アンチセンスオリゴヌクレオチドを設計し、ホスホロチオエート骨格とともに産生した。IL-34発現のノックダウンを、HT-29ヒトおよびRAW264.7マウス細胞株において評価した。10%FBS、1%P/S(すべてLonza由来)を捕捉したMcCoy’s 5A(Lonza,Verviers,Belgium)の中、HT-29細胞(ATCC Manassas,Virginia,USA)を培養し、加湿インキュベータの中、37℃、5%COで維持した。10%FBS、1%P/S、および1%非必須アミノ酸(NEA)(すべてLonza由来)を含むダルベッコ改変イーグル培地(グルコース1g/L)中、マウスRAW264.7マクロファージ(ATCC Manassas,Virginia,USA)を培養し、加湿インキュベータの中、37℃、5%COで維持した。細胞は未処置のまま放置するか、あるいは、特定のIL-34 AON、または製造業者の指示に従いOpti-MEM培地とLipofectamine 3000試薬(Life Technologies,Milan,Italy)を用いてスクランブルされたAONでトランスフェクトした。全RNAおよびタンパク質を抽出した。
【0199】
HT-29細胞を対象としにリアルタイムポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)によりノックダウンを評価した。RT-PCRは次のように行った:一定量のRNA(0.5μg/試料)を相補的DNA(cDNA)へとレトロ転移(retro-transcribed)させた。次いで、1μlのcDNA/試料を、次のプロトコル:95℃で1分間の変性、60℃で30秒間のアニーリング、続いて72℃でさらに30秒間のアニーリングを用いて増幅した。次のプライマー:IL-34フォワード、5’-ACAGGAGCCGACTTCAGTAC-3’(配列番号29)、IL-34リバース、5’-ACCAAGACCCACAGATACCG-3’(配列番号30)、β-アクチンフォワード、5’-AAGATGACCCAGATCATGTTTGAGACC-3’(配列番号31)、およびβ-アクチンリバース、5’-AGCCAGTCCAGACGCAGGAT-3’(配列番号32)を使用した。mRNA発現をβ-アクチンmRNA発現と比して算出した。
【0200】
HT-29細胞は、配列番号1、2、3、もしくは4のヒトIL-34 AON、またはスクランブルされた陰性対照オリゴヌクレオチド(SRC AS;5’-AACACGTCTATACGC-3’(配列番号33))で24時間トランスフェクトした(図2A、AS34New1-4、それぞれ配列番号1~4)。IL-34転写産物はRT-PCRにより評価し、値をβ-アクチンへと正規化した。RT-PCRにより評価すると、配列番号1と3のIL-34 AONでのHT-29細胞のトランスフェクションにより、IL-34 mRNA発現は大幅に減少した(図2A、Src AS v.AS34New1、p=0.03、Src AS v.AS34New3、p=0.03、データは±平均標準誤差(SEM)として表す)。
【0201】
HT-29細胞およびRAW264.7細胞を対象に、ウェスタンブロッティングによりノックダウンも評価した。ウェスタンブロッティングは次のように行った。トランスフェクションの後、氷の上で、10mM HEPES(pH7.9)、10mM KCl、0.1mM EDTA、0.2mM EGTA、および0.5%Nonidet P40を包含し、1mMジチオスレイトール、10mg/mlアプロチニン、10mg/mlロイペプチン、1mMフェニルメチルスルホニルフルオリド、1mM Na3VO4、および1mM NaFを捕捉した緩衝液において、細胞を溶かした。4℃、12.000xgで30分間遠心分離を行い、溶解物を浄化し、10%ドデシルに硫酸ナトリウム-ポリアクリルアミドによるゲル電気泳動で分離した。マウス抗ヒトIL-34抗体(1:1,000の最終希釈、Abcam Cambridge,UK)を、ホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)でコンジュゲートした二次IgGモノクローナル抗体(1:20,000の最終希釈、Dako,Milan,Italy)と組み合わせて使用し、IL-34を検出した。HRP反応は感度増強化学発光キット(Pierce,Rockford,IL)で検出した。解析後、ブロットをストリップし、マウス抗ヒトβ-アクチン抗体(1:5,000の最終希釈、Sigma-Aldrich)、続いてHRPでコンジュゲートした二次IgGモノクローナル抗体(1:20,000も最終希釈、Dako)でプロービングした。
【0202】
図2Bでは、IL-34のスクランブルされた対照、AS34New1、または3つのIL-34 AONによるHT-29細胞のトランスフェクションが、IL-34タンパク質発現の減少をもたらしたことが示されている。図2Cでは、IL-34のスクランブルされた対照、AS34New1、または3つのIL-34 AONによるRAW264.7細胞のトランスフェクションが、IL-34タンパク質発現の減少をもたらしたことが示されている。
【0203】
IL-34 AONs AS34New1および3によるIL-34ノックダウンは、線維狭窄性クローン病および癌関連の線維芽細胞を対象にさらに評価した。結腸癌または線維狭窄性CD(FS CD)外植片から、腸線維芽細胞を単離した。線維芽細胞を、新しく、または継代3と8の間で使用した。10%FBS、1%P/S(Lonza)を捕捉したUltraGlutamineを含むDMEM高グルコースにおいて線維芽細胞を培養し、加湿インキュベータ中、37℃、5%COで維持した。トリプシン/EDTA溶液を使用して線維芽細胞を分離した。AS34New1または3でのFS CD外植片のトランスフェクションでは、Src ASでトランスフェクトしたFS CD外植片と比較して、IL-34のノックダウンが明らかに増加した(図3A)。AS34New3での癌関連線維芽細胞のトランスフェクションでは、Src ASでトランスフェクトした線維芽細胞と比較して、IL-34のノックダウンが明らかに増加した(図3B)。
【0204】
5-メチルシトシン修飾(配列番号7のIL-34 AON)を含むIL-34 AONのノックダウン有効性を、HT-29、RAW264.7、およびMC-38の各細胞株を対象に試験した。MC38はマウス細胞株である。10%FBSおよび1%P/S(Lonza)を捕捉したMcCoy’s 5Aの中、MC-38細胞(ATCC Manassas,Virginia,USA)を培養し、加湿インキュベータ中、37℃、5%COで維持した。すべての細胞株をIL-34 AONで24時間トランスフェクトし、その後、IL-34およびβ-アクチンの値をウェスタンブロッティングにより解析した。配列番号1、3、もしくは7のホスホロチオエート骨格を備えたIL-34 AON(それぞれNew1-PS、New-3-PS、New-3-PS-MEC;図4A、4B、4C)、またはスクランブルされた対照(対照ASNew-1-PS、対照ASNew-3-PS)で、細胞トランスフェクトした。5-メチルシトシンを含む配列番号7のIL-34 AONでのトランスフェクションは、試験を行った他のすべてのAONでのトランスフェクションと比較してIL-34ノックダウンを増加させた(図4A、4B、および4C)。これらの結果は、配列番号7のIL-34 AONを含むIL-34 AONが、マウスおよびヒト細胞株においてIL-34 mRNAおよびタンパク質の発現をノックダウンさせることが可能であったことを実証する。
【実施例3】
【0205】
M-CSFR-1はクローン病線維性狭窄において過剰発現される
CD患者から得た回腸の炎症性CD(I CD)およびFS-CD検体を対象に、M-CSFR-1の発現をRT-PCRによりに評価した。外科検体は、慢性活性疾患の手術を受けたが医学的処置に対する応答が良くないI CD患者10名、および手術を受けたFS CD患者27名から得た。回腸対照(CTR)は、結腸癌の手術を受けた患者27名の巨視的にも微視的にも影響を受けていない領域から採取した粘膜検体であった。試験に参加した各患者はインフォームド・コンセントを書面で提出し、試験実施計画は地域倫理委員会により承認された。
【0206】
RT-PCRは次のように行った:RNA(0.5μg/試料)はcDNAへとレトロ転移させた。次いで、1μlのcDNA/試料を、次の条件を用いて増幅した:95℃で1分間の変性、M-CSFR-1では58℃、またはβ-アクチンでは60℃で30秒間アニーリングを行い、続いて72℃でさらに30秒間アニーリングを行った。次のプライマー:M-CSFR-1フォワード、5’-CTGCTCAACTTTCTGCGAAG-3’(配列番号34)、M-CSFR-1リバース、5’-CTCATCTCCACATAGGTGTC-3’(配列番号35)、β-アクチンフォワード、5’-AAGATGACCCAGATCATGTTTGAGACC-3’(配列番号31)、およびβ-アクチンリバース、5’-AGCCAGTCCAGACGCAGGAT-3’(配列番号32)を使用した。mRNA発現をβ-アクチンmRNA発現と比して算出した。
【0207】
M-CSFR-1発現を評価するRT-PCRは、上述のように、対照、I、CD、およびFS CDの各試料において行った。M-CSFR-1 mRNA転写産物は、CTRよりもI CD患者において増加した(図5A)。加えて、M-CSFR-1 mRNA転写産物は、I CDおよび回腸CTR試料よりもFS CD試料において増加した(図5A;回腸CTR v.I CD、p=0.003;I CD v.FS CD、p=0.01;平均±SEM)。
【0208】
I CDおよびFS CDの各サンプルに対するウェスタンブロッティングを行い、M-CSFR-1発現を評価した。氷の上で、10mM HEPES(pH7.9)、10mM KCl、0.1mM EDTA、0.2mM EGTA、および0.5%Nonidet P40を包含し、1mMジチオスレイトール、10mg/mlアプロチニン、10mg/mlロイペプチン、1mMフェニルメチルスルホニルフルオリド、1mM Na3VO4、および1mM NaFを捕捉した緩衝液にて、細胞を溶かした。4℃で30分間遠心分離を行い、溶解物を浄化し、10%ドデシルに硫酸ナトリウム-ポリアクリルアミド上、ゲル電気泳動により分離した。タンパク質が膜に転移した後、膜をウサギ抗ヒトM-CSFR-1(1:500、Novus Biological Southpark Way,USA)、続いてHRPをコンジュゲートした二次IgGモノクローナル抗体(1:20,000の最終希釈、Dako,Milan,Italy)でインキュベートした。HRP反応は感度増強化学発光キット(Pierce,Rockford,IL)で検出した。解析後、ブロットをストリップし、マウス抗ヒトβ-アクチン(1:5,000の最終希釈、Sigma-Aldrich)でインキュベートした。コンピュータ支援型走査デンシトメトリー(Image-Lab 5.2.1,Bio-Rad Laboratories,Milan,Italy)を使用して、免疫反応帯の強度を解析した。
【0209】
I CD、FS CD、およびCTRの各試料におけるM-CSFR-1のタンパク質抽出およびウェスタンブロット検出により、のM-CSFR-1発現はCTRよりI CDにおいて高く、FS CDにおける発現はCTRとI CDの両試料よりも増加したことを認めた(図5Bと5C;回腸CTR v.I CD、p=0.03;I CD v.FS CD、p=0.01;平均±SEM)。
【0210】
免疫組織化学的検査によりM-CSFR-1の発現をさらに評価した。免疫組織化学的検査は、回腸CTR、I CD患者、およびFS CD患者のホルマリン固定パラフィン包埋回腸切片を対象に行った。切片をキシレンおよびエタノールで脱パラフィンかつ脱水し、恒温槽にあるTris EDTAクエン酸緩衝液(pH7.8)中、98℃(Dako)で30分間、抗原賦活化を行った。室温(RT)で1時間インキュベートしたヒトM-CSFR-1(最終濃度1:200、Novus Biological)を対象とするウサギモノクローナル抗体を使用して、免疫組織化学染色を行い、続いて、クロモゲンとして3,3’ジアミノベンジジン(DAB)を用いるビオチンフリーのHRP高分子検出技術(MACH 4 Universal HRP-Polymer Kit,Biocare Medical)を使用して検出を行った。切片をヘマトキシリンで対比染色し、脱水してマウントした(mounted)。上記と同じ免疫組織化学条件下であるが、一次抗体を精製されたマウス正常IgG対照抗体(R&D Systems)と置き換えた条件下で、アイソタイプ対照のIgGで染色した切片を調製した。
【0211】
回腸対照およびFS CDの各試料の免疫組織化学解析により、対照切片(図5D)と比較してFS CD(図5E)でのM-CSFR-1の発現の向上を認めた。M-CSFR-1発現は、アイソタイプ対照では観察されなかった(図5F)。免疫組織化学解析はさらに、間質細胞においてM-CSFR-1が陽性であったことを実証した(図5E)。これらの結果はRT-PCRによってさらに確認された。これより、FS CD患者の回腸試料から単離した線維芽細胞におけるM-CSFR-1 mRNA発現は、対照線維芽細胞と比較して増加したことを認めた(図5G;回腸CTR v.FS CD、p=0.04;平均±SEM)。これらの結果は、IL-34に対する受容体であるM-CSFR-1の発現が、非CD患者由来の回腸組織と比してCD患者の組織において増加したことを実証する。さらに、これらの結果は、M-CSFR-1発現は、I CD患者由来の組織よりFS CD組織において高いことを実証した。
【実施例4】
【0212】
IL-34はクローン病線維芽細胞中のコラーゲン産生を誘導した
対照腸線維芽細胞をIL-34で刺激することにより、IL-34発現による腸線維芽細胞中のコラーゲン産生の調節を評価した。線維芽細胞を継代3と8の間で使用した。線維芽細胞を75cmプラスチックフラスコに維持し、Ultra Glutamineを含む高グルコースを含有するとともに、10%ウシ胎仔血清(FBS)、1%ペニシリン(100U/ml)、ストレプトマイシン(100μg/ml)、および1%非必須アミノ酸(Lonza;Verviers,Belgium)を捕捉したD-MEM中、5%COを含む加湿雰囲気下、37℃でインキュベートした。5×10の正常な線維芽細胞を12ウェルプレートの各ウェルに蒔き、24時間放置して接着させ、6時間飢餓させ、最終的に刺激せず放置するか、または組換えヒトIL-34(50ng/ml、R&D Systems,Minneapolis,MN)で刺激した。6~48時間後、細胞および無細胞上清を採取した。細胞はタンパク質および遺伝子の発現解析に使用し、無細胞上清はコラーゲンの含有量について解析された。次のプライマー:COL1A1フォワード、5’-GGACACAGAGGTTTCAGTGG-3’(配列番号36)、COL1A1リバース、3’-GGTGACTTTGGAGACACAGG-5(配列番号37)、COL3A1フォワード、5’-GGAGAATGTTGTGCAGTTTGC-3’(配列番号38)、およびCOL3A1リバース、3’-CGTTTGACGTGTTGTAAGAGG-5’(配列番号39)は、COL1A1およびCOL3A1のRT-PCRに使用した。次の抗体:ウサギ抗ヒトCOL1A1(最終希釈1:1,000、Novus Biological,Italy)およびウサギ抗ヒトCOL3A1(最終希釈1:1,000、Novus Biological)は、ウェスタンブロッティングに使用した。
【0213】
RT-PCR解析では、組換えヒトIL-34で刺激した線維芽細胞は、未刺激線維芽細胞と比較して、COL1A1およびCOL3A1 mRNA転写産物の産生を顕著に向上させたことが実証された(Unst;図6A、Unst v.IL-34、p=0.04;図6B、Unst v.IL-34、p=0.03;平均±SEM)。図6Cは、組換えヒトIL-34で刺激した線維芽細胞が、未刺激線維芽細胞と比較してCOL1A1およびCOL3A1タンパク質発現も顕著に向上させたことを示すウェスタンブロットである。図6Dと6Eは、β-アクチン対照へと正規化される図6Cに示すウェスタンブロットの、それぞれCOL1A1およびCOL3A1シグナルの定量化を示す棒グラフである(COL1A1、Unst v.IL-34、p=0.03;COL3A1、Unst v.IL-34、p=0.01;平均±SEM)。
【0214】
製造業者の指示(Biocolor Ltd,Belfast,UK)に従いSircol Collagen Assay Kitを使用し、線維芽細胞上清におけるコラーゲンの総量も測定した。線維芽細胞上清におけるコラーゲンの可溶性形態の定量化により、IL-34での刺激の結果、未刺激対照と比してコラーゲン合成が増加したことが実証された(図6F、Unst v.IL-34、p=0.01;平均±SEM)。これらの結果は、IL-34が線維芽細胞中のコラーゲン産生を刺激したことを実証する。
【実施例5】
【0215】
IL-34はp38MAPキナーゼ依存型経路を介してコラーゲン産生を刺激する
p38MAPキナーゼ上でのコラーゲン合成に対するIL-34の依存度を調べた。IL-34は、腸線維芽細胞機能を制御するシグナル伝達経路である、上皮細胞中のp38MAPキナーゼを活性化する。対照の血清飢餓腸線維芽細胞は、刺激せず放置するか、または組換えヒトIL-34(50ng/mL)、TNF-α(25ng/ml、R&D Systems)、もしくはIL-6(50ng/ml、R&D Systems)で30分間刺激して、溶解した。TNF-αとIL-6は陽性対照として機能した。総抽出量を、リン酸化(p-p38)と総p38マイトジェン活性化プロテイン(MAP)キナーゼ両方の含有量について、ウェスタンブロッティングにより解析した。ウェスタンブロッティングは次の抗体:ウサギ抗ヒトp-p38(1:1,000 EMD Millipore Corporation)およびマウス抗ヒト完全p38(最終希釈1:500、Santa Cruz Biotechnology,Inc.,Texas,USA)を使用して行った。IL-34刺激を行った線維芽細胞では、未刺激細胞と比較してp38MAPキナーゼのリン酸化が向上した(図7A)。
【0216】
IL-34で誘導されたコラーゲン産生に対するMAPキナーゼp38の効果を評価するために、正常線維芽細胞を、SB202190、p38の阻害剤(10mol/l、EMD Millipore Corporation,MA,USA)、またはジメチルスルホキシド(DMSO、ビヒクル)で1時間あらかじめインキュベートするか、またはIL-34(50ng/ml)で刺激せず24~48時間放置した。細胞中のタンパク質発現をウェスタンブロッティングにより解析し、無細胞上清をコラーゲン含有量について解析した。図7Bは、SB202190での細胞のプレインキュベーションが、IL-34で誘導されたCOL1A1およびCOL3A1産生を阻害したことを示すウェスタンブロットである。図7Cと7Dは、図7Bに示すウェスタンブロットの、それぞれCOL1A1シグナルの定量化とCOL3A1シグナルの定量化を示す棒グラフであり、ウェスタンブロッティングにより評価したときのβ-アクチン対照(COL1A1(DMSO v.DMSO+IL-34、p=0.0009;DMSO+IL-34 v.SB202190、p=0.0003;DMSO+IL-34 v.SB202190+IL-34、p=0.0001;DMSO v.SB202190+IL-34、p=0.05);COL3A1(DMSO v.DMSO+IL-34、p=0.01;DMSO+IL-34 v.SB202190、p=0.002;DMSO+IL-34 v.SB202190+IL-34、p=0.002;DMSO v.SB202190+IL-34、p=0.03);平均±SEM)、およびSircolアッセイにより評価したときの線維芽細胞中の総コラーゲン産生量(図7E;DMSO v.DMSO+IL-34、p=0.001;DMSO+IL-34 v.SB202190+IL-34、p=0.01;平均±SEM)に正規化される。これらの結果は、IL-34で誘導されたコラーゲン産生がp38MAPキナーゼ経路に依存することを実証する。
【実施例6】
【0217】
クローン病線維性狭窄におけるIL-34産生
線維性狭窄におけるIL-34発現を評価し、線維性狭窄のどの細胞がIL-34を産生するかを求めた。IL-34に対するRNA転写物は、I CD、FS CD、および対照から採取した腸検体において評価した。IL-34RNA転写産物は、対照よりもI CD患者において顕著に増加した(図8A)。IL-34RNA発現は、対照およびI CD試料よりもFS CD試料において増加した(図8A、回腸CTR v.I CD、p=0.002;I CD v.FS CD、p=0.03;回腸CTR v.FS CD、p=0.002;平均±SEM)。図8Bは、IL-34発現が、対照よりもI CD患者において、および対照とI CD細胞の両方よりもFS CD患者において顕著に増加することを示す、一対の粘膜試料から抽出した全タンパク質のウェスタンブロット解析である。図8Cは、β-アクチン対照へと正規化される、図8Bに示すウェスタンブロットのIL-34シグナルの定量化を示す棒グラフである(回腸CTR v.I CD、p=0.004;I CD v.FS CD、p=0.04;回腸CTR v.FS CD、p=0.004;平均±SEM)。免疫組織化学解析ではさらに、IL-34は、回腸対照(図8D)およびアイソタイプ対照(図8F)と比較してFS CD細胞(図8E)において高度に発現されることが実証された。免疫組織化学的検査ではさらに、FS CD線維性狭窄において間質細胞がIL-34を発現することが実証された(図8E)。IL-34 RNA(図8G、平均±SEM)およびタンパク質発現(図8H)は、対照線維芽細胞よりもFS CD患者の回腸試料から単離した線維芽細胞において向上したことを観察した。
【実施例7】
【0218】
クローン病線維芽細胞におけるIL-34ノックダウンはコラーゲン産生の低下をもたらす
FS検体から単離したCD線維芽細胞におけるコラーゲン合成に対するIL-34阻害の効果を、IL-34アンチセンスオリゴヌクレオチドを使用して評価した。簡潔に言えば、5×10のFS CD線維芽細胞を12ウェルプレートの各ウェルに蒔き、24時間放置して接着させ、次いで刺激せず放置するか、または、製造業者の指示(Life Technologies,Milan,Italy)のOpti-MEM培地およびLipofectamine3000試薬を使用し、24~48時間、配列番号3のIL-34アンチセンスオリゴヌクレオチド(IL-34 AS)もしくは相補的センスオリゴヌクレオチド(NCAS;ともに200nMで使用;Integrated DNA Technologies,Inc.Leuven,Belgium)でトランスフェクトした。トランスフェクション効率はウェスタンブロッティングにより判定した。48時間後、無細胞上清をコラーゲン含有量について解析した。
【0219】
IL-34アンチセンスオリゴヌクレオチドでのFS CD線維芽細胞のトランスフェクションは、ウェスタンブロッティングにより評価すると、対照アンチセンス配列でのトランスフェクションと比較してCOL1A1およびCOL3A1両方のタンパク質合成を大幅に低下させた(図9A)。
【0220】
図9B、9C、9Dは、β-アクチン対照へと正規化される図9Aに示すウェスタンブロットの、それぞれIL-34、COL1A1、COL3A1シグナルの定量化を示す棒グラフである(IL-34、NCAS v.IL-34AS、p=0.01;COL1A1 NCAS v.IL-34AS、p=0.0004;COL3A1 NCAS v.IL-34AS、p=0.004;平均±SEM)。IL-34アンチセンスオリゴヌクレオチドでのFS CD線維芽細胞のトランスフェクションはさらに、線維芽細胞培養液上清におけるコラーゲン分泌を低下させた(図9E;NCAS v.IL-34AS、p=0.006、平均±SEM)。
【0221】
細胞死に対するIL-34ノックダウンの効果も評価した。細胞死を採点するために、FS線維芽細胞をPBS中で洗浄し、製造業者の指示に従いFITC-annexin V(AV、1:100の最終希釈、Immunotools,Friesoyte,Germany)により染色し、4℃で20分間、5mg/ml PI(Life Technologies)でインキュベートした。FACSVerse(BD Biosciences)フローサイトメーターのFL-1およびFL-2チャネルを用いるフローサイトメトリーにより、蛍光を測定した。AV-/PI-細胞は生存細胞であると認め、AV+/PI-細胞はアポトーシス性であると認め、二次壊死細胞はAV+/PI+染色により特徴解析した。図9Gと9Hは、IL-34アンチセンスオリゴヌクレオチドまたはNCASでトランスフェクトされたFS CD線維芽細胞のフローサイトメトリーにおけるドットプロットである。図9Fは、図9Gおよび9Hのフローサイトメトリーデータに相当する棒グラフ(平均±SEM)であり、IL-34アンチセンスオリゴヌクレオチドでトランスフェクトされたそのFS CD線維芽細胞が、細胞死の増加をもたらさなかったことが示されている。これらの結果は、アンチセンスオリゴヌクレオチドによるFS CD線維芽細胞におけるIL-34ノックダウンが、細胞死に対して有意な効果を有することなくコラーゲン産生の大幅な低下をもたらすことを実証する。
【0222】
参照による引用
本明細書中で引用する特許文献と科学論文それぞれの全体開示は、すべての目的のために参照により組み込まれる。
【0223】
等価物
本開示は、その必須特徴から逸脱した他の特異的な形態で具体化することができる。このため、前述の実施形態は、本明細書に記載の開示に対して例示的なものであり、限定的ではないことを考慮されたい。本開示の範囲は、前述の記載ではなく添付の特許請求の範囲により示されるものであり、この特許請求の範囲と等価な意味と範囲内で行われる変更はすべて、その範囲内に包含されることが意図される。
図1
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図5F
図5G
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図6F
図7A
図7B
図7C
図7D
図7E
図8A
図8B
図8C
図8D
図8E
図8F
図8G
図8H
図9A
図9B
図9C
図9D
図9E
図9F
図9G
図9H
【配列表】
2023503804000001.app
【国際調査報告】