(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-01
(54)【発明の名称】工具部品の製造方法およびそのような工具部品
(51)【国際特許分類】
B23P 15/28 20060101AFI20230125BHJP
B33Y 40/20 20200101ALI20230125BHJP
B22F 10/66 20210101ALI20230125BHJP
B22F 10/64 20210101ALI20230125BHJP
B22F 1/00 20220101ALI20230125BHJP
B22F 10/28 20210101ALI20230125BHJP
B22F 7/00 20060101ALI20230125BHJP
【FI】
B23P15/28 Z
B33Y40/20
B22F10/66
B22F10/64
B22F1/00 S
B22F10/28
B22F7/00 F
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022524936
(86)(22)【出願日】2020-10-20
(85)【翻訳文提出日】2022-06-22
(86)【国際出願番号】 EP2020079441
(87)【国際公開番号】W WO2021083725
(87)【国際公開日】2021-05-06
(32)【優先日】2019-10-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519208731
【氏名又は名称】サンドビック マシニング ソリューションズ アクティエボラーグ
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ペル ビクルンド
(72)【発明者】
【氏名】オルソン, アンデシュ
【テーマコード(参考)】
4K018
【Fターム(参考)】
4K018AA24
4K018BA13
4K018BB04
4K018FA06
4K018FA08
4K018HA05
4K018JA21
4K018KA15
(57)【要約】
本開示は、金属切削工具構成要素の製造方法に関し、本方法は、本体(57)と、後端部に前部モジュールインターフェース(63)とを備える前部モジュール(70)を製造するステップを含む。本ステップは、後端部に前部モジュールインターフェース(63)と、その前端部に構築面(52)とを設けるステップと、積層造形プロセスを使用して、中間要素(58)の構築面(52)上に本体(57)を構築するステップと、を含む、中間要素(58)を設けるステップを含む。本方法は、後端部にカップリング部品(66)および前端部に後部モジュールインターフェース(65)を設けることを含む後部モジュール(68)を設けるステップと、前部モジュールを製造し、後部モジュール(68)を設けた後に、前部モジュールインターフェース(63)と後部モジュールインターフェース(65)とを不動に接続することによって前部モジュール(70)を後部モジュール(68)に取り付けるステップと、前部モジュール(70)が後部モジュール(68)に取り付けられた後に、本体(57)の少なくとも1つの表面を機械加工するステップと、構築された本体(57)を有する中間要素(58)を熱処理するステップであって、少なくとも本体(57)が硬化される、ステップと、をさらに含む。また、本開示は、金属切削工具構成要素に関する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属切削工具構成要素の製造方法であって、
-本体(57)と、後端部に前部モジュールインターフェース(63)とを備える前部モジュール(70)を製造するステップであって、
-後端部に前記前部モジュールインターフェース(63)と、その前端部に構築面(52)とを設けることとを含む中間要素(58)を設けるステップと、
-積層造形プロセスを使用して、前記中間要素(58)の前記構築面(52)上に前記本体(57)を構築するステップと、
を含む、ステップと、
-後端部にカップリング部品(66)および前端部に後部モジュールインターフェース(65)を設けることを含む後部モジュール(68)を設けるステップと、
-前記前部モジュール(70)を製造し、前記後部モジュール(68)を設けた後に、前記前部モジュールインターフェース(63)と前記後部モジュールインターフェース(65)とを不動に接続することによって前記前部モジュール(70)を前記後部モジュール(68)に取り付けるステップと、
-前記前部モジュール(70)が前記後部モジュール(68)に取り付けられた後に、前記本体(57)の少なくとも1つの表面を機械加工するステップと、
-前記構築された本体(57)を有する前記中間要素(58)を熱処理するステップであって、少なくとも前記本体(57)が硬化される、ステップと、
を含む製造方法。
【請求項2】
前記本体(57)を構築する前記ステップが、印刷可能かつ硬化性の鋼粉末の粉末床溶融の形態で積層造形プロセスを使用することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
熱処理する前記ステップが、450℃~600℃に加熱することを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記本体(57)の少なくとも1つの表面を機械加工する前記ステップが、前記構築された本体(57)を有する前記中間要素(58)を熱処理する前記ステップの後に実施される、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
-前記後部モジュール(68)に前記カップリング部品(66)を設けるステップが、基準軸(54)を有するカップリング部品(66)を設けるステップを含み、
-機械加工する前記ステップが、前記少なくとも1つの表面を、前記基準軸(54)に対する正確な位置および範囲まで機械加工するステップを含む、
請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
-前記本体(57)を構築する前記ステップが、切削ヘッドの形態で本体(57)を構築するステップを含み、
-前記少なくとも1つの表面を機械加工する前記ステップが、切削インサート用の少なくとも1つの支持面を機械加工することを含む、
請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記後部モジュール(68)に前記カップリング部品(66)を設ける前記ステップが、取り外し可能な工作機械カップリングの一部の形態で前記カップリング部品(66)を設けることを含む、請求項5または6に記載の方法。
【請求項8】
取り外し可能な工作機械カップリングの一部の形態で前記カップリング部品(66)を設ける前記ステップが、±50μm未満、好ましくは±20μm未満、より好ましくは±5μm未満の寸法偏差を有する前記取り外し可能な工作機械カップリング部品(66)の少なくとも1つの表面を設けることを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
-前記中間要素(58)を設ける前記ステップが、中央構築面法線(55)を有する平坦な構築面(52)を有し、前記中央構築面法線(55)が前記基準軸(54)に対してある角度で延在する、中間要素(58)を設ける前記ステップを含み、
-前記本体(57)を前記構築面(52)上に構築するステップが、前記中央構築面法線(55)を有する前記中間要素(58)を垂直方向に配置することと、その後、前記本体(57)を前記構築面(52)上に構築することとを含む、
請求項5から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記中間要素(58)を設ける前記ステップが、前記中央構築面法線(55)が前記基準軸(54)に対して45°~90°の角度で延在する、中間要素(58)を設ける前記ステップを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記中間要素(58)を設ける前記ステップが、
-マルエージング鋼の中間要素ブランク(51)を設けるステップと、
-前記中間要素ブランク(51)を機械加工して、前記前部モジュールインターフェース(63)および前記構築面(52)を形成するステップと、
を含む、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
-前記中間要素(58)に前記前部モジュールインターフェース(63)を設けるステップが、後方に面する後面に鋸歯の形態で前記前部モジュールインターフェース(63)を設けることを含み、
-前記後部モジュール(68)に前記後部モジュールインターフェース(65)を設けるステップが、前方に面する前面に鋸歯の形態で前記後部モジュールインターフェース(65)を設けることを含み、前記鋸歯は前記前部モジュールインターフェース(63)の前記鋸歯と相補的である、
請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
-積層造形プロセスによって製造されて硬化された本体(57)と、後端部に前部モジュールインターフェース(63)とを含む前部モジュール(70)と、
-後端部にカップリング部品(66)を有し、前端部に後部モジュールインターフェース(65)を有する後部モジュール(68)と、を含み、
-前記前部モジュール(70)および前記後部モジュール(68)が、前記前部モジュールインターフェース(63)および前記後部モジュールインターフェース(65)において不動に接続され、
-前記本体(57)が、少なくとも1つの機械加工された表面を備える、
金属切削工具構成要素。
【請求項14】
前記本体(57)が、3D印刷された硬化マルエージング鋼を含み、前記後部モジュール(68)が、従来の方法で製造された鋼を含む、請求項13に記載の金属切削工具構成要素。
【請求項15】
前記本体(57)が、切削インサート用の少なくとも1つの支持面を備える切削ヘッドである、請求項13または14に記載の金属切削工具構成要素。
【請求項16】
-前記本体(57)が、中央前部長手方向軸(76)を有する前部を有し、
-前記カップリング部品(66)が、基準軸(54)を有し、
-前記中央前部長手方向軸(76)が、前記基準軸(54)に対してある角度で、または前記基準軸(54)の横に平行に延在する、
請求項13から15のいずれか一項に記載の金属切削工具構成要素。
【請求項17】
前記中央前部長手方向軸(76)が、前記基準軸(54)に対して45°~90°の角度で延在する、請求項16に記載の金属切削工具構成要素。
【請求項18】
前記前部モジュールインターフェース(63)が、後方に面する後面に鋸歯を備え、前記後部モジュールインターフェース(65)が、前方に面する前面に前記前部モジュールインターフェース(63)の前記鋸歯と相補的である鋸歯を含む、請求項13から17のいずれか一項に記載の金属切削工具構成要素。
【請求項19】
前記カップリング部品(66)が、±50μm未満、好ましくは±20μm未満、より好ましくは±5μm未満の寸法偏差を有する少なくとも1つの表面を含む取り外し可能な工作機械カップリングの一部である、請求項13から18のいずれか一項に記載の金属切削工具構成要素。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属切削工具構成要素の製造方法およびそのような金属切削工具構成要素に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば切削インサートを保持するための切削工具本体などの切削工具構成要素は、通常は適切な鋼、アルミニウムまたはチタンのブランクから製造される。ブランクは、好適なフライス加工作業、旋削加工作業、ドリル加工作業および/または研削加工作業によって所望の公差内でその最終形状に機械加工される。これらの作業は時間がかかる可能性があり、必要以上に多くの材料を除去する必要を避けるために、特定の種類の工具本体には特定の種類のブランクのみが使用されることが多い。問題の種類の工具本体を少数のみを製造することが意図されている場合、適切なブランクを作製して製造することは、費用がかかり、面倒であり得る。同様に、あまり適切でないブランクを使用することが原因で、機械加工作業を延長することは、費用がかかり、面倒であり得る。
【0003】
したがって、限られた数しか製造されない工具本体に、積層造形プロセスを使用できることが望ましい。場合によっては、工具本体は、別の構成要素または機械の相補的カップリング部品と接続するための標準化された後方カップリング部と、前方切削ヘッドとを備える。このような工具本体は、積層造形プロセスにおいてカップリング部品および切削ヘッドの両方を構築することによって製造することができる。別の選択肢は、カップリング部品ブランクを機械加工することを含む従来の製造によってカップリング部品を別々に製造し、次いでカップリング部品上に切削ヘッドを構築することである。通常、工具本体またはその切削ヘッドが積層造形プロセスにおいて構築された後、工具本体は、十分な機械的強度および耐摩耗性を提供するために熱処理されなければならない。これに伴う問題は、熱処理プロセスがカップリング部品の寸法公差に影響を及ぼし得ることである。
【発明の概要】
【0004】
本発明の目的は、上記の問題を少なくとも部分的に回避することである。この目的は、本発明によれば、請求項1に記載の方法および請求項13に記載の工具構成要素によって達成される。
【0005】
本発明の第1の態様によれば、金属切削工具構成要素の製造方法であって、
-本体と、後端部に前部モジュールインターフェースとを備える前部モジュールを製造するステップであって、
-後端部に前部モジュールインターフェースと、その前端部に構築面とを設けることとを含む中間要素を設けるステップと、
-積層造形プロセスを使用して、中間要素の構築面上に本体を構築するステップと、を含む、ステップと、
を含む、ステップと、
-後端部にカップリング部品および前端部に後部モジュールインターフェースを設けることを含む後部モジュールを設けるステップと、
-前部モジュールを製造し、後部モジュールを設けた後に、前部モジュールインターフェースと後部モジュールインターフェースとを不動に接続することによって前部モジュールを後部モジュールに取り付けるステップと、
-前部モジュールが後部モジュールに取り付けられた後に、本体の少なくとも1つの表面を機械加工するステップと、
-構築された本体を有する中間要素を熱処理するステップであって、少なくとも本体が硬化される、ステップと、
を含む製造方法を提供する。
【0006】
したがって、本方法は、接続可能なモジュールの形態で金属切削工具構成要素を提供することが可能な手段によって、中間要素を提供することを含む。前部モジュールと後部モジュールとの間のインターフェースは、厳しい公差に従う必要はない。代わりに、モジュールが互いに対して不動に固定できるように、インターフェースが信頼できる接続を提供することで十分である。これにより、本体は、中間要素の構築面上に構築して、前部モジュールを形成することができる。前部モジュールが製造された後、前部モジュールは、前部および後部モジュールインターフェースを接続することによって後部モジュールに取り付けられる。具体的には、モジュールのインターフェースは、モジュールを不動に接続するように配置される。その後、本体上の少なくとも1つの表面が機械加工される。したがって、表面は、モジュールが接続された後にのみ所望の寸法および位置合わせに機械加工される。これはまた、後部モジュールを使用して、前部モジュールを、前部モジュールの少なくとも1つの表面が機械加工される機械加工ステーションに搬送できるという点で有利である。
【0007】
さらに、前部モジュールは、後部モジュールとは別個に熱処理されるので、例えばカップリング部品などの熱処理プロセスに敏感な部分を有し得る後部モジュールは、熱処理を受ける必要がない。前部モジュールの熱処理時には、少なくとも本体が硬化する。
【0008】
本発明の第2の態様によれば、
-積層造形プロセスによって製造されて硬化された本体と、後端部に前部モジュールインターフェースとを含む前部モジュールと、
-後端部にカップリング部品を有し、前端部に後部モジュールインターフェースを有する後部モジュールと、
を含み、
-前部モジュールおよび後部モジュールが、前部モジュールインターフェースおよび後部モジュールインターフェースにおいて不動に接続され、
-本体が、少なくとも1つの機械加工された表面を備える、金属切削工具構成要素を提供する。
【0009】
2つのモジュールを備える切削工具構成要素のおかげで、それらを別々に製造し、それらを接続し、本発明の方法に従って本体の少なくとも1つの表面を機械加工することが可能である。さらに、前部モジュールは、後部モジュールから分離されたときに本体を硬化させるために熱処理することができ、熱処理によって後部モジュールの寸法に影響を与えることはない。これにより、狭い公差に適合し、限られた数で製造される場合でも製造するのに費用効率が高い工具が実現される。
【0010】
本発明の方法によって製造される工具構成要素は、切削インサート用の刃先または座部を含む切削ヘッドを含むような切削工具の前部であってもよい。工具構成要素は、ホルダ、または例えば切削ヘッドを保持するためのホルダの一部であってもよい。工具構成部材は、延長部またはアダプタであってもよいし、それ自体が金属切削工具を構成してもよい。したがって、金属切削工具構成要素は、金属を切削するための構成に使用される構成要素である。この構成は、金属を切削するのに適しているが、このような複合材などの他の材料を切削するためにも使用することができる。
【0011】
前部モジュールを製造する方法工程は、特許請求の範囲に記載されていない限り、任意の好適な順序で実施することができる。したがって、中間要素は、前部モジュールインターフェースおよび構築面を有する完全な構成要素として提供することができ、または中間要素は、ブランクとして提供することができ、その後、前部モジュールインターフェースおよび/もしくは構築面が製造される。例えば、中間要素が設けられた後に構築面を機械加工することができ、例えば従来の機械加工によって、本体が構築される前後に、および/または硬化の前後に、前部モジュールインターフェースを製造することができる。実施形態では、中間要素および本体は両方とも、積層造形プロセスを使用して、例えば別々のプロセスまたは単一の連続プロセスで構築される。
【0012】
同様に、後部モジュールは、後部モジュールインターフェースおよびカップリング部品を有する完全な構成要素として提供することができ、または後部モジュールは、ブランクとして提供することができ、その後、後部モジュールインターフェースおよびカップリング部品が製造される。例えば、後部モジュールは、カップリング部品を含むブランクとして提供され、次いで、インターフェースは、例えば従来の機械加工によって製造される。しかしながら、カップリング部品が製造されると、本発明の方法によれば、後部モジュールを、カップリング部品の寸法に影響を及ぼし得る硬化または他の作業にさらす必要がない点で有利である。
【0013】
後部モジュールは、金属、例えば、鋼などの任意の適切な材料であってもよい。
【0014】
カップリング部品は、Capto(登録商標)カップリング(円錐または開口)、ねじカップリング、または蟻継ぎカップリングとして知られる丸みを帯びた三角形のカップリングの部品のうちの1つなど、2つの相補的部品を含むカップリングの部品のうちの1つであり得る。しかしながら、例えば、ねじまたはクランプの形態の係止部など、他の構成要素もカップリングを完了するために必要であり得る。
【0015】
前部モジュールは、前部モジュールインターフェースと後部モジュールインターフェースとを不動に接続することによって後部モジュールに取り付けられる。インターフェースでの接続は、取り外し可能、または半永久的もしくは永久的な接続とすることができる。
【0016】
前部モジュールまたは後部モジュールの少なくとも1つの表面および/または任意の他の特徴の機械加工には、例えば、フライス加工、旋削加工、ドリル加工、研削加工またはボーリング加工が含まれ得る。好ましくは、機械加工は、正確な公差までの機械加工を含む。
【0017】
実施形態では、金属切削工具構成要素の表面および場合によっては他の部分または全体に、1つまたは複数の後処理ステップを施すことができる。これらは、旋削加工、フライス加工、ドリル加工、ブラスト加工、研削加工、仕上げ、コーティング、放電加工、クラッディングおよび/または測定作業のステップを含むことができる。
【0018】
好ましくは、本体を構築するステップは、印刷可能かつ硬化性の鋼粉末の粉末床溶融の形態で積層造形プロセスを使用することを含む。そのような方法は、有利には、従来通りに機械加工することができる鋼材の中間要素を使用し、本体を構築面に印刷することを可能にする。好ましくは、本体および中間要素は、同じ印刷可能な鋼材を含む。別の好ましい方法では、指向性エネルギー堆積(direct energy deposition、DED)で、粉末を表面上に堆積させる。レーザを使用して、鋼粉末を構築面および下層の粉末と融合させる。しかしながら、電子ビームも使用することができる。
【0019】
バインダジェット印刷の形態の積層造形方法では、物体は印刷中に構築面に直接接続することができない。これは、例えば、物体が構築された後に焼結または機械的接合によって行われなければならない。そのような方法は、依然として可能ではあるが、あまり好ましくない。
【0020】
硬化するステップは、問題の材料の所望の特性を達成する任意の好適な硬化プロセスによって実施することができる。硬化プロセスは加熱である。所望の材料特性は、特定の機械的強度および/または耐摩耗性であり得る。
【0021】
粉末は、切削工具構成要素に好適であり、積層造形方法で使用することができ、硬化性の任意の粉末材料とすることができる。好ましくは、粉末は、印刷可能な鋼粉末、例えばマルエージング鋼粉末である。粉末床溶融の場合、公称粉末サイズは、典型的には10μm~70μmである。電子ビーム溶融の場合、公称粉末サイズは、典型的には45μm~110μmである。DEDプロセスの場合、公称粉末サイズは、典型的には50μm~110μmである。
【0022】
2つの接続可能なモジュールを製造することを含む本発明の方法に起因して、前部モジュールは、カップリング部品を有する後部モジュールの上部に印刷されることに適合しない印刷可能な材料を含むことができる。
【0023】
好ましくは、硬化するステップは、450℃~600℃に加熱することを含む。加熱は、任意の好適な時間行うことができる。通常、硬化のための熱処理は、温度にもよるが数分から数時間続く。これにより、印刷可能かつ硬化性のマルエージング鋼の好ましい粉末に対して良好な機械的強度が達成される。
【0024】
好ましくは、本体の少なくとも1つの表面を機械加工するステップは、構築された本体を有する中間要素を硬化させるステップの後に実施される。これは、積層造形方法および/または硬化によって引き起こされる任意の寸法偏差または不整合を考慮することができるという点で有利である。
【0025】
他の実施形態では、例えば、前部モジュールがインターフェースで後部モジュールに実現可能に接続される場合、前部モジュールは、硬化される前に後部モジュールに接続され得る。その後、本体の少なくとも1つの表面が機械加工される。次いで、前部モジュールは、後部モジュールとは別に切り離されて硬化される。その後、前部モジュールは、同じまたは別の後部モジュールに接続することができる。これらの実施形態は、少なくとも1つの表面の機械加工が本体のより柔らかい状態で行われるため有利である。実施形態は、硬化中にほとんど変形しない本体材料、または厳しい公差を必要としない用途に最も好適である。
【0026】
実施形態によれば、後部モジュールにカップリング部品を設けるステップは、基準軸を有するカップリング部品を設けるステップを含み、機械加工するステップは、少なくとも1つの表面を、基準軸に対する正確な位置および範囲まで機械加工するステップを含む。これにより、表面が、基準軸に対しても位置決めされている他の表面または部品に対して正確に位置決めおよび位置合わせされていることを有利に確実にすることができる。好ましくは、後方モジュールが相補的カップリング部品とカップリングされるとき、基準軸は、相補的カップリング部品の基準軸と一致するか、またはそれに対して既知の関係にある。次いで、少なくとも1つの表面は、それらの基準軸に対して位置決めされた相補的カップリング部品を有する構成要素の他の表面または部品に対して正確に位置決めおよび位置合わせされるように機械加工することができる。
【0027】
基準軸は通常、金属切削工具構成要素とそれが結合される構成要素との間の分割面に垂直である。通常、基準軸は、インターフェースにおける前部モジュールと後部モジュールとの間の分割面にも垂直である。基準軸は、カップリング部品のアクティブ面が配置され、基準に位置合わせされる軸とすることができる。例えば、Capto(登録商標)カップリングとして知られるねじカップリングまたは円錐形の丸みを帯びた三角形のカップリングでは、基準軸は、ねじまたはCapto(登録商標)円錐/開口の中心軸である。蟻継ぎカップリングでは、基準軸は分割面に垂直な軸である。本体および中間要素が共通の長手方向軸の周りに中心付けられる実施形態では、共通の長手方向軸と基準軸とは通常一致する。他の実施形態では、カップリング部品の基準軸は、中間要素および/または本体の長手方向軸に対してある角度で延在することができる。実施形態では、中間要素は、本体の長手方向軸に対して横方向に実質的な延長部を有することができる。そのような実施形態では、カップリング部品の基準軸は、例えば、本体の長手方向軸と平行に延在することができる。
【0028】
本出願では、物体の軸という用語は物体の長さに限定されず、代わりに、別の軸と一致するか、または別の軸と角度を形成するために軸を継続する必要があり得る。
【0029】
実施形態では、本体は切削ヘッドの形態で構築され、表面を機械加工することは、切削インサート用の支持面を機械加工することを含む。対応する本発明の工具構成要素は、このような切削ヘッドを備える。切削ヘッドは、例えば、フライス加工工具、ドリル加工工具、ボーリング加工工具または旋削加工工具の切削ヘッドとすることができる。本方法は、特定の目的のために特別に設計された切削ヘッドを有する金属切削工具構成要素を有することが望まれる場合に有利である。これらの方法ステップのおかげで、そのような工具構成要素は、従来の機械加工された工具構成要素と同じカップリング部品および刃先位置の公差で、時間効率および費用効率の高い方法で製造することができる。
【0030】
しかしながら、他の実施形態では、少なくとも1つの表面を機械加工することは、例えば、前部カップリング部品の部品表面またはガイド面を機械加工することを含むことができる。
【0031】
実施形態によれば、後部モジュールにカップリング部品を設けるステップは、取り外し可能な工作機械カップリングの一部の形態でカップリング部品を設けることを含む。したがって、金属切削工具構成要素は、例えば金属または複合材のワークピースのフライス加工、旋削加工、ドリル加工および/または研削加工のために、機械、例えばCNC機械などの工作機械に接続される工具の一部とすることができる。
【0032】
好ましくは、カップリング部品は、取り外し可能な工作機械カップリングの一部であり、少なくとも1つの表面は、±50μm未満、好ましくは±20μm未満、より好ましくは±5μm未満の寸法偏差を有する。
【0033】
取り外し可能な工作機械カップリングの一部の形態のカップリングの例は、Capto(登録商標)カップリング、HSKカップリング、急勾配テーパーカップリング、ビッグプラスカップリング、またはISOコーンカップリングとして知られる円錐形の丸みを帯びた三角形のカップリングである。これにより、有利には、本体上の少なくとも1つの機械加工された表面は、機械インターフェースの位置に対して所望の公差に近くなるように、またはそれに適合するように機械加工することができる。したがって、本体が切削ヘッドである実施形態では、インサート座部は、取り外し可能な工作機械カップリング部品の基準軸に対して、したがって機械に対しても位置合わせおよび位置決めされるように機械加工することができる。他の実施形態では、後部モジュールカップリング部品は、金属工具構成要素を機械以外の他の部品、例えば延長部またはアダプタにカップリングするために使用することもできる。また、そのような実施形態では、本体の表面が、相補的カップリング部品を含む構成要素に対して慎重に位置合わせおよび位置決めされることが重要であり得る。
【0034】
実施形態によれば、中間要素を設けるステップは、中央構築面法線を有する平坦な構築面を有する中間要素を設けるステップを含む。中央構築面法線は、後部モジュールのカップリング部品の基準軸と位置合わせされるか、または角度を付けて、もしくは平行に延在することができる。
【0035】
例示的な実施形態によれば、中央構築面法線が基準軸に対してある角度で延在する場合、構築面上に本体を構築するステップは、中央構築面法線を有する中間要素を垂直方向に配置するステップと、その後、構築面上に本体を構築するステップとを含む。
【0036】
このような中間要素を使用し、この方法ステップに従ってそれを配置することによって、本体がカップリング部品の基準軸に対して、場合によっては中間要素の中央長手方向軸に対しても角度をなして延在していても、本体を垂直方向に製造することが可能である。例えば、中央構築面法線は、基準軸に対して45°~90°の角度で延在することができる。したがって、基準軸が中間要素の長手方向軸と一致する場合、本体は、中間要素の長手方向軸に対してそのように大きな角度で延在するにもかかわらず、垂直方向に製造することができる。このような中間要素を設けることにより、有利には、互いに45°~90°の角度で延在する部品を有する本体を積層造形によって製造することができる。一般に、積層造形では、支持構造なしで垂直に対して45°よりも大きい角度を有する本体を構築することは困難であり、これは製造をより複雑にする。したがって、積層造形では、互いに対して45°を超える角度を有する部品を有する本体を製造することは困難であると考えられる。
【0037】
切削工具構成要素の例示的な実施形態では、本体は、中央前部長手方向軸を有する前部を有し、カップリング部品は、基準軸を有し、中央前部長手方向軸は、基準軸に対してある角度で、または基準軸の横に平行に延在する。例えば、中央前部長手方向軸は、基準軸に対して45°~90°の角度で延在することができる。これらは、本発明の製造方法によって費用効率の高い方法で達成することができる所望の形状である。
【0038】
しかしながら、本発明はまた、中央前部長手方向軸が基準軸と位置合わせされる従来の形状にも有益である。
【0039】
実施形態によれば、中間要素における前部モジュールインターフェースは、後面法線を有する後面に配置することができる。実施形態では、中間要素の後面法線は、後部モジュールのカップリング部品の基準軸と一致し得る。実施形態では、構築面法線および後面法線は、互いにある角度で、または互いに平行に位置合わせされるか、または延在することができる。
【0040】
実施形態によれば、中間要素を設けるステップは、マルエージング鋼の中間要素ブランクを設けるステップと、中間要素ブランクを機械加工して、前部モジュールインターフェースおよび構築面を形成するステップと、を含む。したがって、この実施形態によれば、中間要素は、鋼ブランクに対して従来のサブトラクティブ機械加工作業を使用して別々に製造される。マルエージング鋼を含む中間要素のために、中間要素は、同じ種類の材料を使用する積層方法によって本体を構築し、その後硬化することを含む本発明の製造方法での使用に好適である。前部モジュールが一体ユニットを形成するように構築面の鋼が溶融して粉末と一緒に融合するので、中間要素の材料は、印刷可能なマルエージング鋼粉末を使用した粉末床溶融により構築面の上に本体を構築するのに好適な中間要素を提供する。次いで、後ステップの中間要素が、構築された本体とともに硬化すると、硬化プロセスと同様に、中間要素と本体とが反応する。
【0041】
この実施形態の別の利点は、中間要素が本体を印刷するための支持体として機能することができ、その結果、印刷された物体を構築プラットフォームから取り外すための従来技術で一般的な取り外しステップが不要になる。さらに、中間要素は、有利には、本体を印刷ステーションから硬化ステーションに運ぶための支持体としても機能することができる。
【0042】
前部モジュールインターフェースおよび後部モジュールインターフェースは、互いに接続されたときに前部モジュールと後部モジュールとの間の移動を排除する任意の種類のものとすることができる。実施形態では、インターフェースは、前部モジュールと後部モジュールとを分離することができるように取り外し可能である。インターフェースは、ねじまたはクランプなどの追加の手段によってモジュールの相対移動を自動ロックまたは阻止することができる。いくつかの用途では、インターフェースによって達成することができる公差は、前部モジュールが第1の後部モジュールに取り付けられたときに少なくとも1つの表面が機械加工されるのに十分である。次いで、前部モジュールは、切り離されて硬化される。その後、前部モジュールは、それとともに使用するために第2の後部モジュールに移送することができる。他の実施形態では、前部モジュールおよび後部モジュールは、インターフェースにおいて恒久的に相互に不動に接続される。モジュールは、固定ねじ、溶接、はんだ付け、接着剤などによって恒久的または半恒久的に接続することができる。
【0043】
例示的な実施形態によれば、中間要素に前部モジュールインターフェースを設けるステップは、後方に面する後面に鋸歯の形態で前部モジュールインターフェースを設けることを含み、後部モジュールに後部モジュールインターフェースを設けるステップは、前方に面する前面に鋸歯の形態で後部モジュールインターフェースを設けることを含み、鋸歯は前部モジュールインターフェースの鋸歯と相補的である。さらに、金属切削工具の好ましい実施形態は、そのようなインターフェースを損なう。これは、本発明のほとんどの用途に十分な公差を提供することができる信頼性のある単純なインターフェースである。好ましくは、モジュールは、前部モジュールの後端部の1組の鋸歯を後部モジュールの前端部の相補的な1組の鋸歯に押圧されるねじによって、インターフェースで一緒に不動に保持される。そのようなインターフェースは、モジュールを再び分離することができるようにねじのロックを解除することによって解放することができる。しかしながら、ねじを緩めることができない恒久的な固定ねじを使用することも可能である。
【0044】
本発明の方法によって製造された金属切削工具構成要素の実施形態では、前部モジュールは、3D印刷された硬化マルエージング鋼を含み、後部モジュールは、従来の方法で製造された鋼を含む。
【0045】
以下、添付の図面を参照して、例示的な実施形態をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【
図1】切削ヘッドを備える切削工具の形態の金属切削工具構成要素を製造するための製造方法の一実施形態の概略図である。
【
図2】
図1に概略的に示す実施形態のフローチャートである。
【
図3】金属切削工具構成要素の製造方法の第2の例示的な実施形態のフローチャートである。
【
図4】切削ヘッドを備える旋削加工工具の形態の金属切削工具構成要素の一実施形態の概略図である。
【
図5】第1の実施形態または第2の実施形態による方法によって製造された金属切削工具構成要素の実施形態の概略図である。
【
図6】第1の実施形態または第2の実施形態による方法によって製造された金属切削工具構成要素の実施形態の概略図である。
【
図7】第1の実施形態または第2の実施形態による方法によって製造された金属切削工具構成要素の実施形態の概略図である。
【
図8】第1の実施形態または第2の実施形態による方法によって製造された金属切削工具構成要素の実施形態の概略図である。
【
図9】第1の実施形態または第2の実施形態による方法によって製造された金属切削工具構成要素の実施形態の概略図である。
【
図10】第1の実施形態または第2の実施形態による方法によって製造された金属切削工具構成要素の実施形態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
すべての図は概略図であり、必ずしも縮尺通りではなく、一般に、それぞれの実施形態を解明するために必要な部分のみを示しているが、他の部分は省略または単に示唆されてもよい。別段の指示がない限り、同様の参照符号は、異なる図の同様の部分を指す。
【0048】
図1および
図2を参照して、前部モジュール70および後部モジュール68を備える金属切削工具構成要素の製造方法の第1の例示的な実施形態を以下に説明する。
【0049】
ステップ1において、中間要素ブランク51が提供される。ブランク51は、印刷可能なマルエージング鋼を含み、中実の円筒形要素である。しかしながら、中間要素ブランク51は、正方形または長方形の円筒などの任意の好適な形状を有することができ、空洞を有することができる。
【0050】
ステップ2において、中間要素ブランク51が機械加工される。フライス加工工具53を使用して、前端部に構築面52を成形し、後端面に鋸歯の形態で前部モジュールインターフェース63を成形する。鋸歯は、交互に細長い隆起部および溝の組を形成する。例示的な実施形態における組は、後端面を横切って延在する複数の直線隆起部を含む。ドリル61を使用して、中間要素ブランク51を貫通する2つの貫通孔62を穿孔する。これらの機械加工作業により、中間要素58が提供される。
【0051】
中間要素58は、例示的な実施形態では中間要素の中央長手方向軸76と一致する軸を有する。前部モジュールインターフェース63を形成する鋸歯は、平坦な後端面に形成される。後端面の平面は、前部モジュール70が後部モジュール68に接続されたときに、インターフェースにおけるモジュール間の分割面と平行になる。後端面の平面は、例示的な実施形態では中間要素58の中央長手方向軸76と一致する中央後端面法線69を有する。構築面は、平坦であり、後端面の平面に対してある角度で延在するように機械加工される。中央構築面法線55は、中央後端面法線69に対して50°の角度αで延在する。2つの貫通孔62は、前端部の構築面52から後端部の前部モジュールインターフェース63まで中央長手方向軸76とほぼ平行に延在する。
【0052】
ステップ3において、中間要素58は、印刷可能かつ硬化性の鋼粉末の粉末床溶融のための構成に配置され、本体57は、構築面52上に印刷される。中間要素58は、構築面法線55が垂直方向に延在するように配置される。印刷構成は、中間要素58をこの位置にしっかりと保持するための支持デバイス56を含む。
【0053】
印刷方法は、層ごとに構築面に粉末を広げることを含む。レーザビーム60を有するレーザ59は、各層の上を移動し、粉末を構築面52に、または連続層については下の層と融合するように配置される。例示的な実施形態では、本体57を構築するために使用される粉末は、中間要素58が含むのと同じ材料である。例示的な実施形態では、本体57は、印刷方法における旋削加工工具用の切削ヘッドの形態で構築される。
【0054】
本体57を構築するステップが終了すると、ステップ4において、構築された本体57を有する中間要素58が硬化のための装置60に配置される。硬化中、構築された本体57を有する中間要素58は、500℃に加熱される。これにより、好ましい印刷可能かつ硬化性のマルエージング鋼を含む本体の良好な機械的強度が達成される。使用中に最も応力を受ける特徴は、多くの場合、インサート座部または貫通孔である。したがって、構築本体を有する中間要素58は、最も賢明な特徴の十分な強度を保証するレベルまで硬化されなければならない。
【0055】
ステップ1から4によって、前部モジュール70が製造される。
【0056】
ステップ5において、後部モジュールブランクが提供される。ブランクは、鋼、例えば、25CrMo4(SS 2225)、16MnCrS5(20MnCrS5)(SS 2127)、34CrNiMo6(SS 2541)、またはX40CrMoV5-1(SS 2242)ERチャックを含む。通常、後部モジュールブランクは、中実の円筒形要素である。しかしながら、後部モジュールブランクは、正方形または長方形の円筒などの任意の好適な形状を有することができ、空洞を有することができる。
【0057】
ステップ6において、後部モジュールブランクが機械加工される。フライス加工工具53を使用して、前端面において鋸歯の形態の後部モジュールインターフェース65および後端部にカップリング部品66を成形する。鋸歯は、交互に細長い隆起部および溝の組を形成する。例示的な実施形態における組は、前端面を横切って延在する複数の直線隆起部を含む。
【0058】
ドリル61を使用して、後部モジュールブランク64に2つの孔73を穿孔し、孔73はねじ切削工具67でねじ切りされる。これらの機械加工作業により、後部モジュール68が提供される。
【0059】
カップリング部品は、例示的な実施形態では後部カップリング部品66の中央長手方向軸71と一致する基準軸54を含む。例示的な実施形態では、カップリング部品は、Capto(登録商標)カップリングの一部、すなわちCapto(登録商標)コーンである。後部モジュールインターフェース65を形成する鋸歯は、平坦な前端面に形成される。平坦な前端面は、例示的な実施形態では基準軸54および後部カップリング部品66の中央長手方向軸71と一致する中央前端面法線72を有する。2つのねじ孔73は、基準軸54とほぼ平行に、かつ前端面で後部モジュールインターフェース65から後方に延在する。ねじ孔73は、モジュール68、70がそれらのインターフェース63、65で接続されたときに前部モジュール70の貫通孔62と位置合わせされるように、後部モジュールインターフェース65の鋸歯に対して位置決めされる。
【0060】
前部モジュール70および後部モジュール68が製造された後、ステップ7において、前部モジュール70および後部モジュール68が組み立てられる。前部モジュール70および後部モジュール68は、それらのインターフェース63、65を互いに対向させて位置決めされる。モジュール68、70の基準軸54は位置合わせされ、モジュール68、70は、前部モジュールインターフェース63と相補的後部モジュールインターフェース65とが係合することを可能にするために相互の角度位置に配置される。次いで、前部モジュール70および後部モジュール68が一緒に押され、それらのインターフェース63、65の鋸歯が一緒に噛み合う。その中で、センタリング機構が係合する。2つのねじ74は、1つの貫通孔62にそれぞれ挿入され、それぞれのねじ孔73に締め付けられる。細長い隆起部および溝の形態の鋸歯を含むインターフェースのおかげで、および締め付けられたねじによって提供される圧力のおかげで、いくつかの単一の隆起部または溝の公差の任意のわずかな偏差は、前部モジュールと後部モジュールとの相互位置に影響を与えない。さらに、インターフェース63、65の鋸歯および締め付けられたねじ74は、前部モジュール70および後部モジュール68が確実に位置決めされ、相互に不動である、すなわち不動に接続されることを保証する。前部モジュール70と後部モジュール68との間の分割面75は、インターフェースに画定することができる。分割面75は、基準軸54と一致する中央法線と、中間要素58の中央長手方向軸76と、後端部に前部モジュールインターフェース63の鋸歯を有する平坦な後端面の中央後端面法線69と、前端部に後部モジュールインターフェース65の鋸歯を有する平坦な前端面の中央前端面法線72と、を有する。
【0061】
ステップ8において、前部モジュール70の少なくとも1つの表面が機械加工される。フライス加工工具53を使用して、切削インサート用のインサート座部77の支持面を成形する。支持面は、基準軸54に対して必要な公差内の位置および範囲を有するように慎重に機械加工される。
【0062】
これらの方法ステップにより、切削ヘッドを備える旋削加工工具の形態で、後端部にCapto(登録商標)カップリング部品を有する金属切削工具構成要素が提供される。必要に応じて、ねじ74を取り外すことができ、前部モジュール70を別の後部モジュール68に取り付けることができる。しかしながら、別の後部モジュール68は、インサート座部77の支持面が基準軸54に対するそれらの公差を維持するために、元の実際のモジュールに厳密に対応しなければならない。
【0063】
図3を参照して、前部モジュール70および後部モジュール68を備える金属切削工具構成要素の製造方法の第2の例示的な実施形態を以下に説明する。
【0064】
ステップ9において、中間要素58は、構築プラットフォームを含む粉末床溶融用の構成によって印刷される。印刷方法は、印刷可能かつ硬化性の鋼粉末の粉末を層ごとに構築プラットフォーム表面に広げることを含む。レーザビームを有するレーザは、各層の上を移動し、粉末を構築プラットフォームに、または連続層については下の層と融合するように配置される。これにより、後端面に鋸歯の形態の前部モジュールインターフェース63と前端部の構築面52とを含む中間要素58が形成される。この実施形態では、構築面52は、中間要素の最後の印刷層を構成する。
【0065】
次いで、ステップ10において、本体57を構築面52上に印刷する。ステップ10は、本方法の第1の実施形態によるステップ3に本質的に対応する。しかしながら、この第2の実施形態における中間要素58は、本体57を構築するために、中間要素58が構築された後に中断することなく連続的な層ごとに印刷するプロセスが行われるように、粉末床溶融用の構成内の所定の位置に既にある。あるいは、中間要素58は、本体57の印刷を開始する前に構築面法線55が垂直方向に延在するように傾斜している。本体57には、中間要素58と同じ粉末が使用される。
【0066】
あるいは、中間要素は、本体から分離して積層造形プロセスで製造される。その中で、中間要素は、異なる構成で、または異なる設定で同じ構成で、および/または異なる粉末で印刷することができる。他の実施形態では、構築面を含む中間要素58が印刷されるが、後端面に鋸歯の形態の前部モジュールインターフェースはその後に機械加工される。
【0067】
ステップ11において、構築された本体57を有する中間要素58が構築プラットフォームから取り外される。これは、放電加工(electrical discharge machining、EDM)によって行われる。
【0068】
その後、上述した金属切削工具構成要素の製造方法の第1の実施形態と同様のステップ4~8を実施する。
【0069】
さらなる代替の実施形態では、中間要素58は、ブランク51として提供されるか、または印刷される代わりに、任意の好適な方法によって製造された完成した要素として提供される。
【0070】
図4では、本発明による切削ヘッドを備える旋削加工工具の形態の金属切削工具構成要素の一実施形態を示す。旋削加工工具は、前部モジュール70と後部モジュール68とを備える。前部モジュール70は、後端部に中間要素58を有し、前端部に本体57を有する。中間要素58は、ブランク51から機械加工されており、本体57は、積層造形プロセスによって印刷され、本方法の第1または第2の実施形態に関連して上述したように硬化されている。
【0071】
中間要素58は、後方に面する平坦な後端面に形成された鋸歯の形態のインターフェース63を有する。鋸歯は、1組の交互の細長い隆起部および溝を形成し、これらは直線状であり、後端面を横切って延在する。中間要素58は、中央構築面法線55を有する平坦な構築面52を含む。
【0072】
本体57は、構築面52から前方に延在する。本体57の最前方端部には、インサート座部77が設けられている。
【0073】
後部モジュール68は、前方に面する平坦な前端面に形成された鋸歯の形態の後部モジュールインターフェース65を有する。鋸歯は、1組の交互の細長い隆起部および溝を形成し、これらは直線状であり、前端面を横切って延在する。
【0074】
後部モジュール68は、後端部にカップリング部品66をさらに備える。例示的な実施形態では、カップリング部品は、Capto(登録商標)カップリングの一部、すなわちCapto(登録商標)コーンである。カップリング部品66は、例示的な実施形態では後部カップリング部品66の中央長手方向軸71と一致する基準軸54を含み、この軸も後部モジュール68の中央長手方向軸である。
【0075】
本体57のインサート座部77の支持面は、基準軸54に対して必要な公差内の位置および範囲を有するように慎重に機械加工される。
【0076】
2つの孔は、切削工具構成要素の基準軸54と平行に長手方向に延在する。2つの孔はそれぞれ、本体57および中間要素58を貫通して延在するねじなし部分62と、鋸歯を有する前方に面する前面から後方に後部モジュール68内に延在するねじ部分73と、を備える。1つの孔に2つのねじ74が挿入される。各ねじ74は、ねじなし部分62を通って延在し、ねじ部分73で締め付けられる。インターフェース63、65の相補的鋸歯が締め付けられたねじ74によって互いに噛み合って押圧されるため、前部モジュール70および後部モジュール68は相互に不動に接続される。他の実施形態では、例えば3つまたは4つなど、別の数のねじおよび対応する孔が使用される。
【0077】
前部モジュール70と後部モジュール68との間の分割面75は、インターフェース63、65に画定することができる。基準軸54は、分割面75の中央法線と、中間要素58の中央長手方向軸76と、前部モジュールインターフェース63の鋸歯を有する平坦な後端面の中央後端面法線69と、後部カップリング部品66の中央長手方向軸71と、後部モジュールインターフェース65の鋸歯を有する平坦な前端面の中央前端面法線72と一致する。この実施形態では、中央構築面法線55は、基準軸54に対して45°の角度αを形成する。
【0078】
金属切削工具構成要素がそれに結合されるときに、それが結合されることが意図される構成要素から金属切削工具構成要素を分離する平面である第2の分割面78は、後部カップリング部品66に画定することができる。
【0079】
図5~
図10では、上述の方法によって製造された金属切削工具構成要素の実施形態を示す。
【0080】
図5~
図9は、Capto(登録商標)カップリングコーンを含む取り外し可能な工作機械カップリングの形態のカップリング部品66を有する旋削加工工具の形態の金属切削工具構成要素の異なる実施形態を示す。しかしながら、他の図示されていない実施形態では、工具構成要素は、フライス加工工具またはドリルなどの異なる種類の切削工具であってもよい。さらに、他の図示されていない実施形態は、例えばHSKカップリングなどCapto(登録商標)カップリングコーン以外の他のカップリング部品66を有することができる。
【0081】
以下の説明では、
図5~
図9に示される実施形態が主にその様々な設計によって異なるため、中間要素58の説明に焦点を合わせる。すべての実施形態では、前部モジュールインターフェース63の後端面および後部モジュールインターフェース65の前端面は、分割面75と平行であり、その結果、これらの3つの面がすべて共通の法線方向79を有する。
【0082】
図5および
図6に示される旋削加工工具は、構築面52および分割面75が平行である中間要素58を両方が有するという点で、
図4を参照して説明した旋削加工工具とは異なる。カップリング部品66は、Capto(登録商標)カップリングコーンの中心軸であり、共通の法線方向79に延在する基準軸54を有する。構築面法線55は、基準軸54と位置合わせされる(一致する)。後部モジュール68および前部モジュール70は、共通の長手方向軸として基準軸54を有する。
図5および
図6は、
図5では中間要素58が薄い円板であり、
図6では中間要素58が旋削加工工具の長さに寄与する細長い円筒である点のみが異なる。
【0083】
図7の旋削加工工具は、円形の斜めの円筒の形状を有する中間要素58を有する。構築面52および分割面75は平行である。カップリング部品66は、Capto(登録商標)カップリングコーンの中心軸であり、共通の法線方向79に延在する基準軸54を有する。中央構築面法線55は、基準軸54と平行に、かつ基準軸54の横に延在する。中間要素58の中央長手方向軸76は、基準軸54に対して45°の角度βで延在する。
【0084】
図8に示される旋削加工工具は、製造方法の第1および第2の実施形態に関連して
図1~
図3および
図4を参照して説明した工具と同様である。中間要素58は、端部で斜めにキャップされた円筒の形状を有し、構築面52はその端部に形成されている。構築面52は、分割面75に対してある角度で延在する。カップリング部品66は、Capto(登録商標)カップリングコーンの中心軸であり、共通の法線方向79に延在する基準軸54を有する。中間要素58の長手方向軸76は、共通の法線方向79にも延在する。中央構築面法線55は、基準軸54に対して50°の角度αで延在する。さらに、本体の中央長手方向軸82、すなわち中央前部長手方向軸82は、中央構築面法線55と一致し、したがって、基準軸54に対して同じ角度αを有する。
【0085】
図9に示される旋削加工工具は、中間要素58が、端部で斜めにキャップされた円筒の形状を有し、インターフェース63はその端部に形成されているという点で、
図8に示される旋削加工工具とは異なる。カップリング部品66は、Capto(登録商標)カップリングコーンの中心軸であり、共通の法線方向79に延在する基準軸54を有する。中央構築面法線55は、基準軸54に対して50°の角度αで延在する。中間要素58の長手方向軸76は、中央構築面法線55と一致し、したがって、基準軸54に対して同じ角度αで延在する。
【0086】
図10では、切削ヘッドの形態の別個のユニット80を保持するためのホルダの形態の金属切削工具構成要素が示されている。中間要素58および後部モジュール68は、
図4および
図8の旋削加工工具を参照して説明した中間要素58と同様である。本体57は直角に接続された2つの円筒の形状を有し、第1の円筒は第1の中央長手方向軸81を有し、第2の円筒は第2の中央長手方向軸82、すなわち中央前部長手方向軸82を有する。しかしながら、両方の円筒の長手方向軸は、構築面法線55に対して45°の角度αで延在する。本体を水平構築面52上に印刷することができるおかげで、両方の部品は、互いに90°で延在しているにもかかわらず、追加の支持体なしで印刷することができる。
【国際調査報告】