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特表2023-503847ペロブスカイト材料光起電力デバイスおよび組立て方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-01
(54)【発明の名称】ペロブスカイト材料光起電力デバイスおよび組立て方法
(51)【国際特許分類】
   H10K 30/50 20230101AFI20230125BHJP
   H10K 39/10 20230101ALI20230125BHJP
【FI】
H01L31/04 122
H01L31/04 112Z
H01L31/04 120
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022527962
(86)(22)【出願日】2020-11-04
(85)【翻訳文提出日】2022-07-11
(86)【国際出願番号】 US2020058874
(87)【国際公開番号】W WO2021096740
(87)【国際公開日】2021-05-20
(31)【優先権主張番号】16/682,254
(32)【優先日】2019-11-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522187568
【氏名又は名称】キュービックピーブイ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】アーウィン,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ホランド,マイケル
【テーマコード(参考)】
5F151
【Fターム(参考)】
5F151AA11
5F151CB24
5F151DA16
5F151FA04
5F151FA06
5F151GA03
(57)【要約】
光起電力デバイスを製造するための方法は、第1の面を持つ第1のペロブスカイト材料層を有する第1の光起電力デバイス部を作製することと、第2の面を持つ第2のペロブスカイト材料層を有する第2の光起電力デバイス部を作製することとを含む。次いで、第1の面が第2の面と接触するように、第1の光起電力デバイス部と第2の光起電力デバイス部とを配置する。最後に、第1の光起電力デバイス部および第2の光起電力デバイス部は、第1のペロブスカイト材料を第2のペロブスカイト材料に融着するのに十分な圧力で圧縮される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光起電力デバイスを製造するための方法であって、
第1の面を持つ第1のペロブスカイト材料層を有する第1の光起電力デバイス部を作製することと、
第2の面を持つ第2のペロブスカイト材料層を有する第2の光起電力デバイス部を作製することと、
前記第1の面が前記第2の面と接触するように、前記第1の光起電力デバイス部と前記第2の光起電力デバイス部とを配置することと、
前記第1のペロブスカイト材料を前記第2のペロブスカイト材料に融着させるのに十分な圧力で、前記第1の光起電力デバイス部および前記第2の光起電力デバイス部を圧縮することと
を含む方法。
【請求項2】
前記光起電力デバイスを封止することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の光起電力デバイス部および前記第2の光起電力デバイス部を圧縮する前に、前記第1の光起電力デバイス部の周囲に沿ってガラスフリットを配置することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の光起電力デバイス部が、
第1の基板と、
前記第1の基板上に堆積された第1の電極層と、
前記第1の電極層と前記第1のペロブスカイト材料層との間に堆積された第1の界面層と
をさらに備え、
前記第2の光起電力デバイス部が、
第2の基板と、
前記第2の基板上に堆積された第2の電極層と、
前記第2の電極層と前記第2のペロブスカイト材料層との間に堆積された第2の界面層と
をさらに備える、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第1のペロブスカイト材料層および前記第2のペロブスカイト材料層は、同じ化学式および組成を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第1のペロブスカイト材料層および前記第2のペロブスカイト材料層が、ヨウ化ホルムアミジニウム鉛ペロブスカイト材料を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第1のペロブスカイト材料層が、式FAPbIを有するペロブスカイト材料を含み、前記第2のペロブスカイト材料層が、式MAPbIを有するペロブスカイトを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記第1のペロブスカイト材料層が、式CsPbIを有するペロブスカイト材料を含み、前記第2のペロブスカイト材料層が、式FAPbIを有するペロブスカイトを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記第1のペロブスカイト材料層が、式FASnIを有するペロブスカイト材料を含み、前記第2のペロブスカイト材料層が、式FAPbIを有するペロブスカイトを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記第1のペロブスカイト材料を前記第2のペロブスカイト材料に融着させるのに十分な前記圧力が1~7MPaである、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記第1の光起電力デバイス部および前記第2の光起電力デバイス部が圧縮されている間に、前記第1の光起電力デバイス部および前記第2の光起電力デバイス部を75℃~177℃の温度に加熱することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記第1の光起電力デバイス部および前記第2の光起電力デバイス部が圧縮されている間に、前記第1の光起電力デバイス部および前記第2の光起電力デバイス部を75℃~177℃の温度に加熱することをさらに含み、前記第1のペロブスカイト材料を前記第2のペロブスカイト材料に融着させるのに十分な前記圧力が1~7MPaである、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記第1の光起電力デバイス部および前記第2の光起電力デバイス部を圧縮する前に、ガラスフリットペースト、インク、溶液、または粉末を前記第1の光起電力デバイス部の周囲に堆積させることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
電子デバイスを製造するための方法であって、
第1の基板上に第1の電極層を堆積させることと、
前記第1の電極層上に1つまたは複数の第1の界面層を堆積させることと、
前記1つまたは複数の第1の界面層上に第1のペロブスカイト材料層を堆積させることと、
第2の基板上に第2の電極層を堆積させることと、
前記第2の電極層上に1つまたは複数の第2の界面層を堆積させことと、
前記1つまたは複数の第2の界面層上に第2のペロブスカイト材料層を堆積させることと、
前記第2のペロブスカイト材料層が前記第1のペロブスカイト材料層と接触するように前記第2の基板を向けることと、
前記第2のペロブスカイト材料層を前記第1のペロブスカイト材料層と融着させるのに十分な圧力を前記第2の基板に加えることと
を含む方法。
【請求項15】
前記第1のペロブスカイト材料層および前記第2のペロブスカイト材料層は、同じ化学式および組成を有する、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記第1のペロブスカイト材料層および前記第2のペロブスカイト材料層が、ヨウ化ホルムアミジニウム鉛ペロブスカイト材料を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記第1のペロブスカイト材料層が、式FAPbIを有するペロブスカイト材料を含み、前記第2のペロブスカイト材料層が、式MAPbIを有するペロブスカイトを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記第1のペロブスカイト材料を前記第2のペロブスカイト材料に融着させるのに十分な前記圧力が1~7MPaである、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
前記第1の光起電力デバイス部および前記第2の光起電力デバイス部が圧縮されている間に、前記第1の光起電力デバイス部および前記第2の光起電力デバイス部を75℃~177℃の温度に加熱することをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項20】
前記第1の光起電力デバイス部および前記第2の光起電力デバイス部が圧縮されている間に、前記第1の光起電力デバイス部および前記第2の光起電力デバイス部を75℃~177℃の温度に加熱することをさらに含み、前記第1のペロブスカイト材料を前記第2のペロブスカイト材料に融着させるのに十分な前記圧力が1~7MPaである、請求項14に記載の方法。
【請求項21】
前記第2のペロブスカイト材料層を前記第1のペロブスカイト材料層と融着させるのに十分な圧力を前記第2の基板に加える前に、ガラスフリットペースト、インク、溶液、または粉末を前記第1の基板の周囲に堆積させることをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項22】
光起電力デバイスであって、
第1の基板と、
第2の基板と、
前記第1の基板と前記第2の基板との間に配置されたペロブスカイト材料層と、
前記第1の基板と接触し、前記第1の基板と前記ペロブスカイト材料層との間に配置された第1の電極層と、
前記第2の基板と接触し、前記第2の基板と前記ペロブスカイト材料層との間に配置された第2の電極層と、
前記第1の電極層と前記ペロブスカイト材料層との間に配置された第1の界面層と、
前記ペロブスカイト材料層と前記第2の電極層との間に配置された第2の界面層と
を備え、
前記第1の電極層と前記第1の基板との間に封止材層が存在せず、前記第2の電極層と前記第2の基板との間に封止材層が存在しない、
光起電力デバイス。
【請求項23】
前記ペロブスカイト材料層が、互いに融着した第1のペロブスカイト材料および第2のペロブスカイト材料を含む、請求項22に記載の光起電力デバイス。
【請求項24】
前記ペロブスカイト材料層がヨウ化ホルムアミジニウム鉛を含む、請求項23に記載の光起電力デバイス。
【請求項25】
前記第1のペロブスカイト材料がヨウ化メチルアンモニウム鉛を含む、請求項24に記載の光起電力デバイス。
【請求項26】
前記第1の基板がガラスを含み、前記第2の基板がガラスを含む、請求項22に記載の光起電力デバイス。
【請求項27】
前記第1の基板がガラスを含み、前記第2の基板がガラスではない材料を含む、請求項22に記載の光起電力デバイス。
【請求項28】
前記第1の界面層が電子輸送層であり、前記第2の界面層が正孔輸送層である、請求項22に記載の光起電力デバイス。
【請求項29】
前記第1の基板と前記第2の基板との間に配置された封止構造をさらに含み、前記封止構造は、前記第1の基板および第2の基板に融着され、前記ペロブスカイト材料層、第1の電極層、第2の電極層、第1の界面層、第2の界面層が、前記第1の基板、第2の基板、および封止構造の内部に封止されるように配置される、請求項22に記載の光起電力デバイス。
【請求項30】
前記封止構造がガラスを含む、請求項29に記載の光起電力デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
太陽エネルギーまたは放射線から電力を発生させるための光起電力技術(PV)の使用は、例えば、電源、低エミッションまたはゼロエミッション、送電網から独立した電力生産、耐久性のある物理的構造(可動部分なし)、安定かつ信頼性の高いシステム、モジュール構造、比較的迅速な設置、安全な製造および使用、ならびに良好な世論および使用の受け入れを含む多くの利益を提供し得る。薄膜PVの溶液処理は、PVを構成する様々な層を堆積させるための経済的な方法を提供する。しかしながら、各層を堆積するために必要とされる様々な溶液プロセスは、以前に堆積された層と互換性がない場合がある。したがって、互換性がない溶液化学によって堆積された隣接層を有するPVデバイスを製造するためには、PVデバイスを組み立てる方法が必要とされる。
【0002】
本開示の特徴および利点は、当業者に容易に明らかになるであろう。数多くの変更が当業者によってなされ得るが、そのような変更は本発明の趣旨の範囲内である。
【発明の概要】
【0003】
光起電力デバイスを製造するための方法は、いくつかの実施形態によれば、第1の面を持つ第1のペロブスカイト材料層を有する第1の光起電力デバイス部を作製することと、第2の面を持つ第2のペロブスカイト材料層を有する第2の光起電力デバイス部を作製することと、第1の面が第2の面と接触するように、第1の光起電力デバイス部と第2の光起電力デバイス部とを配置することと、第1のペロブスカイト材料を第2のペロブスカイト材料に融着させるのに十分な圧力で、第1の光起電力デバイス部および第2の光起電力デバイス部を圧縮することとを含む。
【0004】
特定の実施形態では、方法は、光起電力デバイスを封止することを含む。
【0005】
特定の実施形態では、方法は、第1の光起電力デバイス部および第2の光起電力デバイス部を圧縮する前に、第1の光起電力デバイス部の周囲に沿ってガラスフリットを配置することを含む。
【0006】
特定の実施形態では、第1の光起電力デバイス部が、第1の基板と、第1の基板上に堆積された第1の電極層と、第1の電極層と第1のペロブスカイト材料層との間に堆積された第1の界面層とをさらに含む。第2の光起電力デバイス部が、第2の基板と、第2の基板上に堆積された第2の電極層と、第2の電極層と第2のペロブスカイト材料層との間に堆積された第2の界面層とをさらに含む。
【0007】
特定の実施形態では、第1のペロブスカイト材料層および第2のペロブスカイト材料層は、同じ化学式および組成を有する。
【0008】
特定の実施形態では、第1のペロブスカイト材料層および第2のペロブスカイト材料層が、ヨウ化ホルムアミジニウム鉛ペロブスカイト材料を含む。
【0009】
特定の実施形態では、第1のペロブスカイト材料層が、式FAPbIを有するペロブスカイト材料を含み、第2のペロブスカイト材料層が、式MAPbIを有するペロブスカイトを含む。
【0010】
特定の実施形態では、第1のペロブスカイト材料層が、式CsPbIを有するペロブスカイト材料を含み、第2のペロブスカイト材料層が、式FAPbIを有するペロブスカイトを含む。
【0011】
特定の実施形態では、第1のペロブスカイト材料層が、式FASnIを有するペロブスカイト材料を含み、第2のペロブスカイト材料層が、式FAPbIを有するペロブスカイトを含む。
【0012】
特定の実施形態では、第1のペロブスカイト材料を第2のペロブスカイト材料に融着させるのに十分な圧力が1~7MPaである。
【0013】
特定の実施形態では、方法は、第1の光起電力デバイス部および第2の光起電力デバイス部が圧縮されている間に、第1の光起電力デバイス部および第2の光起電力デバイス部を75℃~177℃の温度に加熱することを含む。
【0014】
特定の実施形態では、方法は、第1の光起電力デバイス部および第2の光起電力デバイス部が圧縮されている間に、第1の光起電力デバイス部および第2の光起電力デバイス部を75℃~177℃の温度に加熱することをさらに含み、第1のペロブスカイト材料を第2のペロブスカイト材料に融着させるのに十分な圧力が1~7MPaである。
【0015】
特定の実施形態では、方法は、第1の光起電力デバイス部および第2の光起電力デバイス部を圧縮する前に、ガラスフリットペースト、インク、溶液、または粉末を第1の光起電力デバイス部の周囲に堆積させることを含む。
【0016】
いくつかの実施形態によれば、電子デバイスを製造するための方法は、第1の基板上に第1の電極層を堆積させることと、第1の電極層上に1つまたは複数の第1の界面層を堆積させることと、1つまたは複数の第1の界面層上に第1のペロブスカイト材料層を堆積させることと、第2の基板上に第2の電極層を堆積させることと、第2の電極層上に1つまたは複数の第2の界面層を堆積させことと、1つまたは複数の第2の界面層上に第2のペロブスカイト材料層を堆積させることと、第2のペロブスカイト材料層が第1のペロブスカイト材料層と接触するように第2の基板を向けることと、第2のペロブスカイト材料層を第1のペロブスカイト材料層と融着させるのに十分な圧力を第2の基板に加えることとを含む。
【0017】
特定の実施形態では、第1のペロブスカイト材料層および第2のペロブスカイト材料層は、同じ化学式および組成を有する。
【0018】
特定の実施形態では、第1のペロブスカイト材料層および第2のペロブスカイト材料層が、ヨウ化ホルムアミジニウム鉛ペロブスカイト材料を含む。
【0019】
特定の実施形態では、第1のペロブスカイト材料層が、式FAPbIを有するペロブスカイト材料を含み、第2のペロブスカイト材料層が、式MAPbIを有するペロブスカイトを含む。
【0020】
特定の実施形態では、第1のペロブスカイト材料を第2のペロブスカイト材料に融着させるのに十分な圧力が1~7MPaである。
【0021】
特定の実施形態では、方法は、第1の光起電力デバイス部および第2の光起電力デバイス部が圧縮されている間に、第1の光起電力デバイス部および第2の光起電力デバイス部を75℃~177℃の温度に加熱することを含む。
【0022】
特定の実施形態では、方法は、第1の光起電力デバイス部および第2の光起電力デバイス部が圧縮されている間に、第1の光起電力デバイス部および第2の光起電力デバイス部を75℃~177℃の温度に加熱することを含み、第1のペロブスカイト材料を第2のペロブスカイト材料に融着させるのに十分な圧力が1~7MPaである。
【0023】
特定の実施形態では、方法は、第2のペロブスカイト材料層を第1のペロブスカイト材料層と融着させるのに十分な圧力を第2の基板に加える前に、ガラスフリットペースト、インク、溶液、または粉末を第1の基板の周囲に堆積させることを含む。
【0024】
いくつかの実施形態によれば、光起電力デバイスは、第1の基板と、第2の基板と、第1の基板と第2の基板との間に配置されたペロブスカイト材料層と、第1の基板と接触し、第1の基板とペロブスカイト材料層との間に配置された第1の電極層と、第2の基板と接触し、第2の基板とペロブスカイト材料層との間に配置された第2の電極層と、第1の電極層とペロブスカイト材料層との間に配置された第1の界面層と、ペロブスカイト材料層と第2の電極層との間に配置された第2の界面層とを含む。第1の電極層と第1の基板との間に封止材層が存在せず、第2の電極層と第2の基板との間に封止材層が存在しない。
【0025】
特定の実施形態では、ペロブスカイト材料層が、互いに融着した第1のペロブスカイト材料および第2のペロブスカイト材料を含む。
【0026】
特定の実施形態では、ペロブスカイト材料層がヨウ化ホルムアミジニウム鉛(formamidinium lead iodide)を含む。
【0027】
特定の実施形態では、第1のペロブスカイト材料がヨウ化メチルアンモニウム鉛(methylammonium lead iodide)を含む。
【0028】
特定の実施形態では、第1の基板がガラスを含み、第2の基板がガラスを含む。
【0029】
特定の実施形態では、第1の基板がガラスを含み、第2の基板がガラスではない材料を含む。
【0030】
特定の実施形態では、第1の界面層が電子輸送層であり、第2の界面層が正孔輸送層である。
【0031】
特定の実施形態では、第1の基板と第2の基板との間に封止構造が配置される。封止構造は、第1の基板および第2の基板に融着され、ペロブスカイト材料層、第1の電極層、第2の電極層、第1の界面層、第2の界面層が、第1の基板、第2の基板、および封止構造の内部に封止されるように配置される。
【0032】
特定の実施形態では、封止構造がガラスを含む。
【0033】
本発明の利点には、互換性がない溶液化学を用いて製造された隣接層を有する薄膜PVデバイスの組立てを可能にすることが含まれ得る。特に、ペロブスカイト層は、界面層の堆積のための溶液ベースの方法で使用される溶媒の多くに対して敏感であり得る。本発明は、他の方法ではペロブスカイト材料層に損傷を与えたであろう溶液化学を用いて堆積された界面層に隣接してペロブスカイト材料層を配置することを可能にする、PVデバイスの組立て方法を提供する。追加的に、薄膜PVデバイスの従来の「ボトムアップ」製造では、「上部」基板/スーパーストレートを取り付ける前に、「上部」電極の上に封止層または封止材層を堆積させる必要がある。本明細書で説明する技術は、ボトムアップ法を使用してPVデバイスの2つの部分を構築し、次いで、それらの部分を組み立てて、「上部」基板/スーパーストレートを取り付ける前に封止材層が必要とされないようにする方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】本開示のいくつかの実施形態による活性層を含む典型的な光起電力セルの概略図である。
図2】本開示のいくつかの実施形態による例示的なPVデバイスの構成要素を示す様式化された図である。
図3】本開示のいくつかの実施形態による例示的なデバイスの構成要素を示す様式化された図である。
図4】本開示のいくつかの実施形態による例示的なデバイスの構成要素を示す様式化された図である。
図5】本開示のいくつかの実施形態による例示的なデバイスの組立て方法を示す様式化された図である。
図6】本開示のいくつかの実施形態による例示的なデバイスの組立て方法を示す様式化された図である。
図7】本開示のいくつかの実施形態による例示的なデバイスの組立て方法を示す様式化された図である。
図8】本開示のいくつかの実施形態による例示的なデバイスの組立て方法を示す様式化された図である。
図9】本開示のいくつかの実施形態による例示的なデバイスの組立て方法を示す様式化された図である。
図10】本開示のいくつかの実施形態による例示的なデバイスの組立て方法を示す様式化された図である。
図11】本開示のいくつかの実施形態による例示的なデバイスの組立て方法を示す様式化された図である。
図12】本開示のいくつかの実施形態による例示的なデバイスの封止方法を示す様式化された図である。
図13】本開示のいくつかの実施形態による例示的なデバイスの組立て方法を示す様式化された図である。
図14】本開示のいくつかの実施形態による例示的なデバイスの組立て方法を示す様式化された図である。
図15】本開示のいくつかの実施形態によるペロブスカイト材料の無機金属ハロゲン化物サブラティス(inorganic metal halide sublattice)の厚さの様式化された図を提供する。
図16】本開示のいくつかの実施形態による2端子光起電力セルの様式化された図である。
図17】本開示のいくつかの実施形態による3端子光起電力セルの様式化された図である。
図18】本開示のいくつかの実施形態による4端子光起電力セルの様式化された図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
光起電力セルおよび他の電子デバイス
いくつかのPV実施形態について、図1に示す太陽電池の例示的な描写を参照して説明し得る。いくつかの実施形態による例示的なPVアーキテクチャは、実質的に、基板-アノード-IFL-活性層-IFL-カソードの形態であり得る。いくつかの実施形態の活性層は、光活性であり得、および/または光活性材料を含み得る。当技術分野で知られているように、他の層および材料がセルで利用されてもよい。さらに、「活性層」という用語の使用は、任意の他の層の特性を明示的または暗示的に制限することまたは他の方法で定義することを決して意味しないことに留意されたい。例えば、いくつかの実施形態では、IFLの一方または両方は、それらが半導体であり得る限りにおいて活性であってもよい。特に、図1を参照すると、様式化された一般的なPVセル1000が描写されており、PV内のいくつかの層の高い界面特性を示している。PV1000は、ペロブスカイト材料PVの実施形態などのいくつかのPVデバイスに適用可能な一般的アーキテクチャを表す。PVセル1000は、太陽放射が層を透過することを可能にするガラス(または太陽放射に対して同様に透明な材料)であり得る透明基板層1010を含む。いくつかの実施形態の透明層はまた、(例えば、図2の基板層3901と同様に)スーパーストレートまたは基板とも称され得、それは、ガラス、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリイミド、PMMA、PET、PEN、カプトン、または石英などの様々な剛性材料または可撓性材料のうちのいずれか1つまたは複数を含み得る。一般に、基板という用語は、製造中にデバイスが堆積される材料を指すために使用される。光活性層1040は、電子供与体もしくはp型材料、および/または電子受容体もしくはn型材料、および/またはp型材料の特性とn型材料の特性の両方を示す両極性半導体、および/またはn型の特性もp型の特性も示さない真性半導体から構成され得る。光活性層1040は、いくつかの実施形態では、本明細書で説明するようなペロブスカイト材料であり得る。活性層、または図1に描写するように、光活性層1040は、2つの導電性の電極層1020および1060の間に挟まれている。図1では、電極層1020は、スズドープ酸化インジウム(tin-doped indium oxide)(ITO材料)または本明細書で説明する他の材料などの透明導電体であり得る。他の実施形態では、第2の基板1070および第2の電極1060が透明であり得る。先述のとおり、いくつかの実施形態の活性層は、必ずしも光活性である必要はないが、図1に示すデバイスではそうである。電極層1060は、アルミニウム材料もしくは他の金属、または炭素などの他の導電性材料であり得る。当技術分野で知られているように、他の材料が使用されてもよい。セル1010はまた、図1の例に示される界面層(IFL)1030を含む。IFLは、電荷分離を助け得る。他の実施形態では、IFL1030は、多層IFLを含み得、これについては以下でより詳細に述べる。電極1060に隣接するIFL1050も存在し得る。いくつかの実施形態では、電極1060に隣接するIFL1050は、同様にまたは代わりに、多層IFLを含み得る(これについても以下でより詳細に述べる)。いくつかの実施形態によるIFLは、特性上、半導体であり得、真性、両極性、p型、またはn型のいずれかであり得るか、または特性上、誘電体であり得る。いくつかの実施形態では、デバイスのカソード側のIFL(例えば、図1に示すIFL1050)はp型であり得、デバイスのアノード側のIFL(例えば、図1に示すIFL1030)はn型であり得る。しかしながら、他の実施形態では、カソード側のIFLがn型であってもよく、アノード側のIFLがp型であってもよい。セル1010は、電極1060および1020によって電気リード線に、ならびにバッテリ、モータ、キャパシタ、配電網、または任意の他の電気負荷などの放電ユニットに取り付けられ得る。
【0036】
本開示の様々な実施形態は、とりわけ、活性材料(正孔輸送層および/または電子輸送層を含む)、界面層、および全体的なデバイス設計を含む、太陽電池および他のデバイスの様々な態様における改善された材料および/または設計を提供する。
【0037】
ペロブスカイト材料
ペロブスカイト材料は、PVまたは他のデバイスの1つまたは複数の態様に組み込まれ得る。いくつかの実施形態によるペロブスカイト材料は、一般式Cのものであり得、式中、Cは、1つまたは複数のカチオン(例えば、アミン、アンモニウム、ホスホニウム、1族金属、2族金属、および/または他のカチオンまたはカチオン様化合物)を含み、Mは、1つまたは複数の金属(例としては、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Fe、Cd、Co、Ni、Cu、Ag、Au、Hg、Sn、Ge、Ga、Pb、In、Tl、Sb、Bi、Ti、Zn、Cd、Hg、およびZrが挙げられる)を含み、Xは、1つまたは複数のアニオンを含み、w、y、およびzは、1~20の実数を表す。いくつかの実施形態では、Cは、1つまたは複数の有機カチオンを含み得る。いくつかの実施形態では、各有機カチオンCは、各金属Mより大きくてもよく、各アニオンXは、カチオンCおよび金属Mの両方と結合することができ得る。特定の実施形態では、ペロブスカイト材料は、式CMXのものであり得る。いくつかの実施形態では、ペロブスカイト材料は、式C’n-13n-1を有し得、式中、nは整数である。例えば、n=1の場合、ペロブスカイト材料は式C’MXを有し得、n=2の場合、ペロブスカイト材料は式C’CMを有し得、n=3の場合、ペロブスカイト材料は式C’10を有し得、n=4の場合、ペロブスカイト材料は式C’13を有し得、以下同様である。図15に示すように、n値は、ペロブスカイト材料の無機金属ハロゲン化物サブラティス1300の厚さを示す。
【0038】
特定の実施形態では、Cは、アンモニウム、一般式[NRの有機カチオンを含み得、式中、R基は、同じ基であっても異なる基であってもよい。適切なR基としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:水素、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル基またはそれらの異性体;任意のアルカン、アルケンまたはアルキンCxHy(式中、x=1~20、y=1~42、環状、分枝状、もしくは直鎖状);ハロゲン化アルキルCxHyXz(式中、x=1~20、y=0~42、z=1~42、X=F、Cl、Br、またはI);任意の芳香族基(例えば、フェニル、アルキルフェニル(alkylphenl)、アルコキシフェニル(alkoxyphenyl)、ピリジン、ナフタレン);少なくとも1つの窒素が環内に含まれる環状錯体(例えば、ピリジン、ピロール、ピロリジン、ピペリジン、テトラヒドロキノリン);任意の硫黄含有基(例えば、スルホキシド、チオール、アルキルスルフィド);任意の窒素含有基(ニトロキシド、アミン);任意のリン含有基(リン酸塩);任意のホウ素含有基(例えば、ボロン酸);任意の有機酸(例えば、酢酸、プロパン酸);およびそのエステルまたはアミド誘導体;α、β、γ、およびそれ以上の誘導体を含む任意のアミノ酸(例えば、グリシン、システイン、プロリン、グルタミン酸、アルギニン、セリン、ヒスチジン、5-アミノ吉草酸(5-ammoniumvaleric acid));任意のケイ素含有基(例えば、シロキサン);ならびに、任意のアルコキシまたは基、-OCxHy(式中、x=0~20、y=1~42)。
【0039】
特定の実施形態では、Cは、ホルムアミジニウム(FA:formamidinium)、一般式[RNCRNRの有機カチオンを含み得、式中、R基は、同じ基であっても異なる基であってもよい。適切なR基としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:水素、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル基またはそれらの異性体;任意のアルカン、アルケンまたはアルキンCxHy(式中、x=1~20、y=1~42、環状、分枝状、もしくは直鎖状);ハロゲン化アルキルCxHyXz(式中、x=1~20、y=0~42、z=1~42、X=F、Cl、Br、またはI);任意の芳香族基(例えば、フェニル、アルキルフェニル、アルコキシフェニル、ピリジン、ナフタレン);少なくとも1つの窒素が環内に含まれる環状錯体(例えば、イミダゾール、ベンズイミダゾール、ピリミジン、(azolidinylidenemethyl)ピロリジン、トリアゾール);任意の硫黄含有基(例えば、スルホキシド、チオール、アルキルスルフィド);任意の窒素含有基(ニトロキシド、アミン);任意のリン含有基(リン酸塩);任意のホウ素含有基(例えば、ボロン酸);任意の有機酸(酢酸、プロパン酸)およびそのエステルまたはアミド誘導体;α、β、γ、およびそれ以上の誘導体を含む任意のアミノ酸(例えば、グリシン、システイン、プロリン、グルタミン酸、アルギニン、セリン、ヒスチジン、5-アミノ吉草酸);任意のケイ素含有基(例えば、シロキサン);ならびに、任意のアルコキシまたは基、-OCxHy(式中、x=0~20、y=1~42)。
【化1】
【0040】
式1は、上記のような一般式[RNCRNRを有するホルムアミジニウムカチオンの構造を示す。式2は、ペロブスカイト材料中でカチオン「C」として機能し得るいくつかのホルムアミジニウムカチオンの例示的な構造を示す。
【化2】
【0041】
特定の実施形態では、Cは、グアニジニウム、一般式[(RN)C=NRの有機カチオンを含み得、式中、R基は、同じ基であっても異なる基であってもよい。適切なR基としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:水素、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル基またはそれらの異性体;任意のアルカン、アルケンまたはアルキンCxHy(式中、x=1~20、y=1~42、環状、分枝状、もしくは直鎖状);ハロゲン化アルキルCxHyXz(式中、x=1~20、y=0~42、z=1~42、X=F、Cl、Br、またはI);任意の芳香族基(例えば、フェニル、アルキルフェニル、アルコキシフェニル、ピリジン、ナフタレン);少なくとも1つの窒素が環内に含まれる環状錯体(例えば、オクタヒドロピリミド[1,2-a]ピリミジン(octahydropyrimido[1,2-a]pyrimidine)、ピリミド[1,2-a]ピリミジン(pyrimido[1,2-a]pyrimidine)、ヘキサヒドロイミダゾ[1,2-a]イミダゾール(hexahydroimidazo[1,2-a]imidazole)、ヘキサヒドロピリミジン-2-イミン(hexahydroimidazo[1,2-a]imidazole, hexahydropyrimidin-2-imine));任意の硫黄含有基(例えば、スルホキシド、チオール、アルキルスルフィド);任意の窒素含有基(ニトロキシド、アミン);任意のリン含有基(リン酸塩);任意のホウ素含有基(例えば、ボロン酸);任意の有機酸(酢酸、プロパン酸)およびそのエステルまたはアミド誘導体;α、β、γ、およびそれ以上の誘導体を含む任意のアミノ酸(例えば、グリシン、システイン、プロリン、グルタミン酸、アルギニン、セリン、ヒスチジン、5-アミノ吉草酸);任意のケイ素含有基(例えば、シロキサン);ならびに、任意のアルコキシまたは基、-OCxHy(式中、x=0~20、y=1~42)。
【化3】
【0042】
式3は、上記のような一般式[(RN)C=NRを有するグアニジニウムカチオンの構造を示す。式4は、ペロブスカイト材料中でカチオン「C」として機能し得るいくつかのグアニジニウムカチオンの構造の例を示す。
【化4】
【0043】
特定の実施形態では、Cは、エテンテトラミンカチオン(ethene tetramine cation)、一般式[(RN)C=C(NRの有機カチオンを含み得、式中、R基は、同じ基であっても異なる基であってもよい。適切なR基としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:水素、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル基またはそれらの異性体;任意のアルカン、アルケンまたはアルキンCxHy(式中、x=1~20、y=1~42、環状、分枝状、もしくは直鎖状);ハロゲン化アルキルCxHyXz(式中、x=1~20、y=0~42、z=1~42、X=F、Cl、Br、またはI);任意の芳香族基(例えば、フェニル、アルキルフェニル、アルコキシフェニル、ピリジン、ナフタレン);少なくとも1つの窒素が環内に含まれる環状錯体(例えば、2-ヘキサヒドロピリミジン-2-イリデンヘキサヒドロピリミジン(2-hexahydropyrimidin-2-ylidenehexahydropyrimidine)、オクタヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン(octahydropyrazino[2,3-b]pyrazine)、ピラジノ[2,3-b]ピラジン(pyrazino[2,3-b]pyrazine)、キノキサリノ[2,3-b]キノキサリン(quinoxalino[2,3-b]quinoxaline));任意の硫黄含有基(例えば、スルホキシド、チオール、アルキルスルフィド);任意の窒素含有基(ニトロキシド、アミン);任意のリン含有基(リン酸塩);任意のホウ素含有基(例えば、ボロン酸);任意の有機酸(酢酸、プロパン酸)およびそのエステルまたはアミド誘導体;α、β、γ、およびそれ以上の誘導体を含む任意のアミノ酸(例えば、グリシン、システイン、プロリン、グルタミン酸、アルギニン、セリン、ヒスチジン、5-アミノ吉草酸);任意のケイ素含有基(例えば、シロキサン);ならびに、任意のアルコキシまたは基、-OCxHy(式中、x=0~20、y=1~42)。
【化5】
【0044】
式5は、上記のような一般式[(RN)C=C(NRを有するエテンテトラミンカチオンの構造を示す。式6は、ペロブスカイト材料中でカチオン「C」として機能し得るいくつかのエテンテトラミンイオンの構造の例を示す。
【化6】
【0045】
特定の実施形態では、Cは、イミダゾリウムカチオン、一般式[CRNRCRNRCR]の芳香族環状有機カチオンを含み得、式中、R基は、同じ基であっても異なる基であってもよい。適切なR基としては、以下が挙げられ得るが、これらに限定されない:水素、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル基またはそれらの異性体;任意のアルカン、アルケンまたはアルキンCxHy(式中、x=1~20、y=1~42、環状、分枝状、もしくは直鎖状);ハロゲン化アルキルCxHyXz(式中、x=1~20、y=0~42、z=1~42、X=F、Cl、Br、またはI);任意の芳香族基(例えば、フェニル、アルキルフェニル、アルコキシフェニル、ピリジン、ナフタレン);少なくとも1つの窒素が環内に含まれる環状錯体(例えば、2-ヘキサヒドロピリミジン-2-イリデンヘキサヒドロピリミジン、オクタヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン、ピラジノ[2,3-b]ピラジン、キノキサリノ[2,3-b]キノキサリン);任意の硫黄含有基(例えば、スルホキシド、チオール、アルキルスルフィド);任意の窒素含有基(ニトロキシド、アミン);任意のリン含有基(リン酸塩);任意のホウ素含有基(例えば、ボロン酸);任意の有機酸(酢酸、プロパン酸)およびそのエステルまたはアミド誘導体;α、β、γ、およびそれ以上の誘導体を含む任意のアミノ酸(例えば、グリシン、システイン、プロリン、グルタミン酸、アルギニン、セリン、ヒスチジン、5-アミノ吉草酸);任意のケイ素含有基(例えば、シロキサン);ならびに、任意のアルコキシまたは基、-OCxHy(式中、x=0~20、y=1~42)。
【化7】
【0046】
いくつかの実施形態では、Xは1つまたは複数のハロゲン化物を含み得る。特定の実施形態では、Xは、代わりにまたは加えて、16族アニオンを含み得る。特定の実施形態では、16族アニオンは、酸化物、硫化物、セレン化物、またはテルル化物であり得る。特定の実施形態では、Xは、代わりにまたは加えて、1つまたは複数の擬ハロゲン化物(例えば、シアン化物、シアネート、イソシアネート、フルミネート(fulminate)、チオシアネート、イソチオシアネート、アジド、トリフレート、テトラフルオロホウ酸塩(tetrafluoroborate)、ヘキサフルオロリン酸塩(hexafluorophosphate)、テトラキス[3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ボレート(「BARF」)、テトラカルボニルコバルテート(tetracarbonylcobaltate)、カルバモイルジシアノメタニド(carbamoyldicyanomethanide)、ジシアノニトロソメタニド(dicyanonitrosomethanide)、ジシアナミド(dicyanamide)、およびトリシアノメタニド(tricyanomethanide))を含み得る。
【0047】
一実施形態では、ペロブスカイト材料は、実験式CMXを含み得、式中、Cは、前述のカチオン、1族金属、2族金属、および/または他のカチオンもしくはカチオン様化合物のうちの1つまたは複数を含み、Mは、1つまたは複数の金属(例としては、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Fe、Cd、Co、Ni、Cu、Ag、Au、Hg、Sn、Ge、Ga、Pb、In、Tl、Sb、Bi、Ti、Zn、Cd、Hg、およびZrが挙げられる)を含み、Xは、前述のアニオンのうちの1つまたは複数を含む。
【0048】
別の実施形態では、ペロブスカイト材料は、実験式C’Mを含み得、式中、C’は、前述のカチオン、ジアンモニウムブタン(diammonium butane)、1族金属、2族金属、および/または他のカチオンもしくはカチオン様化合物のうちの1つまたは複数を含む、2+電荷を有するカチオンを含み、Mは、1つまたは複数の金属(例としては、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Fe、Cd、Co、Ni、Cu、Ag、Au、Hg、Sn、Ge、Ga、Pb、In、Tl、Sb、Bi、Ti、Zn、Cd、Hg、およびZrが挙げられる)を含み、Xは、前述のアニオンのうちの1つまたは複数を含む。
【0049】
別の実施形態では、ペロブスカイト材料は、実験式C’MXを含み得、式中、C’は、前述のカチオン、ジアンモニウムブタン、1族金属、2族金属、および/または他のカチオンもしくはカチオン様化合物のうちの1つまたは複数を含む、2+電荷を有するカチオンを含み、Mは、1つまたは複数の金属(例としては、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Fe、Cd、Co、Ni、Cu、Ag、Au、Hg、Sn、Ge、Ga、Pb、In、Tl、Sb、Bi、Ti、Zn、Cd、Hg、およびZrが挙げられる)を含み、Xは、前述のアニオンのうちの1つまたは複数を含む。このような実施形態では、ペロブスカイト材料は2D構造を有し得る。
【0050】
一実施形態では、ペロブスカイト材料は、実験式Cを含み得、式中、Cは、前述のカチオン、1族金属、2族金属、および/または他のカチオンもしくはカチオン様化合物のうちの1つまたは複数を含み、Mは、1つまたは複数の金属(例としては、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Fe、Cd、Co、Ni、Cu、Ag、Au、Hg、Sn、Ge、Ga、Pb、In、Tl、Sb、Bi、Ti、Zn、Cd、Hg、およびZrが挙げられる)を含み、Xは、前述のアニオンのうちの1つまたは複数を含む。
【0051】
一実施形態では、ペロブスカイト材料は、実験式CMを含み得、式中、Cは、前述のカチオン、1族金属、2族金属、および/または他のカチオンもしくはカチオン様化合物のうちの1つまたは複数を含み、Mは、1つまたは複数の金属(例としては、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Fe、Cd、Co、Ni、Cu、Ag、Au、Hg、Sn、Ge、Ga、Pb、In、Tl、Sb、Bi、Ti、Zn、Cd、Hg、およびZr nが挙げられる)を含み、Xは、前述のアニオンのうちの1つまたは複数を含む。
【0052】
一実施形態では、ペロブスカイト材料は、実験式CMXを含み得、式中、Cは、前述のカチオン、1族金属、2族金属、および/または他のカチオンもしくはカチオン様化合物のうちの1つまたは複数を含み、Mは、1つまたは複数の金属(例としては、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Fe、Cd、Co、Ni、Cu、Ag、Au、Hg、Sn、Ge、Ga、Pb、In、Tl、Sb、Bi、Ti、Zn、Cd、Hg、およびZrが挙げられる)を含み、Xは、前述のアニオンのうちの1つまたは複数を含む。
【0053】
ペロブスカイト材料はまた、C、M、またはXが2つ以上の種を含む混合イオン配合物、例えば、Cs0.1FA0.9Pb(I0.9Cl0.1、Rb0.1FA0.9Pb(I0.9Cl0.1、Cs0.1FA0.9PbI、FAPb0.5Sn0.5、FA0.83Cs0.17Pb(I0.6Br0.4、FA0.83Cs0.12Rb0.05Pb(I0.6Br0.4、およびFA0.85MA0.15Pb(I0.85Br0.15を含み得る。
【0054】
界面層
本開示は、いくつかの実施形態では、薄膜IFL(thin-coat IFL)を含むPV内の1つまたは複数の界面層の有利な材料および設計を提供する。薄膜IFLは、本明細書で述べる様々な実施形態によるPVの1つまたは複数のIFLにおいて使用され得る。
【0055】
様々な実施形態によれば、デバイスは、任意選択で、任意の2つの他の層および/または材料の間に界面層を含み得るが、デバイスは、いずれの界面層も含む必要はない。例えば、ペロブスカイト材料デバイスは、0、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、またはそれ以上の界面層を含み得る(例えば、5つの界面層3903、3905、3907、3909、および3911を含む図2の例示的なデバイス)。界面層は、2つの層または材料間での電荷の輸送および/または収集を促進させるための任意の適切な材料を含み得、界面層に隣接する材料のうちの1つから電荷が輸送された後に電荷再結合する可能性を低減または防止するのにも役立ち得る。追加的に、界面層は、その基板を物理的および電気的に均質化して、基板の粗さ、誘電率、接着力、欠陥(例えば、電荷トラップ、表面状態)を生み出すことまたは消滅させることに変化を生じさせ得る。適切な界面材料には、以下のいずれかつまたは複数が含まれ得る:Ag;Al;Au;B;Bi;Ca;Cd;Ce;Co;Cu;Fe;Ga;Ge;H;In;Mg;Mn;Mo;Nb;Ni;Pt;Sb;Sc;Si;Sn;Ta;Ti;V;W;Y;Zn;Zr;上記のいずれかの金属の炭化物(例えば、SiC、FeC、WC、VC、MoC、NbC);前述のいずれかの金属のケイ化物(例えば、MgSi、SrSi、SnSi);前述のいずれかの金属の酸化物(例えば、アルミナ、シリカ、チタニア、SnO、ZnO、NiO、ZrO、HfO)、インジウムスズ酸化物(indium tin oxide)、アルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO:aluminum doped zinc oxide)、酸化カドミウム(CdO)、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)などの透明導電酸化物(「TCO」:transparent conducting oxide)を含む;前述のいずれかの金属の硫化物(例えば、CdS、MoS、SnS);前述のいずれかの金属の窒化物(例えば、GaN、Mg、TiN、BN、Si);前述のいずれかの金属のセレン化物(例えば、CdSe、FeS、ZnSe);前述のいずれかの金属のテルル化物(例えば、CdTe、TiTe、ZnTe);前述のいずれかの金属のリン化物(例えば、InP、GaP、GaInP);前述のいずれかの金属のヒ化物(例えば、CoAs、GaAs、InGaAs、NiAs);前述のいずれかの金属のアンチモン化物(例えば、AlSb、GaSb、InSb);前述のいずれかの金属のハロゲン化物(例えば、CuCl、CuI、BiI);前述のいずれかの金属の擬ハロゲン化物(例えば、CuSCN、AuCN、Fe(SCN));前述のいずれかの金属の炭酸塩(例えば、CaCO、Ce(CO);官能化または非官能化アルキルシリル基(functionalized or non-functionalized alkyl silyl groups);グラファイト;グラフェン;フラーレン;カーボンナノチューブ;本明細書の他の箇所で述べる任意のメソポーラス材料および/または界面材料;ならびにそれらの組み合わせ(いくつかの実施形態では、複合材料の二層、三層または多層が含まれる)。いくつかの実施形態では、界面層は、ペロブスカイト材料を含み得る。さらに、界面層は、本明細書で言及される任意の界面材料のドープされた実施形態(例えば、YドープZnO、Nドープ単層カーボンナノチューブ)を含み得る。界面層はまた、上記材料のうちの3つを有する化合物(例えば、CuTiO、ZnSnO)または上記材料のうちの4つを有する化合物(例えば、CoNiZnO)を含み得る。上に列挙した材料は、平面状、メソポーラス状、またはそれ以外のナノ構造化形態(例えば、ロッド、球、花、ピラミッド)、またはエアロゲル構造で存在し得る。
【0056】
最初に、先述のとおり、1つまたは複数のIFL(例えば、図1に示すIFL2626および2627の一方または両方)は、自己組織化単分子層(SAM:self-assembled monolayer)としてまたは薄膜として、本開示の光活性有機化合物を含み得る。本開示の光活性有機化合物がSAMとして適用される場合、アノードおよびカソードの一方または両方の表面に共有結合でまたは他の方法で結合され得る結合基を含み得る。いくつかの実施形態の結合基は、COOH、SiX(式中、Xは、Si(OR)およびSiClなどの三元シリコン化合物(ternary silicon compound)を形成するのに適した任意の部分であり得る)、SO、POH、OH、CHX(式中、Xは、17族ハロゲン化物を含み得る)、およびOのうちのいずれか1つまたは複数を含み得る。結合基は、電子求引性部分、電子供与体部分、および/またはコア部分に共有結合でまたは他の方法で結合され得る。結合基は、(例えば、複数の光活性有機化合物がアノードおよび/またはカソードに結合している場合)厚さが単一分子(または、いくつかの実施形態では、多分子)の方向性のある組織化された層を形成するように、電極表面に取り付けられ得る。述べたように、SAMは、共有結合相互作用によって付着し得るが、いくつかの実施形態では、イオンの、水素結合の、および/または分散力(すなわち、ファンデルワールス)の相互作用によって付着し得る。さらに、特定の実施形態では、光に曝露されると、SAMは、双性イオンの(zwitterionic)励起状態に入り得、それによって、電荷担体を活性層から電極(アノードまたはカソードのいずれか)に誘導し得る高度に分極したIFLを形成する。この強化された電荷担体注入は、いくつかの実施形態では、活性層の断面を電子的にポーリングし、したがってそれぞれの電極に(例えば、正孔はアノードに、電子はカソードに)向かう電荷担体のドリフト速度を増加させることによって達成され得る。いくつかの実施形態のアノード用途のための分子は、コア部分に結合された一次電子供与体部分を含む調整可能な化合物を含み得、コア部分は電子求引性部分に結合しており、電子求引性部分は結合基に結合している。いくつかの実施形態によるカソード用途では、IFL分子は、コア部分に結合された電子不足部分を含む調整可能な化合物を含み得、コア部分は電子供与体部分に結合しており、電子供与体部分は結合基に結合している。このような実施形態にしたがって光活性有機化合物がIFLとして使用される場合、光活性特性を保持し得るが、いくつかの実施形態では、光活性である必要はない。
【0057】
金属酸化物は、いくつかの実施形態の薄膜IFLで使用され得、NiO、SnO、WO、V、またはMoOなどの半導体金属酸化物を含み得る。第2の(例えば、n型)活性材料が、Alを含む薄膜IFLでコーティングされたTiOを含む実施形態は、例えば、Al(NO・xHOなどの前駆体材料、またはTiO上にAlを堆積させるのに適した任意の他の材料を用いて形成され得、その後、熱アニールおよび色素塗布が行われる。代わりにMoOコーティングが使用される例示的な実施形態では、コーティングは、NaMo・2HOなどの前駆体材料で形成され得、一方で、いくつかの実施形態によるVコーティングは、NaVOなどの前駆体材料で形成され得、いくつかの実施形態によるWOコーティングは、NaWO・HOなどの前駆体材料で形成され得る。前駆体材料(例えば、Al(NO・xHO)の濃度は、TiOまたは他の活性材料上に堆積された(ここではAlの)最終膜厚に影響を及ぼし得る。したがって、前駆体材料の濃度を変更することは、最終膜厚を制御することができる方法であり得る。例えば、前駆体材料の濃度を高くすると、膜厚が大きくなり得る。より大きな膜厚は、金属酸化物コーティングを含むPVデバイスにおいて、必ずしもより大きなPCEをもたらすとは限らない。したがって、いくつかの実施形態の方法は、約0.5~10.0mMの範囲の濃度を有する前駆体材料を使用してTiO(または他のメソポーラス)層をコーティングすることを含み得、他の実施形態は、約2.0~6.0mMの範囲の濃度を有する前駆体材料で層をコーティングすることを含み得、または他の実施形態では、約2.5~5.5mMである。
【0058】
さらに、本明細書ではAlおよび/またはアルミナと称されるが、アルミナを形成する際にアルミニウムおよび酸素の様々な比が使用され得ることに留意されたい。したがって、本明細書で述べるいくつかの実施形態は、Alに関して説明されるが、そのような説明は、酸素中のアルミニウムの必要とされる比を定義することを意図するものではない。むしろ、実施形態は、それぞれがAlによる酸化アルミニウム比を有するいずれか1つまたは複数の酸化アルミニウム化合物(aluminum-oxide compound)を含み得、式中、xは、約1~100の間の任意の値(整数または非整数)であり得る。いくつかの実施形態では、xは、約1~3の間であり得る(ここでも、整数である必要はない)。同様に、yは、0.1~100の間の任意の値(整数または非整数)であり得る。いくつかの実施形態では、yは2~4の間であり得る(ここでも、整数である必要はない)。加えて、例えば、アルミナのα、γ、および/または非晶質形態など、」Alの様々な結晶形態が様々な実施形態において存在し得る。
【0059】
同様に、本明細書ではNiO、MoO、WO、およびVと称されるが、そのような化合物は、代わりにまたは加えて、それぞれNi、Mo、W、およびVと表され得る。MoおよびWのそれぞれに関して、xは、約0.5~100の間の任意の値(整数または非整数)であり得、いくつかの実施形態では、xは、約0.5~1.5の間であり得る。同様に、yは、約1~100の間の任意の値(整数または非整数)であり得る。いくつかの実施形態では、yは、約1~4の間の任意の値であり得る。Vに関して、xは、約0.5~100の間の任意の値(整数または非整数)であり得、いくつかの実施形態では、xは、約0.5~1.5の間であり得る。同様に、yは、約1~100の間の任意の値(整数または非整数)であり得、特定の実施形態では、yは、約1~10の間の整数または非整数の値であり得る。いくつかの実施形態では、xおよびyは、非化学量論比となるような値を有し得る。
【0060】
いくつかの実施形態では、IFLはチタン酸塩を含み得る。いくつかの実施形態によるチタン酸塩は、一般式M’TiOのものであり得、式中、M’は、任意の2+カチオンを含む。いくつかの実施形態では、M’は、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Ni、Zn、Cd、Hg、Cu、Pd、Pt、Sn、またはPbのカチオン形態を含み得る。いくつかの実施形態では、IFLは、単一種のチタン酸塩を含み得、他の実施形態では、IFLは、2種以上の異なるチタン酸塩を含み得る。一実施形態では、チタン酸塩は、式SrTiOを有する。別の実施形態では、チタン酸塩は、式BaTiOを有し得る。さらに別の実施形態では、チタン酸塩は、式CaTiOを有し得る。
【0061】
説明として、いかなる限定も意味することなく、チタン酸塩は、ペロブスカイト結晶構造を有し、ペロブスカイト材料(例えば、ヨウ化メチルアンモニウム鉛(MAPbI)、およびヨウ化ホルムアミジニウム鉛(FAPbI))成長変換プロセスを強力にシードする(seed)。チタン酸塩は、一般に、強誘電挙動、十分な電荷担体移動度、光透過性、一致したエネルギーレベル、および高誘電率などの他のIFL要件も満たす。
【0062】
他の実施形態では、IFLは、ジルコン酸塩を含み得る。いくつかの実施形態によるジルコン酸塩は、一般式M’ZrOのものであり得、式中、M’は、任意の2+カチオンを含む。いくつかの実施形態では、M’は、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Ni、Zn、Cd、Hg、Cu、Pd、Pt、Sn、またはPbのカチオン形態を含み得る。いくつかの実施形態では、IFLは、単一種のジルコン酸塩を含み得、他の実施形態では、IFLは、2種以上の異なるジルコン酸塩を含み得る。一実施形態では、ジルコン酸塩は、式SrZrOを有する。別の実施形態では、ジルコン酸塩は、式BaZrOを有し得る。さらに別の実施形態では、ジルコン酸塩は、式CaZrOを有し得る。
【0063】
説明として、いかなる限定も意味することなく、ジルコン酸塩は、ペロブスカイト結晶構造を有し、ペロブスカイト材料(例えば、MAPbI、FAPbI)成長変換プロセスを強力にシードする。ジルコン酸塩は、一般に、強誘電挙動、十分な電荷担体移動度、光透過性、一致したエネルギーレベル、および高誘電率などの他のIFL要件も満たす。
【0064】
他の実施形態では、IFLは、スズ酸塩を含み得る。いくつかの実施形態によるスズ酸塩は、一般式M’SnOまたはM’SnOのものであり得、式中、M’は、任意の2+カチオンを含む。いくつかの実施形態では、M’は、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Ni、Zn、Cd、Hg、Cu、Pd、Pt、Sn、またはPbのカチオン形態を含み得る。いくつかの実施形態では、IFLは、単一種のスズ酸塩を含み得、他の実施形態では、IFLは、2種以上の異なるスズ酸塩を含み得る。一実施形態では、スズ酸塩は、式SrSnOを有する。別の実施形態では、スズ酸塩は、式BaSnOを有し得る。さらに別の実施形態では、スズ酸塩は、式CaSnOを有し得る。
【0065】
説明として、いかなる限定も意味することなく、スズ酸塩は、ペロブスカイト結晶構造を有し、ペロブスカイト材料(例えば、MAPbI、FAPbI)成長変換プロセスを強力にシードする。スズ酸塩は、一般に、強誘電挙動、十分な電荷担体移動度、光透過性、一致したエネルギーレベル、および高誘電率などの他のIFL要件も満たす。
【0066】
他の実施形態では、IFLは、鉛酸塩を含み得る。いくつかの実施形態による鉛酸塩は、一般式M’PbOのものであり得、式中、M’は、任意の2+カチオンを含む。いくつかの実施形態では、M’は、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Ni、Zn、Cd、Hg、Cu、Pd、Pt、Sn、またはPbのカチオン形態を含み得る。いくつかの実施形態では、IFLは、単一種の鉛酸塩を含み得、他の実施形態では、IFLは、2種以上の異なる鉛酸塩を含み得る。一実施形態では、鉛酸塩は、式SrPbOを有する。別の実施形態では、鉛酸塩は、式BaPbOを有し得る。さらに別の実施形態では、鉛酸塩は、式CaPbOを有し得る。さらに別の実施形態では、鉛酸塩は、式PbIIPbIVを有し得る。
【0067】
説明として、いかなる限定も意味することなく、鉛酸塩は、ペロブスカイト結晶構造を有し、ペロブスカイト材料(例えば、MAPbI、FAPbI)成長変換プロセスを強力にシードする。鉛酸塩は、一般に、強誘電挙動、十分な電荷担体移動度、光透過性、一致したエネルギーレベル、および高誘電率などの他のIFL要件も満たす。
【0068】
さらに、他の実施形態では、IFLは、一般式M’[ZrTi1-x]Oのジルコン酸塩とチタン酸塩との組み合わせを含み得、式中、Xは0より大きいが1未満であり、M’は任意の2+カチオンを含む。いくつかの実施形態では、M’は、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Ni、Zn、Cd、Hg、Cu、Pd、Pt、Sn、またはPbのカチオン形態を含み得る。いくつかの実施形態では、IFLは、単一種のジルコン酸塩を含み得、他の実施形態では、IFLは、2種以上の異なるジルコン酸塩を含み得る。一実施形態では、ジルコン酸塩/チタン酸塩の組み合わせは、式Pb[ZrTi1-x]Oを有する。別の実施形態では、ジルコン酸塩/チタン酸塩の組み合わせは、式Pb[Zr0.52Ti0.48]Oを有する。
【0069】
説明として、いかなる限定も意味することなく、ジルコン酸塩/チタン酸塩の組み合わせは、ペロブスカイト結晶構造を有し、ペロブスカイト材料(例えば、MAPbI、FAPbI)成長変換プロセスを強力にシードする。ジルコン酸塩/チタン酸塩の組み合わせは、一般に、強誘電挙動、十分な電荷担体移動度、光透過性、一致したエネルギーレベル、および高誘電率などの他のIFL要件も満たす。
【0070】
他の実施形態では、IFLは、ニオブ酸塩を含み得る。いくつかの実施形態によるニオブ酸塩は、一般式M’NbOのものであり得、式中、M’は任意の1+カチオンを含む。いくつかの実施形態では、M’は、Li、Na、K、Rb、Cs、Cu、Ag、Au、Tl、アンモニウム、またはHのカチオン形態を含み得る。いくつかの実施形態では、IFLは、単一種のニオブ酸塩を含み得、他の実施形態では、IFLは、2種以上の異なるニオブ酸塩を含み得る。一実施形態では、ニオブ酸塩は、式LiNbOを有する。別の実施形態では、ニオブ酸塩は、式NaNbOを有し得る。さらに別の実施形態では、ニオブ酸塩は、式AgNbOを有し得る。
【0071】
説明として、いかなる限定も意味することなく、ニオブ酸塩は、一般に、圧電挙動、非線形光学分極率、光弾性、強誘電挙動、ポッケルス効果、十分な電荷担体移動度、光透過性、一致したエネルギーレベル、および高誘電率などのIFL要件を満たす。
【0072】
一実施形態では、ペロブスカイト材料デバイスは、SrTiOコーティングされたITO基板上にPbIをキャスティングすることで形作られる(formulate)。PbIは、浸漬プロセスによってMAPbIに変換され得る。この得られたPbIからMAPbIへの変換は、SrTiOを含まない基板の準備(preparation)と比較して、(光学分光学によって観察されるように)より完全であり得る。
【0073】
本明細書で述べる任意の界面材料は、ドープされた組成物をさらに含み得る。界面材料の特性(例えば、電気的、光学的、機械的)を修正するために、化学量論的または非化学量論的材料は、1ppb程度から50mol%までの範囲の量の1つまたは複数の元素(例えば、Na、Y、Mg、N、P)でドープされ得る。界面材料のいくつかの例としては、以下が挙げられる:NiO、TiO、SrTiO、Al、ZrO、WO、V、MO、ZnO、グラフェン、およびカーボンブラック。これらの界面材料のための可能なドーパントの例としては、以下が挙げられる:Li、Na、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Sc、Y、Nb、Ti、Fe、Co、Ni、Cu、Ga、Sn、In、B、N、P、C、S、As、ハロゲン化物、擬ハロゲン化物(例えば、シアン化物、シアネート、イソシアネート、フルミネート、チオシアネート、イソチオシアネート、アジド、テトラカルボニルコバルテート、カルバモイルジシアノメタニド、ジシアノニトロソメタニド、ジシアナミド、およびトリシアノメタニド)、ならびに任意の酸化状態のAl。本明細書におけるドープされた界面材料への言及は、界面材料化合物中の成分元素の比を限定することを意図するものではない。
【0074】
いくつかの実施形態では、異なる材料から作られている複数のIFLを互いに隣接して配置して、複合IFLを形成することができる。この構成は、2つの異なるIFL、3つの異なるIFL、またはさらに多数の異なるIFLを含み得る。得られた多層IFLまたは複合IFLは、単一材料IFLの代わりに使用され得る。例えば、複合IFLは、IFL3903、IFL3905、IFL3907、IFL3909、またはIFL3911などの、図2の例に示される任意のIFLが使用され得る。複合IFLは単一材料IFLとは異なるが、多層IFLを有するペロブスカイト材料PVセルの組立ては、単一材料IFLのみを有するペロブスカイト材料PVセルの組立てと実質的に異ならない。
【0075】
一般に、複合IFLは、IFLに適したものとして本明細書で述べた材料のいずれかを使用して作られ得る。一実施形態では、IFLは、Alの層およびZnOまたはM:ZnO(ドープされたZnO、例えば、Be:ZnO、Mg:ZnO、Ca:ZnO、Sr:ZnO、Ba:ZnO、Sc:ZnO、Y:ZnO、Nb:ZnO)の層を含む。一実施形態では、IFLは、ZrOの層およびZnOまたはM:ZnOの層を含む。特定の実施形態では、IFLは複数の層を含む。いくつかの実施形態では、多層IFLは、一般に、導体層、誘電体層、および半導体層を有する。特定の実施形態では、層は、例えば、導体層、誘電体層、半導体層、誘電体層、および半導体層といったように繰り返し得る。多層IFLの例としては、ITO層、Al層、ZnO層、および第2のAl層を有するIFL;ITO層、Al層、ZnO層、第2のAl層、および第2のZnO層を有するIFL;ITO層、Al層、ZnO層、第2のAl層、第2のZnO層、および第のAl層を有するIFL;ならびに所望の性能特性を達成するのに必要な数の層を有するIFLが挙げられる。前述したように、特定の化学量論比への言及は、様々な実施形態によるIFL層中の成分元素の比を限定することを意図するものではない。
【0076】
各IFL材料からの属性が単一のIFLにおいて活用され得るペロブスカイト材料PVセルでは、2つ以上の隣接するIFLを複合IFLとして配置することで、単一のIFLよりも優れた性能が発揮され得る。例えば、ITO層、Al層、およびZnO層を有するアーキテクチャでは、ITOは導電性電極、Alは誘電材料、ZnOはn型半導体であり、ZnOは、良好に機能する電子輸送特性(例えば、移動度)を有する電子受容体として働く。加えて、Alは、ITOに良好に付着し、表面欠陥(例えば、電荷トラップ)をキャッピングすることによって表面を均質化し、暗電流の抑制を通じてデバイスのダイオード特性を改善する物理的に剛性な材料である。
【0077】
追加的に、いくつかのペロブスカイト材料PVセルは、2つ以上のペロブスカイト光活性層を有する、いわゆる「タンデム」PVセルを含み得る。例えば、図2の光活性材料3908および3906はいずれもペロブスカイト材料であり得る。そのようなタンデムPVセルでは、図2のIFL3907などの、2つの光活性層の間の界面層は、多層または複合IFLを含み得る。いくつかの実施形態では、タンデムPVデバイスの2つの光活性層の間に挟まれた層は、電極層を含み得る。
【0078】
タンデムPVデバイスは、上から下または下から上のいずれかの順に列挙された以下の層を含み得る:第1の基板、第1の電極、第1の界面層、第1のペロブスカイト材料、第2の界面層、第2の電極、第3の界面層、第2のペロブスカイト材料、第4の界面層、および第3の電極。いくつかの実施形態では、第1および第3の界面層は正孔輸送界面層であり得、第2および第4の界面層は電子輸送界面層であり得る。他の実施形態では、第1および第3の界面層が電子輸送界面層であり得、第2および第4の界面層が正孔輸送界面層であり得る。さらに他の実施形態では、第1および第4の界面層が正孔輸送界面層であり得、第2および第3の界面層が電子輸送界面層であり得る。他の実施形態では、第1および第4の界面層が電子輸送界面層であり得、第2および第3の界面層が正孔輸送界面層であり得る。タンデムPVデバイスでは、第1および第2のペロブスカイト材料は、異なるバンドギャップを有し得る。いくつかの実施形態では、第1のペロブスカイト材料は、ホルムアミジニウム臭化鉛(FAPbBr:formamidinium lead bromide)であり得、第2のペロブスカイト材料は、ヨウ化ホルムアミジニウム鉛(FAPbI)であり得る。他の実施形態では、第1のペロブスカイト材料はメチルアンモニウム臭化鉛(MAPbBr:methylammonium lead bromide)であり得、第2のペロブスカイト材料はヨウ化ホルムアミジニウム鉛(FaPbI)であり得る。他の実施形態では、第1のペロブスカイト材料は、メチルアンモニウム臭化鉛(MAPbBr)であり得、第2のペロブスカイト材料は、ヨウ化メチルアンモニウム鉛(MAPbI)であり得る。タンデムPVは、「2端子」タンデムセル、「3端子」タンデムセル、および「4端子」タンデムセルを含み得る。2端子タンデムセルでは、デバイス3900などのPVセルは、電極3912および3902などのPVセルの縁部付近の電極によって電気リード線に接続され得る。3端子タンデムデバイスでは、PVセルは、電極3912および3902などのPVセルの縁部付近の2つの電極によって、および層3907に配置された電極などの2つの光活性層の間のセルの内部に配置された第3の電極によって、電気リード線に接続され得る。4端子セルでは、PVセルは、電極3912および3902などのPVセルの縁部付近の2つの電極によって、および透明非導電層によって分離され、2つの光活性層の間のPVセルの内部に配置された2つの電極によって、電気リード線に接続され得る。例えば、4端子デバイスでは、層3907は、他の層の中でもとりわけ、ガラスなどの透明非導電層によって分離された2つの電極を含み得る。2端子タンデムセル、3端子タンデムセル、および4端子タンデムセルの様式化された図を、それぞれ図16、17、および18に示す。
【0079】
図16は、2端子タンデムPVセル6000を示す。PVセル6000は、2つの導電性の電極層、すなわち第1の電極層6021および第2の電極層6022を含む。電極層6021および6022は、スズドープ酸化インジウム(ITO)などの透明導電体または本明細書で説明される任意の他の材料であり得る。他の実施形態では、電極層6021および6022は、アルミニウムなどの金属、または炭素などの他の導電性材料であり得る。PVセル6000はまた、界面層(IFL)6031、6032、および6033を含む。IFL6031、6032、および6033は、電荷再結合を助け得る。いくつかの実施形態では、各IFL層は、多層IFLであり得る。IFLは、真性、両極性、p型、またはn型半導体材料であり得るか、または誘電材料であり得る。PVセル6000は、電極6021および6022によって電気リード線に取り付けられ得、これらは、PVセル6000を、バッテリ、モータ、キャパシタ、配電網、または任意の他の電気負荷などの放電ユニットに接続し得る。
【0080】
図17は、3端子PVセル7000を示す。PVセル7000は、電極7021、IFL7032および7033内に埋め込まれた電極7022、および電極7023によって電気リード線に取り付けられ得る。いくつかの実施形態では、電極層7021および7023はカソードであり得、電極層7022はアノードであり得る。他の実施形態では、電極層7021および7023はアノードであり得、電極層7022はカソードであり得る。図16に示すPVセル6000と同様に、IFL7031、7032、7033、および7034は、単層または多層IFLであり得、真性、両極性、p型、またはn型半導体材料であり得るか、または誘電材料であり得る。電極層7022がカソードである実施形態では、IFL7032および7033は電子輸送層(n型層)であり得る。電極層7022がアノードである実施形態では、IFL7032および7033は正孔輸送層(p型)であり得る。いくつかの実施形態では、IFL7031、7032、7033、または7034のうちの1つまたは複数は、PVセル7000から省略されてもよい。
【0081】
図18は、4端子PVセル8000を示す。PVセル8000は、電極層8021、8022、8023、および8024によって電気リード線に取り付けられ得る。いくつかの実施形態では、電極層8021はアノードであり得、電極層8022はカソードであり得、電極層8024はアノードであり得、電極層8023はカソードであり得る。他の実施形態では、電極層8021はアノードであり得、電極層8022はカソードであり得、電極層8024はカソードであり得、電極層8023はアノードであり得る。他の実施形態では、電極層8021はカソードであり得、電極層8022はアノードであり得、電極層8024はカソードであり得、電極層8023はアノードであり得る。他の実施形態では、電極層8021はカソードであり得、電極層8022はアノードであり得、電極層8024はアノードであり得、電極層8023はカソードであり得る。4端子設計タンデム太陽電池デバイスは、いくつかの実施形態では、モノリシックに積層された層で構成される2つのデバイスを含み得る。2つのデバイスは、接着剤、エポキシ、ガラス、ラミネート、またはそれらの任意の組み合わせの層を使用して接合され得る。例えば、図18を参照すると、第1のデバイスは、基板8011、電極層8021、IFL8031、光活性層8041、IFL8032、および電極層8022を含み得、第2のデバイスは、基板8012、電極層8024、IFL8034、光活性層8042、IFL8033、および電極層8023を含み得る。これらのデバイスは、接着剤、エポキシ、ガラス、ラミネート、またはそれらの組み合わせであり得る透明非導電層8051によって接合され得る。
【0082】
図16および図17に示すPVセル6000およびPVセル7000と同様に、IFL8031、8032、8033、および8034は、単層または多層IFLであり得、真性、両極性、p型、またはn型半導体材料であり得るか、または誘電材料であり得る。電極層8022および/または電極層8023がカソードである実施形態では、IFL8032および/またはIFL8033は、電子輸送層(n型層)であり得る。電極層8022および/または電極層8023がアノードである実施形態では、IFL8032および/またはIFL8033は正孔輸送層(p型)であり得る。いくつかの実施形態では、IFL8031、8032、8033、または8034のうちの1つまたは複数は、PVセル8000から省略されてもよい。非導電層8051は、電極層8022と電極層8023との間で電気を通さない任意の透明材料であり得る。例えば、非導電層8051は、ガラス、石英、サファイア、炭化ケイ素、またはポリカーボネートもしくはポリ(メタクリル酸メチル)(PMMA)などの透明ポリマーであり得る。いくつかの実施形態では、透明非導電層8051は、本明細書で説明するように、圧力および/または温度を加えることによって融着された2つの透明非導電層から組み立てられ得る。そのような実施形態では、透明非導電層8051は、融着の前に、層間に配置された薄いポリマーまたは接着剤層を含み得る。
【0083】
複合ペロブスカイト材料デバイス設計
いくつかの実施形態では、本開示は、1つまたは複数のペロブスカイト材料を含むPVおよび他の同様のデバイス(例えば、バッテリ、ハイブリッドPVバッテリ、FET、LED、非線形光学(NLO)、導波路など)の複合設計を提供し得る。例えば、1つまたは複数のペロブスカイト材料は、いくつかの実施形態の第1および第2の活性材料(例えば、図3の活性材料3906aおよび3908a)のいずれかまたは両方として機能し得る。より一般的に言えば、本開示のいくつかの実施形態は、1つまたは複数のペロブスカイト材料を含む活性層を有するPVまたは他のデバイスを提供する。そのような実施形態では、ペロブスカイト材料(すなわち、任意の1つまたは複数のペロブスカイト材料を含む材料)は、様々なアーキテクチャの活性層で用いられ得る。さらに、ペロブスカイト材料は、活性層の任意の1つまたは複数の構成材(例えば、電荷輸送材料、メソポーラス材料、光活性材料、および/または界面材料、それぞれについては以下でより詳細に述べる)の機能(複数可)を果たすことができる。いくつかの実施形態では、同じペロブスカイト材料が複数のそのような機能を果たし得るが、他の実施形態では、複数のペロブスカイト材料がデバイスに含まれ得、各ペロブスカイト材料が1つまたは複数のそのような機能を果たす。特定の実施形態では、ペロブスカイト材料がどのような役割を果たし得るかに関わらず、ペロブスカイト材料は、様々な状態で準備され、および/またはデバイス中に存在し得る。例えば、いくつかの実施形態では、実質的に固体であり得る。溶液または懸濁液は、コーティングされ得るか、別の方法でまたはデバイス内(例えば、メソポーラス層、界面層、電荷輸送層、光活性層、もしくは他の層などのデバイスの別の構成要素上、および/または電極上)に堆積され得る。いくつかの実施形態におけるペロブスカイト材料は、(例えば、薄膜固体としての蒸着によって)デバイスの別の構成要素の表面上にその場で形成され得る。ペロブスカイト材料を含む層を形成する任意の他の適切な手段が採用されてもよい。
【0084】
一般に、ペロブスカイト材料デバイスは、第1の電極と、第2の電極と、ペロブスカイト材料を含む活性層とを含み得、活性層は、第1の電極と第2の電極との間に少なくとも部分的に配置される。いくつかの実施形態では、第1の電極は、アノードおよびカソードのうちの一方であり得、第2の電極は、アノードおよびカソードのうちの他方であり得る。特定の実施形態による活性層は、電荷輸送材料;液体電解質;メソポーラス材料;光活性材料(例えば、色素、ケイ素、テルル化カドミウム、硫化カドミウム、セレン化カドミウム、セレン化銅インジウムガリウム、ヒ化ガリウム、ゲルマニウムリン化インジウム(germanium indium phosphide)、半導体ポリマー、他の光活性材料));および界面材料のうちのいずれか1つまたは複数を含む、いずれか1つまたは複数の活性層構成材を含み得る。これらの活性層構成材のいずれか1つまたは複数は、1つまたは複数のペロブスカイト材料を含み得る。いくつかの実施形態では、活性層構成材のいくつかまたはすべては、全体的または部分的に、副層に配置され得る。例えば、活性層は、界面材料を含む界面層、メソポーラス材料を含むメソポーラス層、および電荷輸送材料を含む電荷輸送層のうちのいずれか1つまたは複数を含み得る。さらに、界面層は、いくつかの実施形態による活性層の任意の2つ以上の他の層の間、および/または活性層構成材と電極との間に含まれ得る。本明細書における層への言及は、最終的な配置(例えば、デバイス内で別々に定義可能な各材料の実質的に別個の部分)を含み得、および/または層への言及は、各層における材料(複数可)のその後の混合の可能性にかかわらず、デバイスの構築中の配置を意味し得る。層は、いくつかの実施形態では、別個であり得、実質的に連続した材料を含み得る(例えば、層は、図2に様式的に示されるようなものであり得る)。
【0085】
いくつかの実施形態では、ペロブスカイト材料デバイスは電界効果トランジスタ(FET)であり得る。FETペロブスカイト材料デバイスは、ソース電極と、ドレイン電極と、ゲート電極と、誘電体層と、半導体層とを含み得る。いくつかの実施形態では、FETペロブスカイト材料デバイスの半導体層は、ペロブスカイト材料であり得る。
【0086】
いくつかの実施形態によるペロブスカイト材料デバイスは、任意選択で、1つまたは複数の基板を含み得る。いくつかの実施形態では、第1および第2の電極の一方または両方は、コーティングされ得るか、電極が実質的に基板と活性層との間に配置されるように基板上に別の方法で配置され得る。デバイスの組成物の材料(例えば、基板、電極、活性層および/または活性層構成材)は、様々な実施形態では、全体的または部分的に、剛性または可撓性のいずれであり得る。いくつかの実施形態では、電極が基板として働き、それによって、別個の基板を不要にし得る。
【0087】
さらに、特定の実施形態によるペロブスカイト材料デバイスは、任意選択で、反射防止層または反射防止膜(ARC:anti-reflective coating)を含み得る。加えて、ペロブスカイト材料デバイスは、本開示のいくつかの実施形態に関して上述した添加剤のうちのいずれか1つまたは複数などの、いずれか1つまたは複数の添加剤を含み得る。
【0088】
ペロブスカイト材料デバイスに含まれ得る様々な材料のうちのいくつかについての説明は、部分的に図2を参照して行われる。図2は、いくつかの実施形態によるペロブスカイト材料デバイス3900の様式化された図である。デバイス3900の様々な構成要素は、連続した材料を含む別個の層として示されているが、図2は様式化された図であり、したがって、それによる実施形態は、本明細書で前述した「層」の使用法と一致する、そのような別個の層、および/または実質的に混合された非連続の層を含み得ることを理解されたい。デバイス3900は、第1の基板3901と第2の基板3913をと含む。第1の基板3901の内面には第1の電極3902が配置され、第2の基板3913の内面には第2の電極3912が配置される。活性層3950は、2つの電極3902および3912の間に挟まれている。活性層3950は、メソポーラス層3904と、第1の光活性材料3906および第2の光活性材料3908と、電荷輸送層3910と、いくつかの界面層とを含む。図2はさらに、活性層3950の副層が界面層によって分離され、さらに界面層が各電極3902および3912上に配置される実施形態による例示的なデバイス3900を示す。特に、第2の界面層3905、第3の界面層3907、および第4の界面層3909は、それぞれ、メソポーラス層3904、第1の光活性材料3906、第2の光活性材料3908、および電荷輸送層3910のそれぞれの間に配置される。第1の界面層3903および第5の界面層3911は、それぞれ、(i)第1の電極3902とメソポーラス層3904との間、および(ii)電荷輸送層3910と第2の電極3912との間に配置される。したがって、図2に描写される例示的なデバイスのアーキテクチャは、基板-電極-活性層-電極-基板と特徴付けられ得る。活性層3950のアーキテクチャは、界面層-メソポーラス層-界面層-光活性材料-界面層-光活性材料-界面層-電荷輸送層-界面層と特徴付けられ得る。前述のように、いくつかの実施形態では、界面層は存在する必要はない。または、1つまたは複数の界面層は、活性層の構成材および/またはデバイスの構成要素の、すべてではなく、特定の構成要素の間にのみ含まれ得る。
【0089】
基板、例えば第1の基板3901および第2の基板3913のいずれかまたは両方は、可撓性または剛性であり得る。2つの基板が含まれる場合、少なくとも1つは、電磁(EM)放射線(例えば、紫外線、可視光、または赤外線など)に対して透明または半透明であるべきである。1つの基板が含まれる場合、それは同様に透明または半透明であり得るが、デバイスの一部が電磁(EM)放射線を活性層3950に接触させる限り、そうである必要はない。適切な基板材料には、以下のいずれかつまたは複数が含まれる:ガラス;サファイア;酸化マグネシウム(MgO);雲母;ポリマー(例えば、PEN、PET、PEG、ポリオレフィン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリカーボネート、PMMA、ポリアミド、ビニルカプトンなど);セラミック;炭素;複合材料(例えば、グラスファイバー、ケブラー;炭素繊維);布地(例えば、綿、ナイロン、絹、ウール);木材;乾式壁;タイル(例えば、セラミック、複合材料、または粘土);金属;鋼;銀;金;アルミニウム;マグネシウム;コンクリート;およびこれらの組み合わせ。
【0090】
先述のとおり、電極(例えば、図2の電極3902および3912のうちの1つ)は、アノードまたはカソードのいずれかであり得る。いくつかの実施形態では、一方の電極はカソードとして機能し得、他方はアノードとし機能し得る。いずれかまたは両方の電極3902および3912は、リード線、ケーブル、ワイヤ、またはデバイス3900へのおよび/またはデバイス3900からの電荷輸送を可能にする他の手段に結合され得る。電極は、任意の導電性材料を構成し得、少なくとも1つの電極は、EM放射線に対して透明または半透明であるべきであり、および/またはEM放射線を活性層3950の少なくとも一部に接触させることができるように配置されるべきである。適切な電極材料には、以下のいずれかつまたは複数が含まれ得る:インジウムスズ酸化物またはスズドープ酸化インジウム(ITO);フッ素ドープ酸化スズ(FTO);酸化カドミウム(CdO);亜鉛インジウムスズ酸化物(ZITO:zinc indium tin oxide);アルミニウム亜鉛酸化物(AZO:aluminum zinc oxide);アルミニウム(Al);金(Au);銀(Ag);カルシウム(Ca);クロム(Cr);マグネシウム(Mg);チタン(Ti);鋼;炭素(およびその同素体);ドープ炭素(例えば、窒素ドープ);コアシェル構造のナノ粒子(例えば、ケイ素-炭素コアシェル構造);およびそれらの組み合わせ。
【0091】
メソポーラス材料(例えば、図2のメソポーラス層3904に含まれる材料)は、任意の細孔含有材料(pore-containing material)を含み得る。いくつかの実施形態では、細孔は、約1~約100nmの範囲の直径を有し得、他の実施形態では、細孔の直径は、約2~約50nmの範囲であり得る。適切なメソポーラス材料には、以下のいずれかつまたは複数が含まれ得る:本明細書の他の箇所で述べる任意の界面材料および/またはメソポーラス材料;アルミニウム(Al);ビスマス(Bi);セリウム(Ce);ハフニウム(Hf);インジウム(In);モリブデン(Mo);ニオブ(Nb);ニッケル(Ni);ケイ素(Si);チタン(Ti);バナジウム(V);亜鉛(Zn);ジルコニウム(Zr);前述のいずれか1つまたは複数の金属の酸化物(例えば、アルミナ、セリア、チタニア、酸化亜鉛、ジルコニアなど);前述のいずれか1つまたは複数の金属の硫化物;前述のいずれか1つまたは複数の金属の窒化物;ならびにこれらの組み合わせ。いくつかの実施形態では、IFLとして本明細書に開示される任意の材料は、メソポーラス材料であり得る。他の実施形態では、図2によって示されるデバイスは、メソポーラス材料層を含まず、メソポーラス状ではない薄膜または「コンパクト」IFLのみを含み得る。
【0092】
光活性材料(例えば、図2の第1の活性材料3906または第2の光活性材料3908)は、ケイ素(例えば、多結晶シリコン、単結晶シリコン、または非晶質シリコン)、テルル化カドミウム、硫化カドミウム、セレン化カドミウム、セレン化銅インジウムガリウム、セレン化銅インジウム、銅亜鉛硫化スズ(copper zinc tin sulfide)、ヒ化ガリウム、ゲルマニウム、ゲルマニウムリン化インジウム、リン化インジウム、1つまたは複数の半導体ポリマー(例えば、ポリチオフェン(例えば、ポリ(3-ヘキシルチオフェン)およびその誘導体、またはP3HT);ポリヘプタデカニルカルバゾールジチエニルベンゾチアジアゾール(polyheptadecanylcarbazole dithienylbenzothiadiazole)およびその誘導体(例えば、PCDTBT)などのカルバゾール系コポリマー;ポリシクロペンタジチオフェン-ベンゾチアジアゾール(polycyclopentadithiophene-benzothiadiazole)およびその誘導体(例えば、PCPDTBT)、ポリベンゾジチエニル-チエノチオフェンジイル(polybenzodithiophenyl-thienothiophenediyl)およびその誘導体(例えば、PTB6、PTB7、PTB7-th、PCE-10)などの他のコポリマー;ポリ(トリアリールアミン)化合物およびその誘導体(例えば、PTAA);ポリフェニレンビニレン(polyphenylene vinylene)およびその誘導体(例えば、MDMO-PPV、MEH-PPV)、ならびにこれらの組み合わせのうちのいずれか1つまたは複数などの任意の光活性化合物を含み得る。
【0093】
特定の実施形態では、光活性材料は、代わりにまたは加えて、色素(例えば、N719、N3、他のルテニウム系色素)を含み得る。いくつかの実施形態では、(組成が何であれ)色素を別の層(例えば、メソポーラス層および/または界面層)上にコーティングすることができる。いくつかの実施形態では、光活性材料は、1つまたは複数のペロブスカイト材料を含み得る。ペロブスカイト材料含有光活性物質は、固体形態であり得るか、またはいくつかの実施形態では、ペロブスカイト材料を含む懸濁液または溶液を含む色素の形態をとり得る。このような溶液または懸濁液は、他の色素と同様の様式で他のデバイス構成要素上にコーティングされ得る。いくつかの実施形態では、固体のペロブスカイト含有材料が、任意の適切な手段(例えば、蒸着、溶液堆積、固体材料の直接配置など)によって堆積され得る。様々な実施形態によるデバイスは、1つ、2つ、3つ、またはそれ以上の光活性化合物(例えば、1つ、2つ、3つ、またはそれ以上のペロブスカイト材料、色素、またはそれらの組み合わせ)を含み得る。複数の色素または他の光活性材料を含む特定の実施形態では、2つ以上の色素または他の光活性材料の各々が、1つまたは複数の界面層によって分離され得る。いくつかの実施形態では、複数の色素および/または光活性化合物が少なくとも部分的に混合され得る。
【0094】
電荷輸送材料(例えば、図2の電荷輸送層3910の電荷輸送材料)は、固体電荷輸送材料(すなわち、俗に言う固体電解質)を含み得るか、または液体電解質および/またはイオン性液体を含み得る。液体電解質、イオン性液体、および固体電荷輸送材料はいずれも、電荷輸送材料と称され得る。本明細書で使用される場合、「電荷輸送材料」は、電荷担体を収集することができ、かつ/または電荷担体を輸送することができる、固体、液体、またはその他の任意の材料を指す。例えば、いくつかの実施形態によるPVデバイスでは、電荷輸送材料は、電荷担体を電極に輸送することが可能であり得る。電荷担体は、正孔(その輸送により、電荷輸送材料が、「正孔輸送材料」と適切に呼ばれ得る)および電子を含み得る。PVまたは他のデバイスにおけるカソードまたはアノードのいずれかに対する電荷輸送材料の配置に応じて、正孔はアノードに向かって輸送され得、電子はカソードに向かって輸送され得る。いくつかの実施形態による電荷輸送材料の好適な例には、以下のいずれかつまたは複数が含まれ得る:ペロブスカイト材料;I/I ;Co錯体;ポリチオフェン(例えば、ポリ(3-ヘキシルチオフェン)およびその誘導体、またはP3HT);ポリヘプタデカニルカルバゾールジチエニルベンゾチアジアゾールおよびその誘導体(例えば、PCDTBT)などのカルバゾール系コポリマー;ポリシクロペンタジチオフェン-ベンゾチアジアゾールおよびその誘導体(例えば、PCPDTBT)、ポリベンゾジチエニル-チエノチオフェンジイルおよびその誘導体(例えば、PTB6、PTB7、PTB7-th、PCE-10)などの他のコポリマー;ポリ(トリアリールアミン)化合物およびその誘導体(例えば、PTAA);Spiro-OMeTAD;ポリフェニレンビニレンおよびその誘導体(例えば、MDMO-PPV、MEH-PPV);フラーレンおよび/またはフラーレン誘導体(例えば、C60、PCBM);カーボンナノチューブ;グラファイト;グラフェン;カーボンブラック;非晶質炭素;ガラス状炭素;炭素繊維;ならびにこれらの組み合わせ。特定の実施形態では、電荷輸送材料は、電荷担体(電子または正孔)を収集することができ、かつ/または電荷担体を輸送することができる、固体または液体の任意の材料を含み得る。したがって、いくつかの実施形態の電荷輸送材料は、n型またはp型活性、両極性、および/または真性半導体材料であり得る。電荷輸送材料は、デバイスの電極の1つに近接して配置され得る。いくつかの実施形態では、電極に隣接して配置され得るが、他の実施形態では、界面層が電荷輸送材料と電極との間に配置され得る(例えば、図2において第5の界面層3911で示すように)。特定の実施形態では、電荷輸送材料のタイプは、それが近接する電極に基づいて選択され得る。例えば、電荷輸送材料が正孔を収集および/または輸送する場合、それは、正孔をアノードに輸送するようにアノードに近接してもよい。しかしながら、電荷輸送材料は、代わりに、カソードに近接して配置され得、電子をカソードに輸送するように選択または構築されてもよい。
【0095】
先述のとおり、様々な実施形態によるデバイスは、任意選択で、任意の2つの他の層および/または材料の間に界面層を含み得るが、いくつかの実施形態によるデバイスは、いずれの界面層も含む必要はない。したがって、例えば、ペロブスカイト材料デバイスは、0、1、2、3、4、5、またはそれ以上の界面層を含み得る(5つの界面層3903、3905、3907、3909、および3911を含む図2の例示的なデバイスなど)。界面層は、本明細書で前述した実施形態による薄膜界面層(例えば、アルミナおよび/または他の金属酸化物粒子、および/またはチタニア/金属酸化物二層、および/または本明細書の他の箇所で述べる別薄膜界面層による他の化合物を含む)を含み得る。いくつかの実施形態による界面層は、2つの層または材料間での電荷の輸送および/または収集を促進させるための任意の適切な材料を含み得、界面層に隣接する材料のうちの1つから電荷が輸送された後に電荷再結合する可能性を低減または防止するのにも役立ち得る。適切な界面材料には、以下のいずれかつまたは複数が含まれ得る:本明細書の他の箇所で述べる任意のメソポーラス材料および/または界面材料;Ag;Al;Au;B;Bi;Ca;Cd;Ce;Co;Cu;Fe;Ga;Ge;H;In;Mg;Mn;Mo;Nb;Ni;Pt;Sb;Sc;Si;Sn;Ta;Ti;V;W;Y;Zn;Zr;上記のいずれかの金属の炭化物(例えば、SiC、FeC;WC);前述のいずれかの金属のケイ化物(例えば、MgSi、SrSi、SnSi);前述のいずれかの金属の酸化物(例えば、アルミナ、シリカ、チタニア、SnO、ZnO);前述のいずれかの金属の硫化物(例えば、CdS、MoS、SnS);前述のいずれかの金属の窒化物(例えば、Mg、TiN、BN、Si);前述のいずれかの金属のセレン化物(例えば、CdSe、FeS、ZnSe);前述のいずれかの金属のテルル化物(例えば、CdTe、TiTe、ZnTe);前述のいずれかの金属のリン化物(例えば、InP、GaP);前述のいずれかの金属のヒ化物(例えば、CoAs、GaAs、InGaAs、NiAs);前述のいずれかの金属のアンチモン化物(例えば、AlSb、GaSb、InSb);前述のいずれかの金属のハロゲン化物(例えば、CuCl、CuI、BiI);前述のいずれかの金属の擬ハロゲン化物(例えば、CuSCN、AuCN);前述のいずれかの金属の炭酸塩(例えば、CaCO、Ce(CO);官能化または非官能化アルキルシリル基;グラファイト;グラフェン;フラーレン;カーボンナノチューブ;本明細書の他の箇所で述べる任意のメソポーラス材料および/または界面材料;ならびにそれらの組み合わせ(いくつかの実施形態では、複合材料の二層、三層または多層が含まれる)。いくつかの実施形態では、界面層はペロブスカイト材料を含み得る。さらに、界面層は、本明細書で言及される任意の界面材料のドープされた実施形態(例えば、YドープZnO、Nドープ単層カーボンナノチューブ)を含み得る。界面層はまた、上記材料のうちの3つを有する化合物(例えば、CuTiO3、Zn2SnO4)または上記材料のうちの4つを有する化合物(例えば、CoNiZnO)を含み得る。
【0096】
一例として、図3は、図2によって示されたペロブスカイト材料デバイス3900と同様の構造を有するペロブスカイト材料デバイス3900aの一実施形態を示す。図3は、いくつかの実施形態によるペロブスカイト材料デバイス3900aの様式化された図である。デバイス3900aの様々な構成要素は、連続した材料を含む別個の層として示されているが、図3は様式化された図であり、したがって、それによる実施形態は、本明細書で前述した「層」の使用法と一致する、そのような別個の層、および/または実質的に混合された非連続の層を含み得ることを理解されたい。図3は、活性層3906aと3908aとを含む。活性層3906aおよび3908aの一方または両方は、いくつかの実施形態では、図2に関して上で説明した任意のペロブスカイト光活性材料を含み得る。他の実施形態では、活性層3906aおよび3908aの一方または両方は、薄膜半導体(例えば、CdTe、CZTS、CIGS)、光活性ポリマー、色素増感光活性材料、フラーレン、小分子光活性材料、ならびに結晶性および多結晶半導体材料(例えば、ケイ素、GaAs、InP、Ge)などの本明細書で説明される任意の光活性材料を含み得る。さらに他の実施形態では、活性層3906aおよび3908aの一方または両方は、発光ダイオード(LED)、電界効果トランジスタ(FET)、薄膜電池層、またはそれらの組み合わせを含み得る。実施形態では、活性層3906aおよび3908aのうちの一方が、光活性材料を含み得、他方が、発光ダイオード(LED)、電界効果トランジスタ(FET)、薄膜電池層、またはそれらの組み合わせを含み得る。例えば、活性層3908aがペロブスカイト材料光活性層を含み得、活性層3906bが電界効果トランジスタ層を含み得る。層3901a、3902a、3903a、3904a、3905a、3907a、3909a、3910a、3911a、3912a、および3913aなどの図3に示される他の層は、図2に関して本明細書で説明されるような対応する層と類似し得る。
【0097】
追加的に、いくつかの実施形態では、ペロブスカイト材料は、3つ以上の活性層を有し得る。一例として、図4は、図2によって示されるペロブスカイト材料デバイス3900と同様の構造を有するペロブスカイト材料デバイス3900bの実施形態を示す。図3は、いくつかの実施形態によるペロブスカイト材料デバイス3900bの様式化された図である。デバイス3900bの様々な構成要素は、連続した材料を含む別個の層として示されているが、図4は様式化された図であり、したがって、それによる実施形態は、本明細書で前述した「層」の使用法と一致する、そのような別個の層、および/または実質的に混合された非連続の層を含み得ることを理解されたい。図4は、活性層3904b、3906b、および3908bを含む。活性層3904b、3906b、および3908bのうちの1つまたは複数は、いくつかの実施形態では、図2に関して上で説明した任意のペロブスカイト光活性材料を含み得る。他の実施形態では、活性層3904b、3906b、および3908bのうちの1つまたは複数は、薄膜半導体(例えば、CdTe、CZTS、CIGS)、光活性ポリマー、色素増感光活性材料、フラーレン、小分子光活性材料、ならびに結晶性および多結晶半導体材料(例えば、ケイ素、GaAs、InP、Ge)などの本明細書で説明される任意の光活性材料を含み得る。さらに他の実施形態では、活性層3904b、3906b、および3908bのうちの1つまたは複数は、発光ダイオード(LED)、電界効果トランジスタ(FET)、薄膜電池層、またはそれらの組み合わせを含み得る。実施形態では、活性層3904b、3906b、および3908bのうちの1つまたは複数の活性層が、光活性材料を含み得、他の活性層が、発光ダイオード(LED)、電界効果トランジスタ(FET)、薄膜電池層、またはそれらの組み合わせを含み得る。例えば、活性層3908aおよび3906bが両方ともペロブスカイト材料光活性層を含み得、活性層3904bが電界効果トランジスタ層を含み得る。層3901b、3902b、3903b、3904b、3905b、3907b、3909b、3910b、3911b、3912b、および3913bなどの図3に示される他の層は、図2に関して本明細書で説明されるような対応する層と類似し得る。
【0098】
ペロブスカイト材料デバイスの製造方法
図5は、特定の実施形態による、例示的な光起電力デバイス330を組み立てるための方法の様式化された図である。最初に、面316を持つ第1のペロブスカイト材料層311を有する第1の光起電力デバイス部310が作製される。次に、面326を持つ第2のペロブスカイト材料層321を有する第2の光起電力デバイス部321が作製される。次に、第1のペロブスカイト材料層311の面316が第2のペロブスカイト材料層321の面326と接触するように、第1の光起電力デバイス部310と第2の光起電力デバイス部320とを配置する。次に、第1の光起電力デバイス部310および第2の光起電力デバイス部320は、第1のペロブスカイト材料層311を第2のペロブスカイト材料層321に融着させるのに十分な圧力および温度に圧縮および加熱される。得られた光起電力デバイス330は、単一のペロブスカイト材料層331を有する。
【0099】
いくつかの実施形態では、光起電力デバイス部310は、ペロブスカイト材料層311に加えて、基板312と、電極層313と、1つまたは複数の界面層314とを含み得る。いくつかの実施形態では、光起電力デバイス部320は、ペロブスカイト材料層321に加えて、基板322と、電極層323と、1つまたは複数の界面層324とを含み得る。1つまたは複数の界面層314および324の各々は、界面層として本明細書で説明される任意の材料を含み得る。電極層312および322の各々は、例えば、インジウムスズ酸化物(ITO)およびフッ素ドープ酸化スズ(FTO)を含む、本明細書で説明される任意の電極材料を含み得る。
【0100】
光起電力デバイス部310は、いくつかの実施形態では、基板312上に電極層313を堆積させ、次いで電極層313上に1つまたは複数の界面層314を堆積させ、最後に1つまたは複数の界面層314上にペロブスカイト材料層311を堆積させることによって構築され得る。光起電力デバイス部320は、いくつかの実施形態では、基板322上に電極層323を堆積させ、次いで電極層323上に1つまたは複数の界面層324を堆積させ、最後に1つまたは複数の界面層324上にペロブスカイト材料層321を堆積させることによって構築され得る。電極層313および323、界面層314および324、ならびにペロブスカイト材料層311および321を堆積させるために、本明細書で説明される薄膜層を堆積させるための任意のプロセスが使用され得る。
【0101】
ペロブスカイト材料層311および321は、本明細書で説明されるペロブスカイト材料であり得る。いくつかの実施形態では、ペロブスカイト材料層311および321は、同じペロブスカイト材料であり得る。例えば、ペロブスカイト材料層311および321は両方とも、ヨウ化ホルムアミジニウム鉛(FAPbI)ペロブスカイト材料を含み得る。他の実施形態では、ペロブスカイト材料層311および321はそれぞれ、他方とは異なるペロブスカイト材料を含み得る。例えば、ペロブスカイト材料層311は、式FAPbIを有するペロブスカイト材料を含み得、ペロブスカイト材料層321は、式MAPbIを有するペロブスカイト材料を含み得る。別の実施形態では、ペロブスカイト材料層311は、式CsPbIを有するペロブスカイト材料を含み得、ペロブスカイト材料層321は、式FAPbIを有するペロブスカイト材料を含み得る。さらに別の実施形態では、ペロブスカイト材料層311は、式FASnIを有するペロブスカイト材料を含み得、ペロブスカイト材料層321は、式FAPbIを有するペロブスカイト材料を含み得る。ペロブスカイト材料層311および321に異なるペロブスカイト材料を使用することで、ペロブスカイト材料層331は、光吸収特性の勾配を有し、いくつかの深さで特定の波長を吸収し、より深い深さで異なる波長を吸収することができる。そのような勾配の結果、単一のペロブスカイト材料を使用して達成することができるものよりも広い吸収スペクトルを有するペロブスカイト材料層331の実装を通して、光起電力デバイス330の効率が高まり得る。
【0102】
光起電力デバイス部310および320に加えられる圧力は、0.1~30MPaの間の範囲であり得、1秒~100分間加えられ得る。特定の実施形態では、光起電力デバイス部310および320に加えられる圧力は、1~7MPaの間の範囲であり得、5~45分間加えられ得る。圧力は、光起電力デバイス部310および320に圧縮力を加えることができる任意の手段によって、光起電力デバイス部310および320に加えられ得る。例えば、油圧プレス、空気圧プレス、ねじ駆動式機械プレスもしくはクランプ、歯車駆動式機械プレスもしくはクランプ、または重りを使用して、光起電力デバイス部310および320に圧力を加えることができる。
【0103】
光起電力デバイス部310および320に圧力が加えられている間、光起電力デバイス部310および320は、高温に加熱され、高温に保持され得る。いくつかの実施形態では、光起電力デバイス部310および320の温度は、圧力を加える前に上昇させてもよい。他の実施形態では、光起電力デバイス部310および320の温度は、圧力を加えている間に上昇させてもよい。光起電力デバイス部310および320の温度は、光起電力デバイス部310および320に圧力を加える前またはその間に、20℃~500℃の間の温度に上昇させられ得る。特定の実施形態では、光起電力デバイス部310および320の温度は、光起電力デバイス部310および320に圧力を加える前または加えている間に、75℃~177℃の間の温度に上昇させられ得る。
【0104】
図5によって示されるように光起電力デバイスを組み立てることは、先行層の上にそれぞれの後続の層が堆積される、薄膜デバイスのための従来の「ボトムアップ」組立て方法に対していくつかの利点を提供する。図5に示される方法の1つの利点は、ペロブスカイト層331に有害である堆積方法を必要とし得るペロブスカイト材料層331の上下に界面層を有する光起電力デバイスの構築を可能にすることである。以前は、ペロブスカイト材料層がそのような界面層上に堆積された後、ペロブスカイト材料層を劣化させることなく、別のそのような界面層をペロブスカイト材料層の上に堆積させることはできなかった。これにより、界面層の選択を妥協する結果となり、最適ではない光起電力デバイス性能の原因となっていた。図5によって示される方法、および図6図10に関して本明細書で説明されるその方法の変形は、ペロブスカイト材料層の上に界面層を堆積させる必要なしに光起電力デバイスの組立てを可能にし、それによって界面層の最適化された選択を可能にする。例えば、多くの界面層は、好ましくは、スパッタリングまたは電子ビーム蒸着などの技法を使用して堆積され、150℃を超える温度でアニールされるが、これは、ペロブスカイト材料層を損傷する可能性がある。ペロブスカイト材料層の前に堆積される界面層を有する光起電力デバイスの構築を可能にすることによって、図5によって示される方法は、好ましい方法による界面層の堆積を可能にした。追加的に、本明細書で説明される技法は、光起電力デバイスを組み立てる前に各電極層が基板上に直接堆積されるので、電極層と「上部」基板との間に封止材層を使用することのない光起電力デバイスの構築を可能にする。
【0105】
図6は、図5に関して説明した光起電力デバイスを組み立てるための方法の特定の実施形態を示す。図6に示す実施形態では、光起電力デバイス部410は、ガラス層412と、フッ素ドープ酸化スズ層413と、電子輸送層414と、ペロブスカイト材料層411とを含む。図6に示す実施形態では、光起電力デバイス部420は、ガラス層422と、インジウムスズ酸化物層423と、正孔輸送層424と、ペロブスカイト材料層421とを含む。
【0106】
図7は、図5に関して説明した光起電力デバイスを組み立てるための方法の特定の実施形態を示す。図7に示す実施形態では、光起電力デバイス部510は、基板層512と、金属電極層513と、電子輸送層514と、ペロブスカイト材料層511とを含む。いくつかの実施形態、例えば、発電所などの高出力用途では、基板層512は不透明であり得る。他の実施形態、例えば、ソーラーウィンドウなどの低出力用途では、基板層512は透明または半透明であり得る。図7に示す実施形態では、光起電力デバイス部520は、ガラス層522と、インジウムスズ酸化物層523と、正孔輸送層524と、ペロブスカイト材料層521とを含む。
【0107】
図8は、図5に関して説明した光起電力デバイスを組み立てるための方法の特定の実施形態を示す。図8に示す実施形態では、光起電力デバイス部610は、ガラス層612と、フッ素ドープ酸化スズ層613と、電子輸送層614と、ペロブスカイト材料層611とを含む。図8に示す実施形態では、光起電力デバイス部620は、基板層622と、金属電極層623と、正孔輸送層624と、ペロブスカイト材料層621とを含む。いくつかの実施形態、例えば、発電所などの高出力用途では、基板層622は不透明であり得る。他の実施形態、例えば、ソーラーウィンドウなどの低出力用途では、基板層622は透明または半透明であり得る。
【0108】
図9は、図5に関して説明した光起電力デバイスを組み立てるための方法の特定の実施形態を示す。図9に示す実施形態では、光起電力デバイス部710は、ガラス層712と、フッ素ドープ酸化スズ層713と、電子輸送層714とを含む。図9に示す実施形態では、光起電力デバイス部720は、ガラス層722と、インジウムスズ酸化物層723と、正孔輸送層724と、ペロブスカイト材料層721とを含む。図9に示す実施形態では、単一のペロブスカイト材料層721が光起電力デバイス部720にのみ存在し、光起電力デバイス部710にはペロブスカイト材料層は存在しない。光起電力デバイス部が圧縮されアニールされると、ペロブスカイト材料層721が電子輸送層714に融着し、光起電力デバイス730が得られる。
【0109】
図10は、図5に関して説明した光起電力デバイスを組み立てるための方法の特定の実施形態を示す。図10に示す実施形態では、光起電力デバイス部810は、ガラス層812と、フッ素ドープ酸化スズ層813と、電子輸送層814と、ペロブスカイト材料層811とを含む。図10に示す実施形態では、光起電力デバイス部820は、ガラス層822と、インジウムスズ酸化物層823と、正孔輸送層824とを含む。図10に示す実施形態では、単一のペロブスカイト材料層811が光起電力デバイス部810にのみ存在し、光起電力デバイス部720にはペロブスカイト材料層は存在しない。光起電力デバイス部が圧縮されアニールされると、ペロブスカイト材料層811が正孔輸送層824に融着し、光起電力デバイス830が得られる。
【0110】
図11は、図5に関して説明した光起電力デバイスを組み立てるための方法の特定の実施形態を示す。図11に示す実施形態は、2つのペロブスカイト材料層と、ペロブスカイト材料層間に1つまたは複数の界面層とを有するタンデム光起電力デバイスを組み立てるための方法を示す。ペロブスカイト材料層の間のこれらの1つまたは複数の界面層は、再結合層と称され得る。図11に示す実施形態では、光起電力デバイス部910は、基板層912と、電極層913と、1つまたは複数の界面層914と、ペロブスカイト材料層911と、1つまたは複数の界面層924と、ペロブスカイト材料層921とを含む。図11に示す実施形態では、光起電力デバイス部930は、基板層932と、電極層933と、1つまたは複数の界面層934と、ペロブスカイト材料層931とを含む。光起電力デバイス部が圧縮されアニールされると、ペロブスカイト材料層931はペロブスカイト層921と融着して、融着ペロブスカイト材料層941を形成し、光起電力デバイス940が得られる。いくつかの実施形態では、様々な層は省略され得る。例えば、ペロブスカイト材料921が省略され得、ペロブスカイト材料931はIFL924に直接融着され得る。特定の実施形態では、光起電力デバイス部910は、図5に示されるものと同様の様式で組み立てられ得、次いで、光起電力デバイス部930と融着する前に、追加のIFL924およびペロブスカイト材料層921がPVセル上に堆積され得る。そのような実施形態では、図5の基板322などの基板は、後続の層の堆積前にPVセル部から除去され得る。
【0111】
本明細書で述べる2端子、3端子、および4端子セルを含むタンデムデバイスは、図5図11に関して説明する方法によって組み立てられ得る。例えば、図11は、本開示による2端子PVセルを組み立てるための例示的な方法の様式化された図を示す。図13は、本開示による、図17に示すPVセル7000などの3端子PVセルを組み立てるための例示的な方法の様式化された図を提示する。また、図14は、本開示による、図18に示すPVセル8000などの4端子PVセルを組み立てるための例示的な方法の様式化された図を示す。
【0112】
図13に示す実施形態では、光起電力デバイス部1110は、基板層1112と、電極層1113と、1つまたは複数の界面層1114と、ペロブスカイト材料層1111と、1つまたは複数の界面層1124と、電極層1123と、1つまたは複数の界面層1125と、ペロブスカイト材料層1121とを含む。図13に示す実施形態では、光起電力デバイス部1130は、基板層1132と、電極層1133と、1つまたは複数の界面層1134と、ペロブスカイト材料層1131とを含む。光起電力デバイス部が圧縮されアニールされると、ペロブスカイト材料層1131はペロブスカイト層1121と融着して、融着ペロブスカイト材料層1141を形成し、光起電力デバイス1140が得られる。本開示から、光起電力デバイス部1120に含まれるものとして示される任意の層が、圧縮前に光起電力デバイス部1110に含まれ得ることを理解されたい。例えば、いくつかの実施形態では、光起電力デバイス部1110は、電極層1126と1つまたは複数の界面層1125とを含み得る。そのような実施形態では、界面層1125が圧縮中にペロブスカイト層1121に融着する。いくつかの実施形態では、様々な層が省略され得る。例えば、ペロブスカイト材料1121が省略され得、ペロブスカイト材料1131はIFL1125に直接融着され得る。特定の実施形態では、光起電力デバイス部1110または1130は、図5に図示されるものと同様の様式で組み立てられ得る。
【0113】
図14に示す実施形態では、光起電力デバイス部1210は、基板層1212と、電極層1213と、1つまたは複数の界面層1214と、ペロブスカイト材料層1211と、1つまたは複数の界面層1224と、電極層1223と、透明非導電層1217と、電極層1226と、1つまたは複数の界面層1225と、ペロブスカイト材料層1121とを含む。図14に示す実施形態では、光起電力デバイス部1230は、基板層1232と、電極層1233と、1つまたは複数の界面層1234と、ペロブスカイト材料層1231とを含む。光起電力デバイス部が圧縮されアニールされると、ペロブスカイト材料層1231はペロブスカイト層1221と融着して、融着ペロブスカイト材料層1241を形成し、光起電力デバイス1240が得られる。本開示から、光起電力デバイス部1210に含まれるものとして示される任意の層が、圧縮前に光起電力デバイス部1220に含まれ得ること、およびその逆も可能であることを理解されたい。例えば、いくつかの実施形態では、光起電力デバイス部1230は、ペロブスカイト材料層1221を省略してもよく、1つまたは複数の界面層1225と、電極層1226と、第2の透明非導電層とを含み得る。そのような実施形態では、透明非導電層1217は、圧縮中に第2の透明非導電性材料に融着する。いくつかの実施形態では、光起電力デバイス部1210または1230は、図5に図示されるものと同様の様式で組み立てられ得る。
【0114】
いくつかの実施形態では、図5図11図13、および図14に示すように組み立てられた光起電力デバイスは、図12に示すように封止され得る。最初に、ガラスフリットペースト、インク、溶液または粉末1050が、ガラス基板1012と1022との間かつ層1013、1014、1031、1024および1023の周囲に配置される。いくつかの実施形態では、ガラスフリットは、2つの光起電力デバイス部を圧縮する前に、図5図11に示すように、一方または両方の光起電力デバイス部の基板上に配置され得る。次に、ガラスフリット1050は、上記のような、レーザビーム1060によるレーザアニール、撹拌溶接などの局所加熱プロセスによってまたは圧縮によって加熱される。最後に、加熱されたガラスフリットが固化して、ガラス基板1012および1022に結合された固体ガラス1051となり、それによって、ガラス基板1012および1022と固化したガラス1051との間のデバイスの内部に層1013、1014、1031、1024、および1023を封止する。
【0115】
したがって、本発明は、言及された目的および利点ならびに本発明に固有の目的および利点を達成するのに十分に適合している。本発明は、本明細書中の教示の利益を有する当業者に明らかな、異なるが同等の様式で修正および実施され得るので、上に開示した特定の実施形態は例示にすぎない。さらに、以下の特許請求の範囲に記載される以外には、本明細書に示される構成または設計の詳細を限定することは意図されない。したがって、上に開示した特定の例示的な実施形態が変更または修正され得、すべてのそのような変形形態が本発明の範囲および趣旨内にあると考えられることは明らかである。特に、本明細書に開示される(「約a~約b(from about a to about b)」または同等に「およそa~b(from approximately a to b)」または同等に「およそaからb(from approximately a-b)」という形態の)値のすべての範囲は、値のそれぞれの範囲の冪集合(すべてのサブセットの集合)を指すものとして理解されるべきであり、値のより広い範囲内に包含されるすべての範囲を記載する。また、特許請求の範囲における用語は、特許権者によって明示的かつ明確に別途定義されない限り、それらの平易な通常の意味を有する。
図1
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図5
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【国際調査報告】