(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-01
(54)【発明の名称】ポリマー、組成物及び3D印刷による物品の製造方法
(51)【国際特許分類】
C08G 73/10 20060101AFI20230125BHJP
B33Y 10/00 20150101ALI20230125BHJP
B33Y 70/00 20200101ALI20230125BHJP
B33Y 80/00 20150101ALI20230125BHJP
B29C 64/124 20170101ALI20230125BHJP
B29C 64/314 20170101ALI20230125BHJP
B29C 64/379 20170101ALI20230125BHJP
B33Y 40/20 20200101ALI20230125BHJP
【FI】
C08G73/10
B33Y10/00
B33Y70/00
B33Y80/00
B29C64/124
B29C64/314
B29C64/379
B33Y40/20
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022528080
(86)(22)【出願日】2020-11-19
(85)【翻訳文提出日】2022-05-13
(86)【国際出願番号】 EP2020082644
(87)【国際公開番号】W WO2021099448
(87)【国際公開日】2021-05-27
(32)【優先日】2019-11-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-03-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512323929
【氏名又は名称】ソルベイ スペシャルティ ポリマーズ ユーエスエー, エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ポリーノ, ジョーエル
(72)【発明者】
【氏名】クワン, カーミット エス.
(72)【発明者】
【氏名】ジェオル, ステファン
(72)【発明者】
【氏名】ソリアノ, エドゥアルド
【テーマコード(参考)】
4F213
4J043
【Fターム(参考)】
4F213AA32
4F213AB04
4F213WA25
4F213WB01
4F213WL02
4F213WL12
4F213WL22
4J043PA19
4J043PC035
4J043PC085
4J043QB15
4J043QB23
4J043QB33
4J043QB69
4J043RA06
4J043SA39
4J043SA52
4J043SB01
4J043TA03
4J043TA26
4J043TA35
4J043TB03
4J043UA121
4J043UA132
4J043UA431
4J043UB022
4J043VA022
4J043VA042
4J043VA051
4J043WA07
4J043XA03
4J043XA14
4J043XA16
4J043YA06
4J043YA25
4J043ZB22
4J043ZB51
(57)【要約】
本発明は、3次元(3D)物品のフォトファブリケーションのためのリソグラフィープロセスに例えば使用することができるポリエーテルイミドポリマーに関する。本発明は更に、これらのポリエーテルイミドポリマーを含む組成物に関する。もっと更に、本発明は、前述のポリマー組成物を組み込んでいる3D物品又は物体を形成するためのリソグラフィー方法に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
- 式(M):
【化1】
に従った繰り返し単位R
PEI
- 式(L1)~(L4):
【化2】
の少なくとも1つの基
を含み、
式中、
- Arは、互いに独立して、5~50個の炭素原子を有する置換若しくは非置換の、飽和の、不飽和の又は芳香族単環式及び多環式基からなる群から選択される三価の芳香族部分であり;
- Ar’は、5~50個の炭素原子を有する置換若しくは非置換の、飽和の、不飽和の又は芳香族単環式及び多環式基からなる群から選択される四価の芳香族部分であり;
- 各R
1は、独立してH又はアルキル、好ましくはH又は1~5個の炭素原子を有するアルキルであり;
- Rは、例えば、
(a)6~50個の炭素原子を有する芳香族炭化水素基及びそれらのハロゲン化誘導体;
(b)2~20個の炭素原子を有する線状若しくは分岐アルキル基;
(c)3~24個の炭素原子を有するシクロアルキル基;及び
(d)式(IX):
【化3】
(ここで、
- Yは、1~6個の炭素原子を有するアルキル、1~6個の炭素原子を有するパーフルオロアルキル、4~8個の炭素原子を有するシクロアルキル、1~6個の炭素原子を有するアルキリデン、4~8個の炭素原子を有するシクロアルキリデン、-O-、-S-、-C(O)-、-SO
2-及び-SO-からなる群から選択され、
- R’’は、水素、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、エーテル、チオエーテル、カルボン酸、エステル、アミド、イミド、アルカリ土類金属スルホネート、アルカリ土類金属スルホネート、アルキルスルホネート、アルカリ土類金属ホスホネート、アルカリ土類金属ホスホネート、アルキルホスホネート、アミン及び第四級アンモニウムからなる群から選択され、
- iは、各R’’について、独立してゼロ又は1~4の範囲の整数である)
の二価基
からなる群から選択される、置換及び非置換の二価の有機基からなる群から選択され、
- Tは、
-O-かそれとも-O-Q-O-であることができ、
ここで、-O-又は-O-Q-O-基の二価の結合は、3,3’、3,4’、4,3’、又は4,4’位にあり、
ここで、Qは、例えば、
(a)6~50個の炭素原子を有する芳香族炭化水素基及びそれらのハロゲン化誘導体;
(b)2~20個の炭素原子を有する線状若しくは分岐アルキル基;
(c)3~24個の炭素原子を有するシクロアルキル基;及び
(d)式(IX):
【化4】
(ここで、
- Yは、1~6個の炭素原子を有するアルキル、1~6個の炭素原子を有するパーフルオロアルキル、4~8個の炭素原子を有するシクロアルキル、1~6個の炭素原子を有するアルキリデン、4~8個の炭素原子を有するシクロアルキリデン、-O-、-S-、-C(O)-、-SO
2-及び-SO-からなる群から選択され、
- R’’は、水素、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、エーテル、チオエーテル、カルボン酸、エステル、アミド、イミド、アルカリ土類金属スルホネート、アルカリ土類金属スルホネート、アルキルスルホネート、アルカリ土類金属ホスホネート、アルカリ土類金属ホスホネート、アルキルホスホネート、アミン及び第四級アンモニウムからなる群から選択され、
- iは、各R’’について、独立してゼロ又は1~4の範囲の整数である)
の二価基
からなる群から選択される、置換及び非置換の二価の有機基からなる群から選択され、
- 各Zは、
・ O-(CH
2)
k-O-CO-CH=CHR
4(kは、1~20、好ましくは1~8、より好ましくは2~6であり、更にいっそう好ましくは2又は3に等しく;R
4は、H又はアルキル、好ましくは1~5個の炭素原子を有するアルキルである);
・ O-(CH
2)
p-Ar-CR
5=CHR
6又はO-(CH
2)
p-OAr-CR
5=CHR
6(ここで、pは、0~20、好ましくは1~8であり;Arは、1つ又は2つの芳香環又はヘテロ芳香環を含み;R
5及びR
6は、H、アルキル、好ましくは1~5個の炭素原子を有するアルキル、フェニル又はCOOR
7(R
7は、H又はアルキル、好ましくは1~5個の炭素原子を有するアルキルである)である);
・ O-(CH
2)
q-CH=CHR
8(qは、0~20、好ましくは1~8であり;R
8は、H又はアルキル、好ましくは1~5個の炭素原子を有するアルキルである);
・ O-(CH
2)
r-O-CH=CHR
9(rは、0~20、好ましくは1~8であり;R
9は、H又はアルキル、好ましくは1~5個の炭素原子を有するアルキルである);
・
【化5】
(sは、0~20、好ましくは1~8である);
・ O
-、NR
aR
bR
cH
+-(CH
2)
k-O-CO-CH=CHR
4(k及びR
4は上に定義されたとおりである);
・ O
-、NR
aR
bR
cH
+-(CH
2)
p-Ar-CR
5=CHR
6(p、Ar、R
5及びR
6は上に定義されたとおりである);
・ O
-、NR
aR
bR
cH
+-(CH
2)
p-OAr-CR
5=CHR
6(p、Ar、R
5及びR
6は上に定義されたとおりである);
・ O
-、NR
aR
bR
cH
+-(CH
2)
q-CH=CHR
8(q及びR
8は上に定義されたとおりである);
・ O
-、NR
aR
bR
cH
+-(CH
2)
r-O-CH=CHR
9(r及びR
9は上に定義されたとおりである);
・
【化6】
(sは上に定義されたとおりである);
(式中、R
a、R
b、及びR
cは、独立してH又はアルキル、好ましくは1~5個の炭素原子を有するアルキルである)
からなる群から独立して選択される、
ポリエーテルイミド(PEI)ポリマー(P1)。
【請求項2】
(前記ポリマー中の全モル数を基準として)少なくとも50モル%の式(M)の繰り返し単位を含む、請求項1に記載のPEIポリマー(P1)。
【請求項3】
Zは、O-(CH
2)
k-O-CO-CH=CHR
4(kは、2~6であり、R
4は、H又はCH
3である)である、請求項1~2のいずれか一項に記載のPEIポリマー(P1)。
【請求項4】
(ポリスチレン標準を使って、N,N-ジメチルホルムアミドを移動相として使用するゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定されるときに)
- 100,000g/mol未満、80,000g/mol未満又は60,000g/mol未満;及び/又は
- 1,000g/mol超、2,000g/mol超又は3,000g/mol超
の数平均分子量(Mn)を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載のPEIポリマー(P1)。
【請求項5】
- 請求項1~4のいずれか一項に記載のPEIポリマー(P1)と、
- 1種の溶媒と;
- 任意選択的に1種の光開始剤と;
- 任意選択的に1種のブロッカーと
を含む、調合物(F)。
【請求項6】
- 前記溶媒は、オルト-ジクロロベンゼン 1,2 ジクロロエタン、m-クレゾール、クロロベンゼン、クロロホルム、N-メチルピロリドン(NMP)、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAC)、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、テトラヒドロフラン(THF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、スルホラン、γ-ブチロラクトン及びγ-バレロラクトンからなる群から選択され;
- 前記光開始剤は、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン(DMPA)、ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド及びフェニルビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシドからなる群から選択され;並びに/又は
- 前記ブロッカーは、アヴォベンゾン及び2,5-ビス(5-tert-ブチル-ベンゾオキサゾール-2-イル)チオフェンからなる群から選択される、
請求項5に記載の調合物(F)。
【請求項7】
a)式R
nR
mN-P-NR
nR
mのPEIポリマー(P0)を提供する工程であって、Pが、式(M):
【化7】
[式中、
- Rは、例えば、
(a)6~50個の炭素原子を有する芳香族炭化水素基及びそれらのハロゲン化誘導体;
(b)2~20個の炭素原子を有する線状若しくは分岐アルキル基;
(c)3~24個の炭素原子を有するシクロアルキル基;及び
(d)式(IX):
【化8】
(ここで、
- Yは、1~6個の炭素原子を有するアルキル、1~6個の炭素原子を有するパーフルオロアルキル、4~8個の炭素原子を有するシクロアルキル、1~6個の炭素原子を有するアルキリデン、4~8個の炭素原子を有するシクロアルキリデン、-O-、-S-、-C(O)-、-SO
2-及び-SO-からなる群から選択され、
- R’’は、水素、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、エーテル、チオエーテル、カルボン酸、エステル、アミド、イミド、アルカリ土類金属スルホネート、アルカリ土類金属スルホネート、アルキルスルホネート、アルカリ土類金属ホスホネート、アルカリ土類金属ホスホネート、アルキルホスホネート、アミン及び第四級アンモニウムからなる群から選択され、
- iは、各R’’について、独立してゼロ又は1~4の範囲の整数である)
の二価基
からなる群から選択される、置換及び非置換の二価の有機基からなる群から選択され、
- Tは、
-O-かそれとも-O-Q-O-であることができ、
ここで、-O-又は-O-Q-O-基の二価の結合は、3,3’、3,4’、4,3’、又は4,4’位にあり、
ここで、Qは、例えば、
(a)6~50個の炭素原子を有する芳香族炭化水素基及びそれらのハロゲン化誘導体;
(b)2~20個の炭素原子を有する線状若しくは分岐アルキル基;
(c)3~24個の炭素原子を有するシクロアルキル基;及び
(d)式(IX):
【化9】
(ここで、
- Yは、1~6個の炭素原子を有するアルキル、1~6個の炭素原子を有するパーフルオロアルキル、4~8個の炭素原子を有するシクロアルキル、1~6個の炭素原子を有するアルキリデン、4~8個の炭素原子を有するシクロアルキリデン、-O-、-S-、-C(O)-、-SO
2-及び-SO-からなる群から選択され、
- R’’は、水素、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、エーテル、チオエーテル、カルボン酸、エステル、アミド、イミド、アルカリ土類金属スルホネート、アルカリ土類金属スルホネート、アルキルスルホネート、アルカリ土類金属ホスホネート、アルカリ土類金属ホスホネート、アルキルホスホネート、アミン及び第四級アンモニウムからなる群から選択され、
- iは、各R’’について、独立してゼロ又は1~4の範囲の整数である)
の二価基
からなる群から選択される、置換及び非置換の二価の有機基からなる群から選択される]
に従った繰り返し単位R
PEIを含む工程、
b)前記PEIポリマー(P0)を、式(I)~(IV):
【化10】
[式中:
- Arは、5~50個の炭素原子を有する置換若しくは非置換の、飽和の、不飽和の又は芳香族単環式及び多環式基からなる群から選択される、三価の芳香族部分であり;
- Ar’は、5~50個の炭素原子を有する置換若しくは非置換の、飽和の、不飽和の又は芳香族単環式及び多環式基からなる群から選択される四価の芳香族部分であり;
- Xは、Cl、Br、F又はIであり、
- 各Zは、
・ O-(CH
2)
k-O-CO-CH=CHR
4(kは、1~20、好ましくは1~8、より好ましくは2~6であり、更にいっそう好ましくは2又は3に等しく;R
4は、H又はアルキル、好ましくは1~5個の炭素原子を有するアルキルである);
・ O-(CH
2)
p-Ar-CR
5=CHR
6又はO-(CH
2)
p-OAr-CR
5=CHR
6(ここで、pは、0~20、好ましくは1~8であり;Arは、1つ又は2つの芳香環又はヘテロ芳香環を含み;R
5及びR
6は、H、アルキル、好ましくは1~5個の炭素原子を有するアルキル、フェニル又はCOOR
7(R
7は、H又はアルキル、好ましくは1~5個の炭素原子を有するアルキルである)である);
・ O-(CH
2)
q-CH=CHR
8(qは、0~20、好ましくは1~8であり;R
8は、H又はアルキル、好ましくは1~5個の炭素原子を有するアルキルである);
・ O-(CH
2)
r-O-CH=CHR
9(rは、0~20、好ましくは1~8であり;R
9は、H又はアルキル、好ましくは1~5個の炭素原子を有するアルキルである);
・
【化11】
(sは、0~20、好ましくは1~8である);
・ O
-、NR
aR
bR
cH
+-(CH
2)
k-O-CO-CH=CHR
4(k及びR
4は上に定義されたとおりである);
・ O
-、NR
aR
bR
cH
+-(CH
2)
p-Ar-CR
5=CHR
6(p、Ar、R
5及びR
6は上に定義されたとおりである);
・ O
-、NR
aR
bR
cH
+-(CH
2)
p-OAr-CR
5=CHR
6(p、Ar、R
5及びR
6は上に定義されたとおりである);
・ O
-、NR
aR
bR
cH
+-(CH
2)
q-CH=CHR
8(q及びR
8は上に定義されたとおりである);
・ O
-、NR
aR
bR
cH
+-(CH
2)
r-O-CH=CHR
9(r及びR
9は上に定義されたとおりである);
・
【化12】
(sは上に定義されたとおりである);
(式中、R
a、R
b、及びR
cは、独立してH又はアルキル、好ましくは1~5個の炭素原子を有するアルキルである)
からなる群から独立して選択される]
の化合物と
極性の非プロトン性溶媒及び有機塩基の存在下で反応させる工程
を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載のPEIポリマー(P1)の調製方法。
【請求項8】
- 前記溶媒は、クロロベンゼン、クロロホルム、N-メチルピロリドン(NMP)、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAC)、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、テトラヒドロフラン(THF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)及びスルホラン、並びにγ-ブチロラクトン及びγ-バレロラクトンからなる群から選択され、
- 前記有機塩基は、ピリジン及びアルキルアミン、例えばトリメチルアミンからなる群から選択される、
請求項7に記載の方法。
【請求項9】
a)式R
nR
mN-P-NR
nR
mのPEIポリマー(P0)を提供する工程であって、Pが、式(M):
【化13】
[式中、
- 各R
n及びR
mは、独立してH又はアルキル、好ましくはH又は1~5個の炭素原子を有するアルキルであり;
- Rは、例えば、
(a)6~50個の炭素原子を有する芳香族炭化水素基及びそれらのハロゲン化誘導体;
(b)2~20個の炭素原子を有する線状若しくは分岐アルキル基;
(c)3~24個の炭素原子を有するシクロアルキル基;及び
(d)式(IX):
【化14】
(ここで、
- Yは、1~6個の炭素原子を有するアルキル、1~6個の炭素原子を有するパーフルオロアルキル、4~8個の炭素原子を有するシクロアルキル、1~6個の炭素原子を有するアルキリデン、4~8個の炭素原子を有するシクロアルキリデン、-O-、-S-、-C(O)-、-SO
2-及び-SO-からなる群から選択され、
- R’’は、水素、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、エーテル、チオエーテル、カルボン酸、エステル、アミド、イミド、アルカリ土類金属スルホネート、アルカリ土類金属スルホネート、アルキルスルホネート、アルカリ土類金属ホスホネート、アルカリ土類金属ホスホネート、アルキルホスホネート、アミン及び第四級アンモニウムからなる群から選択され、
- iは、各R’’について、独立してゼロ又は1~4の範囲の整数である)
の二価基
からなる群から選択される、置換及び非置換の二価の有機基からなる群から選択され、
- Tは、
-O-かそれとも-O-Q-O-であることができ、
ここで、-O-又は-O-Q-O-基の二価の結合は、3,3’、3,4’、4,3’、又は4,4’位にあり、
ここで、Qは、例えば、
(a)6~50個の炭素原子を有する芳香族炭化水素基及びそれらのハロゲン化誘導体;
(b)2~20個の炭素原子を有する線状若しくは分岐アルキル基;
(c)3~24個の炭素原子を有するシクロアルキル基;及び
(d)式(IX):
【化15】
(ここで、
- Yは、1~6個の炭素原子を有するアルキル、1~6個の炭素原子を有するパーフルオロアルキル、4~8個の炭素原子を有するシクロアルキル、1~6個の炭素原子を有するアルキリデン、4~8個の炭素原子を有するシクロアルキリデン、-O-、-S-、-C(O)-、-SO
2-及び-SO-からなる群から選択され、
- R’’は、水素、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、エーテル、チオエーテル、カルボン酸、エステル、アミド、イミド、アルカリ土類金属スルホネート、アルカリ土類金属スルホネート、アルキルスルホネート、アルカリ土類金属ホスホネート、アルカリ土類金属ホスホネート、アルキルホスホネート、アミン及び第四級アンモニウムからなる群から選択され、
- iは、各R’’について、独立してゼロ又は1~4の範囲の整数である)
の二価基
からなる群から選択される、置換及び非置換の二価の有機基からなる群から選択される]
に従った繰り返し単位R
PEIを含む工程、
b)前記PEIポリマー(P0)を、式(V)~(VIII):
【化16】
(式中:
- Arは、5~50個の炭素原子を有する置換若しくは非置換の、飽和の、不飽和の又は芳香族単環式及び多環式基からなる群から選択される、三価の芳香族部分であり;
- Ar’は、5~50個の炭素原子を有する置換若しくは非置換の、飽和の、不飽和の又は芳香族単環式及び多環式基からなる群から選択される四価の芳香族部分であり;
- Xは、OH、Cl、Br、F又はIである)
の化合物と反応させる工程;
c)工程b)において得られたポリマーを、
・ NR
aR
bR
c-(CH
2)
k-O-CO-CH=CHR
4(k及びR
4は上に定義されたとおりである)、
・ NR
aR
bR
c-(CH
2)
p-Ar-CR
5=CHR
6(p、Ar、R
5及びR
6は上に定義されたとおりである)、
・ NR
aR
bR
c-(CH
2)
p-OAr-CR
5=CHR
6(p、Ar、R
5及びR
6は上に定義されたとおりである)、
・ NR
aR
bR
c-(CH
2)
q-CH=CHR
8(q及びR
8は上に定義されたとおりである)、
・ NR
aR
bR
c-(CH
2)
r-O-CH=CHR
9(r及びR
9は上に定義されたとおりである)、
・
【化17】
(sは上に定義されたとおりである)、
(式中、R
a、R
b、及びR
cは、独立してH又はアルキル、好ましくは1~5個の炭素原子を有するアルキルである)
からなる群から選択される化合物と反応させる工程
を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載のPEIポリマー(P1)の調製方法。
【請求項10】
3次元(3D)物品を付加製造システムで製造する方法であって、
- 請求項5~6のいずれか一項に記載のポリマー調合物(F)を提供する工程、
- 前記調合物(F)から3次元(3D)物品の層を印刷する工程、
- 任意選択的に、前記3D物品を50~450℃の範囲の温度で硬化させる工程
を含む方法。
【請求項11】
前記印刷の工程は、前記ポリマー組成物に光、好ましくはUV光又は可視光を照射する工程を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
請求項10~11のいずれか一項に記載の方法によって、少なくとも部分的に、得られる3次元(3D)物品又は物体。
【請求項13】
- 式(M):
【化18】
に従った繰り返し単位R
PEI
- 式(K):
【化19】
、好ましくは
【化20】
の少なくとも1つの基
を含み、
式中、
- Ar’は、5~50個の炭素原子を有する置換若しくは非置換の、飽和の、不飽和の又は芳香族単環式及び多環式基からなる群から選択される四価の芳香族部分であり;
- Tは、
-O-かそれとも-O-Q-O-であることができ、
ここで、-O-又は-O-Q-O-基の二価の結合は、3,3’、3,4’、4,3’、又は4,4’位にあり、
ここで、Qは、例えば、
(a)6~50個の炭素原子を有する芳香族炭化水素基及びそれらのハロゲン化誘導体;
(b)2~20個の炭素原子を有する線状若しくは分岐アルキル基;
(c)3~24個の炭素原子を有するシクロアルキル基;及び
(d)式(IX):
【化21】
(式中、
- Yは、1~6個の炭素原子を有するアルキル、1~6個の炭素原子を有するパーフルオロアルキル、4~8個の炭素原子を有するシクロアルキル、1~6個の炭素原子を有するアルキリデン、4~8個の炭素原子を有するシクロアルキリデン、-O-、-S-、-C(O)-、-SO
2-及び-SO-からなる群から選択され、
- R’’は、水素、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、エーテル、チオエーテル、カルボン酸、エステル、アミド、イミド、アルカリ土類金属スルホネート、アルカリ土類金属スルホネート、アルキルスルホネート、アルカリ土類金属ホスホネート、アルカリ土類金属ホスホネート、アルキルホスホネート、アミン及び第四級アンモニウムからなる群から選択され、
- iは、各R’’について、独立してゼロ又は1~4の範囲の整数である)
の二価基
からなる群から選択される、置換及び非置換の二価の有機基からなる群から選択される、請求項12に記載の3D物品又は物体。
【請求項14】
ステレオリソグラフィー(SLA)、直接インク書込み(DIW)、デジタルライトプロセッシング(DLP)、又はインクジェットプロセスによる3D物体の製造のための、単独での又は他の成分と組み合わせての、請求項1~4のいずれか一項に記載のポリマー(P1)又は請求項5~6のいずれか一項に記載のポリマー調合物(F)の使用。
【請求項15】
物品をコートするための、単独での又は他の成分と組み合わせての、請求項1~4のいずれか一項に記載のポリマー(P1)又は請求項5~6のいずれか一項に記載のポリマー調合物(F)の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2019年11月21日出願の米国仮特許出願第62/938508号に対する及び2020年3月24日出願の欧州特許出願第20165233.6号に対する優先権を主張するものであり、これらの出願の全内容は、あらゆる目的のために参照により本明細書に援用される。
【0002】
本発明は、3次元(3D)物品のフォトファブリケーションのためのリソグラフィープロセスにおいて例えば使用することができるポリエーテルイミド(PEI)ポリマーに関する。本発明は更に、これらのポリエーテルイミドポリマーを含む調合物に関する。もっと更に、本発明は、前述のポリマー調合物を組み込んでいる3次元(3D)物体を形成するためのリソグラフィー方法に関する。
【背景技術】
【0003】
ポリマー組成物は、例えばエンジン部品のような、自動車及び航空宇宙産業のための物品、並びに例えば埋込式デバイス及び歯科用人工装具のような、ヘルスケア産業における物品を製造するために一般に使用されている。これらの物品は、製造後に良好な機械的特性を示さなければならないが、それらはまた、とりわけそれらの使用温度(時には150℃超)で、経時的にこれらの特性の十分な百分率を保持しなければならない。
【0004】
ポリマー材料からの3D物品のフォトファブリケーションのためのリソグラフィープロセスは、それらの相対速度及び簡単さのために最近人気を得ている。一般に、リソグラフィープロセスは、重合性組成物を特定の場所で局部的に硬化させるために、光、例えばUV照射の使用を含む。局部的な硬化は、3次元物品の製造を可能にする。
【0005】
リソグラフィープロセスは、部品を良好な解像度で得るために液体である重合性組成物を一般に使用する。室温で液体である重合性組成物は、印刷プロセスにおいて使用するのがより容易であるが、それらは、並みの機械的特性及び熱安定性を有する物品を一般にもたらす。
【0006】
ある種のポリマーは、より良好な機械的特性プロファイルを示すが、それらは、リソグラフィープロセスにおいて用いられるそれらの溶融温度より上である必要がある。その上、これらのポリマーは、ポリマーの層に照射するときに、印刷プロセスにおいて反応性が高い必要があるのみならず、それらはまた、ポリマーを溶融させるために必要な温度で十分に熱的に安定である必要がある。
【0007】
国際公開第18035368A1号パンフレットは、液槽光重合のためのポリマー樹脂に関する。ポリマー樹脂は、ポリアミド酸ジアクリレートエステル又はそれの塩、それにペンダント式に結合した複数の光架橋性基を含むポリアミド酸ジアクリレートエステル又はそれの塩と;好適な波長及び強度の光源に曝されたときに光架橋性基の架橋を開始させるのに好適な光開始剤と;好適な有機溶媒とを含むことができる。
【0008】
Hegdeら「3D printing all-aromatic high-performance polyimides using μSLA:Processing the non-processable」(第252回ACS National Meeting&Exposition,August 21-25,2016)及びHedgeら「3D Printing All-Aromatic Polyimides using Mask-Projection Stereolithography:Processing the Nonprocessable」(Adv.Mater.2017,29,2017年6月19日発行)は、各繰り返し単位が4,4’-オキシジアニリン(ODA)及びピロメリット酸二無水物に由来する、並びに2つの光架橋性アクリレート基を含有するポリアミド酸ジアクリレートエステル(PADE)の3D印刷を開示している。
【0009】
Herzbergerら「3D Printing All-Aromatic Polyimides Using Stereolithographic 3D Printing of Polyamic Acid Salts」(ACS Macro Lett.,2018,7(4),pp493-497)は、4,4’-オキシジアニリン(ODA)及びピロメリット酸二無水物に由来する、並びに2-(ジメチルアミノ)エチルメタクリレートを含有するポリアミド酸(PAA)構造物の3D印刷を記載している。
【0010】
高温及び光、例えば150℃超への暴露後にそれらの機械的特性をまた保持しながら、フォトファブリケーション後に良好な機械的特性を有する、良好な機械的特性を有する3D物品を製造することができるリソグラフィープロセスにおいて使用される重合性ポリマー及び組成物が必要とされている。とりわけポリマーを溶融させるために必要な温度で熱的に安定である、高温3D印刷プロセスに好適である重合性ポリマー及び組成物がまた必要とされている。本発明は、可溶性であり、光反応性が高い、及び結合のイミド化による光反応の後に熱的に安定なスルホンへ変換することができるポリマーに関する。
【発明を実施するための形態】
【0011】
第1態様によれば、本発明は、例えば3次元(3D)物品のフォトファブリケーションのためのリソグラフィープロセスにおいて例えば使用することができる、ポリエーテルイミド(PEI)ポリマーに関する。
【0012】
ステレオリソグラフィーは、光、例えば紫外(UV)光又は可視光の焦点を、架橋性フォトポリマー樹脂の槽に合わせることによって動作する付加製造プロセスである。次いで複雑な3次元(3D)構造物を、層ごとのやり方で構築することができる。
【0013】
本発明のPEIポリマーは、例えばステレオリソグラフィー技術(SLA)、インクジェット技術、直接インク書込み(DIW)又はデジタルライトプロセッシング(DLP)を用いて、物品を製造するために3D印刷することができる。
【0014】
本発明のPEIポリマーは、とりわけ液体、粉末又はペレットの形態にあり得る。
【0015】
PEIポリマーはとりわけPEI繰り返し単位を含有するので、印刷された材料は、PEIポリマーそれ自体に類似の、特性、とりわけ機械的特性を示すことが知られている。
【0016】
ポリエーテルイミド(PEI)ポリマー(P1)はまた、式(L1)~(L4):
【化1】
(式中、Ar及びAr’は、それぞれ、5~50個の炭素原子を有する置換若しくは非置換の、飽和の、不飽和の又は芳香族単環式及び多環式基からなる群から選択される三価又は四価の芳香族部分であり、式中、Zは、3D印刷プロセス中に又は熱硬化を含む印刷後工程のような印刷後に任意選択的に除去され得る基である)
の少なくとも1つの基を含む。
【0017】
本発明のPEIポリマー(P1)は、上記の式(L1)及び(L2)において、各Zが、
・ O-(CH
2)
k-O-CO-CH=CHR
4(kは、1~20、好ましくは1~8、より好ましくは2~6であり、更にいっそう好ましくは2又は3に等しく;R
4は、H又はアルキル、好ましくは1~5個の炭素原子を有するアルキルである);
・ O-(CH
2)
p-Ar-CR
5=CHR
6又はO-(CH
2)
p-OAr-CR
5=CHR
6(ここで、pは、0~20、好ましくは1~8であり;Arは、1つ又は2つの芳香環又はヘテロ芳香環を含み;R
5及びR
6は、H、アルキル、好ましくは1~5個の炭素原子を有するアルキル、フェニル又はCOOR
7(R
7は、H又はアルキル、好ましくは1~5個の炭素原子を有するアルキルである)である);
・ O-(CH
2)
q-CH=CHR
8(qは、0~20、好ましくは1~8であり;R
8は、H又はアルキル、好ましくは1~5個の炭素原子を有するアルキルである);
・ O-(CH
2)
r-O-CH=CHR
9(rは、0~20、好ましくは1~8であり;R
9は、H又はアルキル、好ましくは1~5個の炭素原子を有するアルキルである);
・
【化2】
(sは、0~20、好ましくは1~8である);
・ O
-、NR
aR
bR
cH
+-(CH
2)
k-O-CO-CH=CHR
4(k及びR
4は上に定義されたとおりである);
・ O
-、NR
aR
bR
cH
+-(CH
2)
p-Ar-CR
5=CHR
6(p、Ar、R
5及びR
6は上に定義されたとおりである);
・ O
-、NR
aR
bR
cH
+-(CH
2)
p-OAr-CR
5=CHR
6(p、Ar、R
5及びR
6は上に定義されたとおりである);
・ O
-、NR
aR
bR
cH
+-(CH
2)
q-CH=CHR
8(q及びR
8は上に定義されたとおりである);
・ O
-、NR
aR
bR
cH
+-(CH
2)
r-O-CH=CHR
9(r及びR
9は上に定義されたとおりである);
・
【化3】
(sは上に定義されたとおりである);
(式中、R
a、R
b、及びR
cは、独立してH又はアルキル、好ましくは1~5個の炭素原子を有するアルキルである)
からなる群から独立して選択されるようなものである。
【0018】
いくつかの実施形態において、PEIポリマー(P1)は、ZがO-(CH2)k-O-CO-CH=CHR4(kは、2~6であり、好ましくは2又は3に等しく、R4は、H又はCH3である)であるようなものである。
【0019】
PEIポリマー(P1)は、好ましくは、(ポリスチレン標準を使って、N,N-ジメチルホルムアミドを移動相として使用するゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定されるときに)
- 100,000g/mol未満、80,000g/mol未満若しくは60,000g/mol未満;及び/又は
- 1,000g/mol超、2,000g/mol超若しくは3,000g/mol超
の数平均分子量(Mn)を有し得る。
【0020】
一実施形態によれば、本発明のPEIポリマー(P1)は、ASTM D3418に従って示差走査熱量法(DSC)によって測定されるときに、120~250℃、好ましくは170~240℃、より好ましくは180~230℃の範囲のTgを有する。
【0021】
本発明の第2態様によれば、上に記載されたPEIポリマー(P1)は、フォトファブリケーションプロセスにおいて使用される調合物(F)に組み込まれ得る。特に、本発明のポリマー(P1)及び調合物(F)は、官能化ポリマーを硬化させる又は架橋するために光が使用されるリソグラフィープロセスへ組み込むことができる。
【0022】
本発明の調合物(F)はまた、
- 少なくとも1種の溶媒と、
- 任意選択的に少なくとも1種の光開始剤と、
- 任意選択的に少なくとも1種のブロッカーと
を含む。
【0023】
本発明の調合物(F)は、好ましくは、例えば室温以上で液体である。
【0024】
調合物(F)は、用いられる3D印刷方法のタイプによって決まる、大きい粘度範囲を有することができる。例えば、調合物(F)の粘度は、0.01~10,000Pa.sで変わり得る。調合物(F)の粘度は、物体がステレオリソグラフィー(SLA)によって印刷される場合、好ましくは0.01~10Pa.sの範囲である。調合物(F)の粘度は、物体が直接インク書込み(DIW)によって印刷される場合、好ましくは10~10,000Pa.sの範囲である。調合物(F)の粘度は、物体がインクジェッティングによって印刷される場合、好ましくは0.1Pa.s未満である。
【0025】
本発明によれば、光開始剤は、吸収された光エネルギー、UV又は可視光を、開始化学種、例えばフリーラジカル又はカチオンの形態での化学エネルギーへ変換するために調合物にとりわけ添加される化合物である。
【0026】
本発明によれば、ブロッカーは、光開始剤によって生み出された未使用のラジカルを捕捉するかそれとも入射光エネルギー、例えばUV光及び可視光の一部を吸収するために添加される化合物である。この化合物は、製造される部品の寸法正確性の向上を可能にする。
【0027】
本発明の調合物(F)は、2つ以上のポリマー(P1)、例えば3つの異なるポリマー(P1)のうちの2つを含むことができる。
【0028】
ポリエーテルイミド(PEI)ポリマー
本発明のポリエーテルイミド(PEI)ポリマー(P1)は、式(M):
【化4】
[式中、R及びTは、以下の通りである、
- Rは、例えば、
(a)6~50個の炭素原子を有する芳香族炭化水素基及びそれらのハロゲン化誘導体;例えば、置換若しくは非置換フェニレン、置換若しくは非置換ビフェニル基、置換若しくは非置換ナフタレン基又は-3,3’、3,4’、4,3’、若しくは4,4’位に2つの置換若しくは非置換フェニレンを含む部分;
(b)2~20個の炭素原子を有する線状若しくは分岐アルキル基;
(c)3~24個の炭素原子を有するシクロアルキル基;及び
(d)式(IX):
【化5】
(ここで、
- Yは、1~6個の炭素原子を有するアルキル(例えば、-C(CH
3)
2及びnが1~6の整数である-C
nH
2n-)、1~6個の炭素原子を有するパーフルオロアルキル(例えば、-C(CF
3)
2及びnが1~6の整数である-C
nF
2n-)、4~8個の炭素原子を有するシクロアルキル、1~6個の炭素原子を有するアルキリデン、4~8個の炭素原子を有するシクロアルキリデン、-O-、-S-、-C(O)-、-SO
2-及び-SO-からなる群から選択され、
- R’’は、水素、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、エーテル、チオエーテル、カルボン酸、エステル、アミド、イミド、アルカリ土類金属スルホネート、アルカリ土類金属スルホネート、アルキルスルホネート、アルカリ土類金属ホスホネート、アルカリ土類金属ホスホネート、アルキルホスホネート、アミン及び第四級アンモニウムからなる群から選択され、
- iは、各R’’について、独立してゼロ又は1~4の範囲の整数である)
の二価基
からなる群から選択される、置換及び非置換の二価の有機基からなる群から選択され、
- Tは、
-O-かそれとも-O-Q-O-であることができ、
ここで、-O-又は-O-Q-O-基の二価の結合は、3,3’、3,4’、4,3’、又は4,4’位にあり、
ここで、Qは、例えば、
(a)6~50個の炭素原子を有する芳香族炭化水素基及びそれらのハロゲン化誘導体;例えば置換若しくは非置換フェニレン、置換若しくは非置換ビフェニル基、置換若しくは非置換ナフタレン基又は-3,3’、3,4’、4,3’、若しくは4,4’位に2つの置換若しくは非置換フェニレンを含む部分;
(b)2~20個の炭素原子を有する線状若しくは分岐アルキル基;
(c)3~24個の炭素原子を有するシクロアルキル基;及び
(d)式(IX):
【化6】
(ここで、
- Yは、1~6個の炭素原子を有するアルキル(例えば-C(CH
3)
2及びnが1~6の整数である-C
nH
2n-)、1~6個の炭素原子を有するパーフルオロアルキル(例えば-C(CF
3)
2及びnが1~6の整数である-C
nF
2n-)、4~8個の炭素原子を有するシクロアルキル、1~6個の炭素原子を有するアルキリデン、4~8個の炭素原子を有するシクロアルキリデン、-O-、-S-、-C(O)-、-SO
2-及び-SO-からなる群から選択され、
- R’’は、水素、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、エーテル、チオエーテル、カルボン酸、エステル、アミド、イミド、アルカリ土類金属スルホネート、アルカリ土類金属スルホネート、アルキルスルホネート、アルカリ土類金属ホスホネート、アルカリ土類金属ホスホネート、アルキルホスホネート、アミン及び第四級アンモニウムからなる群から選択され、
- iは、各R’’について、独立してゼロ又は1~4の範囲の整数である)
に二価基
からなる群から選択される、置換及び非置換の二価の有機基からなる群から選択される]
に従った繰り返し単位R
PEIを含む。
【0029】
本開示の一実施形態によれば、Qは、上に詳述されたような、一般式(IX)のものである。例えば、Qは、式(X):
【化7】
のものである。
【0030】
本開示の一実施形態によれば、PEI(P1)中の繰り返し単位の少なくとも50モル%、少なくとも60モル%、少なくとも70モル%、少なくとも80モル%、少なくとも90モル%、少なくとも95モル%、少なくとも99モル%又は全てが、式(M)の繰り返し単位(RPEI)である。
【0031】
一実施形態によれば、本発明のポリエーテルイミド(PEI)ポリマー(P1)は、式(M1)又は(M2):
【化8】
の繰り返し単位(R
PEI)を、イミド形態、又はそれらの対応するアミド酸形態及びそれらの混合物で含む。
【0032】
本発明の好ましい実施形態において、PEI(P1)中の繰り返し単位の少なくとも50モル%、少なくとも60モル%、少なくとも70モル%、少なくとも80モル%、少なくとも90モル%、少なくとも95モル%、少なくとも99モル%又は全てが、イミド形態、又はそれらの対応するアミド酸形態及びそれらの混合物での、式(M1)又は(M2)の繰り返し単位(RPEI)である。
【0033】
そのような芳香族ポリイミドは、とりわけ、ULTEM(登録商標)ポリエーテルイミドとしてSabic Innovative Plasticsから市販されている。
【0034】
溶媒
溶媒の濃度は、調合物(F)の総重量を基準として、1~80重量%、例えば2~75重量%、5~70重量%又は10~65重量%であり得る。
【0035】
本発明の一実施形態によれば、溶媒は、オルト-ジクロロベンゼン 1,2 ジクロロエタン、m-クレゾール、クロロベンゼン、クロロホルム、N-メチルピロリドン(NMP)、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAC)、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、テトラヒドロフラン(THF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)及びスルホラン、並びにγ-ブチロラクトン及びγ-バレロラクトンからなる群から選択される。
【0036】
好ましくは、溶媒は、双極性の非プロトン性溶媒である。好ましくは、溶媒は、N-メチルピロリドン(NMP)、ジメチルアセトアミド(DMAc又はDMA)、N-シクロヘキシル-2-ピロリドン(CHP)及びジメチルスルホキシド(DMSO)、並びにγ-ブチロラクトン及びγ-バレロラクトンからなる群から選択される。
【0037】
光開始剤
本発明によれば、光開始剤は、UV又は可視光などの吸収された光エネルギーを、開始化学種、例えばフリーラジカル又はカチオンの形態での化学エネルギーへ変換するために調合物にとりわけ添加される化合物である。開始ラジカルが形成されるメカニズムに基づいて、光開始剤は、一般に、2つのクラスに分けられる:
- タイプI光開始剤は、照射時に単分子結合開裂を受けてフリーラジカルを生成する、
- タイプII光開始剤は、励起状態の光開始剤が第2分子(共開始剤)と相互作用する二分子反応を受けてフリーラジカルを発生させる。
【0038】
調合物(F)中の光開始剤の濃度は、調合物(F)の総重量を基準として、0.01~10重量%、例えば0.1~5重量%、0.2~4重量%、又は0.5~3重量%であり得る。
【0039】
本発明の一実施形態によれば、光開始剤は、
- アセトフェノン
- アニソイン
- アントラキノン
- アントラキノン-2-スルホン酸、ナトリウム塩一水和物
- (ベンゼン)トリカルボニルクロム
- ベンジル
- ベンゾイン
- ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインメチルエーテル及びベンゾフェノン
- 3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物
- 4-ベンゾイルビフェニル
- 2-ベンジル-2-(ジメチルアミノ)-4’-モルホリノブチロフェノン
- 4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン
- 4,4’-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン
- カンファーキノン
- 2-クロロチオキサンテン-9-オン
- (クメン)シクロペンタジエニル鉄(II)ヘキサフルオロホスフェート
- ジベンゾスベレノン
- 2,2-ジエトキシアセトフェノン
- 4,4’-ジヒドロキシベンゾフェノン
- 2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン
- 4-(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン
- 4,4’-ジメチルベンジル
- 2,5-ジメチルベンゾフェノン
- 3,4-ジメチルベンゾフェノン
- ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノン及びブレンド(例えば50/50ブレンド)
- 4’-エトキシアセトフェノン
- 2-エチルアントラキノン
- フェロセン
- 3’-ヒドロキシアセトフェノン、4’-ヒドロキシアセトフェノン、3-ヒドロキシベンゾフェノン及び4-ヒドロキシベンゾフェノン
- 1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン
- 2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノン
- 2-メチルベンゾフェノン又は3-メチルベンゾフェノン
- メチルベンゾイルホルメート
- 2-メチル-4’-(メチルチオ)-2-モルホリノプロピオフェノン
- フェナントレンキノン
- 4’-フェノキシアセトフェノン
- フェニルビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド
- チオキサンテン-9-オン
- トリアリールスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート塩、混合された、プロピレンカーボネート中50%
- トリアリールスルホニウムヘキサフルオロホスフェート塩、混合された、プロピレンカーボネート中50%、及び
- 2,4,5,7-テトラヨード-3-ヒドロキシ-9-シアノ-6-フルオロン
- 2,4,5,7-テトラヨード-3-ヒドロキシ-6-フルオロン
- 5,7-ジヨード-3-ヒドロキシ-6-フルオロン
- それらの混合物
からなる群から選択される。
【0040】
好ましくは、光開始剤は、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン(DMPA)、ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド及びフェニルビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシドからなる群から選択される。
【0041】
ブロッカー
本発明によれば、ブロッカーは、(i)UV光によって照射される間に光開始剤によって形成された所定量のラジカルを捕捉する、(ii)光照射源がスイッチを切られた後に存在し得る未使用ラジカルを捕捉する、及び/又は(iii)光照射中にシステムに配送されるエネルギーの一部を吸収するために調合物に添加される化合物である。
【0042】
調合物(F)中のブロッカーの濃度は、調合物(F)の総重量を基準として、0.05~10重量%、例えば0.1~5重量%、0.2~4重量%又は0.5~3重量%であり得る。
【0043】
本発明の一実施形態によれば、ブロッカーは、
- 2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン(オキシベンゼン)
- 1-(4-メトキシフェニル)-3-(4-tert-ブチルフェニル)プロパン-1,3-ジオン(アヴォベンゾン)
- 二ナトリウム2,2’-(1,4-フェニレン)ビス(6-スルホ-1H-ベンズイミダゾール-4-スルホネート)(ビスジスルゾール二ナトリウム)
- ヘキシル2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]ベンゾエート(ジエチルアミノヒドロキシベンゾイルヘキシルベンゾエート)
- メンチル-o-アミノベンゾエート(メンチルアントラニレート)
- 2,2’-[6-(4-メトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン-2,4-ジイル]ビス{5-[(2-エチルヘキシル)オキシ]フェノール}(ベモトリジノール)
- 2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン
- 2,2’,4,4’-テトラヒドロキシベンゾフェノン
- 4-ヒドロキシ-2-メトキシ-5-(オキソ-フェニルメチル)ベンゼンスルホン酸(スリソベンゾン)
- 2,2’-ジヒドロキシ-4,4’-ジメトキシベンゾフェノン
- 5-クロロ-2-ヒドロキシベンゾフェノン
- (2-ヒドロキシ-4-メトキシフェニル)-(2-ヒドロキシフェニル)メタノン(ジオキシベンゾン)
- 2,5-ビス(5-tert-ブチル-ベンゾオキサゾール-2-イル)チオフェン
- ナトリウム2,2’-ジヒドロキシ-4,4’-ジメトキシベンゾフェノン-5,5’-ジスルホネート
- (2-ヒドロキシ-4-メトキシフェニル)(4-メチルフェニル)メタノン(メキセノン)
- (2-ヒドロキシ-4-オクトキシ-フェニル)-フェニル-メタノン(オクタベンゾン)
- 2-(1,2,3-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-メチル-6-[2-メチル-3-(2,2,4,6,6-ペンタメチル-3,5-ジオキサ-2,4,6-トリシラヘプタン-4-イル)プロピル]フェノール(ドロメトリゾールトリシロキサン)
- テレフタリリデンジカンファースルホン酸(エカムスル)
- 2-エチルヘキシル2-シアノ-3,3-ジフェニル-2-プロペノエート(オクトクリレン)
- ジエチルヘキシルブタミドトリアゾン(イスコトリジノール)
- 2-エトキシエチル3-(4-メトキシフェニル)プロペノエート(シノキサート)
- イソペンチル4-メトキシシンナメート(アミロキサート)
- 2,2’-メタンジイルビス[6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-(2,4,4-トリメチルペンタン-2-イル)フェノール](ビスオクトリゾール)
- 2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール
- 2,2’-メチレンビス[6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール]
- 2-ヒドロキシ-4-(オクチルオキシ)ベンゾフェノン
- 2-エチル-,2-[4-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-3-ヒドロキシフェノキシ]エチルエステル
- 2-tert-ブチル-6-(5-クロロ-2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-メチルフェノール
- 2-(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール
- 2,4-ジニトロフェニルヒドラジン
- N-(4-エトキシカルボニルフェニル)-N’-メチル-N’-フェニルホルムアミジン
- ヘキサデシル3,5-ビス-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンゾエート
- 2-エチル-2’-エトキシ-オキサラニリド、及び
- それらの混合物
からなる群から選択される。
【0044】
好ましくは、ブロッカーは、アヴォベンゾン及び2,5-ビス(5-tert-ブチル-ベンゾオキサゾール-2-イル)チオフェンからなる群から選択される。
【0045】
任意選択の成分
本発明の調合物は、シリカなどの充填材、酸化防止剤、抗菌性化合物及び帯電防止化合物からなる群から例えば選択される、少なくとも1つの添加剤を含み得る。添加剤は、例えば、カーボンブラック、シリカ(例えばマイクロシリカ粒子)及びカーボンナノチューブなどの化学的に不活性の化学種であり得る。
【0046】
本発明の第3態様によれば、上に記載されたPEIポリマー(P1)が組成物(C)に組み込まれ得る。
【0047】
組成物(C)は、PEIポリマー(P1)を、組成物(C)の総重量を基準として、少なくとも1重量%、例えば少なくとも5重量%、少なくとも10重量%、少なくとも15重量%、少なくとも20重量%、少なくとも25重量%、又は少なくとも30重量%の量で含み得る。
【0048】
組成物(C)は、PEIポリマー(P1)を、組成物(C)の総重量を基準として、50重量%超、例えば55重量%超、60重量%超、65重量%超、70重量%超、75重量%超、80重量%超、85重量%超、90重量%超、95重量%超又は99重量%超の量で含み得る。
【0049】
一実施形態によれば、組成物(C)は、PEIポリマー(P1)を、組成物(C)の総重量を基準として、1~99重量%、例えば3~96重量%、6~92重量%又は12~88重量%の範囲の量で含む。
【0050】
組成物(C)は、光安定剤(例えばUV線安定剤)、光増感剤、熱安定剤、酸捕捉剤(すなわち、酸化亜鉛、酸化マグネシウム)、酸化防止剤、顔料、加工助剤、滑剤、難燃剤、及び/又は導電性添加剤(すなわち、カーボンブラック及びカーボンナノフィブリル)からなる群から選択される1つ以上の追加の添加剤を任意選択的に更に含み得る。
【0051】
組成物(C)はまた、本発明のPEIポリマー(P1)以外のポリマー、例えばスルホンポリマー、例えばポリ(ビフェニルエーテルスルホン)(PPSU)、ポリスルホン(PSU)、ポリエーテルスルホン(PES)、若しくはポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリ(アリールエーテルケトン)(PAEK)、例えばポリ(エーテルエーテルケトン)(PEEK)、ポリアミド-イミド(PAI)、ポリイミド(PI)、ポリフェニレン(SRP)、ポリ(エーテルケトンケトン)(PEKK)、ポリ(エーテルケトン)(PEK)若しくはPEEKとポリ(ジフェニルエーテルケトンとのコポリマー)(PEEK-PEDEKコポリマー)、別のポリエーテルイミドポリマー(PEI)、及び/又はポリカーボネート(PC)を更に含み得る。
【0052】
組成物(C)は、ハロゲン難燃剤及びハロゲンを含まない難燃剤などの難燃剤を更に含み得る。
【0053】
組成物(C)は、ガラス繊維、例えばE-ガラス繊維又はASTM D2343に従って測定されるときに少なくとも76、好ましくは少なくとも78、より好ましくは少なくとも80、最も好ましくは少なくとも82GPaの弾性率(引張弾性率とも呼ばれる)を有する高弾性率ガラス繊維も含み得る。組成物(C)はまた、R、S及びTガラス繊維からなる群から選択される高弾性率ガラス繊維を、組成物(C)の総重量を基準として、例えば、少なくとも5重量%、例えば少なくとも10重量%、少なくとも15重量%、少なくとも20重量%、少なくとも25重量%、少なくとも26重量%、又は少なくとも28重量%の量で含み得る。組成物(C)は、円形横断面ガラス繊維及び/又は非円形横断面ガラス繊維(例えば、フラット、長方形、繭形状ガラス繊維)を含み得る。
【0054】
組成物(C)は、炭素繊維、グラフェン又はカーボンナノチューブを含み得る。
【0055】
組成物(C)は、当業者に周知の方法によって製造することができる。例えば、そのような方法としては、溶融混合プロセスが挙げられるが、それらに限定されない。溶融混合プロセスは、典型的には、熱可塑性ポリマーの溶融温度よりも上にポリマー成分を加熱し、それによって熱可塑性ポリマーの溶融物を形成することによって実施される。いくつかの実施形態において、処理温度は、約280~450℃、好ましくは約290~400℃、約300~360℃又は約310~340℃の範囲である。好適な溶融混合装置は、例えば、ニーダー、ブラッドベリ(Bradbury)ミキサー、一軸スクリュー押出機、及び二軸スクリュー押出機である。好ましくは、所望の成分の全てを押出機へと、押出機の供給口に又は溶融物にのいずれかに投入するための手段を備えた押出機が使用される。ポリマー組成物の成分は、溶融混合装置に供給され、その装置において溶融混合される。成分は、乾燥ブレンドとしても知られる、粉末混合物又は顆粒ミキサーとして同時に供給されてもよいし、又は別々に供給されてもよい。
【0056】
第4態様によれば、本発明はまた、本発明のPEIポリマー(P1)の調製方法に関する。
【0057】
第1実施形態によれば、PEIポリマー(P1)の調製方法は、少なくとも以下の2つの工程:
a)式R
nR
mN-P-NR
nR
m(式中、Pは、上に記載されたような繰り返し単位R
PEIを含み、各R
n及びR
mは、独立してH又はアルキル、好ましくはH又は1~5個の炭素原子を有するアルキルである)のPEIポリマー(P0)を提供する工程;
b)PEIポリマー(P0)を、式(I)~(IV):
【化9】
[式中:
- Arは、5~50個の炭素原子を有する置換若しくは非置換の、飽和の、不飽和の又は芳香族単環式及び多環式基からなる群から選択される、三価の芳香族部分であり;
- Ar’は、5~50個の炭素原子を有する置換若しくは非置換の、飽和の、不飽和の又は芳香族単環式及び多環式基からなる群から選択される四価の芳香族部分であり;
- Xは、Cl、Br、F又はIであり、
- 各Zは、
・ O-(CH
2)
k-O-CO-CH=CHR
4(kは、1~20、好ましくは1~8、より好ましくは2~6であり、更にいっそう好ましくは2又は3に等しく;R
4は、H又はアルキル、好ましくは1~5個の炭素原子を有するアルキルである):
・ O-(CH
2)
p-Ar-CR
5=CHR
6又はO-(CH
2)
p-OAr-CR
5=CHR
6(ここで、pは、0~20、好ましくは1~8であり;Arは、1つ又は2つの芳香環又はヘテロ芳香環を含み;R
5及びR
6は、H、アルキル、好ましくは1~5個の炭素原子を有するアルキル、フェニル又はCOOR
7(R
7は、H又はアルキル、好ましくは1~5個の炭素原子を有するアルキルである)である);
・ O-(CH
2)
q-CH=CHR
8(qは、0~20、好ましくは1~8であり;R
8は、H又はアルキル、好ましくは1~5個の炭素原子を有するアルキルである);
・ O-(CH
2)
r-O-CH=CHR
9(rは、0~20、好ましくは1~8であり;R
9は、H又はアルキル、好ましくは1~5個の炭素原子を有するアルキルである);
・
【化10】
(sは、0~20、好ましくは1~8である);
・ O
-、NR
aR
bR
cH
+-(CH
2)
k-O-CO-CH=CHR
4(上k及びR
4は上に定義されたとおりである);
・ O
-、NR
aR
bR
cH
+-(CH
2)
p-Ar-CR
5=CHR
6(p、Ar、R
5及びR
6は上に定義されたとおりである);
・ O
-、NR
aR
bR
cH
+-(CH
2)
p-OAr-CR
5=CHR
6(p、Ar、R
5及びR
6は上に定義されたとおりである);
・ O
-、NR
aR
bR
cH
+-(CH
2)
q-CH=CHR
8(q及びR
8は上に定義されたとおりである);
・ O
-、NR
aR
bR
cH
+-(CH
2)
r-O-CH=CHR
9(r及びR
9は上に定義されたとおりである);
・
【化11】
(sは上に定義されたとおりである);
(式中、R
a、R
b、及びR
cは、独立してH又はアルキル、好ましくは1~5個の炭素原子を有するアルキルである)
からなる群から独立して選択される]
のいずれか1つの化合物と
極性の非プロトン性溶媒及び有機塩基の存在下で反応させる工程
を含む。
【0058】
ポリマーPEI(P0)は、式RnRmN-P-NRnRmに従う。好ましくは、Rn及びRmはHであり、P0は、式H2N-P-NH2に従う。
【0059】
アミン部分(NRnRm又はNH2)が、フェニレン基(C6H6)を介してポリマーPに結合している実施形態において、アミン部分は、ポリマー鎖Pに関してオルト位(1,2-アミノフェニル)、メタ位(1,3-アミノフェニル)、又はパラ位(1,4-アミノフェニル)に、好ましくは炭素鎖に関してパラ位(1,4-アミノフェニル)にあり得る。
【0060】
一実施形態によれば、極性の非プロトン性溶媒は、クロロベンゼン、クロロホルム、N-メチルピロリドン(NMP)、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAC)、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、テトラヒドロフラン(THF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)及びスルホランからなる群から選択される。
【0061】
一実施形態によれば、有機塩基は、ピリジン及びアルキルアミン、例えばトリメチルアミンからなる群から選択される。
【0062】
第2実施形態によれば、PEIポリマー(P1)の調製方法は、少なくとも以下の3つの工程:
a)式R
nR
mN-P-NR
nR
m(式中、Pは繰り返し単位R
PEIを含み、式中
上に記載されたように、各R
n及びR
mは、独立してH又はアルキル、好ましくはH又は1~5個の炭素原子を有するアルキルである)のPEIポリマー(P0)を提供する工程;
b)PEIポリマー(P0)を、式(V)~(VIII):
【化12】
(式中:
- Arは、5~50個の炭素原子を有する置換若しくは非置換の、飽和の、不飽和の又は芳香族単環式及び多環式基からなる群から選択される、三価の芳香族部分であり;
- Ar’は、5~50個の炭素原子を有する置換若しくは非置換の、飽和の、不飽和の又は芳香族単環式及び多環式基からなる群から選択される四価の芳香族部分であり;
- Xは、OH、Cl、Br、F又はIである)
のいずれか1つの化合物と反応させる工程;
c)工程b)において得られたポリマーを、
・ NR
aR
bR
c-(CH
2)
k-O-CO-CH=CHR
4(k及びR
4は上に定義されたとおりである)、
・ NR
aR
bR
c-(CH
2)
p-Ar-CR
5=CHR
6(p、Ar、R
5及びR
6は上に定義されたとおりである)、
・ NR
aR
bR
c-(CH
2)
p-OAr-CR
5=CHR
6(p、Ar、R
5及びR
6は上に定義されたとおりである)、
・ NR
aR
bR
c-(CH
2)
q-CH=CHR
8(q及びR
8は上に定義されたとおりである)、
・ NR
aR
bR
c-(CH
2)
r-O-CH=CHR
9(r及びR
9は上に定義されたとおりである)、
・
【化13】
(sは上に定義されたとおりである)、
(式中、R
a、R
b、及びR
cは、独立してH又はアルキル、好ましくは1~5個の炭素原子を有するアルキルである)
のいずれか1つの化合物と反応させる工程
を含む。
【0063】
第5態様によれば、本発明はまた、3D物品を付加製造システムで製造する方法であって、
- 上に記載されたようなポリマー調合物(F)を提供する工程、
- 3D物品の層をポリマー調合物(F)から印刷する工程、
- 任意選択的に、3D物品を、50~450℃、好ましくは100~300℃、更にいっそう好ましくは120~180℃の範囲の温度で硬化させる工程
を含む方法に関する。
【0064】
一実施形態によれば、印刷する工程は、ポリマー調合物(F)、例えば印刷表面上へ堆積させられたそのような調合物(F)の層にUV光を照射することを含む。例えば、UV光を使って、層は、好ましくは、5μm~300μm、例えば20μm~150μmの範囲のサイズを示す。
【0065】
光源は例えばレーザー光であることができる。照射は、好ましくは、ポリマー調合物(F)、例えばそのような調合物(F)の層の実質的な硬化を引き起こすのに十分な強度のものである。また、照射は、好ましくは、ポリマー調合物(F)の層の接着を引き起こすのに十分な強度のものである。
【0066】
本発明の別の実施形態によれば、3D物品を付加製造システムで製造する方法は、
- 上に記載されたようなポリマー調合物(F)を提供する工程、
- 3D物品の層をポリマー調合物(F)から
a)調合物(F)の層を表面上へコートすること、
b)層に光、例えばUV光又は可視光を照射すること、
c)調合物(F)の層を、前の照射された層上へコートすること、
d)層に光、例えばUV光又は可視光を照射すること、
並びに
e)工程c)及びd)を、3D物品を製造するのに十分な回数繰り返すこと
によって印刷する工程
を含む。
【0067】
一実施形態によれば、ポリマー調合物(F)は、プロセスの間ずっと室温にある。或いはまた、調合物は、調合物中のポリマー濃度が高い場合にとりわけ、印刷前に及び/又は印刷中に加熱することができる。この場合に、温度は、印刷前に及び/又は印刷中に130℃以下、120℃以下又は110℃以下に加熱することができる。
【0068】
本発明はまた、3D物体/物品の製造のための、本発明のポリマー(P1)の又は本発明のポリマー調合物(F)の使用に関する。
【0069】
ポリマー(P1)及びポリマー調合物(F)に関して上に記載された実施形態の全てが、3D物体/物品の製造のための使用に等しく当てはまる。
【0070】
本発明はまた、本明細書で記載されるポリマー(P1)又はポリマー調合物(F)を使用して、少なくとも部分的に、本発明の製造方法から得られる3D物体又は3D物品に関する。
【0071】
そのような製造方法によって得られる3D物体又は物品は、様々な最終用途において使用することができる。特に、埋込式デバイス、歯科用人工装具、ブラケット並びに航空宇宙産業における複雑な造形部品及び自動車産業におけるアンダーフード部品を挙げることができる。
【0072】
参照により本明細書に援用される任意の特許、特許出願及び刊行物の開示が、それが用語を不明確にし得る程度まで本出願の記載と矛盾する場合、本記載が優先するものとする。
【0073】
本発明はこれから以下の実施例に関連してより詳細に説明されるが、その目的は例示的であるにすぎず、本発明の範囲を限定するものではない。
【実施例】
【0074】
本発明によるPEIポリマー(P1)及び対応するPEIポリマー(P2)を調製し、キャラクタリゼーションした。
【0075】
分子量(Mn、Mw、Mz及びMz+1)
分子量は、移動相としてN,N-ジメチルホルムアミドを使用して、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定した。Agilent Technologies製のガードカラム付きの2本の5μ混合Dカラムを分離のために使用した。クロマトグラムを得るために254nmの紫外検出器を用いた。1.5ml/分の流量及び移動相中の0.2w/v%溶液の20μLの注入量を選択した。較正は、12の狭い分子量のポリスチレン標準(ピーク分子量範囲:371,000~580g/mol)を使って行った。数平均分子量Mn、重量平均分子量Mw、より高い平均分子量Mz及びMz+1を報告した。
【0076】
実施例1.PEIポリマー(P1-A)の合成
この実施例は、スキーム1に従った繰り返し単位R
PEIを含む、ポリマー(P1-A)の合成を実証する。
【化14】
【0077】
反応剤アミン-PEI及びPDMA-HEA(I-A)の形成
アミン-PEI(ポリマーP0-A)を次の通り合成した:
【0078】
100mLの3口フラスコ(機械撹拌機、110℃でのヒートテープに包まれたDean-Starkトラップ、冷却器(Dean-Starkトラップの上方の)、及び窒素ガス入口/出口、並びに油浴と一緒に外部熱電対を備えた)に、1,3-ビス[N-(4-クロロフタルイミド)]ベンゼン(11.0841g)、4,4’-ビフェノール(5.2290g)、m-アミノフェノール(0.4685g)、及びK2CO3(3.6825g)を、19.5重量%固形分溶液ために、NMP(22.29g)、トルエン(13.66g)及びスルホラン(60.21g)の混合物中に懸濁させた。混合物を撹拌(160rpm)しながら及び中位の窒素流れで、140℃で1h加熱し、次いで210℃で10h加熱した。溶液を60℃に冷却し、灰色の沈殿物を生じさせる500mLの脱イオン水を含有するブレンダーにおいて凝固させた。集められた固体物質を次いで、熱H2O(3×500mL)で繰り返し洗浄し、濾過し、次いでメタノール(3×500mL)で洗浄した。濾過によって集められた最終固体物質を、次いで真空オーブン(45℃、25インチHg)中で72h乾燥させて11.54gの淡灰色の固体を得た。
【0079】
PDMA-HEA二酸塩化物(I-A)(PMDA-HEA-Cl、Mw:455.24g/mol)は、文献に報告された方法に従って合成した。特にHedgeら「3D Printing All-Aromatic Polyimides using Mask-Projection Stereolithography:Processing the Nonprocessable」(Adv.Mater.2017,29)に言及することができる。
【0080】
PEIポリマー(P1-A)の形成
ガス入口、磁気撹拌子及び熱電対を備えた3口フラスコに、2.3195gのアミン-PEI、0.1mLのピリジン及び10.5mLの乾燥NMPを装入した。フラスコに、0.2036gのPMDA-HEA(I-A)を次いで単一部分として添加し、次いで室温で4h撹拌するままにした。混合後に溶液を、500mLのMeOH中へ凝固させ、各洗浄で激しく撹拌してMeOH(500mL×3)洗浄した。沈殿剤を真空濾過下に集め、減圧下(25インチHg)に25℃で48h乾燥させた。収量 2.4456g。
【0081】
実施例2.PEIポリマー(P2-A)の合成
この実施例は、スキーム2に従った、PEIポリマー(P2-A)の合成を実証する。
【化15】
【0082】
チューブ炉に506.7mgのポリマーP1-Aを装入し、N2の流れ下に20分間パージした。サンプルが炉から取り出されるまでN2の流れを保った。パージ後に、チューブを次いで250℃で17分間加熱した。加熱後に、チューブを室温まで放冷し(約1.5h)、サンプルを炉から取り出した。
【0083】
実施例3.PEIポリマー(P1-A)及び(P2-A)のキャラクタリゼーション
異なるポリマーをGPCによってキャラクタリゼーションして分子量(Mn及びMw)並びに多分散指数(PDI)を測定した。結果を表1にまとめる。
【0084】
【国際調査報告】