(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-01
(54)【発明の名称】(ポリ)カルボジイミド化合物及び着色剤を含む組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/88 20060101AFI20230125BHJP
A61Q 5/10 20060101ALI20230125BHJP
A61K 8/19 20060101ALI20230125BHJP
【FI】
A61K8/88
A61Q5/10
A61K8/19
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022529062
(86)(22)【出願日】2020-11-19
(85)【翻訳文提出日】2022-05-18
(86)【国際出願番号】 EP2020082777
(87)【国際公開番号】W WO2021099517
(87)【国際公開日】2021-05-27
(32)【優先日】2019-11-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391023932
【氏名又は名称】ロレアル
【氏名又は名称原語表記】L’OREAL
【住所又は居所原語表記】14 Rue Royale,75008 PARIS,France
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133086
【氏名又は名称】堀江 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】アレクシ・リアール
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB232
4C083AC181
4C083AC182
4C083AD071
4C083AD072
4C083AD091
4C083AD092
4C083AD151
4C083AD161
4C083AD162
4C083BB21
4C083CC36
(57)【要約】
本発明は、ケラチン繊維を処理するための組成物(C)であって、式(I)の化合物から選択される少なくとも1つの(ポリ)カルボジイミド化合物と、顔料、直接染料及びこれらの混合物から選択される少なくとも1種の着色剤とを含む組成物(C)に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケラチン繊維を処理するための組成物(C)であって、
a)以下の式(I):
【化1】
(式(I)中、
- X
1及びX
2は、独立に、酸素原子O、硫黄原子S又は窒素原子NHを表し;
- R
1及びR
2は、独立に、1つ又は複数のヘテロ原子が任意選択的に介在する炭化水素系基を表し、
- n及びzは、1~20の範囲の整数を表し、ここで、n+z≧2であり、及びwは、1~3の範囲の整数を表し;
- L
1は、独立に、2価のC
1~C
18脂肪族炭化水素系基、C
3~C
15シクロアルキレン基、C
3~C
12ヘテロシクロアルキレン基又はC
6~C
14アリーレン基及びこれらの混合物を表し;
- Eは、独立に、
- -O-R
3-O-;-S-R
4-S-;-R
5-N(R
6)-R
4-N(R
6)-R
5-
(式中、R
3及びR
4は、独立に、1つ又は複数のヘテロ原子が任意選択的に介在する2価の炭化水素系基を表し;
- R
5は、独立に、共有結合又は1つ若しくは複数のヘテロ原子が任意選択的に介在する2価の飽和炭化水素系基を表し;
- R
6は、独立に、水素原子又は1つ若しくは複数のヘテロ原子が任意選択的に介在する炭化水素系基を表す)
から選択される基を表す)
の化合物から選択される少なくとも1つの(ポリ)カルボジイミド化合物と、
b)顔料、直接染料及びこれらの混合物から選択される少なくとも1つの着色剤と
を含む組成物(C)。
【請求項2】
前記(ポリ)カルボジイミド化合物は、前記式(I)の化合物から選択され、式(I)において、
- X
1及びX
2は、独立に、酸素原子を表し;
- R
1及びR
2は、独立に、ヒドロキシル基が除かれている、ジアルキルアミノアルコール、ヒドロキシカルボン酸のアルキルエステル及び(ポリ)アルキレングリコールのモノアルキルエーテル並びにこれらの混合物から選択され;
- n及びzは、1~20の範囲の整数を表し、ここで、n+z≧2であり、及びwは、1に等しく;
- L
1は、2価のC
1~C
18脂肪族炭化水素系基、C
3~C
15シクロアルキレン基、C
3~C
12ヘテロシクロアルキレン基又はC
6~C
14アリーレン基及びこれらの混合物から選択され;
- Eは、独立に、
- -O-R
3-O-;-S-R
4-S-;-R
5-N(R
6)-R
4-N(R
6)-R
5-
(式中、R
3及びR
4は、独立に、1つ又は複数のヘテロ原子が任意選択的に介在する、C
6~C
14アリーレン基、C
3~C
12シクロアルキレン基、直鎖又は分岐のC
1~C
18アルキレン基及びこれらの混合物から選択され;
- R
5が共有結合ではない場合、R
5は、1つ又は複数のヘテロ原子が任意選択的に介在する、C
6~C
14アリーレン基、C
3~C
12シクロアルキレン基、直鎖又は分岐のC
1~C
18アルキレン基及びこれらの混合物から選択され;及び
- R
6は、1つ又は複数のヘテロ原子が任意選択的に介在する、C
6~C
14アリーレン基、C
3~C
12シクロアルキレン基、直鎖又は分岐のC
1~C
18アルキレン基及びこれらの混合物から選択される)
から選択される基を表すことを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記(ポリ)カルボジイミド化合物は、前記式(I)の化合物から選択され、式(I)において、
- X
1及びX
2は、独立に、酸素原子を表し;
- R
1及びR
2は、独立に、ヒドロキシル基が除かれている、(ポリ)アルキレングリコールのモノアルキルエーテルであり;
- n及びzは、1~20の範囲の整数を表し、ここで、n+z≧2であり、及びwは、1に等しく;
- L
1は、C
3~C
15シクロアルキレン基であり;
- Eは、独立に、
- -O-R
3-O-;-S-R
4-S-;-R
5-N(R
6)-R
4-N(R
6)-R
5-
(式中、R
3及びR
4は、独立に、1つ又は複数のヘテロ原子が任意選択的に介在する、C
6~C
14アリーレン基、C
3~C
12シクロアルキレン基、直鎖又は分岐のC
1~C
18アルキレン基及びこれらの混合物から選択され;
- R
5が共有結合ではない場合、R
5は、1つ又は複数のヘテロ原子が任意選択的に介在する、C
6~C
14アリーレン基、C
3~C
12シクロアルキレン基、直鎖又は分岐のC
1~C
18アルキレン基及びこれらの混合物から選択され;及び
- R
6は、1つ又は複数のヘテロ原子が任意選択的に介在する、C
6~C
14アリーレン基、C
3~C
12シクロアルキレン基、直鎖又は分岐のC
1~C
18アルキレン基及びこれらの混合物から選択される)
から選択される基を表すことを特徴とする、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記(ポリ)カルボジイミド化合物は、前記式(I)の化合物から選択され、式(I)において、
- X
1及びX
2は、独立に、酸素原子を表し;
- R
1及びR
2は、独立に、以下の式(V):
R
13-[O-CH
2-C(H)(R
14)]
q- (V)
(式中、R
13は、C
1~C
4アルキル基又はフェニル、好ましくはC
1~C
4アルキル基、より優先的にはメチルを表し、R
14は、水素原子又はC
1~C
4アルキル基、好ましくは水素原子を表し、及びqは、4~30の範囲の整数を表す)
の化合物を表し;
- n及びzは、2~20の範囲の整数を表し、ここで、n+zは、4~10の範囲であり、及びwは、1に等しく;
- L
1は、シクロペンチレン、シクロヘプチレン、シクロへキシレン及び4,4-ジシクロへキシレンメタンなどのC
3~C
15シクロアルキレン基であり、及び
- Eは、-O-R
3-O-基(式中、R
3は、1つ又は複数のヘテロ原子が任意選択的に介在する、C
6~C
14アリーレン基、C
3~C
12シクロアルキレン基、直鎖又は分岐のC
1~C
18アルキレン基及びこれらの混合物から選択される)を表すことを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記(ポリ)カルボジイミド化合物は、前記式(I)の化合物から選択され、式(I)において、
- X
1及びX
2は、独立に、酸素原子を表し;
- R
1及びR
2は、独立に、以下の式(V):
R
13-[O-CH
2-C(H)(R
14)]
q- (V)
(式中、R
13は、C
1~C
4アルキル基又はフェニル、好ましくはC
1~C
4アルキル基、より優先的にはメチルを表し、R
14は、水素原子又はC
1~C
4アルキル基、好ましくは水素原子を表し、及びqは、4~30の範囲の整数を表す)
の化合物を表し;
- n及びzは、1~20の範囲の整数を表し、ここで、n+zは、4~10の範囲であり、及びwは、1に等しく;
- L
1は、シクロペンチレン、シクロヘプチレン、シクロへキシレン及び4,4-ジシクロへキシレンメタンなどのC
3~C
15シクロアルキレン基、好ましくは4,4-ジシクロへキシレンメタンであり;及び
- Eは、-O-R
3-O-基(式中、R
3は、1つ又は複数のヘテロ原子が任意選択的に介在する、メチレン、プロピレン、ブチレン又はエチレンなどの直鎖又は分岐のC
1~C
18アルキレン基を表す)を表すことを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記(ポリ)カルボジイミド化合物は、以下の式(XI):
【化2】
(式中、L
1は、4,4-ジシクロへキシレンメタンであり、n及びzは、1~20の範囲の整数を表し、ここで、n+zは、4~10の範囲であり、Eは、-O-R
3-O-基(式中、R
3は、1つ又は複数のヘテロ原子が任意選択的に介在する、メチレン、プロピレン、ブチレン又はエチレンなどの直鎖又は分岐のC
1~C
18アルキレン基を表す)を表し、且つr及びsは、4~30の範囲の整数を表す)
の化合物から選択されることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記(ポリ)カルボジイミド化合物の総量は、組成物(C)の総質量に対して0.01質量%~40質量%、好ましくは0.1質量%~30質量%、より良好には0.5質量%~25質量%、一層より良好には1質量%~10質量%の範囲であることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
ポリウレタン、アクリル系ポリマー及びこれらの混合物から選択される、好ましくはアクリル系ポリマー粒子の水性分散物から、より優先的には皮膜形成性アクリル系ポリマー粒子の水性分散物から選択される、ポリマーの粒子の少なくとも1つの水性分散物を含むことを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記アクリル系ポリマーは、以下のモノマー:
a)(メタ)アクリル酸;及び
b)C
1~C
30、より優先的にはC
1~C
20、より良好にはC
1~C
10、一層より詳細にはC
1~C
4アルキル(メタ)アクリレート
から誘導された1つ又は複数の単位を含むことを特徴とする、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
前記組成物中に存在するポリマー粒子の前記水性分散物の総量は、組成物(C)の総質量に対して0.1質量%~40質量%、より優先的には0.1質量%~35質量%、より良好には0.2質量%~30質量%の範囲であることを特徴とする、請求項8又は9に記載の組成物。
【請求項11】
少なくとも1つのシリコーンを含むことを特徴とする、請求項1~10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
前記シリコーンは、非アミノシリコーン、アミノシリコーン及びこれらの混合物から選択されることを特徴とする、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
前記シリコーンは、前記組成物の総質量に対して0.01質量%~20質量%、好ましくは組成物(C)の総質量に対して0.05質量%~15質量%、より優先的には0.1質量%~10質量%、一層より優先的には0.1質量%~5質量%の範囲の総量で存在することを特徴とする、請求項11又は12に記載の組成物。
【請求項14】
毛髪などのケラチン繊維を化粧的に処理する、特に染色するための方法であって、請求項1~13のいずれか一項に記載の組成物(C)は、前記繊維に適用される、方法。
【請求項15】
毛髪などのケラチン繊維を化粧的に処理する、特に染色するための、請求項1~13のいずれか一項に記載の組成物(C)の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケラチン繊維を処理するための組成物(C)であって、式(I)の化合物から選択される少なくとも1つの(ポリ)カルボジイミド化合物と、顔料、直接染料及びこれらの混合物から選択される少なくとも1つの着色剤とを含む組成物(C)に関する。
【0002】
本発明は、ケラチン繊維を処理するための方法にも関する。
【背景技術】
【0003】
ケラチン繊維、特にヒトのケラチン繊維の染色分野において、非永久的な染色を行うために直接染料若しくは顔料を用いるか、又は永久的な染色を行うために染料プレカーサーを用いる様々な技法によってケラチン繊維を染色する手法は、既に知られている。
【0004】
毛髪を染色する方法は、基本的に3種類ある。
a)「永久」染毛:その作用は、本来の色を大幅に修正することが可能であり、毛髪繊維に浸透し、酸化縮合過程を介して色素を生成する酸化染料を使用する。
【0005】
b)非永久的、半永久的又は直接染毛:酸化縮合過程を用いず、4~5回のシャンプー洗浄に耐える。これは、ケラチン繊維を、直接染料を含む染料を用いて染色することを含む。
【0006】
c)一時染毛:毛髪本来の色を修正し、1回目のシャンプー洗浄から次のシャンプー洗浄まで残存し、既に得られている色合いを増強又は補正する役割を果たす。これは「メーキャップ」方法にも関連付けられ得る。
【0007】
最後に挙げた種類の染色は、アゾ、トリフェニルメタン、アジン、インドアミン又はアントラキノンの性質を有する1つ又は複数の染料を高分子鎖上にグラフトさせることにより生成する有色ポリマーを使用する、公知の手法である。このような有色ポリマーは、特に、得られた色の均一性及びその耐性に関して完全に満足できるものではなく、その製造、特に再現性に関連する問題に関しては、言うまでもない。
【0008】
他の染色方法は、顔料を使用することを含む。具体的には、ケラチン繊維の表面で顔料を使用すると、一般に、表面の顔料が繊維本来の色を覆い隠すため、暗色の毛髪に視認できる色に着色することが可能である。しかしながら、この染色方法により得られる着色は、シャンプー洗浄に対する耐性のみならず、皮脂、汗、送風による乾燥及び/又は摩擦などの外部作用物質に対する耐性も劣るという欠点がある。
【0009】
更に、一時染毛用組成物を用いた場合、毛髪が、美しくない及び/又は不自然な感じに仕上がることもあり;こうして染色された毛髪は、特に柔軟性、及び/又はしなやかさ、及び/又はほどけ易さに欠けることもある。
【0010】
更に、この種の一時染毛用組成物がシャンプー洗浄に対して持続性を示す場合、これを除去するのに有効なメーク落とし組成物が存在しない。
【0011】
したがって、毛髪上に均一且つ滑らかな有色の被覆が得られると共に、完全にほどけた毛髪が得られるという利点を有し、同時に、髪質を低下させることなく、シャンプー洗浄並びに送風による乾燥及び/又は摩擦などの毛髪が曝され得る様々な攻撃因子に対して持続性を示す被覆を形成する、ケラチン繊維、特に毛髪を処理するための組成物が依然として求められている。この有色の被覆は、必要に応じて除去できることも必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】WO 2017/117522 A1
【特許文献2】US 2018/371237 A1
【特許文献3】KR 101 453 218 B1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
したがって、本発明の目的は、毛髪上に均一且つ滑らかな有色の被覆が得られると共に、完全にほどけた毛髪が得られるという利点を有し、同時に、髪質を低下させることなく、シャンプー洗浄並びに送風による乾燥及び/又は摩擦などの毛髪が曝され得る様々な攻撃因子に対して持続性を示す被覆を形成する、ケラチン繊維、特に毛髪を処理するための組成物を発展させることである。有利には、この有色の被覆は、必要に応じて容易に除去することができる。
【課題を解決するための手段】
【0014】
したがって、本発明の1つの主題は、ケラチン繊維を処理するための組成物(C)であって、
a)後に定義する式(I)の化合物から選択される少なくとも1つの(ポリ)カルボジイミド化合物と;
b)顔料、直接染料及びこれらの混合物から選択される少なくとも1つの着色剤と
を含む組成物(C)である。
【0015】
本発明は、毛髪などのケラチン繊維を化粧的に処理する、特に染色するための方法であって、先に定義した組成物(C)は、前記繊維に適用される、方法にも関する。
【0016】
組成物(C)をケラチン繊維に使用すると、あらゆるタイプの毛髪上で視認できる色に着色することが可能な有色の被覆は、シャンプー洗浄に対する持続性を示すと同時に、ケラチン繊維の物理的品質を維持する方式で毛髪上に得られる。この種の被覆は、送風による乾燥及び汗などの毛髪が曝され得る外的攻撃因子に耐えることができる。それにより、特に滑らか且つ均一な堆積物を得ることが可能となる。
【0017】
更に、この組成物を用いることにより、整髪を問題なく行うことが可能であり、且つ特に柔軟性及び手触りの観点で美容特性に優れる、完全にほどけた毛髪を得ることが可能になる。
【0018】
有利には、こうして得られた有色の被覆は、メーク落とし組成物を用いることによって容易に除去することができる。
【0019】
「ほどけた毛髪」という用語は、組成物を適用して乾燥させた後、互いに固着しておらず(即ち毛束が全て互いに分離しており)、したがって毛髪の固まりを形成していない毛髪を意味する。
【0020】
本発明の目的のために、「シャンプー洗浄に対する持続性を示す着色」という用語は、得られた着色が、1回のシャンプー洗浄後、好ましくは3回のシャンプー洗浄後、より優先的には5回シャンプー洗浄後も持続することを意味する。
【0021】
「ケラチン繊維」という用語は、特に、ヒトのケラチン繊維、例えば頭髪、睫毛、眉毛及び体毛、優先的には頭髪、眉毛及び睫毛、一層より優先的には頭髪を意味する。
【0022】
「少なくとも1つ」という用語は、1つ又は複数を意味する。
【0023】
本発明は、例示する実施例に限定されない。様々な実施例の特徴は、特に、例示していない変形形態の範囲内で組み合わせることができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の目的のために、且つ別段の指定がない限り、以下の通りである:
- 「アルキル」基とは、1~24個の炭素原子、特に1~20個の炭素原子、より詳細には1~12個の炭素原子を含む、好ましくはC1~C6、一層より優先的にはC2~C4飽和直鎖又は飽和分岐炭化水素系基を指し;例えば、アルキル基は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert-ブチル、ペンチル、イソペンチル、ヘキシル、イソヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル又はデシルを表し、好ましくはメチル、エチル又はプロピルである;
- 「アミノアルキル」基とは、前記アルキル基がNH2基を含む、先に定義したアルキル基を指す;
- 「ヒドロキシアルキル」基とは、前記アルキル基がOH基を含む、先に定義したアルキル基を指す;
- 「アルキレン」基とは、先に定義した「アルキル」を有する2価のアルキル基を指し、優先的にはC2~C4の、直鎖又は分岐の、メチレン、エチレン又はプロピレンなどである;
- 「シクロアルキル」又は「アリシクロアルキル」基は、1~3個の環、好ましくは2個の環を含み、3~24個の炭素原子を含み、特に3~20個の炭素原子、より詳細には3~13個の炭素原子、一層より詳細には3~12個の炭素原子、好ましくは5~10個の炭素原子を含む、環状の飽和単環式又は二環式、好ましくは単環式の炭化水素系基、例えば、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル又はノルボルニル、特にシクロプロピル、シクロペンチル又はシクロヘキシルを指し、シクロアルキル基は、1つ又は複数のメチルなどの(C1~C4)アルキル基で置換され得;その場合、好ましくは、シクロアルキル基は、イソボルニル基となることが理解される;
- 「シクロアルキレン」基とは、先に定義した「シクロアルキル」を有する、好ましくはC3~C12の2価のシクロアルキル基を指す;
- 「アリール」基とは、6~14個の炭素原子、好ましくは6~12個の炭素原子を含む、単環式、二環式又は三環式の、縮合又は非縮合の不飽和芳香族炭化水素系環式基であり;好ましくは、アリール基は、6個の炭素原子を有する1つの環を含む、例えばフェニル、ナフチル、フェナントリルであり、フェニルは、アリール基が1つ又は複数のメチルなどの(C1~C4)アルキル基で置換された、好ましくは、トリル、キシリル又はメチルナフチルであり得ることが理解され;好ましくは、アリール基は、フェニルを表す;
- 「アリーレン」基は、先に定義した「アリール」を有する2価のアリール基であり;好ましくは、アリーレンは、フェニレンを表す;
- 「複素環式」基は、1つ又は複数のヘテロ原子、好ましくは、O、S又はNから選択される1~5個の原子を含み、3~20個の環員、好ましくは5~10個の環員を含む、飽和又は不飽和の、非芳香族又は芳香族の単環式又は多環式炭化水素系基、例えばイミダゾリル、ピロリル及びフラニルなどである;
- 「ヘテロシクロアルキレン」基は、先に定義した「複素環式」を有する2価の複素環式基である;
- 「アリールオキシ」基は、先に定義した「アリール」を有するアリール-オキシ又はアリール-O基を指す;
- 「アルコキシ」基は、先に定義した「アルキル」を有するアルキル-オキシ又はアルキル-O-基を指す;
- 「アシルオキシ」基は、Rが先に定義したアルキル基である、エステル基R-C(O)-O-を指す。
【0025】
本発明による組成物(C)は、好ましくは、毛髪などのケラチン繊維を染色するための組成物である。
【0026】
(ポリ)カルボジイミド化合物:
本発明による組成物(C)は、以下の式(I):
[化学式1]
【化1】
(式(I)中、
- X
1及びX
2は、独立に、酸素原子O、硫黄原子S又はNH基を表し;
- R
1及びR
2は、独立に、1つ又は複数のヘテロ原子が任意選択的に介在する炭化水素系基を表し、
- n及びzは、1~20の範囲の整数を表し、ここで、n+z≧2であり、及びwは、1~3の範囲の整数を表し;
- L
1は、独立に、2価のC
1~C
18脂肪族炭化水素系基、C
3~C
15シクロアルキレン基、C
3~C
12ヘテロシクロアルキレン基又はC
6~C
14アリーレン基及びこれらの混合物を表し;
- Eは、独立に、
- -O-R
3-O-;-S-R
4-S-;-R
5-N(R
6)-R
4-N(R
6)-R
5-
(式中、R
3及びR
4は、独立に、1つ又は複数のヘテロ原子が任意選択的に介在する2価の炭化水素系基を表し;
- R
5は、独立に、共有結合又は1つ若しくは複数のヘテロ原子が任意選択的に介在する2価の飽和炭化水素系基を表し;
- R
6は、独立に、水素原子又は1つ若しくは複数のヘテロ原子が任意選択的に介在する炭化水素系基を表す)
から選択される基を表す)
の化合物から選択される少なくとも1つの(ポリ)カルボジイミド化合物を含む。
【0027】
この組成物は、組成物中に混合物として存在する少なくとも2種の異なる(ポリ)カルボジイミド化合物を含むことができる。
【0028】
「(ポリ)カルボジイミド化合物」という用語は、1つ又は複数のカルボジイミド基、好ましくは少なくとも2個のカルボジイミド基、より優先的には少なくとも3個のカルボジイミド基を含む化合物を意味し;特に、カルボジイミド基の数は、200を超えず、好ましくは150を超えず、より優先的には100を超えない。
【0029】
「カルボジイミド基」は、一般式-(N=C=N)-で表される直鎖状3原子部分を意味する。
【0030】
「炭化水素系基」という用語は、1~300個の炭素原子、好ましくは1~250個の炭素原子、より優先的には1~200個の炭素原子を含む、飽和又は不飽和の直鎖又は分岐の基を意味する。好ましくは、炭化水素系基は、飽和直鎖基である。
【0031】
炭化水素系基は、1つ又は複数の環式基を含むことができる。
【0032】
炭化水素系基は、特に、O、S若しくはNから選択される1つ若しくは複数のヘテロ原子が介在し得、且つ/又は1つ若しくは複数の陽イオン、陰イオン、若しくは双性イオン、若しくはアンモニウムなどのカチオン性基、カルボキシレートなどのアニオン性基、若しくは双性イオン性基で置換され得、且つ/又は塩の形態で組み込むことができる金属イオンを含み得る。
【0033】
「ヘテロ原子」という用語は、酸素O、硫黄S又は窒素N原子に加えて、Cl、F、Br及びIなどのハロゲン原子も意味する。ヘテロ原子が炭化水素系基の鎖中に含まれる場合、このヘテロ原子は、好ましくは、酸素O、硫黄S又は窒素N原子から選択される。
【0034】
好ましくは、X1及びX2は、独立に、酸素原子を表す。
【0035】
好ましくは、R1及びR2は、独立に、ヒドロキシル基が除かれている、ジアルキルアミノアルコール、ヒドロキシカルボン酸のアルキルエステル及び(ポリ)アルキレングリコールのモノアルキルエーテル並びにこれらの混合物から選択される。
【0036】
好ましい実施形態において、R1及びR2は、以下の基(i)~(iv)から独立に選択される。
【0037】
(i)以下の式(II):
[化学式2]
R7-O-C(O)-C(R8)(H)- (II)
(式中、R7は、C1~C3アルキル基を表し、R8は、水素原子又はC1~C3アルキル基を表し;好ましくは、R7は、メチルであり、R8は、水素原子又はメチルである)
の化合物。
【0038】
(ii)以下の式(III):
[化学式3]
R9-[O-CH2-C(H)(R10)]p- (III)
(式中、R9は、C1~C4アルキル基を表し、R10は、水素原子又はC1~C4アルキル基を表し、pは、1~3の範囲の整数を表し;好ましくは、R9は、メチル、エチル又はブチルであり、R10は、水素原子又はメチルであり、pは、1に等しい)
の化合物。
【0039】
(iii)以下の式(IV):
[化学式4]
(R11)2N-CH2-C(H)(R12)- (IV)
(式中、R11は、C1~C4アルキル基を表し、R12は、水素原子又はC1~C4アルキル基を表し;好ましくは、R11は、メチル、エチル又はブチルであり、R12は、水素原子又はメチルである)
の化合物。
【0040】
(iv)以下の式(V):
[化学式5]
R13-[O-CH2-C(H)(R14)]q- (V)
(式中、R13は、C1~C4アルキル基を表し、R14は、水素原子又はC1~C4アルキル基を表し、及びqは、4~30の範囲の整数を表し;好ましくは、R13は、メチル、エチル又はブチルであり、R14は、水素原子又はメチルである)
の化合物。
【0041】
好ましくは、R1及びR2は、独立に、式(V)の化合物を表し、式中、R13は、C1~C4アルキル基又はフェニル、好ましくはC1~C4アルキル基、より優先的にはメチルを表し、R14は、水素原子又はC1~C4アルキル基、好ましくは水素原子を表し、及びqは、4~30の範囲の整数を表す。
【0042】
代替的な実施形態によれば、R1及びR2は、異なり、R1又はR2基の一方は、上に述べた式(III)の化合物を表し、R1又はR2基の他方は、上に述べた式(V)の化合物を表す。
【0043】
好ましくは、式(III)において、R9は、メチル、エチル又はブチルであり、R10は、水素原子又はメチルであり、pは、1に等しい。
【0044】
好ましくは、式(V)において、R13は、メチル、エチル又はブチルであり、R14は、水素原子又はメチルであり、qは、4~30の範囲の整数を表す。
【0045】
他の代替的な実施形態によれば、R1及びR2は、同一であり、式(V)の化合物を表し、式中、R13は、C1~C4アルキル基又はフェニル、好ましくはC1~C4アルキル基、より優先的にはメチルを表し、R14は、水素原子又はC1~C4アルキル基、好ましくは水素原子を表し、及びqは、4~30の範囲の整数を表す。
【0046】
好ましくは、nは、1~20、より優先的には2~20の範囲の整数である。
【0047】
好ましくは、zは、1~20、より優先的には2~20の範囲の整数を表す。
【0048】
好ましくは、wは、1に等しい。
【0049】
好ましくは、wは、1に等しく、n+zは、4~10の範囲の整数を表す。
【0050】
好ましくは、L1は、メチレン、エチレン及びプロピレンなどの2価のC1~C18脂肪族炭化水素系基、シクロペンチレン、シクロヘプチレン及びシクロへキシレンなどのC3~C15シクロアルキレン基、イミダゾレン、ピロレン及びフラニレンなどのC3~C12ヘテロシクロアルキレン基又はフェニレンなどのC6~C14アリーレン基並びにこれらの混合物から選択される。
【0051】
例えば、L1は、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,12-ドデカンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、2,4-ビス(8-イソシアナトオクチル)-1,3-ジオクチルシクロブタン、4,4’-ジシルクロヘキシルメタンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,5-ナプタチレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート及びフェニレンジイソシアネート並びにこれらの混合物から誘導される基から選択することができる。
【0052】
好ましくは、L
1は、C
3~C
15シクロアルキレン基又はC
6~C
14アリーレン基及びこれらの混合物、例えば以下の式(VI)の化合物から選択される。
[化学式6]
【化2】
【0053】
好ましくは、L
1は、以下の式(VII)に対応する4,4-ジシクロへキシレンメタンである。
[化学式7]
【化3】
【0054】
他の実施形態によれば、L
1がC
6~C
14アリーレン基である場合、L
1は、以下の式(VIII)で表されるm-テトラメチルキシリレン基ではない。
[化学式8]
【化4】
【0055】
先に述べたように、Eは、独立に、
- -O-R3-O-;-S-R4-S-;-R5-N(R6)-R4-N(R6)-R5-
(式中、R3及びR4は、独立に、1つ又は複数のヘテロ原子が任意選択的に介在する2価の炭化水素系基を表し;
- R5は、独立に、共有結合又は1つ若しくは複数のヘテロ原子が任意選択的に介在する2価の飽和炭化水素系基を表し;及び
- R6は、独立に、水素原子又は1つ若しくは複数のヘテロ原子が任意選択的に介在する炭化水素系基を表す)
から選択される基を表す。
【0056】
好ましくは、R3及びR4は、1つ又は複数のヘテロ原子が任意選択的に介在する、フェニレンなどのC6~C14アリーレン基、シクロプロピレン及びシクロブチレンなどのC3~C12シクロアルキレン基、メチレン及びエチレンなどの直鎖又は分岐C1~C18アルキレン基並びにこれらの混合物から独立に選択される。
【0057】
より優先的には、R3及びR4は、1つ又は複数のヘテロ原子が任意選択的に介在する、メチレン、ブチレン、プロピレン又はエチレンなどの直鎖又は分岐のC1~C18アルキレン基から独立に選択される。
【0058】
好ましくは、R5が共有結合ではない場合、R5は、1つ又は複数のヘテロ原子が任意選択的に介在する、フェニレンなどのC6~C14アリーレン基、シクロプロピレン及びシクロブチレンなどのC3~C12シクロアルキレン基、メチレン及びエチレンなどの直鎖又は分岐のC1~C18アルキレン基並びにこれらの混合物から選択される。
【0059】
好ましくは、R6は、1つ又は複数のヘテロ原子が任意選択的に介在する、フェニレンなどのC6~C14アリーレン基、シクロプロピレン及びシクロブチレンなどのC3~C12シクロアルキレン基、メチレン及びエチレンなどの直鎖又は分岐のC1~C18アルキレン基並びにこれらの混合物から選択される。
【0060】
好ましくは、Eは、-O-R3-O-基を表し、式中、R3は、1つ又は複数のヘテロ原子が任意選択的に介在する、C6~C14アリーレン基、C3~C12シクロアルキレン基、直鎖又は分岐のC1~C18アルキレン基及びこれらの混合物から選択される。
【0061】
より優先的には、Eは、-O-R3-O-基を表し、式中、R3は、1つ又は複数のヘテロ原子が任意選択的に介在する、メチレン、ブチレン、プロピレン又はエチレンなどの直鎖又は分岐のC1~C18アルキレン基を表す。
【0062】
特定の実施形態によれば、(ポリ)カルボジイミド化合物は、以下の式(IX):
[化学式9]
【化5】
(式中、Rは、独立に、1~24個の炭素原子を含むアルキル基、3~24個の炭素原子を含むシクロアルキル基又は6~24個の炭素原子を含むアリール基を表し、
- nは、2~100の範囲の整数を表す)
のα-メチルスチリルイソシアネートから誘導されたコポリマーである。
【0063】
本実施形態における「アルキル基」という用語は、先に定義した通りである。
【0064】
本実施形態における「シクロアルキル基」という用語は、先に定義した通りである。
【0065】
本実施形態において、nは、2~50、好ましくは3~30、一層より優先的には5~10の範囲の整数を表すことができる。
【0066】
他の特定の実施形態によれば、(ポリ)カルボジイミド化合物は、以下の式(X):
[化学式10]
【化6】
(式中、Rは、独立に、1~24個の炭素原子を含むアルキル基、3~24個の炭素原子を含むシクロアルキル基又は6~24個の炭素原子を含むアリール基を表す)
の化合物である。
【0067】
アルキル基、シクロアルキル基及びアリール基は、先に定義した通りである。
【0068】
好ましくは、(ポリ)カルボジイミド化合物は、式(I)の化合物から選択され、式中、
- X1及びX2は、独立に、酸素原子を表し;
- R1及びR2は、独立に、ヒドロキシル基が除かれている、ジアルキルアミノアルコール、ヒドロキシカルボン酸のアルキルエステル及び(ポリ)アルキレングリコールのモノアルキルエーテル並びにこれらの混合物から選択され;
- n及びzは、1~20の範囲の整数を表し、ここで、n+z≧2であり、及びwは、1に等しく;
- L1は、2価のC1~C18脂肪族炭化水素系基、C3~C15シクロアルキレン基、C3~C12ヘテロシクロアルキレン基又はC6~C14アリーレン基及びこれらの混合物から選択され;
- Eは、独立に、
- -O-R3-O-;-S-R4-S-;-R5-N(R6)-R4-N(R6)-R5-
(式中、R3及びR4は、独立に、1つ又は複数のヘテロ原子が任意選択的に介在する、C6~C14アリーレン基、C3~C12シクロアルキレン基、直鎖又は分岐のC1~C18アルキレン基及びこれらの混合物から選択され;
- R5が共有結合ではない場合、R5は、1つ又は複数のヘテロ原子が任意選択的に介在する、C6~C14アリーレン基、C3~C12シクロアルキレン基、直鎖又は分岐のC1~C18アルキレン基及びこれらの混合物から選択され;及び
- R6は、1つ又は複数のヘテロ原子が任意選択的に介在する、C6~C14アリーレン基、C3~C12シクロアルキレン基、直鎖又は分岐のC1~C18アルキレン基及びこれらの混合物から選択される)
から選択される基を表す。
【0069】
より優先的には、(ポリ)カルボジイミド化合物は、式(I)の化合物から選択され、式中、
- X1及びX2は、独立に、酸素原子を表し;
- R1及びR2は、独立に、ヒドロキシル基が除かれている、(ポリ)アルキレングリコールのモノアルキルエーテルであり;
- n及びzは、1~20の範囲の整数を表し、ここで、n+z≧2であり、及びwは、1に等しく;
- L1は、C3~C15シクロアルキレン基であり;
- Eは、独立に、
- -O-R3-O-;-S-R4-S-;-R5-N(R6)-R4-N(R6)-R5-
(式中、R3及びR4は、独立に、1つ又は複数のヘテロ原子が任意選択的に介在する、C6~C14アリーレン基、C3~C12シクロアルキレン基、直鎖又は分岐のC1~C18アルキレン基及びこれらの混合物から選択され;
- R5が共有結合ではない場合、R5は、1つ又は複数のヘテロ原子が任意選択的に介在する、C6~C14アリーレン基、C3~C12シクロアルキレン基、直鎖又は分岐のC1~C18アルキレン基及びこれらの混合物から選択され;及び
- R6は、1つ又は複数のヘテロ原子が任意選択的に介在する、C6~C14アリーレン基、C3~C12シクロアルキレン基、直鎖又は分岐のC1~C18アルキレン基及びこれらの混合物から選択される)
から選択される基を表す。
【0070】
一層より優先的には、(ポリ)カルボジイミド化合物は、式(I)の化合物から選択され、式中、
- X1及びX2は、独立に、酸素原子を表し;
- R1及びR2は、独立に、以下の式(V):
[化学式11]
R13-[O-CH2-C(H)(R14)]q- (V)
(式中、R13は、C1~C4アルキル基又はフェニル、好ましくはC1~C4アルキル基、より優先的にはメチルを表し、R14は、水素原子又はC1~C4アルキル基、好ましくは水素原子を表し、及びqは、4~30の範囲の整数を表す)
の化合物を表し;
- n及びzは、2~20の範囲の整数を表し、ここで、n+zは、4~10の範囲であり、及びwは、1に等しく;
- L1は、シクロペンチレン、シクロヘプチレン、シクロへキシレン及び4,4-ジシクロへキシレンメタンなどのC3~C15シクロアルキレン基であり;及び
- Eは、-O-R3-O-基(式中、R3は、1つ又は複数のヘテロ原子が任意選択的に介在する、C6~C14アリーレン基、C3~C12シクロアルキレン基、直鎖又は分岐のC1~C18アルキレン基及びこれらの混合物から選択される)を表す。
【0071】
一層より優先的には、(ポリ)カルボジイミド化合物は、式(I)の化合物から選択され、式中、
- X1及びX2は、独立に、酸素原子を表し;
- R1及びR2は、独立に、以下の式(V):
[化学式12]
R13-[O-CH2-C(H)(R14)]q- (V)
(式中、R13は、C1~C4アルキル基又はフェニル、好ましくはC1~C4アルキル基、より優先的にはメチルを表し、R14は、水素原子又はC1~C4アルキル基、好ましくは水素原子を表し、及びqは、4~30の範囲の整数を表す)
の化合物を表し;
- n及びzは、1~20の範囲の整数を表し、ここで、n+zは、4~10の範囲であり、及びwは、1に等しく;
- L1は、シクロペンチレン、シクロヘプチレン、シクロへキシレン及び4,4-ジシクロへキシレンメタンなどのC3~C15シクロアルキレン基、好ましくは4,4-ジシクロへキシレンメタンであり;及び
- Eは、-O-R3-O-基(式中、R3は、1つ又は複数のヘテロ原子が任意選択的に介在する、メチレン、ブチレン、プロピレン又はエチレンなどの直鎖又は分岐のC1~C18アルキレン基を表す)を表す。
【0072】
好ましい実施形態によれば、(ポリ)カルボジイミド化合物は、以下の式(XI):
[化学式13]
【化7】
(式中、L
1は、4,4-ジシクロへキシレンメタンであり、n及びzは、1~20の範囲の整数を表し、ここで、n+zは、4~10の範囲であり、Eは、-O-R
3-O-基(式中、R
3は、1つ又は複数のヘテロ原子が任意選択的に介在する、メチレン、プロピレン、ブチレン又はエチレンなどの直鎖又は分岐のC
1~C
18アルキレン基を表す)を表し、r及びsは、4~30の範囲の整数を表す)
の化合物である。
【0073】
本発明による組成物中に存在する(ポリ)カルボジイミド化合物の総量は、好ましくは、組成物(C)の総質量に対して0.01質量%~40質量%、より優先的には0.1質量%~30質量%、より良好には0.5質量%~25質量%、一層より良好には1質量%~10質量%の範囲である。
【0074】
ポリマーの粒子の水性分散物:
本発明による組成物(C)は、ポリウレタン、アクリル系ポリマー及びこれらの混合物から選択されるポリマーの粒子の少なくとも1つの水性分散物を含むことができる。
【0075】
好ましくは、組成物(C)は、ポリウレタン、アクリル系ポリマー及びこれらの混合物から選択されるポリマーの粒子の少なくとも1つの水性分散物を含む。
【0076】
この分散物は、化粧用組成物を水性媒体中に分散させた単純な分散物であり得る。分散物の特定の例として、ラテックスを挙げることができる。
【0077】
ポリマー粒子の水性分散物は、ポリウレタン粒子の水性分散物から選択することができる。
【0078】
より詳細には、本発明において使用される水性分散物中に存在するポリウレタンは、
- 以下の式(A):
[化学式14]
【化8】
(式中、
- R
1は、ジヒドロキシル化された化合物の2価の基を表し、
- R
2は、脂肪族又は脂環式ポリイソシアネートの基を表し、
- R
3は、1つ又は複数のイオン性基で任意選択的に置換された低分子量ジオールの基を表し、
- nは、1~5の範囲の整数を表し、及び
- mは、1を超える)
のプレポリマーと;
- 以下の式(B):
[化学式15]
H
2N-R
4-NH
2 (B)
(式中、R
4は、1つ又は複数のイオン性又は潜在的イオン性基で置換されていないアルキレン又はアルキレンオキシド基を表す)
に従う少なくとも1つの連鎖延長剤と;
- 以下の式(C):
[化学式16]
H
2N-R
5-NH
2 (C)
(式中、R
5は、1つ又は複数のイオン性又は潜在的イオン性基で置換されたアルキレン基を表す)
に従う少なくとも1つの連鎖延長剤と
を反応させることにより得られるものである。
【0079】
本発明に従い使用することができるジヒドロキシル化された化合物の中でも、特に、2個のヒドロキシル基を含み、数平均分子量が約700~約16000、好ましくは約750~約5000である化合物を挙げることができる。高分子量のジヒドロキシル化された化合物の例としては、ポリオールポリエステル、ポリオールポリエーテル、ポリヒドロキシル化ポリカーボネート、ポリヒドロキシル化ポリアセテート、ポリヒドロキシル化ポリアクリレート、ポリヒドロキシル化アミドポリエステル、ポリヒドロキシル化ポリアルカジエン、ポリヒドロキシル化ポリチオエーテル及びこれらの混合物を挙げることができる。好ましくは、ヒドロキシル化された化合物は、ポリオールポリエステル、ポリオールポリエーテル、ポリヒドロキシル化ポリカーボネート及びこれらの混合物から選択される。
【0080】
本発明に従い使用することができるポリイソシアネートは、特に、分子量が約112~1000、好ましくは約140~400である有機ジイソシアネートから選択される。
【0081】
好ましくは、ポリイソシアネートは、ジイソシアネートから、より詳細には、一般式R2(NCO)2(式中、R2は、4~18個の炭素原子を含む2価の脂肪族炭化水素系基、5~15個の炭素原子を含む2価の脂環式炭化水素系基、7~15個の炭素原子を含む2価の芳香脂肪族炭化水素系基又は6~15個の炭素原子を含む2価の芳香族炭化水素系基を表す)で表されるものから選択される。
【0082】
好ましくは、R2は、有機ジイソシアネートを表す。有機ジイソシアネートの例は、特に、以下から選択することができる:テトラメチレンジイソシアネート、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、1,3-ジイソシアナトシクロヘキサン、1,4-ジイソシアナトシクロヘキサン、3-イソシアナトメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキサンイソシアネート(イソホロンジイソシアネート又はIPDI)、ビス(4-イソシアナトシクロヘキシル)メタン、1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、ビス(4-イソシアナト-3-メチル-シクロヘキシル)メタン、トルエンジイソシアネート(TDI)の異性体、例えば、トルエン2,4-ジイソシアネート、トルエン2,6-ジイソシアネート及びこれらの混合物、水素化トルエンジイソシアネート、ジフェニルメタン4,4’-ジイソシアネート及びそのジフェニルメタン2,4-ジイソシアネート異性体と、任意選択的にジフェニルメタン2,2’-ジイソシアネート異性体との混合物、ナフタレン1,5-ジイソシアネート並びにこれらの混合物。
【0083】
好ましくは、ジイソシアネートは、脂肪族及び脂環式ジイソシアネートであり、より優先的には1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、3-イソシアナトメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキサンイソシアネート及びこれらの混合物から選択される。
【0084】
本発明による「低分子量ジオール」という用語は、分子量が約62~700、好ましくは62~200であるジオールを指す。これらのジオールは、脂肪族基、脂環式基又は芳香族基を含むことができる。好ましくは、これらは、脂肪族基のみを含む。
【0085】
好ましくは、R3は、20個を超える炭素原子を含む低分子量ジオールを表し、より優先的にはエチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,3-ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ブチルエチルプロパンジオール、シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、1,6-ヘキサンジオール、ビスフェノールA(2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン)、水素化ビスフェノールA(2,2-ビス(4-ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン)及びこれらの混合物から選択される。
【0086】
低分子量ジオールは、任意選択的に、イオン性又は潜在的イオン性基を含むことができる。イオン性又は潜在的イオン性基を含む低分子量ジオールの例は、特に、特許である米国特許第3412054号明細書に記載されている。この種の化合物は、好ましくは、ジメチロールブタン酸、ジメチロールプロピオン酸、カルボキシル基を含むポリカプロラクトンジオール及びこれらの混合物から選択される。
【0087】
イオン性又は潜在的イオン性基を含む低分子量ジオールが使用される場合、これらは、好ましくは、ポリウレタン分散物中に、ポリウレタン1グラム当たりCOOHが0.30meq未満存在する量で使用される。
【0088】
プレポリマーは、2つの群に属する連鎖延長剤を用いることにより鎖延長される。連鎖延長剤の第1の群は、一般式(B)の化合物に対応する。
【0089】
式(B)の連鎖延長剤は、好ましくは、アルキレンジアミン、例えば、ヒドラジン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、1,4-ブチレンジアミン、ピペラジン;アルキレンオキシドジアミン、例えば、3-{2-[2-(3-アミノプロポキシ)エトキシ]エトキシ}プロピルアミン(ジプロピルアミンジエチレングリコール又はDPA-DEGとしても知られ、Tomah Products,Milton,Wis.から入手可能)、2-メチル-1,5-ペンタンジアミン(DuPontからのDytec A)、ヘキサンジアミン、イソホロンジアミン、4,4-メチレンジ(シクロヘキシルアミン)、Tomah Products,Milton,Wisより入手可能なDPAシリーズのエーテル-アミン、例えば、ジプロピルアミンプロピレングリコール、ジプロピルアミンジプロピレングリコール、ジプロピルアミントリプロピレングリコール、ジプロピルアミンポリ(プロピレングリコール)、ジプロピルアミンエチレングリコール、ジプロピルアミンポリ(エチレングリコール)、ジプロピルアミン1,3-プロパンジオール、ジプロピルアミン2-メチル-1,3-プロパンジオール、ジプロピルアミン1,4-ブタンジオール、ジプロピルアミン1,3-ブタンジオール、ジプロピルアミン1,6-ヘキサンジオール及びジプロピルアミンシクロヘキサン-1,4-ジメタノール;並びにこれらの混合物から選択される。
【0090】
連鎖延長剤の第2の群は、一般式(C)の化合物に対応する。この種の化合物は、好ましくは、イオン性又は潜在的イオン性基と、イソシアネート基と反応することができる2個の基とを有する。この種の化合物は、任意選択的に、イソシアネート基と反応する2個の基と、イオン性であるか又はイオン性基を形成することができる1つの基とを含むことができる。
【0091】
イオン性又は潜在的イオン性基は、好ましくは、三級若しくは四級アンモニウム基又はこの種の基に変換することができる基、カルボキシル基、カルボキシレート基、スルホン酸基及びスルホネート基から選択することができる。三級又は四級アンモニウム基の塩に変換することができる基の少なくとも一部の変換は、水と混合する前又は混合時に行うことができる。
【0092】
式(C)の連鎖延長剤は、好ましくは、ジアミノスルホネート、例えば、N-(2-アミノエチル)-2-アミノエタンスルホン酸(ASA)のナトリウム塩、N-(2-アミノエチル)-2-アミノプロピオン酸のナトリウム塩及びこれらの混合物から選択される。
【0093】
本発明により使用することができるポリウレタンは、任意選択的に、それぞれの鎖末端に位置し、前記連鎖を停止する化合物(連鎖停止剤)も含むことができる。この種の化合物は、特に、米国特許第7445770号明細書及び/又は米国特許第7452770号明細書に記載されている。
【0094】
好ましくは、ポリウレタン粒子の水性分散物の粘度は、23℃で2000mPa.s未満であり、より優先的には1500未満、一層より良好には1000未満である。一層好ましくは、水性ポリウレタン分散物のガラス転移温度は、0℃未満である。
【0095】
同じく好ましくは、ポリウレタン水性分散物のポリウレタン(又は活性物質若しくは固形分)含有量は、分散物の質量を基準として、20質量%~60質量%、より優先的には25質量%~55質量%、一層より良好には30質量%~50質量%である。これは、水性分散物のポリウレタン含有量(固形分)が、分散物の総質量に対して好ましくは20質量%~60質量%、より優先的には25質量%~55質量%、一層より良好には30質量%~50質量%であることを意味する。
【0096】
同じく好ましくは、ポリウレタン粒子の水性分散物のガラス転移温度(Tg)は、-25℃以下、好ましくは-35℃未満、より優先的には-40℃未満である。
【0097】
ポリウレタン粒子の平均径は、約1000nmまで、例えば約50nm~約800nm、より良好には約100nm~約500nmの範囲であり得る。これらの粒子径は、レーザー粒子径分布測定装置(例えば、Brookhaven BI90)を用いて測定することができる。
【0098】
ポリウレタン水性分散物の非限定的な例として、BayerからBaycusan(登録商標)の名称で販売されているもの、例えば、Baycusan(登録商標)C1000(INCI名:ポリウレタン-34)、Baycusan(登録商標)C1001(INCI名:ポリウレタン-34)、Baycusan(登録商標)C1003(INCI名:ポリウレタン-32)、Baycusan(登録商標)C1004(INCI名:ポリウレタン-35)及びBaycusan(登録商標)C1008(INCI名:ポリウレタン-48)を挙げることができる。
【0099】
イソフタル酸/アジピン酸コポリマー/へキシレングリコール/ネオペンチルグリコール/ジメチロール酸/イソホロンジイソシアネートのポリウレタン水性分散物(INCI名:ポリウレタン-1、例えば、BASFのLuviset(登録商標)PUR)、ポリカーボネートのポリウレタン、脂肪族ポリエステルのポリウレタン及び脂肪族ポリウレタン(例えば、DSMのNeorez(登録商標)シリーズ、例えば、Neorez(登録商標)R989、Neorez(登録商標)及びR-2202)も挙げることができる。
【0100】
好ましい実施形態によれば、ポリウレタン粒子の水性分散物は、INCI名ポリウレタン-35を有する化合物又はINCI名ポリウレタン-34を有する化合物の粒子の水性分散物から選択することができる。
【0101】
好ましくは、本発明によるポリマーの水性分散物は、アクリル系ポリマー粒子の水性分散物から、より優先的には皮膜形成性アクリル系ポリマー粒子の水性分散物から選択される。
【0102】
本発明の目的のために、「ポリマー」という用語は、1つ又は複数の単位(これらの単位はモノマーとして知られる化合物から誘導される)の繰り返しに対応する化合物を意味する。この又はこれらの単位は、少なくとも2回、好ましくは少なくとも3回繰り返される。
【0103】
「皮膜形成性ポリマー」という用語は、単独で又は補助的な皮膜形成剤の存在下に、支持体、特にケラチン物質上に、巨視的に連続した皮膜、好ましくは凝集性皮膜を形成することができるポリマーを指す。
【0104】
本発明の目的のために、「アクリル系ポリマー」という用語は、(メタ)アクリル酸及び/若しくは(メタ)アクリル酸エステル並びに/又は(メタ)アクリル酸アミドから選択される少なくとも1つのモノマーから合成されるポリマーを意味する。
【0105】
ポリマーの(メタ)アクリル酸モノマーから誘導された単位は、任意選択的に、塩の形態、特にアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩若しくはアンモニウム塩又は有機塩基塩であり得る。
【0106】
(メタ)アクリル酸エステル((メタ)アクリレートとしても知られる)は、有利には、アルキル(メタ)アクリレート、特にC1~C30、好ましくはC1~C20、より良好にはC1~C10アルキル(メタ)アクリレート、アリール(メタ)アクリレート、特にC6~C10アリール(メタ)アクリレート及びヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、特にC2~C6ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートから選択される。
【0107】
アルキル(メタ)アクリレートの中でも、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート及びシクロヘキシル(メタ)アクリレートを挙げることができる。
【0108】
ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの中でも、ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート及び2-ヒドロキシプロピルメタクリレートを挙げることができる。
【0109】
アリール(メタ)アクリレートの中でも、ベンジルアクリレート及びフェニルアクリレートを挙げることができる。
【0110】
特に好ましい(メタ)アクリル酸エステルは、アルキル、好ましくはC1~C30、より優先的にはC1~C20、一層より良好にはC1~C10、一層より詳細にはC1~C4アルキル(メタ)アクリレートである。
【0111】
本発明によれば、エステルのアルキル基は、フッ素化され得るか、又は更に過フッ素化され得、即ち、アルキル基の水素原子の一部又は全部は、フッ素原子で置換されている。
【0112】
(メタ)アクリル酸アミドの例としては、(メタ)アクリルアミドに加えて、N-アルキル(メタ)アクリルアミド、特にN-(C2~C12アルキル)(メタ)アクリルアミドも挙げることができる。N-アルキル(メタ)アクリルアミドの中でも、N-エチルアクリルアミド、N-t-ブチルアクリルアミド、N-t-オクチルアクリルアミド及びN-ウンデシルアクリルアミドを挙げることができる。
【0113】
本発明によるアクリル系ポリマーは、ホモポリマー又はコポリマー、有利にはコポリマー、より良好には(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリル酸エステルとのコポリマーであり得る。
【0114】
好ましくは、本発明によるアクリル系ポリマーは、以下のモノマーから誘導された1つ又は複数の単位を含む:
a)(メタ)アクリル酸;及び
b)C1~C30、より優先的にはC1~C20、より良好にはC1~C10、一層より詳細にはC1~C4アルキル(メタ)アクリレート。
【0115】
好ましくは、アクリル系ポリマー粒子の水性分散物は、界面活性剤を含まない。
【0116】
「界面活性剤」という用語は、2つの表面間の表面張力を調整することができる任意の薬剤を指す。
【0117】
本発明によるアクリル系ポリマーの中でも、(メタ)アクリル酸とメチル又はエチル(メタ)アクリレートとのコポリマー、特にメタクリル酸とエチルアクリレートとのコポリマー、例えばLuvimer MAEの商品名でBASF社から販売されている化合物、又はFixate Superhold Polymerの商品名でLubrizol社から販売されている化合物であるポリアクリレート-2クロスポリマー、又はDaitosol 3000 VP3の商品名で大東化成工業株式会社(Daito Kasei Kogyo)から販売されている化合物であるアクリレートコポリマー、又はDaitosol 3000 SLPN-PE1の商品名で大東化成工業株式会社(Daito Kasei Kogyo)から販売されている化合物であるアクリレートポリマーを挙げることができる。
【0118】
アクリル系ポリマーは、任意選択的に、(メタ)アクリル酸及び/又は(メタ)アクリル酸エステル及び/又は(メタ)アクリル酸アミドモノマー以外の1つ又は複数の追加のモノマーを含むことができる。
【0119】
追加のモノマーとして、例えば、スチレンモノマー、特にスチレン及びα-メチルスチレン、好ましくはスチレンが挙げられるであろう。
【0120】
特に、アクリル系ポリマーは、スチレン/(メタ)アクリレートコポリマー、特に少なくとも1つのスチレンモノマーと、少なくとも1つのC1~C20、好ましくはC1~C10アルキル(メタ)アクリレートモノマーとを重合させることにより得られるコポリマーから選択されるポリマーであり得る。
【0121】
C1~C10アルキル(メタ)アクリレートモノマーは、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、オクチルアクリレート及び2-エチルヘキシルアクリレートから選択することができる。
【0122】
アクリル系ポリマーとしては、Joncryl 77の名称でBASF社から、Yodosol GH41Fの名称でAkzo Nobel社から、及びSyntran 5760 CGの名称でInterpolymer社から販売されているスチレン/(メタ)アクリレートコポリマーを挙げることができる。
【0123】
好ましくは、組成物(C)は、アクリル系ポリマー粒子の少なくとも1つの水性分散物を含む。
【0124】
より優先的には、組成物(C)は、以下のモノマーから誘導された1つ又は複数の単位を含むアクリル系ポリマー粒子の少なくとも1つの水性分散物を含む:
a)(メタ)アクリル酸;及び
b)C1~C30、より優先的にはC1~C20、より良好にはC1~C10、一層より詳細にはC1~C4アルキル(メタ)アクリレート。
【0125】
好ましくは、アクリル系ポリマー粒子の水性分散物のアクリル系ポリマー(又は活性物質若しくは固形分)含有量は、分散物の質量を基準として、20質量%~60質量%、より優先的には22質量%~55質量%、より良好には25質量%~50質量%である。
【0126】
本発明による組成物中に存在するポリマー粒子の水性分散物の総量は、組成物(C)の総質量に対して好ましくは0.1質量%~40質量%、より優先的には0.1質量%~35質量%、より良好には0.2質量%~30質量%の範囲である。
【0127】
好ましい実施形態によれば、本発明による組成物中に存在するアクリル系ポリマー粒子の水性分散物の総量は、組成物(C)の総質量に対して好ましくは0.1質量%~40質量%、より優先的には0.1質量%~35質量%、より良好には0.2質量%~30質量%の範囲である。
【0128】
シリコーン:
組成物(C)は、少なくとも1つのシリコーンを含むことができる。
【0129】
好ましくは、組成物(C)は、少なくとも1つのシリコーンを含む。
【0130】
好ましくは、組成物(C)は、非アミノシリコーン、アミノシリコーン及びこれらの混合物から選択される少なくとも1つのシリコーンを含む。
【0131】
シリコーンは、25℃及び大気圧(1.013×105Pa)下において固体又は液体であり得、揮発性又は不揮発性であり得る。
【0132】
使用可能なシリコーンは、本発明による組成物中に可溶又は不溶であり得、これらは、油、ワックス、樹脂又はゴムの形態であり得、シリコーン油が好ましい。
【0133】
シリコーンは、特に、Walter Noll’s Chemistry and Technology of Silicones(1968),Academic Pressに詳述されている。
【0134】
好ましくは、組成物は、25℃及び大気圧(1.013×105Pa)下において液体である1つ又は複数のシリコーンを含む。
【0135】
揮発性シリコーンは、沸点が60℃~260℃(大気圧下)であるもの、より詳細には以下から選択することができる:
i)以下のものなど、3~7個、好ましくは4~5個のケイ素原子を含む環状ポリジアルキルシロキサン:
- オクタメチルシクロテトラシロキサン及びデカメチルシクロペンタシロキサン。
【0136】
Union CarbideからVolatile Silicone 7207の名称で、又はRhodiaからSilbione 70045 V2の名称で、Union CarbidからVolatile Silicone 7158の名称で、又はRhodiaからSilbione 70045 V 5の名称で販売されている製品を挙げることができる。
【0137】
- 以下の化学構造を有するジメチルシロキサン/メチルアルキルシロキサン型の環状コポリマー。
[化学式17]
【化9】
【0138】
シクロメチルシロキサンが好ましい。Union Carbide社から販売されているVolatile Silicone FZ 3109を挙げることができる。
【0139】
- 環状シリコーンとケイ素系有機化合物との混合物、例えば、オクタメチルシクロテトラシロキサンとテトラトリメチルシリルペンタエリスリトールとの混合物(50/50)及びオクタメチルシクロテトラシロキサンと1,1’-オキシ(2,2,2’,2’,3,3’-ヘキサトリメチルシリルオキシ)ビスネオペンタンとの混合物。
【0140】
ii)一般に、25℃における粘度が5×10-6m2/s以下である、2~9個のケイ素原子を含む直鎖ポリジアルキルシロキサン、例えば、デカメチルテトラシロキサン。
【0141】
この分類に属する他のシリコーンは、Cosmetics and Toiletries,Vol.91,Jan.76,pages 27-32,Todd&Byers Volatile Silicone Fluids for Cosmeticsに掲載されている記事に記載されており;Toray Silicone社からSH 200の名称で販売されている製品を挙げることができる。
【0142】
不揮発性シリコーンの中でも、単独で又は混合物としての、ポリジアルキルシロキサン、特にポリジメチルシロキサン(PDMS)、ポリジアリールシロキサン、ポリアルキルアリールシロキサン、シリコーンゴム及び樹脂並びにその構造内において、一般に炭化水素系基を介して結合している、好ましくはアリール基、アミン基、アルコキシ基及びポリオキシエチレン又はポリオキシプロピレン基から選択される1つ又は複数の有機官能基を含むポリシロキサンである、オルガノポリシロキサン(又は有機変性ポリシロキサン若しくは有機変性シリコーン)を挙げることができる。好ましくは、不揮発性シリコーンは、任意選択的にオキシエチレン化及びオキシプロピレン化されたポリジメチル/メチルシロキサンから選択される。
【0143】
有機変性シリコーンは、ポリジアリールシロキサン、特に先に述べた有機官能基で修飾されたポリジフェニルシロキサン及びポリアルキルアリールシロキサンであり得る。ポリアルキルアリールシロキサンは、特に、直鎖及び/又は分岐ポリジメチル/メチルフェニルシロキサン及びポリジメチル/ジフェニルシロキサンから選択される。
【0144】
有機変性シリコーンの中でも、以下を含むオルガノポリシロキサンを挙げることができる:
- 任意選択的にC6~C24アルキル基を含むポリオキシエチレン及び/又はポリオキシプロピレン基;例えばジメチコンコポリオール、特にDow Corning社からDC 1248の名称で販売されているもの若しくはUnion Carbide社からの油であるSilwet(登録商標)L722、L7500、L77及びL711;又は(C12)アルキルメチコンコポリオール、特にDow Corning社からQ2 5200の名称で販売されているもの;
- 置換又は無置換のアミン基;特にC1~C4アミノアルキル基;Genesee社からGP4 Silicone Fluid及びGP7100の名称で販売されている製品又はDow Corning社からQ2-8220及びDC929若しくはDC939の名称で販売されている製品を挙げることができる;
- チオール基;例えば、GeneseeからGP72A及びGP71の名称で販売されている製品;
- アルコキシル化された基;例えば、SWS SiliconesからSilicone Copolymer F-755の名称で販売されている製品並びにGoldschmidt社からAbil Wax(登録商標)2428、2434及び2440の名称で販売されている製品;
- ヒドロキシル化された基;例えば、ヒドロキシアルキル基を有するポリオルガノシロキサン;
- アシルオキシアルキル基;例えば、米国特許第4957732A号明細書に記載されているポリオルガノシロキサン;
- カルボン酸型のアニオン性基;例えば、欧州特許第186507号明細書に記載されているもの又はアルキルカルボン酸型のアニオン性基、例えば、信越化学工業株式会社(Shin-Etsu)からの製品であるX-22-3701E又は2-ヒドロキシアルキルスルホネート型若しくは2-ヒドロキシアルキルチオスルフェート型のアニオン性基、例えば、Goldschmidt社からAbil(登録商標)S201及びAbil(登録商標)S255の名称で販売されている製品;
- ヒドロキシアシルアミノ基;例えば、欧州特許出願公開第342834号明細書に記載されているポリオルガノシロキサン;例えば、Dow Corning社からの製品であるQ2-8413を挙げることができる。
【0145】
シリコーンはポリジアルキルシロキサンから選択することもでき、その中でも、主としてトリメチルシリル末端基を有するポリジメチルシロキサンを挙げることができる。これらのポリジアルキルシロキサンの中でも、以下の市販品を挙げることができる:
- 47及び70047シリーズのSilbione(登録商標)油又はRhodiaから販売されているMirasil(登録商標)油、例えば70047 V 500000油;
- Rhodia社から販売されているMirasil(登録商標)シリーズの油;
- Dow Corning社からの200シリーズの油、例えば、粘度が60000mm2/sであるDC200;
- General ElectricからのViscasil(登録商標)油及びGeneral ElectricからのSFシリーズの特定の油(SF 96、SF 18)。
【0146】
ジメチコノール(CTFA)の名称で知られている、ジメチルシラノール末端基を有するポリジメチルシロキサン、例えば、Rhodia社からの48シリーズの油も挙げることができる。
【0147】
このポリジアルキルシロキサンの分類では、Abil Wax(登録商標)9800及び9801の名称でGoldschmidt社から販売されている製品であるポリ(C1~C20)ジアルキルシロキサンも挙げることができる。
【0148】
本発明に従い使用することができるより具体的な製品は、以下のものなどの混合物である:
- 鎖末端にヒドロキシを有するポリジメチルシロキサン、即ちジメチコノール(CTFA)から、及びシクロメチコン(CTFA)としても知られる環状ポリジメチルシロキサンから生成する混合物、例えば、Dow Corning社から販売されている製品であるQ2-1401、
- 鎖末端にヒドロキシを有するポリジメチルシロキサン、即ちジメチコノール(CTFA)から、及びジメチコン(CTFA)としても知られる環状ポリジメチルシロキサンから生成する混合物、例えば、Dow Corning社から販売されている製品であるPMX-1503 Fluid。
【0149】
ポリアルキルアリールシロキサンは、特に、25℃における粘度が1×10-5~5×10-2m2/sの範囲である、直鎖及び/又は分枝ポリジメチル/メチルフェニルシロキサン及びポリジメチル/ジフェニルシロキサンから選択される。
【0150】
これらのポリアルキルアリールシロキサンの中でも、以下の名称で販売されている製品を挙げることができる:
- Rhodiaからの70641シリーズのSilbione(登録商標)油;
- RhodiaからのRhodorsil(登録商標)70633及び763シリーズの油;
- Dow Corningからの油であるDow Corning 556 Cosmetic Grade Fluid;
- BayerからのPKシリーズのシリコーン、例えば、製品PK20;
- BayerからのPN及びPHシリーズのシリコーン、例えば、製品PN1000及びPH1000;
- General ElectricのSFシリーズの特定の油、例えば、SF 1023、SF 1154、SF 1250及びSF 1265。
【0151】
好ましくは、組成物(C)は、少なくとも1つのアミノシリコーンを含む。「アミノシリコーン」という用語は、少なくとも1つの一級、二級若しくは三級アミン又は四級アンモニウム基を含む任意のシリコーンを指す。
【0152】
これらのアミノシリコーンの質量平均分子量は、室温(25℃)でゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により、ポリスチレン換算分子量として測定することができる。使用するカラムは、μ styragelカラムである。溶出液はTHFであり、流速は1ml/分である。THF中シリコーンの0.5質量%溶液を200μl注入する。検出は屈折率測定及びUV測定により行う。
【0153】
好ましくは、本発明に関連して使用することができるアミノシリコーンは、以下から選択される。
【0154】
a)式(A)に対応するポリシロキサン:
[化学式18]
【化10】
(式中、x’及びy’は、質量平均分子量(Mw)が約5000~500000となる整数である)。
【0155】
b)式(B)に対応するアミノシリコーン:
R’aG3-a-Si(OSiG2)n-(OSiGbR’2-b)m-O-SiG3-a-R’a (B)
(式中、
- Gは、同一であるか又は異なり得、水素原子又はフェニル、OH、C1~C8アルキル、例えばメチル若しくはC1~C8アルコキシ、例えばメトキシ基を表し、
- aは、同一であるか又は異なり得、0又は1~3の整数、特に0を表し、
- bは、0又は1、特に1を示し、
- m及びnは、総和(n+m)が、1~2000で変化する、特に50~150で変化する数であり、nは、0~1999、特に49~149の数を表すことができ、mは、1~2000、特に1~10の数を表すことができ;
- R’は、同一であるか又は異なり得、式-CqH2qL(式中、qは、2~8の範囲の数であり、Lは、以下の基から選択される任意選択的に四級化されたアミン基:-N(R’’)2;-N+(R’’)3A-;-NR’’-Q-N(R’’)2;及び-NR’’-Q-N+(R’’)3A-(式中、R’’は、同一であるか又は異なり得、水素、フェニル、ベンジル又は1価の飽和炭化水素系基、例えば、C1~C20アルキル基を表し;Qは、式CrH2r(rは、2~6、好ましくは2~4の範囲の整数である)の直鎖又は分岐基を表し;A-は、化粧的に許容されるアニオン、特にハライドアニオン、例えば、フルオリド、クロリド、ブロミド又はヨージドアニオンを表す)
を表す)の1価の基を表す)。
【0156】
好ましくは、アミノシリコーンは、式(B)のアミノシリコーンから選択される。好ましくは、式(B)のアミノシリコーンは、以下の式(C)、(D)、(E)、(F)及び/又は(G)に対応するアミノシリコーンから選択される。
【0157】
第1の実施形態によれば、式(B)に対応するアミノシリコーンは、式(C)に対応する「トリメチルシリルアモジメチコン」として知られるシリコーンから選択される
[化学式19]
【化11】
(式中、m及びnは、総和(n+m)が、1~2000、特に50~150の範囲である数であり、nは、0~1999、特に49~149の数を表すことができ、mは、1~2000、特に1~10の数を表すことができる)。
【0158】
第2の実施形態によれば、式(B)に対応するアミノシリコーンは、以下の式(D):
[化学式20]
【化12】
(式中、
- m及びnは、総和(n+m)が、1から1000まで、特に50から250まで、より詳細には100から200まで変化する数であり、nは、0~999、特に49~249、より詳細には125~175の数を表すことができ、mは、1~1000、特に1~10、より詳細には1~5の数を表すことができ;
- R
1、R
2及びR
3は、同一であるか又は異なり得、ヒドロキシル又はC
1~C
4アルコキシ基を表し、R
1~R
3基の少なくとも1つはアルコキシ基を表す)
のシリコーンから選択される。
【0159】
好ましくは、アルコキシ基は、メトキシ基である。
【0160】
ヒドロキシ/アルコキシのモル比は、好ましくは0.2:1~0.4:1、好ましくは0.25:1~0.35:1の範囲であり、より詳細には0.3:1に等しい。
【0161】
これらのシリコーンの質量平均分子量(Mw)は、好ましくは、2000~1000000、より詳細には3500~200000の範囲である。
【0162】
第3の実施形態によれば、式(B)に対応するアミノシリコーンは、以下の式(E):
[化学式21]
【化13】
(式中、
- p及びqは、総和(p+q)が、1~1000、特に50~350、より詳細には150~250の範囲である数であり;pは、0~999、特に49~349、より詳細には159~239の数を表すことができ、qは、1~1000、特に1~10、より詳細には1~5の数を表すことができ;
- R
1及びR
2は、異なり得、ヒドロキシル又はC
1~C
4アルコキシ基を表し、R
1基又はR
2基の少なくとも1つは、アルコキシ基を表す)
のシリコーンから選択される。
【0163】
好ましくは、アルコキシ基は、メトキシ基である。
【0164】
ヒドロキシ/アルコキシのモル比は、一般には、1:0.8~1:1.1、好ましくは1:0.9~1:1の範囲であり、より詳細には1:0.95に等しい。
【0165】
シリコーンの質量平均分子量(Mw)は、好ましくは、2000~200000、一層より詳細には5000~100000、より詳細には10000~50000の範囲である。
【0166】
構造(D)又は(E)のシリコーンを含む市販品は、その組成物中に、式(D)又は(E)とは異なる構造を有する1つ又は複数の他のアミノシリコーンを含むことができる。
【0167】
構造(D)のアミノシリコーンを含む製品は、Wacker社からBelsil(登録商標)ADM 652の名称で販売されている。
【0168】
構造(E)のアミノシリコーンを含む製品は、WackerからFluid WR 1300(登録商標)又はBelsil(登録商標)ADM LOG 1の名称で販売されている。
【0169】
これらのアミノシリコーンが使用される場合、特に有利な一実施形態は、これらを水中油型エマルジョン形態で使用することを含む。水中油型エマルジョンは、1つ又は複数の界面活性剤を含むことができる。界面活性剤は、任意の性質のものであり得るが、好ましくはカチオン性及び/又は非イオン性である。エマルジョン中のシリコーン粒子の数平均粒子径は、一般に、3nm~500ナノメートルの範囲である。好ましくは、特に式(E)のアミノシリコーンとして、平均粒子径が5nm~60nm(境界値を含む)、より詳細には10nm~50nm(境界値を含む)の範囲であるマイクロエマルジョンを利用することができる。したがって、本発明に従い、Wacker社からFinish CT 96E(登録商標)又はSLM 28020(登録商標)の名称で販売されている式(E)のアミノシリコーンマイクロエマルジョンを利用することができる。
【0170】
第4の実施形態によれば、式(B)に対応するアミノシリコーンは、以下の式(F):
[化学式22]
【化14】
(式中、
- m及びnは、総和(n+m)が1~2000、特に50~150の範囲である数であり、nは、0~1999、特に49~149の数を表すことができ、mは、1~2000、特に1~10の数を表すことができ;
- Aは、4~8個の炭素原子、好ましくは4個の炭素原子を含む直鎖又は分岐のアルキレン基を表す)
のシリコーンから選択される。この基は、好ましくは、直鎖である。
【0171】
これらのアミノシリコーンの質量平均分子量(Mw)は、好ましくは2000~1000000、更に詳細には3500~200000の範囲である。
【0172】
式(B)に対応する他のシリコーンは、例えば、Dow CorningからのXiameter MEM 8299 Emulsion(INCI名:アモジメチコン及びトリデセス-6及びセトリモニウムクロリド)である。
【0173】
第5の実施形態によれば、式(B)に対応するアミノシリコーンは、以下の式(G):
[化学式23]
【化15】
(式中、
- m及びnは、総和(n+m)が1~2000、特に50~150の範囲である数であり、nは、0~1999、特に49~149の数を表すことができ、mは、1~2000、特に1~10の数を表すことができ;
- Aは、4~8個の炭素原子、好ましくは4個の炭素原子を含む直鎖又は分岐のアルキレン基を表す)
のシリコーンから選択される。この基は、好ましくは、分岐である。
【0174】
これらのアミノシリコーンの質量平均分子量(Mw)は、好ましくは500~1000000、更に詳細には1000~200000の範囲である。
【0175】
この式に対応するシリコーンは、例えば、Dow CorningからのDC2-8566 Amino Fluidである。
【0176】
c)式(H)に対応するアミノシリコーン:
[化学式24]
【化16】
(式中、
- R5は、1~18個の炭素原子を含む1価の炭化水素系基、特にC1~C18アルキル又はC2~C18アルケニル基、例えばメチルを表し;
- R6は、SiにSiC結合を介して結合している2価の炭化水素系基、特にC1~C18アルキレン基又は2価のC1~C18、例えばC1~C8アルキレンオキシ基を表し;
- Q-は、アニオン、例えば、ハライドイオン、特にクロリドイオンであるか、又は有機酸塩、特にアセテートであり;
- rは、2~20、特に2~8の範囲である統計的な平均値を表し;
- sは、20~200、特に20~50の範囲である統計的な平均値を表す)。
【0177】
この種のアミノシリコーンは、特に、米国特許第4185087号明細書に記載されている。
【0178】
d)式(I)の四級アンモニウムシリコーン:
[化学式25]
【化17】
(式中、
- R
7は、同一であるか又は異なり得、1~18個の炭素原子を含む1価の炭化水素系基、特にC
1~C
18アルキル基、C
2~C
18アルケニル基又は5個若しくは6個の炭素原子を含む環、例えばメチルを表し;
- R
6は、SiC結合を介してSiに結合している2価の炭化水素系基、特にC
1~C
18アルキレン基又は2価のC
1~C
18、例えばC
1~C
8アルキレンオキシ基を表し;
- R8は、同一であるか又は異なり得、水素原子、1~18個の炭素原子を含む1価の炭化水素系基、特にC
1~C
18アルキル基、C
2~C
18アルケニル基又は-R
6-NHCOR
7基を表し;
- X-は、アニオン、例えば、ハライドイオン、特にクロリドイオンであるか、又は有機酸塩、特にアセテートであり;
- rは、2~200、特に5~100の範囲である統計的な平均値を表す)。
【0179】
これらのシリコーンは、例えば、特許出願である欧州特許出願公開第0530974A号明細書に記載されている。
【0180】
e)式(J)のアミノシリコーン:
[化学式26]
【化18】
(式中、
- R
1、R
2、R
3及びR
4は、同一であるか又は異なり得、C
1~C
4アルキル基又はフェニル基を表し、
- R
5は、C
1~C
4アルキル基又はヒドロキシル基を表し、
- nは、1~5の範囲の整数であり、
- mは、1~5の範囲の整数であり、
- xは、アミン価が0.01~1meq/gの範囲となるように選択される)。
【0181】
f)(AB)n型のマルチブロックポリオキシアルキレン化アミノシリコーン(Aは、ポリシロキサンブロックであり、Bは、少なくとも1つのアミン基を含むポリオキシアルキレンブロックである)。
【0182】
前記シリコーンは、好ましくは、以下の一般式:
[化学式27]
[-(SiMe2O)xSiMe2-R-N(R’’)-R’-O(C2H4O)a(C3H6O)b-R’-N(H)-R-]
又は代わりに、
[化学式28]
[-(SiMe2O)xSiMe2-R-N(R’’)-R’-O(C2H4O)a(C3H6O)b-]
(式中、
- aは、1以上、好ましくは5~200、より詳細には10~100の範囲の整数であり;
- bは、0~200の整数、好ましくは4~100、より詳細には5~30の範囲の整数であり;
- xは、1~10000、より詳細には10~5000の範囲の整数であり;
- R’’は、水素原子又はメチルであり;
- Rは、同一であるか又は異なり得、任意選択的に1つ又は複数の酸素等のヘテロ原子を含む、2価の直鎖又は分岐のC2~C12炭化水素系基を表し;好ましくは、Rは、エチレン基、直鎖若しくは分岐プロピレン基、直鎖若しくは分岐ブチレン基又は-CH2CH2CH2OCH2CH(OH)CH2-基を表し;優先的には、Rは、-CH2CH2CH2OCH2CH(OH)CH2-基を表し;
- R’は、同一であるか又は異なり得、任意選択的に1つ又は複数の酸素等のヘテロ原子を含む、直鎖又は分岐の2価のC2~C12炭化水素系基を表し;好ましくは、R’は、エチレン基、直鎖若しくは分岐プロピレン基、直鎖若しくは分岐ブチレン基又は-CH2CH2CH2OCH2CH(OH)CH2-基を表し;優先的には、R’は、-CH(CH3)-CH2-を表す)
で表される繰り返し単位から構成される。
【0183】
シロキサンブロックは、好ましくは、シリコーンの総質量の50mol%~95mol%を占め、より詳細には70mol%~85mol%を占める。
【0184】
アミン含有量は、ジプロピレングリコール中30%溶液において、好ましくは0.02~0.5meq/gコポリマー、より詳細には0.05~0.2である。
【0185】
シリコーンの質量平均分子量(Mw)は、好ましくは、5000~1000000、より詳細には10000~200000である。
【0186】
特に、MomentiveからSilsoft A-843又はSilsoft A+の名称で販売されているシリコーンを挙げることができる。
【0187】
g)及びこれらの混合物。
【0188】
好ましくは、式(B)のアミノシリコーンは、式(E)に対応するアミノシリコーンから選択される。
【0189】
好ましくは、本発明による組成物は、好ましくは界面活性剤と一緒にエマルジョン又はマイクロエマルジョンの形態で導入される、INCI名アモジメチコンを有する少なくとも1つのアミノシリコーンを含む。
【0190】
好ましくは、本発明による組成物は、INCI名アモジメチコンを有する少なくとも1つのアミノシリコーンを、エマルジョン又はマイクロエマルジョンとして、INCI名トリデセス-5及びトリデセス-10を有する界面活性剤と一緒に含む。
【0191】
シリコーンは、組成物の総質量に対して0.01質量%~20質量%、好ましくは0.05質量%~15質量%、より優先的には0.1質量%~10質量%、より優先的には組成物(C)の総質量に対して0.1質量%~5質量%の範囲の総量で存在することができる。
【0192】
組成物(C)が1つ又は複数のアミノシリコーンを含む場合、アミノシリコーンの総量は、組成物(C)の総質量に対して0.01質量%~20質量%、好ましくは0.05質量%~15質量%、より良好には0.1質量%~10質量%、より優先的には0.1質量%~5質量%の範囲であり得る。
【0193】
着色剤:
本発明による組成物(C)は、顔料、直接染料及びこれらの混合物から選択される少なくとも1つの着色剤を含む。
【0194】
好ましくは、本発明による組成物(C)は、1つ又は複数の顔料を含む。
【0195】
「顔料」という用語は、ケラチン繊維に色を付与するあらゆる顔料を意味する。これらの25℃及び大気圧(760mmHg)下における水への溶解度は、0.05質量%未満、好ましくは0.01%未満である。
【0196】
使用可能な顔料は、特に当技術分野において知られている、特にKirk-Othmer’s Encyclopedia of Chemical Technology及びUllmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistryに記載されている有機及び/又は鉱物顔料から選択される。
【0197】
これらは、天然起源の天然物又は非天然物であり得る。
【0198】
これらの顔料は、顔料粉末形態又は顔料ペースト形態であり得る。これらは、被覆されているか又は無被覆であり得る。
【0199】
顔料は、例えば、鉱物顔料、有機顔料、レーキ、真珠光沢剤又は光輝フレークなどの特殊効果を有する顔料及びこれらの混合物から選択することができる。
【0200】
顔料は、鉱物顔料であり得る。「鉱物顔料」という用語は、Ullmann’s encyclopediaの無機顔料に関する章の定義を満たす任意の顔料を指す。本発明に有用な鉱物顔料の中でも、酸化鉄、酸化クロム、マンガンバイオレット、ウルトラマリンブルー、クロム水和物、フェリックブルー及び酸化チタンを挙げることができる。
【0201】
顔料は、有機顔料であり得る。「有機顔料」という用語は、Ullmann’s encyclopediaの有機顔料に関する章の定義を満たす任意の顔料を指す。
【0202】
有機顔料は、特に、ニトロソ、ニトロ、アゾ、キサンテン、ピレン、キノリン、アントラキノン、トリフェニルメタン、フルオラン、フタロシアニン、金属錯体、イソインドリノン、イソインドリン、キナクリドン、ペリノン、ペリレン、ジケトピロロピロール、インジゴ、チオインジゴ、ジオキサジン、トリフェニルメタン及びキノフタロン化合物から選択することができる。
【0203】
特に、白色又は有色有機顔料は、カーマイン、カーボンブラック、アニリンブラック、アゾイエロー、キナクリドン、フタロシアニンブルー、カラーインデックスにおいてCI 42090、69800、69825、74100、74160の参照番号で分類される青色顔料、カラーインデックスにおいてCI 11680、11710、19140、20040、21100、21108、47000、47005の参照番号で分類される黄色顔料、カラーインデックスにおいてCI 61565、61570、74260の参照番号で分類される緑色顔料、カラーインデックスにおいてCI 11725、45370、71105の参照番号で分類される橙色顔料、カラーインデックスにおいてCI 12085、12120、12370、12420、12490、14700、15525、15580、15620、15630、15800、15850、15865、15880、26100、45380、45410、58000、73360、73915、75470の参照番号で分類される赤色顔料、仏国特許第2679771号明細書に記載されているインドール又はフェノール誘導体の酸化重合により得られる顔料から選択することができる。
【0204】
有機顔料の顔料ペーストの例として、Hoechst社から以下の名称で販売されている製品なども挙げることができる:
- Cosmenyl Yellow IOG:ピグメントイエロー3(CI 11710);
- Cosmenyl Yellow G:ピグメントイエロー1(CI 11680);
- Cosmenyl Orange GR:ピグメントオレンジ43(CI 71105);
- Cosmenyl Red R:ピグメントレッド4(CI 12085);
- Cosmenyl Carmine FB:ピグメントレッド5(CI 12490);
- Cosmenyl Violet RL:ピグメントバイオレット23(CI 51319);
- Cosmenyl Blue A2R:ピグメントブルー 15.1(CI 74160);
- Cosmenyl Green GG:ピグメントグリーン7(CI 74260);
- Cosmenyl Black R:ピグメントブラック7(CI 77266)。
【0205】
本発明による顔料は、欧州特許第1184426号明細書に記載されているような複合顔料の形態でもあり得る。これらの複合顔料は、特に、無機物質であるコアと、有機顔料をコアに結合させる少なくとも1つの結合剤と、コアの少なくとも一部を覆う少なくとも1つの有機顔料とを含む粒子から構成されるものであり得る。
【0206】
有機顔料は、レーキでもあり得る。「レーキ」という用語は、不溶性粒子に吸着させた染料を意味し、こうして得られた集合体は、使用中、不溶性を維持する。
【0207】
染料を吸着させる無機基材は、例えば、アルミナ、シリカ、ホウケイ酸カルシウムナトリウム、ホウケイ酸カルシウムアルミニウム及びアルミニウムである。
【0208】
染料の中でもカルミン酸を挙げることができる。以下の名称で知られる染料も挙げることができる:D&C Red 21(CI 45380)、D&C Orange 5(CI 45370)、D&C Red 27(CI 45410)、D&C Orange 10(CI 45425)、D&C Red 3(CI 45430)、D&C Red 4(CI 15510)、D&C Red 33(CI 17200)、D&C Yellow 5(CI 19140)、D&C Yellow 6(CI 15985)、D&C Green(CI 61570)、D&C Yellow 10(CI 77002)、D&C Green 3(CI 42053)、D&C Blue 1(CI 42090)。
【0209】
レーキの例として、以下の名称で知られる製品も挙げることができる:D&C Red 7(CI 15 850:1)。
【0210】
顔料は、特殊効果を有する顔料とすることもできる。「特殊効果を有する顔料」という用語は、一般に、均一でなく、観測条件(光、温度、観測角など)に応じて変化する有色の外観(特定の色合い、特定の精彩及び特定の輝度を特徴とする)を生み出す顔料を意味する。したがってこれらは、不透明、半透明又は透明の標準的な均一な色合いを呈する有色顔料とは異なる。
【0211】
特殊効果を有する顔料には幾つかの種類が存在する:蛍光又はフォトクロミック顔料などの低屈折率を有するもの及び真珠光沢剤、干渉顔料又は光輝フレークなどの高屈折率を有するもの。
【0212】
特殊効果を有する顔料の例として、真珠光沢顔料、例えば、チタン又はオキシ塩化ビスマスで被覆された雲母、有色真珠光沢顔料、例えば、酸化鉄を含む雲母チタン、酸化鉄で被覆された雲母、特にフェリックブルー又は酸化クロムを含む雲母チタン、上に述べた種類の有機顔料を含む雲母チタン並びにオキシ塩化ビスマスをベースとする真珠光沢顔料も挙げることができる。真珠光沢顔料として、BASFから販売されているCellini真珠光沢剤(雲母-TiO2-レーキ)、Eckartから販売されているPrestige(雲母-TiO2)、Eckartから販売されているPrestige Bronze(雲母-Fe2O3)及びMerckから販売されているColorona(雲母-TiO2-Fe2O3)を挙げることができる。
【0213】
金色真珠光沢剤、特にBASF社からBrilliant Gold 212G(Timica)、Gold 222C(Cloisonne)、Sparkle Gold(Timica)、Gold 4504(Chromalite)及びMonarch Gold 233X(Cloisonne)の名称で販売されているもの;青銅色真珠光沢剤、特にMerck社からBronze Fine(17384)(Colorona)及びBronze(17353)(Colorona)の名称において且つBASF社からSuper Bronze(Cloisonne)の名称で販売されているもの;橙色真珠光沢剤、特にBASF社からOrange 363C(Cloisonne)及びOrange MCR 101(Cosmica)の名称で並びにMerck社からPassion Orange(Colorona)及びMatte Orange(17449)(Microna)の名称で販売されているもの;褐色真珠光沢剤、特にBASF社からNu-Antique Copper 340XB(Cloisonne)及びBrown CL4509(Chromalite)の名称で販売されているもの;銅色味を帯びた真珠光沢剤、特にBASF社からCopper 340A(Timica)の名称で販売されているもの;赤色味を帯びた真珠光沢剤、特にMerck社からSienna fine(17386)(Colorona)の名称で販売されているもの;黄色味を帯びた真珠光沢剤、特にBASF社からYellow(4502)(Chromalite)の名称で販売されているもの;金色味を帯びた赤色真珠光沢剤、特にBASF社からSunstone G012(Gemtone)の名称で販売されているもの;桃色真珠光沢剤、特にBASF社からTan opal G005(Gemtone)の名称で販売されているもの;金色味を帯びた黒色真珠光沢剤、特にBASF社からNu-Antique Bronze 240 AB(Timica)の名称で販売されているもの;青色真珠光沢剤、特にMerck社からMatte Blue(17433)(Microna)の名称で販売されているもの;銀色味を帯びた白色真珠光沢剤、特にMerck社からXirona Silverの名称で販売されているもの;並びに金緑色~桃色~橙色に変化する真珠光沢剤、特にMerck社からIndian Summer(Xirona)の名称で販売されているもの;並びにこれらの混合物も挙げることができる。
【0214】
真珠光沢剤の更なる例として、酸化チタンで被覆されたボロシリケート基材を含む粒子も挙げられ得る。
【0215】
酸化チタンで被覆されたガラス基材を含む粒子は、特に、Toyal社からMetashine MC1080RYの名称で販売されている。
【0216】
最後に、真珠光沢剤の例として、ポリエチレンテレフタレートフレーク、特にMeadowbrook Inventions社からSilver 1P 0.004X0.004(銀フレーク)の名称で販売されているものも挙げることができる。アルミナ、シリカ、ホウケイ酸ナトリウムカルシウム又はホウケイ酸カルシウムアルミニウム及びアルミニウムなどの合成基材をベースとする多層顔料も想定することができる。
【0217】
特殊効果を有する顔料は、反射性粒子、即ちそのサイズ、構造、特にそれを構成している層の厚み並びに物理的及び化学的性質、並びに表面状態に起因して入射光を反射することが可能な粒子から選択することもできる。この反射は、適切な場合、メークアップすべき支持体にそれを適用した場合、組成物又は混合物の表面に肉眼で視認することができる光輝点、即ち輝いて見えることにより周囲よりも目立つ輝度の高い点を生じさせるのに十分な強度を有することができる。
【0218】
反射性粒子は、それと併用される着色剤が生み出す呈色効果を大幅に変更しないように、より具体的には、演色性の観点でこの効果を最適化するように、選択することができる。これらは、より具体的には、黄色、桃色、赤色、青銅色、橙色、褐色、金色及び/又は銅色の色又は色調を有し得る。
【0219】
これらの粒子は、様々な形態を有し得、特に小板又は小球形態、特に球形態であり得る。
【0220】
反射性粒子は、その形態に関わらず、多層構造を有していても又は有していなくてもよく、多層構造の場合、例えば均一な厚みを有する、特に反射性材料の少なくとも1つの層を有し得る。
【0221】
反射性粒子が多層構造を有しない場合、それらは、金属酸化物、特に合成により得られる酸化チタン又は酸化鉄で構成され得る。
【0222】
反射性粒子が多層構造を有する場合、これらは、例えば、天然又は合成基材、特に反射性材料、特に少なくとも1つの金属又は金属性材料の少なくとも1つの層で少なくとも部分的に被覆された合成基材を含み得る。基材は、1つ又は複数の有機材料及び/又は鉱物材料から作製可能である。
【0223】
より具体的には、これは、ガラス、セラミック、グラファイト、金属酸化物、アルミナ、シリカ、シリケート、特にアルミノシリケート及びボロシリケート並びに合成雲母、並びにこれらの混合物から選択することができるが、この一覧に限定されるものではない。
【0224】
反射性材料は、金属又は金属性材料の層を含み得る。
【0225】
反射性粒子は、特に、特開平09-188830A号公報、特開平10-158450A号公報、特開平10-158541A号公報、特開平07-258460A号公報及び特開平05-017710A号公報に記載されている。
【0226】
金属層で被覆された無機基材を含む反射性粒子の更なる例として、銀で被覆されたボロシリケート基材を含む粒子も挙げられ得る。
【0227】
小板形態の銀被覆ガラス基材の粒子は、Toyal社からMicroglass Metashine REFSX 2025 PSの名称で販売されている。ニッケル/クロム/モリブデン合金で被覆されたガラス基材の粒子は、同社からCrystal Star GF550及びGF2525の名称で販売されている。
【0228】
銀、アルミニウム、鉄、クロム、ニッケル、モリブデン、金、銅、亜鉛、スズ、マンガン、鋼、青銅又はチタンなどの金属基材を含む粒子も利用することができ、前記基材は、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化鉄、酸化セリウム、酸化クロム、酸化ケイ素及びこれらの混合物などの少なくとも1つの金属酸化物の少なくとも1つの層で被覆されている。
【0229】
その例として、Eckart社からVisionaireの名称で販売されている、SiO2で被覆されたアルミニウム粉末、青銅粉末又は銅粉末が挙げられ得る。
【0230】
基材に結合していない干渉効果を示す顔料、例えば、液晶(WackerからのHelicone HC)又はホログラム光輝フレーク(SpectratekからのGeometric Pigments又はSpectra f/x)も挙げられ得る。特殊効果を有する顔料には、蛍光顔料(これらは、昼光下で蛍光を発する物質又は紫外蛍光を発する物質のいずれでもあり得る)、燐光顔料、フォトクロミック顔料、サーモクロミック顔料及び量子ドット、例えば、Quantum Dots Corporation社から販売されているものも含まれる。
【0231】
本発明に使用することができる多種多様な顔料により、幅広い色に加えて、金属光沢効果又は干渉効果などの特殊な光学効果を得ることが可能になる。
【0232】
本発明による組成物に使用される顔料のサイズは、一般に、10nm~200μm、好ましくは20nm~80μm、より優先的には30nm~50μmである。
【0233】
顔料は、組成物中に分散剤により分散させることができる。
【0234】
分散剤は、分散している粒子の凝集又は軟凝集を防ぐ役割を果たす。この分散剤は、分散すべき粒子の表面に対して強力な親和性を有する1つ又は複数の官能基を有する、界面活性剤、オリゴマー、ポリマー又はこれらの幾つかの混合物であり得る。特にこれらは、顔料表面に物理的又は化学的に結合することができる。この分散剤は、連続媒体と混和性を有するか又は可溶である少なくとも1つの官能基も含む。特に、12-ヒドロキシステアリン酸エステル及びグリセロール又はジグリセロールなどのポリオールのC8~C20脂肪酸エステル、例えば、分子量が約750g/molのポリ(12-ヒドロキシステアリン酸)ステアレート、例えば、Avecia社からSolsperse 21000の名称で販売されている製品、Henkel社からDehymyls PGPHの商品記号で販売されているポリグリセリル-2ジポリヒドロキシステアレート(CTFA名)又はポリヒドロキシステアリン酸、例えば、Uniqema社からArlacel P100の商品記号で販売されている製品及びこれらの混合物が使用される。
【0235】
本発明の組成物中に使用することができる他の分散剤として、重縮合した脂肪酸の四級アンモニウム誘導体、例えば、Avecia社から販売されているSolsperse 17000及びポリジメチルシロキサン/オキシプロピレン混合物、例えば、Dow Corning社からDC2-5185及びDC2-5225 Cの商品記号で販売されているものを挙げることができる。
【0236】
本組成物中に使用することができる顔料は、有機剤で表面処理されたものであり得る。
【0237】
したがって、本発明に関連して有用な予め表面処理された顔料は、本発明による組成物中に分散させる前に、特にCosmetics and Toiletries,February 1990,Vol.105,pages 53-64に記載されているものなどの有機剤により、化学的、電気的、電気化学的、機械化学的又は機械的な表面処理を全体的又は部分的に施した顔料である。これらの有機剤は、例えば、ロウ、例えばカルナウバロウ及びミツロウ;脂肪酸、脂肪アルコール及びこれらの誘導体、例えば、ステアリン酸、ヒドロキシステアリン酸、ステアリルアルコール、ヒドロキシステアリルアルコール及びラウリン酸並びにこれらの誘導体;アニオン性界面活性剤;レシチン;脂肪酸のナトリウム、カリウム、マグネシウム、鉄、チタン、亜鉛又はアルミニウム塩、例えば、ステアリン酸又はラウリン酸アルミニウム;金属アルコキシド;ポリエチレン;(メタ)アクリル系ポリマー、例えば、ポリメチルメタクリレート;アクリレート単位を含むポリマー及びコポリマー;アルカノールアミン;シリコーン化合物、例えばシリコーン、特にポリジメチルシロキサン;有機フッ素化合物、例えばパーフルオロアルキルエーテル;フルオロシリコーン化合物から選択することができる。
【0238】
本組成物に有用な表面処理された顔料は、これらの化合物の混合物で処理され得、且つ/又は数回の表面処理を施され得る。
【0239】
本発明に関連して有用な表面処理された顔料は、当業者によく知られている表面処理技法に従って調製され得るか、又は商業的に入手可能な形態のままであり得る。
【0240】
好ましくは、表面処理された顔料は、有機層で被覆されている。
【0241】
顔料を処理する有機剤は、溶媒の蒸発、表面処理剤の分子との間の化学反応又は表面処理剤と顔料との間の共有結合の形成により、顔料上に堆積させることが可能である。
【0242】
したがって、表面処理は、例えば、表面処理剤と顔料表面とを化学反応させ、表面処理剤と顔料又は充填剤との間に共有結合を生成することにより実施することができる。この方法は、特に米国特許第4578266号明細書に記載されている。
【0243】
顔料と共有結合する有機剤が好ましく使用されるであろう。
【0244】
表面処理剤は、表面処理された顔料の総質量の、0.1質量%~50質量%、好ましくは0.5質量%~30質量%、一層より優先的には1質量%~20質量%を占めることができる。
【0245】
好ましくは、顔料の表面処理剤は、以下の処理剤から選択される:
- PEG-シリコーン処理剤、例えばLCWから販売されているAQ表面処理剤、
- メチコン処理剤、例えばLCWから販売されているSI表面処理剤、
- ジメチコン処理剤、例えばLCWから販売されているCovasil 3.05表面処理剤、
- ジメチコン/トリメチルシロキシシリケート処理剤、例えばLCWから販売されているCovasil 4.05表面処理剤、
- ミリスチン酸マグネシウム処理剤、例えばLCWから販売されているMM表面処理剤;
- ジミリスチン酸アルミニウム処理剤、例えば三好化成株式会社(Miyoshi)から販売されているMI表面処理剤;
- パーフルオロポリメチルイソプロピルエーテル処理剤、例えばLCWから販売されているFHC表面処理剤;
- セバシン酸イソステアリル処理剤、例えば三好化成株式会社(Miyoshi)から販売されているHS表面処理剤;
- パーフルオロアルキルホスフェート処理剤、例えば大東化成工業株式会社(Daito)から販売されているPF表面処理剤;
- アクリレート/ジメチコンコポリマー及びパーフルオロアルキルホスフェート処理剤、例えば大東化成工業株式会社(Daito)から販売されているFSA表面処理剤;
- ポリメチルヒドロシロキサン/パーフルオロアルキルホスフェート処理剤、例えば、大東化成工業株式会社(Daito)から販売されているFS01表面処理剤;
- アクリレート/ジメチコンコポリマー処理剤、例えば大東化成工業株式会社(Daito)から販売されているASC表面処理剤;
- トリイソステアリン酸イソプロピルチタン処理剤、例えば大東化成工業株式会社(Daito)から販売されているITT表面処理剤;
- アクリレートコポリマー処理剤、例えば大東化成工業株式会社(Daito)から販売されているAPD表面処理剤;
- パーフルオロアルキルホスフェート/トリイソステアリン酸イソプロピルチタン処理剤、例えば大東化成工業株式会社(Daito)から販売されているPF+ITT表面処理剤。
【0246】
本発明の特定の実施形態によれば、分散剤は、染料組成物中において、サブミクロンサイズの粒子状形態の有機又は鉱物顔料と共に存在する。
【0247】
「サブミクロン」又は「サブミクロンの」という用語は、微粉化方法により微粉化された粒子径を有し、平均粒子径が1マイクロメートル(μm)未満、特に0.1~0.9μm、好ましくは0.2~0.6μmである顔料を指す。
【0248】
一実施形態によれば、分散剤及び顔料は、1:4~4:1、特に1.5:3.5~3.5:1、より良好には1.75:3~3:1の量(分散剤:顔料)で存在する。
【0249】
したがって、分散剤は、シリコーンポリエーテルなどのシリコーン骨格を有する、先に述べたシリコーン以外のアミノシリコーン型の分散剤であり得る。好適な分散剤の中でも、以下を挙げることができる:
- アミノシリコーン、即ち1つ又は複数のアミノ基を含むシリコーン、例えば:BYKからBYK LPX 21879の名称及び商品記号で販売されているもの、Genesee Polymersから販売されているGP-4、GP-6、GP-344、GP-851、GP-965、GP-967及びGP-988-1、
- シリコーンアクリレート、例えば、Evonikから販売されているTego(登録商標) RC 902、Tego(登録商標) RC 922、Tego(登録商標) RC 1041及びTego(登録商標) RC 1043、
- カルボキシル基を有するポリジメチルシロキサン(PDMS)シリコーン、例えば、信越化学工業株式会社(Shin-Etsu)からのX-22162及びX-22370、エポキシシリコーン、例えば、Genesee PolymersからのGP-29、GP-32、GP-502、GP-504、GP-514、GP-607、GP-682及びGP-695又はEvonikからのTego(登録商標) RC 1401、Tego(登録商標) RC1403、Tego(登録商標) RC 1412。
【0250】
特定の実施形態によれば、分散剤は、先に述べたシリコーン以外のアミノシリコーン型のものであり、且つカチオン性のものである。
【0251】
好ましくは、顔料は、鉱物顔料、鉱物-有機混合顔料又は有機顔料から選択される。
【0252】
本発明の一変形形態において、本発明による顔料は、有機顔料、優先的にはシリコーン化合物から選択される有機剤で表面処理された有機顔料である。本発明の他の変形形態において、本発明による顔料は、鉱物顔料である。
【0253】
組成物(C)は、1つ又は複数の直接染料を含むことができる。
【0254】
「直接染料」という用語は、酸化染料以外の天然及び/又は合成染料を意味する。これらは、繊維の表面上に広がることになる染料である。
【0255】
これらはイオン性又は非イオン性であり得、好ましくはカチオン性又は非イオン性である。
【0256】
好適な直接染料の例としては、単独で又は混合物形態での、アゾ直接染料;(ポリ)メチン染料、例えば、シアニン、ヘミシアニン及びスチリル;カルボニル染料;アジン染料;ニトロ(ヘテロ)アリール染料;トリ(ヘテロ)アリールメタン染料;ポルフィリン染料;フタロシアニン染料;天然の直接染料を挙げることができる。
【0257】
直接染料は、好ましくは、カチオン性直接染料である。以下の式(XII)及び(XIII)のヒドラゾノカチオン性染料並びに式(XVI)及び(XV)のアゾカチオン性染料を挙げることができる。
[化学式29]
【化19】
[化学式30]
【化20】
[化学式31]
【化21】
[化学式32]
Ar+-N=N-Ar’’,Q- (XV)
(式(XII)~(XV)中、
- Het
+は、優先的には環内にカチオン性電荷を有し、優先的には少なくとも1つのメチルなどの(C
1~C
8)アルキル基で任意選択的に置換された、イミダゾリウム、インドリウム又はピリジニウムなどのカチオン性ヘテロアリール基を表し;
- Ar
+は、環外にカチオン性電荷、優先的にはアンモニウム、特にトリメチルアンモニウムなどのトリ(C
1~C
8)アルキルアンモニウムを有する、フェニル又はナフチルなどのアリール基を表し;
- Arは、優先的には1つ又は複数の電子供与性基、例えば、i)任意選択的に置換された(C
1~C
8)アルキル、ii)任意選択的に置換された(C
1~C
8)アルコキシ、iii)アルキル基がヒドロキシル基で任意選択的に置換された(ジ)(C
1~C
8)(アルキル)アミノ、iv)アリール(C
1~C
8)アルキルアミノ、v)任意選択的に置換されたN-(C
1~C
8)アルキル-N-アリール(C
1~C
8)アルキルアミノ、で任意選択的に置換された、アリール基、特にフェニルを表すか、又は代わりに、Arは、ジュロリジン基を表し;
- Ar’’は、任意選択的に置換された(ヘテロ)アリール基、例えば、優先的には1つ又は複数の(C
1~C
8)アルキル、ヒドロキシル、(ジ)(C
1~C
8)(アルキル)アミノ、(C
1~C
8)アルコキシ又はフェニル基で任意選択的に置換された、フェニル又はピラゾリルを表し;
- Ra及びRbは、同一であるか又は異なり得、水素原子又は任意選択的に(優先的にはヒドロキシル基で)置換された(C
1~C
8)アルキル基を表すか;又はさもなければ、
置換基Ra及びHet+の置換基並びに/又はRb及びArの置換基が、それらを有する原子と一緒になって、(ヘテロ)シクロアルキルを形成し;特に、Ra及びRbは、水素原子又はヒドロキシル基で任意選択的に置換された(C1~C4)アルキル基を表し、
- Q-は、ハライド又はアルキルスルフェートなどの有機又は無機アニオン性対イオンを表す)。
【0258】
特に、先に定義した式(XII)~(XV)の環内カチオン性電荷を有するアゾ及びヒドラゾノ直接染料、より詳細には、特許出願である国際公開第95/15144号パンフレット、国際公開第95/01772号パンフレット及び欧州特許第714954号明細書に記載されている環内カチオン性電荷を有するカチオン性直接染料、優先的には以下の直接染料を挙げることができる。
[化学式33]
【化22】
[化学式34]
【化23】
(式(XVI)及び(XVII)中、
- R
1は、メチルなどの(C
1~C
4)アルキル基を表し;
- R
2及びR
3は、同一であるか又は異なり得、水素原子又はメチルなどの(C
1~C
4)アルキル基を表し;
- R
4は、水素原子又は電子供与性基、例えば任意選択的に置換された(C
1~C
8)アルキル、任意選択的に置換された(C
1~C
8)アルコキシ若しくはアルキル基が任意選択的にヒドロキシル基で置換された(ジ)(C
1~C
8)(アルキル)アミノを表し;特に、R
4は、水素原子であり、
- Zは、CH基又は窒素原子、優先的にはCHを表し、
- Q
-は、先に定義したアニオン性対イオン、特にクロリドなどのハライド又はメチルスルフェート若しくはメシチルなどのアルキルスルフェートである)。
【0259】
特に、式(XVII)及び(XVIII)の染料は、Basic Red 51、Basic Yellow 87及びBasic Orange 31又はその誘導体から選択され、Q’は、先に定義したアニオン性対イオン、特にクロリドなどのハライド又はメチルスルフェート若しくはメシチルなどのアルキルスルフェートである。
【0260】
直接染料は、アニオン性直接染料から選択することができる。本発明のアニオン性直接染料は、アルカリ性物質と親和性を有することに由来して、一般に「酸」直接染料と称される染料である。「アニオン性直接染料」という用語は、その構造中に少なくとも1つのCO2R又はSO3R置換基(式中、Rは、水素原子又は金属若しくはアミンに由来する陽イオン或いはアンモニウムイオンを表す)を含む直接染料を意味する。アニオン性染料は、直接ニトロ酸染料、アゾ酸染料、アジン酸染料、トリアリールメタン酸染料、インドアミン酸染料、アントラキノン酸染料、インジゴイド染料及び天然酸染料から選択することができる。
【0261】
本発明による酸染料として、以下の(XVIII)、(XVIII’)、(XIX)、(XIX’)、(XX)、(XX’)、(XXI)、(XXI’)、(XXII)、(XXIII)、(XXIV)及び(XXV)の染料を挙げることができる。
【0262】
a)式(XVIII)又は(XVIII’)のジアリールアニオン性アゾ染料:
[化学式35]
【化24】
[化学式36]
【化25】
(式(XVIII)及び(XVIII’)中、
- R
7、R
8、R
9、R
10、R’
7、R’
8、R’
9及びR’
10は、同一であるか又は異なり得、水素原子又は以下:
- アルキル;
- アルコキシ、アルキルチオ;
- ヒドロキシル、メルカプト;
- ニトロ、ニトロソ;
- R°-C(X)-X’-、R°-X’-C(X)-、R°-X’-C(X)-X’’-(式中、R°は、水素原子又はアルキル若しくはアリール基を表し、X、X’及びX’’は、同一であるか又は異なり得、酸素若しくは硫黄原子又はNRを表し、Rは、水素原子又はアルキル基を表す);
- (O)
2S(O-)-,M+(式中、M+は、水素原子又はカチオン性対イオンを表す);
- (O)CO
--,M
+(式中、M
+は先に定義した通りである);
- R’’-S(O)
2-(式中、R’’は、水素原子又はアルキル、アリール、(ジ)(アルキル)アミノ若しくはアリール(アルキル)アミノ基を表し;優先的にはフェニルアミノ又はフェニル基を表す);
- R’’’-S(O)
2-X’-(式中、R’’’は、アルキル又は任意選択的に置換されたアリール基を表し、X’は先に定義した通りである);
- (ジ)(アルキル)アミノ;
- i)ニトロ、ii)ニトロソ、iii)(O)2S(O-)-,M+(式中、M+は、先に定義した通りである)、及びiv)アルコキシから選択される1つ又は複数の基で任意選択的に置換されたアリール(アルキル)アミノ;
- 任意選択的に置換されたヘテロアリール;優先的にはベンゾチアゾリル基;
- シクロアルキル;特にシクロヘキシル;
- Ar-N=N-(式中、Arは、任意選択的に置換されたアリール基を表し;優先的には1つ又は複数のアルキル、(O)2S(O-)-,M+又はフェニルアミノ基で任意選択的に置換されたフェニルを表す)
から選択される基を表すか;又は代わりに、
- 2個の隣接している基であるR
7及びR
8又はR
8及びR
9又はR
9及びR
10が一緒になって、縮合ベンゾ基A’を形成し;R’
7及びR’
8又はR’
8及びR’
9又はR’
9及びR’
10が一緒になって、縮合ベンゾ基B’を形成し;A’及びB’は、i)ニトロ;ii)ニトロソ;iii)(O)
2S(O-)-,M+;iv)ヒドロキシル;v)メルカプト;vi)(ジ)(アルキル)アミノ;vii)R°-C(X)-X’-;viii)R°-X’-C(X)-;ix)R°-X’-C(X)-X’’-;x)Ar-N=N-、及びxi)任意選択的に置換されたアリール(アルキル)アミノ;から選択される1つ又は複数の基で任意選択的に置換されており、M+、R°、X、X’、X’’及びArは、先に定義した通りであり;
- Wは、シグマ結合σ、酸素若しくは硫黄原子又は2価の基i)-NR-(式中、Rは、先に定義した通りである)若しくはii)メチレン-C(Ra)(Rb)-(式中、Ra及びRbは、同一であるか又は異なり得、水素原子若しくはアリール基を表すか、又は代わりに、Ra及びRbが一緒になって、それらを有する炭素原子と一緒にスピロシクロアルキルを表す)を表し、優先的には、Wは、硫黄原子を表すか、又はRa及びRbが一緒になってシクロヘキシルを表し;
式(XVIII)及び(XVIII’)は、環A、A’、B、B’又はCのうちの1つの上に、少なくとも1つのスルホネート基(O)
2S(O-)-,M+又は1つのカルボキシレート基(O)CO--,M+;優先的にはナトリウムスルホネートを含むことが理解される)。
【0263】
式(XVIII)の染料の例として、Acid Red 1、Acid Red 4、Acid Red 13、Acid Red 14、Acid Red 18、Acid Red 27、Acid Red 28、Acid Red 32、Acid Red 33、Acid Red 35、Acid Red 37、Acid Red 40、Acid Red 41、Acid Red 42、Acid Red 44、Pigment Red 57、Acid Red 68、Acid Red 73、Acid Red 135、Acid Red 138、Acid Red 184、Food Red 1、Food Red 13、Acid Orange 6、Acid Orange 7、Acid Orange 10、Acid Orange 19、Acid Orange 20、Acid Orange 24、Yellow 6、Acid Yellow 9、Acid Yellow 36、Acid Yellow 199、Food Yellow 3、Acid Violet 7、Acid Violet 14、Acid Blue 113、Acid Blue 117、Acid Black 1、Acid Brown 4、Acid Brown 20、Acid Black 26、Acid Black 52、Food Black 1、Food Black 2、Food yellow 3又はsunset yellowを挙げることができ;式(XVIII’)の染料の例として、Acid Red 111、Acid Red 134、Acid yellow 38を挙げることができる。
【0264】
b)式(XIX)及び(XIX’)のピラゾロンアニオン性アゾ染料:
[化学式37]
【化26】
[化学式38]
【化27】
(式(XIX)及び(XIX’)中、
- R
11、R
12及びR
13は、同一であるか又は異なり得、水素又はハロゲン原子、アルキル基若しくは-(O)
2S(O-)、M+(式中、M+は、先に定義した通りである)を表し;
- R
14は、水素原子、アルキル基又は-C(O)O-,M+基(式中、M+は、先に定義した通りである)を表し;
- R
15は、水素原子を表し;
- R
16は、オキソ基を表し、その場合、R’
16は、存在しないか、又は代わりに、R
15は、R
16と一緒になって二重結合を形成し;
- R
17及びR
18は、同一であるか又は異なり得、水素原子又は以下:
- (O)
2S(O-)-,M+(式中、M+は、先に定義した通りである);
- Ar-O-S(O)
2-(式中、Arは、任意選択的に置換されたアリール基を表し、優先的には1つ又は複数のアルキル基で任意選択的に置換されたフェニルを表す)
から選択される基を表し;
- R
19及びR
20は、一緒になって、二重結合又は任意選択的に置換されたベンゾ基D’のいずれかを形成し;
- R’
16、R’
19及びR’
20は、同一であるか又は異なり得、水素原子又はアルキル基又はヒドロキシル基を表し;
- R
21は、水素原子又はアルキル基又はアルコキシ基を表し;
- R
a及びR
bは、同一であるか又は異なり得、先に定義した通りであり、優先的には、R
aは、水素原子を表し、R
bは、アリール基を表し;
- Yは、ヒドロキシル基又はオキソ基のいずれかを表し;
-
【化28】
は、Yがオキソ基である場合には単結合を表し;Yがヒドロキシル基である場合には二重結合を表し;
式(XIX)及び(XIX’)は、環D又はE上に、少なくとも1つのスルホネート基(O)
2S(O-)-,M+又は1つのカルボキシレート基-C(O)O-,M+;優先的にはナトリウムスルホネートを含むことが理解される)。
【0265】
式(XIX)の染料の例として、Acid Red 195、Acid Yellow 23、Acid Yellow 27、Acid Yellow 76を挙げることができ;式(XIX’)の染料の例として、Acid Yellow 17を挙げることができる。
【0266】
c)式(XX)及び(XX’)のアントラキノン染料:
[化学式39]
【化29】
[化学式40]
【化30】
(式(XX)及び(XX’)中、
- R
22、R
23、R
24、R
25、R
26及びR
27は、同一であるか又は異なり得、水素若しくはハロゲン原子又は以下:
- アルキル;
- ヒドロキシル、メルカプト;
- アルコキシ、アルキルチオ;
- 優先的にはアルキル及び(O)
2S(O-)-,M+(式中、M+は、先に定義した通りである)から選択される1つ又は複数の基で任意選択的に置換された、アリールオキシ又はアリールチオ;
- アルキル及び(O)2S(O-)-,M+(式中、M+は、先に定義した通りである)から選択される1つ又は複数の基で任意選択的に置換されたアリール(アルキル)アミノ;
- (ジ)(アルキル)アミノ;
- (ジ)(ヒドロキシアルキル)アミノ;
- (O)
2S(O-)-,M+(式中、M+は、先に定義した通りである)
から選択される基を表し;
Z’は、水素原子又はNR28R29基(式中、R28及びR29は、同一であるか又は異なり得、水素原子又は以下:
- アルキル;
- ヒドロキシエチルなどのポリヒドロキシアルキル;
- 1つ又は複数の基、特にi)メチル、n-ドデシル、n-ブチルなどのアルキル;ii)(O)
2S(O-)-,M+(式中、M+は、先に定義した通りである);iii)R°-C(X)-X’-、R°-X’-C(X)-、R°-X’-C(X)-X’’-(式中、R°、X、X’及びX’’は、先に定義した通りであり、優先的には、R°は、アルキル基を表す)で任意選択的に置換されたアリール;
- シクロアルキル;特にシクロヘキシル
から選択される基を表す)を表し;
Zは、ヒドロキシル及びNR’28R’29(式中、R’28及びR’29は、同一であるか又は異なり得、先に定義したR28及びR29と同一の原子又は基を表す)から選択される基を表し;
式(XX)及び(XX’)は、少なくとも1つのスルホネート基(O)
2S(O-)-,M+又は1つのカルボキシレート基C(O)O-,M+;優先的にはナトリウムスルホネートを含むことが理解される)。
【0267】
式(XX)の染料の例として、Acid Blue 25、Acid Blue 43、Acid Blue 62、Acid Blue 78、Acid Blue 129、Acid Blue 138、Acid Blue 140、Acid Blue 251、Acid Green 25、Acid Green 41、Acid Violet 42、Acid Violet 43、Mordant Red 3;EXT violet No.2を挙げることができ;式(XXI’)の染料の例として、Acid Black 48を挙げることができる。
【0268】
d)式(XXI)及び(XXI’)のニトロ染料:
[化学式41]
【化31】
[化学式42]
【化32】
(式(XXI)及び(XXI’)中、
- R
30、R
31及びR
32は、同一であるか又は異なり得、水素若しくはハロゲン原子又は以下:
- アルキル;
- 1つ又は複数のヒドロキシル基で任意選択的に置換されたアルコキシ、1つ又は複数のヒドロキシル基で任意選択的に置換されたアルキルチオ;
- ヒドロキシル、メルカプト;
- ニトロ、ニトロソ;
- ポリハロアルキル;
- R°-C(X)-X’-、R°-X’-C(X)-、R°-X’-C(X)-X’’-(式中、R°、X、X’及びX’’は、先に定義した通りである);
- (O)
2S(O-)-,M+(式中、M+は、先に定義した通りである);
- (O)CO
--,M
+(式中、M
+は、先に定義した通りである);
- (ジ)(アルキル)アミノ;
- (ジ)(ヒドロキシアルキル)アミノ;
- ピペリジノ、ピペラジノ又はモルホリノなどのヘテロシクロアルキル
から選択される基を表し;特に、R
30、R
31及びR
32は、水素原子を表し;
- Rc及びRdは、同一であるか又は異なり得、水素原子又はアルキル基を表し;
- Wは、先に定義した通りであり;Wは、特に、-NH-基を表し;
- ALKは、直鎖又は分岐の2価のC
1~C
6アルキレン基を表し;特に、ALKは-CH
2-CH
2-基を表し;
- nは、1又は2であり;
- pは、1~5(境界値を含む)の整数を表し;
- qは、1~4(境界値を含む)の整数を表し;
- uは、0又は1であり;
- nが1である場合、Jは、ニトロ又はニトロソ基;特にニトロを表し;
- nが2である場合、Jは、酸素若しくは硫黄原子又は2価の-S(O)m-基を表し(式中、mは、1又は2の整数を表す);優先的には、Jは、-SO2-基を表し;
- M’は、水素原子又はカチオン性対イオンを表し;
-
【化33】
は、存在していても又は存在していなくてもよく、1つ又は複数の先に定義した通りのR30基で任意選択的に置換されたベンゾ基を表し;
式(XXI)及び(XXI’)は、少なくとも1つのスルホネート基(O)
2S(O-)-,M+又は1つのカルボキシレート基-C(O)O-,M+;優先的にはナトリウムスルホネートを含むことが理解される)。
【0269】
式(XXII)の染料の例として、Acid Brown 13及びAcid Orange 3を挙げることができ;式(XXII’)の染料の例として、Acid Yellow 1,2,4-ジニトロ-1-ナフトール-7スルホン酸のナトリウム塩、2-ピペリジノ-5-ニトロベンゼンスルホン酸、2-(4’-N,N-2’’-ヒドロキシエチル)アミノ-2’-ニトロ)アニリンエタンスルホン酸、4-β-ヒドロキシエチルアミノ-3-ニトロベンゼンスルホン酸;EXT D&C Yellow 7を挙げることができる。
【0270】
e)式(XXII)のトリアリールメタン染料:
[化学式43]
【化34】
(式(XXII)中、
- R
33、R
34、R
35及びR
36は、同一であるか又は異なり得、水素原子又はアルキル、任意選択的に置換されたアリール及び任意選択的に置換されたアリールアルキルから選択される基を表し;特に、アルキル基及び任意選択的に(O)
mS(O-)-,M+基(式中、M+及びmは、先に定義した通りである)で置換されたベンジル基を表し;
- R
37、R
38、R
39、R
40、R
41、R
42、R
43及びR
44は、同一であるか又は異なり得、水素原子又は以下:
- アルキル;
- アルコキシ、アルキルチオ;
- (ジ)(アルキル)アミノ;
- ヒドロキシル、メルカプト;
- ニトロ、ニトロソ;
- R°-C(X)-X’-、R°-X’-C(X)-、R°-X’-C(X)-X’’-(式中、R°は、水素原子又はアルキル若しくはアリール基を表し、X、X’及びX’’は、同一であるか又は異なり得、酸素若しくは硫黄原子又はNRを表し、Rは、水素原子又はアルキル基を表す);
- (O)
2S(O-)-,M+(式中、M+は、水素原子又はカチオン性対イオンを表す);
- (O)CO
--,M
+(式中、M
+は先に定義した通りである)
から選択される基を表すか;又は代わりに、
- 2個の隣接する基R
41及びR
42又はR
42及びR
43又はR
43及びR
44が一緒になって縮合ベンゾ基I’を形成し:I’は、i)ニトロ;ii)ニトロソ;iii)(O)
2S(O-)-,M+;iv)ヒドロキシル;v)メルカプト;vi)(ジ)(アルキル)アミノ;vii)R°-C(X)-X’-;viii)R°-X’-C(X)-、及びix)R°-X’-C(X)-X’’-(式中、M+、R°、X、X’及びX’’は、先に定義した通りである)から選択される1つ又は複数の基で任意選択的に置換されており;
特に、R
37~R
40は、水素原子を表し、R
41~R
44は、同一であるか又は異なり得、ヒドロキシル基又は(O)
2S(O-)-,M+を表し;R
43及びR
44が一緒になってベンゾ基を形成している場合、これは、優先的には、(O)
2S(O-)-基で置換されており;
環G、H、I又はI’の少なくとも1つは、少なくとも1つのスルホネート基(O)
2S(O
-)-又はカルボキシレート基-C(O)O-;優先的にはスルホネートを含むことが理解される)。
【0271】
式(XXIII)の染料の例として、Acid Blue 1;Acid Blue 3;Acid Blue 7;Acid Blue 9;Acid Violet 49;Acid Green 3;Acid Green 5及びAcid Green 50を挙げることができる。
【0272】
f)式(XXIII)のキサンテン系染料:
[化学式44]
【化35】
(式(XXIII)中、
- R
45、R
46、R
47及びR
48は、同一であるか又は異なり得、水素又はハロゲン原子を表し;
- R
49、R
50、R
51及びR
52は、同一であるか又は異なり得、水素若しくはハロゲン原子又は以下:
- アルキル;
- アルコキシ、アルキルチオ;
- ヒドロキシル、メルカプト;
- ニトロ、ニトロソ;
- (O)
2S(O-)-,M+(式中、M+は、水素原子又はカチオン性対イオンを表す);
- (O)CO
--,M
+(式中、M
+は先に定義した通りである)
から選択される基を表し;
特に、R
53、R
54、R
55及びR
48は、水素又はハロゲン原子を表し;
- Gは、酸素若しくは硫黄原子又はNRe基(式中、Reは、先に定義した通りである)を表し;特に、Gは、酸素原子を表し;
- Lは、アルコキシドO-,M+;チオアルコキシドS-,M+又はNRf基(式中、Rfは、水素原子又はアルキル基を表し、M+は、先に定義し通りであり;M+は、特にナトリウム又はカリウムである)を表し;
- L’は、酸素若しくは硫黄原子又はアンモニウム基:N+RfRg(式中、Rf及びRgは、同一であるか又は異なり得、水素原子又は任意選択的に置換されたアルキル若しくはアリール基を表す)を表し;L’は、特に、酸素原子又は1つ若しくは複数のアルキル若しくは(O)
mS(O-)-,M+基(式中、m及びM+は、先に定義した通りである)で任意選択的に置換されたフェニルアミノ基を表し;
- Q及びQ’は、同一であるか又は異なり得、酸素又は硫黄原子を表し;特に、Q及びQ’は酸素原子を表し;
- M+は、先に定義した通りである)。
【0273】
式(XXIII)の染料の例として: Acid Yellow 73;Acid Red 51;Acid Red 52;Acid Red 87;Acid Red 92;Acid Red 95;Acid Violet 9を挙げることができる。
【0274】
g)式(XXIV)のインドール系染料:
[化学式45]
【化36】
(R
53、R
54、R
55、R
56、R
57、R
58、R
59及びR
60は、同一であるか又は異なり得、水素原子又は以下:
- アルキル;
- アルコキシ、アルキルチオ;
- ヒドロキシル、メルカプト;
- ニトロ、ニトロソ;
- R°-C(X)-X’-、R°-X’-C(X)-、R°-X’-C(X)-X’’-(式中、R°は、水素原子又はアルキル若しくはアリール基を表し、X、X’及びX’’は、同一であるか又は異なり得、酸素若しくは硫黄原子又はNRを表し、Rは、水素原子又はアルキル基を表す);
- (O)
2S(O-)-,M+(式中、M+は、水素原子又はカチオン性対イオンを表す);
- (O)CO
--,M
+(式中、M
+は、先に定義した通りである)
から選択される基を表し;
- Gは、酸素若しくは硫黄原子又はNRe基(式中、Reは、先に定義した通りである)を表し;特に、Gは、酸素原子を表し;
- Ri及びRhは、同一であるか又は異なり得、水素原子又はアルキル基を表し;
式(XXIV)は、少なくとも1つのスルホネート基(O)
2S(O-)-,M+又は1つのカルボキシレート基-C(O)O-,M+;優先的にはナトリウムスルホネートを含むことが理解される)。
【0275】
式(XXIV)の染料の例として、Acid Blue 74を挙げることができる。
【0276】
h)式(XXV)のキノリン系染料:
[化学式46]
【化37】
(- R
61は、水素若しくはハロゲン原子又はアルキル基を表し;
- R
62、R
63及びR
64は、同一であるか又は異なり得、水素原子又は(O)
2S(O-)-,M+基(式中、M+は、水素原子又はカチオン性対イオンを表す)を表すか;又は代わりに、
R
61及びR
62又はR
61及びR
64が一緒になって、1つ又は複数の(O)
2S(O-)-,M+基(式中、M+は、水素原子又はカチオン性対イオンを表す)で任意選択的に置換されたベンゾ基を形成し;
式(XXV)は、少なくとも1つのスルホネート基(O)
2S(O-)-,M+、優先的にはナトリウムスルホネートを含むことが理解される)。
【0277】
式(XXVI)の染料の例として、Acid Yellow 2、Acid Yellow 3及びAcid Yellow 5を挙げることができる。
【0278】
本発明に従い使用することができる天然の直接染料の中でも、ローソン、ジュグロン、アリザリン、プルプリン、カルミン酸、ケルメス酸、プルプロガリン、プロトカテクアルデヒド、インジゴ、イサチン、クルクミン、スピヌロシン、アピゲニジン、オルセインを挙げることができる。これらの天然染料を含む抽出物又は煎出物、特にヘンナ染料をベースとする湿布又は抽出物を使用することも可能である。
【0279】
好ましくは、直接染料は、アニオン性直接染料から選択される。
【0280】
着色剤は、組成物(C)の総質量に対して0.001質量%~20質量%、好ましくは0.005質量%~15質量%の範囲の総量で存在することができる。
【0281】
顔料は、組成物(C)の総質量に対して0.05質量%~20質量%、好ましくは0.1質量%~15質量%、より良好には1質量%~10質量%の総量で存在することができる。
【0282】
直接染料は、組成物の総質量に対して0.001質量%~10質量%、好ましくは、組成物(C)の総質量に対して0.005質量%~5質量%の範囲の総含有量で存在することができる。
【0283】
本発明による組成物(C)は水を含むことができる。好ましくは、水は、組成物の総質量に対して0.1質量%~95質量%、より優先的には1質量%~92質量%、より良好には10質量%~90質量%の範囲の含有量で存在する。
【0284】
有機溶媒:
本発明による組成物(C)は、1つ又は複数の有機溶媒を含むことができる。
【0285】
有機溶媒の例として、低級C1~C4アルカノール、例えばエタノール及びイソプロパノール;ポリオール及びポリオールエーテル、例えばグリセロール、2-ブトキシエタノール、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル並びにジエチレングリコールモノエチルエーテル及びモノメチルエーテルに加えて、芳香族アルコール、例えばベンジルアルコール又はフェノキシエタノール並びにこれらの混合物を挙げることができる。
【0286】
有機溶媒は、染料組成物の総質量に対して約0.1質量%~20質量%(境界値を含む)、好ましくは0.5質量%~15質量%、より優先的には組成物(C)の総質量に対して1質量%~15質量%(境界値を含む)の総量で存在することができる。
【0287】
添加剤:
組成物(C)は、通常使用される任意の補助剤又は添加剤も含み得る。
【0288】
組成物中に含有され得る添加剤の中でも、還元剤、増粘剤、軟化剤、消泡剤、保湿剤、紫外線遮蔽剤、解膠剤(peptizer)、可溶化剤、香料、アニオン性、カチオン性、非イオン性又は両性界面活性剤、タンパク質、ビタミン、ポリマー、防腐剤、ロウ及びこれらの混合物を挙げることができる。
【0289】
本発明による組成物は、特に、懸濁液、分散液、ゲル、エマルジョン、特に水中油型(O/W)若しくは油中水型(W/O)エマルジョン又は多相エマルジョン(W/O/W型又はポリオール/O/W型又はO/W/O型)の形態、クリーム、ムース、スティック、ベシクル、特にイオン性若しくは非イオン性脂質の分散液又は2相若しくは多相ローションの形態であり得る。
【0290】
当業者は、一般知識に基づき、適切な提供形態に加えて、それを調製するための方法を、まず使用する構成成分の性質、特にそれらの担体中での溶解性を考慮し、次に組成物に意図されている用途を考慮して選択することができる。
【0291】
手順:
本発明は、毛髪などのケラチン繊維を化粧的に処理する、特に染色するための方法であって、先に定義した組成物(C)が前記繊維に適用される、方法にも関する。
【0292】
上に述べた組成物(C)は、湿った又は乾いたケラチン繊維上で使用することができ、また、明るい色又は暗い色の、天然又は染色された、パーマネントウェーブ、脱色又は縮毛矯正が施されたあらゆるタイプの繊維上で使用することができる。
【0293】
本発明の特定の実施形態によれば、ケラチン繊維は、組成物(C)を適用する前に洗浄される。
【0294】
繊維への適用は、任意の標準的な手段を介して、特に櫛、目の細かいブラシ、目の粗いブラシ、スポンジ又は指を用いて行うことができる。
【0295】
組成物(C)のケラチン繊維への適用は、一般に、室温(15~25℃)で行われる。
【0296】
好ましくは、組成物(C)をケラチン繊維に適用した後、例えば洗浄、濯ぎ、脱水又は乾燥ステップ前に、1分間~6時間、特に1分間~2時間、より詳細には1分間~1時間、より優先的には1分間~30分間放置する。
【0297】
好ましくは、洗浄、濯ぎ、脱水又は乾燥ステップは、組成物(C)をケラチン繊維に適用した後に実施される。
【0298】
組成物(C)を適用した後、繊維を自然乾燥させ得るか、又は例えば30℃以上の温度で乾燥させ得る。
【0299】
したがって、本発明による方法は、加熱器具を使用してケラチン繊維に熱を印加するステップを含み得る。
【0300】
本発明の方法の熱を印加するステップは、フード型ドライヤー(hood)、ヘアドライヤー、ストレートアイロン、カールアイロン、クリマゾン(Climazon)などを使用して実施することができる。
【0301】
本発明の方法がケラチン繊維に熱を印加するステップを含む場合、ケラチン繊維に熱を印加するステップは、組成物(C)をケラチン繊維に適用した後に実施される。
【0302】
ケラチン繊維に熱を印加するステップを実施している最中に、毛束に対してコーミング、ブラッシング又は手櫛などの機械的な作用を与えることができる。
【0303】
ケラチン繊維に熱を印加するステップがフード型ドライヤー又はヘアドライヤーを使用して実施される場合、温度は、好ましくは30℃~110℃、優先的には50℃~90℃である。
【0304】
ケラチン繊維に熱を印加するステップがストレートアイロンを使用して実施される場合、温度は、好ましくは、110℃~220℃、好ましくは140℃~200℃である。
【0305】
特定の変形形態では、本発明の方法は、フード型ドライヤー、ヘアドライヤー又はクリマゾン、好ましくはヘアドライヤーを使用して熱を印加するステップ(b1)及びストレートアイロン又はカールアイロン、好ましくはストレートアイロンを使用して熱を印加するステップ(b2)を含む。
【0306】
ステップ(b1)は、ステップ(b2)前に実施することができる。
【0307】
乾燥ステップとも称されるステップ(b1)の最中は、繊維を、例えば30℃以上の温度で乾燥させることができる。特定の実施形態によれば、この温度は40℃を超える。特定の実施形態によれば、この温度は45℃を超え、且つ110℃未満である。
【0308】
好ましくは、繊維を乾燥させる場合、繊維は、熱の供給に加えて、空気流を用いて乾燥させる。乾燥時にこの空気流を用いることにより、被覆されている毛束を分離し易くすることができる。
【0309】
乾燥中、毛束にコーミング、ブラッシング又は手櫛などによる機械的な作用を与えることができる。
【0310】
乾燥ステップ(b2)においてストレートアイロン又はカールアイロン、好ましくはストレートアイロンを滑らせる際の温度は、好ましくは、110℃~220℃、好ましくは140℃~200℃の範囲であり得る。
【0311】
乾燥ステップが終了したら、形付け(shaping)ステップを、例えば、ストレートアイロンを用いて実施することができ;形付けステップの温度は110~220℃、好ましくは140~200℃である。
【0312】
好ましくは、本発明による方法は、毛髪などのケラチン繊維を処理するための方法であって、
i)先に定義した組成物(C)の前記繊維への適用と、次いで、
ii)任意選択的に、前記組成物(C)の繊維上での1分間~30分間、好ましくは1~20分間の放置時間と、次いで、
iii)任意選択的に、前記繊維の洗浄、濯ぎ、脱水又は乾燥ステップと
を含む方法である。
【0313】
好ましくは、組成物(C)をケラチン繊維に適用するステップは、数回繰り返される。
【0314】
他の特定の実施形態によれば、ケラチン繊維を処理するための方法は、少なくとも2種の組成物(C1)及び(C2)を使用時に用時混合することと、この混合物をケラチン繊維に適用することとを含む、毛髪などのケラチン繊維を処理するための方法であって、
- 組成物(C1)は、先に述べた少なくとも1つの(ポリ)カルボジイミド化合物を含み;
- 組成物(C2)は、任意選択的に、先に述べたポリウレタン、アクリル系ポリマー及びこれらの混合物から選択されるポリマーの粒子の少なくとも1つの水性分散物を含み;
組成物(C1)及び/又は組成物(C2)は、顔料、直接染料及びこれらの混合物から選択される少なくとも1つの着色剤を含み、且つ任意選択的に、先に定義した少なくとも1つのシリコーンを含む、方法である。
【0315】
好ましくは、組成物(C2)は、顔料、直接染料及びこれらの混合物から選択される少なくとも1つの着色剤を含む。
【0316】
好ましくは、組成物(C1)は、顔料、直接染料及びこれらの混合物から選択される少なくとも1つの着色剤を含まない。
【0317】
この実施形態によれば、組成物(C1)及び(C2)の混合は、好ましくはケラチン繊維に適用する15分未満前に実施され、より優先的には10分未満、より良好には適用の5分未満前に実施される。
【0318】
組成物(C1)及び組成物(C2)の質量比は、好ましくは0.1~10、優先的には0.2~5、より良好には0.5~2、更に0.6~1.5の範囲である。特定の実施形態において、組成物(C1)及び組成物(C2)の質量比は、1に等しい。
【0319】
本発明の特定の変形形態によれば、本発明は、毛髪などのケラチン繊維を処理するための器具であって、
- 第1区画(F1)における、先に定義した、少なくとも1つの(ポリ)カルボジイミド化合物を含む組成物(C1)と;
- 第2区画(F2)における、先に定義したポリウレタン、アクリル系ポリマー及びこれらの混合物から選択されるポリマーの粒子の少なくとも1つの水性分散物を任意選択的に含む組成物(C2)と
を含み、組成物(C1)及び/又は組成物(C2)は、顔料、直接染料及びこれらの混合物から選択される少なくとも1つの着色剤を含み、且つ任意選択的に、先に定義した少なくとも1つのシリコーンを含む、少なくとも2つの区画を含む器具に関する。
【0320】
本発明は、先に定義した組成物(C)の、毛髪などのケラチン繊維を化粧的に処理する、特に染色するための使用にも関する。
【0321】
ここで、実施例を用いて本発明をより具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を何ら限定するものではない。しかしながら、実施例は、本発明の特定の特徴、変形形態及び好ましい実施形態を支持することができる。
【0322】
本発明の(ポリ)カルボジイミドは、市販の製品又は当業者にも知られている化学反応に従い合成することができる試薬から出発して、当業者に知られている合成方法を介して入手することができる。例えば、書籍であるSciences of Synthesis-Houben-Weyl Methods of Molecular Transformations,2005, Georg Thiem Verlag Kg,Rudigerstrasse 14,D-70469 Stuttgart又は米国特許第4284730号明細書又はカナダ国特許第2509861号明細書を挙げることができる。
【0323】
より具体的には、本発明の(ポリ)カルボジイミドを調製するための方法は、第1ステップにおいて、ジイソシアネート試薬(1):
O=C=N-L1-N=C=O (1)
(式(1)中、L1は、先に定義した通りである)
を、米国特許第4284730号明細書に記載されているものなどのカルボジイミド化触媒(2)、特にリン系触媒、特にホスホレンオキシド並びにホスホレンスルホキシド、ジアザ-及びオキサアザ-ホスホランから選択されるものの存在下において、好ましくは不活性雰囲気(窒素又はアルゴン)中、特に好ましくは非プロトン性の極性溶媒、例えば、HF、グリム、ジグリム、1,4-ジオキサン又はDMF中、室温~溶媒の還流温度の温度、好ましくは約140℃で反応させることにより;カルボジイミドジイソシアネート化合物(3):
O=C=N-L1-(N=C=N-L1)n-N=C=O (3)
(式(3)中、L1及びnは、先に定義した通りである)
を生成することを含む。触媒を失活させるために、塩化ベンゾイルなどのハロゲン化ベンゾイルを添加し得る。
【0324】
この調製方法の第2ステップにおいて「対称」(ポリ)カルボジイミドを得る場合、化合物(3)を、1モル当量(1eq.)の求核試薬R1-X1-Hと反応させ、次いで0.5eq.の試薬H-E-H(式中、R1、X1及びEは、先に定義した通りである)と反応させることにより、本発明による「対称」化合物(4):
[R1-X1-C(O)-NH-L1-(N=C=N-L1)n-NH-C(O)]2-E (4)
(式(4)中、R1、X1、L1、n及びEは、先に定義した通りである)
が生成する。(3)から化合物(4)を得るための一変形形態によれば、まず0.5eq.の試薬H-E-Hを添加した後、1eq.の試薬R1-X1-Hを添加することが可能である。
【0325】
この調製方法の第2ステップにおいて「非対称」(ポリ)カルボジイミドを得る場合、化合物(3)を、1モル当量(1eq.)の求核試薬R1-X1-Hと反応させ、次いで1eq.の試薬H-E-H(式中、R1、X1及びEは、先に定義した通りである)と反応させることにより、化合物(5):
R1-X1-C(O)-NH-L1-(N=C=N-L1)n-NH-C(O)-E-H (5)
(式(5)中、R1、X1、L1、n及びEは、先に定義した通りである)
が生成する。
【0326】
(3)から化合物(5)を得るための一変形形態によれば、まず1eq.の試薬R1-X1-Hを添加した後、0.5eq.の試薬H-E-Hを添加することが可能である。
【0327】
第3ステップにおいて、化合物(5)を、1eq.の化合物(6):
R2-X2-C(O)-NH-L1-(N=C=N-L1)z-N=C=O (6)(前記化合物(6)は、化合物(3’):
O=C=N-L1-(N=C=N-L1)z-N=C=O (3’)(式(3’)中、L1及びzは、先に定義した通りである)を、1eq.の求核試薬R2-X2-H(式中、L1、R2、X2及びzは、先に定義した通りである)と反応させることにより予め調製されたものである)と反応させることにより、非対称化合物(7):
R1-X1-C(O)-NH-L1-(N=C=N-L1)n-NH-C(O)-E-C(O)-NH-L1-(N=C=N-L1)z-NH-C(O)-X2-R2 (7)
(式(7)中、L1、R1、X1、R2、X2、n、z及びEは、先に定義した通りである)
が生成する。
【0328】
1eqの化合物(3’)O=C=N-L1-(N=C=N-L1)z-N=C=O (3’)を、1/w当量のH-E-Hと反応させ、次いで1eq.の求核試薬R2-X2-Hと反応させることにより、化合物(8):
H-[E-C(O)-NH-L1-(N=C=N-L1)z]w-NH-C(O)-X2-R2 (8)
(式(8)中、L1、R2、X2、z及びEは、先に定義した通りであり、及びwは、1~3の範囲の整数を表し、好ましくは1に等しい)
を生成することも可能である。後者の化合物(8)を、次いで、1eq.の化合物(4’):
R1-X1-C(O)-NH-L1-(N=C=N-L1)n-N=C=O (4’)
(前記化合物(4’)は、0.5eq.の求核試薬R1-X1-Hを1eq.の化合物(3)と反応させることにより合成することができる)
と反応させることにより、本発明の(ポリ)カルボジイミド(9):
R1-X1-C(O)-NH-L1-(N=C=N-L1)n-NH-C(O)-[E-C(O)-NH-L1-(N=C=N-L1)z]w-NH-C(O)-X2-R2 (9)
(式(9)中、L1、R1、X1、R2、X2、n、z、w及びEは、先に定義した通りである)
が生成する。
【0329】
(ポリ)カルボジイミド化合物及びそれと同様に全ての反応中間体及び試薬は、当業者に知られている従来の方法、例えば、水及び水と不混和な有機溶媒を用いた抽出、促進、遠心分離、濾過及び/又はクロマトグラフィーにより精製することができる。
【実施例】
【0330】
実施例1:(ポリ)カルボジイミド化合物を合成するための方法
温度計、撹拌機及び還流管を備えた500mL容の三ツ口丸底フラスコに4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート50g及び4,5-ジヒドロ-3-メチル-1-フェニル-1H-ホスホール1-オキシド0.5gを撹拌しながら装入する。
【0331】
赤外分光法により2200~2300cm-1のイソシアネート基の吸収で反応を監視しながら、反応媒体を窒素中140℃で4時間加熱した後、120℃に冷却する。
【0332】
ポリエチレングリコールモノメチルエーテル5.3g及び1,4-ブタンジオール1.2gを撹拌しながら反応媒体に導入する。赤外分光法により2200~2300cm-1を監視し、イソシアネート基が完全に消失するまで温度を120℃に維持し、次いで室温に冷却する。
【0333】
室温に冷却した後、蒸留水85gを含む500mL容のガラス製ビーカーに反応媒体を激しく撹拌しながら滴下することにより、所望の生成物を半透明の黄色液体の形態で得る。
【0334】
実施例2:
組成:得られた活性物質をg単位で表した量/100g
【0335】
【0336】
(1)実施例1に記載した合成方法に従い合成(水中に活性物質40%を含む)
(2)Wacker社からBelsil ADM LOG 1の名称で販売
【0337】
【0338】
(3)大東化成工業株式会社(Daito Kasei Kogyo)からDaitosol 3000SLPN-PE1の商品名で販売(活性物質30%を含む水性分散物)
【0339】
組成物C1を組成物C2と50/50比で混合することにより組成物Cを得る。
【0340】
手順:
組成物Cを、白髪90%を含む乾いた天然の毛髪の毛束に、毛束1グラム当たり組成物0.5gの比率で適用する。
【0341】
次いで毛束を、ヘアドライヤーを櫛と一緒に用いて乾燥させた後、コーミングする。
【0342】
毛束を室温で24時間放置する。
【0343】
次いで、こうして染色した毛束に得られた色の、シャンプー洗浄に対する堅牢性(持続性)を評価するために、以下のシャンプー洗浄手順に従い、シャンプー洗浄を数回繰り返す試験を行う。
【0344】
シャンプー洗浄手順:
乾燥させた毛束をコーミングし、35℃の水で湿らせた後、5秒間にわたって5回手櫛で梳く。次いで、2本の指間で毛束の水分を絞る。
【0345】
標準的なシャンプー(Garnier Ultra Doux)を、染色した毛束に、毛束1グラム当たり標準的なシャンプー0.4gの比率で均一に適用し、毛束の長手方向に沿って根元から毛先に向かって15秒間優しく揉み込む(6回)。
【0346】
次いで毛束を時計皿に置き、1分間放置する。
【0347】
次いで、毛束を指間に通しながら(15回)水で濯ぐ。次いで、次のシャンプー洗浄を行う前に、2本の指間で毛束の水分を絞る。
【0348】
数回シャンプー洗浄を行う試験を終えたら、毛束をコーミングし、ヘアドライヤーで乾燥させる。
【0349】
結果:
毛束の色の持続性を、Minolta Spectrophotometer CM3600A分光測色計(D65光源、角度10°、正反射成分を含む)を使用して、CIE L*a*b*系で評価した。
【0350】
このL*a*b*系において、L*は色の明度を表し、a*は緑/赤色軸を示し、b*は青/黄色軸を示す。
【0351】
染色した毛束をシャンプーする前と、次いで、上に述べた手順に従いシャンプー洗浄を5回行った後との色差ΔEにより、着色の持続性を評価する。ΔE値が低いほど、シャンプー洗浄に対する色の持続性が高い。
【0352】
ΔE値は次式に従い求められる。
[数式1]
【数1】
【0353】
この式中、L*a*b*は、染毛後、シャンプー洗浄を実施した後に測定した値を表し、L0*a0*b0*は、染毛後の、シャンプー洗浄を行う前に測定した値を表す。
【0354】
【0355】
組成物Cを用いて染色し、5回シャンプー洗浄した毛髪の毛束の色は、シャンプー洗浄に対して良好な持続性を示す。
【0356】
実施例3:
組成:得られた活性物質をg単位で表した量/100g
【0357】
【0358】
(1)実施例1に記載した合成方法に従い合成(水中に活性物質40%を含む)
(2)Wacker社からBelsil ADM LOG 1の名称で販売
(3)大東化成工業株式会社(Daito Kasei Kogyo)からDaitosol 3000SLPN-PE1の商品名で販売(活性物質30%を含む水性分散物)
【0359】
手順:
組成物C’を、白髪90%を含む乾いた天然の毛髪の毛束に、毛束1グラム当たり組成物0.5gの比率で適用する。
【0360】
次いで毛束を、ヘアドライヤーを櫛と一緒に用いて乾燥させた後、コーミングする。
【0361】
毛束を室温で24時間放置する。
【0362】
結果:
組成物C’で処理された毛束には、滑らかで均一な有色の毛髪の被覆が見られ、特に柔軟性、触感及び毛髪の良好なほどけ易さの観点で良好な美容特性を示す。ケラチン繊維の有色の被覆はシャンプー洗浄に対して良好な持続性を示す。
【0363】
実施例4:
組成:得られた活性物質をg単位で表した量/100g
【0364】
【0365】
(1)実施例1に記載した合成方法に従い合成(水中に活性物質40%を含む)
(2)Wacker社からBelsil ADM LOG 1の名称で販売
【0366】
【0367】
(3)大東化成工業株式会社(Daito Kasei Kogyo)からDaitosol 3000SLPN-PE1の商品名で販売(活性物質30%を含む水性分散物)
【0368】
組成物A1を組成物A2と50/50比で混合することにより、本発明による組成物Aを得る。
【0369】
組成物B1を組成物A2と50/50比で混合することにより、比較組成物Bを得る。
【0370】
手順:
組成物A及び組成物Bを、白髪90%を含む乾いた天然の毛髪の毛束に、毛束1グラム当たり組成物0.5gの比率で適用する。
【0371】
次いで毛束を、ヘアドライヤーを櫛と一緒に用いて乾燥させた後、コーミングする。
【0372】
毛束を室温で24時間放置する。
【0373】
次いで、こうして乾燥させた毛束に得られた着色について、シャンプー洗浄に対する堅牢性(持続性)を評価するために、シャンプー洗浄を数回繰り返す試験に供する。
【0374】
シャンプー洗浄手順は実施例2に記載した手順と同一である。
【0375】
結果:
毛束の色の持続性を、Minolta Spectrophotometer CM3600A分光測色計(D65光源、角度10°、正反射成分を含む)を使用して、CIE L*a*b*系で評価した。
【0376】
このL*a*b*系において、L*は色の明度を表し、a*は緑/赤色軸を示し、b*は青/黄色軸を示す。
【0377】
染色した毛束をシャンプーする前と、次いで、実施例2に記載した手順に従いシャンプー洗浄を3回行った後との色差ΔEにより、着色の持続性を評価する。ΔE値が低いほど、シャンプー洗浄に対する色の持続性が高い。
【0378】
ΔE値は次式に従い求められる。
[数式1]
【数2】
【0379】
この式中、L*a*b*は、染毛後、シャンプー洗浄を実施した後に測定した値を表し、L0*a0*b0*は、染毛後の、シャンプー洗浄を行う前に測定した値を表す。
【0380】
【0381】
本発明による組成物Aを用いて染色し、3回シャンプー洗浄した毛髪の毛束のΔE値は、比較組成物Bを用いて染色した毛髪の毛束のΔE値よりも低い。
【0382】
したがって、本発明による組成物Aを用いて得られたケラチン繊維の有色の被覆は、シャンプー洗浄に対して良好な持続性を示す。具体的には、本発明による組成物Aを用いて染色し、3回シャンプー洗浄した毛髪の毛束は、比較用組成物Bで染色した毛束よりも色の持続性が高い。
【手続補正書】
【提出日】2022-05-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
毛髪を染色するための組成物(C)であって、
a)以下の式(I):
【化1】
(式(I)中、
- X
1及びX
2は、独立に、酸素原子O、硫黄原子S又は窒素原子NHを表し;
- R
1及びR
2は、独立に、1つ又は複数のヘテロ原子が任意選択的に介在する炭化水素系基を表し、
- n及びzは、1~20の範囲の整数を表し、ここで、n+z≧2であり、及びwは、1~3の範囲の整数を表し;
- L
1は、独立に、2価のC
1~C
18脂肪族炭化水素系基、C
3~C
15シクロアルキレン基、C
3~C
12ヘテロシクロアルキレン基又はC
6~C
14アリーレン基及びこれらの混合物を表し;
- Eは、独立に、
- -O-R
3-O-;-S-R
4-S-;-R
5-N(R
6)-R
4-N(R
6)-R
5-
(式中、R
3及びR
4は、独立に、1つ又は複数のヘテロ原子が任意選択的に介在する2価の炭化水素系基を表し;
- R
5は、独立に、共有結合又は1つ若しくは複数のヘテロ原子が任意選択的に介在する2価の飽和炭化水素系基を表し;
- R
6は、独立に、水素原子又は1つ若しくは複数のヘテロ原子が任意選択的に介在する炭化水素系基を表す)
から選択される基を表す)
の化合物から選択される少なくとも1つの(ポリ)カルボジイミド化合物と、
b)顔料、直接染料及びこれらの混合物から選択される少なくとも1つの着色剤と
を含む組成物(C)。
【請求項2】
前記(ポリ)カルボジイミド化合物は、前記式(I)の化合物から選択され、式(I)において、
- X
1及びX
2は、独立に、酸素原子を表し;
- R
1及びR
2は、独立に、ヒドロキシル基が除かれている、ジアルキルアミノアルコール、ヒドロキシカルボン酸のアルキルエステル及び(ポリ)アルキレングリコールのモノアルキルエーテル並びにこれらの混合物から選択され;
- n及びzは、1~20の範囲の整数を表し、ここで、n+z≧2であり、及びwは、1に等しく;
- L
1は、2価のC
1~C
18脂肪族炭化水素系基、C
3~C
15シクロアルキレン基、C
3~C
12ヘテロシクロアルキレン基又はC
6~C
14アリーレン基及びこれらの混合物から選択され;
- Eは、独立に、
- -O-R
3-O-;-S-R
4-S-;-R
5-N(R
6)-R
4-N(R
6)-R
5-
(式中、R
3及びR
4は、独立に、1つ又は複数のヘテロ原子が任意選択的に介在する、C
6~C
14アリーレン基、C
3~C
12シクロアルキレン基、直鎖又は分岐のC
1~C
18アルキレン基及びこれらの混合物から選択され;
- R
5が共有結合ではない場合、R
5は、1つ又は複数のヘテロ原子が任意選択的に介在する、C
6~C
14アリーレン基、C
3~C
12シクロアルキレン基、直鎖又は分岐のC
1~C
18アルキレン基及びこれらの混合物から選択され;及び
- R
6は、1つ又は複数のヘテロ原子が任意選択的に介在する、C
6~C
14アリーレン基、C
3~C
12シクロアルキレン基、直鎖又は分岐のC
1~C
18アルキレン基及びこれらの混合物から選択される)
から選択される基を表すことを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記(ポリ)カルボジイミド化合物は、前記式(I)の化合物から選択され、式(I)において、
- X
1及びX
2は、独立に、酸素原子を表し;
- R
1及びR
2は、独立に、ヒドロキシル基が除かれている、(ポリ)アルキレングリコールのモノアルキルエーテルであり;
- n及びzは、1~20の範囲の整数を表し、ここで、n+z≧2であり、及びwは、1に等しく;
- L
1は、C
3~C
15シクロアルキレン基であり;
- Eは、独立に、
- -O-R
3-O-;-S-R
4-S-;-R
5-N(R
6)-R
4-N(R
6)-R
5-
(式中、R
3及びR
4は、独立に、1つ又は複数のヘテロ原子が任意選択的に介在する、C
6~C
14アリーレン基、C
3~C
12シクロアルキレン基、直鎖又は分岐のC
1~C
18アルキレン基及びこれらの混合物から選択され;
- R
5が共有結合ではない場合、R
5は、1つ又は複数のヘテロ原子が任意選択的に介在する、C
6~C
14アリーレン基、C
3~C
12シクロアルキレン基、直鎖又は分岐のC
1~C
18アルキレン基及びこれらの混合物から選択され;及び
- R
6は、1つ又は複数のヘテロ原子が任意選択的に介在する、C
6~C
14アリーレン基、C
3~C
12シクロアルキレン基、直鎖又は分岐のC
1~C
18アルキレン基及びこれらの混合物から選択される)
から選択される基を表すことを特徴とする、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記(ポリ)カルボジイミド化合物は、前記式(I)の化合物から選択され、式(I)において、
- X
1及びX
2は、独立に、酸素原子を表し;
- R
1及びR
2は、独立に、以下の式(V):
R
13-[O-CH
2-C(H)(R
14)]
q- (V)
(式中、R
13は、C
1~C
4アルキル基又はフェニル、好ましくはC
1~C
4アルキル基、より優先的にはメチルを表し、R
14は、水素原子又はC
1~C
4アルキル基、好ましくは水素原子を表し、及びqは、4~30の範囲の整数を表す)
の化合物を表し;
- n及びzは、2~20の範囲の整数を表し、ここで、n+zは、4~10の範囲であり、及びwは、1に等しく;
- L
1は、シクロペンチレン、シクロヘプチレン、シクロへキシレン及び4,4-ジシクロへキシレンメタンなどのC
3~C
15シクロアルキレン基であり、及び
- Eは、-O-R
3-O-基(式中、R
3は、1つ又は複数のヘテロ原子が任意選択的に介在する、C
6~C
14アリーレン基、C
3~C
12シクロアルキレン基、直鎖又は分岐のC
1~C
18アルキレン基及びこれらの混合物から選択される)を表すことを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記(ポリ)カルボジイミド化合物は、前記式(I)の化合物から選択され、式(I)において、
- X
1及びX
2は、独立に、酸素原子を表し;
- R
1及びR
2は、独立に、以下の式(V):
R
13-[O-CH
2-C(H)(R
14)]
q- (V)
(式中、R
13は、C
1~C
4アルキル基又はフェニル、好ましくはC
1~C
4アルキル基、より優先的にはメチルを表し、R
14は、水素原子又はC
1~C
4アルキル基、好ましくは水素原子を表し、及びqは、4~30の範囲の整数を表す)
の化合物を表し;
- n及びzは、1~20の範囲の整数を表し、ここで、n+zは、4~10の範囲であり、及びwは、1に等しく;
- L
1は、シクロペンチレン、シクロヘプチレン、シクロへキシレン及び4,4-ジシクロへキシレンメタンなどのC
3~C
15シクロアルキレン基、好ましくは4,4-ジシクロへキシレンメタンであり;及び
- Eは、-O-R
3-O-基(式中、R
3は、1つ又は複数のヘテロ原子が任意選択的に介在する、メチレン、プロピレン、ブチレン又はエチレンなどの直鎖又は分岐のC
1~C
18アルキレン基を表す)を表すことを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記(ポリ)カルボジイミド化合物は、以下の式(XI):
【化2】
(式中、L
1は、4,4-ジシクロへキシレンメタンであり、n及びzは、1~20の範囲の整数を表し、ここで、n+zは、4~10の範囲であり、Eは、-O-R
3-O-基(式中、R
3は、1つ又は複数のヘテロ原子が任意選択的に介在する、メチレン、プロピレン、ブチレン又はエチレンなどの直鎖又は分岐のC
1~C
18アルキレン基を表す)を表し、且つr及びsは、4~30の範囲の整数を表す)
の化合物から選択されることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記(ポリ)カルボジイミド化合物の総量は、組成物(C)の総質量に対して0.01質量%~40質量%、好ましくは0.1質量%~30質量%、より良好には0.5質量%~25質量%、一層より良好には1質量%~10質量%の範囲であることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
ポリウレタン、アクリル系ポリマー及びこれらの混合物から選択される、好ましくはアクリル系ポリマー粒子の水性分散物から、より優先的には皮膜形成性アクリル系ポリマー粒子の水性分散物から選択される、ポリマーの粒子の少なくとも1つの水性分散物を含むことを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記アクリル系ポリマーは、以下のモノマー:
a)(メタ)アクリル酸;及び
b)C
1~C
30、より優先的にはC
1~C
20、より良好にはC
1~C
10、一層より詳細にはC
1~C
4アルキル(メタ)アクリレート
から誘導された1つ又は複数の単位を含むことを特徴とする、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
前記組成物中に存在するポリマー粒子の前記水性分散物の総量は、組成物(C)の総質量に対して0.1質量%~40質量%、より優先的には0.1質量%~35質量%、より良好には0.2質量%~30質量%の範囲であることを特徴とする、請求項8又は9に記載の組成物。
【請求項11】
少なくとも1つのシリコーンを含むことを特徴とする、請求項1~10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
前記シリコーンは、非アミノシリコーン、アミノシリコーン及びこれらの混合物から選択されることを特徴とする、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
前記シリコーンは、前記組成物の総質量に対して0.01質量%~20質量%、好ましくは組成物(C)の総質量に対して0.05質量%~15質量%、より優先的には0.1質量%~10質量%、一層より優先的には0.1質量%~5質量%の範囲の総量で存在することを特徴とする、請求項11又は12に記載の組成物。
【請求項14】
毛髪を染色するための方法であって、請求項1~13のいずれか一項に記載の組成物(C)は、前記
毛髪に適用される、方法。
【請求項15】
毛髪を染色するための、請求項1~13のいずれか一項に記載の組成物(C)の使用。
【国際調査報告】