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特表2023-503873多成分径方向機能傾斜材料装置の溶融体流速の調整システム及び方法
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  • 特表-多成分径方向機能傾斜材料装置の溶融体流速の調整システム及び方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-01
(54)【発明の名称】多成分径方向機能傾斜材料装置の溶融体流速の調整システム及び方法
(51)【国際特許分類】
   B22D 13/12 20060101AFI20230125BHJP
   B29B 7/72 20060101ALI20230125BHJP
   B29C 31/00 20060101ALI20230125BHJP
【FI】
B22D13/12
B29B7/72
B29C31/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022529072
(86)(22)【出願日】2021-11-25
(85)【翻訳文提出日】2022-05-18
(86)【国際出願番号】 CN2021133274
(87)【国際公開番号】W WO2022078528
(87)【国際公開日】2022-04-21
(31)【優先権主張番号】202011635952.2
(32)【優先日】2020-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516265780
【氏名又は名称】北京科技大学
(74)【代理人】
【識別番号】100169904
【弁理士】
【氏名又は名称】村井 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100217412
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 亜子
(72)【発明者】
【氏名】李静媛
(72)【発明者】
【氏名】陳雨来
(72)【発明者】
【氏名】戴尚
(72)【発明者】
【氏名】王錦俊
(72)【発明者】
【氏名】謝建新
【テーマコード(参考)】
4F201
【Fターム(参考)】
4F201AL01
4F201AL16
4F201AM23
4F201AP05
4F201AR06
4F201AR08
4F201BA01
4F201BC01
4F201BC03
4F201BK02
4F201BK13
4F201BK73
4F201BK74
4F201BQ07
4F201BQ34
(57)【要約】
本発明は、材料製造分野に属し、多成分径方向機能傾斜材料装置の溶融体流速の調整システム及び方法が開示された。該調整システムは、原料貯蔵タンクと、混合漏斗と、スクリュー製錬機と、遠心鋳造機と、温度センサと、制御プラットフォームと、を含む。該方法は、傾斜溶解製錬により得られた成分の多成分連続的に変化する溶融体を制御して、溶融体流速と変化組との間の数学的関係モデルを確立し、リアルタイムフィードバックデータと組み合わせて適切な速度で溶融体を連続的に遠心鋳造回転鋳型に送り込み、溶融体が迅速に充填して迅速に凝固し、成分が径方向に沿って連続的に変化する溶融体の順序に凝固することを得る。本発明は、リアルタイムフィードバックを備え、制御が柔軟で、操作しやすく、かつ該方法により異なる成分の合金、樹脂、ガラス等の材料の径方向成分傾斜変化の大型の管材、棒材、実/中空ディスク、ディスクの製造を実現することができ、製造フローを簡略化させ、時間コストを低減させ、完成品の品質及び製造効率を向上させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原料貯蔵タンクと、混合漏斗と、スクリュー製錬機と、遠心鋳造機と、温度センサと、制御プラットフォームと、を含み、
前記原料貯蔵タンクは、多成分径方向傾斜材料を製造する原料を貯蔵し、
前記混合漏斗は、貯蔵タンクから入った材料を混合して原料が異なる速度でスクリュー製錬機に入るように制御し、
前記スクリュー製錬機は、混合漏斗内の異なる化学配合比率の原料を材料供給順序に応じて順に融解して溶融体の長距離拡散を防止し、かつ速度制御に適する速度で流出を制御し、前記遠心鋳造機は、成分傾斜変化の溶融体を遠心鋳造方式で径方向成分傾斜材料に凝固し、
前記温度センサは、遠心鋳造機の遠心機キャビティを遠心鋳造する際の外表面温度を監視し、かつ制御プラットフォームに送信し、
前記制御プラットフォームは、成分径方向傾斜管材の製造に必要な成分傾斜及び各成分の傾斜材料の厚さに基づいて、温度センサからフィードバックされたリアルタイムデータと組み合わせて、スクリュー末端の溶融体の最適な流速を求めて材料供給端にフィードバックし、
ことを特徴とする多成分径方向機能傾斜材料装置の溶融体流速の調整システム。
【請求項2】
前記原料貯蔵タンクは、前記混合漏斗に密封接続され、前記混合漏斗は、管路により前記スクリュー製錬機の供給口に接続され、前記スクリュー製錬機の材料出口は、前記遠心鋳造機の供給口に接続され、
前記温度センサは、遠心鋳造機の遠心機キャビティ内に設置され、かつ前記制御プラットフォームに接続される、
ことを特徴とする請求項1に記載の調整システム。
【請求項3】
前記制御プラットフォームは、昇降モジュールと、供給弁と、産業用コンピュータと、流速制御弁と、を含み、
前記昇降モジュールは、前記スクリュー製錬機の頂部に設置され、かつ前記スクリュー製錬機のスクリューに接続され、
前記供給弁は、前記混合漏斗と前記スクリュー製錬機の供給口との間の管路に設置され、
前記流速制御弁は、前記スクリュー製錬機の材料出口に設置され、
前記昇降モジュールと材料供給弁と流速制御弁は前記産業用コンピュータに制御接続される、
ことを特徴とする請求項1に記載の調整システム。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の多成分径方向機能傾斜材料装置の溶融体流速の調整システムを採用した溶融体流速の調整方法であって、
S1)設計の条件に基づいて製造する多成分径方向機能傾斜材料の成分及び管壁の厚さに応じて必要な原料を選択し、かつ各原料をそれぞれ各原料貯蔵タンクに入れてスタントバイになり、
S2)制御プラットフォームは、製造に必要な多成分径方向機能傾斜材料の成分及び管壁の厚さに基づいて、溶融体の流速Vを求め、かつ流速Vを混合漏斗とスクリュー溶解機と遠心鋳造機に送信し、
S3)混合漏斗は、制御プラットフォームの指令を受信して、多成分径方向機能傾斜管材の成分及び管壁の厚さに応じて原料を配合して均一に混合した後に、スクリュー製錬機に原料を輸送し、
S4)原料は、スクリュー製錬機の溶融キャビティに入った後に、溶融キャビティの内壁に密着しかつ垂直に下向きに回転するスクリューの分離作用を受けて傾斜溶融を行い、かつ制御プラットフォームにより製錬温度及びスクリューの回転速度Rを調整することにより、溶融体は、成分が連続的に変化する溶融体を最適な遠心鋳造速度である溶融体の流速Vで遠心鋳造機に送り、
S5)溶融体は、流速Vで遠心鋳造機に入った後に、遠心力の作用を受けて溶融キャビティ内に迅速に充填し、かつ鋳造キャビティ外の水冷装置と協働して直ちに凝固する効率的な製造モードを実現して溶融体の混融を防止し、成分が連続的に変化する多成分径方向機能傾斜材料を製造する、とのステップを含む、
ことを特徴とする溶融体流速の調整方法。
【請求項5】
前記S1)における原料は、金属、合金、樹脂又はガラスであり、粒径のサイズが20mm以下の粒子であり、数が複数種である、
ことを特徴とする請求項4に記載の調整方法。
【請求項6】
前記多成分径方向機能傾斜材料は管材、棒材、実/中空のディスク又はプレートである、
ことを特徴とする請求項4に記載の調整方法。
【請求項7】
前記S2)における具体的なステップは、以下のとおりであり、
S2.1)各原料の密度ρに基づいて、各原料の嵩密度ρj’、j=A、B、C……N、単位:g/Cmを見積もり、
S2.2)固体内熱伝導理論の基本方程式であるフーリエ方程式に基づいて、鋳造キャビティ内の不安定な熱伝導過程における鋳型と鋳物界面、各異なる成分の鋳物界面の界面及び鋳物と遠心機キャビティ内の環境との界面温度Tij,ij=OA、AB、BC……NS(鋳物と鋳型及び各鋳型の界面を示すものであること)を確定することができ、公式は以下のとおりであり:
【数1】
公式において、bi及びbjは、それぞれ鋳型及び鋳物の蓄熱係数であり、Ti0及びTj0は、それぞれ鋳型初期温度及び鋳物初期温度であり、
S2.3)熱交換過程の熱流量関係及びエネルギー保存関係に基づいて、凝固厚さと鋳造時間との関係を求め、公式は以下のとおりであり:
【数2】
公式において、bは遠心機チャンバ内の環境の蓄熱係数であり、TS0は遠心機チャンバ内の環境の初期温度であり、Cj’及びLj’は各層の多成分傾斜材料を混合した後の実際の比熱容量及び実際の結晶潜熱値であり、TjSは各成分の溶融体の実際の液相線温度であり、
【数3】
は凝固層厚さであり、
S2.4)S2.2)で得られた環境界面温度Tij及びS2.3)を公式(3)に代入し、溶融体の流速Vを求め:
【数4】
公式において、A(τ)はτ時刻の管壁内表面積であり、Aラスプルーはラスプルー断面積である、
ことを特徴とする請求項4に記載の調整方法。
【請求項8】
前記S4)におけるスクリューの回転速度Rは、以下の公式(4)により求められ、公式は以下のとおりであり:
【数5】
公式において、Rはスクリューの回転速度であり、Φはねじ山の螺旋角であり、Dはスクリューの直径であり、Dはスリーブの直径であり、Bはスクリューフライトの間の軸方向距離であり、Deは供給口の直径である、
ことを特徴とする請求項4に記載の調整方法。
【請求項9】
請求項4~8のいずれか一項に記載の調整方法を採用して製造された、大型の多成分径方向機能傾斜材料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、材料加工製造の分野に属し、特に化学成分が径方向に沿って連続的に傾斜(傾斜)が変化する大型の多成分合金、樹脂、ガラス等の材料の管材、棒材、実/中空ディスク、プレートの多成分径方向機能傾斜材料装置に用いられる溶融体流速の調整システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
宇宙飛行、核融合などの過酷なサービス条件下で成分が均一である材料は需要を満たすことができず、環境急変の材料性能への変化需要を克服するために、複合材料はこのような要求に応じて登場する。従来の複合材料は熱間プレス、溶接などの手段により製造され、材料の各部分の間の差異が大きいため、欠陥が発生しやすい性能が低いなどの問題が存在する。機能傾斜材料は材料の構成、構造、孔隙率などの要素が一側から他側へ連続的に変化することにより、材料の物理的、化学的、力学的などの性能が連続的に変化し、それにより異なる環境要求に適応する特殊な機能を有する新型複合材料である。一般的には、機能傾斜材料及び部品は従来の冶金方法で製造することができないと考えられる。現在、機能傾斜材料は主に気相堆積、プラズマ溶射、マグネトロンスパッタリング、粉末冶金、レーザクラッディング、付加製造等の方法により製造され、しかしながら従来の技術に製造材料のサイズが制限を受け、製造コストが高くて効率が低く、マクロクラックが発生しやすく、必要に応じて成分を設計できない等の問題が存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、多成分径方向機能傾斜材料装置の溶融体流速調整システム及び方法を開示することにより、従来技術の上記及び他の潜在的な問題のいずれかの問題を解決する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記問題を解決するために、本発明は、多成分径方向機能傾斜材料装置の溶融体流速の調整システムを開示し、前記調整システムは、原料貯蔵タンクと、混合漏斗と、スクリュー製錬機と、遠心鋳造機と、温度センサと、制御プラットフォームと、を含み、
前記原料貯蔵タンクは、多成分要素径方向傾斜材料を製造する原料を貯蔵するためであり、
原料貯蔵タンク内の供給機構は、制御プラットフォームにより供給機構の回転速度を調整・制御することができ、供給機構の回転速度を制御することにより漏斗に入る原料の配合比率を変更する。
前記混合漏斗は、貯蔵タンクから入った材料を混合するとともに、原料が異なる速度でスクリュー製錬機に入るように制御し、前記混合漏斗の一端は、前記原料貯蔵タンクに接続され、
前記スクリュー製錬機は、混合漏斗内の異なる化学配合比率の原料を材料供給順序に応じて順に融解して溶融体の長距離拡散を防止し、適合の速度で流出することを制御し、前記スクリュー製錬機の一端は、前記混合漏斗の材料出口に接続され、
前記スクリュー製錬機においてスクリューが溶融キャビティの内壁に密着しかつ垂直に下向きに回転し、成分傾斜が連続的に変化する溶融体の長距離拡散作用による混融現象の発生を効果的に回避することができ、
前記遠心鋳造機は、成分傾斜変化の溶融体を遠心鋳造方式により管材に凝固し、前記遠心鋳造機の一端は、スクリュー製錬機の吐出口に接続され、前記スクリュー製錬機の尾端の吐出口に流速制御弁が設置されることにより、溶融体の流速を調整する。
前記温度センサは、遠心鋳造用遠心機キャビティの外表面温度を監視し、制御プラットフォームに送信し、前記温度センサは遠心鋳造用溶解キャビティの外側に配置され、
前記制御プラットフォームは、製造に必要な成分径方向傾斜管材の成分傾斜及び各成分傾斜材料の厚さに基づいて、温度センサからフィードバックされたリアルタイムデータと組み合わせて、スクリュー末端の溶融体の最適な流速を求めて材料供給端にフィードバックし、
本発明の他の目的は、上記調整システムを採用して大型の多成分径方向機能傾斜材料を製造する方法を提供することであり、その方法は、具体的に以下のステップを含む。
S1)設計の条件に基づいて製造する多成分径方向機能傾斜材料の成分及び管壁の厚さに応じて必要な原料を選択し、かつ各原料をそれぞれ各原料貯蔵タンクに入れてスタントバイになる;
S2)制御プラットフォームは、製造に必要な多成分径方向機能傾斜材料の成分及び管壁の厚さに基づいて、数学的モデルにより溶融体の流速Vを求め、該流速で溶融体が流入して直ちに凝固する;
S3)混合漏斗は受信した制御プラットフォームの指令を受信して多成分径方向機能傾斜材料の成分及び管壁の厚さに応じて原料を配合して、均一に混合した後にスクリュー製錬機に原料を輸送する;
S4)原料はスクリュー製錬機の溶融キャビティに入った後に、溶融キャビティの内壁に密着するとともに、垂直に下向きに回転するスクリューの分離作用を受けて傾斜溶融を行い、制御プラットフォームによって製錬温度及びスクリューの回転速度Rを調整・制御することにより、溶融体が成分の連続的に変化する溶融体を最適な遠心鋳造速度である溶融体の流速Vで遠心鋳造機に送る;
S5)溶融体は、流速Vで遠心鋳造機に入った後に、遠心力の作用を受けて溶融キャビティ内に迅速に充填し、鋳造キャビティ外の水冷装置と協働して流入して直ちに凝固する、という効率的な製造モードを実現して、溶融体の混融を防止し、成分が連続的に変化する機能傾斜管材を製造する。
さらに、前記S2)における数学的モデル及び具体的なアルゴリズムは以下のとおりである。
上記S2)における具体的なステップは、以下のとおりであり、
S2.1)各原料の密度ρに基づいて、各原料の嵩密度ρj’、j=A、B、C……N、単位:g/Cm3を見積もり;
S2.2)固体内熱伝導理論の基本方程式、すなわちフーリエ方程式に基づいて、鋳造キャビティ内の不安定な熱伝導過程における鋳型と鋳物界面、各異なる成分の鋳物界面の界面及び鋳物と遠心機キャビティ内の環境との界面温度Tij,ij=OA、AB、BC……NS(鋳物と鋳型及び各鋳型の界面を示すものであること)Oが鋳型材料であることを確定することができ、公式は以下のとおりである:
【0005】
【数1】
公式において、bi及びbjは、それぞれ鋳型(凝固した層の鋳物を含む)及び鋳物の蓄熱係数であり、Ti0及びTj0は、それぞれ鋳型初期温度(温度センサによりリアルタイムに伝送される)及び鋳物初期温度(ほぼ鋳物の鋳造温度になる)である、
S2.3)熱交換過程の熱流量関係及びエネルギー保存関係に基づいて、凝固層厚さと鋳造時間との関係を求め、公式は以下のとおりである:
【0006】
【数2】
公式において、bは遠心機チャンバ内の環境の蓄熱係数であり、TS0は遠心機チャンバ内の環境の初期温度であり、Cj’及びLj’は各層の多成分傾斜材料を混合した後の実際の比熱容量及び実際の結晶潜熱値であり、TjSは各成分の溶融体の実際の液相線温度である;
S2.4)遠心機キャビティに入った溶融体に対して以下の仮定を行う:(1)溶融体が溶融キャビティに入った後に瞬間的に充填して、充填を完了した後に型壁と相対的に流れず、即ち対流熱交換条件を無視し、(2)溶融体の流速を計算する時に、溶融体が流入して即ちに凝固する、というモデルに従い、即ち鋳造速度がちょうど凝固条件を満たし、凝固材料が新たに材料に入って放出された結晶潜熱値により部分的に溶融する。前記により、溶融体流速と成分傾斜連続変化材料及び時間との関係を算出し、公式は以下のとおりである:
【0007】
【数3】
公式において、A(τ)はτ時刻の管壁内表面積であり、Aラスプルーはラスプルー断面積であり、Tijは公式(1)で与えられる;
前記S4)におけるスクリューの回転速度Rは、以下の公式により求められ、公式は以下のとおりである:
【0008】
【数4】
公式において、Rはスクリューの回転速度であり、Φはねじ山の螺旋角であり、Dはスクリューの直径であり、Dはスリーブの直径である、Bはスクリューフライトの間の軸方向距離である。
大型の多成分径方向機能傾斜材料であって、前記多成分径方向機能傾斜材料は上記方法で製造される。
【発明の効果】
【0009】
本発明の有益な効果は、上記技術的解決手段を採用するため、本発明はリアルタイムのフィードバック、制御が柔軟で、操作しやすいなどの利点を備える。該装置は、システムにより原料貯蔵装置を制御して原料を連続的に混合器に送り、その中の原料を異なる配合比率で均一に混合した後、流速を制御して螺旋ロッド溶解炉に連続的に送り順次に溶解製錬し、制御プラットフォームは溶融体が最適な流速で遠心鋳造機に入るように制御し、遠心力の作用で凝固を迅速に完了し、それにより軸方向成分に沿って連続的に変化する溶融体を流入して直ちに凝固して径方向傾斜材料に変換することを実現する。該方法により、異なる成分の合金、樹脂、ガラス等の材料の大型成分が径方向に連続的に傾斜変化する管材、棒材、実/中空ディスク、ディスク製造を実現することができ、製造フローを簡略化させ、時間コストを低減させ、完成品の品質及び製造効率を向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の径方向成分傾斜材料の溶融体流速の調整システムの模式図である。
図2】本発明の径方向成分傾斜材料の溶融体流速の調整システムの正面の断面図である。
図3】本発明の径方向成分傾斜材料の溶融体流速の調整システムの側面の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に図面を参照して本発明の原理、技術案及び利点をさらに詳細的且つ完全に説明する。
図1図3に示すように、本発明は、径方向成分傾斜材料の溶融体流速の調整方法であり、前記調整システムは、原料貯蔵タンクと、混合漏斗と、スクリュー製錬機と、遠心鋳造機と、温度センサと、制御プラットフォームとを含み、
前記原料貯蔵タンクは、多成分要素径方向傾斜材料を製造する原料を貯蔵し、
原料貯蔵タンク内の供給機構1は、制御プラットフォームにより供給機構の回転速度を調整・制御することができ、供給機構の回転速度を制御することにより漏斗に入る原料の配合比率を変更する。
前記混合漏斗は、貯蔵タンクから入った材料を撹拌機構2によって混合し、供給弁5により原料が異なる速度でスクリュー製錬機に入るように制御し、前記混合漏斗の一端は、前記原料貯蔵タンクに接続され、
前記スクリュー製錬機は、混合漏斗内の異なる化学配合比率の原料を材料供給順序に応じて順に融解して溶融体の長距離拡散を防止し、昇降モジュール4によって溶融体を速度に応じて流出するように制御し、前記スクリュー製錬機の一端は材料管6に接続され、
前記原料は加熱コイル18の誘導加熱で溶融し、スパイラルロッド16は溶融キャビティの内壁に密着しかつ垂直に下向きに回転し、成分傾斜が連続的に変化する溶融体の長距離拡散作用による混融現象の発生を効果的に回避することができる。
前記遠心鋳造機は、鋳型前蓋板22と、遠心機キャビティ24と、遠心鋳造鋳型25と、を含み、成分傾斜変化の溶融体を遠心鋳造方式により凝固して管材にし、前記遠心鋳造機は、その一端が上導管26及び下導管27に接続されることを含み、
遠心機キャビティ24に、噴水装置21を含み、噴水装置21の作用で遠心鋳造鋳型25の外形壁を迅速に冷却し、鋳物と鋳型温度傾斜を増加させて鋳物の凝固に駆動力を提供し、また制御プラットフォームにより噴水速度を効果的に制御して鋳物の凝固速度を調整する。
前記温度センサ23は、遠心鋳造鋳型25の外表面温度を監視し、制御プラットフォームに送信し、前記温度センサは遠心機キャビティ24の外側に配置され、
前記制御プラットフォームは、昇降モジュール4と、材料供給弁5と、制御パネル9と、流速制御弁19と、を含み、製造に必要な成分径方向傾斜管材の成分傾斜及び各成分傾斜材料の厚さに基づいて、温度センサからフィードバックされたリアルタイムデータと組み合わせて、スクリュー末端の溶融体の最適な流速を求めかつ材料供給端にフィードバックし、
制御プラットフォームは数学的モデル及び温度センサ23からフィードバックされたリアルタイムデータに基づいて、昇降モジュール4、材料供給弁5、流速制御弁19を制御して数学的モデルで計算して得られた最適な流速で溶融物を遠心鋳造機に入れ、成分傾斜の連続的な変化材料の連続的な凝固を保証する。
本発明の他の目的は、上記調整システムを採用して大型の多成分径方向機能傾斜材料を製造する方法を提供することであり、その方法は、具体的に以下のステップを含む。
S1)設計の条件に基づいて製造する多成分径方向機能傾斜材料の成分及び管壁の厚さに応じて必要な原料を選択し、かつ各原料をそれぞれ各原料貯蔵タンクに入れてスタントバイになる;
S2)制御プラットフォームは、製造に必要な多成分径方向機能傾斜材料の成分及び管壁の厚さに基づいて、数学的モデルにより溶融体の流速Vを求め、該流速で溶融体が流入して直ちに凝固する;
S3)混合漏斗は受信した制御プラットフォームの指令を受信して多成分径方向機能傾斜材料の成分及び管壁の厚さに応じて原料を配合して、均一に混合した後にスクリュー製錬機に原料を輸送する;
S4)原料はスクリュー製錬機の溶融キャビティに入った後に、溶融キャビティの内壁に密着するとともに、垂直に下向きに回転するスクリューの分離作用を受けて傾斜溶融を行い、制御プラットフォームによって製錬温度及びスクリューの回転速度Rを調整・制御することにより、溶融体が成分の連続的に変化する溶融体を最適な遠心鋳造速度である溶融体の流速Vで遠心鋳造機に送る;
S5)溶融体は、流速Vで遠心鋳造機に入った後に、遠心力の作用を受けて溶融キャビティ内に迅速に充填し、鋳造キャビティ外の水冷装置と協働して流入して直ちに凝固する、という効率的な製造モードを実現して、溶融体の混融を防止し、成分が連続的に変化する機能傾斜管材を製造する。
前記S2)における数学的モデル及び具体的なアルゴリズムは以下のとおりである。
S2.1)各原料の密度ρに基づいて、各原料の嵩密度ρj’、j=A、B、C……N、単位:g/Cmを見積もり;
S2.2)固体内熱伝導理論の基本方程式、すなわちフーリエ方程式に基づいて、鋳造キャビティ内の不安定な熱伝導過程における鋳型と鋳物界面、各異なる成分の鋳物界面の界面及び鋳物と遠心機キャビティ内の環境との界面温度Tij,ij=OA、AB、BC……NS(鋳物と鋳型及び各鋳型の界面を示すものであること)Oが鋳型材料であることを確定することができ、公式は以下のとおりである:
【0012】
【数5】
公式において、bi及びbjは、それぞれ鋳型(凝固した層の鋳物を含む)及び鋳物の蓄熱係数であり、Ti0及びTj0は、それぞれ鋳型初期温度(温度センサによりリアルタイムに伝送される)及び鋳物初期温度(ほぼ鋳物の鋳造温度になる)である、
S2.3)熱交換過程の熱流量関係及びエネルギー保存関係に基づいて、凝固厚さと鋳造時間との関係を求め、公式は以下のとおりである:
【0013】
【数6】
公式において、bは遠心機チャンバ内の環境の蓄熱係数であり、TS0は遠心機チャンバ内の環境の初期温度であり、Cj’及びLj’は各層の多成分傾斜材料を混合した後の実際の比熱容量及び実際の結晶潜熱値であり、TjSは各成分の溶融体の実際の液相線温度であり、
【0014】
【数7】
は凝固層厚さである;
S2.4)遠心機キャビティに入った溶融体に対して以下の仮定を行う:(1)溶融体が溶融キャビティに入った後に瞬間的に充填して、充填を完了した後に型壁と相対的に流れず、即ち対流熱交換条件を無視し、(2)溶融体の流速を計算する時に、溶融体が流入して即ちに凝固する、というモデルに従い、即ち鋳造速度がちょうど凝固条件を満たし、凝固材料が新たに材料に入って放出された結晶潜熱値により部分的に溶融する。前記により、溶融体流速と成分傾斜連続変化材料及び時間との関係を算出し、公式は以下のとおりである:
【0015】
【数8】
公式において、A(τ)はτ時刻の管壁内表面積であり、Aラスプルーはスプルー断面積であり、Tijは公式(1)で与えられる;
前記S4)におけるスクリューの回転速度Rは、以下の公式により求められ、公式は以下のとおりである:
【0016】
【数9】
公式において、Rはスクリューの回転速度であり、Φはねじ山の螺旋角であり、Dはスクリューの直径であり、Dはスリーブの直径であり、Bはスクリューフライトの間の軸方向距離であり、Deは供給口の直径である。
大型の多成分径方向機能傾斜材料であって、前記多成分径方向機能傾斜材料は上記方法で製造される。
以上は、本願の実施例から提供する多成分径方向機能傾斜材料装置の溶融体流速調整システム及び方法について、詳細に説明する。以上の実施例の説明は、本願の方法及びその主旨の理解のためである。同時に、当業者にとって、本願の主旨に基づいて、具体的な実施形態及び応用範囲にいずれも変化が可能であり、上記のように、本明細書の内容は、本願を限定するものと理解すべきではない。
明細書及び特許請求の範囲において特定の用語を使用して特定のコンポーネントを指すとする。当業者に理解されるように、ハードウェアメーカーは異なる名詞を用いて同じコンポーネントを呼ぶ可能性がある。本明細書及び特許請求の範囲は名称の差異を構成要素を区別する方式とせず、構成要素の機能上の差異を区別の基準とする。例えば明細書全体及び特許請求の範囲において言及された「含み」、「包括」は、開放式の用語であるため、「含む/包括がこれらに限定されない」と解釈すべきである。「略」とは受け入れる可能な誤差範囲内に、当業者が一定の誤差範囲内で前記技術的課題を解決し、前記技術的効果を基本的に達成することができることを指す。明細書の後続の説明は本願を実施するための好ましい実施形態であり、しかしながら上記説明は、本願の一般的な原則を説明することを目的とし、本願の範囲を限定するものではない。本願の保護範囲は添付の特許請求書に定義されたものを基準とする。
さらに説明すべきのは、用語「包括」、「含む」、又はその任意の他の変形は非排他的な包含をカバーすることを意図し、それにより一連の要素を含む商品又はシステムはそれらの要素を含むだけでなく、明確に列挙されていない他の要素を含み、又はこのような商品あるいはシステムに固有の要素を含む。より多くの制限がない場合、語句“一つの……を含む”で限定された要素は、上記要素を含む商品又はシステムにさらに他の同じ要素が存在することを排除するものではない。
理解すべきことは、本明細書で使用される用語「及び/又は」は、関連対象を説明する関連関係だけであり、三種類の関係が存在してもよいことを示し、例えば、A及び/又はBは、以下を示すことができる:Aが単独で存在し、同時にA及びBが存在し、Bが単独で存在するという三種類の状況である。また、本明細書における符号「/」は、一般的に前後の関連対象が「又は」の関係であることを示す。
上記の説明は、本願のいくつかの好ましい実施例を示して説明したが、上記のように、本願は本明細書に開示されたものに限定されるものではなく、他の実施例を排除するものと見なすべきではなく、様々な他の組み合わせ、修正及び環境に用いることができ、かつ本明細書の上記出願構想の範囲内で、上記教示又は関連分野の技術又は知識により変更することができることを理解すべきである。当業者が行った修正及び変化は本願の主旨及び範囲から逸脱せず、いずれも本願に添付の特許請求の範囲の請求範囲内に属するべきである。
【符号の説明】
【0017】
1 供給機構
2 撹拌機構
3 混合漏斗
4 昇降モジュール
5 供給弁
6 材料管
7 圧力計
8 水冷炉扉
9 制御パネル
10 水冷炉扉観察孔
11 真空密封機構
12 遠心鋳造炉扉観察窓
13 遠心鋳造炉扉
14 モータ
15 真空排気機
16 スクリュー
17 二層水冷真空チャンバ
18 加熱コイル
19 流速制御弁
20 坩堝
21 噴水装置
22 鋳型前蓋板
23 温度センサ
24 遠心機チャンバ
25 遠心鋳造鋳型
26 上導管
27 下導管
図1
図2
図3
【国際調査報告】