(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-01
(54)【発明の名称】NRAS変異を有する腫瘍を治療するための医薬品の調製におけるFAK阻害剤の使用
(51)【国際特許分類】
A61K 45/00 20060101AFI20230125BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20230125BHJP
A61K 31/506 20060101ALI20230125BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20230125BHJP
A61K 31/4439 20060101ALI20230125BHJP
A61K 31/5377 20060101ALI20230125BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20230125BHJP
【FI】
A61K45/00
A61P35/00
A61K31/506
A61P43/00 111
A61K31/4439
A61K31/5377
A61P43/00 121
A61P35/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022529446
(86)(22)【出願日】2020-11-17
(85)【翻訳文提出日】2022-05-18
(86)【国際出願番号】 CN2020129350
(87)【国際公開番号】W WO2021098679
(87)【国際公開日】2021-05-27
(31)【優先権主張番号】201911128794.9
(32)【優先日】2019-11-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522196582
【氏名又は名称】▲應▼世生物科技(南京)有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】王 在▲チ▼
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼ 江▲偉▼
(72)【発明者】
【氏名】江 君
【テーマコード(参考)】
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C084AA17
4C084AA19
4C084MA02
4C084NA05
4C084NA14
4C084ZB26
4C084ZB27
4C084ZC20
4C084ZC75
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC36
4C086BC42
4C086BC48
4C086BC73
4C086GA07
4C086GA08
4C086GA09
4C086GA12
4C086MA01
4C086MA02
4C086MA04
4C086NA05
4C086NA14
4C086ZB26
4C086ZB27
4C086ZC20
4C086ZC75
(57)【要約】
本発明は、NRAS変異を有する腫瘍を予防および/または治療するための医薬品におけるFAK阻害剤の使用に関する。また、本発明は、個体に有効量のFAK阻害剤を投与することを含む、NRAS変異を有する腫瘍を治療する方法に関する。NRAS変異を有する腫瘍を治療するためのFAK阻害剤に関する。前記のFAK阻害剤が、BI853520、defactinib、GSK2256098、PF-00562271、VS-4718、またはそれらの薬学的に許容される塩である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
NRAS変異を有する腫瘍を治療するための医薬品の調製における、FAK阻害剤の使用。
【請求項2】
前記のFAK阻害剤が、BI853520、defactinib、GSK2256098、PF-00562271、VS-4718、またはそれらの薬学的に許容される塩であり、好ましくはBI853520またはその薬学的に許容される塩であり、特にBI853520酒石酸塩である、
請求項1に記載の使用。
【請求項3】
前記の医薬品が、有効量の第2の治療薬と併用される、
請求項1~2のいずれか一項に記載の使用。
【請求項4】
前記の医薬品が、放射線療法または細胞療法と併用される、
請求項1~3のいずれか一項に記載の使用。
【請求項5】
前記の腫瘍が、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、肝細胞癌、胆管癌、骨髄異形成症候群、急性リンパ芽球性白血病、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、甲状腺癌、神経膠腫、結腸癌、直腸癌、結腸直腸癌、卵巣癌、膀胱癌、前立腺癌、乳癌、脂肪肉腫、線維肉腫、横紋筋肉腫、平滑筋肉腫、血管肉腫、神経芽細胞腫、腎細胞癌、頭頸部癌、胃癌、食管癌、胃食道接合部癌、胸腺癌、膵臓癌、子宮内膜癌、子宮頸癌、黒色腫、皮膚癌、胚細胞腫瘍、鼻咽頭癌、中咽頭癌、或喉頭癌であり;さらに、前記の腫瘍が、急性骨髄性白血病、黒色腫、甲状腺癌、結腸直腸癌、食道癌、肝細胞癌、卵巣癌、線維肉腫および胆管癌である、
請求項1~4のいずれか一項に記載の使用。
【請求項6】
前記の第2の治療剤が、化学療法剤、標的治療薬および免疫治療剤から選択される1つまたは複数である、
請求項3に記載の使用。
【請求項7】
前記の第2の治療剤が、ニムスチン、カルムスチン、ロムスチン、テモゾロミド、シクロホスファミド、イソシクロホスファミド、グリフォスフィン、ドキシフルリジン、フルツロン、フルオロウラシル、メルカプトプリン、アザチオプリン、チオグアニン、フロクスウリジン、テガフール、ゲムシタビン、デシタビン、カルモフール、ヒドロキシ尿素、メトトレキサート、ユーエフティ、カペシタビン、アンシタビン、チオテパ、アクチノマイシンD、アドリアマイシン、リポソームドキソルビシン、ダウノルビシン、エピルビシン、マイトマイシン、ピンヤンマイシン、ピラルビシン、バルルビシン、イダルビシン、イリノテカン、ハリントンニン、カンプトテシン、ヒドロキシカンプトテシン、トポテカン、ビノレルビン(ナベルビン)、タキソール、タキソテール、ヒカムチン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、硫酸ビンデシン、ビンブラスチン、テニポシド、エトポシド、エレメン、アタメスタン、アナストロゾール、アミノグルテチミド、レトロゾール、フォルメスタン、メゲストロール、タモキシフェン、アスパラギナーゼ、カルボプラチン、シスプラチン、ダカルバジン、オキサリプラチン、エロキサチン、エロキサチン、ミトキサントロン、プロカルバジン、ドセタキセル、ゲフィチニブ、エルロチニブ、イコチニブ、アファチニブ、オシメルチニブ、クリゾチニブ、セリチニブ、アレクチニブ、ラパチニブ、エベロリムス、パルボシクリブ、リボシクリブ、アパチニブ、レゴラフェニブ、ソラフェニブ、スニチニブ、テムシロリムス、レンバチニブ、パゾパニブ、アレクチニブ、アキシチニブ、カボザンチニブ、トラメチニブ、ビニメチニブ、ベムラフェニブ、ダブラフェニブ、コビメチニブ、バンデタニブ、ボルテゾミブ、パルボシクリブ、レナリドミド、イキサゾミブ、イマチニブ、ダサチニブ、ボスチニブ、ポナチニブ、イブルチニブ、イデラリシブ、ベリノスタット、ロミデプシン、ボリノスタット、オラパリブ、ニラパリブ、デノスマブ、ビスモデギブ、ソニデギブ、ルカパリブ、ブリグチニブ、ビカルタミド、エンザルタミド、アビラテロン、アベマシクリブ、アパルタミド、アフリベルセプト、アザシチジン、ブレオマイシン、クロラムブシル、シタラビン、アスパラギナーゼ、エポチロン、フルダラビン、フルタミド、メクロレタミン、パクリタキセル、ペメトレキセド、ラルチトレキセド、ネシツムマブ、ベバシズマブ、ラムシルマブ、アドトラスツズマブ、ペルツズマブ、セツキシマブ、パニツムマブ、アリロクマブ、デュルバルマブ、ニモツズマブ、ダラツムマブ、アテゾリズマブ、シンチリマブ、トリパリマブ、カムレリズマブ、チスレリズマブ、デュルバルマブ、ニボルマブ、ペムブロリズマブから選択される1つまたは複数であり;さらに、デシタビン、ゲムシタビン、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、アドリアマイシン、リポソームドキソルビシン、タキソール、ドセタキセル、トラメチニブ、ビニメチニブ、コビメチニブ、デュルバルマブ、アテゾリズマブ、シンチリマブ、トリパリマブ、カムレリズマブ、チスレリズマブ、ニボルマブ、ペムブロリズマブから選択され;さらに、ドセタキセル、リポソームドキソルビシン、コビメチニブ、ペムブロリズマブ、デシタビンから選択され;さらにコビメチニブである、
請求項3に記載の使用。
【請求項8】
個体に有効量のFAK阻害剤を投与することを含む、
NRAS変異を有する腫瘍を治療する方法。
【請求項9】
前記のFAK阻害剤が、BI853520、defactinib、GSK2256098、PF-00562271、VS-4718、またはそれらの薬学的に許容される塩であり、好ましくはBI853520またはその薬学的に許容される塩であり、特にBI853520酒石酸塩である、
請求項8に記載の方法。
【請求項10】
個体に有効量の第2の治療剤を投与することをさらに含む、
請求項8または9に記載の方法。
【請求項11】
放射線療法または細胞療法をさらに含む、
請求項8~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記の腫瘍が、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、肝細胞癌、胆管癌、骨髄異形成症候群、急性リンパ芽球性白血病、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、甲状腺癌、神経膠腫、結腸癌、直腸癌、結腸直腸癌、卵巣癌、膀胱癌、前立腺癌、乳癌、脂肪肉腫、線維肉腫、横紋筋肉腫、平滑筋肉腫、血管肉腫、神経芽細胞腫、腎細胞癌、頭頸部癌、胃癌、食管癌、胃食道接合部癌、胸腺癌、膵臓癌、子宮内膜癌、子宮頸癌、黒色腫、皮膚癌、胚細胞腫瘍、鼻咽頭癌、中咽頭癌、または喉頭癌であり;さらに、前記の腫瘍が、急性骨髄性白血病、黒色腫、甲状腺癌、結腸直腸癌、食道癌、肝細胞癌、卵巣癌、線維肉腫および胆管癌である、
請求項8に記載の方法。
【請求項13】
前記の第2の治療剤が、化学療法剤、標的治療薬および免疫治療剤から選択される1つまたは複数である、
請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記の第2の治療剤が、ニムスチン、カルムスチン、ロムスチン、テモゾロミド、シクロホスファミド、イソシクロホスファミド、グリフォスフィン、ドキシフルリジン、フルツロン、フルオロウラシル、メルカプトプリン、アザチオプリン、チオグアニン、フロクスウリジン、テガフール、ゲムシタビン、デシタビン、カルモフール、ヒドロキシ尿素、メトトレキサート、ユーエフティ、カペシタビン、アンシタビン、チオテパ、アクチノマイシンD、アドリアマイシン、リポソームドキソルビシン、ダウノルビシン、エピルビシン、マイトマイシン、ピンヤンマイシン、ピラルビシン、バルルビシン、イダルビシン、イリノテカン、ハリントンニン、カンプトテシン、ヒドロキシカンプトテシン、トポテカン、ビノレルビン(ナベルビン)、タキソール、タキソテール、ヒカムチン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、硫酸ビンデシン、ビンブラスチン、テニポシド、エトポシド、エレメン、アタメスタン、アナストロゾール、アミノグルテチミド、レトロゾール、フォルメスタン、メゲストロール、タモキシフェン、アスパラギナーゼ、カルボプラチン、シスプラチン、ダカルバジン、オキサリプラチン、エロキサチン、エロキサチン、ミトキサントロン、プロカルバジン、ドセタキセル、ゲフィチニブ、エルロチニブ、イコチニブ、アファチニブ、オシメルチニブ、クリゾチニブ、セリチニブ、アレクチニブ、ラパチニブ、エベロリムス、パルボシクリブ、リボシクリブ、アパチニブ、レゴラフェニブ、ソラフェニブ、スニチニブ、テムシロリムス、レンバチニブ、パゾパニブ、アレクチニブ、アキシチニブ、カボザンチニブ、トラメチニブ、ビニメチニブ、ベムラフェニブ、ダブラフェニブ、コビメチニブ、バンデタニブ、ボルテゾミブ、パルボシクリブ、レナリドミド、イキサゾミブ、イマチニブ、ダサチニブ、ボスチニブ、ポナチニブ、イブルチニブ、イデラリシブ、ベリノスタット、ロミデプシン、ボリノスタット、オラパリブ、ニラパリブ、デノスマブ、ビスモデギブ、ソニデギブ、ルカパリブ、ブリグチニブ、ビカルタミド、エンザルタミド、アビラテロン、アベマシクリブ、アパルタミド、アフリベルセプト、アザシチジン、ブレオマイシン、クロラムブシル、シタラビン、アスパラギナーゼ、エポチロン、フルダラビン、フルタミド、メクロレタミン、パクリタキセル、ペメトレキセド、ラルチトレキセド、ネシツムマブ、ベバシズマブ、ラムシルマブ、アドトラスツズマブ、ペルツズマブ、セツキシマブ、パニツムマブ、アリロクマブ、デュルバルマブ、ニモツズマブ、ダラツムマブ、アテゾリズマブ、シンチリマブ、トリパリマブ、カムレリズマブ、チスレリズマブ、デュルバルマブ、ニボルマブ、ペムブロリズマブから選択される1つまたは複数であり;さらに、デシタビン、ゲムシタビン、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、アドリアマイシン、リポソームドキソルビシン、タキソール、ドセタキセル、トラメチニブ、ビニメチニブ、コビメチニブ、デュルバルマブ、アテゾリズマブ、シンチリマブ、トリパリマブ、カムレリズマブ、チスレリズマブ、ニボルマブ、ペムブロリズマブから選択され;さらに、ドセタキセル、リポソームドキソルビシン、コビメチニブ、ペムブロリズマブ、デシタビンから選択され;さらに、コビメチニブである、
請求項10に記載の方法。
【請求項15】
前記のFAK阻害剤および前記の第2の治療剤が、同時に、交互に、または順次に投与される、
請求項10に記載の方法。
【請求項16】
前記のFAK阻害剤が、放射線療法または細胞療法と同時に、交互に、または順次に実施される、
請求項11に記載の方法。
【請求項17】
NRAS変異を有する腫瘍を治療するためのFAK阻害剤。
【請求項18】
前記のFAK阻害剤が、BI853520、defactinib、GSK2256098、PF-00562271、VS-4718、またはそれらの薬学的に許容される塩であり、好ましくはBI853520またはその薬学的に許容される塩であり、特にBI853520酒石酸塩である、
請求項17に記載のFAK阻害剤。
【請求項19】
さらに、有効量の第2の治療剤と併用される、
請求項17または18のいずれか一項に記載のFAK阻害剤。
【請求項20】
さらに、放射線療法または細胞療法と併用される、
請求項17~19のいずれか一項に記載のFAK阻害剤。
【請求項21】
前記の腫瘍が、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、肝細胞癌、胆管癌、骨髄異形成症候群、急性リンパ芽球性白血病、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、甲状腺癌、神経膠腫、結腸癌、直腸癌、結腸直腸癌、卵巣癌、膀胱癌、前立腺癌、乳癌、脂肪肉腫、線維肉腫、横紋筋肉腫、平滑筋肉腫、血管肉腫、神経芽細胞腫、腎細胞癌、頭頸部癌、胃癌、食管癌、胃食道接合部癌、胸腺癌、膵臓癌、子宮内膜癌、子宮頸癌、黒色腫、皮膚癌、胚細胞腫瘍、鼻咽頭癌、中咽頭癌、または喉頭癌であり;さらに、前記の腫瘍が、急性骨髄性白血病、黒色腫、甲状腺癌、結腸直腸癌、食道癌、肝細胞癌、卵巣癌、線維肉腫および胆管癌である、
請求項17に記載のFAK阻害剤。
【請求項22】
第2の治療剤が、化学療法剤、標的治療薬および免疫治療剤から選択される1つまたは複数である、
請求項19に記載のFAK阻害剤。
【請求項23】
前記の第2の治療剤が、ニムスチン、カルムスチン、ロムスチン、テモゾロミド、シクロホスファミド、イソシクロホスファミド、グリフォスフィン、ドキシフルリジン、フルツロン、フルオロウラシル、メルカプトプリン、アザチオプリン、チオグアニン、フロクスウリジン、テガフール、ゲムシタビン、デシタビン、カルモフール、ヒドロキシ尿素、メトトレキサート、ユーエフティ、カペシタビン、アンシタビン、チオテパ、アクチノマイシンD、アドリアマイシン、リポソームドキソルビシン、ダウノルビシン、エピルビシン、マイトマイシン、ピンヤンマイシン、ピラルビシン、バルルビシン、イダルビシン、イリノテカン、ハリントンニン、カンプトテシン、ヒドロキシカンプトテシン、トポテカン、ビノレルビン(ナベルビン)、タキソール、タキソテール、ヒカムチン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、硫酸ビンデシン、ビンブラスチン、テニポシド、エトポシド、エレメン、アタメスタン、アナストロゾール、アミノグルテチミド、レトロゾール、フォルメスタン、メゲストロール、タモキシフェン、アスパラギナーゼ、カルボプラチン、シスプラチン、ダカルバジン、オキサリプラチン、エロキサチン、エロキサチン、ミトキサントロン、プロカルバジン、ドセタキセル、ゲフィチニブ、エルロチニブ、イコチニブ、アファチニブ、オシメルチニブ、クリゾチニブ、セリチニブ、アレクチニブ、ラパチニブ、エベロリムス、パルボシクリブ、リボシクリブ、アパチニブ、レゴラフェニブ、ソラフェニブ、スニチニブ、テムシロリムス、レンバチニブ、パゾパニブ、アレクチニブ、アキシチニブ、カボザンチニブ、トラメチニブ、ビニメチニブ、ベムラフェニブ、ダブラフェニブ、コビメチニブ、バンデタニブ、ボルテゾミブ、パルボシクリブ、レナリドミド、イキサゾミブ、イマチニブ、ダサチニブ、ボスチニブ、ポナチニブ、イブルチニブ、イデラリシブ、ベリノスタット、ロミデプシン、ボリノスタット、オラパリブ、ニラパリブ、デノスマブ、ビスモデギブ、ソニデギブ、ルカパリブ、ブリグチニブ、ビカルタミド、エンザルタミド、アビラテロン、アベマシクリブ、アパルタミド、アフリベルセプト、アザシチジン、ブレオマイシン、クロラムブシル、シタラビン、アスパラギナーゼ、エポチロン、フルダラビン、フルタミド、メクロレタミン、パクリタキセル、ペメトレキセド、ラルチトレキセド、ネシツムマブ、ベバシズマブ、ラムシルマブ、アドトラスツズマブ、ペルツズマブ、セツキシマブ、パニツムマブ、アリロクマブ、デュルバルマブ、ニモツズマブ、ダラツムマブ、アテゾリズマブ、シンチリマブ、トリパリマブ、カムレリズマブ、チスレリズマブ、デュルバルマブ、ニボルマブ、ペムブロリズマブから選択される1つまたは複数であり;さらに、デシタビン、ゲムシタビン、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、アドリアマイシン、リポソームドキソルビシン、タキソール、ドセタキセル、トラメチニブ、ビニメチニブ、コビメチニブ、デュルバルマブ、アテゾリズマブ、シンチリマブ、トリパリマブ、カムレリズマブ、チスレリズマブ、ニボルマブ、ペムブロリズマブから選択され;さらに、ドセタキセル、リポソームドキソルビシン、コビメチニブ、ペムブロリズマブ、デシタビンから選択され;さらに、コビメチニブである、
請求項19に記載のFAK阻害剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬化学の分野に属する。具体的に、本発明は、NRAS変異を有する腫瘍を治療するための医薬品の調製におけるFAK阻害剤の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
タンパク質チロシンキナーゼ2(PTK2)としても知られるFAKは、非受容体型チロシンキナーゼであり、接着斑複合体の重要な構成要素である。FAKは、インテグリンおよび成長因子のシグナル伝達を媒介して、腫瘍細胞の浸潤、増殖、生存を調節する上で重要な役割を果たす。FAKは広く発現され、進化的に保存されている。過去20年間の研究では、FAKはさまざまな固形腫瘍で過剰発現されており、また、発現レベルは腫瘍の予後と負の相関関係があることが示されている。最近の研究では、FAKが腫瘍微小環境の調節に重要な役割を果たすことも示されている。これは、FAKが免疫療法および抗腫瘍療法に対する適応抵抗性に重要な役割を果たすことを示唆している。in vitroおよびin vivoの前臨床試験の両方で、FAKの遮断による抗腫瘍効果があることが示されている。ただし、腫瘍に対するFAK阻害剤の阻害活性は大きく異なる。
【0003】
FAK阻害剤であるBI853520は、37種類の異なる腫瘍のCDX(ヒト由来腫瘍細胞株移植マウス)マウスモデルにおいて、異なる抗腫瘍活性を示し、そのTGI(腫瘍増殖阻害)の範囲は0~107%である。如何により効果的にBI853520を使用して腫瘍の成長を阻害することは、本分野で早急に解決すべき技術的な問題である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一様態では、本発明は、NRAS変異を有する腫瘍を治療するための医薬品の調製におけるFAK阻害剤の使用を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
オプションとして、前記のFAK阻害剤は、BI853520、defactinib、GSK2256098、PF-00562271、VS-4718、またはそれらの薬学的に許容される塩である。
【0006】
オプションとして、前記のFAK阻害剤は、BI853520、またはその薬学的に許容される塩であり、特にBI853520酒石酸塩である。
【0007】
前記のBI 853520は、以下の構造を有する。
【化1】
【0008】
オプションとして、前記の医薬品は、有効量の第2の治療薬と併用される。
【0009】
オプションとして、前記の医薬品は、放射線療法または細胞療法と併用される。
【0010】
オプションとして、前記の腫瘍は、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、肝細胞癌、胆管癌、骨髄異形成症候群、急性リンパ芽球性白血病、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、甲状腺癌、神経膠腫、結腸癌、直腸癌、結腸直腸癌、卵巣癌、膀胱癌、前立腺癌、乳癌、脂肪肉腫、線維肉腫、横紋筋肉腫、平滑筋肉腫、血管肉腫、神経芽細胞腫、腎細胞癌、頭頸部癌、胃癌、食管癌、胃食道接合部癌、胸腺癌、膵臓癌、子宮内膜癌、子宮頸癌、黒色腫、皮膚癌、胚細胞腫瘍、鼻咽頭癌、中咽頭癌、または喉頭癌であり;さらに、前記の腫瘍は、急性骨髄性白血病、黒色腫、甲状腺癌、結腸直腸癌、食道癌、肝細胞癌、卵巣癌、線維肉腫および胆管癌である。
【0011】
オプションとして、前記の第2の治療剤は、化学療法剤、標的治療薬および免疫治療剤から選択される1つまたは複数である。
【0012】
オプションとして、前記の第2の治療剤は、ニムスチン、カルムスチン、ロムスチン、テモゾロミド、シクロホスファミド、イソシクロホスファミド、グリフォスフィン、ドキシフルリジン、フルツロン、フルオロウラシル、メルカプトプリン、アザチオプリン、チオグアニン、フロクスウリジン、テガフール、ゲムシタビン、デシタビン、カルモフール、ヒドロキシ尿素、メトトレキサート、ユーエフティ(UFT)、カペシタビン、アンシタビン、チオテパ、アクチノマイシンD、アドリアマイシン、リポソームドキソルビシン、ダウノルビシン、エピルビシン、マイトマイシン、ピンヤンマイシン、ピラルビシン、バルルビシン、イダルビシン、イリノテカン、ハリントンニン、カンプトテシン、ヒドロキシカンプトテシン、トポテカン、ビノレルビン(ナベルビン)、タキソール、タキソテール、ヒカムチン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、硫酸ビンデシン、ビンブラスチン、テニポシド、エトポシド、エレメン、アタメスタン、アナストロゾール、アミノグルテチミド、レトロゾール、フォルメスタン、メゲストロール、タモキシフェン、アスパラギナーゼ、カルボプラチン、シスプラチン、ダカルバジン、オキサリプラチン、エロキサチン、エロキサチン、ミトキサントロン、プロカルバジン、ドセタキセル、ゲフィチニブ、エルロチニブ、イコチニブ、アファチニブ、オシメルチニブ、クリゾチニブ、セリチニブ、アレクチニブ、ラパチニブ、エベロリムス、パルボシクリブ、リボシクリブ、アパチニブ、レゴラフェニブ、ソラフェニブ、スニチニブ、テムシロリムス、レンバチニブ、パゾパニブ、アレクチニブ、アキシチニブ、カボザンチニブ、トラメチニブ、ビニメチニブ、ベムラフェニブ、ダブラフェニブ、コビメチニブ、バンデタニブ、ボルテゾミブ、パルボシクリブ、レナリドミド、イキサゾミブ、イマチニブ、ダサチニブ、ボスチニブ、ポナチニブ、イブルチニブ、イデラリシブ、ベリノスタット、ロミデプシン、ボリノスタット、オラパリブ、ニラパリブ、デノスマブ、ビスモデギブ、ソニデギブ、ルカパリブ、ブリグチニブ、ビカルタミド、エンザルタミド、アビラテロン、アベマシクリブ、アパルタミド、アフリベルセプト、アザシチジン、ブレオマイシン、クロラムブシル、シタラビン、アスパラギナーゼ、エポチロン、フルダラビン、フルタミド、メクロレタミン、パクリタキセル、ペメトレキセド、ラルチトレキセド、ネシツムマブ、ベバシズマブ、ラムシルマブ、アドトラスツズマブ、ペルツズマブ、セツキシマブ、パニツムマブ、アリロクマブ、デュルバルマブ、ニモツズマブ、ダラツムマブ、アテゾリズマブ、シンチリマブ、トリパリマブ、カムレリズマブ、チスレリズマブ、デュルバルマブ、ニボルマブ、ペムブロリズマブから選択される1つまたは複数である。
【0013】
オプションとして、前記の第2の治療剤は、デシタビン、ゲムシタビン、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、アドリアマイシン、リポソームドキソルビシン、タキソール、ドセタキセル、トラメチニブ、ビニメチニブ、コビメチニブ、デュルバルマブ、アテゾリズマブ、シンチリマブ、トリパリマブ、カムレリズマブ、チスレリズマブ、ニボルマブ、ペムブロリズマブから選択される1つまたは複数である。
【0014】
オプションとして、前記の第2の治療剤は、ドセタキセル、リポソームドキソルビシン、コビメチニブ、ペムブロリズマブ、デシタビンである。
【0015】
オプションとして、前記の第2の治療剤はコビメチニブである。
【0016】
別の態様では、本発明は、個体に有効量のFAK阻害剤を投与することを含む、NRAS変異を有する腫瘍を治療する方法を提供する。
【0017】
オプションとして、前記のFAK阻害剤は、BI853520またはdefactinib、GSK2256098、PF-00562271、VS-4718、またはそれらの薬学的に許容される塩であり、好ましくはBI853520、またはその薬学的に許容される塩であり、特にBI853520酒石酸塩である。
【0018】
オプションとして、個体に有効量の第2の治療剤を投与することをさらに含む。
【0019】
オプションとして、放射線療法または細胞療法をさらに含む。
【0020】
オプションとして、前記の腫瘍は、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、肝細胞癌、胆管癌、骨髄異形成症候群、急性リンパ芽球性白血病、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、甲状腺癌、神経膠腫、結腸癌、直腸癌、結腸直腸癌、卵巣癌、膀胱癌、前立腺癌、乳癌、脂肪肉腫、線維肉腫、横紋筋肉腫、平滑筋肉腫、血管肉腫、神経芽細胞腫、腎細胞癌、頭頸部癌、胃癌、食管癌、胃食道接合部癌、胸腺癌、膵臓癌、子宮内膜癌、子宮頸癌、黒色腫、皮膚癌、胚細胞腫瘍、鼻咽頭癌、中咽頭癌、または喉頭癌であり;さらに、前記の腫瘍は、急性骨髄性白血病、黒色腫、甲状腺癌、結腸直腸癌、食道癌、肝細胞癌、卵巣癌、線維肉腫および胆管癌である。
【0021】
オプションとして、前記の第2の治療剤は、化学療法剤、標的治療薬および免疫治療剤から選択される1つまたは複数である。
【0022】
オプションとして、前記の第2の治療剤は、ニムスチン、カルムスチン、ロムスチン、テモゾロミド、シクロホスファミド、イソシクロホスファミド、グリフォスフィン、ドキシフルリジン、フルツロン、フルオロウラシル、メルカプトプリン、アザチオプリン、チオグアニン、フロクスウリジン、テガフール、ゲムシタビン、デシタビン、カルモフール、ヒドロキシ尿素、メトトレキサート、ユーエフティ、カペシタビン、アンシタビン、チオテパ、アクチノマイシンD、アドリアマイシン、リポソームドキソルビシン、ダウノルビシン、エピルビシン、マイトマイシン、ピンヤンマイシン、ピラルビシン、バルルビシン、イダルビシン、イリノテカン、ハリントンニン、カンプトテシン、ヒドロキシカンプトテシン、トポテカン、ビノレルビン(ナベルビン)、タキソール、タキソテール、ヒカムチン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、硫酸ビンデシン、ビンブラスチン、テニポシド、エトポシド、エレメン、アタメスタン、アナストロゾール、アミノグルテチミド、レトロゾール、フォルメスタン、メゲストロール、タモキシフェン、アスパラギナーゼ、カルボプラチン、シスプラチン、ダカルバジン、オキサリプラチン、エロキサチン、エロキサチン、ミトキサントロン、プロカルバジン、ドセタキセル、ゲフィチニブ、エルロチニブ、イコチニブ、アファチニブ、オシメルチニブ、クリゾチニブ、セリチニブ、アレクチニブ、ラパチニブ、エベロリムス、パルボシクリブ、リボシクリブ、アパチニブ、レゴラフェニブ、ソラフェニブ、スニチニブ、テムシロリムス、レンバチニブ、パゾパニブ、アレクチニブ、アキシチニブ、カボザンチニブ、トラメチニブ、ビニメチニブ、ベムラフェニブ、ダブラフェニブ、コビメチニブ、バンデタニブ、ボルテゾミブ、パルボシクリブ、レナリドミド、イキサゾミブ、イマチニブ、ダサチニブ、ボスチニブ、ポナチニブ、イブルチニブ、イデラリシブ、ベリノスタット、ロミデプシン、ボリノスタット、オラパリブ、ニラパリブ、デノスマブ、ビスモデギブ、ソニデギブ、ルカパリブ、ブリグチニブ、ビカルタミド、エンザルタミド、アビラテロン、アベマシクリブ、アパルタミド、アフリベルセプト、アザシチジン、ブレオマイシン、クロラムブシル、シタラビン、アスパラギナーゼ、エポチロン、フルダラビン、フルタミド、メクロレタミン、パクリタキセル、ペメトレキセド、ラルチトレキセド、ネシツムマブ、ベバシズマブ、ラムシルマブ、アドトラスツズマブ、ペルツズマブ、セツキシマブ、パニツムマブ、アリロクマブ、デュルバルマブ、ニモツズマブ、ダラツムマブ、アテゾリズマブ、シンチリマブ、トリパリマブ、カムレリズマブ、チスレリズマブ、デュルバルマブ、ニボルマブ、ペムブロリズマブから選択される1つまたは複数である。
【0023】
オプションとして、前記の第2の治療剤は、デシタビン、ゲムシタビン、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、アドリアマイシン、リポソームドキソルビシン、タキソール、ドセタキセル、トラメチニブ、ビニメチニブ、コビメチニブ、デュルバルマブ、アテゾリズマブ、シンチリマブ、トリパリマブ、カムレリズマブ、チスレリズマブ、ニボルマブ、ペムブロリズマブから選択される。
【0024】
オプションとして、前記の第2の治療剤は、ドセタキセル、リポソームドキソルビシン、コビメチニブ、ペムブロリズマブ、デシタビンである。
【0025】
オプションとして、前記の第2の治療剤はコビメチニブである。
【0026】
オプションとして、前記の第2の治療剤は、同時に、交互に、または順次に投与される。
【0027】
オプションとして、前記のFAK阻害剤は、放射線療法または細胞療法と同時に、交互に、または順次に実施される。
【0028】
さらに別の態様では、本発明は、NRAS変異を有する腫瘍を治療するためのFAK阻害剤を提供する。
【0029】
オプションとして、前記のFAK阻害剤は、BI853520、defactinib、GSK2256098、PF-00562271、VS-4718、またはそれらの薬学的に許容される塩であり、好ましくはBI853520、またはその薬学的に許容される塩であり、特にBI853520酒石酸塩である。
【0030】
オプションとして、さらに、有効量の第2の治療剤と併用される。
【0031】
オプションとして、さらに、放射線療法または細胞療法と併用される。
【0032】
オプションとして、前記の腫瘍は、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、肝細胞癌、胆管癌、骨髄異形成症候群、急性リンパ芽球性白血病、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、甲状腺癌、神経膠腫、結腸癌、直腸癌、結腸直腸癌、卵巣癌、膀胱癌、前立腺癌、乳癌、脂肪肉腫、線維肉腫、横紋筋肉腫、平滑筋肉腫、血管肉腫、神経芽細胞腫、腎細胞癌、頭頸部癌、胃癌、食管癌、胃食道接合部癌、胸腺癌、膵臓癌、子宮内膜癌、子宮頸癌、黒色腫、皮膚癌、胚細胞腫瘍、鼻咽頭癌、中咽頭癌、または喉頭癌であり;さらに、前記の腫瘍は、急性骨髄性白血病、黒色腫、甲状腺癌、結腸直腸癌、食道癌、肝細胞癌、卵巣癌、線維肉腫および胆管癌である。
【0033】
オプションとして、前記の第2の治療剤は、化学療法剤、標的治療薬および免疫治療剤から選択される1つまたは複数である。
【0034】
オプションとして、前記の第2の治療剤は、ニムスチン、カルムスチン、ロムスチン、テモゾロミド、シクロホスファミド、イソシクロホスファミド、グリフォスフィン、ドキシフルリジン、フルツロン、フルオロウラシル、メルカプトプリン、アザチオプリン、チオグアニン、フロクスウリジン、テガフール、ゲムシタビン、デシタビン、カルモフール、ヒドロキシ尿素、メトトレキサート、ユーエフティ、カペシタビン、アンシタビン、チオテパ、アクチノマイシンD、アドリアマイシン、リポソームドキソルビシン、ダウノルビシン、エピルビシン、マイトマイシン、ピンヤンマイシン、ピラルビシン、バルルビシン、イダルビシン、イリノテカン、ハリントンニン、カンプトテシン、ヒドロキシカンプトテシン、トポテカン、ビノレルビン(ナベルビン)、タキソール、タキソテール、ヒカムチン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、硫酸ビンデシン、ビンブラスチン、テニポシド、エトポシド、エレメン、アタメスタン、アナストロゾール、アミノグルテチミド、レトロゾール、フォルメスタン、メゲストロール、タモキシフェン、アスパラギナーゼ、カルボプラチン、シスプラチン、ダカルバジン、オキサリプラチン、エロキサチン、エロキサチン、ミトキサントロン、プロカルバジン、ドセタキセル、ゲフィチニブ、エルロチニブ、イコチニブ、アファチニブ、オシメルチニブ、クリゾチニブ、セリチニブ、アレクチニブ、ラパチニブ、エベロリムス、パルボシクリブ、リボシクリブ、アパチニブ、レゴラフェニブ、ソラフェニブ、スニチニブ、テムシロリムス、レンバチニブ、パゾパニブ、アレクチニブ、アキシチニブ、カボザンチニブ、トラメチニブ、ビニメチニブ、ベムラフェニブ、ダブラフェニブ、コビメチニブ、バンデタニブ、ボルテゾミブ、パルボシクリブ、レナリドミド、イキサゾミブ、イマチニブ、ダサチニブ、ボスチニブ、ポナチニブ、イブルチニブ、イデラリシブ、ベリノスタット、ロミデプシン、ボリノスタット、オラパリブ、ニラパリブ、デノスマブ、ビスモデギブ、ソニデギブ、ルカパリブ、ブリグチニブ、ビカルタミド、エンザルタミド、アビラテロン、アベマシクリブ、アパルタミド、アフリベルセプト、アザシチジン、ブレオマイシン、クロラムブシル、シタラビン、アスパラギナーゼ、エポチロン、フルダラビン、フルタミド、メクロレタミン、パクリタキセル、ペメトレキセド、ラルチトレキセド、ネシツムマブ、ベバシズマブ、ラムシルマブ、アドトラスツズマブ、ペルツズマブ、セツキシマブ、パニツムマブ、アリロクマブ、デュルバルマブ、ニモツズマブ、ダラツムマブ、アテゾリズマブ、シンチリマブ、トリパリマブ、カムレリズマブ、チスレリズマブ、デュルバルマブ、ニボルマブ、ペムブロリズマブから選択される1つまたは複数である。
【0035】
オプションとして、前記の第2の治療剤は、デシタビン、ゲムシタビン、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、アドリアマイシン、リポソームドキソルビシン、タキソール、ドセタキセル、トラメチニブ、ビニメチニブ、コビメチニブ、デュルバルマブ、アテゾリズマブ、シンチリマブ、トリパリマブ、カムレリズマブ、チスレリズマブ、ニボルマブ、ペムブロリズマブから選択される。
【0036】
オプションとして、前記の第2の治療剤は、ドセタキセル、リポソームドキソルビシン、コビメチニブ、ペムブロリズマブ、デシタビンである。
【0037】
オプションとして、前記の第2の治療剤はコビメチニブである。
【0038】
定義
本出願で使用される以下の用語および記号は、特に明記しない限り、以下に記載される意味を有する。
【0039】
本明細書で使用される「FAK阻害剤」という用語は、哺乳動物、特にヒトに適している可能性があるFAKの効果的な阻害剤を指す。
【0040】
本明細書で使用される「NRAS」という用語は、KRASおよびHRASという2つの別の遺伝子をさらに含むRAS癌遺伝子ファミリーのメンバーを指す。これらの遺伝子は、細胞分裂、細胞分化、アポトーシスにおいて重要な役割を果たす。
【0041】
本明細書で使用される「NRAS変異」という用語は、NRAS遺伝子に病原性突然変異が発生すると、それによってコードされるN-Rasタンパク質が継続的な活性化の状態にあり、細胞増殖が制御されなく、さらに腫瘍を形成することを意味する。
【0042】
本明細書で使用される「治療」という用語は、1つまたは複数の医薬品(特に本明細書に記載のFAK阻害剤、特にBI853520またはその薬学的に許容される塩)を、前記疾患または前記疾患の症状を有する個体に投与して、前記の疾患または疾患の症状を治癒、緩和、軽減、変更、治療、改善、改良または影響を与えることを指す。一部の実施形態では、前記の疾患は腫瘍または癌である。さらなる実施形態において、前記の疾患は、NRAS変異を有する癌または腫瘍である。
【0043】
本明細書で使用される「腫瘍」という用語は、様々な腫瘍形成因子の作用下、局所組織の細胞が遺伝子レベルでそれらの増殖に対する正常な調節の喪失によって引き起こされる異常なクローン増殖によって形成される異常な病変を指す。例として、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、肝細胞癌、胆管癌、骨髄異形成症候群、急性リンパ芽球性白血病、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、甲状腺癌、神経膠腫、結腸癌、直腸癌、結腸直腸癌、卵巣癌、膀胱癌、前立腺癌、乳癌、脂肪肉腫、線維肉腫、横紋筋肉腫、平滑筋肉腫、血管肉腫、、神経芽細胞腫、腎細胞癌、頭頸部癌、胃癌、食管癌、胃食道接合部癌、胸腺癌、膵臓癌、子宮内膜癌、子宮頸癌、黒色腫、皮膚癌、胚細胞腫瘍、鼻咽頭癌、中咽頭癌、または喉頭癌が挙げられるが、それらに限定されなく;さらに、前記の腫瘍は、急性骨髄性白血病、黒色腫、甲状腺癌、結腸直腸癌、食道癌、肝細胞癌、卵巣癌、線維肉腫および胆管癌である。
【0044】
本明細書で使用される場合、「個体」という用語は、哺乳動物および非哺乳動物を指す。哺乳動物とは、哺乳類の任意のメンバーを意味し、ヒト;チンパンジー、他の類人猿、サル種などの非ヒト霊長類;ウシ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、ブタなどの農場動物;ウサギ、イヌ、ネコなどの家畜;ラット、マウス、モルモットなどのげっ歯類などの実験動物;などが含まれるが、これらに限定されない。非哺乳動物の例として、トリなどが含まれるが、これらに限定されない。「個体」という用語は、特定の年齢や性別を意味するものではない。一部の実施形態では、個体はヒトである。
【0045】
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される」という用語は、毒性がなく、生物学的に許容可能であり、個体への投与に適していることを意味する。
【0046】
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される塩」という用語は、毒性がなく、生物学的に許容され、個体への投与に適しているBI853520の酸付加塩を指す。例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、炭酸塩、重炭酸塩、リン酸塩、硫酸塩、亜硫酸塩、硝酸塩などの無機酸とBI853520によって形成される酸付加塩;および、ギ酸塩、酢酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、酒石酸塩、コハク酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、メタンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、2-ヒドロキシエタンスルホン酸塩、安息香酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、および式HOOC-(CH2)n-COOH(nは0~4)などのアルカン-ジカルボン酸と形成される塩などの有機酸とBI853520によって形成される酸付加塩が含まれるが、これらに限定されない。一部の実施形態では、前記の塩は酒石酸塩である。
【0047】
さらに、塩基性化合物から酸付加塩を調製するための従来の手順に従って、遊離塩基を適切な溶媒に溶解し、溶液を酸で処理することによって、薬学的に許容される酸付加塩を製造することができる。当業者は、過度の実験なしに、非毒性の薬学的に許容される酸付加塩を調製するために使用される様々な合成方法を決定することができる。
【0048】
本明細書で使用される場合、「有効量」という用語は、一般に個体に有益な効果をもたらすのに十分な量を指す。本発明の化合物の有効量は、従来の方法(例えば、モデリング、用量漸増試験、臨床試験など)により、通常の影響因子(例えば、投与方法、化合物の薬物動態、疾患の重症度と経過、個体の病歴、個体の健康状態、医薬品に対する個体の反応など)を考慮して決定することができる。
【0049】
本明細書で使用される「第2の治療剤」という用語は、疾患を予防および/または治療するために使用される1つまたは複数の医薬品を指す。一部の実施形態において、前記の第2の治療薬は、化学療法剤、標的治療薬および免疫療法剤から選択される1つまたは複数である。一部の実施形態において、前記の第2の治療剤は、ニムスチン、カルムスチン、ロムスチン、テモゾロミド、シクロホスファミド、イソシクロホスファミド、グリフォスフィン、ドキシフルリジン、フルツロン、フルオロウラシル、メルカプトプリン、アザチオプリン、チオグアニン、フロクスウリジン、テガフール、ゲムシタビン、デシタビン、カルモフール、ヒドロキシ尿素、メトトレキサート、ユーエフティ、カペシタビン、アンシタビン、チオテパ、アクチノマイシンD、アドリアマイシン、リポソームドキソルビシン、ダウノルビシン、エピルビシン、マイトマイシン、ピンヤンマイシン、ピラルビシン、バルルビシン、イダルビシン、イリノテカン、ハリントンニン、カンプトテシン、ヒドロキシカンプトテシン、トポテカン、ビノレルビン(ナベルビン)、タキソール、タキソテール、ヒカムチン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、硫酸ビンデシン、ビンブラスチン、テニポシド、エトポシド、エレメン、アタメスタン、アナストロゾール、アミノグルテチミド、レトロゾール、フォルメスタン、メゲストロール、タモキシフェン、アスパラギナーゼ、カルボプラチン、シスプラチン、ダカルバジン、オキサリプラチン、エロキサチン、エロキサチン、ミトキサントロン、プロカルバジン、ドセタキセル、ゲフィチニブ、エルロチニブ、イコチニブ、アファチニブ、オシメルチニブ、クリゾチニブ、セリチニブ、アレクチニブ、ラパチニブ、エベロリムス、パルボシクリブ、リボシクリブ、アパチニブ、レゴラフェニブ、ソラフェニブ、スニチニブ、テムシロリムス、レンバチニブ、パゾパニブ、アレクチニブ、アキシチニブ、カボザンチニブ、トラメチニブ、ビニメチニブ、ベムラフェニブ、ダブラフェニブ、コビメチニブ、バンデタニブ、ボルテゾミブ、パルボシクリブ、レナリドミド、イキサゾミブ、イマチニブ、ダサチニブ、ボスチニブ、ポナチニブ、イブルチニブ、イデラリシブ、ベリノスタット、ロミデプシン、ボリノスタット、オラパリブ、ニラパリブ、デノスマブ、ビスモデギブ、ソニデギブ、ルカパリブ、ブリグチニブ、ビカルタミド、エンザルタミド、アビラテロン、アベマシクリブ、アパルタミド、アフリベルセプト、アザシチジン、ブレオマイシン、クロラムブシル、シタラビン、アスパラギナーゼ、エポチロン、フルダラビン、フルタミド、メクロレタミン、パクリタキセル、ペメトレキセド、ラルチトレキセド、ネシツムマブ、ベバシズマブ、ラムシルマブ、アドトラスツズマブ、ペルツズマブ、セツキシマブ、パニツムマブ、アリロクマブ、デュルバルマブ、ニモツズマブ、ダラツムマブ、アテゾリズマブ、シンチリマブ、トリパリマブ、カムレリズマブ、チスレリズマブ、デュルバルマブ、ニボルマブ、ペムブロリズマブから選択される1つまたは複数である。オプションとして、前記の第2の治療剤は、デシタビン、ゲムシタビン、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、アドリアマイシン、リポソームドキソルビシン、タキソール、ドセタキセル、トラメチニブ、ビニメチニブ、コビメチニブ、デュルバルマブ、アテゾリズマブ、シンチリマブ、トリパリマブ、カムレリズマブ、チスレリズマブ、ニボルマブ、ペムブロリズマブから選択される。オプションとして、前記の第2の治療剤は、ドセタキセル、リポソームドキソルビシン、コビメチニブ、ペムブロリズマブ、デシタビンであり;オプションとして、前記の第2の治療剤はコビメチニブである。
【0050】
さらに、前記の第2の治療剤が選択される原薬は、異なる翻訳によって名前が異なる可能性があるが、それでも1つの原薬を指す。例えば、コビメチニブ(Cobimetinib)は、中国語で
【化2】
または考比替尼に翻訳され得る。
【0051】
本明細書で使用される「阻害」という用語は、生物学的活性またはプロセスのベースライン活性の低下を指す。
【0052】
本明細書で使用される具体的に定義されていない技術的および科学的用語は、本発明が関係する当技術分野の当業者によって一般的に理解される意味を有する。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【
図1】
図1は、Ba/F3-NRAS
G12D細胞株におけるBI 853520の抗増殖効果に対するIL-3の影響を示している。BI853520では、NRAS
G12DをトランスフェクトしたBa/F3細胞株にIL-3を添加した後、IC
50が3.4から15μMに増加し、IC
50が4倍以上増加したことを示している。GraphPadPrism6ソフトウェアおよびスチューデントのt検定を使用して統計データを分析した。統計的に有意な差の閾値は、P=0.05に設定された。
【
図2】
図2は、体重の変化を示している。ブランク対照群動物の体重は1.9%減少し、以6mg/kgのBI 853520で治療された動物の体重の中央値は4.9%増加し(対照群と比較し、p=0.9966)、12.5mg/kgのBI 853520で治療された動物の体重の中央値は5.7%増加し(対照群と比較し、p=0.9996)、25mg/kgのBI 853520で治療された動物の体重の中央値は9.4%増加し(対照群と比較し、p=1.0000)、50mg/kgのBI 853520で治療された動物の体重の中央値は8.3%増加した(対照群と比較し、p=0.999)ことを示している。
【
図3】
図3は、HT-1080腫瘍増殖動態を示している。13日目に、ブランク対照群の腫瘍体積の中央値は823mm
3であり、6mg/kgのBI 853520で治療された腫瘍体積の中央値は322mm
3であり、12.5mg/kgのBI 853520で治療された腫瘍体積の中央値は149mm
3であり、25mg/kgのBI 853520で治療された腫瘍体積の中央値は15mm
3であり、50mg/kgのBI 853520で治療された腫瘍体積の中央値は322mm
3であることを示している。
【
図4】
図4は、KYSE-270腫瘍増殖動態を示している。対照群の腫瘍体積の中央値は、179mm
3から1032mm
3に増加し、対照群と比較して、毎日50mg/kgのBI 853520で治療された腫瘍体積の中央値は、175mm
3から126mm
3に減少し、週に1回10mg/kgのタキソールの治療は、腫瘍の成長に影響しなく、腫瘍体積の中央値が190mm
3から1033mm
3に増加し、毎日1回50mg/kgのBI 853520と週に1回10mg/kgのタキソールとの併用治療では、腫瘍増殖を大幅に遅延させ、腫瘍体積の中央値が173mm
3から87mm
3に減少したことを示している。
【
図5】
図5は、体重の変化を示している。対照群の動物の体重の中央値は10.3%減少し、対照群と比較して、毎日50mg/kgのBI 853520で治療された動物の体重の中央値は2.8%増加し、週に1回10mg/kgのタキソールで治療された動物の体重の中央値は9.7%減少し、毎日1回50mg/kgのBI 853520と週に1回10mg/kgのタキソールとの併用治療では、動物の体重の中央値は3.5%増加したことを示している。
【
図6】
図6は、GAK腫瘍増殖動態を示している。GAKモデルでは、対照群と比較して、毎日BI 853520による治療は、腫瘍増殖を遅らせたことを示している。
【
図7】
図7は、HMVII腫瘍増殖動態を示している。HMVIIモデルでは、対照群と比較して、毎日BI 853520による治療は、腫瘍増殖を遅らせたことを示している。
【発明を実施するための形態】
【0054】
実施例
以下、実施例により本発明をさらに説明する。これらの実施例は、本発明を説明するためのみに使用され、本発明の範囲を限定するものではない。
【0055】
以下の実施例における具体的な条件を明記しない実験方法は、このタイプの反応の通常の条件に従って、または製造業者によって提案された条件に従って実施することができる。
【0056】
以下の実施例で使用される実験材料および試薬は、特に明記しない限り、市販されているものである。
【0057】
実施例で使用される略語の意味は以下の通りである。
ATCC アメリカンタイプカルチャーコレクション
CO2 二酸化炭素
d 日
FCS ウシ胎仔血清
FBS ウシ胎児血清
g グラム
kg キログラム
l リットル
mg ミリグラム
ml ミリリットル
μl マイクロリットル
mM ミリモル
mm3 立方ミリメートル
GLP グッドラボラトリープラクティス
h 時間
MCB マスターセルバンク
mean 算術平均
MTD 最大耐量
n サンプル量
PBS リン酸緩衝塩
RPMI 1640 RPMI 1640培地
p.o. 経口投与
qd 毎日
q7d 7日1回(週に1回)
s.c. 皮下投与
SD 標準偏差
TGI 腫瘍増殖阻害
WCB ワーキングセルバンク
Vrel 相対腫瘍体積(1日目に対する)
【0058】
実施例I:BI853520の抗腫瘍作用とNRASとの相関関係
1. 材料および方法:
1.1. DNA構築およびレトロウイルスの生産
Cuiffo B,Ren R.Palmitoylation of oncogenic NRAS is essential for leukemogenesis. Blood.,2010,115:3598-605、及びParikh C,Subrahmanyam R,Ren R.Oncogenic NRAS,KRAS, and HRAS exhibit different leukemogenic potentials in mice.Cancer Res.,2007,67:7139-46に記載された方法により、NRAS-G12D、KRAS4A-G12D、KRAS4B-G12DおよびNRAS-G12D-C181SをN-末端GFP融合タンパク質として発現するレトロウイルス構築物を調製した。Bosc23細胞を使用してレトロウイルスを調製し、また、Parikh C,Subrahmanyam R,Ren R.Oncogenic NRAS,KRAS, and HRAS exhibit different leukemogenic potentials in mice.Cancer Res.,2007,67:7139-46に記載された方法により、力価を測定した。
【0059】
1.2. 細胞の培養およびレトロウイルスの形質導入
Ba/F3細胞株は、2009年にATCCから入手され、Zhang X,Ren R.Bcr-abl efficiently induces a myeloproliferative disease and production of excess interleukin-3 and granulocyte-macrophage colony-stimulating factor in mice:A novel model for chronic myelogenous leukemia. Blood.,1998,92:3829-40に記載された方法に従って培養された。成長因子依存性BA/F3細胞を、10%FBSを含むRPMI1640で培養し、15%WEHI-3馴化培地または組換えIL-3(Roche)をIL-3の供給源として補充して、最終濃度を1ng/mlにした。Parikh C,Subrahmanyam R,Ren R.Oncogenic NRAS,KRAS, and HRAS exhibit different leukemogenic potentials in mice.Cancer Res.,2007,67:7139-46、およびFredericks J,Ren R.The role of RAS effectors in BCR/ABL induced chronic myelogenous leukemia.Front Med China.,2013,7:452-61に記載された方法に従って、BA/F3細胞にレトロウイルスで形質導入した。ストックを収集した後、細胞を増殖させ、低い継代率(<3)で凍結した。凍結細胞を解凍して本研究で使用し、すべての実験手順で細胞継代を15回に制限した。マイコプラズマの自由と正常な状態を確保するために、すべての細胞を定期的に検査した。
【0060】
1.3. 材料
BI853520:特許WO2010058032の方法に従って合成された。
【0061】
1.4. 抗増殖試験
100μLの培地において、NRASG12DでトランスフェクトされたBa/F3(Ba/F3-N)またはKRASG12DでトランスフェクトされたBa/F3(Ba/F3-N)細胞を、ウェルあたり5,000細胞の密度で96ウェル細胞培養クラスタープレートに播種した。RPMI1640を利用してBI853520を9点濃度で3倍希釈し、各ウェルの容量に応じて10μmol/Lから3倍の濃度勾配(最終溶媒濃度<1/1000)に到達するまで添加した。PD0325901を陽性対照として使用した。48時間のインキュベーション後、CellTiter Glo(Promega)を使用して細胞生存率を測定した。Envisionプレートリーダー(PerkinElmer)を使用して発光を検出した。Zファクターの計算方法は、Zhang JH,Chung TDY,Oldenburg KR.A simple statistical parameter for use in evaluation and validation of high throughput screening assays.J Biomol Screen.,1999,4:67-73に記載されているとおりであり、以下の分析では、Zファクターが0.6を超えるデータのみを使用した。GraphPad Prism 6ソフトウェア(http://www.graphpad.com/scientific-software/prism/)を使用して、非線形適合(カーブフィッティング)における相対な生細胞パーセンテージに基づいて用量反応曲線をフィッティングした。データ分析およびIC50の計算には、内部ソフトウェア「非線形回帰(カーブフィッティング)」および方程式「対数(阻害剤)対応答変数の傾き」を使用した。
【0062】
2. 統計分析:
GraphPad Prism 6ソフトウェアおよびスチューデントのt検定を使用して統計データを分析した。統計的に有意な差の閾値は、P=0.05に設定された。
【0063】
3. 結果:
Ba/F3は、IL-3に依存して生存および増殖するマウス骨髄由来細胞株であり、キナーゼ創薬のためのハイスループットアッセイに使用されてきた。このシステムを発癌性RASでテストしたところ、発癌性NRAS(NRAS
G12D)がBa/F3細胞をIL-3に依存しないように変換できることが分かった。
図1および表1は、Ba/F3-NRAS
G12D細胞株に対するBI853520の抗増殖効果を示し、IC
50値が3.4μMである。IC
50はIL-3の添加後に4倍以上増加し、阻害効果がNRASに関連していることを示す。
【0064】
表1:Ba/F3-NRAS
G12D細胞株におけるBI853520抗増殖効果に対するIL-3の添加の有無の影響
【表1】
【0065】
実施例2:ヒト線維肉腫のマウスモデルにおけるBI853520の効果(細胞株HT-1080)
1. 材料および方法:
1.1. 研究のデザイン
腫瘍体積の中央値が70~130mm3の間に治療を開始した。
ブランク対照群:10匹のマウス;治療群:群あたり7匹のマウス。
1日1回の強制経口投与。
ブランク対照:0.5%ヒドロキシエチルセルロース
BI 853520:50mg/kg、25mg/kg、12.5mg/kg、6mg/kg、
腫瘍体積を週に3回測定し、体重を毎日モニターした。
治療結果の評価は、個々の腫瘍の絶対体積に基いた。
忍容性は、体重の変化に基づいて評価された。
【0066】
1.2. 材料
BI853520:特許WO201005832の方法に従って合成された。乾燥粉末を0.5%ヒドロキシエチルセルロースに懸濁して、各アッセイに望ましい濃度を得た。pHは3.5であった。
【0067】
HT-1080細胞:NRAS、CDKN2AおよびIDH1遺伝子変異を有するHT-1080細胞をATCC(CRL-121)から入手した。細胞は、10%熱不活化ウシ胎児血清を添加したDMEM+Glutamaxを培地として、T175組織培養フラスコで培養された。細胞は加湿空気中、37℃、5%CO2で培養された。
【0068】
マウス:無胸腺メスBomTac、約6週齢のNMRI-Foxn1nuマウスをデンマークのTaconicから購入した。動物室に到着した後、アッセイの前に、マウスを少なくとも3日間新しい環境に順応させた。これらの動物は、標準条件下(温度:21.5±1.5℃、湿度:55+10%)で飼育され、各群に5匹のマウスがいた。標準食およびオートクレーブ処理した水道水を自由に給餌した。首領域に皮下移植されたDatamarsT-IS8010FDX-BトランスポンダーとLabMaxII固定リーダーを使用してそれぞれのマウスを識別した。ケージカードには、試験番号、動物識別番号、化合物と用量レベル、投与経路、およびアッセイ全体にわたる動物の投与スケジュールが示された。
【0069】
1.3. ランダムな腫瘍の確立:
皮下腫瘍を確立するために、トリプシン処理によってHT-1080細胞を収集し、遠心分離し、洗浄し、氷冷PBS+1×108細胞/mlに懸濁した。次に、1×107個の細胞を含む100μlの細胞懸濁液をヌードマウスの右側腹部に皮下注射した(マウスあたり1部位)。腫瘍が確立され、直径が5~8mmに達した時(細胞注射の7日後)、マウスはランダムに治療群および対照群に群分けられた。
【0070】
1.4. 投与:
BI853520を0.5%ヒドロキシエチルセルロースに懸濁させ、強制経口投与針を通して胃内に毎日投与した。投与量は10mL/Kg体重であった。
【0071】
1.5. 腫瘍の成長および副作用のモニタリング:
腫瘍の直径は、週に3回(月曜日、水曜日および金曜日)ノギスで測定された。各腫瘍の体積[単位:mm3]は、「腫瘍の体積=長さ×直径2×π/6」の式に従って計算された。治療の副作用をモニタリングするために、マウスの異常を毎日チェックし、体重を毎日測定した。研究完了の時(治療開始から約2週間後)に動物を殺処分した。研究中、腫瘍壊死または2000mm3を超える腫瘍を有する動物は、倫理的理由により予定より早く殺処分された。
【0072】
2. 統計分析:
13日目のアッセイの終わりに、腫瘍体積および体重パラメーターを統計して評価を行った。絶対腫瘍体積および体重の変化率(1日目の初期体重を基準)を使用した。ノンパラメトリックアプローチを使用し、観測数、中央値、最小値、および最大値を算出した。治療効果を簡単に説明するために、各治療群Tの腫瘍体積の中央値および対照群Cの腫瘍体積の中央値を使用して、1日目からd日目までのTGIを算出した。
TGI=100×[(Cd-C1)-(Td-T1)]/(Cd-C1)
ここで、C1、T1=アッセイ開始1日目の対照群と治療群の腫瘍体積の中央値。Cd、Cd=13日目アッセイ完了時の対照群と治療群の腫瘍体積の中央値。
【0073】
片側下降ウィルコクソン検定を使用して、試験化合物の各用量を対照群と比較し、腫瘍体積の減少を治療効果とし、体重減少を副作用とした。Bonferroni-Holmに従って、腫瘍体積(有効性パラメーター)のP値を複数回で比較および調整したが、体重(忍容性パラメーター)のP値は、起こりうる副作用を見落とさないように調整しなかった。有意水準はα=5%に固定された。0.05未満のp値(調整済み)は、群間で統計的に有意な差を示すと見なされ、0.05≦p値<0.10であると、指標となる差と見なされた。統計的評価は、ソフトウェアパッケージSASバージョン9.2(SAS Institute Inc.,米国ノースカロライナ州)およびProc StatXactバージョン8.0(Cytel Software、米国マサチューセッツ州)を使用して実行された。
【0074】
3. 結果:
3.1. 試験期間中、ブランク対照群の動物の体重は1.9%減少し(
図2、表2)、13日目に、それらの腫瘍体積の中央値は823mm
3に達した(
図3、表3)。
3.2. 1日1回50mg/kgのBI 853520で治療した場合、TGIは107%(p=0.0002)であり、すべての動物で腫瘍の縮小が観察された(
図3、表3)。動物の体重の中央値は8.3%増加した(対照群と比較して、p=0.999)(
図2、表2)。
3.3. 1日1回25mg/kgのBI 853520で治療した場合、TGIは113%(p=0.0002)であり、6匹の動物で腫瘍の縮小が観察された(
図3、表3)。動物の体重の中央値は9.4%増加した(対照群と比較して、p=1.0000)(
図2、表2)。
3.4. 1日1回12.5mg/kgのBI 853520で治療した場合、TGIは94%(p=0.0002)であり、2匹の動物で腫瘍の縮小が観察された(
図3、表3)。動物の体重の中央値は5.7%増加した(対照群と比較して、p=0.9996)(
図2、表2)。
3.5. 1日1回6mg/kgのBI 853520で治療した場合、TGIは70%(p=0.0004)であり、1匹の動物で腫瘍の縮小が観察された(
図5、表3)。動物の体重の中央値は4.9%増加した(対照群と比較して、p=0.9966)(
図2、表2)。
【0075】
【0076】
【0077】
4. 結論:
ヒトHT-1080線維肉腫モデルにおいて、BI 853520は、すべての投与量レベルで統計的に有意な抗腫瘍活性を示し、すべての治療群で退行が観察された。また、最高投与量レベルでは、すべての動物で腫瘍体積の縮小が観察された。以前の研究では、毒性を制限することなく、最高の1日投与量は100mg/kgであった。したがって、有意な有効性は、MTDより少なくとも16倍低い投与量(6mg/kg)で得られた。
【0078】
実施例3:NMRIヌードマウスのヒト食道癌細胞株KYSE-270に由来する皮下異種移植マウスモデルにおけるBI853520の抗腫瘍活性
1.材料および方法
1.1. モデル:NMRIヌードマウスにヒト食道癌細胞株KYSE-270を皮下異種移植したモデル。
1.2. 試験化合物:BI853520:特許WO201005832の方法に従って合成された。
1.3. 細胞:KYSE-270は食道癌細胞株である(Public Health England、カタログ番号:94072021)。細胞は、37℃、5%CO2を含むT175組織培養フラスコで培養された。培地は、2%FCSおよび2mMGlutamaxを添加したRPMI1640+HAM F12(1:1)であった。継代は週に3回、1:2の比率で行った。
1.4. マウス:マウスは、デンマークのTaconicから購入した8~10週齢のメスマウス(BomTac:NMRI-Foxn1nu)であった。動物室に到着したら、アッセイの前に、マウスを少なくとも5日間順応させた。動物は標準条件(温度:21.5±1.5℃、湿度:55+10%)で飼育され、各群に7~10匹のマウスが飼育された。標準食およびオートクレーブ処理した水道水を自由に給餌した。イソフルラン麻酔下に埋め込まれた皮下マイクロチップを使用して、各マウスを識別した。ケージカードには、試験番号、動物識別番号、化合物と用量レベル、投与経路、およびアッセイ全体にわたる動物の投与スケジュールが示された。
1.5. ランダムな腫瘍の作成:皮下腫瘍を確立するために、遠心分離によってKYSE-270細胞を収集し、洗浄し、5×107細胞/mlの濃度でPBS+5%FCSに再懸濁した。次に、5×106個の細胞を含む100μlの細胞懸濁液をマウスの右側腹部(マウスあたり1部位)に皮下注射した。腫瘍が確立され、体積が94~252mm3に達した時(細胞注射の13日後)、マウスはランダムに治療群および対照群に群分けられた。
【0079】
1.6. 投与:
BI 853520を0.5%ヒドロキシエチルセルロースに懸濁させ、強制経口投与針を通して胃内に毎日投与した。投与量は10mL/Kg体重であった。タキソール(Paclitaxel)を生理食塩水(0.9%NaCl)に溶解し、10ml/kg体重で静脈内投与した。BI 853520の懸濁液は最大7日間使用できる。タキソール溶液は6℃で保存され、最大14日間使用された。
【0080】
1.7. 腫瘍の成長および副作用のモニタリング:腫瘍の直径は、週に3回ノギスで測定された。各腫瘍の体積[mm3]は、「腫瘍の体積=長さ×直径2×π/6」の式に従って計算された。治療の副作用をモニタリングするために、マウスの異常を毎日チェックし、体重を週に3回測定した。直径1.5cmを超える腫瘍、腫瘍壊死、または20%の体重減少を伴う動物は、倫理的理由により殺処分された。
【0081】
2. 統計分析:
13日目の腫瘍体積および体重を統計して評価を行った。動物番号1(ブランク対照群)は、体重減少のために統計的評価から除外され、早期(9日目)に殺処分させなければならなかった。測定された腫瘍体積を、統計分析のターゲット変数として使用した。各群の動物の数、腫瘍体積の中央値、最小値および最大値を算出した。治療効果を簡単に説明するために、各治療群Tの腫瘍体積の中央値および対照群Cの腫瘍体積の中央値を使用してTGIを算出した。
TGI=100×[(Cd-C1)-(Td-T1)]/(Cd-C1)
ここで、C1、T1=アッセイ開始1日目の対照群と治療群の腫瘍体積の中央値。Cd、Cd=13日目アッセイ完了時の対照群と治療群の腫瘍体積の中央値。
【0082】
ウィルコクソン検定を使用して比較した。体重については、1日目の初期体重に対する変化率を統計分析のターゲット変数として使用した。各群の動物の数、体重変化の中央値、最小値および最大値を算出した。
【0083】
片側検定を実施してすべての治療群を対照群と比較し、以下の項目を観察した。
・腫瘍体積の減少(腫瘍増殖の阻害、有効性パラメーター)
・体重変化の減少(体重減少、忍容性パラメータ)。
【0084】
各サブトピック内で、Bonferroni-Holmに従って、有効性パラメーターのp値を複数回で比較、調整した。忍容性パラメーターのp値は、起こりうる副作用を見落とさないように一定に保たれた。有意水準はα=5%に固定された。0.05未満のp値(調整済み)は、群間で統計的に有意な差を示すと見なされ、0.05≦p値<0.10であると、指標となる差と見なされた。統計的評価は、SASソフトウェアパッケージバージョン9.4(SAS Institute Inc.,米国Cary NC)を使用して実行された。
【0085】
3. 結果
腫瘍体積および体重:
13日目までに、対照群の腫瘍体積の中央値は、179mm
3から1032mm
3に増加した(
図4)。対照群の動物の体重の中央値は10.3%減少した(
図5、表4)。9日目に、重度の体重減少のために1匹の動物を殺処分させなければならなかった。
【0086】
毎日50mg/kgのBI 853520による治療は、対照群と比較して、腫瘍増殖を有意に遅延させた(中央値TGI=106%、p=0.0003)(
図5、表4)。13日目に、7つの腫瘍のうち6つが縮小した(表4)。動物の体重の中央値は2.8%増加したが、対照群と有意差はなかった(p=0.9999)(
図5、表4)。
【0087】
週に1回の10mg/kgのタキソールによる治療は、対照群と比較して、腫瘍増殖に影響を及ぼさなかった(中央値TGI=2%、p=0.3788)(
図4、表4)。13日目に、すべての動物の腫瘍は縮小しなかった(表4)。動物の体重の中央値は9.7%減少したが、対照群と有意差はなかった(p=0.7320)(
図5、表4)。
【0088】
対照群と比較して、1日1回50mg/kgのBI 853520と週1回10mg/kgのタキソールとの併用療法は、腫瘍増殖を有意に遅延させた(中央値TGI=110%、p=0.0003)(
図4、表4)。13日目に、すべての動物で腫瘍の縮小が見られた(表4)。動物の体重の中央値は3.5%増加したが、対照群と有意差はなかった(p=1.0000)(
図5、表4)。
【0089】
表4:各群におけるTGI、腫瘍の縮小および体重の変化(13日目)
【表4】
【0090】
4. 結論:
ヒト食道癌細胞株KYSE-270の皮下異種移植モデルにおいて、50mg/kgのBI 853520を使用した治療群および10mg/kgのタキソールと併用した治療群では、腫瘍増殖の統計的に有意な阻害が観察され、且つ両方とも忍容性が良好であった。
【0091】
実施例4:HMVIIおよびGAK CDXモデル(NRAS変異を有する黒色腫モデル)におけるBI 853520の腫瘍増殖阻害効果
1. 材料および方法
1.1. 試験化合物:特許WO201005832の方法に従って合成されたBI853520。BI853520は、0.5%ヒドロキシエチルセルロース(Ashland)で調製した。
【0092】
1.2. 細胞:黒色腫細胞株GAKはJCRB Cell Bankから購入し、HMVII細胞はSigmaから購入した。GAKは膣黒色腫患者の鼠径リンパ節に由来するものであり、HMVIIは原発性膣黒色腫に由来するものである。GAKおよびHMVII細胞を、37℃、5%CO2を含む組織培養フラスコで培養した。培地は、それぞれ10%の熱不活化FBSを含むHam’s F12および15%のFBSを含むHam’s F10であった。すべての培地には、100U/mLペニシリン、100mg/mLストレプトマイシン、および2mM GlutaMAXを追加した。すべての細胞培養試薬はGIBCOから購入した。
HMVIIおよびGAK細胞株の両方がQ61位置にNRAS変異を保有する。NRASQ61KのHMVIIおよびNRASQ61LのGAK。
【0093】
1.3. マウス:4週齢のメスbalb/cヌードマウス(Beijing Vital River Laboratory Animal Technology社から購入)。動物室に到着した後、アッセイの前に、マウスを少なくとも2週間新しい環境に順応させた。動物は標準条件(温度:21.5±1.5℃、湿度:55±10%)で飼育された。標準的な食餌とオートクレーブ処理された水道水が自由に給餌した。すべての動物の飼育および実験手順は、北京腫瘤病院および研究所の医療倫理委員会によって承認された動物の飼育倫理ガイドラインに従って実施された。
【0094】
1.4. ランダムな腫瘍の確立:
皮下腫瘍を確立するために、トリプシン処理によってHMVIIおよびGAK細胞を収集し、遠心分離し、洗浄し、氷冷PBS+5%FCSに再懸濁した。次に、5×106個の細胞を含む100μlの細胞懸濁液をヌードマウスの右側腹部に皮下注射した(マウスあたり1部位)。腫瘍が確立され、体積の中央値が約400~600mm3に達した時、マウスはランダムに治療群および対照群に群分けられた。
【0095】
1.5. 投与:
BI853520を0.5%ヒドロキシエチルセルロースに懸濁させ、強制経口投与針を通して胃内に毎日投与した。投与量は10mL/Kg体重であった。
【0096】
1.6. 腫瘍の成長のモニタリング:
腫瘍の直径は、週に2回ノギスで測定された。各腫瘍の体積[mm3]は、「腫瘍の体積=長さ×直径2×π/6」の式に従って計算された。治療開始から約2週間後、研究完了の時に動物を殺処分した。研究中、腫瘍壊死または2000mm3を超える腫瘍を有する動物は、倫理的理由により予定より早く殺処分された。
【0097】
2. 統計分析:
アッセイ完了の時に、腫瘍体積を統計的に評価した。腫瘍体積については、相対値を使用した。
観察の数、腫瘍体積の中央値、最小値および最大値を算出した。治療効果を速く観察するために、次の指標を算出した。
相対腫瘍体積:(T/C)
【数1】
1日目からd日目までのTGI:
TGI=100×[(C
d-C
1)-(T
d-T
1)]/(C
d-C
1)
ここで、C
1、T
1=アッセイ開始1日目の対照群と治療群の腫瘍体積の平均値。C
d、C
d=d日目アッセイ完了時の対照群と治療群の腫瘍体積の平均値。
統計的評価は、両側分布および2サンプルの等分散型を使用して、Microsoft Excelのスチューデントのt検定機能を使用して実行された。
有意水準はα=5%に固定された。0.05未満のp値(調整済み)は、治療群間で有意差を示すと見なされ、0.05≦p値<0.10は指標となる差と見なされた。
【0098】
3.結果
GAKモデルにおいて、毎日BI 853520による治療は、対照群と比較して腫瘍増殖を遅延させた(中央値TGI=80%、p=0.03)(
図6、表5)。
HMVIIモデルにおいて、毎日BI 853520による治療は、対照群と比較して腫瘍増殖を遅らせた(中央値TGI=60%、p=0.17)(
図7、表5)。
【0099】
表5:14日目の平均腫瘍体積、平均TGIおよび相対腫瘍体積に基づくP値
【表5】
【0100】
4.結論
BI853520は、HMVIIおよびGAKのCDXモデル(NRAS変異を有する2つの黒色腫モデル)における腫瘍増殖を阻害することができる。
【0101】
本明細書で言及されるすべての参考文献は、それぞれが個別に記載されているように、その全体が参照により組み込まれる。本発明の開示を読んだ後、当業者は本発明に様々な変更または修正を加えることができ、これらの同等の形態もまた、本出願の添付の特許請求の範囲によって定義される範囲内にあることを理解されたい。
【手続補正書】
【提出日】2022-05-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
NRAS変異を有する腫瘍を治療するための医薬品の調製における、FAK阻害剤の使用。
【請求項2】
前記のFAK阻害剤が、BI853520、defactinib、GSK2256098、PF-00562271、VS-4718、またはそれらの薬学的に許容される塩であり、好ましくはBI853520またはその薬学的に許容される塩であり、特にBI853520酒石酸塩である、
請求項1に記載の使用。
【請求項3】
前記の医薬品が、有効量の第2の治療薬と併用される、
請求項1~2のいずれか一項に記載の使用。
【請求項4】
前記の医薬品が、放射線療法または細胞療法と併用される、
請求項1~3のいずれか一項に記載の使用。
【請求項5】
前記の腫瘍が、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、肝細胞癌、胆管癌、骨髄異形成症候群、急性リンパ芽球性白血病、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、甲状腺癌、神経膠腫、結腸癌、直腸癌、結腸直腸癌、卵巣癌、膀胱癌、前立腺癌、乳癌、脂肪肉腫、線維肉腫、横紋筋肉腫、平滑筋肉腫、血管肉腫、神経芽細胞腫、腎細胞癌、頭頸部癌、胃癌、食管癌、胃食道接合部癌、胸腺癌、膵臓癌、子宮内膜癌、子宮頸癌、黒色腫、皮膚癌、胚細胞腫瘍、鼻咽頭癌、中咽頭癌、或喉頭癌であり;さらに、前記の腫瘍が、急性骨髄性白血病、黒色腫、甲状腺癌、結腸直腸癌、食道癌、肝細胞癌、卵巣癌、線維肉腫および胆管癌である、
請求項1~4のいずれか一項に記載の使用。
【請求項6】
前記の第2の治療剤が、化学療法剤、標的治療薬および免疫治療剤から選択される1つまたは複数である、
請求項3に記載の使用。
【請求項7】
前記の第2の治療剤が、ニムスチン、カルムスチン、ロムスチン、テモゾロミド、シクロホスファミド、イソシクロホスファミド、グリフォスフィン、ドキシフルリジン、フルツロン、フルオロウラシル、メルカプトプリン、アザチオプリン、チオグアニン、フロクスウリジン、テガフール、ゲムシタビン、デシタビン、カルモフール、ヒドロキシ尿素、メトトレキサート、ユーエフティ、カペシタビン、アンシタビン、チオテパ、アクチノマイシンD、アドリアマイシン、リポソームドキソルビシン、ダウノルビシン、エピルビシン、マイトマイシン、ピンヤンマイシン、ピラルビシン、バルルビシン、イダルビシン、イリノテカン、ハリントンニン、カンプトテシン、ヒドロキシカンプトテシン、トポテカン、ビノレルビン(ナベルビン)、タキソール、タキソテール、ヒカムチン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、硫酸ビンデシン、ビンブラスチン、テニポシド、エトポシド、エレメン、アタメスタン、アナストロゾール、アミノグルテチミド、レトロゾール、フォルメスタン、メゲストロール、タモキシフェン、アスパラギナーゼ、カルボプラチン、シスプラチン、ダカルバジン、オキサリプラチン、エロキサチン、エロキサチン、ミトキサントロン、プロカルバジン、ドセタキセル、ゲフィチニブ、エルロチニブ、イコチニブ、アファチニブ、オシメルチニブ、クリゾチニブ、セリチニブ、アレクチニブ、ラパチニブ、エベロリムス、パルボシクリブ、リボシクリブ、アパチニブ、レゴラフェニブ、ソラフェニブ、スニチニブ、テムシロリムス、レンバチニブ、パゾパニブ、アレクチニブ、アキシチニブ、カボザンチニブ、トラメチニブ、ビニメチニブ、ベムラフェニブ、ダブラフェニブ、コビメチニブ、バンデタニブ、ボルテゾミブ、パルボシクリブ、レナリドミド、イキサゾミブ、イマチニブ、ダサチニブ、ボスチニブ、ポナチニブ、イブルチニブ、イデラリシブ、ベリノスタット、ロミデプシン、ボリノスタット、オラパリブ、ニラパリブ、デノスマブ、ビスモデギブ、ソニデギブ、ルカパリブ、ブリグチニブ、ビカルタミド、エンザルタミド、アビラテロン、アベマシクリブ、アパルタミド、アフリベルセプト、アザシチジン、ブレオマイシン、クロラムブシル、シタラビン、アスパラギナーゼ、エポチロン、フルダラビン、フルタミド、メクロレタミン、パクリタキセル、ペメトレキセド、ラルチトレキセド、ネシツムマブ、ベバシズマブ、ラムシルマブ、アドトラスツズマブ、ペルツズマブ、セツキシマブ、パニツムマブ、アリロクマブ、デュルバルマブ、ニモツズマブ、ダラツムマブ、アテゾリズマブ、シンチリマブ、トリパリマブ、カムレリズマブ、チスレリズマブ、デュルバルマブ、ニボルマブ、ペムブロリズマブから選択される1つまたは複数であり;さらに、デシタビン、ゲムシタビン、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、アドリアマイシン、リポソームドキソルビシン、タキソール、ドセタキセル、トラメチニブ、ビニメチニブ、コビメチニブ、デュルバルマブ、アテゾリズマブ、シンチリマブ、トリパリマブ、カムレリズマブ、チスレリズマブ、ニボルマブ、ペムブロリズマブから選択され;さらに、ドセタキセル、リポソームドキソルビシン、コビメチニブ、ペムブロリズマブ、デシタビンから選択され;さらにコビメチニブである、
請求項3に記載の使用。
【請求項8】
NRAS変異を有する腫瘍を治療するためのFAK阻害剤。
【請求項9】
前記のFAK阻害剤が、BI853520、defactinib、GSK2256098、PF-00562271、VS-4718、またはそれらの薬学的に許容される塩であり、好ましくはBI853520またはその薬学的に許容される塩であり、特にBI853520酒石酸塩である、
請求項
8に記載のFAK阻害剤。
【請求項10】
さらに、有効量の第2の治療剤と併用される、
請求項
8または
9のいずれか一項に記載のFAK阻害剤。
【請求項11】
さらに、放射線療法または細胞療法と併用される、
請求項
8~
10のいずれか一項に記載のFAK阻害剤。
【請求項12】
前記の腫瘍が、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、肝細胞癌、胆管癌、骨髄異形成症候群、急性リンパ芽球性白血病、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、甲状腺癌、神経膠腫、結腸癌、直腸癌、結腸直腸癌、卵巣癌、膀胱癌、前立腺癌、乳癌、脂肪肉腫、線維肉腫、横紋筋肉腫、平滑筋肉腫、血管肉腫、神経芽細胞腫、腎細胞癌、頭頸部癌、胃癌、食管癌、胃食道接合部癌、胸腺癌、膵臓癌、子宮内膜癌、子宮頸癌、黒色腫、皮膚癌、胚細胞腫瘍、鼻咽頭癌、中咽頭癌、または喉頭癌であり;さらに、前記の腫瘍が、急性骨髄性白血病、黒色腫、甲状腺癌、結腸直腸癌、食道癌、肝細胞癌、卵巣癌、線維肉腫および胆管癌である、
請求項
8に記載のFAK阻害剤。
【請求項13】
第2の治療剤が、化学療法剤、標的治療薬および免疫治療剤から選択される1つまたは複数である、
請求項
10に記載のFAK阻害剤。
【請求項14】
前記の第2の治療剤が、ニムスチン、カルムスチン、ロムスチン、テモゾロミド、シクロホスファミド、イソシクロホスファミド、グリフォスフィン、ドキシフルリジン、フルツロン、フルオロウラシル、メルカプトプリン、アザチオプリン、チオグアニン、フロクスウリジン、テガフール、ゲムシタビン、デシタビン、カルモフール、ヒドロキシ尿素、メトトレキサート、ユーエフティ、カペシタビン、アンシタビン、チオテパ、アクチノマイシンD、アドリアマイシン、リポソームドキソルビシン、ダウノルビシン、エピルビシン、マイトマイシン、ピンヤンマイシン、ピラルビシン、バルルビシン、イダルビシン、イリノテカン、ハリントンニン、カンプトテシン、ヒドロキシカンプトテシン、トポテカン、ビノレルビン(ナベルビン)、タキソール、タキソテール、ヒカムチン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、硫酸ビンデシン、ビンブラスチン、テニポシド、エトポシド、エレメン、アタメスタン、アナストロゾール、アミノグルテチミド、レトロゾール、フォルメスタン、メゲストロール、タモキシフェン、アスパラギナーゼ、カルボプラチン、シスプラチン、ダカルバジン、オキサリプラチン、エロキサチン、エロキサチン、ミトキサントロン、プロカルバジン、ドセタキセル、ゲフィチニブ、エルロチニブ、イコチニブ、アファチニブ、オシメルチニブ、クリゾチニブ、セリチニブ、アレクチニブ、ラパチニブ、エベロリムス、パルボシクリブ、リボシクリブ、アパチニブ、レゴラフェニブ、ソラフェニブ、スニチニブ、テムシロリムス、レンバチニブ、パゾパニブ、アレクチニブ、アキシチニブ、カボザンチニブ、トラメチニブ、ビニメチニブ、ベムラフェニブ、ダブラフェニブ、コビメチニブ、バンデタニブ、ボルテゾミブ、パルボシクリブ、レナリドミド、イキサゾミブ、イマチニブ、ダサチニブ、ボスチニブ、ポナチニブ、イブルチニブ、イデラリシブ、ベリノスタット、ロミデプシン、ボリノスタット、オラパリブ、ニラパリブ、デノスマブ、ビスモデギブ、ソニデギブ、ルカパリブ、ブリグチニブ、ビカルタミド、エンザルタミド、アビラテロン、アベマシクリブ、アパルタミド、アフリベルセプト、アザシチジン、ブレオマイシン、クロラムブシル、シタラビン、アスパラギナーゼ、エポチロン、フルダラビン、フルタミド、メクロレタミン、パクリタキセル、ペメトレキセド、ラルチトレキセド、ネシツムマブ、ベバシズマブ、ラムシルマブ、アドトラスツズマブ、ペルツズマブ、セツキシマブ、パニツムマブ、アリロクマブ、デュルバルマブ、ニモツズマブ、ダラツムマブ、アテゾリズマブ、シンチリマブ、トリパリマブ、カムレリズマブ、チスレリズマブ、デュルバルマブ、ニボルマブ、ペムブロリズマブから選択される1つまたは複数であり;さらに、デシタビン、ゲムシタビン、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、アドリアマイシン、リポソームドキソルビシン、タキソール、ドセタキセル、トラメチニブ、ビニメチニブ、コビメチニブ、デュルバルマブ、アテゾリズマブ、シンチリマブ、トリパリマブ、カムレリズマブ、チスレリズマブ、ニボルマブ、ペムブロリズマブから選択され;さらに、ドセタキセル、リポソームドキソルビシン、コビメチニブ、ペムブロリズマブ、デシタビンから選択され;さらに、コビメチニブである、
請求項
10に記載のFAK阻害剤。
【国際調査報告】