(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-01
(54)【発明の名称】HIV-1感染を治療する方法
(51)【国際特許分類】
A61K 31/415 20060101AFI20230125BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20230125BHJP
A61P 37/04 20060101ALI20230125BHJP
A61P 31/18 20060101ALI20230125BHJP
A61K 31/536 20060101ALI20230125BHJP
A61K 31/513 20060101ALI20230125BHJP
A61K 31/675 20060101ALI20230125BHJP
【FI】
A61K31/415
A61K45/00 101
A61P37/04
A61P31/18
A61K31/536
A61K31/513
A61K31/675
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022529601
(86)(22)【出願日】2020-11-25
(85)【翻訳文提出日】2022-07-05
(86)【国際出願番号】 AU2020051273
(87)【国際公開番号】W WO2021102508
(87)【国際公開日】2021-06-03
(32)【優先日】2019-11-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(32)【優先日】2020-07-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519286706
【氏名又は名称】バイオトロン リミティッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】ラスコム, キャロリン
(72)【発明者】
【氏名】エワート, ゲイリー
(72)【発明者】
【氏名】ミラー, ミシェル
【テーマコード(参考)】
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C084AA14
4C084AA19
4C084MA52
4C084NA05
4C084ZB091
4C084ZB092
4C084ZC551
4C084ZC552
4C084ZC751
4C084ZC752
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC36
4C086BC42
4C086BC72
4C086DA38
4C086GA05
4C086GA07
4C086MA02
4C086MA04
4C086MA37
4C086MA52
4C086NA05
4C086ZB09
4C086ZC55
4C086ZC75
(57)【要約】
現在の抗レトロウイルス療法(ART)は、血液中のHIV-1 RNAを低減することに成功している2~3種の抗レトロウイルス剤の組合せであり、HIV-1感染及びAIDSの羅病率及び死亡率を改善している。強力なARTにもかかわらず、HIV-1感染の根絶は達成できないままであり、病原性疾患進行を推進し続ける可能性があるウイルス蓄積部における持続的なウイルス複製の潜在性がある。したがって、HIV-1感染の根絶を支援する薬剤が必要である。本発明は、N-カルバムイミドイル-5-(1-メチルピラゾール-4-イル)ナフタレン-2-カルボキサミドを抗レトロウイルス剤と組み合わせて投与することによって、HIV-1感染を治療することに関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象の全身性炎症を減少させ、免疫活性化を増大させることによって、HIV-1感染を治療し、免疫系機能を制御する方法であって、a)1種又は複数種の抗レトロウイルス剤及びb)N-カルバムイミドイル-5-(1-メチルピラゾール-4-イル)ナフタレン-2-カルボキサミド又はその薬学的に許容される塩を含む組合せを前記対象に投与するステップを含む方法。
【請求項2】
前記組合せの投与が、HIVによって誘発された免疫制御不全を変更する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記全身性炎症が、骨髄性及び/又は単球性炎症である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記組合せの投与が、HIV-1感染細胞を遮蔽解除する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記免疫系が、自然免疫系である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記組合せの投与が、前記1種又は複数種の抗レトロウイルス剤の単独投与と比較して、NK細胞の数を増加させる、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記組合せの投与が、前記1種又は複数種の抗レトロウイルス剤の単独投与と比較して、血漿中のIL-21のレベルを増加させる、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記組合せの投与が、前記1種又は複数種の抗レトロウイルス剤の単独投与と比較して、CD4
+T細胞の数を増加させる、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記組合せの投与が、前記1種又は複数種の抗レトロウイルス剤の単独投与と比較して、CD8
+T細胞の数を増加させる、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記組合せの投与が、前記1種又は複数種の抗レトロウイルス剤の単独投与と比較して、血漿中のsCD163のレベルを低減する、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記組合せの投与が、前記1種又は複数種の抗レトロウイルス剤の単独投与と比較して、HIV-1に感染しているCD4+T細胞上のCD28発現の下方制御を低減する、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記組合せの投与が、前記1種又は複数種の抗レトロウイルス剤の単独投与と比較して、HIV-1に感染しているCD4
+T細胞上のCCR7発現の下方制御を低減する、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記組合せの投与が、前記1種又は複数種の抗レトロウイルス剤の単独投与と比較して、HIV-1に感染している単球由来マクロファージ上のCD80発現の下方制御を低減する、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記組合せの投与が、前記1種又は複数種の抗レトロウイルス剤の単独投与と比較して、HIV-1に感染している単球由来マクロファージ上のCD86発現の下方制御を低減する、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記1種又は複数種の抗レトロウイルス剤が、非核酸系逆転写酵素阻害剤(NNRTI)を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記NNRTIが、エファビレンツである、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記1種又は複数種の抗レトロウイルス剤が、ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤(NRTI)を含む、請求項1の方法。
【請求項18】
前記NRTIが、エムトリシタビン又はテノホビルジソプロキシルフマル酸塩(テノホビルDF)である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記1種又は複数種の抗レトロウイルス剤が、エファビレンツ、エムトリシタビン及びテノホビルDFを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
対象の全身性炎症を減少させ、免疫活性化を増大させることによって、HIV-1感染を治療し、免疫系機能を制御するための医薬を製造するための、a)1種又は複数種の抗レトロウイルス剤及びb)N-カルバムイミドイル-5-(1-メチルピラゾール-4-イル)ナフタレン-2-カルボキサミド又はその薬学的に許容される塩の使用。
【発明の詳細な説明】
【優先権】
【0001】
[0001]本出願は、オーストラリア仮特許出願第2019904453号(2019年11月26日に出願)、及びオーストラリア仮特許出願第2020902273号(2020年7月3日に出願)に基づく優先権を主張するものであり、これらの内容は本明細書に完全に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
[0002]本発明は、HIV-1感染を治療する方法に関する。特に、本発明は、N-カルバムイミドイル-5-(1-メチルピラゾール-4-イル)ナフタレン-2-カルボキサミドを1種又は複数種の抗レトロウイルス剤と組み合わせて投与することによって、HIV-1感染を治療することに関する。しかしながら、本発明がこの特定の使用分野に限られていないことは理解されるであろう。
【背景技術】
【0003】
[0003]本明細書の全体に渡る従来技術に関するいかなる議論も、この種の従来技術が広く知られている又は当該技術分野の一般的常識の一部をなすと考えられるべきではない。
【0004】
[0004]現在の抗レトロウイルス療法(ART)は、血液中のHIV-1 RNAを検出不可能なレベル(<15コピー/mL)に低減することに成功している2~3種の抗レトロウイルス剤の組合せであり、HIV-1感染及びAIDSの羅病率及び死亡率を改善している。抗レトロウイルス療法は、6つの幅広いクラスから選ばれた少なくとも2つの異なるHIV-1複製に対する作用様式を有する抗レトロウイルス剤の組合せから成る:ヌクレオシド類似体逆転写酵素阻害剤(NRTI)、非核酸系逆転写酵素阻害剤(NNRTI)、インテグラーゼ鎖転移阻害剤(INSTI)、タンパク質分解酵素阻害剤(PI)、融合阻害剤及び侵入阻害剤(Arts及びHazuda,Cold Spring Harb Perspect Med 2012,2:a007161]。
【0005】
[0005]強力なARTにもかかわらず、HIV-1感染の根絶は、達成できないままである。現在まで、ARTは、HIV-1感染を有する個体を治していない(Arts及びHazuda,Cold Spring Harb Perspect Med 2012,2:a007161;Pitmanら.,Lancet HIV 2018,5(6):2317-e328)。聖域部位又は蓄積部は、ウイルス潜伏及び低レベルのウイルス複製のための避難所であり、HIV-1治療技術の現在の見通しは抗レトロウイルス療法の存続期間である。HIV-1根絶なしでは、病原性疾患進行を推進し続ける可能性があるウイルス蓄積部における持続的なウイルス複製の潜在性がある(Pierson at al., Annu Rev Immunol 2000,18:665-708;Honeycuttら.,J Clin Invest 2016,126:1353-66)。抗レトロウイルス療法の今日までの進歩は、ウイルスゲノムの複製に影響を及ぼす薬剤に主に集中しており、HIV-1感染を排除する薬剤には集中していなかった。
【0006】
[0006]したがって、HIV-1感染を根絶する際に支援する薬剤が必要である。
【0007】
[0007]本発明の目的は、従来技術の不利な点の少なくとも1つを克服するか又は改善するか、又は役立つ選択肢を提供することである。
【発明の概要】
【0008】
[0008]本発明は、BIT225を抗レトロウイルス剤と組み合わせて投与することが、HIV-1感染を治療するとともに、対象の免疫系を調節するという驚くべき発見に関する。この種の動きは、有効なART治療にもかかわらず残るHIV-1感染の蓄積の根絶を支援できる。加えて、この種の動きは、有効なART治療にもかかわらず残る炎症に基づく悪い健康結果を改善する可能性がある。
【0009】
[0009]BIT225の化学構造を以下に示す:
【化1】
【0010】
[0010]1つの実施形態において、本発明は、全身性炎症を減少させ、対象の免疫活性化を増大させることによって、HIV-1感染を治療し、免疫系機能を制御する方法に関し、この方法は、a)1種又は複数種の抗レトロウイルス剤及びb)N-カルバムイミドイル-5-(1-メチルピラゾール-4-イル)ナフタレン-2-カルボキサミド又はその薬学的に許容される塩を含む組合せを対象に投与するステップを含む。
【0011】
[0011]1つの実施形態において、本発明は、対象の全身性炎症を減少させ、免疫活性化を増大させることによって、HIV-1感染を治療し、免疫系機能を制御するための医薬を製造するための、a)1種又は複数種の抗レトロウイルス剤及びb)N-カルバムイミドイル-5-(1-メチルピラゾール-4-イル)ナフタレン-2-カルボキサミド又はその薬学的に許容される塩の使用を提供する。
【0012】
[0012]1つの実施形態において、本発明は、対象の全身性炎症を減少させ、免疫活性化を増大させることによって、HIV-1感染を治療し、免疫系機能を制御するのに使用するための、a)1種又は複数種の抗レトロウイルス剤及びb)N-カルバムイミドイル-5-(1-メチルピラゾール-4-イル)ナフタレン-2-カルボキサミド又はその薬学的に許容される塩を含む組合せを提供する。
【0013】
[0013]1つの実施形態において、本発明は、対象の全身性炎症を減少させ、免疫活性化を増大させることによって、HIV-1感染を治療し、HIVによって誘発された免疫系制御不全を変更する方法に関し、この方法は、a)1種又は複数種の抗レトロウイルス剤及びb)N-カルバムイミドイル-5-(1-メチルピラゾール-4-イル)ナフタレン-2-カルボキサミド又はその薬学的に許容される塩を含む組合せを対象に投与するステップを含む。
【0014】
[0014]1つの実施形態において、本発明は、対象の全身性炎症を減少させ、免疫活性化を増大させることによって、HIV-1感染を治療し、HIVによって誘発された免疫系制御不全を変更するための医薬を製造するための、a)1種又は複数種の抗レトロウイルス剤及びb)N-カルバムイミドイル-5-(1-メチルピラゾール-4-イル)ナフタレン-2-カルボキサミド又はその薬学的に許容される塩の使用を提供する。
【0015】
[0015]1つの実施形態において、本発明は、対象の全身性炎症を減少させ、免疫活性化を増大させることによって、HIV-1感染を治療し、HIVによって誘発された免疫系制御不全を変更するのに使用するための、a)1種又は複数種の抗レトロウイルス剤及びb)N-カルバムイミドイル-5-(1-メチルピラゾール-4-イル)ナフタレン-2-カルボキサミド又はその薬学的に許容される塩を含む組合せを提供する。
【0016】
[0016]1つの実施形態において、免疫系は、自然免疫系である。
【0017】
[0017]1つの実施形態において、全身性炎症は、骨髄性及び/又は単球性炎症である。
【0018】
[0018]1つの実施形態において、本発明は、対象のHIV-1感染を治療し、免疫系を調節する方法に関し、この方法は、a)1種又は複数種の抗レトロウイルス剤及びb)N-カルバムイミドイル-5-(1-メチルピラゾール-4-イル)ナフタレン-2-カルボキサミド又はその薬学的に許容される塩を含む組合せを対象に投与ステップを含む。
【0019】
[0019]1つの実施形態において、本発明は、対象のHIV-1感染を治療し、免疫系を調節するための医薬を製造するための、a)1種又は複数種の抗レトロウイルス剤及びb)N-カルバムイミドイル-5-(1-メチルピラゾール-4-イル)ナフタレン-2-カルボキサミド又はその薬学的に許容される塩の使用を提供する。
【0020】
[0020]1つの実施形態において、本発明は、対象のHIV-1感染を治療し、免疫系を調節するのに使用するための、a)1種又は複数種の抗レトロウイルス剤及びb)N-カルバムイミドイル-5-(1-メチルピラゾール-4-イル)ナフタレン-2-カルボキサミド又はその薬学的に許容される塩を含む組合せを提供する。
【0021】
[0021]1つの実施形態において、本発明は、対象のHIV-1感染を治療し、自然免疫系を調節する方法に関し、この方法は、a)1種又は複数種の抗レトロウイルス剤及びb)N-カルバムイミドイル-5-(1-メチルピラゾール-4-イル)ナフタレン-2-カルボキサミド又はその薬学的に許容される塩を含む組合せを対象に投与するステップを含む。
【0022】
[0022]1つの実施形態において、本発明は、対象のHIV-1感染を治療し、自然免疫系を調節するための医薬を製造するための、a)1種又は複数種の抗レトロウイルス剤及びb)N-カルバムイミドイル-5-(1-メチルピラゾール-4-イル)ナフタレン-2-カルボキサミド又はその薬学的に許容される塩の使用を提供する。
【0023】
[0023]1つの実施形態において、本発明は、対象のHIV-1感染を治療し、自然免疫系を調節するのに使用するための、a)1種又は複数種の抗レトロウイルス剤及びb)N-カルバムイミドイル-5-(1-メチルピラゾール-4-イル)ナフタレン-2-カルボキサミド又はその薬学的に許容される塩を含む組合せを提供する。
【0024】
[0024]1つの実施形態において、本発明は、対象のHIV-1感染を治療し、免疫系を活性化させる方法に関し、この方法は、a)1種又は複数種の抗レトロウイルス剤及びb)N-カルバムイミドイル-5-(1-メチルピラゾール-4-イル)ナフタレン-2-カルボキサミド又はその薬学的に許容される塩を含む組合せを対象に投与するステップを含む。
【0025】
[0025]1つの実施形態において、本発明は、対象のHIV-1感染を治療し、免疫系を活性化させるための医薬を製造するための、a)1種又は複数種の抗レトロウイルス剤及びb)N-カルバムイミドイル-5-(1-メチルピラゾール-4-イル)ナフタレン-2-カルボキサミド又はその薬学的に許容される塩の使用を提供する。
【0026】
[0026]1つの実施形態において、本発明は、対象のHIV-1感染を治療し、免疫系を活性化させるのに使用するための、a)1種又は複数種の抗レトロウイルス剤及びb)N-カルバムイミドイル-5-(1-メチルピラゾール-4-イル)ナフタレン-2-カルボキサミド又はその薬学的に許容される塩を含む組合せを提供する。
【0027】
[0027]1つの実施形態において、本発明は、対象のHIV-1感染を治療し、自然免疫系を活性化させる方法に関し、この方法は、a)1種又は複数種の抗レトロウイルス剤及びb)N-カルバムイミドイル-5-(1-メチルピラゾール-4-イル)ナフタレン-2-カルボキサミド又はその薬学的に許容される塩を含む組合せを対象に投与するステップを含む。
【0028】
[0028]1つの実施形態において、本発明は、対象のHIV-1感染を治療し、自然免疫系を活性化させるための医薬を製造するための、a)1種又は複数種の抗レトロウイルス剤及びb)N-カルバムイミドイル-5-(1-メチルピラゾール-4-イル)ナフタレン-2-カルボキサミド又はその薬学的に許容される塩の使用を提供する。
【0029】
[0029]1つの実施形態において、本発明は、対象のHIV-1感染を治療し、自然免疫系を活性化させるのに使用するための、a)1種又は複数種の抗レトロウイルス剤及びb)N-カルバムイミドイル-5-(1-メチルピラゾール-4-イル)ナフタレン-2-カルボキサミド又はその薬学的に許容される塩を含む組合せを提供する。
【0030】
[0030]1つの実施形態において、本発明は、対象のHIV-1感染を治療し、免疫系を刺激する方法に関し、この方法は、a)1種又は複数種の抗レトロウイルス剤及びb)N-カルバムイミドイル-5-(1-メチルピラゾール-4-イル)ナフタレン-2-カルボキサミド又はその薬学的に許容される塩を含む組合せを対象に投与するステップを含む。
【0031】
[0031]1つの実施形態において、本発明は、対象のHIV-1感染を治療し、免疫系を刺激するための医薬を製造するための、a)1種又は複数種の抗レトロウイルス剤及びb)N-カルバムイミドイル-5-(1-メチルピラゾール-4-イル)ナフタレン-2-カルボキサミド又はその薬学的に許容される塩の使用を提供する。
【0032】
[0032]1つの実施形態において、本発明は、対象のHIV-1感染を治療し、免疫系を刺激するのに使用するための、a)1種又は複数種の抗レトロウイルス剤及びb)N-カルバムイミドイル-5-(1-メチルピラゾール-4-イル)ナフタレン-2-カルボキサミド又はその薬学的に許容される塩を含む組合せを提供する。
【0033】
[0033]1つの実施形態において、本発明は、対象のHIV-1感染を治療し、自然免疫系を刺激する方法に関し、この方法は、a)1種又は複数種の抗レトロウイルス剤及びb)N-カルバムイミドイル-5-(1-メチルピラゾール-4-イル)ナフタレン-2-カルボキサミド又はその薬学的に許容される塩を含む組合せを対象に投与するステップを含む。
【0034】
[0034]1つの実施形態において、本発明は、対象のHIV-1感染を治療し、自然免疫系を刺激するための医薬を製造するための、a)1種又は複数種の抗レトロウイルス剤及びb)N-カルバムイミドイル-5-(1-メチルピラゾール-4-イル)ナフタレン-2-カルボキサミド又はその薬学的に許容される塩の使用を提供する。
【0035】
[0035]1つの実施形態において、本発明は、対象のHIV-1感染を治療して、自然免疫系を刺激するのに使用するための、a)1種又は複数種の抗レトロウイルス剤及びb)N-カルバムイミドイル-5-(1-メチルピラゾール-4-イル)ナフタレン-2-カルボキサミド又はその薬学的に許容される塩を含む組合せを提供する。
【0036】
[0036]1つの実施形態において、本発明は、対象のHIV-1感染を治療し、HIV-1感染細胞を遮蔽解除する方法に関し、この方法は、a)1種又は複数種の抗レトロウイルス剤及びb)N-カルバムイミドイル-5-(1-メチルピラゾール-4-イル)ナフタレン-2-カルボキサミド又はその薬学的に許容される塩を含む組合せを対象に投与するステップを含む。
【0037】
[0037]1つの実施形態において、本発明は、対象のHIV-1感染を治療し、HIV-1感染細胞を遮蔽解除するための医薬を製造するための、a)1種又は複数種の抗レトロウイルス剤及びb)N-カルバムイミドイル-5-(1-メチルピラゾール-4-イル)ナフタレン-2-カルボキサミド又はその薬学的に許容される塩の使用を提供する。
【0038】
[0038]1つの実施形態において、本発明は、対象のHIV-1感染を治療し、HIV-1感染細胞を遮蔽解除するのに使用するための、a)1種又は複数種の抗レトロウイルス剤及びb)N-カルバムイミドイル-5-(1-メチルピラゾール-4-イル)ナフタレン-2-カルボキサミド又はその薬学的に許容される塩を含む組合せを提供する。
【0039】
[0039]1つの実施形態において、本発明は、対象のHIV-1感染を治療し、HIV-1蓄積部を根絶する方法に関し、この方法は、a)1種又は複数種の抗レトロウイルス剤及びb)N-カルバムイミドイル-5-(1-メチルピラゾール-4-イル)ナフタレン-2-カルボキサミド又はその薬学的に許容される塩を含む組合せを対象に投与するステップを含む。
【0040】
[0040]1つの実施形態において、本発明は、対象のHIV-1感染を治療し、HIV-1蓄積部を根絶するための医薬を製造するための、a)1種又は複数種の抗レトロウイルス剤及びb)N-カルバムイミドイル-5-(1-メチルピラゾール-4-イル)ナフタレン-2-カルボキサミド又はその薬学的に許容される塩の使用を提供する。
【0041】
[0041]1つの実施形態において、本発明は、対象のHIV-1感染を治療し、HIV-1蓄積部を根絶するのに使用するための、a)1種又は複数種の抗レトロウイルス剤及びb)N-カルバムイミドイル-5-(1-メチルピラゾール-4-イル)ナフタレン-2-カルボキサミド又はその薬学的に許容される塩を含む組合せを提供する。
【0042】
[0042]1つの実施形態において、本発明は、対象のHIV-1感染を治療する方法に関し、この方法は、a)1種又は複数種の抗レトロウイルス剤及びb)N-カルバムイミドイル-5-(1-メチルピラゾール-4-イル)ナフタレン-2-カルボキサミド又はその薬学的に許容される塩を含む組合せを対象に投与するステップを含む。
【0043】
[0043]1つの実施形態において、本発明は、対象のHIV-1感染を治療するための医薬を製造するための、a)1種又は複数種の抗レトロウイルス剤及びb)N-カルバムイミドイル-5-(1-メチルピラゾール-4-イル)ナフタレン-2-カルボキサミド又はその薬学的に許容される塩の使用を提供する。
【0044】
[0044]1つの実施形態において、本発明は、対象のHIV-1感染を治療するのに使用するための、a)1種又は複数種の抗レトロウイルス剤及びb)N-カルバムイミドイル-5-(1-メチルピラゾール-4-イル)ナフタレン-2-カルボキサミド又はその薬学的に許容される塩を含む組合せを提供する。
【0045】
[0045]1つの実施形態において、組合せ又は医薬の投与は、全身性炎症を減少させ、免疫活性化を増大させることによって、免疫系機能を制御する。
【0046】
[0046]1つの実施形態において、組合せ又は医薬の投与は、全身性炎症を減少させ、免疫活性化を増大させることによって、HIVによって誘発された免疫系制御不全を変更する。
【0047】
[0047]1つの実施形態において、免疫系は、自然免疫系である。
【0048】
[0048]1つの実施形態において、全身性炎症は、骨髄性及び/又は単球性炎症である。
【0049】
[0049]1つの実施形態において、組合せ又は医薬の投与は、対象の免疫系を調節する。
【0050】
[0050]1つの実施形態において、組合せ又は医薬の投与は、対象の自然免疫系を調節する。
【0051】
[0051]1つの実施形態において、組合せ又は医薬の投与は、対象の免疫系を刺激する。
【0052】
[0052]1つの実施形態において、組合せ又は医薬の投与は、対象の自然免疫系を刺激する。
【0053】
[0053]1つの実施形態において、組合せ又は医薬の投与は、対象の免疫系を活性化させる。
【0054】
[0054]1つの実施形態において、組合せ又は医薬の投与は、対象の自然免疫系を活性化させる。
【0055】
[0055]1つの実施形態において、組合せ又は医薬の投与は、対象のHIV-1感染細胞を遮蔽解除する。
【0056】
[0056]1つの実施形態において、組合せ又は医薬の投与は、単独で1種又は複数種の抗レトロウイルス剤の投与と比較して、CD4+T細胞の数を増加させる。
【0057】
[0057]1つの実施形態において、組合せ又は医薬の投与は、CD4+T細胞シグナル伝達のHIV-1関連の欠陥を逆転させる。
【0058】
[0058]1つの実施形態において、組合せ又は医薬の投与は、1種又は複数種の抗レトロウイルス剤の単独投与と比較して、CD4+T細胞シグナル伝達のHIV-1関連の欠陥を逆転させる。
【0059】
[0059]1つの実施形態において、組合せ又は医薬の投与は、1種又は複数種の抗レトロウイルス剤の単独投与と比較して、CD8+T細胞の数を増加させる。
【0060】
[0060]1つの実施形態において、組合せ又は医薬の投与は、CD8+T細胞シグナル伝達のHIV-1関連の欠陥を逆転させる。
【0061】
[0061]1つの実施形態において、組合せ又は医薬の投与は、1種又は複数種の抗レトロウイルス剤の単独投与と比較して、CD8+T細胞シグナル伝達のHIV-1関連の欠陥を逆転させる。
【0062】
[0062]1つの実施形態において、組合せ又は医薬の投与は、細胞受容体上のVpuの下方調節作用を逆転させる。
【0063】
[0063]1つの実施形態において、組合せ又は医薬の投与は、1種又は複数種の抗レトロウイルス剤の単独投与と比較して、NK細胞の数を増加させる。
【0064】
[0064]1つの実施形態において、組合せ又は医薬の投与は、NKシグナル伝達のHIV-1関連の欠陥を逆転させる。
【0065】
[0065]1つの実施形態において、組合せ又は医薬の投与は、1種又は複数種の抗レトロウイルス剤の単独投与と比較して、NKシグナル伝達のHIV-1関連の欠陥を逆転させる。
【0066】
[0066]1つの実施形態において、組合せ又は医薬の投与は、NK細胞のVpuの下方調節作用を逆転させる。
【0067】
[0067]1つの実施形態において、組合せ又は医薬の投与は、1種又は複数種の抗レトロウイルス剤の単独投与と比較して、NK細胞のVpuの下方調節作用を逆転させる。
【0068】
[0068]1つの実施形態において、組合せ又は医薬の投与は、効率的なNKシグナル伝達及び脱顆粒のための重要な細胞表面受容体を増加させる。
【0069】
[0069]1つの実施形態において、組合せ又は医薬の投与は、1種又は複数種の抗レトロウイルス剤の単独投与と比較して、効率的なNKシグナル伝達及び脱顆粒のために必要とされる細胞表面受容体を増加させる。
【0070】
[0070]1つの実施形態において、組合せ又は医薬の投与は、1種又は複数種の抗レトロウイルス剤の単独投与と比較して、血漿中のsCD163の濃度を低減する。
【0071】
[0071]1つの実施形態において、組合せ又は医薬の投与は、1種又は複数種の抗レトロウイルス剤の単独投与と比較して、単球及び/又はマクロファージの活性化を低減する。
【0072】
[0072]1つの実施形態において、組合せ又は医薬の投与は、1種又は複数種の抗レトロウイルス剤の単独投与と比較して、血漿中のIL-21の濃度を増加させる。
【0073】
[0073]1つの実施形態において、組合せ又は医薬の投与は、1種又は複数種の抗レトロウイルス剤の単独投与と比較して、ヘルパーT17の細胞(Th17細胞)の数を増加させる。
【0074】
[0074]1つの実施形態において、組合せ又は医薬の投与は、1種又は複数種の抗レトロウイルス剤の単独投与と比較して、Th17細胞の機能を回復させる。
【0075】
[0075]1つの実施形態において、組合せ又は医薬の投与は、1種又は複数種の抗レトロウイルス剤の単独投与と比較して、小胞ヘルパーCD4T細胞(Tfh細胞)の数を増加させる。
【0076】
[0076]1つの実施形態において、組合せ又は医薬の投与は、HIV-1特異的抗体応答を調節する。
【0077】
[0077]1つの実施形態において、組合せ又は医薬の投与は、1種又は複数種の抗レトロウイルス剤の単独投与と比較して、HIV-1に感染しているCD4+T細胞上のCD28発現の下方制御を低減する。
【0078】
[0078]1つの実施形態において、組合せ又は医薬の投与は、1種又は複数種の抗レトロウイルス剤の単独投与と比較して、HIV-1に感染しているCD4+T細胞上のCCR7発現の下方制御を低減する。
【0079】
[0079]1つの実施形態において、組合せ又は医薬の投与は、1種又は複数種の抗レトロウイルス剤の単独投与と比較して、HIV-1に感染している単球由来マクロファージ上のCD80発現の下方制御を低減する。
【0080】
[0080]1つの実施形態において、組合せ又は医薬の投与は、1種又は複数種の抗レトロウイルス剤の単独投与と比較して、HIV-1に感染している単球由来マクロファージ上のCD86発現の下方制御を低減する。
【0081】
[0081]1つの実施形態において、組合せ又は医薬の投与は、1種又は複数種の抗レトロウイルス剤の投与と比較して、T細胞活性化及びホーミングのために必要とされる共刺激シグナルを強化する。
【0082】
[0082]1つの実施形態において、組合せ又は医薬の投与は、1種又は複数種の抗レトロウイルス剤の単独投与と比較して、HIV-1の免疫監視機構を強化する。
【0083】
[0083]1つの実施形態において、組合せ又は医薬の投与は、1種又は複数種の抗レトロウイルス剤の単独投与と比較して、HIV-1の免疫監視機構を強化する。
【0084】
[0084]1つの実施形態において、1種又は複数種の抗レトロウイルス剤は、非核酸系逆転写酵素阻害剤(NNRTI)を含む。
【0085】
[0085]1つの実施形態において、1種又は複数種の抗レトロウイルス剤は、ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤(NRTI)を含む。
【0086】
[0086]1つの実施形態において、1種又は複数種の抗レトロウイルス剤は、2種のNRTIを含む。
【0087】
[0087]1つの実施形態において、1種又は複数種の抗レトロウイルス剤は、NNRTI及びNRTIを含む。
【0088】
[0088]1つの実施形態において、1種又は複数種の抗レトロウイルス剤は、NNRTI及び2種のNRTIを含む。
【0089】
[0089]1つの実施形態において、NNRTIは、エファビレンツである。
【0090】
[0090]1つの実施形態において、NRTIは、エムトリシタビンである。
【0091】
[0091]1つの実施形態において、NRTIは、テノホビルジソプロキシルフマル酸塩(テノホビルDF)である。
【0092】
[0092]1つの実施形態において、1種又は複数種の抗レトロウイルス剤は、エファビレンツ、エムトリシタビン及びテノホビルDF(すなわち、エファビレンツ/エムトリシタビン/テノホビルDF)を含む。
【0093】
[0093]1つの実施形態において、1種又は複数種の抗レトロウイルス剤は、エファビレンツ、エムトリシタビン及びテノホビルDF(エファビレンツ/エムトリシタビン/テノホビルDF)から成る。
【0094】
[0094]1つの実施形態において、エファビレンツは、600mgの用量で、対象に投与される。
【0095】
[0095]1つの実施形態において、エムトリシタビンは、200mgの用量で、対象に投与される。
【0096】
[0096]1つの実施形態において、テノホビルDFは、300mgの用量で、対象に投与される。
【0097】
[0097]1つの実施形態において、本発明は、HIV-1に感染している対象の全身性炎症を減少させ、免疫活性化を増大させることによって、免疫機能を制御する方法に関し、この方法は、N-カルバムイミドイル-5-(1-メチルピラゾール-4-イル)ナフタレン-2-カルボキサミド又はその薬学的に許容される塩を対象に投与するステップを含む。
【0098】
[0098]1つの実施形態において、本発明は、HIV-1に感染している対象の全身性炎症を減少させ、免疫活性化を増大させることによって、免疫機能を制御するための医薬を製造するための、N-カルバムイミドイル-5-(1-メチルピラゾール-4-イル)ナフタレン-2-カルボキサミド又はその薬学的に許容される塩の使用を提供する。
【0099】
[0099]1つの実施形態において、本発明は、HIV-1に感染している対象の全身性炎症を減少させ、免疫活性化を増大させることによって、免疫機能を制御するのに使用するための、N-カルバムイミドイル-5-(1-メチルピラゾール-4-イル)ナフタレン-2-カルボキサミド又はその薬学的に許容される塩を提供する。
【0100】
[0100]1つの実施形態において、本発明は、HIV-1に感染している対象の全身性炎症を減少させ、免疫活性化を増大させることによって、HIVによって誘発された免疫制御不全を変更する方法に関し、この方法は、N-カルバムイミドイル-5-(1-メチルピラゾール-4-イル)ナフタレン-2-カルボキサミド又はその薬学的に許容される塩を対象に投与するステップを含む。
【0101】
[0101]1つの実施形態において、本発明は、HIV-1に感染している対象の全身性炎症を減少させ、免疫活性化を増大させることによって、HIVによって誘発された免疫制御不全を変更するための医薬を製造するための、N-カルバムイミドイル-5-(1-メチルピラゾール-4-イル)ナフタレン-2-カルボキサミド又はその薬学的に許容される塩の使用を提供する。
【0102】
[0102]1つの実施形態において、本発明は、HIV-1に感染している対象の全身性炎症を減少させ、免疫活性化を増大させることによって、HIVによって誘発された免疫制御不全を変更するのに使用するための、N-カルバムイミドイル-5-(1-メチルピラゾール-4-イル)ナフタレン-2-カルボキサミド又はその薬学的に許容される塩を提供する。1つの実施形態において、免疫系は自然免疫系である。
【0103】
[00100]1つの実施形態において、全身性炎症は、骨髄性及び/又は単球性炎症である。
【0104】
[0103]1つの実施形態において、本発明は、HIV-1に感染している対象の免疫系を調節する方法に関し、この方法は、N-カルバムイミドイル-5-(1-メチルピラゾール-4-イル)ナフタレン-2-カルボキサミド又はその薬学的に許容される塩を対象に投与するステップを含む。
【0105】
[0104]1つの実施形態において、本発明は、HIV-1に感染している対象の免疫系を調節するための医薬を製造するための、N-カルバムイミドイル-5-(1-メチルピラゾール-4-イル)ナフタレン-2-カルボキサミド又はその薬学的に許容される塩の使用を提供する。
【0106】
[0105]1つの実施形態において、本発明は、HIV-1に感染している対象の免疫系を調節するのに使用するための、N-カルバムイミドイル-5-(1-メチルピラゾール-4-イル)ナフタレン-2-カルボキサミド又はその薬学的に許容される塩を提供する。
【0107】
[0106]1つの実施形態において、本発明は、HIV-1に感染している対象の自然免疫系を調節する方法に関し、この方法は、N-カルバムイミドイル-5-(1-メチルピラゾール-4-イル)ナフタレン-2-カルボキサミド又はその薬学的に許容される塩を対象に投与するステップを含む。
【0108】
[0107]1つの実施形態において、本発明は、HIV-1に感染している対象の自然免疫系を調節するための医薬を製造するための、N-カルバムイミドイル-5-(1-メチルピラゾール-4-イル)ナフタレン-2-カルボキサミド又はその薬学的に許容される塩の使用を提供する。
【0109】
[0108]1つの実施形態において、本発明は、HIV-1に感染している対象の自然免疫系を調節するのに使用するための、N-カルバムイミドイル-5-(1-メチルピラゾール-4-イル)ナフタレン-2-カルボキサミド又はその薬学的に許容される塩を提供する。
【0110】
[0109]1つの実施形態において、本発明は、HIV-1に感染している対象の免疫系を活性化させる方法に関し、この方法は、N-カルバムイミドイル-5-(1-メチルピラゾール-4-イル)ナフタレン-2-カルボキサミド又はその薬学的に許容される塩を対象に投与するステップを含む。
【0111】
[0110]1つの実施形態において、本発明は、HIV-1に感染している対象の免疫系を活性化させるための医薬を製造するための、N-カルバムイミドイル-5-(1-メチルピラゾール-4-イル)ナフタレン-2-カルボキサミド又はその薬学的に許容される塩の使用を提供する。
【0112】
[0111]1つの実施形態において、本発明は、HIV-1に感染している対象の免疫系を活性化させるのに使用するための、N-カルバムイミドイル-5-(1-メチルピラゾール-4-イル)ナフタレン-2-カルボキサミド又はその薬学的に許容される塩を提供する。
【0113】
[0112]1つの実施形態において、本発明は、HIV-1に感染している対象の自然免疫系を活性化させる方法に関し、この方法は、N-カルバムイミドイル-5-(1-メチルピラゾール-4-イル)ナフタレン-2-カルボキサミド又はその薬学的に許容される塩を対象に対与するステップを含む。
【0114】
[0113]1つの実施形態において、本発明は、HIV-1に感染している対象の免疫系を活性化させるための医薬を製造するための、N-カルバムイミドイル-5-(1-メチルピラゾール-4-イル)ナフタレン-2-カルボキサミド又はその薬学的に許容される塩の使用を提供する。
【0115】
[0114]1つの実施形態において、本発明は、HIV-1に感染している対象の免疫系を活性化させるのに使用するための、N-カルバムイミドイル-5-(1-メチルピラゾール-4-イル)ナフタレン-2-カルボキサミド又はその薬学的に許容される塩を提供する。
【0116】
[0115]1つの実施形態において、本発明は、HIV-1に感染している対象の免疫系を刺激する方法に関し、この方法は、N-カルバムイミドイル-5-(1-メチルピラゾール-4-イル)ナフタレン-2-カルボキサミド又はその薬学的に許容される塩を対象に投与するステップを含む。
【0117】
[0116]1つの実施形態において、本発明は、HIV-1に感染している対象の免疫系を刺激するための医薬を製造するための、N-カルバムイミドイル-5-(1-メチルピラゾール-4-イル)ナフタレン-2-カルボキサミド又はその薬学的に許容される塩の使用を提供する。
【0118】
[0117]1つの実施形態において、本発明は、HIV-1に感染している対象の免疫系を刺激するのに使用するための、N-カルバムイミドイル-5-(1-メチルピラゾール-4-イル)ナフタレン-2-カルボキサミド又はその薬学的に許容される塩を提供する。
【0119】
[0118]1つの実施形態において、本発明は、HIV-1に感染している対象の自然免疫系を刺激する方法に関し、この方法は、N-カルバムイミドイル-5-(1-メチルピラゾール-4-イル)ナフタレン-2-カルボキサミド又はその薬学的に許容される塩を対象に投与するステップを含む。
【0120】
[0119]1つの実施形態において、本発明は、HIV-1に感染している対象の自然免疫系を刺激するための医薬を製造するための、N-カルバムイミドイル-5-(1-メチルピラゾール-4-イル)ナフタレン-2-カルボキサミド又はその薬学的に許容される塩の使用を提供する。
【0121】
[0120]1つの実施形態において、本発明は、HIV-1に感染している対象の自然免疫系を刺激するのに使用するための、N-カルバムイミドイル-5-(1-メチルピラゾール-4-イル)ナフタレン-2-カルボキサミド又はその薬学的に許容される塩を提供する。
【0122】
[0121]1つの実施形態において、本発明は、対象中でHIV-1に感染しているCD4+T細胞上のCD28発現の下方制御を低減する方法を提供し、この方法は、N-カルバムイミドイル-5-(1-メチルピラゾール-4-イル)ナフタレン-2-カルボキサミド又はその薬学的に許容される塩を対象に投与するステップを含む。
【0123】
[0122]1つの実施形態において、本発明は、HIV-1に感染しているCD4+T細胞上のCD28発現の下方制御を低減する方法を提供し、この方法は、N-カルバムイミドイル-5-(1-メチルピラゾール-4-イル)ナフタレン-2-カルボキサミド又はその薬学的に許容される塩をT細胞に投与するステップを含む。
【0124】
[0123]1つの実施形態において、本発明は、HIV-1に感染しているCD4+T細胞上のCD28発現の下方制御を低減するための、N-カルバムイミドイル-5-(1-メチルピラゾール-4-イル)ナフタレン-2-カルボキサミド又はその薬学的に許容される塩の使用を提供する。
【0125】
[0124]1つの実施形態において、本発明は、HIV-1に感染しているCD4+T細胞上のCD28発現の下方制御を低減するのに使用するための、N-カルバムイミドイル-5-(1-メチルピラゾール-4-イル)ナフタレン-2-カルボキサミド又はその薬学的に許容される塩を提供する。
【0126】
[0125]1つの実施形態において、HIV-1に感染しているCD4+T細胞上のCD28発現における、N-カルバムイミドイル-5-(1-メチルピラゾール-4-イル)ナフタレン-2-カルボキサミド又はその薬学的に許容される塩の効果は、T細胞上のVpu発現に依存している。
【0127】
[0126]1つの実施形態において、本発明は、対象中でHIV-1に感染しているCD4+T細胞上のCCR7発現の下方制御を低減する方法を提供し、この方法は、N-カルバムイミドイル-5-(1-メチルピラゾール-4-イル)ナフタレン-2-カルボキサミド又はその薬学的に許容される塩を対象に投与するステップを含む。
【0128】
[0127]1つの実施形態において、本発明は、HIV-1に感染しているCD4+T細胞上のCCR7発現の下方制御を低減する方法を提供し、この方法は、N-カルバムイミドイル-5-(1-メチルピラゾール-4-イル)ナフタレン-2-カルボキサミド又はその薬学的に許容される塩をT細胞に投与するステップを含む。
【0129】
[0128]1つの実施形態において、本発明は、HIV-1に感染しているCD4+T細胞上のCCR7発現の下方制御を低減するための、N-カルバムイミドイル-5-(1-メチルピラゾール-4-イル)ナフタレン-2-カルボキサミド又はその薬学的に許容される塩の使用を提供する。
【0130】
[0129]1つの実施形態において、本発明は、HIV-1に感染しているCD4+T細胞上のCCR7発現の下方制御を低減するのに使用するための、N-カルバムイミドイル-5-(1-メチルピラゾール-4-イル)ナフタレン-2-カルボキサミド又はその薬学的に許容される塩を提供する。
【0131】
[0130]1つの実施形態において、HIV-1に感染しているCD4+T細胞上のCCR7発現における、N-カルバムイミドイル-5-(1-メチルピラゾール-4-イル)ナフタレン-2-カルボキサミド又はその薬学的に許容される塩の効果は、T細胞上のVpu発現に依存している。
【0132】
[0131]1つの実施形態において、本発明は、対象中でHIV-1に感染している単球由来マクロファージ上のCD80発現の下方制御を低減する方法を提供し、この方法は、N-カルバムイミドイル-5-(1-メチルピラゾール-4-イル)ナフタレン-2-カルボキサミド又はその薬学的に許容される塩を対象に投与するステップを含む。
【0133】
[0132]1つの実施形態において、本発明は、HIV-1に感染している単球由来マクロファージ上のCD80発現の下方制御を低減する方法を提供し、この方法は、N-カルバムイミドイル-5-(1-メチルピラゾール-4-イル)ナフタレン-2-カルボキサミド又はその薬学的に許容される塩を単球由来マクロファージに投与するステップを含む。
【0134】
[0133]1つの実施形態において、本発明は、HIV-1に感染している単球由来マクロファージ上のCD80発現の下方制御を低減するための、N-カルバムイミドイル-5-(1-メチルピラゾール-4-イル)ナフタレン-2-カルボキサミド又はその薬学的に許容される塩の使用を提供する。
【0135】
[0134]1つの実施形態において、本発明は、HIV-1に感染している単球由来マクロファージ上のCD80発現の下方制御を低減するのに使用するための、N-カルバムイミドイル-5-(1-メチルピラゾール-4-イル)ナフタレン-2-カルボキサミド又はその薬学的に許容される塩を提供する。
【0136】
[0135]1つの実施形態において、HIV-1に感染している単球由来マクロファージ上のCD80発現における、N-カルバムイミドイル-5-(1-メチルピラゾール-4-イル)ナフタレン-2-カルボキサミド又はその薬学的に許容される塩の効果は、単球由来マクロファージ上のVpu発現に依存している。
【0137】
[0136]1つの実施形態において、本発明は、対象中のHIV-1に感染している単球由来マクロファージ上のCD86発現の下方制御を低減する方法を提供し、この方法は、N-カルバムイミドイル-5-(1-メチルピラゾール-4-イル)ナフタレン-2-カルボキサミド又はその薬学的に許容される塩を対象に投与するステップを含む。
【0138】
[0137]1つの実施形態において、本発明は、HIV-1に感染している単球由来マクロファージ上のCD86発現の下方制御を低減する方法を提供し、この方法は、N-カルバムイミドイル-5-(1-メチルピラゾール-4-イル)ナフタレン-2-カルボキサミド又はその薬学的に許容される塩を単球由来マクロファージに投与するステップを含む。
【0139】
[0138]1つの実施形態において、本発明は、HIV-1に感染している単球由来マクロファージ上のCD86発現の下方制御を低減するための、N-カルバムイミドイル-5-(1-メチルピラゾール-4-イル)ナフタレン-2-カルボキサミド又はその薬学的に許容される塩の使用を提供する。
【0140】
[0139]1つの実施形態において、本発明は、HIV-1に感染している単球由来マクロファージ上のCD86発現の下方制御を低減するのに使用するための、N-カルバムイミドイル-5-(1-メチルピラゾール-4-イル)ナフタレン-2-カルボキサミド又はその薬学的に許容される塩を提供する。
【0141】
[0140]1つの実施形態において、HIV-1に感染している単球由来マクロファージ上のCD86発現において、N-カルバムイミドイル-5-(1-メチルピラゾール-4-イル)ナフタレン-2-カルボキサミド又はその薬学的に許容される塩の効果は、単球由来マクロファージ上のVpu発現に依存しない。
【0142】
[0141]1つの実施形態において、本発明は、HIV-1に感染している対象において、T細胞の活性化及びホーミングのために必要とされる共刺激シグナルを強化する方法を提供し、この方法は、N-カルバムイミドイル-5-(1-メチルピラゾール-4-イル)ナフタレン-2-カルボキサミド又はその薬学的に許容される塩を対象に投与するステップを含む。
【0143】
[0142]1つの実施形態において、本発明は、HIV-1に感染している対象において、T細胞活性化及びホーミングのために必要とされる共刺激シグナルを強化するための、N-カルバムイミドイル-5-(1-メチルピラゾール-4-イル)ナフタレン-2-カルボキサミド又はその薬学的に許容される塩の使用を提供する。
【0144】
[0143]1つの実施形態において、本発明は、HIV-1に感染している対象において、T細胞活性化及びホーミングのために必要とされる共刺激シグナルを強化するのに使用するための、N-カルバムイミドイル-5-(1-メチルピラゾール-4-イル)ナフタレン-2-カルボキサミド又はその薬学的に許容される塩を提供する。
【0145】
[0144]1つの実施形態において、本発明は、対象のHIV-1の免疫監視機構を強化する方法を提供し、この方法は、N-カルバムイミドイル-5-(1-メチルピラゾール-4-イル)ナフタレン-2-カルボキサミド又はその薬学的に許容される塩を対象に投与するステップを含む。
【0146】
[0145]1つの実施形態において、本発明は、HIV-1の免疫監視機構を強化するための、N-カルバムイミドイル-5-(1-メチルピラゾール-4-イル)ナフタレン-2-カルボキサミド又はその薬学的に許容される塩の使用を提供する。
【0147】
[0146]1つの実施形態において、本発明は、HIV-1の免疫監視機構を強化するのに使用するための、N-カルバムイミドイル-5-(1-メチルピラゾール-4-イル)ナフタレン-2-カルボキサミド又はその薬学的に許容される塩を提供する。
【0148】
[0147]1つの実施形態において、本発明は、対象中のHIV-1感染細胞を遮蔽解除する方法に関し、この方法は、N-カルバムイミドイル-5-(1-メチルピラゾール-4-イル)ナフタレン-2-カルボキサミド又はその薬学的に許容される塩を対象に投与するステップを含む。
【0149】
[0148]1つの実施形態において、本発明は、対象中のHIV-1感染細胞を遮蔽解除するための医薬を製造するための、N-カルバムイミドイル-5-(1-メチルピラゾール-4-イル)ナフタレン-2-カルボキサミド又はその薬学的に許容される塩の使用を提供する。
【0150】
[0149]1つの実施形態において、本発明は、対象中のHIV-1感染細胞を遮蔽解除するのに使用するための、N-カルバムイミドイル-5-(1-メチルピラゾール-4-イル)ナフタレン-2-カルボキサミド又はその薬学的に許容される塩を提供する。
【0151】
[0150]1つの実施形態において、本発明は、対象のHIV-1蓄積部を根絶する方法に関し、この方法は、N-カルバムイミドイル-5-(1-メチルピラゾール-4-イル)ナフタレン-2-カルボキサミド又はその薬学的に許容される塩を対象に投与するステップを含む。
【0152】
[0151]1つの実施形態において、本発明は、対象のHIV-1蓄積部を根絶するための医薬を製造するための、N-カルバムイミドイル-5-(1-メチルピラゾール-4-イル)ナフタレン-2-カルボキサミド又はその薬学的に許容される塩の使用を提供する。
【0153】
[0152]1つの実施形態において、本発明は、対象のHIV-1蓄積部を根絶するのに使用するための、N-カルバムイミドイル-5-(1-メチルピラゾール-4-イル)ナフタレン-2-カルボキサミド又はその薬学的に許容される塩を提供する。
【0154】
[0153]1つの実施形態において、N-カルバムイミドイル-5-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-2-ナフトアミド又はその薬学的に許容される塩は、経口的、経鼻的、静脈、腹腔内、吸入、局所から選択される経路によって対象に投与される。
【0155】
[0154]1つの実施形態において、N-カルバムイミドイル-5-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-2-ナフトアミド又はその薬学的に許容される塩は、経口的に対象に投与される。
【0156】
[0155]1つの実施形態において、N-カルバムイミドイル-5-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-2-ナフトアミド又はその薬学的に許容される塩は、毎日対象に投与される。
【0157】
[0156]1つの実施形態において、N-カルバムイミドイル-5-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-2-ナフトアミド又はその薬学的に許容される塩は、1日2回対象に投与される。
【0158】
[0157]1つの実施形態において、N-カルバムイミドイル-5-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-2-ナフトアミド又はその薬学的に許容される塩は、約100mg~約600mgの用量で、対象に投与される。
【0159】
[0158]1つの実施形態において、N-カルバムイミドイル-5-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-2-ナフトアミド又はその薬学的に許容される塩は、経口的に約600mgの用量で対象に投与される。
【0160】
[0159]1つの実施形態において、N-カルバムイミドイル-5-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-2-ナフトアミド又はその薬学的に許容される塩は、経口的に約200mgの用量で対象に投与される。
【0161】
[0160]1つの実施形態において、N-カルバムイミドイル-5-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-2-ナフトアミド又はその薬学的に許容される塩は、経口的に約100mgの用量で対象に投与される。
【0162】
[0161]1つの実施形態において、N-カルバムイミドイル-5-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-2-ナフトアミド又はその薬学的に許容される塩は、経口的に、そして、毎日、対象に投与される。
【0163】
[0162]1つの実施形態において、N-カルバムイミドイル-5-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-2-ナフトアミド又はその薬学的に許容される塩は、経口的に、そして、1日2回、対象に投与される。
【0164】
[0163]1つの実施形態において、N-カルバムイミドイル-5-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-2-ナフトアミド又はその薬学的に許容される塩は、1日1回約200mgの用量で、経口投与される。
【0165】
[0164]1つの実施形態において、N-カルバムイミドイル-5-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-2-ナフトアミド又はその薬学的に許容される塩は、1日2回約200mgの用量で、経口投与される。
【0166】
[0165]1つの実施形態において、N-カルバムイミドイル-5-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-2-ナフトアミド又はその薬学的に許容される塩は、1日1回約100mgの用量で、経口投与される。
【0167】
[0166]1つの実施形態において、N-カルバムイミドイル-5-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-2-ナフトアミド又はその薬学的に許容される塩は、1日2回約100mgの用量で、経口投与される。
【図面の簡単な説明】
【0168】
【
図1】1日1回の200mgのBIT225(円)又は偽薬(正方形)とARTとを使用する、12週間の治療期間に渡る活性化CD4
+T細胞(CD4
+/HLA-DR
+/CD38
+)の基準値からの群平均変化。偽薬と比較して、BIT225治療期間の間、CD4
+活性化細胞数の低下において、統計的に有意(P<0.01、線形モデル)な継続遅延があった。
【
図2】1日1回の200mgのBIT225(円)又は偽薬(正方形)とARTとを使用する12週間の治療の間、活性化CD8+細胞(CD8
+/HLA-DR
+/CD38
+)数の基準値からの群平均変化。日数及び治療群の関数としての基準値からの変化のための線形モデルは、治療の日を制御した後に、BIT225治療期間の間に、BIT225群が活性化CD8
+T細胞をより小さく低下させることを示した:推定された平均差85細胞/ml(±29、標準誤差)、これは、統計的に有意だった(P<0.01)。
【
図3】1日1回の200mgのBIT225(円)又は偽薬(正方形)とARTとを使用する、12週間の治療の間、NK細胞(CD8
+/HLA-DR
+/CD38
+)数の基準値からの群平均変化。日数及び治療群の関数としての基準値からの変化のための線形モデルは、治療の日を制御した後に、BIT225治療期間の間に、BIT225群がNK細胞をより小さく低下させることを示した:推定された平均差71細胞/ml(±23、標準誤差)、これは、統計的に有意だった(P<0.01)。
【
図4】1日1回の200mgのBIT225(円)又は偽薬(菱形)に加えてARTを使用する、12週の治療の間、平均可溶性CD163(sCD163)ng/mL変化の基準値からの時間的経過。治療の日を制御する、BIT225対偽薬のための二元配置分散分析は、線形モデルに合わせることによって、R統計ソフトウェアを使用して行われた:β0+β1.day+β1.I
Rx.ここで、I
Rxは、値0(BIT225治療のため)又は1(偽薬のため)をとる。評価;β1=208±99(標準誤差)ng/mlは、BIT225治療群のsCD163における統計学的により大きな全体的な低下(P=0.036)を示す。7日における偽薬と対照との違いは、ウェルチのT検定(P=0.045)によって統計的に有意である。
【
図5】1日1回の200mgのBIT225(三角形)又は偽薬(円)とARTとを使用する、12週間の治療の間の血漿IL-21(ng/mL)産生の時間的経過。分散分析による分析は、BIT225群と偽薬群との最初の3週に渡る差異が統計的に有意である(P=0.02)ことを見出した。
【
図6】HIV-1NL4-3又はVpu、Nef又はVpu及びNefの両方が欠けた変異体によって感染してから72時間後に、3μMのBIT225で治療されたCD4
+T細胞上のCD28の細胞膜発現。
***P<0.001を示す;n/sはP>0.05を示す。
【
図7】HIV-1NL4-3又はVpu、Nef又はVpu及びNefの両方が欠けた変異体によって感染してから72時間後に、3μMのBIT225で治療されたMDM上のCD80の細胞膜発現。
**はP<0.01を示す。
【
図8】HIV-1NL4-3又はVpu、Nef又はVpu及びNefの両方が欠けた変異体によって感染してから72時間後に、3μMのBIT225で治療されたMDM上のCD86の細胞膜発現。
***P<0.001を示す。
【
図9】HIV-1NL4-3又はVpu、Nef又はVpu及びNefの両方が欠けた変異体によって感染してから72時間後に、3μMのBIT225で治療されたCD4
+T細胞上のCCR7の細胞膜発現。
**はP<0.01を示す;
*はP<0.05を示す;n/sはP>0.05を示す。
【発明を実施するための形態】
【0169】
[定義]
[0176]本発明を記載して請求する際には、以下の用語は、以下で述べられる定義に従って使用される。本明細書で使用される用語は、本発明の具体的な実施形態を記載する目的のみのためのものであり、限定されることを目的としないとも理解される。別途定められない限り、本明細書で使用されるすべての専門的及び科学用語は、本発明に関係する1人の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。
【0170】
[0177]本発明の文脈において、「対象」という用語は、いかなるヒト又はヒト以外の動物を含有する。「ヒト以外の動物」という用語は、すべての脊椎動物、例えば哺乳類及び非哺乳類、例えば非ヒト霊長類、ウマ、ウシ、イヌなどを含有する。
【0171】
[0178]本発明の文脈において、「含む」、「含んでいる」などの言葉は、包括的と解釈され、排他的とは対照的であり、その意味は、「含むが、これに限定されない」という意味である。
【0172】
[0179]「好んで」、「好ましくは」という用語は、一定の状況の下で、特定の利益を生み出すことが可能な本発明の実施形態を指す。しかしながら、他の実施形態は、同じであるか他の状況の下で、好ましくなることも可能である。更に、1又は複数の好ましい実施形態の説明は、他の実施形態が役立たないことを意味せず、他の実施形態を本発明の範囲から除外することを意図しない。
【0173】
[0180]効果のある実施例で以外に、又は別に示されなければ、本明細書で使用される構成要素の量又は反応条件を表現しているすべての数は、「約」という用語によって、どんな場合でも変更されると理解される。
【0174】
[0181]終末点を使用した数値範囲の説明は、その範囲の中で包含されるすべての数を含有する(例えば、1~5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、5などを含有する)。
【0175】
[0182]本明細書で使用される「組合せの投与」という用語は、単一の治療規制の一部として、2つ以上の薬剤の被検者への投与を意味する。投与は同時又は経時的であってよい、経時的とは、すなわち、1つの薬剤を投与した後、2番目の薬剤(及び/又は3番目の薬剤など)を遅れて投与することである。投与された薬剤が治療されている対象において共存する、又は標的組織が他の薬剤の影響を受けている間に、少なくとも1つの薬剤が前記他の薬剤と同じ前記標的組織に作用する機会があればよい。特定の実施形態において、投与される薬剤は、単一の医薬組成物に含有させることができ、又は一緒に投与することができる。特定の実施形態において、薬剤は、同時に投与され、別々の経路を介することも含む。特定の実施形態において、1種又は複数種の薬剤は連続的に投与されるが、他の薬剤は所定の間隔だけで投与(例えば、単一で大きな用量、少ない用量で1週につき2回など)される。
【0176】
[0183]本発明は、薬学的に許容される塩類をその範囲に含有する。本発明の薬剤は、場合によっては塩類を形成することができ、それは本発明の範囲内に入る。「塩」という用語は、本明細書で採用されるように、無機及び/又は有機酸及び塩基により形成される酸性及び/又は塩基性の塩類を、意味する。双性イオン(内部又は分子内塩)は、「塩」という本明細書で用いられる用語に含有される(及び、例えば、R置換基がカルボキシル基のような酸性部分を含む場合、形成される)。アルキルアンモニウム塩のような第四級アンモニウム塩も、本明細書で含有される。薬学的に許容される(すなわち、無毒の、生理的に受け入れられる)塩類は好ましいが、他の塩類は、例えば、調製の際に採用される分離又は精製ステップで役立つ。例えば、塩が沈殿するような媒体中又は水溶媒質中で、化合物と当量の酸又は塩基等とを反応した後に凍結乾燥することによって、薬剤の塩類は形成できる。
【0177】
[0184]典型的な酸付加塩としては、酢酸塩(例えば、酢酸又はトリハロ酢酸、例えばトリフルオロ酢酸により形成される酢酸塩)、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、クエン酸塩、樟脳酸塩、カンファースルホン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、フマル酸塩、グルコヘプトン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素塩、2-ヒドロキシエタンスルホン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、メタンスルホン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3-フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、サリチル酸塩、コハク酸塩、硫酸塩(例えば、硫酸により形成される硫酸塩)、スルホン酸塩(例えば、本明細書に記載のスルホン酸塩)、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸塩等が挙げられる。
【0178】
[0185]典型的な塩基性塩(形成後、例えば、置換分はカルボキシル基のような酸性部分を含む)としては、アンモニウム塩、例えば、ナトリウム塩、リチウム塩及びカリウム塩等のアルカリ金属塩、例えば、カルシウム塩及びマグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩、例えば、ベンザチン、ジシクロヘキシルアミン、ヒドラバアミン、N-メチル-D-グルカミン、N-メチル-D-グルカミド、t-ブチルアミン等の有機塩基(例えば、有機アミン)を有する塩類、及び例えば、アルギニン、リジン等のアミノ酸を有する塩類が挙げられる。低級ハロゲン化アルキル(例えば、メチル、エチル、プロピル及び塩化ブチル、臭化ブチル及びヨウ化ブチル)、ジアルキル硫酸(例えば、ジメチル、ジエチル、ジブチル及びジアミル硫酸塩)、長鎖ハロゲン化物(例えば、デシル、ラウリル、ミリスチル及び塩化ステアリル、臭化ステアリル及びヨウ化ステアリル)、アラルキル・ハロゲン化物(例えば、ベンジル及び臭化フェネチル)、その他の薬剤とともに、塩基性窒素を含む基は四級化することができる。
【0179】
[0186]本発明の薬剤の溶媒和化合物も、本明細書において考慮される。
【0180】
[0187]本明細書において、「治療する」又は「治療」という用語は、対象の状態を改善又は安定するために、症状、臨床徴候及び状態の基礎病理を逆転する、低減する、又は抑えることを含有する。本明細書で使用する場合、従来技術において周知のように、「治療」は、所望の臨床結果を含有する、有益又は所望の結果を得る方法である。有益又は所望の臨床結果は、検出可能又は検出不能な、1種又は複数種の症状又は状態の軽減又は改善、疾患の範囲の減少、疾患状態の安定化(すなわち、悪化させない)、疾患の蔓延の防止、疾患の進行の遅延又は減速、疾患状態の改善又は緩和、及び寛解(一部分又は全体)を含有してもよいが、これらに限定されない。「治療」は、治療を受けない場合に予想される生存と比較して、生存を延長することを意味してもよい。
【0181】
[0188]本発明は、薬学的に許容される添加剤/賦形剤/アジュバント/ビヒクルとともに、活性成分として本発明の薬剤を含む医薬組成物を更に提供する。
【0182】
[0189]本発明の薬剤は、患者への投与のため、例えば、薬学的に許容されるキャリアと組み合わせて、医薬組成物において使用されてもよい。この種の組成物は、公知技術である希釈液、充填剤、塩類、緩衝液、安定剤、可溶化剤及び他の材料を含有できる。「薬学的に許容される」という用語は、活性成分の生物学的活性度の効果を妨げない非毒性の材料を意味する。キャリアの特性は、投与の経路に依存する。この種の追加の要素及び/又は薬剤は、本発明の薬剤と相乗効果を生じるために、又は本発明の化合物によって生じる副作用を最小化するために、医薬組成物を含有されてもよい。
【0183】
[0190]本発明の医薬組成物は、リポソーム又はミセルの形であってよく、リポソーム又はミセルの形において、本発明の薬剤は、薬学的に許容される他のキャリアに加えて、例えば脂質のような両親媒性物質と組み合わせられ、脂質は不溶性単層、液晶又は薄板状層等の凝集形態で水溶液中に存在する。リポソーム型製剤のための適切な脂質としては、モノグリセリド、ジグリセリド、スルファチド、リゾレシチン、リン脂質、サポニン、胆汁酸等が挙げられるが、これらに限定されない。この種のリポソーム型製剤の調製は、当業者の技術レベルの範囲内であり、例えば、米国特許第4,235,871号、米国特許第4,501,728号、米国特許4,837,028号及び、米国特許第4,737,323号に記載され、これらは参照により本明細書に組み込まれる。
【0184】
[0191]組成物は、経口的に、経鼻的に、口腔に、舌下に、静脈内に、経粘膜的に、非経口的に、吸入により、スプレーにより、経皮的に、皮下に、くも膜下に、局所に、又は経腸的に、を含有する様々な方法で投与することができ、当技術分野で公知の方法によって調製することができる。
【0185】
[0192]本明細書で使用される用語「HIV-1感染を有する対象」、「HIV-1に感染している対象」、「HIV-1感染を有する患者」又は「HIV-1に感染している患者」は、HIV-1感染を有しているいかなる対象も意味し、HIV-1感染を有している治療未経験の対象又は患者及び治療経験のある患者を含有する。
【0186】
[0193]本明細書で使用される用語「治療未経験の対象」又は「治療未経験の患者」は、いかなる抗レトロウイルス剤又はいかなるインターフェロンによっても治療されたことがない、HIV-1を有している対象又は患者を意味する。
【0187】
[0194]本明細書で使用される用語「治療経験のある」対象又は患者は、何らかの形で抗HIV-1治療を開始した、HIV-1を有している対象又は患者を意味する。
【0188】
[0195]本明細書で使用される用語「抗レトロウイルス薬剤」は、ウイルスによって生じる感染症の治療において使用されるいかなる薬剤を意味する。HIV-1の治療に使用される適切な抗ウイルス剤としては、ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤及び非核酸系逆転写酵素阻害剤等の逆転写酵素阻害剤、タンパク質分解酵素阻害剤、及び融合阻害剤が挙げられるが、これに限定されない。
【0189】
[0196]本明細書で使用される用語「ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤」及び「NRTI」は、HIV-1逆転写酵素の活性を阻害するヌクレオシド及びヌクレオチド及びその類似体を意味し、HIV-1逆転写酵素はウイルスゲノムのHIV-1 RNAのプロウイルスHIV-1 DNAへの転換を触媒する。
【0190】
[0197]本明細書で使用される用語「非核酸系逆転写酵素阻害剤」及び「NNRTI」は、HIV-1逆転写酵素の活性を阻害する非ヌクレオシドを意味する。
【0191】
[0198]本明細書で使用される用語「タンパク質分解酵素阻害剤」及び「PI」は、HIV-1タンパク質分解酵素の阻害剤を意味し、この酵素は、ウイルスポリタンパク質前駆体を伝染性のHIV-1で見つかる個々の機能蛋白質にタンパク分解性開裂するために必要である。HIV-1タンパク質分解酵素阻害剤は、非ペプチドタンパク質分解酵素阻害剤と同様に、ペプチド模倣薬構造、高分子量(7600ダルトン)及び頑丈なペプチド特性を有している化合物を含有する。
【0192】
[0199]本明細書で使用される用語「融合阻害剤」は、HIV-1ウイルスがヒト細胞に入ることを抑止する薬剤を意味する。
【0193】
[0200]用語「免疫系機能を調節する」は、HIV-1感染に対する体の免疫系の応答の仕方を変化させることを意味する。
【0194】
[0201]用語「全身性炎症を減少させる」は、体内のHIV-1によって誘発された炎症を所望のレベルに低減することを意味する。
【0195】
[0202]用語「免疫活性化を増大させる」は、HIV-1感染に応答する体の免疫系の能力を向上することを意味する。
【0196】
[0203]用語「HIVによって誘発された制御不全」は、免疫系が適切な応答を開始するのを防ぐために、HIV-1ウイルスによって免疫系に誘発された悪い変化を意味する。
【0197】
[0204]本明細書で使用される用語「HIV-1感染細胞を遮蔽解除する」は、HIV-1感染細胞を免疫系に対して曝露することを意味する。
【0198】
[0205]本明細書で使用される用語「調節している」、「調節」又は「調節する」は、所望のレベルに変更することを意味する。
【0199】
[0206]本明細書で使用される用語「活性化している」、「活性化」、又は「活性化する」は、適切な応答を誘発することを意味する。
【0200】
[0207]本明細書で使用される用語「刺激している」、「刺激」又は「刺激する」は、活性化を増加させるか又は活性を所望のレベルまで増加させることを意味する。
【0201】
[本発明の好適な実施形態]
[0208]本発明は本明細書で詳述される特定の実施形態に関して記載されているが、他の実施形態は同一又は類似の結果を成し遂げることができる。本発明の変形及び変更は当業者にとって明らかであり、本発明はこの種のすべての変形及び均等物を権利範囲に含むことを意図する。
【0202】
[0209]本発明は、対象のHIV-1感染の治療において、BIT225と抗レトロウイルス剤とを組み合わせる。
【0203】
[0210]本発明は、以下の非限定的な実施例によって更に記述されている。
【実施例】
【0204】
実施例1-BIT225の生産
[0211]250mLの丸底フラスコ中の5-ブロモ-2-ナフトエ酸(2.12g、8.44mmol)、1-メチル-4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-ピラゾール(1.84g、8.86mmol)及びテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(502mg、0.435mmol)の混合物を、窒素で3回脱気及び置換した。アセトニトリル(40mL)及び2Mの炭酸ナトリウム水溶液(10mL)を、シリンジを介して混合物に加え、混合物を窒素下で22時間還流加熱した。反応混合物を冷却して、1Mの塩酸水溶液(30mL)を添加した後、酢酸エチル(3×50mL)で抽出した。混ぜ合せた有機層を乾燥(MgSO4)して濾過した後、真空中で濃縮し、粗生成物(空気乾燥後に2.98g)を得た。黄色い不純物(120mg)を除去するために、この粗製物質を熱エタノール(150mL)に溶解して、加熱しながら濾過した。濾液を真空中で濃縮して、残留物をジクロロメタン(30mL)から再結晶し、白色固体(724mg、34%)である5-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-2-ナフトエ酸を得た。ジクロロメタン(20mL)から再結晶することにより、5-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-2-ナフトエ酸(527mg、25%)の2回目の収穫を濃縮母液から得た。
【0205】
[0212]塩化オキサリル(1.1mL、13mmol)を、5-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-2-ナフトエ酸(1.19g、4.71mmol)のジメチルホルムアミド(2滴)を含有する無水ジクロロメタン溶液(200mL、溶解するために反応の間に加えた)に窒素下で加え、混合物を4.25時間、室温で撹拌した。その後、反応混合物を40℃で1時間加熱し、減圧下で濃縮した。得られた粗酸塩化物を無水テトラヒドロフラン(50mL)に懸濁し、この混合物を2Mの水酸化ナトリウム水溶液(15mL、30mmol)中の塩酸グアニジン(2.09g、21.9mmol)溶液に滴下した後、反応混合物を30分間撹拌した。有機相を分離して、水相をクロロホルム(3×30mL)で抽出した後、酢酸エチル(3×30mL)によって抽出した。複合有機抽出液を、1Mの水酸化ナトリウム水溶液(60mL)及び水(40mL)によって順次洗浄した後、乾燥(Na2SO4)して真空中で濃縮し、ガラス状固体(1.45g、高真空下で乾燥後)を得た。この固体をジクロロメタンに溶解した後、ジクロロメタンをゆっくり蒸発し、黄色固体としてBIT225(1.15g、83%)を得た。
【0206】
実施例2-HIV-1感染患者におけるBIT225及びARTの同時投与
[0213]第2相、多施設、無作為化、偽薬対照、ART(アトリプラ-エファビレンツ/エムトリシタビン/テノホビルDF)と組み合わせたBIT225の二重盲検試験を、治療未経験のHIV-1感染患者で行った。BIT225(100mgを1日1回;6人の患者:偽薬;3人の患者)を服用する1つの群、及びBIT225(1日1回200g;18人の患者:偽薬;9人の患者)を服用する1つの群という2つの群に、患者を2:1の割合で無作為化に分け、合計36人の患者を試験に登録した。ウイルス量減少の分析と同一の時点で採血できる血液量における制限のため、100mgのBIT225群は主に詳細なPK分析に盛り込まれ、ウイルス量減少の分析は200mg群に限った。すべての対象は、12週間のBIT225又は偽薬研究治療に加えて、ARTの標準用量を服用した。試験の終わりに、患者は、標準治療手順に従ってARTに残った。HIV-1に感染した、男性及び女性、年齢は18~65歳、ARTを受けていない患者を募集した。各個人は、HIV-1 RNA>5,000コピー/mL及びCD4+T細胞数>100細胞/mm3であった。
【0207】
[0214]試験は、オーストラリア・ニュージーランド臨床試験登録所(ANZCTR)、UTN:U1111-1191-2194に登録した。
【0208】
[0215]研究は、タイ国のバンコク市、チュラーロンコーン大学、医学部の施設内倫理委員会及びチェンマイ市、チェンマイ大学、医学部の研究倫理委員会の承認を得た。試験は、タイの2つの場所で実行された。タイのHIVオランダ・オーストラリア・タイ共同研究(HIV-NAT)(バンコク)及びマハラート ナコン チェンマイ病院(チェンマイ市)。研究は、グッドクリニカルプラクティス(ICH GCP)のためのハーモナイゼーション E6ガイドラインのための国際会議及びヘルシンキ宣言(1964年、2008年において修正)に従って実行された。すべての参加者は、研究開始前に、書面によるインフォームドコンセントを受けた。患者情報は、匿名である。
【0209】
[0216]2つの治療群があった。第1群は、ARTとともに、100mgのBIT225カプセル又は偽薬のカプセルを12週間1日1回服用した。第2群は、ARTとともに、2個の100mgのBIT225カプセル(200mgのBIT225)又は偽薬のカプセルを1日1回服用した。ARTは、アトリプラの一定用量の組合せ錠剤であった。
【0210】
[0217]研究の目的は、HIV-1感染した対象の治療において、ARTにBIT225を加えた影響を評価することであった。1つの目的は、血漿ウイルス量減少を測定して、HIV-1減少をモデル化することによって、ARTを受けているHIV-1に感染した対象の12週間のBIT225治療の有効性を決定することであった。他の目的は、ART中のHIV-1に感染した対象において、12週間1日1回投与されるBIT225の安全性及び忍容性を決定することであった。研究の他の目的は、ARTに加えて12週間のBIT225治療が、可溶性CD163(sCD1263)、単球の主要なバイオマーカー及びマクロファージ免疫活性化のレベルに影響を与えるかどうか決定して、HIV-1に感染している対象のARTと組み合わせて12週間1日1回投与される薬物動態学(PK)を評価することであった。
【0211】
[0218]実験治療の安全性は、有害事象、生命徴候、ECGパラメータを監視すること、臨床検査(血液学、臨床化学、凝固及び尿分析)及び身体診察によって評価した。
【0212】
[0219]血液試料は、BIT225及びARTのPK分析のために、それぞれ第1日及び12週の投与後24時間及び96時間までに、100mgのBIT225の群から集めた。血液試料は、治療順守を監視するため、すべての群の対象から治療期間の全体に渡って定期的に集めた。血漿試料は、BIT225及びARTの決定に対して特異的に有効なLC/MS/MS方法によってアッセイした。
【0213】
[0220]Roche COBAS TaqMan HIV-1の現在承認バージョン(Roche Diagnostics)によって、HIV-1血漿ウイルス量をリアルタイムで決定した。
【0214】
[0221]細胞集団(T細胞及びNK細胞)のための分析は、フローサイトメトリ(CD4+、CD8+、CD38+及びHLA-DR+はT細胞のため、及びCD16+、CD45+及びCD56+はNK細胞のため)によって、リアルタイムで実行した。sCD163及びTh17関連のサイトカインのため、ELISAアッセイを行った。免疫活性化マーカーは、HIV-NAT研究室(バンコク、タイ)において、CD4+、CD8+及びCD14+の算出と一緒にリアルタイムでフローサイトメトリにより測定した。
【0215】
[0222]マクロファージ及び単球活性化マーカーsCD163は、Macro163(商標)ELISA(IQ Products、フローニンゲン、オランダ)によって、血漿中で測定した。
【0216】
[0223]Th17細胞は、病原体に応答して様々なサイトカインを分泌することによって、他の免疫細胞、特に好中球及びマクロファージを制御する。電気化学発光MSD U-Plex バイオマーカーグループTh17(Human Combo 2)Human Multiplex Assay(MesoScaleDiscovery、米国、メリーランド州)を使用して、12週間の治療期間にTh17関連のサイトカイン(IL-21、IFN-γ、IL-1β、IL-6、IL-10、IL-17A、IL-17E/IL-25、IL-17F、IL-22及びTNF-α)のレベルを決定するため、血漿試料を分析した。
【0217】
[0224]血漿HIV-1 RNAは、ART及び1日1回の200mgのBIT225又は偽薬による治療が始まった後、同様に低下した。BIT225群及び偽薬群の減少プロファイルは、12週間を超える研究治療を通じて類似しており(データは示さない)、ART単独で報告された低下と類似していた。血漿HIV-1 RNAアッセイは、ウイルス/ウイルスRNAがどんな細胞型から放出されたか、又はウイルスが伝染性かどうかは識別しない。それ故、検出可能な血漿中ウイルス量に対するこれらの細胞のHIV-1複製への定量的な貢献は、標準的な方法によって測定できない。複製に対する影響及び異なる細胞集団における伝染性HIV-1の生成を評価するために、調査が進行中である。
【0218】
[0225]1日1回の200mgのBIT225が、1日1回のART及び偽薬に加えてユニークな抗ウイルス性及び免疫調節効果を有したことを示す、ARTには特徴的でない免疫細胞の複数のプロファイルがあった。その違いは骨髄性及びリンパ球でのウイルス複製におけるBIT225が有する効果と関連すると考えられ、12週間の治療に渡って、その効果は自然免疫認識及び機能を一時的に変更したように見える(
図1及び
図2)。偽薬群のために報告された免疫細胞データは、アトリプラを含有する、種々のART法のために報告されたデータを代表する。
図1において、偽薬群の活性化CD4
+T細胞の数は、偽薬群における血漿ウイルス量として、同様の時間枠及び大きさにおいて減少する。活性されたCD4
+T細胞のこの減少プロファイルは、HIV-1ウイルス粒子生成においてARTによって誘発された下落に起因する、活性化CD4
+T細胞の初回抗原刺激の減少、及びウイルス抗原又はウイルス感染細胞の免疫系に対する提示の減少に関連があると仮定される。それとは反対に、100mg(データは示さない)及び200mgのBIT225群において、活性化CD4
+細胞の数は、低下前の約50日まで上昇していた。この効果は、Vpu介在性メカニズムによって、宿主の免疫系からウイルス感染細胞を遮蔽する際に関与する、細胞/ウイルス因子の発現又は分解における変化に関連する可能性がある。
【0219】
[0226]
図2のデータは、偽薬群におけるARTの開始の後、CD8
+T細胞の即座の急速な低下を示す。低下はBIT225群も示す、しかし、その開始は4~7日遅れる。12週間の治療期間に渡って、BIT225群は、偽薬群よりも平均85細胞/ml(±29;標準誤差;P<0.01)活性化されたCD8
+T細胞を有する。群の違いによるこれらの評価は、2-要因線形モデル(要因:測定日及び群)から得られた。
【0220】
[0227]
図3のデータは、NK細胞の数が急速に増加して、BIT225及びART治療の開始の24~48時間以内にピークに達したことを示す。これは、ART+偽薬群においては即座に低下したことと対照的である。12週間の治療期間に渡って、NK細胞の数が、偽薬と比較して、BIT225群で著しく増加した(71±23細胞/ml;P<0.01;2要因線形モデル)。NK細胞の一般な低下は、CD8
+T細胞及びpVLの低下を反映している。重要なことは、NK細胞の数がBIT225治療の間、より高いままであるということであり、このことは、NKシグナル伝達におけるHIV-1関連の欠陥が、BIT225治療によって、少なくとも部分的に逆転できることを意味する。
【0221】
[0228]12週間の治療に渡って、sCD163の生成は、ART単独と比較して、BIT225群において著しく減少した(
図4)。
【0222】
[0229]BIT225治療がTh17細胞レベル又は機能のどちらに影響するかを決定するために、Th17細胞の免疫機能に関連するいくつかのサイトカインを、12週間の治療期間に渡って検討した。
【0223】
[0230]統計的に有意な増加が、治療の最初の3週に渡るBIT225群のIL-21レベルの分散分析によって、存在した(
図5)。IL-21のレベルは、偽薬群及び前治療のレベルと同様のレベルに、最初の3週後に減少した。IL-21は小胞ヘルパーCD4T細胞(Tfh)、Th17及びNK細胞によって生成されることができ、このアッセイはこれら各免疫細胞集団からのIL-21生成の割り当てを可能とない。
【0224】
[0231]IFN-γ、マクロファージの活性化因子及びMHCクラス2発現の誘発因子のBIT225群平均値は、前治療で検出されたのと同様のレベルに戻る前に、14日目に一時的なスパイクを有した。この応答は、BIT225群の18人の対象のうちの16人において検出された(データは示さない)。偽薬群のIFN-γレベルの軽微な変動は、12週間の治療期間に渡り、9人の偽薬対象のうちの7人において観察された(データは示さない)。
【0225】
[0232]血漿IL-6について最も一般に観察された応答は、最初の3週目の一時的なスパイクであり、偽薬対象では9人のうちの1人であるのと比較して、BIT225対象では18人のうち8人において観察された。データが基準値からの変化として算出される場合に、IL-6の応答は、BIT225群においては3週後に減少したが、偽薬より高いままだった(Log10)(データは示さない)。
【0226】
[0233]IL-10は、免疫応答を調節する抗炎症サイトカインである。それは、マクロファージ、樹状細胞、B細胞、CD4+及びCD8+T細胞によって生成される。感染の間、それは、Th1細胞、NK細胞及びマクロファージの活性を阻害する。偽薬群と比較して、BIT225群においては最初の3週のIL-10のピークの増加の後の急速で継続された低下が続く群傾向があるとともに、レベルは12週間の治療期間に渡って統計的に有意でなかった(データは示さない)。
【0227】
[0234]IL-17Fの生成に関しては群の違いがなく、両方の群は時間を通じて前治療の略2倍のレベルに増加した(データは示さない)。
【0228】
[0235]マクロファージ及び単球によって生成される炎症性サイトカインであるTNF-α、又はTh1細胞の分化に影響するIL-1B産生については、BIT225群又は偽薬治療群の間に統計的な差異はなかった(データは示さない)。
【0229】
[0236]大部分のデータ点がアッセイのための定量下限値よりも低かったので、IL-17A、IL-17F/IL-25産生に関しては報告可能な結果はなかった。
【0230】
[0237]BIT225は、100mg及び200mgの両方の群において十分に許容された。すべての対象(36/36)は少なくとも一つの有害事象(AE)を経験した。そして、その過半数は軽度の厳しさで、治療期間の間に解決した。最も頻繁に発生するAEは、BIT225及び偽薬で治療された患者において同様であり、目まい、吐き気、頭痛、発熱及び嘔吐を含有した。100mgのBIT225群の2人の対象は、AEのために、研究を早めに中断した。第7日に、1人の対象が軽度の洞頻脈を経験し、アトリプラ及び/又はBIT225に関連する可能性が考慮された。第2番の対象は、穏やかなQTcB延長(QTcB>480ミリ秒)を報告した後に、第17日に中断され、BIT225又はアトリプラに関連していないと治験責任医師によって認められた。3等級の目まいが、200mgのBIT225を服用している1人の対象で第4日に報告され、明らかにアトリプラと関連があり、BIT225には関連がないと治験責任医師は判断した。アトリプラ治療は中断されて、この対象のためにART投薬計画は変化した。更に2人の対象は、エファビレンツに不耐性(目まい)のため、治療の最初の数週間のアトリプラを中断した。1人は200mgのBIT225の対象であり、1人は偽薬の対象であった。これらの対象も、新しいART投薬計画に変えられ、試験の治療及び追跡調査期間も完了した。深刻な有害事象(SAE)又は死亡はなかった。
【0231】
[0238]集中的なPK試料採集からのデータは、BIT225及びアトリプラが予想される時間枠及び濃度範囲の中で血漿露出を達成することを示した。BIT225は、アトリプラのPK特性に著しい影響を及ぼさなかった(結果は示さない)。
【0232】
[0239]この研究は、慢性HIV-1感染を有する治療未経験の対象においてARTと組み合わせたBIT225、Vpu阻害剤の安全性及び有効性の第一報告である。BIT225は、安全で十分に許容されると考えられ、ARTのPK特性に重要な影響を及ぼさなかった。この調査は、ARTに対するBIT225の添加が、急落しているウイルス量の背景において、HIV-1に対する宿主免疫応答の重要な変化を誘発したことを示す。この免疫学的効果は、ART開始から数日以内の血漿におけるいくつかの記録により、ウイルス量の減少にもかかわらず、複数週間持続した。
【0233】
[0240]この調査は、ARTの開始が、ウイルス量低下と同様のプロファイルで、活性化CD4+T細胞が急速に低下することを示した。驚くべきことに、ARTに対するBIT225の添加は、活性化CD4T細胞の低下の側面に対する異なる効果を有し、BIT225群は、活性化CD4+T細胞の減少において、約50日の大幅な遅延を有していた。活性化CD4+T細胞活性の低下のこの大幅な遅延は、宿主免疫系が他のいかなるARTの組合せによっても以前には確認されていないメカニズムによって刺激されたことを示す。
【0234】
[0241]この研究のBIT225及びARTの組合せは、12週間の治療に渡り、マクロファージ活性化マーカーsCD163を正常レベルにまで統計的に有意に低下させた。CD163は、末梢単球及びマクロファージに発現される膜タンパク質であって、感染及び組織損傷に対する宿主応答において中心的役割を果たし、疾患の病原性に対して重要である。免疫系が活性化するときに、CD163受容体を単球及びマクロファージから切断することによって、可溶性CD163はつくられる。このマーカーは、マクロファージ介在性の病原性と強く相関していて、ARTを受けているHIV-1患者におけるすべての原因の羅病率及び死亡率のT細胞活性化マーカーよりも優れた予測手段と考えられ、ARTを受けているHIV-1患者において、ARTのウイルス性制御にもかかわらず、免疫活性化及び炎症は公知である(Burdoら、J Infect Dis 2011,204:1227-36;Burdoら、J Infect Dis 2011,204:154-63;Burdoら、AIDS 2013,27:1387-95;Knudsenら、J Infect Dis 2016,214:1198-204)。HIV-1感染個体は、通常、年齢を適合させたHIV陰性の個体よりも高いsCD163レベルを示す(Martinら、PLoS One 2013,8:e55279)。ARTがsCD163レベルを低減することは示されていたが、年齢が適合するHIV陰性の個体のレベルまで低減することは示されていなかった(Burdoら、J Infect Dis 2011,204:154-63)。HIV-1感染個体で増加したsCD163レベルは、マクロファージのテロメアの物理的な短縮と関係しており(Srinivasaら、J Acquir Immune Defic Syndr 2014,67:414-8)、免疫老化は可逆的でなく、初期のART介入が有益であるという仮説を支持する。高いsCD163レベルは、HIV-1に感染した個体における、心疾患、肝疾患、2型糖尿病及び認知低下を含有する非伝染性で併存疾患の好適でない臨床結果と関係している(Paiardini Muller-Trutwin, Immunol Rev 2013,254:78-101)。ART単独より低いレベルへのsCD163の減少に関連するBIT225のメカニズムは、Vpuに関連する自然免疫抑制の反転によって、直接又は間接的に、骨髄性系統の細胞でのHIV-1複製の減少に関連がある可能性がある。sCD163の結果は、BIT225による治療が長期的なART中の人々の医療効果を潜在的に向上する結果になり得ることを示唆する。
【0235】
[0242]この研究からのデータはパラダイムを述べており、このパラダイムでは、ARTの強力な抗ウイルス活性は、BIT225治療の改善された免疫機能によって強化される。12週間に渡る治療に渡り最も維持された免疫細胞効果は、偽薬及びARTと比較して、BIT225群における基準値と比較した活性化CD4+T細胞の数が統計的に有意に遅れて減少したことであった。この効果は、最高50日間持続した。活性化CD4+T細胞のプロフィールの変更は、宿主の検出、HIV-1感染細胞への対応、及びIL-21を生成する細胞(Th17細胞、Tfh細胞及びNK細胞)の機能の回復への劇的な変化と、関連する可能性がある。BIT225治療の最初の3週間において、血漿IL-21は統計学的に著しく増加する。IL-21はTh17細胞によって生成され、それらの分化及び機能化を進める。Th17細胞は、免疫細胞の重要なサブセットであり、HIV-1感染の病原性にきわめて重大である。最近の研究は、Th17細胞がHIV-1感染の最初の6カ月に優先して減少することを確認した(Klatt及びBenchley,Curr Opin HIV AIDS 2010,5(2):135-40)。このデータがHIV-1感染によって優先的に殺される細胞型の再回復の強化について述べているので、このデータは重要である。HIV-1感染による腸におけるTh17細胞の選択的な破壊は、腸上皮性関門のホメオスタシスを阻み、血液中の微生物トランスロケーションの原因となる(Klatt及びBenchley,Curr Opin HIV AIDS 2010,5(2):135-40)。これは、病原体材料の恒常的な免疫提示、認識及び破壊する環境を生み出し、慢性炎症状態に至る。炎症誘発性サイトカインが持続的に高いレベルになると、免疫老化が早まり及び多器官が損傷する。ART単独によって活性化CD4+T細胞が回復するとともに、Th17細胞のこの特定のサブセットは優先して正常レベルに復帰しない(Planasら、Curr Opin HIV AIDS 2019,14:85-92)。ここで示されるデータは、BIT225がこの細胞系統の運命及び活性を選択的に改善すること、並びにARTへのBIT225の添加が持続的な臨床的利益及び器官低下に関連する臨床免疫活動の停止又は逆転となり得ることを示唆する。
【0236】
[0243]両方のART群(すなわちBIT225及び偽薬の両方を伴う)における活性化CD8+細胞の全般的な低下は、ARTについて一般的に報告されることの特徴を表しており、おそらく、免疫系を刺激するHIV-1産物を減少させることを反映する。対照的に、BIT225+ART群における活性化CD8+T細胞の低下の観察された遅延は、一般に報告されない。これは、抗原提示細胞(APC)及びT細胞シグナル伝達により、より優れた抗原提示と関連している可能性がある。
【0237】
[0244]BIT225及びARTの開始の24~48時間以内にピークに達した、NK細胞数の急速な増加は、ART及び偽薬群におけるNK細胞数の即座の低下とは対照的であった。NK細胞数は、BIT225を伴う12週間の治療の全体に渡ってより高いままであり、これは、NKシグナル伝達におけるHIV-1関連の欠陥がBIT225によって少なくとも部分的に逆転できることを意味する。NK細胞におけるVpuの下方調節効果をBIT225が逆転させ、効率的なNKシグナル伝達及び脱顆粒のための重要な細胞表面受容体を増加させるという仮説を、このデータは支持する。
【0238】
[0245]BIT225伴う治療の最初の1週間に観察されるNK細胞及び活性化CD8+T細胞の初期ピークの後、第3週にピークに達した血漿IL-21レベルの増加が続いた。NK細胞及びCD8+T細胞のこの初期のピークは、新規又は強化された抗原の供給源がARTによって推進される血漿ウイルス抗原の大規模な低減にもかかわらず検出され応答したことを示す。IL-21の血漿レベルの初期ピークは、宿主免疫系がTh17細胞、Tfh及び/又はNK細胞の回復、分化及び機能を推進していたことを示唆する。この効果は、活性化CD4+T細胞における継続された遅発性低下によって補強された。これらの活性化CD4+T細胞は、系統に関係なく、HIV-1感染細胞を認識して破壊する潜在性を有する。蓄積部に関与する細胞の組成についてはいくらかの議論があるとともに、蓄積部は造血幹細胞、骨髄性の及びT細胞系統を潜在的に含有し、これらの細胞はART単独では前もって十分に浸透されない(Hong及びMellors,Curr Opin HIV AIDS 2015,10:43-8;Honeycuttら、J Clin Invest 2016,126:1353-66)。この結果と明らかに関係していたことにより、最初の数週におけるIL-10の適度の一過性の増加は、ウイルスセットポイント仮定の低下を支持できる(Katsikisら、PLoS Pathog 2011,7:e1002055)。
【0239】
[0246]ARTに対するBIT225の追加は、いかなる直接的に作用する抗ウイルス剤によっても以前に報告されていない固有の免疫調節となった。この研究は、BIT225が複数の自然免疫調節効果を潜在的に有するという証拠を示し、この複数の自然免疫調節効果は、HIV-1に誘導された慢性の免疫活性化結果を改善し、将来の根絶戦略を援助する有用性を有する。BIT225は、宿主の免疫応答の活性化による治療戦略の成分としての潜在的役割を有し、例えば聖域部位又は蓄積部(ウイルス刺激潜伏性及び低レベルのウイルス複製のための避難所である)中の細胞などの、ART治療によって排除されない、HIV-1感染細胞を排除する。BIT225の免疫調節効果のための1つの可能性があるメカニズムは、宿主の免疫系からHIV-1感染細胞を遮蔽する際に関与するVpu介在性メカニズムの変化を誘発することによる。
【0240】
実施例3-BIT225に特有の免疫調節性効果を調査するアッセイ
[0247]実施例2に示すように、ARTに対するBIT225の追加は、ART単独と比較して、第2相臨床試験において、T細胞をより活性化した。続くin vitro実験では、ARTの間にT細胞のより優れた活性化及び機能になるVpu依存的なメカニズムが存在するか否かを調査した。T細胞活性化の共刺激受容体はCD28であり、その対応物はマクロファージ、樹状細胞及びB細胞上のCD80及びCD86である。実験は、T細胞の活性化における付属タンパク質Vpu及びNef発現の役割、CD4+T細胞上のCD28及びCCR7発現、及び単球由来マクロファージ(MDM)上のCD80及びCD86発現を確認するように設計した。
【0241】
[0248]ウイルスストックの生成方法は、Bobardtら、PNAS,2008;105(14):5525-5530に記載されているとおりである。簡潔に述べると、プロウイルス性プラスミド(9μg)及び小胞性口内炎ウイルスG(VSV-G)エンベローププラスミド(1μg)によって、293Tの細胞に核酸を導入した。2日目に、VSV-G偽型ウイルス(5μgのp24)を集め、ジャーカット細胞(2×106細胞)に鋭く感染するために使用した。感染の2日後に、ウイルスを集め、p24含量をELISA(PerkinElmer)で測定した。ウイルス感染は、核酸導入された293Tの細胞に由来する10ng又は100ngのp24により三重に実施した。以下のプロウイルス構造物を使用した:野生型HIV-1 pNL4.3 CCR4(X4)熱帯性[WT]、pNL4.3ΔNef、pNL4.3ΔVpu、pNL4.3ΔNefΔVpu及びHIV-1 pBaL-1 CCR5(R5)熱帯性[WT}。
【0242】
[0249]血液由来CD4+Tリンパ球及びMDMを、Saphireら、J Virol 2001,75:9187-9200に記載されたように、分離した。CD4+T細胞及び単球は、CCR5-Delta32陰性であった3人のドナーの血液から抽出した。主要なヒトマクロファージを生成するために、単球を、negative selection(Dynal Biotech)によって、ヒトPBMCから精製して活性化し、10%FCS(HyClone)、MEMアミノ酸、L-グルタミン、MEMビタミン、ピルビン酸ナトリウム(Invitrogen)及びペニシリン(100単位/ml)、ストレプトマイシン(100mg/ml)及び50ng/mlの組換えヒト顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)(R&D Systems)を加えたDMEM中で、106/mlの細胞濃度で培養し、5%のCO2を含む加湿雰囲気中、37℃で維持した。MDMを得るために、細胞をプラスチックに付着させて6日間培養し、感染の前に分化させた。感染は、106の細胞当たり10ng又は100ngのp24によって行った。
【0243】
[0250]CD4+T細胞は、Geijtenbeekら、Cell,2000,100:587-597に記載のように分離した。ヒトPBMCを、Ficoll-Hypaque(30分、800g、25℃;Amersham Biosciences)で結合させることによって、新鮮血から精製した。抗CD4ダイナビーズによる正の選択、及びそれに続くDetachabead(Dynal Biotech)を使用する解放によって、主要なヒトCD4+T細胞をPBMCから精製した。10%FCS(HyClone)、MEMアミノ酸、L-グルタミン、MEMビタミン、ピルビン酸ナトリウム(Invitrogen)、及びpenicillin plus streptomycin(Cellgro)を加えたRPMI培地1640(Invitrogen)で細胞を培養した。その後、細菌性超抗原ブドウ状球菌エンテロトキシンB(SEB;100ng/ml)及び他のドナーからのマイトマイシンCで殺されたPBMCにより、細胞を活性化させた(10:1のPBMC:CD4+細胞比率)。刺激の3日後に、IL-2含んでいる培地中で、細胞を1:2に分けた(NIH AIDS研究及び参照試薬プログラム;最終濃度200単位/ml)。その後、培養物をIL-2培地で2日毎に1:2に分け、刺激の7日後にHIVに感染させた。106細胞当たり10ng又は100ngのp24によって、CD4+T細胞を感染させた。
【0244】
[0251]3人のドナーの血液から抽出されたCD4+T細胞及びMDMを、VSVG-偽型野生型、Vpu-、Nef-及びVpu-/Nef-HIV-1NL4-3に感染させた。
【0245】
[0252]3μMのBIT225又はDMSO対照で細胞を治療し、CD28、CCR7、CD80及びCD86の発現を24、48及び72時間の時点でフローサイトメトリにより測定した。
【0246】
[0253]データは、分散分析によって統計分析した。未治療のWT.NL4.3データセットからのドナー及び時間が一致した値で割り算することによって、データを「倍率変化」に変更した。BIT225治療平均と未治療平均のウイルス中の差異を統計学的に評価するため、二元配置分散分析を使用した。線形モデル(倍率変化=β0+β1
*時間+β2
*IBIT225)をウイルスごとのデータセット(N=18)に適合させた。データセットは、それぞれBIT225又はDMSO対照で治療された、3つの時点(24時間、48時間及び72時間)における3人のドナーからの測定結果を含有する。
【0247】
[0254]CD4
+T細胞上のCD28の発現は、72時間の実験(
図6)において、野生型HIV-1
NL4-3(野生型)による感染によって低下した。CD28の発現は、Vpu及びNefの発現によって、下方調節された。野生型感染細胞のBIT225治療は、Vpu発現にのみ依存していたCD28の発現を部分的に回復した。Vpu及びNefの二重欠失は、非感染細胞と同等のレベルまで、CD28の発現を回復した。BIT225は、HIV-1感染による、Vpuと関連するPM CD28の下方制御を低減する。BIT225治療は、Vpu依存的な方法でCD28の発現を増加させる。
【0248】
[0255]CD80及びCD86の形質膜発現は、Vpu及びNefの発現によって調節された。VSVG偽型HIV-1NL4-3によるMDMの感染によって、72時間の実験に渡りCD80及びCD86の形質膜発現が低下した。CD80及びCD86の部分的な形質膜発現は、pNL4.3ΔNef及びpNL4.3ΔVpuウイルス感染細胞の両方で起こった。pNL4.3ΔNefΔVpuの感染は、見せかけの感染と比較して、いずれのリガンドの発現も低減しなかった(
図7及び8)。いずれもVpuを発現する野生型又はΔNefウイルス感染細胞のBIT225治療は、形質膜のCD80及びCD86の発現を部分的に回復した。BIT225は、ΔNefΔVpu HIV-1NL4-3の二重変異体ウイルスに対して観察可能な効果を有しなかった。その主な理由は、Vpu及びNefの二重欠失は受容体を感染していないレベルに戻すからである。
【0249】
[0256]MDM上のCD86の形質膜発現は、野生型HIV-1NL4-3の感染によって、72時間の実験に渡り低下した。CD86の形質膜発現は、Vpu及びNefの発現によって調節された。野生型感染細胞のBIT225治療は、形質膜CD86の発現レベルを部分的に回復した。Vpu及びNefの二重欠失は、非感染細胞と同等のレベルに、CD86の発現を回復した。その他の受容体と異なり、CD86のBIT225治療応答は、Vpu又はNefの単一欠失を有するウイルスにおいて類似していた。この興味をそそる観察結果は、第二の、新規で、Vpuから独立した作用メカニズムを意味し、この作用メカニズムによってBIT225はNef依存的なCD86の分解に反対に作用する。
【0250】
[0257]T細胞の機能/分化は、T細胞が血液及び免疫組織/器官を循環している間に曝露された環境及び教育に、影響を受ける。重要なホーミングシグナルは、ケモカイン受容体CCR7の発現である。この研究は、CD4
+T細胞上のCCR7発現がHIV-1感染によって低下することを確定した(
図9)。CCR7の発現は、Vpu及びNefの発現によって、下方調節された。野生型HIV-1NL4-3感染細胞のBIT225治療は、Vpu発現にのみ依存していたCCR7発現を部分的に回復した。Vpu及びNefの二重欠失は、非感染細胞と同等のレベルにCCR7の発現を回復した。BIT225は、Vpuを発現しているウイルス(野生型及びΔNefウイルス;
図2B)に感染している細胞においてのみ、形質膜CCR7下方制御を低減する。Nef発現単独(ΔVpuウイルス)によるCCR7下方制御の量は、BIT225に影響を受けない。これとともに、データは、BIT225によるCCR7回復メカニズムがVpuの発現に依存することを裏付ける。このデータは、BIT225がARTに追加されると、CD4
+T細胞の機能が改善されることを示唆する。
【0251】
[0258]HIV-1に感染しているCD4+T細胞上のCD28及びCCR7、及びHIV-1に感染しているMDM上のCD80及びCD86のVpu介在性の下方制御を、BIT225治療が弱められることを、このデータは示唆する。BIT225の作用メカニズムは、CD4+T細胞上のCD28及びCCR7並びにMDM上のCD87の調節及び回復のため、Vpuの存在を必要とする。しかしながら、感染しているMDM上のCD86発現のBIT225治療関連の強化は、Vpuとは独立している。
【0252】
[0259]BIT225は、T細胞の活性化及びホーミングのために必要とされる共刺激シグナルを強化するように見える。これらの所見は、HIV-1の強化された宿主免疫監視機構を示唆するBIT225の新規属性を示す。Vpuメカニズムを介するCCR7形質膜発現を改善するBIT225の能力は、潜在的により多くのT細胞を抗原に対する教育のために適切な免疫学的部位に補充すること、及びウイルス侵入を低減するか又は排除するためにより強力な免疫学的機能をもたらすことである。CCR7及びそのリガンドCCL19及びCCL21は、リンパ節に移動するための誘導システムを免疫細胞に提供し、免疫及び耐性度の両方に寄与する。TCR機能におけるHIV-1付属タンパク質の変更及び誤って導かれたホーミングシグナルは、連続した免疫活性化及び炎症の潜在的な原因になることがあり、連続した免疫活性化及び炎症は長期的なARTを受けているHIV-1感染者において消耗したCD4+及びCD8+細胞表現型を活発にする。ARTへのBIT225の追加は、ウイルス感染細胞を特定して排除するための細胞を適切に補充するために必要な多数の細胞、ケモカイン及びサイトカインシグナル経路に対して影響を与える潜在性を有する。実施例2において、BIT225治療群にだけ見られるCD4活性化の強化は、HIV RNAが急減している状況であっても持続していた。抑圧的ARTによっても根絶されず、宿主免疫系によって直ちに認識されなかったウイルス感染細胞の検出をBIT225が可能にすることを、本研究は示唆する。したがって、BIT225治療は、将来の抗レトロウイルス治療、特にHIV-1の根絶のための治療に対する有益な追加である可能性がある。
【国際調査報告】