(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-01
(54)【発明の名称】発光素子、それを有する表示装置及び照明装置
(51)【国際特許分類】
H05B 33/02 20060101AFI20230125BHJP
H10K 59/00 20230101ALI20230125BHJP
H10K 50/00 20230101ALI20230125BHJP
H10K 50/16 20230101ALI20230125BHJP
H10K 50/15 20230101ALI20230125BHJP
H05B 33/26 20060101ALI20230125BHJP
H05B 33/12 20060101ALI20230125BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20230125BHJP
G09F 9/302 20060101ALI20230125BHJP
G09F 9/33 20060101ALI20230125BHJP
【FI】
H05B33/02
H01L27/32
H05B33/14 A
H05B33/22 A
H05B33/22 C
H05B33/26
H05B33/12 B
G09F9/30 365
G09F9/302 C
G09F9/33
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022529752
(86)(22)【出願日】2020-11-20
(85)【翻訳文提出日】2022-06-01
(86)【国際出願番号】 CN2020130632
(87)【国際公開番号】W WO2021098856
(87)【国際公開日】2021-05-27
(31)【優先権主張番号】201911158538.4
(32)【優先日】2019-11-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519001844
【氏名又は名称】▲納▼晶科技股▲フン▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100198568
【氏名又は名称】君塚 絵美
(72)【発明者】
【氏名】ツェン チャングア
(72)【発明者】
【氏名】グー シンヤン
【テーマコード(参考)】
3K107
5C094
【Fターム(参考)】
3K107AA01
3K107AA05
3K107CC04
3K107CC05
3K107CC21
3K107CC35
3K107DD21
3K107DD26
3K107DD50
3K107EE07
3K107FF13
3K107FF15
5C094AA05
5C094BA23
5C094BA27
5C094CA20
5C094DA13
5C094ED13
5C094FA01
5C094FA02
5C094JA01
5C094JA08
(57)【要約】
本出願は、発光素子、それを有する表示装置及び照明装置を提供する。該発光素子は、サブ領域に設けられる発光ユニットを含み、発光ユニットは、積層される発光機能層、光抽出機能層及び一部の光透過性基材を含み、光抽出機能層は発光機能層の出光側に位置し、発光ユニットの出光面の幾何中心を通りかつ両端がともに発光ユニットの辺線に接続された直線を第1の直線、第1の直線の最短長さをWと定義し、光透過性基材に垂直な方向には、発光ユニットの厚さがTであり、TをW未満にすることによって、光抽出機能層が一般的に適用可能な応用条件を満たすことができ、それにより、小面積の発光素子に適用されても、大面積の発光素子に適用されても、顕著な光抽出効果を有し、さらに発光ユニットの発光効率を向上させ、素子の耐用年数を延長させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光透過性基材(10)と、
前記光透過性基材(10)の第1の面に設けられる隔離構造であって、前記隔離構造の間に少なくとも1つのサブ領域が形成される隔離構造と、
前記サブ領域に一対一対応で設けられ、光透過性電極(210)、発光層(220)及び反射電極(230)を含み、前記光透過性電極(210)と前記反射電極(230)とが独立して前記発光層(220)の両側に位置する発光機能層(20)と、
前記発光機能層(20)と一対一対応で設けられる光抽出機能層(30)とを含む発光素子であって、
一対一対応しかつ積層される発光機能層(20)、光抽出機能層(30)及び一部の前記光透過性基材(10)は各発光ユニットを構成し、各前記発光ユニットの構造は、構造A、構造B及び構造Cから選択された1つの構造であり、前記構造Aは、前記発光機能層(20)、前記光抽出機能層(30)及び一部の前記光透過性基材(10)が順に積層され、前記構造Bは、前記発光機能層(20)、一部の前記光透過性基材(10)及び前記光抽出機能層(30)が順に積層され、前記構造Cは、前記光抽出機能層(30)、前記発光機能層(20)及び一部の前記光透過性基材(10)が順に積層され、前記構造A及び前記構造Bの出光方向は前記反射電極(230)から前記光透過性基材(10)への方向であり、前記構造Cの出光方向は前記反射電極(230)から前記光抽出機能層(30)への方向であり、
各前記発光ユニットの出光面の幾何中心を通りかつ両端がいずれも前記出光面の辺線に接続された直線セグメントを第1の直線セグメント、前記第1の直線セグメントの最短長さをWと定義し、前記光透過性基材(10)に垂直な方向において、前記構造A及び前記構造Bに対して、前記発光ユニットの厚さから前記反射電極(230)の厚さを差し引いた厚さをTと定義し、前記構造Cに対して、前記光抽出機能層及び前記発光機能層の総厚さから前記反射電極(230)の厚さを差し引いた厚さをTと定義し、前記構造A、前記構造B及び前記構造Cにおいて、TはいずれもWよりも小さい、ことを特徴とする発光素子。
【請求項2】
T/W≦1/10である、ことを特徴とする請求項1に記載の発光素子。
【請求項3】
T/W≦1/20である、ことを特徴とする請求項2に記載の発光素子。
【請求項4】
T/W≦1/30である、ことを特徴とする請求項2に記載の発光素子。
【請求項5】
300nm≦T≦1μm、W≧3μmである、ことを特徴とする請求項1に記載の発光素子。
【請求項6】
前記出光面は、複数の直線セグメントからなる多角形又は少なくとも1つの円弧セグメントで囲まれた図形である、ことを特徴とする請求項1~請求項5のいずれか1項に記載の発光素子。
【請求項7】
前記発光機能層(20)は、正孔注入輸送層及び電子注入輸送層をさらに含み、前記正孔注入輸送層及び前記電子注入輸送層は前記発光層(220)の両側に位置し、前記光透過性電極(210)は前記正孔注入輸送層又は前記電子注入輸送層の前記発光層(220)から離れた側に位置する、ことを特徴とする請求項1~請求項5のいずれか1項に記載の発光素子。
【請求項8】
前記発光層(220)は量子ドット材料層又は有機発光材料層である、ことを特徴とする請求項7に記載の発光素子。
【請求項9】
各前記発光ユニットの構造は前記構造A又は前記構造Cであり、前記光抽出機能層(30)は、光抽出層、及び前記光透過性電極(210)と前記光抽出層との間に位置する界面層を含む、ことを特徴とする請求項1~請求項5のいずれか1項に記載の発光素子。
【請求項10】
異なる色の光を発光するように、複数の前記発光ユニットを含み、前記異なる色の光は、独立して、赤色光、緑色光、青色光及び白色光のうちの少なくとも1つから選択されたものである、ことを特徴とする請求項1~請求項5のいずれか1項に記載の発光素子。
【請求項11】
前記発光素子はOLED素子、LED素子及びQLED素子のうちのいずれかである、ことを特徴とする請求項1~請求項5のいずれか1項に記載の発光素子。
【請求項12】
各前記発光ユニットの構造は前記構造Bであり、前記光抽出機能層(30)は、光抽出層、及び前記光抽出層の前記光透過性基材(10)から離れた側に位置する界面層を含む、ことを特徴とする請求項1~請求項5のいずれか1項に記載の発光素子。
【請求項13】
発光素子を含む表示装置であって、前記発光素子は請求項1~請求項12のいずれか1項に記載の発光素子であり、前記隔離構造は画素隔離構造であり、前記サブ領域はサブ画素領域である、ことを特徴とする表示装置。
【請求項14】
発光素子を含む照明装置であって、前記発光素子は請求項1~請求項12のいずれか1項に記載の発光素子であり、前記隔離構造は、内部に一つの前記発光ユニットが設けられるフレームである、ことを特徴とする照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は光学技術分野に関し、具体的には、発光素子、それを有する表示装置及び照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光抽出技術は、表示素子にも照明にも広く応用され、前者の作用は、「点光源」に類似するLEDビーズから発光した光を集めて平面全体に展開させ、いくつかのプリズムアレイなどの光抽出構造によって光を集めて光学フィルターの方向に出射することである。点光源が面光源に変換されることと異なり、OLEDなどの照明パネル自体は、光が柔らかい面光源であり、輝度を均一化する必要がなく、光抽出構造は、主にOLED素子構造内で全反射により射出できない光をガイドし、素子全体の発光効率を向上させ、素子の耐用年数を延長させる。
【0003】
このような「面光源」の他、市場の点光源に類似するマイクロ発光素子(例えば、画素構造を有する素子)は光抽出構造を用いることが少なく、その原因としては、従来の光抽出構造の追加には盲目性があり、追加されたこれらのいわゆる光抽出構造は、小面積の発光素子に対する光抽出効果が顕著ではなく、光出力比の向上が限られ、不合理的な設置により光混合を引き起こす可能性があり、例えばRGBの3つのサブ画素が光混合された後白色光を生成するため、画面を正確に表示することができない。したがって、一般的には、光抽出技術はマイクロ発光素子に適用されないと考えられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本出願は、従来技術において光抽出構造が小面積の発光素子に適用されないという問題を解決するために、発光素子、それを有する表示装置及び照明装置を提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を実現するために、本出願の1つの態様によれば、発光素子を提供し、光透過性基材と、光透過性基材の第1の面に設けられる隔離構造であって、隔離構造の間に少なくとも1つのサブ領域が形成される隔離構造と、サブ領域に一対一対応で設けられ、光透過性電極、発光層及び反射電極を含み、光透過性電極と反射電極とが独立して発光層の両側に位置する発光機能層と、発光機能層と一対一対応で設けられる光抽出機能層とを含む。一対一対応しかつ積層される発光機能層、光抽出機能層及び一部の光透過性基材は各発光ユニットを構成し、各発光ユニットの構造は、構造A、構造B及び構造Cから選択された1つの構造であり、構造Aは、発光機能層、光抽出機能層及び一部の光透過性基材が順に積層され、構造Bは、発光機能層、一部の光透過性基材及び光抽出機能層が順に積層され、構造Cは、光抽出機能層、発光機能層及び一部の光透過性基材が順に積層される。構造A及び構造Bの出光方向は反射電極から光透過性基材への方向であり、構造Cの出光方向は反射電極から光抽出機能層への方向であり、各発光ユニットの出光面の幾何中心を通りかつ両端がいずれも出光面の辺線に接続された直線セグメントを第1の直線セグメント、第1の直線セグメントの最短長さをWと定義し、光透過性基材に垂直な方向において、構造A及び構造Bに対して、発光ユニットの厚さから反射電極の厚さを差し引いた厚さをTと定義し、構造Cに対して、光抽出機能層及び発光機能層の総厚さから反射電極の厚さを差し引いた厚さをTと定義し、構造A、構造B及び構造Cにおいて、TはいずれもWよりも小さい。
【0006】
さらに、T/W≦1/10である。
【0007】
さらに、T/W≦1/20である。
【0008】
さらに、T/W≦1/30である。
【0009】
さらに、300nm≦T≦1mm、W≧3μmである。
【0010】
さらに、出光面は複数の直線セグメントからなる多角形又は少なくとも1つの円弧セグメントで囲まれた図形である。
【0011】
さらに、発光機能層は、正孔注入輸送層及び電子注入輸送層をさらに含み、正孔注入輸送層及び電子注入輸送層は発光層の両側に位置し、光透過性電極は正孔注入輸送層又は電子注入輸送層の発光層から離れた側に位置する。
【0012】
さらに、発光層は量子ドット材料層又は有機発光材料層である。
【0013】
さらに、各発光ユニットの構造は構造A又は構造Cであり、光抽出機能層は、光抽出層、及び光透過性電極と光抽出層との間に位置する界面層を含む。
【0014】
さらに、発光素子は、異なる色の光を発光するように、複数の発光ユニットを含み、異なる色の光は、独立して、赤色光、緑色光、青色光及び白色光のうちの少なくとも1つから選択されたものである。
【0015】
さらに、発光素子はOLED素子、LED素子及びQLED素子のうちのいずれかである。
【0016】
さらに、各発光ユニットの構造は構造Bであり、光抽出機能層は、光抽出層、及び光抽出層の光透過性基材から離れた側に位置する界面層を含む。
【0017】
本出願の1つの態様によれば、発光素子を含む表示装置を提供し、該発光素子は上記の発光素子であり、隔離構造は画素隔離構造であり、サブ領域はサブ画素領域である。
【0018】
本出願の1つの態様によれば、発光素子を含む照明装置を提供し、該発光素子は上記の発光素子であり、隔離構造は内部に一つの発光ユニットが設けられるフレームである。
【発明の効果】
【0019】
本出願の技術的解決手段によると、発光素子を提供し、該発光素子は、サブ領域に設けられた発光ユニットを含み、発光ユニットは、積層される発光機能層、光抽出機能層及び一部の光透過性基材を含み、光抽出機能層は発光機能層の出光側に位置し、発光ユニットの出光面の幾何中心を通りかつ両端がいずれも発光ユニットの辺線に接続された直線を第1の直線、第1の直線の最短長さをWと定義し、光透過性基材に垂直な方向において、発光ユニットの厚さがTであり、TをW未満にすることによって、光抽出機能層が一般的で適用可能な応用条件を満たすことができ、それにより、小面積の発光素子に適用されても、大面積の発光素子に適用されても、顕著な光抽出効果を有し、さらに発光ユニットの発光効率を向上させ、素子の耐用年数を延長させる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
本願の一部を構成する図面は、本願をよりよく理解するようにするためのものであり、本願の例示的な実施形態及びその説明は、本願に対して不当に限定しなく、本願を解釈するためのものである。
【
図1】本出願の実施形態に係るトップエミッション型発光素子の局所断面概略図を示す。
【
図2】本出願の実施形態に係るボトムエミッション型発光素子の局所断面概略図を示す。
【
図3】本出願の実施形態に係る別のボトムエミッション型発光素子の局所断面概略図を示す。
【
図4】本出願の実施形態に係る異なる発光素子において、各出光面における第1の直線セグメントの位置の平面概略図を示し、破線は長さが最も短い第1の直線セグメントである。
【符号の説明】
【0021】
10、光透過性基材;20、発光機能層;210、光透過性電極;220、発光層;230、反射電極;30、光抽出機能層。
【発明を実施するための形態】
【0022】
なお、矛盾しない場合には、本願における実施例及び実施例における特徴を組み合わせてもよい。以下、図面を参照し、実施形態に基づいて本願を詳細に説明する。
【0023】
当業者が本願の手段をよりよく理解するように、以下、本願の実施例の図面に基づてい、本願の実施形態における技術的解決手段を明確かつ完全に説明する。説明される実施形態は、本発明の一部の実施形態にすぎず、すべての実施形態ではない。本願における実施例に基づき、当業者が創造的な作業を行わずに取得されたその他の実施例はすべて、本願の保護の範囲に属する。
【0024】
なお、本願の明細書、特許請求の範囲及び上記図面における用語の「第1」、「第2」などは、特定の順序又は前後の順序を記述するためのものではなく、類似の対象を区別するためのものである。このようにして使用される数値は、本明細書に記載される本願の実施形態によって、適宜交換され得ることが理解されるべきである。さらに、用語の「含む」、「有する」およびそれらの任意の変形は、排他的でないものを含むことを意図するものである。例えば、一連のステップ又はユニットを含む工程、方法、システム、製品、又はデバイスは、必ずしも列挙されたステップ又はユニットに限定されるものではなく、列挙されていない、或いは、関連する工程、方法、システム、製品、又はデバイスに固有の他のステップ又はユニットを含むことができる。
【0025】
背景技術で紹介したように、従来技術での光抽出構造は小面積の発光素子には適用されない。本出願の発明者らは、上記の問題点について研究し、以下の発光素子を提供した。
図1~
図3に示すように、光透過性基材10、隔離構造、発光機能層20及び光抽出機能層30を含み、隔離構造は光透過性基材10の第1の面に設けられ、隔離構造の間に少なくとも1つのサブ領域が形成され、発光機能層20はサブ領域に一対一対応で設けられ、発光機能層20は、光透過性電極210、発光層220及び反射電極230を含み、光透過性電極210と反射電極230とは独立して発光層220の両側に位置し、光抽出機能層30と発光機能層20とは一対一対応で設けられる。
【0026】
上記一対一対応しかつ積層される発光機能層20、光抽出機能層30及び一部の光透過性基材10は、各発光ユニットを構成する。各発光ユニットの構造は、構造A、構造B及び構造Cから選択された1つの構造であり、構造Aは、発光機能層20、光抽出機能層30及び一部の光透過性基材10が順に積層され、構造Bは、発光機能層20、一部の光透過性基材10及び光抽出機能層30が順に積層され、構造Cは、光抽出機能層30、発光機能層20及び一部の光透過性基材10が順に積層され、構造A及び構造Bの出光方向は反射電極230から光透過性基材10への方向であり、構造Cの出光方向は反射電極230から光抽出機能層30への方向である。「一部の光透過性基材」とは、光透過性基材及びその隣接層の接触面に対応する光透過性基材である。
【0027】
上記発光ユニットの出光面の幾何中心を通りかつ両端がいずれも該出光面の辺線に接続された直線セグメントを第1の直線セグメント、第1の直線セグメントの最短長さをWと定義し、
図4に示すように、(a)は菱形、(b)は多角形、(c)は矩形、(d)は楕円形である。光透過性基材10に垂直な方向において、構造A及び構造Bに対して、発光ユニットの厚さから反射電極230の厚さを差し引いた厚さをTと定義し、構造Cに対して、光抽出機能層及び発光機能層の総厚さから反射電極230の厚さを差し引いた厚さをTと定義し、構造A、構造B及び構造Cにおいて、TはいずれもWよりも小さい。
【0028】
各発光ユニットにおける発光機能層が一対一対応でサブ領域に設けられ、すなわち発光ユニットの出光面の形状がサブ領域の横断面の形状に依存し、上記厚さTをW未満にすることによって、光抽出機能層が一般的で適用可能な応用条件を満たすことができ、それにより、小面積の発光素子に適用されても、大面積の発光素子に適用されても、顕著な光抽出効果を有することができ、さらに発光ユニットの発光効率を向上させ、素子の耐用年数を延長させる。
【0029】
いくつかの実施例では、上記隔離構造はグリッド状の立体構造であり、それにより、グリッドの開口は、複数のサブ領域になるように囲む。いくつかの実施例では、隔離構造の材料は光不透過性の絶縁材料である。いくつかの実施例では、隔離構造の高さは発光機能層20の高さと光抽出機能層30の高さとの和よりも大きい。いくつかの実施例では、光透過性基材は薄膜トランジスタアレイ構造を有する重合体又はガラスベースである。
【0030】
いくつかの実施例では、各発光ユニットの出光面のサイズ、例えばWは、顕微鏡撮影などの手段で測定されることができる。
【0031】
各サブ領域又は各出光面は、形状が同じであってもよいし異なってもよく、大きさが同じであってもよいし異なってもよい。いくつかの実施例では、各発光ユニットは、高い光抽出効率を実現するように独立して設計されることができる。
【0032】
本出願の上記発光素子は、複数の発光ユニットを含むことができ、各発光ユニットは、発光機能層20を介して異なる波長の光を発光し、上記異なる波長の光は、異なる単一波長を有する光だけではなく、異なる波帯範囲を有する光として理解してもよい。上記異なる波長の光は、赤色光、緑色光、青色光及び白色光などの異なる色の光であってもよいが、これに限定されない。当業者は、実際のニーズに応じて、発光ユニットの数及び各発光ユニットの発光波長を合理的に選択することができ、それにより、上記発光ユニットは、OLED素子、mini-LED素子及びmicroLED素子を含むLED素子又はQLED素子に適用されることができる。
【0033】
各発光ユニットにおける光抽出機能層30と発光機能層20とは、一対一対応で設けられ、発光機能層20からの異なる波長の入射光が特定の各光抽出機能層を通るとき、異なる波長の入射光に対応する各光抽出機能層30は異なる光抽出の向上比を有し、それにより、発光素子において異なる波長光を発光する発光ユニットの外量子効率を最適化することができ、素子の発光効率を向上させるだけでなく、最終的な各発光ユニットの外量子効率を近接するようにし、同期劣化を実現して、素子の耐用年数を延長させる。
【0034】
上記光抽出の向上比とは、発光ユニットの外量子効率の向上比である。いくつかの実施例では、元の(光抽出機能層が設けられていない場合)外量子効率が最も高い発光ユニットを第1の発光ユニット、元の外量子効率が最も低い発光ユニットを第3の発光ユニット、元の外量子効率が第1の発光ユニットと第3の発光ユニットとの間にある発光ユニットを第2の発光ユニット、光抽出機能層30による第1の発光ユニットの外量子効率の向上比をX
1、光抽出機能層30による第2の発光ユニットの外量子効率の向上比をX
2、光抽出機能層30による第3の発光ユニットの外量子効率の向上比をX
3と定義し、X
1と、X
2と、X
3とは、同じではなく、
のように定義し、nは、1~3から選択されるいずれかの自然数であり、Q
1は各発光ユニットの元の外量子効率であり、Q
2は各発光ユニットの実際の外量子効率である。
【0035】
当業者は、発光色が異なる発光ユニットに対して、効率の抽出比が異なる光抽出機能層30を設けることができる。いくつかの実施例では、第1の発光ユニットは赤色光を発光する発光ユニットであってもよく、第2の発光ユニットは緑色光を発光する発光ユニットであってもよく、第3の発光ユニットは青色光を発光する発光ユニットであってもよい。通常、第1の発光ユニット、第2の発光ユニット及び第3の発光ユニットの元の外量子効率は順に逓減し、RGB(赤緑青)に対応する3つの発光ユニットの元の外量子効率が順に逓減するので、向上比は、X3>X2>X1のように、順次に向上する必要がある。なお、特殊な場合には、上記各発光ユニット間の元の外量子効率は、お互いに近接するか又は逆に超過される可能性がある。上記発光ユニットを有する発光素子はRGB発光素子であってもよいし、RGBW(赤緑青白)発光素子であってもよい。
【0036】
いくつかの実施例では、X2=X1=0、X3>0、又は、X1=0、X2>0、X3>0、又は、X3>X2>X1、又は、X3≦3である。
【0037】
いくつかの実施例では、本出願の発光素子において、各発光ユニットの実際の外量子効率の差は±15%以内である。具体的には、各発光ユニットの実際の外量子効率の差=(各発光ユニットの実際の外量子効率-全ての発光ユニットの実際の外量子効率の平均値)÷全ての発光ユニットの実際の外量子効率の平均値である。
【0038】
いくつかの実施例では、本出願の発光素子において、各発光ユニットの実際の外量子効率の差は±30%以内である。
【0039】
いくつかの実施例では、各発光ユニットの実際の外量子効率の差は±10%以内である。
【0040】
いくつかの実施例では、各発光ユニットの実際の外量子効率の差は±5%以内である。
【0041】
いくつかの実施例では、光抽出機能層30を用いて発光ユニットの外量子効率の向上比を調節できるように、上記光抽出機能層30は、散乱粒子を有する光散乱層であってもよく、散乱粒子は、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化チタンなどを含むがこれらに限定されず、上記光抽出機能層30を形成する原料は、さらに、様々な助剤、重合体、硬化性樹脂などを含むことができる。
【0042】
光抽出機能層30が異なる波長の入射光に対応して異なる光抽出の向上比を持つようにし、異なるエミッション波長を有する発光ユニットの効率を調整するために、いくつかの実施例では、異なる波長の入射光に対応する各光抽出機能層30の厚さは異なり、第1の発光ユニットにおける光抽出機能層30の厚さをH1、第2の発光ユニットにおける光抽出機能層30の厚さをH2、第3の発光ユニットにおける光抽出機能層30の厚さをH3と定義し、H1と、H2と、H3とは、同じではない。
【0043】
別の実施例では、上記光抽出機能層30における散乱粒子の体積百分比を調節することで、発光ユニットの外量子効率の向上比を調節することができ、第1の発光ユニットの光抽出機能層30における散乱粒子の体積百分比をV1、第2の発光ユニットの光抽出機能層30における散乱粒子の体積百分比をV2、第3の発光ユニットの光抽出機能層30の体積百分比をV3と定義し、V1と、V2と、V3とは、同じではない。
【0044】
別の実施例では、上記光抽出機能層30における散乱粒子の屈折指数を調節することで、発光ユニットの外量子効率の向上比を調節することができ、第1の発光ユニットの光抽出機能層30における散乱粒子の屈折指数をK1、第2の発光ユニットの光抽出機能層30における散乱粒子の屈折指数をK2、第3の発光ユニットの光抽出機能層30における散乱粒子の屈折指数をK3と定義し、K1と、K2と、K3とは、同じではない。
【0045】
散乱粒子を有する光散乱層を光抽出機能層30として用いる実施形態の他、上記光抽出機能層30は、均質材料層であってもよい。上記光抽出機能層30が均質材料層である場合、該光抽出機能層30を形成する材料は、高分子樹脂、金属酸化物粒子及び半導体材料から選択されたいずれか一つであってもよい。
【0046】
上記光抽出機能層30は、さらに、屈折指数が徐々に変化する材料層であってもよく、該光抽出機能層30を形成する材料は、高分子樹脂、金属酸化物粒子及び半導体材料から選択された複数の材料であってもよく、例えば、複数種の半導体材料を積層して形成した散乱系であるか、又はスパッタリング雰囲気を徐々に変えることで、金属化合物の成分を微量に変化させて得られた、n値が連続的に変化する金属化合物層であり、その有効屈折指数=(第1の成分の体積分率×第1の成分の屈折指数)+(第2の成分の体積分率×第2の成分の屈折指数)+……(第n(nは1よりも大きい)成分の体積分率×第n成分の屈折指数)である。
【0047】
光抽出機能層30が発光素子に適用される光抽出効果を向上させるために、いくつかの実施例では、T/W≦1/10であり、いくつかの実施例では、T/W≦1/20であり、いくつかの実施例では、T/W≦1/30である。
【0048】
光抽出機能層30が小面積の発光素子においても大面積の発光素子においても顕著な光抽出効果を持つようにするために、いくつかの実施例では、300nm≦T≦1mmであり、W≧3μmである。
【0049】
本出願の上記発光素子において、各サブ領域は光透過性基材10と平行な第1の横断面を有し、該第1の横断面は上記発光ユニットの出光面の形状と同じであり、直線セグメント及び/又は円弧セグメントからなってもよく、例えば、直線セグメント及び円弧セグメントからなる図形、複数の直線セグメントからなる多角形又は少なくとも1つの円弧セグメントで囲まれた図形である。いくつかの実施例では、上記各サブ領域の第1の横断面及びそれに対応する出光面は、矩形、円形、楕円形、菱形又は近似矩形、近似円形、近似楕円形、近似菱形から選択されたいずれか一つである。
【0050】
いくつかの実施例では、上記発光機能層20は、光透過性電極210、発光層220及び反射電極230を含み、光透過性電極210と反射電極230とは独立して発光層220の両側に位置する。発光層220で生じた光は、上記反射電極230により反射され、光透過性電極210を介して光抽出機能層30に透過される。
【0051】
いくつかの実施例では、電界発光を実現するために、上記発光機能層20は、正孔注入輸送層及び電子注入輸送層を含むことでき、正孔注入輸送層及び電子注入輸送層は発光層220の両側に位置し、光透過性電極210は正孔注入輸送層又は電子注入輸送層の発光層220から離れた側に位置する。いくつかの実施例では、上記発光層220は量子ドット材料層又は有機発光材料層であってもよい。いくつかの実施例では、上記正孔注入輸送層は、隣接して設けられた正孔注入層及び正孔輸送層であってもよく、上記電子注入輸送層は、隣接して設けられた電子注入層及び電子輸送層であってもよい。
【0052】
いくつかの実施例では、発光ユニットは、単一の量子ドット電界発光素子QLED、又は単一の有機電界発光素子OLED、又は単一の他の種類の電界発光素子、又は単一の電界-光結合発光素子であってもよい。
【0053】
いくつかの実施例では、各発光ユニットの構造は構造A又は構造Cであり、光抽出機能層30は、光抽出層、及び光透過性電極210と光抽出層との間に位置する界面層(図未示)を含むことができる。いくつかの実施例では、上記界面層の材料の屈折指数は1.7以上であり(好ましくは1.8以上である)、可視光波帯範囲内の透過率は80%を超える。当業者は、実際のニーズに応じて適切な界面層材料及び製造プロセスを選択することができ、また、界面層の厚さを調整することによって界面層の光透過率を変えることもできる。
【0054】
いくつかの実施形態において、上記界面層は、
図1に示す発光素子に設けられ、該界面層は光透過性電極210を保護する役割を果たすことができる。いくつかの実施例では、界面層の材料は、NPB、Alq
3、MoO
3などの様々な蒸着可能材料、又は、窒化ケイ素(SiN
x)、窒化酸化シリコン(SiN
xO
y)などの様々なスパッタリング材料、又は、上記屈折指数及び上記透過率を有するUV硬化性樹脂であってもよい。
【0055】
別の実施形態において、上記界面層は
図2に示す発光素子に設けられ、該界面層は、光透過性電極210を平坦にするように、光抽出機能層30を平坦化することができる。いくつかの実施例では、界面層の材料は、上記屈折指数のUV硬化性樹脂などから選択されることができる。
【0056】
いくつかの実施例では、各発光ユニットの構造は上記構造Bであり、光抽出機能層30は、光抽出層及び界面層(図未示)を含み、界面層は光抽出層の光透過性基材10から離れた側に位置することで、光抽出層を環境の影響から保護し、光抽出機能層の耐磨耗性や耐摩耗性などの性能を向上させる。いくつかの実施例では、上記界面層の材料は、様々なUV硬化性樹脂(熱硬化性樹脂に必要な硬化温度が素子に不利で生産効率が低い)、好ましくは、アクリル酸樹脂、ポリウレタンアクリル酸樹脂など、可視光波帯範囲内の透過率が90%を超え、屈折率が1.5を超えない材料から選択されるが、これに限定されない。
【0057】
いくつかの実施例では、
図1に示すように、本出願の上記発光素子はトップエミッション型発光素子であり、光透過性基材10は発光ユニットの発光機能層20の光抽出機能層30から離れた側に位置する。
【0058】
別の実施例では、
図2に示すように、本出願の上記発光素子はボトムエミッション型発光素子であり、発光ユニットは、光抽出機能層30の発光機能層20から離れた側に位置する光透過性基材10を含む。
【0059】
本出願の上記発光素子がボトムエミッション型発光素子である場合、
図3に示すように、発光素子の構造は、上記実施形態に限られず、例えば、上記発光ユニットは、発光機能層20と光抽出機能層30との間に位置する光透過性基材10を含む。
【0060】
本出願の他の態様によれば、上記の発光素子を含む表示装置を提供し、この場合、該発光素子における隔離構造は画素隔離構造(画素定義層pixel definition layerとも呼ばれ、「Bank」とも呼ばれる)であり、画素隔離構造の間に少なくとも1つのサブ画素領域が形成され、発光機能層20と光抽出機能層30とは、一対一対応でサブ画素領域に設けられる。
【0061】
本出願の他の態様によれば、上記の発光素子を含む照明装置をさらに提供し、この場合、該発光素子における隔離構造は、内部に上記の一つの発光ユニットが設けられるフレームである。
【0062】
以下、実施例及び比較例に基づいて、本出願に係る発光素子についてさらに説明する。
【0063】
実施例1
本実施例に係る発光素子はトップエミッション型発光素子であり、
図1に示すように、順に積層される光透過性基材10、発光機能層20及び光抽出機能層30を含み、発光機能層20は、光透過性電極210、正孔注入輸送層(正孔注入層及び正孔輸送層からなる)、発光層220、電子注入輸送層及び反射電極230を含み、光透過性電極210と反射電極230とは独立して発光層220の両側に位置し、光抽出機能層30は、光抽出層を含む。上記発光素子は、光透過性基材10の第1の面に設けられる画素隔離構造をさらに含み、画素隔離構造の間に3*3*3(3R、3G、3B)個のサブ画素領域が形成される。発光機能層20は一対一対応でサブ画素領域に設けられる。光抽出機能層30と発光機能層20とは一対一対応で設けられ、一対一対応しかつ積層される一部の光透過性基材10、発光機能層20及び光抽出機能層30は各発光ユニットを構成する。各発光ユニットの出光方向は反射電極230から光抽出機能層30への方向であり、厚さTが4μmであり、各発光ユニットの出光面はいずれも矩形であり、最短長さWが20μmである。
【0064】
上記発光ユニットは、赤色光を発光する第1の発光ユニット、緑色光を発光する第2の発光ユニット及び青色光を発光する第3の発光ユニットの数は同じであり、第1の発光ユニットにおける発光層は、CdSe/ZnSである赤色量子ドット、及び溶剤を含む量子ドットインクを乾燥させて形成され、第3の発光ユニットにおける発光層は、CdZnS/ZnSである青色量子ドット、及び溶剤を含む量子ドットインクを乾燥させて形成され、第2の発光ユニットにおける発光層は、CdSe/CdSである緑色量子ドット、及び溶剤を含む量子ドットインクを乾燥させて形成される。
【0065】
上記光透過性電極210はITO陽極(厚さが150nm)であり、正孔注入層を形成する材料はポリエチレンジオキシチオフェン:ポリ(スチレンスルホン酸)であり、正孔輸送層を形成する材料はポリ(N-ビニルカルバゾール)であり、上記反射電極230は陰極であり、材料はAgであり、電子注入輸送層を形成する材料は酸化亜鉛ナノ結晶である。発光ユニットの発光層、正孔輸送層、正孔注入層及び電子注入輸送層の総厚さは150nmである。界面層は100nmのNPB(N,N’-ビス(ナフタレン-1-イル)-N,N’-ビス(フェニル)ベンジジン)膜層であり、真空熱蒸着法により製作される。
【0066】
光抽出層は、体積分率比が50:50の散乱粒子と6108型UVゴムを混合して硬化して得られ、散乱粒子は平均粒径が21nmのP25型二酸化チタンである。光抽出層の厚さは3600nmである。
【0067】
実施例2
本実施例に係る発光素子の実施例1との相違点は、以下のとおりである。
【0068】
厚さTは1μmであり、ここで、発光ユニットの各機能層の総厚さは150nm、光透過性電極ITOの厚さは100nm、界面層NPBの厚さは50nm、光抽出層の厚さは700nmである。上記発光ユニットの出光面の最短長さWは10μmである。
【0069】
実施例3
本実施例に係る発光素子の実施例1との相違点は、以下のとおりである。
【0070】
厚さTは1μmであり、ここで、発光ユニットの各機能層の総厚さは150nm、光透過性電極ITOの厚さは100nm、界面層NPBの厚さは50nm、光抽出層の厚さは700nmである。上記発光ユニットの出光面は楕円形であり、最短長さWが20μmである。
【0071】
実施例4
本実施例に係る発光素子の実施例1との相違点は、以下のとおりである。
【0072】
厚さTは300nmであり、ここで、発光ユニットの各機能層の総厚さは150nm、光透過性電極Ag厚さは15nm、界面層NPBの厚さは20nm、光抽出層の厚さは115nmである。上記発光ユニットの出光面は菱形であり、最短長さWが9μmである。
【0073】
実施例5
本実施例に係る発光素子の実施例1との相違点は、以下のとおりである。
【0074】
発光素子は、
図3に示すように、順に積層される発光機能層20、光透過性基材10及び光抽出機能層30を含み、厚さTは0.7mmであり、ここで、発光機能層の総厚さは150nm、光透過性電極ITOの厚さは150nm、光透過性基材の厚さは約0.7mm、光抽出機能層は800nmであり、総厚さは光透過性基材の厚さに近く、すなわち0.7mmであり、(ここで、光抽出層はベースの素子から離れた外側に製作され、界面層は必要とされない)上記発光ユニットの出光面の最短長さWは35mmである。
【0075】
実施例6
本実施例に係る発光素子の実施例1との相違点は、以下のとおりである。
【0076】
発光素子は
図2に示すように、順に積層される発光機能層20、光抽出機能層30及び光透過性基材10を含み、厚さTは50μmであり、ここで、発光機能層の厚さは150nmであり、光透過性電極ITOの厚さは200nmであり、界面層の厚さは2.15μmであり、光抽出層の厚さは2.5μmであり、光透過性基材の厚さは45μmである。上記発光ユニットの出光面の最短長さWは2mmである。
【0077】
比較例1~6
上記各比較例は、実施例1~6において光抽出機能層30が設けられない発光素子をそれぞれ提供する。
【0078】
各実施例及び比較例の厚さ測定方法はDEKTAKXT型段差計、長さの測定機器は顕微鏡である。
【0079】
上記実施例1~6及び比較例1~6における発光素子の外量子効率を測定し、QLED素子の性能測定方法は主に2つの部分に分けられる。第1の部分は主にKeithley2400デジタルソーステーブル及びプローブシートからなり、主に素子の電圧(V)及び電流(I)信号を測定し、素子の動作際の電圧(V)一電流密度(J)曲線図及び単位時間内に素子を通過する電子数を得る。第2の部分は主に積分球、光ファイバー及びスペクトロメータ(QE65000又はQEPro)からなり、主に素子の正面が発光するスペクトルデータ(発光ピーク位置、半ピーク幅及び発光光子数を含む)を測定する。上記の2つの部分のデータをまとめると、式に基づいて素子の外量子効率(EQE)を計算することができる。1000nitのホワイトフィールドで(1000nitのホワイトフィールドは、それぞれ、300nitの赤色光、600nitの緑色光及びl00nit青色光からなる)、輝度が980nit(T98)まで減衰するにかかる時間を点灯測定し、測定結果を表1に示す。
【0080】
【0081】
上記測定結果から分かるように、比較例において光抽出機能層が設けられない発光素子に比べて、上記実施例では、小面積の発光素子においても大面積の発光素子においても、光抽出機能層を追加することで、素子の外量子効率を向上させ、T/Wの比が大きくなるにつれて、向上比が顕著に向上し、輝度が初期輝度の98%まで減衰するにかかる時間T98から、光抽出機能層を持つ素子の耐用年数が著しく延長されることがわかる。第1、2群の素子において、T/Wの比が5及び10倍ほどだが、外量子効率の向上比はほぼ24%及び45%である。第5群の素子は特殊であり、光抽出機能層は基板モード(substrate wave guilded mode)における光(すなわち、いわゆる外部光抽出であり、他は、いずれも内部光抽出である)しか抽出できないため、T/W比が大きくても、外量子効率の向上比が50%ほどであり、第1、第2群の素子に比べて、向上比が著しく向上される(上記第1群の素子は実施例1及び比較例1であり、他も同様である)。
【0082】
いくつかの場合において、発光素子の出光面の大きさが厳しく制限され、すなわち画素が小さくなり、外量子効率をできるだけ向上させようとすると、T/Wの比をできるだけ小さくし、高い向上比を取得するために、素子の光出力通路を注意深く設計する必要がある。
【0083】
これに加えて、実施例1~6の素子について目視および顕微鏡観察を行ったが、実施例5では、目視するとき、発光領域の縁が不明瞭であり、残りの実施例では、光混合やぼやけの現象が見られない。ここで、
図2の構成は、照明装置に適されるが、
図1及び
図3の構造は、実際の状況に応じて、表示装置に用いるために、光経路を合理的に設計および制御することができる。
【0084】
比較例7
本比較例に係る発光素子の実施例5との相違点は、上記発光ユニットの出光面の最短長さWが0.7mmである点である。
【0085】
比較例8
本比較例に係る発光素子の実施例5との相違点は、上記発光ユニットの出光面の最短長さWが0.5mmである点である。
【0086】
比較例9
本比較例に係る発光素子の比較例7との相違点は、発光素子に光抽出機能層30が設けられない点である。
【0087】
比較例10
本比較例に係る発光素子の比較例8との相違点は、発光素子に光抽出機能層30が設けられない点である。
【0088】
なお、比較例7~10は、従来技術ではなく、発明者により設計された対照実験である。上記比較例7~10における発光素子の外量子効率及びT98を測定し、測定結果を表2に示す。
【0089】
【0090】
表1及び表2の測定結果から分かるように、T=W又はT>Wの場合、光抽出機能層が設けられるかどうかにかかわらず、素子の外量子効率は、T<W場合の素子外量子効率よりも低く、輝度減衰はT<W場合の減衰よりも著しく速い。また、T=W又はT>Wの場合、光抽出機能層の導入により素子効率を低減させ、後者(T>W)の場合、低減幅がより大きく、それにより、素子輝度減衰もより速い。
【0091】
以上の説明から分かるように、本願の上記実施例は、以下のような技術的効果を奏することが分かる。
【0092】
発光ユニットの出光面の幾何中心を通りかつ両端がいずれも出光面の辺線に接続された直線の最短長さをWと定義し、上記厚さTをW未満にすることによって、光抽出機能層が一般的な適用可能な応用条件を満たすことができ、それにより、小面積の発光素子に適用されても、大面積の発光素子に適用されても、顕著な光抽出効果を有し、さらに発光ユニットの発光効率を向上させ、素子の耐用年数を延長させる。
【0093】
以上説明したのは、本願の好適な実施形態にすぎず、本願を限定するものではなく、当業者にとって、本願は様々な変更及び変更が可能である。本出願の精神と原則内で行われたすべての修正、同等置換や改善などは、本出願の保護範囲に含まる。
【手続補正書】
【提出日】2022-07-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0081
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0081】
上記測定結果から分かるように、比較例において光抽出機能層が設けられない発光素子に比べて、上記実施例では、小面積の発光素子においても大面積の発光素子においても、光抽出機能層を追加することで、素子の外量子効率を向上させ、T/Wの比が小さくなるにつれて、向上比が顕著に向上し、輝度が初期輝度の98%まで減衰するにかかる時間T98から、光抽出機能層を持つ素子の耐用年数が著しく延長されることがわかる。第1、2群の素子において、T/Wの比が1/5及び1/10ほどだが、外量子効率の向上比はほぼ24%及び45%である。第5群の素子は特殊であり、光抽出機能層は基板モード(substrate wave guilded mode)における光(すなわち、いわゆる外部光抽出であり、他は、いずれも内部光抽出である)しか抽出できないため、T/W比が小さくても、外量子効率の向上比が50%ほどであり、第1、第2群の素子に比べて、向上比が著しく向上される(上記第1群の素子は実施例1及び比較例1であり、他も同様である)。
【国際調査報告】