(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-01
(54)【発明の名称】組み合わされた重力水圧式電気エネルギー貯蔵システム
(51)【国際特許分類】
F03B 17/06 20060101AFI20230125BHJP
【FI】
F03B17/06
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022529790
(86)(22)【出願日】2020-11-11
(85)【翻訳文提出日】2022-07-06
(86)【国際出願番号】 RO2020050010
(87)【国際公開番号】W WO2021101399
(87)【国際公開日】2021-05-27
(32)【優先日】2019-11-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】RO
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522200487
【氏名又は名称】ラレシュ-アレクサンドル・グルドゥシュ
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(72)【発明者】
【氏名】ラレシュ-アレクサンドル・グルドゥシュ
【テーマコード(参考)】
3H074
【Fターム(参考)】
3H074AA12
3H074BB07
3H074CC35
(57)【要約】
本発明によるシステムは、加重されたピストン(30)を備え、鉄筋コンクリート壁を備え、水で満たされた、円柱(10)の内部で垂直に持ち上げることによって、重力ポテンシャルエネルギーを蓄積させる役割を有し、ピストン(30)には中央に、衝動タービンを使用して加圧水を円柱の基部から発電システム(50)に導く高圧パイプ(20)が提供され、電力生産(50)のサイクル内で機械加工された水は、ピストン上方で円柱(10)内へと放出され戻る。電気ネットワークからのエネルギーの吸収および貯蔵サイクルについて、システムは、ピストン(30)上方の水を引き受け、ピストン(30)下方の高圧チャネル(20)内へ挿入する、電気エネルギー吸収システム(60)も備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
組み合わされた重力水圧式電気エネルギー貯蔵システムであって、水で満たされた円柱形状のタンク内に置かれた重ピストンであって、その周囲からの漏れを防ぐためのスライド式ガスケットが設けられた重ビストンと、前記タンクの底部からの水流を、地表面に位置する電気機械に結合されたタービンにつなぐ垂直戻りパイプとを備え、前記ピストン(30)は、均一な質量分布のために前記ピストンの表面上に対称的に固定された高容量質量密度の材料のブロック(31)により加重され、鉄筋コンクリート壁を備え鋼製ライナ(11)によって覆われた内面を有する円柱(10)内部で、それを垂直に持ち上げることによって、ポテンシャル重力エネルギーを蓄積させる役割を有し、前記円柱は水で満たされ、前記ピストン(30)は、ローラーガイド(35)を用いて前記円柱(10)の前記壁上をガイドされ、高圧チャネル(20)が位置付けられた前記円柱の軸において中央に円形開口が設けられ、前記ピストン(30)は、前記円柱(10)の前記鋼製ライナ(11)および前記圧力チャネル(20)の両方に関して、絶縁ガスケット(32、33)が設けられ、前記圧力チャネル(20)は、前記ピストン(30)の中心を通り、衝動水力タービンを使用して前記円柱の基部から発電システム(50)へと加圧水を導き、前記圧力チャネル(20)は、頂部で密閉および脱気され、前記発電システム(50)により電力生産のプロセス内で使用される前記水は、前記ピストン(30)上方で、大気圧で戻りチャネル(25)を介して前記円柱(10)内へと放出され戻り、電気ネットワークからの電気エネルギーの入力および貯蔵のサイクルのために、それは固定および可変流を伴う高圧ポンプを備える電気エネルギー入力システム(60)も備え、該高圧ポンプは、前記戻りチャネル(25)を介して前記ピストン(30)上方から前記水を取り込み、それを前記ピストン(30)下方の前記圧力チャネル(20)内へと導入し、それを上昇させることを特徴とする、組み合わされた重力水圧式電気エネルギー貯蔵システム。
【請求項2】
請求項1に記載の電気貯蔵システムであって、前記円柱(10)は、所望の貯蔵容量に応じて、数メートルまたは数十メートル程度の大型円柱水盤であり、地表面下に構築され、ストランドホールが設けられた円柱シェルセグメント(12)の形のプレキャスト・コンクリートセグメントを接合することによって組み立てられる前記壁を有し、前記コンクリートセグメント(12)は、取り外し可能接続要素(72)を用いて適所に取り付けられ、いくらかの鋼製ストランド(15)でポストテンショニングされ、前記円柱(10)は、前記頂部において、前記円柱(10)と同じ直径を有する円柱カラーと共に下方へと続き、基礎(71)上に存在する高密度の鉄筋コンクリートスラブ(70)が設けられ、前記底部において逆ドーム(40)が設けられ、前記円柱の前記壁は、前記ピストン(30)が容易にスライドできるように、円柱ライナセグメントによって作られた高品質鋼製ライナ(11)を用いて内側において裏打ちされ、動作中の地中での膨張および圧縮を引き受けること、ならびに、前記地中からの水に対する構造物の保護を可能にする役割を有する防水加工(19)が外側において施される、電気貯蔵システム。
【請求項3】
請求項2に記載の電気貯蔵システムであって、前記円柱(10)は、前記圧力チャネル(20)のためのクランプ突起(41)が設けられ、該圧力チャネルは、水循環のための空間が設けられた前記突起(41)の間に排水口(29)も構成する、電気貯蔵システム。
【請求項4】
請求項1に記載の電気貯蔵システムであって、前記ピストン(30)は、工場で機械加工され現場で取り付けられたスチールで作られ、上部表面上には、工場で機械加工され水との接触から分離された前記ブロック(31)と、その水平位置を保証する役割を有する前記ローラーガイド(35)とが取り付けられ、前記ピストン(30)の下部表面上には、その縁部に、円形水圧絶縁ガスケット(32)上の前記圧力を、前記円柱(10)の前記鋼製ライナに関して勾配で放出するモノリシック・スチールガイド(36)が設けられ、前記ピストン(30)が前記圧力チャネル(20)と交差する中央部分には、前記圧力チャネル(20)の外側壁に対する別の円形水圧絶縁ガスケット(33)上の前記圧力を勾配でアンローディングすることを保証するために、モノリシック・スチールガイド(37)が設けられた、電気貯蔵システム。
【請求項5】
請求項1に記載の電気貯蔵システムであって、前記高圧チャネル(20)は、高品質スチールで作られた、上端に少なくとも1つのエルボを備える円柱パイプであり、セクション(21、22)において製造され、端部では、最小の条痕が前記ピストンの円形ウォータシール(33)にさらされることを可能にするために、接合フランジ(27)が設けられ、上部セクション(21)は、精密なさね継ぎ(26)によって下部セクション(22)に取り付けられ、固定グリップは、対応するフランジ(27)、および、取り外し可能接合要素(25)を用いて、前記高圧チャネル内部に作られ、前記セクション間の前記接合部では、いくらかのゴム製ガスケット(24)に対応するホールが、前記フランジに設けられた、電気貯蔵システム。
【請求項6】
請求項1に記載の電気貯蔵システムであって、前記ピストン(30)は、前記円柱(10)の前記鋼製ライナ(11)に関して円形水圧絶縁ガスケット(32)上の前記圧力を勾配で放出するように設計されたモノリシック・スチールガイド(36)が設けられた、電気貯蔵システム。
【請求項7】
請求項1に記載の電気貯蔵システムであって、前記ピストン(30)は、前記高圧チャネル(20)の前記外側壁に関して円形水圧絶縁ガスケット(33)上の前記圧力を勾配で放出するように設計されたモノリシック・スチールガイド(37)が設けられた、電気貯蔵システム。
【請求項8】
請求項1に記載の電気貯蔵システムであって、0~100%の範囲内で調整可能な入力電力の範囲を伴う前記電気エネルギー入力システム(60)は、固定定格出力を備え、電力/速度調整のない電気モータによって駆動される複数の一定圧力および一定流量のポンプが設けられ、0~100%の範囲内で継続的に調整するために、一定圧力であるが変流量の、電力/速度制御調整が設けられた電気モータによって駆動される1つまたは複数のポンプを使用する、電気貯蔵システム。
【請求項9】
請求項1に記載の電気貯蔵システムであって、0~100%の範囲内で調整可能な出力電力の範囲を伴う前記電気発生システム(50)は、発電機に接続され、各々が0~100%の範囲内の流量制御を伴う1つまたは複数のペルトンタービンを備えた、電気貯蔵システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[001]組み合わされた重力水圧式(gravitational-hydraulic)電気エネルギー貯蔵システムは、主に、グリッドが余剰電気エネルギーを生産する期間中に、多くの/相当な量のエネルギーを消費のピーク期間中に供給するために貯蔵するように使用される、電気グリッド動作を対象としている。システムは、動作中の環境コストおよびリスクのないエネルギー貯蔵を提供し、製品寿命が尽きたときに100%リサイクル可能な材料から構築される。初期の環境コスト(たとえば、CO2フットプリント)は驚くほど少なく、環境リスクが高い材料は使用されていない。システムは、100%消費者プロファイリングされた電気グリッド動作を記憶および提供するために、任意のグリーンエネルギー生産システムのためのバッファとして働くことができる。
【背景技術】
【0002】
[002]AGIR公報、付録1/2015の論文「Energy storage systems,a solution for optimizing the operation of electricity networks to which intermittent renewable sources of various energy storage systems are connected(エネルギー貯蔵システム、様々なエネルギー貯蔵システムの断続的な再生可能源が接続される電力網の動作を最適化するためのソリューション)」において、いわゆる「揚水式水力システム(PHS)」を含む、電気の貯蔵に関するいくつかの技術が記載されている。これは、システムが余剰電力を生産する期間または時間間隔中に、上流水盤(上部タンク)において、タービンの排水口に位置する水盤(水力発電プラントの動作中に集められる、下部タンク)から廃水を汲み上げることによってエネルギーを貯蔵する、「水力ポンプステーション」からなる。こうした水力ポンププラントは、下部廃水収集水盤を必要とし、通常は、可能な限り効率を上げるために、フランシスまたはカプランから導出される可逆タービン-発電機アセンブリを使用するが、非常に大量の水を要するという欠点を伴う。景観および河川に与える重大な影響に起因して、こうした技術の環境コストは極端に高い。
【0003】
[003]http://www.gravitypower.net/technology-gravity-power-energy-storage/のサイト上には、重力電力モジュール(GPM-Gravity Power Module)が提示されており、水で満たされた深い井戸または坑道内に置かれた非常に大型のピストンを備え、ピストンには、周囲からの漏れを防ぐためのスライド式ガスケットと、ピストンの底部を地表面に位置する電気機械に結合された可逆フランシスタービン型に接続する、ピストンの外側に位置する垂直戻りパイプと、が提供される。ピストンは、強化岩またはコンクリートで作られる。井戸は動作の最初にいったん水で満たされ、その後閉じられて、この最初の充填後には追加の水は必要ない。ピストンが降下して電気が作り出されると、貯蔵井戸から戻りパイプを介し、またタービンを介して水を上昇させ、電気機械を発電機モードで回転させる。エネルギーを貯蔵する必要があるとき、電気機械は幹線から電力が供給されるモータモードで制御され、水を戻りパイプで降下させるために、井戸の基部で同じタービン(可逆)をポンプモードで回転させ、ピストンを上昇させる。GPMモジュールはアイデアレベルでのみ提示され、可逆技術(可逆タービン/発電機グループ)の使用は、制限された(20~30バール)圧力は効率が低く、MWh当たり最大水量の貯蔵を必要とするという欠点を有する。
【0004】
[004]特許文献から、2014年12月31日公告の「Hydropower system for storage of wind energy(風力エネルギーを貯蔵するための水力発電システム)」と題するCN204061053(U)の発明が知られている。この発明に従ったシステムは、どちらも沿岸地域に配置された、第1の垂直井戸および第2のより深い垂直井戸、第1の垂直井戸の下部に位置する水力発電ユニット(タービン-発電機グループ)、ならびに、第2の垂直井戸の下部に配置されたポンプのグループからなる。地中線を介して余剰電力を供給する水力発電ユニット内の第1の垂直井戸内に、海水が注入される。その後、水は、第2の垂直井戸の基部においてパイプを介して導かれ、外部風力タービンによって駆動されるポンプのグルーブによって、水盤内で地表へとポンプで汲み上げられる。したがって、プール用水は、風力エネルギーをポテンシャルエネルギーの形で貯蔵し、その後、発電のために使用することができる。
【0005】
[005]2012年8月30日公告の「Electric power storing device for storage tank power plant, recovers potential energy generated by emptying tank into surrounding waters using pump devices under application of electric energy, during filling of tank(電気エネルギーの印加の下で、ポンプデバイスを使用してタンクを周辺水域内に空にすることによって発生するポテンシャルエネルギーを、タンクの充填中に回収する、貯蔵タンク発電プラント用の電力貯蔵デバイス)」(Werner RAU)と題する、DE102011012261(A1)の発明も知られている。デバイスは、何らかのバラスト材料(たとえば、砂利、コンクリート)の上に水で満たされたタンクを有し、タンクは海底に配置される。タンクは、圧縮なしの空気交換、およびタンクを空にすることによる水の上の空気室形成を可能にするように、パイプまたはホースを介して外気に接続される。吸入バルブ、電気モータ/発電機に結合された逆タービンを介して、水は、外側からタンクに送られるか、または内側から周辺水域にポンプで汲み戻されるかのいずれかである。電気エネルギーの印加の下で、水圧または空気ポンプデバイス(hydraulic and pneumatic pump device)を使用してタンクを周辺水域内に空にすることによって発生するポテンシャルエネルギーは、タンクの充填中に回収される。水の流量は、逆タービンおよび電気モータ/発電機の電力が電気グリッドの要件に適合されるように調節される。
【0006】
発明は、低効率を有する可逆技術(可逆タービン/発電機グループ)を使用する。
[006]さらに、2012年3月1日公告の「Generator system for water tank(貯水タンク用発電機システム)」(Myung Hoe KOO)と題する米国特許出願公開第2012/0049673号の発明も知られている。この発明は、頂部開口および底部開口を有する円柱形状の貯水タンクと、貯水タンクを貯水タンクの底部開口の近くで接合される第1の垂直柱および第2の垂直柱に分割する、貯水タンク内に垂直に配設された隔壁とを備える、発電機システムを提供する。円柱板の各々が、貯水タンクの対応する垂直柱を介してピストン運動を実行するように配設および構成され、前記円柱板はロープを介して滑車によって接続され、水が下方のみに流れるようにするために、各々が複数の単方向ホールを有する。ソーラーパネルによって電力が供給される電気モータが、第1の円柱板または第2の円柱板を交互に持ち上げるために滑車を駆動させる。タービン発電機が、円柱板を落下させることによって生成される水流を用いて電力を生成するために、貯水タンクの底部開口に配設され、貯水タンクの底部開口に配設された下端と貯水タンクの頂部開口へと開いた上端とを有する戻りパイプが、タービン発電機から貯水タンクへと水を戻すために提供される。
【0007】
タービンの効率は、戻りパイプ内の水柱によって下げられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
[007]本発明によって解決される技術的問題は、重力水圧式電気エネルギー貯蔵システム内に貯蔵されるMWh当たりに必要な水容量の削減、したがって、構築される容量当たりの高い貯蔵エネルギー密度である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
[008]本発明による、組み合わされた重力水圧式電気エネルギー貯蔵システムは、均一な質量分布のためにピストンの表面上に対称的に固定された、高容量質量密度の材料のブロックが加重/搭載された、大型重ピストンを備え、鉄筋コンクリート壁および高品質鋼製ライナを備える水で満たされた円柱内部で、垂直に持ち上げることによって、ポテンシャル重力エネルギーを蓄積させる役割を有し、ピストンは、何らかのガイドを介して円柱の垂直壁上をガイドされ、円柱の軸の中央に円形開口が提供され、ピストンを通過し、衝動タービンを使用して円柱の基部から発電システムへと加圧水を導く、高圧チャネルが存在し、排出チャネルは頂部で密閉および脱気され、電力生産のサイクル内で使用される水は、ピストン上方で、大気圧において戻りチャネルを介して、円柱内へと放出され戻り、電気ネットワークからのエネルギーの吸収および貯蔵のサイクルのために、高圧ポンプおよび変流量のシステムも含み、このシステムはピストン上方の水を取り込み、戻りチャネルを介してこれを圧力チャネル内へと導入し、ピストン下方でこれを上昇させ、それによってエネルギーを蓄積させる。
【0010】
[009]従来技術との関連で、本発明による重力水圧式サイクル組み合わせ電気貯蔵システムは、下記の利点を有する。
- 動作中、環境コストはゼロおよび環境リスクはゼロである。システムは閉じているため、環境との間で物質は交換されず、漏出の場合、内部流体(水)は環境に対して中性である。タービンまたはポンプの障害の場合、標準PHSシステムにおけるように、油は自由流水内に解放されない。構造は、作業に投入する材料および機器の極端に低いカーボン・フットプリントで貯蔵されたMWh当たりの極端に低い平均コストと競合する。プラントのライフサイクルの終わりに、内部のすべての材料は100%リサイクル可能である。
【0011】
- 貯蔵される水のMWh当たりの減少した水量が、完全な閉サイクルにおいて100%再利用されることが必要である。
- システムは、入力および出力用の別個の機器を有するため、オフピーク時間帯(2から6時、または余剰グリーンエネルギーが利用可能であるとき)のフルローディングおよびピーク時間帯(6から18時、グリーンエネルギーがわずかに利用可能であるかまたは利用不可であるとき)のアンローディングを可能にするために、不均一に寸法を決めることができる。
【0012】
- グリッド動作は、制御不能なグリーンエネルギー(すなわち、風、太陽、波など)の100%計画された使用に適した、電力の入力または出力の、いずれかの動作感覚で100%プロファイリングされる。
【0013】
- インストールされた出力容量の0から100%の間の電力生産の連続変化が、小/中位の分布グリッドに関して消費者を完全にプロファイリングすることができる。
- インストールされた入力容量の0から100%の間の電力の連続吸収が、小/中位の制御不能な発電容量に関して、生産を完全にプロファイリングすることができる。
【0014】
- 機器の機械的/電気的保守コストのみで、無制限の理論上のローディング-アンローディングサイクル数を可能にする。
- 理論上無制限の貯蔵、期間中の損失なしに、エネルギーの長期貯蔵を可能にする。
【0015】
- 小さい設置面積および特別な地球物理学的要求のないことに起因して、こうしたユニットのグリッド変電所近くへの設置を可能にする。
- 占有地域が極端に小さいため、こうしたユニットの過密地域(市街地域)内での設置を可能にし、完全に地下の構造が、他の目的で、加えてランドマークへの影響なしに、地表からの土地の再利用を可能にする。
【0016】
[010]本発明の実施形態が、
図1~
図6に関連して下記に与えられる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明による、組み合わされた重力水圧式電気貯蔵システムを示す概略図である。
【
図2】円柱壁/円柱水盤の設計詳細を示す図である。
【
図5】
図5aは円柱のコンクリート壁についての設計を示す概略図である。
図5bは円柱のプレキャスト・コンクリートセグメントについての設計を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[011]本発明による組み合わされた重力水圧式電気エネルギー貯蔵システムは、接続された電気ネットワークが余剰電力を生産する期間または時間間隔中、あるいは、ユニットのオペレータがエネルギーを貯蔵するように決定したとき、エネルギー吸収および貯蔵サイクルで動作し、および、ピーク消費期間中、またはユニットのオペレータがエネルギーを抽出するように決定したとき、ネットワークに対する電力生産のサイクルで動作する。システムは、ピーク消費期間中に使用されるべき、制御不能な再生可能エネルギー(風および/または太陽)の長期または短期貯蔵にも使用可能である。システムは、(適切な寸法決定/適正なサイズ決定を伴う)発電変動に関わらず、小~中位グリッドに、100%消費者がプロファイリングした電力を提供するようにも構成可能である。
【0019】
[012]
図1を参照すると、重力水圧式サイクル組み合わせ電気貯蔵システムは、軸内に高圧チャネル/パイプ20を有する、高圧に耐えるための鉄筋コンクリート壁および高品質鋼製ライナを備える直円柱10からなり、円柱内には、可動式大型重ピストン30が存在し、ピストン30は、ピストンの下方および上方が水で満たされた円柱10内部で垂直に持ち上げることによって、ポテンシャル重力エネルギーを蓄積させる役割を有する。ピストン30には、中央に、高圧チャネル20がピストン30を通過できるようにするための円形開口が提供され、前記高圧チャネル20は上端に少なくとも1つのエルボを有する。エネルギーの吸収および貯蔵サイクルにおいて、ピストン30上方の水は、高圧チャネル20を介して電力入力システム60による圧力の下でポンプによって汲み上げられ、ピストン下方で、これを上昇させるため、重力ポテンシャルエネルギーを蓄積させ、電力生産のサイクルにおいて、円柱10の基部からの加圧水は高圧チャネル20を介して発電システム50へと導かれ、同時にその重力ポテンシャルエネルギーを使用してピストン30を押し下げる。高圧チャネル内の圧力は、ピストン30の位置に関わらず一定であるため、入力60および出力70エネルギーシステムは、容易に設計可能である。発電サイクルにおいて処理された水は、水の上層において円柱10を充填させ、水盤が構築される地理的地域特有の凍結深度より下に構築される、大気圧における戻りチャネル25を介して、ピストン30上方の円柱10内へと放出され戻る。したがって、円柱10内の水は閉回路内で使用され、システムの動作中の蒸発損失によってのみ補償され、霜から保護される。
【0020】
[013]円柱10は、所望の貯蔵容量に応じて、数十メートルの直径および高さを伴う、大型寸法の直円柱水盤である。これは、下記で説明する方法によって、地表面下に構築される。円柱10は、プレキャストのプレテンショニングされた円柱シェル/空洞セグメント12(こうしたコンクリートセグメントの一例が
図5bに示される)の形の、プレキャストコンクリートから作られる壁を有し、前記コンクリートセグメントは鋼製ストランドでポストテンショニングされ、前記円柱10は、頂部において円柱カラー70(
図6に示される)が提供され、底部において逆位置決めされたドーム40が提供される。円柱10内部は高品質鋼製ライナ11によってコーティングされる。円柱10は水で満たされ、ピストン30は水容量内部にある。ピストン10には、高容量質量密度を備える材料のブロックで作られた重り31が装填され、ピストン30の表面上に対称的に固定される。ピストン30上方は、戻りチャネル25の上部に沿うように記述された円柱の上位まで水である。重り31は、設置プロセスで配置されるピストンの表面上に対称的に、均一な質量分布の範囲で正反対の位置にペアで同時に、固定される。
【0021】
[014]円柱10内で軸方向に、高圧チャネル20が存在し、これが圧力下で、衝動タービン、たとえばペルトンタイプで作られる発電システム50に水を導く。高圧チャネル20の底部に給水-排水口29が提供され、これを介して、動作サイクルに応じてピストン下方に水が導入または抽出される。高圧チャネル20は頂部で密閉および脱気される。発電システム50内で処理された水は、戻りチャネル25を介して円柱10内へと放出され戻り、チャネルは大気圧である。外部からエネルギーを入力するために、入力システム60は高圧ポンプシステムを含み、変流量は(ピストン30上方の)戻りチャネル25から水を取り込み、これを高圧チャネル20内へと導入し、ピストン30下方へ押し入れるため、ピストン30を持ち上げ、ポテンシャルエネルギーを蓄積させる。2つの水回路は完全に分かれている。高圧回路は円柱の基部から始まり、タービンアクセス弁(発電サイクルでのみ開く)、および、高圧ポンプの排水口にある一方向弁(エネルギー吸収および貯蔵サイクルでのみ開く)で終わる。
【0022】
[015]水は非圧縮性の液体であるため、ポテンシャルエネルギーを伝達するための理想的な媒介である。エネルギーは、ピストン30の垂直位置を介してシステム内部に貯蔵される。円柱10はピストンの下方および上方が水で満たされ、ピストン30の垂直位置に関わらず、高圧チャネル29内の圧力は一定である。少量の水を使用するためには、(装填重り31と合わせた)ピストン30の総重量が高いことが必要であり、ピストン30の総重量が高いほど、静水圧は高いため、水1立方メートル当たりのシステム内に貯蔵されるエネルギー量は高くなる。
【0023】
[016]一実施形態例において、円柱10は、約数十メートル/20~100mの間の深さhおよび10から75mの間の直径Dで、地表面下に建設される。円柱はプレテンショニングされたプレキャスト・コンクリートセグメント12で作られ、鋼製ストランド15と接合およびポストテンショニングされ、高品質鋼製ライナ11で内部がコーティングされる。
図2には、円柱壁10の詳細が示されている。円柱の垂直壁の内面には、高品質鋼製ライナ11が存在し、ライナセグメントは工場で製造され、現場で設置、溶接、および修正され、それによってピストン30を容易にスライドさせること、および、プレキャスト・コンクリートセグメント12間の接合部から水平せん断区域内の圧力を利用することが可能になる。高品質鋼製ライナは、円柱10内のフープ応力を利用するために、プレテンショニングされたセグメントとの組み合わせで働き、鋼製ストランドでポストテンショニングもされる。円柱の垂直壁の外面には防水加工19が施され、建設および動作中の地中での膨張および圧縮を引き受けることを可能にする働きもする。
【0024】
[017]高動作圧力でのシステムの、可能な最低建設コストとの整合性を保証するために、プレテンショニングされたプレキャスト・コンクリートセグメント12は、製造プラント内で制御された様式で製造され、一体成型前にプレテンショニングされ、円柱10の外側になる部分にホールが提供され、それを介して高品質鋼製ストランド15が引かれる。これらは、設置後、ピストン30の重り装填31から取得される静水圧に等しい、高品質鋼製ライナ11の付加抵抗との平衡を保つために必要なフープ応力まで、現場でポストテンショニングされるため、壁内のコンクリートは、最大効率のためにピストンの位置に関わらず圧縮されたときにのみ働くことになる。また、プレテンショニングされたプレキャスト・コンクリートセグメント12には、縁部で、製造プラントから、それらの間での組み立てのための何らかの接続要素72への何らかのアクセス場所が提供され、また、ストランド・テンショニングデバイスとストランドホールとの間に必要なギャップも提供される。実施形態において、前記ストランドホールは、コンクリートセグメント12の長さまでの内部環状平行チャネル/ホールの形状を有する。
【0025】
[018]既製ユニットの組み立て設計が、
図5aに示される。既製要素、すなわちプレテンショニングされたプレキャスト・コンクリートセグメント12は、ねじとナットタイプの取り外し可能接続要素72を用いて適所に取り付けられる。既成要素12は交互に(垂直にジグザグ状に)取り付けられるため、ストランドホールは
図5aに示されるように途切れなく続くが、連続する接合線は回避する。ピストン30において、下方の静水圧は非常に高く(200~500バール)、上方の静水圧は低い(0~10バール)ため、一定の/著しい円形せん断力につながる。これを引き受けるために、プレテンショニングされたプレキャスト・コンクリートセグメント12は、連続する接合線を回避し、したがって接合部に必要な抵抗を(および、暗黙にコストを)低減させるために、交互に精密に組み立てられる。高品質鋼製ライナ11の変形を避けるために、高品質鋼製ストランド15の設置およびテンショニングの後、接続要素72およびストランド15の伸張要素へのアクセスポイント、ならびに要素間の接合部は、サイト内で高密度コンクリートを用いて密閉される。
【0026】
[019]
図6を参照すると、地表(後の円柱10の上部周辺)での提案されるサイト設計が示され、基礎71は、地形の地形学的特徴および円柱10の寸法、ならびに、重り31を含むピストン30の提案されるその後の重さに従って、寸法が決定される、円形リングの形状に作られる。基礎71の上に、高密度の鉄筋コンクリートスラブ70が現場で構築され、円柱10と同じ提案される直径を有する円柱ネックと共に下方へと続き、プレテンショニングされたプレキャスト・コンクリートセグメント12を留める/取り付けるために必要な接続要素72も含む。建設は、既製品12の設置、ストランド15の設置、高品質鋼製ライニング11の取り付けのために、掘削の底部からの容易なアクセスを保証するように、設計されたプレテンショニングされたプレキャスト・コンクリートセグメント12のサイズに応じて、ステージ内を下方へ掘り下げることによって実施される。設計された設置の最低(最下)レベルに達すると、底部逆ドーム40は鉄筋補強され、サイト内でフォームコンクリートが注入され、逆底部ドームの鉄筋補強、および、給水-排水口29のために高圧チャネル20に接続された何らかのクランプ耳41を提供し、水循環のためにクランプ耳41の間に空間が提供される。つかみ突起は、高圧チャネル20によって印加される上方への力の放出が、底部逆ドーム40の補強に向かうものであることを保証しなければならない。逆ドームは、独自のシステム重りを使用して高圧チャネルを固定させるために必要な基礎を提供する範囲で設計され、したがって建設コストがさらに削減される。
【0027】
[020]高圧チャネル20は、高品質スチール(たとえば、EN10027-2に従ったスチール1.5423であるが、他の使用可能な変形態を除外するものではない)で作られ、1~10mの間の直径Dを有し、サイトアクセス制約およびコスト分析に依存して、3~12mの間の長さのセクション内の製造施設で製造される。スチールセグメントが製造され、表面は1mmより良好な許容誤差で補正され、端部では、最小の条痕がピストン円形ウォータシール/絶縁ガスケット33にさらされることを可能にするために、接合フランジが提供される。接合部の詳細は
図3に示されており、上部セクション21は、精密なさね継ぎ26によって下部セクション22に取り付けられ、固定グリップは、対応するフランジ27、および、たとえばねじとナットタイプの取り外し可能接合要素25を用いて、高圧チャネル内部に作られる。セクション間の接合部では、好ましくは環状の何らかのゴム製ガスケット24に対応する、好ましくは半環状のホールが、フランジに提供される。
【0028】
[021]
図4には、重ピストン30の設計が示される。ピストンは、プラント内で製造されたスチールで作られ、現場で取り付けられる。ピストン30は、たとえば鋼板セグメントで構築可能であり、設計された形を形成するように組み立てられた、中央が切り抜かれた先端を伴う円形セクタの形状を有する。このピストン30は、均一に分散された静荷重のみにさらされ、実際には、圧力差を伴う2つの区域間の隔膜にすぎない。したがって、ピストンの変形を避けるためには、スチールTプロファイルで作られる支持グリッドで十分である。ピストン30には、ピストンが上下に移動する間に、ピストンの所望の水平位置を保証するために、円柱内部でピストンをガイドする役割を有する、ローラーガイド35が提供される。ガイドは、各設置に依存して、個々の場合に応じた数およびサイズで作られる。
図4に示された提案される設計では、ローラーガイド35は、ピストン30の上部表面に設置される、スチールプロファイルで作られた直角三角形の形状を有する。ピストン30上には、高容量質量密度を備える材料のブロック(31)が設置/固定され、ブロックはプラント内で製造され、経時的劣化を避けるために、水との接触から分離される。ブロック31は、ガイド35によって必要とされる抵抗を最小限にするためにピストン30のアンバランスを回避する順序で、(設置および可能な保守動作中に)ピストンから装荷および除荷される。
【0029】
[022]ピストン30の下部表面上の、
図4に示されるような円柱の鋼製ライニングに向かう外側下端上では、円柱10の鋼製ライナ11に関して、円形水圧絶縁ガスケット(a circular hydraulic insulation gasket)32上の圧力を勾配で放出するように設計された、モノリシック・スチールガイド36が提供される。ピストン30が高圧チャネル20を介して移動する中央部分でも、円形水圧絶縁ガスケット33上の圧力を、高圧チャネル20の外側壁へと勾配で放出するように設計された、モノリシック・スチールガイド37が提供される。
【0030】
[023]電気エネルギー入力(吸収)システム60は、電気エネルギー生成(生産)システム50とは別個である。これによって、最適化された高効率の電気および水圧式機器の使用が可能になる。電気エネルギーの生産は、水の低消費を保証する衝動タービン、たとえばペルトンタービンを用いて行われるため、システムは、水1立方メートル当たりの貯蔵されるエネルギー量を増加させることができる。システムは、入力レベルを出力レベルに対して完全に異なるものにできるという意味で、アンバランスに寸法を決定することもできる(たとえば、オフピーク時間帯中のフルローディングおよびピーク時間帯中のアンローディング)。
【0031】
[024]発電システム50は、発電機に接続された、1つまたは複数のペルトンタービンを含み得る。発電システム50は、流量調節を備える典型的なペルトンシステムとすることができるため、タービン内の吸気弁の線形制御を介して、設置容量の0から100%の間の連続電力生産の変動を伴う。エネルギー入力(吸収)システム60は、調整可能量のエネルギーを吸収すること、および高効率を取得することを可能にするために、いくつかの高圧ポンプを含み、ポンプのセットは、1つまたは2つのみが変流量であり、残りは流量および圧力が固定されているため、より安く、より効率的であり、整備は少ない。エネルギー入力システム60の設計は、固定電力ステップのために固定されたパワー同期式電気モータを使用すること、および、線形調整可能値のために可変パワー電気モータを使用することによって、電力伝達効率を最大にする。
【0032】
[025]たとえば風力発電所の場合、制御様式で電気を連続して吸収するために、電気エネルギー吸収システム(入力システム)(60)には、固定定格出力を備え、調整要素のない、電気モータに取り付けられた、一定圧力および一定流量のいくつかのポンプが提供され、低コスト、少整備、および高効率である。0~100%の範囲内で継続的に調整するために、一定圧力であるが変流量の、電気モータが取り付けられた1つまたは2つのポンプを使用し、提供された電力制御システムが使用される。これらの可変システムは、吸収されるために必要な電力の方向および変動速度に関わらず、コントローラがエネルギー吸収を継続的に調整できるように、固定システムに比較して150%のユニット容量を有する。
【0033】
[026]好ましい実施形態を参照しながら本発明を説明してきたが、当業者であれば、多くの代替、改変、および変形が明らかになることを理解されよう。したがって、添付の特許請求の範囲に示されるような、その適用例の趣旨および範囲内に入るこうしたすべての代替、修正、および変形態を含むことが意図される。
【手続補正書】
【提出日】2021-02-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
組み合わされた重力水圧式電気エネルギー貯蔵システムであって、水で満たされた円柱(10)の形状のタンク内に置かれた重ピストン(30)であって、その周囲からの漏れを防ぐためのスライド式ガスケットが設けられた重ビストン(30)と、前記タンクの底部からの水流を、地表面に位置する電気機械に結合されたタービンにつなぐ垂直戻りパイプとを備え、前記ピストン(30)は、均一な質量分布のために前記ピストンの表面上に対称的に固定された高容量質量密度の材料のブロック(31)により加重され、鉄筋コンクリート壁を備え鋼製ライナ(11)によって覆われた内面を有する円柱(10)内部で、それを垂直に持ち上げることによって、ポテンシャル重力エネルギーを蓄積させる役割を有し、前記ピストン(30)は、ローラーガイド(35)を用いて前記円柱(10)の前記壁上をガイドされ、高圧チャネル(20)が位置付けられた前記円柱の軸において中央に円形開口が設けられ、前記ピストン(30)は、前記円柱(10)の前記鋼製ライナ(11)および前記高圧チャネル(20)の両方に関して、絶縁ガスケット(32、33)が設けられ、前記高圧チャネル(20)は、前記ピストン(30)の中心を通り、衝動水力タービンを使用して前記円柱の基部から発電システム(50)へと加圧水を導き、前記高圧チャネル(20)は、頂部で密閉および脱気され、前記発電システム(50)により電力生産のプロセス内で使用される前記水は、前記ピストン(30)上方で、大気圧で戻りチャネル(25)を介して前記円柱(10)内へと放出され戻り、電気ネットワークからの電気エネルギーの入力および貯蔵のサイクルのために、それは固定および可変流を伴う高圧ポンプを備える電気エネルギー入力システム(60)も備え、該高圧ポンプは、前記戻りチャネル(25)を介して前記ピストン(30)上方から前記水を取り込み、それを前記ピストン(30)下方の前記圧力チャネル(20)内へと導入し、前記ピストン(30)を上昇させることを特徴とする、組み合わされた重力水圧式電気エネルギー貯蔵システム。
【請求項2】
請求項1に記載の電気貯蔵システムであって、前記円柱(10)は、所望の貯蔵容量に応じて、数メートルまたは数十メートル程度の大型円柱水盤であり、地表面下に構築され、ストランドホールが設けられた円柱シェルセグメント(12)の形のプレキャスト・コンクリートセグメントを接合することによって組み立てられる前記壁を有し、前記コンクリートセグメント(12)は、取り外し可能接続要素(72)を用いて適所に取り付けられ、いくらかの鋼製ストランド(15)でポストテンショニングされ、前記円柱(10)は、前記頂部において、前記円柱(10)と同じ直径を有する円柱カラーと共に下方へと続き、基礎(71)上に存在する高密度の鉄筋コンクリートスラブ(70)が設けられ、前記底部において逆ドーム(40)が設けられ、前記円柱の前記壁は、前記ピストン(30)が容易にスライドできるように、円柱ライナセグメントによって作られた高品質鋼製ライナ(11)を用いて内側において裏打ちされ、動作中の地中での膨張および圧縮を引き受けること、ならびに、前記地中からの水に対する構造物の保護を可能にする役割を有する防水加工(19)が外側において施される、電気貯蔵システム。
【請求項3】
請求項2に記載の電気貯蔵システムであって、前記円柱(10)は、前記圧力チャネル(20)のためのクランプ突起(41)が設けられ、該圧力チャネルは、水循環のための空間が設けられた前記突起(41)の間に排水口(29)も構成する、電気貯蔵システム。
【請求項4】
請求項1に記載の電気貯蔵システムであって、前記ピストン(30)は、工場で機械加工され現場で取り付けられたスチールで作られ、上部表面上には、工場で機械加工され水との接触から分離された前記ブロック(31)と、その水平位置を保証する役割を有する前記ローラーガイド(35)とが取り付けられ、前記ピストン(30)の下部表面上には、その縁部に、円形水圧絶縁ガスケット(32)上の前記圧力を、前記円柱(10)の前記鋼製ライナに関して勾配で放出するモノリシック・スチールガイド(36)が設けられ、前記ピストン(30)が前記圧力チャネル(20)と交差する中央部分には、前記圧力チャネル(20)の外側壁に対する別の円形水圧絶縁ガスケット(33)上の前記圧力を勾配でアンローディングすることを保証するために、モノリシック・スチールガイド(37)が設けられた、電気貯蔵システム。
【請求項5】
請求項1に記載の電気貯蔵システムであって、前記高圧チャネル(20)は、高品質スチールで作られた、上端に少なくとも1つのエルボを備える円柱パイプであり、セクション(21、22)において製造され、端部では、最小の条痕が前記ピストンの円形ウォータシール(33)にさらされることを可能にするために、接合フランジ(27)が設けられ、上部セクション(21)は、精密なさね継ぎ(26)によって下部セクション(22)に取り付けられ、固定グリップは、対応するフランジ(27)、および、取り外し可能接合要素(25)を用いて、前記高圧チャネル内部に作られ、前記セクション間の前記接合部では、いくらかのゴム製ガスケット(24)に対応するホールが、前記フランジに設けられた、電気貯蔵システム。
【請求項6】
請求項1に記載の電気貯蔵システムであって、前記ピストン(30)は、前記円柱(10)の前記鋼製ライナ(11)に関して円形水圧絶縁ガスケット(32)上の前記圧力を勾配で放出するように設計されたモノリシック・スチールガイド(36)が設けられた、電気貯蔵システム。
【請求項7】
請求項1に記載の電気貯蔵システムであって、前記ピストン(30)は、前記高圧チャネル(20)の前記外側壁に関して円形水圧絶縁ガスケット(33)上の前記圧力を勾配で放出するように設計されたモノリシック・スチールガイド(37)が設けられた、電気貯蔵システム。
【請求項8】
請求項1に記載の電気貯蔵システムであって、0~100%の範囲内で調整可能な入力電力の範囲を伴う前記電気エネルギー入力システム(60)は、固定定格出力を備え、電力/速度調整のない電気モータによって駆動される複数の一定圧力および一定流量のポンプが設けられ、0~100%の範囲内で継続的に調整するために、一定圧力であるが変流量の、電力/速度制御調整が設けられた電気モータによって駆動される1つまたは複数のポンプを使用する、電気貯蔵システム。
【請求項9】
請求項1に記載の電気貯蔵システムであって、0~100%の範囲内で調整可能な出力電力の範囲を伴う前記電気発生システム(50)は、発電機に接続され、各々が0~100%の範囲内の流量制御を伴う1つまたは複数のペルトンタービンを備えた、電気貯蔵システム。
【国際調査報告】