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特表2023-503943がんを治療するための組み合わせ療法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-01
(54)【発明の名称】がんを治療するための組み合わせ療法
(51)【国際特許分類】
   A61K 39/395 20060101AFI20230125BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20230125BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230125BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20230125BHJP
   A61P 35/04 20060101ALI20230125BHJP
   A61K 47/68 20170101ALI20230125BHJP
   A61K 38/16 20060101ALI20230125BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20230125BHJP
   A61K 45/06 20060101ALI20230125BHJP
   A61K 47/62 20170101ALI20230125BHJP
   A61K 31/635 20060101ALI20230125BHJP
   A61K 31/5377 20060101ALI20230125BHJP
   A61K 31/513 20060101ALI20230125BHJP
   A61K 33/243 20190101ALI20230125BHJP
   A61K 31/282 20060101ALI20230125BHJP
   C07K 16/00 20060101ALI20230125BHJP
   C07K 14/705 20060101ALI20230125BHJP
   C07K 19/00 20060101ALN20230125BHJP
【FI】
A61K39/395 N
A61P35/00 ZNA
A61P43/00 121
A61P35/02
A61P35/04
A61K39/395 D
A61K47/68
A61K38/16
A61K45/00
A61K45/06
A61K39/395 G
A61K39/395 U
A61K39/395 E
A61K39/395 T
A61K47/62
A61K31/635
A61K31/5377
A61K31/513
A61K33/243
A61K31/282
C07K16/00
C07K14/705
C07K19/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022530167
(86)(22)【出願日】2020-11-25
(85)【翻訳文提出日】2022-07-08
(86)【国際出願番号】 US2020062402
(87)【国際公開番号】W WO2021108693
(87)【国際公開日】2021-06-03
(31)【優先権主張番号】62/941,390
(32)【優先日】2019-11-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/022,998
(32)【優先日】2020-05-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/030,686
(32)【優先日】2020-05-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/106,225
(32)【優先日】2020-10-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/109,044
(32)【優先日】2020-11-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516237639
【氏名又は名称】エーエルエックス オンコロジー インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ワン, ホン
(72)【発明者】
【氏名】シム, バン ジャネット
(72)【発明者】
【氏名】ランドルフ, ソフィア
(72)【発明者】
【氏名】ポンズ, ジャウメ
(72)【発明者】
【氏名】クオ, トレーシー チア-チェン
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C085
4C086
4C206
4H045
【Fターム(参考)】
4C076AA95
4C076CC27
4C076CC41
4C076EE59
4C084AA02
4C084AA19
4C084AA23
4C084BA01
4C084BA08
4C084BA21
4C084BA23
4C084BA41
4C084BA42
4C084DC50
4C084MA02
4C084NA05
4C084NA13
4C084ZB261
4C084ZB271
4C084ZC202
4C084ZC212
4C084ZC412
4C084ZC751
4C085AA13
4C085AA14
4C085BB12
4C085BB36
4C085BB42
4C085EE03
4C085GG02
4C085GG04
4C085GG08
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC43
4C086BC73
4C086CB05
4C086DA20
4C086HA12
4C086HA24
4C086HA26
4C086HA28
4C086MA02
4C086MA03
4C086MA04
4C086NA05
4C086ZB26
4C086ZB27
4C086ZC75
4C206AA01
4C206AA02
4C206JB16
4C206KA01
4C206MA02
4C206MA03
4C206MA04
4C206NA05
4C206ZB26
4C206ZB27
4C206ZC75
4H045AA10
4H045AA30
4H045BA10
4H045BA41
4H045CA40
4H045DA75
4H045EA20
4H045FA72
4H045FA74
(57)【要約】
SIRPα D1ドメインバリアント及びFcドメインバリアントを含むポリペプチド(例えば、融合ポリペプチド)を、少なくとも1つの化学療法剤及び/または少なくとも1つの治療用抗体と組み合わせて投与することを含む、がんを治療する方法が提供される。関連キットも提供される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
個体のがんを治療する方法であって、前記方法は、有効量の:(a)SIRPα D1ドメインバリアント及びFcドメインバリアントを含むポリペプチド、ならびに(b)Bcl-2阻害剤を前記個体に投与することを含み、
前記SIRPα D1ドメインバリアントは、配列番号81または配列番号85のアミノ酸配列を含み、
前記Fcドメインバリアントは、
(i)L234A、L235A、G237A、及びN297A突然変異を含むヒトIgG1 Fc領域であって、番号付けが、KabatのEUインデックスに従っている、前記領域;
(ii)A330S、P331S、及びN297A突然変異を含むヒトIgG2 Fc領域であって、番号付けが、KabatのEUインデックスに従っている、前記領域;
(iii)S228P、E233P、F234V、L235A、及びdelG236突然変異を含むヒトIgG4 Fc領域であって、番号付けが、KabatのEUインデックスに従っている、前記領域、または、
(iv)S228P、E233P、F234V、L235A、delG236、及びN297A突然変異を含むヒトIgG4 Fc領域であって、番号付けが、KabatのEUインデックスに従っている、前記領域である、前記方法。
【請求項2】
前記がんが、白血病、多発性骨髄腫または非ホジキンリンパ腫である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記非ホジキンリンパ腫が、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、または濾胞性リンパ腫(FL)である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記白血病が、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、慢性リンパ性白血病(CLL)、小リンパ球性リンパ腫(SLL)、慢性骨髄性白血病(CML)、急性骨髄性白血病(AML)、または骨髄異形成症候群(MDS)である、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記白血病が、急性リンパ芽球性白血病である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記Bcl-2阻害剤が、ベネトクラクス、ABT-737、ナビトクラックス、BCL201、またはAZD-0466である、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記Bcl-2阻害剤が、ベネトクラクスである、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
個体のがんを治療する方法であって、前記方法は、有効量の:(a)SIRPα D1ドメインバリアント及びFcドメインバリアントを含むポリペプチド、ならびに(b)白金系化学療法剤を前記個体に投与することを含み、
前記SIRPα D1ドメインバリアントが、配列番号81または配列番号85のアミノ酸配列を含み、
前記Fcドメインバリアントが、
(i)L234A、L235A、G237A、及びN297A突然変異を含むヒトIgG1 Fc領域であって、番号付けが、KabatのEUインデックスに従っている、前記領域;
(ii)A330S、P331S、及びN297A突然変異を含むヒトIgG2 Fc領域であって、番号付けが、KabatのEUインデックスに従っている、前記領域;
(iii)S228P、E233P、F234V、L235A、及びdelG236突然変異を含むヒトIgG4 Fc領域であって、番号付けが、KabatのEUインデックスに従っている、前記領域、または、
(iv)S228P、E233P、F234V、L235A、delG236、及びN297A突然変異を含むヒトIgG4 Fc領域であって、番号付けが、KabatのEUインデックスに従っている、前記領域である、前記方法。
【請求項9】
前記がんが、固形腫瘍である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記固形腫瘍が、結腸癌、肺癌、頭頸部癌、食道癌、乳癌、膀胱癌、卵巣癌、子宮頸癌、精巣癌、子宮内膜癌、肝癌、胃癌、胃食道接合部癌、脳腫瘍、中皮腫、または神経芽細胞腫である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記結腸癌が、結腸癌である、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
個体のがんを治療する方法であって、前記方法は、有効量の:(a)SIRPα D1ドメインバリアント及びFcドメインバリアントを含むポリペプチド、(b)PD-1阻害剤、(c)代謝拮抗剤、及び(d)白金系化学療法剤を前記個体に投与することを含み、
前記SIRPα D1ドメインバリアントが、配列番号81または配列番号85のアミノ酸配列を含み、
前記Fcドメインバリアントが、
(i)L234A、L235A、G237A、及びN297A突然変異を含むヒトIgG1 Fc領域であって、番号付けが、KabatのEUインデックスに従っている、前記領域;
(ii)A330S、P331S、及びN297A突然変異を含むヒトIgG2 Fc領域であって、番号付けが、KabatのEUインデックスに従っている、前記領域;
(iii)S228P、E233P、F234V、L235A、及びdelG236突然変異を含むヒトIgG4 Fc領域であって、番号付けが、KabatのEUインデックスに従っている、前記領域、または、
(iv)S228P、E233P、F234V、L235A、delG236、及びN297A突然変異を含むヒトIgG4 Fc領域であって、番号付けが、KabatのEUインデックスに従っている、前記領域であり、
前記がんが、頭頸部扁平上皮癌(HNSCC)であり、前記個体は、HNSCCの以前の治療を受けていない、前記方法。
【請求項13】
前記HNSCCが、進行性及び/または転移性HNSCCである、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記PD-1阻害剤が、抗PD-1抗体である、請求項12または13に記載の方法。
【請求項15】
前記抗PD-1抗体が、ペムブロリズマブ、ニボルマブ、ピジリズマブ、セミプリマブ、またはBMS-936559である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記抗PD-1抗体が、ペムブロリズマブである、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記代謝拮抗剤が、5-フルオロウラシル、6-メルカプトプリン、カペシタビン、シタラビン、フロクスウリジン、フルダラビン、ゲムシタビン、ヒドロキシカルバミド、メトトレキサート、ペメトレキセド、フォトトレキサートである、請求項12~16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記代謝拮抗剤が、5-フルオロウラシルである、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記白金系化学療法剤が、カルボプラチン、シスプラチン、オキサリプラチン、ネダプラチン、四硝酸トリプラチン、フェナントリプラチン、ピコプラチン、またはサトラプラチンである、請求項8~18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記白金系化学療法剤が、シスプラチンである、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記白金系化学療法剤が、カルボプラチンである、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
個体のがんを治療する方法であって、前記方法は、有効量の:(a)SIRPα D1ドメインバリアント及びFcドメインバリアントを含むポリペプチド、(b)抗HER2抗体、及び(c)抗PD-L1抗体を前記個体に投与することを含み、
前記SIRPα D1ドメインバリアントが、配列番号81または配列番号85のアミノ酸配列を含み、
前記Fcドメインバリアントが、
(i)L234A、L235A、G237A、及びN297A突然変異を含むヒトIgG1 Fc領域であって、番号付けが、KabatのEUインデックスに従っている、前記領域;
(ii)A330S、P331S、及びN297A突然変異を含むヒトIgG2 Fc領域であって、番号付けが、KabatのEUインデックスに従っている、前記領域;
(iii)S228P、E233P、F234V、L235A、及びdelG236突然変異を含むヒトIgG4 Fc領域であって、番号付けが、KabatのEUインデックスに従っている、前記領域、または、
(iv)S228P、E233P、F234V、L235A、delG236、及びN297A突然変異を含むヒトIgG4 Fc領域であって、番号付けが、KabatのEUインデックスに従っている、前記領域である、前記方法。
【請求項23】
前記がんが、固形腫瘍である、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記固形腫瘍が、結腸癌、肺癌、頭頸部癌、食道癌、乳癌、膀胱癌、卵巣癌、子宮頸癌、精巣癌、子宮内膜癌、肝癌、胃癌、胃食道接合部癌、脳腫瘍、中皮腫、または神経芽細胞腫である、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記固形腫瘍が、HER2固形腫瘍である、請求項23または24に記載の方法。
【請求項26】
前記固形腫瘍が、結腸癌である、請求項23~25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
前記抗HER2抗体が、トラスツズマブである、請求項22~26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
前記抗PD-L1抗体が、アテゾリズマブ、アベルマブ、またはデュルバルマブである、請求項22~27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
個体のがんを治療する方法であって、前記方法は、有効量の:(a)SIRPα D1ドメインバリアント及びFcドメインバリアントを含むポリペプチド、(b)抗HER2抗体、(c)抗VEGF2抗体、及び(d)パクリタキセルを前記個体に投与することを含み、
前記SIRPα D1ドメインバリアントが、配列番号81または配列番号85のアミノ酸配列を含み、
前記Fcドメインバリアントが、
(i)L234A、L235A、G237A、及びN297A突然変異を含むヒトIgG1 Fc領域であって、番号付けが、KabatのEUインデックスに従っている、前記領域;
(ii)A330S、P331S、及びN297A突然変異を含むヒトIgG2 Fc領域であって、番号付けが、KabatのEUインデックスに従っている、前記領域;
(iii)S228P、E233P、F234V、L235A、及びdelG236突然変異を含むヒトIgG4 Fc領域であって、番号付けが、KabatのEUインデックスに従っている、前記領域、または、
(iv)S228P、E233P、F234V、L235A、delG236、及びN297A突然変異を含むヒトIgG4 Fc領域であって、番号付けが、KabatのEUインデックスに従っている、前記領域であり、
前記がんが、胃癌または胃食道接合部(GEJ)癌であり、前記個体は、前記胃癌または前記GEJ癌に対して少なくとも1回以前の治療を受けている、前記方法。
【請求項30】
前記個体が、抗HER2抗体による、抗HER2抗体及びフルオロピリミジンによる、または抗HER2抗体及び白金系化学療法剤による以前の治療を受けている、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記抗HER2抗体が、トラスツズマブである、請求項29または30に記載の方法。
【請求項32】
前記抗VEGF抗体が、ラムシルマブである、請求項29~31のいずれか1項に記載の方法。
【請求項33】
前記胃癌または前記GEJ癌が、HER2胃癌またはHER2GEJ癌である、請求項29~32のいずれか1項に記載の方法。
【請求項34】
SIRPα D1ドメインバリアント及びFcドメインバリアントを含む前記ポリペプチドが、週に1回10mg/kgの用量で投与される、請求項12~21及び29~33のいずれか1項に記載の方法。
【請求項35】
SIRPα D1ドメインバリアント及びFcドメインバリアントを含む前記ポリペプチドが、週に1回15mg/kgの用量で投与される、請求項12~21及び29~33のいずれか1項に記載の方法。
【請求項36】
個体のがんを治療する方法であって、前記方法が、有効量の(a)SIRPα D1ドメインバリアント及びFcドメインバリアントを含むポリペプチド、ならびに(b)抗TROP2抗体を前記個体に投与することを含み、
前記SIRPα D1ドメインバリアントが、配列番号81または配列番号85のアミノ酸配列を含み、
前記Fcドメインバリアントが、
(i)L234A、L235A、G237A、及びN297A突然変異を含むヒトIgG1 Fc領域であって、番号付けが、KabatのEUインデックスに従っている、前記領域;
(ii)A330S、P331S、及びN297A突然変異を含むヒトIgG2 Fc領域であって、番号付けが、KabatのEUインデックスに従っている、前記領域;
(iii)S228P、E233P、F234V、L235A、及びdelG236突然変異を含むヒトIgG4 Fc領域であって、番号付けが、KabatのEUインデックスに従っている、前記領域、または、
(iv)S228P、E233P、F234V、L235A、delG236、及びN297A突然変異を含むヒトIgG4 Fc領域であって、番号付けが、KabatのEUインデックスに従っている、前記領域である、前記方法。
【請求項37】
前記がんが、固形腫瘍、胃癌、鼻咽頭癌、胆嚢癌、子宮頸癌、節外性NK/T細胞リンパ腫、肺癌、喉頭扁平上皮癌、結腸癌、肝門部胆管癌、膵癌、口腔の扁平上皮癌、子宮内膜様子宮内膜癌、または卵巣癌である、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記SIRPα D1ドメインバリアントが、配列番号85のアミノ酸配列を含む、請求項1~37のいずれか1項に記載の方法。
【請求項39】
前記SIRPα D1ドメインバリアントが、配列番号81のアミノ酸配列を含む、請求項1~37のいずれか1項に記載の方法。
【請求項40】
前記Fcドメインバリアントが、L234A、L235A、G237A、及びN297A突然変異を含むヒトIgG1 Fc領域であり、番号付けが、KabatのEUインデックスに従っている、請求項1~39のいずれか1項に記載の方法。
【請求項41】
前記Fcドメインバリアントが、配列番号91のアミノ酸配列を含む、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
SIRPα D1ドメインバリアント及びFcドメインバリアントを含む前記ポリペプチドが、配列番号136のアミノ酸配列を含む、請求項1~38または40~41のいずれか1項に記載の方法。
【請求項43】
SIRPα D1ドメインバリアント及びFcドメインバリアントを含む前記ポリペプチドが、配列番号135のアミノ酸配列を含む、請求項1~37または39~41のいずれか1項に記載の方法。
【請求項44】
SIRPα D1ドメインバリアント及びFcドメインバリアントを含む前記ポリペプチドが、ホモ二量体を形成する、請求項1~43のいずれか1項に記載の方法。
【請求項45】
前記個体が、ヒトである、請求項1~44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
薬学的に許容される担体中に、SIRPα D1ドメインバリアント及びFcドメインバリアントを含むポリペプチドであって、がんの治療を必要とする個体において、それを行うためにBcl-2阻害剤と組み合わせて使用するための前記ポリペプチドを含むキットであって、
前記SIRPα D1ドメインバリアントが、配列番号81または配列番号85のアミノ酸配列を含み、
前記Fcドメインバリアントが、
(i)L234A、L235A、G237A、及びN297A突然変異を含むヒトIgG1 Fc領域であって、番号付けが、KabatのEUインデックスに従っている、前記領域;
(ii)A330S、P331S、及びN297A突然変異を含むヒトIgG2 Fc領域であって、番号付けが、KabatのEUインデックスに従っている、前記領域;
(iii)S228P、E233P、F234V、L235A、及びdelG236突然変異を含むヒトIgG4 Fc領域であって、番号付けが、KabatのEUインデックスに従っている、前記領域、または、
(iv)S228P、E233P、F234V、L235A、delG236、及びN297A突然変異を含むヒトIgG4 Fc領域であって、番号付けが、KabatのEUインデックスに従っている、前記領域であり;
SIRPα D1ドメインバリアント及びFcドメインバリアントを含む前記ポリペプチドを前記Bcl-2阻害剤と組み合わせて、それを必要とする前記個体に投与するための指示書を含む、前記キット。
【請求項47】
前記がんが、白血病、多発性骨髄腫または非ホジキンリンパ腫である、請求項46に記載のキット。
【請求項48】
前記Bcl-2阻害剤が、ベネトクラクスである、請求項46または47に記載のキット。
【請求項49】
薬学的に許容される担体中に、SIRPα D1ドメインバリアント及びFcドメインバリアントを含むポリペプチドであって、がんの治療を必要とする個体において、それを行うために白金系化学療法剤と組み合わせて使用するための前記ポリペプチドを含むキットであって、
前記SIRPα D1ドメインバリアントが、配列番号81または配列番号85のアミノ酸配列を含み、
前記Fcドメインバリアントが、
(i)L234A、L235A、G237A、及びN297A突然変異を含むヒトIgG1 Fc領域であって、番号付けが、KabatのEUインデックスに従っている、前記領域;
(ii)A330S、P331S、及びN297A突然変異を含むヒトIgG2 Fc領域であって、番号付けが、KabatのEUインデックスに従っている、前記領域;
(iii)S228P、E233P、F234V、L235A、及びdelG236突然変異を含むヒトIgG4 Fc領域であって、番号付けが、KabatのEUインデックスに従っている、前記領域、または、
(iv)S228P、E233P、F234V、L235A、delG236、及びN297A突然変異を含むヒトIgG4 Fc領域であって、番号付けが、KabatのEUインデックスに従っている、前記領域であり;
SIRPα D1ドメインバリアント及びFcドメインバリアントを含む前記ポリペプチドを前記白金系化学療法剤と組み合わせて、それを必要とする前記個体に投与するための指示書を含む、前記キット。
【請求項50】
前記がんが、固形腫瘍である、請求項49に記載のキット。
【請求項51】
前記固形腫瘍が、結腸癌(colon cancer)、結腸癌(colon carcinoma)、肺癌、頭頸部癌、食道癌、乳癌、膀胱癌、卵巣癌、子宮頸癌、精巣癌、子宮内膜癌、肝癌、胃癌、脳腫瘍、中皮腫、または神経芽細胞腫である、請求項50に記載のキット。
【請求項52】
薬学的に許容される担体中に、SIRPα D1ドメインバリアント及びFcドメインバリアントを含むポリペプチドであって、がんの治療を必要とする個体において、それを行うためにPD-1阻害剤、代謝拮抗剤及び白金系化学療法剤と組み合わせて使用するための前記ポリペプチドを含むキットであって、
前記SIRPα D1ドメインバリアントが、配列番号81または配列番号85のアミノ酸配列を含み、
前記Fcドメインバリアントが、
(i)L234A、L235A、G237A、及びN297A突然変異を含むヒトIgG1 Fc領域であって、番号付けが、KabatのEUインデックスに従っている、前記領域;
(ii)A330S、P331S、及びN297A突然変異を含むヒトIgG2 Fc領域であって、番号付けが、KabatのEUインデックスに従っている、前記領域;
(iii)S228P、E233P、F234V、L235A、及びdelG236突然変異を含むヒトIgG4 Fc領域であって、番号付けが、KabatのEUインデックスに従っている、前記領域、または、
(iv)S228P、E233P、F234V、L235A、delG236、及びN297A突然変異を含むヒトIgG4 Fc領域であって、番号付けが、KabatのEUインデックスに従っている、前記領域であり、
SIRPα D1ドメインバリアント及びFcドメインバリアントを含む前記ポリペプチドを、前記PD-1阻害剤、前記代謝拮抗剤、及び前記白金系化学療法剤と組み合わせて、頭頸部扁平上皮癌(HNSCC)を有する個体であって、HNSCCの以前の治療を受けていない前記個体に投与するための指示書が含まれている、前記キット。
【請求項53】
前記PD-1阻害剤が、ペムブロリズマブである、請求項49~52のいずれか1項に記載のキット。
【請求項54】
前記代謝拮抗剤が、5-フルオロウラシルである、請求項49~53のいずれか1項に記載のキット。
【請求項55】
前記白金系化学療法剤が、シスプラチンまたはカルボプラチンである、請求項49~54のいずれか1項に記載のキット。
【請求項56】
薬学的に許容される担体中に、SIRPα D1ドメインバリアント及びFcドメインバリアントを含むポリペプチドであって、抗HER2抗体、抗VEGFR2抗体、及びパクリタキセルと組み合わせて使用するための前記ポリペプチドを含むキットであって、
前記SIRPα D1ドメインバリアントが、配列番号81または配列番号85のアミノ酸配列を含み、
前記Fcドメインバリアントが、
(i)L234A、L235A、G237A、及びN297A突然変異を含むヒトIgG1 Fc領域であって、番号付けが、KabatのEUインデックスに従っている、前記領域;
(ii)A330S、P331S、及びN297A突然変異を含むヒトIgG2 Fc領域であって、番号付けが、KabatのEUインデックスに従っている、前記領域;
(iii)S228P、E233P、F234V、L235A、及びdelG236突然変異を含むヒトIgG4 Fc領域であって、番号付けが、KabatのEUインデックスに従っている、前記領域、または、
(iv)S228P、E233P、F234V、L235A、delG236、及びN297A突然変異を含むヒトIgG4 Fc領域であって、番号付けが、KabatのEUインデックスに従っている、前記領域であり、
SIRPα D1ドメインバリアント及びFcドメインバリアントを含む前記ポリペプチドを、前記抗HER2抗体、前記抗VEGFR2抗体、及び前記パクリタキセルと組み合わせて、胃癌または胃食道(GEJ)癌を有する個体であって、胃癌またはGEJ癌の少なくとも1つの以前の治療を受けた前記個体に投与するための指示書が含まれている、前記キット。
【請求項57】
前記胃癌または前記GEJ癌が、HER2胃癌またはHER2GEJ癌である、請求項56に記載のキット。
【請求項58】
前記抗HER2抗体が、トラスツズマブである、請求項56または57に記載のキット。
【請求項59】
前記抗VEGFR2抗体が、ラムシルマブである、請求項56~58のいずれか1項に記載のキット。
【請求項60】
前記個体が、抗HER2抗体による、抗HER2抗体及びフルオロピリミジンによる、または抗HER2抗体及び白金系化学療法剤による以前の治療を受けている、請求項56~59のいずれか1項に記載のキット。
【請求項61】
薬学的に許容される担体中に、SIRPα D1ドメインバリアント及びFcドメインバリアントを含むポリペプチドであって、がんの治療を必要とする個体において、それを行うために抗TROP2抗体と組み合わせて使用するための前記ポリペプチドを含むキットであって、
前記SIRPα D1ドメインバリアントは、配列番号81または配列番号85のアミノ酸配列を含み、
前記Fcドメインバリアントが、
(i)L234A、L235A、G237A、及びN297A突然変異を含むヒトIgG1 Fc領域であって、番号付けが、KabatのEUインデックスに従っている、前記領域;
(ii)A330S、P331S、及びN297A突然変異を含むヒトIgG2 Fc領域であって、番号付けが、KabatのEUインデックスに従っている、前記領域;
(iii)S228P、E233P、F234V、L235A、及びdelG236突然変異を含むヒトIgG4 Fc領域であって、番号付けが、KabatのEUインデックスに従っている、前記領域、または、
(iv)S228P、E233P、F234V、L235A、delG236、及びN297A突然変異を含むヒトIgG4 Fc領域であって、番号付けが、KabatのEUインデックスに従っている、前記領域であり;
SIRPα D1ドメインバリアント及びFcドメインバリアントを含む前記ポリペプチドを前記抗TROP2抗体と組み合わせて、それを必要とする前記個体に投与するための指示書を含む、前記キット。
【請求項62】
前記がんが、固形腫瘍、胃癌、鼻咽頭癌、胆嚢癌、子宮頸癌、節外性NK/T細胞リンパ腫、肺癌、喉頭扁平上皮癌、結腸癌、肝門部胆管癌、膵癌、口腔の扁平上皮癌、子宮内膜様子宮内膜癌、または卵巣癌である、請求項61に記載のキット。
【請求項63】
薬学的に許容される担体中に、SIRPα D1ドメインバリアント及びFcドメインバリアントを含むポリペプチドであって、がんの治療を必要とする個体において、それを行うために抗HER2抗体及び抗PD-L1抗体と組み合わせて使用するための前記ポリペプチドを含むキットであって、
前記SIRPα D1ドメインバリアントが、配列番号81または配列番号85のアミノ酸配列を含み、
前記Fcドメインバリアントが、
(i)L234A、L235A、G237A、及びN297A突然変異を含むヒトIgG1 Fc領域であって、番号付けが、KabatのEUインデックスに従っている、前記領域;
(ii)A330S、P331S、及びN297A突然変異を含むヒトIgG2 Fc領域であって、番号付けが、KabatのEUインデックスに従っている、前記領域;
(iii)S228P、E233P、F234V、L235A、及びdelG236突然変異を含むヒトIgG4 Fc領域であって、番号付けが、KabatのEUインデックスに従っている、前記領域、または、
(iv)S228P、E233P、F234V、L235A、delG236、及びN297A突然変異を含むヒトIgG4 Fc領域であって、番号付けが、KabatのEUインデックスに従っている、前記領域であり;
SIRPα D1ドメインバリアント及びFcドメインバリアントを含む前記ポリペプチドを前記抗HER2抗体及び前記抗PD-L1抗体と組み合わせて、それを必要とする前記個体に投与するための指示書を含む、前記キット。
【請求項64】
前記がんが、結腸癌である、請求項63に記載のキット。
【請求項65】
前記結腸癌が、HER2結腸癌である、請求項64に記載のキット。
【請求項66】
前記抗HER2抗体が、トラスツズマブである、請求項63~65のいずれか1項に記載のキット。
【請求項67】
前記抗PD-L1抗体が、アテゾリズマブ、アベルマブ、またはデュルバルマブである、請求項63~66のいずれか1項に記載のキット。
【請求項68】
前記SIRPα D1ドメインバリアントが、配列番号85のアミノ酸配列を含む、請求項46~67のいずれか1項に記載のキット。
【請求項69】
前記SIRPα D1ドメインバリアントが、配列番号81のアミノ酸配列を含む、請求項46~67のいずれか1項に記載のキット。
【請求項70】
前記Fcドメインバリアントが、L234A、L235A、G237A、及びN297A突然変異を含むヒトIgG1 Fc領域であり、番号付けは、KabatのEUインデックスに従っている、請求項46~69のいずれか1項に記載のキット。
【請求項71】
前記Fcドメインバリアントが、配列番号91のアミノ酸配列を含む、請求項70に記載のキット。
【請求項72】
SIRPα D1ドメインバリアント及びFcドメインバリアントを含む前記ポリペプチドが、配列番号136のアミノ酸配列を含む、請求項46~68及び70~71のいずれか1項に記載のキット。
【請求項73】
SIRPα D1ドメインバリアント及びFcドメインバリアントを含む前記ポリペプチドが、配列番号135のアミノ酸配列を含む、請求項46~67及び69~71のいずれか1項に記載のキット。
【請求項74】
SIRPα D1ドメインバリアント及びFcドメインバリアントを含む前記ポリペプチドが、ホモ二量体を形成する、請求項46~73のいずれか1項に記載のキット。
【請求項75】
前記個体が、ヒトである、請求項46~74のいずれか1項に記載のキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年11月27日に出願の米国仮出願第62/941,390号;2020年5月11日に出願の米国仮出願第63/022,998号;2020年5月27日に出願の米国仮出願第63/030,686号;2020年10月27日に出願の米国仮出願第63/106,225号;及び2020年11月3日に出願の米国仮出願第63/109,044号の優先権を主張し、これらのそれぞれの内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
ASCIIテキストファイルでの配列表の提出
ASCIIテキストファイルでの以下の提出物の内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる:コンピュータ可読形態(CRF)の配列表(ファイル名:757972001140SEQLIST.TXT、記録日:2020年11月25日、サイズ:333KB)。
【0003】
本発明は、がんを治療する方法に関し、本方法は、CD47(例えば、hCD47)及びSIRPα(例えば、hSIRPα)との間の相互作用を遮断する剤を、化学療法剤及び少なくとも1つの追加の抗がん剤及び/またはがん治療法の少なくとも1つの追加様式と併せて投与することを含む。
【背景技術】
【0004】
多くのがんは、利用可能な治療薬で治療された場合であっても、不良な予後を有する。追加の治療選択肢となり、患者の転帰を改善するための新規治療が当技術分野で必要とされている。
【0005】
腫瘍細胞は、骨髄コンパートメントを操作して、抗腫瘍宿主免疫応答を回避する(Gabrilovich et al.,Nat Rev Immunol(2012)12(4):253-68)。例えば、正常細胞の表面に発現するCD47は、マクロファージのSIRPαに結合して、「don’t eat me」シグナルを発するが、腫瘍細胞は、CD47を過剰発現して、免疫監視のマクロファージ成分を回避することも判明している(Oldenborg,ISRN Hematol(2013) 614619)。
【0006】
マクロファージを介するがん細胞の破壊には、「don’t eat me」シグナル(例えば、CD47-SIRPαなど)の破壊及び「eat me」シグナルの活性化を両方とも必要とする。いずれかの成分のみでは、腫瘍細胞に対する最大の食作用反応を引き起こすのには十分ではない。上記のとおり、CD47は、マクロファージ上のSIRPαとの相互作用を介して、基本的な「don’t eat me」シグナルを提供する。食作用促進性の「eat me」シグナルは、それらの活性化Fcガンマ受容体に結合することによって同じマクロファージに提供され得る。例えば、食作用促進性の「eat me」シグナルは、マクロファージ上のFc受容体への抗腫瘍抗体の結合によって提供され得る。
【0007】
特許出願、特許公報、及びUniProtKB/Swiss-Prot受託番号を含む、本明細書において引用されるすべての参考文献は、各個々の参考文献が、参照によって組み込まれることを具体的かつ個々に示されているかのように、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【発明の概要】
【0008】
個体においてがんを治療する方法が提供され、この方法は、個体に有効量の(a)SIRPα D1ドメインバリアント及びFcドメインバリアントを含むポリペプチド、及び(b)Bcl-2阻害剤を投与することを含み、SIRPα D1ドメインバリアントは、配列番号81または配列番号85のアミノ酸配列を含み;Fcドメインバリアントは、(i)L234A、L235A、G237A、及びN297A突然変異を含むヒトIgG1 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う);(ii)A330S、P331S、及びN297A突然変異を含むヒトIgG2 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う);(iii)S228P、E233P、F234V、L235A、及びdelG236突然変異を含むヒトIgG4 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う);または(iv)S228P、E233P、F234V、L235A、delG236、及びN297A突然変異を含むヒトIgG4 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う)である。いくつかの実施形態では、がんは、白血病、多発性骨髄腫または非ホジキンリンパ腫である。いくつかの実施形態では、非ホジキンリンパ腫は、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、または濾胞性リンパ腫(FL)である。いくつかの実施形態では、白血病は、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、慢性リンパ性白血病(CLL)、小リンパ球性リンパ腫(SLL)、慢性骨髄性白血病(CML)、急性骨髄性白血病(AML)、または骨髄異形成症候群(MDS)である。いくつかの実施形態では、白血病は、急性リンパ芽球性白血病である。いくつかの実施形態では、Bcl-2阻害剤は、ベネトクラクス、ABT-737、ナビトクラックス、BCL201、またはAZD-0466である。いくつかの実施形態では、Bcl-2阻害剤は、ベネトクラクスである。
【0009】
また、個体においてがんを治療する方法が提供され、この方法は、個体に有効量の(a)SIRPα D1ドメインバリアント及びFcドメインバリアントを含むポリペプチド、及び(b)白金系化学療法剤を投与することを含み、SIRPα D1ドメインバリアントは、配列番号81または配列番号85のアミノ酸配列を含み;Fcドメインバリアントは、(i)L234A、L235A、G237A、及びN297A突然変異を含むヒトIgG1 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う);(ii)A330S、P331S、及びN297A突然変異を含むヒトIgG2 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う);(iii)S228P、E233P、F234V、L235A、及びdelG236突然変異を含むヒトIgG4 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う);または(iv)S228P、E233P、F234V、L235A、delG236、及びN297A突然変異を含むヒトIgG4 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う)である。いくつかの実施形態では、がんは、固形腫瘍である。いくつかの実施形態では、固形腫瘍は、結腸癌、肺癌、頭頸部癌、食道癌、乳癌、膀胱癌、卵巣癌、子宮頸癌、精巣癌、子宮内膜癌、肝癌、胃癌、胃食道接合部癌、脳腫瘍、中皮腫、または神経芽細胞腫である。いくつかの実施形態では、結腸癌(colon cancer)は、結腸癌(colon carcinoma)である。いくつかの実施形態では、白金系化学療法剤は、カルボプラチン、シスプラチン、オキサリプラチン、ネダプラチン、四硝酸トリプラチン、フェナントリプラチン、ピコプラチン、またはサトラプラチンである。いくつかの実施形態では、白金系化学療法剤は、シスプラチンまたはカルボプラチンである。
【0010】
また、個体においてがんを治療する方法が提供され、この方法は、個体に有効量の(a)SIRPα D1ドメインバリアント及びFcドメインバリアントを含むポリペプチド、(b)PD-1阻害剤、(c)代謝拮抗剤、及び(d)白金系化学療法剤を投与することを含み、SIRPα D1ドメインバリアントは、配列番号81または配列番号85のアミノ酸配列を含み;Fcドメインバリアントは、(i)L234A、L235A、G237A、及びN297A突然変異を含むヒトIgG1 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う);(ii)A330S、P331S、及びN297A突然変異を含むヒトIgG2 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う);(iii)S228P、E233P、F234V、L235A、及びdelG236突然変異を含むヒトIgG4 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う);または(iv)S228P、E233P、F234V、L235A、delG236、及びN297A突然変異を含むヒトIgG4 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う)である。ここで、がんは、頭頸部扁平上皮癌(HNSCC)であり、個体は、HNSCCの以前の治療を受けていない。いくつかの実施形態では、SIRPα D1ドメインバリアント及びFcドメインバリアントを含むポリペプチドは、週に1回(qw)10mg/kgの用量で投与される。いくつかの実施形態では、SIRPα D1ドメインバリアント及びFcドメインバリアントを含むポリペプチドは、週に1回(qw)15mg/kgの用量で投与される。
【0011】
いくつかの実施形態では、HNSCCは、進行性及び/または転移性HNSCCである。いくつかの実施形態では、PD-1阻害剤は、抗PD-1抗体、例えば、ペムブロリズマブ、ニボルマブ、ピジリズマブ、セミプリマブ、またはBMS-936559である。いくつかの実施形態では、抗PD-1抗体は、ペムブロリズマブである。いくつかの実施形態では、代謝拮抗剤は、5-フルオロウラシル、6-メルカプトプリン、カペシタビン、シタラビン、フロクスウリジン、フルダラビン、ゲムシタビン、ヒドロキシカルバミド、メトトレキサート、ペメトレキセド、フォトトレキサートである。いくつかの実施形態では、代謝拮抗剤は、5-フルオロウラシルである。いくつかの実施形態では、白金系化学療法剤は、カルボプラチン、シスプラチン、オキサリプラチン、ネダプラチン、四硝酸トリプラチン、フェナントリプラチン、ピコプラチン、またはサトラプラチンである。いくつかの実施形態では、白金系化学療法剤は、シスプラチンまたはカルボプラチンである。
【0012】
別の態様では、個体においてがんを治療する方法が提供され、この方法は、個体に有効量の(a)SIRPα D1ドメインバリアント及びFcドメインバリアントを含むポリペプチド、(b)抗HER2抗体、及び(c)抗PD-L1抗体(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)を投与することを含み、SIRPα D1ドメインバリアントは、配列番号81または配列番号85のアミノ酸配列を含み;Fcドメインバリアントは、(i)L234A、L235A、G237A、及びN297A突然変異を含むヒトIgG1 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う);(ii)A330S、P331S、及びN297A突然変異を含むヒトIgG2 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う);(iii)S228P、E233P、F234V、L235A、及びdelG236突然変異を含むヒトIgG4 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う);または(iv)S228P、E233P、F234V、L235A、delG236、及びN297A突然変異を含むヒトIgG4 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う)である。いくつかの実施形態では、がんは、固形腫瘍である。いくつかの実施形態では、固形腫瘍は、結腸癌、肺癌、頭頸部癌、食道癌、乳癌、膀胱癌、卵巣癌、子宮頸癌、精巣癌、子宮内膜癌、肝癌、胃癌、胃食道接合部癌、脳腫瘍、中皮腫、または神経芽細胞腫である。いくつかの実施形態では、固形腫瘍は、HER2固形腫瘍である。いくつかの実施形態では、固形腫瘍は、結腸癌(例えば、HER2結腸癌)である。いくつかの実施形態では、抗HER2抗体は、トラスツズマブである。いくつかの実施形態では、抗PD-L1抗体は、アテゾリズマブ、アベルマブ、またはデュルバルマブである。
【0013】
いくつかの実施形態では、個体においてがんを治療する方法が提供され、この方法は、個体に有効量の(a)SIRPα D1ドメインバリアント及びFcドメインバリアントを含むポリペプチド、(b)抗HER2抗体、(c)抗VEGF2抗体、及び(d)パクリタキセルを投与することを含み、SIRPα D1ドメインバリアントは、配列番号81または配列番号85のアミノ酸配列を含み;Fcドメインバリアントは、(i)L234A、L235A、G237A、及びN297A突然変異を含むヒトIgG1 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う);(ii)A330S、P331S、及びN297A突然変異を含むヒトIgG2 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う);(iii)S228P、E233P、F234V、L235A、及びdelG236突然変異を含むヒトIgG4 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う);または(iv)S228P、E233P、F234V、L235A、delG236、及びN297A突然変異を含むヒトIgG4 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う)である。がんは、胃癌または胃食道接合部(GEJ)癌であり、個体は、胃癌またはGEJ癌に対して少なくとも1回の以前の治療を受けている。いくつかの実施形態では、胃癌またはGEJ癌は、HER2過剰発現(例えば、HER2)胃癌またはHER2過剰発現GEJ癌である。いくつかの実施形態では、個体は、抗HER2抗体による、抗HER2抗体及びフルオロピリミジンによる、または抗HER2抗体及び白金系化学療法剤による以前の治療を受けている。いくつかの実施形態では、抗HER2抗体は、トラスツズマブである。いくつかの実施形態では、抗VEGF抗体は、ラムシルマブである。いくつかの実施形態では、SIRPα D1ドメインバリアント及びFcドメインバリアントを含むポリペプチドは、週に1回(qw)10mg/kgの用量で投与される。いくつかの実施形態では、SIRPα D1ドメインバリアント及びFcドメインバリアントを含むポリペプチドは、週に1回(qw)15mg/kgの用量で投与される。
【0014】
また、個体においてがんを治療する方法が提供され、この方法は、個体に有効量の(a)SIRPα D1ドメインバリアント及びFcドメインバリアントを含むポリペプチド、及び(b)抗TROP2抗体を投与することを含み、SIRPα D1ドメインバリアントは、配列番号81または配列番号85のアミノ酸配列を含み;Fcドメインバリアントは、(i)L234A、L235A、G237A、及びN297A突然変異を含むヒトIgG1 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う);(ii)A330S、P331S、及びN297A突然変異を含むヒトIgG2 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う);(iii)S228P、E233P、F234V、L235A、及びdelG236突然変異を含むヒトIgG4 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う);または(iv)S228P、E233P、F234V、L235A、delG236、及びN297A突然変異を含むヒトIgG4 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う)である。いくつかの実施形態では、がんは、固形腫瘍、胃癌、鼻咽頭癌、胆嚢癌、子宮頸癌、節外性NK/T細胞リンパ腫、肺癌、喉頭扁平上皮癌、結腸癌、肝門部胆管癌、膵癌、口腔の扁平上皮癌、子宮内膜様子宮内膜癌、または卵巣癌である。
【0015】
本明細書に記載の方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、SIRPα D1ドメインバリアントは、配列番号85のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、SIRPα D1ドメインバリアントは、配列番号81のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、Fcドメインバリアントは、L234A、L235A、G237A、及びN297A突然変異を含むヒトIgG1 Fc領域であり、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う。いくつかの実施形態では、Fcドメインバリアントは、配列番号91のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、SIRPα D1ドメインバリアント及びFcドメインバリアントを含むポリペプチドは、配列番号136のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、SIRPα D1ドメインバリアント及びFcドメインバリアントを含むポリペプチドは、配列番号135のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、SIRPα D1ドメインバリアント及びFcドメインバリアントを含むポリペプチドは、ホモ二量体を形成する。いくつかの実施形態では、個体は、ヒトである。
【0016】
別の態様では、薬学的に許容される担体中に、SIRPα D1ドメインバリアント及びFcドメインバリアントを含むポリペプチドであって、がんの治療を必要としている個体において、それを行うためにBcl-2阻害剤と組み合わせて使用するためのポリペプチドを含むキットも提供され、SIRPα D1ドメインバリアントは、配列番号81または配列番号85のアミノ酸配列を含み;Fcドメインバリアントは、(i)L234A、L235A、G237A、及びN297A突然変異を含むヒトIgG1 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う);(ii)A330S、P331S、及びN297A突然変異を含むヒトIgG2 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う);(iii)S228P、E233P、F234V、L235A、及びdelG236突然変異を含むヒトIgG4 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う);または(iv)S228P、E233P、F234V、L235A、delG236、及びN297A突然変異を含むヒトIgG4 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う)であり、キットは、SIRPα D1ドメインバリアント及びFcドメインバリアントを含むポリペプチドをBcl-2阻害剤と組み合わせて、それを必要とする個体に投与するための指示書を含む。いくつかの実施形態では、がんは、白血病、多発性骨髄腫または非ホジキンリンパ腫である。いくつかの実施形態では、Bcl-2阻害剤は、ベネトクラクスである。
【0017】
また、薬学的に許容される担体中に、SIRPα D1ドメインバリアント及びFcドメインバリアントを含むポリペプチドであって、がんの治療を必要としている個体において、それを行うための白金系化学療法剤と組み合わせて使用するためのポリペプチドを含むキットも提供され、SIRPα D1ドメインバリアントは、配列番号81または配列番号85のアミノ酸配列を含み;Fcドメインバリアントは、(i)L234A、L235A、G237A、及びN297A突然変異を含むヒトIgG1 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う);(ii)A330S、P331S、及びN297A突然変異を含むヒトIgG2 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う);(iii)S228P、E233P、F234V、L235A、及びdelG236突然変異を含むヒトIgG4 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う);または(iv)S228P、E233P、F234V、L235A、delG236、及びN297A突然変異を含むヒトIgG4 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う)であり、キットは、SIRPα D1ドメインバリアント及びFcドメインバリアントを含むポリペプチドを化学療法剤と組み合わせて、それを必要とする個体に投与するための指示書を含む。いくつかの実施形態では、がんは、固形腫瘍である。いくつかの実施形態では、固形腫瘍は、結腸癌(colon cancer)、結腸癌(colon carcinoma)、肺癌、頭頸部癌、食道癌、乳癌、膀胱癌、卵巣癌、子宮頸癌、精巣癌、子宮内膜癌、肝癌、胃癌、脳腫瘍、中皮腫、または神経芽細胞腫である。いくつかの実施形態では、白金系化学療法剤は、シスプラチンまたはカルボプラチンである。
【0018】
いくつかの実施形態では、薬学的に許容される担体中に、SIRPα D1ドメインバリアント及びFcドメインバリアントを含むポリペプチドであって、がんの治療を必要としている個体において、それを行うためにPD-1阻害剤、代謝拮抗剤、及び白金系化学療法剤と組み合わせて使用するためのポリペプチドを含むキットも提供され、SIRPα D1ドメインバリアントは、配列番号81または配列番号85のアミノ酸配列を含み;Fcドメインバリアントは、(i)L234A、L235A、G237A、及びN297A突然変異を含むヒトIgG1 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う);(ii)A330S、P331S、及びN297A突然変異を含むヒトIgG2 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う);(iii)S228P、E233P、F234V、L235A、及びdelG236突然変異を含むヒトIgG4 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う);または(iv)S228P、E233P、F234V、L235A、delG236、及びN297A突然変異を含むヒトIgG4 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う)であり、キットは、SIRPα D1ドメインバリアント及びFcドメインバリアントを含むポリペプチドをPD-1阻害剤、代謝拮抗剤、及び白金系化学療法剤と組み合わせて、頭頸部扁平上皮癌(HNSCC)の以前の治療を受けていないHNSCCを有する個体に投与するための指示書を含む。いくつかの実施形態では、PD-1阻害剤は、ペムブロリズマブである。いくつかの実施形態では、代謝拮抗剤は、5-フルオロウラシルである。いくつかの実施形態では、白金系化学療法剤は、シスプラチンまたはカルボプラチンである。
【0019】
いくつかの実施形態では、薬学的に許容される担体中に、SIRPα D1ドメインバリアント及びFcドメインバリアントを含むポリペプチドであって、がんの治療を必要としている個体において、それを行うための抗HER2抗体、抗VEGFR2抗体、及びパクリタキセルと組み合わせて使用するためのポリペプチドを含むキットも提供され、SIRPα D1ドメインバリアントは、配列番号81または配列番号85のアミノ酸配列を含み;Fcドメインバリアントは、(i)L234A、L235A、G237A、及びN297A突然変異を含むヒトIgG1 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う);(ii)A330S、P331S、及びN297A突然変異を含むヒトIgG2 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う);(iii)S228P、E233P、F234V、L235A、及びdelG236突然変異を含むヒトIgG4 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う);または(iv)S228P、E233P、F234V、L235A、delG236、及びN297A突然変異を含むヒトIgG4 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う)であり、キットは、SIRPα D1ドメインバリアント及びFcドメインバリアントを含むポリペプチドを抗HER2抗体、抗VEGFR2抗体、及びパクリタキセルと組み合わせて、胃癌または胃食道接合部(GEJ)癌を有し、胃癌またはGEJ癌の以前の治療を少なくとも1回受けている個体に投与するための指示書を含む。いくつかの実施形態では、胃癌またはGEJ癌は、HER2胃癌またはHER2GEJ癌である。いくつかの実施形態では、抗HER2抗体は、トラスツズマブである。いくつかの実施形態では、抗VEGFR2抗体は、ラムシルマブである。いくつかの実施形態では、個体は、抗HER2抗体(例えば、トラスツズマブ)及び/またはフルオロピリミジン、及び/または白金系化学療法剤による以前の治療(または複数の以前の治療)を受けた。いくつかの実施形態では、個体の胃癌またはGEJ癌は、抗HER2抗体(例えば、トラスツズマブ)、及び/またはフルオロピリミジン、及び/または白金系化学療法剤を含む以前の治療(または複数の以前の治療)中または後に進行した。いくつかの実施形態では、個体は、抗HER2抗体(例えば、トラスツズマブ)及び/またはフルオロピリミジン、及び/または白金系化学療法剤を含む以前の治療(または複数の以前の治療)で奏効しなかった(例えば、以前の治療後再発した、または以前の治療に反応しなかった)。いくつかの実施形態では、以前の治療(または複数の以前の治療)は、抗HER2抗体及びフルオロピリミジンを含んでいた(例えば、同じ治療法中または異なる治療法中に投与される)。いくつかの実施形態では、以前の治療(または複数の以前の治療)は、抗HER2抗体及び白金系化学療法剤を含んでいた(例えば、同じ治療法中または異なる治療法中に投与される)。
【0020】
また、薬学的に許容される担体中に、SIRPα D1ドメインバリアント及びFcドメインバリアントを含むポリペプチドであって、がんの治療を必要としている個体において、それを行うために抗TROP2抗体と組み合わせて使用するためのポリペプチドを含むキットも提供され、SIRPα D1ドメインバリアントは、配列番号81または配列番号85のアミノ酸配列を含み;Fcドメインバリアントは、(i)L234A、L235A、G237A、及びN297A突然変異を含むヒトIgG1 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う);(ii)A330S、P331S、及びN297A突然変異を含むヒトIgG2 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う);(iii)S228P、E233P、F234V、L235A、及びdelG236突然変異を含むヒトIgG4 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う);または(iv)S228P、E233P、F234V、L235A、delG236、及びN297A突然変異を含むヒトIgG4 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う)であり、キットは、SIRPα D1ドメインバリアント及びFcドメインバリアントを含むポリペプチドを抗TROP2抗体と組み合わせて、それを必要とする個体に投与するための指示書を含む。いくつかの実施形態では、がんは、固形腫瘍、胃癌、鼻咽頭癌、胆嚢癌、子宮頸癌、節外性NK/T細胞リンパ腫、肺癌、喉頭扁平上皮癌、結腸癌、肝門部胆管癌、膵癌、口腔の扁平上皮癌、子宮内膜様子宮内膜癌、または卵巣癌である。
【0021】
また、薬学的に許容される担体中に、SIRPα D1ドメインバリアント及びFcドメインバリアントを含むポリペプチドであって、がんの治療を必要としている個体において、それを行うために抗HER2抗体及び抗PD-L1抗体(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)と組み合わせて使用するためのポリペプチドを含むキットも提供され、SIRPα D1ドメインバリアントは、配列番号81または配列番号85のアミノ酸配列を含み;Fcドメインバリアントは、(i)L234A、L235A、G237A、及びN297A突然変異を含むヒトIgG1 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う);(ii)A330S、P331S、及びN297A突然変異を含むヒトIgG2 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う);(iii)S228P、E233P、F234V、L235A、及びdelG236突然変異を含むヒトIgG4 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う);または(iv)S228P、E233P、F234V、L235A、delG236、及びN297A突然変異を含むヒトIgG4 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う)であり、キットは、SIRPα D1ドメインバリアント及びFcドメインバリアントを含むポリペプチドを抗HER2抗体及び抗PD-L1抗体(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)と組み合わせて、それを必要とする個体に投与するための指示書を含む。いくつかの実施形態では、がんは、結腸癌である。いくつかの実施形態では、結腸癌は、HER2結腸癌である。いくつかの実施形態では、抗HER2抗体は、トラスツズマブである。いくつかの実施形態では、抗PD-L1抗体は、アテゾリズマブ、アベルマブ、またはデュルバルマブである。
【0022】
本キットのいくつかの実施形態では、SIRPα D1ドメインバリアントは、配列番号85のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、SIRPα D1ドメインバリアントは、配列番号81のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、Fcドメインバリアントは、L234A、L235A、G237A、及びN297A突然変異を含むヒトIgG1 Fc領域であり、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う。いくつかの実施形態では、Fcドメインバリアントは、配列番号91のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、SIRPα D1ドメインバリアント及びFcドメインバリアントを含むポリペプチドは、配列番号136のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、SIRPα D1ドメインバリアント及びFcドメインバリアントを含むポリペプチドは、配列番号135のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、SIRPα D1ドメインバリアント及びFcドメインバリアントを含むポリペプチドは、ホモ二量体を形成する。いくつかの実施形態では、個体は、ヒトである。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1A】RS4;11白血病細胞を注射し、その後、薬物A、ベネトクラクス、ベネトクラクス/薬物Aの組み合わせ、またはビヒクル(PBS)で治療した、移植後の指定された時間でのNOD-SCID雌マウスの腫瘍体積(mm)を示す。破線の矢印は、3日間隔で合計2回の強制経口投与によるベネトクラクス(250μg)の投与を示している。点線の矢印は、3~4日間隔で合計4回の薬物A(10mg/kg)の投与を示している。SEM=標準誤差。TF=腫瘍なし。
図1B】RS4;11白血病細胞を注射し、ベネトクラクス治療を受け、その後、単剤ベネトクラクスまたはベネトクラクス/薬物Aの組み合わせで再治療した、移植後の指定された時間でのNOD-SCID雌マウスの腫瘍体積(mm)を示す。
図2A】CT26腫瘍細胞を注射し、その後、薬物A、シスプラチン、シスプラチン/薬物Aの組み合わせ、またはビヒクル(PBS)で治療した、移植後の指定された時間でのBALB/c雌マウスの腫瘍体積(mm)及び体重を示す。示された治療での平均腫瘍体積(+/-SEM)を示す。破線の矢印は、シスプラチンの投与を示す(10日間隔で5mg/kgを2回投与)。点線の矢印は、薬物Aの投与を示す(10日間隔で30mg/kgを2回投与)。両方の薬物とも、腹腔内投与した。両方の剤で治療したマウスには、シスプラチンによる治療の1日後に薬物Aを投与した。
図2B】CT26腫瘍細胞を注射し、その後、薬物A、シスプラチン、シスプラチン/薬物Aの組み合わせ、またはビヒクル(PBS)で治療した、移植後の指定された時間でのBALB/c雌マウスの腫瘍体積(mm)及び体重を示す。図2Aに示されるレジメンに従って治療したマウスにおける7日目(D7)からの体重の平均変化率(%)を示す。
図2C】CT26腫瘍細胞を注射し、その後、薬物A、シスプラチン、シスプラチン/薬物Aの組み合わせ、またはビヒクル(PBS)で治療した、移植後の指定された時間でのBALB/c雌マウスの腫瘍体積(mm)及び体重を示す。示された治療での平均腫瘍体積(+/-SEM)を示す。破線の矢印は、シスプラチンの投与を示す(10mg/kgを1回投与)。点線の矢印は、薬物Aの投与を示す(10日間隔で30mg/kgを2回投与)。両方の薬物とも、腹腔内投与した。両方の剤で治療したマウスには、シスプラチンによる治療の1日後に薬物Aを投与した。
図2D】CT26腫瘍細胞を注射し、その後、薬物A、シスプラチン、シスプラチン/薬物Aの組み合わせ、またはビヒクル(PBS)で治療した、移植後の指定された時間でのBALB/c雌マウスの腫瘍体積(mm)及び体重を示す。図2Cに示されるレジメンに従って治療したマウスにおける7日目(D7)からの体重の平均変化率(%)を示す。
図3】ヒト単球由来マクロファージによるCFSE標識DLD-1腫瘍細胞の食作用に対する抗TROP2抗体と組み合わせた薬物Aの効果を決定するために実施した実験の結果を示す。
図4】MC38m/h結腸癌モデルにおける腫瘍成長に対する、(a)抗HER2抗体、(b)抗PD-L1抗体、または(c)抗HER2抗体及び抗PD-L1と組み合わせた薬物Aの効果を決定するために実施した実験の結果を示す。
図5A】In vitroアッセイにおけるマクロファージによるHL60細胞の食作用における薬物A、ベネトクラクス、または薬物A及びベネトクラクスの両方を添加した効果を評価するために実施された実験の結果を示す。
図5B】in vitroアッセイにおけるマクロファージによるOCI-AML3細胞の食作用における薬物A、ベネトクラクス、または薬物A及びベネトクラクスの両方を添加した効果を評価するために実施された実験の結果を示す。
図6A】CD8樹状細胞の活性化に対する薬物Aまたは薬物Cの効果を評価するために実施された実験の結果を示す。
図6B】CD8樹状細胞の活性化に対する薬物Aまたは薬物Cの効果を評価するために実施された実験の結果を示す。
図7A】CD8樹状細胞の活性化に対する薬物Aまたは薬物Bの効果を評価するために実施された実験の結果を示す。
図7B】CD8樹状細胞の活性化に対する薬物Aまたは薬物Bの効果を評価するために実施された実験の結果を示す。
図8A】薬物A、F59/マグロリマブ、TTI-621、及びTTI-622のhCD47への結合を評価するために実施された実験の結果を示す。
図8B】SIRPαシグナル伝達に対する薬物A、F59/マグロリマブ、TTI-621、及びTTI-622の効果を評価するために実施された定量的実験の結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下の説明では、例示的な方法、パラメータなどを述べる。しかしながら、そのような説明は、本開示の範囲を制限することを意図するものではなく、代わりに、例示的な実施形態の説明として提供されることを認識されたい。
【0025】
定義
「約」または「およそ」という用語は、当業者によって決定されるような特定の値についての許容可能な誤差範囲内であることを意味し、値を測定する、または決定する方法、すなわち、測定システムの限界に部分的に依存する。例えば、「約」は、当該技術分野における慣例に従い、1以内のまたは1以上の標準偏差を意味することができる。あるいは、「約」は、所与の値の最大20%、最大10%、最大5%、または最大1%の範囲を意味することができる。あるいは、特に生物学的システムまたはプロセスに関して、この用語は、値の、好ましくは5倍以内、より好ましくは2倍以内の桁内を意味することが可能である。別段に記載されない限り、本出願及び特許請求の範囲に特定の値が記載される場合、「約」という用語は、特定の値について許容可能な誤差範囲内にあることを意味するとみなされる。
【0026】
本明細書に使用される用語は、特定の事例を説明する目的のみであり、制限するように意図されるものではない。本明細書で使用されるように、単数形の「a」、「an」及び「the」は、文脈が別段に明確に示さない限り、複数形も含むことが意図されている。さらに、「含む(including)」、「含む(includes)」「有する(having)」、「有する(has)」、「伴う」、またはそれらの変形が詳細な説明または特許請求の範囲のいずれかで使用される程度に、それらのような用語は、用語「含む(comprising)」と同様の方式で包括的であるように意図される。
【0027】
本明細書で使用される場合、「治療(treatment)」、「治療すること(treating)」などの用語は、効果を得るために、剤を投与すること、または手順を実行することを指す。いくつかの実施形態では、効果は、疾患またはその症状を完全にまたは部分的に予防するという点で予防的である。いくつかの実施形態では、効果は、疾患または疾患の症状の部分的または完全な治癒に影響を与えるという点で治療的である。
【0028】
本明細書で使用される場合、「抗体」という用語は、無傷の抗体、抗体断片、それらが所望の生物学的活性(例えば、エピトープ結合)を呈する場合、モノクローナル抗体;ポリクローナル抗体;単一特異性抗体;多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体);及び抗体様タンパク質を指す。
【0029】
本明細書で使用される場合、「抗体可変ドメイン」という用語は、相補的決定領域(CDR、例えば、CDR L1、CDR L2、CDR L3、CDR H1、CDR H2、及びCDR H3)及びフレームワーク領域(FR)のアミノ酸配列を含む抗体の軽鎖及び重鎖の部分を指す。
【0030】
本明細書で使用される場合、「リンカー」という用語は、2つの要素、例えば、タンパク質ドメイン間の連結を指す。いくつかの実施形態では、リンカーは、共有結合またはスペーサーであり得る。「スペーサー」という用語は、2つのポリペプチドまたはポリペプチドドメイン間に空間もしくは柔軟性(または空間及び柔軟性の両方)を提供するために、2つのポリペプチドまたはポリペプチドドメイン間に生じる部分(例えば、ポリエチレングリコール(PEG)ポリマー)またはアミノ酸配列(例えば、1~200アミノ酸配列)を指す。いくつかの実施形態では、アミノ酸スペーサーは、ポリペプチドの一次配列の一部である(例えば、ポリペプチド骨格を介して間隔を置いたポリペプチドまたはポリペプチドドメインに結合されている)。
【0031】
本明細書で使用される場合、「有効量」という用語は、がん、例えば固形腫瘍または血液がんなどの疾患を有する患者を治療する際に所望の治療効果を達成するのに十分かつ効果的である、ポリペプチドまたは本明細書に記載のポリペプチド、例えば、SIRPα D1ドメインまたはそのバリアントを有するポリペプチドを含む医薬組成物の量を指す。いくつかの実施形態では、有効量のポリペプチドは、有害な副作用を回避するであろう。
【0032】
本明細書で使用される場合、「医薬組成物」という用語は、有効成分ならびに賦形剤または希釈剤(または賦形剤及び希釈剤の両方)を含み、有効成分が好適な投与方法によって投与され得る医薬品または医薬製剤を指す。いくつかの実施形態では、本明細書に開示の医薬組成物は、ポリペプチドと適合性のある薬学的に許容される成分を含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、経口投与のための錠剤もしくはカプセル形態、または例えば注射による静脈内投与もしくは皮下投与のための水性形態である。
【0033】
本明細書で使用される場合、「対象」、「個体」、及び「患者」という用語は、脊椎動物、例えば哺乳動物を指すために同義的に使用される。哺乳動物としては、これらに限定されないが、マウス、サル、ヒト、家畜、スポーツ動物、及びペットが挙げられる。In vivoで得られたまたはin vitroで培養された生物学的実体の組織、細胞、及びそれらの後代もまた包含される。いずれの用語も、医療専門家の監督を必要としない。
【0034】
本明細書で使用される場合、「親和性」または「結合親和性」という用語は、2つの分子間の結合相互作用の強度を指す。一般に、結合親和性とは、分子とその結合パートナー(SIRPα D1ドメインバリアント及びCD47など)との間の非共有相互作用の合計の強度を指す。別途指定されない限り、結合親和性は、結合対のメンバー間の1:1の相互作用を反映する、本来の結合親和性を指す。2つの分子間の結合親和性は、一般に解離定数(K)または結合定数(K)で説明される。互いに低い結合親和性を有する2つの分子は、一般にゆっくりと結合し、容易に解離する傾向があり、大きいKを呈する。互いに高い親和性を有する2つの分子は、一般に容易に結合し、結合が依然として長い傾向があり、小さいKを呈する。いくつかの実施形態では、2つの相互作用する分子のKは、既知の方法及び技術、例えば、表面プラズモン共鳴(SPR)を使用して決定される。Kは、koff/konの比率として計算できる。
【0035】
本明細書で使用される場合、「未満のK」という用語は、数値的に小さいK値及び記載されたK値と比較して増加する結合親和性を指す。本明細書で使用される場合、「より大きいK」という用語は、数値的により大きいK値及び記載されたK値と比較して減少する結合親和性を指す。
【0036】
本明細書で使用されるとき、「と併せて」とは、1つの治療法に加えた別の治療法の施行を指す。したがって、「と併せて」とは、個体への1つの治療法の施行前、施行中、または施行後の別の治療法の施行を指す。
【0037】
概観
本明細書で提供されるのは、個体(例えば、ヒト個体)におけるがんを治療する方法であって、本方法は、有効量の(a)CD47(例えば、hCD47)とSIRPα(例えば、hSIRPα)との間の相互作用を遮断する剤及び(b)化学療法剤(少なくとも1つの化学療法剤、例えば、少なくとも2つ、少なくとも3つ、または少なくとも4つの化学療法剤など)を個体に投与することを含む。いくつかの実施形態では、この方法は、有効量の治療用抗体(少なくとも1つの治療用抗体、例えば、少なくとも2つ、少なくとも3つ、または少なくとも4つの治療用抗体)を個体に投与することをさらに含む。追加的にまたは代替的に、いくつかの実施形態では、この方法は、有効量の免疫療法剤(少なくとも1つの免疫療法剤、例えば、少なくとも2つ、少なくとも3つ、または少なくとも4つの免疫療法剤)を個体に投与することをさらに含む。追加的にまたは代替的に、いくつかの実施形態では、この方法は、ポリペプチド及び化学療法剤を1つ以上の追加の治療様式、これらに限定されないが、例えば、放射線治療、手術、冷凍アブレーション、及び骨髄移植など、と組み合わせて投与することを含む。
【0038】
いくつかの実施形態では、CD47(例えば、hCD47)とSIRPα(例えば、hSIRPα)との間の相互作用を遮断する剤は、CD47-SIRPα経路(例えば、RRX-001など)の小分子阻害剤である。例えば、Miller et al.(2019)“Quantitative high-throughput screening assays for the discovery and development of SIRPα-CD47 interaction inhibitors.”PLoS ONE 14(7):e0218897及びSasikumar et al.ACR-NCI-EORTC International Conference:Molecular Targets and Cancer Therapeutics;October 26-30,2017;Philadelphia,PA;Abstract B007を参照されたい。
【0039】
いくつかの実施形態では、CD47(例えば、hCD47)とSIRPα(例えば、hSIRPα)との間の相互作用を遮断する剤は、CD47(例えば、hCD47)に結合する。いくつかの実施形態では、剤は、約10nMのKまたはそれよりも良好なK(例えば、約9nM、8nM、7nM、6nM、5nM、3nM、2nM、1nM、750pM、500pM、250pM、200pM、100pM、50pM、25pM、20pM、10pMまたは10pM未満の少なくともいずれか1つ)でCD47(例えば、hCD47)に結合する。いくつかの実施形態では、CD47(例えば、hCD47)に結合する剤は、ヒトの対象では、少なくとも約50%(例えば、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、99%、または約100%のうちの少なくともいずれか1つである)のCD47受容体占有率を呈する。いくつかの実施形態では、CD47(例えば、hCD47)に結合する剤は、約80ng/ml以下、例えば、約75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、10、または5ng/mlのうちのいずれか1つのEC50を有する。いくつかの実施形態では、CD47(例えば、hCD47)に結合する剤は、抗CD47抗体(例えば、治療用抗CD47抗体)またはその抗原結合断片である。いくつかの実施形態では、抗原結合断片は、Fab、Fab’、Fab’-SH、F(ab’)2、Fv、scFv、単鎖抗体、またはダイアボディである。いくつかの実施形態では、抗CD47抗体は、単一特異性抗体である。いくつかの実施形態では、抗CD47抗体は、多重特異性(例えば、二重特異性)抗体である。いくつかの実施形態では用語「抗CD47抗体」は、抗体ベースのコンストラクト(多重特異性コンストラクトなど)、例えば、これらに限定されないが、triomab、DART(すなわち、デュアルアフィニティーリターゲティング抗体)、TandAb(すなわち、タンデムダイアボディ)、タンデムscFv、CrossMab、DNL(すなわち、ドックアンドロック抗体)、DVD-Ig(すなわち、デュアル可変ドメイン免疫グロブリン)、四価二重特異性IgG、ナノボディ、デュアルターゲティングドメイン、及びART-Ig(すなわち、非対称リエンジニアリング技術-免疫グロブリン)などを包含する。例示的な抗体コンストラクト(単一特異性及び多重特異性の両方)に関する追加の詳細が、Husain et al.(2018)Biodrugs 32(5):441-464及びSpiess et al.(2015)Molecular Immunology 67(2):95-106に提供されている。いくつかの実施形態では、抗CD47抗体は、Hu5F9-G4、B6H12.2、BRIC126、CC-90002、SRF231、またはIBI188(Innovent Biologics)である(これらの抗CD47抗体に関する追加情報については、例えば、Zhao et al.(2011),PNAS USA 108:18342-18347;Chao et al.(2010) Cell 142:699-713、Kim et al.(2012)Leukemia 26:2538-2545;Chao et al.(2011)Blood 118:4890-4891;Goto et al.(2014)Eur J.Cancer 50:1836-1846;及びEdris et al.(2012)PNAS USA 109:6656-61を参照されたい)。
【0040】
いくつかの実施形態では、CD47(例えば、hCD47)とSIRPα(例えば、hSIRPα)との間の相互作用を遮断する剤は、SIRPα(例えば、hSIRPα)に結合する。いくつかの実施形態では、剤は、約10nMのKまたはそれよりも良好なK(例えば、約9nM、8nM、7nM、6nM、5nM、3nM、2nM、1nM、750pM、500pM、250pM、200pM、100pM、50pM、25pM、20pM、10pMまたは10pM未満の少なくともいずれか1つ)でSIRPα(例えば、hSIRPα)に結合する。いくつかの実施形態では、SIRPα(例えば、hSIRPα)に結合する剤は、ヒトの対象では、少なくとも約50%(例えば、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、99%、または約100%のうちの少なくともいずれか1つである)のSIRPα受容体占有率を呈する。いくつかの実施形態では、SIRPα(例えば、hSIRPα)に結合する剤は、約80ng/ml以下、例えば、約75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、10、または5ng/mlのうちのいずれか1つのEC50を有する。いくつかの実施形態では、SIRPα(例えば、hSIRPα)に結合する剤は、抗SIRPα抗体(例えば、治療用抗SIRPα抗体)またはその抗原結合断片である。いくつかの実施形態では、抗原結合断片は、Fab、Fab’、Fab’-SH、F(ab’)2、Fv、scFv、単鎖抗体、またはダイアボディである。いくつかの実施形態では、抗SIRPα抗体は、単一特異性抗体または単一特異性抗体コンストラクト(上記のものを含むが、これらに限定されない)である。いくつかの実施形態では、抗SIRPα抗体は、多重特異性(例えば、二重特異性)抗体または多重特異性抗体コンストラクト(上記のものを含むが、これに限定されない)である。いくつかの実施形態では、抗SIRPα抗体は、KWAR23、SE12C3、040、またはMY-1である(これらの抗SIRPα抗体に関する追加情報については、例えば、Ring et al.(2017)PNAS USA 114(49):E10578-E10585);Murata et al.(2018)Cancer Sci 109(5):1300-1308;及びYanigata et al.(2017)JCI Insight 2:e89140を参照されたい)。いくつかの実施形態では、抗SIRPα抗体は、WO2018/057669、US-2018-0105600-A1;US20180312587;WO2018107058;WO2019023347;US20180037652;WO2018210795;WO2017178653;WO2018149938;WO2017068164;及びWO2016063233に記載の抗体であり、その内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0041】
いくつかの実施形態では、CD47(例えば、hCD47)とSIRPα(例えば、hSIRPα)との間の相互作用を遮断する剤は、抗SIRPβ抗体または抗SIRPγ抗体(例えば、SIRPαに結合することができる抗SIRPβ抗体または抗SIRPγ抗体)、またはその抗原結合断片である。いくつかの実施形態では、剤は、SIRPα、SIRPβ、及びSIRPγのうちの2つ以上に結合することができる抗体(またはその抗原結合断片)である。いくつかの実施形態では、こうした抗体は、約10nMのKまたはそれよりも良好なK(約9nM、8nM、7nM、6nM、5nM、3nM、2nM、1nM、750pM、500pM、250pM、200pM、100pM、50pM、25pM、20pM、10pMまたは10pM未満の少なくともいずれか1つなど)でSIRPα(例えば、hSIRPα)に結合する。いくつかの実施形態では、抗体は、ヒトの対象では少なくとも約50%(例えば、、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、99%、または約100%のうちの少なくともいずれか1つである)のSIRPα受容体占有率を呈する。いくつかの実施形態では、抗体は、約80ng/ml以下、例えば、約75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、10、または5ng/mlのうちのいずれか1つのEC50を有する。いくつかの実施形態では、抗原結合断片は、Fab、Fab’、Fab’-SH、F(ab’)2、Fv、scFv、単鎖抗体、またはダイアボディである。いくつかの実施形態では、抗体は、単一特異性抗体または単一特異性抗体コンストラクト(上記のものを含むが、これらに限定されない)である。いくつかの実施形態では、抗体は、多重特異性(例えば、二重特異性)抗体または多重特異性抗体コンストラクト(上記のものを含むが、これに限定されない)である。
【0042】
いくつかの実施形態では、CD47(例えば、hCD47)とSIRPα(例えば、hSIRPα)との間の相互作用を遮断する剤は、CD47に結合する部分を含む融合ポリペプチドである。いくつかの実施形態では、融合ポリペプチドは、抗体Fc領域及びCD47に結合する部分を含む。いくつかの実施形態では、CD47(例えば、hCD47)に結合する融合ポリペプチドの部分は、約10nMのKまたはそれよりも良好なK(約9nM、8nM、7nM、6nM、5nM、3nM、2nM、1nM、750pM、500pM、250pM、200pM、100pM、50pM、25pM、20pM、10pMまたは10pM未満の少なくともいずれか1つなど)でCD47(例えば、hCD47)に結合する。いくつかの実施形態では、融合ポリペプチドは、ヒト対象では、少なくとも約50%(例えば、約50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、99%、または約100%のうちの少なくともいずれか1つである)のCD47受容体占有率を呈する。いくつかの実施形態では、融合ポリペプチドは、約80ng/ml以下、例えば、約75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、10、または5ng/mlのうちのいずれか1つのEC50を有する。いくつかの実施形態では、融合ポリペプチドは、WTヒト抗体Fc領域を含む。いくつかの実施形態では、融合ポリペプチドは、WT Fc領域と比較して低下した(例えば、除去されたなどの)エフェクター機能を呈するFcバリアント(例えば、WTヒト抗体Fc領域のバリアント)を含む。例示的Fcバリアントは、WO2017/027422及びUS2017/0107270に記載されており、それらの内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態では、CD47(例えば、hCD47)に結合する部分は、WT SIRPα(例えば、hSIRPα)、またはWT SIRPγ(例えば、hSIRPγ)である。いくつかの実施形態では、CD47(例えば、hCD47)に結合する部分は、WT SIRPα(例えば、hSIRPα)またはWT SIRPγ(例えば、hSIRPγ)のCD47結合断片(例えば、d1ドメイン)である。いくつかの実施形態では、CD47(例えば、hCD47)に結合する部分は、SIRPαバリアント、SIRPγバリアント、SIRPβバリアント、またはそれらのCD47結合断片(例えば、d1ドメイン)である。例示的なSIRPγバリアント、SIRPβ1バリアント、及びSIRPβ2バリアントは、例えば、WO2013/109752;US2015/0071905;USP9,944,911;WO2016/023040;WO2017/027422;US2017/0107270;USP10,259,859;US9845345;WO2016187226;US20180155405;WO2017177333;WO2014094122;US2015329616;US20180312563;WO2018176132;WO2018081898;WO2018081897;PCT/US2019/048921;US20180141986A1;及びEP3287470A1に記載されており、その内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0043】
いくつかの実施形態では、CD47(例えば、hCD47)とSIRPα(例えば、hSIRPα)との間の相互作用を遮断する剤は、抗体Fc領域及びSIRPαバリアントを含む融合ポリペプチドである。いくつかの実施形態では、SIRPαバリアントは、約10nMのKまたはそれよりも良好なK(例えば、約9nM、8nM、7nM、6nM、5nM、3nM、2nM、1nM、750pM、500pM、250pM、200pM、100pM、50pM、25pM、20pM、10pMまたは10pM未満の少なくともいずれか1つ)でCD47(例えば、hCD47)に結合する。いくつかの実施形態では、融合ポリペプチドは、ヒト対象では、少なくとも約50%(例えば、約50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、99%、または約100%のうちの少なくともいずれか1つである)のCD47受容体占有率を呈する。いくつかの実施形態では、融合ポリペプチドは、約80ng/ml以下、例えば、約75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、10、または5ng/mlのうちのいずれか1つのEC50を有する。いくつかの実施形態では、融合ポリペプチドは、WTヒト抗体Fc領域を含む。いくつかの実施形態では、融合ポリペプチドは、WT Fc領域と比較して低下した(例えば、除去されたなどの)エフェクター機能を呈するFcバリアント(例えば、WTヒト抗体Fc領域のバリアント)を含む、例えば、本明細書で引用された参考文献に記載されているものを含む。いくつかの実施形態では、融合ポリペプチドは、WO2013/109752;US2015/0071905;WO2016/023040;WO2017/027422;US2017/0107270;USP10,259,859;US9845345;WO2016187226;US20180155405;WO2017177333;WO2014094122;US2015329616;US20180312563;WO2018176132;WO2018081898;WO2018081897;US20180141986A1;及びEP3287470A1に記載の(その内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)SIRPαバリアントを含む。いくつかの実施形態では、抗体Fc領域及びSIRPαバリアントを含む融合ポリペプチドは、TTI-621、TTI-622、またはIMM01である(例えば、Petrova et al.(2017)Clin Cancer Res 23:1086-1079;Russ et al.(2018)Blood Rev S0268-960X(17)30093-0;Zhang,X,Chen,W,Fan,J et al.Disrupting CD47-SIRPα axis alone or combined with autophagy depletion for the therapy of glioblastoma.Carcinogenesis 2018;39:689-99を参照されたい)。
【0044】
いくつかの実施形態では、CD47(例えば、hCD47)とSIRPα(例えば、hSIRPα)との間の相互作用を遮断する剤は、SIRPα D1ドメインバリアント(例えば、本明細書に記載のSIRPα D1ドメインバリアント)及びFcドメインバリアント(例えば、本明細書に記載のFcドメインバリアント)を含む融合ポリペプチドである。
【0045】
いくつかの実施形態では、提供されるのは、個体(例えば、ヒト個体)におけるがん(例えば、急性リンパ芽球性白血病などの白血病)を治療する方法であって、本方法は、有効量の(a)CD47(例えば、hCD47)とSIRPα(例えば、hSIRPα)との間の相互作用を遮断する剤、及び(b)BCL2阻害剤(例えば、ベネトクラクスなどの選択的BCL2阻害剤)を個体に投与することを含む。いくつかの実施形態では、剤は、SIRPα D1ドメインバリアント及びFcドメインバリアントを含むポリペプチドであって、SIRPα D1ドメインバリアントは、配列番号81または配列番号85のアミノ酸配列を含み、Fcドメインバリアントは、(i)L234A、L235A、G237A、及びN297A突然変異を含むヒトIgG1 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う);(ii)A330S、P331S、及びN297A突然変異を含むヒトIgG2 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う);(iii)S228P、E233P、F234V、L235A、及びdelG236突然変異を含むヒトIgG4 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う);または(iv)S228P、E233P、F234V、L235A、delG236、及びN297A突然変異を含むヒトIgG4 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う)である。
【0046】
いくつかの実施形態では、提供されるのは、個体(例えば、ヒト個体)におけるがん(例えば、結腸癌)を治療する方法であって、本方法は、有効量の(a)CD47(例えば、hCD47)とSIRPα(例えば、hSIRPα)との間の相互作用を遮断する剤、及び(b)白金系化学療法剤(例えば、シスプラチン)を個体に投与することを含む。いくつかの実施形態では、剤は、SIRPα D1ドメインバリアント及びFcドメインバリアントを含むポリペプチドであって、SIRPα D1ドメインバリアントは、配列番号81または配列番号85のアミノ酸配列を含み、Fcドメインバリアントは、(i)L234A、L235A、G237A、及びN297A突然変異を含むヒトIgG1 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う);(ii)A330S、P331S、及びN297A突然変異を含むヒトIgG2 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う);(iii)S228P、E233P、F234V、L235A、及びdelG236突然変異を含むヒトIgG4 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う);または(iv)S228P、E233P、F234V、L235A、delG236、及びN297A突然変異を含むヒトIgG4 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う)である。
【0047】
いくつかの実施形態では、個体(例えば、ヒト個体)におけるがん(例えば、頭頸部癌、頭頸部扁平上皮癌など)を治療する方法が提供され、本方法は、有効量の(a)CD47(例えば、hCD47)とSIRPα(例えば、hSIRPα)との間の相互作用を遮断する剤、(b)PD-1阻害剤、(c)代謝拮抗剤、及び(d)白金系化学療法剤を個体に投与することを含む。いくつかの実施形態では、CD47とSIRPαとの間の相互作用を遮断する剤は、SIRPα D1ドメインバリアント及びFcドメインバリアントを含むポリペプチドであって、SIRPα D1ドメインバリアントは、配列番号81または配列番号85のアミノ酸配列を含み、Fcドメインバリアントは、(i)L234A、L235A、G237A、及びN297A突然変異を含むヒトIgG1 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う);(ii)A330S、P331S、及びN297A突然変異を含むヒトIgG2 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う);(iii)S228P、E233P、F234V、L235A、及びdelG236突然変異を含むヒトIgG4 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う);または(iv)S228P、E233P、F234V、L235A、delG236、及びN297A突然変異を含むヒトIgG4 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う)である。
【0048】
いくつかの実施形態では、提供されるのは、個体(例えば、ヒト個体)におけるがん(例えば、胃癌または胃食道癌)を治療する方法であり、本方法は、有効量の(a)CD47(例えば、hCD47)とSIRPα(例えば、hSIRPα)との間の相互作用を遮断する剤、(b)抗HER2抗体、(c)抗VEGFR2抗体、及び(d)パクリタキセルを個体に投与することを含む。いくつかの実施形態では、CD47とSIRPαとの間の相互作用を遮断する剤は、SIRPα D1ドメインバリアント及びFcドメインバリアントを含むポリペプチドであって、SIRPα D1ドメインバリアントは、配列番号81または配列番号85のアミノ酸配列を含み、Fcドメインバリアントは、(i)L234A、L235A、G237A、及びN297A突然変異を含むヒトIgG1 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う);(ii)A330S、P331S、及びN297A突然変異を含むヒトIgG2 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う);(iii)S228P、E233P、F234V、L235A、及びdelG236突然変異を含むヒトIgG4 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う);または(iv)S228P、E233P、F234V、L235A、delG236、及びN297A突然変異を含むヒトIgG4 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う)である。
【0049】
SIRPα D1ドメインバリアント及びFcドメインバリアントを含むポリペプチドによる治療方法に関するさらなる詳細を以下に記載する。WO2017/027422及び米国特許第10,259,859号も参照のこと。これらのそれぞれの内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0050】
シグナル調節タンパク質α(SIRPα)D1ドメイン及びそのバリアント
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるのは、シグナル調節タンパク質α(SIRP-α)D1バリアントを含むポリペプチドであって、本ポリペプチドは、野生型SIRP-α D1ドメイン(例えば、配列番号1または2に示される野生型SIRPα D1ドメイン)に対して、残基80において、アミノ酸突然変異;及び野生型SIRPα D1ドメイン(配列番号1または2に示される野生型SIRPα D1ドメイン)に対して、残基6、残基27、残基31、残基47、残基53、残基54、残基56、残基66、及び残基92からなる群から選択される残基において、少なくとも1つの追加のアミノ酸突然変異を含む、SIRPα D1ドメインまたはその断片を含む。
【0051】
また、本明細書で開示されるのは、いくつかの実施形態では、Fcドメインバリアントを含むポリペプチドであり、ここで、Fcドメインバリアント二量体は、2つのFcドメインバリアントを含み、各Fcドメインバリアントは、独立して、(i)突然変異L234A、L235A、G237A、及びN297AからなるヒトIgG1 Fc領域;(ii)突然変異A330S、P331S、及びN297AからなるヒトIgG2 Fc領域;または(iii)突然変異S228P、E233P、F234V、L235A、delG236、及びN297Aを含むヒトIgG4 Fc領域から選択される。
【0052】
シグナル調節タンパク質α(「SIRP-α」または「SIRP-アルファ」)は、骨髄細胞の膜に広く発現しているIgスーパーファミリーに属する膜貫通型糖タンパク質である。SIRPαは、身体内の多くの細胞型で広く発現しているタンパク質であるCD47と相互作用する。SIRPαとCD47との相互作用により、免疫系によって他の方法で認識され得る「自己」細胞の飲み込みを防ぐ。腫瘍細胞でのCD47の高発現は、急性骨髄性白血病及びいくつかの固形腫瘍がんにおいて、生存のための負の予後因子として作用し得ることが観察されている。
【0053】
ネイティブSIRPαは、3つの相同性の高い免疫グロブリン(Ig)様細胞外ドメイン(D1、D2、及びD3)で構成されている。SIRPα D1ドメイン(「D1ドメイン」)は、SIRPαの膜遠位の細胞外ドメインを指し、SIRPαのCD47への結合を媒介する。本明細書で使用される場合、「SIRPαポリペプチド」という用語は、CD47に結合することができる任意のSIRPαポリペプチドまたはその断片を指す。少なくとも10の野生型ヒトSIRPαのバリアントが存在する。表1は、天然に存在する野生型ヒトSIRPα D1ドメインバリアント(配列番号1及び2)のD1ドメインのアミノ酸配列を示す。いくつかの実施形態では、SIRPαポリペプチドは、SIRPα D1ドメインを含む。いくつかの実施形態では、SIRPαポリペプチドは、配列番号1及び2の中で提供されるものなどの野生型D1ドメインを含む。いくつかの実施形態では、SIRPαポリペプチドは、野生型ヒトSIRPαのD2またはD3ドメイン(またはD2及びD3ドメインの両方)(表3を参照)を含む。
【表1】
【0054】
本明細書で使用される場合、「SIRPα D1ドメインバリアント」という用語は、野生型SIRPαよりもCD47に対してより高い親和性を有するSIRPα D1ドメインまたはSIRPαポリペプチドのCD47結合部分を含むポリペプチドを指す。SIRPα D1ドメインバリアントは、野生型SIRPαに対して、少なくとも1つのアミノ酸置換、欠失、または挿入(またはそれらの組み合わせ)を含む。
【0055】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるSIRPα D1ドメインバリアントは、SIRPα D1ドメインまたはそのバリアントを含む。いくつかの実施形態では、SIRPα D1ドメインバリアントは、配列番号1及び2に示される野生型D1ドメインに対して、1つ以上のアミノ酸置換、挿入、付加、または欠失を含む。表2には、各SIRPα D1ドメインバリアント(配列番号13~14)における例示的なアミノ酸置換を列挙している。いくつかの実施形態では、SIRPα D1ドメインポリペプチドまたはSIRPα D1ドメインバリアントは、D1ドメインの断片を含む。いくつかの実施形態では、SIRPαポリペプチド断片またはSIRPα D1ドメインバリアント断片は、長さ10アミノ酸未満、長さ約10アミノ酸、長さ約20アミノ酸、長さ約30アミノ酸、長さ約40アミノ酸、長さ約50アミノ酸、長さ約60アミノ酸、長さ約70アミノ酸、長さ約80アミノ酸、長さ約90アミノ酸、長さ約100アミノ酸、または長さ約100アミノ酸以上のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、SIRPα D1ドメイン断片は、CD47に結合する能力を保持している。
【0056】
いくつかの実施形態では、SIRPα D1ドメインバリアントを含む本開示のポリペプチドは、野生型ヒトSIRPα D1ドメインよりも高い結合親和性でCD47に結合する。いくつかの実施形態では、SIRPα D1ドメインバリアントは、天然に存在するD1ドメインの親和性よりも、少なくとも1倍(例えば、少なくとも1.5倍、2倍、2.5倍、3倍、3.5倍、4倍、5倍、5倍以上)の親和性でヒトCD47に結合する。いくつかの実施形態では、SIRPα D1ドメインバリアントは、天然に存在するD1ドメインの親和性よりも、少なくとも1倍(例えば、少なくとも10倍、100倍、1000倍、または1000倍以上)の親和性でヒトCD47に結合する。
【0057】
本明細書で使用される場合、「最適化された親和性」または「最適化された結合親和性」という用語は、SIRPα D1ドメインバリアントなど、本明細書に開示のポリペプチドとCD47との間の結合相互作用の最適化された強度を指す。例えば、いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、がん細胞上のCD47に主にまたはより高い親和性で結合し、非がん細胞上のCD47に実質的に結合しないか、またはより低い親和性で結合する。いくつかの実施形態では、ポリペプチドとCD47との間の結合親和性は、相互作用が、最大の親和性で結合するバリアントと比較して、臨床的に関連する毒性を引き起こさないか、または毒性を減少させるように最適化される。いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるポリペプチドとCD47との間の最適化された結合親和性を達成するために、SIRPα D1ドメインバリアントを含むポリペプチドは、最大に達成可能であるよりも低いCD47への結合親和性を有するように開発される。いくつかの実施形態では、本明細書に開示のSIRPα D1ドメインバリアントは、げっ歯類、非ヒト霊長類(NHP)、及びヒトCD47と交差反応する。
【0058】
本明細書で使用される場合、「免疫原性」という用語は、それが外来抗原であるかのように宿主において免疫応答を引き起こすタンパク質(例えば、治療用タンパク質)の特性を指す。タンパク質の免疫原性は、in vitro T細胞増殖アッセイなど、様々な方法でin vitroでアッセイできる。
【0059】
本明細書で使用される場合、「最小免疫原性」という用語は、アミノ酸置換が導入される前(例えば、未修飾タンパク質)の免疫原性よりも低くなるように(例えば、少なくとも10%、25%、50%、または100%低い)、例えば、アミノ酸置換によって修飾されているタンパク質(例えば、治療用タンパク質)の免疫原性を指す。いくつかの実施形態では、タンパク質(例えば、治療用タンパク質)は、最小免疫原性を有するように修飾され、それが外来抗原であるとしても、宿主免疫応答を全くまたはほとんど引き起こさない。
【0060】
いくつかの実施形態では、SIRPα D1ドメインバリアントは、最小免疫原性を示す。いくつかの実施形態では、対象に投与される本開示のSIRPαポリペプチドは、SIRPα D1ドメインバリアントの親和性を増加させるアミノ酸変化を除いて、対象の生物学的サンプルにおけるSIRPαポリペプチドの親和性と同じアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に開示のポリペプチドバリアントは、抗CD47抗体または野生型SIRPαと比較して、副作用のリスクを低下させる。いくつかの実施形態では、本明細書に開示のポリペプチドバリアントは、抗CD47抗体または野生型SIRPαと比較して、貧血のリスクを低下させる。いくつかの実施形態では、本明細書に開示のポリペプチドバリアントは、げっ歯類または非ヒト霊長類(NHP)の試験において急性貧血を引き起こさない。
【0061】
表2には、各D1ドメイン配列に対する、SIRPα D1ドメインバリアントの特定のアミノ酸置換を示す。いくつかの実施形態では、SIRPα D1ドメインバリアントは、表2に列挙されている置換のうちの1つ以上(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、またはそれ以上)を含む。いくつかの実施形態では、SIRPα D1ドメインバリアントは、野生型D1ドメインに対して、最大で14個のアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、SIRPα D1ドメインバリアントは、野生型D1ドメインに対して、最大で10個のアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、SIRPα D1ドメインバリアントは、野生型D1ドメインに対して、最大で7個のアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、本開示のSIRPα D1ドメインバリアントは、野生型D1ドメインの配列に対して、少なくとも90%(例えば、少なくとも92%、95%、97%または97%を超える)のアミノ酸配列同一性を有する。
【0062】
いくつかの実施形態では、SIRPα D1ドメインバリアントは、2つ以上の野生型D1ドメインまたはそのバリアントの一部(例えば、1つの野生型D1ドメインまたはそのバリアントの一部及び別の野生型D1ドメインまたはそのバリアントのその一部)を含むキメラSIRPα D1ドメインバリアントである。いくつかの実施形態では、キメラSIRPα D1ドメインバリアントは、野生型D1ドメインまたはそのバリアントの少なくとも2つの部分(例えば、3つ、4つ、5つ、またはそれ以上の部分)を含み、ここで、部分の各々は、異なる野生型D1ドメインに由来する。いくつかの実施形態では、キメラSIRPα D1ドメインバリアントは、表2に列挙されている1つ以上のアミノ酸置換をさらに含む。
【表2】
【0063】
いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、以下の配列を含むSIRPα D1ドメインバリアントを含む:
EEEXQXIQPDKSVLVAAGETXTLRCTXTSLXPVGPIQWFRGAGPGRXLIYNQXGXFPRVTTVSDX10TX11RNNMDFSIRIGNITPADAGTYYCX12KX13RKGSPDDVEX14KSGAGTELSVRAKPS(配列番号13)、Xは、L、I、またはVであり、Xは、V、L、またはIであり、Xは、AまたはVであり、Xは、A、I、またはLであり、Xは、I、T、S、またはFであり、Xは、E、V、またはLであり、Xは、KまたはRであり、Xは、EまたはQであり、Xは、H、P、またはRであり、X10は、L、T、またはGであり、X11は、KまたはRであり、X12は、VまたはIであり、X13は、F、L、またはVであり、X14は、FまたはVであり、バリアントは、配列番号1の配列を含む野生型SIRPα D1ドメインに対して、少なくとも1つのアミノ酸置換を含む。
【0064】
いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号13の配列を含むSIRPα D1ドメインバリアントを含み、ここで、Xは、L、I、またはVである。前述の実施形態のいずれにおいても、Xは、V、L、またはIである。いくつかの実施形態では、Xは、AまたはVである。いくつかの実施形態では、Xは、A、I、またはLである。いくつかの実施形態では、Xは、I、T、S、またはFである。いくつかの実施形態では、Xは、E、V、またはLである。いくつかの実施形態では、Xは、KまたはRである。いくつかの実施形態では、Xは、EまたはQである。いくつかの実施形態では、Xは、H、P、またはRである。いくつかの実施形態では、X10は、L、T、またはGである。いくつかの実施形態では、X11は、KまたはRである。いくつかの実施形態では、X12は、VまたはIである。いくつかの実施形態では、X13は、F、L、Vである。いくつかの実施形態では、X14は、FまたはVである。いくつかの実施形態では、本開示のこの態様のポリペプチドは、配列番号1の配列を含む野生型SIRPα D1ドメインに対して、6つ以下のアミノ酸置換を含む。
【0065】
いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号1の配列を含む野生型SIRPα D1ドメインよりも少なくとも10倍高い結合親和性でCD47に結合する。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号1の配列を含む野生型SIRPα D1ドメインよりも少なくとも100倍高い結合親和性でCD47に結合する。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号1の配列を含む野生型SIRPα D1ドメインよりも少なくとも1000倍高い結合親和性でCD47に結合する。いくつかの実施形態では、SIRPα D1ドメインバリアントポリペプチドまたはその断片は、1×10-8M未満、5x10-9M未満、1x10-9M未満、5x10-10M未満、1x10-10M未満または1x10-11M未満のKでCD47に結合する。いくつかの実施形態では、SIRPα D1ドメインバリアントポリペプチドまたはその断片は、約500nM~100nM、約100nM~50nM、約50nM~10nM、約10nM~5nM、約5nM~1nM、約1nM~500pM、約500pM~100pM、約100pM~50pM、または約50pM~10pMのKでCD47に結合する。
【0066】
いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、以下の配列を含むSIRPα D1ドメインバリアントを含む:
EEEXQXIQPDKSVSVAAGESXILHCTXTSLXPVGPIQWFRGAGPARXLIYNQXGXFPRVTTVSEX10TX11RENMDFSISISNITPADAGTYYCX12KX13RKGSPDTEX14KSGAGTELSVRAKPS(配列番号14)、Xは、L、I、またはVであり、Xは、V、L、またはIであり、Xは、AまたはVであり、Xは、V、I、またはLであり、Xは、I、T、S、またはFであり、Xは、E、V、またはLであり、Xは、KまたはRであり、Xは、EまたはQであり、Xは、H、P、またはRであり、X10は、S、T、またはGであり、X11は、KまたはRであり、X12は、VまたはIであり、X13は、F、L、またはVであり、X14は、FまたはVであり、バリアントは、配列番号2の配列を含む野生型SIRPα D1ドメインに対して、少なくとも1つのアミノ酸置換を含む。
【0067】
本開示のこの態様におけるいくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号14の配列を含み、ここで、Xは、L、I、またはVである。いくつかの実施形態では、Xは、V、L、またはIである。いくつかの実施形態では、Xは、AまたはVである。いくつかの実施形態では、Xは、V、I、またはLである。いくつかの実施形態では、Xは、I、T、S、またはFである。いくつかの実施形態では、Xは、E、V、またはLである。いくつかの実施形態では、Xは、KまたはRである。いくつかの実施形態では、Xは、EまたはQである。いくつかの実施形態では、Xは、H、P、またはRである。いくつかの実施形態では、X10は、S、T、またはGである。いくつかの実施形態では、X11は、KまたはRである。いくつかの実施形態では、X12は、VまたはIである。いくつかの実施形態では、X13は、F、L、またはVである。いくつかの実施形態では、X14は、FまたはVである。いくつかの実施形態では、本開示のこの態様のポリペプチドは、配列番号2の配列を含む野生型SIRPα D1ドメインに対して、6つ以下のアミノ酸置換を含む。
【0068】
いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号2の配列を有する野生型SIRPα D1ドメインよりも少なくとも10倍高い結合親和性でCD47に結合する。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号2の配列を有する野生型SIRPα D1ドメインよりも少なくとも100倍高い結合親和性でCD47に結合する。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号2の配列を有する野生型SIRPα D1ドメインよりも少なくとも1000倍高い結合親和性でCD47に結合する。いくつかの実施形態では、SIRPα D1ドメインバリアントポリペプチドまたはその断片は、1×10-8M未満、5x10-9M未満、1x10-9M未満、5x10-10M未満、1x10-10M未満または1x10-11M未満のKでCD47に結合する。いくつかの実施形態では、SIRPα D1ドメインバリアントポリペプチドまたはその断片は、約500nM~100nM、約100nM~50nM、約50nM~10nM、約10nM~5nM、約5nM~1nM、約1nM~500pM、約500pM~100pM、約100pM~50pM、または約50pM~10pMのKでCD47に結合する。
【0069】
いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、以下の配列を有するSIRPα D1ドメインバリアントを含む:
EEXQXIQPDKXVXVAAGEXLXCTX10TSLX11PVGPIQWFRGAGPX12RX13LIYNQX1415GX16FPRVTTVSX1718TX19RX20NMDFX21IX22IX23NITPADAGTYYCX24KX25RKGSPDX2627EX28KSGAGTELSVRX29KPS(配列番号23)、Xは、EまたはGであり;Xは、L、I、またはVであり;Xは、V、L、または、Iであり;Xは、SまたはFであり;Xは、LまたはSであり;Xは、SまたはTであり;Xは、AまたはVであり;Xは、IまたはTであり;Xは、HまたはRであり;X10は、A、V、I、またはLであり;X11は、I、T、S、またはFであり;X12は、AまたはGであり;X13は、E、V、またはLであり;X14は、KまたはRであり;X15は、EまたはQであり;X16は、H、P、またはRであり;X17は、DまたはEであり;X18は、S、L、T、またはGであり;X19は、KまたはRであり;X20は、EまたはDであり;X21は、SまたはPであり;X22は、SまたはRであり;X23は、SまたはGであり;X24は、VまたはIであり;X25は、F、L、Vであり;X26は、Dまたは存在せず;X27は、TまたはVであり;X28は、FまたはVであり;X29は、AまたはGであり;ここで、バリアントは、配列番号1または2の配列を有する野生型SIRPα D1ドメインに対して、少なくとも1つのアミノ酸置換を含む。
【0070】
本開示の本態様における前述の実施形態のいずれにおいても、Xは、L、I、またはVである。前述の実施形態のいずれにおいても、Xは、V、L、またはIである。いくつかの実施形態では、Xは、SまたはFである。いくつかの実施形態では、Xは、LまたはSである。いくつかの実施形態では、Xは、SまたはTである。いくつかの実施形態では、Xは、AまたはVである。いくつかの実施形態では、Xは、IまたはTである。いくつかの実施形態では、Xは、HまたはRである。いくつかの実施形態では、X10は、A、V、I、またはLである。いくつかの実施形態では、X11は、I、T、S、またはFである。いくつかの実施形態では、X12は、AまたはGである。いくつかの実施形態では、X13は、E、V、またはLである。いくつかの実施形態では、X14は、KまたはRである。いくつかの実施形態では、X15は、EまたはQである。いくつかの実施形態では、X16は、H、P、またはRである。いくつかの実施形態では、X17は、DまたはEである。いくつかの実施形態では、X18は、S、L、T、またはGである。いくつかの実施形態では、X19は、KまたはRである。いくつかの実施形態では、X20は、EまたはDである。いくつかの実施形態では、X21は、SまたはPである。いくつかの実施形態では、X22は、SまたはRである。いくつかの実施形態では、X23は、SまたはGである。いくつかの実施形態では、X24は、VまたはIである。いくつかの実施形態では、X25は、F、L、Vである。いくつかの実施形態では、X26は、Dまたは存在しない。いくつかの実施形態では、X27は、TまたはVである。いくつかの実施形態では、X28は、FまたはVである。いくつかの実施形態では、X29は、AまたはGである。いくつかの実施形態では、本開示の本態様のポリペプチドは、配列番号1または2の配列を有する野生型SIRPα D1ドメインに対して、6つ以下のアミノ酸置換を含む。
【0071】
いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号1または2の配列を有する野生型SIRPα D1ドメインよりも少なくとも10倍高い結合親和性でCD47に結合する。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号1または2の配列を有する野生型SIRPα D1ドメインよりも少なくとも100倍高い結合親和性でCD47に結合する。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号1または2の配列を有する野生型SIRPα D1ドメインよりも少なくとも1000倍高い結合親和性でCD47に結合する。いくつかの実施形態では、SIRPα D1ドメインバリアントポリペプチドまたはその断片は、1×10-8M未満、5x10-9M未満、1x10-9M未満、5x10-10M未満、1x10-10M未満または1x10-11M未満のKでCD47に結合する。いくつかの実施形態では、SIRPα D1ドメインバリアントポリペプチドまたはその断片は、約500nM~100nM、約100nM~50nM、約50nM~10nM、約10nM~5nM、約5nM~1nM、約1nM~500pM、約500pM~100pM、約100pM~50pM、または約50pM~10pMのKでCD47に結合する。
【0072】
いくつかの実施形態では、SIRPα D1ドメインバリアントを含む本開示のポリペプチドは、さらに、表3に示す野生型ヒトSIRPαの、配列番号24の配列を有するD2ドメイン、配列番号25の配列を有するD3ドメイン、または配列番号24の配列を有するD2ドメイン及び配列番号25の配列を有するD3ドメインをさらに含む。いくつかの実施形態では、SIRPα D1ドメインバリアントは、D2ドメインの断片もしくはバリアント、またはD3ドメインの断片もしくはバリアントをさらに含む。いくつかの実施形態では、SIRPα D1ドメインバリアントは、D2ドメインの断片もしくはバリアント、及びD3ドメインの断片もしくはバリアントをさらに含む。いくつかの実施形態では、SIRPα D1ドメインバリアントは、リンカーを介してD2またはD3ドメインに連結される。いくつかの実施形態では、SIRPα D1ドメインバリアントは、リンカーを介してD2及びD3ドメインに連結される。
【表3】
【0073】
いくつかの実施形態では、SIRPα D1ドメインバリアントを含む本開示のポリペプチドは、ポリペプチドの薬物動態特性を改善するため、例えば、血清半減期を増長させるために、Fcドメインバリアントに付着される。いくつかの実施形態では、SIRPα D1ドメインバリアントは、二量体化できないFcドメインバリアントに付着している。いくつかの実施形態では、Fcドメインバリアントは、本明細書に記載のポリペプチドの血清半減期を増長させるのに役立つ。いくつかの実施形態では、SIRPα D1ドメインバリアントを含む本開示のポリペプチドは、表4に示される配列番号26~36のいずれの配列も含まない。
【表4】
【0074】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のポリペプチド及びポリペプチドコンストラクトは、免疫アッセイなどの結合アッセイのためにin vitroで利用される。例えば、いくつかの実施形態では、本明細書に記載のポリペプチド及びポリペプチドコンストラクトは、液相で利用されるか、または固相担体に結合される。いくつかの実施形態では、イムノアッセイに利用されるポリペプチドは、様々な方法で検出可能に標識される。
【0075】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のポリペプチド及びポリペプチドコンストラクトは、様々な担体に結合され、特定の抗原発現細胞の存在を検出するために使用される。担体の例としては、ガラス、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、デキストラン、ナイロン、アミラーゼ、天然セルロース及び修飾セルロース、ポリアクリルアミド、アガロース、及びマグネタイトが挙げられる。担体の性質は、可溶性または不溶性のいずれかであり得る。
【0076】
様々な異なる標識及び標識付け方法が公知である。標識の例としては、酵素、放射性同位体、蛍光化合物、コロイド金属、化学発光化合物、及び生物発光化合物が挙げられる。本明細書に開示のポリペプチドに標識を結合するための様々な技術が利用可能である。
【0077】
いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、低分子量ハプテンに結合される。次に、これらのハプテンは、2番目の反応によって特異的に検出される。例えば、いくつかの実施形態では、ハプテンビオチンは、アビジンと共に使用されるか、またはハプテンジニトロフェノール、ピリドキサール、またはフルオレセインは、特定の抗ハプテン抗体(例えば、それぞれ、抗ジニトロフェノール抗体、抗ピリドキサール抗体、及び抗フルオレセイン抗体)で検出される。
【0078】
改変グリコシル化パターンを有するSIRPα D1ドメインバリアント
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるのは、シグナル調節タンパク質α(SIRP-α)D1バリアントを含むポリペプチドであって、本ポリペプチドは、野生型SIRP-α D1ドメイン(例えば、配列番号1または2に示される野生型SIRPα D1ドメイン)に対して、残基80において、アミノ酸突然変異;及び野生型SIRPα D1ドメイン(配列番号1または2に示される野生型SIRPα D1ドメイン)に対して、残基6、残基27、残基31、残基47、残基53、残基54、残基56、残基66、及び残基92からなる群から選択される残基において、少なくとも1つの追加のアミノ酸突然変異を有する、SIRPα D1ドメインまたはその断片を含む。
【0079】
また、本明細書で開示されるのは、いくつかの実施形態では、Fcドメインバリアントを含むポリペプチドであり、ここで、Fcドメインバリアント二量体は、2つのFcドメインバリアントを含み、各Fcドメインバリアントは、独立して、(i)突然変異L234A、L235A、G237A、及びN297AからなるヒトIgG1 Fc領域;(ii)突然変異A330S、P331S、及びN297AからなるヒトIgG2 Fc領域;または(iii)突然変異S228P、E233P、F234V、L235A、delG236、及びN297Aを含むヒトIgG4 Fc領域から選択される。
【0080】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される組成物中のポリペプチドは、グリコシル化が減少しているかまたは最小であるSIRPα D1ドメインバリアントを含む。表1の配列番号1及び2のD1ドメインはそれぞれ、配列N80ITP中のアミノ酸N80に単一の潜在的なN結合型グリコシル化部位を含む。チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞でのSIRPα D1ドメインの発現は、16kDa(非グリコシル化)のメジャーバンドと、Endo Hfによって除去された高分子量のマイナーバンドをもたらす。Endo Hfは、エンドグリコシダーゼHとマルトース結合タンパク質との組換えタンパク質融合体である。Endo Hfは、高マンノースのキトビオースコア及びN-連結型糖タンパク質からのいくつかのハイブリッドオリゴ糖内で切断する。これは、アミノ酸位置83のプロリンが、グリコシル化の効率を低下させて、異なるグリコシル化の程度を有するタンパク質、したがって不均一性をもたらし得ることを意味する。薬物開発の場合、不均一性は、プロセス開発において課題をもたらし得る。したがって、SIRPα D1ドメインバリアントの均質な非グリコシル化形態を生成する可能性を調べるために、いくつかの実施形態では、SIRPα D1バリアントのアミノ酸N80をAlaに変異させる。いくつかの実施形態では、非グリコシル化、SIRPα D1ドメインバリアントを作製するために、SIRPα D1ドメインバリアント中のアミノ酸N80は、任意の天然及び非天然アミノ酸、例えば、N80A及びN80Qなどの任意のアミノ酸によって置き換えられる。いくつかの実施形態では、SIRPα D1ドメインバリアントは、N80A突然変異及び少なくとも1つの追加の突然変異(例えば、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、または10またはそれ以上の追加の突然変異)を含む。いくつかの実施形態では、追加の突然変異は、CD47結合部位にある。いくつかの実施形態では、追加の突然変異は、D1ドメインの疎水性コア内にある。
【0081】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示の組成物中のポリペプチドは、野生型SIRPα D1ドメインと比較して、グリコシル化が増加したSIRPα D1ドメインバリアントを含む。最終生成物の均一性を高める別の選択肢では、アミノ酸N80でのグリコシル化の効率を高め、野生型と比較して、グリコシル化が増加したSIRPα D1ドメインバリアントを生成する。いくつかの実施形態では、配列NITP83中のアミノ酸P83は、アミノ酸N80でのグリコシル化の程度に影響を与える。いくつかの実施形態では、P83を任意のアミノ酸に変更することは、N80でのグリコシル化の効率を増加させる。いくつかの実施形態では、SIRPα D1ドメインバリアント中のアミノ酸P83は、天然及び非天然アミノ酸、例えば、P83V、P83A、P83I、及びP83Lなどの任意のアミノ酸によって置換される。いくつかの実施形態では、本開示のポリペプチドは、例えば、細胞株の遺伝子工学による細胞(例えば、遺伝子操作された酵母または哺乳動物宿主)、またはキフネンシンの添加など、細胞培養条件の変更、または原核生物(E.coliなど)など、天然の非グリコシル化宿主を使用することによって発現されるタンパク質をグリコシル化しないように最適化された細胞において発現される。
【0082】
表5には、各D1ドメインバリアント配列に対する、SIRPα D1ドメインバリアントの特定のアミノ酸置換を示す。いくつかの実施形態では、SIRPα D1ドメインバリアントは、表5に列挙されている置換のうちの1つ以上(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、またはそれ以上)を含む。いくつかの実施形態では、SIRPα D1ドメインバリアントは、グリコシル化されていないか、または最小限にグリコシル化されている。いくつかの実施形態では、SIRPα D1ドメインバリアントは、完全にグリコシル化されているか、またはほぼ完全にグリコシル化されている。いくつかの実施形態では、SIRPα D1ドメインバリアントは、野生型D1ドメインに対して、最大で14個のアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、SIRPα D1ドメインバリアントは、野生型D1ドメインに対して、最大で10個のアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、SIRPα D1ドメインバリアントは、野生型D1ドメインに対して、最大で7個のアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、本開示のSIRPα D1ドメインバリアントは、野生型D1ドメインの配列に対して、少なくとも90%(例えば、少なくとも92%、95%、97%または97%を超える)のアミノ酸配列同一性を有する。
【0083】
いくつかの実施形態では、SIRPα D1ドメインバリアントは、2つ以上の野生型D1ドメインまたはそのバリアントの一部(例えば、1つの野生型D1ドメインまたはそのバリアントの一部及び別の野生型D1ドメインまたはそのバリアントのその一部)を含むキメラSIRPα D1ドメインバリアントである。いくつかの実施形態では、キメラSIRPα D1ドメインバリアントは、野生型D1ドメインまたはそのバリアントの少なくとも2つの部分(例えば、3つ、4つ、5つ、またはそれ以上の部分)を含み、ここで、部分の各々は、異なる野生型D1ドメインに由来する。いくつかの実施形態では、キメラSIRPα D1ドメインバリアントは、表5に列挙されている1つ以上のアミノ酸置換をさらに含む。
【表5-1】
【表5-2】
【表5-3】
【0084】
いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、以下の配列を有するSIRPα D1ドメインバリアントを含む:
EEEXQXIQPDKSVLVAAGETXTLRCTXTSLXPVGPIQWFRGAGPGRXLIYNQXGXFPRVTTVSDX10TX11RNNMDFSIRIGX12ITX13ADAGTYYCX14KX15RKGSPDDVEX16KSGAGTELSVRAKPS(配列番号37)、Xは、L、I、またはVであり;Xは、V、L、またはIであり;Xは、A、またはVであり;X4は、A、I、またはLであり;Xは、I、T、S、またはFであり;Xは、E、V、またはLであり;Xは、K、またはRであり;Xは、E、またはQであり;Xは、H、P、またはRであり;X10は、L、T、またはGであり;X11は、K、またはRであり;X12は、N、A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、P、Q、R、S、T、V、W、またはYであり;X13は、P、A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、Q、R、S、T、V、W、またはYであり;X14は、V、またはIであり;X15は、F、L、またはVであり;X16は、FまたはVであり;バリアントは、配列番号1の配列を有する野生型SIRPα D1ドメインに対して、少なくとも1つのアミノ酸置換を含む。
【0085】
本開示の本態様におけるいくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号37の配列を有するSIRPα D1ドメインバリアントを含み、Xは、L、I、またはVである。いくつかの実施形態では、Xは、V、L、またはIである。いくつかの実施形態では、Xは、AまたはVである。いくつかの実施形態では、Xは、A、I、またはLである。いくつかの実施形態では、Xは、I、T、S、またはFである。いくつかの実施形態では、Xは、E、V、またはLである。いくつかの実施形態では、Xは、KまたはRである。いくつかの実施形態では、Xは、EまたはQである。いくつかの実施形態では、Xは、H、P、またはRである。いくつかの実施形態では、X10は、L、T、またはGである。いくつかの実施形態では、X11は、KまたはRである。いくつかの実施形態では、X12は、N、A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、P、Q、R、S、T、V、W、またはYである。いくつかの実施形態では、X13は、P、A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、Q、R、S、T、V、W、またはYである。いくつかの実施形態では、X14は、VまたはIである。いくつかの実施形態では、X15は、F、L、Vである。いくつかの実施形態では、X16は、FまたはVである。
【0086】
いくつかの実施形態では、本明細書において提供されるポリペプチドは、配列番号1の配列を有する野生型SIRPα D1ドメインに対して、10以下のアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、本明細書において提供されるポリペプチドは、配列番号1の配列を有する野生型SIRPα D1ドメインに対して、7以下のアミノ酸置換を含む。
【0087】
いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号1の配列を有する野生型SIRPα D1ドメインよりも少なくとも10倍高い結合親和性でCD47に結合する。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号1の配列を有する野生型SIRPα D1ドメインよりも少なくとも100倍高い結合親和性でCD47に結合する。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号1の配列を有する野生型SIRPα D1ドメインよりも少なくとも1000倍高い結合親和性でCD47に結合する。いくつかの実施形態では、SIRPα D1ドメインバリアントポリペプチドまたはその断片は、1×10-8M未満、5x10-9M未満、1x10-9M未満、5x10-10M未満、1x10-10M未満または1x10-11M未満のKでCD47に結合する。いくつかの実施形態では、SIRPα D1ドメインバリアントポリペプチドまたはその断片は、約500nM~100nM、約100nM~50nM、約50nM~10nM、約10nM~5nM、約5nM~1nM、約1nM~500pM、約500pM~100pM、約100pM~50pM、または約50pM~10pMのKでCD47に結合する。
【0088】
いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、以下の配列を有するSIRPα D1ドメインバリアントを含む:
EEEXQXIQPDKSVSVAAGESXILHCTXTSLXPVGPIQWFRGAGPARXLIYNQXGXFPRVTTVSEX10TX11RENMDFSISISX12ITX13ADAGTYYCX14KX15RKGSPDTEX16KSGAGTELSVRAKPS(配列番号38)、Xは、L、I、またはVであり;Xは、V、L、またはIであり;Xは、AまたはVであり;Xは、V、I、またはLであり;Xは、I、T、S、またはFであり;Xは、E、V、またはLであり;Xは、KまたはRであり;Xは、EまたはQであり;Xは、H、P、またはRであり;X10は、S、T、またはGであり;X11は、KまたはRであり;X12は、N、A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、P、Q、R、S、T、V、W、またはYであり;X13は、P、A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、Q、R、S、T、V、W、またはYであり;X14は、VまたはIであり;X15は、F、L、またはVであり;及びX16は、FまたはVであり;バリアントは、配列番号2の配列を有する野生型SIRPα D1ドメインに対して、少なくとも1つのアミノ酸置換を含む。
【0089】
本開示の本態様におけるいくつかの実施形態において、ポリペプチドは、配列番号38の配列を有するSIRPα D1ドメインバリアントを含み、Xは、L、I、またはVである。いくつかの実施形態では、Xは、V、L、またはIである。いくつかの実施形態では、Xは、AまたはVである。いくつかの実施形態では、Xは、V、I、またはLである。いくつかの実施形態では、Xは、I、T、S、またはFである。いくつかの実施形態では、Xは、E、V、またはLである。いくつかの実施形態では、Xは、KまたはRである。いくつかの実施形態では、Xは、EまたはQである。いくつかの実施形態では、Xは、H、P、またはRである。いくつかの実施形態では、X10は、S、T、またはGである。いくつかの実施形態では、X11は、KまたはRである。いくつかの実施形態では、X12は、N、A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、P、Q、R、S、T、V、W、またはYである。いくつかの実施形態では、X13は、P、A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、Q、R、S、T、V、W、またはYである。いくつかの実施形態では、X14は、VまたはIである。いくつかの実施形態では、X15は、F、L、またはVである。いくつかの実施形態では、X16は、FまたはVである。
【0090】
いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号2の配列を有する野生型SIRPα D1ドメインに対して、10以下のアミノ酸置換を有するSIRPα D1ドメインバリアントを含む。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号2の配列を有する野生型SIRPα D1ドメインに対して、7以下のアミノ酸置換を有するSIRPα D1ドメインバリアントを含む。
【0091】
いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号2の配列を有する野生型SIRPα D1ドメインよりも少なくとも10倍高い結合親和性でCD47に結合する。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号2の配列を有する野生型SIRPα D1ドメインよりも少なくとも100倍高い結合親和性でCD47に結合する。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号2の配列を有する野生型SIRPα D1ドメインよりも少なくとも1000倍高い結合親和性でCD47に結合する。いくつかの実施形態では、SIRPα D1ドメインバリアントポリペプチドまたはその断片は、1×10-8M未満、5x10-9M未満、1x10-9M未満、5x10-10M未満、1x10-10M未満または1x10-11M未満のKでCD47に結合する。いくつかの実施形態では、SIRPα D1ドメインバリアントポリペプチドまたはその断片は、約500nM~100nM、約100nM~50nM、約50nM~10nM、約10nM~5nM、約5nM~1nM、約1nM~500pM、約500pM~100pM、約100pM~50pM、または約50pM~10pMのKでCD47に結合する。
【0092】
別の態様では、本開示は、以下の配列を有するSIRPα D1ドメインバリアントを含むポリペプチドを特徴とする:
EEXQXIQPDKXVXVAAGEXLXCTX10TSLX11PVGPIQWFRGAGPX12RX13LIYNQX1415GX16FPRVTTVSX1718TX19RX20NMDFX21IX22IX2324ITX25ADAGTYYCX26KX27RKGSPDX2829EX30KSGAGTELSVRX31KPS(配列番号47)、Xは、EまたはGであり;Xは、L、I、またはVであり;Xは、V、L、またはIであり;Xは、SまたはFであり;Xは、LまたはSであり;Xは、SまたはTであり;Xは、AまたはVであり;Xは、IまたはTであり;Xは、H、R、またはLであり;X10は、A、V、I、またはLであり;X11は、I、T、S、またはFであり;X12は、AまたはGであり;X13は、E、V、またはLであり;X14は、KまたはRであり;X15は、EまたはQであり;X16は、H、P、またはRであり;X17は、DまたはEであり;X18は、S、L、T、またはGであり;X19は、KまたはRであり;X20は、EまたはNであり;X21は、SまたはPであり;X22は、SまたはRであり;X23は、SまたはGであり;X24は、任意のアミノ酸であり;X25は、任意のアミノ酸であり;X26は、VまたはIであり;X27は、F、L、Vであり;X28は、Dまたは存在せず;X29は、TまたはVであり;X30は、FまたはVであり;X31は、AまたはGであり;バリアントは、配列番号1または2の配列を有する野生型SIRPα D1ドメインに対して、少なくとも1つのアミノ酸置換を含む。
【0093】
いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号47の配列を含み、Xは、EまたはGである。本開示の本態様における前述の実施形態のいずれにおいても、Xは、L、I、またはVである。前述の実施形態のいずれにおいても、Xは、V、L、またはIである。前述の実施形態のいずれにおいても、Xは、SまたはFである。前述の実施形態のいずれにおいても、Xは、LまたはSである。前述の実施形態のいずれにおいても、Xは、SまたはTである。前述の実施形態のいずれにおいても、Xは、AまたはVである。前述の実施形態のいずれにおいても、Xは、IまたはTである。前述の実施形態のいずれにおいても、Xは、HまたはRである。前述の実施形態のいずれにおいても、X10は、A、V、I、またはLである。前述の実施形態のいずれにおいても、X11は、I、T、S、またはFである。前述の実施形態のいずれにおいても、X12は、AまたはGである。前述の実施形態のいずれにおいても、X13は、E、V、またはLである。前述の実施形態のいずれにおいても、X14は、KまたはRである。前述の実施形態のいずれにおいても、X15は、EまたはQである。前述の実施形態のいずれにおいても、X16は、H、P、またはRである。前述の実施形態のいずれにおいても、X17は、DまたはEである。前述の実施形態のいずれにおいても、X18は、S、L、T、またはGである。前述の実施形態のいずれにおいても、X19は、KまたはRである。前述の実施形態のいずれにおいても、X20は、EまたはNである。前述の実施形態のいずれにおいても、X21は、SまたはPである。前述の実施形態のいずれにおいても、X22は、SまたはRである。前述の実施形態のいずれにおいても、X23は、SまたはGである。前述の実施形態のいずれにおいても、X24は、N、A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、P、Q、R、S、T、V、W、またはYである。前述の実施形態のいずれにおいても、X25は、P、A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、Q、R、S、T、V、W、またはYである。前述の実施形態のいずれにおいても、X26は、VまたはIである。前述の実施形態のいずれにおいても、X27は、F、L、Vである。前述の実施形態のいずれにおいても、X28は、Dまたは存在しない。前述の実施形態のいずれにおいても、X29は、TまたはVである。前述の実施形態のいずれにおいても、X30は、FまたはVである。前述の実施形態のいずれにおいても、X31は、AまたはGである。
【0094】
いくつかの実施形態では、本開示のこの態様のポリペプチドは、配列番号1または2の配列を有する野生型SIRPα D1ドメインに対して、10以下のアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、本開示のこの態様のポリペプチドは、配列番号1または2の配列を有する野生型SIRPα D1ドメインに対して、7以下のアミノ酸置換を含む。
【0095】
いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号1または2の配列を有する野生型SIRPα D1ドメインよりも少なくとも10倍高い結合親和性でCD47に結合する。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号1または2の配列を有する野生型SIRPα D1ドメインよりも少なくとも100倍高い結合親和性でCD47に結合する。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号1または2の配列を有する野生型SIRPα D1ドメインよりも少なくとも1000倍高い結合親和性でCD47に結合する。いくつかの実施形態では、SIRPα D1ドメインバリアントポリペプチドまたはその断片は、1×10-8M未満、5x10-9M未満、1x10-9M未満、5x10-10M未満、1x10-10M未満または1x10-11M未満のKでCD47に結合する。いくつかの実施形態では、SIRPα D1ドメインバリアントポリペプチドまたはその断片は、約500nM~100nM、約100nM~50nM、約50nM~10nM、約10nM~5nM、約5nM~1nM、約1nM~500pM、約500pM~100pM、約100pM~50pM、または約50pM~10pMのKでCD47に結合する。
【0096】
いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、以下の配列を有するSIRPα D1ドメインバリアントを含む:
EEELQXIQPDKSVXVAAGEXAXLXCTXTSLXPVGPIQWFRGAGPXRXLIYNQX1011GX12FPRVTTVSX1314TKRX15NMDFSIX16IX1718ITPADAGTYYCX19KFRKGX202122DX23EFKSGAGTELSVRAKPS(配列番号48)、Xは、VまたはIであり;Xは、LまたはSであり;Xは、TまたはSであり;Xは、TまたはIであり;Xは、RまたはHであり;Xは、A、V、またはIであり;Xは、I、R、Y、KまたはFであり;Xは、GまたはAであり;Xは、EまたはVであり;X10は、KまたはRであり;X11は、E、DまたはQであり;X12は、HまたはPであり;X13は、DまたはEであり;X14は、S、LまたはTであり;X15は、NまたはEであり;X16は、RまたはSであり;X17は、GまたはSであり;X18は、NまたはAであり;X19は、VまたはIであり;X20は、S、IまたはMであり;X21は、Pまたは存在せず;X22は、DまたはPであり;X23は、VまたはT、またはそれらの断片である。
【0097】
別の態様では、本開示は、以下の配列を有するSIRPα D1ドメインバリアントを含むポリペプチドを特徴とする:
EEELQXIQPDKSVLVAAGETATLRCTXTSLXPVGPIQWFRGAGPGRXLIYNQXGXFPRVTTVSDXTKRNNMDFSIRIGXITPADAGTYYCX10KFRKGSPDDVEFKSGAGTELSVRAKPS(配列番号49)、Xは、V、L、またはIであり;Xは、A、I、V、またはLであり;Xは、I、F、S、またはTであり;Xは、E、V、またはLであり;Xは、KまたはRであり;Xは、EまたはQであり;Xは、H、P、またはRであり;Xは、L、T、S、またはGであり;Xは、Aであり;X10は、VまたはIであり;ここで、バリアントは、配列番号1の配列を有する野生型SIRPα D1ドメインに対して、少なくとも1つのアミノ酸置換を含む。
【0098】
いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号49の配列を含み、Xは、V、LまたはIである。本開示の本態様における前述の実施形態のいずれにおいても、Xは、A、I、V、またはLである。前述の実施形態のいずれにおいても、Xは、I、F、S、またはTである。前述の実施形態のいずれにおいても、Xは、E、V、またはLである。前述の実施形態のいずれにおいても、Xは、KまたはRである。前述の実施形態のいずれにおいても、Xは、EまたはQである。前述の実施形態のいずれにおいても、Xは、H、P、またはRである。前述の実施形態のいずれにおいても、Xは、L、T、SまたはGである。前述の実施形態のいずれにおいても、Xは、Aである。前述の実施形態のいずれにおいても、X10は、VまたはIである。
【0099】
いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号49に対して、少なくとも85%の配列同一性(例えば、少なくとも86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性)を含むSIRPα D1ドメインを含み、X、X、X、X、X、X、X、X、X、及びX10の各々は、野生型アミノ酸ではない。
【0100】
いくつかの実施形態では、本開示のこの態様のポリペプチドは、配列番号1のいずれか1つの配列を有する野生型SIRPα D1ドメインに対して、10以下のアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、本開示のこの態様のポリペプチドは、配列番号1のいずれか1つの配列を有する野生型SIRPα D1ドメインに対して、7以下のアミノ酸置換を含む。
【0101】
いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号1の配列を有する野生型SIRPα D1ドメインよりも少なくとも10倍高い結合親和性でCD47に結合する。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号1の配列を有する野生型SIRPα D1ドメインよりも少なくとも100倍高い結合親和性でCD47に結合する。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号1の配列を有する野生型SIRPα D1ドメインよりも少なくとも1000倍高い結合親和性でCD47に結合する。いくつかの実施形態では、SIRPα D1ドメインバリアントポリペプチドまたはその断片は、1×10-8M未満、5x10-9M未満、1x10-9M未満、5x10-10M未満、1x10-10M未満または1x10-11M未満のKでCD47に結合する。いくつかの実施形態では、SIRPα D1ドメインバリアントポリペプチドまたはその断片は、約500nM~100nM、約100nM~50nM、約50nM~10nM、約10nM~5nM、約5nM~1nM、約1nM~500pM、約500pM~100pM、約100pM~50pM、または約50pM~10pMのKでCD47に結合する。
【0102】
別の態様では、本開示は、以下の配列を有するSIRPα D1ドメインバリアントを含むポリペプチドを特徴とする:
EEELQXIQPDKSVSVAAGESAILHCTXTSLXPVGPIQWFRGAGPARXLIYNQXGXFPRVTTVSEXTKRENMDFSISISXITPADAGTYYCX10KFRKGSPDTEFKSGAGTELSVRAKPS(配列番号50)、Xは、VまたはIであり;Xは、VまたはIであり;Xは、IまたはFであり;Xは、EまたはVであり;Xは、KまたはRであり;Xは、EまたはQであり;Xは、HまたはPであり;Xは、SまたはTであり;Xは、NまたはAであり;X10は、VまたはIであり;ここで、バリアントは、配列番号2の配列を有する野生型SIRPα D1ドメインに対して、少なくとも1つのアミノ酸置換を含む。
【0103】
いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号50の配列を含み、Xは、VまたはIである。本開示の本態様における前述の実施形態のいずれにおいても、Xは、VまたはIである。前述の実施形態のいずれにおいても、Xは、IまたはFである。前述の実施形態のいずれにおいても、Xは、EまたはVである。前述の実施形態のいずれにおいても、Xは、KまたはRである。前述の実施形態のいずれにおいても、Xは、EまたはQである。前述の実施形態のいずれにおいても、Xは、HまたはPである。前述の実施形態のいずれにおいても、Xは、SまたはRである。前述の実施形態のいずれにおいても、Xは、NまたはAである。前述の実施形態のいずれにおいても、X10は、VまたはIである。
【0104】
いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号50に対して、少なくとも85%の配列同一性(例えば、少なくとも86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性)を含むSIRPα D1ドメインを含み、X、X、X、X、X、X、X、X、X、及びX10の各々は、野生型アミノ酸ではない。
【0105】
いくつかの実施形態では、本開示のこの態様のポリペプチドは、配列番号2の配列を有する野生型SIRPα D1ドメインに対して、10以下のアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、本開示のこの態様のポリペプチドは、配列番号2の配列を有する野生型SIRPα D1ドメインに対して、7以下のアミノ酸置換を含む。
【0106】
いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号2の配列を有する野生型SIRPα D1ドメインよりも少なくとも10倍高い結合親和性でCD47に結合する。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号2の配列を有する野生型SIRPα D1ドメインよりも少なくとも100倍高い結合親和性でCD47に結合する。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号2の配列を有する野生型SIRPα D1ドメインよりも少なくとも1000倍高い結合親和性でCD47に結合する。いくつかの実施形態では、SIRPα D1ドメインバリアントポリペプチドまたはその断片は、1×10-8M未満、5x10-9M未満、1x10-9M未満、5x10-10M未満、1x10-10M未満または1x10-11M未満のKでCD47に結合する。いくつかの実施形態では、SIRPα D1ドメインバリアントポリペプチドまたはその断片は、約500nM~100nM、約100nM~50nM、約50nM~10nM、約10nM~5nM、約5nM~1nM、約1nM~500pM、約500pM~100pM、約100pM~50pM、または約50pM~10pMのKでCD47に結合する。
【0107】
別の態様では、本開示は、以下の配列を有するSIRPα D1ドメインバリアントを含むポリペプチドを特徴とする:
EEELQXIQPDKSVLVAAGETATLRCTXTSLXPVGPIQWFRGAGPGRXLIYNQXEGXFPRVTTVSDXTKRNNMDFSIRIGXITPADAGTYYCXKFRKGSPDDVEFKSGAGTELSVRAKPS(配列番号51)、Xは、VまたはIであり;X2は、AまたはIであり;Xは、IまたはFであり;Xは、EまたはVであり;Xは、KまたはRであり;Xは、HまたはPであり;Xは、LまたはTであり;Xは、NまたはAであり;Xは、VまたはIであり;ここで、バリアントは、配列番号1の配列を有する野生型SIRPα D1ドメインに対して、少なくとも1つのアミノ酸置換を含む。
【0108】
いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号51の配列を含み、Xは、VまたはIである。本開示の本態様における前述の実施形態のいずれにおいても、Xは、AまたはIである。前述の実施形態のいずれにおいても、Xは、IまたはFである。前述の実施形態のいずれにおいても、Xは、EまたはVである。前述の実施形態のいずれにおいても、Xは、KまたはRである。前述の実施形態のいずれにおいても、Xは、HまたはPである。前述の実施形態のいずれにおいても、Xは、LまたはTである。前述の実施形態のいずれにおいても、Xは、NまたはAである。前述の実施形態のいずれにおいても、Xは、VまたはIである。いくつかの実施形態では、Xは、Vではない。
【0109】
いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号51の配列を含み、Xは、Aである。本開示の本態様における前述の実施形態のいずれにおいても、Xは、Aであり、Xは、VまたはIである。本開示の本態様における前述の実施形態のいずれにおいても、Xは、Aであり、Xは、AまたはIである。前述の実施形態のいずれにおいても、Xは、Aであり、Xは、IまたはFである。前述の実施形態のいずれにおいても、Xは、Aであり、Xは、EまたはVである。いくつかの実施形態では、Xは、Vではない。前述の実施形態のいずれにおいても、Xは、Aであり、Xは、KまたはRである。前述の実施形態のいずれにおいても、Xは、Aであり、Xは、HまたはPである。前述の実施形態のいずれにおいても、Xは、Aであり、Xは、AまたはVである。前述の実施形態のいずれにおいても、Xは、Aであり、Xは、VまたはIである。
【0110】
いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号51の配列を含み、Xは、Aである。本開示の本態様における前述の実施形態のいずれにおいても、Xは、Aであり、Xは、Iである。本開示の本態様における前述の実施形態のいずれにおいても、Xは、Aであり、Xは、Iである。前述の実施形態のいずれにおいても、Xは、Aであり、Xは、Fである。前述の実施形態のいずれにおいても、Xは、Aであり、Xは、Vである。前述の実施形態のいずれにおいても、Xは、Aであり、Xは、Rである。前述の実施形態のいずれにおいても、Xは、Aであり、Xは、Pである。前述の実施形態のいずれにおいても、Xは、Aであり、Xは、Tである。前述の実施形態のいずれにおいても、Xは、Aであり、Xは、Iである。
【0111】
いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号51に対して、少なくとも85%の配列同一性(例えば、少なくとも86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性)を含むSIRPα D1ドメインバリアントを含み、X、X、X、X、X、X、X、X、及びXの各々は、野生型アミノ酸ではない。
【0112】
いくつかの実施形態では、本開示のこの態様のポリペプチドは、配列番号1の配列を有する野生型SIRPα D1ドメインに対して、10以下のアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、本開示のこの態様のポリペプチドは、配列番号1の配列を有する野生型SIRPα D1ドメインに対して、7以下のアミノ酸置換を含む。
【0113】
いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号1の配列を有する野生型SIRPα D1ドメインよりも少なくとも10倍高い結合親和性でCD47に結合する。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号1の配列を有する野生型SIRPα D1ドメインよりも少なくとも100倍高い結合親和性でCD47に結合する。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号1の配列を有する野生型SIRPα D1ドメインよりも少なくとも1000倍高い結合親和性でCD47に結合する。いくつかの実施形態では、SIRPα D1ドメインバリアントポリペプチドまたはその断片は、1×10-8M未満、5x10-9M未満、1x10-9M未満、5x10-10M未満、1x10-10M未満または1x10-11M未満のKでCD47に結合する。いくつかの実施形態では、SIRPα D1ドメインバリアントポリペプチドまたはその断片は、約500nM~100nM、約100nM~50nM、約50nM~10nM、約10nM~5nM、約5nM~1nM、約1nM~500pM、約500pM~100pM、約100pM~50pM、または約50pM~10pMのKでCD47に結合する。
【0114】
別の態様では、本開示は、以下の配列を有するSIRPα D1ドメインバリアントを含むポリペプチドを特徴とする:
EEELQXIQPDKSVLVAAGETATLRCTXTSLXPVGPIQWFRGAGPGRELIYNQXEGXFPRVTTVSDXTKRNNMDFSIRIGXITPADAGTYYCVKFRKGSPDDVEFKSGAGTELSVRAKPS(配列番号222)、Xは、V、L、またはIであり;Xは、A、I、またはLであり;Xは、I、T、S、またはFであり;Xは、KまたはRであり;Xは、HまたはPであり;Xは、L、T、またはGであり;X7は、NまたはAであり;ここで、バリアントは、配列番号1に記載の配列を有する野生型SIRPα D1ドメインに対して、少なくとも1つのアミノ酸置換を含む。
【0115】
いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号222の配列を含み、ここで、Xは、V、L、またはIである。本開示の本態様における前述の実施形態のいずれにおいても、Xは、A、I、またはLである。前述の実施形態のいずれにおいても、Xは、I、T、S、またはFである。前述の実施形態のいずれにおいても、Xは、KまたはRである。前述の実施形態のいずれにおいても、Xは、HまたはPである。前述の実施形態では、Xは、L、T、またはGである。前述の実施形態のいずれにおいても、Xは、NまたはAである。
【0116】
いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号222の配列を含み、ここで、Xは、VまたはIである。本開示の本態様における前述の実施形態のいずれにおいても、Xは、AまたはIである。前述の実施形態のいずれにおいても、Xは、IまたはFである。前述の実施形態のいずれにおいても、Xは、KまたはRである。前述の実施形態のいずれにおいても、Xは、HまたはPである。前述の実施形態では、Xは、LまたはTである。前述の実施形態のいずれにおいても、Xは、NまたはAである。
【0117】
いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号222の配列を含み、ここで、Xは、Aである。本開示の本態様における前述の実施形態のいずれにおいても、Xは、Aであり、Xは、VまたはIである。本開示の本態様における前述の実施形態のいずれにおいても、Xは、Aであり、Xは、AまたはIである。前述の実施形態のいずれにおいても、Xは、Aであり、Xは、IまたはFである。前述の実施形態のいずれにおいても、Xは、Aであり、Xは、KまたはRである。前述の実施形態のいずれにおいても、Xは、Aであり、Xは、HまたはPである。前述の実施形態のいずれにおいても、Xは、Aであり、Xは、LまたはTである。
【0118】
いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号222の配列を含み、ここで、X は、Aである。本開示の本態様における前述の実施形態のいずれにおいても、Xは、Aであり、Xは、Iである。本開示の本態様における前述の実施形態のいずれにおいても、Xは、Aであり、Xは、Iである。前述の実施形態のいずれにおいても、Xは、Aであり、Xは、Fである。前述の実施形態のいずれにおいても、Xは、Aであり、Xは、Rである。前述の実施形態のいずれにおいても、Xは、Aであり、Xは、Pである。前述の実施形態のいずれにおいても、Xは、Aであり、Xは、Tである。
【0119】
いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号222に対して、少なくとも85%の配列同一性(例えば、少なくとも86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性)を含むSIRPα D1ドメインを含み、X、X、X、X、X、X、及びXの各々は、野生型アミノ酸ではない。
【0120】
いくつかの実施形態では、本開示のこの態様のポリペプチドは、配列番号1の配列を有する野生型SIRPα D1ドメインに対して、10以下のアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、本開示のこの態様のポリペプチドは、配列番号1の配列を有する野生型SIRPα D1ドメインに対して、7以下のアミノ酸置換を含む。
【0121】
いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号1の配列を有する野生型SIRPα D1ドメインよりも少なくとも10倍高い結合親和性でCD47に結合する。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号1の配列を有する野生型SIRPα D1ドメインよりも少なくとも100倍高い結合親和性でCD47に結合する。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号1の配列を有する野生型SIRPα D1ドメインよりも少なくとも1000倍高い結合親和性でCD47に結合する。いくつかの実施形態では、断片は、長さ10アミノ酸未満、長さ約10アミノ酸、長さ約20アミノ酸、長さ約30アミノ酸、長さ約40アミノ酸、長さ約50アミノ酸、長さ約60アミノ酸、長さ約70アミノ酸、長さ約80アミノ酸、長さ約90アミノ酸、長さ約100アミノ酸、または長さ約100アミノ酸以上のポリペプチドを含む。断片は、CD47に結合する能力を保持する。好ましくは、SIRPα D1ドメインバリアントポリペプチド及びその断片は、SIRPαポリペプチドがCD47に結合するよりも高い親和性でCD47に結合する。例えば、いくつかの実施形態では、SIRPα D1ドメインバリアントポリペプチドまたはその断片は、1×10-8M未満、5x10-9M未満、1x10-9M未満、5x10-10M未満、1x10-10M未満または1x10-11M未満のKでCD47に結合する。いくつかの実施形態では、SIRPα D1ドメインバリアントポリペプチドまたはその断片は、約500nM~100nM、約100nM~50nM、約50nM~10nM、約10nM~5nM、約5nM~1nM、約1nM~500pM、約500pM~100pM、約100pM~50pM、または約50pM~10pMのKでCD47に結合する。
【0122】
別の態様では、本開示は、以下の配列を有するSIRPα D1ドメインバリアントを含むポリペプチドを特徴とする:
EEELQXIQPDKSVSVAAGESAILHCTXTSLXPVGPIQWFRGAGPARELIYNQXEGXFPRVTTVSEXTKRENMDFSISISXITPADAGTYYCVKFRKGSPDTEFKSGAGTELSVRAKPS(配列番号212)、ここで、Xは、V、L、またはIであり;Xは、V、I、またはLであり;Xは、I、T、S、またはFであり;Xは、KまたはRであり;Xは、H、P、またはRであり;Xは、S、T、またはGであり;Xは、NまたはAであり;ここで、バリアントは、配列番号2の配列を有する野生型SIRPα D1ドメインに対して、少なくとも1つのアミノ酸置換を含む。
【0123】
いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号212の配列を含み、ここで、Xは、V、L、またはIである。本開示の本態様における前述の実施形態のいずれにおいても、Xは、V、I、またはLである。前述の実施形態のいずれにおいても、Xは、I、T、S、またはFである。前述の実施形態のいずれにおいても、Xは、KまたはRである。前述の実施形態のいずれにおいても、Xは、HまたはPである。前述の実施形態では、Xは、S、T、またはGである。前述の実施形態のいずれにおいても、Xは、NまたはAである。
【0124】
いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号212の配列を含み、ここで、Xは、VまたはIである。本開示の本態様における前述の実施形態のいずれにおいても、Xは、VまたはIである。前述の実施形態のいずれにおいても、Xは、IまたはFである。前述の実施形態のいずれにおいても、Xは、KまたはRである。前述の実施形態のいずれにおいても、Xは、HまたはPである。前述の実施形態では、Xは、SまたはTである。前述の実施形態のいずれにおいても、Xは、NまたはAである。
【0125】
いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号212の配列を含み、ここで、Xは、Aである。本開示の本態様における前述の実施形態のいずれにおいても、Xは、Aであり、Xは、VまたはIである。本開示の本態様における前述の実施形態のいずれにおいても、Xは、Aであり、Xは、VまたはIである。前述の実施形態のいずれにおいても、Xは、Aであり、Xは、IまたはFである。前述の実施形態のいずれにおいても、XはAであり、Xは、KまたはRである。前述の実施形態のいずれにおいても、XはAであり、Xは、HまたはPである。前述の実施形態のいずれにおいても、Xは、Aであり、Xは、SまたはTである。
【0126】
いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号212の配列を含み、ここで、Xは、Aである。本開示の本態様における前述の実施形態のいずれにおいても、Xは、Aであり、Xは、Iである。本開示の本態様における前述の実施形態のいずれにおいても、Xは、Aであり、Xは、Iである。前述の実施形態のいずれにおいても、Xは、Aであり、Xは、Fである。前述の実施形態のいずれにおいても、XはAであり、Xは、Rである。前述の実施形態のいずれにおいても、Xは、Aであり、Xは、Pである。前述の実施形態のいずれにおいても、Xは、Aであり、Xは、Tである。
【0127】
いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号212に対して、少なくとも85%の配列同一性(例えば、少なくとも86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性)を有するSIRPα D1ドメインを含み、X、X、X、X、X、X、及びXの各々は、野生型アミノ酸ではない。
【0128】
いくつかの実施形態では、本開示のこの態様のポリペプチドは、配列番号2の配列を有する野生型SIRPα D1ドメインに対して、10以下のアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、本開示のこの態様のポリペプチドは、配列番号2の配列を有する野生型SIRPα D1ドメインに対して、7以下のアミノ酸置換を含む。
【0129】
いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号2の配列を有する野生型SIRPα D1ドメインよりも少なくとも10倍高い結合親和性でCD47に結合する。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号2の配列を有する野生型SIRPα D1ドメインよりも少なくとも100倍高い結合親和性でCD47に結合する。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号2の配列を有する野生型SIRPα D1ドメインよりも少なくとも1000倍高い結合親和性でCD47に結合する。いくつかの実施形態では、断片は、長さ10アミノ酸未満、長さ約10アミノ酸、長さ約20アミノ酸、長さ約30アミノ酸、長さ約40アミノ酸、長さ約50アミノ酸、長さ約60アミノ酸、長さ約70アミノ酸、長さ約80アミノ酸、長さ約90アミノ酸、長さ約100アミノ酸、または長さ約100アミノ酸以上のポリペプチドを含む。断片は、CD47に結合する能力を保持する。好ましくは、SIRPα D1ドメインバリアントポリペプチド及びその断片は、SIRPαポリペプチドがCD47に結合するよりも高い親和性でCD47に結合する。例えば、いくつかの実施形態では、SIRPα D1ドメインバリアントポリペプチドまたはその断片は、1×10-8M未満、5x10-9M未満、1x10-9M未満、5x10-10M未満、1x10-10M未満または1x10-11M未満のKでCD47に結合する。いくつかの実施形態では、SIRPα D1ドメインバリアントポリペプチドまたはその断片は、約500nM~100nM、約100nM~50nM、約50nM~10nM、約10nM~5nM、約5nM~1nM、約1nM~500pM、約500pM~100pM、約100pM~50pM、または約50pM~10pMのKでCD47に結合する。
【0130】
本明細書に記載されているのは、いくつかの実施形態において、以下の配列を有するSIRPα D1ドメインバリアントを含むポリペプチドである:
EEELQXIQPDKSVLVAAGETATLRCTXTSLXPVGPIQWFRGAGPGRXLIYNQXGXFPRVTTVSDXTKRNNMDFSIRIGX101112ADAGTYYCX13KFRKGSPDDVEFKSGAGTELSVRAKPS(配列番号218)、Xは、V、L、またはIであり;Xは、A、V、L、またはIであり;Xは、I、S、T、またはFであり;Xは、E、L、またはVであり;Xは、KまたはRであり;Xは、EまたはQであり;Xは、H、R、またはPであり;Xは、S,G、L、またはTであり;Xは、任意のアミノ酸であり;X10は、任意のアミノ酸であり;X11は、任意のアミノ酸であり;X12は、任意のアミノ酸であり;X13は、VまたはIであり;ここで、SIRPα D1ドメインバリアントは、配列番号1に記載の配列を有する野生型SIRPα D1ドメインに対して、少なくとも2つのアミノ酸置換を含む。
【0131】
いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号212の配列を含み、ここで、Xは、XがAである。本開示の本態様における前述の実施形態のいずれにおいても、Xは、Nである。本開示の本態様における前述の実施形態のいずれにおいても、X10は、Iである。本開示の本態様における前述の実施形態のいずれにおいても、Xは、Nであり、X10は、Pである。本開示の本態様における前述の実施形態のいずれにおいても、Xは、Nであり、X11は、S、TまたはC以外の任意のアミノ酸である。本開示の本態様における前述の実施形態のいずれにおいても、X11は、Tである。本開示の本態様における前述の実施形態のいずれにおいても、X11は、T以外の任意のアミノ酸である。本開示の本態様における前述の実施形態のいずれにおいても、X12は、Pである。本開示の本態様における前述の実施形態のいずれにおいても、Xは、Nであり、X12は、P以外の任意のアミノ酸である。
【0132】
本明細書に記載されているのは、いくつかの実施形態において、以下の配列を有するSIRPα D1ドメインバリアントを含むポリペプチドである:
EEELQXIQPDKSVLVAAGETATLRCTXTSLXPVGPIQWFRGAGPGRXLIYNQXGXFPRVTTVSDXTKRNNMDFSIRIGXITX10ADAGTYYCX11KFRKGSPDDVEFKSGAGTELSVRAKPS(配列番号219)、Xは、V、L、またはIであり;Xは、A、V、L、またはIであり;Xは、I、S、T、またはFであり;Xは、E、L、またはVであり;Xは、KまたはRであり;Xは、EまたはQであり;Xは、H、R、またはPであり;Xは、S、G、L、またはTであり;Xは、Nであり;X10は、P以外の任意アミノ酸であり;X11はVまたはIである;ここで、SIRPα D1ドメインバリアントは、配列番号1による配列を有する野生型SIRPα D1ドメインバリアントと比較して、少なくとも2つのアミノ酸置換を含む。
【0133】
本開示の別の態様では、配列番号48のアミノ酸配列を有するSIRPα D1ドメインバリアントポリペプチド、またはその断片を含む組成物が本明細書に開示される。いくつかの実施形態では、SIRPα D1ドメインバリアントポリペプチドまたはその断片は、SIRPαポリペプチドがCD47に結合する親和性と比較して、より高い親和性でCD47に結合する。いくつかの実施形態では、SIRPα D1ドメインバリアントポリペプチドは、1×10-8M未満、または1×10-9M未満、1×10-10M未満、または1×10-11M未満のKでCD47に結合する。いくつかの実施形態では、上記のSIRPα D1ドメインバリアントポリペプチドは、第2のポリペプチドに付着するかまたは融合されている。いくつかの実施形態では、第2のポリペプチドは、限定されないが、Fcポリペプチド、Fcバリアント、または前述の断片を含む。
【0134】
前述のことを制限することなく、いくつかの実施形態では、SIRPα D1ドメインバリアントポリペプチドは、表6に示される配列番号53~87及び213のいずれか1つから選択される。
【表6-1】
【表6-2】
【表6-3】
【表6-4】
【表6-5】
【0135】
いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、表6に記載の任意のバリアントに対して、少なくとも85%の配列同一性(例えば、少なくとも86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性)を有するSIRPα D1ドメインバリアントを含む。
【0136】
いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、表6に記載の配列番号80、81または85に対して、少なくとも85%の配列同一性(例えば、少なくとも86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性)を有するSIRPα D1ドメインを含む。
【0137】
Fcドメインバリアント及びFcドメインバリアントを含む融合ポリペプチド
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるのは、シグナル調節タンパク質α(SIRP-α)D1バリアントを含むポリペプチドであって、本ポリペプチドは、野生型SIRP-α D1ドメイン(例えば、配列番号1または2に示される野生型SIRPα D1ドメイン)に対して、残基80において、アミノ酸突然変異;及び野生型SIRPα D1ドメイン(配列番号1または2に示される野生型SIRPα D1ドメイン)に対して、残基6、残基27、残基31、残基47、残基53、残基54、残基56、残基66、及び残基92からなる群から選択される残基において、少なくとも1つの追加のアミノ酸突然変異を有する、SIRPα D1ドメインまたはその断片を含む。
【0138】
また、本明細書で開示されるのは、いくつかの実施形態では、Fcドメインバリアント二量体であり、ここで、Fcドメインバリアント二量体は、2つのFcドメインバリアントを含み、各Fcドメインバリアントは、独立して、(i)突然変異L234A、L235A、G237A、及びN297AからなるヒトIgG1 Fc領域;(ii)突然変異A330S、P331S、及びN297AからなるヒトIgG2 Fc領域;または(iii)突然変異S228P、E233P、F234V、L235A、delG236、及びN297Aを含むヒトIgG4 Fc領域から選択される。
【0139】
細胞表面抗原を標的とする抗体は、免疫細胞上のFc受容体(FcR)の結合に関連する免疫刺激及びエフェクター機能を引き起こすことができる。IgG(ガンマ受容体)、IgE(イータ受容体)、IgA(アルファ受容体)及びIgM(ミュー受容体)など、抗体の特定のクラスに特異的な複数のFc受容体がある。細胞表面上でのFc領域のFc受容体への抗体の結合は、抗体コーティング粒子の食作用(抗体依存性細胞媒介性食作用、またはADCP)、免疫複合体のクリアランス、キラー細胞による抗体コーティング細胞の溶解(抗体依存性細胞媒介性細胞傷害、またはADCC)及び炎症性メディエーターの放出、胎盤移植、及び免疫グロブリン産生の制御など、複数の生物学的応答を引き起こし得る。さらに、補体のC1成分が抗体に結合することにより、補体系が活性化され得る。補体の活性化は、細胞性病原体の溶解にとって重要であり得る。しかし、補体の活性化は、炎症応答を刺激する可能性もあり、自己免疫性過敏または他の免疫障害にも関与し得る。特定のFc受容体に結合する能力が低下されているかまたは除去されているバリアントFc領域は、局所細胞または組織を損傷させるかまたは破壊することなく、リガンド機能を標的化、活性化、または中和することによって作用する治療用抗体及びFc融合ポリペプチドコンストラクトの開発に有用である。
【0140】
いくつかの実施形態では、SIRPα D1ポリペプチドコンストラクトは、除去されたかまたは低減されたエフェクター機能を有するFcドメインを形成するFcドメインバリアントに連結された非天然SIRPα D1ドメインバリアントを含む。
【0141】
いくつかの実施形態では、Fcドメインバリアントは、第2及び第3の抗体定常ドメイン(例えば、CH2及びCH3)を含むポリペプチド鎖を指す。いくつかの実施形態では、Fcドメインバリアントはまた、ヒンジドメインを含む。いくつかの実施形態では、Fcドメインバリアントは、IgG、IgE、IgM、IgA、及びIgDなどの任意の免疫グロブリン抗体アイソタイプのものである。さらに、いくつかの実施形態では、Fcドメインバリアントは、任意のIgGサブタイプ(例えば、IgG1、IgG2、IgG2a、IgG2b、IgG2c、IgG3、及びIgG4)のものである。いくつかの実施形態では、Fcドメインバリアントは、野生型Fcドメインモノマー配列(例えば、1~10、1~8、1~6、1~4のアミノ酸置換、付加または挿入、欠失、またはそれらの組み合わせ)に対して、FcドメインとFc受容体との間の相互作用を変化させる10ものアミノ酸修飾(例えば、挿入、欠失、及び/または置換)を含む。
【0142】
本明細書で使用される場合、「Fcドメイン二量体」という用語は、2つのFcドメインの二量体を指す。野生型Fcドメイン二量体では、2つの野生型Fcドメインは、2つのCH3抗体定常ドメイン間の相互作用、及び2つの二量体化Fcドメインのヒンジドメイン間に形成される1つ以上のジスルフィド結合によって二量体化する。
【0143】
本明細書で使用される場合、「Fcドメイン二量体バリアント」という用語は、少なくとも1つのFcドメインバリアントを含む。いくつかの実施形態では、Fcドメイン二量体バリアントは、エフェクター機能を含まないように変異されたFcドメインバリアント、例えば、「デッド(dead)Fcドメイン二量体バリアント」を含む。いくつかの実施形態では、Fcドメイン二量体バリアント中のFcドメインのそれぞれは、Fcドメイン二量体バリアントとFcγ受容体(FcγR)、Fcα受容体(FcαR)、またはFcε(FcεR)などのFc受容体との間の相互作用または結合を低減させるために、CH2抗体定常ドメインにアミノ酸置換を含む。
【0144】
いくつかの実施形態では、SIRPα D1ドメインバリアント(例えば、表2、5、及び6に記載のバリアントのいずれか)は、免疫グロブリンのFcドメインバリアントまたはFcドメインバリアントの断片に融合される。いくつかの実施形態では、免疫グロブリンのFcドメインバリアントまたはFcドメインバリアントの断片は、別のFcドメインバリアントとFcドメイン二量体を形成することができる。いくつかの実施形態では、免疫グロブリンのFcドメインバリアントまたはFcドメインバリアントの断片は、別のFcドメインバリアントとFcドメイン二量体を形成することができない。いくつかの実施形態では、FcドメインバリアントまたはFcドメインバリアントの断片は、ポリペプチドの血清半減期を増長させるために、本開示のポリペプチドに融合される。いくつかの実施形態では、本開示のポリペプチドに融合されたFcドメインバリアントまたはFcドメインバリアントの断片は、第2のFcドメインバリアントと二量体化して、Fc受容体に結合するFcドメイン二量体バリアントを形成するか、あるいはFcドメインバリアントは、Fc受容体に結合する。いくつかの実施形態では、ポリペプチドの血清半減期を増長させるためにポリペプチドに融合されたFcドメインバリアントまたはFcドメインバリアントの断片は、いかなる免疫系関連の応答も誘導しない。
【0145】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるSIRPαポリペプチドまたはコンストラクトは、第1のFcドメインバリアントに結合されたSIRPα D1ドメインまたはそのバリアント、及び第2のFcドメインバリアントに結合された抗体可変ドメインを含み、ここで、第1及び第2のFcドメインバリアントが組み合わさって、Fcドメイン二量体バリアント(例えば、ヘテロ二量体Fcドメイン二量体バリアント)を形成する。Fcドメイン二量体は、免疫グロブリンのC末端に見られるタンパク質構造である。Fcドメイン二量体には、CH3抗体定常ドメイン間の相互作用によって二量体化される2つのFcドメインを含む。野生型Fcドメイン二量体は、Fc受容体に結合する最小構造、例えば、FcγRI、FcγRIIa、FcγRIIb、FcγRIIIa、FcγRIIIb、及びFcγRIVを形成する。
【0146】
Fcドメイン二量体は、抗体のその標的への結合に直接関与していないが、抗体依存性細胞傷害への抗体の関与など、様々なエフェクター機能に関与し得る。いくつかの実施形態では、本開示のSIRPαポリペプチドまたはコンストラクト中のFcドメインは、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)の低下、補体依存性細胞傷害(CDC)の低下、抗体依存性細胞媒介性食作用(ADCP)の低下、またはそれらの任意の組み合わせなどのエフェクター機能の低下をもたらすアミノ酸置換、付加または挿入、欠失、またはそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、本開示のSIRPαポリペプチドまたはコンストラクトは、ヒトFc受容体への結合の減少(例えば、結合が最小であるかまたは結合がないこと)及びタンパク質C1qを相補するための結合の減少(例えば、結合が最小であるかまたは結合がないこと)を特徴とする。いくつかの実施形態では、本開示のSIRPαコンストラクトは、ヒトFcγRI、FcγRIIA、FcγRIIB、FcγRIIIB、またはそれらの任意の組み合わせ、及びC1qへの結合の減少(例えば、結合が最小であるかまたは結合がないこと)を特徴とする。いくつかの実施形態では、ADCC、CDC、ADCP、またはそれらの任意の組み合わせなどの抗体依存性エフェクター機能を変更するかまたは低下させるために、いくつかの実施形態では、本開示のSIRPαコンストラクト中のFcドメインは、IgGクラスのものであり、E233、L234、L235、G236、G237、D265、D270、N297、E318、K320、K322、A327、A330、P331、またはP329(番号付けは、KabatのEUインデックスによる)に1つ以上のアミノ酸置換を含む(Sequences of Proteins of Immunological Interest、5th Ed.Public Health Service、National Institutes of Health、Bethesda、MD.(1991)))。
【0147】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の非天然Fc領域を含むポリペプチドコンストラクトは、天然Fc領域を含むポリペプチドコンストラクトと比較して、Fcγ受容体CD16a、CD32a、CD32b、CD32c、及びCD64の少なくとも1つへの結合の減少または除去を呈する。場合によっては、本明細書に記載のポリペプチドコンストラクトは、CD16a、CD32a、CD32b、CD32c、及びCD64Fcγ受容体への結合の減少または除去を呈する。
【0148】
CDCは、抗体Fcドメインに結合する補体成分C1qによって補体カスケードが活性化される細胞傷害の一形態を指す。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の非天然Fc領域を含むポリペプチドコンストラクトは、野生型Fc領域を含むポリペプチドコンストラクトと比較して、少なくとも5%、10%、15%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、またはそれ以上のC1q結合の減少を示す。場合によっては、本明細書に記載の非天然Fc領域を含むポリペプチドコンストラクトは、野生型Fc領域を含むポリペプチドコンストラクトと比較して、CDCの減少を呈する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の非天然Fc領域を含むポリペプチドコンストラクトは、野生型Fc領域を含むポリペプチドコンストラクトと比較して、少なくとも5%、10%、15%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、またはそれ以上のCDCの減少を示す。場合によっては、本明細書に記載の非天然FcドメインバリアントまたはFcドメイン二量体バリアントを含むポリペプチドコンストラクトは、野生型Fc領域を含むポリペプチドコンストラクトと比較して、無視できる程度のCDCを呈する。
【0149】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のFcドメインバリアントまたはFcドメイン二量体バリアントは、野生型配列に対して、最小限グリコシル化されているか、またはグリコシル化が減少している。いくつかの実施形態では、脱グリコシル化は、N297Aの突然変異によって、またはN297をNではない任意のアミノ酸に突然変異させることによって達成される。いくつかの実施形態では、脱グリコシル化は、モチーフN-Xaa1-Xaa2-Xaa3を破壊することによって達成される。式中、N=アスパラギン;Xaa1=P(プロリン)以外の任意のアミノ酸;Xaa2=T(スレオニン)、S(セリン)、またはC(システイン);及びXaa3=P(プロリン)以外の任意のアミノ酸である。一実施形態では、N-Xaa1-Xaa2-Xaa3モチーフは、Kabat et al.,(1991)に従って指定された残基297~300を指す。いくつかの実施形態では、N、Xaa1、Xaa2、またはXaa3のうちのいずれか1つ以上への突然変異は、FcドメインバリアントまたはFcドメイン二量体バリアントの脱グリコシル化をもたらす。
【0150】
いくつかの実施形態では、抗体IgG定常領域のバリアント(例えば、FcドメインバリアントまたはFcドメイン二量体バリアント)は、Fcγ受容体に特異的に結合する能力が低下しているか、または食作用を誘導する能力が低下している。いくつかの実施形態では、抗体IgG定常領域のバリアント(例えば、FcドメインバリアントまたはFcドメイン二量体バリアント)は、Fcγ受容体に特異的に結合する能力が低下し、かつ食作用を誘導する能力が低下している。例えば、いくつかの実施形態では、Fcドメインバリアントは、「デッド」Fcドメインバリアントに典型的なエフェクター機能を含まないように変異されている。例えば、いくつかの実施形態では、Fcドメインバリアントは、Fcドメイン二量体とFcγ受容体との間の相互作用を最小化することが知られている特定のアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、Fcドメインバリアントは、IgG1抗体に由来し、アミノ酸置換L234A、L235A、G237A、及びN297A(Kabat et al.,(1991)によるEU番号付けシステムに従って指定される)のうちの1つ以上を含む。いくつかの実施形態では、1つ以上の追加の突然変異は、そのようなIgG1 Fcドメインバリアントに含まれる。ヒトIgG1 Fcドメインバリアントに対するそうした追加の突然変異の非限定的な例としては、E318A及びK322Aが挙げられる。場合によっては、ヒトIgG1 Fcドメインバリアントは、野生型ヒトIgG1配列と比較して、合計で最大12、11、10、9、8、7、6、5、または4以下の突然変異を有する。いくつかの実施形態では、1つ以上の追加の欠失は、そのようなIgG1 Fcドメインバリアントに含まれる。例えば、いくつかの実施形態では、例えば、ポリペプチドが細菌または哺乳動物細胞中で産生される場合にポリペプチドの均一性を高めるために、表7の配列番号88に提供されるFcドメインIgG1重鎖定常領域のC末端リジンを欠失させる。場合によっては、ヒトIgG1 Fcドメインバリアントは、野生型ヒトIgG1配列と比較して、合計で最大12、11、10、9、8、7、6、5、または4、またはそれ以下の欠失を有する(例えば、以下の配列番号161を参照)。いくつかの実施形態では、IgG1 Fcドメインバリアントは、配列番号135、配列番号136、または配列番号137のいずれか1つに記載の配列を有する。
配列番号161:
DKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPG
【0151】
いくつかの実施形態では、Fcドメインバリアントは、IgG2またはIgG4抗体に由来し、アミノ酸置換A330S、P331S、またはA330S及びP331Sの両方を含む。前述のアミノ酸位置は、Kabat et al.,(1991)に従って定義される。アミノ酸残基のKabat番号付けは、「標準の」Kabat番号付け配列との抗体の配列の相同性領域でのアライメントによって所与の抗体について決定され得る。いくつかの実施形態では、Fcドメインバリアントは、A330S、P331S及びN297Aアミノ酸置換のうちの1つ以上を含むヒトIgG2 Fcドメイン配列を含む(Kabat et al.,(1991)によるEU番号付けシステムに従って指定される)。いくつかの実施形態では、1つ以上の追加の突然変異は、そのようなIgG2 Fcドメインバリアントに含まれる。ヒトIgG2 Fcドメインバリアントに対するそのような追加の突然変異の非限定的な例としては、V234A、G237A、P238S、V309L及びH268A(Kabat et al.,(1991)によるEU番号付けシステムに従って指定される)が挙げられる。場合によっては、ヒトIgG2 Fcドメインバリアントは、野生型ヒトIgG2配列と比較して、合計で最大12、11、10、9、8、7、6、5、4、または3またはそれ以下の突然変異を有する。いくつかの実施形態では、1つ以上の追加の欠失は、そのようなIgG2 Fcドメインバリアントに含まれる。例えば、いくつかの実施形態では、例えば、ポリペプチドが細菌または哺乳動物細胞中で産生される場合にポリペプチドの均一性を高めるために、表7の配列番号89に提供されるFcドメインIgG2重鎖定常領域のC末端リジンを欠失させる。場合によっては、ヒトIgG2 Fcドメインバリアントは、野生型ヒトIgG2配列と比較して、合計で最大12、11、10、9、8、7、6、5、または4、またはそれ以下の欠失を有する(例えば、以下の配列番号162を参照)。
配列番号162:
ERKCCVECPPCPAPPVAGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTFRVVSVLTVVHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPAPIEKTISKTKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPMLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPG
【0152】
FcドメインバリアントがIgG4 Fcドメインバリアントである場合、いくつかの実施形態では、そのようなFcドメインバリアントは、S228P変異を含む(Kabat et al.,(1991)に従って指定される)。場合によっては、ヒトIgG4 Fcドメインバリアントは、野生型ヒトIgG4配列と比較して、合計で最大12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、または1の突然変異を有する。いくつかの実施形態では、Fcドメインバリアントは、S228P、E233P、F234V、L235A、及びdelG236アミノ酸置換のうちの1つ以上を含むヒトIgG4 Fc配列を含む(Kabat et al.,(1991)によるEU番号付けシステムに従って指定される)。いくつかの実施形態では、Fcドメインバリアントは、S228P、E233P、F234V、L235A、delG236、及びN297Aアミノ酸置換のうちの1つ以上を含むヒトIgG4 Fc配列を含む(Kabat et al.,(1991)によるEU番号付けシステムに従って指定される)。
【0153】
いくつかの実施形態では、Fcドメインバリアントは、IgG1 Fc領域の突然変異L234A、L235A、G237A、またはN297Aの少なくとも1つ、またはIgG2 Fc領域の突然変異A330S、P331S、またはN297Aのうちの少なくとも1つを含む。いくつかの実施形態では、Fcドメインバリアントは、IgG1 Fc領域の突然変異L234A、L235A、G237A、またはN297Aの少なくとも2つ、またはIgG2 Fc領域の突然変異A330S、P331S、またはN297Aのうちの少なくとも2つを含む。いくつかの実施形態では、Fcドメインバリアントは、IgG1 Fc領域の突然変異L234A、L235A、G237A、またはN297Aの少なくとも3つを含むか、またはIgG2 Fc領域の突然変異A330S、P331S、及びN297Aからなる。いくつかの実施形態では、Fcドメインバリアントは、突然変異L234A、L235A、G237A、及びN297Aからなる。
【0154】
いくつかの実施形態では、Fcドメインバリアントは、野生型ヒトIgG Fc領域と比較して、対象のFc受容体への結合の減少を呈する。いくつかの実施形態では、Fcドメインバリアントは、野生型ヒトIgG Fc領域と比較して、対象のFc受容体への結合の除去を呈する。いくつかの実施形態では、Fcドメインバリアントは、野生型ヒトIgG Fc領域と比較して、食作用の減少を呈する。いくつかの実施形態では、Fcドメインバリアントは、野生型ヒトIgG Fc領域と比較して、食作用の除去を呈する。
【0155】
配列番号88及び配列番号89は、FcドメインIgG1及びIgG2重鎖定常領域のアミノ酸配列を提供する。いくつかの実施形態では、Fcドメインバリアントは、表7に示されるとおり、配列番号90~95の任意のバリアントである。
【表7-1】
【表7-2】
【0156】
本明細書においてADCCとも呼ばれる抗体依存性細胞媒介性細胞傷害は、分泌されたIgが特定の細胞傷害性細胞(例えば、ナチュラルキラー(NK)細胞及び好中球)上に存在するFc受容体(FcR)に結合する細胞傷害の形態を指し、これにより、これらの細胞傷害性エフェクター細胞が、抗原保有標的細胞に特異的に結合し、続いて標的細胞を死滅させることができるようになる。本明細書においてADCPとも呼ばれる抗体依存性細胞媒介性食作用は、分泌されたIgが特定の食細胞(例えば、マクロファージ)上に存在するFc受容体(FcR)に結合する細胞傷害の形態を指し、これにより、これらの食作用エフェクター細胞が、抗原保有標的細胞に特異的に結合し、続いて標的細胞を飲み込んで消化することができるようになる。標的細胞の表面に向けられたリガンド特異的高親和性IgG抗体は、細胞傷害性細胞または食細胞を刺激することができ、そのような死滅に使用することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のFcドメインバリアントまたはFcドメイン二量体バリアントを含むポリペプチドコンストラクトは、野生型Fc領域を含むポリペプチドコンストラクトと比較して、減少したADCCまたはADCPを呈する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のFcドメインバリアントまたはFcドメイン二量体バリアントを含むポリペプチドコンストラクトは、野生型Fc領域を含むポリペプチドコンストラクトと比較して、少なくとも5%、10%、15%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、またはそれ以上のADCCまたはADCPの低下を呈する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のFcドメインバリアントまたはFcドメイン二量体バリアントを含むポリペプチドコンストラクトは、野生型Fc領域を含むポリペプチドコンストラクトと比較して、ADCCまたはADCPの除去を呈する。
【0157】
本明細書ではCDCとも呼ばれる補体指向性細胞傷害性は、抗体Fcドメインに結合する補体成分C1qによって補体カスケードが活性化される細胞傷害性の形態を指す。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のFcドメインバリアントまたはFcドメイン二量体バリアントを含むポリペプチドコンストラクトは、野生型Fc領域を含むポリペプチドコンストラクトと比較して、少なくとも5%、10%、15%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、またはそれ以上のC1qの結合の減少を呈する。場合によっては、本明細書に記載のFcドメインバリアントまたはFcドメイン二量体バリアントを含むポリペプチドコンストラクトは、野生型Fc領域を含むポリペプチドコンストラクトと比較して、減少したCDCを呈する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のFcドメインバリアントまたはFcドメイン二量体バリアントを含むポリペプチドコンストラクトは、野生型Fc領域を含むポリペプチドコンストラクトと比較して、少なくとも5%、10%、15%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、またはそれ以上のCDCの低下を呈する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のFcドメインバリアントまたはFcドメイン二量体バリアントを含むポリペプチドコンストラクトは、野生型Fc領域を含むポリペプチドコンストラクトと比較して、無視できるほどのCDCを呈する。
【0158】
本明細書におけるFcドメインバリアントまたはFcドメイン二量体バリアントには、野生型ヒトIgG Fc領域と比較して、Fcγ受容体への結合の低下を呈するものを含む。例えば、いくつかの実施形態では、FcドメインバリアントまたはFcドメイン二量体バリアントは、実施例に記載のとおり、野生型ヒトIgG Fc領域によって呈されるFcγ受容体への結合よりも少ないFcγ受容体への結合を呈する。場合によっては、FcドメインバリアントまたはFcドメイン二量体バリアントは、Fcγ受容体への結合が10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%(エフェクター機能が完全に除去されている)低下している。いくつかの実施形態では、結合の低下は、任意の1つ以上のFcγ受容体、例えば、CD16a、CD32a、CD32b、CD32c、またはCD64についてのものである。
【0159】
場合によっては、本明細書に開示のFcドメインバリアントまたはFcドメイン二量体バリアントは、その野生型ヒトIgG Fc領域と比較して、食作用の減少を呈する。そのようなFcドメインバリアントまたはFcドメイン二量体バリアントは、その野生型ヒトIgG Fc領域と比較して、食作用の減少を呈し、ここで、食作用活性の減少は、例えば、係数10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%である。場合によっては、FcドメインバリアントまたはFcドメイン二量体バリアントは、その野生型ヒトIgG Fc領域と比較して食作用の切除を呈する。
【0160】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示のFcドメインバリアントまたはFcドメイン二量体バリアントは、1つ以上の融合パートナーに結合される。場合によっては、融合パートナーは、治療部分である。場合によっては、融合パートナーは、発現されたタンパク質の標的化、精製、スクリーニング、提示などが可能になるように選択される。いくつかの実施形態では、融合パートナーはまた、Fc受容体への結合の程度または食作用の減少の程度に影響を与える。本明細書に記載のとおり、いくつかの実施形態では、FcドメインバリアントまたはFcドメイン二量体バリアントが融合パートナーに結合される場合、以下に記載のポリペプチドコンストラクトを形成する。
【0161】
いくつかの実施形態では、融合パートナーは、リンカー配列を介してFcドメインバリアントまたはFcドメイン二量体バリアント配列に連結している。いくつかの実施形態では、リンカー配列は、一般に、10未満のアミノ酸などの少数のアミノ酸を含むが、より長いリンカーもまた利用される。場合によっては、リンカーは、10、9、8、7、6、または5アミノ酸以下の長さを有する。場合によっては、リンカーは、少なくとも10、11、12、13、14、15、20、25、30、または35、またはそれ以上アミノ酸の長さを有する。任意により、いくつかの実施形態では、切断可能なリンカーが使用される。
【0162】
いくつかの実施形態では、融合パートナーは、FcドメインバリアントまたはFcドメイン二量体バリアントタンパク質及び任意の関連する融合パートナーを所望の細胞位置または細胞外培地に指向させる標的化またはシグナル配列である。いくつかの実施形態では、特定のシグナル伝達配列は、成長培地、または細胞の内膜と外膜との間に位置する周辺質空間のいずれかに分泌されるタンパク質を標的とする。いくつかの実施形態では、融合パートナーは、精製またはスクリーニングを可能にするペプチドまたはタンパク質をコードする配列である。このような融合パートナーとしては、これらに限定されないが、ポリヒスチジンタグ(Hisタグ)(例えば、His6(配列番号223)及びHis10(配列番号224))、または固定化金属アフィニティークロマトグラフィー(IMAC)システム(例えば、Ni+2アフィニティーカラム)、GST融合、MBP融合、Strepタグ、細菌酵素BirAのBSPビオチン化標的配列、及び抗体の標的となるエピトープタグ(例えば、c-mycタグ、フラグタグなど)と共に使用するための他のタグが挙げられる。
【0163】
いくつかの実施形態では、そのようなタグは、精製、スクリーニング、またはその両方に有用である。例えば、いくつかの実施形態では、FcドメインバリアントまたはFcドメイン二量体バリアントは、それをHisタグを使用して、Ni+2アフィニティーカラムに固定化することによって精製し、次いで精製後、同じHisタグを使用して、抗体をNi+2コーティングプレートに固定し、本明細書の他の場所に記載のELISAまたは他の結合アッセイを実施する。いくつかの実施形態では、融合パートナーは、本明細書に記載のとおり、FcドメインバリアントまたはFcドメイン二量体バリアントをスクリーニングするための選択方法の使用が可能になる。
【0164】
様々な選択方法が可能になる多様な融合パートナーが利用可能である。例えば、FcドメインバリアントまたはFcドメイン二量体バリアントライブラリーのメンバーを遺伝子IIIタンパク質に融合することにより、ファージディスプレイを使用することができる。いくつかの実施形態では、融合パートナーは、標識されるFcドメインバリアントまたはFcドメイン二量体バリアントである。あるいは、いくつかの実施形態では、融合パートナーは、発現ベクター上の特定の配列に結合し、これにより、融合パートナー及び関連するFcドメインバリアントまたはFcドメイン二量体バリアントが、それらをコードする核酸と共有結合または非共有結合により連結できるようになる。
【0165】
いくつかの実施形態では、融合パートナーが治療部分である場合、治療部分は、例えば、ペプチド、タンパク質、抗体、siRNA、または小分子である。本開示のFcドメインバリアントまたはFcドメイン二量体バリアントに結合される治療用抗体の非限定的な例としては、これらに限定されないが、CD47を認識する抗体が挙げられる。本開示のFcドメインバリアントまたはFcドメイン二量体バリアントに結合される治療用ポリペプチドの非限定的な例としては、これらに限定されないが、SIRPαポリペプチドなどのCD47結合ポリペプチドが挙げられる。そのような場合、CD47結合ポリペプチドは、本開示のFcドメインバリアントまたはFcドメイン二量体バリアントに付着しているかまたは融合している。CD47結合ポリペプチドの例としては、これらに限定されないが、抗CD47抗体またはその断片、ならびにSIRPαまたはその断片などのCD47のリガンドが挙げられる。CD47結合ポリペプチドの追加の例としては、これらに限定されないが、天然に存在する形態のSIRPα及びその変異体が挙げられる。
【0166】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるのは、Fcドメイン二量体バリアントを含むポリペプチドであり、ここで、Fcドメイン二量体バリアントは、2つのFcドメインバリアントを含み、各Fcドメインバリアントは、独立して、(i)突然変異L234A、L235A、G237A、及びN297AからなるヒトIgG1 Fc領域;(ii)突然変異A330S、P331S、及びN297AからなるヒトIgG2 Fc領域;または(iii)突然変異S228P、E233P、F234V、L235A、delG236、及びN297Aを含むヒトIgG4 Fc領域から選択される。いくつかの実施形態では、Fcドメインバリアントは、同一(すなわち、ホモ二量体)である。いくつかの実施形態では、Fcドメインバリアントは、異なる(すなわち、ヘテロ二量体)。いくつかの実施形態では、Fcドメイン二量体中のFcドメインバリアントのうちの少なくとも1つは、突然変異L234A、L235A、G237A、及びN297AからなるヒトIgG1 Fc領域である。いくつかの実施形態では、Fcドメイン二量体中のFcドメインバリアントの少なくとも1つは、突然変異A330S、P331S、及びN297AからなるヒトIgG2 Fc領域である。いくつかの実施形態では、Fcドメイン二量体バリアントは、ヒトIgG Fc領域の野生型版と比較して、Fcγ受容体への結合の除去または減少を呈する。いくつかの実施形態では、Fcドメイン二量体バリアントは、ヒトIgG Fc領域の野生型版と比較して、CD16a、CD32a、CD32b、CD32c、及びCD64 Fcγ受容体への結合の除去または減少を呈する。いくつかの実施形態では、Fcドメイン二量体バリアントは、ヒトIgG Fc融合の野生型版と比較して、C1qへの結合の除去または減少を呈する。いくつかの実施形態では、Fcドメイン二量体バリアント中のFcドメインバリアントのうちの少なくとも1つは、突然変異S228P、E233P、F234V、L235A、delG236、及びN297Aを含むヒトIgG4 Fc領域である。いくつかの実施形態では、Fcドメイン二量体バリアントは、野生型ヒトIgG4 Fc領域と比較して、Fcγ受容体への結合の除去または減少を呈する。いくつかの実施形態では、Fcドメイン二量体バリアントは、そのヒトIgG4 Fc領域の野生型版と比較して、CD16a及びCD32b Fcγ受容体への結合の除去または減少を呈する。いくつかの実施形態では、Fcドメイン二量体バリアントは、約5×10-6Mを超えるKでFcγ受容体に結合する。
【0167】
いくつかの実施形態では、Fcドメイン二量体バリアントは、CD47結合ポリペプチドをさらに含む。いくつかの実施形態では、Fcドメイン二量体バリアントは、ヒトIgG Fc領域の野生型版と比較して、Fcγ受容体への結合の除去または減少を呈する。いくつかの実施形態では、CD47結合ポリペプチドは、げっ歯類及び非ヒト霊長類において急性貧血を引き起こさない。いくつかの実施形態では、CD47結合ポリペプチドは、ヒトにおいて急性貧血を引き起こさない。
【0168】
いくつかの実施形態では、CD47結合ポリペプチドは、シグナル調節タンパク質α(SIRP-α)ポリペプチドまたはその断片である。いくつかの実施形態では、SIRPαポリペプチドは、以下のアミノ酸配列を含むSIRPα D1ドメインバリアントを含む:
EEELQXIQPDKSVLVAAGETATLRCTXTSLXPVGPIQWFRGAGPGRXLIYNQXEGXFPRVTTVSDXTKRNNMDFSIRIGXITPADAGTYYCXKFRKGSPDDVEFKSGAGTELSVRAKPS(配列番号221)、ここで、Xは、VまたはIであり;Xは、AまたはIであり;Xは、IまたはFであり;Xは、EまたはVであり;Xは、KまたはRであり;Xは、HまたはPであり;Xは、LまたはTであり;Xは、N以外の任意のアミノ酸であり;Xは、VまたはIである。いくつかの実施形態では、SIRPαポリペプチドは、SIRPα D1ドメインバリアントを含み、Xは、VまたはIであり;Xは、AまたはIであり;Xは、IまたはFであり;Xは、Eであり;Xは、KまたはRであり;Xは、HまたはPであり;Xは、LまたはTであり;Xは、Nではなく:Xは、Vである。
【0169】
本明細書に開示されるいくつかの実施形態では、SIRPα D1ドメインバリアントを含むポリペプチドであり、ここで、SIRPα D1ドメインバリアントは、天然に存在しない高親和性SIRPα D1ドメインであり、SIRPα D1ドメインバリアントは、天然に存在するD1ドメイン及びFcドメインバリアントの親和性よりも少なくとも10倍高い親和性でヒトCD47に結合し、Fcドメインバリアントは、第2のFcドメインバリアントを含む第2のポリペプチドに連結されて、Fcドメイン二量体バリアントを形成し、Fcドメイン二量体バリアントは、エフェクター機能が除去されているかまたは低下している。いくつかの実施形態では、天然に存在しない高親和性SIRPα D1ドメインは、残基80にアミノ酸突然変異を含む。
【0170】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるのは、SIRPα D1ドメインバリアントであり、SIRPα D1ドメインバリアントは、250nM未満のKで第1種のCD47に結合し、SIRPα D1ドメインバリアントは、250nM未満のKで第2種のCD47に結合し、第1種のCD47のKと第2種のCD47のKは、互いに100倍以内であり、第1種及び第2種は、ヒト、げっ歯類、及び非ヒト霊長類からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、SIRPα D1ドメインバリアントは、少なくとも3つの異なる種のCD47に結合する。いくつかの実施形態では、非ヒト霊長類は、カニクイザルである。
【0171】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されているのは、(a)ヒトCD47を250nM未満のKで結合するSIRPα D1ドメインと、(b)SIRPα D1ドメインのN末端またはC末端に連結されたFcドメインまたはそのバリアントとを含むポリペプチドであり、ここで、ポリペプチドは、げっ歯類及び非ヒト霊長類において急性貧血を引き起こさない。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、ヒトSIRP-αの天然に存在しないバリアントである。いくつかの実施形態では、in vivoでのポリペプチドの投与は、投与後の最初の週の間に50%未満のヘモグロビンの減少をもたらす。いくつかの実施形態では、ヒトでのポリペプチドの投与は、投与後の最初の週の間に50%未満のヘモグロビンの減少をもたらす。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、少なくとも1つのFcドメイン二量体バリアントをさらに含み、ここで、Fcドメイン二量体バリアントは、(i)突然変異L234A、L235A、G237A、及びN297AからなるヒトIgG1 Fc領域;(ii)突然変異A330S、P331S、及びN297AからなるヒトIgG2 Fc領域;または(iii)突然変異S228P、E233P、F234V、L235A、delG236、及びN297Aを含むヒトIgG4 Fc領域から選択されるFcドメインバリアントを含む。いくつかの実施形態では、Fcドメインバリアントは、突然変異L234A、L235A、G237A、及びN297AからなるヒトIgG1 Fc領域である。いくつかの実施形態では、Fcドメインバリアントは、突然変異A330S、P331S、及びN297AからなるヒトIgG2 Fc領域である。
【0172】
本開示のSIRPαコンストラクトは、従来の遺伝的または化学的手段、例えば、化学的コンジュゲーションを使用するリンカーを介して、FcドメインまたはそのバリアントのN末端に連結しているそのC末端を有するSIRPαドメインまたはそのバリアントを含む。いくつかの実施形態では、リンカー(例えば、スペーサー)は、ポリペプチドとFcドメインまたはそのバリアントとの間に挿入される。いくつかの実施形態では、SIRPα D1ドメインバリアントを含む本開示のポリペプチドは、二量体を形成することができないFcドメインバリアントに融合される。いくつかの実施形態では、本開示のポリペプチドは、別のFcドメインまたはそのバリアントと二量体、例えば、ヘテロ二量体を形成することができるFcドメインまたはそのバリアントに融合される。いくつかの実施形態では、本発明のポリペプチドは、Fcドメインまたはそのバリアントに融合され、この融合タンパク質は、ホモ二量体を形成する。いくつかの実施形態では、本開示のポリペプチドは、第1のFcドメインまたはそのバリアントに融合され、異なるタンパク質またはペプチド(例えば、抗体可変領域)は、第2のFcドメインまたはそのバリアントに融合される。いくつかの実施形態では、SIRPα D1ドメインまたはそのバリアントは、第1のFcドメインまたはそのバリアントに連結され、治療用タンパク質(例えば、サイトカイン、インターロイキン、抗原、ステロイド、抗炎症剤、または免疫調節剤)は、第2のFcドメインまたはそのバリアントに連結される。いくつかの実施形態では、第1及び第2のFcドメインまたはそのバリアントは、ヘテロ二量体を形成する。
【0173】
前述の制限なく、いくつかの実施形態では、SIRPα D1ドメインバリアントポリペプチド(例えば、表2、5、及び6に記載のバリアントのいずれか)は、Fcポリペプチド、またはFcドメインもしくはそのバリアントなどのFcバリアントポリペプチドに融合される。SIRPα D1ドメインバリアントポリペプチド及び融合Fcドメインバリアントポリペプチドを含むポリペプチドの例としては、これらに限定されないが、表8に示される配列番号96~137、214、及び216が挙げられる。
【表8-1】
【表8-2】
【表8-3】
【表8-4】
【表8-5】
【表8-6】
【表8-7】
【表8-8】
【表8-9】
【表8-10】
【表8-11】
【0174】
いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、表8に記載の任意のバリアントに対して、少なくとも85%の配列同一性(例えば、少なくとも86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性)を有するSIRPα D1バリアントドメインを含む。
【0175】
いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、表8の配列番号98~104、107~113、116~122、または135~137に対して、少なくとも85%の配列同一性(例えば、少なくとも86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性)を有するSIRPα D1ドメインバリアントを含む。
【0176】
いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、(a)シグナル調節タンパク質α(SIRP-α)D1バリアント及び(b)fcドメイン二量体バリアントを含み、ここで、SIRPα D1ドメインバリアントは、以下のアミノ酸配列を含み、EEXQXIQPDKXVXVAAGEXLXCTX10TSLX11PVGPIQWFRGAGPX12RX13LIYNQX1415GX16FPRVTTVSX1718TX19RX20NMDFX21IX22IX2324ITX25ADAGTYYCX26KX27RKGSPDX2829EX30KSGAGTELSVRX31KPS(配列番号47)、Xは、E、またはGであり;Xは、L、I、またはVであり;Xは、V、L、またはIであり;Xは、S、またはFであり;Xは、L、またはSであり;Xは、S、またはTであり;Xは、A、またはVであり;Xは、I、またはTであり;Xは、H、R、またはLであり;X10は、A、V、I、またはLであり;X11は、I、T、S、またはFであり;X12は、A、またはGであり;X13は、E、V、またはLであり;X14は、K、またはRであり;X15は、E、またはQであり;X16は、H、P、またはRであり;X17は、D、またはEであり;X18は、S、L、T、またはGであり;X19は、K、またはRであり;X20は、E、またはNであり;X21は、S、またはPであり;X22は、S、またはRであり;X23は、S、またはGであり;X24は、任意のアミノ酸であり;X25は、任意のアミノ酸であり;X26は、V、またはIであり;X27は、F、L、またはVであり;X28は、Dまたは存在せず;X29は、T、またはVであり;X30は、F、またはVであり;X31は、A、またはGであり;ここで、SIRPα D1ドメインバリアントは、配列番号1~10のいずれか1つに記載の配列を有する野生型SIRPα D1ドメインに対して、少なくとも2つのアミノ酸置換を含む。各Fcドメインバリアントは、独立して、(i)N297A突然変異を含むヒトIgG1 Fc領域;(ii)L234A、L235A、及びG237A突然変異を含むヒトIgG1 Fc領域;(iii)L234A、L235A、G237A、及びN297A突然変異を含むヒトIgG1 Fc領域;(iv)N297A突然変異を含むヒトIgG2 Fc領域;(v)A330S及びP331S突然変異を含むヒトIgG2 Fc領域;(vi)A330S、P331S、及びN297A突然変異を含むヒトIgG2 Fc領域;(vii)S228P、E233P、F234V、L235A、及びdelG236突然変異を含むヒトIgG4 Fc領域;または(viii)S228P、E233P、F234V、L235A、delG236、及びN297A突然変異を含むヒトIgG4 Fc領域である。
【0177】
いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、SIRPα D1ドメインバリアントと、2つのFcドメインを有するFcドメイン二量体と、を含み、SIRPα D1ドメインバリアントは、配列番号47によるアミノ酸配列を含み、Fcドメインのうちの1つは、L234A、L235A、G237A、及びN297A突然変異を含むヒトIgG1 Fc領域を含むFcドメインバリアントである。
【0178】
Fcドメインの二量体化
いくつかの実施形態では、SIRPα D1ドメインバリアントポリペプチド(例えば、表2、5、及び6に記載のバリアントのいずれか)は、N末端またはC末端のいずれかにおいて第1のFcドメイン(例えば、Fcドメインバリアント)に融合される。いくつかの実施形態では、第1のFcドメインは、二量体を形成することができないバリアントである。いくつかの実施形態では、第1のFcドメインは、第2のFcドメインと二量体を形成する。いくつかの実施形態では、第1のFcドメイン及び第2のFcドメインは、第1のドメインFcドメインと第2のドメインFcドメインと間のヘテロ二量体化を促進するアミノ酸置換を含む。
【0179】
いくつかの実施形態では、Fcドメイン二量体中の2つのFcドメインのそれぞれは、2つの単量体のヘテロ二量体化を促進するアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、SIRPαコンストラクトは、例えば、第1のFcドメインに融合されたSIRPα D1ドメインバリアントポリペプチドなどの第1のサブユニット及び第2のFcドメインなどの第2のサブユニット(例えば、SIRPα D1ドメインバリアントポリペプチド、または任意の他のポリペプチドを含まない)から形成される。いくつかの実施形態では、コンストラクトは、Fcドメイン二量体(例えば、単一のアーム)に連結された単一のSIRPα D1ドメインバリアントポリペプチドを有する。いくつかの実施形態では、コンストラクトは、Fcドメイン二量体(例えば、二重アーム)に連結された2つのSIRPα D1ドメインバリアントポリペプチドを有する。いくつかの実施形態では、約500nMのKを有するSIRPα D1ドメインバリアントは、二重アームコンストラクトにおいて特に有用である。いくつかの実施形態では、約50nMのKを有するSIRPα D1ドメインバリアントは、二重アームコンストラクトにおいて特に有用である。いくつかの実施形態では、約5nMのKを有するSIRPα D1ドメインバリアントは、二重アームコンストラクト及び単一アームコンストラクトにおいて有用である。いくつかの実施形態では、約500pMのKを有するSIRPα D1ドメインバリアントは、二重アームコンストラクト及び単一アームコンストラクトにおいて有用である。いくつかの実施形態では、約100pMのKを有するSIRPα D1ドメインバリアントは、二重アームコンストラクト及び単一アームコンストラクトにおいて有用である。いくつかの実施形態では、約50pMのKを有するSIRPα D1ドメインバリアントは、二重アームコンストラクト及び単一アームコンストラクトにおいて有用である。いくつかの実施形態では、約10pMのKを有するSIRPα D1ドメインバリアントは、二重アームコンストラクト及び単一アームコンストラクトにおいて有用である。
【0180】
いくつかの実施形態では、Fcドメインのヘテロ二量体化は、「ノブイントゥホール(knob-into-hole)」残基対及び電荷残基対などの2つのFcドメインに、異なるが適合性のある置換を導入することによって促進される。ノブ及びホールの相互作用は、ヘテロ二量体の形成に有利ではあるが、ノブ間及びホール間の相互作用により、立体的な衝突及び好ましい相互作用の欠失によりホモ二量体の形成が妨げられる。ホールとは、タンパク質中の元のアミノ酸が、小さい側鎖容積を有する異なるアミノ酸に置き換えられたときに作られる空隙を指す。ノブとは、タンパク質中の元のアミノ酸が、大きい側鎖容積を有する異なるアミノ酸に置き換えられたときに作られる隆起を指す。例えば、いくつかの実施形態では、置換されるアミノ酸は、FcドメインのCH3抗体定常ドメインにあり、2つのFcドメインの二量体化に関与している。いくつかの実施形態では、1つのCH3抗体定常ドメインのホールは、ノブ及びホールのアミノ酸が、2つのFcドメインのヘテロ二量体化を促進するかまたは有利になるように作用するように、別のCH3抗体定常ドメインのノブを収容するために作られる。いくつかの実施形態では、1つのCH3抗体定常ドメインのホールは、別のCH3抗体定常ドメイン中の元のアミノ酸をよりよく収容するために作られる。いくつかの実施形態では、1つのCH3抗体定常ドメインのノブは、別のCH3抗体定常ドメイン中の元のアミノ酸との追加の相互作用を形成するために作られる。
【0181】
いくつかの実施形態では、ホールは、チロシンまたはトリプトファンなどのより大きい側鎖を有するアミノ酸を、アラニン、バリン、またはスレオニンなどのより小さい側鎖を有するアミノ酸、例えば、CH3抗体定常ドメイン中のY407V突然変異で置き換えることによって構築される。同様に、いくつかの実施形態では、ノブは、より小さい側鎖を有するアミノ酸を、より大きい側鎖を有するアミノ酸、例えば、CH3抗体定常ドメイン中のT366W突然変異で置き換えることによって構築される。いくつかの実施形態では、1つのFcドメインは、ノブ突然変異T366Wを含み、他のFcドメインは、ホール突然変異T366S、L358A、及びY407Vを含む。いくつかの実施形態では、SIRPα D1ドメインバリアントを含む本開示のポリペプチドは、ノブ突然変異T366Wを含むFcドメインに融合されて、望ましくないノブ間のホモ二量体形成を制限する。ノブイントゥホールアミノ酸対の例は、これらに限定されないが、表9に記載する。ノブイントゥホールFcドメインバリアント及びSIRPα-Fc融合の例は、表10に示す。
【表9】
【表10-1】
【表10-2】
【表10-3】
【0182】
ノブイントゥホール戦略に加えて、いくつかの実施形態では、静電ステアリングもまた、Fcドメインの二量体化を制御するために使用される。静電ステアリングとは、ペプチド、タンパク質ドメイン、及びタンパク質内の反対に帯電したアミノ酸間の好ましい静電相互作用を利用して、より高次のタンパク質分子の形成を制御することを指す。特に、静電ステアリングを使用してFcドメインの二量体化を制御するために、導入された特定の荷電アミノ酸に応じて、相互作用が、静電的に有利または不利になるように、CH3-CH3界面を構成する1つ以上のアミノ酸残基が、正または負に帯電したアミノ酸残基に置き換えられる。いくつかの実施形態では、リジン、アルギニン、またはヒスチジンなどの界面の正に帯電したアミノ酸は、アスパラギン酸またはグルタミン酸などの負に帯電したアミノ酸で置き換えられる。いくつかの実施形態では、界面の負に帯電したアミノ酸は、正に帯電したアミノ酸で置き換えられる。いくつかの実施形態では、荷電アミノ酸は、相互作用するCH3抗体定常ドメインのうちの1つ、またはその両方に導入される。いくつかの実施形態では、2つのFcドメインの相互作用するCH3抗体定常ドメインに荷電アミノ酸を導入することにより、荷電アミノ酸間の相互作用から生じる静電ステアリング効果によって制御されるように、Fcドメインのヘテロ二量体の選択的形成が促進される。静電ステアリングアミノ酸対の例は、これらに限定されないが、表11に示す。
【表11】
【0183】
特に二重特異性抗体を構築する文脈において、Fcドメインのヘテロ二量体化を制御するために使用される他の方法が利用可能である。
【0184】
いくつかの実施形態では、第1のFcドメイン及び第2のFcドメインはそれぞれ、ヒトIgG1の配列に対して、T366W、T366S、L368A、Y407V、T366Y、T394W、F405W、Y349T、Y349E、Y349V、L351T、L351H、L351N、L351K、P353S、S354D、D356K、D356R、D356S、E357K、E357R、E357Q、S364A、T366E、L368T、L368Y、L368E、K370E、K370D、K370Q、K392E、K392D、T394N、P395N、P396T、V397T、V397Q、L398T、D399K、D399R、D399N、F405T、F405H、F405R、Y407T、Y407H、Y407I、K409E、K409D、K409T、及びK409Iのアミノ酸置換のうちの1つ以上を含む。
【0185】
いくつかの実施形態では、Fcドメインは:(a)野生型ヒトIgG1に対して、以下のアミノ酸置換のうちの1つ:T366W、T366S、L368A、Y407V、T366Y、T394W、F405W、Y349T、Y349E、Y349V、L351T、L351H、L351N、L351K、P353S、S354D、D356K、D356R、D356S、E357K、E357R、E357Q、S364A、T366E、L368T、L368Y、L368E、K370E、K370D、K370Q、K392E、K392D、T394N、P395N、P396T、V397T、V397Q、L398T、D399K、D399R、D399N、F405T、F405H、F405R、Y407T、Y407H、Y407I、K409E、K409D、K409T、またはK409I;または(b)(i)ヒトIgG1 Fc領域に対してN297A突然変異;(ii)ヒトIgG1 Fc領域に対してL234A、L235A、及びG237A突然変異;(iii)ヒトIgG1 Fc領域に対してL234A、L235A、G237A、及びN297A突然変異;(iv)ヒトIgG2 Fc領域に対してN297A突然変異;(v)ヒトIgG2 Fc領域に対してA330S及びP331S突然変異;(vi)ヒトIgG2 Fc領域に対してA330S、P331S、及びN297A突然変異;(vii)ヒトIgG4 Fc領域に対してS228P、E233P、F234V、L235A、及びdelG236突然変異;または(viii)ヒトIgG4 Fc領域に対してS228P、E233P、F234V、L235A、delG236、及びN297A突然変異を含む。いくつかの実施形態では、Fcドメインバリアントは:(a)野生型ヒトIgG1に対して、以下のアミノ酸置換のうちの1つ:T366W、T366S、L368A、Y407V、T366Y、T394W、F405W、Y349T、Y349E、Y349V、L351T、L351H、L351N、L351K、P353S、S354D、D356K、D356R、D356S、E357K、E357R、E357Q、S364A、T366E、L368T、L368Y、L368E、K370E、K370D、K370Q、K392E、K392D、T394N、P395N、P396T、V397T、V397Q、L398T、D399K、D399R、D399N、F405T、F405H、F405R、Y407T、Y407H、Y407I、K409E、K409D、K409T、またはK409Iを含み;さらに(b)(i)ヒトIgG1 Fc領域に対してN297A突然変異;(ii)ヒトIgG1 Fc領域に対してL234A、L235A、及びG237A突然変異;(iii)ヒトIgG1 Fc領域に対してL234A、L235A、G237A、及びN297A突然変異;(iv)ヒトIgG2 Fc領域に対してN297A突然変異;(v)ヒトIgG2 Fc領域に対してA330S及びP331S突然変異;(vi)ヒトIgG2 Fc領域に対してA330S、P331S、及びN297A突然変異;(vii)ヒトIgG4 Fc領域に対してS228P、E233P、F234V、L235A、及びdelG236突然変異;または(viii)ヒトIgG4 Fc領域に対してS228P、E233P、F234V、L235A、delG236、及びN297A突然変異を含む。
【0186】
いくつかの実施形態では、第1のFcドメイン及び第2のFcドメインは、異なるアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、第1のFcドメインは、T366Wを含む。いくつかの実施形態では、第2のFcドメインは、T366S、L368A、及びY407Vを含む。いくつかの実施形態では、第1のFcドメインは、D399Kを含む。いくつかの実施形態では、第2のFcドメインは、K409Dを含む。
【0187】
リンカー
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるのは、野生型SIRPα D1ドメインに対して、残基80にアミノ酸突然変異;及び残基6、残基27、残基31、残基47、残基53、残基54、残基56、残基66、及び残基92からなる群から選択される残基において、野生型SIRPα D1ドメインに対して、少なくとも1つの追加のアミノ酸突然変異を有するSIRPα D1ドメインまたはその断片を含むシグナル調節タンパク質α(SIRP-α)D1バリアントを含むポリペプチドである。
【0188】
また、本明細書で開示されるのは、いくつかの実施形態では、Fcバリアントを含むポリペプチドであり、ここで、Fcバリアントは、2つのFcドメインバリアントを含むFcドメイン二量体を含み、各Fcドメインバリアントは、独立して、(i)突然変異L234A、L235A、G237A、及びN297AからなるヒトIgG1 Fc領域;(ii)突然変異A330S、P331S、及びN297AからなるヒトIgG2 Fc領域;または(iii)突然変異S228P、E233P、F234V、L235A、delG236、及びN297Aを含むヒトIgG4 Fc領域から選択される。
【0189】
本開示において、リンカーは、ポリペプチドまたはタンパク質ドメインまたは関連する非タンパク質部分との間の連結または接続を説明するために使用される。いくつかの実施形態では、リンカーは、Fcドメイン(またはそのバリアント)とSIRPα D1ドメインバリアントとの間の連結または接続である。いくつかの実施形態では、リンカーは、2つのポリペプチドがタンデムシリーズで互いに結合されるように、SIRPα D1ドメインバリアントのC末端及びFcドメインバリアントのN末端を接続する。
【0190】
いくつかの実施形態では、リンカーは、単純な共有結合、例えば、ペプチド結合、合成ポリマー、または化学反応、例えば、化学的コンジュゲートから生成される任意の種類の結合である。リンカーがペプチド結合である場合、いくつかの実施形態では、あるタンパク質ドメインのC末端のカルボン酸基は、凝縮反応において別のタンパク質ドメインのN末端のアミノ基と反応して、ペプチド結合を形成する。いくつかの実施形態では、ペプチド結合は、従来の有機化学反応による合成手段から、または宿主細胞からの自然な生成によって形成され、タンデムシリーズの両方のタンパク質(例えば、Fcドメインバリアント及びSIRPα D1ドメインバリアント)のDNA配列をコードする核酸分子は、宿主細胞において、必要な分子機構(例えば、DNAポリメラーゼ及びリボソーム)によって、両方のタンパク質をコードする連続したポリペプチドに直接転写し、翻訳することができる。
【0191】
リンカーが合成ポリマーである場合、いくつかの実施形態では、ポリマーは、各末端の反応性化学官能基で官能化されて、2つのタンパク質の接続末端の末端アミノ酸と反応する。
【0192】
リンカー(上記のペプチド結合を除く)が化学反応から作られる場合、いくつかの実施形態では、化学官能基(例えば、アミン、カルボン酸、エステル、アジド、または他の官能基)は、それぞれ、あるタンパク質のC末端及び別のタンパク質のN末端に合成により付着させる。次に、いくつかの実施形態では、2つの官能基は、合成化学手段を介して反応して化学結合を形成し、したがって、2つのタンパク質を一緒に接続する。
【0193】
スペーサー
本開示において、いくつかの実施形態では、Fcドメインモノマーと本開示のSIRPα D1バリアントポリペプチドとの間のリンカーは、約1~200アミノ酸などのアミノ酸スペーサーである。好適なペプチドスペーサーとしては、グリシン及びセリンなどの柔軟なアミノ酸残基を含むペプチドリンカーが挙げられる。リンカー配列の例を表12に示す。いくつかの実施形態では、スペーサーは、GS、GG、GGS、GGG、GGGGS(配列番号163)、GGSG(配列番号164)、またはSGGG(配列番号165)のモチーフ、例えば、複数または反復モチーフを含む。いくつかの実施形態では、スペーサーは、GSのモチーフ、例えば、GS,GSGS(配列番号166)、GSGSGS(配列番号167)、GSGSGSGS(配列番号168)、GSGSGSGSGS(配列番号169)、またはGSGSGSGSGSGS(配列番号170)などの2~12のアミノ酸を含む。いくつかの実施形態では、スペーサーは、GGSのモチーフ、例えば、GGS、GGSGGS(配列番号171)、GGSGGSGGS(配列番号172)、及びGGSGGSGGSGGS(配列番号173)を含む3~12のアミノ酸を含む。いくつかの実施形態では、スペーサーは、GGSGのモチーフ(配列番号164)、例えば、GGSG(配列番号164)、GGSGGGSG(配列番号174)、またはGGSGGGSGGGSG(配列番号175)などの4~12のアミノ酸を含む。いくつかの実施形態では、スペーサーは、GGGGS(配列番号163)のモチーフ、例えば、GGGGSGGGGSGGGGS(配列番号176)を含む。いくつかの実施形態では、スペーサーには、グリシン及びセリン以外のアミノ酸、例えば、AAS(配列番号177)、AAAL(配列番号178)、AAAK(配列番号179)、AAAR(配列番号180)、EGKSSGSGSESKST(配列番号181)、GSAGSAAGSGEF(配列番号182)、AEAAAKEAAAKA(配列番号183)、KESGSVSSEQLAQFRSLD(配列番号184)、GGGGAGGGG(配列番号185)、GENLYFQSGG(配列番号186)、SACYCELS(配列番号187)、RSIAT(配列番号188)、RPACKIPNDLKQKVMNH(配列番号189)、GGSAGGSGSGSSGGSSGASGTGTAGGTGSGSGTGSG(配列番号190)、AAANSSIDLISVPVDSR(配列番号191)、またはGGSGGGSEGGGSEGGGSEGGGSEGGGSEGGGSGGGS(配列番号192)を含む。
【0194】
いくつかの実施形態では、スペーサーは、EAAAK(配列番号193)のモチーフ、例えば、複数のまたは反復するモチーフを含む。いくつかの実施形態では、スペーサーは、例えば、(XP)nなどのプロリンに富む配列のモチーフ、複数または反復モチーフを含み、ここで、Xは、任意のアミノ酸(例えば、A、K、またはE)であり、nは、1~5からのもの、及びPAPAP(配列番号194)である。
【表12】
【0195】
いくつかの実施形態では、ペプチドスペーサー及び使用されるアミノ酸の長さは、関与する2つのタンパク質及び最終的なタンパク質融合ポリペプチドに望まれる柔軟性の程度に応じて調整される。いくつかの実施形態では、スペーサーの長さは、適切なタンパク質の折り畳みを確実にし、凝集体の形成を回避するように調整される。いくつかの実施形態では、スペーサーは、AまたはAAAL(配列番号178)である。
【0196】
ベクター、宿主細胞、及びタンパク質生産
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるのは、野生型SIRPα D1ドメインに対して、残基80にアミノ酸突然変異;及び残基6、残基27、残基31、残基47、残基53、残基54、残基56、残基66、及び残基92からなる群から選択される残基において、野生型SIRPα D1ドメインに対して、少なくとも1つの追加のアミノ酸突然変異を有するSIRPα D1ドメインまたはその断片を含むシグナル調節タンパク質α(SIRP-α)D1バリアントを含むポリペプチドである。
【0197】
また、本明細書で開示されるのは、いくつかの実施形態では、Fcバリアントを含むポリペプチドであり、ここで、Fcバリアントは、2つのFcドメインモノマーを有するFc ドメイン二量体を含み、各Fcドメインモノマーは、独立して、(i)突然変異L234A、L235A、G237A、及びN297AからなるヒトIgG1 Fc領域;(ii)突然変異A330S、P331S、及びN297AからなるヒトIgG2 Fc領域;または(iii)突然変異S228P、E233P、F234V、L235A、delG236、及びN297Aを含むヒトIgG4 Fc領域から選択される。
【0198】
いくつかの実施形態では、本開示のポリペプチドは、宿主細胞から産生される。宿主細胞は、それらの対応する核酸から、本明細書に記載のポリペプチド及び融合ポリペプチドを発現するために必要とされる、必要な細胞成分、例えば、細胞小器官を含むビヒクルを指す。いくつかの実施形態では、核酸は、形質転換、トランスフェクション、エレクトロポレーション、リン酸カルシウム沈殿、直接マイクロインジェクション、感染などによって宿主細胞に導入される核酸ベクターに含まれる。いくつかの実施形態では、核酸ベクターの選択は、使用する宿主細胞に依存する。いくつかの実施形態では、宿主細胞は、原核生物(例えば、細菌)または真核生物(例えば、哺乳動物)起源のいずれかである。
【0199】
いくつかの実施形態では、ポリペプチド、例えば、SIRPα D1ドメインバリアント(例えば、表2、5、及び6に提供される任意のバリアント)及びFcバリアントなどの融合パートナーを含むポリペプチドコンストラクトは、ポリペプチドコンストラクトの発現を誘導するかまたは引き起こすための適切な条件下で、ポリペプチドコンストラクト(例えば、Fcバリアント、リンカー、及び融合パートナー)をコードする核酸を含む核酸、好ましくは発現ベクターで形質転換された宿主細胞を培養することによって産生される。いくつかの実施形態では、発現に適切な条件は、選択された発現ベクター及び宿主細胞によって異なる。いくつかの実施形態では、これらに限定されないが、哺乳動物細胞、細菌、昆虫細胞、及び酵母など、多種多様な適切な宿主細胞が使用される。例えば、本開示で使用が見出される様々な細胞株は、American Type Culture Collectionから入手可能なATCC(登録商標)細胞株カタログに記載されている。いくつかの実施形態では、本開示のFcドメインバリアントは、細胞株の遺伝子工学またはキフネンシンの添加などの細胞培養条件の変更、または原核生物(E.coli,など)などの天然の非グリコシル化宿主を使用することのいずれかより、このような細胞によって発現されるタンパク質をグリコシル化しないように最適化された細胞で発現され、場合によっては、Fc内のグリコシル化配列の修飾は必要ない。
【0200】
核酸ベクターの構築及び宿主細胞
本開示のポリペプチドのアミノ酸配列をコードする核酸配列は、様々な方法によって調製することができる。これらの方法としては、これらに限定されないが、オリゴヌクレオチド媒介(または部位指向的)突然変異誘発及びPCR突然変異誘発が挙げられる。いくつかの実施形態では、本開示のポリペプチドをコードする核酸分子は、標準的な技術、例えば、遺伝子合成を使用して得られる。あるいは、野生型SIRPα D1ドメインをコードする核酸分子を突然変異させて、標準的な技術、例えば、QuikChange(商標)突然変異誘発を使用して特定のアミノ酸置換を含む。場合によっては、核酸分子は、ヌクレオチド合成装置またはPCR技術を使用して合成される。
【0201】
いくつかの実施形態では、ポリペプチドコンストラクト、例えば、SIRPα D1ドメインバリアント(例えば、表2、5、及び6に示す任意のバリアント)及びFcバリアントなどの融合パートナーを含むポリペプチドコンストラクトをコードする核酸が、タンパク質を発現させるために発現ベクターに組み込まれる。タンパク質発現には、様々な発現ベクターを利用できる。発現ベクターは、自己複製する染色体外ベクターまたは宿主ゲノムに組み込まれるベクターを含むことができる。ベクターには、様々な構成成分または要素を含むこともできる。例えば、いくつかの実施形態では、ベクター成分としては、これらに限定されないが、転写及び翻訳調節配列、例えば、プロモーター配列、リボソーム結合部位、シグナル配列、転写開始及び停止配列、翻訳開始及び停止配列、3’及び5’非翻訳領域(UTR)、及びエンハンサーまたはアクチベーター配列;複製起点;選択マーカー遺伝子;ならびに目的のポリペプチドをコードする核酸配列、及び転写終結配列が挙げられる。いくつかの実施形態では、発現ベクターは、制御配列または調節配列、選択可能なマーカー、任意の融合パートナー、追加のエレメント、またはそれらの任意の組み合わせと操作可能に連結されたタンパク質を含む。「操作可能に連結」されているという用語は、核酸が、別の核酸配列と機能的な関係性に置かれることを意味する。一般に、これらの発現ベクターは、Fcバリアントをコードする核酸に操作可能に連結された転写及び翻訳調節核酸を含み、典型的には、タンパク質を発現するために使用される宿主細胞に適切である。これらに限定されないが、抗生物質耐性遺伝子または蛍光タンパク質遺伝子などの選択遺伝子またはマーカーを使用して、例えば、抗生物質または蛍光発現によって、発現ベクターを含む宿主細胞を選択することができる。様々な選択遺伝子が利用可能である。
【0202】
いくつかの実施形態では、ベクターの成分またはエレメントは、発現ベクターが宿主細胞型と適合性があるように最適化される。本開示において使用が見出される発現ベクターとしては、これらに限定されないが、哺乳動物細胞、細菌、昆虫細胞、酵母、及びin vitro系でのタンパク質発現を可能にするものが挙げられる。
【0203】
いくつかの実施形態では、哺乳動物細胞は、本開示のポリペプチドを産生するための宿主細胞として使用される。哺乳動物細胞型の例としては、これらに限定されないが、ヒト胎児腎臓(HEK)(例えば、HEK293、HEK293F)、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)、HeLa、COS、PC3、Vero、MC3T3、NS0、Sp2/0、VERY、BHK、MDCK、W138、BT483、Hs578T、HTB2、BT20、T47D、NS0(任意の免疫グロブリン鎖を内因的に産生しないマウス骨髄腫細胞株)、CRL7O3O、及びHsS78Bst細胞が挙げられる。いくつかの実施形態では、E.coli細胞は、本開示のポリペプチドを産生するための宿主細胞として使用される。E.coli株の例としては、これらに限定されないが、E.coli294(ATCC(登録商標)31,446)、E.coliλ1776(ATCC(登録商標)31,537、E.coli BL21(DE3)(ATCC(登録商標)BAA-1025))、及びE.coliRV308(ATCC(登録商標)31,608)が挙げられる。
【0204】
異なる宿主細胞は、タンパク質産物の翻訳後プロセシング及び修飾(例えば、グリコシル化)のための特徴的かつ特異的なメカニズムを有する。いくつかの実施形態では、発現されたポリペプチドの正しい修飾及びプロセシングを確実に行うために、適切な細胞株または宿主系が選択される。タンパク質産生のためにベクターが宿主細胞に導入されると、宿主細胞は、プロモーターの誘導、形質転換体の選択、または所望の配列をコードする遺伝子の増幅のために適切に改変させた従来の栄養培地で培養される。
【0205】
いくつかの実施形態では、ポリペプチドコンストラクト、例えば、SIRPα D1ドメインバリアント(例えば、表2、5、及び6に提供される任意のバリアント)及びFcバリアントなどの融合パートナーを含むポリペプチドコンストラクトは、レトロウイルスまたはアデノウイルスなどのウイルスを使用して、発現コンストラクトが哺乳動物細胞に導入される系など、哺乳動物発現系において発現される。いくつかの実施形態では、ヒト、マウス、ラット、ハムスター、または霊長類の細胞が利用される。好適な細胞としては、これらに限定されないが、ジャーカットT細胞、NIH3T3、CHO、COS、及び293細胞など、既知の研究細胞も含まれる。あるいは、いくつかの実施形態では、タンパク質は、細菌細胞中で発現される。細菌発現系は当技術分野において周知であり、Escherichia coli(E.coli)、Bacillus subtilis、Streptococcus cremoris、及びStreptococcuslividansが挙げられる。場合によっては、Fcドメインバリアントを含むポリペプチドコンストラクトは、これらに限定されないが、Sf9及びSf21細胞などの昆虫細胞、またはSaccharomyces属、Pichia属、Kluyveromyces属、Hansenula属、及びYarrowia属の生物などの酵母細胞で産生される。場合によっては、Fcドメインバリアントを含むポリペプチドコンストラクトは、無細胞翻訳系を使用して、in vitroで発現される。原核生物(例えば、E.coli)及び真核生物(例えば、小麦胚芽、ウサギ網状赤血球)細胞の両方に由来するin vitro翻訳系が利用可能であり、いくつかの実施形態では、目的のタンパク質の発現レベル及び機能特性に基づいて選択される。例えば、当業者によって理解されるとおり、in vitro翻訳は、いくつかのディスプレイ技術、例えば、リボソームディスプレイに必要とされる。さらに、いくつかの実施形態では、Fcドメインバリアントは、これらに限定されないが、液相ペプチド合成及び固相ペプチド合成などの化学合成法によって産生される。細菌抽出物などの非グリコシル化系を使用したin vitro転写の場合、天然のグリコシル化部位が存在してもFcはグリコシル化されないため、Fcの不活性化が同等に得られる。
【0206】
いくつかの実施形態では、ポリペプチドコンストラクトは、天然に存在するアミノ酸と同様に機能する非天然アミノ酸、アミノ酸アナログ、アミノ酸模倣物、またはそれらの任意の組み合わせを含む。自然にコードされたアミノ酸は、一般に20の一般的なアミノ酸(アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、スレオニン、トリプトファン、チロシン、及びバリン)、及びピロリシン及びセレノシステインを指す。アミノ酸アナログとは、天然に存在するアミノ酸と同じ基本化学構造を有する化合物、例えば、水素、カルボキシル基、アミノ基、及びR基に結合する炭素、例えば、ホモセリン、ノルロイシン、メチオニンスルホキシド、メチオニンメチルスルホニウムを指す。いくつかの実施形態では、このようなアナログは、修飾されたR基を有するか(例えばノルロイシン)または修飾されたペプチド主鎖を有するが、一般に天然アミノ酸と同じ基本化学構造を保持している。
【0207】
タンパク質の生産、回収、及び精製
いくつかの実施形態では、本開示のポリペプチドを産生するために使用される宿主細胞は、選択された宿主細胞の培養に好適である培地で成長させる。哺乳動物宿主細胞にとって、好適である培地の例としては、最小必須培地(MEM)、ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)、Expi293(商標)発現培地、ウシ胎児血清(FBS)を添加したDMEM、及びRPMI-1640が挙げられる。細菌宿主細胞にとって好適な培地の例としては、ルリアブロス(LB)に、選択剤、例えば、アンピシリンなどの必要なサプリメントを加えたものが挙げられる。いくつかの実施形態では、宿主細胞は、約20℃~約39℃、例えば、約25℃~約37℃、好ましくは37℃などの好適な温度、及び5%~10%などのCOレベルで培養される。いくつかの実施形態では、培地のpHは、主に宿主生物に依存して、約pH6.8~pH7.4、例えば、pH7.0である。誘導プロモーターが発現ベクター中に使用される場合、タンパク質発現は、プロモーターの活性化に好適な条件下で誘導され得る。
【0208】
いくつかの実施形態では、タンパク質の回収は、例えば、浸透圧ショック、超音波処理、または溶解による宿主細胞の破壊を伴う。細胞が破壊されると、細胞破片は、遠心分離または濾過によって除去される。その後、タンパク質をさらに精製することができる。いくつかの実施形態では、本開示のポリペプチドは、タンパク質精製の様々な方法、例えば、クロマトグラフィー(例えば、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、及びサイズ排除カラムクロマトグラフィー)、遠心分離、示差溶解度、またはタンパク質精製のための任意の他の標準的な手法方法によって精製される。例えば、いくつかの実施形態では、タンパク質は、プロテインAカラム(例えば、POROSプロテインAクロマトグラフィー)などのアフィニティーカラムを、クロマトグラフィーカラム(例えば、POROS HS-50カチオン交換クロマトグラフィー)、濾過、限外濾過、脱塩及び透析手順を適切に選択し、組み合わせることによって、単離させ、精製させる。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、精製を容易にするためにペプチドなどのマーカー配列に結合される。マーカーアミノ酸配列の例は、マイクロモルの親和性でニッケル官能化アガロースアフィニティーカラムに結合できるヘキサヒスチジンペプチド(His6-tag(配列番号223))である。別の方法として、インフルエンザ血球凝集素タンパク質に由来するエピトープに対応する血球凝集素「HA」タグを使用することができる。
【0209】
いくつかの実施形態では、本開示のポリペプチド、例えば、SIRPα D1ドメインバリアント(例えば、表2、5、及び6に提供される任意のバリアント)及びFcバリアントなどの融合パートナーを含むポリペプチドコンストラクトは、例えば、遺伝子治療の文脈では、本開示のポリペプチドをコードする核酸分子を含む、ウイルスベクターなどのベクター(例えば、レトロウイルスベクター、アデノウイルスベクター、ポックスウイルスベクター(例えば、ワクシニアウイルスベクター、例えば、改変ワクシニアアンカラ(MVA))、アデノ随伴ウイルスベクター、及びアルファウイルスベクター)を投与することによって、対象(例えば、ヒト)の細胞によって産生される。ベクターは、対象の細胞内に入ったときに(例えば、形質転換、トランスフェクション、エレクトロポレーション、リン酸カルシウム沈殿、直接マイクロインジェクション、感染などによって)、本明細書に開示されるポリペプチドの発現に使用することができる。場合によっては、ポリペプチドは、細胞から分泌される。いくつかの実施形態では、疾患または障害の治療が望ましい結果である場合、さらなる作用は必要としない。いくつかの実施形態では、タンパク質の収集が望まれる場合、血液は対象から収集され、タンパク質は様々な方法によって血液から精製される。
【0210】
がんの治療方法
本明細書で提供されるのは、個体(例えば、ヒト個体)におけるがんを治療する方法であって、本方法は、有効量の(a)CD47(例えば、hCD47)とSIRPα(例えば、hSIRPα)との間の相互作用を遮断する剤及び(b)化学療法剤(少なくとも1つの化学療法剤、例えば、少なくとも2つ、少なくとも3つ、または少なくとも4つの化学療法剤など)を個体に投与することを含む。本明細書で提供されるのは、個体(例えば、ヒト個体)におけるがんを治療する方法であって、本方法は、有効量の(a)SIRPα D1ドメインバリアント(例えば、本明細書に記載のSIRPα D1ドメインバリアント)及びFcドメインバリアント(例えば、本明細書に記載のFcドメインバリアント)を含むポリペプチドと、(b)化学療法剤(少なくとも1つの化学療法剤、例えば、少なくとも2つ、少なくとも3つ、または少なくとも4つの化学療法剤など)と、を個体に投与することを含む。いくつかの実施形態では、この方法は、有効量の治療用抗体(少なくとも1つの治療用抗体、例えば、少なくとも2つ、少なくとも3つ、または少なくとも4つの治療用抗体)を個体に投与することをさらに含む。追加的にまたは代替的に、いくつかの実施形態では、この方法は、有効量の免疫療法剤(少なくとも1つの免疫療法剤、例えば、少なくとも2つ、少なくとも3つ、または少なくとも4つの免疫療法剤)を個体に投与することをさらに含む。追加的にまたは代替的に、いくつかの実施形態では、この方法は、ポリペプチド及び化学療法剤を1つ以上の追加の治療様式、これらに限定されないが、例えば、放射線治療、手術、冷凍アブレーション、及び骨髄移植など、と組み合わせて投与することを含む。
【0211】
化学療法剤を含む組み合わせ療法、及び例示的な化学療法剤
本明細書に記載のがんを治療する方法で使用できる例示的な化学療法剤(複数可)としては、これらに限定されないが、メトトレキサート(RHEUMATREX(登録商標)、アメトプテリン)、シクロホスファミド(CYTOXAN(登録商標))、アビラテロン、アベマシクリブ、アルトレタミン、サリドマイド(THALIDOMID(登録商標))、アクリジンカルボキサミド、actimid(登録商標)、アクチノマイシン、アクチノマイシン-D、アファチニブ、17-N-アリルアミノ-17-デメトキシゲルダナマイシン、アレクチニブ、アルペリシブ、アミノプテリン、アムサクリン、アンロチニブ、アントラサイクリン、抗腫瘍剤、アンチネオプラストン、アパルティニブ(apartinib)、5-アザシチジン、6-メルカプトプリン、6-チオグアニン、アラビノシルシトシン、アキシチニブ、アザシチジン、アザチオプリン、BL22、ベンダムスチン、ビニメチニブ、ビリコダル、ブレオマイシン、ボルテゾミブ、ボスチニブ、ブリグチニブ、ブリオスタチン、ブスルファン、カボザンチニブ、カリクリン、カンプトテシン、カペシタビン、カルボプラチン、カルムスチン、セリチニブ、クロラムブシル、シスプラチン、クラドリビン、クロファラビン、コビメチニブ、クリゾチニブ、シタラビン、ダブラフェニブ、ダカルバジン、ダコミチニブ、ダサチニブ、ダウノルビシン、デキサメタゾン、ジクロロ酢酸、ジスコデルモリド、ドセタキセル、ドキソルビシン、エンコラフェニブ、エピルビシン、エヌトレクチニブ、エンザルタミド、エポチロン、エルダフィチニブ、エリブリン、エルロチニブ、エストラムスチン、エトポシド、エベロリムス、エキサテカン、エクシスリンド、フェルギノール、フロクスウリジン、フルダラビン、フルオロウラシル(5-フルオロウラシルなど)、フォリン酸、ホスフェストロール、フォテムスチン、フルキンチニブ、ガンシクロビル、ゲフィチニブ、ゲムシタビン、ギルテリチニブ、ゴセレリン、ヘキサメチルメラミン、ヒドロキシカルバミド、ヒドロキシ尿素、IT-101、イブルチニブ、イコチニブ、イダルビシン、イデラリシブ、イホスファミド、イマチニブ、イリノイミキモド(irinoimiquimod)、イリノテカン、イロフルベン、イボシデニブ、イクサベピロン、ラニキダール(laniquidar)、ラパチニブ、ラロトレクチニブ、レナリドミド、レンバチニブ、ロルラチニブ、ロムスチン、ラルトテカン、マフォスファミド、マソプロコール、メクロレタミン、メルファラン、メルカプトプリン、メトトレキサート、メチルプレドニゾロン、マイトマイシン、ミトタン、ミトキサントロン、ネララビン、ネラチニブ、ニラパリブ、ニロチニブ、ニンテダニブ、オブリメルセン、オラパリブ、オシメルチニブ、オキサリプラチン、ネダプラチン、フェナントリプラチン、ピコプラチン、PAC-1、パクリタキセル、パルボシクリブ、パゾパニブ、ペメトレキセド、ペグフィルグラスチム、ペントスタチン、ピポブロマン、ピクサントロン、プリカマイシン、プレドニゾン、ポナチニブ、プロカルバジン、プロテアソーム阻害剤(例えば、ボルテゾミブ)、ピロチニブ、ラルチトレキセド、レベッカマイシン、レブラミド(登録商標)、レゴラフェニブ、リボシクリブ、ルビテカン、ルカパリブ、ルキソリチニブ、SN-38、サリノスポラミドA、サトラプラチン、シロリムス、ソニデギブ、ソラフェニブ、ストレプトゾシン、ストレプトゾトシン、スニチニブ、スワインソニン、タラゾパリブ、タリキダール、タキサン、テガフール-ウラシル、テムシロリムス、テニポシド、テモゾロミド、テストラクトン、チオテパ、チオグアニン(tioguanine)、トポテカン、トラベクテジン、トラメチニブ、トレチノイン、トリフルリジン、四硝酸トリプラチン、トリス(2-クロロエチル)アミン、トロキサシタビン、ウラシルマスタード、バルルビシン、バンデタニブ、ベムラフェニブ、ベネトクラクス(ABT-199)、ナビトクラックス(ABT-263)、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビノレルビン、ビスモデギブ、ボリノスタット、ziv-アフリベルセプト(ZALTRAP(登録商標))、ゾスキダルなどが挙げられる。
【0212】
いくつかの実施形態では、がんを治療する方法は、特定のクラスの化学療法剤(複数可)と組み合わせて、CD47(例えば、hCD47)とSIRPα(例えば、hSIRPα)との間の相互作用を遮断する剤を投与することを含む。いくつかの実施形態では、CD47とSIRPαとの間の相互作用を遮断する剤は、本明細書に記載のポリペプチド(例えば、SIRPα d1ドメインバリアント及びFcバリアントを含む融合ポリペプチド;SIRPγバリアント、SIRPβ1バリアント、またはSIRPβ2バリアント及びFcバリアントを含む融合ポリペプチド)である。例えば、いくつかの実施形態では、がんを治療する方法は、副腎阻害剤(本明細書に記載の副腎阻害剤を含むがこれに限定されない)と組み合わせて本明細書に記載のポリペプチド(例えば、融合ポリペプチド)を投与することを含む。例えば、いくつかの実施形態では、がんを治療する方法は、アントラサイクリン(本明細書に記載のアントラサイクリンを含むがこれに限定されない)と組み合わせて、本明細書に記載のポリペプチドを投与することを含む。いくつかの実施形態では、がんを治療する方法は、アルキル化剤(本明細書に記載のアルキル化剤を含むがこれに限定されない)と組み合わせて、本明細書に記載のポリペプチドを投与することを含む。いくつかの実施形態では、がんを治療する方法は、アンドロゲン阻害剤(本明細書に記載のアンドロゲン阻害剤を含むがこれに限定されない)と組み合わせて、本明細書に記載のポリペプチドを投与することを含む。いくつかの実施形態では、がんを治療する方法は、代謝拮抗剤、例えばプリンアナログ(本明細書に記載の代謝拮抗剤、例えばプリンアナログを含むがこれに限定されない)と組み合わせて、本明細書に記載のポリペプチドを投与することを含む。いくつかの実施形態では、がんを治療する方法は、抗腫瘍抗生物質(本明細書に記載の抗腫瘍抗生物質を含むがこれに限定されない)と組み合わせて、本明細書に記載のポリペプチドを投与することを含む。いくつかの実施形態では、がんを治療する方法は、BLC-2阻害剤(本明細書に記載のBLC-2阻害剤を含むがこれに限定されない)と組み合わせて、本明細書に記載のポリペプチドを投与することを含む。いくつかの実施形態では、がんを治療する方法は、BTK阻害剤(本明細書に記載のBTK阻害剤を含むがこれに限定されない)と組み合わせて、本明細書に記載のポリペプチドを投与することを含む。いくつかの実施形態では、がんを治療する方法は、CDK4/6阻害剤(本明細書に記載のCDK4/6阻害剤を含むがこれに限定されない)と組み合わせて、本明細書に記載のポリペプチドを投与することを含む。いくつかの実施形態では、がんを治療する方法は、コロニー刺激因子(本明細書に記載のコロニー刺激因子を含むがこれに限定されない)と組み合わせて、本明細書に記載のポリペプチドを投与することを含む。いくつかの実施形態では、がんを治療する方法は、コルチコステロイド(本明細書に記載のコルチコステロイドを含むがこれに限定されない)と組み合わせて、本明細書に記載のポリペプチドを投与することを含む。いくつかの実施形態では、がんを治療する方法は、EGFR阻害剤(本明細書に記載のEGFR阻害剤を含むがこれに限定されない)と組み合わせて、本明細書に記載のポリペプチドを投与することを含む。いくつかの実施形態では、がんを治療する方法は、ゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)アゴニスト(本明細書に記載のGnRHアゴニストを含むがこれに限定されない)と組み合わせて、本明細書に記載のポリペプチドを投与することを含む。いくつかの実施形態では、がんを治療する方法は、有糸分裂阻害剤/微小管阻害剤(本明細書に記載の有糸分裂阻害剤/微小管阻害剤を含むがこれに限定されない)と組み合わせて、本明細書に記載のポリペプチドを投与することを含む。いくつかの実施形態では、がんを治療する方法は、mTORキナーゼ阻害剤(本明細書に記載のmTORキナーゼ阻害剤を含むがこれに限定されない)と組み合わせて、本明細書に記載のポリペプチドを投与することを含む。いくつかの実施形態では、がんを治療する方法は、プロテアソーム阻害剤(本明細書に記載のプロテアソーム阻害剤を含むがこれに限定されない)と組み合わせて、本明細書に記載のポリペプチドを投与することを含む。いくつかの実施形態では、がんを治療する方法は、シグナル伝達阻害剤、例えば、タンパク質チロシンキナーゼ阻害剤、PAK4阻害剤、PI3K阻害剤(本明細書に記載のシグナル伝達阻害剤を含むがこれらに限定されない)と組み合わせて、本明細書に記載のポリペプチドを投与することを含む。いくつかの実施形態では、がんを治療する方法は、トポイソメラーゼ阻害剤(本明細書に記載されるトポイソメラーゼ阻害剤を含むがこれに限定されない)と組み合わせて、本明細書に記載のポリペプチドを投与することを含む)。いくつかの実施形態では、がんを治療する方法は、チロシンキナーゼ阻害剤(本明細書に記載のチロシンキナーゼ阻害剤を含むがこれに限定されない)と組み合わせて、本明細書に記載のポリペプチドを投与することを含む。いくつかの実施形態では、がんを治療する方法は、VEGF阻害剤、例えば、VEGF1阻害剤、VEGF2阻害剤、及び/またはVEGF3阻害剤(本明細書に記載のVEGF阻害剤を含むがこれらに限定されない)と組み合わせて、本明細書に記載のポリペプチドを投与することを含む。いくつかの実施形態では、がんを治療する方法は、例えば、Bcl-2、Mcl1、Bcl-1xなどの活性を調節することによって、アポトーシスを調節する剤(これらに限定されないが、例えば、本明細書に記載のBcl-2、Mcl1、Bcl-1xなどの活性を調節することによって、アポトーシスを調節する剤など)と組み合わせて、本明細書に記載のポリペプチドを投与することを含む。いくつかの実施形態では、がんを治療する方法は、白金系剤(本明細書に記載の白金系剤を含むがこれに限定されない)と組み合わせて、本明細書に記載のポリペプチドを投与することを含む。いくつかの実施形態では、がんを治療する方法は、NTRK1、NTRK2、及び/またはNTRK3の阻害剤、ALK阻害剤、ROS阻害剤、FLT3阻害剤、BRAF阻害剤、MEK1及び/またはMEK2の阻害剤、HER2、HER3、及び/またはHER4の阻害剤、RET/PTCの阻害剤、BCR-ABLの阻害剤、c-KIT阻害剤、PDGFR-アルファ及び/またはPDGFR-ベータの阻害剤、FGFR1、FGFR2、FGFR3、及び/またはFGFR4の阻害剤、スムーズンド阻害剤及び/またはPARP1、PARP2、及び/またはPARP3の阻害剤(本明細書に記載の阻害剤を含むが、これらに限定されない)と組み合わせて、本明細書に記載のポリペプチドを投与することを含む。いくつかの実施形態では、阻害剤は、アンチセンスポリヌクレオチド(siRNAまたはRNAiなど)である。いくつかの実施形態では、阻害剤は、以下でさらに詳細に説明されるとおり、小分子阻害剤である。
【0213】
いくつかの実施形態では、化学療法剤は、小分子抗がん剤(小分子阻害剤など)である。いくつかの実施形態では、がんを治療する方法は、VEGFR及び/またはPDGFRの小分子阻害剤、小分子EGFR阻害剤、小分子ALK阻害剤、小分子CDK4/6阻害剤、小分子PARP阻害剤、小分子PAK4阻害剤、小分子mTOR阻害剤、小分子KRAS阻害剤、小分子TRK阻害剤、小分子BCL2阻害剤、小分子B-raf阻害剤、小分子IDH阻害剤、小分子PI3K阻害剤、小分子DDR(DNA損傷応答)阻害剤、または小分子低メチル化剤と組み合わせて、本明細書に記載のポリペプチドを投与することを含む。他の場合、標的化された小分子は、CD47を発現する細胞の細胞シグナル伝達経路、例えば、IDO/TDO阻害剤、AhR阻害剤、アルギナーゼ阻害剤、A2a R阻害剤、TLRアゴニスト、STINGアゴニスト、またはRig-1アゴニストを調節する。
【0214】
いくつかの実施形態では、がんを治療する方法は、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、または少なくとも4つの化学療法剤と組み合わせて、本明細書に記載のポリペプチド(例えば、SIRPα d1ドメインバリアント及びFcバリアントを含む融合ポリペプチド)を投与することを含む。2つ以上の化学療法剤が投与されるいくつかの実施形態では、2つ以上の化学療法剤は、(上記のように)異なるクラスに由来し、及び/または異なる作用機序を介してそれらの抗がん効果を発揮する。
【0215】
本明細書に記載の融合ポリペプチドの例示的な医薬組成物及び調製物、例示的な投与量、及び例示的な投与経路に関するさらなる詳細は、WO2017/027422及び米国特許第10,259,859号に提供されており、これらのそれぞれの内容は全体が、参照によって組み込まれる。
【0216】
治療用抗体を含む組み合わせ療法、及び例示的治療用抗体。
いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるがんを治療する方法は、有効量の治療用抗体(例えば、少なくとも1つの治療用抗体、例えば、少なくとも2つ、少なくとも3つ、または少なくとも4つの治療用抗体)を、すなわち、CD47(例えば、hCD47)及びSIRPα(例えば、本明細書に記載の融合ポリペプチド)との間の相互作用を遮断する剤及び本明細書に記載の化学療法剤(例えば、少なくとも1つの化学療法剤、例えば、少なくとも2つ、少なくとも3つ、または少なくとも4つの化学療法剤)と組み合わせて、個体に投与することを含む。いくつかの実施形態では、治療用抗体は、薬物にコンジュゲートされる(すなわち、抗体-薬物コンジュゲートまたは「ADC」)。
【0217】
本明細書の方法で使用するための例示的な治療用抗体(例えば、治療用モノクローナル抗体)は、これらに限定されないが、3F8、8H9、アバゴボマブ、アブシキシマブ、アビツズマブ(abituzumab)、アブリルマブ、アクトクスマブ(actoxumab)、アダリムマブ、アデカツムマブ、アデュカヌマブ、アフェリモマブ、アフツズマブ、アラシズマブペゴル、ALD518、アレムツズマブ、アリロクマブ、アルツモマブ・ペンテテート(Altumomab pentetate)、アマツキシマブ、アナツモマブ・マフェナトックス(Anatumomab mafenatox)、アネツマブ・ラブタンシン(Anetumab ravtansine)、アニフロルマブ、アンルキンズマブ(Anrukinzumab)(IMA-638)、アポリズマブ、アルシツモマブ(Arcitumomab)、アスクリンバクマブ(Ascrinvacumab)、アセリズマブ(Aselizumab)、アテゾリズマブ、アチヌマブ(Atinumab)、アトリズマブ(トシリズマブ)、アトロリムマブ(Atorolimumab)、アベルマブ、バピネオズマブ、バシリキシマブ、バビツキシマブ、ベクツモマブ、ベゲロマブ、ベリムマブ、ベンラリズマブ(Benralizumab)、ベルチリムマブ(Bertilimumab)、ベシレソマブ(Besilesomab)、ベバシズマブ(Bevacizumab)、ベズロトクスマブ、ビシロマブ、ビマグルマブ、ビメキズマブ(Bimekizumab)、ビバツズマブ・メルタンシン(Bivatuzumab mertansine)、ブリナツモマブ、ブロソズマブ、ボコシズマブ、ブレンツキシマブ・ベドチン(Brentuximab vedotin)、ブリアキヌマブ、ブロダルマブ、ブロルシズマブ、ブロンチクツズマブ、カビラリズマブ(FPA008)、カムレリズマブ、カナキヌマブ、カンツズマブ・メルタンシン(Cantuzumab mertansine)、カンツズマブ・ラブタンシン(Cantuzumab ravtansine)、カプラシズマブ、カプロマブ・ペンデチド(Capromab pendetide)、カルルマブ、カツマキソマブ、cBR96-ドキソルビシン免疫コンジュゲート、CC49、セデリズマブ(Cedelizumab)、セルトリズマブペゴル、セツキシマブ、Ch.14.18、シタツズマブ・ボガトックス(Citatuzumab bogatox)、シクスツムマブ(Cixutumumab)、クラザキズマブ、クレノリキシマブ、クリバツズマブ・テトラキセタン(Clivatuzumab tetraxetan)、コドリツズマブ(Codrituzumab)、コルツキシマブ・ラブタンシン(Coltuximab ravtansine)、コナツムマブ(Conatumumab)、コンシズマブ(Concizumab)、クレネズマブ(Crenezumab)、CR6261、ダセツズマブ(Dacetuzumab)、ダクリズマブ(Daclizumab)、ダロツズマブ(Dalotuzumab)、ダピロリズマブ・ペゴル(Dapirolizumab pegol)、ダラツムマブ(Daratumumab)、デクトレクマブ(Dectrekumab)、デムシズマブ(Demcizumab)、デニンツズマブ・マフォドチン(Denintuzumab mafodotin)、デノスマブ(Denosumab)、デルロツキシマブ・ビオチン(Derlotuximab biotin)、デツモマブ(Detumomab)、ジヌツキシマブ(Dinutuximab)、ジリダブマブ(Diridavumab)、ドルリモマブ・アリトクス(Dorlimomab aritox)、ドロジツマブ(Drozitumab)、デュリゴツマブ(Duligotumab)、デュピルマブ(Dupilumab)、デュルバルマブ(Durvalumab)、デュシギツマブ(Dusigitumab)、エクロメキシマブ(Ecromeximab)、エクリズマブ(Eculizumab)、エドバコマブ(Edobacomab)、エドレコロマブ(Edrecolomab)、エファリズマブ(Efalizumab)、エフングマブ(Efungumab)、エルデルマブ(Eldelumab)、エルゲムツマブ(Elgemtumab)、エロツズマブ(Elotuzumab)、エルシリモマブ(Elsilimomab)、エマクツズマブ(Emactuzumab)(RG7155)、エミベツズマブ(Emibetuzumab)、エナバツズマブ(Enavatuzumab)、エンフォルツマブ・ベドチン(Enfortumab vedotin)、エンリモマブ・ペゴル(Enlimomab pegol)、エノブリツズマブ(Enoblituzumab)、エノキズマブ(Enokizumab)、エノチクマブ(Enoticumab)、エンシツキシマブ(Ensituximab)、エピツモマブ・シツキセタン(Epitumomab cituxetan)、エプラツズマブ(Epratuzumab)、エルリズマブ(Erlizumab)、エルツマキソマブ(Ertumaxomab)、エタラシズマブ(Etaracizumab)、エトロリズマブ(Etrolizumab)、エビナクマブ(Evinacumab)、エボロクマブ(Evolocumab)、エキスビビルマブ(Exbivirumab)、ファノレソマブ(Fanolesomab)、ファラリモマブ(Faralimomab)、ファルレツズマブ(Farletuzumab)、ファシヌマブ(Fasinumab)、FBTA05、フェルビズマブ(Felvizumab)、フェザキヌマブ(Fezakinumab)、フィクラツズマブ(Ficlatuzumab)、フィギツムマブ(Figitumumab)、フィリブマブ(Firivumab)、フランボツマブ(Flanvotumab)、フレチクマブ(Fletikumab)、フォントリズマブ(Fontolizumab)、フォラルマブ(Foralumab)、フォラビルマブ(Foravirumab)、フレソリムマブ(Fresolimumab)、フルラヌマブ(Fulranumab)、フツキシマブ(Futuximab)、ガリキシマブ(Galiximab)、ガニツマブ(Ganitumab)、ガンテネルマブ(Gantenerumab)、ガビリモマブ(Gavilimomab)、ゲムツズマブ・オゾガマイシン(Gemtuzumab ozogamicin)、ゲボキズマブ(Gevokizumab)、ギレンツキシマブ(Girentuximab)、グレムバツムマブ・ベドチン(Glembatumumab vedotin)、ゴリムマブ(Golimumab)、ゴミリキシマブ(Gomiliximab)、グセルクマブ(Guselkumab)、イバリズマブ(Ibalizumab)、イブリツモマブ・チウキセタン(Ibritumomab tiuxetan)、イクルクマブ(Icrucumab)、イダルシズマブ(Idarucizumab)、イゴボマブ(Igovomab)、IMAB362、イマルマブ(Imalumab)、イムシロマブ(Imciromab)、イムガツズマブ(Imgatuzumab)、インクラクマブ(Inclacumab)、インダツキシマブ・ラブタンシン(Indatuximab ravtansine)、インデュサツマブ・ベドチン(Indusatumab vedotin)、インフリキシマブ、インテツムマブ(Intetumumab)、イノリモマブ(Inolimomab)、イノツズマブ・オゾガマイシン(Inotuzumab ozogamicin)、イピリムマブ(Ipilimumab)、イラツムマブ(Iratumumab)、イサツキシマブ(Isatuximab)、イトリズマブ(Itolizumab)、イキセキズマブ(Ixekizumab)、ケリキシマブ(Keliximab)、ラベツズマブ(Labetuzumab)、ラムブロリズマブ(Lambrolizumab)、ラムパリズマブ(Lampalizumab)、レブリキズマブ(Lebrikizumab)、レマレソマブ(Lemalesomab)、レンジルマブ(Lenzilumab)、レルデリムマブ(Lerdelimumab)、レキサツムマブ(Lexatumumab)、リビビルマブ(Libivirumab)、リファスツズマブ・ベドチン(Lifastuzumab vedotin)、リゲリズマブ(Ligelizumab)、リロトマブ・サテトラキセタン(Lilotomab satetraxetan)、リンツズマブ(Lintuzumab)、リリルマブ(Lirilumab)、ロデルシズマブ(Lodelcizumab)、ロキベトマブ、ロルボツズマブ・メルタンシン(Lorvotuzumab mertansine)、ルカツムマブ(Lucatumumab)、ルリズマブ・ペゴル(Lulizumab pegol)、ルミリキシマブ(Lumiliximab)、ルムレツズマブ(Lumretuzumab)、MSB0010718C(アベルマブ)、マパツムマブ(Mapatumumab)、マルゲツキシマブ(Margetuximab)、マスリモマブ(Maslimomab)、マブリリムマブ(Mavrilimumab)、マツズマブ(Matuzumab)、MEDI6469、MEDI0680、MEDI6383、メポリズマブ(Mepolizumab)、メテリムマブ(Metelimumab)、ミラツズマブ(Milatuzumab)、ミンレツモマブ(Minretumomab)、ミツモマブ(Mitumomab)、モガムリズマブ(Mogamulizumab)、モロリムマブ(Morolimumab)、モタビズマブ(Motavizumab)、モキセツモマブ・パスドトクス(Moxetumomab pasudotox)、ムロモナブ(Muromonab)-CD3、ナコロマブ・タフェナトクス(Nacolomab tafenatox)、ナミルマブ(Namilumab)、ナプツモマブ・エスタフェナトクス(Naptumomab estafenatox)、ナルナツマブ(Narnatumab)、ナタリズマブ(Natalizumab)、ネバクマブ(Nebacumab)、ネシツムマブ(Necitumumab)、ネモリズマブ(Nemolizumab)、ネレリモマブ、ネスバクマブ(Nesvacumab)、ニモツズマブ(Nimotuzumab)、ニボルマブ(Nivolumab)、ノフェツモマブ・メルペンタン(Nofetumomab merpentan)、オビルトキサキシマブ(Obiltoxaximab)、オビヌツズマブ(Obinutuzumab)、オカラツズマブ(Ocaratuzumab)、オクレリズマブ(Ocrelizumab)、オデュリモマブ(Odulimomab)、オファツムマブ(Ofatumumab)、オララツマブ(Olaratumab)、オロキズマブ(Olokizumab)、オマリズマブ(Omalizumab)、オナルツズマブ(Onartuzumab)、オンツキシズマブ(Ontuxizumab)、オピシヌマブ
(Opicinumab)、オポルツズマブ・モナトクス(Oportuzumab monatox)、オレゴボマブ(Oregovomab)、オルチクマブ(Orticumab)、オテリキシズマブ(Otelixizumab)、オトレルツズマブ(Otlertuzumab)、オキセルマブ(Oxelumab)、オザネズマブ(Ozanezumab)、オゾラリズマブ(Ozoralizumab)、パギバキシマブ(Pagibaximab)、パリビズマブ(Palivizumab)、パニツムマブ(Panitumumab)、パンコマブ(Pankomab)、パノバクマブ(Panobacumab)、パルサツズマブ(Parsatuzumab)、パスコリズマブ(Pascolizumab)、パソツキシズマブ(Pasotuxizumab)、パテクリズマブ(Pateclizumab)、パトリツマブ(Patritumab)、ペムブロリズマブ(Pembrolizumab)、ペムツモマブ(Pemtumomab)、ペラキズマブ(Perakizumab)、ペルツズマブ(Pertuzumab)、ペキセリズマブ(Pexelizumab)、ピジリズマブ(Pidilizumab)、ピナツズマブ・ベドチン(Pinatuzumab vedotin)、ピンツモマブ(Pintumomab)、プラクルマブ(Placulumab)、ポラツズマブ・ベドチン(Polatuzumab vedotin)、ポネズマブ(Ponezumab)、プリリキシマブ(Priliximab)、プリトキサキシマブ(Pritoxaximab)、プリツムマブ(Pritumumab)、PRO140、クイリズマブ(Quilizumab)、ラコツモマブ(Racotumomab)、ラドレツマブ(Radretumab)、ラフィビルマブ(Rafivirumab)、ラルパンシズマブ(Ralpancizumab)、ラムシルマブ(Ramucirumab)、ラニビズマブ(Ranibizumab)、ラキシバクマブ(Raxibacumab)、レファネズマブ(Refanezumab)、レガビルマブ(Regavirumab)、レスリズマブ(Reslizumab)、リロツムマブ(Rilotumumab)、リヌクマブ(Rinucumab)、リツキシマブ(Rituximab)、ロバツムマブ(Robatumumab)、ロレデュマブ(Roledumab)、ロモソズマブ(Romosozumab)、ロンタリズマブ(Rontalizumab)、ロベリズマブ(Rovelizumab)、ルプリズマブ(Ruplizumab)、サシツズマブ・ゴビテカン(Sacituzumab govitecan)、サマリズマブ(Samalizumab)、SAR650984(イサツキシマブ(Isatuximab))、サリルマブ(Sarilumab)、サツモマブ・ペンデチド(Satumomab pendetide)、セクキヌマブ(Secukinumab)、セリバンツマブ(Seribantumab)、セトキサキシマブ(Setoxaximab)、セビルマブ(Sevirumab)、シブロツズマブ(Sibrotuzumab)、SGN-CD19A、SGN-CD33A、シファリムマブ(Sifalimumab)、シルツキシマブ(Siltuximab)、シムツズマブ(Simtuzumab)、シンティリマブ(Sintilimab)、シプリズマブ(Siplizumab)、シルクマブ(Sirukumab)、ソフィツズマブ・ベドチン(Sofituzumab vedotin)、ソラネズマブ(Solanezumab)、ソリトマブ(Solitomab)、ソネプシズマブ(Sonepcizumab)、ソンツズマブ(Sontuzumab)、スタムルマブ(Stamulumab)、スレソマブ(Sulesomab)、スビズマブ(Suvizumab)、タバルマブ(Tabalumab)、タカツズマブ・テトラキセタン(Tacatuzumab tetraxetan)、タドシズマブ(Tadocizumab)、タリズマブ(Talizumab)、タネズマブ、タプリツモマブ・パプトクス(Taplitumomab paptox)、タレクスツマブ(Tarextumab)、テフィバズマブ(Tefibazumab)、テリモマブ・アリトクス(Telimomab aritox)、テナツモマブ(Tenatumomab)、テネリキシマブ(Teneliximab)、テプリズマブ(Teplizumab)、テプロツムマブ(Teprotumumab)、テシドルマブ(Tesidolumab)、TGN1412、チシリムマブ(Ticilimumab)(トレメリムマブ(tremelimumab))、チルドラキズマブ(Tildrakizumab)、チガツズマブ(Tigatuzumab)、TNX-650、トシリズマブ(Tocilizumab)(アトリズマブ(atlizumab))、トラリズマブ(Toralizumab)、トリパリマブ(Toripalimab)、トサトクスマブ(Tosatoxumab)、トシツモマブ(Tositumomab)、トベツマブ(Tovetumab)、トラロキヌマブ(Tralokinumab)、トラスツズマブ、トラスツズマブ・エムタンシン、TRBS07、トレガリズマブ(Tregalizumab)、トレメリムマブ、ツコツズマブ・セルモロイキン(Tucotuzumab celmoleukin)、ツビルマブ(Tuvirumab)、ウブリツキシマブ(Ublituximab)、ウロクプルマブ(Ulocuplumab)、ウレルマブ、ウルトキサズマブ(Urtoxazumab)、ウステキヌマブ、ウトミルマブ(PF-05082566)、バンドルツズマブ・ベドチン(Vandortuzumab vedotin)、バンチクツマブ(Vantictumab)、バヌシズマブ(Vanucizumab)、バパリキシマブ(Vapaliximab)、バルリルマブ(Varlilumab)、バテリズマブ(Vatelizumab)、ベドリズマブ、ベルツズマブ、ベパリモマブ(Vepalimomab)、ベセンクマブ(Vesencumab)、ビシリズマブ(Visilizumab)、ボロシキシマブ(Volociximab)、Vonlerolizumab(RG7888)、ボルセツズマブ・マフォドチン(Vorsetuzumab mafodotin)、ボツムマブ(Votumumab)、ザルツムマブ(Zalutumumab)、ザノリムマブ(Zanolimumab)、ザツキシマブ(Zatuximab)、ジラリムマブ(Ziralimumab)、またはゾリモマブ・アリトクス(Zolimomab aritox)、前述の治療用抗体のいずれかのバイオシミラーなどが挙げられる。
【0218】
本明細書の方法で使用することができる他の例示的な治療用抗体(例えば、治療用モノクローナル抗体)は、抗体であり、これらに限定されないが、例えば、抗CD20抗体、抗EGFR抗体、抗Her2/Neu(ERBB2)抗体、抗EPCAM抗体、抗GL2抗体、抗GD2抗体、抗GD3抗体、抗CD2抗体、抗CD3抗体、抗CD4抗体、抗CD8抗体、抗CDI9抗体、抗CD22抗体、抗CD30抗体、抗CD33抗体、抗CD39抗体、抗CD45抗体、抗CD47抗体、抗CD52抗体、抗CD56抗体、抗CD70抗体、抗CD73抗体、抗CD117抗体、抗SIRPα抗体、抗LILRB1抗体、抗LILRB2抗体、抗LILRB4抗体、抗PD1抗体(例えば、抗PD-1アンタゴニスト抗体)、抗PD-L1抗体(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)、抗PD-L2抗体、腫瘍細胞、ウイルスもしくは細菌に感染した細胞、免疫細胞、もしくは健康な正常細胞、またはサイトカイン、ケモカイン、またはあらゆる種類のホルモンに結合するように設計されている抗体が挙げられる。
【0219】
いくつかの実施形態では、本明細書の方法で使用される治療用抗体は、例えば、CS1/SLAMF7、Trop-2、VWF、ビメンチン、VEGFR2、VEGFR-1、VEGF、VEGF-A、TYRP1(糖タンパク質75)、TWEAK受容体、MUC1の腫瘍特異的グリコシル化、腫瘍抗原CTAA16.88、TRAIL-R2、TRAIL-R1、TNF-α、TGF-ベータ、TGFベータ2、TGFベータ1、TFPI、テネイシンC、TEM1、TAG-72、T細胞受容体、STEAP1、スフィンゴシン-1-リン酸、SOST、SLAMF7、BCL-2、セレクチンP、SDC1、スクレロスチン、RTN4、RON、Rh因子、RHD、RSウイルス、RANKL、狂犬病ウイルス糖タンパク質、血小板由来成長因子受容体ベータ、ホスファチジルセリン、リン酸ナトリウム共輸送体、PDGF-Rアルファ、PDCD1、PD-1、PD-L1、PCSK9、oxLDL、OX-40、NRP1、Notch受容体4、Notch受容体3、Notch受容体2、Notch受容体1、NOGO-A、NGF、神経アポトーシス調節プロテアーゼ1(neural apoptosis-regulated proteinase 1)、NCA-90(顆粒球抗原)、NARP-1、N-グリコリルノイラミン酸、ミオスタチン、ミエリン関連糖タンパク質、ムチンCanAg、MUC1、MSLN、MS4A1、MIF、メソテリン、MCP-1、LTA、LOXL2、リポテイコ酸、LINGO-1、LFA-1(CD11a)、ルイス-Y抗原、L-セレクチン(CD62L)、KIR2D、ITGB2(CD18)、ITGA2、インターフェロンアルファ/ベータ受容体、インターフェロン受容体、インターフェロンガンマ誘導タンパク質、インテグリンαvβ3、インテグリンαIIβ3、インテグリンα7β7、インテグリンα5β1、インテグリンα4β7、インテグリンα4、インスリン様成長因子I受容体、インフルエンザA型血球凝集素、ILGF2、IL9、IL6、IL4、IL3 IRA、IL23、ILI 7A、IL-6受容体、IL-6、IL-S、IL-4、IL-23、IL-22、IL-I、IL-I 7A、IL-I 7、IL-13、IL-I 2、IL-I、IL 20、IGHE、IgG4、IGF-I、IGF-I受容体、IgE Fc領域、IFN-ガンマ、IFN-アルファ、ICAM-1(CD54)、ヒトTNF、ヒト散乱因子受容体キナーゼ、Hsp90、HNGF、HLA-DR、HIV-1、ヒストン複合体、HHGFR、HGF、HER3、HER2、HER2/neu、HER1、B型肝炎表面抗原、血球凝集素、GUCY2C、GPNMB、GMCSF受容体アルファ鎖、グリピカン3、GD3ガングリオシド、GD2、ガングリオシドGD2、Frizzled受容体、葉酸受容体1、葉酸加水分解酵素、フィブロネクチンエクストラドメイン-B、フィブリンII、ベータ鎖、FAP、呼吸器合胞体ウイルスFタンパク質、ERBB3、エピシアリン、EpCAM、エンドトキシン、EGFR、EGFL7、志賀毒素産生性大腸菌2型(E. coli shiga toxin type-2)、志賀毒素産生性大腸菌I型(E. coli shiga toxin type-I)、DRS、DPP4、DLL4、ダビガトラン、サイトメガロウイルス糖タンパク質B、CTLA-4、CSF2、CSF1R、クランピングファクターA、CLDN18.2、ch4DS、CFD、CEA関連抗原、CEA、CD80、CD79B、CD74、CD73、CD70、CD6、CD56、CD52、CD51、CD5、CD44 v6、CD41、CD40リガンド、CD40、CD4、CD39、CD38、CD37、CD33、CD30(TNFRSF8)、CD123、CD138、CD3イプシロン、CD3、CD28、CD274、CD27、CD2S(IL-2受容体の鎖)、CD23(IgE受容体)、CD221、CD22、CD200、CD20、CD2、CD19、CD137、CD154、CD152、CD15、CD147(バシギン)、CD140a、CD125、CD11、CD-18、CCR5、CCR4、CCL11(エオタキシン-I)、心筋ミオシン、炭酸脱水酵素9(CA-IX)、Canis lupus familiaris IL31、CA-125、C5、C242抗原、CXCケモカイン受容体タイプ4、ベータアミロイド、BAFF、B7-H3、Bリンパ腫細胞、AOC3(VAP-I)、炭疽毒素、防御抗原、アンジオポエチン3、アンジオポエチン2、アルファ-フェトプロテイン、AGS-22M6、腺癌抗原、ACVR2B、アクチビン受容体様キナーゼI、5T4、5AC、4-IBBまたは1-40-ベータ-アミロイドに結合する抗体である。
【0220】
いくつかの実施形態では、本明細書の方法で使用される治療用抗体は、がん細胞によって発現される(例えば、がん細胞の表面上に発現される)抗原に結合する。がんによって発現される例示的な抗原は、当技術分野において公知であり、これらに限定されないが、例えば、CD19、CD20、CD22、CD30、CD33、CD38、CD52、CD56、CD70、CD74、CD79b、CD123、CD138、CS1/SLAMF7、Trop-2、5T4、BCMA、ムチン1、ムチン16、PTK7、PD-L1、STEAP1、エンドセリンB受容体、メソテリン、EGFRvIII、ENPP3、SLC44A4、GNMB、ネクチン4、NaPi2b、LIV-1A、グアニルシクラーゼC、DLL3、EGFR、HER2、VEGF、VEGFR、インテグリンαVβ3、インテグリンα5β1、MET、IGF1R、TRAILR1、TRAILR2、RANKL、FAP、テネイシン、Le、EpCAM、CEA、gpA33、PSMA、TAG72、ムチン、CAIX、EPHA3、葉酸受容体α、GD2、GD3、NY-ESO-1/LAGEからのペプチドを含むMHC/ペプチド複合体、SSX-2、MAGEファミリータンパク質、MAGE-A3、gp100/pmel17、Melan-A/MART1、gp75/TRP1、チロシナーゼ、TRP2、CEA、PSA、TAG-72、未成熟ラミニン受容体、MOK/RAGE-1、WT-1、SAP-1、BING-4、EpCAM、MUC1、PRAME、サバイビン、BRCA1、BRCA2、CDK4、CML66、MART-2、p53、Ras、β-カテニン、TGF-βRII、HPV E6、またはHPV E7が挙げられる。例えば、いくつかの実施形態では、本明細書に記載のポリペプチドは、化学療法剤(例えば、少なくとも1つの化学療法剤)及びCD123(例えば、IL-3受容体アルファとしても知られる)に結合するモノクローナル抗体、例えば、タラコツズマブ(CSL362及びJNJ-56022473としても知られている)と組み合わせて投与される。
【0221】
いくつかの実施形態では、本明細書の方法で使用される治療用抗体(例えば、治療用モノクローナル抗体)は、NK細胞によって発現される抗原に結合する抗体である。NK細胞によって発現される例示的な抗原としては、これらに限定されないが、NKR-P1A(KLRB1)、CD94(NKG2A)、KLRG1、KIR2DL5A、KIR2DL5B、KIR2DL1、KIR2DL2、KIR2DL3、KIR2DS2、KIR2DS3、KIR2DS4、KIR2DS5、KIR3DS1、KIR2DS1、CD94(NKG2C/E)、NKG2D、CD160(BY55)、CD16(FcγRIIIA)、NKp46(NCR1)、NKp30(NCR3)、NKp44(NCR2)、DNAM1(CD226)、CRTAM、CD27、NTB-A(SLAMF6)、PSGL1、CD96(Tactile)、CD100(SEMA4D)、NKp80(KLRF1、CLEC5C)、SLAMF7(CRACC、CS1、CD319)、及びCD244(2B4、SLAMF4)が挙げられる。
【0222】
免疫療法剤を含む組み合わせ療法、及び例示的免疫療法剤
いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるがんを治療する方法は、有効量の免疫療法剤(例えば、少なくとも1つの免疫療法剤、例えば、少なくとも2つ、少なくとも3つ、または少なくとも4つの免疫療法剤)を、すなわち、CD47(例えば、hCD47)及びSIRPα(例えば、本明細書に記載のポリペプチド)との間の相互作用を遮断する剤及び本明細書に記載の化学療法剤(例えば、少なくとも1つの化学療法剤、例えば、少なくとも2つ、少なくとも3つ、または少なくとも4つの化学療法剤)と組み合わせて、個体に投与することを含む。
【0223】
いくつかの実施形態では、免疫療法剤は、免疫系を標的とし、共刺激経路の調節因子、がんワクチン、組換え修飾免疫細胞などの免疫系の治療的再配向を促進する任意の治療薬を指す。例示的かつ非限定的免疫治療剤は、以下に記載する。いくつかの実施形態では、免疫療法剤は、抗体であるか、または抗体を含む。免疫療法抗体の例示的な標的は、当該分野で公知であり、これらに限定されないが、BDCA2、BDCA4、ILT7、LILRB1、LILRB2、LILRB3、LILRB4、LILRB5、Siglec-3、Siglec-7、Siglec-9、Siglec-10、Siglec-15、FGL-1、CD200、CD200R、CSF-1R、CD24、CD40、CD40L、CD163、CD206、DEC205、CD47、CD123、アルギナーゼ、IDO、TDO、AhR、EP2、COX-2、CCR2、CCR-7、CXCR1、CX3CR1、CXCR2、CXCR3、CXCR4、CXCR7、TGF-β RI、TGF-β RII、c-Kit、CD244、L-セレクチン/CD62L、CD11b、CD11c、CD68、41BB、CTLA4、PD1、PD-L1、PD-L2、TIM-3、BTLA、VISTA、LAG-3、CD28、OX40、GITR、CD137、CD27、HVEM、CCR4、CD25、CD103、KIrg1、Nrp1、CD278、Gpr83、TIGIT、CD154、CD160、TNFR2、PVRIG、DNAM、及びICOSが挙げられる。
【0224】
承認されている、または後期臨床試験中の免疫療法剤としては、これらに限定されないが、イピリムマブ、ペムブロリズマブ、ニボルマブ、アテゾリズマブ、アベルマブ、デュルバルマブなどが挙げられる。ある特定の実施形態では、CD47とSIRPαとの間の相互作用を遮断する剤(本明細書に記載のポリペプチドなど)は、PD-L1/PD-1経路の阻害剤、例えば、抗体、小分子、または(例えば、PD-1またはPD-L1に結合することによって)PD-L1とPD-1の間の相互作用を遮断するポリペプチドと組み合わせて投与される。いくつかの実施形態では、PD-L1/PD-1経路の阻害剤は、アンチセンスポリヌクレオチドである。いくつかの実施形態では、PD-L1/PD-1経路の阻害剤は、抗PD-1または抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、本明細書の他の場所に記載されている抗PD-1または抗PD-L1アンタゴニスト抗体)である。本明細書に示されているとおり、CD47とSIRPαとの間の相互作用を遮断する剤(本明細書に記載のポリペプチドなど)とPD-L1/PD-1経路の阻害剤との組み合わせ投与は、相乗的な抗腫瘍活性をもたらし得る。いくつかの実施形態では、免疫療法剤は、ワクチン、腫瘍溶解性ウイルス、養子細胞療法、サイトカイン、または小分子免疫療法剤であるか、またはこれらを含む。このような免疫療法剤の例は、当技術分野で知られている。例えば、養子細胞療法及び治療剤としては、これらに限定されないが、キメラ抗原受容体T細胞療法(CAR-T)、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)、TCR操作T細胞、TCR操作NK細胞、及びマクロファージ細胞産物を挙げることができる。ワクチンとしては、これらに限定されないが、ポリヌクレオチドワクチン、ポリペプチドワクチン、または細胞ベース(例えば、腫瘍または樹状細胞ベース)のワクチンを挙げることができる。がんの治療に有用な様々なサイトカインが知られており、これらに限定されないが、IL-2、IL-15、IL-7、IL-10、IL-12、IL21、TNFa、IFN、GM-CSF、及び操作されたサイトカイン突然変異体が挙げられる。小分子免疫治療剤としては、これらに限定されないが、IDO/TDO阻害剤、AhR阻害剤、アルギナーゼ阻害剤、A2a R阻害剤、TLRアゴニスト、STINGアゴニスト、及びRig-1アゴニストを挙げることができる。
【0225】
CD47とSIRPαとの間の相互作用を遮断する剤(本明細書に記載のポリペプチドなど)と化学療法剤(例えば、少なくとも1つの化学療法剤)が本明細書に記載のさらなる剤(複数可)(例えば、治療用抗体、小分子阻害剤、免疫療法剤など)と組み合わせて投与されるいくつかの実施形態では、さらなる剤(複数可)は、異なるクラスのものであり、及び/または異なる作用機序を介してそれらの抗がん効果を発揮する。例えば、いくつかの実施形態では、がんを治療する方法は、化学療法剤(本明細書に記載されるものを含むがこれに限定されない)及び治療用抗体(本明細書に記載されているもの、例えば、抗HER2抗体を含むがこれに限定されない)と組み合わせて、CD47とSIRPαとの間の相互作用を遮断する剤(本明細書に記載されるポリペプチドなど)を投与することを含む。いくつかの実施形態では、CD47とSIRPαとの間の相互作用を遮断する剤(本明細書に記載のポリペプチドなど)は、化学療法剤(これらに限定されないが、本明細書に記載のものなど)及び小分子阻害剤(これらに限定されないが、本明細書に記載のものなど)と組み合わせて投与される。他の組み合わせも企図される。
【0226】
いくつかの実施形態では、CD47とSIRPαとの間の相互作用を遮断する剤(本明細書に記載のポリペプチドなど)は、これらに限定されないが、止瀉薬、制吐剤、鎮痛剤、オピオイド及び/または非ステロイド性抗炎症剤など、1つ以上の剤と組み合わせて投与される。
【0227】
追加の治療様式(複数可)を含む組み合わせ療法
いくつかの実施形態では、CD47とSIRPαとの間の相互作用を遮断する剤(本明細書に記載のポリペプチドなど)は、少なくとも1つの化学療法剤及び1つ以上の追加の治療様式と組み合わせて投与される。いくつかの実施形態では、1つ以上の追加の治療様式には、放射線療法(例えば、ガンマ線、X線、及び/または腫瘍細胞への放射性同位体の直接送達、マイクロ波、UV放射線、または遺伝子治療を含む。例えば、遺伝子治療のための治療遺伝子としては、これらに限定されないが、細胞増殖の誘導物質(癌遺伝子)のアンチセンスバージョン、細胞増殖の阻害剤(腫瘍抑制因子)、またはプログラムされた細胞死の誘導物質(アポトーシス促進性遺伝子)が挙げられる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の任意の1つ以上の組み合わせ療法は、手術(例えば、切除)と併せて投与される。
【0228】
例示的な治療用組み合わせ
いくつかの実施形態では、がんを治療する方法は、CD47(例えば、hCD47)とSIRPα(例えば、hSIRPα)との間の相互作用を遮断する剤を、ニボルマブ及び以下から選択される1つ以上の剤と組み合わせて投与することを含む:レナリドマイド、イブルチニブ、パルボシクリブ、エンザルタミド、ペメトレキセド、ニロチニブ、アビラテロン、イマチニブ、パルボシクリブ、エルロチニブ、ボルテゾミブ、エンザルタミド、シクロホスファミド、カルボプラチン、シスプラチン、オキサリプラチン、5-フルオロウラシル、6-メルカプトプリン、シタラビン、ゲムシタビン、メトトレキサート、ブレオマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、ドセタキセル、エストラムスチン、パクリタキセル、ビンブラスチン、エトポシド、イリノテカン、テニポシド、トポテカン、プレドニゾン、メチルプレドニゾロン、及びデキサメタゾン。いくつかの実施形態では、CD47とSIRPαとの間の相互作用を遮断する剤は、本明細書に記載のポリペプチド(例えば、SIRPα d1ドメインバリアント及びFcバリアントを含む融合ポリペプチド)である。
【0229】
いくつかの実施形態では、がんを治療する方法は、CD47(例えば、hCD47)とSIRPα(例えば、hSIRPα)との間の相互作用を遮断する剤を、ペムブロリズマブ及び以下から選択される1つ以上の剤と組み合わせて投与することを含む:レナリドマイド、イブルチニブ、パルボシクリブ、エンザルタミド、ペメトレキセド、ニロチニブ、アビラテロン、イマチニブ、パルボシクリブ、エルロチニブ、ボルテゾミブ、エンザルタミド、シクロホスファミド、カルボプラチン、シスプラチン、オキサリプラチン、5-フルオロウラシル、6-メルカプトプリン、シタラビン、ゲムシタビン、メトトレキサート、ブレオマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、ドセタキセル、エストラムスチン、パクリタキセル、ビンブラスチン、エトポシド、イリノテカン、テニポシド、トポテカン、プレドニゾン、メチルプレドニゾロン、及びデキサメタゾン。いくつかの実施形態では、CD47とSIRPαとの間の相互作用を遮断する剤は、本明細書に記載のポリペプチド(例えば、SIRPα d1ドメインバリアント及びFcバリアントを含む融合ポリペプチド)である。
【0230】
いくつかの実施形態では、がんを治療する方法は、CD47(例えば、hCD47)とSIRPα(例えば、hSIRPα)との間の相互作用を遮断する剤を、トラスツズマブ及び以下から選択される1つ以上の剤と組み合わせて投与することを含む:レナリドマイド、イブルチニブ、パルボシクリブ、エンザルタミド、ペメトレキセド、ニロチニブ、アビラテロン、イマチニブ、パルボシクリブ、エルロチニブ、ボルテゾミブ、エンザルタミド、シクロホスファミド、カルボプラチン、シスプラチン、オキサリプラチン、5-フルオロウラシル、6-メルカプトプリン、シタラビン、ゲムシタビン、メトトレキサート、ブレオマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、ドセタキセル、エストラムスチン、パクリタキセル、ビンブラスチン、エトポシド、イリノテカン、テニポシド、トポテカン、プレドニゾン、メチルプレドニゾロン、及びデキサメタゾン。いくつかの実施形態では、CD47とSIRPαとの間の相互作用を遮断する剤は、本明細書に記載のポリペプチド(例えば、SIRPα d1ドメインバリアント及びFcバリアントを含む融合ポリペプチド)である。
【0231】
いくつかの実施形態では、がんを治療する方法は、CD47(例えば、hCD47)とSIRPα(例えば、hSIRPα)との間の相互作用を遮断する剤を、ベバシズマブ及び以下から選択される1つ以上の剤と組み合わせて投与することを含む:レナリドマイド、イブルチニブ、パルボシクリブ、エンザルタミド、ペメトレキセド、ニロチニブ、アビラテロン、イマチニブ、パルボシクリブ、エルロチニブ、ボルテゾミブ、エンザルタミド、シクロホスファミド、カルボプラチン、シスプラチン、オキサリプラチン、5-フルオロウラシル、6-メルカプトプリン、シタラビン、ゲムシタビン、メトトレキサート、ブレオマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、ドセタキセル、エストラムスチン、パクリタキセル、ビンブラスチン、エトポシド、イリノテカン、テニポシド、トポテカン、プレドニゾン、メチルプレドニゾロン、及びデキサメタゾン。いくつかの実施形態では、CD47とSIRPαとの間の相互作用を遮断する剤は、本明細書に記載のポリペプチド(例えば、SIRPα d1ドメインバリアント及びFcバリアントを含む融合ポリペプチド)である。
【0232】
いくつかの実施形態では、がんを治療する方法は、CD47(例えば、hCD47)とSIRPα(例えば、hSIRPα)との間の相互作用を遮断する剤を、リツキシマブ及び以下から選択される1つ以上の剤と組み合わせて投与することを含む:レナリドマイド、イブルチニブ、パルボシクリブ、エンザルタミド、ペメトレキセド、ニロチニブ、アビラテロン、イマチニブ、パルボシクリブ、エルロチニブ、ボルテゾミブ、エンザルタミド、シクロホスファミド、カルボプラチン、シスプラチン、オキサリプラチン、5-フルオロウラシル、6-メルカプトプリン、シタラビン、ゲムシタビン、メトトレキサート、ブレオマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、ドセタキセル、エストラムスチン、パクリタキセル、ビンブラスチン、エトポシド、イリノテカン、テニポシド、トポテカン、プレドニゾン、メチルプレドニゾロン、及びデキサメタゾン。いくつかの実施形態では、CD47とSIRPαとの間の相互作用を遮断する剤は、本明細書に記載のポリペプチド(例えば、SIRPα d1ドメインバリアント及びFcバリアントを含む融合ポリペプチド)である。
【0233】
いくつかの実施形態では、がんを治療する方法は、CD47(例えば、hCD47)とSIRPα(例えば、hSIRPα)との間の相互作用を遮断する剤を、ペルツズマブ及び以下から選択される1つ以上の剤と組み合わせて投与することを含む:レナリドマイド、イブルチニブ、パルボシクリブ、エンザルタミド、ペメトレキセド、ニロチニブ、アビラテロン、イマチニブ、パルボシクリブ、エルロチニブ、ボルテゾミブ、エンザルタミド、シクロホスファミド、カルボプラチン、シスプラチン、オキサリプラチン、5-フルオロウラシル、6-メルカプトプリン、シタラビン、ゲムシタビン、メトトレキサート、ブレオマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、ドセタキセル、エストラムスチン、パクリタキセル、ビンブラスチン、エトポシド、イリノテカン、テニポシド、トポテカン、プレドニゾン、メチルプレドニゾロン、及びデキサメタゾン。いくつかの実施形態では、CD47とSIRPαとの間の相互作用を遮断する剤は、本明細書に記載のポリペプチド(例えば、SIRPα d1ドメインバリアント及びFcバリアントを含む融合ポリペプチド)である。
【0234】
いくつかの実施形態では、がんを治療する方法は、CD47(例えば、hCD47)とSIRPα(例えば、hSIRPα)との間の相互作用を遮断する剤を、デノスマブ及び以下から選択される1つ以上の剤と組み合わせて投与することを含む:レナリドマイド、イブルチニブ、パルボシクリブ、エンザルタミド、ペメトレキセド、ニロチニブ、アビラテロン、イマチニブ、パルボシクリブ、エルロチニブ、ボルテゾミブ、エンザルタミド、シクロホスファミド、カルボプラチン、シスプラチン、オキサリプラチン、5-フルオロウラシル、6-メルカプトプリン、シタラビン、ゲムシタビン、メトトレキサート、ブレオマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、ドセタキセル、エストラムスチン、パクリタキセル、ビンブラスチン、エトポシド、イリノテカン、テニポシド、トポテカン、プレドニゾン、メチルプレドニゾロン、及びデキサメタゾン。いくつかの実施形態では、CD47とSIRPαとの間の相互作用を遮断する剤は、本明細書に記載のポリペプチド(例えば、SIRPα d1ドメインバリアント及びFcバリアントを含む融合ポリペプチド)である。
【0235】
例示的ながん
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法によって治療されるがんは、乳癌、肺癌、肺腺癌、肺扁平上皮癌、小細胞肺癌(SCLC)、非小細胞肺癌(NSCLC)、頭頸部癌、中皮腫、脳癌、脳腫瘍、腹部癌、結腸癌、結腸直腸癌、食道癌、傍咽頭癌、消化器癌、神経膠腫、肝癌、胃癌、口腔癌、舌癌、神経芽細胞腫、骨肉腫、卵巣癌、腎癌、膀胱癌、尿路癌、膵癌、網膜芽細胞腫、子宮頸癌、子宮癌、ウィルムス腫瘍、多発性骨髄腫、皮膚癌、リンパ腫、白血病、血液癌、甲状腺癌、骨癌、腺様嚢胞腫瘍、軟骨肉腫、膵島細胞腫瘍、神経内分泌腫瘍、前立腺癌、膠芽腫、子宮内膜癌(endometrial carcinoma)、子宮内膜癌(endometrial cancer)、平滑筋肉腫、胆嚢癌、肝細胞癌、黒色腫、または固形腫瘍である。
【0236】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法によって治療される癌は、血液癌である。いくつかの実施形態では、血液癌は、多発性骨髄腫、または白血病であり、これらに限定されないが、急性または慢性骨髄性白血病、急性または慢性リンパ芽球性白血病、急性リンパ性白血病(ALL)、慢性リンパ性白血病(CLL)、小リンパ球性リンパ腫(SLL)、急性骨髄性白血病(AML)、骨髄異形成症候群(MDS)、慢性骨髄性白血病(CML)、有毛細胞白血病、慢性骨髄単球性白血病(CMML)、若年性骨髄単球性白血病(JMML)、大顆粒リンパ球性(LGL)白血病、形質細胞腫、芽球性形質細胞様樹状細胞新生物(BPDCN)、B細胞前リンパ球性白血病(B-PLL)、T細胞前リンパ球性白血病(T-PLL)、多発性骨髄腫(MM)、及び非ホジキンリンパ腫(びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)など)、バーキットリンパ腫、マントル細胞リンパ腫(MCL)、末梢T細胞リンパ腫(PTCL)、リンパ形質細胞性リンパ腫、ワルデンストレームマクログロブリン血症、辺縁帯リンパ腫(MZL)及び濾胞性リンパ腫(FL)が挙げられる。
【0237】
白血病の治療方法
いくつかの実施形態では、個体(例えば、ヒト個体)において、白血病(例えば、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、慢性リンパ性白血病(CLL)、小リンパ球性リンパ腫(SLL)、急性骨髄性白血病(AML)、骨髄異形成症候群(MDS)、慢性骨髄性白血病(CML)、有毛細胞白血病、慢性骨髄単球性白血病(CMML)、若年性骨髄単球性白血病(JMML)、大顆粒リンパ球性(LGL)白血病、芽球性形質細胞様樹状細胞新生物(BPDCN)、B細胞前リンパ球性白血病(B-PLL)、T細胞前リンパ球性白血病(T-PLL)、多発性骨髄腫(MM)、及び非ホジキンリンパ腫(びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)など)、バーキットリンパ腫、マントル細胞リンパ腫(MCL)、末梢T細胞リンパ腫(PTCL)、リンパ形質細胞性リンパ腫、ワルデンストレームマクログロブリン血症、辺縁帯リンパ腫(MZL)及び濾胞性リンパ腫(FL))を治療する方法が提供され、本方法は、有効量の(a)CD47(例えば、hCD47)とSIRPα(例えば、hSIRPα)との間の相互作用を遮断する剤、及び(b)Bcl2阻害剤を個体に投与することを含む。いくつかの実施形態では、Bcl2阻害剤は、ベネトクラクス(ABT-199としても公知である)、ABT-737、ナビトクラックス(ABT-263としても公知である)、BCL201、またはAZD-0466である。いくつかの実施形態では、剤は、SIRPα D1ドメインバリアント(例えば、本明細書に記載のSIRPα D1ドメインバリアント)及びFcドメインバリアント(例えば、本明細書に記載のFcドメインバリアント)を含むポリペプチド(例えば、融合ポリペプチド)である。いくつかの実施形態では、ポリペプチド(例えば、融合ポリペプチド)は、配列番号81または配列番号85のアミノ酸配列を含むSIRPα D1ドメインバリアントを含む。いくつかの実施形態では、Fcドメインバリアントは、(i)L234A、L235A、G237A、及びN297A突然変異を含むヒトIgG1 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う);(ii)A330S、P331S、及びN297A突然変異を含むヒトIgG2 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う);(iii)S228P、E233P、F234V、L235A、及びdelG236突然変異を含むヒトIgG4 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う);または(iv)S228P、E233P、F234V、L235A、delG236、及びN297A突然変異を含むヒトIgG4 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う)である。いくつかの実施形態では、個体に投与されるポリペプチド(例えば、融合ポリペプチド)は、配列番号136または配列番号135のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、ポリペプチド(例えば、融合ポリペプチド)は、ホモ二量体を形成する。いくつかの実施形態では、ポリペプチド(例えば、融合ポリペプチド)及びBcl2阻害剤(例えば、ベネトクラクス)は、同時に、並行して、または順次投与される。
【0238】
Bcl2阻害剤は、アポトーシス促進性のBcl2と競合して、抗アポトーシス性のファミリーメンバーの表面にあるBH3ドッキング溝を占有することにより、細胞傷害性効果を発揮すると考えられている抗がん薬物のクラスである。1つ以上のBcl2ファミリーメンバーに結合することにより、これらの阻害剤は、BCL-2及び他の関連タンパク質の天然アンタゴニストの活性を模倣することによりアポトーシスを誘導し、また腫瘍細胞中のアポトーシスを回復させる。
【0239】
ベネトクラクス(GDC-0199、ABT-199、及びRG7601としても公知である)は、本明細書に記載の方法で使用される例示的な選択的Bcl2阻害剤である。ベネトクラクスは、実験式C4550ClNS、分子量868.44g/molの淡黄色から暗黄色の固体である。ベネトクラクスは、非常に低い水溶性を有する。ベネトクラクスは、化学的に4-(4-{[2-(4-クロロフェニル)-4,4ジメチルシクロヘキサ-1-エン-1-イル]メチル}ピペラジン-1-イル)-N-({3-ニトロ-4-[(テトラヒドロ-2H-ピラン-4イルメチル)アミノ]フェニル}スルホニル)-2-(1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-5-イルオキシ)ベンズアミド)として記載され、次の化学構造を有する:
【化1】
【0240】
ベネトクラクスのCAS登録番号は、1257044-40-8である。ベネトクラクスは、経口投与され、商品名Venclexta及びVenclyxtoで販売されている。ベネトクラクスの調製、調剤、投薬量、及び投与スケジュールに関する完全な情報は、各国の添付文書に記載され得る(米国では、例えば、www(dot)accessdata(dot)fda(dot)gov/drugsatfda_docs/label/2016/208573s000lbl(dot)pdfを参照のこと;欧州では、例えば、www(dot)ema(dot)europa(dot)eu/en/medicines/human/EPAR/venclyxto#product-information-sectionを参照のこと)。いくつかの実施形態では、ベネトクラクスは、各国の添付文書で推奨される用法及び頻度に従って投与される。
【0241】
ABT-737は、本明細書に記載の方法で使用される別の例示的な選択的Bcl2阻害剤である。ABT-737は、Bcl2及びBcl-xLの両方を阻害し、実験式C4245ClNを有し、分子量813.43g/molである。ABT-737のCAS登録番号は、852-808-04-9である。ABT-737は、化学的に4-{4-[(4’-クロロ-2-ビフェニリル)メチル]-1-ピペラジニル}-N-[(4-{[(2R)-4-(ジメチルアミノ)-1-(フェニルスルファニル)-2-ブタニル]アミノ}-3-ニトロフェニル)スルホニル]ベンズアミドとして記載され、次の化学構造を有する:
【化2】
【0242】
本明細書に記載の方法で使用される別の例示的な選択的Bcl2阻害剤は、ナビトクラックス(ABT-263としても公知である)である。ナビトクラックスは、Bcl2、Bcl-xL、及びBcl-wの両方を阻害し、実験式C4755ClFを有し、分子量974.6g/molである。ナビトクラックスのCAS登録番号は、923564-51-6である。ABT-737は、化学的に4-[4-[[2-(4-クロロフェニル)-5,5-ジメチルシクロヘキセン-1-イル]メチル]ピペラジン-1-イル]-N-[4-[[(2R)-4-モルホリン-4-イル-1-フェニルスルファニルブタン-2-イル]アミノ]-3-(トリフルオロメチルスルホニル)フェニル]スルホニルベンズアミドとして記載され、次の化学構造を有する。ナビトクラックスに関する追加の詳細は、例えば、Tse et al.(2008)Cancer Res.68(9):3421-3429に記載されている。
【化3】
【0243】
本明細書に記載の方法で使用される別の例示的な選択的Bcl2阻害剤は、S55746(BCL201及びServier-1としても公知である)である。S55746は、BCL-2の疎水性溝を占有する。その選択性プロファイルは、MCL-1への有意な結合がないことを示しており、BFL-1 S55746は、BCL-2の疎水性溝を占有している。その選択性プロファイルは、MCL-1、BFL-1(BCL2A1/A1)への有意な結合がなく、BCL-XLへの親和性が不十分であることを示している。S55746は、血小板などのBCL-XL依存性細胞に対して細胞傷害性を有さない(例えば、Casara et al.(2008)Oncotarget.9(28):29975-20088)を参照されたい)。S55746は、実験式C4342を有し、分子量は710.82g/molである。S55746のCAS登録番号は、1448584-12-0である。S55746は、化学的に(S)-N-(4-ヒドロキシフェニル)-3-(6-(3-(モルホリノメチル)-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-2-カルボニル)ベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)-N-フェニル-5,6,7,8-テトラヒドロインドリジン-1-カルボキサミドと記載され、次の化学構造を有する:
【化4】
【0244】
固形腫瘍の治療法
いくつかの実施形態では、提供されるのは、個体(例えば、ヒト個体)における固形腫瘍を治療する方法であって、本方法は、有効量の(a)CD47(例えば、hCD47)とSIRPα(例えば、hSIRPα)との間の相互作用を遮断する剤、及び(b)白金系化学療法剤を個体に投与することを含む。いくつかの実施形態では、固形腫瘍は、結腸癌(例えば、結腸癌)、肺癌、頭頸部癌、食道癌、乳癌、膀胱癌、卵巣癌、子宮頸癌、精巣癌、脳腫瘍、中皮腫、または神経芽細胞腫である。いくつかの実施形態では、白金系化学療法剤は、カルボプラチン、シスプラチン、オキサリプラチン、ネダプラチン、四硝酸トリプラチン、フェナントリプラチン、ピコプラチン、及び/またはサトラプラチンである。いくつかの実施形態では、白金系化学療法剤は、シスプラチンである。いくつかの実施形態では、剤は、SIRPα D1ドメインバリアント(例えば、本明細書に記載のSIRPα D1ドメインバリアント)及びFcドメインバリアント(例えば、本明細書に記載のFcドメインバリアント)を含むポリペプチド(例えば、融合ポリペプチド)である。いくつかの実施形態では、ポリペプチド(例えば、融合ポリペプチド)は、配列番号81または配列番号85のアミノ酸配列を含むSIRPα D1ドメインバリアントを含む。いくつかの実施形態では、Fcドメインバリアントは、(i)L234A、L235A、G237A、及びN297A突然変異を含むヒトIgG1 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う);(ii)A330S、P331S、及びN297A突然変異を含むヒトIgG2 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う);(iii)S228P、E233P、F234V、L235A、及びdelG236突然変異を含むヒトIgG4 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う);または(iv)S228P、E233P、F234V、L235A、delG236、及びN297A突然変異を含むヒトIgG4 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う)である。いくつかの実施形態では、個体に投与されるポリペプチド(例えば、融合ポリペプチド)は、配列番号136または配列番号135のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、ポリペプチド(例えば、融合ポリペプチド)は、ホモ二量体を形成する。いくつかの実施形態では、ポリペプチド(例えば、融合ポリペプチド)及び白金系化学療法剤(例えば、シスプラチン)は、同時に、並行して、または順次投与される。
【0245】
白金剤(カルボプラチン、シスプラチン、オキサリプラチン、ネダプラチン、四硝酸トリプラチン、フェナントリプラチン、ピコプラチン、サトラプラチンなど)は、一付加体、鎖間架橋、鎖内架橋、またはDNAタンパク質架橋としてDNAの架橋を引き起こす、広く使用されている抗腫瘍薬物である。白金剤は、典型的には、グアニンの隣接するN-7位に作用し、1,2鎖内架橋を形成する(Poklar et al.(1996).Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.93(15):7606-11;Rudd et al.(1995).Cancer Chemother.Pharmacol.35(4):323-6)。結果として生じる架橋は、がん細胞におけるDNA修復及び/またはDNA合成を阻害する。
【0246】
シスプラチンは、本明細書に記載の方法で使用される例示的な白金配位化合物である。シスプラチンの化学名は、ジクロロ白金ジアンモニエートであり、シスプラチンは、次の構造式を有する:
【化5】
【0247】
シスプラチンは、分子式がPt(NHClであり、分子量が300.046である、無機の水溶性白金錯体である。加水分解を受けた後、シスプラチンは、DNAと反応して、鎖内及び鎖間架橋の両方を生成する。これらの架橋により、DNAの複製及び転写が損なわれると考えられる。シスプラチンの細胞傷害性は、細胞周期のG2期における細胞停止と相関している。CAS登録番号15663-27-1が割り当てられているシスプラチン、PLATINOL(商標登録)、PLATINOL(商標登録)-AQ、CDDP、CISPLAN、CISPLAT、PLATIKEM、PLATIONCO、PRACTICIS、PLATICIS、BLASTOLEM、CISMAX、CISPLAN、CISPLATINUM、CISTEEN、DUPLAT、KEMOPLAT、ONCOPLATIN-AQ、PLATINEX、PLATIN、TEVAPLATINなどとして市販されている。シスプラチンの調製、調剤、投薬量、及び投与スケジュールに関する完全な情報は、各国の添付文書に記載され得る(米国では、例えば、www(dot)accessdata(dot)fda(dot)gov/drugsatfda_docs/label/2011/018057s080lbl(dot)pdf及びwww(dot)accessdata(dot)fda(dot)gov/drugsatfda_docs/label/2015/018057s083lbl(dot)pdfを参照のこと)。いくつかの実施形態では、シスプラチンは、各国の添付文書で推奨される用法及び頻度に従って投与される。
【0248】
カルボプラチンは、本明細書に記載の方法で使用される別の例示的な白金配位化合物である。カルボプラチンの化学名は、白金、ジアンミン[1,1シクロブタン-ジカルボキシラト(2-)-0,0]-、(SP-4-2)であり、カルボプラチンは、次の構造式を有する:
【化6】
【0249】
カルボプラチンは、分子式がC6H12Ptであり、分子量373.26である、水溶性白金錯体である。カルボプラチンにはCAS登録番号41575-94-4が割り当てられており、その作用機序はシスプラチンと同様である。カルボプラチンは、典型的には、シスプラチンよりも一般的に処方される。カルボプラチンは、PARAPLATIN(登録商標)、BLASTOCARB(登録商標)、BLASTOPLATIN(登録商標)、CARBOKEM(登録商標)、CARBOMAX(登録商標)、PARAPLATIN(登録商標)、CARBOPA(登録商標)、KARPLAT(登録商標)などとして市販されている。カルボプラチンの調製、調剤、投薬量、及び投与スケジュールに関する完全な情報は、各国の添付文書に記載され得る(米国では、例えば、www(dot)accessdata(dot)fda(dot)gov/drugsatfda_docs/label/2010/020452s005lbl(dot)pdf及びwww(dot)accessdata.fda(dot)gov/drugsatfda_docs/label/2012/077139Orig1s016lbl(dot)pdfを参照のこと)。いくつかの実施形態では、カルボプラチンは、各国の添付文書で推奨される用法及び頻度に従って投与される。
【0250】
いくつかの実施形態では、提供されるのは、個体(例えば、ヒト個体)における固形腫瘍を治療する方法であって、本方法は、有効量の(a)CD47(例えば、hCD47)とSIRPα(例えば、hSIRPα)との間の相互作用を遮断する剤、(b)抗HER2抗体、及び(c)抗PDL1抗体を個体に投与することを含む。いくつかの実施形態では、抗HER2抗体は、トラスツズマブ(CAS登録番号:180288-69-1)である。いくつかの実施形態では、抗PDL1抗体は、アテゾリズマブ(CAS登録番号1380723-44-3)、アベルマブ(CAS登録番号1537032-82-8)、またはデュルバルマブ(CAS登録番号1428935-60-7)である。いくつかの実施形態では、剤は、SIRPα D1ドメインバリアント(例えば、本明細書に記載のSIRPα D1ドメインバリアント)及びFcドメインバリアント(例えば、本明細書に記載のFcドメインバリアント)を含むポリペプチド(例えば、融合ポリペプチド)である。いくつかの実施形態では、ポリペプチド(例えば、融合ポリペプチド)は、配列番号81または配列番号85のアミノ酸配列を含むSIRPα D1ドメインバリアントを含む。いくつかの実施形態では、Fcドメインバリアントは、(i)L234A、L235A、G237A、及びN297A突然変異を含むヒトIgG1 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う);(ii)A330S、P331S、及びN297A突然変異を含むヒトIgG2 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う);(iii)S228P、E233P、F234V、L235A、及びdelG236突然変異を含むヒトIgG4 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う);または(iv)S228P、E233P、F234V、L235A、delG236、及びN297A突然変異を含むヒトIgG4 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う)である。いくつかの実施形態では、個体に投与されるポリペプチド(例えば、融合ポリペプチド)は、配列番号136または配列番号135のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、ポリペプチド(例えば、融合ポリペプチド)は、ホモ二量体を形成する。いくつかの実施形態では、ポリペプチド(例えば、融合ポリペプチド)、抗HER2抗体、抗PD-L1抗体(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)は、同時に、並行して、または順次投与される。いくつかの実施形態では、固形腫瘍は、結腸癌、肺癌、頭頸部癌、食道癌、乳癌、膀胱癌、卵巣癌、子宮頸癌、精巣癌、子宮内膜癌、肝癌、胃癌、胃食道接合部癌、脳腫瘍、中皮腫、または神経芽細胞腫である。いくつかの実施形態では、固形腫瘍は、HER2固形腫瘍である。いくつかの実施形態では、固形腫瘍は、結腸癌(例えば、HER2結腸癌)である。
【0251】
胃癌または胃食道接合部(GEJ)癌の治療法
いくつかの実施形態では、個体(例えば、ヒト個体)における胃癌または胃食道接合部(GEJ)癌を治療する方法が提供され、本方法は、有効量の(a)CD47(例えば、hCD47)及びSIRPα(例えば、hSIRPα)との間の相互作用を遮断する剤、(b)抗HER2抗体、(c)抗VEGFR2抗体、及び(d)パクリタキセルを個体に投与することを含む。いくつかの実施形態では、抗HER2抗体は、トラスツズマブ(CAS登録番号:180288-69-1)である。いくつかの実施形態では、抗VEGFR2抗体は、ラムシルマブ(CAS登録番号:947687-13-0)である。いくつかの実施形態では、剤は、SIRPα D1ドメインバリアント(例えば、本明細書に記載のSIRPα D1ドメインバリアント)及びFcドメインバリアント(例えば、本明細書に記載のFcドメインバリアント)を含むポリペプチド(例えば、融合ポリペプチド)である。いくつかの実施形態では、ポリペプチド(例えば、融合ポリペプチド)は、配列番号81または配列番号85のアミノ酸配列を含むSIRPα D1ドメインバリアントを含む。いくつかの実施形態では、Fcドメインバリアントは、(i)L234A、L235A、G237A、及びN297A突然変異を含むヒトIgG1 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う);(ii)A330S、P331S、及びN297A突然変異を含むヒトIgG2 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う);(iii)S228P、E233P、F234V、L235A、及びdelG236突然変異を含むヒトIgG4 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う);または(iv)S228P、E233P、F234V、L235A、delG236、及びN297A突然変異を含むヒトIgG4 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う)である。いくつかの実施形態では、個体に投与されるポリペプチド(例えば、融合ポリペプチド)は、配列番号136または配列番号135のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、ポリペプチド(例えば、融合ポリペプチド)は、ホモ二量体を形成する。いくつかの実施形態では、ポリペプチド(例えば、融合ポリペプチド)、抗HER2抗体、抗VEGFR2抗体及びパクリタキセルは、同時に、並行して、または順次投与される。いくつかの実施形態では、ポリペプチド(例えば、融合ポリペプチド)は、週に1回10mg/kgまたは週に1回15mg/kgの用量で個体に投与される。いくつかの実施形態では、治療を受けている個体は、胃またはGEJ腺癌を有する。いくつかの実施形態では、治療を受けている個体は、HER2胃癌またはHER2GEJ癌(例えば、HER2過剰発現胃またはGEJ癌)を有する。いくつかの実施形態では、HER2胃癌またはHER2GEJ癌は、進行性及び/または転移性である。いくつかの実施形態では、治療を受けている個体は、抗HER2抗体(例えば、トラスツズマブ)を含む以前の治療(複数可)中または治療(複数可)後に進行した胃癌またはGEJ癌を有する。いくつかの実施形態では、治療を受けている個体は、抗HER2抗体(例えば、トラスツズマブ)及びフルオロピリミジンを含む以前の治療(複数可)中または治療(複数可)後に進行した胃癌またはGEJ癌を有する。いくつかの実施形態では、治療を受けている個体は、抗HER2抗体(例えば、トラスツズマブ)及び白金系化学療法剤を含む以前の治療(複数可)中または治療(複数可)後に進行した胃癌またはGEJ癌を有する。いくつかの実施形態では、治療を受けている個体は、抗HER2抗体(例えば、トラスツズマブ)及び/またはフルオロピリミジン、及び/または白金系化学療法剤を含む以前の治療(複数可)中または治療(複数可)後に進行した胃癌またはGEJ癌(例えば、HER2胃癌またはGEJ癌)を有する。いくつかの実施形態では、個体は、抗HER2抗体、抗HER2抗体及びフルオロピリミジン、または抗HER2抗体及び白金系化学療法剤による以前の治療で奏効しなかった(例えば、再発したか、または応答しなかった)。いくつかの実施形態では、フルオロピリミジンは、フルオロウラシル(5-フルオロウラシルとしても知られている)であった。いくつかの実施形態では、ポリペプチド、抗HER2抗体、抗VEGFR2抗体、及びパクリタキセルによる治療は、有害作用をもたらさない。いくつかの実施形態では、ポリペプチド、抗HER2抗体、抗VEGFR2抗体、及びパクリタキセルによる治療は、軽度の有害作用のみが生じる。
【0252】
いくつかの実施形態では、個体(例えば、ヒト個体)における胃癌または胃食道接合部(GEJ)癌を治療する方法が提供され、本方法は、有効量の(a)CD47(例えば、hCD47)及びSIRPα(例えば、hSIRPα)との間の相互作用を遮断する剤、(b)抗PD-1抗体(例えば、抗PD-1アンタゴニスト抗体)、(c)抗HER2抗体、(d)5-フルオロウラシル、及び(e)白金系化学療法剤を個体に投与することを含む。いくつかの実施形態では、個体(例えば、ヒト個体)における胃癌または胃食道接合部(GEJ)癌を治療する方法が提供され、本方法は、有効量の(a)CD47(例えば、hCD47)及びSIRPα(例えば、hSIRPα)との間の相互作用を遮断する剤、(b)抗PD-1抗体(例えば、抗PD-1アンタゴニスト抗体)、(c)抗HER2抗体、(d)カペシタビン、及び(e)白金系化学療法剤を個体に投与することを含む。いくつかの実施形態では、抗PD-1抗体は、ペムブロリズマブ(CAS登録番号:1374853-91-4)である。いくつかの実施形態では、抗HER2抗体は、トラスツズマブ(CAS登録番号:180288-69-1)である。いくつかの実施形態では、白金系化学療法剤は、シスプラチンである。いくつかの実施形態では、剤は、SIRPα D1ドメインバリアント(例えば、本明細書に記載のSIRPα D1ドメインバリアント)及びFcドメインバリアント(例えば、本明細書に記載のFcドメインバリアント)を含むポリペプチド(例えば、融合ポリペプチド)である。いくつかの実施形態では、ポリペプチド(例えば、融合ポリペプチド)は、配列番号81または配列番号85のアミノ酸配列を含むSIRPα D1ドメインバリアントを含む。いくつかの実施形態では、Fcドメインバリアントは、(i)L234A、L235A、G237A、及びN297A突然変異を含むヒトIgG1 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う);(ii)A330S、P331S、及びN297A突然変異を含むヒトIgG2 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う);(iii)S228P、E233P、F234V、L235A、及びdelG236突然変異を含むヒトIgG4 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う);または(iv)S228P、E233P、F234V、L235A、delG236、及びN297A突然変異を含むヒトIgG4 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う)である。いくつかの実施形態では、個体に投与されるポリペプチド(例えば、融合ポリペプチド)は、配列番号136または配列番号135のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、ポリペプチド(例えば、融合ポリペプチド)は、ホモ二量体を形成する。いくつかの実施形態では、ポリペプチド(例えば、融合ポリペプチド)、抗PD-1抗体、抗HER2抗体、5-フルオロウラシル及び白金系化学療法剤は、同時に、並行して、または順次投与される。いくつかの実施形態では、ポリペプチド(例えば、融合ポリペプチド)、抗PD-1抗体、抗HER2抗体、カペシタビン及び白金系化学療法剤は、同時に、並行して、または順次投与される。いくつかの実施形態では、治療を受けている個体は、HER2過剰発現胃癌またはHER2過剰発現GEJ癌を有する。いくつかの実施形態では、胃癌またはGEJ癌は、進行性及び/または転移性である。いくつかの実施形態では、個体は、胃癌またはGEJ癌の以前の治療を受けていない。
【0253】
頭頸部癌の治療方法
いくつかの実施形態では、個体(例えば、ヒト個体)における頭頸部癌(例えば、頭頸部癌扁平上皮癌またはHNSCC)を治療する方法が提供され、本方法は、有効量の(a)CD47(例えば、hCD47)とSIRPα(例えば、hSIRPα)との間の相互作用を遮断する剤、(b)PD-1阻害剤、(c)代謝拮抗剤、及び(d)白金系剤を個体に投与することを含む。いくつかの実施形態では、PD-1阻害剤は、小分子阻害剤、アンチセンスヌクレオチド、またはペプチドである。いくつかの実施形態では、PD-1阻害剤は、抗PD-1抗体である。いくつかの実施形態では、抗PD-1抗体は、ペムブロリズマブ、ニボルマブ、ピジリズマブ、セミプリマブ、またはBMS-936559である。いくつかの実施形態では、抗PD-1抗体は、ペムブロリズマブ(CAS登録番号:1374853-91-4)である。いくつかの実施形態では、代謝拮抗剤は、5-フルオロウラシル、6-メルカプトプリン、カペシタビン、シタラビン、フロクスウリジン、フルダラビン、ゲムシタビン、ヒドロキシカルバミド、メトトレキサート、ペメトレキセド、フォトトレキサートである。いくつかの実施形態では、代謝拮抗剤は、5-フルオロウラシルである。いくつかの実施形態では、白金系化学療法剤は、カルボプラチン、シスプラチン、オキサリプラチン、ネダプラチン、四硝酸トリプラチン、フェナントリプラチン、ピコプラチン、またはサトラプラチンである。いくつかの実施形態では、白金系化学療法剤は、シスプラチンまたはカルボプラチンである。いくつかの実施形態では、剤は、SIRPα D1ドメインバリアント(例えば、本明細書に記載のSIRPα D1ドメインバリアント)及びFcドメインバリアント(例えば、本明細書に記載のFcドメインバリアント)を含むポリペプチド(例えば、融合ポリペプチド)である。いくつかの実施形態では、ポリペプチド(例えば、融合ポリペプチド)は、配列番号81または配列番号85のアミノ酸配列を含むSIRPα D1ドメインバリアントを含む。いくつかの実施形態では、Fcドメインバリアントは、(i)L234A、L235A、G237A、及びN297A突然変異を含むヒトIgG1 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う);(ii)A330S、P331S、及びN297A突然変異を含むヒトIgG2 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う);(iii)S228P、E233P、F234V、L235A、及びdelG236突然変異を含むヒトIgG4 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う);または(iv)S228P、E233P、F234V、L235A、delG236、及びN297A突然変異を含むヒトIgG4 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う)である。いくつかの実施形態では、個体に投与されるポリペプチド(例えば、融合ポリペプチド)は、配列番号136または配列番号135のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、ポリペプチド(例えば、融合ポリペプチド)は、ホモ二量体を形成する。いくつかの実施形態では、ポリペプチド(例えば、融合ポリペプチド)、PD-1阻害剤(例えば、抗PD-1抗体、例えば、ペムブロリズマブ)、代謝拮抗剤(例えば、5-フルオロウラシル)、及び白金系化学療法剤(例えば、シスプラチンまたはカルボプラチン)は、同時に、並行して、または順次投与される。いくつかの実施形態では、ポリペプチド(例えば、融合ポリペプチド)は、週に1回10mg/kgまたは週に1回15mg/kgの用量で個体に投与される。いくつかの実施形態では、治療を受けている個体は、HNSCCを有する。いくつかの実施形態では、HNSCCは、進行性及び/または転移性HNSCCである。いくつかの実施形態では、HNSCCは、切除不能及び/または再発性である。いくつかの実施形態では、個体は、頭頸部癌(例えば、HNSCC)の以前の治療を受けていない。いくつかの実施形態では、ポリペプチド、PD-1阻害剤(例えば、ペムブロリズマブ)、代謝拮抗剤(例えば、5-フルオロウラシル)、及び白金系化学療法剤(例えば、シスプラチンまたはカルボプラチン)による治療は、有害作用をもたらさない。いくつかの実施形態では、ポリペプチド、PD-1阻害剤(例えば、ペムブロリズマブ)、代謝拮抗剤(例えば、5-フルオロウラシル)、及び白金系化学療法剤(例えば、シスプラチンまたはカルボプラチン)による治療は、軽度の有害作用のみが生じる。
【0254】
抗TROP2抗体を含む組み合わせがん療法
いくつかの実施形態では、提供されるのは、個体(例えば、ヒト個体)におけるがんを治療する方法であって、本方法は、有効量の(a)CD47(例えば、hCD47)とSIRPα(例えば、hSIRPα)との間の相互作用を遮断する剤、及び(b)抗TROP2抗体を個体に投与することを含む。いくつかの実施形態では、抗TROP2抗体は、米国特許第10,179,171号に記載されているRS7であり、その内容は、その全体が本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態では、抗TROP2抗体は、薬物にコンジュゲートされる(すなわち、抗体-薬物コンジュゲートまたは「ADC」)。いくつかの実施形態では、抗TROP2 ADCは、サシツズマブゴビテカン(hRS7-SN38またはIMMU-132としても知られる)であり、これは、US2017/0281791に記載されており、その内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態では、剤は、SIRPα D1ドメインバリアント(例えば、本明細書に記載のSIRPα D1ドメインバリアント)及びFcドメインバリアント(例えば、本明細書に記載のFcドメインバリアント)を含むポリペプチド(例えば、融合ポリペプチド)である。いくつかの実施形態では、ポリペプチド(例えば、融合ポリペプチド)は、配列番号81または配列番号85のアミノ酸配列を含むSIRPα D1ドメインバリアントを含む。いくつかの実施形態では、Fcドメインバリアントは、(i)L234A、L235A、G237A、及びN297A突然変異を含むヒトIgG1 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う);(ii)A330S、P331S、及びN297A突然変異を含むヒトIgG2 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う);(iii)S228P、E233P、F234V、L235A、及びdelG236突然変異を含むヒトIgG4 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う);または(iv)S228P、E233P、F234V、L235A、delG236、及びN297A突然変異を含むヒトIgG4 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う)である。いくつかの実施形態では、個体に投与されるポリペプチド(例えば、融合ポリペプチド)は、配列番号136または配列番号135のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、ポリペプチド(例えば、融合ポリペプチド)は、ホモ二量体を形成する。いくつかの実施形態では、ポリペプチド(例えば、融合ポリペプチド)、及び抗TROP2抗体は、同時に、並行して、または順次投与される。いくつかの実施形態では、がんは、固形腫瘍、胃癌、鼻咽頭癌、胆嚢癌、子宮頸癌、節外性NK/T細胞リンパ腫、肺癌、喉頭扁平上皮癌、結腸癌、肝門部胆管癌、膵癌、口腔の扁平上皮癌、子宮内膜様子宮内膜癌、または卵巣癌である。いくつかの実施形態では、がんは、TROP2の過剰発現を特徴とする。いくつかの実施形態では、がんは、TROP2の過剰発現を特徴としない。
【0255】
標的細胞の食作用を増加させる方法
いくつかの実施形態では、提供されるのは、標的細胞(例えば、がん細胞)の食作用を増加させる方法であり、本方法は、標的細胞を(a)CD47(例えば、hCD47)とSIRPα(例えば、hSIRPα)との間の相互作用を遮断する剤、及び(b)抗TROP2抗体に接触させることを含む。いくつかの実施形態では、抗TROP2抗体は、米国特許第10,179,171号に記載されているRS7であり、その内容は、その全体が本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態では、抗TROP2抗体は、薬物にコンジュゲートされる(すなわち、抗体-薬物コンジュゲートまたは「ADC」)。いくつかの実施形態では、抗TROP2 ADCは、サシツズマブゴビテカン(hRS7-SN38またはIMMU-132としても知られる)であり、これは、US2017/0281791に記載されており、その内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態では、剤は、SIRPα D1ドメインバリアント(例えば、本明細書に記載のSIRPα D1ドメインバリアント)及びFcドメインバリアント(例えば、本明細書に記載のFcドメインバリアント)を含むポリペプチド(例えば、融合ポリペプチド)である。いくつかの実施形態では、ポリペプチド(例えば、融合ポリペプチド)は、配列番号81または配列番号85のアミノ酸配列を含むSIRPα D1ドメインバリアントを含む。いくつかの実施形態では、Fcドメインバリアントは、(i)L234A、L235A、G237A、及びN297A突然変異を含むヒトIgG1 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う);(ii)A330S、P331S、及びN297A突然変異を含むヒトIgG2 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う);(iii)S228P、E233P、F234V、L235A、及びdelG236突然変異を含むヒトIgG4 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う);または(iv)S228P、E233P、F234V、L235A、delG236、及びN297A突然変異を含むヒトIgG4 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う)である。いくつかの実施形態では、個体に投与されるポリペプチド(例えば、融合ポリペプチド)は、配列番号136または配列番号135のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、ポリペプチド(例えば、融合ポリペプチド)は、ホモ二量体を形成する。いくつかの実施形態では、標的細胞は、がん細胞である。いくつかの実施形態では、がん細胞は、固形腫瘍細胞、胃癌細胞、鼻咽頭癌細胞、胆嚢癌細胞、子宮頸癌細胞、節外性NK/T細胞リンパ腫細胞、肺癌細胞、喉頭扁平上皮癌細胞、結腸癌細胞、肝門部胆管癌細胞、膵癌細胞、口腔の扁平上皮癌細胞、子宮内膜様子宮内膜癌細胞、または卵巣癌細胞である。
【0256】
いくつかの実施形態では、標的細胞の食作用を増加させる方法が提供され、本方法は、標的細胞を(a)CD47(例えば、hCD47)とSIRPα(例えば、hSIRPα)との間の相互作用を遮断する剤、及び(b)食作用を増強することができる第2の剤と接触させることを含む。いくつかの実施形態では、CD47とSIRPαとの間の相互作用を遮断する剤は、SIRPα D1ドメインバリアント(例えば、本明細書に記載のSIRPα D1ドメインバリアント)及びFcドメインバリアント(例えば、本明細書に記載のFcドメインバリアント)を含むポリペプチド(例えば、融合ポリペプチド)である。いくつかの実施形態では、ポリペプチド(例えば、融合ポリペプチド)は、配列番号81または配列番号85のアミノ酸配列を含むSIRPα D1ドメインバリアントを含む。いくつかの実施形態では、Fcドメインバリアントは、(i)L234A、L235A、G237A、及びN297A突然変異を含むヒトIgG1 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う);(ii)A330S、P331S、及びN297A突然変異を含むヒトIgG2 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う);(iii)S228P、E233P、F234V、L235A、及びdelG236突然変異を含むヒトIgG4 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う);または(iv)S228P、E233P、F234V、L235A、delG236、及びN297A突然変異を含むヒトIgG4 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う)である。いくつかの実施形態では、個体に投与されるポリペプチド(例えば、融合ポリペプチド)は、配列番号136または配列番号135のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、ポリペプチド(例えば、融合ポリペプチド)は、ホモ二量体を形成する。いくつかの実施形態では、第2の剤は、例えば、「don’t eat me」シグナルを遮断することによって、食作用を増強する。例示的剤としては、これらに限定されないが、例えば、抗LILRB2抗体、抗LILRB1抗体、抗SIGLEC-10抗体、抗CD24抗体、抗SIRPα抗体、抗PD1抗体(例えば、抗PD1アンタゴニスト抗体)、及び抗PD-L1抗体(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)が挙げられる。いくつかの実施形態では、第2の剤は、例えば、「eat me」シグナルを増強することによって、食作用を増強する。例示的剤としては、これらに限定されないが、例えば、BTK活性化因子、TLRアゴニスト、Mac-1とSLAMF7との間の相互作用を促進する剤、カルレティキュリンとLRP1との間の相互作用を促進する剤が挙げられる。食作用を増強する追加の例示的な剤としては、これらに限定されないが、例えば、ポドソームの接着を調節する剤、ラミンAの発現レベルを調節する剤、SHP-1ホスファターゼ活性の活性化因子、及びミオシンIIaアセンブリの活性化因子が挙げられる。いくつかの実施形態では、この方法は、標的細胞を(a)SIRPα D1ドメインバリアント(例えば、本明細書に記載のSIRPα D1ドメインバリアント)及びFcドメインバリアント(例えば、本明細書に記載のFcドメインバリアント)を含むポリペプチド(例えば、融合ポリペプチド)ならびに(b)及び抗LILBR2抗体、抗CD24抗体、または抗SIGLEC-10抗体と接触させることを含む。いくつかの実施形態では、この方法は、標的細胞を(a)融合ポリペプチド及び(b)BTK活性化因子と接触させることを含む。いくつかの実施形態では、この方法は、標的細胞を(a)融合ポリペプチド及び(b)TLRアゴニストと接触させることを含む。
【0257】
いくつかの実施形態では、この方法は、標的細胞を(a)SIRPα D1ドメインバリアント(例えば、本明細書に記載のSIRPα D1ドメインバリアント)及びFcドメインバリアント(例えば、本明細書に記載のFcドメインバリアント)を含むポリペプチド(例えば、融合ポリペプチド)ならびに(b)食作用を増強することができる2つ以上の剤(例えば、これに限定されないが、本明細書に記載の2つ以上の剤など)と接触させることを含む。いくつかの実施形態では、この方法は、標的細胞を(a)SIRPα D1ドメインバリアント(例えば、本明細書に記載のSIRPα D1ドメインバリアント)及びFcドメインバリアント(例えば、本明細書に記載のFcドメインバリアント)を含むポリペプチド(例えば、融合ポリペプチド)、(b)及び抗LILBR2抗体、抗CD24抗体、または抗SIGLEC-10抗体、及び(c)抗PD1抗体(例えば、抗PD-1アンタゴニスト抗体)または抗PD-L1抗体(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)と接触させることを含む。いくつかの実施形態では、この方法は、標的細胞を(a)融合ポリペプチド、(b)抗LILBR2抗体、及び(c)抗PD1抗体(例えば、抗PD-1アンタゴニスト抗体)と接触させることを含む。いくつかの実施形態では、この方法は、標的細胞を(a)融合ポリペプチド、(b)抗LILBR2抗体、及び(c)抗PD-L1抗体(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)と接触させることを含む。
【0258】
いくつかの実施形態では、接触は、in vitroで行われる。いくつかの実施形態では、接触は、in vivoで行われる。いくつかの実施形態では、標的細胞は、がん細胞である。いくつかの実施形態では、標的細胞を、(a)SIRPα D1ドメインバリアント(例えば、本明細書に記載のSIRPα D1ドメインバリアント)及びFcドメインバリアント(例えば、本明細書に記載のFcドメインバリアント)を含むポリペプチド、ならびに(b)食作用を増強することができる1つ以上の剤と接触させることにより、食作用を増強することができる1つ以上の複数の剤と標的細胞を接触させることと(すなわち、SIRPα D1ドメインバリアント(例えば、本明細書に記載のSIRPα D1ドメインバリアント)及びFcドメインバリアント(例えば、本明細書に記載のFcドメインバリアント)を含むポリペプチドの非存在下で)比較して、標的細胞の食作用を少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、99%、または99%以上のうちの少なくともいずれか増加させる。
【0259】
キット及び製造品
本発明の別の実施形態では、SIRPα D1ドメインバリアント及びFcドメインバリアントを含むポリペプチド(例えば、本明細書に記載の融合ポリペプチド)を含む製造品またはキットが提供される。いくつかの実施形態では、SIRPα D1ドメインバリアントは、配列番号81及び配列番号85からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、Fcドメインバリアントは、(i)L234A、L235A、G237A、及びN297A突然変異を含むヒトIgG1 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う);(ii)A330S、P331S、及びN297A突然変異を含むヒトIgG2 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う);(iii)S228P、E233P、F234V、L235A、及びdelG236突然変異を含むヒトIgG4 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う);または(iv)S228P、E233P、F234V、L235A、delG236、及びN297A突然変異を含むヒトIgG4 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う)である。いくつかの実施形態では、Fcドメインバリアントは、配列番号91のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号135または配列番号136のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、キットまたは製造品は、本明細書で提供される治療方法に従って使用するためのものである。
【0260】
いくつかの実施形態では、キットまたは製造品は、BCL2阻害剤をさらに含む。いくつかの実施形態では、BCL2阻害剤は、ベネトクラクスである。いくつかの実施形態では、キットは、個体(ヒト個体)において、がん(例えば、白血病、これらに限定されないが、急性または慢性リンパ芽球性白血病、急性リンパ性白血病(ALL)、慢性リンパ性白血病(CLL)、小リンパ球性リンパ腫(SLL)、急性骨髄性白血病(AML)、骨髄異形成症候群(MDS)、慢性骨髄性白血病(CML)、有毛細胞白血病、慢性骨髄単球性白血病(CMML)、若年性骨髄単球性白血病(JMML)、大顆粒リンパ球性(LGL)白血病、芽球性形質細胞様樹状細胞新生物(BPDCN)、B細胞前リンパ球性白血病(B-PLL)、T細胞前リンパ球性白血病(T-PLL)、多発性骨髄腫(MM)、及び非ホジキンリンパ腫(びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)など)、バーキットリンパ腫、マントル細胞リンパ腫(MCL)、末梢T細胞リンパ腫(PTCL)、リンパ形質細胞性リンパ腫、ワルデンストレームマクログロブリン血症、辺縁帯リンパ腫(MZL)及び濾胞性リンパ腫(FL)などを治療するまたはその進行を遅延させるために、BCL2阻害剤(例えば、ベネトクラクス)と組み合わせて、ポリペプチド(例えば、融合ポリペプチド)を使用するための指示書を添付文書またはラベルに含む。
【0261】
いくつかの実施形態では、キットまたは製造品は、白金系化学療法剤をさらに含む。いくつかの実施形態では、白金系化学療法剤は、カルボプラチン、シスプラチン、オキサリプラチン、ネダプラチン、四硝酸トリプラチン、フェナントリプラチン、ピコプラチン、またはサトラプラチンである。いくつかの実施形態では、キットは、個体(ヒト個体など)において固形腫瘍(例えば、結腸癌(colon cancer)、結腸癌(colon carcinoma)、肺癌、頭頸部癌、食道癌、乳癌、膀胱癌、卵巣癌、子宮頸癌、精巣癌、子宮内膜癌、肝癌、胃癌、脳腫瘍、中皮腫、または神経芽細胞腫)を治療するまたはその進行を遅延させるために、白金系化学療法剤(例えば、シスプラチン)と組み合わせて、ポリペプチド(例えば、融合ポリペプチド)を使用するための指示書を含む添付文書またはラベルを含む。
【0262】
いくつかの実施形態では、キットまたは製造品は、抗HER2抗体(例えば、トラスツズマブ)、及びPD-L1阻害剤(例えば、アテゾリズマブ、アベルマブ、またはデュルバルマブなどの抗PD-L1抗体)をさらに含む。いくつかの実施形態では、本キットには、個体(ヒト個体など)において、癌(例えば、固形腫瘍)を治療するまたはその進行を遅延させるために、抗HER2抗体(例えば、トラスツズマブなど)、PD-L1阻害剤(例えば、アテゾリズマブ、アベルマブ、またはデュルバルマブ)と組み合わせて、ポリペプチド(例えば、融合ポリペプチド)を使用するための指示書を含む添付文書またはラベルが含まれている。いくつかの実施形態では、がん(例えば、固形腫瘍)は、結腸癌、肺癌、頭頸部癌、食道癌、乳癌、膀胱癌、卵巣癌、子宮頸癌、精巣癌、子宮内膜癌、肝癌、胃癌、胃食道接合部癌、脳腫瘍、中皮腫、または神経芽細胞腫である。いくつかの実施形態では、がん(例えば、固形腫瘍)は、HER2癌である。いくつかの実施形態では、がんは、結腸癌(例えば、HER2結腸癌)である。
【0263】
いくつかの実施形態では、キットまたは製造品は、抗HER2抗体(例えば、トラスツズマブ)、抗VEGFR2抗体(例えば、ラムシルマブ)、及びパクリタキセルをさらに含む。いくつかの実施形態では、キットは、例えば、本明細書に記載の方法により、個体(ヒト個体など)における胃癌または胃食道接合部(GEJ)癌を治療またはその進行を遅延させるために、抗HER2抗体(例えば、トラスツズマブ)、抗VEGFR2抗体(例えば、ラムシルマブ)、及びパクリタキセルと組み合わせて、ポリペプチド(例えば、融合ポリペプチド)を使用するための指示書を含む添付文書またはラベルが含まれている。
【0264】
いくつかの実施形態では、キットまたは製造品は、抗HER2抗体(例えば、トラスツズマブ)、PD-1阻害剤(例えば、ペムブロリズマブなどの抗PD-1抗体)、5-フルオロウラシル、及び白金系剤(例えば、シスプラチンまたはカルボプラチン)をさらに含む。いくつかの実施形態では、本キットには、個体(ヒト個体など)の胃癌または胃食道接合部(GEJ)癌を治療するまたはその進行を遅延させるために、抗HER2抗体(例えば、トラスツズマブ)、PD-1阻害剤(例えば、ペムブロリズマブ)、5-フルオロウラシル、及び白金系剤(例えば、シスプラチンまたはカルボプラチン)と組み合わせて、ポリペプチド(例えば、融合ポリペプチド)を使用するための指示書を含む添付文書またはラベルが含まれている。いくつかの実施形態では、キットまたは製造品は、抗HER2抗体(例えば、トラスツズマブ)、PD-1阻害剤(例えば、ペムブロリズマブなどの抗PD-1抗体)、カペシタビン、及び白金系剤(例えば、シスプラチンまたはカルボプラチン)をさらに含む。いくつかの実施形態では、本キットには、個体(ヒト個体など)の胃癌または胃食道接合部(GEJ)癌を治療するまたはその進行を遅延させるために、抗HER2抗体(例えば、トラスツズマブ)、PD-1阻害剤(例えば、ペムブロリズマブ)、カペシタビン、及び白金系剤(例えば、シスプラチンまたはカルボプラチン)と組み合わせて、ポリペプチド(例えば、融合ポリペプチド)を使用するための指示書を含む添付文書またはラベルが含まれている。
【0265】
いくつかの実施形態では、キットまたは製造品は、PD-1阻害剤(例えば、ペムブロリズマブ、ニボルマブ、ピジリズマブ、セミプリマブ、BMS936559などの抗PD-1抗体)、代謝拮抗剤(例えば、5-フルオロウラシル、6-メルカプトプリン、カペシタビン、シタラビン、フロクスウリジン、フルダラビン、ゲムシタビン、ヒドロキシカルバミド、メトトレキサート、ペメトレキセド、フォトトレキサート)及び白金系剤(例えば、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、ネダプラチン、四硝酸トリプラチン、フェナントリプラチン、ピコプラチン、またはサトラプラチン)をさらに含む。いくつかの実施形態では、キットには、例えば、本明細書で提供される方法に従って、個体(例えば、ヒト個体)における頭頸部癌(例えば、頭頸部扁平上皮癌)を治療するまたはその進行を遅延させるために、PD-1阻害剤(例えば、ペムブロリズマブ、ニボルマブ、ピジリズマブ、セミプリマブ、またはBMS936559)、代謝拮抗剤(例えば、5-フルオロウラシル、6-メルカプトプリン、カペシタビン、シタラビン、フロクスウリジン、フルダラビン、ゲムシタビン、ヒドロキシカルバミド、メトトレキサート、ペメトレキセド、フォトトレキサート)及び白金系剤(例えば、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、ネダプラチン、四硝酸トリプラチン、フェナントリプラチン、ピコプラチン、またはサトラプラチン)と組み合わせて、ポリペプチド(例えば、融合ポリペプチド)を使用するための指示書を含む添付文書またはラベルが含まれている。
【0266】
いくつかの実施形態では、キットまたは製造品は、治療用抗TROP2抗体をさらに含む。いくつかの実施形態では、抗TROP2抗体は、RS7(例えば、米国特許第10,179,171号を参照されたい)またはサシツズマブゴビテカンである。いくつかの実施形態では、本キットには、個体(ヒト個体など)において、TROP2癌(例えば、固形腫瘍、胃癌、鼻咽頭癌、胆嚢癌、子宮頸癌、節外性NK/T細胞リンパ腫、肺癌、喉頭扁平上皮癌、結腸癌、肝門部胆管癌、膵癌、口腔の扁平上皮癌、子宮内膜様子宮内膜癌、または卵巣癌)を治療するまたはその進行を遅延させるために、抗TROP2抗体(例えば、シスプラチン)と組み合わせて、ポリペプチド(例えば、融合ポリペプチド)を使用するための指示書を含む添付文書またはラベルが含まれている。
【0267】
いくつかの実施形態では、ポリペプチド(例えば、融合ポリペプチド)及び1つ以上の追加の抗がん剤(例えば、上記の実施形態において概説されるような)は、キット中に一緒に提供される。いくつかの実施形態では、ポリペプチド(例えば、融合ポリペプチド)及び1つ以上の追加の抗がん剤は、同じ容器または別々の容器中で提供される。好適な容器としては、例えば、ボトル、バイアル、袋、及びシリンジが挙げられる。容器は、様々な材料、例えば、ガラス、プラスチック(ポリ塩化ビニルもしくはポリオレフィンなど)、または合金(ステンレス鋼もしくはハステロイなど)から形成され得る。いくつかの実施形態では、容器は、製剤を保持し、容器上のラベルまたは容器に関連するラベルは、使用上の指示を示し得る。製造品またはキットは、他の緩衝液、希釈剤、フィルター、針、シリンジ、及び使用上の指示を有する添付文書を含む商業的視点及び使用者の視点から望ましい他の材料をさらに含み得る。いくつかの実施形態では、製造品は、別の剤(例えば、化学療法剤及び抗腫瘍剤、治療用抗体など)のうちの1つ以上をさらに含む。1つ以上の剤に好適な容器としては、例えば、ボトル、バイアル、袋、及びシリンジが挙げられる。
【0268】
本明細書は、当業者が本発明を実践することを可能にするのに十分なものであるとみなされる。本明細書に示され、かつ記載される修正に加えて、本発明の様々な修正が前述の記述から当業者に明らかになり、添付の特許請求の範囲内に含まれる。本明細書に引用されるすべての出版物、特許、及び特許出願は、その全体があらゆる目的のために参照により本明細書に援用される。
【実施例
【0269】
本開示は、以下の実施例を参照することにより、より完全に理解されるであろう。しかしながら、実施例は、本開示の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。本明細書に記載される実施例及び実施形態は例示のみを目的とするものであり、それを考慮した様々な修正または変更が当業者に示唆され、それらは本出願の趣旨及び範囲内に、ならびに添付の特許請求の範囲内に含まれることが理解される。
【0270】
実施例1A:急性白血病モデルにおけるベネトクラクスと組み合わせた薬物Aの抗腫瘍活性。
本実施例では、RS4;11異種移植モデルにおいて、薬物A、すなわち、SIRPα d1ドメインバリアント及びFcバリアントを含む例示的なポリペプチドをベネトクラクスと組み合わせて、抗腫瘍活性を評価した。
【0271】
材料及び方法
RS4;11異種移植モデル
RS4;11細胞(Stong et al.(1985)Blood.65(1):21-31に記載)を、マトリゲル(Corning)対RPMI 1640比1:1を用いて、5×10細胞/マウスの濃度で、NOD-SCID雌マウスの右脇腹に注射した。すべての腫瘍の平均サイズが190mmに達するまで、腫瘍をモニターした。マウスをPBS対照、ベネトクラクス(Selleckchem)、薬物A、及びベネトクラクス/薬物Aの組み合わせコホートに無作為化し、コホートあたり10匹のマウスを使用した。ベネトクラクスの製剤は、DMSO:エタノール:クレモホールEL:デキストロース含有水5%(D5W)の比であり、体積比2.5:5:10:20:67.5とした。ベネトクラクス治療マウスに、250μgのベネトクラクスを3日間隔で合計2回強制経口投与した。薬物A治療マウスには、10mg/kgで、3~4日間隔で合計4回、IP投与した。ベネトクラクス/薬物A治療マウスに、250μgのベネトクラクスを、3日間隔で合計2回強制経口投与し、ベネトクラクス投与の1日後に、薬物A10mg/kgを、3~4日間隔で合計4回投与した。腫瘍は、キャリパーを使用して2次元で測定し、腫瘍体積は、長さ×幅×幅×0.5として計算した:長さは2つの測定値の大きい方であった。
【0272】
結果
単剤ベネトクラクスは、腫瘍の成長を阻害したが(図1Aを参照)、単剤薬物Aでは、腫瘍の成長に対して、感知可能な効果を有さなかった。ベネトクラクスと薬物Aとの組み合わせは、ベネトクラクス単独よりも腫瘍の成長を大幅に阻害した(図1Aを参照)。41日目に、ベネトクラクスのみで治療されたマウス10匹中1匹は腫瘍がなかった(「TF」)が、ベネトクラクス/薬物Aの組み合わせで治療されたマウスの10匹中6匹は、TFであった(図1A)。
【0273】
次に、ベネトクラクス治療マウス(n=10)を2つの群(n=5/群)に分け、(a)45日目に単剤ベネトクラクスで再治療するか、または(b)ベネトクラクスと(45日目に投与)薬物A(46日目に投与)とを組み合わせて治療した。図1Bに示すとおり、以前ベネトクラクスを投与されたマウスでは、薬物Aと組み合わせたベネトクラクスによる治療は、ベネトクラクス単独による再治療よりも腫瘍の成長が大幅に抑制された。ベネトクラクスにより再治療されたマウスの65日目の平均腫瘍体積は、約1685mmであったが、組み合わせで治療されたマウスの65日目の平均腫瘍体積は約970mmであった。単剤ベネトクラクスにより治療したときに腫瘍退縮を示したマウスは、45日目に単剤ベネトクラクスの投与を受けた。特に、このマウスでは腫瘍の再成長が観察された。
【0274】
実施例1B:In vitroモデルにおけるマクロファージによる食作用に対するベネトクラクスと組み合わせた薬物Aの効果
この実施例では、マクロファージによるHL60及びOCIAML3ヒト急性骨髄性白血病細胞の食作用に対する薬物A単独、ベネトクラクス単独、及びベネトクラクスと組み合わせた薬物Aの効果を in vitroアッセイで評価した。
【0275】
材料及び方法
食作用のためのヒト単球由来マクロファージの誘導及び培養
CD14単球は、Classical Monocyte Isolation Kit、ヒト(Miltenyi Biotec)及びLSカラム(Miltenyi Biotec)を製造業者のプロトコルに従って使用して、負の選択によって精製した。CD14単球を、150mm組織培養皿(Corning)に、50ng/mL M-CSF(Miltenyi Biotec)、10%ヒトFBS血清(Thermo Fisher Scientific)、1%ペニシリン/ストレプトマイシン、及び1%GlutaMAXを添加したRPMI完全培地から構成された25mL培地中1皿あたり600万細胞で播種した。細胞は、7~11日間培養した。
【0276】
In vitro食作用アッセイ
HL60及びOCI-AML3細胞をPBSで1回洗浄し、製造業者の指示に従って、300 nM CFSE(カルボキシフルオレセインスクシンイミジルエステル)を含む懸濁液中でCelltrace CFSE Cell Proliferationキット(Thermo Fisher Scientific)で標識し、RPMI完全培地に再懸濁させた。標的細胞を、RPMI完全培地で39nM~2.5μMのベネトクラクスの2倍段階希釈液と共に一晩インキュベートした。マクロファージとのインキュベーション前に、細胞をRPMIに再懸濁させた。PBSで1回洗浄し、TrypLE Selectで37℃で20分間インキュベートすることにより、マクロファージを培養プレートから分離させた。細胞をセルスクレーパー(Corning)で取り出し、PBSで洗浄し、RPMIに再懸濁した。
【0277】
ベネトクラクスで48時間処置したCFSE標識標的細胞を回転させ、超低付着U型底96ウェルプレート(Corning)に、ウェルあたり100,000細胞で添加した。次に、薬物Aを添加した。プレートを5%二酸化炭素を含む加湿インキュベーター内で37℃で30分間インキュベートし、次いで、50,000個のマクロファージを添加した。プレートは、5%二酸化炭素を含む加湿インキュベーター内で37℃で2時間インキュベートした。細胞を400×gで5分間遠心分離してペレット化し、PBSで1:4000に希釈したFixable Viability Dye eFluor 780(ebioscience)により4℃で30分間染色した。細胞をFACS緩衝液(0.5%BSAを含むPBS)で洗浄し、ヒトFcRブロッキング試薬(Miltenyi Biotec)、BV421抗CD33(Biolegend)、APC抗CD14(Biolegend)及びPE-Cyanine7抗CD11b(Invitrogen)を含むFACS緩衝液中で4℃で45分間染色した。細胞をFACS緩衝液で2回洗浄し、PBSで希釈した0.5%パラホルムアルデヒドで4℃で一晩固定させた。細胞をFACS Canto II(BD Biosciences)で分析し、その後Flowjo 10.6.1(Becton Dickinson & Company)でデータ分析を行った。死細胞は、e780陰性集団をゲーティングすることによって除外した。マクロファージは、系統マーカーCD33、CD11b、及びCD14に対して陽性である細胞と同定した。この集団のうち、腫瘍細胞を貪食したマクロファージは、CFSE陽性の細胞として同定した。
【0278】
結果
簡潔に説明すると、HL60細胞及びOCI-AML3細胞(すなわち、「標的細胞」)をCFSE(カルボキシフルオレセインスクシンイミジルエステル)で標識し、ベネトクラクスで48時間処置した。次に、標的細胞を回転させ、ウェルあたり100,000細胞で96ウェルプレートのウェルに加えた。次に、薬物Aを添加した。未処置対照標的細胞、ならびにベネトクラクスのみまたは薬物Aのみで処置された対照標的細胞を並行して調製した。マクロファージをウェルに加え、プレートを37℃で2時間インキュベートした。マクロファージ細胞をペレット化し、染色し、フローサイトメトリーにより分析した。死細胞は、e780陰性集団をゲーティングすることによって除外した。マクロファージは、系統マーカーCD33、CD11b、及びCD14に対して陽性である細胞と同定した。この集団のうち、腫瘍細胞を貪食したマクロファージは、CFSE陽性の細胞として同定した。
【0279】
図5Aに示すとおり、単剤としてのベネトクラクスは、HL60細胞のマクロファージ媒介性食作用を刺激したが、単剤としての薬物Aは、食作用に対する効果はほとんどを有さなかった。(薬物Aで処置した細胞を未処置の細胞と比較する)。20nMの薬物A及び125nMのベネトクラクスの組み合わせは、薬物A単独またはベネトクラクス単独のいずれかよりも高い程度まで、マクロファージによるHL60細胞の食作用を刺激した。20nMの薬物A及び1μMのベネトクラクスを使用して、同様の結果が、OCI-AML3細胞中で観察された。図5Bを参照されたい。
【0280】
実施例2:結腸癌モデルにおけるシスプラチンと組み合わせた薬物Aの抗腫瘍活性。
この実施例では、シスプラチンと組み合わせた薬物Aの抗腫瘍活性を、CT26同系マウス結腸癌モデルで評価した。例えば、Mosely et al.(2016)“Rational Selection of Syngeneic Preclinical Tumor Models for Immunotherapeutic Drug Discovery”Cancer Immunol Res.5(1):29-41を参照されたい。
【0281】
材料及び方法
CT26同系モデル
CT26細胞(Wang et al.(1995)J.Immunol.154:4685-4692を参照)を、RPMI 1640でマウスあたり5×10細胞の濃度で、BALB/c雌マウスの右脇腹に注射した。すべての腫瘍の平均サイズが65~70mmに達するまで、腫瘍をモニターした。マウスをPBS対照、シスプラチン(Selleckchem)、薬物A、及びシスプラチン/薬物Aの組み合わせコホートに無作為化し、コホートあたり=5~10匹のマウスを使用した。薬物Aは、用量30mg/kg(「mpk」)で2回腹腔内(IP)投与した。2回の30mpk用量を10日間隔で与えた。シスプラチンは、2つのレジメン:用量10mpkで1回または用量5mpkで2回のいずれかに従ってIP投与した。シスプラチン5mpk用量を2回10日間隔で与えた。シスプラチン及び薬物の両方を投与されたマウスには、上記のレジメンのうちの1つに従ってシスプラチン(IP)を投与し、上記のとおり薬物Aを投与した。組み合わせ治療を受けたマウスには、シスプラチンの1日後に薬物Aを投与した。腫瘍は、キャリパーを使用して2次元で測定し、腫瘍体積は、長さ×幅×幅×0.5として計算した:長さは2つの測定値の大きい方である。
【0282】
結果
図2Aに示すとおり、20日目に、単剤シスプラチン(それぞれが10日間隔で与えられる2回の5mpk用量)で処置されたマウスでの腫瘍成長は幾分阻害されたが、薬物Aでは、腫瘍の成長に対して、感知可能な効果を有さなかった。シスプラチンと薬物Aとを組み合わせた治療は、いずれかの薬物単独よりも高い程度まで、マウスでのCT26腫瘍の成長を遅延させた。さらに、図2Bに示すとおり、薬物Aと組み合わせたシスプラチンで処置されたマウスは、シスプラチン単独を投与されたマウスよりも治療の過程においてより多くの体重が増加した。さらに、PBS対照、シスプラチン、及び薬物A処置群のそれぞれでは、マウスの10%のみが腫瘍体積<500mmを有することが判明したが、シスプラチン+薬物A治療群では、マウスの33%が、腫瘍体積が<500mmを有していた。
【0283】
同様の結果が、単独で、または薬物Aと組み合わせて、シスプラチンの単回10mpk用量で処置された群において観察された。シスプラチンと薬物Aとの組み合わせによる処置は、いずれかの薬物A単独よりも高い程度まで、マウスでのCT26腫瘍の成長を遅延させた。図2Cを参照されたい。シスプラチン単独または薬物Aと組み合わせて治療したマウスは、同様の体重変化を示した(*p<0.0106及び**p<0.0021、シスプラチンと薬物A+シスプラチン処置群との間でそれぞれ24日目及び27日目に両側t検定を実施した)。図2Dを参照されたい。
【0284】
実施例3:抗TROP2抗体と組み合わせた薬物Aの食作用活性
DLD-1細胞を20mlのPBSで2回洗浄し、10mlのTRYPLE(商標)Select(Gibco)細胞解離酵素で37℃で10分間インキュベートして、細胞を培養プレートから剥離させた。次に、剥離した細胞を遠心分離し、PBSで洗浄し、培地に再懸濁した。細胞は、CELLTRACE(商標)CFSE Cell Proliferation kit(Thermo Fisher)に付属の蛍光標識で製造業者の指示に従って標識し、IMDM(イスコフ改変ダルベッコ培地)に再懸濁した。マクロファージは、20mlのPBSで2回洗浄し、10 mlのTRYPLE(商標)Select(Gibco)細胞解離酵素で37℃で20分間インキュベートすることにより、培養プレートから剥離させた。細胞をセルスクレーパー(Corning)で取り出し、PBSで洗浄し、IMDMに再懸濁した。
【0285】
食作用アッセイは、100,000 DLD-1、50,000マクロファージ、100nM~6.4pMの薬物Aまたは陰性対照抗体の5倍段階希釈液、及び抗TROP2抗体0.01μg/mlを含む超低付着U型底96ウェルプレート(Corning)で組み立てた。プレートは、5%二酸化炭素を含む加湿インキュベーター内で37℃で2時間インキュベートした。次に、細胞を400×gで5分間遠心分離してペレット化し、250μlのFACS緩衝液で洗浄した。マクロファージを、10μlのヒトFcRブロッキング試薬(Miltenyi Biotec)、BV421標識(Biolegend)に結合させた0.5μlの抗CD33 Ab、及びアロフィコシアニン-Cy7標識(Biolegend)に結合させた0.5μlの抗CD206を含む50μlのFACS緩衝液で15分間氷上で染色した。次に、細胞を200μlのFACS緩衝液で洗浄し、250μlのPBSで洗浄し、氷上で30分間、PBSで1:1000に希釈した50μlのFixable Viability Dye EFLUOR(商標)506(ebioscience)生存率色素で染色した。次に、細胞を250μlのFACS緩衝液で2回洗浄し、0.5%パラホルムアルデヒドで一晩固定させた。固定された細胞は、FACS CANTO II(商標)(BD Biosciences)蛍光活性化セルソーティング分析装置で分析し、その後、FlowJo 10.7(Treestar)フローサイトメトリーソフトウェアによりデータ分析を行った。死細胞は、e506陰性集団をゲーティングすることによって除外した。腫瘍細胞を貪食したマクロファージは、CD33、CD206、及びCFSE(すなわち、カルボキシフルオレセインスクシンイミジルエステル)に陽性の細胞として同定した。
【0286】
抗Trop2と組み合わせた薬物Aの存在下でのヒト単球由来マクロファージによるCFSE標識DLD-1腫瘍細胞の食作用の増強。図3には、CFSE標識腫瘍細胞を貪食したマクロファージのパーセントがy軸に示されている。マクロファージは、示された濃度の薬物A及び10ng/mLの抗TROP2抗体と共にインキュベートした。細胞はまた、10ng/mLの抗TROP2抗体のみ、陰性対照のヒトIgG抗体と抗TROP2抗体との組み合わせ、及び培地のみでインキュベートした。ヒト単球由来マクロファージによるCFSE標識DLD-1腫瘍細胞の食作用が、抗TROP2抗体と組み合わせた薬物Aの存在下で、増強された。図3を参照されたい。
【0287】
実施例4:結腸癌モデルにおけるトラスツズマブ及び抗PD1抗体と組み合わせた薬物Aの抗腫瘍活性。
MC38m/h HER2細胞は、MC38マウス結腸癌細胞にマウス及びヒトのHER2膜貫通ドメイン及び細胞外ドメインのキメラをコードするレンチウイルスベクターを感染させることによって生成した。MC38m/h HER2細胞は、10%FBS、1%ペニシリン-ストレプトマイシン、1%GlutaMAX、及び1mMピルビン酸ナトリウム(Thermo Fisher Scientific 11360070)を添加したDMEM(Thermo Fisher Scientific 11965092)で、37℃、5%CO2インキュベーターで維持した。すべての組織培養は、無菌条件下で実施した。
【0288】
移植前に、各細胞株のマスターセルバンクを生成して、後続の実験で使用される細胞が、同じ継代数であることを確認した。細胞を回収し、50mLの冷PBSで2回洗浄した(Life Technologies 10010072)。最終洗浄後、MC38m/h HER2細胞株の場合、細胞を5×10細胞/mLでPBSまたはRPMIに再懸濁した。MC38m/h HER2の場合、100μLの細胞懸濁液をC57BL/6マウスの右脇腹に皮下注射した。MC38m/h HER2腫瘍の腫瘍サイズが平均65~69mmに達したとき、動物を10匹のマウスからなる8つの群に無作為化した。各群は、表Aに概説している治療群に割り当てた:
【表13】
【0289】
Mitutoyo Digital Caliper(Mitutoyo America,Aurora,Illinois)を使用した腫瘍体積(mm)及び体重を、週に2回または3回記録した。腫瘍体積が2000mmを超えるか、体重が20%減少したマウスは、IACUCガイドラインに従って安楽死させた。腫瘍体積が、計算される([長さ×{幅×幅}]×0.5=体積(mm))。統計分析及びp値は、GraphPad Prismソフトウェアを使用して計算した。
【0290】
ヒトHER2の細胞外ドメインとマウスHER2の細胞内ドメインを有するキメラm/h HER2をMC38結腸細胞上に発現させ、MC38マウス腫瘍に対するトラスツズマブの活性を評価できるようにした。図5に示すとおり、トラスツズマブによる単剤療法は、腫瘍の成長に対する効果を有さなかったが、薬物A単剤療法及び抗PD-L1抗体単剤療法は、それぞれ腫瘍の成長に中程度の効果を有した。薬物A+抗PD-L1抗体ダブレットまたはトラスツズマブ+抗PD-L1抗体ダブレットによる治療は、単剤療法のみと比較して、改善された腫瘍成長阻害を示した。薬物A+抗PD-L1+トラスツズマブトリプルの組み合わせによる治療は、各ダブレットと比較した場合、腫瘍阻害の改善を示した。薬物A+抗PD-L1抗体ダブレットまたはトラスツズマブ+抗PD-L1抗体ダブレットと比較して、トリプルの組み合わせの腫瘍成長の減少における効果は、19日目及び22日目(最終投与後3~6日)に最も明白であった。26日目までに、トリプルの組み合わせは、薬物A+抗PD-L1抗体ダブレットまたはトラスツズマブ+抗PD-L1抗体ダブレットと比較して、腫瘍成長の減少において最小限良好であった。MC38m/hHER2結腸腫瘍モデル内の治療コホートのいずれにおいても、有害作用はいずれも観察されなかった。
【0291】
実施例5A:ヒト患者における薬物A組み合わせ療法の抗腫瘍活性を評価するための例示的な臨床試験
胃または胃食道接合部(GEJ)腺癌
トラスツズマブ及びフルオロピリミジン含有化学療法(例えば、フルオロウラシル)による以前の治療中または治療後;トラスツズマブ及び白金含有化学療法による以前の治療中または治療後;または、トラスツズマブ、フルオロピリミジン含有化学療法(例えば、フルオロウラシル)、及び白金含有化学療法剤による以前の治療中または治療後に進行したHER2過剰発現の進行性または転移性胃癌またはGEJ腺癌患者を対象に、薬物A、トラスツズマブ、ラムシルマブ、及びパクリタキセルの組み合わせの安全性、忍容性、及び有効性を評価するために臨床試験が実施される。試験に登録された患者は、トラスツズマブによる治療にとって好適である。患者は、抗CD47剤または抗SIRPα剤による以前の治療を受けていない。
【0292】
臨床試験は、胃またはGEJ腺癌(例えば、HER2過剰発現胃またはGEJ腺癌)の患者を対象に、薬物A、ペムブロリズマブ、シスプラチン、及び5-フルオロウラシルまたはカペシタビンの組み合わせの安全性、忍容性、及び有効性を評価するために実施する。本試験に登録した患者は、抗CD47剤または抗SIRPα剤による以前の治療を受けていない。患者は適切な臓器機能を有しており、ヘモグロビンは、9g/dL以上である。
【0293】
頭頸部扁平上皮癌(HNSCC)
臨床試験は、進行した疾患に対する治療を受けていない、転移性または切除不能な再発性HNSCCの患者を対象に、薬物A、ペムブロリズマブ、5-フルオロウラシル、及びカルボプラチンまたはシスプラチンのいずれかの組み合わせの安全性、忍容性、及び有効性を評価するために実施される。
【0294】
実施例5B:実施例5Aに記載された例示的臨床試験からの予備的安全性結果
未治療の進行性頭頸部扁平上皮癌の1名の患者は、薬物A(10mg/kg IV QW)、ペムブロリズマブ(200mg IV Q3W)、5-フルオロウラシル(1,000mg/m/日、1日目、2日目、3日目、4日目、Q3W×6)、及びカルボプラチン(AUC=5mg/ml/分、1日目、Q3W×6)による治療を受けた。(拡大試験では、シスプラチン(100mg/m、Q3W×6)またはカルボプラチン(AUC=5mg/ml/分、1日目、Q3W×6)は、薬物A、ペムブロリズマブ、及びフルオロウラシルと組み合わせて投与される。カルボプラチンを投与された患者は、拡大試験の期間中、継続してカルボプラチンが投与される。シスプラチンを投与された患者は、拡大試験の期間中、継続してシスプラチンが投与される)。トラスツズマブ、フルオロウラシル、及び白金剤による以前の治療(複数可)で進行したHER2陽性の胃/胃食道癌の3名の患者が、薬物A(10mg/kg IV QW)、トラスツズマブ(初回投与量8mg/kg IV、その後6mg/kg Q3W)、ラムシルマブ(8mg/kg、1日目及び15日目、Q4W)、及びパクリタキセル(80mg/m2、1日目、8日目及び15日目、Q4W)による治療を受けた。トラスツズマブ、フルオロウラシル、及び白金剤による以前の治療(複数可)で進行したHER2陽性の胃/胃食道癌のさらなる3名の患者が、薬物A(15mg/kg IV QW)、トラスツズマブ(初回投与量8mg/kg IV、その後6mg/kg Q3W)、ラムシルマブ(8mg/kg、1日目及び15日目、Q4W)、及びパクリタキセル(80mg/m2、1日目、8日目及び15日目、Q4W)による治療を受けた。
【0295】
初期の結果は、上記の組み合わせレジメンで用量10mg/kgまたは15mg/kg QWを投与した場合、薬物Aは、これまでの用量制限毒性なく、十分に許容されることを示唆している。薬物A+トラスツズマブ+ラムシルマブ+パクリタキセルを投与された3名の患者(50%)が治療関連の有害事象(TRAE)を経験し、薬物A+ペムブロリズマブ+フルオロウラシル+カルボプラチンを投与された患者は、経験しなかった(0%)。薬物A+ペムブロリズマブ+フルオロウラシル+カルボプラチンまたは薬物A+トラスツズマブ+ラムシルマブ+パクリタキセルを投与された患者では、用量制限毒性はなかった。また、以下の3つのコホートの2名以上の患者で発生した治療関連の有害事象(TRAE)はなかった。
薬物A(10mg/kg QW)+ペムブロリズマブ+フルオロウラシル+カルボプラチン(N=1)
薬物A(10mg/kg QW)+トラスツズマブ+ラムシルマブ+パクリタキセル(N=3)
薬物A(15mg/kg QW)+トラスツズマブ+ラムシルマブ+パクリタキセル(N=3)
【0296】
最後に、薬物A+ペムブロリズマブ+フルオロウラシル+カルボプラチンまたは薬物A+トラスツズマブ+ラムシルマブ+パクリタキセルで治療された患者において報告された、グレード3以上の治療関連有害事象(TRAE≧グレード3)はなかった。
【0297】
実施例5C:実施例5Aに記載された例示的臨床試験からの予備的有効性結果
実施例5Bに記載された投与量及び投与スケジュールで薬物A、ペムブロリズマブ、5-フルオロウラシル、及び白金剤による治療を受けた未治療の進行性頭頸部扁平上皮癌の患者は、RECISTv1.1基準を用いた治験担当医師が評価した応答に基づいて、部分奏効(PR)を達成した。
【0298】
薬物A(10mg/kg QW)、トラスツズマブ、ラムシルマブ、及びパクリタキセルによる治療を受けたHER2陽性胃/胃食道癌の3名の患者(実施例5Bを参照)のうち、2名は依然として評価できなかった。1名の患者は、RECISTv1.1基準を使用して治験担当医師が評価した応答に基づいて、PRを達成した。
【0299】
薬物A(15mg/kg QW)、トラスツズマブ、ラムシルマブ、及びパクリタキセルによる治療を受けたHER2陽性胃/胃食道癌の3名の患者(実施例5Bを参照)のうち、2名は依然として評価できなかった。1名の患者は、RECISTv1.1基準を使用して治験担当医師が評価した応答に基づいて、PRを達成した。低率の血球減少症が観察された。
【0300】
ペムブロリズマブ、5-フルオロウラシル、及び白金剤と組み合わせた薬物A(すなわち、HNSCCの以前の治療を受けていない進行HNSCC患者の最初の治療として)は、進行1L HNSCCの治療において臨床活性を示した。トラスツズマブ、ラムシルマブ、及びパクリタキセルと組み合わせた薬物Aは、進行した2Lを超える胃/胃食道癌の治療において(すなわち、胃癌またはGEJ癌に対して少なくとも1回の以前の治療を受けた患者の治療として)臨床活性を示した。
【0301】
薬力学分析の結果は、化学療法を含むレジメンと組み合わせた場合、ほぼ完全なCD47標的占有率(受容体占有率としても知られる)が薬物A投与間隔全体にわたって維持されることを示した。
【0302】
実施例5D:実施例5Aに記載された例示的臨床試験からの追加の結果
CD47は、抗がん免疫応答を回避するために、腫瘍によってアップレギュレートされる骨髄性チェックポイントである。薬物Aは、抗がん治療薬を安全に強化するように設計された、不活性なFc領域を有する例示的な高親和性CD47ブロッキング融合タンパク質である(Kauder et al.(2018)PLoS ONE.13(8): e0201832;Chow et al.(2020)Journal of Clinical Oncology.38:15_suppl,3056-3056)。標準的化学療法及び抗体レジメンと組み合わせた薬物Aは、進行性HER2陽性胃癌(GC)または頭頸部扁平上皮癌(HNSCC)の患者で評価した。
【0303】
方法
以前に治療を受けた進行性HER2陽性GCの患者は、2次またはそれ以降の治療として、トラスツズマブ(T)+ラムシルマブ(ram)+パクリタキセル(pac)と組み合わせて、薬物A(A)10mg/kg QWまたは15mg/kg QWを受けた。GC患者は、以前のフルオロピリミジン療法(またはフルオロピリミジン含有療法)中またはその後に進行していた。トラスツズマブ及び/または白金系化学療法剤による以前の治療中または治療後に進行したGC患者を含めた。未治療の進行性HNSCCの患者は、一次治療として、薬物A(A)10mg/kg QWまたは15mg/kg QWをペムブロリズマブ(P)+5FU+白金(シスプラチンまたはカルボプラチン)と組み合わせて投与した。主要評価項目は、用量制限毒性(DLT)であった。腫瘍応答、薬物動態(PK)、及び薬力学的(PD)マーカーをすべての患者で評価した。
【0304】
結果
55名の患者が本試験に登録した。患者のベースライン特徴を表Bに示す。
【表14】
【0305】
2L以上のGCを有する1名の患者がA+T+ram+pacを受け、安全性を評価した。用量制限毒性(DLT)は報告されておらず、薬物Aの最大投与量は15mg/kg QWであった。何らかの有害事象を経験した9名の患者のうち、8名の患者が治療関連有害事象(TRAE)を報告した。最も一般的なTRAEは、軽度の下痢、倦怠感、そう痒症/蕁麻疹、及び発疹であった(それぞれn=21%)。グレード3以上の重症度のTRAEは、低頻度であった。A+T+ram+pacで治療されたGC患者において報告された治療関連SAEはなかった。15mg/kg qwの薬物A+トラスツズマブ+ラムシルマブ+パクリタキセルを投与された11名のGC患者のうち、7名が部分奏効、3名が安定した疾患、1名が進行性疾患を示した。10mg/kg qwの薬物A+トラスツズマブ+ラムシルマブ+パクリタキセルを投与された3名の患者のうち、2名が部分奏効、1名が安定した疾患を示した。
【0306】
上記のとおり、以前に未治療であったHNSCCの3名の患者に、A+P+5FU+白金を投与した。DLTは、報告されなかった。3名の患者が、何らかの有害事象(AE)を経験したが、いずれも、治療関連ではなかった。15mg/kg qwの薬物A+ペムブロリズマブ+5-フルオロウラシル+白金系化学療法剤を投与されたHNSCC患者は、CPI未経験であり、部分奏効を示した。10mg/kg qwの薬物A+ペムブロリズマブ+5-フルオロウラシル+白金系化学療法剤を投与された3名の患者は、すべてCPI未経験であった。1名の患者は完全奏効を示し、1名の患者は部分奏効を示し、1名は進行性疾患を示した。
【0307】
応答評価可能な患者における薬物A化学療法の組み合わせの臨床活性は、以下の表Cにまとめる。
【表15】
【0308】
初期薬物Aの組み合わせPK及びCD47標的占有率は、単剤投与のものと類似している。化学療法を含むレジメンと組み合わせたときに、ほぼ完全な(80%~100%)CD47標的占有率が薬物Aの投与間隔全体で維持される。循環免疫細胞プロファイル(CD4T細胞、CD8T細胞、CD19B細胞、及びCD16CD56NK細胞)は、化学療法を含むレジメンと組み合わせた薬物Aの後でも、通常変化しない。ペムブロリズマブまたはトラスツズマブとの組み合わせ療法後の薬物AのPKは、化学療法を含んでも含まなくても同等である。
【0309】
結論
予備データは、薬物Aは、十分に忍容性があり、最大耐量に達することなく試験が行われた抗がん抗体+多剤化学療法レジメンと安全に組み合わせることができることを示している。組み合わせた薬物Aの最大投与量は、15mg/kg QWであった。
【0310】
薬物Aは、トラスツズマブ及びラムシルマブ+パクリタキセルと組み合わせて2L以上のHER2陽性GCの患者で64%の初期ORRを示し、これは、以前のトラスツズマブを含むレジメン時に疾患が進行した患者でのラムシルマブ+パクリタキセルの臨床経験に匹敵する。
【0311】
薬物Aは、進行したHNSCCに対して以前の治療を受けていない患者では、ペムブロリズマブ+5FU+白金と組み合わせた完全及び部分的な客観的応答を含む初期の抗がん活性を示す。
【0312】
予備的な薬物動態及び薬力学的分析では、CD47受容体が完全に占有されている薬物A曝露レベルに対して、組み合わせパートナーの影響はないことが示されている。
【0313】
実施例6:SIRPαバリアント及びFcバリアントを含む融合ポリペプチドのさらなる特性評価
以前の研究(Liu et al.(2015)Nature Medicine.21(1):1;Soto-Pantoja et al.(2014)Cancer Research.74(23):6771-83;及びTseng D et al.(2013)Proc Natl Acad Sci USA.110(27):11103-11108に記載)では、樹状細胞(DC)及びT細胞が、抗腫瘍応答に重要な役割を果たすことが示されている。DC活性化に対する薬物A、薬物B、または薬物Cの投与の効果をマウスモデルで評価した。薬物Aは、hCD47に約140pMのKで結合するSIRPαバリアントを含む融合ポリペプチドである。薬物AのSIRPαバリアントのC末端は、エフェクター機能が除去されたFcバリアントのN末端に融合する。薬物Bは、薬物AのSIRPαバリアントを含む融合ポリペプチドであり、そのC末端がWT Fc(すなわち、薬物AのFcバリアントが由来しているWT Fc)のN末端に融合している。薬物Cは、約3nMのKでhCD47と結合するSIRPαバリアントを含む融合ポリペプチドであり、そのC末端は薬物AのFcバリアントのN末端に融合している。
【0314】
簡潔に説明すると、C57BL6マウスを無作為に4つの群(n=3/群)に分け、3mg/kg(または「mpk」)の薬物A、薬物B、または薬物C、またはビヒクル(PBS)を投与した。静脈内注射の3.5時間後、脾臓を採取し、樹状細胞の活性化を示す、細胞表面マーカーであるCD86のアップレギュレーションを分析した。図6A図6B図7A、及び図7Bに示されるとおり、CD8及びCD8樹状細胞は、薬物Aを投与されたマウスの脾臓中で活性化した。薬物Cを投与されたマウスの脾臓中のCD8樹状細胞活性化(図6A)及びCD8樹状細胞活性化(図6B)のレベルは、PBS対照を投与されたマウスと同じであった。図7A及び図7Bに示されるとおり、CD8及びCD8樹状細胞は、薬物Bを投与されたマウスの脾臓中で活性化したが、これは、薬物Aを投与されたマウスの脾臓中でのCD8及びCD8樹状細胞よりも少ない程度であった。これらのデータは、約10nMよりも良好なhCD47に対する親和性を有するCD47結合部分(例えば、SIRPαバリアント)及び/またはエフェクター機能が除去されたFcバリアントを含む治療剤の投与が、10nMよりも高いCD47(例えば、hCD47)に対する親和性を有するCD47結合部分(例えば、SIRPαバリアント)及び/またはWT Fcドメインを含む治療剤を投与した場合よりも、高いCD8及びCD8のDC活性化をもたらすことを示している。さらに、CD47に結合し、エフェクター機能が除去されたFcドメインを含む治療剤(例えば、本明細書に記載の融合ポリペプチド)では、CD47に結合し、WT Fcドメインを含む治療剤と比較して、投与後に改善された安全性が示される。例えば、Kauder et al.(2018)PLoS ONE 13(8):e0201832を参照されたい。
【0315】
In vitro受容体占有率アッセイは、薬物A、F59/マグロリマブ、TTI-621、及びTTI-622のhCD47への結合を評価するために実施した。本明細書で論じられるとおり、薬物Aは、約140pMのKでhCD47に結合するSIRPαバリアントを含む融合ポリペプチドであり、そのC末端は、除去されたエフェクター機能を有するFcバリアントのN末端に融合している。F59/マグロリマブは、WTエフェクター機能を備えたヒトIgG4 Fcドメインを含む治療用抗CD47抗体である。TTI-621は、WTエフェクター機能を有するヒトIgG1 Fcドメインに結合したヒトSIRPαのCD47結合ドメインを含む治療用融合ポリペプチドである。TTI-622は、WTエフェクター機能を有するヒトIgG4 Fcドメインに結合したヒトSIRPαのCD47結合ドメインを含む治療用融合ポリペプチドである。hCD47に対する薬物A、F59/マグロリマブ、TTI-621、及びTTI-622の親和性を以下の表Dに示す。
【表16】
【0316】
図8Aに示すとおり、薬物Aは、濃度約1nMで約100%の受容体占有率を示した。F59/マグロリマブは、濃度約1nMで約90%の受容体占有率を示した。剤2及び3は、濃度約1μMで約40%の受容体占有率を示した。
【0317】
検証済みのSIRPαシグナル伝達アッセイ(PathHunter SIRPαシグナル伝達バイオアッセイ(DiscoverX))を使用して、薬物A、F59/マグロリマブ、TTI-621、及びTTI-622が、hSIRPαとhCD47との間の相互作用を阻害する程度を評価した。hCD47に関する薬物A、F59/マグロリマブ、TTI-621、及びTTI-622のEC50値を以下の表Eに示す。
【表17】
【0318】
図8Bに示すとおり、1nMの濃度で、薬物Aは、SIRPαシグナル伝達を完全に阻害した。F59/マグロリマブは、1nMの濃度で、SIRPαシグナル伝達を約80%阻害した。対照的に、TTI-621及びTTI-622は、1nMの濃度で、SIRPαシグナル伝達を阻害したのは約10%未満であった。
【0319】
前述の実施例は、例示目的のためのみに提供されており、決して、本発明の範囲を限定するようには意図されていない。本明細書に示され、かつ記載される修正に加えて、本発明の様々な修正が前述の記述から当業者に明らかになり、添付の特許請求の範囲内に含まれる。
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図2D
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
【配列表】
2023503943000001.app
【国際調査報告】