(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-01
(54)【発明の名称】フロアの高さの推定およびモバイルデバイスの較正
(51)【国際特許分類】
G01C 5/06 20060101AFI20230125BHJP
G01C 15/00 20060101ALI20230125BHJP
【FI】
G01C5/06
G01C15/00 102C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022530241
(86)(22)【出願日】2020-11-24
(85)【翻訳文提出日】2022-07-19
(86)【国際出願番号】 IB2020061098
(87)【国際公開番号】W WO2021105883
(87)【国際公開日】2021-06-03
(32)【優先日】2019-11-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513114825
【氏名又は名称】ネクストナヴ,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100109634
【氏名又は名称】舛谷 威志
(74)【代理人】
【識別番号】100129263
【氏名又は名称】中尾 洋之
(72)【発明者】
【氏名】ナガラジャン,バドリナート
(72)【発明者】
【氏名】ラグパジィ,アルン
(72)【発明者】
【氏名】ドーモディ,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ハン,ガイユエン
(57)【要約】
方法および機器は、モバイルデバイスが、異なる時間に第1の領域と第2の領域とにあることを検出するステップと、モバイルデバイスおよび基準センサから圧力データを収集して、第1の領域および第2の領域内のモバイルデバイスの高度を推定するステップと、第1の領域および第2の領域に関連する地形高度を収集するステップと、推定された高度間の差と地形高度間の差とを使用してフロアの高さを求めるステップとを備える。推定されたフロアの高さは、モバイルデバイスの圧力センサを較正するために使用してもよい。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フロアの高さを推定する方法であって、
モバイルデバイスが第1の領域にあることを検出するステップと、
前記モバイルデバイスが前記第1の領域にあるときに前記モバイルデバイスが測定したモバイルデバイス圧力データを収集するステップと、
前記モバイルデバイスが前記第1の領域にあるときの基準圧力データを収集するステップと、
前記モバイルデバイスが、建物のフロアの少なくとも一部である第2の領域にあることを検出するステップと、
前記モバイルデバイスが前記第2領域にあるときに前記モバイルデバイスが測定したモバイルデバイス圧力データを収集するステップと、
前記モバイルデバイスが前記第2の領域にあるときの基準圧力データを収集するステップと、
1つまたは複数のプロセッサを使用し、前記モバイルデバイスが前記第1の領域にあることが検出されたときの前記モバイルデバイス圧力データおよび前記基準圧力データを用いて、前記モバイルデバイスの第1の推定高度を求めるステップと、
1つまたは複数のプロセッサを使用し、前記モバイルデバイスが前記第2の領域にあることが検出されたときの前記モバイルデバイス圧力データおよび前記基準圧力データを用いて、前記モバイルデバイスの第2の推定高度を求めるステップと、
1つまたは複数のプロセッサを使用し、前記モバイルデバイスの前記第2の推定高度と前記モバイルデバイスの前記第1の推定高度との間の推定高度の差を求めるステップと、
前記第1の領域に関連する第1の地形高度を求めるステップと、
前記第2の領域に関連する第2の地形高度を求めるステップと、
1つまたは複数のプロセッサを使用し、前記第2の領域に関連する前記第2の地形高度と前記第1の領域に関連する前記第1の地形高度との間の地形高度の差を求めるステップと、
1つまたは複数のプロセッサを使用し、前記推定高度の差と前記地形高度の差とを用いて、前記第2の領域にあるときに前記モバイルデバイスが位置した前記建物内の前記フロアの高さを求めるステップであって、前記フロアの高さは、前記推定高度の差と前記地形高度の差との間の差に基づくものであるステップと
を備える方法。
【請求項2】
前記フロアの高さを用い、前記建物の前記フロア上にあるときの前記モバイルデバイスの推定高度と、前記建物の前記フロア上にあるときの前記モバイルデバイスの真の高度との間の高度の差を求めるステップと、
前記高度の差を用い、前記モバイルデバイスの圧力センサの較正値を求めるステップと
を備える、請求項0に記載の方法。
【請求項3】
求められた前記フロアの高さを用い、前記建物の前記フロア上にあるときの前記モバイルデバイスの推定高度と、前記建物の前記フロア上にあるときの前記モバイルデバイスの真の高度との間の高度の差を求めるステップは、
前記第2の推定高度から、前記第2の地形高度および前記フロアの高さを減じるステップと、
前記第2の推定高度から、前記第2の地形高度および前記フロアの高さを減じた結果を、前記高度の差として使用するステップとを備える、
請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記高度の差を用い、前記モバイルデバイスの前記圧力センサの前記較正値を求めるステップは、
(i)前記モバイルデバイスからの圧力の測定値、または前記モバイルデバイスが前記第2の領域にある間に取得した圧力の測定値の組み合わせを、空気の気体定数と温度値との積で除算し、(ii)当該除算の結果に、前記高度の差および重力による加速度の量を乗算することによって、前記圧力センサの前記較正値を求めるステップを備える、
請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記モバイルデバイスが前記第1の領域にあるときに前記モバイルデバイスが測定したモバイルデバイス圧力データを収集するステップは、第1の日に圧力の少なくとも1つの測定値を求めるステップを備え、
前記モバイルデバイスが前記第2の領域にあるときに前記モバイルデバイスが測定したモバイルデバイス圧力データを収集するステップは、前記第1の日に圧力の少なくとも1つの測定値を求めるステップを備える、
請求項0に記載の方法。
【請求項6】
前記モバイルデバイスが前記第1の領域にあるときに前記モバイルデバイスが測定したモバイルデバイス圧力データを収集するステップは、複数の日に圧力の測定値の第1のセットを収集するステップを備え、複数の日に収集された圧力の測定値の前記第1のセットは、前記第1の推定高度を求めるために使用され、
前記モバイルデバイスが前記第2の領域にあるときに前記モバイルデバイスが測定したモバイルデバイス圧力データを収集するステップは、複数の日に圧力の測定値の第2のセットを収集するステップを備え、複数の日に収集された圧力の測定値の前記第2のセットは、前記第2の推定高度を求めるために使用される、
請求項0に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の領域に関連する前記第1の地形高度は、前記第1の領域の高度であり、前記第2の領域に関連する前記第2の地形高度は、前記第2の領域の下の地面レベルの地形の高度であって、前記第1の領域は、屋外にある、請求項0に記載の方法。
【請求項8】
1つまたは複数の機器によって実行されると、当該1つまたは複数の機器にフロアの高さを推定する方法を実行させるプログラム命令を収録する1つまたは複数の非一時的機械可読媒体であって、前記方法は、
モバイルデバイスが第1の領域にあることを検出するステップと、
前記モバイルデバイスが前記第1の領域にあるときに前記モバイルデバイスが測定したモバイルデバイス圧力データを収集するステップと、
前記モバイルデバイスが前記第1の領域にあるときに1つまたは複数の基準圧力センサによって求められる基準圧力データを収集するステップと、
前記モバイルデバイスが、建物のフロアの少なくとも一部である第2の領域にあることを検出するステップと、
前記モバイルデバイスが前記第2領域にあるときに前記モバイルデバイスが測定したモバイルデバイス圧力データを収集するステップと、
前記モバイルデバイスが前記第2の領域にあるときに1つまたは複数の基準圧力センサによって求められる基準圧力データを収集するステップと、
1つまたは複数のプロセッサを使用し、前記モバイルデバイスが前記第1の領域にあることが検出されたときの前記モバイルデバイス圧力データおよび前記基準圧力データを用いて、前記モバイルデバイスの第1の推定高度を求めるステップと、
1つまたは複数のプロセッサを使用し、前記モバイルデバイスが前記第2の領域にあることが検出されたときの前記モバイルデバイス圧力データおよび前記基準圧力データを用いて、前記モバイルデバイスの第2の推定高度を求めるステップと、
1つまたは複数のプロセッサを使用し、前記モバイルデバイスの前記第2の推定高度と前記モバイルデバイスの前記第1の推定高度との間の推定高度の差を求めるステップと、
前記第1の領域に関連する第1の地形高度を求めるステップと、
前記第2の領域に関連する第2の地形高度を求めるステップと、
1つまたは複数のプロセッサを使用し、前記第2の領域に関連する前記第2の地形高度と前記第1の領域に関連する前記第1の地形高度との間の地形高度の差を求めるステップと、
1つまたは複数のプロセッサを使用し、前記推定高度の差と前記地形高度の差とを用いて、前記第2の領域にあるときに前記モバイルデバイスが位置した前記建物内の前記フロアの高さを求めるステップであって、前記フロアの高さは、前記推定高度の差と前記地形高度の差との間の差に基づくものであるステップとを備える、
非一時的機械可読媒体。
【請求項9】
前記方法は、
前記フロアの高さを用い、前記建物の前記フロア上にあるときの前記モバイルデバイスの推定高度と、前記建物の前記フロア上にあるときの前記モバイルデバイスの真の高度との間の高度の差を求めるステップと、
前記高度の差を用い、前記モバイルデバイスの圧力センサの較正値を求めるステップとを備える、
請求項8に記載の非一時的機械可読媒体。
【請求項10】
求められた前記フロアの高さを用い、前記建物の前記フロア上にあるときの前記モバイルデバイスの推定高度と、前記建物の前記フロア上にあるときの前記モバイルデバイスの真の高度との間の高度の差を求めるステップは、
前記第2の推定高度から、前記第2の地形高度および前記フロアの高さを減じるステップと、
前記第2の推定高度から、前記第2の地形高度および前記フロアの高さを減じた結果を、前記高度の差として使用するステップとを備える、
請求項9に記載の非一時的機械可読媒体。
【請求項11】
前記高度の差を用いて、前記モバイルデバイスの前記圧力センサの前記較正値を求めるステップは、
(i)前記モバイルデバイスからの圧力の測定値、または前記モバイルデバイスが前記第2の領域にある間に取得した圧力の測定値の組み合わせを、空気の気体定数と温度値との積で除算し、(ii)当該除算の結果に、前記高度の差および重力による加速度の量を乗算することによって、前記圧力センサの前記較正値を求めるステップを備える、
請求項9に記載の非一時的機械可読媒体。
【請求項12】
前記モバイルデバイスが前記第1の領域にあるときに前記モバイルデバイスが測定したモバイルデバイス圧力データを収集するステップは、第1の日に圧力の少なくとも1つの測定値を求めるステップを備え、
前記モバイルデバイスが前記第2の領域にあるときに前記モバイルデバイスが測定したモバイルデバイス圧力データを収集するステップは、前記第1の日に圧力の少なくとも1つの測定値を求めるステップを備える、
請求項8に記載の非一時的機械可読媒体。
【請求項13】
前記モバイルデバイスが前記第1の領域にあるときに前記モバイルデバイスが測定したモバイルデバイス圧力データを収集するステップは、複数の日に圧力の測定値の第1のセットを収集するステップを備え、複数の日に収集された圧力の測定値の前記第1のセットは、前記第1の推定高度を求めるために使用され、
前記モバイルデバイスが前記第2の領域にあるときに前記モバイルデバイスが測定したモバイルデバイス圧力データを収集するステップは、複数の日に圧力の測定値の第2のセットを収集するステップを備え、複数の日に収集された圧力の測定値の前記第2のセットは、前記第2の推定高度を求めるために使用される、
請求項8に記載の非一時的機械可読媒体。
【請求項14】
前記第1の領域に関連する前記第1の地形高度は、前記第1の領域の高度であり、前記第2の領域に関連する前記第2の地形高度は、前記第2の領域の下の地面レベルの地形の高度であって、前記第1の領域は、屋外にある、請求項8に記載の非一時的機械可読媒体。
【請求項15】
フロアの高さを推定するシステムであって、
圧力センサと、
前記圧力センサと組み合わされ、方法を実行するように構成された1つまたは複数の機器とを備え、
前記方法は、
モバイルデバイスが第1の領域にあることを検出するステップと、
前記モバイルデバイスが前記第1の領域にあるときに前記モバイルデバイスが測定したモバイルデバイス圧力データを収集するステップと、
前記モバイルデバイスが前記第1の領域にあるときに1つまたは複数の基準圧力センサによって求められる基準圧力データを収集するステップと、
前記モバイルデバイスが、建物のフロアの少なくとも一部である第2の領域にあることを検出するステップと、
前記モバイルデバイスが前記第2領域にあるときに前記モバイルデバイスが測定したモバイルデバイス圧力データを収集するステップと、
前記モバイルデバイスが前記第2の領域にあるときに1つまたは複数の基準圧力センサによって求められる基準圧力データを収集するステップと、
1つまたは複数のプロセッサを使用し、前記モバイルデバイスが前記第1の領域にあることが検出されたときの前記モバイルデバイス圧力データおよび前記基準圧力データを用いて、前記モバイルデバイスの第1の推定高度を求めるステップと、
1つまたは複数のプロセッサを使用し、前記モバイルデバイスが前記第2の領域にあることが検出されたときの前記モバイルデバイス圧力データおよび前記基準圧力データを用いて、前記モバイルデバイスの第2の推定高度を求めるステップと、
1つまたは複数のプロセッサを使用し、前記モバイルデバイスの前記第2の推定高度と前記モバイルデバイスの前記第1の推定高度との間の推定高度の差を求めるステップと、
前記第1の領域に関連する第1の地形高度を求めるステップと、
前記第2の領域に関連する第2の地形高度を求めるステップと、
1つまたは複数のプロセッサを使用し、前記第2の領域に関連する前記第2の地形高度と前記第1の領域に関連する前記第1の地形高度との間の地形高度の差を求めるステップと、
1つまたは複数のプロセッサを使用し、前記推定高度の差と前記地形高度の差とを用いて、前記第2の領域にあるときに前記モバイルデバイスが位置した前記建物内の前記フロアの高さを求めるステップであって、前記フロアの高さは、前記推定高度の差と前記地形高度の差との間の差に基づくものであるステップとを備える、
システム。
【請求項16】
前記方法は、
前記フロアの高さを用い、前記建物の前記フロア上にあるときの前記モバイルデバイスの推定高度と、前記建物の前記フロア上にあるときの前記モバイルデバイスの真の高度との間の高度の差を求めるステップと、
前記高度の差を用い、前記モバイルデバイスの圧力センサの較正値を求めるステップとを備える、
請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
求められた前記フロアの高さを用い、前記建物の前記フロア上にあるときの前記モバイルデバイスの推定高度と、前記建物の前記フロア上にあるときの前記モバイルデバイスの真の高度との間の高度の差を求めるステップは、
前記第2の推定高度から、前記第2の地形高度および前記フロアの高さを減じるステップと、
前記第2の推定高度から、前記第2の地形高度および前記フロアの高さを減じた結果を、前記高度の差として使用するステップとを備える、
請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記高度の差を用いて、前記モバイルデバイスの前記圧力センサの前記較正値を求めるステップは、
(i)前記モバイルデバイスからの圧力の測定値、または前記モバイルデバイスが前記第2の領域にある間に取得した圧力の測定値の組み合わせを、空気の気体定数と温度値との積で除算し、(ii)当該除算の結果に、前記高度の差および重力による加速度の量を乗算することによって、前記圧力センサの前記較正値を求めるステップを備える、
請求項16に記載のシステム。
【請求項19】
前記モバイルデバイスが前記第1の領域にあるときに前記モバイルデバイスが測定したモバイルデバイス圧力データを収集するステップは、複数の日に圧力の測定値の第1のセットを収集するステップを備え、複数の日に収集された圧力の測定値の前記第1のセットは、前記第1の推定高度を求めるために使用され、
前記モバイルデバイスが前記第2の領域にあるときに前記モバイルデバイスが測定したモバイルデバイス圧力データを収集するステップは、複数の日に圧力の測定値の第2のセットを収集するステップを備え、複数の日に収集された圧力の測定値の前記第2のセットは、前記第2の推定高度を求めるために使用される、
請求項15に記載のシステム。
【請求項20】
前記第1の領域に関連する前記第1の地形高度は、前記第1の領域の高度であり、前記第2の領域に関連する前記第2の地形高度は、前記第2の領域の下の地面レベルの地形の高度であって、前記第1の領域は、屋外にある、請求項15に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本出願は、「フロアの高さの推定およびモバイルデバイスの較正」の名称で2019年11月27日に出願された米国特許仮出願第62/940,934号による優先権を主張するものであり、その全ては、全ての目的のために、参照により全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
環境内のモバイルデバイス(例えば、ユーザによって操作されるスマートフォン)の正確な位置を特定することは、特に、モバイルデバイスが都市環境内にあるか、または建物内にある場合、非常に困難なものとなる場合がある。モバイルデバイスの高度の不正確な推定は、例えば、緊急隊員が、建物の複数の階でモバイルデバイスのユーザを探すときに、当該緊急隊員の対応時間を遅らせる可能性があるため、モバイルデバイスのユーザにとって生死に関わる結果をもたらす場合がある。それほど緊急ではない状況では、不正確な高度推定によって、ユーザが環境内の間違った区域に誘導される可能性がある。
【0003】
モバイルデバイスの高度の推定には、様々なアプローチが存在する。気圧式の測位システムでは、較正済基準圧力センサのネットワークからの大気圧測定値(複数可)およびネットワークまたは他のソースからの周囲温度の測定値と共に、モバイルデバイスの較正済圧力センサからの圧力の測定値を使用して高度を求めることができる。モバイルデバイスの高度の推定値(h
mobile)は、モバイルデバイス、サーバ、または必要な情報を受信する別の機器によって、次のように求めることができる。
式中、P
mobileは、モバイルデバイスの圧力センサによる、モバイルデバイスの位置における圧力の推定値、P
sensorは、真の圧力から許容圧力以内(例えば、5Pa未満)で正確な、基準圧力センサの位置における圧力の推定値、T
remoteは、基準圧力センサの位置、またはそれとは別の遠隔温度センサの位置における温度の推定値(例えば、ケルビン単位)、h
sensorは、望ましい高度誤差内(例えば、1.0メートル未満)で推定される基準圧力センサの推定高度、gは、重力による加速度(例えば、-9.8m/s
2)に相当し、Rは気体定数、Mは空気(例えば、乾燥空気など)のモル質量である。当業者であれば理解するように、式1の代替となる態様では、マイナス記号(-)をプラス記号(+)で置き換えることができる(例えば、:g=9.8m/s
2)。基準圧力センサの位置における圧力の推定値は、基準圧力センサの緯度および経度における圧力の推定値である一方、基準圧力センサの高度とは異なる可能性が高い基準高度での圧力の推定値を特定するものであるということから、基準圧力センサに対応する推定基準高度圧力に変換することができる。基準高度圧力は、以下のように求めることができる。
式中、P
sensorは、基準圧力センサの位置における圧力の推定値、P
refは、基準高度圧力推定値、h
refは基準高度である。モバイルデバイスの高度h
mobileは、式1を用いて求めることが可能であり、ここでは、h
sensorにh
refを代入し、P
sensorにP
refを代入する。基準高度h
refは、任意の高度とすることが可能であり、多くの場合、平均海面(MSL)に設定される。2つ以上の基準高度圧力推定値を使用可能な場合、それらの基準高度圧力推定値は、組み合わされて単一の基準高度圧力推定値とされ(例えば、平均、加重平均、またはそれ以外の適切な基準圧力の組み合わせを使用)、この単一の基準高度圧力推定値が、基準高度圧力推定値P
refとして使用される。
【0004】
モバイルデバイスの圧力センサは、一般的に安価であり、時間の経過と共にドリフトし易い。その結果、圧力センサは、頻繁に較正する必要がある(例えば、毎時、毎日、毎週、毎月、またはそれ以外の期間毎)。圧力センサを較正するための一般的なアプローチでは、較正の調整量(C)を決定するが、これが、圧力センサによる圧力の測定(Pmobile)に適用されると、真の高度から許容距離範囲内の推定高度(hmobile)が得られる。
【0005】
モバイルデバイス内の圧力センサを較正するための1つのアプローチは、地上検証データとして地形の高さを使用することによるものである。これは、地形上における屋外での電話データの収集を必要とする。このようなデータ収集は、ユーザの行動(例えば、屋外よりも屋内で多くの時間を過ごす)、年齢、状況(例えば、移動中、静止中、歩行中、運転中)、および傾斜地形か水平地形か(例えば、水平地形上での収集が好ましい場合)に依存する。モバイルデバイスのユーザは、多くの場合、ほとんどの時間を屋内、主に自身の職場(例えば、オフィスビル)か自宅で、2つの場所の間での通勤を伴って過ごすことになる。較正の品質に影響する要因の1つは、較正値を推定するために使用されるデータ点の数である。ユーザが、ほとんどの時間を、屋内のオフィス、自宅、または、それ以外で、高度の異なるフロアを有するか、もしくは高度が不明のフロアを有する可能性がある場所で過ごす場合、ユーザが屋外にいる間に利用可能なデータの量は限られており、そのような数の限られたデータのみの使用は、低品質の較正結果をもたらす可能性がある。較正の品質は、屋内で収集したデータを利用する方法があれば改善することが可能である。フロアの高さに関する情報が利用可能であれば、建物内の1階または複数階にいる間にモバイルデバイスの圧力センサによって収集された気圧データを使用することができる。残念ながら、フロアの高さのデータは制限される可能性があり、これにより、モバイルデバイスが屋内にある間に収集された圧力データを使用するモバイルデバイスの較正が不可能となる。フロアの高さは、気象条件による圧力変化を無視可能(例えば、閾値変化量未満の気象による圧力変化)な短い期間にわたってモバイルデバイスにより測定された、2つ以上のフロアの間の圧力差を使用して推定される場合があるが、この短い期間は、屋内の場所から較正用の品質データを得る機会が限られていることを示している。
【発明の概要】
【0006】
いくつかの態様において、フロアの高さを推定する方法は、モバイルデバイスが第1の領域にあることを検出するステップを備える。モバイルデバイスが第1の領域にあるときに当該モバイルデバイスが測定したモバイルデバイス圧力データを収集する。モバイルデバイスが第1の領域にあるときの基準圧力データを収集する。本方法は、モバイルデバイスが、建物のフロアの少なくとも一部である第2の領域にあることを検出するステップを更に備える。モバイルデバイスが第2の領域にあるときに当該モバイルデバイスが測定したモバイルデバイス圧力データを収集する。モバイルデバイスが第2の領域にあるときの基準圧力データを収集する。1つまたは複数のプロセッサを使用し、モバイルデバイスが第1の領域にあることが検出されたときのモバイルデバイス圧力データおよび基準圧力データを用いて、モバイルデバイスの第1の推定高度を求める。1つまたは複数のプロセッサを使用し、モバイルデバイスが第2の領域内にあることが検出されたときのモバイルデバイス圧力データおよび基準圧力データを用いて、モバイルデバイスの第2の推定高度を求める。1つまたは複数のプロセッサを使用し、モバイルデバイスの第2の推定高度とモバイルデバイスの第1の推定高度との間の推定高度の差を求める。第1の領域に関連する第1の地形高度を求める。第2の領域に関連する第2の地形高度を求める。1つまたは複数のプロセッサを使用し、第2の領域に関連する第2の地形高度と第1の領域に関連する第1の地形高度との間の地形高度の差を求める。1つまたは複数のプロセッサを使用し、推定高度の差および地形高度の差を用いて、第2の領域にあるときにモバイルデバイスが位置した建物内のフロアの高さを求める。フロアの高さは、推定高度の差と地形高度の差との間の差に基づくものである。
【0007】
いくつかの実施形態では、1つまたは複数の機器によって実行されると、当該1つまたは複数の機器に、モバイルデバイスが第1の領域にあることを検出するステップを備えたフロアの高さを推定する方法を実行させるプログラム命令を、1つまたは複数の非一時的機械可読媒体が収録する。モバイルデバイスが第1の領域にあるときに当該モバイルデバイスが測定したモバイルデバイス圧力データを収集する。モバイルデバイスが第1の領域にあるときに1つまたは複数の基準圧力センサによって求められる基準圧力データを収集する。この方法は、モバイルデバイスが、建物のフロアの少なくとも一部である第2の領域にあることを検出するステップを更に備える。モバイルデバイスが第2領域にあるときに当該モバイルデバイスが測定したモバイルデバイス圧力データを収集する。モバイルデバイスが第2の領域にあるときに1つまたは複数の基準圧力センサによって求められる基準圧力データを収集する。1つまたは複数のプロセッサを使用し、モバイルデバイスが第1の領域にあることが検出されたときのモバイルデバイス圧力データおよび基準圧力データを用いて、モバイルデバイスの第1の推定高度を求める。1つまたは複数のプロセッサを使用し、モバイルデバイスが第2の領域にあることが検出されたときのモバイルデバイス圧力データおよび基準圧力データを用いて、モバイルデバイスの第2の推定高度を求める。1つまたは複数のプロセッサを使用し、モバイルデバイスの第2の推定高度とモバイルデバイスの第1の推定高度との間の推定高度の差を求める。第1の領域に関連する第1の地形高度を求める。第2の領域に関連する第2の地形高度を求める。1つまたは複数のプロセッサを使用し、第2の領域に関連する第2の地形高度と第1の領域に関連する第1の地形高度との間の地形高度の差を求める。1つまたは複数のプロセッサを使用し、推定高度の差と地形高度の差とを用いて、第2の領域にあるときにモバイルデバイスが位置した建物内のフロアの高さを求め、フロアの高さは、推定高度の差と地形高度の差との間の差に基づくものである。
【0008】
いくつかの実施形態において、フロアの高さを推定するシステムは、圧力センサと、当該圧力センサと組み合わされ、モバイルデバイスが第1の領域内にあることを検出するステップを備えた方法を実行するように構成された1つまたは複数の機器とを備える。モバイルデバイスが第1の領域にあるときに当該モバイルデバイスが測定したモバイルデバイス圧力データを収集する。モバイルデバイスが第1の領域にあるときに1つまたは複数の基準圧力センサによって求められる基準圧力データを収集する。この方法は、モバイルデバイスが、建物のフロアの少なくとも一部である第2の領域にあることを検出するステップを更に備える。モバイルデバイスが第2領域にあるときに当該モバイルデバイスが測定したモバイルデバイス圧力データを収集する。モバイルデバイスが第2の領域にあるときに1つまたは複数の基準圧力センサによって求められる基準圧力データを収集する。1つまたは複数のプロセッサを使用し、モバイルデバイスが第1の領域にあることが検出されたときのモバイルデバイス圧力データおよび基準圧力データを用いて、モバイルデバイスの第1の推定高度を求める。1つまたは複数のプロセッサを使用し、モバイルデバイスが第2の領域にあることが検出されたときのモバイルデバイス圧力データおよび基準圧力データを用いて、モバイルデバイスの第2の推定高度を求める。1つまたは複数のプロセッサを使用し、モバイルデバイスの第2の推定高度とモバイルデバイスの第1の推定高度との間の推定高度の差を求める。第1の領域に関連する第1の地形高度を求める。第2の領域に関連する第2の地形高度を求める。1つまたは複数のプロセッサを使用し、第2の領域に関連する第2の地形高度と第1の領域に関連する第1の地形高度との間の地形高度の差を求める。1つまたは複数のプロセッサを使用し、推定高度の差と地形高度の差とを用いて、第2の領域にあるときにモバイルデバイスが位置した建物内のフロアの高さを求め、フロアの高さは、推定高度の差と地形高度の差との間の差に基づくものである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】いくつかの実施形態による、フロアの高さの推定を用いた、モバイルデバイスの較正のためのシステムおよび方法が動作し得る動作環境を示す図である。
【0010】
【
図2】いくつかの実施形態による、モバイルデバイスからの圧力測定値の較正に使用し得る、建物内のフロアの高さを推定する手順を示す図である。
【0011】
【
図3】いくつかの実施形態による、モバイルデバイスからの圧力測定値の較正に使用し得る、建物内のフロアの高さを推定する手順の一例を示す図である。
【0012】
【
図4】いくつかの実施形態による、モバイルデバイスからの圧力測定値の較正に使用し得る、建物内のフロアの高さを推定する手順の別の一例を示す図である。
【0013】
【
図5】いくつかの実施形態による、トランスミッタ、モバイルデバイス、およびサーバの構成要素を示す図である。
【発明の詳細な説明】
【0014】
モバイルデバイスの圧力センサの較正に使用するために、建物(例えば、高層ビルまたはそれ以外のタイプの建物)のフロアの高さを推定する新しいアプローチが本明細書に開示され、そのようなアプローチにより、短期間または長期間でフロアの高さを推定することが可能となる。まず、
図1に示す動作環境100に着目すると、当該動作環境100において、建物内のフロアの高さを推定するシステムおよび方法を動作させてもよい(例えば、モバイルデバイスの圧力センサの較正に使用するために)。
図1に示すように、環境100は、地上のトランスミッタ110のネットワークと、少なくとも1つのモバイルデバイス120と、サーバ130とを含む。トランスミッタ110およびモバイルデバイス120の各々は、様々な自然のまたは人工の構造物(例えば、建物)190の屋内または屋外で、様々な高度または深度に位置することができる。測位信号113および測位信号153は、トランスミッタ110および衛星150からそれぞれ送信され、その後、既知の伝送技術を使用してモバイルデバイス120によって受信される。例えば、トランスミッタ110は、当業者に公知であるか、または本明細書で開示するように、タイムスロット、擬似ランダムシーケンス、周波数オフセット、またはそれ以外の手法を利用する1つまたは複数の一般的な多重化パラメータを使用して、信号113を送信してもよい。モバイルデバイス120は、モバイルフォンなどのワイヤレス通信デバイス、ポータブルコンピュータ、ナビゲーションデバイス、追跡デバイス、レシーバ、またはそれ以外で信号113および/または信号153を受信可能な適切なデバイスを含む、様々な形態をとることができる。トランスミッタ110、モバイルデバイス120、およびサーバ130内の可能な構成要素の例は、
図5に示されている。特に、それぞれのトランスミッタ110およびモバイルデバイス120は、モバイルデバイス120の未知の高度を推定するために使用される大気状態(例えば、圧力および温度)の測定値を生成するための大気センサ(例えば、圧力センサおよび温度センサ)を備えていてもよい。モバイルデバイス120の圧力センサは、時間の経過と共にドリフトするため、較正を必要とする。圧力センサの圧力測定値を較正するためのアプローチについては、後述する。1つのアプローチは、モバイルデバイス120があった、またはモバイルデバイス120がある建物190内のフロアの高さを推定し、その後、この高さを用い、モバイルデバイス120の圧力センサを較正することを含む。このようなアプローチについて、
図2を参照し、以下に説明する。フロアの高さを求めるための手順は、必ずしも、モバイルデバイス120の圧力センサの較正に関連して実行される必要はない。一実施形態では、フロアの高さを求める手順が、単にフロアの高さを求めるために実行される。別の実施形態では、フロアの高さを決定するためのプロセスが、地面からのモバイルデバイス120の高さを求めるために、またはモバイルデバイス120の高度を(例えば、地面の高度に高さを加算することによって)求めるために実行される。
[建物内のフロアの高さの推定(例えば、モバイルデバイスの圧力センサの較正に使用するため)]
【0015】
モバイルデバイスの較正に適した条件の例は、「モバイルデバイスの圧力センサを較正する時期を決定するためのシステムおよび方法」という名称で2019年3月6日に出願された米国特許出願第16/364,695号に記載されている。本明細書で説明するアプローチは、モバイルデバイスが屋内にあって、地形より上または下にあるときまで、データ収集の条件を拡張する。その結果、本明細書に記載するアプローチは、フロアの高さを推定するためのデータをより多く生成し、モバイルデバイスの圧力センサを較正するためのデータをより多く生成し、時間経過に伴う気象条件に起因した、圧力変動の閾値を超えるような圧力変化によって課される限定された期間の問題を克服する。
【0016】
本明細書に記載するアプローチは、フロアの高さを推定するために、モバイルデバイスの圧力センサからの圧力データ、および基準圧力センサ(例えば、気象観測所)のネットワークからの圧力データを、ユーザの状況およびセンサドリフト期間の情報と共に使用する。いくつかの実施形態において、フロアの高さの推定は、屋内データ(例えば、圧力データ)を地形レベルのデータに変換し、それにより、較正のためのデータ点をより多くもたらす。本明細書で説明するアプローチは、フロアの高さを推定するために、ユーザの状況の時間履歴および基準圧力のネットワークを利用してもよい。基準圧力のネットワークの使用により、数日以内にわたって収集されたモバイルデバイスデータを用いて、フロアの高さを求めることが可能となる。モバイルデバイスデータの収集の期間は、気圧センサのドリフト期間(例えば、数日、数週、または数か月)によって管理することができる。
【0017】
フロアの高さを推定するための、および/または較正のための、好ましいモバイルデバイスデータは、地上の屋外(例えば、ユーザのポケット内、シート上、または自動車のコンソール上)にある間に、モバイルデバイスの圧力センサによって収集された圧力データを含む。本明細書に記載するアプローチは、屋外だけでなく、1階ではない階の屋内(例えば、高層ビル内または地下階のあるビル内)で収集されたデータを用いて、モバイルデバイスの圧力センサの較正を容易にする。本明細書に記載する様々なアプローチを実行するために、3つの前提のいずれかまたは全てを適用することができる。第1に、モバイルデバイスの圧力測定に対する建物のHVACおよび送風装置の影響は最小限とする。第2に、モバイルデバイスの圧力センサのドリフトは、数日間(例えば、2、3、もしくは4日間、またはそれ以外の期間)にわたって小さい(一般的には10Pa未満)。第3に、モバイルデバイスのユーザの行動は、通常、屋内で過ごすよりも、地形上の屋外で過ごす時間の方が少ないものとなっている。本明細書に記載するアプローチは、比較的平坦な(例えば、ある区域内のモバイルデバイスの動きの全てが、互いに、1m未満といった垂直距離の閾値内にある)地形上の屋外、および建物のフロア上の屋内で、モバイルデバイスによる圧力データの収集がなされる場合に、有用な結果をもたらす。
【0018】
モバイルデバイスの圧力センサの較正に使用し得る、建物内のフロアの高さを推定する手順が、
図2に示されている。特定のステップ、ステップの順序、およびステップの組み合わせは、例示および説明のみを目的として示されている。別の実施形態では、異なる特定のステップ、ステップの順序、およびステップの組み合わせを実施することにより、同様の機能または結果を達成することができる。例示を目的として、
図3および
図4のそれぞれは、
図2の手順の様々な実施形態を示している。
図2の手順は、以下のステップを備える。
ステップ210:(i)モバイルデバイスが第1の領域(例えば、検出可能な高度または高さの屋外)にあると検出された第1の期間t-nまたはt+n、および(ii)モバイルデバイスが第2の領域(例えば、未知の高度または地面からの高さもしくは低さのフロア上で建物内)にあると検出された第2の期間tにおいて、モバイルデバイスからモバイルデバイス圧力データ(例えば、圧力測定値)を収集し、基準圧力のネットワークから基準圧力データ(例えば、圧力測定値、または圧力測定値に基づく基準高度に対応する基準圧力)を収集し、第1の期間は、第2の期間の前または後に生じる。
ステップ220:第1の期間中に収集されたデータを用いて、モバイルデバイスが第1の領域内にあると検出されたときのモバイルデバイスの第1の推定高度を求め、第2の期間中に収集されたデータを用いて、モバイルデバイスが第2の領域内にあると検出されたときのモバイルデバイスの第2の推定高度を求め、モバイルデバイスの第2の推定高度と第1の推定高度との間の推定高度の差を求める。
ステップ230:第1の期間中のモバイルデバイスの位置に関連する(例えば、第1の領域の地形の)地形高度(または基準高度に対する高さ)、および第2の期間中のモバイルデバイスの位置に関連する(例えば、第2の領域が存在する建物の1階の地形の)地形高度(または基準高度に対する高さ)を求め、第2の領域に関連する地形高度と第1の領域に関連する地形高度との間の地形高度の差を求める。
ステップ240:(i)推定高度の差と(ii)地形高度の差との間の差に基づいて、モバイルデバイスが第2領域にあるときに、当該モバイルデバイスが位置していた地上または地下のフロアの高さを求める。
ステップ250:求められたフロアの高さを用い、モバイルデバイスが第2の領域にあったときの、モバイルデバイスの推定高度(または基準高度に対する高さ)と、モバイルデバイスが位置していたフロア上のモバイルデバイスの真の高度(または基準高度に対する高さ)との間の差を求める。
ステップ260:求められた高度(または高さ)の差を用い、モバイルデバイスの圧力センサの較正値を求める。
【0019】
上記の各ステップについて以下に説明する。求められた高さを較正のために使用せず、フロアの高さが必要とされる場合など、いくつかの実施形態では、ステップ210からステップ240のみが実行される。例えば、
図2の手順の様々なステップを実行するための(例えば、実行する、または実行するように構成される、または実行可能な)1つまたは複数の構成要素には、圧力データを収集するためのモバイルデバイス(例えば、モバイルデバイス120)の圧力センサと、基準圧力センサによって収集された基準圧力データを受信するための、または基準圧力センサによって収集された基準圧力から求められた基準高度に関連する基準圧力を受信するためのインターフェース(ステップ210)と、高度を推定し、高度を推定する際に使用する基準圧力を必要に応じて求めるためのプロセッサと(ステップ220)、地形の高度または高さを取得するための通信インターフェース、および地形を識別するために使用する場合には、位置を推定するためのプロセッサ(ステップ230)と、フロアの高さを求めるプロセッサ(ステップ240)と、モバイルデバイスの推定高度と、フロア上のモバイルデバイスの真の高度との間の差を求めるためのプロセッサ(ステップ250)と、モバイルデバイスの圧力センサの較正値を求めるためのプロセッサ(ステップ260)とが含まれる。プロセッサは、モバイルデバイス120および/またはそれ以外の場所(例えば、サーバ)に設けることができる。
【0020】
第1の期間(t-nまたはt+n)は、第1の領域(例えば、建物の外側にあり、通常は地上1~2メートルに保持または格納される)にある間に、モバイルデバイスの圧力センサによって圧力データが収集される期間を指し、第2の期間(t)は、第2の領域(例えば、建物のフロア上で建物の内側にあり、通常はフロアの上方1~2メートルに保持または格納される)にある間に、モバイルデバイスの圧力センサによって圧力データが収集される期間を指す。基準圧力センサからの基準圧力データは、本明細書に記載するような使用のために(例えば、第1および第2の期間中のモバイルデバイスのそれぞれの高度を推定するために)、第1の期間および第2の期間の前、期間中、または後に求めることができる。モバイルデバイスおよび/または基準センサの近傍の圧力が、基準圧力データの獲得とそれぞれの期間との間の時間量にわたって圧力閾値(例えば、10Pa)を超えて変化していない状況において、それぞれの期間の前または後におけるデータの獲得が許容される。t-nまたはt+nのnの値は、任意の数の時間単位(例えば、秒、分、時間、および/または日)とすることが可能であり、ユーザが、第1の領域から第2の領域に、またはその逆に移動するのに必要な時間の長さ(例えば、1時間未満)に関わるものであるが、より長くすることもできる(例えば、2時間を超える、または1日を超える)。本明細書において用語nは、主に、相対的な期間(即ち、期間の前後)を示すために使用される。時間t、t-n、およびt+nは、モバイルデバイスが特定の領域内にあると考えられる時間であり、これは、様々な状況(例えば、交通機関に乗車した状態から歩行への移行を検出した後に屋外にいること、エレベータに対応する垂直方向の動きを検出した後に建物のフロアにいること、モバイルデバイスの推定2D位置または推定3D位置によって識別される屋外領域または屋内領域にいること、ユーザの職場または家庭にいるというような、活動に関連した1日の一定期間における制限された動きを有すること、どこかにいて、動きのない状態から、歩行、または何かを始めた状態への移行、またはその逆を検知すること、またはそれ以外で当業者に公知の状況)を検知することによって定めることができる。
【0021】
ステップ210では、モバイルデバイスが第1の期間に第1の領域にあることが検出されたとき、およびモバイルデバイスが第2の期間に第2の領域にあることが検出されたときに、モバイルデバイスの圧力センサから、および1つまたは複数の基準センサから、圧力データが収集される。この圧力データは、モバイルデバイスからのモバイルデバイス圧力データ(例えば、圧力測定値)と、1つまたは複数の基準センサからの基準圧力データ(例えば、1つもしくは複数の圧力測定値、または1つもしくは複数の圧力測定値に基づく基準高度に対応する1つまたは複数の基準圧力)とを含む。モバイルデバイスが一領域内にあると検出されたときの基準圧力データは、モバイルデバイスが当該領域内にあると検出される前、間、または後(例えば、検出前または検出後の許容時間内、例えば、1時間または15分未満、またはモバイルデバイスおよび/または基準圧力センサの周囲環境における圧力変化が、例えば10Paといった圧力閾値以内に留まっている、検出前または検出後の期間内)に測定された基準圧力センサからの圧力測定値を含むか、または当該基準圧力センサからの圧力測定値に基づくものとすることができる。説明のため、モバイルデバイスのユーザが、職場に通勤し、自分の車を駐車するか、または公共交通機関から出て、駐車場または公共交通機関の停車場から、建物内のオフィスの場所まで歩いて行くと仮定する。オフィスへの歩行は、水平なまたは傾斜した地形でなされる可能性がある。この期間中に、交通機関から静止(「TS」)へのユーザの検出状況が、水平なまたは傾斜した地形上の屋外において時刻t-nに発生し、これは、モバイルデバイスが第1の領域における屋外にあることを示すものであり、静止から徒歩(「SF」)への、または静止から歩行(「SW」)への検出状況が後に続く。オフィスでは、t>t-nの関係にある後の時刻tにおいて、モバイルデバイスは、ビル(例えば、高層ビルの上の方の階)のフロア上にあって、様々なユーザの状況の検出結果には、ユーザのオフィスのデスクとオフィスのそれ以外の部分との間の歩行運動から生じる静止から徒歩(SF)または静止から歩行(SW)への移行が、1つまたは複数含まれる可能性がある。これらの状況は、エレベータによるモバイルデバイスの移送に対応する垂直移動(「V」)の状況を検出した後に検出される場合がある。数日間にわたって、圧力データのいくつかのセットを蓄積することが可能であり、この場合、データの各セットは、地形上の屋外におけるいくつかのTSの状況とSF/SWの状況との対と、屋内におけるいくつかのSF/SWの状況移行(場合によってはVの状況の後)とから構成される。なお、いくつかの実施形態では、較正の目的のために、地形上の屋外において収集されたデータ(例えば、TS/SFの状況のペアのみ)を使用してもよいことに留意されたい。但し、限られた数のデータポイントは、安定性が低下した較正値をもたらすことになる。較正の安定性は、屋内からの圧力データを含めることによって改善され、これは、ユーザの屋内での活動と比較して、数日間にわたって、ユーザの屋外での活動がないか、または比較的少ないこと(例えば、ユーザは、数日間にわたって、ほとんどの時間、屋内に留まる)に起因して生じる可能性のある、較正のための屋外圧力データの不足に対処するものである。
図3は、様々な期間(例えば、時間t-nおよび時間t)における、ユーザ/モバイルデバイスの位置を示す概略図である。モバイルデバイス120は、時間t-nにおいて、地形上の屋外における第1の領域に位置し、時間tにおいて、建物190のフロア上の第2の領域に位置する。モバイルデバイス120の推定高度と、モバイルデバイス120の様々な位置に関連する地形の高さとの間の様々な関係は、6つの例示的な場面302a~302fとして示されており、これらは、後述のステップ220,230,240に関連して更に理解されることになる。
【0022】
ステップ220では、モバイルデバイス120が第1の領域にあるときの第1の期間中おけるモバイルデバイス120の第1の高度、およびモバイルデバイス120が第2の領域にあるときの第2の期間中におけるモバイルデバイス120の第2の高度を、例えば式1を用いて、それぞれ推定するため、モバイルデバイス120が第1の領域にあるときの第1の期間(例えば、t-n)に収集されたモバイルデバイス圧力データ、およびモバイルデバイスが第2の領域内にあるときの第2の期間(例えば、t)に収集されたモバイルデバイス圧力データが、基準圧力データと組み合わされ、第1の期間に収集されたデータが、第1の領域の高度を推定するために使用され、第2の期間に収集されたデータが、第2の領域の高度を推定するために使用される。前述のように、基準圧力データは、1つまたは複数の基準圧力としてもよく、式1で使用するために、これらを組み合わせて(例えば、平均化して)、単一の基準圧力を定めるようにしてもよい。モバイルデバイス120が第2の領域にあったときのモバイルデバイス120の第2の推定高度と、モバイルデバイス120が第1の領域にあったときのモバイルデバイス120の第1の推定高度との推定高度の差(Zp)は、次のように求められる。
Zp=Pz(t)-Pz(t-n) (式3)
式中、Pz(t-n)は、第1の領域(例えば、屋外)にあるときのモバイルデバイスの第1の推定高度であり、Pz(t)は、第2の領域(例えば、建物190のフロア上の屋内)にあるときのモバイルデバイスの第2の推定高度である。代替の実施形態では、Zpが推定高度の差の絶対値である。
【0023】
ステップ230では、第2の領域に関連する地形高度(または基準高度に対する高さ)と第1の領域に関連する地形高度(または基準高度に対する高さ)との間の地形高度の差が、以下の式を使用して求められる。
Zt=Tz(t)-Tz(t-n) (式4)
式中、Tz(t-n)は、第1の領域における地形の第1の地形高度であり、Tz(t)は、第2の領域が位置する建物の1階の第2の地形高度である。前の段落で述べた代替の実施形態では、Ztが、地形高度の差の絶対値である。例えば、地形高度(または高さ)は、第1の期間(例えば、t-n)および第2の期間(例えば、t)における、モバイルデバイスの推定緯度および推定経度を使用して、地形データベースから検索することができる。これに代えて、建物の地形高度(または高さ)は、既知の検知手段を使用し、建物内へのモバイルデバイス120の進入が検知されたときに求めることができる。基準高度に対する高さを検索する場合、地形高度は、その高さと基準高度との組み合わせ(例えば、2つの数値の合計)となる。
【0024】
ステップ240では、第2の期間(例えば、t)において、第2の領域内にモバイルデバイス120があったフロアの高さ(Fh)が求められる。フロアの高さを求めることが可能な様々な方法がある。フロアの高さを決定するための第1のアプローチでは、ステップ220からの推定高度の差(Zp)と、ステップ230からの地形高度の差(Zt)との間の差を使用し、第2の期間(例えば、t)において、第2の領域内にモバイルデバイス120があったフロアの高さ(Fh)を求める。
Fh=Zp-Zt (式5)
以前の段落で述べた代替の実施形態の場合、フロアの高さは、ステップ220からの推定高度の差(Zp)と、ステップ230からの地形高度の差(Zt)との間の差の絶対値である。モバイルデバイス120の第2の推定高度を求めるときに、モバイルデバイスが位置するフロアからの高さを求めるかまたは推定するための公知の方法を使用する状況では、当該フロアからの高さを、ステップ220からの推定高度の差(Zp)と、ステップ230からの地形高度の差(Zt)との間の差から減算して、Fhを得ることができる。従って、Fhは、ステップ220からの推定高度の差(Zp)と、ステップ230からの地形高度の差(Zt)との間の差に基づくものであり、当該差、または別の値(例えば、モバイルデバイスがフロアより上の位置にある高さ)によって調整される差とすることができる。なお、第2の領域は、別の実施形態において、建物の1階の地形より上または下にあってもよいことに留意されたい。第1のアプローチは、気象観測ネットワークからのデータが利用可能であり、圧力を測定する間の気象変動に起因した圧力変化を考慮する場合に有利に使用することができる。第2のアプローチでは、フロアの高さ(Fh)が、記憶装置(例えば、モバイルデバイスを検出するアクセスポイント、またはモバイルデバイスによって検出されるアクセスポイントに関連付けてフロアの高さを記憶する建物データベース)から求められ、これは、圧力への気象の影響に左右されない点で有利である。第3のアプローチでは、圧力差を高さの測定値に変換することによって、地面と建物のフロアとの間の圧力差から、フロアの高さ(Fh)が求められ、このアプローチは、気象が安定していて、時間変化に伴う圧力変動が小さい場合(例えば、数分、または2つの圧力を測定する間の期間などといった所定数の単位時間当たり10Pa未満の場合)、および/または短期間の気象観測ネットワークの停止の場合に有利に使用することができる。時間の経過と共に、様々な気象条件の下で建物の様々な階にわたって電話データが利用可能である場合、第1のアプローチは、規模の拡大や縮小を可能とした、建物のフロアの高さを求めるための強固な方法を提供する。これに対し、第2のアプローチは、建物の特定のフロア(例えば、あらゆるフロア)上での存在を検知するための機器(例えば、アクセスポイント)へのアクセスを必要とし、データベースにフロア情報を格納して維持する必要がある。一方、第3のアプローチは、短期間にわたる適用が可能であり、そのため、較正のためのデータの利用の可能性が制限される。
【0025】
ステップ250では、フロアの高さ(Fh)を用い、モバイルデバイスが第2の期間(例えば、t)中に位置したフロア上の、モバイルデバイスの推定高度(または高さ)と、モバイルデバイスの高度(または高さ)との間の高度の差(dz)を求める。
dz=Pz(t)-(Tz(t)+Fh) (式6)
式中、Tz(t)は、第2の期間(例えば、t)中に、モバイルデバイスが第2の領域(例えば、フロア上)にある建物の地形高度であり、Pz(t)は、第2の期間(例えば、t)中の、第2の領域(例えば、フロア上)におけるモバイルデバイスの推定高度である。基準高度に対する高さが参照される場合、Tz(t)は、その高度と基準高度との組み合わせ(例えば、2つの数の和)となる。
【0026】
ステップ260では、高さの差(dz)と、その他の情報とを用い、真の圧力と測定された圧力との間の差を表す、モバイルデバイスの圧力センサの較正値(dp)が求められる。一例として、モバイルデバイスの圧力センサの較正値(dp)を求めるのに、以下の静力学方程式を使用してもよい。
dp=-[p/(R×Tv)]×g×dz (式7)
式中、pは、モバイルデバイス120が、ある期間(例えば、t、またはそれ以外の期間)中に第2の領域にあるときの、モバイルデバイス120の圧力センサからの圧力測定値、または圧力測定値の組み合わせ(例えば、平均)、dzは、式6によって得られる高さの差、gは、重力による加速度の値、Rは、乾燥空気の気体定数(287J/kg・K)の値、Tvは、Tを空気の温度、qを混合比(kg/kgで表される蒸気含有量の尺度)とするとき、T(1+0.608×q)によって定義される湿った空気の仮想温度などの温度値である。静力学方程式は、重力と垂直方向の気圧傾度力とのバランスを表す。このバランスは、一般的に、次のように表される。
dp=-Q×g×dz (式8)
式中、Qは、空気の密度に関係し、dzは、空気層の厚さに関係し、dpは、空気の圧力差に関係する。理想気体の法則の一形式を以下に示す。
p=Q×R×Tv (式9)
この式は、式(7)を得るために、次のように並べ替えることができる。
Q=p/(R×Tv) (式10)
【0027】
第1のセットの実施形態では、第1の期間(t-nまたはt+n)および第2の期間(t)が、それぞれ、建物内のフロアの高さを求める際に使用するための圧力データをモバイルデバイスが収集する単一の期間となっている。一例として、実施形態の第1のセットの一実施形態では、モバイルデバイスが第1の領域にある第1の期間中、およびモバイルデバイスが第2の領域にある第2の期間中に、第1の日の圧力データを収集し、次に、そのデータを使用し、本明細書で述べるように、建物内のフロアの高さを求める(例えば、そのデータを使用し、モバイルデバイスが第1の領域にあるとき、およびモバイルデバイスが第2の領域にあるときの、モバイルデバイスの位置のそれぞれの高度を推定し、その他のステップを実行する)ようにしてもよい。単一の期間中に収集されたデータは、高度を推定するために使用する単一のデータ点(例えば、モバイルデバイスからの単一の圧力測定値)、または高度を推定するために使用する前に数学的に組み合わされる(例えば、平均化される)複数のデータ点、もしくは単一の推定高度とするべく数学的に組み合わされる(例えば、平均化される)高度を推定するために使用される複数のデータ点であってもよい。
【0028】
第2のセットの実施形態では、第1の期間および第2の期間が、建物内のフロアの高さを求める際に使用するための圧力データをモバイルデバイスが収集する個別の期間の第1のセットおよび第2のセットのことを指す。一例として、実施形態の第2のセットの一実施形態では、モバイルデバイス120が第1の領域にあるとき、複数の日で圧力データを収集し、モバイルデバイス120が第2の領域にあるとき、それらの日の圧力データを収集し、次に、そのデータを使用して、本明細書で述べるように、建物190内のフロアの高さを求める(例えば、モバイルデバイス120が、複数の日に第1の領域内にあるときの、モバイルデバイスの位置の様々な高度を推定し、推定された高度を数学的に組み合わせて、第1の領域に関連する最終的な高度を求め、モバイルデバイス120が複数の日に第2の領域内にあるときの、モバイルデバイスの位置の様々な高度を推定し、推定された高度を数学的に組み合わせて、第2の領域に関連する最終的な高度を求める。このとき、数学的な組み合わせは、平均化か、または別の形式の組み合わせとしてもよい)。一例として、
図4は、モバイルデバイスが第1の領域にあると検出されたとき、および第2の領域内にあると検出されたときに、圧力データを収集し、使用する、複数の日を示す概略図である。モバイルデバイスが第1の領域にあると検出される期間は、毎日異なっていてもよいし、モバイルデバイスが第2の領域にあると検出される前後の時間を含めることができる。また、モバイルデバイスが第2の領域にあると検出される期間も、毎日異なっていてもよい。
図4に示すように、関連するステップには、第1の領域にある間の、モバイルデバイスの1番目からN番目の推定高度を組み合わせて(例えば、平均化)、第1の領域の推定高度の値を求めるステップと、第2の領域にある間のモバイルデバイスの1番目からN番目の推定高度を組み合わせて(例えば、平均化)、第2の領域の推定高度の値を求めるステップと、第2の領域の推定高度の値と第1の領域の推定高度の値との間の差として、推定高度の差(Zp)を求めるステップとを含んでいてもよい。
[技術的利点]
【0029】
モバイルデバイスは、様々な環境におけるユーザの位置を推定するために日常的に使用される。推定位置の例には、(i)基準圧力センサのネットワークからの基準圧力と、(ii)モバイルデバイスの圧力センサからの圧力の測定値とに基づくモバイルデバイスの推定高度を含む。残念ながら、モバイルデバイスの圧力センサの機能の制限は、推定高度の精度に影響を及ぼす可能性があり、これは推定高度の様々な使用(例えば、緊急時の対応、ナビゲーションなど)を損なうものとなる。圧力センサの、このような機能の制限には、較正を必要とする経時的なセンサドリフトが含まれる。より良好な(例えば、より信頼性が高く、正確および/または役立つ)高度の推定を支援する、モバイルデバイスにおける圧力センサの機能改善は、非常に望ましいものであり、本明細書に記載する手順は、モバイルデバイスにおける圧力センサの機能改善を達成するために特に構成された、在来とは異なる、具体的かつ特定の解決策を含むものであり、より良好な高度の推定が可能となる。
【0030】
以前のアプローチと比較して、本明細書に記載する手順の実行により、フロアの高さを求めるための、モバイルデバイスの推定高度の改善された使用が提供され、これは、推定された高さを、階数に関連するフロアの、記憶されているフロアの高さと突き合わせることにより、モバイルデバイスが存在するフロアを検出するのに非常に有用なものとなる。その後、階数は、モバイルデバイスのユーザの位置を、より迅速に突き止めるために、緊急対応要員により、またはナビゲーションのような別の用途のために、使用することができる。
[その他の態様]
【0031】
本明細書に記載した、フロアの高さを推定するためのアプローチは、オフィスのフロアと別のフロアとの間の高さの差を求めるために使用することが可能であり、この場合、オフィスフロアおよび別のフロアに対応する状況が、オフィスフロアおよび屋外の地形に対応する状況と同様の方法で使用される(例えば、別のフロアの状況が、屋外の地形の状況の代わりに使用され、別のフロアの高度は、既知である(例えば、建物の1階フロアまたは別のフロア))。
【0032】
本明細書で説明するか、或いは本明細書の開示によって可能となるいずれかの方法(「手順」または「アプローチ」とも称する)は、ハードウェアコンポーネント(例えば、機器)、ソフトウェアモジュール(例えば、機械可読媒体に格納)、またはそれらの組合せによって実現してもよい。具体的には、本明細書で説明するか、或いは本明細書の開示によって可能となるいずれかの方法は、本明細書で説明するいずれかの具体的で明確なシステムによって実現してもよい。一例として、機器には、演算処理デバイス、プロセッサ、コントローラ、集積回路、チップ、システム、サーバ、プログラマブル論理デバイス、フィールドプログラマブルゲートアレイ、電子デバイス、専用回路、および/または、それ以外で本明細書に記載するか、または当業者に公知の適切なデバイスを1つまたは複数含んでいてもよい。1つまたは複数の機器によって実行されると、本明細書で説明する方法のいずれかのステップを含む動作を、1つまたは複数の機器に実行または実現させるプログラム命令を実施する、1つまたは複数の非一時的機械可読媒体が、本明細書で企図される。本明細書で使用する場合、機械可読媒体は、不揮発性記憶媒体もしくは揮発性記憶媒体、取り外し可能媒体もしくは取り外し不可媒体、集積回路媒体、磁気記憶媒体、光学的記憶媒体、またはそれ以外でRAM、ROM、およびEEPROMを含む任意の記憶媒体を1つまたは複数含むが、これらに限定されない機械可読媒体のあらゆる形態を含み、これらは、本出願が提出される管轄区域の法律の下で特許を受け得るものである一方、本出願が提出される管轄区域の法律の下で特許を受けることができない機械可読媒体(例えば、一時的伝搬信号)は含まない。本明細書で開示する方法は、実行されるルールのセットを提供する。また、本明細書で説明するいずれかの方法を実施するための1つまたは複数の機器および1つまたは複数の非一時的機械可読媒体を含むシステムも、本明細書で企図される。また、本明細書で説明するいずれかの方法のステップを含む動作を、実行もしくは実現するか、または実行もしくは実現するように構成されるか、動作可能であるか、もしくは適合された1つまたは複数の機器も、本明細書で企図される。従来技術ではなく、本明細書に記載する各方法は、フロアの高さの推定を使用したモバイルデバイスの較正の分野において、顕著な利点をもたらすような、プロセスフローにおける特定の組のルールを示す。本明細書で説明する方法のステップは、順序にとらわれなくてもよく、並行して実行したり、また可能であれば、説明した順序とは異なる順序で実行したりすることができる。当業者が理解するように、本明細書に記載する様々な方法のステップを組み合わせて、任意の数の方法を形成することができる。本明細書で開示するいずれかの方法のステップまたは特徴は、なんらかの理由で特許請求の範囲から省略してもよい。本発明の概念が曖昧になるのを避けるために、いくつかの周知の構造およびデバイスは、図面には示されていない。2つのものが互いに「結合」される場合、これら2つのものは、互いに直接接続されてもよいし、1つまたは複数の介在物によって分離されていてもよい。ラインまたは介在物が2つの特定のものを接続していない場合、特に記載のない限り、少なくとも1つの実施形態において、これらのものの結合が企図される。あるものの出力部と別のものの入力部とが互いに結合されている場合、例え情報が1つまたは複数の中間物を通過したとしても、出力部から送られた情報は、その出力形式またはその修正した形式で、入力部が受信する。特に記載のない限り、本明細書で開示する情報(例えば、データ、コマンド、信号、ビット、シンボル、チップなど)を送信するために、任意の既知の通信経路およびプロトコルを使用してもよい。「備える」、「備えている」、「含む」、「含んでいる」などの用語は、排他的な意味(即ち、それのみからなるとの意味)ではなく、包括的な意味(即ち、それに限定されない)と解釈するべきである。また、単数形または複数形を使用する用語は、特に記載のない限り、それぞれ複数または単数を含む。用語「または」および用語「および」は、詳細な説明において使用する場合、特に記載のない限り、列挙した事項のいずれかおよび全てを包含する。用語「いくつかの」、「いずれかの」、および「少なくとも1つの」は、1つまたは複数を指す。用語「してもよい」、または用語「できる」は、本明細書では、要求ではなく例を示すために使用されるものであり、例えば、ある動作を実行してもよく、もしくは実行することができ、または特徴を有してもよく、もしくは有することができるものであって、それぞれの実施形態において、その動作を実行しなければならないわけでも、その特徴を有していなければならないわけでもなく、少なくとも1つの実施形態において、その動作を実行するか、またはその特徴を有するものである。別のアプローチを記載していない限り、データのソースからもたらされるデータへのアクセスは、既知の技術を使用して達成してもよい(例えば、要求コンポーネントが、問合せ、またはそれ以外の公知のアプローチを介し、ソースからデータを要求し、ソースがデータを検索して見つけ、ソースがデータを収集して、要求コンポーネントに送信するか、またはそれ以外の既知技術)。モバイルデバイスは、モバイルフォンなどのワイヤレス通信デバイス、ポータブル計算機、ナビゲーションデバイス、追跡デバイス、受信機、または別の適切なデバイスを含む、様々な形態をとることができる。用語「ハンドセット」は、「モバイルデバイス」を指すために使用される。
【0033】
図5は、トランスミッタ510、モバイルデバイス520、およびサーバ530の構成要素を示している。通信経路の例は、構成要素間の矢印によって示される。
【0034】
図5における一例として、トランスミッタ510のそれぞれは、モバイルデバイスと情報を交換するためのモバイルデバイスインターフェース11(例えば、当業者に公知の、或いは本明細書に開示するアンテナおよびRFフロントエンドコンポーネント)と、1つまたは複数のプロセッサ12と、情報および/またはプログラム命令の格納および取り出しを行うためのメモリ/データソース13と、基準圧力センサを含み、トランスミッタにおけるまたはトランスミッタ近傍の環境条件(例えば、圧力、温度、湿度など)を測定するための大気センサ14と、サーバと情報を交換するためのサーバインターフェース15(例えば、アンテナ、またはネットワークインターフェースなど)と、それ以外で当業者に公知の任意の構成要素とを含んでいてもよい。メモリ/データソース13は、実行可能な命令を含むソフトウェアモジュールを格納するメモリを備えていてもよく、プロセッサ12は、このソフトウェアモジュールからの命令を実行することによって、(i)本明細書に記載するような方法、もしくはトランスミッタで実行可能であると当業者が理解するような方法の全てもしくは一部の実行、(ii)選択された時間、周波数、コード、および位相のうちの少なくとも1つを使用して送信するための測位信号の生成、(iii)モバイルデバイスもしくはそれ以外のソースから受信した信号の処理、または(iv)それ以外で、本明細書に記載する動作によって必要とされる処理を含む、様々な動作を実行するようにしてもよい。トランスミッタが生成して送信する信号は、モバイルデバイスもしくはサーバによって求められた、トランスミッタ、トランスミッタの位置、トランスミッタもしくはその近傍の環境条件、および/またはそれ以外で当業者に公知の情報を識別することができるような様々な情報を伝送することができる。大気センサ14は、トランスミッタと一体であってもよいし、トランスミッタとは分離されて、トランスミッタと同じ場所に配置されるか、またはトランスミッタの近傍(例えば、閾値の距離内)に配置されていてもよい。
【0035】
図5の一例として、モバイルデバイス520は、トランスミッタと情報を交換するためのトランスミッタインターフェース21(例えば、当業者に公知の、或いは本明細書で開示するアンテナおよびRFフロントエンドコンポーネント)と、1つまたは複数のプロセッサ22と、情報および/またはプログラム命令の格納および取り出しを行うためのメモリ/データソース23と、圧力センサを含み、モバイルデバイスにおける環境状態(例えば、圧力、温度など)を測定するための大気センサ24と、その他の状態を測定するためのその他のセンサ25(例えば、移動および向きを測定するための慣性センサ)と、ユーザが入力を行い、出力を受け取るのを可能にするためのユーザインターフェース26(例えば、ディスプレイ、キーボード、マイクロフォン、スピーカなど)と、モバイルデバイスの外部にあるサーバまたはその他のデバイスと情報を交換するためのその他のインターフェース27(例えば、アンテナ、またはネットワークインターフェースなど)と、それ以外で当業者に公知の任意の構成要素とを備えていてもよい。GNSSのインターフェースおよび処理ユニット(図示せず)が企図され、これらは、他の構成要素(例えば、インターフェース21およびプロセッサ22)、またはGNSS信号の受信および処理専用のスタンドアロンアンテナ、RFフロントエンド、およびプロセッサと一体化されていてもよい。メモリ/データソース23は、実行可能な命令を含むソフトウェアモジュールを格納するメモリを備えていてもよく、プロセッサ22は、このソフトウェアモジュールからの命令を実行することによって、(i)本明細書に記載するような方法、もしくはモバイルデバイスにおいて実行可能であると当業者が理解するような方法の一部もしくは全ての実行、(ii)モバイルデバイスおよびトランスミッタからの圧力の測定値、トランスミッタまたは別のソースからの温度の測定値、およびそれ以外で演算に必要とされる任意の情報に基づいたモバイルデバイスの高度の推定、(iii)位置情報を求めるための受信信号(例えば、信号の到着時間または伝送時間、モバイルデバイスとトランスミッタとの間の擬似距離、トランスミッタの大気状態、トランスミッタおよび/またはその位置、またはそれ以外のトランスミッタ情報)の処理、(iv)モバイルデバイスの推定位置を求めるための位置情報の使用、(v)モバイルデバイスの慣性センサからの測定値に基づく移動の判定、(vi)GNSS信号の処理、または(vii)それ以外で本明細書に記載する動作によって必要とされる処理を含む、様々な動作を実行するようにしてもよい。
【0036】
図5の一例として、サーバ530は、モバイルデバイスと情報を交換するためのモバイルデバイスインターフェース31(例えば、アンテナ、またはネットワークインターフェースなど)と、1つまたは複数のプロセッサ32と、情報および/またはプログラム命令の格納および取り出しを行うためのメモリ/データソース33と、トランスミッタと情報を交換するためのトランスミッタインターフェース34(例えば、アンテナ、またはネットワークインターフェースなど)と、それ以外で当業者に公知の任意の構成要素とを備えていてもよい。メモリ/データソース33は、実行可能な命令を含むソフトウェアモジュールを格納するメモリを備えていてもよく、プロセッサ32は、このソフトウェアモジュールからの命令を実行することによって、(i)本明細書に記載するような方法、もしくはサーバで実行可能であると当業者が理解するような方法の一部もしくは全ての実行、(ii)モバイルデバイスの高度の推定、(iii)モバイルデバイスの推定位置の演算、または(iv)それ以外で、本明細書に記載する動作によって必要とされる処理を含む、様々な動作を実行するようにしてもよい。本明細書に説明するような、サーバが実行するステップは、企業のコンピュータ、またはそれ以外の任意の適切な機器を含む、モバイルデバイスから離間した別の機器上で実行してもよい。
【0037】
本明細書に開示する特定の態様は、モバイルデバイスの位置を推定することに関するものであり、例えば、その位置は、緯度、経度、および/または高度による座標、x軸、y軸、および/またはz軸の座標、角度座標、またはそれ以外の表現によって表される。モバイルデバイスの位置を推定する種々の方法を使用することが可能であり、それらの方法には、幾何学を適用し、異なるビーコン(例えば、地上トランスミッタおよび/または衛星)からモバイルデバイスが受信した異なる「測位」(または「測距」)信号による移動距離を用い、モバイルデバイスの位置を推定するプロセスである三辺測量が含まれる。もし、ビーコンからの測位信号の送信時間および受信時間などの位置情報が既知であれば、それらの時間の差に光の速度を乗算することで、そのビーコンからモバイルデバイスに、その測位信号が移動する距離の推定値が得られることになる。異なるビーコンからの異なる測位信号に対応した異なる推定距離を、それらのビーコンの位置などの位置情報と共に使用し、モバイルデバイスの位置を推定することができる。ビーコン(例えば、トランスミッタ、および/または衛星)からの測位信号、および/または大気測定値に基づき、(緯度、経度、および/または高度に関して)モバイルデバイスの位置を推定する測位システムおよび方法は、共同譲渡されて2012年3月6日に発行された米国特許第8,130,141号、および2012年7月19日に公開された米国特許公開第2012/0182180号に記載されている。なお、「測位システム」という用語は、衛星システム(例えば、GPS、GLONASS、ガリレオ(Galileo)、およびコンパス/北斗(Compass/Beidou)などの全地球航法衛星システム(GNSS))、地上トランスミッタシステム、およびハイブリッド衛星/地上システムを指すものであってもよいことに留意されたい。
【手続補正書】
【提出日】2022-11-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フロアの高さを推定する方法であって、
モバイルデバイスが第1の領域にあることを検出するステップと、
前記モバイルデバイスが前記第1の領域にあるときに前記モバイルデバイスが測定したモバイルデバイス圧力データを収集するステップと、
前記モバイルデバイスが前記第1の領域にあるときの基準圧力データを収集するステップと、
前記モバイルデバイスが、建物のフロアの少なくとも一部である第2の領域にあることを検出するステップと、
前記モバイルデバイスが前記第2領域にあるときに前記モバイルデバイスが測定したモバイルデバイス圧力データを収集するステップと、
前記モバイルデバイスが前記第2の領域にあるときの基準圧力データを収集するステップと、
1つまたは複数のプロセッサを使用し、前記モバイルデバイスが前記第1の領域にあることが検出されたときの前記モバイルデバイス圧力データおよび前記基準圧力データを用いて、前記モバイルデバイスの第1の推定高度を求めるステップと、
1つまたは複数のプロセッサを使用し、前記モバイルデバイスが前記第2の領域にあることが検出されたときの前記モバイルデバイス圧力データおよび前記基準圧力データを用いて、前記モバイルデバイスの第2の推定高度を求めるステップと、
1つまたは複数のプロセッサを使用し、前記モバイルデバイスの前記第2の推定高度と前記モバイルデバイスの前記第1の推定高度との間の推定高度の差を求めるステップと、
前記第1の領域に関連する
第1の地形の第1の地形高度を求めるステップと、
前記第2の領域に関連する
第2の地形の第2の地形高度を求めるステップと、
1つまたは複数のプロセッサを使用し、前記第2の領域に関連する前記第2の地形高度と前記第1の領域に関連する前記第1の地形高度との間の地形高度の差を求めるステップと、
1つまたは複数のプロセッサを使用し、前記推定高度の差と前記地形高度の差とを用いて、前記第2の領域にあるときに前記モバイルデバイスが位置した前記建物内の前記フロアの高さを求めるステップであって、前記フロアの高さは、前記推定高度の差と前記地形高度の差との間の差に基づくものであるステップと
を備える方法。
【請求項2】
前記フロアの高さを用い、前記建物の前記フロア上にあるときの前記モバイルデバイスの推定高度と、前記建物の前記フロア上にあるときの前記モバイルデバイスの真の高度との間の高度の差を求めるステップと、
前記高度の差を用い、前記モバイルデバイスの圧力センサの較正値を求めるステップと
を備える、請求項
1に記載の方法。
【請求項3】
求められた前記フロアの高さを用い、前記建物の前記フロア上にあるときの前記モバイルデバイスの推定高度と、前記建物の前記フロア上にあるときの前記モバイルデバイスの真の高度との間の高度の差を求めるステップは、
前記第2の推定高度から、前記第2の地形高度および前記フロアの高さを減じるステップと、
前記第2の推定高度から、前記第2の地形高度および前記フロアの高さを減じた結果を、前記高度の差として使用するステップとを備える、
請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記高度の差を用い、前記モバイルデバイスの前記圧力センサの前記較正値を求めるステップは、
(i)前記モバイルデバイスからの圧力の測定値、または前記モバイルデバイスが前記第2の領域にある間に取得した圧力の測定値の組み合わせを、空気の気体定数と温度値との積で除算し、(ii)当該除算の結果に、前記高度の差および重力による加速度の量を乗算することによって、
前記モバイルデバイスの前記圧力センサの前記較正値を求めるステップを備える、
請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記モバイルデバイスが前記第1の領域にあるときに前記モバイルデバイスが測定したモバイルデバイス圧力データを収集するステップは、第1の日に圧力の少なくとも1つの測定値を求めるステップを備え、
前記モバイルデバイスが前記第2の領域にあるときに前記モバイルデバイスが測定したモバイルデバイス圧力データを収集するステップは、前記第1の日に圧力の少なくとも1つの測定値を求めるステップを備える、
請求項
1に記載の方法。
【請求項6】
前記モバイルデバイスが前記第1の領域にあるときに前記モバイルデバイスが測定したモバイルデバイス圧力データを収集するステップは、複数の日に圧力の測定値の第1のセットを収集するステップを備え、複数の日に収集された圧力の測定値の前記第1のセットは、前記第1の推定高度を求めるために使用され、
前記モバイルデバイスが前記第2の領域にあるときに前記モバイルデバイスが測定したモバイルデバイス圧力データを収集するステップは、複数の日に圧力の測定値の第2のセットを収集するステップを備え、複数の日に収集された圧力の測定値の前記第2のセットは、前記第2の推定高度を求めるために使用される、
請求項
1に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の領域に関連する前記第1の地形高度は、前記第1の領域
での前記第1の地形の高度であり、前記第2の領域に関連する前記第2の地形高度は、
前記第2の地形の高度であり、前記第2の地形は、前記第2の領域の下の地面レベルの地
形であって、前記第1の領域は、屋外にある、請求項
1に記載の方法。
【請求項8】
1つまたは複数の機器によって実行されると、当該1つまたは複数の機器にフロアの高さを推定する方法を実行させるプログラム命令を収録する1つまたは複数の非一時的機械可読媒体であって、前記方法は、
モバイルデバイスが第1の領域にあることを検出するステップと、
前記モバイルデバイスが前記第1の領域にあるときに前記モバイルデバイスが測定したモバイルデバイス圧力データを収集するステップと、
前記モバイルデバイスが前記第1の領域にあるときに1つまたは複数の基準圧力センサによって求められる基準圧力データを収集するステップと、
前記モバイルデバイスが、建物のフロアの少なくとも一部である第2の領域にあることを検出するステップと、
前記モバイルデバイスが前記第2領域にあるときに前記モバイルデバイスが測定したモバイルデバイス圧力データを収集するステップと、
前記モバイルデバイスが前記第2の領域にあるときに1つまたは複数の基準圧力センサによって求められる基準圧力データを収集するステップと、
1つまたは複数のプロセッサを使用し、前記モバイルデバイスが前記第1の領域にあることが検出されたときの前記モバイルデバイス圧力データおよび前記基準圧力データを用いて、前記モバイルデバイスの第1の推定高度を求めるステップと、
1つまたは複数のプロセッサを使用し、前記モバイルデバイスが前記第2の領域にあることが検出されたときの前記モバイルデバイス圧力データおよび前記基準圧力データを用いて、前記モバイルデバイスの第2の推定高度を求めるステップと、
1つまたは複数のプロセッサを使用し、前記モバイルデバイスの前記第2の推定高度と前記モバイルデバイスの前記第1の推定高度との間の推定高度の差を求めるステップと、
前記第1の領域に関連する
第1の地形の第1の地形高度を求めるステップと、
前記第2の領域に関連する
第2の地形の第2の地形高度を求めるステップと、
1つまたは複数のプロセッサを使用し、前記第2の領域に関連する前記第2の地形高度と前記第1の領域に関連する前記第1の地形高度との間の地形高度の差を求めるステップと、
1つまたは複数のプロセッサを使用し、前記推定高度の差と前記地形高度の差とを用いて、前記第2の領域にあるときに前記モバイルデバイスが位置した前記建物内の前記フロアの高さを求めるステップであって、前記フロアの高さは、前記推定高度の差と前記地形高度の差との間の差に基づくものであるステップとを備える、
非一時的機械可読媒体。
【請求項9】
前記方法は、
前記フロアの高さを用い、前記建物の前記フロア上にあるときの前記モバイルデバイスの推定高度と、前記建物の前記フロア上にあるときの前記モバイルデバイスの真の高度との間の高度の差を求めるステップと、
前記高度の差を用い、前記モバイルデバイスの圧力センサの較正値を求めるステップとを備える、
請求項8に記載の非一時的機械可読媒体。
【請求項10】
フロアの高さを推定するシステムであって、
圧力センサと、
前記圧力センサと組み合わされ、方法を実行するように構成された1つまたは複数の機器とを備え、
前記方法は、
モバイルデバイスが第1の領域にあることを検出するステップと、
前記モバイルデバイスが前記第1の領域にあるときに前記モバイルデバイスが測定したモバイルデバイス圧力データを収集するステップと、
前記モバイルデバイスが前記第1の領域にあるときに1つまたは複数の基準圧力センサによって求められる基準圧力データを収集するステップと、
前記モバイルデバイスが、建物のフロアの少なくとも一部である第2の領域にあることを検出するステップと、
前記モバイルデバイスが前記第2領域にあるときに前記モバイルデバイスが測定したモバイルデバイス圧力データを収集するステップと、
前記モバイルデバイスが前記第2の領域にあるときに1つまたは複数の基準圧力センサによって求められる基準圧力データを収集するステップと、
1つまたは複数のプロセッサを使用し、前記モバイルデバイスが前記第1の領域にあることが検出されたときの前記モバイルデバイス圧力データおよび前記基準圧力データを用いて、前記モバイルデバイスの第1の推定高度を求めるステップと、
1つまたは複数のプロセッサを使用し、前記モバイルデバイスが前記第2の領域にあることが検出されたときの前記モバイルデバイス圧力データおよび前記基準圧力データを用いて、前記モバイルデバイスの第2の推定高度を求めるステップと、
1つまたは複数のプロセッサを使用し、前記モバイルデバイスの前記第2の推定高度と前記モバイルデバイスの前記第1の推定高度との間の推定高度の差を求めるステップと、
前記第1の領域に関連する
第1の地形の第1の地形高度を求めるステップと、
前記第2の領域に関連する
第2の地形の第2の地形高度を求めるステップと、
1つまたは複数のプロセッサを使用し、前記第2の領域に関連する前記第2の地形高度と前記第1の領域に関連する前記第1の地形高度との間の地形高度の差を求めるステップと、
1つまたは複数のプロセッサを使用し、前記推定高度の差と前記地形高度の差とを用いて、前記第2の領域にあるときに前記モバイルデバイスが位置した前記建物内の前記フロアの高さを求めるステップであって、前記フロアの高さは、前記推定高度の差と前記地形高度の差との間の差に基づくものであるステップとを備える、
システム。
【請求項11】
前記方法は、
前記フロアの高さを用い、前記建物の前記フロア上にあるときの前記モバイルデバイスの推定高度と、前記建物の前記フロア上にあるときの前記モバイルデバイスの真の高度との間の高度の差を求めるステップと、
前記高度の差を用い、前記モバイルデバイスの圧力センサの較正値を求めるステップとを備える、
請求項
10に記載のシステム。
【請求項12】
求められた前記フロアの高さを用い、前記建物の前記フロア上にあるときの前記モバイルデバイスの推定高度と、前記建物の前記フロア上にあるときの前記モバイルデバイスの真の高度との間の高度の差を求めるステップは、
前記第2の推定高度から、前記第2の地形高度および前記フロアの高さを減じるステップと、
前記第2の推定高度から、前記第2の地形高度および前記フロアの高さを減じた結果を、前記高度の差として使用するステップとを備える、
請求項
11に記載のシステム。
【請求項13】
前記高度の差を用いて、前記モバイルデバイスの前記圧力センサの前記較正値を求めるステップは、
(i)前記モバイルデバイスからの圧力の測定値、または前記モバイルデバイスが前記第2の領域にある間に取得した圧力の測定値の組み合わせを、空気の気体定数と温度値との積で除算し、(ii)当該除算の結果に、前記高度の差および重力による加速度の量を乗算することによって、
前記モバイルデバイスの前記圧力センサの前記較正値を求めるステップを備える、
請求項
11に記載のシステム。
【請求項14】
前記モバイルデバイスが前記第1の領域にあるときに前記モバイルデバイスが測定したモバイルデバイス圧力データを収集するステップは、複数の日に圧力の測定値の第1のセットを収集するステップを備え、複数の日に収集された圧力の測定値の前記第1のセットは、前記第1の推定高度を求めるために使用され、
前記モバイルデバイスが前記第2の領域にあるときに前記モバイルデバイスが測定したモバイルデバイス圧力データを収集するステップは、複数の日に圧力の測定値の第2のセットを収集するステップを備え、複数の日に収集された圧力の測定値の前記第2のセットは、前記第2の推定高度を求めるために使用される、
請求項
10に記載のシステム。
【請求項15】
前記第1の領域に関連する前記第1の地形高度は、前記第1の領域
での前記第1の地形の高度であり、前記第2の領域に関連する前記第2の地形高度は、
前記第2の地形の高度であり、前記第2の地形は、前記第2の領域の下の地面レベルの地
形であって、前記第1の領域は、屋外にある、請求項10に記載のシステム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】全図
【補正方法】変更
【補正の内容】
【国際調査報告】