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特表2023-503952平行な流れのための外部マニホールドを有する燃料電池アセンブリ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-01
(54)【発明の名称】平行な流れのための外部マニホールドを有する燃料電池アセンブリ
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/2484 20160101AFI20230125BHJP
   H01M 8/0258 20160101ALI20230125BHJP
【FI】
H01M8/2484
H01M8/0258
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022530259
(86)(22)【出願日】2019-11-26
(85)【翻訳文提出日】2022-05-24
(86)【国際出願番号】 US2019063291
(87)【国際公開番号】W WO2021107929
(87)【国際公開日】2021-06-03
(31)【優先権主張番号】16/695,362
(32)【優先日】2019-11-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390023630
【氏名又は名称】エクソンモービル・テクノロジー・アンド・エンジニアリング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】ExxonMobil Technology and Engineering Company
(71)【出願人】
【識別番号】502197161
【氏名又は名称】フュエルセル エナジー, インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】FUELCELL ENERGY, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132263
【弁理士】
【氏名又は名称】江間 晴彦
(74)【代理人】
【識別番号】100221501
【弁理士】
【氏名又は名称】式見 真行
(72)【発明者】
【氏名】デイビス,キース イー
(72)【発明者】
【氏名】ノバッコ,ローレンス ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】ハン,ルー
(72)【発明者】
【氏名】オニール,ブランドン ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】ハーシュコウィッツ,フランク
(72)【発明者】
【氏名】ブランコ グティエレス,ロドリゴ エフ.
(72)【発明者】
【氏名】イグチ,イェシム
【テーマコード(参考)】
5H126
【Fターム(参考)】
5H126AA08
5H126AA26
5H126BB05
5H126EE13
5H126EE22
5H126EE31
(57)【要約】
燃料電池を提供する。当該燃料電池は、アノードと、カソードと、電解質マトリクス層とを含んで成る。アノードは、アノードプロセスガスを受けて、アノードプロセスガスが通過できるように構成されている。カソードは、カソードプロセスガスを受けて、カソードプロセスガスが通過できるように構成されている。電解質マトリクス層は、アノードと、カソードとを分離している。アノードまたはカソードの一方が、拡張したエッジ・シール・チャンバを有する。当該燃料電池は、アノードプロセスガスおよびカソードプロセスガスを互いに対して実質的に垂直な方向で受けるように構成されている。拡張したエッジ・シール・チャンバは、アノードプロセスガスおよびカソードプロセスガスがアノードおよびカソードを実質的に平行な流路で通過できるように構成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池であって、当該燃料電池は、アノードと、カソードと、電解質マトリクス層とを含んで成り、
前記アノードは、アノードプロセスガスを受けて、前記アノードプロセスガスが通過できるように構成されており、
前記カソードは、カソードプロセスガスを受けて、前記カソードプロセスガスが通過できるように構成されており、
前記電解質マトリクス層は、前記アノードと、前記カソードとを分離しており、
前記アノードまたは前記カソードの一方が、拡張したエッジ・シール・チャンバを有し、
当該燃料電池は、前記アノードプロセスガスおよび前記カソードプロセスガスを互いに対して実質的に垂直な方向で受けるように構成されており、
前記拡張したエッジ・シール・チャンバは、前記アノードプロセスガスおよび前記カソードプロセスガスが前記アノードおよび前記カソードを実質的に平行な流路で通過できるように構成されている、燃料電池。
【請求項2】
燃料電池スタックであって、当該燃料電池スタックは、燃料電池を含んで成り、
前記燃料電池は、第1層と、第2層と、電解質マトリクス層とを含んで成り、
第1層は、活性領域を有し、前記活性領域が、第1プロセスガスを受けて、前記第1プロセスガスを出すように構成されており、
第2層は、第2プロセスガスを受けて、前記第2プロセスガスを出すように構成されており、
前記電解質マトリクス層は、第1層と、第2層とを分離しており、
第1層は、拡張したエッジ・シール・チャンバを含んで成り、前記拡張したエッジ・シール・チャンバは、前記燃料電池の第1側部にある前記活性領域から離れるように延在しており、
前記拡張したエッジ・シール・チャンバは、当該燃料電池スタックにおいて、第1方向で当該燃料電池スタックに提供される第1プロセスガスを受けて、前記第1方向に対して実質的に垂直である第2方向で第1プロセスガスを前記活性領域に出すように構成されており、
第1プロセスガスが第2プロセスガスと反応できるように前記活性領域が構成されている、燃料電池スタック。
【請求項3】
第2層が、第2方向と実質的に平行な方向で第2プロセスガスを受けて、前記第2プロセスガスを出すように構成されている、請求項2に記載の燃料電池スタック。
【請求項4】
第1層が、方向転換面を含んで成り、前記方向転換面が、第1プロセスガスを受けて、前記拡張したエッジ・シール・チャンバに第1プロセスガスを方向転換させるように構成されている、請求項3に記載の燃料電池スタック。
【請求項5】
燃料電池スタックで使用する燃料電池であって、前記燃料電池スタックは、燃料電池を含んで成り、
当該燃料電池は、アノード層と、カソード層と、電解質マトリクス層とを含んで成り、
前記アノード層は、活性アノード領域を有し、前記活性アノード領域は、アノードプロセスガスを受けて、前記アノードプロセスガスを出すように構成されており、
前記カソード層は、カソードプロセスガスを受けて、前記カソードプロセスガスを出すように構成されており、
前記電解質マトリクス層は、前記アノード層と、前記カソード層とを分離しており、
前記アノード層は、第1の拡張したエッジ・シール・チャンバを含んで成り、第1の拡張したエッジ・シール・チャンバは、当該燃料電池の第1側部にある前記活性アノード領域から離れるように延在しており、
第1の拡張したエッジ・シール・チャンバは、前記燃料電池スタックにおいて、第1方向で前記燃料電池スタックに供給されるアノードプロセスガスを受けて、前記第1方向に対して実質的に垂直である第2方向で前記アノードプロセスガスを前記活性アノード領域に出すように構成されており、前記活性アノード領域は、前記アノードプロセスガスが前記カソードプロセスガスと反応できるように構成されている、燃料電池。
【請求項6】
前記燃料電池は、第2の拡張したエッジ・シール・チャンバをさらに含んで成り、第2の拡張したエッジ・シール・チャンバは、前記燃料電池の第1側部の反対側において、前記活性アノード領域から離れるように延在しており、第2の拡張したエッジ・シール・チャンバは、前記燃料電池スタックにおいて、第2方向で前記アノードプロセスガスを受けて、第1方向に前記アノードプロセスガスを方向転換させるように構成されている、請求項5に記載の燃料電池。
【請求項7】
前記カソード層は、第2方向と実質的に平行な方向で前記カソードプロセスガスを受けるように構成されている、請求項6に記載の燃料電池。
【請求項8】
前記カソード層は、第2方向と実質的に平行な方向で前記カソードプロセスガスを出すように構成されている、請求項7に記載の燃料電池。
【請求項9】
前記アノード層は、第1方向転換面を含んで成り、第1方向転換面は、第1方向で前記アノードプロセスガスを受けて、第1の拡張したエッジ・シール・チャンバに向けて前記アノードプロセスガスの向きを変えるように構成されている、請求項7に記載の燃料電池。
【請求項10】
前記アノード層は、第2方向転換面を含んで成り、第2方向転換面は、第2の拡張したエッジ・シール・チャンバから前記アノードプロセスガスを受けて、第1方向に前記アノードプロセスガスの向きを変えるように構成されている、請求項7に記載の燃料電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、概して、燃料電池アセンブリの分野に関する。より詳細には、本願は、アノード供給ガス(又はアノード・フィード・ガス)およびカソード供給ガス(又はカソード・フィード・ガス)を平行方向(又はパラレル方向)に流す外部マニホールドを備える燃料電池アセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
従来の燃料電池スタックアセンブリは、複数の燃料電池で形成される場合があり、そのそれぞれが、アノード層およびカソード層を有し、かかるアノード層およびカソード層が、電解質層によって分離されている。かかる複数の燃料電池は、燃料電池のスタックを形成するように配置されてよい。アノード層は、それぞれ、アノード入口(又はアノード・インレット)(すなわち、燃料電池のスタックの一方の面)と、それに対向するアノード出口(又はアノード・アウトレット)(すなわち、スタックの反対側の面)とを含んで成る。そして、アノード供給ガスは、アノード入口からアノード出口まで、アノード層を通って通過する(第1方向)。同様にして、カソード層は、それぞれ、カソード入口(又はカソード・インレット)(すなわち、スタックの別の面)と、それに対向するカソード出口(又はカソード・アウトレット)(すなわち、スタックの反対側の面)とを含んで成る。そして、カソード供給ガスは、カソード入口からカソード出口まで、カソード層を通って通過する(第2方向)(これは、第1方向に垂直な方向である)。アノード供給ガスおよびカソード供給ガスの垂直方向の流れ(又はフロー)によって、燃料電池において、電流の2次元的な分布(又は2方向の分布)(two-dimensional distribution)が発生する。例えば、電流は、アノード入口とカソード入口の両方に近接する角部(又はコーナー)において、最も高くなる場合がある(これは、ガス濃度の増加に起因するものである)。また、電流は、アノード出口とカソード出口に近接する角部(又はコーナー)において、最も低くなる場合がある(これは、電気化学的な活性の低下に起因するものである)。そのため、電流の2次元的な分布(又は2方向の分布)は、第1方向および第2方向の両方で変化する。それ故、アノード供給ガスの流れ(又はフロー)およびカソード供給ガスの流れ(又はフロー)を最適化して、それぞれの燃料電池における電流の差異(又は相違又は分散又は不一致又はバリアンス(variance))を減らすことは、困難となっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
標準的な垂直方向の流れ(又はフロー)(またはクロス・フロー)の構成(又は配置又はコンフィギュレーション)によって、セル表面に2次元的な電流(又は2方向の電流)が発生する。この電流は、次いで、2次元的な熱勾配(又は2方向の熱勾配(又はサーマル・グラジエント))を誘発する。このような熱勾配は、多数のセルを積層(又はスタック)した場合、熱膨張差が原因となって問題が生じる。このとき、ある角部(又はコーナー)では、流場(又はフロー・フィールド)の平均温度よりも温度が低くなり、別の角部(又はコーナー)では、流場(又はフロー・フィールド)の平均温度よりも温度が高くなる。温度が低い角部(又はコーナー)/側部(又は側面又はサイド)と比べて、温度が高い角部(又はコーナー)/側部(又は側面又はサイド)は、より大きくなる。それによって、セルは、もはや、平面でなくなることから、スタックの歪み(又はディストーション)、傾き(又はチルティング)および曲がり(又はベンディング)が発生する。また、この歪みによって、接触不良が誘発される場合があり、セルの様々な領域(又は部分)で局所的なコンプレッション(又は圧縮)の量が変化する場合がある。スタックの高さが高くなるほど、この影響は、より大きなものになる。電流の一次元的な分布(又は1方向の分布)、すなわち、一次元的な温度勾配(又は1方向の温度勾配)を提供するためには、アノード供給ガスおよびカソード供給ガスを平行(又はパラレル)な方向に流す燃料電池アセンブリを提供することが有利となり得る。達成することができれば、スタック内のセルは、実質的に平面のままである。それによって、より良い接触や、より予測可能な運動(又はムーブメント)をもたらす。そして、均一なスタックのコンプレッション(又は圧縮)を維持する際の問題が少なくなる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
(発明の要旨)
本発明によると、燃料電池スタックが提供される。当該燃料電池スタックは、複数の燃料電池を含んで成る。燃料電池は、アノードと、カソードとを有する。これらは、電解質マトリクス層によって分離されている。アノードまたはカソードの一方は、拡張したエッジ・シール・チャンバ(又は拡張エッジ・シール・チャンバ又は延長エッジ・シール・チャンバ(extended edge seal chamber))を有する。この拡張したエッジ・シール・チャンバは、動作(又は作動又は運転又は操作)の間において、アノードプロセスガスおよびカソードプロセスガスが、互いに対して、実質的に垂直な方向で燃料電池スタックに供給(又は提供)されるとき、これらのプロセスガスが燃料電池を通して実質的に平行に流れるように構成されている。
【0005】
本発明の一実施形態によると、燃料電池スタックで使用する燃料電池を提供する。ここで、当該燃料電池は、第1層と、第2層と、電解質マトリクス層とを有する。
第1の層は、活性領域(又はアクティブ・エリア)を有する。活性領域は、第1プロセスガスを受けて、第1プロセスガスを出すように構成されている。
第2層は、第2プロセスガスを受けて、第2プロセスガスを出すように構成されている。
電解質マトリクス層は、第1層と、第2層とを分離するものである。
第1層は、エッジ・シール・チャンバ(又は縁部密封チャンバ(edge seal chamber))を含んで成る。エッジ・シール・チャンバは、スタック面から、外側に片持式で(又はカンチレバーのように)延びている(又は広がっている又は延在もしくは拡張している)ものであり、燃料電池の2つの対向する側部(又は側面又はサイド)にある活性領域を超えて延びている(又は広がっている又は拡張もしくは延在している)(拡張したエッジ・シール・チャンバ(又は拡張エッジ・シール・チャンバ又は延長エッジ・シール・チャンバ))。この拡張したエッジ・シール・チャンバ(又は拡張エッジ・シール・チャンバ又は延長エッジ・シール・チャンバ)は、燃料電池スタックにおいて、第1方向で燃料電池スタックに提供される第1プロセスガスを受けて、この第1方向に対して実質的に垂直な第2方向で、なおかつ、実質的には第2プロセスガスと平行して、第1プロセスガスを活性領域(又はアクティブ・エリア)に出すように構成されている。活性領域は、第1プロセスガスが第2プロセスガスと反応できるように構成されている。この活性領域において、2種類のガスが、互いに実質的に平行(又はパラレル)に流れる。
【0006】
別の態様において、第2層は、第2方向と実質的に平行(又はパラレル)な方向で、第2プロセスガスを受けて、第2プロセスガスを出すように構成されている。
【0007】
別の態様において、第1層は、方向転換面(又は迂回面又はダイバーティング・サーフェス(diverting surface))を含んで成る。この方向転換面は、第1プロセスガスを受けて、この第1プロセスガスを上記の拡張したエッジ・シール・チャンバに方向転換(又は迂回)させるように構成されている。
【0008】
本発明の別の実施形態によると、燃料電池スタックで使用する燃料電池を提供する。当該燃料電池スタックにおいて、燃料電池は、アノード層と、カソード層と、電解質マトリクス層とを有する。
アノード層は、活性アノード領域(又はアクティブ・アノード・エリア)を有する。活性アノード領域は、アノードプロセスガスを受けて、アノードプロセスガスを出すように構成されている。
カソード層は、カソードプロセスガスを受けて、カソードプロセスガスを出すように構成されている。
電解質マトリクス層は、アノード層と、カソード層とを分離するものである。
アノード層は、第1の拡張したエッジ・シール・チャンバ(又は第1拡張エッジ・シール・チャンバ又は第1延長エッジ・シール・チャンバ)を含んで成る。この第1の拡張したエッジ・シール・チャンバ(又は第1拡張エッジ・シール・チャンバ又は第1延長エッジ・シール・チャンバ)は、燃料電池の第1側部(又は第1側面又は第1サイド)にある活性アノード領域から離れるように延びている(又は広がっている又は延在もしくは拡張している)。
第1の拡張したエッジ・シール・チャンバ(又は第1拡張エッジ・シール・チャンバ又は第1延長エッジ・シール・チャンバ)は、燃料電池スタックにおいて、第1方向で燃料電池スタックに供給(又は提供)されるアノードプロセスガスを受けて、この第1方向に対して実質的に垂直である第2方向でアノードプロセスガスを活性アノード領域(又はアクティブ・アノード・エリア)に出すように構成されている。活性アノード領域は、アノードプロセスガスがカソードプロセスガスと反応できるように構成されている。
【0009】
別の態様において、燃料電池は、第2の拡張したエッジ・シール・チャンバ(又は第2拡張エッジ・シール・チャンバ又は第2延長エッジ・シール・チャンバ)を含んで成る。第2の拡張したエッジ・シール・チャンバ(又は第2拡張エッジ・シール・チャンバ又は第2延長エッジ・シール・チャンバ)は、燃料電池の第1側部(又は第1側面又は第1サイド又はファースト・サイド)の反対側において、活性アノード領域から離れるように延びている(又は広がっている又は延在もしくは拡張している)。第2の拡張したエッジ・シール・チャンバ(又は第2拡張エッジ・シール・チャンバ又は第2延長エッジ・シール・チャンバ)は、燃料電池スタックにおいて、第2方向でアノードプロセスガスを受けて、第1方向にアノードプロセスガスを方向転換(又は迂回)させるように構成されている。
【0010】
別の態様において、カソード層は、第2方向と実質的に平行(又はパラレル)な方向でカソードプロセスガスを受けるように構成されている。
【0011】
別の態様において、カソード層は、第2方向と実質的に平行(又はパラレル)な方向でカソードプロセスガスを出すように構成されている。
【0012】
別の態様において、アノード層は、第1方向転換面(又は第1迂回面又はファースト・ダイバーティング・サーフェス)を含んで成る。この第1方向転換面は、第1方向でアノードプロセスガスを受けて、第1の拡張したエッジ・シール・チャンバ(又は第1拡張エッジ・シール・チャンバ又は第1延長エッジ・シール・チャンバ)に向けて、アノードプロセスガスの向きを変えるように構成されている。
【0013】
別の態様において、アノード層は、第2方向転換面(又は第2迂回面又はセカンド・ダイバーティング・サーフェス)を含んで成る。この第2方向転換面は、第2の拡張したエッジ・シール・チャンバ(又は第2拡張エッジ・シール・チャンバ又は第2延長エッジ・シール・チャンバ)からアノードプロセスガスを受けて、第1方向にアノードプロセスガスの向きを変えるように構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、燃料電池の模式図である。
図2図2は、従来の燃料電池スタックの斜視図である。
図3図3は、例示的な実施形態に従う燃料電池スタックの斜視図である。
図4A図4Aは、例示的な実施形態に従う燃料電池アセンブリの平面図である。
図4B図4Bは、別の例示的な実施形態に従う燃料電池アセンブリの平面図である。
図4C図4Cは、図4Aに示される燃料電池アセンブリのカソードレベルでの平面図である。
図4D図4Dは、図4Aに示される燃料電池アセンブリのアノードレベルでの平面図である。
図5図5は、バイポーラ・プレートを用いる従来の燃料電池アセンブリにおける電流の分布を示す(カソード供給ガスの流れに対して垂直であるアノード供給ガスの流れを供給する)。
図6図6は、バイポーラ・プレートを用いる燃料電池アセンブリにおける電流の分布を示す(カソード供給ガスの流れに平行であるアノード供給ガスの流れを供給する)。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(発明の詳細な説明)
図1は、燃料電池1を示す概略図である。燃料電池1は、電解質マトリクス2と、アノード3と、カソード4とを含んで成る。アノード3およびカソード4は、電解質マトリクス2によって、互いに分離されている。カソード4には、酸化剤(又はオキシダント)(例えば、空気あるいは燃焼排気供給ユニット(又は燃焼エキゾースト・サプライ・ユニット)からの排気ガス(又はフリュー・ガス(flue gas)))が供給される。アノード3には、燃料ガス(又はフューエル・ガス(fuel gas))(例えば、炭化水素ガス)が供給される。燃料電池1では、カソードにおいて、COおよびO(CO=イオンの形態)が、カソードからアノードに移動する。燃料ガスおよび酸化剤ガスは、電解質マトリクス2の孔(又は細孔又はポア)に存在する電解質(例えば、炭酸塩電解質(又はカーボネート電解質又はカーボネート・エレクトロライト))の存在下で電気化学的な反応を受ける。
【0016】
図2を参照すると、従来の燃料電池スタック10は、複数の燃料電池11を含んで成る。燃料電池11は、それぞれ、アノード層12(これは、アノード電極およびアノード・フロー・チャンバ/カレント・コレクタ(又は電流コレクタ又は集電体)を含んで成る(図示せず))と、カソード層14(これは、カソード電極およびカソード・フロー・チャンバ/カレント・コレクタ(又は電流コレクタ又は集電体)を含んで成る(図示せず))とを有するものである。ここで、燃料電池は、一段ずつ、互いに、その上(又はトップ)にスタック(又は積層)されている。燃料電池スタック10は、アノード入口側部(又はアノード入口側面又はアノード・インレット・サイド)(またはアノード入口スタック面)(又はスタック面)16と、対向するアノード出口側部(又はアノード出口側面又はアノード・アウトレット・サイド)(またはアノード出口スタック面)(又はスタック面)18とを含んで成る。アノード入口側部(又はアノード入口スタック面)16は、アノード供給ガス(又はアノード・フィード・ガス)を受けるように構成されている。アノード出口側部(又はアノード出口スタック面)18は、アノード排気(物)(これは、アノード層12を通過した後の排気(物)である)を出すように構成されている。アノード供給ガスは、外部マニホールド(アノード入口マニホールド116)を介して提供されてよい。この外部マニホールド(アノード入口マニホールド116)は、アノード入口スタック面16に対して密閉(又はシール)するものである。参照を目的として、図2に示す外部マニホールドは、燃料電池スタック10から取り外されている。記載を明確にするために、動作中(又は作動中又は運転中又は操作中)において、外部マニホールド(例えば、アノード入口マニホールド116)は、対応する燃料スタック面に対して密封(又はシール)することができる。アノード排気(物)を別の外部マニホールド(アノード出口マニホールド118)で受けてよい。この別の外部マニホールド(アノード出口マニホールド118)は、アノード出口スタック面18に対して密封(又はシール)するものである。燃料電池スタック10は、さらに、カソード入口側部(又はカソード入口側面又はカソード・インレット・サイド)(またはカソード入口スタック面)(又はスタック面)20と、対向するカソード出口側部(又はカソード出口側面又はカソード・アウトレット・サイド)(またはカソード出口スタック面)(又はスタック面)22とを含んで成る。カソード入口側部(またはカソード入口スタック面)20は、カソード供給ガス(又はカソード・フィード・ガス)を受けるように構成されている。カソード出口側部(またはカソード出口スタック面)22は、カソード排気(物)(これは、カソード層14を通過した後の排気(物)である)を出すように構成されている。カソード供給ガスは、外部マニホールド(カソード入口マニホールド120)を介して提供されてよい。この外部マニホールド(カソード入口マニホールド120)は、カソード入口スタック面20に対して密閉(又はシール)するものである。カソード排気(物)を別の外部マニホールド(カソード出口マニホールド122)で受けてよい。この別の外部マニホールド(カソード出口マニホールド122)は、カソード出口スタック面22に対して密封(又はシール)するものである。いくつかの実施形態において、4つのスタック面のうち少なくとも3つのスタック面が、外部マニホールドを有してよく、3つの外部マニホールドが、それぞれ、スタック面に対して密封(又はシール)することができる。例えば、スタックは、密閉(又はシール)されたハウジング(例えば、モジュール)に収容されてよい。アノード入口側部(又はアノード・インレット・サイド)と、アノード出口側部(又はアノード・アウトレット・サイド)と、カソード入口側部(又はカソード・インレット・サイド)は、外部マニホールドで密閉(又はシール)されてよい。この例では、カソード出口側部(又はカソード・アウトレット・サイド)が、密閉されたハウジングに対して、開放されていてよい。
【0017】
図2に示す燃料電池スタック10において、アノード供給ガスは、アノード入口スタック面16からアノード出口スタック面18まで、実質的に直線的な方向で、それぞれ、アノード層12を通って流れる。(本明細書中で言及するように、「実質的に直線的(又は実質的にリニア(substantially linear))」とは、ある特定の方向にガスの体積(又はボリューム)の大部分が流れることを意味する)。同様に、カソード供給ガスは、カソード入口スタック面20からカソード出口スタック面22まで、実質的に直線的な方向で、カソード層14を通って流れる。アノード供給ガスおよびカソード供給ガスは、それらがスタック内にあるとき、互いに、実質的に垂直に流れる(又は直交して流れる)(すなわち、アノード供給ガスの体積(又はボリューム)の大部分が第1方向に流れ、カソード供給ガスの体積(又はボリューム)の大部分が第1方向に対して実質的に垂直である第2方向に流れる)(「クロス・フロー(cross-flow)」としても知られている)。このようなことから、電流密度は、アノード入口側部16とカソード入口側部20とが遭遇する燃料電池スタック10の角部(又はコーナー)(領域I)に近接して最も高くてよく、その場合、燃料電池アセンブリ11を通るアノード供給ガスの流れ(又はフロー)およびカソード供給ガスの流れ(又はフロー)のそれぞれの方向において、非線形(又はノン・リニア)に変化する。したがって、アノード供給ガスおよびカソード供給ガスの流れ(又はフロー)をスタック内で互いに対してそれぞれ再配向することが有利となり得る。そうすることで、アノードの流れおよびカソードの流れが実質的に平行(又はパラレル)な構成(又は配置又はコンフィギュレーション)(「平行流(又はパラレル・フロー)」、「共流(又はコ・フロー)」または「向流(又はカウンター・フロー)」としても知られている)で燃料電池スタック10を通過するようになる。
【0018】
本発明によると、4面で囲まれた燃料電池スタックの内部において、2種類のプロセスガスの混合物を実質的に平行に流すことができる。燃料電池スタックにおいて、2種類のプロセスガスの混合物がスタックに供給され、なおかつ、互いに実質的に垂直な方向でスタックから除去される。換言すると、本発明によって、燃料電池スタックの内部において、実質的に平行(又はパラレル)な流れ(又はフロー)が可能になる。このとき、燃料電池スタックへのプロセスガスの供給(又は送達)と、燃料電池スタックからのプロセスガスの供給(又は送達)を大幅に変更することがない(すなわち、外部マニホールドを使用する)。このことは、図2に関連して説明する通りである。
【0019】
ここで、図3を参照すると、燃料電池スタック200において、如何にして、アノード供給ガスが、燃料電池スタック200の角部(又はコーナー)を通過して、カソード供給ガスと実質的に平行(又はパラレル)な方向に向きが変えられるか(又は方向転換されるか)について、ならびに、如何にして、アノード排気(物)がカソード排気(物)と実質的に垂直な方向に、再び、向きが変えられて(又は方向転換されて)、出されるかについて示している。
(参照を容易にするために、「A」で指定された矢印は、アノードプロセスガスの流路(又はフロー・パス)を表し、「C」で指定された矢印は、カソードプロセスガスの流路(又はフロー・パス)を表している。)
燃料電池スタック200は、複数の燃料電池アセンブリ211を含み、その各々が、アノード層208と、カソード層210とを有する。このとき、燃料電池は、一段ずつ、互いに、その上(又はトップ)に積層(又はスタック)されており、スチール・セパレータ・シート(steal separator sheet)(例えば、バイポーラ・プレート(bipolar plate))によって、互いに分離されている。この燃料電池アセンブリ211内の流路(又はフロー・パス)を示すために、最上部の燃料電池アセンブリ211の上面が除去されていることに留意されたい。それぞれの燃料電池アセンブリ211のアノード層208は、密閉(又はシール)されたチャンバであることが理解される(ただし、アノード電極の多孔質の活性領域(アノード活性領域)213は除く)。このような密閉チャンバは、単一の入口(部分的なアノード入口216(後述する))と、単一の出口(部分的なアノード出口218(後述する))とを有するものである。本明細書で使用する通り、「活性領域(又はアクティブ・エリア)」は、燃料電池層の一部の領域(アノード,カソード)である。ここを通って、プロセスガス(又は処理ガス)に含まれる分子が選択的に拡散できるように構成されている。すなわち、供給ガスが、この活性領域において、電気化学的な反応を受ける。別の言い方をすれば、燃料電池のアノードおよびカソードの両方のリーディング・エッジ(又は前部の縁又は前縁)およびトレイリング・エッジ(又は後部の縁又は後縁)には、狭い非活性領域(又はノン・アクティブ・エリア)があり、かかる領域はウェット・シールに対応するものである。これは、燃料電池の上下の隣接するセルの間にある。供給ガスは、このウェット・シールを通る。このとき、電気化学的な反応を受けることはない。燃料電池の残りの領域は、アノード層とカソード層の両方に共通して重なる部分であり、電気化学的な活性に供されるところであり、これは、「活性領域(又はアクティブ・エリア)」として知られている。同様に、それぞれの燃料電池アセンブリ211のカソード層210は、密閉(又はシール)されたチャンバである(ただし、多孔質の活性カソード電極は除く(図示せず))。この密閉(又はシール)されたチャンバは、カソード入口226と、カソード出口228とを有している。さらに、燃料電池アセンブリ211の側壁の一部は除去されていることに留意されたい。最上部の燃料電池アセンブリ211のカソード層を通る流路(又はフロー・パス)を示すためである(ならびに最上部の燃料電池アセンブリ211のすぐ下側にある燃料電池アセンブリ211のアノード層の流路(又はフロー・パス)とカソード層の流路(又はフロー・パス)とを示している)。また、最上部の燃料電池アセンブリ211に対応して列挙された特徴について参照することができるが、このように列挙された特徴は、燃料電池スタック200に含まれる他の燃料電池アセンブリ211に適用してもよいことについても、さらに留意されたい。
【0020】
本明細書中に記載される燃料電池アセンブリ211は、アノード層208と、カソード層210と、スチール・セパレータ・シート(steal separator sheets)とを含むことに留意されたい。ここで、アノード層208およびカソード層210は、電解質マトリクス層によって分離されている。スチール・セパレータ・シートは、燃料電池アセンブリの上方の表面(又は上面)および下方の表面(又は下面)を形成するものである。しかし、他の実施形態において、第1の燃料電池アセンブリが、アノード層208と、カソード層210とを含んでいてよく、これらは、スチール・セパレータ・シートで分離されていて、アノード電極が第1表面(例えば、上方の表面(又は上面))を形成し、カソード電極が第2表面(例えば、下方の表面(又は下面))を形成している。第1燃料電池アセンブリの上部または下部に第2燃料電池アセンブリ(第1燃料電池アセンブリと同じ構成要素(又は成分又はコンポーネント)を有するもの)が積層(又はスタック)されて、2つの燃料電池アセンブリが電解質マトリクス層によって分離されると、単一の機能性を有する燃料電池ユニット(又はシングル・ファンクションの燃料電池ユニット)が形成される。換言すると、第1燃料電池アセンブリのカソードが電解質マトリクスと連絡して、この電解質マトリクスが、第2燃料電池アセンブリのアノードと連絡する場合、単一燃料電池ユニット(又はシングル燃料電池ユニット)が形成される。
【0021】
図3は、3つの燃料電池アセンブリ211を示している。しかし、本発明は、そのようなものに限定さない。そして、燃料電池スタックは、より多くの燃料電池アセンブリまたはより少ない数の燃料電池アセンブリを含んでいてよい。燃料電池アセンブリ211は、それぞれ、2つの拡張したエッジ・シール・チャンバ(又は拡張エッジ・シール・チャンバ又は延長エッジ・シール・チャンバ)(236,246)を含んで成る。第1の拡張したエッジ・シール・チャンバ236(例えば、上流側の拡張したエッジ・シール・チャンバ)は、燃料電池アセンブリの第1側部(又は第1側面又は第1サイド又はファースト・サイド)にある。そして、第2の拡張したエッジ・シール・チャンバ246(例えば、下流側の拡張したエッジ・シール・チャンバ)は、燃料電池アセンブリの第1側部の反対側にある。図3に示す通り、かかる拡張したエッジ・シール・チャンバは、スタック面から、外側に片持式で(又はカンチレバーのように又は片側が固定端であり、片側が自由端であるように)延びる(又は広がる又は拡張もしくは延在する)ものであり、この燃料電池の2つの対向する側部(又は側面又はサイド)にある活性領域を超えて延びている(又は広がっている又は拡張もしくは延在している)。
【0022】
図2に示す燃料電池スタック10で示すように、燃料電池スタック200(図3参照)は、アノード入口側部(又はアノード入口側面又はアノード・インレット・サイド)(またはアノード入口スタック面)(又はスタック面)212と、それに対向するアノード出口側部(又はアノード出口側面又はアノード・アウトレット・サイド)(またはアノード出口スタック面)(又はスタック面)214とを含んで成る。アノード出口側部(又はアノード出口スタック面)214は、アノード入口側部(又はアノード入口スタック面)212に実質的に平行(又はパラレル)である。しかし、アノード入口スタック面212は、燃料電池スタック10のアノード入口スタック面16とは異なっている(このスタック面16は、実質的に開いた面/入口を含み、これは、アノード供給ガスが各燃料電池に入るためのものである)。アノード入口スタック面212は、それほど開いておらず、燃料電池アセンブリ211は、それぞれ、第1の部分的なシール(又はパーシャル・シール)212aと、部分的なアノード入口(又はパーシャル・アノード・インレット)216とを含んで成る。例示的な実施形態では、外部マニホールドが、アノード入口スタック面212(図示せず)に対して密封(又はシール)しており、この外部マニホールドに供給(又は提供)されるアノード供給ガス(図示せず)は、部分的なアノード入口(又はパーシャル・アノード・インレット)216を介して、燃料電池のアノード部(又はアノード部分又はアノード・セクション)に進入する。同様に、アノード出口スタック面214は、燃料電池スタック10のアノード出口スタック面18とは異なっている(このスタック面18は、実質的に開いた面/出口(図示せず)を含み、これは、アノード排気(物)が各燃料電池から出るためのものである)。アノード出口スタック面214は、それほど開いておらず、燃料電池アセンブリ211は、それぞれ、第2の部分的なシール(又はパーシャル・シール)214aと、部分的なアノード出口(又はパーシャル・アノード・アウトレット)218とを含んで成る。
【0023】
燃料電池スタック200の動作中(又は作動中又は運転中又は操作中)において、アノード層208は、それぞれ、以下のように構成されている。アノード層208は、アノード供給ガスのサプライ(すなわち、ソース(又は供給源))から、例えば、外部マニホールド(図示せず)を介して、燃料電池スタック200のアノード入口側部212において、アノード供給ガスを受けて、例えば、別の外部マニホールド(図示せず)を介して、燃料電池スタック200のアノード出口側部214において、アノード排気(物)を排出する。その前に、アノード供給ガスは、燃料電池スタック200において、カソード供給ガスと反応している。具体的には、アノード層208は、それぞれ、部分的なアノード入口216(すなわち、アノード入口の開口部(又はアノード・インレット・オープニング))を含んで成る。このアノード入口216は、アノード層208の上流部分において、アノード入口側部212の一部のみにおいて形成されている。アノード層208は、それぞれ、部分的なカソード出口218(すなわち、アノード出口の開口部)を含んで成る。このアノード出口218は、アノード層208の下流部分において、アノード出口側部214の一部のみにおいて形成されている。
【0024】
燃料電池スタック200は、カソード入口側部(またはスタック面)222と、それに対向するカソード出口側部(またはスタック面)224とをさらに含んで成る。カソード出口側部224は、カソード入口側部222と実質的に平行である。いくつかの実施形態において、カソード層210は、その構造が、図2に示される燃料電池スタック10のカソード層14の構造と類似しており、同様に作動する。換言すると、いくつかの実施形態において、カソード供給ガスは、カソード入口スタック面222から、カソード出口スタック面224まで、実質的に直線的な方向で、カソード層210を通って、流れてよい。図3(アノード層208)に示すように、第1の拡張したエッジ・シール・チャンバ236は、カソード入口226の上方で片持式である(又はカンチレバーのように又は片側が固定端であり、片側が自由端である)ことが理解できる。さらに、複数の第1の拡張したエッジ・シール・チャンバ236が、カソード入口スタック面222に沿って、連続した片持式の突起(物)を形成している。同様に、複数の第2の拡張したエッジ・シール・チャンバ246も、カソード出口スタック面224に沿って、連続した片持式の突起(物)を形成している。
【0025】
燃料電池スタック200の動作中(又は作動中又は運転中又は操作中)において、カソード層210は、それぞれ、以下のように構成されている。カソード層210は、例えば、外部マニホールド(図示せず)を介して、カソード供給ガスのサプライ(すなわち、ソース(又は供給源))から、燃料電池スタック200のカソード入口側部222において、カソード供給ガスを受けて、例えば、外部マニホールド(図示せず)を介して、燃料電池スタック200のカソード出口側部224において、カソード排気(物)を排出する。その前に、カソード供給ガスは、燃料電池スタック200において、アノード供給ガスと反応していた。具体的には、カソード層210は、それぞれ、カソード入口226(すなわち、カソード入口の開口部(又はカソード・インレット・オープニング))を含んで成る。このカソード入口226は、カソード層210の上流部分において、カソード入口側部222に形成されている。カソード層210は、それぞれ、カソード出口228(すなわち、カソード出口の開口部(又はカソード・アウトレット・オープニング))をさらに含んで成る。このカソード出口228は、カソード層210の下流部分において、カソード出口側部224に形成されている。例示的な実施形態によると、カソード入口226およびカソード出口228は、カソード層210の幅の実質的に全体にわたって延びてよい(又は広がってよい又は拡張もしくは延在してもよい)。一方で、他の例示的な実施形態によると、カソード入口226および/またはカソード出口228は、カソード層210の幅の一部にだけ沿って延びてよい(又は広がってよい又は拡張もしくは延在してよい)。
【0026】
図3に示す通り、アノード供給ガスがアノード層208に供給されて、アノード層208からアノード排気(物)が排出される。このとき、燃料電池および燃料電池スタックを通る実質的に平行(又はパラレル)な流路(又はフロー・パス)に沿う。例えば、アノード供給ガスは、アノード入口マニホールド(図示せず)から、アノード層208に供給される。このとき、アノード入口スタック面212に対して、実質的に垂直な流線(又はストリームライン)に沿って供給される。部分的なアノード入口216を通して供給されるアノード供給ガスは、アノード入口ダイバータ(又はアノード・インレット・ダイバータ)(方向転換面(又は迂回面又はダイバーティング・サーフェス(diverting surface)))252で向きが変えられる。このとき、アノード供給ガスは、第1の拡張されたエッジ・シール・チャンバ236を通って、燃料電池アセンブリ211のアノード活性領域213に戻り、カソード供給ガスの流れ(又はフロー)と実質的に平行(又はパラレル)なストリーム(又は流れ)に入り、次いで、第2の拡張されたエッジ・シール・チャンバ246に入り、次いで、部分的なアノード出口218を通して排出される。アノードの活性部を通って移動するアノードガスの一部は、アノード出口ダイバータ(別の方向転換面(又は迂回面又はダイバーティング・サーフェス(diverting surface))266の第1側部(又は第1側面又は第1サイド又はファースト・サイド)によって、第2の拡張したエッジ・シール・チャンバ246に向きが変えられることが理解できる。また、第2の拡張したエッジ・シール・チャンバ246を通って移動するアノードガスは、アノード出口ダイバータ266の第2側部(又は第2側面又は第2サイド又はセカンド・サイド)によって、部分的なアノード出口218を通って向きが変えられてよいことが理解できる。
【0027】
上記の構成(又は配置又はコンフィギュレーション)において、アノード排気(物)は、方向転換されて、燃料電池スタック200のアノード出口スタック面214に対して実質的に垂直に流れる流線(又はストリームライン)に入る。さらに、図3に示すように、カソード入口スタック面222およびカソード出口スタック面224は、燃料電池スタック200のアノード入口スタック面212およびアノード出口スタック面214に対して、実質的に垂直である。この構成(又は配置又はコンフィギュレーション)では、カソード供給ガスがカソード層210に供給され、カソード層210からカソード排気(物)が排出される。このとき、カソード供給ガスは、互いに実質的に平行(又はパラレル)な流路(又はフロー・パス)に沿う。例えば、カソード供給ガスは、カソード入口スタック面222に対して実質的に垂直な流線(又はストリームライン)に沿って流れる。カソード排気ガスは、カソード出口スタック面224に対して実質的に垂直な流線(又はストリームライン)に沿って流れる。例示的な実施形態によると、カソード層210を通るカソード供給ガスの流れ(又はフロー)は、反応してカソード排気(物)に変換されるとき、カソード入口226とカソード出口228との間の実質的に直線的な流線(又はストリームライン)に沿って流れる。
【0028】
図3に示される第1および第2の拡張したエッジ・シール・チャンバ(236,246)は、台形の領域(又は面積又はフットプリント)を有し、アノード活性領域から離れるように延びていて(又は広がっていて又は拡張もしくは延在していて)、1つの長い側壁、2つの短い側壁、上面および下面によって囲まれている。しかし、本発明は、このようなものに限定されないことが理解できる。第1の拡張したエッジ・シール・チャンバ236は、任意の大きさ(又は寸法又は次元又はディメンション)を有してよく、あるいは任意の形状であってよい。この第1の拡張したエッジ・シール・チャンバ236は、アノードプロセスガス(これは、部分的なアノード入口216を介して供給され、なおかつアノード入口ダイバータ252によって向きが変えられているものである)を受けることができ、なおかつ、このアノードプロセスガスを、アノード活性領域の入口272を通して、アノード活性領域213に提供できるチャンバを囲む(又は規定する)ものである。同様に、第2の拡張したエッジ・シール・チャンバ246は、任意の大きさ(又は寸法又は次元又はディメンション)を有してよく、あるいは任意の形状であってよい。この第2の拡張したエッジ・シール・チャンバ246は、アノードプロセスガス(これは、アノード活性領域の出口274を介して供給されるものである)を受けることができ、なおかつ、部分的なアノード出口218を通して(アノード出口のダイバータ(divert)266によって向きを変えること(又はリダイレクション)によって)、このアノードプロセスガスを提供することができるチャンバを囲む(又は規定する)ものである。
【0029】
図3に示す通り、アノード入口ダイバータ252は、燃料電池スタック200のアノード入口側部212およびカソード入口側部222の各々に対して、垂直でない角度(又は非垂直角)で延びている(又は広がっている又は延在もしくは拡張している)。また、図3に示す通り、アノード入口ダイバータ252は、アノード入口側部212からカソード入口側部222に向かって、まっすぐに直線的な様式で延びている(又は広がっている又は延在もしくは拡張している)。しかし、アノード入口ダイバータ252は、部分的なアノード入口216を通って供給されるアノードプロセスガスを第1の拡張したエッジ・シール・チャンバ236に向きを変えることができる限り、湾曲していてもよく(凹状または凸状)、あるいは任意の他の形状であってもよい。アノード入口ダイバータ252は、アノード層208の実質的に全ての高さに沿って垂直に延びている(又は広がっている又は延在もしくは拡張している)。そうすることで、アノード供給ガスが、アノード入口ダイバータ252の上方または下方を通って、アノード層208の残りの部分に入らないようになっている。
【0030】
同様に、アノード出口ダイバータ266は、燃料電池スタック200のアノード出口側部214およびカソード出口側部224の各々に対して、垂直でない角度(又は非垂直角)で延びている(又は広がっている又は延在もしくは拡張している)。図3に示されるアノード入口ダイバータ252は、アノード出口側部214からカソード出口側部224に向かって、まっすぐに直線的な様式で延びている(又は広がっている又は延在もしくは拡張している)。その一方で、アノード入口ダイバータ252は、部分的なアノード出口218を通して第2の拡張したエッジ・シール・チャンバ236を通って供給されるアノードプロセスガスの向きを変える限り、湾曲していてもよく(凹状または凸状)、あるいは任意の他の形状であってもよい。アノード出口ダイバータ266は、アノード層208の実質的に全ての高さに沿って垂直に延びている(又は広がっている又は延在もしくは拡張している)。そうすることで、アノードプロセスガスが、アノード出口ダイバータ252の上方または下方を通過しないようになっている。
【0031】
図2に戻って参照すると、プロセスガスが燃料電池を通って流れるとき、このガスの組成が変化することが理解できる。このとき、プロセスガスは、燃料電池を横切って移動し、なおかつ、燃料電池内で別のプロセスガスと反応する。このように、燃料電池スタック10(図2参照)を通って流れるアノードプロセスガスの組成が変化する。このとき、アノードプロセスガスは、スタックのアノード入口側部16からアノード出口側部18に移動する。しかし、燃料電池スタック10に入るカソードプロセスガスの組成は、カソード層14の幅(燃料電池スタック10のアノード入口側部16からアノード出口側部18までを測定したもの)に沿って、均一に分布(又は分配)している。対照的に、図3に示す実施形態の動作中(又は作動中又は運転中又は操作中)において、アノードプロセスガスは、活性アノード入口272を通して、アノード活性領域213に入る(燃料電池スタック200のアノード入口側部212のスパンにわたる開口部(例えば、図2に示す通りである)は存在しない)。燃料電池スタック10(図2)と同様に、カソードプロセスガスは、カソード層210の全幅(燃料電池スタック200のアノード入口側部212からアノード出口側部214までを測定したもの)に沿って、実質的に均一な流動分布で燃料電池スタック200に入る(カソード入口側部222から入る)。従って、アノード活性領域213に入るアノードプロセスガスの組成およびカソード層210に入るカソードプロセスガスの組成は、燃料電池スタック200の幅(燃料電池スタック200のアノード入口側部212からアノード出口側部214までを測定したもの)にわたって、実質的に均一である。後述するように、スタック10のアノード入口側部16およびカソード入口側部20(図2の領域I)に近接して、より高い電流密度が得られる代わりに、ならびに、入口から離れて、より低い電流密度が得られる代わりに、このスタック10に入るプロセスガスの均一な組成分布(カソード入口の幅に沿うもの)によって、実質的に平行(又はパラレル)な様式で、カソード入口のスパンにわたって、より均一な電流密度の分布(又は分配)が可能になる。
【0032】
図4Aは、燃料電池スタック200の平面図である。ここで、アノード層208の上面(最上部の燃料電池アセンブリ211のアノード層208の上面)は、除去されている。
(a)第1の拡張したエッジ・シール・チャンバ236からアノード活性領域213に入るアノード供給ガスを示す。
(b)アノード活性領域213から第2の拡張したエッジ・シール・チャンバ246に入るアノード排気(物)を示す。
アノード活性領域を横切るアノードプロセスガスの流れ(又はフロー)(アノード供給ガスとして入り、アノード排気(物)として出るもの)は、実質的に直線的な様式で、燃料電池アセンブリ211のカソード層210を通るカソードプロセスガスの流れ(又はフロー)と平行(又はパラレル)である。上記のように、このような流れ(又はフロー)の配置(又は配列)は、共流(又はコ・フロー(co-flow))と記載されてよい。
【0033】
図4Bは、向流(又はカウンター・フロー(counter-flow))の方向で燃料電池アセンブリを通過するアノードプロセスガスの流れ(又はフロー)を示す。図4Bは、燃料電池スタック300の平面図である。ここで、アノード層308の上面(最上部の燃料電池アセンブリ311のアノード層308の上面)は、除去されている。
燃料電池スタック200および燃料電池アセンブリ211と同様にして、アノードプロセスガスは、アノード入口側部(すなわち、カソードプロセスガスが入る側部(又は側面)と直交する側部(又は側面))から燃料電池スタック300/燃料電池アセンブリ311に入る。そして、アノードプロセスガスは、アノード入口側部の反対側から出る。そして、カソードプロセスガスは、カソード入口側部の反対側から出る。
アノードプロセスガスは、部分的なアノード入口316(これは、部分的なアノード入口216(燃料電池アセンブリ211の部分的なアノード入口216)と同様である)を介して、燃料電池アセンブリ311のアノード入口側部に進入する。
しかし、部分的なアノード入口316は、燃料電池スタック300のアノード入口側部とカソード出口側部との間のスタックの角部(又はコーナー)に近接している。
一方、部分的なアノード入口216(燃料電池アセンブリ211の部分的なアノード入口216)は、燃料電池スタック200のアノード入口側部とカソード入口側部との間のスタックの角部(又はコーナー)に近接している。
アノードプロセスガスは、燃料電池アセンブリ311に入った後、第1の拡張したエッジ・シール・チャンバ326(燃料電池アセンブリ311のカソード出口側部に位置するもの)に向きが変えられて(アノード入口ダイバータ352によって向きが変えられる)、さらに、アノード活性領域313へと向きが変えられる。
反応したアノードプロセスガスは、アノード活性領域313を出て、第2の拡張したエッジ・シール・チャンバ346に入り、アノード出口ダイバータ(divert)366およびアノードの部分的な出口318に向けて向きが変えられる。
この構成では、アノードプロセスガスは、アノード活性領域313を横断する。このとき、アノードプロセスガスは、カソードプロセスガスと実質的に平行(又はパラレル)な方向(ただし、反対方向)であり、このカソードプロセスガスは、燃料電池アセンブリ311のカソード層を通って移動(又は横断)する。
【0034】
いずれのフロー構成(共流(又はコ・フロー)または向流(又はカウンター・フロー))においても、アノード供給ガスおよびカソード供給ガスのそれぞれの分布(又は分配)は、アノード入口側部からアノード出口側部の方向に向けて、燃料電池スタックの横方向にわたって、実質的に均一である。それによって、燃料電池スタックにわたって、電流密度の一次元的な分布(又は一方向の分布)が得られる(これは、カソード入口からカソード出口までを測定している)。
【0035】
図4Aに示す共流(又はコ・フロー)の構成ならびに図4Bに示す向流(又はカウンター・フロー)の構成は、燃料電池スタック10(図2参照)に関して本明細書中に記載された同じ外部マニホールドの配置(又は配列)が利用できることが理解できる。
あるいは、向流(又はカウンター・フロー)の構成は、燃料電池スタックを通るアノードプロセスガスの方向を再配置(又は再配列又はリアレンジ)する(例えば、アノード入口マニホールドをアノード出口マニホールドとスイッチする(又は入れ替える又は切り替える又は交換する))ことによって、または、燃料電池スタックを通るカソードプロセスガスの方向を再配置(又は再配列又はリアレンジ)する(例えば、カソード入口マニホールドをカソード出口マニホールドとスイッチする(又は入れ替える又は切り替える又は交換する))ことによって、図4Aの実施形態で達成されてよい。
【0036】
図4Cは、カソード層210(燃料電池アセンブリ211のカソード層210)の平面図である。ここでは、カソード電極を除去して、カソード活性領域2113を示している。動作中(又は作動中又は運転中又は操作中)、カソードプロセスガスは、カソード入口側部からカソード出口側部まで、実質的に直線的な経路(又はパス)で、カソード活性領域2113を横切る。第1カソード・エッジ・シール2115によって、カソードプロセスガスが燃料電池アセンブリ211のアノード入口側部(例えば、アノード入口マニホールド(図示せず))に入るのを防止(又は抑制)する。第2カソード・エッジ・シール2117によって、カソードプロセスガスが燃料電池アセンブリ211のアノード出口側部(例えば、アノード出口マニホールド(図示せず))に入るのを防止(又は抑制)する。
【0037】
図4Dは、アノード層208(燃料電池アセンブリ211のアノード層208)の平面図である。ここでは、上面の主要部分がアノード活性領域313および拡張したエッジ・シール・チャンバ(236,246)を覆っている。動作中(又は作動中又は運転中又は操作中)、上記で詳細に説明したように、アノードプロセスガスは、第1の拡張したエッジ・シール・チャンバ236に入り、カソード入口側部からカソード出口側部(燃料電池アセンブリ211のカソード入口側部からカソード出口側部)まで、実質的に直線的な経路(又はパス)でアノード活性領域313を横切る。
アノードプロセスガスが部分的なアノード入口216から第1の拡張したエッジ・シール・チャンバ236およびアノード活性領域313まで移動する際、第1アノード・エッジ・シール3115によって、アノードプロセスガスが燃料電池アセンブリ211のカソード入口側部(例えば、カソード入口マニホールド(図示せず))に入るのを防止(又は抑制)する。
アノードプロセスガスがアノード活性領域313から第2の拡張したエッジ・シール・チャンバ246およびアノードの部分的な出口218まで移動する際、第2アノード・エッジ・シール3117によって、アノードプロセスガスが燃料電池アセンブリ211のカソード出口側部(例えば、カソード出口マニホールド(図示せず))に入るのを防止(又は抑制)する。
【0038】
さらに、別の例示的な実施形態に従って、以下のことを理解すべきである。カソード層210は、アノード層208と実質的に同様の方法で構成されてよい。また、アノード層208の代わりに構成されてもよい。そうすることで、カソード入口に関連する拡張したエッジ・シール・チャンバ(例えば、「カソード入口チャンバ」または第1の拡張したエッジ・シール・チャンバ236)は、カソード入口側部222に隣接するスタック側部に配置され(かつ垂直方向である)、カソード層210の入口ダイバータと協働するように構成されて、その中のカソード供給ガスの向きを変えて、アノード供給ガス(これは、スタックのアノード入口側部212において直接的に受けるものである)と実質的に平行(又はパラレル)になる。
同様に、カソード出口に関連する拡張したエッジ・シール・チャンバ(例えば、「カソード出口チャンバ」または第2の拡張したエッジ・シール・チャンバ246)は、カソード入口チャンバの反対側のスタック側部(又は側面)に配置されてよく、カソード層の出口ダイバータと協働するように構成されて、燃料電池スタック200に由来するカソード排気(物)の向きを変える。
【0039】
ここで、図5を参照すると、従来の燃料電池スタック10の電流密度の代表的な分布(又は分配)が示されている。ここで、等高線(isometric lines)は、同じ値の電流密度の等高線(又は輪郭又は外形又は曲線又はコンタ(contours))を示している。等高線501は、最も高い電流密度の値を表している。そして、等高線502は、最も低い電流密度の値を表している。等高線501と502との間に存在する複数の等高線は、規定の間隔でのそれらの中間の電流密度の値を表していることが理解できる。この構成では、電流は、アノード入口側部16がカソード入口側部20に接触している角部(又はコーナー)(領域I)に近接するアノード入口側部16に沿って、最も高い密度を有している。電流密度は、アノード入口側部16からアノード出口側部18に向かう方向に非線形的(又はノン・リニア)に低下している(又は直線的でなく低下している)。また、電流密度は、カソード入口側部20からカソード出口側部22に向かう方向にも非線形的(又はノン・リニア)に低下している(又は直線的でなく低下している)。これら2つの方向のそれぞれにおける電流密度の分布(又は分配)は、電流の2次元的な分布(又は2方向の分布)を提供する。それによって、燃料電池スタック10を最適化することが困難になっている。注目すべきは、燃料電池スタック10の大部分を最適化して電流分布を線形化できたとしても、角部(又はコーナー)、すなわち、アノード入口側部16がカソード出口側部22に接触している角部では、大幅かつ急激な電流低下が発生することである。それによって、燃料電池スタック10の性能(又はパフォーマンス)が低下する可能性がある。
【0040】
ここで、図6を参照すると、例示的な実施形態に従って、燃料電池スタック200の電流密度の分布(又は分配)が示されている。ここで、等高線(isometric lines)は、同じ値の電流密度の等高線(又は輪郭又は外形又は曲線又はコンタ(contours))を示す。図5と同様に、等高線501は、最も高い電流密度の値を表している。そして、等高線502は、最も低い電流密度の値を表している。等高線501と502との間に存在する複数の等高線は、規定の間隔でのこれらの中間の電流密度の値を表していることが理解できる。この構成(又は配置又はコンフィギュレーション)は、アノード供給ガスおよびカソード供給ガスの両方が燃料電池スタック200内でカソード入口側部222からカソード出口側部224に向かって流れる場合の電流密度を示すことができる。アノード供給ガスおよびカソード供給ガスの実質的に平行(又はパラレル)な流れ(又はフロー)は、実質的に一定の電流密度(これは、流れ(又はフロー)の方向に垂直な横方向で測定されたものである)を提供する。例えば、燃料電池スタック200の任意の所定の点(又はポイント)における電流密度は、アノード入口側部212からアノード出口側部214に直接的に向かう方向に移動して、実質的に同じであってよい。
【0041】
図5および図6に示すCFDモデルは、従来の燃料電池スタック10および例示的な実施形態に従う燃料電池スタック200における典型的な燃料電池の電流密度のプロファイルを代表している。ここで、スタックは、いずれも、同じような総合熱勾配(又はトータル・サーマル・グラジエント)でセルを動作(又は作動又は運転又は操作)させる。図式的に、燃料電池スタック200は、セルにおいて、より均一で予測可能な電流勾配(又はカレント・グラジエント)を有することが理解できる。さらに、燃料電池スタック200は、燃料電池において同様の総合熱勾配で動作させたとき、従来の燃料電池スタック10よりも全体的に高い総電流(又はトータル・カレント)を生成できると予測される。燃料電池スタック200は、長いリーディング・エッジ(又は前部の縁又は前縁)のインターフェース(又は界面)(最高濃度のカソードガスおよびアノードガスの両方に共通している)を提供することから、このようなことが可能であり、それによって、従来の燃料電池スタック10における単一の角位置(コーナー・ロケーション)(ここでは、両方の反応物質が、それぞれ最高濃度にある)(領域I、図5の501を参照のこと)と比べて、より大きな高い電流密度の領域(カソード入口側部222に近接する領域、図6の501を参照のこと)をもたらすことになる。具体的には、ある位置において、最も高い電流密度を確立することができる。尚、このような位置では、まず、アノード供給ガスおよびカソード供給ガスが電解質マトリクスの対向する側部(又は側面)に導入され、電流密度が低下する。このとき、供給ガスを反応させて、排気物に変換する。アノード供給ガスおよびカソード供給ガスの実質的に平行(又はパラレル)な流路(又はフロー・パス)は、電流密度の一次元的な分布(又は分配)を形成するものであり、燃料電池スタック200において表面積を増加させる。ここでは、アノード供給ガスおよびカソード供給ガスが最初に反応する。なぜなら、燃料電池スタック200において、まさしく、角部(又はコーナー)ではなく、燃料電池スタック200のカソード入口側部222の長さの実質的に全てにわたって、供給ガスが反応するからである。
【0042】
(追加の実施形態)
実施形態1
燃料電池であって、当該燃料電池は、アノードと、カソードと、電解質マトリクス層とを含んで成り、
前記アノードは、アノードプロセスガスを受けて、前記アノードプロセスガスが通過できるように構成されており、
前記カソードは、カソードプロセスガスを受けて、前記カソードプロセスガスが通過できるように構成されており、
前記電解質マトリクス層は、前記アノードと、前記カソードとを分離しており、
前記アノードまたは前記カソードの一方が、拡張したエッジ・シール・チャンバを有し、
当該燃料電池は、前記アノードプロセスガスおよび前記カソードプロセスガスを互いに対して実質的に垂直な方向で受けるように構成されており、
前記拡張したエッジ・シール・チャンバは、前記アノードプロセスガスおよび前記カソードプロセスガスが前記アノードおよび前記カソードを実質的に平行(又はパラレル)な流路(又はフローパス)で通過できるように構成されている、燃料電池。
【0043】
実施形態2
燃料電池スタックであって、当該燃料電池スタックは、燃料電池を含んで成り、
前記燃料電池は、第1層と、第2層と、電解質マトリクス層とを含んで成り、
第1層は、活性領域を有し、前記活性領域が、第1プロセスガスを受けて、前記第1プロセスガスを出すように構成されており、
第2層は、第2プロセスガスを受けて、前記第2プロセスガスを出すように構成されており、
前記電解質マトリクス層は、第1層と、第2層とを分離しており、
第1層は、拡張したエッジ・シール・チャンバを含んで成り、前記拡張したエッジ・シール・チャンバは、前記燃料電池の第1側部にある前記活性領域から離れるように延在しており、
前記拡張したエッジ・シール・チャンバは、当該燃料電池スタックにおいて(又は当該燃料電池スタックに対して)、第1方向で当該燃料電池スタックに提供される第1プロセスガスを受けて、前記第1方向に対して実質的に垂直である第2方向で第1プロセスガスを前記活性領域に出すように構成されており、
第1プロセスガスが第2プロセスガスと反応できるように前記活性領域が構成されている、燃料電池スタック。
【0044】
実施形態3
第2層が、第2方向と実質的に平行(又はパラレル)な方向で第2プロセスガスを受けて、前記第2プロセスガスを出すように構成されている、実施形態2に記載の燃料電池スタック。
【0045】
実施形態4
第1層が、方向転換面(又は迂回面)を含んで成り、前記方向転換面が、第1プロセスガスを受けて、前記拡張したエッジ・シール・チャンバに第1プロセスガスを方向転換させるように構成されている、実施形態2または3に記載の燃料電池スタック。
【0046】
実施形態5
燃料電池スタックで使用する燃料電池であって、前記燃料電池スタックは、燃料電池を含んで成り、
当該燃料電池は、アノード層と、カソード層と、電解質マトリクス層とを含んで成り、
前記アノード層は、活性アノード領域を有し、前記活性アノード領域は、アノードプロセスガスを受けて、前記アノードプロセスガスを出すように構成されており、
前記カソード層は、カソードプロセスガスを受けて、前記カソードプロセスガスを出すように構成されており、
前記電解質マトリクス層は、前記アノード層と、前記カソード層とを分離しており、
前記アノード層は、第1の拡張したエッジ・シール・チャンバを含んで成り、第1の拡張したエッジ・シール・チャンバは、当該燃料電池の第1側部にある前記活性アノード領域から離れるように延在しており(又は延びており又は広がっており又は拡張しており)、
第1の拡張したエッジ・シール・チャンバは、前記燃料電池スタックにおいて(又は前記燃料電池スタックに対して)、第1方向で前記燃料電池スタックに供給(又は提供)されるアノードプロセスガスを受けて、前記第1方向に対して実質的に垂直である第2方向で前記アノードプロセスガスを前記活性アノード領域に出すように構成されており、前記活性アノード領域は、前記アノードプロセスガスが前記カソードプロセスガスと反応できるように構成されている、燃料電池。
【0047】
実施形態6
前記燃料電池は、第2の拡張したエッジ・シール・チャンバをさらに含んで成り、第2の拡張したエッジ・シール・チャンバは、前記燃料電池の第1側部の反対側において、前記活性アノード領域から離れるように延在しており、第2の拡張したエッジ・シール・チャンバは、前記燃料電池スタックにおいて(又は前記燃料電池スタックに対して)、第2方向で前記アノードプロセスガスを受けて、第1方向に前記アノードプロセスガスを方向転換(又は迂回)させるように構成されている、実施形態5に記載の燃料電池。
【0048】
実施形態7
前記カソード層は、第2方向と実質的に平行(又はパラレル)な方向で前記カソードプロセスガスを受けるように構成されている、実施形態5または6に記載の燃料電池。
【0049】
実施形態8
前記カソード層は、第2方向と実質的に平行(又はパラレル)な方向で前記カソードプロセスガスを出すように構成されている、実施形態5~7のいずれか1項に記載の燃料電池。
【0050】
実施形態9
前記アノード層は、第1方向転換面(又は第1迂回面)を含んで成り、第1方向転換面は、第1方向で前記アノードプロセスガスを受けて、第1の拡張したエッジ・シール・チャンバに向けて前記アノードプロセスガスの向きを変えるように構成されている、実施形態5~8のいずれか1項に記載の燃料電池。
【0051】
実施形態10
前記アノード層は、第2方向転換面(又は第2迂回面)を含んで成り、第2方向転換面は、第2の拡張したエッジ・シール・チャンバから前記アノードプロセスガスを受けて、第1方向に前記アノードプロセスガスの向きを変えるように構成されている、実施形態5~9のいずれか1項に記載の燃料電池。
【0052】
本開示において利用される通り、用語「ほぼ(又は約)(approximately)」、「約(about)」、「実質的に(substantially)」、ならびに、同様の用語は、幅広い意味を有することが意図されている。これらの用語は、本開示の主題が関与する分野の当業者によって受け入れられる使用法および一般的な使用法と調和するものである。本開示を見た当業者は、以下のことを理解するべきである。かかる用語は、本明細書中に記載されて特許請求の範囲に記載された特定の特徴を説明できるようにすることを意図したものであり、記載された正確な数値範囲にまで、上記の特徴の範囲が制限されることはない。従って、これらの用語は、以下のことを示すものとして解釈されるべきである。本明細書中に記載されて特許請求の範囲に記載された主題の実質的ではない、あるいは重要でない修正(modifications)または変更(alterations)が、本開示の範囲内にあると見なされ、このような範囲は、添付の特許請求の範囲に記載される通りである。
【0053】
本開示で使用する通り、用語「例示的(exemplary)」は、様々な実施形態を説明するためのものであり、かかる実施形態が、可能な例、代表、および/または可能な実施形態の例示であることを示すことが意図されていることに留意すべきである。なお、かかる用語は、このような実施形態が、必ずしも特別または最上の例であることを意図するものではない。
【0054】
本開示で使用する通り、用語「結合(coupled)」、「接続(connected)」などは、2つの部材(又はメンバー)が互いに直接的または間接的に一緒になっていること(又はジョイント又は接合)を意味する。このようなジョイント(又は接合)は、静的(例えば、永久的)であってもよいし、動的(例えば、取り外し可能または解放可能)であってもよい。このようなジョイント(又は接合)は、2つの部材(又はメンバー)あるいは2つの部材(又はメンバー)と任意の追加の中間部材とが、単一のユニット体として、互いに一体的に形成されることによって達成されてもよい。すなわち、このとき、2つの部材(又はメンバー)が互いに取り付けられているか、あるいは、2つの部材(又はメンバー)と任意の追加の中間部材とが互いに取り付けられている。
【0055】
本開示において、エレメント(又は成分又は要素又は構成要素)の位置(又はポジション)についての言及(例えば、「上(又は上部又は頂部又はトップ)(top)」、「下(又は下部又は底部又はボトム)(bottom)」、「上(又は上側又は上方)(above)」、「下(又は下側又は下方)(below)」など)は、単に、図面における様々なエレメント(又は成分又は要素又は構成要素)の配向(又は向き又はオリエンテーション)を説明するために使用されているに過ぎない。他の例示的な実施形態に従って、様々なエレメント(又は成分又は要素又は構成要素)の配向(又は向き又はオリエンテーション)は、異なってもよいことに留意すべきである。また、このようなバリエーション(又は変形)が包含されることが、本開示によって、意図されることにも留意すべきである。
【0056】
以下についても理解すべきである。本発明は、その好ましい実施形態に関して説明している。しかし、当業者には、様々な他の実施形態および変形例(又はバリアント(variants))が生じてもよい。これらは、本発明の範囲内および本発明の精神内であり、このような他の実施形態および変形例(又はバリアント(variants))は、対応する請求項によってカバーされ得ることが意図されている。当業者は、多くの修飾(又は改変又は修正(modifications))が可能であることを容易に理解できる(例えば、様々なエレメント(又は成分又は要素又は構成要素)の寸法(又はサイズ)、次元(又はディメンション)、構造、形状および割合(又は比率又はプロポーション)、パラメータの値、取り付けの配置(又は配列又はアレンジメント)、材料の使用(又は用途)、色、配向(又は向き又はオリエンテーション)、製造方法(又は製造プロセス)のバリエーション(又は変形)など)。これらは、本明細書中に記載される主題の新たな教示および利点から実質的に逸脱するものではない。例えば、任意のプロセス(又は処理)または方法の工程(又はステップ)の順序(又はオーダー)または配列(又はシーケンス)は、代替の実施形態に従って、変更または並べ直してよい。また、様々な例示的な実施形態の設計、動作(又は作動又は運転又は操作)の条件および配置(又は配列又はアレンジメント)において、他の置換、修飾、変更および省略を行ってもよい。尚、これらは、本開示の範囲から逸脱するものではない。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図5
図6
【国際調査報告】