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特表2023-503975動物の健康状態を示すための搾乳装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-01
(54)【発明の名称】動物の健康状態を示すための搾乳装置
(51)【国際特許分類】
   A01J 5/007 20060101AFI20230125BHJP
   A01K 29/00 20060101ALI20230125BHJP
   A01J 5/013 20060101ALI20230125BHJP
   G01N 33/53 20060101ALI20230125BHJP
   G01N 33/64 20060101ALI20230125BHJP
   G01N 33/68 20060101ALI20230125BHJP
【FI】
A01J5/007
A01K29/00 D
A01J5/013
G01N33/53 D
G01N33/64
G01N33/68
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022530704
(86)(22)【出願日】2020-11-26
(85)【翻訳文提出日】2022-05-25
(86)【国際出願番号】 SE2020051134
(87)【国際公開番号】W WO2021107851
(87)【国際公開日】2021-06-03
(31)【優先権主張番号】1951360-5
(32)【優先日】2019-11-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】521499848
【氏名又は名称】デラバル ホールディング アクチエボラグ
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クリステンセン、ヨーン エム.
(72)【発明者】
【氏名】ダレルップ ラスムッセン、クラウス
(72)【発明者】
【氏名】ホイヤー ハンセン、ミカエル
【テーマコード(参考)】
2G045
【Fターム(参考)】
2G045AA25
2G045DA28
2G045DA36
(57)【要約】
動物(110)を搾乳するための搾乳機(116)を備える搾乳装置(100)であって、搾乳装置(100)が、制御ユニット(120)を備える、搾乳装置(100)。制御ユニット(120)は、動物(110)の搾乳に関連する動物(110)のアイデンティティを取得することと、識別された動物(110)の泌乳サイクルの基準時点(300)を取得することと、基準時点(300)から所定の期間が経過したときに、動物(110)の少なくとも1つの乳試料を採取することを決定することと、乳試料からハプトグロビンレベル(210)を取得することと、取得されたハプトグロビンレベル(210)をハプトグロビン基準限界(215)と比較することと、行われた比較に基づいて、動物(110)の健康状態を示すことと、を行うように構成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
動物(110)を搾乳するための搾乳機(116)を備える搾乳装置(100)であって、前記搾乳装置(100)が、制御ユニット(120)を備え、前記制御ユニットが、
前記動物(110)の搾乳に関連する前記動物(110)のアイデンティティを取得することと、
識別された前記動物(110)の泌乳サイクルの基準時点(300)を取得することと、
識別された前記動物(110)の泌乳サイクルの前記基準時点(300)から所定の期間が経過したときに、前記動物(110)の少なくとも1つの乳試料を採取することと、
前記乳試料からハプトグロビンレベル(210)を取得することと、
取得された前記ハプトグロビンレベル(210)をハプトグロビン基準限界(215)と比較することと、
行われた前記比較に基づいて、前記動物(110)の健康状態を示すことと、を行うように構成されている、搾乳装置(100)。
【請求項2】
前記制御ユニット(120)が、
前記動物(110)の乳試料を繰り返し採取することと、
前記搾乳装置(100)のメモリ(130)に、それぞれの前記乳試料の取得された前記ハプトグロビンレベル(210)を、時間基準に関連付けて記憶することと、
取得された前記ハプトグロビンレベル(210)と以前に記憶されたハプトグロビンレベル(210)との間の差を決定することと、を行うように構成されており、
前記健康状態の前記指標が、決定された前記差に基づく、請求項1に記載の搾乳装置(100)。
【請求項3】
前記制御ユニット(120)が、
前記ハプトグロビン基準限界(215)を、少なくとも1つの記憶されたハプトグロビンレベル(210)の値に基づいて計算するように構成されている、請求項2に記載の搾乳装置(100)。
【請求項4】
前記制御ユニット(120)が、
前記動物(110)のさらなる乳試料を採取することを決定することと、
ハプトグロビンとは別個の補足バイオマーカを選択することと、
前記動物(110)の前記さらなる乳試料から、選択された前記補足バイオマーカの補足バイオマーカレベル(220)を取得することと、
取得された前記補足バイオマーカレベル(220)を補足バイオマーカ基準限界(225)と比較することと、を行うように構成されており、
前記動物(110)の示される前記健康状態が、前記補足バイオマーカレベル(220)と前記補足バイオマーカ基準限界(225)との行われた前記比較、および、取得された前記ハプトグロビンレベル(210)と前記ハプトグロビン基準限界(215)との前記比較に基づく、先行請求項のいずれか一項に記載の搾乳装置(100)。
【請求項5】
前記制御ユニット(120)が、
前記動物(110)のさらなる乳試料を繰り返し採取することと、
前記搾乳装置(100)の前記メモリ(130)に、それぞれの前記さらなる乳試料の取得された前記補足バイオマーカレベル(220)を、時間基準に関連付けて記憶することと、
取得された前記補足バイオマーカレベル(220)と以前に記憶された補足バイオマーカレベル(220)との間の差を決定することと、を行うように構成されており、
前記健康状態の前記指標が、決定された前記差に基づく、請求項4に記載の搾乳装置(100)。
【請求項6】
前記制御ユニット(120)が、
前記補足バイオマーカ基準限界(225)を、少なくとも1つの記憶された補足バイオマーカレベル(220)に基づいて計算するように構成されている、請求項5に記載の搾乳装置(100)。
【請求項7】
前記制御ユニット(120)が、取得された前記ハプトグロビンレベル(210)が前記ハプトグロビン基準限界(215)を超えることによってトリガされるときに、
前記補足バイオマーカレベル(220)を取得することと、
前記補足バイオマーカレベルを前記補足バイオマーカ基準限界(225)と比較することと、
前記補足バイオマーカレベル(220)と前記補足バイオマーカ基準限界(225)との行われた前記比較、および、取得された前記ハプトグロビンレベル(210)と前記ハプトグロビン基準限界(215)との前記比較に基づいて、前記動物(110)の前記健康状態を示すことと、を行うように構成されている、請求項4~6のいずれか一項に記載の搾乳装置(100)。
【請求項8】
前記制御ユニット(120)が、取得された前記ハプトグロビンレベル(210)と前記以前に記憶されたハプトグロビンレベル(210)との間の差が閾限界を超えていることが検出されることによってトリガされるときに、
前記補足バイオマーカレベル(220)を取得することと、
前記補足バイオマーカレベルを前記補足バイオマーカ基準限界(225)と比較することと、
前記補足バイオマーカレベル(220)と前記補足バイオマーカ基準限界(225)との行われた前記比較、および、取得された前記ハプトグロビンレベル(210)と前記ハプトグロビン基準限界(215)との前記比較に基づいて、前記動物(110)の前記健康状態を示すことと、を行うように構成されている、請求項2~3のいずれか一項に従属するときの、請求項4~6のいずれか一項に記載の搾乳装置(100)。
【請求項9】
前記制御ユニット(120)が、前記基準時点(300)から前記所定の期間が経過したことによってトリガされるときに、
前記動物(110)の前記さらなる乳試料を採取することを決定するように構成されている、請求項4~8のいずれか一項に記載の搾乳装置(100)。
【請求項10】
前記制御ユニット(120)が、取得された前記ハプトグロビンレベル(210)が前記ハプトグロビン基準限界(215)を超えることによってトリガされて、
前記動物(110)の第3の乳試料を採取することを決定することと、
ハプトグロビンおよび前記補足バイオマーカとは別個の、追加のバイオマーカを選択することと、
前記動物(110)の前記第3の乳試料から、選択された前記追加のバイオマーカの追加のバイオマーカレベルを取得することと、
取得された前記追加のバイオマーカレベルを追加のバイオマーカ基準限界と比較することと、を行うように構成されており、
前記動物(110)の示される前記健康状態は、前記追加のバイオマーカレベルと前記追加のバイオマーカ基準限界との行われた前記比較に基づく、請求項4~9のいずれか一項に記載の搾乳装置(100)。
【請求項11】
前記制御ユニット(120)が、LDH、「乳酸デヒドロゲナーゼ」、BHB、「ベータヒドロキシ酪酸」、導電率、または体細胞数のいずれか前記補足バイオマーカを選択するように構成されている、請求項4~10のいずれか一項に記載の搾乳装置(100)。
【請求項12】
前記制御ユニット(120)が、BHB、導電率、または体細胞数のうちのいずれかであるが、前記補足バイオマーカとは異なるものから前記追加のバイオマーカを選択するように構成されている、請求項10または11に記載の搾乳装置(100)。
【請求項13】
前記制御ユニット(120)が、
前記所定の期間が約5~10日の間であり、かつ、取得された前記ハプトグロビンレベル(210)が前記ハプトグロビン基準限界(215)を超えたときに、前記動物(110)の前記健康状態を、子宮筋層炎に関係するものとして示すように構成されている、先行請求項のいずれか一項に記載の搾乳装置(100)。
【請求項14】
前記制御ユニット(120)が、取得された前記ハプトグロビンレベル(210)が前記ハプトグロビン基準限界(215)を超えると同時に、取得された前記補足バイオマーカレベル(220)が前記補足バイオマーカ基準限界(225)よりも低いときに、子宮筋層炎の前記健康状態を示すように構成されている、請求項4~12のいずれか一項に従属するときの請求項13に記載の搾乳装置(100)。
【請求項15】
前記制御ユニット(120)が、
前記所定の期間が約11~30日の間であり、かつ、取得された前記ハプトグロビンレベル(210)が前記ハプトグロビン基準限界(215)を超えたときに、前記動物(110)の前記健康状態を、子宮内膜炎に関係するものとして示すように構成されている、請求項1~14のいずれか一項に記載の搾乳装置(100)。
【請求項16】
前記制御ユニット(120)が、取得された前記ハプトグロビンレベル(210)が前記ハプトグロビン基準限界(215)を超えると同時に、取得された前記補足バイオマーカレベル(220)が前記補足バイオマーカ基準限界(225)よりも低いときに、子宮内膜炎の前記健康状態を示すように構成されている、請求項4~14のいずれか一項に従属するときの請求項15に記載の搾乳装置(100)。
【請求項17】
前記制御ユニット(120)が、
前記所定の期間が約40~100日の間であり、かつ、取得された前記ハプトグロビンレベル(210)が前記ハプトグロビン基準限界(215)を超えたときに、前記動物(110)の前記健康状態を、歩行困難に関係するものとして示すように構成されている、請求項1~16のいずれか一項に記載の搾乳装置(100)。
【請求項18】
前記制御ユニット(120)が、取得された前記ハプトグロビンレベル(210)が前記ハプトグロビン基準限界(215)を超えると同時に、取得された前記補足バイオマーカレベル(220)が前記補足バイオマーカ基準限界(225)よりも低いときに、歩行困難の前記健康状態を示すように構成されている、請求項4~16のいずれか一項に従属するときの請求項17に記載の搾乳装置(100)。
【請求項19】
前記制御ユニット(120)が、
前記所定の期間が約0~30日の間であり、かつ、取得された前記ハプトグロビンレベル(210)が、前記ハプトグロビン基準限界(215)よりも高い第2のハプトグロビン基準限界(235)を超えたときに、前記動物(110)の前記健康状態を、急性乳腺炎に関係するものとして示すように構成されている、請求項1~18のいずれか一項に記載の搾乳装置(100)。
【請求項20】
前記制御ユニット(120)が、取得された前記ハプトグロビンレベル(210)が前記第2のハプトグロビン基準限界(235)を超えると同時に、取得された前記補足バイオマーカレベル(220)が前記補足バイオマーカ基準限界(225)を超えるときに、急性乳腺炎の前記健康状態を示すように構成されている、請求項4~18のいずれか一項に従属するときの請求項19に記載の搾乳装置(100)。
【請求項21】
前記制御ユニット(120)が、
取得された前記ハプトグロビンレベル(210)が、前記ハプトグロビン基準限界(215)よりも低い第3のハプトグロビン基準限界(245)よりも高いと同時に、前記ハプトグロビン基準限界(215)よりも低いときに、前記動物(110)の前記健康状態を、慢性乳腺炎に関係するものとして示すように構成されている、請求項1~20のいずれか一項に記載の搾乳装置(100)。
【請求項22】
前記制御ユニット(120)が、少なくとも連続する30日にわたって、取得された前記ハプトグロビンレベル(210)が、第3のハプトグロビン基準限界(245)よりも高いと同時に、取得された前記ハプトグロビンレベル(210)が前記ハプトグロビン基準限界(215)よりも低いと同時に、取得された前記補足バイオマーカレベル(220)が前記補足バイオマーカ基準限界(225)よりも高いときに、慢性乳腺炎の前記健康状態を示すように構成されている、請求項4~20のいずれか一項に従属するときの請求項21に記載の搾乳装置(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、搾乳装置を開示する。より詳細には、搾乳装置は、動物を搾乳するための搾乳機を備え、搾乳装置は、動物の健康状態を示すための、記載されているような制御ユニットを備える。
【背景技術】
【0002】
酪農場では、動物が病気になった場合に動物の乳量に影響を与える可能性があるため、動物の健康は重要である。最悪のシナリオでは、病気の動物が経過の早期の段階で特定されない場合、疾患が群れの間で広がる可能性があり、および/または、病気の動物は生産を中止しなければならない場合がある。
【0003】
動物の間で疾患を発見する多くの方法がある。典型的には、それらの方法はすべて、農家による目視検査、および/または農家が動物に対して実行する何らかの種類の試験のいずれかを含み、その後、その結果を分析する必要がある。これは通常、時間がかかる。農家は農場で多くの異なる課業に従事していることが多く、動物が放牧地から逃げ出したとき、または動物が分娩中であるときなど、緊急の場合には日常の作業を完全に脇に置く必要があることがある。
【0004】
これらの理由から、農場における動物の健康状態の調査において農家を支援するためのツールを開発することが所望され、当該ツールは農家によるインタラクションをほとんどまたは好ましくはまったく必要としない。
【発明の概要】
【0005】
したがって、本発明の目的は、上記の問題の少なくともいくつかを解決し、動物の健康状態を示すことである。
【0006】
本発明の第1の態様によれば、この目的は、動物を搾乳するための搾乳機を備える搾乳装置によって達成される。搾乳装置は、制御ユニットを備える。制御ユニットは、動物の搾乳に関連する動物のアイデンティティを取得するように構成されている。さらに、制御ユニットは、識別された動物の泌乳サイクルの基準時点を取得するように構成されている。制御ユニットは、加えて、基準時点から所定の期間が経過したときに、動物の少なくとも1つの乳試料を採取することを決定するように構成されている。また、制御ユニットは、乳試料からハプトグロビンレベルを取得するように構成されている。さらに、制御ユニットは、取得されたハプトグロビンレベルをハプトグロビン基準限界と比較するように構成されている。制御ユニットは、行われた比較に基づいて、動物の健康状態を示すように構成されている。
【0007】
基準時点から所定の期間が経過したことによってトリガされる、動物の抽出された乳試料のハプトグロビンレベルの決定、現在のハプトグロビンレベルとハプトグロビン基準限界との比較によって、現在のハプトグロビンレベルがハプトグロビン基準限界より高いかまたは低いかを決定することができる。これにより、動物に関する健康指標が取得され、これによって、追加の乳試料抽出およびバイオマーカ測定、ならびに/または農家による目視検査、動物の体温測定などの他の健康関連測定をトリガすることができる。それによって、健康でない動物を早期の段階において識別することができ、動物の苦痛および乳量への悪影響を最小限に抑えるか、または少なくとも低減するために、初期段階とさらなる健康診断および適切な対策を開始することができる。加えて、または代替的に、現在のハプトグロビンレベルがハプトグロビン基準限界よりも低い場合、動物を健康であると分類することができる。それにより、農家は、目視検査および/または農場における他の手段を、現在のハプトグロビンがハプトグロビン基準限界よりも高いか、または逸脱した/予期しない値を提示する他の動物に集中させることができる。
【0008】
第1の態様による搾乳装置の実施において、制御ユニットは、動物の乳試料を繰り返し採取するようにさらに構成することができる。また、制御ユニットは、搾乳装置のメモリに、それぞれの乳試料の取得されたハプトグロビンレベルを、時間基準に関連付けて記憶するように構成することもできる。さらに、制御ユニットは、取得されたハプトグロビンレベルと以前に記憶されたハプトグロビンレベルとの間の差を決定することができる。また、健康状態の指標は、決定された差に基づくこともできる。
【0009】
動物の繰り返し採取される乳試料は、ほぼ同じ時点または異なる時点において抽出されてもよい。少なくとも2つの乳試料をほぼ同時に抽出し、両方の試料のハプトグロビンレベルを互いに独立して測定することにより、値が互いに対応しているとき、測定の妥当性を高くすることができ、代替的に、誤った測定を識別することができる。
【0010】
例えば、動物の搾乳イベントごとに、1日1回、2日ごとに1回、3日ごとに1回など、別個の時点において少なくとも2つの乳試料を繰り返し抽出することにより、試料のハプトグロビンレベルを測定し、測定した各ハプトグロビンレベル値をデータベースに記憶することができ、動物の測定されたハプトグロビンレベルの履歴的展開を研究することができる。最も研究対象となり得るハプトグロビンレベルは、現在測定されているハプトグロビンレベルと、動物の最近に記憶されたハプトグロビンレベルとの間であり得る。これらの値の間で検出される任意の差の方向および大きさが、動物の健康分析の基礎を形成することができる。検出された差が所定のまたは設定可能なトリガ限界を超えると、例えば農家による動物の目視検査など、健康関連のさらなる測定をトリガすることができる。
【0011】
第1の態様による、またはその任意の実施態様による搾乳装置のさらに実施において、制御ユニットは、少なくとも1つの記憶されたハプトグロビンレベルの値に基づいて、ハプトグロビン基準限界を計算するように構成することができる。
【0012】
ハプトグロビン基準限界は、以前に決定され、記憶されたハプトグロビンレベル値に基づいて、動物ごとに個別に決定することができる。基準限界は、記憶されたハプトグロビンレベル値の平均値または記憶されたハプトグロビンレベル値の移動平均に基づいてもよい。基準限界は、記憶されたハプトグロビンレベル値に、例えば3.14を乗算した値、またはほぼ同じ大きさの別の同様の値に設定することができる。
【0013】
第1の態様による、またはその任意の実施態様による搾乳装置のさらなる実施において、制御ユニットは、動物のさらなる乳試料を採取するようにさらに構成することができる。さらに、制御ユニットは、ハプトグロビンとは別個の補足バイオマーカを選択するように構成することができる。また、制御ユニットは、動物のさらなる乳試料から、選択された補足バイオマーカの補足バイオマーカレベルを取得するように構成することもできる。また、制御ユニットは、動物のさらなる乳試料から、選択された補足バイオマーカの補足バイオマーカレベルを取得するように構成することもできる。さらに、制御ユニットは、取得された補足バイオマーカレベルを補足バイオマーカ基準限界と比較するように構成することができる。さらに、動物の示される健康状態は、補足バイオマーカレベルと補足バイオマーカ基準限界との行われた比較、および、ハプトグロビンレベルとハプトグロビン基準限界との比較に基づく。
【0014】
さらに乳試料を抽出し、ハプトグロビンとは別個の補足バイオマーカを決定することにより、それぞれのバイオマーカをそれぞれの基準限界と比較することによって、動物の健康状態を、向上した精度および信頼性を以て決定することができる。
【0015】
第1の態様による、またはその任意の実施態様による搾乳装置のさらなる実施において、制御ユニットは、動物のさらなる乳試料を繰り返し採取するように構成することができる。また、制御ユニットは、搾乳装置のメモリに、それぞれのさらなる乳試料の取得された補足バイオマーカレベルを、時間基準に関連付けて記憶するように構成することもできる。さらに、制御ユニットはまた、取得された補足バイオマーカレベルと以前に記憶された補足バイオマーカレベルとの間の差を決定するように構成することもできる。また、健康状態の指標は、決定された差に基づくこともできる。
【0016】
動物の繰り返し採取される乳試料は、ほぼ同じ時点または異なる時点において抽出されてもよい。少なくとも2つの乳試料をほぼ同時に抽出し、両方の試料の補足バイオマーカレベルを互いに独立して測定することにより、値が互いに対応しているとき、測定の妥当性を高くすることができ、代替的に、誤った測定を識別することができる。
【0017】
第1の態様による、またはその任意の実施態様による搾乳装置のさらに実施において、制御ユニットは、少なくとも1つの記憶された補足バイオマーカレベルに基づいて、補足バイオマーカ基準限界を計算するように構成することができる。
【0018】
それにより、補足バイオマーカ基準限界は、以前に決定され、記憶された補足バイオマーカレベル値に基づいて、例えば、補足バイオマーカ基準限界を、おおよそ、記憶された補足バイオマーカレベル値に任意のパラメータを乗算した値に設定するか、または記憶された値に任意のパラメータを乗算した値に基づく平均値に設定することによって、動物ごとに個別に決定することができる。
【0019】
第1の態様による、またはその任意の実施態様による搾乳装置のさらなる実施において、制御ユニットは、取得されたハプトグロビンレベルがハプトグロビン基準限界を超えることによってトリガされたときに、補足バイオマーカレベルを取得するように構成することができる。また、制御ユニットは、それを補足バイオマーカ基準限界と比較するように構成することができる。加えて、制御ユニットはまた、補足バイオマーカレベルを補足バイオマーカ基準限界と比較するように構成することもできる。制御ユニットは、補足バイオマーカレベルと補足バイオマーカ基準限界との行われた比較、および、ハプトグロビンレベルとハプトグロビン基準限界との比較に基づいて、動物の健康状態を示すように構成することができる。
【0020】
これにより、動物の健康状態を、向上した精度を以て精密に決定することができる。
【0021】
第1の態様による、またはその任意の実施態様による搾乳装置のさらなる実施において、制御ユニットは、取得されたハプトグロビンレベルと以前に記憶されたハプトグロビンレベルとの間の差が閾限界を超えたことが検出されることによってトリガされたときに、補足バイオマーカレベルを取得するようにさらに構成することができる。また、制御ユニットは、補足バイオマーカレベルを取得するように構成することもできる。制御ユニットは、加えて、補足バイオマーカレベルを補足バイオマーカ基準限界と比較するように構成することもできる。さらに、制御ユニットは、補足バイオマーカレベルと補足バイオマーカ基準限界との行われた比較、および、ハプトグロビンレベルとハプトグロビン基準限界との比較に基づいて、動物の健康状態を示すように構成することができる。
【0022】
それによって、動物のハプトグロビンレベルの突然の変化が、補足バイオマーカレベルの測定をトリガすることができる。次に、補足バイオマーカレベルと補足バイオマーカ基準限界との間の比較にも基づいて、動物の健康状態を、向上した信頼性を以て決定することができる。
【0023】
第1の態様による、またはその任意の実施態様による搾乳装置のさらなる実施において、制御ユニットは、基準時点から所定の期間が経過したことによってトリガされたときに、動物のさらなる乳試料を採取することを決定するように構成することができる。
【0024】
それにより、動物の乳試料、それによりまたハプトグロビンレベルおよび/または補足バイオマーカレベルを、所定の臨界期間において動物から採取することができる。
【0025】
第1の態様による、またはその任意の実施態様による搾乳装置のさらなる実施において、制御ユニットは、取得されたハプトグロビンレベルがハプトグロビン基準限界を超えたことによってトリガされたときに、動物の第3の乳試料を採取するようにさらに構成することができる。また、制御ユニットは、ハプトグロビンおよび補足バイオマーカとは別個の、追加のバイオマーカを選択するように構成することもできる。制御ユニットは、動物の第3の乳試料から、選択された追加のバイオマーカの追加のバイオマーカレベルを取得するように構成することができる。さらに、制御ユニットは、取得された追加のバイオマーカレベルを追加のバイオマーカ基準限界と比較するように構成することができる。また、動物の示される健康状態は、追加のバイオマーカレベルと追加のバイオマーカ基準限界との行われた比較にも基づくことができる。
【0026】
さらなる乳試料を採取し、さらなる追加のバイオマーカレベルを決定することにより、動物の健康状態を、向上した信頼性を以て決定することができる。
【0027】
第1の態様による、またはその任意の実施態様による搾乳装置のさらなる実施において、制御ユニットは、乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)、ベータヒドロキシ酪酸(BHB)、導電率、または体細胞数のうちのいずれかから補足バイオマーカを選択するようにさらに構成することができる。
【0028】
第1の態様による、またはその任意の実施態様による搾乳装置のさらなる実施において、制御ユニットは、BHB、導電率、または体細胞数のうちのいずれかであるが、補足バイオマーカとは異なるものから追加のバイオマーカを選択するようにさらに構成することができる。
【0029】
第1の態様による、またはその任意の実施態様による搾乳装置のさらなる実施において、制御ユニットは、所定の期間が約5~10日の間であり、かつ、取得されたハプトグロビンレベルがハプトグロビン基準限界を超えたときに、動物の健康状態を、子宮筋層炎に関係するものとして示すように構成することができる。
【0030】
第1の態様による、またはその任意の実施態様による搾乳装置のさらなる実施において、ハプトグロビンレベルがハプトグロビン基準限界を超えていると同時に、取得された補足バイオマーカレベルが補足バイオマーカ基準限界よりも低いとき、子宮筋層炎の健康状態を、制御ユニットによって示すことができる。
【0031】
第1の態様による、またはその任意の実施態様による搾乳装置のさらなる実施において、制御ユニットは、所定の期間が約11~30日の間であり、かつ、取得されたハプトグロビンレベルがハプトグロビン基準限界を超えたときに、動物の健康状態を、子宮内膜炎に関係するものとして示すように構成することができる。
【0032】
第1の態様による、またはその任意の実施態様による搾乳装置のさらなる実施において、取得されたハプトグロビンレベルがハプトグロビン基準限界を超えていると同時に、取得された補足バイオマーカレベルが補足バイオマーカ基準限界よりも低いとき、子宮内膜炎の健康状態を、制御ユニットによって示すことができる。
【0033】
第1の態様による、またはその任意の実施態様による搾乳装置のさらなる実施において、制御ユニットは、所定の期間が約40~100日の間であり、かつ、取得されたハプトグロビンレベルがハプトグロビン基準限界を超えたときに、動物の健康状態を、歩行困難に関係するものとして示すように構成することができる。
【0034】
第1の態様による、またはその任意の実施態様による搾乳装置のさらなる実施において、ハプトグロビンレベルがハプトグロビン基準限界を超えている間に、取得された補足バイオマーカレベルが補足バイオマーカ基準限界よりも低いとき、歩行困難の健康状態を、制御ユニットによって示すことができる。
【0035】
第1の態様による、またはその任意の実施態様による搾乳装置のさらなる実施において、制御ユニットは、所定の期間が約0~30日の間であり、かつ、取得されたハプトグロビンレベルがハプトグロビン基準限界よりも高い第2のハプトグロビン基準限界を超えたときに、動物の健康状態を、急性乳腺炎に関係するものとして示すように構成することができる。
【0036】
第1の態様による、またはその任意の実施態様による搾乳装置のさらなる実施において、取得されたハプトグロビンレベルが第2のハプトグロビン基準限界を超えていると同時に、取得された補足バイオマーカレベルが補足バイオマーカ基準限界を超えるとき、急性乳腺炎の健康状態を、制御ユニットによって示すことができる。
【0037】
第1の態様による、またはその任意の実施態様による搾乳装置のさらなる実施において、制御ユニットは、取得されたハプトグロビンレベルが、ハプトグロビン基準限界よりも高い第3のハプトグロビン基準限界よりも高いと同時に、ハプトグロビン基準限界よりも低いときに、動物の健康状態を、慢性乳腺炎に関係するものとして示すように構成することができる。
【0038】
第1の態様による、またはその任意の実施態様による搾乳装置のさらなる実施において、取得されたハプトグロビンレベルが、少なくとも連続する30日間にわたって第3のハプトグロビン基準限界よりも高いと同時にハプトグロビン基準限界よりも低いと同時に、取得された補足バイオマーカレベルが補足バイオマーカ基準限界よりも高いとき、慢性乳腺炎の健康状態を、制御ユニットによって示すことができる。
【0039】
所定の時点における動物の抽出された乳試料のハプトグロビンレベル、および場合によってはまた他のバイオマーカ測定値を決定し、それぞれの基準限界と比較することにより、動物に関する健康指標が取得され、健康指標は、追加の乳試料抽出、ならびにバイオマーカ測定および/または農家による目視検査、動物の体温測定などの他の健康関連測定をトリガすることができる。
【0040】
それによって、健康でない動物を早期の段階において識別することができ、動物の苦痛および乳量への悪影響を最小限に抑えるか、または少なくとも低減するために、初期段階とさらなる健康診断および適切な対策を開始することができる。加えて、または代替的に、現在のハプトグロビンレベルがハプトグロビン基準限界よりも低い場合、動物を健康であると分類することができる。それにより、農家は、目視検査および/または農場における他の手段を、現在のハプトグロビンがハプトグロビン基準限界よりも高いか、または逸脱した/予期しない値を提示する他の動物に集中させることができる。
【0041】
他の利点および追加の新規機能が、次の詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0042】
ここで、発明の実施形態を、添付の図を参照してさらに詳細に説明する。
【0043】
図1】本発明の一実施形態による、農場における動物の健康状態の決定において農家を支援するためのシステムの一例を示す。
図2】一例による、ハプトグロビン、LDH、および泌乳サイクルの基準時点からの日数の間の組み合わせを示す。
図3】一例による、泌乳サイクルの基準時点後の複数の異なる期間における支配的な健康問題を示す。
図4】方法の一実施形態を示す流れ図である。
図5】一実施形態による搾乳装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
本明細書に記載の発明の実施形態は、搾乳装置として定義され、これは、下記に記載される実施形態において実施され得る。しかしながら、これらの実施形態は、多くの異なる形態で例示および実現され得、本明細書に記載の実施例に限定され得ず、むしろ、これらの例示的な実施形態の例は、本開示が徹底的かつ完全になるように提供される。
【0045】
さらに他の目的および特徴が、添付の図面と併せて検討される以下の詳細な説明から明らかとなり得る。しかしながら、図面は、例示のみを目的として策定されており、本明細書に開示される実施形態の限度の定義としては策定されておらず、それについては、添付の特許請求の範囲が参照されることを理解されたい。さらに、図面は必ずしも一定の縮尺で描かれているわけではなく、別様に示されない限り、それらは単に、本明細書に記載の構造および手順を概念的に示すことを意図されている。
【0046】
図1は、農場の搾乳室105内に搾乳装置100があるシナリオを示している。搾乳装置100は、動物110を搾乳するための搾乳機116を備える。
【0047】
搾乳室105は、例えば、スタンション、搾乳ロボット、回転式搾乳プラットフォームなどを備える場合がある。
【0048】
「動物」は、例えば、牛、山羊、羊、ラクダ、水牛、ヤクなどの、任意の種類の飼いならされた乳汁を生産する動物であってもよい。
【0049】
搾乳装置100は、制御ユニット120を備える。制御ユニット120は、動物110を識別するように構成されている。動物110は、例えば、例として動物110の頭部、動物110の耳などのような、動物110の身体部分に取り付けられたタグによって識別することができる。タグは、動物110を一意に識別する情報、すなわちアイデンティティ基準を含むことができる。
【0050】
制御ユニット120は、制御ユニット120に接続された送受信機125によって受信される可能性のある、タグによって放出される信号に基づいて、動物110のアイデンティティ、および/または任意選択にまた、身体状態パラメータもしくは活動を決定することができる。
【0051】
代替的に、いくつかの実施形態では、動物110は、例えば搾乳中または他の任意の都合のよい瞬間に、カメラ/ビデオカメラ140によってキャプチャされる画像によって識別されてもよい。キャプチャされた画像は、それぞれのアイデンティティ基準に関連付けてデータベース130に記憶されている可能性がある、農場の動物の以前に記憶された画像と比較することができる。比較の結果、皮膚模様照合に基づいて一致が得られた場合、関連するアイデンティティ基準を抽出することができる。
【0052】
動物110のアイデンティティが決定されると、制御ユニット120は、識別された動物110の泌乳サイクルの基準時点を決定するように構成されている。泌乳サイクルの基準時点は、例えば、動物110の分娩日、泌乳日数などであり得る。
【0053】
次に、泌乳サイクルの基準時点から所定の期間が経過したときに、搾乳機116における動物110の搾乳過程中に、動物110から乳試料を抽出することができる。
【0054】
複数の異なる瞬間、または、基準時点もしくは乳試料の最近の抽出のいずれかから対抗される時間間隔は、事前定義されてもよく、または設定可能であってもよい。泌乳サイクルの複数の異なる期間中に、種々の動物疾患が他の動物疾患よりも発生する可能性が高いことが観察されている。例えば、乳腺炎は泌乳期間全体の間に発生する可能性があるが、分娩後の最初の約30日間の間に最も頻繁に発生する。子宮筋層炎は、分娩後の最初の約5~10日以内に最も頻繁に見られ、子宮内膜症は、分娩後の約11~30日以内に最も頻繁に見られ、一方、歩行困難は、分娩から約40~80日以内に見られ始めることが多い。
【0055】
これらの観察に基づいて、それぞれの疾患に関する乳試料を抽出することができ、抽出された乳試料の分析を、当該期間に関連するそれぞれの疾患に焦点を合わせて行うことができる。
【0056】
制御ユニット120はまた、識別された動物110の乳試料からハプトグロビンレベルを取得することによって、乳試料を分析するように構成されている。
【0057】
ハプトグロビンは急性期タンパク質である。炎症の急性期では、ハプトグロビンが肝臓から分泌されて血中の鉄に結合し、それによって病原体の成育条件を低下させる。次いで、動物110のハプトグロビンレベルは、高濃度に上昇する。このため、ハプトグロビンレベルは動物110の健康状態の指標と考えることができる。
【0058】
ハプトグロビンレベルの上昇は、早期炎症マーカである。ハプトグロビンレベルの上昇を検出することにより、炎症反応を即座に検出することで、炎症経過を早期に検出することができる。
【0059】
ハプトグロビンレベルは、いくつかの実施形態において、動物110の乳試料からハプトグロビンレベルを決定し、決定されたハプトグロビンレベルを制御ユニット120に提供するように構成されたセンサ112によって決定することができる。
【0060】
関連する疾患、すなわち乳腺炎、子宮筋層炎、子宮内膜炎、歩行困難は、目に見えないか、もしくは無症状である場合があり、かつ/または目に見え、もしくは有症状である場合がある。無症候バージョンでは、疾患は動物110に隠れた様態で影響を及ぼし、動物の行動はわずかに抑制される。
【0061】
ハプトグロビンは疾患とは無関係に放出されるため、本解決策の概念的な着想は、生体認証モデルのハプトグロビン測度を、乳房の健康および分娩からの日数の記述子としての乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)などの他の測度と組み合わせて、最も可能性の高い疾患を指摘することである。
【0062】
LDHは、動物のほぼすべての生細胞に見られる酵素である。LDHは、NAD+をNADHに、およびその逆に変換するため、乳酸からピルビン酸への、およびその逆の変換を触媒する。デヒドロゲナーゼは、水素化物をある分子から別の分子に転移させる酵素である。
【0063】
次に、識別された動物110の乳試料の決定されたハプトグロビンレベルが、ハプトグロビン基準限界と比較される。ハプトグロビン基準限界は、事前に決定することができ、データベース130に記憶することができる。行われた比較に基づいて、動物110の健康状態を示すことができる。
【0064】
生体認証モデルに適用されるハプトグロビンレベルを決定することにより、動物110を、健康な動物、または追加の健康分析を必要とし得る注意動物として分類することができる。したがって、通常のハプトグロビンレベル間隔から逸脱するハプトグロビンレベルは、さらなる試験を適用するか、または動物110の目視検査について農家もしくは獣医に警告することによって、問題の動物110のより綿密な健康診断をトリガすることができる。
【0065】
動物110の前述の任意選択のタグはまた、いくつかの実施形態において、例えば、加速度計、歩数計、脈拍計、血圧監視装置、動物110の体温を決定するための温度計などの、動物110の活動を決定するための装置を備えてもよい。この情報は、いくつかの特定の実施形態では、制御ユニット120によって監視することができ、動物110の他の情報を補完するものとして、動物110の健康状態を決定/確認するために使用することができる。
【0066】
病気に罹患している動物は、通常、健康な動物よりも動きが少なく、健康な動物よりも横たわっている時間が長く、健康な動物よりも体温が高い、などの特徴がある。
【0067】
タグの任意選択の加速度計は、二軸および/または三軸加速度の高頻度記録を実行することができ、これにより、例えば、動物110が立っているかまたは横たわっているかを決定するなどの行動パターンの区別が可能になる。動物110の補助診断のための行動パターンは、いくつかの実施形態において動物110の健康状態を推定するために測定されたハプトグロビンレベルに基づく他の情報を補完することができる。
【0068】
タグは、動物110のアイデンティティ基準を含む、トランスポンダを含んでもよい。タグは、典型的には、少なくとも3つの送受信機などの、いくつかの送受信機を介して制御ユニット120によって受信することができるワイヤレス信号を放出することができる。
【0069】
ワイヤレス信号は、タグとワイヤレス信号送受信機の間で、超広帯域(UWB)、Bluetooth(BT)、ワイヤレスユニバーサルシリアルバス(ワイヤレスUSB)、無線周波数識別(RFID)、Wi-Fiなどのような、任意の好都合なワイヤレス通信技術を介して送信することを介して作成することができる。
【0070】
いくつかの実施形態では、警告は、農家、または農場の他の関係者/責任者の通信装置150に送信されてもよい。識別参照および場合によって疑わしい病気を、農家へのメッセージに示すことができ、それにより、農家は、例えば、識別された動物110を検査するなどの様々な方策をとることができる。
【0071】
これにより、本開の解決策によって、農家は、労働を要求する監視プログラムを継続的に実行することによって動物の健康状態に注意を払う必要がなくなる。代わりに、農家は、農場の動物が不健康な状態にとどまることが許されないことを保証しながら、識別された問題のある動物に集中することができる。
【0072】
図2は、動物110の複数の異なる健康状態に関する、一例による、ハプトグロビン、LDH、および泌乳サイクルの基準時点からの日数の間の組み合わせを示す。この例では、LDHは、ハプトグロビンレベル測定の結果を検証するためにいくつかの実施形態で測定され得る補足バイオマーカとして使用される。ただし、LDHは、例えば、ベートヒドロキシ酪酸(BHB)、導電率、および/または体細胞数などのような、多くの可能な補足バイオマーカの1つにすぎない。
【0073】
動物110の複数の異なる健康状態における典型的なハプトグロビンレベル210および典型的なLDHレベル220がこの図に示されている。次に、決定されたハプトグロビンレベル210および/またはLDHレベル220を、それぞれ、ハプトグロビン基準限界215および/または補足バイオマーカ基準限界225と比較することによって、動物110の健康状態を示すことができる。
【0074】
また、ハプトグロビン基準限界215よりも高い第2のハプトグロビン基準限界235、および、ハプトグロビン基準限界215と第2のハプトグロビン基準限界235の両方よりも低い第3のハプトグロビン基準限界245も示されている。これらの第2のハプトグロビン基準限界235および第3のハプトグロビン基準限界245は、いくつかの実施形態において、動物110の複数の異なる健康状態を区別するために使用することができる。
【0075】
ハプトグロビンレベル210および補足バイオマーカレベル220は、典型的には、例えば異なる遺伝的素因に起因して、複数の異なる動物の部門/種類、複数の異なる動物固体について、いくらか異なり得る。このため、ハプトグロビン基準限界215、235、245および/または補足バイオマーカ基準限界225は、例えば、異なる動物品種、異なる農場、1つの農場の異なる動物群、その農場における異なる年齢の動物/農場における泌乳回数(lactation numbers)、または異なる動物固体などについて、異なるそれぞれの値に設定できる。
【0076】
図2に示されている値の例を解釈すると、健康な動物の典型的なハプトグロビンレベル210は約800であり得、健康な生まれたばかりの動物の典型的なハプトグロビンレベル210は約1200であり得、子宮筋層炎の動物110の典型的なハプトグロビンレベル210は約4800であり得、歩行困難の動物110の典型的なハプトグロビンレベル210は約3800であリ得、急性乳腺炎の動物110の典型的なハプトグロビンレベル210は約6700でリ得、および/または、慢性乳房炎の動物110の典型的なハプトグロビンレベル210は約2200であり得る。異なる健康状態におけるハプトグロビンレベル210のこれらの異なる値は、単に値の例と見なされるべきである。ハプトグロビン基準限界215に対する異なる健康状態におけるハプトグロビンレベル210の相対位置は、ハプトグロビンレベル210自体よりも、動物110の健康状態を決定するためにより興味深い。
【0077】
動物110を分析すると、ハプトグロビンレベル210が決定される。次に、決定されたハプトグロビンレベル210がハプトグロビン基準限界215と比較され、結果が分析される、すなわち、比較は、ハプトグロビンレベル210がハプトグロビン基準限界215よりも高いか、またはより低いという結論をもたらすことができる。ハプトグロビンレベル210がハプトグロビン基準限界215よりも低い場合、動物110は、健康であるか、または慢性乳房炎に罹患していると決定することができる。そうでなければ、動物110は、子宮筋層炎、歩行困難、子宮内膜炎、および/または急性乳腺炎に罹患している可能性があり、その健康状態は、基準時点からの経過時間および/または補足バイオマーカレベル220に基づいて確認することができる。
【0078】
結果をより正確に決定するために、いくつかの実施形態では、例えば、識別された動物110の泌乳サイクルの基準時点から経過した期間を決定することによって、さらなる分析を実行することができる。基準時点から経過した所定の期間が30日を超える場合、慢性乳腺炎が疑われる可能性がある。別の可能なさらなる分析は、動物110のLDHレベル220を決定し、それを補足バイオマーカ基準限界225と比較することであり得る。決定されたLDHレベル220が補足バイオマーカ基準限界225よりも低い場合、動物110は健康であると決定することができる。そうでなく、LDHレベル220が補足バイオマーカ基準限界225を超えるとき、動物110は慢性乳腺炎に罹患していると疑われる可能性がある。警告を農家に送信することができ、および/または動物110の健康状態に関してデータベース130に登録を行うことができる。
【0079】
ハプトグロビンレベル210と補足バイオマーカレベル220の両方が測定される場合、これらのバイオマーカの両方を使用して、動物110の健康状態をより精密に決定することができる。ハプトグロビンレベル210がハプトグロビン基準限界215よりも低く、補足バイオマーカレベル220が補足バイオマーカ基準限界225よりも低い場合、および/または基準時点からの経過時間が30日未満である場合、動物110は、健康であると考えることができる。
【0080】
生まれたばかりの動物110は、最近、すなわち過去30日以内に分娩された動物である。ハプトグロビンレベル210がハプトグロビン基準限界215よりも低く、補足バイオマーカレベル220が補足バイオマーカ基準限界225よりも低い場合、動物110は、健康であると決定することができる。
【0081】
いくつかの実施形態では、ハプトグロビンレベル210、補足バイオマーカレベル220、および基準時点から経過した期間に基づく分析は、ハプトグロビンおよび補足バイオマーカ(例えば、LDH)とは別個の追加のバイオマーカによって完了することができる。追加のバイオマーカは、例えば、BHB、導電率、または体細胞数を含んでもよい。追加のバイオマーカ/BHBの決定されたレベルが健康な動物の範囲内にある場合、動物110は健康であると決定することができる。BHBが高い場合、追加のバイオマーカ/BHBのレベルが高い原因は、病気に起因するものではなく、栄養成分および飼料摂取に起因する可能性が高い。
【0082】
図3は、識別された動物110の泌乳サイクルの基準時点300、例えば、分娩の瞬間を概略的に示している。
【0083】
この図は、複数の異なる疾患が、決定された基準時点300からの複数の異なる経過期間にどのように関連し得るかを示している。
【0084】
基準時点300からの経過時間が10日未満であり、ハプトグロビンレベル210がハプトグロビン基準限界215よりも低く、補足バイオマーカレベル220が補足バイオマーカ基準限界225よりも低いいくつかの実施形態において、最も可能性の高い疾患は子宮筋層炎である。
【0085】
いくつかの実施形態による着想は、ハプトグロビン210のレベルをプロファイリングし、病気を示すピーク点を特定するために、特定の所定の時点における測度を有する時間検知モデルを使用することであり得る。
【0086】
決定された基準時点300からの経過期間が約40~80日の間にあり、ハプトグロビン210のレベルがハプトグロビン基準限界215を超え、同時に、補足バイオマーカレベル220が補足バイオマーカ基準限界225よりも低い場合、最も可能性の高い疾患は歩行困難である。
【0087】
ハプトグロビンレベル210がハプトグロビン基準限界215よりも高く、補足バイオマーカレベル220が補足バイオマーカ基準限界225を超える場合、動物110は、急性乳腺炎を患っている可能性がある。時間検知モデルは、例えばLDHまたは導電率などの補足バイオマーカレベル220のスパイクを、急性乳腺炎または慢性症例のいずれかに分類することが可能であり得る。
【0088】
例えば、補足バイオマーカレベル220の増大が発見された場合、ハプトグロビンレベル210を測定するための命令を実行することができ、その結果は、処置のタイプを決定するのに役立つ可能性がある。
【0089】
炎症の急性期が終わり、ハプトグロビンレベル210がより低くなる、例えば、ハプトグロビン基準限界215よりも低くなるが、一定であるとき、これは、動物110が炎症を患っていることを示す可能性がある。
【0090】
時間検知モデルにハプトグロビンレベル測定値を使用すると、動物110が健康であるかまたは健康でないかを区別することができる。ハプトグロビンレベルの測定値を他のバイオマーカの測定値とも組み合わせることにより、疾患に関するさらなる指標を示すことができる。
【0091】
図4は、一実施形態による方法400の例を示している。図4のフローチャートは、農家が動物110の健康状態を決定するのを支援するために制御ユニット120内で実行される方法400を示している。制御ユニット120は、搾乳機116も備える搾乳装置100に含まれる。
【0092】
農家が動物の健康状態を決定するのを正しく支援するために、方法400は、いくつかのステップ401~406を含むことができる。しかしながら、これらのステップ401~406のいくつかは、いくつかの代替の実施形態においてのみ実行されてもよい。さらに、記載されたステップ401~406は、番号付けが示唆するものとは幾分異なる時系列で実行されてもよい。方法400は、以下のステップを含むことができる。
【0093】
ステップ401は、動物110のアイデンティティ基準を取得することを含む。
【0094】
アイデンティティ基準は、動物110の画像認識、または動物の番号プレートの画像認識などによって、例えば、動物110のRFIDタグを介して、動物110を明確に識別することを可能にする、任意のグローバルまたはローカルに一意のインジケータを含むことができる。
【0095】
ステップ402は、識別された動物110の泌乳サイクルの基準時点300を取得することを含む。
【0096】
いくつかの実施形態では、基準時点300は、分娩/出産の瞬間であってもよい。しかしながら、泌乳サイクル内の他の任意の瞬間を、基準時点300として使用することができる。動物110の泌乳サイクルに関する情報は、動物110のアイデンティティ基準と関連付けられるメモリ/データベース130から取得することができる。
【0097】
ステップ403は、基準時点300から所定の期間が経過したときに、動物110の少なくとも1つの乳試料を採取することを決定することを含む。
【0098】
所定の期間は、いくつかの実施形態において、例えば16~32時間の間などの時間間隔であってもよい。所定の期間は、いくつかの実施形態では、動物110の推定搾乳周期と同期させることができ、すなわち、乳試料は、動物110の通常の搾乳中またはそれと関連付けて動物110から抽出することができる。
【0099】
いくつかの実施形態では、動物110の乳試料は、いくつかの実施形態では、例えば1日2回、毎日、および/または、最後の乳試料から15~30時間以内などの、最後の乳試料の抽出から一定の時間間隔以内など、規則的または不規則な時間間隔をおいて繰り返し採取することができる。
【0100】
ステップ404は、抽出された乳試料からハプトグロビンレベル210を取得することを含む。
【0101】
ハプトグロビンレベル210は、センサ112によって、化学分析によって決定することができる。いくつかの実施形態では、センサ112は、ドライスティック技術に基づいてもよい。代替的に、乳試料中のハプトグロビンを決定するための市販のELISA(酵素結合免疫吸着検査法)試験装置に基づいてもよい。
【0102】
それぞれの乳試料の取得されたハプトグロビンレベル210は、いくつかの実施形態では、時間基準に関連付けて、また動物110のアイデンティティ基準にも関連付けて、搾乳装置100のメモリ130に記憶することができる。
【0103】
ステップ405は、取得404されたハプトグロビンレベル210をハプトグロビン基準限界215と比較することを含む。
【0104】
ハプトグロビン基準限界215は、少なくとも1つの記憶されたハプトグロビンレベル210の値に基づいて、計算することができる。
【0105】
いくつかの実施形態では、取得されたハプトグロビンレベル210と以前に記憶されたハプトグロビンレベル210との間の差を決定することができる。
【0106】
ステップ406は、取得404されたハプトグロビンレベル210とハプトグロビン基準限界215との間の行われた比較に基づいて、動物110の健康状態を示すことを含む。
【0107】
いくつかの実施形態において、取得404されたハプトグロビンレベル210がハプトグロビン基準限界215よりも低く、動物110が以前の急性乳腺炎の記録を有しないとき、動物110は、健康であると考えることができる。
【0108】
健康状態の指標は、取得404されたハプトグロビンレベル210とハプトグロビン基準限界215との間の決定された差に基づくことができる。
【0109】
図5は、動物110を搾乳するための搾乳機116を備える搾乳装置100の実施形態を示しており、搾乳装置100は、制御ユニット120を備える。
【0110】
制御ユニット120は、上記で説明され、図4に示されている方法400に従って、前述のステップ401~406の少なくともいくつかを実行するように構成されている。それによって、制御ユニット120は、動物110の搾乳に関連する動物110のアイデンティティを取得するように構成されている。さらに、制御ユニット120は、識別された動物110の泌乳サイクルの基準時点300を取得するように構成されている。また、制御ユニット120は、基準時点300から所定の期間が経過したときに、動物110の少なくとも1つの乳試料を採取することを決定するように構成されている。制御ユニット120は、乳試料からハプトグロビンレベル210を取得するようにさらに構成されている。制御ユニット120は、付加的に、取得されたハプトグロビンレベル210をハプトグロビン基準限界215と比較するように構成されている。さらに、制御ユニット120は、行われた比較に基づいて、動物110の健康状態を示すように構成されている。
【0111】
制御ユニット120は、いくつかの実施形態においてまた、動物110の乳試料を繰り返し採取するようにさらに構成することもできる。さらに、制御ユニット120は、搾乳装置100のメモリ130に、それぞれの乳試料の取得されたハプトグロビンレベル210を、時間基準に関連付けて記憶するように構成することもできる。また、制御ユニット120は、付加的に、取得されたハプトグロビンレベル210と以前に記憶されたハプトグロビンレベル210との間の差を決定するように構成することができる。さらに、制御ユニット120はまた、決定された差に基づいて健康状態を示すようにも構成することができる。
【0112】
いくつかの実施形態において、制御ユニット120は、ハプトグロビン基準限界215を、少なくとも1つの記憶されたハプトグロビンレベル210の値に基づいて計算するように構成することができる。ハプトグロビン基準限界215は、例えば、記憶されたハプトグロビンレベル値の数に基づく平均値、または、目視検査、体温、乳量などのような他の健康モニタリングが動物110が健康であると示した瞬間にサンプリングされて記憶された、記憶されているハプトグロビンレベル値であってもよい。
【0113】
さらに、制御ユニット120は、動物110のさらなる乳試料を採取することを決定するように構成することができる。制御ユニット120はまた、いくつかの実施形態において、ハプトグロビンとは別個の補足バイオマーカを選択するようにも構成することができる。また、制御ユニット120は、動物110のさらなる乳試料から、選択された補足バイオマーカの補足バイオマーカレベル220を取得するように構成することもできる。制御ユニット120は、取得された補足バイオマーカレベル220を補足バイオマーカ基準限界225と比較するようにさらに構成することができる。制御ユニット120はまた、補足バイオマーカレベル220と補足バイオマーカ基準限界225との行われた比較、および、ハプトグロビンレベル210とハプトグロビン基準限界215との比較に基づいて、動物110の健康状態を示すようにも構成することができる。
【0114】
補足バイオマーカは、例えば、乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)を含んでもよい。代替的に、補足バイオマーカは、ベータヒドロキシ酪酸(BHB)、導電率、体細胞数などを含んでもよい。
【0115】
さらなるいくつかの実施形態において、制御ユニット120は、動物110のさらなる乳試料を繰り返し採取するように構成することができる。制御ユニット120はまた、搾乳装置100のメモリ130に、それぞれのさらなる乳試料の取得された補足バイオマーカレベル220を、時間基準に関連付けて記憶するように構成することもできる。加えて、制御ユニット120は、取得された補足バイオマーカレベル220と以前に記憶された補足バイオマーカレベル220との間の差を決定するように構成することもできる。制御ユニット120はまた、取得された補足バイオマーカレベル220と以前に記憶された補足バイオマーカレベル220との間の決定された差に基づいて、動物110の健康状態を示すように構成することもできる。
【0116】
制御ユニット120は、補足バイオマーカ基準限界225を、少なくとも1つの記憶された補足バイオマーカレベル220に基づいて計算するように構成することができる。
【0117】
いくつかの実施形態において、制御ユニット120は、取得されたハプトグロビンレベル210がハプトグロビン基準限界215を超えることによってトリガされるときに、補足バイオマーカレベル220を取得するように構成することができる。さらに、制御ユニット120は、付加的に、それを補足バイオマーカ基準限界225と比較するように構成することができる。制御ユニット120はまた、補足バイオマーカレベル220と補足バイオマーカ基準限界225との行われた比較、および、ハプトグロビンレベル210とハプトグロビン基準限界215との比較に基づいて、動物110の健康状態を示すようにも構成することができる。
【0118】
制御ユニット120は、加えて、取得されたハプトグロビンレベル210と以前に記憶されたハプトグロビンレベル210との間の差が閾限界を超えることが検出されることによってトリガされるときに、補助バイオマーカレベル220を取得するように構成することができる。さらに、制御ユニット120はそれを補足バイオマーカ基準限界225と比較するように構成することができる。また、制御ユニット120は、補足バイオマーカレベル220と補足バイオマーカ基準限界225との行われた比較、および、ハプトグロビンレベル210とハプトグロビン基準限界215との比較に基づいて、動物110の健康状態を示すようにも構成することができる。
【0119】
さらなるいくつかの実施形態において、制御ユニット120は、加えて、基準時点300から所定の期間が経過したことによってトリガされたときに、動物110のさらなる乳試料を採取することを決定するように構成することができる。
【0120】
制御ユニット120は、取得されたハプトグロビンレベル210がハプトグロビン基準限界215を超えることによってトリガされるときに、動物110の第3の乳試料を採取することを決定するように構成することができる。さらに、制御ユニット120は、ハプトグロビンおよび補足バイオマーカとは別個の、追加の補足バイオマーカを選択するように構成することができる。また、制御ユニット120は、動物110の第3の乳試料から、選択された追加のバイオマーカの追加のバイオマーカレベルを取得するように構成することもできる。さらに、制御ユニット120は、取得された追加のバイオマーカレベルを追加のバイオマーカ基準限界と比較し、追加のバイオマーカと追加のバイオマーカレベルとの間の行われた比較に基づいて、動物110の健康状態を示すように構成することができる。
【0121】
制御ユニット120は、追加のバイオマーカを決定することができる。追加のバイオマーカは、補足バイオマーカとは異なっている、例えばBHB、導電率、または体細胞数を含んでもよい。これにより、補助バイオマーカがBHBであると決定された場合、追加のバイオマーカはBHBであると決定されるのではなく、導電率または体細胞数などであると決定される。
【0122】
制御ユニット120は、所定の期間が約5~10日の間であり、かつ、取得されたハプトグロビンレベル210がハプトグロビン基準限界215を超えたときに、動物110の健康状態を、子宮筋層炎に関係するものとして示すように構成することができる。
【0123】
補足バイオマーカレベル220が取得されたさらなるいくつかの実施形態では、制御ユニット120は、取得されたハプトグロビンレベル210がハプトグロビン基準限界215を超えると同時に、取得された補足バイオマーカレベル220が補足バイオマーカ基準限界225よりも低いときに、子宮筋層炎の健康状態を示すように構成することができる。
【0124】
制御ユニット120は、所定の期間が約11~30日の間であり、かつ、取得されたハプトグロビンレベル210がハプトグロビン基準限界215を超えたときに、動物110の健康状態を、子宮内膜炎に関係するものとして示すように構成することができる。
【0125】
補足バイオマーカレベル220が取得されたいくつかの実施形態では、制御ユニット120は、取得されたハプトグロビンレベル210がハプトグロビン基準限界215を超えると同時に、取得された補足バイオマーカレベル220が補足バイオマーカ基準限界225よりも低いときに、子宮内膜炎の健康状態を示すように構成することができる。
【0126】
制御ユニット120は、所定の期間が約40~100日の間であり、かつ、取得されたハプトグロビンレベル210がハプトグロビン基準限界215を超えたときに、動物110の健康状態を、歩行困難に関係するものとして示すように構成することができる。
【0127】
補足バイオマーカレベル220が取得されたさらなるいくつかの実施形態では、制御ユニット120は、取得されたハプトグロビンレベル210がハプトグロビン基準限界215を超えると同時に、取得された補足バイオマーカレベル220が補足バイオマーカ基準限界225よりも低いときに、歩行困難の健康状態を示すように構成することができる。
【0128】
制御ユニット120は、所定の期間が約0~30日の間であり、かつ、取得されたハプトグロビンレベル210がハプトグロビン基準限界215よりも高い第2のハプトグロビン基準限界235を超えたときに、動物110の健康状態を、急性乳腺炎に関係するものとして示すように構成することができる。
【0129】
補足バイオマーカレベル220が取得されたいくつかの実施形態では、制御ユニット120はまた、取得されたハプトグロビンレベル210が第2のハプトグロビン基準限界235を超えると同時に、取得された補足バイオマーカレベル220が補足バイオマーカ基準限界225を超えるときに、急性乳腺炎の健康状態を示すように構成することもできる。
【0130】
制御ユニット120は、取得されたハプトグロビンレベル210が、ハプトグロビン基準限界215よりも低い第3のハプトグロビン基準限界245よりも高いと同時に、ハプトグロビン基準限界215よりも低いときに、動物110の健康状態を、慢性乳腺炎に関係するものとして示すように構成することができる。
【0131】
補足バイオマーカレベル220が取得されたいくつかの実施形態では、制御ユニット120は、少なくとも連続する30日にわたって、取得されたハプトグロビンレベル210が、第3のハプトグロビン基準限界245よりも高いと同時に、取得されたハプトグロビンレベル210がハプトグロビン基準限界215よりも低いと同時に、取得された補足バイオマーカレベル220が補足バイオマーカ基準限界225よりも高いときに、慢性乳腺炎の健康状態を示すように構成することができる。
【0132】
搾乳装置100は、いくつかの実施形態では、動物の状態に関連するパラメータを記憶するように構成されたデータベース130も備えることができる。
【0133】
制御ユニット120は、送受信機125から、センサ112からの情報を受信するように構成された受信機510を備えることができる。
【0134】
制御ユニット120はまた、前述のステップ401~406の少なくともいくつかに従って、方法400を実行するための様々な計算を実行するように構成された処理回路520も備える。
【0135】
そのような処理回路520は、処理回路、すなわち、中央処理装置(CPU)、処理装置、処理回路、プロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、マイクロプロセッサ、または命令を解釈して実行することができる他の処理論理のうちの1つ以上のインスタンスを含んでもよい。したがって、本明細書で利用される表現「プロセッサ」は、例えば、上に列挙されたもののいずれか、いくつか、またはすべてなど、複数の処理回路を含む処理回路を表すことができる。
【0136】
さらに、制御ユニット120は、いくつかの実施形態では、メモリ525を備えることができる。任意選択のメモリ525は、データまたはプログラム、すなわち、命令のシーケンスを一時的または永続的に記憶するために利用される物理デバイスを含んでもよい。いくつかの実施形態によれば、メモリ525は、シリコンベースのトランジスタを備える集積回路を含むことができる。メモリ525は、異なる実施形態において、例えば、メモリカード、フラッシュメモリ、USBメモリ、ハードディスク、または、例えば、ROM(読み出し専用メモリ)、PROM(プログラム可能読み出し専用メモリ)、EPROM(消去可能PROM)、EEPROM(電気的消去可能PROM)などのようなデータを記憶するための別の同様の揮発性もしくは不揮発性記憶ユニットを含んでもよい。
【0137】
さらに、制御ユニット120は、信号送信機530を備えることができる。信号送信機530は、有線または無線通信インターフェースを介して送受信機125および/またはデータベース130に信号を送信するように構成することができる。
【0138】
しかしながら、いくつかの代替の実施形態では、搾乳装置100は、ステップ401~406に従って方法400を実行するための追加のユニットを備えてもよい。
【0139】
制御ユニット120内で実行される上記のステップ401~406は、ステップ401~406の機能の少なくともいくつかを実行するためのコンピュータプログラムとともに、制御ユニット120内の1つ以上の処理回路520を通じて実施することができる。したがって、コンピュータプログラムは、コンピュータプログラムがシステム100内の制御ユニット120によって実行されると、制御ユニット120に、ステップ401~406のうちの少なくともいくつかに従って方法400を実行させる命令を含む。
【0140】
上記のコンピュータプログラムは、例えば、コンピュータ可読媒体の形態、すなわち、制御ユニット120の1つ以上の処理回路520にロードされると、いくつかの実施形態によるステップ401~406のうちの少なくともいくつかを実行するためのコンピュータプログラムコードを担持するデータキャリアの形態で提供することができる。データキャリアは、例えば、ハードディスク、CD ROMディスク、メモリスティック、光記憶装置、磁気記憶装置、または、機械可読データを非一時的に保持することができるディスクもしくはテープなどの任意の他の適切な媒体であってもよい。コンピュータプログラムはさらに、サーバ上のコンピュータプログラムコードとして提供され、例えば、インターネットまたはイントラネット接続を介してリモートで制御ユニット120にダウンロードされてもよい。
【0141】
添付の図面に示されているように、実施形態の説明で使用される用語は、説明されている方法400、制御ユニット120、コンピュータプログラム、搾乳装置100および/またはコンピュータ可読媒体を限定することを意図するものではない。様々な変更、置換、および/または変更を、添付の特許請求の範囲によって定義されるような発明の実施形態から逸脱することなく、行い得る。
【0142】
本明細書で使用される場合、「および/または」という用語は、関連付けて列挙されたアイテムのうちの1つ以上のありとあらゆる組み合わせを含む。本明細書で使用される「または」という用語は、特に明記されていない限り、数学的排他的OR(XOR)としてではなく、数学的OR、すなわち、包含的論理和として解釈されるべきである。さらに、単数形「a」、「an」および「the」は、「少なくとも1つ」として解釈されるべきであり、したがって、特に明記しない限り、同じ種類の複数の実体を含む可能性もある。「含む(includes)」、「備える(comprises)」、「含む(including)」、および/または「備える(comprising)」という用語は、述べられた特徴、アクション、整数、ステップ、操作、要素、および/または構成要素の存在を指定するが、1つ以上の他の特徴、アクション、整数、ステップ、操作、要素、構成要素、および/またはそれらのグループの存在または追加を排除するものではないことがさらに理解される。例えばプロセッサなどの単一ユニットが、特許請求の範囲に記載されたいくつかのアイテムの機能を果たし得る。特定の手段または特徴が、相互に異なる従属請求項に記載されている、異なる図に示されている、または異なる実施形態と併せて議論されているという単なる事実は、これらの手段または特徴の組み合わせを有利に使用できないことを示すものではない。コンピュータプログラムが、他のハードウェアと一緒に、または他のハードウェアの一部として供給される光記憶媒体または固体媒体などの好適な媒体に記憶/配布され得るが、インターネットまたは他の有線もしくは無線の通信システムなどの他の形態で配布されてもよい。
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】