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特表2023-503980弾性波デバイスにおけるエネルギー封じ込み
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-01
(54)【発明の名称】弾性波デバイスにおけるエネルギー封じ込み
(51)【国際特許分類】
   H03H 9/25 20060101AFI20230125BHJP
   H03H 9/145 20060101ALI20230125BHJP
   H03H 3/08 20060101ALI20230125BHJP
【FI】
H03H9/25 A
H03H9/145 C
H03H3/08
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022530731
(86)(22)【出願日】2020-11-22
(85)【翻訳文提出日】2022-06-27
(86)【国際出願番号】 US2020061710
(87)【国際公開番号】W WO2021108281
(87)【国際公開日】2021-06-03
(31)【優先権主張番号】62/941,683
(32)【優先日】2019-11-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504157024
【氏名又は名称】国立大学法人東北大学
(71)【出願人】
【識別番号】503031330
【氏名又は名称】スカイワークス ソリューションズ,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】SKYWORKS SOLUTIONS,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】門田 道雄
(72)【発明者】
【氏名】田中 秀治
(72)【発明者】
【氏名】石井 好美
(72)【発明者】
【氏名】中村 弘幸
(72)【発明者】
【氏名】巻 圭一
(72)【発明者】
【氏名】後藤 令
【テーマコード(参考)】
5J097
【Fターム(参考)】
5J097AA01
5J097BB15
5J097DD29
5J097EE08
5J097FF05
5J097HA04
5J097JJ06
5J097KK09
5J097KK10
5J097LL06
(57)【要約】
弾性波デバイスにおけるエネルギー封じ込みである。いくつかの実施形態において、弾性表面波デバイスは、水晶基板と、LiTaO又はLiNbOから形成されて当該水晶基板の上に配置される圧電膜と、当該圧電膜の上に形成されるインターディジタルトランスデューサ電極とを含み得る。弾性表面波デバイスはさらに、圧電膜の上に実装される接合層と、キャップ層とを含み得る。キャップ層は、接合層の上に形成されることにより、伝搬波のエネルギーを実質的に当該キャップ層の下方に閉じ込める。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
弾性表面波デバイスであって、
水晶基板と、
LiTaO又はLiNbOから形成されて前記水晶基板の上に配置される圧電膜と、
前記圧電膜の上に形成されるインターディジタルトランスデューサ電極と、
前記圧電膜の上に実装される接合層と、
キャップ層と
を含み、
前記キャップ層は、前記接合層の上に形成されることにより、伝搬波のエネルギーを実質的に前記キャップ層の下方に閉じ込める、弾性表面波デバイス。
【請求項2】
前記接合層はSiOから形成される、請求項1の弾性波デバイス。
【請求項3】
前記キャップ層はSiから形成される、請求項1の弾性波デバイス。
【請求項4】
前記インターディジタルトランスデューサ電極は前記圧電膜の上面に直接形成され、
前記キャップ層の下面が前記接合層の上面に直接接触する、請求項1の弾性波デバイス。
【請求項5】
前記接合層は前記インターディジタルトランスデューサ電極を封止する、請求項4の弾性波デバイス。
【請求項6】
前記インターディジタルトランスデューサ電極iの上方の容積が、前記圧電膜の上面と前記キャップ層の下面とによって画定されるキャビティを含み、
前記インターディジタルトランスデューサ電極は前記キャビティに露出される、請求項4の弾性波デバイス
【請求項7】
前記キャビティはさらに、横方向が側壁によって画定される、請求項6の弾性波デバイス。
【請求項8】
前記側壁は、前記接合層の周縁部分によって形成される、請求項7の弾性波デバイス。
【請求項9】
前記側壁は、前記接合層の中に少なくとも部分的に埋め込まれる壁構造物によって形成される、請求項7の弾性波デバイス。
【請求項10】
前記壁構造物は、SiNが充填された一以上のトレンチを含み、
前記一以上のトレンチは前記キャビティを部分的に又は完全に取り囲む、請求項9の弾性波デバイス。
【請求項11】
前記一以上のトレンチは、実質的に前記キャビティを取り囲む単数のトレンチを含む、請求項9の弾性波デバイス。
【請求項12】
前記キャップ層は、前記キャビティの形成からもたらされる一以上の開口を画定する、請求項6の弾性波デバイス。
【請求項13】
前記圧電膜の上に形成されて前記インターディジタルトランスデューサ電極に電気的に接続される第1コンタクトパッド及び第2コンタクトパッドをさらに含む、請求項1の弾性波デバイス。
【請求項14】
前記第1コンタクトパッド及び第2コンタクトパッドのそれぞれから前記キャップ層の上面まで延びる導電ビアをさらに含む、請求項13の弾性波デバイス。
【請求項15】
前記圧電膜に実装されて前記インターディジタルトランスデューサ電極の第1側及び第2側に配置される第1反射器及び第2反射器をさらに含む、請求項1の弾性波デバイス。
【請求項16】
弾性波デバイスを作製する方法であって、
LiTaO又はLiNbOから形成される圧電層を形成すること又は与えることと、
前記圧電層の上にインターディジタルトランスデューサ電極を形成することと、
前記圧電層の上に接合層を実装することと、
前記接合層にキャップ層を接合することと、
前記圧電層を薄化して圧電膜を与えることと
を含み、
前記接合層は前記キャップ層と前記圧電層との間に存在し、
前記キャップ層は、前記キャップ層の下方の容積に伝搬波のエネルギー閉じ込めを許容するように構成される、方法。
【請求項17】
前記圧電膜に水晶基板を取り付けることをさらに含む、請求項16の方法。
【請求項18】
前記圧電層は第1面及び第2面を有し、
前記インターディジタルトランスデューサ電極は前記圧電層の前記第1面に形成され、
前記接合層は前記圧電層の前記第1面に実装される、請求項17の方法。
【請求項19】
前記圧電層を薄化することは、前記圧電層の前記第2面の側面に対し、前記圧電膜の新たな第2面をもたらすべく行われる、請求項18の方法。
【請求項20】
前記圧電膜に前記水晶基板を取り付けることは、前記圧電膜の前記新たな第2面に前記水晶基板を接合することを含む、請求項19の方法。
【請求項21】
前記接合層を実装することは、前記接合層が前記インターディジタルトランスデューサ電極を封止することをもたらす、請求項18の方法。
【請求項22】
前記接合層を実装することは、前記インターディジタルトランスデューサ電極の上方にキャビティをもたらし、
前記キャビティは前記圧電膜の前記第1面と前記キャップ層の下面とによって画定され、
前記インターディジタルトランスデューサ電極は前記キャビティに露出される、請求項18の方法。
【請求項23】
前記キャビティはさらに、横方向が側壁によって画定される、請求項22の方法。
【請求項24】
前記接合層を実装することはさらに、前記側壁が前記接合層の周縁部分によって形成されることをもたらす、請求項23の方法。
【請求項25】
少なくとも部分的に前記接合層の中に壁構造物を、前記壁構造物が前記キャビティの前記側壁を形成するように埋め込むことをさらに含む、請求項23の方法。
【請求項26】
前記キャップ層の上面の又は前記上面の近くの箇所において前記インターディジタルトランスデューサ電極に関連付けられる第1コンタクトパッド及び第2コンタクトパッドのそれぞれに電気接続を与えるべく、前記キャップ層及び前記接合層を貫通する第1導電性ビア及び第2導電性ビアを形成することをさらに含む、請求項18の方法。
【請求項27】
無線周波数フィルタであって、
信号を受信する入力ノードと、
フィルタリングされた信号を与える出力ノードと、
前記フィルタリングされた信号を生成するべく電気的に前記入力ノードと前記出力ノードとの間に実装される弾性波デバイスと
を含み、
前記弾性波デバイスは、水晶基板と、LiTaO又はLiNbOから形成されて前記水晶基板の上に配置される圧電膜と、前記圧電膜の上に形成されるインターディジタルトランスデューサ電極とを含み、
前記弾性表面波デバイスはさらに、前記圧電膜の上に実装される接合層と、キャップ層とを含み、
前記キャップ層は、前記接合層の上に形成されることにより、伝搬波のエネルギーを実質的に前記キャップ層の下方に閉じ込める、弾性表面波デバイス。
【請求項28】
無線周波数モジュールであって、
複数のコンポーネントを受容するべく構成されるパッケージ基板と、
前記パッケージ基板に実装されて複数の信号の送信及び受信の一方又は双方をサポートするべく構成される無線周波数回路と、
前記信号の少なくともいくつかをフィルタリングするべく構成される無線周波数フィルタと
を含み、
前記無線周波数フィルタは、水晶基板と、LiTaO又はLiNbOから形成されて前記水晶基板の上に配置される圧電膜と、前記圧電膜の上に形成されるインターディジタルトランスデューサ電極とを有する弾性表面波デバイスを含み、
前記弾性表面波デバイスはさらに、前記圧電膜の上に実装される接合層と、キャップ層とを含み、
前記キャップ層は、前記接合層の上に形成されることにより、伝搬波のエネルギーを実質的に前記キャップ層の下方に閉じ込める、無線周波数モジュール。
【請求項29】
無線デバイスであって、
送受信器と、
アンテナと、
電気的に前記送受信器と前記アンテナとの間に存在するように実装される無線システムと
を含み、
前記無線システムは、前記無線システムのためのフィルタリング機能を与えるべく構成されるフィルタを含み、
前記フィルタは、水晶基板と、LiTaO又はLiNbOから形成されて前記水晶基板の上に配置される圧電膜と、前記圧電膜の上に形成されるインターディジタルトランスデューサ電極とを有する弾性表面波デバイスを含み、
前記弾性表面波デバイスはさらに、前記圧電膜の上に実装される接合層と、キャップ層とを含み、
前記キャップ層は、前記接合層の上に形成されることにより、伝搬波のエネルギーを実質的に前記キャップ層の下方に閉じ込める、無線デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2019年11月27日に出願された「弾性波デバイスにおけるエネルギー封じ込み」との名称の米国仮出願第62/941,683号の優先権を主張し、その開示は、全体が参照によりここに明示的に組み込まれる。
【0002】
本開示は、弾性表面波(SAW)デバイスのような弾性波デバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
弾性表面波(SAW)共振器は典型的に、圧電層の表面に実装されるインターディジタルトランスデューサ(IDT)電極を含む。かかる電極は、2つの噛み合いセットの指を含み、かかる構成において、同じセットの2つの隣接指間の距離は、IDT電極によりサポートされる弾性表面波の波長λと近似的に同じである。
【0004】
多くのアプリケーションにおいて、上記SAW共振器は、波長λに基づいて無線周波数(RF)フィルタとして利用することができる。かかるフィルタは、一定数の所望の特徴を与え得る。
【発明の概要】
【0005】
一定数の実装例によれば、本開示は、水晶基板と、LiTaO又はLiNbOから形成されて当該水晶基板の上に配置される圧電膜とを含む弾性表面波デバイスに関する。弾性表面波デバイスはさらに、圧電膜の上に形成されるインターディジタルトランスデューサ電極と、当該圧電膜の上に実装される接合層とを含む。弾性表面波デバイスはさらにキャップ層を含み、当該キャップ層は、接合層の上に形成されることにより、伝搬波のエネルギーを実質的に当該キャップ層の下方に閉じ込める。
【0006】
いくつかの実施形態において、接合層はSiOから形成されてよい。いくつかの実施形態において、キャップ層はSiから形成されてよい。
【0007】
いくつかの実施形態において、インターディジタルトランスデューサ電極は、圧電膜の上面に直接形成されてよく、キャップ層の下面が接合層の上面に直接接触してよい。いくつかの実施形態において、接合層は、インターディジタルトランスデューサ電極を封止することができる。いくつかの実施形態において、インターディジタルトランスデューサ電極の上方の容積が、圧電膜の上面とキャップ層の下面とによって画定されるキャビティを含み得る。これにより、インターディジタルトランスデューサ電極がキャビティに露出される。
【0008】
いくつかの実施形態において、キャビティはさらに、側壁によって横方向が画定される。いくつかの実施形態において、側壁は、接合層の周縁部分によって形成されてよい。いくつかの実施形態において、側壁は、接合層の中に少なくとも部分的に埋め込まれる壁構造物によって形成されてよい。
【0009】
いくつかの実施形態において、壁構造物は、SiNが充填される一以上のトレンチを含み、当該一以上のトレンチは、キャビティを部分的又は完全に取り囲み得る。いくつかの実施形態において、一以上のトレンチは、実質的にキャビティを取り囲む単数のトレンチを含み得る。
【0010】
いくつかの実施形態において、キャップ層は、キャビティの形成からもたらされる一以上の開口を画定してよい。
【0011】
いくつかの実施形態において、弾性波デバイスはさらに、圧電膜の上に形成されてインターディジタルトランスデューサ電極に電気的に接続される第1コンタクトパッド及び第2コンタクトパッドを含み得る。いくつかの実施形態において、弾性波デバイスはさらに、第1コンタクトパッド及び第2コンタクトパッドのそれぞれからキャップ層の上面まで延びる導電ビアを含み得る。
【0012】
いくつかの実施形態において、弾性波デバイスはさらに、圧電膜上に実装されてインターディジタルトランスデューサ電極の第1側及び第2側に配置される第1反射器及び第2反射器を含み得る。
【0013】
いくつかの実装例によれば、本開示は、弾性波デバイスを作製する方法に関する。方法は、LiTaO又はLiNbOから形成される圧電層を形成すること又は与えることと、当該圧電層の上にインターディジタルトランスデューサ電極を形成することとを含む。方法はさらに、圧電層の上に接合層を実装することと、当該接合層にキャップ層を、当該接合層が当該キャップ層と当該圧電層との間に存在するように接合することとを含む。キャップ層は、当該キャップ層の下方の容積に伝搬波のエネルギー閉じ込めを許容するように構成される。方法はさらに、圧電層を薄化して圧電膜を与えることを含む。
【0014】
いくつかの実施形態において、方法はさらに、圧電膜に水晶基板を取り付けることを含む。圧電層は第1面及び第2面を含み、インターディジタルトランスデューサ電極が当該圧電層の第1面に形成され、接合層が当該圧電層の第1面に実装される。
【0015】
いくつかの実施形態において、圧電層を薄化することは、圧電膜の新たな第2面をもたらすべく当該圧電層の第2面に対して行われてよい。圧電膜に水晶基板を取り付けることは、当該圧電膜の新たな第2面に水晶基板を接合することを含み得る。
【0016】
いくつかの実施形態において、接合層が実装されることにより、接合層がインターディジタルトランスデューサ電極を封止することがもたらされ得る。いくつかの実施形態において、接合層が実装されることにより、インターディジタルトランスデューサ電極の上方にキャビティがもたらされ、このキャビティは、圧電膜の第1面とキャップ層の下面とによって画定され、当該インターディジタルトランスデューサ電極が当該キャビティに露出される。
【0017】
いくつかの実施形態において、キャビティはさらに、側壁によって横方向が画定される。いくつかの実施形態において、接合層が実装されることによりさらに、当該接合層の周縁部分によって画定される側壁がもたらされる。
【0018】
いくつかの実施形態において、方法はさらに、少なくとも部分的に接合層の中に壁構造物を、当該壁構造がキャビティの側壁を形成するように埋め込むことを含み得る。
【0019】
いくつかの実施形態において、方法はさらに、キャップ層の上面の又は当該上面近くの箇所においてインターディジタルトランスデューサ電極に関連付けられる第1コンタクトパッド及び第2コンタクトパッドのそれぞれに電気接続を与えるべく、キャップ層及び接合層を貫通する第1導電性ビア及び第2導電性ビアを形成することを含み得る。
【0020】
いくつかの実装例によれば、本開示は、信号を受信する入力ノードと、フィルタリングされた信号を与える出力ノードとを含む無線周波数フィルタに関する。無線周波数フィルタはさらに、フィルタリングされた信号を生成するべく電気的に入力ノードと出力ノードとの間に実装される弾性波デバイスを含む。弾性波デバイスは、水晶基板と、LiTaO又はLiNbOから形成されて当該水晶基板の上に配置される圧電膜と、当該圧電膜の上に形成されるインターディジタルトランスデューサ電極とを含む。弾性表面波デバイスはさらに、圧電膜の上に実装される接合層と、キャップ層とを含み、当該キャップ層は、当該接合層の上に形成されることにより、伝搬波のエネルギーを実質的に当該キャップ層の下方に閉じ込める。
【0021】
いくつかの実装例において、本開示は、複数のコンポーネントを受容するべく構成されるパッケージング基板と、当該パッケージング基板に実装されて信号の送信及び受信の一方又は双方をサポートするべく構成される無線周波数回路とを含む無線周波数モジュールに関する。無線周波数モジュールはさらに、当該信号の少なくともいくつかをフィルタリングするべく構成される無線周波数フィルタを含む。無線周波数フィルタは、水晶基板と、LiTaO又はLiNbOから形成されて当該水晶基板の上に配置される圧電膜と、当該圧電膜の上に形成されるインターディジタルトランスデューサ電極とを有する弾性表面波デバイスを含む。弾性表面波デバイスはさらに、圧電膜の上に実装される接合層と、キャップ層とを含み、当該キャップ層は、当該接合層の上に形成されることにより、伝搬波のエネルギーを実質的に当該キャップ層の下方に閉じ込める。
【0022】
いくつかの実装例において、本開示は、送受信器と、アンテナと、電気的に当該送受信器と当該アンテナとの間に実装される無線システムとを含む無線デバイスに関する。無線システムは、無線システムのためにフィルタリング機能を与えるべく構成されるフィルタを含む。フィルタは、水晶基板と、LiTaO又はLiNbOから形成されて当該水晶基板の上に配置される圧電膜と、当該圧電膜の上に形成されるインターディジタルトランスデューサ電極とを有する弾性表面波デバイスを含む。弾性表面波デバイスはさらに、圧電膜の上に実装される接合層と、キャップ層とを含み、当該キャップ層は、当該接合層の上に形成されることにより、伝搬波のエネルギーを実質的に当該キャップ層の下方に閉じ込める。
【0023】
本開示をまとめることを目的として、本発明の所定の側面、利点、及び新規な特徴がここに記載されてきた。かかる利点の必ずしもすべてが、本発明のいずれかの特定の実施形態に従って達成されるわけではないことを理解すべきである。すなわち、本発明は、ここに教示又は示唆され得る他の利点を必ずしも達成することなく、ここに教示される一つの利点又は複数の利点の一群を達成又は最適化する態様で具体化し又は実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】弾性表面波(SAW)共振器として実装されるSAWデバイスの一例を示す。
図2図1のSAW共振器に実装される例示的なインターディジタルトランスデューサ(IDT)電極の拡大かつ分離された平面図を示す。
図3】いくつかの実施形態において、SAW共振器が、水晶基板と、圧電層と、インターディジタルトランスデューサ(IDT)電極と、当該圧電層の上に実装される接合層と、当該接合層の上に形成されるキャップ層との組み合わせを含み得ることを示す。
図4】いくつかの実施形態において、図3のSAW共振器が、IDT電極のための電気接続を与えるように、かつ、一般にIDT電極の上にある内部構造物を含むように、構成され得ることを示す。
図5図4のSAW共振器の詳しい一例を示す。
図6図4のSAW共振器の詳しい他例を示す。
図7図4のSAW共振器の詳しいさらなる他例を示す。
図8A-8E】図8Aから図8Hは、図5の例示的なSAW共振器を製造するべく利用することができる例示的なプロセスを示す。
図8F-8H】図8Aから図8Hは、図5の例示的なSAW共振器を製造するべく利用することができる例示的なプロセスを示す。
図9A-9D】図9Aから図9Dは、図6の例示的なSAW共振器を製造するべく利用することができる例示的なプロセスを示す。
図10A-10E】図10Aから図10Hは、図7の例示的なSAW共振器を製造するべく利用することができる例示的なプロセスを示す。
図10F-10H】図10Aから図10Hは、図7の例示的なSAW共振器を製造するべく利用することができる例示的なプロセスを示す。
図11】いくつかの実施形態において、SAW共振器の多数ユニットを、アレイ形式にある間に作製できることを示す。
図12】いくつかの実施形態において、ここに記載される一以上の特徴を有するSAW共振器を、パッケージデバイスの一部として実装できることを示す。
図13】いくつかの実施形態において、図12のSAW共振器ベースのパッケージデバイスがパッケージフィルタデバイスとなり得ることを示す。
図14】いくつかの実施形態において、無線周波数(RF)モジュールが、一以上のRFフィルタのアセンブリを含み得ることを示す。
図15】ここに記載される一以上の有利な特徴を有する無線デバイスの一例を描く。
【発明を実施するための形態】
【0025】
ここに与えられる見出しは、あったとしても便宜上にすぎず、必ずしも特許請求される発明の範囲又は意味に影響を与えるわけではない。
【0026】
図1は、弾性表面波(SAW)共振器として実装されるSAWデバイス98の一例を示す。かかるSAW共振器は、例えばLiTaO(ここではLTとも称する)又はLiNbO(ここではLNとも称する)から形成される圧電層104を含み得る。かかる圧電層は、第1表面110(例えばSAW共振器98が図示のように配向されるときの上面)、及び反対側の第2表面を含み得る。圧電層104の第2表面は、例えば水晶基板112に取り付けられる。
【0027】
圧電層104の第1表面110には、インターディジタルトランスデューサ(IDT)電極102が、一以上の反射器アセンブリ(例えば114、116)とともに実装され得る。図2は、図1のSAW共振器98のIDT電極102の、拡大かつ分離された平面図を示す。理解されることだが、図1及び図2のIDT電極102は、これよりも多い又は少ない数の指を、2つの噛み合いセットの指に対して含んでよい。
【0028】
図2の例において、IDT電極102は、噛み合い態様で配列される第1セット120aの指122a及び第2セット120bの指122bを含むように示される。かかる構成において、同じセットの2つの隣接指(例えば第1セット120aの隣接指122a)間の距離は、IDT電極102に関連付けられる弾性表面波の波長λと近似的に同じである。
【0029】
図2の例において、指に関連付けられる様々な寸法が示される。詳しくは、各指(122a又は122b)が側方幅Fを有するように示され、間隙距離Gが、2つの噛み合う隣接指(122a及び122b)間に設けられるように示される。
【0030】
図3は、いくつかの実施形態において、SAW共振器100が、水晶基板112と、圧電層104(例えばLiTaO又はLiNbOから形成される膜)と、図1の例と同様のインターディジタルトランスデューサ(IDT)電極102との組み合わせを含み得る。かかるIDT電極は、図2の例と同様であってよく、噛み合う態様で配列される第1セット及び第2セットの指122a、122bを含んでよい。記載の目的上、第1セットの指122aは第1コンタクトパッド121aに電気的に接続されてよく、第2セットの指122bは第2コンタクトパッド121bに電気的に接続されてよい。
【0031】
図3は、SAW共振器100がさらに、圧電層104の上に実装される接合層123(例えば二酸化シリコン(SiO))を含み得ることを示す。いくつかの実施形態において、かかる接合層は、IDT電極102及び対応コンタクトパッド121a、121bを部分的に又は完全に封止するように実装され得る。
【0032】
図3は、いくつかの実施形態において、SAW共振器100がさらに、接合層123の上に形成されるキャップ層124(例えばシリコン(Si))を含み得ることを示す。いくつかの実施形態において、かかるキャップ層は、伝搬波のエネルギーを実質的に接合層123及び/又は圧電層104の中に閉じ込めるように構成され得る。
【0033】
図4は、いくつかの実施形態において、図3のSAW共振器100が、(例えば、対応するコンタクトパッド121a、121bを介して)IDT電極102のための電気接続137a、137bを与えるように構成され得る。かかる電気接続に関連する複数例がここに詳述される。
【0034】
図4はまた、いくつかの実施形態において、図3のSAW共振器100が、一般にIDT電極102の上に内部構造139を含むように構成され得ることを示す。かかる内部構造に関連する複数例がここに詳述される。
【0035】
図5は、図4のSAW共振器100の詳しい一例を示す。図5の例において、電気接続(図4の137a、137b)は、キャップ層124及び接合層123を貫通するように形成される第1導電性ビア125a及び第2導電性ビア125bとして実装され得る。したがって、第1ビア125aは、キャップ層124の上面127に又はその近くにおいて、第1コンタクトパッド121aと(第1ビア125aの)露出された表面126aとの電気接続を与えることができる。同様に、第2ビア125bは、キャップ層124の上面127に又はその近くにおいて、第2コンタクトパッド121bと(第2ビア125bの)露出された表面126bとの電気接続を与えることができる。
【0036】
図5の例において、内部構造(図4の139)は、接合層123がIDT電極102及びコンタクトパッド121a、121bを実質的に封止するように実装されてよい。かかる構成において、キャップ層124は、導電性ビア125a、125b以外の固体層としてよい。
【0037】
図5のSAW共振器100を製作するべく利用することができるプロセスの一例が、図8A図8Hを参照してここに記載される。
【0038】
図6は、図4のSAW共振器100の詳しい他例を示す。図6の例において、電気接続(図4の137a、137b)は、キャップ層124及び接合層123を貫通するように形成される第1導電性ビア125a及び第2導電性ビア125bとして実装され得る。したがって、第1ビア125aは、キャップ層124の上面127に又はその近くにおいて、第1コンタクトパッド121aと(第1ビア125aの)露出された表面126aとの電気接続を与えることができる。同様に、第2ビア125bは、キャップ層124の上面127に又はその近くにおいて、第2コンタクトパッド121bと(第2ビア125bの)露出された表面126bとの電気接続を与えることができる。
【0039】
図6の例において、内部構造(図4の139)は、キャビティ128がIDT電極102の上に与えられるように実装されてよい。いくつかの実施形態において、かかるキャビティは、圧電層104の上面と、キャップ層124の下面と、接合層123の周縁部分とによって画定され得る。かかる構成において、キャップ層124は、キャップ層124を貫通するように延びてキャビティ128の形成を許容する寸法とされる一以上の開口129を含み得る。
【0040】
図6のSAW共振器100を製作するべく利用することができるプロセスの一例が、図9A図9Dを参照してここに記載される。
【0041】
図7は、図4のSAW共振器100の詳しいさらなる他例を示す。図7の例において、電気接続(図4の137a、137b)は、キャップ層124及び接合層123を貫通するように形成される第1導電性ビア125a及び第2導電性ビア125bとして実装され得る。したがって、第1ビア125aは、キャップ層124の上面127に又はその近くにおいて、第1コンタクトパッド121aと(第1ビア125aの)露出された表面126aとの電気接続を与えることができる。同様に、第2ビア125bは、キャップ層124の上面127に又はその近くにおいて、第2コンタクトパッド121bと(第2ビア125bの)露出された表面126bとの電気接続を与えることができる。
【0042】
図7の例において、内部構造(図4の139)は、キャビティ128がIDT電極102の上に与えられるように実装されてよい。いくつかの実施形態において、かかるキャビティは、圧電層104の上面と、キャップ層124の下面と、接合層123の周縁部分の近くに埋め込まれる壁構造物131(例えばシリコン窒化物(SiN))とによって画定され得る。かかる構成において、キャップ層124は、キャップ層124を貫通するように延びてキャビティ128の形成を許容する寸法とされる一以上の開口129を含み得る。
【0043】
図7のSAW共振器100を製作するべく利用することができるプロセスの一例が、図10A図10Hを参照してここに記載される。
【0044】
図8A図8Hは、図5の例示的SAW共振器100を製造するべく利用することができる例示的なプロセスを示す。かかる例示的なプロセスにおいて、特定の材料の使用が記載されるにもかかわらず、同様の特性を有する他の材料も利用され得ることが理解される。
【0045】
図8Aは、いくつかの実施形態において、製造プロセスが、LiTaO(LT)層104’のような相対的に厚い圧電層が形成され又は与えられるプロセスステップを含み得ることを示す。
【0046】
図8Bは、インターディジタルトランスデューサ(IDT)電極102及び対応するコンタクトパッド121a、121bが、アセンブリ160をもたらすべく相対的に厚いLT層104’の表面に形成されるプロセスステップを示す。
【0047】
図8Cは、二酸化シリコン(SiO)接合層123のような接合層が、アセンブリ161をもたらすべく相対的に厚いLT層104’の上に形成されるプロセスステップを示す。いくつかの実施形態において、かかるSiO接合層は、IDT電極102及びコンタクトパッド121a、121bを封止する平坦層をもたらすべく、堆積及び研磨によって(例えば化学機械平坦化(CMP)プロセスによって)形成されてよい。
【0048】
図8Dは、シリコン(Si)キャップ層124のようなキャップ層が、アセンブリ162をもたらすべくSiO接合層123に接合されるプロセスステップを示す。
【0049】
図8Eは、アセンブリ163をもたらすべく相対的に厚いLT層104’の厚さが低減されてLT層104を得るプロセスステップを示す。いくつかの実施形態において、かかる薄化プロセスステップは、例えば、機械研磨プロセス、化学機械プロセス等のような研磨プロセスによって達成することができる。
【0050】
図8Fは、アセンブリ164をもたらすべく水晶層112のような基板層がLT層104に取り付けられるプロセスステップを示す。いくつかの実施形態において、かかる水晶層112のLT層104への取り付けは、接合によって達成することができる。図8Fの例において、Siキャップ層124は、表面127(例えば図示の配向のときの上面)を含むように示される。
【0051】
図8Gは、アセンブリ166をもたらすべく、第1開口165a及び第2開口165b(例えばビア)がSiキャップ層124及びSiO接合層123を貫通して第1コンタクトパッド121a及び第2コンタクトパッド121bの対応部分を露出させるように形成されるプロセスステップを示す。いくつかの実施形態において、かかる開口は、例えばパターンエッチング等によって形成されてよい。
【0052】
図8Hは、図5の例と同様のSAW共振器100をもたらすべく、第1導電性ビア125a及び第2導電性ビア125bが、図8Gの第1開口165a及び第2開口165bの中に導電材料を導入することによって形成されるプロセスステップを示す。いくつかの実施形態において、かかる導電性ビアは、金属のような導電材料によって形成されてよい。かかる導電材料は、ここに記載される対応する電気接続を与えるべく、第1開口及び第2開口を部分的に又は完全に充填することができる。図8Hの例において、第1導電性ビア125a及び第2導電性ビア125bは、Siキャップ層124の上面127に又はその近くに対応露出面126a、126bを含むように示される。
【0053】
図9A図9Dは、図6の例示的SAW共振器100を製造するべく利用することができる例示的なプロセスを示す。かかる例示的なプロセスにおいて、特定の材料の使用が記載されるにもかかわらず、同様の特性を有する他の材料も利用され得ることが理解される。
【0054】
図9Aは、いくつかの実施形態において、製造プロセスが、図8Fのアセンブリ164と同様のアセンブリ164を形成し又は与えることができるプロセスステップを含み得ることを示す。かかるアセンブリはここに記載されるように形成することができる。
【0055】
図9Bは、表面127’を露出するべくSiキャップ層124を薄化するプロセスステップを示す。アセンブリ168をもたらすべく、薄化されたSiキャップ層124’を貫通する一以上の開口129を、SiO接合層123の対応部分を露出させるように形成することができる。いくつかの実施形態において、かかる開口は、例えばパターンエッチング等によって形成されてよい。いくつかの実施形態において、かかる開口の数、寸法及び配列のような因子は、ここに記載されるキャビティの形成を許容するように選択することができる。
【0056】
図9Cは、アセンブリ169をもたらすべくIDT電極102の上にキャビティ128が形成されるプロセスステップを示す。いくつかの実施形態において、かかるキャビティは、開口129を通るようにSiO接合層123の一部分のエッチング(例えば化学エッチング)によって形成することができる。図9Cのプロセスステップにおいて、(SiOが除去される)キャビティ128の横方向の範囲は、例えば、開口129及び/又はエッチングプロセス持続時間によって制御することができる。
【0057】
図9Dは、図6の例と同様のSAW共振器100をもたらすべく、第1導電性ビア125a及び第2導電性ビア125bが形成されるプロセスステップを示す。いくつかの実施形態において、かかる導電性ビアは、最初に、(必要に応じてキャビティ128の横方向境界を超えて)Siキャップ層124及びSiO接合層123を貫通するように対応開口を形成して第1コンタクトパッド121a及び第2コンタクトパッド121bの対応部分を露出させること(例えばビアのパターンエッチング)、それに引き続いて当該開口に導電材料を導入することによって形成することができる。理解されることだが、かかる導電性ビアは、金属のような導電材料によって形成することができ、当該導電材料は、ここに記載される対応電気接続を与えるべく部分的に又は完全に充填することができる。
【0058】
図10A図10Hは、図7の例示的SAW共振器100を製造するべく利用することができる例示的なプロセスを示す。かかる例示的なプロセスにおいて、特定の材料の使用が記載されるにもかかわらず、同様の特性を有する他の材料も利用され得ることが理解される。
【0059】
図10Aは、いくつかの実施形態において、製造プロセスが、アセンブリ170を形成し又は与えることができるプロセスステップを含み得ることを示す。図10Aにおいて、アセンブリ170は、水晶基板112のような基板に取り付けられるLiTaO(LT)層104のような圧電層の一側と、インターディジタルトランスデューサ(IDT)電極102と、対応するコンタクトパッド121a、121bと、LT層104の他側に実装される二酸化シリコン(SiO)接合層123のような接合層とを含み得る。いくつかの実施形態において、かかるアセンブリは、例えば、シリコン(Si)キャップ層124のようなキャップ層を、図8F及び図9Aを参照して記載されるアセンブリ164から(例えばエッチングにより)除去することによって形成することができる。
【0060】
図10Bは、アセンブリ172をもたらすべく一以上の開口171が形成されるプロセスステップを示す。いくつかの実施形態において、かかる開口は、上から見たときにIDT電極102を部分的に又は完全に取り囲む一以上のトレンチとしてよい。例えば、一つのトレンチを、IDT電極102を取り囲むように実装してよい。いくつかの実施形態において、かかるトレンチは、例えばパターンエッチング等によって形成することができる。
【0061】
図10Cは、アセンブリ173をもたらすべく、アセンブリ172の開口171に、シリコン酸化物(SiN)のような材料を充填してSiN壁構造物131を与えることができるプロセスステップを示す。いくつかの実施形態において、かかるSiN壁構造物は、上から見たときにIDT電極102を部分的に又は完全に取り囲むことができる。例えば、IDT電極102を取り囲む一つのトレンチ171が存在する場合、もたらされるSiN壁構造物131もまたIDT電極102を取り囲むことができる。いくつかの実施形態において、壁構造物131は、例えば、SiNをトレンチ171の中に堆積することと、それに引き続く研磨プロセスにより、接合層123及びSiN壁構造物131の上側部分を含む所望の表面を与えることとによって形成することができる。
【0062】
図10Dは、アセンブリ174をもたらすべく、シリコン(Si)キャップ層124のようなキャップ層が形成されるプロセスステップを示す。いくつかの実施形態において、厚いSi層がSiO接合層123に接合されて薄化され、上面127を備えたSiキャップ層124がもたらされる。かかる構成において、Siキャップ層124は、SiO接合層123及びSiN壁構造物131の上側部分を覆うことができる。
【0063】
図10Eは、アセンブリ175をもたらすべく、Siキャップ層124を貫通する一以上の開口129を、SiO接合層123の対応部分を露出させるように形成することができるプロセスステップを示す。いくつかの実施形態において、かかる開口は、例えばパターンエッチング等によって形成されてよい。いくつかの実施形態において、かかる開口の数、寸法及び配列のような因子は、ここに記載されるキャビティの形成を許容するように選択することができる。
【0064】
図10Fは、アセンブリ176をもたらすべくIDT電極102の上にキャビティ128が形成されるプロセスステップを示す。いくつかの実施形態において、かかるキャビティは、開口129を通るようにSiO接合層123の一部分のエッチング(例えば化学エッチング)によって形成することができる。図10Fのプロセスステップにおいて、SiN壁構造物131は、当該SiN壁構造物が存在しないときにエッチングプロセスが横方向に広がったキャビティをもたらすような場合であっても、キャビティ128の横方向の範囲を制限することができる。
【0065】
図10Gは、アセンブリ178をもたらすべく、第1開口177a及び第2開口177b(例えばビア)がSiキャップ層124及びSiO接合層124を貫通して第1コンタクトパッド121a及び第2コンタクトパッド121bの対応部分を露出させるように形成されるプロセスステップを示す。いくつかの実施形態において、かかる開口は、例えばパターンエッチング等によって形成されてよい。
【0066】
図10Hは、図7の例と同様のSAW共振器100をもたらすべく、第1導電性ビア125a及び第2導電性ビア125bが、図10Gの第1開口177a及び第2開口177bの中に導電材料を導入することによって形成されるプロセスステップを示す。いくつかの実施形態において、かかる導電性ビアは、金属のような導電材料によって形成されてよい。かかる導電材料は、ここに記載される対応電気接続を与えるべく、第1開口及び第2開口を部分的に又は完全に充填することができる。図10Hの例において、第1導電性ビア125a及び第2導電性ビア125bは、Siキャップ層124の上面127に又はその近くに対応露出面126a、126bを含むように示される。
【0067】
図11は、いくつかの実施形態において、SAW共振器の多数ユニットを、アレイ形式にある間に作製できることを示す。例えば、ウェハ200が、一アレイのユニット100’を含み、かかるユニットが、一緒に結合されたまま一定数のプロセスステップを介して処理される。例えば、いくつかの実施形態において、図8A図8H図9A図9D、及び図10A図10Hのそれぞれにおけるプロセスステップのすべては、かかるユニットのアレイがウェハ形式で一緒に結合されている間に達成することができる。
【0068】
上述したウェハ形式でのプロセスステップの完了時、当該一アレイのユニット100’を個片化して多数のSAW共振器100を与えることができる。図11は、かかるSAW共振器100の一つを描く。図11の例において、個片化されたSAW共振器100が、図5のSAW共振器を表す。理解されることだが、図11の個片化されたSAW共振器100はまた、図6及び図7の例を含む他の構成も表し得る。
【0069】
図12は、いくつかの実施形態において、ここに記載される一以上の特徴を有するSAW共振器100を、パッケージデバイス300の一部として実装できることを示す。かかるパッケージデバイスは、SAW共振器100を含む一以上のコンポーネントを受容及び支持するべく構成されるパッケージング基板302を含み得る。いくつかの実施形態において、パッケージデバイス300は、無線周波数(RF)機能を与えるように構成することができる。
【0070】
図13は、いくつかの実施形態において、図12のSAW共振器ベースのパッケージデバイス300がパッケージフィルタデバイス300となり得ることを示す。かかるフィルタデバイスは、RFフィルタリング機能のようなフィルタリング機能を与えるべく構成されるSAW共振器100を受容及び支持するのに適切なパッケージング基板302を含み得る。
【0071】
図14は、いくつかの実施形態において、無線周波数(RF)モジュール400が、一以上のRFフィルタのアセンブリ406を含み得ることを示す。かかるフィルタは、SAW共振器ベースのフィルタ100、パッケージフィルタ300、又はこれらの何らかの組み合わせとしてよい。いくつかの実施形態において、図14のRFモジュール400はまた、例えば、RF集積回路(RFIC)404及びアンテナスイッチモジュール(ASM)408も含んでよい。かかるモジュールは、例えば、無線動作をサポートするべく構成されるフロントエンドモジュールとしてよい。いくつかの実施形態において、上述したコンポーネントの一部又はすべてが、パッケージング基板402によって取り付けられ及び支持されてよい。
【0072】
いくつかの実装において、ここに記載される一以上の特徴を有するデバイス及び/又は回路が、無線デバイスのようなRFデバイスに含まれてよい。かかるデバイス及び/又は回路は、無線デバイスに直接実装し、ここに記載されるモジュラー形式で実装し、又はこれらの何らかの組み合わせで実装してよい。いくつかの実施形態において、かかる無線デバイスは、例えば、携帯電話機、スマートフォン、電話機能あり又はなしのハンドヘルド無線デバイス、無線タブレット等を含み得る。
【0073】
図15は、ここに記載される一以上の有利な特徴を有する無線デバイス500の一例を描く。ここに記載される一以上の特徴を有するモジュールの文脈において、かかるモジュールは一般に破線の四角400によって描かれ、例えばフロントエンドモジュール(FEM)として実装することができる。かかる例において、ここに記載される一以上のSAWフィルタは、例えば、デュプレクサ526のようなフィルタのアセンブリに含まれてよい。
【0074】
図15を参照すると、複数の電力増幅器(PA)520が、対応するRF信号を送受信器510から受信し得る。送受信器510は、増幅及び送信されるRF信号を生成するべく、及び受信した信号を処理するべく、周知の態様で構成され及び動作し得る。送受信器510は、ベース帯域サブシステム408と相互作用するように示される。ベース帯域サブシステム408は、ユーザにとって適切なデータ及び/又は音声信号と、送受信器510にとって適切なRF信号との変換を与えるように構成される。送受信器510はまた、無線デバイス500の動作のための電力を管理するように構成される電力管理コンポーネント506と通信することができる。かかる電力管理はまた、ベース帯域サブシステム508及びモジュール400の動作も制御することができる。
【0075】
ベース帯域サブシステム508は、ユーザへ与えられ及びユーザから受信される音声及び/又はデータの様々な入出力を容易にするべくユーザインタフェイス502に接続されるように示される。ベース帯域サブシステム508はまた、無線デバイスの動作を容易にするべく、及び/又はユーザのために情報を格納するべく、データ及び/又は命令を格納するように構成されるメモリ504にも接続される。
【0076】
無線デバイス500の例において、複数のPA520の出力は、対応するデュプレクサ526に引き回されるように示される。かかる増幅及びフィルタリングされた信号は、送信を目的として、アンテナスイッチ514を介してアンテナ516へと引き回される。いくつかの実施形態において、デュプレクサ526により、共通アンテナ(例えば516)を使用しての送信動作及び受信動作が同時に行われるようになる。図15において、受信信号は、例えば低雑音増幅器(LNA)を含み得る「Rx」経路(図示せず)へと引き回されるように示される。
【0077】
文脈が明確にそうでないことを要求しない限り、明細書及び特許請求の範囲全体を通して、「含む」、「備える」等の用語は、排他的又は網羅的な意味とは逆の、包括的な意味で、すなわち「~を含むがこれに限られない」意味で解釈されるべきである。ここで一般に使用される用語「結合」は、2つ以上の要素が、直接に接続されるか、又は一以上の中間要素を経由して接続されるかのいずれかとなり得ることを言及する。付加的に、本願において使用される場合、用語「ここで」、「上」、「下」、及び同様の意味の用語は、本願全体を言及するものとし、本願のいずれか特定の部分を言及するわけではない。文脈上許容される場合、単数又は複数の数を使用する上記の詳細な説明における用語は、それぞれ複数又は単数の数も含み得る。2つ以上の項目のリストを参照する「又は」及び「若しくは」という用語は、その用語の以下の解釈、すなわち、リスト内の項目のいずれか、リスト内の項目のすべて、及びリスト内の項目の任意の組み合わせ、のすべてをカバーする。
【0078】
本発明の実施形態の上記説明は、網羅的であることを意図したものではなく、又は上記開示の正確な形態に本発明を限定することを意図したものでもない。本発明の特定の実施形態及び例は、説明目的のために上述されているが、当業者が認識するように、本発明の範囲内で様々な等価な修正例が可能である。例えば、プロセス又はブロックが所与の順序で提示される一方、代替の実施形態が異なる順序でステップを有するルーチンを実行し又はブロックを有するシステムを用いることができ、いくつかのプロセス又はブロックは、削除、移動、追加、細分化、結合及び/又は修正され得る。これらのプロセス又はブロックはそれぞれが、様々な異なる態様で実装してよい。また、プロセス又はブロックは、直列に実行されるように示されることがある一方、これらのプロセス又はブロックは、その代わりに並列に実行されてもよく、又は異なる時刻に実行されてもよい。
【0079】
ここに与えられる本発明の教示は、必ずしも上述のシステムというわけではない他のシステムに適用することができる。上述の様々な実施形態の要素及び作用は、さらなる実施形態を与えるべく組み合わせてよい。
【0080】
本発明の一定の実施形態が記載されてきたが、これらの実施形態は例としてのみ提示されており、本開示の範囲を限定することを意図しない。実際のところ、ここに記載される新規な方法及びシステムは、様々な他の形式で具体化してよく、さらには、ここに記載される方法及びシステムの形式の様々な省略、置換及び変更を、本開示の要旨から逸脱することなく行ってよい。添付の特許請求の範囲及びそれらの均等物は、本開示の範囲及び要旨に収まるような形式又は修正をカバーすることが意図される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図8C
図8D
図8E
図8F
図8G
図8H
図9A
図9B
図9C
図9D
図10A
図10B
図10C
図10D
図10E
図10F
図10G
図10H
図11
図12
図13
図14
図15
【国際調査報告】