(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-01
(54)【発明の名称】チャック
(51)【国際特許分類】
B65H 54/44 20060101AFI20230125BHJP
F16J 15/46 20060101ALI20230125BHJP
B65H 54/52 20060101ALI20230125BHJP
B23B 31/40 20060101ALI20230125BHJP
【FI】
B65H54/44 Z
F16J15/46
B65H54/52 Z
B23B31/40
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022530805
(86)(22)【出願日】2020-11-18
(85)【翻訳文提出日】2022-06-24
(86)【国際出願番号】 EP2020082500
(87)【国際公開番号】W WO2021104958
(87)【国際公開日】2021-06-03
(31)【優先権主張番号】102019008202.8
(32)【優先日】2019-11-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】307031976
【氏名又は名称】エーリコン テクスティル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Oerlikon Textile GmbH & Co. KG
【住所又は居所原語表記】Leverkuser Strasse 65, D-42897 Remscheid, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ヨハネス トース
(72)【発明者】
【氏名】ケフェン カシュイツァ
【テーマコード(参考)】
3C032
3J043
【Fターム(参考)】
3C032MM02
3J043AA01
3J043BA04
3J043CA02
3J043CA12
3J043FB20
(57)【要約】
巻管(32)を収容し位置固定するための巻取り機のチャック。巻管(32)は、クランプ装置(5)を介して緊締ブシュ(1)の周面に保持され、クランプ装置(5)は、圧縮空気供給部を介して緊締解除される。圧縮空気は、緊締ブシュ(1)と軸キャリヤ(2)との間に形成された環状室(14)を介して供給され、環状室(14)は、緊締ブシュ(1)の開いた端面端部(19)において、軸キャリヤ(2)と緊締ブシュ(1)との間に形成された周壁開口(18)を介して脱気可能である。周壁開口(18)は、シール手段(21)を介して反復式に閉鎖可能に構成されている。この場合、シール手段(21)は、本発明によれば弾性的な中空室シール(22)により形成されており、中空室シール(22)は圧縮空気により膨張可能である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
糸を巻き取ってパッケージを形成するための巻管を収容して位置固定するための巻取り機のチャックであって、突出した軸キャリヤ(2)と、該軸キャリヤ(2)の周面に保持された緊締ブシュ(1)とを備え、該緊締ブシュ(1)は、周面に、前記巻管(32)を位置固定するためのクランプ装置(5)を有しており、該クランプ装置(5)は、移動可能な複数のクランプエレメント(6)を有しており、該クランプエレメント(6)は、圧力室(12)とばね(9)との間にそれぞれ配置されており、前記圧力室(12)は、前記軸キャリヤ(2)と前記緊締ブシュ(1)との間に形成された環状室(14)を介して圧縮空気源に接続可能であり、前記環状室(14)は、前記緊締ブシュ(1)の内側の端面端部(19)において、前記緊締ブシュ(1)と前記軸キャリヤ(2)のつば(28)との間に形成された周壁開口(18)によって周辺に接続されており、前記周壁開口(18)は、前記軸キャリヤ(2)と前記緊締ブシュ(1)との間に配置されたシール手段(21)により閉鎖可能である、チャックにおいて、
前記シール手段(21)は弾性的な中空室シール(22)により形成されており、該中空室シール(22)は圧縮空気により膨張可能であることを特徴とする、チャック。
【請求項2】
前記環状の中空室シール(22)は、底部領域に圧縮空気接続部(23)を有しており、該圧縮空気接続部(23)は、前記軸キャリヤ(2)に設けられた流入孔(26)と協働する、請求項1記載のチャック。
【請求項3】
前記流入孔(26)は前記軸キャリヤ(2)内の空気供給通路(34)に接続されており、該空気供給通路(34)により前記環状室(14)が前記圧縮空気源に接続されている、請求項2記載のチャック。
【請求項4】
前記中空室シール(22)は、前記軸キャリヤ(2)の周面に設けられた周方向溝(25)内で、前記緊締ブシュ(1)の周壁(31)に対峙して配置されている、請求項1から3までのいずれか1項記載のチャック。
【請求項5】
前記中空室シール(22)は、前記軸キャリヤ(2)のつば(28)の端面壁(27)において、前記緊締ブシュ(1)の前記端面端部(19)に対峙して配置されている、請求項1から3までのいずれか1項記載のチャック。
【請求項6】
前記中空室シール(22)は、展開可能なシール異形成形材(24)により形成されており、該シール異形成形材(24)により、3mmよりも大きな周壁開口(18)のシールギャップが閉鎖可能である、請求項1から5までのいずれか1項記載のチャック。
【請求項7】
前記中空室シールは、伸張可能なシール異形成形材(30)により形成されており、該シール異形成形材(30)により、3mm未満の周壁開口(18)のシールギャップが閉鎖可能である、請求項1から5までのいずれか1項記載のチャック。
【請求項8】
前記中空室シール(22)は、シール異形成形材(30)において少なくとも1つの外側のシールリップ(29)を有している、請求項1から7までのいずれか1項記載のチャック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提部に記載の、糸を巻き取ってパッケージを形成するための巻管を収容し位置固定するための巻取り機のチャックに関する。
【背景技術】
【0002】
巻取り機の、冒頭で述べたチャックは、たとえば独国特許出願公開第19607916号明細書から公知である。
【0003】
このようなチャックは、好適には紡糸されたばかりの合成糸を巻き取ってパッケージを形成するための巻取り機において使用される。このために、複数の巻管が、巻取り機内に突出するように配置されたチャック上に相前後して被せ嵌められる。これらの巻管を緊締するために、チャックはクランプ装置を有している。このクランプ装置は、半径方向外方に向かってガイド可能な複数のクランプエレメントを有している。クランプ装置は緊締ブシュに統合されており、緊締ブシュは軸キャリヤに保持されており、軸キャリヤは緊締ブシュ内に突入している。さらに、緊締ブシュは駆動され、軸キャリヤに対して間隔を空けて保持されているので、軸キャリヤと緊締ブシュとの間に、周方向に延びる環状室が生じる。緊締ブシュに形成されたクランプ装置は、複数のクランプエレメントを有している。これらのクランプエレメントは、緊締および緊締解除のために、それぞれ1つのばねと圧力室との間に配置されている。これらの圧力室は、環状室を介して、圧縮空気源に一緒に接続可能である。緊締ブシュの開いた端部では、軸キャリヤのつばと、緊締ブシュの端面端部との間に周壁開口が形成されている。この周壁開口は、チャックの内部の環状室に接続されており、シール手段によって選択的に閉鎖可能である。このために、シール手段として、シールピストンが軸キャリヤにおいてスライド式にガイドされており、これにより、緊締ブシュの端面側のシール面にシールでもって押し当てることができる。
【0004】
巻管を緊締し、かつ運転中に糸を巻き取るために、クランプ装置は圧力を加えられずに運転されるので、クランプエレメントはばねの作用下で半径方向外側の位置に保持されており、緊締ブシュの周面に被せ嵌められた巻管を位置固定する。この状況では、緊締ブシュの端面端部に設けられた周壁開口は開放されており、緊締ブシュと軸キャリヤとの間の環状室は全ての圧力室を脱気するために周辺に接続されている。
【0005】
巻管においてパッケージが最後まで巻き取られ、緊締ブシュがパッケージを交換するために制動された後で、圧縮空気供給部が作動され、この場合にまず、シールピストンが軸キャリヤと緊締ブシュとの間の周壁開口を閉鎖し、これにより、軸キャリヤと緊締ブシュとの間の環状室内に流入する圧縮空気をクランプ装置の圧力室内へと案内することができる。クランプエレメントにおいて、ばねに抗するニューマチック力が形成され、このニューマチック力がクランプエレメントの調節を引き起こし、これによりクランプエレメントは緊締ブシュの周面の巻管を解放する。この工程は、各パッケージ交換時に繰り返される。
【0006】
周壁開口を閉鎖するために軸キャリヤのシールピストンを運動させるために、圧縮空気がシールピストンの環状室内に導入される。その点において、シールピストンは、付加的なシールを有しており、これによりシールピストンを移動させるための圧力形成を可能にすることができる。したがって、緊締ブシュの端面端部に設けられた周壁開口の密閉は、実質的にシールピストンの機能に依存している。したがって、シールピストンの戻りは、ばねエレメントを介して引き起こされる。このばねエレメントは破損時にシールピストンを戻さない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明の課題は、冒頭で述べたチャックを改良して、緊締ブシュの端面端部に設けられた周壁開口が高い確実性および再現性で閉鎖可能であるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この課題は、本発明によれば、シール手段が弾性的な中空室シールにより形成されており、中空室シールが圧縮空気により膨張可能であることによって解決される。
【0009】
本発明の有利な改良形は、従属請求項に記載の特徴および特徴の組み合わせによって定義されている。
【0010】
本発明は、周壁開口を密閉するための可動かつ軸方向に移動可能な部材が軸キャリヤにおいて存在していないという特別な利点を有している。シール手段として、固定的に配置された弾性的な中空室シールが使用され、この中空室シールは、密閉のために圧縮空気によって膨張可能である。周壁開口の比較的大きなギャップ幅を閉じることができるようにするために、可動な部材はもはや不要である。さらに、軸キャリヤと緊締ブシュとの正確なセンタリングも不要になる。中空室シールの弾性により、膨張した状態においても、緊締ブシュの位置と軸キャリヤの位置とに関するある程度の誤差を補償することができる。
【0011】
必要な場合に中空室シールへの直接的な圧縮空気供給を可能にするために、環状の中空室シールが底部領域に圧縮空気接続部を有しており、この圧縮空気接続部が、軸キャリヤに設けられた流入孔と協働する、本発明の改良形が規定されている。これにより、圧縮空気供給は、軸キャリヤに設けられた流入孔を介して直接に行われる。
【0012】
流入孔が軸キャリヤ内の空気供給通路に接続されており、空気供給通路によって環状室が圧縮空気源に接続されている本発明の改良形は、特に有利である。その点において、クランプエレメントを緊締解除し、シールを膨張させるために使用される圧縮空気源のために1つの共通の圧縮空気接続部を使用することができる。したがって、別個の圧縮空気接続部は不要である。
【0013】
緊締ブシュの内部で直接に周壁開口の密閉を得るために、中空室シールが、緊締ブシュの周壁に対峙するように、軸キャリヤの周面に設けられた周方向溝に配置されている、本発明の改良形が規定されている。したがって、周壁開口の半径方向で作用する密閉は、軸キャリヤの周面において直接に実現される。さらに、緊締ブシュを、中空室シールによる周壁開口の密閉時に軸キャリヤにおいてセンタリングする可能性が生じる。
【0014】
しかし、代替的には、中空室シールを、軸キャリヤのつばの端面壁において、緊締ブシュの端面端部に対峙するように配置する可能性も生じる。このようにして、周壁開口の軸方向の密閉が実現される。
【0015】
軸キャリヤと緊締ブシュとの間のシールギャップの大きさに応じて、様々な種類の中空室シールが可能である。中空室シールの第1のバリエーションは、展開可能なシール異形成形材を有しており、このシール異形成形材によって3mmを超えるシールギャップが閉鎖可能である。これにより、比較的大きなシールギャップを埋めることができる。
【0016】
しかし、代替的に、中空室シールが伸張可能なシール異形形成材により形成されており、このシール異形成形材により3mm未満のシールギャップが閉鎖可能であるバリエーションも使用可能である。中空室シールのこのバリエーションでは、シール異形成形材は、実質的に専ら圧縮空気によって輪郭を伸張させることによって実施される。
【0017】
シール作用は、中空室シールがシール異形成形材において少なくとも1つの外側シールリップを有している本発明の改良形によって、さらに改善される。しかし、好適には、複数のシールリップが使用され、これによりクランプ装置の緊締解除時にできるだけ小さな圧力損失を得ることができる。
【0018】
本発明に係るチャックの実施例および本発明の別の利点を、添付の図を参照しながら以下により詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明に係るチャックの実施例を示す概略的な縦断面である。
【
図2】
図1に示した実施例のシール手段を開いた位置で概略的に示す拡大図である。
【
図3】
図1に示した実施例のシール手段を閉じた位置で概略的に示す拡大図である。
【
図4】別の実施例のシール手段を概略的に示す拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1には、たとえば複数の巻管を収容して糸を巻き取るための巻取り機において使用されるような本発明に係るチャックの1つの実施例を縦断面で概略的に示している。このチャックは駆動軸3を有しており、駆動軸3は、中空円筒形の軸キャリヤ2内で複数の軸受4によって回転可能に支承されている。駆動軸3は、
図1に図示されていない端部において、電気的な駆動装置に接続されている。軸キャリヤ2から突出している端部において、駆動軸3はハブ15を介して中空円筒形の緊締ブシュ1に相対回動不能に結合されている。軸キャリヤ2の突出している部分片は、駆動軸3を支承するために緊締ブシュ1の開放した端部内に突入している。
【0021】
緊締ブシュ1の周面には、クランプ装置5が配置されている。このクランプ装置5は、外側の緊締スリーブ7と、緊締ブシュ1と緊締スリーブ7との間に配置された複数のクランプエレメント6とを有している。クランプエレメント6は、この実施例ではそれぞれ、半径方向に移動可能なクランプ片10と、軸方向に移動可能なピストン8とによって形成されており、ピストン8において、クランプ片10がくさび形のガイド面を介してガイドされている。クランプ片10は、外側の緊締スリーブ7の開口11内に突入しており、ピストン8は、複数のクランプ片10を収容するために、周面に分配された複数の切込み部38を有している。
【0022】
クランプ片10を半径方向に調節するために軸方向で案内されるピストン8は、ばね9と、緊締スリーブ7と緊締ブシュ1との間に構成された圧力室12との間に配置されている。ピストン8は、ばね9を介して緊締ブシュ1に固定的に結合されたストッパ17に支持されている。
図1に図示された状況では、クランプエレメント6はクランプ位置で示されており、このクランプ位置では、クランプ片10はピストン8によってばね9を用いて走出されたクランプ位置に保持されている。巻管32を解除するために、ピストン8には、ばね9とは反対に位置する側で、圧力室12を介して圧力媒体、好適には圧縮空気が加えられるので、ピストン8はばね9に抗してストッパ17の方向に移動する。これにより、くさび形のガイド面が移動するので、クランプ片10は半径方向内方に向かって運動することができる。圧力室12に対する密閉のために、ピストン8は圧力側に複数のシールを有しており、これらのシールは、ピストン8と緊締ブシュ1との間の密閉およびピストン8と緊締スリーブ7との間の密閉をそれぞれ引き起こす。
【0023】
長手方向で緊締ブシュ1に隣接するクランプエレメント6は同一に形成されており、ピストン8の、圧力が加えられる端面は、互いに間隔をおいて対峙しており、圧力室12を画定している。したがって、巻管32は、隣り合う2つのクランプエレメント6によって緊締される。解除するために、隣り合うクランプエレメント6の両方のピストン8は、圧力室12によって同時に制御される。このために、圧力室12は、緊締ブシュの周壁31に設けられた貫通部13を介して、緊締ブシュ1と軸キャリヤ2との間に形成された環状室14に接続されている。
【0024】
緊締ブシュ1の長手方向で、クランプ装置5は多数のクランプエレメント6を有しており、これらのクランプエレメント6はそれぞれ同一に形成されており、これらのクランプエレメント6では、それぞれの圧力室12が1つの貫通部13を介して、圧力室14または緊締ブシュ1の前部にある圧力室35に接続されている。環状室14は、軸キャリヤ2の周面に設けられた複数の通路33を介して、軸キャリヤ2内の空気供給通路34に接続されている。空気供給通路34は、たとえば、軸キャリヤ2に設けられた孔によって構成されていてよい。空気供給通路34は、制御可能な圧縮空気源39(
図2)に接続されている。
【0025】
チャックの自由端では、カバー16が緊締ブシュ1に固定的に保持されている。カバー16は、端部において緊締ブシュ1内に形成された圧力室35がカバー16によって閉じられるように寸法設定されている。
【0026】
これとは反対側に位置する端部に、緊締ブシュ1は、自由な端面端部19を有しており、この端面端部19はつば形に形成されており、外側に位置している側でシール面20を形成している。緊締ブシュ1の端面端部19と、この端面端部19に対峙してつば28を有している軸キャリヤ2との間に、周壁開口18が形成されている。周壁開口18は、圧力室12の脱気のために、環状室を周辺に接続している。周壁開口18に、軸キャリヤ2のつば28においてシール手段21が対応配置されており、このシール手段21によって周壁開口18は選択的に開放または閉鎖されて保持される。
【0027】
軸キャリヤのつば28に配置されたシール手段21をさらに説明するために、さらに
図2が参照される。
図2には、緊締ブシュ1と軸キャリヤ2との間の周壁開口18の一部が拡大されて図示されている。したがって、以下の説明は両方の図に適用される。
【0028】
軸キャリヤ2のつば28の端面壁27には、環状に延びる周方向溝25が構成されている。この周方向溝25内には中空室シール22が配置されている。中空室シール22は、周方向溝25の溝底部に圧縮空気接続部23を有している。圧縮空気接続部23は、流入孔26を介して軸キャリヤ2の内部の空気供給通路34に接続されている。
【0029】
中空室シール22は、緊締ブシュ1の端面端部19に設けられたシール面20に対峙している。この中空室シール22は、本実施例では、展開可能なシール異形成形材24を有している。シール異形成形材24は環状に形成されており、圧縮空気接続部23によって供給される圧縮空気によって展開される。
【0030】
図1および
図2に図示した状況では、中空室シール22は、圧力を加えられずに静止状態で図示されている。この運転状況では、通常、複数の糸を巻管において並行して巻き取ってパッケージを形成するために、チャックの周面に複数の巻管が緊締されている。この状況では、軸キャリヤ2と緊締ブシュ1との間の周壁開口18は開放されており、これにより圧力室12は脱気されている。クランプ装置5のクランプエレメント6は、ばね力を介して緊締位置に保持される。
【0031】
巻取り過程の終了時に、最後まで巻成されたパッケージをチャックから取り外すことができるように、駆動軸3が緊締ブシュ1と一緒に制動される。次いで、圧縮空気源39から圧縮空気が供給され、圧縮空気は空気供給通路34を介して導入される。圧縮空気は、流入孔26を通って空気供給通路34から中空室シール22へ到達する。中空室シール22は圧縮空気によって膨張するので、シール異形成形材24が展開して周壁開口18のシールギャップを閉鎖する。この場合、中空室シール22は、緊締ブシュ1の端面端部19に設けられたシール面20に支持される。この状況は、
図3に図示されている。
図3は、
図2に示した部分を、単に変更された動作状況で示している。その限りでは、
図2に関する説明は、
図3にも同様に適用される。
【0032】
周壁開口18が中空室シール22によって閉鎖された後に、クランプ装置5の圧力室12に正圧が生じ、この正圧はピストン8をばね9に対抗して移動させ、ひいては巻管32が解除される。いま、満管のパッケージは、チャックから取り外され、新しい空管と交換される。空管がチャックの周面に被せ嵌められるや否や、圧縮空気供給が停止され、これにより中空室シール22が弛緩して周壁開口18は開放される。環状室14は周辺に接続され、圧力室12を脱気させる。クランプ片10は、今やばね張力によって緊締状態で保持される。
【0033】
ここで、チャックの構造に関する構成は例示的なものであることを明示的に述べておく。したがって、たとえば軸キャリヤ2は、一体的に、つまりワンピースに構成されるか、または複数の構成部材によって構成される。特に、ここでのつば28は、別個の構成部材により形成されていてよい。同様に、図示されたクランプエレメント6も例示的である。ここでは、解除のために環状室を介して供給される圧縮空気が必要とされることが重要である。
【0034】
上述の実施例では、周壁開口18において、端面端部19と対峙する中空室シール22との間の半径方向のシールギャップが軸方向で密閉される。しかし、基本的には、中空室シール22を軸キャリヤ2の周面に直接に配置して、半径方向シールとして使用する可能性も生じる。これに関して
図4には、チャックにおける別のシール手段の可能な実施例の一部が図示されている。
図1に示した実施例は、
図1に示した実施例とチャックの構造おいて同一であり、したがってチャックの全体構造については前述の説明が参照され、ここでは差異のみを説明する。
【0035】
図4では、周方向溝25が緊締ブシュ1内の軸キャリヤ2の周面に配置されている。周方向溝25内には中空室シール22が保持されている。中空室シール22は、周方向溝25の底部に圧縮空気接続部23を有している。圧縮空気接続部23は、流入孔26を介して空気供給通路34に接続されている。周方向溝25内に、環状の中空室シール22が配置されている。中空室シール22は、複数の外側シールリップ29を有する伸張可能なシール異形成形材24を有している。中空室24内のシールリップ29は、周壁開口18のシールギャップを伴って緊締ブシュ1の周壁31に対峙して位置している。
図4に図示された状況では、中空室シール22は、軸キャリヤ2と緊締ブシュ1との間の周壁開口18が開放されているように、負荷を取り除かれた状態で図示されている。
【0036】
クランプ装置5の緊締解除を実施できるようにするために、圧縮空気供給時に中空室シール22は、シールリップ29が緊締ブシュ1の周壁区分31における周壁開口18のシールギャップを密閉するように伸張する。この場合には主に中空室シール22の伸張のみが生じる。したがって、このような中空室シール22は、好適には<3mmであるより小さなシールギャップのみを埋めることができる。これに対して、
図2に示した中空シール22の実施例は、3mmを超える範囲のより大きなシーリングギャップを埋めて密閉するために適している。
【国際調査報告】