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特表2023-503993投影装置の輝度の自己適応調整方法及び調整システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-01
(54)【発明の名称】投影装置の輝度の自己適応調整方法及び調整システム
(51)【国際特許分類】
   H04N 5/74 20060101AFI20230125BHJP
   G03B 21/00 20060101ALI20230125BHJP
【FI】
H04N5/74 D
G03B21/00 D
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022530806
(86)(22)【出願日】2020-03-13
(85)【翻訳文提出日】2022-05-25
(86)【国際出願番号】 CN2020079159
(87)【国際公開番号】W WO2021103346
(87)【国際公開日】2021-06-03
(31)【優先権主張番号】201911164783.6
(32)【優先日】2019-11-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521406639
【氏名又は名称】チョントゥー ジミー テクノロジー カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】CHENGDU XGIMI TECHNOLOGY CO., LTD
【住所又は居所原語表記】Building 4, Zone A, Tianfu Software Park, No. 1129 Century City Road, High-tech Zone, Chengdu, Sichuan, China
(74)【代理人】
【識別番号】100142365
【弁理士】
【氏名又は名称】白井 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100146064
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 玲子
(72)【発明者】
【氏名】鐘波
(72)【発明者】
【氏名】肖適
(72)【発明者】
【氏名】王▲しん▼
(72)【発明者】
【氏名】何建軍
【テーマコード(参考)】
2K203
5C058
【Fターム(参考)】
2K203KA44
2K203KA53
2K203KA56
2K203MA06
5C058BA05
5C058BA35
5C058EA02
(57)【要約】
本発明は投影調整の技術分野に関し、その実施例では投影装置の輝度の自己適応調整方法及び調整システムが具体的に開示されている。本願は、光照度センサ及び距離センサを制御することで投影装置の環境光照度及び投影距離を取得し、大量のデータを分析してモデリングすることで環境光照度と投影面照度と投影距離との三者間の関数関係を見付けた。実際の投影過程において、センサによって投影装置の作動環境光照度及び投影距離を収集することをすれば、投影装置の適切な輝度を推定してそれに調整することができ、また色度点の安定性を保証し、ユーザの観覧体験を高めることができ、人為的な介入が不要で、そのプロセス全体が極めて短時間内で自動的に完了するため、広く普及するのに適する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
投影装置の輝度の自己適応調整方法であって、
S11:投影装置の環境光照度値及び投影距離値を収集するステップと、
S12:投影面照度値と環境光照度値、投影距離値との関係関数、並びに取得した投影装置の環境光照度値及び投影距離値に基づいて、投影装置の投影面照度値を算出するステップと、
S13:投影装置の投影面照度値に応じて投影装置の輝度を調整するステップと、を含む、
ことを特徴とする投影装置の輝度の自己適応調整方法。
【請求項2】
前記ステップS11に係る環境光照度値の収集方法は、
S1111:nフレーム目の投影画像を投影するステップであって、nは正の整数であるステップと、
S1112:投影間隔時間内で環境光照度値を少なくとも2回収集するステップと、
S1113:nが予め設定された投影フレーム数よりも大きいか否かを判断し、YESであればS1114に移行するが、NOであればn=n+1とし、S1111に戻るステップと、
S1114:収集した全ての環境光照度値のトリム平均値を算出して、最終的な環境光照度値を取得するステップと、を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の投影装置の輝度の自己適応調整方法。
【請求項3】
前記ステップS11に係る環境光照度値の収集方法は、
S1121:nフレーム目の投影画像を投影するステップであって、nは正の整数であるステップと、
S1122:当該投影画像のデータソース輝度値を取得しつつ、当該投影画像の環境光照度値を収集するように、データソース輝度値と環境光照度値からなる1つのデータセットを取得するステップと、
S1123:nが予め設定された投影フレーム数よりも大きいか否かを判断し、YESであればS1124に移行するが、NOであればn=n+1とし、S1121に戻るステップと、
S1124:最小二乗法によってデータソース輝度値と環境光照度値からなる複数のデータセットをフィットして、曲線関係関数:L(x)=ax+bx+cを取得するステップであって、xは投影画像のデータソース輝度値、Lは投影画像の環境光照度値、a、b、cは定数であるステップと、
S1125:フィットして取得した曲線関係関数に基づいて投影画像のデータソース輝度値が0であるときの投影画像の環境光照度値を算出して、最終的な環境光照度値を取得するステップと、を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の投影装置の輝度の自己適応調整方法。
【請求項4】
前記ステップS12に係る方法は、
S121:投影面照度値と環境光照度値、投影距離値との関係関数:L(l,d)=α・l+λ・d+β+rを取得するステップであって、dは投影距離値、lは環境光照度値、Lは投影面照度値、α、λ、β、rは定数であるステップと、
S122:取得した環境光照度値l及び投影距離値dを、投影面照度値と環境光照度値、投影距離値との関係関数に代入して計算することで、投影面照度値を取得するステップと、を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の投影装置の輝度の自己適応調整方法。
【請求項5】
前記ステップS121に係る方法は、
S1211:同じ投影距離下で、環境光照度値を変更しつつ、投影による光と影の効果を最適に調整し、対応する投影面照度値を記録するように、環境光照度値と投影面照度値からなる複数のデータセットを取得し、カーブフィッティングによって環境光照度値と投影面照度値との曲線関係関数:L(l)=∂・l+βを取得するステップであって、lは環境光照度値、Lは投影面照度値、∂、βは定数であるステップと、
S1212:暗室環境下で、投影距離を変更しつつ、投影による光と影の効果を最適に調整し、対応する投影面照度値を記録するように、投影距離と投影面照度値からなる複数のデータセットを取得し、カーブフィッティングによって投影距離と投影面照度値との曲線関係関数:L(d)=κ・d+γを取得するステップであって、dは投影距離、Lは投影面照度値、κ、γは定数であるステップと、
S1213:環境光照度値と投影面照度値との曲線関係関数、及び投影距離と投影面照度値との曲線関係関数を組み合わせて、投影面照度値と環境光照度値、投影距離値との関係関数:L(l,d)=α・l+λ・d+β+rを取得するステップであって、dは投影距離値、lは環境光照度値、Lは投影面照度値、α、λ、β、rは定数であるステップと、を含む、
ことを特徴とする請求項4に記載の投影装置の輝度の自己適応調整方法。
【請求項6】
前記ステップS13に係る方法は、
S131:投影面照度値から投影装置の発光モジュールの駆動電流値を算出するステップと、
S132:投影装置の発光モジュールの駆動電流値が発光モジュールの最大駆動電流値を超えたか否かを判断し、YESであればS134に移行するが、NOであればS133に移行するステップと、
S133:発光モジュールの駆動電流を発光モジュールの駆動電流値に調整するステップと、
S134:発光モジュールの駆動電流を最大駆動電流値に調整し、投影面照度値と光学ズーム倍率との関係関数に基づいて投影装置の光学ズーム倍率を調整するステップと、を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の投影装置の輝度の自己適応調整方法。
【請求項7】
前記ステップS133に係る方法は、
投影面照度値と光学ズーム倍率との関係関数:H(S)=w・S+v・S+oを取得するステップであって、H∈(-1,1)、Sはズーム倍率、w、v、oは定数であるステップと、
ターゲット投影面照度値がA、ズーム倍率が調整されていないときの投影面照度値がAと記されると、H(S)=(A-A)/Aに基づいて所望のズーム倍率Sを算出するステップと、
投影装置を所望のズーム倍率Sに調整するようにモータを駆動制御するステップと、を含む、
ことを特徴とする請求項6に記載の投影装置の輝度の自己適応調整方法。
【請求項8】
前記投影面照度値と光学ズーム倍率との関係関数を取得するための方法は、
暗室環境及び固定投影距離下でズーム倍率が調整されていないときの投影面照度値を測定してAと記するステップと、
光学ズーム倍率をSに調整してから投影面照度値を測定してAと記し、投影装置の投影面照度値の変化率:
を算出してデータ(S,H)を取得し、このように(S,H)、(S,H)、…(S,H)を取得するステップと、
最小二乗法によって以上のように取得したデータセットをフィットして、投影面照度値と光学ズーム倍率との関係関数:H(S)=w・S+v・S+oを取得するステップであって、H∈(-1,1)、Sはズーム倍率、w、v、oは定数であるステップと、を含む、
ことを特徴とする請求項7に記載の投影装置の輝度の自己適応調整方法。
【請求項9】
投影装置の輝度の自己適応調整システムであって、
投影装置の環境光照度値及び投影距離値を収集するための収集制御モジュールと、
投影面照度値と環境光照度値、投影距離値との関係関数、並びに取得した投影装置の環境光照度値及び投影距離値に基づいて、投影装置の投影面照度値を算出するための照度値算出モジュールと、
投影装置の投影面照度値に応じて投影装置の輝度を調整するための輝度調整モジュールと、を含む、
ことを特徴とする投影装置の輝度の自己適応調整システム。
【請求項10】
投影装置の輝度の自己適応調整システムであって、
コンピュータプログラムを記憶するためのメモリと、
前記コンピュータプログラムを実行することで請求項1乃至8の何れか一項に記載の投影装置の輝度の自己適応調整方法におけるステップを実施するためのプロセッサと、を含む、
ことを特徴とする投影装置の輝度の自己適応調整システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、投影調整の技術分野に関し、具体的に投影装置の輝度の自己適応調整方法及び調整システムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、投影システム及び従来のディスプレイ業界では、輝度の調整には主に以下の方法が使用されている:1、手動調整:かかる方法は人為的な参加が必要であり、相互作用インターフェースの輝度レベルや単一のLEDランプの発光強度を変えることで調整を行う方法であり、例えば従来のテレビにおける輝度カスタマイズモード、シナリオモードが挙げられる。人為的な参加が必要で、調整用時間が長く、複数回の調整が要し、しかもユーザの調整による投影ホワイトバランスへの影響が未知であるため、ユーザの調整が完了した後に投影色が歪むという問題が存在する。また、異なる輝度に対応する多様なシナリオモードは、ユーザに選択及び往復切り替えの負担をかける。2、自動調整:(1)収集環境光による調整:センサ(英語名:transducer/sensor)は、被測定情報を感知し、感知した情報を一定の規律に従って電気信号又はその他の所望の形式の情報に変換して出力することで、情報の伝送、処理、記憶、表示、記録、制御などの要求を満たすことの可能な検出装置である。自動輝度調整には光照度センサがよく使われているが、使い方が違い、例えば、特許「CN104360567A-自己適応投影システムの投影輝度調整方法」では、その投影カーテンには複数の光照度センサが取り付けられ、投影面における複数個の点の照度データを収集して実際の投影輝度を推定してから、制御モジュールによって適切な投影輝度値を分析・推定し、さらに輝度制御モジュールによって輝度を調整する。かかる方法は、以下の欠点がある:(a)輝度値を正確に推定するために、複数の光照度センサを組み合わせて投影面の照度データを収集しなければならない;また、取り付け作業が煩わしく繁雑であるので、携帯投影装置には適用されない;(b)複数のセンサの使用によりコストが高くなってしまった。(c)環境上の耐故障性が悪く、例えば、強いライト光照射下で、光照度センサによって収集された照度データが実際の投影輝度よりも高いこととなる。この場合は誤差が大きく、輝度調整後の効果が悪い。また、特許「CN106133643A-ユーザ距離に応じたディスプレイ輝度の調整」では、従来のディスプレイ上で光照度センサによる自動輝度調整を行う。かかる特許は、光照度センサを用いて表示装置の環境光照度情報を取得してから、これに応じてディスプレイの発光強度を調整するものである。同様に、かかる特許では、ディスプレイ自発光源による光照度センサへの影響が排除されておらず、場合によって、光照度センサによって収集された環境情報がディスプレイの光線に影響されたとき、調整効果のばらつきが生じたこととなる。(2)測定距離に応じた調整:現在、赤外光または超音波センサを用いて「飛行時間法」によって距離を算出することは、一般的なことである。具体的には、特に短いパルスを発射し、この光パルスが発射されてから物体に反射されて戻るまでの時間を測定し、その時間間隔を測定することで物体との距離を算出する。投影距離情報を参照すると、距離が近いほど照度値が大きくなり、投影の発光強度を低下させる必要があり、距離が遠いほど照度値が小さくなり、発光強度を向上させる必要がある。距離に応じた輝度調整方法は、投影システムに表現されるだけでなく、ディスプレイについてもユーザとディスプレイの距離を感知してディスプレイの発光強度を調整する用途がある。
【0003】
上記した自動輝度調整は、構想が一致し、共に環境データを感知して投影システムやディスプレイの輝度を調整することにあるが、環境データ利用の細部が異なる点で相違する。上記した調整方法の問題点は次のことを含む:1、調整効率:既存の手動輝度調整方法は人為的な参加が必要で、調整用時間が長く、効果が悪く、作動環境が変更されたたびに再調整する必要がある。2、安定性:自動調整では、光センサによって収集されたデータが投影画面の反射光やディスプレイの反射光に影響されやすいので、調整効果が悪い。3、輝度調整に参照可能な環境データ情報の追加が不足で、輝度調整手段が併用されていない。4、輝度調整後、投影色度座標がずれ、色歪みが発生してしまった。
【発明の概要】
【0004】
以上のことに鑑みて、本出願では、上記した問題の解決や、少なくとも一部の解決が可能な投影装置の輝度の自己適応調整方法及び調整システムが提案されている。
【0005】
上記した技術的問題を解決するために、本発明で提案する技術案は、投影装置の輝度の自己適応調整方法であり、かかる方法は、
S11:投影装置の環境光照度値及び投影距離値を収集するステップと、
S12:投影面照度値と環境光照度値、投影距離値との関係関数、並びに取得した投影装置の環境光照度値及び投影距離値に基づいて、投影装置の投影面照度値を算出するステップと、
S13:投影装置の投影面照度値に応じて投影装置の輝度を調整するステップと、を含む。
【0006】
より好ましくは、前記ステップS11に係る環境光照度値の収集方法は、
S1111:nフレーム目の投影画像を投影するステップであって、nは正の整数であるステップと、
S1112:投影間隔時間内で環境光照度値を少なくとも2回収集するステップと、
S1113:nが予め設定された投影フレーム数よりも大きいか否かを判断し、YESであればS1114に移行するが、NOであればn=n+1とし、S1111に戻るステップと、
S1114:収集した全ての環境光照度値のトリム平均値を算出して、最終的な環境光照度値を取得するステップと、を含む。
【0007】
より好ましくは、前記ステップS11に係る環境光照度値の収集方法は、
S1121:nフレーム目の投影画像を投影するステップであって、nは正の整数であるステップと、
S1122:当該投影画像のデータソース輝度値を取得しつつ、当該投影画像の環境光照度値を収集するように、データソース輝度値と環境光照度値からなる1つのデータセットを取得するステップと、
S1123:nが予め設定された投影フレーム数よりも大きいか否かを判断し、YESであればS1124に移行するが、NOであればn=n+1とし、S1121に戻るステップと、
S1124:最小二乗法によってデータソース輝度値と環境光照度値からなる複数のデータセットをフィットして、曲線関係関数:L(x)=ax+bx+cを取得するステップであって、xは投影画像のデータソース輝度値、Lは投影画像の環境光照度値、a、b、cは定数であるステップと、
S1125:フィットして取得した曲線関係関数に基づいて投影画像のデータソース輝度値が0であるときの投影画像の環境光照度値を算出して、最終的な環境光照度値を取得するステップと、を含む。
【0008】
より好ましくは、前記ステップS12に係る方法は、
S121:投影面照度値と環境光照度値、投影距離値との関係関数:L(l,d)=α・l+λ・d+β+rを取得するステップであって、dは投影距離値、lは環境光照度値、Lは投影面照度値、α、λ、β、rは定数であるステップと、
S122:取得した環境光照度値l及び投影距離値dを、投影面照度値と環境光照度値、投影距離値との関係関数に代入して計算することで、投影面照度値を取得するステップと、を含む。
【0009】
より好ましくは、前記ステップS121に係る方法は、
S1211:同じ投影距離下で、環境光照度値を変更しつつ、投影による光と影の効果を最適に調整し、対応する投影面照度値を記録するように、環境光照度値と投影面照度値からなる複数のデータセットを取得し、カーブフィッティングによって環境光照度値と投影面照度値との曲線関係関数:L(l)=∂・l+βを取得するステップであって、lは環境光照度値、Lは投影面照度値、∂、βは定数であるステップと、
S1212:暗室環境下で、投影距離を変更しつつ、投影による光と影の効果を最適に調整し、対応する投影面照度値を記録するように、投影距離と投影面照度値からなる複数のデータセットを取得し、カーブフィッティングによって投影距離と投影面照度値との曲線関係関数:L(d)=κ・d+γを取得するステップであって、dは投影距離、Lは投影面照度値、κ、γは定数であるステップと、
S1213:環境光照度値と投影面照度値との曲線関係関数、及び投影距離と投影面照度値との曲線関係関数を組み合わせて、投影面照度値と環境光照度値、投影距離値との関係関数:L(l,d)=α・l+λ・d+β+rを取得するステップであって、dは投影距離値、lは環境光照度値、Lは投影面照度値、α、λ、β、rは定数であるステップと、を含む。
【0010】
より好ましくは、前記ステップS13に係る方法は、
S131:投影面照度値から発光モジュールの駆動電流値を算出するステップと、
S132:発光モジュールの駆動電流値が発光モジュールの最大駆動電流値を超えたか否かを判断し、YESであればS134に移行するが、NOであればS133に移行するステップと、
S133:発光モジュールの駆動電流を発光モジュールの駆動電流値に調整するステップと、
S134:発光モジュールの駆動電流を最大駆動電流値に調整し、投影面照度値と光学ズーム倍率との関係関数に基づいて投影装置の光学ズーム倍率を調整するステップと、を含む。
【0011】
より好ましくは、前記ステップS131に係る方法は、次のことを含む:
フィットして取得した赤ランプ、緑ランプ、青ランプの駆動電流と色度座標値との曲線関係モデル:
(式中、Iは対応する赤ランプ、緑ランプ又は青ランプの駆動電流の大きさを示し、a、b、c、dは定数、Fは対応する色度座標値である)に基づき、赤ランプ電流の色度座標xとの式はWR(I)、その色度座標yとの式はWR(I)と記され、緑ランプ電流の色度座標xとの式はWG(I)、その色度座標yとの式はWG(I)と記され、青ランプ電流の色度座標xとの式はWB(I)、その色度座標yとの式はWB(I)と記される;
【0012】
赤ランプ、緑ランプ、青ランプの電流の変化による投影面照度値への影響関係が所定の区間内に線形であるため、モデル:L(I)=K・I+mが用いられ、式中、K、mは定数であり、赤ランプ、緑ランプ、青ランプの電流値と投影面照度値との関係式はそれぞれ、LR(I)=K・I+m、LG(I)=K・I+m、LB(I)=K・I+mである;
【0013】
投影装置の輝度調整前の色度座標は(x,y)、投影面照度値はLとされ、調整後のターゲット色度座標は(x,y)、ターゲット投影面照度値はLとされ、投影装置の出荷前にホワイトバランス補正が行われたので、x=x、y=yが満たされた;
【0014】
赤ランプ、緑ランプ、青ランプの調整前電流はそれぞれIR0、IG0、IB0、赤ランプ、緑ランプ、青ランプの調整後電流はそれぞれIRt、IGt、IBtと記され、即ち赤ランプ、緑ランプ、青ランプの電流の変化はそれぞれΔI=IR0-IRt、ΔI=IG0-IGt、ΔI=IB0-IBtである;
【0015】
赤ランプ電流変更後:x色度座標の変化はΔWR=WR(IR0)-WR(IRt)、y座標の変化はΔWR=WR(IR0)-WR(IRt)である;
【0016】
緑ランプ電流変更後:x色度座標の変化はΔWG=WG(IG0)-WG(IGt)、y座標の変化はΔWG=WG(IG0)-WG(IGt)である;
【0017】
青ランプ電流変更後:x色度座標の変化はΔWB=WB(IB0)-WB(IBt)、y座標の変化はΔWB=WB(IB0)-WB(IBt)である;
【0018】
赤ランプ電流変更後の投影面照度値の変化はΔLR=K・(IR0-IRt)である;
【0019】
緑ランプ電流変更後の投影面照度値の変化はΔLG=K・(IG0-IGt)である;
【0020】
青ランプ電流変更後の投影面照度値の変化はΔLB=K・(IB0-IBt)である;
【0021】
投影装置の輝度調整前後の色度座標が不変に維持される条件、及び投影面照度値の変化要求に基づいて次の方程式のグループを解き、
ΔWR+ΔWG+ΔWB=0,
ΔWR+ΔWG+ΔWB=0,
=L-ΔLR+ΔLG+ΔLB;
式中、IR0、IG0、IB0、L、Lは共に既知の条件で、方程式のグループを解いて赤ランプ、緑ランプ、青ランプのターゲット電流値IRt、IGt、IBtを求める。
【0022】
より好ましくは、前記ステップS133に係る方法は、
投影面照度値と光学ズーム倍率との関係関数:H(S)=w・S+v・S+oを取得するステップであって、H∈(-1,1)、Sはズーム倍率、w、v、oは定数であるステップと、
ターゲット投影面照度値がA、ズーム倍率が調整されていないときの投影面照度値がAと記されると、H(S)=(A-A)/Aに基づいて所望のズーム倍率Sを算出するステップと、
投影装置を所望のズーム倍率Sに調整するようにモータを駆動制御するステップと、を含む。
【0023】
より好ましくは、前記投影面照度値と光学ズーム倍率との関係関数を取得するための方法は、
暗室環境及び固定投影距離下でズーム倍率が調整されていないときの投影面照度値を測定してAと記するステップと、
光学ズーム倍率をSに調整してから投影面照度値を測定してAと記し、投影装置の投影面照度値の変化率:
を算出してデータ(S,H)を取得し、このように(S,H)、(S,H)、…(S,H)を取得するステップと、
最小二乗法によって以上のように取得したデータセットをフィットして、投影面照度値と光学ズーム倍率との関係関数:H(S)=w・S+v・S+oを取得するステップであって、H∈(-1,1)、Sはズーム倍率、w、v、oは定数であるステップと、を含む。
【0024】
本発明ではさらに、投影装置の輝度の自己適応調整システムが提案されており、かかるシステムは、
投影装置の環境光照度値及び投影距離値を収集するための収集制御モジュールと、
投影面照度値と環境光照度値、投影距離値との関係関数、並びに取得した投影装置の環境光照度値及び投影距離値に基づいて、投影装置の投影面照度値を算出するための照度値算出モジュールと、
投影装置の投影面照度値に応じて投影装置の輝度を調整するための輝度調整モジュールと、を含む。
【0025】
本発明ではさらに、投影装置の輝度の自己適応調整システムが提案されており、かかるシステムは、
コンピュータプログラムを記憶するためのメモリと、
前記コンピュータプログラムを実行することで上記した投影装置の輝度の自己適応調整方法におけるステップを実施するためのプロセッサと、を含む。
【0026】
本発明ではさらに、コンピュータプログラムが記憶された読み取り可能な記憶媒体であって、前記コンピュータプログラムがプロセッサによって実行される際に、上記した投影装置の輝度の自己適応調整方法におけるステップが実施されることとなる、読み取り可能な記憶媒体が提案されている。
【発明の効果】
【0027】
以下では、本願の従来技術に比べた有益な効果について詳しく説明する:本願は、光照度センサ及び距離センサを制御することで投影装置の環境光照度及び投影距離を取得し、大量のデータを分析してモデリングすることで環境光照度と投影面照度と投影距離との三者間の関係関数を見付けた。実際の投影過程において、センサによって投影装置の作動環境光照度及び投影距離を収集することをすれば、投影装置の適切な輝度を推定してそれに調整することができ、また色度点の安定性を保証し、ユーザの観覧体験を高めることができ、人為的な介入が不要で、そのプロセス全体が極めて短時間内で自動的に完了するため、広く普及するのに適する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
本発明の実施例をより明晰に説明するために、以下では、実施例に用いられる図面を簡単に説明する。明らかには、以下に記述される図面は、本発明に係る実施例の一部に過ぎず、当分野の通常の技術者にとっては、創造的な労働をせずにこれらの図面から他の図面を得ることができる。
【0029】
図1】本出願の実施例で提案される投影装置の輝度の自己適応調整方法のフローチャートを示す概略図である。
図2】本出願の実施例で提案される環境光照度値の収集方法のフローチャートを示す概略図である。
図3】本出願の実施例で提案される別の環境光照度値の収集方法のフローチャートを示す概略図である。
図4】本出願の実施例で提案される投影装置の投影面照度値に応じて投影装置の輝度を調整する方法のフローチャートを示す概略図である。
図5】本出願の実施例で提案される投影装置の輝度の自己適応調整システムの構成を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下では、本発明の実施例に係る技術案について本発明の実施例に係る図面を参照しながら明晰かつ完全に説明する。明らかには、本明細書に記述される実施例は、本発明の実施例の全部ではなく、その一部に過ぎない。本発明の実施例に基づき、当分野の通常の技術者が創造的な労働をせずに得られた全ての他の実施例は、本発明の保護範囲内に含まれるものとする。
【0031】
当分野の技術者が本発明に係る技術案をよりよく理解できるように、以下では、本発明について図面と具体的な実施例を合わせて詳しく説明する。
【0032】
本出願の技術案は、光照度センサ及び距離センサを制御することで投影装置の環境光照度及び投影距離を取得し、大量のデータを分析してモデリングすることで「環境光照度」と「投影面照度」と「投影距離」との三者間の関係関数を見付けた。実際の投影過程において、センサによって投影装置の作動環境光照度及び投影距離を収集することをすれば、投影装置の適切な輝度を推定してそれに調整することができ、また色度点の安定性を保証し、ユーザの観覧体験を高めることができる。かかる方法は、人為的な介入が不要で、そのプロセス全体が極めて短時間内で自動的に完了する。本出願の技術案は、プロジェクタ(長焦点/短焦点など)、レーザテレビなどの投影機能付き機器に適用することができる。
【0033】
通常、投影装置の輝度の大きさの計量にはルーメンが用いられ、ルーメンとは、投影装置から放射される光束量または可視能力を指す。計量方法はアメリカ国家標準協会が定義したものであり、通常、9点の照度(単位:ルクスLx)を加算してから9で除算することで9点の平均照度が得られ、さらに平均照度に面積を乗算することで投影画面全体の光束量、即ちANSIルーメンが得られる。本願の技術案に記載の輝度は実質的に投影画面全体の光束量である。
【0034】
図1に示すように、本発明の実施例では、投影装置の輝度の自己適応調整方法が提案されており、かかる方法は具体的に、
S11:投影装置の環境光照度値及び投影距離値を収集するステップと、
S12:投影面照度値と環境光照度値、投影距離値との関係関数、並びに取得した投影装置の環境光照度値及び投影距離値に基づいて、投影装置の投影面照度値を算出するステップと、
S13:投影装置の投影面照度値に応じて投影装置の輝度を調整するステップと、を含む。
【0035】
具体的には、本実施例において、投影環境光照度を光照度センサで感知し、投影装置と投影面との距離を距離センサで測定する。参照可能な光照度センサモジュールは、OPT3001、OPT3006、BH1750FVIを含むが、それらに限定されない。参照可能な距離測定モジュールは、VL53L1X、VL53L0X、TMF8801を含むが、それらに限定されない。投影装置における輝度関連の部分は、センサデータ処理モジュール、輝度アルゴリズムモジュール、輝度制御モジュールに細分化され得る。データ処理モジュールは、センサのハードウェアインタフェースを介してセンサと通信し、センサの初期化、データ測定、データ読み取り、フィルタリングなどを制御するものである。輝度アルゴリズムモジュールは主としてセンサで得られた環境光照度データ及び投影距離データを用いて計算することで、ターゲット調整輝度を取得するものである。輝度制御モジュールは、ユーザが常に最適な観覧輝度下にあることを確保するために、ターゲット調整輝度に応じて電流、光学ズーム倍率、絞りサイズなどを調整する方法により装置の輝度を調整するものである。
【0036】
センサ(光照度センサ及び距離センサを含む)は、そのハードウェアインタフェースを介して投影装置の制御手段に接続されて、正常に通信することができ、センサによるサンプリング、データ読み取りなどの操作は、制御手段によって制御可能である。センサは、投影装置のケースに取り付けられ、必要に応じて、外観最適化用のシート状カバーなどを増設するようにパッケージングされることができる。制御手段には、電流値変更のため、発光モジュール用の電流を提供可能な制御インターフェースが必要である。また、制御手段は、モータを駆動制御して投影装置の光学ズーム倍率の大きさを変更するためのインターフェースを有する。
【0037】
投影装置の制御手段は、光照度センサ及び投影装置の表示モジュールを用いて環境光照度を取得する。投影装置による画面表示時に光線が放出され、投影カーテンや壁面で拡散反射が生じて、照度センサによるデータの測定に影響を及ぼすので、精確な環境光照度情報を取得して後続の投影照度計算の正確性を確保するために、以下の2つの環境光測定方法を採用することができる:
【0038】
特に説明したいこととして、図2に示す方法一によれば、ステップS11に係る環境光照度値の収集方法は、
S1111:nフレーム目の投影画像を投影するステップであって、nは正の整数であるステップと、
S1112:投影間隔時間内で環境光照度値を少なくとも2回収集するステップと、
S1113:nが予め設定された投影フレーム数よりも大きいか否かを判断し、YESであればS1114に移行するが、NOであればn=n+1とし、S1111に戻るステップと、
S1114:収集した全ての環境光照度値のトリム平均値を算出して、最終的な環境光照度値を取得するステップと、を含む。
【0039】
具体的には、投影画面は実質的に複数フレームの画面が短時間内で連続表示されてなるものであり、異なる投影装置であればフレームレートも異なるが、フレームとフレームの間では、投影装置が投影間隔時間内にあり、投影面には画面が表示されていない。投影装置のフレーム投影時系列及び光照度センサのサンプリング時系列を制御することにより、投影装置のフレーム系列表示の間に光照度計による環境光サンプリングを行うように制御する。
【0040】
具体的には、次の時系列に従って制御する:投影画像の1フレーム目と2フレーム目との投影間隔時間t内で、光照度センサによる環境光照度の収集を少なくとも2回連続的に行うように制御し、同様に、2フレーム目と3フレーム目との間で環境光サンプリングを行い、系列データを用いてトリム平均値を取得する。トリム平均値を利用して環境光照度値の算出に参与することにより、投影反射光による光照度センサのサンプリングデータへの影響を回避するとともに、サンプリング変動性による誤差を低減することができる。
【0041】
特に説明したいこととして、図3に示す方法二によれば、ステップS11に係る環境光照度値の収集方法は、
S1121:nフレーム目の投影画像を投影するステップであって、nは正の整数であるステップと、
S1122:当該投影画像のデータソース輝度値を取得しつつ、当該投影画像の環境光照度値を収集するように、データソース輝度値と環境光照度値からなる1つのデータセットを取得するステップと、
S1123:nが予め設定された投影フレーム数よりも大きいか否かを判断し、YESであればS1124に移行するが、NOであればn=n+1とし、S1121に戻るステップと、
S1124:最小二乗法によってデータソース輝度値と環境光照度値からなる複数のデータセットをフィットして、曲線関係関数:L(x)=ax+bx+cを取得するステップであって、xは投影画像のデータソース輝度値、Lは投影画像の環境光照度値、a、b、cは定数であるステップと、
S1125:フィットして取得した曲線関係関数に基づいて投影画像のデータソース輝度値が0であるときの投影画像の環境光照度値を算出して、最終的な環境光照度値を取得するステップと、を含む。
【0042】
具体的には、投影画像のデータソース輝度データ及びセンサのサンプリングデータの変化に基づいて分析処理を行うことで、投影反射光部分によるデータのオフセットを排除する;詳細なステップは以下の通りである:(1)投影画像のデータソース画像情報を切り取り、このときの画像輝度情報を分析する;投影画像を切り取りながら、光照度センサでサンプリングして同時刻のセンサのサンプリングした照度を取得する。上記のステップに従って投影画像の画面内容を変更し、画面内容には輝度上の変化が必要となり、複数のデータセット(データソース輝度値1,センサのサンプリングした環境光照度値1)、(データソース輝度値2,センサのサンプリングした環境光照度値2)…を取得する。(2)最小二乗法によってフィットして取得した2つのデータ間の関係曲線は、L(x)=ax+bx+cのような普通の二次関数モデルで、xは投影画像のデータソース輝度値、Lは光照度センサによって測定された環境光照度値である。曲線の分析により、投影画像のデータソース輝度値が0であるとき、このときの環境光照度値を算出して、投影反射光による影響を排除することができる。投影装置の動作時に環境の変化が未知であるため、輝度を調整するたびに事前に上記モデルでフィットする必要があり、よって、式中のa、b、cの値は動的に変化する。
【0043】
特に説明したいこととして、ステップS11に係る投影距離値の収集方法において、投影装置の制御手段は、投影装置の作動距離を取得するように距離センサを制御する。センサの種類は、赤外センサ、超音波センサなどの一定範囲内の距離を精確に測定できるものであり得る。投影装置の作動距離を精確に取得するために、センサは、投影装置本体のケースに取り付けられ、プローブが外方に露出するように設けられ、そのFov(Field of Vision視野角)領域が投影領域内にある必要があり、それによって、精確な投影距離を取得すると同時に、環境中の他の障害物に影響されて距離測定に誤差が生じることがないことを確保する。
【0044】
特に説明したいこととして、前記ステップS12に係る方法は、
S121:投影面照度値と環境光照度値、投影距離値との関係関数:L(l,d)=α・l+λ・d+β+rを取得するステップであって、dは投影距離値、lは環境光照度値、Lは投影面照度値、α、λ、β、rは定数であるステップと、
S122:取得した環境光照度値l及び投影距離値dを、投影面照度値と環境光照度値、投影距離値との関係関数に代入して計算することで、投影面照度値を取得するステップと、を含む。
【0045】
特に説明したいこととして、ステップS121に係る方法は、次のステップを含む:
S1211:同じ投影距離下で、環境光照度値を変更しつつ、投影による光と影の効果を最適に調整し、対応する投影面照度値を記録するように、環境光照度値と投影面照度値からなる複数のデータセットを取得し、カーブフィッティングによって環境光照度値と投影面照度値との曲線関係関数:L(l)=∂・l+βを取得するステップであって、lは環境光照度値、Lは投影面照度値、∂、βは定数である。
【0046】
具体的には、環境光照度と投影面照度とのカーブフィッティングについて、同じ距離下で(この距離は不定であるが、一般的に常用の距離、例えば80インチ投影時の距離で計算する)、外部環境光照度を変更しつつ、投影による光と影の効果を最適に調整し、データセット(光照度センサによる照度値1,投影面照度1)、(光照度センサによる照度値2,投影面照度2)…を記録する。以上のステップを繰り返して、複数のデータセットを取得する。カーブフィッティングによって環境光照度と投影面照度との曲線関係:L(l)=∂・l+βを取得し、式中、lは、光照度センサによる数値で、一般的に単位が「レックス」(lx)で、照度強弱の計量単位である。Lは投影面照度値、∂、βは定数である。当該曲線関係関数によれば、同じ距離下で環境光照度情報に基づいて所望の投影面照度の大きさを算出することができる。
【0047】
S1212:暗室環境下で、投影距離を変更しつつ、投影による光と影の効果を最適に調整し、対応する投影面照度値を記録するように、投影距離と投影面照度値からなる複数のデータセットを取得し、カーブフィッティングによって投影距離と投影面照度値との曲線関係関数:L(d)=κ・d+γを取得するステップであって、dは投影距離、Lは投影面照度値、κ、γは定数である。
【0048】
具体的には、投影距離と投影面照度とのカーブフィッティングについて、環境光照度と投影面照度とのカーブフィッティングに基づき、ユーザのシーンによって投影装置の作動距離が異なり、投影距離も変化する。投影距離が遠いほど、投影面照度が低くなり、投影距離が近いほど、投影面照度が高くなる。暗室の場合、投影画面の点照度が高いとき、主観的な感じが明るくなり、点照度が低いとき、主観的な感じが暗くなる。暗室環境下で、投影距離を変更しつつ、投影照度を適切に調整する。所望の照度が投影の最低照度より低いと、最低照度に調整し、実際に所望の照度が投影の最高発光照度より高いと、最高照度に調整する。異なる投影距離下で、データ(投影距離1,投影面照度1)、(投影距離2,投影面照度2)…を記録する。カーブフィッティング法によって最適な投影輝度と投影距離との関係、即ち投影面照度と投影距離との関係関数:L(d)=κ・d+γを取得し、式中、dは投影距離、Lは投影面照度値、κ、γは定数である。
【0049】
S1213:環境光照度値と投影面照度値との曲線関係関数、及び投影距離と投影面照度値との曲線関係関数を組み合わせて、投影面照度値と環境光照度値、投影距離値との関係関数:L(l,d)=α・l+λ・d+β+rを取得するステップであって、dは投影距離、lは環境光照度値、Lは投影面照度値、α、λ、β、rは定数である。
【0050】
具体的には、暗室環境下で、異なる投影距離下での最適な観覧・投影面照度変化曲線Lにより、L(l)=∂・l+βのベース照度が提供される。ここで、ベース照度とは、暗室環境及び投影距離d下での観覧の最適照度を指す。先ず、式L(d)によりこの距離下で環境光がないときのベース照度を算出し、投影環境照度の式L(l)によりこのベース照度値を基礎として投影輝度を調整する。式を加算して簡略化することで式L(l,d)を取得し、異なる投影距離及び投影環境光照度値に基づいて適切な投影面照度値を算出することができる。最終的に、投影環境光照度と投影距離とを組み合わせて最適な観覧・投影面照度を算出するための式はL(l,d)=α・l+λ・d+β+rで、式中、dは投影距離、lは環境光照度値、Lは投影面照度値、α、λ、β、rは定数である;式Lは送信された光照度センサによるデータ及び投影距離データからこの環境におけるターゲット投影面照度Lを算出する。
【0051】
特に説明したいこととして、図4に示すように、ステップS13に係る方法は、
S131:投影面照度値から投影装置の発光モジュールの駆動電流値を算出するステップと、
S132:投影装置の発光モジュールの駆動電流値が発光モジュールの最大駆動電流値を超えたか否かを判断し、YESであればS134に移行するが、NOであればS133に移行するステップと、
S133:発光モジュールの駆動電流を発光モジュールの駆動電流値に調整するステップと、
S134:発光モジュールの駆動電流を最大駆動電流値に調整し、投影面照度値と光学ズーム倍率との関係関数に基づいて投影装置の光学ズーム倍率を調整するステップと、を含む。
【0052】
具体的には、電流の調整について、現在の単色励起したレーザ投影では、光源の駆動電流を簡単に調整してランプの発光強度を制御すればよいが、3色レーザ光源や3色LED光源では、赤ランプ、緑ランプ、青ランプの調整による照度への影響の大きさを勘案する必要がある。それらの照度への影響は大きさで並べると、緑ランプ、赤ランプ、青ランプである。駆動電流を調整してターゲット照度に達成する場合、先ず緑ランプ、その次に赤ランプ、最後に青ランプを調整する。そのうちある1つのランプの駆動電流を個別に調整してターゲット照度に達成することをしなかったのは、ある1つまたは2つのランプの駆動電流を個別に変更したと、照度の変更に加えて、赤緑青をベース色として合成された他の色の色度座標がずれるという問題が必ず発生し、色歪みを招くからである。
【0053】
特に説明したいこととして、ステップS131に係る方法は、次のことを含む:
フィットして取得した赤ランプ、緑ランプ、青ランプの駆動電流と色度座標値との曲線関係モデル:
(式中、Iは赤ランプ、緑ランプ又は青ランプに対応する駆動電流の大きさを示し、а、b、c、dは定数、Fは対応する色度座標値である)に基づき、赤ランプ電流の色度座標xとの式はWR(I)、その色度座標yとの式はWR(I)と記され、緑ランプ電流の色度座標xとの式はWG(I)、その色度座標yとの式はWG(I)と記され、青ランプ電流の色度座標xとの式はWB(I)、その色度座標yとの式はWB(I)と記される;
【0054】
また、赤ランプ、緑ランプ、青ランプについて、同程度の電流変化下で投影面照度に与える影響は大きい順に、緑ランプ>赤ランプ>青ランプである。赤ランプ、緑ランプ、青ランプの電流の変化による投影面照度値への影響関係が所定の区間内に線形であるため、モデルL(I)=K・I+mは用いられ、式中、K、mは定数であり、赤ランプ、緑ランプ、青ランプの電流値と投影面照度値との関係式はそれぞれ、LR(I)=K・I+m、LG(I)=K・I+m、LB(I)=K・I+mである。
【0055】
投影装置の輝度調整前の色度座標は(x,y)、投影面照度値はLとされ、調整後のターゲット色度座標は(x,y)、ターゲット投影面照度値はLとされ、投影装置の出荷前にホワイトバランス補正が行われたので、x=x、y=yが満たされた;
【0056】
赤ランプ、緑ランプ、青ランプの調整前電流はそれぞれIR0、IG0、IB0、赤ランプ、緑ランプ、青ランプの調整後電流はそれぞれIRt、IGt、IBtと記され、即ち赤ランプ、緑ランプ、青ランプの電流の変化はそれぞれΔI=IR0-IRt、ΔI=IG0-IGt、ΔI=IB0-IBtである;
【0057】
赤ランプ電流変更後:x色度座標の変化はΔWR=WR(IR0)-WR(IRt)、y座標の変化はΔWR=WR(IR0)-WR(IRt)である;
【0058】
緑ランプ電流変更後:x色度座標の変化はΔWG=WG(IG0)-WG(IGt)、y座標の変化はΔWG=WG(IG0)-WG(IGt)である;
【0059】
青ランプ電流変更後:x色度座標の変化はΔWB=WB(IB0)-WB(IBt)、y座標の変化はΔWB=WB(IB0)-WB(IBt)である;
【0060】
赤ランプ電流変更後の投影面照度値の変化はΔLR=K・(IR0-IRt)である;
【0061】
緑ランプ電流変更後の投影面照度値の変化はΔLG=K・(IG0-IGt)である;
【0062】
青ランプ電流変更後の投影面照度値の変化はΔLB=K・(IB0-IBt)である;
【0063】
輝度調整前後の色度座標は不変で、次の式を満たす:x=x、y=y
ΔWR+ΔWG+ΔWB=0…(а)
ΔWR+ΔWG+ΔWB=0…(b)
【0064】
投影面照度値は次の式を満たす:
=L-ΔLR+ΔLG+ΔLB…(c)
【0065】
式中、IR0、IG0、IB0、L、Lは共に既知の条件で、方程式のグループ(a)(b)(c)を解いて赤ランプ、緑ランプ、青ランプのターゲット電流値IRt、IGt、IBtを求める。投影装置の駆動電流制御モジュールによってターゲット電流に調整され、投影面の面積が不変である場合、投影照度を変更することで、投影装置の輝度を変更する。
【0066】
特に説明したいこととして、ステップS133に係る方法は、
投影面照度値と光学ズーム倍率との関係関数:H(S)=w・S+v・S+oを取得するステップであって、H∈(-1,1)、Sはズーム倍率、w、v、oは定数であるステップと、
ターゲット投影面照度値がA、ズーム倍率が調整されていないときの投影面照度値がAと記されると、H(S)=(A-A)/Aに基づいて所望のズーム倍率Sを算出するステップと、
投影装置を所望のズーム倍率Sに調整するようにモータを駆動制御するステップと、を含む。
【0067】
具体的には、輝度調整方法は主に発光モジュールの駆動電流、Duty、データソース信号、光学ズーム倍率、絞りの大きさがある。本願の技術案では、先ず、発光モジュールの駆動電流を調整することにより、投影画面の大きさが不変である場合、投影画面の照度の向上によって投影輝度を同時に向上させ、その後、投影画面自体の輝度が最高に達してこれ以上向上できない場合、レンズの光学ズーム倍率を調整することにより、投影画面の照度を向上させ、投影環境の背景輝度とコントラストを形成し、投影画面表示の細部を確保する。この2種の方法はもっと簡単で、操作されやすく、調整後の発効が速く、画質への影響が最小である。
【0068】
投影装置の最大発光強度の制限により、輝度調整時に最大駆動電流下であっても所望の投影輝度に到達できない場合がある。この場合、モータ駆動モジュールでハードウェア接続デザイン(ギヤ、ベルトまたはスクリューロッド)などを駆動して光学ズーム倍率を変更することにより、投射比を変更し、ユーザ観覧時の投影面照度を向上させることができる。予期する光学ズームを調整によって実現し、デバッグ時間を短縮し、往復切り替え動作を回避するために、関数モデルの構築を事前に行う必要がある。モデル構築方法、即ち投影面照度値と光学ズーム倍率との関係関数を取得する方法は、以下の通りである:
(1)暗室環境及び固定投影距離下(ユーザデバイスが常用する距離下)でズーム倍率が調整されていないときの投影面照度値を測定してAと記する;
(2)光学ズーム倍率をSに調整してから投影面照度値を測定してAと記し、投影装置の投影面照度値の変化率:
を算出してデータ(S,H)を取得する;
(3)ステップ(2)を繰り返して(S,H)、(S,H)、…(S,H)を取得する;
(4)最小二乗法によってステップ(3)で取得したデータセットをフィットして、投影面照度値と光学ズーム倍率との関係関数:H(S)=w・S+v・S+oを取得するステップであって、H∈(-1,1)、Sはズーム倍率、w、v、oは定数である。
【0069】
ターゲット投影面照度値A、ズーム倍率が調整されていないときの投影面照度値Aを関係関数に代入して所望のズーム倍率Sを算出し、所望のズーム倍率に調整するようにモータを駆動制御してから、カメラを用いてオートフォーカスを行うことにより、投影画面の鮮明度の不変を維持する。
【0070】
本出願が提案する実施例では、投影装置の作動過程において、センサによって環境光照度及び投影距離を持続的に測定することで投影装置の輝度を調整する場合としては、(1)環境光又は距離が変更された場合、投影面照度値と環境光照度値、投影距離値との関係関数の曲線関係に基づいてターゲット輝度を算出し、それに調整する場合;(2)環境光輝度が不変であるか又はその変化が小さいものの、投影距離が変更された場合が挙げられる。調整方式として次の2種が用いられる:(a)投影装置がまだ移動しているか否かをジャイロで判断し、投影装置が静止状態にある場合、投影面照度値と環境光照度値、投影距離値との関係関数の曲線関係に基づいて輝度を算出し、輝度の調整を行う。(b)投影装置の移動過程において、環境光及び輝度を持続的に収集し、投影面照度値と環境光照度値、投影距離値との関係関数の曲線関係に基づいて投影装置の輝度を算出・調整する。
【0071】
図5に示すように、本発明の実施例ではさらに、投影装置の輝度の自己適応調整システムが提案されており、かかるシステムは具体的に、
投影装置の環境光照度値及び投影距離値を収集するための収集制御モジュール21と、
投影面照度値と環境光照度値、投影距離値との関係関数、並びに取得した投影装置の環境光照度値及び投影距離値に基づいて、投影装置の投影面照度値を算出するための照度値算出モジュール22と、
投影装置の投影面照度値に応じて投影装置の輝度を調整するための輝度調整モジュール23と、を含む。
【0072】
具体的には、収集制御モジュール21は、
nフレーム目の投影画像を投影するための第1投影手段であって、nは正の整数である第1投影手段と、
投影間隔時間内で環境光照度値を少なくとも2回収集するための第1収集手段と、
nが予め設定された投影フレーム数よりも大きいか否かを判断し、YESであれば算出手段に移行するが、NOであればn=n+1とし、投影手段に戻るように構成される第1判断手段と、
収集した全ての環境光照度値のトリム平均値を算出して、最終的な環境光照度値を取得するための第1算出手段と、を含む。
【0073】
具体的には、収集制御モジュール21は、
nフレーム目の投影画像を投影するための第2投影手段であって、nは正の整数である第2投影手段と、
当該投影画像のデータソース輝度値を取得しつつ、当該投影画像の環境光照度値を収集するように、データソース輝度値と環境光照度値からなる1つのデータセットを取得するための第2収集手段と、
nが予め設定された投影フレーム数よりも大きいか否かを判断し、YESであれば関数フィット手段に移行するが、NOであればn=n+1とし、第2投影手段に戻るように構成される第2判断手段と、
最小二乗法によってデータソース輝度値と環境光照度値からなる複数のデータセットをフィットして、曲線関係関数:L(x)=ax+bx+cを取得するための関数フィット手段であって、xは投影画像のデータソース輝度値、Lは投影画像の環境光照度値、a、b、cは定数である関数フィット手段と、
フィットして取得した曲線関係関数に基づいて投影画像のデータソース輝度値が0であるときの投影画像の環境光照度値を算出して、最終的な環境光照度値を取得するための第2算出手段と、を含む場合もある。
【0074】
具体的には、照度値算出モジュール22は、
投影面照度値と環境光照度値、投影距離値との関係関数:L(l,d)=α・l+λ・d+β+rを取得するための関数取得手段であって、dは投影距離値、lは環境光照度値、Lは投影面照度値、α、λ、β、rは定数である関数取得手段と、
取得した環境光照度値l及び投影距離値dを、投影面照度値と環境光照度値、投影距離値との関係関数に代入して計算することで、投影面照度値を取得するための照度値算出手段と、を含む。
【0075】
具体的には、輝度調整モジュール23は、
投影面照度値から投影装置の発光モジュールの駆動電流値を算出するための駆動電流算出手段と、
投影装置の発光モジュールの駆動電流値が発光モジュールの最大駆動電流値を超えたか否かを判断し、YESであれば光学ズーム調整手段に移行するが、NOであれば駆動電流調整手段に移行するための駆動電流判断手段と、
発光モジュールの駆動電流を発光モジュールの駆動電流値に調整するための駆動電流調整手段と、
発光モジュールの駆動電流を最大駆動電流値に調整し、投影面照度値と光学ズーム倍率との関係関数に基づいて投影装置の光学ズーム倍率を調整するための光学ズーム調整手段と、を含む。
【0076】
図5の対応する実施例における特徴の説明は、図1図4の対応する実施例に関連する説明を参照でき、ここでは重複に説明しないものとする。
【0077】
本発明の実施例ではさらに、コンピュータプログラムを記憶するためのメモリと、前記コンピュータプログラムを実行することで上記した投影装置の輝度の自己適応調整方法におけるステップを実施するためのプロセッサと、を含む、投影装置の輝度の自己適応調整システムが提案されている。
【0078】
本発明の実施例ではさらに、コンピュータプログラムが記憶された読み取り可能な記憶媒体であって、前記コンピュータプログラムがプロセッサによって実行される際に、上記した投影装置の輝度の自己適応調整方法におけるステップが実施されることとなる、読み取り可能な記憶媒体が提案されている。
【0079】
以上、本発明の実施例で提案する投影装置の輝度の自己適応調整方法、調整システム、及び読み取り可能な記憶媒体について詳しく説明した。明細書における各実施例は漸進の方式で記述されたものであり、各実施例では他の実施例との相違点が重点的に説明され、各実施例間の同じまたは類似部分が互いに参照すればよい。実施例で開示された装置については、実施例で開示された方法に対応するため、その説明が比較的簡単であり、両者の関連部分は方法に係る部分における記載を参照すればよい。当技術分野の通常の技術者にとっては、本発明の原理から逸脱しない前提下、様々な改善および修飾を行うことができ、これらの改善および修飾も本発明の請求項の保護範囲に含まれるものとすることは、理解されるべきであろう。
【0080】
さらに、本明細書に開示された実施例で記述された各例示の手段及びアルゴリズムが組合わせられたステップは、電子ハードウェア、コンピュータソフトウェア又は両者の組合せによって実現できるとは、専門技術者に意識されるべきであろう。ハードウェアとソフトウェアの互換性を明確に説明するために、上記した説明では、各例示の構成及びステップについて機能で一般的に説明された。これらの機能がハードウェアで実行されるかソフトウェアで実行されるかは、技術案の特定の用途および設計制約条件によって決められる。専門技術者は各特定の用途に対して、それに説明された機能を異なる方法で達成することができ、このような達成は本発明の範囲を超えたものと見なされるべきではない。
【0081】
本明細書に開示された実施例で記述された方法又はアルゴリズムが組合わせられたステップは、ハードウェア、プロセッサによって実行されるソフトウェアモジュール、または両方の組み合わせによって直接実施されることができる。ソフトウェアモジュールは、ランダムアクセスメモリ(RAM)、内部メモリ、読み取り専用メモリ(ROM)、電気的プログラマブルROM、電気的消去可能プログラマブルROM、レジスタ、ハードディスク、リムーバブルディスク、CD-ROM、または技術分野内で公知の他の任意形態の記憶媒体に配置されることができる。
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】