(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-01
(54)【発明の名称】焼菓子
(51)【国際特許分類】
A23L 33/105 20160101AFI20230125BHJP
A21D 2/36 20060101ALI20230125BHJP
A21D 13/80 20170101ALI20230125BHJP
A61K 31/7048 20060101ALI20230125BHJP
A61P 3/00 20060101ALI20230125BHJP
A61P 3/10 20060101ALI20230125BHJP
【FI】
A23L33/105
A21D2/36
A21D13/80
A61K31/7048
A61P3/00
A61P3/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022530816
(86)(22)【出願日】2020-11-26
(85)【翻訳文提出日】2022-07-12
(86)【国際出願番号】 SG2020050696
(87)【国際公開番号】W WO2021107877
(87)【国際公開日】2021-06-03
(31)【優先権主張番号】10201911157T
(32)【優先日】2019-11-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SG
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507335687
【氏名又は名称】ナショナル ユニヴァーシティー オブ シンガポール
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヂョウ,ウェイビアオ
(72)【発明者】
【氏名】テオ,ニー・ヂェン
(72)【発明者】
【氏名】ガオ,ジン
【テーマコード(参考)】
4B018
4B032
4C086
【Fターム(参考)】
4B018LB01
4B018MD42
4B018MD49
4B018MD52
4B018MD53
4B018MD57
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4B032DB05
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4B032DK29
4B032DK30
4B032DK31
4B032DK32
4B032DP05
4C086AA01
4C086AA02
4C086EA11
4C086GA17
4C086MA52
4C086NA14
4C086ZC21
4C086ZC35
(57)【要約】
植物抽出物の全重量に対して5重量%(wt%)超のアントシアニンを含む植物抽出物を含む焼菓子が提供されている。また、代謝症候群障害を治療するおよび/もしくは予防する方法、または食後の血糖値上昇を予防するもしくは低下させる方法も提供され、この方法は、焼菓子を、それを必要とする患者に投与することを含む。一実施形態では、植物抽出物は、アントシアニン高含有黒米抽出物粉末(ABREP)であり、焼菓子は、ABREP強化ケーキである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物抽出物の全重量に対して5重量%(wt%)以上のアントシアニンを含む植物抽出物を含む焼菓子。
【請求項2】
前記焼菓子が、前記焼菓子を焼く前のバッターの全重量に対して0.1~35wt%の植物抽出物を含む、請求項1に記載の焼菓子。
【請求項3】
前記焼菓子が、前記焼菓子を焼く前のバッターの全重量に対して1~35wt%の植物抽出物を含む、請求項1または2に記載の焼菓子。
【請求項4】
前記焼菓子が、前記焼菓子を焼く前のバッターの全重量に対して0.1~30wt%の植物抽出物を含む、請求項1または2に記載の焼菓子。
【請求項5】
前記焼菓子が、前記焼菓子の全重量に対して0.005~30wt%のアントシアニンを含む、先行する請求項のいずれかに記載の焼菓子。
【請求項6】
前記植物抽出物が、漿果、果実、堅果、野菜、穀物、豆類、またはその組合せであり、またはそれらに由来する、先行する請求項のいずれかに記載の焼菓子。
【請求項7】
前記植物抽出物が、穀類抽出物である、請求項6に記載の焼菓子。
【請求項8】
前記植物抽出物が、乾燥粉末形態である、先行する請求項のいずれかに記載の焼菓子。
【請求項9】
医薬品として使用するための、先行する請求項のいずれかに記載の焼菓子。
【請求項10】
食後の血糖値上昇を予防するまたは低下させるための組成物の製造における、請求項1から8のいずれかに記載の焼菓子の使用。
【請求項11】
代謝症候群障害を治療するおよび/または予防するための組成物の製造における、請求項1から8のいずれかに記載の焼菓子の使用。
【請求項12】
食後の血糖値上昇の予防または低下に使用するための、請求項1から8のいずれかに記載の焼菓子。
【請求項13】
代謝症候群障害の治療および/または予防に使用するための、請求項1から8のいずれかに記載の焼菓子。
【請求項14】
食後の血糖値上昇を予防するまたは低下させる方法であって、請求項1から8のいずれかに記載の焼菓子を、それを必要とする患者に投与することを含む方法。
【請求項15】
代謝症候群障害を治療するおよび/または予防する方法であって、請求項1から8のいずれかに記載の焼菓子を、それを必要とする患者に投与することを含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、焼菓子、特にアントシアニンを含む焼菓子に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの食品種に、糖度が高いという点から多くの健康問題がある。例えば、糖尿病は増大する健康問題であり、世界中の多くの人々に影響を与えている。結果として、糖尿病または他の代謝症候群に苦しんでいる多くの人々の食物摂取量は、詳細にモニターする必要があり、したがって、糖度が高い食物は多くの場合、糖尿病または他の代謝症候群に苦しんでいる人々には消費されていない。
【0003】
したがって、糖度が高い食物の消費と関連付けられる健康に及ぼす影響を減らす必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、これらの問題に対処すること、および/または改善された焼菓子を提供することに努める。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の態様によれば、本発明は、植物抽出物の全重量に対して5重量%(wt%)以上のアントシアニンを含む植物抽出物を含む焼菓子を提供する。
【0006】
特に、焼菓子は、焼菓子を焼く前のバッターの全重量に対して0.1~35wt%の植物抽出物を含んでもよい。さらにまた特に、焼菓子は、焼菓子を焼く前のバッターの全重量に対して1~35wt%または0.1~30wt%の植物抽出物を含んでもよい。
【0007】
特定の態様によれば、焼菓子は、焼菓子を焼く前のバッターの全重量に対して0.005~30wt%のアントシアニンを含んでもよい。
【0008】
植物抽出物は、アントシアニンを含む任意の適切な植物抽出物であってもよく、任意の適切な供給源であってもよく、または任意の適切な供給源に由来してもよい。例えば、植物抽出物は、漿果、果実、堅果、野菜、穀物、豆類、またはその組合せであってもよく、またはそれらに由来してもよい。特に、植物抽出物は、穀物に由来してもよい。さらにまた特に、植物抽出物は、穀類抽出物であってもよい。
【0009】
アントシアニンを含む植物抽出物は、任意の適切な形態であってもよい。例えば、植物抽出物は、乾燥粉末形態であってもよい。
【0010】
第2の態様によれば、焼菓子は、医薬品として使用するためのものである。
別の態様によれば、本発明は、食後の血糖値上昇を予防するまたは低下させるための組成物の製造における第1の態様に基づく焼菓子の使用を提供する。
【0011】
本発明はまた、代謝症候群障害を治療するおよび/または予防するための組成物の製造における第1の態様に基づく焼菓子の使用も提供する。
【0012】
本発明はまた:食後の血糖値上昇の予防もしくは低下に使用するため;ならびに/または代謝症候群障害の治療および/もしくは予防に使用するための上記のようなアントシアニンを含む焼菓子も提供する。
【0013】
別の態様によれば、本発明は、食後の血糖値上昇を予防するまたは低下させる方法を提供し、この方法は、第1の態様に基づく焼菓子を、それを必要とする患者に投与することを含む。
【0014】
また、代謝症候群障害を治療するおよび/または予防する方法も提供され、この方法は、第1の態様に基づく焼菓子を、それを必要とする患者に投与することを含む。
【0015】
本発明の理解をより深め、かつ容易に実施可能なものするため、次に、非限定的な例によって例示的な実施形態のみを説明し、その説明は、添付の例示的な図面を参照している。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】ABREP強化ケーキのin vitro消化中のグルコース放出を示し、その濃度は、消化液1ml当たりのグルコースmgとして表されている。
【
図2】ABREP強化ケーキのin vitro消化中のフルクトース放出を示し、その濃度は、消化液1ml当たりのフルクトースmgとして表されている。
【
図3】ABREP強化ケーキのin vitro消化中の全糖放出を示し、その濃度は、消化液1ml当たりの糖mgとして表されている。糖放出は、グルコース放出とフルクトース放出の合計として計算されている。
【
図4】ヒドロキシルラジカル消去アッセイに基づくABREP強化ケーキのアスコルビン酸当量値を示す。上付きの小文字のアルファベットが異なる値は、統計的に有意である(p<0.05)。
【発明を実施するための形態】
【0017】
上述したように、特に糖尿病および/または代謝症候群障害に苦しんでいる人々によって安全に消費され得る改善された焼菓子に対する需要がある。
【0018】
一般的には、本発明は、喫食時に体内の遅い糖放出および脂肪消化を可能にする焼菓子を提供する。特に、アントシアニンを含む焼菓子は、デンプン、スクロースおよび脂肪の消化速度の低下を可能にし、それによって高い血糖値および血中トリグリセリドレベルの回復が可能になる。さらに、糖を減らす必要がなく、これにより焼菓子中の糖の低減による任意の官能性の劣化が防止される。したがって、このような焼菓子は、彼らの健康を損なうことなく甘い楽しみを得ることができるので、特に前糖尿病/糖尿病患者および代謝症候群に罹っている人々に実に有用である。
【0019】
第1の態様によれば、本発明は、植物抽出物の全重量に対して5重量%(wt%)以上のアントシアニンを含む植物抽出物を含む焼菓子を提供する。
【0020】
本発明の目的のために、焼菓子は、糖が多く含まれるまたは通常甘いベーカリー製品と定義される。例えば、焼菓子には、ケーキ、ペイストリー、ビスケットが含まれ得るが、それだけには限定されない。特に、ケーキ、ペイストリーおよびビスケットには、ブラウニー、クッキー、ブラマンジェ、ムース、クリーム、クラッカー、デニッシュ、スイートロール、パンケーキ、パイ、ピザクラスト、ワッフル、ドーナッツ、スコーンなどがさらに含まれ得るが、それだけには限定されない。さらにまた特に、焼菓子には、主成分の1つとして小麦粉を含む甘い食物が含まれる。
【0021】
アントシアニンを含む植物抽出物は、アントシアニンを含む任意の適切な植物抽出物であってもよい。植物抽出物は、任意の適切な供給源であってもよく、または任意の適切な供給源に由来してもよい。例えば、植物抽出物は、漿果、果実、堅果、野菜、穀物、豆類、またはその組合せであってもよく、またはそれらに由来してもよい。特に、植物抽出物は、黒米、ビルベリー、黒スグリ、黒クコの実、チョークベリー、桑の実、クランベリー、紫イモ、紫トウモロコシ、黒トウモロコシ、紫キャベツ、黒ソルガム、紫小麦、黒小麦、赤レンズ豆、金時豆、またはその組合せからのものであり得るが、それだけには限定されない。特定の態様によれば、植物抽出物は、穀物に由来してもよい。例えば、植物抽出物は、穀類抽出物であってもよい。さらにまた特に、植物抽出物は、黒米に由来してもよい。
【0022】
アントシアニンを含む植物抽出物は、任意の適切な形態であってもよい。例えば、植物抽出物は、粉末形態であってもよい。特に、植物抽出物は、乾燥粉末形態であってもよい。
【0023】
アントシアニンを含む植物抽出物は、植物抽出物の全重量に対して5重量%(wt%)以上のアントシアニンを含んでいてもよい。特に、植物抽出物は、植物抽出物の全重量に対して10~50wt%のアントシアニンを含んでいてもよい。例えば、植物抽出物は、12~48wt%、15~45wt%、18~42wt%、20~40wt%、22~38wt%、25~35wt%、27~32wt%、28~30wt%を含んでいてもよい。さらにまた特に、植物抽出物は、植物抽出物の全重量に対して15~30wt%のアントシアニンを含んでいてもよい。
【0024】
焼菓子は、焼菓子を焼く前のバッターの全重量に対して0.1~35wt%の植物抽出物を含んでもよい。例えば、焼菓子は、焼菓子を焼く前のバッターの全重量に対して0.5~35wt%、1~35wt%、5~30wt%、7~28wt%、10~25wt%、12~22wt%、15~20wt%、17~18wt%の植物抽出物を含んでいてもよい。特に、焼菓子は、焼菓子を焼く前のバッターの全重量に対して0.5~20wt%の植物抽出物を含んでいてもよい。さらにまた特に、焼菓子は、焼菓子を焼く前のバッターの全重量に対して1~10wt%の植物抽出物を含んでいてもよい。
【0025】
焼菓子は、焼菓子を焼く前のバッターの全重量に対して0.005~30wt%のアントシアニンを含んでもよい。例えば、焼菓子は、焼菓子を焼く前のバッターの全重量に対して0.01~28wt%、0.05~25wt%、0.1~22wt%、0.5~20wt%、1~18wt%、5~15wt%、7~12wt%、10~11wt%のアントシアニンを含んでいてもよい。特に、焼菓子は、焼菓子を焼く前のバッターの全重量に対して0.025~5wt%のアントシアニンを含んでいてもよい。
【0026】
特定の態様によれば、バッターは、焼菓子を調製するのに使用される小麦粉を含んでいてもよい。
【0027】
植物抽出物中の有効成分、すなわち植物抽出物に含まれるアントシアニンは、消化酵素を阻害する効果がある。消化酵素は、α-グルコシダーゼ、スクラーゼ、リパーゼ、またはその組合せであり得るが、それだけには限定されない。酵素に応じて、阻害のメカニズムは、競合的であっても非競合的であってもよい。
【0028】
特に、競合的阻害の場合、アントシアニンは、基質の構造類似体と見なされ、阻害剤である。したがって、阻害剤は、活性部位への結合について基質と競合する。アントシアニンが活性部位を占める場合、酵素-阻害剤複合体を形成し、酵素は反応できない。例えば、アントシアニンは、スクロースの構造類似体として見なされ、したがってスクラーゼ上の同じ活性結合部位についてスクロースと競合する。この競合のために、スクロースをグルコースおよびフルクトースに変換するためのスクラーゼの変換速度は、遅くなる。このことから、喫食時に焼菓子からグルコースおよびフルクトースの放出がより遅くなる。したがって、グルコースは、血流により遅い速度で入り、アントシアニンを含まない焼菓子を食べることにより人々が被るであろう、糖スパイクを弱めるのに役立つ。このように、焼菓子にアントシアニンを取り込むことは、焼菓子に糖を含めることまたは糖を他の甘味料に置き換えることを回避することによって味を損なうことなく、糖尿病患者にとってこの甘い贅沢品をより健康的にするのに役立つことになる。
【0029】
焼菓子に含まれるアントシアニンは、焼菓子の調製時に焼き上げるプロセスを経た後も、阻害剤としての有効性、ならびに抗酸化活性を示し続ける。
【0030】
焼菓子は、任意の適切な方法によって調製することができる。特に、焼菓子は、アントシアニンを含む植物抽出物を小麦粉混合物に添加する追加のステップを加えた、その通常の調製方法によって調製されてもよい。
【0031】
本発明はまた、医薬品として使用するための上記の焼菓子を提供する。
別の態様によれば、本発明は、食後の血糖値上昇を予防するまたは低下させるための組成物の製造における第1の態様に基づく焼菓子の使用を提供する。
【0032】
上述したように、アントシアニンは、焼菓子からのグルコース放出および脂質消化を遅らせるのを助け、それによって特に糖尿病および/または代謝症候群に罹っている人々において血中脂質レベルが制御され、同様に高い血糖値および血中トリグリセリドレベルが回復する。
【0033】
本発明はまた、代謝症候群障害を治療するおよび/または予防するための組成物の製造における第1の態様に基づく焼菓子の使用も提供する。
【0034】
本発明はまた、食後の血糖値上昇の予防または低下に使用するための上記のようなアントシアニンを含む焼菓子も提供する。また、代謝症候群障害の治療および/または予防に使用するための上記のようなアントシアニンを含む焼菓子も提供されている。
【0035】
別の態様によれば、本発明は、食後の血糖値上昇を予防するまたは低下させる方法を提供し、この方法は、第1の態様に基づく焼菓子を、それを必要とする患者に投与することを含む。
【0036】
また、代謝症候群障害を治療するおよび/または予防する方法も提供され、この方法は、第1の態様に基づく焼菓子を、それを必要とする患者に投与することを含む。
【0037】
ここまで本発明を一般的に説明してきたが、同じことが、例示のために提供され限定することを意図しない以下の実施形態を参照することによって、より容易に理解されることになる。
【実施例】
【0038】
1. アントシアニン高含有焼菓子の調製
3つのモデル系-ケーキ、ワッフルおよびクッキーを研究した。
【0039】
ケーキの場合、小麦粉100g当たり0.25、0.50、1.00および2.00gの濃度でアントシアニン高含有黒米抽出物粉末(ABREP)を小麦粉に取り込むことによってアントシアニン強化小麦粉を調製した。バター75gと砂糖75gを5分間混合してから、卵75gおよび水50gにホワイトビネガー3g加えたものと混合することによって、ケーキバッターを作製した。次に、アントシアニン強化小麦粉100gとベーキングパウダー4.5gおよび塩0.5gをバッターに加え、均一になるまで混合した。ケーキをオーブン中170℃で35分焼き上げた。焼き上げた後、焼きたてのケーキを冷却ラック上で室温まで冷却した。
【0040】
クッキーの場合、それらは、ヒマワリ油(240g)、水(228mL)、砂糖(360g)、炭酸水素ナトリウム(6g)、炭酸水素アンモニウム(12g)、および塩化ナトリウム(12g)を使用して、ミキサー中低速で5分間混合して調製した。その後、小麦粉(1200g)とベーキングパウダー(3.6g)を次いで加え、連続的にもう4分間混合して、クッキー生地を作製した。両方のABREPを小麦粉およびベーキングパウダーと予混合してから、残りの他の材料と混合した。ABREPを、2種類の濃度、小麦粉の重量の2および4%で添加した。クッキー生地を室温で静置させてから厚さ3mmのシート状にし、60Å~40mmのクッキーカッターを使用して長方形に切断した。
【0041】
ワッフルの場合、それらは、小麦粉256g、砂糖50g、ベーキングパウダー16g、塩5.69g、卵107g、牛乳245g、バター85gおよびバニラ香料2gを使用して調製した。ABREPを、小麦粉およびベーキングパウダーと予混合した。ABREPを、小麦粉重量の4、8、および16%濃度レベルで添加した。ワッフルバッターを均一に混合し、ワッフルメーカーで10分間焼き上げた。
【0042】
2. 焼菓子の品質と官能試験
調製された配合物は、バッター/生地の物理的性質、特にアントシアニンを含まない従来の焼菓子の食感および口あたりに大きく影響するべきではない。焼き上げる前のケーキおよびワッフルバッター、ならびにクッキー生地の物理的特性を、pHおよび比重を含めて測定した。焼菓子の物理的特性を、比容積、含水量、水分活性、pHおよび食感プロファイルを含めて測定した。完成品の官能プロファイル分析を実施した。
【0043】
3. 焼菓子中のアントシアニンの熱安定性
焼き上げた後の焼菓子中のアントシアニンの保持率は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を使用して定量化した。脂質は、最初に、上記で調製したケーキ、ワッフル、およびクッキーの凍結乾燥試料5gを、100mlのメスフラスコに入れ、50%クロロホルム(v/v)で満たすことによって除去した。メスフラスコを1時間の間5分毎に振盪した。溶液は、ブフナー漏斗を使用した真空吸引によってワットマンno.1ろ紙を通してろ過して、液体画分を分離した。残りの固体を回収し、遠心分離管に入れて、オービタルシェーカーを200rpmで使用して、酸性化メタノール(メタノール中0.01%v/vトリフルオロ酢酸(TFA))10mLで30分間浸漬した。試料の抽出は、メタノール中0.01%v/vTFAを代わりに使用したことを除いて、Sui、Yap&Zhou(2014)による方法に基づいて実施した。
【0044】
分析用C18カラム(100×2.1mm i.d.、2.7μm;Waters、Wexford、アイルランド)をShimadzu HPLCシステム(Shimadzu、Tokyo、日本)で使用した。移動相Aは、ミリQ水中0.1%ギ酸(v/v)からなっていたが、移動相Bは、100%アセトニトリルからなっていた。流速は、0.5mL/分であった。勾配プログラムは、以下のとおりであった:0%Bを5分、10%B中20分、13%B中40分、20%B中44分、25%B中50分、100%B中55分および0%B中60分。試料は、最初0.22μmナイロンフィルター(Thermo Fisher Scientific、USA)、次いで0.20μmPhenexシリンジフィルター(Phenomenex Co.、USA)にかけてからHPLC分析した。注入容量は10μlであり、オーブンの温度を30℃で維持した。ピークは、520nmにおける合同保持時間によって識別した。5%ギ酸に溶解したシアニジン-3-グルコシドおよびペオニジン-3-グルコシドを標準として使用した。標準曲線は、各標準液の10mg/L~100mg/Lの範囲の一連の標準溶液によって描かれた。
【0045】
あるいは、アントシアニンの量は、pH differential法を使用して推測した。それは、pH1およびpH4.5におけるアントシアニンの異なる吸収能を利用した。試料は、最初に酸性化した脱イオン水(5%v/v、ギ酸)を用いて10倍に希釈し、pH1またはpH4.5緩衝液を用いてさらに20倍に希釈した。吸光度を、分光光度計(UV-1800、Shimadzu Corporation、Kyoto、日本)を使用して520および700nmで測定した。
【0046】
4. 焼菓子の抗酸化活性
抽出した試料(上記3で得られたものと同じ)の抗酸化能を、[2,2-アジノービス-(3-エチルベンゾチアゾリン-6-スルホン酸)](ABTS)を使用したヒドロキシルラジカルアッセイおよび/または酸素ラジカル吸収能測定(ORAC)によって測定した。ABTSは、電子移動アッセイであり、ORACは、抗酸化メカニズムを実証する水素原子移動反応に基づいており、一方、ヒドロキシルラジカルアッセイは、その金属キレート機能を標的化することによって試料の抗酸化能を調べる。
【0047】
5. 焼菓子のin vitro消化
in vitro消化は、適応を伴うINFOGEST標準化in vitro消化プロトコル(Minekusら、2014)に従って実施した。Minekusら(2014)のプロトコルに従って消化液中のα-アミラーゼ、ペプシンおよびパンクレアチンの活性を測定し、一方、使用したα-グルコシダーゼ(AGH)およびスクラーゼの量は、Manners(1979)およびAuricchio、Dahlqvist、Semenza(1963)の報告から推定した計算値に基づいて決定した。表1に示す配合に基づいて、唾液模擬液(SSF)、胃液(SGF)および腸液(SIF)の電解液を調製した。
【0048】
【0049】
ABREPで強化したケーキ、クッキーおよびワッフルを、口腔内、胃内および腸内消化にかけて、腸相におけるグルコース放出およびAGH、スクラーゼおよびリパーゼの活性へのアントシアニンの効果を研究した。口腔相は、α-アミラーゼ12.5mgを含有するSSF電解液1000μLで開始した。0.3M CaCl2 6.25μLを用いてpHを7.0に調整した。この模擬唾液混合物を、ブレンドされた新鮮なケーキ750mgと2分間混合した。次に、1M HCL 80μLおよび0.3M CaCl2 1.25μLを加えて、混合物のpHを3.0に調整した。次に、SGF電解液2275μLとペプシン19.88mgを混合物に加えた。模擬胃内消化を、300rpmで一定に撹拌しながら37℃で2h実施した。蒸発を防ぐためにビーカーをパラフィルムで密閉した。最後に、0.3M CaCl2 10μL、NaOH 62.5μLおよび脱イオン水605μLを加えて、混合物のpHを7.0に調整した。次に、パンクレアチン10.34mg、スクラーゼ6.8mgおよびAGH 456.8μLを模擬腸液4000μLと共に加えた。胆汁酸塩(44.2mg)も加えて、脂肪消化を助けた。模擬腸内消化中、消化物試料400μLを、最初の30分間は、0、1、2、4、8、16、および30分後に取り出し、それから残りの腸相では15分毎に変更した。反応は、グルコース放出が横ばい状態になったときに、腸相の2~4hで停止した。
【0050】
6. HPLCを使用した消化物中の糖含有量の定量化
腸内消化中に抜き出した消化物試料を、8,000×gで10分間20℃において遠心分離して、沈降物を除去した。上清(300μl)のアリコートを、50%エタノール(v/v)450μlと混合した。混合物を、200rpmで15分間、オービタルシェーカーで振盪した。試料を再度、8,000×gで10分間20℃において遠心分離した。その後、15”hgで抽出マニホールド(Waters Corporation、MA、USA)と共にAgilent captive ND lipidカートリッジ(Agilent Technologies、CA、USA)を使用して固相抽出(SPE)を実施して、試料中のタンパク質および脂質を除去した。カートリッジをまずアセトニトリル3mLで下塗りしてから試料を通過させた。ろ液を回収し、0.45μM PTFEフィルターに通してろ過してからHPLC分析を行なった。
【0051】
消化物中の単糖類および二糖類を決定するために、試料をRID-HPLC分析にかけた。Shodex Asahipak NH2P-50-4E(4.6×250mm)カラム(Showa Denko K.K、Tokyo、日本)を、1.0mL/分、30℃でその溶離液として75%ACNおよび25%DI水のイソクラティック流で使用した。
【0052】
7. 分光測定法を使用した糖放出の定量化
あるいは、Megazyme(Wicklow、アイルランド)製のグルコースオキシダーゼとペルオキシダーゼ(GOPOD)キット(510nmで記録した吸光度値)またはグルコース-フルクトースアッセイキット(340nmで記録した吸光度値)を使用して、消化物試料のグルコース含有量を測定した。
【0053】
8. α-グルコシダーゼ(AGH)およびスクラーゼの阻害
AGHおよびスクラーゼ阻害アッセイを、Takacsら(2017)から採用した。方程式1を使用して、上記で調製されたケーキ試料に基づいて阻害を計算した。
【0054】
【0055】
9. リパーゼの阻害
リパーゼ阻害活性を以下のように調査した。第一に、in vitro消化中に回収した消化物試料2mLを、腸相の時間0に取り出し、等量の4-メチルウンベリフェリルオレエートと組み合わせた。次に、試料300μlを、in vitro消化の最初の30分間の0、1、2、4、8、16、30分の時点で取り出し、それから30分毎に取り出した。試料をクエン酸ナトリウム300μlと混合して、酵素反応を停止させた。
【0056】
阻害分析の間、リパーゼによって放出された4-メチルウムベリフェロンを、320nmの波長および450nmの発光波長で、蛍光マイクロプレートリーダー(BioTek Instruments.、VT.、USA)を使用して測定した。リパーゼ活性の阻害パーセントは、方程式1を使用して計算した。
【0057】
10. in vitro消化の速度
結果は、一次速度論に従ってモデル化して、ABREP強化ケーキの消化挙動を実証した。それは、方程式2に従ってモデル化した。
【0058】
【0059】
式中、P0、Pt、Pfは、それぞれ0、tおよび120分時における消化物中のグルコースまたはフルクトースの濃度(mg/mL)であり;kiは、min-1単位の消化速度であり、;tは、時間(分)である。方程式は、GraphPad prism(GraphPad Software、CA、USA)の線形最小二乗適合関数を使用してモデル化した。
【0060】
11. In vitroで予測された血糖症指数(pGI)
加水分解指数(HI)は、腸相(0~180分)のクッキー試料の曲線下面積を、標準食物(白パン)の曲線下面積で割ることによって導出した。次いで、焼菓子のGIは、方程式GI=0.549HI+39.71を使用することによって得た。
【0061】
結果:
ABREP強化ケーキの物理的および品質の特性決定
ABREP強化ケーキの物理的特性は、色を除いて対照と違いがなかった。したがって、これは、ABREP、穀物が、ケーキの物理的性質に干渉することなく、ケーキマトリックスに同化できることを実証している。同様の観察を、ABREP強化ワッフルおよびクッキーについても行なった。
【0062】
表2は、ABREP強化ケーキの物理的特性をさらに提供し、ABREP強化ケーキが、対照と比較して大きく異なる特性を示していないことを示す。
【0063】
【0064】
ABREP強化ケーキのin vitro消化中の糖放出
糖尿病は、高レベルの空腹時グルコースを特徴とし、グルコースが常に高レベルに保たれていると悪化する。グルコース調節が損なわれるのは、6.1mmol/Lより高い空腹時血漿グルコースの症状であり、非糖尿病状態ほど速く経口グルコース負荷を減少させることはできない。これは、高グルコースレベルの慢性的な曝露によるものであり、血管合併症も生じる可能性がある。
【0065】
この阻害アッセイは、人体で生じ得る阻害作用をより正確に表現するために、静的in vitroモデルで行なわれた。in vitro消化の間、4種類の糖:グルコース、フルクトース、スクロースおよびマルトースが検出された。スクロースは、ケーキの材料由来であり、スクラーゼによる消化後に分解してフルクトースおよびグルコースを形成する。マルトースは、デンプンの分解由来であり、そのグルコースサブユニットにさらに分解する。
【0066】
全ての試料は、グルコースおよびフルクトースの放出に関して同様の上昇傾向があった。グルコースの放出は、スクロースおよびデンプンの分解由来である。フルクトースの放出は、スクロースの分解由来である。
図1、2および3に示すように、対照ケーキは、ABREPで強化されたものよりも、グルコース、フルクトース、および全遊離糖の放出がより多かった。
【0067】
より具体的には、グルコース放出量は、ケーキを0.25%、0.50%、1.00%および2.00%ABREPで強化した場合、120分の腸内消化の終了時に36.27%、43.44%、49.49%および64.25%減少した。フルクトース放出量は、ケーキを0.25%、0.50%、1.00%および2.00%ABREPで強化した場合、120分の腸内消化の終了時に41.47%、48.05%、53.61%、および67.16%減少した。全糖放出量は、ケーキを0.25%、0.50%、1.00%および2.00%ABREPで強化した場合、120分の腸内消化の終了時に69.49%、72.92%、75.82%および82.88%減少した。
【0068】
したがって、糖放出の合計量は、ABREPの取り込みにより著しく減少した。同様の観察が、ABREP強化ワッフルおよびクッキーのin vitro消化についても見られた。ABREPを小麦粉重量の4%を添加した場合に、クッキーの予測されたGIが79.43から68.01に低下したことが観察された。
【0069】
in vitro消化の速度
消化プロファイルの数学的なモデル化により、消化速度間の定量的比較が可能になった。数学的モデル方程式2を使用して、kiは、min-1単位で表される回帰速度係数であり、消化速度を代表する。ki回帰速度係数値を、スクラーゼ作用に対するABREPの効果を定量化するために表3に示す。
【0070】
【0071】
表3では、上付きの小文字のアルファベットが異なる値は、統計的に有意である(p<0.05)。
【0072】
対照ケーキのki値が試料よりもはるかに高かったので、結果のゆがみを避けるために、統計的分析から取り除いた。表3から、消化速度は、対照(0.143min-1)がはるかに速く、0.25% ABREP(0.050min-1)で強化されたケーキでは大幅に低下し、0.50%(0.035min-1)、1.00%(0.034min-1)および2.00%(0.031min-1)ABREPで強化されたものではさらに低下したことがわかった。統計的分析に基づいて、0.50、1.00および2.00%ABREPケーキの消化の速度(ki)は、0.25%ABREPケーキより著しく遅かった。スクラーゼによるスクロースの消化速度は、対照ケーキと比較して2%ABREP強化で4.6分の1まで減少した。
【0073】
【0074】
表4では、上付きの小文字のアルファベットが異なる値は、統計的に有意である(p<0.05)。
【0075】
同様に、AGHに関する消化速度を表4に示す。1.00および2.00%ABREPケーキのAGH消化速度は、対照よりも著しく遅いが、0.25%および0.50%ABREPケーキは、消化速度が対照とより類似していた。AGHによるデンプンの消化速度は、2.00%ABREP強化で2.5分の1まで減少した。
【0076】
AGHおよびスクラーゼに対する阻害
アントシアニンの阻害について観察された傾向を説明するために混合阻害モデルを採用した。α値はメカニズムを実証し、αが1の場合、酵素の基質への結合は変化しない。αの値が1よりも大きい場合、阻害剤は、競合的阻害を実施でき、αの値が0により近い場合は、逆になる。Ki阻害値およびKm定数値は、酵素の基質への結合親和性を特徴付ける。小さいKi/Km値は、基質へのより大きい親和性を示し、一方大きいKi/Km値は、酵素の基質へのより低い親和性を示す。
【0077】
【0078】
表5では、上付きの小文字のアルファベットが異なる値は、カラム間で統計的に有意である(p<0.05)。
【0079】
ABREPケーキは、AGHおよびスクラーゼ反応の阻害に関して用量依存的な増加を示した(表5)。α値からわかるように、対照ケーキは、酵素の基質への結合に影響しなかったが、ABREP強化ケーキは、AGHおよびスクラーゼの両方の基質との競合的阻害を示した。対照は、ABREP強化試料と比較するとKm値が著しく低く、これは、0.00%ケーキがスクラーゼに対して結合親和性が高いが、ABREPケーキはスクラーゼに対するその阻害特性のために結合親和性が低かったことを実証する。
【0080】
【0081】
ABREPケーキは、AGH反応の阻害に関して用量依存的な増加を示した(表6)。ABREPケーキは、結合親和性に関して対照と有意差がなかった(すなわちα値)。対照ケーキと同様に、ABREPケーキはまた、AGHのデンプンへの結合の弱い変化を実証した。混合モデル阻害式から計算された阻害定数Kiは、対照が基質に対して阻害効果がなかったことを実証した。
【0082】
アカルボース阻害活性
アカルボースは、炭水化物酵素に対してその作用を実行する抗糖尿病薬である。出発用量は、1日3回25mgであるが、患者の血糖値に応じて、1日3回50~100mgに増加しなければならない。
【0083】
阻害効果の簡単な比較のために、ABREP強化ケーキの阻害効果を、ケーキ100g当たりのアカルボース当量値として表した(表7)。
【0084】
【0085】
表7では、上付きの小文字のアルファベットが異なる値は、異なる濃度グループ間で統計的に有意である(p<0.05)。
【0086】
消化速度への影響と同様に、ABREP強化ケーキは、AGHよりもスクラーゼを阻害することにより効果的であった。スクラーゼに対する阻害作用では、阻害値の明確な用量依存的な増加があった。しかしながら、異なるABREP濃度は、それらのAGH阻害値に有意差はなかった。これは、アカルボースがAGHの非常に強力な阻害剤なので(低いIC50値からわかるように)、アカルボース当量値として表された場合にABREP強化ケーキがAGHの弱い阻害剤であることが示されるためである可能性がある。
【0087】
リパーゼ阻害
リパーゼに対するオルリスタットのIC50は、23.07±3.52μg/mlであった。文献のオルリスタットIC50値は、0.057~0.3μg/mLの範囲である。しかしながら、これは実施した阻害アッセイおよび実験条件に大きく依存している。先行技術では純粋な膵臓リパーゼがin vitroアッセイで使用されたが、本発明の場合、リパーゼを含有するパンクレアチンは、ヒト消化を模倣するin vitroセットアップで使用した。異なる結果は、反応を試験するのに使用した異なる比色化合物によるものであり、一方では4-メチルウンベリフェリルオレエートを使用し、もう一方ではp-ニトロフェニルブチレートを使用した。オルリスタット阻害アッセイは、静的in vitro条件下で行なわれ、人体を模倣し、先行技術と比較して高いIC50値を得た。
【0088】
ABREP強化ケーキは、表8に示すとおり、リパーゼに対して用量依存的な阻害作用を実証した。オルリスタットは、肥満でありながら多くの慢性疾患を持つ患者に推奨される薬である。肥満は、他の合併症を招き、代謝症候群の症状を悪化させる可能性がある。オルリスタットの推奨用量は、120mgであり、腹痛、油性便および嘔吐のような副作用を生じ得る。前述の副作用に加えて、主な望ましくない副作用の1つは、脂溶性ビタミンの吸収の防止である。
【0089】
【0090】
表8では、上付きの小文字のアルファベットが異なる値は、異なる濃度グループ間で統計的に有意である(p<0.05)。
【0091】
このように、ABREP強化ケーキは、ビタミンの吸収に影響を与えることが示されているように、より少ない副作用でリパーゼを阻害するためのより良い方法であり得る。
【0092】
上記から、ABREPを添加すると、糖の消化および消化酵素の阻害の速度が低下することがわかる。スクラーゼによるスクロースの消化速度は、2%ABREP強化で4.6分の1まで減少させることができる。ABREPは、スクラーゼおよびリパーゼに対して阻害作用を実証した。リパーゼへの阻害効果は用量依存的であってよく、その場合、2%ABREP強化ケーキは、阻害値が0.25%ABREP強化よりも3.8倍高いこともある。したがって、ABREPケーキは、糖および脂質の消化を減少させる良い方法であり得る。
【0093】
抗酸化活性
ヒドロキシルラジカル消去アッセイに基づき、高いアスコルビン酸当量値は、ABREP強化ケーキは強力なヒドロキシルラジカル捕捉剤になり得ることを示し、結果は、用量依存的な増加を実証した(
図4)。ABTSおよびORAC試験に基づいて、同様の観察をABREP強化ワッフルおよびクッキーについて行なった。
【0094】
前述の説明が例示的な実施形態を説明したが、当業者は、本発明から逸脱することなく、多くの変形が可能であることを理解するであろう。
【0095】
参考文献
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Takacs, I., et al, Acta. Biol. Hung., 2017, 68(2):127-136;
Minekus, M., et al, Food & Function, 2014, 5(6):1113-1124;
Manners, Polysaccharides in food, 1979, 75-91; および
Auricchio, Dahlqvist, Semenza, Biochimica et biophysica acta, 1963, 73:582.
【国際調査報告】