(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-01
(54)【発明の名称】副鼻腔の粘液除去機能を有するデュアルボディー薬物投与装置
(51)【国際特許分類】
A61M 1/00 20060101AFI20230125BHJP
A61H 35/04 20060101ALI20230125BHJP
A61M 31/00 20060101ALI20230125BHJP
【FI】
A61M1/00 107
A61H35/04
A61M31/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022530826
(86)(22)【出願日】2020-11-25
(85)【翻訳文提出日】2022-05-25
(86)【国際出願番号】 KR2020016876
(87)【国際公開番号】W WO2021107616
(87)【国際公開日】2021-06-03
(31)【優先権主張番号】10-2019-0152049
(32)【優先日】2019-11-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2020-0109190
(32)【優先日】2020-08-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519463248
【氏名又は名称】フルケム リミテッド
【氏名又は名称原語表記】FLUCHEM LTD
【住所又は居所原語表記】3F-301,71,Noeundong-ro 240beon-gil,Yuseong-gu Daejeon 34078,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】キム、デ ファン
(72)【発明者】
【氏名】キム、スン シン
(72)【発明者】
【氏名】パク、ヤン オク
(72)【発明者】
【氏名】キム、ジョン ウク
【テーマコード(参考)】
4C066
4C077
4C094
【Fターム(参考)】
4C066AA06
4C066BB01
4C066CC01
4C066DD07
4C066EE14
4C066LL30
4C077AA17
4C077JJ05
4C094AA06
4C094EE17
4C094GG07
(57)【要約】
本発明は、副鼻腔疾患を予防又は治療するために、鼻孔を通して副鼻腔の粘液除去と薬物投与を行うデュアルボディー薬物投与装置に関し、より詳細には、アダプターの結合している2個の注入器を固定ホルダーによって一体に固定させ、固定された注入器の各アダプターを両鼻孔に同時に密着させた後、鼻腔に負圧を発生させて副鼻腔の粘液を取り出したり副鼻腔に薬物を投与したりする装置に関する。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鼻孔を通して鼻腔に薬物を注入するデュアルボディー薬物投与装置であって、
a)前端に形成された結合口(251a)に第1アダプター(40a)が結合し、内部に空間部(252a)が形成された第1注入器(20a)と、
b)前端に形成された結合口(251b)に第2アダプター(40b)が結合し、内部に空間部(252b)が形成された第2注入器(20b)と、
c)前記第1注入器及び第2注入器を装着し、前記第1アダプター(40a)の入出口(41a)の中心と第2アダプター(40b)の入出口(41b)の中心間の距離が0.5cm~10cmとなるように固定させる固定ホルダー(30)と、で構成されることを特徴とするデュアルボディー薬物投与装置。
【請求項2】
前記固定ホルダー(30)は、
第1注入器(20a)及び第2注入器(20b)が平行に装着されるように構成して使用者の両鼻孔に密着するか;或いは、
第1注入器(20a)及び第2注入器(20b)が前方よりも後方間隔が広いように鋭角で配置された傾斜形態で装着し、第1アダプター(40a)及び第2アダプター(40b)の入出口(41a,41b)の間隔を調節して使用者の両鼻孔に密着して閉口されるように構成されることを特徴とする、請求項1に記載のデュアルボディー薬物投与装置。
【請求項3】
前記固定ホルダー(30)は、
第1注入器及び第2注入器のボディーを内包するように覆うケース型、又は両側に第1注入器及び第2注入器を嵌めて固定させるクリップ型で提供することを特徴とする、請求項2に記載のデュアルボディー薬物投与装置。
【請求項4】
前記固定ホルダー(30)は、
第1注入器及び第2注入器をそれぞれ配置する配置溝(311)が形成されたホルダー本体(31)と、
前記ホルダー本体の配置溝を覆い、配置された第1注入器及び第2注入器を固定させるように把持するホルダー蓋(32)とからなるケース型で提供することを特徴とする、請求項3に記載のデュアルボディー薬物投与装置。
【請求項5】
前記固定ホルダー(30)は、
ホルダー本体(31)の両配置溝の間に間隔調節部をさらに形成し、前記配置溝間の間隔調節部(33a,33b)は分離構成して互いに重なるように配置し、前方側にはヒンジピン(34)によって分離された間隔調節部(33a,33b)が回動可能に連結され、後方側には、一側の間隔調節部(33a)面には内面に多数の止め突起(332a)が形成された弧形ガイド孔(332)が形成され、他側の間隔調節部(33b)面には固定孔(333)が形成され、間隔調節ピン(39)で弧形ガイド孔と固定孔とを挿通して連結させ、両間隔調節部(33a,33b)の左右回動によって両配置溝の間の角度を調節した後、間隔調節ピン(39)を締め付けて固定させるようにしたことを特徴をする、請求項4に記載のデュアルボディー薬物投与装置。
【請求項6】
前記固定ホルダー(30)は、
第1注入器及び第2注入器をそれぞれ配置する配置溝(351)が形成されたクリップ本体(35)と、
前記クリップ本体の軸方向の両端部から両側にそれぞれ突出しており、第1注入器及び第2注入器の前端側と後端側をそれぞれ把持して側面に離脱することを防止するクリップ部(36a,36b)とで構成されることを特徴とする、請求項3に記載のデュアルボディー薬物投与装置。
【請求項7】
前記固定ホルダー(30)は、
前記クリップ本体(35)の前端のクリップ部(36a)に、配置溝の中心軸方向に突出しており、配置される第1注入器及び第2注入器の前端部分が止められて押し出されることを防止する止め突部(37)が形成され、
前記クリップ本体(35)の後端のクリップ部(36b)には、装着された第1注入器及び第2注入器のそれぞれの後端に形成された取っ手部が内入されて嵌められるように、配置溝の中心軸と直交する方向に嵌め溝(38)がさらに形成されることを特徴とする、請求項6に記載のデュアルボディー薬物投与装置。
【請求項8】
前記嵌め溝(38)の深さは、
配置溝の面から内側により深く形成し、配置溝に配置されている注入器の突出した取っ手部が引っかかることなく軸回転可能にしたことを特徴とする、請求項7に記載のデュアルボディー薬物投与装置。
【請求項9】
前記クリップ本体(35)は、
前方本体(35a)と後方本体(35b)とに分離されて長さ調節可能に構成されることを特徴とする、請求項7に記載のデュアルボディー薬物投与装置。
【請求項10】
前記前方本体(35a)は、
後端から前方側に長さ調節溝(351)が形成され、前記長さ調節溝と直交する側面方向に結合孔(353)が形成され、結合ピン(355)が挿通するように結合し;
前記後方本体(35b)は、前端から前方側に前記長さ調節溝(351)の断面と対応する断面を有する長さ調節竿(352)が突出して長さ調節溝(351)に内入され、長さ調節竿の内側には側面方向に貫通しており、前後方向に長く形成された結合長孔(354)が形成され、結合ピン(355)が挿通するように構成され、結合長孔(354)内への結合ピン(355)の結合位置によって長さ調節がなされるようにしたことを特徴とする、請求項9に記載のデュアルボディー薬物投与装置。
【請求項11】
前記第1注入器又は第2注入器の押し棒の前後移動によって鼻腔内に負圧を形成し、副鼻腔内の粘液を排出させるか或いは副鼻腔に薬物が注入されるようにしたことを特徴とする、請求項1に記載のデュアルボディー薬物投与装置。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項によるデュアルボディー薬物投与装置に含まれる装置でであり、2個の注入器を装着して固定させる固定ホルダー。
【請求項13】
請求項1~11のいずれか一項によるデュアルボディー薬物投与装置に含まれる装置であり、アダプターの入出口の端部面に側面方向に流通溝411を形成し、アダプターの内外部を連通させたことを特徴とするアダプター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、副鼻腔疾患を治療するために鼻孔を通して副鼻腔の粘液除去と薬物投与を行うデュアルボディー薬物投与装置に関し、より詳細には、アダプターを結合させた2個の注入器を固定ホルダーによって一体に固定し、固定された2個の注入器は、アダプターの間隔を調節して使用者の両鼻孔にそれぞれ密着させた後、鼻腔に負圧を発生させ、副鼻腔の粘液を取り出す又は副鼻腔に薬物を投与する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
副鼻腔は、頭蓋骨の内部、額の裏、鼻腔の骨、頬及び目の裏側に空気が満たされている空間である。空気がいっぱいに満たされて発話を助ける。小さな穴を通じて4つの洞が鼻腔に連結される。
【0003】
副鼻腔は、人が健康な時には繊毛の作用によって粘液を自由に排出させ、内部を清潔に保持する。前記粘液は薄くて水分の多い液体であり、副鼻腔から鼻の上側に自由に流れ出て、鼻の入口と喉の裏側に排出される。粘液が排出されることにより鼻はしっとりと維持され、ホコリ、バクテリア及びその他細菌が洗い落される。
【0004】
しかしながら、副鼻腔に炎症ができると、粘液が厚くて粘りつくため、鼻につながる小口(ostia)を通じて流れることが不可能になる。副鼻腔に体液が積もって圧力と痛みを誘発し、副鼻腔炎につながる。本質的に、副鼻腔炎の定義は、副鼻腔感染と同一である。
【0005】
副鼻腔の空気袋が塞がると、ウイルス、バクテリア又はかびのような細菌が繁殖する。風邪や流行性感冒のように上気道呼吸器感染や、アレルギー又は詰まりによって粘液の自然な排出が遮断されると、停滞した粘液は、バクテリアが育ち、炎症が発生し得る完壁な場所となる。厚い、黄色である或いは変色した粘液は、このような感染の典型的な例である。
【0006】
前記感染によって発生した副鼻腔炎には、急性及び慢性の2つの主要形態がある。急性副鼻腔感染は、10日から8週まで持続し、慢性副鼻腔感染は、急性副鼻腔感染に比べてより長期間感染が持続する。
【0007】
慢性副鼻腔感染は一度かかると数ヶ月も持続することがあり、代表的にかび感染が長く持続する。急性副鼻腔炎は、顔面疼痛及び圧力を誘発する一般的な問題を有し、副鼻腔上の皮膚発赤、鼻詰まり、後鼻漏、熱及び頭痛も発生することがある。
【0008】
副鼻腔炎にかかると、抗生剤、鼻充血除去剤、抗ヒスタミン剤、鼻コルチコステロイド剤、鼻腔食塩水洗浄などの様々な方法と薬で治療をする。急性副鼻腔炎は、通常、抗生剤と抗うつ剤で治療する。慢性副鼻腔炎の推奨される治療法には、休息をとることと、粘液を細くするために十分の水を飲むことがある。抗生剤治療は、約8~12週以上の長い期間を投与してこそ効果が現れ、長期投与による副作用を誘発する可能性が高いため、殆ど推奨されていない。また、持続して抗生剤と抗ヒスタミン剤などを服用しても副鼻腔炎が3ケ月以上持続する場合には、最後の手段として手術が推奨される。
【0009】
現在、最も一般に行われている手術は、機能的内視鏡副鼻腔手術(FESS)である。FESSの目標は、上顎洞及び前頭洞の開口部を広め、直接見ながら篩骨峰巣を除去して篩骨洞領域を開放することによって副鼻腔の排液を改善する方法である。
【0010】
しかしながら、FESS自体か炎症を起こしやすくするため、手術後線維症、狭窄、及び/又はポリープ症が誘発されることがあり、そのため、新しく開放された副鼻腔がしばしば閉塞してしまい、開口部を矯正する及び開放された領域を保持する再手術が必要なことがある。
【0011】
上記のように副鼻腔手術は危険性を有するため、たいてい、手術しないで薬で治療することが奨励している。
【0012】
前記副鼻腔炎は鼻腔及び副鼻腔に局所的に発生するので、全身的な薬を投与するよりは、炎症発生部位に局所的に薬剤を投与する方が、より効果的であり得る。特に、局所薬物伝達は炎症部位で薬物が直接作用するので、全身副作用を避けることができ、標的部位においてより高い濃度を使用できるという利点がある。
【0013】
前記副鼻腔炎を治療するための局所的薬剤投与は、非洗浄機構、スプレーポンプ機構、点鼻液機構及び煙霧機構などのように様々な方式の装置及び方法が提示されている。
【0014】
Snidvongs(Am J Rhinol.2008 Sep-Oct;22(5):483-6)などの実験によれば、炎症の発生した患者の副鼻腔中に薬物が入る量は極めて少ない。これが、副鼻腔治療薬物が効果を示せない大きな理由である。
【0015】
韓国登録特許第10-1947403号(登録日2019.02.07.;以下、「先行文献1」という。)は、鼻腔及び副鼻腔の薬物投与装置及び方法を提示した。先行文献1は、薬物貯蔵容器の注入口に体積が可変するアダプターを装着し、アダプターの加圧及び解除によってアダプターの内部体積を変化させ、体積変化量の伝達によって鼻孔内部空間に圧力変化が発生し、鼻腔及び副鼻腔の洗浄と薬物投与がなされるようにしたものである。しかしながら、先行文献1は、薬物を副鼻腔に注入することにおいては効果的であるが、副鼻腔内の分泌物を除去するには適合していない。
【0016】
韓国登録特許第10-1627610号(登録日2016.05.31.;以下、「先行文献2」という。)は、鼻腔洗浄器を提示している。先行文献2は、単一の胴体部に2個のノズル部を具備し、両鼻孔に同時に食塩水を噴射して洗浄するようにしたものである。しかしながら、これは、圧力変化による副鼻腔までの洗浄が難しく、ノズル部が2個で形成されるものの、いずれも同じ作用をしているため、各ノズルが異なる機能、例えば、一方は薬物注入、他方は分泌物吸収などのような異なる機能を提供し難い。
【0017】
日本公開特許平9-253208号(公開日1997.09.30.;以下、「先行文献3」という。)は、鼻腔用投薬器を提示した。先行文献3は、単一の胴体に2個の噴霧口が形成された形態であり、先行文献2と類似の構造を有する。これも同様に、両側の鼻孔に均一の薬物噴射は可能であるが、負圧を用いた副鼻腔内の分泌物の吸入除去には適合していない。
【0018】
以上のように、副鼻腔炎の治療を効果的に達成するためには、薬物を処理する前に、副鼻腔に入っている粘液をまず取り出す工程を行う必要がある。しかしながら、未だ手術以外には副鼻腔中の粘液を取り出し難く、副鼻腔のうち上顎洞は高い位置に排出穴があり、分泌物の重力排出もよくできないため、感染しやすく、感染要因の除去も非常に難しい。
【0019】
すなわち、副鼻腔炎を治療するためには副鼻腔中の粘液を除去することが重要であるが、高コストの手術方法以外は副鼻腔中の粘液除去方法がない現状である。
【0020】
したがって、手術方法以外に、安価な治療費用で効果的に副鼻腔中の粘液を取り出し得る技術に関する関心と必要性が益々増加している傾向にある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0021】
【特許文献1】大韓民国登録特許第10-1947403号
【特許文献2】大韓民国登録特許第10-1627610号
【特許文献3】日本公開特許 特開平9-253208号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
上記のように、従来の副鼻腔内粘液除去の必要性を解決するための本発明の副鼻腔の粘液除去機能を有するデュアルボディー薬物投与装置は、
【0023】
アダプターを備えた2個の注入器を両鼻孔に密着するように使用するが、頭を側面に傾けた時に、2個の注入器を上下に配置して鼻腔を密閉させ、軟口蓋を上げて鼻腔呼吸を遮断した状態で注入器の押し棒を引っ張って鼻腔に負圧を形成し、負圧の形成によって上部副鼻腔の分泌物が上部鼻腔に排出されるようにするか、或いは下部鼻腔の薬物が負圧の解消によって下部副鼻腔に注入されるようにする過程を行い、下部副鼻腔への薬物注入過程で上部鼻腔に流入した分泌物も直ちに除去できるなど、薬物の注入と分泌物の吸入除去を同時に、又は分泌物の除去と薬物の注入を個別に行うことができる。
【0024】
特に、本発明は、固定ホルダーを用いて従来の単一鼻腔洗浄装置2個を一体に連結するとともに、薬物の注入と分泌物の吸入を行うアダプター部分の間隔を調節しやすく構成することにより、使用者の鼻孔への密着性を高め、副鼻腔粘液除去又は薬物投与の効率性を向上させることができる装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0025】
上記課題を解消するための本発明の副鼻腔の粘液除去機能を有するデュアルボディー薬物投与装置は、
【0026】
鼻孔を通して鼻腔に薬物を注入するデュアルボディー薬物投与装置であって、a)前端に形成された結合口に第1アダプターが結合し、内部には空間部が形成された第1注入器と;b)前端に形成された結合口に第2アダプターが結合し、内部には空間部が形成された第2注入器と;c)前記第1注入器及び第2注入器を装着し、前記第1アダプターの入出口の中心と第2アダプターの入出口の中心間の距離が0.5cm~10cmとなるように固定させる固定ホルダーと;で構成される。
【0027】
また、前記固定ホルダーは、第1注入器及び第2注入器が平行に装着されるように構成して使用者の両鼻孔に密着するか;第1注入器及び第2注入器が前方よりも後方の間隔が広いように鋭角で配置された傾斜形態で装着し、第1アダプター及び第2アダプターの入出口の間隔を調節して使用者の両鼻孔に密着して閉口されるように構成されてよい。
【0028】
また、前記固定ホルダーは、第1注入器及び第2注入器のボディーを内包するように覆うケース型、又は両側に第1注入器及び第2注入器を嵌めて固定させるクリップ型で提供されてよい。
【0029】
また、前記固定ホルダーは、第1注入器及び第2注入器をそれぞれ配置する配置溝が形成されたホルダー本体と;前記ホルダー本体の配置溝を覆い、配置された第1注入器及び第2注入器を固定させるように把持するホルダー蓋と;からなるケース型で提供されてよい。
【0030】
このとき、前記固定ホルダーは、ホルダー本体の両配置溝の間に間隔調節部をさらに形成し、前記配置溝間の間隔調節部を分離構成し、前方側にはヒンジピンによって分離された間隔調節部が回動可能に連結され、後方側には、一側の間隔調節部面には内面に複数の止め突起が形成された弧形ガイド孔が形成され、他側の間隔調節部面には、上部に突出した係合竿が形成され、係合竿を弧形ガイド孔に内入されるように重なった後、左右回動によって両配置溝の間の角度調節がなされるようにしてよい。
【0031】
なお、前記固定ホルダーは、第1注入器及び第2注入器をそれぞれ配置する配置溝が形成されたクリップ本体と;前記クリップ本体の軸方向の両端部から両側にそれぞれ突出しており、第1注入器及び第2注入器の前端側と後端側をそれぞれ把持して側面に離脱することを防止するクリップ部と;で構成されてよい。
【0032】
また、前記固定ホルダーは、前記クリップ本体前端のクリップ部には、配置溝の中心軸方向に突出しており、配置される第1注入器及び第2注入器の前端部分が止められて押し出されることを防止する止め突部が形成され;前記クリップ本体の後端のクリップ部には、装着された第1注入器及び第2注入器のそれぞれの後端に形成された取っ手部が内入して嵌められるように、配置溝の中心軸と直交する方向に嵌め溝;がさらに形成される。
【0033】
このとき、前記嵌め溝の深さは、配置溝の面から内側により深く形成し、配置溝に配置されている注入器の突出した取っ手部が引っかかることなく軸回転移可能にしてよい。
【0034】
また、前記クリップ本体は、前方本体と後方本体とに分離して長さ調節可能に構成されてよい。
【0035】
前記前方本体は、後端から前方側に長さ調節溝が形成され、前記長さ調節溝と直交する側面方向に結合孔が形成され、結合ピンが挿通するように結合し;前記後方本体は、前端から前方側に前記長さ調節溝の断面と対応する断面を有する長さ調節竿が突出して長さ調節溝に内入され、長さ調節竿の内側には、側面方向に貫通しており、前後方向に長く形成された結合長孔が形成され、結合ピンが挿通するように構成し、結合ピンが結合長孔内への結合位置によって長さ調節がなされるようにしてよい。
【0036】
また、前記第1注入器又は第2注入器の前後移動によって鼻腔内負圧を形成し、副鼻腔内の粘液を排出させたり副鼻腔に薬物が注入されたりようにすることができる。
【0037】
また、デュアルボディー薬物投与装置に含まれる装置であって、固定ホルダーには2個の注入器を装着して固定させることができる。
【0038】
また、デュアルボディー薬物投与装置に含まれる装置であって、鼻腔内部の負圧生成と鼻腔内部物質の排出が容易となるように、アダプターの入出口の端部面に側面方向に流通溝を形成し、アダプターの内外部を連通させることができる。
【発明の効果】
【0039】
上記の解決手段による本発明の副鼻腔の粘液除去機能を有するデュアルボディー薬物投与装置は、
【0040】
2個の注入器を具備し、これらを固定する固定ホルダーで連結させて一体化し、使用者の両鼻孔を同時に塞いで2個の鼻腔内部を密閉させ、いずれか一方の注入器のピストン押し棒を前後移動させて鼻腔内部の圧力を変化させ、圧力変化によって副鼻腔から鼻腔に排出された分泌物を注入器を通して吸入排出させる。また、鼻腔に薬物を注入した状態で鼻腔圧力を変化させると、圧力変化によって鼻腔の薬物が副鼻腔中に容易に入ることが可能になる。これは、鼻腔に注入した薬物を副鼻腔内に移動させ、薬物効果を極大化させることができる。
【0041】
また、固定ホルダーを介して2個の注入器を一体に固定させ、注入器前端の注入口又は吸入口間の間隔を使用者の鼻孔間隔に合わせて調節可能に構成することにより、鼻孔内部の鼻腔の閉口を容易にさせることができる。
【0042】
また、鼻腔の閉口と同時に一側の鼻腔に圧力変化による分泌物除去又は薬物注入がなされるようにする、或いは両側鼻腔に圧力変化による分泌物除去と薬物注入が同時になされるようにするなど、使用上の便宜性を向上させることができる。
【0043】
また、鼻腔を通して副鼻腔に薬物を注入するので、風邪、流行性感冒、鼻炎などの様々な呼吸器感染によって鼻腔及び副鼻腔に発生する疾患を予防及び治療し、症状を短時間で効果的に緩和又は消滅する効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【
図1A】本発明の好ましい実施例に係るデュアルボディー薬物投与装置を示す斜視図及び水平断面図である。
【
図1B】本発明の好ましい実施例に係るデュアルボディー薬物投与装置を示す斜視図及び水平断面図である。
【
図2A】本発明の実施例に係る分離型アダプターを示す断面図である。
【
図2B】アダプターの入出口の前端にV状流通溝が形成されたアダプターを示す断面図である。
【
図2C】本発明の他の形態のアダプターを示す断面図である。
【
図3A】本発明の固定ホルダーの様々な形態を示す垂直断面図である。
【
図3B】本発明の固定ホルダーの様々な形態を示す垂直断面図である。
【
図3C】本発明の固定ホルダーの様々な形態を示す垂直断面図である。
【
図4A】本発明の実施例に係る間隔調節部が形成された固定ホルダーを示す平面図である。
【
図4B】本発明の実施例に係る間隔調節部が形成された固定ホルダーを示す平面図である。
【
図5A】本発明の実施例に係る可変型間隔調節部を有する固定ホルダーを示す底面図及び分離斜視図である。
【
図5B】本発明の実施例に係る可変型間隔調節部を有する固定ホルダーを示す底面図及び分離斜視図である。
【
図5C】本発明の実施例に係る可変型間隔調節部を有する固定ホルダーを示す底面図及び分離斜視図である。
【
図5D】本発明の実施例に係る可変型間隔調節部を有する固定ホルダーを示す底面図及び分離斜視図である。
【
図6A】本発明の他の実施例に係るクリップ型固定ホルダーを示す斜視図及び概略図である。
【
図6B】本発明の他の実施例に係るクリップ型固定ホルダーを示す斜視図及び概略図である。
【
図6C】本発明の他の実施例に係るクリップ型固定ホルダーを示す斜視図及び概略図である。
【
図6D】本発明の他の実施例に係るクリップ型固定ホルダーを示す斜視図及び概略図である。
【
図6E】本発明の他の実施例に係るクリップ型固定ホルダーの後方側の部分断面図である。
【
図6F】
図6DのB-B線断面図であり、嵌め溝により注入器取っ手部が自由に回転することを示す概略図である。
【
図6G】本発明の実施例によって注入器の回転によって注入器前端の結合口の位置変化を示す概略図である。
【
図7A】本発明のさらに他の実施例に係る長さ調節溝と長さ調節竿が形成されたクリップ本体を示す平面図及び要部断面図である。
【
図7B】本発明のさらに他の実施例に係る長さ調節溝と長さ調節竿が形成されたクリップ本体を示す平面図及び要部断面図である。
【
図7C】本発明のさらに他の実施例に係る長さ調節溝と長さ調節竿が形成されたクリップ本体を示す平面図及び要部断面図である。
【
図8A】本発明のデュアルボディー薬物投与装置の使用過程を示す概略図である。
【
図8B】本発明のデュアルボディー薬物投与装置の使用過程を示す概略図である。
【
図8C】本発明のデュアルボディー薬物投与装置の使用過程を示す概略図である。
【
図8D】本発明のデュアルボディー薬物投与装置の使用過程を示す概略図である。
【
図8E】本発明のデュアルボディー薬物投与装置の使用過程を示す概略図である。
【
図8F】本発明のデュアルボディー薬物投与装置の使用過程を示す概略図である。
【
図8G】本発明のデュアルボディー薬物投与装置の使用過程を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
以下、添付の図面を参照して、本発明の実施例について詳しく説明する。本発明は、様々な変更を加えることができ、様々な形態を有することができるところ、特定の実施例を図面に例示し、本文で本発明を詳細に説明する。ただし、これは、本発明を特定の開示形態に対して限定しようとするものではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれるあらゆる変更、均等物又は代替物を含むものと理解すべきである。各図面を説明する上で、類似の参照符号を類似の構成要素に使用する。添付の図面において、構造物の寸法は、本発明の明確性を期するために実際よりも拡大又は縮小して示すことがある。
【0046】
本出願で使われる用語は、単に特定の実施例を説明するためのもので、本発明を限定しようとする意図ではない。単数の表現は、文中で明白に断りのない限り、複数の表現も含む。本出願において、「含む」、「備える」又は「有する」などの用語は、明細書上に記載された特徴、数字、段階、動作、構成要素又はこれらを組み合わせたものが存在することを指定しようとするものであり、1つ又はそれ以上の他の特徴、数字、段階、動作、構成要素又はこれらを組み合わせたものの存在又は付加の可能性をあらかじめ排除しないものと理解すべきである。
【0047】
特に定義されない限り、技術的又は科学的な用語を含めてここで使われる全ての用語は、本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者に通常理解されるのと同じ意味を有する。一般に使用され、辞書に定義されているような用語は、関連技術の文中における意味と一致する意味を有するものと解釈しなければならず、本出願で明白に定義しない限り、理想的な又は過度に形式的な意味で解釈されない。
【0048】
図1A及び
図1Bは、本発明の好ましい実施例に係るデュアルボディー薬物投与装置を示す斜視図及び水平断面図である。
【0049】
同図に示すように、本発明に係るデュアルボディー薬物投与装置10は、第1注入器20a及び第2注入器20bからなる2個の注入器20を含んで構成される。
【0050】
前記第1注入器20a及び第2注入器20bは、内部に空間部252a,252bが形成されたボディー25,25a,25bと、
【0051】
前記ボディーの空間部に内入されて軸方向に移動するピストン押し棒26,26a,26bと、で構成された注射器形態であり、ボディーの前方には結合口251a,251bが突出しており、結合口に第1アダプター40a及び第2アダプター40bがそれぞれ結合する。
【0052】
このような構造で、前記ピストン押し棒26,26a,26bを軸方向である前後方向に移動させると、結合口251a,251bとピストン押し棒26,26a,26bとの間の空間部体積が縮小又は拡大される。
【0053】
前記空間部252a,252bに薬物が貯蔵されると、薬物が前方に吐き出させ、空いた空間であると、鼻腔内の空気を吸入して鼻腔の内部に負圧を形成させるか、或いは鼻腔内の分泌物を吸入して除去することができる。
【0054】
前記第1注入器20a及び第2注入器20bは、5ml~50ml体積のプラスチック、ガラス又は金属材の材質で形成されてよい。
【0055】
前記第1アダプター40a及び第2アダプター40bは、前方に入出口41,41a,41bが形成され、後方は、第1注入器及び第2注入器のボディー25,25a,25bに形成された結合口251a,251bに結合する。
【0056】
また、第1アダプター40a及び第2アダプター40bは、前方側が、鼻孔に密着し且つ一部が内入するように突出しており、後方側は広いハート状、半球状、円錐又は円錐台の形態、三角形又は多角形の容器に前方端部側の一部を円錐又は円錐台状に形成した形態、多角形容器に前方端部側の一部を円錐又は円錐台状にして傾斜面を有するようにするが、傾斜面を凸状に又は凹条にした形態、のいずれか一形態に形成することにより、鼻孔に密着して密閉されるようにする。前記アダプターの入出口41,41a,41bは、円形、角形又は異形であってよい。
【0057】
また、前記アダプターは、
図2Aに示すように、アダプター40を分離形態で構成し、内部洗浄を容易にさせることができる。すなわち、アダプターは、入出口41が形成された前方アダプター部42と、注入器の結合口に結合する後方アダプター部43とに区分し、前記前方アダプター部と後方アダプター部は、螺合又は嵌合などの様々な結合方式によって脱着可能に結合する構造で提供されてよい。
【0058】
また、前記アダプターは、
図2Bに示すように、アダプターの入出口41の前方端部面にV状流通溝411がさらに形成されてよい。前記流通溝411は、アダプターを鼻腔内に密着させた時にアダプターの入出口端部が鼻腔内壁に接して塞がることを防止し、アダプター内外部への物質の流通を良くしたものである。すなわち、入出口41の端部が鼻腔内壁に閉口しても、入出口面に形成された流通溝411によって側面が開放されることにより、内外部の物質の流通がなされ、負圧を形成させることができる。
【0059】
前記流通溝411は、同図のV状の他にもU状半円形などの様々な形態で形成されてもよい。また、流通溝は、アダプター入出口の端面に1個又は複数個形されてよい。
【0060】
このように、鼻孔を密閉させると、第1注入器20a又は第2注入器20bのピストン押し棒26の作用によって、密閉した鼻腔内に薬物を注入するか或いは鼻腔内の空気を吸入して鼻腔内を負圧にすることが可能である。
【0061】
前記第1アダプター40a及び第2アダプター40bは、プラスチック、シリコン、ゴム、又は弾性材質のプラスチックのいずれか一つの材質で製造され、鼻孔外面との密着性を上げて密閉力を向上させることができる。
【0062】
前記アダプター40,40a,40bは注入器20,20a,20bから着脱可能な形態であるとしたが、その他に、アダプターと注入器が一体に形成された形態で提供されてもよい。
【0063】
次に、前記第1注入器20aと第2注入器20bは、固定ホルダー30によって一体に構成されてよい。
【0064】
また、
図2Cに示すように、前記アダプター40cは、内部に収容空間無しで移動流路44のみが形成され、入出口41cから、後方に結合する注入器に直接連通するように構成されてもよい。すなわち、既存のアダプターは、内部に収容空間が形成されており、一部の分泌物又は薬物が臨時に収容されることが可能であったが、本形態では、単純に移動流路のみが形成されており、分泌物又は薬物が鼻腔から注入器に或いは注入器から鼻腔へと直接移動可能にすることができる。このとき、アダプター40cは外側部分が帽子のつば状に拡張構成され、使用者の鼻孔への密着時に鼻孔の密閉を可能にすることが好ましい。
【0065】
図3Aに示すように、本発明の固定ホルダー30は、第1注入器20aと第2注入器20bをそれぞれ配置させる配置溝311が形成されたホルダー本体31と、前記ホルダー本体の側面から延長形成され、回動によって配置溝に配置された第1注入器及び第2注入器の上部を覆うホルダー蓋32とで構成される。ここで、ホルダー蓋32の外側端は、回動によってホルダー本体の両配置溝の間の部分に結合して固定される。
【0066】
前記ホルダー本体31とホルダー蓋32の結合手段としては、係止突起と係合溝、ボタン、ベルクロ(登録商標)テープ、磁石など、公知の様々な結合手段が適用されてよい。
【0067】
また、ホルダー本体31とホルダー蓋32の構造も、
図3Aに示すように、ホルダー本体31の両側面にそれぞれ一つの注入器を覆い得るホルダー蓋32を延長形成する形態で提供するか、或いは、
図3Bに示すように、ホルダー本体31の一側に2個の注入器を覆い得るホルダー蓋32を延長形成する形態で提供してもよく、
図3Cのように、ホルダー本体31とホルダー蓋32が完全分離しており、着脱される形態で提供されてもよい。
【0068】
前記固定ホルダー30は、第1注入器と第2注入器の外面の一部を覆うものであり、固定ホルダーは第1注入器と第2注入器とを一体に結合させる。
【0069】
また、前記固定ホルダー30のホルダー本体31の配置溝の内面と、ホルダー蓋32の内面には、配置された注入器が軸方向に移動することを制限するために摩擦力を提供するコーティング層がさらに提供されてよい。前記コーティング層は、ゴムのようなすべり防止機能を有する素材で形成することが好ましい。また、注入器と同じ長さの固定ホルダー30では、ホルダーの両端に止め突部を形成し、注入器の軸方向移動を制限してよい。
【0070】
また、固定ホルダー30によって固定された第1注入器及び第2注入器の第1アダプター40a及び第2アダプター40bの各入出口41a,41bの中心間の距離は、0.5~10cmの範囲にし、使用者の両鼻孔への挿入を容易にすることが好ましい。
【0071】
前記固定ホルダー30は、プラスチック、シリコン、ゴム、又は金属材のいずれか一つの材質で製造され、第1注入器20a及び第2注入器20bに装着された第1アダプター40a及び第2アダプター40bの入出口41a,41bの間隔が維持されるように、各注入器を平行に或いは内角が鋭角となるように傾斜して形成することができる。
【0072】
このような固定ホルダー30は、第1注入器及び第2注入器を装着した状態でピストン押し棒を押したり引いたりしたとき、第1注入器又は第2注入器が固定ホルダーから離脱することを防止するための固定構造を有する。
【0073】
例えば、図示のように、ケース型で固定ホルダー30を提供し、ホルダー本体に第1注入器及び第2注入器を配置した後、ホルダー蓋で覆って結合させるが、固定ホルダーの前端と後端が第1注入器と第2注入器のボディー25,25a,25bの前端と後端に掛け止められる構造で提供される他にも、ボックス型の固定ホルダーとし、ボックス型本体に第1注入器と第2注入器を軸方向に嵌めて固定させる構造で提供されるか、
図6A~
図6Dに示すように、クリップ型の固定ホルダーとし、クリップによって結合する構造で提供されてもよく、これらの構造を組み合わせた構造で提供されてもよいなど、固定ホルダー内において第1注入器と第2注入器が止められるか又は嵌められて固定されて移動を制限する様々な構造が提供されてよい。
【0074】
図4A及び
図4Bに示すように、ホルダー本体31には、両配置溝の間に間隔調節部33をさらに設け、配置溝311間の間隔を一定幅離隔させることができる。このような間隔調節部33は、長方形にして、両配置溝が形成する軸間隔を互いに平行にするか、或いは、間隔調節部を台形にして、配置溝の2軸が一定角度の内角で交差するように形成してもよい。このとき、軸角である内角は鋭角にし、好ましくは5~45°の角度にすることにより、第1注入器及び第2注入器の後端側であるピストン押し棒側の間隔が過度に離れて操作が不便になることを防止する。
【0075】
図5A及び
図5Bは、固定ホルダーの底面図であり、
図5Cは、分解斜視図である。図示のように、前記固定ホルダー30は、間隔調節部33,33a,33bを分離構成し、軸角度が可変するように構成できる。
【0076】
図示のように、固定ホルダーは第1固定ホルダー30aと第2固定ホルダー30bとに分離構成し、それぞれに配置溝を形成させ、第1固定ホルダー30aと第2固定ホルダー30bには、対向する側面に延長された間隔調節部33a,33bがそれぞれ形成されるが、第1固定ホルダーと第2固定ホルダーに形成された間隔調節部を異なる形態にする。
【0077】
例えば、第1固定ホルダー30aの間隔調節部33aは、前方には狭い幅で延長され、後方には広い幅で延長され、延長された間隔調節部の内側面のうち、前方側にはヒンジピン34が挿設されるヒンジ孔331aが形成され、後方側には、ヒンジ孔を回転中心とし、弧状に長く通孔した弧形ガイド孔332が形成され、間隔調節ピン39が挿通するようにする。
【0078】
また、第2固定ホルダー30bの間隔調節部33bは、前方及び後方とも狭い幅で延長され、延長された間隔調節部の前方及び後方には、それぞれヒンジピン34及び間隔調節ピン39が内入するヒンジ孔331b及び固定孔333が形成される。したがって、間隔調節後に弧形ガイド孔332と固定孔333を挿通して設置された間隔調節ピン39を締め付けて固定できるようにする。
【0079】
このような構成を有する第1固定ホルダー30a及び第2固定ホルダー30bは、延長された間隔調節部33a,33bを重なるようにするが、それぞれのヒンジ孔331を同一垂直軸上に配置し、ヒンジピン34によって回動可能に一体に結合させ、第2固定ホルダーの固定孔333と第1固定ホルダーの弧形ガイド孔332は、間隔調節ピン39を挿通させることにより、ヒンジピン34を中心に間隔調節ピン39が弧形ガイド孔332内で回動しながら、第1固定ホルダーと第2固定ホルダーの配置溝が形成される中心軸間の角度が可変し、第1アダプター40a及び第2アダプター40bの入出口41a,41bの間隔が調節されるようにすることが可能である。
【0080】
ここで、前記間隔調節部は、固定ホルダーの底面に形成し、回動によって互いに重なり得るようにすることが好ましい。
【0081】
なお、
図5Dに示すように、前記弧形ガイド孔332の内面には複数個の止め突起332aを形成し、間隔調節ピン39が弧形ガイド孔内で多段に止められて位置固定されるようにすることができる。
【0082】
このように第1固定ホルダー30aと第2固定ホルダー30bとの間の角度が調節されると、人ごとに異なる両鼻孔間の間隔に応じてアダプター間の間隔を調節し、鼻孔密閉性を向上させることができる。
【0083】
また、第1注入器20a又は第2注入器20bの結合口251a,251bが、注入器の軸中心ではなく一側に偏向している場合に、固定ホルダーに結合した状態で注入器のボディーを回転させて注入器間結合口の間隔を調節し、第1アダプター40a及び第2アダプター40bの入出口41a,41bの間隔を調節することができる。
【0084】
図6A~
図6Dは、本発明の一実施例に係るクリップ型固定ホルダーを示す図である。
【0085】
同図を参照すると、前記固定ホルダー30は、第1注入器及び第2注入器をそれぞれ配置する配置溝351が両側面に形成されたクリップ本体35と;前記クリップ本体の軸方向の両端部で両側にそれぞれ突出し、第1注入器及び第2注入器の前端側及び後端側をそれぞれ把持するクリップ部36a,36bと;で構成される。
【0086】
すなわち、クリップ本体35は、両側にそれぞれ軸方向に配置溝351が形成され、配置溝に注入器の側面が接触するように配置される。また、クリップ本体の軸方向の上端及び下端部分には、配置溝を形成する軸と直交する側面方向に両側にクリップ部36a,36bが一対でそれぞれ突出している。
【0087】
前記一対のクリップ部36a,36bのそれぞれは、配置される注入器の外面を部分的に覆うように一対の鉤形に形成され、配置溝への注入器の固定力を向上させながら脱去を容易にすることができる。このようなクリップ部36a,36bは、クリップ本体の側面のうち、上端及び下端の他に中間にもさらに1個~複数個形成してもよく、側面全体から突出させて長いクリップ部にしてもよい。配置溝の両側に突出しているクリップ部は、両側を同一に突出するように形成してもよく、非対称の長さに形成して使用してもよい。すなわち、使用される注入器の形態に応じてクリップ部の突出長を様々にすることができる。また、前記クリップ部及び配置溝の内側曲面が形成する内径は、使用される注入器の大きさに対応する形態で形成する。すなわち、容量の大きい注入器を使用する場合にはクリップ部及び配置溝の内径を大きく形成し、容量の小さい注入器を使用する場合にはクリップ部及び配置溝の内径を小さく形成して注入器の装着を可能にしてよく、一側には相対的に大きい容量の注入器を装着し、他側には相対的に小さい容量の注入器を装着する、互いに異なる注入器を使用する形態にしてもよい。
【0088】
また、前記固定ホルダーは、前端側に形成されたクリップ部36aの内側面に配置される注入器が前方に押し出されることを防止する止め突部37がさらに形成されてよい。前記止め突部37は、装着された第1注入器及び第2注入器のボディーの前端部分が掛け止めれるようにし、ピストン押し棒の加圧時に第1注入器又は第2注入器が配置溝内でスライディングして前方に押されて離脱することを防止する。
【0089】
また、前記固定ホルダーは、クリップ本体後端のクリップ部36bに、配置溝の軸と直交する方向に嵌め溝38が形成される。前記嵌め溝38は、第1注入器又は第2注入器のボディーの後端から外側方向に突出した取っ手部を内入させ、第1注入器又は第2注入器に軸方向に外力が作用する際に取っ手部が嵌め溝に止められ、第1注入器又は第2注入器が前後方に押し出されることを防止できる。
【0090】
図6Cは、
図6BのA-A断面図であり、図示のように、クリップ本体35の両側にそれぞれ形成された配置溝351には、配置溝の両側にそれぞれ前方クリップ部36aが形成され、前方クリップ部36aの端部には内側にL字状の止め突部が形成され、内設された注入器の前方端部が止められるようにする。また、前記クリップ部は、配置された注入器外面の湾曲部(f:注入器の中心を通過する直線と外面とが交差する地点)が内包されるように鉤形に形成し、配置溝351への注入器20の装着時に、前方に押し出されることの他、側面方向への脱去も防止する。
【0091】
なお、クリップ本体の後方クリップ部36bに形成された嵌め溝は、第1注入器及び第2注入器が同一大きさのものである場合に、互いに同一の線上に形成されてよく、或いは、第1注入器及び第2注入器の大きさが異なる場合に、
図6A及び
図6Dに示すように、互いにずれるように形成されてもよい。前記クリップ部の両側の嵌め溝がずれるように形成することは、容量の異なる注入器の使用を可能にしながら、両注入器間の間隔を狭く形成し、片手による取扱を容易にしたものである。ここで、容量の異なる注入器を使用することは、それぞれ注入器の使用用途を異ならせたためである。例えば、負圧形成用と薬物注入用は容量が異なることがある。一実施例において、負圧形成用には20ml容量の注入器を使用し、薬物注入用には30ml容量の注入器を使用することができ、その反対の容量にして使用してもよく、必要に応じて容量を増加又は減少させて使用することが可能である。
【0092】
また、前記クリップ本体35の両配置溝351は、配置溝の軸間隔を平行に又は鋭角で交差するように形成されてよい。このように配置溝の軸間隔を調節すると、装着される注入器20の前端に装着されたアダプター40aとアダプター40bの入出口41a,41b間の間隔を調節することができる。
【0093】
また、
図6Eに示すように、前記嵌め溝38の深さは、配置溝351に注入器を安着させた時に注入器ボディー側面の取っ手部253の突出した長さよりも深いように直線又は湾曲形に形成することが好ましい。前記深さで嵌め溝を形成すると、配置溝に注入器が安着した状態で注入器を軸回転させても、注入器の取っ手部が嵌め溝に止められることなく回転することができる(
図6F参照)。
【0094】
このように固定ホルダーに装着された注入器の軸回転は、注射器ボディー25a,25bの前方端部に形成された結合口251a,251bも共に回転させる。すなわち、容量が大きい注入器の場合、結合口がボディーの軸中心から一側に偏向して位置する。したがって、結合口が偏向形成された注入器を軸回転させると、
図6Gに示すように、2個の注入器に形成された結合口251a,251b間の間隔が変化することにより、最終的に各結合口に装着されるアダプターの入出口間の間隔も変化する。したがって、使用者の鼻孔間の間隔に合わせてアダプター入出口の間隔を調節することができ、鼻孔を容易に密閉させた後、粘液除去及び薬物注入がなされるようにすることができる。
【0095】
本発明のクリップ本体35は、前方本体35aと後方本体35bとに分離され、長さ調節可能に構成してもよい。すなわち、分離された前方本体に後方本体の一部が内入されるか、内入される程度を調節することにより、全長を調節可能にしてもよい。
【0096】
図7A~
図7Cは、本発明に係る長さ調節溝と長さ調節竿が形成されたクリップ本体を示す平面図及び要部断面図である。
【0097】
図示のように、本発明のクリップ本体35は、前方本体35aと後方本体35bとに分離構成される。
【0098】
前記前方本体35aは、内部に、後端から前方側の方向に長さ調節溝351が形成される。前記長さ調節溝351は、クリップ本体の長手方向に長く形成され、後述される長さ調節竿352をスライディング移動可能に内入する溝である。前記長さ調節溝351が形成された前方本体には、長さ調節溝を直交して貫通する結合孔353が形成され、結合ピン355が挿通するように設置される。
【0099】
前記後方本体35bは、前端から前方側に長さ調節溝351の断面と対応する断面を有する長さ調節竿352が突出している。前記長さ調節竿352には、直交する方向に結合長孔354が貫通して形成されるが、前記結合長孔354は長手方向に長く形成される。
【0100】
したがって、前記前方本体の長さ調節溝351に後方本体の長さ調節竿352を挿入すると、長さ調節竿352の内入深さに関係なく前方本体の結合孔353は長さ調節竿に形成された結合長孔354と連通する。すなわち、結合ピン355は、前方本体の一側壁結合孔353と、後方本体の長さ調節竿結合長孔354と、前方本体の他側壁結合孔353を順次に挿通して結合し、締付によって長さ調節竿352を長さ調節溝351内に強固に固定することができる。このような固定過程で結合長孔354内の結合ピン355の結合位置によってクリップ本体35の全長を自由に調節できるので、様々な長さを有する注入器に対応してクリップ本体の長さを調節することができる。
【0101】
ここで、前記結合ピン355はボルトで構成し、別個のナットをさらに提供して締付がなされる、或いは結合孔の内面に雌ネジ山を形成して結合ピンの結合がなされるようにしてよい。また、ボルトナット方式の他にも、フックによる係合方式などの様々な公知結合手段を適用してもよい。
【0102】
上記のように構成される本発明の副鼻腔の粘液除去機能を有するデュアルボディー薬物投与装置の使用方法を説明する。(
図8A~
図8G)
【0103】
前記副鼻腔90は、非常に狭い通路を通して鼻腔80と連結されている空間である。副鼻腔90は、空気で満たされている空間であるがため、一般の方法では鼻腔を通して薬物を注入し難い。したがって、本発明デュアルボディー薬物投与装置は、圧力差を発生させて副鼻腔と鼻腔との間に粘液と空気又は薬物の移動がなされるようにしたものであり、方法は次の通りである。
【0104】
1)前端に第1アダプター40a及び第2アダプター40bがそれぞれ結合している第1注入器20a及び第2注入器20bを、固定ホルダー30の配置溝にそれぞれ配置して一体に結合させる。
【0105】
2)第1注入器及び第2注入器の各アダプター入出口41a,41bの間隔が両鼻孔に合うように、第1注入器及び第2注入器を軸方向に前後進させる、固定ホルダーの間隔調節部の間隔を調節する、又は吐出口が一側に偏向した注入器である場合には注入器自体を軸回転させることにより、アダプター入出口41a,41bの間隔が両鼻孔に合うように調節して固定させる。
【0106】
3)固定ホルダーに一体に結合した第1注入器及び第2注入器の第1アダプターと第2アダプターを使用者の鼻孔に密着させる。
4)使用者の頭を横に水平になるように傾けるが、粘液を除去しようとする副鼻腔90が上側に位置するように傾ける。
5)使用者の口を開き、口で呼吸をしながら軟口蓋が閉じるようにして鼻腔呼吸を遮断する。
6)第1注入器及び第2注入器のいずれか一方の注入器のピストン押し棒をゆっくり後に後退させる。(
図8A参照)
7)鼻腔の空気を抜き、鼻腔全体に負圧を形成させる。
8)また、注入器の後退したピストン押し棒を押して鼻腔の空気圧が正常になるようにする。
9)いずれか一方の注入器ピストンの押し引きを数回反復し、上部副鼻腔の粘液が鼻腔から出るようにする。
【0107】
10)鼻腔に上部副鼻腔の粘液が出ると、上端に位置する注入器のピストン押し棒をゆっくり引き、上端に位置した注入器に粘液を捕集して除去する。また、上部鼻腔が粘液で満たされると、下端の注入器のピストン押し棒を押し、引きを反復して上部鼻腔に圧力変化を発生させ、上部副鼻腔の粘液をさらに抜け出させて上端注入器に捕集する。(
図8B参照)
【0108】
11)第1注入器及び第2注入器を鼻から離し、取り込まれた粘液を捨てる。
12)反対側の副鼻腔も、頭を反対側に傾くようにし、同じ方法にして粘液を除去する。(
図8C参照)
13)固定ホルダーに薬液が入っている注入器を装着し、アダプターが薬物を注入する鼻孔を閉口するように密着させる。
14)薬液を注入する副鼻腔が下部に位置するように頭を水平に傾け、下部に位置する薬液の入っている注入器のピストン押し棒をゆっくり押して薬液を鼻腔下部空間に満たす。(
図8D参照)
15)口を開き、軟口蓋を閉じて、鼻腔呼吸を遮断させる。
【0109】
16)上部注入器のピストン押し棒をゆっくり引く・押す動作を反復し、下部鼻腔の薬液が、粘液の除去された下部副鼻腔に入るようにする。薬液の入っている下端注入器のピストン押し棒をゆっくり押し、薬液が鼻腔の下部空間に補充されるように反復する。
【0110】
17)下部副鼻腔が薬液で満たされると、鼻腔に満たされた残余薬液は、下部注入器を通じて吸込除去し、第1注入器及び第2注入器を使用者の鼻から分離し、副鼻腔に満たされた薬液は、頭を垂直に又は上端に配置すると、自重によって流れて除去される(
図8E参照)。又は、副鼻腔粘液除去と同じ方式で頭を反対側に傾け、密着した注入器押し棒を引く動作を反復すると、上部副鼻腔の薬液が上部注入器に抜け出る。
【0111】
ここで、鼻腔の圧力変化が、注入器のピストン押し棒ではなく注入器の前後加圧による注入器アダプターの体積変化によってなされると、下部鼻腔に圧力が変化する際に上部鼻腔も共に圧力変化が発生するので、下部鼻腔から下部副鼻腔への薬物注入過程で上部副鼻腔から上部鼻腔へと粘液が排出されるようにすることができる。
【0112】
18)反対側の副鼻腔も、前記方法によって薬物を注入する方式と同一に処理する。(
図8F及び
図8G参照)
【0113】
前記方法は、両側副鼻腔にいずれも粘液がある時に実行する方法であり、いずれか一方の副鼻腔にのみ粘液がある場合には、一方の副鼻腔粘液の除去後に薬物を注入する過程が行われてもよい。
【0114】
また、前記方法は、副鼻腔に粘液がない場合にも、副鼻腔に薬物を投与しようとする場合に同一に実行し、副鼻腔に薬液を投与することができる。
【0115】
その他にも、使用者が選択によって様々な方法で実行可能である。
【0116】
前記使用する薬物は、0.6~5w/v%の塩水又は0.01~0.3w/v%の濃度のポビドンヨード含有溶液を使用することができる。また、抗ウイルス剤含有溶液、抗生剤やステロイド含有溶液、ワクチン含有溶液を使用するなど、必要な如何なる種類の液状薬物投与にも使用可能である。
【0117】
前記方法は、鼻炎、アレルギー鼻炎、副鼻腔炎、慢性蓄膿症、鼻水、鼻詰まり、風邪、流行性感冒又はcovid-19の予防と治療に優れた効果を示す。特に、ヨード剤薬物を投与すれば、消毒効果の他にも、感染部位で発生するサイトカインを抑制して消炎効果も示すので、各種の副鼻腔感染病原菌を撲滅するとともに、それらの炎症とそれらによる症状も迅速に軽減又は除去できる。
【0118】
また、使用目的として、副鼻腔に生理食塩水を注入して副鼻腔を洗浄でき、ポビドンヨードを含む溶液を注入して鼻炎、慢性鼻炎、風邪、流行性感冒を治療でき、抗ウイルス剤を含む溶液を注入して呼吸器ウイルス感染を予防及び治療でき、抗生剤又はステロイド含有溶液を注入して鼻炎、副鼻腔炎を予防及び治療でき、ワクチンを含む溶液を注入して免疫を生成させることができる。その他にも、各種薬物の鼻腔を通した投与の目的にも使用可能である。
【0119】
特に、鼻腔及び副鼻腔に感染を誘発するライノウイルス、コロナウイルス、インフルエンザーウイルス、アデノウイルス、ヒトパラインフルエンザーウイルス、呼吸器細胞融合ウイルス、ライノウイルス以外のエンテロウイルス、メタニューモウイルス及びMERS及びSARSウイルスと;
【0120】
感染がバクテリア起原である場合に、肺炎球菌(Streptococcus pneumoniae)、インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)及びモラクセラカタラーリス(Moraxella catarrhalis)と、副鼻腔炎を誘発する細菌性病原菌である黄色ブドウ状球菌(Staphylococcus aureus)及び他の連鎖状球菌(streptococci)種、嫌気性細菌及び一般にはグラム陰性バクテリアを退治し;また、埃や花粉などによるアレルギー症状の改善に優れた効能を示すことができる。
【0121】
実施例1
薬物投与装置1
第1注入器及び第2注入器の前端には第1アダプターと第2アダプターをそれぞれ装着した。
第1注入器及び第2注入器は20mlのプラスチック注射器を使用し、固定ホルダーで一体に結合させるが、第1アダプター及び第2アダプターの前端に形成された入出口の中心間の間隔は20mmとなるようにした。
【0122】
実施例2
薬物投与装置2
第1注入器及び第2注入器の前端には第1アダプター及び第2アダプターをそれぞれ装着した。
第1注入器は20ml、第2注入器は30mlのプラスチック注射器を使用し、クリップ型固定ホルダーで一体に結合させるが、第1アダプターと第2アダプターの前端に形成された入出口の中心間の間隔は20mmとなるようにした。
【0123】
試験例1-副鼻腔の洗浄
まず、洗面台で鼻を軽くかんで鼻腔を清潔に空いた後、実施例1又は実施例2の薬物投与装置を左手に取って、注入器内部の空気を全て押し出した後、両鼻孔にそれぞれ密着させた。
【0124】
頭を左に水平となるように傾け、口を開いて軟口蓋を閉じ、唇を口笛を吹くようにして口腔呼吸をしながら、上端注入器のピストン押し棒をゆっくり後に引き、再び原位置に押す過程により、鼻腔内部圧力を負圧と正圧に反復させた。
【0125】
頭を水平に配置した状態での上部副鼻腔から粘液が流れ出ると、上端注入器を引っ張って粘液を上端注入器に捕集する。上端注入器のピストン押し棒を往復しながら上部副鼻腔から鼻腔に粘液がそれ以上出てこないまで鼻腔に負圧と正圧を反復して加える。粘液がそれ以上集まらないと、軟口蓋を開き、装置を鼻から離し、集められた粘液を捨てた後、注入器を流れる水道水で洗浄する。
【0126】
生理食塩水20mlを満たした第1注入器と内部が空いている第2注入器を固定ホルダーに装着し、第1注入器及び第2注入器を鼻孔にそれぞれ密着させた後、頭を右に水平となるように傾けて鼻腔を水平にさせる。この時、下部鼻腔に第1注入器が配置され、第1注入器のピストン押し棒をゆっくり押して貯蔵されている食塩水を鼻腔中に注入するが、喉の後ろに呑まれないようにしながら最大限に鼻腔案を満たす。
【0127】
この状態で、軟口蓋を閉じ、鼻腔呼吸を遮断した状態で、口腔呼吸をしながら上端に位置する注入器のピストン押し棒をゆっくり引いたり押したりして、下部鼻腔の圧力変化が反復的になされるようにする。この時、下部鼻腔の食塩水がなくなる感じがすると、下端の食塩水が入っている下端注入器のピストン押し棒を少しずつさらに押して下部鼻腔に食塩水を供給し続ける。
【0128】
食塩水供給後に再び下部鼻腔の圧力変化を反復する。この時、上端注入器に食塩水が越えてくるか、下端に位置する注入器のピストン押し棒の往復時に空気のみが往復すると、食塩水が副鼻腔に全て入ったことである。軟口蓋を開き、装置を鼻から離し、注入器を流れる水道水で洗浄する。
【0129】
内部空気を全て押し出した装置を再び鼻孔にそれぞれ密着させ、頭を左に水平となるように傾け、軟口蓋を閉じて口で呼吸をしながら、上端に位置する注入器のピストン押し棒をゆっくり往復しながら鼻腔に負圧と正圧を反復発生させる。
【0130】
上部副鼻腔から液体が流れ出ると、上端注入器のピストン押し棒をゆっくり引いて液体を収集する。
【0131】
上端注入器のピストン押し棒を往復しながら、上端注入器に液体がそれ以上集まらないまで鼻腔に圧力変化を反復して加える。溶液がそれ以上集まらないと、軟口蓋を開き、装置を鼻から離し、集められた溶液を捨てて鼻を軽くかむ。
【0132】
注入器は、流れる水道水で洗浄する。
【0133】
反対側の副鼻腔にも同一に反復して副鼻腔を洗浄する。
【0134】
試験例2-副鼻腔の消毒
0.2w/v%のポビドンヨードを含有する食塩水溶液を用いて、試験例1と同一にして副鼻腔を消毒する。
【0135】
試験例3-鼻炎の治療
0.2w/v%のポビドンヨードと2.0w/v%の塩化ナトリウムを含有する溶液を使用し、試験例1と同一にして、鼻炎を有する成人男女10人を対象に1日2回で2日間治療したところ、症状が顕著に緩和することを確認した。
【0136】
試験例4-風邪の治療
0.2w/v%のポビドンヨードと2.2w/v%の塩化ナトリウムを含有する溶液を使用し、試験例1と同一にして、風邪にひいた成人男女10人を対象に1日2回で2日間治療したところ、症状が顕著に緩和することを確認した。
【0137】
試験例5-流行性感冒の治療
0.2w/v%のポビドンヨードと2.4w/v%の塩化ナトリウムを含有する溶液を使用し、試験例1と同一にして、インフルエンザーに感染した成人男女10人を対象に1日2回で2日間治療したところ、症状が顕著に緩和することを確認した。
【0138】
試験例6
クリップ型デュアルボディー薬物投与装置を用いて、同じ試験を実施し、同じ効果を確認した。
【0139】
したがって、本発明のデュアルボディー薬物投与装置は、副鼻腔炎の特徴である鼻分泌物、鼻詰まり、顔の停滞、顔の疼痛/圧力、臭覚の損失及び熱病のような該当の主要症状及び頭痛、突起部疼痛/圧力、悪臭のする呼吸、歯の疼痛、徴候と疲労のような症状と風邪、流行性感冒などの予防及び治療に効果があることを確認した。
【符号の説明】
【0140】
10:薬物投与装置
20:注入器
20a:第1注入器 20b:第2注入器
25,25a,25b:ボディー 26,26a,26b:ピストン押し棒
251a,251b:結合口 252a,252b:空間部
253:取っ手部
30:固定ホルダー
30a:第1固定ホルダー 30b:第2固定ホルダー
31:ホルダー本体 32:ホルダー蓋
33,33a,33b:間隔調節部 34:ヒンジピン
35:クリップ本体 35a:前方本体
35b:後半本体 36a,36b:クリップ部
37:止め突部 38:嵌め溝
39:間隔調節ピン
311,351:配置溝 331a,331b:ヒンジ孔
332:弧形ガイド孔 332a:止め突起
333:固定孔
351:長さ調節溝 352:長さ調節竿
353:結合孔 354:結合長孔
355:結合ピン
40,40c:アダプター
40a:第1アダプター 40b:第2アダプター
41,41a,41b,41c:入出口 42:前方アダプター部
43:後方アダプター部 44:移動流路
411:流通溝
80:鼻腔
90:副鼻腔
【国際調査報告】