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特表2023-504026医用イメージング・システムにおける自動式プロトコル指定
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-01
(54)【発明の名称】医用イメージング・システムにおける自動式プロトコル指定
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/03 20060101AFI20230125BHJP
【FI】
A61B6/03 330Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022530855
(86)(22)【出願日】2020-11-24
(85)【翻訳文提出日】2022-06-14
(86)【国際出願番号】 US2020061999
(87)【国際公開番号】W WO2021108398
(87)【国際公開日】2021-06-03
(31)【優先権主張番号】62/941,995
(32)【優先日】2019-11-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】319011672
【氏名又は名称】ジーイー・プレシジョン・ヘルスケア・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 俊久
(74)【代理人】
【識別番号】100151286
【弁理士】
【氏名又は名称】澤木 亮一
(72)【発明者】
【氏名】シェン,ヤシ
(72)【発明者】
【氏名】ドレイスワミー,ヴィネッシュ
(72)【発明者】
【氏名】チアーノ,アマンダ
【テーマコード(参考)】
4C093
【Fターム(参考)】
4C093AA22
4C093CA16
4C093CA17
4C093CA18
4C093DA02
4C093FA12
4C093FB08
4C093FD03
4C093FG16
(57)【要約】
本開示は、標準的なプロトコル・ライブラリ及び患者臨床情報を用いて検査指示について正しいプロトコルをエフォートレスで割り当てるように利用者を導く助けにするために機械アルゴリズムを活用することに関し、さらにスキャナ・プロトコル選択を自動化してシームレスなワークフローを生成する。これによりプロトコル指定の時間短縮を助け、効率のよい態様で患者に正しい検査を確実に提供する。幾つかの実施形態によれば、方法が、患者に対応する医用撮像手順についての指示をプロセッサによって受け取るステップと、担当医指示を受け取ったことに呼応して、情報技術システムに記憶されており患者に関連している医療情報をプロセッサを介して得るステップと、得られた医療情報の関数として医用撮像プロトコルをプロセッサによって自動生成するステップとを含んでいる。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像手順についての指示を受け取るステップであって、前記撮影手順は患者に対応している、受け取るステップと、
前記指示を受け取ったことに呼応して、情報技術システムに記憶されている医療情報を得るステップであって、該医療情報は前記患者に関連している、得るステップと、
前記受け取った指示及び前記得られた医療情報の関数として撮像プロトコルを自動生成するステップと
を備えた方法。
【請求項2】
前記撮像プロトコルは放射線科医レベル撮像プロトコルである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記医療情報を更新して、該更新された医療情報を前記情報技術システムに記憶するステップ
をさらに含んでいる請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記情報技術は前記患者に対応する電子的医療記録を記憶しており、前記医療情報は該電子的医療記録の内部にある、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記情報技術システムはさらに、前記患者に対応する少なくとも一つの今までに生成されたレポートを記憶する放射線科情報システムを含んでおり、前記医療情報は、前記患者に対応する前記少なくとも一つの今までに生成されたレポートの内部にある、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
スキャナ・レベル撮像プロトコルを、今までのスキャナ・レベル撮像プロトコル選択の関数として前記放射線科医レベル撮像プロトコルにマッピングするステップ
をさらに含んでいる請求項1に記載の方法。
【請求項7】
複数の走査プロトコル及び複数の患者固有の医療情報を1又は複数の記憶装置から受け取るステップと
前記複数の走査プロトコルから複数の第一領域概念を、また前記複数の患者固有の医療情報から複数の第二領域概念を抽出するステップと、
前記複数の第一領域概念及び前記複数の第二領域概念に基づいて前記複数の走査プロトコルの部分集合が前記複数の患者固有の医療データと一致したことに呼応して、
前記走査プロトコルの部分集合の一つの走査プロトコルを選択するステップと
を備えた方法。
【請求項8】
前記第一領域概念及び前記第二領域概念はローカル・マッピング・ライブラリに基づいて抽出される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記選択に基づいて前記ローカル・マッピング・ライブラリを更新するステップ
をさらに含んでいる請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記ローカル・マッピング・ライブラリは前記1又は複数の記憶装置に関して非同期に更新される、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記複数の走査プロトコルの部分集合のいずれも前記複数の患者固有の医療データに一致しなかったことに呼応して、
前記複数の走査プロトコルの一つの手動選択を受け取るステップと、
該手動選択に基づいて前記ローカル・プロトコルマッピングライブラリを更新するステップと
をさらに含んでいる請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記複数の患者固有の医療情報は、問い合わせされた撮像手順と、臨床指標、病歴、以前の検査画像、及び放射線科情報システムからの以前のレポートの1又は複数とを含んでいる、請求項7に記載の方法。
【請求項13】
前記第一領域概念及び前記第二領域概念はニューラル・ネットワークを介して抽出される、請求項7に記載の方法。
【請求項14】
前記第一領域概念及び前記第二領域概念を抽出する前記ステップは、
前記ニューラル・ネットワークを介して、前記複数の走査プロトコルについての複数の第一のプロトコル・タグ、及び前記複数の患者固有の医療情報についての複数の第二のプロトコル・タグを生成して特定するステップと、
前記複数の第一のプロトコル・タグに基づいて前記複数の第一領域概念を抽出するステップと、
前記複数の第二のプロトコル・タグに基づいて前記複数の第二領域概念を抽出するステップと
を含んでいる、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記選択された走査プロトコルを走査プロトコル実行形態へ変換するステップと、
該走査プロトコル実行形態に基づいて撮像手順を実行するステップと
をさらに含んでいる請求項7に記載の方法。
【請求項16】
コンピュータ可読のプログラム命令を有するコンピュータ可読の記憶媒体であって、前記コンピュータ可読のプログラム命令はプロセッサにより実行されると、
複数の走査プロトコル及び複数の患者固有の医療情報を1又は複数の記憶装置から受け取り、
前記複数の走査プロトコルから複数の第一領域概念を、また前記複数の患者固有の医療情報から複数の第二領域概念を抽出して、
前記複数の第一領域概念及び前記複数の第二領域概念に基づいて前記複数の走査プロトコルの部分集合が前記複数の患者固有の医療データと一致したことに呼応して、
前記走査プロトコルの部分集合の前記走査プロトコルのうち一つを選択すること
を前記プロセッサに行なわせる、コンピュータ可読の記憶媒体。
【請求項17】
前記コンピュータ可読のプログラム命令は、前記プロセッサにより実行されると、
前記選択された走査プロトコルに基づいて撮像手順を開始するステップ
を前記プロセッサにさらに行なわせる、請求項16に記載のコンピュータ可読の記憶媒体。
【請求項18】
前記第一領域概念及び前記第二領域概念はローカル・マッピング・ライブラリに基づいて抽出される、請求項16に記載のコンピュータ可読の記憶媒体。
【請求項19】
前記コンピュータ可読のプログラム命令は、前記プロセッサにより実行されると、
前記1又は複数の記憶装置に関して前記ローカル・マッピング・ライブラリを非同期に更新するステップ
を前記プロセッサにさらに行なわせる、請求項16に記載のコンピュータ可読の記憶媒体。
【請求項20】
前記コンピュータ可読のプログラム命令は、前記プロセッサにより実行されると、
前記選択された走査プロトコルを走査プロトコル実行形態へ変換するステップと、
該走査プロトコル実行形態に基づいて撮像手順を開始するステップと
を前記プロセッサにさらに行なわせる、請求項16に記載のコンピュータ可読の記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願への相互参照)
本出願は、2019年11月19日に出願された米国特許仮出願第62/941,995号の利益及び優先権を主張し、この出願の開示内容を参照によりその全体として本明細書に取り入れる。
【0002】
本開示は、医用撮像プロトコルに関し、さらに具体的には、医用撮像プロトコルの選択を自動化するシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
体内構造(すなわち器官、組織、及び骨等)を視覚化するために、患者に医用撮像手順を受けさせるように担当医が指示する場合がある。担当医の指示(オーダー)は、撮像手順の包括的な記述を含むことができ(以下「担当医指示」と呼ぶ)、放射線科医へ送られる。放射線科医は担当医指示を読んで患者の病歴を検討し、担当医指示についての放射線科医レベル・プロトコルを推奨する。例えば、担当医指示が「側腹痛について腹部の計算機式断層写真法(CT)走査」を含むときには、放射線科医は患者の病歴を検討して、患者が今までに腹部の造影CT走査を受けたことがあると決定し、同様の走査を行なうのが適当であると決定することができる。これにより、放射線科医は情報技術(IT)システム、典型的には放射線科情報システム(RIS)における「造影剤を用いた腹部のCT走査」を担当医指示にマッピング(対応付け)する。次いで、放射線科医の指示(以下「放射線科医レベル・プロトコル」と呼ぶ)は技術的な命令へ変換されて、スキャナを運転する技師へ送られる。技師はプロトコルで指定された指示を用いて、放射線科医レベル・プロトコルに基づいて所与の撮像装置について特定の技術的設定(以下「スキャナ・レベル・プロトコル」と呼ぶ)を選択する。幾つかの撮像装置は、スキャナ・レベル・プロトコルの一覧を技師に対して掲げるユーザ・インタフェイス(UI)を含んでいる。この例では、技師が放射線科医レベル・プロトコルに基づいて最適なスキャナ・レベル・プロトコルを決定して選択する。この過程(医用撮像手順を担当医が指示してから技師が撮像装置用の最適なスキャナ・レベル・プロトコルを決定し且つ/又は選択するまで)を一般に「医用撮像プロトコル指定工程」と呼ぶ場合がある。医用撮像プロトコル指定工程が完了した後に、医用撮像手順を開始することができる。
【発明の概要】
【0004】
一実施形態では、本開示は方法を提供する。この方法は、撮像手順についての指示を受け取るステップを含んでいる。撮像手順は患者に対応している。指示を受け取ったことに呼応して、情報技術システムに記憶されている医療情報を得る。医療情報は患者に関連している。また、受け取った指示及び得られた医療情報の関数として撮像プロトコルを自動生成する。
【0005】
もう一つの実施形態では、本開示はもう一つの方法を提供する。この方法は、複数の走査プロトコル及び複数の患者固有の医療情報を1又は複数の記憶装置から受け取るステップを含んでいる。複数の走査プロトコルから複数の第一領域概念を、また複数の患者固有の医療情報から複数の第二領域概念を抽出する。複数の第一領域概念及び複数の第二領域概念に基づいて複数の走査プロトコルの部分集合が複数の患者固有の医療データと一致したことに呼応して、走査プロトコルの部分集合のうち一つを選択する。
【0006】
さらにもう一つの実施形態では、本開示は、コンピュータ可読のプログラム命令を有するコンピュータ可読の記憶媒体を提供し、コンピュータ可読のプログラム命令は、プロセッサによって実行されると、複数の走査プロトコル及び複数の患者固有の医療情報を1又は複数の記憶装置から受け取り、複数の走査プロトコルから複数の第一領域概念を、また複数の患者固有の医療情報から複数の第二領域概念を抽出して、複数の第一領域概念及び複数の第二領域概念に基づいて複数の走査プロトコルの部分集合が複数の患者固有の医療データと一致したことに呼応して、走査プロトコルの部分集合のうち一つを選択することをプロセッサに行なわせる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
本開示の様々な観点は、図面を参照しながら以下の詳細な説明を読めばさらに十分に理解されよう。
【0008】
図1】実施形態の一例による医用イメージング・システムのブロック図である。
図2】実施形態の一例によるCTシステムを示す図である。
図3】実施形態の一例によるCTシステムのブロック図である。
図4】実施形態の一例によるニューラル・ネットワークの模式図である。
図5】実施形態の一例によるニューラル・ネットワークのニューロンの模式図である。
図6】実施形態の一例によるクラウド・コンピューティング環境を示す図である。
図7】実施形態の一例による医用撮像プロトコルの選択を自動化する方法の流れ図である。
図8】実施形態の一例による医用撮像プロトコルの選択を自動化するもう一つの方法の流れ図である。
図9】実施形態の一例による意味検索アルゴリズムによってスキャナ・レベル・プロトコルを選択する方法の流れ図である。
図10】実施形態の一例による複数のスキャナ・レベル・プロトコルを例示的オントロジーからの識別子と照合する方法の流れ図である。
図11】実施形態の一例による複数のスキャナ・レベル・プロトコルを問い合わせされた医用撮像手順と照合する方法の流れ図である。
図12】1又は複数のスキャナ・レベル・プロトコルから一つのスキャナ・レベル・プロトコルを選択する方法の流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図面は、医用撮像プロトコルの選択を自動化する所載の構成要素、システム、及び方法の特定の動作を示す。以下の記載と併せて、図面は本書に記載される構造、方法、及び原理を明らかにし、また説明する。図面では、構成要素の厚み及び寸法は、分かり易くするために誇張されたり、他の場合には改変されたりする場合がある。周知の構造、材料、又は動作は、所載の構成要素、システム、及び方法の諸観点を不明瞭にすることを回避するために、詳細な図示又は記述は行なわない。
【0010】
以下、本開示の1又は複数の特定の実施形態を記載する。これら所載の実施形態は、医用撮像プロトコルの選択を自動化するシステム及び方法の例に過ぎない。当業者は、各実施形態に記載された特定の細部が、実施時には本開示の要旨から逸脱することなく改変され得ることを理解されよう。
【0011】
本開示の様々な実施形態の要素について述べるに当たり、単数不定冠詞、定冠詞、「該」及び「前記」等の用語は、当該要素の1又は複数が存在することを意味するものとする。「第一」及び「第二」等の用語は、如何なる序列、量、又は重要性を表わすものでもなく、一つの要素を他の要素から区別するために用いられている。また「備えている(comprising)」、「含んでいる(including)」及び「有している(having)」の各用語は包括的であるものとし、所載の要素以外に付加的な要素が存在し得ることを意味する。「に接続されている」及び「に結合されている」等の用語が本書で用いられているときには、一方の対象(すなわち材料、要素、構造、及び数等)が他方の対象に接続又は結合されることができ、一方の対象が他方の対象に直接接続又は結合されているか、或いは一方の対象と他方の対象との間に1又は複数の介在対象が存在しているかを問わない。加えて、本開示の「一つの実施形態」又は「一実施形態」に対する参照は、所載の特徴を同様に組み入れている追加の実施形態の存在を排除すると解釈されるものではないことを理解されたい。
【0012】
プロトコル指定工程は、患者を検査した後に、担当医が医用撮像手順を指示することを含んでいる。異なる医療専門家は、どの解剖学的構造を如何に画像化すべきかについての決断に影響する異なる訓練又は経験を有し得る。さらに、任意の所与の患者は重大な病歴を有する場合があり、決断点が膨大な数に上るため任意の二人の医療専門家の間での合意が妨げられ得る。例えば、一人の患者の臨床指標、病歴、以前の検査画像、及び他の以前のレポートを二人の医療専門家が考察する場合がある。診断過程の各々のステップが、医用撮像手順の推奨に不一致の可能性を呈する。担当医指示は、撮影を行なう装置/システム、及び撮影される解剖学的構造(すなわち腹部のCT走査)を含めた医用撮像手順の包括的な記述を含んでいる。
【0013】
プロトコル指定工程はさらに、放射線科医が担当医指示に基づいて放射線科医レベル・プロトコルを生成し得るように、担当医指示を放射線科医へ送ることを含んでいる。放射線科医レベル・プロトコルを生成するために、放射線科医は、様々なITシステムからの撮像対象の患者に関わる医療情報を検討することができる。放射線科医レベル・プロトコルは、限定しないが、用いられる造影剤、撮像の方向、撮像手順の形式、及び医用撮像手順を行なうための技師の臨床での指示を含めた医用撮像手順に関する情報を含み得る。本開示の幾つかの実施形態は、医療情報(すなわち年齢、性別、身長、体重、人口統計情報、医用画像、病歴、診断、投薬、アレゴリー、ラボ検査結果、担当医指示、及び医師倫理規定等)を検討して、この医療情報の関数として放射線科医レベル・プロトコルを自動生成するシステム及び/又は方法を提供する。これらのシステム/方法は、患者の医療情報に基づいているので患者個人に特化した放射線科医レベル・プロトコルを与え、また放射線科医レベル・プロトコルを生成するために放射線科医が患者医療情報を隈なく検索する必要がないので放射線科医の時間を節約する。
【0014】
プロトコル指定工程はまた、技師が放射線科医レベル・プロトコルに基づいてスキャナ・レベル・プロトコルを生成し得るように、放射線科医レベル・プロトコルを技師へ送ることを含んでいる。スキャナ・レベル・プロトコルは、医療撮像装置固有の技術的な撮像パラメータを含んでおり、限定しないがkVmA、コントラスト、タイミング、走査速度、及び解剖学的構造の撮像範囲を含んでいる。次いで、技師が質問を有する場合には、さらに検討を加えるために放射線科医に相談することができる。幾つかの例では、所与の放射線科医が多数の取扱件数を抱えていたり、所与の医療施設の人員が不十分であったりする場合があり(すなわち院内の放射線科医を雇用していない場合がある)、またプロトコル生成の大半部分が経験の少ない人員によって行なわれる場合がある。さらに、経験は個々人又は個々の専門家によって区々であるばかりでなく、医療施設によっても区々であり、走査の熟達及び一貫性に地理的なばらつきが存在し得る。本開示の幾つかの実施形態は、放射線科医レベル・プロトコルに基づいてスキャナ・レベル・プロトコルを自動選択するシステム/方法を提供する。放射線科医レベル・プロトコルに基づいてスキャナ・レベル・プロトコルを自動選択するシステム/方法を提供すると、技師がスキャナ・レベル・プロトコルについて放射線科医に質問せずに済むので、技師及び放射線科医の時間を節約することができる。
【0015】
全体的に図面を参照して、本開示は医用撮像プロトコル工程を自動化するシステム及び方法を記載する。
【0016】
ここで図1を参照すると、医用イメージング・システム100のブロック図が、実施形態の一例に従って示されている。図1に示すように、幾つかの実施形態では、医用イメージング・システム100は、インテリジェント型自動式プロトコル指定システム(IAPS[Intelligent Automated Protocoling System])102、複数の医療撮像装置104、利用者装置106、情報技術(IT)システム108、及びグローバル・プロトコル・ライブラリ110を含んでいる。
【0017】
IAPS102は計算装置である。本書で用いられる場合に、計算装置(又はシステム)は、データを処理して伝送することが可能な任意の装置/システム(すなわちタブレット、手掌型計算装置、スマートフォン、パーソナル・コンピュータ、ラップトップ、ネットワーク・コンピュータ、サーバ、移動通信装置、及びサーバ等)である。一実施形態では、IAPS102は、医療撮像装置104、利用者装置106、ITシステム108、及びプロトコル・ライブラリ110と連係するエッジ・デバイス(末端機器)の形態を取り得る。もう一つの実施形態では、IAPS102は、撮像装置104から遠隔に位置する医療施設(すなわち診療所及び病院等)の一室に位置していてもよい。さらにもう一つの実施形態では、IAPS102は、クラウド・コンピューティング環境のサーバの形態を取り得る。図1はIAPS102を撮像装置104とは別個のものとして示しているが、さらにもう一つの実施形態では、1又は複数の撮像装置104がIAPS102を含んでいてもよい。撮像装置104、利用者装置106、ITシステム108、及びグローバル・プロトコル・ライブラリ110は、有線接続又は無線接続を介してIAPS102に接続されており、これによりIAPS102が撮像装置104、利用者装置106、ITシステム108、及びグローバル・プロトコル・ライブラリ110に対してデータを送受することを可能にしている。一実施形態では、IAPS102、撮像装置104、利用者装置106、ITシステム108、及びグローバル・プロトコル・ライブラリ110は網(すなわち広域網(WAN)、構内網(LAN)、及び公共網(インターネット)等)に接続されていてよく、これによりIAPS102、撮像装置104、利用者装置106、ITシステム108、及びグローバル・プロトコル・ライブラリ110が同じ網に接続されているときに互いに連絡することを可能にしている。幾つかの実施形態では、網は私設網接続と見做されてもよく、例えば仮想私設網、又は公共のインターネットにわたり用いられている暗号化若しくは他のセキュリティ機構を含み得る。
【0018】
IAPS102は、プロセッサ112及びシステム・メモリ114を含んでいる。プロセッサ112はシステム・メモリ114と連絡しており、システム・メモリ114に記憶されているコンピュータ可読のプログラム命令を実行することができる。一実施形態では、プロセッサは中央処理ユニット(CPU)を含み得る。もう一つの実施形態では、プロセッサは、コンピュータ可読のプログラム命令を実行することが可能な他の電子的構成要素を含んでいてよく、ディジタル信号プロセッサ、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、又はグラフィック・ボード等を含み得る。さらにもう一つの実施形態では、プロセッサは、並列処理能力を備えたグラフィック処理ユニットとして構成されていてもよい。さらにもう一つの実施形態では、プロセッサは、コンピュータ可読の命令を実行することが可能な多数の電子的構成要素を含み得る。例えば、プロセッサは、CPU、ディジタル信号プロセッサ、FPGA、及びグラフィック・ボードを含む電子的構成要素の列挙から選択される2以上の電子的構成要素を含み得る。
【0019】
システム・メモリ114はコンピュータ可読の記憶媒体である。本書で用いられる場合に、コンピュータ可読の記憶媒体は、プロセッサによる実行のためのコンピュータ可読のプログラム命令を記憶した任意の装置であり、本質的に一時的であるとは解釈されない。コンピュータ可読のプログラム命令は、プロセッサによって実行されたときに作用/動作を具現化する手段を生成するプログラム、論理、データ構造、モジュール、及びアーキテクチャ等を含んでいる。コンピュータ可読のプログラム命令は、コンピュータ可読の記憶媒体に記憶されてプロセッサによって実行されたときに、コンピュータ可読の記憶媒体が製造物品を構成するような特定の態様でコンピュータ・システム及び/又は他の装置が作用するように命令する。本書で用いられる場合のシステム・メモリは、揮発性メモリ(すなわちランダム・アクセス・メモリ(RAM)及びダイナミックRAM(DRAM))と、不揮発性メモリ(すなわちフラッシュ・メモリ、読み出し専用メモリ(ROM)、及び磁気的コンピュータ記憶装置等)とを含んでいる。幾つかの実施形態では、システム・メモリがキャッシュをさらに含んでいてもよい。システム・メモリ114は、インテリジェント型自動式プロトコル指定プログラム(IAPP)116をコンピュータ可読のプログラム命令の形態で記憶している。本書でさらに詳細に議論されるように、IAPP116は実行されると、受け取った医療情報の関数として放射線科医レベル・プロトコルを生成し、放射線科医レベル・プロトコルの関数として1又は複数のスキャナ・レベル・プロトコルを選択して、放射線科医レベル・プロトコル及び/又は選択されたスキャナ・レベル・プロトコルを表示器へ出力することをIAPS102に行なわせる。
【0020】
IAPS102及び医用撮像装置104は、互いに連絡可能に結合され得る。幾つかの実施形態では、医用撮像装置104の各々が異なる撮像モダリティ(すなわちX線、磁気共鳴撮像(MRI)、超音波(US)、CT、陽電子放出断層写真法(PET)、単光子放出CT(SPECT)、及びこれらの組み合わせ(すなわち、PET/CT、PET/MR、及びSPECT/CT等のようなマルチ・モダリティ撮像))に対応していてよい。他の実施形態では、医用撮像装置104の各々が同じ撮像モダリティに対応していてもよく、これにより医用撮像装置104の各々は別々の部屋(すなわち一つの病院内)に位置していてもよいし、まとめて別個の施設(すなわち複数の病院)に位置していてもよい。図1には示していないさらに他の実施形態では、医用イメージング・システム100が、単一の撮像モダリティ向けの一つのみの医用撮像装置104を含んでいてもよい(すなわち図2及び図3に関して後述されるようなCTイメージング・システムの場合等)。
【0021】
IAPS102は、グローバル・プロトコル・ライブラリ110とさらに連絡している。グローバル・プロトコル・ライブラリ110は医用撮像プロトコルのデータベースであって、担当医レベル・プロトコル、放射線科医レベル・プロトコル、及びスキャナ・レベル・プロトコルを含んでいる。グローバル・プロトコル・ライブラリ110はコンピュータ可読の記憶媒体に記憶されることができ、IAPS102によってアクセスされ得る。さらに、撮像装置104及び利用者装置106がグローバル・プロトコル・ライブラリ110と連絡していてもよく、撮像装置104及び/又は利用者装置106が、グローバル・プロトコル・ライブラリ110に記憶されている医用撮像プロトコルを追加する、除去する、置換する、又は他の方法で変更することにより、グローバル・プロトコル・ライブラリ110を更新することができる。
【0022】
またIAPS102はITシステム108と連絡している。ITシステム108は、1又は複数の臨床決定支援システム(CDS)118、電子健康若しくは医療記録及び/又は病院情報システム(EMR/HIS)120、放射線科情報システム(RIS)122、医用画像保管管理システム(PACS)124、ベンダ中立型アーカイブ(VNA)126、マスタ患者インデクス(MPI)128を含んでいる。IAPS102はITシステム108にアクセスして患者に関する医療情報を得ることができる。一例として、PACS124は、医用撮像装置104によって形成された医用画像、又は医用撮像装置104に含まれていない他の医用撮像装置によって形成された医用画像を記憶している。もう一つの例として、EMR/HIS120は、医療情報(すなわち臨床指標、患者の病歴、及び患者のアレルギー等)を記憶している。さらにもう一つの例として、RIS122は、放射線診療に関する医療情報(すなわち以前のレポート、モダリティ・ワークリスト、及び以前の検査画像等)を記憶している。
【0023】
またIAPS102は利用者装置106と連絡している。利用者装置106は計算装置であってよく、プロセッサ130及びシステム・メモリ132を含んでいる。利用者装置106はさらに、表示器134及び1又は複数の外部装置136に接続されている。1又は複数の外部装置136は、利用者が利用者装置106と対話し利用者装置106を動作させることを可能にする装置を含んでいる。表示器134はグラフィック・ユーザ・インタフェイス(GUI)138を表示する。GUI138は、限定しないが患者情報を含むデータを入力するための編集可能な欄を含んでおり、さらに選択可能なアイコンを含んでいる。アイコンを選択する又はデータを入力すると、プロセッサ130又はプロセッサ112は、システム・メモリ132又はシステム・メモリ114に記憶されてタスクを実行するためのコンピュータ可読のプログラム命令を実行する。利用者装置106の利用者は、外部装置136を用いてアイコンを選択し且つ/又は患者情報を入力してもよい。患者情報を入力し且つ/又はアイコンを選択すると、利用者装置106のプロセッサ130は、医用撮像プロトコル(すなわち担当医指示、放射線科医レベル・プロトコル、又はスキャナ・レベル・プロトコル)についてIAPS102に問い合わせ(クエリ)を行なうことができる。幾つかの実施形態では、利用者装置106は撮像装置104とさらに連絡している。これらの実施形態では、利用者装置106の利用者は、外部装置136を用いて「開始」アイコン等を選択することができ、これによりプロセッサ130は医用撮像装置104を制御して撮像手順を開始する。
【0024】
幾つかの実施形態では、IAPS102は撮像装置104と連係する(interface)ように構成されていてよく、所与のスキャナ・レベル・プロトコルに適当な撮像モダリティに対応する撮像装置104を選択するように構成され得る。しかしながら、他の実施形態では、IAPS102は、一つのみの撮像モダリティに対応する1又は複数の撮像装置104と連係するように構成されていてもよい。すなわち、幾つかの実施形態では、医用イメージング・システム100は特定の撮像モダリティ向けであってよい。従って、図2及び図3は、IAPS102が単一の撮像モダリティ向けとなっているようなCTイメージング・システムの一例を掲げる。
【0025】
動作について述べると、IAPS102及び/又は利用者装置106は、医療データ(すなわちITシステム108からのもの)及び撮像データ(すなわち医用撮像装置104からのもの)を取得することができ、これらのデータは変換されて表示器134において利用者に対して表示され得る。一例として、医療データは利用者向けのグラフィック型及び/又はテキスト型形式として変換されて表示器134に表示されることができ、これらの形式は多数の利用者装置106に跨って標準化されていてもよいし、所与の施設、診療科、担当医、又は利用者個人に固有のものであってもよい。他の例として、撮像データ(すなわち三次元(3D)容積測定(ボリュメトリック)データセット、及び二次元(2D)撮像スライス等)を用いて、IAPS102又は利用者装置106において1又は複数の画像を形成することもでき、次いで、これらの画像を利用者に対して又は表示器134における利用者に対して表示してもよい。
【0026】
IAPS102又は利用者装置106は、撮像データを処理し得る画像処理モジュールを具現化し得る。例えば、画像処理モジュールは3D容積測定撮像データを処理して、医用イメージング・システム100の利用者に表示するための2D画像スライスを形成し得る。同様に、画像処理モジュールは撮像データを処理して、利用者に対して表示するための3Dレンダリングを形成し得る。取得された撮像データは、撮像セッション中に信号が所与の撮像装置104において受け取られている間に実時間で処理され得ることを認められよう。加えて、又は代替的には、撮像データは医用撮像手順中にシステムに一時的に記憶されて、実時間未満のライブ動作で、又はオフライン動作で処理されてもよい。
【0027】
画像処理モジュールに加えて、IAPS102又は利用者装置106はまた、グラフィック・モジュール、初期化モジュール、追跡モジュール、及び解析モジュールの1又は複数を具現化し得る。画像処理モジュール、グラフィック・モジュール、初期化モジュール、追跡モジュール、及び解析モジュールは協働して、撮像セッション中に及び撮像セッションの後に利用者に対して情報を提示することができる。例えば、画像処理モジュールは実行されると、取得された画像を表示器134へ出力することをプロセッサ112又はプロセッサ130に行なわせ、またグラフィック・モジュールは実行されると、所定の図形(すなわち選択可能なアイコン及び画像に関する測定パラメータ)を画像と共に表示器134へ出力することをプロセッサ112又はプロセッサ130に行なわせることができる。
【0028】
表示器134の画面域は、撮像装置104によって取得された撮像データを表示するピクセルの連鎖又は行列で構成され得る。取得された撮像データは、表示器134の各々のピクセル又は各々のピクセル群(例えば、同じパラメータ値を割り当てられた一群のピクセル)毎に算出された1又は複数の撮像パラメータを含むことができ、これら1又は複数の算出された画像パラメータは、強度、速度(すなわち血流速度)、カラー・フロー速度、テクスチャ、粒状性、伸縮性、変形、及び変形速度値の1又は複数を含み得る。次いで、これら一連のピクセルは、取得された撮像データから形成される表示画像を構成することができる。
【0029】
幾つかの実施形態では、IAPS102は、1又は複数の深層ニューラル・ネットワーク(すなわち図4及び図5に関して後に詳述されるようなニューラル・ネットワークの系)と、本書に記載される深層学習作用を行なうための命令とを含む深層学習モジュールを具現化し得る。例えば、インテリジェント型IAPS102は、所与の患者について1又は複数の医用撮像プロトコルを生成し且つ/又は選択するために、グローバル・プロトコル・ライブラリ110に記憶されている一連の実行される医用撮像プロトコルにおけるパタンと、ITシステム108に記憶されている医療情報におけるパタンとをIAPS102が適応的に「学習」して認識し得るようにした深層学習モジュールを具現化し得る。このようなものとして、IAPS102は、プロトコル生成及び/又はプロトコル選択が経時的に(医学的専門知識が医用イメージング・システム100の連続利用にわたり蓄積されるので)さらに一貫したものになるように、深層学習モジュールを定期的に更新するように構成されることができ、これにより患者経験価値及び健康転帰を漸次改善する。このようなものとして、IAPS102及びITシステム108は、非同期的な態様で医用撮像手順に関連する情報を更新することができ、IAPS102が、ITシステム108に記憶されているものとは異なっているが関連するデータ構造を分析し生成することを可能にしていることを認められよう。
【0030】
ここで図2を参照すると、CTシステム200が実施形態の一例に従って示されている。CTシステム200は患者202を撮像するように構成されている。一実施形態では、CTシステム200は全体的に静止しているガントリ204と、この静止ガントリ204によって支持されて検査領域208の周りを回転する回転ガントリ206とを含んでいる。患者202が検査領域208に位置しているときには、寝椅子、寝台、及びテーブル等のような被検体支持部210が患者202を支持している。
【0031】
CTシステム200はさらに、X線管のようなX線源212を含んでおり、X線源212は回転ガントリ206によって支持されてガントリ206と共に回転し、検査領域208を横断する放射線を放出する。一実施形態では、X線源212は単一の広スペクトルX線管を含んでいる。もう一つの実施形態では、X線源212は、撮像セッション中に少なくとも二つの異なる放出電圧(すなわち80kVpと140kVp)の間で切り換わるように構成されている単一のX線管を含んでいる。さらにもう一つの実施形態では、X線源212は、相異なる平均スペクトルを有する放射線を放出するように構成されている2以上のX線管を含んでいる。さらにもう一つの実施形態では、X線源212はこれらの組み合わせを含んでいる。
【0032】
CTシステム200はさらに、放射線感受性検出器アレイ214を含んでいる。放射線感受性検出器アレイ214は、検出器素子列の一次元又は二次元配列(アレイ)を含んでおり(図2では不図示)、X線源212に対向して検査領域208を見込む円弧を成している。放射線感受性検出器アレイ214は、検査領域208を横断して患者202によって減弱された放射線を検出し、投影データを生成する。検出される放射線の強度は患者202による減弱に依存する。放射線感受性検出器アレイ214の各々の検出器素子が、検出器位置での減弱の測定値となる別個の電気信号を発生する。全ての検出器素子からの減弱測定値を別個に取得して、透過プロファイルを生成する。幾つかの実施形態では、放射線感受性検出器アレイ214は、異なるエネルギを有するX線光子を区別することが可能な光子計数型検出器である。他の実施形態では、放射線感受性検出器アレイ214は、一方が低kVpに設定され他方が高kVpに設定された二重エネルギ投影を形成するのに用いられる検出器素子を含んでいる。このように、本書に記載される方法は、単エネルギ取得手法としても二重エネルギ取得手法としても具現化され得ることを認められたい。
【0033】
投影データは、患者202の減弱係数の線積分を表わすようにデータを調整する前処理及び較正を受ける。処理後のデータを一般に投影と呼ぶ。取得された投影データの組を基底物質分解(BMD)に用いてもよい。BMDの際には、測定された投影は一組の密度線積分投影へ変換される。
【0034】
X線源212及び放射線感受性検出器アレイ214は、X線源212によって放出される放射線が患者202を横断する角度が定常的に変化するように、回転ガントリ206によって検査領域208及び患者202の周りを回転する。回転ガントリ206の一つの角度位置での放射線感受性検出器アレイ214からの一群のX線減弱測定値(投影データ)を「ビュー」と呼ぶ。対象の「走査」は、X線源212及び放射線感受性検出器アレイ214が患者202の周りを一回転する間に異なる角度位置すなわちビュー角度で形成された一組のビューを含んでいる。本書に記載される方法の利益はCT以外の医用撮像モダリティでも生ずることが思料されるため、本書で用いられる場合に、「ビュー」との用語は回転ガントリ206の一つの角度からの投影データに関して上で記載されているような用法に限定されない。「ビュー」との用語は、異なる角度からの多数回のデータ取得が存在する場合には常に、1回のデータ取得を意味するために用いられ、CT、X線透過撮像、陽電子放出断層写真法(PET)、若しくは単光子放出CT(SPECT)による取得、及び/又は他の任意のモダリティ、並びにこれらの組み合わせのいずれからのものかを問わない。
【0035】
合計走査時間を短縮するために「螺旋」走査を行なうこともできる。「螺旋」走査を行なうためには、所定の軸方向撮像範囲についてのデータが取得されている間に患者を移動させる。かかるシステムは、コーン・ビーム螺旋走査から単一の螺旋を生成する。この螺旋が投影データを与え、ここから各々の所定のスライスの画像を再構成することができる。
【0036】
CTシステム200はさらに、再構成器216を含んでいる。再構成器216は、IAPS102、利用者装置106、又は他の計算装置によって具現化され得る。再構成器216は投影データを受け取り、投影データを処理して、患者202を通る1又は複数の二次元スライスに対応する画像を再構成し、或いは投影データが拡張された軸方向撮像範囲すなわち拡張されたZ軸照射を含んでいるような幾つかの例では、対象の三次元画像容積に対応する画像を再構成する。再構成器216は、反復型若しくは解析型の画像再構成方法、又は両者の組み合わせを用いて画像を再構成する。例えば、再構成器216は、フィルタ補正逆投影(FBP)のような解析型の画像再構成アプローチを用いて患者202の目標容積の画像を再構成することができる。他の例として、再構成器216は、先進型統計学的反復再構成(ASIR)又はモデル式反復再構成(MBIR)のような反復型の画像再構成アプローチ等を用いて患者202の目標容積の画像を再構成することもできる。幾つかの例では、再構成器216は反復型の画像再構成アプローチに加えてFBPのような解析型の画像再構成アプローチの両方を用いてもよい。透過型及び放射型の断層写真法再構成手法もまた、反復再構成手法に加えて、最尤期待値最大化(MLEM)再構成手法及び順序付きサブセット期待値最大化再構成手法のような統計学的反復法を含んでいる。この工程は、走査からの減弱測定値を「CT数」又は「ハンスフィールド単位」と呼ばれる整数へ変換し、これらの整数を用いて表示装置での対応するピクセルの輝度を制御する。
【0037】
一実施形態では、再構成器216は密度線積分投影を再構成して、骨、軟組織、及び/又は造影剤マップのような各々のそれぞれの基底物質の密度マップ又は画像を形成する。そして、これらの密度マップ又は画像を関連付けて、被撮像容積における基底物質、例えば骨、軟組織、及び/又は造影剤のボリューム・レンダリング(容積表現)を形成することができる。一旦再構成されると、システム200によって形成された基底物質画像は、患者202の体内の特徴を二つの基底物質の密度として表わして明らかにする。この密度画像又は多数の密度画像の組み合わせを表示してこれらの特徴を示すことができる。疾患状態のような医学的状態の診断、またさらに一般的には医学的事象の診断に対する従来のアプローチでは、放射線科医又は担当医は密度画像のハード・コピー若しくは表示、又はこれらの組み合わせを考察して、関心のある特徴を識別していた。かかる特徴は、病変、特定の解剖学的構造又は器官の寸法及び形状、並びに個々の担当医の技量及び知見に基づいて画像において識別可能となる他の特徴を含む場合があった。
【0038】
本書で用いられる場合に、「画像を再構成する」との文言は、画像を表わすデータは生成されるが可視画像は形成されないような本発明の実施形態を排除するものではない。従って、本書で用いられる場合に、「画像」との用語は、可視画像及び可視画像を表わすデータの両方を広く指す。但し、多くの実施形態は、少なくとも一つの可視画像を形成する(又は形成するように構成されている)。
【0039】
ここで図3を参照すると、もう一つのCTシステム300が実施形態の一例に従って示されている。CTシステム300は患者202を撮像するように構成されている。一実施形態では、CTシステム300は、回転ガントリ206を支持する筐体及びフレーム・アセンブリ204を含んでいる。幾つかの実施形態では、回転ガントリ206は検査領域208の周りを回転する。これらの実施形態では、回転ガントリ206は、投影データを例えば異なるエネルギ・レベルで取得するために、回転中心306の周りを回転するように構成され得る。回転ガントリ206はX線源212及び放射線感受性検出器アレイ214を支持している。X線源212はX線302を放出し、X線302は検査領域208を横断して患者202によって減弱される。放射線感受性検出器アレイ214は複数の検出器素子304を含んでいる。検出器素子304は、患者202を通過した減弱後のX線を検出して、対応する投影データを取得する。従って、一実施形態では、放射線感受性検出器アレイ214は、セル又は検出器素子304の複数の横列を含むマルチ・スライス構成で作製される。かかる構成においては、検出器素子304の1又は複数の付加的な横列が、投影データを取得するために並列構成として配列されている。
【0040】
一実施形態では、システム300は、回転ガントリ206の回転及びX線源212の動作のようなCTシステム300の構成要素の運動を制御する制御機構308を含んでいる。制御機構308は、電力信号及びタイミング信号をX線源212へ与えるように構成されている放射線制御器310を含んでいる。制御機構308はさらに、撮像要件に基づいて回転ガントリ206の回転速度及び/又は位置を制御するように構成されているガントリ・モータ制御器312を含んでいる。
【0041】
幾つかの実施形態では、制御機構308はさらに、検出器素子304から受け取ったアナログ・データを標本化して、後の処理のためにアナログ・データをディジタル信号へ変換するデータ取得システム(DAS)314を含んでいる。光子計数型イメージング・システムについては、DAS314は測定された光子数を、検出器アレイ214から1又は複数のエネルギ・ビンへダウンロードする。DAS314によって標本化されてディジタル化されたデータは計算装置316へ伝送される。幾つかの実施形態では、この計算装置は利用者装置106である。
【0042】
計算装置316はプロセッサ318及びシステム・メモリ320を含んでいる。システム・メモリ320は、DAS314から受け取ったデータを記憶し、またローカル・マッピング・ライブラリ322を含んでいる。ローカル・マッピング・ライブラリ322は、所与の医用撮像装置、この例ではCTシステム300についての今までのスキャナ・レベル・プロトコル選択を記憶している。各々の医用撮像装置104が図3に示すような類似のローカル・マッピング・ライブラリと連絡することができる。ローカル・マッピング・ライブラリ322はシステム・メモリ320における記憶部として図示されているが、ローカル・マッピング・ライブラリ322が、本書に開示される任意のコンピュータ可読の記憶媒体に記憶され得ると理解される。
【0043】
加えて、計算装置316は、DAS314、放射線制御器310、及びガントリ・モータ制御器312の1又は複数に対し、データ取得及び/又は処理のようなシステム動作を制御するための命令及びパラメータを与える。幾つかの実施形態では、計算装置316は、利用者入力に基づいてシステム動作を制御する。例えば、計算装置316は、利用者が命令及び/又は走査パラメータを指定することを可能にするキーボード(不図示)又はタッチスクリーンを介して命令及び/又は走査パラメータを含む利用者入力を受け取ることができる。
【0044】
図3は一つのみの計算装置316を示しているが、例えばシステム・パラメータを入出力する、検査を依頼する、データをプロットする、及び/又は画像を観察する等のために、1よりも多い計算装置316がDAS314に結合されていてよい。さらに、幾つかの実施形態では、システム300は、多数の表示器、プリンタ、ワークステーション、及び/又は同様の装置に結合されていてよく、これらの装置は域内又は遠隔のいずれに位置していてもよく、例えば1又は複数の構成可変の有線網及び/又は無線網を介して施設内又は病院内に位置していてもよいし、全く異なる位置に位置していてもよい。一実施形態では、計算装置316はPACS324と連絡している。幾つかの実施形態では、PACS324はPACS124である。PACS324は、RIS、EMR/HISのような遠隔システム、及び/又は構内網若しくは外部網(不図示)と連絡しており、異なる位置にいる利用者が命令及びパラメータを与えたり、且つ/又は該システムに記憶されている画像データを入手したりすることを可能にしている。
【0045】
計算装置316はさらに、被検体支持部制御モータ326に接続され連絡している。コンピュータ装置316の利用者がコンピュータ装置316を用いて被検体支持部制御モータ326を動作させる命令及びパラメータを供給すると、被検体支持部制御モータ326は被検体支持部210を制御することができる。具体的には、被検体支持部制御モータ326は、患者202の目標容積に対応する投影データを取得するのに適当となるように患者202を検査領域208に配置するために被検体支持部210を移動させることができる。
【0046】
さらに、DAS314が再構成器216に接続され連絡している。DAS314は標本化されてディジタル化された投影データを再構成器216へ送る。再構成器216はこの標本化されてディジタル化されたX線データを用いて高速再構成を行なう。幾つかの実施形態では、計算装置316が再構成器216を含み得る。代替的には、再構成器216をシステム300から省いて、代わりに計算装置316が再構成器216の1又は複数の作用を果たしてもよい。また、再構成器216は域内に位置していても遠隔に位置していてもよく、有線網又は無線網を用いてシステム300に動作に関して接続され得る。例えば、一実施形態は、再構成器216のためにクラウド網クラスタの計算資源を用いることができる。
【0047】
画像再構成器216は、再構成された画像をコンピュータ可読の記憶媒体に記憶する。一実施形態では、再構成器216は、再構成された画像を計算装置316のシステム・メモリ320に記憶する。もう一つの実施形態では、再構成器216は再構成された画像を、遠隔又はクラウド方式のコンピュータ可読の記憶媒体に記憶する。さらに、画像再構成器216は再構成された画像を、診断及び評価のための有用な患者情報を生成するために計算装置316へ伝送することができる。幾つかの実施形態では、計算装置316は、再構成された画像及び/又は患者情報を当該計算装置316に接続されている表示器へ伝送することができる。
【0048】
一実施形態では、画像再構成器216は、コンピュータ可読のプログラム命令を含んでいてよく、本書に記載される方法を適用して画像を再構成することができる。もう一つの実施形態では、システム・メモリ320が、コンピュータ可読のプログラム命令を記憶して含んでいてよく、画像再構成器216から再構成された画像を受け取った後に再構成された画像に対して本書に記載される方法を少なくとも部分的に適用してもよい。さらにもう一つの実施形態では、本書に記載される方法及び工程は、画像再構成器216及び計算装置316に跨って分配されていてもよい。
【0049】
計算装置316はさらに、IAPS102に接続され連絡している。計算装置316に接続されると、IAPS102は単一の撮像モダリティ(すなわちCTイメージング・システム)向けに特に構成され得る。
【0050】
ここで図4を参照すると、ニューラル・ネットワーク400が、実施形態の一例に従って示されている。ニューラル・ネットワーク400は深層ニューラル・ネットワークであってよく、IAPS102によって具現化され得る。ニューラル・ネットワーク400は複数のニューロン(又はノード)402を含んでおり、これらのニューロン402は層404、406、408、410、412、414、及び416を横断して配置されている。ニューロンに関して本書で用いられる場合に、「層(レイヤ)」との用語は、シミュレートされたニューロンの集合であって、他のシミュレートされたニューロンの集合と類似の態様で接続された入力及び/又は出力を有するものを指す。従って、図4に示すように、ニューロン402は、データが入力層404から1又は複数の中間層406、408、410、412、及び414を通って出力層416まで伝播し得るように、1又は複数の接続418を介して互いに接続され得る。
【0051】
ここで図5を参照すると、ニューラル・ネットワークのニューロン同士の間の入出力接続が、実施形態の一例に従って示されている。図5に示すように、個々のニューロン402の接続(すなわち接続418)は、1又は複数の入力接続502と、1又は複数の出力接続504とを含み得る。ニューロン402の各々の入力接続502は前段のニューロン402の出力接続であってよく、ニューロン402の各々の出力接続504は1又は複数の後段のニューロンの入力接続であってよい。図5はニューロン402が単一の出力接続504を有するように図示しているが、ニューロンは同じ値を送る/伝達する/通過させる多数の出力接続を有し得ることを理解されたい。幾つかの実施形態では、ニューロン402はデータ構造(すなわちストラクチャ、インスタンス化されたクラス・オブジェクト、及びマトリクス等)であってよく、入力接続502は重み付けされた数値(すなわち浮動小数点値又は整数値)としてニューロン402によって受け取られることができる。例えば、図5にさらに示すように、入力接続X、X、及びXは重みW、W、及びWによってそれぞれ重み付けされ、加算されて、出力接続Yとして送られ/伝達され/通過させられ得る。認められるように、個々のニューロン402の処理は次の式によって一般的に表わされ得る。
【0052】
【数1】
【0053】
式中、nはニューロン402への入力接続502の総数である。一実施形態では、Yの値は、Wの総和が閾値を超えているか否かに少なくとも部分的に基づき得る。例えば、重み付き入力の総和が望まれる閾値を超えることができない場合には、Yがゼロ(0)の値を有してもよい。
【0054】
図4及び図5からさらに理解されるように、入力層404におけるニューロン402の入力接続502は入力401にマッピングされ、出力層416におけるニューロン402の出力接続504は出力430にマッピングされ得る。本書で用いられる場合に、所与の入力接続502を入力401に「マッピング(対応付け)する」とは、入力401が前記入力接続502の値に影響する/該値を決めるような態様を指す。同様に、やはり本書で用いられる場合に、所与の出力接続504を出力430に「マッピングする」とは、前記出力接続504の値が出力430に影響する/該出力を決めるような態様を指す。
【0055】
従って、幾つかの実施形態では、取得された/得られた入力401はニューラル・ネットワーク400の入力層404へ渡され/供給されて、層404、406、408、410、412、414、及び416を通して伝播し、出力層416のマッピングされた出力接続504が出力430を生成する/出力430に対応する。入力401は、マスタ・グローバル・プロトコル・ライブラリ110から検索された医用撮像プロトコル、IAPS102によって生成された医用撮像プロトコル、利用者装置106(若しくは他の計算装置)からの問い合わせされた(queried)医用撮像手順、及び/又はITシステム108からの該問い合わせされた医用撮像手順に関連するさらなる医療データを含み得る。本書でさらに詳細に議論されるように、これらの医用撮像プロトコル及び問い合わせされた医用撮像手順の各々が、ニューラル・ネットワーク400によって出力430として特定され生成されるプロトコル・タグを含み得る。特定及び生成の後に、プロトコル・タグを、図10に関して後に詳細に記載されるようにオントロジー識別子(すなわちRadLex(登録商標)プレイブック・アイデンティファイア(Playbook Identifier))の属性値と照合することができる。例えばニューラル・ネットワーク400は、各々のスキャナ・レベル・プロトコル及び問い合わせされた医用撮像手順毎に、1又は複数の撮像モダリティ、モダリティ修飾子、身体部位(すなわち解剖学的部位)、及び薬学的指標を特定することができる。
【0056】
ニューラル・ネットワーク400は蓄積されたプロトコル選択に対して経時的に訓練されることができ、これらの蓄積されたプロトコル選択は、受け取った医療情報(すなわち患者臨床情報、及び対応する検査指示の理由等)を基礎とし得る。幾つかの実施形態では、ニューラル・ネットワーク400は、ローカル・マッピング・ライブラリに対する増分(インクリメンタル)更新を、グループ化された医用撮像プロトコルにマッピングされた医用撮像プロトコル選択の形態で受け取ることにより、一貫性を向上させることができる。増分更新は、IAPS102によって選択され医療専門家によって認められたスキャナ・レベル・プロトコルの自動式選択、及び/又は医療専門家からのスキャナ・レベル・プロトコルの手動選択を含み得る。幾つかの実施形態では、増分更新はさらに、指示(オーダー)、臨床指標、及び患者病歴のような受け取った医療情報(すなわち患者アレルギー、過去の検査、及び過去のレポート等)を含み得る。幾つかの例では、ニューラル・ネットワーク400は、閾値回数のスキャナ・レベル・プロトコルの手動選択を受け取るまでは、プロトコル・タグを特定するために用いられてはならないことを認められよう。このようにして、ニューラル・ネットワーク400は、受け取ったスキャナ・レベル・プロトコル又は問い合わせされた医用撮像手順(すなわち入力)からプロトコル・タグ(すなわち出力)を特定することを適応的に学習することができる。機械学習又はここでは深層学習は(例えば所与の医療施設でのスキャナ・レベル・プロトコル選択の識別可能な傾向のため)、重み(すなわちW、W、及び/又はW)の変更、入出力接続の変更、又はニューラル・ネットワーク400に対する他の調節を生じ得る。さらに、さらなる医療専門知識が蓄積される(すなわち受け取ったプロトコル選択によって)につれて、機械学習は呼応してニューラル・ネットワーク400の様々なパラメータを継続的に調節することができる。このようなものとして、ニューラル・ネットワーク400の感度を定期的に増大させることができ、一貫性を高め、最終的には医用撮像プロトコル自動式選択の一貫性を向上させることができる。
【0057】
ここで図6を参照すると、クラウド・コンピューティング環境600が実施形態の一例に従って示されている。図6に示すように、幾つかの実施形態では、クラウド・コンピューティング環境600は1又は複数のノード602を含んでいる。各々のノード602がコンピュータ・システム/サーバ(すなわちパーソナル・コンピュータ・システム、サーバ・コンピュータ・システム、及びメインフレーム・コンピュータ・システム等)を含み得る。幾つかの実施形態では、1又は複数のノード602が、IAPS102、ITシステム108、グローバル・プロトコル・ライブラリ110、再構成器216、PACS324、及び/又はローカル・マッピング・ライブラリ322を含むローカル・プロトコル・ライブラリを含み得る。ノードは互いに連絡することができ、1又は複数の網としてグループ化され得る。各々のノード602が、コンピュータ可読の記憶媒体と、コンピュータ可読の記憶媒体に納められた命令を実行するプロセッサとを含み得る。図6にさらに示されているように、1又は複数の装置(又はシステム)604がクラウド・コンピューティング環境600に接続され得る。1又は複数の装置604は同じ網に接続されていても異なる網に接続されていてもよい(すなわちLAN、WAN、及び公共網等)。1又は複数の装置604は、医用イメージング・システム100、CTシステム200、及びCTシステム300の各構成要素を含み得る。1又は複数のノード602は装置604と連絡することができ、これにより計算装置602が装置604にソフトウェア・サービスを提供することを可能にしている。
【0058】
ここで図7を参照すると、医用撮像プロトコルの選択を自動化する方法700の流れ図が、実施形態の一例に従って示されている。図7から図12に示されている方法700、800、900、1000、1100、及び1200の様々な観点は、「構成設定済みプロセッサ(configured processor)」によって実行され得る。本書で用いられる場合に、構成設定済みプロセッサは、本開示の観点に従って構成されているプロセッサである。構成設定済みプロセッサは、プロセッサ112、プロセッサ130、ノード602のプロセッサ、又は装置604のプロセッサであってよい。構成設定済みプロセッサは、方法700、800、900、1000、1100、及び1200の各ステップを行なう様々なコンピュータ可読のプログラム命令を実行する。一実施形態では、IAPP116が、方法700、800、900、1000、1100、及び1200の各ステップを行なう命令を含んでいる。コンピュータ可読のプログラム命令は、構成設定済みプロセッサによって実行されると、方法700、800、900、1000、1100、及び1200の各ステップを当該構成設定済みプロセッサに行なわせ、これらのプログラム命令は、限定しないがシステム・メモリ114、システム・メモリ132、ノード602のシステム・メモリ、又は装置604のシステム・メモリを含めたコンピュータ可読の記憶媒体に記憶されている。方法700、800、900、1000、1100、及び1200の技術的な効果は、医用撮像プロトコルの選択を自動化することである。
【0059】
方法700は多くの医療設定において具現化され得る。例えば、方法700の多数のステップが1又は複数の医療専門家によって行なわれ得るので、方法700はかかるステップを行なうのに十分な医療専門家を擁する比較的大規模な医療施設において具現化され得る。但し、他の医療設定も本開示の範囲内で思料され得ることを認められよう。
【0060】
ステップ702では、構成設定済みプロセッサは、撮像対象の患者についての担当医指示を生成する。一実施形態では、構成設定済みプロセッサは、担当医に与えられた選択された担当医指示の関数として担当医指示を生成する。本実施形態では、構成設定済みプロセッサは、表示器のGUIに担当医指示の一覧を出力することができる。表示される担当医指示は、撮像モダリティ(すなわちCT、MRI、及びPET等)と、撮影される部位(すなわち頭部、脚部、腹部、及び足等)とを含み得る。担当医は患者を特定する情報を、対応するEMRにアクセスするための1又は複数の外部装置(すなわちマウス及びキーボード等)を介してHISのコンピュータ装置(すなわち利用者装置106及び装置604等)へ入力することができる。担当医は、EMRに記憶された医療情報を検討して、表示される一覧の担当医指示のいずれが必要かを決定することができる。一例では、担当医は腹痛に関する情報を含む患者EMRを検討する場合がある。この例では、担当医は痛みの原因を正しく診断するために腹部のCT走査が必要であると決定し得る。このようなものとして、担当医は表示された担当医指示の一覧から「CT走査、腹部」を選択することができる。他の例では、担当医は脳腫瘍に関する情報を含む患者EMRを検討する場合もある。この例では、担当医は脳腫瘍の段階を診断するために頭部のMRIが必要であると決定し得る。このようなものとして、担当医は表示された担当医指示の一覧から「MRI、頭部」を選択することができる。もう一つの実施形態では、担当医は1よりも多い担当医指示を選択してもよい。本実施形態では、構成設定済みプロセッサは多数の撮像手順についての指示を含む担当医指示を生成する。
【0061】
もう一つの実施形態では、構成設定済みプロセッサは、外部装置を介してGUIに表示された担当医指示様式に入力されたテキストの関数として担当医指示を生成することもできる。本実施形態では、担当医はEMRに記憶されている情報を入手して検討し、担当医指示様式に担当医指示に対応するテキストを入力することができる。例えば、担当医は、EMRの情報を検討して、CT冠状血管造影が必要とされると決定することができる。従って、担当医は担当医指示様式に「CT冠状血管造影」を入力することができ、すると構成設定済みプロセッサは「CT冠状血管造影」を含む担当医指示を生成する。もう一つの実施形態では、担当医は1よりも多い医用撮像手順に対応するテキストを入力してもよい。例えば、担当医は、「造影剤を用いる腹部のCT走査及び造影剤を用いない腹部のCT走査」を担当医指示様式に入力することができる。本実施形態では、構成設定済みプロセッサは多数の撮像手順についての指示を含む担当医指示を生成する。
【0062】
ステップ704では、構成設定済みプロセッサは、担当医指示と、さらなる担当医検討が必要とされるか否かを尋ねるプロンプトとを放射線科医装置へ送る。放射線科医装置は利用者装置106又は装置604であり得る。幾つかの例では、担当医が医院のような遠隔位置に位置していてもよい。他の例では、担当医が放射線科医に対して一つの医療施設の別の診療科にいてもよい。担当医指示を受け取ったことに呼応して、放射線科医は担当医指示を検討する。幾つかの例では、最初の医療専門家が医院のような遠隔位置に位置していてもよい。
【0063】
ステップ706では、構成設定済みプロセッサは、担当医指示を担当医がさらに検討する必要があるか否かを決定する。構成設定済みプロセッサは、プロンプトに対する受け取った選択の関数としてさらなる検討が必要とされているか否かを決定する。幾つかの実施形態では、放射線科医装置は表示器付きの計算装置であり得る。これらの実施形態では、表示器はプロンプト及び担当医指示を示すことができる。担当医指示を受け取ったことに呼応して、放射線科医は担当医指示、及びEMRに記憶された医療情報を検討して、担当医からのさらなる検討が望まれるか否かを決定することができる。一例では、放射線科医は、頭部のCT走査を含むジョン某についての担当医指示を受け取ることができる。ジョン某のEMRの医療情報を検討した後に、放射線科医は、ジョン某は腹痛を来しているので頭部のCT走査ではなく腹部のCT走査を受けるべきであると決定することができる。従って、放射線科医は、ジョン某は頭部のCT走査ではなく腹部のCT走査を受ける必要があるかも知れないので、さらなる担当医検討が必要とされるか否かを尋ねるプロンプトに対して「はい」を選択することができる。放射線科医が「はい」を選択したことに呼応して、構成設定済みプロセッサはさらなる担当医検討が必要とされると決定する。
【0064】
もう一つの例では、放射線科医は腹部のMRIを含むジェーン某のための担当医指示を受け取る場合がある。ジェーン某のEMRの医療情報を検討した後に、放射線科医はジェーン某に脳腫瘍があるかも知れないのでジェーン某は頭部のMRIを受けるべきであると決定することができる。従って、放射線科医は担当医指示が正しい医用撮像手順を示していると決定したので、放射線科医は、ジェーン某についてさらなる担当医検討が必要とされるかを尋ねるプロンプトに対して「いいえ」を選択することができる。放射線科医が「いいえ」を選択したことに呼応して、構成設定済みプロセッサはさらなる担当医検討は必要とされないと決定する。
【0065】
ステップ708では、担当医が担当医指示をさらに検討する必要があると決定したことに呼応して、構成設定済みプロセッサは担当医指示を担当医装置へ送る。幾つかの実施形態では、担当医装置は表示器付きの計算装置であり得る。これらの実施形態では、構成設定済みプロセッサは、担当医指示、及びさらなる検討が必要とされていることを示す通知を担当医装置へ出力することができる。担当医指示を受け取ったことに呼応して、担当医は担当医指示を検討して、担当医指示を認め且つ/又は更新することができる。
【0066】
ステップ710では、担当医が担当医指示をさらに検討する必要がないと決定したことに呼応して、構成設定済みプロセッサは放射線科医レベル・プロトコルを生成し、また幾つかの実施形態では、生成された放射線科医レベル・プロトコルを表示器へ出力する。放射線科医レベル・プロトコルは、撮像モダリティ、撮影される部位、撮影の順序/方向、及び患者位置を含み得る。構成設定済みプロセッサは放射線科医レベル・プロトコルを、担当医指示、ITシステム108を含むITシステムに記憶されている撮像対象の患者に関する医療情報、今までに選択された放射線科医レベル・プロトコル、今までに生成された放射線科医レベル・プロトコル、及びグローバル・プロトコル・ライブラリ110を含むグローバル・プロトコル・ライブラリに記憶された医用撮像プロトコルの関数として生成する。一実施形態では、IAPSのプロセッサ112が構成設定済みプロセッサであり、放射線科医レベル・プロトコルを生成する。
【0067】
一例では、ジョン某についての担当医指示は、造影剤を用いない頭部のCT走査を含み得る。この例では、ジョン某についてのEMRは、ジョン某が10歳、身長4フィート6インチ、及び体重70lbsであると示し得る。このようなものとして、構成設定済みプロセッサは造影剤を用いない小児用の通常型CT螺旋脳走査を含む放射線科医レベル・プロトコルを生成し得る。もう一つの例では、ジェーン某についての担当医指示は膝の超音波についてのものであるかも知れない。この例では、放射線科医レベル・プロトコルは、矢状面仰臥脚部に前方引き出し運動で屈曲を施した状態でのリニア・トランスデューサによる膝の超音波を含むことができる。
【0068】
一実施形態では、構成設定済みプロセッサは複数の放射線科医レベル・プロトコルを生成して、これら複数の放射線科医レベル・プロトコルを一覧として出力することができる。この実施形態では、放射線科医レベル・プロトコルの各々に信頼性重みを割り当てて(すなわち担当医指示に対する類似度に基づいて)、最大の重みを有する放射線科医レベル・プロトコルが一覧の最初に出力されるようにすることができる。幾つかの実施形態では、閾値重みよりも大きい重みを有する各々の放射線科医レベル・プロトコルを出力することもできる。
【0069】
ステップ712では、構成設定済みプロセッサは、放射線科医レベル・プロトコルがうまくスキャナ・レベル・プロトコルに割り当てられてITシステム108(すなわちRIS122)に書き込まれ得るか否かを決定する。構成設定済みプロセッサは、放射線科医レベル・プロトコルがスキャナ・レベル・プロトコルに割り当てられ得るか否かを、ローカル・マッピング・ライブラリ(すなわちローカル・マッピング・ライブラリ322)に記憶されているスキャナ・レベル・プロトコルに今までにマッピングされた放射線科医プロトコルの関数として決定する。例えば、ステップ710において生成された放射線科医プロトコルは、今までに生成された放射線科医レベル・プロトコルと同じ情報を含み得る。この例では、ローカル・マッピング・ライブラリは、今までに生成された放射線科医レベル・プロトコルが所与のスキャナ・レベル・プロトコルにうまくマッピングされたことを示している。この例では、ステップ710において生成された放射線科医レベル・プロトコルと今までに生成された放射線科医プロトコルとの両方が同じ情報を含んでいるので、構成設定済みプロセッサは、ステップ710において生成された放射線科医レベル・プロトコルは、今までに生成された放射線科医レベル・プロトコルと同じスキャナ・レベル・プロトコルにマッピングされ得ると決定する。
【0070】
ステップ714では、放射線科医レベル・プロトコルがスキャナ・レベル・プロトコルにうまく割り当てられ得ると決定したことに呼応して、次いで構成設定済みプロセッサは、放射線科医レベル・プロトコルをスキャナ・レベル・プロトコルにマッピングする。このスキャナ・レベル・プロトコルはグローバル・プロトコル・ライブラリ110に記憶されていてよい。一実施形態では、構成設定済みプロセッサは、放射線科医レベル・プロトコルがスキャナ・レベル・プロトコルのグループにうまく割り当てられ得ると決定することもできる。この実施形態では、放射線科医レベル・プロトコルはグループ化されたスキャナ・レベル・プロトコル(すなわち他の実質的に同様の複数のスキャナ・レベル・プロトコル)にマッピングされ得る。スキャナ・レベル・プロトコルは、撮影される部位、走査指示、及び特定の医用撮像装置に関わる設定を含み得る。
【0071】
ステップ716では、放射線科医レベル・プロトコルがスキャナ・レベル・プロトコルに割り当てられ得ないと決定したことに呼応して、次いで構成設定済みプロセッサは、スキャナ・レベル・プロトコルの優先順位付き一覧を、放射線科医又は技師が所与の医用撮像装置形式に合わせてスキャナ・レベル・プロトコルをさらに整形しなければならないことを示す通知と共に生成する。
【0072】
ステップ718では、構成設定済みプロセッサは、スキャナ・レベル・プロトコル及び医用撮像装置104を選択する。一実施形態では、構成設定済みプロセッサが放射線科医レベル・プロトコルを一つのみのスキャナ・レベル・プロトコルにマッピングした場合には、構成設定済みプロセッサはこのスキャナ・レベル・プロトコルを選択する。もう一つの実施形態では、構成設定済みプロセッサが放射線科医レベル・プロトコルをスキャナ・レベル・プロトコルのグループにマッピングした場合には、各スキャナ・レベル・プロトコルに信頼性重みを割り当てることができ(すなわち放射線科医レベル・プロトコルに対する類似度に基づいて)、構成設定済みプロセッサは、所与の閾値を上回るスコアのスキャナ・レベル・プロトコルを選択することができる。例えば、構成設定済みプロセッサが放射線科医レベル・プロトコルを、第一のスキャナ・レベル・プロトコル、第二のスキャナ・レベル・プロトコル、及び第三のスキャナ・レベル・プロトコルを含む三つのスキャナ・レベル・プロトコルにマッピングしたとする。この例では、第一のスキャナ・プロトコルが第二又は第三のスキャナ・レベル・プロトコルに対してより類似しているので、第一のスキャナ・レベル・プロトコルは第二又は第三のスキャナ・レベル・プロトコルよりも大きい信頼性重みを有し得る。例えば、第一のスキャナ・プロトコルは造影剤を用いる腹部のCT走査に関わる設定を含み得る一方で、第二及び第三のスキャナ・レベル・プロトコルは造影剤を用いない腹部のCT走査に関わる設定を含む。従って、造影剤を用いる腹部のCT走査に関する放射線科医レベル・プロトコルには第一のスキャナ・レベル・プロトコルが最も類似している。
【0073】
さらに、構成設定済みプロセッサは、異なる撮像モダリティに各々対応している複数の医用撮像装置104と連係している場合があり、選択されるスキャナ・レベル・プロトコルは所与の撮像モダリティ及び撮像装置104に特有のものである。従って、スキャナ・レベル・プロトコルはこれにより所与の撮像モダリティに対応する撮像装置104に割り当てられることができ、このようにして、選択された撮像装置104は選択されたスキャナ・レベル・プロトコルを実行するように構成される。
【0074】
ステップ720では、構成設定済みプロセッサは選択されたスキャナ・レベル・プロトコルをGUIへ出力して、技師が撮像用のスキャナ・レベル・プロトコルを認めたか否かを決定する。選択されたスキャナ・レベル・プロトコルが複数のスキャナ・レベル・プロトコルを含むときには、構成設定済みプロセッサは選択されたスキャナ・レベル・プロトコルを、最高スコアの選択されたスキャナ・レベル・プロトコルが最初に現われるようにした一覧として出力する。一実施形態では、構成設定済みプロセッサは、技師がスキャナ・レベル・プロトコルを認めたことを利用者入力の関数として決定する。例えば、構成設定済みプロセッサがGUIに1又は複数のスキャナ・レベル・プロトコルを出力すると、技師は外部装置を利用して一つのスキャナ・レベル・プロトコルを選択することができる。選択に呼応して、構成設定済みプロセッサは、技師が撮像用のスキャナ・レベル・プロトコルを認めたと決定する。構成設定済みプロセッサは、技師がスキャナ・レベル・プロトコルを認めなかったことを利用者入力の関数として決定することもできる。例えば、GUIは、「プロトコルなし」等を示すアイコンを含み得る。技師がこのアイコンを選択することに呼応して、構成設定済みプロセッサは、技師がスキャナ・レベル・プロトコルを認めなかったと決定する。
【0075】
ステップ722では、技師がスキャナ・レベル・プロトコルを認めなかったと決定したことに呼応して、構成設定済みプロセッサは、スキャナ・レベル・プロトコルを依頼するプロンプトをGUIへ出力して、手動入力されたスキャナ・レベル・プロトコルを受け取る。プロンプトは、GUIに前回は出力されなかったスキャナ・レベル・プロトコルの一覧を含み得る。技師は外部装置を用いてスキャナ・レベル・プロトコルを選択することができる。
【0076】
ステップ724では、技師がスキャナ・レベル・プロトコルを認めたと決定したことに呼応して、又は利用者がプロトコルを供給したことに呼応して、構成設定済みプロセッサは、認められたスキャナ・レベル・プロトコルに基づいて、選択された医用撮像装置104において撮像手順を開始する。具体的には、構成設定済みプロセッサは、認められたスキャナ・レベル・プロトコルをスキャナ・レベル・プロトコル実行形態へ変換することができ、スキャナ・レベル・プロトコル実行形態は次いで、走査医用撮像手順として医用撮像によって実行され得る。
【0077】
スキャナ・レベル・プロトコルの各々及び医用撮像装置104は、構成設定済み工程によって自動選択されて技師によって認められてもよいし、スキャナ・レベル・プロトコル及び医用撮像装置104の一方又は両方が代わりに技師によって手動で認められて選択されてもよい。この確認/選択が如何に行なわれるかを問わず、次いでローカル・マッピング・ライブラリが更新され得る。ローカル・マッピング・ライブラリは、グループ化されたスキャナ・レベル・プロトコルに対する割り当てられた放射線科医レベル・プロトコルのマッピング(すなわちステップ712での)、及び実際に実行されて走査セッションを開始するスキャナ・レベル・プロトコルに対する自動的に認められたスキャナ・レベル・プロトコルのマッピングに関する情報を含み得る。このように、ローカル・プロトコル・ライブラリを各々のスキャナ・レベル・プロトコル確認によって更新することにより、スキャナ・レベル・プロトコル選択の一貫性が経時的に漸次向上し得る。
【0078】
ここで図8を参照すると、医用撮像プロトコルの選択を自動化する方法800のもう一つの流れ図が、実施形態の一例に従って示されている。
【0079】
方法800は多くの医療設定において具現化され得る。方法800は、効率よくかかるステップを行なうには不十分な医療専門家を擁する比較的小規模の医療施設において具現化され得る。但し、他の医療設定も本開示の範囲内で思料され得ることを認められよう。
【0080】
ステップ802では、構成設定済みプロセッサは撮像対象の患者についての医療情報を受け取る。一実施形態では、構成設定済みプロセッサは、医療専門家(すなわち担当医、放射線科医、及び技師等)によって計算装置へ入力された医療情報の関数として医療情報を受け取る。もう一つの実施形態では、構成設定済みプロセッサは、ITシステム108の1又は複数から医療情報を受け取る。医療情報は、限定しないが所与の患者についての担当医指示、臨床指標、及び病歴を含み得る。例えば、構成設定済みプロセッサは、所与の患者についての電子医療記録に対応してEMR/HIS120から担当医によって選択された担当医指示を受け取ることができる。担当医は、利用者装置又は他の計算装置の表示器134によって表示されるGUIに、EMR/HISからの臨床指標及び病歴を入力することができる。受け取られる医療情報はさらに、受け取った担当医指示に基づくITシステム108の1又は複数からの以前の検査画像及び以前のレポートを含み得る。例えば、医療専門家は、PACS124から以前の検査画像を、またRIS122から以前のレポートを検索することができ、以前のレポート及び以前の検査画像は、撮像対象の患者、又は撮像対象の患者と類似の医療的課題を有する他の患者に対応している。
【0081】
ステップ804では、構成設定済みプロセッサは、放射線科医レベル・プロトコルを生成する。構成設定済みプロセッサは、受け取った医療情報や、ローカル・マッピング・ライブラリに記憶されている以前の放射線科医レベル・プロトコル生成から収集される医療情報、及び確認/選択の関数として放射線科医レベル・プロトコルを生成する。1又は複数の放射線科医レベル・プロトコルの各々に信頼性重みを割り当てて(すなわち指示に対する類似度に基づいて)、構成設定済みプロセッサが、最大の重みを有する放射線科医レベル・プロトコルを計算装置の表示器へ出力するようにすることができる。幾つかの実施形態では、閾値重みよりも大きい重みを有する各々の放射線科医レベル・プロトコルを出力することができる。従って、方法800は1又は複数の放射線科医レベル・プロトコルを生成して出力し得ることが認められよう。
【0082】
ステップ806では、構成設定済みプロセッサは次いで、受け取った医療情報を更新して、更新された医療情報を1又は複数のITシステム108に記憶する(すなわち医療データを書き戻す)ことができる。一例として、構成設定済みプロセッサは、生成され出力された放射線科医レベル・プロトコルを示す撮像対象の患者についてのEMRを更新することができる。もう一つの例としては、構成設定済みプロセッサ・システムは、将来のプロトコル生成と共に用いるために、生成された放射線科医レベル・プロトコルに基づいて付加的なレポートをRISへ出力するように構成され得る。
【0083】
ステップ808から820では、方法800は図7に関して上で記載されているような第一の方法の例700のステップ712から724に実質的に類似した態様でそれぞれ記述され得ることを認められよう。このようなものとして、簡略化のため方法800の残りのステップのさらなる記述は省略し、図7に関する方法700の対応するステップを参照する。
【0084】
図9から図12の方法900、1000、1100、及び1200は、意味検索(セマンティック検索)アルゴリズムによってスキャナ・レベル・プロトコルを選択する実施形態の各例を示す。方法900、1000、1100、及び12000は、スキャナ・レベル・プロトコルが選択される方法700のステップ712から724、及び方法800のステップ808から820において具現化され得る。意味検索アルゴリズムは、コンピュータ可読の記憶媒体に記憶されており、プロセッサによって実行され得る。一実施形態では、IAPP116が意味検索アルゴリズムを含み得る。ニューラル・ネットワーク400は、問い合わせされた医用撮像手順から領域概念を特定して抽出するように構成され得る。問い合わせされる医用撮像手順は、医用撮像プロトコル(すなわち担当医指示、及び放射線科医レベル・プロトコル等)の内部にあってもよいし、他の医用撮像指示の内部にあってもよい。以下、方法900、1000、1100、及び1200は図1から図3に示すシステム及び構成要素に関して記載される。但し、方法900、1000、1100、及び1200は、本開示の範囲から逸脱することなく他のシステム及び構成要素によって具現化されてもよいことを認められよう。
【0085】
幾つかの実施形態では、ニューラル・ネットワークの一例400は、グローバル・プロトコル・ライブラリから受け取られたスキャナ・レベル・プロトコルからプロトコル・タグ(すなわち領域概念に対応する)を特定することができる。ニューラル・ネットワークの一例は、医用撮像問い合わせからプロトコル・タグを同様に特定することができ、医用撮像問い合わせからのプロトコル・タグが最終的にスキャナ・レベル・プロトコルの少なくとも幾つかからのプロトコル・タグに一致するようにすることができる。医用撮像問い合わせは、医用撮像手順(すなわち担当医レベル・プロトコル又は放射線科医レベル・プロトコルに定義された医用撮像手順)に関するスキャナ・レベル・プロトコルについての問い合わせを含んでいる。従って、幾つかの実施形態では、方法900は、ステップ712から718において適用されて、放射線科医レベル・プロトコルを1又は複数のスキャナ・レベル・プロトコルと照合することができる。一旦、医用撮像問い合わせが1又は複数のスキャナ・レベル・プロトコルに一致したら(従って、問い合わせ付きの医用撮像プロトコルが1又は複数のスキャナ・レベル・プロトコルに一致する)、構成設定済みプロセッサは、一致したスキャナ・レベル・プロトコルを選択して表示器へ出力することができる。この後に、スキャナ・レベル・プロトコルは、自動的に認められるか又は技師によって認められて、図12に関する方法1200を介する等によって医用撮像装置において撮像手順を開始するための実行形態へ変換され得る。
【0086】
ここで図9を参照すると、意味検索アルゴリズムによってスキャナ・レベル・プロトコルを選択する方法900の流れ図が、実施形態の一例に従って示されている。具体的には、方法900のステップは、医用撮像問い合わせを受け取って、受け取った問い合わせに対してスキャナ・レベル・プロトコルを照合することを含んでいる。幾つかの実施形態では、医用撮像問い合わせは、限定しないが方法700のステップ710において生成された放射線科医レベル・プロトコルを含む医用撮像プロトコルの内部にあってよい。
【0087】
ステップ902では、構成設定済みプロセッサが医用撮像問い合わせを受け取る。幾つかの実施形態では、医用撮像問い合わせを含む放射線科医レベル・プロトコルがステップ710又は804において生成された後に、構成設定済みプロセッサに医用撮像問い合わせを自動的に供給することができる。他の実施形態では、利用者が、計算装置(すなわち利用者装置106)に連絡して結合された入力装置(すなわちキーボード、及びマウス等)を介して、医療問い合わせを構成設定済みプロセッサへ与えてもよい。次いで、問い合わせは意味検索アルゴリズムによって受け取られる。付加的な又は代替的な実施形態では、問い合わせは、臨床指標、病歴、以前の検査画像、及び以前のレポート等のような他の関連する医療情報を含み得る。かかる医療情報は、特定の患者について個別化されたプロトコル選択を決定する際に有用であり得る(すなわち患者寸法、患者アレルギー、及び患者持病等に基づいて異なるスキャナ・レベル・プロトコルが選択され得る)。
【0088】
ステップ904では、構成設定済みプロセッサはオントロジーを定義し又は選択することができる。構成設定済みプロセッサは、受け取った医用撮像問い合わせの情報の関数としてオントロジーを定義し又は選択することができる。一般的には、定義され又は選択されるオントロジーは、領域概念に紐付けされた識別子の標準化された集合、及び識別子同士の間の関係を含み得る。例えば、オントロジーは、医用撮像問い合わせに関するRadLex(登録商標)ラジオロジィ・レキシコン(Radiology Lexicon)であってよく、識別子は、医用撮像問い合わせに関係するRadLex(登録商標)プレイブック・アイデンティファイア(RPID)であってよい。
【0089】
ステップ906では、構成設定済みプロセッサはグローバル・プロトコル・ライブラリから複数のスキャナ・レベル・プロトコルを選択する。構成設定済みプロセッサは、受け取った医用撮像問い合わせの情報の関数として複数のスキャナ・レベル・プロトコルを選択することができる。複数のスキャナ・レベル・プロトコルは、グローバル・プロトコル・ライブラリに記憶されている全てのスキャナ・レベル・プロトコル、又はその部分集合を含み得る。例えば、医用撮像問い合わせがCT走査に関する情報を含んでいる場合には、構成設定済みプロセッサは、CT走査に関するスキャナ・レベル・プロトコルを選択することができる。
【0090】
ステップ908では、構成設定済みプロセッサはスキャナ・レベル・プロトコルから複数の第一領域概念を抽出する。具体的には、意味検索アルゴリズムは先ず、ステップ906においてグローバル・プロトコル・ライブラリから選択されたスキャナ・レベルを、ステップ904において定義され又は選択されたオントロジーの識別子に対して照合する。次いで、一致した識別子は、以前のプロトコル選択に一致した識別子にマッピングされることができ、複数の第一領域概念が、ローカル・マッピング・ライブラリに記憶されたマッピングに基づいて特定され及び抽出され得るようにしている。例えば、各々の識別子が領域概念の部分集合に対応することができ、既知の(すなわち定義され又は選択された)オントロジーにおける識別子が一旦決定されたら、識別子に基づいて領域概念の部分集合が決定され得るようになっている。識別子とスキャナ・レベル・プロトコルとの照合、及びここからの複数の第一領域概念の抽出のさらなる詳細については、図10に関して以下に記載される。
【0091】
ここで図10を参照すると、複数のスキャナ・レベル・プロトコルを例示的オントロジーからの識別子と照合する方法1000の流れ図が、実施形態の一例に従って示されている。具体的には、各々のスキャナ・レベル・プロトコルから対応する領域概念が特定され抽出され得るように、複数のスキャナ・レベル・プロトコルを複数の識別子に割り当てることができる。問い合わせされた医用撮像手順を識別子と照合する実質的に類似の方法も本開示の範囲内にあり、簡略化のためこれ以上明記されないことを認められよう。しかしながら、当業界において少なくとも通常の技量を有する者は、問い合わせされた医用撮像手順を識別子と照合することに適合させて方法1000の観点を容易に構成し得るであろう。このようなものとして、幾つかの実施形態では、方法1000は方法900の内部で具現化され得ることを認められよう。
【0092】
ステップ1002では、構成設定済みプロセッサは、グローバル・プロトコル・ライブラリから複数のスキャナ・レベル・プロトコルを選択する。構成設定済みプロセッサは、受け取った医用撮像問い合わせにおける情報の関数として複数のスキャナ・レベル・プロトコルを選択することができる。複数のスキャナ・レベル・プロトコルは、グローバル・プロトコル・ライブラリに記憶されている全てのスキャナ・レベル・プロトコルを含んでいてもよいし、その部分集合を含んでいてもよい。
【0093】
ステップ1004では、構成設定済みプロセッサは複数のスキャナ・レベル・プロトコルから一つのスキャナ・レベル・プロトコルを選択する。ステップ1004から1010は複数のスキャナ・レベル・プロトコルの各々のスキャナ・レベル・プロトコルの逐次的なタグ付けに向けられているが、ステップ1004から1010は本開示の範囲内で同時に実行され得ることを認められよう。
【0094】
ステップ1006では、構成設定済みプロセッサは、選択されたプロトコルについて複数のプロトコル・タグを特定する。幾つかの実施形態では、選択されたプロトコルは、意味検索パラダイムを具現化したニューラル・ネットワーク(すなわち図4及び図5のニューラル・ネットワーク400)へ入力され得る。かかる実施形態では、ニューラル・ネットワークは、以前のプロトコル・タグ特定に基づいて複数のプロトコル・タグを出力することができる。複数のプロトコル・タグは、撮像モダリティ、複数の身体部位(すなわち三つの身体部位)、モダリティ修飾子、及び薬学的指標に対応する複数の属性値を一意に特定し得る。例えば、撮像モダリティは「CT」、複数の身体部位は「腹部」、「骨盤」、及び「下肢」、モダリティ修飾子は「血管造影法」、薬学的指標は「静脈点滴管による」であってよい。
【0095】
ステップ1008では、構成設定済みプロセッサは複数のプロトコル・タグをオントロジーにおける1又は複数の識別子と照合する。幾つかの実施形態では、オントロジーはRadLex(登録商標)ラジオロジィ・レキシコンであってよく、識別子はRPIDであってよい。意味検索アルゴリズムは、複数のプロトコル・タグと所与のRPIDとの間の完全一致を決定することができる。幾つかの例では、複数のプロトコル・タグの少なくとも幾つかは再マッピングされ得る。例えば、薬学的指標は「あり」に再マッピングされてもよいし「なし」に再マッピングされてもよい。指定されていないあらゆるプロトコル・タグは、1又は複数の識別子と照合するという目的のためには空白と見做され得る。
【0096】
ステップ1010では、構成設定済みプロセッサは、1又は複数の識別子に基づいて複数の領域概念を抽出する。例えば、詳細な情報及び属性値が1又は複数の識別子の各々に紐付けされて、オントロジー・データベース(すなわちRadLex(登録商標)プレイブック)から検索され得る。
【0097】
ステップ1012では、構成設定済みプロセッサは、選択されたスキャナ・レベル・プロトコルを1又は複数の識別子及び複数の抽出された領域概念で更新する。このようにして、スキャナ・レベル・プロトコルの識別子及び抽出された領域概念を活用して、両者の間での一致すなわち所与のスキャナ・レベル・プロトコルと問い合わせされた医用撮像手順との間での一致を決定することができる。
【0098】
ステップ1014では、構成設定済みプロセッサは、複数のスキャナ・レベル・プロトコルの最後のスキャナ・レベル・プロトコルが選択され終わったか否かを決定する。複数のスキャナ・レベル・プロトコルにまだ選択されていないスキャナ・レベル・プロトコルが存在している場合には、方法1000は1002へ戻る。しかしながら、複数のスキャナ・レベル・プロトコルの各々のスキャナ・レベル・プロトコルが選択され終わっていたら、方法1000は終了してよい。
【0099】
ここで図9のステップ910へ戻ると、構成設定済みプロセッサは、問い合わせされた医用撮像手順から複数の第二領域概念を抽出する。グローバル・プロトコル・ライブラリから選択されたスキャナ・レベル・プロトコルをオントロジーの識別子と照合した後に、意味検索アルゴリズムは次いで、問い合わせされた医用撮像手順を類似の態様でオントロジーにおける識別子と照合することができる。問い合わせされた医用撮像手順に一致した識別子は次いで、以前のプロトコル選択に一致した識別子にマッピングされて、このマッピングに基づいて複数の第二領域概念が特定され抽出されるようにすることができる。以前のプロトコル選択はローカル・マッピング・ライブラリに記憶されていてよい。識別子を問い合わせされた医用撮像手順と照合してここから複数の第二領域概念を抽出するステップは、識別子をスキャナ・レベル・プロトコルと照合してここから複数の第一領域概念を抽出する図10に関して上述した方法と実質的に同様の方法を介して実行され得ることを認められよう。このようなものとして、問い合わせされた医用撮像手順から複数の第二領域概念を抽出するさらなる詳細は簡略化のため省かれるが、依然本開示の範囲内にある。
【0100】
ステップ912では、構成設定済みプロセッサは、複数のスキャナ・レベル・プロトコルの任意のものと問い合わせ(すなわち問い合わせされた医用撮像手順)との間の一致が存在するか否かを複数の第一及び第二領域概念に基づいて決定する。ステップ912から916は大まかに記載されており、これらのステップについてのより具体的な実施形態は後に図11に関して記載されていることを認められよう。しかしながら、他の照合及び選択ステップが本開示の範囲から逸脱せずに思料され得ることがさらに認められよう。
【0101】
ステップ914では、一致を決定することができなかったことに呼応して(すなわち複数の第一及び第二領域概念の間の重なりが存在しない又は重なりが小さ過ぎる場合には、所与の第一領域概念のセマンティクスと所与の第二領域のセマンティクスとの間の類似性は閾値等を上回らない等)、構成設定済みプロセッサは、プロトコル選択が意味検索アルゴリズムによって行なわれなかったとの通知を送る。通知は、一致が決定されなかったことを示すテキストを含むことができ、幾つかの実施形態では、構成設定済みプロセッサは通知を表示器へ出力し得る。
【0102】
ステップ916では、1又は複数の一致を決定したことに呼応して(すなわち複数の第一及び第二領域概念の間の重なりがあると、所与の第一領域概念のセマンティクスと所与の第二領域のセマンティクスとの間の類似性は閾値を上回る等)、構成設定済みプロセッサは1又は複数の一致に対応する各々のスキャナ・レベル・プロトコルを選択して、選択されたスキャナ・レベル・プロトコルを表示器へ出力する。一実施形態では、1又は複数の選択されたスキャナ・レベル・プロトコルの各々に、問い合わせされた医用撮像手順に対する一致の重なり度に基づいて信頼性重みを割り当てることができる。本実施形態では、選択されたスキャナ・レベル・プロトコルは信頼性重みが最も大きいスキャナ・レベル・プロトコルが最初に掲載された一覧として表示器へ出力され得る。もう一つの実施形態では、1又は複数の選択されたスキャナ・レベル・プロトコルの各々に、問い合わせされた医用撮像手順に対する一致の重なり度に基づいて信頼性重みを割り当てる場合に、構成設定済みプロセッサは、信頼性重みが閾値よりも大きいスキャナ・レベル・プロトコルのみを出力してもよい。
【0103】
ここで図11を参照すると、複数のスキャナ・レベル・プロトコルを問い合わせされた医用撮像手順と照合する方法1100の流れ図が、実施形態の一例に従って示されている。具体的には、複数のスキャナ・レベル・プロトコルの各々のスキャナ・レベル・プロトコル及び問い合わせされた医用撮像手順は、例示的オントロジーからのそれぞれの識別子に関連付けられ得るので、方法1100は、1又は複数の照合制約の範囲内で複数のスキャナ・レベル・プロトコルと問い合わせされた医用撮像手順との間で一致する識別子を決定することを含み得る。
【0104】
ステップ1102では、構成設定済みプロセッサは、複数のスキャナ・レベル・プロトコルの各々のスキャナ・レベル・プロトコルについての複数の第一のプロトコル・タグ及び第一の識別子、並びに問い合わせされた医療についての複数の第二のプロトコル・タグ及び第二の識別子を受け取る。ステップ1102での受け取りに先立って、問い合わせされた医用撮像手順及び各々のスキャナ・レベル・プロトコルは、対応する複数のプロトコル・タグ及び識別子に対して意味検索アルゴリズムによって照合済みである場合もある。幾つかの実施形態では、各々の識別子はRadLex(登録商標)ラジオロジィ・レキシコンからのRPIDであってよい。かかる実施形態では、複数のプロトコル・タグは、対応するスキャナ・レベル・プロトコルについての識別子に関連付けられた複数の属性値を一意に特定することができる。方法900に関して述べると、第一の識別子及び複数の第一のプロトコル・タグの各々が複数の第一領域概念に対応し、第二の識別子及び複数の第二のプロトコル・タグの各々が複数の第二領域概念に対応し得ることを認められよう。
【0105】
ステップ1104では、構成設定済みプロセッサは、複数のスキャナ・レベル・プロトコルの任意のものと、問い合わせされた医用撮像手順との間に一致が存在するか否かを第一及び第二の識別子に基づいて決定する。幾つかの実施形態では、一致は識別子同士の間の英数字の完全一致であってよい。付加的な又は代替的な実施形態では、一致は複数の照合制約が満たされたことに応じて決定され得る。複数の照合制約は、複数の第二のプロトコル・タグに一致する複数の第一のプロトコル・タグ、又は複数の第二のプロトコル・タグの対応する部分集合に一致する複数の第一のプロトコル・タグの部分集合を含み得る。例えば、部分集合の各々が、同じ属性(すなわち撮像モダリティ、身体部位、モダリティ修飾子、及び薬学的指標等)に対応するプロトコル・タグを含み得る。
【0106】
ステップ1106では、一致がないと決定したことに呼応して、構成設定済みプロセッサは、複数の照合制約に対応する第一及び第二のプロトコル・タグの部分集合にマンダトリ・プロトコル・タグのみが残されているか否かを決定する。具体的には、マンダトリ・プロトコル・タグは、複数の照合制約に対応し得る最小数の所定のプロトコル・タグを含み得る。例えば、マンダトリ・プロトコル・タグは、撮像モダリティ、身体部位の少なくとも一つ、及び薬学的指標に対応するプロトコル・タグを含み得る。
【0107】
ステップ1108では、複数の照合制約に対応する第一及び第二のプロトコル・タグの部分集合に残されたマンダトリ・プロトコル・タグ以外にもプロトコル・タグがさらに存在するとステップ1106において決定したことに呼応して、構成設定済みプロセッサは複数の照合制約を修正する。具体的には、複数の照合制約の修正は、第一及び第二のプロトコル・タグの部分集合を1又は複数のプロトコル・タグだけ減少させることを含み得る。例えば、第一及び第二のプロトコル・タグの部分集合が撮像モダリティ、身体部位、モダリティ修飾子、及び薬学的指標に対応している場合には、複数のスキャナ・レベル・プロトコルの任意のものと、問い合わせされた医用撮像手順との間に一致が存在するか否かを第一及び第二の識別子に基づいて決定する試みにおいて、第一及び第二のプロトコル・タグの部分集合からモダリティ修飾子を除去することができる。
【0108】
ステップ1110では、複数の照合制約に対応する第一及び第二のプロトコル・タグの部分集合にマンダトリ・プロトコル・タグのみが残されていると決定したことに呼応して、構成設定済みプロセッサは、意味検索アルゴリズムではプロトコル選択が行なわれなかったとの通知を生成する。具体的には、通知は、マンダトリ・プロトコル・タグのみが第一及び第二のプロトコル・タグの部分集合に残されるまで、複数の照合制約を修正しても複数のスキャナ・レベル・プロトコルの任意のものと問い合わせされた医用撮像手順との間に一致がなかったと意味検索アルゴリズムによって決定されたときに生成され得る。幾つかの実施形態では、通知はテキストを含み、構成設定済みプロセッサは通知を表示器へ出力する。
【0109】
ステップ1112では、1又は複数の一致を決定したことに呼応して、構成設定済みプロセッサは対応して1又は複数の一致する識別子を受け取る。
【0110】
ステップ1114では、構成設定済みプロセッサは、1又は複数の一致する識別子にそれぞれ対応する各々のスキャナ・レベル・プロトコルを選択して、選択されたスキャナ・レベル・プロトコルを表示器へ出力する。
【0111】
ここで図12を参照すると、1又は複数のスキャナ・レベル・プロトコル(すなわち意味検索アルゴリズムによって事前に選択されたスキャナ・レベル・プロトコル)から一つのスキャナ・レベル・プロトコルを選択して、選択されたスキャナ・レベル・プロトコルに基づいて走査セッションを実行する方法1200の流れ図が、実施形態の一例に従って示されている。具体的には、スキャナ・レベル・プロトコルの選択は、構成設定済みプロセッサによって自動的に下されたにせよ又は医療専門家(すなわち技師)によって下されたにせよ今までに下された選択に少なくとも部分的に依存し得る。スキャナ・レベル・プロトコルの選択に続いて、選択されたスキャナ・レベル・プロトコルに対応する医用撮像手順を実行することができる。
【0112】
以下、方法1200は、図1から図3に示されたシステム及び構成要素に関連して記載される。しかしながら、方法1200は、本開示の範囲から逸脱することなく他のシステム及び構成要素によっても具現化され得ることを認められよう。幾つかの実施形態では、方法1200は、コンピュータ可読の記憶媒体に記憶されているコンピュータ可読のプログラム命令として具現化され得る。
【0113】
ステップ1202では、構成設定済みプロセッサは1又は複数のスキャナ・レベル・プロトコルを受け取る。一実施形態では、スキャナ・レベル・プロトコルは、方法900のステップ916において選択されたスキャナ・レベル・プロトコルを含んでいる。
【0114】
ステップ1204では、構成設定済みプロセッサは、少なくとも受け取ったスキャナ・レベル・プロトコルの選択回数が選択回数閾値よりも大きいか否かを決定する。幾つかの実施形態では、所与のスキャナ・レベル・プロトコルの選択回数は、予め決められた持続時間にわたり又はIAPS102が起動されてから、スキャナ・レベル・プロトコルが医用撮像手順において選択され具現化された事例の総数であってよい。他の実施形態では、スキャナ・レベル・プロトコルの選択回数は平均選択回数であってもよく、この平均選択回数は線形重み付き移動平均(LWMA)によって決定され得る。具体的には、LWMAは、少なくとも一つのプロトコル選択と関連付けられた信頼性重みに基づくことができ、この信頼性重みは予め決められた持続時間にわたる区画の選択回数に基づいていてよい。一実施形態では、区画の各々が20回の選択回数を含んでいてよく、予め決められた持続時間は12ヶ月であってよい。付加的な又は代替的な実施形態では、構成設定済みプロセッサが個人向けのプロトコル選択を生成し得るように、選択回数が一人の患者又は類似の患者の部分集合に特有のものであってもよい。
【0115】
ステップ1206では、受け取ったスキャナ・レベル・プロトコルのいずれの選択回数も閾値を上回っていないと決定したことに呼応して、構成設定済みプロセッサは、医用イメージング・システムの利用者からスキャナ・レベル・プロトコルの手動選択を受け取る。すなわち、1又は複数の受け取ったスキャナ・レベル・プロトコルの選択回数がいずれも選択回数閾値を上回っていないので、利用者に対して表示されるスキャナ・レベル・プロトコルはなく、手動選択が代替として与えられ得る。しかしながら、幾つかの実施形態では、受け取ったスキャナ・レベル・プロトコルのいずれの選択回数も閾値を上回っていないと決定したことに呼応して、構成設定済みプロセッサは、通知を生成して表示器へ出力する。通知は利用者に、受け取ったスキャナ・レベル・プロトコルのいずれの選択回数も閾値を上回っていないことを知らせる。
【0116】
ステップ1208では、受け取ったスキャナ・レベル・プロトコルの少なくとも一つの選択回数が閾値を上回ったと決定したことに呼応して、構成設定済みプロセッサは、少なくとも一つのスキャナ・レベル・プロトコルを表示器へ出力する。このようにして、構成設定済みプロセッサが、(自動的にすなわち構成設定済みプロセッサによるか、すなわち医用イメージング・システムの利用者よるかを問わず)今までに選択されたスキャナ・レベル・プロトコルと一貫しないスキャナ・レベル・プロトコルを出力する可能性を低くすることができる。
【0117】
幾つかの実施形態では、少なくとも一つのスキャナ・レベル・プロトコルは、ソート(並べ替え)済み一覧として表示され得る。一例として、ソート済み一覧は選択回数でソートされており、最大の選択回数を有するプロトコル選択がソート済み一覧の最初に表示されるようにすることができる。一例として、ソート済み一覧は信頼性重みでソートされて、最大の信頼性重みを有するスキャナ・レベル・プロトコルがソート済み一覧の最初に表示され得るようにしてもよい。付加的な又は代替的な実施形態では、最大数のプロトコル選択のみを表示してもよい。例えば、少なくとも一つのプロトコル選択のうち6個までのプロトコル選択(すなわち少なくとも一つのプロトコル選択のうち最大の信頼性重みを有するプロトコル選択)を表示装置に表示してもよい。
【0118】
ステップ1210では、構成設定済みプロセッサは、選択回数が閾値を上回ったスキャナ・レベル・プロトコルであって限定しないがステップ1208において表示器へ出力されたスキャナ・レベル・プロトコルの一つを含むスキャナ・レベル・プロトコルの一つを選択する。一実施形態では、構成設定済みプロセッサは最大の信頼性重みを有するプロトコルを選択する。
【0119】
ステップ1212では、構成設定済みプロセッサは、選択されたプロトコルの確認が受け取られたか否かを決定する。幾つかの実施形態では、確認は医用イメージング・システムの利用者から受け取られ得る。しかしながら、他の実施形態では、確認はサブルーチン(すなわち仮想アシスタント)によって行なわれてもよい。幾つかの実施形態では、所与のプロトコル選択の信頼性のレベルが信頼性の閾値レベルを下回る場合には、経験レベルが相対的に高い医療専門家(すなわち放射線科医)から確認を求めることができる。反対に、所与のプロトコル選択の信頼性のレベルが信頼性の閾値レベルを上回る場合には、経験レベルが相対的に低い医療専門家(すなわち技師)、サブルーチン、又はこれらの組み合わせから確認を求めてよい。幾つかの実施形態では、少なくとも一つのプロトコル選択からの自動選択は、個別の事例では自動選択を利用禁止にするようにして医用イメージング・システムの利用者によって起動されるようにしてもよい。
【0120】
ステップ1214では、選択されたプロトコル選択の確認を受け取っていないと決定したことに呼応して、構成設定済みプロセッサは、ステップ1206において医用イメージング・システムの利用者からのスキャナ・レベル・プロトコルの手動選択を受け取る。幾つかの実施形態では、手動選択は、利用者に対して表示された少なくとも一つのプロトコル選択のうち一つの利用者選択を含み得る。付加的な又は代替的な実施形態では、手動選択は、利用者に対して表示された少なくとも一つのプロトコル選択のいずれにも対応していないスキャナ・レベル・プロトコルの利用者選択を含んでいてもよい。
【0121】
ステップ1216では、確認を受け取ったと決定した(すなわちステップ1212において)ことに呼応して、又は手動選択を受け取った(すなわちステップ1206において)場合に、構成設定済みプロセッサは、選択されたスキャナ・レベル・プロトコルの選択回数をインクリメント(すなわち1だけ)する。このようなものとして、選択されたスキャナ・レベル・プロトコルは、認められた自動選択のプロトコル選択又は手動選択のスキャナ・レベル・プロトコルに対応し得る。
【0122】
ステップ1218では、構成設定済みプロセッサは、選択されたスキャナ・レベル・プロトコルに基づいて医用撮像手順を実行する。具体的には、構成設定済みプロセッサは、選択されたスキャナ・レベル・プロトコルをスキャナ・レベル・プロトコル実行形態へ変換することができ、スキャナ・レベル・プロトコル実行形態は次いで、医用イメージング・システムのスキャナによって医用撮像手順として実行され得る。
【0123】
このようにして、自動選択されたスキャナ・レベル・プロトコルに基づいて走査セッションを開始するための医用イメージング・システム用のインテリジェント型自動式プロトコル指定システムが提供される。具体的には、幾つかの例では、インテリジェント型自動式プロトコル指定システムは、医療専門家からのスキャナ・レベル・プロトコルの確認に呼応して、所与の患者及び医療課題に特有のスキャナ・レベル・プロトコルを選択して実行することができる。しかしながら、他の例では、医療専門家が確認を与えることができない場合があり、代替的なスキャナ・レベル・プロトコルを代わりに手動で与えてもよい。いずれの場合にも、各々の走査セッション毎に、インテリジェント型自動式プロトコル指定システムは、医療専門家からの入力に基づいてローカル・マッピング・ライブラリを直ちに更新することができる。1又は複数の医療専門家からのかかる漸増的フィードバックに基づいてローカル・マッピング・ライブラリを更新する技術的な効果は、インテリジェント型自動式プロトコル指定システムが漸増的フィードバックから収集された蓄積された医学的専門知識に基づいて所与の医療的状況について経時的にプロトコル選択を変化させ得ることである。幾つかの例では、インテリジェント型自動式プロトコル指定システムはさらに、選択されたスキャナ・レベル・プロトコルに特有のスキャナを選択するように構成され得る。自動式スキャナ選択の技術的な効果は、所与の医療的状況に適した医用撮像モダリティを蓄積された医学的専門知識に基づいて一貫性をもって決定することができ、これにより患者経験価値及び健康転帰を改善することである。
【0124】
本書で議論されるように、インテリジェント型自動式プロトコル指定システムは、様々な医療専門家によって手動で行われていた従来の工程を置き換えて改善することができる。インテリジェント型自動式プロトコル指定システムによって評価され合成されるデータ構造の複雑な相互関係は、手動で(すなわち医療専門家によって)は匹敵する忠実度で達成され得ないことを認められよう。具体的には、本開示のインテリジェント型自動式プロトコル指定システムは、かかるスキャナ・レベル・プロトコル選択に利用される生の医療データを記憶するITシステムに対してローカル・マッピング・ライブラリを非同期で更新することにより、スキャナ・レベル・プロトコル選択の一貫性を改善することができる。このようにして、専門家、地域、及び撮像モダリティに跨る治療の同時的な一貫性を達成することができ、これにより患者経験価値及び健康転帰を改善する。
【0125】
以上に示した任意の改変に加えて、本記載の主旨及び範囲から逸脱することなく多くの他の変形及び代替的な構成が当業者によって考案されることができ、また以下の特許請求の範囲はかかる改変及び構成を網羅するものとする。このように、最も実用的で好ましい観点と現状でみなされるものに関連して特定的且つ詳細に情報を上で記載したが、当業者には、限定しないが形態、機能、動作の態様、及び用法を含めた多くの改変が、本書に記載された原理及び概念から逸脱することなく行なわれ得ることが明らかとなろう。また、本書で用いられる場合に、実例及び実施形態は説明のみのためのものであって、如何なる態様でも限定するものと解釈されるべきではない。
【符号の説明】
【0126】
100 医用撮像システム
200 CTシステム
202 患者
204 静止ガントリ
206 回転ガントリ
208 検査領域
210 被検体支持部
212 X線源
214 放射線感受性検出器アレイ
300 CTシステム
302 X線
304 検出器素子
306 回転中心
400 ニューラル・ネットワーク
402 ニューロン(又はノード)
404 入力層
406、408、410、412、414 中間層
416 出力層
418 接続
502 入力接続
504 出力接続
600 クラウド・コンピューティング環境
602 ノード
604 装置(又はシステム)
700 医用撮像プロトコルの選択を自動化する方法
800 医用撮像プロトコルの選択を自動化するもう一つの方法
900 意味検索アルゴリズムによってスキャナ・レベル・プロトコルを選択する方法
1000 複数のスキャナ・レベル・プロトコルを例示的オントロジーからの識別子と照合する方法
1100 複数のスキャナ・レベル・プロトコルを問い合わせされた医用撮像手順と照合する方法
1200 1又は複数のスキャナ・レベル・プロトコルから一つのスキャナ・レベル・プロトコルを選択して、選択されたスキャナ・レベル・プロトコルに基づいて走査セッションを実行する方法
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【国際調査報告】