(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-01
(54)【発明の名称】内部ヒューズを有するエネルギー貯蔵デバイスにおける、バッテリ接続部及び金属化フィルム構成要素
(51)【国際特許分類】
H01M 4/66 20060101AFI20230125BHJP
H01M 50/536 20210101ALI20230125BHJP
H01M 50/533 20210101ALI20230125BHJP
H01M 10/04 20060101ALI20230125BHJP
H01M 10/058 20100101ALI20230125BHJP
H01M 10/052 20100101ALI20230125BHJP
H01G 11/68 20130101ALI20230125BHJP
H01G 11/70 20130101ALI20230125BHJP
H01G 11/84 20130101ALI20230125BHJP
H01G 11/74 20130101ALI20230125BHJP
H01M 50/54 20210101ALI20230125BHJP
H01M 50/583 20210101ALN20230125BHJP
【FI】
H01M4/66 A
H01M50/536
H01M50/533
H01M10/04 Z
H01M10/058
H01M10/052
H01G11/68
H01G11/70
H01G11/84
H01G11/74
H01M50/54
H01M50/583
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022530866
(86)(22)【出願日】2020-11-10
(85)【翻訳文提出日】2022-07-15
(86)【国際出願番号】 US2020059794
(87)【国際公開番号】W WO2021108119
(87)【国際公開日】2021-06-03
(32)【優先日】2019-11-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521434964
【氏名又は名称】ソテリア バッテリー イノベーション グループ インク.
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】モリン,ブライアン ジー.
(72)【発明者】
【氏名】フー,カール シー.
【テーマコード(参考)】
5E078
5H017
5H028
5H029
5H043
【Fターム(参考)】
5E078AA11
5E078AA13
5E078AA14
5E078AB01
5E078FA06
5E078FA12
5E078FA15
5E078FA23
5E078KA07
5E078LA07
5H017AA03
5H017CC20
5H017DD05
5H017DD06
5H017EE01
5H017EE05
5H017EE07
5H028AA05
5H028EE01
5H028EE06
5H029AJ12
5H029AK01
5H029AK03
5H029AL01
5H029AL03
5H029AL06
5H029AL07
5H029AL11
5H029AM03
5H029AM05
5H029AM07
5H043AA04
5H043BA19
5H043CA03
5H043CA04
5H043CA09
5H043EA15
5H043EA16
5H043GA03
5H043JA01E
5H043KA08E
5H043KA09E
5H043KA19E
(57)【要約】
アノード、カソード、アノード及びカソード間に存在する少なくとも1つのセパレータ、電解液、アノード及びカソードのうち少なくとも一方と接触した少なくとも1つの金属化された薄いフィルムの集電材、少なくとも1つの金属化された薄いフィルムの集電材に装着された少なくとも1つのタブ、を備えたエネルギー貯蔵デバイスであって、少なくとも1つの金属化された薄いフィルムの集電材は、上面及び底面を有するポリマー基体層を有し、第1の金属化層は、ポリマー基体の上層に位置され、第2の金属化層は、ポリマー基体の底層に装着され、集電材は、その中に溶接の窪みを呈し、それによって、第1及び第2の金属化層の少なくとも一部は互いに接触する、エネルギー貯蔵デバイス。
【選択図】
図24
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アノード、カソード、前記アノード及び前記カソード間に存在する少なくとも1つのセパレータ、電解液、前記アノード及び前記カソードのうち少なくとも一方と接触した少なくとも1つの金属化された薄いフィルムの集電材、少なくとも1つの前記金属化された薄いフィルムの集電材に装着された少なくとも1つのタブ、を備えたエネルギー貯蔵デバイスであって、少なくとも1つの前記金属化された薄いフィルムの集電材は、上面及び底面を有するポリマー基体層を有し、第1の金属化層は、前記ポリマー基体の上層に位置され、第2の金属化層は、前記ポリマー基体の底層に装着され、前記集電材は、その中に溶接の窪みを呈し、それによって、前記第1及び前記第2の金属化層の少なくとも一部は互いに接触する、エネルギー貯蔵デバイス。
【請求項2】
前記溶接の窪みを介して前記集電材の前記金属化層に装着された、少なくとも1つの電気接続タブをさらに備える、請求項1に記載のエネルギー貯蔵デバイス。
【請求項3】
前記溶接の窪みは、前記アノード及び前記カソードのうち一方と関連する、請求項1に記載のエネルギー貯蔵デバイス。
【請求項4】
前記タブは、前記溶接の窪みを介して前記アノードまたは前記カソードに電気接続される、請求項3に記載のエネルギー貯蔵デバイス。
【請求項5】
前記溶接の上に補強が提供される、請求項1に記載のエネルギー貯蔵デバイス。
【請求項6】
前記金属化フィルムは25層まで含む、請求項1に記載のエネルギー貯蔵デバイス。
【請求項7】
複数のタブは25まで存在する、請求項6に記載のエネルギー貯蔵デバイス。
【請求項8】
前記金属層のうち少なくともいくつかは、隣接した集電材を通して押出され、他方の集電材の金属化された層と接触し、そうでなければ前記押出された金属層と向かい合って接触しない、請求項6に記載のエネルギー貯蔵デバイス。
【請求項9】
複数の窪みが存在し、それらは密に集められたパターン、まばらに集められたパターン、ジグザグの部分的な格子状のパターン、または整合された部分的な格子状パターンを呈する、請求項1に記載のエネルギー貯蔵デバイス。
【請求項10】
前記窪みの形状は直線状、角錐台状、丸みを帯びた角錐状、または球状である、請求項1に記載のエネルギー貯蔵デバイス。
【請求項11】
アノード、カソード、前記アノード及び前記カソード間に存在する少なくとも1つのセパレータ、電解液、前記アノード及び前記カソードのうち少なくとも一方と接触した少なくとも1つの金属化された薄いフィルムの集電材、ならびに、少なくとも1つの前記金属化された薄いフィルムの集電材に装着された少なくとも1つのタブ、を備えたエネルギー貯蔵デバイスであって、少なくとも1つの前記金属化された薄いフィルムの集電材は、上面及び底面を有するポリマー基体層を有し、第1の金属化層は、前記ポリマー基体の上層に装着され、前記タブは、前記ポリマー基体の底層に配置され、前記集電材は、その中に溶接の窪みを呈し、それによって、前記第1の金属化層の少なくとも一部は前記タブと接触する、エネルギー貯蔵デバイス。
【請求項12】
アノード及びカソードを含んだエネルギー貯蔵デバイスと共に利用するための、集電材のタブシステムであって、前記集電材のタブシステムは、
前記アノード及び前記かソートのうち少なくとも一方と接触し、上面及び底面を有するポリマー基体を含んだ、少なくとも1つの集電材であって、第1の金属化層は、前記ポリマー基体の上層に装着され、かつ第2の金属化層は、前記ポリマー基体の底層に装着された、少なくとも1つの集電材と、
前記ポリマー基体の上面、または前記ポリマー基体の底面に装着された、少なくとも1つのタブと、
前記集電材上に呈され、そのため前記タブは、前記第1の金属化層の少なくとも一部、または前記第2の金属化層の一部、のそれぞれに接触する、1つまたは複数の溶接の窪みと
を備え、
前記溶接の窪みは、前記ポリマー基体層を、前記第1の金属化層及び前記第2の金属化層が接触するように動かすよう構成される、集電材のタブシステム。
【請求項13】
前記ポリマー基体層は、各々個別の金属化フィルム間にポリマー基体を伴った、多層の金属化フィルム構造と、第2の金属化層である多層の金属化フィルム構造の最低部の金属化フィルムと、を含み、前記多層の金属化フィルム構造は、前記溶接の窪みを介して、前記溶接接合部分において前記多層の金属化フィルム構造と共に接続するために処理されるよう構成される、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記溶接の窪みは、前記溶接の窪みを囲んだ累進的な外形を生成して、前記多層の金属化フィルム構造を介して全溶接圧を適用させるのを促進するよう構成され、前記溶接の窪みの前記累進的な外形は、盛り上がった周縁部を前記溶接の窪みの上縁部に含む、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
リチウムイオンバッテリを生成する方法であって、
a)イオン貯蔵材料のコーティングを伴う、少なくとも1つの金属化基体を有する電極を準備するステップと、
b)対電極を準備するステップと、
c)前記電極と前記対電極との間に挟まれたセパレータ構成要素を伴い、前記電極及び前記対電極を互いに対向させてレイヤリングするステップと、
d)電気接点構成要素を含んだ包装材料を準備するステップであって、前記接点は前記包装材料内に存在する部分と、前記包装材料の外側に存在する部分とを含んだ、準備するステップと、
e)前記電気接点を前記金属化基体と電気接続するステップと、
f)イオンを内部に伴う、少なくとも1種類の液体電解質を、前記包装材料内に導入するステップと、
g)前記包装材料を封止するステップと
を含み、
前記ステップe)における電気接続は、前記金属化基体の少なくとも1層の金属層が、前記金属化基体の前記ポリマー基体を通して押圧され、前記電気接点において1ohm未満の抵抗の電気接続を作る方法を含む、リチウムイオンバッテリを生成する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、リチウムバッテリ物品における構造構成要素及び物理的特徴の改善に関する。本技術は、薄い金属化表面の複合体の集電材(例としてアルミニウム及び/または銅)、高い収縮率の材料、高温に曝すと非導電性となる材料、ならびにそれらの組み合わせ、の利用に関連して使用するための、内部ヒューズを有するエネルギー貯蔵デバイスにおける、バッテリ接続部及び金属化フィルム構成要素に関する。このような改善は、短絡からの望ましくない高温効果を防止する、対象のリチウムバッテリ自体の内部ヒューズを表面的に提供することによって、目標のリチウムバッテリ内における特定の欠点(樹脂状結晶、予期せぬ電気サージなど)に耐える機能を与える。このような改善を含んだ、バッテリ物品及びその使用方法も、本開示に包含される。
【背景技術】
【0002】
例えば標準的なリチウムイオンバッテリは、短絡に関連した特定の現象を起こす傾向があり、高温の発生を受けて最終的に火災となる。バッテリ構成要素の構造的懸念が、このような問題の一因となることが判明している。
【0003】
リチウムバッテリは、多くの製品内で電源として、世界中に普及している。再充電可能な電力工具から、電子自動車、至る所にある携帯電話(及びタブレット、ハンドヘルドコンピュータなど)まで、(異なるイオンタイプの)リチウムバッテリは、信頼性、上述の再充電可能性、及び使用寿命の長さのため、主な電源として利用される。しかし、このような広範囲に利用される電源には、いくらかの問題があり、そのいくつかは重大さが増していることが判っている。特に、このようなリチウムバッテリ内の特定の欠点が、当初の製造の課題または経時的な劣化問題のいずれかにより、短絡事象中における火災の可能性を受けやすくするという、安全の課題が明らかになっている。基本的に、導電性材料を伴う内部欠陥は、このようなバッテリ構造内で望ましくない高温、及び最終的に火災を生じさせることが判っている。そのため、ハンドヘルドのコンピュータデバイス(評判の悪い1つの状況として、Samsung Galaxy Note 7)から、飛行機全体(Boeing 787)まで、リチウムバッテリを利用した特定の製品は、その中で、及び共に使用された、評判を落としたリチウムバッテリに対する解決策が提供されるまで、販売及び/または使用が禁止されている(さらに特定の領域において、Samsung Galaxy Note 7については全ての飛行機から禁止されている)。電気自動車のTesla lineでさえ、リチウムバッテリ構成要素を伴う重大な問題を呈しており、このような高価な車両がバッテリの課題のために火の玉のように爆発するという、大ニュースをもたらしている。そのため、このようなバッテリの課題に関連した、広範なリコールまたは全面禁止が今日も続いており、このような問題を克服するための大きな必要性をもたらしている。
【0004】
これらの問題は、出来上がった個々のバッテリ構成要素の観点、またはこのような構成要素が個々のバッテリ自体として構築される観点、のいずれかの製造の課題により、主に存在する。より詳細に調べると、現在リチウムバッテリは、6つの主な要素、すなわちカソード材料と、上にカソード材料がコーティングされたカソード集電材(アルミニウムフォイルなど)と、アノード材料と、上にアノード材料がコーティングされたアノード集電材(銅フォイルなど)と、各アノード層とカソード層との間に位置され、一般的にプラスチック材料から作られたセパレータと、他の材料を浸すことによってイオンのための機構を提供して、アノード及びカソードの間で伝導する、導電性有機溶媒としての電解液と、から作られる。これらの材料は、一般的に従来技術の
図1に示されるように、缶の中に巻かれるか、または積み重ねられる。パウチセル、角柱セル、コインセル、円筒形セル、巻き角柱セル、巻きパウチセル、その他を含む、バッテリ製作目的の構成、及びバッテリ製作目的で利用され得る構成が、他に多く存在する。これらのバッテリセルは、正確に作られ、かつ優しく取り扱ったとき、明らかに安全に関するいかなる事故もなく、数千の充電-放電サイクルのための様々な用途のためにエネルギーを提供することができる。しかし、上述したように、特定の事象、特に特定の欠陥が、内部の導電性材料間で内部短絡を起こす場合がある。内部短絡は、熱の発生及び内部の熱暴走をもたらし、このようなリチウムバッテリ内で最終的に火災を生じさせることで知られている。このような事象は、上述のように、バッテリ内の金属粒子の存在、集電材の材料におけるギザギザ部分、セパレータにおける薄いスポットまたは穴(含まれるか、または後続の処理で生じるかのいずれか)、バッテリ層の不整合(望ましくない導電性が生じる「開口部」を残す)、バッテリに侵入する外部の瓦礫(動いている車両に衝撃を与える路上の瓦礫など)、セル自体を破壊及び/または不安定化すること(例えば事故による)、狭い空間でセルを充電すること、などを含む内部の欠陥によってさらに生じ得る。一般的に言えば、これらのタイプの欠陥は、アノードとカソードとの間に、小さい電子導電経路を生成することが知られている。このような事象が生じたとき、セルが充填された場合、このような導電経路はセルの放電を生じさせ、それを通して最終的に過剰な熱を発生させ、それによってバッテリ構造を損ね、かつバッテリによって電力が供給される基礎となるデバイスを危険に曝すことがある。バッテリの電解液(一般的にバッテリの動作に必要)としての、可燃性有機溶媒の存在と組み合わされ、このような過剰な熱は、点火を生じさせることが判っており、最終的に非常に危険な状況を作り出す。このような問題は、一旦始まると少なくとも制御が困難で、消費者に著しい怪我をもたらす。このような潜在的に悲惨な状況は、このように可燃性有機電解質を損ねることなく、電気エネルギーを送達するバッテリの提供を介して、確実に回避するべきである。
【0005】
内部で過剰な熱が発生すると、プラスチックセパレータの収縮をさらに作り出して、プラスチックセパレータを離すか、外すか、またはバッテリ内の短絡領域を増加させ得る。このような状況において、バッテリ内のより大きく露出された短絡領域は、バッテリ内の継続した電流及び増加した加熱をもたらし、高温事象をもたらすことがあり、それは破裂、爆発、ならびに炎及び火災を含む、大きな損傷をセルに生じさせる。
【0006】
このような損傷は、火災及びさらに悪い状況が起きる可能性が急速に迫るため、特に問題であり、バッテリ及び潜在的に基礎となるデバイスに爆発が生じて、その結果ユーザにも重大な危険をもたらし得る。
【0007】
(多くの様々なタイプの)リチウムバッテリは、短絡に関連した問題の影響を受けやすい。一般的なバッテリは、高温露出を伴う増加した放電率を呈する傾向を有し、上述のように制御されない(暴走した)炎、時には火災をもたらす。これらの問題のため、特定の規制が発効されて、このようなバッテリ物品における実際の利用、貯蔵、さらには輸送までも規定している。短絡に関する、このような暴走事象を防止するための、適切なプロトコルを発効させる機能は、確かに非常に重要である。しかし、特に構成要素の製作が、数多くの供給元から、かつ世界中の多くの様々な地点から供給される場合、いかにしてこのような課題を実際に抑え込むか、という問題が残る。
【0008】
適切及び/または改善されたセパレータを、このようなリチウムバッテリの火災の可能性を軽減する助けとなる手段として提供する試みが、進められている。低い融解点及び/または縮小率のプラスチック膜は、このようなバッテリの火災発生について、より高い可能性を作り出すことが判っている。一般的な考えとして、実際の利用中に電解液の分解性能を低下させることなく、セパレータ材料上に特定のコーティングを施すことを含む。したがって、例えばセラミック粒子が、ポリプロピレン及び/またはポリエチレンフィルムコーティングとして、このようなフィルムの寸法的安定性を向上させるため(例えば融解点を上げるため)の手段として、利用されている。結合剤ポリマーも、プラスチック膜(フィルム)に対するセラミック粒子と接着剤との間における密着を向上させるための構成要素として含まれている。しかし実際、セラミック粒子コーティングを用いた、フィルム構造全体に与えられた温度上昇は、比較的低いことが判明しているので、このようなセパレータの課題の主要な要因は、実際のセパレータ材料自体となる。
【0009】
その結果、少なくともある程度、このような一般的なセラミックコーティングされたセパレータのベース層を構成するポリエチレン及びポリプロピレン多孔性フィルムよりも、かなり熱的に安定したセパレータ材料が、設計及び実施されている。これらの低い収縮率で寸法的に安定したセパレータは、少なくとも200℃(250、300℃まで、及びそれより高い)温度に曝された場合、5%未満の収縮率を呈し、それは露出したポリマーフィルム(150℃で大まかに40%の収縮率)、及びセラミックコーティングされたフィルム(180℃で20%より大きい収縮率)による高い収縮率よりもはるかに良好である(このような収縮率の測定の比較は、先行技術の
図2に提供される)。このような低い収縮率の材料は、短絡したときの目標セルの内側における、熱劣化の機構を変化させ得る。一般的に言うと、このようなバッテリセル内において短絡が発生すると、常に熱が生成されることになる。セパレータが、このような短絡事象に関連して収縮しない場合、熱は発生され続けて、バッテリ内の別の材料が劣化するまで「増大する」ことになる。この現象は、産業界で標準的な釘刺し試験でシミュレーションされている。例えば、パラアミド繊維を含み、かつ550℃まで安定した収縮率を呈するセパレータを用いてさえ、対象の試験バッテリは、独特の内部効果を伴い短絡する傾向を示した。このようなセルは、このような処置の後で、より詳細に調査された。そこでセルは開放され、過剰な電解液は蒸発し、セルはエポキシで充填され、次にセルに残された釘に対して垂直に切開した。走査型電子顕微鏡の画像が、後方錯乱電子撮像(BEI)を使用して撮られ、それは異なるバッテリ要素のマッピングを可能にし、このような釘刺し動作の影響を示す。これらは、先行技術の
図3及び
図3aに示される。
【0010】
先行技術の
図3において、銅層がアルミニウム層よりも、一様に釘に近付いていることに留意されたい。高い安定性のセパレータが、まだ電極間で完全なままであることにも、留意されたい。先行技術の
図3aは、より拡大率が大きい、1つのアルミニウム層における端部を示し、それは、クラックの入った灰色の層で終わるのを示す。これはBEIを用いて調査され、実際の結果として、酸化アルミニウムである絶縁セラミックを示した。このような痕跡は、セパレータ自体が熱的に安定しているときに、アルミニウム集電材は酸化されて効果的に回路を遮断する(その結果、一旦絶縁の酸化アルミニウムが形成されると、いかなる短絡も止める)という、提案された結論に導いた。一旦回路が遮断されると、電流はフローを止め、もはや熱は生成されず、安定性の低いセパレータを使用して熱暴走に導くプロセスを、逆転させる。
【0011】
しかしこの可能な解決策は、セパレータのみを、単により低い収縮率の特徴のものと交換することに限定される。このような簡単な解決策が大きい価値があることが判っているが、広範囲で利用されている他の製造手順、及び特定の構成要素(セラミックコーティングされたセパレータタイプなど)も残っており、認められているバッテリ製品に取って代わることは困難となり得る。したがって、熱的に安定したセパレータの利用及び包含の明確な利益に関わらず、望ましくないバッテリの火災が、特にセラミックコーティングされたセパレータ製品がこのような目的のために安全であると考慮されたとき、やはり発生し得る。したがって、このような高く熱的に安定したセパレータ材料の利用に加えて、内部短絡による熱の発生機会を排除するか、または少なくとも軽減する、少なくとも別の、単一の内部バッテリセルの構造的機構が存在する。このような状況において、このようなバッテリセル内の短絡の発生は、事実上の内部ヒューズを作り出すことを通して、完成した内部回路が中断することによる有害な高温損傷はもたらさない。しかし現在まで、リチウムバッテリの技術分野内で、これらの問題を容易に解決することは提示されていない。本開示は、このような非常に望ましい解決策を提供し、複数の市場内で、リチウムバッテリセルを非常に安全で、信頼性があるものにする。
【0012】
別の特定の関心は、対象のリチウムイオンバッテリから外部ソースへの充電の実施を、適切に可能にする考察である。これは、一般的にタブの利用を介して実現される。このタブは、1つの集電材、または可能性として、ある方法でアノード及びカソード集電材の両方に接触及び添加され、外部ソースを用いて必要なコンダクタンス特性を適切に提供する。タブは、表面的にはこのような内部バッテリ構成要素との接点として機能し、バッテリセルのケースの外側へ延び、導電目的の接触ポイントを伴う。したがってタブは、所定の位置にとどまり、集電材から係合解除されず、内部的に移動することなく、または外部的に係合解除することなく、外部ソースへの変わらぬアクセスを可能にしなければならない。このような薄いフィルムの集電材に関して、リチウムイオンバッテリの技術分野内では開示されていないので、同様にこのようなタブ接続の課題に対する改善または最適化の試みも成されていない。確かに、標準タイプのタブは公知であり、標準的なバッテリセルの大きい集電材と接触するが、全体的な寸法的に安定した効果を提供し、構造的な弱体化によるバッテリの破損から防護しながら、これらは薄いフィルムの集電材(例えば内部ヒューズ)の効果を防護するためのいかなる考慮も提供しない。
【0013】
特に重要なことは、プラスチックなどの電気絶縁材料の、より厚い層に装着された、金属の薄い層から成るタブに溶接できる機能である。固体金属タブを固体金属フォイルに溶接することは、表面接続のみを必要とし、それは反対側のフォイルまたはタブの全体に電気接続させることを可能にする。しかし、集電材の2つの面が支持絶縁層によって電気絶縁された場合、一方の側への表面接続を成すことは効果がなく、他方の側を電気絶縁させる。したがって、このような効果に対して、現在のリチウムイオンバッテリの技術分野内または産業内では、検討または開示されていない。しかし本開示は、このようなパラダイムを克服し、これまでに関連の産業内で調査されていない、及び/または、理解された効果を提供する。
【0014】
したがって、薄い金属化表面の複合体の集電材(例としてアルミニウム及び/または銅)、高い収縮率の材料、高温に曝すと非導電性となる材料、ならびにそれらの組み合わせ、を利用できる内部ヒューズを有するエネルギー貯蔵デバイスにおける、新しく改善されたバッテリ接続部及び金属化フィルム構成要素に対する必要性が存在する。これに関し、本技術はこの要望を実質的に満たす。これに関して、本技術による内部ヒューズを有するエネルギー貯蔵デバイスにおける、バッテリ接続部及び金属化フィルム構成要素は、従来の概念及び先行技術の設計から大幅に離れており、そうすることによって、薄い金属化表面の複合体の集電材(例としてアルミニウム及び/または銅)、高い収縮率の材料、高温に曝すと非導電性となる材料、ならびにそれらの組み合わせ、を利用する目的のために主に開発された装置を提供する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
公知のタイプのリチウムバッテリ接続部における本質的な前述の不利点を考慮して、本技術は、内部ヒューズを有するエネルギー貯蔵デバイスにおける、改善したバッテリ接続部及び金属化フィルム構成要素を提供し、先行技術における上述の不利点及び欠点を克服する。したがって、以下でより詳細に説明する、本技術の全体的な目標は、内部ヒューズを有するエネルギー貯蔵デバイスにおける、新しく改善したバッテリ接続部及び金属化フィルム構成要素、ならびに方法を提供することである。この方法は、これまでに言及された先行技術に対する全ての利点、ならびに、内部ヒューズを有するエネルギー貯蔵デバイスにおける、バッテリ接続部及び金属化フィルム構成要素をもたらす多くの新たな特徴、を提供する。それは先行技術が、単体または任意の組み合わせのいずれかでも、予測、明らかな表現、提案、または暗示もしていない。
【0016】
本技術の1つの態様は、対象のデバイスにパワーを供給するための、リチウムバッテリセルの内部部分から外部へのコンダクタンスを可能にするために必要なタブリードを有するリチウムバッテリセルを含むことができる。それは、電極の薄い性質と、潜在的に電極材料の2つの側が互いに導電性ではない可能性があることと、のため重要な提供となり得る。本技術に提供されるのはタブであり、それは、上述の内部ヒューズの特徴と共に十分な安全性レベルを呈し、その一方で、同時に、利用中に所定の位置にとどまるための引張り強さ、ならびに、このような導電性効果のための、薄いフィルムの金属化集電材を用いた完全な保護範囲を示す。このようなタブには、必要な接触のために、アンペア数及び温度抵抗の驚くべきレベルを呈するレベルにおいて、効率的な溶接がさらに施され、外部デバイスに対する上述の十分なコンダクタンスを伴う、基本的な内部ヒューズの効果を実現する。このようなタブリード構成要素及び溶接した構造を用いて、リチウムバッテリの技術分野内のさらなる改善が、産業界に提供される。
【0017】
追加として、非常に薄い集電材構造を呈する、本技術の内部ヒューズの開発は、単一セル内における反復的な折り込みの可能性を、さらに可能にする。このような折り込みの可能性は、過剰な内部重量及び/またはバッテリ容量要件の必要なく、集電材の2つの側を接続する性能を提供する。その性能が無ければ、2層の導電層間にあるポリマー層によって電気絶縁され得る。表面上は、折り込まれた集電材は、内部ヒューズの特徴を保持し、その一方で同時にパワーの増加を可能にし、上述の過剰重量及び容積要件の必要なく、大きいサイズのバッテリ内の大きいパワー増加を潜在的に可能にして、目標の高いパワーレベルを伴う異なる目的のため、及び可能な限り高い安全性の利益のための新しいバッテリ物品を作り出す。
【課題を解決するための手段】
【0018】
1つの態様によると、本技術は、アノード、カソード、アノードとカソードとの間に存在する少なくとも1つのセパレータ、電解液、アノード及びカソードのうち少なくとも一方と接触した金属化された薄いフィルムの集電材、ならびに少なくとも1つの金属化された薄いフィルムの集電材に装着された少なくとも1つのタブ、を備えたエネルギー貯蔵デバイスを含むことができる。この少なくとも1つの金属化された薄いフィルムの集電材は、上面及び底面を有するポリマー基体層を有する。第1の金属化層は、ポリマー基体の上層に配置され、第2の金属化層は、ポリマー基体の底層に装着される。集電材は、その中に溶接の窪みを呈し、そのため第1及び第2の金属化層の少なくとも一部は、互いに接触する。
【0019】
別の態様によると、本技術は、アノード、カソード、アノードとカソードとの間に存在する少なくとも1つのセパレータ、電解液、アノード及びカソードのうち少なくとも一方と接触した金属化された薄いフィルムの集電材、ならびに少なくとも1つの金属化された薄いフィルムの集電材に装着された少なくとも1つのタブ、を備えたエネルギー貯蔵デバイスを含むことができる。少なくとも1つの金属化された薄いフィルムの集電材は、上面及び底面を有するポリマー基体層を有する。第1の金属化層は、ポリマー基体の上層に装着され、タブはポリマー基体の底層に配置される。集電材は、その中に溶接の窪みを呈し、それによって第1の金属化層の少なくとも一部は、タブと接触する。
【0020】
さらに別の態様によると、本技術は、アノード及びカソードを含んだエネルギー貯蔵デバイスと利用するための、集電材のタブシステムを含むことができる。集電材のタブシステムは、アノード及びカソードのうち少なくとも一方と接触した少なくとも1つの集電材、少なくとも1つのタブ、ならびに1つまたは複数の溶接の窪み、を含むことができる。集電材は、アノード及びカソードのうち少なくとも一方と接触させることができる。集電材は、上面及び底面を有するポリマー基体層を含むことができる。第1の金属化層は、ポリマー基体の上層に装着され、第2の金属化層は、ポリマー基体の底層に装着される場合もある。タブは、ポリマー基体の上面、またはポリマー基体の底面に装着させることができる。溶接の窪みは、集電材上に呈される場合があり、そのためタブは、第1の金属化層の少なくとも一部、または第2の金属化層の一部、のそれぞれに接触する。溶接の窪みは、ポリマー基体層を、第1の金属化層及び第2の金属化層が接触するように動かすよう、構成することができる。
【0021】
さらに別の態様によると、本技術は:a)イオン貯蔵材料のコーティングを伴う少なくとも1つの金属化基体を有する電極を準備するステップ;b)対電極を準備するステップ;c)電極及び対電極の間に挟まれたセパレータ構成要素を伴い、電極及び対電極を互いに対向させてレイヤリングするステップ;d)電気接点構成要素を含んだ包装材料を準備するステップであって、この接点は包装材料の内側に存在する部分と、包装材料の外側に存在する部分とを含んだ、準備するステップ;e)電気接点を金属化基体に電気接続するステップ;f)イオンを内部に伴う少なくとも1種類の液体電解質を、包装材料内に導入するステップ;ならびにg)包装材料を封止するステップ、を含んだ、リチウムイオンバッテリを生成するためのプロセスを含むことができる。ステップe)における電気接続は、金属化基体の少なくとも1層の金属層が、金属化基体のポリマー基体を通して押圧され、電気接点と1ohm未満の抵抗の電気接続を作るプロセスを含む。
【0022】
さらに別の態様によると、本技術は、リチウムイオンバッテリの集電材タブを生成する方法を含むことができる。この方法は、第1の金属化層を、集電材のポリマー基体における上層に装着するステップ、及び第2の金属化層を、ポリマー基体の底層に装着するステップ、を含むことができる。集電材をアノード及びカソードのうち少なくとも一方に接触させる。タブの一部を、第1の金属化層及び第2の金属化層のうち一方に溶接して、それによって溶接の窪みが形成され、タブを、第1の金属化層及び第2の金属化層のそれぞれに接触させる。
【0023】
本技術のいくつか、または全ての実施形態は、溶接の窪みを介して集電材の金属化層に装着された、少なくとも1つの電気接続タブを含むことができる。
【0024】
いくつか、または全ての実施形態において、溶接の窪みを、アノード及びカソードのうち一方に関連付けることができる。
【0025】
いくつか、または全ての実施形態において、タブは、溶接の窪みを介して、アノードまたはカソードに電気接続することができる。
【0026】
本技術のいくつか、または全ての実施形態は、溶接の上に設けられた補強部を含むことができる。
【0027】
いくつか、または全ての実施形態において、金属化フィルムは25層まで含む。
【0028】
いくつか、または全ての実施形態において、タブは、25までの複数のタブとすることができる。
【0029】
いくつか、または全ての実施形態において、金属層の少なくともいくつかは、隣接した集電材を通して押出され、他方の集電材の金属化層に接触する。そうでなければ他方の集電材は、押出された金属層と向かい合って接触しない。
【0030】
いくつか、または全ての実施形態において、溶接の窪みは複数の窪みとすることができ、それらは密に集められるか、まばらに集められるか、ジグザグで部分的な格子状か、または整合された部分的な格子状か、のパターンを呈する。
【0031】
いくつか、または全ての実施形態において、溶接の窪みは、直線状、角錐台状、丸みを帯びた角錐状、または球状の窪み形状を含む場合がある。
【0032】
いくつか、または全ての実施形態において、ポリマー基体層は、各個々の金属化フィルム間のポリマー基体を伴う、多層の金属化フィルム構造と、第2の金属化層である多層の金属化フィルム構造の、最も底部の金属化フィルムと、を含むことができる。多層の金属化フィルム構造は、溶接の窪みを通して、多層の金属化フィルム構造を、共に溶接接合部分において接続するよう操作されるよう構成することができる。
【0033】
いくつか、または全ての実施形態において、溶接の窪みは、溶接の窪みを囲んだ段階的な外形を生成して、多層の金属化フィルム構造を通して完全な溶接圧力を適用するのを容易にするよう、構成することができる。溶接の窪みにおける段階的な外形は、溶接の窪みの上縁部において、盛り上がった周縁部を含むことができる。
【0034】
以下の詳細な説明をより良好に理解するため、及び当技術分野に対する貢献をより良好に評価するために、本技術の特徴を概略で広範に説明する。
【0035】
本技術の多くの対象、特徴、及び利点は、添付の図面と共に、例示ではあるが、本技術の好ましい実施形態の以下の詳細な説明を読むと、当業者には容易に明白となろう。この点において、本技術の実施形態を詳細に説明する前に、本技術は、構造の詳細と、以下の説明に記載されるか、または図面に例示される構成要素の配置と、に適用することに限定されないことを、理解されたい。本技術は、他の実施形態が可能であり、様々な方法で実施及び実行できる。さらに、本明細書で利用する表現法及び専門用語は、説明を目的としており、限定と見なすべきではないことを理解されたい。
【0036】
したがって、当業者は、本開示が基づく概念が、他の構造の設計、ならびに本技術のいくつかの目的を実行するための方法及びシステムに基づき容易に利用され得ることを、理解するであろう。したがって、これらの同等の構造が、本技術の趣旨及び範囲を逸脱しない限り、特許請求の範囲に含むものと見なすことは重要である。
【0037】
本技術の別の目標は、容易かつ効率的に製造及び販売され得る、内部ヒューズを有するエネルギー貯蔵デバイスにおける、新しい改善されたバッテリ接続部及び金属化フィルム構成要素を提供することである。
【0038】
本技術のさらに別の目標は、材料及び労力の両方に関して製造が低コストである、内部ヒューズを有するエネルギー貯蔵デバイスにおける、新しく改善されたバッテリ接続部及び金属化フィルム構成要素を提供することである。したがってそれは、一般消費者に対して低い販売価格が可能であり、それによって内部ヒューズを有するエネルギー貯蔵デバイスにおける、バッテリ接続部及び金属化フィルム構成要素を、一般購買者に経済的に取得可能にする。
【0039】
本技術のさらに別の目標は、先行技術の装置及び方法にいくらかの利点を提供し、その一方で同時に、先行技術に一般に関連付けられたいくつかの不利点を克服する、内部ヒューズを有するエネルギー貯蔵デバイスにおける、新しいバッテリ接続部及び金属化フィルム構成要素を提供することである。
【0040】
本技術のさらに別の目標は、薄い金属化表面の複合体の集電材(例としてアルミニウム及び/または銅)、高い収縮率の材料、高温に曝すと非導電性となる材料、ならびにそれらの組み合わせ、を利用するための、内部ヒューズを有するエネルギー貯蔵デバイスにおける、バッテリ接続部及び金属化フィルム構成要素を提供することである。
【0041】
これらは、本技術の他の目標と共に、本技術を特徴づける新たな様々な特徴を伴い、添付の特許請求の範囲における特異点と共に指摘され、本開示の一部を形成する。本技術、動作の利点、及び使用によって実現される特定の目標の、より良好な理解のために、添付の図面及び本技術の例示的な実施形態が存在する説明を、参照されたい。
【0042】
本技術は、以下の詳細な説明を考慮するとき、より良好に理解され、かつ上記に記載されたものとは別の目標が明白になる。このような説明は添付の図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【
図1】18650セルなど、先行技術の巻きセルの構造を示す図である。
【
図2】本明細書に参照のセクション3.5として組み込まれている、NASA/TM-2010-216099の「Battery Separator Characterization and Evaluation Procedures for NASA’s Advanced Lithium Ion Batteries」に従って測定された、いくつかのリチウムイオンバッテリにおけるセパレータの動的機械分析によって測定された温度の関数としての、先行技術における収縮率を示す図である。第1の生成セパレータ(Celgard PP、Celgard tri-layer)、第2の生成セパレータ(セラミックPE)、及び第3の生成セパレータ(銀、金、銀AR)が含まれる。
【
図3】先行技術において、釘刺し試験を受けたパウチセルの断面を、走査型電子顕微鏡(SEM)で示す図である。層は、BEI(後方錯乱電子撮像)によってマッピングされた、アルミニウム及び銅である。この釘は、左側で垂直である。各場合において、アルミニウム層は釘から後退し、酸化アルミニウムの「皮膚」の後に絶縁体を残す。
【
図3A】先行技術において、
図3に示された画像からの層のうち1つをズームインして示す図である。酸化アルミニウム層の拡大を示し、セパレータが全く収縮しておらず、電極を最遠部まで分離したままであることも、明らかにしている。
【
図4】本発明に使用される金属化フィルムを示す図である。導電性材料の薄い層は外側にあり、中央基体は熱暴走に要する温度下で熱的に不安定な層である。この基体は、融解層、収縮層、分解層、酸化層、または100~500℃の温度で熱的な不安定さを被る他の層、とすることができる。
【
図5】先行技術における、一般的に12~20ミクロンの厚さである、厚いアルミニウム集電材を示す図である。
【
図5A】本発明で使用される金属化フィルムを示す図である。各側に1ミクロンのアルミニウムを伴う、14ミクロン厚の基体を示す。本発明の集電材の場合、短絡に関連付けられた高い電流を運ぶことはできず、一方で厚い現行の技術は短絡に関連付けられた高い電流を運ぶことが可能である。
【
図6】比較例1の画像を示す図であり、はんだごての熱い先端によって接触された後である。この比較例は、熱いはんだごてと接触した後も変化しない。
【
図6A】比較例2の画像を示す図であり、はんだごての熱い先端によって接触された後である。この比較例は、熱いはんだごてと接触した後も変化しない。
【
図7】実施例1の画像を示す図であり、はんだごての熱い先端によって接触された後である。実施例1は、金属化される基体のために本開示で説明されるような収縮率を呈する。
【
図7A】実施例2の画像を示す図であり、はんだごての熱い先端によって接触された後である。実施例2は、金属化される基体のために本開示で説明されるような収縮率を呈する。
【
図7B】実施例3の画像を示す図であり、はんだごての熱い先端によって接触された後である。実施例3は、金属化される基体のために本開示で説明されるような収縮率を呈する。
【
図8】実施例4の画像を示す図であり、はんだごての熱い先端によって接触された後である。実施例4は、金属化される基体のために本開示で説明したような収縮率を呈する。
【
図8A】実施例5の画像を示す図であり、はんだごての熱い先端によって接触された後である。実施例5は繊維を有し、それはリチウムイオン電解液中の熱で分解する。
【
図8B】実施例6の画像を示す図であり、はんだごての熱い先端によって接触された後である。実施例6は、熱的に安定した基体の例であり、それは本発明のように機能するよう、薄い導電層を必要とする。
【
図9】異なる拡大率の断面のSEMであり、実施例9で説明するように開示されるよう、1つの集電材の1つの考えられる実施形態における、金属化表面を示す。金属は、20ミクロン厚である元の基体よりも、明らかにかなり薄い。
【
図9A】異なる拡大率の断面のSEMであり、実施例9で説明するように開示されるよう、1つの集電材の1つの考えられる実施形態における、金属化表面を示す。金属は、20ミクロン厚である元の基体よりも、明らかに大幅に薄い。
【
図9B】異なる拡大率の断面のSEMであり、実施例9で説明するように開示されるよう、1つの集電材の1つの考えられる実施形態における、金属化表面を示す。金属は、20ミクロン厚である元の基体よりも、明らかに大幅に薄い。
【
図10】短絡後の比較例3の光学顕微鏡写真であり、短絡周りの溶発領域を示すが、穴は無い。
【
図10A】短絡後の比較例4の光学顕微鏡写真であり、短絡周りの溶発領域を示すが、穴は無い。
【
図11】短絡後の実施例14の領域における光学顕微鏡写真であり、短絡の高い電流密度によって生じた材料の明らかな穴を示す。
【
図11A】短絡後の実施例14の領域における光学顕微鏡写真であり、短絡の高い電流密度によって生じた材料の明らかな穴を示す。
【
図12】以下に記載する実施例を利用して、集電材の通電容量を試験するための試験ストリップの、サイズ及び形状を示す図である。
【
図13】1つの潜在的に好ましい実施形態として、溶接したタブを伴う単一層の集電材の、側面斜視図である。
【
図14】別の潜在的に好ましい実施形態として、テープで留められたタブを伴う単一層の集電材の、側面斜視図である。
【
図15】別の潜在的に好ましい実施形態として、ステープルで留められたタブを伴う単一層の集電材の、側面斜視図である。
【
図16】別の潜在的に好ましい実施形態として、1箇所を丸めて折り込んだ単一層の集電材、及びテープで留められたタブの、側面斜視図である。
【
図17】別の潜在的に好ましい実施形態として、2箇所を丸めて折り込んだ単一層の集電材、及びテープで留められたタブの、側面斜視図である。
【
図18】別の潜在的に好ましい実施形態として、溶接した2つの平行なタブを伴う単一層の集電材の、側面斜視図である。
【
図19】別の潜在的に好ましい実施形態として、1箇所で折り込んで溶接したタブを伴う単一層の集電材の、側面斜視図である。
【
図20】別の潜在的に好ましい実施形態として、2箇所を丸めて折り込んだ単一層の集電材、及び溶接したタブの、側面斜視図である。
【
図21】別の潜在的に好ましい実施形態として、各々が2箇所を丸めて折り込んだ、複数の単一層の集電材、及び溶接したタブの、側面斜視図である。
【
図22】別の潜在的に好ましい実施形態として、各々が2箇所を丸めて折り込んだ、複数の単一層の集電材、及び反対側に溶接した2つのタブの、側面斜視図である。
【
図23】別の潜在的に好ましい実施形態として、複数回Z型に折り込んで締付けられたタブと接触した、複数の単一層の集電材の、側面斜視図である。
【
図24】金属化フィルムの2つの分離した層を伴う、ポリマー基体を有する複合体の集電材、及び単一の溶接部の、正面斜視図である。
【
図25】装着され、良好に接続されたタブを伴う、ポリマー基体及び金属化フィルムの2つの分離した層を有する、複合体の集電材の、側面図である。
【
図26】溶接した集電材/ポリマー基体複合体(
図25のような)の、100ミクロン長の奥行きにおける、高倍率電子顕微鏡による断面図である。
【
図26A】
図26の複合体の、50ミクロン長の奥行きにおける断面図である。
【
図27】装着され、溶接したタブを伴う、ポリマー基体及び金属化フィルムの2つの分離した層を有する複合体の集電材の、側面斜視図である。
【
図27A】
図27の溶接個所に示されるような金属化フィルム、ポリマー基体、及びタブ間の接合部分の500ミクロン部分における、高倍率電子顕微鏡による断面図である。
【
図28】装着され、溶接したタブを伴う、ポリマー基体及び金属化フィルムの多層を有する、複合体の集電材の側面斜視図である。
【
図28A】
図28に示されるような、溶接した多層の金属化フィルム/ポリマー基体の複合体の、500ミクロン長の奥行きにおける、高倍率電子顕微鏡による断面図である。
【
図29】タブに溶接した多層の金属化フィルム集電材の、側面分解組立斜視図である。
【
図30】金属化フィルム集電材及び溶接したタブ複合体を含んだ、硬質プラスチック筐体バッテリの、透視側面斜視図である。
【
図31】溶接したタブを伴う、ゼリーロール複合体の集電材を有する、円筒形バッテリの側面透視図である。
【
図32】金属化フィルム集電材及び溶接したタブ複合体を含んだ、パウチ筐体バッテリの側面斜視透視図である。
【
図33】多層の金属化フィルム集電材及び溶接したタブを伴う、多層バッテリ複合体の正面斜視図である。
【
図34】金属化フィルム集電材及び本明細書のタブに関連付けられた、代替の溶接構造の、異なる潜在的実施形態を示す図である。
【
図35】密に集められた溶接格子構造の、可能な実施形態構成を示す図である。
【
図35A】まばらに集められた溶接格子構造の、可能な実施形態構造を示す図である。
【
図36】ジグザグの部分的な溶接格子構造の、可能な実施形態構造を示す図である。
【
図37】整合された部分的な溶接格子構造の、可能な実施形態構造を示す図である。
【
図38】集電材及び上側に溶接を有するタブのバッテリ複合体の、側部斜視図である。
【
図39】集電材及びフィルム側の溶接を有するタブのバッテリ複合体の、側面斜視図である。
【
図40】1箇所で折り込まれて溶接したタブ及び集電材の複合体の、側面斜視図である。
【
図41】多層集電材及び複数タブの複合体の、部分的組立分解側面斜視図である。
【
図42】電極と、分離したヒューズ構造を含んだ溶接したタブとの複合体の、側面斜視図である。
【
図43】装着のためのテープを伴う集電材の一部/電極/タブの複合体の、側面斜視図である。
【
図44】多層集電材及び電極、ならびに溶接したタブのための巻きテープ接続を有するバッテリ複合体の、側面斜視図である。
【
図45】多層集電材及び電極、ならびに溶接したタブのための締付けたテープ接続を有するバッテリ複合体の、側面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
同じ参照番号は、様々な図面を通して同じ部品を指す。
【0045】
本開示の明確な利点は、構造構成要素を通して、内部短絡が生じたときに導電経路を遮断する機構を提供し、目標のバッテリセル内で熱を発生させ得る電流フローを停止または大幅に軽減させる機能である。
【0046】
別の利点は、リチウムバッテリセル内に、防護構造フォーマットを提供し、さらにセル全体の製造、輸送、及び利用のための、有益な重量及びコスト改善を提供するための機能である。したがって、別の利点は、目標のバッテリセル内の内部ヒューズ構造を生成し、起動が必要となるまで保持することである。別の利点は、薄いフィルムベースの集電材の利用を介して、より低い重量のバッテリを提供することである。薄いフィルムベースの集電材は、短絡回路または同様の事象中の熱暴走を防止する。さらに別の利点は、短絡または同様の事象中に点火する、いかなる感知できる傾向もなく、バッテリ内の可燃性有機電力材料を利用できる機能である。別の明確な利点は、内部ヒューズ集電材と溶接、または特に上面及び下面の両方と同時に接触して、十分な導電性のタブを提供する機能である。さらに別の利点は、複数の電流コンダクタンスの内部構造における、一連の蓄積されたパワー生成を可能にして、過剰な重量または容量測定値を必要とせずに、頑丈なオンデマンドのバッテリ効果を提供するために、本明細書で開示する薄い集電材構成要素内で、折り込みを作り出す機能である。
【0047】
したがって、本発明の開示は、アノード、カソード、アノードとカソードとの間に存在する少なくとも1つのポリマーセパレータまたは生地セパレータ、電解液、及びアノード及びカソードのうち少なくとも一方と接触した少なくとも1つの集電材、を備えた、エネルギー貯蔵デバイスを包含する。アノードまたはカソードのいずれかは、集電材の少なくとも一部と、セパレータとの間に挟まれる。集電材は、ポリマー材料基体にコーティングされた導電性材料を備える。集電材は、エネルギー貯蔵デバイスの少なくとも2.0ボルトの動作電圧で曝された短絡の接触ポイントにおいて、導電を停止させる。1つの例として、接触ポイントにおいて、チップのサイズが1mm2以下で0.1アンペア/mm2の電流密度となる場合がある。当然ながら、より大きいセルについて、必要な電流密度の閾値は大きくなり、セルは、少なくとも0.3アンペア/mm2、例えば少なくとも0.6アンペア/mm2、またはさらに少なくとも1.0アンペア/mm2で、導電を停止させ得る。このようなコーティングされたポリマー材料基体は、以下でさらに詳細に説明するように、せいぜい25ミクロンの全体厚さを呈することも望ましい。エネルギー貯蔵デバイス(リチウムイオンバッテリ、コンデンサなどいずれかのバッテリ)内に、このような有益な集電材構成要素を利用する方法も、本開示内に包含される。さらに、このような薄いフィルムの集電材のバッテリ物品には、この集電材の長さに沿って進んだ2~50の溶接部(均一な離隔及びサイズ)の間を介して、ベースの薄いフィルムの集電材と接触した、少なくとも1つのタブも提供され得る。この少なくとも1つのタブは、薄いフィルムの上に載り、それによって少なくとも1つのタブは、薄いフィルムの集電材の覆われた表面と接触した、露出した上面または底面を有する。溶接部は、露出した上面から薄いフィルムの集電材の覆われた表面まで、タブが通過した導電性材料の配置を呈する。本明細書で、さらに包含されるのは、上述のような複数の集電材の利用であり、それは、折り込まれて、単一のバッテリ物品内で連続して接続された、分離したパワー生成領域を提供し得る。
【0048】
追加として、より大きい電流密度は、非常に短い期間間隔で、または非常に小さい先端のプローブで、支持され得る。このような状況において、5アンペア、10アンペア、またはさらには15アンペアなどの大きい電流が、非常に短い時間間隔(例えば1秒未満、代替として0.1秒未満、またはさらには1ミリ秒(0.001秒)未満)で、接続され得る。本開示内で、より大きい電流を測定することが可能であり得る一方で、このような電量の送達時間はかなり短く、そのため送達される合計エネルギーは非常に小さく、目標のバッテリセル内で熱暴走を発生させるために十分な熱を生成するには、十分ではない。例えば、従来の構造のセル内における短絡は、4.2ボルト、30秒で、10アンペアを生成することが公知であり、その結果、このようなバッテリ内の小さい局所的領域に、1200ジュールのエネルギーを送達する。この得られた測定値は、対象のバッテリにおける1グラムセクションの温度を約300℃増加させることができる。この温度は、中に存在する従来のセパレータ材料を融解させるのに十分であるだけではなく、セル全体を熱暴走状態にも至らせるのに十分である(上述のように、これは中に存在する電極材料の前述の弱体化と、対象のバッテリだけではなく、それが中に存在するデバイス/器具、及び周りの環境の潜在的な破壊と、を生じさせ得る)。したがって、短絡持続期間の時間を減少させる機能、ならびに、このような短絡に関連付けられて得られた、送達されたエネルギーレベルを低いジュール測定値まで減少させる機能が可能であり、熱暴走(及びそれに関連付けられた潜在的な災害)が、完全に防止されなくても、回避され得る。例えば、集電材内で短絡が滞留する時間を、1ミリ秒以下に減少させると、それは次に、送達されたエネルギー量を0.04ジュールまで低く(例えば対象のバッテリの1グラム局所領域内で過剰な300℃以上をもたらす、上述の1200ジュールとは反対に)減少させることができる。このような低いレベルは、バッテリの1グラム局所領域内で、0.01℃の温度上昇しか発生させず、目標のセル内及びバッテリ全体の熱暴走を防ぐ。
【0049】
したがって本開示の別の大きな利点は、(内部の製造欠陥、樹枝状結晶、または対象のバッテリ内の内部短絡を起こす外部事象の影響を制御して競うために)プローブ先端を介して、目標の集電材の表面に適用される電流レベルの送達時間を、1秒未満まで、好ましくは0.01秒未満まで、より好ましくは1ミリ秒未満まで、最も好ましくはおそらく100マイクロ秒未満まで、特により大きい電流のために大幅に制限する集電材を、バッテリに提供することである。当然ながら、このような電流は、5.0V、4.5V、4.2V、または4.0Vもしくは3.8Vなどさらに小さく、しかし最低2.0Vで、セルの内部電圧に制限される。
【0050】
このような新たな集電材構成要素は、現在のバッテリ及びエネルギー貯蔵デバイスのリチウム(及びその他のタイプ)内で一般的に利用され、かつ見られるものに対して、実際に反直感的である。標準的な集電材には、製造プロセスに耐えるために必要な強度がもたらされると思われる厚さの、アルミニウム及び/または銅パネルなどの導電性金属構造が提供される。これらの金属の強度は、セルの電気的要件よりも、大幅に過剰な厚さを必要とする。例えば、セルの電気要件は、アルミニウムの500nm程度の金属厚を決定する一方で、製造プロセスに耐えることができる最も薄い固体フォイルのアルミニウムは、概ね10μmである。しかし、このような意見は、特に現在エネルギー貯蔵デバイスで普及している厚いパネルが、実際に任意の電流を支持し、一般的な低いインピーダンスのセルが、短絡が生じたときに送達することができ、それによってこのような状況が生じた場合に暴走温度の大きな一因となるものと、誤解されてきたことが判っている。このような短絡は、例えばアノードとカソードとの間の樹脂状結晶の形成によって生じ得る。このような奇形部分(製造時もしくは製造中に生じるか、または長期の使用の結果による、潜在的な劣化のいずれか)は、電圧が予期せずアノードからカソードへ通るのを可能にし、それによって電流が増加し、その結果、生じた箇所における温度が上昇し得る。実際、欠陥を生じさせる短絡の、1つの潜在的な源はギザギザ部分であり、それは、(現在一般的である)複数製品の繰り返し製造プロセス中に、摩耗したブレードを用いて切開または切断されたときに、これらの厚い一般的な集電材の縁部に形成される。しかし、標準的な集電材の材料は、永続的な短絡を作り出す傾向を呈するのみであり、温度上昇を許容し、さらにこのような発生中に存在する電流がデバイスを通過し続け、拘束されない生成及び動きを可能にし、電流及びしたがって温度レベルの上昇を縮小させる手段は残らない、ということが繰り返し分析され、理解されてきた。この問題は、このような状況を止めるためのいかなる内部手段もなく、直接的に高温の暴走効果をもたらし、火災の発生及び最終的なデバイスの犠牲及び破壊の可能性が、一般的に差し迫る。追加として、標準的な集電材の電流経路(電荷方向)は、短絡事象の前後でほとんど変化せずに保たれ、カソードからアノードへ、次に特定方向の集電材に沿って水平な運動が予想されるのと同じ、潜在的な電荷の動きを、基本的に呈する。しかし短絡を伴い、この電流経路は、このような電荷の動きを防止すること、または少なくとも減少させるかもしくは遅らせることに機能しない。換言すると、バッテリ自体の全体で暴走式に迅速な放電を可能にする。このような迅速な放電に関連付けられた高い温度と共に、上述の最悪の課題(火災、爆発など)をもたらす。
【0051】
反対に、少なくともリチウムバッテリの一般的な構造及び構成に対して、やはり予期せず、かつ反直感的に、本開示の集電材を利用することで、非常に高い電流密度測定値(導電性要素の減少させた厚さのため)、及び短絡の際における電荷の動きの防止(例えば電荷方向なし)、をもたらす。換言すると、本明細書で開示する集電材構成要素に適合した、特定の構造的制限により、電流密度は、材料を完全なままに保つことができず、蒸発によって破損するような程度まで、増加する。
【0052】
導体のこの破損が生じるために必要なエネルギーの合計量は、上述のように低く、この事象から発生した非常に低い温度をもたらす。このような集電材構成要素における他の構造的問題、すなわちこのような導電性材料層と接触した、寸法的に安定したポリマー材料の実際の欠乏、と組み合わせると、導電性材料は、その充電ポイントにおいて即座に酸化し、例えば酸化アルミニウムまたは酸化銅を、両方とも非導電性材料にする。このような瞬間的な非導電性材料の生成により、短絡電荷は、その動きが可能な方向がないので、消散する。したがって、開示するような集電材を用いて、内部短絡の発生は電流の即座の停止をもたらし、このような短絡からもたらされた瞬時の高温効果を効果的に利用して、さらなる電荷の動きに対する障壁を生成する。したがって、(当然ながら短絡に関連した)エネルギー貯蔵デバイスの本体全体のさらなる電流の損失は、このような望ましくない事象を、短絡が完全に抑えられる程度まで、電流の暴走または高温効果がその後生じない程度まで、ならびに、おそらく最も重要であるが、集電材がその当初の実行可能性、及び防護目的を保つ程度まで、弱める。なぜなら存在する局所的な非導電性材料は、エネルギー貯蔵デバイス(バッテリなど)が意図するように動作するとき、電流フローのいかなる明らかな減少も生じないからである。さらに、非導電性材料が発生する比較的小さい領域は、いかなる補修、交換または他の是正措置も必要なく、集電材に、別の利用のための大きい表面積を残す。このような状況を保証する必要性は、当然ながら常に生じるのではないが、開示するように特定の予防及び補正もなく、このような高温による弱体化及び破壊事象の可能性は、一般的に許容できるよりも、実際大幅に高く残る。したがって、集電材全体は、短絡の条件下での不安定性のため、二次元電気ヒューズとなり、短絡に関連付けられた潜在的に災害を引き起こす高い電流を、短絡のポイントにおいて電流を通す集電材の機能を破壊する高い電流の瞬時の効果を使用して、防止する。
【0053】
このような利点は、提供され得る新たな集電材と関連して、類似の最終結果を伴い、いくつかの異なる代替を介して可能になる。これら任意の代替構成において、本明細書で説明するような集電材は、表面的には目標のエネルギー貯蔵デバイス(例えばリチウムバッテリ、コンデンサなど)内の内部ヒューズとして機能する。しかし、各例(代替)において、ポリマー層を含んだ集電材が存在する。このポリマー層は、その一方の側または両側が金属化され、少なくとも一方の金属化された側は、目標のエネルギー貯蔵デバイスにおけるアノードまたはカソードと接触する。1つの代替として、集電材の金属化(コーティングされた)ポリマー基体の合計厚は、20ミクロン未満、潜在的に好ましくは15ミクロン未満、及び潜在的により好ましくは10ミクロン未満であり、これら全ては抵抗測定値が1ohm/square未満、潜在的に好ましくは0.1ohm/square未満、及び潜在的により好ましくは50ミリohm/square未満である。一般的な集電材は、これらの特徴を呈するが、補強ポリマー基材で作られたものよりもかなり重量があり、この現在開示される変形の本質的な安全性の利点がない。例えば、10ミクロン厚の銅フォイルは、90g/m2の重量となり得る。しかし、銅化フォイルは、セルが機能するために必要な適切な電気性能を送達しながら、50g/m2だけ、さらには30g/m2だけ、さらには20g/m2未満の重量となり得る。しかしこの代替の構造において、非常に薄い構成要素は、金属コーティングを伴い、全ての抵抗レベルに関して、反応のための短絡も可能にし、このような短絡中の電流スパイクのよる過剰な高温を伴い、任意のさらなる電流の動きを直ちに防止する金属酸化物の局所領域を発生させる。
【0054】
このような新たな集電材の、別の考えられる代替は、温度依存の金属(または金属化)材料を提供することであり、それは短絡中に熱源によって収縮するか、または特定の材料箇所において非導電性材料(上記について異なる方法で示すように1つの例として、アルミニウム集電材から酸化アルミニウムなど)に、容易に劣化する。このように、集電材は、現在使用されている、高温に対して極めて熱的に安定したアルミニウムまたは銅の集電材とは全く反対に、熱に弱くなる。その結果、より低い固有の融解温度を伴う金属の合金は、低い短絡電流密度下で劣化し、本明細書で開示するリチウムベースのエネルギーデバイスにおける安全性の利点を向上させる。別の代替は、例えば銅またはアルミニウムの導電性材料層を、比較的低温において比較的高い収縮率を呈する繊維またはフィルムにコーティングすることによって、集電材を製造することである。これらの例は、溶解温度が250℃未満、またはさらに200℃未満の熱可撓性フィルムを含むことができ、非限定の例として、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン、ポリエチレン、またはポリプロピレンを含むことができる。このような効果を実現する、別の考えられる方法は、例えば上記のように銅またはアルミニウムの導電性材料層を、繊維またはフィルムにコーティングすることによって集電材を製造することであり、この繊維またはフィルムは、材料がセルの動作温度と比較して高温であるが、熱暴走を生じさせ得る温度と比較すると低い温度まで加熱されたときに、電解液の中で膨張または分解する。リチウムイオン電解液の中で膨張できる、このようなポリマーの例として、ポリフッ化ビニリデン及びポリアクリロニトリルが挙げられるが、当業者に公知である他のものが存在する。このような代替の内部電気ヒューズの生成プロセスを実現するための、さらに別の方法は、熱で酸化できる例えばアルミニウムなどの金属を、通常のリチウムバッテリに使用されるよりもかなり少ない合計金属厚で、基体上にコーティングすることである。例えば、現在使用されているような、非常に薄いアルミニウム集電材は、20ミクロンの厚さとし得る。5ミクロン未満の合計コーティング厚は、回路を早く遮断する場合があり、2ミクロン未満、またはさらには1ミクロン未満の厚さは、回路をさらに早く遮断する場合がある。さらに導電経路の遮断を実現するための別の方法は、制限された導電性の集電材を提供することである。制限された導電性は、市販のヒューズで現在見られる劣化と同様、短絡周りの高い電流密度で劣化することになる。これは、5mOhm/squareよりも大きい、10mOhm/square、潜在的に好ましくは20mOhm/squareよりも大きい、または潜在的により好ましい50mOhm/squareよりも大きいレベルの抵抗率を伴う、集電材を提供することによって、実現され得る。これらの測定値は、両側がコーティングされた材料の、一方の側または両側のものとすることができる。異なる抵抗率の集電材を使用することは、より低いパワー及びより高いエネルギーのために設計されたセルと比較して低い抵抗を使用し、ならびに/または、比較的高い抵抗を使用し得る、高いパワー用に設計されたバッテリのために別様に選択され得る。導電経路の遮断を実現するための、さらに別の方法は、アルミニウムよりもかなり低い温度で非導電性材料に酸化する集電材を提供することであり、それによって集電材が、セパレータが劣化する前に短絡領域において不活性化するのを可能にする。アルミニウムの特定の合金は、アルミニウム自体よりも早く酸化することになり、これらの合金は、導電経路をより早く、またはより低温で、劣化させる場合がある。考えられる代替として、任意のタイプの金属を、このような薄い層の容量に利用し得る。これは限定ではないが、金、銀、バナジウム、ルビジウム、イリジウム、インジウム、プラチナなどを含む導電性を呈する(基本的に非常に薄い層を伴い、このような金属使用に関連付けられたコストは、導電性を犠牲にすることなく大幅に低減され、さらには短絡または同様の事象中における熱暴走の可能性から防護するのを可能にし得る)。なお、異なる金属の層が利用されてもよく、または、内部に析出された金属の別個の領域、もしくは分離した層の構成要素として、利用されてもよい。確かに、このようにコーティングされた集電材の基体における一方の側は、反対側とは異なる金属種を含み、同様に、比較して異なる層厚を有し得る。
【0055】
セルの電気特性を改善するための1つの方法は、コーティングされた集電材が、導電性コーティングされた2つの側の含み、表面上は一方の側のコーティングから他方の側のコーティングへの導電性を可能にすることを、保証することである。このような効果は、例えばコーティングされないポリマーフィルムには可能ではない。しかし、このような2つの側における導電性のスループットは、1つの非限定例として、導電性繊維の特定のパーセンテージを含んだ不織布、または導電性材料を装填された不織布、もしくは導電性材料(カーボン繊維または金属繊維など)で作られた不織布、または上述のような、導電性材料(表面に金属コーティングを施した繊維など)でコーティングされた繊維を含有する不織布、によって実現することができることが判っている。上部から底部への導電性を呈する新たな薄い集電材の材料の、別のタイプは、フィルム製造中または製造後に、本質的な導電性材料(例えばポリアセチレン、ポリアニリン、もしくはポリビニルピロリドンなどの導電性ポリマーなど)の利用を介したもの、または導電性材料(グラファイト、グラフェン、金属粒子、もしくは繊維など)の装填を介したもの、などの導電性に作られたフィルムとし得る。追加として、別の可能な2つの側の薄い集電材の材料は、金属化プロセス中に金属(アルミニウムまたは銅)で側部をコーティングした、小さい穿孔穴を有するポリマー基体である。このような、一方の側から他方の側への導電性効果は、導電性コーティングほどの導電性は必要としない。
【0056】
したがって、表面上は同じ集電材の効果及び物理特性を生成する、このような代替構成は、a)コーティングされたポリマー基材の合計厚が、1ohm/squre未満の抵抗を伴い20ミクロン未満であること、b)集電材は、ポリマー材料を含んだ基体にコーティングされた導電性材料を備え、このポリマー材料は225℃において少なくとも5%の熱収縮率を呈すること、c)集電材の金属化されたポリマー材料はバッテリの電解液の中で膨張し、この膨張はポリマー材料が加熱されると増加すること、d)集電材の導電性材料の合計厚は、ポリマー基体に適用されたときに5ミクロン未満であること、e)集電材の導電性は10mOhm/squre~1ohm/squreであること、及びf)集電材の金属化されたポリマー基体は、60%までの気孔率を呈すること、を含む。セパレータが225℃で1時間後に5%未満の熱収縮率を呈することを伴う、エネルギー貯蔵デバイス内の、これら代替構成のうちいくつかの利用は、本開示の範囲内である。このタイプのエネルギー貯蔵デバイス(バッテリ、コンデンサなど)の全体的な利用(使用方法)も、本明細書に包含される。
【0057】
本発明の主な利点は、セルの向上した安全性であり、他の利点は、上記で示したように、このような集電材構成要素に関連した金属重量を減少させることで、減少したエネルギー貯蔵デバイスの全体重量を含む。さらに、薄い金属化コーティングされたポリマー層を利用すること、特にこのようなバッテリ物品内の集電材の、低い寸法的な安定性特徴は、完全に反直感的である。この産業内の現在の考え方は、より多くの実際の金属及び/または絶縁構成要素が、(特に潜在的な短絡事象に対する)所望の防護効果を実現するために必要とされる、という思想のままである。このような枠組の不正確さだけではなく、リチウムバッテリ内などの短絡問題に対する効果的な改善は、熱的に不安定なベース層を用いて集電材構成要素を増加及び結合させるのではなく、金属量を減少させることが、現在予期せず判っている。したがって、やはり予期せず、このような不安定なベース層を伴う薄い金属層が、短絡中の放電事象の抑制に努め効果的に止める機能を提供することだけが判っているのではない。全体的な効果は、より安全かつより確実な効果だけではなく、このような構成要素の部品の全体重量及び体積を、大幅に減少させることである。したがって、エネルギー貯蔵製品(バッテリなど)内の低下した重量及び体積要件を伴う、改善された特性の予期せぬ利益は、当初理解されていたよりも多くのものを、産業界に与える。
【0058】
さらなる説明として、20ミクロン厚で2.7g/cm3の密度のアルミニウムは、54g/m2の重量となる。しかし、10ミクロン厚のポリプロピレンフィルム(密度0.9g/cm3)に、同じ金属を1ミクロンでコーティングすると、11.7g/m2の重量となる。集電材の、この重量の減少は、目標のエネルギー貯蔵デバイス(例えばバッテリ)の全体重量を減少させることができ、移動性を向上させ、燃費または電気範囲を向上させ、一般的に移動電気用途の価値を強化する。
【0059】
追加として、フィルムの高い強度のために、上記の例をより薄く、例えば20ミクロンと比較して11ミクロンの合計厚さで作ることもでき、やはりセルの体積を減少させ、それによってエネルギー密度を効果的に増加させる。このように、合計厚が15ミクロン未満、好ましくは12ミクロン未満、より好ましくは10ミクロン未満、最も好ましくは8ミクロン未満の集電材を、このような目的及び機能のために作り、利用することができる。アルミニウムにおける2.7×10-8ohm・mの体積抵抗率、銅における1.68×10-8ohm・mの体積抵抗率で、薄いコーティングは、1ohm/squre未満、0.5ohm/squre未満、さらには0.1ohm/squre未満、または0.05ohm/squre未満で作ることができる。これらの導電性コーティング厚は、5ミクロン未満、好ましくは3ミクロン未満、より好ましくは2ミクロン未満、潜在的に最も好ましくは1ミクロン未満である。市場で一般的な使用の標準材料が10ミクロン以上の金属を含有するとき、より少ない金属を使用して好適な性能が得られることは、非常に反直感的である。実際、一般的な貯蔵デバイスに存在する金属のほとんどは、高速及び自動処理のための好適な機械的特性を与えるよう、含まれている。本発明の利点の1つは、より低い密度のポリマー材料を使用して機械的特性を提供し、金属の厚さを、セルの安全性が向上するレベルまで減少させることである。なぜなら集電材は、内部短絡により熱暴走、煙、及び火災をもたらす、危険なほど高い電流密度を支持できないからである。
【0060】
追加として、これらの導電層は多層で作ることができる。例えばアルミニウムの1層をベース層とし、薄い銅層によってコーティングしてもよい。このように、体積導電性はアルミニウムによってもたらすことができる。アルミニウムは軽量、安価であり、蒸気相析出技術によって容易に析出させることができる。銅は追加の導電性及び不動態化をアノードに提供することができ、その一方で大幅な追加コスト及び重量を加えない。この例は例示のためのみに与えられ、当業者は、多くの他の多層導電性構造を提供でき、それらの全ては本発明の優良な例である。
【0061】
これらの薄い金属コーティングは、一般的に通常のアルミニウムまたは銅の集電材よりも、高い抵抗をもたらすことになり、比較すると本発明の際立つ特徴を提供する。このような新たな集電材は、10mOhm/squareより大きく、好ましくは20mOhm/squareより大きく、より好ましくは50mOhm/squareより大きく、潜在的に最も好ましくは100mOhm/squareより大きく作ることができる。
【0062】
追加として、上述のように熱的に弱い集電材を用いて作られたセルは、セパレータが、200℃の温度で1時間の露出後、好ましくは250℃で1時間の露出後、潜在的により好ましくは300℃の温度で1時間の露出後に、5%未満で収縮することを含む、潜在的に高温で低い収縮率を呈する、高い熱的安定性を有する場合に、より安全に作ることができる。現存のセパレータは、138℃の融解温度のポリエチレンから、及び164℃の融解温度のポリプロピレンから作られる。これらの材料は、
図2に示されるように150℃において50%より大きい収縮率を示し、このような結果は、本明細書で説明するような薄い集電材に利用するには高すぎる。このような問題を改善するために、NASA TMー2010-216099 section3.5で測定した、150℃で50%未満、さらに30%未満、または10%未満で収縮する特定のセパレータの利用が必要であることが判っている。セラミックコーティングされたセパレータでさえ、比較的小さな温度で大きい収縮を示し、全体的に壊れるか、または180℃で20%に収縮するか、のいずれかである。したがって同じ試験で測定したときに、試験中に壊れず、かつ(少なくとも)180℃に露出して20%より大きく収縮しない、より好ましくは10%より大きく収縮しないセパレータを利用することが望ましい。最も好ましい実施形態は、200℃、250℃、またはさらには300℃の温度で露出したときに、10%未満で縮小するセパレータを利用する。
【0063】
これらの金属化基体のいずれについても、薄い厚さを有してセルのエネルギー密度の増加を促進させることは望ましい。艶出し、圧縮、ホットプレス、または合計厚を減少させるように表面から材料を除去することも含め、任意の手段を使用して、このような厚さを得ることができる。これらの厚さを減少させるプロセスは、金属化の前または後に行なうことができる。したがって、25ミクロン未満、好ましくは20ミクロン未満、より好ましくは16ミクロン未満、潜在的に最も好ましくは14ミクロン未満の、金属化基体の合計厚を有することが望ましい。市販のポリエステルフィルムは、せいぜい3ミクロン、さらに薄く1.2ミクロンの厚さを伴うことが判っている。これらのタイプは、好適な基体として役立ち、集電材の合計厚が10ミクロン未満、好ましくは6ミクロン未満、より好ましくは4ミクロン未満となることを可能にする。このような(上述及び全体で説明したように適切な導電性を伴う)極薄集電材は、改善された安全性能、今まで調査されていない効果を伴う、より高いエネルギー密度を可能にし得る。
【0064】
これらの金属化基体のために軽い重量を有することも望ましい。これは、単なる例として、ポリオレフィンなど、またはポリエチレン、ポリプロピレン、及びポリメチルペンテンを含んだ他の低密度ポリマーなど、低密度ポリマー材料を使用することによって実現することができる。基体に開放気孔構造、または低い基本重量の基体の利用を介しても、実現することができる。このように、基体材料に使用されたポリマー材料の密度は、1.4g/cm3未満、好ましくは1.2g/cm3未満、潜在的により好ましくは1.0g/cm3未満とすることができる。さらに、基体材料の面密度は、20g/m2未満、好ましくは16g/m2未満、潜在的に最も好ましくは14g/m2未満とすることができる。追加として、金属コーティングされたポリマー基体材料の面密度は、40g/m2未満、好ましくは30g/m2未満、より好ましくは25g/m2未満、潜在的に最も好ましくは20g/m2未満とすることができる。
【0065】
低い重量は、多孔性ポリマー基体を用いても実現することができる。しかし、低い強度及び大きい厚さをもたらし、関連の目標を実質的に無効にするので、これらの材料の気孔率は高くし過ぎてはならない。したがって、このようなベース材料は、約60%未満、好ましくは50%未満、潜在的により好ましくは40%未満の、気孔率を呈する。固体材料が、このタイプの金属コーティングされた集電材に使用することができるので、気孔率に下限値は存在しない。
【0066】
材料が高速でバッテリの中に処理するのを可能にするために、高い強度が必要である。これは、延伸繊維、または一軸もしくは二軸の延伸フィルムのいずれかからの、細長いポリマーを使用することによって実現できる。
【0067】
以下で、添付の図面及びその説明に提示するように、バッテリ、コンデンサ、超コンデンサなどの、エネルギー貯蔵デバイスは、本開示に従って製造及び提供される。短絡後の感知できない電流の動きに関連付けられた特性を呈する、少なくとも1つの集電材は、カソード、アノードに接触するか、または両方に接触した2つの分離した集電材に接触する。セパレータ及び電解液は、全て標準的な(好適な)エネルギー貯蔵デバイス容器に存在し、封止される。カソード、アノード、容器、電解液、及びいくつかの状況において、セパレータ、構成要素は、ほとんどの部分で全て標準的なものである。しかし本明細書で利用される集電材は、開示のように、当技術分野で新しく、かつ調査されていないだけではなく、実際のエネルギー貯蔵デバイス構成要素のように反直感的である。これは、やはり以下でより詳細に説明する。
【0068】
上述のように、完全に防止できなくとも、バッテリセル(特にリチウムイオン再充電可能タイプだか、当然ながら他のタイプも可能)内の熱暴走の機会を減少させるために、中におけるいかなる短絡も、対象の集電材内または対象の集電材において、短い時間間隔内で、減少した滞留時間で基本的に存在させる手段を必要とし、最終的に僅少なジュールレベル(すなわち10未満、好ましくは1未満、最も好ましくは0.01未満)の、得られたエネルギーレベル結果を呈する。アノードからカソードへ、セパレータを介して、薄い導電性集電材を所定の位置に伴う電気経路、ならびに有機可燃性電極の存在する状況において、及び上記で示されたように、軽重量で薄い集電材は、特に集電材の表面における不安定な電荷が消散すると、及び電極構成要素の点火が差し迫るような感知される温度上昇がないこと、という観点で、望ましい効果を可能にすることが観察された。驚くべきことに、かつ特定の科学的説明または理論に縛られず、薄い集電材量の導電性質は、短絡電荷が薄い導電性の集電材に到達することのみを可能にし、集電材の表面における電荷自体との間で反応する短い持続時間の高いエネルギー事象を即座に作り出し、それによって、集電材の表面における特定のポイントに形成するよう、金属酸化物を作り出すと、信じられている。金属酸化物は、さらなる電気的活動に対して絶縁を提供し、適用された電流は瞬時に消散し、集電材自体の中で潜在的な変形を残すが、前述の金属酸化物の存在を伴い、特定の箇所における、さらなる電荷の活動から防護する。したがって、残った集電材は完全なままであり、前と同じ性能を提供することができ、それによってさらなる潜在的な短絡または同様の現象に対する防護をさらに提供する。先行技術のバッテリ製品における熱暴走の事象において、例として、アノード、カソード、集電材、及びセパレータは電気経路を備え、それは熱を生成してスパークをもたらし、短絡に対する反応でセルに点火する。イオンを搬送する可燃性電解液のさらなる存在は、予期せぬ電荷に関連付けられた高温効果を伴う事実上の危険を与える。基本的に、先行技術の集電材で生成された熱は、電解液材料内に最初の電気化学反応を生じさせ、最終的に電解液材料自体の制御不能な点火をもたらす。したがって、本明細書で開示する発明の集電材は、このような可燃性電解液を含んだバッテリセル内で利用されるとき、特に価値がある。例として、このような電解液は、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、及びジメチルカーボネート、を含んだカーボネートなどの有機溶媒を、一般的に含む。これらの電解液は、通常は上記の材料の混合物として、おそらくは様々なタイプの添加物を含んだ他の溶媒材料を伴って存在する。これらの電解液は、例としてヘキサフルオロリン酸リチウムLiPF6が挙げられる、リチウム塩成分も有する。このような電解液は、バッテリ産業界で好ましいが、言及したように、潜在的に危険な状況の一因となる。さらに、他のバッテリ構成要素に関連付けられた本発明の集電材は、これらの懸念を大幅に、驚くべきことに改善する。
【0069】
この集電材が、その有用性を呈する1つの方法は、以下の試験にある。電圧及び電流制限を伴う電流源は、電圧制限を対象のエネルギー貯蔵デバイスの動作電圧と類似したものに設定することができる。次に電流を調整することができ、集電材は2つの構成未満で試験された。第1に、公知の幅における集電材の短いストリップが、試料の全体幅に接触した2つの金属コネクタを介して接触される。電流源の電流制限は、電流を運ぶ材料の機能に制限が存在するかを確認するために上昇させることができ、それは幅によって除算された合計電流として測定でき、A/cmで表わして、本明細書では水平電流密度と呼ぶ。第2の構成は、電流源の接地を全幅の金属接点の1つに接触させ、次に概ね0.25mm2のプローブ先端を、集電材のストリップに沿った位置に当てることである。電流が高すぎる場合、局所領域を焼いて電流は流れなくなる。電流が集電材にとって高すぎない場合、電流源の制限まで全電流は流れることになる。結果は、A/mm2の電流の制限であり、本明細書では、垂直電流密度と呼ぶ。このように、両構成で高い電流に到達できる集電材は、先行技術と類似する。全幅に接触したときに水平電流を支持できるが、類似の垂直電流をポイント接点で支持しない集電材は、本明細書で説明する発明の例である。
【0070】
例えば、0.1A/cm、0.5A/cm、1A/cm、2A/cm、またはさらに5A/cmの水平電流密度を支持できることが、集電材にとって望ましい場合がある。上記のような水平電流密度を支持できる集電材にとって、0.1A/mm2、0.5A/mm2、1A/mm2、2A/mm2、またはさらに5A/mm2の垂直電流密度を支持しないことが望ましい。
【0071】
上記で示したように、リチウムイオンバッテリ内には、一般的にタブ溶接が存在する。このタブ溶接は、内部構成要素、特に集電材を、共にタブリードに接続して、電荷を外部ソースに移動させる。この状況において、非常に薄いタイプの集電材を伴い、このようなタブリードは効果的に内部の金属化フィルム集電材に接触し、同様に外部ソースに所定の位置で十分に接触させ続けることは最重要である。追加として、バッテリセル自体の必要な動作、ならびに考えられる問題(樹状突起形成など)中の暴走電流を防止するための内部ヒューズ特徴を提供する機能、を可能にするための、上述及び予期せぬ良好な金属化された薄いフィルムの集電材の有効性のため、このようなタブは、いかなる程度のずれ、または同じ潜在的な暴走電荷の課題自体の抑制に対する無効性を呈してはならない。換言すると、内部ヒューズ効果の有効性は、タブの課題によって成されないか、または損なわれてはならない。驚くべきことに、このような必要とされる特徴は、このようなタブ構成用途を用いて許容されるものと、判断されている。
【0072】
そのレベルまで、金属化された薄いフィルムの集電材は、それらへのタブの効果的かつ強い溶接を実際に可能にし、フィルムの両側のコンダクタンスを実際に可能にする機能を伴うことが判った。タブ自体は、各個々の集電材よりも実際に厚く、互いに接触して設置されたときに、この溶接は、溶接部自体の形状及び深さに関連して、タブ材料を部分的に貫通する深さまで成され得る。しかし、驚くべき結果は、溶接が、薄い「ストリーム」または同様の形成において、タブを実際に貫通することによって、このような溶接材料を通して、タブへのコンダクタンスを可能にする、ということである。限定されるが効果的なこの方法で、導電経路は、溶接個所において、タブ(及び次にバッテリセルのケーシングを出て外部ソース)への、必要とされるコンダクタンスを可能にするだけではなく、各溶接個所においてこのような導電フローによって生成された、実際のアンペア数及び温度を制限するための手段を提供するために生成される。このような効果は、金属化フィルムの集電材から暴走導電性における上述の制御を可能にし、短絡(樹状突起形成など)が生じる。なぜなら電荷は実際の集電材の表面で停止することになり、暴走電荷のための他の経路が設けられないからである。したがって溶接は、1つの例として5つまで、互いに均等に離隔されて、集電材に沿って進むタブ構成要素の長さに沿って提供され、フォイル集電材からタブへ、バッテリのケーシングを通して外部ソースへの、効果的な導電性を可能にする。各々が限定されたアンペア数を呈するにも関わらず、溶接の限定された数は、同様に考えられる暴走電荷箇所の数も減少させるが、複数のこのようなレベルは、いくつかの状況において確かに増加するのを示す。しかし、高いパワーまたは高い電流のバッテリのために、タブごとの溶接数を増加させ、その用途においてバッテリを効果的にするために必要な高い電流量に適応させることができる。この場合、多くの溶接、潜在的にタブごとに、10、20、またはさらに50もの数の溶接を要求することが可能である。非常に高いパワーまたは非常に高い電流セルの、稀な状況において、50よりも多い溶接が必要とされ得る。溶接は、ベース強度を提供し、追加として利用中のタブの移動を防止する。安定性及び剛性は、バッテリ全体の適切な動作を保証するために必要とされる。限定された溶接は、これに関して特定のレベルの信頼性を提供する一方で、集電材フィルムに適用する際に、それらの上にプルテープを追加することも、潜在的な問題から防護する助けとなる。
【0073】
実際、金属化された薄いフィルムの集電材は、短絡中の暴走電荷を防止するために予期せず良好である。しかし、バッテリセルの外部の効果的な導電性を可能にするよう、タブリードが集電材と十分に接触する必要性は、標準的なタブ構成要素を用いて、金属化された薄い導電材フィルムを利用することを可能にする、構造的状態を要求する。上述のように、暴走電荷のための適切な低い電位を呈しながら、電流がバッテリ動作のために効果的に通過するよう、効果的な装着及び接触のための好適な溶接を伴う、集電材フィルム及びタブの両方の好適な寸法を判断する機能は、特に現在の当技術分野における、特定の許容された厚いモノリシックの集電材構成要素を考慮すると、困難であることが証明されている。この予期せぬ効果は、詳細には上述のように判断されたタブ接触及び引張強度の特徴を伴い、他の構成要素のための、減少した重量またはより大きい内部容量を、バッテリパワー生成性能を犠牲にすることなく提供し、同時に短絡事象中に暴走電荷に対する完全な防護を提供し得る、完全なリチウムイオンバッテリを与える。
【0074】
追加として、重要なことは、今まで調査されていない溶接作業を利用する機能、及びこのような金属製導体(やはりタブ)と、パワー生成セルを含んだ金属化フィルムの集電材内の電極との間の、効果的かつ信頼できる接続を提供する方法である。このような効果的な接続の必要性は、安全面をこのようなセル(本明細書で説明する薄いフィルムの集電材)に与えるためだけではなく、重量な導電性を電極から外部世界へ与える(換言すると、このようなパワー生成セル、すなわちバッテリ、コンデンサなどの、適切かつ効果的利用を可能にする)。上述の容器、ならびに限定ではないが、金属化されたプラスチックバッグ、金属缶、及び剛体/反剛体のプラスチック筐体の容器を用いて構成かつ構築され得る、このようなパワーセルは、やはり金属化された薄いフィルムの集電材を伴い、熱暴走に対して大きく改善された電位を呈する。このようなパワーセルと外部接点との間の適切な接続は、実際の機能目的にとって、特に薄いフィルム材料との、このような信頼できて安全な接続を提供する複雑さを伴い、不可欠なものである。
【0075】
この目的のため、さらには金属化された薄いフィルムの金属化された集電材、及び上記で可能な一般的なタブの説明及び開示に加えて、特定の溶接構成、及び実際の溶接ツールは、このような独特のパワーセル構造のための、有益かつ驚くべき効果的なタブと電極との接続を提供することが実現されている。特に重要なバッテリ(パワーセル)のタイプとして、限定ではないが、パウチ構造、円筒形構造、プリズム構造、及びゼリーロール構造が挙げられる。これらのタイプのセルは、特定の産業内で最も普及しており、同様に対象のデバイスの広い多用途性を可能にする。
【0076】
このような独特な溶接方法及び作業の力学は、金属化された薄いフィルムの集電材を、特定の構成、特にポリマー基体によって分離された少なくとも2層の金属化層を有する、少なくとも1層の金属化フィルムを伴うもの、に取り入れる。溶接は、溶接の窪みが、第1の金属化層からポリマー基体を介して第2の金属化層まで突出するような構造に与えられなければならない。このように、適切な溶接アンビルの利用は、集電材の対象領域内に、特定の三次元の窪みを作りだし、それによって上部(第1の)金属化層は、下部(第2の)金属化層と接触し、ポリマー基体は、溶接の窪みに対して反対かつ2層の金属化層の領域内で動き、得られた溶接構造は、ポリマー基体によって分離された、上部及び下部の金属化された層を、溶接領域の外側にとどめる。この溶接効果を伴い、集電材とタブ構造との間の、このような接続を作り出す機能は、対象のセル内における薄いフィルムの集電材自体の必要な安全利益を失うことなく、利用可能である。当然ながら、これは一方の側のみが金属化されたフィルムにも適用されてよく、電気接点は、タブまたは後続の金属化された薄いフィルムの集電材における金属化された側など、ポリマー基体の他の側における構成要素に対して望ましい。この場合、溶接は、溶接の窪みが金属化層からポリマー基体を介して電気接点が望ましい構成要素まで通して突出するよう、与えられなければならない。
【0077】
溶接内にタブ材料を含むことにより、溶接アンビルがタブを介して押圧するのを可能にし、集電材(やはりポリマー基体によって分離された少なくとも2層の金属化層における、薄いフィルム)を同じ方法で動かして、導電目的で複合体を形成するための、両構造間の接続性能のために、タブ及び集電材内に同時に窪みを作り出す。このようなタブの溶接取付装置は、このような薄いフィルムの集電材の上部または下部のいずれかに試みられてよく、それによってタブが上部及び下部の金属化層に同時に、いずれかの方法で、基本的に接続するのを可能にする。したがって、集電材に電極を(コーティングまたは他の方法で)さらに含み、このような改善された安全性の(薄いフィルムの集電材の)パワーセルの外部の導電性を、さらに提供するための、適切かつ効果的に全体のパワーセル構造(少なくとも電極/集電材)を目標のタブに接続させる機能が実現される。好適かつ効果的に導電性を集電材(両方の金属化フィルム層)から同時に外部のパワー伝達のためのタブに提供する機能は、全体的な機能性、及び今まで調査されていない安全なバッテリデバイスの適切な利用を可能にする。ベースの集電材における両方の金属化フィルム層のための、効果的な溶接作業がないと、このようなパワーの伝達は基本的に妨げられる。当然ながら、上記で示されたように、集電材は、各々の構造で、2つの金属化層を分離する単一のポリマー基体の多層構造とし得る(換言すると、要望通りの、上部及び底部の金属化フィルムを伴う薄いフィルムのポリマー基体の繰り返しユニット)。少なくとも1つのこのようなベース構造は、それらのエンドユースに依拠して、約12~15層、またはそれより多くの任意の層数が互いの上に存在し得る。このような複数の基本構造のパワーセルは、目標のパワーセルにおける機能のための、少なくとも1つのベース基体/上部及び底部の金属化フィルム構造との、同じ必要な溶接接続を要求する。共に溶接される金属化フィルムの層数は、単一のスタックにおいて15、またはそれより多く、25もしくはさらに50とし得る。数が多くなり過ぎた場合、金属化フィルムが突出して下の層と接触するための距離は、非常に大きくなり得る。したがって、スタックにおける最大層数は、250未満、好ましくは100未満、またはさらに好ましくは50未満とし得る。
【0078】
2つ以上の溶接の窪みが、薄いフィルムの集電材(やはり上部及び底部の金属化フィルムを伴うポリマー基体、及び少なくとも1つの存在するこのような構造)とタブとの間の接続目的に利用され得る。このような溶接は、集電材(及びしたがってタブ)の小さい領域内に設けられるか、またはパターンにおける同じ三次元構造の繰り返された窪みとして、もしくは場合によっては、パターン化またはランダム構成の異なる三次元構造を伴い、設けられ得る。さらに、同じ三次元の溶接構造のランダム構成が、同様に利用され得る。このような溶接の窪みの重要性は、タブと集電材との間の適切かつ効果的な接続を与え、その一方で関連した薄いフィルムが必要な安全面を保持し(熱暴走の傾向を軽減させる)、その一方で電荷を移動させる適切な機能を保持することによって、パワーセル自体に対して外部の導電性を保持することである。このような溶接構造は、三次元構造を可能にし、それはタブ及び集電材の限定された領域が、ポリマー基体の特定の均一の変位と接触するのを可能にし、上部及び底部の金属化フィルム層が同様にタブに接触するのを可能にして、このような上部及び低部の金属化層接点と接触するよう操作される。複数の窪みは、要求に応じた向上した導電性、ならびにタブと集電材との間の、より確実な装着のための増加した表面積の接続を、同様に可能にする。このような三次元の溶接の窪みは、任意の数の溶接アンビル構造から作られてよく、限定ではないが、矩形(直線)三次元アンビル、球状(または半球状)、角錐台状(正方形の底部及び小さい正方形の上部)、丸みを帯びた角錐状(上部で湾曲した縁部を有する)、などを含む。このような構造は、上部(または底部。実際の溶接個所に依拠して、集電材の上部または底部のいずれか)の金属化層が、フィルムを壊すことなく下方に変形し、特定の領域を底部の金属化層に接触させることを可能にする窪みを与える。その一方でポリマー基体は変位するが、操作された金属化フィルム層との接触を保ち、このような溶接作業後の寸法的安定性のために、このような処理された領域に対して力を提供する。上述のように、このような溶接は、タブ/集電材の複合体内に単独で提供され得る。または2つの複合体の構成要素間における、接触する表面積を増加させるために、複数個所に、均一、ランダム、全体(特定の領域上)、またはまばら(領域内)に、適用され得る。さらに、目標のパワーセル内における集電材構造の安全面を与える能力は、導電性の目的で、タブとの適切かつ効果的な接続を可能にしながら、この状況において最重要である。このように薄いフィルムの集電材を、予期せず、タブとの溶接作業において得られた有効性と共に大きい効果で利用することができる。
【0079】
このような溶接作業は、超音波、(例えばアンビルと介した)熱の適用、または(やはりアンビルの利用を介して)圧力の適用を利用し得る。このような適用は、単一のアンビル、または複数のアンビルを同時に格子内で利用することを含み得る。この格子は、タブ、ならびに、集電材/電極本体の特定の領域及びその上に、(上述のように)同様に適用する。このような溶接性能は、過去に調査されていない、いくつかの他の有益な機会を可能にする。これらは、複数の集電材及び複数のタブによる構成の可能性を含み、全ては全体的または独立して、共に溶接される。単一のタブは、溶接を介して集電材の複数層に同様に接続され、多層構造(少なくとも2層、例えば25層までの任意の層数)内の上部及び下部の金属化層の接続を可能にする。さらに、集電材及びタブのジグザグ構成は、必要に応じて、同様に安全性またはパワーの伝達を損ねることなく利用され得る。このような電極タブは、導電性及び/または接続目的のために、拡大した領域を有し、さらに大きい表面領域を溶接することを可能にし得る。追加として、タブ/電極の接続は、タブの狭い領域と組み合わされ、「内蔵の」セルのヒューズを提供する。このようなセルのヒューズは、安全面をより大きく向上させる機能を与え得る。追加の金属層は、集電フィルム層間に挿入され、同様に、このような(特に約25層までの複数層を伴う)フィルムスタック間の溶接性能を支援し得る。
【0080】
さらに、タブ自体に関して、このような構成要素は、上述のように、電極に溶接され、その後(容器内の)他のセル構成要素に接続されるか、または目標のセルのケーシングに(可能であれば貫通して)装着され、それによって外部デバイスと接続するため(換言するとパワーを伝達するため)の外部電極として機能する。
【0081】
上記で示されたように、溶接作業及びプロセスは、目標の複合体のセル構造における上部(タブ側)または底部(集電フィルム側)で成され得る。この状況において、溶接はタブ側から(この表面上の動くホーン装置の利用を介して)、(上述のように)フィルム側で押圧された(動かない)アンビルを伴ってもよい。しかし反対側を、フィルム側の下方に動くホーンを伴うタブの中に押圧されたアンビルと共に、利用され得る(最終的に押圧するアンビルのための円滑な構造を提供する)。いずれの状況においても、望ましい溶接の窪みを接続及び接着目的に与える機能は、タブを介した安全、確実、及び効果的な外部への接続のために、薄い金属化された集電材に関して可能にされる。
【0082】
さらに、別の有益な溶接性能を提供する機能は、任意の薄いフィルムの集電材の状況内で、やはり今まで調査されていない溶接スタック構成に関連して実現されている。例えば、単一のタブが、少なくとも1層、及び限定ではないが、約25層までの金属化フィルム層と共に利用され得る。反対に、おそらくは1層から約25層の金属化フィルム層を伴う複数のタブは、1つの非限定の可能性として、金属化フィルム層のスタックの上部及び底部において、存在するタブと共に利用され得る。代替として、このような複数のタブを、金属化フィルム層(集電材)のスタック全体に、必要及び/または所望に応じて、均一またはまばらに、散在させてもよい。これは、安全な(低い熱暴走傾向の)セルを伴う、パワー生成及び伝達のいくつかの異なる効果及び可能性を考慮に入れる。
【0083】
追加として、薄いフィルムの集電材(またはその多層)の上及び周りに折り込むために十分な長さで、基本的に薄いフィルムの集電材だけではなく(事実上集電材周りの締付具のように作用する)タブ自体も溶接される、単一のタブが利用され得る。
【0084】
上述のように、複数の溶接の利用は、溶接によって生成される、複合体に対する全体強度のための十分な接続を提供することと、同様にタブを介した外部のパワーセルからの増加した導電性ポテンシャルと、を支援する。使用される溶接の数は、セルの最大電流を実現するように決められてよく、この最大電流を超過すると、溶接は機能しなくなり、タブへの接続を破壊する。要望による任意の数の、このような溶接は、やはり要望によって(アノードもしくはカソードの)一方の電極、または両方の電極に同時に、同一の数もしくは異なる数、のいずれかに適用され得る。
【0085】
このような溶接性能の観点で、集電材/電極とタブとの間のこのような接続が、溶接自体よりも補強されることを保証する可能性(及び、ときとして必要性)も存在する。換言すると、弱体化した溶接による、このような構成要素間が分離する可能性は、パワーセル全体の性能を損なう場合がある。パワー生成及び伝達の有益性をさらに補強かつ強化するために、安全(薄い集電材)構造、テープ、締付具、及びこれらの考えられる組み合わせ、を利用して、溶接自体を補完し得る。
【0086】
このようなリチウムイオンバッテリの薄いフィルムは、それらの独特な品質のために、特定の独特な処理を必要とし得る。しかし、当技術分野で公知である、多くの処理ステップも、利用され得る。一般的に、本発明のフィルムを伴うリチウムイオンバッテリを生成するプロセスは、以下のステップを含む:
a.イオン貯蔵材料のコーティングを伴う、少なくとも1つの金属化基体を有する電極を準備するステップ;
b.対電極を準備するステップ;
c.上記の電極と上記の対電極との間に挟まれたセパレータ構成要素を伴い、電極及び対電極を互いに対向させてレイヤリングするステップ;
d.電気接点構成要素を含んだ包装材料を準備するステップであって、この接点は包装材料内に存在する部分と、包装材料の外側に存在する部分とを含んだ、準備するステップ;
e.上記の電気接点を上記の金属化基体に電気接続するステップ;
f.イオン内部に伴う少なくとも1種類の液体電解質を、上記の包装材料内に導入するステップ;及び
g.上記の包装材料を封止するステップ。
【0087】
金属化基体は、本開示内で説明したような任意の基体とすることができる。
【0088】
イオン貯蔵材料は、例えば当技術分野で公知である、リチウムイオンバッテリのためのカソード材料またはアノード材料とすることができる。カソード材料は、コバルト酸リチウムLiCoO2、リン酸鉄リチウムLiFePO4、マンガン酸リチウムLiMn2O4、リチウムニッケルマンガンコバルト酸化物LiNixMnyCozO2、リチウムニッケルコバルトアルミニウム酸化物LiNixCoyAlzO2、もしくは上記の混合物、または当技術分野で公知の他のもの、を含み得る。アノード材料は、グラファイト、チタン酸リチウムLi4Ti5O12、硬質炭素、錫、シリコン、もしくはこれらの混合物、または当技術分野で公知の他のもの、を含み得る。加えて、イオン貯蔵材料は、超コンデンサなど、他のエネルギー貯蔵デバイスに使用されるものを含む場合がある。このような超コンデンサにおいて、イオン貯蔵材料は、活性炭、活性炭繊維、炭化物抽出炭素、炭素エアロゲル、グラファイト、グラフェン、グラフェン、及び炭素ナノチューブ、を含む。
【0089】
コーティングプロセスは、当技術分野で一般的に知られている任意のコーティングプロセスとすることができる。ナイフオーバーロール及びスロットダイは、リチウムイオンバッテリのコーティングプロセスに一般的に使用されるが、電解めっきを含む他のものも同様に使用され得る。コーティングプロセスにおいて、イオン貯蔵材料は、ポリフッ化ビニリデンもしくはカルボキシメチルセルロースなどの結合剤、または他のフィルム形成ポリマーを含む他の材料と、一般的に混合される。混合物への他の添加物は、カーボンブラック及び他の導電性添加物を含む。
【0090】
対電極は、イオン貯蔵材料とは異なる電気化学ポテンシャルを有する、他の電極材料を含む。一般的に、イオン貯蔵材料がリチウムイオンアノード材料である場合、対電極はリチウムイオンカソード材料から作られることになる。イオン貯蔵材料がリチウムイオンカソード材料である場合、対電極はリチウムイオンアノード材料から作られることになる。イオン貯蔵材料が超コンデンサ材料である場合、対電極は、超コンデンサ材料か、またはいくつかの場合リチウムイオンアノード材料もしくはリチウムイオンカソード材料から作ることができる。各々の場合、対電極は、金属フォイルまたは本発明のような金属化フィルムとすることができる、集電材の材料にコーティングされたイオン貯蔵材料を含む。
【0091】
レイヤリングプロセスにおいて、本発明の電極は、互いに対向して多孔性セパレータが間にある電極材料を伴う対電極と共に、レイヤリングされる。当技術分野で一般に知られているように、電極は両側にコーティングが施され、電極のスタックは、本発明の電極及び対電極を交互に、かつ各層の間にセパレータを用いて形成される。代替として、当技術分野でも公知であるように、電極材料のストリップを上記のように積み重ね、次に円筒の中に巻き付けてもよい。
【0092】
包装材料は、円筒形セルのための缶などの硬質包装、平坦な硬質ケース、またはポリマーパウチを含み得る。各々の場合、ケースを貫通した電気接点を作る2つの手段が存在しなければならず、それらは異なる電圧で保持され、電流を伝導できる。いくつかの例において、ケース自体のある部分が一方の手段を形成し、その一方で、他方の手段はケースの異なる部分にあり、第1の部分から電気絶縁される。他の例において、ケースは非導電性であるが、2つの金属導体がケースを貫通して突出するのを可能にし、これはしばしばタブと呼ばれる。
【0093】
手段を接続して、金属化基体との電気接点を作ることは、溶接、テープ留め、締付け、ステープル留め、リベット留め、または他の機械的手段など、一般的に使用される方法を含む。金属化基体の金属は、高い電流フローを与える接合部分を可能にするために、非常に薄くすることができるので、向かい合った接点が一般的に要求され、ケースを貫通した電気接点を作る手段と、金属化基体との間に、大きい表面積をもたらす。十分な電流を運ぶために、この表面積は、1mm2(10-12m2)よりも大きいことが望ましいが、3mm2よりも大きく、さらには5mm2以上、またはより好ましくは10mm2とする必要がある場合がある。
【0094】
当然ながら、向かい合った接点に加えて、この溶接は、プラスチック層を通して薄い金属層を突出させて金属に接触させることによる接点を含み、それはその前にプラスチック層の他の側にあり、超音波溶接または他の溶接方法を介して作られた窪みの形態であってよい。
【0095】
液体電解質は、一般的に極性溶媒とリチウム塩との組み合わせ/混合物である。通常使用される極性溶媒は、上述のように、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネートを含むが、イオン溶液または水を含んだ他の極性溶媒が使用され得る。この産業内で一般に利用されるリチウム塩は、限定ではないが、LiPF6、LiPF4、LiBF4、LiClO4などを含む。電解液は、当技術分野で公知の添加物も含有し得る。多くの場合、電解液は可燃性である場合があり、その中で、本発明の金属化基体の集電材における安全性の特徴は有利であり、セル及びセルの外側の両方に火災及び損傷をもたらす、危険な熱暴走事象を防止することができる。
【0096】
以下の説明及び例は、本開示の潜在的な実施形態を表現するのみである。以下に続く特許請求の範囲の観点で、この開示の範囲、及びその広さは、当業者にはこの領域内であることが理解されるであろう。
【0097】
上述のように、本開示は大きな転換であり、リチウムバッテリ(及び他のエネルギー貯蔵デバイス)産業内で試みられた、以前の全ての理解及び改善策に対して反直感的である。反対に、本明細書で説明した新たなデバイスは、多くの有益な結果及び特性をもたらし、それらは今まで調査されておらず、言うまでもなくこの領域内では予想されなかった。しかし最初に比較として、先行のデバイスと、現在開示されて広く本明細書で網羅されるものと、の間に関わる際立った相違に留意することは重要である。
【0098】
[短絡事象例]
[比較例1]
リン酸鉄リチウムバッテリのカソードを、中国におけるGBSystem社から得た。アルミニウムタブは、市販の集電材の例として取り外し、厚さ、面密度、及び抵抗を測定し、以下の表1に示す。次にアルミニウムフォイルを、熱いはんだごてに5秒間触れさせ、温度が500~525°Fとなるよう、赤外線放射温度計を使用して測定した。はんだごてを集電材に触れさせたことによる影響はなかった。厚さ、面密度、及び抵抗を測定した。材料を175℃で30分間オーブンに配置し、収縮を測定した。写真を撮り、
図6に載せた。
図5は、比較バッテリ内における、従来の集電材の表示を提供する。
【0099】
[比較例2]
リン酸鉄リチウムバッテリのアノードを、中国におけるGBSystem社から得た。銅タブは、市販の集電材の例として取り外し、厚さ、面密度、及び抵抗を測定し、以下の表1に示す。次に銅フォイルを、実施例1と同じ方法で熱いはんだごてに触れさせた。はんだごてを集電材に触れさせたことによる影響はなかった。厚さ、面密度、及び抵抗を測定した。材料を175℃で30分間オーブンに配置し、収縮を測定した。写真を撮り、
図6に載せた。比較例1のように、
図5は、このバッテリの内部構造の表示を提供する。集電材の厚さは、モノリシック金属構造であり、開示するような薄いタイプではないので、大きい。
【実施例1】
【0100】
ポリプロピレンリチウムバッテリのセパレータ材料を、MTI Corporation社から得た。この材料は、製品番号2500として、Celgard社で製造された。厚さ、面密度、アノード抵抗を測定し、以下の表1に示す。次にセパレータを、実施例1と同じ方法で熱いはんだごてに触れさせた。温度計を集電材に触れさせ、小さい穴を開けた。その径を測定し、表1に含ませた。厚さ、面密度、及び抵抗を測定した。材料を175℃で30分間オーブンに配置し、収縮を測定した。写真を撮り、
図7に載せた。
【実施例2】
【0101】
セラミックでコーティングしたポリエチレンリチウムバッテリのセパレータ材料を、MTI Corporation社から得た。厚さ、面密度、及び抵抗を測定し、以下の表1に示す。次にセパレータを、実施例1と同じ方法で熱いはんだごてに触れさせた。はんだごてを集電材に触れさせ、小さい穴を開けた。その径を測定し、表1に含ませた。厚さ、面密度、及び抵抗を測定した。材料を175℃で30分間オーブンに配置し、収縮を測定した。写真を撮り、
図7aに載せた。
【実施例3】
【0102】
セラミックでコーティングしたポリプロピレンリチウムバッテリのセパレータ材料を、MTI Corporation社から得た。厚さ、面密度、及び抵抗を測定し、以下の表1に示す。次にセパレータを、実施例1と同じ方法で熱いはんだごてに触れさせた。はんだごてを集電材に触れさせ、小さい穴を開けた。その径を測定し、表1に含ませた。厚さ、面密度、及び抵抗を測定した。材料を175℃で30分間オーブンに配置し、収縮を測定した。写真を撮り、
図7bに載せた。
【実施例4】
【0103】
ヘリウムが充填されたパーティー用風船に使用するために設計された、アルミめっきされた2軸配向ポリエステルフィルムを、All Foils Inc.社から得た。アルミニウムコーティングは、ヘリウムを長く保持し、パーティー用風船のために、より長く高くとどめる。厚さ、面密度、及び抵抗を測定し、以下の表1に示す。次にフィルムを、実施例1と同じ方法で熱いはんだごてに触れさせた。はんだごてを集電材に触れさせ、小さい穴を開けた。その径を測定し、表1に含ませた。厚さ、面密度、及び抵抗を測定した。材料を175℃で30分間オーブンに配置し、収縮を測定した。写真を撮り、
図8に載せた。比較例1における、市販されているアルミニウム集電材と比較して、この材料は65%薄く、85%軽く、さらには熱から後退する。これは、内部短絡を伴うリチウムイオンセルにおいて、内部短絡を遮断する効果を有する。
【実施例5】
【0104】
市販のリチウムイオンバッテリセパレータ、Dreamweaver Silver 25を得た。これは、セルロース及びポリアクリロニトリルナノファイバ、ならびにポリエステルマイクロファイバの、製紙プロセスにおける混合から作られ、薄い厚さに艶出しした。次にセパレータを、実施例1と同じ方法で熱いはんだごてに触れさせた。はんだごてを集電材に触れさせ、穴は開けなかった。厚さ、面密度、及び抵抗を測定した。材料を175℃で30分間オーブンに配置し、収縮を測定した。先行技術の比較例3~5と比較すると、これらの材料が熱によって融解または収縮しない利点を有するため、リチウムイオンバッテリも内部短絡を伴わず、より大きい内部短絡を作り出すために後退することはない。これは
図8aで確認される。
【実施例6】
【0105】
市販のプロトタイプのリチウムイオンバッテリセパレータ、Dreamweaver Gold 20を得た。これは、セルロース及びパラアラミドナノファイバ、ならびにポリエステルマイクロファイバの、製紙プロセスにおける混合から作られ、薄い厚さに艶出しした。次にセパレータを、実施例1と同じ方法で熱いはんだごてに触れさせた。
図8bに示されるように、はんだごてを集電材に触れさせ、穴は開けなかった厚さ、面密度、及び抵抗を測定した。材料を175℃で30分間オーブンに配置し、収縮を測定した。先行技術のセパレータと比較して、このセパレータの利点は、実施例2と同じである。
【0106】
【0107】
比較例1~2は、現存の集電材の材料であり、非常に低い抵抗、高い面密度を示し、及び熱いはんだごての先端または175℃における任意の収縮のいずれかに対する露出に反応しない。
【0108】
実施例1~3は、無限抵抗を有する材料であり、175℃または熱いはんだ先端のいずれかに曝された際に、低い面密度と融解を有する。それらは、本発明による金属化のために、優れた基体である。
【0109】
実施例4は、アルミめっきポリマーフィルムの例であり、175℃または熱いはんだ先端に曝されたときに、適度の抵抗、低い面密度及び収縮を示す。それは、本発明による潜在的なカソード集電材複合体フィルムの例である。実際、及び別の例に示されるように、より高いパワーのバッテリのために、より高いレベルの金属コーティングを与えることが望ましい場合がある。
【0110】
実施例5~6は、無限抵抗を有する材料であり、低い面密度を有するが、175℃または熱いはんだ先端に曝されたときに、非常に低い収縮を有する。それらは、金属化コーティングが、短絡に関連付けられた高い電流条件下で劣化するよう、金属化コーティング厚が十分に薄い場合の、本発明によるポリマー基体の例である。追加として、セルロースナノファイバ及びポリエステルマイクロファイバは、現在使用されている金属集電材の融解温度よりもかなり低い温度で、酸化、収縮、及び排除される。
【0111】
追加として実施例5は、ファイバであるポリアクリロニトリルから作られ、従来のリチウムイオンカーボネートの電解液に曝されると膨張する。これも本発明によるポリマー基体の例でもあり、したがって膨張は、熱によって増加し、金属化コーティングにクラックを作り出し、導電経路を遮断して、バッテリ内の熱に露出する際に、集電材の均一な導電経路を除去または大幅に減少させることによって、セルの安全性を向上させる。
【実施例7】
【0112】
実施例5で利用した材料を、金属間キュービクル及びアルミニウムパレットを使用して、MBraun Vacuum Deposition Systemの析出位置に設置した。チャンバは、3×10-5mbarまで減圧した。パワーは、アルミニウムが融解するまで増加され、次に析出速度を3Angstroms/sに設定した。析出は、4つの試料を析出プレートで回転させて、1時間実施した。このプロセスは3回繰り返され、合計析出時間は4時間であった。試料は、重量、厚さ、及び抵抗(DC及び1kHz、1インチ離した電極間で測定した1インチのストリップ)が測定され、それらは以下の表2に示す。先端抵抗も、プローブ先端を1インチ離して1kHzで、Hioki 3555 Battery HiTesterを使用して測定した。追加したアルミニウムの重量は、試料の面積で除算して、プロセス中に追加した重量によって計算した。これは、コーティングの平均厚を得るために、材料の密度によって除算される。
【実施例8】
【0113】
不織布ポリマー基体を、平坦な断面を有するポリエチレンテレフタレートマイクロファイバを取り入れ、かつTappi T206のプロセスを使用して20g/m2のハンドシートを作ることによって作った。次にこれらのハンドシートを、硬化した鋼製ロールを250°Fで使用して、10m/min、2000lbs/inchで艶出しした。この材料は、実施例7のプロセスに従って金属化し、同じ測定を行ない、表8に記録した。
【実施例9】
【0114】
実施例5による材料を、コーティングを5Angstroms/秒で60分間で設定した以外は、実施例7のプロセスに従って析出した。これらの試料をひっくり返して、同じ手順で裏側をコーティングした。これらの材料を、走査型電子顕微鏡(SEM)で表面及び断面の両方を撮像した。画像は
図9、
図9a、及び
図9bに表示する。
【実施例10】
【0115】
材料は、両側の析出が20分のみであること以外、実施例9の手順に従って準備した。
【実施例11】
【0116】
シートが艶出しされないこと以外は、実施例8のポリマー基体を準備した。アルミニウムの析出は、各側を5Angstroms/秒で20分間である。材料は艶出ししていないので、気孔率は非常に高く、薄いコーティング重量を伴い非常に高い抵抗値をもたらす。比較例11から実施例8は、予期せず高い、艶出しの有益性を示す。
【0117】
【実施例12】
【0118】
実施例9の、アルミニウムをコーティングしたポリマー基体は、N-メチル-2-ピロリドン溶液中の、97%のNCMカソード材料(BASF社から得たNCM523)、1%のカーボンブラック、及び2%のPVDF結合剤の混合物でコーティングした。コーティングの重量は71ミクロンで12.7mg/cm2であった。この材料は、2032コインセルに適合するよう切断し、銅フォイル集電材(6mg/cm2で、96.75%のグラファイト(BTR)、0.75%のカーボンブラック、1.5%のSBR、及び1%のCMC)にコーティングしたグラファイトアノードを組み合わせた。単一層のコインセルを、アノード、セパレータ(Celgard2320)、及びNCMコーティングした材料をセルの中に配置することで作り、電解液(EC:DEC:DMC=4:4:2vol+2重量%のVCにおける、60μL、1.0MLiPF6)に浸し、外殻を締付けることによってセルを封止した。適切な導電性を得るために、実施例9の、アルミニウムでコーティングしたポリマー基体の一部をカソード材料でコーティングせずに残し、上に折り込んでコインセルの外殻に接触させ、導電経路を完成させた。セルは、一定電流の0.18mAで4.2Vまで充電し、次に電流が0.04mAまで降下するまで一定電圧(4.2V)で充電することによって形成した。セルは、0.37mAで4.2Vと3.0Vとの間で3回循環させ、平均放電容量1.2mAhをもたらした。
【実施例13】
【0119】
セルを、使用したセパレータがDreamweaver Silver20であること以外は、手順に従って、かつ実施例12の材料を使用して作った。セルは、一定電流の0.18mAで4.2Vまで充電し、次に電流が0.04mAまで降下するまで一定電圧(4.2V)で充電することによって形成した。セルは、0.37mAで4.2Vと3.0Vとの間で3回循環させ、平均放電容量0.8mAhをもたらした。したがって、この実施例及び前の実施例において、作動する再充電可能なリチウムイオンセルを、1ミクロン未満の厚さのアルミニウムを用いて作った。
【0120】
[比較例3]
概ね2cm×4cmの、比較例1のアルミニウムタブを、試料の全幅に接触した金属コネクタを介して、電流源の接地に接続した。電圧制限を4.0Vに、及び電流制限を1.0Aに設定した。電流源の高い電圧に接続されたプローブを、試料の全幅に接触した金属コネクタに初めに触れさせ、次に複数回アルミニウムタブに触れさせ、1.0Aで短絡を発生させた。プローブの先端は、概ね0.25mm
2の面積であった。全幅にわたって接触したとき、電流は正常に流れた。初めにタブにプローブを触れさせると、スパークが発生し、非常に高い当初の電流密度を示した。集電材に生じた欠陥は、穴しかもたらさないときがあったが、別の場合では溶発が生じたが集電材はそのままであった。全ての事例において、1.0Aの流れを伴い短絡したままであった。穴のない溶発の欠陥をマイクログラフに撮り、それを
図10に示す。電流源の制限を、5.0A、3.0A、0.6A、0.3A、及び0.1Aに設定して実験を繰り返し、集電材の全幅に接触させたとき、及び概ね0.25mm
2の先端サイズの先端プローブを使用したとき、の両方において、全ての事例で、結果は試験電流制限において継続した電流であった。
【0121】
[比較例4]
同じ寸法の比較例2の銅タブを、比較例3と同じ方法で試験した。全幅にわたって接触したとき、電流は正常に流れた。初めにタブにプローブを触れさせると、スパークが発生し、非常に高い当初の電流密度を示した。集電材に生じた欠陥は、穴しかもたらさないときがあったが、別の場合では溶発が生じたが集電材はそのままであった。全ての事例において、0.8Aの流れを伴い短絡したままであった。穴のない溶発の欠陥をマイクログラフに撮り、それを
図10aに示す。電流源の制限を、5.0A、3.0A、0.6A、0.3A、及び0.1Aに設定して実験を繰り返し、集電材の全幅に接触させたとき、及び概ね0.25mm
2の先端サイズの先端プローブを使用したとき、の両方において、全ての事例で、結果は試験電流制限において継続した電流であった。
【実施例14】
【0122】
同じ寸法の、
図7の本発明のアルミニウムでコーティングしたポリマー基体材料を、比較例3~4と同じ方法を使用して試験した。全幅にわたって接触したとき、電流は正常に流れた。本発明の集電材に直接接触するプローブの、各々の場合において、スパークの発生はかなり少なく、最初のスパーク後に電流は流れを停止して、開回路を残した。全ての場合、生じた欠陥は穴であった。穴のいくつかの例におけるマイクロフラフを、
図11及び
図11aに示す。電流源の制限を、5.0A、3.0A、0.6A、0.3A、及び0.1Aに設定して実験を繰り返し、全ての場合で、コネクタの全幅を通して接触させたときに、結果は継続した電流の流れであり、プローブから直接本発明の集電材の例に接触させたとき、本発明の例を通して電流は流れなかった。
【0123】
示される主な発明は、比較例3~4及び実例14のような短絡に曝されたとき、先行技術において結果は短絡が継続する一方で、本発明の材料では、結果は開回路で、電流は流れ続けない(すなわち、明らかな電流の移動はない)。したがって、先行技術の短絡は、熱を発生させる場合があり、それはセパレータを融解し、SEI層を分解し、セルの熱暴走をもたらして、電解液に点火する。本発明の集電材の開回路は、熱を発生させず、そのため熱暴走及び煙、熱、及び炎を生じさせることなく、内部短絡を支持できるセルを提供する。
【0124】
[実施例15及び16、ならびに比較例5及び6]
2つの金属化フィルムを、10ミクロンのポリエチレンテレフタレートフィルムの上に、ロールツーロールプロセスで生成した。このプロセスにおいて、フィルムのロールを真空金属化生成機械(その例は、Applied Materials社で入手可能なTopMet4450)に配置して、チャンバを低圧に減圧した。ロールは、例えば50m/minの高速で融解したアルミニウムを含有した、加熱した船型容器に移した。加熱した船型容器の上で、含有する融解したアルミニウムは、アルミニウムガスの噴煙であり、それはフィルムに析出し、析出速度は、スピード及びアルミニウム温度によって制御される。概ね500mの長さで70cm幅のロールを、アルミニウムコーティングが300nm以下になるまで複数回通過させて生成した。コーティングプロセスを、フィルムの他の側をコーティングするために繰り返し、生じた製品を本明細書で実施例15として利用した(
図4で表示した本発明の集電材を、本実施例で利用した)。このように実施例16を、船型容器内の金属が銅であること以外、同じ方法で生成した(
図5Bは、本発明の構造内で使用した集電材を表わす)。各フィルムの、基本重量、厚さ、及び導電性を測定し、以下の表3に記録した。コーティング重量は、10ミクロンのポリエチレンテレフタレートフィルムの基本重量である13.8g/m
2を減算して計算した。「計算したコーティング厚」は、コーティング重量を材料密度(アルミニウムで2.7g/cm
3、銅で8.96g/cm
3)で除算し、かつ各々の側が同じコーティングであると仮定して計算した。
【0125】
比較例5は、市販で入手した17ミクロン厚のアルミニウムフォイルである。比較例6は、市販で入手した50ミクロン厚の銅フォイルである。比較例7は、市販で入手した9ミクロン厚の銅フォイルである。
【0126】
【0127】
実施例15、実施例16、比較例5、及び比較例6を、非常に高い電流密度を運ぶ機能のための、さらなる試験を行なった。半径0.51mm(24AWGゲージ)の研磨した銅ワイヤを、集電材フィルムまたはフォイルに接触させて保持する試験装置が作られた。 テストされたフィルムまたはフォイルを、テストされるフィルムまたはフォイルとの接触を保持する、接触面積が1cm2よりも大きいアルミニウム接点を用いて接地させた。プローブを、ハイパワー400Wで、0.335ohmの抵抗器と直列に接続し、かつVolteq社のHY3050EX電源に接続して、制御電流に設定した。測定する集電材を、研磨したワイヤをゼロ入力電流で集電材の表面に接触させて、装備に配置した。電流を0.2アンペアのインクリメントを増加させ、各インクリメントのために30秒保持し、その一方で抵抗器の両端で電圧を測定した。電圧がゼロまで低下したとき、電流はもはや流れないことを表わし、試料は機能しなくなったことを示した。実施例15、実施例16、比較例5、及び比較例6を試験した。実施例15は、7A(2つの測定値の平均)で機能しなくなった。実施例16は、10.2A(2つの測定値の平均)で機能しなくなった。比較例5も比較例6も、20A未満で機能しなくなることはなかった。実施例15及び実施例16は、集電材に半径1mmより大きい穴を示し、その一方で、比較例5または6のいずれも、フォイルにいかなる損傷も示さなかった。この試験例において、20Aよりも大きい、好ましくは15Aよりも大きい、またはより好ましくは12Aよりも大きい電流を運ぶことが可能な集電材を有することは、有利となろう。
【0128】
これら本発明の集電材を、セルの電極スタックを使用中の電気デバイス(セルの内側または外側のいずれか)に接続するタブとして使用してシミュレートする別の試験において、実施例15及び16、ならびに比較例5及び6は、ストリップに沿った電流容量試験を行なった。試験用の試料を準備するために、集電材を
図12に示される形状に切断した。それは、4センチメートル×1センチメートル(4cm×1cm)の材料のストリップから成り、このストリップの両端部は、側長4cmの直角三角形に先端を切り取った。試験ピースの三角形の各々を、接触表面を1cmより大きくしたアルミニウムピースを通して接触させた。一方の側部は、400W、0.335ohmの抵抗器を通して接触させ、この回路はVolteq社のHY3050EX電源に接続した。電圧を抵抗器の両端で測定して電流を測定し、この電圧がゼロまで低下したときに、ピースは機能しなくなった。各試験のため、ゼロ電流で設定した電源に接続し、次に0.2Aインクリメントに増加させ、試料が機能しなくなり、かつ電流の流れがゼロまで低下するまで、各新しい電圧で30秒印加した。試験は、金属化集電材が、金属化集電材の一方の側または両側のいずれかに接触して測定できるよう、構成した。機能しなくなった電流を、以下の表4に示す。4cm×1cmのストリップで試験した材料について、各々が一方の側または両側いずれかの接触を伴い、20A未満、好ましくは15A未満、またはより好ましくは10A未満で流れることができる電流量を制限することで内部ヒューズを提供することが有利となる。
【0129】
【0130】
セルを、標準的なフォイルの集電材、ならびに実施例15及び16からの金属化されたPETフィルムの集電材を、電極材料でコーティングすることによって作った。NMC523カソード材料を、BASF NMC523(97%)、カーボンブラック(2%)、及びPVDF(1%)を、NMP溶媒中に使用して準備し、アルミニウム集電材(15ミクロンのアルミニウム集電材)にコーティングして、実施例15を、3.3mAh/cm2のカソード積載密度に応じて、220g/m2の基本重量とした。アノード材料を、グラファイトBTR-918S(94%)、カーボンブラック(5%)、及びPVDF(1%)を、NMP溶媒中に使用して準備し、銅集電材(18ミクロンの銅集電材)に、4.0mAh/cm2のアノード積載密度に応じて、118g/m2でコーティングした。4つの両面カソードを準備して、3つの両面アノード及び2つの片側アノードを準備した。これらを、Celgard2500セパレータと共に積み重ねて、小さいパウチセルを形成した。これらは次に電解質で充填して、1Ahの設計容量で封止した。4つのタイプのセルを、フォイル材料の異なる組み合わせ、ならびにC/10及びC/5(すなわち0.1A及び0.2A)で測定した容量で作った。これらのセルは、100mAで4.2Vまで充電して形成し、電流が10mAまで降下するまで4.2Vで保持した。完全に形成されたセルは、次に重量を測り、C/10で放電し、次にC/10で充電してC/5で放電して、容量を試験した。これらの結果を、以下の表5に示す。
【0131】
【0132】
このように、上記で提供された実例は、望ましい厚さ、金属コーティング、及び電解液を含有したバッテリ内の熱暴走を防止するために必要な導電性効果、を呈する。それによって、より安全かつより信頼できるタイプを提供するだけではなく、以前のものよりも小さい内部重量の構成要素しか必要とせず、安全性を犠牲にせずに、実際それらを改善するものを提供する。
【0133】
上述のように、(リチウムバッテリ物品内の内部ヒューズとしての)薄い集電材を提供するだけではなく、生成した電圧が対象のバッテリセルの外部に伝えられるのを保証するタブ付き構造の、必要な有益性を提供する機能は、本開示内で与えられる。追加として、上記のような集電材の有益な薄い構造をさらに利用する機能は、対象のバッテリ物品自体の制約内における数多くの構成のうち、任意の数に対して適しており、全てが有益な内部ヒューズ構成要素を所定の位置に伴い、累積したパワーレベルを潜在的に生成する。これらは、
図12~
図22内でより詳細に説明する。
【0134】
図13は、金属化フィルム層614及び下部の非金属層616を伴う、単一の薄いフィルムの電流タブ/集電材600を示す。導電性タブ610(バッテリの外部パワー伝達構成要素に導くため)が同様に設けられ、集電材に対して垂直方向に整合され、溶接612によって集電材に接続される。
図14は、導電性目的のために、集電材634に接続するテープ624を伴うタブ622が存在する、類似の集電材620を示す。上記のように、タブ/集電材620は、金属化フィルム層626及び下部の非金属層632を有する。テープ構成要素622は、タブの外面628に設けられ、集電材の非金属層626に通じて、タブを固定したままにするためのせん断強度及び接着品質を、導電性目的の好適な方法で提供する。
【0135】
図15は、タブ642を、(金属化フィルム層644及び下部の非金属層650を伴う)単一の薄い集電材648に接続するための異なる方法を示した、異なるタブ/集電材640を提供し、2つの構成要素を、導電性ステープル構成要素646の利用を介して接続する。
【0136】
同様に
図18は、上記と同じタイプの上面758及び下面762を伴う、平坦タブ/集電材750を含む。この例におけるタブ752、754は、集電材762の上面758及び下面760の両方と接触する、2つの平行構造として設けられる。このようなタブ752、754は、両面758、760に共に接続するための溶接756を含む。
図17は、所定の位置に1箇所で折り込まれたタブ794を伴う以外は、
図16と類似の構造780を示す。折り込んだ単一のタブ794は、溶接786を介して集電材792の両面788、790に接触し、集電材786から通じた、折り込まれたタブ794の2つの延伸した枝部782,784を伴う。
【0137】
このような平坦な集電材の構造は、小型のバッテリ構造を伴う典型的なバッテリ構造(例えば
図1など)を可能にする。
図16は、(上記のように非金属層708を覆う)金属化フィルム面712に装着された単一のテープ式タブ702を伴う、1箇所の折り込み710タブ/集電材700を示す。この方法で、1箇所の折り込み710の集電材704は、平坦構造から僅かにバッテリサイズが増加させる必要にもかかわらず、結果的にバッテリセル内のパワー生成を増加させる性能を与える。
図17は、同じ薄い構造の集電材724を利用した、2箇所で折り込まれた732タブ/集電材720を示す。このような2箇所の折り込み732は、集電材724の2つの側726、728に接触する機能をさらに提供する。これは、そうでなければ2つの導電層間に置かれたポリマーフィルムによって電気絶縁される。タブ722は、集電材730に、このような2箇所の折り込み732の導電性目的で付着する。
図20は、2箇所で折り込まれた810タブ/集電材800に溶接804されたタブ802を示し、したがって上記の電気絶縁された層808、812を集電材806の一部として接続する同じ機能を呈するが、より安全な溶接804を所定の位置に伴い、パワー伝達の目的のために、より確実かつより潜在的に効果的である。
図21は、金属化フィルム層858、860、862、864、866及び下部の非金属層846、848、850、852、854を伴う、複数の(ここでは5つの)2箇所で丸めて折り込まれた856集電材826、828、830、832、834を有する、複合体のタブ/複数集電材構造820を示す。これは、上部の2箇所で丸めて折り込まれた集電材826とのコンダクタンスのために接続する溶接824を伴う、単一のタブ822を介して、導電性のための電気絶縁された層を接続するさらなる機能のために、連続して接続される。溶接したタブ822は、同様に向上した確実性を目的に、所定の位置にしっかりととどまる。第2の、反対側の、溶接した906タブ904は、複数の、複数個所で丸めて折り込まれた938集電材アレイ908、910、912、914、916を同様に所定の位置に伴い、
図22に提供される。このようなタブ/集電材構造900は、上記で言及したように、2つの外側の集電材908、916と共に構成かつ接続された2つのタブ902、904を介して、対象のバッテリセルの体積当たりの重量を増加させることなく、パワー生成を増加させるのを可能にする。金属化フィルム層940、942、944、946、948には、上記のように、対向した非金属層928、930、932、934、936が設けられ、他の集電材の例を伴い表示される。最後に、さらに別の非限定例として、タブ/集電材構造960で、連続した平行で平坦な薄い集電材964、966、968、970(ここでは4つ)(上述のように)に締付けられた、複数回のZ型折り込み972のタブ962であって、平坦で薄い集電材964、966、968、970(複数の内部ヒューズとして作用する)にもかかわらず、連続して累積パワーを生成するための異なる方法を提供するために、金属化フィルム層974、978、982、986及び下部の非金属層976、980、982、984を伴う、複数回のZ型折り込み972のタブ962。
【0138】
図13~
図23の構造は、固定されたリチウムバッテリの内部ヒューズ構成要素に対して、様々な外部接続を可能にする。
【0139】
図24は、薄いフィルムの集電材1010における単一溶接の複合体を示し、中間ポリマー基体1015及び上部金属化フィルム1012と、底部金属化フィルム1014と、示された溶接方向1018を伴う溶接の窪み1020と、上部1012及び底部金属化フィルム1014の接合部分1022と、を有する。ポリマー基体1015は、溶接の窪み1020から外側1016に処理され、上部1012と、底部1014金属化フィルムとの間の接合部分1022の接続を可能にする。溶接パラメータの注意深い制御が、一般的に低いパワー及び高い圧力を用いて、金属を破壊することまくポリマーを動かすために必要とされる。
【0140】
正確なパワー及び圧力を、正確な溶接節点、金属層厚、ポリマー厚、ならびに金属及びポリマー材料のタイプ、の構成に基づいて、実験的に判断しなければならない一方で、純粋な金属溶接よりも少ないパワー及び大きい圧力は、本開示におけるこの図及び他の図に示されるような所望の構成をもたらすことが、一般的に正しい。
図24は、単一の理想的な節点の外形を示す。実際、
図34、
図35、
図35a、
図36、及び
図37に示されるように、多くの節点が提示され、異なる断面及び節点構成で構成することができる。所望の効果は、節点の形状、ならびに超音波溶接の場合はパワー、周波数、及び圧力などの処理パラメータを変化させることによって、または、熱溶接の場合は温度及び圧力などの処理パラメータを変化させることによって、接合部分1022を最大にすることである。
【0141】
図25は、頂部の金属化フィルム1012、ポリマー基体1015、及び底部の金属化フィルム1014を伴う、タブ1032及び薄いフィルムの集電材(
図24の1010)の、溶接した複合体1030を示す。
図24のように、上部に適用した溶接1020は、ポリマー基体1015を動かして、金属化フィルム1012、1014を接触させる。同様にタブ1032は、タブ1032と集電材(
図24の1010)との間の接続のために、溶接方向1034に関連して上部フィルム1012と接触し、底部フィルム1014から上部フィルム1012を介してタブ1032への導電性を可能にする。
【0142】
実際の構造定義における実際に可能な実施形態を示すために、
図26及び
図26aは、金属化フィルム1012、ポリマー基体1015、及び底部フィルム1014の複合体の、溶接接合部分のマイクロ写真(それぞれ100ミクロン以上、及び50ミクロン以上の長さ)を示す。溶接方向1018は、金属化フィルム1012を底部フィルム1014へ、ポリマー基体1015を通して2つの材料1013間の接続を生成するような方法で、押圧する。この接続1013は、上部フィルム1012と底部フィルム1014との間の透過を可能にし、向上したバッテリ動作のための、金属化フィルム1012からタブ(例えば
図27の1042)への導電性を促進かつ最適化する。
【0143】
図27は、
図24(1010)と同じ集電材、及び底部フィルム層1014に接続されたタブ1042を伴う、タブ/集電材の複合体1040を示す。集電材の上部フィルム1012に適用された上部溶接1020を伴い、ポリマー基体1015は、上部1012及び底部1014フィルムが接合するよう動かされ、それによって金属化フィルム1012、1014とタブ1042との間の導電性を可能にする。
図27a及び
図27bは、底部フィルムとタブとの間における溶接接合部分の接合部分の顕微鏡写真を示し、明確な描写を示す。
図27bは、溶接プロセス中における金属化フィルムからの金属デブリの存在を伴う、タブ及び底部フィルムの溶接した層の接合部分を、詳細に示す。
【0144】
図28は、
図24(1010)の集電材と類似の上部の薄いフィルムの金属化フィルム集電材2042と、(各個別の層間にポリマー基体を伴う)多層の金属化フィルム構造2046の底部フィルム層に接続されたタブ2044と、を伴うタブ/集電材の複合体2040を示す。これらのような層は、押出しで、タブ2044自体の上部に多層構造2046を形成し得る。上層2042を含んだ層2046は、
図24(1010)と同じ薄いフィルム構造である。多層2042、2046は、溶接の窪み2048を介して、多層2042、2046を共に溶接接合部2049で接続するよう、処理される。追加として、複数の薄いフィルムの集電材層2042、2043を伴い、溶接の窪み2048は、溶接の窪み2048全体を囲んだ累進的な外形2047を発生させるような方法で提供され、複数の集電材層2042、2046を通しての全溶接圧を適用することを促進させ得る。このような外形2047を伴い、溶接の窪み2048の上縁部において盛り上がった周縁部2045が、さらに発生する。このように、得られた複合体2040は、外部のパワー伝達のためのバッテリ内におけるさらなる利用のために、全ての金属化フィルムにおける集電材層2042、2046間のタブ2044に対する導電性を可能にする。
図28a及び
図28bは、
図28と同じ複合体構造の顕微鏡写真を提供する。注目すべきは、上部集電材層2042、及びこのような薄いフィルム構造における下方の多層2046である。溶接接合部分2049は、このような複数の集電材層2042、2046を、タブ2044に接続する。盛り上がった周縁部2047を伴う、溶接を囲んだ視認できる外形2047も存在する。
図28bにおいて、溶接接合部2049は、ポリマー基体内のフィルム集電材部分の存在を示し、それは、上部の薄いフィルムの集電材層2042とタブ2044との間だけではなく、タブ2044を伴う複数の集電材層2046間の導電性も可能にする。上記のように、このような複合体2040は、タブ2044を介してセルから外部への、バッテリの伝達性能を可能にする。
【0145】
図29は、タブ1054の異なる可能な複合体1050、上部の金属化フィルム1052、及び溶接1056によって互いに接続された金属化フィルムの集電材1058の多層を提供して、タブ1054を通した金属化フィルム1058、1052の導電性を可能にする。
【0146】
図30、
図31、及び
図32は、溶接したタブを薄い集電材のパワーセルに利用した、別のタイプのバッテリデバイスを示す。
図30は、硬質プラスチック容器1062、パワーセル1066、及びデバイス(図示せず)への別の接続のために接続された外部タブ1064、を伴うバッテリ1060を示す。
図31は、容器1072、パワーセル(電極/集電材)1074、及び延長タブ1076を伴う、円筒形バッテリ1070を示す。
図32は、パウチ容器1082、パワーセル1084、及び外部デバイス(図示せず)との接続のために接続された外部タブ1086、を伴うパウチバッテリ1080を示す。
【0147】
図33及び
図33aは、複数のタブ1098、複数の電極/集電材層1096、上部タブ1094、及び上部電極集電材層1092を有し、全ては本明細書で説明したように共に溶接した、パワーセル複合体1090を示す。
【0148】
図34、
図35、
図35a、
図36、及び
図37は、目標のタブ/パワーセル複合体内の、溶接アンビル構造、ならびに内部で利用して溶接の窪みの形状及び構造(三次元)を与えるパターン/構造の、異なる潜在的な実施形態に関する。
図34は、いくつかの可能なアンビル構造の実施形態1100を示す。1つは三次元の矩形構造を有する直線状構造1102である。さらに示されるのは、角錐台状の三次元構造1108(方形縁部から小さい方形の上部へと狭くなる傾斜を伴う)、丸みを帯びた角錐構造1106、及び球状構造1104(リブ付きの周辺を伴う)、である。このような三次元のアンビル1100は、複合体の集電材(
図24の1010)、ならびに/または集電材及びタブ(
図25の1020)内で、超音波、熱、または単に圧力で押圧されてよく、集電材フィルムとタブとの間の必要な接合部分を与える。
図35は、格子全体における角錐台構造1110の繰り返しの、1つの可能な実施形態を示し、溶接を同様のパターンで適用する。
図35aは、同じ目的のために、まばらな角錐台アンビル1120の格子の、別の可能な実施形態を示す。
図36及び
図37は、目標の複合体に対するパターン化された適用のための、角錐台1130、1140の均一格子に関する(整合されたものと比較してジグザグ)。このような三次元アンビルは、本明細書で説明及び記載したように、接続及び導電性目的のための仕上げ溶接(
図24の1020)に関する底部フィルム(
図24の1014)と接触するよう、上部フィルム(
図24の1012)を下方に押圧することに関するポリマー基体(例えば
図24の1015)の処理を可能にする。
【0149】
図38及び
図39は、上部溶接(
図38)及び底部溶接(
図39)の、異なる潜在的な実施形態を示す。
図38は、タブ1154、金属化フィルム1152、上部溶接方向1154、金属化フィルム1152をタブ1154に接続する仕上げ溶接1156、を伴う溶接した複合体1150を示す。
図39は、タブ1164、金属化フィルム1162、底部溶接方向1164、金属化フィルム1162をタブ1164に接続する仕上げ溶接1166、を伴う溶接した複合体1160を示す。
【0150】
図40は、1箇所の屈曲部1175を有する1箇所折り込んだタブ1174、集電材/電極1172、タブ1174と集電材/電極1172との間の複数の溶接1176、及びタブ自体を装着するための端部溶接1178、を伴う溶接した複合体1170の、可能な実施形態を示す。
図41は、ジグザグな金属化フィルムの集電材1182と、集電材1182及びタブ1184を共に装着するための複数の溶接1186を伴う、ジグザグのタブ1184との、溶接した複合体1180の可能な実施形態を示す。この構成において、各集電材1182の各金属面は、タブ1184の少なくとも1つと、向かい合って接触する。
図42は、ヒューズ領域1198に接続された電極/集電材1192を伴う、溶接した複合体1190の可能な実施形態を示す。ヒューズ領域1198は、ヒューズ領域1198において限定された溶接領域1196内でタブ1194に溶接される。これらの実施形態は、薄いフィルムの集電材を伴う溶接技術に関して利用可能な、いくつかの汎用性を示す。
【0151】
図43、
図44、及び
図45は、パワーセル複合体内の溶接作業を補足するための補強に関した、可能な実施形態の表示を提供する。
図43は、溶接したタブ1208、補強テープ1206、及び向上した補強性能のための別のオーバーラップ1210、を伴う対向した電極1202、1204を有する、溶接した複合体1200を示す。
図44は、複数の薄いフィルム1224、上層の薄いフィルム1222、及び溶接したタブ1226を伴う、複数フィルムの溶接した複合体1220を示す。補強テープ1228は、タブ溶接(図示せず)に再び適用され、このような溶接領域に対する補強性能のために、適用した圧力を増加させる。
図45は、複数の薄いフィルム1234、上層の薄いフィルム1232、及び溶接したタブ1236を有する、複数フィルムの溶接した複合体1230を示す。溶接接合部の上に適用するのは締付具1238で、このような溶接を補強する(図示せず)。したがって、溶接の補強は、いくつかの異なる可能な代替を介して実現され得る。
【0152】
このように独特で今まで調査されていない溶接、そのパターン、様々な溶接タイプ自体、安全性、確実性、及び有効性を向上させるためのさらなる補強を伴い、効果的なパワー伝達及び熱暴走の可能性を減少させるために、リチウムイオン(及び同様の)バッテリ内の薄い金属化フィルムの集電材、コンデンサ、パワーセルなどを利用する新たな取り組みが提供される。
【0153】
本発明を詳細に説明したが、当業者はそれらに対して、本発明の範囲から逸脱することなく、変化及び変更を成すことができることは、明白である。したがって本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲のみによって定義されるべきである。
【国際調査報告】