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特表2023-504051エアブリッジ構造及びその製造方法、並びに超伝導量子チップ及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-01
(54)【発明の名称】エアブリッジ構造及びその製造方法、並びに超伝導量子チップ及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/768 20060101AFI20230125BHJP
   H10N 60/10 20230101ALI20230125BHJP
   H10N 60/01 20230101ALI20230125BHJP
【FI】
H01L21/90 N
H01L39/22 K
H01L39/24 W
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022530953
(86)(22)【出願日】2021-10-14
(85)【翻訳文提出日】2022-05-26
(86)【国際出願番号】 CN2021123923
(87)【国際公開番号】W WO2022078469
(87)【国際公開日】2022-04-21
(31)【優先権主張番号】202011105613.3
(32)【優先日】2020-10-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514187420
【氏名又は名称】テンセント・テクノロジー・(シェンジェン)・カンパニー・リミテッド
(71)【出願人】
【識別番号】515206126
【氏名又は名称】中国科学院蘇州納米技術与納米倣生研究所
【氏名又は名称原語表記】SUZHOU INSTITUTE OF NANO-TECH AND NANO-BIONICS(SINANO),CHINESE ACADEMY OF SCIENCES
【住所又は居所原語表記】No 398, Ruoshui Road, SEID, SIP Suzhou, Jiangsu 215125 (CN)
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】ジャン,ウエンロォン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン,チュホォン
(72)【発明者】
【氏名】ホアイ,サイナン
(72)【発明者】
【氏名】ジォン,ヤルォイ
(72)【発明者】
【氏名】ジャン,ションユィ
(72)【発明者】
【氏名】フェン,ジィアグォイ
(72)【発明者】
【氏名】ション,カンリン
(72)【発明者】
【氏名】ウ,ビアオ
(72)【発明者】
【氏名】ホアン,ヨンダン
(72)【発明者】
【氏名】チェン,シアオ
(72)【発明者】
【氏名】ディン,スゥナン
【テーマコード(参考)】
4M113
5F033
【Fターム(参考)】
4M113AC45
4M113AD51
4M113BC03
5F033HH08
5F033HH11
5F033HH14
5F033PP19
5F033QQ01
5F033QQ09
5F033QQ15
5F033QQ18
5F033QQ33
5F033QQ41
5F033QQ89
5F033RR04
5F033RR30
5F033SS10
5F033XX24
(57)【要約】
エアブリッジ構造及びその製造方法、並びに超伝導量子チップ及びその製造方法を開示する。エアブリッジ構造の製造方法は、基板を提供し、基板に第1のフォトレジスト層及び第2のフォトレジスト層を含み、第1の開口が設けられる第1のフォトレジスト構造を形成し、第1の開口は、第2のフォトレジスト層を貫通し、且つアンダーカット構造を有する第1のサブ開口と、第1のフォトレジスト層を貫通する第2のサブ開口とを含み、第1の開口に位置するブリッジ支持構造を形成するように、第1のフォトレジスト構造が形成された基板に無機のブリッジ支持材料層を堆積し、第1のフォトレジスト構造を剥離し、基板のブリッジ支持構造が形成された表面に第3のフォトレジスト層を含み、エアブリッジ構造を形成するための第2の開口が設けられる第2のフォトレジスト構造を形成し、ブリッジ支持構造は第2の開口内に位置し、エアブリッジ構造を形成するように、第2のフォトレジスト構造が形成された基板にエアブリッジ材料層を堆積し、第2のフォトレジスト構造を剥離してブリッジ支持構造を解放する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアブリッジ構造の製造方法であって、
基板を提供し、前記基板に第1のフォトレジスト構造を形成するステップであって、前記第1のフォトレジスト構造は、第1のフォトレジスト層及び第2のフォトレジスト層を含み、前記第1のフォトレジスト構造には、前記第1のフォトレジスト層及び前記第2のフォトレジスト層を貫通する少なくとも1つの第1の開口が設けられ、前記第1の開口は、前記第2のフォトレジスト層を貫通し、且つアンダーカット構造を有する第1のサブ開口と、前記第1のフォトレジスト層を貫通する第2のサブ開口と、を含む、ステップと、
前記第1の開口に位置するブリッジ支持構造を形成するように、前記第1のフォトレジスト構造が形成された前記基板に無機のブリッジ支持材料層を堆積し、前記第1のフォトレジスト構造を剥離するステップと、
前記基板の前記ブリッジ支持構造が形成された表面に第2のフォトレジスト構造を形成するステップであって、前記第2のフォトレジスト構造は、第3のフォトレジスト層を含み、第2のフォトレジスト構造には、前記第3のフォトレジスト層を貫通する少なくとも1つの第2の開口が設けられ、前記ブリッジ支持構造は、前記第2の開口内に位置し、前記第2の開口は、前記エアブリッジ構造を形成するために使用される、ステップと、
前記エアブリッジ構造を形成するように、前記第2のフォトレジスト構造が形成された前記基板にエアブリッジ材料層を堆積し、前記第2のフォトレジスト構造を剥離して前記ブリッジ支持構造を解放するステップと、を含む、エアブリッジ構造の製造方法。
【請求項2】
基板を提供し、前記基板に第1のフォトレジスト構造を形成するステップであって、前記第1のフォトレジスト構造は、第1のフォトレジスト層及び第2のフォトレジスト層を含み、前記第1のフォトレジスト構造には、前記第1のフォトレジスト層及び前記第2のフォトレジスト層を貫通する少なくとも1つの第1の開口が設けられ、前記第1の開口は、前記第2のフォトレジスト層を貫通し、且つアンダーカット構造を有する第1のサブ開口と、前記第1のフォトレジスト層を貫通する第2のサブ開口と、を含む、ステップは、
基板を提供し、前記基板に対して洗浄及び酸化処理を行い、洗浄及び酸化処理後の前記基板に第1のフォトレジスト層を塗布し、第1のベーク処理を行うステップと、
前記第1のフォトレジスト層の前記基板から離れた表面に第2のフォトレジスト層を塗布し、第2のベーク処理を行うステップと、
前記第2のフォトレジスト層に対して露光不足処理を行い、前記第2のフォトレジスト層に対してプリベーク処理を行うステップと、
前記第2のフォトレジスト層を貫通し、且つアンダーカット構造を有する少なくとも1つの第1のサブ開口を形成するように、露光不足処理及びプリベーク処理後の前記第2のフォトレジスト層を現像して定着するステップであって、前記第1のフォトレジスト層は、前記第2のフォトレジスト層を現像して定着する際の反応に関与しない、ステップと、
前記第1のフォトレジスト層を貫通する少なくとも1つの第2のサブ開口を形成するように、現像及び定着後の前記第2のフォトレジスト層をマスクとして前記第1のフォトレジスト層をエッチングするステップであって、前記第2のサブ開口の前記基板での正投影は、前記第1のサブ開口の前記基板での正投影内に位置し、前記第1の開口は、前記第1のサブ開口及び前記第2のサブ開口を含む、ステップと、を含む、請求項1に記載のエアブリッジ構造の製造方法。
【請求項3】
洗浄及び酸化処理後の前記基板に第1のフォトレジスト層を塗布し、第1のベーク処理を行うステップは、
洗浄及び酸化処理後の前記基板に厚さがhの第1のフォトレジスト層を塗布し、前記第1のフォトレジスト層のソフトベーク温度で前記第1のベーク処理を行うステップであって、ここで、5h≦H≦6h、Hは前記ブリッジ支持構造の高さである、ステップ、を含む、請求項2に記載のエアブリッジ構造の製造方法。
【請求項4】
前記第1のフォトレジスト層の前記基板から離れた表面に第2のフォトレジスト層を塗布し、第2のベーク処理を行うステップは、
前記第1のフォトレジスト層の前記基板から離れた表面に厚さがhの第2のフォトレジスト層を塗布し、前記第2のフォトレジスト層のソフトベーク温度で前記第2のベーク処理を行うステップであって、ここで、h+h>H、ステップ、を含む、請求項3に記載のエアブリッジ構造の製造方法。
【請求項5】
前記第2のフォトレジスト層に対して露光不足処理を行い、前記第2のフォトレジスト層に対してプリベーク処理を行うステップは、
紫外線露光又はレーザ直接書き込みのプロセスにより前記第2のフォトレジスト層に対して露光不足処理を行い、前記第2のフォトレジスト層のプリベーク温度で前記第2のフォトレジスト層に対してプリベーク処理を行うステップ、を含む、請求項2に記載のエアブリッジ構造の製造方法。
【請求項6】
前記第1のフォトレジスト層を貫通する少なくとも1つの第2のサブ開口を形成するように、現像及び定着後の前記第2のフォトレジスト層をマスクとして前記第1のフォトレジスト層をエッチングするステップは、
前記第1のフォトレジスト層を貫通する少なくとも1つの第2のサブ開口を形成するように、現像及び定着後の前記第2のフォトレジスト層をマスクとして、物理的エッチング方法及び化学的エッチング方法のうちの少なくとも1つを使用して、前記第1のフォトレジスト層をエッチングするステップ、を含む、請求項2に記載のエアブリッジ構造の製造方法。
【請求項7】
前記第1の開口に位置するブリッジ支持構造を形成するように、前記第1のフォトレジスト構造が形成された前記基板に無機ブリッジ支持材料層を堆積し、前記第1のフォトレジスト構造を剥離するステップは、
電子ビーム蒸着法又は熱蒸着法を使用して、前記第1のフォトレジスト構造が形成された前記基板に二酸化ケイ素、ニッケル-金合金、酸化亜鉛、酸化アルミニウム又は酸化銅を堆積して前記ブリッジ支持材料層を形成するステップと、
前記第1の開口に位置するブリッジ支持構造を形成するように、前記ブリッジ支持材料層が堆積された前記基板をフォトレジスト剥離液に入れ、20℃~100℃の温度で前記第1のフォトレジスト構造を剥離するステップと、を含む、請求項1に記載のエアブリッジ構造の製造方法。
【請求項8】
前記基板の前記ブリッジ支持構造が形成された表面に第2のフォトレジスト構造を形成するステップであって、前記第2のフォトレジスト構造は、第3のフォトレジスト層を含み、第2のフォトレジスト構造には、前記第3のフォトレジスト層を貫通する少なくとも1つの第2の開口が設けられる、ステップは、
前記基板の前記ブリッジ支持構造が形成された表面に第3のフォトレジスト層を塗布し、第3のベーク処理を行うステップと、
前記第3のフォトレジスト層に対して露光不足処理を行い、前記第3のフォトレジスト層に対してプリベーク処理を行うステップと、
前記第3のフォトレジスト層を貫通し、且つアンダーカット構造を有する少なくとも1つの第2のサブ開口を形成するように、露光不足処理及びプリベーク処理後の前記第3のフォトレジスト層を現像して定着するステップと、
現像及び定着後の前記第3のフォトレジスト層をマスクとしてエッチング処理を行い、前記第2の開口における前記基板での残留フォトレジスト及び酸化物層を除去するステップと、を含む、請求項1に記載のエアブリッジ構造の製造方法。
【請求項9】
前記基板の前記ブリッジ支持構造が形成された表面に第3のフォトレジスト層を塗布し、第3のベーク処理を行うステップは、
前記基板の前記ブリッジ支持構造が形成された表面に厚さがhの第3のフォトレジスト層を塗布し、前記第3のフォトレジスト層のソフトベーク温度で第3のベーク処理を行うステップであって、ここで、H+H≦3h、Hは前記ブリッジ支持構造の高さであり、Hは前記エアブリッジ構造の厚さである、ステップ、を含む、請求項8に記載のエアブリッジ構造の製造方法。
【請求項10】
現像及び定着後の前記第3のフォトレジスト層をマスクとしてエッチング処理を行い、前記第2の開口における前記基板での残留フォトレジスト及び酸化物層を除去するステップは、
現像及び定着後の前記第3のフォトレジスト層をマスクとして、物理的エッチング方法及び化学的エッチング方法の少なくとも1つを使用してエッチング処理を行い、前記第2の開口における前記基板での残留フォトレジスト及び酸化物層を除去するステップ、を含む、請求項8に記載のエアブリッジ構造の製造方法。
【請求項11】
前記エアブリッジ構造を形成するように、前記第2のフォトレジスト構造が形成された前記基板にエアブリッジ材料層を堆積し、前記第2のフォトレジスト構造を剥離して前記ブリッジ支持構造を解放するステップは、
電子ビーム蒸着法又は分子線蒸着法を使用して、前記第2のフォトレジスト構造が形成された前記基板にエアブリッジ材料層を堆積するステップと、
前記ブリッジ支持構造を有するエアブリッジ構造を形成するように、20℃~100℃の温度で浸漬法又は超音波法を使用して、前記エアブリッジ材料層が堆積された前記基板から前記第2のフォトレジスト構造を剥離するステップと、
前記エアブリッジ構造を形成するように、化学的エッチング法を使用して前記ブリッジ支持構造を解放するステップであって、エッチングガスは、前記ブリッジ支持構造の材料と反応することができ、且つ前記エアブリッジ構造の材料と反応しない、ステップと、を含む、請求項1に記載のエアブリッジ構造の製造方法。
【請求項12】
前記ブリッジ支持構造の材料は、二酸化ケイ素であり、
前記エアブリッジ構造の材料は、フッ化水素と反応しない導電性材料であり、
前記エアブリッジ構造を形成するように、化学的エッチング法を使用して前記ブリッジ支持構造を解放するステップは、
前記エアブリッジ構造を形成するように、エッチング機に触媒ガスを導入して、フッ化水素ガスを導入して前記ブリッジ支持構造をエッチングして、窒素ガスを導入して前記エアブリッジ構造から前記フッ化水素ガスと前記ブリッジ支持構造の材料とを反応させることにより生成された物質を排出するステップ、を含み、
前記触媒ガスは、気体状態の水、エタノール、メタノール及びイソプロパノールを含み、
前記フッ化水素ガスは、無水フッ化水素ガスである、請求項11に記載のエアブリッジ構造の製造方法。
【請求項13】
請求項1~12の何れかに記載のエアブリッジ構造の製造方法により製造された、エアブリッジ構造。
【請求項14】
前記エアブリッジ構造は、真空ブリッジ構造である、請求項13に記載のエアブリッジ構造。
【請求項15】
前記エアブリッジ構造は、前記基板と接触する橋台部、前記基板に平行な橋梁部、及び前記橋台部と前記橋梁部との間に接続されたアプローチ部を含み、
前記エアブリッジ構造は、分離式のエアブリッジ構造又は被覆式のエアブリッジ構造であり、
前記被覆式のエアブリッジ構造の前記橋台部及び前記アプローチ部には、複数の開孔が設けられている、請求項13又は14に記載のエアブリッジ構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2020年10月15日に中国特許庁に出願した出願番号が202011105613.3号の中国特許出願に基づく優先権を主張するものであり、その全内容を本願に参照により援用する。
【0002】
本発明の実施例は、超伝導量子チップの技術分野に関し、特にエアブリッジ構造及びその製造方法、並びに超伝導量子チップ及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
寄生容量などの回路内の不要な容量を減らしてデバイスの性能を向上させるために、電子デバイス製品にエアブリッジ構造が導入されることはよくある。関連技術におけるエアブリッジ、特に超伝導エアブリッジの製造は、主にフォトレジストのリフロー特性を利用してフォトレジストをアーチ状に製造し、その上に材料を堆積させて、二次的な塗布、露光及び現像を行い、エアブリッジ構造の位置にレジストを覆い、且つ他の位置の材料をエッチングし、フォトレジスト除去液を使用して全てのフォトレジストを除去してエアブリッジを形成する。しかし、この製造方法により得られたエアブリッジ構造が期待される要求を満たさないため、電子デバイス製品の歩留まりが低下する場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の実施例は、従来方法の欠点を鑑み、期待される形状のエアブリッジ構造を形成し、電子デバイス製品の歩留まりを向上させることができる、エアブリッジ構造及びその製造方法、並びに超伝導量子チップ及びその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施例では、エアブリッジ構造の製造方法であって、基板を提供し、前記基板に第1のフォトレジスト構造を形成するステップであって、前記第1のフォトレジスト構造は、第1のフォトレジスト層及び第2のフォトレジスト層を含み、前記第1のフォトレジスト構造には、前記第1のフォトレジスト層及び前記第2のフォトレジスト層を貫通する少なくとも1つの第1の開口が設けられ、前記第1の開口は、前記第2のフォトレジスト層を貫通し、且つアンダーカット構造を有する第1のサブ開口と、前記第1のフォトレジスト層を貫通する第2のサブ開口と、を含む、ステップと、前記第1の開口に位置するブリッジ支持構造を形成するように、前記第1のフォトレジスト構造が形成された前記基板に無機のブリッジ支持材料層を堆積し、前記第1のフォトレジスト構造を剥離するステップと、前記基板の前記ブリッジ支持構造が形成された表面に第2のフォトレジスト構造を形成するステップであって、前記第2のフォトレジスト構造は、第3のフォトレジスト層を含み、第2のフォトレジスト構造には、前記第3のフォトレジスト層を貫通する少なくとも1つの第2の開口が設けられ、前記ブリッジ支持構造は、前記第2の開口内に位置し、前記第2の開口は、前記エアブリッジ構造を形成するために使用される、ステップと、前記エアブリッジ構造を形成するように、前記第2のフォトレジスト構造が形成された前記基板にエアブリッジ材料層を堆積し、前記第2のフォトレジスト構造を剥離して前記ブリッジ支持構造を解放するステップと、を含む、エアブリッジ構造の製造方法を提供する。
【0006】
本発明の実施例では、上記のエアブリッジ構造の製造方法を含む、超伝導量子チップの製造方法を提供する。
【0007】
本発明の実施例では、上記のエアブリッジ構造の製造方法により製造された、エアブリッジ構造を提供する。
【0008】
本発明の実施例では、上記のエアブリッジ構造を含む、超伝導量子チップをさらに提供する。
【0009】
関連技術と比べて、本発明の実施例は、少なくとも以下の有利な効果を有する。
【0010】
本実施例に係るエアブリッジ構造及びその製造方法、並びに超伝導量子チップ及びその製造方法は、無機材料を使用してブリッジ支持構造を形成し、第1のフォトレジスト構造を調整してブリッジ支持構造の形状を調整することができるため、期待される形状のエアブリッジ構造を取得することができる。また、ブリッジ支持構造を形成する過程での温度が高くなりすぎないため、高温変化によるフォトレジストの特性が変化し、除去が困難になる問題を回避することができ、高温の温度に敏感なデバイスの特性への影響を回避することができる。さらに、エアブリッジ材料層をエッチングせずに、第2のフォトレジスト構造を剥離することでエアブリッジ構造を形成するため、エッチングによるエアブリッジ構造の損傷、及びエアブリッジ構造と基板上の回路との接続不良を防止することができ、エアブリッジ構造の製品性能を効果的に向上させることができるため、電子デバイス製品の歩留まりを向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施例に係るエアブリッジ構造の製造方法の概略的なフローチャートである。
図2図1に示すエアブリッジ構造の製造方法におけるステップS1の概略的なフローチャートである。
図3図2に示すエアブリッジ構造の製造方法におけるステップS1の流れに対応するプロセスの概略図である。
図4図1に示すエアブリッジ構造の製造方法におけるステップS2の概略的なフローチャートである。
図5図4に示すエアブリッジ構造の製造方法におけるステップS2の流れに対応するプロセスの概略図である。
図6図1に示すエアブリッジ構造の製造方法におけるステップS3の概略的なフローチャートである。
図7図6に示すエアブリッジ構造の製造方法におけるステップS3の流れに対応するプロセスの概略図である。
図8図1に示すエアブリッジ構造の製造方法におけるステップS4の概略的なフローチャートである。
図9図8に示すエアブリッジ構造の製造方法におけるステップS4の流れに対応するプロセスの概略図である。
図10】本発明の実施例に係るエアブリッジ構造の断面の概略図である。
図11】本発明の実施例に係る分離式のエアブリッジ構造のブリッジ支持構造を解放する前の走査型電子顕微鏡図である。
図12】本発明の実施例に係る被覆式のエアブリッジ構造のブリッジ支持構造を解放する前の走査型電子顕微鏡図である。
図13】本発明の実施例に係る分離式のエアブリッジ構造のブリッジ支持構造を解放した後の走査型電子顕微鏡図である。
図14】本発明の実施例に係る被覆式のエアブリッジ構造のブリッジ支持構造を解放した後の走査型電子顕微鏡図である。 (符号の説明) 1 基板; 2 第1のフォトレジスト構造;201 第1のフォトレジスト層;202 第2のフォトレジスト層;T1 第1の開口;T11 第1のサブ開口;T12 第2のサブ開口; 3 ブリッジ支持材料層;301 ブリッジ支持構造;302 剥離すべきブリッジ支持材料部; 4 第2のフォトレジスト構造;401 第3のフォトレジスト層;T2 第2の開口; 5 エアブリッジ材料層;501 エアブリッジ構造;5011 橋梁部;5012 橋台部;5013 アプローチ部;502 剥離すべきエアブリッジ材料部。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下は、図面を参照しながら本発明の実施例を詳細に説明する。図面では、同一又は類似の符号は、同一、若しくは類似の構成要素、又は同一、若しくは類似の機能を有する構成要素を示す。さらに、既知の技術の詳細な説明が本発明の図示された特徴に不要である場合、それは省略される。図面を参照して以下に説明する実施例は、例示的なものであり、本発明を説明するためにのみ使用され、本発明への限定として解釈することはできない。
【0013】
以下の説明では、全ての可能な実施例のサブセットを説明する「幾つかの実施例」が参照されるが、「幾つかの実施例」は、全ての可能な実施例の同じサブセット又は異なるサブセットであってもよく、衝突しない限り、それぞれと組み合わせることができることが理解される。
【0014】
当業者は、特に明記しない限り、本明細書で使用される単数形「1つ」、「1個」、「前記」及び「該」も複数形を含んでもよいことを理解することができる。なお、本発明の明細書で使用される「含む」という用語は、記載された特徴、整数、ステップ、操作、要素及び/又は構成要素の存在を意味するが、その他の特徴、整数、ステップ、操作、要素、構成要素、及び/又はこれらのグループの存在又は追加を排除するものではない。
【0015】
別段の定義がない限り、本明細書で使用される全ての技術的及び科学的用語は、本発明の技術分野の当業者によって一般的に理解されるものと同一の意味を有する。本明細書で使用される用語は、本発明の実施例を説明することのみを目的としており、本発明を限定することを意図するものではない。
【0016】
本発明の実施例を詳細に説明する前に、本発明の実施例に含まれる名詞及び用語を説明する。本発明の実施例に含まれる名詞及び用語は、以下の解釈に適用可能である。
【0017】
分離式のエアブリッジ構造:隣接するエアブリッジ構造が接続しておらず、それぞれが独立したエアブリッジであることを意味する。
【0018】
被覆式のエアブリッジ構造:少なくとも2つのエアブリッジ構造が接続し、一体的にエアブリッジを形成することを意味する。
【0019】
アンダーカット構造:英語の「undercut」の中国語訳であり、フォトレジストの構造の1つであり、フォトレジストの下部が上部よりも広く、側壁が上部から下部に向かって徐々に外側に拡張し、フォトレジストの断面が台形又は「凸」字状などの形状を有することを意味する。
【0020】
基部フォトレジスト:フォトレジストで塗布された基板表面の界面のフォトレジストは、基板の加熱、現像の際に化学反応、空気中での酸化などの様々な要因により変性し、一般的現像剤に溶解しなくなり、「残留フォトレジスト」の1つである。マイクロナノ加工の分野では、通常、フォトレジスト除去剤などを用いる化学的又は物理的エッチング方法を利用して基部フォトレジストを除去する。
【0021】
関連技術では、通常、フォトレジストのリフロー特性を用いてエアブリッジ構造を製造するが、得られたエアブリッジ構造の形態を調整することが難しく、フォトレジストのリフロー温度(80℃~300℃)は比較的に高い。このため、温度に敏感なデバイスに非常に大きな影響を与えるため、フォトレジストの特性が変化しやく、除去されにくく、製品内の温度に敏感なデバイスの特性に影響を与え、例えば、超伝導量子チップにおけるビットとされる超伝導トンネル接合部が150℃を超えると、特性が大きく変化する。高温リフロー後のフォトレジストは、炭化などの特性変化を起こしやすく、生成された成分を後続の解放プロセスで完全に除去することは困難である。さらに、エアブリッジ材料層をエッチングする必要があり、エッチングプロセスでは、直接底部の回路構造を貫通するようにエッチングし、エアブリッジの橋台と回路とを切り離す可能性がある。これらの問題により、得られたエアブリッジ構造が期待される要求を満たさないため、電子デバイス製品の歩留まりが低下する場合がある。
【0022】
上記の問題を鑑み、本発明の実施例は、エアブリッジ構造及びその製造方法、並びに超伝導量子チップ及びその製造方法を提供する。
【0023】
以下は、幾つかの実施例を参照しながら、本発明の実施形態の態様、及び本発明の実施形態の態様が上記の技術的問題をどのように解決するかを詳細に説明する。
【0024】
本発明の実施例は、エアブリッジ構造の製造方法を提供する。図1に示すように、本発明の実施例に係るエアブリッジ構造の製造方法は、以下のステップを含む。
【0025】
ステップS1:基板を提供し、基板に第1のフォトレジスト構造を形成する。第1のフォトレジスト構造は、第1のフォトレジスト層及び第2のフォトレジスト層を含み、第1のフォトレジスト構造には、第1のフォトレジスト層及び前記第2のフォトレジスト層を貫通する少なくとも1つの第1の開口が設けられ、第1の開口は、第2のフォトレジスト層を貫通し、且つアンダーカット構造を有する第1のサブ開口と、第1のフォトレジスト層を貫通する第2のサブ開口と、を含む。
【0026】
ステップS2:第1の開口に位置するブリッジ支持構造を形成するように、第1のフォトレジスト構造が形成された基板に無機のブリッジ支持材料層を堆積し、第1のフォトレジスト構造を剥離する。
【0027】
幾つかの実施例では、第1のフォトレジスト構造が剥離された後、第1のフォトレジスト構造に位置するブリッジ支持材料も同時に剥離される。
【0028】
ステップS3:基板のブリッジ支持構造が形成された表面に第2のフォトレジスト構造を形成する。第2のフォトレジスト構造は、第3のフォトレジスト層を含み、第2のフォトレジスト構造には、第3のフォトレジスト層を貫通する少なくとも1つの第2の開口が設けられ、ブリッジ支持構造は、第2の開口内に位置し、第2の開口は、エアブリッジ構造を形成するために使用される。
【0029】
ステップS4:エアブリッジ構造を形成するように、第2のフォトレジスト構造が形成された基板にエアブリッジ材料層を堆積し、第2のフォトレジスト構造を剥離してブリッジ支持構造を解放する。
【0030】
幾つかの実施例では、ブリッジ支持構造を解放することは、ブリッジ支持構造を除去することを意味する。例えば、ブリッジ支持構造を解放するために、化学的エッチング法を使用して、ブリッジ支持構造の材料と反応可能なガスを導入し、反応によりブリッジ支持構造の材料を除去する。
【0031】
上記のエアブリッジ構造を利用することで、無機材料を使用してブリッジ支持構造を形成し、第1のフォトレジスト構造を調整してブリッジ支持構造の形状を調整することができるため、期待される形状のエアブリッジ構造を取得することができる。また、ブリッジ支持構造を形成する過程での温度が高くなりすぎないため、高温変化によるフォトレジストの特性が変化し、除去が困難になる問題を回避することができ、高温の温度に敏感なデバイスの特性への影響を回避することができる。さらに、エアブリッジ材料層をエッチングせずに、第2のフォトレジスト構造を剥離することでエアブリッジ構造を形成するため、エッチングによるエアブリッジ構造の損傷、及びエアブリッジ構造と基板上の回路との接続不良を防止することができ、エアブリッジ構造の製品性能を効果的に向上させることができるため、電子デバイス製品の歩留まりを向上させることができる。
【0032】
幾つかの実施例では、図2及び図3に示すように、本実施例に係るエアブリッジ構造の製造方法では、ステップS1は以下のステップを含んでもよい。
【0033】
ステップS101:基板1を提供し、基板1に対して洗浄及び酸化処理を行い、洗浄及び酸化処理後の基板1に第1のフォトレジスト層201を塗布し、第1のベーク処理を行う。
【0034】
幾つかの実施例では、純粋な酸素雰囲気、又は酸素ガス及びアルゴンガスの雰囲気で基板1の表面を酸化し、基板1の表面に所定の厚さを有する酸化物層を形成する。
【0035】
実際に実施する際に、第1のフォトレジスト層201を基部フォトレジストとして、ステップS101は、以下のステップを含んでもよい。洗浄及び酸化処理後の基板1に厚さがhの第1のフォトレジスト層201を塗布し、第1のフォトレジスト層201のソフトベーク温度で前記第1のベーク処理を行う。ここで、5h≦H≦6h、Hはブリッジ支持構造301の高さである。
【0036】
ステップS102:第1のフォトレジスト層201の基板1から離れた表面に第2のフォトレジスト層202を塗布し、第2のベーク処理を行う。
【0037】
幾つかの実施例では、第2のフォトレジスト層202をパターン化構造層として、ステップS102は以下のステップを含んでもよい。
【0038】
第1のフォトレジスト層201の基板1から離れた表面に厚さがhの第2のフォトレジスト層202を塗布し、第2のフォトレジスト層202のソフトベーク温度で第2のベーク処理を行う。ここで、h+h>H
【0039】
ステップS103:第2のフォトレジスト層202に対して露光不足処理を行い、第2のフォトレジスト層202に対してプリベーク処理を行う。
【0040】
幾つかの実施例では、ステップS103は以下のステップを含んでもよい。紫外線露光又はレーザ直接書き込みのプロセスにより第2のフォトレジスト層202に対して露光不足処理を行い、第2のフォトレジスト層202のプリベーク温度で第2のフォトレジスト層202に対してプリベーク処理を行う。
【0041】
ここで、実際に実施する際に、第1のマスクM1を使用して第2のフォトレジスト層202に対して露光不足処理を行う。
【0042】
ステップS104:第2のフォトレジスト層202を貫通し、且つアンダーカット構造を有する少なくとも1つの第1のサブ開口T11を形成するように、露光不足処理及びプリベーク処理後の第2のフォトレジスト層202を現像して定着する。第1のフォトレジスト層201は、第2のフォトレジスト層202を現像して定着する際の反応に関与しない。
【0043】
幾つかの実施例では、ステップS104は以下のステップを含んでもよい。20℃~25℃の温度で1.5%未満の濃度でTMAH現像液内で現像を90秒間~150秒間行い、脱イオン水の定着液内で定着を40秒間以上行う。
【0044】
ステップS105:第1のフォトレジスト層201を貫通する少なくとも1つの第2のサブ開口T12を形成するように、現像及び定着後の第2のフォトレジスト層202をマスクとして第1のフォトレジスト層201をエッチングする。第2のサブ開口T12の基板1での正投影は、第1のサブ開口T11の基板1での正投影内に位置し、第1の開口T1は、第1のサブ開口T11及び第2のサブ開口T12を含む。
【0045】
幾つかの実施例では、ステップS105は以下のステップを含んでもよい。第1のフォトレジスト層201を貫通する少なくとも1つの第2のサブ開口T12を形成するように、現像及び定着後の第2のフォトレジスト層202をマスクとして、物理的エッチング方法、化学的エッチング方法、又は物理的エッチングと化学的エッチングとを組み合わせた方法のうちの少なくとも1つを使用して、第1のフォトレジスト層201をエッチングする。
【0046】
本実施例に係るエアブリッジ構造501の製造方法では、第1のフォトレジスト層201を基部フォトレジストとして使用し、第2のフォトレジスト層202をパターン化構造層として使用することで、第1の開口T1の形状を容易に調整することができるため、エアブリッジ構造501の形状を調整することができる。
【0047】
幾つかの実施例では、図4及び図5に示すように、上記のエアブリッジ構造の製造方法では、ステップS2は以下のステップを含んでもよい。
【0048】
ステップS201:電子ビーム蒸着法又は熱蒸着法を使用して、第1のフォトレジスト構造2が形成された基板1に二酸化ケイ素、ニッケル-金合金、酸化亜鉛、酸化アルミニウム又は酸化銅を堆積して無機のブリッジ支持材料層3を形成する。
【0049】
ブリッジ支持材料層3は、ブリッジ支持構造301、及び第1のフォトレジスト構造2を覆う剥離すべきブリッジ支持材料部302を含む。
【0050】
幾つかの実施例では、上記のブリッジ支持材料は、室温の初期条件下で成長することができ、条件を満たすブリッジ支持材料層3は、成長温度が80℃を超えない条件下で得ることができる。
【0051】
ステップS202:第1の開口T1に位置するブリッジ支持構造301を形成するように、ブリッジ支持材料層3が堆積された基板1をフォトレジスト剥離液に入れ、20℃~100℃の温度で第1のフォトレジスト構造2を剥離する。
【0052】
ここで、実際に実施する際に、第1のフォトレジスト構造2が剥離された後、第1のフォトレジスト構造2に位置する剥離すべきブリッジ支持材料部302も同時に剥離される。
【0053】
上記のエアブリッジ構造の製造方法では、二酸化ケイ素などの無機材料をブリッジ支持構造301の材料として使用することで、第1のフォトレジスト2を調整することによってブリッジ支持構造301の形状を容易に調整することができるため、期待される形状のエアブリッジ構造を取得することができる。また、ブリッジ支持構造301を形成するための二酸化ケイ素などの無機材料の温度は比較的低いため、フォトレジストが高温変化の影響を受けることによって除去が困難になる問題を回避することができ、製品における温度に敏感なデバイスへの影響を回避することができる。
【0054】
幾つかの実施例では、図6及び図7に示すように、上記のエアブリッジ構造の製造方法では、S3は以下のステップを含んでもよい。
【0055】
ステップS301:基板1のブリッジ支持構造301が形成された表面に第3のフォトレジスト層401を塗布し、第3のベーク処理を行う。
【0056】
幾つかの実施例では、ステップS301は以下のステップを含んでもよい。基板1のブリッジ支持構造301が形成された表面に厚さがhの第3のフォトレジスト層401を塗布し、第3のフォトレジスト層401のソフトベーク温度で第3のベーク処理を行う。ここで、H+H≦3h、Hはブリッジ支持構造301の高さであり、Hはエアブリッジ構造の厚さである。
【0057】
ステップS302:第3のフォトレジスト層401に対して露光不足処理を行い、第3のフォトレジスト層401に対してプリベーク処理を行う。
【0058】
幾つかの実施例では、ステップS302は以下のステップを含んでもよい。紫外線露光又はレーザ直接書き込みのプロセスにより第3のフォトレジスト層401に対して露光不足処理を行い、第3のフォトレジスト層401のプリベーク温度で第3のフォトレジスト層401に対してプリベーク処理を行う。
【0059】
ステップS303:第3のフォトレジスト層401を貫通し、且つアンダーカット構造を有する少なくとも1つの第2のサブ開口T2を形成するように、露光不足処理及びプリベーク処理後の第3のフォトレジスト層401を現像して定着する。
【0060】
幾つかの実施例では、ステップS303は以下のステップを含んでもよい。20℃~25℃の温度で2.38%のTMAH現像液内で現像を30秒間~45秒間行い、室温で脱イオン水定着を40秒間以上行う。
【0061】
ステップS304:現像及び定着後の第3のフォトレジスト層401をマスクとしてエッチング処理を行い、第2の開口T2における基板1での残留フォトレジスト及び酸化物層を除去する。
【0062】
幾つかの実施例では、ステップS304は以下のステップを含んでもよい。現像及び定着後の第3のフォトレジスト層401をマスクとして、物理的エッチング方法、化学的エッチング方法、又は物理的エッチングと化学的エッチングとを組み合わせた方法の少なくとも1つを使用してエッチング処理を行い、第2の開口T2における基板1での残留フォトレジスト及び酸化物層を除去する。前のステップで基板1に対して酸化処理を行っており、基板1の表面に特定の厚さの酸化物層が形成されているため、このステップにおいてエッチングにより酸化物層を除去するプロセスのエッチング時間を制御することができ、基板1における既存の回路構造の損傷を回避することができる。
【0063】
上記のエアブリッジ構造501の製造方法では、現像及び定着後の第3のフォトレジスト層401をマスクとして第2の開口T2における基板1での残留フォトレジスト及び酸化物層をエッチングすることで、第2の開口T2に露出された基板1を清潔、且つ酸化されていない状態にさせることができ、後に堆積されるエアブリッジ材料と基板1上の回路との間の接続性を向上させることができる。
【0064】
幾つかの実施例では、図8及び図9に示すように、上記のエアブリッジ構造の製造方法では、ステップS4は以下のステップを含んでもよい。
【0065】
ステップS401:電子ビーム蒸着法又は分子線蒸着法を使用して、第2のフォトレジスト構造4が形成された基板1にエアブリッジ材料層5を堆積する。
【0066】
幾つかの実施例では、エアブリッジ材料層5は、銅、アルミニウム、銀などの金属、及びそれらの合金であってもよい。エアブリッジ材料層5は、エアブリッジ構造501及び剥離すべきエアブリッジ材料部502を含む。
【0067】
ステップS402:ブリッジ支持構造301を有するエアブリッジ構造501を形成するように、20℃~100℃の温度で浸漬法又は超音波法を使用して、エアブリッジ材料層5が堆積された基板1から第2のフォトレジスト構造4を剥離する。
【0068】
幾つかの実施例では、浸漬法を使用して第2のフォトレジスト構造4を剥離する際に、使用される浸漬溶液は、エアブリッジ構造501の材料と反応しない。
【0069】
ステップS403:エアブリッジ構造501を形成するように、化学的エッチング法を使用してブリッジ支持構造301を解放する。エッチングガスは、ブリッジ支持構造301の材料と反応することができ、且つエアブリッジ構造501の材料と反応しない。
【0070】
幾つかの実施例では、ブリッジ支持構造301の材料が二酸化ケイ素であり、エアブリッジ構造501の材料がフッ化水素と反応しない導電性材料、例えばアルミニウムであることを一例にして説明する。ステップS403は、以下のステップを含む。エッチング機に触媒ガスを導入して、フッ化水素ガスを導入してブリッジ支持構造301をエッチングして、窒素ガスを導入してエアブリッジ構造501からフッ化水素ガスとブリッジ支持構造301の材料とを反応させることにより生成された物質を排出する。触媒ガスは、気体状態の水、エタノール、メタノール及びイソプロパノールを含み、フッ化水素ガスは、無水フッ化水素ガスである。
【0071】
幾つかの実施例では、二酸化ケイ素とフッ化水素ガスとの反応式は、以下の通りである。
【0072】
SiO(s)+4HF(g)=2HO(g)+SiF(g)
ここで、反応式における(s)は物質の状態が固体状態であることを意味し、(g)は物質の状態が気体状態であることを意味する。気体状態のHO及び気体状態のSiFが生成されているため、窒素ガスを導入することによってエアブリッジ構造501から気体状態のHO及び気体状態のSiFを排出することができる。エアブリッジ構造501を形成するためのアルミニウムは反応しないため、ブリッジ支持構造301が解放された後に、構造が完全なエアブリッジ構造501が得られる。或いは、フッ化水素と反応しない導電性材料は、銅や銀などの金属材料、及び銅合金やアルミニウム合金、銀合金などの合金材料であってもよい。
【0073】
本発明の実施例は、エアブリッジ構造501の製造方法の実施方法を提供し、該実施方法は以下のステップを含む。
【0074】
ステップ1:基板1に第1のフォトレジスト構造2を形成する。
【0075】
洗浄及び酸化処理後の基板1にPMMA(ポリメチルメタクリレート、アクリル)フォトレジストを第1のフォトレジスト層201としてスピン塗布し、180°Cでベーク処理を100秒間~150秒間行う。
【0076】
第1のフォトレジスト層201にAZシリーズ反転フォトレジストを第2のフォトレジスト層202としてスピン塗布し、95℃でベーク処理を60~120秒間行う。
【0077】
紫外線露光法を使用して95℃でプリベーク処理を行った後、マスクを使用して45秒間~90秒間露光する。該露光時間は、該厚さでの第2のフォトレジスト層202の完全露光の時間よりも短く、即ち、露出不足の処理が行われる。
【0078】
露光不足の基板1を2.38%のTMAH現像液に入れ、20℃~25℃で30~45秒間現像し、現像後の基板1を脱イオン水定着液に入れ、室温で40秒間以上定着し、第2のフォトレジスト層202に第1のサブ開口T11を形成する。
【0079】
現像及び定着後の第2のフォトレジスト層202をマスクとして、酸素プラズマを使用して第1のサブ開口T11における第1のフォトレジスト層201を5分間~10分間エッチングし(第1のフォトレジスト層201の厚さと関係がある)、第1のフォトレジスト層201を貫通している第2のサブ開口T12を形成する)。第1の開口T1は、第1のサブ開口T11及び第2のサブ開口T12を含む。即ち、第1の開口T1が設けられた第1のフォトレジスト構造2が得られる。
【0080】
ステップ2:ブリッジ支持構造301を形成する。
【0081】
室温で電子ビーム蒸着法を使用して二酸化ケイ素膜を蒸着し、二酸化ケイ素膜は、第1のフォトレジスト構造2及び第1の開口T1における基板1を覆う。
【0082】
二酸化ケイ素膜が堆積された基板1をアセトンに入れて、第2のフォトレジスト構造4及び第2のフォトレジスト構造4を覆う二酸化ケイ素膜を剥離し、基板1に位置するブリッジ支持構造301を形成する。
【0083】
ステップ3:第2のフォトレジスト構造4を形成する。
【0084】
ブリッジ支持構造301が形成された基板1にAZシリーズ反転フォトレジストをスピン塗布し、95℃でベーク処理を60秒間~120秒間行う。
【0085】
紫外線露光法を使用して95℃でプリベーク処理を行った後、マスクを使用して45秒間~90秒間露光する。該露光時間は、該厚さでの第2のフォトレジスト層202の完全露光の時間よりも短く、即ち、露出不足の処理が行われる。幾つかの実施例では、被覆式のエアブリッジ構造では、パターン化された第2のフォトレジスト構造4は、橋台部及びアプローチ部に開孔パターンを有する。
【0086】
第2のフォトレジスト構造4をマスクとして、イオンビームエッチングを使用して、基板1上の残留フォトレジスト及び酸化物層を除去する。これによって、エアブリッジ構造501と基板1上の回路との接続性を向上させることができる。
【0087】
ステップ4:エアブリッジ構造501を形成する。
【0088】
電子ビーム蒸着を使用して、所定の厚さのアルミニウム膜をエアブリッジ材料層5として堆積し、アルミニウム膜は、第2のフォトレジスト構造4、ブリッジ支持構造301、及び第2の開口T2内のブリッジ支持構造301を除く基板1を覆う。
【0089】
アルミニウム膜の堆積後の基板1をアセトンに入れて、第2のフォトレジスト構造4及び第2のフォトレジスト構造4を覆うアルミニウム膜を剥離し、ブリッジ支持構造301を有するエアブリッジ構造501を形成する。
【0090】
ブリッジ支持構造301を有するエアブリッジ構造501を含む基板1をHFエッチング機に入れ、気体状態のエタノールを導入して、無水HFガスを一定時間で導入して、窒素ガスを導入して、二酸化ケイ素のブリッジ支持構造301の材料を完全に解放してエアブリッジ構造501を形成する。
【0091】
本発明の実施例は、超伝導量子チップの製造方法を提供する。該方法は、上記の実施例に係るエアブリッジ構造の製造方法を含む。上記の実施例に係るエアブリッジ構造の製造方法の有利な効果について、ここでその説明を省略する。
【0092】
幾つかの実施例では、本実施例に係る超伝導量子チップの製造方法は、コンデンサの形成、接続線の形成、パッドの形成、及びパッケージングなどのステップをさらに含み、これらの詳細について本実施例ではその説明を省略する。
【0093】
本発明の実施例は、エアブリッジ構造501をさらに提供する。図10に示すように、該エアブリッジ構造501は、上記の実施例に係るエアブリッジ構造の製造方法により製造される。得られたエアブリッジ構造501の形状は、期待される要求により満たすことができる。
【0094】
幾つかの実施例では、図10に示すように、エアブリッジ構造501は、真空ブリッジ構造であってもよい。
【0095】
幾つかの実施例では、図10乃至図14に示すように、エアブリッジ構造501は、基板1と接触する橋台部5012、基板1に平行な橋梁部5011、及び橋台部5012と橋梁部5011との間に接続されたアプローチ部5013を含んでもよい。エアブリッジ構造501は、分離式のエアブリッジ構造又は被覆式のエアブリッジ構造である。ここで、被覆式のエアブリッジ構造の橋台部5012及びアプローチ部5013には、複数の開孔5014が設けられている。
【0096】
上記のエアブリッジ構造501の製造方法により形成されたエアブリッジ構造501及びブリッジ支持構造301を有するエアブリッジ構造501は、電子顕微鏡で観察したところ、以下のものが観察された。ブリッジ支持構造301を有する分離式のエアブリッジ構造501が図11に示されている。ブリッジ支持構造301を有する被覆式のエアブリッジ構造501が図12に示されている。ブリッジ支持構造301が解放された後、分離式のエアブリッジ構造501が図13に示され、被覆式のエアブリッジ構造501が図14に示されている。被覆式のエアブリッジ構造501の橋台部及びアプローチ部には開孔5014が設けられているため、被覆式のエアブリッジ構造501内のブリッジ支持構造301を十分に解放することができる。
【0097】
本発明の実施例は、超伝導量子チップを提供する。該超伝導量子チップは、上記の実施例に係るエアブリッジ構造を含む。上記の実施例に係るエアブリッジ構造の有利な効果について、ここでその説明を省略する。
【0098】
幾つかの実施例では、超伝導量子チップは、コンデンサ、接続線、パッド、及びパッケージング構造などをさらに含み、これらの詳細について本実施例ではその説明を省略する。
【0099】
幾つかの実施例では、超伝導量子チップは、フリップチップである。これによって、ビット制御間の隔離性を向上させることができる。
【0100】
本発明の実施例を適用することで、少なくとも以下の有利な効果を達成することができる。
【0101】
本実施例に係るエアブリッジ構造及びその製造方法、並びに超伝導量子チップ及びその製造方法は、無機材料を使用してブリッジ支持構造を形成し、第1のフォトレジスト構造を調整してブリッジ支持構造の形状を調整することができるため、期待される形状のエアブリッジ構造を取得することができる。また、ブリッジ支持構造を形成する過程での温度が高くなりすぎないため、高温変化によるフォトレジストの特性が変化し、除去が困難になる問題を回避することができ、高温の温度に敏感なデバイスの特性への影響を回避することができる。さらに、エアブリッジ材料層をエッチングせずに、第2のフォトレジスト構造を剥離することでエアブリッジ構造を形成するため、エッチングによるエアブリッジ構造の損傷、及びエアブリッジ構造と基板上の回路との接続不良を防止することができ、エアブリッジ構造の製品性能を効果的に向上させることができるため、電子デバイス製品の歩留まりを向上させることができる。
【0102】
当業者は、本明細書で説明された各操作、方法、プロセスにおけるステップ、手段、態様が置き換えられ、変更され、組み合わされ又は削除されてもよいことを理解することができる。本明細書で説明された各操作、方法、プロセスにおける他のステップ、手段、態様も、置き換え、変更、再配置、分解、結合又は削除してもよい。関連技術における本明細書に開示されている各操作、方法、プロセスにおけるステップ、手段、態様は、代替、変更、再配置、分解、結合又は削除されてもよい。
【0103】
本発明の説明では、「中央」、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「垂直」、「水平」、「頂部」、「底部」、「内側」、「外側」などの向き又は位置関係を示す用語は、図面に示される向き又は位置関係に基づいており、用途を説明し、簡略化するための便宜のためだけのものであり、参照されるデバイス又は要素が特定の方向を有し、特定の方向で構築及び操作されることを意味することではない。従って、本発明の制限として理解することはできない。
【0104】
「第1」及び「第2」という用語は、説明目的でのみ使用され、相対的な重要性を示したり暗示したり、示された技術的特徴の数を暗黙的に示したりするものとして理解することはできない。従って、「第1」及び「第2」で定義された機能には、これらの機能の1つ以上が明示的又は暗黙的に含まれる場合がある。本発明の説明において、特に明記しない限り、「複数」は2つ以上を意味する。
【0105】
なお、本発明の説明では、特に明確に指定及び制限されていない限り、「取り付け」、「接続」、及び「連結」という用語は、広い意味で理解されるべきであり、例えば、それは固定されてもよいし、取り外し可能に接続されてもよいし、一体的に接続されてもよいし、直接に接続されてもよいし、中間媒体を介して間接的に接続されてもよいし、2つのコンポーネント間の内部の連結であってもよい。当業者にとって、本発明における上記の用語の特定の意味は、特定の状況下で理解することができる。
【0106】
本明細書の説明において、特定の特徴、構造、材料、又は特性は、任意の1つ又は複数の実施例又は例において適切な方法で組み合わせてもよい。
【0107】
なお、図面のフローチャートの様々なステップは、矢印で示されるように順番に示されているが、これらのステップは、必ずしも矢印で示される順序で順番に実行されるとは限らない。本明細書で明示的に述べられていない限り、これらのステップの実行は厳密に順序が制限されておらず、他の順序で実行されてもよい。また、図面のフローチャートのステップの少なくとも一部は、複数のサブステップ又は複数のステージを含んでもよい。これらのサブステップ又はステージは、必ずしも同時に実行されるとは限らず、異なる時間及び順序で実行されてもよい。その実行順序は、必ずしも連続して実行されるとは限らず、他のステップ又はサブステップ又は他のステップのステージの少なくとも一部と順序、又は交互に実行されてもよい。
【0108】
以上は単なる本発明の一部の実施例である。なお、当業者にとって、本発明の原則から逸脱することなく、幾つかの改良及び変更を行うことができ、これらの改良及び変更も本発明の保護範囲内のものである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
【国際調査報告】