(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-01
(54)【発明の名称】バネを搭載した導電体用端子
(51)【国際特許分類】
H01R 4/48 20060101AFI20230125BHJP
【FI】
H01R4/48 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022531535
(86)(22)【出願日】2020-11-26
(85)【翻訳文提出日】2022-05-27
(86)【国際出願番号】 EP2020083500
(87)【国際公開番号】W WO2021105280
(87)【国際公開日】2021-06-03
(31)【優先権主張番号】102019132316.9
(32)【優先日】2019-11-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513243480
【氏名又は名称】ヴァイトミュラー インターフェイス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンデイトゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フェーリング, シュテファン
(72)【発明者】
【氏名】ハニング, ヴァルター
(72)【発明者】
【氏名】ヘルマン, ミヒャエル
(72)【発明者】
【氏名】シュミットポット, ハイケ
(72)【発明者】
【氏名】ルッツ, アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】レンシェン, ミハエル
(72)【発明者】
【氏名】スティエパノヴィッチ, カルロ
(57)【要約】
本発明は導電体を接続するバネ端子(1)に関し、バネ端子はプッシュイン端子であり、a.バスバー(2)と、b.圧縮バネとして作用するクランプバネ(3)と、c.クランプバネ(3)を開位置にラッチする保持バネ(4)とを備え、d.クランプバネ(3)は、第1の回転軸(8)の周りに回転可能でクランプ縁部(321)を有するクランプ脚部(32)を有し、保持バネ(4)は第2の回転軸(9)の周りに回転可能な回転脚部(41)を有し、e.回転脚部(41)は、少なくとも1つの保持手段(412)を有し、クランプ脚部(32)はクランプ脚部(32)のラッチ状態Rにおいて少なくとも1つの保持手段(412)と協働する対応するラッチ手段(322)を有し、f.クランプ脚部(32)は導電体(6)のスライドの結果として、ラッチ状態Rからクランプ状態Kに移動し、クランプ状態Kでクランプ脚部(32)はラッチ解除されて、クランプ縁部(321)によってバスバー(2)に対して導電体(6)を押圧し、g.クランプ脚部(32)のラッチ手段(322)は、クランプ縁部(321)から離間している。
【選択図】
図1a
【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電体、特に撚線導電体を接続する直接プラグイン型端子として構成された、バネを搭載した端子(1)であって、
a. 導電体(6)に接触するためのバスバー(2)と、
b. バネを搭載した端子(1)内に導電体(6)を固定するための圧縮バネとして作用するクランプバネ(3)と、
c. 導電体(6)をスライド方向(7)に接触領域に挿入することができるように、クランプバネ(3)を開位置にラッチする保持バネ(4)と、を備え、
d. 前記クランプバネ(3)は、回転方向(81)に回転可能で、クランプ縁部(321)を有するクランプ脚部(32)を有し、前記保持バネ(4)は回転可能な回転脚部(41)を有し、
e. 前記回転脚部(41)は、第1のラッチ手段として少なくとも1つの保持手段(412)を有し、クランプ脚部(32)は、クランプ脚部(32)のラッチ状態Rにおいて回転脚部(41)の保持手段(412)と協働する対応するラッチ手段(322)を有し、
f. 前記クランプ脚部(32)はラッチ状態Rから調節可能であり、ラッチ状態Rにてクランプ脚部(32)は前記回転脚部(41)の保持手段(412)によって開位置にラッチされ、クランプ状態Kに前記導電体(6)を変位させることによって、前記クランプ脚部(32)が前記保持手段(412)からラッチ解除され、前記クランプ脚部(32)の前記クランプ縁部(321)を用いて前記導電体(6)を前記バスバー(2)に押し付けるバネを搭載した端子(1)において、
g. クランプ脚部(32)のラッチ手段(322)は、クランプ脚部(32)のクランプ縁部(321)から離間して形成されることを特徴とするバネを搭載した端子(1)。
【請求項2】
更に、クランプ脚部(32)を後方に回転させる回復手段(5)を更に備え、これにより、回復手段(5)を回転方向(81)と反対方向に変位させることによって、クランプ脚部(32)は、クランプ状態Kからラッチ状態Rに回転して戻される、請求項1に記載のバネを搭載した端子(1)。
【請求項3】
前記回転脚部(41)の保持手段(412)は、クランプ脚部(32)のクランプ縁部(321)に直接ラッチしない、請求項1又は2に記載のバネを搭載した端子(1)。
【請求項4】
前記クランプ脚部(32)のラッチ手段(322)が、クランプ脚部(32)上にクランプ縁部から1mmを超える距離、特に3mmを超える距離で形成される、請求項1乃至3の何れかに記載のバネを搭載した端子(1)。
【請求項5】
前記クランプバネ(3)が保持バネ(4)と一体的に形成されている、又はクランプバネ(3)と保持バネ(4)が個々のバネ要素として形成されている、請求項1乃至4の何れかに記載のバネを搭載した端子(1)。
【請求項6】
第1のラッチ手段及び/又は対応するラッチ手段は、1以上の特に対応する面取りを有する、請求項1乃至5の何れかに記載のバネを搭載した端子(1)。
【請求項7】
前記クランプバネ(3)は、対応する隣接部で支持される支持脚部(31)を有し、及び/又は保持バネ(4)が圧力面(42)を有する、請求項1乃至6の何れかに記載のバネを搭載した端子(1)。
【請求項8】
前記保持手段(412)が回転脚部(41)に形成され、特に回転脚部(41)に一体に形成され、回転脚部(41)の保持手段(412)が回転脚部(41)の張り出しタブとして形成されることが好ましい、請求項1乃至7の何れかに記載のバネを搭載した端子(1)。
【請求項9】
前記回転脚部(41)が角度付けられた構成である、請求項1乃至8の何れかに記載のバネを搭載した端子(1)。
【請求項10】
前記圧力面(42)が回転脚部(41)の第1の脚部(411)に隣接する、請求項7に記載のバネを搭載した端子(1)。
【請求項11】
前記保持手段(412)は角度付けられた回転脚部(41)の第2の脚部(413)上に配置されたラッチ縁部として構成された、請求項9に記載のバネを搭載した端子(1)。
【請求項12】
回転脚部(41)の保持手段(412)が少なくとも1つのフックとして構成され、特にラッチフックとして構成され、回転脚部(41)と一体的に形成される、請求項1乃至11の何れかに記載のバネを搭載した端子(1)。
【請求項13】
2つのフックが、前記回転脚部(41)の前記保持手段(412)として設けられている、請求項1乃至12の何れかに記載のバネを搭載した端子(1)。
【請求項14】
前記夫々のフックは、前記回転脚部(41)の材料から横方向または中心方向に切り出され、中心方向に切り出されてから曲げられて、前記クランプ脚部(32)上の対応する縁部の後ろに係合するように働き、前記縁部は前記クランプ脚部(32)の凹部または穴内で前記クランプ縁部(321)からある距離を隔てて配置される、請求項12又は13に記載のバネを搭載した端子(1)。
【請求項15】
前記フックが、長脚部(412a)と短脚部又はフック脚部(412b)を有する、請求項12乃至14の何れかに記載のバネを搭載した端子(1)。
【請求項16】
前記長脚部(412a)と短脚部又はフック脚部(412b)との間の角度βが90°乃至100°である、請求項15に記載のバネを搭載した端子(1)。
【請求項17】
前記回転脚部(41)の保持手段(412)が、回転脚部(41)のウェブとして構成されている、請求項1乃至16の何れかに記載のバネを搭載した端子(1)。
【請求項18】
前記第2の脚部(413)は、前記支持脚部(31)に対して50°乃至70°、特に60°の角度γを有する、請求項11に記載のバネを搭載した端子(1)。
【請求項19】
下方に折り曲げられた前記第1の脚部(411)及び上方に折り曲げられた前記第2の脚部(413)が、曲げ部(414)によって互いに一体的に連結されている、請求項11又は18に記載のバネを搭載した端子(1)。
【請求項20】
前記回転脚部(41)が開口部(415)を有し、前記クランプ脚部(32)のラッチ状態Rにて前記開口部(415)にクランプ脚部(32)が係合する、請求項1乃至19の何れかに記載のバネを搭載した端子(1)。
【請求項21】
開口部(415)が収縮部(416)を有する、請求項18に記載のバネを搭載した端子(1)。
【請求項22】
前記クランプ脚部(32)がくびれ(323)を有し、このクランプ脚部(32)が開口部(415)を通って自由に移動できるように、前記くびれ(323)が収縮部(416)に幾何的に対応する、請求項21に記載のバネを搭載した端子(1)。
【請求項23】
前記フックが自由端部に少なくとも1つの面取りを有する、請求項12乃至15の何れかに記載のバネを搭載した端子(1)。
【請求項24】
前記ラッチ手段(322)がクランプ脚部(32)に形成された凹部又は段部として形成される、請求項1乃至23の何れかに記載のバネを搭載した端子(1)。
【請求項25】
前記クランプバネ及び保持バネの両方が、一定幅の長方形のブランクから形成される、請求項1乃至24の何れかに記載のバネを搭載した端子(1)。
【請求項26】
各ラッチ手段(322)がクランプ脚部(32)と一体的に形成されている、請求項1乃至25の何れかに記載のバネを搭載した端子(1)。
【請求項27】
各ラッチ手段(322)がクランプ脚部(32)から張り出されている、請求項1乃至26の何れかに記載のバネを搭載した端子(1)。
【請求項28】
前記クランプ脚部(32)のラッチ手段(322)がタブとして構成されている、請求項1乃至27の何れかに記載のバネを搭載した端子(1)。
【請求項29】
前記支持脚部(31)がバスバー(2)に案内される、請求項1乃至28の何れかに記載のバネを搭載した端子(1)。
【請求項30】
前記回転脚部(41)は、前記回転脚部(41)の前記保持手段(412)によって区切られた切欠きを有する、請求項1乃至29の何れかに記載のバネを搭載した端子(1)。
【請求項31】
前記回復手段(5)は、ラッチ状態Rのクランプバネ(3)と導電体(6)との間に配置され、スライド方向(7)に及びスライド方向(7)の反対方向に変位可能である、請求項1乃至30の何れかに記載のバネを搭載した端子(1)。
【請求項32】
前記バネを搭載した端子(1)が、リーフバネ(43)を有し、該リーフバネ(43)が前記保持バネ(4)を更に支持する、請求項1乃至31の何れかに記載のバネを搭載した端子(1)。
【請求項33】
前記圧力面(42)がビードのような窪みを有している、請求項7又は10に記載のバネを搭載した端子(1)。
【請求項34】
前記保持バネに停止要素が付加され、保持バネの上に圧力面(42')が形成される、請求項1乃至33の何れかに記載のバネを搭載した端子(1)。
【請求項35】
前記圧力面(42)がビードのような窪みを有している、請求項7又は10に記載のバネを搭載した端子(1)。
【請求項36】
請求項1乃至35の何れかに記載のバネを搭載した端子を有する端子ブロック又はプラグインコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電体、特に撚線導電体と接触するために提供されるバスバーを有し、バネを搭載した端子に導電体を固定するために設けられるバネを有する、バネを搭載した端子に関する。
【背景技術】
【0002】
導電体をバスバーに押し付ける圧縮バネを備えた直接プラグイン端子(押し込み式)の形態のこのようなバネを搭載した端子は、種々の実施形態において知られている。
【0003】
例えば、導電体を接触領域に容易に導くことができるように、クランプバネ―圧縮バネ―を開位置にラッチすることが知られている。公知の従来技術によれば、開位置におけるクランプバネのこのラッチは、端子ハウジングにラッチされ得る押し込み器のような作動手段によって行われ、押し込み器はクランプ脚を開位置に保持する。導電体の挿入後に作動手段を解放することにより、クランプ脚は、導電体を緩和し、バスバーに押し付けることができる。欠点は、導電体と接触するために作動手段を手動で解放しなければならないことである。
【0004】
ヨーロッパ公開公報2 466 689号は、一体型クランプバネがクランプバネのクランプ脚のクランプ縁に掛かるバネを搭載した端子を記載している。クランプ脚をラッチするこの構成の欠点は、クランプバネのクランプ縁部の比較的高い摩耗であり、これは、バネを搭載した端子がスイッチオンされるときに生じる。
【0005】
また、ヨーロッパ公開公報2 768 079号からは、多部品式クランプバネがクランプバネのバネ脚の自由端にラッチされたバネを搭載した端子が知られている。このバネを搭載した端子は、実際には十分実証されているが、ここではバネを搭載した端子のスイッチを入れたときに生じるクランプバネのクランプ縁部の比較的高い摩耗が不利である。
【0006】
従って、本発明の目的は、クランプバネのクランプ縁部の摩耗が低減される導電体、特に撚線導電体のためのバネを搭載した端子を提供することである。さらに、クランプバネの不正確な閉塞または早期解放は、十分に防止されるべきである。
この目的は、請求項1のバネを搭載した端子を用いて解決される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明によれば、導電体、特に撚線導電体を接続するためのバネを搭載した端子が提供され、該バネを搭載した端子は特に、導電体に接触するためのバスバーと、バネを搭載した端子に導電体を固定するための圧縮バネとして機能するクランプバネと、クランプバネを開位置にラッチする保持バネを有し、導電体は接触領域にスライド方向に挿入される。
【0008】
この場合、クランプバネは、第1の回転軸を中心として回転方向に回転可能なクランプ縁部を有するクランプ脚部を有し、保持バネは、第2の回転軸を中心として回転可能な回転脚部を有し、回転脚部は、クランプ脚部を開位置に保持するための少なくとも1つの保持手段を有する。クランプバネ及び保持バネは、互いに一体に構成することができ、これは特にコスト的に有利であるが、別々に製造し、次いで互いに接続することもできる。この場合、クランプ縁部からのラッチの間隔は、夫々の場合に有利な効果を有する。
【0009】
さらに、回転脚部は、第1のラッチ手段として少なくとも1つの保持手段を有し、クランプ脚部を開位置に保持するために、クランプ脚部のラッチ状態Rにおいて回転脚部の保持手段と協働する(対応する)ラッチ手段を有し、クランプ脚部はラッチ状態Rから調節可能であり、ラッチ状態Rにて、クランプ脚部は回転脚部の保持手段によって回転脚部にラッチされ、かつ、開位置又は導電体の挿入位置に保持され、導電体をクランプ状態Kに変位させることによって、クランプ脚部は、保持手段から解放され、ラッチ解除され、クランプ脚部のクランプ縁部にて導電体をバスバーに押し付け、その導電体がバスバーに接触するようになっている。
【0010】
さらに、クランプ脚部の対応するラッチ手段は、クランプ脚部のクランプ縁部から離れた位置に形成される。
【0011】
従って、バネを搭載した端子が生成され、この端子は、導電体をバスバーに押し付けるためのクランプ縁部からの有利な機能的分離において、クランプバネのラッチ機構を分離し、この機能的分離によって、クランプバネのクランプ縁部の摩耗を有利に減少させる。
【0012】
従って、回転脚部の保持手段が、クランプ脚部のクランプ縁部に直接ラッチされないことが望ましい。
【0013】
このようにして、保持手段は、クランプ縁部から解放されるとき、クランプ縁部に対して擦ることができない。このように、クランプ縁部は、配線操作によって生じる過度の摩耗に対して、簡単な方法で保護される。
【0014】
また、ラッチ機構が導電体の挿入領域内に配置されていないので、間違った挿入又はクランプバネの早期解放を防止することが有利であり得る。
構成に関して、これは、例えば、クランプ脚部のラッチ手段が、クランプ脚部のクランプ縁部から1mm以上、特に3mm以上離れた位置でクランプ脚部上に形成されるとの点で実施することができる。
【0015】
前記バネを搭載した端子は、前記クランプ脚部を回転させて戻す回復手段をも具備し、該回復手段を回転方向と反対方向に変位させることにより、前記クランプ脚部を前記クランプ状態から前記ラッチ状態Rに戻すことができることが有利であり得る。
【0016】
クランプバネの単純な構成を有利に達成するために、クランプバネは、保持バネと一体に形成することができる。これは、クランプバネの単純な組立工程と、クランプバネのコスト効率の良い製造とをもたらす。
【0017】
しかしながら、バネを搭載した端子が、クランプバネに加えて、それ自体が別個に製造される保持バネを有することもできるが、クランプバネと保持バネは、接続部によって互いに接続される。
【0018】
本発明の更に好ましい実施形態の変形例によれば、クランプバネは、対応する隣接部上にて支持される支持脚部を備えることができる。
隣接部は、バスバーの隣接脚部とすることができる。ただし、端子ハウジングが隣接部であることもできる。
【0019】
保持バネが、スライド方向又は導電体挿入方向に対して横方向に配置できる圧力面を有することができるという事実は、導電体端部を介してクランプバネを外す簡単で有効かつ従って有利な手段を提供する。また、回転脚部上に保持手段が一体的に形成されている場合にも有利である。この結果、回転脚部上の保持手段の簡単な構成実装がもたらされる。
【0020】
本発明の更に好ましい実施形態の変形例によれば、回転脚部が角度付けられた構成であり得る。また、圧力面が、導電体挿入方向とクランプバネの上側の曲げ部に対して下方に折り曲げられた回転脚部の第1の脚部に隣接する場合にも有利である。これにより、接続装置の構成がさらに簡略化される。また、これは、幾何学的にデザインの可能性を増加させるので、クランプ脚部がそれ自体一種の角度形状を形成することが有利である。
【0021】
また、1つの変形例にて回転脚部の保持手段、すなわち第1のラッチ手段が、角度付けられた回転脚部の上方に湾曲した第2の脚部の端部に配置されたラッチ縁部によって形成される場合も有利である。この結果、回転脚部上の保持手段を簡単な構造で実行することができる。
【0022】
さらに別の変形例として、回転脚部の保持手段は、回転脚部の少なくとも1つの張り出したタブとして構成することもできる。そのような建設的な構成により、回転脚部上の保持手段をシンプルで、したがって有利で建設的に実施することができる。
【0023】
本発明の更に好ましい実施形態の変形例において、回転脚部の保持手段は、少なくとも1つのフックまたは少なくとも1つのウェブとして形成され、回転脚部と一体的に形成されることができる。フックは、好ましくは実質的に導電体挿入方向と反対にまたは「上向き」に、回転脚部から再び突出させることができる。これもまた、保持手段の有利で単純な構造構成をもたらす。また、いくつかのフック、特に2つのフックを設けることもできる。
【0024】
特に有利な変形例は、コンパクトであり、大量の無駄なく実施することができるので、夫々のフックが回転脚部の材料から横方向に又は代替的に中央に切り出され、中央に切り出されてから曲げられ、クランプ脚部の対応する縁部又はタブ等の背後に係合するように働き、夫々のフックはクランプ脚部の凹部又は穴のクランプ縁部から離れたところに位置する。
【0025】
回転脚部の下方に折り曲げられた第1の脚部(部分)、および回転脚部の上方に折り曲げられた第2の脚部(部分)は、曲げ部によって互いに一体的に連結され得るという点で、保持バネの回転脚部の剛性は、単純で構成的な方法で有利に増加される。
【0026】
本発明のさらなる好ましい実施形態の変形例では、保持バネの回転脚部は、上方に曲げられた(即ち、導電体挿入方向と反対方向を向いた)曲げ部の第2の脚部の領域内、及び下方に曲げられた(即ち、導電体挿入方向)の領域内に開口部を有し、クランプ脚部のラッチ状態Rにて該開口部内にクランプ脚部が係合する。これは、保持バネの有利な省スペース構成をもたらし、また、クランプバネのクランプ力を有利に増加させる結果となる。
【0027】
また、更なる展開例に従って、開口部が保持手段の領域に収縮部を有し、保持バネの回転脚部の曲げ部を有している場合も有利である。これにより、クランプバネのクランプ脚部に対するラッチ手段が有利に単純な方法で構成できる。
【0028】
また、クランプ脚部が、例えば、回転脚部の開口部を自由に通るように、収縮部に幾何的に対応するくびれを有する場合にも有利である。これは、保持バネの省スペース構成を有利にもたらす。
【0029】
本発明の更に好ましい実施形態の変形例において、クランプ脚部のラッチ手段は、クランプ脚部上に一体的に形成することも、クランプ脚部と一体的に形成することもできる。これは、クランプ脚部上のラッチ手段の単純な構成の実施をもたらす。
また、クランプ脚部のラッチ手段がクランプ脚部から張り出すようになっており、ラッチ手段がクランプ脚部に一体的に接続されている場合も有利である。このラッチ手段は、例えば、穴または凹部の部分、ウェブまたはフックの形式をとることができる。
【0030】
また、クランプ脚部のラッチ手段は、クランプ脚部のくびれによって形成されるタブとして構成されており、従って張り出さないこともできる。これはまた、ラッチ手段の簡素な構成をもたらす。
また、クランプ脚部のラッチ手段が湾曲したタブとして構成され、クランプ脚部の外側に一体的に形成されている場合にも有利である。
【0031】
本発明の更に好ましい実施形態の変形例では、クランプバネの支持脚部は、長い穴のような開口部を、支持脚部の対称線に沿って両側に有することができる。長い穴の長さと幅故に、支持脚部の硬さを夫々の要求に応じて構造的に簡易な構成手段により有利に調整することができる。
【0032】
また、1つの変形例によれば、回転脚部に切欠きがあり、これが回転脚部の保持手段によって境界を定められる場合にも有利である。
本発明のさらなる好ましい実施形態の変形例では、回復手段はラッチ状態で、クランプバネと導電体との間に配置され、スライド方向に及びスライド方向と反対方向に変位させることができる。この結果、クランプバネをラッチ状態からリセットすることが有利に単純になる。
【0033】
また、1つの変形例によれば、回復手段はクランプ状態で、クランプ脚部と端子ハウジングとの間のクランプされる場合にも有利である。これは、バネを搭載した端子のクランプ状態における単純な手段による回復手段の自己補強クランプ効果をもたらし、従って有利である。
【0034】
また、クランプ脚部をリセットする1つの変形例に従って、回復手段がスライド方向に動かされる場合も有利である。これにより、取り扱いが容易で安全なクランプ脚部のリセット工程が得られる。
【0035】
さらなる有利な変形例によれば、圧力面が形成される保持バネに停止要素を適用することができる。バネ材料は限られた「成形」プロセスしか許さないので、停止要素-任意にビードとともに-は、バネの圧力面に直接組み込まれる場合よりも、射出成形工程によって望ましい幾何学的方法でより最適に形成することができるという利点がある。
【0036】
本発明の別の好ましい実施形態によれば、圧力面は、ビード状の窪みを有する。ビードのような窪み、ストランドの繋ぎを最小限に抑えるために、接続中にストランドの束ね/中心化を簡単な方法で実現する。さらに、ストランド接続における力も増加する。
【0037】
したがって、1つの変形例によれば、圧力面が、導電体またはそのコアに対するビード状の窪みのために、自己中心化効果を有する場合に有利である。このようにして、圧力面の安全な機能は、単純な建設的構成によって有利に確保される。
既に述べたように、特に有利な変形例によれば、保持手段は少なくとも1つのフックまたは幾つかのフック、特に2つのフックを持つことができる。
【0038】
次いで、それぞれのフックは、好ましくは、保持脚部の縁部で横方向に保持脚部から打ち抜かれ、フック形状に曲げられる。フックはさらに有利なことに、長脚部と短脚部またはフック脚部を有する。フック脚部は、一方で容易にラッチできるようにするために、長脚部に対して90°乃至100°の角度βに配列されることが望ましいが、保持面では、たとえ細い撚りストランドであっても、導電体端部の圧力によってラッチから容易に解放することができる。フック脚部は、ラッチ状態で容易にラッチしてしっかりと着座させることができるように、比較的短い構成であることが好ましいが、クランプ点に挿入されるときに導電体端部からの圧力によって、そのラッチから容易に解放することもできる。フック形状のこの構成により、導電体の接続の解放及びラッチ特性を特に良好に調整することが可能になる。
【0039】
さらに別のオプション構成によれば、第1のラッチ手段としての保持手段及び/又は対応する更なるラッチ手段が、1つ以上の-特に対応する-1つの縁部又は複数の縁部上に面取りを有して、対応する各々のラッチ手段上の夫々の保持手段のラッチ及びラッチ解除を最適化することが提供される。
好ましくは、少なくとも1つの面取りは、クランプ脚部上のさらなるラッチ手段の縁部上に形成され、クランプ脚部は上方に向けられるか、本質的に導電体の挿入方向の反対方向を向き、少なくとも縁部側において、保持手段がラッチ状態で静止するようになる。導電体の接続の解放及びラッチ特性も、このようにしてさらに最適化することができる。
【0040】
本発明はまた、関連する1以上の請求項に従って、1以上のバネを搭載した端子を有する端子ブロック又はプラグインコネクタに関する。
本発明の更なる有利な実施形態は、従属形式の請求項に見ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
本発明は、図面を参考にして、以下より詳細に説明されている。
【
図1a】ラッチ状態のクランプ脚部を有する本発明によるバネを搭載した端子の断面の全体図であり、該バネを搭載した端子はバネを搭載した端子に挿入された導電体をクランプするために提供される。
【
図1b】
図1aからの本発明に係るバネを搭載した端子の全体図を示し、導電体がない。
【
図2a】クランプ状態のクランプ脚部を有する本発明によるバネを搭載した端子の断面における全体図である。
【
図2b】
図2aからの本発明に係るバネを搭載した端子の全体図を示し、導電体がない。
【
図3】本発明に係る
図1のバネ又は
図2のバネを搭載した端子の分解図を示す。
【
図4】本発明による2つのバネを搭載した端子を接続装置として有する端子ブロックを示す図である。
【
図5a】組立前の状態における
図1乃至
図4からの本発明に係るバネを搭載した端子のクランプバネの全体図である。
【
図5b】正面図における
図1aからのクランプバネの図である。
【
図5c】ラッチ状態または張力状態における
図1aからのクランプバネの図である。
【
図5d】正面図における
図1cからのクランプバネの図である。
【
図6a】
図4からの端子ブロックの空間的拡大図であり、
図1a乃至
図3及び
図5a乃至
図5dからのバネを搭載した端子ブロックの変形例を示す。
【
図6b】
図4からの端子ブロックの空間的拡大図であり、
図1a乃至
図3及び
図5a乃至
図5dからのバネを搭載した端子ブロックの変形例を示す。
【
図6c】
図4からの端子ブロックの空間的拡大図であり、
図1a乃至
図3及び
図5a乃至
図5dからのバネを搭載した端子ブロックの変形例を示す。
【
図6d】
図4からの端子ブロックの空間的拡大図であり、
図1a乃至
図3及び
図5a乃至
図5dからのバネを搭載した端子ブロックの変形例を示す。
【
図6e】
図4からの端子ブロックの空間的拡大図であり、
図1a乃至
図3及び
図5a乃至
図5dからのバネを搭載した端子ブロックの変形例を示す。
【
図6f】
図4からの端子ブロックの空間的拡大図であり、
図1a乃至
図3及び
図5a乃至
図5dからのバネを搭載した端子ブロックの変形例を示す。
【
図6g】
図6aから
図6fまでのバネを搭載した端子ブロックのクランプバネおよびバスバーの空間的拡大を示す図である。
【
図7a】開状態及び組立前の状態におけるクランプバネの変形例の全体図である。
【
図7b】開状態及び組立前の状態におけるクランプバネの変形例の全体図である。
【
図7c】開状態及び組立前の状態におけるクランプバネの変形例の全体図である。
【
図7d】開状態及び組立前の状態におけるクランプバネの変形例の全体図である。
【
図7e】開状態及び組立前の状態におけるクランプバネの変形例の全体図である。
【
図7f】機能要素の取り付け後の
図7eからの例示的な実施形態を示す図である。
【
図8a】緩和位置及び開状態にあるクランプバネのさらなる例示的な実施形態の斜視図を示す。
【
図8b】緩和位置及び開状態にあるクランプバネのさらなる例示的な実施形態の側面図を示す。
【
図8c】張力位置及び閉位置における
図8aからのクランプバネの斜視図である。
【
図8d】張力位置及び閉位置における
図8bからのクランプバネの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
図1aは、導電体の接続装置としてのバネを搭載した端子1を示す。接続されるべき導電体は、特に剥き出しの導電体端部として構成される。これらの導電体端部は、細い撚線導電体または撚線導電体として構成することもできる。ただし、バネを搭載した端子は固体導電体にも適している。バネを搭載した端子は、例えば、端子ブロック100(
図4参照)用の接続装置として、あるいはコネクタ等(図示なし)用のバネを搭載した端子1として、様々な用途に使用することができる。ここに示されていない他の用途も考えられる。
【0043】
バネを搭載した端子1は、導電体6と接触するためのバスバー2を有する。バスバー2は、L字形であり得る。ただし、多層クランプケージの一部とすることもできる。
図1bを参照。クランプケージは、平面図においてU字形とすることができ、その結果、導電体端部はU字の断面内に挿入されることができ、また、より低い横壁を有する。
【0044】
金属製のクランプケージ20は、
図1a(及び
図2a)の断面図のため、ここでは見えないか又は示されていないが、
図1b(または
図2b)を参照されたい。
次いで、バネを搭載した端子1は、圧縮バネとして作用するクランプバネ3を有し、該クランプバネは、バネを搭載した端子1内の導電体6をクランプするために設けられ、それによって、導電体6は、バスバー2と常時に導電的に接触する。従って、クランプバネ3は、導電体6をバスバー2に押し付けるように機能する。
【0045】
クランプバネ3に加えて、保持バネ4が設けられている。これは、クランプバネ3の一部、即ちクランプ脚部32を開位置にラッチする役割を果たし、その結果、クランプバネ3が開き且つ引っ張られたときに接触領域まで、バネを搭載した端子1の挿入開口11に導電体6を挿入することができる。
【0046】
クランプバネ3は、保持バネ4を備えた1つの片で作ることができる。しかしながら、保持バネ4は、クランプバネ3とは別に製造することもできる。次に、保持バネ4をクランプバネ3に接続することができる。
【0047】
好ましくは、
図1a(及び
図1b、
図2a及び
図2b、
図5a乃至
図5dならびに
図7a乃至
図7g)による「クランプバネ構成」は、クランプバネ3の機能および保持バネ4の機能を1つの部品、即ち1つの部品に一体化した部品を作成する。この一体的に形成された保持バネ4を有するクランプバネ3の機能的に一体化された構成は有利であるが、必須ではない。
【0048】
バスバー2及びクランプバネ3は、端子ハウジング12内に配置されており、端子ハウジングは、好ましくは電気的に絶縁された材料、特にプラスチックで作られている。端子ハウジング12には、導電体6を挿入するための挿入開口11が設けられている。
【0049】
図示の導電体6は、導電体6の開口端部63の上方に、剥がれた電気絶縁シース62を有し、その結果、導電体6のコア61が見える。
【0050】
クランプバネ3は、回転軸8を中心として回転方向81に及び回転方向81と反対方向に回転可能なクランプ脚部32と、支持脚部31とを有し、特にクランプ脚部32が回転した時に支持脚部31は対応する隣接部上に単純かつ確実な方法で支持される。この隣接部は、支持脚部21として構成することができる。支持脚部21は、バスバー2上に一体的に形成することもあれば、バスバー2の外側に曲がることもある。しかしながら、他の実施形態(ここに示されない)では、支持脚部31は、端子ハウジング12内に直接指示されるような他の方法でも支持することができる。
【0051】
ここで、支持脚部31は、中央に配置された保持タブ311を有する。保持タブ311は、保持リム31から曲げ出されることがある。保持タブ311は、ここでは隣接部上、ここでは対応する支持手段上、ここでは隣接脚部21上に支持される。
好ましくは、クランプバネ3の支持脚部31とクランプ脚部32とは、曲げ部30を介して互いに接続されている。この曲げ部30は、端子ハウジング12の有利な支持輪郭14によって係合することができ、この支持輪郭14は、ここでは回転軸8によって貫通しており、クランプ脚部32の移動制限としても機能することができる。クランプバネ3は、全体としてほぼV字形状を有する。
【0052】
2つの接続脚部312a、312bは、ここでは保持タブ311の側部まで延在し、保持バネ4への接続手段として機能し、ここではクランプバネ3に一体的に接続される。しかし、保持バネ4は、クランプバネにも取り付けることができ、例えば、支持脚部31を別々に製造された部品として支持脚部31に取り付けることができる。
【0053】
この接続脚部312a、312bは、ここでは角度付けられた形を形成し、特に近似的に直角に保持バネ4に曲がっている。
次に保持バネ4は、回転脚部41を有する。この回転脚部41は、特にその強さを増すために回転脚部41自体が曲がり得る。また、自由端部に圧力面42を有することができ、導電体の端部が導電体挿入方向7に挿入されたときに圧力面42上に合わさるので、回転脚部41を動かすことができる。
【0054】
この点において、回転脚部41は、クランプバネ3に対して、特にその支持脚部31に対して弾性的に回転するように構成されている。この支持脚部31は、2つの接続脚部312a、312bに接続され/形成することができる、又はここでは一体的に形成される。
【0055】
保持バネ4又はその回転脚部41は、第2の回転軸9を中心として、第2の回転方向91に回転可能であり、且つ第2の回転方向91と反対方向に回転可能である。クランプ脚部32を第2の回転方向91に回転させることができるように、保持バネ4は、圧力面42を有し、該圧力面42にて回転脚部41が回転される。
【0056】
圧力面42は、導電体挿入方向またはスライド方向7に対して横方向に配置することができる。圧力面42に挿入されるべき導電体の夫々の導電体端部に圧力を加えることによって、保持バネ4を第2の回転方向91に回転させることができる。圧力面42は、回転脚部41の下方に湾曲した第1の脚部411に隣接する。
【0057】
1つ以上の保持手段412が、回転脚部41上に形成され、好ましくは、回転脚部41上の一片に設けられ、特に一体的に形成される。保持手段412は、ここでは、角度付けられた回転脚部41の上方にほぼ曲がった第2の脚部413の凡そ端部に配置された2つのラッチ縁部である。下方に折り曲げられた第1の脚部411および上方に折り曲げられた第2の脚部413は、曲げ部414によって互いに一体的に連結されている。
【0058】
クランプバネ3のクランプ脚部32は、少なくとも1つまたは複数のラッチ手段322を有する。この1つまたはそれ以上-ここでは2つの-ラッチ手段はクランプ縁部321から離れたところで形成され、ここではクランプ脚部32の長手方向に沿って中間部である。
1つ以上のラッチ手段は、保持バネ4の回転脚部41の保持手段412にロックされるように構成されており、これにより、クランプ脚部32が開位置でラッチされることができる(ラッチ状態と呼ばれる)。ラッチ手段322は、クランプ縁部321から1mmを超える距離、特に2mmを超える距離で形成されているのが好ましく、2mmを超える距離で形成されていることで端子が導電体に接続され、取り外されるときに損害を与えることができないようにしている。ラッチ手段322は、クランプ縁部321と作動関係にない、即ちラッチ手段322は、クランプ縁部321にラッチすることができないので、使用時にラッチ手段322はクランプ縁部を損傷させることができない。むしろ、ラッチ手段322は、保持手段412と接続して作動し、その結果、クランプ縁部はラッチされない。
【0059】
ラッチ手段322は、クランプ脚部32と一体的に形成することができる。ラッチ手段322はクランプ脚部32から突出するか、または窪み又は段部としてその中に形成することができる。クランプ脚部32のラッチ状態において、保持バネ4の回転脚部41の保持手段412とのラッチ接続を形成する。このようにして、クランプバネ3は、開位置にロックされ、導電体が挿入されると、ロックから解放される。
【0060】
ここで、回転脚部41は、上方に曲がった第2の脚部413、即ち接続脚部31a、31bの延長部、曲げ部414及び第1の下方に曲がった脚部411の領域に開口部415を有し、クランプ脚部32のラッチ状態Rにて、クランプ脚部32は開口部415内に入ることができる。
開口部415は、保持手段412と曲げ部414の領域に収縮部416を有する。このように、コンパクトなデザインが確保されている。
【0061】
従って、クランプ脚部32は、幾何学的に対応するくびれ323を有し、ここではラッチ手段/ラッチ縁部322(
図2a、
図3、
図5a及び
図5cも参照)に直接隣接し、これによりクランプ脚部32は開口部415を通って自由に動くことができる。
【0062】
保持バネ4が第2の回転軸9を中心に回転すると、保持バネ4は、回転脚部41の復元力に抗して保持手段412を回転させる。これにより、クランプバネ3のクランプ脚部32が外れるまで、保持手段412の位置を変化させる。
【0063】
クランプバネ3とバスバー2との間には隙間13が形成されており、この隙間には、クランプ脚部32のラッチ状態Rにおいて、導電体6をスライド方向7に及びスライド方向7とは反対方向に自由に変位可能な方法で挿入することができる。
【0064】
バネを搭載した端子1に挿入された導電体6がスライド方向7に移動されると、導電体6の自由端部又は開口端部63が圧力面42に接触する。この状態は
図1aと
図1bに示されている。
【0065】
導電体6がスライド方向7にさらに押し込まれると、導電体6は圧力面42を押圧し、回転脚部41を第2の回転方向91に回転させる。
工程において、クランプ脚部32は、
図2a及び
図2bに示すように、保持手段412から外れ、回転方向81に回転されてクランプ状態Kになる。この圧力面42は、スライド方向7に保持手段412の下方に配置され、回転方向81への及び回転方向81とは反対のクランプ脚部32の自由な回転が簡易かつ安全な方法で可能となっている。
【0066】
バネを搭載した端子1はまた回復手段5を有する。回復手段5は、スライド方向7に及びスライド方向7とは反対に変位可能である。回復手段5は、クランプバネ3のクランプ脚部32を回転方向81に逆らって回転させるために設けられている。
この場合、回復手段5を回転方向81に逆らって変位させることにより、クランプ脚部32をクランプ状態Kからラッチ状態Rに戻すことができるので、クランプバネ3のクランプ脚部32のラッチ手段322が、保持バネ4の回転脚部41の保持手段412と再びラッチする。次いで、クランプ状態Kにおいてバネを搭載した端子1に以前に詰まっていた導電体6を、ラッチ状態Rにおいてバネを搭載した端子1から取り外すことができる。
【0067】
ここに示す実施形態では、クランプ脚部32に一体的に形成されたラッチ手段322の上方に、ラッチ状態R(
図1a、
図1b参照)及びクランプ状態K(
図2a、
図2b参照)における回復手段5が配置されている。したがって、クランプ脚部32がクランプ状態Kにあるとき、回復手段5がスライド方向7に変位したときにクランプ脚部32に直接作用するので、クランプ脚部32を回転させて戻すための所要の変位経路は小さくなる。また、回復手段5は、本質的にクランプバネ3と導電体6との間に形成される。
【0068】
回復手段5を作動させるために、導電体はネジ回しのような工具を用いる作動を簡単にする作動溝を有することができる。更に、回復手段5は、クランプ状態Kでクランプ脚部32と端子ハウジング12との間に挟持され、回復手段5は端子ハウジング12から外れないようになっている。
【0069】
図1a及び
図1bは、クランプバネ3のクランプ脚部32のラッチ状態Rにおけるクランプバネ3及び保持バネ4を示す。クランプ脚部32は、そのラッチ手段322を介して保持バネ4の回転脚部41の保持手段412にラッチされており、これはクランプ脚部32の長手方向の延長部のほぼ半分に沿って形成されていることが分かる。
図1aにおいても明らかに見えるのは、バスバー2とクランプ脚部32との間の隙間13である。
図2aは、バネを搭載した端子1にクランプされた導電体6を示す。クランプバネ3のクランプ脚部32は、回転軸8を中心として回転方向81に回転され、そのクランプ縁部321は、導電体6のコア61をバスバー2に押圧する。また、クランプ脚部32が回転方向81に回転したときに、回復手段5をスライド方向7に抗して押圧することも視認できる。これにより、回復手段5はスライド方向7に逆らって移動する。
【0070】
クランプバネ3のクランプ脚部32のラッチ手段322が保持バネ4の回転脚部41の保持手段412と再びラッチ状態になるまで、このクランプ状態Kから始まる回復手段5をスライド方向7に変位させることにより、導電体6の解除が可能となる。
【0071】
図4は、取り付けレール101に取り付けられた端子ブロック100を示す。取り付けレール101は、取り付けレール101上にいくつかの端子ブロック100を並べて配置するためのものである。通常、整列された端子ブロック100を備えた取り付けレール101は、端子箱内または制御キャビネット内に収容される。
【0072】
各端子ブロック100は、1つまたは2つ以上のバネを搭載した端子1を有してもよく、各バネを搭載した端子は、連続バスバー102によって接続されてもよい。
図5b及び
図5dは、
図1a、
図1b、
図2a、
図2b、
図3並びに
図5a及び
図5cに係るクランプバネ3の変形例の実施形態を示し、夫々の場合も、クランプバネ3を取り付ける前の状態での正面図で、ここでは、ラッチ状態R(
図5d)と同様に、端子ハウジング12内(
図5b)にて保持バネ4に一体的に接続される。
【0073】
図6a乃至
図6fは、各場合において端子ブロック100の詳細な拡大図として、本発明によるバネを搭載した端子1のさらなる変形例の実施形態、特にクランプバネ3のさらなる実施形態を示す。
図6gでは、バネを搭載した端子が端子ハウジング12無しで示されている。繰り返しを避けるために、本質的に、
図6a乃至
図6gによる実施形態の変形例におけるバネを搭載した端子1及びクランプバネ3並びに保持バネ4の逸脱、追加又は変更のみを、
図1a、
図1b、
図2a、
図2b、
図3及び
図5a乃至
図5dによるバネを搭載した端子1及びクランプバネ3に関連して以下に説明する。その他の要素や特徴は、参照される
図1のように構成することができる。
【0074】
図1a、
図1b、
図2a、
図2b、
図3及び
図5a乃至
図5dに係るクランプバネ3の実施形態の変形例から逸脱して、
図6a乃至
図6gの実施形態の変形例に係るクランプバネ3は、保持バネ4と一体に構成されておらず、又は保持バネ4に接続されているが、保持バネ4とは別個の部品として構成されている。この点において、クランプバネ3は、保持バネ4とは別に構成されている。
【0075】
次に、クランプバネ3は、回転軸8を中心として回転方向81に回転可能なクランプ脚部32と、特にクランプ脚部32が回転されたときに、対応する隣接脚部21上に単純かつ確実に支持され得る支持脚部31とを有している。ここで、支持脚部31は、支持脚部31から外向きに曲がる中央の保持タブ311を備えている。保持タブ311は、対応する支持手段上で支持されており、この場合、対応する支持手段は隣接脚部21である。しかしながら、他の実施形態(ここに示されない)では、支持脚部31は、端子ハウジング12内に直接支持されるような他の方法でも支持されてもよい。
【0076】
好ましくは、支持脚部31とクランプ脚部32とは、曲げ部30を介して互いに接続されている。端子ハウジング12の有利な支持輪郭14は、この曲げ部30に係合し、この曲げ部30は、ここでは回転軸8によって貫通され、移動制限としても機能する。
【0077】
ここでのバネを搭載した端子1は、別々に製造された保持バネ4を有し、この保持バネ4は、ここでは、端子ハウジング12に回転可能に取り付けられている。保持バネ4は、圧力面42を有する。圧力面42に圧力を加えることによって、保持バネ4を第2の回転方向91に回転させることができる。保持バネ4はさらに回転脚部41を構成する。回転脚部41に一体的に形成された保持手段412が回転脚部41上に配置されている。ここで、保持手段412は回転脚部41のほぼ中央に配置されたラッチフックである。
【0078】
クランプバネ3のクランプ脚部32は、クランプ縁部321からの距離、ここではクランプ脚部32の長さに沿ってほぼ半分の距離にて、保持手段412までの幾何学的に対応したラッチ手段322を有し、該ラッチ手段322はクランプ脚部32のラッチ状態Rにおいて、保持バネ4の回転脚部41の保持手段412と動作可能である。ラッチ手段322は、ここでは、クランプ脚部32の対称線上に、クランプ脚部32に形成された凹部又は段部として構成され、従って、クランプ脚部32のラッチ状態Rにおける保持手段412とのラッチ接続を形成する。
【0079】
バネを搭載した端子1は、更にリーフバネ43を構成し、該リーフバネ43が保持バネ4を更に支持することができる。
図7a乃至
図7h及び
図8a乃至
図8dは、夫々保持バネ4と一体に構成されたクランプバネ3の更に有利な実施形態の変形例を示す。
従って、
図7aは、保持バネ4と一体に形成されたクランプバネ3のさらなる第1の実施形態を示す。
【0080】
実施形態の変形例では、保持バネ4の回転脚部41の保持手段412がここで単一のフックとして形成され、望ましくは、回転脚部41と一体的に形成された曲げタブによって形成されている。夫々のフックは、回転脚部41から切り出され、製造中に回転脚部41から曲げ出されてもよい。その形状は例示的である。また、異なる形状のフック端部など、やや異なる形状を持つこともある。
【0081】
回転脚部41は、保持手段が回転脚部41に応じて打ち抜かれた結果、片側縁部の凹部418を有する。従って、回転脚部41の下方に湾曲した第1の脚部411は狭く、特に
図1a、
図1b、
図2a、
図2b、
図3及び
図5a乃至
図5dに係る保持バネ4の構成に比べて狭い構成となっている。この構成形態は、非常にシンプルな構造と非常にコンパクトな構成が特徴である。保持手段412としてタブを挿入するために、クランプ脚部32の一方の側に凹部323'が設けられている。保持バネ4の回転脚部41の保持手段412は、クランプ縁部から比較的大きな距離を置いて配置されると有利である。この場合は狭い縁部であるこの縁部の凹部323'の縁は、ラッチ手段「フック」のための対応するラッチ手段として機能する。
【0082】
図1a、
図1b、
図2a、
図2b、
図3及び
図5a乃至
図5dに係るクランプバネ3の実施形態の変形例から逸脱して、クランプバネ3の支持脚部31は-
図7b参照-ここでは、細長い、例えばスロット状の開口部を有することができる。これは、支持脚部31の対称線に沿って両側に配置され得る。
【0083】
図7bは、保持バネ4と一体に形成されたクランプバネ3のさらなる実施形態の変形例を示す。回転脚部41の保持手段412は、再び、回転脚部41から(この場合はその中心から)一体的に切り出された単一のフックとして形成され、導電体挿入方向に対して上向きに曲げることによって設置されて、細長い穴が回転脚部41に形成される。
【0084】
図7bによれば、クランプ脚部32のラッチ手段322は、穴、特にクランプ脚部32の細長い穴324によって形成され、この穴324はクランプ縁部321から離間しており、回転脚部41のフックが穴324に下がって(dip)、開位置(ここでは図示せず)にラッチしてこの穴の縁部の後方に係合する。この変形例は、製造も簡単であるため、安価かつ安全である。クランプ縁部321は再び有利に保護される、何故なら開位置におけるクランプバネのロックに寄与しないからである。
【0085】
図7aの方法又は同様の方法で成形された2つ以上のフック/タブもまた、保持手段412として提供され得る(
図7b並びに
図8a乃至
図8dを参照。ラッチ状態又は開状態では、各々がクランプ脚部32のくびれ323上の後方縁部と係合することができる)(
図8b、
図8d)。両方のフックは、クランプ脚部32の製造中に、縁側の回転脚部41から部分的に切り出され、曲げられている。
【0086】
図7a乃至
図7d及び
図8a乃至
図8dによれば、クランプバネ3および保持バネ4はともに、一定の幅を有する単一の長方形のブランクまたはストリップから形成することができ、該ブランクからパンチされたタブ、ウェブまたはフックのみが示され、形状に曲がり、及び/又はその中に凹部又は穴が形成されている。
【0087】
図7a乃至
図7d及び
図8a乃至
図8dに係る保持バネ4と一体に形成されたクランプバネ3の実施形態の変形例は、クランプバネ3の有利に低コストの実施形態を示しており、これらの実施形態の変形例では、平坦な半完成品がクランプバネ3の仕上げ幅を既に有していると仮定することができるので、クランプバネ3又は保持バネ4を形成するためのその縁部領域で所望の幾何学的形状を作り出すためには、平坦な半完成品の縁部領域で切断又は切欠きだけをしなければならない。その結果、無駄や切れ端は非常に少ない。
【0088】
図7a乃至
図7dによれば、保持バネ4の圧力面42は、接続中に導電体端部が下がることができるビード状の窪み44を有することができる。
ビード状の窪み44は、ストランドの接合を最小限に抑えるために、接続中にストランドの束ね/中心化を容易に実現する。さらに、ストランドが接合される力も増加させることができる。
【0089】
さらなる有利な変形例(
図7e、
図7f参照)によれば、停止要素45を保持バネ4に印加することができ、その上に実際の圧力面が形成される。この圧力面は、今度は、停止要素内のビードとして構成することができる。停止要素45は、保持バネ4上に押される。停止要素45は、例えば、プラスチック製のブロック要素の一種として構成することができ、それは、停止要素45なしで圧力面として機能する保持バネ4の領域に押し付けられる(
図7e、
図7f)。しかしながら、停止要素45は、射出成形工程(図示せず)によって、停止要素45のない圧力面として機能する保持バネ4の領域にも適用することができる。
【0090】
しかしながら、
図8a乃至
図8dの例では、保持バネ4の圧力面42は、例えば、ビード状の窪み44や停止要素45を有していないが、平坦な構成となっている。このようにしても、クランプバネをラッチ状態から解放することができるようにするために、圧力面42は良好に機能している。
【0091】
図7a乃至
図7fに係る例示的な実施形態の回転脚部41は、対応して、片側に打抜きの結果として、縁部の凹部418を有する、または両側にこのような縁部の凹部418をその縁部で有することができる(特に
図8a乃至
図8dも参照)。このようにして、回転脚部41の下方に折り曲げられた第1の脚部411を狭くすることができ、特に
図1a、
図1b、
図2a、
図2b、
図3及び
図5a乃至
図5dに係る保持バネ4の構成に比べて狭くすることができる。
【0092】
図7c及び
図7d及び
図8aのこれらの実施形態は、特にシンプルな構造と非常にコンパクトな構成が特徴である。
2つのフックを保持手段412として浸漬するために、2つの夫々の縁側凹部323'をクランプ脚部32上に設けることができる。保持バネ4の回転脚部41の保持手段412は、クランプ縁部から比較的大きな距離を置いて配置することができると有利である。
【0093】
図7c及び
図7d並びに
図7e及び
図7f並びに
図8a乃至
図8dの回転脚部41は、従って、打抜きの結果として縁側に2つの縁部凹部418を有する。これらの実施形態はまた、非常にシンプルな構造と非常にコンパクトなデザインによって特徴づけられる。
ラッチ状態では、フック412は夫々ラッチ手段322として縁部に係合して、クランプ脚部32のくびれ323上の各縁部に係合することができる(
図7c、
図7d)。
【0094】
フック412は、長脚部412aと短脚部又はフック脚部412bとを有するのが好ましい。フック脚部412bは、好ましくは、一方では容易にラッチ可能であるために、長脚部412aに対して90°乃至100°の角度βで整列させることができるが、保持面42上の均等に細く撚られた導電体端部の圧力によってラッチから容易に取り外し可能である。
【0095】
さらなる有利な展開例によれば、1つ又は複数のラッチ手段322-ここではラッチ縁部として構成されている-は、面取り322'を備えることができる。夫々の面取り322'は、面取りとして構成され得る。面取りは、開状態におけるラッチ手段322が1つまたは複数のラッチフック412と後方に係合する結果として、ラッチ脚部のラッチを単純化することに貢献することができる
【0096】
短脚部又はフック脚部412bは比較的短くすることができ、例えば0.3mmから0.5mmの曲げ半径より上では、例えば0.4mmから0.6mm、特に0.5mmの長さを有することができ、これは、しっかりとラッチされることができ、なおかつ容易に解放されることができるようにするためである。フック脚部412bは全体として1.5mm以下、特に1mm以下の長さとなっている。この長さは、導電体の断面が2.5mmの場合に特に有利である。フック脚部412bは従って、他の導電体断面に適合させることができる。
【0097】
このようにして、システムの解放力は非常に明確に定義できる。接触脚部32のそのラッチ位置への回転を最適化するために、夫々の保持手段412の自由端部、特にラッチフックの夫々の短脚部412b、特に約0.1mmの面取り部に面取りを形成することもできる。
【0098】
最後に、1つの変形例によれば、脚部413は支持脚部31に対して、50°乃至70°の角度γ、特に60°を有し得て、ラッチの重複に関する脚部413との相互作用における接触脚部32の回転挿入を最適化する。
【符号の説明】
【0099】
符号のリスト
・ バネを搭載した端子
11 挿入開口
12 端子ハウジング
13 隙間
14 支持輪郭
2 バスバー
20 端子ハウジング
21 隣接脚部
3 クランプバネ
30 曲げ部
31 支持脚部
311 保持タブ
312a, 312b 接続脚部
32 クランプ脚部
321 クランプ縁部
322 ラッチ手段
323 くびれ
323' 凹部
324 長穴
4 保持バネ
41 回転脚部
411 脚部
412 保持
412a 長脚部
412b 短脚部/フック脚部
413 脚部
414 曲げ部
415 開口部
416 構成
418 凹部
42 圧力面
43 リーフバネ
44 凹部
45 停止要素
5 回復手段
51 作動溝
6 導電体
61 コア
62 シース
7 スライド方向
8 回転軸
81 回転方向
9 回転軸
91 回転方向
100 端子ブロック
101 取り付けレール
102 バスバー
K クランプ状態
R ラッチ状態
【国際調査報告】