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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-01
(54)【発明の名称】キメラオプシンGPCRタンパク質
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/12 20060101AFI20230125BHJP
   C12N 15/62 20060101ALI20230125BHJP
   C12N 15/864 20060101ALI20230125BHJP
   C12N 15/35 20060101ALI20230125BHJP
   C12N 15/113 20100101ALI20230125BHJP
   C07K 14/705 20060101ALI20230125BHJP
   A61P 27/10 20060101ALI20230125BHJP
   A61P 27/02 20060101ALI20230125BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20230125BHJP
   A61K 35/76 20150101ALI20230125BHJP
   A61K 47/62 20170101ALI20230125BHJP
   A61K 38/17 20060101ALI20230125BHJP
   A61K 31/07 20060101ALI20230125BHJP
【FI】
C12N15/12 ZNA
C12N15/62 Z
C12N15/864 100Z
C12N15/35
C12N15/113 Z
C07K14/705
A61P27/10
A61P27/02
A61K48/00
A61K35/76
A61K47/62
A61K38/17
A61K31/07
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022532030
(86)(22)【出願日】2020-11-30
(85)【翻訳文提出日】2022-06-14
(86)【国際出願番号】 EP2020083960
(87)【国際公開番号】W WO2021105509
(87)【国際公開日】2021-06-03
(31)【優先権主張番号】01509/19
(32)【優先日】2019-11-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CH
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】510239897
【氏名又は名称】ウニベルジテート ベルン
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100186897
【弁理士】
【氏名又は名称】平川 さやか
(72)【発明者】
【氏名】クラインローゲル,ソニア
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン ウィック,ミキール
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C087
4C206
4H045
【Fターム(参考)】
4C076AA95
4C076CC10
4C076CC41
4C076EE59
4C084AA02
4C084AA07
4C084AA13
4C084BA41
4C084BA42
4C084BA44
4C084CA53
4C084DC50
4C084NA05
4C084NA13
4C084NA14
4C084ZA331
4C087AA01
4C087AA02
4C087BC83
4C087CA12
4C087NA05
4C087NA13
4C087NA14
4C087ZA33
4C206AA01
4C206AA02
4C206AA03
4C206CA10
4C206KA01
4C206MA01
4C206MA04
4C206NA05
4C206NA13
4C206NA14
4C206ZA33
4H045AA10
4H045AA20
4H045BA10
4H045BA41
4H045CA40
4H045DA50
4H045EA20
4H045FA74
(57)【要約】
強力に発現し、且つ標的細胞の正しい細胞内コンパートメントを標的とする、光感受性上流オプシン部分及びキメラCTを含む標的GPCR部分を含むキメラオプシンGPCRタンパク質が提供される。キメラオプシンGPCRタンパク質は、標的GPCR経路に特異的な天然Gタンパク質を効率的に活性化し、天然標的GPCRと同等の生理学的応答を誘発する。キメラオプシンGPCRタンパク質をコードする核酸分子並びにキメラオプシンGPCRタンパク質を含むか又は発現するカプシド、ベクター、細胞及び担体も提供される。さらに、キメラオプシンGPCRタンパク質を遺伝子操作する方法及びキメラオプシンGPCRタンパク質の医療用途が提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
細胞外及び細胞内ループ(EL及びIL)によって接続された7つの膜貫通ドメイン(TM1~TM7)を含むキメラオプシンGPCRタンパク質であって、
上流オプシンの光感受性オプシン部分を含み、
前記上流オプシン部分は、発色団を共有結合する発色団ポケットを含み、
前記キメラオプシンGPCRタンパク質は、第2のGPCRタンパク質(標的GPCRタンパク質)の第2のGPCR部分(標的GPCR部分)を含み、
前記標的GPCR部分は、C末端ドメイン(標的-GPCR-CT)を含む、キメラオプシンGPCRタンパク質において、
前記上流オプシン部分は、上流オプシンCTの近位領域(O-CT近位領域)の遠位端又はその下流に位置する切断部位を有する切断型C末端ドメイン(切断型オプシンCT)をさらに含み、
前記O-CT近位領域は、NR(K)Qモチーフ及び遠位方向に続く7~13アミノ酸を含み、
それにより、前記キメラオプシンGPCRタンパク質は、キメラC末端ドメイン(キメラCT)を含み;
前記標的GPCR-CTは、前記切断型オプシンCTの下流に位置することを特徴とするキメラオプシンGPCRタンパク質。
【請求項2】
前記O-CT近位領域の前記遠位端は、
- ヘリックス8(H8)の遠位端、
- パルミトイル化部位、又は
- ウシロドプシンのパルミトイル化部位に対応する位置
を含む群から選択される位置に位置する、請求項1に記載のキメラオプシンGPCR。
【請求項3】
前記O-CT近位領域への遠位伸長の遠位端に前記上流オプシンCTの前記切断部位を含み、
前記O-CT近位領域への前記遠位伸長は、前記O-CT近位領域の前記遠位端の下流又は特に前記パルミトイル化部位の下流に最大5、若しくは最大10、若しくは最大16、若しくは最大22又は最大28、29、30、31、32、33、34若しくは35アミノ酸を含む、請求項1又は2に記載のキメラオプシンGPCR。
【請求項4】
前記上流オプシンは、メラノプシンの群から選択される、請求項3に記載のキメラオプシンGPCR。
【請求項5】
前記上流オプシンは、少なくとも50、65、80、100、150又は200アミノ酸の長さを有するCTを含むオプシンの群から選択される、請求項3に記載のキメラオプシンGPCR。
【請求項6】
前記上流オプシン部分は、前記切断部位までの前記上流オプシン全体を含むか、又は
前記上流オプシン部分は、E(DRY)モチーフから前記切断部位までの前記上流オプシンの連続領域を含むか、又は
前記上流オプシン部分は、TM3、TM4、TM5、TM6及びTM7と、任意選択により前記切断部位までの前記切断型オプシンCTとを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載のキメラオプシンGPCR。
【請求項7】
前記上流オプシン部分は、膜貫通ドメインTM3及びTM7を含み、特に膜貫通ドメインTM3~TM7、TM2~TM7又はTM1~TM7を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載のキメラオプシンGPCR。
【請求項8】
前記上流オプシン部分は、EL1、EL2、EL3及びNTから選択される細胞外ドメインの1つ以上を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載のキメラオプシンGPCR。
【請求項9】
前記上流オプシン部分は、2つ以上の親オプシン、特に2つの親オプシンに由来する、請求項1~8のいずれか一項に記載のキメラオプシンGPCR。
【請求項10】
前記上流オプシン部分は、非ヒトオプシンである親オプシンに由来する膜貫通ドメインを含み、
前記上流オプシン部分は、ヒトオプシンである親オプシンに由来する1つ、又は2つ、又は3つ、又は全ての細胞外ドメインをさらに含む、請求項1~9のいずれか一項に記載のキメラオプシンGPCR。
【請求項11】
TM7及び前記切断型オプシンCTは、同じ親オプシンに由来する、請求項1~10のいずれか一項に記載のキメラオプシンGPCR。
【請求項12】
前記上流オプシン部分は、前記細胞外ドメインの全て、前記膜貫通ドメインの全て及び全ての細胞内ループを含む、請求項1~11のいずれか一項に記載のキメラオプシンGPCR。
【請求項13】
前記上流オプシン部分は、前記上流オプシンCTの前記切断部位までの親上流オプシン全体を含む、請求項1~12のいずれか一項に記載のキメラオプシンGPCR。
【請求項14】
前記上流オプシン部分は、単安定若しくは双安定オプシン又は三安定オプシン、特に双安定オプシンに由来する、請求項1~13のいずれか一項に記載のキメラオプシンGPCR。
【請求項15】
前記上流オプシン部分は、
- メラノプシン(OPN4)、
- ロドプシン(RHO)、
- 錐体オプシン(OPN1SW、OPN1LW及びOPN1MW)、
- クラゲオプシン(cubop、JellyOP)、
- ハエトリグモロドプシン(JSR1)、
- パラピノプシン(PPO)、
- ニューロプシン(OPN5)、
- エンセファロプシン(OPN3)
を含むオプシンの群から選択される親オプシンに由来する、請求項1~14のいずれか一項に記載のキメラオプシンGPCR。
【請求項16】
特に1つ以上のアミノ酸の欠失、特にNPxxYモチーフと、パルミトイル化部位まで又は前記パルミトイル化部位に近位に隣接するアミノ酸位置までの任意のアミノ酸位置との間のN末端欠失を含む、親標的GPCRのCTの機能的変異体である標的CTを含む、請求項1~15のいずれか一項に記載のキメラオプシンGPCR。
【請求項17】
前記標的GPCR部分は、非オプシンGPCRに由来するか、又は標的オプシンと呼ばれる第2のオプシンに由来する、請求項1に記載のキメラオプシンGPCR。
【請求項18】
前記標的CT部分は、
特に、
- 錐体オプシン、特にOPN1SW、OPN1MW又はOPN1LW、
- セロトニン受容体、特に5-HT7、
- ミューオピオイド受容体、
- βアドレナリン受容体、特にベータ1アドレナリン受容体、ベータ2アドレナリン受容体及びベータ3アドレナリン受容体
を含む群から選択されるクラスA GPCR;
特に、
- ホルモン受容体、特にグルカゴン受容体(GCGR)
を含む群から選択されるクラスB GPCR;
特に、
- GABA受容体、特にGABAB1及びGABAB2
- 代謝型グルタミン酸受容体、特にmGluR6及びmGluR5受容体
を含む群から選択されるクラスC GPCR
を含むGPCRタンパク質の群から選択される親標的GPCRに由来する、請求項1~17のいずれか一項に記載のキメラオプシンGPCR。
【請求項19】
前記標的GPCRは、クラスA GPCR若しくはクラスB GPCR又はクラスC GPCRを除く別のクラスのGPCRのGPCRであり、任意選択により、前記標的GPCR部分は、IL1、IL2及びIL3から選択される1つ以上の細胞内ループを含む、請求項1~18のいずれか一項に記載のキメラオプシンGPCRタンパク質。
【請求項20】
前記標的GPCRタンパク質は、クラスC GPCR、特にmGluR6であり、前記クラスC標的GPCR部分は、任意選択により、以下の基準:
A:前記キメラGPCRにおいて、前記上流オプシン部分に含まれる天然サイズのIL3と、その天然位置に対応する位置における前記クラスC GPCRの天然サイズのIL2との同時存在は、除外されること;
B:前記上流オプシン部分は、前記細胞内ループIL1~IL3の全てを含むこと;
C:前記上流オプシン部分は、IL1を含み、及び前記標的GPCR部分は、対応する位置で前記上流オプシンIL2及びIL3を置き換えるIL2及びIL3の両方を含むこと
の1つが満たされることを条件として、IL1、IL2及びIL3から選択される1つ以上の細胞内ループを含む、請求項1~19のいずれか一項に記載のキメラオプシンGPCR。
【請求項21】
前記キメラオプシンGPCRの前記CTは、以下の要素の群:
- ゴルジ搬出シグナル、
- 膜輸送配列、
- 蛍光タンパク質をコードする配列要素
から選択される1つ以上の配列要素をさらに含み、
前記1つ以上の選択された要素は、前記キメラオプシンGPCR CTのC末端に任意の順で独立して配置される、請求項1~20のいずれか一項に記載のキメラオプシンGPCR。
【請求項22】
前記キメラオプシンGPCRの前記CTは、選択されたものとして、搬出シグナル、特に小胞体搬出シグナル、より具体的には配列番号86によるアミノ酸配列を含むか又はそれからなる、Kir2.1からの前記小胞体搬出シグナル又は特にゴルジ搬出シグナル、より具体的には配列番号85によるアミノ酸配列を含むか又はそれからなる、カリウムチャネルKir2.1からの前記ゴルジ搬出シグナルを含む、請求項1~21のいずれか一項に記載のキメラオプシンGPCR。
【請求項23】
前記キメラオプシンGPCRの前記CTは、選択された配列要素として、特にオプシンからの、より具体的にはロドプシンからの、最も具体的には配列番号87によるアミノ酸配列を含むか又はそれからなる膜輸送配列を含む、請求項1~22のいずれか一項に記載のキメラオプシンGPCR。
【請求項24】
前記キメラオプシンGPCRの前記CTは、蛍光タンパク質をコードする選択された配列要素、特にmKate2、TurboFP635又はmScarletを含み、
前記蛍光タンパク質は、前記キメラオプシンGPCRの前記CTに直接融合されているか、又はIRES又はT2A配列を介して連結されているかのいずれかである、請求項1~23のいずれか一項に記載のキメラオプシンGPCR。
【請求項25】
前記標的GPCR部分は、IL1をさらに含み、前記標的GPCRのIL1は、前記上流オプシンのIL1を置き換える、請求項1~24のいずれか一項に記載のキメラオプシンGPCR。
【請求項26】
前記上流オプシンのIL3は、前記標的GPCRのIL3によって置き換えられるか;又は
前記上流オプシンのIL3は、キメラIL3によって置き換えられ、前記標的GPCRのIL3は、前記オプシンIL3内の可変領域を置き換える、請求項1~25のいずれか一項に記載のキメラオプシンGPCR。
【請求項27】
特に、前記標的GPCRは、mGluR6であり、前記標的CTは、前記NR(K)Qモチーフ又はその上流に近位端を含む、請求項1~26のいずれか一項に記載のキメラオプシンGPCR。
【請求項28】
前記標的GPCRは、mGluR6であり、mGluR6のIL3は、前記オプシンIL3の可変領域を部分的に置き換え、それによりキメラIL3を形成する、請求項1~27のいずれか一項に記載のキメラオプシンGPCR。
【請求項29】
前記標的GPCRは、mGluR6であり、
前記上流オプシン部分は、IL1、IL2及びIL3から選択される前記細胞内ループの1つ以上をさらに含み、
ただし、上流オプシン-mGluR6キメラタンパク質において、前記上流オプシン部分に含まれる天然サイズのIL3と、mGluR6部分に含まれる天然サイズのIL2との同時存在は、除外されることを条件とする、請求項1~28のいずれか一項に記載のキメラオプシンGPCR。
【請求項30】
前記上流オプシン部分は、メラノプシンに由来し、且つNT、EL1~EL3、TM1~TM7、IL1及び前記切断型オプシンCTを含み、前記標的GPCR部分は、mGluR6に由来し、且つIL2、IL3及びCTを含むか、又は前記標的GPCR部分は、hOPN1mwに由来し、且つIL2、IL3及びCTを含む、請求項1~29のいずれか一項に記載のキメラオプシンGPCR。
【請求項31】
配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10及び配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号22、配列番号24、配列番号26、配列番号28、配列番号30及び配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号38、配列番号40、配列番号42及び配列番号44を含む群から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項1に記載のキメラオプシンGPCR。
【請求項32】
配列番号18、配列番号20、配列番号22、配列番号24、配列番号26及び配列番号28を含む群から選択されるアミノ酸配列を含むか又はそれからなる、請求項31に記載のキメラオプシンGPCR。
【請求項33】
前記アミノ酸配列は、
- 保存的アミノ酸置換、
- 1~最大3、5、8又は15アミノ酸の範囲の欠失、
- 1~最大3、5、8又は15アミノ酸の範囲の挿入
から選択される1つ以上の変異を含む、前記配列のいずれか1つの変異体であり、
前記キメラオプシンGPCRタンパク質は、前記標的GPCRに特異的なGアルファタンパク質の光活性化依存性結合を示す、請求項35に記載のキメラオプシンGPCR。
【請求項34】
前記アミノ酸配列は、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%の同一性を有する、前記配列のいずれかの1つの変異体である、請求項35又は36に記載のキメラオプシンGPCR。
【請求項35】
親オプシンCT及び親標的GPCR CTに由来するキメラC末端ドメイン(キメラCT)、特に請求項1~34のいずれか一項に記載のキメラオプシンGPCRタンパク質の前記キメラC末端ドメイン(キメラCT)を含むペプチドであって、
特にヘリックス8(H8)及びそれぞれウシロドプシンのC322又はC323に対応するパルミトイル化部位を含み、且つ前記オプシンの前記パルミトイル化部位の下流に最大33、34又は35アミノ酸を任意選択によりさらに含む、前記CTの近位領域を含むオプシンの切断型C末端ドメイン(切断型オプシン-CT)を含み、
標的GPCRのC末端ドメイン(標的GPCR CT)又はその機能的変異体、特に機能的フラグメントをさらに含み、前記標的GPCR CTは、前記切断型オプシンCTの下流に位置する、ペプチド。
【請求項36】
請求項1~35のいずれか一項に記載のキメラオプシンGPCRタンパク質又はペプチドをコードする核酸分子。
【請求項37】
配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10及び配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号22、配列番号24、配列番号26、配列番号28、配列番号30及び配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号38、配列番号40、配列番号42及び配列番号44を含む群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも90%、又は少なくとも95%、又は少なくとも98%同一であるアミノ酸配列からなるキメラオプシンGPCRをコードする核酸配列を含む、請求項36に記載の核酸分子。
【請求項38】
配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9及び配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号17、配列番号19、配列番号21、配列番号23、配列番号25、配列番号27、配列番号29及び配列番号31、配列番号33、配列番号35、配列番号37、配列番号39、配列番号41及び配列番号43を含む群から選択される核酸配列と少なくとも70%、又は80%、又は90%同一である核酸配列を含む、請求項36に記載の核酸分子。
【請求項39】
配列番号17、配列番号19、配列番号21、配列番号23、配列番号25及び配列番号27を含む群から選択される核酸配列を含むか又はそれからなる、請求項36に記載の核酸分子。
【請求項40】
請求項35~39のいずれか一項に記載の核酸分子を標的細胞に送達するための医学的治療において使用するためのAAVカプシドポリペプチド。
【請求項41】
AAV2、AAV2(7m8)又はAAV8(BP2)のカプシドタンパク質である、請求項40に記載の使用のためのAAVカプシドポリペプチド。
【請求項42】
AAV2カプシドポリペプチドであり、且つ野生型AAV2のアミノ酸587及び588間にアミノ酸インサートを含み、
前記ペプチドインサートは、
- SASEAST(配列番号60)、
- TPPSITA(配列番号61)、
- PRTPHTA(配列番号62)、
- NHAPNHC(配列番号63)
を含むペプチド配列の群から選択される配列を含むか又はそれからなる、請求項41に記載の使用のためのAAVカプシドポリペプチド。
【請求項43】
前記AAV2カプシドは、7~13アミノ酸のポリペプチドを含み、
特に、前記ペプチドインサートは、請求項42に記載のペプチドインサートを含み、且つ1つ又は2つの隣接リンカーをさらに含み、
前記リンカーは、前記リンカー中のアミノ酸の総数が6アミノ酸を超えないことを条件として、いずれかの側に最大1、2、3、4又は5つのアミノ酸を含み、
特に、前記リンカーは、いずれかの側に2つ又は3つのアミノ酸を含み、
前記リンカーは、
i.アミノ酸G及びA、又は
ii.アミノ酸A、N、L、T、R、G、A、N、L及びR、特にA、L、N、R
から選択されるアミノ酸を含むか又はそれからなり、より具体的には、前記アミノ酸の少なくとも1つは、N及びRから選択される、請求項41又は42に記載の使用のためのAAVカプシドポリペプチド。
【請求項44】
野生型AAV2のN587及びR588間において、
- AAASASEASTAA(配列番号64)、
- AAATPPSITAAA(配列番号65)、
- AAAPRTPHTAAA(配列番号66)、
- NLANHAPNHCAR(配列番号67)、
- NLAPRTPHTAAR(配列番号68)
から選択されるペプチドインサートを含む、請求項43に記載の使用のためのAAVカプシドポリペプチド。
【請求項45】
野生型AAV血清型2(AAV2)の587~592の位置、特にAAV血清型2のN587~R588の位置又は別の血清型のAAVのそれに相同な位置にペプチドインサートを含むアデノ随伴ウイルス(AAV)カプシドポリペプチドであって、前記ペプチドインサートは、
【化1】

を含む配列の群から選択される、アデノ随伴ウイルス(AAV)カプシドポリペプチド。
【請求項46】
a.アミノ酸位置252、272、444、500、700、704及び/又は730のチロシン(Y)からフェニルアラニン(F);及び/又は
b.アミノ酸位置491のスレオニン(T)からバリン(V)
から選択される突然変異の1つ以上を含む、請求項40~44のいずれか一項に記載の使用のためのAAVカプシドポリペプチド又は請求項45に記載のAAVカプシド。
【請求項47】
特に、配列番号74によるアミノ酸配列を含むか又はそれからなる、請求項42に記載の使用のためのAAVカプシドポリペプチド又は請求項45若しくは請求項45及び46に記載のAAVカプシド。
【請求項48】
請求項40~47のいずれか一項に記載のAAVカプシドをコードする核酸分子。
【請求項49】
AAV2、AAV2(7m8)、又はAAV8(BP2)、又はAAV2(NHAPNHC)、又はAAV2(PRTPHTA)から選択されるカプシドポリペプチドをコードする核酸配列を含むか又はそれからなる、請求項48に記載の核酸分子。
【請求項50】
- AAASASEASTAA(配列番号64)、
- AAATPPSITAAA(配列番号65)、
- AAAPRTPHTAAA(配列番号66)、
- NLANHAPNHCAR(配列番号67)、
- NLAPRTPHTAAR(配列番号68)
から選択される、AAV2ゲノムのN587及びR588間のペプチドインサートを有するアミノ酸配列を含むカプシドポリペプチドをコードする核酸配列を含むか又はそれからなる、請求項48又は49に記載の核酸分子。
【請求項51】
導入遺伝子を含み、特に、前記導入遺伝子は、キメラオプシンGPCRをコードし、且つ特に配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9及び配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号17、配列番号19、配列番号21、配列番号23、配列番号25、配列番号27、配列番号29及び配列番号31、配列番号33、配列番号35、配列番号37、配列番号39、配列番号41及び配列番号43を含む群から選択される核酸配列を含むか又はそれからなる、請求項48~50のいずれか一項に記載の核酸分子。
【請求項52】
配列番号17、配列番号19、配列番号21、配列番号23、配列番号25及び配列番号27を含む群から選択される核酸配列を含むか又はそれからなるmela(palm)-mGluR6キメラGPCRをコードする導入遺伝子を含む、請求項48~51のいずれか一項に記載の核酸分子。
【請求項53】
細胞特異的プロモーターを含み、
前記細胞特異的プロモーターは、前記導入遺伝子に作動可能に連結されており、
前記細胞特異的プロモーターは、特にON双極細胞特異的プロモーターであり、より具体的には200En-mGluR500Pプロモーター、配列番号75による770En_454P(hGRM6)プロモーター若しくは配列番号76による444En_454P(hGRM6)プロモーター又は網膜ON双極細胞若しくはその要素の内因性mGluR6プロモーターを含む群から選択される、請求項51又は52に記載の核酸分子。
【請求項54】
請求項45、又は請求項45及び46、又は請求項45及び47に記載のAAVカプシドをコードする配列を含む組換えAAVベクター(rAAV)。
【請求項55】
請求項36~39のいずれか一項に記載の核酸分子を含むベクター、特にプロモーターに作動可能に連結されている、請求項36~39のいずれか一項に記載のキメラオプシンGPCRタンパク質をコードする導入遺伝子を含む核発現ベクター。
【請求項56】
組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)である、請求項54又は55に記載のベクター。
【請求項57】
AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11及びAAV12、特にAAV2又はAAV8を含むAAV血清型の群から選択される、請求項54~56のいずれか一項に記載のベクター。
【請求項58】
- AAVカプシドタンパク質をコードする配列、及び/又は
- プロモーター、特に細胞特異的プロモーター、より具体的には双極細胞特異的プロモーター
を含む配列の群から選択される核酸配列をさらに含む、請求項54~57のいずれか一項に記載のベクター。
【請求項59】
特に、
- GRM6-sv40プロモーター、
- 4xGRM6-sv40プロモーター、
- 200En-mGluR500Pプロモーター、
- 770En_454P(hGRM6)プロモーター 配列番号75、
- 444En_454P(hGRM6)プロモーター 配列番号76、及び
- 網膜ON双極細胞又はその要素の内因性mGluR6プロモーター
を含むプロモーターの群から選択されるON双極細胞特異的プロモーターによって駆動される、請求項35~39のいずれか一項に記載のキメラオプシンGPCRをコードする核酸分子を含む、請求項54~58のいずれか一項に記載のベクター。
【請求項60】
キメラメラノプシン-mGluR6(Mela-mGluR6)、特にMela(palm)-mGluR6若しくはMela(palm+33)-mGluR6又はキメラOPN1mw-mGluR6或いは2つのオプシンを含むキメラオプシンGPCRをコードする導入遺伝子を含む、請求項54~59のいずれか一項に記載のベクター。
【請求項61】
導入遺伝子を含み、前記導入遺伝子は、
- 特に配列番号17、配列番号19、配列番号21、配列番号23、配列番号25及び配列番号27を含む群から選択される配列の1つによるMela(palm)-mGluR6、又は
- 特に配列番号15によるMela(palm+33)-mGluR6、又は
- 特に配列番号29又は配列番号31から選択される配列による、細胞内ループを追加的に含むMela-mGluR6
を含む群から選択されるキメラMela-mGluR6をコードする、請求項54~60のいずれか一項に記載のベクター。
【請求項62】
請求項40~47のいずれか一項、特に請求項43~47のいずれか一項に記載のAAVカプシドをコードする核酸配列を追加的に含む、請求項54~61のいずれか一項に記載のベクター。
【請求項63】
前記キメラオプシンGPCRをコードする導入遺伝子に作動可能に連結された770En-445P(hGRM6)プロモーターを含み、
AAV2(7m8)、AAV8(BP2)、AAV2(NHAPNHC)及びAAV2(PRTPHTA)を含む群から選択されるカプシドをコードする核酸配列をさらに含み、
特に、前記導入遺伝子は、
- 上流オプシンとしてメラノプシン若しくはhOPN1mwを含み、且つ標的オプシンとしてmGluR6を含むキメラオプシンGPCR又は2つのオプシンを含むキメラオプシンGPCR、
- Mela(palm)-mGluR6又はMela(palm+33)-mGluR6から選択されるキメラオプシンGPCR、
- 配列番号15、配列番号17、配列番号19、配列番号21、配列番号23、配列番号25及び配列番号27、配列番号29又は配列番号31を含む群から選択される核酸配列によってコードされるキメラオプシンGPCR
を含む群から選択される前記キメラオプシンGPCRをコードする、請求項54~62の組み合わせによるベクター。
【請求項64】
配列番号79による配列を有する核酸分子を含むか又はそれからなる、請求項54又は55に記載のベクター。
【請求項65】
請求項36~39のいずれか一項に記載の核酸分子を含むか、又は請求項54~64のいずれか一項に記載のベクターを含み、且つ/又は請求項1~35のいずれか一項に記載のオプシン-GPCRタンパク質を含むトランスジェニック動物、特にトランスジェニックマウス又はトランスジェニック細胞。
【請求項66】
特に生殖細胞株を除く幹細胞株に由来するか、又は
- HEK293-GIRK細胞、
- 網膜内層ニューロン、特にON双極細胞、
- 腎臓細胞、及び
- Gs、Gq又はG12/13から選択されるGタンパク質を発現する細胞
を含む細胞株の群から特に選択される器官型細胞株に由来する、請求項60に記載のトランスジェニック細胞。
【請求項67】
CRISPR/cas修飾ゲノムを含む、請求項65又は66に記載のトランスジェニック動物又はトランスジェニック細胞。
【請求項68】
請求項1~35のいずれか一項に記載のキメラオプシンGPCRタンパク質、又は
請求項36~39のいずれか一項に記載の核酸分子若しくは請求項54~64のいずれか一項に記載のベクター
を含む担体であって、
前記核酸分子又は前記ベクターは、前記キメラオプシンGPCRをコードする導入遺伝子を含み、
前記担体は、前記キメラオプシンGPCRの標的細胞又はヒト若しくは非ヒト動物への導入に適しており、
任意選択により、前記担体は、小胞、粒子、マイクロ粒子、ナノ粒子及び金粒子を含む群から選択される、担体。
【請求項69】
前記導入遺伝子及びCRISPR/casカセットを含む、請求項68に記載の導入のための担体。
【請求項70】
キメラメラノプシン-mGluR6(Mela-mGluR6)、特にMela(palm)-mGluR6若しくはMela(palm+33)-mGluR6又はキメラOPN1mw-mGluR6或いは2つのオプシンを含むキメラオプシンGPCRをコードする前記導入遺伝子を含む、請求項65~67のいずれか一項に記載のトランスジェニック動物若しくはトランスジェニック細胞又は請求項68若しくは69に記載の導入のための担体。
【請求項71】
前記導入遺伝子は、
- 特に配列番号17、配列番号19、配列番号21、配列番号23、配列番号25及び配列番号27を含む群から選択される配列の1つによるMela(palm)-mGluR6、又は
- 特に配列番号15によるMela(palm+33)-mGluR6、又は
- 特に配列番号29又は配列番号31から選択される配列による、細胞内ループを追加的に含むMela-mGluR6
を含む群から選択されるキメラMela-mGluR6をコードする、請求項65~67のいずれか一項に記載のトランスジェニック動物若しくはトランスジェニック細胞又は請求項68若しくは69に記載の導入のための担体。
【請求項72】
特に請求項1~35のいずれか一項に記載のキメラオプシンGPCRタンパク質又はキメラペプチドをコードする核酸分子を遺伝子操作する方法であって、
前記キメラオプシンGPCRタンパク質又は前記キメラペプチドは、切断型上流オプシンCTを含むキメラC末端ドメイン(キメラCT)を含み、
前記キメラCTは、親上流オプシンCT及び親標的GPCR CTに由来し、
前記方法は、
A-1 O-CT近位領域の遠位端のアミノ酸位置又は前記O-CT近位領域への遠位伸長内において、前記親上流オプシンの前記CTの切断部位(x)を選択するステップ、
A-2 前記選択された切断部位で切断される切断型CTを有する上流オプシン部分又はペプチドをコードする核酸分子を取得するステップ;
B-1 前記親標的GPCR CTの近位領域内、特にNR(K)Qモチーフ若しくはその上流又はNPxxYとNR(K)Qモチーフとの間において、切断部位(y)を選択するステップ、
B-2 標的GPCR CT又はその機能的変異体、特にその機能的フラグメントをコードする核酸分子を取得するステップ;及び
C-1 ステップA-2で取得された、前記切断型オプシン-CTをコードする前記核酸分子を、ステップB-2で取得された、前記標的CT又は前記その機能的変異体をコードする前記核酸分子と融合させるステップ
を含む、方法。
【請求項73】
ステップA-1において、前記切断部位(x)は、
- 前記切断部位(x)は、前記NR(K)Qモチーフ又はその少なくとも7、若しくは8、若しくは9、若しくは10、若しくは11、若しくは12、若しくは13アミノ酸下流に位置するヌクレオチドに位置すること、
- 前記切断部位(x)は、パルミトイル化部位又はパルミトイル化部位に対応するアミノ酸の下流、特に遠位に隣接して位置すること、
- 前記切断部位は、前記NR(K)Qモチーフの最大45、又は47、又は49ヌクレオチド下流に位置すること
を含む基準の群から選択される基準の1つ以上を満たす、請求項72に記載の遺伝子操作の方法。
【請求項74】
特に、前記上流オプシンは、メラノプシンであり、
ステップA-1において、前記切断部位(x)は、
- 前記切断部位(x)は、O-CT近位領域の最大30、又は31、又は32、又は33、又は34、又は35アミノ酸下流、特に前記O-CT近位領域への遠位伸長の遠位端に位置すること、
- 前記切断部位(x)は、前記NR(K)Qモチーフの最大45、又は47、又は49ヌクレオチド下流に位置すること、
- 前記切断部位は、リン酸化部位の保存されたクラスターの下流のアミノ酸位置に、且つ特に保存されたリン酸化部位の前記クラスターの遠位端に遠位に隣接して位置すること
を含む基準の群から選択される基準の1つ以上を満たす、請求項72に記載の遺伝子操作の方法。
【請求項75】
ステップA-1で選択される、前記上流オプシンにおける前記切断部位x及びステップB-1で選択される、前記標的GPCRの前記切断部位yは、両方ともそのそれぞれのパルミトイル化部位若しくはパルミトイル化部位に対応するアミノ酸位置に位置するか、又は両方とも前記NR(K)Q部位の7~13、特に8~12、より具体的には9~11又は10アミノ酸下流に位置する、請求項72に記載の遺伝子操作の方法。
【請求項76】
1つ以上の細胞内ループを置き換えるか又は部分的に置き換える、特に対応する位置において、前記上流オプシンの1つ以上の細胞内ループ又は部分的細胞内ループを、前記標的GPCRの細胞内ループによって交換するための1つ以上の追加的なステップを含み、
特に、1つ以上のスプライシング部位は、
- IL1の交換のための接合部a及び接合部b、
- IL2の交換のための接合部c及び接合部d、
- IL3の交換のための接合部e及び接合部f、
- 前記標的GPCRのIL3との交換で前記上流オプシンIL3の高度可変領域を除去する、IL3内の2つのスプライシング部位
を含む群から選択される、請求項72~75のいずれか一項に記載の遺伝子操作の方法。
【請求項77】
ステップA及び又はステップB前に、
- 任意選択により配列アライメントツールを使用して、前記オプシン又はそのフラグメントのアミノ酸配列を、前記標的GPCR又はそのフラグメントのアミノ酸配列とアラインするステップ、
- 特に、
- E(D)RY/NRI、
- IL3のTM6との接合部の周辺のE、
- NPxxY、
- NR(K)Q、
- パルミトイル化C、及び
- 前記標的GPCRもオプシンである場合、TM7の発色団の結合のためのK
を含む、保存されたモチーフの群から選択される保存されたモチーフを構成するアミノ酸位置を決定するステップ
を含む、前記親GPCRをコードする核酸配列の一方又は両方における保存されたモチーフの同定を追加的に含み、
任意選択により、前記上流オプシンのアミノ酸配列は、保存されたモチーフを構成するアミノ酸位置の同定のために、ウシロドプシンのアミノ酸配列とアラインされる、請求項72~76のいずれか一項に記載の遺伝子操作の方法。
【請求項78】
ステップA及び/又はステップB前に、二次/三次タンパク質構造を予測するためのプログラムに一次アミノ酸配列を入力するステップを含む、前記親オプシン及び前記親標的GPCRの一方又は両方における保存された3D GPCRドメイン又はサブドメイン、特にサブドメインヘリックス8の同定を追加的に含む、請求項72~77のいずれか一項に記載の遺伝子操作の方法。
【請求項79】
医学的使用、特に遺伝子治療のための、
請求項1~35のいずれか一項に記載のキメラオプシンGPCRタンパク質、又は
請求項36~39のいずれか一項に記載の前記オプシンGPCRタンパク質をコードする核酸分子、又は
請求項40~47のいずれか一項に記載のカプシド、又は
請求項48~53のいずれか一項に記載の前記カプシドをコードする核酸分子、又は
請求項54~64のいずれか一項に記載のベクター、又は
請求項65~71のいずれか一項に記載の担体若しくは細胞。
【請求項80】
請求項79に記載の使用のためのものであり、前記使用の目的は、視力の改善、部分的又は完全な失明の処置、網膜色素変性症(RP)の処置、黄斑変性症の処置及び他の形態の光受容体変性の処置を含む群から選択される、
キメラオプシンGPCRタンパク質、又は
前記オプシンGPCRをコードする核酸分子、又は
カプシド若しくは前記カプシドをコードする核酸分子、又は
ベクター、若しくは担体、若しくは細胞。
【請求項81】
請求項79又は80に記載の使用のための、
キメラオプシンGPCRタンパク質、又は
前記オプシンGPCRをコードする核酸分子、又は
カプシド若しくは前記カプシドをコードする核酸分子、又は
ベクター、若しくは担体、若しくは細胞であって、
前記キメラオプシンGPCRは、キメラオプシンmGluR6 GPCR又は上流オプシン及び標的オプシンを含むキメラGPCRから選択され、特に、前記標的オプシンは、錐体オプシン又はロドプシンである、
キメラオプシンGPCRタンパク質、又は
前記オプシンGPCRをコードする核酸分子、又は
カプシド若しくは前記カプシドをコードする核酸分子、又は
ベクター、若しくは担体、若しくは細胞。
【請求項82】
請求項1~35のいずれか一項に記載のキメラオプシンGPCRタンパク質、又は
請求項36~39のいずれか一項に記載の前記オプシンGPCRタンパク質をコードする核酸分子、又は
請求項40~47のいずれか一項に記載のカプシド、又は
請求項48~53のいずれか一項に記載の前記カプシドをコードする核酸分子、又は
請求項54~64のいずれか一項に記載のベクター、又は
請求項65~71のいずれか一項に記載の担体若しくは細胞
を含む産物の群から選択される産物を含む医薬組成物であって、
任意選択により、前記キメラオプシンGPCRは、キメラオプシンmGluR6 GPCR又は上流オプシン及び標的オプシンを含むキメラGPCRから選択され、
任意選択により、前記標的オプシンは、錐体オプシン又はロドプシンである、医薬組成物。
【請求項83】
処置を必要とするヒト又は非ヒト動物を処置する方法であって、
請求項1~35のいずれか一項に記載のキメラオプシンGPCRタンパク質、又は
請求項36~39のいずれか一項に記載の前記オプシンGPCRタンパク質をコードする核酸分子、又は
請求項40~47のいずれか一項に記載のカプシド、又は
請求項48~53のいずれか一項に記載の前記カプシドをコードする核酸分子、又は
請求項54~64のいずれか一項に記載のベクター、又は
請求項65~71のいずれか一項に記載の担体若しくは細胞
の投与を含み、
任意選択により、前記キメラオプシンGPCRは、キメラオプシンmGluR6 GPCR又は上流オプシン及び標的オプシンを含むキメラGPCRから選択され、
任意選択により、前記標的オプシンは、錐体オプシン又はロドプシンである、方法。
【請求項84】
視力を改善するための医学的治療、又は部分的若しくは完全な失明の処置、又は網膜色素変性症(RP)の処置、又は黄斑変性症の処置、又は他の形態の光受容体変性症の処置のための薬剤の製造における、
請求項1~35のいずれか一項に記載のキメラオプシンGPCRタンパク質、又は
請求項36~39のいずれか一項に記載の前記オプシンGPCRタンパク質をコードする核酸分子、又は
請求項40~47のいずれか一項に記載のカプシド、又は
請求項48~53のいずれか一項に記載の前記カプシドをコードする核酸分子、又は
請求項54~64のいずれか一項に記載のベクター、又は
請求項65~71のいずれか一項に記載の担体若しくは又は細胞
の使用であって、
任意選択により、前記キメラオプシンGPCRは、キメラオプシンmGluR6 GPCR又は上流オプシン及び標的オプシンを含むキメラGPCRから選択され、
任意選択により、前記標的オプシンは、錐体オプシン又はロドプシンである、使用。
【請求項85】
請求項1~35のいずれか一項に記載のキメラオプシンGPCRタンパク質、又は
請求項36~39のいずれか一項に記載の前記オプシンGPCRタンパク質をコードする核酸分子、又は
請求項40~47のいずれか一項に記載のカプシド、又は
請求項48~53のいずれか一項に記載の前記カプシドをコードする核酸分子、又は
請求項54~64のいずれか一項に記載のベクター、又は
請求項65~71のいずれか一項に記載の担体若しくは細胞
を含む産物の群から選択される産物を含み、
前記産物は、キメラオプシンGPCRタンパク質を含むか、又は前記キメラオプシンGPCRタンパク質をコードする核酸配列を含む核酸分子を含み、
前記キメラオプシンGPCRは、
- 特に配列番号18、配列番号20、配列番号22、配列番号24、配列番号26及び配列番号28を含む群から選択される配列によるMela(palm)-mGluR6、又は
- 特に配列番号16によるMela(palm+33)-mGluR6、又は
- 特に配列番号30又は配列番号32から選択される配列による、細胞内ループを追加的に含むMela-mGluR6
を含む群から選択される、請求項79~84のいずれか一項に記載の医療用途。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光遺伝学の分野にあり、且つさらなる光感受性キメラオプシンGPCRタンパク質を導入する。特に、本発明は、光感受性オプシン及びさらなるGPCRタンパク質を含むキメラGPCRタンパク質、並びにそれらをコードする核酸分子、並びにそのような核酸分子を操作する方法に関する。本発明は、キメラオプシンGPCR又はそれをコードする核酸分子を含むカプシド、ベクター及び粒子並びに治療用途、例えばキメラオプシンGPCRタンパク質の光活性化及び意図的に選択されたシグナル伝達カスケードへのカップリングに基づく医薬及び遺伝子治療の方法にさらに関する。本発明は、特に、オプシン-mGluR6キメラタンパク質及び光受容体変性による視力喪失を患っているヒト又は動物患者の遺伝子治療処置のためのその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
約3000人に1人は、光受容体変性及び失明を引き起こす遺伝子変異を患っている。光受容体の喪失にもかかわらず、下流の網膜ニューロンは、大部分が無傷のままである。最近の研究では、光受容体喪失後に残存している網膜組織に光活性化可能なタンパク質を直接導入すると、光感受性及び機能的視力を回復できることが示された(Lagali P.S.et al.,2008;van Wyk M et al.,2015;Cehajic-Kapetanovic J.et al.2015)。
【0003】
国際公開第2012/174674号パンフレットは、mGluR6の細胞内ドメインを含むキメラ光感受性Gタンパク質共役型受容体(GPCR)タンパク質を開示している。そのようなキメラGPCRタンパク質の1つは、光感受性GPCRメラノプシン並びにmGluR6のIL2、IL3及びCTを含み、Opto-mGluR6とも呼ばれる(van Wyk M et al.,2015)。有利には、Opto-mGluR6タンパク質は、内因性mGluR6受容体の光活性化可能なバージョンであり、したがって標的ON-双極細胞中に排他的に存在する天然mGluR6タンパク質であるGアルファ(o)Gタンパク質を活性化することにより、光活性化をmGluR6特異的細胞内シグナル伝達カスケードにカップリングすることができる。
【0004】
GPCRは、製薬業界の主要なターゲットである(Sriram P.et al,2018)。従来技術は、例えば、Optogenetic user’s guide to Opto-GPCRs(Kleinlogel S.,2016)でレビューされているように、又は例えばオピオイドのシグナル伝達及び挙動を時空間的に制御するために、opto MORと呼ばれるキメラロドプシンMOPRオピオイド受容体タンパク質が適用されるように(Siuda et al.2015)、標的GPCR特異的Gタンパク質シグナル伝達カスケードの光学的活性化を可能にする他のアプローチを含む。
【0005】
したがって、機能的に活性なキメラオプシンGPCRタンパク質は、以下の2つの機能を提供する。第一に、それらは、光活性化可能であり、すなわち、それらは、その光感受性オプシン部分のために光感受性である。第二に、それらは、光活性化を標的GPCRタンパク質のGPCRシグナル伝達経路にカップリングする。
【0006】
GPCRタンパク質(Gタンパク質共役型受容体タンパク質;略してGPCR)は、ヒトゲノムにおける受容体の最大のスーパーファミリーを表し、配列相同性及び機能的類似性に基づく系統分類のGRAFSシステムに従って5つのファミリー(又はクラス)に分類される(Schioeth,H.B.及びFredriksson R,2005)。
【0007】
クラスAは、GPCRタンパク質の最大且つ最もよく理解されているファミリーである。これは、その「プロトタイプ」にちなんでロドプシンファミリーとも呼ばれる。
【0008】
全てのファミリーのGPCRは、高度に保存された三次構造及び同様の活性化モードを共有している。全てのGPCRは、様々な長さの3つの細胞外ループ及び3つの細胞内ループ(EL及びIL)並びに細胞外N末端ドメイン(NT)及び細胞内C末端ドメイン(CT)によって接続された7つの膜貫通ドメイン(TM1~TM7)を含む。
【0009】
さらに、大半のクラスA GPCR及び他のGPCRクラス、特にクラスC GPCRのGPCRタンパク質の多く又は大部分は、7つの膜貫通ヘリックス(TM1~TM7)に加えて、TM7の下流のヘリックス8(H8)を含む(Bruno et al,2012)。H8は、GPCRのCTの近位領域にあるCTのサブドメインであり、膜貫通ヘリックスではない。むしろ、H8は、細胞膜の細胞質表面に平行且つ隣接して存在するため、両性ヘリックスと呼ばれることもある。
【0010】
GPCR受容体タンパク質は、3つの機能的サブユニット、すなわちG-アルファ、G-ベータ及びG-ガンマサブユニットからなるヘテロ三量体Gタンパク質と生理学的に相互作用する。Gタンパク質は、アルファサブユニットの構造的類似性及びそれらが誘導する調節性応答のタイプに基づいて4つのサブファミリー、すなわちGs、Gi/o、Gq/11及びG12/13に分類されている。各GPCRは、Gタンパク質の1つのサブファミリーに優先的にカップリングするため、1つのシグナル伝達カスケードを優先的に刺激する。GPCR受容体とGタンパク質の間の構造的相互作用は、例えば、Moreira I,2014に要約されるように、多くの研究の対象となっている。Gタンパク質の4つの主要なクラスは、それ自体がサブクラスに分けられる。例えば、活性化段階のmGluR6は、Gアルファ(i/o)のサブクラスであるGアルファ(o)に結合する。
【0011】
例示的な親オプシンの生理学的細胞環境に存在する例示的な内因性Gタンパク質は、メラノプシンの場合にはG(アルファ)q、錐体オプシンの場合にはG(アルファ)t、クラゲオプシンの場合にはG(アルファ)である。
【0012】
驚くべきことに、GPCRファミリーのメンバーは、類似した3次元構造にもかかわらず、機能、シグナル伝達及び3D構造安定性に重要な3つの主要なGPCRクラスA、B及びCの構造アライメントによって同定されるいくつかの保存されたアミノ酸と短いモチーフを除いて(Schwartz et al.2006,Nygaard et al.2013)、他のファミリーのメンバーと実質的に配列の類似性を示さない(Kleinlogel,2016)。
【0013】
過去10年間で、ドメインは2つのGPCR間、特に光活性化オプシンGPCRとリガンド活性化非オプシンGPCRタンパク質間で交換され、機能的に活性なキメラGPCRタンパク質のいくつかの例を提供している。これらのキメラGPCRは、リガンド又は特に光によって活性化され、これは、第1のGPCRタンパク質の特徴であり、第2のGPCRタンパク質の特徴であるGアルファタンパク質に結合することにより、このシグナル活性化を第2のGPCRタンパク質にカップリングする(Kleinlogel,2016;Morri et al.,2018;Siuda et al.,2015)。このようなドメインの交換は、配列の類似性がないにもかかわらず、GPCRタンパク質の配列アライメント及び以下に標識として説明する保存されたモチーフを使用したドメインの同定によって可能になる。
【0014】
上記の高度に保存されたアミノ酸及び短いモチーフのいくつかは、細胞内ドメインと膜貫通ドメインとの間の接合部に位置しており、特に、
- TM3とIL2との間の接合部(c)の高度に保存されたE(D)RY(配列番号80)モチーフ、
- IL3とTM6との間の接合部(f)のグルタミン酸残基(E)
(これらは一緒になって、TM3とTM6との間に、GPCRの非活性状態を安定させる「イオンロック」を形成する);
- TM7とCTの近位端との間、特にTM7とヘリックス8(H8)の近位端との間の接合部(g)のNPxxYモチーフ(配列番号81)
である。
【0015】
TM3とIL2との接合部のE(D)RY部位及びIL3とTM6との接合部のグルタミン酸残基及びTM7の末端のNPxxYモチーフによって形成されるTM3とTM6との間のイオンロックは、両方とも重要な構造的制約を提供し、これは、シグナルに応じて、例えば光活性化によるレチナールの光異化時又はリガンド結合時に再配置され、それによりGPCRタンパク質の活性化構造を形成する(Fritze et al.2003)。
【0016】
NR(K)Q(例えば、HPK又はHEP)配列(配列番号82)は、大半のGPCR、特にクラスA及びクラスC GPCRのCTの近位領域におけるH8の近位端にあるさらに高度に保存されたモチーフである。NR(K)Qモチーフと、多くの場合にH8を含むCTの近位領域とは、活性化時のGPCRタンパク質の構造スイッチに関連しているようであり、すなわちリガンド結合又はオプシンの場合には光吸収によってトリガーされる。さらに、NR(K)QモチーフとCTの近位領域とは、GPCR活性を制御するためのアレスチン結合に重要であると考えられている(例えば、Sato T,2019)。
【0017】
キメラオプシンGPCRタンパク質は、7つの膜貫通ドメインを含み、特にTM3の遠位端にあるE(D)RYモチーフ及びTM7の遠位端にあるNPxxYモチーフなどの高度に保存されたモチーフを含む、GPCR受容体タンパク質の高度に保存された三次構造を示す。
【0018】
さらに部分的に保存された構造要素及びモチーフには、以下のものが含まれる。
- H8の遠位方向に直接続き、ウシロドプシンのC322及びC323に対応する1つ又は2つのパルミトイル化部位(Ovchinnikov Yu A,1988)。パルミチン酸に結合したアミノ酸残基の共有結合修飾により、H8の遠位端が膜にアンカーされる。大半のオプシンでは、H8の遠位端のシステイン残基がパルミトイル化されている。H8の遠位端のアミノ酸残基のパルミトイル化は、主にGPCR膜の局在化、脂質ラフトの動員及びタンパク質の安定化に関与していると考えられている。いくつかの例外的なオプシン、例えば錐体オプシンOPN1MW及びOPN1LWは、H8の遠位端にパルミトイル化アミノ酸を含まない。
- 一般的にパルミトイル化部位を超えて遠位方向に位置するC末端のリン酸化部位。リン酸化部位は、典型的には、リン酸化されたセリン若しくはスレオニン又はときにチロシン残基を指す。リン酸化部位は、GPCR受容体の代謝回転の脱感作及び内在化に関与している。それらは、特にGタンパク質共役型受容体キナーゼ(GRK)及びアレスチンなどの活性調節因子の結合優先度も決定し、これらは、Gタンパク質シグナル伝達の動態に影響を及ぼす。例えば、メラノプシンは、複数のリン酸化部位を有する特に長いC末端を有し、特に、いくつかの遠位リン酸化部位は、概日時計に同調するこのオプシンの時間的に統合された生理学的機能に有利なシグナル伝達の停止を遅くすることが示されている(Mure L.et al,2016を参照されたい)。
【0019】
オプシンは、さらに保存されたモチーフを含む。特に、発色団を共有結合させるために発色団ポケットに存在する2つの保存されたモチーフがある。全ての動物オプシンの発色団は、11-cis-レチナールである。発色団ポケットには、2つの高度に保存されたモチーフがある。
- シッフ塩基を介して発色団11-cis-レチナールに共有結合しているTM7の保存されたリジン(K)、
- 11-cis-レチナールのシッフ塩基結合を安定化させるTM3の陰性対イオン(E)。
【0020】
換言すれば、発色団ポケットは、発色団に共有結合するTM7のリジン残基であるシッフ塩基を含み、TM3の陰性対イオンをさらに含む。
【0021】
生理学的機能の回復及び調節又はGPCR受容体活性の調節などの医学的治療におけるそれらの使用のために特に好ましい特性を示すように遺伝子操作された、さらなる光感受性キメラGPCRタンパク質に対するさらなる必要性が依然として存在する。特に好ましい特性には、例えば、構造安定性、生理学的に適切な速度論的特性、応答の有意な強度及び標的GPCRの生理学的局在化への効率的な細胞内輸送が含まれる。
【0022】
さらなる医療用途のためのさらなる標的GPCRを含む光感受性オプシンGPCRキメラの必要性も依然として存在する。さらなる医療用途における光活性化可能なGPCR受容体タンパク質の所望の治療標的の非限定的な例には、例えば、痛み、心不全、不安又は色覚の処置が含まれる。
【0023】
さらに、遺伝子工学によって得られる機能的に活性なキメラ光感受性オプシンGPCRタンパク質の設計におけるさらなるガイダンスの必要性が依然として存在する。光感受性オプシンGPCRタンパク質を生成する単純で効率的な遺伝子工学的方法は、遺伝子治療による変性した光受容体の生理学的回復だけでなく、さらなる用途に適し得る他の標的GPCRタンパク質の活性の操作にも依然として望まれている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0024】
したがって、本発明の一般的な目的は、上記のような必要性を満たし、オプシンと、標的GPCRタンパク質と呼ばれるさらなるGPCRタンパク質との間にキメラGPCRタンパク質を提供することである。
【0025】
本発明の特定の目的は、例えばその天然の光受容体によって提供される光感受性シグナル伝達活性の欠如又は不十分さによる、部分的又は完全な視力喪失を有する患者の遺伝子治療におけるそれらの使用のための1つ以上の特に好ましい特性を示すさらなるキメラオプシンmGluR6タンパク質を提供することである。
【0026】
本発明の特定の目的は、例えば、それらの標的細胞における効率的な発現、例えばON双極細胞におけるオプシン-mGluR6キメラの効率的な発現;それらの標的細胞におけるその効率的且つ特異的な細胞内ソーティング、例えばON双極細胞におけるオプシン-mGluR6キメラのmGluR6シグナロソームへの樹状突起輸送;双極細胞におけるGαoへのカップリングなど、標的細胞の天然GPCR Gタンパク質シグナル伝達経路への効率的なカップリング;構造安定性、生理学的動態及び低い脱感作を伴う生理学的アウトプットを生成する能力を示すことを含む、1つ以上の特定の好ましい特性を有するキメラオプシンGPCRタンパク質を設計することである。
【0027】
本発明のさらなる目的は、任意の標的GPCRに適用可能なキメラオプシン-GPCR設計の単純な原理を提供して、標的-GPCR特異的Gタンパク質シグナル伝達カスケードの光活性化を可能にすることである。この目的は、特に細胞の生理学的操作又は遺伝子治療又は他の医学的及び薬理学的用途における使用のために、キメラオプシンGPCRタンパク質を設計及び遺伝子操作するための簡単な方法の必要性に対処する。
【0028】
本発明のさらなる目的は、特に現在の医薬品で達成されない比類のない特異性を有する治療的GPCRシグナル伝達経路を再確立又は改善することを可能にする光遺伝学的治療においても使用するために、キメラオプシンGPCRによって選択された細胞応答を調節することである。
【0029】
本発明のこの目的の非限定的な例には、例えば、キメラオプシンオピオイド受容体GPCR、キメラオプシンヒドロキシトリプタミン受容体(HT)GPCR、キメラGABA(B)受容体及び薬剤としての使用のためのキメラオプシンベータアドレナリン作動性受容体GPCRタンパク質などのさらなるキメラオプシンGPCRを提供することが含まれる。
【0030】
したがって、本発明の目的は、設計されたキメラオプシンGPCRタンパク質をコードする遺伝子操作された核酸分子、キメラオプシンGPCRタンパク質をコードする融合遺伝子を含む核酸分子を遺伝子操作及び発現する方法並びに薬剤、特にキメラオプシンGPCRタンパク質又はそれらをコードする核酸分子にそれぞれ基づく遺伝子治療産物及び方法を提供することをさらに含む。
【課題を解決するための手段】
【0031】
説明が進むにつれてより容易に明らかになる本発明のこれらの目的及びさらなる目的を実行するために、キメラオプシンGPCRタンパク質及びそれに関連する本発明の態様は、以下に記載される特徴によって明らかにされる。
【0032】
本発明の第1の態様において、キメラオプシンGPCRタンパク質が提供される。
【0033】
キメラオプシンGPCRタンパク質は、様々な長さの細胞外及び細胞内ループ(EL及びIL)によって接続された7つの膜貫通ドメイン(TM1~TM7)を含む。
【0034】
キメラオプシンGPCRタンパク質は、上流オプシンの光感受性オプシン部分と、標的GPCRタンパク質と呼ばれる第2のGPCRタンパク質の標的GPCR部分と呼ばれる第2のGPCR部分とを含む。
【0035】
標的GPCR部分は、標的GPCR(標的GPCR CT又はより短い標的CT)のC末端ドメインを含む。
【0036】
上流オプシン部分は、発色団を共有結合する発色団ポケットを含む。
【0037】
上流のオプシン部分は、切断型C末端ドメインをさらに含む。上流オプシンのこの切断型CTは、上流オプシンCTの近位領域(O-CT近位領域)の遠位端又はその下流に位置する切断部位を有する。
【0038】
このO-CT近位領域は、NR(K)Qモチーフ及び遠位方向に続く7~13アミノ酸を含み、それにより、前記キメラオプシンGPCRタンパク質は、キメラC末端ドメイン(キメラCT)を含む。
【0039】
標的GPCR-CTは、切断型オプシンCTの下流に位置する。
【0040】
以下でさらに詳細に説明するように、大半のオプシンのCTの近位領域は、NR(K)Qモチーフで始まり、その7~13アミノ酸下流のアミノ酸位置で終わるヘリックス8(H8)と呼ばれるサブドメインを含む。最近、Gタンパク質結合及び活性調節におけるH8の潜在的に重要な役割が構造データによって示された(Ahn et al.,2010,Sato,2019,Tsai,et al.,2018)。他方では、本発明者らが見出したように、Gタンパク質結合特異性は、CTのより遠位の領域によって調節される。H8は、多くの場合、その遠位端で1つ以上のパルミトイル化部位によって細胞質膜にアンカーされている。O-CT近位領域の遠位端は、NR(K)Qモチーフの遠位端のおよそ10アミノ酸、すなわち7~13、又は8~12、又は9~11アミノ酸下流の任意のアミノ酸位置に配置され得る。文献では、H8は、TM7ドメインとCTドメインとの間に配置された追加のGPCRドメインと見なされることもあれば、CTのサブドメインと見なされることもある。本文では、H8は、CTのサブドメインと呼ばれる。
【0041】
したがって、いくつかの実施形態において、O-CT近位領域の遠位端は、
- ヘリックス8(H8)の遠位端、
- パルミトイル化部位、又は
- ウシロドプシンのパルミトイル化部位に対応する位置
を含む群から選択される位置に位置する。
【0042】
光活性化キメラオプシンGPCRは、その活性化を天然オプシンシグナル伝達経路にカップリングするのではなく、代わりに遺伝子工学によるキメラオプシンGPCRの設計及び構築に使用される意図的に選択された標的GPCRのシグナル伝達経路にカップリングするため、第2のGPCRタンパク質は、標的GPCRと呼ばれる。
【0043】
上流オプシンCTの近位領域(O-CT近位領域)を標的GPCRのCT(標的CT)と共に含むC末端ドメインが、キメラオプシンGPCRタンパク質の光活性化を標的GPCRのシグナル伝達カスケードに効率的にカップリングするのに十分であることは、本発明者の予想外の発見である。これは、特に、細胞内輸送、応答速度、Gタンパク質結合特異性及び標的GPCRタンパク質の対応する特性を模倣するキメラオプシンGPCRの細胞内結合パートナーとの相互作用に関連している。
【0044】
これは、O-CT近位領域の遠位端のパルミトイル化部位で切断され、標的CTと一緒にスプライシングされた、上流オプシンを含むキメラオプシンGPCRで最初に観察された。
【0045】
切断型上流CT及び標的CTを含む、すなわちキメラCTを含むキメラオプシンGPCRタンパク質が、天然の標的GPCRタンパク質の生理学的応答に対応するか、又はそれより優れた応答を有する標的GPCRタンパク質の細胞内ループがない場合でも、標的GPCRのシグナル伝達経路へのカップリングを実現することは、実際に特筆すべき驚きである。O-CT近位領域が埋め込まれた切断型オプシンCTは、標的CTによるGタンパク質活性化の効率を有意に向上させる。
【0046】
本発明のオプシンGPCRタンパク質は、光活性化Gタンパク質活性化を増強するためにO-CT近位領域を含むように設計されている。一方で、それらは、上流オプシンのCT全体を含まないように設計されている。代わりに、O-CT近位領域の遠位に位置し、細胞内輸送、速度論的調節及び(本発明に示されるような)Gタンパク質特異性に関与する上流オプシンCTの領域は、キメラオプシンGPCRから除外される。換言すれば、キメラオプシンGPCRの標的GPCR部分のみが、これらの生理学的活性を誘導するC末端領域を含む。これにより、上流オプシンCTに由来する分子情報と標的GPCR CTの分子情報との干渉が回避され、したがってGタンパク質特異性、細胞内局在の特異性及び標的GPCRに関連する速度論的調節が強化される。したがって、キメラオプシンGPCRタンパク質は、光活性化時、標的GPCRの応答を模倣し、光活性化は、標的GPCRのシグナル伝達カスケードに効率的にカップリングされる。
【0047】
標的GPCRタンパク質の細胞内ループは、任意選択により、本発明のキメラオプシンGPCRに付加され得るが、それらは、必須ではない。したがって、本発明は、標的CTの近位端と一緒にスプライシングされた上流オプシンCTの切断部位にある単一の遺伝子融合部位のみを用いて(所望の場合)、光活性化可能なキメラオプシンGPCRタンパク質の遺伝子操作を可能にする。
【0048】
したがって、本発明は、標的細胞の正しい細胞内区画で強力に発現し、標的GPCRの生理学的応答を模倣する応答を誘発する標的細胞の天然Gタンパク質経路を効率的に活性化する、最小限の遺伝子操作のみを必要とするさらなるオプシンGPCRキメラを提供する。
【0049】
驚くべきことに、本明細書に記載のキメラオプシンGPCRタンパク質は、全ての細胞内ループがない場合でも、例えばopto-mGluR6(van Wyk et al.2015)などの先行技術で利用可能なキメラ光感受性GPCRと比較して、標的GPCRに特異的な生理学的応答を模倣する。
【0050】
いくつかの実施形態において、標的GPCRタンパク質は、代謝型グルタミン酸受容体6(mGluR6)である。mGluR6は、網膜ON双極細胞の内因性GPCRタンパク質であり、これは、健常な生理学的視覚シグナル伝達カスケードにおいてグルタミン酸によって活性化され、Gアルファ(o)タンパク質に結合することによってその活性化を視覚シグナルカスケードにカップリングする。ON双極細胞は、視覚シグナルカスケードの生理学的光受容体細胞の直接下流にある網膜ニューロンである。
【0051】
本発明の第1の態様は、O-CT近位領域及び標的GPCR CT又はその機能的変異体を含むキメラC末端ペプチドにさらに関する。キメラC末端ペプチドのいくつかの実施形態において、標的GPCR CTのそのような機能的変異体は、H8の遠位端又はパルミトイル化部位に近位端を有する標的GPCRの遠位C末端フラグメントである。キメラC末端ペプチドのいくつかの実施形態において、C末端フラグメントは、標的GPCR CTのH8をさらに含む。
【0052】
本発明の第2の態様は、本発明の第1の態様による、キメラオプシンGPCRタンパク質及びキメラC末端ペプチドをコードする核酸分子に関する。
【0053】
本発明の第3の態様は、第1の態様によるキメラオプシンGPCRをコードする第2の態様による核酸分子を標的細胞に導入する、医学的使用のためのAAVカプシドに関する。第3の態様は、カプシドをコードする核酸分子にさらに関する。
【0054】
独立した発明は、導入遺伝子を標的細胞及びカプシドをコードする核酸分子にパッケージング及び輸送するための、新規で合理的に設計されたアデノ随伴ウイルス(AAV)カプシドに関する。独立した発明は、特に、キメラオプシンGPCRをコードする核酸分子の標的細胞への導入に関する。
【0055】
本発明の第4の態様は、本発明の第1の態様によるキメラオプシンGPCRタンパク質又はキメラC末端ペプチドをコードする本発明の第2の態様による核酸分子を含むベクターに関する。
【0056】
本発明の第5の態様は、第2の態様による核酸分子を含むか又はそれを発現する粒子、特にナノ粒子、小胞、細胞(特に生殖細胞を除く)及び動物、又は第3の態様によるベクター、又は本発明の第1の態様によるキメラオプシンGPCRを含むベクターに関する。
【0057】
本発明の第6の態様は、本発明の第1の態様のキメラオプシンGPCRタンパク質をコードする第2の態様の核酸分子を遺伝子操作する方法に関する。
【0058】
本発明の第7の態様は、医学的使用のための本発明によるキメラオプシンGPCRタンパク質に関する製品に関する。特に、第7の態様は、第1の態様によるキメラオプシンGPCRタンパク質、又は第2の態様による前記オプシンGPCRタンパク質をコードする核酸分子、又は両方とも本発明の第3の態様によるカプシド又は前記カプシドをコードする核酸分子、又は第4の態様によるベクター、又は医学的治療における使用のための粒子、小胞又は細胞に関する。第7の態様は、本発明によるキメラGPCRタンパク質に基づく上記の産物を使用する薬剤及び処置方法にさらに関する。
【0059】
本発明の上記の態様のいくつかの実施形態は、特に、キメラオプシンmGluR6タンパク質又は2つのオプシンを含むキメラオプシンGPCR並びに特に光受容体変性による部分的又は完全な視力喪失を患っている患者の遺伝子治療のためのそれらの使用に関する。
【0060】
以下の詳細な説明を考慮すると、本発明は、よりよく理解され、上記以外の目的が明らかになるであろう。そのような説明では、添付の図面が参照される。
【図面の簡単な説明】
【0061】
図1】オプシンの一般的な構造である。
図2】例示的なキメラオプシンGPCRのスキームである。
図3-1】キメラオプシンmGluR6の例示的な実施形態である。
図3-2】(上記のとおり。)
図4】キメラオプシンGPCRの例示的な実施形態は、細胞膜を標的とする。
図5】キメラC末端を有するキメラオプシンmGluR6の例示的な実施形態は、親オプシンと比較して、オプシン-mGluR6によって媒介される光活性化電流を増加させた。
図6-1】HEK-GIRK細胞を用いたキメラオプシンGPCRのインビトロ機能スクリーニングの例である。
図6-2】(上記のとおり。)
図7-1】キメラオプシンGPCRの例示的な実施形態のGタンパク質再標的化及び経路選択性を探索するプレートリーダー実験である。
図7-2】(上記のとおり。)
図8】キメラオプシン-mGluR6変異体の例示的な実施形態のON-双極細胞樹状突起及びmGluR6シグナロソームへの正しいインビボ輸送である。
図9】キメラオプシン-mGluR6 GPCRの例示的な実施形態は、単離されたON-双極細胞を直接光感受性にする。
図10】キメラオプシンmGluR6変異体の例示的な実施形態によるAAV遺伝子治療によって処置された盲目マウスの視力のインビボ測定である。
図11】キメラオプシン-mGluR6の例示的な実施形態で処置された盲目rd1網膜の網膜神経節細胞から記録されたeエクスビボ光応答である。
図12】キメラオプシン-mGluR6の例示的な実施形態を発現するAAVの例示的な実施形態を用いた硝子体内遺伝子治療後の2つの盲目rd1網膜からの網膜を通る垂直凍結切片の顕微鏡写真である。
図13】HEK293-GIRK細胞で発現した例示的なJSR1(S186F)palm-ベータ2ARキメラの全細胞パッチクランプ法で測定された光誘導電流である。
【発明を実施するための形態】
【0062】
定義及び詳細な説明
別段の定義がない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明に関する当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。それ以外の場合、本明細書で使用される特定の用語は、以下の説明に記載される意味を有する。
【0063】
本明細書及び特許請求の範囲で使用される場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」及び「その」は、文脈が明らかに他のことを示さない限り、複数形を含む。
【0064】
特に明記しない限り、一連の要素の前にある「少なくとも」という用語は、一連の要素の全ての要素を指すと理解されるべきである。
【0065】
本文では、「含む」又は「含んでいる」という用語は、記載された要素若しくはステップ又は要素若しくはステップの群を含むように定義される。本文では、「含む」又は「含んでいる」という用語は、一般に、他の要素若しくはステップ又は要素若しくはステップの群を排除するものではない。さらに、本文の「含む」又は「含んでいる」という用語は、要素若しくはステップ又は要素若しくはステップの群の正確な記載にも関する。「含む」又は「含んでいる」という用語の意味のこの後者の場合にのみ、実際には、特許請求の範囲で指定されていない要素、ステップ又は成分を一般に除外する「からなる」という用語と一致する。
【0066】
本発明の第1の態様は、キメラオプシンGPCRタンパク質に関する。第2のGPCRタンパク質の光感受性上流オプシン部分及び第2のGPCR部分(標的GPCR部分)を含む「キメラオプシンGPCRタンパク質」という句は、上記のようにGPCRタンパク質の中で特徴的な保存された構造である三次構造を含む光感受性の遺伝子操作されたGPCRタンパク質を指す。キメラオプシンGPCRタンパク質(又は(キメラ)オプシンGPCR受容体、若しくは(キメラ)オプシンGPCR、若しくはキメラGPCRとも呼ばれる)及びキメラ核酸分子又はそれらをコードするキメラ(融合)遺伝子は、特に、例えば親遺伝子の切断及び選択された親遺伝子部分のライゲーション又は例えばキメラオプシンGPCRタンパク質又はそのフラグメントをコードする核酸分子の合成を含む当技術分野で公知の遺伝子工学技術によって入手可能である。上流オプシン部分は、キメラGPCR受容体への光曝露時に光感受性及び活性化を付与する。第2のGPCR部分は、上で説明したように、キメラオプシンGPCRタンパク質の光活性化の、標的GPCRの生理学的シグナル経路に特異的なGタンパク質へのカップリングを提供するため、標的GPCR部分と呼ばれる。例示的な標的GPCRには、例えば、βアドレナリン受容体、GABA(B)受容体、MOR、ミューオピオイド受容体、5-HT7などのセロトニン受容体、OPN1などの第2オプシン及びmGluR6又はmGluR5などの代謝型グルタミン酸受容体(mGluR)が含まれる。
【0067】
本文では、キメラオプシンGPCRが由来するオプシン及び標的GPCRは、親GPCRと呼ばれる。したがって、例えば、キメラメラノプシンmGluR6タンパク質は、親GPCRメラノプシン及び親mGluR6の一部を使用して、設計及び操作される。文脈から明らかであるように、親GPCRという用語は、親GPRCタンパク質若しくは親GPCR遺伝子のいずれか又はその両方を指す。
【0068】
本文では、GPCRタンパク質という用語は、Gタンパク質共役型受容体タンパク質を指す。
【0069】
本文では、「オプシン」という用語は、クラスA GPCRタンパク質の光感受性メンバーを指し、特に生理学的な天然オプシンを指す。いくつかの実施形態における「オプシン」という用語は、機能的に活性である、すなわち、以下でさらに説明するように、保存されたGPCR 3D構造及び保存されたモチーフを一般に含む天然オプシンの変異体である光感受性オプシンも含み得る。そのような遺伝子オプシン変異体は、例えば、変異したオプシン遺伝子又は遺伝子操作された、例えば機能的で光感受性のオプシンをコードするキメラオプシン遺伝子に由来する核酸分子によってコードされる。
【0070】
同様に、標的GPCRという用語は、一般に、生理学的な天然に存在する標的GPCRを指し、いくつかの実施形態において、mGluR6の変異体などの天然の標的GPCRの変異体を指し、これは、一般に、上記の保存されたGPCR 3D構造及び保存されたモチーフを示し、機能的である、すなわち活性化を標的GPCRのシグナル伝達経路に効率的にカップリングすることができる。標的GPCRのそのような変異体は、例えば、変異した標的GPCR遺伝子又は遺伝子操作された、例えば機能的活性標的GPCRタンパク質をコードするキメラ標的GPCR遺伝子に由来する核酸分子によってコードされる。
【0071】
したがって、本文では、いくつかの実施形態におけるドメイン又はサブドメインという用語は、GPCRタンパク質の生理学的な天然ドメインに加えて、例えば変異した又は遺伝子操作された、例えば天然のGPCRドメイン又はサブドメインを機能的に模倣するキメラ又は合成ドメイン又はサブドメインなどのドメイン又はサブドメインの遺伝子変異体を含み得る。
【0072】
上流オプシン部分の各ドメインは、上流オプシンをコードする遺伝子(上流オプシン遺伝子)又はその遺伝子変異体に由来する遺伝子フラグメントによってコードされる。標的GPCR部分の各ドメインは、標的GPCR遺伝子又はその遺伝子変異体に由来する遺伝子フラグメントによってコードされている。上流オプシン遺伝子フラグメントによってコードされるキメラオプシンGPCRの全てのドメインは一緒に上流オプシン部分と呼ばれ、同様に、標的GPCR遺伝子フラグメントによってコードされる全てのドメイン又はサブドメインは一緒に標的GPCR部分と呼ばれる。いくつかの実施形態において、上流オプシン部分及び又は標的GPCR部分は、1つ以上、特に2つ又は3つの親遺伝子に由来し得る。
【0073】
標的GPCRは、任意のGPCRクラス、特にクラスA、B又はCから、より具体的にはクラスA又はCから選択され得る。クラスAの例示的な標的GPCRには、例えば、錐体オプシン、セロトニン受容体(例えば、5-HT7)、ミューオピオイド又はβアドレナリン受容体が含まれる。クラスBの例示的な標的GPCRには、例えば、グルカゴン受容体(GCGR)及び他のホルモン受容体が含まれる。クラスCの例示的な標的GPCRには、例えば、代謝型グルタミン酸受容体(mGluR、例えば、mGluR6、mGluR5)又はGABAB受容体)が含まれる。
【0074】
GPCRタンパク質の膜貫通ドメインと細胞内ドメインとの間及びそれに対応してそれらをコードする遺伝子フラグメントとの間の遷移を形成する、6つの接合部が存在し、図1に示すように、TM1とIL1との間の接合部(a)、IL1とTM2との間の接合部(b)、TM3とIL2との間の接合部(c)、以下同様にTM7とCTとの間の接合部(g)まで名付けられる。
【0075】
同様に、GPCRタンパク質の膜貫通ドメインと細胞外ドメインとの間及びそれらをコードする遺伝子フラグメントとの間の遷移を形成する、6つの接合部も存在し、図2に示すように、NTとTM1との間の接合部(A’)TM2とEL1との間の接合部(B’)EL1とTM3との間の接合部(C’)、以下同様にEL3とTM7との間の接合部(G’)まで名付けられる。
【0076】
本文では、当技術分野で一般的に使用される「保存されたモチーフ」という用語は、まったく同一の、例えば特定の保存されたモチーフを指す場合に一般的に引用される3~5アミノ酸からなるモチーフに限定されない。むしろ、これらの保存されたモチーフのそれぞれは、例えば、以下の表1に含まれるものなど、いくつかの選択肢を表す特に高頻度のプロトタイプ配列から名付けられている。
【0077】
さらに、機能的変異体は、保存されたモチーフから誘導することができる。例えば、E(D)RYモチーフの機能的変異体(ERY及びDRY)には、DRIY(配列番号83)、NRIY(配列番号84)又はNRYが含まれ、これらは全て光感受性オプシン-mGluR6キメラGPCRを生成する(国際公開第2012/174674号パンフレットを参照されたい)。保存されたモチーフの例示的な機能的変異体も以下の表2に示されている。
【0078】
明らかに、いくつかの保存されたモチーフは、TMドメインと細胞内ドメインとの間の接合部又はその周辺、すなわち膜貫通ヘリックス(TM1~TM7)と細胞内ループ(IL1~IL3)とC末端(CT)との間の接合部又はその周辺に生じる。しかし、全ての接合部が必ずしも高度に保存されたモチーフを含むわけではない。
【0079】
本文では、NPxxYモチーフという用語は、TM7の遠位端、すなわちGPCRタンパク質、特に親上流オプシン又は親標的GPCR又はキメラオプシンGPCRのTM7/CT接合部周辺の保存されたモチーフを指し、以下の1つ以上の基準を満たすことによって定義される。
A)アミノ酸の1文字コードによると、配列NPxxYの5つの連続アミノ酸の配列であり、xは任意のアミノ酸残基に対応する;
B)例えば以下の表Iに列挙された、特定のGPCRのNPxxYモチーフに対応する配列である;
C)親GPCR、特に親上流オプシンのアミノ酸配列のアライメントにおいて、ウシロドプシンのアミノ酸配列が、ウシロドプシンのN(302)PxxY(136)の配列に対応する5つの連続アミノ酸の配列である。
【0080】
多くの配列変異を示しているが、NPxxYモチーフは、全てのクラスA GPCR及び他の大半のGPCRに存在し、同定可能である(例えば、Sato,2019の表2を参照されたい)。
【0081】
本文では、NR(K)Qモチーフという用語は、GPCRタンパク質、特に親上流オプシン又は親標的GPCR又はキメラオプシンGPCR及びH8の近位端周辺のオプシンCTのNPxxYモチーフの数アミノ酸下流のCTの近位領域にある保存されたモチーフを指し、以下の基準の一方又は両方を満たすことによって定義される。
A)特定のGPCR、特に親上流オプシンのNR(K)Qモチーフに対応する配列であり、表I又はDavies et al.2010に記載されているもの;
B)親GPCR、特に親上流オプシンのアミノ酸配列のアライメントにおいて、ウシロドプシンのアミノ酸配列が、ウシロドプシンのN(310)KQ(312)の配列に対応する3~4つの連続アミノ酸の配列である。
【0082】
NR(K)Qモチーフは、全てのクラスA GPCR及び他の大半のGPCRに存在し、同定可能である。特に、NR(K)Qモチーフは、多くの配列変異を示すが、ウシロドプシンとの配列アライメントによって識別可能な3~4つの連続アミノ酸の配列に対応する。NR(K)Qモチーフには、HPK、HPE、HKQ、HPR、IRK、DYKなどの配列が含まれる(Davies W.et al.,2010)。
【0083】
本文では、「パルミトイル化部位」及び「パルミトイル化部位に対応するアミノ酸位置」(後者は略してパルミトイル化部位とも呼ばれる)という用語は、以下の基準A、B、C及びDの1つ以上を満たすことによって定義される。特に、パルミトイル化部位という用語は、1つの基準、例えばAを満たすか、又は2つの基準B及びC又はB及びD又はC及びDを満たすか、又は3つの基準B、C及びDを満たす。基準A~Dは、以下のとおりである。
A)親GPCR、特に親オプシンのCTのパルミトイル化アミノ酸残基である;
B)アミノ酸システイン(C)、セリン(S)、スレオニン(T)、チロシン(Y)又はトリプトファン(W)から選択されるオプシンのNR(K)Qモチーフの遠位端の少なくとも7アミノ酸、特に少なくとも8又は9又は10又は11又は12又は13アミノ酸下流に位置する親GPCR、特に親オプシンのCTのパルミトイル化可能なアミノ酸残基である;
C)NR(K)Qモチーフの遠位端の7~13アミノ酸残基、特に8~12、又は9~11、又は10アミノ酸残基下流に位置する、親GPCR、特に親オプシンのCTのアミノ酸残基である;
D)親GPCR、特に親オプシンのアミノ酸配列とウシロドプシンとのアライメントにおいて、ウシロドプシンのC322又はC323に対応するのはアミノ酸残基である。
【0084】
特に、この最後の基準Dは、実際にはパルミトイル化されていないが、アミノ酸配列アライメントでロドプシンのパルミトイル化C322及びC323に対応する、H8の末端に位置するアミノ酸残基を指す。例えば、ヒト錐体オプシンhOPN1MWとhOPN1LWの両方で、これらのアミノ酸位置は、アミノ酸残基G338及びK339に対応する。
【0085】
H8の遠位端にあるパルミトイル化アミノ酸残基(存在する場合)は、H8の膜結合を有利に増強する。したがって、H8の遠位端に1つ以上のパルミトイル化部位を有する上流オプシンを含むキメラオプシンGPCRでは、少なくとも1つのパルミトイル化部位が切断型上流オプシンCTに保持されることが最も好ましい。したがって、本文では、上記の基準A又はBを満たすパルミトイル化部位の切断部位への言及は、特に明記しない限り、パルミトイル化部位に隣接して遠位に配置される。
【0086】
本文では、タンパク質及び核酸分子に関連して、下流及び遠位という用語は、タンパク質のC末端方向又は領域及び核酸分子の3’方向又は領域を指し、一方、上流及び近位という用語は、タンパク質のN末端方向又は領域及び核酸分子の5’方向又は領域を指す。~の下流と~の遠位という用語、ひいては~の上流と~近位という用語も互換可能に使用される。
【0087】
本文では、ドメイン、サブドメイン、領域、モチーフ又は部位の上流(又は近位)という用語は、近位に隣接する位置を含む、前記ドメイン、サブドメイン、領域、モチーフ又は部位の近位端の上流(又は近位)である位置を指す。
【0088】
本文では、ドメイン、サブドメイン、領域、モチーフ又は部位の下流(又は遠位)という用語は、遠位に隣接する位置を含む、前記ドメイン、サブドメイン、領域、モチーフ又は部位の遠位端の下流(又は遠位)である位置を指す。
【0089】
本文では、特定のドメイン、サブドメイン、領域、モチーフ又は部位「~において」という句は、前記ドメイン、サブドメイン、領域、モチーフ又は部位内の位置を指す。本文では、特定のモチーフ又は部位の「その位置又はその遠位」という句は、前記ドメイン、サブドメイン、領域、モチーフ又は部位の内部又は遠位の位置を指す。「~又はその下流」、「~又はその近位」及び「~又はその上流」という句に準用することができる。
【0090】
本文では、2つの特定のモチーフ又は部位間の句、例えば、NR(K)Qモチーフとパルミトイル化部位との間の句は、明示的に述べられているか、文脈から明らかでない限り、元のバージョン又は機能的に同等のバージョンで保持又は再構成されている限り、これらのモチーフ又は部位内のアミノ酸位置を含む。実際、2つの保存されたモチーフ若しくは部位間又は保存されたモチーフと別のアミノ酸位置との間のスプライシング部位を含むいくつかの好ましい実施形態において、好ましいスプライシング部位は、保存されたモチーフ内に位置し得、スプライシング操作の完了後、保存されたモチーフ又は部位又はその機能的同等物が保持又は再構成される。
【0091】
本文では、ドメイン、サブドメイン、領域、モチーフ又は部位の近位端又は上流端の句には、まだ完全に又は部分的にその近位(又は上流)端の前記ドメイン、サブドメイン、領域、モチーフ又は部位内にあるか、又は前記ドメイン、サブドメイン、領域、モチーフ又は部位の近位(又は上流端)に近位に隣接している近位(又は上流)端の位置が含まれる。
【0092】
本文では、ドメイン、サブドメイン、領域、モチーフ又は部位の遠位端又は下流端の句には、同様に、まだ完全に又は部分的にその遠位(又は下流端)の前記ドメイン、サブドメイン、領域、モチーフ又は部位内にあるか、又は前記ドメイン、サブドメイン、領域、モチーフ又は部位の遠位に隣接している遠位(又は下流)端の位置が含まれる。
【0093】
本文では、上流及び下流のシグナル伝達経路に関連して、経路の前及び後のステップ又は前及び後のステップにそれぞれ関与する細胞又は成分を指す。
【0094】
本文では、(遺伝子)スプライシング部位という用語と、(遺伝子)融合部位、切断(truncation)部位又は切断(cutting)及びライゲーション部位などの代替又は類似の用語は、特に異なる親GPCRに由来する、異なる起源の遺伝子フラグメントが結合している部位を指す。
【0095】
反対の記載がない限り、保存されたモチーフ又は遺伝子操作の末端の部位に位置する遺伝子スプライシング部位(融合部位、切断(cutting)及びライゲーション部位、切断(truncation)部位)は、上記のようなモチーフ又は設計と同一又は機能的に同等のものを保持又は再構成する。スプライシング部位が特定のモチーフ、部位又はアミノ酸位置の上流/近位又は下流/遠位に位置すると定義されている場合でも、完了した遺伝子操作(例えば、切断(cutting)、ライゲーション、切断(truncating)融合、スプライシング)の結果として、保存されたモチーフ又はアミノ酸が、復元されるか、又は例えばいくつかの実施形態において保存的アミノ酸置換を含む上記のようなその機能的誘導体によって置き換えられるならば、前記遺伝子スプライシング部位は、そのような特定のモチーフ、部位又はアミノ酸に又はその中に位置し得る。
【0096】
本文では、Gタンパク質及びそれに対応するGアルファサブユニットの略称が使用される場合があり、一般に、当技術分野で一般的な、Gアルファ(i/o)につきG(i/o)、Gアルファ(o)につきGa(o)、Gアルファ(q)につきGa(q)に従う。
【0097】
本文では、変異体という用語は、参照ポリペプチドとは異なるが、本質的な特性を保持しているポリペプチド又はそれをコードする遺伝子を指す。ポリペプチドの典型的な変異体は、その一次アミノ酸配列が、参照として使用される別のポリペプチドとは異なる。一般に、差異は、参照ポリペプチド及び変異体の配列が全体的に非常に類似し、多くの領域で同一であるように制限される。変異体及び参照ポリペプチドは、1つ以上の修飾(例えば、置換、付加及び/又は欠失)によってアミノ酸配列が異なり得る。ポリペプチドの変異体は、対立遺伝子変異体などの天然に存在するものであり得るか、又は天然に存在することが知られていない変異体であり得、すなわち、変異体は、人工的に構築され得る。
【0098】
本文では、アミノ酸配列に関連して、「パーセント配列同一性」、「とのパーセント同一性」、「とのパーセント類似性」という句は、アミノ酸配列の全長のアミノ酸残基の数と比較した、2つ以上のアラインしたアミノ酸配列の同一のアミノ酸の一致の数を説明する。したがって当技術分野で公知の配列比較アルゴリズムを使用して測定される最大の一致につき配列が比較及びアラインされる場合又は特に手動でアライン及び視覚的に検査される場合の短い配列モチーフについて、アライメントを使用して、2つ以上の配列について、同じであるアミノ酸残基のパーセンテージ(例えば、アミノ酸配列の全長にわたって90%又は95%又は100%の同一性など)が決定され得る。したがって、配列同一性を決定するために比較される配列は、アミノ酸の置換、付加又は欠失によって異なり得る。タンパク質配列を整列させるための適切なプログラムは、当技術分野で公知である。
【0099】
比較のための配列のアライメントは、例えば、Smith及びWaterman,Adv.Appl.Math.2:482(1981)の局所相同性アルゴリズム、Needleman 25及びWunsch,J.Mol.Biol.48:443(1970)の網羅的アライメントアルゴリズム、Pearson及びLipman,Proc.Nat.Acad.Sci.85:2444(1988)の類似性検索方法又はCLUSTAL、例えば、CLUSTALW、Clustal Omega、GAP、BESTFIT、BLAST、FASTA、TFASTAを含むがこれらに限定されない、これらのアルゴリズムのコンピュータ処理実装によって実行され得る。BLAST分析を実施するためのソフトウェアは、例えば、米国国立バイオテクノロジー情報センター(NCBI BLASTアルゴリズム(Altschul SF,et al(1997),Nucleic Acids Res.25:3389-3402,http://blast.ncbi.nlm.nih.gov/)を通じて公開されている。核酸配列を比較するためのそのような例の1つは、デフォルト設定:予想閾値:10;文字サイズ:28;クエリ範囲での最大一致:0;一致/不一致スコア:1.-2;ギャップコスト:線形を使用するBLASTNアルゴリズムである。特に明記しない限り、本明細書で提供される配列同一性値は、それぞれ上記で同定されたタンパク質及び核酸比較の35のデフォルトパラメーターを使用して、プログラムのBLAST suite(Altschul et al.,J.Mol.Biol.215:403-410(1990))を使用して得られた値を指す。
【0100】
本文では、保存的アミノ酸置換という用語は、例えば、同様のサイズ、形状、電荷、共有結合又は水素結合を形成する能力を含む化学的性質など、対応する参照と物理的、生物学的、化学的又は機能的に類似している修飾を指す。
【0101】
例えば、保存的アミノ酸置換には、アミノ酸残基が同じ側鎖ファミリーからの別のアミノ酸残基で置換されているものが含まれ、例えば、セリンがスレオニンで置換され得る。アミノ酸残基は通常、以下のような一般的な類似の側鎖特性に基づいたファミリーに分類される。
1.非極性側鎖(例えば、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン)、
2.非荷電極性側鎖(例えば、アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、チロシン、プロリン、システイン、トリプトファン)、
3.塩基性側鎖(例えば、リジン、アルギニン、ヒスチジン、プロリン)、
4.酸性側鎖(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、
5.ベータ分岐側鎖(例えば、スレオニン、バリン、イソロイシン)、及び
6.芳香族側鎖(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)。
【0102】
保存的置換には、非天然アミノ酸の使用も含まれ得る。
【0103】
本文では、「類似のタンパク質配列」という用語は、アラインされたときに、比較される配列の対応する位置で類似のアミノ酸残基及び大半の場合同一のアミノ酸残基を共有するものである。類似のアミノ酸残基は、側鎖の化学的特性によってファミリーにグループ化される。前記ファミリーは、「保存的アミノ酸置換」につき上で説明されている。配列間の「パーセント類似性」は、比較される配列の対応する配列位置に同一又は類似の残基を含む位置の数を、比較される位置の総数で除し、100%を掛けたものである。例えば、10個の配列位置のうちの6個が同一のアミノ酸残基を有し、10個の位置のうちの2個が類似の残基を含む場合、配列は80%の類似性を有する。2つの配列間の類似性は、例えば、EMBOSS Needleを使用して決定できる。
【0104】
本文では、オプシンCTの近位領域は、O-CT近位領域と呼ばれ、NR(K)Qモチーフとそれに続く遠位方向の約10アミノ酸、特に7~13、より具体的には8~12又は最も具体的には9~11アミノ酸を含むように定義され、これは、多くの場合、ヘリックス8(H8)を含む。オプシンCTの近位領域には、任意選択により、H8の遠位端にパルミトイル化部位(C)が含まれる。
【0105】
本文では、切断されたオプシンCTという用語は、切断部位で切断された上流オプシンの切断型CTを指し、それを超えると、遠位方向で親上流オプシンCTのアミノ酸が切断型オプシンCTから除外される。切断型CTの切断部位は、O-CT近位領域の遠位端又はその遠位、特に上で定義されるようにO-CT近位領域への遠位伸長の遠位端のアミノ酸位置に配置される。
【0106】
キメラオプシンGPCRタンパク質の好ましい実施形態において、切断型オプシンCTの切断部位は、上流オプシンCTの近位領域(O-CT近位領域)の遠位端に配置される。
【0107】
しかし、キメラオプシンGPCRのいくつかの実施形態は、O-CT近位領域への遠位伸長の遠位端に上流オプシンCTの切断部位を含む。O-CT近位領域への遠位伸長は、O-CT近位領域の遠位端の下流又は特にパルミトイル化部位の下流に最大5、若しくは最大10、若しくは最大16、若しくは最大22又は最大28、29、30、31、32、33、34若しくは35アミノ酸において遠位端を含む。
【0108】
いくつかの実施形態において、オプシンCTの切断部位は、NR(K)Qモチーフの最大41又は最大43又は最大45又は最大47アミノ酸下流の位置で選択される。
【0109】
O-CT近位領域への遠位伸長を含むいくつかの好ましい実施形態において、上流オプシンは、メラノプシンの群から選択される。
【0110】
O-CT近位領域への遠位伸長を含むいくつかの実施形態において、上流オプシンは長いCTドメインを含み、例えば、少なくとも50、65、80、100、150又は200アミノ酸のCTを含む。
【0111】
O-CT近位領域への遠位伸長を伴うこれら及び他の実施形態のいくつかにおいて、遠位伸長の遠位端は、上流オプシンに特異的な細胞内輸送及び速度論的特性に影響を与える上流オプシンCTのサブドメインが除外されるように選択される。
【0112】
メラノプシンの異常に長いC末端細胞質領域(マウスOPN4のAA364-521)は、他のGPCRとの限定された相同性を示す。したがって、これは、概日時計を同調させる環境光検出器である時間の経過と共に入力を合計するメラノプシンの特徴的な応答特性に寄与し得る。多様な種のメラノプシン間で高度に保存されたマウスOpn4のAA381-397は、光活性化メラノプシンの応答を形成する上で重要な役割を果たしていることが示唆された(Mure et al.2016)。したがって、上流オプシンとしてメラノプシンを用いたキメラオプシンGPCRのいくつかの実施形態は、その応答動態を加速させるために、マウスメラノプシンのアミノ酸位置397で又はその遠位に切断型メラノプシンを含む。アミノ酸位置397は、マウスメラノプシンのアミノ酸位置364に位置するパルミトイル化部位の33アミノ酸下流に対応する。
【0113】
したがって、オプシンがメラノプシンであるキメラオプシンGPCRタンパク質のいくつかの実施形態において、切断型オプシンCTは、パルミトイル化部位の最大およそ33アミノ酸下流に対応する、NR(K)Qモチーフの遠位端の最大およそ44アミノ酸下流を含む。
【0114】
キメラオプシンGPCRのいくつかの実施形態において、上流オプシン部分は、切断部位までの上流オプシン全体を含むか、又は上流オプシン部分は、E(DRY)モチーフから切断部位までの上流オプシンの連続領域を含むか、又は上流オプシン部分は、TM3、TM4、TM5、TM6及びTM7と、任意選択により切断部位までの切断型上流オプシンCTとを含む。
【0115】
キメラオプシンGPCRタンパク質のいくつかの実施形態において、上流オプシン部分は、膜貫通ドメインTM3及びTM7を含み、特に膜貫通ドメインTM3~TM7、TM2~TM7を含むか、又はTM1~TM7を含む。
【0116】
キメラオプシンGPCRタンパク質のいくつかの実施形態において、上流オプシン部分は、EL1、EL2、EL3及びNTから選択される細胞外ドメインの1つ以上をさらに含む。
【0117】
キメラオプシンGPCRタンパク質のいくつかの実施形態において、上流オプシン部分は、2つ以上の親オプシン、特に2つの親オプシンに由来する。
【0118】
いくつかの実施形態において、上流オプシン部分は、非ヒトオプシンである親オプシンに由来する膜貫通ドメインを含み、ヒトオプシンである親オプシンに由来する1つ又はいくつか、特に2つ若しくは3つ又は全ての細胞外ドメインをさらに含む。有利には、これらの実施形態において、ヒト免疫系は、ヒトオプシンに由来する細胞外ドメインを外来エピトープとして認識しない。したがって、オプシンGPCRタンパク質のいくつかの好ましい実施形態において、全ての細胞外ドメインは、ヒトオプシンに由来する。
【0119】
キメラオプシンGPCRタンパク質のいくつかの実施形態において、TM7及び切断型オプシンCTは、同じ親オプシンに由来する。
【0120】
キメラオプシンGPCRタンパク質のいくつかの実施形態において、上流オプシン部分は、細胞外ドメインの全て、膜貫通ドメインの全て及び全ての細胞内ループを含む。
【0121】
キメラオプシンGPCRタンパク質のいくつかの実施形態において、上流オプシン部分は、CTの切断部位までの親上流オプシン全体を含む。
【0122】
キメラオプシンGPCRタンパク質のいくつかの実施形態において、上流オプシン部分は、単安定若しくは双安定オプシン又は三安定オプシン、特に双安定オプシンに由来する。
【0123】
キメラオプシンGPCRタンパク質のいくつかの実施形態において、上流オプシン部分は、
- メラノプシン(OPN4)、
- ロドプシン(RHO)、
- 錐体オプシン(OPN1SW、OPN1LW及びOPN1MW)、
- クラゲオプシン(cubop、JellyOP)、
- ハエトリグモ(jumping spider)ロドプシン(JSR1)、
- パラピノプシン(PPO)、
- ニューロプシン(OPN5)、
- エンセファロプシン(OPN3)
を含むオプシンの群から選択される親オプシンに由来する。
【0124】
キメラオプシンGPCRタンパク質のいくつかの実施形態において、生理学的親オプシンと比較して、欠失又は付加、特に最大5又は最大10又は最大15又は最大20又は最大30アミノ酸の欠失又は付加は、キメラオプシンGPCRの上流オプシン部分に存在する。これら及び他の実施形態のいくつかにおいて、生理学的親オプシンと比較して、アミノ酸、特に保存的アミノ酸の置換及び/又は特に最大5又は最大10又は最大15又は20の置換アミノ酸は、キメラオプシンGPCRの上流オプシン部分に存在する。
【0125】
キメラオプシン-GPCRタンパク質のいくつかの実施形態において、上流オプシン部分のアミノ酸配列は、生理学的な1つ以上の親オプシンの対応する部分と、少なくとも80%、85%、90%、92%、93%、94%、95%、95%、96%、97%、98%、99%、特に完全に同一であるか又は類似している。
【0126】
本文では、標的GPCR CT又は略して標的CTという用語は、標的GPCRの本質的に完全なCT又はその機能的に活性な変異体を指す。標的CTの機能的に活性な変異体は、キメラオプシンGPCR又は親標的GPCRの活性化を、同様の効率で親GPCRの特定のシグナル伝達経路にカップリングすることができる。
【0127】
特に1つ以上のアミノ酸の欠失、特にNPxxYモチーフと、パルミトイル化部位まで又はパルミトイル化部位に近位に隣接するアミノ酸位置までの任意のアミノ酸位置との間のN末端欠失を含む標的GPCRを含む、先の請求項のいずれか1つに記載のキメラオプシンGPCR。
【0128】
いくつかの実施形態において、標的GPCR CTは本質的に完全である。特に、本質的に完全な標的GPRCは、NPxxY及びNR(K)Q部位又はそれらの間の近位端を含む。いくつかの実施形態において、標的GPCR CTは、NR(K)Q部位の1アミノ酸又は最大2又は最大3又は最大4又は最大5アミノ酸下流の近位端を有する。いくつかの実施形態において、標的CTは、NR(K)Q部位と、NR(K)Q部位のおよそ7~13又は8~12又は9~11又はおよそ10アミノ酸遠位にあるか、又は特にパルミトイル化部位又は上記で定義されたパルミトイル化部位に対応するアミノ酸位置にある標的CTの近位領域の遠位端との間に近位端を有する。
【0129】
親標的GPCRのCTの機能的変異体を有するいくつかの実施形態において、標的GPCRのTM7の遠位端にあるNPxxYモチーフと標的GPCR CTのH8の近位端にあるNR(K)Qモチーフとの間に位置する1つ以上のアミノ酸が欠失又は置換される。
【0130】
親標的GPCRの機能的変異体を有するいくつかのさらなる実施形態において、標的GPCRの近位領域は、最大H8の遠位端のパルミトイル化部位まで欠失される。したがって、これらの実施形態又はH8を含まない標的CTを有するいくつかのさらなる実施形態において、NR(K)Qモチーフ及びそれに続く標的GPCRの7~13又は8~12又は9~11アミノ酸が欠失される。特定の実施形態において、パルミトイル化部位又は上記で定義されたパルミトイル化部位に対応する部位に近位のアミノ酸が欠失される。
【0131】
これらの実施形態のいくつかにおいて、そのような機能的標的GPCR CT及び切断型オプシンCTは、パルミトイル化部位で一緒にスプライシングされる。
【0132】
置換及び/又は欠失を含むCTの機能的変異体のいくつかの実施形態において、保存されたNR(K)Qモチーフは無傷に保たれる。
【0133】
親標的GPCRのCTの機能的変異体を有するいくつかの実施形態において、キメラオプシンGPCRタンパク質の標的GPCR部分の標的GPCR CTのアミノ酸配列は、生理学的親標的GPCR CTと少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%同一又は類似である。
【0134】
キメラオプシンGPCRのいくつかの実施形態において、標的GPCR部分は、非オプシンGPCRに由来する。キメラオプシンGPCRの他のいくつかの実施形態において、標的GPCR部分は、オプシンに由来する。
【0135】
したがって、いくつかの実施形態は、2つのオプシン、上流オプシン及び標的オプシンと呼ばれる下流オプシンを含む。
【0136】
上流オプシン部分は光活性化可能であり、光活性化を標的GPCR CTにカップリングする。標的オプシンは、標的オプシンに生理学的に関与するGアルファタンパク質に結合することにより、標的オプシンのシグナル伝達カスケードへの光活性化のカップリングを達成する。
【0137】
切断型上流オプシンCTには、O-CT近位領域が包埋されている。上流オプシン及び標的オプシンを含むいくつかの実施形態は、2つのO-CT近位領域を含み、1つは上流オプシンに由来し、もう1つは標的GPCRに由来する。これらの実施形態は、2つのオプシンCT H8サブドメイン、上流オプシンH8及び標的GPCR H8も含み得る。
【0138】
キメラオプシンGPCRタンパク質のいくつかの実施形態において、標的CT部分は、
特に、
- 錐体オプシン、特にOPN1SW、OPN1MW又はOPN1LW、
- セロトニン受容体、特に5-HT7、
- ミューオピオイド受容体、
- βアドレナリン受容体、特にベータ1アドレナリン受容体、ベータ2アドレナリン受容体及びベータ3アドレナリン受容体
を含む群から選択されるクラスA GPCR;
特に、
- ホルモン受容体、特にグルカゴン受容体(GCGR)
を含む群から選択されるクラスB GPCR;
特に、
- GABA受容体、特にGABAB1及びGABAB2
- 代謝型グルタミン酸受容体、特にmGluR6及びmGluR5受容体
を含む群から選択されるクラスC GPCR
を含むGPCRタンパク質の群から選択される親標的GPCRに由来する。
【0139】
キメラオプシンGPCRタンパク質のいくつかの実施形態において、標的GPCRは、クラスA GPCR若しくはクラスB GPCR又はクラスC GPCRを除く別のクラスのGPCRである。これらの実施形態のいくつかにおいて、標的GPCR部分は、IL1、IL2及びIL3から選択される1つ以上の細胞内ループを含む。
【0140】
キメラオプシンGPCRタンパク質のいくつかの実施形態において、標的GPCRは、クラスC GPCR、特にmGluR6である。これらの実施形態のいくつかにおいて、標的クラスC GPCR部分、特にmGluR6部分は、以下の基準:
A:キメラGPCRにおいて、上流オプシン部分に含まれる天然サイズのIL3と、その天然位置に対応する位置におけるクラスC GPCRの天然サイズのIL2との同時存在は、キメラGPCRにおけるこれらの2つのIL間の立体障害を回避するために除外されること;
B:上流オプシン部分は、細胞内ループIL1~IL3の全てを含むこと;
C:上流オプシン部分は、IL1を含み、及び標的GPCR部分は、対応する位置で上流オプシンIL2及びIL3を置き換えるIL2及びIL3の両方を含むこと
の1つが満たされることを条件として、IL1、IL2及びIL3から選択される1つ以上の細胞内ループを含む。
【0141】
キメラオプシンGPCRタンパク質のいくつかの実施形態において、キメラオプシンGPCRのCTは、以下の要素の群:
- ゴルジ搬出シグナル、
- 膜輸送配列、
- 蛍光タンパク質をコードする配列要素
から選択される配列要素をさらに含む。
【0142】
1つ以上の選択された要素は、キメラオプシンGPCRのCTのC末端に任意の順で独立して配置される。
【0143】
キメラオプシンGPCRタンパク質のいくつかの実施形態において、キメラオプシンGPCRのCTは、選択された配列要素として、搬出シグナル、特に小胞体又はゴルジ搬出シグナル、特にアミノ酸配列KSRITSEGEYIPLDQIDINV(配列番号85)を有するカリウムチャネルKir2.1からのゴルジ搬出シグナル又はアミノ酸配列FCYENEV(配列番号86)を有するKir2.1からのER搬出シグナルを含む。
【0144】
キメラオプシンGPCRタンパク質のいくつかの実施形態において、キメラオプシンGPCRのCTは、選択された配列要素として、特にオプシンからの膜輸送配列、より具体的には1D4エピトープタグ又は略して1D4タグとも呼ばれるアミノ酸配列ETSQVAPA(配列番号53)(Gross et al.2009;Lodowski et al.2013を参照されたい)を含む。
【0145】
キメラオプシンGPCRタンパク質のいくつかの実施形態において、キメラオプシンGPCRのCTは、特にmKate2、TurboFP635又はmScarletから選択される、蛍光タンパク質をコードする配列要素を含む。これらの実施形態のいくつかにおいて、蛍光タンパク質は、キメラオプシンGPCRのCTに直接融合されており、これらの実施形態のいくつかの他のものにおいて、蛍光タンパク質は、IRES又はT2A配列を介して連結されている。
【0146】
キメラオプシンGPCRタンパク質のいくつかの実施形態において、標的GPCR部分は、IL1をさらに含み、標的GPCRのIL1は、上流オプシンのIL1を置き換える。
【0147】
キメラオプシンGPCRタンパク質のいくつかの実施形態において、上流オプシンのIL3は、標的GPCRのIL3によって置き換えられる。いくつかの他の実施形態において、上流オプシンIL3内の可変領域は、標的GPCRのIL3によって置き換えられる。これにより、オプシンIL3内の可変領域を置換する位置に標的GPCRのIL3全体を含むキメラIL3が得られ、形成される。上流オプシンIL3の可変領域に近位及び遠位に隣接する上流オプシンIL3の部分は、キメラIL3に保持される。
【0148】
キメラオプシンGPCRタンパク質のいくつかの実施形態において、特に標的GPCRとしてmGluR6を用いて、標的CTの近位端は、NR(K)Qモチーフ若しくはその上流又はパルミトイル化部位に配置される。
【0149】
mGluR C末端及びそれらの結合パートナーとの相互作用は、十分に特徴付けられている(例えば、Enz R,2012を参照されたい)。mGluR6では、アミノ酸HPEがNR(K)Qモチーフを構成する。
【0150】
キメラオプシンGPCRタンパク質のいくつかの実施形態において、標的GPCRは、mGluR6であり、mGluR6のIL3は、オプシンIL3の可変領域を部分的に置き換え、それにより、キメラオプシン-mGluR6 IL3を形成する。したがって、これらの実施形態は、キメラCTに加えてキメラIL3を含む。
【0151】
キメラオプシンGPCRタンパク質のいくつかの実施形態において、標的GPCRは、mGluR6であり、上流オプシン部分は、IL1、IL2及びIL3から選択される1つ以上の細胞内ループをさらに含み、ただし、オプシン-mGluR6キメラタンパク質において、上流オプシン部分に含まれる天然サイズのIL3と、mGluR6部分に含まれる天然サイズのIL2との同時存在は、除外されることを条件とする。
【0152】
キメラオプシンGPCRタンパク質のいくつかの実施形態において、上流オプシン部分は、メラノプシンに由来し、且つNT、EL1~EL3、TM1~TM7、IL1及び切断型オプシンCTを含み、標的GPCR部分は、mGluR6又はhOPN1mwのいずれかに由来し、且つIL2、IL3及びCTを含む。
【0153】
オプシン-GPCRタンパク質のいくつかの実施形態は、配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10及び配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号22、配列番号24、配列番号26、配列番号28、配列番号30及び配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号38、配列番号40、配列番号42及び配列番号44を含む群から選択されるアミノ酸配列を含むか又はそれからなる。これらの配列のいくつかは、ゴルジ搬出シグナル及び/又は1D4タグから選択されるC末端付加配列を含む。ゴルジ搬出シグナル及び1D4タグは、いずれも任意選択による。したがって、ゴルジ搬出シグナル及び/又は1D4タグを含む上記の配列番号のいずれかによる配列は、任意選択によるC末端に付加された配列の一方又は両方が存在しない変異体を含むように定義される。
【0154】
キメラオプシン-GPCRタンパク質のいくつかの特に好ましい実施形態は、配列番号18、配列番号20、配列番号22、配列番号24、配列番号26及び配列番号28を含む群から選択されるアミノ酸配列を含むか又はそれからなる。
【0155】
オプシン-GPCRタンパク質のいくつかの実施形態は、
- 保存的アミノ酸置換、
- 1~最大3又は最大5、最大8又は最大15アミノ酸の範囲の欠失、
- 1~最大3又は最大5、最大8又は最大15アミノ酸の範囲の挿入
から選択される1つ以上の変異を含む、上記の配列番号を有する配列のいずれか1つの変異体であるアミノ酸配列を含み、ここで、キメラオプシン-GPCRタンパク質は、標的GPCRに特異的なGアルファタンパク質の光活性化依存性結合を示す。これらの実施形態のいくつかにおいて、標的GPCRは、mGluR6であり、光活性化時にキメラオプシンmGluR6はGアルファ(o)に結合する。
【0156】
オプシン-GPCRタンパク質の実施形態いくつかは、上記の配列番号を有する配列のいずれか1つの変異体であるアミノ酸配列を含み、前記配列は、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%の同一性を有する。
【0157】
キメラオプシンGPCRのいくつかの好ましい実施形態において、標的GPCR部分は、NPxxy及びNR(K)Q部位間に近位端を有する本質的に完全なCTを含むか又はそれからなる。特に好ましい実施形態において、標的GPCR部分は、mGluR6又は第2のオプシン(標的オプシン)、特に錐体オプシン又はロドプシンに由来する。
【0158】
これら及び他の好ましい実施形態のいくつかにおいて、上流オプシンCTの切断部位は、パルミトイル化部位又は上記で定義されたパルミトイル化部位に対応するアミノ酸位置に配置される。いくつかの好ましい実施形態において、上流オプシンCTの切断部位は、パルミトイル化部位の遠位、例えば、パルミトイル化部位の最大5又は最大10又は最大33アミノ酸遠位に配置される。
【0159】
キメラオプシンGPCRのこれら及び他の好ましい実施形態のいくつかにおいて、上流オプシン部分は、CTの切断部位までの上流オプシン全体を含む。
【0160】
これら及び他の好ましい実施形態のいくつかにおいて、特に非ヒト起源の上流オプシンを含む場合、任意選択により、1つ又はいくつか又は全ての細胞外ドメインが、ヒトオプシンの細胞外ドメインと交換される。任意選択により、これらの好ましい実施形態及び他の実施形態のいくつかにおいて、追加的又は代替的に、IL1、IL2及びIL3から選択される1つ以上の細胞内ループは、標的GPCRに由来するIL、特にIL1又はIL3又は上記のIL3の一部と交換される。
【0161】
キメラオプシンGPCRのこれら及び他の好ましい実施形態のいくつかにおいて、上流オプシンは、メラノプシン、錐体オプシン、特に中波錐体オプシン、ハコクラゲ(box jelly fish)オプシン、又はパラピノプシン、又はハエトリグモ(jumping spider)ロドプシン(JSR1又はhJSR(S186F))を含む群から選択される。
【0162】
上流オプシンとしてメラノプシン及び標的オプシンとしてmGluR6を含む、これら及び他の好ましい実施形態のいくつかは、略してmela-mGluR6と呼ばれる。mela(palm)-mGluR6と呼ばれる特に好ましいmela(palm)-mGluR6の実施形態において、メラノプシンは、H8の遠位端のパルミトイル化部位で切断され、mGluR6の本質的に完全なCTに融合される。mela(palm)-mGluR6キメラのいくつかの最も好ましい実施形態は、配列番号18、配列番号20、配列番号22、配列番号24、配列番号26及び配列番号28を含む群から選択されるアミノ酸配列又はその変異体を含むか又はそれからなる。
【0163】
上記のように、本発明のキメラオプシンGPCRタンパク質は、GPCRタンパク質の共通の3D構造を示す。キメラオプシンGPCRは、E(D)RYモチーフ、NPxxYモチーフ、NR(K)Qモチーフを有するイオンロックなど、全てのGPCRタンパク質に特徴的な保存されたモチーフをさらに含む。本発明によるキメラGPCRタンパク質は、上流オプシン部分及び標的GPCR部分を含む。
【0164】
上流オプシン部分は、実施形態において、略してオプシン部分とも呼ばれ、ここで、標的GPCRは、非オプシンGPCRである。上流オプシン部分は、発色団ポケットを含み、O-CT近位領域を含み任意選択により遠位伸長を有する切断型オプシンCTを含む。
【0165】
このO-CT近位領域は、NR(K)Qモチーフ及び遠位方向に続くおよそ10アミノ酸を含み、多くの実施形態において、これはH8を形成し、任意選択により、その遠位端に1つ以上のパルミトイル化部位を有する。いくつかの実施形態において、O-CT近位領域は、NPxxY部位までの近位伸長及び/又はNR(K)Qモチーフの最大およそ44アミノ酸下流に対応する、パルミトイル化部位の最大およそ33アミノ酸下流までの遠位伸長を含む。
【0166】
標的GPCR部分は、本質的に、標的GPCRのCT全体又は機能的変異体、特にその機能的フラグメントを含む。いくつかの実施形態において、標的GPCRは、さらなるオプシンである。
【0167】
いくつかの実施形態において、キメラオプシンGPCRタンパク質は2つのヘリックスH8を含む。1つは切断型オプシンCTにあり、もう1つは標的GPCR CTにある。
【0168】
親上流オプシンのO-CT近位領域は、キメラオプシンGPCRの上流オプシン部分の構造安定性及び光活性化機能を有利に増強することが見出された。
【0169】
標的GPCR又はその機能的変異体、特に機能的フラグメントは、細胞膜への輸送を含む、正しい細胞内タンパク質輸送を有利に媒介する。さらに、キメラオプシンGPCRタンパク質の細胞膜への正しい輸送は、光活性化への応答及び親オプシンのGアルファタンパク質から標的GPCRのGアルファタンパク質へのGタンパク質結合選択性の移行の両方を強化すると考えられている。
【0170】
したがって、O-CT近位領域及び標的CTを含むキメラCTが驚くべき技術的効果をもたらす。標的GPCRのGアルファタンパク質に結合することにより、キメラオプシンGPCRの光活性化を治療標的細胞の内因性シグナロソームにカップリングするように、上流オプシンの変換には、それのみで十分である。
【0171】
いくつかの実施形態において、キメラGPCRタンパク質は、上流オプシン部分及びmGluR6部分を含む。オプシン部分は、発色団ポケット及びNR(K)Qモチーフ及びH8を含む切断型オプシン-CT並びに任意選択により1つ以上のパルミトイル化部位及び/又は任意選択によりパルミトイル化部位の最大およそ33アミノ酸下流又はNR(K)Qモチーフの最大およそ44アミノ酸下流を含む。mGluR6部分は、本質的に、mGluR6-CT全体又は機能的変異体、特にその機能的フラグメントを含む。これらの実施形態によるオプシン-mGluR6キメラGPCRタンパク質は、mGluR6-CTの上流に切断型オプシン-CTを有するキメラCTを有する。いくつかの実施形態において、これは2つのヘリックスH8を含む。1つは切断型オプシンCTにあり、もう1つは標的GPCR CTにある。
【0172】
キメラCTは、例示的なキメラオプシン-mGluR6タンパク質をON双極細胞のシグナロソームに標的化するのに十分であり、光活性化すると、親メラノプシンの生理学的細胞環境に内因性であるシグナロソームの異なるGタンパク質の代わりに、Gアルファ(o)タンパク質に結合する。
【0173】
オプシンmGluR6キメラのいくつかの実施形態において、オプシンはメラノプシンである。
【0174】
有利には、切断型メラノプシンCT及び天然の標的GPCR CTを含むキメラCTを含むキメラメラノプシンGPCRの例示的な実施形態は、親メラノプシンよりもはるかに速い光に対する応答を示す。メラノプシンの反応速度が概日リズムの調節におけるその生理学的役割に適応している(このプロセスは、視覚に必要な反応速度よりも光の変化に対する反応速度を遅くする必要がある)ことを考えると、これは確かに望ましいことである。
【0175】
キメラオプシンGluR6タンパク質は、それらの生理学的親オプシンが光活性化を健常な光受容体細胞におけるそのシグナル伝達カスケードにカップリングするため、光活性化をmGluR6シグナル伝達カスケードに同様の効率でカップリングすることが観察された。
【0176】
したがって、オプシン-GluR6キメラGPCRをコードする核酸分子による生理学的に光非感受性のニューロン、特にON双極細胞の遺伝的変換は、視覚シグナル伝達経路の光受容細胞をバイパスし、ON双極細胞を、神経網膜を活性化できる「置換光受容体」に変えることにより、変性した光受容体細胞を有する網膜の視力の回復を可能にする。
【0177】
先行技術、例えば上記のキメラオプシンmGluR6タンパク質は、以前にこの治療概念を証明した。本発明の特筆すべき驚きは、生理学的オプシンに、特に切断型オプシン-CT及び標的GPCRの本質的に全体のCTに埋め込まれた、O-CT近位領域を含む遺伝子操作されたキメラCTを単に装備することで十分であるということである。さらに、この遺伝子設計は、試験された全てのオプシンGPCRキメラに適用可能である。
【0178】
対照的に、先行技術は、CTに加えて、細胞内ループ、特にIL3及びIL2がGタンパク質選択性に特に重要であるか又は必要でさえあるように思われることを教示している(WO2012/174674,Kleinlogel,2016;Tsai et al,2018)。
【0179】
したがって、驚くべきことに、本発明のキメラオプシン-mGluR6タンパク質によるmGluR6シグナロソームの特異的Gアルファ(o)結合は、mGluR6の細胞内ループのいずれも完全に存在しない状態で達成される。
【0180】
実際、キメラCTのみを含み、mGluR6の追加の細胞内ドメインを含まない例示的なキメラオプシンmGluR6 GPCRタンパク質は、例えば、光活性化に対する応答の速い動態及び振幅など、又は親標的GPCRを含む細胞の生理学的区画に対応する細胞内区画への正しい細胞内輸送などの有利な特性における細胞内ループの追加の置換を含む、先行技術のキメラオプシンGPCRを模倣するか又はそれを超える。例えば、本発明のキメラオプシンmGluR6 GPCRは、従来技術で利用可能なキメラオプトmGluR6と比較して、ON双極細胞の樹状突起をより効率的に標的とし、光誘導網膜応答を増強する(van Wyk et al,2015)。
【0181】
本発明によるキメラCT又は標的オプシンCTを有するキメラオプシンGPCRタンパク質の特定の利点は、単一の必須のスプライシング部位のみの選択に基づく最小限のインシリコモデリング及び遺伝子操作を必要とする設計の卓越した単純さである。それにもかかわらず、例えばキメラオプシンmGluR6又はキメラオプシン5-ヒドロキシトリプタミン受容体7(5-HT7)など、キメラオプシンGPCRタンパク質の光活性化に対する機能的応答は、強度及び速度が親標的GPCRの生理学的応答にさえ対応する。
【0182】
本発明の第1の態様は、親オプシンCT及び親標的GPCR CTに由来するキメラC末端ドメイン(キメラCT)を含むペプチド、特に上記のキメラオプシンGPCRタンパク質のキメラC末端ドメイン(キメラCT)を含むペプチドにさらに関する。キメラC末端ペプチドは、CTの近位領域(O-CT近位領域)を含む上流オプシンの切断型C末端ドメイン(切断型オプシン-CT)を含む。特にO-CT近位領域は、ヘリックス8(H8)及びウシロドプシンのC322又はC323にそれぞれ対応するパルミトイル化部位を含む。いくつかの実施形態において、O-CT近位領域は、例えば、オプシンのパルミトイル化部位の下流に例えば最大およそ33、34又は35アミノ酸の遠位伸長を含む。ペプチドは、標的GPCRのC末端ドメイン(標的GPCR CT)又はその機能的変異体、特に機能的フラグメントをさらに含む。標的GPCR CTは、切断型オプシンCTの下流に位置する。
【0183】
本発明の第2の態様は、キメラオプシンGPCRタンパク質をコードし、切断型オプシンCT及び標的GPCR CT又はその機能的変異体を含むキメラC末端ペプチドをコードする核酸分子に関する。前記核酸分子は、キメラオプシンGPCRタンパク質をコードする核酸配列を含むか又はそれからなる。
【0184】
キメラオプシンGPCRタンパク質及びキメラC末端ペプチド及びそれらをコードする核酸配列は、遺伝子スプライシング産物とも呼ばれる遺伝子融合産物であり、親上流オプシンをコードする親遺伝子のフラグメント及び上記の親標的GPCRをコードする親遺伝子のフラグメントを含む。
【0185】
本文では、キメラオプシンGPCR又はキメラC末端ペプチドをコードする核酸配列は、キメラオプシンGPCR遺伝子又はキメラオプシンGPCR導入遺伝子とも呼ばれる。
【0186】
本文では、導入遺伝子という用語は、生物又は細胞のゲノムに導入された遺伝子又は核酸分子に関する。特に、導入遺伝子という用語は、本発明のキメラオプシンGPRC又はキメラC末端ペプチドをコードする遺伝子又は核酸分子を指す。
【0187】
本文において、キメラオプシンGPCRタンパク質及び前記オプシンキメラGPCRタンパク質をコードする核酸分子という用語は、天然にはそれ自体で存在しないタンパク質及び核酸分子を指す。むしろ、それらは、例えば、遺伝子クローニング、遺伝子発現、組換え核酸技術、組換え核酸分子の固相化学合成などの化学合成などの分子技術によって得られる人工分子である。それらは、当技術分野で公知の他の方法でも処理、製造及び操作され得る。分子的、遺伝的及び生化学的方法及び化学的方法に使用される標準的な技術については、例えば、Sambrook et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,2d ed.(1989)Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.及びAusubel et al.,Short Protocols in Molecular Biology(1999)4th Ed,John Wiley&Sons,Inc.を参照されたい。
【0188】
したがって、本発明の第2の態様は、本発明の第1の態様によるキメラオプシンGPCR又はペプチドをコードする核酸配列を含むか又はそれからなる核酸分子に関する。
【0189】
核酸分子のいくつかの実施形態において、これは、配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10及び配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号22、配列番号24、配列番号26、配列番号28、配列番号30及び配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号38、配列番号40、配列番号42及び配列番号44を含むアミノ酸配列の群から選択される配列と少なくとも90%同一である、例えば、配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10及び配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号22、配列番号24、配列番号26、配列番号28、配列番号30及び配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号38、配列番号40、配列番号42及び配列番号44から選択されるアミノ酸配列と少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、95.5%、96%、96.5%、97%、97.5%、98%、98.5%、99%、99.1%,99.2%、99.3%、99.4%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、99.9%又は100%同一である、アミノ酸配列からなるキメラオプシンGPCRをコードする核酸配列を含む。
【0190】
配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10及び配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号22、配列番号24、配列番号26、配列番号28、配列番号30及び配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号38、配列番号40、配列番号42及び配列番号44から選択されるアミノ酸配列からなるキメラオプシンGPCRをコードするそのような核酸配列の例には、配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9及び配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号17、配列番号19、配列番号21、配列番号23、配列番号25、配列番号27、配列番号29及び配列番号31、配列番号33、配列番号35、配列番号37、配列番号39、配列番号41及び配列番号43から選択される核酸配列と同一の核酸配列が含まれるが、これらに限定されない。
【0191】
いくつかの実施形態において、キメラオプシンGPCRをコードする核酸分子は、配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9及び配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号17、配列番号19、配列番号21、配列番号23、配列番号25、配列番号27、配列番号29及び配列番号31、配列番号33、配列番号35、配列番号37、配列番号39、配列番号41及び配列番号43を含む群から選択される核酸配列と少なくとも70%同一である、例えば、配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9及び配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号17、配列番号19、配列番号21、配列番号23、配列番号25、配列番号27、配列番号29及び配列番号31、配列番号33、配列番号35、配列番号37、配列番号39、配列番号41及び配列番号43を含む群から選択される核酸配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、95.5%、96%、96.5%、97%、97.5%、98%、98.5%、99%、99.1%、99.2%、99.3%、99.4%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、99.9%又は100%同一である、核酸配列を含むか又はそれからなる。
【0192】
好ましいmela(palm mGluR6キメラオプシンGPCRをコードする、請求項38に記載の核酸分子のいくつかの特に好ましい実施形態において、前記核酸分子は、配列番号17、配列番号19、配列番号21、配列番号23、配列番号25及び配列番号27を含む群から選択される核酸配列を含むか又はそれからなる。
【0193】
本発明の第3の態様は、本発明の第2の態様による核酸分子を標的細胞に送達する医学的使用のためのアデノ随伴ウイルスカプシド(AAVカプシド)ポリペプチドに関する。したがって、第3の態様は、第1の態様によるキメラオプシンGPCRタンパク質をコードする導入遺伝子を標的細胞に導入するためのAAVカプシドを提供する。第3の態様は、前記医学的使用のためのAAVカプシドポリペプチドをコードする配列を含む核酸分子にも関する。
【0194】
態様Aにおいて本明細書に記載される主な発明から独立した第2の発明は、新規AAVカプシドポリペプチド自体に関し、態様Bにおいて、前記新規AAVカプシドをコードする配列を含む核酸分子に関する。
【0195】
独立した第2の発明の態様Cは、導入遺伝子を標的細胞に送達する医学的使用のための、新規AAVカプシドポリペプチド(及びそれをコードする核酸分子)に関する。独立した第2の発明の態様Cは、標的細胞に対する第1の主な発明の第2の態様及び第1の態様それぞれによるキメラオプシンGPCRをコードする核酸分子を送達する医学的使用のための、新規AAVカプシドポリペプチド(及びそれをコードする核酸分子)も含む。
【0196】
独立した第2の発明の態様Dは、独立した第2の発明の態様Aによる新規カプシドをコードする態様Bによる核酸分子を含む組換えAAVベクターに関する。
【0197】
以下の説明及び特許請求の範囲において、AAVカプシド又はカプシドという用語は、文脈から異なって明らかでない限り、主な発明による医学的使用のためのカプシド及び独立した第2の発明によるカプシド自体の両方を指す。
【0198】
したがって、本発明の第3の態様では、アデノ随伴ウイルス(AAV)カプシドポリペプチド及びAAVカプシドポリペプチドをコードする核酸分子は、本発明の第1の態様によるキメラオプシンGPCRタンパク質をコードする本発明の第2の態様による核酸分子を標的細胞に送達するための医学的治療において使用するために提供される。
【0199】
いくつかの実施形態において、カプシドは、AAV2、AAV2(7m8)(Dalkara D et al,2013)又はAAV8(BP2)(Cronin et al,2014)のカプシドタンパク質又はそれらに由来する変異体である。
【0200】
野生型AAVでは、ゲノムにはカプシドタンパク質VP1、VP2及びVP3をコードするCap遺伝子が含まれており、これらは互いに相互作用して、二十面体対称性を有するカプシドと、アセンブリ活性化タンパク質(AAP)を形成する。これは、新しく産生されたVPタンパク質を安定化し細胞質から細胞核に輸送するために必要である。3つのVPは全て、1つのmRNAから翻訳され、異なってスプライシングされる。最大の90kDa VP1はスプライシングされていない転写物であり、72kDa VP2は非従来型のACG開始コドンから翻訳され、最小の60kDa VP3はAUGコドンから翻訳される。3つのVPは全て、重複するC末端を有する。
【0201】
本文に関連して、AAVカプシドのアミノ酸位置への言及は、GenBankエントリー番号J01901.1(アデノ随伴ウイルス2、完全ゲノム)でアクセス可能なAAV2の参照配列によるAAV2のカプシドタンパク質VP1のアミノ酸配列に関する。
【0202】
いくつかの実施形態において、AAVカプシドは、ペプチドインサートを含む。いくつかの実施形態において、ペプチドは、特にピーク又はとがった突起に挿入される。
【0203】
ペプチドは、AAV2カプシドの587位に挿入される。とがった突起(ピーク)は、カプシドの最も露出した領域を表している。最も高いピークはアミノ酸位置453にあり、AAV2カプシドの位置587に2番目に高いピークがある。これらのピークは、カプシドのアセンブリを妨げることなくペプチドの挿入を受容し、非許容細胞を標的とする機会を提供する。同様に、突起は、AAVの宿主相互作用、受容体結合及び免疫原性の重要な部位を表す。
【0204】
野生型カプシドAAV2配列(配列番号59)は、太字及び下線でマークされたN587とR588との間の上記のペプチドの挿入点と共に以下に示される。
【化1】
【0205】
いくつかの実施形態において、AAVカプシドタンパク質は、AAV2カプシドタンパク質であり、アミノ酸587及び588間のアミノ酸インサートを含み、ここで、ペプチドインサートは、
- SASEAST(配列番号60)、
- TPPSITA(配列番号61)、
- PRTPHTA(配列番号62)、
- NHAPNHC(配列番号63)
を含むペプチドの群から選択される。
【0206】
N587とR588との間のペプチドインサートは、先行技術に記載されている(David A.,2018;欧州特許出願第19206603.3号明細書、未公開)。これらの実施形態において、AAVカプシドポリペプチドは、7つのアミノ酸からなるペプチドインサートを含み、これは略して7量体ペプチドインサートとも呼ばれる。
【0207】
いくつかのさらなる実施形態において、AAVカプシドポリペプチドは、7~13量体であるペプチドインサートを含む。特に、これらの実施形態は、上記の7量体ペプチドインサートなどの7量体を含み、0~6アミノ酸の1つ又は2つの隣接リンカーをさらに含み、6は、N及びC末端に付加された隣接アミノ酸の総数の最大数である。
【0208】
いくつかの例示的な実施形態は、リンカー配列を含まないペプチドインサートを含み、他の実施形態は、片側又は両側にリンカーを含む。いくつかの実施形態において、リンカーは、アラニン(A)、アスパラギン(N)、リジン(L)、アルギニン(R)、スレオニン(T)若しくはグリシン(G)又はその混合物を含むアミノ酸の群から選択されるが、これらに限定されない。
【0209】
いくつかの好ましい実施形態において、1つ又は2つの隣接リンカーは、
i.アミノ酸G及びA、又は
ii.アミノ酸A、N、L、T、R、G、A、N、L及びR、特にA、L、N、R
から選択されるアミノ酸を含むか又は好ましくはそれからなる。
【0210】
いくつかの好ましい実施形態において、隣接リンカーの一方又は両方は、N及びRから選択される少なくとも1つのアミノ酸を含む。いくつかの特に好ましい実施形態において、リンカーは、いずれかの側に2つ又は3つのアミノ酸を含む。これら及び他の実施形態のいくつかにおいて、リンカーは、アミノ酸A、L、N、Rから選択される1つ以上のアミノ酸からなる。例示的な好ましい実施形態において、リンカー及びペプチドインサートは、
【化2】

の配置を有する。
【0211】
いくつかの好ましい実施形態において、カプシドは、AAV2カプシドタンパク質又はその突然変異体であり、N587とR588との間において、
- AAASASEASTAA(配列番号64)、
- AAATPPSITAAA(配列番号65)、
- AAAPRTPHTAAA(配列番号66)、
- NLANHAPNHCAR(配列番号67)、
- NLAPRTPHTAAR(配列番号68)
から選択されるペプチドインサートを含む。
【0212】
本文では、インサートを含むAAV2カプシドの実施形態は、野生型AAV血清型とそれに続く括弧内の修飾を列挙する省略された命名法でも言及されている。上記のようなペプチドインサートを含む例示的なカプシドのそのような省略された命名法は、例えば、括弧内に記載されたペプチドインサート中の7アミノ酸を含み、任意選択により1つ又は2つの隣接リンカーをさらに含むAAV2カプシドを指す、AAV2(NHAPNHC)又は例えば列挙された7アミノ酸PRTPHTAを有するペプチドインサートを含み、任意選択により1つ又は2つの隣接リンカーを含む、AAV2(PRTPHTA)カプシドである。
【0213】
隣接リンカーを含むペプチドインサートの上記の例示的な実施形態は、AAV2カプシドのわずかに伸長された配列に関連して隣接リンカーと共に以下に列挙されている。リンカーの例示的な実施形態には下線が付されている。最初の3つのリンカーはアラニンを含み、-AAA-...-AA-の形態であり、最後の2つのリンカーは、アラニンに加えて、代替アミノ酸、すなわちアルギニン(R)、アスパラギン(N)及びリジン(L)を含み、以下に示すように、(A)は、
【化3】

の形態である。
【化4】
【0214】
配列番号67、NLANHAPNHCAR又は配列番号68、NLAPRTPHTAARによるペプチドインサートを含むカプシドは、それ自体新規であり、独立した発明を構成する。したがって、これらの新規カプシドは、本明細書に記載のキメラオプシンGPCRタンパク質をコードする導入遺伝子をパッケージングするためのrAAV2ベクターに関連して限定されない。特に、これらの新規カプシドは、本発明の第1及び第2の態様による、キメラオプシンGPCR又はそれをコードする核酸分子による医学的使用に限定されない。
【0215】
したがって、独立した発明では、587~592の位置、好ましくはAAV血清型2カプシドのN587~R588の位置又は別の血清型のAAVのそれに相同な位置にペプチドインサートを含むアデノ随伴ウイルス(AAV)カプシドポリペプチドが提供され、ここで、ペプチドインサートは、以下を含む配列の群から選択される。
【化5】
【0216】
いくつかの実施形態において、カプシドタンパク質は、AAV2カプシドであり、少なくとも1つの突然変異を含み、この少なくとも1つの変異は、以下から選択される:
a.アミノ酸位置252、272、444、500、700、704及び/又は730のチロシン(Y)からフェニルアラニン(F);及び/又は
b.アミノ酸位置491のスレオニン(T)からバリン(V)。
【0217】
新規カプシドの特に好ましい実施形態は、以下に示すように、配列番号74によるNLAPRTPHTAARインサートを有するAAV2カプシドタンパク質のアミノ酸配列を含む。
【0218】
VP1とオーバーラップするVP3(灰色の配列)、チロシンからフェニルアラニン(Y-F)への変異は濃灰色でハイライトされ、下線が付され、アミノ酸番号はVP1配列全体を指す。モチーフが挿入されたG453の最も高いピークとN587の2番目に高いピークに下線が付され、白のアンダーレイで示される。インサートは斜体且つ枠付きである。
【化6】
【0219】
第3の態様及び独立した発明は、上記のように、AAVカプシドをコードする核酸分子にも関する。
【0220】
いくつかの実施形態において、核酸分子は、AAV2、AAV2(7m8)、又はAAV8(BP2)、又はAAV2(NHAPNHC)、又はAAV2(PRTPHTA)から選択されるカプシドポリペプチドをコードする核酸配列を含むか又はそれからなる。
【0221】
いくつかの実施形態において、核酸分子は、
- AAASASEASTAA(配列番号64)、
- AAATPPSITAAA(配列番号65)、
- AAAPRTPHTAAA(配列番号66)、
- NLANHAPNHCAR(配列番号67)、
- NLAPRTPHTAAR(配列番号68)
から選択される、AAV2ゲノムのN587とR588との間にペプチドインサートを有するアミノ酸配列を含むカプシドポリペプチドをコードする核酸配列を含むか又はそれからなる、請求項49に記載の核酸分子。
【0222】
いくつかの実施形態において、核酸分子は、特にキメラオプシンGPCRをコードする導入遺伝子を含む。これらの実施形態のいくつかの好ましいものにおいて、導入遺伝子は、配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9及び配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号17、配列番号19、配列番号21、配列番号23、配列番号25、配列番号27、配列番号29及び配列番号31、配列番号33、配列番号35、配列番号37、配列番号39、配列番号41及び配列番号43を含む群から選択される核酸配列を含むか又はそれからなる。
【0223】
いくつかの特に好ましい実施形態において、核酸分子は、配列番号17、配列番号19、配列番号21、配列番号23、配列番号25及び配列番号27を含む群から選択される核酸配列を含むか又はそれからなるmela(palm)-mGluR6キメラGPCRをコードする導入遺伝子を含む。
【0224】
カプシド及び導入遺伝子をコードする核酸分子のいくつかの実施形態において、導入遺伝子は、細胞特異的プロモーターに作動可能に連結されている。これらの実施形態のいくつかにおいて、細胞特異的プロモーターは、特にON双極細胞特異的プロモーターであり、より具体的には、200En-mGluR500Pプロモーター、配列番号75による770En_454P(hGRM6)プロモーター若しくは配列番号76による444En_454P(hGRM6)プロモーター又は網膜ON双極細胞若しくはその要素の内因性mGluR6プロモーターを含む群から選択されるプロモーターである。
【0225】
Mela(palm)-mGluR6又はMela(palm+33)-mGluR6という用語は、それぞれパルミトイル化部位で切断された、又はパルミトイル化部位の33アミノ酸下流で切断された切断型メラノプシンCTを含むメラノプシンmGluR6キメラオプシンGPCRの好ましい実施形態を指す。
【0226】
したがって、カプシドをコードする核酸分子のいくつかの特に好ましい実施形態において、カプシドは、AAV2(7m8)、又はAAV8(BP2)、又はAAV2(NHAPNHC)、又はAAV2(PRTPHTA)カプシドから選択される。さらに、前記核酸分子は、Mela(palm)-mGluR6又はMela(palm+33)-mGluR6などのキメラオプシンGPCRの好ましい実施形態をコードする導入遺伝子をさらに含み、さらに導入遺伝子は770En-445P(hGRM6 )プロモーター又は444En_454P(hGRM6)プロモーターの制御下にある。
【0227】
新規rAAVカプシドに関する独立した発明のいくつかの実施形態において、上記のような新規ペプチドインサートを有する新規rAVVカプシドを含むベクターが提供される。
【0228】
本発明の第5の態様によるカプシドの実施形態が特定の配列番号による特定の配列を指す場合には常に、上記のような特定の配列の変異体がこれらの実施形態に含まれることが理解される。
【0229】
本発明の第4の態様は、本発明の第1の態様によるキメラオプシンGPCRタンパク質又はキメラC末端ペプチドをコードする本発明の第2の態様による核酸分子を含むベクターに関する。したがって、第4の態様は、標的細胞への遺伝子導入のための、そして特にその中でキメラオプシンGPCRを発現させるための、ベクターに関する。換言すれば、本発明の第4の態様によるベクターは、本発明の第1の態様によるキメラオプシンGPRC又はキメラC末端ペプチドをコードする導入遺伝子を含む。
【0230】
したがって、本発明の第1及び第2の態様にそれぞれ記載されるように、キメラオプシンGPCRタンパク質をコードする核酸又は核酸分子によってコードされるキメラC末端ペプチドを含む、ベクター、特に核酸発現ベクターが提供される。核発現ベクターは、キメラオプシンGPCRをコードする核酸分子によってコードされる導入遺伝子に作動可能に連結されたプロモーターを含む。
【0231】
いくつかの実施形態において、最適化されたコザック配列が導入遺伝子に先行する。コザック配列は、コンセンサス(gcc)gccAccAUGG(配列番号77)又は(gcc)gccGccAUGG(配列番号78)を有し、翻訳の開始を強化する。
【0232】
いくつかの実施形態において、核酸発現ベクターは、WPRE(ウッドチャック肝炎ウイルスの転写後調節要素)調節配列(Hulliger et al.2010の配列番号20を参照されたい)も含む。WPREは、転写されると発現を促進する三次構造を作るDNA配列である。
【0233】
いくつかの実施形態において、核酸発現ベクターは、導入遺伝子の下流に挿入されるポリAテールも含む。ポリAテールは、導入遺伝子の翻訳を促進する。
【0234】
いくつかの実施形態において、ベクターは、アデノ随伴ウイルス(AAV)に由来する。前記ベクターは、上記の本発明の第1の態様によるキメラオプシンGPCRタンパク質又はキメラC末端ペプチドをコードする核酸分子を含むため、組換え(rAAV)ベクターである。
【0235】
いくつかの実施形態において、rAAVベクターは、一本鎖ベクター(ssAAV)又は自己相補的ベクター(scAAV)のいずれかである。
【0236】
いくつかの実施形態において、ベクターは、特にAAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11又はAAV12を含むAAV血清型の群から選択される組換えAAVベクターである。いくつかの好ましい実施形態において、ベクターは、rAAV2又はrAAV8ベクターである。
【0237】
これら及び他の実施形態のいくつかにおいて、ベクターは、以下を含む配列の群から選択される核酸配列をさらに含む。
- AAVカプシドタンパク質をコードする配列、及び/又は
- プロモーター、特に細胞特異的プロモーター、より具体的には双極細胞特異的プロモーター。
【0238】
プロモーター、特に細胞特異的プロモーターを含むいくつかの実施形態において、ベクターは、エンハンサー配列及び任意選択によりスペーサーをさらに含む。5’末端から3’末端まで、ベクターは、最初にエンハンサー、次に任意選択によるスペーサー、次にプロモーターを含む。導入遺伝子は、プロモーターによって駆動される導入遺伝子の発現のためにプロモーターの3’方向に位置しており、すなわち、導入遺伝子は、プロモーターに作動可能に連結されている。
【0239】
いくつかの実施形態において、特に、mGluR6標的GPCR CTを含むキメラオプシンGPCRをコードする核酸分子を発現するベクターのうち、ベクターは、ON双極細胞特異的プロモーターを含む。これらの実施形態のいくつかにおいて、ON双極細胞特異的プロモーターは、GRM6-sv40プロモーター(Kim et al,2008)又は4xGRM6-sv40プロモーター(Cronin et al.,2014)又は200En-mGluR500Pプロモーター(Lu et al.,2016)又は770En_454P(hGRM6)又は444En_454P(hGRM6)プロモーター(Hulliger et al.,2020及びEP19200082.6(未発表)を参照されたい)を含む群から選択される。
【0240】
770En_454P(hGRM6)プロモーターは、配列番号75を含むか又はそれからなる。770En_454P(hGRM6)プロモーターは、マウスとヒトのゲノム間の300bpの保存配列(-13873~-13467 rel.TLSS GRM6)を含み、さらに、3’ChIP-seqピークとDnase過敏性クラスター(-13990~-13816 rel.TLSSGRM6)を含む、エンハンサー770En(hGRM6)(-14236~-13467 rel.TLSSGRM6)を含む。
【0241】
444En_454P(hGRM6)プロモーターは、配列番号76を含むか又はそれからなる。444En_454P(hGRM6)プロモーターは、エンハンサー444En(hGRM6)(-14033~-13590 rel.TLSSGRM6)を含み、ChiP-seqピークの3’及び5’のみを含む770En(hGRM6)の3’及び5’切断型バージョンである。
【0242】
細胞特異的プロモーターを含むベクターのいくつかの実施形態において、細胞特異的プロモーターは、網膜ON双極細胞又はその要素の内因性mGluR6プロモーターである。
【0243】
上記のようなON双極細胞特異的プロモーターを含むベクターのいくつかの好ましい実施形態は、キメラメラノプシン-mGluR6をコードする核酸分子を発現する。これらの実施形態のいくつかにおいて、キメラメラノプシンmGluR6タンパク質は、略してMela(palm)-mGluR6とも呼ばれるパルミトイル化部位に切断されたオプシンCTを含むか、又は略してMela(palm+33)-mGluR6とも呼ばれるパルミトイル化部位の下流に切断型33アミノ酸を含む。さらに好ましい実施形態において、ベクターは、キメラOPN1mw-mGluR6又は2つのオプシンを含むキメラオプシンGPCRを含む。
【0244】
ベクターのいくつかの特に好ましい実施形態は、配列番号17、配列番号19、配列番号21、配列番号23、配列番号25及び配列番号27の1つ又はMela(palm+33)-mGluR6による、特に配列番号15又は細胞内ループを追加で含むMela-mGluR6による、特にON双極細胞特異的プロモーター(特に、200En-mGluR500P、770En_454P(hGRM6)又は444En_454P(hGRM6)プロモーター又は網膜ON双極細胞又はその要素の内因性mGluR6プロモーターから選択される)の制御下にある配列番号29又は配列番号31から選択される配列によるMela(palm)-mGluR6を発現する。
【0245】
ベクターのいくつかの実施形態は、本発明の第3の態様による、AAVカプシドをコードする核酸配列を含む。いくつかの好ましい実施形態において、ベクターは、上記のように、N587とR588との間にペプチドインサートを有するAAVカプシドをコードする。
【0246】
いくつかの好ましい実施形態において、ベクターは、キメラオプシンGPCRをコードする導入遺伝子に作動可能に連結された770En-445P(hGRM6)プロモーターを含み、AAV2(7m8)、又はAAV8(BP2)、又はAAV2(NHAPNHC)、又はAAV2(PRTPHTA)を発現する核酸分子をさらに含む。これら及び他の実施形態のいくつかにおいて、キメラオプシンGPCRは、好ましくは、以下から選択される。
- 上流オプシンとしてメラノプシン若しくはhOPN1mwを含み、且つ標的オプシンとしてmGluR6を含むキメラオプシンGPCR又は2つのオプシンを含む、キメラオプシンGPCR、
- Mela(palm)-mGluR6又はMela(palm+33)-mGluR6から選択されるキメラオプシンGPCR、
- 配列番号15、配列番号17、配列番号19、配列番号21、配列番号23、配列番号25及び配列番号27、配列番号29又は配列番号31を含む群から選択される核酸配列によるキメラオプシンGPCR。
【0247】
ベクターの特に好ましい実施形態は、配列番号79による配列を含むか又はそれからなる。ベクターのこの実施形態において、それは、770En-445P(hGRM6)プロモーターの制御下にある配列番号19による例示的なhmela(palm)-mGluR6導入遺伝子を含み、さらに、AAV8(BP2)カプシドをコードする核酸配列を含む。
【0248】
本発明の第4の態様によるベクターの実施形態が特定の配列番号による特定の配列を指す場合には常に、上記のような特定の配列の変異体がこれらの実施形態に含まれることが理解される。
【0249】
第5の態様は、第2の態様による核酸分子を含むか又はそれを発現する粒子、特にナノ粒子、小胞、特に生殖細胞株を除く細胞株及び動物、又は第3の態様によるベクター、又は第1の態様によるキメラオプシンGPCRを含むベクターなどに関する。
【0250】
本発明の第5の態様のいくつかの実施形態において、トランスジェニック動物、特にトランスジェニックマウス又はトランスジェニック細胞株が提供される。遺伝子改変動物又はトランスジェニック細胞株は、本発明の第2の態様の核酸分子又は第4の態様のベクターを含み、且つ/又は本発明の第1の態様によるキメラオプシンGPCRタンパク質を発現する。
【0251】
トランスジェニック細胞のいくつかの実施形態は、トランスジェニック生殖細胞株又は器官型細胞株を任意選択により除外する幹細胞株などのキメラオプシンGPCRタンパク質を発現するための適切な細胞株に由来する。特に、適切な細胞株は、以下を含む細胞株の群から選択される。
-HEK293-GIRK細胞、
-網膜内層ニューロン、特にON双極細胞、
-腎臓細胞、及び
-Gs、Gq又はG12/13から選択されるGタンパク質を発現する細胞。
【0252】
トランスジェニック動物又はトランスジェニック細胞のいくつかの実施形態は、CRISPR/cas修飾ゲノムを含む。CRISPR/Casゲノム編集は、当業者に公知である(例えばVandemoortele et al.(2017)、例えばLong et al.(2018)、例えばHsu et al(2014),Cell 157(6):1262-1278及びそれらの参考文献を参照されたい)。
【0253】
第5の態様のいくつかの実施形態において、本発明は、本発明の先の態様の1つによるキメラオプシンGPCR又はそれをコードする核酸分子又はベクターの標的細胞への導入のための担体、特に粒子又はナノ粒子又は小胞を提供する。
【0254】
いくつかの実施形態において、担体は、本発明の第1の態様によるキメラオプシンGPCRをコードする導入遺伝子を含む、第2の態様による核酸分子又は第4の態様によるベクターを含むか、又は本発明の第1の態様によるキメラオプシンGPCRタンパク質を含む。いくつかの実施形態において、担体は、ナノ粒子又はマイクロ粒子であり、これは、遺伝子銃での使用に特に適している。これら及び他の実施形態のいくつかにおいて、担体は金粒子である。
【0255】
本文では、キメラオプシンGPCRタンパク質又は核酸分子又はベクターの導入のための担体は、略して「導入用担体」とも呼ばれる。導入のための担体は、ヒト又は非ヒト動物の標的細胞又は標的生物のレシピエントゲノムへのその導入に適したキメラオプシンGPCRをコードする導入遺伝子を含む、キメラオプシン-GPCRタンパク質又は核酸分子又はベクターを付着又はパッケージングすることができる任意の適切な化学的又は物理的構造を指す。
【0256】
導入のための担体の例示的な実施形態は、小胞及び粒子、特にマイクロ粒子又はナノ粒子である。例示的な小胞には、例えば、生物起源又は合成起源の膜小胞が含まれる。例示的な粒子は、特に、遺伝子銃での使用に適したマイクロ粒子及びナノ粒子であり、例えば、特に吸着又は共有結合したリガンドとして、キメラオプシンGPCRタンパク質又はそれをコードするキメラ核酸でコーティングされた金粒子を含む(O’Brian and Lummis,2011)。担体のいくつかの実施形態において、それは、1つ以上のgRNA、特にsgRNAの個別のトランスフェクションと組み合わせるために、導入遺伝子及びCRISPR/casカセット、すなわちCas酵素をコードするプラスミド、例えばCas9及び1つ以上のガイドRNA(gRNA)など、特に単一ガイドRNA(sgRNA)又はCas酵素、特にCas9をコードするプラスミドを含む。
【0257】
本発明のこれら及び他の実施形態のいくつかにおいて、担体は、本発明の第2の態様による核酸配列又は導入遺伝子及びCRISPR/casカセットを含む本発明の第4の態様によるベクターを含む。
【0258】
いくつかの好ましい実施形態において、トランスジェニック動物又はトランスジェニック細胞又は上記の導入のための担体は、キメラメラノプシン-mGluR6(Mela-mGluR6)、特にMela(palm)-mGluR6若しくはMela(palm+33)-mGluR6又はキメラOPN1mw-mGluR6或いは2つのオプシンを含むキメラオプシンGPCRをコードする導入遺伝子を含む。
【0259】
いくつかのさらに好ましい実施形態において、トランスジェニック動物又はトランスジェニック細胞又は上記の導入のための担体において、導入遺伝子は、以下を含む群から選択されるキメラMela-mGluR6をコードする。
- Mela(palm)-mGluR6、特に配列番号17、配列番号19、配列番号21、配列番号23、配列番号25及び配列番号27を含む群から選択される配列の1つによるもの、又は
- Mela(palm+33)-mGluR6、特に配列番号15、又は
- 細胞内ループを追加的に含むMela-mGluR6、特に配列番号29又は配列番号31から選択される配列によるもの。
【0260】
本発明の第5の態様による担体、細胞又は動物の実施形態が特定の配列番号による特定の配列を指す場合には常に、上記のような特定の配列の変異体がこれらの実施形態に含まれることが理解される。
【0261】
本発明の第6の態様は、本発明の第1の態様のキメラオプシンGPCRタンパク質をコードする第2の態様の核酸分子を遺伝子操作する方法に関する。
【0262】
さらに、本発明の第6の態様は、特に本発明の第1の態様及び標的GPCR CTによる、上流オプシンCTの近位領域を含むキメラC末端ペプチドをコードする核酸分子を操作する方法に関する。
【0263】
全てのGPCRタンパク質に共通の保存された3D構造、特にまた、接合部TM3/IL2周辺のE(D)RY、IL3とTM6の接合部周辺のE、TM7の遠位端周辺のNPxxY及びヘリックス8の近位端周辺のNR(K)Q又はH8の遠位端のパルミトイル化部位などの部分的に保存された要素及びGPCR間でさらに保存された要素などのGPCRの遍在的に保存されたモチーフは、プロトタイプGPCRウシロドプシンとの配列アライメントによって簡単に同定される。
【0264】
例示的な適切なスプライシング部位は、膜貫通ドメイン/細胞内ドメイン接合部GPCRの任意の構造アライメント及び保存された配列モチーフについて特に膜貫通ドメインと細胞内ドメインとの間の接合部の周辺の配列をスキャンすることによっても容易に同定される。
【0265】
それらの間のキメラ接合部での1つ以上の選択された親GPCR(親オプシン/親標的GPCR)の保存されたモチーフ又はその機能的変異体の保存又は再構成は、機能的に活性なキメラGPCRにおいて高い確率で生じる。
【0266】
したがって、本発明の第6の態様では、オプシンの光感受性、正しい細胞内輸送、効率的なGタンパク質結合及び標的GPCRのGタンパク質特異性などの所望の機能を有するキメラGPCRを遺伝子操作及び設計する効率的且つ単純な方法が提供される。この方法では、上流オプシンと標的CTとの間に必須の融合部位が1つのみ必要である。上流オプシンの所望の切断部位は、a)上記のウシロドプシンのパルミトイル化部位の1つに対応する、NR(K)Q部位の7~13、特に8~12、より具体的には9~11若しくはおよそ10アミノ酸下流を数えることによる、H8又は1つ以上のパルミトイル化部位の位置若しくは「推定」パルミトイル化部位の知識、又はb)標的GPCRのC末端の位置に関する知識に基づいて容易に同定される。
【0267】
異なるクラスのGPCR間の配列相同性が最小限であるにもかかわらず、保存された3D構造は、GPCRタンパク質の機能ドメインにおけるアミノ酸配列の変異の大きい耐性を示す。さらに、機能的キメラオプシンGPCRの操作は、例えば、保存的アミノ酸置換により得られた、保存された配列又はその機能的類似体を保存しながら、保存された構造要素若しくはモチーフ又はその周辺でスプライシングすることによって単純化される。いくつかの実施形態において、スプライシング部位は、親GPCRの保存されたモチーフ内の対応する位置に意図的に配置され、同じ又は機能的に同等のバージョンで再構成される。この理論的根拠は、特にNR(K)Qモチーフ又はO-CT近位領域の近位端と遠位端の周りにそれぞれ配置されたパルミトイル化部位でのスプライシングに適用される。
【0268】
上流オプシンCTにおける切断部位及び/又は標的GPCR CTにおける切断部位の選択の前に、本発明の第2の態様による核酸分子を操作する方法のいくつかの実施形態は、親GPCRの一方又は両方の保存されたモチーフ及びそれらをコードする遺伝子は、以下のステップを含むことによって同定される。
- 配列アライメントツールを使用して、上流オプシン(又はそのフラグメント)のアミノ酸配列を、標的GPCR(又はそのフラグメント)のアミノ酸配列とアライメントするステップ、
- 特に、E(D)RY、IL3のTM6との接合部周辺のE(D)RY,ETM7/CT接合部周辺のNPxxY、CTのNR(K)Q及びパルミトイル化されたC及び(標的GPCRがオプシンである場合)TM7での発色団の結合のためのKを含む保存されたモチーフの群から選択される保存されたモチーフを構成するアミノ酸位置を決定するステップ。
【0269】
これらの実施形態のいくつかにおいて、オプシンのアミノ酸配列は、任意選択により、保存されたモチーフを構成するアミノ酸位置の同定のために、ウシロドプシンのアミノ酸配列とアラインされる。適切なアライメントツールには、例えば、Clustal Omega(EMBL-EBI)及び上記の他のアライメントツールが含まれる。
【0270】
これら及び他の上流オプシンCTにおける切断部位及び/又は標的GPCR CTにおける切断部位の選択の前に、キメラオプシンGPCR又はそれを含むペプチドをコードする核酸分子を操作する方法の実施形態のいくつかにおいて、親オプシンと親標的GPCRの一方又は両方における保存された3D GPCRドメイン又はサブドメイン、特にサブドメインヘリックス8の同定は、二次/三次タンパク質構造を予測するためのプログラムに一次アミノ酸配列を入力するステップを含む。例えば、YASPIN(Lin et al.,2005)などの適切なプログラム又は例えば以下のリストhttps://molbiol-tools.ca/Protein_tertiary_structure.htm若しくはKuhlmannetal.,2019)若しくはSchrodingerソフトウェアパッケージ(https://www.schrodinger.com/prime)から選択される別のプログラムが当技術分野で利用可能である。特に組換え核酸技術、シリカにおける組換えクローニング設計及び化学的核酸合成を含む、上記のように当技術分野で利用可能な方法は、当業者に公知である。
【0271】
したがって、本発明の第6の態様では、特に上記のように、キメラオプシンGPCRタンパク質又はペプチドをコードし、O-CT近位領域を含む切断型オプシンCTを含むキメラC末端ドメイン(キメラCT)を含み、本質的に完全な標的GPCR CT又はその機能的誘導体をさらに含む、核酸分子を遺伝子操作する方法が提供される。キメラCTは、親上流オプシンCT及び親標的GPCR CTに由来する。遺伝子操作の方法は、以下のステップを含む。
A-1 O-CT近位領域の遠位端のアミノ酸位置又はO-CT近位領域への遠位伸長内において、親上流オプシンのCTの切断部位(x)を選択するステップ、
A-2 選択された切断部位で切断される切断型CTを有する上流オプシン部分又はペプチドをコードする核酸分子を取得するステップ;
B-1 標的GPCR CTの近位領域内、特にNR(K)Qモチーフ若しくは上流又はNPxxYとNR(K)Qモチーフとの間において、切断部位(y)を選択するステップ、
B-2 標的GPCR CT又は機能的変異体、特にその機能的フラグメントをコードする核酸分子を取得するステップ;及び
C-1 ステップA-2で取得された、切断型オプシン-CTをコードする核酸分子を、ステップB-2で取得された、標的CT又はその機能的変異体をコードする核酸分子と融合させるステップ。
【0272】
ステップA-1のキメラオプシンGPCR又はペプチドをコードする核酸分子を遺伝子操作する方法のいくつかの実施形態において、切断部位(x)は、以下の基準の1つを満たす。
- 切断部位(x)は、NR(K)Qモチーフ又はその少なくとも7、若しくは8、若しくは9、若しくは10、若しくは11、若しくは12、若しくは13アミノ酸下流に位置するヌクレオチドに位置すること、
- 切断部位(x)は、パルミトイル化部位又はパルミトイル化部位に対応するアミノ酸の下流、特に遠位に隣接して位置すること、
- 切断部位は、NR(K)Qモチーフの最大45、又は47、又は49ヌクレオチド下流に位置すること。
【0273】
キメラオプシンGPCRのいくつかの実施形態において、特にメラノプシンなどの異常に多数のアミノ酸を有する広範なC末端を含む上流オプシンを有する実施形態において、切断部位(x)は、O-CT近位領域の遠位端の下流、特に上記説明によるO-CT近位領域への遠位伸長の遠位端のアミノ酸位置に配置される。O-CT近位領域への遠位伸長の遠位端は、特に、それぞれO-CT近位領域の遠位端の最大30、若しくは31、若しくは32、若しくは33、若しくは34、若しくは35アミノ酸下流又はNR(K)Qモチーフの最大45、若しくは47、若しくは49ヌクレオチド下流に位置する。
【0274】
メランドプシンなどの広範なCTを有する上流オプシンを含むいくつかの実施形態において、切断部位(x)は、光活性化の応答終結に寄与する保存されたリン酸化部位のクラスターの下流に位置する。そのような保存されたリン酸化部位は、特に、Mure et al.2016に記載されるように、マウスメラノプシンの位置381及び397に対応するアミノ酸位置間に位置する。換言すれば、これらの実施形態において、O-CT近位領域への遠位伸長の遠位端は、好ましくは、保存されたリン酸化部位の前記クラスターの遠位端の下流に又は特に遠位に隣接して選択される。
【0275】
キメラオプシンGPCR又はペプチドをコードする核酸分子を遺伝子操作する方法のいくつかの実施形態において、ステップA-1で選択される、上流オプシンにおける切断部位x及びステップB-1で選択される、標的GPCRの切断部位yは、両方ともそのそれぞれのパルミトイル化部位若しくはパルミトイル化部位に対応するアミノ酸位置に位置するか、又は両方ともNR(K)Q部位の7~13、特に8~12、より具体的には9~11又は10アミノ酸下流に位置する。
【0276】
キメラオプシンGPCR又はペプチドをコードする核酸分子を遺伝子操作する方法のいくつかの実施形態は、1つ以上の細胞内ループを交換又は部分的に交換する、例えば対応する位置において、上流オプシンの1つ以上の細胞内ループ又は部分的細胞内ループを、標的GPCRの細胞内ループ又は部分的細胞内ループによって置き換えるための1つ以上の追加的なステップを含む。
【0277】
ここで、特に、1つ以上のスプライシング部位は、以下に位置するスプライシング部位の群から選択される。
- IL1の交換のための接合部a及び接合部b、
- IL2の交換のための接合部c及び接合部d、
- IL3の交換のための接合部e及び接合部f、
- 標的GPCRのIL3との交換で上流オプシンIL3の高度可変領域を除去する、IL3内の2つのスプライシング部位。
【0278】
本発明の第7の態様は、キメラオプシンGPCRに関連する上記産物を使用する医療用途に関する。医療用途には、特に、処置を必要とするヒト又は非ヒト個体を処置するための薬剤及び方法が含まれる。本発明の先に記載された全ての態様及び実施形態による産物は、第7の態様、すなわち医療用途に適用可能である。
【0279】
医学的使用、特に遺伝子治療における使用に適用可能な本発明の上記の態様による産物は、以下を含む産物の群から選択される。
- 本発明の第1の態様によるキメラオプシン-GPCRタンパク質、
- 本発明の第2の態様による前記オプシンGPCRタンパク質をコードする核酸分子、
- 本発明の第3の態様によるカプシド又は前記カプシドをコードする核酸分子、
- 本発明の第4の態様によるベクター、
- 本発明の第6の態様による担体又は細胞。
【0280】
いくつかの実施形態において、本発明の第7の態様は、部分的又は完全な視力喪失を患っている患者の、特に遺伝子治療の形態での医学的処置に関する。これらの実施形態のいくつかにおいて、産物は、オプシン及びmGluR6を含むか又は2つのオプシンを含む、キメラオプシンGPCRを含むか又はそれをコードする。
【0281】
本文では、2つのオプシンを含む、すなわち上流オプシン及び標的オプシンを含む実施形態は、略してキメラオプシン-オプシン(GPCR)とも呼ばれる。上流オプシン及びmGluR6を含む実施形態は、略してオプシン-mGluR6とも呼ばれる。
【0282】
医学的処置のためのキメラオプシン-mGluR6のいくつかの好ましい実施形態は、標的GPCRとしてmGluR6に上流で融合するメラノプシン又はその他のオプシン、例えば、ハコクラゲ(box jelly fish)オプシン、パラピノプシン若しくはハエトリグモ(jumping spider)ロドプシン又はそれらのヒト化変異体又は錐体オプシンなどを含む。医学的処置のためのキメラオプシンGPCRの他のいくつかの好ましい実施形態は、2つのオプシンを含み、特に錐体オプシン又はロドプシンに由来する標的GPCRに融合された任意のオプシンを含む。
【0283】
これらの好ましいいくつかの及び医学的処置のためのキメラオプシン-mGluR6のさらなる実施形態において、上流オプシンは、O-CT近位領域の遠位端、特に本明細書に記載の例示的なMela(palm)-mGluR6におけるものなど、上記のようなパルミトイル化部位で切断される。これらの好ましいさらなる実施形態の他のものにおいて、上流オプシンは、O-CT近位領域の遠位伸長の遠位端、特に本明細書に記載の例示的なMela(palm+33A)-mGluR6におけるものなど、上記のようなパルミトイル化部位のおよそ33アミノ酸下流で切断される。
【0284】
本発明の第7の態様による医学的使用のいくつかの好ましい実施形態、特に遺伝子治療において、視力を改善し、本発明の第7の態様による視力の部分的又は完全な喪失を処置するために、導入遺伝子はON双極細胞特異的プロモーター、特に770En_454P(hGRM6)又は444En_454P(hGRM6)プロモーターに作動可能に連結される。
【0285】
視力の部分的又は完全な喪失を処置するための本発明の第7の態様による医学的使用のいくつかの好ましい実施形態において、遺伝子治療用のベクター、特にrAAVベクターが適用される。これら及び他の実施形態のいくつかにおいて、AAVカプシド、特にAAV2(7m8)、AAV2(BP2)又は上記のようなペプチドインサートを有するAAV2が適用される。
【0286】
本発明の第7の態様のいくつかの実施形態において、キメラオプシンGPCRは、部分的又は完全な視力喪失を患っている患者の処置における使用のためのものであり、処置の臨床適応症は、特に網膜色素変性症(RP)、加齢に伴う黄斑変性症及びその他の任意の形態の光受容体変性症を含む群から選択される。
【0287】
本発明の第7の態様は、本発明による産物を含む医薬組成物にさらに関する。特に、医薬組成物は、眼への投与に適した医薬製剤で提供される。
【0288】
例示的な実施形態において、上記のAAVベクターは、眼への網膜下又は硝子体内注射のいずれかのために、緩衝生理食塩水に溶解される。いくつかの例示的な実施形態において、AAVは、遺伝子治療製剤として0.04%のTween-20を含む緩衝生理食塩水(PBS)に溶解される。
【0289】
さらに、本発明の第7の態様は、本発明による産物の群から選択される産物の投与を含む、処置を必要とするヒト個体又は非ヒト個体、特に動物を処置する方法に関する。この方法のいくつかの実施形態において、キメラオプシンGPCRは、硝子体内投与、特に硝子体内注射又は網膜下投与によって投与される。
【0290】
本文では、硝子体内投与という用語は、例えば、核酸分子、ベクター又は導入用の担体などの薬剤の投与経路に関連し、薬剤は、眼の硝子体に送達される。硝子体内投与は、硝子体液ゲルと呼ばれるゼリー状の流体で満たされた硝子体腔と呼ばれる目の後ろの空間に薬剤を直接入れる手順である。
【0291】
本文では、網膜下投与という用語は、網膜色素上皮細胞と光受容体との間の空間への薬剤、特に本明細書に関連するウイルスの投与経路に関する。
【0292】
本発明の第7の態様は、視力を改善するための医学的治療、又は部分的若しくは完全な失明の処置、又は網膜色素変性症(RP)の処置、又は黄斑変性症の処置若しくは他の形態の光受容体変性症の処置のための薬剤の製造における本発明による製品の使用に関する。
【0293】
本発明の第7の態様は、
- 本発明の第1の態様によるキメラオプシン-GPCRタンパク質、
- 本発明の第2の態様による前記オプシンGPCRタンパク質をコードする核酸分子、
- 本発明の第3の態様によるカプシド又は前記カプシドをコードする核酸分子、
- 本発明の第4の態様によるベクター、
- 本発明の第6の態様による担体又は細胞
を含む産物の群から選択される産物を含む、上記のような医療用途にも関し、ここで、産物は、キメラオプシンGPCRタンパク質を含むか、又は前記キメラオプシンGPCRタンパク質をコードする核酸配列を含む核酸分子を含み、ここで、キメラオプシンGPCRタンパク質は、以下を含む群から選択される。
- Mela(palm)-mGluR6、特に配列番号18、配列番号20、配列番号22、配列番号24、配列番号26及び配列番号28を含む群から選択される配列によるもの、又は
- Mela(palm+33)-mGluR6、特に配列番号16、又は
- 細胞内ループを追加的に含むMela-mGluR6、特に配列番号30又は配列番号32から選択される配列によるもの
【0294】
本発明の第7の態様による医療用途の実施形態が特定の配列番号による特定の配列を指す場合には常に、上記のような特定の配列の変異体がこれらの実施形態に含まれることが理解される。
【0295】
以下に、本発明のいくつかの実施形態に関連する非限定的なさらなる例示的詳細が、例えば、表、配列リスト、従属請求項、図面の説明及び図面で提示される。これらの例示的な実施形態は理解を助けるものであり、本発明の範囲を限定することを意味するものではない。
【0296】
単一の分離可能な特徴の代替物が「実施形態」として記載されている場合には常に、そのような代替物は自由に組み合わせることができ、依然として本明細書に記載の本発明の範囲内にとどまることを理解されたい。
【0297】
切断型CTを有する上流オプシンとしてメラノプシンを有するキメラオプシンGPCRタンパク質のいくつかの例示的な実施形態に関して、例示的なトランケーション部位は、以下に示されるヒト及びマウスのメラノプシンアミノ酸配列において同定される。この切断部位は、パルミトイル化部位(パルミトイル化システイン)の33アミノ酸下流に位置している。この例示的な切断部位は「palm+33AA」部位と呼ばれ、O-CT近位領域への遠位伸長の遠位端を形成する。
【0298】
以下に示すヒト及びマウスのメラノプシン遺伝子(OPN4)の配列セクションでは、C末端メラノプシンフラグメントのアミノ酸配列は、O-CT近位領域の近位端、すなわちNR(K)Qモチーフ(hOPN4とmOPN4ではHPKである)から始まる。palm+33AAの切断部位は、アミノ酸位置397に下向きの矢印で示されている。以下のアミノ酸残基は、枠で囲まれている。
- 保存されたHPK、すなわちNR(K)Qモチーフ、
- パルミトイル化システイン、
- 切断部位の上流の保存されたリン酸化セリン及びスレオニン残基。
hOPN4-配列番号57
【化7】

mOPN4-配列番号58
【化8】
【0299】
キメラオプシンGPCR、特にキメラメラノプシンGPCRの他の例示的な実施形態において、切断型CTの切断部位は、「palm+33AA」部位の上流の任意のアミノ酸位置又はさらに下流、例えばパルミトイル化部位の34又は35アミノ酸下流までに位置し得る。
【0300】
キメラオプシン-GPCRにおいて機能的誘導体として有利に保存又は再構成される親オプシン及び親標的GPCRの例示的な関連する保存部位を以下の表Iに提供する。
【0301】
機能的なキメラオプシンGPRCタンパク質を産生する例示的な試験されたスプライシング部位を以下の表IIに示す。
【0302】
いくつかの実施形態において、スプライシング部位は、両方の親GPCRの保存されたモチーフ又は部位に配置される。
【0303】
いくつかの実施形態において、保存されたモチーフ又は部位は、適切なスプライシング部位を同定するための参照点として機能する。そのようなスプライシング部位は、特定の保存されたモチーフ又は上記の例示的なpalm+33部位などの両方の親GPCRの部位と同等の距離に位置するであろう。
【0304】
一般に、親オプシンの配列は、2つの親GPCRのドメイン又はサブドメインを結合するための適切なスプライシング部位の同定のために保存された部位に基づいて整列される(例えば、切断及びその後のライゲーション又はインシリコで設計されたキメラオプシンGPCRの核酸合成により)。
【0305】
親オプシンが既知のパルミトイル化部位を欠くいくつかの実施形態において、パルミトイル化可能部位又はウシロドプシンのパルミトイル化部位に対応する部位の両方をアラインして、スプライシングに適した部位又は参照点として部位を特定した。
【0306】
【表1】
【0307】
【表2】
【0308】
【表3】
【0309】
【表4】
【実施例
【0310】
図5~12は、顕微鏡による可視化に加え、キメラオプシンGPCRタンパク質の機能を証明するために適用された3つの異なる実験的アプローチの結果を示す。
【0311】
インビトロ:
1.HEK-GIRKパッチクランプGβγ活性アッセイ:機能性オプシンは、GIRK(Kir3.1/3.2)カリウムチャネルを安定的に発現するHEK293細胞株で発現した。光刺激はオプシンを活性化し、オプシンは内因性細胞内Gi/oタンパク質を活性化する。活性化されたGβγタンパク質は次にGIRKイオンチャネルを開き、その結果、光刺激にタイムロックされ記録できる電気的応答をもたらす。方法の詳細については、(van Wyk et al.,PLoS Biol 2015)を参照されたい。
【0312】
2.Gα特異性生物発光プレートリーダーアッセイ:各オプシンは、HEK293細胞株でレポーター発現プラスミドと共発現した。GIRKアッセイと同様に、活性化されたオプシンはGタンパク質を活性化し、Gタンパク質はcAMP(Gs及びGi)又はCa2+(Gq)を生成する酵素を阻害又は活性化する。これらの産物(cAMP及びCa2+)の蓄積は、それぞれcAMP又はCa2+によって活性化される生物発光タンパク質の光放出によって測定できる。Gs及びGi活性の変化を視覚化するために、pcDNA5/FRT/TO Glo22Fをレポータープラスミドとして使用し、Gqシグナル伝達の変化については、pcDNA5/FRT/TO mtAeqをレポータープラスミドとして使用した。ルシフェラーゼ又はセレンテラジンをそれぞれ基質として添加し、cAMP(Gs及びGi)又はCa2+(Gq)レベルの変化を、Infinite F200Pro Tecanプレートリーダー(スイス、メンネドルフ)で測定した発光の変化によって示した。光誘起蛍光変化をオプシントランスフェクションレベルに正規化するために、蛍光の絶対変化を、測定プレートのそれぞれのウェルの全体的なmCitrineレポーター蛍光で除した。
【0313】
エクスビボ:
本発明者らは、これらのオプシンタンパク質がAAV遺伝子治療による残存網膜に導入された、光受容体細胞のない網膜のマウス網膜ニューロン(rd1網膜色素変性症マウス、C3H/HeOuJマウス系統)からの光応答を記録した(van Wyk et al.(2015)及び以下の図11の説明を参照されたい)。
【0314】
インビボ:
本発明者らは、これらのオプシンタンパク質がAAV遺伝子治療による残存網膜に導入された光受容体変性を有するマウスモデルからの行動性視線運動反射を記録した(以下の図10の説明を参照されたい)。
【0315】
図の詳細な説明
以下の詳細な説明を考慮すると、本発明は、よりよく理解され、上記以外の目的が明らかになるであろう。そのような説明は、添付の図面を参照する。
【0316】
図1:オプシンの一般的な構造。
【0317】
図1は、7つの膜貫通ドメインTM1~TM7、細胞外ドメイン、N末端NT及び細胞外ループEL1、EL2及びEL3並びに細胞内ドメインC末端CT及び細胞内ループIL1、IL2及びIL3を有する親オプシンの一般構造の概略図を示す。膜と細胞質の境界でのTMドメインと細胞内ドメイン間の接合部は、接合部(a)~(g)として示されている。任意選択によるオプシン-GCPRキメラタンパク質のスプライシング部位は、例えば、細胞内ループの交換のためにこれらの接合部に位置し得る。さらに、CTの保存されたサブドメイン、CTの近位領域にあるヘリックス8(H8)及びオプシンに存在するいくつかの保存された配列モチーフ、特に以下が示される。
- IL3とTM6との間の接合部(f)のグルタミン酸残基(E)に連結したTM3の細胞質境界のE(D)RY部位間のイオンロック、
- TM7のリジン残基(K)がシッフ塩基を介して発色団11-cis-レチナールに結合した発色団結合ポケット及びシッフ塩基を安定化するTM3の陰性対イオン、典型的にはグルタミン酸、
- TM7のC末端のNPxxYモチーフ、
- H8の遠位端にある1つ以上のパルミトイル化部位(C)、
- CTの細胞質領域のC末端リン酸化部位(P)。
【0318】
さらに、図1は、例として、CTの3つの例示的な切断部位(x-1)、(x-2)及び(x-3)を示す。
【0319】
示されている切断部位(x-1)は、H8の遠位端に位置し、ウシロドプシン(C322又はC323)のパルミトイル化部位に対応するパルミトイル化システイン残基に遠位で隣接している。示されている切断部位(x-2)は、パルミトイル化部位の下流に位置し、パルミトイル化部位の33アミノ酸下流のメラノプシン又はNR(K)Qモチーフの最大40、41、42、43、44又は45アミノ酸下流までである。示されている切断部位(x-3)は、NR(K)Qモチーフ内又はその直接遠位側にある。図示されていない他の切断部位は、特に、(x-1)と(x-2)との間又は(x-3)と(x-1)との間のアミノ酸位置に位置している。
【0320】
図2:例示的なキメラオプシンGPCRのスキーム。
【0321】
図2は、単一のスプライシング部位(x-1)のみで最小限の遺伝子操作のみを必要とするキメラオプシンGPCRの例示的な実施形態を示す。ここで、例示的な親上流オプシンの切断されたC末端は、パルミトイル化部位に隣接して遠位で切断され、例示的な標的GPCRのCTと融合されている。(x-2)及び(x-3)などの代替の例示的なスプライス部位が示され、図1に記載されている。
【0322】
図2に示される例示的な実施形態は、C末端の極めて遠位端に任意選択により付加され得る追加の配列をさらに含む。そのような任意選択による追加の配列は、マーカータンパク質(例えば、蛍光タンパク質)又は輸送配列(例えば、ゴルジ及びER搬出シグナル又は膜輸送配列)をコードし得る。本明細書に示されていないさらなる例示的な実施形態において、任意選択による追加のスプライシング部位は、非ヒトオプシンが再利用された場合、潜在的なヒト治療におけるタンパク質の抗原性を低下させるための、ヒトオプシンドメインとの細胞外ドメイン交換のため、TMドメイン(TM1~TM7)と細胞外ドメイン(NT、EL1~EL3)との間の接合部(A’)-(G’)の周辺に導入できる。
【0323】
図3:キメラオプシンmGluR6の例示的な実施形態。
【0324】
(A):図3は、キメラC末端を有するメラノプシン-mGluR6キメラGPCRの例示的な実施形態を示し、パルミトイル化部位(C)までの(その部位を含む)切断型メラノプシンC末端を含み、その後、遠位方向のパルミトイル化部位に遠位隣接し、最初にフルサイズのmGluR6CTが続き、次に、mKate2蛍光マーカーが続き、最後に追加のゴルジ搬出シグナルと標的CTの最遠位端にあるロドプシン膜輸送配列が続く。さらに、メラノプシンのIL1は、接合部a及びbに位置する切断スプライシング部位でmGluR6のIL1に完全に置き換えられ、mGluR6の完全なIL3は、メラノプシンのより長いIL3の高度可変領域内に位置するスプライシング部位に導入された。
【0325】
この例示的な実施形態において、mGluR6の短いIL3は、可変領域が機能的差異、すなわちここでは潜在的にGタンパク質特異性を決定するという理論的根拠の下、メラノプシンのより長いIL3の最も保存されていない領域に導入される。実際、キメラオプシンmGluR6 IL3を用いたこの実施形態は、図6Bに示されるように、オプシンIL3に導入されたmela(palm)mGluR6と比較して機能性を増強する。
【0326】
(B)-上:異なる種(DOI:10.1371/journal.pone.0025111)からのメラノプシン遺伝子(OPN4)のアライメントは、TM5とTM6との間にIL3の超可変領域を示す。
【0327】
(B)-下:mGluR6のIL3の挿入位置。下向きの矢印は、本明細書で使用されているマウスメラノプシン(M.OPN4)の切断部位を示し、上向きの矢印は、Aで示されている接合部e及びfを示す。
【0328】
図4:キメラオプシンGPCRの例示的な実施形態は、細胞膜を標的とする。
【0329】
原形質膜への適切な細胞内輸送を確認するために、オプシン-mGluR6-mKate2融合タンパク質を生成し、蛍光レポータータンパク質(mKate2)を使用してタンパク質の局在化を研究した。融合タンパク質は、HEK293細胞で発現した。微分干渉顕微鏡画像(A、C)と蛍光画像(B、D)を比較することにより、オプシン-mGluR6タンパク質が細胞膜に存在することが確認された。これは、2つの異なるキメラオプシンGPCRタンパク質、すなわち(A、B)のメラノプシン-mGluR6-mKate2キメラGPCRと、(C、D)のクラゲオプシン-mGluR6-mKate2キメラGPCRで示されている。両方のキメラGPCRにおいて、切断部位は、メラノプシンCTのパルミトイル化部位に隣接して遠位に位置している。
【0330】
図5:キメラC末端を有するキメラオプシンmGluR6の例示的な実施形態は、親オプシンと比較して、オプシン-mGluR6によって媒介される光活性化電流を増加させたことを示している。
【0331】
様々な例示的なキメラオプシン-mGluR6コンストラクト(追加の輸送配列を欠く)を、GIRK1/2チャネル(Gi/oファミリーの活性化Gタンパク質によって直接開かれるカリウムチャネル)を安定して発現するHEK293細胞株に一過性にトランスフェクトした。細胞が電位クランプモード(-75mV保持電位)でパッチクランプされると、5秒間提示される470nmの光刺激(1×1014光子cm-2sec-1)が、ヒストグラムで変異体につき示される内向きGIRK電流を活性化する。異なるコンストラクトによって活性化されたGIRK電流の相対的なサイズ(pFでパッチされた細胞のサイズに正規化)が示されている。星印は、スチューデントのt検定によって決定された有意水準を示す(*p≦0.05、**p≦0.01)
【0332】
(A)中波錐体オプシン(OPN1MW)によって誘発されたGIRK電流は、キメラOPN1MW(palm)-mGluR6CTによって誘発されたものよりも有意に小さい。
【0333】
(B)メラノプシン変異体による光活性化GIRK電流の比較、1=未修飾メラノプシン、2=パルミトイル化部位でCT mGluR6を添加して切断されたメラノプシン、3 =さらにメラノプシンの完全なIL1がmGluR6のIL1に置き換えられ、4=さらに、完全なmGluR6 IL3は、メラノプシンの長いIL3の可変位置に配置された。mGluR6のC末端のC末端付加は、光によって誘発されるGIRK電流を有意に増加させる。
【0334】
図6:HEK-GIRK細胞を用いたキメラオプシンGPCRのインビトロ機能スクリーニングの例。
【0335】
オプシン標的GPCRキメラでトランスフェクトされたHEK-GIRK細胞は、Van Wyk et al.(2015)に記載されるように、Gi/o Gタンパク質シグナル伝達を活性化する能力について評価された。標的GPCR CTに加えて、mKate蛍光タンパク質並びに追加のゴルジ及び膜輸送配列を運搬する様々なオプシン-GPCR変異体でトランスフェクトされたHEK-GIRK細胞から記録されたパッチクランプトレースの光応答の例が示される(黒の水平線として表される光刺激;470nm;1×1014光子/秒/cm)。(A)プロトタイプOpto-mGluR6(国際公開第2012/174674A1号パンフレット及びvan Wyk et al.(2015))、(B)Mela(palm+33AA)-mGluR6、(C)Mela(palm)+IL1-mGluR6、(D)Mela(palm)+IL3-mGluR6、(E)Mela(palm)-mGluR6、(F)JellyOP(palm)-mGluR6、(G)OPN1MW(palm)-mGluR6、(H)Mela(palm)-OPN1MW(IL1、IL2、IL3、CT)。
【0336】
図7:キメラオプシンGPCRの例示的な実施形態のGタンパク質再標的化及び経路選択性を探索するプレートリーダー実験。
【0337】
HEK293細胞にオプシン-GPCRキメラレポーター発現プラスミドを共トランスフェクトし、生物発光プレートリーダーアッセイでGα特異性を評価した。GIRKアッセイと同様に、活性化オプシンはGタンパク質を活性化し、Gタンパク質は、cAMP(Gs)を生成する酵素を阻害又は活性化し、cAMP(Gi/o)を減少させ、細胞内Ca2+(Gq)を増加させる。これらの産物(cAMP及びCa2 +)の蓄積は、それぞれcAMP又はCa2+によって活性化される生物発光タンパク質の光放出によって測定できる。光照射(480nm、10秒)は、黒矢印で示されている。光誘起蛍光変化をオプシントランスフェクションレベルに正規化するために、蛍光の絶対変化を、測定プレートのそれぞれのウェルの全体的なmCitrineレポーター蛍光で除した。黒矢印は光刺激を示す。(A、B)Mela(palm)-mGluR6(黒トレース)と未修飾メラノプシン(灰色トレース)のGi/o(A)及びGq(B)カップリングの優先度。(A)では、光活性化キメラタンパク質によるcAMPの減少を測定できるように、フォルスコリン(アデニル酸シクラーゼを刺激)の添加によって細胞内cAMPが初めて増強されたことに留意されたい。グラフは、パルミトイル化部位でのメラノプシンのC末端とmGluR6のC末端の交換により、Gタンパク質の優先度がGq(メラノプシン)からGi/o(mGluR6)に移行することを示す。メラノプシンのパルミトイル化部位にmGluR6のC末端を挿入すると、G-αサブユニットの優先度がGqからGi/oに移行する。(C)JellyOP(palm)-mGluR6(黒トレース)と比較したJellyOP未修飾(灰色トレース)のGi/o対Gsカップリングの優先度。PTXはGi/oの阻害剤であり、JellyOPはGsにのみ結合することを示している((●)なし及びPTXの添加後(■)のシグナル変化なし)が、JellyOP(palm)-mGluR6は明らかにGi/oに結合し、微分輝度値(Δ)として、PTXの添加前(●)に視認でき、PTXの添加後(■)に明らかに増加した。クラゲオプシンのパルミトイル化部位にmGluR6のC末端を挿入すると、G-αサブユニットの優先度がGsからGi/oに移行する。(D)JellyOP(palm)-5HT7は、光活性化cAMPの増加によって効率的に示されるGsを活性化する。対照:光活性化キメラタンパク質を含まない、mCitrineを発現するHEK293細胞のみ。(E)前帯状皮質の錐体細胞で発現するJellyOP(palm)-5HT7は、HCNチャネルの活性を低下させ、それにより、膜電位を脱分極する。この効果は、薬理学的な5-HT7刺激の効果と同一である(Santello et al.(2015))。マウス前帯状皮質の急性切片からの錐体細胞の体細胞パッチクランプ記録(上に表示)からのデータ(下)。JellyOP(palm)-5HT7は、定位的注入によるAAVdj遺伝子治療によって導入された。
【0338】
図8:キメラオプシン-mGluR6変異体の例示的な実施形態のON-双極細胞樹状突起及びmGluR6シグナロソームへの正しいインビボ輸送。
【0339】
マウスは、ssAAV2(7m8)(Dalkara et al.(2013))を使用し、メラノプシン-mGluR6遺伝子を770En_454P(hGRM6)プロモーター(EP19200082.6、本出願に添付)の制御下に置く遺伝子治療で処置された。(A)天然mGluR6も存在する、ON-双極細胞の樹状突起におけるキメラオプシンmGluR6タンパク質の正しい細胞内局在を示すスケッチ。(B)抗メラノプシン抗体(白)で可視化されたメラ(palm+33AA)-mGluR6-IRES-TurboFP635は、ON双極細胞の樹状突起で明確に発現している。神経節細胞層(GCL)に由来する軸索は、メラノプシンを天然に発現するipRGC(内因性光感受性網膜神経節細胞)に由来する。抗RFP抗体で視覚化されたMela(palm)-mGluR6-mKate2(C)及びJellyOP(palm)-mGluR6-mKate2(D)は、タンパク質の樹状突起の局在を明確に示している。オプシン(palm)バージョンは、キメラタンパク質を標的細胞に正しく局在化させるのに十分である。
【0340】
図9:キメラオプシン-mGluR6 GPCRの例示的な実施形態は、単離されたON-双極細胞を直接光感受性にする。
【0341】
マウスは、パパインで消化された除核後、Mela(palm+33AA)-mGluR6及びJellyOP(palm)-mGluR6及び網膜で遺伝子治療的に処置された。単離された細胞をガラスカバースリップ上にプレーティングし、穿孔パッチ技術を使用してパッチクランプした。(A)双極細胞はDIC光学下で容易に同定された。(B)トランスフェクトされた双極細胞は、蛍光レポーター遺伝子の共発現によって同定され、ここで、TurboFP635は蛍光顕微鏡で可視化された。(C、D)2秒間の青色光(470nm;1×10^14光子/cm^2/秒)に応答した、形質導入されたON双極細胞からのパッチクランプ記録の例は、垂直破線で示されている。(C)Mela(palm+33AA)-mGluR6を発現するON双極細胞からの灰色と黒の2つのオーバーレイされたトレース例。光に応答して、細胞は明らかに過分極し、TRPM1非選択的カチオンチャネルを負にゲーティングするmGluR6カスケードの直接活性化を示す。(D)網膜切片で記録されたJellyOP(palm)-mGluR6を発現するON双極細胞(黒トレース)及び光受容体によって直接活性化されたロッド双極細胞(灰色トレース)からのパッチクランプトレースの比較。JellyOP(palm)-mGluR6を発現する双極細胞は、670msの応答オフセット(Tau(off))で、非常に速い反応速度を示した。これは、光受容体活性化下の双極細胞の応答オフセットと実質的に同一である(この例ではTau(off)=570ms)。また、JellyOP(palm)-mGluR6の応答発生(Tau(on)=90ms)は、光受容体によって活性化された双極細胞の応答発生(70ms)と実質的に同一である。内因性の迅速な動態は、mGluR6シグナロソームにおけるJellyOP(palm)-mGluR6の正しい局在化及び双極細胞内での適切なシグナル伝達を明確に示している。運動パラメータ(タウ値)の適合は、赤及び緑の線で示される。
【0342】
図10:キメラオプシンmGluR6変異体の例示的な実施形態によるAAV遺伝子治療によって処置された盲目マウスの視力のインビボ測定。
【0343】
ヒストグラムは、x軸に示されている異なるキメラオプシン-mGluR6コンストラクトを用いたAAV遺伝子治療によって処置された盲目の網膜色素変性症rd1(網膜変性C3H/HeOuJ系統)マウスの平均視力(±s.e.m.)を示し、ここで、(palm)は、メラノプシン、クラゲオプシン及び中波錐体オプシンのCTでパルミトイル化部位に隣接して遠位に位置する切断部位を指し、Mela(palm+33AA)は、メラノプシンCTのパルミトイル化部位の下流のアミノ酸位置33に隣接して遠位に位置する切断部位を指し、ここで、+IL1又は+IL3は、mGluR6のCTに加えて、mGluR6のこれらのサブユニットの存在を指し、最後に、JellyOP及びOPN1MWは、それぞれクラゲオプシンとヒト中波錐体オプシンを指す。C57BL/6は、注射されていない、視力を有する野生型マウスを指し、陽性対照として使用される。この試験では、マウスは、空間周波数が変化する黒及び白のバーを示す仮想現実(Striatatech、視線運動ドラム)に囲まれた高いプラットフォーム上に拘束されずに配置される(詳細については、Prusky et al.(2004)を参照されたい)。マウスの頭部運動(視運動反射)の追跡は、赤外線カメラによって自動的に監視され、マウスがまだ認識している最高の空間視力(サイクル/度)を定量化するために分析される。Mela(palm)-mGluR6を注射したマウスは、盲目の同腹仔(rd1)よりも有意に優れたパフォーマンスを示す。全てのメラノプシン-mGluR6変異体で処置されたマウスは、JellyOP(palm)-mGluR6及びOPN1MW(palm)-mGluR6を注射されたマウスでも同様に良好に機能した。有意水準は一元配置分散分析によって決定され、グラフでは有意水準は、以下のように示される:*p≦0.05、***p≦0.001及びn.s.有意差なし。要約すると、全てのコンストラクトは、盲目rd1マウスの空間視力の有意な回復において同等によく機能した。遺伝子治療は、ssAAV2(7m8)(Dalkara et al(2013)ベクターを使用して、770En_454P(hGRM6)プロモーターの制御下でキメラオプシンmGluR6タンパク質遺伝子を設定して実施した。
【0344】
図11:新規オプシン-mGluR6コンストラクトで処理された盲目rd1網膜の網膜神経節細胞から記録されたエクスビボ光応答。
【0345】
細胞接着型パッチクランプ記録は、エクスビボで、全載網膜で実施された。(A)細胞型の同定のためのパッチクランプ記録後に細胞内で標識された網膜神経節細胞。(B)Mela(palm+33AA)-mGluR6キメラで処理されたrd1網膜の網膜神経節細胞のスパイク応答を示す例示的なラスタープロット。応答は、mGluR6受容体アゴニスト、L-AP4(25μM)によって遮断されず、光受容体からON双極細胞への入力を遮断する。これは、光応答がMela(palm+33AA)-mGluR6によって駆動されることを確認する。点線間で2秒間光を当てた。バーの各水平線(番号1~8)は、1つの記録を示す。各垂直線は、神経節細胞の記録された活動電位に対応する。明らかに、この細胞は、光が非常に確実に照射されると活動電位発火を増加させる。(C)処置がなければ盲目のネズミrd1網膜におけるMela(palm)-mGluR6発現によって回復した一過性のOFF、ON、ON-OFF神経節細胞のスパイク時間ヒストグラムの例。光に対する神経節細胞の応答の天然の多様性の回復(すなわちOFFセルと呼ばれる光オフセット(左)でのスパイク頻度の増加、ONセルと呼ばれる光開始(中央)でのスパイク頻度の増加又はON-OFFセルと呼ばれる光オン及びオフセット(右)での発火の増加)は、内因性の網膜内層機能の回復を確認する。(D)異なるキメラオプシンmGluR6タンパク質変異体で形質導入されたマウスのrd1網膜フラットマウントからの多電極アレイ(MEA)記録。反復される光刺激(トレースの上の水平バーで示される光刺激の持続時間)の選択された電極(番号1~5)からのラスタープロット(Bと同様)の例が示されている。rd1は未処置の同腹仔であり、光刺激による基礎発火率に変化はない。対照的に、キメラオプシンmGluR6タンパク質の全ての網膜は、顕著な光ロック応答を示す。
【0346】
図12:2匹の処置された変性マウス(rd1網膜変性マウス系統C3H/HeOuJ)からの網膜を通る垂直凍結切片の顕微鏡写真は、AAV2カプシドをコードするウイルスVP1遺伝子のN587とR588との間にペプチドインサート(a)NLAPRTPHTAAR及び(b)NLANHAPNHCARを含むAAV2による硝子体内遺伝子治療後にON双極細胞を発現するhMela(palm)-mGluR6-IRES2-TurboFP635を示す。hMela(palm)-mGluR6-IRES2-TurboFP635の発現は、いずれの場合にも770En_454P(hGRM6)ON双極細胞特異的プロモーターによって駆動される。
【0347】
図13:例示的なJSR1(S186F)palm-ベータ2ARキメラオプシンGPCRをHEK293-GIRK細胞で発現させ、全細胞パッチクランプ法で光誘導電流を測定した。385 nmの照明は、GIRK電流を誘導したが、550nmの光は、双安定JSR1(S186F)変異体の二色性のために活性を停止した。例示的なhJSR(S186F)palm-GABAB2キメラオプシンGPCRで実施された同じ照明を使用した類似のパッチクランプ実験は、類似のGIRK電流を誘導した(データは示さず)。
【0348】
以下の表3の概要に提示されるようなキメラオプシンGPCRSの例示的な実施形態の選択のためのcDNA及びアミノ酸配列。
【0349】
【表5】
【0350】
【表6】
【0351】
【表7】
【0352】
以下に列挙されているアミノ酸配列において、枠付きのアミノ酸は保存されたモチーフを示し、灰色のハイライトはパルミトイル化されたCysを示す。
【0353】
実施形態(A):Mela(palm+33AA)-mGluR6(マウス配列に基づく)
構成:メラノプシンは、AA397の後に切断され、mGluR6のC末端がNR(K)Q/HPEモチーフから追加された。
cDNA-配列番号1
【化9】

ペプチド配列-配列番号2
【化10】

説明:
下線=GRM6
下線且つ太字=任意選択によるゴルジ搬出シグナル
太字=任意選択による1D4エピトープ
【0354】
実施形態(B):Mela(palm)-mGluR6(マウス配列に基づく)
構成:メラノプシンは、メラノプシンのパルミトイル化Cys(AA364)の後で切断され、より良い配列アライメントの結果としてプロトタイプOpto-mGluR6に対し2つの追加の近位アミノ酸を含むmGluR6 C末端が付加された(van Wyk M et al.,2015)。
cDNA-配列番号3
【化11】

ペプチド配列-配列番号4
【化12】

説明:
下線=GRM6
下線且つ太字=任意選択によるゴルジ搬出シグナル
太字=任意選択による1D4エピトープ
【0355】
実施形態(C):Mela(palm+33AA)+IL1-mGluR6(マウス配列に基づく)
構成:実施形態Aのとおり、ただしメラノプシンIL1とmGluR6のIL1とのさらなる完全な交換を伴う。プロトタイプOpto-mGluR6と同一の切断部位(van Wyk M et al.,2015)。
cDNA-配列番号5
【化13】

ペプチド配列-配列番号6
【化14】

説明:
下線=GRM6
下線且つ太字=任意選択によるゴルジ搬出シグナル
太字=任意選択による1D4エピトープ
【0356】
実施形態(D):Mela(palm)+IL1-mGluR6(マウス配列に基づく)
構成:メラノプシンは、メラノプシンのパルミトイル化Cys(AA364)の後で切断され、プロトタイプOpto-mGluR6に対し2つの追加の近位AAを含むmGluR6 C末端が付加された(van Wyk M et al.,2015)。
cDNA-配列番号7
【化15】

ペプチド配列-配列番号8
【化16】

説明:
下線=GRM6
下線且つ太字=任意選択によるゴルジ搬出シグナル
太字=任意選択による1D4エピトープ
【0357】
実施形態(E):Mela(palm+33AA)+IL3-mGluR6(マウス配列に基づく)
構成:(1)のとおり、ただしメラノプシンの長いIL3の可変部分へのmGluR6の短いIL3のさらなる挿入を伴う。
cDNA-配列番号9
【化17】

ペプチド配列-配列番号10
【化18】

説明:
下線=GRM6
下線且つ太字=任意選択によるゴルジ搬出シグナル
太字=任意選択による1D4エピトープ
【0358】
実施形態(F):Mela(palm)-OPN1MW(IL1、IL2、IL3、CT)(マウス配列に基づく)
構成:
melaの全ての細胞内ドメインが、CTスプライス部位X-1を有するOPN1MWの対応する細胞内ドメインによって交換されたキメラ(図3、オプション1)
cDNA-配列番号11
【化19】

ペプチド配列-配列番号12
【化20】

説明:
下線=OPN1MW
下線且つ太字=任意選択によるゴルジ搬出シグナル
太字=任意選択による1D4エピトープ
【0359】
実施形態(G):OPN1MW(palm)-mGluR6(マウス配列に基づく)
構成:HPEモチーフを含むmGluR6 C末端は、推定パルミトイル化部位、すなわちウシロドプシンのパルミトイル化部位C322の直前の残基(F、灰色で強調表示)の後ろに付加された。
cDNA-配列番号13
【化21】

ペプチド配列-配列番号14
【化22】

説明:
下線=mGluR6
下線且つ太字=任意選択によるゴルジ搬出シグナル
太字=任意選択による1D4エピトープ
【0360】
実施形態(H):Mela(palm+33AA)-mGluR6(ヒト配列に基づく)
構成:マウスコンストラクトを有する上記
cDNA-配列番号15
【化23】

ペプチド配列-配列番号16
【化24】

説明:
下線=GRM6
下線且つ太字=任意選択によるゴルジ搬出シグナル
太字=任意選択による1D4エピトープ
【0361】
実施形態(I):Mela(palm)-mGluR6(ヒト配列に基づく)
構成:マウスコンストラクトを有する上記
対立遺伝子変異体:「L変異体」
cDNA-配列番号17
【化25】

ペプチド配列-配列番号18
【化26】

対立遺伝子変異体:P変異体
cDNA配列番号19(ヒトメラノプシンアイソフォーム1を有する)
【化27】

ペプチド配列-配列番号20
ヒトメラノプシンのアイソフォーム1(「p変異体」)を有するAA配列メラノプシン-mGluR6)
【化28】

説明:
下線=GRM6
下線且つ太字=任意選択によるゴルジ搬出シグナル
太字=任意選択による1D4エピトープ
枠付き=対立遺伝子変異体及び保存されたモチーフ
コメント:HEK293細胞での比較実験では、L変異体とP変異体は同等に機能した。P変異体は、最も一般的なmGluR6対立遺伝子変異体であり、ほとんどの実験で使用されている。
【0362】
実施形態(J):Mela(palm+33A)+IL1-mGluR6(ヒト配列に基づく)
構成:マウスコンストラクトを有する上記
cDNA-配列番号29
【化29】

ペプチド配列-配列番号30
【化30】

説明:
下線=GRM6
下線且つ太字=任意選択によるゴルジ搬出シグナル
太字=任意選択による1D4エピトープ
【0363】
実施形態(K):Mela(palm+33A)+IL3-mGluR6(ヒト配列に基づく)
構成:mGluR6(GRM6)IL3及びmGluR6(GRM6)CTを有するヒトメラノプシンキメラ
cDNA-配列番号31
【化31】

ペプチド配列-配列番号32
【化32】

説明:
下線=GRM6
下線且つ太字=任意選択によるゴルジ搬出シグナル
太字=任意選択による1D4エピトープ
【0364】
実施形態(L):JellyOP(palm)-mGluR6
構成:JellyOPのパルミトイル化部位(灰色Cys)の後ろにマウスGRM6のC末端が付加されたハコクラゲ(Box jellyfish)オプシンキメラ
cDNA-配列番号33
【化33】

ペプチド配列-配列番号34
【化34】

説明:
下線=GRM6
下線且つ太字=任意選択によるゴルジ搬出シグナル
太字=任意選択による1D4エピトープ
【0365】
実施形態(M):JellyOP(palm)-5HT7
構成:JellyOPのパルミトイル化部位(灰色Cys)の後ろにマウス5-ヒドロキシトリプタミン受容体7(アイソフォーム1)のC末端が付加されたハコクラゲ(Box jellyfish)オプシンキメラパルミトイル化部位の後ろから始まる5-HT7受容体のC末端配列がここに追加された
cDNA-配列番号35
【化35】

ペプチド配列-配列番号36
【化36】

説明:
下線=5HT7
下線且つ太字=任意選択によるゴルジ搬出シグナル
太字=任意選択による1D4エピトープ
【0366】
実施形態(N):PPO(palm)-mGluR6(マウスmGluR6)
構成:カワヤツメ(Lethenteron camtschaticum)パラピノプシン(PPO)
HPE部位の上流の2アミノ酸でmGluR6のCTと融合したPPOのパルミトイル化部位のスプライシング部位x。
DNA配列-配列番号37
【化37】

ペプチド配列-配列番号38
【化38】

説明:
下線=GRM6
下線且つ太字=任意選択によるゴルジ搬出シグナル
太字=任意選択による1D4エピトープ
【0367】
実施形態(O):JSR1(palm)-mGluR6(マウスmGluR6)
ハエトリグモ(jumping spider)ロドプシン、アダンソンハエトリ(Hasarious adansoni)のKumpopsin 1
構成:HPE部位の上流の2アミノ酸でmGluR6のCTと融合したJSR1のパルミトイル化部位のスプライシング部位x。
cDNA配列-配列番号39
【化39】

ペプチド配列-配列番号40
【化40】

説明:
下線=GRM6
下線且つ太字=任意選択によるゴルジ搬出シグナル
太字=任意選択による1D4エピトープ
【0368】
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【0369】
本発明の現在好ましい実施形態が上に示され、説明されたが、本発明は、それらに限定されず、他の方法で以下の特許請求の範囲内において様々に具体化及び実施され得ることが明確に理解されるべきである。
図1
図2
図3-1】
図3-2】
図4
図5
図6-1】
図6-2】
図7-1】
図7-2】
図8
図9
図10
図11
図12
図13
【配列表】
2023504136000001.app
【手続補正書】
【提出日】2022-08-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
細胞外及び細胞内ループ(EL及びIL)によって接続された7つの膜貫通ドメイン(TM1~TM7)を含むキメラオプシンGPCRタンパク質であって、
第1の光感受性オプシン部分及び第2のGPCR部分(標的GPCR部分)を含み、
記オプシン部分は、発色団を共有結合する発色団ポケットと、NR(K)Qモチーフの少なくとも7アミノ酸下流に位置する切断部位を有する切断型C末端ドメインとを含み、
前記GPCR部分は、前記オプシン部分の前記切断型C末端ドメインの下流に位置するC末端ドメイン(標的-GPCR-CT)を含むことを特徴とするキメラオプシンGPCRタンパク質。
【請求項2】
前記切断部位は、
- ヘリックス8(H8)の遠位端、又は
- パルミトイル化部
に、又は、の下流に位置する、請求項1に記載のキメラオプシンGPCRタンパク質
【請求項3】
前記切断部位は、前記パルミトイル化部位の最大33アミノ酸下流に位置する、請求項1又は2に記載のキメラオプシンGPCRタンパク質。
【請求項4】
前記オプシンは、メラノプシンロドプシン錐体オプシン;OPN1SW、OPN1LW及びOPN1MWから選択される錐体オプシン;クラゲオプシンcubop及びJellyOPから選択されるクラゲオプシン;ハエトリグモロドプシン(JSR1)パラピノプシン(PPO)ニューロプシン(OPN5);又はエンセファロプシン(OPN3)である、請求項1~のいずれか一項に記載のキメラオプシンGPCRタンパク質
【請求項5】
前記オプシン部分は、2つ以上の親オプシンに由来する、請求項1~のいずれか一項に記載のキメラオプシンGPCRタンパク質
【請求項6】
記オプシン部分は、前記切断部位までの親オプシン全体を含む、請求項1~のいずれか一項に記載のキメラオプシンGPCRタンパク質
【請求項7】
記オプシン部分は、単安定若しくは双安定オプシン又は三安定オプシンに由来する、請求項1~のいずれか一項に記載のキメラオプシンGPCRタンパク質
【請求項8】
a)前記標的-GPCR-CTが、前記親標的GPCRの前記CTの機能的変異体である、
b)前記標的-GPCR-CTが、前記NPxxYモチーフと、パルミトイル化部位まで任意のアミノ酸位置との間のN末端欠失を含む、又は
c)前記標的-GPCR-CTのN末端が、前記標的GPCR NR(K)Qモチーフに、若しくは、前記標的GPCR NR(K)Qモチーフの上流にある、
請求項1~のいずれか一項に記載のキメラオプシンGPCRタンパク質
【請求項9】
前記標的-GPCR-CTは、前記標的GPCRタンパク質のGPCRシグナリング経路に光活性化をカップリングすることができる、請求項1~のいずれか一項に記載のキメラオプシンGPCRタンパク質
【請求項10】
前記標的GPCRタンパク質は、クラスC GPCRである、又は、前記標的GPCRタンパク質は、mGluR6である、請求項1~のいずれか一項に記載のキメラオプシンGPCRタンパク質
【請求項11】
記オプシンがメラノプシンであり、且つ、前記標的GPCRタンパク質がmGluR6である、請求項1~10のいずれか一項に記載のキメラオプシンGPCRタンパク質
【請求項12】
前記キメラオプシンGPCRの前記CTは、以下の要素の群:
- ゴルジ搬出シグナル
- 膜輸送配列、又は1D4タグである膜輸送配列;、及び
- 蛍光タンパク質をコードする配列要素
から選択される1つ以上の配列要素をさらに含み、
前記1つ以上の選択された要素は、前記キメラオプシンGPCR CTのC末端に任意の順で独立して配置される、請求項1~11のいずれか一項に記載のキメラオプシンGPCRタンパク質
【請求項13】
配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10及び配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号22、配列番号24、配列番号26、配列番号28、配列番号30及び配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号38、配列番号40、配列番号42及び配列番号44と、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項1~12のいずれか一項に記載のキメラオプシンGPCRタンパク質
【請求項14】
配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10及び配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号22、配列番号24、配列番号26、配列番号28、配列番号30及び配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号38、配列番号40、配列番号42及び配列番号44を含む群から選択されるアミノ酸配列を含む、又はからなる、請求項13に記載のキメラオプシンGPCRタンパク質
【請求項15】
前記アミノ酸配列は、
- 保存的アミノ酸置換、
- 1~最大3、5、8又は15アミノ酸の範囲の欠失、及び
- 1~最大3、5、8又は15アミノ酸の範囲の挿入
から選択される1つ以上の変異を含む、前記配列のいずれか1つの変異体であり、
前記キメラオプシンGPCRタンパク質は、前記標的GPCRに特異的なGアルファタンパク質の光活性化依存性結合を示す、請求項13又は14に記載のキメラオプシンGPCRタンパク質
【請求項16】
請求項1~15のいずれか一項に記載のキメラオプシンGPCRタンパク質をコードする核酸分子。
【請求項17】
請求項16に記載の核酸分子を含むベクター、又は、プロモーターに作動可能に連結されている、若しくは細胞特異的プロモーターに作動可能に連結されている、若しくは双極細胞特異的プロモーターに作動可能に連結されている、請求項1~14のいずれか一項に記載のキメラオプシンGPCRタンパク質をコードする導入遺伝子を含む核発現ベクター。
【請求項18】
組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)ベクターである、又はAAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11及びAAV12を含むAAV血清型の群から選択されるrAAVベクターである、請求項17に記載のベクター。
【請求項19】
請求項1~15のいずれか一項に記載のキメラオプシンGPCRタンパク質、前記オプシンGPCRタンパク質をコードする請求項16に記載の核酸分子、又は請求項17若しくは18に記載のベクターを含む、医薬組成物。
【請求項20】
治療に使用するための、又は遺伝子治療である治療に使用するための、請求項19に記載の医薬組成物。
【請求項21】
力の改善に使用するための、部分的若しくは完全な失明の処置に使用するための、網膜色素変性症(RP)の処置に使用するための、黄斑変性症の処置に使用するための、又は他の形態の光受容体変性の処置に使用するための、請求項19に記載の医薬組成物。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0369
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0369】
本発明の現在好ましい実施形態が上に示され、説明されたが、本発明は、それらに限定されず、他の方法で以下の特許請求の範囲内において様々に具体化及び実施され得ることが明確に理解されるべきである。

本発明は、以下の態様を提供しうる。
[1]
細胞外及び細胞内ループ(EL及びIL)によって接続された7つの膜貫通ドメイン(TM1~TM7)を含むキメラオプシンGPCRタンパク質であって、
上流オプシンの光感受性オプシン部分を含み、
前記上流オプシン部分は、発色団を共有結合する発色団ポケットを含み、
前記キメラオプシンGPCRタンパク質は、第2のGPCRタンパク質(標的GPCRタンパク質)の第2のGPCR部分(標的GPCR部分)を含み、
前記標的GPCR部分は、C末端ドメイン(標的-GPCR-CT)を含む、キメラオプシンGPCRタンパク質において、
前記上流オプシン部分は、上流オプシンCTの近位領域(O-CT近位領域)の遠位端又はその下流に位置する切断部位を有する切断型C末端ドメイン(切断型オプシンCT)をさらに含み、
前記O-CT近位領域は、NR(K)Qモチーフ及び遠位方向に続く7~13アミノ酸を含み、
それにより、前記キメラオプシンGPCRタンパク質は、キメラC末端ドメイン(キメラCT)を含み;
前記標的GPCR-CTは、前記切断型オプシンCTの下流に位置することを特徴とするキメラオプシンGPCRタンパク質。
[2]
前記O-CT近位領域の前記遠位端は、
- ヘリックス8(H8)の遠位端、
- パルミトイル化部位、又は
- ウシロドプシンのパルミトイル化部位に対応する位置
を含む群から選択される位置に位置する、上記[1]に記載のキメラオプシンGPCR。
[3]
前記O-CT近位領域への遠位伸長の遠位端に前記上流オプシンCTの前記切断部位を含み、
前記O-CT近位領域への前記遠位伸長は、前記O-CT近位領域の前記遠位端の下流又は特に前記パルミトイル化部位の下流に最大5、若しくは最大10、若しくは最大16、若しくは最大22又は最大28、29、30、31、32、33、34若しくは35アミノ酸を含む、上記[1]又は[2]に記載のキメラオプシンGPCR。
[4]
前記上流オプシンは、メラノプシンの群から選択される、上記[3]に記載のキメラオプシンGPCR。
[5]
前記上流オプシンは、少なくとも50、65、80、100、150又は200アミノ酸の長さを有するCTを含むオプシンの群から選択される、上記[3]に記載のキメラオプシンGPCR。
[6]
前記上流オプシン部分は、前記切断部位までの前記上流オプシン全体を含むか、又は前記上流オプシン部分は、E(DRY)モチーフから前記切断部位までの前記上流オプシンの連続領域を含むか、又は
前記上流オプシン部分は、TM3、TM4、TM5、TM6及びTM7と、任意選択により前記切断部位までの前記切断型オプシンCTとを含む、上記[1]~[5]のいずれかに記載のキメラオプシンGPCR。
[7]
前記上流オプシン部分は、膜貫通ドメインTM3及びTM7を含み、特に膜貫通ドメインTM3~TM7、TM2~TM7又はTM1~TM7を含む、上記[1]~[6]のいずれかに記載のキメラオプシンGPCR。
[8]
前記上流オプシン部分は、EL1、EL2、EL3及びNTから選択される細胞外ドメインの1つ以上を含む、上記[1]~[7]のいずれかに記載のキメラオプシンGPCR。
[9]
前記上流オプシン部分は、2つ以上の親オプシン、特に2つの親オプシンに由来する、上記[1]~[8]のいずれかに記載のキメラオプシンGPCR。
[10]
前記上流オプシン部分は、非ヒトオプシンである親オプシンに由来する膜貫通ドメインを含み、
前記上流オプシン部分は、ヒトオプシンである親オプシンに由来する1つ、又は2つ、又は3つ、又は全ての細胞外ドメインをさらに含む、上記[1]~[9]のいずれかに記載のキメラオプシンGPCR。
[11]
TM7及び前記切断型オプシンCTは、同じ親オプシンに由来する、上記[1]~[10]のいずれかに記載のキメラオプシンGPCR。
[12]
前記上流オプシン部分は、前記細胞外ドメインの全て、前記膜貫通ドメインの全て及び全ての細胞内ループを含む、上記[1]~[11]のいずれかに記載のキメラオプシンGPCR。
[13]
前記上流オプシン部分は、前記上流オプシンCTの前記切断部位までの親上流オプシン全体を含む、上記[1]~[12]のいずれかに記載のキメラオプシンGPCR。
[14]
前記上流オプシン部分は、単安定若しくは双安定オプシン又は三安定オプシン、特に双安定オプシンに由来する、上記[1]~[13]のいずれかに記載のキメラオプシンGPCR。
[15]
前記上流オプシン部分は、
- メラノプシン(OPN4)、
- ロドプシン(RHO)、
- 錐体オプシン(OPN1SW、OPN1LW及びOPN1MW)、
- クラゲオプシン(cubop、JellyOP)、
- ハエトリグモロドプシン(JSR1)、
- パラピノプシン(PPO)、
- ニューロプシン(OPN5)、
- エンセファロプシン(OPN3)
を含むオプシンの群から選択される親オプシンに由来する、上記[1]~[14]のいずれかに記載のキメラオプシンGPCR。
[16]
特に1つ以上のアミノ酸の欠失、特にNPxxYモチーフと、パルミトイル化部位まで又は前記パルミトイル化部位に近位に隣接するアミノ酸位置までの任意のアミノ酸位置との間のN末端欠失を含む、親標的GPCRのCTの機能的変異体である標的CTを含む、上記[1]~[15]のいずれかに記載のキメラオプシンGPCR。
[17]
前記標的GPCR部分は、非オプシンGPCRに由来するか、又は標的オプシンと呼ばれる第2のオプシンに由来する、上記[1]に記載のキメラオプシンGPCR。
[18]
前記標的CT部分は、
特に、
- 錐体オプシン、特にOPN1SW、OPN1MW又はOPN1LW、
- セロトニン受容体、特に5-HT7、
- ミューオピオイド受容体、
- βアドレナリン受容体、特にベータ1アドレナリン受容体、ベータ2アドレナリン受容体及びベータ3アドレナリン受容体
を含む群から選択されるクラスA GPCR;
特に、
- ホルモン受容体、特にグルカゴン受容体(GCGR)
を含む群から選択されるクラスB GPCR;
特に、
- GABA 受容体、特にGABA B1 及びGABA B2
- 代謝型グルタミン酸受容体、特にmGluR6及びmGluR5受容体
を含む群から選択されるクラスC GPCR
を含むGPCRタンパク質の群から選択される親標的GPCRに由来する、上記[1]~[17]のいずれかに記載のキメラオプシンGPCR。
[19]
前記標的GPCRは、クラスA GPCR若しくはクラスB GPCR又はクラスC GPCRを除く別のクラスのGPCRのGPCRであり、任意選択により、前記標的GPCR部分は、IL1、IL2及びIL3から選択される1つ以上の細胞内ループを含む、上記[1]~[18]のいずれかに記載のキメラオプシンGPCRタンパク質。
[20]
前記標的GPCRタンパク質は、クラスC GPCR、特にmGluR6であり、前記クラスC標的GPCR部分は、任意選択により、以下の基準:
A:前記キメラGPCRにおいて、前記上流オプシン部分に含まれる天然サイズのIL3と、その天然位置に対応する位置における前記クラスC GPCRの天然サイズのIL2との同時存在は、除外されること;
B:前記上流オプシン部分は、前記細胞内ループIL1~IL3の全てを含むこと;
C:前記上流オプシン部分は、IL1を含み、及び前記標的GPCR部分は、対応する位置で前記上流オプシンIL2及びIL3を置き換えるIL2及びIL3の両方を含むことの1つが満たされることを条件として、IL1、IL2及びIL3から選択される1つ以上の細胞内ループを含む、上記[1]~[19]のいずれかに記載のキメラオプシンGPCR。
[21]
前記キメラオプシンGPCRの前記CTは、以下の要素の群:
- ゴルジ搬出シグナル、
- 膜輸送配列、
- 蛍光タンパク質をコードする配列要素
から選択される1つ以上の配列要素をさらに含み、
前記1つ以上の選択された要素は、前記キメラオプシンGPCR CTのC末端に任意の順で独立して配置される、上記[1]~[20]のいずれかに記載のキメラオプシンGPCR。
[22]
前記キメラオプシンGPCRの前記CTは、選択されたものとして、搬出シグナル、特に小胞体搬出シグナル、より具体的には配列番号86によるアミノ酸配列を含むか又はそれからなる、Kir2.1からの前記小胞体搬出シグナル又は特にゴルジ搬出シグナル、より具体的には配列番号85によるアミノ酸配列を含むか又はそれからなる、カリウムチャネルKir2.1からの前記ゴルジ搬出シグナルを含む、上記[1]~[21]のいずれかに記載のキメラオプシンGPCR。
[23]
前記キメラオプシンGPCRの前記CTは、選択された配列要素として、特にオプシンからの、より具体的にはロドプシンからの、最も具体的には配列番号87によるアミノ酸配列を含むか又はそれからなる膜輸送配列を含む、上記[1]~[22]のいずれかに記載のキメラオプシンGPCR。
[24]
前記キメラオプシンGPCRの前記CTは、蛍光タンパク質をコードする選択された配列要素、特にmKate2、TurboFP635又はmScarletを含み、
前記蛍光タンパク質は、前記キメラオプシンGPCRの前記CTに直接融合されているか、又はIRES又はT2A配列を介して連結されているかのいずれかである、上記[1]~[23]のいずれかに記載のキメラオプシンGPCR。
[25]
前記標的GPCR部分は、IL1をさらに含み、前記標的GPCRのIL1は、前記上流オプシンのIL1を置き換える、上記[1]~[24]のいずれかに記載のキメラオプシンGPCR。
[26]
前記上流オプシンのIL3は、前記標的GPCRのIL3によって置き換えられるか;又は
前記上流オプシンのIL3は、キメラIL3によって置き換えられ、前記標的GPCRのIL3は、前記オプシンIL3内の可変領域を置き換える、上記[1]~[25]のいずれかに記載のキメラオプシンGPCR。
[27]
特に、前記標的GPCRは、mGluR6であり、前記標的CTは、前記NR(K)Qモチーフ又はその上流に近位端を含む、上記[1]~[26]のいずれかに記載のキメラオプシンGPCR。
[28]
前記標的GPCRは、mGluR6であり、mGluR6のIL3は、前記オプシンIL3の可変領域を部分的に置き換え、それによりキメラIL3を形成する、上記[1]~[27]のいずれかに記載のキメラオプシンGPCR。
[29]
前記標的GPCRは、mGluR6であり、
前記上流オプシン部分は、IL1、IL2及びIL3から選択される前記細胞内ループの1つ以上をさらに含み、
ただし、上流オプシン-mGluR6キメラタンパク質において、前記上流オプシン部分に含まれる天然サイズのIL3と、mGluR6部分に含まれる天然サイズのIL2との同時存在は、除外されることを条件とする、上記[1]~[28]のいずれかに記載のキメラオプシンGPCR。
[30]
前記上流オプシン部分は、メラノプシンに由来し、且つNT、EL1~EL3、TM1~TM7、IL1及び前記切断型オプシンCTを含み、前記標的GPCR部分は、mGluR6に由来し、且つIL2、IL3及びCTを含むか、又は前記標的GPCR部分は、hOPN1mwに由来し、且つIL2、IL3及びCTを含む、上記[1]~[29]のいずれかに記載のキメラオプシンGPCR。
[31]
配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10及び配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号22、配列番号24、配列番号26、配列番号28、配列番号30及び配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号38、配列番号40、配列番号42及び配列番号44を含む群から選択されるアミノ酸配列を含む、上記[1]に記載のキメラオプシンGPCR。
[32]
配列番号18、配列番号20、配列番号22、配列番号24、配列番号26及び配列番号28を含む群から選択されるアミノ酸配列を含むか又はそれからなる、上記[31]に記載のキメラオプシンGPCR。
[33]
前記アミノ酸配列は、
- 保存的アミノ酸置換、
- 1~最大3、5、8又は15アミノ酸の範囲の欠失、
- 1~最大3、5、8又は15アミノ酸の範囲の挿入
から選択される1つ以上の変異を含む、前記配列のいずれか1つの変異体であり、
前記キメラオプシンGPCRタンパク質は、前記標的GPCRに特異的なGアルファタンパク質の光活性化依存性結合を示す、上記[35]に記載のキメラオプシンGPCR。
[34]
前記アミノ酸配列は、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%の同一性を有する、前記配列のいずれかの1つの変異体である、上記[35]又は[36]に記載のキメラオプシンGPCR。
[35]
親オプシンCT及び親標的GPCR CTに由来するキメラC末端ドメイン(キメラCT)、特に上記[1]~[34]のいずれかに記載のキメラオプシンGPCRタンパク質の前記キメラC末端ドメイン(キメラCT)を含むペプチドであって、
特にヘリックス8(H8)及びそれぞれウシロドプシンのC322又はC323に対応するパルミトイル化部位を含み、且つ前記オプシンの前記パルミトイル化部位の下流に最大33、34又は35アミノ酸を任意選択によりさらに含む、前記CTの近位領域を含むオプシンの切断型C末端ドメイン(切断型オプシン-CT)を含み、
標的GPCRのC末端ドメイン(標的GPCR CT)又はその機能的変異体、特に機能的フラグメントをさらに含み、前記標的GPCR CTは、前記切断型オプシンCTの下流に位置する、ペプチド。
[36]
上記[1]~[35]のいずれかに記載のキメラオプシンGPCRタンパク質又はペプチドをコードする核酸分子。
[37]
配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10及び配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号22、配列番号24、配列番号26、配列番号28、配列番号30及び配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号38、配列番号40、配列番号42及び配列番号44を含む群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも90%、又は少なくとも95%、又は少なくとも98%同一であるアミノ酸配列からなるキメラオプシンGPCRをコードする核酸配列を含む、上記[36]に記載の核酸分子。
[38]
配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9及び配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号17、配列番号19、配列番号21、配列番号23、配列番号25、配列番号27、配列番号29及び配列番号31、配列番号33、配列番号35、配列番号37、配列番号39、配列番号41及び配列番号43を含む群から選択される核酸配列と少なくとも70%、又は80%、又は90%同一である核酸配列を含む、上記[36]に記載の核酸分子。
[39]
配列番号17、配列番号19、配列番号21、配列番号23、配列番号25及び配列番号27を含む群から選択される核酸配列を含むか又はそれからなる、上記[36]に記載の核酸分子。
[40]
上記[35]~[39]のいずれかに記載の核酸分子を標的細胞に送達するための医学的治療において使用するためのAAVカプシドポリペプチド。
[41]
AAV2、AAV2(7m8)又はAAV8(BP2)のカプシドタンパク質である、上記[40]に記載の使用のためのAAVカプシドポリペプチド。
[42]
AAV2カプシドポリペプチドであり、且つ野生型AAV2のアミノ酸587及び588間にアミノ酸インサートを含み、
前記ペプチドインサートは、
- SASEAST(配列番号60)、
- TPPSITA(配列番号61)、
- PRTPHTA(配列番号62)、
- NHAPNHC(配列番号63)
を含むペプチド配列の群から選択される配列を含むか又はそれからなる、上記[41]に記載の使用のためのAAVカプシドポリペプチド。
[43]
前記AAV2カプシドは、7~13アミノ酸のポリペプチドを含み、
特に、前記ペプチドインサートは、上記[42]に記載のペプチドインサートを含み、且つ1つ又は2つの隣接リンカーをさらに含み、
前記リンカーは、前記リンカー中のアミノ酸の総数が6アミノ酸を超えないことを条件として、いずれかの側に最大1、2、3、4又は5つのアミノ酸を含み、
特に、前記リンカーは、いずれかの側に2つ又は3つのアミノ酸を含み、
前記リンカーは、
i.アミノ酸G及びA、又は
ii.アミノ酸A、N、L、T、R、G、A、N、L及びR、特にA、L、N、R
から選択されるアミノ酸を含むか又はそれからなり、より具体的には、前記アミノ酸の少なくとも1つは、N及びRから選択される、上記[41]又は[42]に記載の使用のためのAAVカプシドポリペプチド。
[44]
野生型AAV2のN587及びR588間において、
- AAASASEASTAA(配列番号64)、
- AAATPPSITAAA(配列番号65)、
- AAAPRTPHTAAA(配列番号66)、
- NLANHAPNHCAR(配列番号67)、
- NLAPRTPHTAAR(配列番号68)
から選択されるペプチドインサートを含む、上記[43]に記載の使用のためのAAVカプシドポリペプチド。
[45]
野生型AAV血清型2(AAV2)の587~592の位置、特にAAV血清型2のN587~R588の位置又は別の血清型のAAVのそれに相同な位置にペプチドインサートを含むアデノ随伴ウイルス(AAV)カプシドポリペプチドであって、前記ペプチドインサートは、
[化1]




を含む配列の群から選択される、アデノ随伴ウイルス(AAV)カプシドポリペプチド。
[46]
a.アミノ酸位置252、272、444、500、700、704及び/又は730のチロシン(Y)からフェニルアラニン(F);及び/又は
b.アミノ酸位置491のスレオニン(T)からバリン(V)
から選択される突然変異の1つ以上を含む、上記[40]~[44]のいずれかに記載の使用のためのAAVカプシドポリペプチド又は上記[45]に記載のAAVカプシド。
[47]
特に、配列番号74によるアミノ酸配列を含むか又はそれからなる、上記[42]に記載の使用のためのAAVカプシドポリペプチド又は上記[45]若しくは上記[45]及び[46]に記載のAAVカプシド。
[48]
上記[40]~[47]のいずれかに記載のAAVカプシドをコードする核酸分子。
[49]
AAV2、AAV2(7m8)、又はAAV8(BP2)、又はAAV2(NHAPNHC)、又はAAV2(PRTPHTA)から選択されるカプシドポリペプチドをコードする核酸配列を含むか又はそれからなる、上記[48]に記載の核酸分子。
[50]
- AAASASEASTAA(配列番号64)、
- AAATPPSITAAA(配列番号65)、
- AAAPRTPHTAAA(配列番号66)、
- NLANHAPNHCAR(配列番号67)、
- NLAPRTPHTAAR(配列番号68)
から選択される、AAV2ゲノムのN587及びR588間のペプチドインサートを有するアミノ酸配列を含むカプシドポリペプチドをコードする核酸配列を含むか又はそれからなる、上記[48]又は[49]に記載の核酸分子。
[51]
導入遺伝子を含み、特に、前記導入遺伝子は、キメラオプシンGPCRをコードし、且つ特に配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9及び配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号17、配列番号19、配列番号21、配列番号23、配列番号25、配列番号27、配列番号29及び配列番号31、配列番号33、配列番号35、配列番号37、配列番号39、配列番号41及び配列番号43を含む群から選択される核酸配列を含むか又はそれからなる、上記[48]~[50]のいずれかに記載の核酸分子。
[52]
配列番号17、配列番号19、配列番号21、配列番号23、配列番号25及び配列番号27を含む群から選択される核酸配列を含むか又はそれからなるmela(palm)-mGluR6キメラGPCRをコードする導入遺伝子を含む、上記[48]~[51]のいずれかに記載の核酸分子。
[53]
細胞特異的プロモーターを含み、
前記細胞特異的プロモーターは、前記導入遺伝子に作動可能に連結されており、
前記細胞特異的プロモーターは、特にON双極細胞特異的プロモーターであり、より具体的には200En-mGluR500Pプロモーター、配列番号75による770En_454P(hGRM6)プロモーター若しくは配列番号76による444En_454P(hGRM6)プロモーター又は網膜ON双極細胞若しくはその要素の内因性mGluR6プロモーターを含む群から選択される、上記[51]又は[52]に記載の核酸分子。
[54]
上記[45]、又は上記[45]及び[46]、又は上記[45]及び[47]に記載のAAVカプシドをコードする配列を含む組換えAAVベクター(rAAV)。
[55]
上記[36]~[39]のいずれかに記載の核酸分子を含むベクター、特にプロモーターに作動可能に連結されている、上記[36]~[39]のいずれかに記載のキメラオプシンGPCRタンパク質をコードする導入遺伝子を含む核発現ベクター。
[56]
組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)である、上記[54]又は[55]に記載のベクター。
[57]
AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11及びAAV12、特にAAV2又はAAV8を含むAAV血清型の群から選択される、上記[54]~[56]のいずれかに記載のベクター。
[58]
- AAVカプシドタンパク質をコードする配列、及び/又は
- プロモーター、特に細胞特異的プロモーター、より具体的には双極細胞特異的プロモーター
を含む配列の群から選択される核酸配列をさらに含む、上記[54]~[57]のいずれかに記載のベクター。
[59]
特に、
- GRM6-sv40プロモーター、
- 4xGRM6-sv40プロモーター、
- 200En-mGluR500Pプロモーター、
- 770En_454P(hGRM6)プロモーター 配列番号75、
- 444En_454P(hGRM6)プロモーター 配列番号76、及び
- 網膜ON双極細胞又はその要素の内因性mGluR6プロモーター
を含むプロモーターの群から選択されるON双極細胞特異的プロモーターによって駆動される、上記[35]~[39]のいずれかに記載のキメラオプシンGPCRをコードする核酸分子を含む、上記[54]~[58]のいずれかに記載のベクター。
[60]
キメラメラノプシン-mGluR6(Mela-mGluR6)、特にMela(palm)-mGluR6若しくはMela(palm+33)-mGluR6又はキメラOPN1mw-mGluR6或いは2つのオプシンを含むキメラオプシンGPCRをコードする導入遺伝子を含む、上記[54]~[59]のいずれかに記載のベクター。
[61]
導入遺伝子を含み、前記導入遺伝子は、
- 特に配列番号17、配列番号19、配列番号21、配列番号23、配列番号25及び配列番号27を含む群から選択される配列の1つによるMela(palm)-mGluR6、又は
- 特に配列番号15によるMela(palm+33)-mGluR6、又は
- 特に配列番号29又は配列番号31から選択される配列による、細胞内ループを追加的に含むMela-mGluR6
を含む群から選択されるキメラMela-mGluR6をコードする、上記[54]~[60]のいずれかに記載のベクター。
[62]
上記[40]~[47]のいずれか一項、特に上記[43]~[47]のいずれかに記載のAAVカプシドをコードする核酸配列を追加的に含む、上記[54]~[61]のいずれかに記載のベクター。
[63]
前記キメラオプシンGPCRをコードする導入遺伝子に作動可能に連結された770En-445P(hGRM6)プロモーターを含み、
AAV2(7m8)、AAV8(BP2)、AAV2(NHAPNHC)及びAAV2(PRTPHTA)を含む群から選択されるカプシドをコードする核酸配列をさらに含み、特に、前記導入遺伝子は、
- 上流オプシンとしてメラノプシン若しくはhOPN1mwを含み、且つ標的オプシンとしてmGluR6を含むキメラオプシンGPCR又は2つのオプシンを含むキメラオプシンGPCR、
- Mela(palm)-mGluR6又はMela(palm+33)-mGluR6から選択されるキメラオプシンGPCR、
- 配列番号15、配列番号17、配列番号19、配列番号21、配列番号23、配列番号25及び配列番号27、配列番号29又は配列番号31を含む群から選択される核酸配列によってコードされるキメラオプシンGPCR
を含む群から選択される前記キメラオプシンGPCRをコードする、上記[54]~[62]の組み合わせによるベクター。
[64]
配列番号79による配列を有する核酸分子を含むか又はそれからなる、上記[54]又は[55]に記載のベクター。
[65]
上記[36]~[39]のいずれかに記載の核酸分子を含むか、又は上記[54]~[64]のいずれかに記載のベクターを含み、且つ/又は上記[1]~[35]のいずれかに記載のオプシン-GPCRタンパク質を含むトランスジェニック動物、特にトランスジェニックマウス又はトランスジェニック細胞。
[66]
特に生殖細胞株を除く幹細胞株に由来するか、又は
- HEK293-GIRK細胞、
- 網膜内層ニューロン、特にON双極細胞、
- 腎臓細胞、及び
- Gs、Gq又はG 12/13 から選択されるGタンパク質を発現する細胞
を含む細胞株の群から特に選択される器官型細胞株に由来する、上記[60]に記載のトランスジェニック細胞。
[67]
CRISPR/cas修飾ゲノムを含む、上記[65]又は[66]に記載のトランスジェニック動物又はトランスジェニック細胞。
[68]
上記[1]~[35]のいずれかに記載のキメラオプシンGPCRタンパク質、又は
上記[36]~[39]のいずれかに記載の核酸分子若しくは上記[54]~[64]のいずれかに記載のベクター
を含む担体であって、
前記核酸分子又は前記ベクターは、前記キメラオプシンGPCRをコードする導入遺伝子を含み、
前記担体は、前記キメラオプシンGPCRの標的細胞又はヒト若しくは非ヒト動物への導入に適しており、
任意選択により、前記担体は、小胞、粒子、マイクロ粒子、ナノ粒子及び金粒子を含む群から選択される、担体。
[69]
前記導入遺伝子及びCRISPR/casカセットを含む、上記[68]に記載の導入のための担体。
[70]
キメラメラノプシン-mGluR6(Mela-mGluR6)、特にMela(palm)-mGluR6若しくはMela(palm+33)-mGluR6又はキメラOPN1mw-mGluR6或いは2つのオプシンを含むキメラオプシンGPCRをコードする前記導入遺伝子を含む、上記[65]~[67]のいずれかに記載のトランスジェニック動物若しくはトランスジェニック細胞又は上記[68]若しくは[69]に記載の導入のための担体。
[71]
前記導入遺伝子は、
- 特に配列番号17、配列番号19、配列番号21、配列番号23、配列番号25及び配列番号27を含む群から選択される配列の1つによるMela(palm)-mGluR6、又は
- 特に配列番号15によるMela(palm+33)-mGluR6、又は
- 特に配列番号29又は配列番号31から選択される配列による、細胞内ループを追加的に含むMela-mGluR6
を含む群から選択されるキメラMela-mGluR6をコードする、上記[65]~[67]のいずれかに記載のトランスジェニック動物若しくはトランスジェニック細胞又は上記[68]若しくは[69]に記載の導入のための担体。
[72]
特に上記[1]~[35]のいずれかに記載のキメラオプシンGPCRタンパク質又はキメラペプチドをコードする核酸分子を遺伝子操作する方法であって、
前記キメラオプシンGPCRタンパク質又は前記キメラペプチドは、切断型上流オプシンCTを含むキメラC末端ドメイン(キメラCT)を含み、
前記キメラCTは、親上流オプシンCT及び親標的GPCR CTに由来し、
前記方法は、
A-1 O-CT近位領域の遠位端のアミノ酸位置又は前記O-CT近位領域への遠位伸長内において、前記親上流オプシンの前記CTの切断部位(x)を選択するステップ、A-2 前記選択された切断部位で切断される切断型CTを有する上流オプシン部分又はペプチドをコードする核酸分子を取得するステップ;
B-1 前記親標的GPCR CTの近位領域内、特にNR(K)Qモチーフ若しくはその上流又はNPxxYとNR(K)Qモチーフとの間において、切断部位(y)を選択するステップ、
B-2 標的GPCR CT又はその機能的変異体、特にその機能的フラグメントをコードする核酸分子を取得するステップ;及び
C-1 ステップA-2で取得された、前記切断型オプシン-CTをコードする前記核酸分子を、ステップB-2で取得された、前記標的CT又は前記その機能的変異体をコードする前記核酸分子と融合させるステップ
を含む、方法。
[73]
ステップA-1において、前記切断部位(x)は、
- 前記切断部位(x)は、前記NR(K)Qモチーフ又はその少なくとも7、若しくは8、若しくは9、若しくは10、若しくは11、若しくは12、若しくは13アミノ酸下流に位置するヌクレオチドに位置すること、
- 前記切断部位(x)は、パルミトイル化部位又はパルミトイル化部位に対応するアミノ酸の下流、特に遠位に隣接して位置すること、
- 前記切断部位は、前記NR(K)Qモチーフの最大45、又は47、又は49ヌクレオチド下流に位置すること
を含む基準の群から選択される基準の1つ以上を満たす、上記[72]に記載の遺伝子操作の方法。
[74]
特に、前記上流オプシンは、メラノプシンであり、
ステップA-1において、前記切断部位(x)は、
- 前記切断部位(x)は、O-CT近位領域の最大30、又は31、又は32、又は33、又は34、又は35アミノ酸下流、特に前記O-CT近位領域への遠位伸長の遠位端に位置すること、
- 前記切断部位(x)は、前記NR(K)Qモチーフの最大45、又は47、又は49ヌクレオチド下流に位置すること、
- 前記切断部位は、リン酸化部位の保存されたクラスターの下流のアミノ酸位置に、且つ特に保存されたリン酸化部位の前記クラスターの遠位端に遠位に隣接して位置することを含む基準の群から選択される基準の1つ以上を満たす、上記[72]に記載の遺伝子操作の方法。
[75]
ステップA-1で選択される、前記上流オプシンにおける前記切断部位x及びステップB-1で選択される、前記標的GPCRの前記切断部位yは、両方ともそのそれぞれのパルミトイル化部位若しくはパルミトイル化部位に対応するアミノ酸位置に位置するか、又は両方とも前記NR(K)Q部位の7~13、特に8~12、より具体的には9~11又は10アミノ酸下流に位置する、上記[72]に記載の遺伝子操作の方法。
[76]
1つ以上の細胞内ループを置き換えるか又は部分的に置き換える、特に対応する位置において、前記上流オプシンの1つ以上の細胞内ループ又は部分的細胞内ループを、前記標的GPCRの細胞内ループによって交換するための1つ以上の追加的なステップを含み、特に、1つ以上のスプライシング部位は、
- IL1の交換のための接合部a及び接合部b、
- IL2の交換のための接合部c及び接合部d、
- IL3の交換のための接合部e及び接合部f、
- 前記標的GPCRのIL3との交換で前記上流オプシンIL3の高度可変領域を除去する、IL3内の2つのスプライシング部位
を含む群から選択される、上記[72]~[75]のいずれかに記載の遺伝子操作の方法。
[77]
ステップA及び又はステップB前に、
- 任意選択により配列アライメントツールを使用して、前記オプシン又はそのフラグメントのアミノ酸配列を、前記標的GPCR又はそのフラグメントのアミノ酸配列とアラインするステップ、
- 特に、
- E(D)RY/NRI、
- IL3のTM6との接合部の周辺のE、
- NPxxY、
- NR(K)Q、
- パルミトイル化C、及び
- 前記標的GPCRもオプシンである場合、TM7の発色団の結合のためのK
を含む、保存されたモチーフの群から選択される保存されたモチーフを構成するアミノ酸位置を決定するステップ
を含む、前記親GPCRをコードする核酸配列の一方又は両方における保存されたモチーフの同定を追加的に含み、
任意選択により、前記上流オプシンのアミノ酸配列は、保存されたモチーフを構成するアミノ酸位置の同定のために、ウシロドプシンのアミノ酸配列とアラインされる、上記[72]~[76]のいずれかに記載の遺伝子操作の方法。
[78]
ステップA及び/又はステップB前に、二次/三次タンパク質構造を予測するためのプログラムに一次アミノ酸配列を入力するステップを含む、前記親オプシン及び前記親標的GPCRの一方又は両方における保存された3D GPCRドメイン又はサブドメイン、特にサブドメインヘリックス8の同定を追加的に含む、上記[72]~[77]のいずれかに記載の遺伝子操作の方法。
[79]
医学的使用、特に遺伝子治療のための、
上記[1]~[35]のいずれかに記載のキメラオプシンGPCRタンパク質、又は
上記[36]~[39]のいずれかに記載の前記オプシンGPCRタンパク質をコードする核酸分子、又は
上記[40]~[47]のいずれかに記載のカプシド、又は
上記[48]~[53]のいずれかに記載の前記カプシドをコードする核酸分子、又は
上記[54]~[64]のいずれかに記載のベクター、又は
上記[65]~[71]のいずれかに記載の担体若しくは細胞。
[80]
上記[79]に記載の使用のためのものであり、前記使用の目的は、視力の改善、部分的又は完全な失明の処置、網膜色素変性症(RP)の処置、黄斑変性症の処置及び他の形態の光受容体変性の処置を含む群から選択される、
キメラオプシンGPCRタンパク質、又は
前記オプシンGPCRをコードする核酸分子、又は
カプシド若しくは前記カプシドをコードする核酸分子、又は
ベクター、若しくは担体、若しくは細胞。
[81]
上記[79]又は[80]に記載の使用のための、
キメラオプシンGPCRタンパク質、又は
前記オプシンGPCRをコードする核酸分子、又は
カプシド若しくは前記カプシドをコードする核酸分子、又は
ベクター、若しくは担体、若しくは細胞であって、
前記キメラオプシンGPCRは、キメラオプシンmGluR6 GPCR又は上流オプシン及び標的オプシンを含むキメラGPCRから選択され、特に、前記標的オプシンは、錐体オプシン又はロドプシンである、
キメラオプシンGPCRタンパク質、又は
前記オプシンGPCRをコードする核酸分子、又は
カプシド若しくは前記カプシドをコードする核酸分子、又は
ベクター、若しくは担体、若しくは細胞。
[82]
上記[1]~[35]のいずれかに記載のキメラオプシンGPCRタンパク質、又は
上記[36]~[39]のいずれかに記載の前記オプシンGPCRタンパク質をコードする核酸分子、又は
上記[40]~[47]のいずれかに記載のカプシド、又は
上記[48]~[53]のいずれかに記載の前記カプシドをコードする核酸分子、又は
上記[54]~[64]のいずれかに記載のベクター、又は
上記[65]~[71]のいずれかに記載の担体若しくは細胞
を含む産物の群から選択される産物を含む医薬組成物であって、
任意選択により、前記キメラオプシンGPCRは、キメラオプシンmGluR6 GPCR又は上流オプシン及び標的オプシンを含むキメラGPCRから選択され、
任意選択により、前記標的オプシンは、錐体オプシン又はロドプシンである、医薬組成物。
[83]
処置を必要とするヒト又は非ヒト動物を処置する方法であって、
上記[1]~[35]のいずれかに記載のキメラオプシンGPCRタンパク質、又は
上記[36]~[39]のいずれかに記載の前記オプシンGPCRタンパク質をコードする核酸分子、又は
上記[40]~[47]のいずれかに記載のカプシド、又は
上記[48]~[53]のいずれかに記載の前記カプシドをコードする核酸分子、又は
上記[54]~[64]のいずれかに記載のベクター、又は
上記[65]~[71]のいずれかに記載の担体若しくは細胞
の投与を含み、
任意選択により、前記キメラオプシンGPCRは、キメラオプシンmGluR6 GPCR又は上流オプシン及び標的オプシンを含むキメラGPCRから選択され、
任意選択により、前記標的オプシンは、錐体オプシン又はロドプシンである、方法。
[84]
視力を改善するための医学的治療、又は部分的若しくは完全な失明の処置、又は網膜色素変性症(RP)の処置、又は黄斑変性症の処置、又は他の形態の光受容体変性症の処置のための薬剤の製造における、
上記[1]~[35]のいずれかに記載のキメラオプシンGPCRタンパク質、又は
上記[36]~[39]のいずれかに記載の前記オプシンGPCRタンパク質をコードする核酸分子、又は
上記[40]~[47]のいずれかに記載のカプシド、又は
上記[48]~[53]のいずれかに記載の前記カプシドをコードする核酸分子、又は
上記[54]~[64]のいずれかに記載のベクター、又は
上記[65]~[71]のいずれかに記載の担体若しくは又は細胞
の使用であって、
任意選択により、前記キメラオプシンGPCRは、キメラオプシンmGluR6 GPCR又は上流オプシン及び標的オプシンを含むキメラGPCRから選択され、
任意選択により、前記標的オプシンは、錐体オプシン又はロドプシンである、使用。
[85]
上記[1]~[35]のいずれかに記載のキメラオプシンGPCRタンパク質、又は
上記[36]~[39]のいずれかに記載の前記オプシンGPCRタンパク質をコードする核酸分子、又は
上記[40]~[47]のいずれかに記載のカプシド、又は
上記[48]~[53]のいずれかに記載の前記カプシドをコードする核酸分子、又は
上記[54]~[64]のいずれかに記載のベクター、又は
上記[65]~[71]のいずれかに記載の担体若しくは細胞
を含む産物の群から選択される産物を含み、
前記産物は、キメラオプシンGPCRタンパク質を含むか、又は前記キメラオプシンGPCRタンパク質をコードする核酸配列を含む核酸分子を含み、
前記キメラオプシンGPCRは、
- 特に配列番号18、配列番号20、配列番号22、配列番号24、配列番号26及び配列番号28を含む群から選択される配列によるMela(palm)-mGluR6、又は
- 特に配列番号16によるMela(palm+33)-mGluR6、又は
- 特に配列番号30又は配列番号32から選択される配列による、細胞内ループを追加的に含むMela-mGluR6
を含む群から選択される、上記[79]~[84]のいずれかに記載の医療用途。
【国際調査報告】