(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-01
(54)【発明の名称】直接圧縮成形された眼科用装置
(51)【国際特許分類】
G02C 7/04 20060101AFI20230125BHJP
B29C 43/34 20060101ALI20230125BHJP
G02C 7/06 20060101ALN20230125BHJP
【FI】
G02C7/04
B29C43/34
G02C7/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022532812
(86)(22)【出願日】2020-11-25
(85)【翻訳文提出日】2022-06-29
(86)【国際出願番号】 EP2020083373
(87)【国際公開番号】W WO2021110512
(87)【国際公開日】2021-06-10
(32)【優先日】2019-12-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522110555
【氏名又は名称】ボシュ + ロム アイルランド リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ラオ、アルヴィンド エム.
(72)【発明者】
【氏名】グレイニー、アニタ エム.
(72)【発明者】
【氏名】ジョーンズ、トマス
(72)【発明者】
【氏名】ディベッラ、ジェイムズ
【テーマコード(参考)】
2H006
4F204
【Fターム(参考)】
2H006BB01
2H006BB03
2H006BC03
2H006BC07
4F204AA33
4F204AA42
4F204AB03
4F204AC00
4F204AG19
4F204AH74
4F204FA02
4F204FB01
4F204FF01
4F204FG08
4F204FN11
4F204FN15
(57)【要約】
眼科用装置を作製するための方法は、眼科用装置を形成するために、鋳型内に、1つ以上の眼科用装置を形成する高分子を直接圧縮成形することを含む。
【選択図】
図6B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼科用装置を形成するために、鋳型内に、1つ以上の眼科用装置を形成する高分子を直接圧縮成形することを含む、眼科用装置を作製するための方法。
【請求項2】
前記鋳型は、眼科用装置の後面を提供するように形作られた成形面を有する鋳型後部と、眼科用装置の前面を提供するように形作られた成形面を有する鋳型前部と、を具備する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記1つ以上の眼科用装置を形成する高分子を前記鋳型前部に配置し、前記鋳型前部を前記鋳型後部でキャップすることを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記鋳型前部を前記鋳型後部からデキャップすること、及び前記眼科用装置を前記鋳型前部又は前記鋳型後部のいずれかから離型すること、をさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記直接圧縮成形は、連続直接圧縮成形である、請求項1~4に記載の方法。
【請求項6】
前記1つ以上の眼科用装置を形成する高分子は、脂肪族親水性熱可塑性ポリウレタン、芳香族親水性熱可塑性ポリウレタン、脂肪族親水性熱可塑性ポリエステル、芳香族親水性熱可塑性ポリエステルのうち1つ以上と、前記脂肪族親水性熱可塑性ポリウレタン、前記芳香族親水性熱可塑性ポリウレタン、前記脂肪族親水性熱可塑性ポリエステル、前記芳香族親水性熱可塑性ポリエステルのうち1つ以上と疎水性シリコーンとの混合物と、を含む、請求項1~5に記載の方法。
【請求項7】
前記脂肪族親水性熱可塑性ポリウレタンは、脂肪族有機ジイソシアナート、ポリエーテルポリオール及び鎖延長剤の反応生成物を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記1つ以上の眼科用装置を形成する高分子は、前記1つ以上の眼科用装置を形成する高分子と1つ以上のシリコーン高分子の混合物を含む、請求項1~5に記載の方法。
【請求項9】
前記1つ以上のシリコーン高分子は、ポリジメチルシロキサン、ジメチコーン又は両方を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記1つ以上の眼科用装置を形成する高分子は、前記1つ以上の眼科用装置を形成する高分子と1つ以上のシリコーン-ウレタン共重合体の混合物を含む、請求項1~5に記載の方法。
【請求項11】
前記1つ以上の眼科用装置を形成する高分子は、高分子膜、溶融ペレット及びホットメルトのうち1つを含む、請求項1~9に記載の方法。
【請求項12】
(a)前記1つ以上の眼科用装置を形成する高分子を、鋳型前部に導入すること、
(b)前記鋳型前部を鋳型後部でキャップすること、及び
(c)複数の眼科用装置を形成するために、前記1つ以上の眼科用装置を形成する高分子を連続直接圧縮成形すること、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記1つ以上の眼科用装置を形成する高分子は、高分子膜、溶融ペレット及びホットメルトのうち1つを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
高分子膜、溶融ペレット及びにホットメルトのうちの前記1つは、脂肪族親水性熱可塑性ポリウレタン、芳香族親水性熱可塑性ポリウレタン、脂肪族親水性熱可塑性ポリエステル、芳香族親水性熱可塑性ポリエステルのうち1つ以上と、前記脂肪族親水性熱可塑性ポリウレタン、前記芳香族親水性熱可塑性ポリウレタン、前記脂肪族親水性熱可塑性ポリエステル、前記芳香族親水性熱可塑性ポリエステルのうち1つ以上と疎水性シリコーンとの混合物と、を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記脂肪族親水性熱可塑性ポリウレタンは、脂肪族有機ジイソシアナート、ポリエーテルポリオール及び鎖延長剤の反応生成物を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
高分子膜、溶融ペレット及びホットメルトのうちの前記1つは、1つ以上の眼科用装置を形成する高分子と1つ以上のシリコーン高分子の混合物を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記1つ以上のシリコーン高分子は、ポリジメチルシロキサン、ジメチコーン又は両方を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
高分子膜、溶融ペレット及びホットメルトのうちの前記1つは、前記1つ以上の眼科用装置を形成する高分子と1つ以上のシリコーン-ウレタン共重合体の混合物を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項19】
前記眼科用装置は、コンタクトレンズである、請求項1~18に記載の方法。
【請求項20】
ソフトコンタクトレンズを形成するために、前記コンタクトレンズを水和させることをさらに含む、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
優先権の主張
本出願は、2019年12月2日出願の、「Direct Compression Molded Ophthalmic Devices(直接圧縮成形された眼科用装置)」を発明の名称とする、米国仮特許出願第62/942,391に対する優先権を主張し、その記載内容すべてを本明細書に引用することで組み込む。
【0002】
コンタクトレンズは、旋削と注型成形を含む、様々な方法により作製されている。旋削は、経済的、大量かつ高速生産の需要を満たすことができない。旋削に固有の費用面における不具合を低減しようと尽力したことで、旋削と注型成形のハイブリッドとなるプロセスが作成された。例えば、レンズは、レンズの片方の側面を注型成形し、もう片方の側面を旋削することで、作製され得る。このプロセスは、旋削よりも安価であるが、完全な注型成形プロセスよりはさらに費用がかかる。
【0003】
注型成形は、2つの相補的な鋳型の使用を要する。鋳型の前半部分は、レンズの前面を画成する。鋳型の後半部分は、レンズの後面を画成する。鋳型の半部分は、従来より、1回のみ使用され、その後、仕上げレンズ用の包装の要素として機能するか、又は廃棄される。所望の半径又は倍率を持つコンタクトレンズ鋳型の半部分を製造するために、後部及び前部ステップの工具を使用して、バッチ式の基準鋳型を作製する。基準鋳型を精密に測定し、その後、一連のステップの変更を、作製される鋳型の半部分の寸法が所望に実現されるまで行わなければならない。所望の最終レンズ製品は、必要な鋳型の前後半部分の設計を決定する。
【0004】
例えば、コンタクトレンズは、一般的に、硬化性液体を、鋳型の2つの半部分により画成された型穴に注入することで、注型成形される。これらの鋳型は、使い捨てタイプが多く、新規のレンズごとに鋳型を取り換える費用は、最終レンズの総費用の相当な部分を占める。液体は、その後、型穴内で硬化される。硬化プロセスの後、硬化レンズは、型穴から取り外される。レンズは、その後典型的に、他の硬化後ステップを経て移動し、仕上げレンズを作製する。
【0005】
レンズ製造におけるプロセスステップの削減に加えて、コンタクトレンズの大量生産を容易にし、それによって、レンズ当たりの低製造コストを実現する、コンタクトレンズを作製する改良方法を提供することは所望であり得る。
【発明の概要】
【0006】
1つの典型的な実施形態によれば、眼科用装置を作製するための方法は、眼科用装置を形成するために、鋳型内に、1つ以上の眼科用装置を形成する高分子を直接圧縮成形することを含んで提供される。
【0007】
1つの典型的な実施形態によれば、眼科用装置を作製するための方法は、眼科用装置を形成するために、(a)1つ以上の眼科用装置を形成する高分子を、鋳型に導入すること、及び(b)1つ以上の眼科用装置を形成する高分子を直接圧縮成形すること、を含んで提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本発明の典型的な実施形態は、添付図面を参照して、以下でより詳細に記載される。
【0009】
【
図1】
図1は、ソフトコンタクトレンズを作製するための現在のプロセスの流れ図を示す。
【
図2】
図2は、1つ以上の例示の実施形態に係る、ソフトコンタクトレンズを作製するための例示された直接圧縮成形プロセスの流れ図を示す。
【
図3】
図3は、1つ以上の例示の実施形態に係る、ソフトコンタクトレンズを作製するための例示された直接圧縮成形プロセスの流れ図を示す。
【
図4】
図4は、1つ以上の例示の実施形態に係る、工具前面の斜視図である。
【
図5】
図5は、1つ以上の例示の実施形態に係る、工具後面の斜視図である。
【
図6A】
図6Aは、1つ以上の例示の実施形態に係る、鋳型組立体の斜視図である。
【
図7】
図7は、1つ以上の例示の実施形態に係る、二次操作でトリミングされる余剰の材料を備えたコンタクトレンズを示す。
【
図8】
図8は、1つ以上の例示の実施形態に係る、ネット形状のレンズを示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示は、一般的に、ソフトコンタクトレンズ等の直接圧縮成形された眼科用装置に関する。
【0011】
典型的な実施形態は、眼科用装置を形成するために、眼科用装置を形成する高分子の直接圧縮成形に関して、さらに詳細に検討されるであろう。ソフトコンタクトレンズ等の眼科用装置を形成するために、1つ以上の眼科用装置を形成する高分子の直接圧縮成形は、眼科用装置を作製するための既存のプロセスを有利に簡略化する。例えば、
図1は、ソフトコンタクトレンズを作製するための現在の熱硬化性注型成形プロセス10を示す。
図1の方法10に示す、ある例示の実施形態を記載する。ステップ11において、ポリプロピレンペレットを形成するために、ポリプロピレン樹脂を射出成形機に供給する。ステップ12において、ポリプロピレンペレットを鋳型の前後半部分に射出成形する。ステップ13において、モノマー混合物を鋳型前部に射出する。ステップ14において、鋳型前後半部分をともにキャップする。ステップ15において、眼科用装置を形成するために、モノマー混合物を典型的な硬化条件下で硬化する。ステップ16において、眼科用装置を凹凸又は欠陥がないか検査する。ステップ17において、未重合材料を眼科用装置から抜き出す。ステップ18において、眼科用装置をその後、包装システムで包装する。例えば、眼科用装置を、当技術分野で公知の添加物をオプションとして含む緩衝生理食塩溶液を含む個々のレンズ包装に移送する。一般的に、本明細書開示の眼科用装置の貯蔵用の包装システムは、少なくとも、包装用水溶液に浸漬される眼科用装置の1つ以上を含む封入容器を具備する。1つの実施形態において、封入容器は、眼科用装置を含む凹面ウェルが、ブリスター包装を開封するために、剥離に適した金属又はプラスチック製シートにより覆われる、密封されたブリスター包装である。封入容器は、レンズを適度に保護する、任意の好適な、一般的に不活性の包装材料、好ましくは、ポリアルキレン、PVC、ポリアミド等のプラスチック材料であり得る。ステップ19において、包装された眼科用装置を、その後、殺菌消毒する。殺菌消毒は、容器の封入前に、又は最も都合よくその後に行われ得、例えば、約120℃以上の温度での封入容器の蒸気殺菌又は高圧蒸気養生等の当技術分野で公知の任意の好適な方法で実行され得る。
【0012】
図2は、以下で記載の通り、ある例示の実施形態に係る、ソフトコンタクトレンズ等の眼科用装置を作製するための直接圧縮成形プロセスを示す。図示の通り、
図2に示すプロセスは、
図1の熱硬化性注型成形プロセスと比較して、相当数のプロセスステップを有利に削減する。
【0013】
例えば、
図2に示す直接圧縮成形プロセスは、未反応モノマーと他の夾雑物を除去するために、鋳型へのモノマーの鋳造の要件、硬化、離型及び抜き出しを不要にする。さらに、1つ以上の眼科用装置を形成する高分子の直接圧縮成形は、例えば、直接圧縮成形で、日常用に使い捨ての1回使用レンズ等の使用のための眼科用装置の大量生産を容易にして、レンズ形状は、約2~約3秒で作製可能で、水和及び最終包装前の抜き出し等のさらなる処理後のステップを必要としない。これは、高分子膜、溶融ペレット及びホットメルト等の予備形成された以下記載の眼科用装置を形成する高分子であって、それを、眼科用装置への直接圧縮成形用の鋳型に導入する前の状態に起因するためである。例えば、回転式圧縮成形機を使用する連続圧縮成形(CCM)プロセスと結合されると、生産速度を高く達成可能である。例示の実施形態において、現在の注型成形プロセスに対する毎分100~300レンズの生産と比較して、毎分約500~約2000レンズの生産速度が達成可能である。
【0014】
本明細書で使用する用語「眼科用装置」及び「レンズ」は、眼球内又は眼球上に配置される装置を指す。これらの装置は、光学補正、創部の治療、薬物の送達、診断上の機能性、見栄えの改善又はこれらの特性の任意の組み合わせを提供可能である。このような装置の代表的な実施例は、例えば、ソフトのヒドロゲルレンズ、ソフトの非ヒドロゲルレンズ等のソフトコンタクトレンズ、眼内レンズ、オーバーレイレンズ、眼内挿入物、光学挿入物、包帯レンズ及び治療用レンズ等を含むが、これらに限定されない。当業者が理解する通り、レンズは、それ自体が破損なく、折り畳み可能であれば、「ソフト」とみなされる。例示の実施形態の高含水率のコンタクトレンズ等の眼科用装置は、球形、円環状、複焦点であり得、見栄えの良い色調、不透明の化粧用模様、それらの組み合わせ等を含み得る。
【0015】
直接圧縮成形用の好適な眼科用装置を形成する高分子は、例えば、脂肪族及び芳香族親水性熱可塑性ポリウレタン及びポリエステル等の親水性熱可塑性ポリウレタン(h-TPU)、ポリウレタン又はポリエステルと疎水性シリコーン及び/又はそれらのオリゴマー又は高分子との混合物を含む。例示の実施形態において、上述の眼科用装置を形成する高分子は、(a)含水率が約10%~約90%、又は約40%~約80%、(b)水和係数が約100g/mm2未満、(c)キャプティブバブル法による接触角が約30°~約90°、又は約30°~約50°未満等の約50°未満、(d)可視光線透過率が約65%~約100%、又は約90%を超える、及び(e)屈折率が約1.35~約1.50であることを示すことができる。
【0016】
好適な脂肪族親水性熱可塑性ポリウレタンは、例えば、触媒の存在下で、脂肪族有機ジイソシアナート、ヒドロキシル基末端ポリオール及び低分子量グリコール(鎖延長剤)の反応生成物から得られるポリウレタンを含む。一般的に、ポリウレタンは、1つ以上のジイソシアナートと、ヒドロキシル基等の活性水素部位を含む化合物との間の反応の縮合生成物である。ジイソシアナートは、官能基が2つのイソシアナート化合物であり得る。好適な脂肪族ポリイソシアナートの実施例は、イソホロンジイソシアナート(IPDI)、1,4-シクロヘキシルジイソシアナート(CHDI)、デカン-1,10-ジイソシアナート、リシンジイソシアナート(LDI)、1,4-ブタンジイソシアナート(BDI)、1,5-ペンタンジイソシアナート(PDI)、水素化キシレンジイソシアナート(HXDI)、イソホロンジイソシアナート、ヘキサメチレンジイソシアナート(HDI)及びジシクロヘキシルメタン-4,4’-ジイソシアナート(H12MDI)を含む。2つ以上のポリイソシアナートの混合物を使用してよい。1つの実施形態において、好適なジイソシアナートは、ジシクロヘキシルメタンジイソシアナート(HMDI)である。
【0017】
任意のヒドロキシル基末端ポリオールは、本明細書で使用可能である。好適なポリオールは、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリシロキサンポリオール、及びこれらの組み合わせを含む。1つの例示の実施形態において、ヒドロキシル基末端ポリオールは、ポリエーテルポリオールを含む。ヒドロキシル基末端ポリエーテルポリオールは、総炭素数2~15のジオール又はポリオールから誘導されるポリエーテルポリオールを含む。いくつかの実施形態において、ヒドロキシル基末端ポリエーテルポリオールは、炭素数2~6のアルキレンオキシド、典型的には、エチレンオキシド又はプロピレンオキシド又はそれらの混合物を含むエーテルと反応されるアルキルジオール又はグリコールから誘導されるポリエーテルポリオールを含む。例えば、ヒドロキシル官能ポリエーテルは、最初に、プロピレングリコールをプロピレンオキシドと反応し、その後、エチレンオキシドとの後続反応により作製可能である。エチレンオキシドに由来する第1級ヒドロキシル基は、第2級ヒドロキシル基よりも反応性が高く、このため、好ましい。有用で市販用のポリエーテルポリオールは、エチレングリコールと反応されるエチレンオキシドを含むポリ(エチレングリコール)、プロピレングリコールと反応されるプロピレンオキシドを含むポリ(プロピレングリコール)、重合テトラヒドロフランとも記載可能で、一般的にPTMEGと称される、テトラヒドロフランと反応される水を含むポリ(テトタメチレンエーテルグリコール)を含む。
【0018】
ポリエーテルポリオールはまた、アルキレンオキシドのポリアミド付加物を含み、例えば、エチレンジアミンとプロピレンオキシドとの反応生成物を含むエチレンジアミン付加物、ジエチレントリアミンのプロピレンオキシドとの反応生成物を含むジエチレントリアミン付加物、及び類似のポリアミド型ポリエーテルポリオールを含み得る。コポリエーテルはまた、記載された組成物で利用可能である。典型的なコポリエーテルは、THFとエチレンオキシド又はTHFとプロピレンオキシドの反応生成物を含む。これらは、BASFからポリTHF(登録商標)B、ブロック共重合体、及びポリTHF(登録商標)R、ランダム共重合体として利用可能である。様々なポリエーテル中間体は、一般的に、約700~約10,000、又は約1,000~約8,000、又は約1,400~約8,000等の約700を超える平均分子量である、末端官能基の分析により決定される数平均分子量(Mn)を有する。
【0019】
1つの実施形態において、当業者に利用可能な任意の高分子量ポリエーテルポリオールを、本明細書で使用可能である。1つの実施形態において、高分子量ポリエーテルポリオールは、約500~約5000の平均分子量を有するポリオールである。ある例示の実施形態において、好適な高分子量ポリエーテルポリオールは、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMEG)である。ある例示の実施形態において、PTMEGは、約1000~約2000の平均分子量を有する。
【0020】
好適な低分子量グリコールは、例えば、炭素数2~20、又は2~12、又は2~10の低級脂肪族又は短鎖グリコールを含む。低分子量グリコールの代表的な実施例は、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4-ブタンジオール(BDO)、1,6-ヘキサンジオール(HDO)、1,3-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4-シクロヘキサンジメタノール(CHDM)、2,2-ビス[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]プロパン(HEPP)、ヘキサメチレンジオール、ヘプタンジオール、ノナンジオール、ドデカンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、エチレンジアミン、ブタンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、及びヒドロキシエチルレソルシノール(HER)等を、それらの混合物に加えて、含む。
【0021】
1つ以上の重合触媒は、重合反応中に存在し得る。一般的に、任意の従来の触媒は、ジイソシアナートをヒドロキシル基末端ポリオール又は鎖延長剤と反応するように利用可能である。好適な触媒の実施例は、例えば、トリエチルアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン、N-メチルモルホリン、N,N’-ジメチルペピラジン、2-(ジメチルアミノエトキシ)エタノール、ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン等の第3級アミン、チタンエステル、鉄化合物等の有機金属化合物、例えば、鉄アセチルアセトナート、スズ化合物、例えば、二酢酸第一錫、ジオクタノアート第一錫、ジラウリン酸第一錫、又は脂肪族カルボン酸のジアルキル錫塩、例えば、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレート等を含む。通常使用される触媒の量は、ポリヒドロキシ化合物(b)100重量部当たり0.0001~0.1重量部である。
【0022】
親水性熱可塑性ポリウレタンを調製するために、3つの反応物(ポリオール、ジイソシアナート、及び鎖延長剤)は、親水性熱可塑性ポリウレタンを形成するために、ともに反応させられ得る。3つの反応物を反応するための任意の公知のプロセスは、TPUを作製するために使用され得る。1つの実施形態において、該プロセスは、いわゆる、「1回限りの」プロセスであって、すべての3つの反応物が、押し出し機反応器に添加され、反応される。ポリオール中間体と鎖延長剤グリコールである構成要素を含む総当量のヒドロキシルに対するジイソシアナートの当量は、約0.95~約1.10、又は約0.96~約1.02、さらに約0.97~約1.005であり得る。ウレタン触媒を利用する反応温度は、約175℃~約245℃であり得る。
【0023】
親水性熱可塑性ポリウレタンはまた、プレポリマープロセスを利用して調製可能である。プレポリマー経路において、ポリオールは、その中に遊離又は未反応のジイソシアナートを有するプレポリマー溶液を形成するために、一般的に、当量超過の1つ以上のジイソシアナートと反応される。反応は、一般的に、好適なウレタン触媒の存在下で、約80~約220℃の温度で行われる。次に、鎖延長剤は、上記記載の通り、任意の遊離又は未反応のジイソシアナート化合物と同様に、イソシアナート末端基と一般的に等しい当量で添加される。このため、総当量のポリオール中間体及び鎖延長剤に対する総ジイソシアナートの全体当量比は、約0.95~約1.10、又は約0.96~約1.02、さらに約0.97~約1.05である。鎖延長反応温度は、一般的に、約180~約250℃である。
【0024】
一般的に、本明細書で使用するための脂肪族親水性熱可塑性ポリウレタンは、例えば、米国特許第4,523,005号及びG.Verstraeteらの「Hydrophilic thermoplastic urethanes for the manufacturing of highly dosed oral sustained release matrices via hot melt extrusion and injection molding(ホットメルト押出及び射出成形による、高用量の経口式持続性放出マトリクスの製造のための親水性熱可塑性ウレタン)」Int J Pharm.506(1-2):214-21)(2016)に記載の物であり得、その記載内容すべてを本明細書に引用することで組み込む。これらのポリウレタンは、SS/HR率が、例えば、約40~約85の約30を超える鎖延長剤としての1,4‐ブタンジオール(1,4‐BD)と組み合わせて、例えば、ポリエチレンオキシド(PEO)に基づくソフトセグメント(SS)と、例えば、ヘキサメチレンジイソシアナート(HMDI)に基づくハードセグメント(HS)と、を含む。1つの実施形態において、これらのポリウレタンは、約60~約90%の含水率を示すことができる。好適な脂肪族親水性熱可塑性ポリウレタンは、テコフィリック(Lubrizol社製)、例えば、テコフィリックTG-500(「TG-500」とも称される)及びテコフィリックTG-2000(「TG-2000」とも称される)の商品名で市販されている。
【0025】
30未満の異なる比率での上記又は類似のハード及びソフトセグメントを備えたh-TPU’は、約5~約25等のより低い含水率を示して使用可能であることも想定される。好適な熱可塑性ポリウレタンは、テコフィリック(Lubrizol社製)の商品名で市販されるポリウレタンを含む。このようなh-TPU’の実施例は、例えば、25%の含水率を示すHydrothane AL 25-80AのHydrothane(AdvancSource Biomaterials社製)等の商品名で市販されるものを含む。
【0026】
芳香族親水性熱可塑性ポリウレタンに対して、使用可能な好適な芳香族有機ジイソシアナート化合物は、例えば、メチレンジフェニルジイソシアナート(MDI)、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアナート、p-フェニレンジイソシアナート、キシレンジイソシアナート、ヘキサメチレンジイソシアナート、イソホロンジイソシアナート、トリレンジイソシアナート、1,5-ナフタレンジイソシアナート、及び4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアナートを含む。
【0027】
いくつかの例示の実施形態において、これらのh-TPU’は、水和される場合に、曇りや透過性を示すことができる。所望の含水率を得て、透明さを改善し/曇りを低減するために、これらのTPU’は、他の疎水性材料や高分子と混合して溶解され得る。
【0028】
1つの例示の実施形態において、オプションとして透明な熱可塑性高分子を備えた上述のh-TPU’等の眼科用装置を形成する高分子の混合物は、直接圧縮眼科用装置を形成するために使用可能である。好適な熱可塑性高分子は、例えば、TOPAS(先端高分子)とAPEL(Mitsui Chemical)の商品名で市販される、8,9,10-トリノルボルン-2-エン(ノルボルネン)又は1,2,3,4,4a,5,8,8a-オクタヒドロ-1,4:5,8-ジメタノナフタレン(テトラシクロドデセン)等の環状モノマーをエテンで連鎖共重合することにより、又は例えば、ARTON(Japan Synthetic Rubber)、ならびにZeonex及びZeonor(Zeon Chemical)の商品名で市販される(例えば、Pure Appl.Chem.、Vol.77、No.5、pp.801-814(2005)を参照、その記載内容すべてを本明細書に引用することで組み込む)、様々な環状モノマーの開環メタセシス重合とその後の水素化により作製される、例えば、ポリメチル・メタクリレート、環状オレフィン高分子と、CBC Vivion(USI社、高雄市、台湾)の商品名で市販される、水素化レベルが99.5%を超える、スチレン-b-ブタジエン-b-スチレン(SBS)及びスチレン-b-イソプレン-b-スチレン(SIS)等のスチレンブロック共重合体を含む環状ブロック共重合体(例えば、発明2018、3(3)、49を参照し、その記載内容すべてを本明細書に引用することで組み込む)と、Luran(Sryrolution)の商品名で市販されるスチレンアクリロニトリルと、Xcel(Artenius)の商品名で市販されるポリエチレンテレフタレート-グリコールPET-gと、ポリ乳酸と、を含む。
【0029】
1つの例示の実施形態において、シリコーン高分子を備えた上述のh-TPU’等の眼科用装置を形成する高分子の混合物は、直接圧縮眼科用装置を形成するために使用可能である。好適なシリコーン高分子は、例えば、ともにDow、Momentive又はClearco製品から市販されるポリジメチルシロキサン又はジメチコーンを含む。このようなポリジメチルシロキサンの代表的な実施例は、粘度が約300,000~約20,000,000cStのPDMSシリコーンオイル(Clearco製品)、シクロ-1500ジメチコノール-シクロペンタシロキサン混合物、及びシクロ-2244、シクロ-2245及びシクロ-2345シクロメチコン流体(Clearco製品)等のデカメチルシクロペンタシロキサンシリコーンオイルを含む。
【0030】
1つの例示の実施形態において、シリコーン-ウレタン共重合体を備えた上述のh-TPU’等の眼科用装置を形成する高分子の混合物は、直接圧縮眼科用装置を形成するために使用可能である。好適なシリコーン-ウレタン共重合体は、例えば、PurSil(DSM)及びQuadrasil(Biomerics)の商品名で市販される共重合体を含む。その記載内容すべてを本明細書に引用することで組み込む、米国特許第5,589,563号も参照のこと。これらは、ポリテトラメチレンオキシド(PTMO)を備えた高分子ソフトセグメントと芳香族ジイソシアナートのハードセグメント、例えば、4,4’-メチレン-ジフェニルジイソシアナート(MDI)を低分子量グリコール鎖延長剤で包含されたポリジメチルシロキサンである。共重合体鎖は、シリコーン又は類似の官能基を末端とする。
【0031】
1つの例示の実施形態において、透明な無定形ポリアミドを備えた上述のh-TPU’等の眼科用装置を形成する高分子の混合物は、直接圧縮眼科用装置を形成するために使用可能である。好適な無定形ポリアミドは、例えば、Trogamid T(Evonik Industries)を商品名とするジメチルテレフタレート及びトリメチルヘキサメチレンジアミンモノマーから作製される無定形ポリアミド、Trogamid CX(Evonik Industries)を商品名とする脂環式ジアミン及び1,12-ドデカン二酸モノマーから作製される無定形ポリアミド、及びEMS-CHEMIE(Sumter)からEMS Grivory TRを商品名とする2,2‘-ジメチル-4,4‘-メチレンビス(シクロヘキシルアミン)及びドデンカン二酸モノマーから作製される無定形ポリアミドを含む。
【0032】
1つの例示の実施形態において、追加の好適な眼科用装置を形成する高分子は、部分的に又は「軽度に」架橋した熱可塑性物質を含む。1つの実施形態において、追加の好適な眼科用装置を形成する高分子は、熱可塑性加硫物(TPV)の動的加硫により作製される部分的に架橋したTPU’を含む。動的加硫は、硬質熱可塑性材料との混合物のソフトエラストマー相の加硫に適用された。該プロセスは、加硫を活性化・完了するために、高せん断で、十分高い温度で、熱可塑性材料の融点を超えて実行される。例えば、「The Effect of Dynamic Vulcanization on the Properties of Polypropylene/Ethylene-Propylene Diene Terpolymer/Natural Rubber(PP/EPDM/NR)Ternary Blend(動的加硫のポリプロピレン/エチレン-プロピレンジエンターポリマー/天然ゴム(PP/EPDM/NR)三元混合物の特性への影響)」Halimatuddahlianaら、Polymer-Plastics Technology and Engineering、第48巻、2008-第1版を参照のこと。
【0033】
1つの実施形態において、追加の好適な眼科用装置を形成する高分子は、電子線架橋により作製される部分的に架橋したTPU’を含む。
【0034】
1つの実施形態において、追加の好適な眼科用装置を形成する高分子は、米国特許第4,666,781に記載の部分的に架橋したTPU’を含み、その記載内容すべてを本明細書に引用することで組み込む。例えば、部分的に架橋したTPU’は、アクリレート側と末端基を備えたそれらの線状熱可塑性ポリウレタンであり得、ポリウレタンが、ポリ-及び/又はジイソシアナートを、(a)メタクリル酸塩又はアクリル酸塩ジオール、(b)メタクリル酸又はアクリル酸、ジオール及び他の有機ポリジオール化合物のモノエステルの混合物と反応することで調製される。1つの実施形態において、部分的に架橋したTPU’は、ポリ-及び/又はジイソシアナートを、(a)約146~約3,000の分子量を有するメタクリル酸塩又はアクリル酸塩ジオール、(b)約116~約300の分子量を有するメタクリル酸又はアクリル酸及びジオールのモノエステル、及び(c)約400~約5,000の分子量を有し(a)と異なる他の有機ポリジオール化合物との混合物と反応し、また(d)約0.9:1~約1.1:1のNCO/OH比率で、約61~約400の分子量を有する、(a)と異なるジオール、ジアミン、アミノアルコール又はトリオール、又は水との混合の有無いずれかにより反応して調製可能であるが、約1.4~約10モルのポリ及び/又はジイソシアナート、約0.1~約6モルの構成要素(a)及び(b)、また関連する場合、多くて約9モルの構成要素(d)が、構成要素(c)1モル当たりで使用されることを条件とする。
【0035】
1つの実施形態において、追加の好適な眼科用装置を形成する高分子は、米国特許第6,444,721に記載の部分的に架橋したTPU’を含み、その記載内容すべてを本明細書に引用することで組み込む。例えば、軽度に架橋したTPU’は、脂肪族ポリイソシアナート、脂環式ジオール及び/又はジアミン、化合物及び少なくとも1つのフリーラジカル重合性不飽和基から本質的になる、それらの水分散性放射線硬化性ポリウレタンであり得る。
【0036】
1つの実施形態において、追加の好適な眼科用装置を形成する高分子は、米国特許第8,168,260に記載の部分的に架橋したTPU’を含み、その記載内容すべてを本明細書に引用することで組み込む。例えば、部分的に架橋したTPU’は、(a)多官能イソシアナート、(b)多官能ポリオール、(c)ジオール鎖延長剤及び(d)ラジカル重合性不飽和を含むモノール又はモノアミン、又はそれらのプレポリマーを含む、反応システムを含むことができる。1つの実施形態において、部分的に架橋したTPU’は、(a)多官能イソシアナート、(b)多官能ポリオール、及び(c)オプションとして、ラジカル重合性共架橋剤により、ラジカル重合性不飽和を含むモノール又はモノアミンを含む、変性プレポリマーを含むことができる。モノールの量は、最終TPUの分子量(MW)(数平均Mnとして測定される)が、約12,000~約500,000の間、又は約20,000~約200,000の間で構成され得る。モノールの量は、典型的に、高分子組成の約0.001モル/100g~約0.016モル/100g、又は約0.002モル/100g~約0.01モル/100gである。モノールは、通常、MWが制御可能なように、連鎖停止剤として作用する。
【0037】
1つの例示の実施形態において、ヒドロゲルを形成する本明細書で使用可能な親水性熱可塑性材料等の他の眼科用装置を形成する高分子は、例えば、スルホン化ポリスルホン(s-PSU)、アガロース、メチルセルロース、ヒアルノナン及びトロポエラスチンタンパク質を含む。
【0038】
直接圧縮成形において、眼科用装置を形成する高分子は、例えば、高分子膜、溶融ペレット又はホットメルト等の形状であり得る。該形状の各々は、以下に記載される。
【0039】
膜-材料膜は、以下2つの方法である(i)膜押出し又は(ii)圧縮成形により調製可能である。膜押出しの場合、眼科用装置を形成する高分子の材料ペレットは、押し出し機に供給され、溶融物質は、スリットダイを通して押し出され、膜に冷却される。圧縮成形の場合、眼科用装置を形成する高分子の材料ペレットは、1軸又は2軸押し出し機又は共回転又は異方向回転加熱型混錬機(Banbury又はBrabender混合機等)で、約100~約150℃の温度で溶融される。このプロセスにおいて、溶融物は、プレート上に押し出され、その後、第2のプレートでキャップされ、加熱型Carverプレスで約135℃、7000psiで約10分間押圧され、膜厚さが約200~約1000ミクロンの膜を作製する。比較的小さい部分、例えば、この膜の約10×10mmの部分は、その後、成型機の底部空洞上に配置される。上部空洞は、その後、アラインされ、レンズを形成する膜上に下方に押圧される。
【0040】
溶融ペレット-溶融ペレットは、眼科用装置を形成する高分子の材料ペレットを1軸押し出し機内で溶解して調製され得、その後、溶融ペレットの所望の直径よりも約25%小さいオリフィスを通過して押し出され得る。材料がオリフィスから押し出される場合、ダイス面用ナイフは、材料の溶融球を切り出すために使用される。このように、溶融ペレットは作製され、レンズへの後続の圧縮成形用の成形空洞に送達可能である。
【0041】
ホットメルト-このプロセスにおいて、材料ペレットは、押し出し機又は加熱シリンダに溶融され、溶融物は、その後、ピストン又は圧縮空気のいずれかを使用して、直径約0.1~約2mm(好ましくは、直径約0.5~約1mm)のオリフィスを通過して押し出される。これにより、型穴上に直接降下又は噴霧され、その後、レンズへの後続の圧縮成形により、小さい溶融ビーズが作製される。
【0042】
一般的に、ソフトコンタクトレンズ等の眼科用装置の直接圧縮成形は、親水性熱可塑性溶融加工可能な高分子等の1つ以上の眼科用装置を形成する高分子、鋳型工具集成体、鋳型工具の加熱及び圧縮を含む(
図4~
図6B参照)。1つの例示の実施形態において、
図3に示す直接圧縮成形プロセス30は、ステップ31及び32において、予熱金属圧縮鋳型凹部(又は前部)半部分に、上述の高分子ペレット、膜又は高分子溶融物のうち1つ以上を充填することを含む。ステップ33において、金属圧縮鋳型凹部(又は前部)半部分は、垂直軸に金属圧縮鋳型凸部(又は後部)半部分でキャップされる。代わりの実施形態において、充填ステップは、反転され得、又は水平軸に実行され得る。光学鋳型工具集成体は、ネット形状として設計可能、又は二次プロセスで後続してトリミング可能なレンズの外周の周りに追加の材料を作製する特徴を含み得る。
【0043】
1つの実施形態において、金属圧縮鋳型凹部半部分、親水性熱可塑性溶融処理可能な高分子等の1つ以上の眼科用装置を形成する高分子及び金属圧縮鋳型凸部半部分を含む加熱型鋳型組立体は、ステップ34及び35で示す通り、約0.5秒~約5分の範囲の期間で加圧して圧縮される。別の実施形態において、金属圧縮鋳型凹部半部分、親水性熱可塑性溶融処理可能な高分子等の1つ以上の眼科用装置を形成する高分子及び金属圧縮鋳型凸部半部分を含む加熱型鋳型組立体は、約30秒~約120秒の範囲の期間で加圧して圧縮される。一般的に、鋳型組立体は、約50~約200℃の範囲の温度に加熱可能である。1つの実施形態において、鋳型組立体は、約120~約150℃の範囲の温度に加熱可能である。次に、鋳型組立体は、ステップ36で冷却可能で、その後、ステップ37で後続して分離される。仕上げ形状又は装置は、例えば、レンズを鋳型前半部分から外して水和することで抜き出される。コンタクトレンズ等の装置を水和すると、ソフトコンタクトレンズになる。このレンズは、抜き出しを一切必要としない利点を有し、包装前に直接水和され得る。
【0044】
1つ以上の眼科用装置を形成する高分子の直接圧縮成形プロセス用の好適な工具集成体は、例えば、後面及び前面を同時に形成する工具を備えた約100ナノメータ未満の表面粗さ(Ra又はRMS)を持つ光学鋳型工具集成体を含む。圧縮成形プロセスで使用する鋳型工具集成体の代表的な実施例は、(i)加熱プレスで圧縮される1個取り空洞コア工具集成体、(ii)加熱プレスで圧縮される多数個取り工具集成体及び(iii)SACMI製造品等の回転式連続圧縮成形機(CCM)を含む。
【0045】
本明細書の例示の実施形態に係るコンタクトレンズ等の眼科用装置の圧縮成形用の代表的な鋳型工具組立体を、
図4~
図6Bに示す。一般的に、鋳型工具組立体は、第1の鋳型工具部分と、第2の鋳型工具部分と、を具備する。
図4に示す通り、第1の鋳型工具部分は、レンズトリミング機能(図示せず)の有無いずれかと、凹面を有する金属圧縮鋳型前半部分100を含む。金属圧縮鋳型前半部分100は、コンタクトレンズ前面を形成するための光学的品質前部レンズ-成形面102を含む。
図5に示す通り、第2の鋳型工具部分は、凸面を有する金属圧縮鋳型後半部分200を含む。金属圧縮鋳型後半部分200は、コンタクトレンズ後面を形成するための光学的品質後部レンズ-成形面202を含む。金属圧縮鋳型前半部分100及び金属圧縮鋳型後半部分200は、例えば、銅基合金又は鋼で形成可能である。さらに、当業者が容易に理解するように、型穴面、すなわち、鋳型部分が完全に組み立てられる場合、レンズ形成空洞(図示せず)は、金属圧縮鋳型前半部分100の各々に対して、レンズ-成形面の間で画成され、金属圧縮鋳型後半部分200は、DLC(ダイヤモンド様コーティング)等のセラミックコーティング材料でメッキ加工可能で、作製される眼科用装置を鋳型組立体から離型する一助となる。
【0046】
図6A及び
図6Bに示す通り、操作中、金属圧縮鋳型前半部分100の底部は、光学品質前部レンズ-成形面102が上になるように、工具ホルダー300内に設置される。例えば、金属圧縮鋳型前半部分100は、例えば、スクリュー302により、工具ホルダー300に操作可能に接続される。しかしながら、当業者が理解するように、金属圧縮鋳型前半部分100を工具ホルダー300に操作可能に接続するための他の方法が想定される。金属圧縮鋳型後半部分200は、その後、光学品質後部レンズ-成形面202が、レンズ形成空洞を画成する光学品質前部レンズ-成形面102内の開口に配置されるように、金属圧縮鋳型前半部分100に操作可能に接続される。金属圧縮鋳型後半部分200を金属圧縮鋳型前半部分100に操作可能に接続する前に、上述の略熱可塑性高分子膜、溶融ペレット又はホットメルトの形態での眼科用装置を形成する高分子は、工具ホルダー300内の金属圧縮鋳型前半部分100の光学品質前部レンズ-成形面102を画成する開口に注入される。これは、1つの例示の実施形態であって、金属圧縮鋳型後半部分200を金属圧縮鋳型前半部分100に接続し、1つ以上の眼科用装置を形成する高分子を組立体に導入するための他の実施形態は、想定される。
【0047】
金属圧縮鋳型後半部分200及び金属圧縮鋳型前半部分100は、一旦組み立てられると、アラインされる。鋳型組立体は、その後、上述の通り、眼科用装置を形成するのに十分な期間で圧縮される。圧縮完了後、抜き出し工具400は、金属圧縮鋳型後半部分200上に配置され、スクリュー402は、金属圧縮鋳型後半部分200が金属圧縮鋳型前半部分100から分離されるまで、回転される。次に、作製される眼科用装置は、例えば、眼科用装置を水又は好適な溶液で水和して、それをピンセットで取り外すことで、金属圧縮鋳型前半部分100から取り外される。
【0048】
上述の工具組立体は、例えば、8.5ベースカーブ、中心厚さ160ミクロン、公称レンズサグ3.987mm及びナイフ縁外形を備えた+3.00水和SVSレンズを作製可能である。ある例示の実施形態において、前面工具に基づいて、レンズ外周の周りの余剰の材料を持つレンズは、二次操作でトリミング可能で作製可能で(
図7参照)、又はネット形状レンズは、作製可能である(
図8参照)。
【0049】
図2の方法20で示す、ある例示の実施形態を記載する。ステップ21において、1つ以上の眼科用装置を形成する高分子は、ペレットを形成するために、押し出し機に供給される。ステップ22において、ペレットは、眼科用装置を形成するために、鋳型に導入され、連続直接圧縮成形される。ステップ23において、各眼科用装置は、オプションとして、所望の縁形状を実現するために、トリミング/穿孔される。ステップ24において、各眼科用装置は、凹凸又は欠陥がないか検査される。ステップ25において、眼科用装置が検査に合格すれば、その後、水和され、組立体から取り外され、包装システムで包装される。例えば、眼科用装置は、当技術分野で公知の添加物をオプションとして含む緩衝生理食塩溶液を含む個々のレンズパッケージに移送される。一般的に、本明細書開示の眼科用装置の貯蔵用の包装システムは、少なくとも、包装用水溶液に浸漬される眼科用装置の1つ以上を含む封入容器を具備する。1つの実施形態において、封入容器は、眼科用装置を含む凹面ウェルが、ブリスター包装を開封するために、剥離に適した金属又はプラスチック製シートにより覆われる、密封されたブリスター包装である。封入容器は、レンズを適度に保護する、任意の好適な、一般的に不活性の包装材料、好ましくは、ポリアルキレン、PVC、ポリアミド等のプラスチック材料であり得る。本明細書において、任意の公知の緩衝生理食塩溶液を使用可能である。ステップ26において、包装された眼科用装置は、その後、殺菌消毒される。殺菌消毒は、容器の封入前に、又は最も都合よく、その後に行われ得、例えば、約120℃以上の温度での封入容器の蒸気殺菌又は高圧蒸気養生等の当技術分野で公知の任意の好適な方法で実行され得る。
【0050】
以下の実施例は、当業者が本発明を実施することができるよう提供されるが、例示に過ぎない。実施例は、特許請求の範囲に規定される本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【0051】
様々なレンズは、以下記載の通り形成されて、以下のような標準検査手順により特徴づけられ得る。
【0052】
含水率%:6つの水和レンズ又は膜の2組を、ろ紙で水を吸い取り乾燥させ、余剰の水分を除去し、サンプルを計量する(湿重量)。サンプルは、その後、乾燥剤を含む瓶内で、電子レンジで10分間加熱する。サンプルは、その後、30分間静置し、室温で平衡状態にして、再計量する(乾燥重量)。含水率は、湿重量と乾燥重量から計算される。
【0053】
接触角(CBCA):キャプティブバブル法による接触角データを、First Ten Angstroms FTA-1000 drop Shape Instrument(水滴形状機器)で収集した。全てのサンプルを、分析前にHPLC等級水ですすぎ洗いして、包装溶液の構成要素をサンプル表面から除去した。データ収集の前に、すべての実験用に使用する水の表面張力を、ペンダントドロップ法を使用して測定した。水を使用に適するものとして供するために、想定する表面張力値を70~72ダイン/cmとした。すべてのレンズサンプルを、湾曲したサンプルホルダー上に配置し、HPLC等級水で充填した石英セルに浸漬した。キャプティブバブル法による前進及び後退する接触角を、各サンプルに対して収集した。前進接触角は、気泡が、レンズ表面から後退する(水が表面にわたって前進する)際に、水中で測定される角度として定義される。すべてのキャプティブバブル法によるデータを、サンプル/気泡の界面上に焦点が合わせられる高速デジタルカメラを使用して、収集した。接触角を、サンプル/気泡の界面にわたって接触線移動の直前に、デジタルフレームで測定した。後退接触角は、気泡が、サンプル表面びわたって拡大する(水が表面から後退する)際に、水中で測定される角度として定義される。
【0054】
実施例1
圧縮成形レンズを、加熱プレスで圧縮された単一のネット形状の空洞コア工具集成体で作製した。凹部前部分、凸部後部分及び工具ホルダーを、オーブンにて175℃で10分間加熱した。上述の通りに作製される、約10×10mmの正方形で厚さ100ミクロンの、テコフィリックTG-500(Lubrizol Life Science、Brecksville、OH)膜を、後部工具を前部工具上に保持・アラインするように機能した工具ホルダーに保持された凹部前部工具に充填した。後部工具を、後部ホルダー内の前部工具上で組み立てた。この組立体を、オーブンにて175℃で5分間加熱した。組立体をオーブンから取り出して、速やかに、その取り付け盤を150℃に加熱したプレスに配置した。組立体を30秒間圧縮し、その後、組立体をプレスから取り出して、水浴に28℃で冷却した。次に、後部工具を取外し、仕上げレンズを前部工具からピンセットを使用して抜き出した。レンズを、ホウ酸塩緩衝液で水和した。倍率、中心厚さ及び直径等のレンズ特性を、以下の表1に記載の通り、測定した。
【0055】
実施例2
圧縮成形レンズを、加熱プレスで圧縮された単一のネット形状の空洞コア工具集成体で作製した。凹部前部分、凸部後部分及び工具ホルダーを、オーブンにて175℃で10分間加熱した。上述の通りに作製される、約10×10mmの正方形で厚さ100ミクロンの、TG-500膜を、後部工具を前部工具上に保持・アラインするように機能した工具ホルダーに保持された凹部前部工具に充填した。後部工具を、後部ホルダー内の前部工具上で組み立てた。この組立体を、オーブンにて175℃で10分間加熱した。組立体をオーブンから取り出して、速やかに、その取り付け盤を150℃に加熱したプレスに配置した。組立体を60秒間圧縮し、その後、プレスから取り出して、水浴に23℃で冷却した。次に、後部工具を取外し、仕上げレンズを蒸留水で水和し、ピンセットで抜き出した。レンズを、ホウ酸塩緩衝液で水和した。倍率、中心厚さ及び直径等のレンズ特性を、以下の表1に記載の通り、測定した。
実施例3
【0056】
圧縮成形レンズを、加熱プレスで圧縮された単一のネット形状の空洞コア工具集成体で作製した。凹部前部分、凸部後部分及び工具ホルダーを、オーブンにて175℃で10分間加熱する。上述の通りに作製される、約10×10mmの正方形で厚さ100ミクロンの、TG-500膜を、後部工具を前部工具上に保持・アラインするように機能した工具ホルダーに保持された凹部前部工具に充填した。後部工具を、後部ホルダー内の前部工具上で組み立てた。この組立体を、オーブンにて175℃で10分間加熱した。組立体をオーブンから取り出して、速やかに、その取り付け盤を150℃に加熱したプレスに配置した。組立体を120秒間圧縮し、その後、プレスから取り出して、水浴に27℃で冷却した。次に、後部工具を取外し、仕上げレンズを蒸留水で水和し、ピンセットで抜き出した。レンズを、ホウ酸塩緩衝液で水和した。倍率、中心厚さ及び直径等のレンズ特性を、以下の表1に記載する。
【表1】
【0057】
実施例4
圧縮成形レンズを、加熱プレスで圧縮された単一のネット形状の空洞コア工具集成体で作製した。凹部前部分、凸部後部分及び工具ホルダーを、オーブンにて160~175℃で10分間加熱した。上述の通りに作製される、約10×10mmの正方形で厚さ100ミクロンの、テコフィリックTG-500膜を、後部工具を前部工具上に保持・アラインするように機能した工具ホルダーに保持された凹部又は前部工具に充填した。後部工具を、後部ホルダー内の前部工具上で組み立てた。この組立体を、オーブンにて160~175℃で10分間加熱した。組立体をオーブンから取り出して、速やかに、その取り付け盤を150℃に加熱したプレスに配置した。組立体を60秒間圧縮し、その後、プレスから取り出して、水浴に25℃で冷却した。次に、後部工具を取外し、仕上げレンズを蒸留水で水和し、ピンセットで抜き出した。レンズを、その後、ホウ酸塩緩衝液で水和した。倍率、中心厚さ及び直径等のレンズ特性を、以下の表2に記載の通り、測定した。3つのレンズを、この方法で作製した。
【0058】
実施例5
圧縮成形レンズを、加熱プレスで圧縮された単一のネット形状の空洞コア工具集成体で作製した。凹部前部分、凸部後部分及び工具ホルダーを、オーブンにて160~175℃で10分間加熱した。上述の通りに作製される、テコフィリックTG-500プラス+20%Hydrothane AL 25-80A(マサチューセッツ州ウィルミントン所在のAdvancSource Biomaterials社製の80ショアA硬さ、25%含水率を有する、エラストマー親水性TPU)膜を、後部工具を前部工具上に保持・アラインするように機能した工具ホルダーに保持された凹部又は前部工具に充填した。後部工具を、後部ホルダー内の前部工具上で組み立てた。この組立体を、オーブンにて160~175℃で10分間加熱した。組立体をオーブンから取り出して、速やかに、その取り付け盤を150℃に加熱したプレスに配置した。組立体を60秒間圧縮し、その後、プレスから取り出して、水浴に25℃で冷却した。次に、後部工具を取外し、仕上げレンズを蒸留水で水和し、ピンセットで抜き出した。レンズを、その後、ホウ酸塩緩衝液で水和した。膜厚さと、倍率、中心厚さ及び直径等のレンズ特性を、以下の表2に記載する。3つのレンズを、この方法で作製した。
【表2】
【0059】
実施例6~9
圧縮成形レンズを、加熱プレスで圧縮された単一のネット形状の空洞コア工具集成体で作製した。凹部前部分、凸部後部分及び工具ホルダーを、オーブンにて160~175℃で10分間加熱した。上述の通りに作製される膜を、後部工具を前部工具上に保持・アラインするように機能した工具ホルダーに保持された凹部又は前部工具に充填した。後部工具を、後部ホルダー内の前部工具上で組み立てた。この組立体を、オーブンにて160~175℃で10分間加熱した。組立体をオーブンから取り出して、速やかに、その取り付け盤を150℃に加熱したプレスに配置した。組立体を60秒間圧縮し、その後、プレスから取り出して、水浴に25℃で冷却した。次に、後部工具を取外し、仕上げレンズを蒸留水で水和し、ピンセットで抜き出した。レンズを、その後、ホウ酸塩緩衝液で水和した。膜厚さと、倍率、中心厚さ及び直径等のレンズ特性を、以下の表3に記載する。各材料に対する最低限の3つのレンズを、この方法で作製した。
【0060】
これらのレンズに対して目視検査を行った結果、レンズは完全に形成されたものの、形成プロセスの結果として、包含物又は空所がレンズに含まれることが示された。これらの空所は、レンズ特性から逸脱せず、さらなるレンズ縁部分により、レンズ縁の厚さが、想定される公称値を満たし、縁形状が完全に形成されたことが示された。さらに、レンズ応力プロファイルにより、レンズには応力が一切含まれず、レンズが正しい形状で形成されることが示された。
【表3】
【0061】
実施例10及び11
圧縮成形レンズを、加熱プレスで圧縮された単一のネット形状の空洞コア工具集成体で作製した。凹部前部分、凸部後部分及び工具ホルダーを、オーブンにて160~175℃で10分間加熱した。上述の通りに作製される、膜(実施例10に対する、水素化レベルが>99.5%の(USI社、高雄市、台湾)(スチレン-b-ブタジエン-b-スチレン(SBS)及びスチレン-b-イソプレン-b-スチレン(SIS)等のスチレブロック共重合体からなる環状ブロック共重合体である)TG-500+20% USI Vivion CBC 8210及び実施例11に対する、75~95%デカメチルシクロペンタシロキサン及び5~25%ヒドロキシル基末端ジメチルポリシロキサン(ペンシルベニア州ベンセイラム所在のClearco Products)を含む混合物であるTG-500+2%シクロ-1500ジメチコノール-シクロペンタシロキサン混合物(シクロ-1500混合物))を、後部工具を前部工具上に保持・アラインするように機能した工具ホルダーに保持された凹部又は前部工具に充填した。後部工具を、後部ホルダー内の前部工具上で組み立てた。この組立体を、オーブンにて160~175℃で10分間加熱した。組立体をオーブンから取り出して、速やかに、その取り付け盤を150℃に加熱したプレスに配置した。組立体を60秒間圧縮し、その後、プレスから取り出して、水浴に25℃で冷却した。次に、後部工具を取外し、仕上げレンズを蒸留水で水和し、ピンセットで抜き出した。レンズを、その後、ホウ酸塩緩衝液で水和した。膜厚さと、倍率、中心厚さ及び直径等のレンズ特性を、以下の表4に記載する。各材料に対する3つのレンズを、この方法で作製した。
【表4】
【0062】
実施例12
本実施例において、初期の工具予熱ステップを、実行せず、材料膜を前部工具上に配置し、工具集成体でオーブンにて直接加熱した。約10×10mm正方形の膜を、後部工具を前部工具上に保持・アラインするように機能した工具ホルダーに保持された凹部又は前部工具に充填した。後部工具を、後部ホルダー内の前部工具上で組み立てた。この組立体を、オーブンにて175℃で10分間加熱した。組立体を、オーブンから取り出して、速やかに、非加熱プレスに配置した(上記実施例の加熱型取り付け盤とは異なる)。組立体を、50秒間圧縮し、その後、プレスから取り出し、3分後に水浴で25℃に冷却した。次に、後部工具を取外し、仕上げレンズを蒸留水で水和し、その後、ピンセットで抜き出した。レンズを、ホウ酸塩緩衝液で水和した。中心厚さ及び直径等のレンズ特性を、以下の表5に記載の通り、測定した。各材料に対する3つのレンズを、この方法で作製した。
【0063】
コンタクトレンズをこの改良方法で作製すると、空所の相当の低減又は削減と、中間外周厚さ(MPT)や縁厚さ等の想定されるレンズ寸法の優れた複製が示された。この方法において、初期膜厚が特定の厚さである必要がないことも留意された。初期プロセスにおいて、100~400ミクロンの膜厚を、所望のレンズを作製するために使用した。このプロセスにおいて、最大1000ミクロン又は1mmの膜厚を使用可能である。
【表5】
【0064】
実施例13
圧縮成形レンズ形状は、SACMI(イモラ、イタリア)製の1個取り連続圧縮成形機(CMM)により作製された。このプロセスにおいて、溶融ペレットを、空洞コア組立体又はスタックに3.5秒ごとに導入する。質量が0.30グラムの溶融ペレットを、ノズル溶融温度130℃でh-TPUを、垂直オリフィスを通して押出しすることで作製し、空洞を15~35℃間の温度で加熱し、コアを15~60℃間で加熱して、空洞コア組立体に送達した。組立体は、8.5ベースカーブ、220ミクロンのCT、4.047mmの公称レンズサグ及びナイフ縁外形を備えた+6.00水和SVSレンズを作製するように設計された光学工具集成体を含んだ。光学工具集成体により、キャップ内に含まれるレンズ形状が作製された(
図7参照)。余剰の材料は、排出・冷却時に、二次操作によりトリミングされ、レンズ形状となる。
【0065】
様々な変更が、本明細書開示の実施形態に実施可能であることは理解される。したがって、上記説明は、限定的ではなく、単に好ましい実施形態の例示として解釈すべきである。例えば、上述され、本発明を実施するための最良の形態として実施される機能は、例示目的のみとする。他の配列や方法は、本発明の範囲及び意図から逸脱することなく、当業者により実施され得る。さらに、当業者は、本明細書に添付の特徴及び利点の範囲及び意図において、他の変形例を着想するであろう。
【国際調査報告】