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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-01
(54)【発明の名称】ディスペンサー及びその使用方法
(51)【国際特許分類】
   A01M 1/20 20060101AFI20230125BHJP
   A61L 9/12 20060101ALI20230125BHJP
【FI】
A01M1/20 D
A61L9/12
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022532843
(86)(22)【出願日】2020-12-04
(85)【翻訳文提出日】2022-07-25
(86)【国際出願番号】 US2020063344
(87)【国際公開番号】W WO2021113659
(87)【国際公開日】2021-06-10
(31)【優先権主張番号】62/944,748
(32)【優先日】2019-12-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500106743
【氏名又は名称】エス.シー. ジョンソン アンド サン、インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】ニャンボ,カリスター
(72)【発明者】
【氏名】クラカウアー,マックス
(72)【発明者】
【氏名】オガラ,ケイトリン ワイ.
(72)【発明者】
【氏名】ウルリッチ,トッド
(72)【発明者】
【氏名】ニッケル,ダーク ケイ.
【テーマコード(参考)】
2B121
4C180
【Fターム(参考)】
2B121AA11
2B121CA21
2B121CA53
2B121CA59
2B121CA66
2B121CA67
2B121CA81
4C180AA02
4C180AA07
4C180AA13
4C180AA16
4C180AA18
4C180AA19
4C180CA06
4C180GG17
4C180LL20
(57)【要約】
揮発性物質を安定して放出するためのシステムであって、少なくとも1つの開口を有するディスペンサーと、前記ディスペンサー内に適合するように適合された基材を含む。基材は、第1の細孔サイズを有する第1の織物層と、第2の細孔サイズを有する第2の織物層と、前記第1の織物層と前記第2の織物層との間に延在する第3の不織繊維層と、揮発性物質と、含む。前記システムが、30日超える時間にわたって揮発性物質の定常的な重量損失を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
揮発性物質を安定して放出するためのシステムであって、
少なくとも1つの開口を有するディスペンサーと、
前記ディスペンサー内に適合するように適合された基材であって、
第1の細孔サイズを有する第1の織物層と、
第2の細孔サイズを有する第2の織物層と、
前記第1の織物層と前記第2の織物層との間に延在する第3の不織繊維層と、
揮発性物質と、を含む基材と、含み、
前記システムが、30日を超える時間にわたって前記揮発性物質の定常的な重量損失を有する、
システム。
【請求項2】
前記揮発性物質が、メタフルトリン、トランスフルトリン、テフルトリン、及びベーパースリンからなる群から選択される活性剤を含む、
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記第1の織物層の第1の細孔サイズは、約1ミリメートルと約10ミリメートルの間である、
請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記揮発性物質の定常的な重量損失が、約1mg/日と約10mg/日の間である、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記揮発性物質の初期重量が約1グラムと約5グラムの間である、請求項1記載のシステム。
【請求項6】
前記ディスペンサーの前記少なくとも1つの開口が、前記第1の織物層の一部を露出させる、
請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記ディスペンサーの前記少なくとも1つの開口が、前記第1の織物層の表面積の約50%~約99%を露出させる、
請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記システムは、60日以上の時間にわたって前記揮発性物質の定常的な重量損失を有する、
請求項1記載のシステム。
【請求項9】
70日以上の時間にわたって前記揮発性物質の定常的な重量損失を有する、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記第1の細孔サイズは、前記第2の細孔サイズと異なる、
請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記ディスペンサーは、正面及び背面を含み、
前記正面が少なくとも1つの開口を含む、
請求項1記載のシステム。
【請求項12】
前記第1の織物層、前記第2の織物層、及び前記第3の不織繊維層は、同じ材料から構成されている、
請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記第1の織物層及び前記第2の織物層が、第1の材料から構成され、第3の不織繊維層が第2の材料から構成され、
前記第1の材料と前記第2の材料は異なる、
請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
揮発性物質を安定して放出するためのシステムであって、
少なくとも1つの開口を有するフレームと、
前記フレーム内に配置された基材であって、
複数の細孔を有する第1の織物層、
複数の細孔を有する第2の織物層、および
前記第1の織物層と前記第2の織物層との間に延在する第3の不織繊維層を含む、基材と、
揮発性材料と、を含み、
前記システムは、30日を超える時間にわたって揮発性材料の定常的なの重量損失を提供する、
システム。
【請求項15】
前記揮発性材料の定常的な重量損失が、約4mg/日と約6mg/日の間である、
請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記揮発性物質が、メタフルトリン、トランスフルトリン、テフルトリン、およびベーパートリンからなる群から選択される、
請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記揮発性材料の初期重量が約2グラムと約3グラムの間である、
請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記揮発性材料の定常的な重量損失が70日よりも大きい時間にわたってある、
請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記フレームは、前記第1の織物層の一部を露出させる第1の開口と、前記第2の織物層の一部を露出させる第2の開口とを含む、
請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
揮発性物質を定常的に放出するシステムを設計する方法であって、
前記揮発性物質の常時発散するための最小時間を選択すること、
前記揮発性物質の最小発散速度を選択すること、
前記揮発性物質が常時発散するための前記最小時間と前記揮発性物質の最小放出速度を用いて、前記揮発性物質の最小発散濃度を計算すること、
少なくとも前記揮発性物質の最小放出速度に基づいて、基材用の織物層を選択すること、および
少なくとも前記揮発性物質の最小濃度に基づいて、基材用の不織繊維層を選択することを含む、
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、揮発性物質を放出するためのディスペンサー装置に関し、より詳細には、保護筐体によって支持された多層基材を含む、揮発性物質の受動的発散のためのディスペンサー及び基材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
当技術分野で知られている様々な揮発性物質ディスペンシング装置は、一般に、揮発性物質を保持するリザーバーと、リザーバーを保持するハウジングまたは支持構造体を含む。これらの装置は、典型的には、分注機構の助けを借りずに揮発性材料の受動的拡散が起こるようにするか、分注機構を使用して揮発性材料の放出を強化及び/又は促進するかのいずれかである。例えば、揮発性物質ディスペンシング装置で使用される典型的な分注機構は、加熱装置及び/又はファンを含む。このような先行ディスペンサーは、長期間にわたって揮発性材料の一定の放出を保証するために、しばしばこれらの機構または他の高価な材料を必要とする場合がある。しかしながら、これらの先行ディスペンサーは、しばしば電力を必要とし、製造コストが著しく高い。
【0003】
いくつかの例では、受動的に揮発性材料を発散するディスペンサーは、シート又はフィルムとして提供されてもよく、複数の層を含んでもよく、そのうちの1つは、周囲の環境に露出されて、結果として、そこから揮発性材料の量を発散させることができる。しかしながら、そのような先行する受動的ディスペンサーは、共通の欠点も有する。一つには、使用者は、ディスペンサーを作動させるか開く間、又はディスペンサーの使用中に、発散される材料に接触しなければならないかもしれない。さらに、受動ディスペンサーからの活性成分の放出速度は、典型的には、時間とともに減少し、そこからの揮発性放出の効力は、使用期間中に減少する。
【0004】
必要とされているのは、好ましくは、これらの欠点の1つ以上を克服するディスペンサーである。より詳細には、必要とされているのは、殺虫剤のような活性剤を有する揮発性物質に使用者が接触することを必要としない一方で、一定の速度で長期間にわたって揮発性物質を受動的に発散させるディスペンサーである。
【発明の概要】
【0005】
本開示の実施形態は、揮発性材料を分配するための基材を提供する。基材は、第1の構成及び第1の細孔サイズを有する対向する第1及び第2の層を含む。基材は、第1の層と第2の層の間に、第2の構成である中間層をさらに含む。対向する第1および第2の層は、液体および空気透過性でもある。
【0006】
関連する実施形態において、本開示は、揮発性材料を放出するためのディスペンサーを提供する。ディスペンサーは、複数の開口を有する正面、背面、及び、対向する第1及び第2の層と、第1及び第2の層の間に設けられた中間層とを有する基材を含む。第1の層及び第2の層は、それぞれ第1構成であり、第1細孔サイズを有する。さらに、中間層は第2の構成であり、対向する第1および第2の層は液体および空気透過性である。
【0007】
本開示の別の態様によれば、揮発性物質を安定して放出するためのシステムが提供される。このシステムは、少なくとも1つの開口を有するディスペンサーと、ディスペンサー内に適合するようにされた基材と、揮発性物質とを含む。基材はまた、第1の細孔サイズを有する第1の織物層と、第2の細孔サイズを有する第2の織物層と、第1の織物層と第2の織物層との間に延在する第3の不織布、繊維層とを含む。さらに、このシステムは、30日を超える時間にわたって揮発性材料の定常状態の重量損失を有する。
【0008】
さらなる実施形態では、揮発性材料は、メタフルトリン、トランスフルトリン、テフルトリン、及びベーパースリンからなる群より選択される活性剤を含む。第1の織物層の細孔サイズは、約1ミリメートルと約10ミリメートルとの間であってもよく、揮発性材料の定常的な重量損失は、1日当たり約1ミリグラムと1日当たり約10ミリグラムとの間であってもよい。さらに、揮発性材料の重量は、約1グラムと約5グラムの間であってもよく、ディスペンサーの少なくとも1つの開口は、第1の織物層の一部を露出させる。さらなる実施形態では、ディスペンサーの少なくとも1つの開口は、第1の織物層の表面積の約50%から約99%の間を露出させる。
【0009】
他の実施形態では、システムは、60日より長い時間又は70日より長い時間にわたる揮発性材料の定常重量損失を有する。いくつかの実施形態において、第1の細孔サイズは第2の細孔サイズと異なっていてもよく、ディスペンサーは正面及び背面を含んでもよく、正面は少なくとも1つの開口を含む。さらに、別の実施形態では、第1の織物層及び第2の織物層は第1の材料から構築され、第3の不織繊維層は第2の材料から構築され、第1の材料及び第2の材料は異なっている。
【0010】
本開示の別の態様によれば、揮発性物質を安定して放出するための別のシステムが提供される。このシステムは、少なくとも1つの開口を有するフレームと、フレーム内に配置された基材と、揮発性物質と、を含む。基材は、複数の細孔を有する第1の織物層と、複数の細孔を有する第2の織物層と、第1の織物層と第2の織物層との間に延在する第3の不織繊維層とを含む。このシステムは、30日よりも長い時間にわたって揮発性材料の定常的な重量損失を提供する。
【0011】
さらなる実施形態では、揮発性物質の定常的な重量損失は約4mg/日~約6mg/日との間であり;揮発性物質はメタフルトリン、トランスフルトリン、テフルトリン、及びベーパースリンからなる群から選択され;揮発性物質は約2g~約3gの間の量である。さらなる実施形態では、システムは、70日を超える時間にわたる揮発性材料の定常状態の重量減少を有する。いくつかの実施形態では、フレームは、第1の織物層の一部を露出させる第1の開口と、第2の織物層の一部を露出させる第2の開口とを含む。
【0012】
本開示のさらに別の態様によれば、揮発性物質を常時発散するためのシステムを設計する方法が提供される。本方法は、揮発性物質の常時発散の最小時間を選択するステップと、揮発性物質の最小発散速度を選択するステップと、揮発性物質の常時発散の最小時間及び揮発性物質の最小放出速度を用いて揮発性物質の最小濃度を算出するステップと、少なくとも揮発性物質の最小発散速度に基づいて基材用の第1の層を選択するステップと、少なくとも揮発性物質の最小濃度に基づいて基材用の第2の層を選択するステップを含む。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本開示の第1の態様による、ディスペンサーの正面等角図である。
図2図1のディスペンサーの背面等角図である。
図3】本開示の第2の態様による、図1のディスペンサーの背面等角図である。
図4】本開示の別の態様による、ディスペンサーの正面等角図である。
図5図1のディスペンサーの正面を示す正面図である。
図6】本開示のさらに別の態様による、ディスペンサーの正面等角図である。
図7図6のディスペンサーの正面図である。
図8図6のディスペンサーの背面図である。
図9図1及び図6のディスペンサーで使用するための基材の側面図である。
図10図1及び図6のディスペンサーと共に使用するための別の基材の一部を示す上面図である。
図11図1および図6のディスペンサーと共に使用するためのさらに別の基材の一部を示す上面図である。
図12図12Aは、第1の状態における図9の基材の一部を示す上面図である。図12Bは、第2の状態における図9の基材の一部を示す上面図である。
図13】本開示の一態様による、図9の基材からの揮発性物質の複数の活性剤の放出率又は発散率を一定期間にわたって示すグラフである。
図14】各種基材のウィッキング速度を一定時間毎に示したグラフである。
図15図15Aは、図9の基材を有する図6のディスペンサーからの揮発性物質の活性剤の放出又は発散速度を一定期間にわたって示すグラフである。図15Bは、図9の基材を有する図6のディスペンサーからの揮発性物質の活性剤の放出又は発散速度を一定期間にわたって示す別のグラフである。図15Cは、図9の基材を有する図6のディスペンサーからの揮発性物質の活性剤の放出又は発散速度を一定期間にわたって示す別のグラフである。
図16】72時間後の厚みの異なる各種基材内の活性剤量を示すグラフである。
図17】72時間後の、細孔サイズの異なる種々の基材内の活性剤の量を示すグラフである。
図18】72時間後の、細孔サイズの異なる種々の基材内の活性剤の量を示すグラフである。
図19】密度および繊維表面積が異なる様々な基材からの揮発性物質の活性剤の放出または発散速度を示すグラフである。
図20】その使用中に露出する基材の割合が異なる様々なディスペンサーからの揮発性材料の活性剤の放出または発散速度を示すグラフである。
図21】本開示の一態様に係る、図9の基材を構成するための設計方法を示す図である。
図22】例えば、図9の基材と組み合わせて使用することができるブレスレットである。
図23】例えば図9の基材と組み合わせて使用することができるクリップを示す正面等角図である。
図24図23のクリップの背面等角図である。
図25】例えば図9の基材と組み合わせて使用することができる別のブレスレットである。
図26】例えば、図9の基材と組み合わせて使用することができるハンガーを示す図である。
図27】例えば、図9の基材と組み合わせて使用することができる別のハンガーを示す図である。
図28】例えば図9の基材と組み合わせて使用することができる機構を説明する図である。
図29】例えば図9の基材と組み合わせて使用され得るケージおよびパウチを含むキットを示す図である。
図30】例えば、図9の基材又は図25のブレスレットに投薬するために使用され得るリザーバーを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下の議論および添付の図は、ディスペンシング装置(ディスペンシング装置)およびディスペンシング装置と組み合わせて使用することができる基材の様々な実施形態または構成を開示する。
【0015】
本明細書で使用される用語「約」は、例えば、本開示の実施形態を含み得る揮発性ディスペンサー又は他の製造物品に用いられる典型的な測定及び製造手順によって;これらの手順における不注意な誤りによって;組成物又は混合物の製造又は方法の実行に用いられる成分の製造、供給元又は純度の相違によって;生じ得る数値のばらつきを指す。本開示を通じて、用語「約」は、その用語が先行する数値の±5%の値の範囲を指す。
【0016】
本明細書で使用される、「重量パーセント」、「wt-%」、「重量によるパーセント」、「重量%」、およびそれらの変形は、物質または成分の濃度を、その物質または成分の重量を、例えば組成物または組成物の特定の成分の総重量で割り、100を乗じたものとして言及するものである。本明細書で使用される場合、“パーセント”、“%”などは、“重量%”および“wt-%”と同義である場合があることが理解される。
【0017】
本開示は、揮発性物質を保持するためのディスペンサー及び基材に向けられる。本開示は多くの異なる形態で具体化され得るが、本開示は本開示の原理の例示としてのみ考慮されるべきであり、本開示を図示された実施形態に限定することは意図されないという理解の下、いくつかの特定の実施形態が本明細書で議論されている。
【0018】
さらに、本開示の原理は、受動発散によって放出される任意の揮発性材料に適用され、特定の例は、特定の揮発性材料(例えば、殺虫剤)の受動発散を例示しているが、本明細書に論じたディスペンサー及び基材は、様々な揮発性材料と共に使用できることが想定される。揮発性物質の例としては、殺虫剤、昆虫忌避剤、昆虫誘引剤、香料、カビ又はカビ防止剤、クリーナー、殺菌剤、空気清浄機、アロマテラピーの香り、防腐剤、ポジティブフレグランス揮発物質、芳香剤、消臭剤等、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、本明細書でさらに詳細に説明するように、添加物を揮発性材料、例えば、香料または防腐剤に含めてもよい。
【0019】
ディスペンサー
図1及び図2は、周囲環境への揮発性物質の発散、及びこの特定の実施形態では、周囲環境への揮発性物質の受動的発散に使用するためのディスペンサー装置100を概して示している。1つの好ましい実施形態では、本明細書でさらに議論されるように、ディスペンサー装置100は、忌避剤又は殺虫剤などの害虫駆除剤を周囲環境に発散させるために多層基材と組み合わせて使用される。
【0020】
依然として図1および図2を参照すると、ディスペンシング装置100は、正面102(図1参照)および背面104(図2参照)を含む2つの対向する側面に対して有するように示されている。中央プレート106は、正面102と背面104との間に延び、基材(図示せず)は、本明細書でさらに議論されるように、正面102と背面104との間に配置され得る。これらの実施形態において、基材は、揮発性材料のためのリザーバーであり、所定の期間にわたってディスペンシング装置100から揮発性材料を発散させる。
【0021】
この実施形態では、中央プレート106は、概して長方形であり、丸みを帯びた角108を含む。代替的に、他の実施形態では、ディスペンシング装置100及び中央プレート106は、異なる構成又は形状を有していてもよい。例えば、ディスペンシング装置100は、円形、卵形、三角形、正方形、長方形、五角形、六角形、または任意の他の所望の幾何学的構成であってもよい。中央プレート106は、本実施形態に示されるように、その上部に中心的に配置された開口110を有していてもよい。開口110は、その使用前又は使用中に、ユーザがディスペンシング装置100を吊るすことを可能にする。追加の開口は、代替の実施形態において、ディスペンシング装置100を吊るすことを支援するために、中央プレート106の周囲に配置されてもよい。
【0022】
特に図1を参照すると、正面102は、中央プレート106から延び、この実施形態では、丸みを帯びた角112を有する概ね長方形である。中央プレート106と同様に、正面102は、他の実施形態において代替の構成又は形状を有していてもよい。例えば、いくつかの実施形態において、正面102は、円形、卵形、三角形、正方形、長方形、五角形、六角形、又は任意の他の所望の幾何学的構成であってもよい。脚部114は、正面102の底端116から延びてよく、これは、ディスペンシング装置100を支持し、ディスペンシング装置100がその使用前または使用中に表面(図示せず)の上に配置されることを可能にする。正面102はまた、複数の開口120を含んでもよく、この開口は、空気がディスペンシング装置100に出入りすることを可能にする。このように、ディスペンシング装置100の使用中に、揮発性材料が開口120を通してディスペンシング装置100内の基材から発散する可能性がある。
【0023】
特定の実施形態において、正面102、及びその開口120は、ディスペンシング装置100からの揮発性材料の発散速度を増加又は減少させるように変更又は調整されてもよい。ここで図5を参照すると、高さH及び幅Wを有する正面102を示す図が描かれている。いくつかの実施形態では、高さHは、約10センチメートルと約100センチメートルの間、又は約10cmと約50cmの間、又は約10cmと約30cmの間であってもよい。これらの実施形態において、幅Wは、約10cmと約100cmとの間、又は約10cmと約50cmとの間、又は約10cmと約30cmとの間であってもよい。本明細書で先に論じたように、正面102は代替的な構成を有してよく、いくつかの実施形態では、円形、卵形、三角形、正方形、長方形、五角形、六角形、または任意の他の所望の幾何学構成であってよい。これらの実施形態では、正面102は、約100cmと約10,000cmの間、又は約100cmと約2,500cmの間、又は約100cmと約900cmの間の表面積を有するように寸法決めされてもよい。
【0024】
一態様では、図1および図5に示すように、開口120は、様々な直径を有する円形開口であってもよい。例えば、図1および図5を引き続き参照すると、正面102の中心122に近接する円形開口120は、最も小さい相対直径を有してよく、開口120の直径は、開口120が正面102の中心122から外側に延びるにつれて大きくなってもよい。さらに、図5に最もよく示されているように、開口120は、正面102の中心122から外側に延びる複数の同心円状リングまたは環状列で編成されてもよい。さらに、この特定の実施形態では、開口の各同心円内の開口120の直径は均一であってもよい。しかしながら、本明細書で先に論じたように、開口120の直径は、開口120が中心122から外側に延びるにつれて一般に増大してもよく、言い換えれば、第1の同心円内の開口120の直径が最も小さく、中心122から最も離れた同心円内の開口120の直径が最も大きくなってもよい。
【0025】
この特定の実施形態では、正面102は、開口120の約13個の同心円または環状列、すなわち環状列A~Mを含む(図5を参照)。しかしながら、代替の実施形態では、正面102は、ディスペンシング装置100からの揮発性材料の所望の発散を生じさせるために、任意の数の開口120を含むことができる。例えば、代替の実施形態では、開口120は、グリッド構成を生成するために行又は列に編成されてもよい。そのような実施形態では、正面102は、1行と100行との間、及び/又は約1列と100列との間を含んでもよい。さらに、行及び列は、個々に1~100個の間の開口を含んでもよい。他の実施形態では、開口120は、特定の形状、文字、単語、又は画像を描写するように編成されてもよい。
【0026】
本開示の別の態様によれば、正面102の角112に近接する領域N~Q内の開口120は、代替的な構成を有していてもよい。例えば、図5に最もよく示されているように、正面102の角112に近接する開口120は、三角形の構成であってもよい。さらに、本実施形態では、角部112から最も遠い開口120が最も小さい直径を有してよく、角部112に最も近い開口120が最も大きい直径を有してよい。このように、開口120の直径は、一般に、開口120が正面102の中心122から延びるにつれて増加し、その後、開口120が第1のパターン(すなわち、開口の同心円または環状の列)から第2のパターン(すなわち、開口の三角形のパターン)へ移行するにつれて減少し、続いて開口120が角112へ延びるにつれてさらに増加してもよい。
【0027】
代替の実施形態では、開口120は逆構成であってもよく、角112から最も遠い開口120が最大の直径を有し、角112に最も近い開口120が最も小さい直径を有していてもよい。さらに別の実施形態では、正面102は、三角形構成内に開口120を含まなくてもよい。むしろ、一実施形態では、正面112は、正面の中心122から外側に延びるにつれて開口120の直径が増加するだけであるように、角112まで延びる同心円の開口120のみを含んでいてもよい。
【0028】
代替の実施形態では、開口120は、均一な直径を有する円形の開口であってよい。他の実施形態では、開口120は、行または列などの代替構成で編成されてもよく、または正面102上に任意にまたはランダムに配置されてもよい。しかしながら、特定の実施形態において、開口120は、ディスペンシング装置100の正面102の表面積の約35%と約99%の間であってよい。代替の実施形態では、開口120は、正面102の約50%と約99%の間、または正面102の約75%と約99%の間、または正面102の約90%と約95%の間であってよい。例えば、図5を引き続き参照すると、正面102は、幅Wに高さHを掛けることによって定義される総表面積(SA)を有してもよい。さらに、開口120が全体に延びる正面102の総表面積(SA)の一部は、総表面積(SA)から開口120のいずれかを欠く表面積(SA1)を引くことによって特徴付けられることがある。この特定の実施形態では、表面積(SA1)は、正面102の中心122と最小の同心リング又は環状列Aの開口120の1つを規定する最も内側の縁との間の距離として定義される半径(r)、及び以下の式1を使って計算されてもよい。
【0029】
【数1】
【0030】
さらに、周囲環境に露出した基材の総表面積(SAs)は、総表面積(SA)から表面積(SA1)を引いたものにほぼ等しくてもよく、これは、開口120のいずれかを欠いた表面積とほぼ同じである。さらに、露出している基材の表面積の割合は、露出している基材の総表面積(SAES)を基材の総表面積(SA)で割ることによって決定されてもよく、ほとんどの実施形態では、総表面積(SA)に等しい。露出されている基材の表面積の割合を決定するための式は、以下の式2に示される。
【0031】
【数2】
【0032】
開口A~Mの同心円、及び四分円N~Qの開口は、各開口の中心から伸びる個々の半径によって特徴付けられてもよい。このように、開口120によって画定される表面積の実際の測定値が計算されてもよく、または、任意の開口を除いた表面積が計算されてもよい。再び図5に目を向けると、開口Mの最大または最後の同心円状環は、図5に示すように、最大の同心円または環状の列Mの開口の1つの最外縁によって規定される半径(R)により特徴付けられてもよい。半径(R)は、正面102の高さHの半分にほぼ等しく、および/または正面102の幅Wの半分にほぼ等しくてもよい。これらの実施形態において、第1のパターン(すなわち、開口A~Mの同心円または環状列)の開口を有する表面積の割合(SA)は、以下の式3を用いて計算されてよく、第1のフットプリントまたは拡散領域として特徴付けられることがある。第2のパターン(すなわち、領域N~Q)内の開口を有する表面積の割合は、以下の式4を用いて計算されてもよく、4つの四分円を有する第2のフットプリントまたは拡散領域として特徴づけられ得る。
【0033】
【数3】
【0034】
【数4】
【0035】
さらに、代替構成を有する各象限、すなわち領域N~Qの表面積は、式3で計算された表面積を4で割ることによって計算されてもよい。
【0036】
開口120の直径は、約1ミリメートルと約25ミリメートルの間、又は約1mmと約15mmの間、又は約5ミリメートルと約10ミリメートルの間であってよい。代替の実施形態では、開口120は、代替の構成であってもよい。例えば、開口120は、卵形、三角形、正方形、長方形、五角形、六角形、または任意の他の所望の幾何学的形状であってもよい。このような実施形態では、開口120は、約0.75mmと約500mmとの間、または約0.75mmと約175mmとの間、または約20mmと約75mmとの間の範囲の表面積を有してよい。
【0037】
さらに、本明細書で先に説明したように、開口120の直径は、例えば図5に示すように、開口120が中心122から外側に延びるにつれて一般に増大することがある。その結果、ディスペンシング装置100からの揮発性物質の発散速度又は放出速度は、正面102の異なる位置で変化してもよい。例えば、本実施形態では、発散速度は、概ね中心部122から外側に広がるように増加し、開口120の大きさと正の関係を有していてもよい。言い換えれば、同心円Mは、同心円Aの開口120よりも大きな直径を有する開口120を含むので、ディスペンシング装置100の揮発性材料の発散率は、同心円Aの開口120を通る揮発性材料の発散率に比較して同心円Mの開口120を通って大きくてもよい。その効果によって、ディスペンシング装置100は中心122から正面102の角112へと揮発性材料をウィッキングし得る。代替の実施形態において、開口120の大きさは、他の所望の気流及び発散速度を提供するために変更及び調整されてもよい。
【0038】
いくつかの実施形態では、正面102は、約1~7,500個の間、または約1~2,000個の間、または約500~約1,000個の間、または約700~約800個の間の開口を含んでもよい。依然として図5を参照すると、開口120はまた、垂直軸124および/または水平軸126を横切る対称性を有していてもよい。さらに、図4に示すように、開口120の下の表面は、正面102の色とは異なる色であってもよい。
【0039】
図2を参照すると、ディスペンシング装置100の背面104は、正面102と同様であってもよく、中心132から外側に延びる複数の開口130を含んでもよい。しかしながら、代替の実施形態において、ディスペンシング装置100の背面104は、図3に示されるように、開口130を含まなくてもよい。他の実施形態では、背面104は、正面102から独立して構築されてもよく、様々なサイズ、数、及びパターンの開口130を含んでもよい。したがって、正面102、及びその開口120に関する前述の開示は、背面104及びその開口130に等しく、かつ独立して適用される。例えば、いくつかの実施形態では、背面104は、独立して、約10センチメートルと約100センチメートルとの間、又は約10センチメートルと約50センチメートルとの間、又は約10センチメートルと約30センチメートルとの間の高さと幅を有してもよい。さらに、開口130は、円形であってもよく、例えば、約1ミリメートルと約25ミリメートルとの間、又は約1ミリメートルと約15ミリメートルとの間、又は約5ミリメートルと約10ミリメートルとの間の直径を有していてもよい。代替的に、ディスペンシング装置100は、背面104を含まなくてもよく、中央プレート106は、ディスペンシング装置100の背面を規定してもよい。
【0040】
ディスペンシング装置100は、厚さによっても特徴付けられることがある。厚さは、ディスペンシング装置100の正面102と背面104との間で測定される距離であってもよい。いくつかの実施形態では、ディスペンシング装置100の厚さは、約0.05cm~約10cmの間であってよい。
【0041】
さらに、この特定の実施形態では、背面104は、背面104の底端136から延びる脚134も含み、これは、ディスペンシング装置100を支持し得る。使用中、脚部114、136は、ディスペンシング装置100が表面(図示せず)に座ること、または置かれることを可能にする。
【0042】
図6~8は、本開示の第2の態様による、周囲環境への揮発性材料の発散に使用するための別のディスペンシング装置またはフレーム200を示す。ディスペンシング装置100と同様に、ディスペンシング装置200は、害虫駆除剤、忌避剤、または殺虫剤などの揮発性物質を周囲環境に発散させるために多層基材と組み合わせて使用される。
【0043】
ディスペンサー装置200は、正面202及び背面204を含む2つの対向する側面を含み、基材206は、正面202と背面204との間に配置されてもよい。さらに説明するように、基材206は、揮発性材料のリザーバーであり、所定の期間にわたってディスペンシング装置200から揮発性材料を受動的に発散させる。
【0044】
ディスペンシング装置200は、正面202及び背面204を含む2つの対向する側面を含み、基材206は正面202と背面204の間に配置されてもよい。さらに議論されるように、基材206は、揮発性材料のためのリザーバーであり、所定の期間にわたってディスペンシング装置200から揮発性材料を受動的に発散させる。
【0045】
図6及び図7に示すように、正面202は、基材206からの揮発性材料の受動的な発散を提供するために基材206を通る気流を可能にする開口208を含む。ディスペンシング装置200の背面204は、図8に示すように、正面202と同様であってもよく、また、基材206からの揮発性材料の受動的発散を提供するために基材206を通る気流を許容する開口210を含んでもよい。代替的に、背面204は開口210を含まず、本実施形態では、背面204は閉じており、基材206を覆っている。
【0046】
図6~8を引き続き参照すると、開口208、210は、それぞれ正面202又は背面204の約50%と約99%との間であってもよい。さらなる実施形態では、開口208、210は、それぞれ正面202または背面204の約75%~約99%の間、または約90%~約95%の間であってもよい。例えば、図6~8を引き続き参照すると、正面202は、幅W2に高さH2を乗じることによって定義される総表面積(SA2)を有してもよく、背面204は、幅W3に高さH3を乗じることによって定義される総表面積(SA3)を有してもよい。このように、開口208、210は、基材206の約50%~約99%、又は約75%~約99%、又は約90%~約95%を周囲環境に露出させてもよい。このように、ディスペンシング装置100と同様に、正面202及び背面204、並びにその開口208、210は、ディスペンシング装置200からの揮発性物質の発散速度を増加又は減少させる大きさであってよい。
【0047】
ここで図7及び図8を参照すると、高さH2、H4及び幅W2、W4は、ディスペンシング装置100の高さH及び幅Wと同様の寸法であってよい。より詳細には、高さH2、H3及び幅W2、W3は、個々に約10センチメートル~約100センチメートル、又は約10センチメートル~約50センチメートル、又は約10センチメートル~約30センチメートルであってよい。これらの実施形態では、正面202、及び/又は背面204は、約100cmと約10,000cmの間、又は約100cmと約2,500cmの間、又は約100cmと約900cmの間の表面積を有するように寸法決めされてもよい。
【0048】
正面202および背面204、ならびにその開口208、210は、ディスペンシング装置200を形成する揮発性材料の発散速度を増加または減少させるために変更または調整されてもよい。図7及び図8を参照すると、開口208、210は、それぞれ高さH3、H5及び幅W3、W5によって定義されてもよく、露出した基材の表面積(SAES)は、本実施形態において、高さH3、H5に幅W3、W5を乗じることによって計算されうる。したがって、周囲環境にさらされる基材表面積の割合は、露出した基材の表面積(SAES)を基材の総表面積(SAs)で割ることによって計算することができ、ほとんどの実施形態では、正面202または背面204の総表面積(SA)と同じである。正面202または背面204の総表面積(SA)は、高さH2、H4および幅W2、W4の寸法を用いて算出することができる。本実施形態では、正面202又は背面204の高さH2,H4にその幅W2,W4を乗じることによって、正面202又は背面204の総表面積(SA)を算出することができる。基材の表面積のうち、周囲環境にさらされる割合を求める式は、以下の式5に示される。
【0049】
【数5】
【0050】
ディスペンシング装置100と同様に、正面202及び背面204、並びにその開口208、210は、ディスペンシング装置200からの揮発性物質の発散速度を増加又は減少させるために変更又は調整されてもよい。本明細書で先に述べたように、開口208、210は、ディスペンシング装置200の正面202又は背面204の表面積の約35%~約99%の間であってもよい。代替の実施形態では、開口208、210は、正面202または背面204の約50%と約99%の間、または正面202または背面204の約75%と約99%の間、または正面202または背面204の約90%と約95%の間であってもよい。その結果、露出する基材の表面積の割合(SAES)は、約50%と約99%以下の間、又は約75%と約99%の間、又は約90%と約95%の間であってよい。
【0051】
基材
図9は、ディスペンシング装置100又はディスペンシング装置200と組み合わせて使用され得る基材250の一部を示している。本明細書でさらに説明するように、基材250は、1つ以上の層から構成されてもよく、揮発性材料の活性剤の受動的発散に用いられる3次元の布材料であってもよい。一実施形態では、基材250の構造は、基材250を製造するために積層され得る複数の織物層及び不織布層を含んでもよい。例えば、図9に示すように、基材250は、第1の層252、第2の層254、及び第3の層256を含んでもよい。しかしながら、本開示の代替的な態様によれば、基材250は、追加の層、または代替的に、第1の層252および第2の層254のみなど、第1の層および第2の層のみを含んでもよい。
【0052】
基材250、及びその層の構成は、投影体積当たりの高い表面積を有する基材250を生成する。より詳細には、第1の層252及び/又は第3の層256は、基材250及びその層を空気が流れるようにする複数の細孔を用いて、揮発性材料又は活性剤をウィッキングし、続いて放出するための最適な層を提供してもよく、第2の層254は、揮発性材料又は活性剤を長期にわたって貯蔵するための最適な層を提供してもよい。
【0053】
本開示の態様によれば、基材250の層の物理的特性は、所望のウィッキング、飽和、及び蒸発速度を達成するように最適化されてもよい。より詳細には、基材250の層の厚さ、多細孔性、織りパターン、材料、及び/又は空間密度は、例えば、基材250からの活性剤の所望のウィッキング、飽和、及び蒸発の速度を達成するように最適化されてもよい。さらに、基材250の層の厚さ、多細孔性、織りパターン、材料、及び/又は空間密度は、基材250がそこから活性剤を常に発散する時間の長さなど、所望の製品寿命又は発散寿命時間を達成するように最適化されてもよい。本明細書でさらに議論されるように、基材250、及びその特性は、最も好ましくは、1週間、10日、2週間、3週間又は4週間、6週間又は8週間などの期間にわたって、基材250が受動的かつ一貫してトランスフルトリンなどの活性剤を発散するように調整され得る。
【0054】
上述したように、基材250は、第1の層252、第2の層254、及び第3の層256を含んでもよい。さらに、特定の実施形態では、第1の層252、第2の層254、及び第3の層256は、個々の特性を有していてもよいが、いくつかの実施形態では、第1の層252、第2の層254、及び第3の層256は、同じ材料から構成されてもよく、織り込まれてもよく、その間に連続繊維が含まれていてもよい。例えば、第1の層252及び第3の層256は織物層であってもよく、第2の層254はその間に延在する不織布層であってもよい。さらに、第2の層254の繊維は、第1の層252及び第3の層256の繊維を連結していてもよい。
【0055】
基材の第1の層
第1の層252は、十分なウィッキング、飽和、及び蒸発速度を提供するために、1つ以上の材料を用いて形成されてもよい。例えば、特定の実施形態では、第1の層252は、基材250の最上層であってよく、綿、ポリエステル、又はナイロンベースの材料から構築された織物状の繊維状材料であってよい。これらの実施形態では、第1の層252は、細孔サイズ、織物パターン、厚さ、多細孔性、及び密度を有していてもよい。
【0056】
第1の層252の細孔サイズは、本明細書でさらに説明するように、基材250からの揮発性材料の所望の発散速度を提供するために、約0.5ミリメートルと約20ミリメートルとの間、又は約1ミリメートルと約10ミリメートルとの間、又は約2ミリメートルと約5ミリメートルとの間、又は前述の値の間の任意の細孔サイズであってよい。例えば、急速な発散速度を有するディスペンシング装置100、200が望まれる場合、第1の層252の細孔サイズは、遅い発散速度が望まれるディスペンシング装置100、200のための基材250の第1の層252の細孔サイズより実質的に大きくてもよい。
【0057】
さらに、第1の層252の細孔サイズは、基材250と組み合わせて使用されるディスペンシング装置100、200の構造に依存してもよい。より詳細には、第1の層252の細孔サイズと、ディスペンシング装置100、200の開口の構成によって周囲環境に露出する基材250の総表面積は、それぞれ基材250からの揮発性材料又は活性剤の発散速度に影響を与える。したがって、基材250を設計する場合、第1の層252、及びその特性(すなわち、細孔サイズ)は、それに使用されるディスペンシング装置との組み合わせで調整され得る。
【0058】
非限定的な例を提供するために、図10は、約3mmの細孔サイズX1を有する基材300を描き、図11は、約5mmの細孔サイズX2を有する基材320を描き、これらの両方は、基材250の第1の層252又は基材250の第3の層256に利用され得る。さらに、いくつかの実施形態では、最上層252はまた、複数の細孔サイズを含んでもよい。例えば、図11を参照すると、基材320は、細孔サイズX2及び細孔サイズX3を含んでもよい。
【0059】
上述のように、第1の層252の織りパターン、厚さ、及び密度も、所望の発散速度を生成するように最適化されてもよい。例えば、第1の層252が織物材料である実施形態では、第1の層252の織物パターンは、発散速度を制御するように調整されてもよい。一つの好ましい実施形態では、最適な織りパターンは、その中の揮発性材料の放出速度と、その中の揮発性材料のためのリザーバーとして機能する内部表面積との間に好ましいバランスを作り出す。
【0060】
本明細書でさらに論じられるように、第1の層252は、D3(登録商標)スペーサーファブリックなどの、ニューヨーク州セントジョンソンビルおよびニューヨーク州ドルジビルに位置するゲーリング-トリコットワープニットファブリックによって生産されるテキスタイルから構築されてもよい。第1の層252を構築するために使用され得る材料又はテキスタイルの具体的な、非限定的な例には、ゲーリング-トリコットコーポレーションによって製造される以下の布地が含まれる。Gehring Green、SHR 714F、SHR 796F、SHR 918、SHR 891、SHR 896、SHR 701/6、SHR 711/6、SHR 878、SHR 863 SHR 884、SHR 895、SHR 844、SHR 860/1、SHR 724/5、及びSHR 702/1を挙げる。前述のファブリックは、本明細書の実施例においてさらに詳細に説明される。
【0061】
第1の層252を形成するのに満足な材料の例としては、綿、ポリエステル、ナイロン、レーヨン、又はそれらの組み合わせなどの織物ベースの材料が挙げられる。さらなる実施形態では、第1の層252は、麻繊維のような植物ベースの材料から形成されてもよい。
【0062】
第1の層252の厚さも、基材250の特定の用途に合わせて最適化することができる。本明細書でさらに説明するように、第1の層252の厚さは放出率と正の相関があり、したがって、より高い放出率又は発散率が望まれる場合、第1の層252に対してより大きな厚さを有する材料が使用されてもよい。特定の実施形態では、第1の層252の厚さは、約0.1ミリメートルと約6ミリメートルとの間、又は約0.3ミリメートルと約5ミリメートルとの間、又は約0.3ミリメートルと約3ミリメートルとの間、又は約1ミリメートルと約2.5ミリメートルとの間、又は約1ミリメートルと2ミリメートルとの間の範囲であってもよい。
【0063】
基材の第2の層
第2の層254はまた、十分なウィッキング、飽和、及び蒸発速度を提供するために、1つ以上の材料を用いて形成されてもよい。例えば、特定の実施形態では、第2の層254は、第1の層252と第3の層256との間に配置された中間、スペーサ層であってもよい。これらの実施形態において、第2の層254は、綿、ポリエステル、又はナイロンベースの材料などの繊維状の不織布材料であってもよい。さらに、これらの実施形態において、第2の層254は、厚さを有してよく、基材250の密度、厚さ、及び体積に対する表面積比を調整するために変更されてもよい。
【0064】
上述のように、第2の層254の厚さ及び密度も、所望の発散速度を生成するように最適化されてもよい。より詳細には、特定の実施形態では、基材250の飽和度(すなわち、基材250内に貯蔵可能な揮発性材料の量)及びその結果、基材250からの揮発性材料の発散の持続時間を制御するために、スペーサの厚さ及び第2の層254の密度が変化されてもよい。これらの実施形態では、第2の層254は、活性剤を有する揮発性物質のリザーバーとして機能することができる。このように、第2の層254の密度は、揮発性物質又は活性剤の飽和の程度を制御するために増加又は減少されてもよい。例えば、より高い飽和度が望まれる場合、第2の層254の繊維の密度は、基材250の表面密度を増加させるために増加させることができる。本明細書でさらに説明するように、第2の層254は、基材250の表面密度が1平方メートル当たり約75グラム(g/m)と1平方メートル当たり約500グラムの間、または約150g/mと約400g/mの間、または約150g/mと約350g/mの間、または約200g/mと約320g/mの間、または約250g/mと約300g/mの間、または約280g/mの間であるようにその中の繊維を増加または減少させて変更することができる。
【0065】
第2の層254の密度を変更することに加えて、第2の層254の厚さを変更してもよい。第2の層254の厚さは、一般に、第1の層252と第2の層254との間の距離、すなわち、第2の層254の繊維が延びる距離として定義されてもよい。特定の実施形態では、第2の層254の厚さは、約0.1ミリメートルと約6ミリメートルとの間、又は約0.5ミリメートルと約5ミリメートルとの間、又は約1ミリメートルと約4ミリメートルとの間、又は約2ミリメートルと約3ミリメートルとの間、又は約0.1ミリメートルと約0.3ミリメートルとの間であってもよい。
【0066】
第2の層254を形成するのに満足な材料、又は繊維の例には、綿、ポリエステル、ナイロン、レーヨン、又はそれらの組み合わせなどの織物ベースの材料が含まれる。さらなる実施形態では、第1の層252は、麻繊維のような植物ベースの材料から形成されてもよい。
【0067】
基材の第3の層
第3の層256は、十分なウィッキング、飽和、及び蒸発速度を提供するために、1つ又は複数の材料を用いて形成されてもよい。特定の実施形態では、第3の層256は、基材250の底部層であってよく、綿、ポリエステル、またはナイロンベースの材料から構築された織られた繊維状の材料であってよい。これらの実施形態において、第3の層256は、細孔サイズ、織物パターン、厚さ、多細孔性、及び密度を有していてもよい。
【0068】
第3の層256の細孔サイズは、本明細書でさらに説明するように、基材250からの揮発性材料の所望の発散速度を提供するために、約0ミリメートルと約20ミリメートルとの間、又は約1ミリメートルと約10ミリメートルとの間、又は約2ミリメートルと約5ミリメートルとの間、又は前記値の間の任意の細孔サイズであってもよい。例えば、急速な発散速度を有するディスペンシング装置100、200が望まれる場合、第3の層256の細孔サイズは、遅い発散速度が望まれるディスペンシング装置100、200の基材250の第3の層256の細孔サイズより実質的に大きくてもよい。さらに、第3の層256の細孔サイズは、基材250と組み合わせて使用されるディスペンシング装置100、200の構造に依存してもよい。例えば、一実施形態では、第3の層256は、そこに配置されたとき、ディスペンシング装置100の背面104に近接してもよい。このように、これらの実施形態では、第3の層256の細孔サイズは、図2に示されるような開口130を背面104が含むときに基材250内の揮発性材料の活性剤の発散を可能にするために約1mm~約5mmの間であってよい。しかしながら、代替の実施形態では、図3に示されるもののように、背面104が開口130を含まないとき、第3の層256の細孔サイズは0mmであってよい。
【0069】
上述のように、第3の層256の織りパターン、厚さ、及び密度も、所望の発散速度を生成するように最適化されてもよい。例えば、第3の層256が織物材料である実施形態では、第3の層256の織物パターンは、発散速度を制御するように調整されてもよい。
【0070】
本明細書でさらに議論されるように、第1の層252と同様の第3の層256は、D3(登録商標)スペーサーファブリックなどの、ニューヨーク州セントジョンソンビルおよびニューヨーク州ドルジビルに位置するゲーリング-トリコットワープニットファブリックによって生産されるテキスタイルから構成されてもよい。第1の層252を構築するために使用され得る材料又はテキスタイルの具体的な、非限定的な例には、ゲーリング-トリコットコーポレーションによって製造される以下の布地が含まれる。Gehring Green、SHR 714F、SHR 796F、SHR 918、SHR 891、SHR 896、SHR 701/6、SHR 711/6、SHR 878、SHR 863 SHR 884、SHR 895、SHR 844、SHR 860/1、SHR 724/5、及びSHR 702/1を挙げる。前述のファブリックは、本明細書の実施例においてさらに詳細に説明される。
【0071】
一般に、第3の層256を形成するのに満足な材料の例としては、綿、ポリエステル、ナイロン、レーヨン、またはそれらの組み合わせなどの織物ベースの材料が挙げられる。さらなる実施形態では、第3の層256は、麻繊維のような植物ベースの材料から形成されてもよい。
【0072】
第3の層256の厚さも、基材250に対する特定の用途に最適化されてもよい。本明細書でさらに説明するように、第3の層256の厚さは放出率に正の相関があり、したがって、より高い放出率又は発散率が望まれる場合、より大きな厚さを有する材料が第3の層256に使用されてもよい。特定の実施形態では、第3の層256の厚さは、約0.1ミリメートルと約6ミリメートルとの間、又は約0.3ミリメートルと約5ミリメートルとの間、又は約0.3ミリメートルと約3ミリメートルとの間、又は約1ミリメートルと約2.5ミリメートルとの間、又は約1ミリメートルと約2ミリメートルとの間の範囲であってもよい。
【0073】
基材250の前述の層は、最適な密度、厚さ、ウィッキング率、放出または発散率、または飽和度を有する基材を作成するために、個別に変更することも可能である。
【0074】
特定の実施形態では、基材250の層、及びその特性は、約1ミリグラム(mg)と約10,000mgとの間、又は約1mgと約5,000mgとの間、又は約1mgと約3,000mgとの間の揮発性物質、又は約50mgと約100mgの間の揮発性物質又は約1,500mgと約2,300mgの間の揮発性物質、又は約100mgと約700mgの間、又は約150mgと約400mgの間、又は約150mgと約300mgの間の揮発性物質の飽和度を有する基材250を提供するように変更されてもよい。関連する実施形態において、基材250の層、及びその特性は、約0.005mg/cmと約55mg/cmの間、又は約0.005mg/cmと約30mg/cmの間、または約0.2mg/cmと約0.4mg/cmの間、または約6.5mg/cmと約10mg/cmの間、または約0.4mg/cmと約3mg/cmの間、または約0.6mg/cmと約1.7mg/cmの間、または約0.6mg/cmと約1.3mg/cmの間となる飽和度を有する基材250を提供することができる。
【0075】
いくつかの実施形態では、基材250の層、及びその特性は、本明細書でさらに議論されるように、基材250からの揮発性材料の所望の発散速度を提供するために、約0.1ミリメートルと約6ミリメートルとの間、又は約1ミリメートルと約4ミリメートルとの間、又は約1.5ミリメートルと約3ミリメートルとの間、又は約1.7ミリメートルと約2.5ミリメートルの間の厚さ、又は前述の値間の任意の厚さを有する基材250を提供するように変更することができる。
【0076】
さらなる実施形態では、基材250の層、およびその特性は、本明細書でさらに説明するように、基材250から揮発性物質の所望の発散速度を提供するために、1平方メートルあたり約75グラム(g/m)と1平方メートルあたり約500グラムの間、または約150g/mと約400g/mの間、または約150g/mと約350g/mの間、または約200g/mと約320g/mの間、または約250g/mと約300g/mの間、または約250g/m、または約280g/mまたは前述の値の間の任意の密度の範囲の表面密度を有する基材250を提供するために変更されてもよい。、好ましい実施形態では、基材250は、約40g/mと70g/mの範囲の密度を有する。
【0077】
いくつかの実施形態では、基材250は、ディスペンシング装置100、200がそこから揮発性材料の全て又はほぼ全てを揮発させたことをユーザに示す使い切りキューを含んでもよい。例えば、図12A及び図12Bに示すように、基材250の第1の層252は、明るい色のテキスタイル繊維及び暗い色のテキスタイル繊維を含んでよく、これらは、基材250上の揮発性材料の存在を示す視覚キュー又は用量キューとして使用され得るコントラストを提供する。例えば、基材250が揮発性材料を含まない場合、明るい色の織物繊維350は、図12Aに示すように、視覚的手がかり又は外観を提供し、基材250が揮発性材料で散布されると、明るい色の織物繊維はあまり明らかではなく、それによって、図12Bに示すように、揮発性材料がそこに存在することが示される。
【0078】
ディスペンシング装置100、200及びその中の基材250は、任意の適切な揮発性材料を含んでもよい。いくつかの実施形態では、揮発性材料は、キャリア液体、例えば、オイルベース、有機ベース、及び/又は水ベースのキャリア又は溶剤、消臭液等、及び/又はそれらの組み合わせ内に配置された、香料、殺虫剤、消臭剤、殺菌剤、ペットバリア、又は他の活性揮発性又は他の化合物等の活性剤を含んでもよい。特定の実施形態では、ディスペンシング装置100、200は、昆虫制御剤、昆虫忌避剤、又は殺虫剤を含む。揮発性物質に好適な可能性のある殺虫剤の例としては、メタフルトリン、トランスフルトリン、テフルトリン、及びベーパースリンなどのピレスロイド系、又は天然活性剤(ゲラニオールなど)、又はこれらの殺虫剤のブレンドが挙げられる。
【0079】
揮発性材料に使用することができる活性剤の追加の例としては、ウィスコンシン州ラシーンのエス.シー. ジョンソン アンド サン、インコーポレイテッドが販売するRAID(登録商標),Pyrel(登録商標),POLIL(登録商標),AUTAN(登録商標),OUSTTMまたはGLADE(登録商標)を挙げることができる。揮発性物質はまた、他の活性剤、例えば、除菌剤、空気および/または布地フレッシュナー、クリーナー、臭気除去剤、カビまたはカビ防止剤、防虫剤など、またはアロマテラピー特性を有する他のものからなることもできる。揮発性物質は、代替的に、容器からディスペンスされる当業者に公知の任意の流体、例えば、気体内に浮遊する粒子又は液滴の形態で分散させるのに適したもの及び/又は推進剤によって推進されたものからなる。
【0080】
いくつかの実施形態では、トランスフルトリンなどの活性剤は、約5wt%~約95wt%の間、約60wt%~約90wt%の間、または約70wt%~約85wt%の間、またはさらに具体的には約75wt%~約85wt%の間の量で揮発性物質中に存在してもよい。特定の実施形態において、昆虫制御剤は、揮発性材料の約80wt%であってよく、好ましい実施形態において、トランスフルトリンは、揮発性材料の約80wt%であってよい。
【0081】
また、揮発性物質は、液体、固体、または蒸気から構成されてもよい。ある態様において、揮発性物質は、昆虫防除剤が溶解し得る有機溶液または水溶液などの1つまたは複数の溶媒を含んでもよい。例えば、ある態様では、活性剤は室温(23℃)で固体状態であってもよく、揮発性物質を液体状態で提供し維持するために活性剤に溶媒が添加されてもよく、したがって揮発性物質が広がり、基材250上に被覆され、その中に位置決めできるようにすることができる。さらなる実施形態において、揮発性材料は、香料を含んでもよい。しかしながら、他の実施形態では、揮発性材料は、他の成分と混合されず、活性剤のみから構成されてもよい。
【0082】
ディスペンシング装置100、200は、揮発性材料及びディスペンシング装置100、200を大気に暴露してから1時間以内に測定される初期放出速度でディスペンシング装置100、200からの揮発性材料の放出を提供することができる。ディスペンシング装置100、200は、ディスペンシング装置100、200の揮発性材料及び基材250を大気に曝露した後の固定時間に測定される後続放出速度で、第1の層252を横切る、又は第1の層252からの揮発性材料の放出を提供することができる。固定時間は、蒸気ディスペンシング装置が揮発性組成物の放出を提供することが望まれる任意の時間の長さであることができる。例えば、固定時間は、6時間、12時間、1日、2日、3日、4日、5日、6日、1週間、10日、2週間、15日、20日、3週間、25日、4週間、30日、5週間、40日、6週間、45日、7週間、50日、55日、8週間、10週間、12週間、15週間、20週間、25週、30週、1年等とすることができる。より詳細には、ディスペンシング装置100、200および基材250、さらに詳細には、その特性は、一般に一定の速度で指定された所望の時間にわたって揮発性材料を発散するディスペンシング装置100、200を提供するように選択されてもよい。
【0083】
本明細書に記載されるように、基材250、又はディスペンシング装置100、200は、揮発性材料又は活性剤の発散又は放出が、決定の相関、すなわちR値が0.8以上、又は0.85以上、又は0.90以上、又は0.95以上、又は0.98以上の線形回帰線でグラフ化又は適合され得る場合には、一定の発散速度、又は定常発散速度を有するものとして特徴付けることができる。
【0084】
特定の態様において、ディスペンシング装置100、200の特定の表面積及び調剤濃度は、常時、約0.1mg/日と約10mg/日の間の活性剤又は揮発性材料、約1mg/日と約10mg/日の間、約1mg/日と約7mg/日の間、約1mg/日と約5mg/日の間の活性剤又は揮発性材料、又は約1.5mg/日と約4mg/日の間の活性剤又は揮発性材料、又は約1.5mg/日と約2mg/日の間の活性剤又は揮発性材料である。さらなる実施形態において、ディスペンシング装置100、200、及びその中の基材250は、10mg/日を超える活性剤又は揮発性材料を発散してもよい。例えば、いくつかの実施形態では、基材250は、基材250を通る気流が増加したときに、10mg/日を超える割合で活性剤又は揮発性材料を発散させてもよい。
【0085】
同様に、本明細書で先に論じたように、基材250及び/又はディスペンシング装置100、200の投薬量は、所望の発散期間に基づいて、例えば、週、月、又は季節から選択することができる。例えば、ディスペンシング装置100、200が約2mgの活性剤/日の発散速度を有するように設計されている場合、1ヶ月間使用するように設計されたディスペンシング装置100、200は、少なくとも60mgの活性剤(例えば、トランスフルトリン)を投薬されることになる。別の例として、ディスペンシング装置100、200が約2mgの活性剤/日の発散速度を有するように設計されている場合、3ヶ月間(すなわち、1シーズン)使用するように設計されたディスペンシング装置100、200は、少なくとも約1,500~約2,300mgの活性剤(例えば、トランスフルトリン)を投薬されることになる。したがって、揮発性材料および/またはその中の活性剤の初期投薬レベルは、1mgから5gまで変化してもよく、基材250の特性、所望の発散速度、および/または所望の発散寿命に依存することができる。
【0086】
上述したように、いくつかの実施形態において、ディスペンシング装置100、200は、所定の初期投与量で揮発性材料及び/又は活性剤を初期投与されてもよい。特定の態様において、その中の揮発性材料及び/又は活性剤の初期投与量は、約1mgと約5gの間、約20mgと約3gの間、約20mgと約1gの間、約20mgと約200mgの間、約40mgと約100mgの間、又は約55mgと約70mgの間であってもよい。他の態様において、揮発性材料及び/又はその中の活性剤の初期投薬量は、約1mgと約5gの間、約1gと約3gの間、又は約1.5gと約2.3gの間の範囲であってもよい。一例において、ディスペンシング装置100、200又は基材250は、約75mgの活性剤を初期投薬されてもよい。別の例では、ディスペンシング装置100、200又は基材250は、約3g~約4.6gの揮発性物質で初期投薬されてもよく、これは、約1.5g~約2.3gの活性剤(例えば、トランスフルトリン又はメトフルトリン)及び約1.5g~約2.3gの希釈剤(例えば、ExxsolTM D60)を含んでもよい。この特定の実施形態では、初期投与は、230cmの材料あたりで放出される(例えば、基材250の230cmあたり約3g~約4.6gの揮発性材料)。さらに、これらの実施形態において、希釈剤を含むことは、より速いウィッキング、より良い分配を促進し、結晶化を抑制することができる。
【0087】
基材250に揮発性材料の量を投薬した後、基材250はディスペンシング装置100、200内に置かれ、ディスペンシング装置100、200の将来の使用者と活性剤との間の接触を防止することができる。さらに、ディスペンシング装置100、200及びその開口120、130は、ディスペンシング装置100、200からの揮発性材料の保護発散を可能にするために、適切な気流を促進させる。
【0088】
初期投与量の量は特定の実施形態に関して上に概説されているが、初期投与量は変化してもよく、要素、揮発性材料が適用される基材250の表面積、揮発性材料が適用され得る基材250の一つ以上の層の特性(例えば、第1の層252、第2の層254、又は第3の層256の厚さ)、ディスペンシング装置100、200からの揮発性材料の所望の放出速度、ディスペンシング装置200の1つ以上の層に用いられる材料の種類(例えば、第1の層252に用いられる材料の種類、第2の層254に用いられる材料の種類、第3の層256に用いられる材料の種類)、又はディスペンシング装置100、200に用いられる揮発性材料(複数の種類)の組み合わせに依存していてもよいが、これらに限定されないと当業者には理解されるはずである。
【実施例
【0089】
本明細書の実施例は、当業者にディスペンシング装置100、200又は基材250の特定の実施形態を例示することを意図しており、特許請求の範囲に規定される開示の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。ディスペンシング装置100、200または基材250は、以下の非限定的な例から構成されてもよい。
【0090】
本明細書の実施例に関連して、本明細書の実施例の発散速度及び基材内に残存する活性剤、例えばトランスフルトリンの量は、特定の基材の重量減少を経時的に分析することにより測定された。より詳細には、特定の基材内に残存する活性剤の量は、まず、基材250に活性剤(又は揮発性物質)を投薬する前に基材250を測定し、投薬後の任意の時間における基材250の重量からその値を差し引くことにより算出することができる。例えば、実施例1を参照して、基材250の初期重量を測定し、基材250に活性剤(すなわち、トランスフルトリン又はメトフルトリン)を投与し、初期投与後及び活性剤が周囲環境に発散した後に基材250の重量を複数回測定した。そして、初期投与後の基材250の重量から初期重量を差し引き、この値によって基材250内に残存する活性剤を示した。さらに、基材250内の残存活性剤を決定した後、活性剤の初期投与量から基材250内に残存する活性剤の量を引くことにより、周囲環境に発散される活性剤(又は揮発性物質)の量も計算することができる。全ての重量測定は、分析秤で行うことができる。さらに、本明細書の実施例は、制御された気流速度を有する密閉されたチャンバーなどの閉鎖環境において実施された。
【0091】
例1
本明細書で論じるように、ディスペンシング装置100、200及び基材250に関連する特性は、ディスペンシング装置100、200からの揮発性材料の最適な発散を提供するために変更されてもよい。さらに、本開示の一態様によれば、ディスペンシング装置100、200及び基材250の特性は、揮発性材料又は活性剤の最適な、また一定の発散を提供するように変更されてもよい。
【0092】
本開示の基材からの揮発性材料の一貫した発散速度を実証するために、約30cmの表面積を有する基材250に、約75mgの2つの異なる揮発性材料を投薬し、発散速度を40日間にわたって測定した。収集されたデータは、図13に描かれている。
【0093】
この例では、基材250は、第1の層252、第2の層254、及び第3の層256のような3つの層を含む。さらに、この実施形態では、第1の層252は、ハニカム織りパターンを有する織物材料であり、3mmの細孔サイズと0.3mmの厚さを有し、第2の層254は、ポリエステル糸から構成される繊維状材料であり、基材250は約340g/mの表面密度を有する;および第3の層256は、ハニカム織りパターンを有する織物材料であり、3mmの細孔サイズと0.3mmの厚さを有している。
【0094】
図13に示すように、基材250に約75mgのトランスフルトリンまたは75mgのメトフルトリンを投与した場合、線形放出速度が観察された。基材250にトランスフルトリンを投薬した場合、基材250は、1ヶ月間、特に約36日間にわたり、常に揮発性物質を約1.5mg/日の一定の線形速度で発散させた。基材150がメトフルトリンで投薬された場合、基材250は、約20日間にわたり、約1.9mg/日の一定の線形速度で揮発性物質を発散させた。その結果、基材250の実施形態は、長期間持続する揮発性物質の一定の線形放出速度を提供するために効果的に採用され得る。さらに、揮発性材料の程度及び基材250の特性(例えば、表面積、多細孔性、厚さ、密度など)は、投与量に依存して変化させることができる。例えば、より高い投与量(例えば、約150mg~約800mgの間の投与量)を基材250に適用して、3~6ヶ月、又は12ヶ月といったより長い期間にわたって揮発性材料の線形放出速度を提供するように、基材250の特性を変化させてもよい。
【0095】
本明細書で既に説明したように、基材250、及びその層に使用される材料は、基材250の飽和レベル又は発散速度を含む基材250の特性を最適化するように選択することができる。基材250、並びに第1及び第3の層252、256のための最適な材料は、以下の表1に示されており、ニューヨーク州セントジョンソンビル及びニューヨーク州ドルジビルに位置するゲーリング-トリコット ワープ ニット ファブリックスによって提供され、その内容全体が参照により本書に組み込まれる米国特許出願第15/164,580号に記載の基材に類似する基材である「SCJ 1.0」試料は除外されている。より詳細には、所望の発散速度、揮発性材料の初期投与量、及び所望の発散の期間に基づいて、基材250の最適な材料を選択することができる。例えば、0.15mg/hrの発散速度が40日間にわたって所望される場合、基材250の第1の層252及び/又は第3の層256にSHR714 Fを選択してもよく、基材250に約147mgの揮発性材料を投与してもよい。
【0096】
さらに、図14は、表1に記載された各材料のウィッキング率を時間の関数として示し、約1.2グラムの揮発性材料が材料に適用された後、約1.2グラムの揮発性材料が材料に適用された後である。
【0097】
【表1】
【0098】
例2
ディスペンシング装置200と組み合わせて使用される本開示の基材からの揮発性物質の一貫した発散速度を実証するために、1ヶ月を超える期間にわたって、基材250がディスペンシング装置200に挿入され、基材250の発散速度が測定された。この例では、基材250は、第1の層252、第2の層254、及び第3の層256のような3つの層を含む。さらに、この実施形態では、第1の層252は、ハニカム織りパターンを有する織物材料であり、3mmの細孔サイズおよび0.3mmの厚さを有し、第2の層254は、ポリエステルから構成される繊維状材料であり、基材250は約340g/mの表面密度を有し;および第3の層256は、ハニカム織りパターン、3mmの細孔サイズおよび0.3mmの厚さを有する織物材料である。基材250に約2400mgのトランスフルトリンを投与し、密閉されたチャンバー内の異なる位置での基材250内のトランスフルトリンの濃度を75日間にわたって測定した。この試験中、基材250は、約4.8メートル/分の気流にさらされた。収集されたデータは、図15A、15B、および15Cに示されている。
【0099】
図15A~15Cに示すように、基材250を有するディスペンシング装置200は、75日間にわたって常に揮発性物質を発散し、約4mg/日~6mg/日の間の一定の割合で活性剤(すなわち、トランスフルトリン)を発散させた。図15Aは、ディスペンシング装置200の基材250内の活性剤の濃度を描いており、ディスペンシング装置200は、密閉されたチャンバー内の第1の場所にあった。この場所で、ディスペンシング装置200(または基材250)は、70日を超える期間、約4mg/日を常に発散していた。図15Bは、ディスペンシング装置200の基材250内の活性剤の濃度を描いており、ここで、ディスペンシング装置200は、密閉されたチャンバー内の第2の場所にあった。この位置では、ディスペンシング装置200(または基材250)は、70日を超える期間、約6mg/日を常に発散していた。最後に、図15Cは、ディスペンシング装置200の基材250内の活性剤の濃度を描いており、ここで、ディスペンシング装置200は、密封されたチャンバー内の第3の場所にあった。この位置では、ディスペンシング装置200(または基材250)は、70日を超える期間、約4mg/日を常に発散していた。
【0100】
図15A~Cに示すように、本開示の基材250は、トランスフルトリンなどの揮発性物質又は活性剤を長期間にわたって放出する能力を有している。この特定の例では、基材250は、基材250を交換又は再投与する必要なく、長期間にわたって昆虫(例えば、蚊)を撃退するための活性剤としてトランスフルトリンを有する揮発性物質を発散するように設計されていた。図15A~15Cを見ると、この特定の実施例で使用された基材250は、約2400mgのトランスフルトリンで飽和させることができ、約4mg/日~約6mg/日の範囲の発散速度でトランスフルトリンを放出することができた。さらに、0.978、0.988、および0.989の高い相関値(すなわち、R値)を有する適合線形回帰線によって示されるように、放出速度は75日間にわたって一定であった。これらの線形回帰線を用いて、本明細書に開示される基材250は、約1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月等を超える長期間にわたってトランスフルトリン等の活性薬剤の一定の発散を提供すると判断することができる。より詳細には、線形回帰線を用いて、本実施形態の基材250は、活性剤であるトランスフルトリンを、一定の線形速度で1年を超える期間にわたって発散させる機能を有することが分かる。
【0101】
例3
基材250の複数の特性および寸法を変更し、特性が基材250からの揮発性物質の放出または発散速度に与える影響を実証した。
【0102】
まず、基材250の厚さを、その層(例えば、第2の層252)の厚さを変えることによって変化させ、72時間後に基材250に残存する揮発性物質(すなわち、トランスフルトリン)の割合を測定した。収集されたデータは、図16に描かれている。
【0103】
次に、基材250の第1の層252の細孔サイズを変化させ、72時間後に基材250に残存する揮発性物質の割合を測定した。収集されたデータは、図17に描かれている。
【0104】
第3に、基材250の第3の層256の細孔サイズを変化させ、72時間後に基材250に残存する揮発性物質の割合を測定した。収集されたデータは、図18に描かれている。
【0105】
図16図18に示すように、基材250からの揮発性物質の放出速度は、基材250の厚さ、第1の層252の細孔サイズ、および第3の層256の細孔サイズと正の線形相関を示した。
【0106】
また、統計解析も行い、その結果を表2および表3に示した。表2及び表3に示すように、第1の層252及び第2の層254の厚さ及び細孔サイズと、基材250からの揮発性物質の放出率との間には、約0.9という高い相関値が決定された。さらに、F比は最小であった。
【0107】
【表2】
【0108】
【表3】
【0109】
例4
本明細書で既に説明したように、ディスペンシング装置100、200及び基材250に関連する特性は、ディスペンシング装置100、200からの揮発性材料の最適な発散を提供するために変更されてもよい。本開示の別の態様によれば、基材250の表面積/密度を変化させて、表面積/密度が基材250からの揮発性材料の発散又は放出速度に与える影響を実証した。より詳細には、基材250の層を変えることによって、基材250の表面密度を、約10m/バルクmと約100m/バルクmとの間で変化させ、基材からの放出又は発散速度を測定した。収集されたデータは、図19に描かれている。さらに、図19に示すように、基材250の表面密度と、そこからの揮発性物質の放出速度との間に、正の線形関係が観察された。放出速度と密度(g/m又はGSM)×表面積BET(すなわち、実m/バルクm)との相関は、基材250を使用する特定の用途に対して所望の放出速度又は発散速度を提供するために基材250の市販のメッシュを選択する方法に関する方向性の指針を与えるものである。
【0110】
引き続き図19を参照すると、g/m*BETは、所定の単位体積に対して利用可能な表面積の量を表すものであり、すなわち、低い値は、基材250の所定の体積に対応する表面積が小さいことに対応し、高い値は、基材250の所定の体積に対応する表面積が大きいことに対応している。さらに、BETとは、Brunauer-Emmett-Teller理論を指し、基材250のような材料の比表面積、より詳細には、試料の質量当たりの繊維の表面積(m/g)を測定するための分析手法である。図19に示す結果は、利用可能な表面積の量と、基材250内の活性剤又は揮発性物質の放出速度(又は発散速度)との間に線形関係を例示するものである。要するに、g/m*BETが増加すると、発散速度も増加するのである。
【0111】
例5
本明細書でさらに論じるように、基材250が露出する割合は、ディスペンシング装置100、200からの揮発性材料の発散を変化させる可能性がある。したがって、本開示の別の態様によれば、基材250の表面積の露出した割合を変化させて、露出した割合が基材250からの揮発性材料の発散又は放出速度に与える影響を実証した。より詳細には、露出された基材250の割合を約10%~約100%の間で変化させ、基材からの放出率を測定した。収集されたデータは、図20に描かれている。さらに、図20に示すように、基材250の表面積の露出割合と、そこからの揮発性物質の放出速度との間に、正の線形関係が観察された。
【0112】
基材の製造方法
本明細書における全ての知見は、基材250を最適化し、指定された期間にわたって揮発性物質を一定に受動的に発散させるための基材250を製造するために利用することができる。さらに、基材250、及びその層は、特定の用途のための基材250を提供するために変更又は調整され得る。
【0113】
基材250について、所望の発散速度および製品寿命を達成するために必要な材料および特性を決定するための設計方法が開発されている。図21は、基材250を構成するための設計方法を模式的に示す図である。
【0114】
まず、本明細書の非限定的な例によって支持されるように、基材250からの揮発性材料又は活性剤の発散は、線形回帰線を用いてモデル化することができ、任意の所定時間における基材250内の揮発性材料の濃度は、式6を用いて決定できることが理解される。
【0115】
【数6】
【0116】
ここで、基材250内の揮発性物質または活性剤の濃度をC(t)、揮発性物質または活性剤の初期濃度または投与量をX、揮発性物質または活性剤の所望の発散速度または放出速度をERとしたとき、揮発性物質または活性剤の濃度は、C(t)、X、ERのいずれかになる。
【0117】
設計方法のステップ1は、基材250の最小の所望の製品寿命、又は基材250を含むことになるディスペンス装置100、200の最小の所望の製品寿命を選択することを含む。例えば、本明細書で既に説明したように、1週間の製品寿命を有するディスペンサーが所望され得るし、代替的に、3ヶ月の製品寿命を有するディスペンサーが所望され得る。
【0118】
設計方法のステップ2は、基材250、又はディスペンシング装置100、200に対する最小の所望の発散速度(ER)を選択することを含む。例えば、本明細書のいくつかの実施形態では、約1.4mg/日~1.6mg/日の間の発散速度が所望され、他の実施形態では、約4mg/日~6mg/日の間の発散速度が所望される。
【0119】
基材250、またはディスペンシング装置100、200を設計する際のステップ3は、揮発性材料または活性剤の初期濃度の最小値を計算することを含む。揮発性材料又は活性剤の初期濃度の最小値は、式6を使用し、tに対するステップ1からの最小所望の製品寿命を、ERに対するステップ2からの最小所望の発散速度をプラグインして計算されてもよい。例えば、ステップ1及び2でそれぞれ3ヶ月(すなわち90日)の最小所望の製品寿命及び3.6mg/日の最小所望の発散速度が選択される場合、揮発性物質又は活性剤の初期濃度の最小値は、324mgの活性剤(例えばトランスフルトリン)になる。
【0120】
基材250、またはディスペンシング装置100、200を設計する際のステップ4は、ステップ2で決定された最小の所望の発散速度(ER)を提供する基材250のための第1の層252および/または第3の層256を選択することを含む。図17及び図18は、細孔サイズと活性剤(すなわち、トランスフルトリン)の発散速度又は放出速度との間の線形相関を提供する。さらに、本明細書の表1は、第1の層252または第3の層256に使用できる、ニューヨーク州セントジョンソンビルおよびニューヨーク州ドルジビルに位置するゲーリング-トリコットワープニットファブリックスによって製造される複数の布の平均発散速度または放出速度を提供する。この知識を用いて、所望の発散率を提供するために、表1からの布地を第1の層252及び/又は第3の層256のために選択することができる。例えば、0.15mg/hr(または3.6mg/day)の平均発散速度が望まれる場合、ゲーリング-トリコットコーポレーション製の生地SHR 714 Fを第1の層252または第3の層256に選択してもよいし、生地SHR 884を第1の層252と第3の層256とに選択してもよい。あるいは、表1に開示された布地以外の布地を所望する場合、表1が比較の根拠となり、図17及び図18が、布地の特性(例えば、細孔サイズ)と発散速度への影響との間に必要な相関情報を提供してもよい。したがって、第1の層252及び/又は第3の層256に対して企図される他の布地の発散速度は、これらの値及び計算を用いておおよそ推定することができる。
【0121】
基材250、またはディスペンシング装置100、200を設計する際のステップ5は、ステップ3で決定された揮発性材料または活性剤の初期濃度に対して所望の飽和容量を提供する基材250用の第2の層254を選択することを含む。例えば、揮発性材料又は活性剤の初期濃度の最小値が324mgの活性剤、例えば324mgのトランスフルトリンであると決定された場合、第2の層254が324mgの活性剤をそこに保持できるように、第2の層254の材料、厚さ、及び密度が変更されてもよい。
【0122】
ステップ1~5の後、ステップ4で選択された第1の層252及び/又は第3の層256とステップ5で選択された第2の層254とを組み合わせることによって、基材250を構成してもよい。第1の層252、第2の層254、及び第3の層256は、接着剤、粘着剤などを含む当技術分野で知られた方法を用いて組み合わせてもよい。他の実施形態では、第2の層254の繊維は、第1の層252の繊維及び/又は第2の層256の繊維と織り交ぜてもよい。これらの特定の実施形態では、第1の層252の繊維、第2の層254の繊維、及び第3の層256の繊維は、織るプロセスの間に一緒に結ばれる。より詳細には、これらの実施形態において、層252、254、256は、基材250(及びその層)が織機を使用して完全に構築されるように、織布プロセスの間に結ばれてもよい。特定の実施形態では、基材250は、ラッシェル編み機を使用して構築されてもよく、二本針ベッドラッシェルタイプスペーサーニットなどの経糸ニットであってもよい。
【0123】
この設計方法は、図21に具体的に図示されていない追加のステップを含んでもよい。いくつかの実施形態では、設計方法は、基材250の最適なウィッキング速度を決定するステップも含んでもよい。例えば、高いウィッキング速度を有する基材250が望まれる場合があり、これらの実施形態では、第1及び/又は第3の層252、254の選択を含む設計方法のステップ4は、所望のウィッキング速度を有する第1及び/又は第3の層252、254の選択を含む場合がある。このステップを支援するために、本明細書で説明する表1は、ニューヨーク州セントジョンソンビル及びニューヨーク州ドルジビルに位置するゲーリング-トリコットワープニットファブリックスによって製造される複数の布地の平均ウィッキング速度を提供し、図14は一定期間におけるこれらのウィッキング速度を図解するものである。
【0124】
他の実施形態では、設計方法は、ディスペンシング装置100又はディスペンシング装置200など、基材250と共に使用するためのディスペンサー又はディスペンシング装置を構築するステップを含むこともできる。本明細書で先に論じたように、基材250からの揮発性材料又は活性剤の発散速度は、周囲環境に曝される基材250の表面積の割合に正の線形に相関している。より詳細には、図20は、活性剤を有する基材からの揮発性物質の発散速度と、周囲環境に曝される基材の表面積の割合との間の正の線形相関を示す。さらに、本明細書に開示されるディスペンシング装置100、200は、そこに封入された基材250の表面積の一部を露出させる1つ以上の開口120、208、210を含み、開口120、208、210の数及び/又は開口120、208、210のサイズは、周囲環境にさらされる基材250の表面積の割合を増加又は減少するように変更されてもよい。したがって、これらの実施形態では、設計方法の追加のステップは、ステップ2で決定された基材250の最小発散速度と、ステップ4での第1の基材252及び第3の基材256の選択とを用いて、ステップ2からの所望の発散率を提供するために必要な基材250の表面積のパーセントを決定することを含んでもよい。所望の発散速度を提供するために露出される必要がある基材250の表面積の割合を決定した後、ディスペンシング装置100、200の開口120、208、210は、所望の発散速度を提供するために調整されてもよい。設計者は、基材250の使用中に周囲環境に露出される基材250の表面積の割合を決定した後に、特定の第1の層252及び/又は第3の層256を選択することができるので、このステップはステップ4にも影響し得ることを理解されたい。
【0125】
追加ディスペンサー
図22~30は、本明細書に開示される基材250と組み合わせて使用され得る追加のディスペンシング装置を示す図である。
【0126】
図22は、図9の基材250と組み合わせて使用され得るブレスレット400を示す。この実施形態では、ブレスレット400は、内部溝404及び凹面406を有する外側フレーム402を含む。ユーザは、基材250を凹面406上及び溝404内に配置してもよい。さらに、ブレスレット400は、ベルクロ(登録商標)ストラップのようなストラップ408を含んでもよい。
【0127】
図23及び図24は、図9の基材と組み合わせて使用され得るディスペンサー500を示す。この実施形態では、ディスペンサー500は、外枠502及び凹面504を含み、その中に基材250を配置することができる。さらに、ディスペンサー500は、クリップ506を含むことができ、これは、ディスペンサーをユーザに固定するために使用されることができる。
【0128】
図25は、基材250と組み合わせて使用され得る別のブレスレット600を示す。本実施形態では、ブレスレット600は、その正面606に複数の開口604を含む筐体602と、ブレスレットバンド608とを含む。ここで、筐体602は開閉されてもよく、基材250は筐体602に挿入されたり、筐体602から取り出されたりしてもよい。筐体内に配置されたとき、基材250は、開口604を介して基材250から揮発性物質又は活性剤を発散させてもよい。
【0129】
図26及び図27は、2つのハンガー700、800を図示している。これらの実施形態では、ハンガー700、800は、リザーバー又は凹型の内部708、808を有する第2の構成要素706、806と解放可能に結合できる正面704、804を有する第1の構成要素702、802を含んでもよい。さらに、正面704、804及び背面710、810は、複数の開口712、812を含んでもよい。使用中、ユーザは、基材250を第2の構成要素706、806の凹型内部708、808に挿入し、第1の構成要素702、802を第2の構成要素706、806に結合し、それによって基材250をハンガー700、800内に封入してもよい。基材250がハンガー700、800内に配置された後、揮発性材料又は活性剤は、基材250から、ハンガー700、800の開口712、812を通して発散してもよい。
【0130】
図28は、本明細書で論じた基材250と組み合わせて使用することができる別のディスペンサー900を描いている。この実施形態では、ディスペンサー900は、ヒンジ906に沿って背面904に結合された正面902を含み、これにより、ディスペンサー900は、図28に示すように、開状態と閉状態(図示せず)との間を移行することができる。正面902は、レセプタクル908を含み、背面904は、レセプタクル910を含む。各レセプタクル908、910は、その中に基材250を収容することができ、開放状態にあるとき、ディスペンサー900は、基材250からの揮発性材料又は活性剤の発散を可能にする。
【0131】
図29は、基材250と組み合わせて使用することができる別のディスペンサー1000を描いている。この実施形態では、ディスペンサー900と同様に、ディスペンサー1000は、ヒンジ1004を使用して結合された正面1002及び背面(図示せず)を含む。更に、正面1002は、空気がディスペンサーに流入し、基材250から揮発性材料又は活性剤を受動的に発散させる複数の開口1006を含んでもよい。いくつかの実施形態では、ディスペンサー1000はキットとして提供されてもよく、キットは、その中に揮発性材料又は活性剤1010の量を封入するパウチ1008を含んでいてもよい。この実施形態では、正面1002は、その内面に、ディスペンサー1000が閉じられるとパウチ1008を穿細孔することができる要素(図示せず)を含む。したがって、使用中、ユーザは、パウチ1008をディスペンサー1000に挿入し、ディスペンサー1000を閉じることができ、その結果、パウチ1008を穿刺し、それによってその中の揮発性材料又は活性剤1010を放出することができる。パウチ1008が穿刺された後、ディスペンサー1000内の基材250は、揮発性材料又は活性剤1010を吸い上げ、その後、一定期間、そこから揮発性材料又は活性剤1010を発散させることができる。
【0132】
図30は、基材250を投薬するために使用され得るリザーバー1100、又は代替的に本明細書に開示されるディスペンサーの1つ又は複数を図示している。例えば、ブレスレット600は、ブレスレット600の筐体602の背面1104上の開口1102をノズル1106の上に位置付けることによって、リザーバー1100を使用して揮発性材料又は活性剤の量を投薬されてもよい。次に、ユーザは、ノズル1106を開口1102内に位置決めし、下向きの力を加えてもよい。下向きの力によって、ノズル1106は、リザーバー1100から、ノズル1106を通って、その中に基材250を収容する筐体602の中に、ある量の揮発性物質を放出させる。その結果、リザーバー1100を使用して基材250を再投与することができる。
【0133】
前記の変形及び修正は、本開示の範囲内である。本明細書で開示され定義された実施形態は、本文及び/又は図面から言及される又は明らかな個々の特徴の2つ以上の全ての代替的な組み合わせに及ぶことが理解される。これらの異なる組み合わせの全てが、本開示の様々な代替的な態様を構成する。特許請求の範囲は、従来技術によって許容される範囲において、代替的な実施形態を含むように解釈されるものである。
【0134】
先に述べたように、本発明を特定の実施形態及び実施例に関連して上述したが、本発明は必ずしもそのように限定されるものではなく、多数の他の実施形態、実施例、使用、修正及び実施形態、実施例及び使用からの逸脱が、ここに添付の請求項によって包含されることが意図されていることは、当業者には理解されよう。本明細書で引用された各特許および刊行物の開示全体は、あたかもそのような各特許または刊行物が個別に参照により本明細書に組み込まれるかのように、参照により組み込まれる。
【0135】
本明細書に記載された実施形態のいずれも、異なる実施形態に関連して開示された構造又は方法論のいずれかを含むように変更することができる。
【産業上の利用可能性】
【0136】
本明細書に記載されたディスペンサー、ディスペンシング装置、または基材の側面は、ディスペンシング装置または保護筐体と多層基材またはメッシュ材料の特徴を有利に組み合わせ、揮発性材料または活性剤を所望の使用時間に、所望の時間にわたって効果的に発散させることが可能である。さらに、ディスペンサーまたはディスペンシング装置の側面は、使いやすく安価な機構と、構造的に安定で安全な装置を提供する。従って、開示されたディスペンサーまたはディスペンシング装置は、広範な用途にわたって使用することができる。
【0137】
本発明に対する多数の変更は、前述の説明から見て当業者には明らかであろう。したがって、この説明は、例示的なものとしてのみ解釈され、当業者が本発明を製造し使用することを可能にする目的で提示されるものである。添付の特許請求の範囲の範囲に含まれるすべての変更に対する排他的権利を留保する。
【0138】
本出願は、2019年12月6日に出願された米国仮特許出願62/944,748に対する35U.S.C§119に基づく優先権を主張し、その内容全体は、あらゆる目的のために参照によりここに組み込まれるものとする。
【0139】
連邦によって後援された研究または発展に関する参照についての該当事項はない。
【0140】
配列表についての該当事項はない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10
図11
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【国際調査報告】