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特表2023-504186標的化された核酸送達のためのペプチドドッキング賦形剤
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-01
(54)【発明の名称】標的化された核酸送達のためのペプチドドッキング賦形剤
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/87 20060101AFI20230125BHJP
   A61K 31/7105 20060101ALI20230125BHJP
   A61K 31/711 20060101ALI20230125BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20230125BHJP
   A61P 35/04 20060101ALI20230125BHJP
   A61K 31/7125 20060101ALI20230125BHJP
   A61K 31/712 20060101ALI20230125BHJP
   A61K 47/04 20060101ALI20230125BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20230125BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20230125BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230125BHJP
   A61K 47/65 20170101ALI20230125BHJP
   A61K 47/54 20170101ALI20230125BHJP
   C07H 21/04 20060101ALI20230125BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20230125BHJP
   C07H 21/02 20060101ALI20230125BHJP
   C07K 5/117 20060101ALI20230125BHJP
   C07K 7/08 20060101ALI20230125BHJP
   C07K 7/06 20060101ALI20230125BHJP
   C12N 15/11 20060101ALN20230125BHJP
   C12N 5/10 20060101ALN20230125BHJP
【FI】
C12N15/87 Z
A61K31/7105
A61K31/711
A61P35/00
A61P35/04
A61K31/7125
A61K31/712
A61K47/04
A61K47/26
A61K48/00
A61P43/00 105
A61K47/65
A61K47/54
C07H21/04 Z
A61P1/16
C07H21/02
C07K5/117
C07K7/08
C07K7/06
C12N15/11 Z ZNA
C12N5/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022533064
(86)(22)【出願日】2020-12-07
(85)【翻訳文提出日】2022-07-26
(86)【国際出願番号】 US2020063676
(87)【国際公開番号】W WO2021113851
(87)【国際公開日】2021-06-10
(31)【優先権主張番号】62/945,042
(32)【優先日】2019-12-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】509127310
【氏名又は名称】サーナオミクス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ルー, シャオヤン
(72)【発明者】
【氏名】ルー, パトリック ワイ.
(72)【発明者】
【氏名】エヴァンズ, デーヴィッド エム.
【テーマコード(参考)】
4B065
4C057
4C076
4C084
4C086
4H045
【Fターム(参考)】
4B065AA91X
4B065AA93X
4B065AB01
4B065BA01
4C057AA30
4C057CC03
4C057DD01
4C057MM02
4C057MM04
4C057MM05
4C057MM09
4C076AA11
4C076AA95
4C076BB11
4C076CC09
4C076CC27
4C076CC41
4C076DD26
4C076DD67
4C076EE41
4C076EE59
4C076FF70
4C084AA13
4C084MA16
4C084MA66
4C084NA05
4C084NA13
4C084NA14
4C084ZA75
4C084ZB26
4C086AA01
4C086AA10
4C086EA16
4C086MA01
4C086MA02
4C086MA04
4C086MA05
4C086MA16
4C086MA66
4C086NA05
4C086NA13
4C086NA14
4C086ZA75
4C086ZB26
4H045AA10
4H045AA30
4H045BA13
4H045BA14
4H045BA15
4H045BA16
4H045BA17
4H045BA51
4H045BA54
4H045EA60
4H045FA34
(57)【要約】
siRNA分子などの治療化合物及び標的化リガンドを含有するペプチドドッキング賦形剤組成物が、それらの調製及び使用のための方法と共に提供される。組成物及び方法は、増強された治療の利益をもたらすために標的化リガンドを化合物に連結することによって、対象への治療化合物の標的化された細胞/組織送達を可能にする。対象は、動物又はヒトであり得る。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)標的化部分及び(b)第1の治療用オリゴヌクレオチドに共有結合的に連結したペプチドドッキング賦形剤(PDoV)を含む化学的構成体。
【請求項2】
第1の治療用オリゴヌクレオチドと同じ又は異なる第2の治療用オリゴヌクレオチドを含む、請求項1に記載の構成体。
【請求項3】
PDoVがヒスチジン及びリジンの複数の反復単位を含む、請求項1から2のいずれか一項に記載の構成体。
【請求項4】
標的化部分がアシアロ糖タンパク質受容体に結合する、請求項1から3のいずれか一項に記載の構成体。
【請求項5】
オリゴヌクレオチドが、siRNA、アンチセンスオリゴヌクレオチド、miRNA、saRNA、shRNA、アプタマー、RNAザイム、DNAザイム、デコイオリゴヌクレオチド、又はCpGモチーフを含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の構成体。
【請求項6】
前記治療用オリゴヌクレオチドがsiRNA又はmiRNA分子である、請求項5に記載の構成体。
【請求項7】
PDoV構成体が、同じ若しくは異なる少なくとも2つの標的化部分及び/又は同じ若しくは異なる少なくとも2つの治療用オリゴヌクレオチドを含むエンドソーム放出モチーフを含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の構成体。
【請求項8】
以下に示される構造のうちの1つを有し、式中、X型部位は、標的化リガンドをコンジュゲートするために使用され、Y型部位は、オリゴヌクレオチドをコンジュゲートするために使用され、X及びYは、同じであっても異なっていてもよく、Aは、H、K、R、HH、HHH、HHHH、HHK、HHHKのペプチド配列、又は最大約5個のアミノ酸を含む任意の他のエンドソーム放出の短いペプチドであり、Bは、H、K、R、HH、HHH、HHHH、HHK、HHHKのペプチド配列、又は最大約5個のアミノ酸を含む任意の他の短いペプチド、任意の他のアミノ酸、若しくはリンカーとのアミノ酸の組み合わせであり、Dはオリゴヌクレオチドであり、Rはリガンドであり、Rは、オリゴヌクレオチドに対するリンカーである、請求項1から7のいずれか一項に記載の構成体。
【請求項9】
DがsiRNA、mRNA又はアプタマーである、請求項8に記載の構成体。
【請求項10】
PDoVペプチド構成体が、KHHHCKH、HKHHHCKH、HHKHHHCKH、HHHKHHHKCHHHKHHH、HHHKHHCKHHH、HHHKHHCRHHH、HKHHCKH、HKHCH、HKHCKH、HKHC、HHHK(S)HHCKHHH及びHHK(S)HHKCHH(S)HHHからなる群から選択されるアミノ酸配列を含む構造を有し、Rがシステイン残留物の側鎖に結合し、Rがリジン残留物の側鎖に結合しており、(S)が:
である、請求項1から9のいずれか一項に記載の構成体。
【請求項10】
PDoVペプチド構成体が以下の構造を有し、
リガンドのうちの3つがペプチドにおいて個々にコンジュゲートされている、請求項1から9のいずれか一項に記載の構成体。
【請求項11】
リガンド部分Rが、リンカー-1を含み、リンカー-1が、以下の構造:
式中、nは1、2又は3であり、OCH単位を有する1,5-トリアゾール環を介して架橋に結合されているか、又は
式中、nは1、2又は3であり、CHOCH単位を有する1,5-トリアゾール環を介して架橋に結合されているか、又は
式中、nは1、2又は3であり、CHOCH単位を有する1,5-トリアゾール環を介して架橋に結合している、
のうちの1つを含む、請求項1から10のいずれか一項に記載の構成体。
【請求項12】
PDoVペプチドに結合したリガンド間のリンカーが、ポリエチレングリコール鎖-(CHCHO)-又は-(CHCH-鎖を含み、nが2~15の整数である、請求項1から10のいずれか一項に記載の構成体。
【請求項13】
リガンドRが、チオエーテル、アミド、又はトリアゾール結合を含むリンカーを介してPDoVペプチドに結合している、請求項1から12のいずれか一項に記載の構成体。
【請求項14】
オリゴヌクレオチドが、構造Rs-リンカー2-オリゴヌクレオチドを有する部分を介して連結されており、リンカー2が、脂肪族鎖、ポリエチレングリコール鎖、疎水性脂質鎖又は親水性鎖であり、末端部位の基2は、siRNA末端との化学的コンジュゲーションのための反応部位である、請求項1に記載の構成体。
【請求項15】
である、請求項15に記載の構成体。
【請求項16】
オリゴヌクレオチドが、10~29の長さを有する一本鎖オリゴヌクレオチドであるRNAi分子である、請求項1に記載の構成体。
【請求項17】
オリゴヌクレオチドが、それぞれ10~29塩基又は19~27塩基の長さを有する2つの相補的な一本鎖オリゴヌクレオチドの二重鎖を含むsiRNA分子である、請求項6に記載の構成体。
【請求項18】
オリゴヌクレオチドがデオキシリボヌクレオチドを含む、請求項1に記載の構成体。
【請求項19】
オリゴヌクレオチドがリボヌクレオチドを含む、請求項1から17のいずれか一項に記載の構成体。
【請求項20】
ヌクレオチドがデオキシリボヌクレオチド及びリボヌクレオチドを含む、請求項1から19のいずれか一項に記載の構成体。
【請求項21】
オリゴヌクレオチドが、2’位に少なくとも1つ以上の化学修飾ヌクレオチドを含むsiRNA分子を含む、請求項1から10のいずれか一項に記載の構成体。
【請求項22】
化学修飾ヌクレオチドが、2’-O-メチル又は2’-フルオロ、2’-O-メトキシエチル、2’-O-アリル又は2’-H修飾ヌクレオチドを含む、請求項28に記載の構成体。
【請求項23】
オリゴヌクレオチドが、
である、少なくとも1つの化学修飾結合を含むsiRNA分子を含む、請求項1から22のいずれか一項に記載の構成体。
【請求項24】
siRNA又はオリゴヌクレオチドが、位置5’又は3’でリンカー3でさらに化学修飾されており、リンカー3が、リンカー2と共有結合的に反応してリガンド-PDoV及びヌクレオチドを連結することができる相補的なコンジュゲーション部位の基3を含有する、請求項1から23のいずれか一項に記載の構成体。
【請求項25】
以下に示す
の構造を含む、請求項24に記載の構成体。
【請求項26】
標的化リガンドが、N-アセチル-ガラクトサミン(GalNAc)、ガラクトース、ガラクトサミン、N-ホルマール-ガラクトサミン、N-プロピオニル-ガラクトサミン、N-ブタノイルガラクトサミン、及びアプタマーからなる群から選択される、請求項1から32のいずれか先行する一項に記載の構成体。
【請求項27】
標的化リガンドがN-アセチル-ガラクトサミン(GalNAc)である、請求項26に記載の構成体。
【請求項28】
標的化リガンドが、環状(c)RGD、APRPG、NGR、F3ペプチド、CGKRK、LyP-1、iRGD(CRGDRCPDC)、iNGR、T7ペプチド(HAIYPRH)、MMP2切断可能オクタペプチド(GPLGIAGQ)、CP15(VHLGYAT)、FSH(FSH-β、33~53アミノ酸、YTRDLVKDPARPKIQKTCTF)、LHRH(QHTSYkcLRP)、ガストリン放出ペプチド(GRP)(CGGNHWAVGHLM)、RVG(YTWMPENPRPGTPCDIFTNSRGKRASNG)、FMDV20ペプチド配列(NAVPNLRGDLQVLAQKVART)、及びGLPからなる群から選択されるペプチドであるか、又は葉酸である、請求項1に記載の構成体。
【請求項29】
標的化リガンドがRGD又はGLPである、請求項28に記載の構成体。
【請求項30】
請求項1から29のいずれか一項に記載の構成体と、薬学的に許容される担体とを含む薬学的組成物。
【請求項31】
薬学的に許容される担体が、ヒスチジン-リジンリッチポリペプチドHKP、HKP(H)、又はリポフェクタミンを含む、請求項30に記載の薬学的組成物。
【請求項32】
薬学的に許容される担体が、水と、リン酸カリウム一塩基性無水NF、塩化ナトリウムUSP、リン酸ナトリウム二塩基性七水和物USP、グルコース、及びリン酸緩衝生理食塩水(PBS)からなる群の1つ又は複数とを含む、請求項30に記載の薬学的組成物。
【請求項33】
細胞にオリゴヌクレオチドを送達する方法であって、細胞を請求項1に記載の構成体と接触させることを含む、方法。
【請求項34】
肝細胞の細胞にオリゴヌクレオチドを送達する方法であって、細胞を請求項4に記載の構成体と接触させることを含む、方法。
【請求項35】
オリゴヌクレオチドがsiRNA分子であり、in vivoで哺乳動物の細胞又は肝細胞に送達される、請求項33又は請求項34に記載の方法。
【請求項36】
細胞がヒト細胞である、請求項33から35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
哺乳動物の細胞又は肝細胞がヒト細胞又は肝細胞である、請求項41から45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
哺乳動物における遺伝子治療の方法であって、治療的有効量の請求項1から29のいずれか一項に記載の構成体、又は請求項30から32に記載の組成物を哺乳動物に投与することを含み、哺乳動物が場合によりヒトである、方法。
【請求項39】
ペプチドが、アミノ酸配列-HHK、-KHH、-HHH、-HHHK、-KHHH、-HHHHK、-KHHHH、-K(HHHK)n(n=1~8)、-K(HHHHK)n(HHHK)m(n=1~4、m=1~8)、K(HHHHK)n(HHHK)m-(n=1~4、m=1~8)を含む、請求項1から29のいずれか一項に記載の構成体。
【請求項40】
配列-K(HHHHK)n(HHHK)m又はK(HHHHK)n(HHHK)m-を有するペプチドを含み、式中nは1であり、mは3である、請求項39に記載の構成体。
【請求項41】
ペプチドがエンドソーム放出ペプチドである、請求項52に記載の構成体。
【請求項42】
ペプチドが細胞透過性ペプチドである、請求項52に記載の構成体。
【請求項43】
式(Hを有するペプチドであり、式中、Hはヒスチジンであり、Kはリジンであり、X及びYはアミノ酸及びリンカーから選択される官能性単位であり、nは1~10であり、mは1~10であり、oは1~10であり、pは1~5であり、qは1~4である、ペプチド。
【請求項44】
標的化リガンドを結合させるための少なくとも2つのコンジュゲーション部位を含む、請求項43に記載のペプチド。
【請求項45】
コンジュゲーション部位がリジン又はシステインである、請求項44に記載のペプチド。
【請求項46】
オリゴヌクレオチドを結合させるための少なくとも2つのコンジュゲーション部位を含む、請求項43から45のいずれか一項に記載のペプチド。
【請求項47】
請求項43から46のいずれか一項に記載のペプチドと、ペプチドに少なくとも1つのコンジュゲーション部位で連結された少なくとも1つの標的化リガンドとを含む化学的構成体。
【請求項48】
請求項43から46のいずれか一項に記載のペプチド又は請求項47に記載の構成体と、ペプチドに少なくとも1つのコンジュゲーション部位で連結された少なくとも1つのオリゴヌクレオチドとを含む、化学的構成体。
【請求項49】
標的化リガンドが、環状(c)RGD、APRPG、NGR、F3ペプチド、CGKRK、LyP-1、iRGD(CRGDRCPDC)、iNGR、T7ペプチド(HAIYPRH)、MMP2切断可能オクタペプチド(GPLGIAGQ)、CP15(VHLGYAT)、FSH(FSH-β、33~53アミノ酸、YTRDLVKDPARPKIQKTCTF)、LHRH(QHTSYkcLRP)、ガストリン放出ペプチド(GRP)(CGGNHWAVGHLM)、RVG(YTWMPENPRPGTPCDIFTNSRGKRASNG)、FMDV20ペプチド配列(NAVPNLRGDLQVLAQKVART)、及びGLPからなる群から選択される、請求項1から29のいずれか一項に記載の化学的構成体。
【請求項50】
オリゴヌクレオチドが、siRNA、アンチセンスオリゴヌクレオチド、miRNA、saRNA、shRNA、アプタマー、RNAザイム、DNAザイム、デコイオリゴヌクレオチド、及びCpGモチーフからなる群から選択される、請求項1から29又は49のいずれか一項に記載の化学的構成体。
【請求項51】
オリゴヌクレオチドが、siRNA、アンチセンスオリゴヌクレオチド、又はmiRNAである、請求項50に記載の化学的構成体。
【請求項52】
請求項1から29又は49から51のいずれか一項に記載の構成体の治療的有効量を哺乳動物に投与することを含む、哺乳動物においてがんを治療する方法。
【請求項53】
がんが固形腫瘍である、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
がんが、肝臓がん、結腸がん、及び膵臓がんからなる群から選択される、請求項52に記載の方法。
【請求項55】
がんが肝臓がんであり、肝細胞癌、転移性結腸がん、及び転移性膵臓がんからなる群から選択される、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
哺乳動物がヒトである、請求項52から55のいずれか一項に記載の方法。
【請求項57】
構成体が、がん細胞を含む腫瘍に直接注射される、請求項52から56のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
単一又は複数の核酸がエンドソーム放出ペプチドに共有結合的にコンジュゲートされ、さらに少なくとも1つの小分子リガンドに共有結合的に連結される送達システムが提供される。重要な新規組成物が、それらの調製及び使用のための方法と共に提供される。選択されたリガンド及びリンカーを用いて、組成物及びシステムは、肝臓及び他の組織への核酸分子の標的化された送達を提供する。
【背景技術】
【0002】
二本鎖RNAは遺伝子発現をサイレンシングすることが示されており(Fire et.al.,Nature 391:806-811(1998),and Elbashir et.al.,Nature,411,494-498(2001))、この現象はRNA干渉又は「RNAi」、又は干渉RNA分子(RNAi)と呼ばれている。短い干渉RNA(siRNA)誘導RNAi調節は、がんから、薬になり得ない他の伝統的な疾患までの多種多様なヒトの疾患を治療する大きな潜在可能性を示している。RNAベースの治療薬には、従来の小分子及び抗体治療薬を上回る3つの主な利点がある。第1に、特定の細胞型又は組織への送達が考案されると(例えば、肝細胞へのsiRNA/アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)送達、中枢神経系へのASO送達)、その細胞型におけるすべての疾患促進遺伝子が標的化され得る見込みがある。第2に、RNA治療薬は単一遺伝子を選択的に標的とすることができ、オフターゲット遺伝子の調節を回避するように容易に操作することができるが、小分子阻害剤は頻繁に複数の標的にヒットし、未知のオフターゲット副作用を有する。第3に、静的小分子及び抗体とは異なり、RNA治療薬は、例えばがん突然変異又はパンデミックのインフルエンザに追いつくためにそれらの配列を薬理学的に進化させることができる。これらの属性は、送達が適切に解決され得る限り、薬になり得ないヒトの疾患を治療する大きな潜在可能性を有するRNAベースの治療薬を提供する。
【0003】
この分野では、ASO、RNAi及びmRNAのケミストリーが進歩し、安定性の改善を可能にし、自然免疫応答を回避している。それはまた、抗体又は小分子の開発と比較して、比較的低コストでの自動合成による大規模での治療用ASO及びRNA化合物の工業規模の生産を可能にする。しかし、2つの領域、(a)特定の細胞型又は組織へのこれらの分子の標的化、(b)非毒性エンドソーム脱出剤の考案が、依然としてさらなる開発を必要としている。Dowdy,Nature Biotechnology,35:222-229(2017)。
【0004】
市販のASO又はRNAi薬物では、2種類の有効な送達方法が使用されている。1つは、複数の成分を含有するリポソームと呼ばれる脂質ベースのナノ粒子を使用する。もう1つは、GalNAc分子コンジュゲートASGPR標的化(アシアロ糖タンパク質受容体)手法を使用する。
【0005】
RNAベースの治療薬の主な課題は、細胞への送達のための全経路が最終的にエンドソーム脱出をもたらすことである。肝へのASO及びsiRNA送達は、肝細胞への高分子薬物送達によく適したASGPRの特性に起因して、ASGPR標的化GalNAc-siRNAコンジュゲートを使用して、達成することができる。特に、肝細胞は、細胞の表面に数百万コピーのASGPRを発現し、これは10~15分毎の急速な速度で循環する。これらの特性は、エンドソーム脱出率が0.01%未満であると推定される場合でも、GalNAcベースの送達アプローチを有効にする。対照的に、ASO又はRNAの他の組織への効果的な送達は達成されていない。他のリガンド受容体系は、ASGPRのような高いレベルで受容体を発現せず、エンドソームへの急速なサイクルもない。実際、ほとんどの細胞の表面の受容体は、細胞あたり10,000~100,000(又はそれ未満)の範囲で発現され、カベオリン及びクラスリン媒介性エンドサイトーシスは、典型的には90分毎に再利用される。Juliano,Nucleic Acids Res.44,6518-6548(2016)を参照されたい。
【0006】
エンドソーム脱出は、依然として、すべてのRNAベースの治療に当てはまる問題である。肝細胞を超える細胞又は組織を標的とするためには、新しいケミストリー及び材料を開発することによりエンドソーム脱出を増強することが必要である。クロロキンなどの小分子エンドソーム溶解剤は、エンドソームを破壊又は溶解するために使用されてきたが、有効濃度では、これらの薬剤は細胞内のすべての種類のエンドソームを常に溶解し、実質的な毒性をもたらす。
【0007】
代替的なエンドソーム脱出手法は、エンドソーム分解ペプチド又は分子をRNAに直接コンジュゲートさせることであり、これはRNA治療薬を含有するエンドソームへのそれらの作用を厳密に制限する。エンドソームから脱出するためにコレステロール又は溶解性メリチンペプチドを含有する二分子動的ポリコンジュゲート(DPC)系を使用する様々な臨床治験は、毒性作用のために終了した。Wooddell,et al.,Mol.Ther.21,973-985(2013);Hou et al.,Biotechnol.Adv.33,931-940(2015)。
【0008】
以下に記載される組成物及び方法は、オリゴヌクレオチド及び標的化リガンドにコンジュゲートしたエンドソーム放出ペプチドを使用する。構成体は、非毒性の様式で細胞の細胞質へのオリゴヌクレオチドカーゴの脱出を増強する。本発明の構成体は、本明細書では「ペプチドドッキング賦形剤」(PDoV)と呼ばれる。
【発明の概要】
【0009】
提供されるのは、(a)標的化部分及び(b)第1の治療用オリゴヌクレオチドに共有結合的に連結したペプチドドッキング賦形剤(PDoV)を含む化学的構成体である。構成体は、第1の治療用オリゴヌクレオチドと同じ又は異なる第2の治療用オリゴヌクレオチドを含有してもよい。PDoVは、ヒスチジン及びリジンの複数の反復単位を含み得る。一実施形態において、標的化部分はアシアロ糖タンパク質受容体に結合する。オリゴヌクレオチドは、siRNA、アンチセンスオリゴヌクレオチド、miRNA、saRNA、shRNA、アプタマー、RNAザイム、DNAザイム、デコイオリゴヌクレオチド、又はCpGモチーフを含むことができる。
【0010】
これらの構成体において、PDoV構成体は、同じ若しくは異なる少なくとも2つの標的化部分及び/又は同じ若しくは異なる少なくとも2つの治療用オリゴヌクレオチドを含むエンドソーム放出モチーフを含むことができる。
【0011】
構成体は、以下に示される構造のうちの1つを有し得て、式中、X型部位が、標的化リガンドをコンジュゲートさせるために使用され、Y型部位は、オリゴヌクレオチドをコンジュゲートするために使用され、X及びYは、同じであっても異なっていてもよく、Aは、H、K、R、HH、HHH、HHHH、HHK、HHHKのペプチド配列、又は最大約5個のアミノ酸を含む任意の他のエンドソーム放出の短いペプチドであり、Bは、H、K、R、HH、HHH、HHHH、HHK、HHHKのペプチド配列、又は最大約5個のアミノ酸を含む任意の他の短いペプチド、任意の他のアミノ酸、若しくはリンカーとのアミノ酸の組み合わせであり、Dはオリゴヌクレオチドであり、Rはリガンドであり、Rは、オリゴヌクレオチドに対するリンカーである。
【0012】
Dは、siRNA、mRNA又はアプタマーであり得る。
【0013】
これらの構成体において、PDoVペプチド構成体は、KHHHCKH、HKHHHCKH、HHKHHHCKH、HHHKHHHKCHHHKHHH、HHHKHHCKHHH、HHHKHHCRHHH、HKHHCKH、HKHCH、HKHCKH、HKHC、HHHK(S)HHCKHHH及びHHK(S)HHKCHH(S)HHHからなる群から選択されるアミノ酸配列を含む構造を有し得て、Rがシステイン残留物の側鎖に結合
し、Rがリジン残留物の側鎖に結合しており、(S)が
である。
【0014】
他の実施形態において、PDoVペプチド構成体が以下の構造を有し得て、
リガンドのうちの3つがペプチドにおいて個々にコンジュゲートされている。
【0015】
リガンド部分Rが、リンカー-1を含み得、リンカー-1が、以下の構造:
式中、nは1、2又は3であり、OCH単位を有する1,5-トリアゾール環を介して架橋に結合されているか、又は
式中、nは1、2又は3であり、CHOCH単位を有する1,5-トリアゾール環を介して架橋に結合されているか、又は
式中、nは1、2又は3であり、CHOCH単位を有する1,5-トリアゾール環を介して架橋に結合している
のうちの1つを含むことができる。
【0016】
PDoVペプチドに結合したリガンド間のリンカーが、ポリエチレングリコール鎖-(CHCHO)-又は-(CHCH-鎖を含み得、nが2~15の整数である。リガンドRは、チオエーテル、アミド、又はトリアゾール結合を含み得るリンカーを介してPDoVペプチドに結合され得る。
【0017】
他の実施形態において、オリゴヌクレオチドは、構造Rs-リンカー2-オリゴヌクレオチドを有する部分を介して連結され、式中、リンカー2は、脂肪族鎖、ポリエチレングリコール鎖、疎水性脂質鎖、又は親水性鎖である。末端部位の基2は、siRNA末端との化学的コンジュゲーションのための反応部位である。
【0018】
オリゴヌクレオチドは、10~29の長さを有する一本鎖オリゴヌクレオチドであるRNAi分子であってもよく、又はそれぞれ10~29塩基又は19~27塩基の長さを有する2つの相補的な一本鎖オリゴヌクレオチドの二重鎖であってもよい。オリゴヌクレオチドは、デオキシリボヌクレオチド及び/又はリボヌクレオチドを含有し得る。オリゴヌクレオチドは、2’位に少なくとも1つ以上の化学修飾ヌクレオチドを含有するsiRNA分子を含有し得、式中、例えば、化学修飾ヌクレオチドは、2’-O-メチル又は2’-フルオロ、2’-O-メトキシエチル、2’-O-アリル又は2’-H修飾ヌクレオチドを含む。
【0019】
他の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、
である少なくとも1つの化学修飾結合を含有するsiRNA分子を含有し得る。
【0020】
他の実施形態において、siRNA又はオリゴヌクレオチドが、位置5’又は3’でリンカー3でさらに化学修飾されており、リンカー3が、リンカー2と共有結合的に反応してリガンド-PDoV及びヌクレオチドを連結することができる相補的なコンジュゲーション部位の基3を含有する。
【0021】
さらなる実施形態では、構成体は、以下
に示すような構造を有し得る。
【0022】
これらの構成体の各々において、標的化リガンドが、N-アセチル-ガラクトサミン(GalNAc)、ガラクトース、ガラクトサミン、N-ホルマール-ガラクトサミン、N-プロピオニル-ガラクトサミン、N-ブタノイルガラクトサミン、及びアプタマーからなる群から選択され得る。他の実施形態において、標的化リガンドは、環状(c)RGD、APRPG、NGR、F3ペプチド、CGKRK、LyP-1、iRGD(CRGDRCPDC)、iNGR、T7ペプチド(HAIYPRH)、MMP2切断可能オクタペプチド(GPLGIAGQ)、CP15(VHLGYAT)、FSH(FSH-β、33~53アミノ酸、YTRDLVKDPARPKIQKTCTF)、LHRH(QHTSYkcLRP)、ガストリン放出ペプチド(GRP)(CGGNHWAVGHLM)、RVG(YTWMPENPRPGTPCDIFTNSRGKRASNG)、FMDV20ペプチド配列(NAVPNLRGDLQVLAQKVART)、及びGLPからなる群から選択されるペプチドであるか、又は葉酸である。
【0023】
これらの構成体のいずれにおいても、ペプチドは、アミノ酸配列-HHK、-KHH、-HHH、-HHHK、-KHHH、-HHHHK、-KHHHH、-K(HHHK)n(n=1~8)、-K(HHHHK)n(HHHK)m(n=1~4、m=1~8)、K(HHHHK)n(HHHK)m-(n=1~4、m=1~8)を含み得、例えば、構成体は、配列-K(HHHHK)n(HHHK)m又はK(HHHHK)n(HHHK)m-を有するペプチドを含み得、nは1であり、mは3である。ペプチドは、エンドソーム放出ペプチドであってもよく、又は細胞透過性ペプチドであってもよい。
【0024】
式(Hを有するペプチドであり、式中、Hはヒスチジンであり、Kはリジンであり、X及びYはアミノ酸及びリンカーから選択される官能性単位であり、nは1~10であり、mは1~10であり、oは1~10であり、pは1~5であり、qは1~4である、ペプチドがまた、提供される。ペプチドは、標的化リガンドを結合させるための少なくとも2つのコンジュゲーション部位を含むことができる。有利には、コンジュゲーション部位はリジン又はシステインである。ペプチドは、オリゴヌクレオチドを結合させるための少なくとも2つのコンジュゲーション部位を含み得る。構成体は、式(Hのペプチドと、少なくとも1つのコンジュゲーション部位を介してペプチドに連結された少なくとも1つの標的化リガンドとを含み得る。少なくとも1つのオリゴヌクレオチドは、少なくとも1つのコンジュゲーション部位を介してペプチドに連結され得る。標的化リガンドは、環状(c)RGD、APRPG、NGR、F3ペプチド、CGKRK、LyP-1、iRGD(CRGDRCPDC)、iNGR、T7ペプチド(HAIYPRH)、MMP2切断可能オクタペプチド(GPLGIAGQ)、CP15(VHLGYAT)、FSH(FSH-β、33~53アミノ酸、YTRDLVKDPARPKIQKTCTF)、LHRH(QHTSYkcLRP)、ガストリン放出ペプチド(GRP)(CGGNHWAVGHLM)、RVG(YTWMPENPRPGTPCDIFTNSRGKRASNG)、FMDV20ペプチド配列(NAVPNLRGDLQVLAQKVART)、及びGLPからなる群から選択され得る。オリゴヌクレオチドが、siRNA、アンチセンスオリゴヌクレオチド、miRNA、saRNA、shRNA、アプタマー、RNAザイム、DNAザイム、デコイオリゴヌクレオチド、及びCpGモチーフからなる群から選択され得る。
【0025】
上記請求項に記載の構成体及び薬学的に許容される担体を含有する薬学的組成物も提供される。薬学的に許容される担体は、ヒスチジン-リジンリッチポリペプチドHKP、HKP(H)、又はリポフェクタミンを含有してもよく、及び/又は水、並びにリン酸カリウム一塩基性無水NF、塩化ナトリウムUSP、リン酸ナトリウム二塩基性七水和物USP、グルコース、及びリン酸緩衝生理食塩水(PBS)からなる群の1つ又は複数を含有してもよい。
【0026】
細胞を上記の構成体又は薬学的組成物と接触させることを含む、細胞にオリゴヌクレオチドを送達する方法も提供される。
【0027】
上記のような構成体と細胞を接触させることを含む、オリゴヌクレオチドを肝細胞の細胞に送達する方法も提供される。
【0028】
これらの方法では、オリゴヌクレオチドがsiRNA分子であり得、in vivoで哺乳動物細胞又は肝細胞に送達され得る。細胞はヒト細胞であり得る。
【0029】
治療的有効量の上記の構成体を哺乳動物に投与することによる、哺乳動物における遺伝子治療の方法も提供され、哺乳動物は任意選択的にヒトである。
【0030】
上記のような構成体の治療的有効量を哺乳動物に投与することを含む、ヒトなどの哺乳動物のがんを治療する方法も提供される。がんは固形腫瘍であり得る。がんは、肝臓がん、結腸がん、又は膵臓がんであり得る。肝臓がんは、肝細胞癌、転移性結腸がん、又は転移性膵臓がんであり得る。構成体は、がん細胞を含有する腫瘍に直接注射され得る。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】[GalNAc]ペプチドドッキング賦形剤(G-PDoV)の設計のイラストの表現を示す。三価GalNAcを1つのドッキング部位Aに共有結合的にコンジュゲートさせた。オリゴヌクレオチド又はsiRNAを他の1つ又は2つのドッキング部位Bにそれぞれコンジュゲートさせた。
図2】[リガンド]ペプチドドッキング賦形剤の代替設計のイラストの表現を示す。一価のGalNAcを1~4つのドッキング部位Aに共有結合的にコンジュゲートさせた。オリゴヌクレオチド又はsiRNAをそれぞれ他の1つ又は2つのドッキング部位Bにコンジュゲートさせた。
図3】ペプチドドッキング賦形剤(PDoV)の設計を示す。それは、ヒスチジン(H)、リジン(K)並びに官能性単位X及びY(アミノ酸又は機能性リンカー)の複数の反復単位有する(Hペプチド骨格を有し、式中=1~10、m=1~10、o=1~10、p=1~5、q=1~5である。HK反復単位は良好な細胞透過能を有することが示されており、エンドソームの放出を促進するために、リジン又は様々な官能性単位X若しくはYがリガンドのコンジュゲーションのためのドッキング部位として採用され、Yが異なる共有結合を介したオリゴヌクレオチドのコンジュゲーションのためのドッキング部位として採用される。例えば、部位1は、GalNAc又は他の標的化リガンドなどのリガンドの存在下でのみ反応できる。部位3は、特定の条件下でのみ、オリゴヌクレオチド及びsiRNAとコンジュゲートすることができる。
図4】3つのリガンドコンジュゲーション部位及びマルチオリゴヌクレオチド部位を有するペプチドドッキング賦形剤(PDoV)の設計を示す。(Hペプチド骨格は、ヒスチジン(H)、リジン(K)並びに官能性単位X及びY(アミノ酸又は機能性リンカー)の多重反復単位を有し、式中n=1~10、m=1~10、o=1~10、p=1~5、q=1~5である。HK反復単位は、良好な細胞透過能を有し、エンドソームの放出を促進することが実証されている。リジン残留物又は様々な官能性単位Xは、リガンドのコンジュゲーションのためのドッキング部位として適合され、Yは、異なる共有結合を介したオリゴヌクレオチドのコンジュゲーションのためのドッキング部位として適合される。例えば、部位1は、GalNAc又は他の標的化リガンドなどのリガンドの存在下でのみ反応することができる。部位3は、特定の条件下でのみオリゴヌクレオチド及びsiRNAとコンジュゲートすることができる。
図5】PDoV構成体の構造を示す。PDoV構成体は、複数のコンジュゲーション部位X及びYが挿入された細胞透過性/エンドソーム放出ペプチドである。部位Xは、標的化リガンドをコンジュゲートするために使用され、部位Yは、複数のオリゴヌクレオチド又は核酸をコンジュゲートするために使用される。PDoVのいくつかの構成体の例としては、Aがペプチド配列K、R、H、HH、HHH、HHHH、HHK、HHHK又は他の短いペプチドを表す場合、Bが、ペプチド配列K、R、H、HH、HHH、HHHH、HHK、HHHK、又は他の短いペプチド、他のアミノ酸若しくは組み合わせを表す場合、Dが、オリゴヌクレオチド、siRNA、mRNA、アプタマーを表す場合、RLがリガンドを表す場合、及びRSがオリゴヌクレオチドに対するリンカーを表す場合が挙げられる。
図6】1つ又は2つのオリゴヌクレオチド部位及び1つのリガンドコンジュゲーション部位を含む第1発生PDoVの構造の例を示す。
図7】2つのオリゴヌクレオチド部位及び1つの多価リガンドコンジュゲーション部位を含む第2発生PDoVの構造の例を示す。
図8】2つのオリゴヌクレオチド部位及び1つの多価リガンドコンジュゲーション部位を含むPDoVの代替構造の例を示す。リガンドは、PDoV骨格に1つずつ個々にコンジュゲートすることができる。
図9A】コンジュゲーション部位の結合選択を示す。化学基Rsは、オリゴヌクレオチドをPDoVペプチド賦形剤とコンジュゲートするための「クリック」様反応性部分を表す。反応性部分は、アミン、ヒドラジン、N-ヒドロキシスクシンイミド、アジド、アルキン、カルボン酸、チオール、マレイミド、又は当該技術分野で公知の他の化学反応性部分であり得る。
図9B】リンケージの代表的な例を示す。
図9C】いかように、コンジュゲーションR-リンカー2-siRNAのリンカー2は、ペプチドとコンジュゲーション部位との間にある化学的なスペーサーであり、コンジュゲーション部位をリンカーの末端部位に結合させているかを示す。リンカー2は、脂肪族鎖若しくはポリエチレングリコール鎖、又は他の疎水性脂質若しくは親水性鎖であり得る。末端部位の基2は、siRNA末端との化学的コンジュゲーションのための反応部位である。
図10】リガンドコンジュゲーション部位の連結の選択の一例を示す。リガンドコンジュゲーションRの結合は、一価のGalNAc分子、二価のGalNAc分子及び三価のGalNAc分子に基づく選択であり得る。コンジュゲーション部位は、マレイミド/チオールであり得るか、又は図9に示される基2のリストから選択され得る。
図11】siRNA-PDoV-リガンド化合物1の構築の代表例を示す。
図12】siRNA-PDoV-リガンド化合物2の構築の代表例を示す。
図13】siRNA-PDoV-リガンド化合物3の構築の代表例を示す。
図14】いくつかの可能なsiRNA配列及び構造修飾のリストを示す。
図15A】mTTR1-PDoV3-GalNAc3のコンジュゲートのin vitro段階希釈データを示す。
図15B】mTTR1-PDoV2-GalNAc3コンジュゲートのin vitroでの段階希釈データを示す。
図15C】mTTR2-GalNAc3ポジティブコントロールコンジュゲートの段階希釈データを示す。
図15D】Aha1-GalNAc3ポジティブコントロールコンジュゲートのin vitroでの段階希釈データを示す。
【発明を実施するための形態】
【0032】
定義:
本明細書で使用される場合、「オリゴヌクレオチド」は、100ヌクレオチド未満(例えば、50ヌクレオチド未満、30ヌクレオチド未満、又は25ヌクレオチド未満)の長さを有する化学修飾又は非修飾核酸分子(RNA又はDNA)を指す。それは、siRNA、マイクロRNA、抗マイクロRNA、マイクロRNA模倣物、dsRNA、ssRNA、アプタマー、三重鎖形成オリゴヌクレオチド、アプタマーであり得る。一実施形態では、オリゴヌクレオチドはRNAi剤である。
【0033】
本明細書で使用される場合、「siRNA分子」又は「RNAi分子」は、分子が細胞に導入された後に、細胞内の遺伝子の発現に干渉する二重鎖オリゴヌクレオチド、すなわち短い二本鎖ポリヌクレオチドである。例えば、siRNA分子は、一本鎖標的RNA分子の相補的ヌクレオチド配列を標的として結合する。慣例により、siRNA分子が特定のヌクレオチド配列によって同定される場合、配列は二重鎖分子のセンス鎖を指す。分子を含むリボヌクレオチドの1つ又は複数は、当該技術分野で公知の技術によって化学的に修飾することができる。その個々のヌクレオチドの1つ以上のレベルで修飾されることに加えて、オリゴヌクレオチドの骨格を修飾することができる。さらなる修飾には、siRNA分子へのコンジュゲーションのための小分子(例えば糖分子)、アミノ酸、ペプチド、コレステロール、及び他の大きな分子の使用が含まれる。
【0034】
「ペプチドドッキング賦形剤」(PDoV)は、1つ以上の標的化リガンド及び1つ以上のオリゴヌクレオチドとのコンジュゲーションを可能にする複数のコンジュゲーション部位を含む定義された配列の合成ペプチドを指す。それは、細胞へのコンジュゲートPDoVの送達後に細胞のエンドソームの内部に捕捉されたオリゴヌクレオチドペイロードの放出を促進する、疎水性鎖又はpH感受性残留物などの官能基を含有する。
【0035】
治療上の利益が増強された干渉RNA分子を使用する組成物及び方法が提供される。組成物及び方法は、標的化リガンドを化合物に連結することによって、siRNA分子などの治療化合物の対象への標的化された細胞/組織送達を可能にする。対象は、動物又はヒトであり得る。
【0036】
いくつかの実施形態において、本明細書中に記載されるような標的化リガンドは、直交型バイオコンジュゲーション法によってエンドソーム放出ペプチドにコンジュゲート化され得る。標的化リガンドは、特に、肝臓などの選択された標的へのRNAi分子の送達を改善するために使用され得る。他の実施形態では、標的化リガンドは、RNAi分子の他の組織、例えば皮膚や脳への標的化された送達を可能にする。
【0037】
本明細書に記載の標的化リガンドは、1つ以上の標的化部分及び1つ以上のリンカーを含み得る。リンカーは、クリックケミストリー、チオール/マレイミドケミストリー、又は他の生体直交ケミストリーによってsiRNA及び標的化リガンドと共有結合的にコンジュゲートされる。リンカーは有利には親水性であり、例えば、十分に安定的であり、1つ又は複数の標的化部分間の潜在的な相互作用を制限する水溶性可撓性ポリエチレングリコール(PEG)であり得る。PEGは、臨床研究から安全であり、治療目的に適合することが確認されている。いくつかの実施形態では、リンカーは、エステル結合が酵素的又は加水分解的に不安定である、定義された分子量のポリ(L-ラクチド)n(n=5~20)であり得る。
【0038】
標的化リガンドは、1つ以上の標的化部分、リンカー反応性接続部分を有する1つ以上の基を含み得る。それらは、クリックケミストリー、チオール/マレイミドケミストリー、又は他の生体直交ケミストリーによってsiRNA及び標的化リガンドと共有結合的にコンジュゲートされる。リンカー反応性接続部分は、チオール-マレイミド結合、アルキンとアジドとの反応によって形成されるトリアゾール結合、及びアミン-NHSエステル結合から形成されるアミドであってもよいが、これらに限定されない。これらの結合の各々は、標的化リガンドと治療化合物の両方を共有結合的に連結させるのに適している。
【0039】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される標的化リガンドは、1つ以上の標的化部分、反応性接続部分を有する1つ以上のリンカーを含む。リンカーは、チオール部分又はマレイミド部分、カルボン酸又はアミン、アジド基、アルキン基などを含む。
【0040】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される標的化特異的RNA化合物は、RNAの3’又は5’末端を介してエンドソーム放出ドッキングペプチドに直接コンジュゲートすることができる。標的化リガンド(例えば、N-アセチル-ガラクトサミン)も、適合する方法で同じドッキングペプチドとコンジュゲートされる。
【0041】
いくつかの態様では、本明細書に開示される標的化特異的RNA化合物は、例えばRNAの3’又は5’末端を介して、標的化リガンド(例えばN-アセチル-ガラクトサミン)に直接コンジュゲートすることもできる。いくつかの態様では、RNAは、3’-OMe、3’-F、又は3’-MOEなどの1つ又は複数の修飾ヌクレオチドを含み得る。いくつかの実施形態では、RNAは、RNAi剤、例えば二本鎖RNAi剤であり得る。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される標的化リガンドは、二本鎖RNAi剤のセンス鎖の5’若しくは3’末端、又は二本鎖RNAi剤のアンチセンス鎖の5’若しくは3’末端に連結される。あるいは、標的化リガンドは、二本鎖RNAi剤のセンス鎖及びアンチセンス鎖の両方の3’/3’’、3’/5’又は5’/5’末端に連結されてもよい。
【0042】
標的化リガンドは、例えば、二本鎖RNAi剤のセンス鎖の3’又は5’末端のリン酸基、ホスホロチオエート基又はホスホネート基を介してRNAi分子に共有結合的に結合され得る。いくつかの実施形態において、本明細書に開示される標的化特異的RNA化合物は、TGFβ1又はApoB100、mRNA発現阻害特異的化合物である。
【0043】
PDoVは、その高分子カーゴの細胞質への脱出を非毒性の様式で促進する。これにより、例えばRNAi治療薬の効果的な送達が可能になる。
【0044】
非毒性の様式で細胞質への高分子カーゴ、例えばsiRNA分子の脱出を増強するエンドソーム脱出ペプチド(PDoV)が提供される。PDoVプラットフォームの様々な例を図1図4に示す。PDoVでは、エンドソーム脱出ペプチドは、RNA及び標的化リガンドのドッキング部位リンカー両方として作用する。複数のRNA分子を同じ構成体とコンジュゲートさせて、異なる標的mRNAに対するsiRNA分子の同時送達を達成することができ、それにより、多疾患関連遺伝子をサイレンシングするための相乗的利益をもたらす。ヒスチジン及びリジンリッチポリペプチド又は線状ヒスチジン及びリジンリッチペプチドは、RNAの送達において効果的な細胞透過性及びエンドソーム剥離剤であることが示されてきた。ペプチドはヒスチジンリッチドメインを含有し、それにおいてヒスチジン残留物のイミダゾール環はより低いpHの値(pH<約6)でプロトン化され、エンドソームの内側でプロトンスポンジとして作用し、エンドソーム脂質二重層の溶解及びRNAの放出をもたらす。PDoVのコンジュゲーション部位は、以下に、より詳細に記載される。
【0045】
次のいくつかのセクションでは、RNAi剤、標的化リガンド、RNAiとペプチドとの間のリンカー、リガンドとペプチドとの間のリンカー、及びエンドソーム放出ドッキングペプチドを含む各成分を詳細に考察する。
【0046】
RNAi剤
RNAi分子は二本鎖化合物である。例えば、二本鎖siRNAは、抗TGFβ1又は抗ApoB100であり得、2’位において、例えば、2’-OCH、2’-F、若しくは2’-O-MOEで、又は5’位において、-P(O)=Sで、非修飾又は化学修飾され得る。他の化学修飾は当該技術分野で公知であり、例えば、RNAiの全体的な安定性及びバイオアベイラビリティを改善するためのペグ化又は脂質官能化を含み得る。
【0047】
特定の実施形態では、二本鎖siRNAは、図14の二重鎖のいずれか1つ又は複数の24、23、22、21、20、19、18、17又は16個の近接する塩基対からなる導出された二重鎖であり得る。
【0048】
標的化リガンド
標的化リガンド部分は、例えば、N-アセチル-ガラクトサミン(GalNAc)、ガラクトース、ガラクトサミン、N-ホルマール-ガラクトサミン、N-プロピオニル-ガラクトサミン、N-ブタノイルガラクトサミン、cRGD、GLPペプチド又は他の小分子であり得る。標的化リガンドは、共有結合によってペプチドに共有結合的にカップリングする。リガンドの数は、1、2又は3であり得る。ここに開示されている標的化リガンドは、以下によって表される構造を有していた:
【0049】
RNAiとペプチドとの間のリンカー
リガンドコンジュゲーションRsの連結:化学基Rsは、オリゴヌクレオチドをPDoVペプチド賦形剤とコンジュゲートさせるために使用される様々な「クリック」様反応性部分の1つであり得る。Rsは、アミン、ヒドラジン、N-ヒドロキシスクシンイミド、アジド、アルキン、カルボン酸、チオール若しくはマレイミド、又は当該技術分野で公知の他の化学反応性部分であり得る。代表的な例を図9に示す。
【0050】
コンジュゲーションR-リンカー2-siRNAのリンカー2は、ペプチドとコンジュゲーション部位との間に配置された化学的なスペーサーであり、コンジュゲーション部位をリンカーの末端部位に結合させる。リンカー2は、脂肪族鎖若しくはポリエチレングリコール鎖、又は他の疎水性脂質若しくは親水性鎖であり得る。末端部位の基2は、siRNA末端との化学的コンジュゲーションのための反応部位である。
【0051】
リガンドとペプチドとの間のリンカー
本明細書に開示される標的化リガンド及びRNAi部分はリンカー-1を含み、それはsiRNA(センス鎖の3’又は5’末端)を直接接続し、リンカー3-リガンドを含む架橋が、センス鎖の3’又は5’末端によってRNAiに連結する。リンカー-1の間隔は、直鎖ポリエチレングリコール、式中nは1から50のエチレングリコール単位の数であり得る、又はポリ(L-ラクチド、式中nは1 1から50の間のエチルエステルの反復単位の数又は100から3500の平均分子量であり得る、から選択される構造である。コンジュゲーション部位は、マレイミド/チオールであり得るか、又は図10の基2のリストから選択され得る。
【0052】
エンドソーム放出ドッキングペプチド
ペプチドドッキング賦形剤(PDoV)は、有利には、複数のオリゴヌクレオチド部位と共に1つのリガンドコンジュゲーション部位を有する。PDoVは、ヒスチジン(H)、リジン(K)並びに官能性単位X及びY(式中、X又はYはアミノ酸、又はリンカー1及び図10に示される官能基から選択されるアミノ酸誘導体であり、n=1~10、m=1~10、o=1~10、p=1~5、及びq=1~5である)の複数の反復単位を有する一般構造体:(Hを有するペプチド骨格を有する。PDoVの文脈におけるYは、アミノ酸チロシンを意味せず、むしろ機能性アミノ酸又はリンカーを定義することに留意されたい。HK反復単位は、エンドソームの放出を促進することが実証されている。リジン残留物又は官能性単位Xは、リガンドのコンジュゲーションのためのドッキング部位として使用され得、Yは、異なる共有結合を介したオリゴヌクレオチドのコンジュゲーションのためのドッキング部位を提供する。図3は、PDoVがどのようにコンジュゲートされ得るかの概略図を示す。例えば、部位1は、GalNAcなどのリガンド又は他の標的化リガンドの存在下でのみ反応することができる。部位3は、図10に例示されるように、選択された条件下でのみオリゴヌクレオチド及びsiRNAとコンジュゲートすることができる。
【0053】
あるいは、PDoVは、3つのリガンドコンジュゲーション部位及びマルチオリゴヌクレオチド部位を有し得る(図4を参照のこと)。(Hペプチド骨格は、ヒスチジン(H)、リジン(K)並びに官能性単位X及びY(アミノ酸又は機能性リンカー)の多重反復単位を有し、式中n=1~10、m=1~10、o=1~10、p=1~5、q=1~5である。HK反復単位は、良好な細胞透過能を有し、エンドソームの放出を促進することが実証されている。リジン又は様々な官能性単位Xは、リガンドのコンジュゲーションのためのドッキング部位として適合され、Yは、異なる共有結合を介したオリゴヌクレオチドのコンジュゲーションのためのドッキング部位として適合される。例えば、部位1は、GalNAc又は他の標的化リガンドなどのリガンドの存在下でのみ反応することができる。部位3は、特定の条件下でのみオリゴヌクレオチド及びsiRNAとコンジュゲートすることができる。図4を参照されたい。
【0054】
構造設計において、PDoV構成体は、複数のコンジュゲーション部位X及びYが挿入されたエンドソーム放出ペプチドである。部位Xは、標的化リガンドをコンジュゲートするために使用され、部位Yは、複数のオリゴヌクレオチド又は核酸をコンジュゲートするために使用される。PDoVのための構成体のいくつかの例を図5に示しており、式中、Aはペプチド配列K、R、H、HH、HHH、HHHH、HHK、HHHK又は他の短いペプチドを表すし、Bは、ペプチド配列K、R、H、HH、HHH、HHHH、HHK、HHHK、又は他の短いペプチド若しくは他のアミノ酸若しくは組み合わせを表し、Dは、オリゴヌクレオチド、siRNA、mRNA又はアプタマーを表し、RLはリガンドを表し、RSは、オリゴヌクレオチドに対するリンカーを表す。いくつかの実施形態では、ペプチドは、5~15アミノ酸を含む。
【0055】
いくつかの実施形態では、PDoVは、図6に示すような構造を有する。
【実施例
【0056】
実施例1
siRNA-PDoV-リガンド化合物の構築の模式的代表例。siRNA分子の1つ又は2つは、PDoVペプチドとコンジュゲートすることができる。
工程1.ペプチドアジド修飾:
工程2.標的化リガンドとペプチドとのコンジュゲーション
工程3及び工程4.アジド-PDoV-GalNAc3とのオリゴヌクレオチドコンジュゲーション
【0057】
実施例2
siRNA-PDoV-リガンド化合物の構築の模式的代表例。
工程1.ペプチドアジド修飾
工程2.標的化リガンドとペプチドのコンジュゲーション
工程3及び工程4.アジド-PDoV-GalNAc3とのオリゴヌクレオチドコンジュゲーション
【0058】
実施例3
アジド-PDoV1(1)の合成及び特徴づけ:
ペプチドアジド-PDoV1(配列HHH{LYS(PEG4-N3)}HHCKHHH)を、短縮されたサービスにより、配列の標準アミノ酸及びリジン-PEG4-N3修飾剤を使用して、自動ペプチド合成装置によって合成した。ペプチドをC-18逆相HPLCによって精製し、質量分析及びH NMRによって特徴を明らかにした。分析データはすべて、予想される構造と一致していた。
【0059】
実施例4
PDoV2及びアジド-PDoV2の合成:
PDoV2(2)、配列HHHKHHCRHHHの合成。ペプチドPDoV2(HHHKHHCRHHH)を、短縮されたサービスにより、配列の標準アミノ酸を使用して、自動ペプチド合成装置によって合成した。ペプチドをC-18逆相HPLCによって精製し、質量分析によって特徴を明らかにした。分析データはすべて、予想される構造と一致していた。
アジド-PDoV2(3)の合成:
【0060】
アジドリンカーのエステル活性化カルボン酸とPDoV2(2)のリジン側鎖の第一級アミンとの間のアミド結合形成を介して、アジドリンカーをペプチドドッキング賦形剤2(PDoV2)に結合させて、化合物3を形成した。PDoV2ペプチドHHHKHHCRHHH(42mg、0.0280mmol)を1.0mLのDMFに懸濁した。トリエチルアミン(39uL、10当量)を添加し、混合物を室温で20分間撹拌した。アジド-Peg4-NHSエステル(54mg、0.140mmol、5当量)を含む20uLのDMFの溶液を、反応混合物に添加した。反応混合物は30分間にわたってゆっくりと透明な溶液に変化し、室温で16時間さらに撹拌した。反応混合物のTLCプロファイルを、PDoV2の十分完全な変換のHPLCプロファイルによってモニターした(図1)。
【0061】
反応混合物を水(200μL)でクエンチし、ロータリーエバポレーターを使用して濃縮し、粗物質を、10~90%のバッファーB(アセトニトリル中0.1%のTFA)の増加勾配を使用する半分取RP-C18カラムでのHPLCを通して、精製した。アジド-PDoV2(2)を10.5~11.5分の保持時間で主要生成物として単離した。試料の画分を凍結乾燥させ、化合物2の透明な残留油(44mg、収率88%)を得た。そのプロトン及びMS分析は以下の通りであった:HNMR(400MHz、D2O、図2)δ8.74(brd d、8H)及びδ7.35(brd d、8H)は、δ6.00ppmを超えるペプチドでの8のヒスチジンテトラゾールに関連する芳香族水素と一致する。δ4.75~4.30(brd t、11H)の全11アミノ酸のアルファ炭素におけるメチン水素、δ3.90~3.75(m、100H)でのポリエチレン基に結合したエチレン水素、δ3.6~2.75(m、53H)及びδ1.8~1.3(m、12H)のエチレン水素は、リジン、アルギニン及びシステインの側鎖プロトンと会合している。合計で104の水素が非芳香族領域において観察され、41の水素が過剰である。これらの余分な水素は、2個のアジド-ペグ4基と等価である。NMRデータはESI-MSデータと一致している:予想のm/z 1775.9 Da及び観測されたm/z 2323.5 Da(図3)。観測された質量電荷比は、予想した値よりも547.6 Da単位大きい。余分な質量単位は、2つのアジドリンカーの質量と一致する。
【0062】
実施例5
アジド-PDoV3ペプチド(4)の合成及び特徴づけ
ペプチドアジド-PDoV3({LYS(PEG4-N3)}HHHCHH)を、配列の標準アミノ酸+リジン-PEG4-N3修飾剤を使用する固相自動合成を使用して合成した。ペプチドをC-18逆相HPLCによって精製し、HNMR及び質量分析によって特徴を明らかにした。分析データはすべて、予想される構造と一致していた。
【0063】
実施例6
PDoV1-GalNAc3(5)の合成及び特徴づけ
スキーム1:PDoV1-GalNAc3(5)の合成
【0064】
乾燥DMF(400uL)のPEG6-GalNAc3(9)(3.0mg、1.56μmol)を、リン酸バッファー(1mL、pH=7.4)のN3-PDoV1 2(3.54mg、2.03μmol)の溶液に添加した。得られた混合物を窒素下で、25℃にて一晩撹拌した。溶媒を減圧下で除去した後、試料を脱塩し、PD-10カラムによって精製して、純粋な生成物PDoV1-GalNAc3 5(5.1mg、白色固体、収率90%)を得た。生成物を、逆相C18カラム、溶媒0.1%のTFA水及び0.1%アセトニトリルによる勾配溶出を使用してHPLCによって分析した。保持時間はRt=4.877分、純度>90%。マススペクトル分析(ESI、陽性):C154H240N48O55Sの計算値3673.7、実測値3674.8。
【0065】
実施例7
PDoV2-GalNAc3 6及び7の合成及び特徴づけ
スキーム2:PDoV2-リンカー-GalNAc3の調製
【0066】
PDoV2-Peg6-GalNAc3(化合物6)の調製:求核種である化合物2(49.8mg、0.0243mmol)をpH7.4の脱気させたPBSバッファー1.0mLに溶解した。三価GalNAcリガンド(9)(30.8mg、0.0160mmol)を溶解し、400uLの乾燥DMFに送達した。反応混合物を乾燥アルゴン下で再び脱気し、室温で一晩撹拌した。反応混合物を水(100μL)でクエンチし、Glen Researchが推奨するプロトコールに従って1.0μmolのセファデックスナップカラムを通して脱塩した。溶出剤を凍結乾燥し、粗物質を、10~90%のバッファーB(アセトニトリル及び水における0.1%のTFA(図7)の勾配を増加させながら、半分取C18逆相カラムを介してHPLCで溶出した。生成物は4.0分の保持時間を有し、油(39mg、収率60%)として単離した。修飾されたオリゴの質量分析により、PDoV2-peg6-GalNAc3構成体の合成が成功したことが確認された。
【0067】
PDoV2-Peg12-GalNAc3(化合物7)の調製:化合物7アジド-PDoV2(4.9mg、2.74μmol)を1.0mLの脱気させたPBSバッファーpH7.4に溶解した。GalNAcリガンド(3.0mg、1.37μmol)を溶解し、400uLの乾燥DMFに送達した。反応混合物を乾燥窒素下で再び脱気し、室温で一晩撹拌した。反応混合物を水(100μL)でクエンチし、Glen Researchが推奨するプロトコールに従って、1.0μmolのセファデックスナップカラムを通して脱塩した。溶出剤を凍結乾燥し、粗物質を、10~90%のバッファーB(アセトニトリル及び水における0.1%のTFA(図4)の勾配を増加させながら、半分取C18逆相カラムを介してHPLCで溶出した。生成物は主生成物として排他的に形成され、保持時間は4.2分であり、白色粉末として単離された(4.4mg、収率81%)。プロトンNMR及びMS分析:HNMR(400MHz、DO、)δ7.94(s、3H、トリアゾール)、δ8.57-δ7.19(m、18H、8ヒスチジン芳香族)、δ4.75-4.30(m、14H、アミノ酸)、δ4.5(d、3H、ガラクトース)、δ2.05(s、9H)、NMRデータはESI-MSデータと一致している。ESI-MS(正モード、m/z)C168H268N50O61Sについて計算値3968.2、観測値は3968.2。
【0068】
実施例8
PDoV3-GalNAc3(8)の合成
スキーム3:PDoV3-GalNAc3(8)の合成
【0069】
PDoV3-GalNAc3(化合物8)の合成:DMF(1.5mL)のアジド-PDoV3化合物4(47.0mg、38.9μmol)を、窒素下のリン酸バッファー(4mL、pH7.4)の三価GalNAc(9)(50.0mg、25.9μmol)の混合物に、25℃で添加した。得られた反応混合物を25℃で12時間撹拌した。GalNAc9が完全に消費されるまで、HPLCによって反応をモニターした。溶媒を凍結乾燥によって除去し、粗物質をゲル浸透カラムクロマトグラフPD-10カラムによって精製して、純粋な生成物PDoV3-GalNAc3化合物8(70mg、収率86.4%)を得た。HPLCは、逆相C-18カラムで、水における0.1%のTFAの溶媒、及びアセトニトリルにおける0.1%のTFAの溶媒の勾配溶出によって、Rt=5.038分で行った。MS(ESI、陽性モード)、正確な質量:式に対して3134.45、C1302073751S、実測値:3136.35。分析データはすべて、予想される構造と一致していた。
【0070】
実施例9
コントロール3-GalNAc3(11)の合成
スキーム4:コントロール3-GalNAc3(11)の合成
【0071】
PDoV3-コントロール3-GalNAc3の調製:
化合物アジド-コントロール3ペプチド11(配列{LYS(PEG4-N3)}SSSCSS)(2.6mg、2.59μmol)を、1.0mLの脱気させたPBSバッファーpH7.4に溶解した。GalNAc-リガンド(5.0mg、2.59μmol)を溶解し、500uLの乾燥DMFに送達した。反応混合物を乾燥アルゴン下で再び脱気し、室温で一晩撹拌した。反応混合物を水(100μL)でクエンチし、1.0μmolのセファデックスナップカラムを通して脱塩した。いくつかの溶出剤の画分を回収し、凍結乾燥させて、所望の化合物であるコントロール3-GalNAc3 10を得た。この化合物を、分析HPLC C18 RPカラムを使用して、バッファーB(アセトニトリル及び水における0.1%のTFA)の10~90%の増加性の勾配で分析した。生成物は3.80分の保持時間を有し、透明な油状物として単離された(4.9mg、収率67%)。修飾されたオリゴヌクレオチドのマススペクトルにより、PDoV3-コントロール3-peg6-GalNAc構成体の構造が確認された。
【0072】
実施例10
ApoB100-PDoV1-GalNAc3(12)の合成及び特徴づけ
スキーム5.ApoB100-PDoV1-GalNAc3(12)の合成
【0073】
DMF(95μL)におけるPDoV1-GalNAc3 5(381μg、0.104μmol)を、RNAseを含まない水(250μL)のApoB100-センス-5’-DBCO(500ug、0.069μmol)の溶液に加えた。得られた混合物を25℃で2時間撹拌した。溶媒を減圧下で除去した後、粗物質をGlen Gel PaKカラムクロマトグラフによって精製して、純粋な生成物センスApoB100-PDoV3-GalNAc3化合物12(0.66mg、収率88%)を得た。HPLCは、pH=11、Rt=13.015分、純度>85%のリン酸バッファーを使用してPA200イオン交換カラムで行った。MS(ESI、陽性モード)式:C38851012520822Sについて計算値10911.66。実測値:10929.3[M+H2O]。ApoB100アンチセンス鎖で1:1アニーリング(95℃で5分間、約1℃/分で室温まで冷却した後、-20℃で保存)を行った後、最終的なコンジュゲート二重鎖ApoB100-PDoV1-GalNAc3(12)を得た。色素Alex-647で標識されたApoB100-PDoV1-GalNAc3を、ApoB100アンチセンスを色素標識アンチセンスApoB100-Alexa647(5’-uuuGfTaaucgucgauAfcccugcucg-Alexia647-3’)に置き換えることによって、調製した。生成物をHPLC及びMSによって特徴を明らかにした。分析データはすべて、予想される構造と一致していた。
【0074】
実施例11
ApoB100-PDoV2-GalNAc3の合成及び特徴づけ
PDoV2-GalNAc(6又は7、0.0341μmol、1.5当量)とAPOB100-SS-5’C6NHS(DBCO)(0.0227μmol)とを反応させることにより、ApoB100-PDoV2-GalNAc3 13を、ApoB100-PDoV1-GalNAc 12と同様の方法で調製した。アジド-PDoV2-GalNAcを、最初にDMSO150μLあたり1mgのアジドの比率でDMSOに溶解した。次いで、得られたアジド溶液を、100μLのRNAse非含有水において10ODの5’-DBCO標識オリゴに添加した。次いで、反応溶液混合物を室温で3~4時間インキュベートした。次いで、コンジュゲートされたオリゴをGlen Gel-Pak(商標)脱塩カラムで脱塩して、有機溶媒及び任意の非コンジュゲートのペプチドを除去した。例として、PDoV2-PEG12-GalNAc7が反応物質であったとき、最終的なApoB100-PDoV2-GalNAc3 14が白色の固体として収率77%で得られた。HPLCは、pH=11、Rt=12.077分、純度>85%のリン酸バッファーを使用して、PA200イオン交換カラムで行った。MS(ESI、陽性モード)、計算値の計算11551.4、実測値:11553.5。アンチセンスでの1:1アニーリング(95℃で5分間、約1℃/分で室温まで冷却した後、-20℃で保存)により、最終的なコンジュゲート二重鎖ApoB100-PDoV2-GalNAc3(14)が得られた。
【0075】
色素Alexa-647標識ApoB100-PDoV1-GalNAc3は、ApoB100アンチセンスを色素標識アンチセンスApoB100-Alexa647(5’-uuuGfTaaucgucgauAfcccugcucg-Alexia 647-3’)で置換することによって調製した。生成物をHPLC及びMSによって特徴を明らかにした。分析データはすべて、予想される構造と一致していた。
【0076】
実施例12
ApoB100-PDoV3-GalNAc3 15の合成及び特徴づけ
【0077】
PDoV3-GalNAc3 8(150μg、0.148μmol)を、RNAseを含まない水(200μL)の5’-DBCO-C6HN-APOB100センス鎖(230.7μg、0.0319μmol)の溶液に加えた。混合物を25℃で3時間撹拌した。溶媒を凍結乾燥によって除去した後、粗物質をGlen Gel Pakカラムによって精製して、純粋な生成物センスApoB100-PDoV3-GalNAc3化合物15(298μg、収率90%)を得た。HPLCは、pH=11、Rt=12.002分、純度>89%のリン酸バッファーを使用してPA200イオン交換カラムで行った。アンチセンスでの1:1アニーリング(95℃で5分間、約1℃/分で室温まで冷却、-20℃で保存)により、最終的なコンジュゲート二重鎖ApoB100-PDoV3-GalNAc3を得た。色素Alexa-647標識ApoB100-PDoV1-GalNAc3は、ApoB100アンチセンスを色素標識アンチセンスApoB100-Alexa647(5’-uuuGfTaaucgucgauAfcccugcucg-Alexia 647-3’)で置換することによって調製した。生成物をHPLC及びMSによって特徴を明らかにした。分析データはすべて、予想される構造と一致していた。
【0078】
実施例13
mTTR1-PDoV2-GalNAc3(16)の合成及び特徴づけ
【0079】
mTTR1-PDoV2-GalNAc3は、DMSO/水の溶媒におけるPDoV2-peg6-GalNAc6(0.547mg、0.1374μmol)及びDBCO標識mTTR1センス鎖(0.5mg、0.0687μmol)を使用することによる、mTTR1-PDoV3-GalNAc3の合成と同様の手順に従って、調製した。粗物質をゲル浸透カラムクロマトグラフG25カラムによって精製して純粋な生成物を得た。収率は約78%であった。アンチセンス鎖での1:1アニーリング(95℃で5分間、約1℃/分で室温まで冷却した後、-20℃で保存)の後、最終コンジュゲート二重鎖mTTR1-PDoV2-GalNAc3(16)を得た。
【0080】
実施例14
mTTR1-PDoV3-GalNAc3 17の合成及び特徴づけ
【0081】
DMSO(99.6μL)中のPDoV3-GalNAc3 8(996μg、0.317μmol)を、RNAseを含まない水(100μL)におけるmTTR1-センス-5’-DBCO(1.54mg、0.212μmol)の溶液に加えた。得られた混合物を25℃で2時間撹拌した。溶媒を減圧下で除去した後、粗物質をゲル浸透カラムクロマトグラフPD-10カラムによって精製して、純粋な生成物センスmTTR1-PDoV3-GalNAc3化合物17(mg、収率85%)を得た。HPLCは、pH=11、Rt=14.744分、純度>85%のリン酸バッファーを使用してPA200イオン交換カラムで行った。アンチセンス鎖での1:1アニーリング(95℃で5分間、約1℃/分で室温まで冷却し、-20℃で保存)、最終コンジュゲート二重鎖mTTR1-PDoV3-GalNAc3を得た。
【0082】
実施例15
APOB100-PDoVn-GalNAc3のコンジュゲートのin vitro研究
Alexa 647標識siRNA-GalNAcコンジュゲート(ApoB100-PDoV1-GalNAc3-Alexa647、ApoB100-PDoV2-GalNAc3-Alexa647、ApoB100-PDoV2-GalNAc3-Alexa647)をin vitroの細胞取り込み実験で使用した。リポフェクタミン送達Alexa 647標識siRNAを対照として使用した。ASGPR過剰発現のHepG2細胞及びHuh7細胞を使用して、トランスフェクション実験における野生型細胞と比較した。5000の細胞を96ウェルプレートに一晩播種した。細胞を50nMのsiRNAで2時間、24時間及び48時間トランスフェクトした。核をHoechst色素で染色し、細胞をPBS中のCytationイメージングステーションで画像化した。画像を20倍の倍率で取得した。得られたデータは、ASGPRを過剰発現するHepG2細胞が、過剰発現したASGPRを欠く野生型HepG2細胞よりもはるかに大きい蛍光性に標識された物質の取り込みを示したことを示した。
【0083】
ASGPRを過剰発現するHuh7細胞はまた、ASGPR受容体を過剰発現しないHuh7細胞と比較して増加した取り込みを示したが、標識は野生型HepG2細胞ほど強くなかった。
【0084】
PDOV1及びPDOV2は両方とも、ASGPRを過剰発現するHepG2細胞への標識されたsiRNAの送達を実証したが、野生型細胞の標識はほとんど又はまったくなかった。構成体でのGalNacの非存在下では、本発明者らは、ASGPR過剰発現細胞への取り込みを何ら認めなかった。
【0085】
その後の実験で、本発明者らは、ASGPRを過剰発現するHuh7のPDOV1、2及び3のバリエーションによる送達を調べた。PDoV2及び3は、野生型細胞と比較して、これらの細胞への取り込みのいくらかの特異性を示した。PDoV1はまた、これらの細胞へのいくらかの送達を示したが、PDoV2及びPDoV3ほど大きくはなかった。PDoV2は、24時間の曝露後に顕著な取り込みを示した。
【0086】
実施例16
初代マウス肝細胞におけるmTTR-PDoVx-GalNAcのin vitroでの研究
標的TTRについて初代マウス肝細胞を使用して、GalNAcコンジュゲート化siRNA(mTTR1-PDoV3-GalNAc3、mTTR1-PDoV2-GalNAc3、mTTR2-GalNAc3ポジティブコントロール、mTTR2-GalNAc3ポジティブコントロール)についての用量応答スクリーニングを行った。細胞密度は40000細胞/96ウェルであった。濃度は、最高5倍希釈物1μMから最低3pMまでであった。細胞を72時間の直接的なインキュベーションによってトランスフェクトした。データをbDNAアッセイによって読み出した。データをXLfitソフトウェアによって分析した。Gapdhに対して正規化されたTTRシグナル、四連の平均、模擬処理細胞セット=1、IC50値の計算に対しXlfitであった。使用した初代肝細胞は、ドイツのPrimacyt(ロットMH181219)から購入し、CD1マウスから誘導され、融解直後にsiRNAで処理した。
【0087】
2つのsiRNAを両方とも3’末端で三価GalNAcクラスターにコンジュゲートさせた(mTTR2 siRNA配列は完全に修飾された配列であり、mTTR1よりもオリゴヌクレオチドにおいて4つ多いPS結合修飾であった。(Nair,et al.,J.Am.Chem.Soc.136:16958-16961(2014)。Aha1-GaNAc3ポジティブコントロールを、ハウスキーパーahsa1を標的とする標準対照として使用した。これをネガティブコントロール及びポジティブコントロールの両方として使用し、細胞溶解物をスクリーニング標的又はahsa1特異的プローブのいずれかにハイブリダイズさせた。表e1は、2つのコントロールsiRNAの配列及びGalNAcクラスターの構造を列挙している。
【0088】
mTTR1-PDoV3-GalNAc3のコンジュゲートのin vitroでの重大な希釈データ-図15Aを参照:IC50=1.82nMは、同じsiRNA配列21及びオリゴヌクレオチドに対する化学修飾についてのIC50=1.39nMの文献報告(Nairら、前出)と同等である。図15Bは、mTTR1-PDoV2-GalNAc3コンジュゲートのin vitroでの段階希釈データを示す。図15Cは、mTTR2-GalNAc3ポジティブコントロールコンジュゲートのin vitroでの段階希釈データの段階希釈データを示す:mTTR2 siRNA配列は完全に修飾された配列であり、オリゴヌクレオチドにさらに4個のPS結合修飾を有する(前掲のNair)。図15Dは、Aha1-GalNAc3ポジティブコントロールコンジュゲートのin vitroでの段階希釈データを示す。
【0089】
発行された特許及び公開された特許出願を含む、本明細書で特定されるすべての刊行物、及びurlのアドレス又は寄託番号によって特定されるすべてのデータベースエントリは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0090】
本発明は、その特定の実施形態に関連して説明されており、例示の目的で多くの詳細が記載されているが、本発明は追加の実施形態の影響を受けやすく、本明細書に記載の特定の詳細は、本発明の基本原理から逸脱することなく変更することができることは当業者には明らかであろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6-1】
図6-2】
図7
図8
図9A
図9B
図9C
図10
図11
図12
図13
図14
図15A
図15B
図15C
図15D
【国際調査報告】