(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-01
(54)【発明の名称】電気外科的治療中に組織に送達されたエネルギー量を計算するための装置、システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
A61B 18/12 20060101AFI20230125BHJP
A61B 18/10 20060101ALI20230125BHJP
【FI】
A61B18/12
A61B18/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022534188
(86)(22)【出願日】2020-12-04
(85)【翻訳文提出日】2022-06-28
(86)【国際出願番号】 US2020063187
(87)【国際公開番号】W WO2021113561
(87)【国際公開日】2021-06-10
(32)【優先日】2019-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】519175592
【氏名又は名称】アピックス メディカル コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100111453
【氏名又は名称】櫻井 智
(72)【発明者】
【氏名】ニコライ ディミトロフ シルフ
(72)【発明者】
【氏名】ヴィクトル トモフ トモフ
(72)【発明者】
【氏名】フレドリック ヨンソン
(72)【発明者】
【氏名】ショーン ディー. ローマン
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160KK01
4C160KK23
4C160KK30
4C160KK63
4C160MM32
(57)【要約】
本開示は、電気外科治療中に組織に送達されたエネルギー量を計算するための装置、システムおよび方法に関する。本開示は、無線周波数(RF)出力段を介してアプリケータに電気外科エネルギーを供給する電源と、アプリケータによって患者組織に送達されたエネルギー量を決定する少なくとも1つのエネルギー定量化関数を記憶するメモリと、選択された電力設定に基づいて電源を制御し、エネルギー定量化関数および選択された電力設定に基づいて、患者組織に送達されたエネルギー量を決定するコントローラとを提供する。コントローラは、選択された電力設定および選択された電力設定でのアプリケータの起動時間に基づいて、患者組織に送達されたエネルギーをカウントし、送達されたエネルギーをジュール単位で表示する。
【選択図】
図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線周波数(RF)出力段を介してアプリケータに電気外科エネルギーを供給する電源と、
前記アプリケータによって患者組織に送達されたエネルギー量を決定する少なくとも1つのエネルギー定量化関数を記憶するメモリと、
前記エネルギー定量化関数および前記RF出力段の出力電力に基づいて、前記患者組織に送達された前記エネルギー量を決定するコントローラとを備える、
電気外科用発電機。
【請求項2】
前記出力電力は、選択された発電機電力設定に基づいて決定される、
請求項1に記載の電気外科用発電機。
【請求項3】
前記出力電力は、前記RF出力段のサンプリング出力電圧および電流に基づいて決定される、
請求項1に記載の電気外科用発電機。
【請求項4】
前記発電機電力設定を選択するための入力を受信する入力/出力インターフェースをさらに備える、
請求項2に記載の電気外科用発電機。
【請求項5】
前記患者組織に送達される前記エネルギー量を表示する入力/出力インターフェースをさらに備える、
請求項1に記載の電気外科用発電機。
【請求項6】
前記患者組織に送達される前記エネルギー量がジュール単位で表示される、
請求項5に記載の電気外科用発電機。
【請求項7】
前記コントローラは、前記選択された電力設定および前記選択された電力設定での前記アプリケータの起動時間に基づいて、前記患者組織に送達される前記エネルギーをカウントする、
請求項2に記載の電気外科用発電機。
【請求項8】
前記RF出力段の出力に結合された少なくとも1つのセンサをさらに備え、
前記センサは、前記RF出力段の電圧および/または電流をサンプリングし、前記サンプリングされた電圧および/または電流を前記コントローラに提供するように構成される、
請求項3に記載の電気外科用発電機。
【請求項9】
前記選択された発電機電力設定を使用して、前記RF出力段の前記サンプリングされた電圧および/または電流に基づいて、前記送達されたエネルギーを決定する、
請求項8に記載の電気外科用発電機。
【請求項10】
前記RF出力段におけるインピーダンスを測定し、前記測定されたインピーダンスを前記コントローラに提供する少なくとも1つのセンサをさらに備え、
前記コントローラは、前記測定されたインピーダンスに基づいて、アプリケータが前記患者組織にエネルギーを印加しているかどうかを決定し、前記アプリケータが前記患者組織にエネルギーを印加しているときにのみ前記送達されたエネルギーを前記カウントに加算する、
請求項7に記載の電気外科用発電機。
【請求項11】
処置のためのエネルギー終点の選択を可能にする入力/出力インターフェースをさらに備え、
前記コントローラは、前記カウントが前記エネルギー終点を超えたときに前記アプリケータへの電気外科エネルギーの供給を前記電源に停止させる、
請求項1に記載の電気外科用発電機。
【請求項12】
前記コントローラは、前記カウントが前記エネルギー終点を超えたときに前記入力/出力インターフェースを介して通知をトリガする、
請求項11に記載の電気外科用発電機。
【請求項13】
前記コントローラは、前記カウントが前記エネルギー終点を超えた場合に通知をトリガし、前記通知を通信モジュールを介して外部装置に送信する、
請求項11に記載の電気外科用発電機。
【請求項14】
前記メモリは、複数の処置の各々のための所定のエネルギー終点を記憶する、
請求項11に記載の電気外科用発電機。
【請求項15】
前記入力/出力インターフェースは、前記複数の処置のうちの少なくとも1つの選択を可能にし、少なくとも1つの処置の選択時に、前記コントローラは、前記メモリから対応するエネルギー終点を検索する、
請求項14に記載の電気外科用発電機。
【請求項16】
前記複数の処置の各々のための前記所定のエネルギー終点を外部装置から受信する通信モジュールをさらに備える、
請求項14に記載の電気外科用発電機。
【請求項17】
前記少なくとも1つのエネルギー定量化関数は、アプリケータの種類に基づいて選択される、
請求項1に記載の電気外科用発電機。
【請求項18】
前記少なくとも1つのエネルギー定量化関数は、前記アプリケータを少なくとも1つのレセプタクルに結合する際に、前記アプリケータから受信される、
請求項1に記載の電気外科用発電機。
【請求項19】
患者の第1の治療領域に送達されたエネルギーの総カウント数を、エネルギー終点としてメモリに記憶することを可能にする入力/出力インターフェースをさらに備え、
前記患者の反対側の治療領域のための処置の選択時に、前記コントローラは、前記メモリから、記憶したエネルギー終点を検索する、
請求項7に記載の電気外科用発電機。
【請求項20】
患者の第1の治療領域に対する処置の完了時に、前記コントローラは、前記患者組織に送達された総エネルギー量を決定し、前記決定された総エネルギー量を、前記患者の反対側の治療領域のための処置のためのエネルギー終点として前記メモリに記憶する、
請求項1に記載の電気外科用発電機。
【請求項21】
前記反対側の治療領域のための処置の選択を可能にする入力/出力インターフェースをさらに備え、
前記処置の選択時に、前記コントローラは、前記メモリから、前記記憶したエネルギー終点を検索する、
請求項20に記載の電気外科用発電機。
【請求項22】
少なくとも1種のガスを前記アプリケータに提供するフローコントローラをさらに備え、
前記アプリケータは、前記電気外科エネルギーおよび前記少なくとも1種のガスからプラズマを生成し、前記プラズマは、前記患者組織に送達される、
請求項1に記載の電気外科用発電機。
【請求項23】
前記コントローラは、前記少なくとも1種のガスの種類、前記少なくとも1種のガスの流量、および/または、前記電気外科設定の電力設定のうちの少なくとも1つに基づいて、前記患者組織に送達される前記エネルギーをカウントする、
請求項22に記載の電気外科用発電機。
【請求項24】
前記患者組織に送達されたエネルギーの前記カウント量を表示する入力/出力インターフェースをさらに備え、
前記患者組織に送達されたエネルギーの前記カウント量は、ジュール単位で表示される、
請求項23に記載の電気外科用発電機。
【請求項25】
前記患者組織に送達された前記エネルギー量を表示する入力/出力インターフェースをさらに備え、
前記患者組織に送達された前記エネルギー量は、秒当たりのジュール単位で表示される、
請求項23に記載の電気外科用発電機。
【請求項26】
電気外科用発電機を介して、患者組織に電気外科エネルギーを印加するステップと、
少なくとも1つのエネルギー定量化関数および前記電気外科用発電機の出力に基づいて、前記患者組織に送達されたエネルギー量を決定するステップと、
エネルギー終点と、前記決定された送達エネルギー量とを比較するステップと、
前記決定された送達エネルギー量が前記エネルギー終点を満たすかまたは超える場合に、前記電気外科エネルギーの印加を停止するステップとを含む、
医療処置を実行する方法。
【請求項27】
前記電気外科用発電機の入力/出力インターフェースを介して、前記患者組織に送達された前記エネルギー量を表示するステップをさらに含む、
請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記表示される送達エネルギー量は、ジュール/秒単位の、送達されている瞬時エネルギーである、
請求項26に記載の方法。
【請求項29】
前記表示される送達エネルギー量は、ジュール単位の、送達されたエネルギーの累積カウントである、
請求項26に記載の方法。
【請求項30】
送達された前記エネルギー量が前記エネルギー終点を満たすか、または、超える場合に、通知をトリガするステップをさらに含む、
請求項26に記載の方法。
【請求項31】
複数の処置の各々のための所定のエネルギー終点をメモリに記憶するステップをさらに含む、
請求項26に記載の方法。
【請求項32】
少なくとも1つの処置を選択するステップと、前記メモリから対応するエネルギー終点を検索するステップとをさらに含む、
請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記印加するステップは、
前記電気外科用発電機に結合されたアプリケータを介して前記電気外科エネルギーを前記患者組織に提供するステップと、
前記アプリケータに少なくとも1種のガスを提供するステップと、
前記電気外科エネルギー及び前記少なくとも1種のガスからプラズマを生成し、前記患者組織に送達するステップとを含む、
請求項26に記載の方法。
【請求項34】
前記少なくとも1つのエネルギー定量化関数は、アプリケータの種類、前記少なくとも1種のガスの種類および/または前記少なくとも1種のガスの流量のうちの少なくとも1つに基づく、
請求項33に記載の方法。
【請求項35】
患者の第1の治療領域に対する処置の完了時に、前記患者組織に送達された総エネルギー量を決定するステップと、
前記決定された総エネルギー量を、前記患者の反対側の治療領域のための処置のためのエネルギー終点としてメモリに記憶するステップとをさらに含む、
請求項26に記載の方法。
【請求項36】
前記反対側の治療領域のための処置を選択するステップと、
前記メモリから前記記憶したエネルギー終点を検索するステップとをさらに含む、
請求項35に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2019年12月7日に出願された「DEVICES,SYSTEMS AND METHODS FOR CALCULATING THE AMOUNT OF ENERGY DELIVERED TO TISSUE DURING AN ELECTROSURGICAL TREATMENT」という名称の米国仮特許出願第62/945,142号の優先権を主張し、その内容全体は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、一般に、電気外科手術ならびに電気外科システムおよび装置に関し、より詳細には、電気外科治療中に組織に送達されたエネルギー量を計算するための装置、システムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
高周波電気エネルギーは、手術で広く使用されており、一般に電気外科エネルギーと呼ばれている。電気外科エネルギーを使用により、組織は、切断され、体液は、凝固される。
【0004】
電気外科用器具は、一般に、「単極」装置または「双極」装置を備える。単極装置は、電気外科用器具上にアクティブ電極を備え、リターン電極が患者に取り付けられる。単極電気外科手術では、電気外科エネルギーは、器具上のアクティブ電極を通り、患者の身体を通ってリターン電極に流れる。そのような単極装置は、組織の切断および凝固が必要とされ、迷走電流が患者に実質的なリスクをもたらさない外科的処置において有効である。
【0005】
双極装置は、外科用器具上にアクティブ電極およびリターン電極を備える。双極電気外科装置では、電気外科エネルギーは、アクティブ電極を通って患者組織に流れ、組織を通る短い距離を通ってリターン電極まで流れる。電気外科効果は、外科用器具上の2つの電極間に配置された組織の小さな領域に実質的に局在化される。双極電気外科装置は、迷走電流が患者に危険をもたらす可能性があるか、または、他の処置上の懸念がアクティブ電極とリターン電極との近接を必要とする外科的処置に有用であることが分かっている。双極電気外科手術を伴う外科手術は、単極電気外科手術を伴う方法および処置とは実質的に異なる方法および処置を必要とすることが多い。
【0006】
ガスプラズマは、電気エネルギーを伝導することができるイオン化ガスである。プラズマは、電気外科エネルギーを患者に伝導するために外科用装置に使用される。プラズマは、電気抵抗が比較的低い経路を提供することによってエネルギーを伝導する。電気外科エネルギーがプラズマの後に続き、患者の血液または組織を切断、凝固、乾燥または高周波焼灼(fulgurate)する。電極と治療された組織との間に物理的接触は、必要とされない。
【0007】
調整ガス源を組み込まない電気外科システムは、アクティブ電極と患者との間の周囲空気をイオン化することができる。それによって生成されたプラズマは、電気外科エネルギーを患者に伝導するが、プラズマアークは、典型的には、イオン化性ガスの調整された流れを有するシステムと比較して、より空間的に分散して現れる。
【0008】
電気外科システムによって、例えばアプリケータまたはハンドピースによって出力されたプラズマによって患者組織に送達されたエネルギー量は、電気外科システムの電気外科用発電機によって生成及び出力されるエネルギー量と同じではない。電気外科用発電機によって出力されるエネルギーの一部は、他の非効率性に加えて、プラズマビームを生成する際に失われる。システムの電気外科用発電機によって出力されるエネルギー量だけでなく、患者組織に送達されたエネルギー量を知ることは、所与の治療において所望の結果をもたらすために有用である。しかしながら、現在使用されている電気外科システムは、患者組織に送達されたエネルギーを正確に測定するための単純かつ効率的な手段を提供しない。したがって、患者組織に送達されたエネルギー量を計算する装置、システムおよび方法が必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本開示は、電気外科治療中に組織に送達されたエネルギー量を計算するための装置、システムおよび方法に関する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示の一態様によれば、無線周波数(RF)出力段を介してアプリケータに電気外科エネルギーを供給する電源と、アプリケータによって患者組織に送達されたエネルギー量を決定する少なくとも1つのエネルギー定量化関数を記憶するメモリと、エネルギー定量化関数およびRF出力段の出力電力に基づいて、患者組織に送達されたエネルギー量を決定するコントローラとを含む電気外科用発電機が提供される。
【0011】
一態様では、出力電力は、選択された発電機電力設定に基づいて決定される。
【0012】
別の態様では、出力電力は、RF出力段のサンプリング出力電圧および電流に基づいて決定される。
【0013】
さらなる態様では、電気外科用発電機は、発電機電力設定を選択するための入力を受信する入力/出力インターフェースをさらに含む。
【0014】
別の態様では、電気外科用発電機は、患者組織に送達されたエネルギー量を表示する入力/出力インターフェースをさらに含む。
【0015】
一態様では、患者組織に送達されたエネルギー量は、ジュール単位で表示される。
【0016】
さらなる態様では、コントローラは、選択された電力設定および選択された電力設定でのアプリケータの起動時間に基づいて、患者組織に送達されたエネルギーをカウントする。
【0017】
さらに別の態様では、電気外科用発電機は、RF出力段の出力に結合された少なくとも1つのセンサをさらに含み、センサは、RF出力段の電圧および/または電流をサンプリングし、サンプリングされた電圧および/または電流をコントローラに提供するように構成される。
【0018】
さらに別の態様では、選択された発電機電力設定は、RF出力段のサンプリングされた電圧および/または電流に基づいて、送達されたエネルギーを決定するために使用される。
【0019】
一態様では、電気外科用発電機は、RF出力段におけるインピーダンスを測定し、測定されたインピーダンスをコントローラに提供する少なくとも1つのセンサをさらに含み、コントローラは、測定されたインピーダンスに基づいてアプリケータが患者組織にエネルギーを印加しているかどうかを決定し、アプリケータが患者組織にエネルギーを印加しているときにのみ、送達されたエネルギーをカウントに加算する。
【0020】
別の態様では、電気外科用発電機は、処置のためのエネルギー終点の選択を可能にする入力/出力インターフェースをさらに含み、コントローラは、カウントがエネルギー終点を超えたときにアプリケータへの電気外科エネルギーの供給を電源に停止させる。
【0021】
一態様では、コントローラは、カウントがエネルギー終点を超えたときに、入力/出力インターフェースを介して通知をトリガする。
【0022】
別の態様では、コントローラは、カウントがエネルギー終点を超えた場合に通知をトリガし、通信モジュールを介して外部デバイスに通知を送信する。
【0023】
さらに別の態様では、メモリは、複数の処置の各々について所定のエネルギー終点を記憶する。
【0024】
さらに別の態様では、入力/出力インターフェースは、複数の処置のうちの少なくとも1つの選択を可能にし、少なくとも1つの処置の選択時に、コントローラは、メモリから対応するエネルギー終点を検索する。
【0025】
さらなる態様では、電気外科用発電機は、外部装置から複数の処置のそれぞれについての所定のエネルギー終点を受信する通信モジュールをさらに含む。
【0026】
別の態様では、少なくとも1つのエネルギー定量化関数は、アプリケータの種類に基づいて選択される。
【0027】
一態様では、少なくとも1つのエネルギー定量化関数は、アプリケータを少なくとも1つのレセプタクルに結合すると、アプリケータから受信される。
【0028】
さらなる態様では、電気外科用発電機は、患者の第1の治療領域に送達されたエネルギーの総カウント数を、エネルギー終点としてメモリに記憶することを可能にする入力/出力インターフェースをさらに含み、患者の反対側の治療領域のための処置の選択時に、コントローラは、メモリから、記憶したエネルギー終点を検索する。
【0029】
一態様では、患者の第1の治療領域に対する処置の完了時に、コントローラは、患者組織に送達された総エネルギー量を決定し、決定した総エネルギー量を、患者の反対側の治療領域のための処置のためのエネルギー終点としてメモリに記憶する。
【0030】
別の態様では、電気外科用発電機は、反対側の治療領域のための処置の選択を可能にする入力/出力インターフェースをさらに含み、処置の選択時に、コントローラは、メモリから、記憶したエネルギー終点を検索する。
【0031】
本開示の一態様によれば、電気外科用発電機は、少なくとも1種のガスをアプリケータに提供するフローコントローラをさらに含み、アプリケータは、電気外科エネルギーおよび少なくとも1種のガスからプラズマを生成し、プラズマは患者組織に送達される。
【0032】
一態様では、コントローラは、少なくとも1種のガスの種類、少なくとも1種のガスの流量、および/または、電気外科設定の電力設定のうちの少なくとも1つに基づいて、患者組織に送達されたエネルギーをカウントする。
【0033】
別の態様では、電気外科用発電機は、患者組織に送達されたエネルギーのカウント量を表示する入力/出力インターフェースをさらに含み、患者組織に送達されたエネルギーのカウント量は、ジュール単位で表示される。
【0034】
さらなる態様では、電気外科用発電機は、患者組織に送達されたエネルギー量を表示する入力/出力インターフェースをさらに含み、患者組織に送達されたエネルギー量は、秒当たりのジュール単位で表示される。
【0035】
本開示の別の態様によれば、電気外科用発電機を介して、電気外科エネルギーを患者組織に印加するステップと、少なくとも1つのエネルギー定量化関数及び電気外科用発電機の出力に基づいて、患者組織に送達されたエネルギー量を決定するステップと、決定された送達エネルギー量をエネルギー終点と比較するステップと、決定された送達エネルギー量がエネルギー終点を満たすかまたは超える場合に、電気外科エネルギーの印加を停止するステップとを含む、医療処置を実行する方法が提供される。
【0036】
一態様では、本方法は、電気外科用発電機の入力/出力インターフェースを介して、患者組織に送達されたエネルギー量を表示するステップをさらに含む。
【0037】
別の態様では、表示される送達エネルギー量は、ジュール/秒単位の、送達されている瞬時エネルギーである。
【0038】
さらなる態様では、表示される送達エネルギー量は、ジュール単位の、送達されたエネルギーの累積カウントである。
【0039】
さらに別の態様では、本方法は、送達されたエネルギー量がエネルギー終点を満たすか又は超える場合に通知をトリガするステップをさらに含む。
【0040】
一態様では、本方法は、複数の処置の各々のための所定のエネルギー終点をメモリに記憶するステップをさらに含む。
【0041】
さらに別の態様では、本方法は、少なくとも1つの処置を選択するステップと、対応するエネルギー終点をメモリから検索するステップとをさらに含む。
【0042】
さらなる態様では、印加するステップは、電気外科用発電機に結合されたアプリケータを介して患者組織に電気外科エネルギーを提供するステップと、アプリケータに少なくとも1種のガスを提供するステップと、電気外科エネルギー及び少なくとも1種のガスから、患者組織に送達されるプラズマを生成するステップとをさらに含む。
【0043】
一態様では、少なくとも1つのエネルギー定量化関数は、アプリケータの種類、少なくとも1種のガスの種類、および/または、少なくとも1種のガスの流量のうちの少なくとも1つに基づく。
【0044】
別の態様では、本方法は、患者の第1の治療領域に対する処置の完了時に、患者組織に送達された総エネルギー量を決定するステップと、決定された総エネルギー量を、患者の反対側の治療領域に対する処置のためのエネルギー終点としてメモリに記憶するステップとをさらに含む。
【0045】
さらに別の態様では、本方法は、反対側の治療領域のための処置を選択するステップと、メモリから記憶したエネルギー終点を検索するステップとをさらに含む。
【図面の簡単な説明】
【0046】
本開示の上記及び他の態様、特徴および利点は、添付の図面と併せて以下の詳細な説明に照らしてより明らかになるであろう。
【0047】
【
図1】本開示の一実施形態による電気外科システムの図である。
【
図2A】本開示の一実施形態による、
図1の電気外科システムの電気外科用発電機の正面図である。
【
図2B】本開示の一実施形態による、
図1の電気外科システムの電気外科用発電機のブロック図である。
【
図3】本開示の一実施形態による、
図1の電気外科システムのアプリケータによって患者組織に送達されたエネルギー量を計算するための式を決定するための方法を示すフローチャートである。
【
図4】本開示の一実施形態による、
図1の電気外科システムのアプリケータによって患者組織に送達されたエネルギー量をカウントするための方法を示すフローチャートである。
【
図5】本開示の一実施形態による、電気外科システムのアプリケータによって患者組織に送達されたエネルギー量を計算するための式を決定するための方法の例示的な結果を示す図である。
【
図6】本開示の一実施形態によるジュールカウンタ式を決定するために使用されるグラフである。
【
図7】本開示の一実施形態による、電気外科システムを使用して患者の異なる部分に電気外科エネルギーを印加するための方法を示すフローチャートである。
【0048】
図面は、本開示の概念を説明するためのものであり、必ずしも本開示を説明するための唯一の可能な構成ではないことを理解されたい。
【発明を実施するための形態】
【0049】
以下、添付図面を参照しながら、本開示の好適な実施形態について説明する。以下の説明では、不必要な詳細で本開示を不明瞭にすることを避けるために、周知の機能または構造は詳細には説明しない。図面および以下の説明では、従来のように、「近位」という用語は、装置、例えば器具、機器、アプリケータ、ハンドピース、鉗子等の、ユーザに近い方の端部を指し、その一方で、「遠位」という用語は、ユーザから遠い方の端部を指す。本明細書では、「結合された」という語句は、直接接続されているか、または1つもしくは複数の中間構成要素を介して間接的に接続されていることを意味すると定義される。そのような中間構成要素は、ハードウェアベースの構成要素およびソフトウェアベースの構成要素の両方を含んでもよい。
【0050】
本明細書に提示されるブロック図は、本開示の原理を具現化する例示的な回路の概念図を表すことが当業者には理解されよう。同様に、任意のフローチャート、フロー図、状態遷移図、擬似コード等が、コンピュータ可読媒体で実質的に表され、コンピュータまたはプロセッサによって、そのようなコンピュータまたはプロセッサが明示的に示されているかどうかにかかわらず、実行され得る様々なプロセスを表すことが理解されよう。
【0051】
本開示は、電気外科治療中に組織に送達されたエネルギー量を計算するための装置、システムおよび方法に関する。
【0052】
図1を参照すると、本開示による電気外科システム1が示されている。システム1は、アプリケータまたはハンドピース10と、電気外科用発電機ユニット(ESU)50とを含む。いくつかの実施形態では、システム1は、ガス供給源70をさらに含む。
【0053】
アプリケータ10は、ケーブル20を介してESU50から電気外科エネルギーを受け取るように構成される。アプリケータ10は、ガス供給源70から不活性ガスを受け取るようにさらに構成される。いくつかの実施形態では、不活性ガスは、ガス供給源70から受け取られ、ケーブル20を介してESU50からアプリケータ10に提供される。ガス供給源70は、ESU50の内部にあっても、ESU50の外部にあってもよいことを理解されたい。他の実施形態では、アプリケータ10は、ガス供給源70から直接不活性ガスを受け取る。アプリケータ10は、ボタン18を有するハンドルハウジング12と、遠位先端部16を有するシャフト14とを含む。ボタン18が押されると、電気外科エネルギーがESU50によってアプリケータ10に送達され、不活性ガスがガス源70によってアプリケータ10に送達される。電気外科エネルギーは、シャフト14内に配置された電極を通電するために使用される。通電された電極上を不活性ガスが通過すると、プラズマが生成され、先端部16から患者組織に放出され、電極から患者に、精密なプラズマビームの形態での無線周波数(RF)エネルギーの伝導を可能にする。一実施形態では、ヘリウムは、非常に少ないエネルギーでプラズマに変換することができるので、ヘリウムが不活性ガスとして使用されるが、アルゴン等の他の不活性ガスも本開示の範囲内であると考えられる。さらに、不活性ガスの混合物を利用してプラズマを生成してもよい。例示的なアプリケータは、その内容が参照により組み込まれる、同一所有者の米国特許第9,060,765号に示されて説明されている。
【0054】
いくつかの実施形態では、アプリケータ10は、プラズマ以外の方法または形態で患者組織にエネルギーを印加または送達するように構成されてもよいことを理解されたい。例えば、アプリケータ10は、電極を患者組織に直接接触させることによってRFエネルギーを患者組織に送達してもよい。いくつかの実施形態では、電極は、シャフト14内に格納可能であり、電極を伸長させて使用して、患者組織に直接接触させてRFエネルギーを送達するか、または、格納してプラズマを介してRFエネルギーを送達することを可能にする。他の実施形態では、電極は、プローブまたは加熱要素(例えば、ESU50から受け取った電流を加熱要素に印加することによって加熱される)として構成されてもよく、そして、加熱要素によって、熱エネルギーが患者組織に直接印加されてもよい。
【0055】
図2Aを参照すると、本開示の一実施形態によるESU50の正面図が示されている。一実施形態では、ESU50は、単一のハウジング63に収容された高周波電気外科用発電機61およびガス流コントローラ62を含む。ESU50は、コマンド/データをESU50に入力し、データを表示するための、例えばタッチスクリーン等の入力/出力部21を含むフロントパネル面19を含む。フロントパネル19は、対応するインジケータ24を有する様々なレベル制御部22をさらに含んでもよい。さらに、ESU50は、オン/オフスイッチ28、リターン電極レセプタクル30、単極フットスイッチングレセプタクル32、単極ハンドスイッチングレセプタクル34および双極ハンドスイッチングレセプタクル36を含み得るレセプタクルセクション26を含む。ガス流コントローラ62は、ガスA注入レセプタクル40およびガスB注入レセプタクル42をさらに含み得るガスレセプタクル部分38を含む。ガス流コントローラ62は、セレクタスイッチまたは入力部46およびディスプレイ48を含むユーザインターフェース部44をさらに含んでもよい。セレクタスイッチまたは入力部46は、注入されるガスの種類の選択、注入されるガスの混合物の選択、注入されるガスの混合物の組成および/またはパーセンテージ、ハンドピースまたはアプリケータに適用されるガスの流量等を可能にする。
図2Aは、単一のハウジング63内に収容された高周波電気外科用発電機61およびガス流コントローラ62を示しているが、ガス流コントローラ62は、有線および/または無線インターフェースを介してESU50とインターフェースする別個の外部装置として提供されてもよいことを理解されたい。
【0056】
図2Bを参照すると、本開示の一実施形態によるESU50のブロック図が示されている。ESU50は、コントローラまたはプロセッサ51と、電源52と、無線周波数(RF)出力段54と、I/Oインターフェース56と、アラーム58と、メモリ60と、フローコントローラ62と、センサ64と、通信モジュール66とを含む。コントローラ51は、電源52を制御して、ケーブル20を通って延びる少なくとも1つの導体を介して、RF出力段54から出力されている電気外科エネルギーをアプリケータ10に供給させるように構成される。ケーブル20は、単極ハンドスイッチングレセプタクル34または双極ハンドスイッチングレセプタクル36を介してESU50に結合されてもよいことを理解されたい。I/Oインターフェース56は、コントローラ51に提供されるユーザ入力を受信し(例えば、ESU50のハウジングに配置された1つまたは複数のボタン22、46、タッチスクリーン21等を介する)、コントローラ51から受信した情報(例えば、インジケータ24へのデータ、タッチスクリーン21へのグラフィカルユーザインターフェース等)を出力するように構成される。可聴アラーム58は、コントローラ51を介して制御可能であり、オペレータに様々な状態またはイベントを警告する。
【0057】
フローコントローラ62は、アプリケータ10が供給源70から受け取るガスの流れを制御するように構成される。フローコントローラ62は、コントローラ51に結合されており、I/Oインターフェース56、セレクタスイッチもしくは入力部46を介したユーザ入力に基づいて、または、メモリ60に記憶したアルゴリズムもしくはソフトウェア関数に基づいて、コントローラ51から制御信号を受信する。さらに、フローコントローラ62は、レセプタクル40、42に注入されているガスの種類を決定するための適切なセンサを含んでもよい。さらに、フローコントローラ62は、注入されたガスを使用して、アプリケータに提供されるガスの混合物を生成することができる。
図2Bに示す実施形態では、フローコントローラ62はESU50内に配置されているが、フローコントローラ62は、ESU50の外部に位置してもよく、例えば別個のハウジング内、アプリケータ10内等に配置されてもよい。
【0058】
ESU50の通信モジュール66は、通信リンク(例えば、有線または無線)を介して他の装置(例えば、クライアントデバイス、サーバ等)と通信して、データおよび通信を送受信するように構成される。
図2Bに示す実施形態では、オペレータは、可聴アラーム58を介して様々な状態の警告を受けるが、他の実施形態では、コントローラ51は、通信モジュール66を使用して、通信リンク(例えば、有線または無線)を介して少なくとも1つの他の装置に通知を送信してもよく、通信は様々な状態またはイベントに関連付けられる。通信モジュール66は、モデム、ネットワークインターフェースカード(NIC)、無線トランシーバなどであってもよい。通信モジュール66は、ハードワイヤおよび/または無線接続によってその機能を実行する。ハードワイヤ接続は、ハードワイヤケーブル、例えば、パラレルまたはシリアルケーブル、RS232、RS485、USBケーブル、Firewire(1394接続)ケーブル、イーサネットおよびハウジング63の表面に配置された適切な通信ポート構成を含んでもよいが、これらに限定されない。無線接続は、Bluetooth(商標)相互接続性、赤外線接続性、一般にWi-Fiもしくは802.11.X(xは送信の種類を表す)と呼ばれるコンピュータデジタル信号放送および受信を含む無線送信接続性、衛星送信若しくは任意の他の種類の通信プロトコル、900MHzもしくは他の周波数のスペクトラム拡散を含むデータを無線送信するための現在存在する、もしくは今後開発される通信アーキテクチャもしくはシステム、Zigbee、ならびに/または、任意のメッシュ対応無線通信を含むがこれらに限定されない様々な無線プロトコルのいずれかの下で動作することができる。
【0059】
一実施形態では、ESU50のセンサ64は、RF出力段54の出力に結合される。センサ64は、出力段54の電圧および/または電流(または任意の他の電気的特性)をサンプリングし、サンプル電圧および/または電流をコントローラ51に提供するように構成される。コントローラ51は、その情報を使用して、ESU50によってアプリケータ10に提供される電力に関連する1つまたは複数の特性を決定することができる。一実施形態では、センサ64は、出力電圧を検知するための少なくとも1つの電圧センサと、出力電流を検知するための少なくとも1つの電流センサとを含んでもよい。任意選択的に、センサ64は、検知した信号をコントローラ51に入力されるデジタル信号に変換するための少なくとも1つのアナログデジタル変換器を含んでもよく、あるいは、少なくとも1つのアナログデジタル変換器がコントローラ51に設けられてもよい。
【0060】
一実施形態では、コントローラ51は、治療中にアプリケータ10によって患者組織に送達されたエネルギー量を、例えばジュール単位で決定するように構成される。コントローラ51は、ESU50のコントローラ51が、ある期間にわたってアプリケータ10によって患者組織に送達されたエネルギー量を決定することを可能にするエネルギー定量化アルゴリズムまたは関数(例えば、ESU50のメモリ60に記憶されている)を実行する。アルゴリズムまたは関数は、組織に送達されたエネルギーを決定するための式またはルックアップテーブルを利用する。以下に説明するように、一実施形態では、式は、熱量計試験の結果に基づく。
【0061】
図1および
図2A~
図2Bに示すESU50の機能は、専用のハードウェアおよび適切なソフトウェアに関連するソフトウェアを実行することができるハードウェアを使用して提供され得ることを理解されたい。一実施形態では、コントローラ51の機能の一部またはすべては、特に指示されない限り、コンピュータまたは電子データプロセッサ、デジタル信号プロセッサまたは組み込みマイクロコントローラ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)等の少なくとも1つのプロセッサによって、そのような機能を実行するようにコード化されたコンピュータプログラムコード、ソフトウェア、ファームウェア、レジスタ転送ロジックおよび/または集積回路等のコードに従って実行されてもよい。プロセッサによって提供される場合、機能は、単一の専用プロセッサ、単一の共有プロセッサまたは複数の個々のプロセッサによって提供されてもよく、複数の個々のプロセッサのうちのいくつかは共有されてもよい。さらに、「プロセッサ」または「コントローラ」という用語の明示的な使用は、ソフトウェアを実行することができるハードウェアを排他的に指すと解釈されるべきではなく、限定はしないが、デジタル信号プロセッサ(DSP)ハードウェア、ソフトウェアおよび/またはファームウェアを記憶するための読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)ならびに不揮発性記憶装置を暗黙的に含むことができる。
【0062】
図3を参照すると、本開示の一実施形態による、アプリケータ10によって患者組織に送達されたエネルギー量を計算するための式を決定するための方法100が示されている。
【0063】
ステップ102において、所定の流体体積(例えば、生理食塩水)を熱量計に入れる。ステップ104において、熱量計を使用して流体体積のベースライン温度を測定する。ステップ106において、例えばタッチスクリーン21または適切なレベル制御部22を介して第1の発電機設定が選択され、アプリケータ10を使用して、プラズマエネルギー(または他の種類のエネルギー、例えば、流体体積への電極の直接接触を介したRFエネルギー、流体体積への電極または加熱要素の直接接触を介した熱エネルギー等)を流体体積に所定の期間または所定の長さの時間印加する。遠位先端部16が流体体積の表面(または患者組織)から十分な距離内に保持され、遠位先端部16と流体の表面(または患者組織)との間にプラズマアークを発生させることができる限り、先端部16は、より多くの熱を流体(または患者組織)に送達させることなく、この十分な距離内の任意の距離に保持され得ることを理解されたい。したがって、十分な距離の内部に入ると、先端部16は、送達される熱の量を変化させることなく、流体表面または患者組織の近くまたは遠くに設置することができる。ESU50の発電機設定は、ESU50によって(例えば、RF出力段54から)アプリケータ10に送達される電力量を表すことを理解されたい。一実施形態では、電力設定は、ESU50によってアプリケータ10に送達可能な最大電力のパーセンテージとして表される。例えば、一実施形態では、ESU50からアプリケータ10に送達可能な最大出力電力は、40ワット(W)であってもよい。したがって、ESU50を20%に設定すると、40Wの20%(すなわち、8W)の出力となる。
【0064】
ステップ108において、熱量計を使用して、プラズマエネルギーを所定の期間印加した後の流体体積の温度を測定する。ステップ110において、アプリケータ10によって流体体積に送達されたエネルギー量は、ステップ104で測定されたベースライン温度からステップ108で測定された温度まで、所定の期間にわたって既知の流体体積の温度を上昇させるのに必要なエネルギー量を計算することによって計算される。ステップ104~ステップ110からのデータは、エネルギー送達チャートまたはテーブルに記録される(例えば、メモリ60等のメモリに記憶される)。一実施形態では、ステップ108で測定された温度は、例えば、入力/出力部21を介してESU50に入力される。次いで、ステップ104で測定されたベースライン温度からステップ108で測定された温度まで既知の流体体積の温度を上昇させるのに必要なエネルギー量を、メモリ60に記憶され、コントローラ51によって実行されるアルゴリズムまたは関数によって計算することができる。このようにして、エネルギー送達チャートまたはテーブルをコントローラ51によって生成し、後で使用するためにメモリ60に記憶することができる。
【0065】
ステップ112において、入力/出力部21または適切なレベル制御部22を介して新しい発電機設定(例えば、一実施形態では、送達される電力のパーセンテージを所定の増分量だけ増加させる)が選択され、ESU50の最大電力設定に到達するまでステップ104からステップ112が実行される。このようにして、エネルギー送達チャートは、ESU50の複数の異なる発電機設定にわたって所定の期間にわたって送達されているエネルギー量を含む。ステップ114において、ステップ104からステップ112で収集されたデータに基づいて、エネルギー送達(またはジュールカウンタ式)チャートが生成され、アプリケータ10によって患者組織に送達されたエネルギー量を計算するための式、例えばエネルギー定量化関数が、エネルギー送達チャートに少なくとも部分的に基づいて決定され、その詳細は、
図5および
図6に関連して以下で詳細に説明される。
【0066】
方法100は、任意のエネルギー送達手段(例えば、先端部16と流体または患者組織との間のプラズマアークを介したRFエネルギー送達、アプリケータ10の電極と流体または患者組織との直接接触を介したRFエネルギー送達、アプリケータ10の加熱要素と流体または患者組織との直接接触を介した熱エネルギー送達)を介して患者組織に送達されたエネルギー量を計算するための式、例えばエネルギー定量化関数を決定するために使用され得ることを理解されたい。
【0067】
一実施形態では、ステップ114で決定される式は、以下の通りである。
Y=AX+B(式1)(x≧10かつ≦100の場合) (1)
【0068】
上記の式1において、Yは、アプリケータ10によって患者組織に送達される1秒当たりのエネルギーに等しく、Xは、発電機電力設定(例えば、ESU50によってアプリケータ10に送達可能な最大電力のパーセンテージ)であり、AおよびBは、方法100のステップ114で構築されたエネルギー送達チャートに基づいて決定される定数である。定数AおよびBは、ESU50及びアプリケータ10の電気的特性に応じて変化することを理解されたい。したがって、ESU50が異なる電気的特性を有するアプリケータ10と共に使用される場合、ESU50のメモリ60が、ESU50と共に使用され得る異なるアプリケータ10の各々に関連付けられた定数AおよびBの異なる値を記憶してもよい。あるいは、各アプリケータのコネクタが、定数AおよびBを記憶し、アプリケーションがESU50に結合されると定数をコントローラ51に転送するメモリを含んでもよい。
【0069】
図3の方法の例示的な結果を
図5および
図6に示す。方法100のステップ104からステップ112の結果を
図5に示す。各発電機電力設定302に対して、例えば生理食塩水等の流体の測定された温度変化(ΔT)304が記録される。次いで、生理食塩水温度306を上昇させるために送達されるエネルギーが、以下の式を使用して各発電機電力設定302に対して計算される。
Es=ΔT×H×D×V (2)
ここで、ΔTは、測定された温度変化304であり、Hは、生理食塩水の熱容量(J/kg K)=4150であり、Dは、生理食塩水の密度(kg/L)=1.0046であり、Vは、生理食塩水の体積(mL)=30である。生理食塩水温度(ES)306を上昇させるために送達されたエネルギーの計算値は、次に、以下の式を使用して患者組織に送達される1秒当たりのエネルギー308を計算するために使用される。
Ep=Es/起動時間(3)
ここで、起動時間は、40秒である。次いで、
図6に示すように、患者組織に送達されたエネルギーEp308のデータが、使用される各発電機電力設定302に対してプロットされる。最良適合直線がデータに適用される。最良適合線の勾配=Aであり、最良適合線のy切片=Bである。
図5に示すデータでは、A=26.76、B=-2.1561である。決定された定数AおよびBを有する式1を使用して、組織に送達されたエネルギーEp308を、所与の発電機電力設定Xに対して決定することができる。
【0070】
本開示のエネルギー定量化関数またはエネルギー送達チャートを決定するときに、他の変数または因子を考慮してもよいことを理解されたい。一実施形態では、方法300は、様々な種類の不活性ガスを使用して実行することができ、次いで、ガスの種類ごとにエネルギー定量化関数を生成し、記憶することができる。別の実施形態では、方法300は、様々なガスの混合物を使用して実行することができ、次いで、ガスの各混合物に対してエネルギー定量化関数を生成し、記憶することができる。例えば、ガスの混合物の密度は、混合物の組成および各ガスの密度に基づいて決定することができる。次いで、ガスの混合物の密度を使用して、適切なエネルギー定量化関数またはエネルギー送達テーブルを選択することができる。ガス混合物の密度は、入力部21、セレクタ入力部46を介して選択されてもよく、または、ESU50、例えば適切なセンサを組み込んだフローコントローラ62によって自動的に決定されてもよいことを理解されたい。別の実施形態では、方法300は、所定のガスに対して様々な流量を使用して実行することができ、次いで、所定のガスの各流量に対してエネルギー定量化関数を生成し、記憶することができる。単一の変数または変数の様々な組み合わせを使用して、適切なエネルギー定量化関数またはエネルギー送達テーブルを生成及び選択することができることを理解されたい。例えば、ガスの種類および流量を選択すると、コントローラ51は、対応するエネルギー定量化関数またはエネルギー送達テーブルを選択することができる。別の例では、ガスの混合物および流量を選択すると、コントローラ51は、対応するエネルギー定量化関数またはエネルギー送達テーブルを選択することができる。
【0071】
一実施形態では、ESU50のコントローラまたはプロセッサ51は、ESU50に結合されたアプリケータ10の種類を決定し(例えば、インターフェース56を介して、または、アプリケータ10のメモリもしくはプロセッサと通信することによって自動的に受信されたユーザ入力に基づく)、式1の適切な定数A、Bを使用するように構成される。例えば、一実施形態では、A=26.76およびB=-2.1561である。この例では、発電機設定が最大電力の50%に設定されている場合、アプリケータ10は、起動中でESU50から電力を受け取っている間、Y=(26.76)×(0.50)-2.1561=11.22として決定されるように、毎秒11.22ジュールを患者組織に送達する。
【0072】
本開示の一実施形態では、センサ64は、電圧および電流の読み取りのためにRF出力段54の出力をサンプリングするように構成される。サンプリングされた電圧および/または電流は、コントローラ51に提供され、コントローラ51は、サンプリングされた電圧および電流に基づいて、RF出力段54によって出力され、アプリケータ10に提供される電力量を決定するように構成される。アプリケータ10に提供されている電力量を、コントローラ51が使用することで、電流発生器設定Xをリアルタイムで決定し、患者に送達されるエネルギーの、上述の式1を使用する計算精度を高めることができる。例えば、コントローラ51は、実際の電圧および電流の読み取り値に基づいて、アプリケータ10に送達されている電力量が、発電機に入力された電力設定とは異なること、すなわち、決定された電力は、55%で、入力された電力設定は、50%であると決定することができる。コントローラ51は、決定された電力パーセンテージを使用して、患者組織に送達されたエネルギーをより正確に決定することができる。
【0073】
別の実施形態では、センサ64からのサンプリングは、アプリケータ10によって患者組織に送達される電力量を計算するためにコントローラ51によって使用される。例えば、段54の出力のサンプリング(例えば、電圧および/または電流)ならびに任意の関連する計算および/または電気的特性(例えば、インピーダンス)を、コントローラ51によって試料流体の様々な温度にマッピングして(方法100に関して上述したように)、RF出力段54における計算された電力に基づいて、患者組織に送達されたエネルギーを決定することができる。その後、コントローラ51は、処置中に段54の出力をサンプリングするように構成され、そして、保存されたマッピングおよび段54の出力のサンプリングに基づいて、コントローラ51は、処置中にアプリケータ51によって患者組織に送達されたエネルギー量を決定するように構成される。例えば、ルックアップテーブルは、上記の以下の式に基づいて生成器にプログラムすることができる。
Y=AZ+B (4)
ここで、Yは、アプリケータ10によって患者組織に送達される1秒当たりのエネルギーに等しく、Zは、計算された出力電力であり、AおよびBは、方法100のステップ114で構築されたエネルギー送達チャートに基づいて決定される定数である。この例では、A=0.669およびB=-2.1561である(x≧4かつ≦40の場合)。コントローラ51は、出力段54をサンプリングし、電力出力(Z)を決定する。ルックアップテーブルでは、電力出力(Z)は、式に基づいて患者(Y)に送達されている電力に対応する。Y(J/s)および起動時間の量を知ることで。発電機は、患者に送達されたエネルギー量を決定することができる。
【0074】
本開示の一実施形態では、ステップ114で決定され、上述された式1は、ESU50のメモリ60に記憶され、電気外科処置中にコントローラ51によって実行されて、患者組織に印加されるエネルギー量を決定する。この実施形態では、コントローラ51は、少なくとも2つのデータを使用して、患者組織に送達されたエネルギーを計算またはカウントする:(1)発電機電力設定(すなわち、式1のX)、および、(2)その電力設定における起動時間の長さまたは持続時間。コントローラ51は、ESU50の現在の電力設定(例えば、センサ64からのデータを使用し、および/または、I/Oインターフェース56から受信したユーザ選択を追跡する)および現在の電力設定での起動時間を連続的に追跡して、患者組織に送達されたエネルギー量を決定またはカウントするように構成される。アプリケータ10をオンにして組織にプラズマを印加したり、オフにして組織へのプラズマの印加を中断したり、ESU50の電力設定が変更される場合、コントローラ51は、上述の式1を使用して患者組織に送達される電力量を連続的に計算またはカウントしていることを理解されたい。
【0075】
一実施形態では、コントローラ51は、アプリケータ10が実際に患者組織にエネルギーを印加し、周囲空気または患者組織ではない別の標的にはエネルギーを印加していないかどうかを決定するように構成することができる。この実施形態では、コントローラ51は、センサ64からのサンプリング、例えば電圧よび電流の読み取り値またはサンプルを使用して、RF出力段54の出力におけるインピーダンスまたはインピーダンスの変化を決定する。インピーダンスまたはインピーダンスの変化に基づいて、コントローラ51は、アプリケータ10によって出力されたエネルギーが患者組織に印加されているかどうかを決定するように構成される。例えば、コントローラ51は、インピーダンスが所定のレベルまたは所定の値以上である場合、エネルギーが患者組織に印加されていると決定してもよい。別の例として、コントローラ51は、インピーダンスが所定のレベルまたは所定の値だけ変化した場合、エネルギーが患者組織に印加されていると決定してもよい。いずれの場合でも、コントローラ51は、式1のみを使用して、患者組織に印加されたエネルギーをカウントするように構成され、コントローラ51は、エネルギーがアプリケータ10によって患者組織に印加され、周囲または患者組織以外の標的には印加されていないことを決定する。
【0076】
一実施形態では、コントローラ51によって計算された患者組織に送達されたエネルギーは、コントローラ51によってジュール単位で表示するために、I/Oインターフェース56を介してESU50のディスプレイに出力され、例えばタッチスクリーン21に表示される。入力/出力部21は、ジュール/秒単位の送達されている瞬時エネルギー、ジュール単位の送達されたエネルギーの累積カウント、または、その両方を同時に表示し得ることを理解されたい。I/Oインターフェース56は、ユーザ入力を受信して(例えば、ESU50の1つまたは複数のボタン22、タッチスクリーン21等を介して)、ユーザがコントローラ51のエネルギーカウンタをゼロに設定することを可能にし、またエネルギー終点を設定するように構成される。
【0077】
図4を参照すると、本開示の一実施形態による、アプリケータ10によって患者組織に送達されたエネルギー量をカウントするための方法200が示されている。ステップ202において、I/Oインターフェース56によって受信されたユーザ入力を介して、エネルギー終点が設定される。エネルギー終点は、処置の種類、例えば組織タイトニング、および/または、特定の解剖学的位置のための処置の種類、例えば頬の皮膚のリサーフェシングを選択することによって間接的に選択され得ることを理解されたい。任意選択的に、ユーザ入力は、処置が開始される前、または、新しい解剖学的位置の治療を開始する前に、エネルギーまたはジュールカウンタを0にリセットしてもよい。ステップ203において、発電機電力設定が選択される。発電機電力設定は、発電機のオペレータによって手動で選択されてもよく、または、選択された種類の処置に基づいて自動的に選択されてもよいことを理解されたい。
【0078】
ステップ204において、アプリケータ10を使用して、患者組織にプラズマ(または別の種類の)エネルギーを印加する。ステップ206において、コントローラ51は、選択された発電機電力設定に基づいて、アプリケータ10によって患者組織に送達されたエネルギー量を監視および計算するように構成される。一実施形態では、患者組織に送達されたエネルギーの累積量は、入力/出力部21を介して表示され、アプリケータ10が起動している間、処置全体を通して常に更新される。別の実施形態では、入力/出力部21は、送達されている瞬時エネルギーをジュール/秒単位で表示するとともに、送達されたエネルギーの累積カウントをジュール単位で表示してもよい。ステップ206において、送達されたエネルギーの累積量がエネルギー終点と比較され、エネルギー終点に到達した場合、コントローラ51は、エネルギー終点に到達したことをユーザに(例えば、可聴アラーム58をトリガすることによって、入力/出力部21に送達されたジュールの総量を表示することによって、ESU50のディスプレイ上の点滅インジケータをトリガすることによって、および/または、通信モジュールを介して別の装置もしくは外部装置に通知を送信することによって)通知し、それにより、ユーザは、患者組織へのプラズマの印加を停止する。いくつかの実施形態では、コントローラ51がエネルギー終点に到達したと決定すると、コントローラ51は、追加のプラズマエネルギーを患者組織に提供することができないように、電源52にアプリケータ10への電力の供給を自動的に停止させる。
【0079】
上述の式1および方法200は、電気外科的またはその他の任意の種類の処置で使用することができ、エネルギーは、例えば、プラズマを介して患者組織に送達される、アプリケータ10の電極と患者組織との直接接触を介したRFエネルギー、および/または、アプリケータ10の加熱要素と患者組織との直接接触を介した熱エネルギーであることを理解されたい。式1および方法200を使用して患者組織に送達されたエネルギーを計算することができるいくつかの処置は、組織のタイトニングおよびしわの軽減処置を含むことができるが、これらに限定されない。
【0080】
一実施形態では、アプリケータ10によって患者組織に送達されたエネルギー量を決定するためのコントローラ51の能力は、身体部分の所与の領域に対して実行される所与の処置に印加される必要がある印加エネルギーの最適量を決定するために使用される。さらに、様々な処置に対して最適なエネルギーが決定されると、各処置のエネルギーをESU50のメモリ60に記憶することができる。エネルギー/処置が記憶されると、ユーザは、I/Oインターフェース56を介してコントローラ51に選択を送信するI/O部21を介して、記憶した処置を選択することができ、そして、コントローラ51は、選択された処置に必要な対応するエネルギーを検索し、メモリ60から検索されたエネルギーをエネルギー終点として使用して上述の方法200を実行する。このようにして、所与の処置が行われるたびに、最適量のエネルギーが患者組織に送達され、したがって一貫した結果が保証される。選択された処置のための発電機電力設定は、オペレータによって手動で入力されてもよく、あるいは、発電機電力設定は、所与の処置のためのエネルギー終点と共に記憶されてもよいことを理解されたい。
【0081】
図7を参照すると、異なる身体領域の一貫した治療を保証するための方法700が提供される。ステップ702において、患者の所与のまたは所定の初期治療領域が、患者組織に電気外科エネルギーを印加することによって治療される。処置中、所定の初期治療領域に送達された、例えばジュール単位のエネルギー量が、上述のようにステップ704において決定される。ステップ706において、治療が完了したかどうかが決定される。ステップ706において治療処置が完了していない場合、方法は、ステップ702に戻ってもよく、電気外科エネルギーを初期治療領域に印加し続けることができる。そうではなく、処置が完了した場合、発電機またはコントローラ51は、ステップ708において、送達されたエネルギー量を、反対側の治療領域の設定点またはエネルギー終点として使用するために、初期治療領域に送達されたエネルギー量をメモリ60に記憶または記録することができる。ステップ710において、患者の反対側の治療領域は、身体の両側で一貫した(バランスのとれた)治療を確実に行うために、初期治療領域に印加されるのと同じ量のエネルギーを使用して治療される。
【0082】
一例として、ユーザは、アプリケータ10およびESU50を使用して組織のタイトニング処置を実行して、患者の各腕部の下の皮膚の弛緩を軽減することができる。患者の両腕の均一な治療を確実に行うために、ユーザは、コントローラ51によって計算された患者の右腕に送達されたエネルギー量を観察し、送達されたエネルギーを記録してもよい。あるいは、コントローラ51は、送達されたエネルギー量をメモリ60に記憶してもよく、送達されたエネルギー量は、処置/治療の種類および/または患者の特定の領域に関連付けられてもよく、反対側の領域のためのエネルギー設定点としてさらに記憶されてもよい。次いで、ユーザは、左腕に対して組織タイトニング処置を実行する前に、I/Oインターフェース56へのユーザ入力を介して、右腕に印加された、記録または記憶したエネルギーをエネルギー終点として設定することができる。ユーザはまた、I/Oインターフェース56を介して反対側の領域について記憶したエネルギー終点を選択し得ることを理解されたい。このようにして、コントローラ51は、上述した方法200を実行し、設定されたエネルギー終点を超えることなく、右腕に印加されたのと同じ量のエネルギーが左腕に確実に印加されるようにする。エネルギー終点は、メモリ60に記憶され、将来の腕部の皮膚タイトニング処置で使用されてもよい。
【0083】
別の例として、ユーザは、アプリケータ10およびESU50を使用して皮膚リサーフェシング処置を実行して、顔のしわを低減することができる。ユーザは、リサーフェシング処置中にアプリケータ10によって右頬に印加されたエネルギー量を記録してもよい(コントローラ51の計算を観察することによって)。あるいは、コントローラ51は、送達されたエネルギー量をメモリ60に記憶してもよく、送達されたエネルギー量は、処置/治療の種類および/または患者の特定の領域に関連付けられてもよく、反対側の領域、すなわち左頬のためのエネルギー設定点としてさらに記憶されてもよい。次いで、ユーザは、左頬にリサーフェシング処置を実行する前に、記録したエネルギーをエネルギー終点として設定することができる。ユーザはまた、I/Oインターフェース56、例えばタッチスクリーン21を介して、反対側の治療領域、すなわち左頬のために記憶したエネルギー終点を選択することができることを理解されたい。皮膚リサーフェシング処置が左頬に対して実行されると、コントローラ51は、上述の方法200を実行し、設定されたエネルギー終点を超えることなく、右頬に印加されたのと同じ量のエネルギーが左頬に確実に印加されるようにする。エネルギー終点は、メモリ60に記憶され、将来の皮膚リサーフェシング処置で使用されてもよい。
【0084】
様々な処置からのデータが収集されてメモリ60に記憶されると、メモリ60は、様々な身体領域において様々な処置(例えば、皮膚タイトニング処置)を実行するために必要なエネルギー量に関するデータを含むことになる。このデータをコントローラ51で使用して、身体領域の過剰治療または過少治療を防止することができる。例えば、身体の1つの領域(例えば、腹部四分円)に10Jのエネルギーを印加すべきであると決定された場合、ユーザは、I/Oインターフェース56への入力を介して身体の領域を選択することができ、必要なエネルギー(すなわち、10J)は、メモリ60から検索され、エネルギー設定点としてコントローラ51によって使用されて、処置中に10J以下が患者組織に確実に送達されるようにする。
【0085】
様々な処置を実行するためのデータは、いくつかの方法で収集され得ることを理解されたい。一実施形態では、データは、ESU50およびアプリケータ10を使用して実行される各処置についてコントローラ51によって収集され、メモリ60に記憶される。各ESU50によって累積または収集されたデータは、手動(例えば、ユーザがユニバーサルシリアルバス(USB)または他の種類の装置等の装置を接続し、データを抽出することによって)または自動(例えば、コントローラ51が通信モジュール66を介してサーバ等の外部装置にデータを送信またはプッシュする場合)のいずれかで抽出され、サーバに提供されてもよい。処置のためのデータはまた、ユーザがデータをサーバにアップロードするデータレジストリを介してサーバによって収集および記憶されてもよい。データは、臨床試験の所見から生成されてもよく、または、データは、様々な施設で医師もしくは他の専門家によって行われる処置から生成されてもよい。いずれの場合も、サーバ上のデータは、処置で使用される通信モジュール66を介して、各ESU50が使用するためにアクセス可能であってもよい。サーバ上のデータを分析して、サーバ上の総データセットよりも小さい最適なデータセットを決定してもよい。最適なデータセットは、メモリ60に記憶され、データに従って処置を実行するためにコントローラ51によって使用されてもよい。
【0086】
図示および説明された様々な特徴は、互換的であり、すなわち、一実施形態に示された特徴は、別の実施形態に組み込まれ得ることを理解されたい。
【0087】
本開示は、その特定の好ましい実施形態を参照して図示および説明されてきたが、添付の特許請求の範囲によって定義される本開示の精神および範囲から逸脱することなく、形態及び詳細の様々な変更を行うことができることが当業者には理解されよう。
【0088】
さらに、上記の本文は多数の実施形態の詳細な説明を記載しているが、本発明の法的範囲は、本特許の最後に記載された特許請求の範囲の文言によって定義されることを理解されたい。すべての可能な実施形態を説明することは不可能ではないにしても実際的ではないため、詳細な説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、すべての可能な実施形態を説明するものではない。現在の技術又は本特許の出願日後に開発された技術のいずれかを使用して、多数の代替実施形態を実施することができ、これらは依然として特許請求の範囲内に含まれる。
【0089】
また、本特許においてある用語が、「本明細書で使用される場合、「______」という用語は、・・・を意味するように本明細書で定義される。」という文または同様の文を使用して明示的に定義されていない限り、その用語の意味を、明示的または黙示的にかかわらず、その平易あたは通常の意味を超えて限定する意図はなく、そのような用語は、本特許の任意のセクションでなされた任意の記述(特許請求の範囲の文言を除く)に基づいて範囲が限定されると解釈されるべきではないことも理解されたい。本特許の最後の特許請求の範囲に記載されている任意の用語が単一の意味と一致する方法で本特許において言及される限りにおいて、その言及は、読者を混乱させないように明確にするためにのみ行われ、そのような特許請求の範囲の用語が、暗示または他の方法で、その単一の意味に限定されることは意図されていない。最後に、請求項要素が任意の構造を記載することなく、「手段」という単語及び機能を記載することによって定義されない限り、請求項要素の範囲は、米国特許法第112条第6項の適用に基づいて解釈されることを意図しない。
【国際調査報告】