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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-01
(54)【発明の名称】溶融鉛スクラップ浸漬装置
(51)【国際特許分類】
   B09B 3/40 20220101AFI20230125BHJP
   C22B 13/02 20060101ALI20230125BHJP
   C22B 7/00 20060101ALI20230125BHJP
   B09B 101/16 20220101ALN20230125BHJP
【FI】
B09B3/40 ZAB
C22B13/02
C22B7/00 C
B09B101:16
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022534794
(86)(22)【出願日】2020-12-09
(85)【翻訳文提出日】2022-07-21
(86)【国際出願番号】 US2020063942
(87)【国際公開番号】W WO2021119085
(87)【国際公開日】2021-06-17
(31)【優先権主張番号】62/945,736
(32)【優先日】2019-12-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515257689
【氏名又は名称】パイロテック インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】ホースフォール アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】ジェッテン ピーター
【テーマコード(参考)】
4D004
4K001
【Fターム(参考)】
4D004AA23
4D004BA05
4D004CA12
4D004CA29
4D004CB03
4D004DA03
4D004DA06
4K001AA20
4K001BA22
4K001CA01
4K001EA05
4K001GA13
4K001GA19
(57)【要約】
鉛スクラップ片を溶融するためのシステム。システムは、容器を含む。容器内に渦室が配置される。渦室は、入口と、出口と、鉛片を受け入れるように構成された開放頂部とを含む。容器内にポンプが配置され、溶融鉛を渦室の入口に導く。ドロスダムは、容器を第1の領域と第2の領域とに分割する。渦室は第2の領域に配置され、渦室出口と第1の領域との間に導管が延在している。移送ポンプは、第2の領域に配置され、容器から溶融鉛を取り出すように構成される。このシステムにより、第1領域において溶融鉛浴の表面からドロスを取り除くことができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
渦室を画定する容器を備える鉛片を再利用するためのシステムであって、
前記渦室は、入口と、出口と、鉛片を受け入れるように構成された開放頂部とを含み、
循環ポンプが、前記渦室の入口に溶融鉛を供給するために前記容器内に配置され、
ドロスダムが、前記容器を第1の領域と第2の領域とに分割し、
導管が、前記渦室の出口と前記第1の領域との間に延在し、
移送ポンプが、前記第2の領域に配置され、前記容器から溶融鉛を取り出すように構成される、
システム。
【請求項2】
前記容器、前記ドロスダム及び前記渦室は、鋼で構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記導管は、分散板をさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記容器を覆う蓋をさらに備え、前記蓋は、前記渦室を覆う開口部と、前記移送ポンプを懸架するための構造とを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記ドロスダムは、前記容器内の溶融鉛浴の表面上方から前記容器の底部上方まで延在する、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記渦室は、放射状傾斜路を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記渦室は、前記循環ポンプを搭載するフレーム部材を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記フレーム部材は、前記循環ポンプの出口と前記渦室の入口との間で流体連通するパイプを含む、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
鉛片を再利用するためのシステムであって、
溶融鉛の浴を収容するように構成された容器を備え、前記容器は、渦室と、ドロス室と、主浴領域とに分割され、前記渦室は、入口と、出口と、鉛片を受け入れるように構成された開放頂部とを含み、
前記主浴領域に配置され、前記渦室の前記入口に溶融鉛を供給するように位置する第1のポンプと、
前記ドロス室を前記主浴領域から分離するドロスダムと、
前記渦室の出口と前記ドロス室との間に延在する導管と、
前記容器から溶融鉛を取り出すように前記主浴領域に配置された第2のポンプと、を備える、
システム。
【請求項10】
前記容器が円筒形である、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記容器は、少なくとも1つのヒータを含む、請求項9に記載のシステム。
【請求項12】
前記ドロス室の容積は、前記主浴領域の容積よりも小さい、請求項9に記載のシステム。
【請求項13】
前記導管は、前記ドロス室内の出口端部に分散板を含む、請求項9に記載のシステム。
【請求項14】
前記第1のポンプと前記渦室とをパイプで接続し、前記パイプは前記渦室と接線又は角度付きの割線で交差する、請求項9に記載のシステム。
【請求項15】
前記渦室へのアクセスを容易にする開口と、前記ドロス室へのアクセスを容易にする開口とを有する蓋をさらに含む、請求項9に記載のシステム。
【請求項16】
鉛を再利用するための方法であって、
浴領域、渦領域及びドロス除去領域を含む容器の提供と;
前記容器への溶融鉛の導入と;
前記渦領域への前記溶融鉛の流れの導入と;
前記渦領域の前記溶融鉛への固体の鉛片の導入と;
前記溶融鉛の一部を前記渦領域から前記ドロス除去領域へ導き、浮遊ドロスを取り除くことと;
前記ドロス除去領域から前記浴領域に溶融鉛を流し、前記浴領域から溶融鉛を取り出して下流処理を行うことと、を備える、
方法。
【請求項17】
前記鉛片が、再利用の鉛蓄電池に由来する、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記鉛片が、鉛成分製造のスクラップ残物に由来する、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記容器が327.5℃~600℃に維持される、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
ダムが前記ドロス除去領域を前記浴領域から分離し、溶融鉛が前記ダムの下を流れる、請求項16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、参照により本明細書に組み込まれている、2019年12月9日に出願された米国仮出願第62/945,736号の利益を主張する。
【0002】
<背景>
背景説明には、本発明を理解する上で有用と思われる情報が含まれている。本明細書に提供される情報のいずれかが先行技術であること、又は現在クレームされている発明に関連があること、又は具体的に若しくは暗黙的に参照される刊行物が先行技術であることを認めるものではない。
【0003】
本例示的実施形態は、鉛を再利用(リサイクル、recycling)するための方法及びシステムに関する。本例示的実施形態は、酸性鉛電池の鉛成分を溶融し、他の電池成分からの分離を達成することに関連した特定の用途を見出すものであり、これに特に関連して説明する。しかしながら、本例示的実施形態は、他の同様の用途にも適用可能であることを理解されたい。
【0004】
鉛蓄電池(LAB)は、現在使用されている電池の中で最大の種類である。これらは、自動車エンジンの始動、データセンターの緊急バックアップ電源の提供、並びにフォークリフトトラックやゴルフカートなどの産業用車両及びレクリエーション用車両への電力供給など、様々な用途に不可欠なものである。他の電池とは異なり、LABは略100%再利用されている。この特徴により、鉛は主要な再利用商品として確立された。LABの生産量は世界的に年々増加しているが、鉛を多く含む鉱床の枯渇に伴い、鉱石から新たに鉛を生産することは困難になってきている。当然のことながら、鉛の再利用のための、新しくより効率的な方法が早急に必要とされている。
【0005】
使用済み電池から鉛を回収することは、原材料の供給源として、また有害廃棄物の処理問題の観点からも、経済的に非常に重要である。長年にわたり、電池のリサイクル工場は電池を分解し、酸を除去し、残りの材料を粉砕して小さくしてきた。破砕と粉砕により、グリッドからペースト部分の大部分が分離され、電池のプラスチック部品が破砕された。一連の湿式製錬法において、ペーストは電池の金属鉛部分とプラスチック部分とに分離された。電池の他の非再利用プラスチック、ガラス及び無機成分とともに、塩化物を含むプラスチックの大部分は、ペースト及び金属から分離された。
【0006】
使用済み電池から鉛を回収する標準的な方法は、電池の鉛を有する部分を、標準的な高温冶金法を用いて反射炉、回転炉、高炉又は電気炉で溶解することを含む。通常は、セルを細かく切断し、金属が液化するまで加熱する。非金属物質を燃焼させると、その表面に黒いスラグが残り、スラグアームで除去される。
【0007】
種々の鉛含有製品を製造する際に、鉛のスクラップ材が得られることにも留意されたい。例えば、鉛蓄電池の製造では、鉛は固体シート状に形成され、そのシートから部品が切断されるか、パンチされる。この工程により、シートの残物が生成される。このような残物は、本明細書ではランアラウンドスクラップ(run-around scrap)と呼ばれる。このランアラウンドスクラップは、通常はオンケミストリー(on-chemistry)であるため(すなわち、スクラップ片の合金組成は浴(バス、bath)の合金組成と一致する)、溶融鉛の浴への充填材料として効率的に使用することができる。
【0008】
1トンの電池を再利用するためのフラットコストは1,000ドル~2,000ドルである。欧州の各事業体は、1トン当たりのコストを300ドルにすることを目指している。これには輸送費が含まれるのが理想だが、商品の移動や取り扱いによって全体のコストが倍増することが予想される。輸送を容易にするため、欧州の各事業体は地理的に有利な場所に小規模な加工工場を設置している。これは、バーゼル条約で使用済み鉛蓄電池の輸出が全面的に禁止されていることが一因である。廃棄される電池の量が増えるにつれて、機関や政府の支援を受けずに採算の取れるリサイクルを行うための新しい技術が開発されている。
【0009】
本開示は、細かく切断された鉛片を処理するための改良されたシステム及び方法を提供し、清浄な溶融鉛が得られる製錬方法の効率を改善するものである。さらに、このレクラメーション製錬方法は、オンケミストリーランアラウンドスクラップの溶融に使用することができる。
【発明の概要】
【0010】
本開示の様々な詳細を以下に要約して、基本的理解を提供する。本要約は、本開示の広範な概要を示すものではなく、本開示の特定の要素を特定したり、その範囲を明確にしたりすることを意図するものではない。むしろ、本要約の主な目的は、以下に示すより詳細な説明の前に、本開示のいくつかの概念を簡略化した形で示すことである。
【0011】
一つの例示的実施形態によれば、鉛スクラップを再利用するためのシステムが提供される。システムは、渦室(ボルテックスチャンバ、vortexing chamber)を画定する容器(vessel)を含む。渦室は、入口と、出口と、鉛片を受け入れるように構成された開放頂部とを含む。容器内にポンプが配置され、溶融鉛を渦室の入口に導く。ドロスダムは、容器を第1の領域と第2の領域とに分割する。渦室は第2の領域に配置され、渦室の出口と第1の領域との間に導管が延在している。移送ポンプは第2の領域に配置され、容器から溶融鉛を取り出すように構成される。
【0012】
別の実施形態によれば、鉛片を再利用するためのシステムが提供される。システムは、溶融鉛の浴を収容するように構成された容器を含む。容器は渦室、ドロス室及び主浴領域に分けられる。渦室は、入口と、出口と、鉛片を受け入れるように構成された開放頂部とを有する。主浴領域に第1のポンプが配置され、当該第1のポンプは渦室の入口に溶融鉛を供給するように位置する。ドロスダムは、ドロス室を主浴領域から分離する。導管は、渦室の出口とドロス室との間に延在している。第2のポンプは、容器から溶融鉛を取り出すために主浴領域に配置される。
【0013】
さらなる実施形態によれば、鉛を再利用するための方法が提供される。当該方法は、浴領域、渦領域(vortexing region)、及びドロス除去領域を含む容器を提供することを含む。溶融鉛が容器に導入される。溶融鉛の流れが渦領域に導入される。固体鉛片が渦領域の溶融鉛に導入される。溶融鉛の一部は渦領域からドロス除去領域に導かれ、浮遊ドロスが除去される。清浄な溶融鉛は、ドロス除去領域から浴領域へと流れ、浴領域から下流処理へと移される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
以下に、図面の簡単な説明を示すが、これらの図面は、本明細書に開示された例示的実施形態を説明する目的で提示されるものであり、これを限定するものではない。
図1図1は、鉛スクラップリサイクルチャンバ(再利用チャンバ、recycling chamber)の平面図である。
図2図2は、図1の鉛スクラップリサイクルチャンバの平面図であり、蓋が係合されている。
図3図3は、鉛スクラップリサイクルチャンバを部分的にファントム(phantom)で示す斜視図である。
図4図4は、スクラップリサイクルチャンバの渦室の斜視図である。
図5図5は、排出導管の分散板の側面図である。
【0015】
<詳細な説明>
本明細書に開示された構成要素、方法及び装置のより完全な理解は、添付図面を参照することによって得ることができる。これらの図は、便宜上、本開示を容易に示すために模式的に表したものに過ぎず、したがって、装置又はその構成要素の相対的なサイズ及び寸法を示すこと、及び/又は例示的実施形態の範囲を定義又は制限することは意図していない。
【0016】
以下の説明では、分かりやすくするために特定の用語が使用されているが、これらの用語は、図面での説明のために選択された実施形態の特定の構造のみを指すことを意図しており、開示の範囲を定義又は制限することを意図していない。図面及び以下の説明において、同様の数値表記は、同様の機能を有する構成要素を指すものと理解されたい。
【0017】
単数形の「a」、「an」、及び「the」は、文脈上明らかにそうでない場合を除き、複数形の参照語を含む。
【0018】
本明細書中で使用される用語「約」、「一般的」及び「実質的」は、当該用語によって修飾される要素又は数値の目的に有意に影響しない構造的又は数値的修飾を包含することを意図している。
【0019】
明細書及び特許請求の範囲において使用されるように、用語「含む、備える(comprising)」は、実施形態の「からなる(consisting of)」及び「本質的になる(consisting essentially of)」を含んでもよい。本明細書で使用される用語「含む、備える(comprise(s))」、「含む(include(s))」、「有する(having)」、「有する(has)」、「可能な(can)」、「含む(contain(s))」及びそれらの変形は、指定された成分/ステップの存在を必要とし、他の成分/ステップの存在を可能にするオープンエンドの移行句、用語又は単語であることが意図される。しかしながら、そのような記載は、組成物又は方法を列挙された成分/ステップ「からなる(consisting of)」及び「本質的になる(consisting essentially of)」として記載していると解釈されるべきであり、これは、記載された成分/ステップのみが、それから生じる可能性のある不純物と共に存在することができ、他の成分/ステップは除外されることを許容するものである。
【0020】
本開示は、鉛蓄電池から得られるタイプの鉛スクラップ材料の再利用に適したシステムに関するものである。鉛電池の再利用において、鉛は、粉砕、細かい切断及び分離によって、完成した電池を形成するプラスチック、酸及び他の材料から分離される。しかし、多少の成分の混入や鉛成分の汚染を避けることは不可能である。そのため、通常は鉛成分を溶融し、純度の高い鉛から汚染物質を分離している。鉛スクラップ片の大部分は、典型的な酸性鉛電池に使用される鉛の形状であるため、薄肉である。薄肉の鉛スクラップ片は溶融金属上に浮遊しているために溶融鉛への急速な浸漬が大きく妨げられ、薄肉の鉛スクラップ片の溶融は困難である。
【0021】
本開示は、鉛スクラップ片が供給され、溶融鉛の表面から浮遊ドロスを取り除く溶融装置を提供する。
【0022】
図1図3を参照すると、円筒形の鉛のリサイクルチャンバ10が示されている。リサイクルチャンバ10は、炉として機能する。さらに、チャンバ10(chamber 10)は、チャンバ壁の加熱とその中の鉛の溶融を可能にするために、1又は複数の電気ヒータ又はガスヒータ11を備えることができる。鉛のスターター量(starter volume)は、固体の形態で炉に導入して炉内で溶融することも、溶融状態で導入して液体として維持することも可能である。
【0023】
リサイクルチャンバ10は、開放頂部、有底の容器である。容器は、溶融鉛に対して耐性があり、約350℃までの温度に耐えることができるものであれば、鋼のような任意の材料で構成することができる。
【0024】
容器は、チャンバ10内に収容された浴から、導管13を介して、再利用される鉛のスクラップチップが溶融物の表面に堆積されるスクラップ浸漬室14内に溶融鉛を導く機械的循環ポンプ12を含むことができる。
【0025】
循環ポンプ12は、米国特許第5,470,201号明細書に記載されたタイプのものとすることができ、その開示は参照により本明細書に組み込まれる。ただし、溶融鉛環境はポンプが設計された溶融アルミニウム環境よりも著しく低い温度であるため、特許を取得した循環ポンプは部分的に又は完全に鋼又は他の金属で構成することができることに留意されたい。
【0026】
スクラップ浸漬室14は、鋼等の金属で構成することができる。スクラップ浸漬室14からの溶融鉛は、導管20を通ってドロスウェル16に流入し、ドロスの形態の不純物が表面から取り除かれる。
【0027】
ドロスウェル16は、チャンバ10の壁面上の離間した2点の間に延在するドロスダム18によって形成することができる。ドロスダム18は鋼で構成することができる。
【0028】
典型的には、ドロスウェルを構成する容器の断面は、清浄な溶融鉛浴を構成する容器の断面よりも小さい。ドロスダム18は、容器10(vessel 10)の上端から少なくとも容器の床の少し上まで延在することができる。また、容器の床とドロスダム18の底縁との間には、チャンバの高さの10~30%又は15~25%のスペースが設けられている。
【0029】
このスペースは2つの機能を有しており、1)排出導管20がスクラップ浸漬室14からの溶融鉛をドロスウェル16に導くことを可能にし、2)ドロスより重い「清浄な」溶融鉛を容器の床に沈め、溶融鉛の主浴に流入させることを可能にする。
【0030】
循環ポンプ12は、容器10内の溶融鉛浴内に位置し、溶融鉛をスクラップ浸漬室14内に押し込む。より詳細には、インペラの回転により、溶融鉛を浴からポンプ内に引き込み、導管13を通してスクラップ浸漬室14内に押し込む。
【0031】
図4に示すように、循環ポンプ12は、スクラップ浸漬室14と一体の構成要素であるフレーム21上に搭載することができる。導管13はまた、循環ポンプ12の設置/交換を容易にし、その適切な位置合わせを確実にするために、フレーム21と一体の構成要素とすることもできる。本明細書で使用する用語「一体の」は、構成要素が、例えば溶接によって物理的に接続されていることを意味する。
【0032】
引き続き図1図3を参照すると、傾斜路(ランプ、ramp)24をスクラップ浸漬室14内に設けることができ、これにより、導管13を通って汲み上げられた溶融金属は傾斜路を上昇し、内縁を越えてこぼれ、出口26を通って排出導管20内に出る。傾斜路24の前縁は、スクラップ浸漬室14への入口に隣り合うように位置し得る。チャンバの入口は、側壁又は基部壁に位置し得る。チャンバは、チャンバ基部壁内において出口26を画定する内部柱25を含むことができる。内部柱は、傾斜路24の高さの上昇と一致するように高さを増加させることができる。概して、チャンバの内部形態は、底部又は低い側壁の入口と、内部柱と側壁との間に傾斜路が形成されている底部の出口とがあると説明することができる。傾斜路は、チャンバの外周の0~180°、又は270°、又は360°まで延在してもよい。
【0033】
排出導管20の出口28は、流れを半径方向に向けるための分散板29を含むことができる。さらに、分散板は、導管の出口から間隔を空けて、排出導管20から出るときの溶融鉛の主な流れの方向に対して垂直に配置することができる。分散板は、排出導管からの流れによって引き起こされる表面乱流を最小化するのに役立つ。
【0034】
容器10の主浴内には、移送ポンプ30が設けられている。移送ポンプは、米国特許第4,940,384号、5,947,705号、9,506,346号又は10,843,258号に記載されているタイプのものとすることができ、これらの開示は参照により本明細書に組み込まれる。移送ポンプ30は、業界で一般的に行われるような使用のために、容器から清浄な溶融鉛を取り出すために使用される。システムの他の構成要素と同様に、移送ポンプは、鋼、耐火物、又はそれらの組み合わせで構成することができる。
【0035】
当業者には認識されるように、再利用される鉛チップは、スクラップ浸漬室14内の溶融物の表面に堆積される。鉛スクラップ片を蓋35の開口部を通してスクラップ浸漬室内の溶融物上に導入することを容易にするために、スクラップ供給シュート32をシステムの要素として設けてもよい。渦室内の溶融鉛の渦は、鉛スクラップ片を溶融鉛浴の表面下に引き込む際に効率的に機能する折畳み流れ(フォールディングフロー、folding flow)を形成するため、溶融が迅速に行われる。
【0036】
蓋35は、安全性を提供し、溶融鉛浴中の熱を保持する。蓋35は、ポンプ部品の高さを収容するために容器10の上方に適切な間隔を提供するための側壁部分37を含むことができる。
【0037】
蓋35は、他のシステム構成要素(例えば、循環ポンプ12のモータマウント39)と組み合わせて、その中に収容された溶融鉛浴に関して、少なくともシステムを大気に対して実質的に閉鎖するように機能することができる。
【0038】
スクラップ浸漬室14の上方に開口部41を設け、そこに鉛チップを供給できるようにすることができる。側壁37に開口部43を設けて、ドロスウェル16へのアクセスを可能にし、その表面からドロスを取り除くことができるようにすることができる。
【0039】
本例示的実施形態について、好ましい実施形態を参照して説明した。当然のことながら、上記の詳細な説明を読み理解することによって、他の修正及び変更が生じるであろう。本例示的実施形態は、添付の特許請求の範囲又はその等価物の範囲内にある限り、全てのそのような修正及び変更を含むものとして解釈されることが意図される。
【0040】
本出願及びその結果として生じる特許の、特許庁及び任意の読者が本出願に添付されたクレームを解釈するのを助けるために、出願人は、「means for」又は「step for」という単語が特定のクレームにおいて明示的に使用されていない限り、添付クレーム又はクレームの構成要素の何れも35U.S.C.第112条(f)を適用する意図はない。
図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2022-08-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
渦室を画定する容器を備える鉛片を再利用するためのシステムであって、
前記渦室は、入口と、出口と、鉛片を受け入れるように構成された開放頂部とを含み、
循環ポンプが、前記渦室の入口に溶融鉛を供給するために前記容器内に配置され、
ドロスダムが、前記容器を第1の領域と第2の領域とに分割し、
導管が、前記渦室の出口と前記第1の領域との間に延在し、
移送ポンプが、前記第2の領域に配置され、前記容器から溶融鉛を取り出すように構成される、
システム。
【請求項2】
前記容器、前記ドロスダム及び前記渦室は、鋼で構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記導管は、分散板をさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記容器を覆う蓋をさらに備え、前記蓋は、前記渦室を覆う開口部と、前記移送ポンプを懸架するための構造とを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記ドロスダムは、前記容器内の溶融鉛浴の表面上方から前記容器の底部上方まで延在する、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記渦室は、前記循環ポンプを搭載するフレーム部材を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記フレーム部材は、前記循環ポンプの出口と前記渦室の入口との間で流体連通するパイプを含む、請求項に記載のシステム。
【請求項8】
前記容器が円筒形である、請求項に記載のシステム。
【請求項9】
前記循環ポンプと前記渦室とをパイプで接続し、前記パイプは前記渦室と接線又は角度付きの割線で交差する、請求項に記載のシステム。
【請求項10】
鉛を再利用するための方法であって、
浴領域、渦領域及びドロス除去領域を含む容器の提供と;
前記容器への溶融鉛の導入と;
前記渦領域への前記溶融鉛の流れの導入と;
前記渦領域の前記溶融鉛への固体の鉛片の導入と;
前記溶融鉛の一部を前記渦領域から前記ドロス除去領域へ導き、浮遊ドロスを取り除くことと;
前記ドロス除去領域から前記浴領域に溶融鉛を流し、前記浴領域から溶融鉛を取り出して下流処理を行うことと、を備える、
方法。
【国際調査報告】