(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-01
(54)【発明の名称】カップアライメントシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
A61B 34/20 20160101AFI20230125BHJP
A61B 17/88 20060101ALI20230125BHJP
【FI】
A61B34/20
A61B17/88
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022534798
(86)(22)【出願日】2020-12-08
(85)【翻訳文提出日】2022-08-05
(86)【国際出願番号】 US2020063785
(87)【国際公開番号】W WO2021119001
(87)【国際公開日】2021-06-17
(32)【優先日】2019-12-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514284545
【氏名又は名称】オースアライン・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ラファエル・シエラ
(72)【発明者】
【氏名】オリアン・ボーツ
(72)【発明者】
【氏名】スティーヴン・デビンセンティス
(72)【発明者】
【氏名】ジェームズ・ガンノエ
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160LL26
4C160LL33
4C160LL70
(57)【要約】
システムが、外科計画のために、手術前の骨盤の可動性などの可動性を測定するためのモジュールを備え得る。モジュールは、患者の生体構造に対して位置決めされるように構成され得る1つまたは複数の慣性センサを備え得る。股関節誘導システムが、患者の手術前の骨盤の可動性に一部で基づいて、寛骨臼カップを患者特有の目標角度へと案内することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の生体構造に対して位置決めされるように構成された、1つまたは複数の慣性センサを備えているモジュールであって、外科計画のための可動性を測定するように構成されたモジュールを備えている、システム。
【請求項2】
前記モジュールは、患者の皮膚に物体を付着させるように構成される生体適合性接着剤を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記モジュールは衣服に埋め込まれている、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記1つまたは複数の慣性センサは加速度計を備えている、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記1つまたは複数の慣性センサはジャイロスコープを備えている、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記モジュールは、データを前記モジュールから外部出力デバイスへと伝送するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記外部出力デバイスはスマートフォンである、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記スマートフォンをさらに備えている、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記スマートフォンは、前記モジュールから得られる患者特有のデータを受信するように構成されている、請求項7に記載のシステム。
【請求項10】
前記外部出力デバイスは、外科手術の間に使用されるように構成される外科方位デバイスである、請求項6に記載のシステム。
【請求項11】
前記外科方位デバイスをさらに備えている、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記外科方位デバイスは、前記モジュールから得られる患者特有のデータを受信するように構成されている、請求項10に記載のシステム。
【請求項13】
慣性センサを備えた外科方位デバイスを含んでなるシステムであって、
前記外科方位デバイスは、所望の目標角度への寛骨臼カップの誘導を容易にするように構成され、前記外科方位デバイスは、基準フレームに対する前記外科方位デバイスの方位および回転を検出し、前記外科方位デバイスは、外科計画のために1つまたは複数の可動性測定を受けるように構成されている、システム。
【請求項14】
方位感知デバイスをさらに備えている、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記外科方位デバイスは、データを送信するため、または、方位感知デバイスの1つまたは複数のセンサからデータを受信するための送受信機を備えている、請求項13に記載のシステム。
【請求項16】
前記外科方位デバイスは、データを送信するための、または、モジュールからデータを受信するための送受信機を備え、前記モジュールは可動性を測定するように構成されている、請求項13に記載のシステム。
【請求項17】
前記外科方位デバイスは、データを送信するための、または、外部出力デバイスからデータを受信するための送受信機を備えている、請求項13に記載のシステム。
【請求項18】
前記外部出力デバイスはスマートフォンである、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記スマートフォンは、モジュールから得られる患者特有のデータを受信するように構成されている、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
患者の可動性を決定するための方法であって、
1つまたは複数の慣性センサを備えたモジュールを患者の生体構造に対して位置決めするステップと、
前記モジュールで可動性を測定するステップと
を含んでなる、方法。
【請求項21】
前記可動性は骨盤の可動性である、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記モジュールを位置決めするステップは、前記モジュールを患者の仙骨に位置決めするステップを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記モジュールを位置決めするステップは、前記モジュールを患者の大腿骨に位置決めするステップを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項24】
前記モジュールを位置決めするステップは、前記モジュールを患者の脊椎に位置決めするステップを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項25】
前記モジュールを位置決めするステップは、前記モジュールを患者のASIS点に位置決めするステップを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項26】
前記モジュールを位置決めするステップは、前記モジュールを、患者の皮膚の触診によって特定される骨突出部位に位置決めするステップを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項27】
前記モジュールを位置決めするステップは、前記モジュールを、患者の下にある生体構造にわたって患者の皮膚に位置決めするステップを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項28】
前記モジュールを位置決めするステップは、前記モジュールを患者の恥骨に位置決めするステップを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項29】
前記モジュールを位置決めするステップは、前記モジュールを、患者の体における触知可能な場所に位置決めするステップを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項30】
前記モジュールを位置決めするステップは、前記モジュールを患者の下背部に位置決めするステップを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項31】
前記モジュールを位置決めするステップは、前記モジュールを患者の上背部に位置決めするステップを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項32】
前記モジュールを位置決めするステップは、前記モジュールを患者の首に位置決めするステップを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項33】
前記モジュールを位置決めするステップは、前記モジュールを患者の骨盤に位置決めするステップを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項34】
前記モジュールを位置決めするステップは、前記モジュールを患者の脛骨に位置決めするステップを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項35】
前記モジュールを位置決めするステップは、前記モジュールを患者の椎骨に位置決めするステップを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項36】
前記モジュールを位置決めするステップは、前記モジュールを患者の胸骨に位置決めするステップを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項37】
前記モジュールを位置決めするステップは、前記モジュールを患者の肋骨に位置決めするステップを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項38】
前記モジュールを位置決めするステップは、前記モジュールを患者の頭蓋骨に位置決めするステップを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項39】
前記モジュールを位置決めするステップは、前記モジュールを患者の顔面骨に位置決めするステップを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項40】
前記モジュールを位置決めするステップは、前記モジュールを患者の上腕骨に位置決めするステップを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項41】
前記モジュールを位置決めするステップは、前記モジュールを患者の肩甲骨に位置決めするステップを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項42】
前記モジュールを位置決めするステップは、前記モジュールを患者の鎖骨に位置決めするステップを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項43】
前記モジュールを位置決めするステップは、前記モジュールを患者の尺骨に位置決めするステップを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項44】
前記モジュールを位置決めするステップは、前記モジュールを患者の橈骨に位置決めするステップを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項45】
前記モジュールを位置決めするステップは、前記モジュールを患者の手根骨に位置決めするステップを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項46】
前記モジュールを位置決めするステップは、前記モジュールを患者の腓骨に位置決めするステップを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項47】
前記モジュールを位置決めするステップは、前記モジュールを患者の足根骨に位置決めするステップを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項48】
前記モジュールを位置決めするステップは、前記モジュールを患者の中足骨に位置決めするステップを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項49】
前記モジュールを位置決めするステップは、1時間以上にわたって前記モジュールを患者に位置決めするステップを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項50】
前記モジュールを位置決めするステップは、1日間以上にわたって前記モジュールを患者に位置決めするステップを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項51】
前記モジュールを位置決めするステップは、1週間以上にわたって前記モジュールを患者に位置決めするステップを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項52】
前記1つまたは複数の慣性センサは加速度計を備えている、請求項20に記載の方法。
【請求項53】
前記1つまたは複数の慣性センサはジャイロスコープを備えている、請求項20に記載の方法。
【請求項54】
データを前記モジュールから外部出力デバイスへと伝送するステップをさらに含む、請求項20に記載の方法。
【請求項55】
前記外部出力デバイスはスマートフォンである、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
医療用補綴物を位置決めする方法であって、
手術前の骨盤の可動性の測定を検討するステップであって、前記測定は、1つまたは複数の慣性センサを備えたモジュールで収集される、ステップと、
前記手術前の骨盤の可動性を考慮して患者特有の目標角度を決定するステップと、
カップを前記患者特有の目標角度に位置合わせするステップと、
カップを嵌め込むステップと
を含んでなる、方法。
【請求項57】
前記1つまたは複数の慣性センサは加速度計を備えている、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
前記1つまたは複数の慣性センサはジャイロスコープを備えている、請求項56に記載の方法。
【請求項59】
データを前記モジュールから外部出力デバイスへと伝送するステップをさらに含む、請求項56に記載の方法。
【請求項60】
前記外部出力デバイスはスマートフォンである、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
カップ配置の前後における脚の長さの変化を決定するステップをさらに含む、請求項56に記載の方法。
【請求項62】
2本の脚の間における脚の長さの変化を決定するステップをさらに含む、請求項56に記載の方法。
【請求項63】
カップ配置の前後における関節のずれの変化を決定するステップをさらに含む、請求項56に記載の方法。
【請求項64】
前記カップを嵌め込むステップの前に、患者の脚にパターン光を投射するステップと、光の入射を記録するステップとをさらに含む、請求項56に記載の方法。
【請求項65】
前記カップを嵌め込むステップの後に、患者の脚にパターン光を投射するステップと、光の入射の前記記録を光のパターンと位置合わせするように脚を再位置決めするステップとをさらに含む、請求項64に記載の方法。
【請求項66】
前記カップを嵌め込むステップの前後に点を記録するステップをさらに含む、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
鉛直平面を確立するステップをさらに含む、請求項56に記載の方法。
【請求項68】
水平平面を確立するステップであって、前記鉛直平面と前記水平平面とが基準フレームを規定している、ステップをさらに含む、請求項67に記載の方法。
【請求項69】
患者特有の目標角度は前記鉛直平面に対して測定される、請求項67に記載の方法。
【請求項70】
基準平面を確立するステップをさらに含む、請求項56に記載の方法。
【請求項71】
第1の点に接触するように指示体を位置決めするステップと、
前記指示体が前記第1の点に接触しているとき、前記指示体の位置および/または方位を記録するステップと、
第2の点に接触するように前記指示体を位置決めするステップと、
前記指示体が前記第2の点に接触しているとき、前記指示体の位置および/または方位を記録するステップと
を含んでなる、基準平面を確立するステップをさらに含む、請求項56に記載の方法。
【請求項72】
基準平面を確立するステップは、第3の点に接触するように前記指示体を位置決めするステップと、前記指示体が前記第3の点に接触しているとき、前記指示体の位置および/または方位を記録するステップとをさらに含む、請求項71に記載の方法。
【請求項73】
前記第1の点、前記第2の点、および前記第3の点は、前骨盤平面を規定している、請求項71に記載の方法。
【請求項74】
基準平面を確立するステップは、前記指示体を水平に位置決めするステップをさらに含む、請求項71に記載の方法。
【請求項75】
前記第1の点と前記第2の点とは、対側ASISと交差する線を規定している、請求項71に記載の方法。
【請求項76】
1つまたは複数の慣性センサを備えたモジュールを患者の生体構造に対して位置決めするステップと、
患者特有の骨盤の可動性を、1つまたは複数の慣性センサを備えたモジュールで測定するステップと
を含んでなる方法であって、
前記患者特有の骨盤の可動性が、外科計画の少なくとも一部分を決定するために検討される、方法。
【請求項77】
前記患者特有の骨盤の可動性は、目標角度を決定するために検討される、請求項76に記載の方法。
【請求項78】
前記患者特有の骨盤の可動性は、インプラントの種類を決定するために検討される、請求項76に記載の方法。
【請求項79】
前記患者特有の骨盤の可動性は、器具の種類を決定するために検討される、請求項76に記載の方法。
【請求項80】
前記患者特有の骨盤の可動性は、脚の長さを決定するために検討される、請求項76に記載の方法。
【請求項81】
前記患者特有の骨盤の可動性は、関節のずれを決定するために検討される、請求項76に記載の方法。
【請求項82】
前記1つまたは複数の慣性センサは加速度計を備えている、請求項76に記載の方法。
【請求項83】
前記1つまたは複数の慣性センサはジャイロスコープを備えている、請求項76に記載の方法。
【請求項84】
データを前記モジュールから外部出力デバイスへと伝送するステップをさらに含む、請求項76に記載の方法。
【請求項85】
前記外部出力デバイスはスマートフォンである、請求項84に記載の方法。
【請求項86】
1つまたは複数の慣性センサを備える第1の慣性誘導デバイスと、
指示体と、
1つまたは複数の慣性センサを備える第2の慣性誘導デバイスと
を備えた股関節誘導システムであって、
前記第1の慣性誘導デバイス、前記第2の慣性誘導デバイス、または、前記第1の慣性誘導デバイスおよび前記第2の慣性誘導デバイスは、カップを患者特有の目標角度に位置合わせするように構成され、前記患者特有の目標角度は、手術前の骨盤の可動性に基づいて決定されている、股関節誘導システム。
【請求項87】
1つまたは複数の慣性センサを備え、前記手術前の骨盤の可動性を測定するように構成されたモジュールをさらに備えている、請求項86に記載の股関節誘導システム。
【請求項88】
前記第1の慣性誘導デバイスは、データを送信するための、または、モジュールからデータを受信するための送受信機を備えている、請求項87に記載の股関節誘導システム。
【請求項89】
前記第2の慣性誘導デバイスは、インパクタに連結するように構成されている、請求項86に記載の股関節誘導システム。
【請求項90】
連結器を備える万能インパクタアダプタをさらに備え、前記第2の慣性誘導デバイスは、前記アダプタでインパクタに連結するように構成されている、請求項86に記載の股関節誘導システム。
【請求項91】
光学要素をさらに備えている、請求項86に記載の股関節誘導システム。
【請求項92】
手術前に測定された関節の可動性に基づいて、外科計画の少なくとも一部分を指示する出力を生成するように構成されたモジュールと、
手術の間に前記出力に関連する情報を表示するように構成されたユーザーインターフェースと、
を備えている、整形外科手術案内システム。
【請求項93】
1つまたは複数の慣性センサを備え、手術前の関節の可動性を測定するように構成されたモジュールをさらに備えている、請求項92に記載の整形外科手術案内システム。
【請求項94】
前記モジュールは、前記モジュール同士の間でデータを送信または受信するための送受信機を備えている、請求項92に記載の整形外科手術案内システム。
【請求項95】
前記表示は、整形外科手術で使用されるインプラントの種類を指示している、請求項92に記載の整形外科手術案内システム。
【請求項96】
前記表示は、二元可動性股関節インプラントの使用を指示している、請求項95に記載の整形外科手術案内システム。
【請求項97】
前記表示は、外科器具が位置合わせされるように向かう1つもしくは複数の目標角度、および/または、前記外科器具が前進させられるように向かう1つもしくは複数の目標位置を指示している、請求項92に記載の整形外科手術案内システム。
【請求項98】
前記表示は、外科器具の近接を前記1つもしくは複数の目標角度および/または前記1つもしくは複数の目標位置に指示している、請求項97に記載の整形外科手術案内システム。
【請求項99】
リーマをさらに備え、当該システムは、前記1つもしくは複数の目標角度および/または前記1つもしくは複数の目標位置に対する前記リーマの位置および/または方位を指示する出力を提供するように構成されたモジュールを備え、前記ユーザーインターフェースは、位置および/または方位を指示する前記出力を表示するように構成されている、請求項97に記載の整形外科手術案内システム。
【請求項100】
インパクタをさらに備え、当該システムは、前記1つもしくは複数の目標角度および/または前記1つもしくは複数の目標位置に対する前記インパクタの位置および/または方位を指示する出力を提供するように構成されたモジュールを備え、前記ユーザーインターフェースは、位置および/または方位を指示する前記出力を表示するように構成されている、請求項97に記載の整形外科手術案内システム。
【請求項101】
基準フレームを得ることをさらに含む、請求項92に記載の整形外科手術案内システム。
【請求項102】
点の位置および/または方位を確立するために、指示体を用いて基準フレームを得ることをさらに含む、請求項92に記載の整形外科手術案内システム。
【請求項103】
軸の方位を確立するために、指示体を用いて基準フレームを得ることをさらに含む、請求項92に記載の整形外科手術案内システム。
【請求項104】
重力の軸の位置および/または方位を確立するために、指示体を用いて基準フレームを得ることをさらに含む、請求項92に記載の整形外科手術案内システム。
【請求項105】
平面の位置および/または方位を確立するために、指示体を用いて基準フレームを得ることをさらに含む、請求項92に記載の整形外科手術案内システム。
【請求項106】
患者の解剖学的平面を近似する平面の位置および/または方位を確立するために、指示体を用いて基準フレームを得ることをさらに含む、請求項92に記載の整形外科手術案内システム。
【請求項107】
患者の画像の平面を近似する平面の位置および/または方位を確立するために、指示体を用いて基準フレームを得ることをさらに含む、請求項92に記載の整形外科手術案内システム。
【請求項108】
1つまたは複数の慣性センサを備えたモジュールを患者の生体構造に対して位置決めするステップと、
患者特有の骨盤の可動性を、1つまたは複数の慣性センサを備えたモジュールで測定するステップと
を含んでなる方法であって、
前記患者特有の骨盤の可動性が手術後に収集される、方法。
【請求項109】
1つまたは複数の慣性センサを備えたモジュールを患者の生体構造に対して手術前に位置決めするステップと、患者特有の骨盤の可動性を、1つまたは複数の慣性センサを備えたモジュールで手術前に測定するステップとをさらに含む、請求項108に記載の方法。
【請求項110】
手術前の測定と手術後の測定とを比較するステップをさらに含む、請求項109に記載の方法。
【請求項111】
手術前の患者特有の骨盤の可動性が、外科計画の少なくとも一部分を決定するために検討される、請求項109に記載の方法。
【請求項112】
手術後の患者特有の骨盤の可動性が、理学療法計画の少なくとも一部分を決定するために検討される、請求項108に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権出願への参照による組み込み
米国特許法施行規則1.57の下で本明細書において参照によりその全体が組み込まれている、2019年12月9日に出願された米国仮特許出願第62/945,591号を含め、国外または国内の優先権が主張するあらゆるすべての出願が、本出願と共に出願された出願データシートにおいて特定されている。
【0002】
本出願は、股関節置換の分野を対象としており、詳細には、骨盤の可動性を手術前に決定するための外科器具および方法に向けられている。本出願は、カップ配置のための患者特有の目標角度を決定または提案することにも向けられている。本出願は、慣性センサにより運動学的データまたは位置データを収集する使用にも向けられている。
【背景技術】
【0003】
股関節置換手術は一般的であり、年ごとにより一般的になっている。股関節置換による1つの根強い問題は、補綴股関節のカップ要素の不十分な配置である。例えば、カップは、特定の外転および前捻の方位において、最適に配置される。最適な外転角度および前捻角度からの逸脱の許容可能な範囲が臨床診療において観察されているが、いくつかの理由のため、許容不可能な高い割合の患者が、この範囲から外れる人工股関節のカップを有している。
【0004】
残念なことに、ミスアライメントは、埋め込み処置の1年以内にすぐに股関節の脱臼をもたらす可能性がある。これは、股関節処置からの回復が何カ月も掛かり得るため、特に問題である。最初の埋め込みの直後に修正を受ける患者は、追加の余計な手術を受けるため、自身の治療には当然ながら満足できない。当然ながら、すべての手術はある程度のリスクを伴う。これらの不十分な転帰は、患者にとって不満であり、全体として健康管理システムにとって非効率的である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
骨盤の可動性と、手術前の他の患者特有の運動学的データとを決定するための向上したシステムおよび方法に対する要求がある。患者特有の運動学的データを利用することで、股関節置換の処置の間に股関節要素と患者の生体構造とのアライメントを向上させるための、向上したシステムおよび方法に対する要求もある。これらの向上したシステムおよび方法は、骨盤の可動性を決定するために、手術前の慣性センサの使用を伴うことができる。センサは、患者特有の目標を選択するときの使用にとって有益な情報を外科医に提供することができる。これらの向上したシステムおよび方法は、カップ配置のために患者特有の目標角度を向上させることを伴うことができる。これらの向上したシステムおよび方法は、股関節置換手術の間に患者特有の目標角度へのカップ挿入装置の慣性誘導を伴うことができる。これらの向上したシステムおよび方法は、手術前の運動学的情報に基づいた前捻カップ角度の調整を伴うことができる。これらのセンサは、外科処置の間の患者の位置決めについての有益な情報を提供することもできる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
ある実施形態では、システムが提供される。システムは、患者の生体構造に対して位置決めされるように構成される、1つまたは複数の慣性センサを備えるモジュールを備え得る。ある実施形態では、モジュールは外科計画のための可動性を測定するように構成される。
【0007】
ある実施形態では、モジュールは、患者の皮膚に物体を付着させるように構成される生体適合性接着剤を含む。ある実施形態では、モジュールは衣服に埋め込まれる。ある実施形態では、1つまたは複数の慣性センサは加速度計を備える。ある実施形態では、1つまたは複数の慣性センサはジャイロスコープを備える。ある実施形態では、モジュールは、データをモジュールから外部出力デバイスへと伝送するように構成される。ある実施形態では、外部出力デバイスはスマートフォンである。ある実施形態では、システムはスマートフォンを備え得る。ある実施形態では、スマートフォンは、モジュールから得られる患者特有のデータを受信するように構成される。ある実施形態では、外部出力デバイスは、外科手術の間に使用されるように構成される外科方位デバイスである。ある実施形態では、システムは外科方位デバイスを備え得る。ある実施形態では、外科方位デバイスは、モジュールから得られる患者特有のデータを受信するように構成される。
【0008】
ある実施形態では、システムが提供される。システムは、慣性センサを備える外科方位デバイスを備え得る。ある実施形態では、外科方位デバイスは、所望の目標角度への寛骨臼カップの誘導を容易にするように構成される。ある実施形態では、外科方位デバイスは、基準フレームに対するデバイスの方位および回転を検出する。ある実施形態では、外科方位デバイスは、外科計画のために1つまたは複数の可動性測定を受けるように構成される。
【0009】
ある実施形態では、システムは方位感知デバイスを備え得る。ある実施形態では、外科方位デバイスは、データを送信するための、または、方位感知デバイスの1つまたは複数のセンサからデータを受信するための送受信機を備える。ある実施形態では、外科方位デバイスは、データを送信するための、または、モジュールからデータを受信するための送受信機を備え、モジュールは可動性を測定するように構成される。ある実施形態では、外科方位デバイスは、データを送信するための、または、外部出力デバイスからデータを受信するための送受信機を備える。ある実施形態では、外部出力デバイスはスマートフォンである。ある実施形態では、スマートフォンは、モジュールから得られる患者特有のデータを受信するように構成される。
【0010】
ある実施形態では、患者の可動性を決定するための方法が提供される。方法は、1つまたは複数の慣性センサを備えるモジュールを患者の生体構造に対して位置決めするステップを含み得る。方法は、モジュールで可動性を測定するステップを含み得る。
【0011】
ある実施形態では、可動性は骨盤の可動性である。ある実施形態では、モジュールを位置決めするステップは、モジュールを患者の仙骨に位置決めするステップを含む。ある実施形態では、モジュールを位置決めするステップは、モジュールを患者の大腿骨に位置決めするステップを含む。ある実施形態では、モジュールを位置決めするステップは、モジュールを患者の脊椎に位置決めするステップを含む。ある実施形態では、モジュールを位置決めするステップは、モジュールを患者のASIS点に位置決めするステップを含む。ある実施形態では、モジュールを位置決めするステップは、モジュールを、患者の皮膚の触診によって特定される骨突出部位に位置決めするステップを含む。ある実施形態では、モジュールを位置決めするステップは、モジュールを、患者の下にある生体構造に被さる患者の皮膚に位置決めするステップを含む。ある実施形態では、モジュールを位置決めするステップは、モジュールを患者の恥骨に位置決めするステップを含む。ある実施形態では、モジュールを位置決めするステップは、モジュールを、患者の体における触知可能な場所に位置決めするステップを含む。ある実施形態では、モジュールを位置決めするステップは、モジュールを患者の下背部に位置決めするステップを含む。ある実施形態では、モジュールを位置決めするステップは、モジュールを患者の上背部に位置決めするステップを含む。ある実施形態では、モジュールを位置決めするステップは、モジュールを患者の首に位置決めするステップを含む。ある実施形態では、モジュールを位置決めするステップは、モジュールを患者の骨盤に位置決めするステップを含む。ある実施形態では、モジュールを位置決めするステップは、モジュールを患者の脛骨に位置決めするステップを含む。ある実施形態では、モジュールを位置決めするステップは、モジュールを患者の椎骨に位置決めするステップを含む。ある実施形態では、モジュールを位置決めするステップは、モジュールを患者の胸骨に位置決めするステップを含む。ある実施形態では、モジュールを位置決めするステップは、モジュールを患者の肋骨に位置決めするステップを含む。ある実施形態では、モジュールを位置決めするステップは、モジュールを患者の頭蓋骨に位置決めするステップを含む。ある実施形態では、モジュールを位置決めするステップは、モジュールを患者の顔面骨に位置決めするステップを含む。ある実施形態では、モジュールを位置決めするステップは、モジュールを患者の上腕骨に位置決めするステップを含む。ある実施形態では、モジュールを位置決めするステップは、モジュールを患者の肩甲骨に位置決めするステップを含む。ある実施形態では、モジュールを位置決めするステップは、モジュールを患者の鎖骨に位置決めするステップを含む。ある実施形態では、モジュールを位置決めするステップは、モジュールを患者の尺骨に位置決めするステップを含む。ある実施形態では、モジュールを位置決めするステップは、モジュールを患者の橈骨に位置決めするステップを含む。ある実施形態では、モジュールを位置決めするステップは、モジュールを患者の手根骨に位置決めするステップを含む。ある実施形態では、モジュールを位置決めするステップは、モジュールを患者の腓骨に位置決めするステップを含む。ある実施形態では、モジュールを位置決めするステップは、モジュールを患者の足根骨に位置決めするステップを含む。ある実施形態では、モジュールを位置決めするステップは、モジュールを患者の中足骨に位置決めするステップを含む。ある実施形態では、モジュールを位置決めするステップは、1時間以上にわたってモジュールを患者に位置決めするステップを含む。ある実施形態では、モジュールを位置決めするステップは、1日間以上にわたってモジュールを患者に位置決めするステップを含む。ある実施形態では、モジュールを位置決めするステップは、1週間以上にわたってモジュールを患者に位置決めするステップを含む。ある実施形態では、1つまたは複数の慣性センサは加速度計を備える。ある実施形態では、1つまたは複数の慣性センサはジャイロスコープを備える。ある実施形態では、方法は、データをモジュールから外部出力デバイスへと伝送するステップを含み得る。ある実施形態では、外部出力デバイスはスマートフォンである。
【0012】
ある実施形態では、医療用補綴物を位置決めする方法が提供される。方法は、手術前の骨盤の可動性の測定を検討するステップであって、測定は、1つまたは複数の慣性センサを備えるモジュールで収集される、ステップを含み得る。方法は、手術前の骨盤の可動性を考慮して患者特有の目標角度を決定するステップを含み得る。方法は、カップを患者特有の目標角度に位置合わせするステップを含み得る。方法は、カップを嵌め込むステップを含み得る。
【0013】
ある実施形態では、1つまたは複数の慣性センサは加速度計を備える。ある実施形態では、1つまたは複数の慣性センサはジャイロスコープを備える。ある実施形態では、方法は、データをモジュールから外部出力デバイスへと伝送するステップを含み得る。ある実施形態では、外部出力デバイスはスマートフォンである。ある実施形態では、方法は、カップ配置の前後における脚の長さの変化を決定するステップを含み得る。ある実施形態では、方法は、2本の脚の間における脚の長さの変化を決定するステップを含み得る。ある実施形態では、方法は、カップ配置の前後における関節のずれの変化を決定するステップを含み得る。ある実施形態では、方法は、カップを嵌め込むステップの前に、患者の脚にパターン光を投射するステップと、光の入射を記録するステップとを含み得る。ある実施形態では、方法は、カップを嵌め込むステップの後に、患者の脚にパターン光を投射するステップと、光の入射の記録を光のパターンと位置合わせするように脚を再位置決めするステップとを含み得る。ある実施形態では、方法は、カップを嵌め込むステップの前後に点を記録するステップを含み得る。ある実施形態では、方法は、鉛直平面を確立するステップを含み得る。ある実施形態では、方法は、水平平面を確立するステップであって、鉛直平面と水平平面とが基準フレームを規定している、ステップを含み得る。ある実施形態では、患者特有の目標角度は鉛直平面に対して測定される。ある実施形態では、方法は、基準平面を確立するステップを含み得る。ある実施形態では、方法は、第1の点に接触するように指示体を位置決めするステップと、指示体が第1の点に接触しているとき、指示体の位置および/または方位を記録するステップと、第2の点に接触するように指示体を位置決めするステップと、指示体が第2の点に接触しているとき、指示体の位置および/または方位を記録するステップとを含む、基準平面を確立するステップを含み得る。ある実施形態では、基準平面を確立するステップは、第3の点に接触するように指示体を位置決めするステップと、指示体が第3の点に接触しているとき、指示体の位置および/または方位を記録するステップとをさらに含む。ある実施形態では、第1の点、第2の点、および第3の点は、前骨盤平面を規定している。ある実施形態では、基準平面を確立するステップは、指示体を水平に位置決めするステップをさらに含む。ある実施形態では、第1の点と第2の点とは、対側ASISと交差する線を規定している。
【0014】
ある実施形態では、方法が提供される。方法は、1つまたは複数の慣性センサを備えるモジュールを患者の生体構造に対して位置決めするステップを含み得る。方法は、患者特有の骨盤の可動性を、1つまたは複数の慣性センサを備えるモジュールで測定するステップを含み得る。ある実施形態では、患者特有の骨盤の可動性は、外科計画の少なくとも一部分を決定するために検討される。
【0015】
ある実施形態では、患者特有の骨盤の可動性は、目標角度を決定するために検討される。ある実施形態では、患者特有の骨盤の可動性は、インプラントの種類を決定するために検討される。ある実施形態では、患者特有の骨盤の可動性は、器具の種類を決定するために検討される。ある実施形態では、患者特有の骨盤の可動性は、脚の長さを決定するために検討される。ある実施形態では、患者特有の骨盤の可動性は、関節のずれを決定するために検討される。ある実施形態では、1つまたは複数の慣性センサは加速度計を備える。ある実施形態では、1つまたは複数の慣性センサはジャイロスコープを備える。ある実施形態では、方法は、データをモジュールから外部出力デバイスへと伝送するステップを含み得る。ある実施形態では、外部出力デバイスはスマートフォンである。
【0016】
ある実施形態では、股関節誘導システムが提供される。股関節誘導システムは、1つまたは複数の慣性センサを備える第1の慣性誘導デバイスを備え得る。股関節誘導システムは指示体を備え得る。股関節誘導システムは、1つまたは複数の慣性センサを備える第2の慣性誘導デバイスを備え得る。ある実施形態では、第1の慣性誘導デバイス、第2の慣性誘導デバイス、または、第1の慣性誘導デバイスおよび第2の慣性誘導デバイスは、カップを患者特有の目標角度に位置合わせするように構成され、患者特有の目標角度は、手術前の骨盤の可動性に基づいて決定される。
【0017】
ある実施形態では、システムは、1つまたは複数の慣性センサを備え、手術前の骨盤の可動性を測定するように構成されるモジュールを備え得る。ある実施形態では、第1の慣性誘導デバイスは、データを送信するための、または、モジュールからデータを受信するための送受信機を備える。ある実施形態では、第2の慣性誘導デバイスは、インパクタに連結するように構成される。ある実施形態では、股関節誘導システムは、連結器を備える万能インパクタアダプタをさらに備えることができ、第2の慣性誘導デバイスは、アダプタでインパクタに連結するように構成される。ある実施形態では、股関節誘導システムは光学要素を備え得る。
【0018】
ある実施形態では、整形外科手術案内システムが提供される。整形外科手術案内システムは、手術前に測定された関節の可動性に基づいて、外科計画の少なくとも一部分を指示する出力を生成するように構成されるモジュールを備え得る。整形外科手術案内システムは、手術の間に出力に関連する情報を表示するように構成されるユーザーインターフェースを備え得る。
【0019】
ある実施形態では、システムは、1つまたは複数の慣性センサを備え、手術前の関節の可動性を測定するように構成されるモジュールを備え得る。ある実施形態では、モジュールは、モジュール同士の間でデータを送信または受信するための送受信機を備える。ある実施形態では、表示は、整形外科手術で使用されるインプラントの種類を指示する。ある実施形態では、表示は、二元可動性股関節インプラントの使用を指示する。ある実施形態では、表示は、外科器具が位置合わせされるように向かう1つもしくは複数の目標角度、および/または、外科器具が前進させられるように向かう1つもしくは複数の目標位置を指示する。ある実施形態では、表示は、外科器具の近接を1つもしくは複数の目標角度および/または1つもしくは複数の目標位置に指示する。ある実施形態では、整形外科手術案内システムはリーマを備えることができ、システムは、1つもしくは複数の目標角度および/または1つもしくは複数の目標位置に対するリーマの位置および/または方位を指示する出力を提供するように構成されるモジュールを備え、ユーザーインターフェースは、位置および/または方位を指示する出力を表示するように構成される。ある実施形態では、整形外科手術案内システムはインパクタを備えることができ、システムは、1つもしくは複数の目標角度および/または1つもしくは複数の目標位置に対するインパクタの位置および/または方位を指示する出力を提供するように構成されるモジュールを備え、ユーザーインターフェースは、位置および/または方位を指示する出力を表示するように構成される。ある実施形態では、整形外科手術案内システムは、基準フレームを得ることを含み得る。ある実施形態では、整形外科手術案内システムは、点の位置および/または方位を確立するために、指示体を用いて基準フレームを得ることを含み得る。ある実施形態では、整形外科手術案内システムは、軸の方位を確立するために、指示体を用いて基準フレームを得ることを含み得る。ある実施形態では、整形外科手術案内システムは、重力の軸の位置および/または方位を確立するために、指示体を用いて基準フレームを得ることを含み得る。ある実施形態では、整形外科手術案内システムは、平面の位置および/または方位を確立するために、指示体を用いて基準フレームを得ることを含み得る。ある実施形態では、整形外科手術案内システムは、患者の解剖学的平面を近似する平面の位置および/または方位を確立するために、指示体を用いて基準フレームを得ることを含み得る。ある実施形態では、整形外科手術案内システムは、患者の画像の平面を近似する平面の位置および/または方位を確立するために、指示体を用いて基準フレームを得ることを含み得る。
【0020】
ある実施形態では、方法が提供される。方法は、1つまたは複数の慣性センサを備えるモジュールを患者の生体構造に対して位置決めするステップを含み得る。方法は、患者特有の骨盤の可動性を、1つまたは複数の慣性センサを備えるモジュールで測定するステップを含み得る。ある実施形態では、患者特有の骨盤の可動性は手術後に収集される。
【0021】
ある実施形態では、方法は、1つまたは複数の慣性センサを備えるモジュールを患者の生体構造に対して手術前に位置決めするステップと、患者特有の骨盤の可動性を、1つまたは複数の慣性センサを備えるモジュールで手術前に測定するステップとを含み得る。ある実施形態では、方法は、手術前の測定と手術後の測定とを比較するステップを含み得る。ある実施形態では、手術前の患者特有の骨盤の可動性が、外科計画の少なくとも一部分を決定するために検討される。ある実施形態では、手術後の患者特有の骨盤の可動性が、理学療法計画の少なくとも一部分を決定するために検討される。
【0022】
これらおよび他の特徴、態様、および利点は、本発明を図示するように意図されており、本発明を限定するようには意図されていない図面を参照して、以下において説明されている。図面において、同様の符号は、同様の実施形態を通じて、対応する特徴を一貫して指し示している。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】患者の手におけるモジュールの斜視図である。
【
図3A】患者に連結された
図1のモジュールの透視図である。
【
図3B】患者に連結された
図1のモジュールの透視図である。
【
図3C】患者に連結された
図1のモジュールの透視図である。
【
図4】外部出力デバイスと通信している
図1の1つまたは複数のモジュールを示す図である。
【
図7】患者の骨盤に連結される股関節誘導システムの斜視図である。
【
図8】後方股関節アプローチのための患者の位置決めを示す図である。
【
図11】
図7の方位感知デバイスを含むインパクタの実施形態を示す図である。
【
図13】前方股関節アプローチのための患者の位置決めを示す図である。
【
図14】前骨盤平面を特定するための方法を示す図である。
【
図15】調整された平面を特定するための方法を示す図である。
【
図16】骨盤、前骨盤平面、および調整された平面の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
寛骨臼カップなどの医療用補綴物の適切な配置の可能性を増加させることで、患者にとっての転帰を向上させるために使用できる様々なシステムおよび方法が、以下において検討されている。ある実施形態では、手術前計画システムおよび方法が、患者の生体構造の特性を測定するために利用される。ある実施形態では、術中誘導システムおよび方法が、医療用補綴物を、基準平面に対する所望の角度配置へと案内するために利用される。
【0025】
A. 前方アプローチおよび後方アプローチのための手術前計画システム
1. 手術前計画システム
寛骨臼カップなどの医療用補綴物の適切な配置の可能性を増加させることで、患者にとっての転帰を向上させるために使用できる、股関節全置換術(THA)のための様々なモジュール、システム、および方法が、以下において検討されている。これらのシステムおよび方法は、手術前の骨盤の可動性および患者の処置の間の患者の位置決めなど、患者の生体構造を理解することに重点が置かれ得る。これらのシステムおよび方法は、骨盤の可動性または患者の位置決めの特性を測定、定量化、および/または追跡する機能性を追加することができる。これらのセンサ測定は、カップ配置のための患者特有の目標外転角度および目標前捻角度の選択の情報を与えることができる。これらのセンサ測定は、外科処置の間に外科医に患者の位置を決定させることができる。これらのセンサ測定は、本明細書に開示されているように、患者の転帰を向上させるための様々な使用を有し得る。
【0026】
図1は、患者の1つまたは複数の特性を決定するように適合されたモジュール100を示している。モジュール100は、患者に関連する運動学的情報を決定することができる。ある実施形態では、モジュール100は骨盤の可動性を測定するように構成される。ある実施形態では、モジュール100は、他の関節の可動性を測定するために使用され得る。モジュール100は、骨盤と脊椎との間の可動性を測定するために使用され得る。モジュール100は、骨盤と少なくとも1つの大腿骨との間の可動性を測定するために使用され得る。ある実施形態では、モジュール100は、骨盤の可動性、または骨盤の可動性に等しいある値を測定するように構成される。骨盤の可動性を特徴付けることが本明細書では記載されているが、モジュール100は、患者の動きまたは位置決めの任意の特性を測定するために使用され得る。モジュールは、脊椎、骨盤、大腿骨、脛骨、椎骨、胸骨、肋骨、頭蓋骨、顔面骨、上腕骨、肩甲骨、鎖骨、尺骨、橈骨、手根骨、腓骨、足根骨、中足骨、および/または、人体の他の骨もしくは領域を含め、生体構造の任意の部分と利用され得る。
【0027】
モジュール100は、患者の生体構造の一部分の他の部分に対する位置または方位を決定することができる。モジュール100は、座標系に対する患者の生体構造の一部分の位置または方位を決定することができる。ある実施形態では、モジュール100は、重力の軸に対する患者の生体構造の一部分の位置または方位を決定するように構成される。ある実施形態では、モジュール100は動的な測定のために構成される。ある実施形態では、モジュール100は静的な測定のために構成される。
【0028】
モジュール100は、患者の特性を決定するために、手術前に使用され得る。ある実施形態では、手術前の情報が、外科処置の間に外科医によって利用され得る。ある実施形態では、手術前の情報は、目標のカップ角度を決定するために外科医によって利用され得る。ある実施形態では、手術前の情報は、患者特有のデータに基づいて外科計画を修正するために、外科医によって利用され得る。ある実施形態では、手術前の情報は、患者特有のデータに基づいてカップ角度を調整するために、外科医によって利用され得る。モジュール100は、後の外科処置に向けてデータを提供するために、手術前に使用され得る。ある実施形態では、モジュール100は、外科医に目標についての情報を提供することができる。ある実施形態では、モジュール100は、X線写真などの静的な画像から決定される目標角度を修正するために、外科医に情報を提供することができる。ある実施形態では、モジュール100は、目標角度への調整を提案することができる。外科医は、患者特有の目標角度を決定することができる。ある実施形態では、手術前の情報は、本明細書に記載されているように、他の方法で利用され得る。
【0029】
患者特有の目標角度は、患者特有の角度への誘導を可能にするシステムへの入力となり得る。ある方法では、モジュール100は手術中に使用され得る。モジュール100は患者の位置決めを決定することができる。モジュール100は、基準フレームに関連する追加のデータを提供することができる。モジュール100は、患者の生体構造のアライメントを容易にすることができる。ある実施形態では、モジュール100は、本明細書に記載されているように、他の方法で利用され得る。
【0030】
モジュール100は、患者の特性を決定するために、手術後に使用され得る。ある実施形態では、手術後の情報が、外科処置の転帰を決定するために、外科医または内科医によって利用され得る。ある実施形態では、手術後の情報は、患者の行動を修正するために、外科医または内科医によって利用され得る。ある実施形態では、手術後の情報は、患者の手術後の計画を修正するために、外科医または内科医によって利用され得る。ある実施形態では、手術後の情報は、手術後の理学療法を修正するために、外科医または内科医によって利用され得る。ある実施形態では、手術後の情報は、本明細書に記載されているように、他の方法で利用され得る。
【0031】
ある実施形態では、モジュール100は、外科医に患者を分類させることができる情報を提供することができる。ある実施形態では、モジュール100は、外科医に母集団の目標角度を患者特有の目標角度に修正させることができる情報を提供することができる。ある実施形態では、モジュール100からの患者特有の情報は、カップ配置のための前捻角度を変えるために、外科医に情報を提供することができる。ある実施形態では、モジュール100からの患者特有の情報は、カップ配置のための外転角度を変えるために、外科医に情報を提供することができる。ある実施形態では、モジュール100からの患者特有の情報は、カップ配置のための目標角度を修正するために、外科医に情報を提供することができる。ある実施形態では、モジュール100は、カップ配置のための患者特有の目標角度の決定を容易にするように構成される。
【0032】
ある実施形態では、モジュール100からの患者特有の情報は、補綴物選択において外科医に案内を提供することができる。モジュール100からの患者特有の情報は、2つ以上の補綴物から補綴物を選択することができるように、外科医に案内を提供することができる。ある実施形態では、モジュール100からの患者特有の情報は、二元可動性インプラントを選択するために外科医に情報を提供することができる。
【0033】
ある実施形態では、モジュール100は、表示させるためのデータを伝送することができる。モジュール100は、骨盤角度の値を示すように構成され得る。モジュール100は、患者特有の目標角度についての提案を示すように構成され得る。モジュール100は、運動学的データを示すように構成され得る。モジュール100は、位置データを示すように構成され得る。モジュール100は、提案を決定するように構成され得る。モジュール100は、データを外科医によって読み取り可能な形態へと処理するように構成され得る。モジュール100は、データを箇条書きの列記へと処理するように構成され得る。モジュール100は、データをグラフへと処理するように構成され得る。モジュール100は、データを言葉による提案へと処理するように構成され得る。
【0034】
モジュール100は、コンパクトで、概して手で持てるほどで、および/または携帯可能なデバイスを備え得る。モジュール100は、本明細書に記載されているように、単独で使用され得るか、または、他のデバイス、構成要素、および/もしくはシステムと共に使用され得る。ある実施形態では、モジュール100は外科処置と共に使用され得る。モジュール100は、手術前、手術後、および/または外科処置の間に使用され得る。外科処置を伴うモジュール100の使用において、モジュール100は、股関節全置換術のために後方アプローチとの組み合わせで使用され得る。外科処置を伴うモジュール100の使用において、モジュール100は、股関節全置換術のために前方アプローチとの組み合わせで使用され得る。
【0035】
モジュール100は、他の構成要素との組み合わせで使用され、それによってシステム10を形成することができる。ある方法では、システム10は手術前計画システムとして利用される。ある方法では、システム10は手術後計画システムとして利用される。ある方法では、システム10は外科処置の間に利用される。
図2はシステム10の実施形態を示している。システム10は追加の構成要素を備えてもよい。システム10は、本明細書に記載されているいずれかの構成要素を省略することができる。システム10は1つまたは複数の別の構成要素を備えてもよい。ある実施形態では、システム10の2つ以上の構成要素は、単一の構成要素へと組み込むことができる。
【0036】
モジュール100は任意の形または形態を取ることができる。ある実施形態では、モジュール100は、球、円錐、円筒、立方体、直方体、三角柱、錐体、環状体、螺旋状、または任意の他の三次元の形など、三次元の形を備え得る。ある実施形態では、モジュール100は、円形、三角形、正方形、長方形、半円形、楕円形、または任意の他の二次元の形など、二次元の形を備え得る。ある実施形態では、モジュール100は、決められた価値を備えなくてもよい。図示されている実施形態では、モジュール100は、概して矩形の形の構造を備え得るが、他の構成が検討されている。ある実施形態では、モジュール100は剛性の構造を備え得る。ある実施形態では、モジュール100は柔軟な基板を備え得る。ある実施形態では、モジュール100は、患者の皮膚に合う形または形態を備え得る。ある実施形態では、モジュール100は外側筐体102を有し得る。外側筐体102は携帯可能であり得る。外側筐体102は、ABS、ポリカーボネート、または他の適切な材料を含め、プラスチックから少なくとも部分的に成り得る。モジュール100は、手で持てる使用のために構成され得る。外側筐体102は、使用者の体から概して離れる方を向く前面104を備え得る。外側筐体102は、使用者の体の方を向く後面106を備え得る。外側筐体102は1つまたは複数の側面108を備え得る。
【0037】
ある実施形態では、モジュール100は再使用可能である。モジュール100は、同じ患者による複数の使用のために構成され得る。モジュール100は、異なる患者による複数の使用のために構成され得る。ある実施形態では、モジュール100は使用ごとに洗浄または滅菌され得る。モジュール100は電池などの電力の内部供給源を備え得る。モジュール100は、電力源が機能している限り再使用可能であり得る。モジュール100は交換可能な電池または電力源を備え得る。モジュール100は、電池または電力源を交換するために、患者または内科医によって開けられるように構成され得る。モジュール100は再充電可能な電池または電力源を備え得る。モジュール100は、電力を電池または電力源に再供給するために、充電装置に連結されるように構成され得る。
【0038】
ある実施形態では、モジュール100は廃棄可能である。モジュール100は使い捨てであり得る。ある実施形態では、モジュール100は、廃棄可能な筐体の中にモジュール100を配置することで再使用され得る。この配置は、モジュール100の清浄度を保ちつつ内部の構成要素の再使用を最大化することができる。廃棄可能な外側筐体は、モジュール100を備え得る、または、モジュール100に解放可能に取り付けられ得る。廃棄可能な外側筐体は、滅菌状態で製造および包装でき、モジュール100の内部の再使用可能な構成要素と外部環境との間に滅菌バリアを提供することができる。したがって、モジュール100が使用されると、廃棄可能な外側筐体は処分または破壊させられ、内部の再使用可能な構成要素は再び使用できる。
【0039】
モジュール100は指示体110を備え得る。指示体110は前面104に位置付けられ得る。指示体110は側面108に位置付けられ得る。指示体110は、モジュール100がオンされていることを指示するライトまたはLEDであり得る。指示体110は、モジュール100が動きを感知していることを指示するライトまたはLEDであり得る。指示体110は、外側筐体102とは別の構成要素であり得る、または、外側筐体102の表面もしくは内部に組み込まれ得る。ある実施形態では、指示体110は表示部である。表示部は、使用者が医療処置を実施する間に表示部における数、文字、および/または記号を容易に読み取ることができるような大きさとされ得る。指示体110は、具体的な条件が起こるとき、使用者に警告を提供することができる。指示体110は、例えば低充電レベル、エラー状態などを指示するために、1つまたは複数のLED状況または通知ライトなど、視認可能な出力を備え得る。指示体110は、異なる条件または事象を示すために、異なるパターン、色調、調子、継続時間、および/または周波数を含み得る。
【0040】
モジュール100は使用者入力デバイス112を備え得る。使用者入力デバイス112は前面104に位置付けられ得る。使用者入力デバイス112は側面108に位置付けられ得る。使用者入力デバイス112は1つまたは複数のボタンを備え得る。使用者入力デバイス112は1つまたは複数のスイッチを備え得る。使用者入力デバイス112は1つまたは複数のスクロールホイールを備え得る。使用者入力デバイス112は、例えば、モジュール100の動作のモードを選択するために、例えば指、手、および/または器具によって作動させることができる。使用者入力デバイス112は、外側筐体102とは別の構成要素であり得る、または、外側筐体102の表面または内部に組み込まれ得る。ある実施形態では、使用者入力デバイス112は筐体102と別の構成要素である。例えば、使用者入力デバイス112は、有線接続または無線接続を介して、モジュール100に連結される遠隔入力デバイスを備え得る。使用者入力デバイス112は、測定をオンまたは記録するための信号などの信号を受信することができる。使用者入力デバイス112は、オフするための信号を受信することができる。使用者入力デバイス112は、モジュール100が測定を記録する継続時間または時間期間を指示する信号を受信することができる。モジュール100は命令を受信するための手段を備え得る。
【0041】
モジュール100は患者に連結するための手段を備え得る。モジュール100は患者に取り外し可能に連結され得る。ある実施形態では、モジュール100の後面106は、患者に連結するための手段を備え得る。ある実施形態では、後面106は接着剤を備える。接着剤は、患者の皮膚に物体を付着させるように構成される任意の生体適合性接着剤であり得る。ある実施形態では、接着剤は後面106に連結または付着させられ得る。後面106は取り付け構造を備え得る。取り付け構造は、他のデバイスまたは患者へのモジュール100の取り付けを容易にすることができる。ある方法では、モジュール100は、少し柔らかい組織で患者の体の一部分に位置決めされ得る。ある方法では、モジュール100は、下にある生体構造に近い患者の体の一部分に位置決めされ得る。ある方法では、モジュール100は、1つまたは複数の触知可能な場所において患者の体の一部分に位置決めされ得る。
【0042】
ある実施形態では、モジュール100は包みまたはバンドに連結される。ある実施形態では、モジュール100は織物に埋め込まれ得る。ある実施形態では、モジュール100は衣服に埋め込まれ得る。モジュール100は織物または衣服と一体に形成されてもよい。モジュール100は織物または衣服と一体化されてもよい。衣服はきつくぴったりとされ得る。衣服はモジュール100を患者の生体構造に対して位置決めすることができる。衣服は、1つまたは複数のモジュール100を骨盤に対して位置決めするように構成され得る。ある実施形態では、衣服は一着のショートパンツまたはパンツである。ある実施形態では、衣服はTシャツである。衣服は、スパンデックス、ポリエステル、ポリプロピレン、ナイロン、綿、竹、ネオプレン、または任意の他の材料など、任意のきつくぴったりとする材料から作られ得る。ある実施形態では、モジュール100は、患者によって着用されるように構成される衣服に連結される。ある実施形態では、モジュール100は着用可能である。ある実施形態では、モジュール100は患者の体の一部分の周りを包むことができる。ある実施形態では、モジュール100はスリーブまたはストラップである。
【0043】
ある実施形態では、モジュール100は患者の体の外部にあるように構成される。モジュール100は患者の皮膚に連結することができる。モジュール100は患者の体に容易に連結されるように構成される。モジュール100は患者の体から容易に除去されるように構成される。
【0044】
モジュール100は、時間の期間にわたって患者に連結され得る。ある方法では、モジュール100は、1分間以上、1時間以上、1日間以上、1週間以上、またはこれらの値の任意の範囲にわたって、患者に連結される。ある方法では、モジュール100は、5分間、10分間、15分間、20分間、25分間、30分間、35分間、40分間、45分間、50分間、55分間、60分間、またはこれらの値のうちの2つの任意の範囲にわたって、患者に連結される。ある方法では、モジュール100は、臨床の予約時間の一部分にわたって患者に連結される。ある方法では、モジュール100は、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、11時間、12時間、13時間、14時間、15時間、16時間、17時間、18時間、19時間、21時間、22時間、23時間、24時間、36時間、48時間、60時間、72時間、またはこれらの値のうちの2つの任意の範囲にわたって、患者に連結される。ある方法では、モジュール100は、病院での滞在または入院の滞在の一部分にわたって患者に連結される。ある方法では、モジュール100は、1日間、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、7日間、8日間、9日間、10日間、14日間、21日間、28日間、またはこれらの値のうちの2つの任意の範囲にわたって、患者に連結される。ある方法では、モジュール100は、手術前の監視の一部分にわたって患者に連結される。ある方法では、モジュール100は、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間、11週間、12週間、13週間、14週間、15週間、16週間、17週間、18週間、19週間、20週間、またはこれらの値のうちの2つの任意の範囲にわたって、患者に連結される。ある方法では、モジュール100は、診断の目的のために患者に連結される。ある方法では、モジュール100は、1カ月間、2カ月間、3カ月間、4カ月間、5カ月間、6カ月間、7カ月間、8カ月間、9カ月間、10カ月間、11カ月間、12カ月間、またはこれらの値のうちの2つの任意の範囲にわたって、患者に連結される。ある方法では、モジュール100は、状態を監視するために患者に連結される。ある方法では、モジュール100は、状態の変化または悪化を監視するために患者に連結される。ある方法では、モジュール100は、時間の期間にわたって連続的に患者に連結される。ある方法では、モジュール100は、時間の期間の間に散発的に患者に連結される。ある方法では、モジュール100は、時間の期間の間の特定の活動の間に患者に連結される。ある方法では、モジュール100は、時間の期間の間の歩行の間に患者に連結される。ある方法では、モジュール100は、時間の期間の間の移動の間に患者に連結される。ある方法では、モジュール100は、毎週月曜日に1時間、または、毎週1日間など、周期的な基準で患者に連結される。ある方法では、モジュール100は、スケジュールに従って患者に連結される。ある方法では、モジュール100は、所望の時間の期間にわたって所望の量のデータを記録するために患者に連結される。ある方法では、モジュール100は、1つまたは複数の動きの継続時間にわたって患者に連結される。ある方法では、モジュール100は、1つまたは複数の位置の継続時間にわたって患者に連結される。ある方法では、モジュール100は、外科処置の継続時間にわたって患者に連結される。
【0045】
モジュール100は、モジュール100の取り扱いを容易にするための把持特徴部114を備え得る。ある実施形態では、把持特徴部114は、モジュール100の一部分に沿って溝または筋を備える。把持特徴部114は前面104に位置付けられ得る。把持特徴部114は後面106に位置付けられ得る。把持特徴部114は、例えば、側面108から突出する部分から形成され得る。把持特徴部114は、モジュール100の側面108に沿って部分的または全体的に延び得る。
【0046】
ある実施形態では、モジュール100は、位置、方位、または動きを感知するように構成される1つまたは複数の機能性要素を備え得る。モジュール100は、1つまたは複数のセンサ122と通信する電子制御ユニット120を備え得る。ある実施形態では、1つまたは複数のセンサ122は1つまたは複数の慣性センサを備える。モジュール100は電力供給部124を備え得る。モジュール100は内部記憶装置126を備え得る。
図2は、電子制御ユニット120と、1つまたは複数のセンサ122と、電力供給部124とを示している。電子制御ユニット120は、外側筐体102とは別の構成要素であり得る、または、外側筐体102の表面もしくは内部に組み込まれ得る。1つまたは複数のセンサ122は、外側筐体102とは別の構成要素であり得る、または、外側筐体102の表面もしくは内部に組み込まれ得る。電力供給部124は、外側筐体102とは別の構成要素であり得る、または、外側筐体102の表面もしくは内部に組み込まれ得る。
【0047】
モジュール100は、他の構成要素との組み合わせで使用され、それによって、
図2に示されているようなシステム10を形成することができる。システム10は外部記憶装置128を備え得る。モジュール100は外部記憶装置128と通信し得る。システム10は外部出力デバイス130を備え得る。モジュール100は外部出力デバイス130と通信し得る。ある実施形態では、外部出力デバイス130は外部記憶装置128を備え得る。外部記憶装置128は、外部出力デバイス130とは別の構成要素であり得る、または、外部出力デバイス130の表面もしくは内部に組み込まれ得る。システム10は、使用者がやり取りすることができる外部出力デバイス130を備え得る。外部出力デバイス130は、外科医、医療関係者、および/または他の使用者に、モジュール100を簡単に効率よく正確に操作させることができる。
【0048】
ある実施形態では、電子制御ユニット120は、1つまたは複数のセンサ122から入力を受信する。電子制御ユニット120は、外部記憶装置128への出力を制御および/または伝送することができる。電子制御ユニット120は、外部出力デバイス130への出力を制御および/または伝送することができる。電子制御ユニット120は、電子データを受信および送信するように構成され得る。電子制御ユニット120は、受信された電子データに基づいて計算を実施するように構成され得る。電子制御ユニット120は送受信機を備え得る。電子制御ユニット120は、Bluetooth(登録商標)、Bluetooth Low Energy(登録商標)、wifi(登録商標)、または他の基準のテレメトリプロトコルを用いて、データを無線で伝えることができる。電子制御ユニット120はBluetooth(登録商標)ラジオを備え得る。電子制御ユニット120はBluetooth Low Energy(登録商標)ラジオを備え得る。
【0049】
特定の実施形態では、電子制御ユニット120は、外部出力デバイス130における表示のために、電子データを、機械が読み取り可能な形式から人が読み取り可能な形式へと変換するように構成され得る。電子制御ユニット120は、1つまたは複数の処理装置、プログラムロジック、または、データおよび命令を表す他の基板構成を備え得る。電子制御ユニット120は、制御装置回路、処理装置基板、処理装置、汎用のシングルチップもしくはマルチチップのマイクロプロセッサ、デジタル信号処理装置、埋め込みマイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、および/または同様のものを備え得る。電子制御ユニット120は、従来のアドレス線、従来のデータ線、および1つまたは複数の従来の制御線を備え得る。電子制御ユニット120は、1つまたは複数の処理装置において実行するように構成される特定用途向け集積回路(ASIC)または1つもしくは複数のモジュールを備え得る。電子制御ユニット120はマイクロコントローラを備え得る。
【0050】
電子制御ユニット120は、データを読み出しおよび/または保存するために、内部記憶装置126と通信することができる。電子制御ユニット120は、データを読み出しおよび/または保存するために、外部記憶装置128と通信することができる。電子制御ユニット120は、ソフトウェアおよび/またはハードウェアのためのプログラム命令を読み出しするために、内部記憶装置126および/または外部記憶装置128と通信することができる。内部記憶装置126および外部記憶装置128は、スタティックRAMなど、情報の一時的な保存のためのランダムアクセスメモリ(「RAM」)、および/または、フラッシュメモリなど、情報のより永久的な保存のための読み出し専用メモリ(「ROM」)を備え得る。外部記憶装置128はクラウドデータベースに統合させることができる。外部出力デバイス130はデータをクラウドデータベースから読み出すことができる。1つまたは複数のモジュール100は、クラウド統合を介して、外部記憶装置128とやり取りすることができる。外部記憶装置128はサーバであり得る。
【0051】
ある実施形態では、電子制御ユニット120は、連続リアルタイムデータを外部出力デバイス130に提供するように構成され得る。ある実施形態では、電子制御ユニット120は、時間の範囲にわたっての連続データ収集を提供するように構成され得る。ある実施形態では、電子制御ユニット120は、患者の動きの間に複数のデータ点(例えば、10個のデータ点、100個のデータ点、500個のデータ点、1000個のデータ点、またはこれらの値の任意の範囲)を生成するように構成され得る。ある実施形態では、電子制御ユニット120は、ある時間の期間にわたって複数のデータ点(例えば、1分間あたり10個のデータ点、1分間あたり100個のデータ点、1分間あたり500個のデータ点、1分間あたり1000個のデータ点、またはこれらの値の任意の範囲)を生成するように構成され得る。
【0052】
電子制御ユニット120は、1つまたは複数のセンサ122からリアルタイムデータを受信するように構成され得る。電子制御ユニット120は、骨盤の可動性を決定、推定、および/または計算するために、または患者の骨盤の可動性に比例する値を測定するためにセンサデータを使用するように構成され得る。電子制御ユニット120は、患者の位置決めを決定するためにセンサデータを使用するように構成され得る。可動性の情報は、股関節置換手術に向けて患者特有の目標角度を決定するために使用できる。可動性の情報は、患者を分類して母集団の平均目標角度を修正するために使用できる。ある実施形態では、1つまたは複数のセンサ122は、整形外科手術の前に実施される準備処置の間の骨盤の可動性の決定および/または患者の位置決めを容易にする。
【0053】
ある実施形態では、1つまたは複数のセンサ122は、患者の対応する生体構造の運動、方位、および/または位置に関連して、電子制御ユニット120にリアルタイムデータを提供するように構成される少なくとも1つの方位センサを備え得る。ある実施形態では、1つまたは複数のセンサ122は、少なくとも1つのジャイロスコープセンサ、加速度計センサ、傾きセンサ、磁力計、および/または他の同様のデバイスを備え得る。ある実施形態では、1つまたは複数のセンサ122は任意選択の誘導センサを備え得る。ある実施形態では、1つまたは複数のセンサ122は非慣性センサを備え得る。ある実施形態では、1つまたは複数のセンサ122は、位置を決定することができる任意のセンサを備え得る。ある実施形態では、1つまたは複数のセンサ122は、方位を決定することができる任意のセンサを備え得る。ある実施形態では、1つまたは複数のセンサ122は、運動を追跡することができる任意のセンサを備え得る。1つまたは複数のセンサ122は、1つまたは複数のセンサ122の下にある患者の生体構造の可動性を測定するように、および/またはそのような可動性の決定を容易にするように、構成され得る。ある実施形態では、1つまたは複数のセンサ122は、基準点、基準線、基準平面、および/または重力ゼロに対する測定を提供するように構成され得る。本明細書で参照されているような重力ゼロとは、センサの軸が重力の力に対して垂直である方位を概して言っており、それによって、重力ベクトルに対して、例えば傾き、ピッチ、ロール、またはヨーといった角度のずれを受けない。ある実施形態では、1つまたは複数のセンサ122は、推測航法システムまたは慣性誘導システムにおける使用のための測定を提供するように構成され得る。
【0054】
ある実施形態では、1つまたは複数のセンサ122は、重力のため、患者の生体構造の静的加速度を測定する1つまたは複数の加速度計を備え得る。例えば、加速度計は、患者の生体構造のその軸のうちの1つまたは複数の周りでの回転を検出するために、傾きセンサとして使用できる。1つまたは複数の加速度計は、2つの回転の軸の周りでの回転を測定することができる二軸加速度計を備え得る。1つまたは複数の加速度計は、3つの回転の軸の周りでの回転を測定することができる三軸加速度計を備え得る。加速度計の軸の周りでの方位における変化は、重力ゼロに対して、および/または、本明細書に記載されている任意の座標系に対して、決定され得る。
【0055】
1つまたは複数の加速度計の出力信号はデジタル信号を含み得る。1つまたは複数の加速度計は、標準的なデジタルインターフェースを通じてデジタル信号を出力することができる。1つまたは複数の加速度計は、アイスクエアドシー(I2C)を含む任意のプロトコルを通じてデジタル信号を出力することができる。1つまたは複数の加速度計は、シリアルペリフェラルインターフェース(SPI)を含む任意のプロトコルを通じてデジタル信号を出力することができる。1つまたは複数の加速度計は、汎用非同期送受信機(UART)またはCANプロトコルなどの任意のプロトロコルを通じてデジタル信号を出力することができる。1つまたは複数の加速度計の出力信号はアナログ電圧信号を含み得る。各々の軸についての出力電圧信号は、加速度計が重力ベクトルに対してその方位を変えるとき、静的加速度における変動に基づいて変動することができる。特定の実施形態では、加速度計は、180度の傾きを通じて、-1gから+1gまでの範囲において静的加速度を受け、-1gは90度の傾きに対応し、0gはゼロ度の傾きに対応し、+1gは+90度の傾きに対応する。各々の軸に沿っての加速度は、他の軸に沿っての傾きから独立し得る。
【0056】
多軸加速度計が、その測定の軸の各々について別の加速度計センサを有し、各々のセンサが一平面における静的加速度の変化に応答するとして概念化され得る。特定の実施形態では、各々の加速度計センサは、その受感軸が重力に対して実質的に垂直であるとき(つまり、加速度計センサの長手方向の平面が重力と平行であるとき)、傾きの変化に最も反応が良くなり(つまり、最大または最適な正確性および/または分解能で動作する)、感受軸が重力と平行であるとき(つまり、加速度計センサの長手方向の平面が重力に対して垂直であるとき)、最も反応が悪くなる。ある実施形態では、1つまたは複数のセンサ122は、1つまたは複数のセンサ122の正確性を向上させるために、角度にずれがあるように装着され得る。
【0057】
ある実施形態では、1つまたは複数のセンサ122は、少なくとも1つの単軸ジャイロスコープまたは多軸ジャイロスコープのセンサと、少なくとも1つの単軸加速度計または多軸加速度計のセンサとを備える。1つまたは複数のセンサ122は、三軸ジャイロスコープセンサ、または3つのジャイロスコープセンサを備え得る。1つまたは複数のセンサ122は、三軸加速度計、または3つの加速度計センサを備え得る。1つまたは複数のセンサ122は、モジュール100の六自由度すべてについての位置測定および方位測定を提供することができる。ある実施形態では、1つまたは複数のセンサ122は、外部の参照を必要とすることなく、モジュール100の位置、方位、および速度を連続的に計算するために、慣性誘導または推測航法のシステムを提供する。
【0058】
ある実施形態では、1つまたは複数のセンサ122は、1つまたは複数の加速度計と、少なくとも1つの磁力計とを備える。磁力計は、モジュール100の近傍において、1つまたは複数の磁場の強度および/または方向を測定するように構成され得る。磁力計は、水平平面の周りでの角度位置における変化を検出するように有利に構成され得る。ある実施形態では、1つまたは複数のセンサ122は、距離測定を決定することができる1つまたは複数のセンサを備える。1つまたは複数のセンサ122は、測定指示体の端に装着されるエミッタ要素と有線または無線で電気通信することができる。特定の実施形態では、電気制御ユニット120は、例えば、解剖学的ランドマークへの距離に対応する測定指示体の軸方向の長さといった、センサとエミッタとの間の距離を決定するように構成され得る。ある実施形態では、指示体はプローブである。
【0059】
ある実施形態では、モジュール100は、基準系に対するデータを収集することができる。ある実施形態では、モジュール100は、座標系に対するデータを収集することができる。座標系は、直交する2つの平面を含み得る。座標系は、直交する3つの平面を含み得る。座標系は、直交する2つの軸を含み得る。座標系は、直交する3つの軸を含み得る。1つまたは複数のモジュール100は、グローバル座標系に登録することができる。グローバル座標系は1つまたは複数の方法ステップで利用され得る。グローバル座標系はカップ誘導で利用され得る。グローバル座標系は解剖学的に基づかれ得る。グローバル座標系は手術前に決定され得る。グローバル座標系は手術中に決定され得る。グローバル座標系は、X線写真などの撮像技術から決定され得る。グローバル座標系は1つまたは複数の解剖学的軸を含み得る。グローバル座標系は1つまたは複数の解剖学的平面を含み得る。グローバル座標系は、重力から決定される1つまたは複数の平面を含み得る。
【0060】
モジュール100はグローバル座標系と同期することができる。モジュール100は、グローバル座標系内におけるモジュール100の方位を決定することができる。モジュール100は、正確性を保つためにグローバル座標系を利用することができる。1つまたは複数のモジュール100は、前骨盤平面を含む座標系に対する方位を決定することができる。1つまたは複数のモジュール100は、調整された平面を含む座標系に対する方位を決定することができる。1つまたは複数のモジュール100は、前骨盤平面を近似する平面を含む座標系に対する方位を決定することができる。1つまたは複数のモジュール100は、鉛直平面を含む座標系に対する方位を決定することができる。1つまたは複数のモジュール100は、水平平面を含む座標系に対する方位を決定することができる。1つまたは複数のモジュール100は、重力の軸を含む座標系に対する方位を決定することができる。1つまたは複数のモジュール100は、原点を含む座標系に対する方位を決定することができる。1つまたは複数のモジュール100は、起立しての側面の撮影またはX線写真に関する座標系に対する方位を決定することができる。1つまたは複数のモジュール100は、所定の基準フレームに対する方位を決定することができる。
【0061】
モジュール100の出力は、誘導のために使用される基準フレームに相互に関連付けられ得る。モジュール100の出力は、カップ配置のために使用される基準フレームに相互に関連付けられ得る。モジュール100の測定が表示され得る。モジュール100の測定は、前捻についての角度が表示される同じ座標系に表示され得る。モジュール100の測定は、骨盤傾きの角度が表示される同じ座標系に表示され得る。モジュール100の測定は、アルゴリズムによって座標系と相互に関連付けられ得る。モジュール100の測定は、点の登録によって決定された座標系と相互に関連付けられ得る。モジュール100の測定は、テーブルの登録によって決定された座標系と相互に関連付けられ得る。
【0062】
電力供給部124は、電子制御ユニット120に電力を供給するように構成される1つまたは複数の電力源を備え得る。ある実施形態では、電力供給部124は、1つまたは複数の再充電可能または再交換可能な電池を備える。ある実施形態では、電力供給部124は、1つまたは複数のコンデンサまたはウルトラキャパシタなどの1つまたは複数の容量性保存デバイスを備える。ある実施形態では、電力は、他の有線および/または無線の電力源によって供給され得る。電子制御ユニット120は、電池が電力供給部124のために使用される場合、電池レベルを監視するように構成され得る。電池レベルを監視することは、電力喪失の前もっての予告を有利に提供することができる。特定の実施形態では、モジュール100は、所定の非作動の期間の後にモジュール100に一時的に電力オフにさせるように、および/または、所定の時間終了期間の後にモジュール100に永久的に電力オフさせるように構成されるタイマを備え得る。
【0063】
モジュール100は、モジュール100の中に設置できる1つまたは複数の回路基板および/または他の回路を備えることができる。1つまたは複数のセンサ122の装着は、1つまたは複数のセンサ122を最大または最適な感度、正確性、および/または分解能の領域で動作させることができる。具体的な装着のずれ角度は、患者の具体的な予期される動きの間、モジュール100の運動の範囲に基づいて選択され得る。
【0064】
ある実施形態では、電子制御ユニット120は、外部出力デバイス130における提示のために、1つまたは複数のセンサ122のアナログ電圧出力信号を角度測定へと変換することができる。ステップの各々は、ハードウェアおよび/またはソフトウェアを用いて実施され得る。測定された回転(例えば、ピッチおよびロール)の各々の軸について、1つまたは複数のセンサ122はアナログ電圧信号を連続的に出力することができる。モジュール100の信号調整回路は、信号からノイズを除去するために、アナログ出力電圧信号を(例えば、低域通過フィルタで)濾過することができる。信号調整回路は、例えばゲイン回路を介して、出力電圧信号を増幅または上昇させる。ADCは、連続アナログ電圧信号を、データサンプルの離散デジタルシーケンス、または電圧計数へと変換することができる。ある実施形態では、ADCは、2ミリ秒ごとに一度、アナログ電圧信号をサンプリングすることができるが、他のサンプリングレートが可能である。ADCは、4096回の個別の電圧計数を提供する12ビットの分解能を伴うADCを備え得る。
【0065】
ある実施形態では、電子制御ユニット120は、角度測定に変換される適切なデータ点を生成することができる。電子制御ユニット120は、データにおける異常値を排除するために、メディアンフィルタをサンプリングされたデータに適用することができる。次に、メディアンフィルタの出力が移動平均フィルタへと送り込まれ得る。移動平均フィルタは、角度測定へと変換されるデータを安定化させるために使用され得る。電子制御ユニット120は、有限インパルス応答(「FIR」)または無限インパルス応答(「IIR」)のフィルタを用いて、1つまたは複数のステップを実施することができる。
【0066】
ある実施形態では、電子制御ユニット120は、電圧計数データを度での角度測定へと変換することができる。変換を実施するとき、電子制御ユニット120は、較正変換アルゴリズムを適用するように構成され得る。較正変換は、構成要素およびセンサの配置において、ユニットごとの違いを担うように構成され得る。較正のルーチンが、1つまたは複数のセンサ122によって監視されている各々の軸について実施され得る。較正の変換は、機械的または電気的なずれを除去することと、正または負の傾きのために適切なゲイン較正を適用することとを含み得る。ある実施形態では、電子制御ユニット120は、角度測定を外部出力デバイス130に送信することができる。ある実施形態では、電子制御ユニット120は、未加工のデータを1つまたは複数のセンサ122から外部出力デバイス130へと送信することができる。ある実施形態では、電子制御ユニット120は、アナログ電圧出力信号を1つまたは複数のセンサ122から外部出力デバイス130へと送信することができる。
【0067】
ある実施形態では、電子制御ユニット120は、以下の機能のうちの1つまたは複数を実施するように構成される処理装置を備え得る。電子制御ユニット120は、1つまたは複数のモジュール100の1つまたは複数のセンサ122から測定を集めることができる。電子制御ユニット120はデータを蓄積または統合することができる。電子制御ユニット120は、1つまたは複数のセンサ122から測定を運動学的情報へと変換するために計算を実施することができる。運動学的情報は骨盤の可動性に関し得る。運動学的情報は患者の位置決めに関し得る。運動学的情報は、座る、傾く、または立つなど、患者の様々な運動の間に集められ得る。モジュール100は、患者が座るとき、骨盤の方位を手術前に追跡することができる。モジュール100は、動的な骨盤の方位と静的な骨盤の方位とを追跡することができる。
【0068】
外部出力デバイス130はデジタル信号を受信することができる。本明細書に記載されているように、1つまたは複数の加速度計は、数ある中でも、I2CおよびSPIなどの標準的なデジタルインターフェースを通じてデジタル信号を出力することができる。外部出力デバイス130は加速度計からデジタル出力信号を受信することができる。ある実施形態では、外部出力デバイス130は信号を受信するだけである。ある実施形態では、外部出力デバイス130は信号を送信および受信することができる。外部出力デバイス130は、1つまたは複数のコンピュータ、タブレット、および/またはスマートフォンを含み得る。外部出力デバイス130は、本明細書に記載されている電子制御ユニット120の何らかの能力を含み得る。外部出力デバイス130は、電子制御ユニット120の能力のいずれかを実施することができる。ある実施形態では、外部出力デバイス130は、外部出力デバイス130における提示のために、1つまたは複数のセンサ122のアナログ電圧出力信号を角度測定へと変換することができる。ある実施形態では、外部出力デバイス130は、角度測定に変換される適切なデータ点を生成することができる。ある実施形態では、外部出力デバイス130は、電圧計数データを度での角度測定へと変換することができる。
【0069】
ある実施形態では、外部出力デバイス130は運動学的データを送信することができる。ある実施形態では、外部出力デバイス130は運動学的データを受信することができる。ある実施形態では、外部出力デバイス130はアルゴリズムデータを送信または受信することができる。外部出力デバイス130は、データを読み出しおよび/または保存するために、外部記憶装置128と通信することができる。外部出力デバイス130は、ソフトウェアおよび/またはハードウェアのためのプログラム命令を読み出すために、外部記憶装置128と通信することができる。外部記憶装置128は、情報の保存のために記憶装置を備え得る。外部記憶装置128はサーバであり得る。外部出力デバイス130はサーバと通信することができる。外部出力デバイス130は、サーバへのアルゴリズムデータおよび運動学的データを送信および/または受信する能力を有する。
【0070】
外部出力デバイス130は、モジュール100からのデータを表示することができる。外部出力デバイス130は骨盤の可動性のデータを表示することができる。外部出力デバイス130は、患者の生体構造の一部分の位置または方位を表示することができる。外部出力デバイス130はある範囲の運動データを表示することができる。外部出力デバイス130は、1つまたは複数のモジュール100からのデータを表示することができる。外部出力デバイス130はデータをリアルタイムで表示することができる。外部出力デバイス130はモジュール100の動作を制御することができる。外部出力デバイス130はモジュール100をオンすることができる。外部出力デバイス130は、開始および停止のデータ収集など、データをモジュール100からいつ収集するかを決定することができる。外部出力デバイス130は、外部出力デバイス130にインストールされるアプリケーションまたはアプリでデータを収集および/または保存することができる。外部出力デバイス130は、データを外部記憶装置128などの1つまたは複数の追加のデバイスに伝送することができる。外部出力デバイス130はライト指示体を備え得る。ライト指示体は、患者に関する分類情報を提供することができる。ライト指示体は赤色ライトおよび緑色ライトであり得る。緑色ライトは、患者が通常の可動性を有することを指示することができる。赤色ライトは、患者が異常な可動性を有することを指示することができる。緑色ライトは、母集団の平均目標角度が患者にとって適切であることを指示することができる。赤色ライトは、母集団の平均目標角度が患者にとって適切でないことを指示することができる。モジュール100からのデータは、外科方法が実施されるかどうかに拘わらず、固有値を有し得る。モジュール100は、可動性に見合うデータを提供し、患者についての運動学的データの大勢を提供することができる。モジュール100はデータをクラウドに提供することができる。データは保存され得る。データは、以前または以後のデータと比較され得る。患者は時間と共に追跡され得る。モジュール100は手術中の使用のためにデータを提供することができる。
【0071】
外部出力デバイス130は、運動学的情報を、目標または母集団の平均運動学的情報と比較することができる。運動学を指示する1つまたは複数のセンサ122の出力に基づく値が、母集団の平均運動学的データと比較され得る。これらの母集団の平均運動学的データは、健康な患者についての公表されている平均に基づかれ得る。外部出力デバイス130は、運動学的情報に対応する患者特有の出力を伝送することができる。患者特有の出力は、外科医への提案であり得る。患者特有の出力は、前捻角度の調整のための提案であり得る。患者特有の出力は、外転角度の調整のための提案であり得る。患者特有の出力は、提案された患者特有の目標角度のセットであり得る。患者特有の出力は、母集団の平均目標角度への提案された調整であり得る。患者特有の出力は、前捻角度を増加または減少させるための提案であり得る。患者特有の出力は、二元可動性インプラントなどの特定の種類のインプラントを利用するための提案であり得る。患者特有の出力は、外科医によって分析および利用される未加工データであり得る。患者特有の出力は、患者を母集団の平均と比較するグラフであり得る。患者特有の出力は、外科医によって使用可能な任意の形態を取り得る。
【0072】
図3A~
図3Cは、患者に連結されたモジュール100の透視図を示している。
図3A~
図3Cは、仙骨へのモジュール100の配置、脊椎へのモジュール100の配置、ASIS点へのモジュール100の配置を示している。ある実施形態では、仙骨においては、仙骨に被さる皮膚の触診によって特定され得る骨突出部位への場所を含む。ある実施形態では、モジュールは、下にある生体構造に被さる患者の皮膚に位置決めされる。モジュール100は、ASIS点、恥骨を含め、解剖学的な基準に対して、隣接して、近くに、表面に、または被さって、位置決めされ得る。ある実施形態では、可動性の評価は手術前の活動を含み得る。ある実施形態では、モジュール100を位置決めすることは、モジュール100を位置決めするための切開を含まない。モジュール100の他の組み合わせおよび位置が検討されている。
図3A~
図3Cは、例えば大腿骨の周りでのバンドでといった、大腿骨へのモジュール100の配置を示している。ある実施形態では、モジュール100は、患者によって着用されるように構成される衣服に連結される。1つまたは複数のモジュール100は、仙骨、大腿骨、および、ASIS点、脊椎、または体における他の触知可能な場所など他の場所など、体の様々な部分に配置される。ある方法では、1つまたは複数のモジュール100は、下背部、上背部、および首に配置される。モジュール100は、本明細書に記載されているように、手術前の訪問の間に診療室の状況で使用され得る。
【0073】
ある方法では、モジュール100は内科医によって配置される。患者の動きは、内科医の診療室において追跡され得る。患者は、内科医の指示および監督の下で、所定の手法で動くことができる。例として、患者は、座ったり立ったりするように求められ得る。患者は繰り返しの運動を行うように求められ得る。患者は、ある範囲の運動を通じて動くことができる。患者は、具体的な姿勢または位置を保つように求められ得る。モジュール100は、時間の期間にわたって動きを記録することができる。モジュール100は、例えば開始/停止のインターフェースの使用によって、命令されるときに動きを記録することができる。
【0074】
ある方法では、モジュール100は家庭の状況で使用され得る。ある方法では、診療室の状況または家庭の状況での使用は、内科医によって決定される。患者の動きは、患者の家庭において追跡され得る。患者は、通常の活動の間に自由に動くことができる。例として、患者は、患者の活動の間に、着座する、起立する、および様々な角度へと傾くことができる。患者は、ある範囲の運動を通じて動くことができる。患者は、繰り返し座るなど、動きを繰り返してもよい。患者は、ある範囲の運動を通じて動くことができる。患者は、通常の活動の間に姿勢または位置を保つことができる。モジュール100は、時間の期間にわたって動きを記録することができる。モジュール100は、日、週、または月にわたって動きを散発的に記録することができる。モジュール100は、動きが検出されると動きを記録することができる。モジュール100は、例えば開始/停止のインターフェースの使用によって、命令されるときに動きを記録することができる。
【0075】
外部出力デバイス130は、家庭での状況において、モジュール100からの信号を受信することができる。本明細書に記載されているように、1つまたは複数の加速度計は、標準的なデジタルインターフェースを通じて信号を出力することができる。外部出力デバイス130は、患者の1つまたは複数のコンピュータ、タブレット、および/またはスマートフォンを含み得る。ある実施形態では、患者は、スマートフォンまたはタブレットにおいてアプリとやり取りする。
【0076】
患者のスマートフォンまたはタブレットは、外部出力デバイス130と、または、システムにおける外部出力デバイス130のうちの1つと、見なすことができる。患者は、例えば座るまたは立つといった、実施される活動を特定するために、外部出力デバイス130とやり取りすることができる。患者は、タイムスパンの間に活動を特定するために、外部出力デバイス130とやり取りすることができる。患者は、モジュール100をオンまたはオフするために、外部出力デバイス130とやり取りすることができる。患者は、動きを記録するための時間期間を設定するために、外部出力デバイス130とやり取りすることができる。外部出力デバイス130は、患者に向けての命令またはきっかけを含み得る。外部出力デバイス130は、収集される必要がある動きの種類についての命令を提供することができる。
【0077】
患者のデバイスは、手術前の治療のために、情報を内科医に伝送することができる。患者のデバイスは、手術の治療のために、情報を外科医に伝送することができる。内科医は、情報をモジュール100から読み出すために、外部出力デバイス130を有し得る。外科医は、情報をモジュール100から読み出すために、外部出力デバイス130を有し得る。1つまたは複数の外部出力デバイス130は、本明細書に記載されている任意の構成要素へと情報を伝送または受信することができる。1つまたは複数の外部出力デバイス130は、サーバへの情報を伝送または受信することができる。
【0078】
図4は、外部出力デバイス130と通信している1つまたは複数のモジュール100の図を示している。1つまたは複数のモジュール100は患者に配置され得る。1つまたは複数のモジュール100は外部出力デバイス130と通信し得る。1つまたは複数のセンサ122は、動的データを、電子制御ユニット120を通じて直接的または間接的に、外部出力デバイス130に提供することができる。外部出力デバイス130は、骨盤の可動性に関する1つまたは複数の値を表示することができる。外部出力デバイス130は、患者の生体構造の位置または方位に関する1つまたは複数の値を表示することができる。外部出力デバイス130は仙骨の傾斜を表示することができる。外部出力デバイス130は側面での骨盤の傾きを表示することができる。外部出力デバイス130は、基準の傾斜に関する値を表示することができる。外部出力デバイス130は、骨盤の可動性のグラフィカルな描写を表示することができる。
【0079】
外部出力デバイス130は任意のグラフィカルインターフェースを備え得る。外部出力デバイス130はタッチスクリーンを備え得る。外部出力デバイス130は表示部を備え得る。外部出力デバイス130はスクリーンを備え得る。外部出力デバイス130は1つまたは複数のデジタルボタンを備え得る。外部出力デバイス130は1つまたは複数のアイコンを備え得る。外部出力デバイス130は生体構造のグラフィカルな描写を含み得る。外部出力デバイス130は脊椎のグラフィカルな描写を含み得る。外部出力デバイス130は骨盤のグラフィカルな描写を含み得る。外部出力デバイス130は上肢のグラフィカルな描写を含み得る。外部出力デバイス130は下背部のグラフィカルな描写を含み得る。外部出力デバイス130は生体構造の任意の部分のグラフィカルな描写を含み得る。外部出力デバイス130はモジュール100の場所のグラフィカルな描写を含み得る。外部出力デバイス130は1つまたは複数の解剖学的角度のグラフィカルな描写を含み得る。外部出力デバイス130は1つまたは複数の解剖学的軸のグラフィカルな描写を含み得る。外部出力デバイス130は、タッチ可能なボタンまたはアイコンなど、測定を開始するためのユーザーインターフェースを備え得る。外部出力デバイス130は、タッチ可能なボタンまたはアイコンなど、測定を停止するためのユーザーインターフェースを備え得る。外部出力デバイス130は、1つまたは複数のモジュール100のゼロ測定へのユーザーインターフェースを備え得る。外部出力デバイス130は、メニューを変えるために、または、メニュー間で切り替えるために、ユーザーインターフェースを備え得る。外部出力デバイス130は1つまたは複数の測定の表示部を備え得る。外部出力デバイス130は、立つ測定の表示部を備え得る。外部出力デバイス130は、座る測定の表示部を備え得る。外部出力デバイス130は、リアルタイム測定の表示部を備え得る。
【0080】
外部出力デバイス130は、1つまたは複数のスクリーン上の図画を表示するように構成され得る。スクリーン上の図画は、グラフィカルな画像またはアイコンを含み得る。外部出力デバイス130は、図示された外科処置のステップなど、指示の画像を表示するように構成され得る。外部出力デバイス130は、モジュール100から受信された方位情報の視覚的指示体を表示するように構成され得る。外部出力デバイス130は、1つまたは複数の平面に対するモジュール100の回転の度合いを表示するように構成され得る。外部出力デバイス130は、基準平面からの回転の方向を指示するように、正の指標または負の指標のいずれかを表示するように構成され得る。外部出力デバイス130は、モジュール100の具体的な方位を維持するときに使用者を助けるために、対話型の指示体を表示するように構成され得る。外部出力デバイス130は、英数字の文字または記号を表示するように構成され得る。外部出力デバイス130は、方向矢印を表示するように構成され得る。
図4が外部出力デバイス130のグラフィカルユーザーインターフェースの例を示すが、他のグラフィカルユーザーインターフェースが検討されている。
【0081】
外部出力デバイス130は提案を外科医に表示することができる。提案は、患者からの未加工の運動学的データを含み得る。提案は、患者の特性の列記を含み得る。提案は、目標角度を患者特有の角度へと変えるための提案を含み得る。
【0082】
図5A~
図5Bは手術前の方法を示している。モジュール100を用いた患者の可動性が、幅広い様々な動きに基づいて決定され得る。使用者は、立つ、座る、および前方へ傾くなど、幅広い運動を通じて動く。ある方法では、データは、骨盤の可動性および/または他の運動学的データを決定するために捕捉および処理される。患者からの個人に合わせたデータに基づいて、システム10は提案を外科医に提供することができる。ある方法では、システム10は、股関節全置換術のための目標外転角度および目標前捻角度の1つまたは複数を調整するように、提案を提供することができる。ある方法では、システム10は、外科処置を実施するかどうかの提案を提供することができる。ある方法では、システム10は、インプラントの選択のための提案を提供することができる。
【0083】
下記の表は、外科医に提供される指導の例を提供している。指導は、目標角度の外科医の選択を容易にすることができる。提供されたデータに基づいて、外科医は前捻角度および/または外転角度を変えることができる。ある方法では、患者は座ることと立つこととの間で動くことができる。システム10は、患者の座る特性と立つ特性とを比較することができる。システム10は、患者の測定された立つ前捻、座る前捻、および機能前捻における変化を、母集団に基づく平均と比較することができる。ある実施形態では、システム10は、母集団に基づく平均を調整し、患者特有の目標角度を外科医への提案として出力する。
【0084】
ある実施形態では、システム10は、患者の座る特性と立つ特性との比較に基づいて、角度を調整するための提案を提供することができる。システム10は、母集団の平均から、前捻を減少させる、前捻を増加させる、または前捻での変化なしなど、提案を提供することができる。これらの提案は外部出力デバイス130に表示され得る。これらの提案は、サーバなどの外部記憶装置128へと送信され得る。これらの提案は外科処置の間の使用のために保存され得る。これらの提案は、外科計画を立てるときに利用できる。
【0085】
【0086】
ある方法では、モジュール100と外部出力デバイス130とを備えるシステム10は、モジュール100からの測定に基づいて、患者の立つ前捻を指示する出力を生成することができる。例えば、外部出力デバイスは、3度の立つ前捻角度を表示することができる。この測定は、中立的な立つ骨盤を提案することができる。システム10は、患者特有の立つデータの指示を提供することができる。モジュール100と外部出力デバイス130とを備えるシステム10は、モジュール100からの測定に基づいて、患者の座る前捻を指示する出力を生成することができる。例えば、外部出力デバイスは、-17度の座る前捻角度を表示することができる。この測定は、衝突を回避するための十分なクリアランスを伴う座る方位を提案することができる。システム10は、患者特有の座るデータの指示を提供することができる。モジュール100と外部出力デバイス130とを備えるシステム10は、患者の可動性を指示する出力を生成することができる。例えば、外部出力デバイスは、20度の範囲の運動を指示する可動性を表示することができる。この測定は、標準的な範囲の運動を提案することができる。システム10は、患者特有の可動性データの指示を提供することができる。これらの出力のうちの1つまたは複数は、最適な安定性に向けて患者特有の目標前捻を決定するために、外科医によって利用され得る。
【0087】
別の患者について、モジュール100と外部出力デバイス130とを備えるシステム10は、-1度の立つ前捻を出力することができる。この測定は、中立的な立つ骨盤を提案することができる。モジュール100と外部出力デバイス130とを備えるシステム10は、-10度の座る前捻を出力することができる。この測定は、衝突を回避するための不十分なクリアランスを伴う座る方位を提案することができる。モジュール100と外部出力デバイス130とを備えるシステム10は、9度の運動の範囲の可動性を出力することができる。この測定は、減少した範囲の運動を提案することができる。これらの出力のうちの1つまたは複数は、衝突を回避し、座るときに後安定性を向上させるように、目標前捻を増加させるかどうかを決定するために、外科医によって利用され得る。
【0088】
図6は、外科的なワークフローの実施形態を示している。モジュール100は、手術前のワークフローへと組み込むことができる。手術前のワークフローは、手術のワークフローと時間および空間において別にできる。モジュール100は、現在のワークフローへと容易に組み込むことができる。モジュール100は、本明細書に記載されているように、手術前の目標計画を容易にすることができる。
【0089】
ある使用の方法では、患者は、
図6に示されているような手術前の訪問を行うことができる。1つまたは複数のモジュール100が患者の体に装着され得る。ある使用の方法では、モジュール100は仙骨に配置される。ある使用の方法では、少なくとも1つのモジュール100が仙骨に配置される。ある使用の方法では、モジュール100は尾骨に配置される。ある使用の方法では、少なくとも1つのモジュール100が尾骨に配置される。ある使用の方法では、モジュール100は腸骨に配置される。ある使用の方法では、モジュール100は腸骨稜に配置される。ある使用の方法では、モジュール100は腸骨棘に配置される。ある使用の方法では、モジュール100は寛骨臼の縁に配置される。ある使用の方法では、モジュール100は坐骨に配置される。ある使用の方法では、モジュール100は恥骨に配置される。ある使用の方法では、モジュール100は恥骨の隆起に配置される。ある使用の方法では、モジュール100は恥骨結合に配置される。ある使用の方法では、少なくとも1つのモジュール100が骨盤に配置されなければならない。
【0090】
ある方法では、モジュール100はASIS点のうちの1つに配置され得る。仙骨におけるモジュール100は、ASIS点のうちの1つにおけるモジュール100との組み合わせで使用され得る。ある方法では、モジュール100は両方のASIS点に配置される。仙骨におけるモジュール100は、ASIS点の両方におけるモジュール100との組み合わせで使用され得る。ある方法では、モジュール100はPSIS点のうちの1つに配置され得る。仙骨におけるモジュール100は、PSIS点のうちの1つにおけるモジュール100との組み合わせで使用され得る。ある方法では、モジュール100は両方のPSIS点に配置される。仙骨におけるモジュール100は、PSIS点の両方におけるモジュール100との組み合わせで使用され得る。
【0091】
ある方法では、モジュール100は大腿骨のうちの1つに配置され得る。仙骨におけるモジュール100は、大腿骨のうちの1つにおけるモジュール100との組み合わせで使用され得る。ある方法では、モジュール100は両方の大腿骨に配置される。仙骨におけるモジュール100は、大腿骨の両方におけるモジュール100との組み合わせで使用され得る。ある方法では、モジュール100は一方または両方の脛骨に配置される。ある方法では、モジュール100は一方または両方の膝蓋骨に配置される。ある方法では、モジュール100は一方または両方の腓骨に配置される。ある方法では、モジュール100は一方または両方の足に配置される。ある方法では、モジュール100は一方または両方の足根に配置される。ある方法では、モジュール100は一方または両方の踵骨に配置される。ある方法では、モジュール100は一方または両方の中足骨に配置される。ある方法では、モジュール100は一方または両方の脚に置ける領域に配置される。仙骨におけるモジュール100は、一方または両方の脚におけるモジュール100との組み合わせで使用され得る。
【0092】
ある方法では、モジュール100は脊椎に配置される。仙骨におけるモジュール100は、脊椎におけるモジュール100と共に使用され得る。ある方法では、モジュール100は下背部に配置される。仙骨におけるモジュール100は、下背部におけるモジュール100と共に使用され得る。ある方法では、モジュール100は上背部に配置される。仙骨におけるモジュール100は、上背部におけるモジュール100と共に使用され得る。ある方法では、モジュール100は首に配置される。仙骨におけるモジュール100は、首におけるモジュール100と共に使用され得る。ある方法では、モジュール100は胸の1つまたは複数の骨に配置される。ある方法では、モジュール100は1つまたは複数の肋骨に配置される。ある方法では、モジュール100は胸郭の一部分に配置される。ある方法では、モジュール100は胸骨に配置される。仙骨におけるモジュール100は、胸骨におけるモジュール100との組み合わせで使用され得る。ある方法では、モジュール100は鎖骨に配置される。ある方法では、モジュール100は、1つまたは複数の椎骨(例えば、頸椎、胸椎、腰椎、仙椎、尾椎、および椎骨の任意の組み合わせ)に配置される。仙骨におけるモジュール100は、1つまたは複数の椎骨におけるモジュール100との組み合わせで使用され得る。
【0093】
ある方法では、モジュール100は体における任意の2つの場所に配置される。ある方法では、モジュール100は、体における1つまたは複数の場所(例えば、1箇所の場所、2箇所の場所、3箇所の場所、4箇所の場所、5箇所の場所、6箇所の場所、7箇所の場所、8箇所の場所、9箇所の場所、10箇所の場所、または、前述の値のいずれかの範囲)に配置される。ある方法では、モジュール100は体における1つまたは複数の対側の場所に配置される。ある方法では、モジュール100は1つまたは複数の対称の場所に配置される。2つ以上のモジュール100を伴うある方法では、2つ以上のモジュール100は組み合わせで使用され得る。2つ以上のモジュール100を伴うある方法では、2つ以上のモジュール100は測定を同時に収集することができる。2つ以上のモジュール100を伴うある方法では、2つ以上のモジュール100は測定を別々に収集することができる。ある方法では、モジュール100は体の様々な部分に位置付けられる。
【0094】
ある方法では、モジュール100は1つまたは複数の触知可能な場所に配置され得る。ある方法では、モジュール100は頸部と胸郭との接合部に配置され得る。ある方法では、モジュール100は患者の皮膚の任意の表面に配置され得る。ある方法では、モジュール100は、骨の上にある患者の皮膚の任意の表面に配置され得る。モジュール100は、少なくとも1つの解剖学的領域に連結され得る。ある使用の方法では、モジュール100は、少し柔らかい組織を伴う少なくとも1つの解剖学的領域に連結される。柔らかい組織は、下にある骨に対して動く可能性がある。モジュール100は、下にある骨を追跡するように構成され得る。
【0095】
1つまたは複数のモジュール100は、患者が立つときにデータを出力することができる。1つまたは複数のモジュール100は、患者が座るときにデータを出力することができる。1つまたは複数のモジュール100は、患者が任意の位置にあるとき、または任意の動きの間にあるとき、データを出力することができる。ある実施形態では、モジュール100は、位置、方位、および/または動きを測定する1つまたは複数のセンサ122を備える。1つまたは複数のセンサ122からのデータが捕捉され得る。1つまたは複数のセンサ122からのデータは処理され得る。立つデータは座るデータに関連し得る。運動データの範囲が蓄積され得る。運動データの範囲は患者特有の目標角度に関連し得る。ある方法では、患者特有の目標角度は、患者特有の目標角度を決定するための手術前計画の一部であり得る。
【0096】
ある実施形態では、1つまたは複数のモジュール100が利用される。1つまたは複数のモジュール100は骨盤の可動性を測定することができる。この骨盤の可動性は外科計画において使用できる。1つまたは複数のモジュール100は動的な可動性の測定を収集することができる。患者は、立つ、座る、傾く、一方の脚を持ち上げる、他方の脚を持ち上げる、しゃがむ、または他の運動など、様々な方法で動くことができる。1つまたは複数のモジュール100は、患者による動きの間、動的な可動性の測定を収集することができる。1つまたは複数のモジュール100は、座るから立つへの動きの軌跡に沿って、動的な可動性を収集することができる。1つまたは複数のモジュール100はデータを外部出力デバイス130へと送信することができる。モジュール100は、アプリを伴うスマートフォンなどの外部出力デバイス130とやり取りすることができる。これらのステップは、診療室または家庭の状況で完結され得る。これらのステップは手術前に完結され得る。
【0097】
ある実施形態では、外科医はモジュール100からのデータを検討することができる。ある実施形態では、外科医は外部出力デバイス130におけるモジュール100からのデータを検討することができる。ある実施形態では、外部出力デバイス130は外部記憶装置128と通信することができる。ある実施形態では、外科医は外部記憶装置128におけるモジュール100からのデータを検討することができる。ある実施形態では、外科医は、外部記憶装置から情報を読み出す外部出力デバイス130におけるモジュール100からデータを検討することができる。ある実施形態では、外部出力デバイス130および/または外部記憶装置128は、1つまたは複数の動作デバイスと通信することができる。ある実施形態では、外科医は外科方位デバイス172におけるモジュール100からのデータを検討することができる。外科方位デバイス172は、股関節全置換術などの外科手術の間に使用され得る。ある実施形態では、外科方位デバイス172は、1つまたは複数のモジュール100から得られる患者特有のデータを受信することができる。
【0098】
外科医は、1つまたは複数のモジュール100からのデータに少なくとも一部で基づいて、目標カップ角度を決定することができる。外科医は、患者特有のデータの解釈において自身の判定を利用することができる。外科医は、システム10からの提案を受け入れることができる。外科医は、システム10からの提案を拒否することができる。外科医は、システム10からの提案を修正することができる。目標角度が外科医によって決定されると、目標角度は、外科方位デバイス172にとっての入力であり得る。外科方位デバイス172は、目標角度へのカップの誘導を容易にすることができる。
【0099】
ある実施形態では、患者特有の目標角度は、手術室においての使用のために、外科方位デバイス172に表示され得る。ある実施形態では、モジュール100と、モジュール100からのデータとは、現在の外科的なワークフローを変更することなく、組み込むことができる。
【0100】
ある実施形態では、モジュール100は手術の状況において利用される。モジュール100は、患者の位置決めに関するデータを提供することができる。モジュール100は、股関節が正しく配置されているかどうかを決定することができる。モジュール100は解剖学的な場所に配置され得る。2つ以上のモジュール100が解剖学的な場所に配置され得る。ある方法では、モジュール100は、ASIS線が水平であるかどうかを決定することができる。ある方法では、モジュール100は、ASIS線が鉛直であるかどうかを決定することができる。ある方法では、モジュール100は、骨盤が鉛直であるかどうかを決定することができる。ある方法では、モジュール100は、骨盤が水平であるかどうかを決定することができる。ある方法では、モジュール100は、患者が前方アプローチに向けて適切に位置決めされているかどうかを決定することができる。ある方法では、モジュール100は、患者が後方アプローチに向けて適切に位置決めされているかどうかを決定することができる。
【0101】
ある実施形態では、モジュール100は、外科処置の間に位置、方位、および/または動きを測定する1つまたは複数のセンサ122を備える。1つまたは複数のセンサ122からのデータが捕捉され得る。1つまたは複数のセンサ122からのデータは処理され得る。患者は、適切な位置決めを達成するために調整され得る。患者の生体構造は外科処置の間に追跡され得る。モジュール100は骨盤の回転を追跡することができる。モジュール100は骨盤の方位を追跡することができる。モジュール100は、外科処置の間に生体構造のアライメントを追跡することができる。モジュール100は、外科医の接近に応じて、ASIS線が鉛直または水平と位置合わせされることを確保することができる。
【0102】
モジュール100はいくつかの利点を提供することができる。モジュール100は、外科医が手術前の計画を個人に合わせるかまたは調整することを可能にすることができる。モジュール100は、外科医が患者特有の骨盤の可動性に基づいて手術前の計画を向上させることができることを可能にすることができる。モジュール100は、個人に合わせられたカップ配置を容易にすることができる。個人に合わせられたカップ配置の目標角度は、より効果的とでき、より優れた臨床転帰をもたらすことができる。モジュール100は、患者特有の骨盤の傾きを考慮することができる。モジュール100は、患者特有の運動の範囲を担うことができる。外科医は、患者特有の目標角度を決定するとき、日常生活のための患者特有の活動を考慮することができる。外科医は、患者特有の目標角度を決定するとき、仰臥位または側臥位から体重を支えるまたは立つまでの変化を考慮することができる。外科医は、患者特有の目標角度を決定するとき、機能前捻に合致するための調整を考慮することができる。
【0103】
モジュール100は、運動学的データまたは他の患者特有のデータを外科医に提供するために使用され得る。外科医は、患者特有の目標角度を決定するためにこのデータを使用することができる。モジュール100は目標前捻角度を修正するために使用され得る。モジュール100は患者特有の前捻角度を決定するために使用され得る。モジュール100は目標機能前捻を決定するために使用され得る。ある実施形態では、モジュール100は不安定性を有利に防止または低減することができる。他の利点は、モジュール100が脱臼を防止または低減することができることである。なおも他の利点は、モジュール100が衝突を防止または低減することができることである。カップ配置のためのガイドラインは、一般的な(Lewinnekの)セーフゾーンを含み得る。このセーフゾーンは、カップ配置の指導について準最適であり得る。モジュール100は、手術前の測定に基づいて目標角度を調整するために提案を提供することで、このセーフゾーンを向上させることができる。外科医は、システム10によるあらゆる提案を受け入れ、拒否、または修正することができる。
【0104】
モジュール100は患者を分類するために有利に使用され得る。骨盤の傾きは股関節全置換術に関連する。典型的な股関節全置換術に適した対象である患者を特定する必要性と、二元可動性など、様々なインプラントの種類に適した対象である患者を特定する必要性とがある。骨盤の傾きは、目標カップ角度が調整されるべきであるかどうかを決定することに関連する。患者の生体構造は、骨盤の傾きに影響を及ぼす様々な変形を有し得る。患者は、骨盤の傾きに影響を与える矢状脊柱変形などの脊柱変形を有し得る。融合などの以前の脊柱の手術は、骨盤の可動性に影響を及ぼす可能性がある。脱臼の確率が、以前の脊柱の手術による患者について、より高い。脊椎と骨盤との間のアライメントは、目標の前捻角度に影響を及ぼすことができる。臨床転帰を向上させるために患者特有の目標角度を決定する必要性がある。
【0105】
モジュール100は患者の特性についての情報を提供することができる。これらの特性は患者を分類するために使用できる。これらの特性は、例えば母集団の平均目標角度を変えるかどうかを決定することで、外科計画を修正するために使用できる。これらの特性は、患者が手術の候補であるかどうかを決定するために使用され得る。これらの特性は、どの種類の手術を実施するかを決定するために使用され得る。
【0106】
これらの特性は、どの種類のインプラントを使用するかを決定するために使用され得る。モジュール100は、二元可動性インプラントを使用するかどうかについての情報を提供することができる。ある使用では、二元可動性股関節置換は、特定の患者について、脱臼の危険性を低減する。モジュール100は、どの患者が二元可動性インプラントから恩恵を受けられるかを手術前に決定するときに有用な情報を提供することができる。二元可動性インプラントは、ライナ内に縛られているが動くことのできる大腿骨骨頭を備え、ライナは、寛骨臼シェル内に縛られているが動くことができる。モジュール100は患者の可動特性を決定することができ、その可動特性は、インプラントを選択するために外科医によって使用され得る。モジュール100は、患者が異常な可動性を有するか、通常の可動性を有するかを、決定することができる。これらの特性は、患者特有のインプラントを使用するかどうかを決定するために使用され得る。モジュール100からの情報は、脱臼の危険性など、手術の危険性を評価するのを助けることができる。これらの特性は、どの種類の治具または外科器具を使用するかを決定するために使用され得る。これらの特性は、患者特有の治具を使用するかどうかを決定するために使用され得る。
【0107】
ある実施形態では、モジュール100はX線写真または他の撮像技術との組み合わせで使用され得る。ある使用の方法では、患者はX線写真の評価を受ける。X線写真の評価は、様々な位置を用いて、運動の骨盤の範囲のスナップショットを提供することができる。X線写真は、患者が立っている間、患者が座っている間、および/または、患者が傾いている間に、撮ることができる。ある方法では、X線写真の評価は限られた効果を有し得る。これらの評価は、患者を位置決めするために、面倒で手動の過程を含む。X線写真の評価は、利用が難しい大きくて高価な設備を必要とし得る。X線写真または他の撮像技術は、放射線への曝露を増加させることで、患者に危険をもたらしもする。これらの評価は、患者のスナップショットまたは静止画を提供するだけである。ある方法では、これらの画像は、動的な測定より有用性の劣る情報を提供する。モジュール100は、センサデータが運動の連続範囲にわたって動的であるため、手術前のX線写真データを向上させることができる。
【0108】
ある実施形態では、モジュール100は、X線写真などの撮像技術の代わりに使用できる。モジュール100は骨盤の可動性の動的測定を提供することができる。モジュール100は患者の位置決めの測定を提供することができる。ある実施形態では、目標角度は、患者の可動性に関する手術前のX線写真を必要とすることなく決定される。外科医はむしろ、患者特有の目標角度を決定するために、モジュール100によって検出される運動の範囲を頼りにすることができる。
【0109】
モジュール100は、患者の特性を決定するために、広い目的を有し得る。モジュール100は可動性を決定することができる。モジュール100は患者の位置決めを決定することができる。モジュール100は、監視されている患者に特有である静的または動的な情報を提供することができる。モジュール100は、外科医に患者の評価を提供するために、より狭い目的を有し得る。評価は患者特有の可動性に関し得る。評価は、患者が通常の可動性を有するか、異常な可動性を有するかに関し得る。評価は、患者が特定の種類の手術またはインプラントに適した対象であるかどうかに関し得る。評価は、従来の撮像技術の追加または代替のデータを提供することができる。このデータがあれば、外科医は、患者特有の目標角度を決定するなど、外科計画を決定することができる。モジュール100は、データを外科医に提供するための有用な道具である。
【0110】
モジュール100は、手術中の誘導との組み合わせで使用できる。モジュール100は、手術中の誘導の精度および正確性を向上させることができる。ある実施形態では、モジュール100は、個人に合わせた前捻角度の合理的な目標設定のために使用され得る。モジュール100は、カップ配置のための目標外転角度および目標前捻角度をより良好に予測するために、手術前のデータを外科医に提供することができる。最終目標は、カップ配置および目標設定によって影響が及ぼされ得る患者の転帰を向上させることである。
【0111】
モジュール100は目的の外科計画のために使用され得る。モジュール100は、手術前に体重減少を追跡するために使用され得る。モジュール100は、手術前に筋緊張を追跡するために使用され得る。モジュール100は、手術に向けて用意ができていることを決定するために使用され得る。モジュール100は、手術前のプログラムで使用者の適合性のために使用され得る。モジュール100は通信のために使用され得る。モジュール100は、スマートで、個人に合わせられ、経済的で、繋がった治療のために、使用され得る。モジュール100は、コストおよび複雑さを低下させるために使用され得る。
【0112】
B. 前方アプローチおよび後方アプローチのための股関節置換
1. 股関節誘導システム
医療用補綴物の適切な配置の可能性を増加させることで、患者にとっての転帰を向上させるために使用できる様々なシステムおよび方法が、以下において検討されている。これらのシステムは、基準平面を確立するために、慣性誘導技術に重点が置かれ得る。これらのシステムは、基準平面に対して医療用補綴物を誘導するために、慣性誘導技術に重点が置かれ得る。ある方法では、任意の手術中誘導システムが利用され得る。手術中誘導システムは、決定された目標カップ角度へ誘導することができる。ある方法では、目標カップ角度が、1つまたは複数のモジュール100からのデータに少なくとも一部で基づいて決定され得る。方法は、以下に記載されている1つまたは複数のステップを利用することができる。ある方法では、モジュール100は、誘導での使用のためではなく、他の目的のために利用される。
【0113】
システムおよび方法は、ユーザーインターフェースおよび慣性センサのセットを伴う一次的な手で持てる電子式外科方位デバイスと、慣性センサの第2のセット、および方位デバイスを骨盤に連結するための治具を伴う二次的な電子式方位デバイスとを備え得る。電子式方位デバイスは、カップが配置される前に基準平面を確立することができる。二次的な電子式方位デバイスは、カップ配置の間、この基準平面に対する外転角度および前捻角度を監視するために、カップ挿入装置に連結され得る。システムの特徴は本明細書に記載されている。
【0114】
図7は、解剖学的ランドマークに関連する股関節処置を誘導するように適合されている股関節誘導システム600を示している。システム600は、
図7では、簡潔性のために四角形として示されている骨盤に装着されて示されている。システム600は、本明細書に記載されているような後方アプローチのために骨盤に装着され得る。システム600は、本明細書に記載されているような前方アプローチのために骨盤に装着され得る。
【0115】
システム600は、固定基部602と、第1の組立体604と、第2の組立体606とを備え得る。第1の組立体604は、本明細書で検討されているように、骨盤の運動が第1の組立体604におけるセンサの対応する運動を引き起こすように、図示されている構成において股関節または骨盤にしっかりと接続されている。この運動を感知することで、システム600は、誘導における誤りの発生源としての患者の動きを排除することができる。第2の組立体606は、制御された運動の全体の範囲と、第1の組立体604にセンサと協力して運動を追跡することができるセンサとを提供する。
【0116】
組立体604、606におけるセンサは、好ましくは、それらの間でデータを伝え、場合により、モジュール100、コンピュータ、タブレット、および/またはスマートフォンなどの外部出力デバイス130、ならびに外部表示部を含め、外部デバイスとデータを伝える。組立体604、606、モジュール100、および外部出力デバイス130は、Bluetooth、wifi(登録商標)、または他の標準的な無線テレメトリプロトコルを用いて、データを無線で伝えることができる。システム600は、1つまたは複数の固定ピン610、612を備え得る。システム600は、本明細書に記載されているように、外科方位デバイス172と方位感知デバイス204とをさらに備え得る。外科医によって決定される患者特有の目標角度は、外科方位デバイス172への入力であり得る。外科方位デバイス172および方位感知デバイス204は、所望の目標角度への寛骨臼カップの誘導を容易にすることができる。
【0117】
外科方位デバイス172は、基準フレームに対するデバイス172の方位および回転を検出する。外科方位デバイス172は、加速度計、ジャイロスコープ、または、これらのセンサおよび他のセンサの組み合わせなど、少なくとも1つの供給源のない慣性センサを好ましくは備える。ある実施形態では、外科方位デバイス172は、重力に対する方位を検出するための三軸加速度計と、回転を検出するための複数のジャイロスコープとを備える。他のセンサが様々な修正において使用され得る。特定のセンサの組み合わせの例には、数ある中でも、Analog DevicesのADIS 16445およびInvensenseのMPU-6050またはMPU-9150がある。ある実施形態では、外科方位デバイス172は廃棄可能とでき、センサは安価なセンサであり得る。ある実施形態では、外科方位デバイス172は廃棄可能である。ある実施形態では、外科方位デバイス172は再使用可能である。
【0118】
外科方位デバイス172は、慣性測定ユニット(IMU:Inertial Measurement Unit)を一緒に形成する1つまたは複数のセンサを備え得る。ある実施形態では、IMUは、加速度を決定するための第1のセンサと、ジャイロ位置を決定するための第2のセンサとを備え得る。本明細書に記載されているように、第1のセンサは加速度計とでき、第2のセンサはジャイロセンサとできる。ある実施形態では、センサは三軸ジャイロセンサと三軸加速度計センサとを備え得る。外科方位デバイス172は、データを送信するための、または、方位感知デバイス204の1つまたは複数のセンサなど、システム600の1つまたは複数のセンサからデータを受信するための送受信機を備え得る。外科方位デバイス172は、データを送信するための、または、データをモジュール100および外部出力デバイス130から受信するための送受信機を備え得る。方位感知デバイス204から受信された情報は、入力ポートへと送り込まれ得る、または代替で、電子制御ユニット自体が情報を(例えば、無線で)受信することができる。方位感知デバイス204からの情報は、例えば、方位感知デバイス204の位置および/または方位に対応することができ、外科方位デバイス172の集合的または全体的な位置および/または方位を決定するために、外科方位デバイス172によって使用され得る。モジュール100および/または外部出力デバイス130からの情報は、例えば、骨盤の可動性に対応することができ、患者特有の目標角度へと誘導するために外科方位デバイス172によって使用され得る。
【0119】
システム600は第2の組立体606を備え得る。第2の組立体606は、プローブ678の通過を受け入れる大きさとされたドック662を備え得る。プローブ678は、本明細書に記載されているように、点または場所に触れるように設計された遠位端680を有し得る。遠位端680は、図示されているように真っ直ぐであり得る。他の実施形態において、遠位端680は斜めにされるかまたは湾曲させられる。プローブ678は、移動可能となるようにドック662に連結され得る。プローブ678の遠位端680は、解剖学的ランドマークに接触するように枢動または回転することができる。プローブ678は、固定ピン610、612の取り付け位置に対して、異なる並進位置へとドック662に対してスライドさせることができる。ドック662の中でのプローブ678のスライド能力は、プローブ678の同じ平面にあるが、遠位端680より近くまたは遠くにある点または解剖学的ランドマークに、遠位端680を移動させて到達させるようにすることができる。第2の組立体606は、固定ピン610、612の取り付け場所から離間している点を得ることを容易にするために、プローブ678の遠位端680のある範囲の運動を許容する。第2の組立体606は、固定ピン610、612の取り付け場所から異なる距離にある複数のランドマークを得ることを容易にするために、プローブ678の遠位端680のある範囲の運動を許容する。プローブ678が細長い部材として示されているが、他の構成が検討されている。任意の指示体が、点の方位または位置を確立するために利用され得る。ある実施形態では、ライトまたはレーザーが、点の位置および/または方位を確立するための指示体であり得る。ある実施形態では、カメラが、点の位置および/または方位を確立するための指示体であり得る。ある実施形態では、プローブが、点の位置および/または方位を確立するための指示体であり得る。ある実施形態では、1つまたは複数の目盛りまたは符号を伴うプローブが、点の位置および/または方位を確立するための指示体であり得る。ある実施形態では、QRコード(登録商標)などのコンピュータ読み取り可能コードを伴うプローブが、点の位置および/または方位を確立するための指示体であり得る。
【0120】
方位感知デバイス204は、本明細書に記載されているように、プローブ678の包囲および回転を検出することができる。方位感知デバイス204は、加速度計、ジャイロスコープ、または、これらのセンサおよび他のセンサの組み合わせなど、少なくとも1つの供給源のないセンサを好ましくは備える。ある実施形態では、方位感知デバイス204は、重力に対する方位を検出するための三軸加速度計と、回転を検出するための複数のジャイロスコープとを備える。他のセンサが様々な修正において使用され得る。ある実施形態では、方位感知デバイス204は再使用可能である。
【0121】
ある使用の方法、またはその方法のステップでは、方位感知デバイス204は、プローブ678の動きが方位感知デバイス204の動きに対応するように、プローブ678に連結される。ある使用の方法、またはその方法のステップでは、方位感知デバイス204は、較正などのために、第2の組立体606の移動不可能な不動の部分に連結される。ある使用の方法、またはその方法のステップでは、方位感知デバイス204は、ドック662など、第2の組立体606の移動可能な部分に連結される。この位置において、方位感知デバイス204は、プローブ678の長さ測定または延在を決定することができる。ある実施形態では、プローブ678は印付けまたは目盛りを備え得る。ある実施形態では、方位感知デバイス204はカメラを備え得る。カメラは、プローブ678の印付けの画像を捕捉することができる。
【0122】
ある使用の方法では、システム600は、
図9に示されている光学要素174を備える。光学要素174は、可視光、紫外線光、または赤外線光を含め、光を投射するように設計される任意のデバイスであり得る。光学要素174は、レーザー光を投射するように構成され得る1つまたは複数のレーザーを備え得る。レーザーは、例えば、単一の光の色といった、非常に細いスペクトルを伴う光を投射することができる。ある実施形態では、光学要素174は、外科方位デバイス172へと組み込まれる。ある実施形態では、光学要素174は、外科方位デバイス172とは別の構成要素であり得る。光学要素174は、外科方位デバイス172に対して、傍らに、隣接して、または上方に、位置付けられ得る。外科方位デバイス172の表示部は、光学要素174を使用する方法に関連する命令を含み得る。ある実施形態では、光学要素174は第1の組立体604に対して回転、枢動、または移動させられ得る。システム600の剛性は、所定位置へと移動させられると、光学要素174の位置を固定することができる。
【0123】
ある使用の方法では、光学要素174は、生体構造の選択された部分に光を投射するまで位置決めおよび/または移動させられ得る。ある使用の方法では、光学要素174は、本明細書に記載されているように、目標プローブに光を投射するまで位置決めおよび/または移動させられ得る。ある使用の方法では、光学要素174は、滅菌の包み、医療用ドレープ、包帯、テープ、および/または他の器具に光を投射するまで位置決めおよび/または移動させられ得る。
【0124】
光学要素174は光のパターンを放つことができる。光のパターンの例には、1つもしくは複数の線、1つもしくは複数の点、1つもしくは複数の平面、または、1つもしくは複数の形がある。光学要素174は、光が少なくとも1つの解剖学的領域に投射されるまで移動させられ得る。ある使用の方法では、光は、少し柔らかい組織を伴う少なくとも1つの解剖学的領域に投射される。柔らかい組織は、下にある骨に対して動く可能性がある。外科医は、皮膚が下にある骨の近くにある場所を照らすために場所を選択することができる。ある使用の方法では、光学要素174は、生体構造の一部分、または、生体構造に連結された目標に、パターンを投射することができる。光学要素174は、1つもしくは複数の点、1つもしくは複数の線、1つもしくは複数の平面、1つもしくは複数の形、1つもしくは複数の色、および/または、1つもしくは複数のパターンを投射することができる。ある実施形態では、表面に入射する光の投射は、2つの交差する線として視認可能であり、パターンは、本明細書では十字線と称され得る。光学要素174は、1つまたは複数の方法または方法ステップを実施するために使用され得る。
【0125】
2. 後方アプローチのための方法
図7は、股関節処置を後方アプローチから誘導するように適合され得る股関節誘導システム600を示している。
【0126】
股関節全置換術におけるカップ配置のある方法では、傾斜および前捻角度は、前骨盤平面(2つの上前腸骨棘(ASIS)および恥骨結合によって作り出される平面として定義される)に対してである。これらの解剖学的特徴は、患者が仰臥位の位置にある間に視認可能/触知可能であるが、全股関節置換の大部分は、これらのランドマークのほとんどがアクセス可能または視認可能ではない側臥位の位置のある変形に患者がなっている状態で、後外側アプローチを介して達成される。歴史的に、後方アプローチ股関節置換のための誘導は、患者が最初に仰臥位の位置にある状態で前骨盤平面の解剖学的特徴を登録し、この平面が誘導コンピュータによって記録されると、股関節手術を実施するために患者を側臥位の位置へと移動させることで達成されており、誘導は、直接的に登録された前骨盤平面に対して実施される。股関節誘導へのこのアプローチは、仰臥位から側臥位の位置への患者の過剰な動きが、より多くの外科医およびスタッフの時間を取り、無菌性を破壊し、再びドレープすることを必要とするため、外科的なワークフローにとって準最適である。これは、股関節誘導が市場のほとんどによって採用され損なった主な理由のうちの1つである。
【0127】
図8は、後方股関節アプローチのための患者の位置決めの実施形態を示している。ほとんどの股関節置換処置は、後方アプローチから現在実施されている。このアプローチでは、患者は自身の側面において位置決めされ、前骨盤平面は、鉛直に配向され、例えば、患者が位置決めされるテーブルの平面に対して垂直に配向される。後方股関節アプローチでは、患者は自身の側面に配置され得る。ある使用の方法では、患者は側臥位の位置で配置され得る。患者を手術の前に位置決めするとき、外科医は、手術テーブルの長い縁と平行な鉛直平面において前骨盤ランドマーク(ASISと恥骨の隆起との両方)を位置合わせすることができる。ある使用の方法では、患者を手術の前に位置決めするとき、外科医は、テーブルの表面に対して垂直な鉛直平面において前骨盤ランドマーク(ASISと恥骨の隆起との両方)を位置合わせすることができる。ある使用の方法では、患者を手術の前に位置決めするとき、外科医は、重力と平行な鉛直平面において前骨盤ランドマーク(ASISと恥骨の隆起との両方)を位置合わせすることができる。ある使用の方法では、患者を手術の前に位置決めするとき、外科医は、前骨盤平面を重力と平行に位置合わせすることができる。ある使用の方法では、患者を手術の前に位置決めするとき、外科医は、前骨盤平面を鉛直に位置合わせすることができる。
【0128】
ある使用の方法では、システム600は、骨盤が正確に位置決めされるという仮定に基づいて、カップ角度を計算する。ある使用の方法では、システム600は、前骨盤平面が後処置の間に鉛直であるという仮定に基づいて、カップ角度を計算する。外科医は、骨盤がペグボードまたはバイス式患者位置決め装置などの適切な位置決めデバイスによってしっかりと保持されることを確保することができる。外科医は、患者が後方アプローチのための適切な位置で位置決めされていることを確認することができる。正しい患者の位置決めは、正確な誘導にとって重要である。
【0129】
システム600は、較正のために部分的に組み立てられ得る。ある実施形態では、第1の組立体604が組み立てられ得る。外科方位デバイス172は第1の組立体604に連結され得る。ある実施形態では、第2の組立体606が組み立てられ得る。方位感知デバイス204は第2の組立体606に連結され得る。方位感知デバイス204は第2の組立体606の移動不可能部分に連結され得る。方位感知デバイス204は、外科方位デバイス172に対して位置が固定され得る。方位感知デバイス204と外科方位デバイス172との間の角度は固定され得る。外科方位デバイス172および方位感知デバイス204は較正され得る。
【0130】
システム600またはその一部分は、
図9に示されているように、骨盤に取り付けられ得る。ある方法では、固定ピン610、612は同側腸骨稜に配置される。外科医は、固定基部602を両方のピン610、612にわたってスライドさせることができる。第1の組立体604は固定基部602に固定され得る。外科方位デバイス172は、第1の組立体604に取り付けられ得る、または、第1の組立体604が固定されると別々に連結され得る。光学要素174はシステム600に固定され得る。ある実施形態では、光学要素174は第1の組立体604に固定され得る。
【0131】
外科医は、脚を中立位置において手術側に配置することができる。外科医は、レーザーが
図9に示されているような光のパターンを投射するように、光学要素174を位置合わせさせることができる。外科医は、解剖学的ランドマークまたは目標へと光を投射するために、光学要素174を調整することができる。方法は、光の入射180を印付けることを含み得る。方法は、光の線に沿って2つ以上の点を印付けるステップを含み得る。方法は、光の線に沿って線を引くことを含み得る。方法は、光の入射180の画像を捕捉することを含み得る。ある実施形態では、外科医は光のパターンを追跡する。ある実施形態では、外科医は、ボビーマーク、ペンマーク、ステッチ、または他の耐久性のある指示など、大腿骨に印付けることができる。ある実施形態では、外科医は光の入射180を印付けることができる。
【0132】
図10は、テーブルを登録する一実施形態を示している。
図10は、患者が後方アプローチの側臥位の位置にある状態での上面図である。外科医は、骨盤の矢状面が基準位置であることを確認することができる。患者の位置決めの間、前骨盤平面は鉛直に位置決めされる。前骨盤平面は、2つの上前腸骨棘(ASIS)および恥骨結合の前面によって作り出される平面として定めることができる。前骨盤平面は、患者が後方アプローチの側臥位の位置にあるとき、鉛直に配向され得る。テーブル平面は、水平な平面、または概して水平な平面であり得る。
【0133】
テーブル登録の間、プローブ678は方位感知デバイス204と連結される。ある使用の方法では、プローブ678と方位感知デバイス204とは、プローブ678の動きが方位感知デバイス204の動きを引き起こすように束縛される。
図10は、プローブ678が概して水平であるとき、重力の方向を計算するためのプローブ678の位置を示している。プローブ678は体の長軸と位置合わせされ得る。プローブ678は、テーブルの平面と実質的に平行に保持され得る。ある実施形態では、使用者はプローブ678を水平と位置合わせすることができる。使用者は、テーブル平面とのアライメントを確認するために、1つまたは複数の場所からプローブ678を視覚的に検査することができる。本明細書に記載されているように、方位感知デバイス204に連結されるプローブ678は、重力を測定するために水平または実質的に水平に位置決めされ得る。プローブ678は、テーブル登録の間に動かないように保持され得る。
【0134】
図10は、第2の組立体606から結合解除されるプローブ678を示している。ある実施形態では、プローブ678は、テーブル平面の登録の間、第2の組立体606から結合解除される。ある実施形態では、プローブ678は、テーブル平面の登録の間、第2の組立体606から連結される。プローブ678は、ドック662に連結され、水平位置で保持され得る。
【0135】
ある実施形態では、方位感知デバイス204の位置および/または方位は、プローブ678が水平に保持されるとき、外科方位デバイス172によって記録され得る。ある実施形態では、重力測定は、プローブ678が水平に位置決めされるときに行われる。使用者は、外科分野における水平および/または鉛直の基準面にプローブを位置合わせすることで、プローブをおおよそ水平位置で位置決めすることができる。方位感知デバイス204におけるセンサは、水平軸および/または鉛直軸の推定を提供するために、重力の方向を感知することができる。ある実施形態では、方位感知デバイス204および外科方位デバイス172は、他の方法によって重力の方向を検出することができる。ある実施形態では、方位感知デバイス204は、重力の方向を感知するために鉛直で保持される。ある実施形態では、方位感知デバイス204は、水平に対して任意の角度で保持される。ある実施形態では、方位感知デバイス204は、鉛直に対して任意の角度で保持される。使用者は、テーブルを登録するために(例えば、外科方位デバイス172におけるボタンを押し下げるために)、入力を入れることができる。使用者は、外科方位デバイス172に信号を送って方位感知デバイス204のデータを捕捉するために、外科方位デバイス172におけるユーザーインターフェースとやり取りすることができる。外科方位デバイス172は、データが記録されたことを指示することができる。ある使用の方法では、テーブル登録は処置の間のある点において取られ得る。テーブル登録は、手術前の較正の間に取られ得る。テーブル登録は、手術中の較正の間に取られ得る。外科方位デバイス172は、テーブル平面および/またはテーブル基準フレームを保存することができる。
【0136】
テーブル登録は重力の測定を利用することができる。本明細書に記載されているように、外科方位デバイス172は1つまたは複数の慣性センサを備える。本明細書に記載されているように、方位感知デバイス204は1つまたは複数の慣性センサを備える。ある実施形態では、1つまたは複数の慣性センサからの慣性データは、鉛直平面および/または水平平面を計算するために使用される。ある実施形態では、1つまたは複数の慣性センサの位置データおよび/または方位データが、テーブル平面またはテーブル基準フレームを計算するために使用される。外科方位デバイス172および/または方位感知デバイス204は、重力の方向の測定を提供することができる加速度計を備え得る。静止時の加速度計は、地球の重力のため、加速度を測定することができる。加速度計は、下向きまたは鉛直に真っ直ぐな重力から加速度を測定することができる。加速度計は鉛直方向ベクトルを生成することができる。加速度計は、鉛直方向ベクトルを変形することで(例えば、90度の回転によって)、水平方向ベクトルを生成することができる。加速度計は、テーブル平面が重力に対して垂直になるように、方位データおよび/または位置データを提供することができる。ある実施形態では、外科方位デバイス172および/または方位感知デバイス204は、重力の方向を検出するためにセンサを備える。ある使用の方法では、方位感知デバイス204およびプローブ678は、重力の方向を測定するために、水平以外の他の形で位置決めされ得る。
【0137】
外科方位デバイス172および/または方位感知デバイス204は、重力ゼロへの参照を提供することができる。本明細書で参照されているような重力ゼロとは、センサの軸が重力の力に対して垂直である方位を概して言っており、それによって、重力ベクトルに対して、例えば傾き、ピッチ、ロール、またはヨーといった角度のずれを受けない。外科方位デバイス172は、テーブル平面に関する計算のために、重力ゼロを保存することができる。ある方法では、重力ゼロは、一回だけ登録され、処置を通じて利用される。テーブル登録は、重力ゼロの測定を記録することを含み得る。
【0138】
テーブルの基準フレームは、直交する2つの平面を含み得る。直交する2つの平面は鉛直平面と水平平面とを含み得る。鉛直平面は前骨盤平面を近似することができる。鉛直平面は、外科方位デバイス172および/または方位感知デバイス204によって記録および保存され得る。水平平面はテーブルの平面を近似することができる。水平平面は、外科方位デバイス172および/または方位感知デバイス204によって記録および保存され得る。
【0139】
鉛直平面の方位は、股関節補綴物のカップ部分の配置のための基準であり得る。例えば、外転角度および前捻角度は鉛直平面に対して計算され得る。システム600は、前骨盤平面が鉛直となるように患者の骨盤が正確に位置決めされるという仮定に基づいて、鉛直平面に対するカップ角度を計算することができる。ある実施形態では、鉛直平面は、外科方位デバイス172および/または方位感知デバイス204によって決定される。ある使用の方法では、股関節全置換術におけるカップ配置での外転角度および前捻角度は、テーブル登録によって決定された鉛直平面に対してであり得る。
【0140】
外科方位デバイス172は、計算された鉛直平面に関する情報を表示することができる。ある使用の方法では、カップ配置の間に誘導される外転角度および前捻角度は、鉛直平面に対してであり得る。ある実施形態では、外科方位デバイス172および/または方位感知デバイス204は、鉛直平面に関する方位および/または位置のデータを提供することができる。
【0141】
ある実施形態では、鉛直平面は、後方アプローチのための前骨盤平面の代わりである。鉛直平面は、任意の解剖学的ランドマークから完全に独立して決定され得る。鉛直平面は、骨盤の傾きによって影響されない基準平面を提供する。鉛直平面は、柔らかい組織のため、ランドマーク登録における誤りによって影響されない基準平面を提供する。
【0142】
本明細書において検討されているように、使用の方法は、患者が休んでいる外科テーブルの水平平面を推定するために、プローブ678およびセンサ204を使用することを含み得る。ある使用の方法では、水平平面またはテーブル平面は、プローブ678を位置合わせすることに基づいて計算される。本明細書において検討されているように、使用の方法は、重力の測定を利用して鉛直平面を推定するために、プローブ678およびセンサ204を使用することを含み得る。システム600は、ランドマークを登録することなく、カップの配置を案内するための基準フレームを確立することができる。ある使用の方法では、鉛直平面は重力の測定に基づいて計算される。ある使用の方法では、目標カップ角度は、重力によって決定される鉛直平面に対してである。ある使用の方法では、誘導されたカップ角度は、前骨盤平面を近似する鉛直平面に対してである。
【0143】
X線写真などの手術前および/または手術後の画像は、前骨盤平面と同様の基準平面内で捕捉される。テーブル登録は、撮像技術の基準平面を近似する基準平面を提供することができる。テーブル登録は、前骨盤平面を近似する基準平面を提供することができる。
【0144】
システム600は、確立された基準フレーム内で脚の長さおよび/または関節のずれを測定することができる。システム600は、患者の2本の脚の間で脚の長さを比較することもできる。脚の長さおよび/または関節のずれの測定は、カップ配置の前および後に測定され得る。測定は手術前および手術後であり得る。ある使用の方法では、外科医は点を登録することができる。ある使用の方法では、外科医は大腿骨に1つだけの点を登録することができる。ある使用の方法では、外科医は処置の間に1つだけの解剖学的ランドマークを登録する。プローブ678は第2の組立体606に連結され得る。方位感知デバイス204はプローブ678および/またはドック662に連結され得る。プローブ678は、点を登録するために不動とさせられ得る。遠位端680の先端が所望の点と接触すると、システム600は、方位感知デバイス204における1つまたは複数のセンサからのデータを処理し、そのセンサの方位を保存する。
【0145】
ある技術では、テーブルの登録は、股関節を脱臼させる前に完了させられる。ある技術では、点は、股関節を脱臼させる前に登録される。ある技術では、光の入射180は、股関節を脱臼させる前に印付けられる。登録が完了すると、外科医は、股関節を脱臼させ、適用可能である場合には大腿骨骨頭を切除し、インプラント製造者の技術により寛骨臼を準備するように進むことができる。脱臼の間に適用されるトルクは、骨盤を初期アライメントから離すように移動させることができる。
【0146】
ある使用の方法では、外科方位デバイス172は、どのように進むかに関して使用者に選択肢を提供することができる。ある使用の方法では、外科医は、目標角度を外科方位デバイス172に入力することで、前捻カップ角度および/または外転カップ角度を設定することができる。ある使用の方法では、外科医は、目標の前捻カップ角度および/または外転カップ角度を外部出力デバイス130から伝えることで、目標の前捻カップ角度および/または外転カップ角度を設定することができる。ある使用の方法では、外科医は、モジュール100によって収集されたデータに基づいて目標の前捻カップ角度および/または外転カップ角度を伝えることで、目標の前捻カップ角度および/または外転カップ角度を設定することができる。ある使用の方法では、外科医は、患者特有の要因に基づいて母集団の平均角度を調整することで、目標の前捻カップ角度および/または外転カップ角度を設定することができる。モジュール100によって検出された運動の範囲は、母集団の平均前捻角度からの患者特有の前捻角度の増加または減少を提案することができる。ある使用の方法では、外科方位デバイス172は、モジュール100によって一部で決定される患者特有の目標カップ角度を保存することができる。
【0147】
ある使用の方法では、外科方位デバイス172は、脚の長さおよび関節のずれに関する選択肢を提供することができる。ある使用の方法では、外科方位デバイス172は、患者の2本の脚の脚の長さに関する選択肢を提供することができる。脚の長さおよび/または関節のずれの測定は、カップ配置の前および後に外科方位デバイス172によって記録され得る。ある使用の方法では、外科方位デバイス172は、手術前状態から脚の長さを測定することができる。ある使用の方法では、外科方位デバイス172は、手術前状態から関節のずれを測定することができる。ある使用の方法では、外科方位デバイス172は、登録された点における変化を測定することができる。
【0148】
外科医は、方位感知デバイス204を第2の組立体606から取り外すことができる。方位感知デバイス204および外科方位デバイス172は、所定の方位でのカップの配置を案内するために使用され得る。外科医は、方位感知デバイス204をインパクタ300Aに連結することができる。ある実施形態では、方位感知デバイス204は万能インパクタアダプタに取り外し可能に連結され得る。万能インパクタアダプタは、方位感知デバイス204を任意のインパクタに連結させることができる。
【0149】
ある使用の方法では、方位感知デバイス204は、
図11に示されているようなインパクタ300Aに連結され得る。方位感知デバイス204は、インパクタ300Aが移動させられるとき、基準平面に対するカップ角度を決定することができる。インパクタ300Aはシェル312Aを備え得る。シェル312Aの移動は、インパクタ300Aにおける嵌め込みの衝撃の少なくともいくらかを吸収するように構成される複数のバネ部材340、344によって和らげられる。シェル312Aは、方位感知デバイス204をシェル312Aに連結させる連結器を備え得る。寛骨臼カップは、先端構成要素348に捩じ込まれ得る。使用者は、所望のインパクタのための適切なカップアダプタを選択することができる。方位感知デバイス204は、本明細書に記載されているように、カップ角度を誘導するためにインパクタ300Aに連結され得る。
【0150】
寛骨臼カップは、寛骨臼へと挿入でき、所望の角度で位置決めされ得る。本明細書に記載されているように、外科医は、外科方位デバイス172によって患者特有の目標角度を保存することができる。外科方位デバイス172は、患者特有の目標角度に対してカップを配置するとき、外科医を案内することができる。本明細書に記載されているように、目標外転角度および目標前捻角度は、モジュール100からのデータに基づかれる手術前計画によって決定されるカップ角度であり得る。手術前計画からの目標外転角度および目標前捻角度は、システム600への入力であり得る。
【0151】
ある使用の方法では、方位感知デバイス204が万能インパクタアダプタによってインパクタ300Aまたは任意の他のインパクタに取り付けられると、外科方位デバイス172は、インパクタ300Aのレントゲン写真の傾斜および前捻角度を表示することができる。ある使用の方法では、外科方位デバイス172は、骨盤の前方平面に対するインパクタ300Aのレントゲン写真の傾斜および前捻角度を表示することができる。ある使用の方法では、外科方位デバイス172は、鉛直平面に対するインパクタ300Aのレントゲン写真の傾斜および前捻角度を表示することができる。ある使用の方法では、外科方位デバイス172は、前骨盤平面を近似する平面に対するインパクタ300Aのレントゲン写真の傾斜および前捻角度を表示することができる。インパクタ300Aの角度はリアルタイムで計算され得る。
【0152】
外科方位デバイス172は、方位感知デバイス204が患者特有の目標外転角度および目標前捻角度へと誘導されるとき、グラフィカルに表示することができる。外科方位デバイス172は、目標または半球レンズなどの印を含むことができ、患者特有の外転角度および前捻角度は目標または半球レンズの中心に位置付けられる。外科方位デバイス172は、目標または半球レンズに対するインパクタ300Aの移動を指示するために、点または十字線などの印を含み得る。目標または半球レンズの中心に印を位置合わせすることで、インパクタ300Aが患者特有の目標カップ角度と位置合わせされることを指示することができる。ある使用の方法では、外科医は、半球レンズの中心に十字線を位置合わせする。ある使用の方法では、外科医は気泡水準器を位置合わせする。ある使用の方法では、外科医は2つの印を位置合わせする。ある使用の方法では、外科医は、移動する印を、固定された印と実質的に位置合わせする。ある使用の方法では、外科医は、外科方位デバイス172のグラフィカルユーザーインターフェースにおける印を、インパクタ300Aを移動させることで移動させる。ある使用の方法では、外科医は、外科方位デバイス172のグラフィカルユーザーインターフェースにおける印を、方位感知デバイス204を移動させることで移動させる。外科方位デバイス172に表示される視覚的指示体を位置合わせすることで、インパクタ300Aを所望の患者特有の目標カップ角度で位置決めするために使用者を案内することができる。印はリアルタイムで移動することができる。
【0153】
外科方位デバイス172は、患者特有の外転角度および前捻角度をグラフィカルに表示することができる。本明細書に記載されているように、患者特有の外転角度および前捻角度は、1つまたは複数のモジュール100によって検出される運動によって一部で決定される、システム600のための入力であり得る。ある使用の方法では、印は、インパクタ300Aが患者特有の目標外転角度に位置決めされるときに位置合わせする。ある使用の方法では、外科方位デバイス172は、カップを患者特有の目標角度と位置合わせするときに外科医を支援するために、グラフィカル表示を提供する。外科方位デバイス172は、カップ配置の間に第1の組立体604に連結され得る。外科方位デバイス172は、カップ配置の間に手術野内にあり得る。外科方位デバイス172は、カップ配置の間に骨盤に連結され得る。
【0154】
ある使用の方法では、外科方位デバイス172は、手術前計画によって決定される患者特有の目標角度を表示する。患者特有の目標外転角度および目標前捻角度は静的に表示され得る。ある使用の方法では、外科方位デバイス172は、手術前計画に基づいて、提案を外科医に表示する。提案は、母集団の平均から目標前捻角度を増加させることを含み得る。提案は、母集団の平均から目標前捻角度を減少させることを含み得る。提案は、母集団の平均を患者特有の目標前捻角度として使用することを含み得る。本明細書に記載されているように、表示されている角度は、レントゲン写真の定義に従って計算され得る。
【0155】
外科方位デバイス172は、本明細書に記載されているものを含め、任意の基準平面に対するカップ角度を提供することができる。外科方位デバイス172は、鉛直平面に対するカップ角度を提供することができる。外科方位デバイス172は、前骨盤平面を近似する平面に対するカップ角度を提供することができる。外科方位デバイス172は、テーブル登録の間に取得される平面に対するカップ角度を提供することができる。外科方位デバイス172は、重力についてのベクトルを含む平面に対するカップ角度を提供することができる。
【0156】
ある実施形態では、外科医は、カップ角度が嵌め込みの間に変わる可能性がある。ある実施形態では、カップ角度は、典型的には最初のマレットの打ちつけの後に、嵌め込みの開始までに表示される。ある使用の方法では、外科医は、カップ配置の間にインパクタを典型的には数回打ちつける。ある使用の方法では、これらの打ちつけはカップの方位を変えてしまう可能性がある。ある実施形態では、外科方位デバイス172は、嵌め込みの前から、カップ角度だけを表示する。ある使用の方法では、外科医は、方位感知デバイス204が外科方位デバイス172に対して固定された方位となるように、方位感知デバイス204をシステム600に連結することによって較正を繰り返す。次に、外科医は、カップ角度を確認するために、方位感知デバイス204をインパクタ300Aへと戻すように移動させる。システム600は、嵌め込みの後に現在のカップ角度を表示することができる。ある実施形態では、外科医は、先に進む前にカップ角度を視覚的に確認することができる。
【0157】
カップを位置決めした後、使用者は第2の組立体606を第1の組立体604に取り付けることができる。ある使用の方法では、使用者は、長さおよび/または関節のずれを測定することができる。ある使用の方法では、使用者は、脚の長さを決定するために、患者の両脚を測定することができる。ある実施形態では、外科医は、カップ配置の前に、大腿骨を方位において手作業で再位置決めすることができる。ある使用の方法では、カップ配置の後に点を登録することができる。ある使用の方法では、測定は、カップ配置の前および後に脚の長さを比較するために行われ得る。ある方法では、測定は、カップ配置の前と後とで関節のずれを比較するために行われ得る。
【0158】
方法は、カップ配置の後に光を光学要素174から投射することを含み得る。ある使用の方法では、光の入射180は、カップ配置の後に印付けと位置合わせしなくてもよい。ある使用の方法では、大腿骨は手術前の方位から動いている。ある方法では、外科医は、光学要素174が脚に光を投射するように脚を位置決めする。ある実施形態では、外科医は大腿骨を手作業で再位置決めすることができる。方法は、光の入射を、光180の入射の事前の印付けまたは記録と位置合わせすることで、大腿骨を再位置決めすることを含み得る。ある実施形態では、外科医は、大腿骨がカップ配置の前および後に同じ位置になるように、大腿骨を再び位置合わせすることができる。
【0159】
ある使用の方法では、外科医は、大腿骨を再位置決めした後に点を登録することができる。外科医は、プローブ678の遠位端680を点に位置決めすることができる。方位感知デバイス204の方位とプローブ678の延在とは、外科方位デバイス172へと入力することができる。これらのデータによって、外科方位デバイス172は、脚の長さおよび脚のずれにおける変化の量を出力することができる。遠位端680の先端が所望の点と接触しており、システム600は、カップ配置の前に取られた測定からの変化を決定するために、方位感知デバイス204における1つまたは複数のセンサからのデータを処理する。外科方位デバイス172は、脚の長さおよび/または脚のずれにおける変化を表示することができる。
【0160】
3. 前方アプローチのための方法
図7は、股関節処置を前方アプローチから誘導するように適合され得る股関節誘導システム600を示している。
【0161】
ある実施形態では、誘導システム600は、補綴股関節の配置を助けるために、関連する解剖学的特徴を位置付けるように構成される。ある方法では、手術前の撮像技術が使用される。ある使用の方法では、外科医は、立っているかまたは仰臥位での前後方向(AP:anteroposterior)の骨盤のX線写真を使用することができる。
図12は、脚が中立の回転にあり、肩幅に姿勢で離れている状態で患者が立っているときに撮られた立っているときのAPのレントゲン写真を示している。X線写真の管からフィルムへの距離は、十字線が、恥骨結合の上縁と、上前腸骨棘(ASIS)同士をつないで引かれる線との間の中点に中心付けられた状態で、120cmとなるべきである。尾骨は恥骨結合と一致して中心付けられるべきであり、腸骨稜同士、閉鎖孔同士、およびレントゲン写真の涙痕同士は、見た目が対称的とされるべきである。適切な骨盤の傾斜または外転については、1~3cmの隙間が、尾骨の先端と恥骨結合の上縁との間で見られるべきである。この位置決めは、患者特有の縁涙痕(RT:Rim Teardrop)角度を測定するために重要であり得る。
【0162】
AP骨盤X線写真から患者特有の縁涙痕(RT)角度を得るために、外科医は、以下のステップのうちの1つまたは複数を完了することができる。外科医は、涙痕の底同士をつなぐ線をX線写真に引くことができる。外科医は、手術側における寛骨臼の縁(R)における最も外側の点から涙痕(T)の底を通って水平な涙痕間線まで線を引くことができる。骨棘が縁(R)に存在する場合、外科医は最も外側の骨棘を通る線を引くことができる。外科医は、涙痕間線と引かれたRT線との間の角度を測定することができる。この患者特有のRT外転角度は、システム600のための入力となり得る。
【0163】
図13は、前方股関節アプローチのための患者の位置決めを示している。前方股関節アプローチでは、患者は仰臥位の位置に配置されるべきである。患者を手術の前に位置決めするとき、外科医は、手術テーブルの長い縁と平行な水平平面において患者の脊椎および大腿骨を位置合わせするように注意しなければならない。外科医は、患者が、例えば仰臥位の位置において、適切な位置で位置決めされていることを確認することができる。
【0164】
システム600は、本明細書に記載されているように、較正のために部分的に組み立てられ得る。方位感知デバイス204は、外科方位デバイス172に対して位置が固定され得る。外科方位デバイス172および方位感知デバイス204は較正され得る。
【0165】
システム600は、
図7に示されているように、骨盤に取り付けられ得る。ある方法では、固定ピン610、612は同側腸骨稜において平行に配置される。固定ピン610、612は、骨盤外部固定のためのピンの配置と同様の手法で配置される。固定ピン610、612は、腸骨稜に、その最も上の面において入り、腸骨稜の内側の骨のテーブルと外側の骨のテーブルとの間で進む。前方アプローチによる続いての大腿骨の露出およびブローチングの障害を除去するために、ある使用の方法では、前固定ピンがASISの後に2~4cmで配置されるべきである。ある技術では、1つの固定ピン610、612がASISの後の2~4cmにおいて腸骨稜に位置決めされる。
【0166】
外科医は、留められた構成または定位置を登録することができる。ある技術において、プローブ678の遠位端680は、固定基部602における点と係合させられ得る。プローブ678は、定位置において鉛直であり得る。方位感知デバイス204は、定位置において鉛直であり得る。
【0167】
外科医は、プローブ678の遠位端680を様々な解剖学的ランドマークまたは点に位置決めすることができる。ランドマークは、腸骨の骨突起である2つの上前腸骨棘(ASIS)を含む。上前腸骨棘は、手術の間に外科医によって視覚化および/または動揺させられ得る。上前腸骨棘は骨盤の腸骨稜の前端である。ASIS間の線は、これらのランドマークの間で延びる。ASIS間の線は、同側ASISと対側ASISとの間で延びる。他の使用の方法では、他のランドマークが使用される。使用され得る他のランドマークには、腸骨、坐骨、恥骨、坐骨への経寛骨臼靭帯の前挿入点、寛骨臼切痕の下面の中間点、上前腸骨棘、下前腸骨棘、寛骨臼および下前腸骨棘の集束、および、技術的に知られている他のランドマークにおける場所がある。
【0168】
システム600は、データを受信する1つまたは複数の処理装置を有し、プローブ678が解剖学的ランドマークに接触するとき、これらの解剖学的ランドマークの相対的な位置および/または方位を決定する。データは、本明細書における他の場所で検討されているように慣性センサによって、または、システム600の他の種類のセンサによって、生成され得る。好ましくは、センサは、手持ちの筐体の表面もしくは中に装着されるか、または、外科方位デバイス172および方位感知デバイス204などの器具に埋め込まれるだけの小ささである。システム600は、これらの点の一部分を少なくとも一時的に保存するために、メモリデバイスも好ましくは有する。システム600は、プローブ678が解剖学的ランドマークに接触するとき、関連位置および/または方位データを少なくとも一時的に保存する能力も好ましくは有する。ある使用の方法では、システム600は、プローブ678が各々の解剖学的なランドマークまたは点に接触するとき、プローブ678の位置および/または方位を記録する。
【0169】
ある使用の方法では、使用者は、脚の長さおよび関節のずれを測定することができる。外科医の自由裁量で、システム600は、股関節置換の前に、大腿骨の状態、場所、および/または方位を誘導するために使用され得る。ある実施形態では、印付けFmが近位大腿骨に行われ得る。ある実施形態では、ピンなどの構造が大腿骨に取り付けられる。ある実施形態では、バリまたはツメが大腿骨に作られる。プローブ678の遠位端680は、大腿骨印付けFmと接触させられ得る。外科方位デバイス172は、方位感知デバイス204の方位を記録するために合図させられ得る。ある使用の方法では、システム600は光学要素174を備える。レーザー光が、点、平面、および/または十字線を、限定されることはないが解剖学的特徴またはランドマークを含め、目標に投射するために使用され得る。外科医は、光学要素174の光の入射180の線に沿って1つまたは複数の点を印付けることができる。
【0170】
a. 前骨盤平面
システムは前骨盤平面を計算することができる。前骨盤平面は、2つの上前腸骨棘(ASIS)および恥骨結合の前面によって作り出される平面として定めることができる。3つの点が、平面を計算するための適切な情報を提供する。これらの解剖学的特徴は、患者が仰臥位の位置にある間に視認可能/触知可能である。ある方法では、プローブ678は、患者が仰臥位の位置にあるとき、解剖学的ランドマークの直接的な接触で前骨盤平面を登録する。次に、システム600は、前骨盤平面に対する股関節器具(例えば、インパクタ300A、または万能インパクタアダプタを伴う任意のインパクタ)の方位の誘導データを提供することができる。ある実施形態では、システム600は、使用者誘導データをリアルタイムで提供することができる。前方アプローチでは、患者は自身の背面において位置決めされ、前骨盤平面は、実質的に水平に配向され、例えば、患者が位置決めされるテーブルの平面に対して実質的に平行に配向される。
【0171】
システム600は、
図14に示されているように点1、点2、および点3を登録することで、前骨盤平面を決定することができる。外科医は点1、点2、および点3を登録することができる。図示されている実施形態は、左股関節における点1と、右股関節における点2と、患者の右股関節における点3とを示している。ある方法では、点1は同側ASISである。ある方法では、プローブ678の遠位端680は同側ASISランドマークに配置される。プローブ678は不動とでき、方位感知デバイス204の位置および/または方位は外科方位デバイス172によって記録され得る。外科医は、点1を登録するために(例えば、外科方位デバイス172におけるボタンを押し下げるために)、入力を入れることができる。外科方位デバイス172は、点1が記録されたことを指示することができる。また、方位感知デバイス204のカメラによって捕捉されるように、プローブ678が同側ASISに接触するために延ばされる距離は、方位デバイス172によって記録され得る。
【0172】
ある方法では、点2は対側ASISである。ある方法では、プローブ678の遠位端680は対側ASISランドマークに配置される。プローブ678は不動とでき、方位感知デバイス204の位置および/または方位は外科方位デバイス172によって記録され得る。外科医は、点2を登録するために(例えば、外科方位デバイス172におけるボタンを押し下げるために)、入力を入れることができる。外科方位デバイス172は、点2が記録されたことを指示することができる。また、方位感知デバイス204のカメラによって捕捉されるように、プローブ678が対側ASISに接触するために延ばされる距離は、方位デバイス172によって記録され得る。
【0173】
ある方法では、点3は恥骨結合の前面である。ある方法では、プローブ678の遠位端680は恥骨ランドマークに配置される。ある方法では、いずれかの恥骨の隆起が点3として使用され得る。ある実施形態では、対側の恥骨の隆起が点3として使用される。プローブ678は不動とでき、方位感知デバイス204の位置および/または方位は外科方位デバイス172によって記録され得る。外科医は、点3を登録するために(例えば、外科方位デバイス172におけるボタンを押し下げるために)、入力を入れることができる。外科方位デバイス172は、点3が記録されたことを指示することができる。また、方位感知デバイス204のカメラによって捕捉されるように、プローブ678が恥骨結合に接触するために延ばされる距離は、方位デバイス172によって記録され得る。点を記録するための処理は、1つまたは複数の追加の点について繰り返され得る。
【0174】
プローブ678の延在に関する距離は、方位感知デバイス204からの位置データおよび/または方位データと共に使用され得る。ある方法では、外科方位デバイス172および/または方位感知デバイス204は、カメラ184の画像をプローブ678の延在測定へと変換する。解剖学的な点を登録するとき、カメラは、プローブ678の印付けの画像を捕捉することができる。システム600は、プローブ678の並進位置の正確な決定を提供することができる。システム600は、点1、2、および3において、プローブ678の遠位端680の場所を決定するために、方位感知デバイス204からの長さ測定およびデータを使用する。
【0175】
骨盤の前述の点が誘導され、データが外科方位デバイス172へと記録されると、前骨盤平面は、誘導された点のデータから計算され得る。システム600は、システム600によって記録された3つの点から前骨盤平面を計算することができる。3つの点は
図14に示されている。ASIS間の線は点1と点2とを接続する。ASIS間の線は、同側ASISと対側ASISとの間に真っ直ぐな線を提供する。前骨盤平面は、点3の場所に応じてASIS間の軸の周りで枢動する水平平面と見なすことができる。
図14は、点3によって決定される前骨盤平面(APP)を示している。前骨盤平面は、同側ASISと、対側ASISと、恥骨結合の前面とを含む。
【0176】
ある使用の方法では、前骨盤平面の方位は、股関節補綴物のカップ部分の配置のための基準であり得る。外科方位デバイス172は、前骨盤平面に関する情報を表示することができる。ある使用の方法では、股関節全置換術におけるカップ配置での外転角度および前捻角度は、前骨盤平面に対してであり得る。ある実施形態では、前骨盤平面は、外科方位デバイス172および/または方位感知デバイス204によって決定される。
【0177】
b. 調整された骨盤平面
ある使用の方法では、基準平面が調整される。ある使用の方法では、テーブル平面が、基準平面を調整するために推定される。本明細書に記載されているテーブル平面を確立するための任意の方法また方法ステップが、利用され得る。テーブル平面は、水平な平面、または概して水平な平面であり得る。患者は、骨盤の冠状面が、例えば、テーブルと平行になる、および/または、水平にもなるといった、平らになるように、位置決めされ得る。使用者は、冠状面が平らであることを視覚的に確認することができ、または、冠状面をテーブルの上面の平面と位置合わせするように患者の体を位置決めするためにデバイスを使用することができる。ある実施形態では、テーブルの上面の平面に基づかれた基準平面がシステム600に入力され得る。テーブル登録は臨床的価値を提供する。ある技術では、テーブル平面は、前骨盤平面への二次的な基準平面のための入力であり得る。
【0178】
テーブル登録の間、プローブ678は方位感知デバイス204と連結される。ある使用の方法では、プローブ678と方位感知デバイス204とは、テーブル登録の間に動きが一体的に制約される。ある実施形態では、プローブ678は、第1の組立体604および/または第2の組立体606の他の構成要素と連結解除され得る。ある使用の方法では、システム600は、第1の組立体604と第2の組立体606とが固定ピン610、612を介して患者に連結されるように、組み立てられる。ある実施形態では、プローブ678は、テーブル登録の間、第1の組立体604、第2の組立体606、および/または骨盤に連結され得る。
【0179】
プローブ678は体の長軸と位置合わせされ得る。プローブ678は、テーブルの平面と実質的に平行に保持され得る。外科医は、1つまたは複数の場所からプローブ678を視覚的に検査することができる。例えば、使用者は、上方の視点および側方の視点からプローブ678を検査することができる。
【0180】
プローブ678は一定に保持でき、方位感知デバイス204の位置および/または方位は外科方位デバイス172によって記録され得る。使用者は、テーブルを登録するために(例えば、外科方位デバイス172におけるボタンを押し下げるために)、入力を入れることができる。使用者は、外科方位デバイス172に信号を送って方位感知デバイス204の位置および/または方位を捕捉するために、外科方位デバイス172におけるユーザーインターフェースとやり取りすることができる。外科方位デバイス172は、テーブル平面が記録されたことを指示することができる。
【0181】
本明細書に記載されているように、方位感知デバイス204および外科方位デバイス172は1つまたは複数の慣性センサを備え得る。1つまたは複数の慣性センサは、重力を検出し、下方向へのベクトルを提供することができる。テーブル平面は冠状面の方位の推定を提供する。
【0182】
ある実施形態では、方法は、調整された平面(調整済み)を計算することを含み得る。ASIS間の線は、本明細書で検討されているように、点1と点2とを接続する。ASIS間の線は、同側ASISと対側ASISとの間に真っ直ぐな線を提供する。本明細書で記載されているように、点1および点2はシステム600によって記録され得る。点1および点2は、前骨盤平面を計算するために、方法の一部として記録され得る。点1および点2は、前骨盤平面を計算するために、方法から独立して記録され得る。ある方法では、点1は同側ASISである。ある方法では、点2は対側ASISである。これらの解剖学的特徴は、患者が仰臥位の位置にある間に視認可能/触知可能である。調整された平面は、前骨盤平面への追加で、または、前骨盤平面の代替として、計算され得る。システム600は、調整された平面に対する股関節器具(例えば、インパクタ300A、または万能インパクタアダプタを伴う任意のインパクタ)の方位の使用者誘導データを提供することができる。
【0183】
調整された平面は、重力の力に対して垂直となるように、ASIS間の線の周りでの前骨盤平面の回転によって決定される。調整された平面は重力の測定を利用する。本明細書に記載されているように、外科方位デバイス172は1つまたは複数の慣性センサを備える。本明細書に記載されているように、方位感知デバイス204は1つまたは複数の慣性センサを備える。ある実施形態では、1つまたは複数の慣性センサからの慣性データは、調整された平面を計算するために使用される。外科方位デバイス172および/または方位感知デバイス204は、重力の方向の測定を提供することができる加速度計を備え得る。1つまたは複数の慣性センサは、例えば下方向といった、鉛直と位置合わせされるベクトルを提供することができる。加速度計は、鉛直方向ベクトルを変形することで(例えば、90度の回転によって)、水平方向ベクトルを生成することができる。加速度計は、調整された平面が重力に対して垂直になるように、方位データおよび/または位置データを提供することができる。
【0184】
外科方位デバイス172および/または方位感知デバイス204は、重力ゼロへの参照を提供することができる。本明細書で参照されているような重力ゼロとは、センサの軸が重力の力に対して垂直である方位を概して言っており、それによって、重力ベクトルに対して、例えば傾き、ピッチ、ロール、またはヨーといった角度のずれを受けない。
【0185】
ある使用の方法では、方位感知デバイス204は、重力の方向を測定するために、水平以外の他の形で位置決めされ得る。ある使用の方法では、方位感知デバイス204は、定位置にあるとき、重力を測定することができる。ある使用の方法では、方位感知デバイス204は、重力を測定するために、鉛直に、または実質的に鉛直に位置決めされ得る。ある使用の方法では、方位感知デバイス204は、点または解剖学的ランドマークに接触するとき、重力を測定することができる。ある使用の方法では、方位感知デバイス204は、点1に接触するとき、重力を測定することができる。ある使用の方法では、方位感知デバイス204は、点2に接触するとき、重力を測定することができる。
【0186】
図15は調整された平面を示している。調整された平面は、重力の測定に基づいてASIS間の線の周りで枢動する水平平面と見なすことができる。骨盤の前述の点が誘導され、データが外科方位デバイス172へと記録されると、調整された平面は、誘導された点についてのデータと重力測定とから計算され得る。調整された平面は同側ASISと対側ASISとを含む。調整された平面はASIS間の線を含む。システム600は、調整された平面を計算するために、水平方向ベクトルを点1および点2と組み合わせることができる。ある実施形態では、調整された平面は、重力の方向により決定される水平平面と見なすことができる。ある実施形態では、調整された平面は、ASIS間の線を含む水平平面と見なすことができる。
【0187】
本明細書に記載されているように、3つの解剖学的ランドマークが前骨盤平面のために登録される。プローブ678によって登録されたような同側ASIS、対側ASIS、および恥骨結合は、前骨盤平面を規定している。本明細書に記載されているように、2つの解剖学的ランドマークが、調整された平面のために登録される。2つのランドマークはASIS間の線を規定している。
【0188】
ある実施形態では、外科方位デバイス172は、例えば、重力の方向に基づいてASIS間の線の周りに前骨盤平面を回転させることで、変形によって修正された基準フレームを提供することができる。ある実施形態では、外科方位デバイス172は、水平と位置合わせされている修正された基準フレームを提供するために、前骨盤平面をASIS間の線の周りに回転させることができる。重力の測定は、外科方位デバイス172に前骨盤平面を回転させることができる。方位感知デバイス204および/または外科方位デバイス172の1つまたは複数の慣性センサは、ASIS間の軸を含む平面を、重力の力に対して垂直とさせるように、例えばどのように回転させるかといった、どのように変換させるかを決定するために、データを提供することができる。
【0189】
調整された平面は、解剖学的登録から、大きな誤りに対する確認を提供する。調整された平面は、骨盤の傾きによって影響されない基準平面を提供する。調整された平面は、柔らかい組織のため、登録における誤りによって大きく影響されない基準平面を提供する。調整された平面は、一部では、プローブ678をテーブルまたは他の水平平面と適切に位置合わせするときに計算される。調整された平面は、誘導されたカップ角度を、手術前および/または手術後の画像と比較するのに有用であり得る水平平面を提供する。X線写真などの手術前および/または手術後の画像は、水平の基準平面内で捕捉される。調整された平面は、撮像技術の水平の基準平面を近似する水平の基準平面を提供することができる。
【0190】
調整された平面の方位は、股関節補綴物のカップ部分の配置のための基準であり得る。外科方位デバイス172は、調整された平面に関する情報を表示することができる。ある使用の方法では、股関節全置換術におけるカップ配置での患者特有の外転角度および前捻角度は、調整された平面に対してであり得る。
【0191】
c. カップ配置
登録が完了すると、使用者は、股関節を脱臼させ、大腿骨骨頭を切除し、寛骨臼を準備するように進むことができる。外科医はインパクタ300Aおよび寛骨臼カップを準備することができる。外科医は、方位感知デバイス204をインパクタ300Aに連結することができる。
【0192】
外科医は、手術前計画に基づいて、患者特有の目標カップ角度を選択することができる。寛骨臼カップは、寛骨臼へと挿入でき、所望の角度で位置決めされ得る。外科方位デバイス172は、外科医を患者特有の目標カップ角度への誘導において、外科医を案内することができる。外科方位デバイス172は、方位感知デバイス204が患者特有の外転角度および前捻角度へと誘導されるとき、グラフィカルに表示することができる。患者特有の外転角度および前捻角度は、モジュール100によって決定される手術前カップ角度であり得る。外科方位デバイス172は、方位感知デバイス204およびインパクタ300Aが移動させられるときに外転角度および前捻角度をグラフィカルに表示することができる。
【0193】
外科方位デバイスは、前骨盤平面および調整された平面を含む本明細書に記載された基準平面を含め、任意の基準平面に対するカップ角度を提供することができる。寛骨臼シェルは、寛骨臼へと挿入でき、患者特有の目標角度で位置決めされ得る。外科方位デバイス172は、適切なカップ角度へと誘導するときに外科医を案内することができる。外科方位デバイス172は、方位感知デバイス204が患者特有の目標外転角度および目標前捻角度へと誘導されるとき、グラフィカルに表示することができる。所望の外転角度および前捻角度は、モジュール100に一部で基づかれる手術前カップ角度であり得る。外科方位デバイス172は、方位感知デバイス204が移動させられるときに患者特有の目標外転角度および目標前捻角度をグラフィカルに表示することができる。外科医は、インパクタ300Aを所望のカップ角度で位置合わせすることができる。外科方位デバイス172の視覚的指示体を位置合わせすることで、インパクタ300Aを所望のカップ角度で位置決めするために使用者を案内することができる。患者特有の外転角度および前捻角度は静的または動的に表示され得る。カップ角度は、本明細書に記載されている1つまたは複数の方法を繰り返すことで、嵌め込み後に確認され得る。
【0194】
外科方位デバイス172は、患者特有の目標外転角度および目標前捻角度を指示するために、目標または半球レンズなどの印を含むことができる。外科方位デバイス172は、インパクタ300Aの移動を指示するために、点または十字線などの印を含み得る。目標または半球レンズの中心に印を位置合わせすることで、インパクタ300Aが患者特有の目標カップ角度と位置合わせされることを指示することができる。印はリアルタイムで移動することができる。カップ配置および確認のための方法は、本明細書に記載されている任意のステップを含み得る。
【0195】
大腿骨のランドマークFmが、自然の関節を分離する前の処置において取得される場合、カップ配置が、脚の長さ、患者の胴体からの脚のずれ、またはそれら両方のいずれも変化させてないかを確認するために、カップが配置された後に同じランドマークが取得され得る。プローブ678の遠位端680は、処置において初めに取得された同じランドマーク(例えば、Fm)と接触させられ得る。方位感知デバイス204の方位とプローブ678の延在とは、外科方位デバイス172へと入力することができる。このデータによって、外科方位デバイス172は、脚の長さおよび/または脚のずれにおける変化の量を出力することができる。
【0196】
光学要素174は、カップ配置の後に骨盤に対して大腿骨の元の位置を再現するために、視覚的な案内を提供することができる。脚の長さおよび外側への関節のずれにおける変化を測定するとき、明らかな変化は、骨盤に対する大腿骨の方位における変化に敏感である。使用者は、骨盤に対する大腿骨の方位が、手術前の基準測定が行われたときの方位と同じになるように、脚の長さおよび関節のずれにおける変化を測定する前に大腿骨を再位置決めすることができる。
【0197】
4. 調整された平面と前骨盤平面との比較
図16は、前骨盤平面と調整された平面との間の比較を示している。本明細書に記載されているように、前骨盤平面と調整された平面との両方がASIS間の線を含む。前骨盤平面は平面を定めるために点3を含む。調整された平面は、平面を定めるために重力の方向を利用する。ある実施形態では、前骨盤平面と調整された平面とはASIS間の線の周りで同軸である。調整された平面は、ASIS間の線の周りでの前骨盤平面の回転である。調整された平面と前骨盤平面とは角度アルファを形成することができる。角度アルファは骨盤の傾きの測定であり得る。角度アルファは、前骨盤平面から水平への差異を測定することができる。角度アルファは、カップ角度が手術後のX線写真に示されているものにより密接に合致するように、前骨盤平面を調整することができる。ある実施形態では、調整された平面は傾きを調整する。ある実施形態では、調整された平面は、ASIS間の線に対する恥骨の傾きを調整する。
【0198】
調整された平面は臨床的価値を有する。手術前のX線写真および手術後のX線写真は、水平平面に二次元画像を生成する。受像器は、仰臥位の位置における患者に対して水平に位置決めされる。受像器は、光線が患者の体を出るとき、残留光線を捕捉する。患者の生体構造が受像器の水平平面に投射される。骨盤のX線写真について、所定の投射は前後投射である。誘導角度は、調整された平面を介した手術後のX線写真の表示に相互に関連付けられ得る。調整された平面は、撮像技術の水平の基準平面を近似する水平の基準平面を提供することができる。手術後のX線写真において測定されたものを反映する誘導されたカップ角度を処置の間に使用者に提供することには、臨床的便益がある。調整された平面に基づかれて誘導されたカップ角度は、前骨盤平面に基づかれて誘導されたカップ角度の追加で、または代用として提供され得る。調整された平面に基づかれて誘導されたカップ角度は、テーブル平面に基づかれて誘導されたカップ角度の追加で、または代用として提供され得る。
【0199】
前骨盤平面から調整された平面への調整は、使用者に、臨床的に予期されたカップ角度に相互に関連付くカップ角度を、使用者に提供することができる。前骨盤平面から調整された平面への調整は、手術の間に使用者が見たいとしているもの(例えば、カップの画像とシステム600の出力との間の比較)に相互に関連付くカップ角度を、使用者に提供することができる。前骨盤平面から調整された平面への調整は、使用者が手術後の画像において見たいとしているもの(例えば、システム600の出力と手術後の画像との間の比較)に相互に関連付くカップ角度を、使用者に提供することができる。外科医などの使用者は、システム600の出力を、システム600の出力を、例えば、使用者が手術後の画像を見たいとしているものに較正された、臨床的な経験に相互に関連する数と相互に関連付ける。手術後の画像は、手術後の6週間における仰臥位でのフィルムであり得る。手術後の画像は、患者の体の水平断面から撮られる。調整された平面は、手術後の画像の平面とより同様となり得る。
【0200】
システム600について、外科医には、適切なカップ配置へと誘導するために外科医を支援する出力が提供される。出力は、外科方位デバイス172に出力される外転角度および前捻角度であり得る。使用者は、インパクタ300Aなどのシステム600の構成要素を移動させることで、所望の外転角度および前捻角度へと進むことができる。外科医が所望の外転角度および前捻角度においてカップを配置するとき、使用者は、手術後の画像において同じ角度または同様の角度を見たいと思っている。システム600の誘導における使用者の自信は、システム600によって生成された外転角度および前捻角度が手術後の角度に合致する場合に増加する。
【0201】
本明細書に記載されているシステムおよび方法は、手術前の撮像とランドマークの参照との組み合わせで誘導を使用して、補綴股関節の配置を向上させることができる。これらの股関節処置は、概して、補綴股関節を寛骨臼内の方位へと案内し、これは、寛骨臼の周りでのカップまたは骨における大腿骨頸の衝突による、または、補綴物の準最適な方位に関連する他の理由による脱臼の可能性を、最小限にする。様々な技術が適切な配置の母集団の平均を利用するが、他の技術は患者特有の改良に適している。
【0202】
C. 前方アプローチおよび後方アプローチのための手術後計画システム
1. 手術後計画システム
医療用補綴物の適切な配置の可能性を増加させることで、患者にとっての転帰を向上させるために使用できる、股関節全置換術(THA)のための様々な骨盤の可動性のモジュール、システム、および方法が、以下において検討されている。これらのシステムおよび方法は、患者の生体構造を理解することに重点が置かれ得る。これらのシステムおよび方法は、追加または代替で、回復または適合性を追跡するために、骨盤の可動性を手術後に測定、定量化、および/または追跡することができる。
【0203】
慣性測定は、回復を監視するために、および、理学療法との適合性を向上させるためといった理由を含め、様々な理由のために、手術後に取られ得る。骨盤の可動性を測定するために、使用者は運動の範囲を通じて動き、データが捕捉されて処理される。患者は、手術の後にモジュール100を自宅に持って行くことができる。モジュール100は、手術後の機能を可能にすることができる。ある実施形態では、モジュール100は理学療法を追跡することができる。ある実施形態では、モジュール100は患者の適合性を追跡することができる。ある実施形態では、モジュール100は情報または教育の器具であり得る。モジュール100からのデータは外部出力デバイス130へと伝送され得る。モジュールからのデータは外部記憶装置128へと伝送され得る。データは、本明細書に記載されているように処理および分析され得る。
【0204】
これらの発明は、特定の好ましい実施形態および例の状況で開示されているが、本出願が特定の開示された実施形態を越えて、本発明の他の代替の実施形態および/または使用、ならびに本発明の明白な改良および均等へと及ぶことは、当業者によって理解されるものである。また、本発明の数多くの変形が詳細に図示および記載されているが、本発明の範囲内にある他の改良が、本開示に基づいて、当業者には容易に明らかとなる。実施形態の特定の特徴および態様の様々な組み合わせおよび部分組み合わせが行われてもよく、なおも本出願の範囲内にあり得ることも、検討されている。例えば、本出願は、接続ハブだけ、または、他のモジュールのいずれかとの組み合わせでの接続ハブが、別の態様を含み得ることを検討している。あるいは、モジュールのうちの任意の1つまたは任意の組み合わせが、他の別の態様を形成するために、傘状ハブまたはオーバーヘッド支持に直接的に接続されてもよい。したがって、開示されている実施形態の様々な特徴および態様が、開示されている実施形態の様々な状態を形成するために、互いと組み合わせることができる、または、互いの代用とされ得る。したがって、本明細書に開示されている本発明の範囲は、先に記載されている具体的に開示された実施形態によって限定されるべきではなく、以下にある請求項の公正な解釈のみによって決定されるべきであることは、意図されている。
【0205】
同様に、この開示の方法は、任意の請求項がその請求項において明示的に提唱されているよりも多くの特徴を必要とするという意図を反映しているとして、解釈されるものではない。むしろ、以下の請求項が反映するとして、発明の態様は、任意の単一の前述の開示されている実施形態のすべての特徴よりも少ない特徴の組み合わせにある。したがって、詳細な説明に続く請求項は、本明細書により、各々の請求項が別々の実施形態としてそれ自体で成り立つ状態で、この詳細な説明に明示的に組み込まれている。
【符号の説明】
【0206】
1、2、3 点
10 システム
100 モジュール
102 外側筐体
104 前面
106 後面
108 側面
110 指示体、照明、LED、表示部
112 使用者入力デバイス
114 把持特徴部
120 電子制御ユニット、電気制御ユニット
122 センサ
124 電力供給部
126 内部記憶装置
128 外部記憶装置
130 外部出力デバイス
172 外科方位デバイス
180 光の入射
204 方位感知デバイス
300A インパクタ
312A シェル
348 先端構成要素
600 股関節誘導システム
602 固定基部
604 第1の組立体
606 第2の組立体
610、612 固定ピン
662 ドック
678 プローブ
680 遠位端
APP 前骨盤平面
α 調整された平面と前骨盤平面との間の角度
【国際調査報告】